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2003/03/20 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第1号
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2003/03/20 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第1号

#1
第156回国会 法務委員会 第1号
平成十五年三月二十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事         市川 一朗君
    理 事         服部三男雄君
    理 事         千葉 景子君
    理 事         荒木 清寛君
    理 事         井上 哲士君
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                山下 英利君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
                倉田 寛之君
                本岡 昭次君
    ─────────────
   委員の異動
 一月二十日
    辞任         補欠選任
     山下 英利君     野間  赳君
 一月二十八日
    辞任         補欠選任
     服部三男雄君     荒井 正吾君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     荒木 清寛君     草川 昭三君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     草川 昭三君     荒木 清寛君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   衆議院議員
       発議者      杉浦 正健君
       発議者      漆原 良夫君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  中井 憲治君
       法務省入国管理
       局長       増田 暢也君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     石川  薫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (名古屋刑務所等矯正施設の処遇に関する件)
 (派遣委員の報告)
○金融機関等が有する根抵当権により担保される
 債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
 法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)

    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十八日、服部三男雄君が委員を辞任され、その補欠として荒井正吾君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に荒井正吾君及び荒木清寛君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、法務及び司法行政等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に法務大臣官房長大林宏君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長中井憲治君、法務省入国管理局長増田暢也君及び外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#9
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、名古屋刑務所等矯正施設の処遇に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。
 この法務委員会におきまして、名古屋刑務所問題に関して集中審議を行いますのはこれで二度目でございまして、昨年十二月十日にも行っているところでございます。この名古屋刑務所問題に関しましては、衆議院の法務委員会でも今国会取り上げられておりますし、それから参議院予算委員会でも再三取り上げられておりまして、私から見まして、一部にやや冷静さを欠いた議論も見受けられるわけでございます。私ども参議院は良識の府と言われておりますが、特にこの法務委員会に関しましては、国の基本法を審査する重要な委員会でございますので、その委員には与野党通じましてそれぞれ大物が顔をそろえているところでもございまして、常に慎重な、しかもしっかりとした議論をしていく伝統があるわけでございまして、私どもといたしましては、この名古屋刑務所を中心とする矯正行政のあるべき姿について、現象面だけにとらわれることなくその本質をしっかりと解明して、あるべき姿について建設的な方向に議論していきたいと心から思っている一人でございます。
 しかし、さはさりながら、これまでの経緯を見ますと、私ども参議院の法務委員会にとりましても、また与党の理事を務めさせていただいております私自身にとりましても、いささか納得できない経緯がございますので、まずその問題につきまして、最初に幾つかただしておきたいと思う次第でございます。
 昨年、集中審議を行いましたわけでございますが、その二か月ほど前から、福島委員、今日おりませんけれども、福島委員から、過去十年間の行刑施設における保護房での死亡案件や病院移送案件について資料要求がなされました。その際、矯正局から、身分帳簿に当たらなければならず、非常に大変な作業になるので提出は難しいという説明をいただきました。私自身といたしましては、死亡にかかわる問題ですから、場合によっては殺人とかそういうこともございますので、時効との兼ね合いからいって、何か本省の方にあるのは三年ないし四年という御説明があったんですが、ちょっと短過ぎるんじゃないかなという印象は私も持ったんでございますが、しかし実際問題として、そういうまとめた書類はそのくらいで保管しておいて、あとは元帳を見れば分かるからということでそういう扱いになっているのかなと。そして、そういうことであるならばやむを得ないかなと、こういう判断をしまして、先ほど申し上げましたように、法務委員会の伝統を重んずる必要もあると思いましたので、私は与党理事といたしまして、各会派の理事さんとも御相談しながら、これは了承していただきたいということで御了承いただいた経緯があるわけでございます。
 ところが、今国会になりまして、突然、衆議院の方に死亡帳なるものが出てまいっておりまして、それで、それですと過去十年の分が分かるということになるんだということでございました。この辺のいきさつ、いま一つつまびらかでございませんので、私の立場で、その辺のいきさつも含めまして、法務省、特に矯正局当局にその関係を一つ一つちょっとただしていきたいと思います。局長の御答弁をお願いしたいと思います。
 まず、そもそも死亡帳とはどういうものなのか、その目的と、私、見て分かったんですが、省令に書いてある、死亡帳というのが書いてありますが、そのことを指すのかどうかということも含めてお尋ねします。
#11
○政府参考人(中井憲治君) お答えいたします。
 死亡帳の様式は法務大臣の訓令で定められております。また、御指摘のとおり、監獄法施行規則によりまして、行刑施設の被収容者が死亡した場合、病名、病歴、死因、死亡の年月日、検視者等を記載することとされております。
#12
○市川一朗君 私も今手元に施行規則百七十七条の条文を置いておるわけでございますが、「在監者死亡シタルトキハ所長ハ其死体ヲ検ス可シ」、「病死ノ場合ニ於テハ監獄ノ医師ハ其病名、病歴、死因及ヒ死亡ノ年月日時ヲ死亡帳ニ記載シ之ニ署名ス可シ」。三項にまたいろいろ書いてあるわけでございますが、三項は、「自殺其他変死ノ場合ニ於テハ其旨ヲ検察官及ビ警察署ニ通報シテ検視ヲ受ケ検視者及ヒ立会者ノ官氏名並ニ検視ノ結果ヲ死亡帳ニ記載ス可シ」と書いてありますが、この死亡帳のことだと思いますが、この死亡帳の記載内容から昨年、資料要求がありました保護房収容の事実が分かるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#13
○政府参考人(中井憲治君) 死亡帳に記載することとされている事項につきましては、ただいま委員御指摘のとおりでありまして、死因や検視等の有無が記載されているのみでございます。いわゆる保護房に収容されていた事実、これを確認するためには、結局のところ現場の施設では被収容者の身分帳簿に当たらなければいけないと、こういう必要がございます。
#14
○市川一朗君 別途、三月十八日付けで私のところに法務省から提出されております調査事項一覧の中に、死亡帳一覧表というのがございまして、それを見ますと、確かに死亡帳に、保護房の記載ありというところで、丸としたものが、名古屋刑務所、平成十三年、肛門直腸裂創というんですか、急性心不全がありますから、今問題になっている事件のうちの一つで、これが保護房の記載ありとなっていますから、こういう形になっているのかなと思いましたら、その少し後で、平成十四年の同じく名古屋刑務所のところではそこに丸印がなくて、ただ備考欄に、保護房収容は周知の事実だが記載なしと、こういうふうになっていますから、保護房に収容されたかどうかは死亡帳でははっきりしないんだということを意味しているという意味なのかとは思いますが、どうも局長、こういう死亡帳があるという存在をきちんと説明していなかったという事実は残るわけでございますので、何かやっぱり、あの時点か、あるいは今もそうかしれませんが、少なくともあの時点では、死亡帳を出すということは非常に都合が悪いという状況があってあえて出さなかったんじゃないかという疑いがどうしても出てくるわけでございます。
 今までの答弁ですと、ポイントをついた答弁ではありますけれども、その辺の事情、私も聞いておりませんでしたからお答えがなかったということだと思いますけれども、改めて、どうして出さなかったのか。何かやっぱり後ろめたいことがある、あるいは問題になることがあるから、それを出すと分かってしまう、それは隠す必要があるということで出さなかったんだという、この疑いがどうしても残るんですよ。その辺のところの事情を説明してください。
#15
○政府参考人(中井憲治君) 当委員会におきまして、死亡帳のことを説明することなく過去十年間余の保護房内での死亡事案等の、これ、傷害も御指摘のとおり含んでおるわけでございますけれども、御報告しなかったということは事実でございまして、この点につきましては大変申し訳ないと思っております。
 経緯について御説明させていただきますと、そもそも、先ほど来答弁いたしましたように、保護房内での死亡事案を検索いたしますためには、矯正局の方で保管しております被収容者死亡報告というものがございまして、これ以外に死亡帳、これは現場行刑施設で保管されているものでございまして、この両者が言わば最終的な身分帳簿に至る索引的なものとして利用することが可能でございます。
 このうちの被収容者死亡報告の保存期間は三年間でございまして、資料要求をいただきました際には平成十一年以降の四年分しか残っていない、逆に言えば、四年分しかさかのぼれないということでございましたけれども、この死亡帳の保存期間というのは、これは十年でございます。したがいまして、過去十年まで一応、死亡帳自体はさかのぼることができるわけでございます。
 しかしながら、先ほど御説明いたしましたように、保護房内での死亡の有無あるいは病院移送云々と、この話も、けがの場合も同様でございますけれども、そういった詳細を確認するためには、結局のところ、現場施設では、死亡の場合は死亡帳を頼りに個々の被収容者身分帳簿を見ていかなきゃいけない、けがの事案の場合にはそのようなものがございませんので、基本的には、古いものにつきましてはそのようなものがございませんので被収容者身分帳簿を精査するほかないと、こういうことでございます。
 私といたしまして、この資料要求を受けました際にいろいろ考えまして、過剰収容が急激に深刻さを増しているものですから、こういう現場施設に対して全国一律に同じような作業を、しかも古い時期のものについてやらせることについて、正直申しまして、現場の負担ということをそんたくいたしました。現場施設は、それでなくても厳しいものでございますけれども、相当な事務量になるだろうなということを考えました。
 しかしながら、それはもとより全く不可能というような事務量では到底ございませんで、現在いろいろ考えてみますに、矯正、行刑の根幹が揺らいでいるわけでございまして、私は、やはり国会に対しても可能な限りの資料を出していくほかない、現場の施設にもそれの負担に耐えてもらわなきゃいけない、そうすべきであると考えている次第でございます。
 いずれにしましても、私の思慮が足りないことから委員の皆様に御迷惑を掛けたことにつきましては、改めて陳謝申し上げたいと思います。
#16
○市川一朗君 局長、こういう大騒ぎになったからということがちょっとかいま見えるんですけれども、確かに刑務所の過剰収容問題というのは非常に大変な状況で、私どももそれは何とかしなきゃいけないということで応援しようと。十四年度補正予算、十五年度予算編成等でも、この際、与野党問わず、バックアップ体制が強いものがあったと思っておるわけでございます。
 今なおその問題は続いていると思います。現場はなかなか大変だとは思いますが、しかし実際、どうなんですかね。刑務官の人たちがいろいろ大変でしょうけれども、今の国会からの資料要求等を処理するのはまた別に事務的な処理ですから、その辺、こういう大騒ぎになったから、なった以上は、あるいは矯正行政の根幹が揺らいでいる以上は対応しなきゃいけないということとは別に、本来こういった国会からの資料要求というのは、国民の負託を受けた国政調査権に基づく資料要求でございますから、やはりどの行政機関もきちっと対応すべきなんであって、そのためにそれぞれの行政機関に実務をやる人とは別に事務職員も配置されているわけでございます。そういったようなことを考えますと、当時といえども対応できたんじゃないかなと思います。
 先ほど御答弁があって、しかも陳謝の発言もありましたから深追いすることはいかがかとは思いますが、改めて、こういうふうになったからというだけじゃなくて、本来の行政の在り方としてもっときちっと対応できたんじゃないかなというふうに思いますが、いかがですか。
#17
○政府参考人(中井憲治君) 委員御指摘のとおりでございまして、それについては特段、私としては弁解はいたしません。
 ただ、一点だけ補足して説明させていただきますと、確かに、現場の施設においては一般的な事務を担当する総務部門等もございますが、そのほとんどは実は刑務官でございまして、もちろんその被収容者の処遇に当たっている処遇部門の職員は刑務官と、こういう構成になっているわけでございます。
 現在、行刑施設で過剰収容が非常に厳しい状況にありまして、実際のその増えていく一方の被収容者を処遇する場合に、処遇部門に配置された職員だけではこれは十分ではございません。その事務担当をしておりますところのいわゆる刑務官をも処遇部門に応援させるなどいたしまして現場は非常に大変苦しい中で対応しております。にもかかわらず、言わば年休はおろか週休もどんどんどんどん取れない状況になってきているという現場の状況でございまして、処遇部門、事務部門問わず、おしなべて非常に厳しい勤務負担が強いられているのが実情でございます。
#18
○市川一朗君 資料要求関係につきましては、一応の経緯について、いきさつ、ある程度分かったように私は思いますけれども、もう一つ、名古屋刑務所を中心としていろんな事件があって、特に昨年来、これはおかしいんじゃないかということで取り上げられておったところが、どうも殺人事件みたいな事件に報道されるような状況になったといったこともございます。
 ただ、私は一つ一つの事件を私自身が取り上げることは今日は避けたいと思いますけれども、その報道を見ますと、数百名の変死があるという報道がされているわけですね、数字も出ておりますけれども。これは、幾ら過剰収容とはいえ、そして幾ら大変な今、状況だとはいえ、また入ってくる人が相当厳しい状況だとはいえ、えらい多いなという印象を国民はもちろん、私どもも思うわけでございますが、実際の事実関係はどういう状況でございますか。
#19
○政府参考人(中井憲治君) 御指摘の報道でございますけれども、変死の人数が二百六十二人という形で報道されている件についてのものと思われますけれども、これは、先般、私どもで資料提出いたしました札幌、仙台、名古屋、広島、高松及び福岡矯正管区内の行刑施設、これに加えまして府中、横須賀及び大阪刑務所の死亡帳の写し、これの合計五百八十四件に関する報道ではなかろうかと思います。
 当該五百八十四件につきまして当局で取り急ぎ集計いたしましたところ、報道の二百六十二人という数字は、司法検視が実施されたという記載のある件数に対応するものという具合に私どもは承知しているところでございます。
#20
○市川一朗君 非常に専門的な答弁なんで分かりにくいんですが、ちょっと私も事前に勉強してきましたので少し理解ができますから、その辺をちょっと追及してみたいと思いますが。
 先ほどの施行規則百七十七条の第三項をもう一度読み上げますと、その前に、二項は病死の場合なんですね。だから、死亡の場合のうち病死の場合は第二項に書いてあって、第三項が「自殺其他変死ノ場合」とあるんですね。これは、自殺その他の変死というと自殺も変死に入っちゃうんでしょうけれども、私が聞きかじっている法律用語の使い方でいくと、「自殺其他変死」と書いてあるから、結局、この死亡帳記載事項での分類の仕方は病死、自殺、変死と、こう三つに分かれている、その他が変死というんですか、そういうふうに一応理解します。間違えていたら言ってください。そして、自殺その他変死の場合には「検察官及ビ警察署ニ通報シテ検視ヲ受ケ」と書いてあるんですね。
 今、局長が言われたのは、ここで言う検視のことを司法検視と言っているという意味ですか。ということは、「自殺其他変死」だから、「其他変死」以外にというと自殺しかないわけですよね。自殺がたくさんあるからという意味で、先ほど、司法検視した二百六十二件を全部変死と報道しているという意味はそういうことを言っているんでしょうか、刑事局長。
#21
○政府参考人(樋渡利秋君) 変死、自然死等の振り分けでございますので私の方から説明させていただきたいと思いますが。
 まず、変死といいますのは、一般的な用語といたしましては、犯罪によることが具体的に疑われるというような意味で用いられるということも多いものというふうに思われますが、刑事訴訟法上の定義といたしましては、変死者とは、不自然死、つまり老衰とか通常の病死とかの自然死ではない不自然死、この中には当然に自殺等も含まれ得るわけでありますけれども、そういう不自然死で犯罪による死亡ではないかという疑いがある死体をいうというふうにされております。
 そして、司法検視は、今度は、刑事訴訟法上、このような意味での変死者のみならず変死の疑いのある死体、これは定義付けますと、病死のような自然死であるのか、そうではない不自然死であるのかも不明でございまして不自然死であるという疑いがあるもの、したがいまして、当然にこれは犯罪死であるかどうかといえば全く不明でございまして、そういうものを変死の疑いのある死体と言っておりますが、そういう変死の疑いのある死体についても行うことということにされておりますので、司法検視がなされたからといいましても、すべての事案で変死者と断定されるわけではなく、まして、すべての事案で具体的な犯罪の疑いがあるわけでもないということでございます。
 お尋ねの中に、監獄法施行規則で自殺者又はその他の変死者については検察官に通報するということになっておりますから、監獄法施行規則上は、厳密な意味で言えば、変死の疑いのある死体というものが通報には含まれないということになるわけなんでございますけれども、一方、刑事訴訟法上、検察官は変死のある疑いにつきましても司法検視をすることが義務付けられております。
 したがいまして、変死の疑いのある死体がある場合にも行刑施設からは当然に通報があるんだろうと思いますし、とりわけ実務上は、行刑施設内における死亡事案につきましては、慎重を期するため、自然死である可能性が高い事案等につきましても、その自然死である可能性が高い事案といいますのは、いわゆる通常の病死であるというような場合の可能性が高い事案等につきましても司法検視を行う場合が多い。いわゆる、そういうものが通報されれば、検察官としてはまた慎重を期して司法検視を行う場合が多いものであるというふうに承知しております。
#22
○市川一朗君 ちょっと泥沼に入ってしまったような感じもするんですが、できるだけ理解したことにして、前向きに理解したいと思いますが。
 そうしますと、あれですね、二百六十二名もあったと言われるけれども、そのうちいわゆる俗に言う変死というような分類に入りそうなのは三十一名でしたっけ。司法解剖が行われたのは三十一名と言いましたかね、事前に聞いた資料だったか。そういったようなことで、しかし、それでも調べてみると、その中に事件性があったかどうかということは分からぬということで、結局二百六十二名ということで、我々見て、ああ、数百名もいるのかと、これは多いじゃないかというふうに思いますね、報道を見ますと。ところが、実際は、その中でいわゆる事件性のある変死というのは非常に数字は限られてきているんだと。それが取扱い上、今のような専門的な取扱いになりますから、報道の方も少しラフに報道してしまうということもあると、これをすべて善意に解釈してですが。私もちょっと性善説過ぎるという批判を受けているところもありますが、よくよく解釈していって、それにしても、じゃ、どれぐらいなんでしょうということなんですね。
 要するに、すべてさかのぼってもあれですから、報道された二百六十二名のうち、いや、それは違うんですと、事件性のある変死、事件性の疑いのある変死というのはこれぐらいなんですということを数字である程度言ってもらえますか。
#23
○政府参考人(樋渡利秋君) まず、その前に司法解剖というものでございますが、先ほど御説明申し上げまして、なかなか専門用語を使って分かりにくかったというところは申し訳ございませんが、司法検視をいたしまして自然死であるということがはっきりと分かれば、それ以上のことはしないわけでございます。司法検視をいたしましても、まだ犯罪死によるものかという、その前に、自然死であるかどうか分からない、犯罪によるものかどうか分からないという場合に司法解剖をするということになるわけでございますけれども、司法解剖は、犯罪による死亡とまでは判断されないが、そうでないとも判断し難く、更に死因等を明らかにする必要がある場合に行われるものと承知しておりまして、司法解剖が行われたからといって事件性があると判断されたものではないというふうにお考えいただきたいと思います。
 そこでお尋ねの、二百六十二名のうちの三十一件について司法解剖されているということについての御質問であろうかと思いますけれども、現在この三十一件について調査しておりますけれども、現在、事件性があるものとして報告を受けたものはいわゆる十二月事案と五月事案、これはいずれも起訴、公判請求しておりますが、その二件だけでありまして、その他につきましては現在のところ事件性があったとの報告は受けておりません。
 なお、当局といたしましては、行刑運営に関する調査検討委員会に協力するという立場から、お尋ねの事案も含めまして、受刑者の死亡事案について、その死因等について、改めて現在すべてについて調査しているところでございます。
#24
○市川一朗君 大臣、先般来、刑務所の過剰収容問題が深刻であると。その中からいろんな問題が出てきているのではないかという指摘もございまして、そして、先ほど来申し上げておりますように、数百名に及ぶ変死者がいるということで私どももちょっとびっくりしたんでございますが、今お聞きしまして、やや受け止め方がオーバーだったと。必ずしも数百名じゃなくて、まあ二件しか局長、慎重に答弁されませんでしたが、三十一件司法解剖したということですからまだ数件あるんじゃないかと思いますが、しかしそれにしても、ひょっとすると二けたまで行かない件数なのかなということで一応ほっとはしておるわけでございますが。
 しかし、先般来いろいろなことで報道もされ、また国会でも質疑されております。今日も恐らく同僚議員から、これから独自の調査も含めた結果に基づく御質問がいろいろ出てくると思うんでございますが、まずこういう行刑施設における事件の多発といいますか、そういったような問題は、やはりまず基本的にそういう過剰収容の問題が一つあると思いますし、それからもう一つは、やっぱりそれに携わる職員の意識の問題あるいは資質の問題、それから研修等を含めた訓練の問題と、いろいろあると思うんですね。
 最近はやりのアメリカのテレビ映画で、アメリカの監獄の状況の中で、やっぱりいろいろ報道されておるんですよ。結構人気の高い番組なんですが、見ているとやっぱりもう命懸けですね、刑務所の職員は。相手ももうすごい人ですからね。その命懸けの状況がまたドラマとしては面白いんですけれども、それで人気があるんですが、やはり大変だなと私は思って見ているんですけれども。
 そういったようなことを含めて、やっぱり大臣として、この問題、当然真剣に取り組んでもらえると思いますが、まずこういった基本的なところをきちっと直していかなきゃいけないということで、たまたま本当に森山法務大臣の御在任中にこういう状況になっているわけでございますので、特段の決意を持って取り組んでいただきたいと思います。
 その点につきまして、まず確かめておきたいと思います。
#25
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、名古屋刑務所におきまして本来あってはならないようなことが相次ぎまして、その背景には過剰収容とか職員の負担の増というようなことがございますけれども、一方におきまして、矯正の職員というものが、いわゆる人権感覚に十分でないという面があるのかもしれないということは、私もいたく感じているところでございます。
 刑務職員というのは、刑務官というのは、相手が常に犯罪を犯したことのある人たちでございますから大変厳しく当たらなければいけないし、そういう習性が身に付いておりまして、本来はそればかり一本調子ではいけない場合もありますけれども、そのような言わば習性が身に付いてしまうということもあるのかもしれないと思います。
 日本の刑務所の刑務官というのは非常に心身ともに負担の大きいものでございまして、その立場にも大いに同情できますし、また何とかその状況を改善しなければいけない、それが本省、特に大臣である私の務めであるというふうに考えまして、先日来、財政当局の御協力も得ながら努力しているところでございますが、しかしこのような事件が相次ぎましたということは、矯正行政に対する信頼というものを国民から失ってしまうということになりまして、国民の信頼がなければ矯正行政も成り立たないということは当然でございます。私自身が改革の先頭に立ちまして、このような事件が私の在任中に起こったということも考え合わせますと、これを改革し、新しい矯正を作っていくというのが私の天命ではないかというふうに思いまして、一日も早く新しい行刑、矯正のシステムを作っていかなければならないというふうに考えております。
 先ほど来の御答弁の中にも幾つか出てまいりましたけれども、早速、省内に行刑問題に関する調査検討委員会というのを作りまして、関係の、関係者が集まりまして問題をたくさん出してもらいました。その中で、改善できるものはその日から改善しようということで、例えば、いわゆる情願を全部私が最初に見るということにいたしましたり、また、その情願の処理についても、矯正だけに任せないで必要なものは人権担当者にも見てもらおうということを決めましたし、革手錠の使用についても改善したいというふうに思いまして、それを、革手錠をやめて、それに代わるものを六か月の以内に検討してもらうということも決めたり、いろいろな七つ、八つの決定事項が既に行われ、着手されているところでございます。
 このようなことから、一切のタブーを排しましていろいろな方面で議論を尽くし、特に近く発足させていただく予定でございます行刑の改革会議とでもいうようなものを作りたいと考えておりますが、第三者の方の、民間の方のお知恵をおかりして、より開けた、より明るい、より未来志向の行刑を一日も早く立ち上げたいというふうに考えまして、今、懸命に準備しているところでございます。
 今後も全力を挙げて取り組みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#26
○市川一朗君 是非、大臣を先頭に努力していただきたいと思うんでございますが、やはり事件が起きないことにこしたことはないんですけれども、問題はもう一つ、起きた場合どうするかということが結局、再発防止につながると。
 最近、医療事故が多発しているんですけれども、アメリカがひとつ進んでおりますのは、進んでおると最近言われております。それは、私が承るところ、医療事故が起きたらもうその病院がつぶれてしまいますので、そういうこともあって、病院ではもうすぐ事故のすべてを明らかにして、それで本当に公開の場に、なぜ医療事故が起きたのか、どういう医療事故が起きたのか、なぜ起きたのかということについて原因をしっかり、もうとことんまで究明しましたということを全社会にオープンにするということによって、逆に医療事故の再発は防止できるし、病院の信用回復にもつながるというその実験的な、社会的事実が出てまいっておりまして、日本がまだその点では大変遅れているんじゃないかという専門家の指摘もあるわけでございます。
 今朝ほど、私、またテレビを見て感じたんですが、そのことの是非はともかくとして、イラク攻撃に向けた準備をアメリカ空軍が航空母艦の上でやっておると。それがもうそのままフィルムで写されて、それがほとんどリアルタイムで日本に来ているわけですから、全世界の人たちに知られるわけですね。あれが五十年、六十年前の太平洋戦争のころでしたら、多分、従軍記者はいてフィルムには収めたでしょうが、そのフィルムが、全世界はもちろんですが、国民に知らされるには相当の年月も掛かるし、場合によってはカメラ共々なくなってしまうかもしれないと、それが今やリアルタイムで報道されると。つまり、そういう情報化時代において事件が起きたときに関係機関はどう対応するかと。これは非常に難しいテーマだと思うんですね。
 私は、行政局だけではない、日本の行政機関すべて、場合によっては国会もそうだというくらいなんですが、ただ少なくとも、法務省の場合は、現在、大変意欲的に取り組まれて、法案自体は問題がいろいろ多いということでストップしておりますが、審議が。これは我々の委員会の責任でもございますけれども、人権擁護法案、その中で人権委員会を法務省が所管するのがいいのかどうかというような議論がなっているわけでございます。
 そうしますと、やはり一行刑施設の問題だけじゃない、いわゆる矯正行政だけの問題じゃなくて、法務省全体の在り方として本当に人権擁護のための責任ある官庁として任せられるのかどうかということが今問われていると思うんですね。その際に、今のような高度の情報化時代を迎えたということでなかなか本当に対応難しいと思うんですね。その辺のところをやはり省内の御検討の中で、何か行刑施設問題とか矯正行政とかという特化するような議論をしないように、やっぱり法務行政全体が新しい時代に立ち向かっていけるような形で取り組んでいくべきじゃないかと。
 少し生意気な感想を持っているわけでございますけれども、改めて大臣、御経験豊富でございますから、御決意的なものも含めまして、感想的なことも含めまして御発言を求めたいと思います。
#27
○国務大臣(森山眞弓君) 誠に、先生おっしゃいますとおり、このたびの事件につきましては、行刑だけの問題ではなくて、法務省全体が非常にその存在意義を問われると言ってもいいような大事件だと思います。
 法務省全体としてこれに取り組みまして、これからの法務行政について、未来志向の、この情報化時代のオープンな、国民から支持の得られる法務行政に作っていかなければならない、改めて決意をしているところでございます。
#28
○市川一朗君 終わります。
#29
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 今日は、名古屋刑務所等矯正施設に関する問題について集中して審議をさせていただくということでございますが、ちょっとそれに先立ちまして、世上、大変今イラク問題にかかわって、多くの皆さんが不安をお持ちだという状況でございますので、一、二点だけ大臣のお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 まず、基本的に、もういつ何どき、米国がイラクの武力攻撃を行わないとも分からないという状況になってまいりました。この間のいろんな議論は省きますけれども、この米国の考え方あるいは姿勢に対して小泉総理は明確な支持の表明をされたということでございます。私は、率直に言って、米国の決定はやはり国連憲章あるいは国際法の基本的な考え方、こういうものに反する大変遺憾な決定ではないかというふうに感じております。
 そういうことも念頭に置いていただきながら、森山法務大臣、やはりこの法務委員会もそれから法務行政も法にのっとって、そしてまた国際的な法にもやはりきちっと対処をしながら進められているというはずでございます。
 そういうことを考えたときに、法務担当をなさっておられる大臣としても、あるいは一閣僚としても、このイラク問題についての森山法務大臣の基本的な御認識、どんなふうに考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#30
○国務大臣(森山眞弓君) 一昨日、アメリカのブッシュ大統領がイラクに対しまして、フセイン政府が自ら平和の道を選ばなければ武力行使に訴えざるを得ないという旨の演説をいたしました。ブッシュ大統領の趣旨はそのようなことでございましたが、確かに言われるとおり、イラクのフセイン大統領が平和の道を選んでくだされば、そのような対応をしてくれれば武力の行使ということは必要ないわけでございまして、そのために平和に解決したいということでいろいろな国がいろいろな道を探って、様々な外交交渉をいたしましたし、日本もそれなりにそのような努力をしてきたと思いますが、結局のところそのようなことにならず、アメリカとしては様々な努力の成果むなしく、やむを得ないぎりぎりの選択であるのではないかというふうに私も察しております。
 そのような意味で、今回のアメリカのやり方、まあ決意といいましょうか、そのようなことも残念ながらやむを得なかったのではなかろうかというふうに思う次第でございまして、世の中にはなかなか思うようにいかないことがあるものだなと、このような大きなことについても、平和ということをすべての人が望んでいながら、必ずしもそうはいかないということがあるというのは本当に残念だなというふうに思っております。
#31
○千葉景子君 何か森山法務大臣もいま一つ、正統性がある決定なのか、あるいはそれを支持することが本当に正しいのか、何かどうもはっきりとおっしゃれないような今お口ぶりに私は受け止めさせていただいたところでございます。
 むしろ、それが当然なのかなという感じがいたしますし、やっぱり多くの国民も、一体どうして日本は賛成をするのか、その辺のことをよく説明を受けていない、結果的には一体、日本はその賛成をすることによってどんな事態になるのか、こういうことも明確に知らされてもいないと。そういう中で、今、正に武力行使が始まろうとしているということは、私は、やっぱり政府として、それからそれを構成する大臣としても、いささか本当に明快、明確な姿勢を欠く、そして国民に対するやっぱり説明の責任を欠いているというふうに思います。
 先ほどの大臣の悩み悩みのような御答弁を国民も聞きましたら、やっぱり何か余計不安を募らせるんじゃないかと、こういう感じがするんですが、その不安ということにかかわって、やはり国内の、日本に対する影響、こういうことについてもやっぱりきちっと検討を加え、そしてまた国民にも知らせるという必要があるのではないかというふうに思うんです。
 法務にかかわる、法務行政の面から見ても、やっぱりこういう武力衝突があったと、こういうことに関していろいろな不安というものが、それからそれに対する対応ということを当然のことながら念頭に置かれているものだというふうに思います。森山法務大臣も国家安全保障会議のメンバーでもございますし、そういう意味でこの法務行政という立場から、国内のいろんな不安、あるいはいざというときの対応、何か、どういうところを検討されているのか、あるいは念頭に置かれて今おられるのか、お聞きをしたいというふうに思います。
 今日の質疑にもかかわりますけれども、法務省は、言わば刑務所あるいは少年院あるいは入管の施設等収容施設、そういうところも管理をしているわけでして、そういうことも念頭に置きながら、どんな対応を考えておられるのか、あるいはどういう事態にも備えられるというふうに考えておられるのか、その辺の危機管理体制についてお聞かせをいただきたいと思います。
#32
○副大臣(増田敏男君) お答えを申し上げます。
 米国によりますイラクへの武力行使が行われた場合のお尋ねでございますが、イスラム過激派を始めとする反米グループ等による国内でのテロに対する一層の警戒が必要である、このように考えております。
 そこで、法務省といたしましても、武力行使開始後、事務次官を本部長とする法務省緊急テロ対策本部を招集いたしまして、法務省における緊急テロ対策を総合的かつ効果的に推進することといたしております。
 各局における具体的な取組といたしましては、まず入国管理局におきまして、一層厳格な上陸審査を実施をすること、また成田空港及び関西空港の直行通過区域のパトロールを強化することなどにつきまして、三月十八日付けで地方入国管理局等に指示をしたところでございます。
 また、公安調査庁におきましても、本年二月三日、公安調査庁次長直轄による国際テロ特別調査体制を整備をいたしましたほか、昨日、公安調査庁長官を本部長とするイラク攻撃関連特別調査本部を本省に設置をし、テロ関連情報収集体制の一層の強化を指示いたしたところでございます。
 さらに、検察庁におきましても、昨日、最高検察庁から全国の検察庁に対しまして、テロ事犯に対応をする体制の強化等について一層の徹底を図るよう指示が出ていると聞いております。
 いずれにいたしましても、今後とも、国民の安全の確保を最優先に、関係機関とも連携を図りながら、先生がおっしゃいましたように、一分のすきもあってもなりませんので、一層の警戒態勢の強化を努めてまいりたい、このように考えております。
 なお、イラク及び周辺国に居住する相当数の日本人のことが当然思い浮かんでいくわけでありますが、緊急に帰国することが予想されますので、これらの人々の帰国手続も円滑迅速に行えますように、そのような対応にも努めてまいりたい。
 概括を申し上げました。
 以上でございます。
#33
○千葉景子君 ありがとうございました。
 それでは本題の方、入らせていただきたいと思います。
 この名古屋刑務所問題を契機といたしまして、法務省の矯正行政、あるいは法務省の体質含めて大変な私は問題に今なっているものだというふうに認識をいたしております。私も、この法務委員会に数多く所属させていただいておりまして、以前から、刑務所等の例えば医療にかかわる問題あるいは外部交通の問題等含めて、折々にいろいろな質疑をさせていただき、あるいは問題の提起もさせていただいてまいりました。残念ながら、私も責任を重く感じております。
 そういう中で、やっぱりこれだけの事態を食い止めることができなかったということは、やっぱり立法機関におる者としてもそこまで本当に思いが至っていたのかということを考えますと、本当に今責任の重さというのを改めて痛感をしているところでもございます。
 そういう意味では、やっぱりこれを契機として本当に徹底した事案の究明、そして新たなるスタートというものをきちっと立法機関としても行っていかなければいけないというふうに感じております。それを是非、冒頭、表明をさせていただいて、私の質疑もそういう重いものを本当に胸に置きながらさせていただいているんだということを御理解をいただきたいというふうに思います。
 やっぱりこういう刑務所等というのは、なかなかこれまでも多くの人の関心といいましょうか、あるいは念頭になかなか上らない問題であったかというふうに思います。そういう中で、法務大臣も法務の最高責任者ということに就かれる、就かれたわけですので、当初、なかなか刑務所等についてのイメージとかあるいは御認識、そういうものがどの程度本当におありだったのか、あるいはどの程度そこに思いを凝らしておられたのかということを改めてお尋ねをしたいというふうに思うんですね。
 法務行政は刑務所ばかりではありません。片方では入国管理があり、あるいは人権、本当に大丈夫かなと思いますけれども、そういう部分も持ち、しかし、その中でやはり矯正施設というのは唯一、法務省が管轄をすると、そして多くの人を収容し、拘束をし、そこで新たなる再スタートの道を作っていくということですから、私は法務行政の中でも大変重い仕事だというふうに思います。
 法務大臣は、そういう刑務所あるいは少年院、入管の収容施設等を持つ法務大臣に就かれるに当たって、そもそもどういう御認識で見ておられましたか、刑務所等について。やっぱり十分に機能を果たしているもんだと、問題はないんだという印象で就かれたんですか、それとも、いや、ああいう場所だからいろいろ問題があるのではないか、そこはやっぱりきちっと見ていかなければいけないんだと、こういう御認識でそもそも大臣の職をスタートをされたのか、その辺りはいかがでしょうか。まず、基本的なそこをお尋ねをしたいと思います。
#34
○国務大臣(森山眞弓君) 大臣に就任するときというのは、その以前の経験をお話しなのかと思いますが、大臣になります前には、私は、刑務所というところを直接見たことは一度か二度あったと思いますが、そう詳しくは承知しておりませんでした。
 しかし、大臣になりまして、できるだけ早く実態を見なければいけないと思いまして、かなりの数、今までいろいろと視察をいたしてまいりましたが、先ほど来お話がありますように、非常に過剰収容が厳しいということを実感いたしましたし、その厳しい過剰収容の職場環境の中で個々の職員が非常に地味な努力を積み重ねているということも知ったわけでございます。決して楽しいとかうれしいとかいう仕事ではございませんで、つらい仕事を黙々とこなしているという状況も見まして、治安のとりでとなるべき施設を維持するために職員の苦労は大変なものだなということをまず感じたわけでございまして、現在でもその気持ちは変わっているわけではございません。
 しかしながら、一方におきまして非常に閉鎖的な感じのするところだなというふうに思いました。職員もそのようなつもりで、犯罪を犯した人をここに隔離して、ここで更生させるということを前提として仕事をしているわけですので、世間とはちょっと違うところというふうな気持ちでいるんだろうと思いますが、何となく、素人として突然法務を担当した私といたしましては、一般社会の施設に比べて随分閉鎖的な感じの強いところだなということをまず感じたのが第一印象でございます。
#35
○千葉景子君 率直な御感想だというふうに思います。
 今、大変閉鎖的な施設だなとお感じになったというところですけれども、私はそこは非常に重要なポイントだったと思います。でき得れば、その閉鎖的だなとお感じになったところから一歩、二歩更に思いを巡らしていただきたかった、そう思います。そこにもう少し深い洞察がなかった、そこまで至らなかったというのは、法務大臣の残念なところではないでしょうか。
 やっぱり御承知のとおり、閉鎖的な社会、そして、もう一つ当然指摘をさせていただければ、収容施設、特に刑を受ける受刑者、あるいは少年院などもそうですけれども、絶対的にそこを管理する者と、それから受ける者、その関係というのは、やはり管理し管理される、あるいは支配をし支配をされる、こういう関係ができているんだということ、しかもそういうことが外からなかなか見えにくい、あるいはそこで起きることが、さっき言った密室の中で外にはなかなか出ていかない、こういう非常に特異な場所ということになろうかというふうに思うんですね。そういうところでどんなことが起こりやすいのか、あるいはどんな状況で受刑者などがそこで生活をしているのかということまで、やっぱり法務大臣としてはもう少し思いを巡らす必要があったのではないか、こう思うんです。
 結果的には、大臣がそこまで思いを巡らしていなかった結果、何が起きていたかというと、それはまあそれ以前からのことではありますけれども、実態は、言わば矯正どころか殺人の場でもあった。あるいは、いろいろこれから指摘もさせていただきますが、言わばリンチが行われるような場であった。こういう実態だったわけですよね。
 そういう意味では、法務大臣としても、密室でちょっと、そういうほかとは違うところだなと考えたところまでは、感じたところまではよかったわけですけれども、その先まで深く行政を検証しようということをなさらなかった結果、やっぱりそれがずっと放置をされ、そしてようやく外からの指摘でリンチや殺人のような行為が行われているということが明らかになってきた、こういうことについて、大臣としてはどう考えられますか。自らの至らなさのようなことについて、何かお感じになることはございませんか。
#36
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、更に深く、あるいは以前のことまでたどっていろいろと勉強し研究するということが必要であっただろうと思いますし、それができていればもう少し良い対応ができたかもしれない、あるいはそういう事件が未然に防げたかもしれないということはおっしゃるとおりだろうと思いますが、私といたしましては、特殊な、特別な、違った閉鎖的な社会だというふうに思ったことは事実でございますけれども、幾ら何でもそういうところで、まさかリンチのような、あるいは懲らしめのために今問題になっているような事件が行われているとは夢にも思いませんでしたので、その点は、確かに私としては行き届かなかった、不明であったということを大いに反省いたしておりますが、普通はそのようなことが想像もできない事態なものでございますので、そのような事実があったということを聞きまして、非常に驚き、どうしていいか分からないといいますか、何とお答えしてよろしいか分からないというような気持ちで一杯だったわけでございます。
 しかし、次第に事実が明らかになりまして、そのようなことが現に起こったんだということを知りますと、もうそれを絶対に二度と起こらせないように、こういうことが再び起こらないようにしなければいけないということを強く感じておりまして、そのためのいろいろな方法を現在、先ほども答弁で申し上げましたようないろいろな、調査検討委員会、あるいは私自身がすぐにでもできることはすぐにやって改善していこうということを今やっておりますし、さらに、オープンに多くの方の御意見をいただくということも必要だろうと思いまして、外部の民間の方の有識者をお願いしようということで今準備しているところでございますが、そのようなことで、今までの閉鎖的な社会、ほかと違うことが通用するような社会だということを変えていきたいというふうに考えております。
#37
○千葉景子君 本当に変えていくことができるのか。これまで放置をしていた、あるいは先ほど市川理事の方からも御指摘がありましたけれども、資料等の問題につきましても、ある意味では、自ら積極的に事態の解明やあるいはこれからの改善に取り組んでいこう、そのためにはすべてをまずむしろ積極的に提供し、そして国会等の議論などにも供していこうという姿勢が言わばなかったわけですから、そういう皆さんに、またじゃ、それを悔い改めて次へスタートをしてくださいと、そう簡単に私はその仕事をゆだねるというわけにはいかないというふうに思います。そういう意味で、これから少しこれまでどんな事態があったのかということを質問させていただきたいというふうに思うんですが。
 もうこれは重なることになりますが、これまでのやっぱり刑務所内で起こっていた死亡などの事件、そして、とりわけこの委員会で昨年、集中審議を行い、その際にも多くの委員からもそれを裏付ける、あるいは調査に寄与する資料を提供せいと、こういう話がありまして、まあそれ、結果的にはこの委員会も、まあある意味では裏切られたわけですよね。なかなか全貌を調べてみなきゃ出せません、時間も掛かります。そこにやっぱり私は非常に、自ら何かやろうという姿勢が全く見受けられなかったというふうに思います。いろんな多くの皆さんの努力もあり、そして先般、私も改めて、そのためのまず、まず第一の手掛かりとなる資料ということで死亡帳というものを過去十年間分提出をお願いをし、それには応じていただきました。まあ遅きに失したという感じがいたします。
 これについては、大臣、いかがですか。やっぱり、もう昨年来、国会でも取り上げられてきた、それから社会で、報道でいろんな不祥事があったのではないかと指摘もされてきた。そういう中で、やっぱりそれを裏付ける、あるいはそれを議論をする前提となるような本当に資料についても積極的に、あるいは自ら進んでやっぱり提供できなかったような体質、そういうことについては、大臣、どう受け止められておりますか。その法務省としてのそういう対応の仕方、体質。
#38
○国務大臣(森山眞弓君) 確かにそのような経緯がございまして、死亡帳を提出いたしますまでに紆余曲折、少々の時間が掛かってしまったということは誠に申し訳なかったことだと思います。
 このようなことになりました以上は、先ほども申し上げましたように、国民の皆さんにすべての資料を必要に応じて公開いたしまして、特に国会からの御要求に応じて資料をすべて見ていただきまして、それに基づいて議論していただくということが大前提であろうというふうに思いますので、そのために最大の努力をこれからはしていきたいというふうに考えています。
#39
○千葉景子君 やはり、これも先ほど指摘がありましたけれども、逆な見方をすると、今になって出すことができる、それまでの間というのは何かいろんな状況、条件を整えるために時間が必要だったんじゃないかとか、あるいは提出するとそこから何か事が大きくなって非常にまずいことになるんでないかというような意思が働いていたんじゃないか、こう疑わざるを得なくなりますし、そうでないんだとすれば、すべてこういう問題はもう省内で片付ければいいんだ、人様に見せるものでない、人様の議論にさらすものではないという何か隠ぺい体質があるんではないか、やっぱりそういう疑問を当然持つわけですね。やっぱりそういうことを改めて指摘をしてまずおきたいと思います。
 で、やっぱりかなと思いましたのは、この十年分のこの死亡帳出していただきまして、何せ出していただきましたのが昨日、一昨日のことですから、これを全部つぶさに検討するなぞというところまでには私も至りません。しかし、この死亡帳から幾つかのことがうかがい知れますので、そういうことを指摘をしながら見解なり御答弁をいただきたいというふうに思っております。
 まず、私もこれは数、分かりません。それから、さっきのあの検視の問題、それから変死という問題、解説をいただきましたので私はそこは問いませんけれども、数としては、やっぱりこの過去十年間、一生懸命私は資料を、いただいたものを数えましたから。過去十年間ですね、全国の刑務所等で亡くなった方の数が五百八十四名。ただ、これには、後から追加の資料をいただきましたので──どこだったっけな、済みません。それは言っていただいた方がいいのかもしれませんが、東京、大阪管区の数が入っていないんですね。ただし、府中と横須賀と大阪刑務所の分は入っていると。ちょっと分かりにくいですけれども。いずれにしても五百八十四。先ほどのお話ですと二百六十二ということでしたけれども、私が数えたら二百八十五だったような気もしますが、半分が何らかの形ではありますけれども検視を受けている、変死も疑われる事案だということですね。そういう意味では、やっぱり改めて愕然といたします。
 それでなくても、この十年間、言わば収容施設で亡くなった方が五百八十、六百人以上いらっしゃる。私もこれを繰りながら、病死、当然、病死が明らかだというものもあります。刑死というのもございます。非常に何かもう一つ一つの死亡ということについてもう何とも言えないやっぱり思いに駆られました。しかも、その中で半数が、結果的には変死ではなかったかもしれませんけれども、そこに検視を受けなければならないような疑いもあるような死に方であったということを考えたときに、本当にこれは刑務所の中であるいは矯正施設の中で大変なやっぱり状況があるんだなということを本当に改めて感じます。
 大臣はこういう、先ほど大変な密室だなという印象は受けたということですけれども、実際にこれだけの人がこの間いろんな形で獄中で死を迎え、しかもその中で半数くらいが検視というものを受けるようなそういう状況にあったと、こういう実情とか数とか、そういうものはきちっと報告を受けるというような機会はあったんですか。それとも、そういうことを命じられたというようなことはありましたか。もし、今回初めてというか、改めてこういう数あるいは状況を知ったということであれば、その御所見を伺いたいと思います。
#40
○国務大臣(森山眞弓君) これは過去十年分の五百八十四人という数字でございますが、今は、現時点では七万人ぐらいの受刑者が全国各地の刑務所等に入っておりますので、一年に換算いたしますと、五百八十四人ですから五、六十人ということになりますですが、七万人の中の五、六十人が一年の間に亡くなるというふうな計算かなと思います。
 私は、改めてこのような数字を認識いたしましたのはこの事件が表に出てからでございますけれども、ざっと考えまして、かなり年配の人もいれば、中には麻薬中毒の方もいるでしょうし、あるいは相当病気を既に持っている方もおりますので、一年間に五、六十人ということはそんなにとっぴな数ではないかなというふうに最初受け止めたわけでございますが、よく聞いてみますと、その五百八十四人という数字は、先般提出いたしました札幌、仙台、名古屋、広島、高松、福岡並びに府中、横須賀及び大阪刑務所の死亡帳についてのものであるということでありまして、全部ではないようでありますので、そこのところは私の認識を訂正しなければならないとは思いますが、これらの死亡帳の記載によりますと、変死者又は変死の疑いがある死体があるということで司法検視が行われたのが二百六十二人というふうに、二百六十二件と聞いております。検察官が死刑の執行に立ち会ったものが二十三件あるそうでございまして、その両方の合計が二百八十五人に当たるというふうに承知いたしております。
 変死者又は変死の疑いがある死体があるとして司法検視を行った二百六十二人について、司法検視をした上でもなお犯罪の疑いがあるとの誤解を招きかねないのでちょっと御説明申し上げますと、司法検視は、実際には病死や自殺などであっても、検視前にはそれがはっきりとしなくて犯罪によるかもしれない可能性がある場合は行わなければいけないということになっておりますので、司法検視が行われたものすべてが犯罪の疑いがあるという結果になるわけではございません。
 その辺のところをよく御勘案いただいて御判断いただきたいと思いますが、確かに、体を拘束されて、外の世界とは違った状況で一人の人間になった、そしてそこで病気になり、あるいはその他いろいろな理由で亡くならなければならないという立場になった人々は、それぞれ非常に悲しく寂しく悔しいつらい思いをしたであろうということは察せられるわけでございまして、必ずしも犯罪ではなくても、刑務所の中で亡くなるというのは非常に気の毒なことだなというふうに思います。
#41
○千葉景子君 大臣の御所見は承りましたけれども、私はむしろ、本当に刑務所で亡くなるということも、病気であれ大変なことですけれども、やっぱりそこに本当に十分な例えば医療が施されていたのかなと、仮に病気で亡くなるとしても。ましてや、変死あるいは検視を受けなければならないような言わば死に方をしている数がこれだけやっぱりあるということの異常さ、そこはやっぱりもう少し認識をきちっとしていただかなければいけないというふうに思います。
 先ほど説明がありまして、必ずしも検視をしたからすべてが犯罪、事件性があるわけではない、そこは私も十分承知をしております。ただ、本当にそれがどの程度なのかさっぱり分かりません。
 というのは、この死亡帳を私も繰らせていただきまして、例えば平成十四年十二月の名古屋事件ですね。平成十四年の十二月の名古屋事件、言わば、よく言われておりますように、消防用のホースで暴行を受けたという事例でございます。ただし、これを見ますと、死亡帳にはそういうことは一切出てまいりません。それはそうだと思うんですね、これ死亡帳というのはそういう性格のものであろうと思いますので。ここには、その病名とどういう形で死因があったかということが記載をされているだけです。
 こういうことを考えると、ほかの死亡帳でも、要するに保護房に入れられた経過はないのかとか、あるいは革手錠を使われたり、あるいは暴行を受けた形跡はないのかということなどはこの死亡帳からは必ずしもよく分からないんですね。ここからは、確かに半数ぐらいが検視を受けている、その数は分かる、それから死亡の結果は分かる。しかし、その経過というものが一体どんなものであったのかということがこれだけではつぶさに分からないわけです。
 今言ったように、後から事件になったようなものでも死亡帳では原因が記載されていないということですので、今、例えば私の手元にある資料では、もう本当にこれが事件性のあるものなのか、あるいはそうでなかったものなのかということはよく分かりません。そういう意味では、ここを本当に徹底して改めて検証していかなければいけないというふうに思うんですけれども、何点か不思議な記載とか、これで本当に疑義が晴れるのかというようなものがありますので、若干、せっかくこれだけの資料を私どもも出していただいて大変な責任を負ったわけですので、紹介、紹介と言うのも変ですけれども、指摘をさせていただきたいというふうに思うんですね。
 やっぱり、これも事件になりました名古屋の十四年五月の事件ですけれども、これもこの死亡帳では、その原因あるいは革手錠等の使用、こういうことは一切書かれておりません。突然、寝ているところを発見されて、呼吸が停止と、こういう記載がされているだけなんですね。これだけ見ると、ああ、そうか、突然死だったのかなと、こういうことになりますけれども、そうではなかったということが分かるわけですし、もういろいろ挙げると大変なことになるんですけれども。
 例えば、同じこれは名古屋刑務所でございますが、十四年の、十四の十九という通し番号が付されているものがございます。これは急性硬膜下血腫ということで記載をされているんですけれども、これは死因が不詳であるので司法解剖を要する結果であったと、こういうことが記載をされております。これは相当何か問題のあるような事案だったのではないかというふうに私はこの記載を見ながら感ずるわけですけれども、例えばこういう死亡事案も一体どういう経緯だったのかということはいまだに明らかになっておりません。
 あるいは、やはりこれは平成八年の事件で八の十というのがございます。これは肝腫瘍破裂による腹腔内出血。ただ、右側胸部から側腹部の痛みということで書いてありまして、これもどういう経緯だか分かりません。で、その右側胸部から側腹部の痛み、胸部から腹部の痛みあるいは腹腔内の出血ということを読みますと、ひょっとしたら、例えば革手錠で締め付けられて死亡した事案とかなり近似するなという感想を持つわけですね。ただ、これもその前後の状況は全く記載をされておりませんので、分かりません。
 こういう事案についても、この間、特段にまだ御説明等どういう状況で死亡したのかということは明らかにされておりませんので、いずれ、どんなことなのかを、分かれば、あるいは調査をして知らせていただきたいというふうに思っております。
 あるいは、つい最近というか、ずっとあれしていただきましたけれども、先ほど、検視というのは必ずしも何かその根拠がいま一つよく私も分かりませんでしたけれども、非常に検視をよくやっている。よくやっていると言うと変でしょうが、たくさん検視事例がある刑務所があると思えば、大阪刑務所などはほとんど司法検視は行われておりません。もう本当にこれは、もしこの資料をまた後から皆さんも見ていただければ分かりますけれども、もうほとんど司法検視なし、司法検視なしと判こが押されているような状況でございます。
 一体、じゃ、これは本当に司法検視が必要でない、明らかにもう自然死であり、そういう事案であったのかどうか、こういうこともこれだけでは分からないんですけれども、片方では、極めて司法検視を非常に数多く、に回している。そこはやっぱり怪しいのが多かったのかと。大阪刑務所の方は司法検視、全く、ほとんどない。大阪刑務所は本当に処遇がきちっとしていたのかと、本当にそうだろうかと、こういう疑問を持たざるを得ないわけですよね。これは何で大阪はもう司法検視をほとんどしていなくて、それからほかのところは数多く司法検視の事例が出るのか、こういうところも、ある意味では非常に疑問になる点でもございます。
 それから、この死亡帳の中でも全く経過の記載も何にもないというようなものもたくさんございます。例えば、これも本当にその中からめくりましたら余り真っ白けなんでびっくりしてあれしたんですけれども、東京矯正管区の栃木の刑務所なんかは記載欄が斜線が引かれておりまして、何にも記載がない。あるいは、その後の栃木刑務所の十三の一なども、病名というのが本当に記載をされているだけで、全くどういう治療がなされたのか、あるいはどういう経過だったのかということも一切書かれていないというようなものがある。
 前橋の刑務所などでは、例えば平成十二年の事例ですけれども、吐物による窒息と、これだけ記載をされてある。吐物による窒息、そんなに、年齢とかそういうことも分かりませんので、どんな事情なのか、これも首を本当にかしげるような事態。吐物による窒息って、それまでもしあれだったらば、何の蘇生もできなかったんだろうか、手当てもできなかったんだろうかと。あるいは逆に、もうそうならざるを得ない状況が何か背景にあったのかというようなことも大変懸念をされると、こういう事案もあります。
 もう本当に、これ挙げたら切りがなくて、静岡刑務所などは本当にこの死亡帳の記載がとんだ記載でございまして、何しろこれも、ずっと見ていただくと分かるんですけれども、食物吸引による窒息死、肺がん、脳梗塞、あるいはこれは自殺もありますけれども、不整脈、これが一言です、死亡帳に書かれているのは。不整脈で、これが本当に死因なんでしょうか。こういう疑問のものがたくさん出てくるわけですよね。これ少年刑務所などの事例でも大変疑問を感ずるものがたくさんございます。
 その中に、不思議なものもあるんですね。例えば、通し番号がこれずっと付いているんですけれども、その中に突然、番号がないような死亡帳が出てくるんです。例えば、黒羽刑務所の死亡帳のこれつづりですけれども、十三の一、十三の二というのがあるんですが、その間に一枚ぺらっと、これは写しでしょうからあれですけれども、その間に一つ事例が入っている。これには通し番号が付いていないんですね。この死亡帳というのは一体どこから出てきたものかなと、こういう疑問も持ちますし、それは、もう一つ黒羽の十四の三、その後にやっぱり番号が付いていないものが出てくる。しかも、そこは死因が、死因がですよ、心臓停止です。まあ、心臓停止は、死因というか、死んだから心臓停止なわけですよね。こういう記載のものがあって、しかもこれは番号も付いていなくて、ひょっこりここにコピーが付けられていると。こういうものもあったり、あるいは突然、様式の違うものが間に出てきたり、何か本当にこれ、少なくとも死亡帳というのが信頼できるものなのか、あるいはどういう保管のされ方をしたり、それから記載がされてきたのか。もう本当にこれ、よっぽどこれは何か専門的にきちっと検証してみないと分からないところがたくさんございます。
 私は、これ、時間で、こんなことを一つ一つ今やっておりますと日が暮れてしまうし、時間もちょっと足りませんので、こういう、どこを開いてみても不思議なものがたくさん出てくるという死亡帳ですから、ここから推測をするだけでは、逆に言えば誤りを犯すことになるかと思うんです。
 だとすれば、むしろこれにプラスして、やっぱり統計では、死んだ皆さんの背景事情として、保護房に収容されていたかとか、あるいは革手錠の使用があったかとか、そういうことが先ほどまとめた一覧表の中ではほとんどそれも記載がございませんが、本当になかったならそれはなかったでいいんですけれども、その検証のすべすらまだ私たちもありませんので、そういう意味では、例えば保護房、革手錠使用の視察表ですね、それぞれそういうことがあればその動静表、視察表が存在するはずです。ですから、死亡事例あるいは非常に不審に思われるような事例等についてはやっぱり視察表、こういうものをきちっと明らかにして、そして、いや、これは決してそういう疑わしいものではなかったんだと、あるいは、やっぱりその前後に保護房に入れられたり、あるいは革手錠の使用があったりして、それが直接かどうかは別としても、非常に、何というんでしょうね、死に至らしめるいろんな要因が考えられたんだというようなこともやっぱり検証してみる必要がある。
 そういう意味で、私は、改めて視察表、あるいは、必要であればその経過を記載したカルテとか、死体を解剖したりした検案書等、また資料の提出をいただきたいというふうに思っております。それは、もう今幾つか事例を出させていただきましたけれども、そういうものを一覧にさせていただくなりして、それに見合った資料の提出をまた改めてさせていただきたいというふうに思いますので、その点について要求をさせていただきましたら当然出していただけますね。
#42
○政府参考人(中井憲治君) いろいろ御指摘をいただきました。
 被収容者の身分帳簿自体の問題になりますと、被収容者等の名誉とかプライバシー等の保護の問題、その兼ね合いの問題も考慮しなければなりません。しかし、さはさりながら、職員の暴行によるなど、犯罪の疑いがあるというような事案でございましたらば、それは個別に検討させていただきまして、私どもも隠すつもりは毛頭ございませんので、前向きに対応させていただきたいと、かように考えております。
#43
○千葉景子君 それは、プライバシー等にかかわるところはこの死亡帳でも一定の墨塗りをして提出をいただいているわけですから、そういうことも含めてきちっと、必要なもの、こちらから提起をしたものについては対応していただきたい。是非、それはまた改めて理事懇、理事会などにも提起をさせていただきたいと思いますので、委員長のお取り計らいをよろしくお願いをしたいと思います。
#44
○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、協議いたします。
#45
○千葉景子君 それでは、もう一つ問題になりました情願の制度についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
 先ほど大臣も、自ら情願については直接見るということをお話しされておられます。これもびっくりしまして、情願を知らなかった、一回も見たことなかったというお話を聞いたときには、私もおっとと、もう本当にびっくりした次第でございますけれども、今、全部読んでおられる、あるいは目を通されておられるということですが、具体的に大臣がそうされるようになりましてから、どんな数が、そしてどういう内容で情願が上がっているのでしょうか。そして、その中で大臣として、これは大変だとお感じになったり、あるいはいやいやこれはそうでもないというものがあったり、あるいは改善を指示されたり、いろいろこの間の動きがあったかと思います。
 大臣、どうですか。その辺を説明をいただきたいと思います。大臣にお願いします。
#46
○国務大臣(森山眞弓君) 二月の二十日以降、全部私が見るということにいたしましたのですが、日によって来る枚数も違いますし、また、私の時間が十分ないときもございますので、必ず毎日というわけではございませんけれども、でも、大体ほとんど毎日のように見ております。
 今日、三月十八日までですが、三月十八日までで三百九十三本見ました。日によっては四十通以上、五十通近いときもございますし、また十数通のときもございますが、そんなことで、なかなか大変ですけれども、やっぱりこれは私の仕事の重要な部分であると考えて今、一生懸命見ております。
 内容でございますけれども、内容については、それぞれの受刑者がそれぞれの立場で考えているわけでございまして、考えたことを書いてくるわけでございまして、中には、食べ物の好き嫌いとか、あるいは石けんが足りないのでもっと支給してほしいとか、そういうごく日常の問題もございますので、そのような、特に日用品についての配付が少ないというようなことについては矯正局なんかに注意を喚起しているわけでございますが。
 中には、ちょっとこれは心配だなと思われるような、刑務官に腕をつかんでこづかれたとかいうようなことが書いてございまして、理由はいろいろあるんだろうと思いますけれども、本人が訴えるところによれば、必ずしも理由がないのにいじめられているというようなことが書いてあるのも時々ございます。そういうものについては人権擁護局の方に回しまして、人権擁護局では、人を派遣しまして、その現場に行かせて実態を調べるというようなことをやっております。そのようなケースは今までの中で約十件ぐらいございましたでしょうか、事実を調査するということを具体的に進めているところでございます。
#47
○千葉景子君 情願という中に刑務所内での言わば姿がかいま見えてくるということもあろうかというふうに思います。
 ただ、正直申し上げまして、情願を本当にするということは、逆に言えば非常に勇気の要ることで、この間もいろんな報道あるいは指摘もされているように、それから、事件になったものの背景には、情願をやったことによって暴力を受ける、あるいは不利益を受けるというようなことがあったわけですね。そういう意味では、情願にはかいま見えてくるものもあるかもしれませんけれども、更にその後ろに、そこにも至れない、そういう非常に状況があるんだということもよくよく承知をしておいていただきたいというふうに思うんですが。
 これまで、過去の情願、結局は大臣の元には上がりませんで処理をしてきたというものでございましたけれども、その過去の情願、どんなことが本当に、大臣の元へ本当は声を届けようと思ってなされてきていたのかというようなことは、この間、検証されてごらんになりましたか。一定の、振り返ってごらんになる、あるいは、どんなことが大臣に訴えられていたのかということをやっぱりこの際、顧みたようなことはなさいましたか。
#48
○国務大臣(森山眞弓君) 私は、すべてを全部過去にさかのぼってというのもにわかには難しいものですから、過去の名古屋刑務所の情願というのを中心に読んでおります、平成十二年以降のものでございますが。今は新規で来るものの処理に時間を取られておりまして、すべて処理をできてはいないんでございますけれども、中には職員からの暴行を訴えるものも先ほど申したようにございますし、そのようなことを見ますと、やはり情願というのは職員任せにしないで私自身が見なければならないということを改めて感じているわけでございます。
 また、人の性格にもよるでしょうし、その状況にもよるんでしょうけれども、中には一人で何十回も出すという人もございまして、ああ、これは前に見た字体だなと思ったり、ああ、同じ人だなというようなことが分かる場合もございまして、いろんな人がいるものだということを改めて痛感しております。
#49
○千葉景子君 大臣の情願と同時に巡閲官に対する情願というのも制度としてございます。これは一体、具体的にはどんな形で今行われているのか、ちょっと簡単に実情を教えてください。
#50
○政府参考人(中井憲治君) 御説明いたします。
 お尋ねの巡閲官情願の巡閲でございますけれども、刑務所等に対して少なくとも二年間に一回行うこととされております。その際、被収容者は巡閲官に対しまして書面又は口頭により情願を行うことができるとされております。
 巡閲官は、被収容者から書面により提出され、あるいは面接で聴取いたしました不服申立て事項につきまして、関係職員から直接事情を聴取する又は参考となる書類を収集すると。で、これらの書類を基に調査して裁決を行っていると、これが大まかな流れでございます。
 なお、巡閲官は、被収容者から情願を聴取するに当たりましては、必要がある場合を除き、当該刑務所等の職員を立会い、立会させてはならないということとされております。
#51
○千葉景子君 二年に一回ですから、本当に何ともささやかな苦情申立てといいますか、意見申立ての本当に細い糸のようなものだなというふうに思います。
 先ほど指摘をさせていただきましたように、これまでやっぱり情願という制度が大臣にも届いていなかった。しかも、情願をすることによって、建前としては当然、不利益を被るとか、そういうことがあってはならないというのは当たり前ですけれども、しかし実態としては本当にそうだったのか。情願をすることによって不利益を被ったり、あるいは暴行を受けたりするようなことはなかったのかと、そういうチェックすらやっぱりできていなかった、あるいはチェックをする仕組みがなかったということでもございます。
 この辺りは、改めてどういうふうに改善をしていくのかということも大変検討課題であろうというふうに思います。もう本当に、これだけでは何ともまだまだ事態はよく分からない、解明もできないわけですし、抜本的には、矯正の在り方、あるいは医療の在り方、あるいは保護房、革手錠、それから、逆に言えば職員の処遇の問題等々、本当に問題はたくさんございます。これを一つ一つこれから議論をしていかなければいけない。もう本当に気の遠くなるようなある意味では話であろうかというふうに思いますが、また次の機会に更に聞かせていただきたいと思いますが。
 先ほど私が指摘をいたしました死亡帳で、間で番号がないと。継続番号がなくて、何というんでしょうね、突然出てくるような死亡帳、これは一体どうしてこうなっているのか。そこは分かればちょっとお答えをいただいておきたいんですけれども、何でこういうことになるんでしょうか。通し番号を付けておいたけれども、ここだけ後から追加したとか、そういうことなんですか。ちょっとそこはどういう事情でしょうか。
#52
○政府参考人(中井憲治君) その当該案件につきまして、もう一度調査の上、しっかりしたことをお答えしたいと思いますけれども、一つ可能性としてあり得るのは、本所以外に支所がございますので、仮にそういう場合には、本所の連番と支所の番号が異なる、あるいは、支所の数が少ない場合にはそれが本所の連番の中に入ってとじられているというようなことが可能性としては考えられます。
 ただし、当該具体的な案件につきましては、原庁に私ども確認させた上できちんと御報告させていただきたいと思います。
#53
○千葉景子君 しかし、その支所とは思えないようなものでもありますが、きちっとこれは調べて、あるいはどういう事情なのか、明快な答えは後ほどいただきたいというふうに思います。
 今日は第一回目という私はつもりで質疑をさせていただきましたので、今日、まだまだ疑問に残ったこと、あるいは先ほど申し上げました資料等について提出をいただいた上で更に議論を深めさせていただきたいと、これを申し上げて、同僚議員に引き継ぎたいというふうに思います。
#54
○角田義一君 民主党・新緑の角田でございます。
 今回の名古屋刑務所で起こりました受刑者に対する死に至らしめた事件というものが発覚をしたと。それを私ども聞きまして、これは、大臣も先ほどお話がございましたけれども、誠に情けないというか、憤りと。こういうことが刑務所の中で起こり得るというようなことはもう考えても私どもみなかったわけでございまして、誠に暗たんたる気持ちに今襲われておる、あってはならないことが起きたと。一体、刑務所というのは受刑者を人間として扱っていないのではないかという気すらするわけであります。
 事件発覚後、大臣が懸命に事実の解明やらあるいは再発の防止やらに努力をしておられることは多といたしますけれども、この事件が発覚してから後の、後の事務当局の大臣を補佐する体制なり姿勢というものは私は誠になっていないんじゃないかという気がいたしますが、官房長、来ておりますから、そこをまず聞いておきたい。
#55
○政府参考人(大林宏君) 御指摘のとおり、いろいろと先生方には御迷惑も掛け、御心配をお掛けしました。ここにおわび申し上げますとともに、今後こういうことがないように私ども協力して努力したいと思います。何とぞ御理解ください。
#56
○角田義一君 この事件をめぐって法務当局の幹部職員に対する処分というのが行われましたが、官房長はどういう処分を受けたの。
#57
○政府参考人(大林宏君) 私は受けておりません。
#58
○角田義一君 但木敬一という事務次官がおるが、これ厳重注意だというんだな。この厳重注意というのは大臣、どういうことですか、お説教するだけですか。
#59
○国務大臣(森山眞弓君) 厳重注意という処分がございまして、それを受けられたということが記録されるわけでございますが、以後このようなことがないように、また今まで起こった様々なことについても十分認識をいたしまして、今後の行政を正しく持っていってもらうようにということを厳しく申したわけでございます。
#60
○角田義一君 矯正局長の中井局長は訓告だな。訓告というのは国家公務員法の八十二条の懲戒には当たらないんだよ。これもお説教ですか。大臣。
#61
○国務大臣(森山眞弓君) これは更に具体的な責任者の一人でございますので、一層厳しく申し渡したということでございます。
#62
○角田義一君 私はこの報道を見て、これは、大臣も立場はあるのかもしれぬけれども、極めて甘い処分だな、これは。事案の重大性にかんがみて、この程度の処分ではとてもじゃないけれども私は国民は納得しないと思いますよ。一遍これ処分出しちゃったからもう一遍重い処分しろとは言えないけれども、言えないんだけれども、やっぱり事実認識なり事態に対する深刻さというものに対する認識が、申し訳ないけれども、大臣、ちょっと甘いんじゃないですか、この程度の処分で済ませると。いかがですか。
#63
○国務大臣(森山眞弓君) 先般発表いたしました処分は、平成十四年五月と九月に名古屋刑務所で発生した事件についてのいろいろな意味での監督者あるいは責任者に対する処分でございまして、その当時の刑務所長とか監督者のほか、名古屋矯正管区、本省の関係職員等に対して行ったものでございます。
 これらの処分は、関係職員の地位、職務上の義務違反とか職務懈怠の内容などを総合的に勘案した結果でございまして、それ自体は妥当であったと私は考えておりますが、更に残念ながらもう一つの事件が明らかになりまして、これについてはまた別途加えなければならないというふうに思っています。
#64
○角田義一君 私は、何も処分を求めるのが趣味じゃないんですよ、はっきり申し上げるけれども。今、ちょっと大臣からお話があったけれども、ホースで亡くなっているわけですよ、一人、結果的に。これはよほど深刻に考えてもらって、裁判の経緯を見るのもいいかしらないけれども、しかるべき時期にやっぱり国民の納得するような処分をしてもらわぬと私は大変なことになるというふうに思います。これは強く要望というか、要請をしておきます。
 それから、この調査検討委員会というのをお作りになった。大臣の非常に穏やかな指示の文書を私は拝見しましたけれども、やっぱりこれ身内だね、そのメンバーが。第三者は何とか、今度作る改革会議とかなんとかというのに第三者を入れようと、こういう話だ。だけど、あのとんでもない外務省だって、こんなこと言っちゃ悪いけれども、とんでもない外務省だって園部という元の最高裁の判事をキャップにして、そして調査をやったんだよ。
 ここにさっき言った死亡帳があるでしょう、今、千葉先生がえらい時間を、夜、徹夜ぐらいやって昨日調べたんです。この死亡帳だって、身内でこれ調査しても駄目ですよ、こんなもの。この調査検討委員会の段階でもう弁護士、医者、学者、こういう者を入れて洗いざらいやってもらうんだという気持ちがなきゃ、内々だけでやったってこんなもの、こんなものと言っちゃ申し訳ないが、どうにもならぬですよと私は思うんだよ。これはもう改組して、この調査検討委員会自体も改組して、もう一遍これ仕切り直しをするということを大臣、考えたらいかがですか。
#65
○国務大臣(森山眞弓君) 調査検討委員会はおっしゃるとおり省内の関係者の委員会でございまして、それぞれの立場からこれから解明するべき様々な項目を整理いたしまして、今すぐできるものはやろうと。それから、さらに大きな問題あるいは自分たちが気が付かない問題もたくさんあるに違いないので、それを外部の方の参加された有識者会議にお願いするに当たって問題を整理しておこうということで、そのような仕事をしているわけでございます。
 なるべく早く第三者の方がお入りいただいた改革会議をスタートしたいと思いますので、それまでの準備という意味で調査検討委員会をやっているわけでございますので、これはこれなりに必要ではないかと思いますが、実際は第三者の入られた改革会議に大いに期待をしたいというふうに考えて、今準備中でございます。
#66
○角田義一君 じゃ、ちょっとお尋ねしますけれども、先ほどから問題になっております死亡帳ですね。私もちょっと大変なものをもらったけれども、真っ黒で、真っ黒になっているところ一杯あるんですね。我々に見せないというわけだよ、これ。あなた方は内々だけで見てて何するんですか、内々だけで見て、真っ黒にして。この調査検討委員会の調査というのは何調査するんだ、一体。じゃ、例えばこの今問題になった死亡帳は調査するんですか、どうなんですか。だれが調査するんですか。
#67
○国務大臣(森山眞弓君) 死亡帳の在り方あるいは書き方、内容のチェックの仕方、それらも大きな問題の一つであろうと思いますので、これは後の改革会議のテーマの一つになろうかと私自身は思っております。
#68
○角田義一君 私は、私の持論から言うと、もう調査、調査検討と言っているんだったら、その段階で今言ったような弁護士さんだとかお医者さんだとか、そういう者を入れて、そこからスタートさせるという、それが根本的なやっぱり改革になるんだと僕は思うので、ちょっと検討してくださいよ、これ、もう一遍。それが一つ。
 それから、今日ちょっと時間がないので余り大きなことは言えない、ああだこうだ言えないんだけれども、やっぱりこの行刑の根本は御案内のとおり監獄法ですよ。監獄法というのは、大臣も知っているとおり明治四十一年にできているんです。九十五年前だよ。あれは天皇主権のときで、今は国民主権。だから、天皇主権のときの監獄法が今なお生きている。人権のジの字もない。これ、もう一遍、私は読んでみたけれども、ない。無理もないや、帝国憲法に人権はないんだから。ないんですよ、ないんだよ、何もないんだよ。
 私は、国会議員になってこれをこのまま放置しておいたというのは、それは責任も感じていますけれども、御案内のとおり代用監獄の問題をめぐってはいろいろある。刑事施設法いろいろあるけれども、しかしここまで来ると、やっぱり天皇主権の監獄法から、少なくとも国民主権の刑事施設法なりなんなり、はっきり言えば、お上から民へじゃないけれども、大胆に早くやっぱりやった方がいいと思う。
 で、いろいろ日弁連なども代用監獄をめぐっての議論があるんですよ。まとめられた案もあるんだよ。だから、日弁連のこの、九二年かな、出ている刑事被拘禁者の処遇に関する法律というのを見るとなかなかよくできておるんですね、よくできていますよ。そういうものをフランクに突き付け合わせて、できるものからやっぱりやると。司法改革もいいけれども、ロースクールもいいけれども、そういうところまできちっとこれを契機にやってしまおうと、日弁連の関係者と相談して。どうしてもまとまらないようならまとまらないでいいです、ちょっとこっちへ置けば。
 できるものはできるようにやって、日本語で言えば日本語の分かるような法律にしてもらわなくちゃ、こんな難しい法律駄目だよ、いつも。どうですか。これやってくださいよ。やるということをはっきり言ってくださいよ。
#69
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、明治四十一年ですか、大変昔の法律でございまして、今の国民の感覚とはおよそ懸け離れている部分もございますので、行政としては三度ほど改正を試みようといたしまして努力したんでございますが、結果的に成立を見ないまま現在に至っているわけでございます。
 ほかにもいろんな問題がありましてということは先生が御指摘のとおりでございまして、しかし今日その当時よりは更に世の中が変わっておりますし、またこういう問題も具体的に起こってきたわけでございますので、これから検討するべき重大な課題の一つであるというふうに私は思っています。
#70
○角田義一君 あと二つ聞きます。
 一つは、今後、矯正をいろいろ変えていかなきゃいかぬのだけれども、御案内のとおり、一九九〇年かな、イギリスのリバプールで刑務所の暴動が起きて、そしてそれが全国に波及して、刑務所が随分破壊されたと。それで、どういうふうにするかということでいろいろ調査委員会ができたんだけれども、そのときに私は偉いと思ったのは、行刑の末端にいる職員はもとよりのこと、受刑者、受刑者からもアンケートを取って、そしてそれらの要望を酌み入れながら法改正なり制度の改正をしているわけです。
 だから、これは、何だそんなもん、行刑を受けている受刑者からそんな聞くことはないなんという発想じゃもう私は駄目だと思う。やっぱり人間として、受刑者を人間としてその尊厳を認めるのであれば、やっぱり受刑者からもアンケートなりなんなりで聞くと。もちろん、末端で一生懸命苦労している行刑の担当者も聞くと。そのくらいの発想の豊かさというのが私はあっていいと思うんです。そうでないと、根本的な改革はできないと思うんですよ。どうですか、大臣。
#71
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、百年近い法律を改正して今の世の中の感覚に合わせようというわけでございますので、その際にはいろんな方の御意見を各方面からお聞きしなければいけない。先生御指摘のようなことも踏まえまして検討していきたいというふうに思います。
#72
○角田義一君 それは、よくそのイギリスの例を研究してください、その報告書も出ているんだから。
 最後に申し上げる。
 私はどうも、弁護士なもので、本来、人を弁護する習性があって、大臣をかばいたくなる面もうんとあるんだけれども、よくやっておられると私は思いますよ。
 ただ、やっぱり政治家としての結果責任とか政治責任というのはあると思うんですね。先ほど千葉先生からもかなり厳しい御指摘があったんだけれども、先ほどの御答弁を聞いておりますと、改革は自分の天命であると、天命としてやりたいと。その御覚悟は私はよく分かるんだ。しかし、果たして政治家の政治的な責任ということをお考えになると、心を鬼にして申し上げますが、この際、やっぱりお辞めになった方がいいと。そして、人心を一新をして大改革に進んだ方がいいと私はあえて申し上げるんですけれども、どうですか。これが最後の質問。
#73
○国務大臣(森山眞弓君) 大変温かいお心のこもったお言葉をいただきまして、恐縮に存じます。
 先ほど申し上げましたとおり、このような仕事を私がするということになりましたのは、私が在任中にこのような事件が相次いでおりましたし、このような機会に、新しい行刑、矯正を中心とする法務行政の立て直しということをしなければいけないというのが私の天命だというふうに考えておりますし、また、私といたしましては、先日来、たくさんの厳しい御指摘や御批判をいただきまして、大変つらく苦しい日々を過ごしておりますが、その経験を基にして是非少しでも良い方向へ努力していくということをしなければならないというふうに固く決心しておりまして、それが私の仕事であるというふうに考えております。
#74
○角田義一君 時間ですから、終わります。
#75
○委員長(魚住裕一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後四時十五分開会
#76
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、名古屋刑務所等矯正施設の処遇に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#77
○荒木清寛君 今回、刑務官をめぐる一連の不祥事、特に刑事事件として立件されたものだけでも、十三年十二月のホース事件、十四年五月の死亡事件、同年九月の重傷事件、いずれも名古屋刑務所で発生をしております。
 従来、矯正行政というのは余り国民からも注目をされておりませんでしたけれども、そのゆえにということでもないでしょうが、その密室の中でこのようなことが行われていたのかと、唖然とする思いでありますし、真相究明、責任の追及、そしてこうした刑務所にかかわる行政の抜本的な改革をしなければいけない、このように私も思っております。
 そうした中で、私も、昨年の十二月十日の参議院法務委員会で、この十三年十二月のホース事件のことについて質疑をいたしまして、これに対する矯正局長の答弁があります。しかし、後刻、本年に入りまして、この答弁をめぐって森山法務大臣が厳しく追及を受けるというようなことになりまして、私はお気の毒というそういうことは申し上げませんが、しかしこうしたことを見ておりますと、どうもこの三件の立件をされた事件に限ってみても、矯正の現場から法務省の本省に対する報告、そしてそこから大臣に対する報告、それぞれが迅速にストレートに行われてきていないということも今回露呈をしているのではないかと思います。
 そこで、改めて十三年十二月の致死事件の概要につきまして、法務当局に説明を願います。
#78
○政府参考人(樋渡利秋君) 平成十三年十二月に名古屋刑務所におきまして懲役受刑者が死亡した事案につきましては、本年三月四日、同刑務所副看守長乙丸幹夫を特別公務員暴行陵虐致死罪により公判請求したところでございますが、本日、同事案につきまして、同刑務所副看守長岡本弘昌及び看守部長高見昌洋を特別公務員暴行陵虐致死幇助により名古屋地方裁判所に公判請求したものと承知しております。
 本日、公判請求に係ります公訴事実の要旨から申し上げますと、被告人岡本及び同高見は、乙丸幹夫が平成十三年十二月十四日午後二時二十分ごろ、名古屋刑務所保護房におきまして、懲役受刑者、当時四十三年に対し、懲らしめの目的で、その必要がないのに臀部を露出させてうつ伏せになっている同人の肛門部を目掛け、消防用ホースを用いて多量に放水する暴行を加え、肛門挫裂創、直腸裂開の傷害を負わせ、よって同月十五日午前三時一分ごろ、同刑務所病室棟集中治療室において、同人を直腸裂開に基づく細菌性ショックにより死亡させる犯行を行ったのに先立ち、保護房内及びその懲役受刑者の身体等に付着した汚物を除去する目的で同房内に立ち入った際、乙丸がその懲役受刑者の身体に対して放水する可能性があることを認識しながら、同人をうつ伏せにした上、同人のズボンを引き下ろすなどし、もって乙丸のこの犯行を容易にして、これを幇助したものであるというものであると承知しております。
 これを敷衍して申し上げますと、まず、そもそも消防用ホースが使用されることとなった経緯についてでございますが、本件被害者は、平成十一年十一月から名古屋刑務所で服役していた者でございますが、平成十三年十一月二十二日ごろ、刑務官に対して暴行を働こうとしたため保護房に収容されました。被害者は、保護房内でも刑務官にふん尿を投げ付けたり、保護房の監視カメラや視察孔に食物を張り付けるなどの行動を繰り返していましたため、保護房が汚れますとともに被害者の監視が困難になっており、監視を可能にし保護房の清掃や被害者の転房を実施する必要があったため、平成十三年十一月末ごろ、消防用ホースで被害者を収容している保護房に放水して清掃を行うことになったものでございます。
 次に、犯行状況等について御説明申し上げます。
 被告人らは、被害者の保護房を消防用ホースで清掃し、汚損した被害者の衣服を着替えさせて転房させるなどしていたところ、被告人乙丸は、平成十三年十二月十四日午後二時二十分ごろ、これを奇貨として、被害者の保護房に放水する際、被害者に対し、懲らしめの目的で、その必要がないのに、臀部を露出させてうつ伏せになっている同人の肛門部を目掛け、十数秒間にわたり約一・五メートルの距離から消防用ホースを用いて多量に放水する暴行を加え、肛門挫裂創、直腸裂開の傷害を負わせ、よって同月十五日午前三時一分ごろ、同刑務所病室棟集中治療室において同人を直腸裂開に基づく細菌性ショックにより死亡するに至らしめたものでございます。
 被告人岡本及び高見は、被告人乙丸がこの犯行を行ったのに先立ちまして、保護房内及び懲役受刑者の身体等に付着した汚物を除去する目的で同房内に立ち入った際、被告人乙丸がこの懲役受刑者の身体に対して放水する可能性があることを認識しながら、同人をうつ伏せにした上、同人のズボンを引き下ろすなどし、被告人乙丸のこの犯行を容易にして、これを幇助したものであるということでございます。
 なお、放水にかかわります水の水圧は、当時の状況を再現して技術者に依頼しその水圧を測定していただきましたところ、一平方センチメートル当たり約〇・六キログラムだったものと承知しております。
 以上でございます。
#79
○荒木清寛君 まだ起訴されたばかりですから、それがすべて事実かどうか、今後の審理になるんでしょうけれども、しかしその起訴されたとおりであるとすると、懲らしめの目的ということはあるにせよ、余りにも常軌を逸した犯行であるという感想を持ちます。
 そこで、本事案について、大臣に対して法務当局はどのように報告をしましたか、お答え願います。
#80
○政府参考人(中井憲治君) お答えいたします。
 平成十三年の十二月十五日でございますが、名古屋刑務所において受刑者が保護房収容解除後に急性心不全で死亡した旨、矯正局の担当者に報告がございました。さらに、その司法解剖が実施された後の平成十四年一月十六日、当該受刑者が汚物を壁に塗り付けるなどの異常行動を反復していたこと、解剖医から聴取した所見は自傷行為によると思われる腹膜炎による死亡、急性心不全であった旨の報告がございました。このようなことから、当時は特に問題はないと判断いたしまして、法務大臣へは御報告しなかったものと聞いております。
 その後、平成十四年十月下旬、矯正局から法務大臣に対しまして、保護房に収容していた被収容者の死亡事案等を調査いたしました結果を資料といたしまして福島委員に提出する旨報告する際、あわせて、この平成十三年十二月死亡事案につきましては自傷行為によると思われる腹膜炎で死亡したものである旨、名古屋刑務所から報告を受けていると、その旨御報告したところでございます。
 その後、平成十五年、今年でございますが、二月十二日の午前中、矯正局から法務大臣に対しまして、刑務官の逮捕直前に、名古屋矯正管区長が名古屋地方検察庁から事案の概要を通知され、同事案により告発の見通しである旨を報告したところでございます。
#81
○荒木清寛君 昨年の十月下旬にその資料とともに自傷と思われる腹膜炎による死亡ということは森山大臣にも報告があったようであります。しかし、そうであれば、そのときにこれはちょっと問題になる事案であると、変死事案であると、今後そういう事件性もあり得る事案であるということをきちんと大臣に報告をしたんですか。していないのであれば、なぜそのような報告をしなかったのか、お答え願います。
#82
○政府参考人(中井憲治君) 当時の私ども矯正局が名古屋刑務所から受けておりました報告内容は先ほど申したとおりでございまして、司法解剖の際の解剖医から聴取した所見として自傷行為に、自傷によると思われる腹膜炎による死亡と、急性心不全であるという報告を受けておりましたし、また当該受刑者が汚物等に絡む異常行動を反復していたことなどの状況に照らしまして、基本的には名古屋刑務所からの報告どおり大臣に御報告したものでございますし、その状況は、先ほど答弁いたしましたように、事件発生当時とおおむね同様でございました。
#83
○荒木清寛君 自傷によると思われる腹膜炎による死亡などというものが普通あるものではありませんから、やはりそれを見てそこに何かおかしいという疑問を抱くのが矯正のプロといいますか、責任を持った立場にある皆さんの本来あるべき立場ではないかと私は思うんですよ。そのときにきちんとそこに疑問を持って大臣に報告をし、大臣が問題意識を持てば、また違った展開にもなり得たのではないか、このように思います。
 一方、この昨年の五月の死亡案件につきましては、現場からどのような方法で法務当局に対しまして報告が行われたのか、お答え願います。
#84
○政府参考人(中井憲治君) 五月事案につきましては、発生当日であります平成十四年五月二十七日、名古屋刑務所から矯正局の担当者に対し、最初、口頭による報告がございまして、その翌二十八日、名古屋刑務所において、五月二十七日の午前十時ごろ、受刑者が入所時の身体検査中職員の指示に従わず、突然どなりながら職員の胸ぐらをつかみ掛かってきたため、同職員らが受刑者を制したものの、なおも興奮状態が続き暴行のおそれが認められたため保護房に収容し、併せて革手錠を使用したと。その後、それまで大声を上げていた受刑者が急に静かになり応答がなくなったため、医師により診察したところ、心肺停止の状態であったことから、直ちに救急措置を講じたが、同日午後八時三十分、受刑者の死亡が確認された。同日、名古屋刑務所から名古屋地方検察庁に通報した旨、文書による報告があったところであります。
 さらに、同日から同月二十九日までの間、名古屋刑務所から当局に対し追報告がございました。その内容を順次申し上げますと、司法解剖が実施され、その所見として、肝臓の右葉、右の葉と書きますが、右葉の前後面境界線上に挫裂創が認められる。挫裂創は急激な圧迫によって生じるものである。腹腔内に約四百ミリリットルの出血及び血腫が認められる。肝挫裂による腹腔内出血、血腫が死因に何らかの形で関与したことは否定できない。このような記載がある一方で、肝臓の挫裂創は心肺蘇生術により生じた可能性も否定できない。死因は現在のところ不詳である。直接の死因については、各臓器の病理学的解剖を実施しなければならない旨のそれぞれの報告書の記載がございまして、結局のところ、いまだ死因は不詳であるという趣旨の追報告があったわけでございます。
#85
○荒木清寛君 いずれにしましても、五月二十七日の時点で名古屋地検の方に通報したという報告は矯正局の方に上がってきたわけでありますが、しからば、その検察庁への通報は通報として、矯正管区なり矯正局において、どのようなその後、内部実態調査を行って事案を解明したのか、お答え願います。
#86
○政府参考人(中井憲治君) その後、御案内のとおり、九月の致傷事案が発生いたしまして、一連のこれら名古屋刑務所における事件につきましては、検察当局による捜査とは別に、矯正局内部においても専門的な見地から一連の事件の原因や背景事情等を調査するよう大臣から指示がございまして、矯正局内に特別調査チームを発足いたしました。これまで特別調査チームでは、名古屋刑務所等に出向きまして資料等を収集しているほか、検察の捜査が並行してございますので、これに捜査を来さない限りで関係職員からの事情聴取等を行う、あるいは名古屋刑務所の人員配置や勤務状況、報告・監督体制などを把握するとともに、問題の事実に反した報告がなされた理由、これら一部職員の非違行為が生じた理由などを解明すべく、鋭意調査を継続しているところでございます。
 法務大臣からは、私どもの特殊性として行政的な調査と同時に大臣の下で検察部門があるものですから、矯正局に対しましては、情報を検察に集中して検察の捜査が円滑に進められるよう全面的に協力するとともに、矯正の調査が捜査の妨げにならないようにという指示を受けておりまして、当局といたしましては、犯罪のいわゆるコアの部分でありますところの被疑者の特定等を含め、その部分の事案の真相解明は基本的に検察の手にゆだねることといたしまして、その事案の背景事情、根本原因、言わばその外側からコアに向かう部分につきましては私どものチームが行うとともに、検察捜査には全面的に協力するということで今日に至っているものでございます。
 その趣旨は、いわゆる被疑者の特定等の事件の核心部分につきまして矯正局が検察の捜査と言わば並行して調査を行いました場合には、私どもが言わば上級官庁の立場にあるものですから、関係者の供述に影響を及ぼしたり、あるいは情報が漏れたり、証拠の隠滅につながるといったように、捜査に支障を来すおそれがあることを懸念していたから、今申し上げたような形で行政的な調査を続けてきているものでございます。
#87
○荒木清寛君 今の答弁の中でも、矯正局なりの調査の中で現場刑務所から事実に反した報告がなされたわけでありますが、今後、こんなことはあってはいけませんが、しかしもし不祥事が起きた場合に、現場からのそうした虚偽の報告をチェックするシステムが、虚偽の報告ができないようなシステムが必要だと思いますが、その点、どういう対応を今後していきますか。
#88
○政府参考人(中井憲治君) 委員御指摘のとおりでございます。現場の施設から正確な報告が上がらない限り、矯正管区にいたしましても私ども矯正局にいたしましても、適正な前提事実の確認というものができないわけでございます。非常に深刻な問題であるという具合に受け止めております。
 私どもは、今回の名古屋刑務所における事件を契機といたしまして、まず革手錠使用に関しまして、客観的な事実を担保するというための緊急措置として、昨年十一月に通達を発出いたしまして、革手錠使用の際のビデオ録画等をすることといたしました。さらに、大臣の御指示がございまして、行刑運営に関する調査検討委員会が設けられたわけでありますが、同委員会において、革手錠の使用開始から解錠、要するにやめるまでの間ですね、までの革手錠使用のすべてをビデオ録画するよう決定されたところでございます。
 何よりも重要なことは、大臣からも御指示がありましたように、できる限り行刑施設の運営というものを透明化いたしまして、国民の批判に耐え得るシステムを作って、その中で現場で働く刑務官の抜本的な意識改革を図ることにあると、これが矯正行政への信頼回復につながるものと考えております。
#89
○荒木清寛君 もう少し一般的に受刑者処遇そのものについてお尋ねをしたいわけでありますが、先ほどの起訴状でも懲らしめの目的のために放水をしたということがありました。もちろん、受刑というのは刑罰であって、正に懲役であって、懲らしめるということもその目的の中に入っているんでありますが、我が国の刑務所における受刑者処遇の目的は何なのか、簡単にまず述べていただけますか。
#90
○政府参考人(中井憲治君) 受刑者処遇と申しますのは、裁判所が言い渡した刑の執行といたしまして、受刑者の収容を確保しながら刑務作業を実施することを基本といたしまして、改善更生及び円滑な社会復帰を図ること、これが目的としているわけでございます。
#91
○荒木清寛君 そういう懲らしめるということだけではなく、改善更生、社会復帰と、こういう目的を現場の刑務官がもっとよく理解をして仕事に当たらなければいけないと思います。
 そこで、我が国の刑務所では、受刑者の行動を必要以上に規則で縛って規制しているという批判がありますが、なぜそのような規制が必要なのか、説明を願います。
#92
○政府参考人(中井憲治君) 我が国の刑務所内における様々な所内規則についていろいろな御意見があることは承知しているところでございますけれども、受刑者に対して適切な処遇を行ってその改善更生、社会復帰に資するということと、刑務所内には強者だけでなくて弱者もおりますので、そういった集団生活における弱者保護といいますか安全を確保するというためには、やはり必要かつ合理的なものではなかろうかというように私どもは考えております。
 例えば、暴力団関係者でございますけれども、これは組織への帰属意識が非常に強く、組織間の対立抗争関係というものが行刑施設の中まで持ち込まれるわけでございまして、保安上の事故を引き起こす危険性は常に内包しているわけでございます。のみならず、衆を頼みまして、施設の規律、秩序を乱したり、他の言わば弱い一般受刑者を威圧するなど、行刑機能を低下させるような行為に及ぶ者が少なくないわけでございます。施設内におきまして、このような行為を防止いたしましてすべての受刑者が安全に集団生活ができるよう所内規則を定め、規律、秩序の維持に努めているわけでございます。
 申すまでもなく、このような規則につきましては、受刑者の人権に配慮しつつその処遇を一層充実すると、こういう観点からこれまでも所要の改善措置を講じてきたところでありますけれども、今後とも積極的に改善すべき点は改めていきたい、見直していきたいと、かように考えております。
#93
○荒木清寛君 後ほど私が報告をさせていただきますが、本年一月、当委員会で新潟刑務所にも視察に参りました。体育館で休憩時間に将棋を打っているような姿も見まして、意外とそういうくつろいだ姿というのもあったわけなんですが、ただし、映画等で見る、あるいは報道番組等で見ますと、海外におけるそういう矯正の在り方とは随分日本は違うのではないかと。外国では看守と被収容者が自由に会話しているというようなこともあると思いますが、日本ではそうしたことは一切禁止をされておるようです。また、我々が視察に行きましてもだれも目を合わせる人はいないわけで、受刑者はいないわけで、そうしたことも厳しく禁止されているはずなんですね。
 そこまで制約をして、刑務官との私語もできないというふうな中で、本当に信頼関係を築いて、先ほどのような改善更生ですよね、要するに刑務官の人格でもって感化するわけでしょう。そんなことができるんであろうかというふうに思いますが、いかがですか。
#94
○政府参考人(中井憲治君) いろいろ難しい点ございますけれども、要は処遇に従事する職員、やっぱり毅然とした態度の中にも人間的な温かみを持って被収容者と接触するということがやはり基本であろうと思います。職務の上で受刑者から相談を受けたり受刑者の改善更生に必要なアドバイスを行うと、こういったこと、できる限り受刑者の信頼関係を築くよう努めるのはこれまた当然のことであろうと考えております。
 さはさりながら、今御指摘の点について申し上げますと、最近もございましたし過去もございましたが、我が国の行刑施設におきましては、勤務中の職員がその職務に関係のない私的な会話を交わすといったようなことがきっかけとなりまして、例えば籠絡という言葉をよく我々使うわけでございますけれども、籠絡されたりなどいたしまして、被収容者に対して例えば不正な差し入れを行うと、近くも委員も御案内のとおりのような事件もございましたけれども、そういった事例もありますものですから、基本的には、委員御指摘のとおり、職員に対して被収容者と職務に関係のない私的な会話というようなものは行わないように指導しているところでございます。
#95
○荒木清寛君 そのように籠絡される危険なんということを聞きますと、直ちに私語を解禁すべきだとはちょっと私も言えないかもしれませんが、もう一つ聞きます。
 我が国の刑務所では、受刑者が職員に少しでも口答えをしたり反抗的態度に出ますと厳しい懲罰を受けることになるというふうにも言われておりますけれども、それは事実でしょうか、お答え願います。
#96
○政府参考人(中井憲治君) 被収容者に規律違反行為があった場合には、施設の幹部職員で構成されますところの懲罰審査会というのを開きます。その審査会の場に当該被収容者の出席を求めましてその弁明を直接聞くと。それから、規律違反行為の内容、態様、その当該施設の規律、秩序の維持に及ぼす影響等と、こういったものを総合的に考慮いたしましてその行刑施設の長が懲罰を科することが必要かどうかを決定いたしまして、これを懲罰を科すという場合には、規律及び秩序を維持する上で必要かつ合理的な内容の懲罰を科すことといたしているところでございます。
 委員御指摘の、職員に口答えをしたと、また反抗的態度を取ったと、そのことをもちまして直ちに厳しい懲罰を科すというようなことはないのではないかという具合に私どもは承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、懲罰の本旨というものは、行刑施設の長が規律及び秩序を維持するために必要かつ合理的な範囲内で規律違反行為としての科罰の対象となる行為を遵守事項として定めておりまして、あらかじめその内容を告知した上で、これに違反した被収容者に対して制裁として一定の不利益を科すものでございます。
#97
○荒木清寛君 私が質問したようなことはないことを祈りますが、いずれにしましても懲罰は必要でありましょう。しかし、それが適正に行われるという手続的な保証が必要でありまして、そうした意味からも、午前中も質疑がありましたけれども、余りにも監獄法が、そうした旧憲法下でできた法律であればもう見直すべきは当然であると思います。
 私も、国会議員になった当時はもう法務委員会の理事をしておりまして、当時は提出の可能性がある法案ということでいつもこの監獄法の改正案というのがのっておりまして、私は野党の理事でしたけれども、この国会にその改正法が出ないということを確認した上で審議に応じるなんということをしておったことを思い出します。それは、午前中もございましたように、またこれとは別にこの代用監獄の問題がそれはそれであるわけですので、私もそうしたことを対応した覚えがございますが、いずれにしましても、しかし監獄法そのものは余りにも古過ぎて、適正手続の保障というような理念にのっとったものでは私はないと思います。
 そうした意味では、この現行法の問題点については法務省はどう認識をしているのか、お尋ねします。
#98
○政府参考人(中井憲治君) 監獄法、委員御指摘のように非常に古い法律で、片仮名書きというふうに非常に読みにくいものでありまするほか、必ずしも被収容者の権利義務関係をこれ法律上に明確にしていない点もございますし、受刑者の改善更生、社会復帰の促進という刑事政策的観点から見ましても十分でないところがあると、かように思います。
 私どもは、なかなかこの監獄法改正、実現しないものですから、法律上認められる範囲で、その中で種々の運営を改善したり様々なニーズに沿うように運用してきているところでございますけれども、例えば法律の規定の仕方が所長の裁量という形になっているなど、改めるべき点もいろいろあると、かように認識しております。
#99
○荒木清寛君 それでは関連しまして、最後に法務大臣にお尋ねします。
 三月五日に矯正行政の改革につきまして大きな方向性を打ち出しましたが、この問題につきましての大臣の決意、所信を最後にお尋ねいたします。
#100
○国務大臣(森山眞弓君) 私は、名古屋刑務所におきまして、本来あるべきでない、絶対に起こってはならないような事件が次々に起こってしまったということになりましたことを本当に残念に思います。
 その背景には、矯正の現場職員が施設の中の規律、秩序を維持するということを大変強く責任を持って考えておりまして、施設の中のその秩序を維持するためには厳しく接するということがまず第一に必要であるというふうに思っていること。また、相手は犯罪を犯した者だから厳しくして当然だというふうに思っている感覚、そういうようなものがあるのではないか。それなりに自分たちだけの仲間でそういう意識を共通に持って、自分たちの中のお互いの認識といいますか、そういう共通な意識を持っているということが大きな原因の一つだろうと思います。
 矯正行政に対する失われた信頼を回復するためには、私自身が先頭に立ちまして、矯正の現場職員が外部の目を意識せざるを得ないような、先ほど申したような共通の感覚というのは内部の仲間同士ではある程度分かるかとは思うんですけれども、今の世間の常識とは随分違いますので、その壁を突き破らなければいけないというふうに感じまして、行刑施設の人々が外部の人と、行刑施設の中の刑務官の人たち自身が外部の人と接触する、あるいは協力して仕事をするというような仕組みが一日も早く作らなければいけないのではないかというふうにも考えております。
 これまで私の指示によりまして行刑問題に関する調査検討委員会というのを作りまして、関係の担当者を中心にいろんなことを相談し、決めました。さっき午前中にもお話し申し上げたんでございますが、例えば革手錠の六か月以内の廃止とか、被収容者の死亡報告の文書保存期間の延長に加えまして、民間との共生を念頭に置いた刑務所の新設、運営、矯正局から独立して情願その他の救済申立てを調査する体制の確立など、幾つかのことを決めまして、今すぐできることはすぐにやろうということで、例えば情願を大臣が直接見るというようなことは私がやりさえすればいいことですから、そうしようということで決定いたしまして、その方向で現在やっております。
 刑務所も社会の中の一部でございますので、国民の信頼を失っては成り立ちません。今後とも、このような観点から、一切のタブーを廃止しまして、新たな気持ちで一からスタートするというような気持ちで、外部の御意見もよく承りながら、行刑の抜本的な改革を進めていきたいというふうに考えております。
#101
○荒木清寛君 これで終わりますが、大臣、今、話をされました点は大事だと思います。もちろん、制度改正をしなければいけませんが、一番大事なことはこの矯正行政にかかわる職員の意識改革でありまして、今、答弁された、外部の目を意識しなければならないような行政の在り方ということは、私、一番大事な点だと思いますね。外務省改革もどうやって職員の意識改革をするかということは、もういわゆる民間との交流をやって、民間で勉強し、また民間からも来ていただくという中で意識を変えていこうということを今やっていることにも、全くそれはもう仕事の内容は違うわけでありますけれども、同じ視点もあるわけでありまして、是非そのことを実現をしてもらうことを要請しまして、終わります。
#102
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 一昨日の夜に東京拘置所の看守部長という方、実名で、内部告発についてというメールをいただきました。新しい事件ということでは中身はないんですが、名古屋の事件について、同じ矯正局に身を置く者として本当に痛ましく、そして人権を念頭に勤務しなくてはならないということと、そして非常にやはり大変な勤務の実態のことを書かれております。十六年間休憩も休息もない、そういう職場が現在、日本にあるのでしょうかと、こういうふうに言われております。我々も本当にこうやってまじめにやっていらっしゃるいろんな職員の皆さんを知っています。だからこそ、今、国民から厳しい批判のあるこの行政の在り方にメスを入れ、信頼回復をする必要がある、こういうふうに思っているわけです。
 ところが、この間、今日も朝から議論になっておりますが、ずっと野党が要求をしていたにもかかわらず、死亡帳の存在自体が隠されておりました。それで、今朝の御答弁では、現場に負担を掛けられない、こういう思いからだったということもありました。しかし、私、これは説明になっていないと思うんです。
 昨年の十二月の四日に野党で名古屋刑務所に現地調査に参りました。そのときにも刑務所の現場の皆さんに過去十年分の保護房にかかわる死亡事案の資料を要求をいたしました。その際に、本庁から来られていた課長さんが、やはり今非常に過剰収容で現場が大変だ、その身分帳を調べる膨大な作業をするのは無理だということで、この資料は出せないというお話だったんです。そのとき私、申し上げたのは、そういうことじゃないんだと。今起きている問題というのは現場に任せていて済む問題じゃなくて、本省から人を派遣してでもこの名古屋の、それを全部を調べて、事実を明らかにするべき問題ではないかということをそのときも申し上げたんです。
 ですから、現場の皆さんの苦労ということを盾にして、結果としてはやはり行政の責任という、責任者としてのやるべきことをやっぱりやらなかったということを言い訳をするようなことでは私は駄目だと思うんですね。当時にやはり本省から人を派遣してでも、この名古屋の現場に大きな負担を掛けずにやっぱり調査すべきものはすると、こういうやり方を取るべきだったと思うんですけれども、その点、局長、いかがでしょうか。
#103
○政府参考人(中井憲治君) 御指摘のとおりだと思います。
#104
○井上哲士君 今、本当に国民からいろんな声が寄せられている中で、我々も一層徹底的な調査も求めてまいりますけれども、言わば隠ぺい体質と言われても仕方がないようなやり方を本当に改めて、正確な情報の提供、公開を強く求めたいと思います。
 次に、いわゆる十二月の消防用ホースの死亡事案についてまずお聞きをいたしますが、昨年の法務委員会で局長は繰り返し、これは自傷によるものだという答弁をされておりました。で、先月の衆議院の集中審議で、これは当時の刑務所長からの執刀医が自傷の可能性があると言ったという死亡報告に基づいて答弁をしていたけれども、この報告が虚偽だったということを認められました。
 矯正局としては、いつの時点でその当時の刑務所長からの報告が虚偽であったということを認識をされたんでしょうか。
#105
○政府参考人(中井憲治君) 本件、お尋ねの件につきましては、先ほど来御説明いたしておりますように、自傷によると思われる腹膜炎による死亡であると、こういう報告を受けておりまして、これを明確に覆す情報、資料等も得られないまま、矯正局といたしましては、基本的にはこの報告内容に乗っていたと申しますか、これを信じていたものでございます。
 もとより、新聞報道等にもいろいろ出てまいりますし、いろいろな自傷は起きているわけでございますけれども、今お尋ねの、名古屋刑務所の報告は虚偽であると、虚偽であるというか事実に反していたということを矯正局がどういう形で認識したか、いつであるかと、こういうお尋ねに対するお答えといたしますれば、二月十二日の午前中に、名古屋矯正管区から当局に対しまして、管区長が名古屋地方検察庁から実は事案の概要がこういうことだという形で通知されましたと、この事案によりまして告発の方向いかがかと。こういった報告があったことによりまして、矯正局といたしましては、これまでの報告内容というものが事実に反していたということを認識したという具合にお答えさせていただきたい、そうされざるを得ないと、こういう状況でございます。
#106
○井上哲士君 去年の十月には既に鑑定書は出ていたということでありますけれども、そこのと違う記載があるということは矯正局には伝わってなかったと、こういうことで理解していいですか。
#107
○政府参考人(中井憲治君) 実は、司法解剖の鑑定書というものは、私どもが見るべき立場にございませんし、もとより矯正局としても現在に至るまで見ておりません。
#108
○井上哲士君 そうしますと、今回は検察の捜査が入ったことから違っていたということが分かったわけですが、先ほど来の議論もありますが、どうやってきちっとした報告を、正確さを担保していくかということにもなると思うんです。
 このケースも、どの時点でどの職員が関与して虚偽報告がなされたか。この点について調査を行っているという答弁が一か月前の衆議院の法務委員会でも行われ、十八日の衆議院でも全く同じ答弁がされております、調査をしている。どの機関がいつから、そしていつを目途に調査をされているんでしょうか。
#109
○政府参考人(中井憲治君) 冒頭申しましたように、私ども矯正局の行政調査でございますので、名古屋地検のやっておられますところの捜査、あるいは今後は公判になるわけでございますけれども、その支障を来さないということに配慮をしてやらなければなりません。事案の関係記録というのも精査をいたしますし、関係職員からの事情聴取も実は行ってきているわけでございますけれども、そういった一応の行政調査としての限界があるということをまず御理解賜れればと思うわけでございます。
 その上で申し上げますと、実は自傷行為によるというものという報告をいたしました責任者は、当時の名古屋の刑務所長でございます。現在、病院に自分で腹を刺しまして入院しておると。詳細な事情聴取を実は行うことができておりません。したがって、現時点で確定的なお答えはちょっとまだできかねるわけでございますけれども、今まで私どもがその周辺のラインから、いろいろラインの職員から聞いた結果を取りまとめて申しますと、まず本件の司法解剖に立ち会った職員から、司法解剖の直後のころ名古屋刑務所の幹部に対しまして、執刀医の所見として、言わばその被害者が肛門部から指を挿入して直腸を裂傷したことによる汎発性腹膜炎が死因である旨の報告が行われていたことがございます。また、この報告に関与をしたと思われる、刑務所長自体がまだ詳細な調べができておりませんけれども、その刑務所の幹部職員の中で、私どもの現在までの調査によりますと、消防ホースを放水した暴行が行われる現場を見ていたというような者は把握されていないことが現時点の私どもの調査結果からうかがわれるところでございます。
 したがいまして、これらの事情にかんがみますと、問題の報告書を作成に際しまして、当然現場で実行行為を行った者は、これは現に自分がやっておるわけですから、それは承知しているわけでございますけれども、その報告が順次上の方に上がってくるわけでございますけれども、本件報告書の作成に際しまして幹部職員らが部下職員の報告というものをどうも安易にうのみにした結果、最終的には刑務所長から事実と異なる内容の報告が行われたと、この可能性が高いものと私どもは現在は見ております。
 しかしながら、これらの点につきましては、申しましたように、最終の責任者が入院しておりますし、現在も調査を継続しているところでございます。
#110
○井上哲士君 更に明らかになった時点でまた報告をお願いをいたします。
 この報告については、いわゆる五月事案についても問題があります。
 出されました死亡、資料によりますと、五月二十八日の司法解剖の追報告第四号にその他の記載事項として医師の発言が引用されております。解剖終了後、執刀医師から立会い検察官に対して、今回の解剖事案については、報道機関への発表は死亡原因が明確でないのでしないでもらいたい旨依頼がなされたと、こういうふうにこの報告書に書かれているわけですが、執刀医が立会い検察官に対してこういうのをマスメディアに出すなというようなことを言うような権限が一体あるんでしょうか。
#111
○政府参考人(樋渡利秋君) 一般論として申し上げることをお許しいただきたいのでございますが、医師が司法解剖を受託するに当たりましては、その結果を司法手続以外に用いることまで予期しているとは考えられないこと、それから司法解剖直後の時点におきましては、死因等について確定的な判断に至っておらず、引き続き所要の検査等を実施する必要性が認められる場合も多いということから、司法解剖を実施した医師におきましてその結果を公表することについて、解剖直後の時点においてはその公表を差し控え、又はその公表に当たっては慎重を期してもらいたい旨の発言をすることはあり得るものだろうというふうに考えております。
#112
○井上哲士君 これ実際、執刀医にこういう発言をしたかどうかは確認をされていますか。
#113
○政府参考人(樋渡利秋君) 現在まで当局に来ております報告によりますと、確認はできておりません。
#114
○井上哲士君 この五月事案も、九月事案が表に出て、事件ですね、そして初めて明るみに出たということでありまして、いろんなやはり十二月の事件との関係でいいましても、事実を隠そうとしたんではないかと、こういうやはり国民的な疑問があるわけです。
 しっかりこれは明らかにしていただきたいんですが、刑務所からの死亡報告にいろんなやはり虚偽の報告がなされていた場合に、これがチェックを現状ではできていないということが露見をしているわけですね。ですから、いろんな報告も含めてこれは虚偽のあるもの、虚偽のものがある可能性も否定できないと思うわけですが、こういうことの調査改善ということを今後どのように考えていらっしゃるでしょうか。
#115
○政府参考人(中井憲治君) この種の問題というのは行政一般にあるものでございまして、やはり現場施設を持っておりますと、そこから報告をいただくと、それをいただいた上で本省の方でいろいろな判断をしていくというこの基本的な仕組み自体は、私どもだけでなく、どの省庁でも同じことだろうと思います。
 ただ、御指摘のように、今回のような事件につきまして私どもでいろいろなことを考えているわけでございますし、また現在、調査検討委員会等でもいろいろお諮りしながらやっているところでございますけれども、二、三申しますと、一つは、やはり透明性を確保するという観点から、公表していくということが一つの問題ではなかろうかなと考えております。それからもう一つは、先ほどの、今回の事実に反した報告書を見ましても、要するにだれかが言った話を私が聞いて、私がメモをしたということのつながりで報告ができてくるわけでございますですね。こういう聞いた話を書いていくとなれば、当然これは故意でなくても不正確な点がある、この点をどうするか。
 一応、大きく二つぐらいのアプローチを取りあえず考えておりまして、まず前者につきましては、従来においては、行刑施設において発生した事件で、公表するかどうかということにつきましてはそれぞれの行刑施設の長が判断してきたわけでございますけれども、およそ死亡事案につきましては、今申しました名古屋刑務所事件を契機に設けられた行刑運営に関する調査検討委員会におきまして、本年二月の二十五日でありますが、新たに公表の基準を決定されたところであります。これは、それ以前、昨年の夏ごろからいろいろ私どもで試行錯誤しながらやってきた基準を基にお諮りして、決定していただいたところでございますけれども、自殺、事故あるいは死亡後に司法解剖された事案、こういったものについてはすべて公表するという形で、一つは透明性を確保していくというのが一つの方向でございます。
 それともう一つは、やはり又聞きの話を消すのにどうしたらいいのかというのは、実はいろいろ考えまして、実はこれは、結論から申しまして、先ほど御紹介いたしましたように、保護房で革手錠なんかを使用した場合にはすべてこれをビデオで撮りましょうという形で一応そこのところは考えているわけでございます。
 ただ、これは、そういう案件についてはそれでいいわけでございますけれども、少なくとも本件と同種事案について言えば、最初から最後までビデオを撮れば改めて報告書を書く必要もないわけですし、そのビデオを見れば分かる話でございまして、それが最も、人間の手で文章化するよりも正確であろうと。
 こういうことをきっかけにしてやっていって、やはり最終的には、幾らどんな方法を取りましても、本委員会で議論していただいていますように、やはり職員の基本的な意識改革というものを図っていかなければ、幾ら外部的なものをあれこれやってもいかぬなというように考えておりまして、最終的には意識改革、それは恐らく研修制度その他のところまでいろいろと検討委員会なり今度設けられます行刑の改革会議なりというところにお諮りしながら、そこに入って意識改革の問題まで踏み込んでいくのが最終的な解決なのかなと思っておりますけれども、今後とも何分の御指導をいただければと思っております。
#116
○井上哲士君 ビデオも、この間、実は二日後に上書きしていたとかということで出てこないというケースがありますけれども、しっかりとした保存等の基準も作っていただいて、お願いしたいと思います。
 次に、死亡帳の問題でお聞きをします。
 各刑務所の死亡事案について、検察への通報、司法検視、司法解剖の件数が一覧表でも出されました。これは数えてみますと、刑務所ごとに見ますと、大阪は四十六人中、通報された数ですね、四十六人中二十人、府中は九十三人中五十五人、名古屋は百二十人中わずか二十五人ということになっております。名古屋の死亡者が非常に多いということと、いわゆる検視に回る割合が非常に少ないということがあります。
 昨年、私、この問題で質問したときに矯正局長は、行刑施設での死亡はほとんど検察に通報している、こう答弁をされているんですが、名古屋の実態は随分違うわけで、この点はどういうふうに認識されていますか。
#117
○政府参考人(中井憲治君) その答弁、委員から御質問を受けたときのこと、よく覚えているわけでございますけれども、その答弁の際に申し上げましたように、その時点で私は具体的な統計上の数字を把握していない状況であるということをお断りしておりまして、要は、私が昨年八月から矯正局長になりまして、いろいろその仕事の過程、あるいは現地に参りましたとか、そういったいろいろな経験を経まして、統計上の数字は把握していないということを前提といたしまして、私自身の仕事上から得た率直な感じといいますか認識ということを申し上げた次第であります。
 委員今御指摘の死亡帳の関係から申しますと、死亡帳の記載事項の中に実は検察官通報をしたかしないかということ、これは入っていない。それは、例えば保護房に収容があるかどうかということも必要的記載事項となっていないのと同じでございまして、死亡帳の記載上、検察官に通報を行ったことが明らかなものはその旨、マルならマルを付けられるわけでございますけれども、バツを付けたとしても、それは検察官通報がなかったというかどうかは、これはまだ現時点では定かではございません。その点をまず御理解いただきたいと思います。
 それで、その上で、私自身も統計の途中経過を見ておりますけれども、私自身の現時点での感じを申しますと、これは行刑施設側におきましては具体的事案に応じるということになろうと思いますけれども、やはり何と申しましても、第三者機関である検察官に通報するということは、慎重を期すという観点からこれはベターでございますので、常識からいいまして、老衰死でありますとか病死といったような自然死であることが明らかになったような事案はこれはともかくといたしまして、相当広く、通常、相当広く検察への通報が行われているという具合に現時点で受け止めております。
 いずれにしましても、この死亡帳に係る諸事象につきましては、先ほど来いろいろな疑問点等も御指摘をいただいておりますので、私どもも更に調査を進めまして、その段階でもう少し統計データに基づいたきちんとした御報告をしてまいりたい、かように考えております。
#118
○井上哲士君 先ほどの数は一応通報の数で言いましたけれども、ほとんど検視の数とイコールなんですね。通報したけれども検視しなかったというのはそう多くはないんです。ですから、やっぱり名古屋の場合は検視に回ったもの自身が非常に少ないということなんですね。
 刑事局長も死亡事案はほとんど検察官通報されているという答弁をされているわけですが、こういう名古屋の実態についてはどう認識されますか。
#119
○政府参考人(樋渡利秋君) 刑事局の認識としてお尋ねでございますので、刑事局といたしましては、行刑施設側において、午前中もいろいろ御説明申し上げたところでございますが、慎重を期すとの観点から、具体的な事案に応じまして、明らかに普通の病死といったような自然死であるようなことが明らかであるような場合は格別でございましょうが、そういうものを除きましては通常広く検察への通報が行われているものと考えております。
#120
○井上哲士君 ですから、通常広く行われているはずなのに、名古屋の場合が非常に少ないと。
 矯正局が出していますこの研修教材を見ますと、「第十五章死亡」、ここでは概説でこう書いているんですね。「一般社会から隔離された拘禁下における死亡であるだけに、後日に至って疑惑を招くことがないよう、慎重に取り扱うことを要する。」と。そして、仮に、「病死であっても、急病死であるときは、同様に検視を受けるようにすることが望ましい。」、こういうことまで含めて書かれているわけです。ところが、非常に名古屋ではこういう実態になっていると。この間の一連の事態を見ますと、本来、通報されるようなものであってもされていなかったんじゃないか、こういう疑いが生じるのも当然だと思うんです。
 しかも、見ますと、非常に現場でのばらつきが多いわけですね。例えば、大阪の刑務所を見ますと、平成十一年、出ている資料でいいますと、平成十一年までで見ますと、二十三件中二十人が通報されています。ところが、平成十二年以降は、二十三人中通報はゼロなんですね。ですから、あるときを機に全くされないという状況になっております。
 研修の本でもこういうふうに検視の問題を、誤解を、疑惑を招くことがないように慎重に取り扱えと言っているにもかかわらず、こういう実態というのはこれまでの答弁の関係からいっても非常に私はずさんだと、疑惑が多いと思うんですけれども、局長、どうでしょうか。矯正局長、どうでしょう。
#121
○政府参考人(中井憲治君) 同趣旨の答弁になって恐縮でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、死亡帳上、通報がなされてないという外形があったからといって、それは通報がないんだという形では私どもはまだ現在確定しておりませんので、その点につきましては今後もう少しお時間を拝借させていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事荒木清寛君着席〕
#122
○井上哲士君 先ほども申しましたように、検視自体の数が非常に少ないんです。通報をしたけれども検視をしなかったというのがそれは間々あるのかもしれませんけれども、検視自体が非常に少ないわけですから、今のでは違うと思うんですけれども、もう一度お願いします。
#123
○政府参考人(中井憲治君) 調査させていただきたいと思います。
#124
○井上哲士君 二月二十日の記者会見で、過去三年に検察庁に通報された死亡事案を再調査するということが事務次官の会見で出されましたけれども、今申し上げましたように、通報されてないものの中にも、例えば不審死などがいわゆる病死という形で処理をされているんではないかということが疑惑としてあるわけですね。その点でしっかり調査をしていただきたいわけです。
 過去三年といいましても、例えばこれ大阪の平成七年三号という死亡帳を見ますと、熱中症による呼吸麻痺で死亡したというものでありますけれども、これは検察による検視はされておりません。ですから、これは過去三年に引っ掛かりませんけれども、こういうものもあります。それから、名古屋でいいますと、例えば平成八年の九番というのを見ますと、死因は急性心不全、突然胸痛発作を起こして亡くなったということがあるんですね。これなどは、急病ですから明らかに検視をすべき対象でありますけれども、されてないわけです。
 ですから、これは相当しっかり一つ一つ洗い直していただいて、名古屋については特に検察に通報されていないものも含めて死亡事案をしっかり調査をしていただきたいと。
 それから、全国の死亡帳を見ますと、いろんなやはり問題が出ております。午前中の審議にもありましたけれども、死因が一行だけしか書かれていないという、急性心不全としか書かれてないものがあります。それから、炎熱下での保護房の収容で死亡して、国家賠償請求で国側が敗訴した事件もありますが、これなども熱射病ということしか書いていないわけですね。保護房や革手錠の記載、これ見る限りではありませんけれども、今の熱射病の分についても保護房のことは書いてないわけでありまして、いろんなやはり事件性との関連を疑わせるものが多々あります。そういう点で、身分帳とも照合していただいて、こうした不審なものについては改めて、そうした保護房、革手錠との関係とかカルテとかいうことも含めて調査、提出をお願いをしたいと思います。
 そのことを強く求めまして、質問を終わります。
   〔理事荒木清寛君退席、委員長着席〕
#125
○平野貞夫君 法務大臣に最初、お尋ねしますが、吉田内閣が辞める、吉田さんが退陣するときに、総辞職か解散かというときにいろんな人が意見聞きに行くんですが、私、直接話を聞いたことがあるんですが、吉田さんのいとこの林譲治さんという人が、もう辞めなさいと言うんですが、そのときに、嫌なことを言うて席立つ寒さかなという俳句を作っておるんですよね。私は、森山法務大臣についてはいろいろ公務員の時代から敬意を表しておるんですが、今日は嫌なことを本当に言うのは心苦しいんですけれども、一連の名古屋問題について大臣はどう責任を感じているかということをまずお聞かせください。
#126
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど来、度々同様の御質問をいただきまして、そのたびに非常に身の縮む思いでございます。
 名古屋において起こりました一連の事件というのは絶対に起こってはいけないようなことでございまして、私自身も話を聞きまして我が耳を疑うような内容でございました。二度とこのようなことが絶対に起こらないようにしなければいけないというのが私の今の考え方でございまして、先生方にいろいろ厳しく御批判をいただき、またおしかりをちょうだいいたしまして、本当に申し訳なく、また、つらい、苦しい毎日でございますが、その思いを是非、この機会に新しい行刑の仕事あるいは刑務所の在り方等に是非生かしていって、幾らかでも改善のために役に立っていきたいというのが私の気持ちでございます。
#127
○平野貞夫君 朝から同じことを聞かされていると思うんですが、じゃ、余り人の聞かない話、一つしたいと思うんですが、広島で起こった事件で、前名古屋刑務所長の自殺未遂ということがあったんですが、私はある筋から聞いた話ですが、法務大臣はこのときに本当に考えて、小泉総理に辞意を漏らしたという話が届いておるんですが、そういう事実はあるんですか。
#128
○国務大臣(森山眞弓君) そういう事実はございません。
#129
○平野貞夫君 いや、本当に大臣が直接起こした事件でもないし、大変それはもう本当に気の毒な立場だと思うんですが、しかしこれはやっぱり指導的立場、監督する立場というのはきちっとした責任を取らなければやっぱりうまくいかないと、こう思うんですが、大臣、これは私、非常に言いにくいんですけれども、大臣の直接考えやあるいは行動から出た問題ではないんですが、一連の問題の政治責任というのは物すごく重いと思うんですが、大臣の、いわゆる一般的に国務大臣の政治責任というのはいかにあるべきか、その在り方について大臣のお考えをお聞きしたい。
#130
○国務大臣(森山眞弓君) 大変難しい御質問でございますが、今の私自身についての御質問であれば、先ほど申し上げたとおり、私といたしましては、私の在任期間にたまたまこのような事件が相次いで名古屋で起こりまして、私は最初、法務大臣ということを拝命いたしましたときに、なぜ私みたいに何も専門の知識もなく、特別今まで御縁がなかった者を法務大臣とおっしゃるのかしらと、大変だなという気持ちが非常に強かったんでございますが、今から考えますと、そのような外に長くいた者、法曹でもなければ刑務所のことも詳しく知らない者が、むしろこのような事態のときに改革をしていくのにはいいのではないかというふうに、神様の御配慮なのかなというふうに今思い直しておりまして、そのような気持ちで一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
#131
○平野貞夫君 政治責任の根本というのは、私は、まあ事件に対する、問題に対する国民の不信を回復させることだと思うんですよ。信頼の回復、そのために政治責任というのがあると思うんですよ。私は、やっぱりきちっとした政治責任を取らなければこの名古屋問題というのは国民の信頼が回復できないと思っているんですがね。
 まあ小泉内閣が何年続くのか知りませんが、監獄法の改正とかいろんな問題がこれからあるわけなんですが、ここは、非常に言いにくいんですけれども、やっぱり役人というのは、自分が仕えている最高責任者が責任を取ったという、辞めたということで初めて反省するんですよ。それぞれのつかさつかさの責任の重さを感ずるんですよ。これ、まあ日本の刑務行政の中では恐らく明治以来、始まって以来の不祥事だと思うんですが、そこのところは物すごい重いものだと思うんですがね。現時点、給与三か月分の返納ということで、私はこれは責任だとは思いませんがね、大臣の気持ちだと思うんですがね。
 もう一回、もう二度と、二度とじゃない、今日はもうこれで終わりにしますので、やはりそういう形で、国民の信頼を回復させるという思い切った措置を取ることによって初めて刑務行政の再生が可能だと思うんですが、もう一回お答えください。
#132
○国務大臣(森山眞弓君) 非常に平野先生からも厳しく、かつ温かみのあるお言葉をいただきまして、大変恐縮に存じます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、このような立場に私が今おりますのも、明治以来の百年余りのこの刑務所の行政、行刑の仕事というものを何とかしなければいけないということを思いますと、私のような者がむしろこの際思い切って一生懸命やるということが適当なのかもしれないというふうに考えまして、最大限この機会に私にできる限りの努力をいたしまして、二十一世紀の新しい行刑施策につきまして貢献していきたいというふうに考えている次第でございます。
#133
○平野貞夫君 この問題はちょっと保留にして、次に移りたいと思いますが、政府参考人の方で結構でございますが。
 情願制度というのが一つの問題のきっかけになっているわけですが、昨年、集中審議を含めて十一月十九日と十二月の十日に、私、その情願について質問をいたしました。私はそのとき、当然、法務大臣はその情願を見ているだろうという前提で質問したわけなんですよ。ところが、その後いろいろ衆議院の質疑なんかを聞いてみると、読んでいなかったという、びっくりしておるわけなんですが、大臣がこの情願書をごらんになった直近の例は何でございますか。まだごらんになっていませんか。
#134
○国務大臣(森山眞弓君) たしか二月の二十日からほとんど毎日見ておりまして、昨日も読みました。
#135
○平野貞夫君 一般論として、情願書が大臣にあてて出された場合の手続といいますか、大臣にまで持っていく手続をちょっと説明してくれませんか。
#136
○政府参考人(中井憲治君) 情願書は現地の施設から矯正局に参るわけでございますけれども、現状の取扱いは、参りましたら、これを取りあえず大臣の方にお届けすることになっております。もちろん、大臣が官房の補助者を使われまして開封されまして中身を見られると。中身を見た上で、問題点があれば、それに対する御指示をいただくと。それで、その後、かつてと同じように私どもの矯正局に下りてくるものもございますけれども、大臣の方で、これは調査等について矯正局以外の機関が関与した方がいいと、かようにお考えになられた場合には、これ、人権擁護局の方に下りまして人権擁護局の方で調査をすると、こういったのが現状の流れになっております。
#137
○平野貞夫君 その現状の流れは大変結構なことだと思うんですが、大臣がごらんになっていない時期ですね、時期の扱いと現在の扱いと、扱い変えたんですね。
#138
○政府参考人(中井憲治君) 変えております。
#139
○平野貞夫君 そうすると、かつての扱いですと、矯正局長あて親展ということで来ていた情願書が、これはそのままにしていますか、大臣あてで直接来るようになっていますか。
#140
○政府参考人(中井憲治君) 大臣情願でございますので、かつても現在もそれはすべて大臣あてでございます。
#141
○平野貞夫君 分かりました。
 そこで、私が昨年、問題提起しました、国会にも請願が来るわけなんですよね、そう数は多くないんですけれども。大臣への情願は検閲されていない、国会への請願は検閲されていると。私は、法務当局の皆さんには気に食わぬかも分からぬけれども、これはやっぱり人権に対する憲法問題じゃないかという問題意識を持っているんですが。
 昨年のその議論の中で、これ、法規論として、施行規則を変えれば、変えるか変えないかということは大変これ重大な問題だと思うんですが、規則の改正で請願の検閲をやめることができるという答弁を矯正局長からしてもらっていると思いますが。ちょっと確認しますが。
#142
○政府参考人(中井憲治君) 私もそのような記憶がございます。
#143
○平野貞夫君 大臣、そこで、施行規則の改正というのは別に国会に諮ることもありませんし、まあ大臣の腹で決まるわけですよ。どうですか、待遇に対する受刑者の不満といいますか、そういうものについて国会へ請願するという場合に検閲をやめるという規則の改正を大臣の判断で、二十一世紀にふさわしい刑務行政をやるという先ほどのお話でもありますし、そういうことを御検討なさる、実行なさったらどうでございましょうか。
#144
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃる御提案も、御提案としては大変理解できるものでございます。現在は、おっしゃいますとおり、監獄法施行規則第百三十条第一項に基づきまして検閲しておりますけれども、今回の一連の名古屋刑務所の事件の再発防止策の中でも被収容者からの不服申立てについてその取扱いをどうするかということは大きな問題として取り上げられておりまして、御指摘のような請願書を含めた不服申立てに対する検閲の在り方についても、行刑運営に関する調査検討委員会や行刑改革会議におきまして十分検討していきたいというふうに考えております。
#145
○平野貞夫君 是非これ、真剣に前向きに御検討してください。要請をしておきます。
 そこで、この一連の事件というのは、法務当局を、責任を追及するだけの問題ではないと思います。これは、やっぱり監獄法という法律を放置していた国会自身の責任であるということも、私も昨年申し上げたとおりなんです。
 ある意味で、非常に皮肉な物の言い方をしますと、名古屋刑務所の問題を起こした刑務官たちは、刑務官の人は、ある意味で監獄法の精神と規定を遵守していた行動ではなかったかという、非常にこれは悪い言い方なんですが。要するに、ある専門家の話ですと、監獄法の、明治四十一年ですか、にできた監獄法の理念は、受刑者の人権はゼロであるという、そういう論に立っておるという学者もおるわけなんですが、これは政府参考人の方で結構でございますが、こういう監獄法、それは皆さん苦労して運用していると思うんですよね、新憲法と調整しながら、これを分かっていながら我々も六十年余り放置しているという責任を感ずるわけなんですが。
 一連の不幸な事件を契機に監獄法を全面的に見直そうという動きがあるという報道はなされておるんですが、どういう基本方針でどういうスケジュールで考えているか、お答えいただければ。
#146
○政府参考人(中井憲治君) お答えの前に、先ほどの大臣情願の技術的な点について、私は委員の質問の御趣旨を取り違えていたかもしれない。もう一度確認させていただきますと、大臣情願の手続につきましては法務大臣に対する情願の取扱いについてという通達が出ておりまして、この通達自体はまだ現時点では変えておりません。
 したがいまして、いずれにしてみても法務大臣あての情願ではございますけれども、情願書自体は送付先は矯正局長として親展文書として取り扱うということは生きております。しかしながら、私が開けるのではなくて、そのまま大臣のところにお届けして官房の方で開封していただくと、こういう扱いになっているので、補足させていただきます。
 それから、監獄法の問題、非常に大きな問題でございまして、私が答えるべきかどうかを迷うようなところでございますけれども、いずれにいたしましても委員御案内のとおり、非常に古い法律でございまして、片仮名書きというようなことでございます。実質的改正ももうほとんど見ることなく今日に至っているわけでございまして、社会情勢も犯罪情勢も非常に変化してきておりますので、内容的に見ても甚だ不十分になっていると言わざるを得ない、見直すべき部分もあろうかと、かように考えているところでございます。
 しかしながら、そういう観点から国会にも監獄法改正提出いたしたわけでございますけれども、成立を見ないまま現在に至ってきているわけでございます。このような中で、名古屋刑務所をめぐる一連の重大事件が摘発されるに至りました。
 今後は、先ほど申し上げた行刑運営に関する調査検討委員会でありますとか、近く設置を予定されております行刑改革会議等々におきまして行刑運営の在り方を抜本的に見直すこととされるものという具合に私ども承知しております。
 現行法の下でも、実施可能な運営改善というのは直ちに実施していきたいと考えておりますけれども、必要があれば監獄法改正も視野に入れて検討を進めていくことになるのではなかろうかと、かように思っている次第でございます。
#147
○平野貞夫君 監獄法の話の前、前段の話ですが、私ももうここのところ予算委員会で人の悪口ばかり言っているものですから、もう余り、おとなしくしにゃいかぬと思ってトーンを落としているんですが、現実に矯正局長あて親展とするという取扱いではあれでしょう、明治四十四年の通達がまだ生きているわけでしょう、率直に言いまして。それから、情願進達書なんかの取扱いなんかでも大正時代の通達でやっておるんじゃないんですか。
 ですから、監獄法の改正も大事なんですけれども、一日も早くやっぱりそういうものをまず先に、通達とかなんとかというものをもう新しいものに是非変えていただきたいんですよ。これは答弁要りません。
 それから、今のお話だと、監獄法が変わるのか変わらぬのか分かりませんが、代わり、これほっておくわけにはいかぬと思いますが、新しい法律を作るときに監獄という言葉をお使いになるつもりですか、どうですか。これはどなたでもいいですが。
#148
○政府参考人(中井憲治君) 今、刑事施設法案ということで予定しております。
#149
○平野貞夫君 使いませんですね。是非使わないで、もうこれを葬っていただきたいと思います。
 それから、裁判員制度というのができるでしょう。司法制度改革の事務局長なさった方もおるんだけれども。これ、裁判員制度の導入というのは結局、市民が刑事裁判にかかわるわけですから、そういう時代なんですよね。やっぱり刑罰の物の考え方が変わる。となると、やはり監獄もそれ相応の、監獄という言い方悪いわけですが、刑事施設ですか、もそれなりの新しい理念を持つべきだと思いますが、これは要望だけしておきますが、特に、是非新しい仕組みを作るときには人権ということと、それからやっぱり人間であるという、受刑者も人間であるということと、それからもちろん公平なルール、これによるということと、それから非常にコミュニティーといいますか、社会の中で犯罪者がどう更生するかというそういう問題、それからやはり何といってもグローバル化した、国際化した施設になると思います。そういうものを、是非二十一世紀の刑事行政の在り方の一つの新しい発想を取り入れていただきたいということを要請しておきます。
 また、予定の時間ございますんですが、ちょっと夜遅くまでお願いしたものですから、これで終わります。
#150
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 予算委員会でも質問したのですが、やはり私も自傷行為、二〇〇一年十二月の死亡事件を自傷行為にしていたことについてお聞きせざるを得ません。
 これについては、御存じ、去年の参議院の法務委員会で二回質問をしました。私以外にも質問している委員の方はいらっしゃいます。自傷行為、肛門に自分で指を入れて自傷行為で腹膜炎で死ぬというのは絶対におかしいと、調査をしてほしいということを法務委員会で述べました。中井局長、これは調査をされたんでしょうか。
#151
○政府参考人(中井憲治君) 冒頭申しましたように、私どもの特別調査チームのスタンスというのは、いわゆる犯罪を構成するいわゆるコアの部分、そこで犯罪者を特定するかどうか、あるいはそれは犯罪になるのかどうかという部門を主眼としたものではございません。その点につきましては、同じ法務省の中にございます検察の捜査にゆだねまして、要するに検察捜査の邪魔にならない範囲で、支障にならない範囲で私どもは言わば犯罪捜査というコアの部分を目掛けて外周から、いわゆる背景であるとか、あるいは根本的な原因は何であるかとか、あるいは具体的に言えば、当該実行行為者を監督していた者の職責はどのようなものであるのかというような形で外側から中に入っていくという調査手法を取りました。
 お尋ねの平成十三年十二月の死亡案件だけでなくて、名古屋におきますところのこの一連の保護房、革手錠の案件については、私の受けている報告によりますとほとんど全部、一応調査の対象にしております。そのことではその中の一つであるという意味においては調査の対象にしておりますが、今、委員御指摘のように、具体的にそれが犯罪を構成するのかどうかということになりますと、その現場にいた者に対してそのときはどうであったのかというような話を私どもが伺った場合には、同時にそれが検察が調べられていた場合にそれが重なってくるわけでございますね。
 そういたしますと、私どもは名古屋刑務所の上級官庁といたしましては、管区と本省とあるわけでございますけれども、上級の官庁が、そういった犯罪に構成するのではないかという観点で見て動いていていろいろ聞くということ自体が関係者に影響を与えまして、これ供述を得なければいけないものですから、その関係者に影響を与える、あるいは私どもの動きによって罪証隠滅のおそれであるとか、あるいは口裏合わせが出てくる、あるいは証拠破壊が出てくるんではないかと、そういったことが懸念されましたので、その点については非常に謙抑的にやってきたというのが実情でございます。
#152
○福島瑞穂君 ちょっと短くて結構です。
 おかしいですね。十二月のケースが、捜査を開始したのは去年の十二月で、私が調査をしてほしいというふうに述べたのは十一月ですね。捜査は開始してないんじゃないですか。
#153
○政府参考人(中井憲治君) 私がちょっと口足らずで、ちょっと余計なことをしゃべって失礼いたしました。
 私が申し上げたかったのは、基本的に書面的、書面関係資料の調査というのは軒並みやりました。ただ、問題は、このお尋ねの十二月事案につきましては、先ほど御答弁させていただいたところでありますけれども、これが犯罪性を持つ事件であるという認識を私どもは当時持ってないんです。そういう状況にあったということを御理解いただければと思います。
#154
○福島瑞穂君 いや、そうではなくて、今、中井局長おっしゃったじゃないですか。捜査があったら邪魔になるからやれないんだとおっしゃったわけです。ところが、十二月のケースは捜査は開始していません。十二月のケースはおかしいじゃないかと、この法務委員会で十月に私が資料をもらった以降、おかしいということを言ってきた。しかし、何もしなかったんですよ。捜査も開始しなければ、法務省も何もしなかった。どうですか。
#155
○政府参考人(中井憲治君) ですから、私どもは、関係記録等の精査、対象という意味においての調査はいたしております。
#156
○福島瑞穂君 中井矯正局長は極めて有能なる特捜もやられた検察官です。肛門に指を入れて自傷行為で腹膜炎で死ぬ、おかしいと思われませんでした。
#157
○政府参考人(中井憲治君) ちょっと矯正局長としてお答えすべきなのかどうかという非常に判断に迷うところでありますけれども、委員のお尋ねですので率直に申しますと、私自身は、成傷器、傷を付けたものとして、当時の医師がこれは指であると、たしかつめが長かったというような記憶がございますけれども、指であるという認識で、それは御本人の指で傷が付いているということをされたという医師の鑑定があったわけでございますね。そうすると、それはそれなりに一応あり得る選択肢であろうという具合に考えました。
 ただ、それは絶対に他害行為、他者の関与がないのかといいますと、これは論理的にいいますと、指というのは自分の指だけではなくて、他人の指でもあるわけでございますですね。それで、もっと言えば、私は当然、矯正局の長としてやっておるわけで、別に関係事件の記録を読んだり証拠資料を見ているわけではございませんけれども、例えばその医師がどういう根拠で言われたのか分かりませんけれども、その指の先に付いている組織みたいなものが仮に自らの体内の組織と一致するようなことがあればかなり蓋然性は高いのかなと、これは単なる横目で見た話でございます。その程度の認識でございました。
 いずれにいたしましても、私は検事としてここに来ているわけでもございませんし、当時も検事として行動しているわけではございません。要するに、原庁からの報告が自傷行為によると思われると言い、なおかつ私のところまで上がってくるラインの中で、みんなやはりこれは本人の異常行動の反復のようなことがあったからだと思いますけれども、みんなやはりこれは自傷行為ですよと、だと思われますよという報告が上がってまいりましたので、私はそれを前提として部下の指示をしておりました。
#158
○福島瑞穂君 いや、やっぱり全然納得いかないですよ。だって、法務委員会で私は何度か調査をしてほしいというふうに言いました。何にもしてないということじゃないですか。ヒアリングもやってなければきちっと調査をしていない。みんなが、というか、私もおかしい、おかしいと言って結局これは高圧放水による死亡であるということが分かった。法務省は何もしなかったんですよ。
 先ほどから、私は今回の刑務所事件を通じて、法務省は事案の追及はできないんだというふうに思っているんですね。というのは、検察官の方は法務大臣に忠誠を誓っているのではなく、検事総長に忠誠を誓っているんじゃないか。法務省として全くメスが入ってないですよ。どうですか。反省すべき点はないんでしょうか。
#159
○政府参考人(大林宏君) 非常に難しい御質問でございます。ただ、一般論として申し上げれば、検事が矯正局長なり来るということは、基本的には矯正行政の長として来るわけでございまして、今おっしゃられた、比喩的なおっしゃり方だと思うんですけれども、検事総長にその指揮を仰ぐと、このような意識ではないと私は思うんでございますけれども、ちょっとなかなか適切な答弁じゃなくて申し訳ないと思いますが。
#160
○福島瑞穂君 捜査が開始されている事件で、でもきちっとメスを入れなければいけないと。だって、自分たちの所轄の中のことなわけですから。十二月のケースは捜査も始まってないのに何も結局しなかったんですよ。
 ところで、死亡帳の存在についてなんですが、これも今まで質問出ましたし、予算委員会でも私は聞きました。本当に繰り返し繰り返し死亡帳というものは過去、私は十月の段階から過去の分を出してほしい。三年分しか出せないと、それ以上の分についてはとても身分帳を全部三十万冊か五十万冊か繰らなくてはいけないので出せませんとずっと言い続けられてきました。
 この「行刑問題に関する資料(第一次)」三月七日の分でも同じように、ここでも十年分の死亡事案、「被収容者死亡報告の保存期間は三年となっていて、それ以前のものは廃棄されており、保存期間以前に遡って調べるとなれば、個々の身分帳を確認しなければならず、調査には相当期間を要する。」と、活字でこう書いてあります。
 どうして死亡帳ということがあることを言わなかったのか。どうなんですか。名古屋刑務所に視察に行ったときも同じことを言われました。私たち国会議員は残念ながら死亡帳なるものを知らなかったので、全然分からなかったんですね。でも、これってだましていたんじゃないですか。
#161
○政府参考人(中井憲治君) この点につきましては委員に率直におわびしなければいけないと思います。死亡帳のことを御説明せずに、これまで過去十年間にさかのぼってまいりました保護房内での死亡事案、これの御報告をしてこなかったということは、これは事実であります。大変申し訳ないと思っております。
#162
○福島瑞穂君 死亡帳というものがあるということを保坂展人さんなどが発見をして、死亡帳があるじゃないかということで、千六百人分出てきました。でも、国会議員が死亡帳なるものがあるということを気が付かなければ、私たちは、そうかやっぱり三年分しか無理で過去のものは調べることはできないんだと、本当にそう思って、ずっとだまされていたと思いますよ。それは本当にひどいと思いますが、いかがですか。
#163
○政府参考人(中井憲治君) 弁解いたしません。
#164
○福島瑞穂君 ところで、過去三年分の死亡事案に関して、視察表その他を出してほしいと言ったところ、平成十一年の府中刑務所の視察表が紛失しているという報告を昨日受けました。そんなばかなことがあるのかと。
 この事案は非常に珍妙な、これまた変で、保護房収容が物すごく長くて、この中に、というか何回も繰り返されていて、十二回、ほとんど保護房に実は入っているという状況です。保護房収容期間中、革手錠の使用は一度もなし、暴行は四回目のときのみあったと、府中刑務所を視察をしたときに衆議院の議員は聞いております。
 ところで、この視察表はないんですか。こんなばかなことはあるんですか。
#165
○政府参考人(中井憲治君) 委員御指摘のとおり、現時点で平成十一年八月に府中刑務所で死亡した受刑者の身分帳簿のうちの視察表を含むつづり、これがないという状況にございます。
 現在、府中の総力を挙げまして調べているところでございます。いろいろな観点から調べておりまして、一つは、これ以外にもなくなっているものがないかというような観点、あるいはこの身分帳、府中の身分帳の動きはいろいろ複雑な動きをしておりますので、府中から他に転出した者の身分帳簿に過って編綴された可能性はないかということも含めまして、現在、鋭意調査しております。
#166
○福島瑞穂君 これは、十月の末に過去の分出してほしいと言われて出てきたもので、平成十一年の事案。これはやっぱり非常に変、事件性があるのではないかというような情報も若干来ています。これは、顔が赤くなって、顔が突然赤くなって、様子が変だと思って、死んだんですが、医者に聞くと、やっぱり変だと、顔が赤くなって死んでいるというか、それはおかしいと皆さんおっしゃるんですね。
 この事件は、非常に事件性が高いかもしれない、高いと言われている。その視察表がないというのは、この視察表がないということはいつ分かったんですか。
#167
○政府参考人(中井憲治君) 全体像も含めまして現在調査しておりますけれども、当局という意味において申しますと、本年二月二十日、矯正局の特別調査チームが東京矯正管区とともにこの受刑者の死亡事案の調査のために府中刑務所に赴いたわけでございますけれども、その際に、問題のつづりがないということを当局としては認識したと、こういうことでございます。
#168
○福島瑞穂君 もう一回、いつですか。済みません。
#169
○政府参考人(中井憲治君) 二月二十日でございます。
#170
○福島瑞穂君 とすると、いや、この事件は、視察に行ったときも、じゃ済みません、視察に行ったときに、衆議院の法務委員会で府中刑務所に有志で行ったときに、このときには記録は全部あったんですか。
#171
○政府参考人(中井憲治君) その点はちょっと調査させてください。
#172
○福島瑞穂君 つまり、二月二十日の時点で分かったというのがちょっとよく分からないんですね。特別調査チームは、過去の三年分についての死亡事案について、今まで身分帳に二月二十日以前当たっていなかったんでしょうか。
#173
○政府参考人(中井憲治君) 府中刑務所に関して言いますと、二月二十日以前には当たっておりません。
#174
○福島瑞穂君 だから、特別調査チームの調査は一体何なのかと思うんですね。過去十年分全部当たれというむちゃなことは言いません。でも、少なくとも国会に、三年分やったうちの死亡の五件のケースの身分帳も当たらない。二月二十日の時点で視察表がない。要するに、それだと保護房、革手錠のことなどが全部分かるわけですけれども、二月二十日まで当たっていないと。
 じゃ、お聞きします。他の四件については調査はしたんでしょうか、それ以前。
#175
○政府参考人(中井憲治君) 名古屋関係を中心に調査しておりました。
#176
○福島瑞穂君 私はやっぱり余りにひどいと思います。というのは、十月の段階で過去三年分の死亡ケースについて出してほしいと言い、あるいは衆議院の法務委員会も府中刑務所に訪れているのは、これは二月二十八ですね。済みません、二月二十八に府中刑務所に訪れています。
 そうすると、逆に言うと、衆議院の議員に説明をしたときはもう視察表はなかったんですね。
#177
○政府参考人(中井憲治君) 二月二十八日だとすれば、私どもが府中の身分帳簿の一部がないということを認識した後のことでございます。
#178
○福島瑞穂君 やっぱり聞くだにひどいというか、要するに特別調査チームなるものが作られて、三年分の死亡事案についても身分帳をそれまで見ていなかったということじゃないですか。それは、身分帳を見れば、視察表を見ればいろんな動向が分かると。これは重要な死亡事案に関して特別調査チームが二月二十日まで見ていないと。今の説明ですと、二月二十日に行った時点で記録がないと。しかも、重要な視察表がないことが初めて分かって、昨日それを教えてもらったんですね。
 官房長、これについては今後どうされるおつもりですか。
#179
○政府参考人(大林宏君) 私が承知している限りにおきましては、矯正当局において調査を始め、現在、横断的にできています行刑運営に関する調査検討委員会の特別調査班も導入して今調査しているところでございます。
 今御指摘の視察表は非常に参考になる資料、当時の状況について参考になる資料だと思いますけれども、現に今捜している途中でございますので、ただ、しかしながら一方において、委員御指摘のように、五件の保護房死亡事案、名古屋については既に検察の捜査が行われているわけですが、その三件についてはこれは明らかにする必要があるというふうに考えております。
 横須賀の案件、それから府中のもう一件の案件につきましては、今の特別調査班も入れまして、現在、関係人の事情聴取を行っております。それは、その結果については明らかにしなければならないと私どもも考えておりますので、いい加減な形で済ませるつもりというのはございませんので、また、まとまりました段階でまた法務委員会等で御報告させていただきたいと、こういうふうに考えております。
#180
○福島瑞穂君 昨日、官房長は、今月一杯発見されなければ刑事告発するとおっしゃいましたが、そうされますか。
#181
○政府参考人(大林宏君) 先ほども矯正局長から説明がありましたように、本件の紛失状況についてはまだ分からないところが正直言ってございます。本当に悪く見ればだれかが抜き取ったんであろうと、あるいはその他の過失でそのような状態になったのか、まだ今現在調査中でございます。
 ただ、私ども承知している限りにおいては、故意にということも否定できないのではなかろうかという状況もないわけではございません。その場合に、矯正局外の官房等の人間も今調査に当たっておりますけれども、それでもやはりほかの方から見られれば、法務省内でと、不十分だったんじゃないかというふうな疑われ方をされないでもありません。その点におきまして、今なお調査しまして、犯罪である疑いがやはり残る場合は、告発という手段も取った上で皆様の納得のできるような形にしたいなと、こういうふうに考えております。
#182
○福島瑞穂君 この平成十一年八月十日の死亡事案は死に至る経緯が変で、また保護房収容が余りに長く、かつ事件性があるのではないかと非常に言われている事案です。それの重要な書類がないと。
 今、官房長は、故意に抜き取られた可能性が否定できない面もあるというようにおっしゃったんですが、やっぱり逆に言うと、何か事件性があって問題があるから、証拠隠滅ではないですけれども、なされた可能性も非常に多いと。逆に言うと、国会が、参議院がそういう視察表も出してくれと言わなければ、また私たちは全然このことについては知る由もなかったわけですよね。要するに、視察表を出してくれといって初めて視察表がないということを教えていただけたわけですね。ですから、是非、この平成十一年八月十日の事案が事件性があるのかないのかということも含めて、徹底的にやっていただきたいということを強く申し上げます。
 二〇〇二年七月の重傷事件、証拠保全を受けているケースですが、このケースは今どうなっているでしょうか。
#183
○政府参考人(樋渡利秋君) 平成十四年七月の事件でございますね。
#184
○福島瑞穂君 はい。
#185
○政府参考人(樋渡利秋君) 名古屋地方検察庁におきましては、本年三月六日、名古屋刑務所の在監者から、刑務官三名に対する特別公務員暴行陵虐致傷事件……
#186
○福島瑞穂君 これ七月です、七月。ごめんなさい、二〇〇二年七月のケースです。
#187
○政府参考人(樋渡利秋君) 二〇〇二年、ですから十四年七月ですね。
#188
○福島瑞穂君 はい、そうです。ごめんなさい。
#189
○政府参考人(樋渡利秋君) もう一度申し上げます。
 名古屋地方検察庁におきましては、本年三月六日、名古屋刑務所の在監者から、刑務官三名に対する特別公務員暴行陵虐致傷事案及び殺人未遂事案の告訴を受理したものと承知しております。
 同地方検察庁におきましては、法と証拠に基づき適正に捜査を処理するものというふうに思っております。
#190
○福島瑞穂君 ちょっと質問の仕方が悪くて申し訳ありませんでした。
 ところで、十年分の千六百のケースを見ておりますと、非常に変、物すごく変なものがたくさんあります。刑務所によっても非常に様々で、宮城刑務所は非常に丁寧に全部書いていると。静岡刑務所だと一行だけしか書いていないと。刑務所によっては、なぜか番号が飛んでいる、番号が書いていないのもあるんですが、どうしてか分からないけれども、途中で番号が飛んでいる。これは、どうしてこんな不自然なことがあるんだろうかと思うものもたくさんあります。
 で、名古屋刑務所の十四年のケースで、居室内で倒れていることを発見されていて、急性の硬膜下血腫に外傷性の疑いが濃いと、現在捜査中という事案もあります。
 また、府中刑務所では、例えば平成八年の事案、外傷性硬膜下血腫の疑いとなっていて、不穏状態、外傷性とされると。だけれども、外傷の原因、外の傷と書きますが、原因の記載がないと。これは何らかの制圧行為による疑いが濃厚ではないか。
 それから、やはりまた不穏興奮、割と筋肉注射で注射をした後に死んでいるというケースもあります。これは府中刑務所に一件、ほかの刑務所もありますが、筋肉注射による自発呼吸の低下、急性心不全となっていると。これは一体、筋肉注射でなぜすぐ死んでしまったのかというのがあります。
 また、これはやっぱり名古屋刑務所ですが、平成十四年の十五番のケースは、吐いていた物をのみ込んだことにより窒息の疑い。でも、これには、殺人被疑事件としては不起訴、括弧、嫌疑なしとあります。なぜ、この事件が殺人事件として捜査対象になったのかの説明がありません。なぜ、これ殺人事件になったのか。
 横須賀刑務所の平成十二年のケースは、保護房収容として不適切ではないか。
 大阪刑務所、平成七年、番号三だと、熱中症で死亡している。熱中症というと、保護房で熱中症で死亡した裁判が、裁判例で勝訴したケースが、遺族が勝訴したケースがありますが、熱中症発症の原因が不明というものがあります。
 あと、山口のケースだと熱射病による死亡があり、例えば長崎、平成九年、急性心臓死。
 鹿児島、平成七年の二のケースだと死亡帳自体に番号がない、保護房拘禁中に死亡している。
 高知、平成十一年の一、これは急性心臓死で司法解剖がなされておりますが、原因がよく分かりません。
 岐阜刑務所、平成五年、腹膜炎、敗血症性ショックを起こしているが、腹膜炎の原因に革手錠が関与している疑いがある。岐阜刑務所、平成六年、急性心不全、風邪程度の症状で死に至っていて、死亡の経緯に不自然な点がある。
 岡崎医療刑務所、コーヒーの残渣物で、吐物、吐いた物で詰まって急性心不全となっていますが、死因がよく分かりません。
 静岡刑務所、平成十年の一番、食物吸引による窒息死。
 やたら何か吐いたり、いろんなのでよく窒息死をしているんですが、で、記録の中に、例えば水戸少年の番号なし、平成十年事件だと、番号がなく不自然で、ファクスをコピーしていると。ですから、ほかのところ、書式が違うものがあると。
 川越少年、平成七年一、保護房収容中の死亡事件、吐いた物を吸引する窒息になっているけれども、分からない。司法解剖が実施されています。川越少年、平成十三年一、摂食障害による低栄養状態で死亡となっている。
 ハンストで死亡しているケースもあります。東京拘置所、平成六年番号なし、保護房収容が疑われると。向精神薬の筋肉注射でショック死の可能性が極めて大であると。
 大阪矯正管区、平成十一年一、ハンガーストライキ、数日に及ぶ拒食が原因で死亡している。国際的な観点から司法解剖に付すというふうになっています。大阪拘置所、平成六年一、保護房内で死亡。平成六年二、保護房内で死亡。また、平成十三年、脱水性のショックというふうになっている。
 もうちょっと言っただけでも、医療過誤があるんじゃないかとか、死因もよく分からないというものがあります。これらについてカルテ、それから保護房収容、革手錠の場合は、先ほどからの視察表、是非、矯正局長あての報告書などを出してくださるようにお願いをしますが、いかがでしょうか。
#191
○委員長(魚住裕一郎君) 手短に。
#192
○政府参考人(中井憲治君) 種々の御指摘をいただきましたので、調査していきたいと、かように考えております。
 開示、どの程度の資料を開示できるかということにつきましては、被収容者等の名誉とかプライバシーの保護等もございますので、個別の案件で職員の暴行によるといったような犯罪の疑いがある事案があれば前向きに対応させていただきたいと、かように考えております。
#193
○委員長(魚住裕一郎君) 福島君、時間来ました。
#194
○福島瑞穂君 はい、もう時間ですが。
 死亡帳は黒塗りで出していただいていますので、私たちも別にプライバシーには関心がありませんから、カルテと、それから視察表と矯正局あての報告書を是非出してくださるように要望します。
 以上です。
#195
○委員長(魚住裕一郎君) 本件についての質疑はこの程度にとどめます。
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#196
○委員長(魚住裕一郎君) 次に、去る一月十四日及び十五日の両日、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。荒木清寛君。
#197
○荒木清寛君 委員派遣につきまして、御報告申し上げます。
 去る一月十四日及び十五日の二日間、司法行政及び法務行政等に関する実情調査のため、新潟県を訪れました。派遣委員は、魚住委員長、千葉理事、井上理事、江田委員、浜四津委員及び私、荒木の計六名でございます。
 初日は、まず新潟地方裁判所を訪問し、新潟地裁所長、新潟家裁所長及び新潟地検検事正からそれぞれ概況説明を聴取し、その後、所内を視察いたしました。続いて、新潟県弁護士会会長及び司法書士会会長にも御出席いただき、司法制度改革についての意見交換会を行いました。
 概況説明では、新潟地裁所長から、近年、多重債務者からの自己破産の申立てや特定調停事件が大幅に増加していること、地裁における刑事事件が最近増加傾向にあること、当地の著名事件として柏崎市の少女監禁事件等があること等の実情が、新潟家裁所長からは、相続放棄を除いた家事審判事件、家事調停事件のいずれも増加傾向にあること等の実情が述べられました。
 また、新潟地検検事正からは、近年、空港の国際化等によって犯罪の広域化、来日外国人による凶悪犯罪の増加等が見られ、従来よりも捜査、公判に労力を要するようになったこと、一般刑法犯事件の認知件数は増加しているが検挙件数は著しく低下していること等の説明がありました。
 所内視察では、遠隔地の裁判所にいる証人をテレビ画面で尋問できるテレビ会議システムや少額訴訟で使われるラウンドテーブル法廷等を視察いたしました。
 意見交換会では、弁護士会会長から、県内の弁護士が全体的に不足しており、一部地区にあってはかなり深刻な状況にあること、そのため相談業務等も限界に来ていること、法科大学院への実務家派遣には協力していきたい等の発言が、また司法書士会会長からは、簡裁訴訟代理権付与のための特別研修を来年度から実施予定であること、簡裁の事物管轄について引上げを希望していること等の発言がありました。
 その後、新潟地方法務局を訪問し、まず地方法務局長から業務概況について説明を聴取するとともに、局内の業務状況を視察いたしました。限られた人的体制の中で、多岐にわたる業務に取り組んでいる現場の状況をつぶさに調査することができました。また、戸籍課では、北朝鮮による拉致事件被害者の戸籍に関する事務処理等についての説明がありました。
 局内視察後、人権擁護行政についての概況説明を聴取いたしました。地方法務局長からは、人権週間を中心に街頭啓発等の様々な啓発活動を行っていること、人権相談では高齢者に対する暴行、虐待の相談が増加傾向にあること等の実情が述べられるとともに、出席した人権擁護委員からは、体験に基づく日々の具体的な活動状況についての説明がありました。
 二日目は、まず新潟西港にある港湾合同庁舎を訪問し、東京入国管理局新潟出張所長及び東京税関監視部長から、それぞれの業務概況の説明を聴取いたしました。当日は、北朝鮮の貨客船、万景峰92号が入港したことから、同船の入出港時の審査等についての説明が中心となりました。未承認国の船ということで、出国者には再入国許可証が発行され、乗務員の上陸が原則として認められないなど、通常の出入国管理とは一部違いがあるとのことでした。その後、埠頭まで行き、入管等の現場を視察した後、同船を近くから視察いたしました。
 続いて、新潟刑務所を訪問し、新潟刑務所長の概況説明を聴取するとともに、刑務作業の実情等を視察いたしました。新潟刑務所は、B級施設として、二十六歳以上で刑期八年未満の犯罪傾向が進んでいる男子を収容しています。収容定員八百七十七名の中規模施設ですが、受刑者の収容率は一二〇%を超えているとのことです。このため、八名の部屋に十一名を収容していましたが、様々なトラブルの原因となっているとのことです。受刑者の罪名別では窃盗が圧倒的に多いのが特徴であり、また高齢者や外国人受刑者等の処遇困難者も増えているとのことであります。
 刑務作業では、伝統工芸品から印刷物、バケツ等様々な製品を作っていますが、不況の影響で作業の確保に大変苦労しているとのことであります。また、保護房や革手錠も見ましたが、昨年の革手錠の使用は二件だけだったとのことです。
 最後になりましたが、今回の調査に当たり、現地関係機関から御協力をいただきましたこと、並びに最高裁判所、法務省当局から便宜をお図りいただきましたことに、この席をおかりして厚く御礼申し上げます。
 以上でございます。
#198
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日の調査はこの程度にとどめます。
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#199
○委員長(魚住裕一郎君) 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者衆議院議員杉浦正健君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員杉浦正健君。
#200
○衆議院議員(杉浦正健君) 同僚の発議者の一人である漆原先生もわざわざお見えでございますが、代表いたしまして、私から御説明を申し上げます。
 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律(平成十年法律第一二七号)は、平成十年八月のいわゆる金融国会におきまして、金融再生トータルプランに関する議員提出四法案の一つとして提出され、同年十月、成立した法律でございます。
 この法律の要点は次のとおりであります。
 第一に、金融機関等が根抵当権により担保される債権を整理回収機構、サービサー等の債権回収機関に売却しようとする場合において、債務者に対し、売却する旨及び新たに元本を発生させる意思を有しない旨を書面により通知したときは、民法の定める元本の確定事由に該当するものとみなすこととしております。
 第二に、これにより元本が確定した場合の登記は、根抵当権の移転の登記とともに申請する場合に限り、債務者等の根抵当権設定者と共同で申請しなくても、根抵当権者のみで申請することができることとしております。
 この法律は本年三月三十一日までの臨時措置法でありますが、本日、御審議をいただきます法律案は、この法律の適用期間を平成十七年三月三十一日まで二年間延長しようとするものでございます。実は、一回二年延長して、再延長ということでございます。
 以下、適用期間の延長の必要性について御説明申し上げます。
 経済財政諮問会議は、「改革と展望―二〇〇二年度改定」におきまして、不良債権処理など諸改革を加速すると同時に、集中調整期間を一年程度延長し、平成十六年度までの間、改革を集中的に推進するとされております。また、経済活動を支えるより強固な金融システムを構築するため、不良債権処理の加速に強力に取り組み、不良債権問題を平成十六年度に終結させることを目指すとされております。
 金融機関等が有する回収が困難となった債権であって不動産を担保とするものの処理が今なお喫緊の課題である状況にかんがみまして、債権譲渡円滑化法の期限を延長する必要がございます。
 以上がこの法律案の趣旨及び概要でございます。
 委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
#201
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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