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2003/03/18 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 予算委員会 第13号
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2003/03/18 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 予算委員会 第13号

#1
第156回国会 予算委員会 第13号
平成十五年三月十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     内藤 正光君
     井上 哲士君     岩佐 恵美君
     八田ひろ子君     紙  智子君
     平野 達男君     広野ただし君
     森 ゆうこ君     高橋紀世子君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
 ツルネン マルテイ君     円 より子君
     藤原 正司君     岩本  司君
     又市 征治君     福島 瑞穂君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         陣内 孝雄君
    理 事
                木村  仁君
                谷川 秀善君
                保坂 三蔵君
                山下 英利君
                郡司  彰君
                齋藤  勁君
                山本  保君
                大門実紀史君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                愛知 治郎君
                有馬 朗人君
                泉  信也君
                市川 一朗君
                大島 慶久君
                国井 正幸君
                山東 昭子君
                清水嘉与子君
                世耕 弘成君
                田中 直紀君
                伊達 忠一君
                段本 幸男君
                中川 義雄君
                仲道 俊哉君
                山下 善彦君
                朝日 俊弘君
                岩本  司君
                佐藤 道夫君
                高橋 千秋君
                辻  泰弘君
                内藤 正光君
                藤原 正司君
                円 より子君
                峰崎 直樹君
                若林 秀樹君
                沢 たまき君
                福本 潤一君
                森本 晃司君
                岩佐 恵美君
                紙  智子君
                林  紀子君
                高橋紀世子君
                広野ただし君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
       外務大臣     川口 順子君
       財務大臣     塩川正十郎君
       文部科学大臣   遠山 敦子君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       農林水産大臣   大島 理森君
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
       国土交通大臣   扇  千景君
       環境大臣     鈴木 俊一君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
       国務大臣
       (金融担当大臣)
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
       防衛庁副長官   赤城 徳彦君
       法務副大臣    増田 敏男君
       外務副大臣    矢野 哲朗君
       財務副大臣    小林 興起君
       農林水産副大臣  太田 豊秋君
       経済産業副大臣  高市 早苗君
       国土交通副大臣  吉村剛太郎君
       環境副大臣    弘友 和夫君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        佐藤 昭郎君
       法務大臣政務官  中野  清君
       農林水産大臣政
       務官       渡辺 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       内閣府国民生活
       局長       永谷 安賢君

       防衛施設庁建設
       部長       生澤  守君
       法務大臣官房審
       議官       河村  博君
       法務大臣官房審
       議官       山下  進君
       法務省民事局長  房村 精一君
       外務省北米局長  海老原 紳君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省保険
       局長       真野  章君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
       社会保険庁運営
       部長       磯部 文雄君
       水産庁増殖推進
       部長       弓削 志郎君
       国土交通省鉄道
       局長       石川 裕己君
       国土交通省北海
       道局長      村岡 憲司君
       環境省環境管理
       局長       西尾 哲茂君
       環境省自然環境
       局長       岩尾總一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十五年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
 議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成十五年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、質疑を百三十九分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会六十七分、公明党二十四分、日本共産党二十四分、国会改革連絡会十八分、社会民主党・護憲連合六分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
#3
○委員長(陣内孝雄君) 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算、平成十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。朝日俊弘君。
#4
○朝日俊弘君 おはようございます。
 民主党・新緑風会の朝日でございます。
 今日はいよいよ予算委員会も中盤に入ってきたということで、まだ終盤じゃありません、中盤に入ってきたというところで、主として刑務所の問題と、それから医療保険制度改革の問題、これを前半と後半に分けて、絞って質疑をさせていただきたいと思いますが、その前に一言、どうしても触れておかなければいけません。
 今日、外務大臣をお呼びしておけばよかったなと思うんですけれども、昨日の委員会でいろいろ御質疑があって、正直言って、ある人に言わせれば、官僚以上に官僚答弁だという御批判もありました。昨日のやり取りがあって、一晩寝て朝起きたらこういう事態になっている。何かテレビを見ないと国会にいる我々も何も分からないという実に情けないことになっているなと。
 是非、もちろん外交上の問題であり、こういう緊迫した状況の中での動きですから急転直下という場合もあると思いますが、それにしては昨日の川口外務大臣の答弁は極めて無責任、そして我々に対してもあるいは国民の皆さんに対してもきちんと説明していない。説明していないところでぽこっと今日の今、十時からブッシュ大統領がテレビ演説をしていると、こういうことで、実は私の気持ちもそちらに大半向いておりますが、ここはひとつ、ここはひとつ昨日のような川口外務大臣のような無責任な答弁にならないようにきちっとお答えいただきたい、こういうことを申し上げて、本題に入りたいと思います。
 ちょうど今日は衆議院の方も法務委員会でこの刑務所問題についての集中審議を行うということがセットされているようでして、そういう意味では十一時までという時間をいただいておりますので、その範囲内で、前半、刑務所問題についてお伺いしたいと思います。
 まず、昨日の委員会でも若林委員、井上委員の方からお尋ねがありました。三月の十四日の新聞報道以降、特に死亡帳という随分と時代がさかのぼったような表現、何か調べてみますと身分帳簿というのもあるんだそうでありますが、この死亡帳についての様々な報道がありました。新聞報道の事実経過については、昨日、大臣も確認をされましたし、むしろこれから徹底的にきちんと調べていきたいと、こういうことですので、事実確認についてのお尋ねは省略をしますが、ただ私気になっていますのは、この死亡帳というものがあることについて大臣は御存じなかったというふうにお答えいただいているようで、もちろん何事もなくいっていればそういうこともあるのかもしれませんが、これだけいろんな事件が次々と起こってきているときに、死亡帳あるいは死亡をした例のきちっとした記録がどうなっているのかということはお調べになって当然ではないかと思うんですね。
 ところが、つい最近まで知らなかったと。何で知らなかったのか、あるいは、これは役所の方に聞いた方がいいかもしれませんが、何で知らせなかったのか。ここのところがどうも不思議でなりません。まず、冒頭その点についてお尋ねいたします。
#5
○国務大臣(森山眞弓君) いろいろ御心配を掛けまして誠に申し訳ないと思っております。
 お尋ねの死亡帳につきましては、三月十一日の夕方、官房長からその日あった衆議院法務委員会の理事懇からの状況報告を受けました際に、さらに翌十二日、矯正局長からも報告を、説明を受けまして、このとき初めて死亡帳というものがあるということを承知いたしたわけでございます。
 それまでは、矯正局からは、全国の施設における保護房内の死亡事案を検索するのには矯正局保存の被収容者死亡報告がありますけれども、これは三年の保存期間であるので、さらにそれ以前の死亡事案については各施設にある身分帳を個々に当たって調査する必要があるということで、そのような説明を聞いておりまして、殊更身分、死亡帳の存在にはその報告の中では触れられていなかったわけでございまして、大変残念ながら、私はその三月の十二日に矯正局長から聞くまでそういうものがあるということを存じませんでした。
#6
○朝日俊弘君 通告はしていませんが、今、大臣の方からお答えがありました。ちょっとどういう事情だったのか、矯正局長、お答えください。
#7
○政府参考人(山下進君) 死亡帳の件につきまして、今、大臣からございましたけれども、御説明をすることなく終始したということで、大変、これは事実でございまして、心から陳謝申し上げたいと思います。矯正行政の根幹が揺るぎました今、大臣の御指示も体しまして、矯正局はもとより、現場施設におきましても可能な限り資料を提出させていただきまして、失われた信頼を回復していきたいと、かように存じております。
 少しく長くなりますが若干の経緯を御報告させていただきますが、昨年十月に資料要求がございました。その段階で、資料要求は幾つかの事項が含まれておりまして、その際検討いたしましたときに、死亡帳には死因あるいは検視の有無などは記載されておりますけれども、資料要求されておりました保護房内での死亡の有無といった詳細なところを確認するためには、現場で死亡帳を手掛かりにして個々の収容者の身分帳簿を精査しなければこれが分からないと、そういったことが説明なされた折に、まあ矯正局の責任者において判断したことになるわけでございますが、関連記録との照合の事務量、これは相当程度あるわけですが、それにしましても、堪えられない、不可能な事務量ではないということは分かりましたけれども、ちょうど非常に現下の行刑施設、過剰な収容状況でございまして、これが深刻な状況になっていると、職員も厳しい勤務負担を強いられていると、そういう中で、職員の士気を低下させないようにするためにいろいろな施策を思い巡らせていたわけですが、そういう段階で現場の施設に一層の負担を掛けてしまうことは忍び難いと、そういう気持ちもございまして、可能な限り矯正局で保管している資料で対応できないものかと、またそうさせていただきたいという思いが非常に強くて、大臣に対しましても、過去十年分にさかのぼる作業負担を全国一律に掛けた場合の負担増や全般的な士気の低下をそんたくすると何とも忍び難いということを申し上げて、死亡帳のことをきっちりと申し上げなかったと、そのままになってしまったということでございまして、誠に思慮が足りなかったと深く反省しておられるというふうに聞いております。
 以上でございます。
#8
○朝日俊弘君 いや、今のぐだぐだぐだぐだという弁解はちょっと通用しませんよ。この問題はちょっとこれ以上追及しませんが、これからどうします。その点だけちょっと聞かせてください。
#9
○政府参考人(山下進君) 冒頭に申し上げましたように、可能な限りの資料を矯正局あるいは現場施設提出して、失われた信頼を回復していきたい、かように存じております。
#10
○朝日俊弘君 大臣、これからどうされます。
#11
○国務大臣(森山眞弓君) いろいろな事件がございまして、今の死亡帳も含め様々な問題があるということは、今、私は十分認識しておりまして、これらのものを解決していかなければ、基本的に矯正行政、行刑行政というものが改革できないというふうに思っておりますので、この行刑行政をできるだけオープンにして、そして国民の多くの方に御批判をいただき、また御指摘をいただきながら変えていくという必要があるというふうに考えておりまして、省内において問題を整理するための行刑調査検討委員会を作りまして、そこで幾つかの方針を新たに出しましたし、さらに、近く行刑改革会議というものを発足させようというふうに考えておりまして、この際、徹底的に解明し、明るいものにしていきたいと、信用を回復したいと考えております。
#12
○朝日俊弘君 是非、徹底的にやっていただきたいと思うんですが、ここで一つ委員長にお願いがあります。
 既に入手されている方もあると思いますが、衆議院の方で提出された死亡帳に関する資料について、我々も是非いただきたいと思いますし、また、この問題について、どういう形になるか、是非もっときちんとした審議の時間を確保していただけるように、私の方からも委員長にお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
#13
○委員長(陣内孝雄君) ただいまの朝日俊弘君の資料要求につきましては、後刻理事会でその取扱いを協議することといたします。
#14
○朝日俊弘君 それでは次に、名古屋刑務所における一連の事件、事案について、ちょっとさかのぼりますが、三月五日の段階で法務大臣が指示を出されました。実はその指示という文書を拝見しまして、私は実はちょっとがっかりしたというか、びっくりしたんです。まずは現場職員の徹底した意識改革が必要だ、ここのところを強調されている。これについては当委員会においても大臣からも御答弁いただいているということで、そのこと自体は大変重要といいますか、是非取り組まなければいけない課題だとは思うんですが、どうも問題意識がすとんと現場の職員の意識改革というところに行ってしまうところに、私は果たしてそうなのかなと。
 例えば、私が思うには、現場職員の意識改革もさることながら、まずは大臣や、先ほどお答えいただいたそこにおいでの幹部の皆さんの意識改革がまず先にあってしかるべきではないのか。そこのところをもっと率直に認めた上で、同時に現場の皆さんにも意識改革を求めますというスタンスがあってしかるべきじゃないのか。何かこう、大臣や幹部の皆さんはちゃんとやっているんだけれども、現場が悪いんだみたいな言い方は、これはないだろう。どうもいろいろお聞きしますと、東京においでの皆さんと現場で働いている皆さんとの間に相当のフリクションがあるという。
 そういう意味では、この機会に、ただ単に現場の職員がというスタンスではなくて、大臣自らが、あるいは法務省の幹部自らが自らの意識改革の必要性をきちっと言うというところから始まらなければいけないんじゃないか。
 さらに、そういう人権感覚を温存してきた正しく矯正行政あるいは法務行政の構造的な問題、あるいは組織的な問題、こういう点についてもきちっとメスを入れましょうと何で言えないんだ。小泉総理は構造改革大好きですけれども、この問題については構造改革と一言もおっしゃっていない。何でですかという点。
 さらに、そういう構造的な問題を温存してきたとすれば、それはそれを根拠としてきた現行の法制度の在り方そのものももう一遍きちんと点検し直すべきではないか、こんなふうに私は思うんですね。
 だから、そういう観点からすると、法務大臣のその指示というのは極めて一方的に、現場職員に問題ありと決め付けているように受け取れてなりません。この点について、まず大臣の総括的な御所見といいますか、問題意識をお伺いします。
#15
○国務大臣(森山眞弓君) 大変厳しい御指摘をいただきまして、私といたしましても心から反省する次第でございますが、御指摘のとおり、矯正行政の改革を実現いたしますためには、中央、地方、いずれにおります者も、これにかかわる者は幅広く矯正の精神というものを改めて問い直しまして、人権を尊重しつつ、その人間が社会に復帰して活躍できるように矯正していくということをやらなければいけないということを肝に銘じなければいけないというふうに思います。
 私自身も深く反省し、新たな気持ちで取り組んでいきたいというふうに思いますが、おっしゃいましたように、矯正の組織運営の在り方を含めまして、その問題点を徹底的に洗い直すことが必要でございますが、その中に御指摘のような監獄法の見直しということもあろうかと思います。現行の監獄法は明治四十一年という大変古い時代に作られたものでございまして、当然、人権問題あるいは人権の感覚というようなものは入っておりませんし、それを時代の風に当たりながら少しずつ修正はしておりますが、法律が前のとおりでございますので十分ではないということが多々見られるわけでございます。社会情勢や犯罪情勢の変化等が最近大変急激に変わっておりますので、見直すべき部分が多々あると承知しております。
 今後、先ほども申し上げましたが、行刑改革会議等におきまして、その運営の在り方を抜本的に見直したいと考えておりますので、その皆様方のお知恵を拝借し、また内部の反省も含めまして、必要に応じて法改正をも視野に入れて努力していきたいというふうに考えております。
#16
○朝日俊弘君 一足飛びに法改正の話まで行かないでください。もう少し前に幾つかお尋ねをしなければいけないというふうに思っています。
 同じ三月五日の大臣の指示の文書の中にもう一点、私は大変いぶかしく思う項目がありました。こんなふうに書いてあります。まずはその刑務所と外部の接触が不可欠であるということを述べた上で、第一番目に、第一番目にというのがまた気になる。PFIを利用した刑務所の新設と運営について検討と。
 大臣、そもそもPFIという政策手法はどういう経緯で何を目的として最近取り入れられるようになったのか、ちょっと、原則論というか一般論でいいですから、大臣、どう理解されているのか、聞かせてください。
#17
○国務大臣(森山眞弓君) 私の承知しているところでは、PFIというのは、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用をすることによって効率的な、かつ効果的な公共施設等の社会資本を整備し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としていると、主たる目的としているというふうに聞いております。
 ただ、このPFIという言葉をそのとき、三月五日の指示の中に使ったのはもしかしたら適当ではなかったかもしれない、御指摘いただいて反省しておりますけれども、これはあくまでも民間の、一般の方々の御協力をいただく、またこちらからもオープンにして見ていただくという、民間の方のお力をおかりするという趣旨で、そういうことにウエートのある気持ちで使ったわけでございます。一方、財務省の方からもPFIを活用して刑務所等の新設をしたらどうかというような御提案もございまして、そのような面で少し検討はいたしておりましたが、なかなか、刑務所というものをPFIで建てるとかいうことはなかなか難しいんでございますが、しかし、調査費を計上いたしましてそのような面についても検討しているところでございます。
 この間の名古屋事件にかんがみまして申しますと、刑務所の新設、運営を行うといいましても限界があると申しましても、そのような方法をできるだけ取り入れるということになりますと、民間の方々と一緒に仕事をするということになるわけでございまして、そうすると民間の方々と話合いをする、あるいは協力をするということによって今まで以上に地域社会との融和に配慮しなければいけませんし、民間の方々のお考えを伺ってそれによって啓発され、必然的に大きな意識改革にもプラスになっていくのではないかというようなことを考えまして、そのようなことをちょっとその中に入れたわけでございます。そういう方式ができまして、刑務所の新設ができるだけ早く実現いたしまして、刑務官の人権意識とか保安意識の改善につながるということができれば大変幸いだと思っております。
#18
○朝日俊弘君 何かちょっと、今の話を聞いているとがっかりしますね。
 PFIというのは、手法として、確かに結果として従来、公設、公営でやってきた施設を言わば民間の皆さんと一緒に運営するということの中で多少の交流は図られるということはあるかもしれません。しかし、これは契約でどこ、何をどこまでどうするかという話で決めていくわけでして、実は建物だけ建てて後は必ずしも民間の業者がきちっと運営にかかわらないという契約の仕方もあるわけですよ。だから、PFIで何か民間の皆さんと、あるいは外部の皆さんと、あるいは地域の皆さんと刑務所とが交流が図られて意識改革が進んでいくだろうというのは、これは全然、ここでこの問題を持ち出すというのはピント外れもいいところだと私は思います。むしろ、おっしゃるんだったら、例えばイギリスのようなプリズンオンブズマンの制度を検討したいとか、あるいは今いよいよこれからの国会でどうするか課題になると思いますけれども、人権擁護制度をどうするかとか、そういうことが本筋であって、ここにぽこっとPFIが出てくるというのは実に情けない。ここは今反省をされるということですが、改めてちょっと大臣の問題意識、きちっと考え直していただきたいというふうに思います。
 その上で、その上でいろいろ私も改めて先ほどお話があった監獄法とかあるいはその関連する規則などを読み直してみましたが、まあこれが何と全部片仮名でして、句読点も打ってなくて、打ってなくって、しかもその中に身分帳とか死亡帳とか、何か明治というよりもむしろ江戸時代をほうふつさせるような表現がありまして、これは一体何だというふうに改めて思っているわけです。
 そこで、お聞きしますと、実は十数年前に改正の話もあって法案を提出までしたことがあるけれども、そのときは、便乗してというか、それを避けて通ることができなかったというか、いわゆる代用監獄の制度化問題とセットで出したものですから、非常に厳しい反対運動の中で法改正には至らなかったと、こういう経緯があることは私も承知しています。
 しかし、しかし私は、代用監獄の制度化については、これは極めて問題が多いという意味で反対でありますが、さりとて今の監獄法をそのまま残しておいていいのかという問題意識がどうしても残ります。
 そこで、今後の考え方についてはそれぞれまだ検討が必要だと思いますが、代用監獄の制度化の問題と切り離して監獄法等の法制度改正の作業に着手していく必要があるのではないかと私は考えますが、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。
#19
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、十年前あるいは十数年前に改正の動きがございまして、法務省自体も法案を提案させていただいたということがあったように聞いておりますし、私もちょっとそんな動きを記憶しているような気がいたします。
 しかし、それももう既に十年以上たっておりますので、そのときの考えと今は随分違いますので、もし万一、監獄法を改正するということになりましても、やっぱり最初から検討し直さなければいけないんじゃないかというふうに私個人としては思っておりますので、これから十分検討いたしまして、様々な問題を取り上げ、そしてそれの解決のためにはどうしたらいいかという観点から法改正が必要であるということであれば、そのようなことも考えなければならないというふうに思いますが。
 いずれにしても、こういう事態でございますので、多くの方のお知恵を拝借して、行刑改革会議も、先ほど申し上げましたが、そのような方の御意見をいただいたり、また民間の多くの方々からの御意見をちょうだいして、改正するべきものがあればしていきたいというふうに考えておりますが、これはなかなか大きな仕事でございまして今すぐどうこうということはできませんが、勉強に着手するということは必要だというふうに考えております。
#20
○朝日俊弘君 是非、十分にこの間の経緯を踏まえながら、慎重にかつ、こつこつと着実に作業に着手する必要があるというふうに私も思いますので、ここはひとつ、この後の質問とも関連してきますけれども、是非そういう問題意識をお持ちいただきたいと思います。
 さて、そこでちょっと具体的な話に入ります。
 今回のような一連の事例、事案が起こってきた一つの背景として、一つの背景として現場の刑務官の皆さんの勤務条件、労働条件がどうなんだろうかということが大変気になります。そこのところを無視して意識改革だ意識改革だと言っても、これは無理があると思うんですね。
 そこで、ちょっとまず具体的な数字を参考人の方からお聞かせください、二つあります。
 一つは、日本における刑務官一人当たりの受刑者数といいますか被拘禁者数、いろいろ職種があるでしょうから、おしなべて刑務所に勤務している職員で受刑者数を割ったらどういう数字になるかということを、直近の数字と、それがどんなふうに動いてきているのか。過去、十年前はどうだったか、二十年前はどうだったか、そういう数字をまずお示しいただきたいということと、その同じような、同じ指標が諸外国ではどうなっているんだろうか。一番近い直近の数字で、特に、いろんな国があると思いますから、OECDの主要国ではどうなっているのか。この辺、二点について、まず御説明をください。
#21
○政府参考人(山下進君) お尋ねの件でございますが、行刑施設、刑務所、拘置所等に勤務しております職員一人当たりの被収容者の負担割合と申しますか、年間における一日平均収容人員を職員数、これは先生おっしゃいましたようにトータルの職員数ということで見てみますと、昨年が四・〇と、職員一人当たり収容者四名という数字でございます。それから、十年前が二・六人、二十年前が三・二人、それから四十年前が四・〇人、五十年前が四・九人と、こういう数字でございます。
 それからいま一つ、OECDの状況はどうかと、主要国の状況はどうかということでございますが、私どもが入手できております数字は、統計の時期あるいはその他の点で必ずしも同じ条件の下での統計ではないんでございますが、入手し得たところで推計してみますと、アメリカ合衆国における行刑施設の職員一人当たりの収容者負担割合、これは三・一人となっておりますが、イギリスで一・六人、フランスで一・九人、オーストラリアで二・一人、カナダで一・一人、こういう数字が出ております。
 以上です。
#22
○朝日俊弘君 この数字を見て、私、実はびっくりしたんですよ。話がちょっと飛びますけれども、病院の看護婦さんの配置基準が、ついこの間まで看護婦さん一人に対して入院患者が四人だったんですね。何かぴったり一致するんですよ。逆に、OECD各国の病院の看護配置数を見ると、もっともっと進んでいるんですが、大体一対一で、だから日本はあれですね、やっぱり刑務所も病院も含めて人員配置が極めて少ないという印象を持ちまして意外に思ったんですけれども。だから、病院の配置基準を変えるためには刑務所の配置基準を変えないといけないのかなと思ったりしているんですが、これはまじにそう思っているんですが。
 さてそこで、こういう実態あるいは諸外国の状況などを踏まえて、大臣はどんなふうにお考えですか。そして、今後どんなふうに改善しようとされていますか、お聞かせください。
#23
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま一人当たり何人を持っているかという趣旨の数字の披露がございましたけれども、決してその負担が低いものでないということはおっしゃるとおりでございまして、特にその具体的な職務の内容を見ましても、被収容者を単に拘禁するというだけではなくて、改善更生及び社会復帰を図るための重要な処遇方策の一つである刑務作業をほぼすべての受刑者に義務として行わせなければならないということになっておりますので、その負担はなお一層重いというふうに私も考えております。
 このような負担増に伴いまして刑務官の業務量が大変増加いたしまして、週休日が確保できていない施設があるほか、年次有給休暇取得日数なども極端に少ないという状況でございまして、その健康状態、精神状態も心配されるような感じでございます。
 これらを踏まえまして、現在御審議いただいております平成十五年度の予算案におきましては行刑施設の職員について二百四十三人の増員が計上されまして、おかげさまで財務省の御理解、総務省の御理解もいただきまして思い切った増員をしていただいたんですけれども、なお十分とは言いかねるということでございまして、現在の犯罪情勢の状況などから見まして今後も増加するんではないかという気配がうかがわれますので、その動向を踏まえながら、今後とも必要な要員の確保に努力していきたいというふうに思います。
#24
○朝日俊弘君 今、来年の予算の中で増員を認めていただいていると、こういう話でしたが、たしか新しく刑務所を作る計画もあるわけですよね。ですから、トータルで言うと、ちょっともう今日細かい数字はいいですけれども、一人当たりが何人見ているかというのはそう急激に改善するとは思えないので、ここはちょっと計画的にというか、年次的に、何年かのスパンをかけて着実に改善を図っていくという必要があると思うんですね。
 同時に、最近の非常にこう犯罪が増えてきているという傾向、当然それに伴って刑を受ける人たちも増えてくるという傾向、過密化すればするほど収容所というところが持つある種の病理が働くわけで、ここは基本的なそういう条件をまずは整えていく。その上で、大臣や幹部の皆さんや現場の職員の皆さんの意識改革をどう図っていくか、そしてそれをチェックするシステムをどう作るかと、こういうことだと思うので、ここは是非、今後引き続き検討をお願いしたいと思います。
 そして次に、そのこととも密接に関連するんですが、これもまず法務省の方にお聞きしますが、刑務官の労働基本権について、とりわけ団結権についてお伺いします。
 ILO結社の自由委員会の方で昨年の十一月に刑事施設における自主的な団体を設立する権利に関する中間報告が示されました。どのような中身であったのか、簡潔に御説明をいただきたいということと、この中間報告の中にも一部示されていますが、諸外国、特にOECD加盟各国の中で刑務官あるいは刑事施設に働く職員の団結権を認めていない国があるかどうか、あればその名前を挙げてください。
#25
○政府参考人(山下進君) 昨年十一月二十一日にILO結社の自由委員会の中間報告がなされましたが、その内容は、基本的には日本政府に対しまして公務員制度改革の理念及び内容について、すべての関係者と十分に率直かつ有意義な協議が速やかに行われるように要請をしたものというふうに理解をいたしております。
 ただ、その中におきまして、監獄に勤務する職員が団体を結成する権利の付与の問題についても、我が国の法令が条約の規定に違反している旨の指摘をしているものと理解をいたしております。
 中間報告の内容は以上でございますが、日本におきましては、国家公務員法におきまして、監獄において勤務する職員については団体を結成することができないというふうになっております。
 そこで、諸外国の事情、とりわけOECDの加盟各国の状況につきましては、私どもも今至急、情報収集に努めておりますが、現状におきましては確たる結果を得ておりません。
 誠にはっきりしたお答えができませんが、以上でございます。
#26
○朝日俊弘君 昨日ちゃんと調べてくれと頼んだんですよ。それで、多分OECD加盟各国ではないだろうと。ないならないというところをはっきり言ってくれと言ったはずですよ。何かこう、確たる数字がと言ったらどっちでもあり得るようなふうに聞こえるじゃないですか。そんなうそ言ったらいけません。ちょっとはっきり言ってください。
#27
○政府参考人(山下進君) 確たる、まだ確認をしておりませんので何とも申し上げかねるんですが、幾つかの国にある、団結権を認めていない国があるという情報だけは得ておりますが、それが真偽なのかどうかは今確認中であります。
#28
○朝日俊弘君 急に質問をしたわけじゃないので、昨日の段階で、かくかくしかじかということで、私が知っている国はこれこれですよという話もしているわけでして、それがここでの質問になるとそういう答弁になるというのは全然理解できない。ちゃんとここが事実を、数字が、制度の中身なんだから、きちっと調べてかくかくしかじかとこれは言えるはずです。何で言わないの。
#29
○政府参考人(山下進君) 正確なところを確認できておりませんので申し上げられないんですが、団結権を認めていない国は幾つかあるということでございまして、逆に言いますと、認めている国も相当あるということでございます。
#30
○朝日俊弘君 質問をもう一遍丁寧に聞いてください。
 OECD加盟各国の中で、刑務官、括弧、刑事施設に働く職員の団結権を認めていない国はありますかと。
#31
○政府参考人(山下進君) OECD加盟国は三十か国ぐらいだったと思いますが、正確なところを確認して後ほど御報告させていただきたいと思います。
#32
○朝日俊弘君 きちっと調べて、それじゃリストにして出してください。
 要するに、結論は、OECD加盟各国はほとんどが団結権を認めているんですよ。幾つかの発展途上国若しくはそれに近い国しか認めていない国はないんですよ。だから当然に、日本はOECDの加盟国の中でも言わば主要な立場にある国ですから、当然に国際的な、グローバルな制度のスタンダードを取り入れてしかるべきだと思っているわけです。
 これはもちろん刑務官の問題だけではなくて、当然国家公務員全体の問題にもつながる話ですから、皆さんだけで確たる答えをお示しになることは難しいかもしれませんが、そのことは承知の上で、大臣、刑務官の団結権の問題について、ILOが殊更にこの問題を取り上げて自主的な団体を設立する権利を認めるように促しているわけですが、この中間報告に対して我が国はどのような態度を取ろうとされるんですか。大臣のお考えをお聞かせください。
#33
○国務大臣(森山眞弓君) ILOの勧告は中間報告という位置付けだと承知しておりますが、我が国の刑務官についての法制度の理解が十分ではないのではないかというふうな感じがいたします。特に、全体として日本の人事院勧告あるいは国家公務員制度の中で、公務員として働いている人たちの労働条件を確保するためにどのような仕組みが行われているかということについての認識が十分ではないんじゃないか、日本側もいろいろ説明しているとは思いますけれども、十分な理解がもらえていないんではないかというふうな感じを私は持っておりますので、刑務官というのは特に厳正な規律に服せしめなければならないという、職場、職業上の立場でもありまして、法務省といたしましては、最終報告までの間にILOの十分な理解が得られるように、必要な情報を提供し、説得に努力をしたいというふうに考えております。
#34
○朝日俊弘君 全然逆ですよ、それは。国際スタンダードを日本の皆さんが余りにも理解していないんですよ。だから、日本の状況をILOに理解していただくのではなくて、ILOが勧告している中身を我々がもっと理解しなきゃいかぬのですよ。全然逆です、それは。
 この問題は、さっきも言いましたように、刑務官だけの話でけりが付く話ではありませんから、これ以上ここでは追及しませんが、しかし、こういう刑務官の、先ほど前段にお尋ねしましたその勤務条件、労働条件を良くしていこう、あるいは、そこで様々な問題が起こってくる、そこを団結権を与えて大いにその団体からいろんな意見を出してもらおうということがあって、いろんな意味で改善が図られていくのではないか。何で団結権を付与することについてこれほどまでに消極的なのか、ちゅうちょするのか、私は理解できません。
 是非これは、消防職員の問題にも関連する話でもありますし、あるいは全体としていえば国家公務員全体の話でもありますから、十分閣内で議論をしていただきたい。とりわけ法務大臣は、所管のいわゆる刑事施設の中でのこういう様々な事案が多発しているという状況を踏まえて、それをどう改善していったらいいのかという観点から問題提起を是非していただきたいなと、こういうふうに思います。
 さて、時間が大分詰まってきましたので最後に、あとたくさんあるんですが、刑務所における医療問題についてちょっとお尋ねします。
 といいますのは、例の死亡帳、これの記事の中で、これ詳しく私もまだ調べていないんですけれども、新聞記事の中で出された中で、刑務所で、府中刑務所で興奮した受刑者に対して筋肉注射を行ったところ、自発呼吸が停止して、心停止、死亡と、こういう記事があって、別の記事では、どういう注射をしたのか記録がないというんですよ。これは恐ろしいことなんですよね。
 これは新聞記事だけですからまだ確認していませんけれども、もしそれが本当だとすれば、一体刑務所の中の医療というのは何やられているのと。これ、記事だけから想像すると、多分、強力神経安定剤を筋肉注射したんだと思いますよ。それによって確かに呼吸停止とか意識障害が起こる場合があるわけですよ。だから、中身、物を確認、何を打ったかというのを確認できれば、それが因果関係が非常にはっきりするわけですけれども、この記録も残っていないなんという話になったら、これ確認しようがないですよね。
 そういうことで、これは、これからちょっとじっくり刑務所における医療問題については継続フォローアップしますけれども、今日のところは、時間の範囲内で二、三点だけお聞きして大臣のお考えを聞きたいと思いますが、まず法務省の方にお尋ねします。刑務所における受刑者の処遇、特に医療とか戒護とか、そういう部分については一体どういう法律に基づいて行われているのか、それはいつから制度化されていて、最近改正はされているのかどうか、そしてその医療を受けるに当たってはどういう条文にどんなふうに書いてあるのか、まずその三点、取りまとめて御説明ください。
#35
○政府参考人(山下進君) まず、受刑者の処遇に関する法令でございますが、基本は法律であります監獄法でございます。監獄法自体は、先ほど大臣からのお話もございましたけれども、長期にわたって実質的な改正は行われておりません。
 それから、監獄法を受けた監獄法施行規則あるいは行刑累進処遇令、こういったものも受刑者の処遇の基本を定めている法令の一つでございます。省令レベルでは、施行規則は明治四十一年に、それから行刑累進処遇令は昭和九年に制定されておりますが、直近では平成十五年に、受刑者に対する物品の給与及び貸与、受刑者等が刑務所内で使用する物品の購入、差し入れ等に関する規則を制定しております。これが直近の改正点の一つでございます。
 それから、医療に関しましては、監獄法の四十条で、失礼いたしました、三十九条におきまして、在監者には感染症の予防に必要と認める医術を行うことができる旨を規定しておりますし、同じく四十条で、在監者が疾病に罹患したときは医師に治療をさせる旨が規定されております。さらに、四十三条におきましては、施設内で適当な医療を施すことができないときは在監者を病院に移送することができる、こういった規定が重立ったものでございます。これは、基本的には制定時から同様の規定として現在まで運用されております。
#36
○朝日俊弘君 そうなんですよね。
 だから、結局、明治四十一年から全然変わっていないんですよね、基本的には。明治四十一年の当時の医療のレベルと今のレベルとは、とてもじゃないけれども比較できないですよね。まず、それはそういうことであるということを、事実を確認しておきます。
 それじゃ、その次に、刑務所に入っている受刑者の皆さんが医療を受けようとすれば、その現行の、一般にある医療関係法規がありますね。例えば、医療法で病院についてはこれこれと定めている、あるいは精神保健福祉法で精神障害についてはかくかくしかじかと定めている、あるいは国民健康保険法で費用はどうするという話が定められている。こういう医療法、精神保健法、国民健康保険法、そして最近では介護保険法、こういう一般の関係法規はこの受刑者の皆さんには原則適用されないのですか、一部適用されるのですか、全部適用されるのですか。
#37
○政府参考人(山下進君) その前に、確かに監獄法、明治四十一年でございます、制定が四十一年でございますが、当時の医療と現在の医療水準が一般社会においてかなりの差があるということは当然でございますが、刑務所の医療もそれに呼応して水準を上げてきておるということをお断りさせていただきたいと思います。
 それで、今の御質問ですが、行刑施設に入所中の被収容者につきましては、国民健康保険法あるいは介護保険法の規定によりまして、収容期間中は保険給付及び療養の給付は停止されるということになっております。また、精神保健福祉法におきましては、その四十三条第二項の規定によりまして、精神障害者の医療及び保護に関して規定しております第五章は、同法第二十五条ないし二十七条の規定の部分を除きまして、矯正施設の被収容者については適用を除外されているものと理解をしております。
 それから、医療刑務所あるいは通常の刑務所の医務部門、これは国の開設する病院や診療所として、病院、診療所の開設及び管理に関し必要な事項を定めている医療法の適用を受けているというふうに承知をしております。
 その他関連の法、ちょっと所管外でございましてよく承知しておりませんが、理解しているところは以上でございます。
#38
○朝日俊弘君 まとめて聞いてもよく理解できないんで、ちょっと調べてもらえませんか。要するに、どこの部分が適用されて、どこの部分が適用除外なのか。どうも私が見るところでは原則適用除外のような気がするんですけれども、しかし何か部分的にここのところだけは適用になっていますというのがあるんですよね。だから、どういう構成になっているのか。昨日もおいでになった方とも多少議論したんですが、いや、これは厚生労働省と相談しないと分からないとかいろいろ言っておられましたから、確かにそういう部分があると思いますから、すり合わせて、一体現行の医療衛生関係の法規が受刑者に対してどこまでが、もっと言えば、どこは適用になるけれどもあとは原則除外というふうに整理をしていただくと有り難いんですが、できますか。
#39
○政府参考人(山下進君) 法令がどの程度に及ぶのかよく分かりませんが、厚生労働省とも協議させていただきながら整理をしたいと思います。
#40
○朝日俊弘君 それで、あと幾つかお尋ねしたいところがありましたけれども、今ちょっと整理をしてもらうということになりましたから、その整理をしていただいたものを踏まえて、これからまた別の機会に丁寧にお尋ねしていきたいと思います。
 ただ、一言だけ言っておきます。
 明治の時代の医療の水準と今の水準とを比べて、確かに今の水準に近づけようと努力されていることは認めますけれども、今の刑務所における医療水準は一般の医療水準からすると格段に低い、このことだけははっきり言っておきます。そういう議論をこれからやりますから。
 そこで、最後に大臣、今、刑務所における医療問題についていろいろやり取りをさせていただきましたが、この問題について私はどうも、受刑者であれ日本国憲法の保障する健康権、健康に生活する権利というのは当然に保障されなきゃいかぬ。それにしては基本法も、監獄法も含めて余りにもお粗末というか時代後れというか、水準としては十分でないというふうに思わざるを得ませんが、こういう医療、刑務所の医療、介護の問題、多分、多分受刑者の人も相当高齢者が多くなってきているんじゃないかと思うんですよね。そういう意味も含めて、どういうふうに問題意識をお持ちになって、どうされようとしているのか、大臣のお考えをお聞きして、この関係についての質問を終わりたいと思いますが。
#41
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、受刑者の年齢が高くなりつつございまして、一般に被収容者の健康を保持して、また、施設内でもし病気になった場合には適切な医療措置を講ずるということは行刑施設の重要な責任であるということを十分認識しております。
 また、高齢者が多くなってきたことに対する対応もいろいろと心掛けているわけでございますが、行刑施設におきましては、健康診断とか、そのほか処遇にかかわる問題について、心身の異常とかの発見、把握などいろいろ健康管理について意を用いておりますけれども、具体的には、そこに周辺の病院等から御協力をいただいて、お医者様に来ていただいて診察していただかなければならないということがあるんでございますけれども、大変残念ながらそのお医者様方が余り積極的に御協力いただきにくいところがございまして、非常にそれは苦労しております。先生のお立場からそういうことを奨励していただくと大変有り難いと思うんでございますが、そういうこともいただきまして、周辺の医療施設の御協力をいただきながら十分な医療のレベルを維持していかなければいけないというふうに思います。
 今後とも、いろんな御意見を考慮しながら、行刑施設における医療の充実に努力をしていきたいというふうに思っております。
#42
○朝日俊弘君 それじゃ、衆議院の皆さんが手ぐすね引いて待っているようですから、法務大臣以下法務省関係の皆さん、結構でございます。ありがとうございました。向こうで十分もまれてください。
 それじゃ、話題をがらっと変えます。医療費の三割負担凍結法案について。
 三月の十四日に、私ども民主党、そして共産党、社民党、それから国会改革連絡会、衆議院とはやや違った構成ですが、四会派で共同して、この四月からの三割負担について凍結するようにという法案を提出させていただきました。残念ながら、衆議院の方でもまだ審議いただいていないようですし、今後の見通しもまだ立っていないというふうにお伺いしているんですが、もう四月からの話ですので、是非これは関係者の皆さんに当院における審議も含めて前向きに対応していただきたいなというふうに思っているわけです。
 ただ、多少というか意図的に誤解があるように思うんですが、私たちは去年の健康保険法の改正のときに主張したのは、改革なき負担増は駄目だと。だから、改革の道筋あるいは改革を具体的に一つ一つ実行に移していく中で、その中でどうしてもこうなるからこれだけの負担をしてほしいというならまだ分かると。ところが、先に負担増があって、改革の話は全部附則に付いて、しかも、何かいつまでにちゃんとやるのかやらないのかはっきり書かれていなくて、そういう中で負担増だけ認めてくださいという話だったから、これは駄目だよと言って反対をしたわけです。
 そこで、私は、結果的に三割負担にせざるを得ないこともあり得ると想定しつつ、しかし今まで、先に負担増を決めて、後から改革をやると言って、結局やらなくて、また負担増を決めてということを二回ほどだまされていますので、だから、この手法はもう通じないよと。だから、ここはひとつぎりぎり三割負担のところはあえて苦しいけれども担保して、逃げ道をあえて断って、その上でやるべきことを一つ一つやりましょう、やった上で、医療費がどうなるのか、そして健康保険財政がどうなるのか、ここを見定めて、それから判断してもいいんじゃないですかということを申し上げているんですね。
 あえて、改めて、この間、随分そっけない答弁をされていますけれども、この問題については、坂口大臣のお考えをお聞きします。
#43
○国務大臣(坂口力君) 昨年、医療法の改正につきましていろいろと御議論をいただき、朝日議員からもいろいろの率直な御意見をちょうだいをしたわけでございます。
 三割負担、四月一日から決定をさせていただいて、そして、しかしそれまでにちゃんと抜本改革をやらなきゃ駄目だよという皆さん方の御意見もございまして、今、鋭意進めているところでございます。四月一日までに抜本改革の骨格をお示しを申し上げて、今後のスケジュールと併せてお示しを申し上げたいというふうに思っている次第でございます。
 この抜本改革を私も進めてずっとまいりまして、今までの思いと少し違ってきましたのは、抜本改革をやることによってかなりいわゆる負担を削減できるのではないかという思いでスタートをしていたわけでございますが、しかし、やっておりますうちに、必ずしも抜本改革、医療費の削減ということに果たして結び付くかどうか。というのは、抜本改革をする中でやらなければならないことというのが浮き彫りになってくる、そうしたことも今考えておりまして、多少じくじたるところはあるわけでございますが、一番やはり今後抜本改革と併せて考えていかなきゃならないのは、先ほど司法の、法務省の関係のところでお話ございましたが、人の配置の問題でございます。ここをやはり最優先してきちっとしないことには、今後の医療というものは立派なものはでき上がっていかないというふうに思っておりまして、これは診療報酬体系の改革と併せて、私はそこのところ、押さえるべきところは押さえていかなければならないというふうに今思っている次第でございます。
#44
○朝日俊弘君 何だかもう一つはっきりよく分からないんですが、次の質問とも関連しますから次の質問に入ります。
 今、お話があったように、抜本改革については三月末、もうあと二週間しかありませんが、お示しをしますということで、この間の代表質問の答弁もいただきました。そろそろ、そういう意味では基本方針の中身をお聞かせいただきたいなと思うんですが、今の段階で確定していないとすれば話がどこまで煮詰まってきているのかという状況の御報告でも構いません。
 三月の十五日から、今朝の新聞も含めて、何かかなり厚生労働省が十二月にお示しをした試案の中から、特に高齢者の医療制度については折衷案的なものになるというような新聞報道もあって、そちらの方向に収れんされてきているのかなと思いつつ、果たしてあの案、考え方ではどうなんだろうかというふうに、改めて私も自分なりの考え方を整理しているわけですが。
 心配していますのは、この三月末に示される基本方針の中身が、我々が期待しているようなかなりはっきりした基本方針ではなくて、随分漠とした基本方針で、ずるずるずるずるまた結論が出ませんというふうに引き延ばされるんではないかということを心配しているんです。そういう意味では、どういう課題についてどこまで具体的な中身を盛り込んだ基本方針なのか、今の新聞報道のことも含めてちょっと大臣の方から御説明いただきたいと思います。
#45
○国務大臣(坂口力君) 一番中心なのは、この医療保険制度、統合化の問題と併せまして、高齢者医療をどうするのかということが一つの一番大きな柱だというふうに思っております。この統合化に向けましては、国保、国民健康保険におきましては都道府県単位でまとめていく、それから政管健保につきましても一応、都道府県単位で運営をしてもらう、そして保険者意識と申しますか、保険者としてのやはり競争原理も働くようにしたいというふうに思っているわけでございます。
 一番問題なのは組合健保でございまして、これは大きいのから小さいのまであるものでございますから、NTTのように全国的な規模の、そういう大きなものをなかなか都道府県単位というわけにはまいりません。小さなところで統合していっていただけるものにつきましては是非そういうふうにしたいというふうに思っておりますが、それ以外の国保、政管健保につきましては一応、都道府県単位ということを目指しております。
 目指しておるといいますのは、町村合併等もあるものですから、そこを一時的にどうするかという問題、過渡期的な問題はあるというふうに思いますが、しかし最終、平成十九年ないし二十年、その辺のときには最終、都道府県単位ということにしてもらいたいというふうに今思っているところでございます。
 これも最終調整、市町村それから都道府県とお話合いをさせていただいているところであります。その中で、市町村としては是非そういうふうに都道府県単位という形にしてほしいという御意見であらあら固まってきているというふうに思っております。
 ただ、都道府県単位になりましたときに、今度は都道府県の方が、いや、都道府県にしてもらって、その保険者を一体だれがするのかという話になってまいりました。都道府県単位にしましたときの保険者は県なのか、それとも公の法人なのかと、こういう話になってまいりました。
 都道府県としましては、県は受けないという御意見でございまして、それで、県がお受けいただけないのなら公法人にして、そして今度、市町村と県とが共同してその中にお入りをいただく以外にございませんと、是非それでお受けをいただきたいというふうに今申し上げているところでございますが、現在のところ、都道府県は、いやそれでも我々は外してもらいたいという御意見が強いようでございますが、しかしそこは最終的に御理解をいただきたいと私は思っております。そうしませんと、やはりそれならばもう現在の市町村単位でやっていくということにまた逆戻りをせざるを得ないことになりますので、現在そういう段階のところに来ているところでございます。
 そして、その中で高齢者医療の分野をどうするかという問題でございます。
 いわゆる後期高齢者の問題と、それから前期高齢者の問題と両方実はございます。後期高齢者の問題につきましては、昨年のあの法案の中でも、平成十九年十月までに二分の一国庫負担というのを決めていただきましたし、いたしますので、そういうふうな形で、後期高齢者の問題は、七十五歳以上の皆さんのものにつきましては、半分は国庫負担。で、残りを一体どうしていくかということになってまいりまして、そこは若年者の保険から御支援をいただく部分と、そして自己負担なりそれから高齢者の保険料といったような割合をどう決めるかといったことに今最終の議論が来ているところでございます。
 ここも、この分野の保険者を一体どうするかと。これは、保険者は特別に認めずに国保の範疇の中でそれは収めてもらいたいというのが我々の意見でございますが、そこをどうするかという問題がもう一つ残っております。
 これは、市町村等におきましては、やはりそれは別枠にしてほしいと、国保の中に残してもらっては困るというお話もあるわけでございますが、私たちというよりは私の考えといたしましては、これは国保の中に残していただき、その中のやはりお互いに支える割り振りを、後期高齢者と前期高齢者とお若い皆さんとのその支え合いの割合を変えていくということで御理解をいただきたいと。いわゆる一本の中で御理解をいただきたいというふうに思っている次第でございまして、大体今その時点のところまで参っておりまして、その最終の点をどうそこに決めるかという点を残していると。各地方団体と申しますか、団体とも御議論を今一生懸命させていただいているところでございます。
#46
○朝日俊弘君 分かりました。そうすると、まだ今の段階でかくかくしかじかという形ではっきり基本方針の中身をお示しする段階にはなっていないと。しかし、あと二週間ぐらいしかありませんよね。ぎりぎり、今経過のような御説明がありましたけれども、ぎりぎりこの三月中に、これは閣議決定が要るんですかね、おまとめになるということで理解してよろしいか。
#47
○国務大臣(坂口力君) 閣議決定させていただいた方がいいというふうに思っております。その場合には、もう最終ということになると二十八日ぐらいになるだろうというふうに思っておりますが、その辺のところまでに精力的にやりたいというふうに思っております。
 で、問題点としてクローズアップされておりますのは三、四点でございました、三点ぐらいでございますので、それらの点を精力的に決めていきたい、そうすれば骨格は固まるということになるというふうに思っております。
#48
○朝日俊弘君 それでは、今、大臣の方から、医療保険制度の再編成あるいは統合、あるいは高齢者医療制度に関する部分については状況なり経過の報告がありましたから、ちょっと幾つかの各論的なところについては質問をはしょります。
 それで、今回おまとめになる中で、もう一つの大きな課題として、診療報酬体系の見直しについても基本的な考え方をお示しになりました。大ざっぱに言えば、医者の取り分と病院の取り分とをきちっと分けて診療報酬体系を見直していこう、こういうお話でありますが、その中で、この部分は、多分私の理解では、法律改正ということよりはかなり中医協を中心に具体的に検討が進められていく、こういうことになるのではないかと思うんですが、それで、そういう理解でいいかどうかということと、そうなると、基本的な考え方の中に示されている患者の視点の重視というところ、ここがどうなるのかなと。つまり、診療報酬体系の見直しの主な場は中医協ということになるとすれば、そこに被保険者なりあるいは患者さん自身なり、あるいは消費者というかユーザーという人たちの意見がどうやって反映されていくのかなと大変気になるんですね。
 診療報酬体系の見直しについて、今後どんなふうに進められていこうとしているのか、ちょっとお考えを聞かせてください。
#49
○国務大臣(坂口力君) 診療報酬体系の見直しにつきましては、余りにも現在複雑になり過ぎているというふうに思っております。いわゆる電話帳と言われるような大きな分厚いものがございまして、本当にどこがどうなっているのか分からないような状況になってきておりますので、もう少し医療の従事者の側から見てもあるいは患者さんの側から見ましても簡潔明瞭に、なぜこの点数が高いのか低いのかということが分かるような状況にしなければいけないというふうに思っています。
 そのためには、やはり基準が必要でございます。何を基準にして決めるかということが明確でなければそこがあいまいになりますので、私はそこの基準を明確にしたいというのでいろいろの御意見を伺ってきたところでございます。
 その基準といたしましては、一つは今お挙げいただきましたコスト、これは病院としてのコスト、診療所としてのコスト、ございましょう。その中に人件費等も入ってまいりますし、施設整備も入ってくるというふうに思いますが、とりわけ、その中で人件費をどう抑えていくかということが最も大事になるのではないかというふうに思っています。
 ですから、その基準としまして、一つはコスト。それからもう一つは疾病の重症度、重い軽い。そして時間。時間も、三分診ても三十分診ても同じというのではこれは具合が悪いので、そこに時間的な要素を導入できないかということを考えております。あわせまして、重症化させないための予防、予防とまでは言えませんけれども、重症化させないための手だてと申しますか点数と申しますか、いわゆる生活習慣病が増えてまいりまして、早く手を打つためにそこに対してやはり重点的な配分というのが必要ではないかというふうに思っています。
 基準としましてはその四点を中心にしながらやっていくということにいたしておりまして、ここの分野は私は、中医協で御議論をいただきますのは、今度は下の具体的な分をどうするかということはあるかもしれませんけれども、この大枠につきましては中医協の以前の問題であると私は思っている次第でございまして、そこは決めさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 今お話のございました、患者に対します、患者さんの立場にします問題、すなわち、この医療というものにこれから患者の皆さん方がどうそこに参画をしていくのかといった問題、あるいはまた情報開示の問題といった問題、そうしたいわゆる医療の質を上げる問題という問題をもう一本、先ほど申しました診療報酬の問題、それから医療保険の問題ともう一本立てまして、質的向上の部分をもう一つまとめたいというふうに思っている次第でございまして、その中で、今お話のございました患者さんの立場からどういうふうにそこを発言をし、どうしていくかということの骨格を決めていきたいというふうに思っている次第でございます。
#50
○朝日俊弘君 診療報酬の基本的な枠組みについては、中医協にすべてお任せするということではなくて、むしろ基本的なところは厚生労働省として決めさせていただきたいと、こういうお話で、それはそれで賛成しますが、その枠組みを決めていくと同時に、その枠組みの中で具体的に決めていく作業、それぞれの言わば政策決定プロセスがあって、そこのところにどうもユーザー、消費者の立場がうまくかめてないんじゃないかという気がしてならないんですよ。
 私の持ち時間も大分なくなってきましたから、最後に、そういう意味では、厚生労働省として、あるいは社会保障審議会としてということになるのかもしれませんが、どういう形でユーザーの皆さんからの御意見を受け止めるかということが一つあると同時に、中医協そのものも改組をすべきではないかと私は思うんです。
 調べてみますと、もう御存じですが、発足当初は、中医協は、あれですよね、保険者代表、それから被保険者・事業主代表、それから診療側代表、それから公益側代表、四者があって、それぞれ十人ずつ委員を出して四十人と、こういう構成でやっていたんですよね。それが良かったかどうかという問題はありますけれども、しかし、現在の仕組みと大分違う仕組みでやっていた。
 現在の仕組みは、私は、どうも今繰り返し申し上げているユーザーの側の意見反映が非常にしにくい、と同時に、病院の側、例えば看護スタッフとか、そういう側の意見が十分に正確に反映し得ていない仕組みというか、メンバー構成になっているんじゃないかと思うんです。
 ここは中医協のそのものの改組、改革が必要だというふうに私は思うんですが、大変微妙な問題でお答えにくいかもしれませんが、基本的な方向として大臣のお考えをお伺いして、関連質問に代わりたいと思います。
#51
○国務大臣(坂口力君) 中医協のメンバーの中には、昨年からでございましたか、病院の代表もお入りをいただいたわけでございまして、医療側といたしましては、歯科医師の代表の方、そうして薬剤師の代表の方、そこまでは入っているわけでございます。それから今度は、いわゆる保険者側といたしましては、もちろん健康保険の代表の方もお入りをいただいておりますし、労働組合の代表の皆さんもお入りをいただいております。そうしたことで今やっているわけでございまして、いろいろの分野からこの中に入れるべきだという御意見があることは十分承知をいたしております。
 しかし、全体として、今こういう改革をしている最中でございますので、そこまでまた私が申し上げますとすべてが元に戻ってしまう可能性もございますので、この問題はこの辺でひとつお許しをいただきたいというふうに思いますが、全体とし、しかしバランスが取れるように、やはりこの患者さんの側の意見がどうすれば反映できるかといったことにつきましては、十分議論をし、そしてそういうことを可能なように私たちもこれは検討をしていかなければならないというふうに思っています。
 だから、中医協という場だけではなくて、様々な皆さん方の御意見を聞いたことが集約できるような体制ということが大事ではないかというふうに考えている次第でございます。
#52
○朝日俊弘君 この医療費、診療報酬というのは言わばサービスの価格をネゴシエーションで決めていくというプロセスだと思うわけで、当然、そうなるとサービスを受ける側がそのネゴシエーションの中に入らないのはおかしい、ルールとして。一気にいかないかもしれませんが、是非そういう問題意識を持って、いろいろ改革の可能性を検討していただければというふうに思います。
 ほかに随分たくさん質問を用意したんですけれども、時間になりましたので、また厚生労働委員会でたっぷりやらせていただくとして、ここは関連質問を内藤正光議員に譲りたいと思います。
 ありがとうございました。
#53
○委員長(陣内孝雄君) 関連質疑を許します。内藤正光君。
#54
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤でございます。
 本日は、年金制度改革について質問をさせていただきたいと思いますが、まず、改革に、論議に当たって坂口大臣と竹中両大臣にお尋ねしたいと思うんですが、我が国の年金制度が抱える問題は何なのかと考えてみますと、まず無年金者の問題、あるいはまた空洞化の問題、あるいはまた給付額がこれじゃ十分じゃないんじゃないかといったいろいろな問題が出てくるわけなんですが、よく考えてみますと、これらの問題は皆、国民年金の問題なんですね、国民年金に派生する問題。
 そこで、厚生労働省が、来年の年金制度改革に当たって、私は改革試案と呼ばせていただいているんですが、方向性と論点、出ている。これを見てみますと、よくよく見てみますと、どこのページを繰っても、結局、厚生年金、つまり報酬比例の厚生年金、その入りと出の帳じり合わせに終始している、そんな気がしてならないんです。どこを探しても、国民年金というものを改革しなきゃいけないんだという、そういった視点が私には見えてこないんですが、こういった点に関して何か論評なり御意見があればおっしゃっていただきたいと思うんですが。
#55
○国務大臣(坂口力君) 今年一年間掛けまして次の世代の年金制度をどうしていくかということを決定をしていただきたいというふうに思っているわけでございまして、全体の中で様々な御議論をいただきたいというふうに思っております。
 その中で、今までの、骨格を申し上げますと、今までの年金制度の延長線上で改革をしていくということにするのか、それとも、その延長線上ではなくて骨格にかかわるところを変えるということをその中で行っていくのかといったような、それらも含めて実は提示をさせていただいておりまして、骨格にかかわるところの問題といたしましては、一つは、基礎年金を、これをすべて税で賄うという案、それからもう一つは、これは二階建ての方の厚生年金の方を、これを私的な保険に変換をしていくという案、それからいわゆるスウェーデン方式と言われる案、そうしたこともお示しをしながら、多分こうしたことのバリエーションもたくさんあるんだろうというふうに思っている次第でございまして、そうした中で御議論をいただきたいというふうに思っておりますが、当然のことながら、その中の一番基礎の部分の基礎年金の部分をどうしていくかという問題も、これは入ってくるというふうに思っております。中には、この基礎年金の部分をもっと充実しろという御意見もございます。ここを充実して、その代わりに二階の方は少々薄くなってもいいではないかという御議論もあることも事実でございます。
 そうしたこともあるわけでございまして、決して基礎年金のところを私たちが忘れているわけでもありませんし、やはり一番根っこになるのはこの基礎年金でございますから、ここをどのように今後押さえて、みんなが参加をしていただけるような年金にするかということが最も大事なことだというふうに思っている次第でございます。
#56
○国務大臣(竹中平蔵君) 今の坂口大臣のお話でもう尽きているかというふうに思いますが、基本的な重要な視点は、やはり根本から骨格を議論することだと思っております。とりわけ、私の方は経済財政諮問会議で大きな方向を議論する立場にありますので、正に予断を持たずに、排することなく、根本的な議論を是非したいと思っているところでございます。
#57
○内藤正光君 税方式も否定しないということだったわけなんですが、そこで国民年金の今の現状を考えてみたいと思うんです。
 基礎年金というのは、全国民共通の公的な年金だということで、各制度からの拠出金で賄われているわけですね。基礎年金拠出金ですね。国民年金からの拠出金、厚生年金からの拠出金、そして共済年金からの拠出金、これらを基礎年金拠出金と。ただ、問題はその拠出金の算定方法にあるわけですね。
 資料1をごらんいただきたいと思うんですが、分かりやすいようにパネルで作ってきたんですが、基本的には各制度の加入者数に応じて拠出金を頭割りにするという考え方なんです。国民年金は二千百五十四万人、厚生年金は四千七十五万人、そして共済年金は六百八十四万人。本来はこの数字をベースにすべきなんですが、ところが国民年金に関しては御案内のように、空洞化が進んでいて、不払者だとかあるいは滞納者あるいは免除者がいる。こういったものを免除した数字が、除いた数字が一千二百十六万人、これを頭数にして計算している。で、実際に国民年金からの拠出金は二兆七千九百億円、厚生年金は九兆三千四百円なんです。
 ところが、本当の加入者数で再計算し直してみました、私。そうするとどうなるかというと、本来、国民年金からの拠出金というのは四兆二千七百億円なきゃいけないんです。厚生年金からの拠出金は八兆八百億円でいいんです。この差額を右に書いてみました。国民年金は実際よりも一兆四千八百億円少なくて済む。ところが、厚生年金からの拠出金は逆に増えちゃっているんです、一兆二千七百億円も。これを一言で言うと、実は制度の欠陥を悪用してというか利用して、サラリーマンから国民年金へ所得移転しているようなものじゃないんですか。これ、空洞化がますます進めばこの実態はひどくなっていくんです。
 厚生省は今まで、払わない人はもらえないということで、一個人の問題に帰結する、終始するんだと言っていましたが、そんなんじゃないんですよ。払わない人のツケが、実は善意な一生懸命払っている人にツケ回しされているんです。この実態、どういうふうに認識されていますか。まず、問題として認識されているかどうか、お尋ねします。──いや、大臣です。大臣です。大臣です。
#58
○国務大臣(坂口力君) 御指摘をいただいたことはよく存じ上げております。すべての人ではなくて、払っていない人、払えない人、そうした人を除いた人数におきましてやっていることも存じております。それらのことを考えますと、厚生年金や共済年金にお入りの皆さん方は、これはもう有無を言わさずいただいているわけでございまして、そこがこの基礎年金との間の違いでございますが、この問題は、一番最初それを、年金を一律にして、一階年金、二階年金という形で統合しましたときからの実は問題でございまして、もう新しくて古い話でございます。
 私たちもそこは、年金というのは自分自身の将来のためであると同時に、それはやはりお互いの支え合いという意味でのこれは年金であると。したがって、一人一人の、自分が要らないから、自分がもう将来年金を要らないからといって掛けないというのはそれは違うんだということを今一生懸命に言っているところでございますが、しかしそこはなかなか聞き入れられるところ、入れられないところございまして、いささか悪戦苦闘をしておるというのが現実でございます。
#59
○内藤正光君 古くからある問題だということだったんですが、当初これだけの多くの、二千百五十四万人がなぜか千二百十六万人になっちゃうんですよ。これだけ多くの不払者だとか滞納者あるいは免除者がいるということを想定しなかったんです。
 もうここまで来たら私はもう本当、早急に考え直すべきだと思うんですが、なぜ不払者だとか滞納者まで頭数から除くんですか。本来だったら、この国民年金で、この国民年金という中で手当てすべきじゃないんですか。私はなぜ除くのか分からないんですが、説明していただけますか。
#60
○政府参考人(吉武民樹君) 御説明申し上げます。
 今、先生おっしゃいます基礎年金制度は、いわゆる自営業の方それからサラリーマンの方すべてを通じまして、すべての被保険者が負担するという考えになっております。
 その際に、国民年金の場合には、例えば所得が非常に低い方については免除という仕組みがございまして、この方々については国庫負担による三分の一給付が支給されるわけでございまして、保険料財源は使われないという状態でございます。
 それから、いわゆる未納の方が増えておられるということは非常に重大な問題でありますが、未納の方につきましても年金給付には結び付かないということがございまして、頭割りで負担をしていただきますときに、給付に結び付く方の数で負担をしていただくという形で現在の拠出金制度を実施をいたしております。
 それから、この拠出金制度はそのときの状態によって変わってくることがございまして、最近で申し上げますと、例えば厚生年金の被保険者の方が減っておりまして、その分につきましては厚生年金の頭割りの数が減るという状態でございます。この平成七年から十二年ぐらいの各制度の負担率を申し上げますと、厚生年金はこの五年間六八%でございまして、国民年金は二一から二〇%、共済年金が一一から一二という形で若干増えているというのがトータルの制度間の負担の総量の状態でございます。
#61
○内藤正光君 長々と答弁していただいたんですが、何も答えていない。なぜ不払者だとか滞納者を除くんですか。合理的な説明をしてください。
#62
○政府参考人(吉武民樹君) 基礎年金制度全体で申し上げますと、現役のときに保険料を納付していただきまして、納付したことによって老後の給付に結び付くという制度でございます。これは、今の自営業の方の場合もそれからサラリーマンの方も同じでございます。未納……
#63
○内藤正光君 委員長、もういいです。
 それは厚生労働省の今までの主張でしょう、これ一個人の問題だから関係ないと。
 私が示したじゃないですか。実際は不払の人のツケが善意のまじめに払っている人たちにツケ回しされている。そこを私は指摘しているんです。それに対して答えてくださいよ。
#64
○政府参考人(吉武民樹君) ただいま申しましたように、基礎年金は、そういう形で全体の実際に保険料を払っていただいている方々の頭数で案分をさせていただいて負担をいただいております。しかし、払っていただかない方につきましては、その分につきましては、将来、給付は支給されないということでございますので、年金財政の言わば中期的な観点から見ますと、これはバランスが取れるという形でございます。
#65
○内藤正光君 どうも私の趣旨が通じない。
 大臣、お願いします。
#66
○国務大臣(坂口力君) 今話ありましたとおり、払わない人というのは年金から除外されているわけですね、年金制度から。年金制度から除外されているわけですから、年金にお入りをいただいている皆さんの方の間では、それは公平なんですよ。
 だから、年金に入っていない皆さん方をどうするかという問題があるわけですけれども、入っている皆さん方、加入していただいている皆さん方の間では公平であるというふうに思っております。
#67
○内藤正光君 私が聞いているのは、もうこれ実際にサラリーマンは実際よりも一兆二千七百億円多くなっているんですよ。あと、もっと言えば、免除者について言っても、実は四人世帯で百六十四万以下だったらば半額あるいは全額免除する、あるいはまた二百八十五万以下だったらば半額を免除するという、そういう制度ですね。
 でも、考えてみてくださいよ。今、サラリーマン、例えば法人のタクシーやっている人、そんな行きませんよ、給料。で、サラリーマンが免除制度申請できますか。ちょっとそれおかしいんじゃないですか、公平性という観点で。
#68
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生おっしゃいます負担の点で申し上げますと、サラリーマンの場合には御案内のとおり、例えば戦前から健康保険ができ、それから厚生年金ができ、そういう形で被用者年金、被用者保険の体系ができたわけでございますが、この基本的な考え方は、実際に支給を受けておられます給与といいますか、標準報酬に対応して負担をしていただこうという仕組みででき上がっております。
 国民年金の場合には、昭和三十六年にそれまで適用されなかった自営業者の方に適用をしたわけでございますが、基本的には定額の保険料で負担をしていただいているわけですが、その中に現実に負担することが非常に難しいだろうという方がおられますので、こういう方につきまして、例えば住民税の非課税の水準の方でありますとか、そういう方に着目しまして免除という仕組みを取っておるわけでございます。
 ですから、所得の源泉の成り立ちが違うというところからこの二つの仕組みが取られて今日まで来ておるということだろうというふうに思います。
#69
○内藤正光君 成り立ちが違っても、ひとつ国民年金という一階建てのものをすべての働く人で支えていこうという考えで作ったんでしょう。それで、何で基準が違うんですか。二百万のサラリーマン、免除したいって申請したら受け付けてくれるんですか。
#70
○政府参考人(吉武民樹君) 今のその免除の基準につきましては、住民税あるいは所得税、ここにおきます課税の状態を参考にしまして、個別に免除を決定するということにいたしております。全額免除の方につきましては、住民税の均等割が非課税の方を対象といたしておりますし、それから半額免除の方につきましては、これは申請に基づきますが、所得税の非課税あるいは課税対象所得が三十万以下という形でございまして、そういう面から申し上げますと、先生おっしゃられるような非常に甘い基準ということではないだろうというふうに私どもは考えております。(「まじめに答えろ」と呼ぶ者あり)
#71
○内藤正光君 ちゃんと答えて、答えさせてくださいよ。ふざけていますよ、この答弁。ちゃんと、そんな説明聞いているわけじゃない。
#72
○委員長(陣内孝雄君) 発言をしてください。
#73
○内藤正光君 済みません、竹中大臣にお伺いします。
 この辺、この所得移転あるいはまた免除制度とかいろいろありますね。これ、私は不公正だと思いますが、どのようにお考えですか。
#74
○国務大臣(竹中平蔵君) 制度の詳細を必ずしも存じ上げているわけではありませんのですけれども、今の厚生労働大臣の答弁を聞いておりまして、基本的には保険でカバーされる人数の数が少なくなっていると、トータルで一千万人ぐらい少なくなっていると。その中で保険をやりくりしようと思ったら、これを全員で負担しようと思ったらそのようなバランスになると。したがって、坂口大臣おっしゃったように、保険加入者、保険でカバーされている人の間での公平性は保たれていると、そのような仕組みになっているんだというふうに承知をしております。
#75
○内藤正光君 坂口大臣がおっしゃった、これからサラリーマンがどんどん減っていくと、自営業者は増える。これは、ますます今後この問題は大きくなってくるんですよ、じゃないですか。坂口大臣、問題意識はお持ちですよね。
#76
○国務大臣(坂口力君) ですから、今後の年金改正の中で、皆さん方に、いわゆる自営業者の皆さん方にどのように加入をしていただくようにしていくかということだろうと思うんです。
 これは、ただ、年金の制度だけの話では私ないと思っているんです。年金制度全体に対するやはり信頼性の問題だというふうに思っておりまして、そういうふうな意味で、制度もさることながら、年金そのものがやはり信頼をされるようにしていかなきゃいけない。ですからトータルで、これは積立金の問題もいろいろ出ておりますが、積立金の問題であれ、あるいはまた、いろいろの施設等を作ったりとしているようなことの整理であれ、そうしたこともすべて明確にして、そしてその後は皆さん方に、それは、これは御自身だけの問題ではなくてお互いの社会全体の支え合いなんだから、ひとつ御加入をくださいということを説得する以外にないわけでありまして、できるだけ加入しない人を減らしていくように我々努力をしなければならないというふうに思いますが、しかし、それでもなおかつ、そこはゼロにはならない話なんだろうというふうに思っています。若干の人たちは出てくるんだろうというふうに思います。しかし、それは、その人たちは自らこの年金制度から外に出た人でありますから、その残りの厚生年金や共済年金、それから、ここに、ここじゃありません、基礎年金に入っている皆さん方の中での公平性というのは私は保たれるというふうに思います。
#77
○内藤正光君 これに対していろいろ解釈があるようなんですが、でも、こういう実態は当然、今後一年間つまびらかにしていくべきだと思います。その結果、議論の結果いいというのであればそれはいいかもしれませんが、やっぱり少なくともこういう実態があるんだということをサラリーマンも含め、すべてにこれ公開していく必要があると思います。じゃなきゃ、こういったことを覆い隠して議論していくと結局何も変わっていかないですよ。
 いいですね。そういうことは当然のことながら、まあ情報公開というわけじゃないんですが、オープンにして議論をしていく、問題点、課題の一つとして議論をしていく、そういう理解でよろしいんですね。
#78
○政府参考人(吉武民樹君) 私の方から、ちょっと検討の状況を御説明申し上げます。
 私どもの社会保障審議会年金部会で昨年の一月から検討をいたしておりますが、今、先生御指摘のようなお考えは部会の委員の中からも御意見がございまして、私どもも資料を部会に提出をいたしまして御議論をしていただいているところでございます。
#79
○内藤正光君 済みません、ちょっと指名するの忘れまして。
 経済財政諮問会議で、その司会の役割を務められる竹中大臣にちょっとお約束いただきたいんですが。
#80
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のように、基本的に保険でカバーされないといいますか、加入している人が少なくなっているというのは、これはこれでやはり社会全体のシステムとしては深刻な問題であるというふうに思っております。
 そういった事実も踏まえて、根本的な骨格の議論をするというのが我々の役目だと思っておりますので、坂口大臣ともよく御相談をしながら、しっかりと議論はしていきたいというふうに思っております。
#81
○内藤正光君 坂口大臣は一人でも多くの人に払ってもらおう、加入してもらおうと努力を続けていらっしゃるということなんですが、社会保険庁にお尋ねします。
 過去十年間のこの収納率の推移、そしてまた世代別の収納状況についてお尋ねしたいと思います。
#82
○政府参考人(磯部文雄君) 国民年金の収納状況につきましては、当該年度に納付すべき保険料月数のうち当該年度中に実際に納付された月数の割合を検認率として公表しております。
 検認率の過去十年間の推移につきましては、十年前の平成四年度には八五・七%でしたが、それ以降、低下傾向にございまして、平成九年度には七九・六%と八〇%を下回り、平成十三年度には七〇・九%となっております。なお、保険料といたしましては翌年度以降に納付される分もございますので、最終的な納付率は検認率よりもおおむね四ポイント程度上回ることになります。
 また、平成十三年度の検認率を年齢階級別に見ますと、二十歳代で五割台、三十歳代では六割台、四十歳代には七割台、五十歳代では八割台と年齢階級が高くなるに従って検認率が高くなるという傾向にございます。
#83
○内藤正光君 ありがとうございます。
 事前にいただいた資料を基に、この資料2をごらんいただきたいんですが、(図表掲示)どんどんどんどん収納率、納付率は下がっていると。
 私が、でも実は問題にしたいのは世代別の納付状況なんです。おっしゃったように、二十代は五〇%、三十代は六〇%、世代が下がるごとにどんどんどんどん納付率が下がっていくと。ここが実は問題なんです。
 なぜ問題かというと、当然二十代半ばとか三十近くになって納付しなきゃいかぬなと思っても、そこから納付を始めても満額もらえないんです。もっと言うと、ずうっと十五年間ぐらい未納を続けてきた人はもうもらえなくなっちゃうんです。受給資格ない。
 つまり、こういうことが言えるんです。今まで納付してこなかった人の納付インセンティブ、開始インセンティブというのは元々低いんです。三十代半ばぐらいの未納者の納付インセンティブが急に上がるとは私は思いません。サラリーマンになったら別ですよ。ところが、自営業者という職業を続けていく限りは、三十代半ばまでいって、三十超えたらもう納付してもしようがないわけですから。つまり、このグラフは未来永劫こういう傾向を示すんじゃなくて、このグラフそのものが右移動していくんですよ、右移動。今、二十代の未納だった人が今度は三十代になっていく、このまま。つまり、納付率の低下というのはもう構造的なものなんです。だから、どれだけ頑張っても、例えば今回、優香さんですか、芸能人の、を連れて、皆さん納めてくださいなんてキャンペーンやっているみたいですが、あんなことやったってもう無駄なんです、構造的なんです。どのように認識なされていますか。──大臣、大臣、厚生大臣。いや、いいです。もう厚生大臣、坂口大臣、ちょっと。
#84
○国務大臣(坂口力君) 全体の掛金をする期間が若干短くなっても、それは額は下がりますよ。額は下がりますけれども、全然なくなるわけじゃありませんね、それは。私なんかでも国民年金、そうきちっとやっぱり一杯一杯はないですよ。
 というのは、国会議員というのは、一時、国民年金は入らないということになった期間があったんですね。十年ぐらいあったんじゃないかと思います。そうしますと、そこを抜けられますと、僕は国民年金の、ないものですから、五万円も行かないぐらいでございます。だけれども、それはそれなりにあるわけですから、ちょっと掛けるのが遅くなったからゼロというわけではないわけですから、そこは私はそうでもないと思いますけれどもね。
#85
○政府参考人(磯部文雄君) 今の、いつまで支払えるかという問題でございますが、年金の受給権は二十五年間掛けるとできますので、ぎりぎりでいきますと、七十歳ぎりぎりまでとしますと、四十五歳が掛けられる限界というふうに承知しております。
#86
○内藤正光君 じゃ、済みません、竹中大臣に何度も振って。
 どうなんですか。普通、常識的に考えれば、二十代ずっと納付してこなかった人が新たに納付しろということを言われて、納付インセンティブって上がると思いますか。
#87
○国務大臣(竹中平蔵君) そこは、社会の中で自分自身をどのように位置付けていくか、成熟とともにいろんな考え方も変わるのだと思います。
 ただ、委員の御指摘の根本にあるのは、やはり制度の維持可能性、持続可能性についていろんなことをやはり若い世代が感じているのではないだろうかと。その点は正にそのとおりだと思っております。そうした点も踏まえて、これは坂口大臣の方でいろいろ抜本的なことをお考えだし、諮問会議でも抜本的な議論を是非しようと考えているわけでございます。
#88
○内藤正光君 未納者とか滞納者というと、どちらかというと、例えば所得が低いんじゃないかという印象が持たれがちなんですが、果たしてそうなのか。それに答えるのが資料3であり、資料4なわけですね。
 資料3の左側のグラフというのは、納付者と未納者のそれぞれの所得分布。ごらんいただければ分かるように、変わらないんです。逆に、今度は第一号被保険者として加入しているか、あるいは未加入者、これを比べてみても変わらないんです。
 これ、だから、所得が低いから納めないとかいう話じゃないんです。もう確信犯的に、こんなの要らないよと、所得が二千万だろうが何千万だろうが、こんなのは当てにならないからといって、納めない人は納めないんです。これ、後から頑張ってくださいと言っても、入れてくださいと言っても、こういう人たちが私は納付を始めるとは到底思えないんです。
 そういうことを言っていても水掛け論になってしまいますので、そこで財務大臣に税の観点からお尋ねしたいんですが、資料4をごらんいただければ分かるように、未納者も実は個人年金だとか生命保険は入っているんですね、民間の。
 よく聞く話なんですが、公的保険の保険料を払わずに、こういった個人年金だとかそういった民間の生命保険の控除を年末、年度末に受けているという、そういう実態がよく聞かれるんですが、この実態をどのようにお考えですか。
 というのは、私が言うのは、公的なもの、民間のもの、違うのは分かります。しかし、国民の義務であるところの国民年金の保険料を払わないでおいて、なぜこの民間の個人年金だとか生命保険の控除を受けられるんですか。
#89
○副大臣(小林興起君) 生命保険の方の控除というのは、基本的に貯蓄優遇という、そういう考え方で税制について優遇措置を取ってきたということでございます。
 こちらの年金の方につきましては、これは社会保険庁等が徴収しようと思えばできるということになっているわけでございまして、制度が違うということで、これを一緒くたにするということは、今言いましたように、制度が違う趣旨からいって、こちらがやっていないからこちらでというペナルティーを科すというのは、考え方として難しいということでございます。
#90
○内藤正光君 そうはいっても、やはりこれは内閣全体として、政府全体として納付率を上げていこうと取り組まなきゃいけないでしょう。ここをちゃんと押さえれば、申告のところでちゃんと押さえさえすれば、納付率は上げるということができるんじゃないんですか。
 ちょっと大臣の、財務大臣、その辺、ちょっとやればできるんですよ、これ。つまり、毎年、年度末に送られてきますよね、これだけ受領しましたって。あれの添付を義務付ければいいだけのことなんですよ。違います。簡単な話ですよ。
#91
○国務大臣(塩川正十郎君) 今、内藤さん、一生懸命未加入者のことをおっしゃっていますが、未加入者が増えたのは確かにですけれども、それは、生命保険と比べてみたってこれは問題外の話でございまして、生命保険は、先ほど副大臣言っておりましたような趣旨で生命保険の掛金の優遇しておるんです。
 ただ、国民年金の、私は、未加入者増えたというのはやはり行政側にも問題があると思うんです。これはやっぱり、私も経験したことございますけれども、徴収をきちっとやれば掛けるんです。ところが、横着にほっておいたり、あるいは申請したら減免措置があると、それなら減免措置使おうかというので、それを使ったのが随分ありますよ。
 ですから、一度、僕はやっぱり市の、自治体ですね、自治体の予算の中で予算額が立てて、そして調定額を立てていますね。調定額を大きく割っているところは何かあるんだろうということで、やっぱりちゃんときちっとそれを正していく必要があると。私は、それによって相当数の未納、未加入者がなにできるんじゃないかと私は思いますがね。
#92
○内藤正光君 いずれにしても、納付率を上げるためにはそれぞれの、それなりのコストが掛かるんです、コストが。ところが、納税のときに、申告のときにちゃんと、国民年金をちゃんと納めましたという紙の添付を義務付ければ済むことなんです。コスト掛からずに納付率アップを期待できる施策なんです。
 それで、ましてや国民年金の保険料納付というのは国民の義務なんですよ。これを納めないのは、単に個人の問題じゃなくて、ほかのまじめに納めている人たちにしわ寄せ、肩代わりさせているわけですよ。
#93
○国務大臣(塩川正十郎君) それはそうなんです。
#94
○内藤正光君 ですよね。
 だから、これは政府全体の取組として財務省さんもそういった、制度が違うからとかといったしゃくし定規のことをおっしゃらずに、もう添付一枚、一枚添付を義務付ければそれで済む話なんですよ。
#95
○副大臣(小林興起君) 今のお話でございますけれども、コストというのは、実は、何か払っていない人に対して添付と、ここはもうやればやれるじゃないかということでございますけれども、実は、今言われたとおり、まじめに払っている方にも同じような義務を課すことになりますので、まじめに払っている方は、何できちっと払っているのにこうやってコストを掛けて添付させられなきゃいけないんだと、まじめな方からの抗議も来ると。まじめな方の方が多うございますので、したがって、行政当局としては、そういうものについて添付書類を付すか付さないかについては非常に考えなければならないということになるわけでございます。
#96
○委員長(陣内孝雄君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#97
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十五年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。内藤正光君。
#98
○内藤正光君 先ほど午前中の最後に副大臣がお答えになられたのは、もし国民保険料の支払を証明する紙を張るよう義務付けたらまじめに払っている人に迷惑が掛かる、そういうことでそういうのはやめた方がいいと。もしこれが財務省としての見解であれば、私は、財務省としては本当に、政府全体として納付率アップに本当にやる気があるのかどうか、私は疑わざるを得ないというふうに思います。ちょっとそのことを申し上げて、次に移りたいと思うんですが。
 坂口大臣、冒頭、税方式も含めて議論するということをおっしゃったわけなんですが、私は質問に臨むまでは、厚生労働省としては社会保険方式をこれからも堅持していくという御主張をされるかなと思ったんですが、そうではないと。この一年間の議論の中で、社会方式にとらわれることなく、税方式も含めて、私がこの間いろいろ問題点を指摘させていただきましたが、こういった問題の解決に向け、社会方式だ税方式だ、こだわることなく幅広に議論していく、そういうことでよろしいんですね。
#99
○国務大臣(坂口力君) 基礎年金の部分について税方式を導入してはどうかという御意見、これは政党にもございますし、それから個人的な御意見の方もおみえでございます。そうしたことも排除をせずにいろいろ御議論をいただいて、そして、その中から今後最も多くの国民の皆さん方が理解をしていただける方針というものを選んでいきたい、このように思っておる次第でございます。
#100
○内藤正光君 ちょっとこれ突然の質問で大変恐縮なんですが、坂口大臣の今のお考えをお尋ねしたいと思うんですが、国民年金の改革に当たって、今後どういうところにターゲットを絞ってとか、あるいはどういうのが問題だと、こういう問題解決しなきゃいけないというのがあったらそういった問題意識を挙げていただければと思うんですが。
#101
○国務大臣(坂口力君) これから、今後年末に向けまして御議論をいただくわけでございますから、私がまずこうだというようなことを先に申し上げるのもいかがなものかというふうに思いますけれども、やはり問題となっております点は幾つかございます。
 これは恐らくこれから御議論いただくんだと思いますけれども、少子高齢化がこれから更に進む中で、いわゆる世代間の公平というものをどう保っていくかということにやはり最も心しなければならないんだろうというふうに思っております。そのことと、その骨格にかかわりますものと、それからそれに対しまして、女性と年金というふうに申し上げたらよろしいんでしょうか、例えば短時間労働をしておみえになります皆さん方の保険をどうするか、あるいは三号被保険者の問題をどうするか、そうした問題も同時に決着をしなければならないのではないか。あわせて、少子化対策というものに対して年金がどう関与をしていくかということにつきましても議論をしていただかなければならないのではないか、そんなふうに思っている次第でございます。
#102
○内藤正光君 突然の質問で恐縮だったんですが、ただ、もう一つ、最初、冒頭指摘をさせていただいたように、世代間のみならず、やはり同じ世代であっても、今現在、払わない人のツケを払っている人が肩代わりさせられているという、そういう問題もあるわけです。当然そういった問題も意識としてちゃんと踏まえて、解決に向けて議論していただけるわけですね。
#103
○国務大臣(坂口力君) もちろん同世代の皆さん方の間の不均衡というものもなくさなければいけないというふうに思います。
 ただ、国民年金というものとそれから厚生年金というものが、同じ年金でありますけれども、スタートの時点で非常に違ったものですから、それを一つにまとめ上げた形になっておりまして、まとめたことは非常に良かったわけでございますが、しかし、最初のスタート時のいろいろの問題をまだ抱えていることも事実でございまして、そうした問題をどうしていくのか。
 一方に、今日御指摘をいただきました国民年金の問題としてもいろいろございます。それから、厚生年金や共済年金といたしましてはいわゆる三号被保険者の問題があって、そこをどうするかといったような、双方いろいろの問題を抱えているというふうに思っております。
#104
○内藤正光君 あと、国民年金でもう一点お伺いしますが、厚生労働省さんとしては、国民皆年金というものを御主張されていると。これは、だれもが皆、老後の基礎的な部分を保障してもらうという、そういうことで国民皆年金というのを主張されているんですが、今は御存じのように空洞化がどんどんどんどん進んでいって、国民皆年金というのは全くもって現実離れしたものとなっているわけですね、現状としては。
 国民皆年金、私はやはり大事だと思うんです。だれもが老後を頼りにできる、これだったらば安心して暮らしていけるという、こういう土台となるものがあってこそ、私は人々は皆将来に向け安心して暮らしていけるんだと思います。今、しかしそうはなっていないと。この辺も立て直すために御議論いただくわけですね。
#105
○国務大臣(坂口力君) 当然そうしたことも併せて議論をしていかなければならないというふうに思っています。皆年金という言葉にふさわしいようにするためにはどうしたらいいかということなんだろう。そうしたことから、基礎年金の国庫負担と申しますか、税による基礎年金というような話もその中から出てくるんだというふうに思いますが、やはり、年金いろいろありますけれども、私個人の考え方を言わせていただければ、やはり社会保険方式というものがやはり中心であるのがいいんではないかというふうに私個人は思っておりますけれども、しかし、そこはいろいろ御議論ありますから、皆さん方の御意見もお聞きをしてそこは決定をしていきたいというふうに思っております。
#106
○内藤正光君 これから本格的な議論が始まっていくという中で、なかなかお答えにくいところもあったろうと思います。しかし私は、年金の問題の多くは国民年金というものから派生していると。やはり国民年金の改革なくしてやはり年金改革はあり得ないんだと思います。そういった思いで、思いを受け止めていただいて、この一年、九月ぐらいにはもうある程度の、何ていうんですか、ブループリントができ上がるということを聞いてはおりますが、半年間ですから、実質的には。もう聖域を設けずに議論をしていただきたいと思います。
 次に、この一階ではなくて、その上の二階の厚生年金の報酬比例部分について議論をさせていただきたいと思うんですが、資料5ですか、それでパネルにもさせていただいております。(図表掲示)これはよく見るチャートだと思います。厚生省さんのときに作られた図ですよね。各世代ごとにどれぐらいの保険料を払い、そしてどれぐらいの年金を受給できるか、これを世代ごとにシミュレーションした表です。
 何年かたったもので、古いといえば古いんですが、現在七十歳の方々はどうなっているかというと、現役時代、事業主折半分も含めて一千三百万円払った、そしてこの方々が平均寿命まで生き続けた場合どれぐらいもらえるかといえば、六千八百万円。五倍ぐらいもらえるわけですね。これがずっと未来永劫続けばいいんですが、この表では見にくいんですが、私、現在三十九歳。もし私がサラリーマンだったら、大体四十歳ぐらいのところでとんとんなんですね、払い込んだ、払い込む保険料と受給できる年金総額が。もうそれ以下はもう目も当てられないというんですか、三十歳の方、六千百万の保険料に対して受給額は五千万。十歳の方、七千五百万の支払に対して四千九百万円。これは少子高齢化の進展に合わせてこういうふうになるというのは当然の帰結です。
 一人一人、損得勘定で考えるものではないというのは、それはある意味理解できますが、しかし、やはり人間ですからやっぱり一人一人は損得勘定で考えるわけです。こういったものを見て、これだったら大丈夫だと思ってこそ、特に若い人たちは年金制度に対する信頼をしてくれるんだと思います。
 こういった世代間のかなりの不公平があるわけですね。アンバランスがあるわけですね。この辺の現状を厚生大臣としてはどのようにごらんになっていますでしょうか。
#107
○国務大臣(坂口力君) 確かにこういうことになるのかもしれません。そして、しかしここで支払をしていただいている分の中には、厚生年金の場合には半分は事業主負担もありますから全部が全部個人負担ということではないというふうに思いますけれども、しかし事業主負担と個人負担と合計したものの推移はこういうことではないかというふうに思います。
 それで、そこをどうしていくかということが、どんな制度にしましてもそこをどうするかということが大変大きな問題になるんだろうと思うんです。お若い皆さん方の保険料というものをどこまでも上げてもいいのか、堪え得るのかということなんだろうと思います。やはりおのずから若い世代の皆さん方の保険料としての負担の能力と申しますか、そうしたものがあるんだろうというふうに思っておりまして、そういう中から保険料の一応上限というのを作って、そしてそれに見合うべき年金を作ってはどうかというような意見も一つの意見として出てきているわけでございます。あるいは、年金の額の上限を作ってそれに見合うべき保険料を設定してはどうか、こういう意見もあるわけでございます。
 世代間の不公平が、人口構成として、人口構成として世代間の不公平がこれだけ大きくなってしまいますと、そしてまた将来更に拡大する可能性がありますと、高齢者と女性の雇用というものがどうなるかによりまして大きく違うというふうには思いますけれども、それにしても、かなりな格差が出てくることは避けられないのかもしれません。そうなりましたときには、やはり今申しましたような保険料の上限といったような方針というのはやむを得ない措置なのかもしれないというふうに、率直にそう思っている次第でございます。
#108
○内藤正光君 半分は事業主が払っているとおっしゃいましたが、もしこれ法律で事業主が払うようになっていなければ、本来は社員への給与という形で、全額とは言わないまでも何らかの形で間接的に給与というものに反映されていくべきものだと思います。ですから、私はこれはやはり直接的にせよ間接的にせよ、やはり一人一人が払った保険料だと見るべきだと思います。
 そのことを申し上げて、現行の厚生年金、ちょっと品がない言い方かもしれませんがオレンジ共済と何ら変わりない。何でかといえば、若い人たち、現役の人たちに十分返す当て、ちゃんと与える当てもないのに、どんどんどんどんどんどん徴収していくという。
 厚生省の、厚生労働省の新しい改革試案に期待は寄せたんですが、ところがこれはどういうものかというと、向こう二十年間毎年〇・三五四%ずつ引き上げて二〇二五年に二〇%にすると。ここで固定して後は給付額を削減していくと。一見するとこれ改革のように見えますが、例えば四十歳の人を考えてみていただければ分かるように、四十歳の人は向こう二十年間保険料の引上げに付き合わされるわけです。ところが、この四十歳の人が六十歳になって、そろそろもらい始めようかなというときに削減が始まっちゃうわけです。現時点では四十歳の方はとんとんだったわけです。ところが、厚生労働省がいうところのこの改革試案に従うと、四十歳の人までが収支損が赤字に、収支が赤字になっちゃうわけですよ。
 今回の年金改革の一番のポイントの、大きなポイントの一つは、いかに失われつつある若い人たちの年金制度への信頼回復、これが一番大きな課題の一つじゃないかなと思うんですが、私はそういった観点で考えると、厚生労働省の試案なるものはこういった問題点に何一つ答えていない、そう断ぜざるを得ないんですが、何か、いやそうじゃないんだというお考え、深い意味があるんですか。
#109
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生がお示しいただいた資料は、平成十一年改正の際に厚生労働省の方から提出させていただいたものでございますので、これは一つの、保険料につきましても将来の給付につきましても四%で割り引くという前提でやっております。そこは、例えば公的年金の場合には、例えば物価が非常に変動いたしますと物価スライドを行いますし、それから賃金に対応するというちょっと別の性格がございますので、これはどちらかといいますと積立ての状態と比較するような形でございます。
 それで、先ほど大臣がおっしゃいました保険料固定方式の基本的な考え方は、これは一つの選択肢として示しておるわけでございますけれども、賦課方式でございますので、将来の、厚生年金で申し上げれば賃金の総額、これに対応して給付を考えていこうという仕組みでございますので、あの中でもちょっと御提示申し上げておりますが、あの中の選択肢としまして、例えば既に年金を受給している方々につきましても、将来の、今おっしゃった例えば四十代の方が給付を受けられるときの調整を考えていくかどうかというのを選択肢として考えてございまして、そういうことをどう考えていくかによりまして、ここでおっしゃいますこういう積立て的な考え方での給付負担倍率というのは変わってくるだろうと思います。
 ただ、実際に年金を受給している方々につきまして、年金給付についてどれだけ御理解をいただいて、その給付の伸びの抑制といいますか、こういうことが現実に可能かどうかというのも、これから広く御議論していただく必要があるだろうと思っています。
#110
○内藤正光君 私に言わせれば、厚生労働省が出したものは、二十年間問題先送りするもの以外の何物でもないんですね。
 そこで、ちょっと考え方を厚生労働大臣並びに竹中大臣にお尋ねしたいんですが、この今の制度、年金制度というのは、正にこういう人口構成がピラミッド型のときにできた、経済成長もすごい高いときにできた。そのときは、だれもが皆、働く人は給与を保障され、ポストを保障され、将来に夢を持って働けた。そんな中、高齢者も、支えるべき高齢者も少なかったから、だれもが皆、余裕を持って支えることができたわけなんです。そんなときは、この支え合いの制度、社会保障、この年金制度、六割を保障する年金制度はだれも異論がなかったんだろうと思います。
 ところが、今日、急速な、どこの国以上に急速な少子高齢化が進んでいて、もう人口構成はずんどう型どころか重心が上に移ってきちゃっていると。では、現役は、そんな中、現役はどうかというと、もう本当に、給与カットはもちろんのこと、それこそ今のこの雇用不安、抱えていると。つまり、もう本当に不安で不安でたまらないという状態ですよね、だれもが皆。サラリーマンも自営業者もね。
 そしてさらに、彼らが支えている高齢者の実像は、平均像はどうかというと、これが資料6にも出ているんですが、決して高齢者イコール経済的弱者ではない。例えば一世帯、世帯当たりの、一人当たりの平均所得を見てみますと、六十五歳以上、二百十六万円。そんなに遜色ない。そして、貯蓄額で見てみると、逆に勤労者よりも、現役世代よりも二倍高いんですね、二千七百万円、資料6ですが。そして、資産については、全世帯平均が四千三百万であるところを七十歳以上は七千万あると。これが今の高齢者の実像、平均像なんですよね。つまり、今の年金制度、どういう形になっちゃっているかというと、不安にさいなまれる、不安に今にも押しつぶされようとしている、そんな現役世代が比較的豊かな高齢者を支えるという、そういうものになってしまっているんです。
 このことについて、ちょっと厚生大臣並びに竹中大臣について御所見をお伺いしたいと思います。
#111
○国務大臣(坂口力君) こんなにたくさんあるかなと、こう思うわけですが、高齢者がこれから増えていくことは間違いがないわけで、そして高齢者が若い人よりも預金額と申しますか貯蓄額と申しますか、そうしたものが多いこともこれは間違いないだろう、これだけあるかどうかは別にしまして、それはあるだろうというふうに思います。
 その中で、いわゆる高額所得の人がその年金を、年金も、高額所得といえども年金はやっぱりちゃんともらうべきなのか、高額所得者の人には御遠慮をいただくのかということも、それは制度の作り方として私はあると思うんです。中にはもう年金要らないという人もかなりいるんです、突き当たります、私たち歩いておりますと当たります。
 だけれども、それじゃその人たちに、今の制度としましては、その人たちにはそれじゃもうもらってもらわなくてもいいようにできるかというと、それなかなか、私も聞きましたらできないんだそうでありまして、やっぱりもらってもらうんだと。それはその人がもう拒否をする、要らないということを届け出れば別なんでしょうけれども、そうでない限りはそういうことにはならないということであります。一々もらいに行くとか、あるいは一々面倒くさいからもう要らないという人もあるわけで、そういう人は特別だというふうには思いますが、全体としてやはり見ましたときに高齢者の、現在でも高齢者の所得によりましてこの年金額というのはある程度制限されておりますから、そうしたことをこれからどういうふうに作っていくかということが問われてくるんだろうというふうに思っております。
 あわせて、先ほども申しましたように、女性と高齢者に働く場を作るということがまたもう一つ大事になってくるということではないかというふうに思っております。
#112
○国務大臣(竹中平蔵君) 大変難しい問題でありますが、高齢者の統計に関しては一点、こういう統計に出てくるのは世帯主になっている高齢者ということでありますので、被扶養者である、いわゆる養われている高齢者等々を考える場合の問題は、やはり割り引いて少し考えなければいけないという点もあろうかと思います。
 しかし、委員御指摘の本質的な問題というのは、やはりこれが人口構成が非常に大きく変わる中で賦課方式になっていると、これはもうとても支え切れない。しからば、方法としては自分で物を積み立てるような方向に向かわざるを得ない面がありますが、しかしそうするとある特定の世代で二重払いをしなければいけない。親の分を支払って、今度は自分の分を積み立てろと。
 結局、そういった負担をできるだけ柔らかに、みんなが負担できるように、負担、この負担をだれか負担しなければいけないわけですから、特定の世代、特定の人に偏らないような仕組みを作っていくと。現に制度は動き出しているわけですので、そこで知恵を絞るしかないというのが現状なのだと思います。問題の本質は委員御指摘のとおりだと思っておりますので、そういった点を踏まえて、やはり抜本的な長期の変動に堪えるような制度を我々としては是非作りたいと思っているわけであります。
#113
○内藤正光君 次に、またどちらかというと似たような質問かもしれませんが、ちょっと具体的にお考えをお述べいただきたいんですが、財務大臣並びに竹中大臣に。
 世代間のバランスとか制度の持続性という、いわゆる公益性ですよね。そういった公益性の観点から見て、今の六割という給付水準、妥当なのかどうなのか。率直なお考えをお尋ねしたいと思うんです。特に財務大臣は、財務大臣としてもお答えいただきたいんですが、もらっていないことは分かっていますが、一応受給世代の一人としてもどんなお考えをお持ちなのか、併せてお答えいただければと思うんですが。
#114
○国務大臣(塩川正十郎君) 推定額の六割相当額を給付するという、その六割の程度というものは私は妥当だと思っておりますが、そのぐらいでいいと、五割から六割でいいと思っております。
 けれども、大体そのベースとなりますのは、今はたしか、ちょっとど忘れしておりますけれども、四十三万が基準だったと思っておりますが、今はそれだけの給付をもらっている人はなかなかおりません。そこらが現実的に離れてしまっておるんですね。ここがもう役人的な計算なんですよ。これはもっと現実の水準にしたらやっぱり三十七万円ぐらいじゃないかなと思うたりしますが、平均取ってみると。それに対する六割とするならば、給付水準を下げても十分いけると。
 ですから、今、年金もらっている人と年金を払っている現役の間にそういう負担の格差が感情的になっておるということ、一つ言えると思っておるんです。ここらはやっぱりもう一回見直すべきだと思う、現実的に合うようにしたいと、これが一つ。
 それからもう一つ、私が思いますのは、世代間、同じ世代間の中で年金もらわなくても十分やっている人はあるんです。もらっても、半分また税金掛けんならぬ人もあるんです。そういう人には受給権ができたときから、私はもうもらいませんと、もらいませんからこれに掛けてきた、今まで保険料掛けてきた分、これは美田を残す意味において私が死んだら相続人に渡してくださいと。相続人に渡さぬでもいいから、相続財産からそれだけのものを引いてやろうと。引いて、その分で相続税掛けたらいいと。そういう制度をしてもいいんじゃないかなと思うんです。そうしたら、やっぱりそういう人たちは余裕を持ってそういう年金を考えてくれるんではないかと思うたりしますが。
#115
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は団塊の世代でありますので、これも非常に感覚的なお答えになるかもしれませんが、基本的には所得喪失される分に対する備えが年金であるというふうに考えますと、これは感覚としてはやっぱり五割を割るとちょっとしんどいなというような感じはあるのだと思います。その意味で、六割というのはそういったことも踏まえた一つの基準であろうかと思っています。
 ただ、これも所得のパターンが非常に多様化しています。例えば極端な話、プロ野球選手みたいに、二十歳から三十まで物すごい高い給料を取って、あとはそうでもない人、そうした場合の所得の概念は違ってまいるでしょうし、そこはやはり非常に多様化していると。所得のパターンも多様化しているという点も踏まえなければいけないと思います。
#116
○内藤正光君 お二方の話を踏まえて、ちょっとこの報酬比例部分については最後の質問とさせていただきたいんですが、厚生労働省が昨年出したこの案、また繰り返すようですが、現在、年収の一三・五八%の保険料を毎年〇・三五四%ずつ積み上げていって、二〇二五年には二〇%にすると。その後は給付額を削減していくということなんですが、これ一見改革に見えるようで、実はこの上げた分の当然収入増が得られるわけです。じゃ、どこに回るかというと、しょせんこれ今の、さっきも申し上げたように、六十歳以上の方々への給付債務として回っちゃうわけですね、全部。だから、必ずしも若い現役の人たちへの給付財源に当然のことながら回るわけじゃないんです、全部、回っちゃうわけですね。
 私は、もう制度疲労を起こしていると思うんです、これだけ少子高齢化が進んでくると、以前作ったこのピラミッド型のときのこの年金制度というのは。これを立て直すためには、やっぱりすべての世代、若い世代もやっぱり痛みを分かち合わなきゃいけないけれども、やはりお年寄りもそれなりのひとしく痛みを分かち合ってこそ理解が得られて、今にも倒れそうなこの制度の救済が可能になるんだろうと思います。
 そこで、ちょっと私もう一度お尋ねしたいのは、私は個人的には、このもうもはや世代間でもって給与比例の年金を維持する時代は終わったんだと思います。そこはもう世代間にゆだねるんじゃなくて、個人個人に帰する積立型に二階部分はするべきだと思います。
 しかし、一歩譲って、仮に世代間のこの助け合いという枠を報酬比例部分において残したとして、そういう仮定の下にお尋ねしたいんですが、厚生労働省さんの話では、まず二十年間保険料の引上げを進めていくと、そして二十年後に削減を進めていく、給付の削減を進めていくということをおっしゃっているわけなんですが、私は、すべての世代がこれから痛みを分かち合わなきゃいけないという考えに基づくならば、一方的に保険料の引上げだけを進めていくというのは、私は果たして妥当なんだろうかと。
 財務省、財務大臣にもお尋ねする予定なんですが、やはり、例えば年金課税の強化だとか、あるいはまた同時に、やはり給付の適正化も二十年先送りするんじゃなくて、今から私は着手すべきだと思います。
 三大臣にそれぞれちょっと、それぞれの立場からお答えいただきたいんですが。
#117
○国務大臣(坂口力君) そういう御意見がございますから、その二階の部分を積立方式にするというような案、基礎年金をすべて税で賄うという案、それからスウェーデン方式等も議題にのせさせていただいて、そうしたことも含めてひとつ御議論をしていただくようにしようと。
 現在の年金制度の延長線上で考えれば、それは先ほど御指摘をいただいたようなことにしかなってこないんですよ、これは。だから、今の延長線上ならばこういうことでございますと。
 しかし、その根っこのところから議論をいただくということが今回の一つの大きなテーマになっておりますから、そういうふうな根っこから変えるということになれば、それはすぐに来年から変えるというわけにはいかないでしょうけれども、経過措置を取って変えていかなきゃならないというふうに思いますが、それじゃそれはどうするかという議論になってくるというふうに思っておりまして、決して固定した考え方を今持っているわけではございません。そうしたものも幅広く御議論をいただいて、そして決定をしたいというふうに思っております。
#118
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員の御指摘は大きく二点あろうかと思います。一つは、税か保険か、ないしは賦課か積立てかというような根本的な、制度を長期的に耐えるものにしろという御指摘。第二点は、それを変更する場合に、一種の、現時点である種の清算のようなことを行って、新たな仕組みに速やかに移行すべきではないのかと、この御指摘であろうかと思います。
 前者の方は、正に坂口大臣がおっしゃったように、根本的な議論を我々はしようと思っております。後者の方については、しかし、現実に制度が動き出している中で、清算して新しい方向にすぐ行けるのかなという思いはちょっとございます。そこも、もちろん議論には当然なるわけでありますが、現実に非常に大きな複雑な制度が動いているという状況の中でやはり考えていかなければいけない面も大きいのではないかなというふうに思っております。
#119
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、まだどちらとも考えておりません。原則としては積立方式がいいと思っております。
#120
○内藤正光君 そろそろ時間も迫ってきましたので、年金改革、最後のちょっと章なんですが、レジュメに従えば、質問させていただきます。
 国民年金と、大きく言って国民年金、フラットな国民年金とその上の二階建てに位置する報酬比例の年金があるわけですね。それぞれの意味合いというのは違うわけですね。国民年金というのは、基礎的な部分、老後の基礎的な部分を保障すると。ところが、報酬比例というのは、生活の安定と福祉の向上、すなわちプラスアルファの部分に使ってください、保障というんじゃなくて、使ってくださいと。哲学が両方違うわけです。
 私は、ナショナルミニマムとして国が取り組むべきは、今一番力を入れて取り組むべきはどこかというと、やっぱり問題だらけのこの国民年金の立て直しだと思うんです。その幾つか立て直すべきことはたくさん、もう今までるる申し上げてきたとおりたくさんあるんですが、やっぱりその一つに給付水準の在り方ですね。
 現在の給付水準というのは何を目安にしているかというと、衣食住というんです。私は、あらかじめ予見できる衣食住を果たしてこの給付水準の算定に使うべきかなというような疑問があるんです。やはりもっと違うところ、給付水準の考え方変えなきゃいけない。
 何しなきゃいけないかというと、私は、万が一のリスクに対応する。万が一のリスクって何なのかというと、大病になったりとかあるいは介護状態になったりとか、正に高齢者の方々が貯蓄に走って心配を抱えるのは正にそこなんです。衣食住を心配しているわけじゃないんです。万が一大病になったらどうしよう、あるいは要介護状態になったらどうしようと。私は、こういった場合を想定しながら給付水準を定めるべきだと思います。ちなみに、私は、それは十万円だとは思いますが、給付水準の考え方について、まず厚生労働大臣にお尋ねしたいと思いますが、考え直す気があるのかどうかも含めて。
#121
○委員長(陣内孝雄君) 吉武年金局長。
#122
○内藤正光君 これは、もう基本的な考え方ですから。
#123
○国務大臣(坂口力君) 年金制度全体を見直すわけでありますから、その一番中心であります基礎年金の在り方というものも見直さなければならないというふうに思っています。
 現在は、御指摘のように、基礎的な消費プラス保健衛生と申しますか、保健医療と申しますか、そうしたことを勘案して考えると十三万円何がしになってくるというようなことで、夫婦二人で十三万四千円ですか、というようなことが出されているというふうに聞いておりますけれども、その考え方も、今おっしゃるように、基礎的なものとして何を考えるかということも確かに考えていかなきゃいけない。それは、先生がおっしゃるのも一つの私は考え方だというふうに思います。
#124
○内藤正光君 やはり、年金だけにとらわれるんじゃなくて、社会保障制度全体としてとらえて考えていっていただきたいと思います。
 最後に、本当にこれはもう竹中大臣にお尋ねしたいんです、経済財政諮問会議の参加メンバーとして。総理がいればそう言いたかったんですが、総理はアメリカのブッシュ大統領がお好きなようで、いろいろまねられているんですが、アメリカでこの社会保障制度改革を行うに当たって、まずやったことは何かというと、共和党と民主党両党からそれぞれ同人数から構成される社会保障委員会を設置したと。そして、この社会保障委員会に、まず、この資料6に示されている、資料7に示されているように、こういう点を検討課題として議論を進めていってほしいとオーダー出したわけです。つまり、丸投げじゃないということなんです。
 ですから、私は、まずこの社会保障制度の改革に当たっては、総理がまずこういう、何を変えていかなきゃいけないのか。私は、厚生労働省だけに閉じていちゃ駄目だと思うんです。なぜ経済財政諮問委員会で議論をすることになったかというのは、これは省庁縦割りをやめて横断的に議論しましょうということになったわけです。ですから、是非そういった御進言をしていただきたいと思いますが、竹中大臣としてよろしくお願いしたいと思いますが、お願い、どうですか。
#125
○国務大臣(竹中平蔵君) まず、先ほど委員がおっしゃった社会保障全体でというのは、実は二年前の骨太の方針の中で、年金、医療、介護一括して社会保障に関する個人勘定を作るというようなアイデアを我々としては出しております。その中で、やはり総合的に考えるというのは諮問会議としてもやはり是非貫いていきたい、求めていきたい問題だと思います。
 議論の進め方でありますけれども、これも私、経済財政政策担当を担ってから、とにかく対案はどんどん出していただきたいということを申し上げているつもりであります。諮問会議での議論は常に公表しております。それで、本当に建設的な対案についてはその中で議論をしていくという、これはもう前向きの姿勢を我々は持っておりますので、そうした中で、是非幅広くやはりこれは国民的に議論していただきたい、与野党問わずいろんな提案をしていただきたい、そのようなつもりで運営していきたいというふうに思っております。
#126
○委員長(陣内孝雄君) 以上で朝日俊弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#127
○委員長(陣内孝雄君) 次に、沢たまき君の質疑を行います。沢たまき君。
#128
○沢たまき君 公明党の沢たまきでございます。
 質問に先立ちまして、ちょっと矢野副大臣にお伺いをしたいと思います。
 ただいま川口大臣は、最後まで平和的な解決を、に向けてイラクの臨時代理大使とお会いされているということで欠席なさっていらっしゃるようですが、私も最後まで大臣に頑張っていただきたいと心から願うものでございます。
 さて、ブッシュ・アメリカ大統領が、我が国時間で本日の午前十時に、テレビでアメリカの国民全体に演説をなさいました。イラクのフセイン大統領に亡命するように求めて、四十八時間以内に亡命をしなければ攻撃を開始すると最後通告を行ったわけでございます。
 このブッシュ大統領の演説を機に、イラクの、イラク情勢は武力攻撃が不可避の状況となっているわけでございますが、我が国の影響に対しまして、政府の対応の方針をお示しをいただきたい。あわせて、経済の混乱の防止、エネルギーの安定供給の確保についても政府の御説明をいただきたいと思います。
#129
○副大臣(矢野哲朗君) 先ほど、一時から小泉総理の記者会見が報道されました。その趣旨と当然相同調するところでありますけれども、改めて私から答弁させていただきたいと思います。
 先ほど、ブッシュ大統領のスピーチで示された重大な決断は、様々な努力を払った上での真にやむを得ない苦渋の選択と理解させていただき、我が国としてもこれを支持させていただきます。
 しかしながら、いまだ、大変確率的には限られた確率になろうかと思いますけれども、平和への道はまだ残されている。イラクが最後の機会を逃すことなく必要な対応を取ることによって平和がもたらされることを心から希望させていただきたい。
 そして、万が一そういう事態の中での我が国としての対応でありますけれども、今日午後七時から安保会議が開かれる予定になっているようであります。そして、経産省、その他関係省庁が万全を期すようにというふうな指示徹底がされることと思います。
#130
○沢たまき君 もう一つ伺わせていただきます。
 イラク攻撃が不可避の状況となっている現状でまず心配なことは、イラクとその周辺諸国の在留邦人の安全の確保でございます。イラク、クウェートなど近隣の十一か国には三月十七日の現在で合計五千三百四十人の邦人が在留していると伺っております。外務省は、このうちイラク、クウェート、イスラエルの三か国にいる六百八十六人の邦人に対し全面的な退避を勧告するとともに、イスラエル国営航空機をチャーターして邦人の退避に備えているということでございますが、邦人の、我が国の邦人の安全、退避の確保についてはもう是非万全を期すようお願いを申し上げたいと思います。
 他方、いわゆる人間の盾として十人程度の邦人がイラクに残留しようとしていると伝えられておりますが、これらの人々に対する退避勧告の伝達などはどのように行われているのか、行われようとしているのか、状況をお示しいただきたいと思います。
#131
○副大臣(矢野哲朗君) 御指摘のとおり、政府としまして邦人保護は、イラク情勢につきまして最優先の課題と今までも取り組んでまいりました。過去において、何回となく我が国においても本省サイドで邦人関係の方々に説明もさせていただきました。現地でもイラク周辺の十数か国の所在する我が方の高官に対して訓令を発しまして、各国に所在する邦人数を把握するとともに、現地情勢に応じた危険情報の発出、現地の説明会等を通じてこれらの邦人の方々の安全対策に努めてまいりました。
 詳しく申し上げますと、イラク、クウェート、イスラエル及びガザ地区でありますか、西岸・ガザ地区、そしてサウジアラビアのカフジ地区に対しては退避勧告を既に発しております。
 そして、今御指摘の人間の盾の件でありますけれども、当初七名という一つの、人たちが残るというふうな話がありましたけれども、現在五人の方が残るというふうなことのようであります。今日まで本人に対しても積極的に説得をし、なおかつ御家族の方々に対しましても、同じく何とか御家族からも説得していただけないかなというふうな働き掛けをさせていただいております。
 加えまして、ICRC、国際赤十字ですか、にも連絡を付けさせていただいて、万が一の折にはというふうなことで国際赤十字にも救出かたがたの連絡はさせていただいているのが現状であります。
#132
○沢たまき君 どうも矢野副大臣、ありがとうございます。御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、通告のとおりにさせていただきます。
 まず最初に、報道と人権に関してお伺いさせていただきます。
 民主主義社会を発展、成熟させるためにはマスメディアの役割が極めて大事であります。私は、その中でも特に活字文化は殊に大切でありますし、各人の創造的精神性をはぐくむものとしてその役割は重大なものであろうと思っております。
 二〇一一年にはアナログ放送映像からデジタル化に移行いたしますし、ますます映像文化というのは普及、発展する中で、活字文化が衰退するようなことがあっては精神性の衰退につながるものとして大変に個人的にも危惧をいたしております。そうしてはならないと思っております。私たち公明党の女性委員会では、日本の未来を支える子供たちに読み聞かせ運動を全国的に展開をさしていただいておりますのも、その大きな理由であります。
 そこで、まず、社会における活字文化の役割について文部科学大臣のお考えを是非伺わせていただきたいと思います。
#133
○国務大臣(遠山敦子君) 私も沢委員の御指摘に同感でございまして、活字文化というものは文化創造の基盤であると思いまして、日本の文化について考えましても活字の果たす役割というのは大変大きいと思います。
 例えば、本を読むということを通じまして人は思考力を養い、あるいは感性を豊かにし、それから新しい創造につなげていく。そういう個人の豊かな精神性を育てるというだけではなくて、未来に向かって発展していくときの基盤になると思います。そういう重要な意味を持つのが活字の力であろうかと思っております。
 それで、同時に、その活字文化を創造し伝達する媒体としてのお話しのメディアの重要性というのはそれゆえにこそ大変大きいわけでございまして、新聞、雑誌あるいは書籍などのマスメディアは経済社会あるいは教育、学術、芸術など多くの分野におきます知的創造活動の基盤となるものでございまして、その文化的意義は極めて大きいと考えております。
 したがいまして、それらが非常に上質の情報を活字によって伝えてくれますと国民の知的な水準も高くなり、教養も深くなるというふうに考えるところでございます。
#134
○沢たまき君 ありがとうございました。
 私は、活字文化が弱っていくと極端に言うと亡国につながると、そこまで思っております。大臣、お忙しいところ、ありがとう存じました。御退席いただいて結構でございます。では、次でございますが、私と同感と言ってくださって大変うれしゅうございました。
 活字文化は、今、大臣も御指摘のとおり、国民の精神性を深めるもので、映像文化とともに普及、発展させていかなければならないと思っております。しかし、この活字が場合によっては人の名誉を侵害することもありますし、一部にそのようなことが存在するということは大変に残念であります。
 そこで、一度侵害されたらその侵害された名誉を回復するために、民法では七百二十三条に、裁判所に対して、名誉を回復するための適当な処分を命ずることができるとしているだけで、具体的な方法までは明記されておりません。実際には、著しく悪質な名誉毀損でも、謝罪文の掲載はその名誉毀損を行ったメディアのごく一部を使っての掲載にすぎないというのが現状であります。
 今日、電車の中づり広告などで不特定多数の人々の目に触れて周知される中で名誉毀損行為が行われる一方で、被害者側の名誉回復の方法については謝罪広告がこのような現状に固定をされているということが本当に妥当なのかどうか、法務省の御見解を承りたいと思っております。副大臣で結構です。
#135
○副大臣(増田敏男君) お答えをいたします。
 お答えの前に、私も同じ実は思いをしたことがあります。したがって、御発言の趣旨はよく理解ができます。
 名誉毀損の被害者には、金銭賠償もさることではありますが、毀損された名誉を回復してほしいという、考えている方が多いのではないかと思っております。この点におきまして、名誉回復の措置としての謝罪広告は、名誉毀損の被害者に対する民事上の救済手段として重要な機能を担っているものと考えております。
 他方、謝罪広告につきましては、メディアの表現の自由との関係も問題となるところでございまして、裁判所は、このような謝罪広告の重要な機能やメディアが有する表現の自由との関係等に配慮をしながら、謝罪広告を命ずるか否か等について慎重に判断されていると思われます。具体的な事案における裁判所の判断の当否につきましては、もちろんお答えを控えさせていただきますが、一般論といたしまして、謝罪広告の機能を踏まえて被害者の救済に十分配慮した事案が解決されることが大切である、このように考えております。
#136
○沢たまき君 副大臣がその思いをなさったというのは初めて伺いました。御趣旨をよく御理解いただいて感謝申し上げます。
 実は、謝罪広告の掲載方法につきましても各誌によって掲載の場所が異なっております。中には、裁判所の判決で目次の下に掲載をしなさいと命じられても、こそくにもその号のみは目次を巻末に、一番後ろに持っていって、移動させるという、こういう事例もございました。これでは裁判所に言われたから嫌々やっているんだという、嫌々掲載している、とても本心から謝罪しているとは思えないわけでございます。
 刑事補償法の第二十四条では、再審などで無罪が確定した場合に補償を行うことになっていますが、この補償が確定した場合には、本人の申立てによって速やかに官報あるいは一般紙、三種以内の新聞に補償の要旨を公示するという規定があります。これに準じて全国紙に訂正、謝罪を掲載させるようにすれば、その名誉回復の実効性が期待ができますと思っていますが、謝罪広告の実効性の確保のための法制度について、法務省にお伺いをしたいと思います。
#137
○政府参考人(房村精一君) 法務省におきましては、平成十三年度に名誉、プライバシーの侵害に対する民事的救済、これをテーマとしまして専門の研究者による調査研究を行ったところであります。現在、その研究結果を踏まえ、謝罪広告の制度も含めまして、実効性確保の観点から検討をしているところでございます。
 御指摘の、被告会社の発行する媒体以外の例えば全国紙のような媒体に訂正、謝罪の記事を掲載するということにいたしますと、これは名誉回復の実効性は上がるだろうと思っております。ただ、名誉侵害の態様というのは個々様々でございます。したがいまして、その侵害の態様に応じて名誉回復の措置としても、適切なものも様々な方法があろうかと思います。全国紙に一律に訂正あるいは謝罪の広告を義務付けるということになりますと、場合によっては具体的妥当性を欠くような場合も生ずるおそれがございます。
 法務省としても、名誉回復措置を含める名誉毀損についての法制化につきましても、なお慎重に検討をしていきたいと考えております。
#138
○沢たまき君 研究会を立ち上げていただいたこと、大変うれしく思っておりますけれども、義務付けるというのではなくて、その名誉毀損の内容によってというような柔軟な考え方をしていただきたい。十のうち二つ本当があれば本当らしく思いますけれども、全くの虚偽という場合もございます。そういうものの区別も考えて、勘案していただきながらの名誉回復、原状回復をしていただきたいと、このように思っておるところでございます。
 次に、メディア側の自主規制の取組について伺わせていただきます。
 名誉権とか人権権というのは、人の命にも相当すると私は考えております。これを軽く扱わせないようにするためには、メディア側の自らの倫理観がどうであるかというのはもう大事でありまして、メディアが自らを律する自主規制が第一義でなければならない。
 このところ、新聞社で、報道による人権侵害の訴え、紙面の在り方を検討する、審議する第三者委員会の設立が相次いでおります。また、放送の分野では、放送、報道による被害者からの人権侵害の申立てを審議して放送局への勧告などを行う第三者の機関で、放送と人権等権利に関する委員会、BRCがあります。それと、放送倫理などを論議する放送番組向上協議会が本年七月に統合され、放送倫理・番組向上機構になるとの報道がされております。
 こうした動きは、あの忌まわしい松本のサリン事件の被害者の河野義行さんなどの、あの犯罪者の、被害者に対するあのメディアの集団的過熱取材、メディアスクラムと言われておりますが、反省に基づくものでありまして、メディア側も報道倫理の確立、取材の在り方について自主的に取り組まざるを得なかったからだろうと思っております。
 私もこうした取組には一定の評価をするものでございますが、先ほどちょっと増田副大臣が表現の自由ということもおっしゃっていらっしゃいましたが、私は、聖心女子大学の教授の方の、どうもちょっと長くなりますが、引用させていただきたい。私は同感なので引用させていただきます。報道と人権を論じる前に表現の自由とのかかわりは大きな論点であるとして、次のように述べています。
 時代は変化していて、高度情報化社会とは人間が情報に依存している社会と言える。したがって、情報の攻撃にさらされたら、個人であろうと企業、団体であろうとひとたまりもない。今は情報だけで企業が倒産する時代で、名誉や信用が比べ物にならないほど重要になっている。表現の自由と人権とのかかわりは重要な論点であり、表現の自由を尊重すべきだが、昔の表現の自由と今とではその持つ意味、中身が違ってきていることを十分に検討する必要がある、ちょっと長くなりましたけれども、全く同感だと思います。
 メディア側は表現の自由というのを金科玉条のように振り回しますけれども、御存じのように、その情報一つで倒産する企業もある。また、個人がその情報にさらされて、なかなか名誉の回復が何年もできないと、こういうこの世の中でございますので、その人権擁護法案が現在、参議院で継続審議と、審査となっておりますが、法案ではメディアの自主的取組を尊重することになっておりますが、こうした自主的取組の現状について、法務省、御認識をお伺いいたします。副大臣、お願いします。
#139
○副大臣(増田敏男君) お答えを申し上げます。
 近年、報道機関によりましては、報道や取材による人権侵害を防止をし、またその被害の実効的な救済を図るための自主的な取組が進められているところだと承知をいたしております。
 報道機関による人権侵害につきましては、まず報道機関自身による自主規制が図られるべきでありますので、このような自主的な取組の動きは評価すべきものと、このように考えております。
#140
○沢たまき君 それは尊重しております。
 放送の世界ですと、BRCが設けられて苦情の受付の窓口として機能しております。報道による被害は放送だけじゃございませんので、活字のメディアである通信、新聞、雑誌、このBRCのような苦情処理に当たる総合的な第三者機関がないわけでございまして、自主規制の尊重といっても非常に心もとないわけでございます。
 世界各国は報道と自由と人権、このバランスを取るための様々な工夫をしているわけでございます。例えば、スウェーデンなどは、御承知のとおり、自主規制方式が取られているわけです。我が国でも、各メディアごとではなくて、報道に対する苦情あるいは被害を受けた場合の総合紛争処理の機関として、弁護士さん、学識経験者などから成るすべての媒体を対象とした報道評議会みたいなものが我が国においても創立されるべきだと考えているんです。
 そのことをちょっと伺いたいと思います。
#141
○副大臣(増田敏男君) 報道機関によります人権侵害につきましては、まず報道機関自身による自主規制が図られるべきでありますので、委員から御提案のあった報道評議会の設置を含め、報道機関側において幅広く検討を行い、この問題について今後一層実効性のある自主規制のための整備がなされることを期待をいたしております。
 委員の御発言にもございましたが、人権擁護法案の中での自主規制の在り方等、御発言がございましたけれども、それらを踏まえながら、そしてまたスウェーデンの例もお話がございました。スウェーデンのオンブズマンの、報道オンブズマンの関係あるいは評議会の関係、これらも伝統と歴史がありますので、私としては参考に勉強させていただいているところであります。
#142
○沢たまき君 まだまだ伺いたい、是非ともオンブズマンをやっていただきたいと思っていますが、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 次に、このデフレ経済状況の中での公共料金の在り方についてお伺いをさせていただきます。
 政府は、物価安定政策会議特別部会基本問題検討会、長いですね、公共料金の構造改革と現状の課題について、十三年の五月から精力的に検討を進めてまいりました。十四年六月二十五日に検討会の報告書が提出されております。
 報告書でも述べられておりますように、主な制度改革として、参入規制の緩和、料金設定方式の見直し、情報の公開、ITの活用、推進されてきたわけでございますが、その結果である公共料金の低廉化、事業の効率化についてどう検証されているのか、まず御報告をいただきたいと思います。
#143
○政府参考人(永谷安賢君) 公共料金制度の改革について結果をどういうふうに検証しているかという御質問でございます。
 これ今、先生おっしゃいましたように、公共料金制度に関しましては、これまで物価安定政策会議の場でいろんな提言をいただいておりまして、それを具体化するということで取り組んできております。とりわけ、今、先生のお話にもございましたけれども、参入規制の緩和あるいは料金設定方式の見直し、それから情報公開、この三つを核にして、料金の低廉化あるいはその事業の効率化を実現するということで推進してきているところであります。
 それで、制度改革、これ非常に多岐にわたるものですから、主たるものを簡単に申し上げますと、例えば、電気でありますとか都市ガスの分野では小口の供給について自由化が認められるとか、あるいは国内航空それから乗り合いバス、タクシー、鉄道等では需給調整条項を外して参入規制が緩和されるというようなことをやっております。それから、料金設定方式につきましてもかなりな見直しが行われておりまして、例えば、ヤードスティック方式でありますとかプライスキャップ方式の導入でありますとか、正にコストを引き下げることのインセンティブが生まれてくるような制度に変えてきているという状況がございます。
 そういうような制度改革の動きを踏まえまして、そういうような動きもありまして、最近の公共料金の動きを見てみますと、この十年間で、平成九年度が一番のピークなんですけれども、その九年度以降、公共料金の全体としては下がっているという状況にあります。
 ただ、そういう中でも、中身を子細に見ますと、非常に顕著に低下しているなというのは、固定電話の通信料は非常に下がっている。あるいは国内航空運賃もまあまあ、いろんな割引料金とかなんとかを設ける形で下がっているという状況はあるんですけれども、例えば、平成九年度以降の五年間で見て、横ばい程度がタクシー料金で、それ以外の料金については上がっているという状況にあります。したがいまして、公共料金、日本の公共料金については非常に割高であるとか、あるいは内外価格差があるとかいうような指摘があるんですけれども、そういうふうな価格の動向を踏まえて一層の制度改革を進めていく必要があるのではないかというふうに認識しております。
#144
○沢たまき君 全体的には制度改革に伴って公共料金の利便性は拡大していると理解します。しかし、一部の公共料金は今なお高止まりしておりますし、我が国産業の高コスト構造の大きな要因となっています。
 今はデフレを克服することが最大の課題でありますから、例えば公共料金を下げることによってデフレが更に悪化するのではないかという声もあります。しかし、デフレというのは一般物価の現象を示すものでありますし、公共料金の価格引下げ問題とは少し次元が違うんじゃないかなと、私はそう思っております。
 日本経済の活性化、また家計の負担の軽減を図る、こういう視点から改めて公共料金の制度改革を一層推進する必要があるんではないかと私は思っております。いかがでしょうか。
#145
○政府参考人(永谷安賢君) 先生がおっしゃるとおり、デフレの問題と個別の公共料金の内外価格差の是正問題とは全く別の問題であるというふうに認識しております。
 それで、今、先生おっしゃいましたように、日本経済、今、構造改革ということで正にサプライサイドを強化する形で持続的な成長を目指すということをやっているわけですけれども、そういうことの課題の一つとして日本経済の高コスト構造体質というのがあると。しかも公共料金分野では、先ほど来申し上げていますように、依然としてその内外価格差の問題があるというふうに認識しております。
 したがいまして、当然デフレ下でありましても、公共料金の引下げあるいは事業の効率化というのは目指すべき大きな課題であるというふうに認識しております。
#146
○沢たまき君 我が国の鉄道部門を拝見いたしますと、民営化によって経営の効率化がなされていることは理解いたします。おおよその数字として、現在JR六社売上げ四兆二千億、大手私鉄十五社売上げ一兆三千億ですから、JR六社が大手私鉄十五社の約四倍になっております。この数字を見ますと改めてJRの事業の規模が、大きさに驚くわけです。
 今日、このJRの運賃料金は、公共料金を考える上での中心的役割を果たしております。しかし、十三年の十二月四日に行われた鉄道事業についての審議において、内閣府の担当官は、価格はちゃんと安くなっているのかという物価安定政策会議の観点でございますが、JRは九〇年代前半が〇・一%、後半が〇・六%となっておりまして、一九八〇年代の年平均の上昇率三・六%に比べれば上昇率は抑えられていると思われますと報告されました。この発言は、制度改革の効果がインフレ時代の価格トレンドと比較して低ければ了とすると、こういう意識の表れと受け取ってしまったんですが、いかがでしょうか。
 参考までに、鉄道運賃以外の主な公共料金を調べてみますと、例えば航空料金、今、政府参考人おっしゃいましたように、電話、電気については程度の差はあっても相当引き下げられているんですね。この結果、鉄道運賃は相対的に高い水準となっていることも事実だと思っております。政府の御見解を伺います。
#147
○政府参考人(永谷安賢君) 私どもの担当課長が物価安定政策会議の場で説明した部分でありますので、私の方から御説明させていただければと思います。
 その場で、鉄道事業の現状についてということで答弁した際の発言であります。その発言の、でございますけれども、消費者物価指数でのJRの運賃の動きの実情を説明した部分であります。
 具体的に申し上げれば、JRの運賃については八〇年代の平均の上昇率と、九〇年代前半それから後半のそれぞれの平均の上昇率を比較した結果、八〇年代よりも抑えられているという、抑えられておりますと、正にそういう事実を御説明申し上げたということで、先生が今おっしゃいましたような御趣旨でもって発言したものではないということであります。
 ちなみに、この三月の六日でありますけれども、物価安定政策会議の場で、「公共料金分野における情報公開の現状と課題」という提言を出しております。そこの中で、正に今この点に関する私どもの認識が掲げてございますので、ちょっと御紹介をさせていただければと思います。
 デフレ下にあっても、全体として見れば海外と比べて依然割高であるとされる公共料金に対し、利用者の目は厳しく、料金の据置き時はもちろん、引下げがあっても過去と比べて実質的に高い水準を意味することがある。したがって、公共料金については引き続きその低廉化を図ることが課題となっているというふうに言っております。これが政府としての公共料金についての認識であります。
#148
○沢たまき君 今日は現行の料金の算定方式をちょっとお伺いさせていただきたいんですが、鉄道事業において参入規制の緩和をしてまいりましたけれども、現在のところ参入の実績らしいものはありません。鉄道事業においては競争は期待できないですし、制度改革がなじみにくいということになるのではないでしょうか。こうした弊害を除去するため、何らかの形で、競争条件の下でなら得られるであろう料金水準を想定して、その下で現行料金設定方式の見直しが必要とされるべきところだろうと思っています。デフレ経済の中で、JRについては、上限認可制というのはこれは機能していないんじゃないかと思っております。いかがでしょうか。
#149
○政府参考人(石川裕己君) 鉄道事業を含みます交通事業分野、これにつきましては、先ほどもちょっとお話ございましたけれども、需給調整規制の廃止等による参入規制の緩和、それから運賃料金に関する規制の緩和、こういうものを通じて適正な競争を促進させるべく取組を進めてきたところでございます。
 それで、鉄道事業におきましては、例えば並行する鉄道路線間において異なる鉄道事業者間での競争というのももちろんありますけれども、実はそういうだけではなくて、鉄道が実は近距離のところでは自動車と、それから遠距離では航空などの他の交通モードとの競争というものが行われている現状だと思っております。
 そういう中で、鉄道の運賃規制に関しましては、現在、総括原価方式の下での上限価格制というのを平成九年度から導入しているものでございまして、これは鉄道事業者はこの上限の範囲内において鉄道事業者自らが自由に安い運賃を設定できるという制度でございます。
 したがいまして、このような措置を受けまして、例えばJRについて見ますと、往路に早朝便の利用を条件とした新幹線往復切符というものについては四割以上を割り引くような「たび割7きっぷ」でありますとか、二万四千円で三日間JR東日本の管内を乗り放題となる「三連休パス」、あるいは最大一一%強の割引を行う「新幹線ビジネスきっぷ」などの割引の運賃料金というものを設定しているところでございまして、今後とも利用者ニーズ等に対応して鉄道事業者により多様な運賃料金が弾力的に設定されるものと考えております。
#150
○沢たまき君 後でちょっと観光のことでその割引料金を伺おうと思っていたんですけれども。
 しかし、この上限を決めただけでその枠内でこういう競争をするというのも何かこう、その上は決まっていっていると、その中でというのが余り功を奏さないような気がしてなりません。
 JRは民営、ちょっとJRのことだけで申し上げますけれども、運賃料金の算定方式、国鉄時代とそのままではないかと受け止められかねないと思ったんです。我々、庶民の目から見まして、JRは民鉄と比較いたしまして高いという声が強いのも事実でありまして、例えば、私のことで申し訳ありませんけれども、新宿―高尾間を比較いたしますと、JRが五百四十円、京王線が三百五十円、片道百九十円、往復三百八十円の違いになって、一・五倍となっている。これはコーヒー二杯飲めちゃうわけですよね。定期券でも価格の格差が生じていまして、こういうのは一例にすぎませんけれども、この価格差はどう見ても公共料金の制度改革が機能していると思えません。庶民の生活にかかわる普通運賃については割高感が強く、このデフレの状況の中では是非引き下げていただきたい。
 先ほど、「三連休」だとか「たび」だとかと、その割引は後でお願いしようと思っています。一年間に千四百億円余りの経常利益を上げているJR東日本等の利益水準を見て、果たしてこれは公益事業の利益水準はどうあるべきなのか、どうなのかなと、政府の御見解を伺いたいことが一つ。
 それからもう一つ、JRは民営化されているわけですから、大臣あるいは国が下げなさいと言うわけにまいりませんが、だからといって、放置したままではJRが自ら引き下げるとはとても思えません。そして、規制改革の効果が上がるようなJRの料金の算定方式に見直すべきだろうと思います。これが二つ目。
 その二つ、局長、お願いします。
#151
○政府参考人(永谷安賢君) 現在の積み上げ方式の価格設定、価格決定方式というのが常に合理的な形でもって改定されるべき、正にそこをどういうふうに持っていくかというのをこれからずっと継続的に研究していかなきゃいけないんだろうと思います。
 ただ、いずれにしましても、現在、少なくとも今の時点ではこの価格決定方式の一つという形で総括原価方式というのが認められているわけでありまして、この方式の下では事業の健全な維持発展のために適正な報酬を得るということが認められていると。
 じゃ、正に適正な報酬というのがどのレベルかということが問題になってくるわけでありますけれども、正にそこについては、一般的な景気状況はどうであるとか、あるいは金利状況はどうであるかとか、そういうふうな周辺の事情等も考慮しながら決まっていくべき話であろうというふうに認識しております。
#152
○政府参考人(石川裕己君) JRの運賃につきまして先生から具体的なお話がございました。
 おっしゃるように、新宿と高尾間はJRの方が京王電鉄よりも高うございます。同じように、例えば渋谷と横浜でありますと、JRが三百八十円のところ、東急が二百六十円、上野と成田でありますと、JRが八百九十円で京成電鉄が八百十円と、このようにJRの方が高い区間もございます。
 一方で、例えば品川と横浜間でございますが、JRが二百八十円でございますが、京浜急行は二百九十円というふうな形、あるいは名古屋になりますけれども、名古屋と岐阜間はJRが四百五十円のところ、名鉄が五百四十円、大阪では天王寺―奈良間で、JRが四百五十円のところを近鉄が四百八十円というところで、実は高いものもありますが、低いものもあるわけでございます。
 それから、初乗り運賃でございますが、これにつきましても、例えばJRの初乗り運賃は首都圏で百三十円でございます。御承知だと思います。営団地下鉄は百六十円、例えば西武だと百四十円と、そういうことで実は様々な形があろうかと思います。
 それで、もう一つだけ言わせていただきますと、実はJRは、御案内のとおり鉄道事業でございますから、ふだんから安全確保のための設備投資と、こういうことをやっていかなければいけません。それから、まだまだ混雑区間がございますので、混雑緩和の問題あるいは輸送サービスの改善というふうなことも必要でございます。さらには、バリアフリー、このための設備投資も必要と、こういうことで、今後ともそういう意味での必要な設備投資というのはあろうかと思いますので、そういう意味での資金を確保する、あるいはその資金を回収するということも、やはり鉄道事業の運営、適正な運営という観点から見ますとどうしても必要になろうかと思います。
 さらに、JR特有の問題でございますが、実は売上高の、先ほど先生がおっしゃった売上高の約二・三倍に相当いたします約九・八兆円というものの長期債務がございます。これが残っている現状でございまして、この九・八兆円の長期債務を弁済も進めていかなければならないという状況にあるわけでございます。
 そういう中で、先ほど申し上げましたような規制緩和の流れを受けた中での上限価格制という下で、先ほど申し上げたような様々な工夫というものを行っているものでございます。
#153
○沢たまき君 局長は省線出身、じゃない、JR、いや国鉄出身なのかなと思いましたけれども。
 でも、私は、京浜急行、このごろあれしていませんけれども、八王子へよく行くものですから、この一・五倍は高いなと思うし、借金返しているとおっしゃいますけれども、私も一生懸命たばこを吸って借金助けていますよ。
 ですけれども、よく、民営になったんだから、その借金、いろいろありますけれども、しかし国民に愛されるというJRを目指すことが大事であります。余りにも、さっきみたいに十円高い、二十円高いというのはまだ許せますけれども、一・五倍はちょっと余り理解し難いわけですね。
 そのJR、大変な利益を生み出す新幹線に経営の力点が置かれて、その一端としてスピード化がどんどん進みましたけれども、そのため巨額な資金が投入されているわけですね。果たして、スピードアップだけが顧客の満足につながるとは思いませんので、私の方は、いつも、ちょっと昔、時々「こだま」に乗っちゃったりするんですね、余り速いと嫌になっちゃってね。その一方で、稼働率の低いことを主因に食堂車が消えちゃったと。これもすごい寂しい、私どもはね。大変味気なくなりましたので。何か機械的に、人間じゃなくて物として運ばれているなという感じがいたしまして、高齢者の中では、高齢者って私も含めてなんですが、大変つまらないねというふうになります。
 そこでお伺いいたします。最近の五年間の乗客の数、教えていただきたいと思います。御報告ください。
#154
○政府参考人(石川裕己君) JR全体の最近五年間の乗客の数でございますが、平成九年度が一年間で八十八億六千万人でございます。平成十三年度が八十六億三千四百万人ということで、この五年間、微減の状態が続いております。
#155
○沢たまき君 ちょっとはしょらせていただきます。微減の理由は後で伺います。
 朝夕のJRの各社の通勤と通学の混雑の緩和とか、生活の足として全力で取り組んでいただいていることはよく理解できますが、せっかく民営化したわけでございますので、小泉総理もおっしゃっていらっしゃるように、これから観光産業の中核としての取組をちょっと伺わせていただきたいと思います。
 列車といえば旅をイメージするものでございますし、国民に夢を与える、それから我が国を観光立国として観光振興面から、また地域産業、文化の発展にも大きな役割を果たしていただきたいと思います。これが一点。
 ちょっと、ずっとありませんので、質問だけばっばっと言いますからよろしくお願いします。
 観光としては、国交省、三十五位ですね、世界の中で。大変観光客少ない。国際観光振興会等において各種の観光の振興の事業の展開が行われておりますが、この成果、本当にはかばかしくありませんので、主要の、世界の主要国にもう少し日本に来てちょうだいという、こういう呼び掛け、三十五億円という事業の執行の対象でございますので、その成果のメルクマールが小さい、これなぜなのか。これが二つ目。
 それから、観光立国を目指そうとするならば、この協会の活性化は不可欠。だから、お役人ばっかりでなくて、現役の民間人を登用して成果を上げられるような体制作りが求められていると思うんですが、具体的にこの協会が達成の目標を設定してその実現に向けて進まないと観光立国はとても無理だと思うんですが、その実現を可能にする体制の構築を急ぐべきだと思いますが、いかがでしょうか。それが三つ。
 それから、外国人の方が日本に是非行きたいと、そういう気持ちを起こさせるような日本を、一体何を売り込もうとされているのかなというふうに思います。これは鉄道に関係ないですね。でも、私は、もう一つ言っちゃうと、スピードだけでない車両ということも念頭に置いてお答えいただきたいと思います。
#156
○政府参考人(石川裕己君) いろいろと御質問ございましたが、まず観光との関係でございます。
 鉄道については、先生御指摘のとおり、単なる通勤通学だけではなくて、創意工夫を凝らした様々な輸送サービスの提供ということで、旅自体を楽しんでいただくということも大事なことでございますし、それによって観光振興ということも大きな問題だろうと思っております。
 そういう意味で、鉄道事業者においても、これまでも例えば各地域の催し事あるいはイベント等と連携した企画切符、それからイベント列車の運行等を通じまして観光目的の旅客に対しましてもいろんなサービスをしているということでございまして、例えば、ちょっと具体の例を申し上げさせていただきますと、昨年の十二月に東北新幹線が盛岡から八戸まで延伸いたしました。それを機会にJR東が北東北三県の歴史等をテーマとするキャンペーンというのを実施してございまして、この期間中に、割引率が四割を超える特別のフリー切符の発売、あるいはSLの運転、展望ラウンジ、お座敷などを設けているジョイフルトレインの運転、このような観光企画をやったわけでございます。
 これによりまして、八戸市の市内のホテルは対前年比一九%増、あるいは昨年十二月、シーズンオフでございますけれども、古牧温泉というところは満室の状態が続いたと。さらには、首都圏から北東北行きの旅行商品が一か月で前年の四か月分の実績を超えたというふうなことがございます。
 このように、鉄道あるいは鉄道の整備、更に鉄道事業者のいろいろな企画、こういうものが地域と協力して行われることによって地域の振興あるいは観光の振興ということが行われているわけでございまして、引き続きこのような形を各地で具体的にやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから、訪日外国人の話がございましたが、先生御案内のとおり、海外に行った日本人というのは千六百万余でございますけれども、我が国を訪ねてこられた外国人旅行客というものは四百七十七万人というもので非常に少のうございます。そういう中で、日本人の海外旅行者数と訪日外国人旅行者数の格差、この早期是正というものが緊急の重要な政策課題ということになってございまして、実は小泉総理も、二〇一〇年に訪日外国人旅行者数を一千万人にするということを目標に掲げていらっしゃるわけでございます。
 こういう中で、国土交通省といたしましては、本年を訪日ツーリズム元年という形で位置付けまして、国際空港やアクセス鉄道、道路の整備等の受入れ体制の整備、あるいは観光コスト高の是正、あるいは韓国、米国、中国などを対象として日本の観光魅力を戦略的に海外に発信するためのビジット・ジャパン・キャンペーンの実施というようなことを進めていきたいと考えております。特に、ビジット・ジャパン・キャンペーンにつきましては、扇国土交通大臣が本部長となっていただきまして、民間の方を中心としてお集まりいただく実施本部を設定して、今月中にも第一回の会合を開催するというふうな予定にしてございます。
 それから、観光振興の観点から、鉄道の車両あるいは鉄道の割引ということについていろいろと考えたらいいじゃないかというお話でございます。御案内のとおり、SL列車であるとかトロッコ列車その他のことをやっております。さらに、運賃につきましては、訪日する外国人を対象として、全国のJR全線が七日間乗り放題となるようなジャパンレールパスのほか、北海道、四国、東日本、西日本、九州、それぞれのエリア内で乗り放題のレールパス、外国人向けのレールパスというふうなものを設定されているところでございます。
#157
○沢たまき君 あとは、ちょっと航空について伺いたいと思ったんですが、扇大臣がなかなかお戻りでございませんので、一つだけ最後にお願いしておきます。人命にかかわる危険性のあるITの活用、これに万全な安全対策をお願いしたい。
 実は、三月の一日、私はちょうど講演で福岡へ行く予定でしたから航空機を利用したわけでございます。しかし、もうあの混乱で六時間以上、機内で約二時間、待機四時間。この中でITのシステムの怖さをつくづくと感じました。飛ぶのかなと思って二時間待機していた機内で次にあったアナウンスは、給油をいたしますということでございました。機長さんは、ずっともうエンジンを掛けっ放しで三時間以上機内にいらしたようでございまして、ようやっと飛び立った後で、三十年も機長をしているけれどもこんな大きなトラブルは初めての経験だと、謝罪のお言葉とともに御自分の御感想も述べられていました。
 この航空管制情報処理のシステムの障害が、まだ航空、空港の開港前であったことがどれだけ不幸中の幸いだったかなと思いますが、開港後であれば──済みません、このITの活用について安全を二重三重にしっかりと政府で取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#158
○委員長(陣内孝雄君) 以上で沢たまき君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#159
○委員長(陣内孝雄君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
#160
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず初めに、大島農水大臣に質問いたします。
 三月十一日の予算委員会で、我が党の大門議員の質問の中で、大島大臣が談合した企業から三千七百万円の献金を受け取っていたことを指摘しました。そして、その返済を求めました。過去に森元総理大臣、小泉総理も談合企業からの献金を返還したことも示しました。皆さん、道義的に受け取るべきものでないと判断をされて返還をされている。あなたも返還すべきではないかというふうに申し上げたわけですけれども、これに対して大臣は、献金と談合の因果関係を調べてみたいと、その事実があった月日を調べてみたいというふうに答弁をされました。
 さらに、三月十四日の八田議員に対する答弁の中で、談合企業からの献金問題について、私自身もしっかりしなければならぬ、今そのための勉強をしていると、そして御指摘をいただいて謙虚に耳を傾けなければならないというふうに答弁をされておりますけれども、お調べになりましたか。
#161
○国務大臣(大島理森君) 因果関係、つまり、その談合と言われるものによって、まあその献金との因果関係ということについては、これはなかなか、そこを把握するとか、そういうことは不可能に近い。
 ただ、お答えを申し上げたように、道義的問題としてどのようにこれを処理すればいいか。こういうことについては私なりに今勉強を、勉強というか、どのように考えていったらいいだろうかということは真剣に悩みながら、何せ金額も金額でございます。
 ただ、一つだけ委員に申し上げさせていただきたいことは、委員も道義的というお話がございましたが、企業から私どもが献金をいただくこと、そしてそのちょうだいした浄財を政治資金規正法にのっとりその事実を資金収支報告書に記載する、その行為自体は違法ではないということだけは、これは私のみでは、私のみというか、いわゆる法の一つの考え方としてきちっと改めて申し上げ、御理解いただいた上で、そして私個人がいただくということよりは、もちろん私がその支部の支部長であることは事実でございます。事実ではございますが、一存で全体をやっぱり動かすという、そこには相談も必要であろうと思っております。さらに、相手方というものもあろうかと思っております。
 そういうことで、現在、関係者ともどもとも協議して、一気にそういうことを御返済できないのであれば、どこからどこまで返済をし、自分のやれる範囲のものをどうしたらいいのか、総合的に判断をしてそれなりの対応の協議をしております。
#162
○紙智子君 返済をするということなんでしょうか。
#163
○国務大臣(大島理森君) もちろん、そういう方向について協議をしているのは事実でございますが、政党支部として、どのように、どういう形で、そしてどの範囲でどう考えるべきかということを今協議をしておるところでございます。
#164
○紙智子君 あなたへの献金が談合が行われた期間に行われたものであるということは、これは先日の委員会に提出した資料の中でも明らかになったことです。
 森首相のケース、元首相のケースの場合も、例えば、地元の石川県の小松市の排除勧告を受けた配管事業者が森元首相の資金団体に五年間、九五年から九九年まで政治資金をしていたと。献金を受けていた期間は、この業者が談合を繰り返した時期と重なったと。その時期に、森当時の首相は建設大臣でもあったと。そういう立場にも配慮してすぐに返却をした。小泉総理のケースもお話ありましたけれども、いずれも献金を受けた時期と談合が行われた時期が一致する。返還していると。
 ですから、いつまで悩んで考えるのかということにもなるわけで、時間を掛けて調べるようなことでもないと思うんですよ。私は即刻返還すべきだと思いますよ。いかがですか。
#165
○国務大臣(大島理森君) 即刻お返しできる人はお返しするかもしれませんが、それぞれの事情が私はあると思いますし、私自身も、今言ったように、即刻といってもなかなか即刻それが準備できるかどうか、そういうことも実際問題としてあると思うんです。したがいまして、どのようにしたらいいか、また、お返しをさせていただく相手方の方の思いというものも聞かなきゃならぬのだろうと思うんです。
 ですから、そういうことで、私自身、政党、私にと今、委員がお話しされましたが、第三選挙区支部という党の存在でございますし、そういうこと等々も協議しながら結論を出したいと、このように思っております。
#166
○紙智子君 いろいろお話しになるんですけれども、やはりこの期に及んでそういうことをいろいろ言われることではないと思うんですよ。やっぱり、本当に事の重要性がお分かりになっていないと思います。私は、この問題は、政治資金規正法に、報告書に載せているからとか、あるいは善意の献金とか、そういう問題ではないんですね。もう談合で公共事業の受注額を決めるということが、実際には高く金額をつり上げていくということなわけです。
 それで、あなたが受け取った八戸市の談合でも、結局、公取の勧告で、違反行為の中身として、受注価格の低落防止を図るために談合したと、こういうふうにはっきりと指摘をしているわけです。金額を上げるために談合したということなわけですから、結局、談合で浮いたお金がその企業に入っていくわけですけれども、そういう中から業者が献金をし、あなたが受け取ったというふうに思われても仕方がないわけですよね。
 ですから、元々そのお金というのは何なのかといえば、八戸市の市民が出しているお金であったり、国民の税金なわけですよ。こういう灰色のお金というのは、やはり即刻に返還すべきだと、それが政治家としての最低のモラルじゃないでしょうか。
#167
○国務大臣(大島理森君) 何も先生のお話の結論を私は否定するのではございません。ただ、談合で浮かした金が、それで上前だった金額が、それが献金に回っていると断ずるというのは、私は必ずしも正確ではないんではないかと思うのです。
 ただ、政治的、道義的責任としてどのようにその問題を果たすかという意味で、先ほど来申し上げましたように、即刻と先生が申し上げますが、おっしゃいますが、即刻といっても党は党の資金環境というものもございます。したがって、どのようにしていったらいいか、様々な形で協議して、そういう方向で検討をしていこうと、このように思っております。
#168
○紙智子君 一遍には無理だったら、分けてでも返すということで理解してよろしいんでしょうか。
#169
○国務大臣(大島理森君) そういうこと等々も含めまして様々に協議して、先ほど申し上げましたように、党というのは私一人が、確かに私は代表でございますけれども、会計責任者もおれば、あるいは自民党の議員の皆さんもいれば、そういう中で党活動として、既に善意でいただいたお金を党活動として使っているわけでございます。そういうこと等々を考えますと、どういう方法があるのか。そして、どうしたらいいのか。相手方の私はお気持ちもあると思うのです。そういうことを考えながら協議してまいりたいと、こう思っております。
#170
○紙智子君 私は農水委員会に所属しておりますけれども、今、やっぱり農業をめぐる状況や農家の皆さんの御苦労を考えたときに、それを真っ先になって解決のためにやらなければならない大臣が、こういう形でいつまでもこの疑惑を持ちながら解決できないということは本当に情けなく思います。
 そして、やはりこういう大臣の下ではまともな審議はできないというふうに思いますから、是非ともお辞めになっていただきたいということを申し上げて、これに対する答弁は結構です。
 次の質問に移らせていただきます。
 それで、資料を最初にお配りしていただきたいと思います。
   〔資料配付〕
#171
○紙智子君 配っていただいている間に質問いたしますけれども、今、北海道で公共事業の、問題になっている公共事業の一つであります日高横断道の問題について質問します。
 まず、これがどういう計画であるのか、その概要について説明をしていただきたいと思います、国土交通省。
#172
○政府参考人(村岡憲司君) 日高横断道の計画概要につきまして御説明申し上げます。
 御指摘の道道、静内―中札内線は、静内町を起点といたしまして、峠の部分で日高山脈襟裳国定公園内を通過をいたしまして中札内村に至る延長約百キロメートルの主要道路でございます。このうち約八十キロメートルが未整備でございまして、二車線道路として整備する計画となってございます。
 本路線のうち、峠付近の未開通区間約二十五キロメートルにつきましては、長大トンネルなどを含むことから、地元の御要望を受けまして、開発道路制度を活用して昭和五十六年度に国が事業化をいたしまして順次工事に着手してまいりました。これまでに完成しました約四キロメートルを道に引き継ぎまして、残る二十一キロメートルについて現在工事を実施しているところでございます。
 一方、北海道が管理をいたします区間につきましても順次その整備を行ってまいりましたが、約三十キロメートルが未改良でございまして、その中で、現在約四・四キロで事業を実施しておりますが、残り二十五キロメートルにつきましては工事が未着手の区間として残されているのが現状でございます。
 以上でございます。
#173
○紙智子君 お配りした資料の@を見ていただきたいんですけれども、この図のように、日高山脈襟裳国定公園のちょうど、この日高横断道というのはど真ん中をぶち抜く道路です。道道なわけですけれども、北海道の管理区間とほぼ真ん中の部分が国の管理区間なわけですけれども。
 そこで、環境省にお聞きしますけれども、この国定公園のほかにはない特徴、優れた特質というのはどういうことでしょうか。
#174
○政府参考人(岩尾總一郎君) 御指摘の公園は日高山脈と襟裳岬一帯から成る山岳公園でございます。その特徴は、原始性豊かな自然が残っていることから、ヒグマ、エゾシカなどの大型哺乳類を始め、高山帯ではエゾナキウサギやエゾオコジョなどの哺乳類が多数生息しております。また、植物もヒダカミネヤナギやヒダカゲンゲなどの固有種、ミヤマシオガマなどの希少植物が分布しております。
 環境省としては、このように自然豊かな公園を保全していくことは極めて大切であると認識しておりまして、公園の約七〇%、約七万ヘクタールを原則として開発行為を禁止する特別保護地区、第一種指定地域に指定するなど、その保護に努めているところでございます。
#175
○紙智子君 環境大臣にお聞きしますけれども、大臣は、こういう今説明のあった特質を持った日高山脈の自然を保全し、継承していくというお考えでしょうか。
#176
○国務大臣(鈴木俊一君) 環境省の仕事といたしまして、自然の保全、これは大切な分野であります。
#177
○紙智子君 北海道では、今、世界遺産への登録への願いを持っています。世界遺産の候補リストを作成する作業を進めているということを聞いていますけれども、そういう候補地として検討に値する自然だという認識でしょうか。
#178
○国務大臣(鈴木俊一君) 環境省で、今、国内に新しい自然、世界自然遺産として推薦できるような地域があるかどうか、それについての学術的な検討というのをいたしております。これは林野庁と共同で行いまして、世界自然遺産候補地に関する検討会ということで三月に設置をしたところであります。
 この検討会では、既存の国指定の保護地域など重要地域データというのが、元々既存のがございますから、そういうものを活用いたしまして、具体的な検討対象地域を抽出した上で推薦可能と思われる地域を学術的な見地から絞り込んでいこうと、こういうことでございます。
 今、先生が、この日高山脈が世界自然遺産に値するその候補地となるかどうかと、こういうことでございますけれども、先ほど局長が答弁をいたしたように、日高山脈は、特別地域等として自然性の高い、北海道の中でも良好な自然環境が存在する地域と認識はいたしておりますが、この世界自然遺産の登録基準というのは大変これ厳しいものがありまして、そう簡単なものではないと認識をしております。したがいまして、今検討を始めたばかりでございますので、この日高山脈を含めまして特定の地域が今の段階で推薦候補地として位置付けられるかどうかということについては、まだ言及できない段階であります。
#179
○紙智子君 今御説明がありましたけれども、そういうリストに載って検討されている地域ではあるということで、そういうやはり大変大事な重要な地帯に、写真、資料の写真を見ていただきたいんですけれども、ここにこういう形でトンネル、それから橋ですね、道路、日高横断道路が計画をされて工事が行われてきたわけです。
 この道路は、国定公園として利用する計画道路には入っていないんじゃないかと。この区域は基本的には開発してはならない特別保護区域であり、第一種特別地域ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#180
○政府参考人(岩尾總一郎君) 道路の計画地は、特別保護地区、第一種特別地域、第二種特別地域及び第三種特別地域などにまたがってはございますが、特に自然の保護上重要な特別保護地域及び第一種地域にはトンネルで計画されていると聞いております。
 本道路は、国定公園を利用するための公園利用道路ということでは位置付けられていないというように理解しております。
#181
○紙智子君 そういうところで道路が造られてきたということはいかがなんでしょうか。
#182
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生も御存じかとは思いますけれども、経過をお話をさせていただきますと、この日高山脈横断道路、これは昭和五十九年に一部国定公園内を通過するものとして北海道が全体計画を策定をいたしたものでありまして、既に一部着工がなされ、今回、北海道の政策評価委員会の意見等を踏まえて、未改良区間においては当分新規改良工事は行わないと、こういうようなものでございます。
 この道路につきましては、今後、日高山脈全体について北海道知事から自然環境保護の観点から環境省に相談があった場合には、これは環境省としての立場もございますので、積極的に北海道に協力してまいりたいと思っております。
#183
○紙智子君 今お話ありましたが、北海道からもこの道路について、優先性が低下したということで、新規工事をしないということで、二月の特定政策評価会議で結果を出しているわけです。自然公園として掛け替えのない特徴を持つ国定公園で、そしてこの自然環境への影響が指摘されていると。日高山脈の地形や地層など、地盤そのものが非常にもろくて崩れやすい特徴があると。そして、お話もありましたけれども、日高山脈には氷河期の生き物だと言われるナキウサギの生存も確認されていますし、アメマスやサクラマスやそのほか様々な貴重な動植物も発見をされていると、それらへの影響も心配をされていると、そういうことで、新たな時点、情勢に立って環境省としてのこの計画について対応するおつもりなのかどうか、その点もお願いします。
#184
○国務大臣(鈴木俊一君) 北海道道路のことについて凍結をしたということを伺っておるわけでございますが、今後、自然環境保護の観点から北海道からまた御相談があると思います。先ほどの答弁の繰り返しになりますが、そういう自然環境保護の観点からの御相談については、これはもう積極的に対応してまいりたいと考えております。
#185
○紙智子君 それでは、国土交通省、大臣がちょっとまだお見えになっていないんですけれども。
 北海道はこの特定政策評価結果で、日高十勝ネットワークにおいて道路全体の優先性について低下したと、そしてこの日高横断道路の道管理区間の新規の改築工事は行わないと、事実上の凍結を決めているわけですけれども、この道道であり、その一部を国が言わば開発道路に指定して直轄工事を行ってきたわけです。その道路について北海道が出したその結論について尊重するのは当然だと──参りましたね、思いますけれども、いかがでしょうか。
#186
○副大臣(吉村剛太郎君) 委員おっしゃいましたように、この日高横断道路については概略は先ほど局長の方から話をさせていただきました。
 そして、本路線の北海道施工区間を対象とした、昨年九月からの条例に基づく政策評価委員会を設置し検討を行いましたが、その意見を踏まえ、本年二月に管理者である北海道知事が、北海道管理区間の整備については事業費増加により工期が三十五年ないし四十年に大幅に延びること、周辺の幹線道路の整備が進んできたことなど、本路線を取り巻く環境が着工時とは大きく変化をしてまいりましたので、当分新規改築工事は行わないと判断をしたところでございます。
 今、委員がおっしゃったとおりでございまして、国交省といたしましても、北海道管理区間と開発道路区間が密接に関連することから、北海道と十分相談をしながら今後の進め方を検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
#187
○紙智子君 検討していくということだと思うんですけれども、それで、どういう方向で検討するのかということが大事なわけですけれども、それで、資料の三枚目を見ていただきたいと思います。
 それで、この表を見ていただくとお分かりのように、この事業は今後更に三十五年から四十年の工期、期間が掛かると。費用についても一千億近く掛かることが予測されております。それで、北海道で実施されている道道の建設と比べても、この表のとおり、下の方の、表の下のところは北海道、道道の平均的な金額と期間なわけですけれども、それと比較しても日高横断道路はけた外れに大きいわけですね。厳しい財政状況の中で、自然破壊に加えて、道路の優先性、ネットワークの役割が下がっている中で、これだけの言わば金食い虫道路といいますか、そういうことは無駄遣いになると思うんですけれども、これはやっぱりきっぱりと中止の方向で検討すべきではないでしょうか。いかがですか、大臣。
#188
○政府参考人(村岡憲司君) 御説明いたします。
 道路事業につきましては、国土交通省所管公共事業の再評価実施要領というのがございまして、一定期間が経過しているなどの要件に該当する事業につきまして、これを対象にしまして事業再評価を行い、継続若しくは中止の判断を行うことといたしております。
 今回の道道静内―中札内線も、事業着手しましてから十年以上経過をしておりますために、平成十年度に最初の事業再評価を行いまして、その時点では継続との判断をいたしました。今回、平成十五年度には、前回実施しましてから五年を既に経過をいたしておりますので、事業再評価を今後速やかに実施する予定というふうに考えておるところでございます。
#189
○紙智子君 いつまでにおやりになるんでしょうか。少なくともその期間というのは新規の事業はやることはないですね。
#190
○政府参考人(村岡憲司君) 先ほど申し上げましたとおり、平成十五年度には五年を経過するということでございますので、十五年度に入りましたら、実は道の部分につきましても先ほど御説明申し上げたとおり四・四キロにつきまして事業を行っておりますので、道の事業再評価もございますので、これと併せまして、十五年度になりましたら早急に速やかに実施をするというふうに考えておるところでございます。
 また、十五年度の予算ということでお話があったかと思います。
 予算配分につきましては、予算成立を待って実施計画で定めるということになっているわけでございますが、先ほど北海道の知事からのそういうお話もございますので、特にこの静内―中札内線の事業の取扱いにつきましては、先ほど申しましたように平成十五年度が事業再評価の時期に当たっておりますので、その結果を見て決定したいというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
#191
○紙智子君 それでは、こういう公共事業が一方で進められていると。一方で、生活関連がどうなのかということで少し大臣にもお聞きしたいと思いますが、地元の日高管内の静内町、ここでは例えば築四十年になる公営住宅の古い部分から今建て替えをやっているわけですけれども、年間で四十戸しか枠がない、なかなか改築が進まない。建て替えたところも新規の申込みで競争率が二十倍、三十倍ということで入れないと。空き家は古くても申込みが七、八倍というような状況で、おふろのない住宅がいまだ残されているような状況もあります。こういう寒い時期に町の銭湯まで歩いて三十分ということでお年寄りなんか本当に大変だと。たまに車で、温泉があるんですけれども、そこまで行ってお金を払って入らなきゃいけないというような事態にもなっている。町道の修復も遅れた、がたがた道がなかなか直らなくて、配管の工事と一緒に、ついでにやる程度になっている。結局、住宅の生活道路も国の補助枠が少ないということの中で、自治体の財政がなかなか大変なので、やりたくてもやれないというのが現状です。
 一方で金食い虫の道路工事を進めながら、一方では地元の生活関連がこういう事態ということでは、このやっぱりアンバランスな状況について、大臣、どのように思われますか。感想をお聞きしたいと思います。
#192
○国務大臣(扇千景君) 先ほど来、ちょっと衆議院に引っ張られておりましたので失礼をいたしておりましたけれども、紙議員の今おっしゃった北海道の話、これは北海道の話でございまして、道がどう判断するかということでございます。
 それと北海道の公共事業の総費、少なくとも私は、北海道の公共工事の総費用というのは、対前年度〇・九六倍なんですね。これは、公共空間のバリアフリー化は一・一九倍、それから沿道の環境対策は一・一〇倍、水辺の環境の保全は一・〇九倍とするなど、すごくめり張りが利いたものとしておりまして、国全体の三%減ということに対しては、北海道は特別に、今おっしゃったようなあらゆる面で私はまだまだ公共工事が必要とするということで、めり張りを利かせているところでございます。
#193
○紙智子君 道の問題と言いましたけれども、開発道路は国の道路でありまして、国がどうするかということの判断が必要だと思います。そして、やはりこの莫大なお金を使って自然を破壊する道路を造るよりも、やっぱり本当に切実で身近な生活に関連するところに公共事業を生活密着型で切り替えていくということが大事だと。だから、横断道路をもしやめれば、一定の財源ができて北海道の開発予算の中でのやりくりでできるわけですから、そこのところは是非、国としてもはっきり指導していただきたいというふうに思います。
 最後になりますけれども、財務大臣にお聞きしたいと思います。
 元々、この日高地域というのは農林漁業で発達してきたところです。しかし、この農業も漁業も非常に厳しい今、現状にあります。農業の六七%が軽種馬の競走馬を育てる産業ですけれども、かつて、今、馬も売れないんですけれども、賞を取ったようなそういう牧場を、有名な牧場なども倒産するという事態になっていて、最近も一家心中という本当に痛ましい事態になっています。
 本当に、この日高支庁の推計で、今後、軽種馬で言えば三千人の就業者のうち八百人が減る見通しも出していると。林業について言っても、この林業は最盛期には静内、六か所あったんですけれども、木工所が、今ゼロですよ。だから、本当に無駄だと分かっているけれども、生きていくために道路建設などをして、漏れた、土砂崩れなどの土を拾って生活しなきゃならないという、そういう背景もあるわけですよね。
 しかし、私、財務大臣にお聞きしたいのは、こういう経済状況を続けていいのかどうかと。やっぱり地元に役立つ地域の資源を生かした方向に切り替えるべきではないかということを最後にお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます、関連に移らせていただきたいと思います。ちょっと最後に一言だけ。
#194
○副大臣(小林興起君) 現在、財務省といたしまして、公共事業について小泉総理の大方針の下に徹底的に見直しを大臣、先頭にさせていただいておりまして、したがいまして、予算を効率的に使うという観点から、これはというように一般に考えるものについてはばさばさと切っているということでございます。
 そういうことの中で、また必要なところにつきましては予算を付けると、めり張りの付いた予算、つまり構造改革型の予算でやっておりますので、どうぞ何なりと直接言ってきていただきたいと思います。
#195
○委員長(陣内孝雄君) 関連質疑を許します。岩佐恵美君。
#196
○岩佐恵美君 米軍のイラク攻撃について聞きます。
 アメリカのブッシュ大統領は、今朝十時、四十八時間以降、一方的にイラクへの武力攻撃を開始するという演説を行いました。内容について説明してください。
#197
○国務大臣(川口順子君) 事実関係について細かい部分が必要でしたら後からまた北米局長から補足をいたしますけれども、ブッシュ大統領は、今まで国際協調のための努力を国連の中でずっとしてきたということを述べた後で、この際やはり大量破壊兵器の問題を解決をしていく、イラクを武装解除をするために、アメリカとして、さっき委員がおっしゃったようなサダム・フセインに対しての通告をし、四十八時間以内に国を出るということがなければ武力行使をせざるを得ないということを述べたということでございます。
#198
○岩佐恵美君 平和を求める人々の行動が地球を覆っています。国連の査察も成果を上げ、平和解決の道が見えてきています。アメリカはそれを無理やり断ち切って戦争に切り替えようという、全く道理のない一方的な戦争計画です。
 ところが、小泉総理は、この無謀な、無法な武力行使にいち早く支持を表明しました。これでは日本が無法な戦争の共犯者になってしまいます。国連安保理での合意を得られていません。国連憲章に反するこのような無法な戦争には絶対に協力すべきではありません。どうですか。
#199
○国務大臣(川口順子君) 小泉総理が先ほど述べられたとおりでございますけれども、我が国としては、一貫として国際協調の下に平和的な解決をするということを目指して努力をしてまいりました。
 で、イラクの査察については、イラクは十二年間これを破ってきた。そして、ブリクス委員長も言っていますように、イラクのこの査察が機能するためには、イラクが完全に協力をする及び圧力が、引き続き大きな圧力が掛かり続けるということが必要だと、それでも数か月掛かるということを言っているわけでして、これだけの大きな圧力があっても、それでもイラクは小出しにしか出してこないというのが現状であると、今まで続いてきたことであったと思います。
 我が国としては、そういったことを今まで努力をしてまいりましたけれども、イラクが完全な協力を行おうとしないという状況の下で、ブッシュ大統領が行った真に苦渋に満ちた決断を我が国としても支持をするということでございまして、限られてはいますけれども、平和への道というのはまだあるということでございます。イラクがこの機会を使って、平和的な解決を行うような対応をするということを求めているわけです。
#200
○岩佐恵美君 戦争になれば多数の罪のない人々が犠牲になります。だからこそ、国際的にこれだけの反戦の大きな声が広がっているのではありませんか。それに、国内でも七割以上の方がこのイラク戦争に反対をしています。国際秩序を無視するアメリカにあくまで追随する小泉政権の姿、これは私は極めて異常だと思います。憲法九条を持つ国の政府の態度として、絶対にあってはならないことだと思います。この態度に対して、私は断固として抗議をしたいと思います。その上で本題に移りたいと思います。
 これは、私どもの事務所の所員が作りましたジュゴンのミニチュアでございます、手作りなのですけれども。(資料を示す)
 ジュゴンというのは、一生海で過ごして、海草だけを食べて生きている唯一の海生哺乳類です。とても平和な動物です。国の天然記念物です。一日に三十キロも食べる大食漢です。これはミニチュアですから小さいですが、全体、体長三メーターぐらいあり、三百キロの体重がございます、これは非常にかわいいんですが。ということで、海草がなければ生きられません。日本では、今では沖縄の東海岸にわずかに生息しているだけで、絶滅寸前の状態にあります。
 二〇〇一年三月の当委員会での私の質問に対して、農水、環境両大臣が、ジュゴンを種の保存法の対象から外していた水産庁と環境庁の覚書を改めると答弁をしました。その後、どのような措置を取ったのか、環境大臣そして農水の副大臣、御答弁をいただきたいと思います。
#201
○国務大臣(鈴木俊一君) 平成四年に種の保存法が制定されました。そのときに、先生今御指摘のとおり、環境庁とそれから、当時の環境庁と水産庁との間で覚書を交わしまして、そのときには、既に水産資源保護法で捕獲規制等がなされております漁業対象の水産動植物につきましては、種の保存法に基づく国内希少野生生物、動植物種に指定をするという対象から外すということにしておりましたが、先生からの御質問もございましたジュゴンについてはこの指定対象から外さないということにいたしまして、既に水産庁と合意をしているところであります。
 こうした経緯もございまして、本年四月十六日から施行されます改正鳥獣保護法におきましては、ジュゴンでありますとかそれからアザラシ類、こうした海生哺乳類を同法の対象といたしまして、保護されるべき鳥獣として明確に位置付けました。そして、捕獲規制等も行うこととしているところでございます。
#202
○副大臣(太田豊秋君) ただいま岩佐先生から二〇〇一年三月のときの私どもの前、元の谷津大臣に対しましてのジュゴンにかかわる御質問でございましたが、今ほど環境省の大臣の方からも御説明ございましたが、環境省と御相談の上、これらのいわゆる適用除外の覚書はこれを解除するというふうなことで決定を見たところでございます。
 ジュゴン、確かに今から百七十年ぐらい前にアンデルセンが「人魚姫」という大変きれいな童話を書いて、そしてその後、九十年ぐらい前には、御承知のように、デンマークのコペンハーゲンに人魚姫の像が作られて、やはり世界の人類とともに愛され、そして保護されてきた、また保護されていくべき希少動物であるというふうな考え方でございまして、私どもといたしましても、調査の研究の面あるいは漁業とジュゴンとの共存の確保のために、平成十三年及び十四年度内に、十四年度に内閣府の沖縄特別振興対策調整費やあるいは水産庁の希少動物関係予算より、偶発的捕獲防止だとか、あるいは先ほど来お話がございました藻場の関係の技術の開発など、ジュゴンの保護対策を実施してまいりたいと、このように考えております。
 農水省といたしましても、今後とも、かかる事業を通じましてジュゴンとそれから漁業との共生をしっかりと図ってまいりたい、このように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。
#203
○岩佐恵美君 環境大臣、現段階での生息実態調査、これはどうなっているでしょうか。
#204
○国務大臣(鈴木俊一君) 環境省におきまして、ジュゴンと藻場の広域的調査というのをやっております。この調査では、海草藻場の分布調査、それから食跡調査、航空機によります目視調査等を実施しているところでございますが、これまで、平成十四年の九月十九日に金武湾中央部で二頭、それから平成十五年一月三十一日に名護市大浦湾安部崎付近で一頭、合計三頭のジュゴンを確認をしているところであります。
 このほかに、防衛施設庁が二〇〇一年に行いました航空調査で沖縄本島西側での一頭の確認を含む延べ六頭のジュゴンを確認したと伺っているところでございます。
#205
○岩佐恵美君 見付かったその九頭のうち、八頭が東海岸で見付かっているんです。日本では絶滅したと思われていたジュゴンが、一九九七年ごろ沖縄本島東海岸で見つかりました。そして、北限のジュゴンを守れという世論の取組が国内はもとより世界で急速に広がっています。
 ジュゴン保護の国際的位置付けはどうなっていますか。
#206
○政府参考人(岩尾總一郎君) ジュゴンは、国際自然保護連合、IUCNと言いますが、そこのレッドリストで、絶滅のおそれがある種としてT類に次ぐ絶滅危惧種U類に掲載されております。また、ワシントン条約では、絶滅のおそれの高い種として、商業目的のための国際取引を原則禁止する附属書Tに掲載されております。
#207
○岩佐恵美君 二〇〇〇年にはIUCNが沖縄のジュゴン保護の勧告を決議して、二〇〇二年にはUNEPが、国連環境計画ですが、ジュゴン保護の報告書を出していますが、簡単に説明してください。
#208
○政府参考人(岩尾總一郎君) 二〇〇〇年の国際自然保護連合の勧告では、ジュゴンの生息地及びその周辺の軍事施設の建設に関する自主的な環境影響評価を可能な限り早期に完了すること及びジュゴンの更なる減少を食い止め、その回復を支援するジュゴン保全措置を可能な限り早期に実施することが要請されております。
 また、世界の様々な国におけるジュゴンの現状と管理を示すことを目的として出版されたUNEPの報告書では、日本近海に生息するジュゴンに関しても、各執筆者、編者の意見であるとの前提の下、日本の研究者の論文を引用して、生息を脅かす過程や現行の保護制度について記述されていると聞いております。
#209
○岩佐恵美君 環境保護の権威ある機関が相次いで北限のジュゴンを守れという強いメッセージを発信したこと、私は、このことは重要だし、また重大だと思っています。
 IUCNの勧告及びUNEPの報告をきちんと日本としては受け止めて、沖縄の北限のジュゴンを守る、このことは国際的責務だと思いますけれども、その点、外務大臣、環境大臣、いかがですか。
#210
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま局長から答弁をいたしましたとおり、二つの国際機関から日本のジュゴンが取り上げられておりまして、これは我が国のジュゴンが国際的にも大変関心が集めていると、こういうことだろうと思っております。
 環境省といたしましては、そのジュゴンが国際的にも絶滅のおそれが高く、保護を図るべき種であるということを十分認識をしつつ、我が国において、ジュゴンの全面的、全般的な保護方策の検討を含めまして、地元沖縄県や関係省庁と連携を図りつつ、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
#211
○岩佐恵美君 ジュゴンが頻繁に見られるのは名護市東海岸の天仁屋崎から辺野古にかけての海域です。政府は正にその海域に、辺野古沖のリーフを中心に百八十四ヘクタール埋め立てて、長さ二千五百メーター、幅七百三十メーターの米軍普天間基地の代替施設を建設するとしています。リーフと海岸との間、いわゆるラグーンにジュゴンのえさである海草藻場が広がっています。
 防衛施設庁は基地建設によって海草藻場がどのくらい影響を受けると判断していますか。
#212
○政府参考人(生澤守君) お答えいたします。
 普天間飛行場代替施設の基本計画における具体的建設場所につきましては、サンゴ、藻場など環境面にも十分留意して、留意した検討の結果、決定したものでございます。
 普天間飛行場代替施設を基本計画に基づき建設した場合の藻場への直接的な影響面積につきましては、被度二五%以上の藻場を前提とすれば、平成十二年度に行った調査によれば約二ヘクタール、平成九年度に行った調査によれば約四ヘクタールでございます。
 なお、このことは第九回代替施設協議会におきまして当庁から説明したところでございます。
#213
○岩佐恵美君 海草はとてもデリケートな生き物で、そして環境変化に弱いんですね。これだけ広大な面積の埋立てが行われれば、当然、海草は大きな影響を受けることは明らかです。
 日本自然保護協会は昨年十一月にこの海域の海草の調査をしています。概要を説明していただきたいと思いますが、特に海草の広がりとジュゴンの採餌との関係について記述しています。その部分も紹介してください。
#214
○政府参考人(岩尾總一郎君) 御質問の調査については、昨年、財団法人日本自然保護協会が独自に調査したシーグラスウオッチ調査というものだと承知しております。
 沖縄県名護市天仁屋崎から金武町金武岬までの海岸を対象に空中写真の解析調査を行い、さらに、現地調査により名護市嘉陽及び辺野古地区を中心に海草藻場の種類ごとの分布、被度、深度などを調査したと聞いております。
 この調査によれば、調査対象区域内には被度の低い海草藻場が広がっており、ジュゴンが密度の低い海草藻場を好むという情報もあることなどから、飛行場建設に当たっては、このような被度の低い海草藻場に対する影響について予測する必要があるというように報告していると承知しております。
#215
○岩佐恵美君 これが、今御説明がありましたもののちょっとパネルにしてまいりましたものです。(図表掲示)
 防衛施設庁が主たる影響としている二ヘクタールというのは、先ほどの説明で二五%以上の被度の区域だけなんですね。二五%未満の藻場が埋立て予定地に、これが赤いのが予定地でございます。ですから、予定地の中に、この黄色い点々が被度なんですけれども、この被度については、大きい丸が四一から五〇ですが、このちょっと小さめのが三一から四〇ですが、これが一部引っ掛かる。そして一一から三〇も入ってきますし、それから一から一〇というのも、一から一〇ですね、こういうのも入ってくるわけですけれども、いずれにしてもこの建設計画に海草が広がっているということですね。特に、ジュゴンが好むウミヒルモというのは被度の低いところに生えているということです。
 自然保護協会の報告では、オーストラリアではジュゴンは密生した海草群落よりも密度の低いウミヒルモなどの群落を好んで食べると言われていると指摘をしています。防衛施設庁も、その植生密度が薄い海草藻場などでジュゴンが採餌している可能性が高い、そういうふうに当委員会での私の質問に対して答えています。つまり、基地建設で正にジュゴンのえさ場として最も適したところが直接破壊されるということは明らかだと思います。
 そこで、その植生密度が薄い海草藻場への影響についても当然、環境アセスをやるべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
#216
○国務大臣(鈴木俊一君) 普天間飛行場の代替施設の建設に関する環境アセスメントで海草の被度の低いところも含めるべきではないかという御指摘でございますが、環境省といたしましては、的確な環境影響評価が実施されるよう、海草の被度の低いところも含めて必要な範囲がアセス対象海域と、地域となると理解をしておるところでございますが、今後、必要に応じまして事業者たる防衛庁等に助言等を行ってまいりたいと思っております。
#217
○国務大臣(石破茂君) ただいま環境大臣から答弁があったとおりであります。
 先生御指摘のように、二五%以下というものも、被度二五%以下の藻場のジュゴンの生息環境に与える影響、これも含めまして検討を行い、環境省の御助言をいただきながら影響評価を適切に行ってまいる、そのような所存でございます。
#218
○岩佐恵美君 ジュゴンの休息場所というのはリーフの外側なんですね。これがリーフですけれども、この外側になります。ジュゴンはリーフとその外側との間を行き来をしているわけですね。この自然保護協会の調査では、この行き来をしている場所、黄色い線で、黄色い線でちょっとありますけれども、五か所ある。クチと呼んでいるそうですけれども、五か所あります。これが、見ていただくと分かるように、五か所のクチ全部が基地建設でつぶされてしまうということになります。だから、ジュゴンは休息場所からえさ場に来ることができなくなってしまうということになるんです。しかも、基地として利用されるようになると、ジュゴンが安心してえさを食べる、食べに行けなくなるということにもなります。
 正にジュゴンの、基地建設が重大な影響を及ぼす、生息に危機的な状況をもたらすということは明らかだと思うんですけれども、その点、環境大臣、防衛庁長官、いかがですか。
#219
○国務大臣(鈴木俊一君) 今後行われる環境影響評価におきまして、代替施設建設がジュゴンの採餌活動を含め、その生息環境にどのような影響を与えるかについて調査、予測、評価が行われ、必要な対策の検討がなされるものと考えております。
 環境省では、先ほど申し上げましたけれども、ジュゴンとそのえさ場となる藻場の広域的調査を昨年度に引き続きまして今年度も実施をしておりますので、この調査によって得られた知見を防衛庁等の事業者にも提供をいたしまして、環境影響評価の手続の中で的確な審査を行ってまいりたいと考えております。
#220
○国務大臣(石破茂君) これも環境大臣と同じような答弁になりましたのは恐縮でございますが、先生御指摘のように、そのようなリーフの切れ目があるということは私どもも承知をいたしておるところでございます。
 私どもといたしましては、この代替施設の建設というものがジュゴンの採餌活動その他生息環境に与える影響も含め、環境影響評価を適切に実施をいたしまして、その影響を最小限にとどめるための適切な対策を講じたいというふうに思っております。その際に環境省の適切な御助言を賜る、このようなことになろうかと思います。
#221
○岩佐恵美君 環境アセスといっても日本では事業アセスなんですね。事業者がやるアセスについてはアワセメントとも言われているわけで、ジュゴンを絶滅させてしまってはどうしようもないんですね。この点、しっかりとやっていただかなきゃいけないと思っています。
 そこで、アメリカではジュゴンは種の保存法に指定されています。アメリカでは絶滅危惧種に危害を及ぼすおそれのある事業はできないことになっていると思うんですが、その点、どうですか。
#222
○政府参考人(岩尾總一郎君) アメリカの絶滅危惧種に関する法律は、絶滅のおそれのある種が依存している生態系を保全することを目的とした法律であると承知しております。
 同法第七条で、各連邦機関は内務長官との協議を通じて当該機関が実施する行為が絶滅のおそれのある種として掲載された種を存続の危険にさらされないことを保障しなければならないとされております。仮に、その協議の結果、内務長官より種に影響があるとの意見が提出された場合には、法律の規定が担保されるよう事業者が事業の実施を自発的に中止する場合が多いと聞いております。
#223
○岩佐恵美君 米軍も絶滅危惧種を保護する独自の規定を持っています。アメリカの海軍作戦部長指令第五〇九〇・一B、環境及び天然資源に関する計画マニュアルの二〇〇二年十月十七日付け改訂版の二二・六c項に絶滅のおそれのある種に関する規定がありますが、説明してください。
#224
○政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。
 今、委員が御指摘になりました計画マニュアルの第二十二章cは絶滅のおそれのある種等に関する規定でございまして、その内容は、米海軍は、その活動が絶滅のおそれのある種等に悪影響を与えることのないよう関係機関とも協議をし、必要なときには事前に絶滅のおそれのある種等に与える影響評価を行うこと等について規定しているものと承知いたしております。
#225
○岩佐恵美君 サンゴ礁についてはどうですか。
#226
○政府参考人(海老原紳君) サンゴ礁につきましては、今申し上げました計画マニュアルの二十二の五kの四項におきまして、サンゴ礁、マングローブ、海草等が生態系的に豊かで多様な生物の生息地であるということを米海軍として認識しているとした上で、大統領令、国防省や米海軍の方針等に従ってこれらの保護に努めることを優先課題とするということ、またサンゴ礁等に影響を与えないよう努めることなどについて規定しております。
#227
○岩佐恵美君 アメリカでは、種の保存法や海軍指令で明確に絶滅危惧種やサンゴ礁の保護を義務付けているわけですね。
 さらに、特に基地の閉鎖や再編成の際の環境対策について、国防次官室が一九九五年八月に、司令官ハンドブック、基地閉鎖時に留意すべき事項を出しています。その第五章で、基地の閉鎖や再編成の際に環境に関する法律を遵守すべきと規定していますが、それを説明してください。
#228
○政府参考人(海老原紳君) 今、委員から御指摘のありましたのは、米国国防次官補、次官補の部屋でございます次官補室の作成の適切な基地の閉鎖に関するハンドブックでございますけれども、この五章におきましては、今、委員が御指摘の環境面での対策について記されていると承知しております。
 その主な項目といたしましては、国家環境政策法、いわゆるNEPAでございますが、これの遵守、自然環境及び文化的資源の保護に関する法令、例えば絶命のおそれのある種に関する法律あるいは国家歴史保存法等の遵守、また迅速な汚染の除去、跡地の賃貸、譲渡が環境上適切かどうか決定するための手続等がございまして、それぞれにつきまして詳細な説明がなされているというふうに承知いたしております。
#229
○岩佐恵美君 アメリカでは、基地の再編成の際にも、絶滅危惧種の生存を脅かしたり生息地を破壊しないよう軍に対して厳しく義務付けているんですね。サンゴ礁についても同じです。つまり、アメリカではジュゴンが生息を脅かすような基地建設、これは許されないということだと思います。
 辺野古沖の基地建設によるジュゴンへの影響についてアメリカと話をしましたか。
#230
○国務大臣(鈴木俊一君) 日米合同委員会の下部機関に環境分科委員会の枠組みがございます。
 平成十四年九月に、その枠組みを使いまして、ジュゴンと密接な関係があると考えられる浅場の海草藻場等での演習を計画したり実施したりするに当たっては、ジュゴンへの影響を最小限にするよう配慮を申し入れたところであります。アメリカ側からは、ジュゴンに影響を与えないよう努力していく旨、回答を得ております。
#231
○国務大臣(川口順子君) 今、環境大臣がお答えになられたとおりでございますけれども、日米の両政府は、日米合同委員会の下に環境分科委員会というのがございますが、それを通じまして、ジュゴン保護の問題も含めて、日本側、環境の問題についてはいろいろ議論しているわけでございます。
 そして、このジュゴンについては日本側で、日本側から、さっき鈴木大臣がお話しになられたようなジュゴンと密接な関係があると考えられる浅場の海草藻場等での演習、これを計画、実施するに当たっては、ジュゴンへの影響を最小限にするように配慮を求めたと。そして米側から、努力をしていくと、そういうことを回答をしてもらっているということです。
#232
○岩佐恵美君 今のは演習に際してのお話だと思うんですけれども、それよりも、今、私が伺っているのは、基地建設に対してどういうこと、話をしたのかということについて伺っているんですが、その点についてはどうですか。
#233
○国務大臣(川口順子君) 日本政府は、普天間飛行場の代替施設の建設については、今、日本政府がこれを米国に提供するということになるということでございまして、環境について、ジュゴンを含む自然環境に著しい影響を及ぼさないように最大限の努力をするということは、一義的には日本政府の責任であるというふうに考えております。
 他方で、一般論としては、在日米軍に関する環境問題については日米間で協力をしていくということは当然でございます。そして、それについては先ほどお話をしたようなことをやっていますと、そういうことです。
#234
○岩佐恵美君 IUCNの決議が沖縄のジュゴン保護について日本政府と米国政府にそれぞれ要請していますが、その中身はどうですか。
#235
○政府参考人(岩尾總一郎君) 二〇〇〇年十月に開催されましたIUCN第二回会議で決議された勧告でございますが、日本政府に対しましては、普天間代替施設の建設に関し、自主的な環境影響評価を早期に完了すること、ジュゴンの保全措置を早期に実施することなどが要請されております。
 また、米国政府に対しましては、日本政府からの要請のとおり、日本政府が行う自主的な環境影響評価に協力することが要請されるとともに、別途、日米両国政府に対して、環境影響評価の結果を考慮し、ジュゴンの生存を助けるための適当な措置を取るということを要請しております。
#236
○岩佐恵美君 今、説明があったように、その決議に関してアメリカの政府は、政府の代表は、日本政府の要請があればアセスに協力する用意があるというコメントをしているわけですね。基地は日本政府が建設するとしても、米軍の基地移転によってジュゴンが絶滅の危機にさらされることになるわけですから、辺野古沖の基地建設に伴うジュゴンやサンゴ礁への影響について正式の外交ルートを通じて早く当然話し合っていくべきだと思いますけれども、その点、両大臣、いかがですか。
#237
○国務大臣(鈴木俊一君) いろいろなレベルの話があろうかと思いますけれども、取りあえずは先ほど申し上げました環境分科委員会などの枠組みを通じて対応してまいりたいと思っております。
#238
○国務大臣(川口順子君) 環境分科委員会の枠組み等を通じまして、ジュゴンの問題あるいはその他の環境問題等を話し合っていきたいと考えております。
#239
○岩佐恵美君 外務大臣、先ほどちょっと質問にお答えいただけなかった部分があるのですけれども、IUCNやUNEPの、IUCNの決議、UNEPの報告、これについてどう受け止めておられるのか。これをちゃんと正面から受け止めて、そして環境を守る、ジュゴンを守るというのが日本の国際的責務ではありませんかということに、という問いに対してお答えがなかったものですから、改めて求めたいと思います。
#240
○国務大臣(川口順子君) IUCNやUNEPでジュゴンについての話があったということはよく承知をしております。
 それで、政府といたしましては、これは今後、環境影響評価を実施をするとともに、代替施設建設による環境への影響を最小限にとどめるための適切な対策を講じるということを含めまして、昨年の七月二十九日に決定をされました基本計画、これの着実な推進に向けまして全力で取り組んでいきたいと考えております。
#241
○岩佐恵美君 先ほど演習についての話がありましたけれども、説明がありましたけれども、米国防総省の海外環境基本指針cの十三の三の一及び在日米軍の環境管理基準十三章では、絶滅危惧種についてどう記述をしておりますか。
#242
○政府参考人(海老原紳君) 私の方から米国国防省の海外環境基本指針についてお答えを申し上げますと、その第十三章の三の一におきまして、敷地水域を有する施設においては、絶滅のおそれがあり又は脅威にさらされている種及び駐留国の保護する種並びにそれらの生息地を保護し、支援、改善するための合理的な手段を取るというふうに述べられていると承知をいたしております。
#243
○政府参考人(西尾哲茂君) 環境省の方からは、JEGS、日本環境管理基準について申し上げます。
 在日米軍の環境管理のルールであります日本環境管理基準、JEGSでございますが、これは二〇〇二年六月に更新されました現行の日本環境管理基準におきまして、絶滅危惧種を含む天然資源の規定の対象にジュゴンを対象としてリストアップしておるわけでございまして、これによりましてジュゴンが絶滅危惧動物リストに掲載され、その保護のための合理的な手段が講じられるべき対象というふうに規定されたところでございます。
#244
○岩佐恵美君 そのJEGSの二〇〇一年十月の改定でジュゴンがリストに入ったと、これはもう非常に重要なことだと思います。現在の米軍演習によるジュゴンへの影響の防止についても、アメリカとちゃんと外交ルートで話し合うべきだと思うんですね。環境大臣に任せるんじゃなくて、きちっとやるべきだと思うんです。前環境大臣としていかがですか。
#245
○国務大臣(川口順子君) 合同委員会の下にある環境分科会というのがこういうことをやる場でございまして、その場を活用して話合いを、このことだけではなくて環境問題一般についてもでございますけれども、話合いをしていきたいと考えております。
#246
○岩佐恵美君 ジュゴンは国際的な絶滅危惧種、アメリカではジュゴンと同じ海牛目のマナティーが大変な人気者で、種の保存法にも指定して保護に大きな力を注いでいます。そのアメリカが、世界北限の日本のジュゴン、しかもアメリカの種の保存法に指定されているのに、そのジュゴンの生息地を基地で脅かすということになると、これは国際的に通用しないと思います。
 ジュゴンの保護に責任がある環境大臣として、アメリカに対して、ジュゴン保護の立場からきちんと意見を言うべきだと思うんですね。どうもこの問題については、日本はアメリカの国内法だから日本は関係ないとか、アメリカは日本が建設するのだから日本の問題、こういうふうに責任逃れをし合っているという状態では大変なことになると思いますが、その点いかがですか。
#247
○国務大臣(鈴木俊一君) 普天間基地の移設建設ということにつきましては、政府として決定をしているところでございます。その中で、日本として、日本が事業者でございますので、きちんと、この大変希少な生物でありますジュゴンがきちっと守られていかなければならない、そういうことが大切であると思っております。
 したがいまして、環境省といたしましては、先ほど来お話ししております広域的調査の結果を踏まえまして、種の保存法や鳥獣保護法に基づく保護対策あるいは関係省庁やNGO、地元の方々との連絡の下で、いかなる保護政策が効果的に取れるのか、そういうことについてしっかりと対応をしてまいりたいと考えております。
#248
○委員長(陣内孝雄君) 時間が来ております。
#249
○岩佐恵美君 北限のジュゴンを絶滅させることは、私は日本の恥だと思います。世界が注目しています。しっかりと保護策を取るように求めて、質問を終わりたいと思います。
#250
○委員長(陣内孝雄君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#251
○委員長(陣内孝雄君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
#252
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 国連の決議なくして武力行使をすることに日本政府は賛成ですか、反対ですか。
#253
○国務大臣(川口順子君) 国連の決議なくしてというふうにおっしゃられましたけれども、国連の決議は、十二年間、イラクが様々な大量破壊兵器の問題、あるいは様々な少数民族の保護ですとか、いろいろなことを守ってこなかった、これは国連の決議を守ってこなかったということでございまして、そういった国連の決議はあるわけでございます。
 それで、我が国としては、アメリカは四十八時間以内にという通告をいたしましたけれども、この平和的な解決が可能にならないで万が一武力行使ということになった場合、これも含めて、アメリカのこのアプローチを支持をするということを先ほど総理からお話をいたしました。これは、国連の決議なくしてではなくて、国連の決議があるということでございます。
#254
○福島瑞穂君 十二年前の決議は、今回、イラク攻撃の根拠にはなり得ません。ほかに、そして、国連アナン事務総長はアメリカのイラク攻撃は国連憲章違反だと言っています。日本政府はこの点についてどう考えますか。
#255
○国務大臣(川口順子君) 国連の決議は幾つかあるわけですけれども、一番最近の決議という意味では一四四一というのがあります。それから、ブッシュ大統領も演説の中で言っていましたけれども、六八七、六七八という決議もあるわけでございます。これらはいまだに有効であるということでございます。一四四一でも、六七八、六八七──六八七に、イラクは、を守っていないということをきちんと言っているということでございます。
 それから、アナン事務総長の発言につきましては、これは、アメリカは安保理の決議に沿ってやっているわけですから、安保理の決議がないところでやっていると、そういうことではないというふうに考えております。
#256
○福島瑞穂君 いい加減なことを言わないでください。新しい、ちゃんとした新しい安保理決議がなければ武力行使ができないからこそ、新決議、それから修正決議案をそれぞれ出したわけです。日本政府はアメリカの言いなりになって、各国に電話をしまくってその新しい安保理決議に賛成するように言ったんじゃないですか。それは、新しい安保理決議がない限り国連憲章違反だからではないですか。
#257
○国務大臣(川口順子君) 新しい安保理決議、これが採択をされなかったということについては我が国としては残念だと思っております。
 ただ、この安保理、新しい採択されなかった安保理決議というのは、一四四一で決定をされている、イラクが今までの国連の決議を守ってこなかった、これは全会一致で決定をされているわけですけれども、ということを更に確認をするという性格のものでございまして、武力の行使ということに万が一なることがあるとしたら、それは今までの国連決議ということがきちんと存在をしていると、そういうことでございます。
#258
○福島瑞穂君 一四四一決議などを出して、これから決議があるのだということには全く納得がいきません。一四四一決議は、済みません、もう一度言ってください。
#259
○国務大臣(川口順子君) 先ほどその一四四一のことだけ言って、ほかの決議がありますというふうに申し上げてそれを詳しく御説明しませんでしたけれども、一四四一でも引いている六八七という決議があります。この六八七にイラクは違反をしていると一四四一で書いてあるということで、これが全会一致でそうなっているわけですが、六八七というのはイラクの停戦、これの条件を定めているわけです。イラクはそれを守らなかったということが一四四一で決まっている。そして、六八七の根拠が崩れているということでございますので、六七八というイラクに対する武力行使を認めたところに戻る、その決議に戻ると、そういうことでございます。
#260
○福島瑞穂君 一四四一決議などには、イラクに対する武力行使を決議するという中身には御存じのとおり全くなっていません。一四四一決議、ほかの決議を持ち出して、今更国連の安保理決議があるのだと言うのは全くのごまかしではないですか。
#261
○国務大臣(川口順子君) ごまかしではないと考えております。
#262
○福島瑞穂君 では、ちょっと繰り返しになりますが、一四四一決議には武力行使を可能とするあるいは武力行使はできるという、そういう決議案になっていませんね。
#263
○国務大臣(川口順子君) 一四四一には様々なことが書いてありますけれども、この武力行使との関係では、イラクは決議の六八七に違反をしたということが一四四一に書いてあるわけです。御存じのように、一四四一は全会一致で採択をされている決議です。
 それで、六八七というのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、六八七が何かというと、これは停戦の条件をイラクが受諾をすれば停戦が発効するということを宣言をした決議であります。そして、停戦の条件として、イラクが大量破壊兵器を廃棄し、現地査察を受け入れること、経済制裁の継続、クウェートの財産の返還等々が書いてあるわけでして、イラクがこれを受諾をして、そして停戦が発効したということです。
 それで、一四四一に書いてあるように、イラクは六八七の停戦の条件、これを守らなかったということでして、その場合に六七八、これはイラクに対してあらゆる必要な手段を取る権限を加盟国に対して与えたと、そういう決議、すなわち武力行使を容認をしたという決議ですけれども、それに戻るということです。それでイラク、この決議に戻れる理由というのは、湾岸地域における国際の平和及び安全を回復するためということが目的に書いてあると、そういうことからきます。
#264
○福島瑞穂君 十二年前の決議を持ち出して新たな決議が要らないと言うのは、全く今もって国連で決議が通らなかったから決議はあるのだと強弁しているとしか言いようがありません。
 先週木曜日、各党の党首、幹事長が総理官邸に呼ばれました。そのときに同じ質問を社民党の党首もしました。それに対して総理は、長くいろんなことを言った後で、今そのことを申し上げる段階ではないと、決議があることが望ましいと言っています。国会答弁で繰り返し繰り返し小泉総理は決議があることが望ましいと答弁している。あるんだったらあると言えばいいじゃないですか。なぜ今まで決議があることが望ましい、そして先週の末に今そのことを賛成か反対か申し上げる段階ではないと言ったんですか。
#265
○国務大臣(川口順子君) あることが望ましいというのは、総理もおっしゃいますし、私もそう考えておりました。ですから、その新しい決議が採択をされなかったということは残念でございます。我が国としては、平和的に解決ができるように、そして国際協調の下で平和的な解決ができるようにということで様々な努力をしてきたということでございます。
 それから、今まで、じゃ何で言わなかったのかということですけれども、これは言わなかったというか言えなかったと言うべきかもしれませんが、我が国として、これも何回か国会で私御説明をいたしておりますけれども、国際社会が平和的にこの問題を解決しようということで必死になって努力をしているときに、我が国も含めですけれども、武力行使をするということを支持する、あるいは、ということについて言うことは適切ではないというふうに考えます。
 それからもう一つ、武力行使を使うべきではないということをそれでは言うべきかといいますと、イラクに対して国際社会が一致をして圧力を掛ける、これが何よりも大事なときにそういうことを言うべきではない、これが我が国の考え方でございます。
 その後、その大量破壊兵器の問題がいかに重要な問題であるか、そして国際社会がこれに協調をして、国際社会が協調してイラクに圧力を掛けることが重要である、イラクが、一四四一が述べているように、一四四一に従って積極的に無条件で即時にこういった国際社会の要求にこたえているか、そういうことを考え、そういうことを見守り、総理特使も送ってイラクと話をし、その結果としてここに至っていると、そういうことでございます。
#266
○福島瑞穂君 国会答弁で繰り返し繰り返し、仮定の質問には答えられない、そして安保理決議があることが望ましいと言ってきました。もし本当に決議があるというふうに考えていたのであれば、そう言えばいいじゃないですか。安保理決議はある、それに基づいてイラクはちゃんとしなさいと言えばいいじゃないですか。ぎりぎりまで何にも説明していなくて、そしてアメリカを支持するとしか言っていません。政府は国会に対して、国民に対して何ら説明義務を尽くしていません。
 政権打倒のために侵略をすると、武力行使をするということを支持されるのでしょうか。
#267
○国務大臣(川口順子君) 説明でございますけれども、六八七、六七八ということが法律的にはあり得るということは、これも前々から御説明をさせていただいております。それから、新しい決議が望ましいということをずっと言っておりまして、新しい決議がなければできない、武力行使はできないということは一回も申し上げてはいないということでございます。
 我が国としては、このブッシュ大統領の真にいろいろな選択肢を試みた後での苦渋に満ちた決断、これについてはやむを得ないということで、我が国としてはこれを支持をすると、そういうことでございます。
 ただ、平和の道、平和への道というのはまだ限られてはいるけれども残っているというふうに考えています。
#268
○福島瑞穂君 今回、イラクは他国を侵略をしているわけではありません。アメリカは明らかに先制攻撃、大量破壊兵器を持っているかもしれないことを理由に大量破壊兵器で人々が死ぬと。そういう戦争をなぜ日本政府は支持するのでしょうか。
#269
○国務大臣(川口順子君) 問題の本質は、大量破壊兵器が真にこの世紀、脅威であるということであると私どもは考えています。ブッシュ大統領も演説の中で言っていましたけれども、正に大量破壊兵器がテロリストあるいはその他の国家に拡散をして何十万あるいは何百万の人間に脅威をもたらす、被害を与えるということがあってはならない、これが非常に問題の本質であるというふうに考えています。
 イラクは実際に過去においてクルド人に対してあるいはイランに対して大量破壊兵器を使っている。そして、国連の査察団によって、例えばVXガスを持っている、二・四トンぐらいだったと記憶をしていますけれども、そういうようなことの懸念が持たれている。イラクが単にすればいいことというのは、これを持っていない、あるいは破壊を、持っていないとすれば破壊をしたということをインタビューや証拠を見せて説明をすればいい、それだけであるということです。大量破壊兵器が問題であるということは日本でもよく分かる話であると思います。
#270
○福島瑞穂君 専門家は大量破壊兵器を破壊するのに武力の行使は不適切であると述べています。そのとおりだと思います。
 何百万、何十万死ぬかもしれないとおっしゃいましたが、アメリカは今回の戦争で六十万以上の人が難民で出るだろうという試算をしています。アメリカの戦争で具体的に死者あるいは難民が出ることが計算をされているわけです。このようなアメリカの態度をすぐさまこの段階で支持という、しかも、これまできちっと言ってこなかったということは本当にひどいというふうに思います。気に入らない指導者がいれば四十八時間以内に亡命せよと、そうでなければ武力行使すると言えば、北朝鮮も査察、国連に対してもう協力をしなくなるのではないですか。私たちは平和的に国連で問題を解決する道を失ってしまうと考えますが、いかがですか。
#271
○国務大臣(川口順子君) 国連でこの問題を解決しようと十二年間時間を掛けてイラクに対応してきた。その結果の、その挙げ句イラクがいまだに積極的に対応しようとはしないということが問題の根源でありまして、イラクにすべての問題があるというふうに考えております。
#272
○福島瑞穂君 いや、全く納得できません。ブリクス委員長ですら査察は数か月延長すべきだと言っているのをぶっち切ってアメリカが武力行使をするわけですから、それは本当におかしい。日本は世界で尊敬される国にはもうなり得ない、ならないんじゃないかと本当に思います。
 ところで、インド洋上での自衛艦・補給艦はイラク攻撃支援の艦船に補給できないわけですが、補給対象はアメリカ、イギリスの補給艦と駆逐艦に限られていますが、枠を拡大する動きはありますか。
 これまでに英米を含め、各国にどれぐらいの燃料が供給されたでしょうか。
#273
○国務大臣(石破茂君) これは、先生御案内のとおり、法的には別に米英に限っているわけではございません。そのほかの国でも補給は可能であります。
 お尋ねでございますが、今までアメリカ合衆国の艦船に対しましては百六十九回、二十七万八千キロリットル、金額にいたしまして約百四億円。イギリスに対しましては十一回、量は五・三、五万三千キロリットルですね、五万三千キロリットル、金額にして一・九億円。フランス、ニュージーランドというのが新たに加わっております。フランスにつきましては一回、〇・二千キロリットル、約一千万円。ニュージーランドも同じでございます。
#274
○福島瑞穂君 現在、八か国に対して、そして合計給油量は百六億円。最近、二月、三月に交換公文を閣議決定を経て交わしております。
 そうしますと、イラク攻撃とアフガン支援との区別が極めて付きにくい状況で、なぜ今インド洋で補給艦を派遣し続けるのか、これは事実上の武力攻撃支援というふうになるのではないですか。
#275
○国務大臣(石破茂君) 私どもはそのように考えておりません。テロとの戦いというのは決して終わってはおりません。むしろテロとの戦いというものの重要性は今後も増すものだろうというふうに考えております。
 この時期になぜというふうに言われますが、それはそのようなニーズがある、そして法的に可能であるからやらせていただいておるところでございます。
#276
○福島瑞穂君 アフガンに行くか、イラクのために使われるか分からないという、分からないではないですか。
#277
○国務大臣(石破茂君) これは再三国会でお答えをしていることでございますが、これはそれぞれの国と、例えば合衆国ともイギリスとも、今回のフランスにいたしましてもそうでございますが、交換公文というものを交わしております。その中では、このテロ特措法に基づいて私どもの国はこういう補給活動をしており、その目的以外には使わないということを日本とそれぞれの国が交わしておるわけでございます。
 そして、合衆国におきましては、いろいろな公式な会談の場所で、会議の場所で日本のその法律の趣旨はよく理解をしている、それ以外には使わないということを言っているわけでございます。私どもは、その交換公文、そしてまたそこにおいて交わされております両国間、それは合衆国だけではなく、イギリスもフランスもそうでございますが、その信頼関係というものを持っております。
#278
○福島瑞穂君 テロ特措法でイラク戦争の支援はできないわけですから、現時点において艦船は引き揚げるべきだと考えます。
 ところで、名古屋刑務所の問題なんですが、去年十月に事件が発覚して、私はずっと十年分間出してほしいということを言っていました。しかし、三年分は出していただきましたが、十年分出してもらえませんでした。しかし、与野党の衆議院が要求しましたら、それぞれ死亡帳というものがあり、ここにあるものですが、全部出てきた。死亡帳というのがあって、一人一枚あるんですね。なぜこれを今まで見せてくれなかったのか。六か月間、なぜうそをつき続けてきたんでしょうか。
#279
○国務大臣(森山眞弓君) お尋ねの件につきましては、先生方に死亡帳の件を御説明申し上げないまま、過去十年にさかのぼって保護房内での死亡事案の御報告をしなかったのは事実でございまして、誠に申し訳なく、おわび申し上げます。
 矯正行政への不信が高まっております今、矯正局はもとより、現場施設におきましても、国民及び国会に対しまして可能な限りの資料を出して、実態を明らかにして透明性を確保し、世間の批判に堪え得る矯正行政に立て直さなければならないということでございまして、失われた国民の信頼を回復していくことが何よりも大切だというふうに指導しているところでございますが、国会に対して適切な説明ができなかったことにつきまして、誠に申し訳なく、深くおわび申し上げます。
#280
○福島瑞穂君 いや、これは非常に重要な問題なんです。法務委員会の理事会、法務委員会でも質問をして理事会で議論をしました。そうしましたら、ないと。ないというか、十年分出すのは物すごく大変だと。しかし、今回、死亡帳がそれぞれ一人一枚あって即座に出てきたわけです。千六百人分、今日も含めれば出てくる予定です。これが、出ない、出ない、できない、一人一人身分帳を全部繰らなくちゃいけないからできない、できないと言われました。名古屋刑務所に行ったときも言われました。どこに行っても言われました。何十回と言われました。ヒアリングをやっても言われました。
 それを、申し訳ない、法務省は知っているんですよ、死亡帳があることを。簡単に出せるんですよ。だって、即座に出てきました。それを六か月間出さなかった。これはやっぱりひどいですよ。三か月分しか出せませんと何回も言ってきました。それは、済みませんでしたで済む話ではないと思います。いかがですか。
#281
○国務大臣(森山眞弓君) 矯正局長の説明によりますと、非常に、御存じのとおり、刑務所というのは非常に過剰収容が深刻さを増しておりまして、現場の施設では処遇担当職員はもとより事務職員までも動員いたしまして、年休の取得もできない、休日の出勤も重ねてやらなければいけないという、常態化しております。勤務状態が非常に厳しい状況にございまして、その士気の低下を憂慮していたところでございますが、全国の現場施設に一律に更なる負担を掛けてしまうということをそんたくいたしまして、矯正局長の一存で、この件につき可能な限り矯正局限りで対応するほかはないと考えて、矯正局にある四年分の資料でとどめてもらいたいという思いから、死亡帳のことをきちんと申し上げずに説明したという話でございました。
 いったん、対外的に死亡帳のことを言いそびれ、被収容者死亡報告の存続、保存期間は三年間でございまして、その後は捜査等で個別案件が特定されれば現場施設で対応するとの説明をしてしまっただけに、死亡帳のことが気には掛かっていましたんですが、なかなか言い出しにくくて、結果的に委員の皆様に多大な御迷惑をお掛けしたということでございまして、誠に申し訳なく思います。
 私自身も、三月の、三月十一日の夕方、官房長から衆議院法務委員会の理事懇の状況報告を受けましたときに死亡帳というものがあるということを初めて知ったようなわけで、本当に不明をおわび申し上げます。
#282
○委員長(陣内孝雄君) 時間が参りました。
#283
○福島瑞穂君 じゃ死亡帳は、でも即座に出てきたんですよ。ですから……(発言する者あり)いや守ります。ですから、今の答弁は納得できない。受刑者の、刑務官のことを思って死亡帳を言いそびれたなんというのは、国会ではそんなことは通用しないと思います。ひどいと思います。
 以上で終わります。
#284
○委員長(陣内孝雄君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#285
○委員長(陣内孝雄君) 次に、広野ただし君の質疑を行います。広野ただし君。
#286
○広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。
 外交・防衛問題をまず冒頭やりたいんですが、官房長官が見えてからやらしていただきますので、まず現下の経済情勢、非常に憂うべき状況にあると思いますが、昨日、若干上方修正をしたと、こういうようなことでありますが、現下の現状認識についてお伺いします。
#287
○国務大臣(竹中平蔵君) 昨日、月例の経済報告を行いまして、現状の基本認識としましては、おおむね横ばいであるがイラク情勢等々で不確実性が高まっていると、正に我々の認識を端的に示したつもりでございます。
 これは、テクニカルには上方だという言い方も確かにあるんですけれども、我々は基本的には現状維持、横ばいの認識であるというふうに思っております。
#288
○広野ただし君 かねがね私は、竹中大臣のこの月例報告とか経済認識について非常に甘いということを言い続けてまいりました。底を打ったとかいろんなことを言ってきておりますが、我々が地元等で聞きます認識はそういうものではなくて、みんなもう悲鳴を上げていると、こういう状況であります。それを株価は正に端的に表して、株価は先行指標ですから、八千円を割ったと、今日はちょっと戻ったようでありますけれども、そういうような状況なんですね。
 小泉さんが総理になられてから一万四千円ぐらいまで行った、それが八千円を割ると。四十数%下落しているんですよ、これは。かつてなかった、今までの歴代総理の中でこれだけ下がったところはないんですね、下落率では。どう思っておられますか。
#289
○国務大臣(竹中平蔵君) 株価の状況は大変厳しく認識をしております。御指摘のように、株価というのは将来の期待を表すということもありますので、この点は厳しく受け止めております。
 しかしながら、確かにこれ四〇%程度株価は下落した。しかし、その間、ニューヨークのナスダックは五〇%下落した、イギリス、失礼、フランスは五〇%下落した、ドイツは六〇%下落した、そういった世界の中に日本があったということも、これはやはり客観的な事実としては御考慮いただきたいと思います。
 実態判断についてはいろんな見方があろうかと思います。地方が、特に中小企業が厳しいという実態も我々なりに承知をしております。しかしながら、実質のGDPの伸び率だけで見ますと、例えばこれはまだ今年の一―三月期がまだ出ておりませんが、この一―三月期の伸び率が〇%だと仮定しても、十四年度の成長率は一・八%ということになります。これは仮定の計算ではありますけれども、これは〇%の政府経済見通しをかなり大きく上回っているわけで、実態については、これは格差もございますから、大変厳しいということも事実ですが、実体経済は実はGDPで見る限りそこそこ伸びている。しかし、世界の厳しい状況の中で株価、株式市場がこれは大変厳しい状況に見舞われていると、そのように認識をしています。
#290
○広野ただし君 竹中さんも総理もそうですが、株価のことを聞きますと、海外も下がっているんですよと、こうおっしゃるんですね。人任せなようなことばっかりおっしゃる。やはり日本の実体経済がもっと良ければ、日本だけが独歩高ということだってあり得るんですね。世界をリードするということだってあるんです。ですから、これをずっと今まで言っておられるんで、私は、やはり病状をちゃんと把握をしてそれで対応を打つということが一番大事なことなんで、これを間違えますと本当にとんでもない治療策が出てくるということだと思うんです。そしてまた、かつての大本営じゃありませんけれども、底を打ったとかあるいは良くなっているとか、こんなことばっかり言っておりますと国民は政府の景気判断を一つも信用しなくなる、こういうことだと思うんです。ですから、本当に的確な判断をしていい治療策を根本的にやらなきゃいけないと、こう思うわけです。
 ところで、今補正予算等のいろんな話が出てきておりますが、現下のこの十五年度予算案にはイラク問題あるいは北朝鮮対策といいますか、こういうものは含まれているんでしょうか、塩川大臣。
#291
○国務大臣(塩川正十郎君) 十五年度予算のときには不確定要因はある程度予測しなければならないということは思っておりましたけれども、しかし、それはどういう形で出てくるかということに対応策を講じるということは予算上、組み込んでおりません。
#292
○広野ただし君 イラクをめぐる情勢は昨年来から非常に緊迫をしていた。そして、それによって経済がどうなるだろうかと、いろんな考え方があったわけであります。そのことについて一切入っていないんですか。
#293
○国務大臣(塩川正十郎君) そうすると、相当厳しい状況になるかも分からぬと、経済が。もし戦争になればそういう事態が起こるであろうから、したがって、できるだけセーフティーネットを十分にして耐え得るだけの体力にしたいということで、雇用であるとかあるいは金融対策等には十分な対策を講じてきたと思っております。
#294
○広野ただし君 この予算を見ますと、私はやっぱり大変な緊縮予算になっていると思います。
 小渕総理のときは、補正後、結局これは年度の全体の予算支出というものが経済に大きな影響を与えるわけですから、例えば一・一七%伸びた、あるいは〇・八四%伸びた。平成十年度に一二%伸ばしているものですから、それの影響が十一年度、十二年度に出てきて経済が持ち直して、十二年度は成長率が名目でも実質でも一・一とか三・二%とか、良くなったわけなんですね。
 ところが、十三年度、十四年度とマイナス、補正後予算もマイナス三・八、マイナス三・〇八と。今年度は、十五年度はマイナス二・二七だ。こういうことで、補正後を考えますと、ぐっと政府予算案というのはマイナスになっているんです。小泉さんになってマイナスになっているんです。それが経済にぐっと響く、こういうことになっていると思いますが、いかがでしょうか。
#295
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと手元に年度ごとの細かい数字は持っておりませんが、基本的にはやはり財政赤字がここまで厳しい状況になっている中で財政を中長期的に健全化していくということは避けられない道であるというふうに思っております。
 しかしながら、現下の厳しい状況下で、十五年度予算に関しましては、これは、財政はいわゆる緊縮型にはなっておりません。歳出と歳入、その差額、より正確に言えば貯蓄投資差額でその政府の予算というのが、財政というのが緊縮型か中立型か拡大型かということを判断すべきでありますけれども、これは貯蓄投資差額、「改革と展望」の中にその試算を出しておりますけれども、ほぼ中立型、これは先行減税等々を絡めて緊縮型にならないように、我々としては最大限の努力をした予算でございます。
#296
○広野ただし君 この間の補正予算、十四年度補正予算を入れますと補正後予算が八十三兆六千億になるんですね。今度は当初予算は八十一兆七千億ですから、これでまたマイナス、二・二七%マイナスになる、こういうことになってまいりますから、これはやっぱり補正後予算と合わせますと十五年度予算はマイナス、何も補正を組まなければマイナスになるということだと思いますが。
#297
○国務大臣(塩川正十郎君) 広野さん、私は思いますのに、予算は今や、スケールの問題もあります、ありますけれども、その限られた資源というものをどう使うかということが一番大事な問題に今は予算なってきておる。したがいまして、私は、十五年度予算は八十一兆数千億円で発足いたしますけれども、この間において予算の執行状態がどうなっておるか、そして、もっと有効に使えないだろうかということは真剣に考えて、そういうことの、何といいましょうか、評価というものを厳しくやっていくことによって予算を有効に使いたいと。
 だから、額を増やせば、量を増やせばそれだけの効果があることは、それはGDPに対するものとして答えは出てくるであろうと思いますけれども、今、日本に課せられた宿題は、ただGDPに対する質問の、いや、答えを出すということだけじゃなくして、いかにその予算が限られた資源を有効に使うかということであろうと思っております。
#298
○広野ただし君 結局、対策というのは結果ですから、小渕さんのときは、ちゃんと経済は復活しそうなところまで行ったんですね。ですけれども、今回の場合、緊縮をやっていますからぐっと下がっていると。こういうことを、これは要するに、やはり小泉経済政策、竹中経済政策の私は失敗だと、こう思います。
 そしてまた、この三月危機とかいろんなことを言われますけれども、ところで、七十兆の公的資金、枠があるわけですが、そのうち大体三十五兆円ぐらいを私はもう既に使っていると、こう思っておりますが、システミックリスク、十五兆円ぐらいあるようでありますけれども、十分な手当てができるのかどうか、その金額面から教えてください。
#299
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員、一点だけちょっと、数字にこだわるわけではございませんが、十五年度の財政は、その十四年度の補正予算の執行もかなりの部分が十五年度になされると。それを勘案して、財政は、マクロで見まして、これは緊縮型になっておりません。その点はまた数字を挙げて必要でありましたら御説明をさせていただきますが、御理解を賜りたいと思います。
 それで、システミックリスクに関するものでございますけれども、いわゆる危機対応勘定として十五兆円の枠が設定されております。これが十分かどうかというのは、これはいろんなことが起こる中で評価なかなか難しいんでございますけれども、早期健全化の枠組みの中で、過去十五行に対して投入された、注入された資本というのが大体七・五兆円、ちょうどその倍の枠を一応持っているということで、この中で、もしものことがあればですけれども、積極的にこれを活用して、問題が起きないようにしていきたいというふうに思っているところでございます。
#300
○広野ただし君 現下、特に日銀と一体的な運用というようなことで、当座預金残高二十兆円を超すようなことをやっておりますが、しかしなかなか中小企業には回ってこないと、こういうことであります。
 中小企業の貸出し残というのはもう大幅に減っているんですね。これは何回も私も申し上げておりますが、過去五年間の間に五十兆円減っております。ですから、大体十数%削減をされているという形であります。例えば、平成十二年からこの一月、十五年の一月末まで見ましても、大体三十八兆円、一七、八%貸出し残が減っているということです。ですから、これはもう中小企業が悲鳴を上げるのは当たり前なんですね。
 ですから、中小企業金融、一体全体どうなっているのかということについて伺います。
#301
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、中小企業に対する貸出し残高というのは減少しておりまして、民間の金融機関では、平成十年度、十二年度末と、そして昨年度末に比べますと、パーセントで一四・九%減少しています。それから、政府系三金融機関がございますけれども、ここも同時期で四%の減少であります。
 これは、やはり景気が総体的に非常に厳しい状況の中で設備投資等手控えをすると、こういうこともあったと思いますけれども、もう一つは、やはり不良債務、こういうものが非常にたくさんあると、こういう形で金融機関自体が貸出しを抑制したと、こういうことも私どもは言えると思っています。
 そこで、経済産業省といたしましては、やはり中小企業というのが日本の経済の活力の基盤を担っていただいておりますので、セーフティーネットというものを充実をさせていただきまして、この間でも約二十万件、四兆六千億のセーフティーネット保証、そして貸付けをやらせていただいているところでございますし、また、そういう金融機関の状況がございますから、金融機関が統合したり店舗を縮小したり、そういうようなことで、その連鎖に巻き込まれる、こういうことがあってはならないわけでございまして、今、全国金融機関六百七十八行ございますけれども、その約八割の四百三十六行に対しては、中小企業に対してちゃんとセーフティーネット、そういう保証を付けてぴしっとやれと、こういう形で対応させていただいておりまして、この分でも最近大変実績が上がってきているところでございます。
 もう一つ数字申し上げますと、借換え制度というものを創設をさせていただきましてちょうど一か月たったわけでございますけれども、これは大変利用者が多くなりまして、既に二万七千、二万七千件、そして四千五百億のそういう意味では借換えの実績を作らせていただきました。
 ですから、御指摘のように、中小企業に対する金融というのは非常に今厳しい状況でございますので、私どもとしてはこれ万全を期していかなければいけないと思っています。
 借換え制度は、失礼いたしました、二万八千件ということでございます。そういう形で万全を期していきたいと、こういうふうに思っています。
#302
○広野ただし君 しかしながら、これも結果だと思うんですね。ですから、政府系金融機関、中小金融機関も大体横ばいからマイナスですね、三、四%減少をしていると。ですから、結果としてはやはり中小企業が悲鳴を上げ、そして倒産件数が二万件、年間二万件近くになると、こういうことになっているんだろうと思います。
 トータルの中小企業金融ということでは、竹中さん、どうでしょうか。
#303
○国務大臣(竹中平蔵君) 平沼大臣が今お答えになったような状況にあるわけでございますけれども、民間金融機関が不良債権等々を抱えて、十分にリスクを取って貸出しと、するという体力が非常に弱っている。しかし、そのためにも不良債権処理を加速して、健全な金融機能を取り戻してもらわなければいけない。
 しかし、その過程において、委員御指摘のように、健全な中小企業になかなかお金が回りにくいという困難な状況が出ているというふうに思っております。これを防ぐためには、いろんなことを合わせ技でやるしかない。政府系金融機関の活用、セーフティーネット保証、セーフティーネット融資、さらに加えて、我々としてはその新規の参入を金融業界においても実現したいというふうに思っておりますし、我々としても度々、業界、協会、銀行業界等々を呼んで、その円滑な資金供給に対して十分な配慮をするように協力を要請している。また、経営健全化計画を出して中小企業に対する目標を掲げている注入行に対しては、それの目的、目標が実現されない場合には非常に厳しい措置を取る、そういった考えられる措置を我々としては取りながら、何とか中小企業に対しても必要な資金が回るような状況を一刻も早く作っていきたいというふうに思っているところでございます。
#304
○広野ただし君 もっと強力に、かつての窓口指導ぐらいをやるくらいのことをやりませんと、これはもう本当に中小企業は悲鳴を上げるということだと思います。
 ところで、社会保障関係ですが、やはり大変な負担を国民の皆さんに強いているということだと思うんですね。実際、ですから年金も引き下げられる、これが三千億円相当のようですが、医療もこれも一兆五千億ぐらいの負担になる、そしてまた介護も二千億円ぐらいの負担になる。また、減税はしたと言っておりますが、配偶者特別控除の縮小というようなことで、これも大体七千億円ぐらいの負担になるということであります。そしてまた、失業関係ということで、これも六、七千億のあれですから、あらあら足しますと大体四兆円ぐらいの負担が行くと。
 かつて、橋本内閣のときに九兆円の負担を国民に強いたということでがたがたと来たと、これと同じようなことがまた心配をされるわけでありますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
#305
○国務大臣(坂口力君) 社会保障の面におきましては、確かに御負担をいただかなければならない面もありますけれども、今、社会保障の面の中で何が一番大事かといえば、将来ともに安定した制度が確立しているかどうかということが一番私は大事だというふうに思っています。将来不安だというのは、安定した制度が確立していないということが不安だというふうに私は思われているというふうに思っています。
 先日も申し上げたわけでございますが、社会保障というのは景気の良しあしにかかわらず必要なものでございます。むしろ、景気の悪いときには更に必要だといったものも中にはあるわけでございまして、景気が低迷しているからこれは要らないというわけにはまいりません。
 したがって、社会保障が必要だということは、やはり負担の方も常にお願いをしていなければならないものであるということでございまして、そうした意味で、確かにこの負担の上がったところはございますけれども、そういう制度があることによってセーフティーネットが確立されていると私は思っております。
#306
○広野ただし君 四兆円近い国民への負担、このことについて竹中大臣、どうですか。
#307
○国務大臣(竹中平蔵君) 社会保障関係だけで四兆円なのかどうか、ちょっとこれは計算の仕方もいろいろあろうかと思いますが、家計に対して一部その負担を求めているのは事実だと思います。
 先ほどから私、何度か全体で見た政府の貯蓄と投資のバランスということを申し上げておりますが、一方で国民に対して確かに負担を求めるものもありますけれども、一方で減税を行っている。さらには、これは財政のバランスの問題として申し上げているのでありますが、減税の問題がある。それともう一つは、先ほどから申し上げておりますけれども、補正予算というのは、十四年度の補正予算というのは、かなりの部分が十五年度に効いてくる。その全体で、財政としては国民経済全体として負担にならないような形という形で、非常に狭い道でありますけれども、予算を組んだつもりでございます。
 結果的に、十五年度、〇・六%の経済見通しの中で、個人消費、若干の負担は掛かりますけれども、〇・四%程度の成長度ということを見込んでおりますので、そうした形で少しでも影響を削減していきたいというふうに考えているところでございます。
#308
○広野ただし君 それでは、外交・防衛問題に移りたいと思います。
 本日、ブッシュ大統領の四十八時間以内への最後通告といいますか、そういうこと、そしてまた小泉総理の午後の記者会見ということで、アメリカの方針を支持をする、そしてまた武力行使も妥当の、妥当なのかなと、こういうようなお話のようでありますが、まず、国会において政府は、新しい決議案がある方が望ましいと、こう外務大臣も総理もおっしゃってまいりました。望ましいというのはどういう意味なんですか。
#309
○国務大臣(川口順子君) イラクが今、国連の決議に違反をしていろいろ悪いことをやっているということは、一四四一において決議六八七違反であるということが決定をされていることでも明らかではありますけれども、国連といいますか、国際社会が結束をしてイラクに対応をするという意味で更に決議があった方が、あることが最も望ましいということは申し上げてきたわけです。
 ただ、その採択をされなかった決議、この決議が採択されなかったことは大変に残念に思っていますけれども、これの役割というのは、イラクが今までの決議に違反をしてきたということを確認をするという性格のものであるということでございます。そういう意味で、採択されることが望ましいということを申し上げてきたと、そういうことです。
#310
○広野ただし君 じゃ、現在、その新決議案が採択されなかった、採択されていない、こういうところにおいて、望ましくない状態なわけですかね。結局、世界の世論が一致できないと、こういうことでしょうか。
#311
○国務大臣(川口順子君) 採択されなかったことについては、そういう意味では残念であるというふうに考えています。それでは、世界の意見が一致をしなかったかというと、一四四一で、これは全会一致で、イラクが十二年以上、国連の数々の決議に違反をしてきたということは認めているわけです。それで、その上で国際社会で相違が見られたのは、イラクに対して、どのような今の時点でイラクを認識をするか、あるいはどういうやり方でイラクに対して毅然として迫るかと、そういうことについて意見が違ったということでございまして、問題の本質、あるいは最終的にイラクが何をしなければいけないのかということについて国際社会は意見が一致をしているということでございます。
#312
○広野ただし君 国際世論は必ずしも一致していないと私は思っております。
 ところで、どういう理由で米国の方針を支持すると、こうおっしゃっているんでしょうか、官房長官。
#313
○国務大臣(川口順子君) アメリカは、今まで安保理の中で国際協調をみんなでしてイラクに当たろうということで過去十二年間努力をしてきたわけです。そして、その点については先ほど申し上げたように意見は一致をしているということですけれども、これはハンス・ブリクス委員長も言っていますように、イラクは小出しにしかしてこない、しかもたくさんのことについては何も出してこないという状況であるわけです。それも、アメリカの軍隊が二十万を超える数で周りにいるという最大限の圧力を掛けてなおそういう状態であるということです。
 それから、イラクの態度を見ていると、国連が要望をしているように、要求をしているように、無条件、即時、そして積極的に対応をしているということではないということで、これはハンス・ブリクスもそういうことを言っているわけですけれども、ということでございまして、武力行使を通じての武装解除を回避をするということが極めて難しくなってきたという判断があったということでございます。
 まだ、限られてはいるけれども、平和的に問題を解決をするという可能性は残っているわけでございまして、我が国としては、イラクがその平和的な解決をするために適切な判断をするということをイラクに求めているということでございます。
#314
○広野ただし君 国連憲章では武力行使をやるということが許されるのは二つだけだと、こういうことなんですね。一つは安保理決議に基づいてやっていく、そしてもう一つは自衛のための戦いと、こういうことでありますが、米国の方針を支持をされていると、こういうことについて、官房長官、どういう理由なのか教えてください。国民が分かりやすく納得がいくようにやってください。今まで、かつてそういう説明が、総理の口あるいは官房長官からきちっとした説明がないことが本当に大きなことなんですね。日本の国の根本を揺るがすような問題なんですね。そのことについて国民の納得がいくような説明をしないと、国民は不安になるばっかりなんですよ。是非、説明してください。
#315
○国務大臣(川口順子君) 広野委員がおっしゃるように、国民にきちんと納得のいくように説明をするということはとても大事なことだと私も思っております。そして、総理も今日そういう意味で記者会見、ぶら下がりの記者会見をなさったわけですけれども、一番問題の本質というのは、二十一世紀において大量破壊兵器、これが人類に対して脅威を与えている、これがイラクの手から他の国家に渡る、あるいはテロリストに渡って拡散をしていく、その結果として人類に大きな災害がある、これはサリン事件を経験したという我々から言えば、これがサリンと比べない、比べることができないぐらい大規模なそういう事件につながり得るということで、大きな脅威であるということが問題の根幹であると思います。そのようなサリン事件と比べても比較にならないような大きな事件が起こってしまってからではもう手後れであるということだと考えます。
 そして、それでは、その国連の安保理の中でどういう議論があって、どのような理由付けで武力行使をするということが可能であるかということですけれども、国連の安保理では十二年間にわたって議論をし、外交努力を続けてきたということが事実問題としてあります。そして、これが実らなかった、あるいは実りそうにないということに残念ながらなってきたという現在、一四四一という十一月に国連が全会一致で合意をした決議、これはイラクが過去十二年にわたって様々な決議に反対を、反していた、失礼しました、反してきた、違反をしてきたということを決定をしているわけです。
 そして、何によってイラクが守らなければいけない義務が書いてあるかといいますと、これは安保理の決議六八七という、停戦の条件をイラクが受諾をすれば停戦が発効するということを宣言した決議でありまして、その停戦の条件の一つにイラクが大量破壊兵器を廃棄し現地の査察を受け入れるということが書いてあります。
 さらに、ほかにたくさん、いろいろ経済制裁の継続ですとか書いてございますけれども、イラクはこれを受諾したので停戦が成立をしたわけですけれども、その停戦の条件に反したということで、その結果として、そもそもイラクに対してあらゆる必要な手段を取る権限を与えた安保理決議の六七八、これの目的の一つは湾岸地域における国際の平和及び安全を回復するということであるわけですけれども、これによって武力行使、もし万が一あるとしましたらば、それが説明を、それを説明するということが可能であると、そういう考え方ですが、分かりやすく言いますと、イラクが様々な国連決議に違反をしていた、それを外交努力で必死になって解決をしようとしてきた、それが難しくなったと、そういうことでございます。
#316
○広野ただし君 国民の皆さんは、国連決議一四四一だとか、国連決議六八七だとか、六七八ですとか、そう言われたって分からないんですよ。
 実際、国連の憲章にありますように、二度の大戦を経て二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨事から将来の世代を救いと、こういうようなことを言っているわけですね。そして、その国際紛争を平和手段、平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない、これが国際、国連の憲章の精神なんですよ。
 ですから、さっき言いましたように二つしか例外はないんだと、こういうことなんですから、そのことについてどうしてそういう、アメリカがこういうことをやり、そして日本がまたそれを支持するということになるのか、国民に分かりやすくひとつ言ってください。
#317
○国務大臣(福田康夫君) 今、外務大臣から説明申し上げました。法的な問題からすれば、外務大臣が今答弁したとおりでございます。
 この今回の問題は、大量破壊兵器、これは東西冷戦が終わって、今国際社会の最大の問題じゃないでしょうか。それを独裁者が持ったときのこの脅威の大きさということを、これを国際社会が感じて、もう大分前からそのことについての脅威の除去ということに努力をしてきたと、こういうことであろうかと私は思います。
 そういう中で、今回もぎりぎりの努力を国際社会は続けてきたと。フセインが武装解除の決断をしないで、そしてまた一方、安保理も一致した意見を得ることができなかったということであります。
 なお、査察継続をすれば、そうすれば真に実効的な武装解除を実現するという見通しがないというそういう状況の中で、これ以上事態を放置しては、これは問題が解決しないばかりか脅威が増えると、こういうようなことを考えて、ブッシュ大統領は今回の、今朝のステートメントを出したと、こういうふうに理解をいたしております。
 ですから、我が国もそういう考え方を支持したいと、こういう立場であるわけでございます。
#318
○広野ただし君 その最後の、我が国もそれを支持したいという、そこのところの理由をもう少し明確に答えていただきたいと思います。
#319
○国務大臣(川口順子君) 非常に大ざっぱに言うと三つあると思います。
 まず、大量破壊兵器が拡散することが非常に問題だと考えるから。そして二番目に、今まで外交的に解決をしようとずっと努力をしたけれども、イラクがそれに対してきちんと対応してこないから。そして三番目に、武力行使も含むこの行動というのは国連憲章によって正当化されるから。その三つだと思います。
#320
○広野ただし君 それは各国、安保理各国だってそういうことを考えているんですよ。だけれども、結局この安保理決議が得られない、そしてアメリカ、イギリス、スペインだけがこう行くという実態の中で、日本がどうしてそれを支持をするのか。そのことをもう少し明確に、官房長官、教えてください。国民が聞いているんですよ、これは。
#321
○国務大臣(福田康夫君) 米国の立場、考え方、これを支持したわけですね。先ほどその理由は説明を申し上げました。その米国の考え方というものはかいつまんだお話をしました。
 それから、我が国の立場ということもあろうかと思います。それは、我が国は米国との間で同盟関係を結んでいるということにあります。
 これは、戦後長い間そういう関係を持って、これは安全保障のみならず経済その他の分野においてお互いの同盟関係を維持していこうというそういう考え方の下に、両国の発展を遂げるというそういう考え方に基づいてこの関係を続けてきたということであります。そういう切っても切れない米国との関係というものを、これを忘れることはできないと思います。
 これは、もう一つ申し上げれば、我が国の安全保障の問題でいえば、これは極めて大事なことであります。日米安全保障条約において、アメリカの、米国との間で、我が国の安全保障、これを守ってくれるというそういう約束があるわけですから、そういう上で、そういう安全保障の問題も考えて、我々としてはこの考え方を支持し、そして我々の立場としてもそうすべきであると、今回のアメリカの立場を支持すべきであると。
 そして、そのことが国際平和につながることである、また、当然のことながら国際平和を今後維持するために努力をしていかなければいけない、それは当然あるわけですけれども、その道がこの今回の措置であると、こういうふうに考えているところでございます。
#322
○広野ただし君 今まで政府は新決議案があった方が望ましいと言っていながら、新決議案が採択をされない、そういう中でアメリカを支持する。
 日本は、憲法にありますように、私も前文をよく読んでみるんですが、恒久の平和を念願し、我らは、世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認をする。我らは、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって云々と、こうあるんですね。
 ですから、この精神からいって、どうしてアメリカを今回支持をするのか。もう少し分かりやすく説明していただきたいと思います。
#323
○国務大臣(福田康夫君) ですから、先ほど申しましたように、今回のことについてはイラクの大量破壊兵器、これを廃棄させると、こういうことです。では、この大量破壊兵器を放棄しておいていいのかどうかという問題あるわけでしょう。そのことについてやはり重要に考えるべきであるというように考えているから、ですからアメリカの考え方は支持できるというふうに申し上げているわけです。
#324
○広野ただし君 そして、日本は覚悟を決めなきゃいけないんですよ。今度はイラクから敵国とみなされますからね、今度は。本当にその覚悟があるのかどうかということなんです。
 イラクは世界じゅうを今度はテロをするんだと、こう言っているわけですね。日本の中でテロが起こったときに、ちゃんとした覚悟はあるんですか。
#325
○国務大臣(福田康夫君) あのイラクのフセイン大統領は今いろんなことを言っているようでありますけれども、そういう脅威に屈してはこれは元も子もないということじゃないでしょうか。そういう脅かしに屈しないで、そして究極的な平和を達成するために我々は努力すべきだと思います。
#326
○広野ただし君 私は、本当に日本にその覚悟があって、その準備をちゃんとやっているのかどうかということに非常に懸念を感ずるんですね。アメリカのままにただ付いていくということであっては、それこそ、本当にずるずるずるずるとどこまででも付いていくと、こういうことになるんですね。
 ですから、支持をするという、その支持の意味合いはどういうことなんですか。精神的支持なのか、何かちゃんとした協力をするのか、その点について教えてください。
#327
○国務大臣(川口順子君) 当然、日本国の憲法の中でやるわけでございますから、日本がその武力行使に直接参加をするということは、これはあり得ないわけでございます。
 それで、それでは日本が何をするか、何ができるかということについては、引き続き今いろいろ検討をしていますし、ありとあらゆる選択肢、可能性を考えて頭の体操はいたしてまいりましたけれども、難民支援とかあるいは周辺国支援とか、それから復興の段階での日本の役割といったことに国際社会としての期待はあると考えております。まだ、具体的に何をやるということが決まったかといえば、それはそういう段階ではないと思います。
#328
○広野ただし君 そのイラク周辺に対することだけじゃなくて、国内はどうなんですか。あのサリンのときだって大騒ぎ、そしてこの有事法案においてもテロについての考え方が全くない、これでどうなるんですか。
#329
○国務大臣(石破茂君) お言葉ですが、私は全く備えができていないとは思っておりません。サリンの後に、どうやって警察と自衛隊が連携をするかということ、そしてどういう場合に自衛隊が出る、どういう場合に警察が出るということは、ここ数年間きちんきちんと詰めてきたことでございます。
 そのような、相手がだれなのか分からない、これが組織的な、計画的な日本に対する武力の行使であるということであれば、これは防衛出動でありましょう。そうでなければ基本的に警察権を使うことになるわけでありますけれども、どういう場合に警察権を使うか。同じ警察権でも、これが警察の能力を超える場合には、どういうときに自衛隊が治安出動なり海上警備行動なりで出るのか。そのことにつきましては、きちんきちんと詰めてまいったつもりでございます。全く対応がない、政府は無責任だというような御批判は私は当たらないというふうに考えております。
#330
○広野ただし君 じゃ、北朝鮮に対しての脅威はどうなっていますか。じゃ、この日本海側にイージス艦を三隻ぐらい並べるんだとかという話ありますが、並べたとして、どういう防衛ができるんですか。
#331
○国務大臣(石破茂君) 御指摘のようなイージス艦を三隻並べるというような、そのような決定はいたしておりません。
 委員はイージス艦の性能につきまして御承知の上での御質問かと思います。イージス艦というのは、先般来のテポドンが日本列島を飛び越えたという事案がございました。あのときにイージス艦がその軌跡というものを把握をしたということは、これはもう公になっておることでございます。イージス艦のみでミサイルの発射の兆候でありますとか、そういうことが全部分かるかということにつきましては、それはいろんな議論がございますし、この場でお答えすることが決して適切だとは思っておりません。
 ただ、イージス艦によっていろんな情報は取れる、あるいは同盟国のいろいろな情報、そういうものを勘案をいたしまして、ミサイルの脅威というものを、脅威といいますか、ミサイルの危険、そういうものをきちんと把握をする、そのための情報収集に万全を尽くしておるところでございます。
#332
○広野ただし君 日米同盟があって、北朝鮮の脅威に対してというようなことをおっしゃっているわけですが、日米同盟、これも安保条約はやはり防衛的な考え方だと思うんですね。それをイラクにまで拡大をしていく、誠に攻撃的なものに変質させようとしているんじゃないかと私は思っております。
 それともう一つ、北朝鮮のことについて、北朝鮮を、今どうですか、防衛庁長官、信頼していますか。
#333
○国務大臣(石破茂君) これは防衛庁としてお答えをすることではあるいはないのかもしれません。これは外務大臣からお答えいただくのが適切かと思いますが、私は信頼というのはいろんな度合いがあると思っているんです。
 例えば、先ほど来のイラク、つまり今、テロ特措法で給油している燃料がほかの目的に使われないかという御質問がたしか福島委員からもございました。私は日米の間のきちんとした信頼関係、絶対に裏切らないという信頼関係、そういうものから比べた場合には、それは当然のことながら私はそれには劣るものだろうというふうに考えています。
 今、ここで信頼できるとも信頼できないとも、そういうお答えをすることが適切だとは思いません。私は外交とはそのようなものだと思っております。
#334
○広野ただし君 北朝鮮はIAEAから脱退をし、そして査察官を国外退去させました。そして、シルクワームというミサイルを、艦対、地対空、艦ですか、撃った。テポドンだって間もなく発射されるかもしれない。これ、どうなんですか。信頼しているんですか。
#335
○国務大臣(福田康夫君) いろんな事象を見ますと、これはどうかなと、こういうふうに思うこともあります。そういうところを見て信頼できるかどうかということ、これはその信頼できるかどうかというのは、今、防衛庁長官も答えたように、なかなか難しい問題だと思いますよ。
 だけれども、一つだけ言えることは、本当に信頼できるような関係にならなければこの問題は解決しないんだと、こういうふうには思っていますので、その方向に向けて我々は努力すべきだと思います。
#336
○広野ただし君 日本の国内から日本人を拉致をし、そして武装工作船が周りをうろうろしている。しかもとんでもない行為をしている。これがどうして信頼できるんですか、防衛庁長官。
#337
○国務大臣(石破茂君) 私は信頼できるということを申し上げたわけではありません。ただ、官房長官がお答えになりましたように、そういう関係になるべく努力はしていかなければいけない。
 今やっておりますことは、委員御指摘のように、それは信頼関係を損のうものであることは間違いないことであります。しかし、だからといって、これは信頼のできない国であるということを前提にいろんな政策を組み立てるということが私は日本の国益にかなうとは思っておりません。
#338
○広野ただし君 もう明らかに瀬戸際外交から踏み出して、とんでもないことをやりつつあると私は認識しておりますが、結局、九・一七の平壌宣言というものがあって、これを後生大事に守ろうとしているだけなんじゃないですか。私は、もう既にこれをほごにすべきだと思いますが、官房長官、どうですか。
#339
○国務大臣(福田康夫君) 今起こっていますいろいろなことを考えますと、どうも平壌宣言の精神に反するじゃないかと、こういうような意見が多いのは当然だと思います。
 私どもは、じゃ、そういう精神に反するからこれは破棄しようかどうかといったようなことを今結論すべきかどうか、そのことについてはもう少し全体の状況を判断した上で、見た上で判断していきたい、そんなふうに思っております。
 平壌宣言後、それはその趣旨に反している、それは断定すれば断定できるんです、いつでも。いつでも断定できると思いますよ。しかし、そうしないところにやっぱり我々は何を考えているか。それは、やはりこの地域は安定しなきゃいかぬのだろうと、そのためにこれからも粘り強く交渉していくという、そういう姿勢が大事なんだということです。ただ、問題があれば駄目ですよ、問題があれば。しかし、そういう問題があるという、私はかなりぎりぎりのところまで行っているだろうというふうには認識しておりますけれども、もう少し粘り強く、総体的に見ていきたいと、こういうふうに思っているところです。
#340
○広野ただし君 北朝鮮に対しては太陽政策を取り、そしてイラクに対しては大変な武装解除を迫って締め付けると。このことについては何かそごがあるんじゃないんですか。
#341
○国務大臣(福田康夫君) それは、国によってそれは対応の仕方、考え方というのは違うんだろうと思いますよ。
 そもそも、イラクについて言えば、十二年以上にわたりいろいろ問題があったわけですね。その間に国連決議も十七本出ているんですよ。もし、日本が国連でもって一本でも批判されるようなことを言われたら、日本はそれでへたってしまいますよ。しかし、十七本食らっても、それでもまだしぶとくやっているというところは、これは異常じゃないんでしょうか。そういうことを今後も許しておくということがあれば、正に国連の権威が傷付くというように思っております。
 北朝鮮は、私どもは希望は捨てておりません。北朝鮮の対応いかんでは、我々はこの地域の安定、平和と安定を取り戻すことができるかもしれないという期待をまだ持っているんです。ですから、頑張っているところです。御理解いただきたいと思います。
#342
○広野ただし君 北朝鮮も九二年から核開発をずっとやっているんですよ。プルトニウムでもう核が二つぐらいあるんじゃないかと、こういうことでしょう。そしてまた、ミサイル開発もやっている、武装工作船は来る、拉致はされると、これでいいんですか。防衛庁長官、どうですか。
#343
○国務大臣(石破茂君) 私は、先ほど来申し上げましたように、日本国政府として北朝鮮のそのような行為に対応するようないろんな法制であり運用であり、そういうことの整備を努めてまいったと思っております。
 私は、信頼をしないとは申しません。しかし、過度の幻想とか過度の期待というものを抱くということは事を誤るのだろうと思っています。
 私たちは、きちんとしたそういうようなことに対応ができる、ミサイルについて、日本がそういうようなものを攻撃する能力を持っていないことは御答弁申し上げておるとおりです。だとすれば、日米安保というものを、信頼性というものをきちんと確保するということが大事なのではないでしょうか。そしてまた、有事法制をきちんと作って、被害を最小にするということが大事なのではないでしょうか。
 そういうことをやっていって、だからこそ北朝鮮と外交的に平和な話合いができる。そういうものなくして平和で外交的な解決というものはできない。であればこそ、私どもの政府としては、そういうものに対する対応に万全を期しておると理解をいたしておるところでございます。
#344
○委員長(陣内孝雄君) 時間が参りました。
#345
○広野ただし君 最後に。
 結局、北朝鮮に対しては太陽政策を取り、イラクについては本当にアメリカ追随をする、その時々のですね。日本の外交の原則というものが全くないということを述べて、終わります。
 ありがとうございました。
#346
○委員長(陣内孝雄君) 以上で広野ただし君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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