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2003/04/17 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 農林水産委員会 第7号
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2003/04/17 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第156回国会 農林水産委員会 第7号
平成十五年四月十七日(木曜日)
   午後四時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     信田 邦雄君     直嶋 正行君
     池田 幹幸君     市田 忠義君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     直嶋 正行君     信田 邦雄君
     市田 忠義君     池田 幹幸君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         三浦 一水君
    理 事
                国井 正幸君
                田中 直紀君
                常田 享詳君
                和田ひろ子君
                紙  智子君
    委 員
                岩永 浩美君
                太田 豊秋君
                加治屋義人君
                松山 政司君
                郡司  彰君
                信田 邦雄君
                羽田雄一郎君
                本田 良一君
                日笠 勝之君
                渡辺 孝男君
                池田 幹幸君
                岩本 荘太君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       農林水産大臣   亀井 善之君
   副大臣
       農林水産副大臣  太田 豊秋君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       渡辺 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省総合
       食料局長     西藤 久三君
       農林水産省生産
       局長       須賀田菊仁君
       食糧庁長官    石原  葵君
       水産庁長官    木下 寛之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (食料の安定供給に関する件)
 (農村の振興に関する件)
 (WTO農業交渉に関する件)
 (中山間地域の役割に関する件)
 (有明海ノリ被害と諫早湾干拓事業に関する件
 )
○種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 昨十六日、池田幹幸君が委員を辞任され、その補欠として市田忠義君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(三浦一水君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、食糧庁長官石原葵君及び水産庁長官木下寛之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(三浦一水君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(三浦一水君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次発言願います。
#6
○和田ひろ子君 私は、三月二十五日に大島農林水産大臣に所信に対しての質問をさせていただきました。それからわずか三週間しかたっておりませんが、またその際には前大臣と十分議論できなかったこともありますので、そのことも含めて、改めて亀井大臣に所信的発言に対して御質問をさせていただきます。
 今日は、時間の関係もありますので、大臣がどのようなビジョンをお持ちなのかということをお聞きしたいんですが、私は、食料・農業・農村基本法そして森林・林業基本法、水産基本法が制定をされて、農林水産政策というのは新たな展開を迎え、新たな発想が求められてきたと思っています。
   〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
 しかしながら、新基本法の制定後の農林水産政策の具体的な中身はというふうに見ますと、旧来の農基法の施策の延長ではないのかというような感じがいたしております。市場原理の導入とか、自由化、国際化への対応とか、あるいは財政の効率化の視点というのは新たなものが見られるとしても、多面的機能や食料の安全保障を確保するために本当に必要と思われる新しい発想が行われているんだろうかと大変疑問であります。
 そこで、大臣にお伺いします。
 大臣の御発言の中で、食の安全、安心、米政策改革、WTOの農業交渉など当面する多くの課題に対して、食料・農業・農村基本法、森林・林業基本法、水産基本法に基づいて各般の課題に着実に対応していくというふうに言われております。
 まず、基本的な問題ですが、食料・農業・農村基本法の下で施策の原点、基軸というものは何だと思われますか。そして、食料と農業と農村の間にはどのような位置関係があるというふうに思われておられるか、お尋ねをいたします。
#7
○国務大臣(亀井善之君) 食料・農業・農村、これ、正に人の生命をはぐくみ、あるいはまた健康で充実した生活の基礎となるわけでもあります。また、国土や自然環境の保全、文化を形作る極めて重要な役割を果たすわけでありますし、正に国の土台、このように考えることができるわけであります。
 国家存立の基盤である農林水産業、農山漁村を健全な姿で維持発展させることが我が国において真に豊かな安定した国民生活を保障する、こういうことになるわけであります。
 そこで、一昨年、BSEの問題あるいは食品の表示問題、食と農に関する様々な問題が顕在化している中で、消費者の視点に立った食料・農業・農村政策の再構築、これが急務であるわけでありまして、いわゆる川上から川下、生産、消費双方が共存共栄を図るような社会形成、農村の分野の更なる改革に全力を尽くすということが必要なことであるわけでありまして、このような認識の下に、食料・農業・農村基本法の基本的理念の実現に向けて、二十一世紀の食料・農業・農村づくりに向けて積極的に政策の展開を図ってまいりたいと、こう考えております。
#8
○和田ひろ子君 さきの大臣は所信で、「いのち・循環・共生」の基本的な枠組み作りを国の責務として受け止め、生産、加工、流通、消費を一体的にとらえた食料の在り方、環境の保全を始め多面的機能を十分に発揮できる農林水産業や農山漁村の在り方を常に意識するとともに、食の国際化の中での国民の食料確保に向けた中長期的戦略を持って事に当たってまいる決意であるというふうにすごく決意を述べていただいたんですが、亀井大臣は、国際化の中での国民の食料の確保に向けた中長期的戦略、どのようにお考えになっていますか。また、それを具体的にどんなふうに施策に反映されるおつもりか、お伺いいたします。
#9
○国務大臣(亀井善之君) 国民に対しまして食料を安定的に供給していく、このことは国の基本的なことであるわけであります。
 中長期的に世界を見たときに、人口は現在約六十億、六十一億、このようなことでありますが、今世紀半ばには五割くらい増えるんじゃなかろうかと、八十九億人というようなことが予測をされておるわけであります。一方、耕地面積も人口の増加に見合うほど増加は期待できないわけでありまして、毎年我が国の耕地面積に匹敵する面積が砂漠化している、こういう環境問題が顕在化しておるわけであります。
 このような逼迫する可能性、こういうものがある中で、食料の六割を海外に依存をしております我が国にとりましては、食料の安定供給の確保、これは大変重大なことでありまして、食料・農業・農村基本法に基づき、農業の生産性の向上を促進し、国内農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄等を適切に組み合わせて考えていくことが必要なことではなかろうかと。
 私としては、中長期的な視点に立って、米政策改革を始めとして、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の大宗を担う望ましい農業構造を実現するための農業構造の改革の加速化を図ることが必要じゃなかろうかと。また、こうした改革を推進し、各国の多様な農業が共存し得る国際的な枠組みの構築に向けWTO交渉への対応、これに取り組んでまいりたいと、こう考えております。
#10
○和田ひろ子君 次の質問にもお答えいただいたような気がするんですが、そういう逼迫するというふうに予想されているこういう時代に、国民の食料確保に向けた中長期的な戦略というのは、すなわち食料安全保障を前提にしたものというふうに思っていますから、そのことを亀井さん、大臣にお尋ねしたんですが、半分くらいお答えをいただいたんですが、食料安全保障というのはどういうふうにお考えですか。
#11
○国務大臣(亀井善之君) やはり、我が国の自給率を考えてみますときに、大変今四〇%というような中で、これを四五%の目標を掲げて努力をするなどいろいろの施策を進めるわけでありますが、特に農村、農山漁村、あるいは農林水産業の生産基盤である自然環境の保全、あるいは良好な景観の形成、文化の伝承と、重要な役割を農山漁村、農林水産業の生産基盤が果たしておるわけであります。
 このような中で、農村基本法、あるいは森林・林業基本法、水産基本法と、これにおいても、食料の安定供給の確保と多面的機能の発揮を実現する上で農林水産業の健全な持続的な発展を図るとともに、これらの基盤となる農山漁村の振興を図ることが不可欠であるわけであります。
 このような農林水産業の持続的な発展基盤である農山漁村の維持発展が、国民への食料の安定供給、食料安全保障の基礎を成すものと、このように考えております。
#12
○和田ひろ子君 本当に私は何というか、農政の中長期的な戦略ということでいろいろお尋ねをしますので、きっと、重複するお答えは結構ですし、大臣のお考え、そういうお考えでいいというふうに思っていますが、何しろ中長期的な戦略が食料安全保障を前提にしたものでなければならないと言っていただけるなら、自給率の向上に最大の努力が求められますし、持続可能な農林水産業と農村漁村の維持発展が不可欠だと思っています。今お答えをいただきました。
 特に、農村、農山村の維持発展なしには持続可能な農林水産業の実現にも国民の食料の安定確保にも限界があるというふうに思っています。すなわち、農山漁村の維持発展こそが食料安全保障に極めて重要だというふうに思っています。そのことを、今もお尋ねをしたお答えなんですけれども、この質問に対して大島大臣は、全く同感だ、農村は農業者だけの価値ではない、国土の均衡ある形を作るために美しいという概念を農水省としてももう一度考え直して、来年度の概算要求からそういう施策体系の柱を立てて積極的に立ち向かっていきたいというふうにおっしゃっていただきました。
 亀井大臣はいかがですか。
#13
○国務大臣(亀井善之君) いろいろ農業生産を行う上におきましても、やはりその基盤と、また農山漁村がそれらのいろいろの整備がなされて、そして生産が円滑に行われることが大変重要なことであるわけでありまして、そういう面での基盤整備、またもろもろの集落の形成等々につきましていろいろの予算措置をするなり努力をしていかなければならないと、それがなされなければその目的というものは達成できないと、このように考えております。
#14
○和田ひろ子君 そうであるならば、食料安全保障の確保とか自給率を向上させるための、さらには多面的機能を発揮させるための新たな発想が政策に求められるというふうに思っています。
 食料・農業基本法の下での政策展開の基軸は何にするのか、そこをはっきり言っていくのが大事だというふうに思います。だから先ほど大臣に食料と農業と農村の位置関係を伺ったんですが、基本理念を実現するためには、各局とか各課が満遍なくいろんな事業を行うというんではなくて、何か基軸をきちんと立てて、それにいろんな施策を組み合わせて、それが相乗効果になっていくような政策目標、結局はそれは食料安全保障と自給率の向上というふうになっていくんだと思いますけれども、それを達成していくという循環を作っていくことが結局は、結果的には財政の効率化にもなっていくというふうに私は思います。
 そんな、そういうふうに思いながらも、新基本法が制定され、また食の国際化の時代の中で、将来の日本の農業の方向性を考えていくべきこの重要な時期に施策の基本は旧来どおりである。もっと言えば、九二年型の新政策以降、発想に余り変化がないのではないかというのが大変残念です。大きな違いがないのが本当に残念です、残念なんです。
 将来を見据えた新たな発想がない、そういうことを思えば、具体的に言っていけば、農業を生産性の面から見ることが施策の中心であるような今の政策、規模拡大によってコストだけが、コストの低減だけをやっていくような今の政策、経営の法人化を物すごく言っていくような、偏重しているような今の政策、これが大変残念に思います。
 例えば、「「食」と「農」の再生プラン」の具体的な中身は農業の構造改革の加速化が中心で、育成すべき担い手に施策を集中する、重点化する、そして、そこには小泉さんの構造改革の流れに沿った市場原理の導入とか自由化とか国際化への対応とか、あるいは財政負担を少なくするという財政の効率化だけがその視点の基本となっているように思います。また、それ以外の柱、例えば食の安全と安心の確保と都市と農村の共生・対流も、消費者の信頼回復や農山村の活性化に十分機能するとは必ずしも思えません。
 これで持続可能な農林水産業と農山漁村の維持発展は可能なんでしょうか。そして、自給率の向上や食料安全保障は大丈夫なんでしょうか。私は大きな疑問があります。大臣の新鮮な目で何か視点というか、お答えがあったらお願いをいたします。
#15
○国務大臣(亀井善之君) 食料・農業・農村基本法というもの、これを目指して特にいろいろ農村地域の活性化のために努力をすると同時に、もう一方、国民全体として国民の皆さん方にも日本の農業を御理解いただく、そして、先ほども申し上げましたが、川上から川下、いわゆる消費者のニーズに合ったいろいろの生産体制ができるような形と。これにはやはりいろいろ施策を進めなければ、農村の基盤整備等々、中山間地の問題等々、これいろいろと整備をしていかなければならないわけでもあります。
 是非そういう面で、大変、日本の食料自給率が四〇%、これを何とか四五%にしなければならないと。これは大変難しいいろいろな課題を持っておるわけでありますが、私ども行政といたしましても、農林水産省といたしましても、地域に出向きまして、そして国民の皆さん方に日本の農業全体のいろいろなことを御理解いただくような努力を積み重ね、また学校教育等々におきましても、あるいは消費者の皆さん方にもいろいろの、農業あるいは生産がどう行われているかと、生産物等々に対する是非御理解をいただいて、総合的な形で、食料の安全保障、日本の農業を、農村を、あるいはまた森林あるいは林業、また水産をしっかり守り、また発展させていく努力をいたさなければならないんではなかろうかと、こう思います。
#16
○和田ひろ子君 米政策改革と食糧法改正案も農業の構造改革の加速化という視点で考えられているのではないかというふうに思います。具体的な措置はこれから決めることになりますけれども、米も他の農産物と大差のないものになってしまう。主食の安定確保、米価の安定、備蓄の規模、集落の維持といった観点から見ると、大変不安です。それでいいのかなという気がしますが、いかがでしょうか。
 現在の農政の中では、法人経営への期待が余りにも大き過ぎはしないかというふうに思います。各国の農業いろいろ比較されますが、自然的や経済的や社会的や歴史が違います。このため、我が国の自然条件などの下では内外価格差を解消するためのコスト競争にも限界があるというふうに思います。
 付加価値を高めるための対策、農業生産以外の部門も含めて経営を維持するための政策を、対策を農政の柱に取り込みながら、我が国の自然条件などの特性を生かし、長い時間掛けて維持されてきた地域農業を再生していくという発想が再生プランに求められなければいけないというふうに思っています。その意味では、地域農業の担い手の一つとして法人経営に期待するということは大変必要なんですけれども、家族農業や兼業農家なども含めた多様な担い手の確保に向けた取組も軽んじてはいけないというふうに思っています。
 所得政策への転換なんかも真剣に考えなければいけない時期に来ているというふうに思います。財政が厳しい状況だから無駄をなくすということは大変大切ですが、国民の食料を確保するということは国の責務ですから、そして安全保障ということは危機管理ですから、危機管理を、必要な財政負担を無駄と言ってしまえば何にもならないというふうに思います。
 危機管理は、危機が来なかったら、これだけのものを準備したけれども必要なかった、必要ないのは、それが危機管理、何も必要なかったという点で大変いいことだ、通常の備えに要した費用とは比べものにならないというふうに思います。このことはBSEでも明らかだったと思いますが、予算が単年度だから、そのときそのときの費用が掛からなければいいという考え方ではなくて、非常事態が起きたときに必要な予算を使えばいいというふうに考えるのであれば、それは安全保障でも何でもないというふうに思っています。
 自給率を上げる、食料安全保障が農林水産政策の原点ということを考えれば、農村の活性化は基軸にしていかなければいけないし、危機管理を、そして国民の食料を本当に危機と考えて施策に反映していかなければいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#17
○国務大臣(亀井善之君) 日本の農村また日本の農業経営と、大変地理的にも大規模でできる、ヨーロッパやアメリカ等々のような大規模でできるには限界があるわけであります。小農業あるいはまた中農業、また非常に複雑な地形の中でいろいろ進めていかなければならない限界があるわけでもあります。そういう中で、いろいろ、集落で共同していろいろなことを進めていただくなど、そういう知恵を、また私ども行政の立場におきましても、いろいろのお手伝いをしてそれらの農業生産が行われるような、そういう努力をお互いにしていかなければならないわけであります。
 そういう中で、生産の面でも、やはり米の生産につきましてもいろいろ努力をされ、ただしかし、現実に米につきましては、消費量がもう近年大変少なくなってきておるわけでありまして、私どもの子供のころは、百キロや百二十キロくらい、またかつては一石を消費したと、こういう時代があるわけでありますけれども、今日六十数キロと、こういうような現実であるわけであります。
   〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕
 そういう中で、やはりまた時代が変わり、消費者のニーズも変わってきておるわけでありまして、消費者とそして生産者がいろいろの情報を共有し、そして消費者のニーズに合った生産というものを一方ではしていただく時代に入ってきておるわけであります。
 また、万々一、不作等々の問題もあるわけでございまして、そのときにどう対応するかと。また、安全保障、食料の安全保障と、こういう面でもやはり是非私ども努力をし、農家の皆さん方もそのような視点に立って食料の生産と、またいろいろの情報を提供し、安心して農業生産ができるような、そのような努力を予算措置等々につきましてもし、そして食料が生産され、そして食料の安全保障と、こういうものが確立できるような地道な努力をしていかなければならないんではなかろうかと、こう思います。
#18
○和田ひろ子君 農地と担い手の確保というのが大変重要な課題なんですが、大臣は、若い担い手というか、特に若い後継者の人が農村に残らないのは何でだと思われますか。将来に夢が持てないんですね。耕作放棄地が拡大しているのは何でだというふうに思いますか。そこに生活ができないからなんです、農家では、農業では。農地の確保と担い手の確保というのは、農村地域の活性化、すなわち元気のある農村と農家を作っていくことなんですけれども、それが持続可能な農林水産業と農山漁村の維持発展というのが可能にすることだというふうに思いますが、どういうふうに思われますか。
 農産物価格の低迷や厳しいWTOの交渉の現状を考えていくと、特に条件不利地域で耕作放棄地を借りて経営を拡大していくなんということは考えにくいんですよね。中山間地の直接支払でも限界があります。むしろ、その地域の自然などの資源を生かした地域の活性化を図りながら経営を維持していく中で、将来に明るい展望が持てるような政策、そしてその結果、耕作放棄地の解消と若い担い手が増えるなんということもあるのではないかというふうに思っているんですが、大臣の新鮮なアイデアはありますか。
#19
○国務大臣(亀井善之君) なかなか新鮮なアイデア、非常に難しいことであります。是非、意欲と能力のある若い人たちが是非農業をやっていただきたいと。
 私の周辺も都市化が進み、正直申し上げて、私が生まれたころは水田地帯であったわけでありますが、現実に、今、私のもう年まで、年以下の者が農業をやっておるというようなことはないわけであります。まあしかし、少し離れたところで施設園芸ですとかあるいは酪農あるいは養豚と、大変規模を努力をし、拡大をし、あるいは施設園芸につきましても、水耕栽培等々の経営をして農業をやっております姿を見ますときに、彼らは大変努力をしておりますと同時に、やはり将来の、花の、花卉栽培等につきましても先進的な技術を導入してやっております。それを見ますと、同じ世代の人たちも、彼らが大変元気に農業をやっております、ごく例外かもしれませんけれども、そういうことを承知をいたしております。
 何とか将来に向けて夢を持って農業に取り組んでいただくいろいろの環境条件を整えていかなければならないんではなかろうかと、こう思っております。農業という職業が、自分の能力の発揮あるいは所得の確保の面から、魅力とやりがいのある、実感できるものというような感じを受けていただけるような施策を私ども行政としても努力をしていかなければならないと、こう思います。
#20
○和田ひろ子君 先日も大島大臣にフランスのDJAのようなことをお尋ねをしたんですが、本当に日本の国が若い就農者を育成する、その人たちが立っていけるようにするというのなら本当にきちんとした政策こそ必要だというふうに思います。
 大島大臣に、このことに関して農村民泊ということをこの間大島さんにもお尋ねをしましたが、それは、素材生産による経営の維持発展ということも大事ですけれども、素材生産からその素材を生かした付加価値を高めるための加工部門まで行う経営に打って出られるような施策を、農村の重要な施策の一つとしてもっと積極的に展開すべきというふうに思ったからお伺いしました。これは、国内総生産に占める農業の生産額と食品関連製造業の生産額からも明らかではないかというふうに思っています。
 亀井大臣の発言の中で、農村漁村政策について、農村資源の観光活用を図りつつ都市と農村漁村のつながりの強化を進めていくという御発言がありました。これは大島大臣の所信にはなかったというふうに思っています。私もグリーンツーリズムを進める上で、農村の生活環境の整備やe―むらづくりも必要だと思っています。そのようなニーズは農村の人にも農村を訪れる都市部の人にも大変必要だというふうに思っています。農村の良さを、農家の良さをありのままに生かすことを求めている農村の人もいると思いますし、それを期待している都会の人もおります。
 私も県会議員のときに、ドイツの民泊行ってきましたけれども、余り規制もなくて簡単に農家の奥さんが中心になって宿泊客の世話をしたり、御主人の作った作物を使った料理でおもてなしを受けたというような記憶があります。私の町の会津坂下町でもそういう取組をしているけれども、余り規制の大きさにみんなびっくりしています。先日もネックは何と言ったら、消防法とか一人に対する平米数とかそういういろんな規制があるというふうに聞きましたけれども、そういうのではなくてありのままがいいんだというふうに思います。それが口コミやちょっとした公的な支援で情報を得た人が村を訪ねたり、そしてリピーターが多く、毎年あるいは各シーズンごとに訪れる客が多くなるというふうに思っています。
 しかし、日本の農村民泊をやっていく人たちのネックが余りにも多いんですが、それは所管が国土交通省とか消防庁とか、そういうふうになるんですが、外国との余りの違いの、規制の違いというよりは農林省が支援しにくい何かがあるんでしょうか、ちょっと大臣は、お答えいただけますか。
#21
○国務大臣(亀井善之君) 都市と農山漁村との共生・対流、こういう中で農家民宿とグリーンツーリズムのことを積極的に進めていく必要が私はあると思っております。是非このことにつきましては、一つは関係七省の副大臣プロジェクトチームで農山漁村を舞台とした新しいライフスタイルを提案と、こういう面でいろいろ努力をされているところもございます。是非いろいろ、日本は観光資源に恵まれ、かつての観光という面では温泉地であるとかいろいろな施設というようなところに今までは来ておる面があろうかと思います。しかし、自然環境ですとか、すばらしい緑に恵まれたいろんな場所があるわけでありまして、余暇活動を通じてそういう場所に新しい時代の観光と、こういう面で目を向けていただき、出向いていただければと、こういう願いを持っておるわけであります。
 そういう中で、農家民宿につきましてはいろいろ国土交通省あるいは厚生労働省の関連やらあろうかと思いますが、是非そういうものもできるだけ規制の緩和をして、そして都市の方々が農家の民宿が安易に利用できるようないろんな手だてをしなければならないと思いますし、そういう面で旅館業法、あるいはまたいろいろ地元でできる果物からワインをお造りになるとかいろいろお知恵をお持ちでございます。食品の問題もあります。そういう面では、酒税法の改正の問題とかあるいはいろいろ道路運送法等の問題、車の問題等々があろうかと思います。これらのことの運用改善、改善を図って是非農村資源の観光活用を図り、グリーンツーリズムの推進に積極的に努力をしてまいりたいと。そして、国民の皆さん方に農業の、農村を理解をしていただき、あるいはまた生産というものにつきまして理解をしていただくことが必要なことじゃなかろうかと、こう思います。
#22
○和田ひろ子君 担い手に施策を集中する、担い手に農地を集積するということは、農産物のコスト競争を前提にしているものですから、これというのは限界があるというふうに私は思います。
 私は、農村民泊も農業と農村に希望を持って若者が地域で生活していくための環境整備の一つとして必要であると思いますし、これがひいては条件不利地域等において持続可能な農林水産業と農山漁村の維持発展につながるというふうに思います。発想を変えていかないとなかなか大変なものだというふうに思います。
 農業だけでは生活できない小規模の農家であっても、その若い後継者がその農地を生かして地域で生活できるような環境づくりをする、素材生産だけでは生活できないけれども、付加価値を高めて生活できるような所得を得ることの環境づくりをしていく、農山漁村の活性化、耕作放棄地の解消、担い手の確保にとって極めて大事だと思います。
 例えば農山漁村の自然を生かして若い後継者が農村民泊をやり、自ら生産した地域の素材、そういうものを加工を含めて宿泊客にごちそうする、そしてその需要を拡大してその需要に応じた必要な生産規模を拡大する。地域の農家と契約栽培したり、耕作放棄地を利用、活用して生産拡大していくというようなことがあるんですが、大臣に私提言なんですけれども、例えば閣議なんというのがあるときに農林省が、今、日本の国をリードするのは農林省だというふうに思います。
 是非頑張っていただきたいのは、例えば、農村民泊なんかを大きな企業と組んだ例えば一つの町村がその企業の保養地になり得るような、そういうことをしていくとか、それは厚生省が言っている国民健康保険とか、例えば病気になってからの健康保険ではなくて病気以前の健康保険というかそういうものに使われるようにするとか、あとは労働省のワークシェアリングなんと言ってはちょっと僣越なんですけれども、休みを多く取ってリフレッシュをしていただく、そういう企業、何というか少し体を休めていただく、そういうことが、例えば年次休暇というのですか、ああいうものを全部使っていけば新しい雇用の創出にもなるはずだし、それがひいてはその方の健康のためでもあるし、それが大きくは、術後の大きな負担になるような健康保険のお金の増大をも防げるんではないかというふうに思うんですよ。
 そういう意味で、こういう農家民泊なんて簡単に農林省だけで考えるんではなくて、国の大きな施策として、ドイツの大臣が言われたように、休暇は農家で過ごそうみたいなことを是非大臣の方から言って、リードしていっていただければいいなという思いがするんですが、いかがですか。
#23
○国務大臣(亀井善之君) 御指摘のお話、全く私もそのとおり共感をいたします。いろいろ農業政策の中で今のお話等、是非進めていきたいと、こう思います。
 大変、各市町村であるとかあるいは会社等でも地方に保養所とか契約の施設等々をお持ちになっております。そういう面で、今まではただその宿泊の施設だけだったんではなかろうかなと、こう思います。
 そこで、そういうところと大変都市近郊でも、あるいはそのほかのところでも市民農園ですとかいろいろのが今普及しておりますし、是非そういう地域で、いわゆる地域、地方のそういう場所でその民宿なりあるいは契約の施設等が、農家の皆さん方といろいろコミュニケーションを図っていただいて、そしてそこにお越しになる方々が体験をしていただくなり、あるいは市民農園的なものに参画をしていただいて、その地域での特産と申しますか、そういうものを生産していただくなり、あるいはまた加工していただくなど、そういう触れ合いが大変必要なことではなかろうかと、こう思います。
 是非、そういう面でこの農家民宿、グリーンツーリズムの問題等々の中でいろいろ幅広く考えてやっていきたいと、こう思います。
#24
○和田ひろ子君 私がドイツで農家民泊したところは、子供たちが馬に乗る経験ができるというので、子供たちが大変喜んで馬に乗っていたんですが、そういうことを思えば子供も大人もリフレッシュするような、そんな施策を是非実現していただきたいというふうに思います。
 いつもそうですけれども、農林省は最近、消費者に軸足を置いた施策の展開ということをよく言われます。そこに消費者は食材、農産物を食するものというふうに位置付けられているような気がします。従来、食の安全とか安心とかいう視点を忘れてきたことを指摘されて、食や農政に対する信頼を取り戻すために消費者第一主義というか、それが強調され、そして食の安全というのができるのは当然だし、それは絶対に必要だというふうに思います。
 しかし、食料・農業・農村基本法が求めている機能は、こればかりではないんではないでしょうか。国土の保全とか維持なんかも含めて多面的機能に対峙する消費者は、食生活の面での消費者、多面的機能の恩恵を受ける人もすなわち国民であり消費者なんですよね。だから、食の、消費者に軸足を置く農業というのと多面的機能を保持する農業というのは同じなんですね、実は。多面的機能を享受するのはみんな国民なんですから、国民が消費者なんですから、だから軸足が変わったんでも何でもないというふうに私思うんですね。
 それを今度、消費者に軸足を変えたというのは本当変な感じなんで、そこをちょっと、食の安全とか安心に限ったことではなくて、食料・農業・農村の有する機能に対する国民のニーズに的確にこたえていくということも、消費者に軸足を置くということになるんではないかというふうに思います。
 どうですか、大臣は、そういうふうに思われませんか。
#25
○国務大臣(亀井善之君) 今の御意見、そのように受け止めます。
 また、あわせて、私自身、かつて米の流通に関係をしておりまして、なかなか末端で消費者の皆さん方の御意向に沿うようなお米を販売することのできなかった厳しさというものを持っておるわけでありまして、そういう面でいろいろ農業を知り、農業の多面的ないろいろな問題をお互いに理解をし合っていくことは大変重要なことでありますし、農業全体が、また食料全体がそういう中で生産され、また消費されると、そういう日本の置かれております、また農村地域のその農業の多面的な機能と、こういうものを理解した上で生産、消費というものが行われるということが、どちらに軸足を置くというようなことよりも、全く同じような枠の中、円の中で行われるということが必要なことではなかろうかと、こう思います。
#26
○委員長(三浦一水君) 和田アキ子君。失礼しました。和田ひろ子君。
#27
○和田ひろ子君 済みません、黙って許します。
 正にそうなんですね。のではなくではなくて、と同時になんですね。大臣は、ではなくではなくて同時にだと思います。安全な食料、軸足を置くとか変えるとかというんではなくて、全部それは消費者であり国民であるということなんですから、そういうことをきちんと踏まえていただきたい。消費者に軸足を置いた施策の展開ということの範疇に入っていくんだというふうに思います。それが農林水産業に対するいろんな意味での社会的負担を可能にするということだと思います。その視点が不足していると思いますので、そのことをどうぞきちんと留めておいていただきたいというふうに思います。
 何回も同じことを言っていますけれども、農地の確保一つに取ってみても、人口の増加や経済成長に伴う農用地の他用途への転用によって大量の農地が失われるのに加え、条件不利地域等において耕作放棄地は拡大しております。その一方で、耕地拡大の可能性は今や限られたものであって、自然環境の保全のために抑制されなければならないというような状況にあります。農業生産の基礎となる耕地の開発は人類あるいは民族の数千年、営々とした努力の蓄積ですから、食料自給をわずか十年や二十年の、そういう問題ではないというふうに思います。
 農業の多面的機能を発揮させて、耕作の放棄を防止して農地を確保する上からも、今後の農林水産業の基本、軸足は所得政策に移すという、この軸足を移すというのは、所得政策に移すというところで軸足を是非移していただきたいんです。あるいは付加価値を高めるための加工部門まで行う経営に打って出られるような施策、農山漁村の自然の資源を活用して経営を維持発展できるように政策を移す、そのような大胆な投資が農山漁村の活性化ができ、維持発展につながるというふうに思います。持続可能な農林水産業と食の安定供給、自給率の向上もそれだから期待できるというふうに思いますが、その所得政策、どうぞ大臣のお答えをお願いいたします。
 これで質問を終わります。
#28
○国務大臣(亀井善之君) 多面的機能を発揮し、農業の持続的な発展と農村の振興を図るための各種の施策を講じていきたいと、このように考えております。また、農業者の所得を直接補償するという措置につきましては、いろいろこれ検討しなければならない問題と、このように考えております。
#29
○委員長(三浦一水君) よろしいですか。
#30
○和田ひろ子君 よろしくないんですけれども終わります。
#31
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。私は、WTOの交渉をめぐって、農業交渉をめぐってお聞きしたいと思います。
 それで、大島前大臣のときにも質問したんですけれども、日本としてはEUの提案、関税率ですね、最低で一五%、それで平均で三六%、この引下げについては支持するというふうに述べました。日本農業に影響がないとは言わないけれども、しかし維持できる範囲だということをお答えになりました。それで、私は、そのときに、北海道の畑作、それから畜産、これの具体的な指標も示しながら、それでも厳しいという話をいたしました。
 それで、日本の農産物にどういう影響があるのか。EUの関税率支持と言ったわけですけれども、その前に、そういう、どういう影響があるのかということを一つ一つの農産物に対して検討し分析をされていたのかどうか。まずそのことをお聞きしたいと思います。
#32
○政府参考人(西藤久三君) 先生、今、お話がありましたように、私ども、EU提案を支持するという形で表明をいたしております。EU提案、御案内のとおり、国内支持、あるいは関税につきまして、関税、平均三六%、品目別で最低一五%の数値ということで提案されている状況にございます。正に品目ごとの柔軟性が発揮されるという提案でございます。
 具体的に品目でどうかという御指摘のあれでございますが、最低一五%の削減、これは品目別に当然行う必要がありますが、私ども、この水準であれば各作物とも国内生産に特段の悪影響を及ぼすものはない、ものではないというふうに考えております。
 また、平均三六%という水準は正に平均でございまして、ウルグアイ・ラウンド合意により関税化し、現在、先生この間御指摘があったような、高い水準の関税を設定している品目も含めたあらゆる農産物についての削減率を単純平均して算出されるものであることでございますので、各品目についてそのまま適用されるものではないという状況でございます。
 いずれにしましても、私ども、我が国にとって重要品目について見た場合、輸入に、輸入が大幅に増加する可能性は現行同様、現行でも高い関税を引いているものについて二次税率で輸入が大きく出るというような状況ございませんが、現行と同様、ほとんどないものというふうに考えております。
#33
○紙智子君 ほとんどその影響がないという話されるんですけれども、前回も私申し上げましたけれども、関税率で三六%削減の場合、でん粉、それから小豆ですね、これは輸入品とほぼ同じ価格か安くなるということですね。それで、一五%削減という場合でも、その価格差というのは一〇%から二〇%、まだ、国産の方がまだ少しは下回っているということなんですけれども、その差がそういう、狭まっているわけですよね。もしこれが、関税が従価税になって、為替変動や価格安で見た場合に、この程度の一〇%から二〇%という差というのは簡単にこれはひっくり返ってしまうということがあるわけですけれども、そういうことなんかも検討されているのかということもあるんですね。
 そして、もう一つ更に言いますと、平均で三六%という話されているんですね。平均で三六%にするためには、それ以上の引下げをやらなきゃならない品目が出てくると。その産品を何に割り当てるのかということもあるわけです。その場合にどういう影響が出てくるのかということを分析検討しているのかということですね。これ前回も、全部で千七百七十二品目あって、それで既に一五%以下で今までやってきている品目というのは六割なんですよね。だから、それ以外のところでどこでそれを調整して、平均にするために、もちろん六〇%だとかもっと高いところもあるかもしれないですけれども、そういうことで調整しようというわけですけれども、それをどこで割り当ててやるのか、その場合に出てくる影響というのは一体どうなのかということは分析や検討はされているんでしょうか。
#34
○政府参考人(西藤久三君) 関税水準について、ウルグアイ・ラウンド方式で平均で三六%、品目別最低で一五%。先生御指摘のとおり、一五%という数字は正に品目別に行う必要があるわけでございますが、三六%という数字は言わば各品目の削減率を単純平均したものでございます。
 そういう点で、具体的な品目をどれをどうという形で私申し上げる準備はいたしておりませんが、先生御指摘のとおり、一方で一五%未満の既に低い関税のものが相当程度ございます。仮にの話でございますが、現在三%の関税を適用している品目について、仮にその関税率を一・五%にするということになれば正にこれは五〇%の縮減でございまして、そういう五〇%の縮減というものと最低の一五%というものを単純に平均することによって三六%の水準を確保する、そういう性格のものでございますので、私ども、先ほど申しましたように、我が国にとって重要品目について見た場合、正にその最低一五%という水準の必要性はありますが、現行とほぼ、大きな影響はないものというふうに見ているわけでございます。
#35
○紙智子君 従価税になって、為替の変動なんかも含めて検討されたんですか。
#36
○政府参考人(西藤久三君) 関税化品目のかなりのものは従量税の状況にございます。
#37
○紙智子君 今も。
#38
○政府参考人(西藤久三君) 現状において。
 私ども、議長の一次案及びその改訂案そのものについてが交渉のベースとしてなり得ないというふうに考えておりますが、議長案においてもそこのところについては今後の検討課題という形で整理をしているというふうに理解をいたしております。
#39
○紙智子君 あと、前回、九五年のときに、結局ウルグアイ・ラウンドの合意をやって、九五年から二〇〇〇年、その引下げをやったわけですけれども、それで一体どうだったのかというのも見なくちゃいけないと思うんですね。
 それで、平均以上引き下げたものの輸入がどうだったのかということを検証して、その上で三六%以上下げた場合の影響を検討するというふうに見たときに、例えば野菜ですと、野菜は平均三六%下げたわけです。それで、この十年間に約、野菜は二倍に輸入が増えました。背景に関税率の引下げが一つの要因になっているということも否定できないと思うんですね。それから、酪農に関係しますけれども、ナチュラルチーズですね、ナチュラルチーズ、これも平均三六%下げたわけですけれども、平成七年の約十五万三千トンから十九万六千トンに輸入が増えていると。それからココア調製品、これも同じようなことがあるわけですけれども、こういう輸入の増加の要因になっているということは否定できないというふうに思うんですね。
 だから、こういう影響がどうなるかということをそれこそ検討した上で、まあEU提案の関税率支持すると言ったわけですけれども、こういうことを検討した上で、いや大したことないというふうに言われているのか、そこはどうなんですか。
#40
○政府参考人(西藤久三君) 正に、現在の私ども支持をいたしておりますEU提案、平均三六%、最低一五%という水準は、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施過程で私ども六年を掛けて実行してきた状況のものでございます。
 その中で、先生例示的に御指摘がありました野菜の輸入量、野菜の輸入という点で見ますと、この間の野菜の輸入の増加を示している状況というのはそのとおりだと、一部そういう状況のあるのはそのとおりだと思いますが、一方、この野菜の関税水準そのものは、先生御案内のとおり、ほとんどが一割台という状況でございます。むしろ、その輸入増加の要因という状況では、私ども、この間の品質管理技術なり輸送技術なり情報技術の進歩、対外的なものにはそういうこと、国内の需要に対応した供給対応という点での問題点だったかというふうに思っております。そういう点で、昨年来、そういう多様な野菜需要に対しても変化が見られる中で、いかに国内供給を対応していくかということで制度も見直しをさせていただきましたし、支援措置についても充実強化してきている。
 国際化の方向ということは、私どもそのこと自体を否定できる状況ではないと、そういう中で私ども、いかに国内の供給力を高めていくかということが課題であるというふうに思っております。
#41
○紙智子君 国内の供給を高める対策という話されるわけですけれども、しかし実際には輸入が増えて物が入ってきて、それによって価格も下がって頭打ちになるという事態があるわけですし、それからやっぱり入ってくると余ったりして売れないという状況が出てくるわけですよね。やっぱり大きなダメージを受けているわけですよ。
 国内対策ということで、ウルグアイ・ラウンドを受け入れて、ウルグアイ・ラウンド対策ということで六兆一千億円ですか、という対策費盛ったわけですけれども、これなんかも私、生産現場歩きますと、結局一体役に立ったのかどうかと。そうすると、本当に箱物といいますか、米の施設だとかそういうのを造ったというのはありますけれども、しかし生産者といいますか農家の方にとっては、この対策でもって六兆円も超えるようなお金使っているけれども、もう農家にとっては何の実入りもなかったという話がされるわけですよね。
 政府は盛んに、そういうふうに受入れをして、国際社会の中ではそれを受け入れなきゃならないという話をするわけだけれども、一方で構造改革というふうに言うわけですけれどもね。
 それで、じゃ改革をして関税が引き下がったらそれに対応できるようになるのかと、見合うようなコストの軽減ができるのかということになれば、これ一五%だ、三六%だということで関税率が引き下げられたとして、並行して経費がそうなればいいですよ。だけれども、実態はどうかというと、その農家の生産費で見ますと、これはそんな下げられているわけじゃないわけですから、だから、いつも出てくる声というのは、じゃ機械の、資材というんですかね、資材費はもっと安くなるのかと、じゃ機械はもっと安くなるのかと。それは安くなるどころかむしろ高くなるような状況がある中で、経費そのものは節減できないということですから、こういうやっぱり実際に国際競争で勝てるような状況を作っていくということでコスト削減というわけですけれども、現場ではそれがなかなかならないということがあるわけですよ。
 だから私は、この一五%、三六%に、引下げに合わせて、それがやっぱり影響がないという形でもって、これ以上のやっぱり生産者に対しての負担を掛けていくというのは、本当に非常に十分な検討がされない中でやられているんじゃないかというふうに言わざるを得ないんですね。こういう十分な考慮をせずにEU案を支持するというのは、性急だったんじゃないかというふうに思うわけです。幾らフレンズ国ということで、対抗しなきゃいけないということでそういう経過ということがあるかもしれないですけれども、それにしても、その中身について支持するというふうに言ったのは性急ではなかったかというふうに思うんですね。
 元々、日本提案でも、昨年の十一月にこのモダリティー案、数字は出せなかったわけですよね、日本提案そのものが。それから、EUもそうだったと思うんですよ。それで、一月になって初めて出てきたわけですけれども、なぜその数字出せないで来ていたかといえば、やっぱり関税の引下げをどういう方式でやるのかと、どういう方式でやるのかということをまず決めてからでなければ数字の話はできないということだったと思うんですね。つまり、数字ではなくて方式、ルールを優先するということで来たと思うんですよ。当然のことだと思うんですね。
 そこがやっぱり食い違ってきたわけですから、だから、やっぱり今回合意できなかったということを、むしろ日本の側のこの主張だとか理解を広げていく上で、この後、まあ九月ということも言われているわけですけれども、それを本当に好機ととらえて、やっぱりEU案の関税率の支持にこだわらず、市場アクセスの在り方の基本的なルール、ここのところをやり直していくということが私は筋じゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、この点についていかがでしょうか。
#42
○国務大臣(亀井善之君) 三月末のジュネーブでの特別会合でモダリティーが確立できなかった。その後、これはそれぞれ、今局長からもお話がありましたとおり、いろいろの交渉をしてきたわけであります。しかし、アメリカやケアンズ諸国の大幅、画一的な要求と、この溝が、我が国あるいはEUと、いろいろ今説明をいたしましたが、大変溝が深かったわけでありまして、今日このような状況にあるわけであります。
 これから、それぞれ加盟国とも、モダリティーを確立すると、こういうことについては共通の認識を持っておるわけでありますが、技術的な検討等々、いろいろ各国ともこういう状況にあるわけでありますし、各国ともいろいろ連携を取りながら九月に向かって頑張ってまいりたいと、こう思っております。
 御指摘のように、いろいろ難しい課題があるわけでありますから、十分この機会に、私どもとしても、我が国としても更にいろいろ考えていくことは必要なことではなかろうかと、こう思います。
#43
○紙智子君 やっぱり食い違いというのは哲学の違いもあるわけじゃないですか。日本みたいに農業というのは多面的ないろんな機能を持っているんだと、そういうことを主張する一方で、逆の見方というのは、結局、工業製品であろうと農業製品であろうと、もう関係なく一律に関税を上げていくということですから、掛けていくということですから、そういうやっぱり違いがある中で、本当にそこの主張を理解を得るということでの努力を真剣にやっぱりやっていく必要があるんだと思いますし、私は、WTO協定において、日本のように特に自給率が、食料自給率が低い国にあってはその引上げができるように、食料自給率の引上げができるように、国境措置や国内の農業施策についての国の裁量権がやっぱり保障されると、国際的にも保障されて、食料主権が本当に確立されるということが大事だと思うんです。
 そのことについては、例えばNGOだとか農業団体の中でも主張されている中身だと思うんですけれども、この点、どうですか。
#44
○政府参考人(西藤久三君) 現在のWTO農業交渉、農業協定二十条及びドーハの閣僚宣言に基づいているわけでございますが、正に位置付けは改革過程の継続という中での位置付けだというふうに私ども理解をいたしますし、加盟国全体の共通認識だというふうに思っております。
 先ほど来、非貿易的関心事項への対応あるいは関税引下げ方式についての連携という御指摘もございます。私ども、非貿易的関心事項に関心を有するフレンズ国六か国が核になりながら、昨年ローマでは私どもが主催して閣僚会議を開催する、あるいは今回の、今次のモダリティー確立に当たっても、関税引下げ方式についてウルグアイ・ラウンド方式、品目ごとの柔軟性を確保できるウルグアイ・ラウンド方式を支持をする国の連携に努めております。これも六十か国、EUを含めますと七十五か国という支持を得る努力をいたしてきております。
 今後も、交渉事でございます、我々と連携できる国々と連携を強化し、そういう強化の中で、連携を強化する中で、輸出国について現実的な対応を求めていくという粘り強い取組をしていくべきだろうというふうに思っております。
#45
○紙智子君 食料主権という問題は私は非常に大事だというふうに思うんですけれども、我が国は食料自給率を、今四〇%ですけれども、四五%まで引き上げていくという計画なわけですけれども、そのためには国内生産を拡大できる施策というのをやらなきゃいけない。そして、輸入が増え過ぎればそれを抑えられるような、そういう国の判断で、我が国の判断で取り組めるようにしなきゃいけないというふうに思うんです。正に食料主権の確立ということが不可欠だと思いますし、交渉の中でもそのことをきちっと位置付けるべきだというふうに思うんですね。
 米について言えば、我が党は以前からこれは自由化の対象から外すように主張してきました。それは、やっぱり日本の場合でいうと、国土が狭いし、そして小規模な耕地が多いし、そしてその一方では資材の物価が高いと、それから人件費も高いと。だから、とても、国際競争力ということでいえば、これはもう初めから勝負が見えているということがあちこち歩いたときには必ず出てくるわけで、スタートからだから違うと。そんな広い耕地を持って人件費も安いところと勝負しても、これはもう本当に大変だという話が出たわけですけれども、しかしそういう中でも、お米について言えば、日本の国民の主食ですよね、主食であり、そして農業の基幹作物だというふうに思うんです、米の位置付けというのは。やはり国土環境の保全に掛け替えのない役割も果たしているということもあるわけで、政府がやっぱり、今、各国それぞれの持っている特有の条件や歴史的な文化的な背景に基づいて多様な農業を共存させていくということであれば、本当に今からでも、私は、米の自由化をこれ対象から外す、それからミニマムアクセスについてはこれを廃止するということを堂々として主張していいんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。
#46
○国務大臣(亀井善之君) このミニマムアクセス米の廃止の問題につきましても、これ、ウルグアイ・ラウンド交渉全体のパッケージの一つとして、従来輸入がほとんどなかった品目について最小限の市場参入機会を与える観点から、全加盟国の合意の下に導入されたことでもあります。今次の交渉は、農業協定上、改革過程の継続のための交渉と、こう位置付けられていることから、加盟国の合意を得ることは極めて残念なことではなかろうかと。
 WTO交渉における米の取扱いにつきましては、米や水田農業の重要性を踏まえて、米の需給と価格の安定に支障の及ぼさないような従来の総合的な国境措置、輸入管理体制を維持することを基本として、米の輸出入国間の権利義務のバランスの保持や、あるいは品目ごとの柔軟性の確保、あるいは最新の消費量を勘案した基準の見直し、あるいは特例を関税化した場合の加重アクセス数量の解消を主張しているわけでもありまして、我が国の主張がモダリティーに反映されるよう引き続き努力をしてまいらなければならないと、こう思っております。
#47
○紙智子君 アメリカの研究者の方でジェームズ・シンプソンさんという龍谷大学の教授の方、この方も、日本のやるべきことということで幾つか挙げているんですけれども、その中で、関税の大幅削減が行われないことと併せて、米と酪農製品は例外産品とする、それから食料自給率が低い国には例外を認めるようにルールを変更するということを挙げて、世界に日本はその支持を訴えるということをやるべきだと。それで、東南アジアの諸国の農業と日本の農業というのは類似性があるというふうにも言っているんですね。だから、実際に表面上でいえば、農業をそういう同じような、ほかと同じような扱いでやるということから外して、外せということを言えば、これはすごい長い苦戦のように見えるかもしれないけれども、しかし表面に現れないところで、実はそういう日本の主張に対しても支持するところが広がっていく可能性はあるんだということを言っているわけですよね。だから、むしろ日本の国がそういうことを積極的にやっていくべきだということを主張されているんですよ。
 それで、やはり今回モダリティー確立ならずという事態になった、こういう今の新しい局面で、こういうふうな識者の方や、それから世界の世論を受けて、このWTOを食料主権の立場から見直し、改正していくというふうに粘り強く働き掛けを行っていただきたいということを言いたいと思うんです。
 ちょっと時間が押してきているので、国際的には多様な農業の共存ということを言っているんだけれども、じゃ国内でどうかということについてお聞きしたいと思うんです。
 大臣は、米政策の改革、農業の構造改革を強調し、担い手が大宗を占める生産構造の確立、それから効率的、安定的な農業経営が農業生産の大宗を担う農業構造実現を目指すというふうに言っているんですね。しかし、我が国の農村社会の伝統や歴史を反映して様々な規模や形態の農業が存立していると。国際的に多様な農業の存立、存続ということを言うのであれば、国内的にもそういうことがやらなければ説得力がないというふうに思うんですよ。
 それで、大規模化や企業的経営に集中していく、施策を集中するという話があるんですけれども、担い手にとってもそのことが本当に期待が持てるのかどうかということについても、私はこれまでも委員会の中で度々紹介してきているんですけれども、生産性の高い、規模の大きな農業ということでいいますと、私の出身地でもあります北海道なんかはその見本みたいな形でずっとやってきたわけです。
 それで、酪農でいうと、規模で既にEUの参加している多くの国を上回っている状況があると。しかし、規模拡大、それから機械化でコスト削減ということをやってきたけれども、価格はどんどん下がって、費用も拡大して、借金が増えていると。
 前回も紹介したんですけれども、北海道の調査で、平成十年、元利金の返済ができる農家というのは、これはA階層というふうに位置付けられているんですけれども、こういう階層が六一・五%なんです。あと四割近くというのは十分に返済できないで借金だけ増えるというようになっている。それから、生活費も出ない、借金の返済どころか生活費も出ないという農家というのはD階層となっているんですけれども、ここが七・三%なんですよ。北海道の調査ですよ。
 それで、十年前と比較しても本当にこのD階層というのは、当時は一%ぐらいでしたから、本当に増えてきているという状況になっているわけです。コスト軽減というのはぎりぎりまで機械を入れて今までやってきているわけで、こういう経営に対して、構造改革で具体的に収入、所得が増える見通しがあるのかということなんですね。
 この点、いかがでしょうか。
#48
○国務大臣(亀井善之君) いろいろの厳しい状況、現実に担い手が少なくなってきている。しかし、是非、いろいろの施策、今度、米政策の改革に際しましていわゆる経営安定対策あるいは面積の問題等々もいろいろ検討していくわけであります。
 そういう中で、厳しい状況下にあるわけでありますが、是非いろいろの施策を活用していただき、そして規模の拡大と生産性の上がる経営と、こういう努力をしていただくような努力を私どもしてまいりたいと、こう思っております。
#49
○紙智子君 いろいろなことを対策取るということで経営安定対策とかということも言われているんですけれども、やっぱり保険方式でやる場合に、農家が結局負担をしなきゃならないですね。もうただでさえ厳しいわけですけれども、負担をしなきゃいけない部分もあると。しかし、補償は八割というようなことがあるわけです。
 それから一方では、米政策改革の経営安定対策ということで今回出されている中身でいっても、北海道で十ヘクタール、府県で四ヘクタール以上と。対象の集落経営ということでも、これは幾つか要件を設けていますよね。
 大臣は、二日の日に日本農業新聞のインタビューに答えられていますけれども、稲作農家から担い手経営安定対策の面積要件を緩和してほしいという要望が出されているわけです。それに対して大臣は、議論を積み重ねてきた今回の改革を一歩でも実行するのが基本だ、その上でまた問題があれば考えていくというふうに言われているんですけれども、問題があるからこういう要望が出てきているわけで、やっぱり実行に移す今の段階でこそ、中小の農家を排除するんじゃなくて、そういうこと自身を見直すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#50
○国務大臣(亀井善之君) その面積の問題等々、是非、意欲のある担い手と、そういう方々がいろいろ生産がしっかりできるような施策を我々進めるわけであります。
 そこで、これからいろいろ来年度の予算要求へ向けて検討するわけでございまして、そういう面で、いろいろの関連施策の総合性あるいは整合性を取りながら具体的な仕組みの問題につきましては引き続き検討もしていかなければならない問題ではなかろうかなと、このようにも思います。
#51
○紙智子君 国際的にというか、外に向かって多様な農業の共存ということを言われるわけですけれども、そうすればやっぱり国内でもそのことをきちっと保障するというふうにしなければ本当に説得力を持たないというふうに思うんですよ。だから、私は、大きくやりたい、規模を大きくやりたいというのも結構だけれども、中規模や小規模でも、意欲を持って本当に農業を頑張ってやりたい、食料を頑張って作っていきたいと、そういうところについては大事な多様な農業の担い手として支援の対策を取るべきだということを申し上げて、最後の質問に移らせていただきたいと思います。
 農林に比べて水産の多面的機能ということの、この水産の多面的機能の支援ということについて質問をします。
 農業の分野では中山間地の直接助成、それから林業でも森林整備の支援金と、その対策をやって多面的な機能に光を当てた制度が確立されたわけですけれども、漁業の分野ではこれ調査研究段階で、まだこれからということになっていると思うんですよ。水産基本法の審議のときにも、漁業や漁村の多面的機能が一つのポイントということで、単に情報提供だけじゃ駄目だ、やっぱりその機能が発揮できるような施策を講ずることが重要だということで、修正をされました。
 それで、平成十三年から十四年、これは多面的機能の調査の事業、十六年、十五年から十六年というのは支援事業ということなんですけれども、いずれも調査検討、啓発という段階なんですね。
 実際にいつごろをめどにしてこれを支援、具体的な支援策を確立するつもりなのかということについてお聞きしたいと思います。
#52
○政府参考人(木下寛之君) 水産業の多面的機能でございますけれども、委員御指摘のとおりの状況でございます。
 私ども、十三、十四年度にそれについての調査をし、その中で具体的な多面的機能が明らかになった段階でございます。私ども、十五、十六年に掛けまして、多面的機能に基づいた支援につきまして、国民のコンセンサスを得ることが大事だというふうに思っております。
 そのような観点から、国民のコンセンサス作りの推進だとか、あるいは機能発揮のための支援方策について幅広く検討するという段階でございます。これらの段階でございますけれども、一方で幅広い漁場環境の保全なり、また藻場の造成等多面的機能の発揮に資する施策につきまして積極的な推進に努めている、そういう段階でございます。
#53
○紙智子君 時間ということなんですけれども、関連対策というのはそれはもう当然やっていただかなきゃいけないんですけれども、国民のコンセンサスを得るというのもそれも大事だと思うんですけれども、しかし、もう十三年度からやってきて、アンケートもやってきたと。それから、前回審議になっている中でも大臣の当時の答弁としても積極的な答弁されていますよ。
 それで、十年後には漁業者は半数になるというふうに予測されているわけです。だから、漁村に漁業者がいなくなれば多面的な本当に重要な役割を、国民の利益に貢献する多面的な機能の役割を発揮することができなくなってしまう事態になるんじゃないかと。
 だから、ここは、やっぱりせめて十七年度にはそういう目標なんかもちゃんと示せるような、そういう方向で検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#54
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、水産業の多面的機能についての調査研究について正に十五、十六でやっているわけでございますけれども、このような調査研究あるいはコンセンサス作りをやりながら、正にどういうようなやり方で水産業にとってふさわしいのかにつきましても現在検討している段階でございます。
 私どもとしては、できるだけ早くそのような方向について努力していきたいというふうに考えております。
#55
○紙智子君 終わります。
    ─────────────
#56
○委員長(三浦一水君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任されました。
    ─────────────
#57
○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。
 今までの議論でもたくさん農業問題出まして、特に食料の国内自給というような問題が大きく取り上げられておるわけですが、前にもこの委員会で申し述べさせていただきましたが、私は、この委員会は今年は食料自給ということの切り口からいろんな問題を議論していきたいなと、こう思っておりまして、といいますのは、どうもいろいろ考えてみますと、農業はいろんな問題が大きいとよく言われておりますし、これはかつて昭和三十六年の農業基本法ができたとき以来といいますか、それより以前からかもしれませんけれども、国民の皆さんはだれに聞いても農業は大事だということを言われるわけです。
 ところが、現実の姿を見ると後退する一方でして、その大事だという認識と現実とは全然懸け離れている。しかし、ここまでおかしくなってきますと、何とかして農業の再興ということを考えなきゃいけない。そう思ったときに、やっぱり食料自給率の低下というのが一番農業問題の根源にあるんじゃないのかな、いろんな問題に派生しているんじゃないかなという気がするわけです。というのは、食料自給率が低下しますと農業が小さくなるわけですよね、全体が。したがって、そこには夢のあるものもできませんし、自分が新しい農業に取り組もうと思ってもできないわけですから、結局難しい問題になる。
 これ先日申し上げたんですけれども、例えば米の問題、だんだん、だんだんといいますか、民間に任せてやらせるというのはそれは結構なんですけれども、それを大改革をしなきゃいけない原因として、やっぱり転作の限界感があるとかというようなお話をされた。そういうことが一つの理由になっているということをお聞きしましたけれども、そういう限界感があるということは、本来、米ができなかったら、米が少なくなってもほかのものができれば農家経済としては成り立つわけですね。そのほかのものができないから結局米だけに集中して、その米がだんだん消費が減ってくるから稲作農家は大変になるというようなものにつながると思うんです。
 そこで、したがって、国内自給というのは私は大変大事だと思いますし、農林省の農業基本法もそれは是非向上させたいということを言っているわけでございますので、それは大事なんですけれども、そこでひとつ、国内自給を向上させるということを単なるお経といいますか言葉の上だけでなくて、もう少し詰めて掛からないと、現実にはこちらの方も、自給率も下がる一方なんですね。
 これは先日申し上げましたけれども、昭和三十五年が七九、それがここのところ平成十年から十三年まで三年間五〇と、下げ止まってしまったというのか分かりませんけれども、上がらない。今回、四五%にしたいというような御希望もあるようですけれども、一向にこれは上がる気配がないと。これだと結局、農水省は農業基本法違反をするのかなというふうな気になっちゃうわけですけれども。そこで、そういうことによって、私はそういうことを言って農林省を責めるわけでない。結局、みんなでこれはどうやって上げなきゃいけないか考えていかなきゃいけない問題だと思っているわけです。
 そこで、まず基本的に、これは大島大臣にもお聞きしたんですけれども、国内自給率をもっと上げる、今の四〇%では駄目だ、もっと上げるというその基本的な理念といいますか、何のためにそうしなきゃいけないのか。これは、一つは農業、国内農業を守るということもあるでしょうし、前回、大島大臣は御答弁の中で、ぎりぎり絞ってあえてどこかといったら食料安全保障論ではないかなというふうに大島大臣はそう言っておられるんですけれども、この辺の認識をまず大臣と同一に持つといいますか、お考えを知った上で議論を更に展開させたいと思いまして、その点についてまず大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#58
○国務大臣(亀井善之君) 今、もう委員御指摘のとおり、本当に四〇%、世界の先進国の中で最低の水準にあるということは本当に残念なことでありまして、やはり自分の国で食料の安全な供給ができる、そしてまた自分の国、自国で取れるいろいろの農業生産物をおいしく食べることは大変重要なことでありますし、一番はやはり食料の安全保障、そういう面での自給率の向上と、併せて、やはり農業の多面的な面、そういうものを国民全体が理解をし、共通の認識に立って日本の生産物を消費をすると、こういうことは国にとりまして大変重要なことじゃなかろうかと、こう思います。
#59
○岩本荘太君 ちょっと、ニュアンスがちょっと違うかなというような感じもするんですけれども。
 私は、その多面的機能をこれ否定するわけじゃないんですけれども、多面的機能を維持するのは代替策があるんですよね。それは、それが有効かどうかは分かりませんけれども、ほかの、何も農業をやらなくったって自然を保護する方法はあるわけですから。ところが、食料自給というのは代替策がないですね。ないときに、食べ物がないですから。だから、それは安全保障というのが私は一番大きなものであって、だから農業問題でない、日本の国内全体の問題であるという認識でないといけないと思うんですね。
 この辺で、だからその辺が本当にじゃ自給しなきゃいけないかどうかということを、それこそ農林省は消費者の立場に立つと言われているんですから、消費者の方々がそれを本当に本心から信じてもらえないと次の対策が打てないだろうと思うんですよ。
 だから、そのためには、私はどうしてここまでこういう自給を、自給率を持たなきゃいけないのか、先進国の中で日本だけですからね、こんなおかしい状態は。これだったらやっていけない、このぐらいの自給率でなければいけないという、そういう確固たる、消費者が、国民全体が納得するような分析といいますか考え方といいますか、そういうものを出さなきゃいけないと思うんですけれども、そういうことでこういうことについていろいろ御試算、いろいろ検討してもらいたいというようなことは前まで言いましたけれども、ここでひとつ今日の質問はちょっと戻って、大臣がお替わりになったんでちょっと一歩戻っているような感じがいたしますけれども、安全保障という一言で言っても、安全保障というのは何か危機があるからだと思うんですよね。
 この安全保障を考えなきゃいけないというときのその危機的な状況というのはどんなことを想定されているんですかね。その辺、大臣、もしあれば。
#60
○国務大臣(亀井善之君) 安全保障と併せて、やはり、国民がやはり不安を持つことのないような、やはり自国で農業生産が十分行われる、これが行われないと自給率が下がっていくと、もう本当に国民、大変不安ということにつながるわけでありまして、その不安の解消と。そういう面でも、やはり安心して日本の食物を得ることができる、そういう中で国民が元気にそして健康的にいろいろの社会生活をすることができるわけでありますので、そういう面でも、安全保障と同時に、そういう面でも重要なことではなかろうかと、こう考えます。
#61
○岩本荘太君 理念としてはそれでよろしいんでしょうけれども、本当はもっと突っ込んでもらいたいんですよ。要するに、安全保障といえば危険があるわけですから、例えば戦時体制ということも一つ考えられるだろうし、そういうことは期待したくないですけれども。それ以外に、例えば自分の、日本の国が異常干ばつに遭ったときにどういうふうに考えたらいいのか。まあこれは自給率とは関係ないかもしれない。逆に言ったら、外国、輸入元といいますか輸入先といいますか、そこが干ばつになったらどうするのかですね。恐らく自分の国の国民を干上がらせて日本に輸出するなんということは考えられないと思うんですよね。そういういろんな状況があると思うんです。
 これは行政ベースで考えられるかどうかは分かりませんけれども、そういうことをもう少し、本当の専門家といいますか、研究者も含めて考えていただくべきではないかなと私は思っているんですけれどもね。それによって、結局、日本はこうでなければいけないという説得力を持った認識を国民全体に植え付けて、そうすれば、先ほどから出ていますとおり、何といいますか、WTOの交渉にしても、日本はやりにくいのは分かると思いますよ、先進国の中で日本だけですから、こんな低いのは。それを、だから、それをやりにくいと言わずに、逆に武器にもできるわけですよね。そのために、武器にするためには、くどいようですが、国民的なコンセンサスを得なきゃいかぬと。その辺で私は、農林省はそれをやらなきゃいけないんじゃないのかなという気がしてならないんです。
 この辺につきますと、先回もこういうことを質問いたしましたが、後で、こういう席でなくて、西藤局長じっくりレクチャーするというんで期待させてもらっているんですけれども、またその上でいろいろ議論したいんですけれども、そういうようなもっと具体的な説得力のある、国民全体にですね、農業者だけでない、国民全体に説得力のある検討なりそういうことを大臣の下でやっていただきたいなと、こう思っているんですけれども、その辺の御決意ちょっとお聞きしたい。
#62
○国務大臣(亀井善之君) 大変、御指摘のこと、もっともでございます。
 たまたま昨日、私は、ある会社の関係の方々とお目に掛かった中で、若干経済界の方が農業に対して理解のないこういう方々があったと。しかし、現実に日本の農業が今のお話の自給率の問題であるとか、あるいは災害あるいは干ばつ等々、不作になったときどうするとか、そのとき日本で自給率がないと大変なことになると。WTOの問題等々につきましてもやはりもう少し国民に知らせる、理解をさせるようなそういう努力をしなければならない、いけないんじゃなかろうかと、こういう御指摘も受け、また中には、ああそうなのかと、こういうことをおっしゃる方もおられまして、今、委員御指摘のように、そういう面での国民挙げての課題というようなことで、今日までもいろいろやっておりますけれども、なお一層その努力を重ねていきたいと、こう思っております。
#63
○岩本荘太君 今日は自給率についてはこれで止めておきますが、いろんな切り口ございますので、これはまたこういう場で私なりに勉強して、少しでも日本の国の全体の問題としてしっかりと農業問題をとらえられるようなふうに持っていきたいなと、こう思っております。
 それともう一つ、もう少し時間がございますので、基本的なことで、中山間地域対策といいますか、中山間地問題について大臣にちょっとお考えをお聞きしておきたいんですけれども、所信表明といいますか、大臣の御発言の中で中山間地域という言葉ないんですね。私はこれ今度なくなったのかなと思ったら、最初からないようで、この中山間地域というのは、これは農林省が作った言葉でしょう。だから、最初農林省が分かったけれども、ほかのところは全然分からなかったというような感じなんですが、最近はもうこれ大分、小泉さんもたしか答弁で中山間地域という言葉を使っていますので、皆さんお分かりになっているなと思うんですけれども、この中山間地域、私は地方の出身ですし、今までの仕事が大体そういう中山間地域に近いところでやっていたものですから、私自身関心がありますし、皆さんに関心を持ってもらいたいんですが、言うなれば寂れる一方ですね、中山間地域。
 それは、だから、それでいいのかどうかというような大きな問題があると思うんですけれども、私は、この日本の国という三十七万方キロですか、この狭い中で、そのうちの可住面積が十何%か、そんなところでその中山間地域の住めるところをほっぽり出しておくというのは国土政策上非常に問題であると。だから、そこにも住まなきゃいかぬ。
 それでさらには、川上、川下の問題、先ほど大臣言っておられましたけれども、こういう、これの資源の問題からしても、中山間地域が川上なんですね。それで、その恩恵を受けているのは川下である人口周密地域の、あれですね、人口が多い都市部になっているわけですから、これも中山間地をどうするかということは、中山間地域をどうするかということは、そこに住んでいる人の問題よりも、むしろ川下に住んでいる人の問題であるという認識をしなくちゃいかぬ。
 だからしたがって、直接支払制度を今やっておられますけれども、私もこれ、最初、案が出たときにいろいろ現地で聞いたんですけれども、中山間地域に住んでいる人は、こういう生活保護的なにおいがするものは要らないというんで、最初はうまくいかなかったような記憶があるんですね。だから、彼らは彼らなりに、自分らは自分なりの生活をきちっと日本国民としてやっていくんだと、ちゃんと生活をやれるようにやっていくんだと。ところが、条件が悪くなって、そんなところに生活しなくても、子供が都会にいるからそっち側に行けばいいというんで寂れてくるということもあるんですけれども。だからしたがって、その中山間地域というのは日本全体の問題、これもう日本の国民全体の問題としてとらえなきゃいかぬ。
 それでいて、さらに、この中山間地域が、今の日本の効率主義で物を推し量れば、中山間地域は全滅するわけですよね。どう考えたって、都会の人口が多い方が効率的な判断したらいいに決まっているわけですから、それがどんどん悪循環でどんどんどんどん減っていっちゃう。したがって、それを止めるというのはひとつやっぱり政治の力であり、それを単に民間に任せるという、民間にそういう意識を植え込むことはいいと思いますけれども、民間だけに勝手にやらすということでは今のまま行っちゃうと私は思うんです。
 そういう意味で、施策は農林水産省が今やっておられるんですけれども、問題は全体にかかわる問題であるし、ましてや効率主義ではできない、でやっては国土資源の問題、あるいは環境の問題からでも大問題になるという認識を私は持っているんですが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#64
○国務大臣(亀井善之君) 所信の中で、農山漁村政策、このことの中で中山間地域というような表現は直接的にはしておりませんけれども、様々な地域ごとの特性と、こういうものに応じた取組をすると、あるいはまたいろいろ美しい景観や利便性の高い村づくりの推進、あるいはe―むらづくり計画の策定であるとか、あるいは自然と共生する田園環境の創造と、あるいは先ほど来お話がありました農村資源の観光活用と、こういうものを図りつつ都市と農山漁村のつながりの強化を進めてまいりたいと、こう思っております。
 そういう中で、中山間地域につきましては、生産活動、国土保全、水資源涵養等多面的機能を発揮するわけでございまして、国民の生活基盤を守る重要な役割を担っておるわけでありまして、正に委員御指摘のような視点に立ってこの問題に対応してまいりたいと思っております。
#65
○岩本荘太君 時間が来ましたんで、一言だけ。
 私は本当は、大臣から効率主義で考えないという御答弁を本当はその点をお聞きしたかったんですけれども、この辺についてはまたこれからいろいろと質疑をさせてもらいます。
 以上で終わります。
#66
○中村敦夫君 質問の前に、会議録の訂正をお願いします。
 農林水産委員会会議録第四号の二十六ページ第二段、ここで大規模林道事業の整備のあり方検討委員の一人が農水省の情報公開を徹底すべきだと発言したことに関連して、私が、「ほかの委員も事務局もこの意見に反対している。」と、語尾を間違えて述べてしまいましたが、これは反対していないの言い間違いですので、この場をかりて訂正させていただきます。よろしくお願いします。
 さて、有明海の漁民の救済問題について質問します。
 今月に入りまして、有明海沿岸の漁連は今期最後のノリ入札を相次いで行いました。そこで、今期のノリ漁の最終的な結果が明らかになったわけですね。例えば、佐賀県有明海漁連の今期販売額、これは記録を残し始めた九三年以降、記録的な凶作だった二〇〇〇年に次いで低かったという結果が出ました。それから、福岡県有明海漁連の販売額も過去五年の売上平均の約六八%しかない。やはり、これも二〇〇〇年凶作に次ぐ不作となっています。熊本県でも北部の荒尾、長洲沖では例年の半分の売上げしかなかったと。
 理由として、元々ノリの生育に必要な栄養塩が乏しかったところへ、冬季になって赤潮が発生して色落ちが広がったためであるということになっています。また、相変わらず有明海のタイラギ漁というのは休業が続いております。これは、大量死や赤潮多発と諫早湾干拓事業との関連があるという、そういう指摘が今までかなり出ています。
 そこで、大臣に質問いたします。
 二〇〇一年初頭の有明海異変の当時から亀井大臣まで既に四人目に大臣が替わっているわけですね。当時の谷津大臣は、有明海異変に際して、漁民の声を直接聞いて諫早干拓事業を聖域にしない調査を始めたわけですね。しかし、次の武部大臣は、漁民の声を直接聞いたんですけれども、事業の継続を決めてしまったと。次の大島大臣は、何だか分からないうちに辞めてしまったということになっております。こうしてその各大臣の姿勢を見ていますと、有明海漁民を救おうという熱意が代替わりするごとにどんどん薄れているように思われるんですね。
 昨日は、思い詰めた有明海の漁民たちが国の公害等調整委員会に漁業不振と諫早湾干拓事業の因果関係について裁定を申請しました。
 こうしたことから明らかなように、有明海漁民は今年の凶作でいよいよ生活が追い詰められてきています。前にも大変な借金をしました。それがどんどん残っているし、またまた借金を重ねなきゃいけないということで、もうこれ以上漁業自体が不可能になっているというほど逼迫した状況なんですね。この有明海漁民の救済について亀井大臣の所見を伺いたいんです。
#67
○国務大臣(亀井善之君) ノリの養殖につきましては、十四年六月から九月までの降雨量が平年の五割、いろいろの、あるいは河川からの栄養塩の供給が少なかった、こういうことで大変不作ということは承知をしております。
 そこで、このような状況にかんがみまして、十二年度に貸し付けた既貸付金、沿岸漁業経営安定資金約四十二億円の償還期限の延長について漁業者の実態に応じて柔軟な対応を行うよう指導し、また漁業共済につきましても、共済金の支払ができるだけ早期に行われるように漁業共済団体を指導したところでありまして、このことにつきましては五月中にほとんど共済金が支払われる見込みと、このように考えております。
 以上のほか、今後、漁業経営に支障を生じないよう、漁業者の希望に応じ、沿岸漁業経営安定資金等の低利の融資制度を活用するなど万全を期してまいりたいと、このように考えております。
#68
○中村敦夫君 その場その場で有利な融資を続けるというようなもう段階ではないんですね。それはどんどんどんどん借金になっていきます。これを返すのはノリ漁が豊作にならないと返せないわけでしょう。ところが、こっちの状態はどんどん進むわけですから、その場の場当たり的なお金を小出しに出すとかいうような政策では、もはやこの待ったなしの状況を解決できないようなそういう状況なんですね。
 そんな中で、どうも農水省、本気でこの問題取り組んでいないんじゃないかというような問題があります。例えば、諫早潮受け堤防の中長期の開門調査の是非を判断するためということで、三月二十八日に農水省は中・長期開門調査検討会議というのを設置しましたよね。漁民たちは、この中・長期開門調査にほんのわずかな望みを掛けているというのが今の状況ですけれども、ところが、今お配りした資料にあるとおり、この七人の検討委員の全員が公益法人に天下りした官僚OBなんですよね。
 配付資料を見ていただきたいんですけれども、これは諫早干拓事業を進めてきた元農水省構造改善局長、元構造改善局次長、漁民を無視してきた元水産庁長官、元水産庁次長、水質保全に責任を持っていた元環境庁長官官房審議官、事業に防災機能がないのを見逃していた元建設省河川局長ですね。これは幾ら何でも、諫早干拓事業をごり押ししてきた中心メンバーなんですね。検討委員会のメンバーとしては、これは余りにも一方的ですし、これでは公正な検討などできるわけはないんですよ。
 そしてまた、こういう人たちが、あと一年か二年だか分かりません、だらだらだらだら何かを話し合っているうちに事態はもう悪化して、漁民はもういなくなってしまうというような緊急の事態なんですが、こうしたメンバーをそろえるということは、大臣どうですか、正直言っておかしいと思いませんか。
#69
○国務大臣(亀井善之君) 今、この検討会の委員の方々のことにつきましてお話をちょうだいしたわけでありますが、なおこの検討につきましては、その下にもありますとおり、技術的、専門的な助言を得るため、必要に応じて、専門委員を委嘱をしていろいろ検討していただく、こういうことになりますし、あわせて、この場で論点整理をしていただいて、そしてそれを踏まえてその取扱いにつきましては農林水産省が判断をするわけでありますから、いろいろそれぞれ経験者でもあります。そういう中で、行政的な面を含めていろいろ検討していただき、そして農林水産省といたしましても判断をしてまいりたいと、こう思っております。
#70
○中村敦夫君 それはもうほとんど世の中では納得してもらえるような説明じゃありませんよ。こっちはもう自殺者まで漁民の中に出ていて、もう今年でやめるかという人だって物すごくたくさんいるわけですよ。天下りしてのんびりしている人たちが、それで、昔はこの事業を推し進めてきた人たちが検討するというその形そのものが余りにも八百長的であるというのはだれだって感じるわけですよね。
 そこで、農水省は、有明海異変の原因究明について調査と諫早干拓事業を切り離し、調査中でも工事を続行するとし、実際に工事は今続けているわけですね。つまり、海の異変の主犯だと疑われている干拓事業が事実上の聖域になってしまっているんですね。谷津大臣が聖域なき調査を号令を掛けたわけですね。その後、干拓事業と有明海異変が無関係だとまだ全然立証もされていないのに、それで事業を続けているというのはおかしなことだと思うんですね。こういう実際上の農水省の姿勢というものを見るときに、もう漁民たち自体が物すごい不信感を持って怒りの声を上げているわけですね。昨日も農水省に十一人の漁民代表が来て、もうこれは悲鳴に似たような抗議ですよ。
 こういう状況があるんですけれども、やはりこういうことを考えると、要するに海というのはやっぱり漁民が一番知っているんですね。これは生きた海を知っているんですよ。だから、御用学者を集めてきていろんなことを言うことよりも、もう実態として専門家たちなんですね。その声をもし聞く耳を持ったらば、工事というのは少なくとも調査中は中止すべきであると私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。
#71
○国務大臣(亀井善之君) 昨年の四月になりますか、武部大臣のとき、長崎県知事、有明海の三漁連の会長等、短期の開門調査を実施し、平成十八年度に事業を完了させるとの農林水産省の方針について理解が示されており、現在、短期の開門調査を含む開門総合調査の実施と併せて平成十八年度中に本事業が完了するよう円滑に工事を実施していると、こういうことにつきまして関係者の会談があったわけでありまして、それに基づきまして、私ども農林水産省といたしましては、そのようなことの経過があるわけでありますから、そのことを重視をして向かっていくということが必要なことではなかろうかと、こう思います。
#72
○中村敦夫君 率直にもう一度お聞きしたいんですよ、これ。
 別に工事を差し止めて不都合なことは全くないと思うんですね。きちんと調査する。つまり、問題は、あれだけの大きな要するに漁業の場所ですから、そこが永久的に漁業不可能になっていくような事情があったとすれば、止めるということはさして問題じゃないと思うんですよ。どっちが大事なのかということで、これはもう大臣、大臣の決意で将来というのは全く変わってしまうわけですよ。その点、どうですか、率直にお答えいただきたいんです。それでも工事を続行すると。じゃ、明確な理由は何なのかと。そこまでして工事を続けなきゃいけない理由は何なのかということをお答えいただきたい。
#73
○国務大臣(亀井善之君) この干拓事業につきましては、潮受け堤防の完成後、台風や洪水だけでなく、常時の排水に関しても防災効果を着実に発揮をしておるところもありますし、地域住民からも非常にそのことを感謝されておるわけであります。
 また、長崎県地元自治体や農業関係者を始め地域住民からは、概成した土地の早期利用と、こういうものを強く要望されている点もあるわけでありまして、是非、昨年四月の大臣並びに長崎県知事、有明三県の漁協会長等との会談と、こういうもので合意をちょうだいしておりますので、その線に沿って進めさせていただきたいと、このように思っております。
#74
○中村敦夫君 急遽大臣になられたんで、これまでのいろんな事情、それほど詳しくないんだと思いますけれども、今された説明というのはこれまでのありきたりの説明なんですよ。だれもそんなことを今信じているような段階じゃなくて、要は、もう漁業が不可能になるというもっともっと緊急な問題があるんですね。今までの説明というのは、それに比べたらゆっくり考えていればいいような話なんですよ。
 ですから、作文どおりのお答えじゃなくて、この問題を大臣個人として一度振り返って、一回考え直していただきたいと、これは強く要請して、質問を終わります。
#75
○委員長(三浦一水君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#76
○委員長(三浦一水君) 種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。亀井農林水産大臣。
#77
○国務大臣(亀井善之君) 種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 現行種苗法は、種苗が農林水産物の生産に不可欠な基礎的生産資材であることにかんがみ、優良な新品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図るため、品種登録に関する制度及び指定種苗の表示に関する規制等について定めたものであります。
 特に、品種登録制度は植物の新品種の保護に関する国際条約の内容に対応した制度であり、昭和五十三年の制度発足から現在まで新品種の出願件数、登録件数ともに順調に増加しており、我が国の育種の振興に大きな役割を果たしているところであります。
 しかしながら、近年、登録された新品種の種苗が権利者に無断で利用され、その収穫物が市場に出回ることにより、植物の新品種の育成者権が侵害される事態が増加しており、特色ある品種による産地づくりに取り組んできた農業者、産地等への影響も顕在化している状況にあります。
 また、昨年七月三日に決定された知的財産戦略大綱及び昨年、第百五十五回国会において成立した知的財産基本法においては、我が国が知的財産を戦略的に創造、保護及び活用することにより産業の国際競争力を強化し、活力ある経済社会の実現を図る知的財産立国を指向することが明確に示されているところであります。
 このような最近における植物の新品種の育成者の権利の侵害の状況及び我が国の知的財産立国の方向性にかんがみ、育成者権の保護の強化を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、罰則の対象範囲の拡大であります。現在、種苗について育成者権を侵害した者を罰則の対象としておりますが、この対象を拡大し、種苗を用いることにより得られた収穫物について育成者権を侵害した者を罰則の対象に追加することとしております。
 第二に、法人による育成者権の侵害に対する罰金額の引上げであります。現在、育成者権を侵害した個人に対しては三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金を、法人に対しては三百万円以下の罰金を科すこととしておりますが、法人による育成者権の侵害に対する罰則を一億円以下の罰金に引き上げることとしております。
 第三に、指定種苗制度の違反行為に対する罰金の法定刑の最高額の引上げであります。従来、指定種苗について表示義務等の違反行為に対しては二十万円以下の罰金を、種苗業者の届出義務等の違反行為に対しては十万円以下の罰金を科すこととしていたものを、前者については五十万円以下の罰金に、後者については三十万円以下の罰金にそれぞれ強化することとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#78
○委員長(三浦一水君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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