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2003/05/28 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
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2003/05/28 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号

#1
第156回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
平成十五年五月二十八日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     小林  元君     和田ひろ子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         勝木 健司君
    理 事
                北岡 秀二君
                中島 啓雄君
                内藤 正光君
                松 あきら君
                西山登紀子君
                森 ゆうこ君
    委 員
                小斉平敏文君
                山東 昭子君
                田村耕太郎君
                月原 茂皓君
                山内 俊夫君
                中島 章夫君
                円 より子君
                和田ひろ子君
                加藤 修一君
                渡辺 孝男君
                畑野 君枝君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村松  帝君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官
       兼行政改革推進
       事務局行政委託
       型公益法人等改
       革推進室長    小山  裕君
       内閣官房内閣審
       議官
       兼内閣府大臣官
       房審議官     中城 吉郎君
       内閣府国民生活
       局長       永谷 安賢君
       総務大臣官房総
       括審議官     伊藤祐一郎君
       財務大臣官房審
       議官       石井 道遠君
       財務省主計局次
       長        杉本 和行君
       文部科学大臣官
       房審議官     樋口 修資君
       厚生労働大臣官
       房審議官     阿曽沼慎司君
       厚生労働大臣官
       房審議官     渡辺 芳樹君
       厚生労働省老健
       局長       中村 秀一君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
       農林水産省農村
       振興局次長    日尾野興一君
       国土交通大臣官
       房審議官     竹歳  誠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国民生活・経済に関する調査
 (「真に豊かな社会の構築」のうち、国民意識
 の変化に応じた新たなライフスタイルについて
 )
 (「真に豊かな社会の構築」について)

    ─────────────
#2
○会長(勝木健司君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、小林元君が委員を辞任され、その補欠として和田ひろ子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(勝木健司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活・経済に関する調査のため、本日の調査会に内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局行政委託型公益法人等改革推進室長小山裕君、内閣官房内閣審議官兼内閣府大臣官房審議官中城吉郎君、内閣府国民生活局長永谷安賢君、総務大臣官房総括審議官伊藤祐一郎君、財務大臣官房審議官石井道遠君、財務省主計局次長杉本和行君、文部科学大臣官房審議官樋口修資君、厚生労働大臣官房審議官阿曽沼慎司君、厚生労働大臣官房審議官渡辺芳樹君、厚生労働省老健局長中村秀一君、厚生労働省年金局長吉武民樹君、農林水産省農村振興局次長日尾野興一君及び国土交通大臣官房審議官竹歳誠君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○会長(勝木健司君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「真に豊かな社会の構築」のうち、国民意識の変化に応じた新たなライフスタイルについて質疑を行います。
 質疑はおおむね一時間四十五分程度とさせていただきます。
 なお、時間が限られておりますので、発言は質疑者、答弁者ともそれぞれ一回当たり三分程度でおまとめいただくようお願いいたします。また、各質疑者におかれましては、質疑時間が質疑及び答弁を含め全体で十五分以内となるよう、質疑は簡潔にお願いいたします。追加質問がある場合には、この十五分の範囲内で行っていただくようお願いいたします。質疑を希望される方は挙手をもってお知らせいただくこととし、会長の指名を待って質疑を行われるようお願いいたします。
 なお、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑を希望される方は挙手を願います。
#6
○山東昭子君 今、厳しい経済不況と言われておりまして、どこに行っても、いや、景気が悪くてねという話、あるいは自治体の長にお会いしても、いや、とにかく予算がないから何もできないんですよというようなことを言われるわけです。
 でも、やはり二十一世紀というものはやっぱり発想の転換をしていかなければならないんじゃないかと。日本の一番の良さである、私が誇りに思っております日本の美しい自然と、そしてやはり伝統文化、そしてやはり人の情というもの、そういうものを大切にして、これからは健康と観光と環境、そしてスローフードの時代などと言われておりますけれども、そんな中で、私はどうも、日本のいろんな形での町づくりというもの、外国人を始め、あるいは日本全国の人たちを観光客として迎え入れるときの受入れ体制というものがどうも何か万全でないんではないかというような気がしてなりません。
 これは何か箱物を建てると、その周りの、何というんでしょうかね、自動車の環境というんでしょうか、そういうものもよくないし、そしてまた、いつも私が申し上げている景観というもの、美観というもの、色彩感覚というものが全くセンスがない。やはりこれからは美意識とサービス力というものがポイントになってくるんではないかなと思っております。
 そのために、やはりデザインとか、それからアート、そして外国製品というものに対して、特に若い人たちなんかは、何か新しいものがあったら、何かいいものがあったら借金してでも買いたいという、余り良くはないと思うんですけれども、そうした発想まであるというようなことを考えると、やはり日本にしかないもの、そういうものを作っていくという物づくり、あるいは日本にしか見られない景色、そういうものをこれから追求をしていくべきではないかなと思っているんですが、何か国土交通省としまして、そうした観光というものにこれからいろんな意味で力を入れていかれるというようなことを聞いているんですが、何かそれに対しての取組というものをお聞かせ願いたいと思います。
#7
○政府参考人(竹歳誠君) 観光についての国土交通省としての取組というお尋ねでございます。
 昨年の二月の総理の施政方針演説を受けまして、昨年の十二月にまずグローバル観光戦略というのを国土交通省でまとめました。また、先日でございますけれども、観光立国懇談会という報告書がまとめられまして、五月二十一日に関係閣僚会議が開かれ、国土交通大臣が取りまとめということで、七月中にアクションプログラムを策定するということになっておりまして、この観光立国という問題については国土交通省が全面的に取り組んでいるところでございます。
#8
○山東昭子君 私は、いつも思うんですけれども、いろいろな自治体と、それから本庁、中央との連携というものが余りなされていないんではないか、それぞれがバラバラにいろんな発想というんでしょうか、いろんな考え、行動、そういうものがそれぞれ行われているということで、もう少しやはり観光というようなことをイメージしている自治体の人たちと定期的に話し合う機会というものはこれはあるんでしょうか。
#9
○政府参考人(竹歳誠君) 国土交通省におきましては、様々な観光施策を推進する上で地方公共団体の御意見、また有識者の方々の意見もいろいろ伺いながら政策を立案、推進しているところでございます。
#10
○山東昭子君 何か、いわゆる日本的な場当たり的な発想でして、もっと戦略というもの、やっぱり日本全体として世界の人たちを招くんだと、いろいろ取り込んでしまうんだというようなこと、今はSARSの問題もございますけれども、やはりそういうことも勘案して、何が起きるか分からないというような、すべてのいろんな意味での危機管理、あるいは観光に対してのいろいろ姿勢、そういうものをきちんとやっぱり総合的に国土交通省が管理されて、その中でもっともっと本当に今申し上げたような、何かアイデアというもの、そういうもの、あるいはそれぞれの地域に応じた何かというものを出させて、そして、それをいろんな形でバックアップして、それぞれの地域の個性ということを尊重した観光地域というものを設定していくということが必要ではないかと思うんですけれども、そういう件に関して何かアイデアはおありになるんでしょうか。
#11
○政府参考人(竹歳誠君) 一つには、やはり先生先ほど御指摘なさいましたように、日本にたくさんの外国人に来ていただくという中で、日本の町を美しくしていくということが非常に重要であると思います。先ほど申し上げました観光立国懇談会の報告書の中でも、「都市の美観と魅力をさらに高める必要がある。」、「日本の都市をより美しくするため、「街を美しくする」国民運動も展開する必要がある。」というようなことも指摘されております。
 従来より、実は日本の伝統とか個性を生かした町づくりを都市計画の中でどのように進めるかということについていろいろな工夫をしてきているところでございます。
 例えば、歴史的な風土や伝統的な建造物、こういうものを都市計画上きちっと保存、保護、修景、修復していくというような仕組みが一つございます。それから、例えばれんが造りの駅でございますとか、そのような歴史的な建造物があると、そのときに、再開発をするというときに、そういう古い建造物はちゃんと保存しながら周りの再開発も進めるというようなことも都市計画上取り組んできているところでございます。
 さらに、付け加えますと、現在、次官を中心に美しい国づくり政策大綱というものをいろいろ検討しておりまして、近々発表ができることになると思いますけれども、こういう中で、公共事業の進め方でございますとか景観の在り方、これを公共団体の方々、住民の方々、NPOの方々などとどのように手を組んで進めていくかと、このようなことについて具体的な政策を検討しているところでございます。
#12
○山東昭子君 今まで役所というのは、どうもそつのない言葉の羅列、それから評論家的な対応というのがあったような気がするんですけれども、やはり本当に実質的なものを是非追求をしていただきたいなと思うんです。
 そして、特にまた、これから愛知万博もあるようでございますし、またいろんな形でそれぞれの省庁、あるいはいろんな形で日本においての世界の人たちを迎えての大会というものが行われる予定がメジロ押しだと私は思っているんです。
 その際に、やはり外国人を迎え入れてのサービス教育というんでしょうか、語学ということだけではなしに、それは決して、どうも日本は、これは男性が私良くないと思うんですけれども、何かガイドであるとか、そうした人たちをどうも若い子がいいというようなことで、かわいこちゃんが次から次へと出てくるんですが、その人たちはただマニュアルどおりにしかしゃべれないというようなことで、やはりその地域地域では、やはり本当にその町の良さを知っている、あるいはそういうことにたけている方を置いて、そしてその人たちの中でセンスのある人というんでしょうか、もちろん語学が堪能ならば鬼に金棒でございますけれども、そういう人たちを踏まえて、やはり外国の人たちに日本の良さを伝えていくということ。
 何か決まり切ったことしか答えられない、途中でストップと言ったら分からなくなっちゃって後が続かないというような、何か教わられた、何かテープがぐるぐるぐるぐる回っているというような感じの人に対して、そういう対応というのはどうもやっぱり旅をたくさんしている者にとっては不満なわけでございまして、やはり個性を持って、そして本当に物の分かった人。
 これから旅する人というのは、大変、初めて旅をするということではなしに、やはり日本全国をできるだけたくさん歩くという高齢者も増えてきましたし、あるいは世界の国からもそういう人たちも増えてまいります。だからこそ、やはりそうしたぜいたくな旅を志す、何か目的を持った旅、そういうものを、何かほかとは違ったものを求める人たちに対して、やはりこれは、もちろんそんなことはそれぞれの観光地がやりゃいいじゃないかと竹歳さん思っていらっしゃるかもしれませんけれども、もっとやっぱり親切に、日本全体、国益というものを考えた観光業というもの、そういう見地から、是非ともいろんな意味でリーダーとしてバックアップをしていただくことを期待をしておりますけれども、これに対しての取組を是非お聞かせ願いたいと存じます。
#13
○政府参考人(竹歳誠君) 先ほど申し上げました去年の十二月に作りましたグローバル戦略というところでは、外国から来ていただくお客様を二〇一〇年までに二倍にしようというような方針で、もう様々な観点から戦略を立てているわけでございます。
 例えば、日本に到着されたときの入国手続の時間をどうするか、それから成田から都心までの移動、その周りの景観をどうするか、それから観光地に行けば案内標識の問題、それから今おっしゃいましたような通訳の方々のコミュニケーション能力とか、様々な観点からこのグローバルな観光戦略と、政府全体としても今回の観光立国関係閣僚会議ということで取り組むということで、いろいろやはり、今先生おっしゃいましたように、もう皆様が各地を旅行されて目が肥えていらっしゃいますので、そういう方々の高いニーズにもこたえられるようなサービスを提供できるようにしていきたいと考えているわけでございます。
#14
○山東昭子君 今、非常に高齢者の雇用の場が減っているというようなことが言われているわけですけれども、私は観光という場では絶対に経験を積んだ、人生の上でもいろいろな体験、すべていろんな意味でやはり高齢者の人たちの声というんでしょうか、高齢者の人たちのやはりアドバイスというもの、案内というもの、こういうものはやっぱり求められているんではないかなという気がしております。
 そういう意味で、やはり今申し上げたように、各地でそうした、特にいろいろな経験を積んだ常識のあるそうしたすばらしい高齢者の雇用のためにも、何かそうした場を、研修というんでしょうか、そういうものも是非作っていただいて、大いにこれから日本の良さというものを是非とも伝えていただきたいなと思っております。
#15
○田村耕太郎君 それでは、まず地域の活性化について御質問をさせていただきます。
 いろんな意図があって市町村合併というのが今全国で行われていますが、その一つの目的として地域の活性化というのがあると思うんですが、その前提となる人口、一応足し算で増えてはいるんですが、全体的な過疎化の流れというのはちょっとブレーキが市町村合併だけでは掛かっていない。市町村合併の施策の中で過疎化、人口流出に対するソフト面での支援というのは総務省さんの方で何かお考えあるんでしょうか。
#16
○政府参考人(伊藤祐一郎君) 合併と活性化の観点についての御質問をいただきました。お答えをさせていただきたいと思います。
 御案内のように、少子高齢化でありますとか人口減少の中で、地方の過疎的な地域、その活性化を図ることが極めて大きな課題だと考えております。活性化のためには、地域の、最終的には地域の雇用機会の増加につながるような、産業おこしでありますとか、そういう広範な施策が必要ではありますが、私ども合併につきましてもその地域の活性化の観点からの視点を取り入れてその対応をお願いしているところであります。
 具体的には、御案内のことだと思いますが、合併いたしますと、旧市町村単位に地域審議会を設けていただくということを考えております。市町村の周辺部分がとかく衰退するというお話ございますので、地域審議会でいろんな問題について検討していただくというのがその一つではなかろうかと思っております。
 それから、その旧市町村単位に基金を作っていただきまして、その基金をベースに例えば町おこしでありますとか、村おこしでありますとか、地域伝統の、その地域の伝統とか行事の維持復活でありますとか、そういうこともできるような方策を私ども既に取っております。
 また、さらに合併を契機といたしまして、いろんな町づくりでありますとか、いろんな事業が興ってまいりますが、それにつきましては特別交付税でありますとか普通交付税でありますとか、財政措置もやっているところであります。
 四月三十日に地方制度調査会から地域自治組織についての御提言をいただいております。これは旧市町村単位に、今後細かい点は詰めなければいけませんが、行政区でありますとか特別地方公共団体作りまして、なるべく合併したところが活性化するような形での取組がお願いできないかということで考えているところであります。
 したがいまして、合併が直ちに地域活性化につながるわけではありませんが、合併を契機といたしまして、いろんな点での話合いをしていただくことによって、是非その活性化についての取組をしていただきたい、そのように考えております。
#17
○田村耕太郎君 高齢化対策としての多様なライフスタイルを可能にする働き掛けというのをこの調査会でやったんですが、高齢化対策、中でも高齢者の医療費の抑制の対策についてちょっと御質問させていただきたいと思います。
 例えば、鳥取県でいえばネギ農家、和歌山県でいえば梅農家、この方々の医療費というのが低いので、結構いい統計が出ていて、知られている話なんですが、なぜかといいますと、梅を作るのもネギを作るのも結構重労働なわけです。しかし、この二つは、いろんな農業の中でももうかっているわけです。もうかっているからやりがいがある、やりがいがあるからある程度お年を召しても停農しない、農業をやめない。そして、農業をやめないで肉体を、健康を保って農作業を続けていかれる。そして、もうけという、欲といっては悪いんですけれども、一つの物欲も心や脳の活性化につながっていると思うんですね。こういうように、しっかりと農業をやってもうけているようなところで働いている方々の医療費は低いわけです。
 ですから、厚生労働省は医療費の抑制ばかりを追求されるのも非常に大切なことなんですが、こういうように、例えば農業をしっかりやっていただくような農林水産省との連携ですとか、例えば中小企業活性化ですとか、いろんな縦割りを排除した横とのネットワークの施策が考えられると思うんですが、具体的に、少子高齢化対策のために、このように医療費を一つの例としてもいいんですが、ほかの施策でも省庁横断的な何か具体例、考えられている具体例はないでしょうか。あったら是非教えてください。
#18
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、医療費の適正化でございますけれども、大変重要な課題でございまして、従来の適正化対策だけではなくて、病気の早期発見あるいは早期治療のほかに、積極的な健康増進あるいは疾病予防に重点を置いた取組を進めるということが大変重要であると思っております。
 特に、健康増進の取組の推進でございますけれども、さきに成立をいたしました健康増進法の基本方針の中でも言っておりますが、厚生労働行政分野における健康増進対策のみならず、学校保健対策あるいはウオーキングロードなどの整備などの町づくり対策、さらには森林等の豊かな自然環境の利用促進対策など、関係行政分野あるいは関係行政機関と十分に連携を取って、全体として国民の健康増進を推進していく必要があるのではないかというふうに考えております。
 具体的には、平成十五年度におきまして、地方公共団体の健康づくりあるいは疾病予防対策を推進するということで六百億円ほどの地方財政措置も講じられておりますし、平成十四年度におきましても、農水省あるいは国土交通省と連携をいたしまして、都市と農山漁村の健康増進の情報発信・実践支援ネットワーク事業等も実施しておるところでございまして、今後とも、関係各省と十分連携を深めて健康増進対策を推進したいというふうに考えております。
#19
○田村耕太郎君 次に、都市と農林漁村との交流に関してお伺いしたいと思います。
 今、農業は、ただ単に食べるものを作るという生産の場だけではなくて、生きがいづくり、体づくり、健康づくり、教育の場となっていると思うんです。その一環で、鳥取県、私の選挙区は鳥取県なんですが、鳥取県も東京の武蔵野市との交流を始めました。
 このように、いろんな取組を地方主体で始めているんですが、農林水産省に聞きたいんですけれども、都市と農村漁村との交流を進めるために、先ほどの厚生労働省に対する質問とも関連しますが、省庁横断的な何か取組をされているでしょうか。
 それと、もう一つ、今、スローライフが見直されてきまして、農業というのを、見るや食べるだけじゃなくて、やろうという動きがあるんですが、これに関しまして、特区でも問題になっているんですけれども、農地の権利取得をもう少し緩和するような方向で考えるとか、こういうような流れはいかになっていますでしょうか。
#20
○政府参考人(日尾野興一君) 都市と農山漁村との交流に関するお尋ねでございますが、御指摘のとおり、都市と農山漁村との共生・対流というのは、農山漁村を舞台として新しいライフスタイルを作っていくということを基本理念にいたしまして、限られた国土を広く活用してゆとりある国民生活を実現していく上で重要な取組であろうと考えております。このためには、国民の幅広い参加と理解を得る必要性があるんだろうと思っております。
 このために、当然のことながら、農林水産省独りでできるわけではございませんので、国土交通省なり総務省なり関係府省と密接な連携を取りながら、地方自治体、民間企業、それから様々なNGO等々といろいろな連携をしていく必要があるんだろうと思っております。
 このために、昨年の七月でございますけれども、関係七省で構成いたします連絡協議会を発足させております。また、昨年の九月には、副大臣会議の下に、内閣官房副長官と、それから関係副大臣から構成されます都市と農山漁村の共生・対流に関するプロジェクトチームというものを作っていろいろな議論を展開しているところでございます。
 この成果といたしまして、この三月には、関連情報を的確に伝えるためのホームページを立ち上げることになっておりますし、本年の六月を目途にいたしまして、民間主体の推進組織、これが立ち上がる方向で今進んでおるわけでございます。
 今後とも、関係省庁といろいろな連絡を密にしながら積極的な展開を図っていきたいと思っておるわけでございます。
 それから、もう一点でございますが、こういったような農村のいろいろなライフスタイルを充実するために農地の取得を緩和してはという御指摘でございますけれども、当然のことながら、我々、そういったようなニーズについてこたえていく必要性があるんだろうと思っておるわけでございます。
 したがいまして、特区制度を利用いたしまして、担い手不足ですとか農地の遊休化が深刻化している地域におきましては、市民農園につきまして、従来は地方公共団体と農協以外は設立できなかったわけでございますけれども、NPO法人とか個人でも市民農園が作れるような形で、幅広い、何といいますか、農に親しむ機会を広げるというようなこともいたしましたし、それから、Iターンといいますか、Iターンの農業者が、新規就農者が小規模な面積でも農業経営が始められるような制度というものを間もなく施行する予定でございますので、そういったものを活用しながら様々なニーズにこたえていきたいと、かように考えている次第でございます。
#21
○田村耕太郎君 次に、個の確立を促す教育、学習の在り方について御質問いたします。
 個人的な話で恐縮なんですが、私、自分が受けた教育の半分が日本で、半分が欧米だったんです。いわゆるキリスト教圏だったんですけれども、個の確立の教育ということに関しましては、意外とキリスト教圏の方が保守的といいますか、非常に気を付けていまして、個を伸ばすとか個を確立させるばっかりやりますと、わがままに育ったり自由とか権利ばっかり主張してしまう。その裏付けとしてキリスト教思想みたいな何かブレーキになるようなものを、強い倫理観ですとか使命感ですとか、それをセットにして教育しているわけなんですが、日本もこれから個の確立が必要だと言われていますが、日本の場合、そういう一つの規律といいますか、ディシプリンといいますか、ブレーキになるようなものは何が当たるのか、それをどういうようにセットで裏付けを持って導入されようとしているのか、これを是非文部科学省にお伺いしたいと思います。
#22
○政府参考人(樋口修資君) 御説明申し上げます。
 義務教育は、国民としての基礎的な資質を培うということはもとよりでございますが、個性や能力、一人一人の個性や能力を最大限伸ばしていくということで、個性を生かす教育の実現ということを今私ども一生懸命努めているところでございます。
 当然、今御指摘のように、一人一人の個性を伸ばすということと一人一人の社会性を培っていくという、個を伸ばし社会性を培っていくということを学校教育の中で重要視しながら取組を進めているわけであります。
 教科指導では、個性を伸ばすということでは、これまでのような画一的な一斉授業から少人数による習熟度別の学習など、個に応じた指導を展開をさせていただきながら、個性を伸ばす教育を進めておるわけでございますし、道徳の授業時間を中心といたしまして学校の教育活動全体の中で、やはりまず望ましい基本的な生活習慣、個としての望ましい基本的な生活習慣をきっちりと身に付けさせる。その上で、やはり他者へのいたわりとかそういった思いやりの心を育てていくという、そして社会的な規範意識というものをきちんと培っていくということを道徳の授業時間を中心にしながら今まで進めてきているわけでございまして、これまでのように座学中心の道徳教育ではなく、もう少し体験的な活動を組み入れながら、集団の中で個がどう生きるのかということを体験的な活動の中で重視しながら子供たちの個性と同時に社会性を培うような、こういう道徳教育を推進してまいりたいと考えているところでございます。
#23
○田村耕太郎君 最後に、ボランティア、NPO活動等社会参加システムの在り方に関して質問させていただきます。
 近年、エコマネーにすごく関心が高まっていまして、NPO支援としてエコマネーの導入が非常に脚光を浴びているんですが、エコマネーの支援をどのように具体的に考えられているか、これに関してお伺いしたいと思います。
#24
○政府参考人(永谷安賢君) NPOに対する支援策というお尋ねであります。
 これ、今、先生もおっしゃっていましたように、NPO、行政でも営利企業でもない第三番目のプレーヤーということで、国民の多様化したニーズに的確にこたえることができる存在であります。それと同時に、その活動に参加する個々人にとっても、正に自己実現の意欲を生かすことができるシステムということで、これからますますその重要な役割を果たしていくものだろうというふうに認識しております。
 今、先生がエコマネーということをおっしゃいましたけれども、地域通貨という形で、それを媒介にしていろんな人の交流を進める、あるいは地域おこし、コミュニティーづくり、コミュニティーの再構築ということをやっていくということで、最近非常に注目を集めているということであります。それに対する支援策ということでありますけれども、御案内のとおり、去年の臨時国会でNPO法を改正していただきました。活動分野を追加して五分野ぐらい新しく活動分野が広がったということとか、あるいは役所への申請書類等も簡素化するというようなことで、ますます法人格の取得というのができやすくなっているということであります。
 それから、税制面でも、これは認定NPO法人制度というのを平成十三年度に導入しておりますけれども、NPO法人に対して寄附した者を優遇するという制度でありますけれども、そこの要件を非常に緩和して使いやすくするとか、あるいはみなし寄附金制度を導入するということで、税制面からNPOの活動をバックアップしていくような体制というのを作ってきているということであります。
 そういうことで、一層制度なりの定着というのを図って、ますますNPO活動が活発に行われるような環境づくりに努めていきたいというふうに思っております。
#25
○田村耕太郎君 しっかり答えていただきまして、ありがとうございました。
#26
○中島章夫君 民主党・新緑風会の中島章夫でございます。
 私は、教育の地方分権をどのように進めるかという一点に絞りまして、このことと、今、新聞紙上をにぎわしております構造改革特別区域、いわゆる構造改革特区との関係で少しお話を伺いたいと思います。
 私は、教育というのは、今、同僚の議員もお話がありましたが、私自身ももう二十五年も前に子供を連れてアメリカで生活をしておりまして、その後も何度もアメリカのコミュニティーへ入りまして、地域の生活にとって、一番やっぱり生活に密着して重要関心事というのは警察であり消防であり、やはり教育であるというふうに実感をいたしました。そういう意味で、これから地方分権というものをどういうふうに進めていくかということは極めて大事な、教育政策上の大問題だと、私自身はそう思っております。
 私は、これは誤解かもしれないんですが、この構造改革特区というのが地方分権というものと非常に密接な関連を持って進められていると、私は教育の面から見ているものですから、そう思って見ておりましたが、どうも規制緩和という面がほかの行政分野等ではもちろん強いらしいんですが、その辺の、今年から構造改革特区、スタートを実際にしていくわけですが、今どういう準備段階で、そして各省とどういう連携を取りながら進めておられる段階なのか。そういう基本的なことを、恐縮ですが、最初に内閣官房の方から教えていただければ有り難いと思います。
 あわせて、今構造改革特区でどれぐらいの件数を考えておられるのか、その概数のようなものが分かれば。そして、その中に教育という、特に私は初等中等教育を今話題にしたいと思っているんですが、どれぐらいの割合かと、こんなことをちょっと最初に教えていただきたいと思います。
#27
○政府参考人(中城吉郎君) 構造改革特区についての御質問でございます。
 構造改革特区というのは、我が国の経済や社会が閉塞状態にあるという中で、これを突破するために、地方や民間が自発的に構想立案して、それぞれの地域の特性に応じて規制の特例を導入することにより、官から民へ、国から地方へという小泉内閣の構造改革を更に加速するためのものということでございます。この構造改革特区を推進することによりまして、特定地域における構造改革の成功事例を示すことによりまして全国的な規制改革を加速させる、そして、我が国全体を活性化させるということと、それと同時に地域特性というものが明らかになって、その特性に応じた地域の活性化を実現させることを目的としております。
 教育分野につきましては、一月十五日に締め切られました第二次提案募集で出された構想が六百五十一ございますが、うち約四分の一の百四十件の提案が教育に関連するものでございますが、このように地方、NPO、民間、それから構造改革特区の推進により構造改革を進めようとする意欲と期待の大きい分野として教育分野があるということでございます。
 こうしたことから、例えば地域の特性を生かした人材の育成や不登校児童生徒等に多様な教育を提供するために、株式会社、NPO法人による学校設置の容認とか、地域のニーズに沿ったNPO法人等による学校を容易に設置するための学校法人の校地校舎の自己所有要件の緩和、そういったものが実現したところでございます。このように、構造改革特区というのは、地域のニーズや教育を受ける側のニーズというものに応じた多様な教育を可能とするものと考えております。
 また、特区において実施するというふうにされました規制改革につきましては、本年夏を目途に、構造改革特別区域推進本部に民間人や学識者から成る評価委員会、これは仮称でございますが、こういうものを置きまして、特区の効果や影響についての評価を行いまして、特区において特段の問題が生じてなく、全国において実施すべきというふうに判断されたものについては速やかに全国規模の構造改革につなげていくと、こういうふうな予定にしております。
#28
○中島章夫君 ありがとうございました。
 今の御説明で、各地域、地方が自発的にということ、それから国から地方へのという、そういう流れを強めていくというお話がございました。だから、先ほど私申しました、私がたまたま地方分権、教育の地方分権という観点からこの構造改革特区が進んでいくさまを見ておりましたのは必ずしも間違いではないと、こう私は思っておりますが、その中で、今私が問題にしようと思っておりますのは、教育の中で、特に初等中等教育の中で非常に大事なものがございまして、それが実は教育の水準を維持するということであります。
 これは、例えば文部科学省で教育課程基準を持っていると。これについては様々な議論はありますが、我が国が約二十年ぐらい前、世界に冠たるということで一度かなり高い評価を我が国の教育が得たことがあるのですが、これは全国的に教育水準が高いと、そして実質的な平等が行き渡っているというこのことに対する評価でありましたし、このことは明治以降、大正の時代から、特に今問題になっております例の義務教育国庫負担制度等を世界に先駆けて導入をして行ってきた結果であると思っております。これを地方へ進めていくというのは私は大事なことだと基本的には思っておるんですが、アメリカとイギリスの例を特に注意深く見ておりますと、我が国の後、アメリカでは危機に立つ国家、イギリスでは一九八八年のベーカー法といったような国の基準を作って水準を上げるということに躍起になっております。いったん高い水準を維持していたものがそれを外していくというときには、その次にそれをどう担保していくのかという配慮が必ず必要であると、私はそう思っておるわけであります。
 それで、私は、文部省は、こういう構造改革特区で今御説明があったようなあちこちからいろんなケースが出てくると、その中で調査委員会で評価をしてみてうまくいきそうだったらそれはすぐにでもゴーをさせるという散漫な形では、今申しました観点からの、つまり水準を維持するというかなり責任ある体制をどこで取るのかという教育にとって大事な一点が抜けていくような気がしてなりません。
 その点について、文部科学省の方では教育の地方分権というのを、この構造改革特区と併せてでも結構です、独自の地方分権の推進の方策についてお考えがあればお伺いしたいと思います。
#29
○政府参考人(樋口修資君) ただいま構造改革特区のお話については御説明ございましたが、地方公共団体の発意によって地域の実情に応じて様々な創意工夫を凝らした取組を行うということで、教育特区につきましても様々な取組が見られているわけでございます。
 文部科学省としてもこれについては柔軟に対応をしてまいりたいと考えているところでございますが、ただいま委員御指摘のように、文部科学省は、従来から教育の地方分権を積極的に進めてまいったわけでございます。学級編制の弾力化でありますとか、あるいは教育課程の基準の大綱化、弾力化ということで、地方の自由度を高め、そして学校の自主、自律を高める、自己責任による学校経営を積極的に進めていただきたいというスキームを私ども積極的に推進してきたわけでございます。
 同時に、義務教育を中心として、やはり教育の機会均等そして教育水準の維持向上ということは、これは憲法上の要請でもございます。私どもとしては、国民のだれもが全国どこでも一定水準の良質な義務教育のサービスを受けられるようなことは国として最終的な責任を持っていかないといけないということで、私どもとしては、義務教育の円滑な実施のために、国と都道府県それから市町村が協力しながら、義務教育を中心とした初等中等教育の円滑な実施に努めてまいりたいと思っているわけでございます。
 構造改革特区における市町村の新しい試みについては、私どもとしては、その試みを十分検証させていただきながら、この普及の問題については検証の上、検討させていただきたいというふうに考えております。
#30
○中島章夫君 今、先ほど申しましたように、教育の水準を維持するということの作業はかなり難しい仕事であります。私は、実は年来、カリキュラムセンターを各都道府県に設けるべきだということを言っております。別にこれ詳しいことをここで申し上げるつもりはないんでありますが、国が教育課程審議会等で一方的に作って各地方に基準を示していくというやり方は、それはごく基本的な骨格の部分は当然将来も守ってほしいと私は思っておるんですが、各論に至りますというんでしょうか、実施段階での基準というのは、都道府県にはやはりそれだけの人材が集まっておりますのと、それからたくさんの市町村が集まって比較可能な広域行政を担当をしております。それから、長い戦後の歴史の中で、文部科学省からの方針を地方に伝えるという役割をかなり長い間やってまいりました。しかし、政策を作っていくという、そういう地方自治の本当の主体性、責任ある主体性はまだ生まれていないと、私はそう思っておるんです。
 そういう意味で、これは答えにくいのかもしれませんが、文部科学省として地方主権、地方自治ということを考える際に都道府県というものをどういうふうにお考えになっているのかということを少しお話を聞かせていただければと思うんですが。
#31
○政府参考人(樋口修資君) 委員御案内のとおり、初等中等教育、高等学校については、これ都道府県が基本的な設置運営の主体になっておるわけでございまして、小中学校については、これは市町村が設置運営の主体になっていると、こういう構造になっているわけでございます。
 今お尋ねの件につきましては、特に義務教育を中心として私どもは教育の機会均等あるいは水準の維持向上ということを、私たちはこれを最大限の課題としてとらえて義務教育の円滑な実施に努めてきているわけでございます。そのためには、都道府県がやはり優れた教職員を一定数小中学校に確保する、そのための給与負担の在り方、あるいは計画的、広域的な人事を通じて教職員を、優れた教職員を県内の各小中学校に配置する、こういったことについて基本的な責任を負っていただく、あるいは学校運営の在り方について、都道府県教育委員会が市町村教育委員会あるいは学校等に対して様々な助言、援助等を行っていただく中で小中学校における教育の円滑な実施に努めていただきたいと考えているわけであります。
 委員に申し上げるまでもなく、小中学校の設置主体はあくまで市町村の教育委員会でございます。市町村の教育委員会が責任を持って取り組めるように、都道府県の教育委員会としても、今後様々な形で助言、援助等を申し上げていきたいというふうに考えているところでございます。
#32
○中島章夫君 私は、これもう最後にいたしますが、都道府県に、都道府県の行政関係者、もちろん市町村の関係者、それから都道府県内を中心とした大学関係者、それから教育現場、こういった人たちがそれこそ三位一体になって集まってカリキュラム基準等の分析検討をし、その地域に合った基準を作って、そして実施をして、自ら評価をしていく、そしてお互いの県が競い合っていくというようなことを是非進めていくべきだと、こう思っておりまして、そういう観点からしますと、市町村の中にも非常に実力のある市町村があるのはよく知っておりますけれども、今、構造改革特区の中でいろいろアイデア募集のように出てまいりますもの、私の目から見ますと、私の今申し上げてきたようなあれからいいますと極めて散漫なものが多いと。その線上に教育の地方分権ということを考えておられるということなれば、非常に危ういと。こういう思いを強くするものですから、少し時間をいただいてこの議論をさせていただきました。
 ありがとうございました。
#33
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 公益法人改革等についてお尋ねしたいと思います。
 公益法人については、これまで我が国において民間非営利活動の中心的役割を果たしてきておりますし、明治以来その制度が抜本的には見直されておらない、時代の要請に合わなくなってきている。例えば裁量の大きな許可制は機能していないし、これまで公益法人が不祥事を起こすたびにいわゆる指導監督が強化されてきたわけでありますけれども、典型的にはKSD事件に見られるように裁量性が大きいと、そういった理由から対応は十分に機能してこなかったと、そういうふうにとらえることができると思うんですけれども。
 一方、これからの我が国の経済社会を考えていきますと、行政や利益を目的とする営利企業では担えない分野、いわゆる民間非営利活動を行う主体が活発に活動を進めて、産業社会から市民社会への流れを適切にとらえた形で、いわゆる豊かで柔軟な社会を構築していく必要があると思っておりますが、いわゆる公益法人やNPOにはこうした役割が大きく期待されていると、言うまでもない話でありますけれども。
 そこで、内閣官房にお尋ねしたいわけでありますけれども、公益法人の公益性については現行制度ではいわゆる不明確で客観性に欠ける、そういう批判があると、指摘がされていると。そのような批判とともに時代の変化に応じて変わっていくべきであるわけでありますが、弾力的に対応できない仕組みになっていると。また、そういう指摘もありますし、こういった問題にどのように対処していくのか。特に、公益性のいわゆる判断基準ですけれども、これは極めて重要だととらえております。情報開示も欠かせないわけでありますし、あるいはさらに、今言いました公益性の関係、いわゆる社会貢献性をどのように認定するかの仕組み、場合によっては認定の基準、いわゆる客観的な基準ということについては、法制化についても場合によっては検討せざるを得ないような背景ということも考えられるのではないかと、そう思っていますけれども、この辺についてどのようにお考えか、見解を示していただきたいと思います。
#34
○政府参考人(小山裕君) 現行の公益法人制度におきましては、法人格の取得と公益性の判断が一体となっておるわけでございまして、実際には公益性を失ったと言えるような場合でございましてもなかなか法人格を喪失させることができないという実情にあるわけでございます。その結果、現状からいきますと、公益法人とは言えないような法人が公益法人ということで存続しているではないかといった弊害が指摘されているところでございます。
 公益法人制度改革につきましては、現在、与党においても御議論いただいているところでございますけれども、今御指摘のような問題に対処するため、私どもといたしましては、この際、法人格の取得と公益性の判断、これを切り離しました新たな法人制度というものを創設する方向で検討をしているというところでございます。
 公益性ということでございますが、現行制度におきましては明確な定義は存在しておりません。主務官庁の自由裁量により判断がなされているという実情にあるわけでございますけれども、改革後の公益性の判断というところにつきましては、できる限り客観的で明確な基準を設定する、これに従って判断を行うということを検討しているわけでございます。
 この基準の具体的内容、在り方等につきましては今後更に検討を深めていく必要があるわけでございますけれども、時代や社会状況の変化に応じてこういった判断基準を見直していくということもまた適当であろうというふうに考えているわけでございます。
#35
○加藤修一君 先ほど申し上げたように、公益法人については様々な指摘がされているわけで、ただ、今後の我が国の経済社会を考えますと、いわゆる民間非営利活動、これを促進することも極めて重要な課題でないかなと思います。
 今回の改革ではどのようにこういった面について具体化するつもりなのか、同じく内閣官房にお尋ねしたいと思います。
#36
○政府参考人(小山裕君) 民間非営利活動、これを我が国の社会経済システムの中で積極的に位置付けていくということは極めて重要な課題というふうに私どもも認識しておりますし、今回の公益法人制度の抜本的改革におきましても、これを基本的な理念として位置付けているところでございます。
 このような理念の下、私どもといたしましては、改革後の法人制度につきましては、簡便に法人格を取得することができるという観点から、準則主義、すなわち登記をすれば法人を設立できるという制度にするという方向で検討を進めているところでございます。
#37
○加藤修一君 二十一世紀の経済社会を考えていく場合に、その中で真に豊かな社会の構築を目指していく、目指さなければいけない。その中で、NPOは公益法人とともに民間非営利活動のいわゆる中核的な存在になっていくと考えなければいけないし、恐らくそういう方向性が強まってくるんではないかと思っておりますけれども、このNPO制度について、政府としてどのようにこれを支援していく考え方か。あるいは、十五年度税制改正においても認定NPO制度が拡充されてきたわけでありますけれども、これについて内閣府にお尋ねしたいと思います。
#38
○政府参考人(永谷安賢君) 加藤先生、先ほど来おっしゃっていますように、日本の経済社会が今より以上に懐の深いものとして成熟していくためには、先生おっしゃっているように、NPOの活動がこれまで以上に一層活発化していくというのが必要であると私ども認識しております。
 そういうことで、先ほども申し上げましたけれども、法人格の取得できるNPOの活動の範囲を拡大するということで、先般の臨時国会で法律改正、NPO法の改正というのをやっていただきましたし、今御指摘ありましたように、税制上の優遇措置もより拡充するということで対応してきております。
 取りあえずはそういうことで、NPOが活動していくに当たって一番財政面のネックというのが大きな課題ということを私どもも認識しておりまして、そこに手当てするべく今回の税制改正というようなことをお認めいただいたということでありまして、取りあえずそういうことで制度改正をさせていただいたわけでありますので、それの定着等々を図っていく、よってもって、NPO活動の更なる促進に向けた環境整備ということに努めていきたいというふうに思っております。
#39
○加藤修一君 環境整備に努めていく。
 内閣府に重ねて質問ですけれども、それを整備していく場合、こういった改革を行ったいわゆる政策の効果をどういうふうに考えるかということも当然出てくる話だと思うんですけれども、その効果を出す場合に、いかなる方法、手段を考えているか。いわゆる行政評価法というのは当然法律として存在しているわけなんですけれども、いわゆる政策の効果を手早く見て、それに対する対応を考えていかなければいけない。その辺の内容とスケジュールについてお考えがあれば教えていただきたいと思います。
#40
○政府参考人(永谷安賢君) 例えば、今回の税制改正を要求するに当たりまして、私ども、NPOの中間支援団体みたいなところとタイアップして、今、各NPOの実態がどういう状況になっているかというのをきちっとサーベイした上で今回の税制改正要求というのをお願いしたということであります。
 先生おっしゃるように、これからNPO関連の施策をいろいろ進めていくに当たって、正に今回の制度改正がどれくらい使われているかということをきちっと把握していく必要があるというのはおっしゃるとおりであります。したがいまして、NPOのその支援組織みたいなものとの連携等も含めて、その辺りを把握すべく、鋭意努めていきたいというふうに思っております。
#41
○加藤修一君 是非具体的な調査を素早くやっていただきたいなというふうに思います。
 公益法人改革はいわゆる民法制定以来の大きな改革でありますし、現在の公益法人について指摘される問題に、やはり言うまでもない話でありますけれども、適切に対応していかなければいけない。民間の非営利活動を活発化する環境整備としても極めて重要な意義が私はあると思っておりますし、ほかの委員の方々も同じような考え方に立っているんでなかろうかと勝手に推測しておりますけれども。
 また、NPOについても同様に、これからの民間非営利活動を進める上で不可欠の存在である。公益法人あるいはNPOとも、先ほど来からお話ししておりますように、我が国の非営利活動の中核を担う、そういうふうに強く私も期待しております。
 そういった意味では、こうした役割を果たすにふさわしい制度整備、必要ならば法制化についても、先ほどの客観的な認定基準といいますか、そういった面についても当然必要になってくるかもしれませんし、そういった面についてもやはり制度的な整備を進めていくことが必要ではないかなと。
 先ほど、同僚の委員がエコマネーの、いわゆる地域通貨の質疑が出てまいりましたが、そういった非常に広範ないわゆる民間の非営利活動がこれからはより活発になってくる、それが二十一世紀の我が国の経済社会を豊かにする大きな要素であると考えております。
 先ほどの答弁含めて、政府としてもこういった考え方の下で公益法人改革に是非とも取り組んでいただきたいとお願いして、私の質問を終わります。
#42
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。今日は、老人介護の問題について質問をいたします。
 実は、私は今映画議連の幹事をしておりますけれども、先日憲政記念館で、「釣りバカ日誌」の監督の栗山富夫さんによります「ホーム・スイートホーム2 日傘の来た道」の試写会がございました。ごらんになった議員の方もいらっしゃるかと思います。とても涙と笑いの感動的なドラマでしたが、テーマは、痴呆の父親の介護に一流企業のビジネスマンが仕事を辞めて、東京を離れてふるさとの今治で家族とともに新しい人生を歩んでいくというドラマでした。
 今はまだ日本では、苦悩に満ちた介護の多くは嫁と呼ばれる女性や娘の肩に重くのし掛かっているんですが、このドラマは男性が苦悩をして、仕事を辞めて父親の介護に正面からかかわっていく、それを家族がみんなでバックアップするという物語でしたので、私は、見終わりまして監督から感想を求められたときに、大変女性の立場からいたしますと気持ちが軽く見られましたというふうにお答えをいたしました。この映画では、いずれはみんなが直面する問題ですよ、老人の行き場のない社会は豊かとは言えませんよというようなメッセージがございました。豊かな社会の重要なテーマだと思います。
 私は、九七年の介護保険の審議のときに厚生委員をしておりました。もっといい介護保険にしようということで、我が党としても提案も出させていただいたところです。二〇〇〇年の四月から実施されました介護保険の導入から三年がたちました。
 厚生省にお聞きしますけれども、この三年間の実態はどうなっているでしょうか。六十五歳以上の一号被保険者の数、それからサービスを受けたいと申請した人のうち、介護は必要と認定された人の数、また介護のサービスを利用できた人の数など、少し教えてください。
#43
○政府参考人(中村秀一君) 今お尋ねがございました二〇〇〇年四月以降の介護保険制度の実施状況についてでございます。
 まず、第一号被保険者の数、これは六十五歳以上の方の数でございますが、二〇〇〇年四月、二千百六十五万人でございましたが、二〇〇三年二月の統計がございますが、二千三百八十五万人と一〇%増加いたしました。
 要介護認定を受けられまして、該当された数でございますが、二〇〇〇年の四月、介護保険がスタートしたときに二百十八万人でございましたが、二〇〇三年二月末で三百四十万人、こちらの方は五六%増加いたしました。
 要介護の方というのは、要支援から要介護一から五までございますが、全体で五六%増えておりますが、伸び率が著しいのは要支援六八%、要介護一、八九%と、どちらかというと最近は比較的要介護度の低い方の増加が目立ちます。
 サービスの利用者数でございますが、二〇〇〇年四月に百四十九万人でございました。二〇〇二年十二月の統計が今出ておりますが、二百六十六万人と、この三年近くの間に七八%の増加になっています。内訳は、施設サービスが、制度スタート当初五十二万人が現在七十一万人と三八%の増加、在宅サービスでございますが、九十七万人が百九十四万人と一〇〇%の増加、ほぼ倍増しているというような状況でございます。
#44
○西山登紀子君 四月から保険料が値上げもされましたので、特別養護老人ホームの待機者もまた増え続けているということなんですが、この特別養護老人ホームの待機者の最新の数、つかんでいらっしゃいますか。
#45
○政府参考人(中村秀一君) まず、特別養護老人ホームの入居希望者の問題でございますけれども、先生御案内のとおり、介護保険施行前は措置制度と申しまして、市町村の方に入所を希望される方が申請されるという制度でございましたが、制度施行後は、入所申込みと申しますのは申込みされる方が各施設の方に申込みされるということで、結論から申し上げますと、複数の施設に申込みを行うことも自由になっているということ、それからかなり特別養護老人ホームなどの入所希望が多いということで、言わば予約的に申込みをする方がいらっしゃるなどなどの要因がございまして、各市町村ベースで調査されていることはございますが、全国的な意味で待機者という意味での調査はいたしておりません。
 それから、もう少しだけお答えさせていただきますと……
#46
○西山登紀子君 時間がないからそれで結構です。済みません。
#47
○政府参考人(中村秀一君) はい、分かりました。
#48
○西山登紀子君 数を把握しないで私は整備計画はできるのかと申し上げたいわけですが、実は介護保険の導入のときも、実は国は、その当時措置制度でしたけれども、私が質問いたしましても待機者の数は把握されておりませんでして、私たちが独自に市町村に聞いて待機者十万人などというような数を出して審議をしたことを今思い出しております。
 今二十万、三十万とも言われる待機者の問題が出ているわけですから、やはり把握していないでは済まないと思いますので、これはやっぱり把握をするべきだと思います。
 そこで、お聞きしたいわけですけれども、措置制度のときは、本人の状態と介護者の状態を見まして、介護に欠ける場合に入所の措置決定がされていたと思います。介護保険になりますと、これは措置から契約だと、自分で施設やサービスが選べるんだという宣伝が随分されましたよね。
 今、介護保険では、介護者が要介護度一以上は施設サービスを申請できると思いますけれども、先ほどの数字などから見て、要介護度一から五、約二百九十万人の人が施設サービスの申請ができる権利を持っているということ、これは確認をしておきたいと思います。イエスかノーかだけでお答えください。
#49
○政府参考人(中村秀一君) 施設入所を申込みすることはできるということでございます。
#50
○西山登紀子君 申請はできるんですけれども、じゃ、その後はどうかということなんですね。
 地元が私、京都なんですけれども、評判のいい特別養護老人ホームで待機者の数をお聞きしてまいりました。千三百十五人。年間十人から十五人がお亡くなりになるという、そういうことで次々と入所ができるという状態なんですよね。待機者の二十七番までが九七年以前に申し込んだ人で、六年以上待機をしているということでございました。正にこれは保険あって介護なしの状態ではないでしょうか。
 さらに、驚きましたことは、京都市が実は「京都市介護老人福祉施設入所指針」というものを出しておりまして、十月から運用ということをお聞きいたしました。この京都市の入所指針は何を書いているかといいますと、ちょっと御紹介しますと、こうなっております。
 介護保険制度の導入により、介護老人福祉施設への入所方法が措置制度から契約制度に変わり、要介護一以上の方がその意思に基づいて自由に入所申込みができることとなり、申請者数が急増してきたと。施設ではこの多数の申込みに対して、一般的に申込み順で入所者を決定してきた。この状況を改善するために、平成十四年八月に指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に対する基準の一部が改正され、入所申込者の介護の必要の程度及び家族の状況等を勘案した上で、入所の必要性の高い方の優先的な入所に努めるということとなったと、その通知に基づいて本指針を策定したと、こういうふうになっております。
 非常に私驚いたんですけれども、この八月七日の通知という、通達というのは、一片の課長通達でございます。技術的な助言とはしておりますけれども、私の印象としては、措置制度の時代のような国の強力な介入というふうな印象を受けたわけですね。
 実はこの指針、通知を受けて、それでは京都市の入所指針がどうなったかということでございます。
 ここに優先入所評価票なるものがあるわけですけれども、これには基本評価で三つのランクを付けているんですね。要介護度、介護者の状況、居住環境の三つのカテゴリーで三段階のランク付けで優先順位が決められるということになっているわけです。aが三つあれば優先入所の基本評価は一番上のランクとなります。二つあれば二番目のランク、一つしかなければ三番目のランクになってしまいます。そして、上位でなければ、今の状態ですから施設には入れないということになってしまいます。
 要介護者のすべてが施設介護の申請と入所の権利を持つという保険にはならないんじゃないんでしょうか、これでは。入所者をランク付けして、正に私は排除するための指導通達ではないかと思うんですけれども、厚生省、どうでしょうか。
#51
○政府参考人(中村秀一君) 先生からいろいろ御指摘がありましたので、時間が短くということでございますので、簡潔に御説明いたしますと、先ほど申し上げましたように、措置制度から介護保険で申込みがかなり自由化いたしました。そういった意味で、言わば複数申込みとか予約的申込みが多いということでございます。
 その際、入所の順番ということをどう考えるかという議論になりまして、介護保険制度では施設の人員や設備や運営に関する基準、運営基準がございますが、その運営基準を見直しをしようということになりまして、社会保障審議会の方に諮問し答申をいただきまして、こういう言わば優先度に応じて施設の優先入所という制度を、条項を入れることにしたらどうかということになりました。
 その際、不公平な取扱いにならないようにガイドラインを出すべきであるということで、先ほど課長通知というお話は、そのガイドラインを出したわけです。それは作り方としては、市町村と施設の協議会とのところで地元の指針を作るということになっております。
 例えば、京都市の、先生御指摘ありましたのは、身体的精神的状況や主たる介護者の状況や居住環境などに応じて、該当項目A、B、Cのランクを付けて、その優先度に応じて希望者の方は入所するようにしようと、こういったことでございます。
 二つ目の、先生御指摘の介護サービスの整備についてはどうなっているかということでございますが、十五年四月から平成十九年までの五年間の市町村の第二次の整備計画を作ると。その際、地元の施設の整備量に応じまして、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型の整備計画を決めております。
 例えば、今、特別養護老人ホームについては三十五万九千床でございますが、全国の数字を積み上げますと、市町村の方の整備量というのは四十四万一千床の整備が必要だと。これは各市町村が調査をして整備計画を付けているわけでございますので、そういった意味で地元の方が保険料の負担と給付のバランスを考えて、それぞれ決定している、これが介護保険のシステムであるということを御説明申し上げます。
#52
○西山登紀子君 聞いていないことはお答えにならないようにしていただきたいんですね。
 これは私言ったように、この通達は正に入所者をランク付けして排除するための指導通達だと言いました。これは、介護保険の導入のときにはなかった基準なんですよ。八月の七日にわざわざ変えているんですから、厚生省は。こういう優先入所という項目をわざわざ変えて、時間がないから言いませんけれども、たっぷりこれ入れていますよ、ばあんと、優先入所をするんだと。新しい基準です、これは。去年の八月七日にわざわざ入れているんです。介護保険の導入のときにはこんな基準は入れていなかったわけで、あったら大問題になりますよ。
 最後の質問ですが、私は、八十過ぎて不安の中で世間のお世話にはなるまいと、私の近所でも一生懸命頑張っておられるお年寄りをたくさん見ております。私の同居している母だっていろいろ将来について不安を持っておりますよ。こんなにしてまで、入所の狭き門に入るために、点数を付けられて競争をさせられると。これはお年寄りの誇りを傷付ける、本当に人道的にも許せないなという感じを私は持っているんですね。
 やはり、保険者の希望する施設を増やす以外に根本的な解決はありませんし、また今それが無理な場合にも、もう少しやっぱり人間らしい選考をしてさしあげるということをもっと工夫しなきゃいけないと私は思うんですよね。
 更に問題なのは、その厚生省の通達の中には、勘案する事項の中に主なる介護の状況を勘案しなさいということで、単身である場合、高齢者の配偶者のみの場合、介護者が病弱又は入院している場合を勘案しなさいというふうに言っているから、京都市が介護の状況をaとbに分けて、aは単身、高齢の配偶者のみ、介護者が病弱又は入院している場合などというふうにこれランク付けをしているんですよね。
 私、これを見たときに、これでは同居者が、あるいは介護者が元気だと、要介護度が高くても痴呆でも優先入所のスリーaには絶対なれません。これは永久に入れないということになる。これも介護保険の触れ込みとは違うと思います。
 九七年当時、介護者の八五%は女性だったし、この厚生省の出しているパンフレットを見たって、女性が主にそういう老人介護を担っているので負担を軽くするんだというようなことも書いてあるわけで、しかし今、このような改正のままいきますと、家族介護の固定と拡大というふうにならざるを得ません。さらに、女性のそういう負担が本当に軽くならない、逆行だというふうに思います。
 そこで、最後ですが、やはりこれでは豊かな未来社会はほど遠くなるんじゃないかと思います。厚生労働省に要請したいと思いますが、施設待機者の実態、実数、在宅介護者の実態、それから八月七日の通達によって地方の実態がどのようになっているのか、是非この調査会に御報告をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#53
○政府参考人(中村秀一君) 介護者の実態あるいはその施設の、それの実態を踏まえました各自治体の施設の整備の計画等ございますので、御報告をさせていただきたいと思います。
#54
○西山登紀子君 違うんですよ。施設の実態じゃなくて、八月七日の通達に基づいて入所のその基準と運用が各自治体でどうなっているのかという実態をこの調査会に報告をしてもらいたいというわけですよ。委員長、お願いします。
 終わります。
#55
○会長(勝木健司君) 中村老健局長、簡単にお願いします。
#56
○政府参考人(中村秀一君) 各都道府県における指針の設定状況等について御報告をさせていただきます。
#57
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 まず、学童保育の問題について伺います。
 放課後児童健全育成事業ということで、学童保育が子育て支援事業の中で厚生労働省が進めておられるわけでございますが、一方、各自治体が進めている全児童対策とはどのような違いがあるのかということが伺いたいのが一点です。
 また、二〇〇一年の閣議決定で仕事と子育ての両立支援策の方針ということが出されておりますが、これに基づいて学童保育の対策を厚生労働省としてどのように取り組まれているのか、併せて伺います。
#58
○政府参考人(渡辺芳樹君) ただいま放課後児童クラブの事業のお話と、それから各自治体が自主的に行っている学童全体の事業、この違いとか、それから私どもの事業の取組についてお話をということでございましたので、お答え申し上げます。
 全学児童の事業につきましては、それぞれの自治体の自主的な御判断でなさっておられることだというふうに理解をしております。それから、放課後児童クラブにつきましては、御承知のようにおおむね十歳未満の児童を対象とするわけでございますが、子供の健全な育成と子育てと仕事の両立を支援するという観点から大変重要な事業として、私ども直接、児童福祉法の規定に基づき、また予算措置を講じて推進をしておるところでございます。
 それから、お話のございました平成十三年七月の閣議決定のことだと思いますが、そこでは放課後の児童の居場所拡充計画といたしまして、放課後児童クラブや地域のすべての児童に居場所を確保する事業など、放課後児童の受入れ体制を大都市部中心に整備して、十六年度までに全国で一万五千か所とするという閣議決定がされておるわけでございます。
 私どもの取組といたしましては、御承知のように、新エンゼルプランによりまして、平成十六年度に学童クラブの方を、放課後児童クラブでございますが、一万一千五百か所という目標を立てておりましたが、その後、既に現時点では一万二千か所を大きく超えているなど、目標を達成、超過しておる状況にございます。この十三年度の閣議決定の一万五千か所というものを現時点では実質的な整備目標として、十四年度、十五年度と予算確保等に努力をしてきております。十六年度までに達成したいというふうに考えております。
#59
○畑野君枝君 そうしますと、放課後児童クラブ、いわゆる学童クラブの場合は、保護者が昼間働いているなど含めて、仕事と子育ての両立支援の上で重要な施策として進めていらっしゃるということだというふうに伺いましたけれども、それでは、その放課後児童健全育成事業に関連して、二〇〇二年度に川崎市のわくわくプラザに併設されている事業ということで八か所国庫補助を認められておりますね。その経過について伺いたいと思います。
#60
○政府参考人(渡辺芳樹君) 今お尋ねのございました川崎市のケースでございますが、わくわくプラザ事業という独自の事業を展開されておられます。そのうち、放課後児童健全育成事業、紛らわしくて恐縮ですが、放課後児童クラブに該当する拠点施設に対して、現在までのところ八か所について助成を行っております。
 その際、放課後児童クラブの事業として施設整備をするわけでございますので、放課後児童クラブの専用室が設けられている、あるいは放課後児童クラブの実施上の基準ということが法律の施行令で、政令で定められておりますので、そういうものに沿って衛生安全の確保された設備を備えているということで、全体としては独自事業ではございますが、その一部明確に私どもの事業の要件に該当する部分に限って案分もし、取り出し、私ども助成をさせていただいているというものでございます。
#61
○畑野君枝君 その助成された結果、ふさわしい状況になっているかという点ではお調べになっていないというふうに思うんですけれども、私は現場も伺いましたし、お話も聞いてまいりました。
 例えば、国の方で補助された八か所の学校のうち、一か所パーテーションで区切ると、専用室を設けるという基準になっておりますが、現場は、蛇腹で仕切って、おやつのときだけ分けて、後はいつも蛇腹を開放していると。こういうのは専用室となるのかということを含めて、いろいろ現場から疑問の声が上がっているわけです。
 これは是非そういう実態がどうなっているかというのを厚生労働省としても注目して、必要な改善などしていただけるのでしょうか。
#62
○政府参考人(渡辺芳樹君) これも先生御承知のとおり、児童福祉法に条項が設けられております放課後児童健全育成事業でございますが、いわゆる社会福祉法に基づく社会福祉事業としての位置付け、これは第二種社会福祉事業という位置付けになっております。
 そういたしますと、今御指摘のような、国として自治事務の中で行われている第二種社会福祉事業に対し、しかも都道府県と同格の政令市が行っておられる、直接行っておられる事業に対し、特段の指導監督というような立場には立つ性質のものではない位置付けになっております。ただ、児童福祉法上に規定がございますので、私ども政令に基づいて事業実施要綱というものを定め、それらを目安にしながら補助事業を行っておるわけでございます。
 もとより、補助事業上、不適正なことがあれば適化法、適正化法に基づいて対応はもちろんいたしますが、現在までのところ、この事業につきましては、るる申し上げましたように、政令市たる川崎市さんの自治事務としての第二種社会福祉事業の実施ということでございますので、適切な対応を自治体にお願いをする、私どもとしてはこれまでの基準を技術的助言としてお願いをしておりますので、適切な判断をお願いしたいと思っておるところでございます。
#63
○畑野君枝君 国としても必要な対応をしていただきたいと思うんですね。また、市民の声があれば聞いていただきたいというふうに思うんですけれども。
 あわせて、この放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の安全確保、これは設備上の問題はもちろんありますけれども、やはり専任の指導員によるスタッフの体制というのも必要になると思うんですが、国としてはどのような安全確保の指導をされていますか。
#64
○政府参考人(渡辺芳樹君) 先ほど御説明の中に混ぜて申し上げました実施基準上は、例えば、市町村等は児童の安全管理、生活指導、遊びの指導等について放課後児童指導員の計画的な研修を実施するものとする、こういうようなことも技術的助言ということではございますが書かせていただいており、その安全面を含めた適切な現場の処遇というものをお願いしておるところでございます。
#65
○畑野君枝君 二〇〇二年に局長通知が出ていますし、二〇〇一年には育成環境課長通知も出されておりまして、それぞれ家庭との連携を図る、あるいは児童の安全管理、生活指導、遊びの指導等について指導員の計画的な研修を実施するということなども出されているというふうに伺っております。
 それで、私は、川崎市の場合も、実際、事故が、骨折事故などが起きたときの対応を含めて、例えば中規模の学校でも平時八十人、多いときは百人の、スタッフを四人から六人程度で見ていて、本当にこのままでは一人一人のお子さんに目配りができない、スタッフも増やしてほしいということも要望として出されております。
 私は、そういう点で、これは「テキスト 指導員の仕事」という全国学童保育連絡協議会のテキストを見せていただいたんですけれども、指導員の仕事の第一が安全と健康を守るなんですね。ですから、こういう点での体制、きちっと進めていただきたいと思いますが、これは当然のことでございますね。安全確保、健康を守る体制を作っていくという点ではいかがですか。
#66
○政府参考人(渡辺芳樹君) 重ねてになりますが、先ほど先生からも御指摘のございました平成十三年の局長通知、それから担当課長通知の中におきまして、実施基準として、安全の確保ということは留意していただくようにしっかり書き込ませていただいております。
#67
○畑野君枝君 私、この八か所に限らず、二〇〇三年度、今年度からこれがすべての、市の事業として、今まである既存の学童保育ではなく、わくわくプラザに統合という形になっておりまして、そういう点でいろいろ市民の不安が寄せられております。そういう点も是非聞いていただきたいということを望みまして、次に、保育所の問題について質問をさせていただきます。
 これ私、以前、待機児童の問題でカウントの仕方の定義について、二重の定義というのがあるということで伺いました。現在、どのようになっているのか、伺います。
#68
○政府参考人(渡辺芳樹君) これも先生御承知の点、重ねてということになるかも分かりませんが、先ほども引用させていただきました平成十三年七月の閣議決定におきまして、現在推進しております待機児童ゼロ作戦がうたわれたわけでございます。その閣議決定におきましては「保育所、保育ママ、自治体におけるさまざまな単独施策、幼稚園における預かり保育等を活用し、」ということと明記されております。
 そういう整理をされておられることを踏まえて、十四年早々に新たな待機児童数のカウントの仕方について定めて、十四年度当初からはそのような新表示で御説明申し上げ、ただ、御承知のように、あわせて、それまでのルールといいますか、十三年の閣議決定前のカウントの仕方だとどうかということもお求めがあればお示しをさせていただいているということでございます。
 違いは何かということでございますけれども、例えば、付近に保育所がない等やむを得ない事由で保育所以外の例えば保育ママ等、自治体の単独事業でお世話になっているお子さん、あるいは、他に入所可能な保育所があるにもかかわらずというと幅広うございますが、知り合いの保育士さんがいるところでないと近所に保育所があっても嫌だというようないろいろ私的な理由も含めて、ほかに入所可能な保育所があるにも、特定の保育所を特に希望されるというようなケースというものもあるというふうに自治体の担当の方々からそれまでの間にいろいろ御意見いただいて、今申し上げました単独事業でお世話になっている、あるいは入れるんだけれども特にここということでまだ御自宅にいらっしゃる、こういうようなケースを計算上横に置かせていただいたというのが例えば十四年四月一日の待機児童、全国で二万五千人という数字のベースでございます。
#69
○畑野君枝君 それに基づきますと、新定義では二〇〇二年度が例えば大阪市が千三百三十七名が旧定義だと千八百二十五人、横浜市が千四百四十人が千八百七十六人、神戸市が千七十六人が千五百九十人、川崎市が七百五人が千三百十七人と、こういうふうに新定義、旧定義で違ってくると思うんですけれども、私は、この待機児童ゼロというのはやっぱり質をきちっと作りながら、見掛け上どうこうではなくて、実態としてきちっとやっぱり待機児への対応を進めていくべきだというふうに思うんです。
 そこで、伺いたいんですが、公立保育園の役割を、あるいは将来像についてどのようにお考えかということなんです。というのは、横浜市は、これは新聞報道、最近されておりますけれども、方針として市立保育所の民営化と。そして、二〇〇四年度から四か所ずつ公立保育園を民営化していくという計画が出されております。これはもう本当に利用者からは大変な不安の声が出ておりまして、公立保育園の役割は一体何なのかという点で伺います。
#70
○政府参考人(渡辺芳樹君) 少々意見が違ってしまうかもしれませんが、御容赦ください。
 保育サービスの提供に関しまして、これまで公立保育所が一定の役割を果たしてきたこと、これはもう当然でございます。
 ただ、一方において、よく御指摘を受けますのは、これも先生御承知のとおり、多様な保育需要に対応するための延長保育、休日保育等の特別保育への対応が、公立と私立を比べますと公立保育所が大変数字が芳しくないと。あるいは、保育サービスに要するコストを比較した場合、公立保育所の方が極めてコストが高い、こういうような調査なり指摘なりがるるなされてきておるわけでございます。
 また、待機児童の多い地域における対応ということで、先般の児童福祉法改正におきましては、公有財産の貸付け等いわゆる公設民営ということをしっかり織り込んで対応をすべきだということを法律条文で創設される、こういうような経緯もございました。先ほど御指摘の大阪、横浜等々、大変待機児童多いところは、市当局もそれぞれ独自の御判断を経まして、様々な対応によって待機児童を減らしていこうと努力されておられると思います。
 今後とも、公立保育所の役割ということでございますが、もちろん個々の公立保育所を見ますと、様々な特徴ある取組をしており、地域によってはここの部分が大変強いというような例も多々あろうかとは思いますが、一般的には、先ほど申し上げましたように、民間主体における取組が進まない分野で特に特色を発揮してもらうというようなことが基本ではないだろうかというふうに私どもは考えておるところでございます。
#71
○畑野君枝君 私は、やっぱり最大の責任は、今おっしゃったけれども、国の責任が大きいと思いますよ。やはりそういう点での、定員超過状態を放置してきた問題ですとか、民営化を進めるというふうな、国が音頭を取ればそれは市は当然そういうふうになるわけです。私は、この間質問してきたように、やはり保育の質を本当に守らなければ、なぜ公立に行っているのかとお母さんに聞きますと、それはやっぱりいろんな年齢層の人が厚い体制してくれると。この四十年間の公立は四時で終わるのを民間は四時よりも早く終わっているのがだんだん延びてきたという、そういう公立の役割もあったわけでしょう。
 公立、民間含めて本当に保育の質を高めていくということを是非私は、学童保育も含めてですけれども、きちっと質を確保しながら、量はもちろんそれは急いで整備をするという態度で臨んでいただきたいということを申し上げて、終わります。
#72
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 この調査会におきましては、「真に豊かな社会の構築」という非常に大きなテーマの下で、今回は国民の意識の変化に応じた新たなライフスタイルについて各界各層の様々な参考人の御意見を伺ってきたわけでございます。その中で、これからは何でも行政、お上依存ではない、中央集権ではない新しい地域の自立、個人の自立という様々な御提言があったわけです。そして、特に市民の側におきましては、NPO等の活動が大変広まりまして、自分たちで問題を解決していこうという新しい動きが始まっております。
 しかし一方で、ナショナルミニマムとしての社会保障制度、将来にわたって持続可能な社会保障制度は大変重要であるということは、皆さんも同じ認識であると思います。しかし、現在の社会保障制度では、もう既に始まっています少子高齢の人口減少社会には適合しなくなってきていることも事実です。そして、多様な価値観やライフスタイルにもフレキシブルに対応できていません。
 今の経済状況というのは、単に景気が悪化しているということだけではなく、既に急速に進行しつつある少子高齢の人口減少社会という大きな構造変革に社会システムをいかに適合していくかが問われているのではないかと思います。多様な働き方、ライフスタイルに中立な制度の構築が急務であります。
 こういう視点で社会保障制度、特に本日は年金制度の再構築につきまして、まず厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
#73
○政府参考人(吉武民樹君) 平成十六年の年金制度改革に向けまして、社会保障審議会の年金部会を中心として検討していただいておりますので、その視点を申し上げますと、一つは、若い世代を中心としました現役世代、あるいは将来世代といいますか、この世代の年金制度に対する不安感、これをできるだけ解消したいということです。
 二点目は、今先生がおっしゃいました少子化の進行でありますとかあるいは経済情勢の変動、これに対しましてむしろ年金制度の側で柔軟に対応できて、恒久的に安定した制度を構築できないか。
 それから三点目でございますが、負担と給付の関係で申しますと、現役世代の、将来世代の保険料水準が過大にならないようにということがやはり、ここを基本に考えていかなければならないんじゃないか。しかし同時に、給付と保険料負担のバランスもよく検討していく必要がある。
 それから、特に若い世代にとりまして、将来の自らの給付と保険料拠出の関係ができるだけ実感できるような仕組みが導入できないかというようなことで、主に給付と負担の関係を中心に検討いたしておりますが、その中で、時代の変化と申しますか、例えば少子化でありますとかあるいは女性の社会進出、それから就労形態が多様化してきておりますので、こういう社会保障の一番基盤となります社会経済の変化に対応できるような制度を考えていく必要があるだろうというふうに思います。
 それで、主に二点検討いたしております。
 一つは、短時間労働者の方々に対する厚生年金の適用拡大の問題でございまして、今現在申し上げますと、四十時間勤務の方で申しますと、大体三十時間以上の方は厚生年金の適用になっておりますが、これを二十時間ぐらいを基本として適用拡大を検討したらどうかということでございますが、これは、しかし逆に、新たに適用される方につきましては御本人の保険料負担、それから事業主負担の問題が出ておりますので、これについて理解を得ていく必要があるだろうというふうに思います。
 それから、割と保険料水準が低うございますので、こういう方の給付をどういうふうに考えていくかという、余り、多々ますます弁ずということで非常にいい給付を考えていきますと、むしろもうちょっと保険料負担が高い方との間のバランスの問題が出ております。それから、トータルとしての年金財政への影響がどうだろうかというようなことで検討していただいております。
 それから、第三号被保険者制度の問題につきましては、女性と年金の検討会で一年ほど検討していただきまして、昨年の一月から部会でも検討いたしております。
 これは、端的に申し上げますと、基礎年金は、実はこういう方々につきましてはそれぞれ御自分の基礎年金が支給されている仕組みに六十一年の改正でなっておりますけれども、報酬比例につきましてもむしろ年金権を分割したらどうかというのが一つの案でございます。それから二つ目の考え方は、こういう方々に、御主人を通じて保険料は実際に負担していただいているわけですが、御本人の負担を何らかの形で考えることができないか。あるいは逆に、御負担をされないのであれば、基礎年金を若干減額するということは考えられないか。それから四点目として、今申し上げたそれぞれの案についていろいろお考えが、いろいろな御意見がございますので、むしろ今申し上げましたパートの適用拡大を順次進めることによりまして第三号被保険者の対象を縮小するという、この四案を御議論をいただいているところでございますが、率直に申し上げまして、いろいろな御意見がございまして、こちらの方はなかなか、じゃ、今方向性はどうだということはなかなか今申し上げる段階にはございませんけれども、これからより広範に御議論をしていただきまして、できるだけ広い合意の下で検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#74
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 いずれにせよ、この問題について早急にもう結論を出さなければいけない時期に来ているというわけですけれども、一方で、この新しい年金制度の構築ということについては、国庫負担の問題など財務省との協力が不可欠であるというふうにいつも言われております。
 そして、簡素、公平、中立なまた税制が求められておりますが、その財政的な国庫負担の問題、そして多様な働き方に中立な税制の在り方、特に所得税控除の見直し等について財務省に伺います。
#75
○政府参考人(杉本和行君) 年金問題についての財務省の考え方についてのお尋ねでございます。
 年金制度は、先生御指摘のとおり、時代の変化の下で持続可能性ということに対して大きな疑問が出ておりますので、制度を根本から見直していくということが必要だと考えております。今現在で申し上げましても、厚生年金だけで申し上げましても、現在の、過去の勤務期間に対する給付の積立不足が四百五十五兆にも達しておりますので、こうしたものをどうしていくか。それから、世代間、今の年金受給者と将来の年金受給者の間で給付と負担の関係に大きな落差がある、アンバランスがあると、こういったことをどうしていくか、こういった観点が非常に重要じゃないかと思っております。
 先生の御質問は基礎年金の二分の一、国庫負担の二分の一の問題も含んでいると思いますけれども、この点につきましては十二年の年金改正法附則におきまして、基礎年金につきましては「給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、」となっておりますので、小泉総理も予算委員会において答弁されておりますところでございますが、安定した財源を確保する、あるいは給付水準、財政方式を含めて在り方を幅広く検討するということでございますので、まず年金制度の基本的な仕組み、基本的な設計の仕方、こういうことについて幅広く検討する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、年金は国民全般と直接かかわる問題でございますので、経済財政諮問会議、社会保障審議会、財政制度審議会、様々な場で議論を行っているところでございます。幅広く国民的な議論を行った上で成案を得る必要があると考えております。
#76
○政府参考人(石井道遠君) 税制についてのお尋ねでございますので、お答えを申し上げます。
 先生御承知のとおり、昨年一月来、政府の税制調査会におきまして、この社会構造変化等に対して来るべき二十一世紀、既に入っております二十一世紀の中で、あるべき税制の姿というものをどう構築していくべきかという議論をいたしております。その中で、特に所得税の控除について、先ほど先生からも言及がございましたが、その控除の見直しにつきましても、中長期的な視点からは幅広く公平に負担を分かち合うという観点から、幾つかの点について税制調査会では考え方をまとめております。
 一つは、婚姻ですとか育児ですとか、あるいは老齢等の様々な個々人の事情をしんしゃくした今各種控除が税制上、所得税の上であるわけですけれども、できるだけこういうものは簡素化、集約することが適当ではないかと。それからもう一つは、今後の男女共同参画社会あるいは雇用慣行の変化、ライフスタイルの多様化、少子高齢化という正に構造変化に対応して、税制がこの個々人の自由な選択に介入しないよう中立的なものとすべきではないかという指摘、さらには、今後の高齢化の進展によりまして、公的年金等控除などによります課税ベースの縮小がなお一層加速することが見込まれるわけですけれども、このような空洞化と呼ばれている現象を是正する、そのために課税ベースを拡大する方向で控除を見直すということが政府税制調査会の基本的な考え方として示されております。
 平成十五年度改正でも、その一環として配偶者特別控除について改正を行わせていただきました。引き続き、今御指摘がありましたような基本的な視点を踏まえまして、高齢者に関する税制の在り方ですとか、あるいは就労などの個人の選択に中立的な税制の在り方、あるいは高齢化に伴う公的サービスの増大が予想される中での安定的な歳入確保という観点からの問題、そういう点を今幅広く税制調査会で議論をいただいておりまして、それを踏まえて私どもとしても対応していきたいというふうに考えております。
#77
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 詳しく御答弁いただきましたが、私が一番財務省にお尋ねしたいのは、厚生労働省の方で新しい年金の制度の御提案があった場合に、いつも厚生労働委員会で坂口厚生労働大臣が御答弁になるんですが、財務省がというお話があるんですね。そういう意味での省庁横断的な協力がきちんとしていただけるのかどうかということを御答弁いただけると有り難いなと思ったんですが、いかがでしょう、一言だけで結構なんですが。
#78
○政府参考人(杉本和行君) 年金問題は、先生おっしゃるように国民全般にかかわる問題でございますので、政府の中では一体として検討していく必要があると思いますが、政府部内でもきちんと議論を交わした上で成案を得る必要があると思っております。
#79
○森ゆうこ君 次の質問に移りたいと思います。
 地域の活性化、真の地方分権、究極的には独自財源で行政を担える地方自治の確立が急務であると思われますが、私の所属する自由党では全国三百ぐらいの市町村数が適当と提案しておりまして、単純計算で一つの市町村が四十万人程度になると思うんですが、介護や医療にしても、保険者として機能する上で私はこれは適正な規模ではないかと思っております。地域の介護、医療はどうあるべきかということについて、地域の住民との意見集約ができ、住民が身近な政府である地方公共団体を効果的にコントロールするという財政規律も働きます。ひいては、地域の医療の向上にもなっていくのではないか。活力ある地方行政、効率的な地域財政という総合的視点が必要だと思います。
 最近の分権論議では、権限が先か財源が後かなど、本質を欠いた議論が展開されているようでありますが、その意味において、現在の合併の動きについては手段と目的が混同しているのではないでしょうか。地方自治とは何かという視点で進めるべきと考えますが、総務省の見解を、そしてこの真の地方分権の確立とその実現に向けて財務省も大局的見地を持っていただきたいと考えますが、地方行財政改革についての財務省の見解いかん。大変時間が迫ってまいりましたので、手短にお願いしたいと思います。
#80
○政府参考人(伊藤祐一郎君) お尋ねのありました合併問題についてお答えをさせていただきたいと思います。
 地方分権の時代でありますので、市町村が住民に身近な行政主体といたしまして十分な権限と財源を持つ、これが是非とも必要になってこようかと思います。
 例えば、先ほど人口四十万の市でお尋ねがありましたが、例えば人口三十万以上の市、我が国に現在六十四市あります。大体この三十万以上の市を見ますと、その都市の中に自立的に発展する要素が生まれてまいりまして、非常に活力ある都市群を形成いたしております。
 ただ、現在、三千二百ある市町村に合併をお願いしているわけでありますが、直ちにこの三十万都市というわけにはまいりませんので、現在、私どもといたしましては、与党の方で千を目標にするという方針がございます、それを踏まえまして、この合併特例法の期限であります平成十七年の三月までに十分な成果が上がるように努力しているところであります。
 ただ、お尋ねの保険でありますとか福祉でありますとか、そういう問題について総合的な解決を図るべきではないかというお尋ねだったかと思いますが、そういう基幹的なサービスでありますとか、町づくりとか都市づくりでありますとか、効率的な行政の運営とか、総合的な視点に立った町づくりを合併に際して進めていただくようにお願いしているところであります。
#81
○政府参考人(杉本和行君) 地方分権の確立に向けた地方行財政改革に対する財務省の考え方についてのお尋ねでございます。
 国と地方の在り方につきましては、まず、シビルミニマム、ナショナルミニマム、こういったものの見直しを行いまして、国と地方の役割分担の明確化をすることが極めて重要だと考えております。こうした観点から、地方にできることは地方にゆだねるとの基本的な考え方の下で、国の地方に対する関与を縮小するとともに、地方の権限と責任を一層拡大することが必要であると考えております。
 具体的には、今回、三位一体の改革案ということで本年六月を目途に改革案を取りまとめることとされておりますので、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分につきまして、三位一体の考え方の下で検討が行われているところでございます。
#82
○森ゆうこ君 時間になりましたので、文部科学省にも質問を通告してありましたが、大変失礼ですけれども省略させていただきたいと思います。ありがとうございました。
#83
○会長(勝木健司君) 以上をもちまして政府に対する質疑を終了いたします。
    ─────────────
#84
○会長(勝木健司君) 次に、「真に豊かな社会の構築」について委員間の意見交換を行います。
 本調査会は、これまで「真に豊かな社会の構築」をテーマに調査を進めてまいりました。本日は、これまでの調査を踏まえ、二年目の中間報告を取りまとめるに当たり、委員各位の意見を承りたいと存じます。
 まず、各会派から一名ずつ大会派順にそれぞれ十分以内で御意見の表明を行っていただきます。
 なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。
 それでは、これより意見の表明に入ります。御意見を表明される方は順次御発言願います。
#85
○中島啓雄君 自由民主党・保守新党の中島啓雄でございます。「真に豊かな社会の構築」の調査の二年目の締めくくりとして意見を述べさせていただきます。
 今日、我が国はデフレの進行による経済停滞が続くなど困難な状況に陥っておりますが、戦後から今日までの約半世紀の過程を振り返ってみますと、欧米先進国に追い付くことを目標に努力を続け、物質的な面、経済的な面では世界のトップレベルに達することができたわけであり、私たちはそのことを誇りにしてよいと思うのであります。しかし、日々の生活の中で私たちはどれほどの生きる喜びや充実感を感じているのでしょうか。多くの人々が仕事に追われ、生きがいや心のゆとりを感じて心豊かに暮らしているとは言い難いのであります。さらに、少子高齢化社会を迎え、自分の老後に対する不安がぬぐえないのも現実であります。
 これまで私たちが額に汗して築き上げてきた経済的な豊かさを維持発展させつつ、ゆとりと生きがいを持って生活できる社会を構築していかなければならないことは今更申し上げるまでもないことですが、それには多くの課題が山積しております。
 まず、私たちが認識しておかなくてはならないことは、我が国の人口が間もなくピークを迎え、少子高齢社会が一段と進んでいくということであります。
 私たちがこれまで構築してきた社会システムである年金や医療、介護といった社会保障の仕組みは世界の中でもかなり高いレベルに達しており、社会のセーフティーネットとしてその基本的仕組みは維持していくことが必要でありますが、高齢者にとっても若年者にとっても安心でき、持続可能な仕組みに改革していかなくてはなりません。年金、医療、介護を問わず、負担以上の給付を行うことは不可能であります。国庫負担を増やすといっても、国に打ち出の小づちがあるわけではありませんから、結局は税金という形で国民が負担をする以外にありません。
 年金については、必要最小限の給付水準を保障しつつ、若年世代に過度な負担にならないような適切なシステム作りが必要でしょう。例えば元気で能力ある高齢者には、パートタイムなどで働くことで、年金と給与を合わせれば所得面で有利になるような仕組み、受給開始年齢を繰り下げることが有利になるような制度、自助努力としての私的保険への税制優遇のインセンティブの強化などが考えられます。
 医療についていえば、高齢者が病気にかかりやすく、その分医療費がかさむことは、ある面では避けられないことではありますが、一般物価が低下する一方で、同じ年齢層の人々の医療費単価が年々上昇していることは問題であります。スポーツ、レクリエーション、食事管理など日常の健康管理、寝たきり予防のためのリハビリテーションや温泉療養の積極的な支援など、病気にならない、寝たきりにならないための努力を奨励する保険税制上の優遇策が考えられてもよいのではないでしょうか。
 こうした施策や運動が浸透していけば、病気にかかる人が少なくなり、その結果、医療費抑制にもつながると思うのであります。年金や医療、介護の費用負担の問題を考えた場合、年齢や性別に関係なく、働くことができる人には働く場を提供することが社会保障給付の抑制にもなり、高齢者や女性の生きがいにもつながるのではないでしょうか。
 このような新しい時代に合った社会システムの見直しとともに、私たち自身もその生き方や生活スタイル、さらには意識を変えていかなくてはならないと思います。夫は外で働き、妻は家庭で家事や育児をするという従来型の働き方、生活スタイルは昨今変わり始めています。女性も生きがい、働きがいを求めて、多様なライフスタイルを選択できる社会にすることは重要です。長時間、子供を預けられる保育施設の整備、女性が出産して再び社会復帰できる仕組みへの合意形成、夫婦どちらも育児休暇を取り、育児のためにフレキシブルな勤務のできるような職場の雰囲気づくりなど、育児と職業生活が両立できる社会の仕組みを早く整えることが重要だと思います。
 雇用形態はフルタイムもパートタイムもあり、職場や職業も個人の選択あるいは社会の変化に応じて移動することが当然の社会となってくるでしょう。様々な勤務形態の変化に応じて移動することが不利にならないような給与、社会保障、職業訓練等の制度を整備することが必要です。多様な勤務形態を前提として均等待遇する制度を整備したオランダモデルに倣って日本型の新しい雇用形態制度を作り上げていくことが求められています。
 こうした働き方を中心としたライフスタイル、意識の変化に応じて、自分の経験や能力を生かして社会に貢献できるようなボランティアやNPO活動をしたいという人々が増えてくることは当然であり、望ましいことであります。
 先日の参考人のお話で、ボランティア活動をして本当に心がいやされているのは実はボランティアをしている人たちであるというお話がありました。確かに、ボランティアは最初の取り掛かりに勇気が要るので、学校等での体験を通じて子供のうちにボランティアがどういうものであるかを知っておくことはそれなりの意味があり、重要だと思います。しかし、本当のボランティアは決して義務や強制ではなく、やりたい人が自由にやれるところに意味があり、自由にできる仕組みや、それを支援する行財政上の措置を考えていくことも重要でしょう。青年や壮年のときのように体力、知力の限り働くことはできなくても、社会のために、あるいは人々が喜んでくれる仕事をしたいと思っている高齢者にも、働く場所として極めて重要な意義を持っていると思います。
 これまで私たちは、戦後の驚異的な成長、発展という成功モデルに寄り掛かり、あらゆることを政府や自治体、言わばお上が用意し、やってくれるものと考えてきたのではないでしょうか。しかし、経済成長が緩やかなものとなり、少子高齢化が進む社会の中では、もはやお上だけに頼ることはできません。これまでお上に頼ってきたことでも、これからは自らの力でやっていかなくてはならないことが多くなることを自覚しなくてはならないと思います。
 残念ながら、戦後の教育は知識を教えるだけで、自己責任の下に自立した創造力ある個人を育てるという考え方が希薄であったことは否めません。物質的な豊かさが手に入れば手に入るほど、家庭でも社会でも子供たちへの過保護とも思える扱いが常態化し、自らの責任で何かすることや、野外での体験的な学習を始め、つらいこと、苦しいことでも身をもって体験し、創造し、学ぶことから遠ざかってきました。自分の自由を主張するならば、他人の自由も尊重しなければなりません。今、教育の現場で多くの問題が指摘されていますが、人間が社会的存在であるという自覚を持たせ、社会のために、あるいは他人に対して何かをすることを奨励し、自分の行動に責任を持たせる教育が必要です。
 バブルの崩壊から十年余りが過ぎた今日、企業も個人も元気をなくしていますが、二十一世紀の日本が元気を取り戻し、再び活力に満ちた社会になるためには、何といってもまず企業に元気を出してもらわなければなりません。リスクを恐れず、新しいことに挑戦する企業文化を育て、新しいライフスタイルの社会に合わせて、これまで埋もれていた潜在的なサービスや商品を発見し、開発していくことが重要ではないでしょうか。
 その市場での主役になるのは恐らく女性であり、高齢者だと思います。女性や高齢者が活性化すれば男性も元気になり、日本全体が活性化し、真に豊かな社会に近づくことでしょう。日本人が本気になって能力を発揮すれば、必ずや道は開けてくるものと信じます。ともに新しい時代のために頑張りましょう。
 ありがとうございます。(拍手)
#86
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
#87
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。会派を代表して意見を述べさせていただきます。
 これまで、多くの参考人の方々から大変有意義なお考えを伺ってまいりましたが、私自身の考えも織り交ぜながら、以下、簡単に意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず申し上げさせていただきたい一点目は、これからの時代、共働きというものがごく普通の、ごくごく普通の時代に入り、そして、それを前提とした社会環境づくりを早急に進めていかなければならないということでございます。
 今、バブル崩壊後の長引く景気低迷で賃金水準もデフレぎみでございます。多くの方々はこれを一時的なものと見ているかもしれませんが、やはり、これは決して一時的なものではなく、今後もずっと続く傾向ではないかというふうに私は思っております。
 なぜかといえば、今の日本の賃金水準、どのように定められたものかといいますと、やはり一家の大黒柱が家族全員を養う、妻や子を養う、そういったことを前提に日本の賃金水準は定められております。
 そして、その結果として、一人当たりの賃金水準、世界と比べると大変高いものとなってきております。当然、そういった賃金コストというのは、彼らが作る製品の価格に反映されていくものでございます。そういったときに、中国等との、あるいはインド、そういった国々との厳しい国際競争に勝ち抜いていけるかということでございます。
 一昔前ならば、付加価値の低いものを中国というのは作っている、日本は付加価値の高いものを作るんだからということで、お互いにすみ分けができたわけでございますが、しかし、最近、中国でも大変付加価値の高いものの製造に着手しているわけでございます。そうなってくると、当然のことながら、国際競争という観点から日本の賃金水準も抑制ぎみにならざるを得ないということでございます。
 つまり、これからは一家の大黒柱が家族全員を養うというのは、よほど裕福な家庭ならば可能でしょうが、普通の家庭である限り、二人が一・五人分を稼ぐという共働きが当然の時代になってくるわけでございます。中でも、その中で重要なのは、女性も戦力としてかなりの期待を持たれてくるということでございます。
 となりますと、夫婦そろって今までのような働き方を続けていたとしたら、これはもう本当に仕事と家庭の両立がもう完全にできなくなってしまうということでございまして、そういった意味からも、夫婦共働きを前提とした社会環境整備が早急に求められてくるという帰結が得られるわけでございます。
 じゃ、具体的にどういうものがあるかといえば、よく言われているように、保育施設等の整備というのは言うまでもございませんが、やはり一番大事なものは何なのかというと、私はこう思います。パート労働というものを安価な労働力としてではなく、一つの就労形態として尊重すると同時に、それを法的に保護していく、そんな整備が必要ではないかと思います。
 具体的には何なのかといえば、同一労働同一賃金、そしてまた、パートは社会保障制度が完備されておりませんが、パートであっても、だれもが皆、例えば人生の一時期、パートという就労形態をする可能性があるわけでございますから、継続性という観点からも、例えば年金だとか医療制度、そういったものも含めた社会保障制度、パートに対してもしっかりと整備していくような、そんな法的対応が必要ではないかと考えます。そういったような観点から、このようなしかるべき法改正を早急に進めていくべきだと私は考えております。
 そして二点目は、ゆとりある就労形態と生産性維持、この一見相反する二つをいかに両立していくかということでございますが、よく言われている主張に、ゆとりある就労形態を余りにも認め過ぎると、他方で生産性の低下を招いてしまうんではないか、そんな懸念を主張する向きもございます。本当に私はこの二つは二律背反的なもの同士なのかという疑問を持っております。
 そこで、よく私が引き合いに出させていただくのがスウェーデンやフィンランドのような国々でございます。こういった国々は、一人一人がゆとりある就労形態を正に享受している国々の代表例でございますが、では、これらの国々の生産性が低いのかというと、私は違うと思います。例えばボルボだとかノキアのような、世界を代表するような企業がそこにはたくさん活躍しているわけでございます。
 そこで、これらの国々において、ゆとりある就労形態と生産性維持という一見相反するものをどのように両立を図っているのか。そのかぎは何なのかといえば、これはITの活用による徹底した業務の効率化を推し進めているということでございます。
 これは余談になろうかとは思いますが、個を大切にするこれらの国々ですね、実は、なぜか皆、どれもIT先進国と言われている国々なんです。ITで成功を収めている国々なんです。
 私は、なぜなんだろうと、本当に長年不思議に思っておりまして、とうとう現地調査までして、いろいろ調べてみたわけでございますが、そういった活動を通じてたどり着いた結論が、個を大切にするには、やはりゆとり時間を作っていかなきゃいけない。そしてまた、一人一人、人間である限り、その雑務に時間を費やすんではなくて、本当に創造性ある仕事に人間の能力を活用すべきだと。
 それを可能にするためにはどうすればいいんだということで、それはやはり、ITを徹底的に、仕事の隅々までITを活用していくことという結論にたどり着いたということだそうでございます。ですから、例えば会社、そういった国々の会社の現場を見たり、あるいはまた行政の現場を見ると、もうどれも皆、コンピューターが並んでおりまして、本当に雑務はほとんどしていない。コンピューターでもってほとんど仕事を処理しているという、そういった様を見てまいったわけでございますが。このようにITの活用をしたならば、ゆとりある就労形態と生産性の維持向上というものの、その両立を図れるんではないかと私は思います。
 そして、最後に申し上げさせていただきたいのは、豊かさを実感するためには、人生において豊かさを実感するためには、やはり働く仕事に生きがいを感じることができなければならないんではないかなと思います。それが不可欠ではないかなとは思います。
 しかし、残念なことに、多くの現在の若者は、大半はイメージでもって就職先を決めてしまって、そして数年後、こんなはずじゃなかったということで早期に退職をしていってしまうと。で、こういう雇用の流動化の一因にもなっているわけでございますが、そして、この雇用の流動化、つまり再就職を助けようと、国の施策の一つとして、様々な補助金を支給しております。
 例えば、代表的なものとして、英会話学校で勉強すると雇用保険から最大三十万円まで補助金を出すということでございますが、しかし私は、この程度で再就職に役立つと考えていたとするならば、これは大変な私は現状認識にずれがあるんではないかなと思います。英会話学校で英会話を勉強して、それで就職に、実社会に役に立つほど甘くはございません。
 そこで私は、大事なのはイメージではなく、実際の入社前に、その実際の業務を経験をしてみるということが労使双方にとっても大切なことではないかなと思います。しかし、現状では、雇う側もなかなかこれは難しいし、雇われる側もそういう環境が整備されておりませんからなかなかそういうチャンスは見当たらない。
 そこで、私は提案させていただきたいのは、例えば一か月間程度のトライアル雇用、試し雇用、それに対して国が補助金を出す。英会話に対して補助金を出すんではなくて、トライアル雇用に対して補助金を出す。そして一か月間、雇用側もその若い人の能力を確認してみる、そして雇われた側もその実際の仕事場を経験してみる。そこで、実際それが自分の仕事としてやっていけるかどうかというのをお互い確認し合っていく。そういった施策を展開してみてはどうかということを提案させていただきたいと思います。
 最後になりますが、これからこの本調査会、三年目に突入する。つまり、最後の年に突入するわけでございますが、諸外国の実例も参考にしながら、豊かさを実感できるようにするためにはどんな具体的な施策が必要なのか。法の整備なども含めて、具体的な検討に入っていくべきだということを申し上げさせていただきまして、私どもの意見を申し上げさせていただきました。
 ありがとうございます。(拍手)
#88
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
#89
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。
 「真に豊かな社会の構築」の二回目であります国民意識の変化に応じた新たなライフスタイル、このまとめでございます。今回は、私は少し大きな観点からのまとめを発表させていただきたいと思います。
 今、私たち人類に課せられた大命題は、申すまでもなく、生命を尊厳する社会の構築であります。私ども、二十一世紀に生きる者として後世に是非とも残さなければならない正に人間としての遺産こそ、生命を尊厳する社会の構築と継続であると思うものであります。
 改めて二十世紀の歴史の流れを見ますと、何とも無惨なことでありましたことか。人類の歴史は横暴と悲惨の歴史と言っても過言でないことはだれしもが実感していることではないでしょうか。
 本日のテーマであります国民意識の変化に応じた新たなライフスタイルを考えるに当たりまして、この生命の尊厳をあらゆるライフスタイルの基調に置くべきであると強く訴えたいのであります。その上に立って、世界じゅうの人々が物質的、精神的に幸福を享受すべき平和、文化、教育、人権、開発、福祉、環境等々に向かって知恵を出し合い、苦しんでいる人々とともに悩み、人種、民族、宗教、言語、資源、政治、経済などの差異を克服すべき勇気を持つこと、それをこれからの社会構築観とすべきであると思うのであります。
 いかなる国も国際化の波を避けることはできません。様々な現象が地球規模化しております。経済も文化も多くの分野が影響を受け、それに対処しなければならないと思います。世界がますます相互依存を強め、ほかからの影響を受けやすくなっております。私たちは、すばらしい多様性に満ちた文化や生物種との共存、一つの人類家族であり地球共同体の一員であることを認識し、新しい地球文明につながる人間のライフスタイルが創造されなければなりません。
 地球憲章にも込められた願いは、未来世代に対する責任感とも言えます。私たちは想像力を使って持続的可能な生活様式のビジョンを地方、国家、地域、地球レベルで発展させ、私たちの時代を生命の尊厳への新たな目覚めとともに、人類益、地球益としての正義と平和を確立するための努力をすべきであると思います。
 しかし、昨今の日本社会は余りにもエゴが横行し、他者の存在や生命を軽視するライフスタイルのもたらす犯罪による社会不安の増加、大気、水質、土壌などの直接生命の安全にかかわる環境汚染の日常化、一日平均の自殺者が何と七十人を超えているという、かつて経験したことのない人為的な愚かな社会の中で今日あえいでいるのが、残念ながら日本の現状であります。
 今日、教育基本法の中で、国を愛する心の育成の一節が話題になっておりますが、ある識者の論評によれば、国民の心をないがしろにしている日本の社会で、どうして国を愛する心を持てと言えるのかといった辛口の論評もあるくらいです。また国を愛する心を訴える前に人間の心を愛する国にしたらどうだといった会話を耳にしたこともございます。
 町じゅうや道路網を無目的に徘回する若者の群れは、自分と仲間以外は皆風景とばかりに、至る所で傍若無人な行為で他者のひんしゅくを買い、他人に迷惑を掛けることをもって自分の存在感とするという誠に嘆かわしい状況が充満しているのでございます。昔から子供は大人社会の投影と言われていることからしますと、まず第一に律すべきは大人の倫理ではないのでしょうか。
 また、視線を変えてみますと、現在の日本は高齢化、少子化の真っただ中にあります。
 まず、高齢化による国民の生活意識の変化を考えてみますと、これは単に歩行や行動が困難になるお年寄りが多くなったから段差のない町づくりをといったレベルで済まされる問題でないことは言うまでもありません。高齢者が、かつては戦中、戦後の困難な時期の日本を汗水流して支え、頑張ってこられたことへの対応としては、高齢者や障害者への福祉を優先する施策、高齢者の心を大切にする町づくりを国民的な視点とすべきであります。
 一方、少子化の問題も深刻の度合いを増しているのでございます。厚生労働省の試算によれば、今のような特殊出生率が将来も続くとすれば日本の国民人口は約三百年後には百万人を割るというのでございます。今年、来年の施策はもちろん重要でありますが、一面からすると、長期の展望とビジョンの上に立った新たなライフスタイルとしての現在から近未来への施策の提供と実践が求められているのではないでしょうか。
 既に二十一世紀も三年目の半ばになりました。あと十年、二十年後には現在の小中学生が社会の中核となることは必然でございます。果たして、現在の教育がこうした現実に視点を合わせた教育なのかどうかも国民の意識の変化への大きな論点となってしかるべきと思います。
 最近では、小中学校の六三制を五四制にしたり中高一貫の制度にするのが流行のような兆しも見えてきました。果たして、こうした制度を変えれば教育が変わるのでしょうか。その一方では、詰め込み教育への逆行に拍車を掛けている面も浮上しているようです。教師の教育観を大きく転換し、子供へかかわる技能の向上を図ることによって教育を変えることも可能なのではないでしょうか。つまり、教育改革は教員改革からの視点が強く望まれるものであります。
 二十一世紀は今日の青少年の活躍の時代でございます。国民の意識の変化といっても、現在の青少年をどのように育てようとしているかということへの明確な指針がこの問題のキーポイントと考えます。
 これまで日本の、今日の日本社会の問題点を指摘してまいりました。しかし、日本は悲観的な面ばかりがあるわけではありません。現代の若者にも生命の内容にはすばらしい資質が残っております。阪神・淡路の大震災のときに、リュックサックを背負って、だれに頼まれたのでもなく、多くの青年がボランティアに駆け付け、被害に遭われた市民に生きるという大きな希望を与えてくれました。また、ナホトカ号の油流出のときも、全国から多くの青年が油の駆除に駆け付けてくれました。その姿を見て日本の青年の将来に大きな希望を感じております。
 その人間の心をいかに改善、開拓していくか、いかにして国際化に即応してリードしていけるように育成していくかが新たなライフスタイルの回答を得る方程式であると思います。
 一例を挙げれば、ゴーン社長率いる日産自動車株式会社の発展がございます。ゴーン社長は思い切ったリストラ策が注目をされておりますが、これまでの日本の肩書き、学歴社会の悪弊を打ち破り、社員個々人の適性と責任感を拡充させることで業績を一挙に向上させたものと注目をされております。一人一人の社員の自信と生きる力を引き出した人として注目を浴びているのでございます。つまり社員の心を変えたのが先なのです。人間、心が変わればすべてが変わるという格言があります。その良いお手本と言っても過言ではないのではないでしょうか。
 今回のテーマであります国民意識の変化に応じたライフスタイルの論評のまとめといたしまして、今日我が国が直面をしております利己主義と生命軽視の風潮、高齢化、少子化、国際化の三点をいかに克服すべきかのリーダーシップの発揮と人間性豊かなビジョンの提示、そして、その国民的合意の形成と、それに基づく実践、さらには国際社会で信頼される日本になりましょうといった毅然たる態度を示せる日本人としての誇りと、世界市民としての自覚を併せ持つ高邁な人格の涵養こそが国民の意識の変化に応じたライフスタイルの形成につながることを訴えまして、公明党の意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#90
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
#91
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。日本共産党としての意見表明をいたします。
 本調査会の二年目は、「真に豊かな社会の構築」をテーマとして、私も参加させていただきましたニュージーランド、オーストラリアの海外調査や沖縄など国内調査、示唆に富んだ参考人質疑などを含めて旺盛に活動を進めてきました。
 まず、豊かさとは何か。それも、二十一世紀に生きる私たちの本当に幸せに生きていると実感できる豊かさとは一体何なのかについてです。
 参考人の御意見の中で、子供も大人も何回もやり直しが利く、失敗してもセーフティーネットはきっちり張られている安心感のある社会という、選択の幅のあるゆとりのある社会像は共通していました。また、社会の中における個人の存在感の希薄さが豊かさを実感できない最大の問題だ、家族や友人、周囲の人と仲良く愛し合って生きていけることという人と人とのコミュニケーションの問題から、自由な時間と空間の中で創造活動や芸術活動ができる、働きながら、土曜、日曜は自由に都市と農村の両方の生活をエンジョイできる、仕事は納得のいくエンジョイできるものという個々人の自由なライフスタイルの実現まで、いずれも示唆に富んだものでした。
 そして重要なことは、NPOの参考人の述べられた、個人の価値観に国家が介入しない、自己の自立心の確立こそ豊かさの原点という意見は、民主主義の花開く二十一世紀の豊かな日本社会を作る上で大事な視点ではないでしょうか。
 次に、重点的に調査されたライフスタイルについてです。
 二十一世紀の世界の流れを見るとき、男女がともに仕事も家庭も両立できる新しい時代に向かっていると考えます。今回、参考人からは、日本は経済大国でありながらこうした世界の水準から大きく立ち後れ、過労死や働き過ぎという問題があり、仕事と家庭生活のバランスを欠いているとの指摘がありました。これからの日本の国際的発展にとって極めて重大な指摘です。
 また、その際、日本の男性の働き過ぎの弊害が大きくクローズアップされたのがこの間の調査の特徴でした。参考人からは、これからのワーク・ライフ・バランスを可能にするためには、男性が専ら会社で働いて女性は育児をするという偏った労働時間の再配分が必要との指摘、日本企業はワーク・ライフ・バランスは女性の問題というが、男性にとっても重要な問題であり、企業が真剣に考える人事戦略の大きな柱が必要だ、また、企業も行政も仕事と家庭の両立政策は母親支援が多いが、男性が家庭責任を果たせるような施策や制度を取らないと少子化は止まらないなどの意見が繰り返し強調されました。ここ数年の人間らしい真の豊かさを求める国民の意識の変化を反映するものだと考えます。
 もちろん、日本の働く女性のM字カーブや、出産、育児の多大な機会費用の問題も大きな社会問題であり、根本的改善が必要です。出産は社会的機能であり、女性だけが負う問題ではないからです。保育所、学童保育の抜本的拡充、男女の賃金格差の是正、育児休業の手当の引上げや、育児時間が保障される職場環境の確立が急務です。
 昨年、芝信用金庫、住友ミセスと、相次いで職場の賃金、昇格に関する男女差別裁判で歴史的に原告が勝利いたしました。しかし、今また日本のリーダーカンパニーのJALが女性客室乗務員の育児に関する深夜勤務免除を大幅に制限し、事実上多数を就業困難に追いやる重大問題が起きています。
 男女の働く権利と子育ての権利が尊重される日本企業、また、子育て支援、労働時間の短縮、パート労働の権利の保障、サービス残業を根絶するなど、雇用を守るルールのある日本社会でなければ国際的信用も得られません。
 多様なライフスタイルという場合、日本の財界が九〇年代に入って、多様で柔軟な働き方の拡大、性に中立、自立した個人単位などをキーワードに、国際競争力の名の下、規制緩和路線を進めている企業ニーズのことを指摘しなければなりません。
 今、小泉政権はこの二年間、財界とともに構造改革路線を推し進め、不良債権の早期処理、リストラ、失業、雇用の流動化と社会保障の切捨て路線を進めています。
 しかし、この方向や、日本経済団体連合会の二〇二五年への新ビジョン「活力と魅力溢れる日本をめざして」の企業ニーズにこたえる多様なライフスタイルでは、国民、男女労働者の願う真の豊かさとは逆方向になる危険性を指摘せざるを得ません。
 海外視察の教訓からも、GDPが日本よりも小さな国が週休二日、男女ともに夕刻には仕事を終え、十分余暇と家庭の団らんを楽しむ新しいライフスタイルを営んでいます。経済大国と言われる日本でこうしたゆとりある社会が実現できないわけがありません。政治のかじ取りが必要と考えます。
 政府は、構造改革特区を設けて規制緩和を行うことが地域経済を活性化し、デフレ対策になるとしています。しかし、小泉内閣の総合デフレ対策の中心は不良債権処理の加速であり、地域経済に大きな打撃を与えるものばかりです。日本経済を疲弊させている原因は、規制緩和の遅れにあるのではなく、医療を始め社会保障の連続改悪など、国民負担を増やす小泉構造改革そのものにあります。
 規制緩和万能主義ではなく、国民生活や中小企業の営業を守るための民主的規制を逆に強化するなど、今の社会に合った民主的なルールを確立することが求められているのではないでしょうか。
 都市と農村の共生の問題では、食糧自給率を高め、農林漁業が成り立つように予算を重点的に価格保証に回すことが必要です。また、農山村を破壊する強制合併に多くの町村が反対しています。町村の将来は住民投票で決め、小さな村の大きな誇りを守ることこそ真に豊かな都市、農山漁村の交流と共生の道が開けると考えます。
 個の確立・教育関係の参考人からは、条件整備として二十人から二十五人学級を全国レベルで実施する必要、教員増を大胆に行い、ゆとりを取り戻すこと、スクールデモクラシーの問題が提起されました。
 日本の子供たちは諸外国に比べると、セルフエスティーム、自己肯定感が極端に低い。自己肯定感を高めるためにはあらゆる領域での子供参画を拡大する必要がある。参加することによって自己決定せざるを得なくなり、自信、達成感を持ち、自己責任感を形成し、セルフエスティーム、自己肯定感を高めていくと述べておられます。
 こうした指摘は、豊かな社会を実現していく豊かな子供像にとって重要な指摘だと考えます。教育、文化、芸術に予算を抜本的に増やすことが必要です。
 また、教育基本法の見直しの議論がありますが、今大切なことは、教育基本法を改悪するのではなく、その精神を教育の立て直しに生かすことと考えます。
 最後に、NGO、NPOの発展は、これからの日本の自立した個人の豊かな生き方、青年、女性、高齢者の生き方に大きく希望をつなぐものです。
 参考人から指摘のあった日本型の官指導のクワンゴの多い現状の改善、真に個人の自己実現につながるNPOの発展は、税制の改善を含めて民主的な日本社会を築く重要な課題と考えます。
 大変貴重なこの一年の調査を更に来期につなげてまいりたいと思います。
 以上で意見表明といたします。(拍手)
#92
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
#93
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 国民生活・経済に関する調査会におきまして、「真に豊かな社会の構築」という非常に大きなテーマの下に、二年目は特に国民の意識の変化に応じた新たなライフスタイルについて、各界各層の参考人から様々な意見を伺ってまいりました。
 「真に豊かな社会の構築」には、人々の住む地域の活性化が不可欠であります。私は、地域の活性化とは、町づくりを自分のものとしてとらえ、主体的にかかわっていく人々の輪を広げることであると考えております。
 その意味におきまして、現在、全国で一万個以上と急速な広がりを見せているNPO活動について特に絞って意見を表明させていただきます。
 先日の参考人のお話にもありましたように、何でも行政、お上依存ではなく、地域の身近な問題解決にはNPOなどの存在が不可欠であり、その活動の場が広がることで地域の活性化、ひいては豊かな社会の構築に資するものであると申し上げたいと思います。
 NPOに対する期待が高まっております。新聞、メディアにも毎日のように登場するようになりました。NPOはこれからの成熟した経済社会においてますます大きな役割を果たしていくのではないか、またそうあってほしいと思っております。
 営利企業よりも社会的なサービスを供給する機能が強く、また、行政よりも多様な需要にきめ細かくかつ機動的に対応し得るのであります。国、自治体も抜本的な行政改革が求められている中、いわゆる地域の第二市役所的機能を果たすようなNPOの存在、その広がりは正に時代の要請であるともいえます。
 特に介護といった医療・福祉分野においても広がりを見せており、今後、ITや環境分野などへの更なる進出も期待され、雇用創出面においても大いに期待されます。
 NPOを担う方は純粋に利他的動機で行動しているのではなく、活動の中での達成感や、またある意味の名誉欲に動かされて活動しているという調査報告もあります。
 行政は、営利、非営利の境界線上を設けることなく、活動の場がますます広がるような施策を取るべきであると考えます。もちろん、活動の内容まで事細かに行政が指導するようなことは決してあってはなりません。立法府にいる我々も行政も、根本的にこの点において意識変革の必要があると考えます。NPOがすべて健全で失敗なく運営されなければならないという強迫観念は捨てた方がいいと思います。自由濶達な活動の中からこそエネルギーが生まれていくものと考えます。
 また、NPO法人の多くは規模が小さく、経営基盤も脆弱です。年間財政規模も一千万未満のNPO法人が圧倒的に多い。また、収入源を見ると、我が国では寄附や助成金による収入が少ないのであります。この点を改善するために、私は寄附のインセンティブを高めるような税制改革が必要であると考えます。
 平成十三年十月からは、一定の要件を満たすNPO法人に対して寄附をした個人や法人に寄附控除を認める新税制がスタートしております。しかし、要件が過度に厳しく、全体の〇・一%ほどしか認定を受けることができなかったため、本年四月からは要件の一部が緩和されることになったわけですが、それでも認定されるNPO法人は全体の数%にとどまるとの見方が一般的です。こうした状況からも、経営基盤の強化が求められる一方、いまだ支援税制は不十分であり、抜本的な取組が必要であると重ねて申し上げたいと思います。
 何でも行政頼みの時代は終わりました。地域の身近な問題にこたえ得る存在となるNPOの役割が今後期待される中、その活動の場を自由に広げていくような環境整備こそ必要であります。その意味で、今後のこの調査会におきましては、是非この問題をもう少し深く掘り下げて検討されることを要望申し上げ、私の意見表明といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#94
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 以上で意見の表明は終わりました。
 これより意見交換を行います。
 御意見のある方は挙手をもってお知らせいただくこととし、発言は会長の指名を待って行われますようお願いいたします。
 なお、委員お一人当たりの発言時間は三分程度でおまとめいただくようお願いいたします。
 それでは、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
#95
○畑野君枝君 それぞれの委員から貴重な御発言があったと思います。一言だけ申し上げさせていただきます。
 私、参議院の事務局の第二特別調査室の委託調査の「真に豊かな社会の構築」に向けた豊かさの基礎的調査報告書、本年の二月というのを読まさせていただきまして、いろいろな貴重な調査が報告されておりまして、こういったものも是非今後に生かしていく必要があるというふうに思ったところでございます。
 それで、アンケート調査がございまして、そこに共通しているのは、ゆとりの点はもちろんそうなんですが、やはり経済的な問題、それから、それとかかわって生きがいの問題、そういったことが、一つ一つは申し上げられませんが、共通して出されているのではないかなというふうに感じました。
 そして、いろいろな調査がここにありますのでここではもう短いから一言しか言えないんですが、私、特に追加して申し上げたいのは、やはり日本の雇用問題ですね。特にデフレ不況と言われる中で、やっぱりここが本当に不安の基になっている、豊かさを実感できない理由にもなってきているというふうに言われておりますので、そういう点では、働く人が無法にリストラされない、きちっと働ける、あるいは人権が守られる。例えば、先ほどJALの女性乗務員の話がありましたけれども、子育てしながら仕事しなくちゃいけないということですね。本当に御苦労されているというのを超党派の院内の女性議員懇談会でも先日勉強会で伺わせていただきました。まだまだこういうことがあるんだなというふうに、私も改善しなくてはいけない問題だというふうに思いましたけれども、安心して働ける、それがあってこそ真に豊かな社会の方向に進むんではないかというふうに思いました。
 それから、先ほどパートの話がございましたけれども、やはり均等待遇という流れ含めて、特に男女の賃金格差の是正あるいは青年労働者の待遇改善ということが大事になっているというふうに思うんです。
 特に失業者の対策という点でいうと、この間、NPOの方々が来られまして、雇用ではいろいろなかなか低い賃金体系でやっておられるんだという話がございましたけれども、例えば、NPOでも働いて、そこで臨時に青年失業者が職に就いた場合に例えば国や自治体が助成をするとか、各団体の自主性を損なわないようにしつつも、例えばそんなような働ける場を提供するなどの対応なども考えていくことが必要なんではないかというふうに思いました。
 それから、ゆとりということは共通して言われましたが、雇用の点でいえば、正に仕事の分かち合いというふうに言われるんですけれども、やっぱり今ある日本の異常なサービス残業、過労死まで生むような、こういったものをきちっと規制していくことが大事ではないかと思いまして、私もずっと質問主意書や質問などをしてまいりましたら、これは昨年の十二月六日に、小泉総理から答弁書をいただきまして、この是正が、全国で八十一億三千八百十八万円労働者に割増賃金が払われたというような話もございました。ですから、やはりきちっと国がやれることをやっていくという対応含めて進めていく必要がある。
 つまり、国民の雇用や暮らしを守ることがやはり税金の使い方としても基調とされて、将来に不安がない日本の経済の立て直しにつながっていくんじゃないか、本当に真に豊かさを実感できる社会になるんじゃないかというふうに思います。
 以上です。
#96
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 他に御意見ございませんか。──他に御発言がないようですので、以上で委員間の意見交換を終了いたします。
 皆様方から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本日の調査会を踏まえまして、理事の皆様方とも十分協議の上、二年目の中間報告書案を作成してまいりたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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