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2003/02/26 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 共生社会に関する調査会 第3号
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2003/02/26 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 共生社会に関する調査会 第3号

#1
第156回国会 共生社会に関する調査会 第3号
平成十五年二月二十六日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     辻  泰弘君     岡崎トミ子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         小野 清子君
    理 事
                有馬 朗人君
                清水嘉与子君
                橋本 聖子君
                羽田雄一郎君
                山本 香苗君
                吉川 春子君
                高橋紀世子君
    委 員
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                大野つや子君
                後藤 博子君
                南野知惠子君
                山下 英利君
                岡崎トミ子君
                小宮山洋子君
                鈴木  寛君
                千葉 景子君
                風間  昶君
                弘友 和夫君
                林  紀子君
                福島 瑞穂君
   副大臣
       厚生労働副大臣  鴨下 一郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山崎  恒君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       瀬川 勝久君
       法務省民事局長  房村 精一君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
   参考人
       淑徳大学社会学
       部社会福祉学科
       教授       柏女 霊峰君
       朝日新聞論説委
       員        川名 紀美君
       弁護士
       日本子どもの虐
       待防止研究会理
       事        平湯 真人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (「共生社会の構築に向けて」のうち児童虐待
 防止に関する件)

    ─────────────
#2
○会長(小野清子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、辻泰弘君が委員を辞任され、その補欠として岡崎トミ子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(小野清子君) 共生社会に関する調査を議題といたします。
 「共生社会の構築に向けて」のうち、児童虐待防止に関する件について、厚生労働省からの説明聴取及び参考人からの意見聴取をそれぞれ行った後、参考人、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省及び最高裁判所当局に対し質疑を行うことといたします。
 本日は、淑徳大学社会学部社会福祉学科教授柏女霊峰君、朝日新聞論説委員川名紀美君及び弁護士・日本子どもの虐待防止研究会理事平湯真人君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変御多忙の中を私ども本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から、児童虐待防止に関する件につきまして忌憚のない御意見をお述べをいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 議事の進め方でございますが、まず、厚生労働省の方から、本調査会の中間報告「児童虐待防止についての提言」に対する取組について十五分程度説明を聴取し、次いで参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べをいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えをいただく方法で進めさせていただきたいと思います。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。
 また、説明、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 まず、厚生労働省より説明を聴取いたします。鴨下厚生労働副大臣。
#4
○副大臣(鴨下一郎君) 児童虐待の現状と今後の対応について申し上げます。
 平成十二年には児童虐待防止等に関する法律を議員立法で制定をしていただきました。また、本調査会においても、昨年、児童虐待防止についての提言をいただくなど、国会における本問題に関して深い関心と取組をいただきまして、この場をかりましてまずは感謝を申し上げる次第でございます。
 資料に基づいて御説明をさせていただきます。この資料でございます。
 まず、一ページ目でございますが、児童虐待の現状についてお話を申し上げます。
 全国の児童相談所に寄せられる児童虐待に関する相談件数は昨年度は二万三千件を上回るなど、社会全体で早急に取り組むべき課題というような認識でございます。十一年度が一万一千六百三十一件、十三年度が二万三千二百七十四件と、二年で約倍になっておりまして、また、社会的介入が必要な虐待は一年間で三万五千件にも及ぶという、こういうような推計もございます。
 増加した相談件数五千五百件の約四分の三は福祉事務所、保健所等関係機関のものであることからも御了解いただけますように、児童虐待の防止等に関する法律の施行以来、確実に本問題に関する関係者の意識の高まりや国民一般の理解の向上が見られることは確かでございます。こうした関係機関等の熱意ある取組もありまして、本年度の児童相談所に寄せられる相談件数は、まだ正確な数字は明らかにはなっておりませんが、ほぼ落ち着いてきたというようなことが、現場の声として承っております。こうした傾向が確実なものになるように更に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 二ページ目をごらんいただきます。
 取組のポイントにつきましてお話を申し上げます。
 児童虐待を防止し、すべての児童の健全な心身の成長、自立を促していくためには、発生予防から早期発見・早期対応、そして保護・支援、アフターケアに至るまで、切れ目のない総合的な支援が必要であることは言うまでもございません。
 一番左に「虐待防止・自立」とありまして、ここにすべての矢印が向かっているわけでございます。これはいかなる段階にあってもその段階で児童への虐待被害を押しとどめ、自立に向けて進んでいけるよう、きめ細かな施策を準備しておくことが必要という考えを示したものでございます。
 右の欄にありますように、一度、虐待に至るおそれがある状態、いわゆる虐待ハイリスクの段階まで至ってしまうと、保健師が一年継続的に支援してもリスクが低下した世帯が一割にとどまり、現状維持が七割、虐待に至ってしまったケースも二割という大阪児童虐待研究会で行った研究結果にもございますように、一つの研究のみで断定することはできませんが、いったんハイリスク状態にまで至ってしまうと改善はなかなか容易でないということが分かります。
 また、虐待は身体発育や知的発達の阻害、情緒面の問題、さらに世代間連鎖なども引き起こすと言われておりまして、児童の一生涯、さらには世代を超えて大きな影を落とすというような認識を持つ必要がございます。
 こうしたことを考えれば、子育て支援策の充実や保健事業の充実などを通じまして虐待を未然に予防することの重要性を幾ら強調しても強調し過ぎることはない、こういうようなことでございます。
 また、早期発見・早期対応の重要性について申し上げます。
 虐待が起こっているとすれば、それを早期に発見し、直ちに適切な対応を講ずべきことは当然でありますが、死亡事例の約四〇%はゼロ歳児であります。うち七〇%強は六か月未満児であるという事実からも、特に生まれてから間もない時期には、短期間のうちに死亡にまで至ってしまう事例が多い。こうしたことを見るにつけましても、早期に虐待情報をキャッチし関係機関につなげる地域に応じた体制の工夫が必要であり、また重要である、このように考えております。
 保護・支援については、平成十三年度の児童相談所における虐待相談の内訳を見ても、在宅での指導が約八割となっておりまして、適切な在宅支援の必要性が見て取れます。
 また、家庭的な温かい雰囲気の下での生活を確保するという観点からすれば里親制度の活用が望まれるところでありますが、養子縁組を前提とすることを希望する場合が多く、実親の承認が得にくいなど、様々な理由からこれまで里親の活用が進んでいない状況にありまして、里親委託児童数も平成九年度から平成十三年度で二千百五十五人から二千二百十一人と微増にとどまっておる次第でございます。
 一方、施設については、平成九年度から平成十三年度の充足率を見ますと、乳児院では七四・四%から八五・五%、児童養護施設では八三%から九〇・三%となっておりまして、余裕のない状態が続いているのが現状でございます。さらに、近年は被虐待児の入所の割合が増えておりまして、例えば日本子どもの虐待防止研究会の調査によれば、東京、大阪など都市部の児童養護施設における何らかの形で被虐待経験のある児童の入所率は五〇%を超えておるという報告もございます。
 児童の状態や背景が多様でありまして、在宅支援、施設における支援を問わず、できる限り画一的にならないよう、個々に寄り添うような支援体制の確保に努めてまいりたいと、このように思っております。
 三ページ目をごらんいただきます。
 本調査会での御提言をいただいておりまして、この中では、予防から早期発見・早期対応、さらに保護・支援、すべての段階についていただいているわけでございますが、その中で発生予防では、調査会での御指摘をいただいた事項として、親の孤立を防ぐための場の確保。これにつきましては厚生省の取組としまして、子育て中の親子が交流できる集いの場の提供、さらに、保育所等に地域子育て支援センターを拡充し、育児相談や育児サークルの育成支援等を行っております。
 また、調査会の御指摘の中で、母子保健の充実ということがございまして、それにつきましては、一歳六か月・三歳児健康診断に心理相談員、保育士を配置すると、こういうような施策を行っております。また、厚生科学研究で保健師活動マニュアルの作成に取り組んでおります。
 こうした取組に加えまして、今国会に、自治体に子育てに関する行動計画策定義務付け、市町村に子育てコーディネートの義務付けなどを内容とします次世代育成支援対策推進法案、さらに児童福祉法改正案を提出予定でありまして、こうした子育て支援の強化は虐待防止にも資するものと認識をしております。
 またさらに、早期発見・早期対応につきましては、本調査会の御指摘として、児童相談所の体制強化、さらに各機関の対応要領、このことにつきましていただいておりますが、厚生省の取組の中では、児童福祉司の地方交付税積算基礎人数の割増し、さらに児童虐待対応協力員を拡充していく、さらには医師のためのマニュアル作成、看護師のためのマニュアル作成等を行っているところでございます。
 さらに、保護・支援、アフターケアにつきましては、児童が最終的には自立に至るまで継続的な支援を行うことが重要でありまして、児童福祉施設は、戦後、制度創設当初は衣食住を提供することを主目的としておりましたが、被虐待児童の増加など施設を取り巻く昨今の環境は大きく変化をしているわけでありまして、そうした状況に対応した施設の在り方が求められているという、こういう観点に立ちまして、調査会での御指摘でありました児童養護施設の拡充、さらに里親制度の拡充等につきましては、厚生省の取組として、原則六人定員の小規模型の児童養護施設の拡充、乳児院、児童養護施設に心理療法担当職員、被虐待児個別対応職員の配置、さらに、虐待児童等を引き受ける専門里親制度の創設、里親に対する養育相談や一時休息のための援助等を行う里親支援事業の創設、拡充を行ってまいりました。
 また、予防から保護までの共通の指摘としまして、職員等の資質向上、人材確保、さらに地域におけるネットワーク、こういうような御指摘をいただきました。それに対しましては、子どもの虹情報研修センターによる研修。さらに、市町村レベルでのネットワークづくり。設置済みの市町村数は現在、平成十四年六月に七百二か所となっておりまして、今計画中のところが平成十四年六月で三百二十三か所と、こういうようなことでございます。
 次に、四ページに移らせていただきます。
 取組のポイントの二番としまして、虐待の背景は多岐にわたることから、福祉関係者のみならず、医療、保健、教育、警察など地域の関係機関や地域住民の幅広い協力体制の構築が不可欠でございます。特に、住民に最も身近な市町村における虐待防止ネットワークは、予防から自立に至るまでのすべての段階で有効と考えております。
 ネットワークをどのような機関、団体に参加を求め、どのような活動をするかは、地域により様々な取組があってよいと考えますが、関係行政機関のみならず、場合によってはNPOやボランティア団体なども含めた幅広い参加、単なる情報連絡の場にとどまらず、個々のケースの解決につながるような取組を期待しているところでございます。さらに、市町村ネットワークの設置を積極的に働き掛けているところでありまして、平成十四年六月調査時点で設置済みが先ほど申し上げました七百二か所、計画中が三百二十三か所となっているわけでございます。
 五ページ目をごらんいただきます。
 法律の見直しに向けての検討でございますが、児童虐待の防止等に関する法律の附則においても、この法律の施行後三年後、すなわち十五年の十一月を目途として、この法律の施行状況を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすると、こういう規定がございます。
 法施行後の状況について、医療、保健、福祉、法律等の専門的見地から制度全般にわたり解決すべき課題について整理し検討を行うこととし、先般、社会保障審議会児童部会に児童虐待の防止等に関する専門委員会を設置したところでございます。
 中での主な検討課題としましては、生後間もない時期など、現に支援を必要とする時期に確実に保健サービスと出会う体制整備、さらに虐待ハイリスクの確実な把握、児童相談所の在り方や市町村の役割、司法の関与、さらに里親や施設の小規模化等の、子どもの治療と生活の保障ができる支援体制、市町村等地域での実情に応じた関係機関の連携、親への支援の在り方、こういうようなことについて現在のところ検討を進めているところでありますが、未来を担う子どもたちが心身ともに健康で安心して育っていけるよう体制を整えることは、親のみの責任ではなく社会全体の責任と、このように認識しておりまして、今後とも全力で虐待問題に取り組んでいくつもりでございます。
 どうもありがとうございました。
#5
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、各参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。
 それでは、柏女参考人からお願いいたします。柏女参考人。
#6
○参考人(柏女霊峰君) よろしくどうぞお願いいたします。
 このような会にお声を掛けていただきまして、感謝を申し上げます。淑徳大学で児童福祉、子どもの家庭福祉を中心に担当しております柏女と申します。よろしくどうぞお願いをいたします。
 十五分という短い時間でございますので早速本題に入らせていただきたいと思いますが、お手元に「児童虐待防止制度の見直しに向けて」と題するペーパーを用意させていただきましたので、これに基づきながら発題をさせていただきたいと思います。
 私自身は、児童福祉のサービス供給体制の在り方について研究することを中心に今進めておりまして、その視点から、児童虐待防止制度の見直しについて、特に本日は、市町村の役割重視と、そういう視点から発言をさせていただければというふうに考えております。
 そこにございますように、児童虐待防止法が平成十二年に施行されて、幾つかの効果とそれから課題が生じているわけでありますが、課題としてそこに大きく五点を挙げさせていただきました。一つは、子ども虐待に対する対応が児童相談所の一極集中を招き、そのことが児童相談所の業務の大きな混乱を招いたということが一点あるかと思います。二つ目が、児童相談所によって母子分離された子どもの受皿の不足。つまり、児童養護施設や乳児院、里親等々の受皿の質と量が大きく不足が深刻化してきたこと。そして、三点目として、地域支援、在宅支援が不十分であること。さらに、子どもが育つ基本的な場である家庭の再統合を目指すためには親への援助が必要になるわけですけれども、親への援助システムがないということ。そして最後に、司法の判断、関与が限定的であること。こうした五点が挙げられるのではないだろうかというふうに思います。
 このことをどう見るのかということでありますが、二番に書かせていただきましたが、これは児童虐待の対応だけに適用される問題ではなくて、実は現行の児童福祉実施体制の根本的な問題になるのではないかというふうに私は考えております。端的に言えば、これまでの、現在の都道府県、つまり児童相談所は都道府県、指定都市の機関でありますが、その都道府県を中心とし、しかも親の同意を取り付けながら援助を行うという任意的な支援。そして、問題が起こったら、家庭から子どもを切り離して施設に入所をして、施設で育てていただく、こういう現行の児童福祉実施体制の図らずも限界が子ども虐待の問題に対応するときに現れてきたのではないかというふうに思います。
 更に絞り込むならば、限界としては、そこに第一というふうに書かせていただきましたが、市町村・地域レベルでの援助体制が脆弱である。つまり、都道府県が責任を持って遂行する体制になっておりますので、端的に言えば市町村は責任がないわけであります。子どもが家庭から施設へ入所いたしますと、そこに要する費用は国と都道府県が負担をすることになりまして、市町村の負担は一銭もないという状況でございます。こうした市町村の援助体制が育たないシステムであるという点。
 第二点には、任意的な支援を中心としてまいりましたので、自発的なニーズの乏しい親子、この親子について、特に親ですが、その親を回復のプロセスに乗せていく仕組みができていないということになるかと思います。
 この二点を念頭に置いた場合、今後の児童福祉実施体制が備えるべき言わば四つのサブシステムというものを整備していかなければならないだろうというふうに考えております。それは以下の四つになります。
 一つは、介入的なサービスシステムを整備すること。児童虐待に代表されるような保護者が介入・援助を希望しない、そうした事例に対しても、児童の最善の利益を確保するために必要な介入・援助が速やかに実施できるシステムを用意すること。
 二点目が、親子の心のケアサービスのシステムを整備すること。特に、心理治療的な援助、あるいは心のケアに対応できる社会資源を整備していく。更に言えば、援助を希望しない保護者に対しても援助のプロセスに乗せていくことを可能とする仕組み、こうしたものが必要なのではないだろうかということであります。
 三点目が、地域の中での支援システムを整備していくということになるかと思います。まず、高齢者や障害者に比べて圧倒的に少ない地域の中での子育て支援サービス、あるいは社会資源、それらを用意して、幅広く用意をしていくということが大切だろうというふうに思います。そして、それらのサービスや機関を調整しながら、児童虐待の発生防止から再発予防までを一貫して支援できるような、そんな仕組みが必要なのではないかというふうに考えています。
 四番目は、居場所提供型のサブシステムが必要なのではないか。子どもや子育て家庭一般が広く集って相互に意見交換を行いながら、孤立を防ぎ、そして自分で、仲間同士で問題を解決していけるような、一緒に船団を組んで子育てをしていけるような、そんな仲間作りができる場を作っていくことが必要なのではないかというふうに思います。
 こうした四つのサブシステムを現行の実施体制を再構築しながら整備をしていくということが必要なのではないかというふうに思っております。
 それぞれどのような対策が、一番から四番までの中でどのような対策が、具体的な対策が必要なのかということにつきましては、次のページをごらんいただきますと、ごくごく簡単に書かせていただいております。
 @のところに関しましては、児童相談所の介入、ソーシャルワーク機能の強化、あるいは司法判断の導入などが考えられるかと思います。
 二番の心のケアの整備ということにつきましては、こうした機能を発揮する機関そのものがほとんど整備されていないということを指摘をしておかなければならないのではないかというふうに思います。健やか親子21で情緒障害児短期治療施設を全都道府県に整備するということが計画されておりますけれども、そこに親も支援をしていける、親に対する支援もしていけるようなそんな機能を付けていく、あるいはNPOのノウハウを活用していくといったようなことが大切なのではないかというふうに思います。
 三番に対しましては、在宅福祉サービスそのものが少ないということに加えて、ケースマネジメントやあるいはファミリーソーシャルワーク機能を果たすことのできる機関、ネットワークが存在していないということが大きな課題になるかと思います。
 この中で、特に三番の地域支援システムのことについて申し上げたいというふうに思います。先ほど厚生労働省の方から児童虐待防止市町村ネットワークの現状について御報告がございました。全部で平成十四年六月では約三分の一の市町村にネットワークができているという御報告でございますが、市部だけで見ますと実に六二・九%ということになっておりまして、三市に二市が設置をいたしております。この数は、平成十二年以降の整備、つまり児童虐待防止法が施行されて以降の整備が中心になっております。
 この児童虐待防止ネットワークを対象といたしまして、全国の市に対して平成十三年度、私たちは子育て支援ネットワークの全国調査を行いました。それによりますと、平成十二年、十一年以前にできたネットワークとそれ以降にできたネットワークでは大きな違いがございました。大きな違いの一つは、古くからできているネットワークは、個別の援助、被虐待家庭あるいは子育て支援を必要とする家庭に対する個別援助を行っている割合が高いということでありました。
 それからもう一点は、子育て支援ネットワークができている市とそうでない市に対して、子育て支援ネットワークに一体何を期待するのかということを問うてみました。そうしますと、ネットワークが既にできているところは、単なる意見交換、情報交換だけではなくて、例えば二ページの一番下にあります家庭訪問による家庭支援を直接的に行う、あるいは事例担当者へのアドバイスを行う、そういう機能が、虐待防止ネットワークに実際的な機能が必要なんだという御意見が高く見られておりました。
 現在はまだまだ、この市町村ネットワークというのはできたばかりのところが多いものですから、お互いの機能、役割を知るという、あるいは担当者同士に顔なじみになるという、そういう初期段階にとどまっているところが多いわけでございますが、幾つかの知見を併せ見ますと、今後このネットワークが充実していくに伴って個別援助事例に具体的な援助を展開する、そういう可能性が非常に高くなることをこれらの調査は表しているのではないかというふうに思いました。
 三ページの真ん中よりちょっと上をごらんいただきたいんですけれども、児童虐待というのは家庭内で発生をいたします。そして子どもが、その結果、子どもが家族を離れて施設等に入所するということになりましても、親や切り離された子ども以外の兄弟はその家庭にとどまることになります。そしてその家族が再び統合されることを目指して、あるいはその子どもの自立支援ということを目指して援助が行われることになります。このプロセスを進行管理、マネージするのは現在のところ市町村ではなくて、都道府県の広域行政機関であるこの児童相談所が今それを行っているわけであります。
 当該家族が在住する最も基礎的な自治体である市町村は、現在のところその家庭あるいは被虐待児童、その家族の援助プロセスには部分的にかかわるだけであります。子どもが児童相談所に一時保護され、そして施設へ入所していると市町村は全くかかわりがなくなります。そして、その施設で子どもが一体どういう生活をしているのか、親はその施設に対して月に何回面会に行っているのか、そうしたことさえ市町村は知る立場にはありません。そして子どもがある程度成長し、親との結び付きができ、そして家庭に戻したらどうかというふうに検討される段階になって初めて市町村はそのことを知らされることになります。
 そして、そこで当然援助のためのネットワーク会議が持たれるわけでありますが、これまでのプロセスを知りませんので、あるいは親との関係が切れておりますので、なかなかそこではすぐにはうまくいかないという事実があるのではないかというふうに思います。このことが児童相談所や施設という広域機関における援助とそれから市町村という地域レベルでの援助を分断させてしまっていると。その結果、お互いのつながりをめぐって様々な問題が生じるのではないかというふうに思います。
 こうした現状を改善するためには、児童相談所はもちろんでありますが、それとともに市町村が児童虐待事例の発見から家族の再統合までを児童相談所という専門機関と共同して支援する、そういう仕組み。市町村が、今、自分たちの地域から施設へ入所した子どもが一体どういう状況に置かれているのか、そしてその家庭は今どういう状況に置かれているのか、それが児童相談所だけではなく市町村もそれを知ることができる、そういうシステムを作っていかなければならないのではないかなというふうに思っています。
 終わりにというところで児童ソーシャルワーカーの宿命というようなことを書かせていただきました。児童虐待防止法の施行によって、親と子に対する支援の内実が伴わないままに子どもの保護、つまり子どもを早く地域から発見して、そして家庭から切り離そうという、そういうことで公権介入が強化された結果、もちろん子どもはそれによって救われる場合が多いわけですけれども、親は公権介入に納得せず、反発とあきらめを強めていきます。また、子どもはトラウマを制御し切れず問題行動を続発させていきます。さらに、親と子のケアに従事する専門職員は当面の対応に疲れてしまい、次のデザインを描くことができる余裕を持てないでおります。
 親の権利と子どもの権利という両側の谷の間の細い尾根道、これを縦走せざるを得ないのは、これは児童ソーシャルワーカーという専門職の言わば宿命であります。親の意向に傾けば子どもの生命の危険を招く事態を招きかねない。さりとて、子どもの保護を優先すれば、これまた親の反発を招きかねない。それは児童ソーシャルワーカーの宿命であるというふうに言っていいと思います。
 しかしながら、それは専門職の宿命なんだからしようがないよということではなく、その尾根道をやはり広くしていく、あるいはその尾根道を整備していく、そうしたことが必要なのではないかというふうに思いますし、また、ソーシャルワーカー自身もその尾根道を歩く技術を学んでいかなければならないだろうと。更に言えば、この尾根道を歩く人をもっともっと増やしていかなければいけない、尾根道を歩く人だけに任せておくのでなく、周りの人も協力をしていく、そうしたことが必要なのではないか。児童虐待に対する制度的あるいは臨床的、社会的な支援、これが求められているのではないかというふうに思いますし、それが苦労をしている現場を勇気付けるのではないかというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
#7
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、川名参考人にお願いいたします。川名参考人。
#8
○参考人(川名紀美君) 朝日新聞の論説委員をしております川名と申します。
 私は、ふだん社会福祉全般、高齢者の問題、子ども、女性をめぐる問題の社説を書いております。社説は普通、論説委員がみんなで議論をして、筆者は一人であっても議論の中で主張や提言をまとめていくということをいたします。けれども、今日ここで意見を述べさせていただくのは、八〇年代の終わりから子どもの虐待の問題を取材してきた一記者としての個人的な考えであるというふうに受け止めていただければ幸いです。
 取材を始めた当時は、本当に日本には子どもの虐待なんてありませんよと取材先で言われることもしばしばで、当時の厚生省には統計さえもないような状態でした。それが児童虐待防止法が成立し、更にそれを良いものにしようとしてこうやって調査や議論が重ねられているというのは本当に感無量です。しなければいけないこと、言いたいことはたくさんあるのですが、短い限られた時間なので、一つだけ今日は申し上げたいと思います。
 それは、具体的に虐待などで親と一緒に暮らせなくなった子どもたちがどこで暮らしているかという、その受皿になっている一番具体的に取り組んでいる児童養護施設の問題です。
 私も、最近は介護保険の成立以来ちょっと高齢者の問題に力を入れてきて、こちらの方はすっかりお留守になっていたと自分自身の反省も込めて現状を是非知っていただき、何とか変えていければというふうに思っています。
 御存じのように、いろんな事情で親と暮らせなくなった子どもたちは、児童養護施設が重要な役割を担って養育をしているわけです。
 戦後すぐには戦災孤児のような本当に物理的に親がいないという子どもが多かったわけですが、今は様相が変わって実際に両親がいないというのは多分一割程度になっていると思います。ほとんどが親がいながら一緒に暮らせないというわけですので、主訴、主な訴えとして、児童養護施設に措置されなくても、ほとんどの子どもが、聞いていくと何らかの形で虐待を受けているというふうに考えたらいいのではないかと思います。そういう現状で、もうすっかりただ衣食住を満たせばいいというような役割から大きく変わっているのにもかかわらず、様々なことが変わらないまま来ているので、そこの中にいる子どもたち、それから職員の人たちももう限界のような状況で養育を担っているということなので、そのことを是非知っていただきたいと思います。
 現状をちょっと触れておりますが、お手元のレジュメに書いてあるんですけれども、今全国で五百五十か所ぐらい施設があります。うち公立は六十六、私立、社会福祉法人が営んでいるものが四百八十四で、ほとんどが民間の手にゆだねられているということです。そこに三万人余りの子どもたちがいます。充足率九〇%と書いておりますが、これは全国平均するとそうなるということでして、都市部ではもう本当に空きがなくて、一人二人出ていくとすぐにという状態で、一杯、むしろ入る子どもたちが待っているというような状況です。
 施設の在り方なんですが、二十人以上の子どもたちがともに暮らしている、これ養護施設側の方で大舎制、大きな校舎の舎と書きまして大舎制なんて呼んでいるんですけれども、比較的大きな集団で暮らしているところが七〇%を占めています。そして中くらいのところが一五%、それから小さな、十二人までの集団で暮らしているところが一六・一%ということなので、大半が集団生活を営んでいるというふうに考えていただければいいかと思います。
 二〇〇一年度に新しく入所した子ども五千四百二十五人のうち、虐待を受けていた子どもが半数を占めております。これも虐待を受けていたということで入ってきた子が半数ということで、施設に来てからいろいろ聞いていくと、それがあったというような例が少なくないわけです。
 そういう施設に対して職員の配置基準というものがあるわけですけれども、三歳未満の子どもは子ども二人に対して一人、それから三歳以上小学校に入るまでが四人に一人、小学生以上になりますと六人に一人ということになります。実際に生活をともにするわけですから、職員の方の労働条件も守らなくてはいけませんし、そう考えると、六人に一人となっていましても、実際には子ども十数人を一人で見ている場面も少なくないわけです。この基準は一九七六年、もう二十五年も前に設けられたそのままです。その後、新しくこういう虐待のような問題なんかが明らかになってからも、その当時のままやっていると。幾分、専門職員の加配なども行われるようになっていますが、基本的には四半世紀変わらない状況であるということです。
 それで、こんな状態で本当にこの子どもたちの養育を担っていけるのだろうかということを考えた場合、やはり今ある施設を大きく転換していく必要があるのではないかというふうに思います。
 その提言の一つはグループホームの推進です。
 厚生労働省も、先ほどの説明にありましたように、数年前からそのようなことの重要性を認識して少しずつ、小規模な、地域で子どもたちが育つような仕組みを作っていこうということで補助金を出すようになってきています。
 けれども、高齢者の分野なんかは、もう今グループホームは二千五百を超えています。特別養護老人ホームも大事だけれども、在宅で住み慣れた地域でなるべく暮らしていけるようにということで、介護保険によって在宅サービスの整備が進んだり、グループホームの整備が進んでいるわけです。
 そしてまた、障害者の分野でも、去年打ち出されました、この四月から、新年度からの新しい五か年の施策の中心になります新障害者プランで、もう入所の施設は造らないということを明確にしているわけです。なるべく自分たちの住み慣れた地域で住んでいけるように、ノーマライゼーションの精神に沿って施策を進めていこうということが合意になっております。
 にもかかわらず、子どもの分野では全くと言っていいぐらいそのことが置き去りになっていて、ずっと戦後変わらないような状態である。これは余りにもおかしいのではないかと。今の子どもたちにも、やはりノーマライゼーションの精神に伴って地域で自立した生活をできるように、そういう方向に援助の転換をしていくべきではないかというふうに考えています。毎年十戸とか十八戸とか、今予算が付きつつあるわけですけれども、そんなことで済むようなことではないなというふうに思っています。
 アメリカで取材をしたことがあるんですが、アメリカは基本的には、親の元で暮らせなくなった子どもを入居させるような施設というのはありません。問題別に、例えば麻薬に染まってしまったとか虐待を受けたとかアルコール依存とか、その問題別にグループホームを中心として養育を支援したり、あるいは里親の元に預けられるということが多いです。全国的な統計というのはなかなかないのですが、里親の元で育っている子どもは六十万人くらい、それからグループホームも十万人から十二万人ぐらいがというような状態です。
 私が見たグループホームも、幾つか見たんですけれども、町の中に、住宅街に全く普通の民家を借り上げて、そして五人か六人の子どもが職員と生活するというようなやり方です。食事も五、六人ですから当番を決めて職員と一緒に作ります。そうすると、買物に行く、そこでお金の使い方ですとか良い商品の見分け方も学びます。銀行とかそういうところとどう付き合ったらいいか、カードの使い方はどうかというふうなことをきちんと学んでいけるわけです。そのようにして、少人数ですと、深い心の傷を持っていてもある特定の大人に自分がきちんと見守られている、愛されているという感じを子どもは持つことができます。
 大きな集団で職員の方は頑張っているわけですけれども、職員という集団が子どもの集団を見るという形ですと、どうしてもローテーションになってしまうので、本当に自分は一体だれにその自分の気持ちを打ち明けていったらいいのかと、子どももそういうふうに戸惑いを感じるし、職員の側でも、この子のことをもう少しと思っても、なかなかそれは難しいというような状態です。なので、是非、小規模化、そして地域で生きていく仕組みを作っていくような方向で検討をしていかなければいけないと思います。
 それに伴って、二つ目は、職員の配置基準の見直しです。
 ここに緑色の冊子があるんですが、児童養護施設における親及び処遇困難児等の対応に関する実態調査という、今年一月にまとまったばかりで、日本子どもの虐待防止研究会が出したものです。こんなに薄くて、そして職員の生の声がたくさん書かれています。是非、手に入れて、お忙しいでしょうが、お読みいただきたいと思います。これは、都市部の、主として都会にある児童養護施設の実態調査で、そこでどのような困難を抱えているかというのがよく分かります。
 私が取材に行ったある施設では、地域の学校にその施設の子どもが通うのに、職員が毎日一名付き添って、その子の隣に座って授業を受けているというような例がありました。大きな七十人とか百人の施設ですと、どうしてもまとまった数の子どもたちが一つの地域の学校に行くということになります。そして、その子たちは十分に心の傷がいやせない状態なので、例えばいじめを起こしたり暴力的な行為をしたりということもあります。それを学校側から見ると、授業が成立しないとか、そういうことになるわけです。施設の規模を小さくして地域に分散していくと同時に、職員の配置も増やしていくと、これは雇用にもつながって、今雇用問題も大変なわけですが、雇用にもつながっていいのではないかと考えます。
 それからもう一つは里親、せっかくのこの里親制度を何とか充実していく方向はないものだろうかということです。登録数も年々減っておりますし、どうしても養子縁組が日本の場合は中心になっています。この里親をバックアップするような仕組みをもっと手厚くして、子どもを育てることに、そのことに喜びを感じるような里親を育てていければというふうに思います。
 最近は、十人のお子さんを育てられた方が「ぶどうの木」という本を書いて、大変にたくさんの人に読まれているということですけれども、今は寿命も長くなって、自分の子育てが終わっても元気な人もたくさんいるものですから、なかなか自分の孫は直接育てることができないという、そういう人たちもいるので、うまくそういう力を生かし、研修などで専門的な知識を身に付けてもらって、子育ての一翼を担ってもらえるように、そういうふうに里親制度を持っていければと思います。
 そして最後に、今までの、従来のこの児童養護施設を大きく変えていくことも必要かと思います。今はここに措置されて入居してくる子どもの養育で精一杯なんですけれども、それではやはり地域にそういう施設がある意味が半分しかないんだろうと思われます。その施設で持っているノウハウですとか知識、何といってもたくさんの子どもを育ててきた歴史とノウハウがあるわけですから、それをもっともっと子どもを育てあぐねている地域の人たちのために生かしてもらいたいということです。
 実際にそのようなサービスをしているところもあるんですけれども、子どもの定員を減らして、外に、地域に分散したら、空いたスペースで疲れたお母さんのために子どもを預かるデイサービスとかショートステイのサービスをするとか、それから相談に乗るとか、いろんなことでもっともっと地域に知識を還元し、また地域とつながっていくようなこともできるのではないかと思います。
 そのようなことで、地域の中での子育てのセンターとして活躍できるような新しい施設の在り方を模索していくような、そういう方向になっていけばいいなというふうに願っています。
 では以上で、ただ一つのことでしたが、緊急のこととして児童養護施設を見直すこと、そして、たった三万人、たったとあえて申し上げますが、この子たちが施設にいる間に大人に対する信頼感ですとか社会に対する信頼感をもう一度持つことができたら、この子たちの人権という点でまず何よりいいし、それから、将来大人になってから様々な問題やつまずきを起こすことを防ぐことができるのではないかという、そのような観点からも、是非児童養護施設の在り方を見直していきたいというふうに思っています。
 終わります。
#9
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、平湯参考人にお願いいたします。平湯参考人。
#10
○参考人(平湯真人君) 平湯でございます。弁護士として子どもの権利委員会に所属して、保護者による虐待あるいは施設職員による虐待などの問題に取り組んでまいりました。また、日本子どもの虐待防止研究会、通称JaSPCANと申しますけれども、このほど改正提言をまとめるに当たって関与いたしました。本日は、このJaSPCANの提言を御紹介するとともに、弁護士の立場から民法の改正、裁判所の関与の必要性について述べたいと思います。
 まず、JaSPCANでございますけれども、これは、会員が約千五百名、内訳は医療、保健、福祉、教育、法律などの分野にまたがっておりまして、全国の虐待防止に関係する皆さんで構成する唯一の団体であります。そういう意味で、このたびの改正提言は関連全分野の最大公約数の要望を盛り込んだものとなっております。内容としましては、法律改正を要するもの、あるいは行政措置や予算措置で賄えるものが含まれておりますし、また、具体的な提言に至りませんが、緊急な検討を要するものも意見として述べております。
 提言は一ページから六ページまでございますが、この提言の基本的なスタンスは最初の前文のところに書いてございます。初めに、防止法についての基本的な評価としまして、保護者による虐待を明示的に禁止した法律として画期的なものであり、これにより行政施策も進んだが、様々な問題状況も明らかになったということであります。
 問題状況として二つ挙げておりまして、まず法律の内容について申しますと、子どもの保護、特に初期対応に偏り、発生予防から親への援助に至る全体的課題は十分示されていない。例えば四条の国などの責務の規定については、課題としては保護と啓発しか明記されておらず、施策としても連携の強化と研修が例示されているにすぎないと書きました。この防止法の四条を細かく読むとそうなのです。それから、一条の目的規定でも中心の課題は保護でありまして、保護についてもまだ十分とは申せませんけれども、とにかく保護、つまり発見、通告、そして一時保護という初期対応に偏っているということは否定できないと思います。
 また、問題状況のもう一つとしまして、児童相談所職員の不足、児童養護施設の不足が顕著になったということを掲げております。
 これらの問題状況は、防止法によって社会の関心が高まりまして通告件数が急増するにつれてますます大きな問題となってきたと思います。
 このような基本的スタンスに基づいて、提言が一から二十までございます。幾つか申したいと思います。
 提言のまず一と二は言わば総論的なものでございまして、提言の一は目的規定である一条、ここで子どもの人権の擁護と家族への支援、これをはっきり明記する。それから、提言の二でございますけれども、この四条をもっと拡充しまして、発生予防から発見、保護、それから親や子どもへの指導あるいはケア、そういうすべての段階の課題が国の責務であるということを明確にするという意味であります。
 具体的なイメージとして、配付資料のAをごらんいただきたいと思います。これはちょっと僣越でございますけれども、この四条の拡充ということを具体的なイメージとして、こういうふうに例えばということで個人的に作ったもの、書いたものであります。
 まず、@の第一項というところで今申し上げた全体的な課題を掲げて、A以降から以下、具体的な各段階の課題についてきちんと国の施策を挙げていくというふうにいたしました。例えば第五項というところでは、親への援助のために、経済的支援、福祉的支援、心理ないし医療的支援、教育的支援あるいは在宅育児支援など、各方面の支援が必要であるということを書きました。このような多くの課題があるということは昨年のこちらの調査会の報告と提言の中にも盛り込まれていることでありますが、条文に明記される意味は大きいと考えております。
 これに対して、右側は現在の条文でありまして、ごくわずかの規定しかないということが御理解いただけると思います。
 提言三以下は言わば各論でございますけれども、その最初に児童相談所と施設の直面する課題を解消することを強調しております。これは、今、川名参考人の方でもお話しになられましたし、既に委員の皆様にも情報が届いていると思います。ここではまだまだ足りないということを申し上げておく程度にいたしたいと思います。
 これから後は民法、特に親権の改正や裁判所の関与が必要な部分について私の考えを申し上げたいと思います。
 まず、提言の九をごらんいただきたいと思います。親権の柔軟で多様な制約方法というふうに、親権の柔軟で多様な制約方法として親権の一時停止あるいは一部停止が必要ではないかということです。
 材料としまして、資料のBというのを、これは三枚のものでございますけれども、ごらんいただきたいと思います。これは、ある地方のお医者さんから弁護士会に届いた手紙でございます。子どもが白血病で手術が必要なのに、親は民間療法でいいんだと言って拒否している間に子どもが死んでしまったという事例です。新聞にも出ましたので、記事を付けておきました。
 現在の制度では、こういう場合に親権の喪失宣告をして後見人が手術を承諾すると、急ぐ場合には親権喪失前の保全処分ということで、親権を一時停止して、職務代行者、後見人みたいなものですが、承認、承諾するという方法があります。ところが、困ったことに、この親権喪失に当たるという前提でしか保全処分ができませんので、治療拒否以外で問題のない親に、家庭裁判所が、これは親権喪失に当たると言って保全処分を認めてくれるというのはかなり難しいことであります。やはり、親権喪失とは別の親権の停止の制度がないと子どもは救われないというふうに考えます。
 次に、提言の十でございますけれども、親に対する様々な援助が必要な場合に、親が援助を受ける意欲がないときにそれを動機付けるシステムが必要だということであります。
 虐待防止法では十一条で、親は児童相談所の指導を受ける義務があるんだと、受けないときには知事が勧告するということになっているだけでありまして、しかし、この勧告制度というのは今まで活用された例は厚労省の調査でも一件もございません。現場の感覚としては、これは役に立たない制度だということです。先ほど申し上げた親権の停止を家庭裁判所が決定するに当たっても、児童相談所の用意したカウンセリングを受けるように勧告するというふうな、そういう実効性のあるシステムが必要だと考えます。
 それからもう一つ、親権に関して、提言の十七をごらんいただきたいと思います。現在、十八歳、十九歳の子どもは親権に服さねばならないのに、児童福祉法や虐待防止法による保護は受けることができません。関連する資料として資料のCというのをちょっと付けておきましたけれども、これは十七歳と十九歳の女の子が父親から性的、身体的暴力、虐待を受けまして、しかしこれに対して児童相談所が実際は何もできなくて非常に苦労をしたケースであります。この辺を解決するために、児童福祉法などの適用年齢を二十歳まで上げるか、少なくとも一定年齢、例えば十五歳以上の子どもに親権喪失の申立て権を与えるべきであろうと思います。
 このように、民法の改正が必要であり、それに伴い家庭裁判所の関与が増えることになります。従来、民法の改正については法務省の民事局や裁判所の公式見解としては消極的であったように思われます。その主な理由としては、現行法で賄えるということのようですが、先ほどの医療拒否の例から見ても、親権喪失を認める裁判官もいるかもしれませんが、そうでない裁判官も少なからずいるはずです。裁判官によって解釈が分かれる問題については立法的に解決するというのが立法府の役割だろうと思います。
 また、親権の停止を認めるとしても、条文で具体的な要件をどう決めるのかという疑問もあり得ると思います。しかし、要件は抽象的に決めて、裁判所が判例の集積で具体的になっていくということは法律の世界ではしばしばあることです。ドイツの民法では、子どもの福祉が危険にさらされる場合、裁判所は危険除去のため必要な措置を取らなければならないというふうに定めてありまして、具体的に身上監護の権限を全部剥奪するか一部剥奪するか、あるいは特定の治療のために一定期間の監護権を剥奪するか、こういうようなことについては家庭裁判所が具体的なケース、後見裁判所と言うようですけれども、決定するということであります。日本の家庭裁判所が同じようなことができないはずはないと思います。
 日本の現在の民法、家庭裁判所が関与する民法の関連規定というのは、親権喪失といわゆる入所や里親についての二十八条決定の場合だけでありますけれども、この二つというのはいずれも親権あるいはその親権を認めるか認めないかのオール・オア・ナッシング、それから施設に入れるか入れないかのオール・オア・ナッシング、こういうようなところでしか裁判所は役割を果たしておりません。
 こういう後のことはみんな行政機関である児童相談所に任されている、言わば児童相談所の責任として作られている。そういう枠組みが戦後ずっと続いてきているわけですけれども、児童福祉法ができたときの子どもの状況、特に、よく言われますけれども、孤児あるいは親がいても育て切れないネグレクトケースのような場合と、現在のように虐待のケースが増えてきて、そういう中で非常に難しい、児童相談所やソーシャルワーカーが、先ほどのお話でいうと峰の綱渡りのようなことを強いられている。そういうままで放置しておいていいということにはならないと思います。
 以上のような法改正についての問題はあると思いますが、最後の提言の十八について触れておきたいと思います。
 これは全省庁にかかわる常設公開の中央専門家会議が必要だということを申し上げておきたいと思います。
 ありがとうございました。
#11
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 以上で厚生労働省からの説明聴取及び参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人及び政府等に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後三時三十分をめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び答弁者にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。
 また、多くの方々が御発言できますように、一回の御発言はおおむね三分程度とさせていただきたいと思います。
 質疑のある方は挙手を願います。
#12
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 今日は本当にありがとうございました。
 今、平湯参考人の方から親権についての制限の話がありました。本当にこれは絶対に検討すべきテーマだと思うのですが、もう一つ、民法の中に懲戒権の規定があり、前回、児童虐待防止法の議論のときにもこの懲戒権の議論は、おかしいのではないかという議論は出たと思います。
 私自身は、この懲戒権の規定がやはり親がしつけでできるという誤った概念をやはり生み出していると思っていまして、懲戒権を削除すべきではないかというふうに思うのですが、その点についていかがでしょうか。
#13
○参考人(平湯真人君) 先ほどのJaSPCANの提言の十五で、懲戒権の廃止を含む親権内容の見直しということを提唱しております。
 この懲戒権というのについては、世界各国でおおむね認める方向からこれを克服する方向で動いている、特に先進国ではそうだと思います。克服と申しますのは、親に一定の子どもの世話、教育をする権利、責任、義務を認めつつ、子どもの人権とどう調和させていくかということを非常に苦労しながら改正を重ねている。
 特に参考になるのがドイツの民法でございますけれども、ドイツの民法では、そもそも親権という言葉を一九七九年に廃止いたしましたけれども、懲戒権という言葉は、これはワイマール時代の民法のときからあったわけですけれども、一九五〇年代に既に条文として削っております。日本の民法がドイツ民法とほぼ同じ時期にできていながら同じ条文をそのまま残しているということですけれども、懲戒権という言葉を廃止しただけでなくて、親は子どもに対して屈辱的なしつけをしてはならない、養育をしてはならないとか、そういうような様々なきめの細かい表現で親の役割というものを法律の上でも明確化しております。これは子どもの権利条約の成立、批准の時期のころからでも二回ほど改正を加えていると。
 日本の虐待防止法では一か条だけ、親権の行使に当たっては適切に行われなければいけないというふうなのがありますけれども、これだけでは啓発にはとてもならないと思います。
#14
○林紀子君 私は柏女参考人と川名参考人にお聞きしたいと思うのですが、子どもに対して市町村の役割というのが非常に大切だというお話を伺いました。私も、遠いところにあるだけじゃ間に合わないだろうということで前も質問したことがあるんですが、そのとき、各市町村には家庭児童相談室というのがあるというお話で、そこがネットワークを組んでいけばいいのではないかというお話も政府の側からは伺ったように思うんですけれども、市町村にやっぱり中核となる児童相談所のようなものというのを置いていく、そしてそのお金の部分というのがやっぱりかかわって、予算ということがかかわってくると思うんですけれども、その辺はどういうふうに仕組んだら、一番身近なところで、本当に使い勝手といいますか、うまく使えるような、そういうものになっていくのかというのをお話しいただきたいと思います。
 それから、川名参考人にちょっとお伺いしたいと思いますのは、それも私も先ほどのグループホームというんでしょうか、今、平成十五年では四十か所作られるというふうに話を聞いているわけですけれども、自立ということを、子どもたちの自立ということを考えましたら、やっぱりふだんの生活ができるというようなところが非常に重要だと思うので、この小さな、小規模の児童養護施設というのはますます大切になっていくんじゃないかというふうに思うわけですが、しかし、そこには、子どもたちも非常に大きな心に傷を受けている、体にも傷を受けたりということもあるわけで、先ほど心理療法士というのを配置をしていった方がいいんじゃないかというお話ありましたけれども、小さな規模でそういう心理療法士というのを一つ一つのところに作っていくというのもまたまた予算の関係でなかなか大変かなという気もするんですが、その辺はどういうふうに対応していったらいいのかというのを伺わせていただきたいと思います。
#15
○参考人(柏女霊峰君) 今、市町村の役割強化ということに関連してどのような体制を作っていったらいいのかという貴重な御質問をいただきました。
 私自身は市町村の様々な機関のこれまで調査をしてきました。家庭児童相談室とか市町村保健センターとか地域子育て支援センターとかいろんな調査をしてきたんですが、地域によってそれぞればらばらでして、一つの機関だけに指定をして、そこが、市町村のどこがネットワークの中心になるべきだというふうに規定するのは余り現実的ではないのではないかというふうに思っています。
 どうすればいいのかというのは、その市町村の中で一番力を発揮できそうな機関、例えば市町村保健センターあるいは家庭児童相談室、地域子育て支援センター、いろいろあると思いますが、それぞれ市町村がここを虐待の中心機関にしますよという指定の仕方をしていけばいいのではないかと。例えば配偶者暴力相談支援センターのような指定の仕方というふうに考えていけるのではないかなというふうに思っています。そして、そこが児童相談所と連携を保ちながら一貫して進行管理をするというような考え方があり得るのではないかというふうに考えています。
 それから、一時保護につきましては、児童相談所を各市町村に作っていくのは、あるいは一時保護所を作っていくのは、これはもう非効率ですので、それについては例えば県の一時保護所に委託をするとか、あるいは児童養護施設に一時保護の委託をするとか、そういうシステムが作っていけるのではないかというふうに考えています。
 以上でございます。
#16
○参考人(川名紀美君) お尋ねの件なんですが、一つずつのグループホームにそういう専門家を置くのは難しいと思います。だから、これまでの施設の機能を地域に移していって、従来の施設はそういう小さなグループホームのバックアップ、支援をできるような核になっていけばいいと思います。そこに専門的な技能や知識を持った人がいて、子どもも、それからその子どもと生活している職員も何か問題にぶつかったときにそこに相談に行ったり対応してもらったり、あるいはそういうところには箱庭療法とか心理療法ができる機能もあるところもあるので、そこに通う。グループホームからそこに週に一回とか月に二回とか通うとか、機能を分担して、ふだんの暮らしと専門的な対応が必要な場合と両方そうやってやっていけばいいんじゃないかと思います。
 アメリカで見たグループホームで、一つの敷地の中に六人ぐらいのグループホームを十ぐらい持っている施設があったんですけれども、そこは敷地の中に小さな学校まで持っていて、地域の学校にいきなり行くと先ほど申し上げたような混乱も起こるので、ある程度教育をそこでしてから外に出すというようなことまでしておりました。そこは子どもは六十二人なのに職員がたしか百何十人かいて、そういう専門的な役割を地域のためにもやっていたり、それから、いったん虐待を起こした親をどうやって親のいろんなことを身に付けてもらうかというのも、日本ではほとんど手付かずなんですが、そういう親のためのプログラムのサービスもしているということで、そういうふうに少しずつ役割分担すればやっていけるのではないかと思います。
#17
○風間昶君 二つばかりですね、要するに、今、発生予防や早期対応・早期発見ということはもう極めて大事なんだけれども、簡単にできない。そうすると、起こった事象に対してどういうサポート体制を取るかということに今非常にウエートを置かれているわけですけれども、そういう中で、さっき川名さんでしたっけ、里親へのバックアップ体制をという話がありました。
 この里親への福利厚生ということを含めて、厚生労働省としては里親支援制度、レスパイト何ですか、ケアとか何かということもやっていらっしゃるんでしょうけれども、この辺がどうも具体的に、例えば児童養護施設とか、そういうところへの、施設の職員の研修や何かはやっていらっしゃると。同時に並行して里親の方にもやっていこうという厚生労働省の考え方なんでしょうけれども、この辺が児童虐待防止対策予算にどういうふうに反映されているのかということを厚生労働省にはお聞きしたいのと、川名さんがお話しされていた里親への福利厚生という、研修を含めた、どういうふうに具体的にしていったらいいのかということ。これはお金の絡んでくる問題ですので、まず、じゃ参考人の方からの御意見いただいてから厚生労働省はどういうふうに考えているのかということを聞きたいと思います。
#18
○参考人(川名紀美君) 高齢者を介護する場合、ヘルパーさんは受講してその知識を身に付けて、そして高齢者の介護に当たっているわけですよね。でも、問題を抱えた子どもたちに、今、里親さんがそういう子どもたちに接しようとするときにそういう手厚い仕組みがないわけです。だから、里親にまずなりたいと手を挙げた段階、登録して実際に子どもが来てからではなくて、登録して、希望者には、里親になりたいと言った人にはまずそういう研修の機会を提供すると。それは場合によっては有料であってもいいと思うんです。そのくらいのことをして知識や技術を身に付けて、初めてその子どもを育てると。
 その代わり、今新しく始まった専門里親というのは、里親さんに支払われる養育のためのお金もちょっと高くなっていますが、そうやって自分でお金を払ってでも受講して里親になりたいと言ってなった人にはやはりこれまでよりも高いきちんとした報酬を支払うというようなことで、だんだん全員を専門里親の方に、そういう性格の方に移していくということも考えられるんじゃないかと思います。
#19
○政府参考人(岩田喜美枝君) 里親制度につきましては、平成十四年度に思い切った全体的な見直しをいたしております。様々なタイプの里親を作りまして、まずそのすそ野を広げるということで、親族里親ですとか、あるいは週末や夏休みだけちょっと児童養護施設のお子さんを預かるといったような短期の里親まで、様々な里親制度を構築をしてすそ野を広げるということをいたしました。
 あわせて、里親の専門性と言いましょうか、特に虐待を受けたお子様のように、心の傷をしっかり家庭的な環境の中でいやしていく必要があるわけですから、今の川名さんもおっしゃいましたけれども、専門性の非常に高い里親、専門里親と言いますけれども、これも十四年度からスタートをしているところでございます。
 お尋ねの里親に対する研修その他の支援措置についてでございますが、これも十四年度からの、従来からも研修については若干やっておりましたけれども、改めて見直しをいたしまして、里親を始めるときに受けていただく初期の研修と、そして、里親の経験を積んだ方が専門里親として虐待されたお子さんを受け入れていただくときに、本格的な、少し長期の専門研修というのを受けていただくということで、研修を二つの体系に整備いたしました。
 また、里親自身が子どもを養育することに疲れた、あるいは問題を感じるというときにバックアップできるようにということで、これは県の事業でございますけれども、レスパイトケアということで、短期間、ほかの里親さんあるいは児童養護施設に少し預かっていただけるような、そういう里親に対するバックアップの仕組みというのを拡充していかなければいけないということで、そういうことも十四年度から始めているところでございます。
#20
○風間昶君 これは。
#21
○会長(小野清子君) お金の方ですね。
#22
○政府参考人(岩田喜美枝君) 予算についてでございますか。予算については、研修につきましては今申し上げましたような二つの研修、そしてレスパイトケアのための予算、これらは合わせて二千五百万円でございます。
#23
○南野知惠子君 児童虐待というのは、主に今新聞紙上で流されておりますのは母親が虐待している人が多いというようなこともございます。また、今日いただきました事例の中には、もう少し年長になった子ども、父親の虐待という事例も伺わせていただきました。
 先ほど副大臣がお話し、御説明いただきましたが、一番私個人として聞きたかった、三ページにあります周産期の家庭訪問又は周産期医療施設との連携の強化というところに私はポイントを当てたいなと思っているところでございます。
 といいますのは、子どもに対する育児の愛着が芽生えるというものがどこら辺にあるのかというところを感じますときには、やはり子どもを産み育てるその周産期、周生期というその部分であろうかと思いますけれども、その部分が何となく今、谷間になっているのかなと。
 これは、助産師たちが今定数化されていない中で医療関係の中に置かれているということも一つ影響があろうかと思いますが、その方たちが、地域に退院した子どもたち又は新米のママ、パパにどのようなかかわりをシステム的にしようとしておられるのか。よくこういう資料の中では保健師、保健師と出てくるんですが、周産期の中で一番教育を受けているのはその分野でありますので、そこら辺のシステムをお願いしたいなというふうに思っております。
 さらに、同じ三ページでございますが、自立援助ホームということは、グループホームとの関連もございますので、これは先ほど川名参考人がお話しになられた部分にございます。こういうところを、大変いい着眼点だと思いますし、いいことだと思いますので、これを新聞紙上又は論説などでお広めになられる場合、どのようなお考えがあるのかどうかということと、もう一つ、平湯参考人と柏女参考人には、お二人ともお話しいただきました、援助を受ける意欲のない親への動機付け、お二人同じようなお言葉をお使いになっていただいておりますが、そこら辺について何かいい御示唆があれば、また状況、環境があれば教えていただきたい、事例があれば教えていただきたい。
 以上でございます。
#24
○副大臣(鴨下一郎君) 母親が虐待が多いというようなお話が今ございましたけれども、母親も父親もいろんな意味で加害者にもなることがあるんだろうと思いますが、特にお母さんになられる前の妊娠中だとか出産、それからその後の育児期、そういういわゆる周産期に一番多く接するのは助産師の方々だろうというふうに思いますので、そういう方々も、言ってみれば正しい知識の普及だとかお母さんになるための準備だとか、こういうふうなことについては大いにかかわっていただくというようなことにおいては保健師さんと同等にお願いをしたいというふうに考えております。
#25
○南野知惠子君 更に濃厚にお願いしたいと思います。
#26
○参考人(柏女霊峰君) 援助を受ける意欲のない保護者への動機付けをどのように図っていったらいいかということでありますけれども、一つは平湯委員がおっしゃった、司法が間に入って適正な判断をするということがあるかと思います。それは平湯委員の方にお任せをさせていただきまして、私は福祉の中でどのような仕組みが可能だろうかということについて少し述べさせていただきたいと思います。
 実は現在、親が例えば親子の分離に反対をしている虐待事例の場合には、都道府県の児童福祉審議会の専門家の意見を聴かなければならないというシステムがございます。私は今、東京都のその委員をさせていただいておるわけでございますが、その中で、様々なケースが来るわけですが、その児童福祉審議会の意見の場に親御さんも例えば入っていただいて、そして、そこが調整をするような、そういう仕組みができないだろうか。そして、そういう人が、親御さんがそれに納得ができればそこで契約を結ぶと。
 例えば、子どもさんは施設へ入所させます、その代わり、親も、あなたも帰してほしいでしょう、それだったらしばらくはちょっと会わないでね、子どもが落ち着くまで会わないでちょうだい、それから、月に一回面会に行ってください、それから、それが慣れてきたら例えば月に一回家へ帰ってもいいですよ、そういうプロセスを繰り返しながら御家庭に復帰できるための援助を一緒にやっていきましょうねという、そういう契約を例えば児童相談所とそれから保護者が取り交わす。そして、それを知事の勧告として児童虐待防止法に基づいて出していく。こんなことも一つ方法としては考えられなくはないかなというふうに考えています。
 以上でございます。
#27
○参考人(平湯真人君) 先ほど申し上げました、動機付けのシステムとして司法の関与を活用するということについて、こういう懸念を示されることがあります。そういうものを作ったとして、じゃだれがその親に対して実際の援助をするのか、あるいはどのようなプログラムがあり得るのか。この辺については実はまだまだ日本では足りていないわけです。ですので、この動機付けのシステム、法的システムというのはそのようなものと相まって、あるいはむしろそれより先にそういう援助者あるいは援助プログラムというものを作っていく。これにはお金も掛かります。そういうことを前提にした提言でございます。
 その辺を一つ踏んでいただいた上で、法的な、司法の関与によらなければ何もできないのかというと、実は今、児童相談所などの現場が非常にそこを苦労しながら細々と開拓しつつあるのは、二十八条で入所の承認が家庭裁判所から決定が出る。そのときに家庭裁判所の調査官が、調査の過程で親に対して一定のカウンセリング受講なりを示唆する、助言する。
 あるいは、裁判所の決定の中で裁判官がそういう示唆するようなことを触れるというふうなものを活用しながら、児童相談所が、その決定が出た後に、家庭裁判所でもこういうことを言われましたよね、ひとつ一緒に児童相談所の方で手配するカウンセラーのアドバイスを得てはどうですかというふうなことで、そこの実際のところは更に民間の虐待防止センターとかそういうところのメンバーが児童相談所と提携してやっていると、そういう非常に難しい形を作りながら、現在細々とやっているというのが現状でございます。それをもっときちんとやれるようにするべきだというのが提案でございます。
#28
○参考人(川名紀美君) 虐待によって傷付いた子どもたちがもう一度社会に対する信頼感や大人に対する信頼感を取り戻せるようにするのは、大人の責任と役割だというふうに思っています。その子たちがそうやって社会に出て、また善き市民、善き納税者になって次の世代を、次の社会を担ってくれるわけですので、私も積極的に取材し、書いていきたいと思っています。
#29
○千葉景子君 今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。
 二つ、ちょっとお聞きをしたいと思います。
 私も、この調査会からの視察でアメリカへお邪魔をさせていただきました。そのときのことを今思い出していたのですけれども、今日のお話にもありました、一つは里親という制度ですけれども、アメリカなどでも非常に里親の元で育つというか、それが大分機能しているようにお話を聞いてまいりましたけれども、日本の場合は、やっぱり今、里親といっても、結果的には養子縁組とか、そういうケースはあったりするんですけれども、なかなか本当に、里親というのが社会的に認知をなかなかされにくい、そして希望する人も少ないというのが実情のようにも思いますけれども。
 やっぱりこの里親というのをこれからどういう形で普及というか、あるいはそういうものを社会の中に定着、認知をさせていくかというのは大変難しい問題なのかなというふうに思いますけれども、川名参考人がその辺ちょっとお触れいただいておりますので、もう少し、お考えがございましたら、お聞かせいただきたいというふうに思います。
 それからもう一点は、司法の関与ということでも、やっぱりこれもアメリカ、ロサンゼルスでしたか、子ども専門の裁判所というのがありまして、大変、子どもも参加しながら、自由な、いろんな審理をしておりました。
 平湯参考人に、やっぱり司法の関与ということになりますと、そういう環境整備といいますか、司法体制の方も少し考えていかないと、今の現状では十分ではないのかなというふうに思いますが、その辺り、何かお知恵がございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
#30
○参考人(川名紀美君) 確かに、御指摘のとおり、里親さんを増やすというのはそう簡単なことではないと思います。けれども、東京都が大分前から進めている、短い期間ですね、夏休みの間、少し、一週間預かってみるとか、そういった、今、厚生労働省でも進めていますが、そういう短期の、ちょっとやってみるというようなことを進めるのと同時に、これはある施設の試みなのですが、その施設が施設の子どもを地域のいろんな家庭にホームステイという形で預けて、しばらくそこで暮らさせてもらうというふうなこともしています。それですと、預かる方も、いつでもこの施設にいろんなことが相談できるということで心強く思うようですし、そういった試みも、五百五十も全国に施設があるわけなので、まずそういうところから手掛かりとしてやっていくのもいいのかなというふうに思います。
#31
○参考人(平湯真人君) 裁判所の枠組みといいますか、裁判所の構造とおっしゃったかと思いますけれども、それが大事だということは全くそのとおりだと思います。
 ただ、今の裁判所の体制でもできることはまだある、まだまだあると思います。日本の裁判所の非常に優れている点は調査官制度でして、これはアメリカにも同じものはないわけですね。これが家庭裁判所を支えていると思いますけれども、これによって戦後、例えば家族法が大幅に変わって結婚、離婚の問題、制度とか変わったときにも十分に家庭裁判所はその機能を果たしてきたんだと思います。
 今、強いて不足を言うならば、いわゆる法律家、つまり裁判官あるいは家庭裁判所にかかわる弁護士なども含めてですけれども、いわゆる法曹と呼ばれる法律家の養成とかの中に、この子どもとか家族とかジェンダーとか、こういうものが十分でないと。例えば大学の、今まででも学部の中で児童福祉法というのは民法の家族法の関係で触れる先生もあり触れない先生もあり、司法試験を通って研修所の修習の中でも、家庭裁判所の修習というのは非常に期間も短いし冷遇されていたと。今度、法科大学院構想というのがありますけれども、そういうのの中でそういう科目についてもきちんとやろうとしているところもありそうでないところもあると思うんですね。そういう法律家の中で、もっとそういう分野についての教育というのがされていく必要はあると思います。
 以上です。
#32
○清水嘉与子君 今日は、具体的に法改正についての御提言をいただきまして、ありがとうございました。特に、平湯参考人と柏女参考人からは、親への援助システムがないこととか、家族への支援のことも書けというような、具体的な御提案がございました。
 先ほども議題になりましたけれども、確かに子どもの保護だけでなくて、こうした虐待をする親への働き掛けというのは大変大事なことだと思うんですけれども、これはやはりアメリカへ行って聞きましたときにも、ボランティアがこれをやっていて非常に効果が上がったというお話も聞きましたし、またあるところでは、時間を幾ら掛けてもこれはもう駄目だ、もう虐待する親に幾ら教育してもほとんど効果がないというようなお話も聞きました。
 これはやはり非常に大事なことだと思うんですけれども、これは厚生労働省になるんでしょうか、もう少し効果のあるプログラムを開発することを真剣に考えていかないと、幾らお金を掛けても結局効果がないというようなことになっても困ると思うんですね。いろんなところで今やっていると思いますので、これはきちんと研究なり評価を是非していただきたいということをお願いをしたいと思うことです。
 それからもう一点は、これは平湯参考人のところにございますけれども、私たち、ちょうどこの調査会は児童虐待と同時にDV法のフォローをしているわけですけれども、ずっと勉強してみますと、DV法で問題になるところはやはり児童虐待にも引っ掛かってくるというようなことで、かなり重なり合って同じような施策をしなきゃいけないところがたくさん出てきているわけですね。
 平湯参考人の七番目のところで、関係行政機関の機能の見直しというようなことも御指摘のようでございますけれども、特にDV対策、対応の問題とそれから児童相談所をむしろ合体させて、家族問題相談所に改組すべきなんという御提言もございますんですけれども、この辺もうちょっと実感から御説明いただけると有り難いんですけれども。
#33
○政府参考人(岩田喜美枝君) ただいま、親の養育能力の回復のためのプログラムの開発を早急にすべきではないかという御指摘がございました。正にそのとおりだというふうに思います。
 虐待の程度が比較的軽い方は、自ら指導を受ける必要があるということも認識しているケースが多いわけですから、そういった方については、地域で児童委員ですとか助産婦、保健師さんたちが家庭訪問するなどによって見守りをする、助言をする、支援をするということで動き出しているかというふうに思いますが、そういう、自らが虐待をしているという認識のない親、そして回復に向けた指導を受けようというふうに思えない、動機付けのない親に対する事例というのは大変難しく、我が国では成功している事例というのはまだまだ少ないというふうに思います。
 厚生労働省といたしましては、厚生労働科学研究という枠組みの中で、今正に親に対するプログラムの開発を急いでおりまして、来年度中、十五年度中には作り上げることができるんではないかというふうに思っておりますので、それができ上がりましたときには、実際にそれを都道府県の児童相談所などで使っていただきながらより良いものに完成していく、そういう努力が必要だというふうに思っております。
#34
○参考人(平湯真人君) DVとの関係で申しますと、児童虐待の法制度の方でDVの制度を導入していく必要があるものが幾つかあると思います。提言の九のところで触れておりますが、裁判所の保護命令によって親権を個別具体的に制限していくというものは、やはり大いに子どもの関係でも必要だと思います。そして、もっと両方のシステムが統合されるべきだということについて言いますと、家庭問題相談所というのも一つのアイデアではあるんですが、JaSPCANの提言としては、具体的にはまだ提言としては出せないけれども、そういうことを大いに議論する必要があるというふうに考えている段階です。
 それからもう一つ、児童虐待の方からDV法の改正に当たって一つお願いしたいと思いますのは、DV法の九条ですけれども、関係機関の連携協力というところの中で児童相談所が入っていないんですね。実際の現場ではコンタクトはないわけではないんですけれども、ここに挙げられるかどうかでやはり子どもを抱えたDVの方の、あるいはそういう親と一緒の子どもの保護の段階でももっとスムーズにいくかなというふうに思っております。
 以上です。
#35
○大野つや子君 育児の悩みから育児虐待というか児童虐待に及ぶ場合があるわけでございますが、こうした事例を防止するためには、先ほど副大臣おっしゃっていらっしゃいましたように、母親のみならず父親にもという、これは私、大いに賛成でございます。そういう意味において、父親の教育というのは必要不可欠であると私は思っております。
 しかし、こうした受講に関しましての教養につきまして、関心のある方のみというようなことで、なかなか受講しないのが多いんではないかなというように思うわけでございますので、その点、企業など職場における父親学級といったような、父親に対する育児などについての教養を実施することが必要ではないかと思います。母親学級というようなものがあるわけですから、父親学級も是非実現していただきたいと思っております。
#36
○副大臣(鴨下一郎君) 先生御指摘のとおりでありまして、ただ、やはりある程度意識の高い方は参加してくださるんですけれども、本来聞いていただきたいような方は出てこない、こういうようなことでありますから、そういう中でいかに多くの方々にそういう意識を高めていただくか、こういうようなことで行政としても工夫しないといけないんだろうというふうに思います。
 その中で一つは、先生おっしゃっていたように、例えば企業も含めて協力体制を作って、そして働き方の見直しや、それから子育ての在り方等について男性もその一翼を担っていただく、こういうようなことで更に意識を深めていっていただくような工夫をしなきゃいけない。
 その中で、今国会に提出させていただいている次世代育成支援対策推進法案の中にも、こういう意味で、政府、企業が一体になって、こういうような男性の働き方や父親としての育児の参加、こういうようなことをできるだけ実践していっていただきたい、こういう取組をしようじゃないかということになっておりますので、先生の御指摘に沿って一生懸命やらせていただきたいと思います。
#37
○有馬朗人君 どうも今日はありがとうございました。
 大変参考になる御意見賜りましたが、ちょっと違う観点から御質問申し上げてみたいことが一つと、それからお伺いしたいことが一つあります。
 この児童虐待にいたしましても、あるいは家庭内暴力にしても、その子どもたちを集めて避難させるというふうなことが今行われつつあるわけで、例えばグループホームとかそういうことが行われる。この点はよく分かる、非常にやるべきことだと思うんですが、違う観点からというのは、そこに育った子どもたちが学校に行く、あるいは地域社会の中で遊ぶ際に、そこで、地域社会の中で虐待を受ける可能性はないのだろうか。何となく、そういう特別なホームなんかがあることを、そこの中は守られるんですが、地域社会の中でその子どもたちを守れるだろうか、この点が一つ心配でしてね。学校に行ったときに、ただですらいじめということがよく起こる。こういうところで育っている子どもたちを地域社会が温かく受け入れてくれるだろうか。この辺についてもし御存じのことがあったらお伺いいたしたいと思いますし、特に、川名参考人は大変御経験が深いと思いますので、その点についてひとつお伺いいたしたいと思います。この点に関してもし文科省の方で何か知見があればお聞きしたいと思います。
 それからもう一つ全く違う観点で、特に平湯参考人にお伺いしたかったのは、先ほどドイツの法律のことちょっとお触れになっていましたね。海外のいろんな優れた法律があると思うんですが、そしてまた今日非常にすばらしい御提案を賜って、こういうふうに法律を直したらどうだろうという御提案があった。これも私、大変参考になるんですが、法律を充実させることによって極めて効果的になったというふうな事例があるものでありましょうか。例えば、海外でこういうふうに法律を充実させたことによって極めてこの問題が解決に進んでいった、こういうことがあれば是非お聞かせいただきたいと思います。
 以上二点についてお伺いいたします。
#38
○参考人(川名紀美君) 虐待された子どもは、やはりどこかで人間関係がうまくいかないという場合が多いわけです、信頼関係をうまく持てる経験が少なかったわけですから。そういうことで、学校に、地域の学校に行きますと、暴力的になって周りの子どもたちに逆にいじめのようなことをしてみたり、あるいはそういう人間関係がうまく付けられないために、またいじめられる対象にもなってしまうわけです。
 先ほどから申し上げましたように、七十人とか百人の施設ですと、施設というのは子どもたちが学校へ通うので余り遠隔地にはなくて、大体町中にあってそれはいいところなんですが、一つの学校に固まって行くようなことにもなります。それで、今起こっていることは、学校側から施設に対して、分散をしてほしいと、子どもを。そういうことを言われるそうなんです。分散というと言葉はいいのですが、つまりこれは排除ですよね。来てもらっては困る、問題を起こす子が何人もいては困るということを言っているんだと思うんです。今、学校では、学区を越えて通学ができる、選べるようになったので、それがそういったところにも作用して、子どもたちがよその学校を選んでしまう、施設のない学校を選んでしまうというようなことも起きているようです。
 先ほどの話に戻るんですが、やはり小さければ、五、六人のグループホームであれば、そこの学校へ行く子は一人、二人という感じで、十分に学校側も対応ができると思うんですね。ところが、十人とか二十人ぐらいまとまるとそれは大変かもしれないというふうなことがあって、そういう意味ででも、地域へ分散していくということは学校との連携ということを考えても欠かせない問題だなというふうに思います。
 ここが施設ですというふうに、妙に存在感があるのがいいのかどうか。地域といい関係を作っている施設もありますが、余り地域に関係なく存在しているところもあるので、その辺はおっしゃるとおりだというふうに思います。
#39
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 まず、いじめの問題でございますが、児童虐待を受けた子どもに限らず、やはりいじめは許されないんだと、こういう教育を学校現場の場でしっかりと徹底をしてまいりたいと思っておりますし、それからまた、特に児童養護施設に入所している子ども等への適切な指導と、これまた学校等とのいろんな交流活動を深めていくというようなことも大事でございましょうし、そういったことで、教育委員会によりましては、そういった学校に対して教員加配をしたり、スクールカウンセラーを配置をすると、こういったこともしているわけでございまして、これはまた私どももバックアップをしてまいりたいと思っております。
 それからまた、実は昨年私ども、特に池坊大臣政務官が大変熱心になりまして、家庭教育支援と、こういう観点から懇談会を開いたわけでございまして、昨年の夏に報告書をいただいたわけでございますけれども、やはり地域一体となって、子は社会の宝でございますから、それを育てていこうと、そういったことで家庭教育をバックアップしていこうと。その中で、やはり学校とそういった様々な困難を抱えている家庭を支援をする、あるいはそういった子どもたちのやっぱり居場所を作っていくと、これはみんなが、学校、家庭、地域社会が一体となって連携を図ってやっていくべきではないかと。こんなような御提言もいただいておりまして、これを今、昨年、都道府県の教育委員会等に約三十七万部、イラスト版を作って配付をいたしまして、学校教育関係者や社会教育関係者にも周知をしておるわけでございます。こういった観点をもっともっと私どももPRにも努めてまいりたい、努力してまいりたいと思っております。
#40
○福島瑞穂君 二度目で済みません。
 先ほど、懲戒権の話で平湯参考人にお聞きをしたのですが、法務省民事局長、最高裁判所家庭局長も来ていらっしゃるので、親権、懲戒権の問題についてどのように考えていらっしゃるのか教えてください。
 それから、先ほど平湯参考人の方から保護命令についてのお話がありました。児童虐待に取り組んでいる人から、配偶者からの暴力防止法の中にある保護命令が児童虐待防止法の中にあったらいいのにというふうなことを聞くことがあります。子どもに対して保護命令という形でやるということも考えられるし、今、配偶者からの暴力防止法の保護命令が子どもを含んでいないのでそこを含むようにした方がいいのか。先ほど、平湯参考人はお父さんから暴力に遭っている子どもの親権の話を手紙で例としておっしゃいましたけれども、その保護命令について、児童虐待でもっと使うのか、あるいは配偶者からの暴力防止法の中での改正の方でやるということも考えられるのか、御意見を教えてください。
#41
○政府参考人(房村精一君) 懲戒権の関係について御説明いたします。
 民法は、御承知のように、「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」とした上で、「親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒」することができるということを定めております。
 これは、親権者が子どもを育てるに当たりまして、子どもの非行とか過誤、これを矯正し、あるいは指導するという、そのために必要な措置を取り得るということを法律上明らかにしたものでありまして、この懲戒は当然のことながら子どものために行使をする必要がありますし、その程度は社会的に相当と見られる範囲を超えることはもちろん許されないわけでございます。そういう意味では、いわゆる子どもの虐待に当たるような行為がこの懲戒の名の下に許されるということはおよそあり得ないわけでありますので、法律的にはこの懲戒の規定に何ら問題はないだろうと、こう思っております。
 また、法律にその懲戒の規定をどのような形で規定するかということに関しましては、言わば家族の在り方とも関連することでございますし、これは相当慎重に検討されるべき問題ではないかと、こう思っております。
#42
○会長(小野清子君) 有馬朗人君からの質問、漏れを、私、失礼してしまいました。
 平湯参考人、よろしくお願いいたします。
#43
○参考人(平湯真人君) 先ほどドイツの例を申し上げた趣旨は、日本でしばしば外国法といいますとアメリカがよく引き合いに出されます。アメリカの非常に、どう言いますか、優れたエネルギッシュな取組というのは非常に参考になるわけですけれども、裁判所に関して言いますと、アメリカの裁判所の位置付けというのはかなり日本と違っている点があることは否定できない。アメリカでは司法の役割というのは、御存じのように非常に強いですね。これはけた外れに強いと言ってもよろしいわけで、それに対して日本の裁判所は、戦後かなり見習ってはきたものの、例えば裁判所の裁量の幅というのがそんなに大きくない。だんだんそれでもそういう役割をするようになってきておりますけれども、まだまだ少ない。例えば、アメリカで裁判所の命令に反するとそれ自体が刑事犯罪に当たるというふうな、そういうことというのはDV法のときにも議論されたようですけれども、そこまで行っていないわけですね。
 そういう中で、非常に似ているというのがドイツだと私としては思うわけです。いわゆるキャリアシステムを取っているという点でも近いですし、それから司法と行政のいろいろ調和というのをかなり考えていると。考えているという意味は、日本と共通な面がありながら、その中で非常によく考えてその制度が工夫されているなというふうに思われますので、挙げたわけです。
 特にこの懲戒権の規定というのは、出発は明治以来日本もドイツも同じだったわけですけれども、日本の懲戒権というのは、あるいは親権というのがすべて解釈で賄われてきたと。戦後、日本の民法が改正されたときに親権法の改正というのも若干議論されたわけですけれども、変えなくてもいいのではないかということで、そのときの議論は、親権と言うけれども、親の義務とか責任という意味での権利であるというふうに解釈すればいいではないかということで、それが民法の学界の通説になって今に来ている。しかし、それは学界の通説であって、国民にとっての言わば家庭の在り方等のモデルという意味での民法の条文は全然変わらなかった。ここにやはり無理があると思います。ドイツは、そこを考えて、きめの細かい工夫をしてきた。
 それが虐待との関係でどういう効果を持ったかというのは、数量的な研究についてはちょっと私も分かりません。非常にそれは難しい、そもそも難しい研究だと思いますが、ただ、言えますのは、ドイツで、先進国であるにもかかわらず、アメリカとかイギリスのような、特にアメリカのような虐待の発生というのは非常に少ないと思います。それはかなり、その一環として、民法の親権法のきめ細かい改正というのが役に立っているのだろうと思います。
 きめの細かいという点について言いますと、ちょっと今日、資料に載せませんでしたけれども、例えば懲戒ということについても、親が一定の子どもに対する言わばしつけをすることは当然それはできると、教育として。しかし、懲戒という言葉があることによって、それが非常に重いものとして受け止められかねないからという理由で一九五〇年代のときに削除された、そういうことも参考になろうかと思います。
#44
○後藤博子君 ありがとうございます。後藤でございます。
 なかなか、お話を聞いていて私自身もさっきからずっと迷っておりまして、まとまってはいないんですけれども、お尋ねしたいと思いまして思い切って手を挙げました。
 例えば、私が児童虐待をしているんではないかという親に接したとき、あるいはどこかでその子どもたちを見たとき、まずどこにどういって連絡取ったらいいんだろうと、今そういうふうに考えました。そのときに、いつでもだれでもどこからでもすぐ電話なりアクセスできるようなシステムを作る必要があるんではなかろうかと。
 そのいろんな事例があるかと思いますけれども、まずそこに電話するかまず連絡するかまずそこに行くかすれば、そこには臨床の心理士もいれば医師もいれば、何でしょう、法に携わる人もいれば裁判所の関係の人もいれば警察の人もいれば心理療法士と言われる方もいれば、とにかくプロの集団がそこにあるという、先ほど核としてという、この核ということを考えたんですけれども、どんな事例でもそこに要するに行けばすべてが対応できるというような、そういうものがあるのかないのか、またこれから作ろうとしているのか分かりませんけれども、そういうものが一つ必要ではなかろうかと。
 今日、参考人の方々、三人の方々いらっしゃいますけれども、これだけ熱心にされている方々の横のネットワークはあるのでしょうか。例えば、そういうプロのチームとして各地域に作るということもあるでしょうし、例えば国の責任で、責務としてそういう、言い方分かりませんけれども、何かプロのチームとしてのものが地域地域にできていって、今いろいろ事例を聞きますと、何というんでしょう、児童の養護施設に飛び込んだり家裁に飛び込んだり、いろんなところにそれぞれが飛び込んでいらっしゃいますけれども、それを何か、ここに行けば全部対応できると、あるいは専門のお医者さんが、子どもが来たとき、これは虐待を受けているんじゃないかといったときにも、専門の方々もそこにとにかく連絡を取ってすれば、何かこうすぐ対応できるとか、そういうことが必要ではないかと思うんですよね。それが何か、それを一つネットワークとして構築していくことが必要じゃないかと思います。
 その中で、これは里親に出した方がいい、あるいはグループホームに預けた方がいいとかデイケアに出した方がいいとかショートステイに預けた方がいいということを判断して、そこからそれぞれに預けたり、そこから次の段階として進んでいく方法があるかと思います。そのときに、里親の研修であったり、グループホームのまた研修であったり、デイケアやショートステイなさる方の研修もバックアップとしてやっていく必要があるかと思います。
 それから、先ほど有馬先生おっしゃっていましたように、そこから出ていく子どもたち、そこから卒業するといいますか、そこから、その施設から出ていって社会の中に入っていく方々へのまたバックアップも必要であると思いますし、アンサーバックも必要だと思うんですよね。それが循環していって初めて大きなシステムとして動くのではないかなと思います。
 どなたにお尋ねしていいかちょっと分かりませんけれども、そういうことがちょっと今考えられるんですが、その辺はいかがでしょうか。お願いします。
#45
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、先生がおっしゃっておりました役割に最も近い機関は、各都道府県と政令市にございます児童相談所だと思います。
 発見者あるいは相談者は、いかなるところにもまず御相談いただければいいわけですが、例えば、地域の児童委員、民生委員の方に相談するとか、学校の先生などに御相談するとか、病院に御相談する、保健所に御相談する、どこでもいいと思いますけれども、最終的に本格的な対応が必要だというふうに思われるケースについては児童相談所の方に通告がされるということになっております。
 そして、児童相談所の方で、問題を解決するために、親を指導しながら在宅で、家庭に戻していいのか、あるいは親から引き離してしばらく児童養護施設に収容する必要があるのか、あるいは里親に委託することができるのか、そういった判断も児童相談所の方がいたしておりまして、その過程で必要であれば家庭裁判所の承認をいただくとか、それから、特に調査をするときに児童相談所だけでは立入調査が難しいといったようなときには警察の協力を仰ぐとか、そういう関係機関のもちろん協力をいただきながら児童相談所がやっております。
 もとより、児童相談所がすべてこの児童虐待の防止から早期対応、保護、アフターケア、すべて自己完結してできるということでは決してございませんので、保健や福祉や教育や警察や司法や、そういった様々な機関や施設と都道府県レベルでまずネットワーク、これもうすべてできております。ネットワークが作られておりますし、今、冒頭、副大臣からの御説明にありましたように、市レベルで、市町村レベルでそれをどういうふうに作っていくか、それも単に顔を合わせて情報交換するということではなくて、個別具体的なケースを早く把握して早く解決するための行動、問題解決型のネットワークというのを今市町村レベルで作っていこうとしております。それにも児童相談所が関与するということが多いという、こういう現状でございます。
#46
○林紀子君 今のお話と関連してなんですが、今の法律では、確かに、虐待をされている子どもをなるべく早く見付けてそれを救い出すというのが非常に、先ほど柏女参考人からもお話がありましたけれども、そういうことだと思うんですね。
 今、ですから、厚生労働省にお伺いしたいんですけれども、それから先といいますか、やはり虐待を受けた子どもというのは、かなり長期にわたってそれを回復するのにはいろいろな心の傷というのがあると思うんですけれども、このネットワークというのがそういうところにまで手を出してというのかしら、対応できるような形に今なっているのか。そういう方向は目指しているんだと思うんですけれども、今の、発見して救い出すというそこの当面の対応だけに追われているのかなという心配があるんですが、そこのことが一つ。
 それから、文部科学省がおいでになっているのでそのことと関連してお伺いしたいんですが、たしか法律で、クラスの中で大騒ぎをしてほかの子どもたちの勉強に邪魔になるような子どもは義務教育であっても学校に出てくることを禁止することができるという法律が通ってしまいましたよね。それは本当、腐ったリンゴはつまみ出せみたいな感覚でひどいなというふうに私も思っているんですけれども。
 例えば、先ほど川名参考人からお話がありましたとき、やはりいじめっ子になる可能性が大きいというような話があると、じゃ、こういう、先ほどのグループホームから通っているような子がそんなことになった場合、つまみ出されてしまうのか、そんなことになったら大変だと思いますし、じゃ、先生の加配と言いましても、具体的に加配の条件というのはいろいろ決まっていると思うんですけれども、こういう子どもたちに対応できるような、そういう加配の制度というのはどういうふうに仕組まれているのかということ。
 ちょっと細かくなるからすぐ御返事できるかどうか分からないんですけれども、分かりましたら教えていただきたいと思います。
#47
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、ネットワークの機能についてのお尋ねがございました。
 冒頭の柏女先生のプレゼンテーションの中にもありましたけれども、このネットワークというのは、理想的にはというんでしょうか、これから目指す方向としては、単に早期発見・早期対応のためのネットワークではなくて、その前の段階であります虐待の防止、予防のための様々な活動ですとか、そして、発見され、早期対応の段階が済んだ後の子どもの保護ですとか、親に対する治療や支援ですとか、最後は子どもが本当にその地域で自立した大人になれるように、そういうすべての段階でこのネットワークというのは機能ができればすばらしい。そちらの方向でこれから努力していくことになるんではないかなというふうに思います。
 特に、児童相談所で相談を受けている児童虐待のケースで児童養護施設に収容するケースは全体の十数%ですから、八割以上のケースは在宅で、家庭に戻して子供たちのケアと親のフォローアップ、フォローをしないといけないわけですから、そういう意味でも地域のネットワークというのは、単に早期発見・早期介入のところだけではなくて、その後のステージでも大変重要なところだと思いますが、それがちゃんとできているかどうかというお話については、まだまだそこのところは弱い、とにかく早期発見・早期対応のところが少なくとも少しでき始めているというような現状ではないかというふうに認識しております。
#48
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 二点あったかと思いますが、まずは出席停止制度の問題でございますが、これはもう先生御案内のとおり、平成十三年の通常国会で学校教育法を改正をして制度化をしたわけでございまして、もうそのときもさんざん文部科学委員会で議論になったところでございますから、くどくどと申し上げるつもりはございませんけれども、従来から学校教育法で、性行不良であってほかの児童生徒の教育に妨げがあると認める児童生徒がある場合には、市町村の教育委員会が保護者に対して出席停止を命ずることができると、こういう規定があったわけでございますが、現実になかなかこれを行うということが難しかったと。あくまで他の児童生徒の、これは義務教育でありますから、義務教育を受ける権利を保障するんだと、そういう観点から平成十三年の通常国会で法改正をいたしまして、もっとむしろ学校教育法の中にそういう要件を明確にいたしまして、例えばほかの児童に傷害ですとか心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為とか、授業その他の教育活動実施を妨げる行為と。しかも、これはあらかじめ市町村の教育委員会がそういう出席停止を掛ける場合には保護者の意見を十分に聴取をすると。また、当然これは義務教育を受ける児童生徒でありますから、市町村の教育委員会は出席停止の期間における学習に対する支援その他教育上必要な措置を講ずると。いろんな条件を付けて、万やむを得ない場合にはこういうことも一つの措置としてやるんだと、むしろ要件の明確化と手続に関する規定の整備を図ったと、こういう趣旨でございます。
 それから、教員の加配の問題でございますが、特にこういった児童養護施設に入所いたしまして地域の学校へ通学して教育を受けるという場合には、なかなかいろんな課題が、生徒指導上いろいろ課題があるんだろうと思っております。そういうことで、生徒指導上特別に支援を必要とする場合には、現行制度の中でも教員の加配を行うという仕組みがございますので、これはまたそういうものも活用していただいてやっていただくと、こういうことも可能であると、こういうことでございます。
#49
○大仁田厚君 どうも済みません。委員長、済みません。ちょっと途中、遅れまして、ちょっと講演に出掛けていたもので、申し訳ありません。
 途中から参加しまして質問するのはなんですが、実質的に、僕は基本的に弱い者いじめをするというのがどうしても合点がいきませんものですから、どうしてもこういった部分で、僕は大人である以上、どうしても罪の意識というのは絶対にあると思われるんです。いつもよく児童虐待のニュースなどを見ていると、反省したという大人が言葉を吐いているんですけれども、じゃその場合に、僕はどうしてもやっぱり、その状況とか状態によって多少の上限はあると思いますけれども、ちゃんとした法整備を整えてもらいたいなというのが意識の中に絶対あるんですけれども、やっぱり罪を犯せば罰が下るというような、その辺のめり張りというのをはっきり付けてもらいたいな。
 昨日、たまたま早く帰ったものですから、大学から直接帰ったら、九時ごろにNHKのあの「プロジェクトX」というのを、NHKは余りつけないんですけれども、NHKをつけたら「プロジェクトX」やっていまして、つまんないなと思いながら見ていたんですよ。そうしたら、公団住宅の話なんですけれども、公団住宅の話なんですが、それでだんだんだんだん台所の話になって、ああ、そういえばあのころおばあちゃんがよく石の台所でよく炊事していたなというのを思い出しまして、それに画期的に、画期的にステンレスが入ってきたんですね。
 法というのは確かにあります。法というのはあります。だけれども、そのステンレスの工場、どこか忘れましたけれども、ニューウエーブかどこか忘れましたけれども、そこの人が、労働基準法というのはあるわけじゃないですか。労働基準法はある。だけれども、僕らはこの夢のために、夢を懸けて、夢を懸けて二十四時間働きましたと。二十四時間、二十四時間働きました。それによって今の公団住宅ができ上がったんです。
 訳の分からない話だと思われるでしょうが、僕はそれをずっと見ていたときに、その中に存在する人間たちの何か物すごい、何というのかな、情熱と、そして女性がこのステンレスの流し台の方がすごいんだということを討論し合うんですね。そして、実験するんですね、何歩で行けるとか。そこまで戦っていたんですね、人間同士が。
 その中に何があったかというと、その中に何があったかと、人間同士が戦っている、そして動いている、そして、かいま見たときに、その公団住宅の責任者が夜中起きて見たときに、お母さんが北側の冷たい冷たい寒いところで何をしていたかというと、こうやって足をこうやりながら、やりながら寒さに耐えながらお茶わんを洗っているわけですね。それをかいま見たときに、それをかいま見たときにそのお父さんは感動するわけですね。そういった家族の連帯とか感動とか感じ方とかどうのこうの、そういったものがどんどん欠落していった。それで、その人たちが今大人になっている。そういった問題を起こしている。
 確かに、それ以前の問題でこういった問題がなかったかといえばうそだと思います。だけれども、社会的な問題で、人間はやっぱり豊かになることによっていろんなストレスがたまり、いろんなそこを発散しやすい場所があり、だんだんだんだん自分に欲求がたまるわけですね。もうすぐ終わりますから。
 ここで問題なんですけれども、僕はたまたま三年前に高校生だったものですから、隣の高校に七十のおばあちゃんがおっとですよ、七十のおばあちゃんが。七十のおばあちゃんがその教室に入ってきたんです。周りは十七歳、十八歳の人たちですよ。一生懸命勉強するらしいです。最初はばかにしていた子ども、何だ、おばあちゃんが入ってくるんだとばかにしていた子どももどんどんどんどん変わっていき、やっぱり感じるんですね。そのおばあちゃんが一生懸命まじめにやることによってその子どもたちにどんどん伝わっていったんですね。それによって、それによってあの子たち、最近の餓鬼は生意気ですよ、はっきり言って、この野郎、こづいてやろうかなと思うときもありますよ、おれ。
#50
○会長(小野清子君) 大仁田君、質問をしてください。
#51
○大仁田厚君 失礼しました。はい。
 そこで問題です。僕は、僕は先ほども大野先生と話していたんですけれども、確かに現在の問題を論じることも必要だけれども、今後の未来のために、未来のためにどうしたらいいのか。どうして根本的に子どもたちや、そして若い人たちを教育していくべきか。その部分で専門の参考人の方々に聞きたいんですけれども、具体的にどういうふうにしていけば今後新しい未来の子どもたちが本当に平和に、そしてまた夢を持ち、人をいじめることが罪悪であるということの認識をできるのかということを各先生方に一言述べてもらいたいんですけれども。よろしくお願いします。
 話が長くなりまして、委員長、済みませんでした。どうも失礼しました。
#52
○会長(小野清子君) それでは、鴨下副大臣、代表してお答えいただけますでしょうか。
#53
○副大臣(鴨下一郎君) 参考人の方から多分貴重な御意見が承れると思いますので、もしお許しいただければ参考人の方々からもちょっと御意見いただきたいと思いますが。
 大仁田先生おっしゃることは極めて重要なことで、私たち行政の立場で言いますと、虐待が起こったことに対して早期に発見して対処すると、こういうようなことが中心になってしまっていますけれども、むしろもっと言ってみれば川上の方でいかに虐待が起こらないような、そういう仕組みをどう作るかということなんだろうと思いますけれども、先生おっしゃっていたように、一つはある意味で豊かさの中で余りにも個人的に、そして自己中心的になっていった部分もあるのかなというようなことも考えるものですから、これから我々は、これは政治家としての話ですけれども、やはり家族を思い、そして地域を考えるような、こういうような教育だとか家族の在り方というものをもう一度取り戻すために、いろいろと先生にも先頭に立っていただきたいというふうに思いますし、私たちもそういうようなことも含めてやっていかなければいけないんだろうというふうに考えております。
#54
○参考人(柏女霊峰君) 今、大仁田議員がおっしゃったように、私たち今直面しているこの子ども虐待の問題というのは、私たちが目指してきた効率優先社会の言わば影の部分といいましょうか、享受した部分はあるわけですけれども、その影の部分としてこの子ども虐待の増加というのが見られているのではないかというふうに思います。この効率優先社会のもたらした影の部分をいかになくしていくのか。それは、この調査会が銘打っている正に共生社会に変えていく、そのための仕組み作りを今はしていかなければならないのではないかというふうに思っています。
 例えば、厚労省が今進めているファミリー・サポート・センター事業というのがございます。この事業は、昔は近所の方が預かってくれたり、あるいは少し預けたり、子どもさんを預けたりしていたわけですが、自然発生的にそれが行われていたわけですけれども、それがなくなってしまったので、人為的にそうした仕組みを作って、そして地域社会の中に共生を再びよみがえらせていこうという、そういう仕組みではないかというふうに考えることができます。
 そういう仕組みを作っていく、共生社会に向けてどのような仕組みを新たに作っていったらいいのか、それを立法の専門家である先生方のこの調査会で是非御議論をいただけることを願っております。
 ありがとうございました。
#55
○参考人(川名紀美君) 余りに難問なので途方に暮れるんですけれども、私が取材した範囲で申し上げると、虐待をしてしまった親も最初から鬼の親だったわけではないということです。様々な問題を抱え込んでいます。例えば失業、失業による貧困、それから交通事故でその後遺症がなかなか良くならない、それから公害病に苦しんでいる人もいました。そういうわけで、いろいろな社会の矛盾を大人が一身に浴びて、それをうまく処理できないときに更に弱いところに向かってしまう、それが子どもである場合もあるし高齢者に向かう場合もあります。そういうことで起こってくるんだろうと思います。だから、親を責めても、もちろん親はそういうことはしてはいけないわけで、責任も取らないといけないし再教育も必要なのですが、親を責めても解決しないだろうと。どうやってそういう虐待に走るような条件を取り除き、その親を支援していくかということが大事で、そういう中で子どもが豊かに育っていけるんだろうと思います。
 それで、一つ誤解があると思うのは、今は子どもが少なくなって、昔は七人も八人も育てたのに今はたった一人や二人の子どもを育てあぐねて今の親はどうなっているんだというふうな議論が時々起こるんですが、子育てに対する負担というのはかつてよりうんと増していると思います。それは、今、柏女先生のお話にもあったように、ぽっと外に出たら声を掛けてくれるおじさんやおばさんがたくさんいた時代、それから豊かな自然もあって自然の中ではぐくまれるというふうな経験もあった時代と違って、今どんどんそういうものが失われて親だけが子育てをしているという状態です。その辺のところを私たちはよく理解していないと今の親は駄目だみたいな議論になってしまって、なかなか解決の糸口も見付けられないというふうに考えています。
#56
○参考人(平湯真人君) 何が大事かということで思っていることだけを簡単に申しますと、このJaSPCANの提言にも戻ってしまうんですけれども、児童の、子どもの人権の侵害だということをはっきりもう一度思い起こすということと、それから家族への支援というのが非常に大事なんだと、当たり前のようですが、こういうことでないかと思うんです。
 その支援としては様々のことが必要だと。経済的、福祉的、それから教育的、心理的、医学的、そういう支援のどれが欠けてもやはり足りないんだろうと思います。例えば、母子家庭についてのいろんなサポートとか、それから父親が子どもに顔を合わせることができるような制度とか、もうそういうものがどれ欠けてもやはり駄目なんだろうというふうに思います。
 それからもう一つ。私、四年前に衆議院の委員会でやはり意見を述べさせていただく機会がありました。そのときにある議員の方が質問なさったんですが、本当にこの子どもの虐待というのはなくせるんでしょうか、なくせるものでしょうかというふうに、その先生はそれなりの御見識を持っておられたんだと思うんですが、そういうふうなお尋ねをされました。私としてお答えできたのは、本当になくすというのは、この社会的な発生要因を考えるとなくせるということはとても言えません、ただ減らすことはできるはずだと、減らすためにどういうことをするかが大事なんでないでしょうかというお答えをした記憶があります。
 政治家の皆さんも、このようないろんな問題の一つとしてこの虐待の問題というのを、その国の制度や施策が本当に無力ではないかと思われるときがあるんでないかと思います。私どももしょっちゅう思っています。しかしそうでなくて、やはり少しでも減らすためにできるだけのことをするということをお願いしたいと思います。
 どうも失礼しました。
#57
○山下英利君 今日は参考人の皆さん、貴重なお話、大変ありがとうございました。
 私からちょっと簡単に一つずつ三人の参考人の皆様に御質問させていただきます。
 柏女先生、それから平湯先生は資料の中にもお書きになっていらっしゃったんですけれども、援助を希望しない、援助を受ける意欲のない親に対して動機付けをする、あるいは必要な介入、援助を実施できるシステムに持っていかなければいけないというような話も多々あったんですけれども、児童虐待防止ネットワーク、厚生労働省の方で示している段階で、発生予防、それから次の段階で早期発見・早期対応、それから最終的には保護・支援、アフターケアと、そのような段階に分かれております。やはり私、親子関係というのは最後の軸足なのかなという気がしておりまして、そこに対してやはり公的な制度あるいは法律的なところで縛る、これをどの段階でやるべきなのかというところを御参考としてお聞かせいただきたいと思うんです。
 すなわち、発生予防の段階で制度的にどういった措置が必要なのかということももちろんあるでしょうし、先ほど申し上げたように、親が希望しない、親が希望しないけれども児童虐待に対する措置を受けさせるという、いわゆる公権と言ったらおかしいんでしょうけれども、制度を導入する。だけれども一番大事なのは、発生予防から、実際に虐待が発生してしまう、そのはざまのところというのが一番見極めがしにくいんじゃないかなと思っておるんですけれども、制度としてはどの段階から入っていかなければいけないかというようなところを三人の参考人の御意見としてお聞かせいただけますでしょうか。
#58
○参考人(平湯真人君) おっしゃるように、今の段階が、おっしゃるところが一番難しいところです。つまり、サポートという純粋な援助という視点から介入という視点を入れていかなきゃならない、その段階というのが一番難しい。これは個々のケースを担当する人にとって正に難しいところなんですが、制度として申しますと、発生予防のための制度といいますのはいろんなソフトな形でたくさん今既に作られつつある、それをもっと援助することだろうと、国の役割としてですね。その上で、介入していくときに介入できるだけの担当者と当該の家庭との信頼関係というものが前もって作られているかどうかというのが、細かい話ですけれども、非常に大事かなと思います。そのためにこそ、結局はやはり発生予防の十分なことが必要なんではないかと。
 済みません、お答えになりませんが。
#59
○参考人(川名紀美君) 難しいですね。介入という言葉も行政用語としてよく使われるんですが、これは援助を受ける側からすればやっぱり抵抗のある言葉だろうと思うし、どうやって入っていくことがそういう、何というか、上からやってくるような形にならないような支援の体制を組んでいくかということは一つの課題だと思うんですが、けれども、これまで余りにも家族の中では、家族というのは本当にいろんな情緒的な共感をそこで持つことができたり、大きな安心の場でもあるんですが、一方で、それが密室で大変危険な場にもなるわけですね。
 これまでは家族の中になかなか法が入らなかった。他人をけがさせるとこれは傷害罪になるわけですが、家族をけがさせてもそこには行かないという、これがやはりおかしい。ほかの人に何か害を与えて罰せられるときは、家族の中にあっても同じように、家族一人一人の人権という視点に立てば、そういうふうに考えた方がいいんではないかというふうに思っています。なので、そういうけがをするとか命に危険が及ぶような危険があるときには、やはりそういうことをためらわずにする必要があるし、けれども、そこに至るまでに何か権力で上から何かをするという形じゃない援助の仕方をどうやって提供できるかというのが課題なんだろうと思います。
#60
○参考人(柏女霊峰君) 私は以前、十年ほど児童相談所で心理職の仕事をしておりました。その間、虐待の相談なども随分受けていたわけですが、そのときに忘れられない事例があるのですけれども、虐待してしまわざるを得ないということで御相談に見えて、いろいろな援助をしていたわけですが、最終的にその会議で、この親の元では、この家庭の元では援助をすることが難しい、したがって子どもを家庭から切り離して一時保護をする必要があるだろうという判断が会議でなされますと、翌日から私は子どもをいかにその家族から切り離すことに精力を注がなければならないわけです。
 これまでは私は、その子どもを家族ごとどうやって援助をしていったらいいか、そのための応援をしていたわけですが、その会議の決定があると今度は逆の対応を取らなければならない。親御さんからもそれは言われたわけです。あなたは今まで、これまで私たちを何とかサポートしてくれようとしたではないですか、なぜ今になって私からこの子を切り離すんですかというふうに言われて、私は本当に対応に困りました。今、児童相談所というのはこのあめとむちの両方の役割を担わざるを得ない、そういう状況に置かれているのではないかというふうに思います。
 この問題を、ソーシャルワーカーのこの苦悩を解決するためには、間にだれかが入る。それが司法だという考え方もあるでしょうし、司法以外の何かが入り得るということもあるんだろうと思いますが、だれか第三者的な立場で適正な判断をするというこの仕組みがやはりどうしても必要になってくるのではないか、それが支援と介入をうまく結び付けていく、連続性を非常にもたらしていく仕組みとして作られていく必要があるのではないかというふうに考えております。
#61
○会長(小野清子君) 質疑も尽きないようでございますけれども、予定の時間も参りましたので、以上で参考人及び政府等に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べをいただきまして、誠にありがとうございました。ただいまお述べをいただきました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
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#62
○会長(小野清子君) この際、御報告いたします。
 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の見直しに関するプロジェクトチーム」につきましては、各会派から推薦された委員一名で構成し、会長及び理事は随時出席、発言することができることとなりました。
 なお、具体的なメンバーにつきましては、お手元に配付いたしておるとおりでございます。
 また、本日開会されましたプロジェクトチームにおいて、座長に南野知惠子君及び副座長に小宮山洋子君がそれぞれ選任されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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