くにさくロゴ
2003/02/26 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 国際問題に関する調査会 第3号
姉妹サイト
 
2003/02/26 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 国際問題に関する調査会 第3号

#1
第156回国会 国際問題に関する調査会 第3号
平成十五年二月二十六日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十九日
    辞任         補欠選任
     神本美恵子君     榛葉賀津也君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         関谷 勝嗣君
    理 事
                加納 時男君
                世耕 弘成君
                山本 一太君
                今泉  昭君
                沢 たまき君
                田村 秀昭君
    委 員
                小林  温君
                椎名 一保君
                西銘順志郎君
                野上浩太郎君
                舛添 要一君
                森元 恒雄君
                吉田 博美君
                海野  徹君
                大塚 耕平君
                佐藤 雄平君
                榛葉賀津也君
                藤原 正司君
                藁科 滿治君
                高野 博師君
                井上 哲士君
                大田 昌秀君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        渋川 文隆君
   参考人
       青山学院大学経
       済学部助教授   深川由起子君
       国際経済交流財
       団会長      畠山  襄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際問題に関する調査
 (「新しい共存の時代における日本の役割」の
 うち、東アジア経済の現状と展望(東アジア地
 域の経済統合)について)

    ─────────────
#2
○会長(関谷勝嗣君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十九日、神本美恵子君が委員を辞任され、その補欠として榛葉賀津也君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(関谷勝嗣君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
 本日は、本調査会の調査テーマである「新しい共存の時代における日本の役割」のうち、東アジア経済の現状と展望に関し、東アジア地域の経済統合について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、青山学院大学経済学部助教授深川由起子参考人及び国際経済交流財団会長畠山襄参考人、お二人に御出席をいただいております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本調査会では、東アジア経済の現状と展望につきまして重点的かつ多角的な調査を進めておりますが、本日は、東アジア地域の経済統合についてお二方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず深川参考人、畠山参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、早速、深川参考人から御意見をお述べいただきます。深川参考人、よろしくお願いいたします。
#4
○参考人(深川由起子君) よろしくお願いいたします。
 隣にいらっしゃいます畠山参考人は私のかつての上司でございまして、通商政策の専門家でございますので、緻密なお話は畠山参考人の方にお譲りするとして、私はアジアを研究しています立場から、若干ざっくりした東アジアの経済統合と日本の対応ということでお話をさせていただきたいと思います。
 まず本日の私の報告ですけれども、東アジア全般に、皆さんも御承知のとおり、九七年から通貨金融危機が始まりましてかれこれ五年がたったわけですけれども、五年を経て、比較的当初の混乱の中予想していたよりは回復をしていまして、その中で非常に新しいアジア像というのができてきている、非常に大きな構造転換を伴ってきているという話と、その中から日本が何を得るかという話と、そして三番目として、既に東アジアの地域協力というのは様々な形で進んでいるんですけれども、それが持っている性格、そして今のところは恐らくASEANプラス3というのがほぼ域内の共通のゴールとして目指されているんですけれども、ASEANプラス3の中のいろいろな現在の交渉の動きも非常に錯綜しておりますので、それを少し述べた後、最後に、じゃこれからどうするかという順番で進めさせていただきます。
 東アジアの通貨金融危機以後の大きな構図なんですけれども、比較的順調に回復はしてきましたけれども、端的に言ってやはりASEANの傷はまだ深くて、特にタイやマレーシアのように早く対応してきているところもあれば、インドネシアのように体制自体がやっぱり混乱が、依然として安定していないというところもありまして、全体として見渡しますと、やっぱり中国の台頭が際立って、それにつられる形で韓国の回復も早いですし、空洞化しているといっても台湾は割に安定していますので、大きなピクチャーとして東南アジアが通貨危機の前が割に成長センターであったとすると、北東アジアにやっぱり重心が移ってきているということは一つ言えると思います。特に、その北東アジアの対応力というのは、単に物を作るという、安く作るというハードだけではなくて、いろいろなソフトパワーに支えられているということに着目しておきたいと思います。
 通貨危機以降、割に早く立ち直ってきた国を見ますと、共通して言えますことは、やっぱりこのソフトパワーを比較的有している国であった。例えば、危機になったわけですから直接投資を誘致するしかないので、その直接投資誘致に向けて迅速に動いていけるかとか、あるいは通貨危機後しばらくの間はITブームでございましたので、そのITブームにいかに早く乗れるかとか、あるいは旧時代の企業家、財閥のような企業グループがさんざんつぶれた後に新しい企業がいかに早く出てくるかという対応力。それから、政府の能力としても、迅速に政策を立案して、またそれをちゃんと実行して世界の投資家から資金を集めなければなりませんので、その政策責任が非常にしっかりできる国というのはやっぱり市場の信頼が早いですので、いかにも回復はやっぱり早かったわけでございます。
 それから、全般に市場の能力も弱い国が多かったんですけれども、各国みんなやっていることは似たようなことでして、公正取引法を見直すですとか市場の参入・退出制度をもっとフレキシブルにできるようにするですとか、会計制度を変えて透明化するですとか、どの国もみんなまだ若い国ですので不十分な機関投資家を中長期の株主として育成していくとか、あるいはその過程で少数株主を保護していくとか、マーケットの能力全般を強化していくということをやっています。その市場能力と政府の能力をやっぱり両方できている国は信頼を非常に早く取り戻しているので立ち上がりが早いと。
 ここで見ていきますと、やはり英語圏でないというハンディキャップはありますけれども、中国や韓国や台湾というのは割とやっぱり早くその時代の変化というのは感じ取って対応してきていますし、そうでない国もあると。
 共通するものとして、各国やっぱり階層間の格差、非常にIMF型の新自由主義の改革をするとやっぱり所得格差が大きくなるというのは全般的な傾向としてありまして、中間層が薄くなってしまったり、あるいは地方と都市の格差というのが非常に大きくなったり、あるいは年代間の格差、やっぱりIT対応が早いのは若い層に、どこの国でもそうですので、年代間の格差。こういう格差が広がっていく一方で、アジア全体として見ると、そのグローバル化あるいはIT化によってつながっていく、時代に早く対応している国とそうでない国の差が出てきているということが言えると思います。
 北東アジアが東南アジアに代わって強い成長センターとして出てきているということなんですけれども、北東アジアの場合は東南アジアと比べてやっぱり考えなければいけない要素がございます。
 一つは、依然としてこの地域には冷戦構造が残存しておりますので、非常に各国ともフルセット型の、自国の中にあらゆる産業を抱え込もうとする傾向というのを持ってきたし、依然としてこれがまだ残っています。それは、よく見れば比較的厚い産業基盤を有していますし、比較的技術吸収能力も高いと。中国の昨今の非常に早いキャッチアップに見られるように、理工系の人材の豊富さというのは東南アジアと層が全く違いますので、やっぱり技術の吸収能力も非常に高いと。その一方で、冷戦対応をずっと行ってきていましたので、どこも政府は強くて大きい。経済面ではある種の産業ナショナリズムを抱えています。
 そして、日本に対しては特にですけれども、やっぱり歴史問題等もありますし、そこから発してくる相互信頼の欠落というのはございます。さらに、かつては日本語で通じた人脈というのはもう圧倒的に細っておりますので、旧来の人脈というのは非常に細っている、こういう地域でございます。これは東南アジアとは少し違う、特に日系企業の域内分業が非常に支配的な東南アジアと大きな構造の違いで、相手になる人たちが非常に地場企業であるということを意味します。
 それから、この地域ですけれども、今後は非常に構造的な変化が進行していきまして、一つは高齢化が雁行形態型に進む。日本は一番最初に高齢化していますが、これを追って韓国、中国の順に非常に速いピッチで高齢化していきますし、環境ですとか、それに伴って中国の成長、非常に速いまま続くとすると、環境とかエネルギーとかというのはかなり問題が出てくる可能性もあります。そして、中国は一体どういうふうに体制を変えていくかということも問題はありますし、割ともはや長期ではない問題として朝鮮半島の安全保障問題もあると。非常に成長構造として有利な点もありますけれども、非常に構造的な変化は進むし、潜在的なリスクというのは常に大きいまま成長を続けていこうとしている地域であると。
 こういうピクチャーを思い描いてお話をしますと、私たち、私及びその周辺の友人たちが考えていますこういう東アジアと、じゃどうやって付き合っていくかというのは、やっぱりかなりのメリットが日本にとってあるんではないかと。特にFTAあるいは経済緊密化協定を使ってしっかりとした協力関係を作っていきますと、いろんなメリットがあるんではないかということです。
 今までアジアといえば安価、良質の労働力だったんですけれども、これはもう日系企業は細かく域内拠点を配置していますので、むしろ物流の速度ですとかIT化によってその拠点間のコストが削減できるということは重要でございますし、それにとってはAFTA、ASEANですとASEANの中での自由貿易協定、AFTAを早く完成してもらう。あるいはマスコミでは中国・ASEAN自由貿易協定が先に進むと非常に日本は不利だというような報道もございますけれども、実は日系企業はたくさんASEANにも立地しているので、中国は関税を下げてくれて、ASEANから中国に輸出できることは決してそんなに悪い話でもない。
 ただ、アジア全体の自由化が早く進んで日本が取り残されていきますと、やっぱり企業は活動がしやすい方に流れていきますので、日本にとっては必ずしもよくない。日本企業にとってはいい環境かもしれないけれども、日本の雇用ですとか日本の問題にとって必ずプラスかどうかというのは分からないということです。
 あともう一つ、いろんな協力の枠組みができますと、先ほど申し上げたように、やっぱり北東アジアは相手が日系企業ではなくて地場企業になることも多いですし、非常に産業構造も競合的でございます。電子・電気、石油化学、鉄鋼のこの三つで輸出の五割を占めるという構造は、日本、韓国、台湾、中国すべて一緒でございますので、やはり競争的な中で、じゃ何が日本にとって有利かといえば、貿易に関連した投資法制だとか、相互基準認証だとか、あるいは摩擦が起きたときの紛争処理メカニズムだとかというのがやっぱりしっかりでき上がっていく。そして後で申し上げるように、MアンドAとかを通じて迅速に構造調整が進むことは我々にとってメリットだと考えるわけです。
 特に、非常にこれらの産業、五割を抱えているような産業、過剰設備投資、日本にもございますしアジアにもございますので、やっぱりクロスボーダーでMアンドAのようなものが迅速に進んでいきませんと、この地域はヨーロッパやアメリカに比べて構造調整の速度は遅い地域になってしまいます。
 それからもう一つは、当然、いろんな協力関係を結んでいきますと、技術を売る市場としてキャッチアップする能力が高いということは、技術を売れる市場であるというふうにも考えられるわけでして、日本が自分の持っている資産としての技術をしっかり守れるような特許制度を整備し、売る側では知的な財産権保護をしっかりやってくれれば、東アジアの技術市場としてのポテンシャルは非常に高いですし、その技術が活用されていくためには、理工系の人材ですとか多様な人材を抱えておりますので、ビザをもっと自由化して、少なくとも理工系の人たちには、専門家の人たちにはかなり自由な動きができた方が望ましい。あるいは共同研究をしたり、ベンチャーキャピタルをしたりしてアジアのマーケットからゲインを得るということもあろうかと思います。
 それから三番目に、文化ですとか観光ですとか、環境、医療、福祉、日本が私は戦略的に重要であると思っている産業ですけれども、これらの産業についてもアジアが割と後背地になってくれる可能性というのはあると思います。
 どんなに高成長をしていてお金持ちになっても、きれいな水ときれいな空気というのは容易には買えませんから、日本に行って観光したい、あるいは日本に行って日本の文化だけではなくて、この国はやっぱりマーケット大きいですので、世界の一流の文化というのは来てもらえますから、取りあえずアメリカとかヨーロッパまで行かなくても日本に行ってやっぱり世界の一流の文化に触れたい、こういう欲求というのはやっぱり所得が高い階層には物すごく強くあるわけですね。
 本気で観光誘致に出ますと、こういう人たちというのはたくさんのお客さんになってくれる可能性というのはもちろんありますし、それから、アジアも高齢化をしていきますので、日本が医療、福祉で非常に先進的なビジネスモデルを作って幸福な国になれば、それはまたそのビジネスモデルがやっぱり通じるマーケットとしても出てきますし、アジアのお金持ちの中にはやっぱり是非とも日本に行って高度の医療を受けたいという潜在的な人たちは非常にたくさんおります。そういう意味でも、可能性というのはたくさんありますが、これは当然のことながら、やっぱり人の移動がある程度は自由にいくということが前提です。
 それから、私ども少子高齢化に直面しておりますので、やっぱり人材の調達というのは戦略的に考えていかざるを得ませんが、その中で最近行われてきております資格の共通化ですとかを通じて、一定の能力を持った人たちが来てもらえるというのは非常に助けになると思いますし、地方に行きますと、既に出てきています外国人労働のやっぱり実態に即したビザ制度というのはもはや考えていかざるを得ない時期に来ている。
 経済統合が進むと、今までのような物の貿易、物の貿易は既に日本は大変関税は十分に低い国、世界では最も低い国の一つでございますので、もうこれ以上関税下げる余地というのは農水産物を除けばそんなにあるわけではない。その農水産物以外のものですと、やっぱり人の移動とか情報通信とかサービスとか決済システムとか金融の部分とか、プラスアルファの部分をやっぱり積んでいかざるを得ないということがあると思います。
 いろいろ考えていくとメリットはあると思うんですけれども、東アジアにはこれまで、ヨーロッパが通貨にまで進んだ統合を達成し、NAFTAが北米自由貿易協定から南北アメリカの統合に進んでいこうとしている速度に比べると、東アジアは非常にばらばらなままこれまで実際に来ました。本当に地域協力が必要ではないかという機運が出てきたのは、正に通貨危機の後で、これは通貨危機で非常に各国とも苦しい目に遭ったので、やっぱり域内ではお互いに協力しないと、外からの投機ですとかいろんなものも含めて、ショックに遭ったときに非常に弱いということが痛烈に分かったわけですし、このときに日本は新宮澤構想等を通じて非常に多額の支援をしてきたわけですけれども、当初はそれとそれぞれの危機当事国がくっ付く形で協力がなされてきたわけです。
 これを一つのモーメンタムとしているもんですから、東アジアの統合というのは通貨とか金融とかという部分が、通常の常識ですと、物の自由化から始まって、サービスの自由化、人の移動、金融の統合というふうに進むんですけれども、むしろ危機から始まっているので、通貨とか金融のところを含んだ形で、ある種ビッグバン的な協力の機運というのはあると思っています。
 ただ、その通貨危機当初のときに、従来この地域での地域協力の仕組みとしてAPECというのがあったわけですけれども、APECは非常にふわっとした集まりでして、危機にはほとんど役に立ちませんでした。それへの非常に強い反省というのもあって、非常に、今度は中核メンバーが割と明確なASEANに日中韓を加えた枠組みというのが東アジアの大きな共通の枠組みとして出てきているということです。
 ただ、これに対するアメリカの立場、AMF、アジア通貨基金構想に反対したときのように非常に微妙なものがありますし、アメリカだけではなくて、豪州、オーストラリアですとかといったケアンズ・グループも、ASEANプラス3というのはかつてマハティールさんが提唱した東アジア経済ブロック、EAECのようなものじゃないかという疑惑を持っている人たちもいますし、非常に微妙な視点がございます。
 そういったことなんですけれども、結局この地域というのは、ヨーロッパですとか北米あるいは南北アメリカに比べると余りにも多様で、余りにも様々に発展段階も違い、政治経済体制も違うものですから、やっぱり簡単に協力体制というのができないということがありましたし、何といってもやっぱり安全保障と全然違う枠組みの協力体系を持っている国、FTAとかを持っている国というのは非常に少ない、多分ないと思いますが、アジアの場合は安全保障の枠組みは中国と日本では明らかに違うわけで、そういう関連もございます。
 そしてさらに、ナショナリズムをそれぞれに抱えているといったこともあるので、結局NAFTA型のように、じゃ、だれかが強いリーダーシップを取ってすごい勢いでやるかというとこれはなかなか難しいですし、かといって、じゃ南北アメリカのように二か国間のFTAの積み上げで、アメリカ・カナダ、アメリカ・メキシコ、アメリカどこどこというふうに積み上げていくかというと、国の数が多いものですから、二か国間を何十か国でもやるととんでもなく錯綜してしまうということもあります。
 NAFTAのような、あなたがこれに違反した場合はこうなんですという、すごい条約でめちゃくちゃに厳しく縛るようなタイプがなかなかできる地域でもないという限界ありますし、一方、じゃ、ユーロ型にできるかというと、やっぱりユーロのように共通の理念とかあるいは戦争をしないという共通の目標というのは取りあえずないですし、それからユーロの場合には、関税同盟とは言いませんけれども、ECからいろんな段階を経て進んできているんですけれども、そういう段階を経てどういう仕上がりでいくかという設計もまだないと。
 結局、みんなが、APECのときは正にそうだったんですけれども、できるところベースで、ボランタリーに協力すると。コンセンサスを中心として、だれかが圧倒的なリーダーシップではやらないと。お互い内政には不干渉で、ゆっくりと進んでいくというのがこの地域の特徴でしたし、非常に、日中、特にリーダーシップを取るというのはだれが見ても日本か中国だと思いますが、それぞれに限界を抱えているということもあって、非常に一国一票平等主義というのが大きくありました。それをやっているということは、当然、機構としてもあるいはいろんな条約を作っていく上でもやや弱くなるので、ユーロとかNAFTAに比べると非常に弱い枠組みしか存在してこなかったということになります。
 今存在しているASEANプラス3へのアプローチというのはどういうアプローチがあるかというと、多分私は二つのアプローチがあると思っているんですが、一つは、中国が提唱している非常に強い政治的な意思を持って経済統合に向かうと。政治的意思だけではでも動きませんので、じゃどうするかというと、自分の大きなマーケットを開けて、中国への輸出が伸びるという実利でみんなを引っ張っていくというアプローチ。余り、条約ですとか、中国はまだWTOに入ったばかりですので、WTOのルールですとか実際の運用ですとか経験もございませんので、そういう制度下でもリーダーシップは取れない。そうすると、途上国なりに政治交渉で一つずつ交渉しながら実利を実現していくというので結束していくというのが中国のアプローチになっております。
 中国は既にASEANとの自由貿易協定の交渉に入っているんですけれども、それは極めて長期のアプローチを取っていまして、十年間の間に作るということですので、それは十年の間に中国がWTO加盟国としてちゃんとできるということを織り込んでやろうとしているということになります。
 一方、日本、我が国はどういうふうにやってきているかといいますと、中国とは全然違う。割に実務積み上げ型の、ようやく日本・シンガポールEPA、経済緊密化協定というのができましたけれども、割と制度の整った国からやっていこうとしていて、どうしても条約、日本とほかのアジアでは自由貿易協定の条件は違いますので、日本は先進国なので、途上国が許されている授権条項という、自分のできるところだけやればいいという条件は保障されていません。
 つまり、多分畠山参考人からお話しあると思いますが、日本の加盟する自由貿易協定というのはサブスタンシャリーオール、ほとんどすべての貿易を必ずカバーしなければいけないというWTOの枠が大変厳しく掛かっております。したがって、サボることはできないので、それは中国・ASEANのような途上国同士のFTAなんだから、それなりに頑張っていればまあいいじゃないか、FTAとして認めてくれというものでは日本はFTAを作ることはできない。この条件の違いがありますので、どうしてもやっぱり制度的に考えざるを得ないと。
 したがって、短期で割と急いで作ろうとはしていますけれども、どうしても制度が整った、守ってくれそうな、できる国からの積み上げになっていまして、シンガポールの後、話題になっているのはメキシコであり韓国でありという順になります。
 ただ、第三国はこの二つのアプローチをどう見ているかということもあるわけでして、当然、アメリカにしてもヨーロッパにしましても、マハティールさん的な、オールアジア対西洋的なブロックになるのは当然望ましくないので、開放的であってほしいということはありますが、その一方でAPECが、お茶飲みサロンとは言いませんけれども、非常にソフトな枠組みで終わっているという認識はかなり強いので、アジアだけでどのぐらいきちんとしたものができるかというのはかなり厳しく見られていると考えるべきだと思います。
 それから、中国は一応十年という時間軸を設定しているんですけれども、日本は時間軸に関してコミットしたことはありませんので、外から見ていますと、一体、いつどうやってできるのかというのがあるかと思います。
 それと、当然のことながら、やっぱり日中がすぐにうまくリーダーシップを協力して取れる、例えば独仏が手を結んでヨーロッパ統合の中核になっていったような図が日中間にすぐできるかというと、そうだと思っている人はほとんどいないので、その日中の違うアプローチがどういうふうに組み合わさって東アジアをリードしていくかというのも非常に不安な目で見られているところもあると思います。
 そしてあと、多くの人、特にアメリカの信用調査会社の人たちとよくしゃべっていると、本当にこれをやってアジアの成長が日本経済の突破口になれば、それはすごく大きな突破口になるというふうにおっしゃってくださるんですけれども、問題は、さあ、じゃ実行してくださいと、すぐ市場の期待が高まるようなエビデンス出してくださいということになってしまうので、それはかなり時間が切迫してきていると言うべきだと思っています。
 今までいろんな議論が進んできていると思うんですけれども、何しろ日本は非常に経済自体が大きいですので、ほかのシンガポールですとか韓国と違ってやっぱり大変大きいので、ちょっとやそっとのFTAをやっただけでは、それが魔法の薬のように効いてくるということはもちろん余り期待できないと思います。
 お手元の表一とかにFTAがどういう組合せでできたらどうなるかという、表一、FTAから脱落した場合どうなるかというのを、ちなみに簡単なコンピューターで計算した結果というのを多分お配りしていると思うんですけれども、これは上が組合せ、いろんなFTAの組合せですね。ジャパン・コリアとか、ジャパン・チャイナとか、チャイナ・コリアとか、ジャパン・コリア・チャイナとか、ASEANプラスジャパン・コリア・チャイナとか、もういろんな組合せでして、左方の縦に並んでいる順番がそれぞれ、中国、日本、韓国に対してどういうインパクトがあるかというのを簡単に計算したものなんですけれども、要は、ASEAN・ジャパン・コリア・チャイナという最大のFTAができても、単純に計算すると日本のGDPは〇・三二%ぐらいしかアップしません。
 これは、例えばASEANプラス3ができると韓国のGDPというのは実に三・六六%もアップし、中国でさえ一・五%アップするので、〇・三二というのは余り大した数字じゃないように見えますが、ただ、これは全く今を延長しただけ、コンピューターの計算というのはあくまでもそうですので、実際にバブル崩壊以降、やっぱりアジアへの貸出しとかアジアへの輸出が日本経済を支えてきたことを考えると、サブスタンシャルにこの地域の経済交流は自由化することというのはやっぱり非常に大きな意味を持っていると思います。
 ただ、表面的にはすぐに効く薬ではないように見えるので、なかなかコンセンサスができないというか、非常に関心が国内でそれほど、マスコミが騒ぐほどではないということがあると思います。
 もう一つはやっぱり構造改革、今、正にやっているわけですけれども、これと連動しないとほとんど意味はございませんので、どの国も日本に対する期待で農水産物の輸出というのはもう避けて通れないですし、日本・フィリピンの自由貿易協定の中で、看護師を引き受けるのはどうかと、看護婦さんを引き受けるのはどうかという意見が出ているように、やっぱり高齢化対応が自分の国にとってビジネスになるんじゃないかというのはそれは当然の相手国の関心ですし、自分自身で青写真を持って組み込んでいきませんと、FTAで約束していることと中が全然ばらばらというふうにはいかないということです。
 それから、中国の速度は大変速いピッチでいろんな動きをしておりますので、やっぱり戦略的に取り組んでいく必要があります。対象の相手国をどうやって進めていくかとか、交渉優先順位をどうやって位置付けるかとか、時間軸をどう設定するかとかというのは大きなイシューですし、各国の注目を浴びていますし、特に日本と中国の間の関係というのがそれに沿ってどう進んでいくかということも大きな点としてございます。
 最後に、じゃ結局、ASEANプラス3に取りあえずなるとして、どういう感じの設計ができるかという知的なリーダーシップというのを日本に大変求められていると思います。取りあえず、日本・韓国が日本・シンガポールに続いてできるかどうか分かりませんが、できるとすると、一つの可能性というのは、日本・韓国という資本市場も全部開け、MアンドAもすべてできて、人と物の、物の貿易はかなりの程度OECD水準で関税が下がっていて、人の移動も日韓間は毎日一万人の人が移動しております。年間四百万の移動がございますので、人の移動も物すごく大きくて先進国の制度水準を持っている国が例えば関税同盟のような形で大きな市場統合をして、そこにみんながぶら下がってくる、どんどん我も我もと参加してくるというヨーロッパ型というのは一つのアイデアですし、それとも、じゃ、そのバイをどんどん積み上げていくのがいいのかという議論は当然あるべきです。
 それから、WTO二十四条という、途上国と先進国のFTAは違う立場を定めているものが一体どういうものであってというのをやっぱり理解してコミットしてもらう必要があります。
 結局、自分だけが非常に厳しい義務をかぶっているけれども、ほかはみんな途上国だからすごく甘い協定でもFTAと呼んでしまおうというのは、私は外交上は日本にとって非常に不利だと思いますので、中国・ASEANは、中国は中国・ASEANのFTAを二十四条内に必ず入れると宣言していますけれども、それが本当にできるかどうかは十年たってみないとだれにも分かりません。
 でも、この二十四条をきっちり守った形でできるというのは、域外国にとってはアジアの信頼に関して非常に大きなイシューですので、日本はイニシアチブを取っていく必要があると思いますし、その貿易政策、貿易関連に関しては日本は経験をたくさん持っていますので、やっぱり各国のキャパシティービルディング、それぞれの能力の向上に協力していくことが日本がイニシアチブを取っていける道ではないかというふうに思っております。
 ほぼ三十分になりましたので、ちょっと速いスピードであったかもしれませんが、私の報告は終わらせていただきます。
#5
○会長(関谷勝嗣君) 大変ありがとうございました。
 次に、畠山参考人から御意見をお述べいただきます。よろしくお願いします。
#6
○参考人(畠山襄君) 畠山でございます。
 今日は、こういう機会をお与えいただきまして、大変ありがとうございます。関谷先生始め、私、昔、通産省におりまして、いろんなところの局長なんかで国会にお世話になりましたときに御指導いただいた方あるいはそれに関連した方がおられて大変、懐かしいと言っちゃ語弊がございますが、ありがとうございます。
 今、深川先生がアジア全般のことをお話しになりましたけれども、私の方は、やや東アジア地域の経済統合に限って、そしてややテクニカルなところが入るかもしれませんけれども、焦点を絞って申し上げたいと思います。
 まず、東アジア地域というんですが、それはどこかということでございますが、第一表にございますようなアジアNIESの四か国、四経済、それからASEAN4、それから中国、それから日本と、この国々あるいは経済を指すのが普通でございます。
 ここで強調させていただきたいのは台湾の重要性でございます。台湾は国ではありませんけれども、特別関税地域でございますが、三千億ドルのGDPを、これは二〇〇〇年の数字ですけれども、誇っておりまして、ASEANのほかの国よりもどこよりも大きいと。インドネシアが一番大きいわけですが、それの倍もあるということで、東アジア地域の経済統合を考える場合に台湾抜きということは考えられないということでございます。
 それから、経済統合とは何かということでございますが、レジュメの一ページに戻っていただきまして、普通こういう五つの分類をいたしております。
 自由貿易協定、これはそのメンバー国の関税なり、その他の輸入障壁をメンバー国の間だけで撤廃するということでございまして、典型は北米自由貿易協定、NAFTAでございます。アメリカ、カナダ、メキシコでやっているNAFTAでございます。
 それから、関税同盟というのは、典型は昔のECと言っていたころのEECですとか、今、ブラジルとアルゼンチンとパラグアイとウルグアイでメルコスールというのを作っていますが、これが典型でありまして、どういうものかというと、自由貿易協定なんですが、その対外的な関税を統一すると。
 だから、例えばEUですと、日本に対する自動車の関税は一〇%と。ドイツの関税もフランスの関税もみんな一〇%と、こうなっているわけですが、単なる自由貿易協定、@の方ですと、例えばアメリカの自動車の関税は二・五%だけれどもカナダの自動車の関税は九%だとか、メキシコは二〇%だとか、そういうふうにばらばらになっているわけです。
 それで、その先が共同市場、これは普通は商品の自由流通を確保するとか人の移動をあれするとかいうことで、EUはこの状況に九二年から達したと考えられております。
 経済同盟というのは、金融政策とか財政政策、経済政策を統一するというわけですけれども、これは今の、金融政策はある程度統一していますが、それでもEUはイギリスが金融政策統一していませんし、そういうことでいうと、このCはまだ実現しているところはないと思いますが。
 学者の分類ですと、この完全な統合という方は、中央銀行の設立ですとか単一通貨の設定とかいうことですので、むしろDは今のEUが実現をしていると。EU全体ではありませんけれども、イギリスが抜けたりしていますが、ある程度実現していると、こういうことになります。
 そこで、東アジア地域の経済統合という場合にこれから我々はどれを目標とするかというと、この自由貿易協定に限られると思います。関税同盟まで行けないということでございます。時々、東アジア地域との経済共同体をとかいうような、例えば経団連が今年一月に出した提言なんかにそういうことが出ていますが、仮にそれがここにありますB以下のことも示唆しているとすれば遠い夢のまた夢みたいな話でありまして、まず目標とすべきは@の自由貿易協定であろうと思います。
 それで、自由貿易協定とそれじゃWTO、この間、非公式閣僚会議がございましたけれども、どういう関係になっているかというと、二ページにございますように、先ほど深川先生からもお話がありましたが、ガットの二十四条、それからサービス規定のGATSの五条におおむね似たようなことが書いてありまして、物の話で申し上げますと、実質的にすべての品目をそのFTAの対象とすることと、そういうようなことになっております。
 この実質的にすべての品目を対象とすることというのはどういう意味かというと、(3)にございますように、特定のセクター、例えば農産物を丸ごと対象から除くというようなことは許されない。全部含めないまでも、そのセクターをある程度含めないといけない。それから、その国の輸入金額の九〇%以上の品目をFTAの対象にするということであります。
 ここで第三表をちょっとざっとごらんいただきますと、日本へ農産物を供給している上位三十か国というか三十経済であります。一位が米国で、二位が中国、以下カナダ、オーストラリアという具合に続いておりますが、一番右の欄をごらんいただきますと、その国からの農産物の輸入のシェアが、全体の輸入に占めるシェアが出ておりまして、アメリカは二四%は農産物で来ていると。カナダに至っては五一%であるというようなことが分かるわけであります。それで、したがって、農産物を対象にせざるを得ないわけですけれども、それを丸ごと除いたりすることはできないということであります。
 「日本の選択肢」というのが次に書いてありますが、ちょっとそれは後にしまして、日本の現状は、ざっとおさらいをさせていただきますと、三ページにございますように、今まで、二、三年前までは日本はWTO一辺倒と言っちゃ語弊がございますが、端的に申し上げて一辺倒で、WTOだけで参ったわけでございます。
 それは、理由もありまして、メンバー国は、FTAはいいわけですけれども、非メンバー国を差別するわけでございますね、非メンバー国に対しては差別と。WTOの目的は自由、無差別というのが原則ですので、その無差別という方に触れるということで、WTO一辺倒で来たわけです。ところが、それを変更いたしました。そして、どう変更したかというと、FTAだけをやろうというんじゃなくて、WTOとFTAと両方を追求しようというふうに変更したわけであります。
 それで、その変更の大きな理由の一つは、第二表をごらんいただきますと、その変更の時点で、ちょっと古い話ですけれども、ここにシェードを掛けてあると思いますが、シェードを掛けた経済だけがFTAに手を染めていない。今、日本はシンガポールとやったとかいうことですのでちょっと別ですが、その時点で、変更するときの時点では日本と中国と韓国と台湾と香港と、これが世界の、世界経済の九割を占める国三十か国の中で、この五か国というか、五つの経済だけが自由貿易協定に手を染めていないという状況になっちゃったと。そうすると、これは差別だから良くないねなんて言っていても、どこでそういうのを審査するかというと、ガット二十四条の委員会で審査するわけで、その委員会のパネルに出てくる国はおおむね自由貿易協定に手を染めているという状況になりまして、幾ら正論を言いましても勝てないということになっている。そして国際的に孤立をしてきたということであります。FTAを結ぶと非常にその国の間と緊密な関係になります。WTOの交渉を全体でマルチにやるときにも、FTAの国とはどういうポジションになるというようなことで非常に親密になるわけでございます。それで孤立を防ぐということができる。
 それから、先ほど先生のお話にもありましたように、FTAは国内経済改革にプラスになります。例えば、EUの、ドイツの経済省の次官をやった人が日本に来まして言いましたのは、少しはアジアもヨーロッパの知恵に学んだらどうかと。ヨーロッパの政治家、各国の政治家はどうやっているかというと、ちょっと政治家の先生方の前で恐縮ですが、どうやっているかというと、悪いことはみんなブラッセルのせいにすると。悪いというのはつらいことですね。改革の提案その他、つらいことはEU事務局があるブラッセルの決定だと、だからしようがないもんねと。補助金を出すとかいい決定はおれがやったもんねと言ってやっているんだと。それで、そうやって実は改革を進めているのよと。それぐらいの知恵を出したらどうかねということを、日本に対してじゃないんですけれども、アジア一般に対して言っておりました。そういうことでございます。
 それから三番目には、FTAで実はWTOの新しい分野、例えば競争と貿易、独禁政策と貿易というふうなことについて実験ができるわけでございます。WTOでやろうとすると、百四十四か国いるので合意を取るのに大変なんですけれども、FTAだと二、三か国が相手ですので、あるいは相手国だけですので、そこでそういう実験を一応やってみまして、うまくいけばそれをWTOでやってみたらどうだというふうにできると。
 それから、実はFTAを日本が持っていないためにあちこちで実害が出てまいりました。例えばメキシコでございます。メキシコへアメリカ製品が輸出されるときは、NAFTAのおかげで、北米自由貿易協定のおかげでアメリカ製品は関税が掛かりません。それから、メキシコはEUとも自由貿易協定を結びましたので、EU製品をメキシコへ輸出するときも関税が掛かりません。ところが、日本品を輸出するときは、メキシコの平均関税率は一六%でございますけれども、一六%そのままが、平均関税ですからそのままが掛かるとは申し上げませんが、相当の関税が掛かるわけであります。そういうことで競争ができないということになってきました。最近、チリがアメリカと自由貿易協定でほぼ合意しましたし、EUとも合意しましたから、チリも同様なことになる。やがてほうっておくと似たようなことがずっとあちこちで起こるというようなことがありまして、それで方針を、WTOもやるけれどもFTAも追求するということになったわけでございます。
 その結果、先ほどのお話にもありましたように、シンガポールと自由貿易協定を調印して、そして国会の御同意も得て今発効になった、去年の十一月から発効したということでございますし、四ページにございますように、去年の一月に小泉首相がシンガポールを訪問しまして、その他のASEAN諸国も訪問しまして、その際に日本・ASEAN包括経済連携構想というのを発表いたしました。これは要するに日本とASEANの自由貿易協定をやろうという話でございます。それで、それを受けまして、去年の十一月に、十年以内に日本は日本・ASEANの経済連携協定を作ろう、作るべく研究をしようということで合意をいたしました。
 それから、それはASEAN全体との話ですが、(5)にございますように、フィリピンとタイとの間では既に個別にもう勉強会を始めております。それで、最近、これを見て、マレーシアがうちもやりたいという申出をしてこられまして、案を持ってこられたようであります。それから、韓国とは先ほどのような話でやっている。メキシコもやっておると。それで、そういう状況であります。
 国際状況はどうかというと、四ページの下にございます五のところですが、NAFTAが米州全体、キューバを除く三十四か国へ拡大しようということで、二〇〇五年を目標にやっております。これは二〇〇七年まで延びるんじゃないかとか説はありますが、そういうことでやっておりますし、EUは今の十五か国から最終的には二十七か国、トルコも入れば二十八か国という、拡大をすることになるわけでございます。
 それから、したがって、主要な経済圏、米州、それから欧州、それからアジアと、この主要な経済圏で全体を貫くFTAを持たないのはこの地域だけ、アジアだけということになるわけでございます。
 その東アジアでも、AFTAが元々ありますし、それから先ほどお話しの中国・ASEANがFTAを交渉中でございます。日本は研究するという合意しかしていないわけですが、向こうはもう交渉が始まっております。それで、これは非常に野心的でありまして、物の貿易の交渉は来年の六月に完了すると言っております。交渉ですね。その実施はそれから十年掛けたりなんかするんですけれども、交渉に関して言えば来年の六月に完了するというのが中国であります。
 それで、先ほどの授権条項という話がありましたけれども、授権条項だと関税をゼロにしないでもいいんですけれども、ガット二十四条だとおおむね九〇%以上は関税をゼロにしなきゃいかぬわけですが、関税をゼロにしますとASEANと中国が合意をしているわけであります。
 それから、それとは別に、朱鎔基首相は、最後に、日中韓FTAの可能性を検討しようという呼び掛けをいたしております。それから、ブッシュ大統領も対ASEANイニシアチブ計画というのを発表しまして、それでASEANの十か国と個別に、準備ができている国と個別にFTAをやりましょうと言っているわけでございます。
 そういう状況でございますので、日本の選択肢は論理的には次の三つでありますが、まず一は、今、シンガポールとやっていますので、シンガポールとの自由貿易協定だけにとどめて他の東アジア諸国とのFTAはやらないという選択であります。それから第二は、日本とASEANの自由貿易協定だけにとどめてその他はやらないという選択であります。第三は、この私の申し上げるところの東アジア自由貿易協定全般をやるということであります。
 私の個人的な提案は、できるだけ早い時期に東アジア自由貿易協定全般をやりましょう、やるようにしていただきたいということであります。
 それで、なぜかということでございますが、まず、一番目の日本とシンガポールだけにとどめて日本・ASEANをやらない、こうなりますとどうなるかといいますと、中国・ASEANは、さっき申し上げたように来年六月に協定が、交渉が終わるわけです。そうすると、結論から申し上げると、日本の空洞化が促進されて、もっと失業率が増えるということでございます。
 なぜかと申し上げますと、日本からASEANに輸出するときは関税が掛かるわけです。ASEANの関税というのは物すごく高いわけです。それで、ところが中国からASEANに輸出するときは、自由貿易協定ができますから、関税が、ASEAN側の関税が掛からないわけですね。そうすると、さなきだに中国へ移動している日本の企業は中国へ投資をして、中国から輸出するようにしようということになっちゃうわけです。逆もそうですね。ASEANから中国へ輸出するときには関税が掛からないわけですから、中国の関税ももっと高いわけですから、ASEANへ日本の企業を出していこうということになって、さっきの深川先生の言われるように、企業は何とかするかもしれないけれども、日本の国内の雇用はどうなるのさというところは困るわけです。ですから、中国がASEANとやることが確実である以上、日本もASEANとまず必ずやらなくちゃいけない、こういうことであります。
 それから、それじゃそこでとどめたらどうかという御意見もあろうかと思いますけれども、そこでとどめるとどういうことになるかというと、この地域に、東アジア地域に日本・ASEANというグループ、それから中国・ASEANというグループ、こういうふうに少なくとも二つが併存するような状況になるわけですね。それで、自由貿易協定の良さは、やがてそれが、先ほど申し上げたように、あるいは共同市場に発展するかもしれないというようなことがあるし、それからそれを土台に、自由貿易協定を土台に通貨協力が行われるとか、あるいは安全保障の協力も行われるとかいうことになり得るわけでありますけれども、現にEUの発展なんか見ているとそういうことが考えられるわけですが、それが二つに割れていて、中国・ASEANというのと日本・ASEANと、こうあるとどういうことになるのか、具合悪いと。
 それからもう一つは、さっき申し上げたように台湾でございますが、台湾はASEANのどの国の経済規模も凌駕する倍ぐらいの大きな経済体でありますが、これがはぐれガラスになるわけであります。そういうこともありますので、台湾も含めて全部入れた自由貿易協定を作るということが焦眉の急であろうと思いますし、実はこの六ページの冒頭に書いてございますように、東アジア・スタディ・グループというのがASEANプラス3の枠組みの中でできておりまして、そこから各国経済大臣、日本で申し上げると平沼経済大臣ですが、は宿題を出されているわけです。宿題は、東アジア自由貿易協定の設置についてどう思うかということでありまして、その回答を今年の十一月のASEANプラス3の首脳会議に出さなくちゃいけないという、そういう立場に今、日本のみならず、ほかのASEANプラス3の国々も置かれているわけでございます。
 そういうことでもありますので、具体的に申し上げれば、この秋の日本政府の回答は、東アジア自由貿易協定をできるだけ早く作ろうということであってほしいというのが私の切なる願いであります。
 それで、その際の問題点がしかし幾つかございます。
 第一は、先生方お詳しいように、農産物の問題でございます。ただ、私、個人的な意見ですが、これについては幾つか申し上げたい点があるんですが、農産物は、どうしても食糧安全保障上譲れない品目というのがあるとすれば、その品目は断固として守るということにしたらよろしいかと思います。断固としてそれは守る、しかし、その品目はできるだけ数を絞ると。そして、それ以外の品目は、断固として守る品目を守るために十重二十重に取り囲んだりしないで、それ以外の品目はできるだけ自由化するという方針にしていただいたらどうかと思います。
 それから他方、今食糧安全保障とおっしゃる割には、輸出国、農産物の輸出国が輸出制限をしたりすることについての規律がガットでは不十分なわけです。昔のガットはどうなっていたかというと、農産物輸出国の需給、農産物の需給が逼迫したときには輸出制限をしてよろしいと書いてあったわけです。それで今も書いてあるわけです。今も書いてありますが、WTOの下では相手国と相談しなくちゃいけない、協議しなくちゃいけないという規定が入りましたが、しかし協議ですから、協議が調わないときは輸出規制はできるわけです。そんなことじゃ食糧を輸入に依存するわけにいきませんので、この輸出規制は是非撤廃、そういうことができる規定は撤廃して、輸出国の消費者も輸入国の消費者も同じように自由貿易の利益を均てんできる、あとは価格だけの勝負ということにしてもらわないといけないと思います。
 そんなこと言ったって逼迫したときには駄目に決まっているよという御意見もありますが、今はそういうことが適法に行われるようにWTO上なっているわけですから、少なくともそれが違法になるように直さなくちゃいけない。農林水産省はその点を当然熟知しておられまして今回のWTO交渉で出しておられますが、それをFTAの方でも入れたらどうかというのが私の申し上げている点であります。
 それから、農水省の方の一部に懸念があるのは、WTOはまだいい、関税をゼロにしろなんて言わないもんね、ある程度率を減らせということになるのに、FTAの方は関税を九〇%の品目についてゼロにしろと言ったりしているんだから、こっちの方がきついよねということをおっしゃる向きもあるんですが、実はこの間の非公式閣僚会議でも、WTOの非公式閣僚会議でも明らかになりましたように、WTOの世界では例えば、これは提案でしかありませんけれども、九〇%以上の関税の品目は、その最低四五%の関税、四五%に相当する関税を削らにゃいかぬというようなオファーが出てくるわけですね。そうすると、さっきの食糧安全保障上どうしても守らなくちゃいけない品目も、そういうのの観念的には対象になってくるわけです。
 そういうことよりは、FTAの方で特定の品目、要するに九〇%は自由化しなくちゃいかぬわけですけれども、残りの方の一〇%の方に食糧安保上どうしても守らなきゃいけない品目を整理すれば、そうすればFTAの方は可能になるわけでございまして、FTAが一概にWTOより具合が悪いということは、農林水産的な見地からごらんいただいても、そうではないんじゃないかと思います。
 それで、ラフな計算でございますけれども、アジア諸国からの輸入のうち、仮定ですけれども、工業製品の関税を全部ゼロにする、そして農林水産物の関税は五%未満の、あるいは五%以下の関税が掛かっているものだけを関税をゼロにすると。やると、大体その輸入の九〇%をカバーできます。ですから、それほど難しいことを申し上げているわけではないと思います。
 この東アジア自由貿易協定の実現のための第二の問題点は、中国でございます。
 中国は、先生方御案内のとおり、社会主義市場経済を標榜いたしておりますけれども、しょせん共産党政権であります。共産党の議員の方おられたら失礼したいと思いますけれども、共産党政権であります。それで、その共産党政権、一党独裁の政権と本当に自由貿易協定といって抱き合えるのかという基本的な問題があります。
 それから、もっとテクニカルに申し上げれば、WTOに中国は先ほどのお話のように加入したばかりでありまして、WTOの約束を守れるかどうかも分からぬわけですね。それで、それをよく見なくちゃいかぬという問題もあります。
 それから、もっとテクニカルに申し上げると、実は中国がWTOに加盟したときに対中特別セーフガードという特別の制度ができました。普通のセーフガードは、セーフガードと称して輸入制限をするときには全加盟国を相手に輸入制限をしなくちゃいかぬわけです。そこからの輸出が増え、例えば韓国からの輸出が増えているといっても、韓国をねらい撃ちにするなんということはできないわけです。ところが、対中特別セーフガードは中国をねらい撃ちにしていいという合意ができているわけです。中国の加盟の条件であります。
 それから、一般的には、日本が昔やらされた輸出自主規制というのがございますね。セーフガードに替え、自分が輸入制限をするのは、手を汚すのは嫌だから相手国に輸出制限を頼む、輸出規制を頼む、自主規制を頼むということがWTOではこれは禁止されたわけです。輸出自主規制は要求してはならないと、今度そう決まっているわけですけれども、中国に対してだけは輸出自主規制を要求していいという条件が付いたわけであります。
 それで、この対中特別セーフガードというのは、中国が加盟してから十二年間有効なわけです。今からしたがって十一年有効なわけです。
 その前に、東アジア自由貿易協定を作って、自由貿易だもんねといって中国からの輸入はどんどん自由で日本に入ってくる。対中特別セーフガードの適用もできないというようなことになると、EUはそれができる、アメリカはそれができるのに、日本だけがその権利を放棄していいのかという問題もあります。そういう問題。
 それからもう一つは、台湾と中国の関係というのがあります。台湾を東アジア自由貿易協定に入れることについて中国は快く思うかどうかという問題があります。それから、台湾も中国と自由貿易協定をやるのを快く思うかどうかという問題があります。
 そこで、くどくど申し上げて恐縮でしたが、私の個人的な提案は、東アジア自由貿易協定の中にガット三十五条のような協定の不適用という規定を特別に入れておいたらどうかということでございます。日本も中国も台湾も韓国もその他もみんなメンバーになると。そして、一つ傘の下、東アジア自由貿易協定という傘の下に身を寄せるんですが、その特別の条項を援用すれば、その二か国間の間では自由貿易協定に当分入らないでいいという規定を設けたらいいんじゃないでしょうかということであります。
 それから、最後でありますけれども、最後の課題は、政治家の方々のリーダーシップであろうと思います。東アジア自由貿易協定の実現に向けて、いろいろ御意見はおありとは思いますが、是非積極的なリーダーシップをお取りいただけると幸いだと念じております。
 ありがとうございました。
#7
○会長(関谷勝嗣君) 大変ありがとうございました。
 これより質疑を行います。
 本日も、あらかじめ質疑者を定めず、質疑応答を行います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
 できるだけ多くの委員の方々が質疑を行うことができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いいたします。
 また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 また、これはいつものとおりでございますが、理事会協議の結果ではございますが、まず大会派順に各会派一人一巡するように指名をいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、山本一太君。
#8
○山本一太君 両参考人の大変すばらしいプレゼンテーションに感銘を受けました。ありがとうございました。
 私は、国会議員になってからずっと日韓の若手議員交流というのをやっておりまして、日韓関係は政治家としてのライフワークの一つだと思っています。
 今日は、私が韓国専門家として大変尊敬する深川由起子先生がお話をされるということなんで、通常はほかの人に譲るんですが、私がやる以外にないなと思って手を挙げさせていただきました。
 韓国のことをまず一問、深川参考人にお聞きしたいと思うんですが、FTAについては、深川さんの御説明をいろいろ聞いていまして、最大限のレベルで実現しても日本のGDPを〇・三%ぐらいしか押し上げないという話はややがっかりしたんですが、その後、畠山会長の話を聞いて、そういったGDP押し上げ効果だけじゃなくて、やはり域内の協力といいますか、FTAができるということは、そこに通貨の協力とか、あるいは安全保障の協力とか、グリコの大きなおまけが一杯付いてくるということも分かりまして、やっぱりFTAはメリットがあるということを自分の心の中で再確認をさせていただきました。
 域内のFTAは、深川さんおっしゃったように、いろんな方法で発達していくプロセスが考えられると。そこは畠山会長と深川さんの御意見は違ったみたいなんですけれども、関税同盟みたいなものにぶら下がる形でできてくるという形態もあると思いますし、やっぱりバイの積み上げでいくという方法もあるんではないかというお話だったんですけれども。
 私は、特に深川参考人にお聞きしたいのは、日韓のFTAの問題だと思うんですね。先ほどからFTA、日本がFTAを進めていく上で一番の障害は農業だというお話がありましたが、これ、日韓のFTAができるかどうかというのは非常にシンボリックな話だと思っております。
 今日は農政の専門家も一杯いるので私の考えをごく簡単に言いますと、やっぱりこれは日本の国内の農政の問題ではないかという気がしています。新しい農業基本法で日本は米の政策なんかについては一歩先に踏み出して、多少、多少といいますか、一つは市場原理を導入していこう、デカップリングもやりながら市場原理を導入していこうという哲学と、もう一つは選別主義というものがあったと。
 私は、農業の自給率ということについてはやや実は疑いを持っていまして、自給力というもので農業を考えていくべきだと思っているんですが、本当に日本の農業を担っていくコアの四十万人、五十万人にきちんと絞ってリソースを使えるような、そういう政治的判断をしなければいけないんじゃないかと思っているんです。
 そういう意味でいうと、例えば、非常に極端ですが日韓でFTAをやると。例えば大事な四十万か五十万人のコアグループの方々が作る農産物、さっき日本の食糧安保にとって大事な農産物という話がありましたが、例えば米でもいいんですけれども、極端な話、この四十万人の方々についてはもう所得補償をやっちゃうということにして全体にFTAを掛けて、FTAのメリットが、つまり関税を下げて一部の産業に対して非常に、何というんですか、難しい状況を作るというデメリットをしのぐという判断でやっぱりFTAをやるという、そういう方向になっていく以外、なかなかFTAを実現させようという政治的な意思が出てこないような気もしているんですけれども、韓国の方の事情はどうなのか、今の話について深川参考人がどう思われるかということを是非お聞きしたいと思います。
 もう一つは、あと一分ちょっとあるので、畠山会長には中国のことをちょっとお聞きしたいと思うんですが、先ほどいろいろな新しい御提案を伺って大変参考になりました。改めて細かく勉強させていただこうと思っているんですけれども、会長おっしゃったように、私、中国がWTOに加盟したときに、これで一体やっていけるのかなという疑問を持ちまして、とにかくWTO加盟の条件が厳し過ぎると。さっきお話がありました対中国特別セーフガードとか自主規制とか、こんな状況で本当に中国がWTOに加盟してこういう要件を満たせるんだろうかという疑問をずっと持っておりました。
 実は、中国でビジネスをやっている私の友人に聞いたら、これはできっこないと。じゃ、どうするのかと。中国は約束を守らないでいくんだという話があって、WTOは一杯いろんな問題を一遍に取り上げられないから一杯問題が出てきて、それを一杯やっているうちにうやむやになって進んでいくんじゃないかというような話もあったんですが、そこら辺について今の実態がどうなっているのか。あるいはそこら辺、本当にWTOの枠組みの中に今の中国の経済の状況、状態を考えてこれを取り込んでいけるのかということについて、それぞれ今の点で両参考人に一問ずつお答えをいただければと思います。
#9
○参考人(深川由起子君) 御質問ありがとうございました。
 韓国については、韓国自身も決して農業強国では、山本議員もよく御存じのとおり、農業強国ではございませんで、実はWTOではともにむしろ防戦のサイドで協力しているという相手なんですね。FTAというのは片一方だけが下げるわけではございませんので、日本に約束してしまうと、農水産物の関税は日本が平均一二%だとすると韓国は六四%で、はるかに韓国の方が高いんです。これを下げる負担というのはやっぱり韓国には物すごく重いので、実はうちの方が農水産物は有利だから、じゃ全部、日本は開けてもう丸裸になれと韓国側が言ってくるかどうかというのは分かりません。なので、日韓イコール農水産物、シンガポールと違ってあるんじゃないかというお話、いつもあるんですけれども、ちょっとそこはまだ全然詰めていないんですね。
 ただ、韓国は最近チリとFTAを結びましたけれども、韓・チリのFTAのプロセスを通じて農民の方の反対というのはすさまじいものがあったんです。韓国の農家というのは借金漬けになっていまして本当に非常に深刻な状態なので、今の盧武鉉政権というのはそういうところをやっぱり決して無視できない政権ですので、むしろFTA全体の速度は、日本に対してだけというのではないんですけれども、FTA全体の速度はやっぱり落ちてくる可能性はあると思うんですね。
 ただ、そういう中では、世界で唯一日本だけが韓国にとっては割と農水産物問題から自由にFTAができる相手であるというまた特殊な事情もあって、韓国はそこは余り深刻に考えていない面というのがあると思います。
 ただ、ともに方向性は非常に似ていて、高齢化もしていますし跡継ぎもいないですし、その一方で環境保護も非常にきつくなってきていて、それに乗じて新しい農業のやり方はあるんじゃないかと。やっているような方向性というのは全く同じですので、そういう問題を一緒に考えていく相手というふうに私は考えていますし、それから日本の農水産物に本当に競争力はないかというと、やっぱり売れるものも私はあると思っているんです。
 例えば、韓国は多分ミカンはほとんど作っていませんので、済州島の農家は若干作っていますけれども、さぞや日本のおいしいミカンを買っていただいて冬のビタミンCを補っていただくのもいいと思いますし、そういうことは、やっぱり近いだけにきめ細かく考えていける相手であるというのが、私は日韓の間で農水産物は救いの道はあると思っているんです。むしろ、農業よりも水産物、魚の方がはるかに深刻な問題ですので、これの方が政治的なセンシティビティーをはるかに要するのではないかと思います。
 ちょっとストレートにお答えになったかどうか分かりませんが。
#10
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 中国がWTOをよく守っているかどうかと、加盟後ですね、という点でありますけれども、必ずしもよく守っているとは言い切れないと思います。
 例えば、例でございますけれども、カラーフィルム、フィルムですけれども、の関税は、それに限りませんけれども、従量税ではなくて従価税にしなくちゃいけないというふうに決まっているわけです。従価税にいたしますと言っているのに、従価税だと四二%ぐらいなんですけれども、それを今、従量税にしているものですから、計算すると一〇九%になるとかいって日本政府は文句言っているんですけれども、なかなかそれに従わないというような状況になっております。
 それから、御存じのように、知的所有権の分野では、これは中国は守ると言っていますが、あちこちでほころびが見えるということですので、十分に守っているとは言い切れないと思います。
 ただ、それなりに中国もWTOに入ることによって国内改革を進めようという政治的な意図がありましたから、姿勢としては守ろうという姿勢が少なくとも朱鎔基首相にはありまして、その体制が今後も引き続けばだんだん改善はしていくんじゃないかと思います。
 中国への加盟条件が厳し過ぎたというお話がありましたけれども、私も個人的には同感ですが、ただ、これは、日本は一九五五年に入りましたときにガット三十五条というさっき申し上げたやつを英国とかフランスとかヨーロッパの主要国から適用されちゃいまして、ガットの日本はメンバーにはさしてあげるけれども、あんたとはガット関係に入らないからねと言われたわけですね。そのガット三十五条援用撤回交渉というのが昔の通商政策の一丁目一番地の政策だったわけです。
 そんなこともありますので、それを避けようと思って対中特別セーフガードを中国は受け入れたということですので、バランスの問題もあるかなという感じがいたします。
 以上でございます。
#11
○会長(関谷勝嗣君) 次に、藤原正司君。
#12
○藤原正司君 畠山先生にお尋ねしたいんですけれども、日本のFTAを考える場合に、できるだけ質の高いFTAを考えていく必要があると。そういう中で、先ほど山本先生の話もありましたように、最も大きな障壁が農業問題にあるというふうに言われております。私自身も田舎の出身ですし、選挙で全国回っておりますと、高い銭を掛けて圃場整備をやった田んぼが全部休耕田になっている姿を見まして、本当情けないと。友達が二町二反の田んぼを持っていて、そのうち一町二反は休耕田だというのを見ていて、我が国の食糧の安全保障というのは、あるいはそういう保障論から出た金の使われ方というのはどういうものが最も望ましいのかということで大変反省すべき点はあるというふうに思うんですけれども。
 ただ、問題は、我が国が何で稼いで食っていくのかという、産業構造というもののもっと大きな姿を描いた中で、その中でFTAの重要性、WTOへの対応の重要性を考えながら農業問題も含めて考えるということが本当は大事な、それはまた政治家の仕事なんでしょうけれども。
 その意味では、本当はその横っちょに農水省の人に座っていただくのがある意味では一番いいのかもしれませんけれども、もう少しFTAを進めていく上で、我が国のこの農業問題について、先生は農業をやっておられるわけじゃないんですけれども、むしろ先生の立場から見て我が国の農業の在り方と農業政策の在り方、あるいはもっと具体的に言えば、先ほど関税にも言及されておりましたけれども、何か平均関税は一二%だというふうに農水省は言っているわけで、それをひっくり返して言えばゼロにしてもいいじゃないかという論理もあるし、五百品目は非関税、関税掛かっていないという論理は、これもまた外してもいいじゃないかという論理に替えられるという話もちょっと読ませていただいているわけですけれども、そういう意味で、我が国がこれから自由貿易を拡大し、そして域内でできるだけイニシアチブを取っていくという上で農業問題というのは不可欠の要素だと思いますが、現実にどういうふうな形で進めることが可能なのか、お考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
#13
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 私も、御指摘のように農政の専門家じゃございませんので、貿易という狭い見地から日ごろ感じておりますことを申し上げさしていただくにとどめたいと思いますけれども、やはり農産物の世界も、その他工業製品及びサービスの世界と同様に、この自由主義市場経済の下では、やはり一番大事なのは競争力だと思います。競争力を保たないで、未来永劫特定の産業を保護していこうというようなことは、農産物に限らず許されないことだと思います。
 それで、無論、先ほど申し上げましたように、日本の食糧安保上どうしても確保しなくちゃいけないというものは、競争力といいましても適当な猶予期間を設けるとか、漸減措置にとどめるとかいうことにすべきだと思いますけれども。
 したがって、この間のWTOのことで申し上げれば、あれは、九〇%以上の関税を張っている品目については平均六〇%下げろと、最低四五%下げろと、こういうことになっているわけでございますけれども。
 ただ、あれをよくごらんいただきますと、発展途上国に対しては戦略品目というのが認められると。戦略品目というのは数品目のようですけれども、それについては一〇%の引下げでいいよということになっているわけですね。そういうようなことを、発展途上国だけじゃなくてやはり先進国にも広げていくというようなことが必要だと思います。
 それで、競争と申し上げましたが、FTAに関連して申し上げますと、カナダのワイン産業という例がございます。カナダのワイン産業は、例えばカリフォルニアのワイン産業と比べて、普通に、常識的にお考えいただきましても、全く競争力がないと。温暖なカリフォルニアで育つブドウとあの寒冷地で育つブドウじゃ全く品質に差があるということで、米加自由貿易協定ができるときに最後まで反対したわけでございます。しかし、時のカナダの首相のマルルーニさんはそれを押し切って米加自由貿易協定を結んで、そしてワイン産業を例外品目にしなかったわけでございます。
 そうしたら、カナダのワイン産業はどうしたかというと、陸続とミッションをフランス、スペインに送りまして、そして寒冷地に適したブドウの種を発見したわけでございます。そして、今、カナダのワインというのは世界に冠たるワイン産業になっておりまして、しかも、その余勢を駆ってアイスワインという新しいワインとして、通常のワインじゃありません、食後酒でございますけれども、非常に高級なものを作りまして、それで隆々と栄えているわけでございます。
 そういうこともありますので、先ほど深川先生からもお話がありましたように、やはり農業も競争をやっていけば、そうすれば強くなる部面も大分日本の場合あるんじゃないかというふうにも考えますので、そんなふうに日ごろ考えております。
 ありがとうございました。
#14
○会長(関谷勝嗣君) 高野博師君。
#15
○高野博師君 このFTAに関して、私も何度か質問をしてきたものですから、これまでの参考人も、若干繰り返しになるんですが、一つだけお二人にお伺いしたいのは、朝鮮半島を、北朝鮮がいずれ遠い将来か近い将来か、そんな遠くない将来に朝鮮半島が統一が成ったときに、これは私は東アジア自由貿易圏の中に当然組み入れるべきだと思っているんですが、韓国がどんどんFTAを進めていると一方で、後から、どういう形で統一になるか分かりませんが、恐らく政治的、経済的に統一されるんだと思うんですが、そうなったときに何か障害があるのかどうか。
 私、農業問題ということで、この統一が成ったときにはいろんな問題が出てくるだろうと思うんですが、それはやむを得ないのかなと。しかし、いずれにしても半島の、あるいは東アジアの平和と安定のためにはそういう経済圏に組み入れる必要があるんではないかと思うんですが、その辺何か御意見があったらお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは農業関係ですが、畠山参考人の御意見はよく分かりましたが、深川参考人にも同じように、今後、日本の農業の構造改革はどうやって進めたらいいのか。先ほどから出ています食糧の安全保障という、これは世界全体の食糧、絶対量が減ってくるわけですから、こういう意味では食糧自給率を高めるというのは一理あるわけですが、そこで絞るという考えもあると思うんですが、あるいは輸入先の多角化とかいろいろあるんですが、絶対量が減ってくる中で、ある程度の自給率の確保をする必要があるのかなという、これは各国が努力していると思うんですが、そうするとなかなか構造改革というのは進まないんじゃないかなと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
#16
○参考人(深川由起子君) 私は自分の本当の専門分野は朝鮮半島でございますので、日韓の間の自由貿易協定、いろいろ考えるところあるんですけれども、やっぱり別に韓国と、今私も日韓の産官学の共同研究会の委員でございますけれども、我々の立場は非常にクリアでして、韓国は今、南北間の貿易を貿易と呼んでいません。つまり、輸出輸入と呼ばないで、それは自分の国なんだから、本当は一つであるべき国なので搬出搬入というふうに呼んでいて関税を掛けていないんですね。このシステムは、もし日韓でEPAができたとしても、私たちの取りあえず考えているのは関税同盟でもないし、全く韓国だけを相手にしているものですよというところは割とはっきりしているんです。
 ただ、ロングタームに見なくて、もうそろそろ、朝鮮半島はいつというのはまたいろいろ議論があると思うんですけれども。私は、日韓EPAが持っているすごく政治的な意味というのは、やっぱり我々にとって、じゃ北朝鮮がもし、もちろん今の体制のまますぐに支援するということはもちろん到底できないんですけれども、もし自壊したりして勝手に崩れてしまった場合、あるいは韓国の太陽政策が効き過ぎて本当に崩れてしまったような場合というのは、北もさることながら北の経済が崩壊しても世界に与えるインパクトはほとんどどうってことはないんですけれども、元々孤立していますので。引きずられて韓国が崩れていくときというのは、やっぱりロシアより大きい経済ですからインパクトはとっても大きいですね。特に、我が国の場合は、中小企業の輸出、韓国四番目のマーケットですから、やっぱり大きなマーケットになっていますし、インパクトはいずれにしても大きいんで、そのショックはいずれにしても来ちゃうわけです。
 その中で、かつ、じゃ今度はFTAの関税引下げだけの話ではなくて、通貨とか金融の面がすごく重要だというのも日韓にはそこにもう一つあって、今、円が一番使われている外国というのは実は北朝鮮ですね。非常に在日の方とのやり取りも多いですし、実はもう既に円圏が皮肉なことに北朝鮮にはできてしまっていて、それはやっぱり歴史的なものがあって、我々は隣から引っ越せないんで巻き込まれないという選択肢はない。しかも、朝鮮半島でもし何かあった後に最初に入っていくマネーはドルじゃなくて多分円ですね。どういう経緯であったとしてもリーズナブルな交渉がいつかできれば、多分それなりの保障はしていくことになるわけですから、北に。
 そうすると、円で北に唯一の所得が発生するとすると、それに向かって、じゃ、それの前に日韓の間で円・ウォンの相場が立っていて、円・ウォンで非常に決済ができるようなシステムができていれば非常に北朝鮮をうまく巻き込んでいく一つのきっかけにはなりますし、それから、私たちもう年取っていますので、北朝鮮の田舎まで行って技術指導とかまた一々やるのは面倒くさいですから、韓国がやってくれれば言葉も通じますし、それにこしたことはないんで、そういう意味ですごく戦略的なものというのはあると思うんですね。
 今、だんだんそういう方に向かって、現実にはそれは決してだれもコミットしないんですけれども動いていて、例えばカンボジアとかミャンマーあるいはモンゴル、ベトナム、こういう後発の社会主義国というのは、日韓の援助連携って割とうまくいっているんです。韓国は自分が貧乏であった時代のことをいろいろ教えてあげて、日本がお金を付けたり、日本が奨学金出したりする中でうまくやっていることたくさんあって、それのやっぱり韓国は最終的には自分の最大の応用の場は北朝鮮だというふうに思ってやっぱり確実にやっていると思うんですね。
 EPAの場合、やっぱり重要なのは民間のマネーですから、もちろんODAはもうありますけれども、民間のマネーがODAに加えて日韓の間でスムーズに流れているから、多分すごい大きなショックがあったとしても、暗に多分、国際社会は多分日本は韓国を支えるだろうと思うでしょうから、韓国の暴落というのは避けられて、韓国が崩れるとまた北もだれも支えてくれなくなっちゃうので、そういう形で日本がすごくすごく遠いコミットをしていくという、すごく遠回しなコミットなんですけれども、歴史的な意味というのはやっぱり私は非常に大きいと思っているんです。
 韓国にもそれが一番負担がない。つまり、リターンを保障してあげる間柄ですので頭を下げる必要がない。政治的に韓国には負担がない。どうしてもいつも頭越しにまた日朝でやるんじゃないかというヒステリーが韓国には常にありますから、それまでこっちに向けられると非常にいろいろ摩擦も多いので、その暗のコミットというあいまいさというのが私は政治外交的には非常に意味があると実は思っています。
#17
○参考人(畠山襄君) 今の北朝鮮の問題でございますけれども、南北の統一が実現しました暁には当然、東アジアは自由貿易協定の当事者になるんだろうなというふうに思います。
 ただ、今もお話が出ましたように、その統一の仕方でありますけれども、今恐れられているのは、先ほどのお話にもありましたように、北の負担が韓国の足を引っ張っちゃうということですね。ちょうど東独が当時の西独の足を引っ張って、ドイツ経済が今も調子が悪いのはあの東独を吸収したときの負担に悩んでいるからであると言われるわけですけれども、同じようなことが韓国に起こっては困りますので、そういう観点からいうと、確かに憲法上、今、関税は両方で掛けていませんし、北朝鮮から輸出するときも掛けていない、それから韓国から輸出するときも掛けていない。お互いにお互いが一国だもんねと、どっちの一か国か分からないんですけれども、そう言っているわけでありまして、しかし東アジア自由貿易協定に当事者として入ってきた韓国が非常に困るということでは困りますので、できれば少し南北の間で経済の賃金格差とかそういうものはしばらく残しておいて、人の移動の自由なんかをすぐには実現しないで、漸次解消していくと。韓国から例えば北朝鮮へ投資が行くというような格好で、それで漸次北朝鮮の経済が成長していくというような形が望ましいのかなというふうに思っております。
#18
○高野博師君 ありがとうございました。
#19
○会長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、井上哲士君。
#20
○井上哲士君 まず、深川参考人にお伺いをいたします。
 東アジアの経済統合のメリットで非常に人的交流のことを言われたのが大変印象的だったんですが、文化、観光、環境、医療、福祉立国の後背地の確保というようなお話がありまして、医療や福祉のニーズのことがお話がありました。東南アジア等での医療問題といいますと、いわゆる海外援助という発想しか私余りありませんでしたので、こういうお話、大変興味深かったんですが、日本国内に来ての高度医療のニーズもあればあちらに行くということもあろうかと思うんですが、その辺でもう少し詳しくどういうことがあるのかと、それからそれをやる上でどういう問題をクリアをする必要があるか、それから現に一つのビジネスとしてそういうようなことで今の現状でもそういうことを取り組んでいるようなところがあればもし、教えていただきたいなと思います。
 それから、畠山参考人にお伺いをいたします。
 韓国の盧武鉉新政権ができて、先ほど深川参考人からは、農業問題とかがあってこのFTAの問題は少し足踏み的なこともあるかのようなお話もありましたけれども、これは畠山参考人は今のところ方針待ちというのがこのレジュメにはありましたけれども、お持ちの情報なり又は観測でどういう方向に進んでいくのかということがあれば教えていただきたいのが一つ。
 それからもう一点は、農産物の問題で、食糧安保上必要な品目は断固守ってというお話がありました。WTOとFTAとの違いのお話もあったわけですが、現存するFTAの中で、こういう観点からこういう食糧については断固守るということでやられているような国、品目があればこれも教えていただきたいと思います。
 以上です。
#21
○参考人(深川由起子君) 先ほど、農業の構造改革についてお答えを忘れてしまいましたので、若干手短に最初にお答えさせていただきます。
 私は、日本の農業の構造改革というのは、やっぱり技術とマーケットと安全というこの三つをキーワードにしていくべきで、もちろんコストという要素はあるんですけれども、ひとつ考えていくべきだと思っているんです。
 日本の作っている農業製品を買って帰るアジアの人って実はたくさんいまして、私の友人もいつも日本のお米はおいしいといって韓国に買って帰っていますけれども、じゃ、どうしてそういうおいしいお米ができるかといえば、やっぱり日本人の極度に丹精してしまう性格と丁寧にやるというのとやっぱり技術なんですね。そこで競争力があれば何もずっと無駄なことをやり続けなくてもいいわけで、もう一度正道に返って考える時期に来ていると思っています。
 それから、多分、中国の水危機は非常に深刻な状況になる可能性というのはいつでもあるわけですし、環境も非常に劣化していますので、安全な食べ物というのはアジアの一つの大きなキーワードになっていきます。そのときに、日本のほとんど非常に神経質な消費者を相手にして作ってきた農業というのは非常に安全だというブランドを確立すれば、買える購買力というのは必ず存在していますので、新しい農業のやり方を考えないと、いつまでも安い輸入品が入ってくるから守って守って守ってという構造では立ち行かないと考えております。それは、韓国が割と中間層が豊かで、金持ちがブランド品に糸目を付けないというメンタリティーを持った国民なんで、まずここで実験してという構想を私は割と持っているんです。
 それから、医療のお話がございましたけれども、今、アジアは年金・医療保険改革をみんな一斉にやっておりまして、これは高齢化がきつくなってきているので、中国といえどもみんなやっているんですね。やっぱり人間ですから、年取ってくれば穏やかに安全に過ごしたいですから、それはアジア人でもみんな同じなわけで、やっぱり日本が一番先にそのマーケットがあるわけなんで、一番効率が良くて、アジアの社会ですから、やっぱりある種の平等感のあるシステムを維持したいというのが物すごく強い願望としてあるので、そこでいいビジネスモデルを作ってくれればそれをまたコピーしてうちもやろうという人たちは非常にたくさんいますし、すごく大きな潜在的な日本の洗練された医療サービスへのニーズというのはあると思います。それはまず日本で開発しないといけないと思うんですけれども。
 そのときにやっぱり大きく出てくるのは人の移動なんですけれども、アングロアメリカンの国同士は医者の資格は共通化がある程度されていまして、オーストラリアとかアメリカの間というのは医者の行き来というのはできるんですね。日本も、かつてへき地医療のところにお医者さんがいなかったので、日本時代に日本で資格を取った人たち、これは日本語もできましたし、日本の医学部を出ていましたので、この韓国人に来て行ってもらっていた時期ってあるんですね。
 だから、多分、非常に文科省さん、法務省さん、厚生省さん、みんなとってもお固いですけれども、こういうたぐいの話に関しては、ただ、すごく韓国からも、日韓の自由貿易協定で、じゃ共同研究をやってもいいし、それからお互いの情報、遺伝子はほとんど似たような構造、似た体質を持っているので、もっと情報公開してお互いに共同研究してもいいし、いろんなやり取り、よく緊急の輸血とかもやり取り既にしているんですけれども、協力の分野は一杯あるし、もっとやろうよねという話はあるんですけれども、なかなか結構バリアは非常にきついということなんです。
 ただ、アジアにできなくて日本にできることというしか我々が競争力を維持できる道は当然ないので、そうすると、すごくきれいな水、空気の世界か、マーケットが既に物すごく大きくて立派に存在している医療サービスというのは、私はもっと戦略的に考えていくべきで、世界で一番健康に長く生きるというブランドを、だれでも既に知っている確立されたブランドなので、それを活用しない手はないというふうに思っております。
#22
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 二点ございましたけれども、第一点目の韓国の今後の方向はどうなるだろうかというお話でございますが、今まで入ってきています情報では、盧武鉉新政権はまだFTA問題についてまでは勉強が行き届いていないということでございまして、そのことから想像するに、特段異議があるわけではなかろうということでありまして、したがって金大中政権の方向をそのまま踏襲していくのではないか、とりあえずそう考えられるということでございます。したがって、日韓自由貿易協定もそれなりに前向きに進んでいくんではないかというふうに思われます。
 ただ、日韓自由貿易協定は交渉終了が二年後というふうになっておりまして、この二年というのはこの日進月歩の世の中でちょっと遅過ぎるので、一年後ぐらいまでに是非完了するようにしていただきたいものだというふうに思っております。
 それから、農産物の食糧安保にも関連して、今、既存の協定の中で、食糧安保で重要だからこの品目は除くとか、そういう前例があるのかというお尋ねだったと思いますけれども、まず日本については、シンガポールはどうやったかというと、農産物を対象にいたしましたけれども、無税で、今既に無税のWTOに登録をしている、したがってWTO上お約束を申し上げている、そういう品目と、それからWTO上お約束は、ゼロにしますと約束はしていないけれども、しかし実際上ゼロの品目、実効税率がゼロという品目と、その両方を対象にするということになっております。それ以外は逆に言えば対象じゃないということでございますので、これはどうも個人的な見解では、食糧安保にも関係ないものも対象外になっちゃっているんじゃないかなと思いますが、そんな余計な話は別にしますと、そういう状況になっております。
 それから、メキシコとは今、協定の交渉をいたしておりますが、これは八〇%が工業製品でございますので、残りの二〇%ポイントのうちの半分をクリアすればいいという方向で農水省さんが品目を検討しておられるということで、その対象にする一〇%でない方の残りの最後の一〇%の方に食糧安保上重要な品目が残るのではないかと想像いたしております。
 それから、お尋ねが各国の例ということであるといたしますると、チリと、この間韓国が済みましたけれども、韓国は例えばリンゴとかナシとか、そういうものを例外にしたということでございまして、これが食糧安保という概念かどうかはちょっとよく分かりませんけれども、そうやっておりますし、それからもっと前の米加自由貿易協定では、アメリカがピーナツとかそれからお砂糖とか、そういうものを例外にいたしておりますし、カナダもそれなりの品目を例外にしているという前例がございます。
 以上でございます。
#23
○会長(関谷勝嗣君) 大田昌秀君。
#24
○大田昌秀君 深川参考人にまず一問、それから畠山参考人に一問ずつお伺いしたいと思います。
 深川参考人は、二月二十日付けの日経新聞で、韓国の盧武鉉新政権の内向き傾向には注意が必要だという趣旨の御発言をしておられます。
 今も畠山参考人からもお話がありましたけれども、せんだって私、韓国を訪問して金大中大統領と盧武鉉新大統領とにお会いしました。そのときに金大中大統領が、韓国のいわゆる経済改革といいますか、財政改革といいますか、その点について大変自信を持って発言しておられたのがとても印象的でした。例えば、国際競争に勝てるような企業を育てるというのを軸にして経済改革をやってきた、そして大きな企業三十社のうち十六社がつぶれたと。そういう、どちらかというと手荒いとでも申しますか、そういう改革をなさって、そして今銀行はすべて黒字だというお話がございました。
 そうしますと、盧武鉉新大統領は金大中大統領の太陽政策を引き継ぐということを明確にしておられたわけですが、経済政策の面で特に金大中大統領と新大統領の違いといいますか、それはどの辺にあるのかということですね。
 それからもう一つ、韓国の大学の先生のお話でしたけれども、韓国では最近急速に中間層が減ってきているというお話がございました。その点について何か教えていただきたいと思います。
 それから畠山参考人にお伺いしたいことは、アジアにおける経済統合の問題でございますが、昨年の末ごろに共同通信社が配信した記事の中で、アメリカ政府で経済担当国務次官の上級顧問などを歴任されたロバート・ファウバーさんという方が中国のFTA交渉に関するコメントを出しておられますが、そのファウバーさんは、中国とASEANのFTAは幻想にすぎない、中国のアプローチは経済的というよりむしろ地政学的で、近い将来にASEANとの経済統合が達成されるとは思わない方がいいという趣旨の発言をされております。それについてどうお考えか、教えていただきたいと思います。
#25
○参考人(深川由起子君) 職業上、盧武鉉新政権で引継委員会というのがあるんですけれども、そこでも簡単なプレゼンテーションをいたしましたし、関連の方々とお話しする機会は多いんですけれども、非常に内向きだというのとほぼ同義なんですけれども、私が懸念していますのは、非常に非国際、余り国際センスのある人が実は非常に少ない。
 非常にプライオリティーははっきりしていまして、来年選挙なんですね。今、既にもう野党多数でございますので、この選挙で負けちゃうと来年からもうレイムドダック化になだれ込んでいくテンションというのは物すごく高いので、とにかく絶対勝たなくちゃいけない。そのためだったら何でもするんで、すべてのプライオリティーは政治改革、この理屈なんですね。
 一番プライオリティーがあるのは、政治改革というのは、我々から見るとどう考えても安保の方に行くべきものが中の政治改革の方に行ってしまうわけですね。非常に印象的だったのは、プライオリティーはもう明らかで、政治改革、安保への対応、経済改革の継続、こうなんだそうなんです。
 ただ、一九九四年も朝鮮半島の危機がございましたけれども、そのときと今の韓国が全く違うのは、資本市場を全部開けているということですね。つまり、キャピタルフライトするリスクがあるわけですね、安保に物すごいテンションが掛かってきたときに。そういうたぐいの認識が非常に薄くて、それが結構懸念される点。
 ムーディーズに二段階落とされてから、落とされたこと自体にしばらくたって驚いているような反応ですので、非常にそれだけ内を向いているということなので、非常に危ない。特に、米韓の間というのは今は亀裂は物すごく深いですので、ちょっとやそっと、もう感情論でこじれていますのでなかなかうまくいかないところがあって、それは日本にも非常に厳しくなってきていると思うんですが、そういう傾向がややあるということですね。
 今やっていますのは反財閥で、財閥系のファミリーたちのいろんな財閥の中での不良、一応法的に余りというか許されていない取引を全部摘発しまして、言わば財閥狩りみたいになっているんですね。それはやっぱりすごいファナティックになっていて、正にインターネット、市民団体を中心に感情論でどっと行くものですから、ちょっと心配な傾向というのが出ています。
 盧武鉉さんというのはやっぱり非常に苦労をしてきた政治家ですから、ある種のバランス感覚もありますし、冷静さもあると思いますけれども、とにかく目の前に、来年の選挙というのはやっぱり余りにも重いものになっているということですね。
 それから、この五年間でのやっぱり新自由主義改革、非常にきつくて、今韓国は、契約社員と呼ばれる、景気が悪くなればいつでも切れる人たちというのは実にサラリーマンの四割から五割を占めているんです。みんなが派遣社員になっちゃったんですね。ですから、非常に不安はやっぱり大きいわけです。それがいわゆる終身雇用された一応割と長期のライフデザインができる中間層というイメージがなくなって、いつでも首を切られたら明日から考えなきゃいけない人たちが多くなってしまったという危機感になっていて、かなり税制の改革だとかあるいは首都の移転だとかを含めて、そういうチャンスがなかった人たちにもっと多くのチャンスを与えないといけないという、かなり政治的に切迫した課題になっているということだと思います。
#26
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 ロバート・ファウバーでございますけれども、この人はクリントン政権のときにシェルパ、先進国経済サミットのシェルパもやったこの道の練達の士でありますけれども、そのころ私も、去年の暮れごろですけれどもお目に掛かりもしたんですが、中国とASEANの自由貿易協定に関しては彼の認識は余り深くありませんでした、率直に言って。
 それで、十一月に、先ほど来話が出ておりますように、中国とASEANは合意をして枠組み協定を作っちゃったわけです。そして、その枠組み協定の中に二〇〇四年の六月までに物の貿易交渉は終わりますということも書いてあるわけです。だから、幻想なんというものじゃなくて現実なんですね、これは。だから、そういう点についての認識をやや欠かれたままにそういう発言をなすっておられたという印象でございます。
#27
○会長(関谷勝嗣君) 以上で各会派一人一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。
#28
○森元恒雄君 両参考人に一つだけお伺いしたいと思います。
 私は、FTAを進めていくということは日本にとって大変大きな課題だと思いますが、お話の中にありますように、やっぱりそのときに農業をどうクリアしながら国内のコンセンサスを取るかということが一番、何といいますか障壁といいますか、クリアしないといかぬ点じゃないかなと思うんですが、深川先生の、この後ろに参考で付けておられるどういう影響が出るかというのは、先ほどの御説明では現在の状態を単純にコンピューターで動かしただけですと、こういうお話ですけれども、この数字をどう見るかというのはいろいろあるんでしょうけれども、私が拝見すると、ああ何だ、この程度の影響かと、そうするとそんなに無理してややこしい話を汗を流してしなくても、まあ結べないなら結べなくてもいいわというようなことになりかねないのではないかと、そういう心配するんですね。
 ですから、ここは是非そんな単純計算をするんじゃなくて、やっぱりいろんな影響を複合的にきちっと全部読み込んで、しかも比較的、何といいますか、影響が少ない場合のケースとそれから最も深刻な影響が出る場合と、やっぱりそういうシミュレーションを幾つかのケースで国民に提示をして、さて皆さん、痛みも伴いますけれどもどうしますかというような作業をやっぱりこれはしていかないと、なかなか現状の認識なり、あるいはこれからの将来の見通しに対する認識に相当ずれが国民の間にある状態ではなかなか合意作りが難しいんじゃないかと。やっぱりそのための作業としてはそこが一番私は大事だというふうに思うんですね。
 それから、FTAに限らず、これからの日本の進路、政策を決定していく上であらゆる面でそういう作業が大事だと思うんです。是非、深川先生にそういう作業がもし可能であればやっていただきたいと思いますし、それから、これは畠山会長さんの方にも是非、そういう作業を丹念にやったものを国民、我々の前に是非提示していただけないかなと。
 そのお願いと、可能性があるのかどうか、併せてお聞きしたいと思います。
#29
○参考人(深川由起子君) いろいろそう言ってくださると、我々のマーケットが広がって仕事が増えるものですから、我々は大変ハッピーなんですけれども、残念ながら、経済学の限界というのは、過去を延長することはできるんですけれども、やっぱり未来を占うことはできない。我々、占い師ではないので、すごく限界ははっきり申してあります。
 ただ、今日お配りした表の中でさえも、確かにASEANプラス3ができても〇・三二%しか上がらないんですけれども、じゃ、できなくて、ASEANプラス・チャイナが先にできてしまうとか、ASEANプラス・コリアが先にできてしまうとどうなるかというと、これはマイナスなんです。ただでさえ、もうこれ以上マイナスになってもらいたくないというのは当然あるわけですので、すごくそのマイナスの意味というのは逆に大きい。
 ただ、もっとポジティブに考えなくちゃいけない。〇・三二にはとどまらないというエビデンスを御指摘のとおり出さなければいけないと思うんですけれども、今日お持ちしませんでしたが、私は簡単に触れたものとして──バブル崩壊以降、確かに欧米のメディアから何にもしないで十何年も過ぎたというふうに言われていますけれども、この間、日本がアジアに支えられてきた分というのは実はすごく大きいんですね。
 私は、破綻した邦銀で審査を手伝っていましたので、いかに邦銀さんがアジアに貸し込んで、しばらくは収益が非常に上がっていたかというのはよく分かっていますし、それから、この十年の間に日本の最大のマーケットはアメリカからアジアに変わったんですね。そういう意味では、やっぱりアジアが支えてきてくれたところはすごく大きいですし、現下でも、一昔、ちょっと前は中国の台頭で日本は空洞化するという議論はやたらはやっていましたけれども、今は、やっぱり中国のマーケットがすごく日本のオールドエコノミーを支えているところは大きいので、だんだんそのトーンも弱ってきている部分があります。
 そうやって見ると、貿易、投資、それから銀行のファイナンス、この三つで見ると、バブル崩壊以降の日本というのはすごく全体が、パイ自体が小さくなっていく、成長率が落ち込んでいく中でアジアのポーションというのは実は上がっていて、割とそういう意味では、余りにも大きい経済ですから決定的に支えてはくれませんけれども、下支えはやっぱり明らかにしてきたというレポートはございますので、御関心があればいつでも示せます。
 それから、残念ながら、経済学はダイナミックなプロセスというのを検証できないんですけれども、ダイナミックであるというところが一番重要で、人、物、金が動くと、先ほどカナダ・ワインの御紹介が畠山参考人の方からございましたけれども、動いてみないと分からないものというのはありますが、例えばすごく、今まで日本が非常に政治家の皆さんも御苦労なさって渋々と開けたところ、実は逆に強くなってしまった例というのもたくさんあります。例えば、化粧品も一昔前は非関税障壁と高い関税の塊でしたけれども、今は、日本の化粧品メーカーさんというのはアジアのトップブランドになって、非常に高い競争力を確立しているんですね。
 やっぱりそういうものというのは、証拠を出せと言われてもないんですけれども、マーケットの力というのは日本は大変強いですので、それは潜在的に損なわれて、非常に潜在的には強いんだけれども損なわれている面というのはやっぱり物すごくあって、FTAというのは、それをある種、引き出してくれる、強引で痛いけれども引き出してくれるもの。それは、起こってからをこうだというふうな分析というのは、そういう意味で、ソー・ファー、これまでこういう事例がありましたということをお出しするしかできませんけれども、そこにはそういう意味では限界がありますが、それを一つずつ積み上げていくと、実は結構自信の持てるエビデンスというのはたくさんあると申し上げておきます。
#30
○参考人(畠山襄君) 森元委員の御指摘に全面的に賛成でございます。
 この深川先生に限らず、ほかの大学の先生も時々こんなような数字をお出しになるので、お出しになること自体は自由だと思いますけれども、ただ、それによって自由貿易協定推進にディスカレッジングなシグナルを送るというのは是非お考えいただきたいと思います。
 何を言っているかというと、〇・三二%の方だけ出すのはアンフェアだと思います。そうであれば、ダイナミックな計算もいろんな前提をお置きになって、そしてやっていただければなと。私、経済学者じゃありませんので、そんなこと言ったって無理なのよという話かもしれませんが、もしそっちが無理なら、〇・三二だけお出しになるのはどうかなというふうに考えます。
 それで、先ほど深川先生からもいみじくも話がありましたように、やらなかった場合はどうなるのということとの対比というのも重要だと思います。
 それから、やった場合ですけれども、これはどういう計算か存じませんが、例えばシンガポールとやるということのメリットはそんなにないんじゃないのと言われていたわけです。シンガポールなんて関税大体ゼロなんだしさ、だから何も余り得することはないんじゃないのと言われていたんですが、実は、小さな分野かもしれませんけれども、ビールの関税というのはシンガポールは一〇%でありました。それが今度、自由貿易協定のおかげでゼロになりました、新聞に出ておりましたのでお気付きの方もおられるかもしれませんけれども。
 その結果、何が起こったかというと、ちょっと固有名詞を出して恐縮ですが、アサヒビールさんがシンセンにビールの工場を持っていまして、今まではそのシンセンの工場からアサヒビールを輸出、シンガポールにしていたわけです。それをシンガポールへ輸出するのを、シンガポールと日本の自由貿易協定ができたものですから、日本から輸出すれば関税がゼロ、中国から輸出すれば関税が一〇%と、こうなったものですから日本からの輸出に切り替えたわけでございまして、そうすると、日本のその分の輸出金額が増えるわけであります。それに伴って雇用も削減しないで済むというようなこともあるわけでございますので、そういうメリットも丹念に拾った上でお出しいただければ有り難いなというふうに思います。
 私どもの国際経済交流財団も、今御指摘もありましたので、できればそういうことについても計算ができるような何らかの工夫もさせていただければと思う次第でございます。
#31
○佐藤雄平君 畠山、深川参考人、本当に今日は貴重なお話ありがとうございました。
 私は福島県で、その昔、農産物がいつも工業製品の犠牲になっているという話がありましたけれども、あえて今日はそれはその逆になっているなという話は申しません。
 お二人の参考人の中で、ちょっと興味あるというか、お話を今聞きました。
 一つは、深川さんからの、経済統合で、先ほど日本の企業にとってはプラスだけれども、日本にとっては必ずしもそうでない。これは非常に興味ある話だなと。さらにまた、畠山参考人から、自由貿易協定は焦眉の急であるな、正にそうかなと。
 しかし、私は、そうなった際の今、日本の最大の問題というのは、少子化と、ある意味では企業の空洞化、それに伴った失業率の増加ということでありますけれども、正にその焦眉の急の自由貿易協定がアジアの中で行われた際の日本の産業立地、これはどのようなことがお考えになられるか。正に貿易というのは、安価で良質なものはどんどんどんどん輸入するような形になると思うんですけれども、そのときの日本の産業形態というものはどのようになっているか、この件について両参考人にお伺いしたいと思います。
#32
○参考人(深川由起子君) 空洞化の定義、いろいろあり得ると思うんですけれども、雇用を中心に考えますと、よく言われていることで別に目新しくありませんが、私は、自由貿易協定を作ることによって、じゃ、例えば日本と韓国の間でできたとすると、大体アメリカの六割近い規模のマーケットになります。人口も一億七千万くらいですから、マーケットとして見ると非常に大きい。
 日本のマーケットの消費は沈滞していますけれども、韓国人はまだまだ買いたいものは世の中に山のようにあって、消費はもう絶好調、余りにも買い過ぎて、今カード破産が多くなって大変なんですけれども。同じようなマーケットなんだけれども、そういう落差があるところを抱え込んでいくと、消費のダイナミズムにまた目覚めてくるところというのは必ず出てきますし、それから、お互いにとって、例えば域外からの直接投資が増える。
 私は、日本の最大の先進国としての問題は、いまだに外資とかいう言葉が平然と使われていて、直接投資の誘致にこんなに不熱心な国というのは先進国ではなくて、それがないと。自国だけで、自分の企業だけで自国の雇用をもたせている先進国というのは今ないですので、やっぱり競争力のある企業をどんどんホストしてやっていく。そのために日本のマーケットだけじゃなくてちょっと違うマーケットをほとんど同じような条件で抱えているというのは、多国籍企業を誘致していく上では非常に強いメリットになると思います。日本が一番インフラもいいですし情報通信の環境もいいですから、伸びているマーケットとくっ付くと、こっちに立地していただいて成長マーケットに輸出してくれる企業ももしかしたら来てくれるかもしれないですし、そういうのが一つのセールスポイントになっていくと思います。
 それからもう一つは、自由貿易協定を作って非常に制度がコーディネーションされていきますと、当たり前ですけれども、ビジネス環境の悪い方は直接投資誘致競争に負けますね。規制緩和せざるを得ない。そのプレッシャーがないと、なかなか日本のような国が、私、規制緩和するのはやっぱり非常に難しいと思っているので、ある種の起爆剤にと思っているのはそこにあるわけなんですね。
 例えば、ADSLで韓国に負けなければ、多分いまだにISDNとかで死ぬほど遅いインターネットを使っていたかもしれないですけれども、アメリカに負けても余りショックじゃないですけれども、やっぱり隣の国に負けると非常にショックは大きいので、さすがにやらざるを得なくてというプレッシャーはやっぱり自由貿易のメリットなので、それを受けながらビジネス環境を整備してとにかく競争力のある企業をホストしていく、これはすごく重要だと思っています。
 それから、長らく消費が不況なので、日本の企業さんのお話を聞いていると、もう何か爆発的に売れた記憶というのが遠い遠い昔になってきてしまって、消費者のニーズをつかんでいく力というのは物すごく弱くなってきてしまっているんですね。それをどこで回復できるかというと、今、正にみんなが中国に行くのは、作れば売れる世界というのがあるからやっぱり企業は必然的にそこに引き付けられていくので、その活力を取り戻すためには、もう一回、作れば売れる、みんながサービス買ってくれるという状態にこの国の中で接しない限り企業の活力というのは出てこないし、空洞化は進んでいってしまう。まず成長マーケットでそれに接していただいて、その記憶を取り戻しつつ、この国のマーケットで、じゃ何だったら売れるかというのを考え直していくという突破口として考えております。
 ちょっとそのもののお答えになったかどうか分かりませんが。
#33
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 産業立地というお話でございますけれども、まず日本が自由貿易協定に参加しないで、そして例えば中国とASEANの自由貿易協定だけが存在するというようなことになりました場合には、先ほど申しましたように中国なりASEANからお互いに輸出をしますと関税がゼロであって、日本から輸出すると関税が掛かるわけですから、したがって産業立地は中国なりASEANにより激しく動いていくだろうというふうに考えられます。それを防ぐためにも、日本もASEANなりなんなりと自由貿易協定関係に入らざるを得ないというふうに思います。
 それで、それに限らず、今、深川先生からお話がありましたように、自由貿易協定を日本が結ぶ際のメリットは、農産物は別としまして、サービス分野の規制改革が進むと思うんですね。サービス分野こそが先進諸国の進んでいるサービスが入り得る分野でございますので、ここへ、規制緩和された日本のサービス分野へ先進諸国のサービス産業が入ってくるということで、産業立地は日本の中で栄えていくということになると思います。
 日本の外資導入という話がありましたけれども、世界で一番大きく外資を導入しているのはアメリカでございます。それで、九七、八年ごろは中国が第二位でありました。今はさすがに少しおっこってきましたけれども、それでも六位でございます、去年の実績で。日本はその中で二十数位でございます。これだけの世界第二の経済大国が事外資に関して言えば二十六位とか五位とかそういうことであるのはとんでもなくて、それを解決する非常に有力な道具はこの自由貿易協定で、特にサービス分野の規制改革を進めるということであろうかと思います。そうすれば、産業立地面で有利な、不利でない立場に立てるというふうに思います。
#34
○佐藤雄平君 ありがとうございました。
#35
○吉田博美君 畠山参考人に二点についてお聞きいたします。
 FTAにつきましてはもう世界の潮流であると思いますし、私は、東アジアにおいて日本と韓国、日本と中国そしてASEANと結ばなければその意味がないんじゃないかということは全く賛成でございます。そうした中で、この戦略として日本がこれからFTAを結ぶに当たって、例えば韓国として、その後に中国とし、そしてASEANとするのか、あるいは韓国、中国と一緒にして、そしてASEANとするのか、それとも韓国、中国、ASEANと一緒にこのFTAを結ぶのかという将来展望についてお聞かせいただきたいと思います。
 いま一点につきましては、今、日本の企業は立地と全く逆なんですけれども、海外にかなりシフトをされておりまして、そうした中で日本の産業の空洞化あるいは失業率の上昇という大きな問題となっているわけでありまして、そこで中国へのシフトが多いわけでありまして、中国への脅威論というものが浮上しているわけでありますが、先生の二〇〇一年の中央紙の一月二十二日のインタビューによりますと、中国の脅威論は間違っているんだと。中国と日本は補完しながらお互いに力を合わせながらやっていかなきゃいけないんじゃないかということでございますが、先々週も関参考人という中国からお見えになった方がそうおっしゃっていましたけれども、日本の四十年前の経済状況と大体数値が同じなんだと。そして、中国はいまだに労働集約型産業を中心として、例えば製品の特化係数等を見ましても、雑製品と申しますか、繊維等の製品はかなり輸出超過をしているが、化学製品は輸入超過している。それがまた日本と全く反対で、日本とは二〇%しか競合していないんだから、お互いに補完をして伸びていくことが大事じゃないかとおっしゃったんですけれども、ただ、四十年前と申しますと大体昭和三十七年なんですけれども、三十六年に日本の農業外所得が農業所得を上回りまして、日本が急激な高度成長をいたしまして、そうした中国が急激な高度成長をしたときに、本当に中国の脅威論というものはないのかということで、先生からその点についてお聞かせいただきたいと思います。
#36
○参考人(畠山襄君) 第一点の、今後のFTAの進め方の順番に関してでございますけれども、これは私は、申し訳ありませんが、全部同時並行的に進めるのが現実的ではないかというふうに思います。
 そう言っては語弊がありますけれども、とかくこういうのはどういう順番で進めるんだという御指摘をいただきがちなわけですけれども、今申し上げましたように日本・ASEANと研究をやっております。それから、日本・タイ、日本・フィリピン、それからやがて日本・マレーシア、これも個別に研究をいたします。それから、日韓も研究を行っているという状況でございます。それから、中国・ASEANはやっていると。それらを順番付けて、普通でいけば、例えば個別にやってから、それから日本・ASEANがやって、日本・ASEANやってから東アジア自由貿易協定だ、こういうふうになるわけでございますけれども、そんなことを言っていると間に合わないわけでございますね。だから、同時並行的に、東アジア自由貿易協定はそれとして交渉というか研究を始める、日本・ASEANもやると。それで、でき上がったものは少しずつ違うかもしれませんけれども、やがて将来整序をしていけばいいんであって、とにかく早く取っ掛かることが大事というふうに考えさしていただいております。
 それから、中国脅威論でございますけれども、二つありまして、まず隣国が、中国のようにけなげにと言っては語弊がありますけれども、栄えてくれるのが、その余沢もありますし、日本にとっては有り難いことというふうに思います。これが北朝鮮のような状況になりますると大変でありまして、援助をしなくちゃいかぬとか、そういうことにもなってきますので、隣国の中国という大国がけなげに高度成長を記録しているというのはまず基本的に歓迎すべきことじゃないかと思います。
 それから、競合する品目は確かに少のうございます。それからもう一つは、中国のこの強さというのが御案内のとおり全く物すごく強いのかというと、例えば韓国との間では百億ドルの貿易赤字を中国が記録しているわけでございます。韓国程度と言っては語弊がありますが、韓国ぐらいが黒字を記録できるのに、日本は全く、二百七十億ドルの赤字で続けざるを得ないのかというと必ずしもそうじゃないというふうに思いますし、それから、中国国内がこのまま順調に成長するかというと、率直に申し上げて、今の中国の発展は農民の著しい犠牲の上において成り立っております。それがこのまま推移するとは思えない。
 それで、それもあって、今、中国は戸籍法という法律が御案内のとおりありまして、戸籍を、都市で生まれたら都市、農村で生まれたらその農村というふうに固定しているわけでございまして、居住の自由が原則否定されているわけでございます。さしもの中国も、しかし、民主化思想も出てまいりまして、それで居住の自由を少し認めざるを得ないじゃないかと、こういうことになってまいりました。したがって、戸籍法があるいは大幅に緩和されるかもしれないし、撤廃されるかもしれない。
 戸籍法がどういう経済的な機能を果たしたかというと、端的に申し上げると、深センの初任給、非常な低賃金を低賃金のままで固定をしてまいりました。例えば、三年たったら帰らなくちゃいけない。深センに働きに来るのはよろしいんですが、職と住居があれば働いていい、しかし三年たったら帰らなくちゃいかぬと、こうなっておるものですから、深センの工場主は、三年契約を結んでそれを初任給で固定して、そして三年たったらさあ帰りなさいといって女工さんたちは帰っていくわけです。はい次といって、次の女工さんが見えまして、次のグループがまた三年前の初任給と同じ初任給で働いておると、こういう状況になっておるわけです。ちょっと、やや誇張して申し上げておりますけれども。その結果、中国のああいう沿海部の低賃金が外資に対する強い魅力になっておりまして、日本企業だけじゃなくて欧米の企業もどんどん行っておると、こうなっておるわけです。
 ところが、WTOに中国は加盟しました。そして発見したことは、中国の農業生産性というのは物すごく低いということであります。なぜ低いかというと、生産性というのは御存じのとおり生産物の価値を人口で割るわけでございますから、農業生産物は過剰な農村人口で割らざるを得ないわけであります。戸籍法のおかげでずっと人口は変わらないわけですから。日本のような経済成長をした国は、経済成長に伴って農村から都市へ人々がずっと移動してこられたわけであります。中国ではそれが起こらなかった。
 ちょっと話が長くなって恐縮ですが、今、西部大開発ということを中国は言っております。西部大開発に協力すると称して私はこの前行きまして、重慶とか成都とかいう、余り西部でもありませんけれども、そこへ行って賃金を聞いたわけです。そうしたら、重慶、成都の方が賃金が深センより高いんですね。なぜかというと、さっきの戸籍法の運用を既に緩和しているわけです。それで、労働者が地方から出てこられる、そうすると帰らないでもいいわけです。既存の方が帰らないでいいですから、そうすると、労働者保護の国ですから、労働者の既得権を擁護しなくちゃいかぬということで、六・七%重慶の賃金は上がっておりました。深センは一%とかそういうときにですね。
 そういう具合でございまして、だから、中国の将来が、今までのように低賃金で、そして外資に魅力のある存在であり続けるのかというのは必ずしも保証された話ではない。無論、政治改革の生半可な点だとか、そういうこともありますから、中国の将来は、それから水不足とか環境問題とか、いろいろありますので、一本調子でずっとこのまま行けるとは思わないという面もあろうかと思いまして、だから、それから最後に申し上げたいのは、中国を脅威と言ってみても始まらないと。自由主義経済の下に日本がいて、そして自由主義経済原則で仮に中国が来ているとして、そしてそれが競争力が仮にあるとすれば、それが怖いと言ってみても始まらない。
 それで、日本として取るべき態度は、いつまでたってもこの分野さえやっていれば追い付かれないもんねなんという、そういうところに安住しようとするのではなくて、常に次の場所を求めて努力をなさっていくと。私どもが戦後ずっとやってきたのはそういうことであったろうと思いますので、それをここでやめて、我々の後世代は安穏としてここにいれば追い付かれないもんねというようなことではいけないので、そうなると脅威論になるわけですけれども、次なる場所を求めていけばそういうことはないのではないかというふうに考えております。
#37
○野上浩太郎君 自民党の野上でございます。
 両参考人に本当に有意義なプレゼンをお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 一点ずつお伺いをしたいと思いますが、まず深川参考人に、お話の中で、ASEANプラス3への道を模索する中でいろんなアプローチがある、中国型アプローチもあるし日本型アプローチもあるというお話の中で、中国型アプローチの中で実利主義というお話がございました。中国とASEANのFTAが十年をめどに今模索をされている中で、しかし一方で、中国とASEANというのは、その直接投資の受入先としても競合してきますし、労働集約的な製品を輸出するという、そういう産業構造あるいは輸出品目の部分でもかなり競合してくる部分が大きいと思うんですが、それを受けて、当初、例えばタイとかシンガポールは中国とのFTAには大変前向きであったと、もう一方、インドネシア、マレーシア、フィリピン等々は後ろ向きであったというような状況もありましたが、最終的に中国とのFTAにASEANが踏み出した、そのインセンティブを、それはASEAN全体の方向性というものもあると思うんですが、各国の思惑というものもやはり少しずつ違っていたと思いますので、代表的な部分で結構なんですが、その全体の方向性と各国の思惑の部分を分かる範囲で教えていただきたいなと思います。
 それから、畠山参考人につきまして、東アジア全体の経済統合を進めていくべきだと、その三つの選択の中でそれを進めていくべきだと。私もそのとおりだと思いますし、今の吉田先生からのお話の中で、拡大順序の方向性については、もう同時並行的にやった方がいいんだと。恐らくそのとおりだと思います。
 実は、そのことをちょっと視点を変えてみますと、日本にとってはそういう進み方が非常にいいと思うんですが、中国側から見たときに、中国がWTOに加盟をした、そしてASEANと十年の単位でそういう方向性を模索をしていますときに、例えば日本はこれからASEAN諸国とFTAを模索していく、韓国は日中韓の模索をしていくと、いろいろな方向性があると思うんですが、中国の進む戦略といいますか、インセンティブといいますか、方向性というのはどういうふうに考えられるか、その点をお聞きをしたいと思います。
#38
○参考人(深川由起子君) 私は、ASEANにとっての中国との自由貿易協定、御指摘がありましたように、確かに産業構造ははるかに日中より競争的ですので非常に当初はつらいと見られていたんですけれども、やっぱり踏み切った理由は二つで、一つは中国が、例えばインドネシアからのパームオイルだとか、あるいはタイの農産物だとかフィリピンだとかにどんどん前倒しで約束をしているんですね。中国は決してやっぱり農業の生産性が高いわけではないので、多分相当、多分民主的な国であると相当難しいはずの約束をもうしてしまっているんですね。そのぐらい政治的意思が強いんだったら付いていこうというのが、ASEANの気持ちがまず一つありますし、ただ、中国は非常によく計算していて、あくまでもそういうのは一部の品目だけで、結局できるのは、時間を掛けてできていくわけですからその間に自分の構造改革が進めば別に怖くないんだという、やっぱり今、勝ち組の自信というのがあるので、そういうものが表れていると思うんですけれども。
 それからもう一つは、やっぱり中国から直接投資を誘致したい。これは日中間で起きたことが中国・ASEAN間で起きてほしいというASEANの希望は当然あると思います。つまり、中国の企業がASEANで作って持って帰るものが増えてほしい。関税がゼロであれば、例えばASEANの比較優位が幾つあるかというのがまた問題なんですけれども、例えばアグロベースのもの、農水産物を加工したような食品ですとかで、為替も下がっていますから、ASEANが中国に対してある程度競争できるものというのは、南洋の食物も含めていろいろありますので、それを少しなりともやっぱりやってほしいという気持ちは当然あると思います。
 中国型アプローチ、日本型アプローチというのは実は非常に補完的で、中国は多分制度的なマインドというのをはるかに強く持たないとリーダーシップは取れないですし、日本は政治的意思と実利を相手に約束できないと、自分の痛みはちょっとでも嫌、でも外交的には必要だからやりたいというのでは、それは相手は納得してくれっこないですので、実は日中のアプローチというのは補完的だということを申し上げたいと思います。
#39
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 中国の方向はどうだろうかと、日本が東アジア自由貿易協定を一生懸命進めようとするのはいいとして、中国には中国のスケジュールもあるんじゃないかというような御指摘だったと思いますけれども、御指摘のとおりですが、まず中国は、二〇〇四年ですから来年ですね、来年の六月までに、先ほど申し上げましたように、ASEANとの間では物の自由貿易協定は交渉を終了するという目標にしているわけでございます。それで、ASEANとそれに合意しているわけでございますね。それが一つ。
 それから、朱鎔基首相は、この間の十一月のASEANプラス3の首脳会合のときに提案をしまして、日中韓自由貿易協定を民間の機関で研究をしようではありませんかと言われたわけですね。その陰には、やはり非常なこの地域でリーダーシップを取りたいという中国側の意識があるわけですね。
 それで、例えば社会科学院というのがございますけれども、その研究会に去年の秋、私、出ましたけれども、そこで彼らの有力な一人が言うには、世界は九〇年代の後半から自由貿易協定の時代に入ったと。ところが、この地域だけはその問題に遅れた、日本がリーダーシップを取らないからだと。そこで、中国がリーダーシップを取って中国・ASEANのを始めたなどと言うわけです。それは歴史に反していまして、日本とシンガポールが皮切りで、ようやく中国も慌て出したというのが実態ですから、日本のリーダーシップにフォローしたんだとは思いますけれども。
 ただ、申し上げたい点は、中国は明らかにリーダーシップ、この地域での経済的なリーダーシップも取りたいんだという背景の下にいろんなことをやっておるということでございますので、言い方が悪うございますが、中国がもし余りやりたくなければ、東アジア自由貿易協定を、それならなおさらのこと日本の方はやろうやろうということを言って、中国を受け身に回らせて、この地域での経済的なリーダーシップを取り戻すということにした方がよろしいんじゃないかというふうに思います。
#40
○小林温君 自民党の小林でございます。
 今日は、お二人の参考人、大変貴重な御意見を伺いまして、誠にありがとうございました。
 一つずつ両参考人に質問させていただきたいんですが、まず畠山参考人でございます。
 お話の中で何度か台湾の重要性について御言及をいただいているわけでございます。と同時に、そのハードルとしての対中国ということを考えた中で、台湾問題というものもここで触れていただいているわけでございますが、その一つの処方せんとしてガット三十五条の協定の不適用というようなことも御提示をいただいているわけでございますが、これを日本から見た場合に、例えば我々、台湾に行ったり台湾の方とお会いすると、非常にいろんな意味でラブコールをいただくと、熱烈な。つまり、向こう側にニーズがある限り、日本にとっては、非常に交渉相手としても、その後これから通商関係を発展させていく上でも大変重要なパートナーであるし、最適なパートナーだと思うわけですが。
 逆に、これを中国に行って、私、昨年、中国に行ったときに、FTAを考えるときに台湾どうですかということをさる偉い方に御質問させていただいたら、無視されたり烈火のごとく怒られたりと、こういう状況があって、現実的に台湾と大陸との間の経済関係が進んではいるのは現実としても、国際的な枠組みの中で台湾を認めるということは、中国にとってはこれは許せない部分もあるわけでございまして、そういう状況がある中で、これちょっと重複されるのかもしれませんが、日本のFTA戦略の中で台湾に対してどうアプローチすべきかということについて御意見をいただければというふうに思います。
 それから、深川参考人にお願いします。
 日韓のEPAが非常に今後のFTAを考える上で大変重要なモデルになり得るという意見に私も賛成でございます。
 私もしょっちゅう韓国に行かせていただいているわけですが、例えば国際的な中で日本と今、韓国の置かれている状況とか、様々なレベルでの交流が進んでいるとか、あるいは構造問題、共有していると、さらには例えば国境を越えた構造調整も実は日韓ではかなり可能性があるんだろうと思うわけです。ただ、一番格好悪いのは、プロポーズをして振られるというのが非常にやっぱり、例えば畠山参考人の場合はすべて並列的に各国にアプローチした方がいいということですが、仮に、限られたリソースでということを考えると、私は日韓のFTAなりEPAを先行させるというのは非常に妥当なアプローチだと思うんですが。
 これは深川参考人もお触れになっているように、日本側の韓国に対する思いと、韓国側の日本に対する思いがやっぱり若干食い違っているところがあると。その一つには、まずこの韓国から見た場合の日中と韓中のFTAに対する考え方が今どういう現状にあるのかということについてお聞かせをいただきたいのと、それからもう一つは、例えば韓国の中で、官とかあるいは政治とか産業界とそれぞれのセクター別にこの日本との協定についてどういう温度差があるのかということについて少しお聞かせいただきたい。
 それと、ちょっと御意見いただきたいのは、例えば技術標準の話についても触れられておりますが、先ほどADSLで韓国に負けたのが日本のブロードバンド化を進めたという話があると思うんですが、かなりやっぱり韓国は今ITの分野については自信を持っておりまして、この辺の部分が例えば対中の、市場としての中国を取るのか、これからの成長市場としての中国を取るのか、それとも成熟市場としての日本を取るのかということにもつながってくると思うんですが、この部分での日本と韓国の間の熾烈な競争というのが、この日韓の協定を結ぶに当たってのアプローチの中でどういう影響を与えるかということについてお聞かせをいただければというふうに思います。
#41
○参考人(畠山襄君) 台湾に対して日本がどういうアプローチを取るべきかというお尋ねでございまして、台湾は先ほどの農産物供給国の順番では出ておりませんけれども、八八・九%が工業製品を日本に供給しておりまして、台湾から日本への輸出のうちの七%ぐらいしか農産物ではございません。そこで、そういう意味からも非常に自由貿易協定の相手経済として非常に適当なところであろうとまず思います。
 それで、現実にどうなっているかと申し上げますと、民間ベースで進めようじゃないかということで、東亜経済人会議というような名前の組織同士で今打合せをやっておられるというふうに理解いたしております。
 ただ、WTOに台湾が入りましたときも、現実社会は中国がその加盟に非常に反対をいたしまして、今、小林先生御指摘のとおりでありますけれども、それで中国が入ってから台湾を入れるということで、一日ずらして入れたんですね。そういうのが現実社会であります。したがって、日本が台湾と裸でいきなりバイラテラルで自由貿易協定を結ぼうという動きに出ますと、中国から非常な反発が出てくることが予想されます。
 そこで、私の提案は、東アジア自由貿易協定の中に台湾も中国も入れて、そしてあたかもWTOのときに中国が反対できなかったように、中国が最終的には反対できなかったように、東アジア自由貿易協定に両方を入れて、そして二つの間が、もしFTA関係に入りたくないのであれば、さっき申し上げたような一条を設けることに、相互不適用という条項を設けることによってその問題は解決しながらやっていったらどうかというふうに思っております。
 私も台湾で陳水扁総統にもお目に掛かりましたし、その他のお偉い方々にもお目に掛かりまして、中国との自由貿易協定はどうかということを伺いましたが、お答えは非常に否定的でございました。それから、中国側でもある相当な幹部に伺いましたが、三通の問題だってまだ解決をしていないと、政治的にも難しいんじゃないのということで否定的でありました。
 だから、双方は余り相手の自由貿易協定との関係に入るのを歓迎していないと思いますけれども、そういう状況でございますが、日本は入った方がよろしいと思いますので、WTOで台湾とああいう関係を持てることになりましたと同様に、東アジア自由貿易協定でそういう関係を持てるようにしたらいいんじゃないかというふうに思っております。
#42
○参考人(深川由起子君) 韓国が新しい政権ですので、どういうFTA、特に日本に対してどういう、もうとにかく日本という存在がやっぱりある種特殊な存在ですので、そのセンシティビティーを無視してはもう絶対できませんので、その問題は御指摘のとおりあると思うんですが、もう一つは、やっぱり中国の成長が余りにもまばゆいので、韓国にとっては貿易収支も黒字ですし、韓国は日本よりはるかにうまく中国とやってきているんだという自信を持っているんですね。
 なので、また中国も、日韓中ができる前に日韓ができるというのは中国は決してポジティブに受け止めていませんので、またそういうアプローチを韓国に対してはしているというのは、もちろん我々計算に入れなくてはいけないということなんです。
 今、中国は、地政学的に見ると、やっぱりロシア、アメリカの関係というのは結構ブッシュになってからやっぱり良くなってしまい、日米の間の紐帯というのは非常に固くて、しかもそれが第三国に共同行動を取るようになってきて、非常に安保的な世界ですけれども。アメリカ・インド軍は海洋演習をやっており、中央アジアに親米政権を作ろうとしており、更にイラクまでと、こうストレッチしていくことを考えると、もう地政学的出口ってASEANに出ていくしかイメージ的に見るとやっぱりない。その中国の圧力というのは結構厳しいものがあると思うんですね。
 だから、中国がASEAN・FTAからしばらくして、アメリカがASEAN・アメリカ・FTAというのを出してくる必然性ってやっぱりポリティクス上あるというのがもちろんあって、そうすると、韓国はある種のピボタルカントリーになって、日米側の方に最初に寄ってくるか、中国側の方に最初に寄るアプローチを取るかというのは結構注目されているところだと思います。
 ただ、韓国もようやく日本に対しては、日中韓に執着するといつまでたっても日韓もできないというのがだんだん分かってきていて、じゃ日韓と韓中は別々にやりましょう、関税同盟じゃないんだから別々にやればいいんですねという感じに最近はなってきていると思います。ただ、韓国にはまだまだ、対日貿易赤字で我が国は破綻するという、もう宗教のように根付いたイメージは物すごく強いですので、これエコノミストの説得で払拭できるものじゃありません。
 その信頼関係のシンボリックなもの、ほとんど余り重要じゃないんですけれども、すごくシンボリックなものとして大事なのはやっぱり人の移動なんですね。ビザのステータスを日本が先進国のように認めてくれるというのは、中国人の実利主義よりプライドの社会なので、すごく重要なんです。例えば、IT技術者が少しでも入ってきていることによって、ああ、うちを認めてくれたんだという気持ちというのは、非常に感情的な方々なので、やっぱりすごくビルディングブロックとしては大事な意味を持ってきていたんですね。
 そういう意味では、ある種、日本も韓国をやっぱり中国へのレバレッジに使っていく価値というのはあって、まず日韓ですごいクオリティーの高い、ハイレベルな、だれが見ても透明で、WTO整合的で、しっかりしたものをまず作ってしまって、じゃそのカフェテリアから取れるものだけ取って付いてきてくださいというのである種圧力を掛けることはできると思いますし、中国もそれから学べることもたくさんあると私は、日中韓もやっているんですけれども、あると思っています。
 日中韓の会議をすると、日韓の間というのはやっぱりお互い物すごく率直に意見を言うのでしばしばすごい争いにもなりますけれども、それをやっぱり中国は呆然と、割と、そこまではっきり言う世界なのかというのを、やっぱりちょっと公式論で付いてきているところはあって、ちょっとやっぱり違う世界があって、でもやっぱりだんだんそこになじんでいくという意味では、韓国は割と貴重な役割を果たしていると思いますし。
 それから、あと韓国ですけれども、チリとやって、いかにFTAというのを制度化するのが大変かというのはもう痛烈に分かったんですね。チリとの交渉はもう五年も掛かって、日シよりもはるかにトラブってできたわけですので。
 今、韓国が考えているプライオリティーは、メキシコは取りあえず行かざるを得ない。何しろ日本と競合的ですから、日本の行くところ行くところやっぱり行かざるを得ないので、まずメキシコに行かなきゃいけない。それからその次は、今シンガポールというのが急速に出てきて、結局、韓国の割と原始的な発想というのは、自分だけが日韓でなるのは嫌だと、プレッシャー大きいので。だれか三者をとにかく入れたいと。中国が一番望ましいんだけれども、日本がそんなには積極的じゃないみたいだから、じゃ、もうシンガポールでもいい。この際、自分だけは嫌なので、じゃ日韓シンガポールでグループみたいのを作って、それはかなりの水準の自由化を一気にやって、それをもって日韓アレルギーの人たちを国内で説得しましょうというアプローチが一つ存在しています。
 ただ、一方では、そんなシンガポールみたいな国とFTAやっているのは、うちに何かインパクトあるわけという非常に事大主義な方々もいるので、盧武鉉政権はそういうところをどうやっていくかはよく分かりません。
 一つ大きなモメンタムに多分確実になるのは、盧武鉉政権のキャッチワードは、北東アジアの中心国家というキーワードなんです。これは、朝鮮半島の平和という理念を持って我々がすべてを開放して、日中の間に立って相互依存を深めて、それで平和を維持していくという、どうも聞くところそういうコンセプトらしいので、そのロジックから来ると、日韓、日中ともにFTAは盧武鉉政権はプラス。
 ただ、よく聞いてみたら、非常にナショナリスティックな発想があって、やっぱりサッカーも八位ぐらいでやめておいた方が、八強ぐらいでやめておいた方がいいと。四強まで行ってしまったので妙な自信を持ってしまって、やれば何でもできるというメンタリティーがすごい若い人に多いものですから、盧武鉉政権の支持者の。だから、だれよりも規制緩和をちゃんとやって、だれよりもスピードに早く対応して、それで先進、中心国家になるという御発想のようなので、ちょっとやや疑問は残っていると思います。
#43
○沢たまき君 お二人の御参考人、本当にありがとうございました。
 とても変な質問で申し訳ないと思うんですが、この前の調査会のときの参考人の方で企業の方がいらして、その方がおっしゃるのは、もう弱いというか、農業なんかよりも企業というか、もうかるというか、国益になるようなものにもっと力を注いでというような、簡単だとそういうお話を伺って、ああ、やっぱり企業、あきんどというか、どこでもうけても、日本でもうけなくても中国でもうけていればいいんだみたいなお話を伺って、ああそうなんだなと伺ったんですが。
 私は、やっぱり食べることは大変大事なので、山本先生とかいろんな方がやっぱり自給力とか自給率とかっておっしゃっていましたけれども、とにかく安全で、そしてなおかつおいしいものが口に入らなければ命は保てないわけですから大変大事だろうと思うんですが、先ほど深川参考人が、大変に神経質な消費者に向かって丁寧に作ったお米を韓国の方々が買って帰るとおっしゃって、それからもう一つは、空気も水もきれいなのでと、それから少子高齢化に向かって、そういうこの日本を大いに観光でというようなお話もありました。
 小泉総理が、この前、所信で観光立国みたいなことをおっしゃいました。そのときに私は、日本を一体、じゃ、どういうところをどういう方々に見せるのかなと単純に思ったんです、どういうところを観光していただければいいのかなと。今日ちょっと、深川参考人もちょっとお触れになったので、そこら辺を、どういうところが観光に適しているのか伺いたいなと思っております。
 それと、畠山先生にはとにかく同時進行で一番今そうだと思ったのは、安住せず常に次なる場所を探せとおっしゃったのでそうなんだなと。韓国の方の気質も深川先生から伺いつつ、我が日本人の気質も、昭和の二けたは六十年までありますけれども、戦中といいましょうか、私なんかは戦中と戦後の境目なんですけれども、やっぱり違う気質になっているのかなという気がしております。その中でどうしても大変、こういう場所で言っていいかどうか分かりませんけれども、やはり韓国の方のように、やっぱり東アジアというか、ここでやっぱりリーダーシップを取っていたいって思うんですね、私はですよ。そうすると、この自由貿易協定というのは大変大事だというのは伺いましたけれども、でも五年も掛かるとか伺いますと間に合うかなという気がちょっとしたりして、そこら辺のことをちょっと伺わせていただきたいと思います。
#44
○参考人(深川由起子君) 観光はいろんなアイデアが出てくると思うんですけれども、私は重要なのは民間主導でやるということだと思うんです。どうしても人の移動とかビザの問題とかあるいは観光振興にいろいろ掛かってくる規制があるものですから、日本の場合、政府主導、役所主導の側面って結構強いと思うんですけれども、大体ださくて失敗しますね。やっぱりあと宣伝一つ見てもそうなんですね。
 韓国は通貨危機の後、観光振興を死ぬ気でやったんですが、外貨がなかったんですけれども、そのときに大韓観光振興公社というやっぱり日本でいうとかつての運輸省の下にある公社がすごください振興をやっていたんですけれども、これ一切やめて、政府は本当に規制周りのことだけを緩和するのに徹してあとはやっぱり民間全面でいったんですね。あとは大統領が自らビジット・コリア・イヤーとかやって、うちの国来ませんかともう死ぬ思いでセールスマンになってやっぱり回ったんで、じゃ何か日本の隣にある小さな国らしいけど、まあ行ってみるかという人々がぽつんぽつん出てきて、今や観光客の受入れでも日本より韓国の方が大きいんですね、人口三分の一なのに。それで観光資源も大してないのに、日本みたいに法隆寺みたいなのないのに、それでもやれば日本よりたくさんの観光客を受け入れられるんですよ。だから、この国の持っているポテンシャルというのは物すごく大きくて、一つは民主導が私は重要だと思うんですけれども。
 それからもう一つは、市はやっぱりニューヨーク型、自分の国のものを見てもらうんだけじゃなくて、第三国のもの、日本が一杯バブル期にかき集めてきた絵画、最近大分流出しているらしいですけれども、ああいう絵画をやっぱり生で見れる世界というのはアジアにはもうほとんど全然ないです。あといい音楽も、このマーケットが大きいから一流のオーケストラも一流のオペラも一流のバレエも来るんで、来てここで見て、聞いて、帰っていく金持ちというのは当然たくさんそういうものを期待している人はすごく多いと思います。やっぱり近いですから、ベネズエラからニューヨークに行くよりは北京とかに、ソウルからこっち来る方がずっと近いに決まっているので、都市はそういうチャンスがあると思いますし、それからグリーンツーリズム、最近はやっていますけれども、これもやっぱり本当にやれば、アジアの人基本的に温泉好き、風光明媚なところは結構好き、多分ライステラスとか見ても、うちにもあるなと思うかもしれませんけれども。あと、暖かい人たちはやっぱり北海道、寒いところに行きたい、雪を見たい。逆で寒いところの人は沖縄に行って暖かいところに行きたい。ここに南北に伸びている有利さというのはまたあるんですね。やっぱり活用していけば幾らでも都市も地方も観光のシーズというのはすごくたくさんあるというふうに思っています。
 そのときに、やっぱりパッケージでやらないと駄目で、多分何となく不安もあると思うんですね。例えば、最近中国に対しては観光ビザをどんどん出すようになってきていますけれども、しばらくの、これはやっぱり途中でいなくなっちゃいました、どこへ行ったか分かりませんみたいな話とかもありましたし、国民の持っている不安というのはやっぱりあるということを前提にして、やっぱり相当程度警察力の強化というのはパッケージでやらなくちゃいけないというふうには、抜本的に開ける以上は、おかしな人はなるべくちゃんときっちり取り締まれる役というのはやらなくちゃいけない。中国とこれからどうなるか分かりませんけれども、一応日韓の間は犯罪人引渡し協定もおかげさまでできましたし、警察間の協力というのは割と進んできている。マネーロンダリングの防止とか、やっぱり網が一杯かぶってきていて、やっぱり安全と開放をセットであくまでも観光はやっていくということだと思います。
 それをやっていけば、日本人のホスピタリティーというのはやっぱりすごい国際比較優位なので、がんがん伸びている国というのは、自分の国は競争社会ですから疲れる社会なんですよ。やっぱりここに来るとみんなふわっとしているんで、ああ疲れたなと思ってみんなが帰っていただければ、この人たちを攻撃しようという気もなくなるかもしれませんし、私は観光というのは非常に平和な産業であるというふうに思っています。
 以上です。
#45
○参考人(畠山襄君) 二点お尋ねだったと思いますけれども、一つは戦中、戦前の世代と若い世代とは気質も違ってきて、ややその若い世代は現状に安住したいというか、そういうところがあるのかもしれないというふうにおっしゃったんだと思いますが、若い世代も、このごろ企業の人なんかに聞いてみますと、日本もいい社会になったと、ベンチャーをやろうとするとそれなりに付いてきてくれるということを言っておられまして、世代で違うのではなくて、恐らく人によって安住しようと思う人とどんどん次へ行こうと思う人といるんじゃないかというふうに思います。
 それで、今観光の話が出まして、私にお尋ねじゃないのに答えて恐縮でございますけれども、観光も大事でございますが、この間ある国の大使が私のところにお見えになりまして、日本に、駐日大使ですけれども、その方がしみじみ言われるのは、教育、国際教育のメッカになったらどうかということでございます。
 そう言われてみると、アメリカでハーバードは世界じゅうから俊秀を集めて、二百万円も取って、それでそれも一年じゃなくて夏の講習か何かで二百万円も取って、そしてさんざんその学生たちをしごいて、そして彼らは感謝しながら散っていくわけですね。そういうことを日本の施策としても国際教育の振興ということを新しい分野として大いにやってはどうかということをその大使が言っておられましたけれども、全く賛成でございまして、そういう方向で自由貿易協定も活用していったらどうかなというふうに思います。
 それから、五年も掛けて大丈夫かというのが第二点の御指摘でございまして、全く同感でございまして、五年も掛けないで、中国がASEANと来年の六月にやっちゃうんですから、今は経済産業省の絵がありまして、それを見ると、何かその二年後に完成するという絵になっているんですけれども、それでも遅いと思いますので、少なくとも一周遅れとか言っていたわけですから、その一年後には完成するぐらいのつもりで、日本はASEANの自由貿易協定をやり、同時並行的に東アジア自由貿易協定の掛け声も掛けて推進していってはどうかと思っております。
#46
○会長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 質疑の申出は以上でございますが、あと十分ございますが、どうしても御質問がしたい方がいらっしゃいましたらどうぞ。
#47
○西銘順志郎君 畠山参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほど台湾と中国の話、私たち沖縄県でございますけれども、大変身近に感じておる問題を小林先生が聞いていただきましたので、大変参考になりました。
 それと全然視点は違うんですが、少子高齢化という時代になって、例えば中国でも一人っ子政策というのが取られているわけですね。この一人っ子政策が中国にどのような影響を与えるのか、この辺をひとつお聞かせをいただければ大変有り難いなと思っております。
#48
○参考人(畠山襄君) お答え申し上げます。
 中国の一人っ子政策は、御案内のとおり、非常に中国の経済の将来にも暗い影を落としております。日本が少子高齢化するだけじゃなくて、中国が少子高齢化になっていくということで、それはそんなに遠い将来ではないということでございます。
 それで、しかもその精神構造が、やはり甘やかされて、一人っ子で大事にされて育ってきていますので、今までの世代に比べて、さっきの世代の違いの論議じゃございませんが、やっぱり少し柔なんじゃないかという予測がされておりまして、そういう意味でもこの経済的な意味合いは甚大なものがあるだろうと思います。
 そこで、私の理解する限りでは、そろそろこれも見直しを検討するかということが中国の日程に上っていると思います。そんな状況かと思います。
#49
○会長(関谷勝嗣君) それでは、本日の質疑はこの程度といたしたいと思います。
 一言、両参考人にお礼を述べさせていただきます。
 長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。
 お二方のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト