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2003/04/23 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号
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2003/04/23 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号

#1
第156回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号
平成十五年四月二十三日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     渕上 貞雄君     又市 征治君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     又市 征治君     渕上 貞雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松谷蒼一郎君
    理 事
                国井 正幸君
                山下 善彦君
                江本 孟紀君
                加藤 修一君
    委 員
                有馬 朗人君
                大島 慶久君
                太田 豊秋君
                河本 英典君
                松田 岩夫君
                佐藤 泰介君
                長谷川 清君
                平田 健二君
                和田ひろ子君
                草川 昭三君
                井上 美代君
                森 ゆうこ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
   参考人
       政策研究大学院
       大学教授     福井 秀夫君
       株式会社住友生
       命総合研究所取
       締役主席研究員  市来 治海君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国会等の移転に関する調査
 (社会経済状況の変化に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから国会等の移転に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国会等の移転に関する調査のため、本日の委員会に政策研究大学院大学教授福井秀夫君及び株式会社住友生命総合研究所取締役主席研究員市来治海君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(松谷蒼一郎君) 国会等の移転に関する調査を議題といたします。
 本日は、国会等の移転に関し、社会経済状況の変化に関する件について専門員から説明を聴取した後、参考人から御意見を承ることといたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人におかれましては、御多忙中のところ当委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、専門員から十五分程度説明を聴取した後、両参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただくことといたします。その後、午後三時までを目途に委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 まず、専門員から説明を聴取いたします。鴫谷専門員。
#5
○専門員(鴫谷潤君) ただいま委員長から御指示のありました点につきまして、お手元に配付の資料に基づき、その概要と要点を御説明申し上げます。
 まず、資料全体の構成でございますが、社会、経済、財政分野の各種指標を三部構成にしてございます。国会等の移転決議や移転法案の趣旨説明などを参考にして、データの種類を選択し、国会等の移転決議があった平成二年の前後、経済的にはバブルの絶頂期にあったわけですが、当時と最近の状況などが比較できるようにして、三十八の図と十四の表にまとめております。
 資料の目次をごらんいただくとよろしいかと思いますが、第一の「社会状況」には、人口の推移、高速交通網の整備状況、インターネットの普及状況を挙げており、さらに、東京圏など三大都市圏の状況を示すものとして、人口の推移とか転出入状況、本社機能の対全国比率などの指標、住宅、都市公園、ごみの排出量などの生活環境の指標、地価や住宅価格の推移などを収録しております。
 第二の「経済状況」には、GDP、株価、法人企業設備投資の推移、完全失業率などの雇用状況、物価指数など、マクロ的なデータを収録しております。
 第三の「財政状況」には、一般会計の歳出決算や歳入の状況、新規国債発行額や国債依存度、国及び地方の財政赤字と長期債務残高の推移を収録しております。
 巻末には、参考として、「国会等の移転に関する決議」などのほか、地方分権の推進状況を年表の形で収録しております。
 以下、収録データの主なものについて、そのポイントを簡潔に御説明いたします。
 まず、第一の「社会状況」について申し上げます。
 人口の推移は、図1、図2に示しております。また、「東京圏等の状況」の中で、図6に人口の推移、図7に転出入状況を示しております。
 日本の総人口は、平成二年、一九九〇年には一億二千三百六十一万人でありましたが、二〇〇〇年には一億二千六百九十三万人と三百三十万人ほど増加しており、最近の予測では、三年後の二〇〇六年をピークに減少過程に入ると言われており、既に生産年齢人口は九七年に減少を始めております。
 我が国は少子高齢化が進んでおり、十四歳までの年少人口と六十五歳以上の老年人口は九七年に逆転し、老年人口が多くなっており、二〇一〇年代半ばには七十五歳以上の後期老年人口との逆転も予測されております。
 次に、東京圏など三大都市圏の人口の推移ですが、一九九〇年と昨年を比較すると、千葉、埼玉、神奈川を含む東京圏は六・六%増と、全国平均の三・一%を二倍以上上回っております。なお、東京都は全国平均と同水準であります。
 人口の全国的分布を見ますと、東京圏には四分の一以上の人口が集中しており、九〇年には二五・七%であったが、昨年は二六・六%と約一ポイント上昇しており、東京圏への集中が続いております。
 人口の社会的変動要因である転出入の状況を見ますと、東京圏では、平成六年と七年に転出が転入を上回りましたが、その後は再び転入の方が多くなっております。東京都区部では、平成八年まで転出が転入を上回る状況が続いておりましたが、九年以降は転入が多くなっており、いわゆる人口の都心回帰が起こっております。
 次に、高速交通網の整備状況については、図3、図4などをごらんいただきたいと思います。リニアモーターカーの技術開発の状況も入れておきました。
 一九九〇年代後半以降、IT革命が進行し、情報通信分野の進展には目覚ましいものがありますが、ここでは、図5に「インターネットの普及状況」で示しております。九八年末にはインターネット利用者は千七百万人でありましたが、昨年末には七千万人近くとなり、人口普及率は五四・五%と初めて五〇%を超え、二人に一人以上がインターネットを利用していることになります。
 六歳以上を対象のインターネット利用率で見ると、昨年末には、政令指定都市、特別区で六八%、市部で六〇・八%、町村部でも五四%と、その差は急速に縮まっており、インターネットは全国津々浦々で活用されていることがうかがえます。
 十一ページから十五ページには、十億円以上の法人の本社機能の対全国比率など、各種の機能を見る指標を収録しております。
 図8に示した本社機能で見ると、平成二年と十二年の比較では、東京圏は一・七ポイント低下していますが、十年以降わずかに上昇傾向にあり、対全国比率では五六・五%と、依然高い集中が見られます。東京都についても同様の傾向にあります。また、図9の外国法人数では、東京圏は九〇%を超えております。
 図11に卸売年間販売額の対全国シェアを示しておりますが、一度落ちていた東京圏のシェアが平成九年以降急上昇しており、大阪や名古屋圏とは対照的な動きとなっております。
 生活環境の指標につきましては、十六ページから二十二ページに収録しております。
 一住宅当たりの延べ面積や一人当たりの都市公園面積の推移は、図13、図14に示しており、全体的に改善傾向にありますが、東京は依然狭隘な状況が続いております。
 鉄道の混雑率を見ますと、平成二年当時とは改善されてきておりますが、それでも最混雑区間の平均混雑率が東京圏では一七五%と、立って新聞を読むのに苦労するような混雑状況に依然あります。
 地価の推移等は二十三ページ以下に収録しております。
 地価の対前年変動率を全国平均で見ますと、平成四年から下落に転じており、東京圏ではその前年から下落が始まり、その傾向は最近も続いております。
 用途別に見ますと、東京圏では、昭和六十二年に対前年比で、住宅地五七%、商業地七六%という異常な地価高騰を記録し、その後、地価の上昇率は鈍りましたが、平成三年には下降に転じました。商業地では、五年に二〇%、六年から九年までは一〇%台で下落し、その後も下落を続けております。
 第二の「経済状況」について御説明いたします。
 日本経済は、平成三年初めまでは昭和六十一年十二月から五十一か月続いた長期の景気拡大の時期にあり、昭和六十二年から平成二年までの名目GDPは四%台半ばから八%近くまでの高い成長率で推移しましたが、バブル崩壊後は一%から二%台の低い水準となり、平成十年、十一年にはマイナス、十三年には戦後最低のマイナス一・五%を記録しております。
 経済の先行指標と言われる株価の推移については図26に示しておきました。バブル期の平成元年に日経平均で三万九千円直前まで上昇しましたが、平成四年に一万七千割れまで急落し、平成十一年からは再び下落傾向を続けており、最近は八千円を割っております。
 法人企業の設備投資は、平成二年までは対前年度比で二けた台の高い伸びを示しましたが、平成四年から六年まではマイナス、七年から九年に持ち直しましたが、十年からは再びマイナスに陥っております。
 雇用状況を見ますと、就業者数は平成二年に六千二百五十万人、十四年には六千三百三十万人と、この間八十万人増加しておりますが、完全失業者は百三十四万人から三百五十九万人と二百二十五万人も増加し、完全失業率は二・一%であったのが、七年に三%台、十年に四%台に、十三年に五%台になり、昨年は五・四%を記録しております。また、有効求人倍率は平成五年に一を切ったまま低迷を続けております。
 次に、物価指数などについて見ます。
 日本経済は、最近デフレ傾向を強めてきており、平成十二年を一〇〇として、昨年の消費者物価指数(全国・総合)では九八・四、卸売物価指数、最近は国内企業物価指数と名称が変更されておりますが、その総平均は九五・八と、デフレ傾向が統計にも顕著に表れてきております。平成二年には消費者物価が九二、卸売物価が一〇八という指数でしたので、卸売物価の下落が目立っており、平成四年以降はほぼ一貫して下げ続けております。
 第三の「財政状況」について御説明いたします。
 我が国財政をめぐる状況を概略申し上げますと、本格的高齢社会を迎え、社会保障費は増加の一方であり、バブル崩壊後、景気浮揚のため相次いで経済対策が打ち出され、特に公共事業が拡大する一方、減税の実施等もあり、財政状況は極めて厳しい状況になっております。
 これを決算値で見ますと、社会保障関係費は平成二年度に十一兆五千億であったのが、十三年度には十九兆三千億となっております。ちなみに、公共事業関係費は、平成二年度には約七兆円だったのが、五、六年度は十三兆円台、七、八年度は十二兆円台、十、十一年度は十三兆円と高水準で推移しました。最近は、小泉内閣の方針として公共事業費が削減、抑制されております。
 租税収入は、平成二年度に史上最高の六十兆円を記録しましたが、翌年度から減収に転じ、十三年度は四十七兆九千億円と、最近は五十兆円を切る状況が続いております。
 平成二年度はバブル税収もあって、特例公債、いわゆる赤字国債でございますが、その新規発行をゼロにすることができましたが、六年度から再び赤字国債を発行し、また、公共事業の拡大に伴い建設国債が増発されるなどしており、十三年度決算では公債依存度が三五%を超え、十五年度当初予算では四五%近くになっております。
 この結果、国及び地方の長期債務残高は、平成十三年度には六百七十三兆円、対GDP比では一三四%となっており、十四年度補正後では一四〇%を超えると見込まれており、この状況は先進国の中でも最も厳しい状況にあります。
 以上、簡単でございますが、社会、経済、財政の状況変化についての御説明を終わらせていただきます。
#6
○委員長(松谷蒼一郎君) どうもありがとうございました。
 引き続きまして、参考人から御意見をお述べ願います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、福井参考人からお願いをいたします。
#7
○参考人(福井秀夫君) 福井でございます。
 本日は、意見を述べる機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じております。
 私からは、最近の経済社会状況の変化を踏まえた国会移転の在り方について意見を申し上げたいと存じます。
 まず第一点、経済社会状況の変化についての認識でありますが、首都機能移転に大きくかかわります経済社会状況の変化は次の三つと思われます。
 第一は、人口の伸びの鈍化であります。これは社会の高齢化を意味いたします。日本全体として住宅や都市基盤施設等に対する需要の伸びが鈍化すると予想されます。
 第二は、経済成長の伸びの鈍化であります。中長期的には経済の安定成長が見込まれるため、特に政府部門の投資には、費用に対して効果が十分存在するものから優先順位を付けて行うということがますます求められると思われます。かつてのように、大きな成長からもたらされるパイを十分な吟味を経ないでもろもろの利害集団に気前よく再分配するという構造は終えんを迎えたと思われます。
 第三は、集中と選択の必要性の高まりであります。従来の国土政策のスローガンでありましたいわゆる国土の均衡ある発展といった言葉に象徴される政策は、経済社会構造に余力がある時代の産物ではあり得ても、現在の状況には必ずしもそぐわないと思われます。人的資源やあるいは経済余力が減じつつある現在、健全な国民経済の基盤を確立していくためには、人口、産業、都市基盤施設を始めとして、集中に伴う利益を追求するとともに、その際にはより効率的な選択を行っていく、それが国家全体のパイを増大させていく上でも必須となると思われます。
 二点目に、首都機能移転の意義の再検証であります。
 以上の諸情勢の変化を踏まえて、九九年に国会等移転審議会答申がございましたが、それを踏まえた次の三つの目的、すなわち東京一極集中の是正、防災対応力の強化、国政全般の変革という、これらについてそれぞれ検証してみたいと存じます。
 まず第一は、東京一極集中の是正という目的あるいは論拠でございます。
 東京圏への人口や企業本社の集積によって、交通混雑、環境悪化など、集中に伴う弊害が発生してきたことは事実であります。しかし、企業の取引などには集中に伴う規模の利益もございます。フェース・ツー・フェース、すなわち対面のコミュニケーションが容易であることに伴って、集積がかえって混雑や移動時間の浪費という無駄を節約するという側面もあります。集積は文化や芸術の営みに関しても多種多様な選択肢を市民に提供し、雇用の面でも東京圏の就業機会の多様さや求人量は際立っております。集中そのものを規制、排除するとプラスの側面を捨て去ることになりかねません。一極集中対策とは、集中そのものの排除ではなく、混雑への対処たるべきだと考えます。例えば、虫歯になるのは歯があるからだとして、あらかじめ歯を抜く治療がかつて存在しましたが、現在は消滅しております。
 現在の首都機能は、企業、国民、自治体を様々な援助組織、規制、許認可等によって人為的に呼び寄せているという意味で、混雑の発生原因であります。ほかの地域にその発生原因が移転するだけでありましたら、今度はそちらで集中の弊害が発生するだけのことになってしまいます。一方、東京における集中の便益は確実に低下します。
 すなわち、ほどほどの集中をもたらすことはほどほどの便益とほどほどの弊害を発生させるだけであります。一極集中の是正のためには混雑そのものをコントロールする、例えば混雑税や環境税などの独立の手段を講じますとともに、国家機関の権限等を民間や自治体に基本的に移譲していくという試みが本質的な対策だと考えます。
 第二に、防災対応力の強化という論拠であります。
 この目的のためには、東京と比べて明白に安全性を備えた地域を移転先として想定することが一つの選択肢となります。もう一つは、リスクの分散のため何か所もの地域への機能の分散を図ることであります。
 しかし、前者については、地震に関して安全な地域の選定を確定的に行うことは現時点では技術的、学問的に困難であります。後者につきましては、首都機能の中の同一の機能を複数地域に分散するのでなければバックアップの機能を果たせないことから考えますと、膨大な分散投資を行うメリットとそのデメリットとの比較考量が不可欠となります。更に言えば、いずれの場合も、既存のブロックの中枢都市などが首都機能の一部を受け持つことでは足りず、白地から新首都の構築を考えなければならないという必然性はございません。
 以上を総合的に勘案いたしますと、防災対応力を強化するという首都機能移転の目的には必ずしも合理性がないと考えます。
 第三は、国政全般の変革という論拠であります。
 国政の課題としての官から民へ、国から地方へといった権限移譲は長年にわたる潮流となってきております。しかし、本来は国政上の課題の実現と首都機能の配置とは独立の論点であるという批判も存在します。ところが一方で、長年にわたって官と民又は国と地方との特殊な関係が濃密に繰り広げられてきた東京では望ましい関係の再構築が困難と考える余地もあります。首都機能移転とは、言わば強制的な東京からの人為的な集中発生源の離別であり、新首都を訪問するに際して障壁があることによって、官と民、あるいは国と地方との間、それぞれの間に一定の距離を置くことができて、これによって権力的な構造が緩和されると考える余地もあります。
 仮に、濃密なコミュニケーションという従来の関係に一切変化がないまま機能移転が行われるならば、民間や自治体にとっては移動のコストが耐え難いレベルに達します。それにもかかわらず、国政上の諸改革に手が付けられないままでありましたら、負担だけが増大することになります。
 あくまでも構造変革の手段として首都機能移転をとらえるとすれば、移転に積極的意義を見いだすことは十分に可能だと思われます。その場合には、移転によって具体的にもたらされる構造変革の内容や程度についてもあらかじめ明らかにしておくべきだと思われます。
 具体的には、例えば行政運営について情報公開法を超えるレベルでの情報の徹底的な開示、例えば政策の決定過程をガラス張りにすることですとか、行政の権力の源泉となっております許認可、行政指導、補助金交付などにおけるあいまいな裁量権を立法によって明確化、透明化すること、また、国民の権利救済と行政の適法性を確保するために使い勝手の良い行政訴訟制度を構築することなどが必要不可欠と思われます。
 中央政府の権限や財源を必要最小限度に絞って、地方分権を徹底し、自治体や民間が主役となる社会構造に変革することも重要と思われます。さらに、差し当たり新規に建設される首都を対象として、土地利用規制、税制、法規制などに関する様々な社会実験を行うことにも意義があると思われます。
 今般、規制改革特区の制度がスタートいたしましたが、これらについても関連いたしますように、全国一律に適用するには、効果についての実証データが乏しいという制度について、新首都を言わば特区と位置付けて、そこでは全国の先駆けとなる様々な新しい試みを行うということもあり得ると思われます。
 例えば、都市計画、建築規制の容積率規制を撤廃して自由な土地利用を確保する、交通混雑を抑制し都市環境をも向上させる鉄道や道路に関する時間差料金制、いわゆるピークロードプライシングを導入すること、環境税等を導入した循環型社会のモデル都市を構築することなども考えられます。
 財政事情が極めて逼迫しております現在、首都機能移転論に当たっては、構造改革に関する具体的な政策内容をあらかじめ確定し、厳正にその実が上がるような仕組みを構築しておくことが望まれます。
 三点目に、首都機能の規模や形態についてであります。
 国政上の構造変革に具体的に寄与できるような首都機能の移転の規模、形態でなければ、効果を十分に上げることは困難と思われます。
 具体的には、民間や自治体との接点が多く、かつ接触の密度が濃い組織ほど移転の優先順位が高いと考える根拠があります。このような組織の就業人口をその家族、関連サービスの従事者などを具体的に計上する作業を行うならば、人口規模を絞り込むことは可能と思われます。
 移転規模や対応する組織は、中枢的意思決定を行い、対外的な判断や指導の窓口となり得る部局、なかんずく行政庁における組織が中心となるべきだと思われます。もっとも、移転後も同じだけの権限をそれらの組織が発揮し続けるというのでは移転の意味がありません。
 次に、形態については、新首都への機能の移転の後に、特に交通ネットワークが未整備であること等が来訪するための障壁となるような機能こそ移転の必要性が強いとも言えます。
 国家機能の三権の中では、司法、すなわち最高裁は、下級審と異なり、弁論回数も少なく、一般的な国民、企業との接触も少ない組織であります。このような機能には移転の費用に見合う便益はほとんど期待できません。
 一方、中央官庁の行政機能は、現実に多くの自治体が接触拠点として東京事務所を置いていることからも明らかでありますように、権限を背景とした集中の発生原因の筆頭格であり、これらのうち、中枢管理機能、対外的な指導の窓口部局を移転させることには一定の意義があり得ると思われます。
 国会は、立法及び予算の議決がその本来の役割でありますから、対外的な接触の必然性は行政機関よりも小さいということが言えます。しかし、国会が立法や政策に専念する環境を整備するという意味で、また、実質的に議院内閣制の下で密接な関係を持つ行政庁に対して多大な移動のロスを生ぜしめないという点から、行政庁の中枢機能と同じ場所に存在することが望ましいと解する余地もございます。
 堺屋太一氏が先般、二十一日付日経「経済教室」で提唱しておられます対面情報の習慣を切断するための分割移転という提案も、私の考え方と枠組みにおいて同じであります。
 移転費用の軽減策としては、重要なことは、土地買収に当たっての開発利益を公共部門が吸収することと思われます。
 例えば、収用権を背景とした土地の大規模な先買い制度を法制化することを検討すべきと思われます。また、公共部門が本来は比較優位がない不動産経営に乗り出さずに民間活力を活用するため、大規模な単位での敷地において定期借家権等を活用して政府施設、オフィス、住宅等の供給をすることを中心とすべきと思われます。
 最後に、四点ですけれども、東京都と移転先の首都との比較考量の問題であります。
 国政上の構造変革を伴わないまま東京都以外の地域に莫大な建設投資を行うならば、社会的な便益の存在しないまま社会的な損失を拡大させる結果となりかねません。言い換えれば、制度変革のないままの首都機能移転は、現在の首都機能を東京に存続させる選択肢と比べて国民的利益を増進しないものとなることに留意が必要と思われます。
 真に国政の構造改革を伴うこととセットでの首都機能移転を進めていただきたいと念じております。
#8
○委員長(松谷蒼一郎君) どうもありがとうございました。
 それでは次に、市来参考人よりお願いをいたします。市来参考人。
#9
○参考人(市来治海君) 住友生命総合研究所の市来と申します。
 今日は意見を述べる機会を与えていただいてありがとうございました。
 私の方は、平成二年にこの問題が始まって現在平成十五年、全く金融、経済の日本の状況が変わったということで、なぜそれが変わったのか、それからそれを元に戻すにはどうしたらいいか、こういう観点からお話をするということでやってまいりました。
 私がお配りいたしました「日本経済・金融の現状と問題の核心」というこの資料に沿いましてお話をしたいと思います。このレジュメのほかに私の書いた論文が二つございますので、適宜御参照いただきながらお話ししたいと思います。
 まず、私は、現在の日本の経済、金融についての診断でございますが、日銀にインフレターゲットを導入させなさいとかあるいは補正予算をしなさいとか、いろいろな議論が出ておりまして、その根底に需要不足によるデフレが始まっていると、こういうことがあるんですが、私はまずこのデフレ論議に非常に誤解があるのではないか。だから、今の日銀の問題とか財政拡大をやっても、どうもちゃんとこれは肝心の問題に対してターゲットを外しているのでどうもうまくいかないのではないか。私の認識は、真の問題は資産デフレである。土地、株式価格の下落、データも先ほどのにございますが、これは極端に下がっております。
 したがいまして、これによって何が起こったかということが、三つぐらいそこに挙げましたけれども、第一に、銀行が土地、株式をベースに信用創造していた。ここが特にアメリカとか欧米諸国と全く違う点でありまして、アメリカとかヨーロッパでも多かれ少なかれ資産デフレの、起こっているんですけれども、銀行がそれをベースに信用創造をしていたということは、日本と外国との全く根本的な違いであります。
 価格下落によって金融システムが大打撃を受けてしまった。まず、不動産の方については銀行の不良債権が膨大に積み上がった、こういうことがあります。それから、株式の方は、これは銀行が大量に株式を保有している、現在でも約三十兆、全国銀行で三十兆保有しておりますが、この株式が大体ピーク時の四割、三割ぐらいになっておりますので、銀行がその損を埋めるために自己資本が非常に毀損されてしまった。この二つによって金融システムが大打撃を受けたことが非常に日本の経済、金融がいまだに低迷している一番大きな理由なんだと。結局、それによりましてお金がスムーズに回らなくなった。経済の心臓が金融機関であって、お金が血液ですから、心臓の具合が悪くなればこれは経済というのは非常にうまくいかなくなるというのが第一に指摘したい点でございます。
 それから第二に、企業のバランスシート。企業はたくさん不動産も持っておりますし、一時は投機をしなければ経営者ではないというような評論もございまして、大分企業も不動産とか株式投資をたくさんした。これが非常にバランスシートの面で大きな打撃を受けた。それから、個人も、これはバランスシートございませんけれども、もちろん大きな打撃を受けたために、企業の投資意欲、個人の消費意欲が非常に極端に低下したということがございます。企業は本来、投資超過であって貯蓄超過ではいけないんですが、現在、企業は収益が上がるとそれでどんどん負債を返すということになっておりまして、企業も個人も貯蓄超過になっておる、需要不足が恒常化している、これが第二の問題であります。
 それから、もう一つは、後で出てまいりますが、個人は特にこのバランスシート、個人バランスシートの毀損のほかに社会保障制度への将来不安、これが非常に加わっておる。要するに、人口構造がこの十二年で激変いたしまして、高齢者が増えて若い方が減ったという中で、社会保障制度の抜本改革がなされていないために非常に将来不安が加わっている、これが個人の消費意欲を更に低下させているというのが第二点でございます。
 それから、こうした状況の中でグローバライゼーションと世界的技術革新による一般物価デフレが加わったというのが現状だというふうに私どもは理解しております。
 このグローバライゼーションと世界的技術革新による一般物価デフレというのは、榊原英資先生の「構造デフレの世紀」等々、あるいは水野和夫さんの「百年デフレ」等々で指摘されておりますが、@、Aに加えて世界的な構造デフレが起こっているということで、現在の日本の状況というのは、一般物価では消費者物価は一%前後しか下がっていないということでありまして、これはどうも資産デフレ、資産デフレーションであって、一般物価デフレーションというのは必ずしもそれほど深刻なものではない。主にそれはBの世界的な傾向であって、これは相当続くだろう。こういった面でのデフレ傾向というのは日本だけじゃなくて、欧州でもアメリカでも現実に起こっております。これが第一の現状認識でございます。
 これに対してどのような政策対応をしたらいいのかということで、二つ、私どもの研究所で政策提言をしております。第一は資産デフレ対策であり、第二は社会保障の抜本改革であります。
 第一に、資産デフレをストップするために株式市場に思い切った介入をしたらどうかというのが私どもの提言でございます。
 このお配りしました論文の最初の方、「銀行保有株式を国は全額買い上げよ」というのがございます。これについて、ちょっと一枚めくっていただきまして、そこに「新機構設立による「窮極の不良債権処理策」」というのがございますけれども、これに沿ってちょっと説明をいたしますと、現在、いろいろな株式取得機構がありますが、それから現在出ている話としては、民間でかつての共同証券保有機構等のようなものを作ったらどうかという話もございますが、私どもはどうもそういうことでは駄目であると。一番問題は、銀行が株式の値段が上がったり下がったりするために経営がぐらついたりバブル化したりすることをなくさなければいけない。つまり、銀行と株式、銀行経営と株式保有を遮断しなければいけない、ここが最大のポイントだというふうに私どもは認識しております。
 アメリカの株式市場がなぜ現在のように効率的な大マーケットになっておるかというのは、一九三三年のグラス・スティーガル法により銀行の株式保有を全面的に禁止したために今日のような非常に立派な株式市場ができておる。ところが、日本は戦後の金融行政の中でなぜか銀行に株式保有を独禁法の制限以外には無制限に認めた、ここに非常に大きな誤りがあったというのが私どもの認識でございます。
 したがいまして、国が、これ民間も一緒になって設立してもいいんですが、新しく銀行保有株式処理機構というのを作りまして、私どものみそは、国がここに永久国債を交付する、そして機構が永久国債でもって銀行の保有株式三十兆余りを一挙に買い上げてしまう。そうすると、銀行の資産というのは株式から永久国債に変わります。後は機構が相場を見ながら株式を徐々に売却していって、そしてその売却したお金でもって永久国債を期限前償還する。
 こういうことにいたしますと、永久国債でありますから、これは償還の必要がなく、株が売れたときだけ償還すればいいということになりますので国民負担は発生しない。それから、銀行の株式相場によっての経営のぐらつきというものがなくなる。それから、将来もし機構が買い取った株式が下がったらどうなるのかというのを御懸念になると思いますが、これは永久国債で償還の必要がないので、ずっと国がそれを持っていればそれで一向に差し支えない、こういうふうに私どもは考えております。
 したがって、だれにも損が発生せず、しかも銀行の経営が非常に安定する。それからもう一つは、株式市場が、日本の株式市場がゆがんだのは銀行が非常に大きな株式保有をしていたためだと思いますので、それがなくなりますので非常に株式市場が効率的で正常なものになっていくのではないか、これが私どもの第一の提言でございます。
 それから、第二の提言といたしまして、社会保障につきまして、個人が社会保障制度へ非常に将来不安を持っているということで、これに対してどういう抜本改革をしたらいいかということで、そこのレジュメにありますように、国民に将来へのコンフィデンスを取り戻させる必要があるのだということでございます。
 この二つ目の論文の二ページ目を開けていただきますと、「財政維新プラン」と私どもで名付けたものがございますが、これはどういうことかといいますと、今の社会保障制度の一番の問題というのは、私どもの理解では、ナショナルミニマムである高齢者保健、基礎年金、介護保険、これが非常に大きな部分が保険によって運営されているというのはどうも問題ではないかというのが私どもの認識でございます。
 こういった社会保障の基礎部分は、これはどうも税金でやるべきではないかというのが私どもの認識でありまして、保険の論理と税金の論理というのは非常に混然一体として混乱をしておる。したがいまして、ナショナルミニマムはすべて税金で賄う。こういうことにすれば、今の日本の社会保障というのは、若い世代から高齢世代への所得移転、世代間の助け合いという理念で構成されておりまして、それがこういったナショナルミニマム部分にまで、非常にたくさん社会保険制度で運営されておりますので、そこにどうも問題があるのではないか。
 したがいまして、ナショナルミニマムの部分をすべて税金で賄うことにいたしますと、私どもの計算ですと、現状ですぐそれをしようとしますと十六兆円掛かる。これはなかなか財源がないということでいつも挫折してしまうんですが、私どもは、そこに書いてあるのは、公共事業を八年かけて三分の一削減し、GDP比で国際水準へ近づけると。こういうことをすれば、八年間で年間二兆円ずつで十六兆円の財源というのが捻出できるのである。それによってナショナルミニマム部分をすべて税金で賄う。
 こういたしますと、公共事業を減らすと緊縮財政で景気が悪くなるとおっしゃいますが、これはそうはならない。つまり、ナショナルミニマム部分の社会保険料、これが相殺されるということになります。ナショナルミニマムの中の社会保険の部分の社会保険料がすべて税金になりますので、我々サラリーマンからいいますと社会保険料が大幅に減る。したがいまして、これは恒久減税と同じになる。サラリーマンからいいますと社会保険料というのは税金と同じでありますから、これが恒久減税と同じになるので、十六兆円の公共事業は減るけれども、その分十六兆円の可処分所得が増えるということで、これはほぼ相殺されて緊縮財政にはならない。その上で、国民が非常に将来、ナショナルミニマム部分が税金化されまして所得移転、強制的な所得移転がなくなりますので、国民が将来に対する社会保障制度への不安がなくなる。これによって景気が本格回復する。そこで、課税最低限引下げ、消費税率引上げ等によって財政再建が成るというのが私どもの第二の政策提言でございます。
 第三といたしまして、今私が申し上げましたように、まず、銀行の株式保有を切断するということによりまして資産デフレはストップできる、こういうふうに考えております。それから、国民が社会保障の将来にコンフィデンスを取り戻す。過大な現役世代から高齢世代への所得移転がなくなり、かつナショナルミニマム部分は国が税金でもって将来とも完全に保障してくれるということであれば、今のように徐々に社会保障の給付を減らし、社会保険料の負担を増やすというような形で国民が将来に不安を感じているということが一掃されるのではないかというふうに思います。
 それからもう一つ、今までは全然申し上げませんでしたが、為替レートでございまして、これが私の認識では非常に割高ではないのかと。今、一ドル百二十円というのは、ちょうどバブルのピークの一九八九年、九〇年、このころのレートと実はほぼ同じでございまして、当時はユーロというのがなかったんですが、これはどうも異常に割高ではないか。
 なぜ円がそんなに割高なのかというと、私の認識では、個人資産千四百兆円が海外に流れていかないから。今の個人金融資産千四百兆のうち、海外、外貨建て資産はわずか一%でございます。これはやはり異常ではないか。年間二千万人近い国民が海外旅行をしておる、つまり二割近い国民が海外旅行をしているのに、その保有資産が外貨が一%しかない。これは異様に日本の中で貯蓄過剰になり、それが外国に流れていっていないのだということでございまして、これがもし一〇%、二〇%流れ出すようなことになりますと、今の円の異様な為替レートというのは修正される。
 つまり、資産デフレがストップし、国民が社会保障の将来にコンフィデンスを取り戻し、円の割高な為替レートが国民が正しいポートフォリオ認識、正しい将来への投資スタンスを取り戻すことによって是正されること、この三つが実現すれば、実質二、三%の成長は十分可能なのだというのが私の分析でございます。
#10
○委員長(松谷蒼一郎君) どうもありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきます。
 また、委員の一回の発言はおおむね三分程度とし、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#11
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 今日は、お忙しい中を福井参考人とそして市来参考人がおいでくださいまして、貴重なお話をいただきましたこと、お礼申し上げます。
 お二人に意見をお伺いしたいと思います。
 私は、福井参考人の「首都機能移転論の再検証」という論文をあらかじめ読ませていただきましたので、この論文も参考にして質問をさせていただきたいと思います。
 福井参考人は、最初に、首都機能の移転についてこれまで多数の論拠が示されてきたが理論的実証的な検証に堪えるものは少ないと、このように述べられておりますが、私もそのとおりだというふうに思います。それでも、参考人は、一九九九年の答申では移転の意義、効果の前提として、第一に、先ほどお話もありましたけれども、国政全般の変革、そして第二に東京一極集中の是正を挙げられて、第三に災害対応力の強化ということがあるとして、これらについての論拠が明確にされる必要があると、このように述べておられます。
 しかし、具体的には、第一については、新首都を、民間や地方を容易に訪問することができないような交通面における障壁が築かれることによって、官と民と、そして国と地方とそれぞれの間に一定の距離を置くことができ、権力的指導や依存の構造が緩和すると期待できる余地もあると、このように述べておられますが、これは、交通が不便なところに首都が移れば、憲法十六条で、何人も、損害の救済、そして公務員の罷免、法律、命令及び規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、という国民の請願権が脅かされることになると。期待される、だから、余地とはなり得ないと思います。
 第二について言っておられる点についてですけれども、参考人は、中央官庁、国会それから最高裁などの首都機能移転で東京一極集中の弊害を是正することを念頭に置いているのであればそのような根本的な集中対策は困難であると述べていますが、そのとおりであると私も思っております。
 第三については、防災対応を首都機能移転の論拠として挙げることは無理があると述べています。私もそう思います。
 防災対応を言うならば、例えば、公立の小中学校だけでも今耐震化の問題が大きな問題になっているんです。そういう中で耐震診断しなければいけない校舎というのがあるんですけれども、これがやはり非常にお金が掛かったりします。それで、約六万棟もありますけれども、この診断の費用をどのように賄うのかと、大きな課題になっているんですね、母親たちも大変関心を持っておりますけれども。こうしたことをやはり優先的に解決すべきであるというふうに思っています。
 一方、首相官邸や防衛庁の中央指揮所は最近造られたもので、これらが大地震に耐えられないなどということ、あってはならないと思いますし、そういうことになりますと政府の失政そのものだというふうに思うんですね。
 防災対応を取ってみても、首都移転について合理的で納得のいく論拠などは見いだせないことがはっきりしているというふうに思います。
 最後に、バブル経済の崩壊後、長引く景気低迷により、多くの国民が職を奪われて大変失業をし、苦しい思いをしております。そういう状況に加えて、国の借金も国民一人当たり約五百五十万円になっている。そういうときに首都移転どころではないというのが今日の状況であるというふうに思います。首都移転については、首都は移転させないと、そういう結論を一刻も早く出すべきだというふうに思っております。
 このことにつきまして、お二人の参考人の御意見をお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
#12
○委員長(松谷蒼一郎君) それでは、福井参考人からお答えをいただきますが、なお、その前に、井上委員の質問は大変長いので簡潔にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、福井参考人、お願いいたします。
#13
○参考人(福井秀夫君) 首都移転については、私の意見陳述に申し上げましたように、ここはいろいろな条件なり制約下の下での判断だというのが私の意見でございまして、一概に首都移転をすべきである、あるいはすべきでないというようなそもそも論ではない議論としてお受け止めいただければと思います。
 非常に端的に申し上げるならば、首都移転はやはり国政上の変革を効果的に行うために整合の取れたものとして行っていただけるのであれば大賛成でありますと、こういうことでございます。
 しかし、裏返しに言えば、ただ単に今までの行政と国民、あるいは自治体との関係といった構造をそのまま温存して単に場所だけ移して新規建設投資をするというコンセプトであれば、かなり疑問があるというのが私の意見でございます。
#14
○参考人(市来治海君) お金が非常になくなったので、首都移転どころではなくなっているし、国民の関心も後退しているということでございますが、では元に戻すのにはどうしたらいいかということで私は申し上げましたので、私どもが提言している政策対応、こういうことをすれば十分二、三%の成長には戻れるのだというのが私の考えでございまして、二、三%の成長に戻ってお金が出てきて、当然失業率も下がりますし、そうなれば、首都機能移転というのは夢のある話だし、大いにやればいいのではないか。
 したがいまして、あくまでも経済、金融についての対応が先ではないのかということで今日御意見を申し上げたわけでございます。
#15
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございますが、今日はお二人の参考人の方、本当にありがとうございます。非常に参考になりました。
 本日の委員会は、いわゆる当時の社会経済状況が変わったということを踏まえた上でどういうふうに認識、評価したらいいかということなんですけれども、確かに国外的な状況というのはグローバリゼーション、そういったものが進展したわけでありますし、あるいは国際競争力の維持、またそれを発展させていかなければいけないと、それは我が国にとっては極めて重要な点だと思います。
 そういった意味では、世界都市東京というものがきちっと位置付けされなければいけないなと、そんなふうに考える方もいるわけで、そういった中で、集中のメリットを最大限に生かした都市形態というのをきちっと整えていかなければいけない、そういった意見もあったように思いますが、その集中のメリット・デメリット、これについてもやはりきちっと押さえておかなければいけないなと、そんなふうに思ってございます。
 それで、国内的な状況については、恐らく一極集中、これについても先ほど鴫谷専門官の方からも紹介がございましたように、確かに本社機能が更に集中が進んだ、あるいは住宅面積の関係あるいは都市公園面積の推移、そういったものについても東京は依然狭隘な状態が続いている、あるいは鉄道の混雑率を見てまいりますと、これも依然として改善しているとは言い切れないと、そんな状況で、やはり一極集中の、メリットも当然あるんでしょうけれども、デメリットも極めて大きいと考えざるを得ないと思います。
 それで、福井参考人の方にお聞きしたいわけですけれども、先生の論文の中で、いわゆる「一極集中の弊害への対処とは、すなわち混雑への対処なのである。」と、そういうふうに書いてございまして、したがって、本来の東京一極集中対策とは集中発生源ごとにその外部不経済をその分だけ原因者に負担させるような仕組み、そういった仕組みを個別に構築していくことであると。いわゆる「その発生の理由を取り除かないまま、ただ発生源をよその地域に持って行くことは適切な政策ではありえない。」ということで、こういった限りにおいては移転論についてはネガティブなお考えかなという感じがいたしたんですけれども。
 その仕組みの問題ですけれども、原因者に負担させるような仕組みを個別に構築していくということについて、より具体的に施策的な面についてもお考えがございましたならば御紹介をいただきたいと、このように思います。
#16
○参考人(福井秀夫君) この言わば混雑に伴う弊害をコントロールする仕組みというのは、申し上げましたように、集中そのものをやめてしまうということではございませんで、集中に伴って発生しているメリットはできるだけ温存しながら、デメリットである混雑や環境悪化というところだけ部分的、局所的にたたくべきではないか、こういう発想でございます。
 これについての具体的な提案でございますが、その典型例は混雑料金制でございます。
 これについては実は先例が世界的にもございまして、ノルウェーとシンガポールで、都心に一定の混雑時間帯に流入する車には一種の割増し料金を取るということが制度としてもう十数年来定着しております。ノルウェーは三都市、シンガポールでは、数年前の導入ですが、都心にリング状のゲートを設けまして、そこから中に入る車の一定時間帯についてだけ料金を取るというようなことが行われております。
 これについては、現在、東京都でも一種の乗り入れ規制としてこういう混雑規制を検討中と聞いておりますけれども、日本でも、鉄道や道路について、一定の混雑の発生原因となる時間帯についてはほかの時間帯に分散していただくために混雑料金を課して需要の平準化を行うということは十分考えられる政策でありまして、こういった政策をきちんと講じていけば、集中そのものというよりは、集中に伴う環境悪化や混雑に伴う疲労等を避けることができると、こういうことでございます。
 また、環境の側面では、やはり同じく自動車からは様々な有害物質が出るわけでございますが、こういった有害物質に着目した環境税を徴収するというようなことも一種の混雑対策でありまして、こういった仕組みを、例えば道路、鉄道以外にも、今の環境あるいは上下水道、電話、電力といった様々な都市基盤施設ごとに一種の料金政策を取っていくことによって混雑の弊害は最小限に取り除かれ、かつ、集中のメリットは必ずしも殺さないで済むということが徐々に可能になっていくと思われます。
#17
○大島慶久君 自民党の大島でございます。
 市来参考人にお尋ねをしたいんですが、先ほど社会保障の抜本改革、景気対策としていわゆるナショナルミニマムの部分、これは非常に私、ダイナミックな御意見を承ったなという感じがいたしておるんですが、日本のような、いわゆる国民負担率が四五、六%でしょうか、今。そして、片や先進福祉国と言われているような欧米諸国は七〇%台の国民負担率でございますから、そういうギャップの中でいわゆる社会保障にかかわる費用を全部税金で賄ったらどうかと。それは、千四百兆にも及ぶ国民のいわゆる金融資産の六割ぐらいが高齢者が持っているというわけでありますから、そこら辺がそのお金の流出が図られれば私も非常に景気回復には直結するだろうというふうに考えております。ただ、将来不安があるからなかなか財布のひもを固くしておかなければいけない。
 そういった意味では、非常に今の御意見は共鳴できるのでありますが、ただ、今、日本のシステムの中でしかれている税制だとか、そういったことを現状のままというふうに私が受け取るとすれば、そういう中で今のようなお考え方、十六兆円にもなんなんとするナショナルミニマムをすべて税方式でやるということが本当に可能なのかどうかというようなことがちょっと私は分かりにくい議論ではないのかなという感じがいたします。
 そこら辺を税制も絡めてもう少し、先ほどはそんなにお詳しくお述べにならなかったのかもしれませんけれども、もう少し詳しくお聞かせをいただけると有り難いと思います。
#18
○参考人(市来治海君) 今の御指摘でございますけれども、国民負担率というのは社会保険料と税金と両方入れたものがGDPの何%になる、国民所得の何%になるかというのが国民負担率でございまして、私の提言は、その社会保険料でやっているのを税金にしなさいという、こういう提言でございますので、私の言うとおりやったところで別に国民負担が上がるわけではないということですね、まず。それから増税になるわけでもない。なぜ増税にならないかというと、その分、公共事業を減らすことになるからでございます。
 それで、この九十七ページという二枚目のところに私どもで試算した「ナショナルミニマム部分の負担割合」というのがございますが、ここで既に公費負担ということで税金が非常に多額に投入されておって、このうちの保険料負担部分を税金に変えなさい。なぜなら、保険料負担については若い人が高齢者のために払っている、だから若い人が非常に不満を持っている。したがって、これを税金に変える分、保険料の負担が減りますので、国民の負担が増えるわけでは全然ないというのが私どもの提言のみそになっているわけでございます。
#19
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党)の森ゆうこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お二方の参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、まず市来参考人の方ですけれども、私は財政維新という考え方について大変共感を覚えます。御存じのように、自由党は基礎的な社会保障を、消費税を福祉目的税として充てるということで、財源は違いますけれども、基本的な考え方は恐らく同じではないかなと思います。
 しかし、一方、この財政構造改革をするためには何が必要かということで考えますと、これが正しく国政改革でして、公共事業に充てていた税金を社会保障に充てるというようなことに関しては、それまでに既得権益を持っているところから税を移すということですから、これに対して大変な抵抗がございますので、それを実施するためには抜本的な国政改革が必要であると。
 そういうことで言いますと、まずそのために象徴的な意味で国会移転、首都機能移転をして、国政改革を進め、そういうことがなければ財政維新もできないのではないかということを私は考えておりますが、その点について御意見を伺いたいということで、そして同じく福井参考人に関しましても、確かに、移転する内容を絞り込んでという御提案がございましたけれども、やはり鶏が先か卵が先かということで、まず移転ありきと、そしてそれに基づいて何を絞って持っていくのかということでないと話はなかなか進まないのではないかなというふうに思っておりますので、参考人の御意見を伺いたいと思います。
#20
○参考人(市来治海君) 今の御指摘の点でございますけれども、小泉内閣になってから毎年公共事業三%ずつ、これは当初予算ベースなんですけれども、減らすということになっておりまして、私どもの言っている公共事業というのは、地方も含め、それから財政投融資も含めて行政投資ベースということなんですけれども、毎年三%ずつ、地方はもっと減っておりますので、今のまま八年たてばこれは当然三分の一ぐらい減ってしまうということになっておりますので、時間は掛かるんですけれども、私はこの方向に今行ってくれているのではないかというふうに思っております。
 それから、例えば国債で今すぐ、公共事業八年掛けなくても、今すぐ国債十六兆発行すればすべてナショナルミニマム部分は税金でやるということと同じようなことが大体できるのでありまして、そういった意味でも、特に公共事業を大変な政治的エネルギーを掛けて減らすということをしなくても、流れとしては大分そちらの方に行っているんじゃないかというふうに私は少し楽観的に考えておりますということでございます。
#21
○参考人(福井秀夫君) 首都移転と国政変革との関係でございますけれども、確かにこれは御指摘のように双方は連動いたしますし、また循環する問題でもございますので、どちらかを先に決めるということは大変難しい問題だと思います。
 そこで、私が提唱申し上げたいのは、やはり国会移転と国政の変革と、この循環を止めるためにも同時決定で是非立法府主導でやっていただければということでございます。これ、もし先に首都移転だけ行われて一切国政上の諸改革が万が一なされないで終わってしまった場合には、言わば浪費とそれから手間とだけが国民や企業に残されるということになってしまいかねませんので、やはりシナリオとしては同時に決定して、ただ、実施のプログラムとしては様々な優先順位や序列付けはあってもいいのかなというふうに思います。
#22
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
#23
○松田岩夫君 ありがとうございます。自民党の松田岩夫でございます。
 市来先生への御質問はちょっと今日はやめておきますが、非常にありがとうございました、これは。
 福井先生に、一つは、まず日本の世界における地位というのがだんだん下がってきていると。かつては日本が世界の、少なくともアジアでは主要な場所、空港にしろ何にしろ。しかし、皆、日本から避けてほかの都市へ、アジアの諸都市へどんどん移っていっていると。一体これをどう理解したらいいのかというのが一つですね。
 それから二つ目。そういう中で、一方国内では東京への一極集中、あるいは東京の一部への一極集中というのがどんどん進んでいると。かつてよりも、バブル期よりもっと進んでいるという現象をどう評価しているかと。二点目。
 三点目。首都機能移転の改革的な意味というのは、いわゆる今やっている、小泉改革でやっているというような改革のレベルの改革なのか、何百年に一回の改革なのか。その辺の意識付けが僕とは大分違うなと。先生のこの文書を見る限りは、何か今、小泉改革でやっていることをやっていけば改革だと。そういう程度の改革でいいのかどうかというところの認識が三つ目。
 それから四つ目は、「災害対応力」と書いてあるんですが、災害という、地震とかいう自然災害、そういうものだけではない。国の在り方として、国の危機。今、この二キロとか三キロとかいうような半径の中にあらゆる機能が集中しておると。しかも、世界第二の少なくとも経済国と。まあ、いろんな国際的な機関への負担金だ何だからいっても世界第二の大国の在り方としていいのかどうかと。危機管理という意味で単なる災害だけではないんじゃないかなと。
 ほかにもあるんですが、取りあえず三分たちましたので、以上、まず。
#24
○参考人(福井秀夫君) まず第一の、日本の世界的な中での相対的な地位の低下というのは大変ゆゆしい問題だと考えております。こういった日本の言わば国力や経済力をきちんと維持発展させていくためには、やはり日本が言わば比較優位を持つ産業分野、技術分野、学術分野等でリードしていくための集中投資が必要であろうと考えられます。そういう意味では、知的財産を背景にした国家戦略が必要だろうというふうに考えます。
 そういう意味でも、先ほども申し上げましたけれども、できるだけあまねくどの地域も底上げするというよりは、できるだけ集中と選択という考え方の下に一定の比較優位を持つ分野に特化し、あるいはそういう地域に特化して戦略的に国家の機能や力を増大させていくことが重要ではないかと考えております。
 東京一極集中についての評価でございますが、これは大変いろいろな意味で問題もあるし、また集中に伴うメリットもあると考えております。この問題の方、環境の悪化ですとか住宅難ですとかあるいは道路混雑ですとか、この問題の方については、先ほども申し上げましたように、個別の対策によって徹底的な介入を行っていただくことが必要でありますし、一方で、この集中が言わば便益を生んでいる側面についてはこれをできるだけ殺さずにうまく生かして、言わば東京が日本をリードすることが日本全体にそれを再分配する余力にもなるわけでありますから、その機能あるいはその力はそれはそれで生かしていくということも国家戦略として非常に重要ではないかと思います。
 三点目の改革のレベルでございますが、これはもう先生のおっしゃるとおり、できるだけ、もう何十年と言わず何百年に一回の大きな改革を目指していただきたいというのは私も全く同感でございます。あくまでも先ほど申し上げましたのは例示でございまして、変革の契機として首都機能移転ができるだけ大きな効果を持つにこしたことはないというふうに考えております。
 また、災害対応についてでございますけれども、確かに、災害のリスクに対応するという意味では、極めて狭いエリアに様々な中枢機能が集中しているということは大変危ないわけでございます。ただ、これをリスクを分散するという観点で対処することは全く重要だと考えますけれども、首都機能移転によって災害対応力が十分にできるかといいますと、これも申し上げましたように、もし災害対応のためであれば、新首都でなくても、例えば東京の機能の一部を仙台と広島に分散させるとかいう余地もございますし……
#25
○松田岩夫君 四番目の質問は、災害という範囲ではないんだよ。もっと広い危機、危機。安全な国、あらゆる機能から見て安全な国と。災害にも強いし、政治的な意味でも強いし、あるいは外国からの侵略に対しても強いしとか、あらゆる意味での危機という意味で非常に脆弱じゃないんですかと。それにいかに対処するかというのがこれの本質ではないですか、その一つが災害なんじゃないですかということをお聞きしたんです。
#26
○参考人(福井秀夫君) おっしゃるとおりだと思います。災害のみならず、様々なリスクに対処していくという政策の重要性は全く減じることはないと思います。
 ただ、その手段として、首都機能の全面白地への移転というだけだとなかなかうまくいかない場合もあるということを申し上げたわけでございます。
#27
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子といいます。
 私、ちょっと所用がありまして、お二人の先生のお話を全部お聞きできなかったこと、大変申し訳ないと思っています。
 日ごろ私が国会等の移転に関しまして思っていることを言わせていただきますので、是非それに対して先生たちの御意見を、お二人の先生からお聞きしたいというふうに思っています。
 首都機能移転、国会等の移転というのは国政全般の改革であるというふうに私は思っています。東京の一極集中、今おっしゃられましたが、これの是正。これは、地方に住んでいる者にとって今大変な危機の状態にあります。子供たちがだれも農業を担わない、まあ担っていけないんですね。そういう状況の中で東京が一極集中しているということに大変危惧を持っています。
 そして、災害対応の強化ですが、今、先生がおっしゃいました災害というのは地震だけではないというふうに思います。今の状況の中でも外交の問題でいろいろ言われております。もう絶対に日本の国全体が危機管理をしなくてはいけない時期に東京がこんなに一極集中していて、それを守れるかどうか、それを大変危惧しております。
 そして、東京の再生のために今、都市の再生ですごいお金を使っています。これは、首都機能移転はバブルのころの単なる公共事業を余計にするための話だったんじゃないかというようなマイナーな意見がよく出ますが、そうだとすれば、都市の再生に使っている大深度法とか、地下鉄の下に地下鉄を造るなんというのはあれは正にバブルのときの発想で、必ずしも首都機能移転だけがバブルの発想ではないというふうに私は思っています。都市の再生にそんなにお金を使うんなら、地下の下に地下を掘るんなら、また道路の上に道路を造るんなら、もっともっと均衡ある国土の発展ということを考えていかなければいけないというふうに思っています。
 衆議院のこの委員会が調査を依頼したところによりますと、最大のお金が掛かると言われるのは、十二兆三千億円ですか、それが最大であって、もう一度考え直してみれば四兆七千億ぐらいでできる、そして、それは公的な負担であれば二兆四千億くらいでできるというふうな試算をされております。
 こんなに出生率の少ない東京が、そして年々人口が増えていくことに大変疑問を持っている地方の人たちがもっと元気を出すために、是非、今お金がないからできない、来年やるという話じゃないんですから、十年後に、二十年後にどうしたらいいかというのを今考えておかないと駄目なんじゃないですか。
 今、転んでばんそうこう張るようなことばっかり日本の国はやっているから長期のビジョンが何も立たないんで、こういう時期にしっかり根を張ったそういう長期のビジョンを立てることこそが日本の国の再生につながるというふうに思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
#28
○参考人(福井秀夫君) おっしゃるとおりでございまして、やはり改革のメニューなり方向性ということにもかかわると思いますが、もし、こういう首都機能移転を含めた大変革を行うということであれば、そのプログラム、シナリオについては基本的な部分から含めて是非大きな枠組みで作っていただければというふうに感じております。
#29
○参考人(市来治海君) 私は、首都機能移転、素人なんですけれども、一つの夢だと思いますね。夢があるというのは非常にすばらしいことであって、できたらやった方がいいと、このようにもちろん思うわけです。やっぱり十四兆が四兆になるとそれだけ夢もしぼむわけで、できればきちんと大きなものを作ることが一番すばらしい。
 ただ、その前にいろいろやらなきゃならないことが多過ぎるということで、順序としてやっぱり社会保障改革とか金融問題というのが先に来てしまうのはこれはしようがない。そういうのが私の認識でございますけれども。
#30
○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。
 両先生にお聞きしたいと思いますが、御案内のとおり、この国会等移転に関する議論は平成二年に始まってもう十二年間も営々とやっているわけでございまして、その間、調査会を設置し、あるいは審議会を設置して、今、国会で移転先候補地をどのように絞り込むか、そして東京都との比較考量をどうするかと、こういうことにあるわけです。
 しかし一方で、先ほど参議院の調査室の方から報告があったように、社会経済状況が大きく変わってきまして、この国会等移転を発議した時点とは随分雰囲気が、率直のところ、やっぱり変わっているというふうに我々は認識せざるを得ないというふうに思っております。
 そういう中で、先ほど我が党の松田委員からもお話があり、あるいは今、民主党の和田委員からもお話がありましたが、非常に財政状況も悪いのは御案内のとおりなんですね。しかし、国家の国家たるゆえんとして、国民の生命と財産をしっかりやっぱり国家として守っていくというのがこれは最も国家の根本たるところだろうというふうに思うんですね。
 我が国は、御案内のとおり、法治国家であり議院内閣制でございまして、やはり物事を国会が決めると。これは憲法に定められたところでございまして、そういう意味で、何も東京から国会が逃げ出すという意味では全然ありませんが、果たして危機管理という面で、先ほど松田委員からもあったように、すべての機能がこの小さいところのここだけにあると。
 既に、民間企業においても先に、市来委員と関係が深いと思いますが、金融機関等はすべてバックアップ機能を複数のところに持っているんですね、データバンク含めてですよ。それが、政府においてだけそういう対応が取られていないという状況に今あるわけでございまして、私どもはやはり複数のところにしっかりとやっぱりそのバックアップ機能を準備すべきではないかと私は考えるわけでございます。これは金があろうとなかろうと、しっかりやらなくちゃならない最低限のことだろうというふうに私は思っております。
 あわせて、御案内のとおり、国政の改革というものは、地方分権のありようというものを法律で定めまして、地方分権を一括して推進をしていこうという法律を作り、今、平成十七年を目途に地方自治体の合併を進めようとしておりまして、地方分権された時点でしっかりと自治体がその役割を果たせるような準備を今進めている最中なんですね。
 あわせてやはり、地方分権と併せて、私は、揚げ足取るわけではありませんが、福井参考人のこの論文の中に、多けりゃ多いほどいいという話もありますがね、それは二か所より三か所、三か所より四か所ということになるかもしれませんが、私どもはそこまでのことを求めなくても、一か所よりはやはり同時被災を免れる合理的な距離を持って、少なくとも危機管理、災害対応力の強化、せめてこのぐらいは今早急に図らなければいけないことではないかと、そういうふうに私は思うんでありますが、そしてもうそろそろ、いつまでも議論だけしているということにもならぬのだろうというふうに思いますが、先生方、外から見ていて、国会の議論、営々と続いているわけでありますが、その辺の御感想を含めて両先生からいただければと、このように思います。
#31
○参考人(福井秀夫君) 御指摘の政府機能についてもバックアップ機能が必要であるという御指摘、私も全く同感でございます。
 首都移転という白地の建設、新首都建設と必ずしも連動するかどうかということはさておくといたしましても、少なくとも東京に言わば巨大な、しかも非常に複雑多岐な機能が集まっているということはリスクの軽減の意味で大変問題が多いと考えますので、言わばこれ保険的な意味でも、万が一機能麻痺を起こしたときにどこか別のところで直ちに代替的な機能が開始できるというような配置は、これはあと一か所なのか二か所なのかということはともかくとしても、是非それはそれで対応が必要ではないかというふうに考えます。
 また、市町村の合併のお話等もございましたけれども、こういった言わば地方分権の受皿の話についても、大変首都移転とも、あるいは国政変革とも関連を持つ重大な課題でございますので、是非併せて着実に推進していただければと念じております。
#32
○参考人(市来治海君) ちょっと今の首都機能移転と直接関係ないかもしれませんが、私はそれほど日本の経済困難というのは長引かないなと個人的に非常に思っておりまして、どうも二〇〇五年ぐらいから相当円安になるのではないかというふうに私は思っています。
 それは、国債依存度が五割超えるとか、そういった方からかなり個人金融資産が海外に流れ出すのではないか、全くの仮説でございますけれども。少なくとも個人金融資産の一%しか外へ出ていないというのは異常な状態で、それはいろんな理由があるんですがあえて申しませんけれども、どうも二〇〇五年ぐらいからかなり円安になって、これがきっかけで資産デフレというのは止まる可能性は非常にあると。そうなれば、そんなに先ではないと、日本経済の立ち直りというのは。私はそういうふうに、これも仮説なんですけれども、思っておりますので、そうであれば、どうも首都機能移転というのはもう少し我慢すれば大分風向きも変わってくるはずであり、どうせやるのであれば私は夢のあるきちっとした、もうオーストラリアのキャンベラとかブラジルのブラジリアとかいったそういう規模でやった方がいいのではないかと。日本の国民に希望を持たせるとか、そういう意味でも。
 そういうふうに考えておりますので、そんなに日本経済の低迷というのはいつまでも続くものじゃないというふうにお考えになった方がいいのではないかというのが私の個人的な意見でございます。
#33
○有馬朗人君 自民党の有馬朗人でございます。
 今日は、お二人、どうもありがとうございました。大変勉強になることをお聞かせいただきました。もう既にいろいろな御質問が出ておりますので、繰り返しになることを避けたいと思いますが、多少似通った質問をさせていただくかもしれません。
 私は、一番端的に今お聞きしたいことは、現在の経済状況でこの国会等移転のことをどう計画していくか、その点について、私もずっと審議会手伝っていたものですから、そのころから気になっていることですが、今日お聞きしたいと思うんです。
 具体的に申しますと、現在、状況が非常にデフレで悪いということは皆さんお分かりのとおりでありますけれども、そういう状況も勘案しながら、今、正に市来さんおっしゃったように、夢であれば今の状況を先の方で直していけばいいわけで、そういう将来に対して夢を持っていく、そしてその夢によって現在の悪い経済状況からも脱却が早くなる可能性もあると。こういうことも勘案して、端的な質問は、現在のこのデフレ状況の下で、この状況は、先ほど委員長も言われましたけれども、平成二年ごろにこの移転問題を考え出したときに比べてはるかに違ってきていることは事実なので、そういう変わり方も勘案しながら、現在の状況の下でこの首都機能移転をどう考えたらいいか、この点について両参考人からお聞きしたいと思います。
 より具体的にもう一つ次に、今、国井委員が言われたことでありますが、私が非常に心配していることは、首都機能を大々的に移転しないまでも、例えばつい二月ほど前でありましたが、航空管制のための計算機が一つつぶれてしまった。バッファーの計算機は持っていたにもかかわらず、ばかげたことをやっていたんですね。同じプログラムで動かしていたから両方ダウンしちゃったと。何のために二つ計算機のシステムを持っていたんだろうと、私は自分が被害に遭ったものですから非常に残念に思ったんですが、こういうもう既にいろんな問題が起こってきている。その際に、現在でも危機管理をちゃんとしておかなきゃならない。これは広い意味で、松田委員もおっしゃっておられましたが、もっと広い大きな意味を持つんですが、狭い意味でもかなり現在も問題が山積していると思うんですね。
 そこで、危機管理というやや特別な問題に絞ったときに、現状でいいのかどうか、この辺について両参考人にお聞きいたしたいと思います。
#34
○参考人(福井秀夫君) 現在の経済社会状況は大変厳しいということは共通認識だと存じます。この中で移転を考える場合には、非常に重要な視点は、やはり移転に要する費用と、それから移転でもたらされるであろう効果ないしは国民経済的なメリットとの比較考量ではないかというふうに考えております。
 そういう意味で、首都移転のお金が二兆、四兆、十二兆といったような絶対値が問題であるということではございませんで、仮に二十兆掛かっても三十兆掛かっても、二十兆に対して三十兆の国民経済的な利得が生まれるような首都移転であれば断固断行すべきでございますし、仮に二兆円で済む首都移転であったとしても効果が一兆円しかない首都移転であれば見送るべきであると考えるべきでありまして、正にその首都機能移転のコンセプトに伴う費用と便益とを精密に、しかも科学的に検証した上で決断をしていただくということが国会に望みたいことでございます。
 それから、二点目の航空管制等を始め、やはりこれもそういうコンピューターのダウン等にかかわらず、この国の言わば危機管理体制は官民のあらゆる分野を問わず大変脆弱であるという認識は私も全く同感でございまして、その言わばバックアップ機能については、これは首都機能の問題を離れたとしても、ある何らかの事故が起きたときの代替的な稼働手段というものをもう少し精密に構築しておく必要性は非常に強いのではないかと存じます。
#35
○参考人(市来治海君) 現在の状況でどう考えたらいいかという点でございますけれども、手前みそになりますけれども、私どもで主張している二つの政策をやっていただければ経済はかなり急速に立ち直るということでございますので、まずそれをやって、その上で、立ち直った上で首都機能をやるというふうにしてくれればいいのであって、順序はそういうことだというのが私のここでのお答えになるかと思います。
 要するに、体は元々丈夫なんだけれども、処方せんが間違っている、治療法が間違っているのではいつまでたっても病気が治らないという、こういうことなんで、そこに正しい処方せんで正しい治療法をすれば経済は、元々体は丈夫で、立ち直るはずである。現在の状況の中で無理に首都機能移転強行しようとしても国民のコンセンサスは得られないので、その前にやるべきことがあるのではないかというのが私の考えでございます。
 それから、危機管理の問題、これは首都機能移転とは直接関係なくて、専門家では私、全然ないんですけれども、当然もちろんやらなきゃいけないことだし、その意味ではまだいろいろお粗末な点もあるのではないかと思いますので、これは当然もっといろいろ議論してやるべきであると。
 ただ、そこに余り焦点が行きますと首都機能移転が危機管理に矮小化されるというんですか、プロテクションばかりで夢がなくなるというふうに行ってしまうおそれもあるかなと思いますので、これはちょっと別の問題で、切り離して考えた方がいいかもしれないなという感じがいたしました。
 以上です。
#36
○江本孟紀君 民主党の江本孟紀と申します。大変長時間ありがとうございます。
 私は、長いこと国会移転にもかかわっておりますけれども、いろんな御意見を大勢の方からお聞きしましてもうそれぞれごもっともだと思いますけれども、今日の参考人のお話をお聞きしましてもなるほどと思いますが、今日は私が感じていることをちょっとお聞きしたいと思うんですけれども。
 昨日、ニュースステーションというテレビを見ていますと、久米宏さんが自分のところの新社屋を六本木ヒルズの再開発の場所に移転するぞと言って大変自慢げに、テレビでうちの会社はすごいぞみたいな特集を組んでやっておりましたけれども。あの会社はたしかそんなに景気が良くないはずなのになと思いながら、こんなすごいところへ移転をして、それで六本木ヒルズという再開発の場所の宣伝を盛んにされておりまして。あそこ、たしか、聞きますと、ワンルームでも何十万するような、それから賃貸が非常に多いと。店舗も大変高くて、これは入って商売するのも大変だなと思っているのが、普通、我々感覚的に思うんですけれども。
 ああいった再開発がこの東京の中でどんどん生まれていって、東京というのはやっぱりああすごいところだなと。多分、あれは地方の人もテレビを見ていますと、やっぱり東京はすごいな、東京へ行けば何とかなるんじゃないかというような、やっぱり一極集中の一つの象徴的な出来事じゃないかなと。そうしますと、これから先、ますますこれ一極集中というような状況になるんではないかと。
 しかし、私が思うには、やはり東京がくしゃみすれば地方が風邪引くみたいな、昔は何かアメリカがくしゃみすると日本は風邪引くみたいな話がありましたけれども。何か今の日本の状況を見ると、地方が風邪引いているのは、どうも東京が一瞬くしゃみをしてしまうとみんな風邪引いてしまうような、そういう状況で、非常に厳しい状況じゃないかなと。そうしますと、東京のこのバランスの、私どうも分からないんですけれども、これ景気がいいのかどうかよく分からないんですけれども、こういう状況を見ていますとますます一極集中的になっていって、恐らくこれは、ああいう開発がどんどん進まれるということはそれだけの採算があってやることでしょうから、一方では多分そういう経済的に悪くはないんじゃないかなというふうに見るんですけれども。
 そういうことを考えますと、首都機能移転という問題で無理やり私がこじつけるとしたら、やっぱりまだまだ東京は、行政区が全部引っ越して、なくなった跡地に、まあ堺屋さんも書いていましたけれども、そういうところで再開発をどんどんやって災害対策に備えれば東京はますます栄え、そして行政の中心はどこか地方にいて、そこで二頭立てでやっていくというような、分離させた方が、これから先の日本の国としては方向性としてはいいんではないかなというふうに私は思うんですけれども、その点をどうお考えでしょうか。
#37
○参考人(福井秀夫君) この堺屋先生の御指摘は、先ほども私、触れましたように、基本的な視点、私も全く共感しておりまして、特に、言わば対面情報、正にフェース・ツー・フェースのコミュニケーションを伴うような機能は強制的に分離離別すべきであるという御主張でございまして、先ほど来私がるる申し上げた、国政の変革のための重大な契機として首都移転を言わばバリアとして活用してはどうかという視点と共通していると思います。
 そういう意味で、今、先生御指摘のように、正に政治的な機能、しかもそれについて、特に人的な集約の原因となっているような機能を強制分離することによって変革が進むのであれば、それは正に分離させた方が首都移転によって国政上の機能は高まるというふうに考えております。
#38
○参考人(市来治海君) 私の結論は、できればやった方がいい、首都機能移転、できればやった方がいいというところに正に尽きるわけで、今の江本先生のお話で思い出すと、やはり野球でも、巨人軍ばっかり強くて、巨大戦力どんどん集めて毎年勝ったんじゃ、これ全然面白くないと。
 日本は極端にやっぱり東京に集中し過ぎている。ところが、例えば大学であれば、東大に対抗するものとして京都大学というのがちゃんとあるわけだし、京都学派とかいうのもあるわけだから、これかなり、首都機能移転が本当にきちっとお金を使ってでもやれば日本人のセンチメントというのはやっぱり変わるだろうし、テレビの影響も、もう極端に東京のキー局の影響が、地方も全部東京のキー局の番組の下請になっているというような状況も是正されるであろうと。
 だから、できればやっぱりやった方がいい、ただ今はちょっと状況が非常に良くないので、夢は大事にした方がいいという、そういうのが私の感想でございます。
#39
○江本孟紀君 ありがとうございました。
#40
○松田岩夫君 自民党の松田ですが、もう一度、市来さんに御質問しませんでしたので、ちょっと時間いただいたんで、ちょっと市来さんにお聞きします。
 今、景気悪いからそういうことに影響されずに、いずれ、すぐ良くなるよと、だから大きな夢を捨てるなと。誠にありがとうございます。その点で、この政策を取ると景気が良くなるというふうに思っていましたら、先ほど二〇〇五年には良くなるよと、円安になるよと、千四百兆円が動くよと。これは非常に、急に何かまた別のルートができたような気がしまして、ちょっとそこのところをもう少しお話しいただけたらと思うんですが、そうなりますかね。
#41
○参考人(市来治海君) 私が今後の日本経済というところで書いたのは、三つやっぱりあるだろうと。私どもの政策をやれば、まず二つ、資産デフレストップ、それから国民の社会保障の将来に対するコンフィデンスが回復するということ。もう一つとして円の割高な為替レートが是正されるということがあって、この三つが実現すると実質二、三%の成長になるだろうというふうに思っておりまして、円についてはその中の一つとしてお話をしたわけで、ちょっと誤解を招いたかもしれませんが、当然私どもの政策が実現した上で円も安くなればかなりもう景色は変わるだろうというのが私の考えでございます。
 特に、銀行と株の関係を遮断するということ、これはなかなか合意が得られないし議論にもなっていないんですけれども、私はここは非常に大事なポイントだなというふうに思っておりまして、これは決めれば一夜にしてできることでございまして、そういった意味ではこの三つが日本の立ち直りのかぎなんだということをもう一度ちょっと念のために申し上げたいと思いますが。
#42
○委員長(松谷蒼一郎君) 他に御発言もないようでございますので、参考人に対する質疑はこれにて終了をさせていただきます。
 この際、参考人に一言御礼を申し上げます。
 参考人におかれましては、大変お忙しい中、当委員会のため貴重な御意見をお述べいただき、また質疑に対しましては懇切にお答えいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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