くにさくロゴ
2003/04/01 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第5号
姉妹サイト
 
2003/04/01 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第5号

#1
第156回国会 法務委員会 第5号
平成十五年四月一日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   山崎 敏充君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   大谷 剛彦君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     石川  薫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )

    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務大臣官房長大林宏君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君及び外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○江田五月君 裁判所職員定員法の一部改正案、それから下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部改正案、衆議院では何の質疑もなかったということのようですが、参議院ではきちんと質問をさせていただきます。
 今日は、大勢の政府参考人の方にも来ていただいて盛りだくさんの通告をしましたので、かなりスピードを上げなきゃならぬと思っておりますが、質問の前に、三月三十日未明ですか、また名古屋刑務所で保護房、革手錠の対象であった受刑者が死亡したということのようですね。事件性があるのかどうだかよく分かりませんが、取りあえず、現段階で分かっていることを簡単に御報告ください。
#6
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 死亡した被収容者でございますが、この者は、本年三月二十六日、大声や騒音を発するために保護房に収容した後、三月二十八日午前に保護房収容を解除して、病舎の独居房に収容されていた覚せい剤中毒の後遺症、四十歳代の男性受刑者でございます。
 死亡の状況でございますが、三月二十九日の深夜、同房内の床でこの受刑者が横たわっておりますのを職員が発見し、ベッドに戻そうとしていた際に、容体が急変して自発呼吸が確認できない状況となったことから、直ちに人工呼吸などの救命措置を講じますとともに、救急車の出動を要請し、外部の病院に搬送いたしましたが、三月三十日午前一時過ぎ、同病院で死亡が確認されたものでございます。
 本件につきましては、名古屋地方検察庁により司法検視が実施され、特に外傷等の所見はないとのことでございますが、念のために司法解剖が実施されたという報告を受けております。
 ただいま承知しているのは、この以上の点でございます。
#7
○江田五月君 覚せい剤の中毒症状と言うんですが、保護房に十回ですか、何かかなり頻繁に収容されていたとか、革手錠もあったとか、事件性があるのかどうだかよくは分かりませんが。
 横田矯正局長、今日、発令ということで、最初の仕事が今のような御答弁と。今あなたの前にある矯正行政の現状というのはこういうものであるということを、ひとつよく肝に銘じて仕事をしていただきたいと。激励です。
 昨日は年度末、いろいろありました。大島農水大臣がお辞めになった、株価は八千円を割れた、名古屋刑務所事件では行刑運営に関する調査検討委員会の中間報告があった、行刑改革会議が発足をした。
 株価のことは質問をしませんが、まず森山法務大臣、行刑問題がこういう状態で、これは大島前農水大臣の場合はいろいろ不明朗、不透明のことがあってその説明責任が十分果たされていないというその責任ということだったと思います。これは政治家としてあるまじきということだと思うんですが、森山法務大臣に対しても、私どもは、ひとつ御自身の出処進退をお考えになってはどうかというようなことを申し上げております。
 それは、政治家としてあるまじきという話じゃない、むしろ逆に、これだけのことが起きて、国民にこれだけの不安を与え、行政に対する信頼を傷付けている、その責任はだれかが取らなきゃならぬ。これは正に、政治家として最高の責任を取っていただくということをお考えいただけないかということを言っているわけですが、そのほかに、身内に甘いとかいろいろあるかもしれませんが、大島大臣の辞任について、そしてその辞任に際して御自身のことも含めて今どのようにお考えでいらっしゃるか、お伺いします。
#8
○国務大臣(森山眞弓君) 大島大臣の件につきましては、昨日の朝、ニュースで知ったわけでございますが、私も長い間お付き合いをしてまいりました方でございますので、大変残念な思いがいたします。
 しかし、実際にどういうことがあったのか、大島大臣がどのようにそれにかかわっておられたのか、その辺のいきさつがほとんど分かりませんし、今までの御説明によれば御本人がそう深くかかわっていらしたのではないと、周辺の秘書さんたちの問題であるということのようでございますので、もしそれがそうだとすれば、これから後の農林水産省の法案その他、国会審議に影響を及ぼしてはいけないということで昨日、辞表を出されるということになったのかなと思うのでございますが、これについては本当にお気の毒であり、また私としては大変残念だなという気がいたしております。
 しかし、御自分が決心されまして実行されたことでありますので、私としてはこれ以上のことを何とも申し上げようがございません。
 私自身のことにつきましては、国会におきましてもいろいろな御意見をいただきまして、今回の行刑問題に関する様々な、特に名古屋刑務所の事件につきましては私も本当に申し訳ないことというふうに考えております。犠牲になった方々、あるいはその遺族の方々、あるいは多くの国民の皆さんに誠に申し訳なく、おわびを申し上げなければいけないというふうに深く考えておりますが。
 しかし、この際、法務大臣として責任を果たすという意味ではおわびをするということも重要でございますけれども、それよりも更に、このような事件が再発しないようにいろいろな仕組みあるいは方法を考えまして、そして再発防止のために全力を尽くすということも非常に重要な責任だというふうに思っておりまして、昨日、ようやくいわゆる行刑改革会議というものも顔ぶれが決まりまして、四月半ばにはスタートするという予定にすることができました。
 省内においては、そこに御提起を申し上げるために、様々な問題点を整理いたしまして中間報告なるものを昨日、一応まとめたところでございますが、そのようなものを材料にしていただいて、更に広いお立場から国民の声ということで厳しい御指摘をいただくために、御存じのような顔ぶれの皆様方に御自由に御意見をちょうだいするという仕組みが取りあえずはできたかなと思っております。
 これを十分活用させていただきまして、行刑の在り方、新しい世紀に新しい行刑はいかにあるべきかということを十分議論していただき、またそれを、その御提言を尊重させていただいて新たな道を探っていく、その取っ掛かりを何とかして作っていかなければならないというふうに考えまして、私としてはこの問題について全力を挙げていきたいというふうに考えているところでございます。
#9
○江田五月君 調査検討委員会の中間報告がまとめられた、それに基づき更に広い角度から行刑改革会議をスタートさせたと、これを取っ掛かりに正していきたいとおっしゃられましたが、この行刑改革会議、いつごろ結論を出されるおつもりですか。
#10
○国務大臣(森山眞弓君) まだ、これから始まりますので具体的にいつごろということはなかなか申しにくいんでございますけれども、私どもの希望といたしましては、そんなにゆっくりはしていられないという気がいたしますので、また膨大な問題ですから全部を結論出すということはにわかには難しいかと思いますので、問題によってはかなりの時間も掛かるものもあるかと思います。
 いろいろ考えますと、いつごろと今、私が申し上げるのは不適当かと思いますけれども、私の希望といたしましては、基本的な方向付けがまずは今年一杯ぐらいにできるといいかなというふうに思っています。
#11
○江田五月君 今年一杯、いつスタートされますか。
#12
○国務大臣(森山眞弓君) 四月十四日を予定しております。
#13
○江田五月君 四月十四日スタート、それでこの行刑改革会議で鋭意検討して問題点をえぐり出し、更にいろんな方向を出して、で、今年一杯というようなイメージを法務大臣としてはお持ちになっておると。そのとおりにいくかどうか、それは分からないがということですが。
 ということになると、それでさっきの話とつなげると、今年一杯はもう法務大臣をやると、こういう決意になってしまうんですけれども、それで一体国民が納得するかどうかですね。
 ここは、繰り返すようですが、決して何か御自身の不祥事に責任を取れと言っているんではなくて、むしろ、それは役人だったらこれは身分の保障もあるし自分が汚名挽回、仕事を一生懸命やってお返しするということでしょうが、大臣の場合は別にそういう身分の保障とかという話じゃないんで、やはりこれは本当に政治家として行政の一番トップに立って指揮をしている人の、としての名誉ある出処進退というものを是非、森山法務大臣、さすがだったなあという、だったなあですよ、という決断を期待をしておりますが。
 ちょっと話を元へ戻しますが、報道によれば、この行刑改革会議で監獄法の廃止、そして行刑法という名前も出たりしておりますが、新たな法律を作る方針を示されたということのようですが、法務大臣、これは新たな方針を示されました。
#14
○国務大臣(森山眞弓君) 昨日は、ようやく行刑改革会議の顔ぶれを決めさせていただいたというだけで、これからその皆様方に御議論をいただくということが次の課題でございますので、どのようなテーマについても新たな方針が決まったわけでは全くございません。ですから、評論はいろいろあるようでございますけれども、すべてはこれからでございます。
#15
○江田五月君 すべてはこれからですが、そして、特に新たな方針として出したというわけじゃないけれども、恐らく、先ほどの表現で言うと、イメージとしてはやっぱりそれは明治何年かの監獄法で今も行刑をやるというのはいかにもそれはどうにもならないと。監獄法に代わる新たな立法といったことも視野には入っているんですか、いないんですか。
#16
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、現行の監獄法は明治四十一年に制定されて以来、ほとんど実質的な改正が行われないままに今日に至っておりますので、その間の社会情勢の変化とか犯罪情勢の変化ということはもう大変に著しいものがございますから、内容的にも今の監獄法では十分ではないということはみんなよく分かっていることでございます。
 ですから、見直さなければいけないということで、法務省といたしましても三回ほど国会に提案しようということで具体的に動いたわけでございましたけれども、結果的に成立を見ないままに現在に至っているわけでございます。しかし、監獄法をいずれは改正しなければいけないというその必要性は少しも今も変わっていない、むしろもっと重要な問題が出来しているわけですので、何とかしなければいけないという気持ちは多くの人が持っていることだと思います。
 そういうことで、先ほど申し上げました行刑運営に関する調査検討委員会の整理いたしました問題の中にも、また行刑改革会議において議論していただこうという考え方の中にも、それを視野に入れながら、これではちょっと現在のままじゃまずいんではないかということで、最終的には監獄法の改正も視野に入れた方がいいんではないかという気持ちがあるということは確かでございます。
#17
○江田五月君 明治四十一年の当時の行刑の法律関係なり、あるいは行刑のやり方についての考え方、これは今ではもう到底通用しないんで、だから、現に法務省設置法その他でも監獄法とは全然違って、用語だって全然違うものを使っているわけですから、今現在でも当然、監獄法は見直さなきゃならぬと、現に法務省も、その努力も実らなかったけれども、やっておられる。
 しかし、今現在のこの行刑行政、これも変えていかなきゃならぬというわけですから、これはもう監獄法改正が初めにありきではないけれども、やっぱり監獄法に基づいてどういう行刑をやっていくかということを考えたんではどうにもならぬという、それはそのとおりでよろしいですよね。監獄法に基づいて行刑の改善をするんだという話ではないと、これははっきりさせてください。
#18
○国務大臣(森山眞弓君) 御存じのとおり、監獄法、明治四十一年にできたわけでございますので、そのころ人権というようなことはほとんどだれの念頭にもなかったと言ってもいいんじゃないかと思いますので、少なくともそのような基本的な考え方は改めなければいけない、それはもうみんな承知していることだと思います。
#19
○江田五月君 昨日発表された調査検討委員会の行刑運営の実情に関する中間報告ですが、さて、これを説明していただこうかと思っておったんですが、その説明をやっていたら時間がないので、これはここへいただいたものを読ませていただいたということで。
 そして、これを実現をしていくために行刑改革会議をお作りになったと、先ほどのようなお話なんですが、私は、一つこの中間報告、あるいは行刑改革会議の中で検討が必要だということで、この中間報告にある「行刑制度改革実現に向けての課題」といったような仕切りで七項目ばかりお書きになっているわけですが、この中に一つ抜けていることがあるんじゃないかと。
 それは、職員と被収容者との関係、これはいろいろお書き、あるいは職員の中の人権意識の欠如その他のこと、これも書いておられるわけですが、行刑行政を担当する組織全体の在り方、どうも職員と被収容者との関係が、いわゆる担当制というのですか、家父長的、情緒的な信頼関係、これによって年上の受刑者であっても年下の刑務官に対しておやじさんと言って頼ると、よしよしと、自分が、刑務官が被収容者を言わば庇護するような感じで扱っていくというような、そういう関係が職員と被収容者の間に成立して、それをうまく動かしていって矯正行政をやっていたわけだけれども、それが今、うまくいかなくなったと。元々、そこを、過収容になってきたからとか被収容者の性格が随分変わってきたから変えなきゃいけないということだけでなくて、そういういわゆる家父長的な関係で受刑者を矯正していく、受刑者を処遇していくということ自体がもう今なかなかうまくいかない、そういう時代に変わってきている。そこは実は、どういいますか、行刑組織の在り方の延長線上にそういう問題があるんで、行刑組織の在り方自体の中にもうちょっと何か考えなきゃならぬ問題点が潜んでいるんじゃないかと。
 例えば、今、名古屋の刑務所でああいう刑事事件がスタートしておる。これに対して、実は刑務官の中では、漏れ伺うところによると、起訴された刑務官に対するある種の同情や共感が行き渡っていて、そして守る会とかそういうものが、守る会という名前があるかどうかは別として、できてきているとか、その皆さんの中には、何言っているんだ、おれらは現場で体を張ってやっているんだ、ああいう連中とやり合うにはこうでなきゃできないのに、そんな霞が関の矯正局長だか何だか知らぬが偉い者が何が分かるかという、そういうような感じもあったり、片や今度は霞が関の方では、現場の皆さん、人権感覚なんと言ってやると。
 人権感覚はもちろん大切なんですが、そういう現場に対してちゃんと指揮監督をしていく皆さんが現場の皆さんの実は心服を得ていないんではないかという、その辺りをどうするんだという、これは非常に私は重要な、行政組織をどう変えるかという課題があると思うんですが、それがこの中間報告の中では抜けているような気がするんですが、いかがですか。
#20
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるような問題意識は非常に強くございまして、今引用されました行刑運営に関する調査検討委員会の中間報告の中でも、「はじめに」というところにもその問題意識が出ております。例えば、二番目のパラグラフの、「行刑組織全体の問題として、」という言葉がございますし、その一つ置いて、同じページの下の方ですが、行刑運営の組織とシステムを変革することは容易ではないが、やらなくてはならないというようなことが書いてございます。
 しかし、それが一朝一夕にできないということもまたよく分かっておりまして、二万人近い関係職員を擁する、全国津々浦々にあります、その土地の事情によってもいろいろ違うでしょうし、様々な行刑施設におけるいろんな問題を解決していくというのには相当慎重に、かつ思い切った改革が必要であろうというふうに考えているわけでございまして、御指摘のような問題意識は十分持っているつもりでございます。
#21
○江田五月君 是非お考えいただきたいと思います。
 行政組織の動かし方、あるいは行政と国民、あるいは被収容者と職員、これはある種の権力の関係であると同時に権威の関係でもあって、昔、学生時代に行政学の辻清明先生が言っていたのを思い出すんですが、権威というのは何だというと、あらがい難い上に光るものじゃなくて、権威を感ずる側からのある種の心服とか信頼とかというもの、これが権威なんで、こっちに、権威を持っている側に権威があるんではなく、権威を感ずる側に権威を感ずる何かがあると。そういうものをどうやって作っていくかという、大変難しいことですけれども。
 やっぱり今、矯正行政を見ていて、現場の皆さんの起訴された人々に対する同情、共感がいいとは私は全然思いません。思いませんけれども、そういうものが生まれてくる土壌というのはやっぱりある。そこへメスを入れる必要もあるんだということは是非認識を、今認識されているということなのですが、しっかりそこは見忘れのないようにしていただきたいと思います。
 行刑改革会議をもう少し聞きますが、どのくらいの頻度で開かれますか。
#22
○国務大臣(森山眞弓君) 皆さん、大変お忙しい方ではございますけれども、第一回の会合のときによくお打合せをさせていただいて、例えば月の第二、第四何曜日とか、そういうふうにお決めして、できるだけ出ていただくようにしていただくということを考えておりますが、まだ御本人、皆さんが一堂に会することがございませんので、第一回によく御相談して、できるだけ十分な回数を重ねていきたいと思っています。
#23
○江田五月君 スピードアップと言いながらなかなかスピードが上がらない、時計を見ておりますが。
 事務局、これはどこに作るか、どのように作るか。
#24
○国務大臣(森山眞弓君) 事務局長は事務次官が務めることに決めております。事務次官一人では難しゅうございますので、省内の各局から、矯正だけではなく、もちろん、いろんな局のスタッフを必要な数だけ集めようと考えていますが、人員が非常に足りなくて苦しいところでございますけれども、何とかやりくりましてこの仕事が順調にいくようにしたいと考えています。
#25
○江田五月君 もう御承知のとおりですが、事務局というのは非常に重要で、事務局が全部おぜん立てをして、事務局が全部青写真を書いて、委員の皆さんはそのとおり後から裏判を押すだけというのではどうにもならないんで、これはそういう思いを込めてなかなかの人たちを人選されていると思いますので、しかし事務局がしっかりしないとこれまた物事は進まないわけですから、その辺の呼吸をよろしくお願いしたい。
 メンバーの皆さんにどういうことをやってもらうかなんですが、私は、一つはやっぱり、かなりプライバシーまで突っ込んだ、あるいは捜査情報にまでちょっと及ぶようなケースもある。そこまでの情報をこの皆さんにはちゃんとお渡しをして議論していただくということが必要なのかなと。そうだとすれば、この皆さんに国家公務員法上の守秘義務がやはり掛かっていかなきゃいけないんじゃないかなと思ったり。
 そちらはそちらで、しかし一方で、今度、改革の議論については、改革の議論についてはこれはやっぱり国民的に議論していくということが必要で、そうしますと、しゃばの風の吹かない、しゃばの道理の通じない社会であった日本の刑務所に市民の風、市民の常識を通ずるようにするということが目的ですから、司法制度改革そのものでもあるんで、司法制度改革の各種の会議と同じように、プライバシー部分はこれはもちろんいけませんが、それ以外はリアルタイム公開にすべきだと思いますが、いかがですか。
#26
○国務大臣(森山眞弓君) 御存じのように、行刑改革会議にお願いする方々は純然たる民間人の方でございますので、この会議は民間の立場から率直な御意見を承るということが非常に大きな目的でございますので、委員の方に公務員のような守秘義務を課すということは考えてはおりません。
 なお、委員の方から的確な御意見をいただくために、必要に応じていろいろな情報を、あるいは記録を御参考に供するということはできるだけやりたいと思っておりますけれども、その取扱いにつきましては、委員の方々にしかるべき御配慮をお願いしなければならないかなというふうに考えておりますけれども。
 なお、議事の公開につきましては、会議の先生方御自身で決めていただくことになろうかと思いますので、今、私の口からどうこうするということはちょっと申し上げにくいわけでございます。
#27
○江田五月君 刑務所行政、行刑行政ももちろん国民のための行政です。主人公は国民です。国民と一緒に議論して、国民の理解と協力を求めなければいい行刑行政ができるわけもないんで、これは委員の皆さん方に、是非リアルタイム公開でやってくださいよという強い意見があったということをお伝えいただきたい。
 刑務所が、かくのごとく、それこそ塀の中で全くしゃばの風が通らないということになって、それではいかぬというので、石川さん、それではいけないというので拷問禁止条約の選択議定書、これ、この間から聞いているんですけれども、なぜ日本は批准に積極的でないのか。理由をずっと聞いたら、全部、いや、だから日本はやりますという結論になるかと思ったら、最後は、いや、やりませんというのでよく分からないんですが、ちょっと、簡単でいいですから、なぜ批准しないのか分かるように言ってみてください。
#28
○政府参考人(石川薫君) 江田委員にお答え申し上げます。
 この拷問禁止条約の選択議定書でございますけれども、先日、この場でお答えする機会を与えていただきましてありがとうございました。現在、セネガルとコスタリカの二か国が署名済みというのが状況でございます。
 政府としましては、この議定書で視察ということが規定されておるわけでございますけれども、それが具体的にどうなっているのかと、どうなっていくのかということが決まっていないというところがございますものですから、この視察の具体的な態様など、選択議定書の中身と国内法との関係等について調査しているというのが現状でございます。
 その具体的な調査について申し上げたいと思いますけれども……
#29
○江田五月君 いや、短く。
#30
○政府参考人(石川薫君) はい。欧州が一つのモデルになり得るということがございますものですから、担当官を欧州に派遣をしてその調査をするといったことを現在やっているところでございます。
#31
○江田五月君 調査しているということなので、早く調査して早く結論出してください。これは批准しましょうよ。
 さて、法務大臣、司法制度改革、今回、司法制度改革については、これはもう法務大臣、法務省のトップということを超えて、言わば内閣で取り組む司法制度改革、内閣総理大臣が本部長、その副本部長として重大な責任を負っておられるわけですよね。そのことはもう質問しなくても当然のことと。
 政府の司法制度改革推進計画、それから審議会意見書、これらを見ると、推進本部が存続をしている間であっても、やれることはどんどんやっていきましょうと。それは人的、物的あるいは財政面での十分な裏付けを持った改革をやりましょうという、そういうことで。
 そこで、これこそ本当に思い切ったことをやっていただきたいんですが、平成十五年度予算、司法制度改革に対しては特段の配慮をした予算になっているんですか、いないんですか。それともう一つ、平成十五年度予算の概算要求のときに司法制度改革の概算要求というのは一体幾らだったんですか、お答えください。前の質問は法務大臣で、後の質問は推進本部。
#32
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見を受けまして閣議決定されました司法制度改革推進計画によりますと、全体としての法曹人口の増加を図る中で、裁判官、検察官の大幅な増員等を図ることにしております。そして、司法制度改革推進本部の設置期間中においても、裁判官、検察官の必要な増員等を図るということになっておりまして……
#33
○江田五月君 それは分かっているので。予算は。
#34
○国務大臣(森山眞弓君) はい。予算は後ほど御説明申し上げますが、私といたしましては、法務省の関係の検察官、あるいは裁判所の方も裁判官の増員ということについて鋭意努力いたしまして、今、後ほど申し上げるような要求をさせていただき、認められたということでございます。
#35
○政府参考人(山崎潮君) 予算の点につきましては、法務省の予算は法務省の方で、最高裁の予算は最高裁の方で独自に要求されているというふうに承知しておりまして、私どもそこの具体的なところまでは把握していない、そういう構造になっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
#36
○江田五月君 理解できません。だって、司法制度改革を人的、物的、財政面も含めて一生懸命やるというんでしょう。それで、概算要求は法務省で、裁判所で、全部は幾らになっているか分かりませんで。
 やると言いながら、こういうことをやりたいというのがあって初めてやるかやらないかというのが分かってくるんで、いや、やるんですけれども全部ほかに任せていますから何だか分かりませんというんじゃ、これはどうも小泉改革と同じで口先だけの改革だという心配が出てくる。
 何かおっしゃりたいようですね。
#37
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し掛けました件で、具体的な数字を分かっている限り申し上げますと、最高裁におきましては、裁判官四十五人、それから裁判所の書記官二百二十二人、家庭裁判所の調査官三十人等の増員を要求しております。定員削減も一方ございますので……
#38
○江田五月君 それは大体分かっていますから。
#39
○国務大臣(森山眞弓君) はい。法務省におきましては、検事五十人、検察事務官百二十二人等でございます。
#40
○江田五月君 そこで、今のこの定員法に入るんですけれどもね、司法制度改革推進本部の方でも、やはり全体を見回しながら、概算要求をここではこれだけやった、ここではこれだけやった、よって司法制度改革関連予算の要求は全体でこんなふうになっているというようなことをやっぱり把握をしておかれた方がいいだろうと思います。その方が迫力が出てくる。
 裁判所の予算ですが、裁判所の概算要求はさっき数字を伺ったんでもう、概算要求三千二百八十七億二千九百万円、成立の予算額は三千百七十八億三千百万円、前年度が三千百七十一億ですから七億余増えただけということのようですが、推進本部存続中も司法制度改革のために財政面も含めて全力を挙げると。これは、挙げた結果が七億円増ということですか。最高裁。
#41
○最高裁判所長官代理者(大谷剛彦君) 今、委員御指摘のとおり、平成十五年度の概算要求が三千二百八十七億、成立予算が三千百七十八億で七億の増ということになってございますが、大きな差が生じております、減の差が生じておりますのは、人件費で六十億円、これは戦後初のマイナス人勧等に基づくものでございまして、また施設費が約三十九億円の減ということになってございますけれども、これは概算要求基準におきまして対前年度二割の増の要求が認められる一方で、成立予算は公共投資関係経費を抑制し削減すると、こういう政府方針がございました。その結果、調整がなされた結果でございます。
 概算要求と成立予算の差が大きいように見えますけれども、前年度の予算と対比して見ますと、この近年の厳しい社会経済情勢の中で、裁判のそのものに要する裁判費、その他の物件費はこれは充実、増加を見ております。そういう点で、全体として前年度の約七億円の増加となっておりますが、適正迅速な裁判の事務処理に支障のないような予算は確保されているというふうに考えてございます。
 また、司法制度改革の関係の予算でございますけれども、これは平成十五年中の実施される予算というものは裁判所関係ではそれほど多くはございません。
 例えば、人事訴訟の今度、家庭裁判所から地方裁判所へ移管されることに伴う家庭裁判へのいろいろな電話会議システムの整備の経費とか、あるいは下級裁判所指名諮問委員会を設置する際の経費とか、あるいは国民の意見を裁判所運営に反映させるための地方裁判所委員会を設置するための経費、それから調停事件、調停官制度の経費とか、こういうものは概算要求にも要求し、そしてそれが予算でも認められているというところでございます。
 今後とも、引き続き努力してまいりたいと思います。
#42
○江田五月君 いろんな説明はそれは当然できるんだろうと思いますけれども、現にある今の司法サービスを前提にして、やれ執行事件がちょっと増えてきたからとか、刑事事件がこうなってきたからとかいうのでこの分をちょっと手当てしなきゃいけないという、そういう発想じゃ駄目なんで、今、司法制度改革というのは、もう本当に歴史的な改革をしようという意気込みだけはそうなっているけれども、実際はよく見ると、前のところの今までのやつをちょっちょっと変えるだけというような印象では、これは国民は、おっ、司法制度が変わるぞという、そういう目が覚めるようなことにはならないと思いますね。
 定員ですが、定員は、私たちもこれは定員についてもこの管轄の法案についても賛成をいたしますが、やはりこれも物足りない。今回は判事については三十人で、今の欠員の部分があって、相当、今日から始まる新年度の任用に当たってどんと増やしていかなきゃいけないという気がしますが、是非、この程度の定員増ではまだまだ足りないんだということでやっていただきたいと。
 今年度の増員と、さらに来年度も今年度と同じように何十人という定員の増員を計画をしておられるのかどうか。
#43
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お励ましいただいてありがとうございます。
 平成十三年の四月に司法制度改革審議会で、裁判所はこれから十年間、現状の事件数が変わらないという前提で審理期間等を短くする、一年以内に平均審理期間を持っていくために四百五十人、さらには判事補の外部派遣等で六十人、計五百人の増員をこの十年間で実現してまいりたいと、こういうふうに外部に表明をしたわけでございます。
 今回の四十五人増というのはその一環ということでございまして、執行事件、破産事件等が増えてきているからということではなくて、長い目で見て、しかもその充員状況がどう進んでいくかと。弁護士任官、ある程度日弁連の方でもお頑張りいただいておりますけれども、その辺りの状況も見据えつつ進めてきているところであります。
 来年度以降につきましては、法科大学院の派遣問題、あるいは今後御審議いただくいわゆる迅速化法に対する対応、そういったところも考えまして、充員状況を見極めつつ、更に適正な人員になるように努力してまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#44
○江田五月君 是非そこは本気で、本腰を入れて取り組んでいただきたいと思いますが、増やすだけでもいけないんですよね。
 裁判官というものの中身というか、どういう人材が裁判官として配置されるかというのは非常に重要なことで、この点についても今、国民の中には随分不満があって、これはもう最高裁の方もよくお分かりで、したがって下級裁判所裁判官指名諮問委員会の発足であるとか、あるいは各地裁、高裁、地裁、家裁か、の委員会であるとか、そういうことをおやりになっていくということですが、その諮問委員会でも人事評価制度、これも今検討中ということですが、ここら辺りも是非議論をしたいと思っていたんですが、もう時間になってしまいました。
 私は、今、刑務官の方もそうですが、裁判官、是非、私流の言い方で言えば市民化ですよね。普通の国民の一人一人、市民としての感覚を持ったそういう、あるいは市民生活が十分できる、そういう裁判官でなければいけないと。
 裁判員というのを一方でつくって、裁判官と一緒に裁判やる。その裁判員と裁判官に何か質的な違いがあるということではやっぱりいけないんじゃないかと、同じ人間、同じ市民としてということでなければ。あるいは非常勤の裁判官もつくろうというような時代ですから、今までとかなり裁判官像というのは違ってきている。
 この研究会の報告にもありますが、法的判断能力や手続運営能力、そういう事務処理能力は当然ですが、組織運営能力ですね、職員との人間関係がちゃんとつくれないような人が裁判官なんかできない。一般的なそういう資質、能力。例えば、傍聴に行った人なんかよく言いますよね、裁判官が寝ていたなんていってね。ちゃんと法廷中は、開廷中は起きていられる能力なんか当たり前の話ですよね。法廷で大きくよく通る声でちゃんと裁判を進めるとか、あるいは和解や調停でちゃんと当事者を説得できるとか、当事者の言うことをちゃんと十分、少々いらいらしても聞くだけのそういう忍耐をできる能力を持っているとか、そういういろんな能力、こういうことを裁判官の人事評価の中でも十分考えていっていかなきゃならぬところへ来ていると。えっ、裁判官ってこんなに人間的に魅力あるんだったのという、そういう裁判官つくろうじゃないですか。今日はその議論はもう時間がないのでやめておきます。
 終わります。
#45
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案に入る前に、一点お聞きをいたします。
 アフガン人のアブドル・バセル氏が、難民と認めないのは不当だとして法務大臣を相手に訴えた裁判で、三月二十七日に大阪地裁が不認定処分取消しの判決を下しました。昨年も、法務省が難民を不認定にしていたアフガン人のアブドゥル・アジズ氏に対し、これは刑事裁判ですけれども、やはり難民認定をする判決が下りました。これは確定をしたわけですが。いずれも政府の難民政策を厳しくただすものだと思います。
 法務省としてこの判決をどう受け止めておるのか。そして、今、難民認定法の制度を変えるということで法案を出していること自身がこれまでの政府の難民政策の問題点を認めているわけでありますから、これは私はもう控訴するべきでないと思います。この判決への受け止め、控訴への態度、御答弁をお願いします。
#46
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、今までの制度についてはいろいろと問題があったということで新しい法案を、改正法案をお願いする予定でございますけれども、このケースに関しましては、ちょっと、原告が何びとであっていかなる迫害を受けるおそれがあるかということなどについて慎重に事実認定を行いまして、難民不認定の処分をしたというふうに聞いております。当方の主張が入れられなかったことは大変残念だというふうに考えております。
#47
○井上哲士君 このバセルさんも去年の広島高裁のアジズさんも、両方ハザラ人なんですね。去年の裁判、アジズさんの裁判で法務省が出された意見書を持っておりますが、この中で、ハザラ人が一般的に迫害を受けるような状況にあったとは認められないと、こういう意見を出されておりますが、こういう認識に対してやはり断が下ったと思うんです。重ねてこれは控訴しないということを求めておきます。
 その上で法案に入ります。
 司法改革を進める上で裁判所の人的体制の充実は極めて重要でありますが、今日は速記官のことについてお聞きします。
 この裁判所速記官の養成停止から、今、定員、減員数がどのようにまず推移をしているでしょうか。
#48
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 御承知のように、速記官につきましては平成九年の二月の裁判官会議で平成十年度から速記官の養成を停止するということにいたしました。平成九年度では速記官の定員は九百三十五名でございましたが、平成十四年度では四百八十五人、現在員については、平成九年度で八百五十二人であったものが平成十四年度では四百二十一人となっております。
#49
○井上哲士君 速記官から書記官への転任される方もおられることもありまして、実に半減を五年間でしているわけですね。しかし、養成停止を最高裁が決めてから随分いろんな状況が変わっております。かつては速記符号を更にワープロで打ち直すという作業が必要でしたけれども、「はやとくん」という速記反訳のソフトも開発をされまして、調書の作成が非常に短期間で行えるようになっております。この速記官の養成中止を決めた九七年というのはこの「はやとくん」が開発をされた直後だったわけでありますが、当時の議事録を見ておりますと、この「はやとくん」を使っても反訳ができるまでの時間は十時間が八時間に縮まる程度だと、こういう答弁をされております。しかし、その後、皆さんの非常に努力がありまして、辞書機能なども非常に向上しておりまして、相当この時間は短縮をされていると思いますが、その点は最高裁はどういう認識をされているでしょうか。
#50
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 平成九年度当時に比べて随分とその辺りの速度は向上しているというふうに考えています。
#51
○井上哲士君 具体的な検証はされていますか。
#52
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 最高裁としてその辺りのところを厳密に検証したことはございません。
#53
○井上哲士君 こういう新しいシステムが現にある中で、やっぱりまともな検証をしていないというのは問題ですよね。
 この「はやとくん」に加えまして、パソコン内蔵のステンチュラという新しい速記タイプも登場しております。これは世界二十八か国で使われているアメリカ製の速記タイプの日本語版で、速記官養成中止の理由の一つであった機械の確保の困難性というのも解消されているわけですね。こういう機械、そしてソフトを活用して、今、長くない審理だとその日のうちにできてくる。専門的な審理内容で専門家などの意見を聞かなければならないような事案でない限りは大体翌日にできるということをお聞きをしているんです。こういうふうに非常に有効なものですけれども、今、最高裁は、職員に支給されているパソコンにはこの「はやとくん」というソフトはインストールできない、認めていないと。それから、そのため、この「はやとくん」を使う職員の皆さんは自費でパソコンを購入しなくちゃならない。それから、ステンチュラにつきましても、古いソクタイプというものしか認めないということで、四十万から六十万ぐらいこの機械はするそうでありますけれども、ステンチュラは。これはやはり職員の方が自費で購入をされていると、こういう状況ですね。
 ですから、職員の皆さんが迅速で、そして本当に国民に身近な裁判にしたいということで、自腹を切ってでもこういう努力をされていることに対して、むしろ最高裁の方がその努力の妨げになっているという事態ではないかと思うんですね。最高裁として、やはりこういう優れた新しいシステムがあるわけですから、そのことの中身をよく検証して、改善すべきことがあればすればいいわけですから、大いにもっと積極的な活用をすべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
#54
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 速記官というものは、機械速記という特殊性もあって、御承知のように二年間、はたで見ているのも気の毒なほど朝から夜までタイプを打ち続ける、そういった練習をしてようやくその技量が身に付くものであるということでございます。その間に、もちろん脱落して、事務官として原庁に帰らざるを得ないという者もおります。そこまでの負担、努力を強いてようやく一人前の速記官となるというところをまず考えなければいけないかと思います。
 平成九年度にそういった養成停止を行いましたのは、今、先生がおっしゃったように、委員おっしゃったように、タイプの確保に不安が生じたこと、あるいは希望の減少、希望者の減少ということがあったからでありますけれども、他方で、将来的に事件数は確実に右上がりに増えていく、しかも要逐語調書、逐語的な調書が求められる事件もますますその需要が増えてくるということが間違いないという状況の中で、それに対してどうやって裁判所として対応をしていくべきかということを考えた結果でございます。
 速記官は、残念ながら、腱鞘炎等の病気の問題がございますので、月八時間ないし十時間しか打てないというところがございます。それ以上の無理を強いることによって病気が出てくるということもございます。今現在言われておりますようなステンチュラあるいは「はやとくん」、そういったものを駆使いたしましても、その問題というものは乗り切れていけないというところを御理解いただきたいと思います。
 裁判所としては、そういうところも勘案しまして、速記官に代わって、逐語録の需要にきちんとこたえられるものということで、数千時間もの実験を行いまして、日弁連にも検証していただいた結果、録音反訳というものを導入したわけであります。
 録音反訳というのは、しかしながらこれは私が考えますところ、恐らく過渡的なものになるであろうというふうに思っております。将来的には、既にIBMにおいてビアボイスというようなものが単体で発売されておりますけれども、音声入力システムというものが本格化する時代が来る、それは間もなくそういった時代が来るであろう。速記官の養成を再開するということになりますと、今から四十年間、速記官として雇用しなければならない。四十年後に今の調書の形態というものがそのまま残っているか、これは当然そういうことはないはずであります。いったんそういったようなシステムを構築するという観点から考えますと、雇用者としての責任というところも勘案した上で検討すべき問題であろうというふうに思っている次第であります。
#55
○井上哲士君 養成の再開という問題について更にこれは議論をしていきたいと思うんですが、少なくとも、今、例えば職業病のことをおっしゃいましたけれども、ソクタイプに比べてステンチュラというのは非常にタッチも柔らかくていろんな調整もできて格段に負担が少ないということを現場の方は言われているわけですね。本当に職員の健康問題をお考えであれば、現に今使っているステンチュラなどをきちっと検証して今使うということは必要だと思うんですよ。
 音声入力システムということもありましたけれども、いろんな形で開発されるとは思います。しかし、例えば今この委員会でも、国会でも速記がずっと行われておりますけれども、現実にたくさんの人がいて、場合によってはいろんな声が行き交うこともある、怒声になることもある、涙声になることもある。そういう非常に複雑な事案のときには、やはり大いに機械は活用しつつ、そういう新しいあれを活用しつつ、やっぱりその場にいる人の力というのを欠かすことは私はできないと思います。
 特に、その上で、こういう機械の向上と同時に全く養成停止以降の新しい状況の変化としては、裁判員制度が実現をするという流れになっていることですね。審議会答申では、裁判内容の決定に国民が主体的、実質的に関与する新しい制度だというふうに言われております。
 そのためには、まず合議体の構成が非常にかぎなわけですが、先日出されました司法制度改革推進本部の今後の議論のたたき台では二案出ておりまして、A案というのは裁判官が三人、裁判員が二ないし三人と、B案は裁判官が一ないし二人、裁判員が九ないし十一人、こういう両論併記ですが、国民の意見や常識を裁判に反映させるという制度導入の趣旨からいいますと、プロである裁判官と裁判員が同じぐらいの数ということでは、これは裁判員が主体的に関与するというのは非常に難しくなると思いますが、その点、推進本部、いかがでしょうか。
#56
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のたたき台、先月の中ほどで私どもがまとめたものでございます。この意味は、司法制度改革審議会の意見と、それからこれまでの検討会における議論を踏まえて、あくまでも議論の素材としてお示ししたと、こういう性質のものでございます。
 三月十一日に開かれました裁判員制度・刑事検討会におきましては、この点について委員と同様の意見もございましたし、それ以外にも様々な意見がございます。このA案、B案以外に中間的な意見もございました。そういう議論を経て、また今後、検討会で更に御議論をいただいて検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#57
○井上哲士君 裁判員制度を実りあるものにするために、もう一つ大事な点が公判手続です。
 審議会の意見書でも、裁判員の主体的、実質的関与を確保する上で、公判手続等について運用上様々な工夫をするというふうに述べておりますが、言わば法律に素人の裁判員が主体的、実質的に関与するための具体的な工夫としては何が必要だと考えておられるでしょうか。
#58
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のように、司法制度改革審議会意見では、そのような工夫をすべきであるということがうたわれております。また、公判は可能な限り連日、継続して開廷をするということもうたわれております。
 それに伴った公判手続の在り方につきましては、現在、私どもの検討会、裁判員制度・刑事検討会の方で御議論をいただいているところでございまして、まだ具体的にどういうものを盛り込むかというところまでの議論には行っていないと、今後更に議論を詰めてまいりたいというふうに考えております。
#59
○井上哲士君 たたき台を見ますと、「連日開廷下において、適切な公判記録の作成を行うこと」という項目があるわけですが、連日開廷の中で裁判員に速やかに証言調書が渡るということも重要なことだと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
#60
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおり、たたき台におきまして、「連日開廷下において、適切な公判記録の作成を行うこと」という項目がございます。
 ただ、この点につきましてもまだ具体的に議論が進んでいるわけではございませんので、今後この点について更に深めてまいりたいというふうに考えております。
#61
○井上哲士君 素人の裁判員の方が裁判官と対等にやっていくという上でいいますと、なかなか難しい言葉もあります、耳で聞くだけでは分からない。きちっとやっぱり書面で証言が出てくるという状況になるということが、本当に主体的関与の条件になっていくと思うんですね。
 そこで、最高裁に聞くわけですが、現在の録音反訳方式によりますと、反訳書の作成に要する期間というのはどのくらい掛かっているんでしょうか。
#62
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 録音反訳方式における反訳書の提出期間は、録音反訳業者との委託契約で定められておりますが、通常は提出期間を十日から二週間程度と定める例が多く、ほかに特に急を要する場合にはこれより短い提出期間、三日以内を定めて委託しているというところでございます。
 いずれも提出期間は遵守されており、証人等の尋問に当たって裁判の運営に支障を来したということはございません。
#63
○井上哲士君 これまでの裁判の状況では支障がなかったのかもしれません。それ自体もいろんな問題点を私どもお聞きをいたします。
 しかし、裁判員制度が導入をされまして連日開廷ということになったときに、そしてこれからの議論でそこにきちっとやはり書面で調書が必要だということになったときに、今のように十日から二週間、早くても三日間ということになりますと到底間に合わないということになるわけですが、その点はどうお考えですか。
#64
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 裁判員制の導入に当たりまして、最高裁の方でも、現在いろんなシミュレーション、検討を行っているところであります。
 その場合に、裁判員制の記録というものはどういうような形で作っていくべきか。これまでの裁判における訴訟行為というものは、プロである裁判官を相手にしたものでございますから、今、委員御指摘のように専門用語が飛び交うというようなことでございました。
 昨日も、そういった記録作りをしてみる中で見たことでありますけれども、捜査報告書あるいは鑑定書、あるいは鑑定証人が出てきた中で、鑑定証人としてのお医者さんが、被害者には右上腕動脈刺創、同断裂、右上腕二頭筋損傷がある、創口は線状でなく弁状を呈し、創は内側、頭側に向かい、上腕骨前面を経由し、更に上向し、右上腕動脈を完全に断裂するといったような証言が出てまいりました。これでは全く素人である裁判員には分かっていただけないだろうというところであります。
 もっともっとこのような審理の現状というものを改めていかなければなりません。単に証言を求めるということだけではなく、パネル、図面、あるいは写真、ビデオ、そういったものを駆使して分かっていただくようにしなければならないわけであります。逆に言いますと、そういった審理をどのように作っていくか、審理をどのように変えていくか、これがその次の記録を考える、記録の在り方を考える前の前提問題であります。
 また、裁判員の方々に全部審理が終結してから合議を行う、評議を行うというようなことでありますと、これはなかなか思い出せないということになります。恐らくは、中間評議と申しまして、毎日毎日、審理が終わった段階で何が問題であるか、どういうような心証を持ったか、そういったものをそれぞれ裁判官と裁判員が語らい合う、こういうようなことが必要でありましょう。
 さらに、記録を読むということもありますけれども、この記録というものも、単に証言録ではなく、捜査段階の調書もございます。事案によってはロッカー一杯分の調書もある。そういった中で、そういった調書をすべて読み上げた上で、全員が読み込んだ上で評議をするということになりますと、これは裁判員に対しては非常な負担の過重を強いることになるのではないかと思われます。
 そういう意味では、口頭主義というものをより実質化していかなければならないわけであります。
 証人尋問におきましても、反対尋問は次回期日であるということではなく、記憶が芳しいうちに反対尋問をその日のうちに行う、争点に本当に焦点を当てた尋問を行う、分かりやすい言葉で話す、こういったことが求められるわけでありまして、そういったような審理のシステムといいますか、審理システムを構築し、その後に記録については考えるべき問題であろうというふうに思っているところであります。
 また、それまでの段階におきましては、音声入力システムというものがどこまでまた進行してくるかということも考えなければいけませんし、調書だけではなく、ビデオでいろいろそういったものを残すということもあるいは考え得るかもしれません。
 いずれにしましても、そういったことは改革推進本部の検討会において議論が尽くされるであろうということを期待しているところでございます。
#65
○井上哲士君 いろんな審理の在り方の工夫のお話がありました。私は、その中の一つに、やはりリアルタイムで供述を見ることができるということを絶対に位置付けるべきだと思うんですね。
 現に、陪審制度が行われているアメリカなどを見ますと、陪審員が評議をするときに、さっきの証言について確認をしたいということを申し出ますと、その部分についてぱっとキーワードを入れてコンピューターから取り出してその場で確認をすることができると、こういうこともあるわけですね。先ほど中間評議も必要だということを言われましたけれども、今日が終わって中間評議をするときに、裁判官からさっきの証言はどうだったかもう一回聞きたいといったときに、それがぱっと画面なりプリントアウトしたものに出てくるということは、本当に口頭主義を徹底するという点でも私は大変必要だと思うんです。
 そういう点は推進本部ではどんな御議論でしょうか。
#66
○政府参考人(山崎潮君) 先ほど来申し上げていますように、たたき台というものを今議論の整理のために作っている段階でございまして、まだ具体的な方策についてはこれから詰めていくという段階でございますので、御理解を賜りたいと思います。
#67
○井上哲士君 今申し上げましたように、やっぱり裁判員の人たちの求めに応じてすぐに再現をしたりするということになりますと、今のやはり録音反訳では到底対応できないということになります。先ほど紹介した「はやとくん」とステンチュラを使いますと、もう文字どおりリアルタイムにやることが可能なんですね。私もこの間実演をするところを見せていただきましたけれども、しゃべっている先からもう画面に本当に正確なものが出てまいります。アメリカではリアルタイムでそういう証言をパソコン画面で見れるような法廷も出ておりますし、聴覚障害者の方などが裁判に参加をしていくという点でも大変、字幕で表示などもできるわけですから、有効なわけですね。
 先ほどいろんな審理の在り方の研究が必要だということを言われましたけれども、本当に裁判員制度をきちっとやっていくという点でいいますと、こういう機械速記によるリアルタイムの反訳システムをやはりしっかり位置付けて活用する、そのことをしっかりと検証し、研究をすべきだと思うんですけれども、その点、改めていかがでしょう。
#68
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 速記録の場合は、確かに字面で見るというところではそれはメリットがありますけれども、例えば録音反訳の場合ですと、録音テープが残っているわけでございまして、音調、語勢というものはそこの方がはるかに残るわけでございます。それぞれがメリット、デメリットを持っているということでございます。
 また、そういった形で速記官を更に充実させていくべきだ、養成を再開すべきだということになりますと、先ほど言いましたような速記官の月八時間ないし十時間の問題とか、あるいは今後四十年間をどうやって考えていくべきなのかとか、そういったことも総合的に考えて検討すべきことと思いますので、是非ともそういった点について、速記官を養成停止をしているというところについては御理解を賜りたいというふうに思っております。
#69
○井上哲士君 理解できないところでありまして、最高裁の立場は結局、養成中止を決めた当時と全然変わっていないわけですね。
 先ほど来申し上げていますように、随分状況が変わっています。やっぱり裁判所側の官吏の発想だと思うんですね。国民に身近で頼りがいのある裁判を作るという司法制度改革の精神から、充実して、そして迅速な裁判をどうするのかという点で改めてこの速記官の問題というのをしっかりと位置付けて再検討をする、そして今ある制度は大いに検証し活用するということが必要だということを改めて申し上げまして、質問を終わります。
#70
○平野貞夫君 裁判所関係二法案について、それぞれの内容について特に異議があるわけではございませんし、更なる裁判所の充実について御努力をいただきたいという要望を申し上げるんですが、一つ、一点だけちょっと問題提起をしておきたいことがありますので、質問をさせていただきます。
 これ、両法案ともやはり四月一日に施行するのが適切であるということで伝統的に日切れ法案というふうに扱っていたわけでございますが、衆議院の段階で刑務所問題で紛糾して、法務大臣の所信表明も聴かないままになっておりまして、それなりに特別に配慮してこの裁判所二法案の審議を先行させたわけですが、それにしても、私、与党じゃないんですけれども、司法権を尊重するという三権分立の立場からいって、国会はわざわざ衆議院で施行日を修正して四月に入ってから間に合わせみたいに審議するやり方は、これは私は反省があってしかるべきだという意見です。きちっとやっぱり三月中に成立をさせておくべきであったと思うんですが。
 そのことを考えてみますと、政治の状況も良くありませんし、基本的に政治というのは意地悪でございますので、間々、政治家に良くなれと言ったって無理な話でございまして、今後ともこういうことがあると思うんですが、やっぱり仕組みとして、制度として何かここを考えておかなきゃいかぬと思いまして質問するわけですが。
 そもそも、裁判所関係の法案を国会に提出する際にどんなプロセスで国会に提出されるのか、ちょっと説明してくれませんか。
#71
○政府参考人(寺田逸郎君) 法制上の観点から御説明申し上げます。
 裁判所の関係の法律でございますが、これは、裁判所が国会に法案の提出権があるかどうかということは御議論のあるところかとは思いますが、御承知のように、行政府、内閣には法案の提出権がございますので、形式的には、内閣の一員でございます法務省の中の所管事項でございます司法制度について企画立案することという権限に基づきまして内閣から裁判所関係の法案を提出する、こういうことにさせていただいております。
 具体的には、しかし裁判所の方とよく協議をさせていただきまして、具体的な内容は裁判所も十分に関与の上で立案をして国会に法案を提出する、こういうプロセスを経ているわけでございます。
#72
○平野貞夫君 そうすると、立案の責任は法務省にあるということなんですか、その主人公といいますか、主体は。
#73
○政府参考人(寺田逸郎君) 法制上はそのとおりでございます。
#74
○平野貞夫君 そこが私、一つ問題だと思うんですが。予算はどうなっていますか。
#75
○政府参考人(寺田逸郎君) 裁判所の予算につきましては、これは最高裁が予算を編成されるということで、財務省の方と御協議をされて提出されるということでございます。
#76
○平野貞夫君 そうすると、法案と予算は別の扱いがなされているということが分かったんですが、私、司法権の独立というのは、やっぱり司法権にかかわる事項で法務省が立案の主人公になって、十分最高裁の意見、裁判所の意見を聞くとはいえ、そこにやっぱり司法権が行政権に従属するといったら悪いんですが、裏で牛耳られているといいますか、そこにきちっとした司法権の独立が確保されない原因があると思うんですが、そうしますと、憲法論はちょっと後にすることにしまして、最高裁なら最高裁に国会への法案提出権というものを認める法改正すればその部分を変えることができると私は思うんですが、法務省としてはどういうお考えですか。
#77
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほども申し上げましたように、内閣の法案提出権というのは、これは憲法上の権限として認められているものでございます。これに対しまして、裁判所が法案を提出できるかどうかということは、憲法上も全く明文の規定がございませんので、基本的には内閣の法案提出権というものを尊重するという考えで現在は立っているわけでございます。
#78
○平野貞夫君 いや、それは間違いですよ。内閣に法案の提出権があるかないかということを憲法に書いていませんよ。憲法が書いているのは、議案を提出することができるというふうに。それで、憲法作ったときに議論があったんですよ、内閣に法律案の提案権があるかないかということを。そして、議論があって、内閣法の五条で法律案を提出することができるというふうに書いたわけでしてね。
 ですから、私は、憲法に、司法権が、いわゆる最高裁が法案を提出するかどうかということについて明文の規定がない、それはそのとおりですが、これはある意味で、法律でもって、国会法なら国会法で、あるいは裁判所法なら裁判所法で、法律で書けばそれは違憲ではないと、私はそういう意見、違憲ではないという意見なんですがね。その点はいかがですか。
#79
○政府参考人(寺田逸郎君) 法務省が憲法解釈について権限を持っているわけでございませんので詳細について申し上げかねるところでございますけれども、基本的には、おっしゃったように、憲法上規定がないから何もできないということではないだろうというふうには考えております。
#80
○平野貞夫君 寺田参考人は外国でもいろいろ苦労されていた方だからちょっと知っているかも分かりませんですが、ヨーロッパなんかの諸外国では、裁判所が法案提出権を持つとか、あるいは裁判所が国会なら国会に立法依頼をするとかという、そういう制度はないんですかね。
#81
○政府参考人(寺田逸郎君) 全部について承知しているわけではございませんが、基本的にはそういう国はないだろうというふうには承知しております。
#82
○平野貞夫君 そうすると、やはり法務省に代わる、政府通じた法律の作り方をしているんでしょうかね。その辺はどうですか。
#83
○政府参考人(寺田逸郎君) 我が国の制度は、基本的にはヨーロッパの制度に似ているんではないかと私としては理解をいたしております。
#84
○平野貞夫君 私、質問通告をしていませんでしたから質問はしませんですが、司法制度改革の一つとして、ここのところはやっぱり司法権の本当の独立という意味で一回議論をしてみる必要があると思います。そして、私も自分の言っている論理がかなり乱暴な論理を言っているということは分かっておるんですが、しかし本当のやっぱり、率直に言って、今の憲法上の、最高裁の判事の任命の問題にせよ、裁判所関係の法案の問題にせよ、今の憲法それ自身もうちょっと研究する必要があると思いますが、こういう議論を通じてやはり行政、特に法務省と裁判所の適切な関係が生ずると思いますので、その点はひとつ、わざわざ残っていただいたんですけれども、ちょっと意識して議論を見守っていただきたいと思います。私たちも憲法調査会とかそういうようなことで問題の提起をしてみたいと思いますので、そういうことでこの問題に対する問題の提起としておきます。
 そこで、余り言いたくないんですけれども、大臣の問題なんですが、これは大臣がお答えになる必要ありませんから、私、ちょっと感想を申し上げておきますから。
 私は、去年の秋の、通常国会で、刑務所問題は監獄法の問題であるという問題を提起をして、情願制度の問題なんかについて、素人でございましたが、おかしなことをやっているなということを申し上げたんですが、いろいろ展開の中で行刑改革会議というのを作って本格的にそういう問題に取り組むという姿勢については私は評価します。このメンバーは、下の方はなかなか立派な人がいるけれども、上の方はちょっと気になっておるんですけれどもね。勘ぐりたくもなりますけれども、まあ余り言いません。
 ただ、大臣、大臣は法務大臣としても立派に仕事をなさっていました。それから、官房長官、文部大臣としても自民党政治の中では非常にいい判断なさって政治生活を続けられた方なんですよ。だから、余計私、残念なのは、こういう大改革といいますか大問題というのは、やっぱり政治責任を取ることによって初めて、ああ、森山という人が辞めることと引換えに立派な法制度ができたんだということになるんですよ。これから監獄法中心に様々な行刑政策の制度が確立すると思うんですが、そのときに、やっぱり政治的な立場と引換えにこれだけのことをやるんだという意気込みを見せることによって、法務省の人も関係者の人もそれだけの力が、責任が感ずるわけなんですよ。
 そういう意味で、四月十四日からスタートするというんですが、この行刑改革会議は。四月十五日ごろには自らひとつ小泉総理のところへ行かれて、自分の責任としてこれをもうスタートさせたから政治責任を取りますということを言うと、もう本当に天下に名を成す、歴史に残る法務大臣になるということを、私の希望を申し上げて、質問を終わります。
#85
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 大臣情願をいつごろから大臣が見なくなったのでしょうか。いや、済みません、森山法務大臣ではなく、歴代のどの大臣のときから大臣情願は見なくなったんでしょうか。
#86
○国務大臣(森山眞弓君) 余りはっきりしないんでございますけれども、昭和の半ばごろかなというふうに思います。
#87
○福島瑞穂君 済みません、昭和の半ばといいますと、昭和三十年代ということでよろしいでしょうか。
#88
○国務大臣(森山眞弓君) はっきりしたことはほとんど分からないんでございます。ですから、五十年ごろかもしれません。分かりません。
#89
○福島瑞穂君 それでは、今回、行刑改革会議座長宮澤弘元法務大臣、相談役後藤田正晴さん、いずれも法務大臣経験者ですが、特に宮澤弘さんは平成十一年法務大臣です。宮澤弘元法務大臣は、法務大臣在任中、大臣情願を見なかったということでよろしいですね。
#90
○国務大臣(森山眞弓君) 宮澤弘先生が法務大臣をされておられたのはわずか三か月でございました。その間、情願を読んだりその処理の決裁をするという機会はなかったというふうに承知しております。
 しかし、今回、情願が問題となったいきさつについて御説明申し上げましたところ、宮澤座長から、今となってみれば情願を自ら読むとか自ら決裁する機会がなかったことは本当に残念であった、この分、他の委員の先生方にも増して被収容者の救済申立て制度に関心を持って、是非とも良い制度となるように力を尽くしたいということを心強くおっしゃっておりますので、そのような趣旨で努力していただくことと思います。
#91
○福島瑞穂君 私は、大臣情願を見ていなかったり、死亡帳のことや様々な点についてメスを入れられなかった法務大臣について極めて問題があると思いました。ただ、その後、改革に取り組まれるという姿勢を見せられたことで、改革が進むのかと思いました。
 ただ、行刑改革会議のメンバーを見て、ああ、これは駄目だと、やる気はないのだと、刑務所の改革をやる気は全くないということがよく分かりました。ですから、もう本当に、先ほどの平野さんではありませんが、できないというふうにもうおっしゃった方がいいのではないかと申し上げます。
 というのは、なぜ元の、私は宮澤弘先生も後藤田先生も直接面識ありませんから、人格的にすばらしい方であるということもあるかもしれないとは思います。ただ、この法務委員会で大臣情願の件や、今まで国会が、捜査機関が、そして法務省が、様々なところが刑務所問題にメスを入れられなかったということが、本当に反省とそれから自己批判の中できちっとやっていこうというときに、なぜ元法務大臣が座長を務めるのか。相談役も元法務大臣です。しかも、ごく最近、最近というか、平成になってからの大臣でいらっしゃるわけですから、宮澤先生は、刑務所問題について全くメスを入れられないし、法務大臣情願も見てもいなかった大臣をなぜ座長にするのでしょうか。
 つまり、森山法務大臣が一番初めに批判をされた理由は大臣情願をやはり見ていなかったことにあると。そのことをやはりちゃんと自分でやっていこうと思われたということを思ったわけです。ところが、何もできなかった。少なくとも刑務所の問題にメスを入れられなかった。大臣情願を見なかった元法務大臣を座長に据えて、どうして改革ができるんでしょうか。(発言する者あり)
#92
○委員長(魚住裕一郎君) 答弁をお聞きください。
#93
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど御説明申し上げましたように、宮澤先生については、非常にその状態について残念であったというふうにおっしゃいまして、その分だけ更に一層力を入れて頑張っていこうということを言われたわけでございますので、私としては、宮澤先生自身をそのように責めていただくのはちょっと酷ではないかというふうに思うわけでございますし、宮澤先生は、私個人は、実は長い間御一緒に参議院の席を暖めておりまして、宮澤さん自身のお人柄はよく存じ上げております。そして、非常にはっきりと物をおっしゃる方でありまして、大変厳しい目をお持ちの方でありますので、法務省のことを、三か月にせよ、御存じであり、かつ、その中の問題も感じておられたはずだと思いますので、そのようなお立場から厳しくはっきりとした態度で委員として務めていただき、また座長としてまとめていただくということはよろしいのではないかと思ったわけでございます。
#94
○福島瑞穂君 法務省が身内のことに関してメスを入れられないということが一貫して問題になっている中で、なぜ改革のトップに元法務大臣を据えるのかと、やはりそれは見識を疑うというふうに強く申し上げます。これは改革の法務省の姿勢として適任ではないということを申し上げます。
 次に、今朝、やはりまた非常にショックを受けました。この中で、三十一日の日に、保護房で二十回収容された、革手錠も装着されたことのある受刑者が名古屋刑務所でまた亡くなってしまったと。つまり、中間報告が出た、出るときに、私たちが何度も現場が変わっていないんじゃないかということをずっと委員会の中でも指摘した中で、現にまた亡くなってしまったということに、一体何をやっているのかと思います。いかがですか。
#95
○政府参考人(横田尤孝君) 初めに、事実関係ちょっと御説明申し上げさしていただきます。
#96
○福島瑞穂君 事実関係は結構ですから。
#97
○政府参考人(横田尤孝君) よろしゅうございますか。はい。
 本件につきましては、名古屋地方検察庁によりまして司法検視が実施され、特に外傷等の所見はないということでございまして、ただ、念のために司法解剖に付されたということでございますので、その結果を見た上で、また必要があれば所要の対応をするということになります。
#98
○福島瑞穂君 私が問題だと思うのは、保護房に二十回収容され、革手錠も一回装着されていると。ですから、別に暴行を受けたとかいうことではない、ないと、ない可能性ももちろんあるわけですが、やはり府中の中での十二回保護房収容された後、亡くなった人も同様に、やはり収容状況に問題があったんじゃないかというふうに思います。保護房の中で、房から出た後、病室に収容されて、倒れて死んでいるのが発見されたということですから、なぜやはりこういう状況で亡くなるのかと、現場が何も変わっていないんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#99
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 いずれにしましても、これは今後の事実関係次第だと思いますので、その上でまた必要があればお答え申し上げます。
#100
○福島瑞穂君 名古屋刑務所の保護房の中に私たちも視察で入りましたけれども、二十回収容した上で保護房で、保護房で亡くなったわけではないけれども、保護房から出た後すぐ亡くなっているわけですから、やはりその管理、ビデオで監視をしているわけですよね。ビデオで監視する際に異常等は発見されなかったんでしょうか。
#101
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 現時点ではそのような報告は受けてございません。
#102
○福島瑞穂君 実際、法務委員会で議論されている最中に、保護房収容後、直後に亡くなった人がいるという、これを本当に重く受け止めて、現場が、例えばこの間も委員会で質問しましたが、体に気付けやと刑事告訴した後言われて、恐ろしくてたまらないという手紙なども来ます。現場が実は全く変わっていないんじゃないかという危機感を持っていますので、是非、事実の究明と現場の改革を早急にお願いします。これ以上、刑務所の中で人が死んだということを聞きたくないと考えていますので、その点は強く要望します。
 昨日、行刑運営の実情に関する中間報告が出されました。組織的な問題があるという総括は、非常にやっていただいて有り難いとは思うんですが、ただ、私は問題点が、過剰収容の問題と現場の問題に問題を矮小化して、間違っているというふうに考えます。
 というのは、十年間の死亡帳を出していただきましたが、刑務所の中の人権侵害は、最近、ここ三年起きたわけではありません。もしかしたら、昔の方が声を上げられない分ひどかったのではないかというふうにも思います。過剰収容の問題を非常にクローズアップするのは、過去の十年、二十年の洗い直しがされていない以上、間違いであると。
 それから二つ目は、現場に問題を起因しておりますが、所長も検視に立ち会っていたり、革手錠や保護房収容について責任を持っているわけですから、現場体制に問題を起因するのは間違っていると考えますが、いかがでしょうか。
#103
○政府参考人(横田尤孝君) 昨日取りまとめられました行刑運営に関する調査検討委員会の中間報告では、今回の名古屋刑務所事件の背景には、行刑施設の職員に人権意識の希薄さがあるという分析をしています。このことは否定できないところであると考えております。
 しかしながら、それは現在の行刑行政の組織、システムが抱えているという問題、そこに原因がありまして、その意味で現場の職員だけに問題があるということではないというふうに考えております。
#104
○福島瑞穂君 行政事件を扱う特別部の裁判官のうち、かつて行政庁に出向した経験を有する人の数を教えてください。
#105
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 全国の裁判所の行政部に配属されている裁判官の数でございますが、合計五十一名でございまして、そのうち行政官庁に出向した経験を持つ者は五名でございます。
#106
○福島瑞穂君 十三年が五十四名中七名、十二年が三十八名中五名ということでもよろしいですか。
#107
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 仰せのとおりでございます。
#108
○福島瑞穂君 判検交流の人事交流のデータも出していただきました。行政部は行政事件を扱う特別部なわけですから、国家賠償請求訴訟や国が被告となるケースをほとんど扱う部です。行政庁に出向した後、特別部にかなり、例えば十三年ですと八分の一の割合で裁判官がいるわけです。そうしますと、行政庁に出向した際に、行政庁の中で仕事をするわけですから、私は行政部の裁判官に戻すということは、つまり裁判を原告が起こしますと、裁判官が実はかつて行政庁でやっていた人で、じゃ行政庁から出てきている人はかつて自分の同僚であるということも十分あり得るわけで、もちろん職務と関係ないという意見もあるかもしれませんが、そういう意味では行政事件を扱う特別部の裁判官にはかつて行政庁に出向した経験を有する者は入れるべきではないというふうに、これは法律ではできませんが、運用面として是非配慮をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#109
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) いわゆる判検交流と言われておりますけれども、裁判官が検事に転換し、また検事で仕事をした後、裁判官に戻ってきて裁判事務に従事するという、こういうことが毎年ある程度の数やっておるわけでございますが、これはそれぞれ、行政官庁での仕事というのは様々でございますけれども、立法事務に関与するだとか、あるいは訟務関係の分野で仕事をするだとか、そういったことをやっておりまして、これはむしろ裁判事務の経験があって法律に精通している人材を欲しいという、そういう御要望があるということで、それにおこたえすることが一面と、もう一つは、裁判官が裁判以外の職務に従事するという、そういう経験をするということが視野を広げ識見を高める上で非常に有用であるというような考え方でやっておるわけでございます。
 法曹というものは、委員よく御存じかと思いますが、それぞれの立場に立ちましたらその立場において活動することができるというようなものでございまして、検事として勤務した経験がございましても、裁判官に戻った以上は中立公正な立場で判断を下すことができるものであると、こういう具合に考えております。
 そういうことで、裁判官の能力等にかんがみて行政事件を担当するということ、これはあり得ることでありますし、現にやっておるところであるわけでございます。
#110
○福島瑞穂君 判検交流の問題と、それから行政事件を扱う特別部の裁判官のうち、行政庁に出向した人間がかなりの割合を占めるという二つ、一般論と、総論と各論と、両方問題があると思います。
 裁判官が、国家賠償請求訴訟などを起こしますと、国側の代理人が実は裁判官で、元裁判官で、いずれ裁判所に戻ると。有能な知識と経験と判例を、いかに原告を負かせて国を勝たせるかということに物すごく頑張っていると。終わった後すぐ裁判所に戻ると。その後、行政部に行って今度は裁判官でやると。そうしますと、いつも原告を負かせる方向ですべての英知を結集してやっているわけで、私はやっぱり行政部の勝訴率が非常に低いということも、そういうことと全く無関係ではないというふうに考えます。
 ですから、是非、今後その特別部の、特に行政事件しかもう特別部には行かないわけです。特別部があるところはすべて行政部に継続するわけですから、かつて行政庁に出向した経験を有する者はできるだけ置かないというふうな運用を是非裁判所にお願いしたいと思います。
 裁判官の手持ち事件の事件数は、ちょっとこれは平均値は難しいかもしれませんが、どれぐらいでしょうか。
#111
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 委員御指摘のように、全国的な平均ということになりますと、例えば支部ですと、刑事事件、民事事件、家事事件、少年事件等すべて扱っておりますので、その中で民事事件の手持ち件数が例えばどのくらいかというものを割り出すのは非常に難しゅうございます。
 東京地裁で最近取りましたところで御説明申し上げたいと思いますけれども、平成十四年の通常部のデータを集計したところでは、民事訴訟事件で裁判官一人当たりの件数は約百七十件、刑事訴訟事件で約八十五件でございます。
#112
○福島瑞穂君 裁判官の人員増員を本当にやっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#113
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今回、判事三十人、判事補十五人の定員増をそれぞれ要求しております。これは平成十三年の四月に司法制度改革審議会の場で、今後十年間で裁判所としては今の平均審理期間二十か月を十二か月に縮めると、そういうためには約、裁判官として四百五十人が必要であると、こういうような御説明をいたしました。それに基づくものでございます。
#114
○福島瑞穂君 増員についての中長期的な計画の必要性はないのでしょうか。
#115
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今お答えいたしましたように、十年を見据えてのものでございますが、これは平成十三年の事件というものが増えないという前提のものでございますから、今後、事件が増加してくれば当然またそれに見合った適正な増員を行わなければならないということになります。
 また、来年度は特に法科大学院に対する教員の派遣問題、あるいは今後御審議いただく迅速化法ということで、すべての事件を二年以内にというようなことになりますので、そうなりますと、それに見合ったまた増員も考えていかなければならないと、こういうふうに思っております。
#116
○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。法曹人口が増えても、裁判官の数が増えなければ、結局、手持ち事件が非常に増えて裁判は促進されないわけですから、是非よろしくお願いします。
 裁判員制度を導入する上では、証拠開示の拡充や供述調書の任意性、信用性の立証を裁判員に分かりやすくする必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#117
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 裁判所といたしましても、裁判員制度を導入する場合には、裁判員の方々に実質的な判断をしてもらえるような分かりやすい審理を実現することが重要であり、また審理を集中して裁判員の負担を軽減するということが重要であると考えております。このような観点から、公判手続等におきましても見直すべき点につきましては見直しが必要であろうというふうに考えております。
 御指摘のうち、証拠開示の問題につきましては、司法制度改革審議会の最終意見も、証拠開示の充実が必要であり、そのために証拠開示の時期、範囲等に関するルールを法令により明確化するとともに、新たな準備手続の中で必要に応じて裁判所が開示の要否について裁定することが可能となるような仕組みを整備すべきであるとしております。
 裁判所といたしましても、連日的開廷による集中審理を実現し、裁判員の負担を軽減するとともに、分かりやすい審理を実現するためには、この審議会意見の趣旨に沿った証拠開示の拡充、ルール化が必要であると考えており、裁判員制度・刑事検討会においてこの趣旨に沿うような制度設計がなされることを期待しております。
 また、捜査の問題でございますけれども、可視化というお話、それからそれとの関係での供述調書の作成状況という御質問でありますが、確かに供述調書の信用性、任意性につきましてはこれまでも心証形成の難しい案件が少なくないと指摘されているところであります。裁判員制度が導入された場合には、この点に関しましても裁判員が公判での証拠調べを通じて十分に心証を形成できるような分かりやすい審理を実現する必要があると考えております。こういった観点から、どのような証拠調べを行うべきかについて、検討会の場において十分議論されていくものと期待しております。
#118
○福島瑞穂君 捜査の可視化とそれから証拠開示、全面的証拠開示についてよろしくお願いします。
 女性差別撤廃条約、国際人権規約の選択議定書の批准について、最高裁が反対しているというふうにも言われたりするのですが、それは、そういう事実はあるのでしょうか。
#119
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) ただいまの問題につきましては、参議院の決算委員会でも川橋議員の方から御質問がございました。平成元年十一月二十三日の寺沢勝子弁護士の論考を引き合いに出され、個人通報制度を含めた選択議定書を批准しないのは背景には最高裁の反対があるからであると、こういうようなことが書かれている論考でございますけれども、最高裁としましては、そのような意見がどのような根拠に基づいているのか、率直に言って理解できないと言わざるを得ません。決算委員会ではちょっと言葉は過ぎましたけれども、最高裁としては冤罪であると、こういうふうに考えているというふうに回答した次第です。
#120
○福島瑞穂君 それでは、この冤罪は法務省にあるのでしょうか。法務省が反対していらっしゃるのでしょうか。法務省も冤罪。
#121
○政府参考人(大林宏君) 突然の御質問でちょっと、私の方もちょっと調べさせていただきたいと思います。そういうことは私はないんじゃないかというふうに考えておりますが。
#122
○福島瑞穂君 そうしますと、選択議定書の批准については、裁判所も反対しているというのは冤罪だと、法務省も反対しているというのは冤罪だというふうにお聞きできると思いますので、是非、批准に向けてよろしくお願いします。
 また、この委員会でも言っておりますが、拷問等禁止条約選択議定書につきましては、拷問禁止条約の選択議定書の批准に反対する理由は何もないと考えますので、是非お願いします。
 最後に、昨日もそうですが、婚外子に対する相続規定が三対二で合憲という判決が出ました。先日も同じように出ましたが、重要な点は、三人の合憲判断をした裁判官たちも立法による解決が望ましいがということを言っている面もあります。是非、三対二という際どいところでの合憲の決定を踏まえて、是非、民法改正に法務大臣が前向きに取り組んでくださるようにと思いますが、いかがでしょうか。
#123
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるように、この問題は非常にいろんなところで議題、議論になっていた問題でございますが、このたびの最高裁の決定の中の裁判官の意見の分かれということは非常に注目されることだと思います。
 しかし、婚姻問題も含む家族制度全体の在り方にも関係のあることでございまして、国民生活全般に非常にかかわる重大な問題だと思いますので、法改正につきましては、国民の各層や関係各方面における議論の推移を踏まえまして、大方の国民の理解を得ることができるような状態で行うということが適当ではないかというふうに思っております。
#124
○福島瑞穂君 済みません。裁判長は、規定は明白に違憲とは言えないが、違憲の疑いは濃く、法改正が可能な限り速やかになされることを強く期待すると述べておられます。是非よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。
#125
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#126
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#127
○委員長(魚住裕一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト