くにさくロゴ
2003/04/22 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第7号
姉妹サイト
 
2003/04/22 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第7号

#1
第156回国会 法務委員会 第7号
平成十五年四月二十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     櫻井  充君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     角田 義一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                櫻井  充君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
       文部科学副大臣  河村 建夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
       財務大臣政務官  森山  裕君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   山崎 敏充君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       外務大臣官房審
       議官       森元 誠二君
       財務大臣官房審
       議官       村瀬 吉彦君
       文部科学大臣官
       房審議官     清水  潔君
       文部科学大臣官
       房審議官     木谷 雅人君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省健康
       局国立病院部長  冨岡  悟君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (矯正施設の処遇に関する件)
○法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般
 職の国家公務員の派遣に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十一日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案の審査のため、来る二十四日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に法務大臣官房長大林宏君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君、外務大臣官房審議官森元誠二君、文部科学大臣官房審議官木谷雅人君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君及び厚生労働省健康局国立病院部長冨岡悟君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、矯正施設の処遇に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井充です。
 ちょっと私は、この内容について本当に素人なので基本的なことを、大臣、通告していないので申し訳ないんですが、教えていただきたいことがございまして、刑務所というのはそもそも何のためにある施設なんでしょうか。
#10
○国務大臣(森山眞弓君) なかなか、突然のお尋ねでもあり、基本的なお話ですので、私も思い付きで申し上げるのが適当ではないと思いますけれども、一般的に、常識的には、犯罪を犯して刑の決まった人を一定期間収容して改善更生のために努力をするというのが共通の目的ではないかというふうに思います。
#11
○櫻井充君 そこの中で、医療の提供体制ということに関して言うと、一般の社会での医療の重要性とこの施設内での医療の重要性という点でいうと、どの辺が違ってくるんでしょうか。
#12
○国務大臣(森山眞弓君) 医療というのは、人の健康に関する問題、身体的な健康に関する問題、精神的なのもありますでしょうけれども、健康に関する問題に係ることですので、刑務所の中でもそうでないところでも基本的には同じなんではないかと思いますけれども。
#13
○櫻井充君 ただ、私が考えるには、社会復帰してもらう場合に、社会復帰が私は一番大きな目的だと思っているんですが、そうすると、社会復帰していった際に入所したときよりも更に状態が悪くなって出所されたりすると、恐らく仕事に就けないとか様々な問題が出てきてしまって、こういう方々は生活保護を受けられるのかどうかちょっと分かりませんけれども、そういうことがあってくると、またやることがなくなってというか、社会に絶望して例えば覚せい剤に手を出すとか、様々なことが起こってくるんではないのかなと、そう思っています。
 ですから、受刑者の方々のやはり健康管理をしていくということは極めて重要なんではないのかなと、そう思っておりますので、今日はその観点でいろいろ御質問をさせていただきたいと思っています。
 そこで、まず一つは、どういう医者をそこの刑務所のところに配置しなければいけないのかという点からまず一点、御質問させていただきたいんですが、刑務所内の受刑者の方々の罹病率といいますか、一般社会にいる方々の罹病率とはちょっと違うところがあるかと思うんです。想像するに、例えば覚せい剤などを使われている方々などは、針で回し打ちをしていますから恐らく肝炎などが多いんじゃないかなと想像するんですけれども、実態は一体どうなっているのか、まずその点について教えていただけますでしょうか。
#14
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 お尋ねの罹病率でございますけれども、平成十四年十月一日現在で調べたすべての患者数、罹患者数、受刑者の罹患者数が三万五千三百五十三人でございました。その当時の総収容人員、被収容者のすべての数ですが、六万八千百十四人でございました。したがいまして、この罹病率といいますか罹患率といいますか、それは五一・九%になります。数字を分かりやすくするために仮に収容者を十万人というふうに考えますと、約五万一千九百人の者が何らかの病気を患っているということでございます。
 それで、今、委員からも御指摘がありましたが、どんな病気かということですけれども、その昨年十月一日現在で調べた結果によりますと、一番多いのが高血圧症等の循環器系の疾患でございまして、これが、数字が細かくなりますけれども、六千五百八十三人でございます。それから、次が胃炎、肝炎等の消化器系の疾患で、これが四千五百七十五人、それから頭痛、腰痛等の感覚器系疾患が四千五百四十三、あとは精神疾患、これは不眠症等を含むものですけれども、三千九百三十七、以下、呼吸器系疾患が三千七百四十五という数字が出ております。
 以上でございます。
#15
○櫻井充君 そうしますと、これらの病気をきちんと治療できるとなると、基本的には循環器内科の医者それから消化器内科の医者が配置されなければいけないと思いますけれども、現在、刑務所に派遣されているお医者さんたちは主にどういうことを専門にされているのか。分かればで結構です。分からなければ後から御答弁いただければ結構ですが。
#16
○政府参考人(横田尤孝君) ただいまの件ですが、後ほど、詳細調べまして、また必要がございましたらお答えを申し上げることにいたします。
#17
○櫻井充君 そうしますと、もう一点ですが、この方々がきちんとした診断を受けていらっしゃるのかどうかということです。
 つまり、例えば胃炎なら胃炎、胃炎というか多分、潰瘍などを持たれているんだと思いますが、昨日、話をお伺いしたところでは、一応全施設に超音波の検査の機械、それから胃カメラなどの機材はあるんだそうですが、実際できる医者が派遣されているかというと必ずしもそうではないというお話だったんですが、検査の機材はあっても検査体制はそれでは整っていないと思うんですが、大体、基本的に施設の中でどの程度の施設がきちんとした検査ができるような体制になっているんでしょうか。
#18
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 機材で申し上げますと、医療計測機器、それから眼科用機器、耳鼻科用機器、それから歯科用の機器、外科用機器、それからエックス線撮影機等々、これ、病院の施設によって異なりますけれども、医療重点施設あるいは専門施設といったところにつきましては相当数、あるいは相当の比率で配置されております設備でございます。
#19
○櫻井充君 いや、私、昨日お伺いしたのは、超音波の機械もそれから胃カメラも全施設にあるというふうに昨日の方はおっしゃっていました。
 じゃ、違っているんだとすると、問題は、機械があってもそれをちゃんと使える医者がいないと全く検査できないんですよ。ですから、医師の配置体制の中で、そのような機械をきちんと使える医者がどの程度配置されていたのか、その点について分かれば教えていただけますか。昨日、一応通告はしてあるんですが。
#20
○政府参考人(横田尤孝君) 基本的には、それぞれの医療機器のあるところはそれを扱える医師を配置するということで、内科、外科が主でございます。
#21
○櫻井充君 本当に検査できているんですか。
 じゃ、刑務所内での医療費の総額と、それから、極めて薬剤比率が多いというふうにお伺いしているんですけれども、総医療費、それからその薬剤比率、それから検査を行っているとするとその検査の代金、これについて教えていただけますか。
#22
○政府参考人(横田尤孝君) これ、金額ですので、予算で申し上げさせていただきます。
 十五年度予算で申し上げますと、刑務所の医療費、これは物件費、人件費を除く物件費で申し上げますと、今おっしゃった総額が二十三億五千万円でございます。そのうちで、薬品代、衛生材料代としては七億四千万円を計上しております。それから、臨床検査に要する手数料、資材費、これは、外の医療機関に検査等委託した場合の費用としては一億三千万円の予算を計上しております。
#23
○櫻井充君 基本的には、そうすると、例えば検査の費用なんかにすると、一般の病院から見ると若干低いと思うんですよね。十分な検査が行われているのかどうか、ここが極めて問題になると思います。
 そこの中で、医者の確保という点が極めて難しくて、結局、常勤といいながら週一日しか来ていないと。実を言うと、私ども、私が所属した医局からも医師が派遣されておりまして、週一日しか行っていないという実態、私も知っております。
 そこで、ただ問題になるのは、じゃ毎日その人たちが行けるかというと、必ずしも行けるわけじゃないわけですよ。となると、本来であると、昨日初めて分かったんですが、私、兼務と思っていましたが、兼務ではなくて併任という形になるんだそうなんですね、お互いに国家公務員のその部署で。厚生労働省なら厚生労働省と法務省だとするとですね。そうすると、基本的には、これから医師確保をするに当たって、併任なり、それから独立行政法人になってくると、非公務員型になってくると、これは兼業になるんだそうですけれども、そこのところを基本的にきちんと認めていただくような、そしてそこで厚生労働省、文部科学省、そして法務省がきちんと話合いをした上で、医師確保にまず努めていくという体制を作っていくことが私は極めて大事なことだと思っているんですね。
 それについて、法務省、そして厚生労働省、文部省、どのようにお考えでしょうか。
#24
○委員長(魚住裕一郎君) どなたから聞きますか。
#25
○櫻井充君 どなたでも結構です。
#26
○大臣政務官(中野清君) 大学病院の医師が刑務所の医師を併任するという是非を含めました、先生が医療、矯正医療を現実的に解決したい、そういう御熱意についてはまず敬意を表したいと思っております。
 法務省といたしましては、今日の医療、矯正医療等、一層充実改善するために、大臣の御指示いただきまして、私や官房長とか矯正局長が文部科学省とかそれから厚生労働省に緊密な連携をしたいということを申し入れまして、今、事務方から始めまして、準備を始めております。
 今お話しのように、御指摘の点につきましては、先生も御承知と思いますけれども、独立行政法人化の問題とか兼業の問題がございまして、まだそういう点で各省間の調整というものはできておりませんけれども、しかし私といたしましては、先生おっしゃるとおり、現実の問題として前向きに改善を図るという前提でこの問題をやらせていただきたいと思っております。
 今おっしゃったとおり、そういう意味ではいろんな課題はございますけれども、今までどっちかというと、そういう意味で、この刑務所の医療というものが、もちろん法務省一生懸命やってきたわけでございますけれども、各縦割り行政といいましょうか、そういう意味での連携が不十分だという点は我々も反省いたしておりますから、これから一生懸命やらせていただきたい。
 そして、特に今回、行刑改革会議におきましても、この医師の確保を含めたこの矯正医療の問題というものについては大きな主要課題として取り上げておりますから、是非そういう意味で十分に検討し、始めていきたいと思います。よろしくどうぞお願いします。
#27
○政府参考人(冨岡悟君) 刑務所等の行刑施設の中におきます医療等提供体制につきましては、この病院、診療所の開設者は法務省でありますので、まず法務省におかれまして、医療法の規定に定めた必要な人員の配置、設備等の整備を進めることが必要になるものと考えております。
 したがいまして、刑務所内におきます必要な医師の確保等につきまして、まず刑務所内の中の病院、診療所の必要な状況を勘案されまして、開設者であります法務省において対応すべきものと考えておりますが、現在、法務省におきまして、刑務所における医療体制につき検討を進めておると聞いておりまして、法務省からの具体的な要請、協力要請があれば、厚生労働省といたしましても必要に応じて検討を……(発言する者あり)適切な協力を検討してまいりたいと考えております。
#28
○政府参考人(木谷雅人君) お答え申し上げます。
 刑務所などの行刑施設における医療体制の充実が重要な課題となっているということは承っております。先日も法務省からこの点につきまして協力の御要請をいただいたところでございます。
 大学病院は、それぞれの地域において医療関係人材を養成するとともに、中核的な医療機関としての役割を果たすことが求められておりまして、その一環として、従来より、地域の医療機関等から医師の紹介要請があった場合には、もちろん医師本人と当該機関との双方の了解の下ということが前提でございますが、医師を紹介してきているところでございます。行刑施設についても、要請があった場合にはこのような紹介を行いまして、その結果、大学病院の医師が医務官として就職している例もかなりあるというふうに承知をいたしております。
 なお、この場合、形態といたしましては、併任ということではございませんで、大学病院を辞めて、そして医務官として正式に就職するというふうなことでございます。
 我が省といたしましては、法務省の具体的な御要請の内容というものを更に十分に伺った上で、厚生労働省と連携をしつつ、行刑施設における医療体制充実のために、今後更に、文部科学省としてどのような協力が考えられるのか、その形態も含めまして、前向きに検討をさせていただきたいというふうに考えております。
#29
○櫻井充君 そういう答弁されると、ちょっと現実の話に引き戻しますよ。いいんですか、そんな答弁していて。
 いいですか、じゃ。大学病院を辞めて、それで法務省の職員になっているとおっしゃいますが、一日しか来てないじゃないですか。民間だったらどうなっていますか、厚生労働省。週に四日来ないと常勤扱いしないんじゃないの。そうじゃないですか。違いますか。どうでしょう。
#30
○政府参考人(冨岡悟君) 常勤の医師につきましては、週に一日勤務ということではなくて、決められた勤務時間内勤務するという取扱いにいたしております。
#31
○櫻井充君 いいですか、厚生労働省。あなた方認可権限持っているんですよ。病院の開設をしていいかどうかの認可権限は厚生労働省ですよね。こういう病院は本当は全部お取りつぶしじゃないですか、違いますか。名義貸ししているような病院はみんな、名義貸しなり、それから勤務の実態がないような病院に関しては全部取り消さなきゃいけないじゃないですか。そういうことですよ、今までだったら。
 じゃ、こういう病院全部つぶすんですか。つぶせますか、あなた方。つぶせないから医者をきちんと確保しなきゃいけないんで、前向きにこうやって考えていきませんかということを聞いているのに、何でそんな答弁しかできないんですか。もう一度答弁求めたいと思いますが。
#32
○委員長(魚住裕一郎君) 厚生労働省、御答弁願えますか。
#33
○政府参考人(篠崎英夫君) 医政局長でございますが、ただいま先生から御質問ございましたけれども、国の開設の病院の場合には厚生労働大臣と法務大臣との協議ということになっておりまして、国の開設以外の場合は都道府県知事が取消しというようなことになるんでございますが、元々、国そのものが開設者になっておる場合には、国と、厚生省と同じ考えでそれぞれの開設者が対応していただくということになっております。また、もちろん医師法とか医療法の適用は法務省の、国の開設の場合でもその他の場合でも全く同じでございます。
 それから、先ほどの医師の確保の問題については、私ども医師全体のことで医政局でも関係がございますので御答弁を申し上げますと、ただいま法務省の方でこの問題も含めて検討会を立ち上げて検討されるというふうに聞いておりますので、そういう検討の内容を踏まえて、私ども厚生労働省として御協力できることがあれば最大限御協力を申し上げたいというふうに思っております。
 また、その検討会の結論が出るまでの間にもいろいろな問題があるかもしれませんが、特に緊急の場合、外部の医療機関との緊急の場合があろうかと思いますので、そういう場合に対応できるように、私どもも、法務省の方から具体的なお話があれば、都道府県とも協議しながら迅速に対応できるようにしたいと考えております。
 御質問がございましたので幾つかのところに聞いてみましたところでは、既に行刑施設とその近くにある救命救急センターなどの大きな医療機関とは連携を取りながらやっているという実態もあるようでございます。ただ、全国的に見るとまだまだ不十分なところがあるのかもしれませんので、そのような意味で、私どもとしても法務省から御要請があれば御協力を申し上げたいと思っております。
#34
○櫻井充君 とにかく医療の提供体制がきちんとされることが大事なことなので、ちょっと時間がないからほかのところに行きますけれども、きちんと議論していただきたいと思いますし、医師確保のところでいえば、医者が今余っているというか余裕があるところは大学病院と国立病院しかないわけですから、そこが協力しない限り無理な話ですので、是非前向きに御検討いただきたいと思います。
 それで、今救急の話になりましたけれども、死因を見てみたときに、脳梗塞や脳出血、それから心筋梗塞などという診断名が付いているんです。恐らく、これは臨床診断であって確定診断ではないんだと思うんですね。大体、死亡診断の中で臨床診断であるものとそれから確定診断が付いているものとどのぐらいの割合であるんでしょうか。
#35
○政府参考人(横田尤孝君) 申し訳ありません。ちょっと確たる数字といいますかデータがございませんので、可能な限り調べておきます。
#36
○櫻井充君 一応、昨日これはお伺いしてあって、まあ出せるんなら出してくださいということだったんです。是非出していただきたいんです。
 それはなぜかというと、CTスキャンなどは一般の刑務所内にはないわけですよ。そうすると、死因が脳梗塞だとか脳出血になっていますけれども、実際はCTなりなんなりを撮らないと脳梗塞か脳出血かは分かりません。そういう意味で、その場合に本当に救急車なりなんなりで運んでいく体制があるのかどうか、それからそこできちんとした形で治療されるのかどうか、そこら辺が極めて重要なことなので、まず実態を教えていただきたいと思います。
 そういうことでいうと、私、ちょっと今日は細かい話はしないつもりだったんですが、一例だけ疑問点があるので。
 低血糖によるショック死というのが青森の刑務所の中でありました。今どき低血糖で死ぬというのは我々の常識からは考えられないんですね。あめなめるか、それかグルコースを注射するだけでショック死は防げるわけであって、なぜこんな簡単な病気で死ななきゃいけないんでしょうか。この実態、お分かりになりますか。これは一応通告してあるんですが。
#37
○政府参考人(横田尤孝君) その点につきましては、詳細調査の上でまた御回答申し上げます。
#38
○櫻井充君 じゃ、後で詳しく教えてください。
 それでは、健康診断についてお伺いしたいんですけれども、要するに病気を早期に発見してくるということが極めて大事なことになっています。この方々がきちんとした健康診断を受けていらっしゃるのかどうか。つまり、一般的に言うと、市民健診があって、そこのところではレントゲン写真を撮ったりとか血液検査とかきちんとすることになって、できるわけですけれども、受刑者の方々というのは一応半年に一回、健康診断を受けることになっているんですが、血液検査など一般の方々と同じような健診を受けられるのかどうか、その点について教えていただけますか。
#39
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 行刑施設におきましては、施設への入所時に全員を対象といたしまして健康診断を行っています。また、被収容者の独居拘禁又は雑居拘禁の違い、それから年齢、刑期などを勘案いたしまして、少なくとも六か月に一回の頻度で定期の健康診断を行っております。さらに、被収容者を他の施設へ移送する際、さらには懲罰の執行や保護房への拘禁等に際しましても健康診断を行っております。
 その入所時の健康診断でございますが、このときは、既往歴、それから生活歴、家族歴、身体特徴等の調査、それから医師による問診、身体測定、血圧測定、検尿を行うほか、医師の判断により、必要に応じて検便、胸部エックス線検査、肝機能検査を行っています。
 それから、六か月ごとの定期健康診断でございますが、このときは全員に、医師による問診と体重測定のほか、被収容者の年齢や前回の健康診断、その後の健康状態などに対しまして、医師の判断によって必要に応じて血圧測定、検尿、検便、胸部エックス線検査を行っています。
 また、移送するとき、あるいは懲罰の執行、保護房への拘禁に際して行われる健康診断におきましても、問診、体重測定は必ず行いますし、そのほか、医師の判断によりまして必要な検査を追加して実施することにしております。
 以上です。
#40
○櫻井充君 ですから、その内容は一般の方々が市民健診で受けられるレベルよりは低いですよね。一般の方々は血液検査もきちんとできることになっているわけであって、医師の判断でしかそういうものができないということになってくると、健康管理という点では受刑者の方々は一般の方々よりはきちんとされていないと、そう私は思います。
 この点を改める意思がおありなのかどうか、その点についていかがでしょう。
#41
○政府参考人(横田尤孝君) 委員おっしゃいますように、血液検査あるいは心電図検査等につきましては、現在は医師が必要と認めた者にのみ実施しているのが実情でございますけれども、生活習慣病等の早期発見の見地からはこれらの検査を実施することが望ましいと認識しておりますので、矯正医療の充実に向けた課題の一つとしてこれから具体的に検討してまいりたいと考えております。
#42
○櫻井充君 きちんとした形でやっていただきたい。先ほども申しましたとおり、社会復帰させていくということになってくると健康管理は極めて大事なことなので、それから今は予防医学ということがうたわれているわけですから、是非前向きに検討していただきたいと思います。
 それで、もう一つ、医療を本人たちが受けたいんだと、例えば自分が具合が悪いから診断して治療してほしいとか、治療の前に診断ですね、診断してほしいと話をしても実態としてはなかなかすぐには診察してもらえないというような声も随分聞かれているんですけれども、実態はどうなのか、その点について教えていただけますか。
#43
○政府参考人(横田尤孝君) 全般的な話ですのでなかなか答えにくいことなんですが、基本的には医師の診察、申出があれば直ちに医師の診察が受けられるという状態になっているものと認識しております。
#44
○櫻井充君 その認識は全然違うんじゃないですか。一回受刑者の方をここにお呼びしたらいいんじゃないですか。例えば安部譲二さんとか、そういう方をお呼びして、実際、本当にどういうことが行われているのかをまず知った上でここで議論された方が私はいいんじゃないのかなと、そう思いますが、後で御検討をいただきたいと。
 そういう意味において、本当に毎日きちんとした形で受けられているのかどうか。実を言いますと、法執行官行動準則というのがございます。これは一九七九年の十二月に国連総会で採択された国際規則なんですけれども、こういうのは基本的には、多分、ちょっとこれは認識が違っているのかもしれませんが、例えばいろんな病気があったりしたような場合にはきちんとした措置を取らなければいけないとか、そういうことを決めた国際的なルールではないかと思うんです。
 ちょっとこの内容について、外務省、まず説明していただけますか。
#45
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の、七九年の国連総会におきまして採択されました法執行官の行政規範というものは、人間の尊厳や人権の尊重、あるいは拷問その他残虐な非人道的行為の扱いを禁止しております。また、収容者の健康にも配慮するように提言を行っております。
 この規定自体は総会決議ということでコンセンサスで採択されましたが、法的な執行力はございませんけれども、法執行官が職務を執行する上で尊重すべき性格のものであると認識しております。
#46
○櫻井充君 そうしますと、今の日本の刑務所の実態の中で、この規則に対してきちんとした形で遵守されていると、そうお考えですか。
#47
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 私ども、必ずしも現在の刑務所における受刑者の方々の処遇についてつぶさに把握しておりませんものですから、ただいまの御質問に正面からお答えできるだけの知識がございません。
#48
○副大臣(増田敏男君) 私の方の問題に当然関係があります。したがいまして、お答えを申し上げるんですが、まず御指摘の法執行官行動準則につきましては、法的拘束力はないものの、法執行官の職務遂行に関する指導理念として尊重いたしますとともに、遵守すべき基本原則として考慮するよう求められている国際的な規則であるものとまず承知をいたしております。
 そこで、お尋ねの関係に入りますが、そういうふうなことになっていましても、執行官は拘禁している者の健康を十分に保護するものといたしまして、また、とりわけ必要とする場合はいつも医療を確保するための措置を速やかに取るものと、このように第六条になっております。
 御心配をいただいております関係につきましては、現在の流れを踏まえまして、今後に向けたどういう取組がいいのか、いろいろ、こう言うと変ですが、有識者、あるいはまた自ら調査をしながら鋭意努めているところであります。
 その中に、御指摘が今まで御発言の中でありましたが、医師の確保の問題等々、どうしても各省にまたがって調整をいただかなければならない問題もあります。鋭意努めてまいりたいと思います。
#49
○櫻井充君 この先のことじゃなくて、これまで遵守されていたかされていないか、どうお考えなのか、一言でお答えいただけますか。
#50
○副大臣(増田敏男君) 一言でといっても……
#51
○櫻井充君 いや、だから、遵守されていたと考えられるかどうかですよ、実態が。
#52
○副大臣(増田敏男君) 取り組んでいたという理解に立ちたいと思っております。
#53
○櫻井充君 私の質問に答えていただいておりません。取り組んでいたとしても、これが守られていたか守られていないかをお伺いしているんです。守られていないからこそ改善しましょうということになるんだろうと思いますけれども、守られているのか守られていなかったのか、その点について明確に御答弁いただけますか。
#54
○副大臣(増田敏男君) 残念ながら、今までの起きた事件等から考えますと、御発言の趣旨は理解し、認めざるを得ません。
 なお、引き続いて頑張っていかなきゃいかぬ、このように考えます。
#55
○櫻井充君 ありがとうございます。
 自分たちがやっていなかったことに関してやはりきちんと認めていただいて、その上で次に何をするのかということを考えていただきたいと思います。
 その意味で、もう一つ、拷問禁止条約というのがございます。その拷問禁止条約、まず最初に、これは二つの観点からお伺いしたいんですが、一つは、今まで刑務所で問題になったことがございます革手錠のような問題とか、これは拷問禁止条約に違反するのではないのかなと私は思っているんですが、これまで、今まで明るみになってきた実態を踏まえて、この拷問禁止条約に、この拷問禁止条約を遵守する立場にいながらそれを遵守していなかったんではないのかなと、そう思いますが、外務省の見解をお伺いしたいと思います。
#56
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 拷問等の禁止条約におきましては、第十六条におきまして、残虐な、非人道的な、又は品位を傷付ける取扱い又は刑罰について規定しております。不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる取扱いをそこでは規定しているものと考えられます。
 委員御指摘の器具につきましては、関係法令上、被収容者に逃亡等のおそれがあり、その防止のために必要な場合にのみ使用されるというふうに規定されているものと承知しておりまして、関係法令に従って適切に使用され、その使用に当たって収容者の尊厳等を傷付けることがないような十分な配慮が行われているのであれば、その器具の使用だけをもってこの条約上言っている残忍な非人道的な、あるいは品位を傷付ける取扱い、刑罰には当たらないものと考えております。
#57
○櫻井充君 そうすると、今の御答弁は、これまで刑務所で行われてきていたということは、拷問禁止条約違反ではないという判断ですか。
#58
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 どのような使い方がされてきたかということが問題だろうかと思います。その器具を使用したという事実だけをもってこの拷問等禁止条約が規定している拷問に当たるというふうには直ちに解釈されないというふうに理解しております。
#59
○櫻井充君 私は、昨日、きちんと通告しているんですよ、これは。この次、御答弁いただけなければ、これ止まりますよ。いいですか。
 私は、じゃ、もう一度改めてお伺いしますが、拷問禁止条約には違反する行為は全くなかったということですね。あるんですか、ないんですか。これは、昨日、きちんと通告してあるはずです。きちんとお答えください。
#60
○政府参考人(森元誠二君) 御質問の趣旨が名古屋における事件ということでございましたら、ただいま司法手続が進行中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#61
○櫻井充君 答弁になっていません。僕は名古屋と言っていません。これまでの刑務所の中でと言っているんです。答弁になっていません。
#62
○政府参考人(森元誠二君) 一般論として申し上げますと……
   〔櫻井充君「一般論でなんか聞いていません」と述ぶ〕
#63
○委員長(魚住裕一郎君) 立って質問してください。
   〔櫻井充君「分かりました」と述ぶ〕
#64
○政府参考人(森元誠二君) よろしいですか。
 一般論で申し上げますと、この条約は、条約が定義する拷問を刑法上の犯罪とすること等について定めておりまして、我が国として、この条約の締約国として誠実に条約を実施することが求められております。
#65
○櫻井充君 委員の方々、是非これ大事なことなんで聞いていただきたいんですが、これは平成十一年にこの条約を批准しているんです。そして、本来は報告する義務があるんです。これは拷問禁止ということを政府が義務を負っているんですよ。そして、その上で報告しなきゃいけないんです、何かそういう問題があったときには。
 日本は、二十何条だったと思いますけれども、個人通報という権限に関しては認めていません。拷問禁止委員会だったかな、正式名称をちょっと忘れましたが、そういうところに対して個人通報できるというところを認めていないんですよ。そうすると、国からきちんとしたことをやっているかやっていないかということの報告書だけなんです。
 拷問禁止条約の中には、合法的な制裁の限りで苦痛が生ずるような場合にはこれは外すと言っているんです。本当に合法的な制裁の限りだったのかどうかということの判断すらできないんですか。
 私は、昨日、そのことをきちんと質問通告しているんですよ。だから、批准されただけで後はそれは関係各省庁の判断になるんだとすれば、それはどこの省庁が判断するのか。とにかく、政府としてこの条約を守らなければいけない義務が生じているにもかかわらず、その手の答弁しかできないのであれば、私は質問ができないと言っているんです。
#66
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 我が国は、平成十一年の六月にこの条約を締結しておりまして、憲法の規定に従いまして、政府の関係機関はこの条約を誠実に実施する義務がございます。
 外務省といたしましては、この条約を所管する省庁としてこの条約実施に責任を有しておりますけれども、それぞれの官庁がそれぞれの立場でその条約の中身を実施していく立場にございまして、特定の官庁が実施に責任を負うということではなく、あるいは特定の官庁が他の官庁を監督するという形にもなっておらないと理解しております。
#67
○櫻井充君 じゃ、ちょっとお伺いしますが、刑務所の件に関して言うと、この拷問禁止条約に当たっているか当たっていないかというのはこれは法務省の責任ということになるんですね。判断ということになっていいんですか。
#68
○政府参考人(森元誠二君) この点につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、関係省庁の協議を経まして、我が国としてこの条約にいかに取り組んでいるか、現状を報告することになっておりまして、その過程で我が国としての判断を委員会に報告するということになろうかと思います。
#69
○櫻井充君 どこが責任を持っているかと聞いているのに。委員長、勘弁してください。ちょっと何とか言ってくださいよ、本当に。
#70
○政府参考人(森元誠二君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、関係省庁の間でそれぞれの役割分担がございまして、例えば法の執行ということであれば、そのことを担当する省庁において御判断いただくということになろうかと思います。
#71
○櫻井充君 僕の質問に答えていない。
 法務省なの、じゃ。要するに刑務所のことは法務省なの。
 じゃ、ちゃんと、もうちょっと分かりやすく答えてほしいんですが、刑務所の件に関して言うと、そうすると法務省なんですね。それでいいんですか。
#72
○政府参考人(森元誠二君) 法務省としての御判断もございますでしょうし、それを踏まえて関係省庁で協議をした成果を最終的に日本国政府の立場として報告するということでございます。
#73
○櫻井充君 じゃ、どうも法務省の管轄のようですから、法務省として、これはこれまでの刑務所で行われてきたことは拷問禁止条約に違反しているとお考えですか。
#74
○国務大臣(森山眞弓君) 刑務所で行われたこととおっしゃいましたけれども、刑務所で行われたことすべてとは申し上げませんが、今回のいわゆる五月事件、九月事件あるいは十二月事件というような一連の名古屋刑務所の事件につきまして申し上げますと、拷問等禁止条約の趣旨に照らしまして、あってはならないことであったというふうに私は思います。非常に大変残念なことで、重く受け止めております。
#75
○櫻井充君 じゃ、外務省、そういう報告をきちんとなさるんですね。これまで四年間、全く報告されていないんですよ。なぜそれを報告して、これまで、これまでもこういう事件があろうがなかろうが、なかったらないという報告をしなきゃいけないと思うんですよ。
 関係各省庁と先ほど話合いをするということをお話しされましたが、今までこの件について話合いをされたことがあるんですか。要するに、刑務所のことじゃないですよ、拷問禁止条約に関して違反していたことがあったかどうか、これはとにかく通報しなきゃいけないわけ、通報というか報告しなきゃいけないわけですから。その報告するための話合いというのは持ったことがあるんですか。
#76
○政府参考人(森元誠二君) まず最初の点でございますが、法務大臣の御指摘を踏まえて、これから関係省庁とも協議して、その旨を報告書に盛り込むということで今協議をしたいと思っています。
 現にそういう話合いをしたのかということでございますが、これまで関係省庁間との協議を通じて、この種の話合いを、事務レベルでございますが、行ってきております。
#77
○櫻井充君 じゃ、報告書を作成、報告書というのは毎年作る義務ではないんですか。
#78
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 この拷問等禁止条約につきましては、効力を生じた後一年後、その後は四年後ごとに報告書を提出することになっております。委員御指摘のとおり、我が国についてこの条約が効力を発効して以来、我が国としてこの準備を取り進めてきておりますが、これまでのところ、関係省庁との協議、NGOからのヒアリング等、意見交換、さらにはその内部の手続で時間を要しておりまして、提出、第一回目の報告を提出するに至っておりません。
 したがいまして、御指摘のとおり、できる限り早期に我々としてもこの報告書を提出するように努めたいと思っております。
#79
○櫻井充君 それからもう一つ、今年の三月五日の参議院の予算委員会の中で森山法務大臣から、塀の中の常識が世の中の常識とは違っているのではないかということをという、そういう御発言がございました。一般の方が塀の中というお話をされるのはいいとは思うんですが、大臣としてこのような発言されるというのは私は不適切じゃなかったのかなと思うんですが、大臣、いかがでございましょう。
#80
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、三月五日の答弁のときに、「塀の中の常識が世間の常識とは違っているのではないか」と申し上げました。しかし、これは、刑務所という閉鎖的な環境の下で働いている職員の常識が世間の常識と異なってしまってはいないか、もしそうだとすれば、職員の意識を世間の常識に合わせて考えなければ、変えなければならないという趣旨で申し上げたものでございます。
 しかし、塀の中という言葉自体が持つイメージが暗いとかあるいは差別的だとかというような感じがあるといたしますと、私の本意ではございません。三月七日の参議院予算委員会におきましても塀の中という表現について委員から御質問の通告をいただきましたので、以来そのような言い方はしないようにいたしております。
 いずれにいたしましても、職員が独善的になりがちな閉鎖的な傾向を改めるためには、外部との交流を含めた行刑施設の職員の人事政策の在り方について抜本的な検討を行う必要があると考えております。
#81
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですから。
#82
○櫻井充君 外務省にも、それから法務省にもお願いなんですけれども、とにかく人権というものが守られていかないと、とにかく社会復帰施設だと思うんですよ、その社会復帰施設の中でああいう形で扱われてしまうと社会復帰できなくなってしまうんじゃないだろうかというふうに私は懸念しております。
 是非、そのことをもう一度考え直して、きちんとした体制を作っていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
#83
○荒木清寛君 名古屋刑務所問題が起きまして行刑改革会議が設置され、先日、第一回会議が開催をされました。その状況と今後の見通しについて大臣から御説明願います。
#84
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、四月十四日に行刑改革会議の第一回の会議が開催されました。各委員から基本的な考え方が述べられまして、検討の進め方についても活発な意見が交わされました。
 私の思いといたしましては、できるだけオープンで、外からも分かりやすく、人権が尊重されつつ必要な規律は保たれ、改善更生が適正に行われる、国民に理解され支えられる刑務所というのが理想ではないかというふうに思っております。
 行刑改革会議におきましては、今後、ヒアリングや矯正の現場の視察等を行いながら、こういう行刑改革について御検討いただくということになっておりまして、私といたしましては、なるべく早く、できれば遅くても年内には改革の方向ぐらいはお示しいただきたいと考えております。
#85
○荒木清寛君 今回の三案件も含めて一番大事なことは、行刑にかかわる職員の意識改革、常に第三者の批判の目にさらされるということであろうかと思います。そうした意味で、第一回会合の中で、受刑者からの不服申立てを受け付ける第三者機関の設置を検討すべきであるという発言がどなたかからあったことに私は注目をしております。
 そして、年内に結論を得るということは、それに従って、来年の国会に改正にかかわる法案を出すという理解でよろしいんですか。
#86
○国務大臣(森山眞弓君) なかなか法改正となりますと大きな仕事でございまして、来年にというお約束は今の時点ではいたしかねますが、どのような御意見が出てまいりますか、それによって決定しなければいけないことですけれども、法改正も含む抜本的な改正ということで行刑改革会議にはお願いしておりますけれども、その結果をすぐいただいて直ちに法改正をするというようなことができますかどうか、ちょっと今のところはお約束はいたしかねるわけでございます。
#87
○荒木清寛君 先般、委員会で府中刑務所を視察をいたしまして、身分帳簿も一部、差し障りのない範囲で閲覧をさせてもらいました。
 受刑者にかかわる様々なプライバシーにかかわる情報がそこに集積しているわけでありまして、そうした書類が紛失をしたということはゆゆしき事態であるというふうに私も痛感をいたしました。特に、この刑務所で紛失した身分帳簿は死亡案件にかかわっているものであるということから、事実隠ぺいのために隠したのではないかと言われても仕方がない状況になっております。
 そこで、この府中刑務所における身分帳簿の紛失事案について、現在の調査状況を改めて説明してください。
#88
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 府中刑務所における過去十年間の死亡者の身分帳簿のうち、視察表を含む一部の記録が見当たりませんのは、現在までの調査では死亡受刑者九名についてでございます。
 府中刑務所におきましては、この九名の今見当たらない記録がほかの受刑者の身分帳簿に紛れ込んでいないかなどを調べるために、同刑務所で保管している合計約二万冊の身分帳簿のすべてにつきまして、連日二十名程度の職員が執務時間終了後に確認作業を行っているところでございます。現在、これまでに相当数の確認作業は終えている状況にあります。また、府中刑務所のこの確認作業のほか、特別調査班及び特別調査チーム、これは法務省のですが、におきましても身分帳簿保管担当者等から事情聴取し、また報告書を提出させるなどして原因等の究明に当たっているところでございます。
 なお、この確認、刑務所における確認調査でございますけれども、確認作業でございますけれども、今申し上げたように、連日やっておりますけれども、おおむね本月末には何とかこの作業を終えて、その上である程度まとめをしたいと、そういう方向で今一生懸命やっているところでございます。
#89
○荒木清寛君 今月末まで待たないと確定的なことは言っていただけないのかもしれませんが、すべて死亡案件にかかわっているということでは非常にこれは疑いがあるわけですが、今の時点では犯罪の可能性ということについてはどの程度視野に入れているのか、また今後、刑事告発をする予定があるのかどうか、お答えください。
#90
○政府参考人(横田尤孝君) はっきり申し上げて、現在、犯罪にかかわるものであるかどうかという点につきましては確たることは申し上げられない状況にあります。なお調査を尽くした上で、全体を見極めた上で判断をすることになろうと考えております。
#91
○荒木清寛君 この死亡者九名にかかわる紛失事案につきまして、中には視察表の全部が見当たらないというものもあると承知をしております。そうやって紛れているかどうか捜して、最終的に見付からなかった場合、その案件につきましてはこの死亡原因等の究明はどうやって調査をするのか、究明するのか、お答えください。
#92
○政府参考人(横田尤孝君) この点につきましては、診療録とか死亡診断書あるいは被収容者死亡報告書などが残存している書類もございます。これらの書類等を基に、当該受刑者の死亡時の状況などを解明し、可能な限り調査を尽くしてまいりたいと考えております。
#93
○荒木清寛君 府中刑務所以外の刑務所でも視察表等が紛失をしている事案はありますか。
#94
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 矯正局におきましては、府中刑務所において合計九名もの死亡者にかかわる身分帳簿のうちの一部の記録が見当たらないということが判明いたしました本年三月下旬ころ、この事態を重く見まして、全国の行刑施設の死亡者につきまして、身分帳簿に編綴されている記録の保管状況の調査を始めたところであります。
 まだすべての調査は終了しておりませんけれども、したがって現時点までの調査の結果で確たることを申し上げるわけには尚早でございますけれども、大変残念で申し訳ないことですが、幾つかの施設において死亡者につきまして府中刑務所と同様に身分帳簿のうちの一部の記録が見当たらないことが判明しております。現在、この細部について調査を続けているところでございます。
 以上です。
#95
○荒木清寛君 府中刑務所は二階にこの身分帳簿が保管をされておりましたが、率直な私の感想を言いますと、それほど厳重に管理をしている印象ではなかったということをあえて申し上げるわけでありますが、他の刑務所でも紛失をしている案件があるということになりますと、そうした保管にかかわる、あるいは責任者の責任、職責はどう考えているんですか。
#96
○政府参考人(横田尤孝君) 府中刑務所における身分帳簿の紛失等事件につきましては、現在、事実関係、先ほど申し上げましたように調査中でございますけれども、事実関係が判明次第、処分すべきは処分するという立場から適切に対処してまいりたいと考えております。
#97
○荒木清寛君 また、身分帳以外にも特定年次の死亡帳を過って廃棄した施設があるということでありますけれども、その原因はどこにありますか。
#98
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 御指摘の特定年次の死亡帳が見当たらない施設は、横浜刑務所、大阪刑務所、大阪拘置所及び松江刑務所の四施設でございます。
 これまでの調査結果によりますと、保存期間を経過していないのに過って廃棄手続を取ってしまったもの、これが松江刑務所のケースであります。それから、見当たらない死亡帳がすべて刑死であるため、そもそも作成していなかった可能性が高いと思われるもの、これは大阪拘置所でございます。
 そのような見当たらない原因が判明しつつある施設もありますけれども、そのほか、一部の施設、横浜刑務所あるいは大阪刑務所のケースでは、これまでの調査のところでは、まだ、過って廃棄してしまったのかあるいは紛失してしまったのかなどがいまだ不明であるという報告を受けております。したがいまして、なおこの書類の存否も含めて引き続き調査を続けているところでございます。
#99
○荒木清寛君 法務大臣にお尋ねしますが、こうした重要な書類が紛失をしてしまったということは、故意であったらもちろんでありますけれども、仮に過ってということであったとしても重大な事態であると考えますが、この点についての大臣の認識をお尋ねします。
#100
○国務大臣(森山眞弓君) 身分帳簿というのは、個々の被収容者の名誉、プライバシー等に直接関係する事項や処遇上参考とすべき重要な事項が記載されているものでございます。そのような秘密性が高く重要な書類の一部が見当たらないというのは、御指摘のように重大な問題でございまして、遺憾なことと考えております。
 紛失の原因はいまだ不明ではございますけれども、いずれにせよ事務処理や保管体制等に不備があったことは否定できないことでございまして、今後の再発防止のために、身分帳簿保管倉庫への立入りや身分帳簿の使用、貸出しの厳格な管理を改めて徹底させるとともに、例えば編綴時におけるチェックリストによる照合とか保管状況の定期的な検査の実施など、具体的な措置についても早急に検討させていきたいと考えております。
#101
○荒木清寛君 次に、保護房収容者の医療についてお尋ねします。
 府中刑務所では、M級、精神疾患のことを言うそうですが、M級、括弧、日本人が二〇・八%、括弧、外国人が三・〇%で、精神疾患を患っている人が二三%ということ、という説明でございました。当日、視察をした保護房に入っている囚人も、大声を発したり奇声を発したりしている場面を我々、場面に遭遇することになったんでありますけれども、その方が精神疾患があるのかどうかは分かりませんけれども、その可能性も大分あるわけですね。
 ですから、そうした人を単に保護房に収容することももちろん必要なんでしょうけれども、しかし精神医療を施すことの必要性も私は感じましたが、受刑者に対しましての精神医療面での配慮はどのように行っておりますか。
#102
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 被収容者の保護房の収容に当たりましては、平成十一年十一月一日付けの矯正局長通達によりまして、精神又は身体に異常がある者につきましては、医師に診察させ、健康に害がないと認められる場合でなければ収容してはならず、急を要し、あらかじめ医師に診察をさせることができない場合には、収容後直ちに医師に診察させなければならないこととされております。
 また、この同じ矯正局長通達によりまして、精神又は身体の異常の有無にかかわらず、保護房に収容中の者については、医師にその心身の状況を確実に把握させ、必要に応じて診察させることとされております。
 府中刑務所は、医療を重点的に行う施設として位置付けられ、専門的に精神科治療を行う必要のある者を収容しておりますことから、精神科医が常勤医師として配置され、精神障害を有する受刑者の診療に当たっておりますが、これらの者を含めて受刑者が保護房に収容された場合には、休日を除くほとんど毎日、精神科医による診察を実施して精神状態の把握に努め、医療上及び処遇上必要となる指示を適切に行っているものと承知しております。
#103
○荒木清寛君 府中刑務所は重点的に医療を行う施設ということで、人工透析の装置もありましたし、ただし、やっている人は二人だという説明でしたがね。あるいは、ICUもありましたし、又は精神科のそういう治療の部屋もありました、見ました。
 しかし、この現状で、府中刑務所に関してお尋ねしますが、医療スタッフの配置は十分なんでしょうか。
#104
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 本日現在、府中刑務所には常勤医師が十名配置され、被収容者の診察に、診療に当たっております。そのほかに医師の診療の補助等を行う職員として、薬剤師二名、診療放射線技師一名、臨床検査技師一名、栄養士二名、看護師十一名及び准看護師十一名が配置されております。
 ところで、施設の医療を適正かつ効率的に実施するためには、当該施設の患者数や疾病動向に見合った医師や看護師等の医療スタッフがそろって配置されていることのほか、医療機器等の整備状況も含めて総合的に考慮する必要があると考えます。
 府中刑務所における看護師等の医療スタッフの配置につきましては、そのような総合的な観点から適時に見直しを行いつつ、必要な整備に努めてまいりたいと考えております。
#105
○荒木清寛君 府中刑務所は外国人の被収容者もたくさんおりまして、現に我々が視察をしたときにも、この医療の待合のところに、いわゆるといいますか、青い目をした外国人の人がいました。そういう言語、習慣の相違等から医療面でも困難があると思いますけれども、これは適切に対応しているんでしょうか。
#106
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、現在、府中刑務所では、外国人受刑者、F級と言っておりますが、この外国人受刑者が約五百五十人収容されております。言語や習慣等の相違による意思疎通の問題等から適切な医療を受けていないのではないかという、そういう誤解を生じるおそれがあることは事実であろうかと思います。
 しかしながら、府中刑務所には各種言語の翻訳や通訳を行う組織として国際対策室というものが設けられております。そこにおいて、意思の疎通が治療上に重要な意味を持つことから、医師による診察の際に症状の訴えの聴取や病状説明などをこの国際対策室の通訳者を介して行い、適切な医療が行えるよう努めているという報告を受けております。
#107
○荒木清寛君 当日、府中刑務所の医師の方と話をしますと、中には辞めたいという声もあるんですという話がありました。
 この行刑施設におきまして医師の確保が困難な理由は何か、そしてこの医師の確保のために法務省としてはどういう対策を講じているのか、説明を願います。
#108
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 行刑施設における医師の確保が困難な理由としてはいろいろなことが考えられておりますが、まず一つは、医療の対象者が受刑者等であるという特殊性です。これによりまして、診察、診療をするに当たって種々のトラブルが懸念されるという、そういう印象をまず持たれる、その印象が払拭できないということが挙げられます。それから二番目としては、行刑施設の多くは交通や生活の便が悪いなどの立地条件が必ずしも良くない場所にあるといったようなことがあります。また、次には、医療刑務所等の一部の施設を除きますと、医療スタッフや医療機器の整備が限られている上、患者の症例に偏りがあるなど、医療技術や医学知識の向上を図る上での条件が十分に整っていないということが考えられます。このような要因などがありまして、医師の確保がなかなか困難であるというふうに考えております。
 そこで、医師確保のためにどのような対策を講じているかというお尋ねでございますけれども、医師の欠員が生じている施設におきましては、施設長等が大学の医学部や地元医師会に出向きまして医師の派遣について懇請しているほか、医師向けの医学雑誌等への募集広告を掲載したり、矯正施設での勤務経験を有する医師に個人的な知己の紹介を願うなどして、できる限りの努力を払っているというふうに承知しております。
 また、矯正局におきましても、矯正施設に勤務する医師を確保する方策として設けられた矯正医官修学資金貸与制度というものがございますが、これを積極的に運用するほか、矯正管区を通じまして大学医学部等に対し、矯正施設の医療への理解を得られるよう働き掛けを行うなど、可能な限り医師の確保に努力しているところでございまして、今後ともあらゆる方策を講じてまいりたいと考えております。
#109
○荒木清寛君 最後に、大臣に、行刑施設における医療体制の抜本改革にどう取り組むのか、決意をお尋ねします。
#110
○国務大臣(森山眞弓君) 矯正医療が抱える問題、とりわけ医師の配置状況や勤務体系の問題は、被収容者を相手にすることの心理的な負担や刑務所の立地条件の不便さなど、矯正医療の特殊性に起因する人材確保の困難性から、なかなか容易には解決策を見いだせないまま今日に至っているものでございます。
 これまで事務方としては、先ほど局長が申しましたように、いろいろな努力をいたして、知恵を絞って検討してまいったようでございますが、私といたしましては、この問題は全く新しい発想を持って臨まないと解決は難しいのではないかというふうに思っております。例えば、矯正医療の透明性をより高めるという観点を踏まえまして、医師の勤務形態や民間と共同で刑務所医療を行うことなどについても踏み込んだ検討を行っていく必要があるのではないかというふうに考えます。
 いずれにいたしましても、私は、先日立ち上げました行刑改革会議におきまして、行刑運営に関する調査検討委員会の中間報告をお示しいたしましたが、その中にもあえて医療体制の在り方を課題として含めるように指示いたしたところでございますので、行刑改革会議の御意見や御提言もいただきながらこの問題に積極的に取り組んでいきたいと思いますし、厚生労働省あるいは文部科学省とも協議をしながら矯正医療の充実のために努力をしたいと考えております。
#111
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この間の審議を通じまして、不審な死亡事案に対する視察表やカルテ、死亡報告などの資料が十八日にその一部が提出をされました。今朝、名古屋刑務所五月事件のこの資料についても新たに提出をいただきました。また、同じく五月事件で、事件の十日後に出された報告書も提出をされました。
 これらのものを見ますと、新たな疑惑、問題点というのが浮かび上がってきますし、私はこの間一貫してこの五月事件がその直後に大臣に報告された時点で適切な対応がされていたら九月事件も起きなかった、このことを申し上げてきましたが、そのことも改めて浮き彫りになっております。
 まず、今朝方いただいた五月事件の資料について質問をしますが、私、一読して非常に驚いたんですが、処遇表、動静視察表、視察表、どれを見ましても十一時四十五分の革手錠を締め直したという事実が一切記載されていないんですね。中間報告でも、この十一時四十五分に革手錠を締め直したと、これが言わば致命傷になっているんではないかということが疑われるわけですね。二人掛かりで七十・二センチのものを五十九・八センチまで締め上げたと、これが大問題になっているわけですが、そのことが一切この中には記載をされていません。これはなぜなのか、調べておられますか。
#112
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 締め直しの事実が記載されてないことは確かでございます。それがなぜかということにつきましては、現時点でちょっと判明しておりません。
#113
○井上哲士君 ですから、一番核心になる事実がこの中にないんですね。で、特にこの処遇表などはモニターで見ているものでありますから、必ず現場の職員の方が見ているはずなんです。それが書かれていないということですから、やはり省ぐるみの事実隠ぺいがあったということを改めてうかがわせる中身になっております。
 さらに、十八日に提出された資料を見ても問題が浮き彫りになるんですが、ほかの事案を見ますと、大体、死亡報告書というのは死亡から日を置かずに出されています。ところが、あの十二月の消防ホース事件では、十二月の十五日に事件が発生をして、十九日に死亡報告書が記入をされ、実際に矯正局が受け取ったのが翌年の一月十六日だったと、このことを衆議院で我が党議員が指摘をいたしました。法務省の方は、所内決裁に回付したところ時間を要して発送が、発送されたのが一月中旬だったという答弁でありましたけれども、まあ一か月以上も掛かったということで、これはやはり刑務所ぐるみの隠ぺい工作の疑いがあるという指摘もいたしました。
 その目で見ますと、この五月事案についても、この死亡報告書の記入は七月十五日ということでありまして、五月の二十七日に事件が起きていますから一か月半も掛かっています。一体これはなぜでしょうか。
#114
○政府参考人(横田尤孝君) 委員御指摘のように、このいわゆる五月事案の被収容者死亡報告は、十四年七月十五日付けとなっております。ただ、この事案につきましては、発生直後に変死事案速報というものによりまして名古屋刑務所から矯正局長及び矯正管区長あてに事案の概要が報告されております。
 その後も当該被害受刑者の司法解剖が行われた後においても、死因等が不確定であったこと、また名古屋刑務所が名古屋地方検察庁に捜査を依頼し、さきの報告の内容に追加すべき新たな事実関係が判明するまで同地検の捜査の推移を見守ろうとしていたことなどから、御指摘の被収容者死亡報告を発出するのに遅れが生じたものというように承知しております。
#115
○井上哲士君 じゃ、その間、この死亡報告が長期間にわたって提出をされないということで、矯正局としては刑務所に対して督促であるとか聞き取りなどはされたんでしょうか。
#116
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 当時、矯正局あるいは名古屋矯正管区、上級官庁である名古屋矯正管区におきましては、この事案につきまして、先ほど申し上げましたように、発生直後に変死事案速報によりまして名古屋刑務所から事案の概要に係る報告を受けたこと、また当該死亡案件の死因等が不確定であること、それから名古屋地検に捜査を依頼してその推移を見守っているという報告を受けていたことなどから、その後の死亡報告の提出につきましては現場の判断にゆだねるということで、殊更、督促はしなかったというように承知しております。
#117
○井上哲士君 提出された資料を見ましても、例えば府中の保護房死亡事案なども大体、日を置かずに出されておりますし、司法解剖まで行っているものも幾つかありましたけれども、それも含めて大体、日を置かずに出されているんです。この十二月とこの五月事案だけが非常に日にちが掛かっている。
 先ほどありましたように、非常にいろんな問題のあった事案だからこそ、一体どうなっているのかということを当然、督促、聞き取り、新しい事実が出るまで死亡報告が出ないというならば、新しい事実が出ているのかということを当然、矯正局として関心を持って追及すべきだと思うんですが、なぜそれをやってないんでしょうか。
#118
○政府参考人(横田尤孝君) 督促をしなかった理由につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、このように後からこういろんな調査等を経て事実関係が明らかになってまいりますと、それを考えますと、当時、督促をしなかったことがそれで良かったのかなというふうに私は思っております。
#119
○井上哲士君 問題は、この事件発生をして死亡報告の、一か月半を掛かると、その間にこの事件を隠ぺいしようとしたいろんな動きが見て取れるんですね。その中で重大なのが、先日提出をしていただきましたこの五月事件の十日後の六月六日に、名古屋刑務所から矯正管区保安課長あてに出された報告の文書です。解剖結果及び当所医師の意見聴取にかかわる報告書というものでありますが、この中に、肝臓の挫裂は革手錠の使用と関係付けるのが相当であるという非常に決定的な医師の所見が書かれているわけですね。この報告書を受け取りながら、真相解明を怠ったというのが名古屋矯正管区長らの処分の理由にもなっています。
 この報告書は二つの文書になっておりまして、一つは事件の翌日の五月の二十九日に名古屋刑務所内で所の幹部と医師が検討会をやったメモ、それからもう一つは、処遇部長がほかの医師から聞き取りをして、その内容を名古屋刑務所長に報告をしたという文書というこの二つになっています。
 まず、この五月二十九日の検討会議のメモについて聞くんですが、これによりますと、参加者、出席者の中に刑務所長の名前はないんですが、この会議には名古屋刑務所長は参加をしていなかったということなんでしょうか。
#120
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 所長はこの会議には参加しておりません。
#121
○井上哲士君 しかし、三月三十一日の中間報告によりますと、刑務所長がこの会議を行ったと、こういう記載があるんですね。どう読んでも所長が行い、参加をしたと読めるわけですが、この報告が間違いなんですか。
#122
○政府参考人(横田尤孝君) 今申し上げましたように、所長自身はこの検討会と称する会議には出席しておりませんが、その会議そのものは所長の指示により行われたものでありますことから、中間報告におきましては御指摘のような記載がなされたものと承知しております。
#123
○井上哲士君 しかし、どう、普通この中間報告を読みましても、明らかに所長が参加をしたとしか読めないわけですね。そのことを指摘しておきます。
 この報告書は、表面に通常使われるようなファクスの送り状を付けて、名古屋刑務所の恐らく処遇部長が発信元で保安課長あてに送付をされております。境矯正管区長の印鑑も押してあるわけですので、管区長も見ているわけですが、この文書が本省矯正局には送られていなかったということが既に明らかになっております。
 この間、この問題指摘したときには、刑務所長とそれから管区長がそれぞれが本省にも上げるだろうとお互いに思っていて、そごが起きたという答弁でありましたけれども、私は法務省の中でそんないい加減な文書の扱いが行われるとは到底思い難いんですが、日常的なこういう報告の上に上げるルールというのは一体どうなっているんでしょうか。
#124
○政府参考人(横田尤孝君) 日常的にどうかというお尋ねですが、日常的の文書の場合にどちらがどうという、特にそういう決まりというものはないというふうに聞いております。
#125
○井上哲士君 決まりがないんであれば一体どちらがやるんだということをお互いに相談するのが当たり前、そのぐらいの重大なこれ報告の中身になっているんですね、決定的な事実が書いてあると。私は、本当にこの刑務所長がこれを報告する意思があったのかなと、局までということも疑っておるんですね。
 中間報告書によりますと、六月の五日に名古屋刑務所長から矯正局の保安課長に対してこの五月事件の経緯について報告があったとされております。六月五日というのはこの報告書が発せられる前日なわけですね。刑務所側にこれを局まで上げるという意思があれば、その六月五日の報告の際にこういう文書をあした出しますということを言わないはずがないと思うんですが、この六月五日の報告の際になぜこれが触れられていないと承知をされていますか。
#126
○政府参考人(横田尤孝君) その点につきましては承知しておりません。
#127
○井上哲士君 ですから、肝心な問題について結局この中間報告は全然突っ込めていないんですよ。一番事件の核心の問題がどのように報告をされ、また隠ぺい工作がされたのかと、このことにメスを入れなければ私は問題の解決につながっていかないと思います。
 この中間報告によりますと、名古屋刑務所長は、行政検視の際にかなりの傷が腹部にあったということを見て、革手錠の使用が原因ではないかと思ったとされているわけですね。実際、今朝方いただいたこの五月事件の視察表を見ておりますと、行政検視を実施したことについての視察表の中で、松尾処遇部長の起案で、遺体には両側腹部に擦過傷があったと、この時点では書いてあるんですね。ところが、この六月三日付けの文書では松尾処遇部長の発言として、革手錠を強く緊縛すると表皮に索状が付くが今回はなかったと、処遇表とは全く違う発言が松尾処遇部長からされているんです。にもかかわらず、この報告書は刑務所長も了解の印鑑を押して上に上げられたと。
 ですから、私はこの時点で、これが発せられた時点で刑務所ぐるみでの隠ぺい工作も始まったんじゃないかという疑いを持つんですが、なぜこういう全く事実と違う記述がある報告書を管区にやらせたのか。この点、刑務所長には、当時の刑務所長にはただしているんでしょうか。
#128
○政府参考人(横田尤孝君) 特にただしたというふうに認識しておりませんが、ただ、この記載内容は松尾処遇部長の認識であるということでございまして、その事実の有無ということではないというふうに考えます。
#129
○井上哲士君 しかし、その認識が書いた文書をちゃんと刑務所長の判こをついて矯正管区に上げているんですから、刑務所長もこれを認めたということなんですよ。ですから、正に組織ぐるみの隠ぺいが行われていたと言わざるを得ないんですね。
 しかも、七月十五日で起案をされて、これは矯正局長、矯正管区長あてに出されました死亡報告には、この肝臓の挫裂は革手錠の使用と関係付けるのが相当という、六月のときに医師の所見として出されているような中身は一切この死亡報告書には記載をされていないわけですね、一か月半掛かっておりながら。重大なのは、肝臓の挫裂は革手錠の使用と関係付けるのが相当というこの報告書は管区長は見ているんです。それがもう一切書かれていない死亡報告書が管区長と矯正局に出されているんです。ですから、管区長は一見したらこれはおかしいと思わざるを得ないと思うんですが、そのことは指摘をされているんでしょうか、管区長は。
#130
○政府参考人(横田尤孝君) 管区長がこの点について指摘をしたと、したかどうかにつきましては確認しておりませんが、恐らくしていないのではないかというふうに思います。
#131
○井上哲士君 ですから、やはりこの一か月半の中で事実が、言わば矯正管区も巻き込んで隠ぺいをされたんではないかということがうかがわれるわけであります。
 ですから、管区長などの処分理由は受刑者死亡の原因について真相究明を怠ったということになっておりますけれども、究明を怠っただけでない、もっと積極的に事実隠ぺいに手をかした、加担をしたんではないかという疑いを持って、私は、もっとこの中間報告は一つ一つの問題を掘り下げなければこれは全く解明にならないと思います。
 ちょっと大臣にお聞きするんですが、結局、今ありましたように、一番肝心の事実について全く記載もされておりませんし、この報告が一か月半も遅れても特に督促もしてこなかった。そして、そもそもこの六月六日付けの報告文書というのが、調査チームの翌年の二月に矯正管区で発見するまで明らかにならなかった。ですから、九月事件がもし発覚しなければこの五月事件というのはやはりやみに葬られた可能性もあると思うんです。やはり、大臣が、これは五月事件の直後に報告を受けながら結局、検察任せにするということでは、適切な行政としての真相解明の指示をしなかったということがこういうことになっていると思いますが、その責任、改めて今どうお考えでしょうか。
#132
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のようなことが今、先生のお言葉で明らかになってきたということでございますが、しかしそれはもう少しそれぞれの担当者あるいは関係者によく問いただしてみなければ分からない面もたくさんございまして、しかしそれにしましても、非常に文書あるいは報告の取扱いが言わばずさんであったと言わざるを得ないという気がいたします。その点は非常に残念なことで、私も今後そういうことがないようにきちっと文書の扱いについても厳しくしていかなければいけないというふうに考えておりますし、矯正局を中心とする関係の部局も大変そのことを肝に銘じておりますので、今後は二度とこのようなことがないように、みんなで力を合わせて努力をしていきたいというふうに考えます。
#133
○井上哲士君 単なる文書の扱いというよりも、書くべきことを意図的に落とす、また違う事実を上げているということでありますから、ここに本当にメスを入れることが必要でありますし、その指示を怠ってきたという責任の重大性を改めて指摘をしたいと思います。
 さらに、この中間報告を見ますと、この六月六日付けの報告書の件は何にも触れられていないんですね。これは矯正管区の責任にもかかわる処分理由にもなっていることなのに、なぜこの中間報告には触れられていないんですか。
#134
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 この報告書でございますけれども、この報告書は、革手錠の、これは報告書といいますのは、先生が先ほど御指摘になった五月事案発生の十日後に、名古屋刑務所から名古屋矯正管区に対して、受刑者の肝挫裂が革手錠の使用に起因する旨の医師の所見を含む報告書を指しますけれども、その報告書は、革手錠の使用が受刑者の死亡の原因であるという、するものではなくて、また受刑者の遺体に革手錠を強く緊縛すると残るはずの痕跡がない旨の記載があるものであります。
 その上、かえって、中間報告に記載されておりますように、当時の名古屋刑務所長からの矯正局保安課長に対する報告や、名古屋刑務所からの矯正局及び名古屋矯正管区に対する被収容者死亡報告で、受刑者の肝挫創の原因は、制圧時に被害者が長時間にわたって暴れたことから、その際に何らかの形で腹部が圧迫されたこと、心肺蘇生術により生じた可能性が否定できないことなどが考えられる旨、革手錠による強度の締め付けが受刑者の肝挫創の原因であることを否定するような報告がなされたため、矯正局におきましても、名古屋矯正管区におきましても、受刑者が革手錠による強い締め付けで死亡するに至ったと認識するに至らなかったというふうに認められるところであります。このため中間報告では、これに記載されている矯正局保安課長に対する報告や、被収容者死亡報告による誤った報告がなされたことを行刑運営上の問題点として掲げているものというように承知しております。
 一方、御指摘のとおり、名古屋矯正管区におきましては、受刑者の肝挫創が革手錠の使用に起因する旨の報告を受けていたのでありますから、その死因について事実解明に努めるべきであったのでありまして、報告中の疑問点などを探索して真相を解明しようとする姿勢に欠けていたと言わざるを得ません。
 したがって、中間報告にもこのような問題点を示す事実として、名古屋矯正管区において御指摘のような報告を受けながら事実解明に努めなかったことを明確に記載することも考えられたというふうに思っております。
#135
○井上哲士君 結局、現場が事実を上げなかった、これがおかしいというのがこの中間報告の全体のトーンになっているんですね。
 この六月の報告書の取扱いというのは正に矯正管区の責任が問われているわけでありますが、私はどうもそれが意図的に外されていると思うんです。これはやはり現場が報告を上げなかったのが問題で、こういう書き方をしているんですね。
#136
○委員長(魚住裕一郎君) 井上君、時間が超過しておりますから。
#137
○井上哲士君 はい。
 施設の幹部や矯正管区・矯正局の姿勢にも問題なしとはしないと、こういう言い方なんですね。
 ですから、こういうやはり身内的な調査がこういう記述に結果としてはなっていると。やはり、現場だけの問題じゃない、幹部、上級の問題も含めてしっかりとしたメスを入れる、そういうことを改めて強く求めまして、質問を終わります。
#138
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 千三百件の死亡帳の中から二百四十件問題があるのではないかという点について資料要求を求め、カルテ、視察表、法務省への報告書を出していただきました。今その三分の一、八十八件を出していただきました。これは参議院の法務委員会で要求して出していただいたんですが、それを今精査の途中の段階です。今日は、そのうち特に問題があると思われる九件について御質問をしたいと思います。
 まず第一に、川越の少年刑務所の死亡時四十九歳、平成七年十月の事件です。これは死体検案書を見て大変驚きました。気道内にやや多量の吐物の存在、前頸部の圧迫痕、つまりここの首のところに圧迫痕が残っている、圧迫痕がある。それから、右側腹部と両前腕の縛り痕、つまり手とおなかに縛り痕が残っている。それから、四肢、両手と両足の四つに打撲傷群ということが死体検案書に書いてあります。これは聞くだにひどいというふうに思っているんですが、暴れていたところを押さえられた際、吐物を吸引、吐物を吸引して死亡したというふうになっているんですが、これは不起訴になっております。
 これ、その後、法務省に調査を依頼しましたが、どうなっていますでしょうか。
#139
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、死体検案書には、気道内に多量の吐物の存在、前頸部の圧迫痕、側腹部、両前腕の縛り痕、四肢の打撲傷群という所見が示されております。
 他方、職員が革手錠を使用する際に当該死亡者に対する暴行があったのかどうか、仮にあったとしても、当該暴行が吐物の存在、圧迫痕等の原因になったのかどうかにつきましては現在のところ不明でありますけれども、本件につきましては、委員も御指摘のように、当時、業務上過失致死容疑により埼玉県警の川越警察署による捜査を経て浦和地検川越支部に事件送致され、嫌疑不十分で不起訴となっているものと承知しております。
 なお、本件につきましては、死亡帳調査班による調査が行われているものと承知しております。
#140
○福島瑞穂君 この事件は非常に変で、死体検案書の死亡は午前八時五分ごろとなっていますが、死亡帳では十一時となっています。私は、要するに前頸部に圧迫痕とかありますから、革手錠を締めて、首を絞めて吐物で吐いて、午前八時五分に死んだのではないかと思うのですが、死亡帳では十一時に死んだことになっています。こんなに時間がずれているんですが、どうなんでしょうか。
 要するに、革手錠、これだとはっきり死体検案書では、暴れていたところを押さえられた際、吐物を吸引ですから、革手錠をしてやったときに死んだことになっています。それが死亡帳では十一時になっている。この時間差は何でしょうか。
#141
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 御指摘のとおりの記載があることは事実でございますが、いずれにいたしましても、なぜ死体検案書に午前八時ころ死亡したという記載がされたのかは定かでございません。
 なお、この点につきましても、死亡帳調査班による調査が行われるものと承知しております。
#142
○福島瑞穂君 朝、これは布団を引き揚げるため職員が保護房にあったところを殴り掛かったのでそのとき革手錠を使用したというふうに説明を聞きました。ですから、そのときに暴れたので非常に制圧という段階の中で吐物吸引、もしかしたらそのときに頸部を押さえたのかもしれませんけれども、それで吐物吸引して八時五分に死亡というふうになったのではないかと思います。それが死亡帳では十一時になっているので、この件は当時、捜査が本当に十分であったのか。ここまで死体検案書に書いてあるのに不起訴になっております。
 今後、特別チームで徹底した調査をしていただきたいと思いますが、大臣、改めてちゃんとやるとおっしゃってください。
#143
○国務大臣(森山眞弓君) 不審な点が幾つかあるようでございますので、その点もよく調べたいと思います。
#144
○福島瑞穂君 是非、非常に、死体検案書を見ただけで非常に変だと思います。是非、当時の捜査も含めて洗い直して、また報告をよろしくお願いします。革手錠を締め過ぎて吐物吸引になったのか、首を絞めて吐物吸引になったのか分かりませんが、死因がはっきり吐物吸引で八時五分に死亡となっておりますので、この点よろしくお願いします。
 川越少年刑務所は、あと二件、ちょっと問題が極めてあるというのが、平成十二年二月、死亡時二十一歳なんですが、保護房動静視察表もありません、今回付いておりません。二十一歳で、この人は脳で、あっ、ごめんなさい、死亡診断書、直接の死因は不明となっていて、そして脳内出血、というか死亡がよくはっきり分からないのですが、この二十一歳で死んだ人のケースはどう法務省は把握していらっしゃるでしょうか。
#145
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 お尋ねの事案につきましては、診療録によりますと、平成十二年一月下旬に吐き気の訴えがあり、症状を緩和するための投薬がなされております。そして、その年の二月上旬には、実際に嘔吐があるかどうか確認するために処遇担当者との連絡調整がなされ、それまでは嘔吐がなかったことが確認されております。さらに、初めの投薬から八日後になりますけれども、再度、吐き気を緩和するための投薬がなされております。視察表によりますと、司法解剖の結果として、著しい脳脹が見られ急性脳症の疑いがあるとのことでありますが、このことと死亡との関係は不明でございます。
#146
○福島瑞穂君 今回、資料を精査してみまして、もちろんさっきの川越のケースのように、明らかにこれは刑事事件に、可能性があるんではないかと思う事案もあるんですが、例えば治療がやはり極めて不十分ではないかと思われるケースがたくさんあります。川越少年刑務所のこの二十一歳のケースも、本人は吐いているわけですから、治療が、一月の時点で適切な施療がなされていれば、なされるべき事案であったのではないか、医療放置の疑いが高いと思われます。また、平成十三年七月、三十歳で亡くなった女性、川越少年刑務所は、この人は拒食症と思われて血圧が非常に低く摂食障害を疑うべきではないかと。入所時の体重は三十二・五キロ、亡くなった時点は二十九キロ、服を着ていて、となっています。しかし、最後の医務診察まで摂食障害による適切な治療がなされておりません。
 それから、今回特にまた思いましたのは、虐待、虐殺あるいは保護房、革手錠による八十センチのウエストを六十センチに締めたみたいな名古屋の刑務所のようなケースももちろん論外なんですが、拘禁反応のある人を保護房に入れ続けたために明らかに衰弱死、あるいは拘禁反応があるために物すごくやっぱりおかしくなって最後に心不全で亡くなっていると。これは具体的に首を絞めたとか革手錠を締め付けたという事案ではありませんけれども、拘禁反応が物すごく強い人間を長期間保護房に入れることそのものが一種の虐待に当たるのではないかというふうに思います。
 名古屋刑務所、平成十三年三月、死亡時三十八歳のケースは、肝硬変で拘禁反応のある者を保護房に収容したため急速に症状を悪化させたものと思われます。拘禁反応があるということがはっきりしており、この人は休養、加療中で保護房に入れたこと自体が虐待と言えるのではないか。
 また、大阪拘置所、平成六年十月、死亡時三十七歳のケース。この人はカルテが出ておりませんのでカルテの提出を求めますが。あっ、ごめんなさい、済みません。大阪拘置所、言い直します。平成六年七月、死亡時三十三歳のケース。この人もカルテが出ていないのでカルテの提出を求めます。この人も元々拘禁反応のある被拘禁者を保護房に収容していると。本人は保護房から出してほしいと何度も言っているけれども、亡くなっております。
 あと、東京拘置所の事案も、これも拘禁反応と。平成九年三月、死亡時三十一歳、この人は、この人は保護房を出て一日以内で死亡しています。保護房から出して一日以内に死亡と、拘禁反応のある被拘禁者をやはり長時間保護房に閉じ込めて保護房に五日間放置し続けて、出して一日以内に死亡していると。
 この拘禁反応の大変ある人間を保護房に入れることが極めてやはり問題ではないかと。国立の医療施設を、病院を見に行ったときに、外に出れないようにしているんですが、窓とか少しすき間を空けてロックをしているので、本人は外には出れないけれども外は見れるというかですね。
 私は、名古屋で保護房、名古屋刑務所の保護房に入りましたが、完璧密閉状態で数時間いるだけでもかなり圧迫感があるのですが、このように拘禁反応があることが分かっている人間を長期間入れ続け、東京拘置所は一日後に死亡と、こういう事案について今後検討の余地があるんではないか。医療の問題、それから保護房収容の要件の問題、保護房収容中の対応の問題、保護房の構造の問題など課題があると思いますが、大臣あるいは局長、いかがでしょうか。
#147
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 初めに、委員先ほど、平成六年七月の大阪拘置所の死亡事案につきましてカルテが提出されていないけれども出してもらいたいということでございましたが、このカルテにつきましては保存期間が既に経過しまして、この施設においては保存されていなかったので提出できなかったものでございますので、御了承いただきたいと思います。
 それから、保護房の問題、拘禁反応のある者を保護房に収容したことについてですが、そのいずれも現在も調査また行っているところでありますけれども、一般的に考えますに、先ほども別の委員の御質問に対してお答え申し上げましたように、保護房収容時にはやはり医師が診察をしてその上で判断、その判断を得て保護房に収容し、あるいはそれを継続するということをしておりますので、一概にそれが不当であったというふうに言っていいものかどうか、私としてはちょっと疑問に思っているということであります。
 ただ、一般的に保護房のありよう等につきましてはいろいろ指摘されているところでございますので、そういった御意見は十分私どもも検討してまいりたいというふうに思っております。
#148
○福島瑞穂君 先ほど櫻井委員の方からも医療が不十分ではないかという意見が出ました。私もそう思います。
 保護房に入れて、完璧密閉状態のところを拘禁反応のある人を入れるとますます拘禁反応が出てきて、最後は何か虫の息になって死んでしまっていると。これはやっぱり極めて問題で、革手錠は廃止になるとしても、保護房収容がこんな形で行われていたら形を変えた形のまた人権侵害が起きるのではないか。
 大臣、保護房の構造は完全密閉状態なんですが、これについてどうお思いでしょうか。あるいは、今まで保護房に入られた、視察で入られたことはありますか。
#149
○国務大臣(森山眞弓君) 私も、視察しまして何分間か入ったことはございます。
 御指摘のように、拘禁症状という人がいて、しかもそれがとてもひどい状況である人を、ああいう場所に長時間入れると相当の反応といいましょうか、問題が出てくるのではないかとは思いますが、これはあくまでも、いわゆる精神的な病気の一つでございますので、精神科の先生の御診断によって今までやってきたところでございますが、御指摘のような問題が現れてまいりましたので、今後は保護房の問題についても、拘禁症状の人をどうするかということについても、それらを含めて行刑改革会議、その他専門の先生もいらっしゃるわけでございますので、そのお知恵をかりながらやっていきたいというふうに思っております。
#150
○福島瑞穂君 保護房の構造と、それから保護房収容の要件、それから書類を見ますと、精神科医の役割がどうもうまくやはり機能していないんではないかというふうに大変思います。その点の改善をしていただけなければ、革手錠による死亡事案はなくなっても、保護房に収容されて最終的にはそこで心不全等で亡くなってしまうという、そんな事案が続くだろうと思います。
 今回、また、カルテ等を見ておりまして、脱水症状で死ぬ人がいるということにまた改めて驚きました。脱水症状で死ぬというのはやっぱりちょっと非常に変なわけで、保護房に、例えば夏場、保護房に入れたりしますと脱水症状が起きたりするわけですが、例えば静岡刑務所の平成十二年二月、死亡時四十二歳、直接の死因は不整脈ですが、他の疾病として脱水症があります。この人は脱水症だったにもかかわらず適切な処理が取られていないということが考えられますが、脱水症による衰弱死という疑いはないのでしょうか。
#151
○政府参考人(横田尤孝君) この事案について御説明申し上げます。
 御指摘の事案につきましては、七月の事案でございますけれども、死体検案書には直接死因は脱水性ショックと記載されておりますけれども、死亡当時、本人は独居房に拘禁されておりました。そして、房内には給湯された湯茶が備え付けられておりましたことから、水分は常時摂取し得る状態にありました。ほかの被収容者と同様に、水分補給につきましては特段の措置は実施しておりません。
 なお、入所後、死亡までの間、本人に対する医療措置につきましては、入所時の健康診断においてうつ病と診断し、精神科医師による診察及び抗うつ剤の投薬治療を実施しておりましたところ、入所後約一か月後には抑うつ気分も軽快していたほか、腹痛の訴えに対しても投薬治療を実施しており、本人に対する医療措置は適正に実施されていたものというふうに承知しておりますが、詳細につきましてはなお調査中でございます。
#152
○福島瑞穂君 脱水症と書いてあるのにもかかわらず、医療は適切に行われていたという今答弁ですが、脱水症というふうになっているにもかかわらず、医療は適切だったとお考えでしょうか。
#153
○政府参考人(横田尤孝君) 今、ちょっと失礼いたしました。今、大阪拘置所のケース、私、間違って御紹介いたしました。
 静岡刑務所の事件でございますが、委員がおっしゃったのは静岡刑務所十二の二のケースですね。ちょっと申し訳ありません、お待ちください。
 失礼いたしました。この静岡刑務所十二の二の番号の事案につきまして、その医療内容等につきましては取り急ぎ調査しまして、また御質問あればお答えしたいと思っております。失礼しました。
#154
○福島瑞穂君 質問通告はしていたのですが、ではよろしくお願いします。
 大阪拘置所十三の四の死亡時三十八歳のケース。死体検案書には全身貧血、脱水状態。死亡帳は脱水性ショックというふうになっています。これは保護房動静視察表があるはずなのに提出をされておりません。これはなぜなのでしょうか。
#155
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 今回の資料提出に当たりましては、保護房収容に係る動静記録等の資料の提出につき、保護房収容中及び革手錠使用中の死亡事案又はそれらの解除直後の死亡事案のみならず、保護房解除後おおむね一週間以内の死亡事案についても広く提出することといたしておりますが、御指摘の大阪拘置所十三の四の事案につきましては、保護房解除の二十六日後に死亡した事案でございましたことから、保護房収容中の動静記録等を提出していなかったというものでございます。
#156
○福島瑞穂君 是非、このケースはなぜ脱水症状になったのか分かりませんので、では保護房動静視察表を是非見せてください。お願いします。
#157
○政府参考人(横田尤孝君) 法務委員会から御要請がございましたら、改めて提出を検討いたします。
#158
○福島瑞穂君 この人はなぜ脱水症状になったのでしょうか。なぜ脱水性ショックで亡くなったのでしょうか。
#159
○政府参考人(横田尤孝君) 先ほど私が勘違いして御説明してしまいましたケースで、先ほど申し上げましたように、本人は当時、独居房に拘禁されておりましたけれども、水分は自分では取り得る状況に置いてあったということでございます。
#160
○福島瑞穂君 この人は、夏場に二度にわたり保護房に拘禁し、その後の経過の中で脱水症状で死亡に至っております。これは保護房収容にかかわる視察表と保護房動静視察表が提出されておりませんので、改めて提出をお願いいたします。
 水分の補給、精神科医療が必要な状態であることが明らかであるにもかかわらず、精神科医療の対象としないで保護房収容を繰り返して身体的に衰弱させ、結果として脱水性ショックで死亡したのではないかというふうに思います。
 これは、例えば今回、覚せい剤の後遺症による全身貧血が原因とされる覚せい剤の後遺症についての医療的対応がされていた記録はありませんけれども、そういう、きちっと医療はなされていたのでしょうか。
#161
○政府参考人(横田尤孝君) まず、先ほどの資料の点につきましては、これは先ほど申し上げましたように、保護房解除後、比較的長い期間を経て死亡しております関係から提出をいたしませんでしたが、法務委員会の方から御要請がございましたら提出します。
 それから、あとのことで、これ、大変失礼ですが、どのケースを指しておいででしょうか。
#162
○福島瑞穂君 済みません、大阪です。大阪拘置所のケースです。十三年七です。
#163
○政府参考人(横田尤孝君) 確認させていただきたいんですが、十三の四ではなくて七でございましょうか。
#164
○福島瑞穂君 はい。
#165
○政府参考人(横田尤孝君) 失礼しました。十三の七ですとちょっと調査しておりませんので、これも至急調査して、必要がございましたらまた御質問にお答えしたいというふうに思います。
#166
○福島瑞穂君 質問通告は大阪拘置所十三―四でしておりますので、是非お願いいたします。
 今日は、九つのケースについてちょっと簡単でしたが、質問をしました。
 一番冒頭に申し上げました川越少年刑務所、これは死体検案書から見て明らかにおかしくて、なぜこれがきちっと捜査をされなかったのかというか、なぜ不起訴になったのかという点も含めて、先ほど調査をするというふうにおっしゃいましたが、続けてこの調査について後日きちっと報告をお願いいたします。また、カルテや動静視察表がないのもありますので、その点をよろしくお願いします。
 また、今回、精査をして、死亡帳に保護房収容がなくて、実は保護房収容をしているケースなどあります。そうしますと、もっと法務省自身が、なぜ死んだのか、どういう状況で死んだのかという把握をもっときちっとやる必要があると思いますが、死亡帳については保護房収容等についてもっと統一的にする必要があるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
#167
○政府参考人(横田尤孝君) 私どもといたしましては、この法務委員会からの御要請に対しまして、ある程度統一的な形で資料を整えまして、そして御提出申し上げたつもりでおるんですけれども。
#168
○福島瑞穂君 そうしたら、ないので、カルテや動静視察表が提出されていないのもありますので、改めてまた請求をさせていただきたいというふうに思います。
 では、それぞれなぜ脱水症状で死んだのかということなども申し上げました。是非、今後も、細かくなりますが、調査をよろしくお願いします。
 また、今日お話ししましたように、拘禁反応のある人間を保護房に入れて、最終的にそこで衰弱をして、どう考えてもその中で死んでいるというようなケースについては、保護房収容の在り方も含めて、あるいは、ある程度精神疾患のある人の対応も含めて、ますます悪化をさせて、医療が不十分なために明らかに死んでいるという事案だと私は思いますので、この点について調査及び今後の改善をよろしくお願いしたいと思います。
 大臣、一言、医療とこの保護房の収容について決意をお願いします。
#169
○国務大臣(森山眞弓君) 刑務所における医療というのは非常に重大な、深刻な問題だとかねて思っておりました。このたびのいろいろな事件を分かりまして、ますますその感を深くしているところでございます。御指摘のことを踏まえて努力していきたいと思っています。
#170
○福島瑞穂君 以上です。
#171
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#172
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。
    ─────────────
#173
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、財務大臣官房審議官村瀬吉彦君及び文部科学大臣官房審議官清水潔君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#175
○委員長(魚住裕一郎君) 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#176
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。法科大学院教員派遣法について御質問をさせていただきたいと思います。
 昨年秋の臨時国会で、いわゆるこの法科大学院関連法が通りまして、今ロースクール、法科大学院の開設に向けて行政の方々も、そしてロースクールに携わる、法科大学院の設立に携わる現場の方々も大変に御努力をされていらっしゃることに敬意を表したいと思いますが、今日はまず最初に臨時国会、前回の臨時国会でこの法務委員会で附帯決議が幾つかなされてございます。その附帯決議がきちっとその取組がされているかどうかといった辺りから質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、再三にわたり、私ないし同僚の委員からも御質問をさせていただいております。
 附帯決議でもございます資力の乏しい者にも公平に就学の機会を確保するとともに、法科大学院在学中に充実した教育が受けられるよう、法科大学院の学生に対して、奨学金制度の拡充や民間資金を活用するなど新たな公的財政支援策の創設に努めることということが附帯決議でも決まっているわけでございます。
 それで、やはりこの学費の問題というのは何度強調し過ぎてもし過ぎることはないという重要な問題だと思っています。日弁連がこの一月にアンケートをいたしておりまして、年間の授業料が百万円を超えると五割の志望者がもう法科大学院の進学を断念をすると、こういうアンケートが出ております。これは奨学金の貸与がない場合でありますけれども。
 で、さらに、そのときの質疑でも、大体平均が二百万円台になるという、こういうお話でございましたが、法科大学院の学費ですね。年間授業料二百万円と仮定すると、年間百万円の奨学資金を貸与しても、これ大体今これぐらいはもらえることになっているわけでありますが、百万円の奨学金を貸与しても約八割が進学を断念、まあ要するに返さなきゃいけないですから、断念すると。年間二百万円を貸与しても、要するに丸々奨学金が借りれるとしても、なお三分の一の方々が進学を断念をせざるを得ないと。これは現下の不況でなかなか学費支援者、いわゆる親御さんを中心とする学費支援者の経済状況というのが悪化していると。しかも、法科大学院の場合は若くて二十二歳から大体二十五歳と、そこ、いろいろ浪人とか留年とかあればそれが二十六、二十七と、こう上がってくるわけでありますから、そういう年齢の問題も両方相まって、こうした大変に学生あるいはそれを目指す学生の皆さんにとっては極めて経済的問題というのが重くのし掛かっているということを表しているというふうに思います。
 で、私の質問は、正にこの法科大学院で学ぶ学生の経済的負担の問題についてお伺いをしたいわけでありますが、方法論は二つあると思います。授業料を安くするということと、それから学生に対する奨学金をより手厚くする、こういうことでありますが、これを一つ一つ分けて御質問させていただきたいと思いますが、まずは授業料、いわゆる学費自体の抑制を行うために、現在、法科大学院向けあるいは専門職大学院向けの助成金あるいは交付金をどのようにより充実をさせていくのかと。この点は大学関係者からも強い強い要望が出ているところでございますが、この検討状況についてお話をいただきたいと思います。文部科学省。
#177
○政府参考人(清水潔君) お答え申し上げます。
 今、ただいま委員御指摘のように、法科大学院における進学機会の確保という観点から、学費の問題は非常に重要な問題であるということは私ども認識しておるところでございます。
 ただ、今現段階におきましては法科大学院はこの六月の末が設置認可の申請を、そして十一月の末に設置認可をというふうな状況でございまして、各構想されている法科大学院がどのような学費の設定をお考えになっているかということは私どもは把握しているわけではまだございません。
 しかしながら、法科大学院は御案内のように正に法曹養成に特化した教育を行うものとして、とりわけ少人数の教育等々、様々な観点から通常の大学院に比べて教員組織その他の充実が求められているところでありますし、また、そういう意味では大学側の負担というのも大きいわけでございます。仮に、これが受益者負担というようなことで、そのまま授業料に転嫁されるという場合には授業料の高額化を招き、また進学の機会にも大きな影響を与えることになるであろうと、こういうふうに思っております。
 ということでございますけれども、法科大学院に対する私学助成の在り方ということにつきましては、実はこの法科大学院の設置が先ほど申し上げたようなスケジュールという中で、各方面での様々な御意見あるいは各大学の検討状況というものを十分に踏まえさせていただきまして、この夏の概算要求に向けていろいろ具体的に今検討させていただいているというふうな状況でございます。
#178
○鈴木寛君 六月にならないと概要が分からないというお話でございましたが、正に今、審議官おっしゃったように、この夏の概算要求が本当に正念場だというふうに思います。次行われます国会は恐らく秋になると思いますから、本国会でやっぱり国会の意思としてきちっとその問題について来年度の予算要求に反映をさせていただきたいということを強くお願いを申し上げます。
 それでは、次に、この奨学金の方、正に学生に対してどういう支援を行っていくかと。この中心が奨学金制度だというふうに思っておりますが、これについて少し細かく伺ってまいりたいと思います。
 現在、日本育英会、これは学生支援機構に変わるんだと思いますが、日本育英会の貸与の上限度額というのは月額の十三万円だというふうに理解をいたしておりますが、先ほども申し上げましたが、二百万円貸与してもまだ三分の一ということでありますが、ですから最低限二百万円、年間、この貸与を受けるということは、これは必要最小限のことだというふうに思います。そういう観点で、私は月額十三万円を少なくも二十万円程度には引き上げるべきではないかというふうに思いますが、まずはこの貸与上限額の引上げ、もちろんその枠の中でどれだけ使うかは学生の判断でありますが、制度論としては上限枠を引き上げておくべきだと、こういうふうな問題意識を持っているわけでありますけれども、まず貸与上限額についての検討状況をお聞かせをいただきたいと思います。
#179
○政府参考人(清水潔君) 奨学金についてのお尋ねでございます。
 先生御案内のように、大学院修士課程については無利子貸与奨学金と有利子貸与奨学金というのがございます。
 無利子貸与奨学金については、十五年度におきましては貸与年額を二万四千円増額し、また貸与人員を一千人の増員を図りました。有利子貸与については、御指摘のように現在五万、八万、十万、十三万から選択し、十三万の場合ですと年額百五十六万というような状況になっているわけでございます。
 なお、修士課程の学生について申し上げさせていただきますと、貸与率自体は学生数の四割というふうな状況でございますが、全体として貸与基準を満たす者については希望者はほぼ全員が貸与されているというふうな現況にございます。
 法科大学院の奨学金、ただいま上限額ということについての御指摘でございますけれども、いずれにいたしましても、経済的な理由によって学ぶ機会が失われることがないという観点に立って、先生御指摘の事柄も含めまして、私どもいろいろな方策についても今現在、今度の概算要求に向けて鋭意検討しておると、こういうふうな状況を御理解賜ればというふうに思います。
#180
○鈴木寛君 無利子の話は次伺おうと思ったんですが。
 私も、まず有利子について、少なくとも大学院についてはこの二年間、私も何度も何度も文教科学委員会で申し上げさせていただきまして、その御意向を受けて希望者全員奨学金制度について、大学院についてはかなりの程度、実効が上がっていることについては大変評価をいたしております。
 しかしながら、先ほどの趣旨は、有利子についてまずきちっと上限を引き上げていきましょうということです。それから、やはり無利子か有利子かというのも、これ非常に学生にとっては大事なポイントでございまして、今のところまだ無利子貸与の枠といいますか、あるいは要件というものがもう一段緩和をされると大変に効果的であるということの問題意識の下に、今御答弁ありましたので、無利子の貸与枠の拡大、貸与者数の拡大、それからその要件の緩和ということについては、これまた特段の御配慮といいますか御検討をお願いを申し上げたいと思います。
 その際に、いわゆるいろんな基準を作る上で、せっかく学校教育法まで変えて、いわゆる専門職大学院制度という制度をわざわざ作ったわけですね。それまでも実態上は、社会人向けの大学院というのはいろんな大学で、それぞれの大学の御努力によってできていた。しかし、わざわざなぜ専門職大学院という法律の枠組みを作るんですかということが、昨年の臨時国会の学校教育法の議論のポイントの一つだったと思いますが、やっぱりそういった意義を生かすためにも、この要件基準を緩和する中で、特に社会人、社会人が学ぶ可能性といいますか、要するに自立した学習者が学ぶ可能性の高い専門職大学院においては、こうした法改正の意義をより生かしていくように御努力をいただきたいというふうに思っております。
 それから、あわせまして、現在、日本育英会が学生支援機構に変わろうとしています。その中で、学生支援機構の中でいわゆる債務保証という仕事が位置付けられているということは私も一定の評価をさせていただいているわけでございますけれども、育英会からの奨学金、いわゆる公的奨学金のほかに、民間からのいわゆる教育ローンというものをどのように活用をしていくのかということも非常に重要なポイントになろうかと思います。
 その際に、民間金融機関が、まだいわゆる返済資力が十分でない、特に本人が教育ローンを借りるといった場合には、現行の非常に厳しい金融庁監督下の中では民間金融機関もなかなか、まだ海のものとも山のものとも分からない、しかし志はあって勉学の意欲はある若い人にお金を貸すというところにいかない。これは日本社会全体のいろんな問題がここにも一つ露呈しているんだと思いますが、そういう中で、せっかく改編、改組されて更に機能充実をさせていこうとされている学生支援機構の措置として、法的な措置はある程度担保できましたが、具体的にそれをいわゆる政府保証ローンという形で御検討もいただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#181
○政府参考人(清水潔君) 御指摘のように、奨学金と似たものでございますけれども、今、教育ローンということで、例えば国民生活金融公庫や銀行、労働金庫等によって、学生を持つ親を対象とした一時的資金融資として教育ローンが幅広く実施されているところでございます。
 今御指摘の教育ローンに対する政府保証制度につきましては、先国会でも御議論がございましたように、その先例としてのアメリカでの状況でございますとか、あるいは官民の役割分担でありますとか、受益者負担の観点、そのほかには、厳しい財政状況での新たな財政支出の可能性等も勘案しながら、どういうことが可能か、平成十六年度概算要求までに財政当局始め関係省庁とも十分相談してまいりたいというふうに考えております。
#182
○鈴木寛君 今日は財務省はお見えですね。
 今、民間ローンに対する政府保証の話を文部科学省からいただきましたが、なかなか民間金融機関も、厳しい金融庁の監督の下で、こうした創造的な融資制度を拡張するという方向にはなかなかエネルギーが行っていないことも事実でございます。そういうときこそ正に、今、審議官から御答弁の中にもございましたけれども、国民生活金融公庫の教育ローンというのは、制度が拡充をされていく、この数年間で文部科学省、財務省の議論の中でどんどんしていかなければいけないと思いますが、しかしもう入学する人がいるわけでありまして、そういう人にとってみれば、まずは国民生活金融公庫のローンというものは非常に重要な支援策の一つになるというふうに思います。
 現状は、これは国民金融公庫の貸出し上限は二百万円ということになっておりますし、それから実態上は、貸出しの相手は本人ではなくて九九%が親でございます。この点は私はやはり速やかに改善をすべきではないかというふうに思っておりまして、具体的に申し上げますと、貸出し上限を二百万円から例えば五百万円ぐらいに引き上げるとか、あるいは貸出しは親ではなくて本人が貸出し先になるように、こうした質、量ともの、あるいはその保証人などを緩和するとか、いわゆる国金の教育ローンについても、今回のロースクールあるいは法科大学院、専門職大学院制度の発足に合わせて、一層の拡充を御検討をお願いを申し上げたいと思いますが、財務省の御答弁をいただきたいと思います。
#183
○政府参考人(村瀬吉彦君) お答えいたします。
 国民生活金融公庫の教育ローンということでございますけれども、先生も御案内のとおり、最近の行革論議の中で、一昨年の十二月に策定されました特殊法人等整理合理化計画というのがございまして、これを踏まえて厳しく見直すというようなことでございまして、実は貸付規模を縮小しております。こういう状況でございますと、やはり貸付限度額の引上げにつきましては、やはりそういった政策金融機関の改革あるいは官民の役割分担といった観点を踏まえた上で検討しなければならない課題ではないかなというふうに考えております。
 それからもう一つ、貸出し条件の緩和ということで、今、先生、学生本人に対する貸付けについてお触れになりましたが、国民生活金融公庫といいますのは、民業補完の金融機関といたしまして、財政投融資資金からの借入れ等を原資といたしまして学生等が必要な資金を貸し付けるものでございまして、仮に返済がなされない場合には国民負担によってその損失を補てんするということになってしまうわけでございます。したがいまして、学生本人に対する貸付けにつきましても、現在におきましても学生本人であることをもって貸付けを拒否するという扱いにはなっておりませんけれども、いざ、その貸付けを実施する際になりますと、やはり先ほど申しましたような返済の確実性を確保する観点から、借入人の申込み時点における返済能力というものをやはり考慮せざるを得ないというものであろうと思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、財務省といたしましては本院の決議等を重く受け止めておりまして、法曹志望者が経済的理由からその道を断念することのないようにするというその必要性は十分認識しておりまして、国としてどのような関与を行う必要があるのか、あるいは官民の役割分担や受益者負担の観点も踏まえながら、今後具体化されます法科大学院の実情を見ながら、関係機関とよく相談しながら所要の措置を検討してまいりたいと思っております。
#184
○鈴木寛君 なかなか財務省さんは固いんですよ、委員の先生方、今お聞きいただいて。
 それはいろんな事情があってやむを得ない部分もあるのかもしれませんけれども、全体、今、行政改革の中でいろいろなことが縮小の中にある中で、しかしやっぱり二十一世紀の基盤となる教育とか、あるいは正に今回は司法改革の非常に重要な要素の一つとして法曹人材の育成の在り方と、こういうことで我々議論をしてきているわけであります。そういう意味で、文部科学省さんは先ほどの奨学金の議論などで中心的に頑張っていただいて、大蔵省、財務省も一定の御理解をいただいて前向きの答弁をいただいたというふうに理解いたしておりますけれども、これは是非、文部科学省、財務省、国家的観点から取り組んでいただきたいと思います。
 あわせまして、今日は正に司法制度改革の責任をやっておられます森山法務大臣、副本部長ということでもあろうかと思いますが、司法制度改革本部もこの問題を文部省任せにすることなく、正に国全体、内閣全体の問題として、是非、財務大臣にも督促をし、財務省にも督促をし、この問題、非常に重要な課題でありますので、内閣全体としてきちっとお取り組みをいただきたいということをお願いを申し上げたいと思いますが、司法改革本部、何か御意見、御答弁があれば伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#185
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革は内閣挙げての仕事の一つでございまして、非常に、これからの進捗状況、みんなが努力してやっていかなければいけないと考えておりますが、御指摘のような問題も、各省庁にまたがります、例えば奨学金や学生、教育のローンなど、学生に対する各種の支援制度を充実させるということが必要であるということはみんな共通した認識でございまして、このような趣旨にかんがみまして、司法制度改革推進本部を中心として現下の情勢の中でいろいろな措置を可能な限り考えていきたいというふうに思っています。
#186
○鈴木寛君 どうもありがとうございます。
 本当に、法科大学院制度の問題は、実は高校生も含めて大変関心を持っています、あるいはその親御さんも含めまして。そういう意味で大変にこのところ重要だと思いますので、今は法務大臣で、かつ副本部長でもあると思いますけれども、内閣を代表して前向きな答弁をいただきました。是非、来年度予算に向けて一層のお取り組みをお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、その附帯決議の次のポイントに移りたいと思いますが、附帯決議では「法曹実務家が法科大学院の教員として安定的かつ継続的に参画することを可能にするため、所要の措置を講ずる」と、こういう附帯決議がございます。
 今回、議題となっておりますいわゆる法科大学院教員派遣法というのは、正にそれについての法案だというふうに理解をいたしておりますが、今回、法案を見ますと、裁判官はパートタイムでしか、パートタイムでロースクールに行くと、こういうことになっております。検察官は両方の、パートタイムとフルタイムと、この両方の道ができていると、こういうことで、一見するとこれはアンバランスなことになっているわけであります。これはいいとか悪いとかということじゃなくて、まず事実としてアンバランスになっておりますが、これはどうしてこういうことになっているのかを御説明をいただきたいと思います。
#187
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員御指摘のとおり、検察官それから一般公務員につきましてはパートタイム型とフルタイム型がございます。裁判官につきましてはパートタイム型だけと、こういうことでございます。
 裁判官につきましては、裁判を行う、いわゆる開廷日と言われておりますけれども、これが曜日によって固定をされているということでございまして、そういうような特殊な勤務形態があるということから、本来の裁判官の職務を行いながら法科大学院で教育を行うことができると、そういうことが可能であるという態様であるということでございます。
 それが一点であるということと、もう一点は、裁判官につきましては報酬の減額禁止などが憲法上定められているわけでございまして、そういうような身分保障の関係から、フルタイム型の構成を取るということになりますと給与を一切支給しないという形を取らざるを得ないということになりまして、裁判官の身分保障との関係でそういう対応が果たしていいのかどうかと、相当ではないんではないかということも配慮にあったわけでございます。そういうことからパートタイム型のみの採用ということになったわけでございます。
 御案内のとおり、この法案でも、その関係で給与は裁判官に全額を支給をいたしますけれども、本来、法科大学院から報酬を受け取るべき金額、これにつきましては、受け取らずに国庫に納入をしていただくというバランスを取っているということでございます。
#188
○鈴木寛君 いろいろな憲法上の問題などがあるということは分かりました。
 ただ、週の間で開廷日とそれ以外があれなのでパートタイムで十分だということの消極的なことではなくて、恐らく附帯決議が予想、願っておりましたことは、法曹実務家がやはり学生さんに直接触れて、そして教育が行われるということが、新しい法曹を、法曹人材をつくるという観点で望ましいので、そういう意味で、裁判官がということじゃなくて裁判実務をたけている方が、ここは今の言い方をあえて変えたのはこの後の議論のポイントになりますので今正確に申し上げたんですけれども、少なくとも裁判実務に大変に通じておられる方がロースクールに行く、このこと自体は私は大変望ましいことだと思っておりますし、附帯決議もそういう趣旨で附帯決議をしたんだと思います。
 そういう観点で、裁判実務に通暁された方が、それは多くは裁判官経験者、あるいは裁判官、現職裁判官と、こういうことになると思うんですが、その方が法科大学院に事実上、検察官と同じような程度でといいますか、頻度でといいますか、あるいはコミットメントで行くということは、法律論は法律論として、それ以外に何かこういうふうな方法があるんだという、その身分論はよく分かりましたので、実態としてつい直近まで裁判官をやっていた人がロースクールにどういうふうに、きちっと人材教育ができる少なくともフレームワークは、スキームは用意すべきだと思いますので、その点について何か御答弁があれば、あるいはそのいろいろな知恵といいますか、方策があればお教えをいただきたいと思います。
#189
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、大変重要な点でございますけれども、仮に考えられる方法といたしまして、複数の裁判官をもってフルタイム型の要請にこたえるという方法もあろうかと思いますし、また場合によっては現役を十分に体験をしたOBの、裁判官OBの弁護士さんにお願いするとか、そういう方法で大部分の場合は満たされるんではないかというふうに今考えております。
#190
○鈴木寛君 その点、是非、裁判実務の経験者が、少なくとも制度論としてはあるいはスキームとしては法科大学院により多く派遣する道だけはきちっと付けていただきたいというふうに思います。
 それで、今日の主たる議題であります、正にこの裁判官、検察官の派遣の問題について、少し、実務経験者が専門職教育、正にこの法科大学院のような場で活躍をしていただくことの意味ということを少し掘り下げて考えてみたいんだと思います。もちろん、そのことは院、委員会含めて、附帯決議で決議をしたように、あるいは今回の法律を出してこられたように、関係者の皆様方は意義深いことだということで推進をしていこうと、こういうことなんだと思いますが、どうもその目的とか意義というところが少し若干きちっと押さえておかなきゃいけないのかなということを思いますので、以下の議論をさせていただきます。
 優秀な法曹を養成をするために実務家が関与するということなんですが、その優秀な法曹の意味ですね。私は、きちっともう一回とらえ直したいと思います。優秀な法曹というのは、単に実務がきちんとこなせるということだけではないんだと思うんです。それはもう当然のことでありまして、むしろ優秀な法曹というのは、午前中も正に名古屋刑務所の問題が議論をされました。要するに、どんな政策分野でもどんな実務分野でもそうでありますが、百点ということはないわけであります。必ず現場にはいい点と悪い点があって、そして現状の実務あるいはその根っこになっている制度、その問題点がどこにあるのかということをやっぱりきちっと把握をしてそれを不断に改善をする、あるいは改革をすると、こういう人材を私は優秀な人材だと言うわけでありますし、正に司法の現場で現在の司法の実務あるいはそれを支える制度、そこに、どこに不備があるんだろうか、どこにまだ改善点があるんだろうかということを事前事前に自発的に見付け出して、そしてそれを改革をしていこうと、こういう人材を私はこれは養成をしなければいけないというふうに思っております。
 そういうことからいいますと、もちろん実務がよくできるということも重要なわけでありますけれども、一番ベーシックになるには、やっぱり法曹人としてのリーガルマインドということを私たちもう、学生時代もうしつこく言われました。そのやっぱりリーガルマインドということをきちっとできているのかと。それから、やっぱり基礎とか基本とか、そのベーシックにある、あるいはバックにある思想とか体系とか、そういったものを裏付けがきちっとできてこそ、そうした創造的な法曹というんでしょうか、イノベーティブなローヤーというのが私はできるんだというふうに思っておりますから、法律の世界というのはイノベーションのないというふうに世間に思われているかもしれません、とんでもなくて、一番私はイノベーティブであるべきであると。特に、司法制度改革を行っていくというのは、正に今、法曹の世界にこそ、この司法の世界にこそ、イノベーションあるいはイノベーティブな人材が求められているんだろうというふうに思っております。
 そういう意味では、やっぱりそういう人材を養成する教員というのは、教員自体が正にリーガルマインドを持ち、そして基礎、基本ができて、そしてそれをきちっと制度論に打ち立てられて、そして制度論の不備を見付けて新しい制度論を提案し、そしてそれをさらに実務に具現化していく、こういった人材でなければそういう人材を育てることはできないわけでありまして、私は、検察官、裁判官といえども、やっぱりアカデミックなバックグラウンドというものが必要だと思いますし、アカデミズムというのは、正に批判的精神と科学的な実証あるいは検証に基づく分析ということがやっぱりアカデミズムの基本にあるんだと思います。
 そういう意味で、検察官、裁判官の皆様方の、個人として見れば非常にイノベーティブで、そして自分のやっているお仕事にも非常にそうした科学的な分析的な批判的な目を持ちながら取り組んでおられる方が一杯いらっしゃることは私も承知をしておりますし、大変に敬意を払っておりますけれども、果たして今回のいわゆる派遣のスキームというものが、そうした個々人の裁判官、検察官も含めてですよ、そうした個人のそうしたアカデミックな素養とか、あるいはリーガルマインド、あるいは正義を本当に愛するといいますか大事だと思うそうしたマインドが本当に存分に引き出せる、あるいは、そのことが大学で学ぶ、大学院で学ぶ学生に伝わるフレームワークになっているのかどうかなというところを少し危惧をするわけでございます。
 もちろん、そういう意味で、更に申し上げますと、この裁判官あるいは警察官の方々も、非常に純粋な学生の前に立って、今まで自分たちがやってきた実務というものをもう一回検証し直し、整理し直し、そして体系化し直し、ということは、更にもう一回現場に復帰されたときに、より良い司法現場を実現するという意味で、恐らく御本人にとっても物すごくいいことだというふうに思うわけであります。
 それで、問題は、やっぱり派遣のされ方、繰り返しになりますけれども、それで、特に私は何を問題視しているかといいますと、今回の法案では、検察官の場合も裁判官の場合も、いずれも身分を保有したまま派遣をされるわけですね。更に申し上げますと、裁判官の場合はお給料も全額、その親元という表現がいいのかどうか分かりませんけれども、派遣元が見るわけであります。それから、検察官の場合も足らない分は親元が出すと、こういうことでありますので、身分も派遣元に残っている。そして、更に申し上げると、給料の負担も全額ないし一部、派遣元が支給をされながら派遣をされると、こういうことになっているわけであります。
 幾つかの身分上、身分保障上、憲法上、裁判官の場合は憲法上、それから検察官の場合も実態的に給与が下がってしまうと。そういう中で、なかなか本人の同意を取って派遣をするということが厳しい現状の中で、やむを得ない制度設計になっているということはよく分かるんではありますけれども、実は、このことを私は大変危惧いたしますのは、私自身、行政官でありました。
 ちょうど十年前辺りから総合政策学部という正にポリシースクールというものができ上がってまいりました。ポリシースクールでも正に実務、政策形成経験のある人材を欲しいということで、いわゆる一般公務員の大学現場、経済学部とか法学部とかあるいは行政を教える学部などへの派遣というものはどんどんこの十年間進んでいたんだというふうに思いますが、そういうふうないわゆる役所がコントロールをする人事と、それから、私の場合はちょっと特殊でございまして、私自身、行政官をやりながら学会にも所属をいたしておりまして、個人の立場で様々な共同研究を行ってまいりました。
 そういう中で、お付き合いのありました中央大学の総合政策学部にまずはパートタイムで行くことになりました。私が所属しておりました通商産業省というのは非常に人事に寛容でございますので、行きたいと言ったら、ちゃんと国家公務員法百四条の許可を取ってくれまして行かせてもらいました。両方からお給料を、数万円でありますけれども、いただきました。
   〔委員長退席、理事荒木清寛君着席〕
 しかし、そのときに痛感したのは、私は、たまたま、経済産業省、昔の通産省でありますが、すんなりとこれを認めてくれたわけでありますが、そのときに、やや細かくなって恐縮でありますが、中央大学総合政策学部はいろんな省庁の人に来てほしいというようなオファーを、かつ個人を指名をして、それは要するに共同研究会のメンバーのより多くの、複数のメンバーに来てほしいと、こういう要請があって、そして人事当局に諮りました。私以外の省庁に所属している若いメンバーもそのことを諮りましたけれども、結局、制度的にすんなりと認められたのは通商産業省だけだったわけですね、であります。
 それから、ちょっと話が長くなって恐縮でございますが、そこで若い研究者と、それから若い行政官と集まりまして、「中央省庁の政策形成過程」というプロジェクトをやりました。そして本をまとめました。これは今、行政学の教科書にもなっておる本で、いい仕事をできたと思っているんですけれども、そのときに、その共同研究に参画をすること、あるいは中央大学に出入りすることを差し止められたといいますか、やめさせられた省庁が何人か、何省庁かございます。これは要するに、同じ霞が関の中でも一番通産省がルーズというか寛容というか、なわけでありますけれども、あえてここでは名前は申し上げませんけれども、ここに来ておられる役所の中でもそういうところに出入りしてはいかぬという御指導を受けて、これは中央省庁の政策過程の第一巻に出ていない省庁というふうに御理解をいただいたらいいと思いますが、続編が出まして、その省庁は今、名誉復活されていますが、しかし当時は全省庁に声を掛けて、あそこに出ていない省庁というのはそうしたことに対して非常に消極的だった省庁であります。
 そういうことからかんがみますと、結局、身分を残して、当時であれば関係省庁の、当然これ、学問的研究でありますから、各省庁の政策形成過程の問題点を指摘せざるを得ないわけであります。そして、ここに、当然、通産省もこういうところに問題があると、大蔵省もこういうところに問題があると、しかしこういうふうな改善点があるんだと、こういうことを本でまとめたわけでありますけれども、そういうことができなかったわけですね。
 こういうことを私は痛感をしたものでありますから、やはり身分を残したままの出向は難しいなということで、その次は今度はフルタイムで慶応大学へ行ったわけでありますけれども、その実績に、あるいはその経験にかんがみますと、今回の検察官、裁判官というのは、大学にとって、ロースクールにとっては正に生殺与奪の権能を持つ、もう本当に雲の上の人といいますか、大変に怖い人なわけですね。そういう人から派遣をしてもらうと、しかもその身分を残したまま検察官あるいは裁判官が来るといったときに、本当に正常ないわゆる研究とかあるいは正常な教育というものが、どことは言いませんけれども、一般の省庁ですらああだったと。まして、検察庁ですから、本当にまず派遣された教官の学問と教育の自由というものが果たしてきちっと確保されるんだろうかどうかと。
 それから、これは二つ論点があると思いますが、法科大学院、私たちのグループのように、まず勝手に大学と話を付けてきて人事課とか秘書課に言うというのはやっぱりレアケースでありまして、現在、行政庁から各、特に国立大学の派遣の状況を見てみますと、ある意味では固定ポスト化しています。例えば、経済産業省が何とか大学経済学部に固定的に人事ローテーションの一環で人を送り出していると。何か、出張所というか島があるわけですね。何とか省が東大にポストを作ったから、うちもよこせとかといって介入をしてきたりという話も現に起こっております。
 これは、決して私は検察庁の出先機関、教育機関をロースクールに作るということではあってはいけないんだろうというふうに思っておりまして、今長々と私の実体験に基づく今回の法律の懸念を御紹介あるいは御質疑をさせていただいているわけでありますけれども、そういう意味で、法科大学院といわゆる派遣先の法務省あるいは裁判所、あるいはそれを仲立ちするといいますか文部科学省、この関係者が、条文の書き方は、派遣の要請に対し相当と認められるときは法科大学設置者との取決め内容を裁判官ないしは検察官に明示して、同意を得られたら、期間を決めてそして派遣できると、このように書かざるを得ないということは分かります。分かりますけれども、実態上として、これは十二分に、十分に、普通にやっていたら、向こうは萎縮していますから、ロースクール側は、これは検察官を受け入れて何か、検察官にもいろんな方がいます、教育のお上手な方、そうでない方。
 それから、こういうこともあります。行政庁からある大学に派遣をされていた方で、最近は大学は教員の評価というのをやります。教員の評価をやりますと、しかもそれがある程度公表されます。人気のゼミとかそうでないゼミとかというのはホームページ見れば一目瞭然とか、こういうことになるわけですね。ある省庁から派遣された先生が、もうこれは私は教育のあるべき姿だと思いますが、どういう理由かよく分かりませんが、学生からの評価が非常に悪かった。それが怒ってしまって、もうおれは帰るとかという、こういう出来事もあったりして、いろんなことがこれ起こるんだと思います。それから、いろんな理由で、派遣されてきた検察官あるいは裁判官を任期途中でありますが、いろんな事情でやっぱり取り替えてほしい、替えてほしいというようなことも、これやってみないとよく分からないところもありまして、恐らく両方が手探りだというふうに思います。
 そういう意味で、私が申し上げたいのは、大学側のそういう教員派遣についての、まず派遣の前段階における事前の選択権というものがどれだけ確保されているんだろうかどうかと。この方はどうも、どうもといって、ちゃんと、よりこういう方を派遣していただけないでしょうかということを大学側がちゃんと言えるのかどうかですね、そういう選択権。あるいは、今までは送っていただいたんだけれども、内部でそういう検察関係あるいは裁判官関係の人がかなり人員の手当てができたので、もう結構ですと、あるいは取りあえずちょっと検察庁からの派遣はお休みをさせてくださいというような、拒否権と言ったらおかしいんですけれども、そういうことが、あるいは途中変更の申出とか、こういうことは相当役所側が注意をして、留意をして聞いてあげないといけないんだというふうに思います。
   〔理事荒木清寛君退席、委員長着席〕
 そういう意味で、関係省庁と法科大学院当事者とのコミュニケーションの在り方と、これはどういうふうに今現状なっていて、かつ今のような懸念というものがどの程度あって、あるいはそういう懸念がないようにどういうふうな具体的な手当てが行われているのかということについてお答えをいただきたいと思います。
#191
○政府参考人(寺田逸郎君) 今、鈴木委員の方から、建前としてお話しになられましたこの制度の仕組みでございます。すなわち、法科大学院の方から具体的な要請がありまして、どういうタイプの教官に来ていただきたいかということをかなり詳細に、バックグラウンドも含めましていろいろニーズをお聞かせいただきます。そういうニーズにマッチした人を法務・検察としては選んで、これは今後の法曹社会をしょっていただく人の教育のために送り出したいと、こういうような気持ちでこの制度を運用していきたいと、このように考えているわけでございます。
 具体的には、法務・検察を通じまして、この法科大学院の支援のための協議会を設けておりまして、そこの事務局を今年の一月に既に準備的な意味合いでございますが発足させてございます。既に、法科大学院を設置したいという御意向をお持ちのそれぞれの大学から要望が、これまた準備的ではございますけれども寄せられております。そういったところの御要望を今後も十分にお聞きして、私どもとしては決して私どもの方での押し付けにならないような心構えでその窓口を通じてできるだけニーズに沿った応対をできるような、今後もそういう体制を続けていきたい、このように考えているわけでございます。
#192
○鈴木寛君 私もロースクールの関係者のいろいろなネットワークの中から何か個別の問題がございましたら、今の答弁を踏まえまして、していただきましたので、また個別にそういう問題点があったらお願いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 繰り返しになりますけれども、やっぱり決して警察庁の都合のいい、いわゆる警察──検察についてのですね、検察庁の都合のいい検察官養成のための教育であってはならないということ、やはり現状の検察行政について批判的な教育というものがやはり行われるということ、それからやっぱり検察官の身分を持ったまま検察官が教員に立たれる場合でも、それはあくまでその大学の教員でありますから、そういう意味での学問の自由と教育の自由というものはきちっと確保されているということを是非お願いをしたいと思いますし。
 とりわけ、午前中でも問題となりましたのは、やっぱり今本当に健全な、特に刑事関係の法曹をどう養成するかということは非常に重要な問題だったと思います。やっぱり何かどこかが欠けていた、足らなかったことによって午前中問題となりましたような問題が起こっているんだというふうに思いますから、特にロースクールで行われます、要するにその極めて健全な、特に刑事関係の法曹を養成するためのカリキュラムですね。正に、リーガルマインドを持って、そして正義と公正に満ちた日本社会を創造する人をつくるんだという観点で、やはりベーシックな刑事法というのは非常に極めて深遠な学問的体系と思想的体系を持っているわけであります。正に、近代社会についての、あるいは人権についての基礎的な理解ということが私はやっぱり十分行われていなかったと私は言わざるを得ない。そういう意味で、そこをもう一回きちっとやり直すということ。
 それから、やっぱり検察実務というものについてもう一回きちっと教えるということ。それから、それとともにやっぱり刑事裁判の実務ということを教えなきゃいけませんから、やっぱりそういう意味では刑事裁判の経験者がきちっと検察実務を教えるとともにそのことも教えていかなきゃいけない。更に申し上げますと、刑事弁護ということも、これはやはりきちっと教えていかなければいけないと。さらに、人権教育ということもちゃんとやっていかなきゃいけない。このバランスがやはり重要でありまして、決していわゆる検察実務だけができる人材ができないように、これはそういう観点で、結局はそのバランスが欠ければそのことは検察行政あるいは人権行政というところにはね返ってくるわけでありますから、そういう観点で是非ともより良い刑事関係の法曹を育てるという観点から、教育、学問の自由あるいはそのバランスある実態というものが保証されますように、森山大臣からもより一層の御指導とリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#193
○国務大臣(森山眞弓君) 先生が御自分の体験に基づいて非常に参考になるお話をしていただきまして、私も大変勉強できたと思っております。
 法科大学院は、度々お話もございましたように、大学側からの要請に基づきまして、そしてその大学が要請するような人を我が方で選んでごあっせんするというやり方でございますので、あくまでもその大学の自主性ということがまず第一にあるわけでございます。
 その大学の学問の自由とか建学の精神とか、いろいろあると思います。その教育方針に沿って自分の実務からの経験を若い人に分かち与えるという立場でございますので御心配のようなことは起こらないと私は信じておりますが、万一そのようなことになりましたら、そのときは大学とよく御相談をして、間違った配置であればそれを撤回するということも大いに可能でありますし、また別の人を選ぶということもできますし、大学の方からはもう検察あるいは裁判官は頼まないという方針もあり得るわけでございまして、どこまでも大学、法科大学院の側にイニシアチブがあるわけですので、御心配のようなものはないと私は考えておりますし、そういうことがないように心掛けていきたいと思います。
#194
○鈴木寛君 是非とも今、法務大臣のおっしゃったことがきちっと実現されますようにお願いを申し上げたいと思います。また、問題が生じましたときには委員会で御質問をさせていただきたいと思います。
 それから、これは要望、御検討をさせていただきたいということなんですけれども、先ほど私の事例をくどくど申し上げましたけれども、ああいう大学といわゆる行政官の健全な関係ができたというのは、やはり学会活動を、公務員のいわゆる個人の立場における学会活動をそれなりに許容していた、あるいは更に言うと奨励をしていた役所と、それからそのことを非常に抑制をしていた役所の差だということが一つは言えるかと思います。
 そういう意味で、現職の裁判官、検察官が個人の立場で学会活動をすることは、これは当然、憲法の保障されている権利だというふうに思っております。そのように理解しております。もちろん、それ以外の憲法上の制約は当然でありますけれども、しかし個人の立場で現職の裁判官、検察官が学会活動をすることは当然認められているわけです。特に、裁判官の方には大変に優秀な論文などを、あるいは発表などを学会で行っているという事例もありますし、そういう大変に優れた個人の裁判官がいることは現状でも私は非常に高く評価をしておりますが。
 裁判所あるいは検察庁としても、特にこれ、検察庁に申し上げたいと思いますけれども、個人の立場での検察官が、あるいは検察庁、法務省の職員が学会活動をするということについて、実質的にもこれはきちっと保障をしていただきたいということを現場のレベルにも是非意識共有をして──これは上司によって全然違うんですね。どんどんやってこいという上司のときはいいんですけれども、上司が替わってしまって、何でおまえそんなことをやっているんだというふうに行われる場合と非常に極端でありまして、共同プロジェクトを組んでいると、突然何かこう、いや出づらくなってねとかという話がございまして、これは正に検察庁内のいろんな意識の問題だと思いますし。
 そして、本当にそういう現場の法曹の方々がこういう共同研究あるいは共同のいろいろなゼミナールとかに参加するということは、物すごく意義があることでございます。その延長線でいろんな関係ができてロースクールにパートタイムないしフルタイムで派遣をされていくということは、私は非常に自然だし、あるべき姿だと思うんです。それで、その中で最終的にこの法律に基づいて円滑な派遣がなされるということになりますと、トライ・アンド・エラーとは言いつつもエラーの部分がかなり少なくなるということにもつながりますので、是非この点についてはよろしく御考慮をお願いを申し上げたいというふうに思っております。
 で、今申し上げたようなことがやはりこれ、適切に行われるかどうか。先ほどは森山法務大臣から明確な御答弁いただきましたけれども、もちろん役所自身が気を付けるということもこれあります。しかし、もう一つ大事なことは、私はやはり第三者評価機関が充実をしていくということだというふうに思っております。
 これも附帯決議、臨時国会のときの附帯決議で、大学の創意工夫が尊重されて、そして多様な人材を幅広く受け入れ、この中に今回の裁判官とか検察官も入るんだと思いますが、自由かつ柔軟で特色ある教育が行われるよう配慮するととともに、実質的に対等な条件で認証評価機関相互の公正競争が確保されるよう民間の認証評価機関についての財政支援等にも努めるということでありまして、いわゆる学位授与機構以外の正に様々な専門の民間評価機関が、このロースクールは先ほど申し上げましたような健全な刑事関係法制の人材育成という観点でちゃんとやっているかどうかというところもこうした第三者評価によってきちっと評価をされて、そしてソーシャルプレッシャーの中で改善をされていくということがこれまた望ましい在り方なんだと思います。
 そういう意味で、中立の第三者評価についての支援あるいはその助成ということがどういうふうになっているのかということについてお答えをいただきたいと思います。
#195
○政府参考人(清水潔君) 先生御指摘のように、法科大学院の評価については、複数の評価機関が多様な観点から評価活動を展開し、評価機関相互に切磋琢磨しつつ多元的な観点から評価が行われるということは重要なことであるというふうに思っております。
 先ほど御指摘がございましたような財政的な支援の問題でございますが、当院の附帯決議も踏まえまして、正に対等な条件で公正な競争ができるよう、財政状況も勘案しながらどのような支援が可能かということについて今後検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、付け加えさせていただきますれば、十五年度予算におきましても、第三者評価機関が適切な評価を実施するための準備、そのための調査研究について私ども、予算の措置を行っております。正に、認証評価機関として認証を受けるための準備を進めている機関に対しては、その調査研究について委託という形で多少支援を行っていきたいというふうに考えております。
#196
○鈴木寛君 それから、同じく附帯決議で法科大学院の全国適正配置、これについても項目がございました。これについてはいかがでしょうか。ロースクールが全国に適正に配置されているかどうか、現在の検討状況と今後の取組についてお願いいたします。
#197
○政府参考人(清水潔君) 御指摘がございました正に附帯決議あるいは改革審意見書の適正な教育水準の確保を条件として、自発的創意を基本にしつつ全国的な適正配置をどう図っていくかというふうな観点でございます。
 私どもとしては、設置基準を満たしたものについては広く参入を認めるという方向で考えておりますが、先ほど御説明申し上げましたように、認可申請がまだなされていないという現段階でなかなか見通しを申し上げることは難しゅうございます。
 ただ、現在のところで私どもに相談が参っている状況で申し上げますと、国公私合わせまして七十八大学、これは一回でも相談に来られたということ、あるいは熟度から見ていささかどうかなというのも含まれておりますけれども、全体として、北は北海道から南は沖縄まで、いわゆる地域ブロックと言われるような単位で見ればすべてのブロックにおいて設立が構想されている、こういうふうに認識しております。
 私どもとしても、適正な教育水準の確保ということを前提にしつつ、我が国の三権の一翼を担う法曹を養成する大学であることを踏まえながら地域的な適正配置ということにも十分配慮してまいりたい、このように考えております。
#198
○鈴木寛君 ありがとうございました。
 法科大学院はかなり、始めてみないとよく分からないというところもございます。今日は特に、裁判所あるいは特に検察庁が法科大学院の自律的運営あるいは教育あるいは研究の在り方ということに対してみじんもいわゆる影響といいますか、その自立性を脅かすことがないようにということについてお話を申し上げさせていただきました。
 本来であれば、私は、やはり身分が残ってしまう、あるいは給与の負担がやはり派遣元であるということが懸念の要素として残るわけでありますが、ここはいろいろな現行の憲法上の問題あるいは様々な問題によってやむを得ないということは現状は理解をせざるを得ない部分もあるわけでありますけれども、これは是非、具体的にロースクールが始まりまして、そしてその状況も見ながらも、常にやっぱりこの問題意識を持ちながら、引き続き今回の制度を不断に我々国会あるいは内閣としてもそれこそ科学的に問題がないか検証し、チェックし、そして必要があればこの問題ももう一回洗い直していくという姿勢だけは引き続き重要だというふうに思っておりますし、そのことは是非とどめていただきまして、今回の、今後の司法制度改革に当たっていただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#199
○荒木清寛君 今も質疑がございましたが、やはり私も法科大学院の成否を決める一つのポイントが財政支援の問題であると思いますので、私もお尋ねをいたします。
 そこで、まず法務大臣にお尋ねをしますが、昨年の臨時国会の当委員会の附帯決議におきまして、「資力の乏しい者にも公平に就学の機会を確保するとともに、法科大学院在学中充実した教育が受けられるよう、法科大学院の学生に対し、既存の奨学金制度等の拡充や民間資金を活用する等新たな公的財政支援策の創設にも努めること。」と決議をしております。この附帯決議について、大臣はどう考えておられますか。
#200
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の参議院法務委員会の附帯決議にございましたとおり、資力が十分でない者が経済的理由から法科大学院に入学することが困難となるというようなことがあってはいけないというふうに考えまして、奨学金や教育ローンなど、学生に対する各種の支援制度を充実させるということは大変重要だと私も考えております。
 政府といたしましては、そのような趣旨にかんがみまして、現下の様々な状況の下でどのようなやり方が可能であって最も適当であるかということを検討しているところでございまして、だんだん来年度の予算の要求を構想しなければならない時期に参っておりますので、かなり具体的な検討がなされているということを聞いております。
#201
○荒木清寛君 次に、司法制度改革推進本部事務局にお尋ねを、確認をします。
 この法科大学院への財政支援の問題につきまして、推進本部の顧問会議及び検討会ではどうした議論がされておりますか。
#202
○政府参考人(山崎潮君) 法科大学院への財政支援の在り方それから学生支援の在り方、これにつきましては大変重要な問題でございまして、私ども、先般、顧問会議が開かれたわけでございますが、その顧問会議の中でも、是非とも考える必要があるという、全員がほぼ異口同音に御発言をされまして、それで、その意向を踏まえまして、私ども本部としてもできる限りのことをしていきたいというふうに考えております。また、検討会の方においても同様な発言がされておりまして、そのような発言を受けまして、本部として、いろいろ関係省庁と御相談しながら、できる限りのことはしたいというふうに考えております。
#203
○荒木清寛君 続いて、文部科学省にお尋ねをいたします。
 法科大学院の設立に関しまして、私立大学の団体からは、国立大学とのイコールフッティングを実現をする観点から、例えば国立大学との公平な競争環境形成のために私立の法科大学院に対する支援の充実が必要であるという要望が三団体から出ておりますが、この点について文科省はどう受け止めて対応しておられますか。
#204
○副大臣(河村建夫君) これからの司法を改革していく上で法曹界に優秀な人材をということでありまして、それを、基盤になります大学、この大学院、新しい法科大学院、いかに充実させるかということが非常に大事になってまいります。
 御指摘のとおり、私学団体からイコールフッティングの要請もいただいておるところでございます。現実に、平成十四年の、昨年といいますか、今年度に当たるんですけれども、昨年度の、十四年度の合格者、司法試験の合格者を見ても、私学が五二%と、国立が四七、公立が一%ということでありますから、私学が重要な役割を果たしていることもはっきりいたしております。また、今度、国立大学は法人化をされると、こういう見地もありまして、税制面等も含めて格差をなくしてもらいたいと強い要請をいただいておるところでございます。
 いずれにしても、これから検討に入るわけでございますが、夏の概算要求に向けて私学助成の立場も含めながら具体的に検討し、積極的に私学の法科大学院に支援ができるような体制を作ってまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#205
○荒木清寛君 大変力強い決意を聞きまして、安心をしております。
 学生の立場に立ちますと、何といっても問題になりますのは、先ほども試算がありました授業料でございます。いずれにしても、ある程度ハイレベルのものになると思われます。そうした観点からは、資力の乏しい、例えば資力の乏しい学生に対しては各法科大学院で授業料の減免措置を講じ、そういう減免措置を講じたことを配慮して、例えばそういうところには手厚く私学助成をするとか、そうしたことも考えて、何とか余りこの授業料の負担が過度にならないように配慮をすべきであると考えますが、文科省、いかがですか。
#206
○副大臣(河村建夫君) 荒木委員御指摘のとおり、授業料が高額になるということは、そのために法科大学院に行くのが難しくなる、いわゆる教育の機会均等の観点からいっても問題があるわけでございまして、委員御指摘のような点も含めて考えていかなきゃなりませんし、どうしても少人数教育をやりますので普通の大学の授業とは、やっぱり高額にならざるを得ない面がございます。それ、組織の充実等々いろんな面からも、どうしてもそういうふうに大学側の負担も高まるということも考えられまして、それがそのまま授業料に転嫁されるということがあってはならないわけでございます。
 非常に厳しい経済情勢、財政情勢の中にございますので、財政当局とも相当我々その点を考慮して頑張らなきゃならぬわけでございますが、さっき冒頭申し上げましたように、私学助成の重点化等も含めながら、特に法科大学院に対しては財政支援の充実等、この支援策を強めていくという観点で授業料の高額化を抑えるという立場で取り組んでまいりたいと、このように思っております。
#207
○荒木清寛君 河村副大臣にもう一つお尋ねしますが、この私学助成の充実はもちろん必要でございますけれども、同時に奨学金等の学生支援を充実をすると、拡大するということも非常に大事でございます。
 この点に関しまして、日本育英会が特殊法人になりますので組織が改革をされるわけであります。一部にはそのことによって奨学金が縮小されるのではないかという間違った理解もされておりますけれども、断じてそんなことはないと思います。この改革後のそうした支援組織において、法科大学院の学生に対する支援策をどう措置をするのか、どういう検討を今しておられますか。
#208
○副大臣(河村建夫君) 荒木委員御指摘のとおり、このたび育英会が、日本育英会が日本学生支援機構法、機構に変わっていく今法案をお願いをしているわけでございますが、これは正に、むしろこの育英事業というものをもっと高めていく観点から出しておるものでございまして、決してこれによってこれが縮小するようなことはないわけでございます。御指摘のとおりでございます。
 授業料負担の軽減のための支援策ということが非常に重要になってきておるところでございまして、文部科学省としても奨学金の在り方、特にこの法科大学院の支援の在り方については十分検討する必要があると考えておるところでございます。これも平成十六年、来年四月の発足でございますから、これもこの夏の概算要求の中で考えていかなきゃならぬわけでございます。
 一般的な奨学金については、平成十五年度予算においても、六百二十四億増の五千七百九十億円で、事業費で六万八千人増やして、八十六万六千人の方が奨学金を受けられる。
 奨学金は、これからは自己責任において希望する方には奨学金を差し上げるといいますか貸与する、そういうことが基本でなければいかぬと、こう思っておるわけでございます。特に、これは大学院でありますから修士ということになるわけでございます。そういう意味で、現在、日本育英会の方では、修士課程についても、平成十三年度では八百人ほど併用貸与といいますか、いわゆる無利子の分それから有利子の分含めて貸与、そういうこともやっておるわけでございます。
 一方では、政府保証の減免措置はどうかとか、いろんな御指摘もいただいておりますが、これについては財政当局とも十分協議をしなきゃならぬ課題だろうと思っておりますが、そういう声もございます。
 そういう問題も含めながら、できるだけこの奨学金によって支援ができるような体制というのをしっかり作っていきたいと、今、正に検討いたしておるところでございます。
#209
○荒木清寛君 森山財務大臣政務官にお尋ねをいたします。
 法科大学院の学生に対する支援につきましては、今の奨学金のほかにも国民生活金融公庫の教育ローンがございます。私は、臨時国会では、現在は二百万円が限度のそのローンにつきまして、四、五百万円程度に上げなければ、生活も含めて成り立っていかないということを主張をいたしました。
 そこで、改めて私は、この国金の教育ローンにつきましても、限度額を引き上げる等の特段の措置を講ずる必要があると考えますが、財務省として前向きに検討する用意をしておられますか。
#210
○大臣政務官(森山裕君) 国民生活金融公庫の教育貸付けにつきましては、平成十三年十二月の閣議決定をされました特殊法人等整理合理化計画を踏まえ、官民の適切な役割分担の観点から、平成十四年四月より貸付対象者の所得上限額の引下げを行うことにより、貸付規模を縮小してきたところであります。
 したがいまして、議員御提案の貸付限度額の引上げ等につきましては、教育貸付けの規模拡大につながるおそれがあり、政策金融機関の改革ないしは官民の役割分担等の観点を踏まえた上で検討しなければならない課題であると考えております。
 また、現在一人当たりの平均借入額は約百三十万円と安定的に推移していることや、償還確実性の観点から、貸付限度額につきましては自ら限度があることにも留意すべきであると考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、財務省といたしましては、法曹志願者が経済的理由から断念することのないようにするためには国としてどのような関与をする必要があるのか、官民の役割分担や受益者負担の観点も踏まえつつ、今後具体化される法科大学院の実情を見ながら検討を続けてまいりたいと考えております。
#211
○荒木清寛君 現在の平均貸付けが百三十万円であろうと思いますが、法科大学院の場合には、いろいろな社会で経験をした人が入ってくるわけでして、家庭を持っている人もたくさんいるわけでありますから、当然これは、そういう資金の需要というのは、借入れについてのリクエストというのは上がってくるはずでありますから、そういう実態をよく踏まえて検討してもらいたいと思います。
 そこで、政務官にもう一つお尋ねをいたしますが、学生への支援につきましては、こうした奨学金あるいは公的金融機関におけるローンのほかに、民間資金の活用も十分検討する必要がございます。政府保証ということでいいますと、また先ほどのような議論にもなりましょうけれども、例えば公的な保証制度を新たに設けまして、そこには政府だけじゃなくて民間も大学もお金を出して、そういう保証制度がいわゆる民間金融機関のローンを保証するというようなことも考えられるわけでありまして、そうした方法を用いれば公的資金の負担というのも少なくて済むわけでありますから、このような選択肢も財務省として前向きに検討すべきであると考えますが、いかがですか。
#212
○大臣政務官(森山裕君) お尋ねの公的保証の創設につきましては、諸外国の参考となる運用実例も参照しながら、官民の役割分担や受益者負担の観点も踏まえつつ、関係機関とも相談をしながら検討してまいりたいと考えております。
#213
○荒木清寛君 関連して、司法制度改革推進本部にお尋ねをいたします。
 司法修習生の給費制の見直しが検討されているようですが、現在の検討状況はどうなっておりますか。
#214
○政府参考人(山崎潮君) 私どもの法曹養成検討会でこの問題を検討しているところでございます。
 現在の状況でございますけれども、いったん方向的なものについての整理が行われておりますが、その整理につきましては、法科大学院を含めた法曹養成制度全体を視野に入れつつ、貸与制等の代替措置の導入を含め、その見直しについて検討をすると、こういうふうにされているところでございまして、法科大学院の学生に対する支援策の在り方、こういうものを含めまして検討が加えられているということでございまして、引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#215
○荒木清寛君 大臣にその点につきましてお尋ねしますが、今もありましたように、この給費制の見直しは、法曹養成のプロセス全体との関係で、すなわち法科大学院の学生に対する支援策と併せて検討しなければいけないと思います。この点につきましての大臣の考えをお尋ねをいたします。
#216
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、司法修習生の給費制の見直しについては、法曹養成制度全体を視野に入れながら検討しなければいけないというふうに思っております。
 すなわち、法科大学院を中核的な教育機関とする新しい法曹養成制度におきまして、意欲と能力がありながらお金がないということで勉強ができないということがあってはいけないというふうに思いますので、そういうことも考えながら、また一方において、養成数が大変数が多くなってまいりますし、さらには弁護士さんの中には法廷に出るほかにビジネスローヤーというような仕事を選ぶという方もありますでしょうし、いろいろとその態様が多岐にわたってくるかと思いますので、そのようなこともよく頭に置きながら、総合的に検討していかなければいけないというふうに思います。
#217
○荒木清寛君 河村副大臣と森山政務官はもう結構でございます。
 そこで、大臣に、次に、今回提案の派遣法につきましてお尋ねをいたします。
 弁護士の地域的偏在を解消して、国民の司法へのアクセスを容易にするために、この法科大学院につきましても、全国の、全国的な適正配置を実現をすることが非常に重要であります。その地域の大学院で学べば、恐らくその県で弁護士になる人は開業する蓋然性が非常に高いわけでございますね。そういう意味では、今回の派遣法が、派遣法による実務家教員の派遣というのが法科大学院の全国的な適正配置に資することになるのかどうか、大臣の見解をお尋ねします。
#218
○国務大臣(森山眞弓君) 法科大学院の全国的な適正配置ということにつきましては、いわゆる地方に住む人にも法科大学院の進学の機会を与えるということが重要であるばかりではなくて、また弁護士さんその他、法律家が地域的な偏在をするということを防がなければいけないということもありまして、そういうこと両方から、法科大学院が地方にも設置されて、その修了者がその地域で法曹として活躍されるということが期待されるわけでございます。
 この法案によりまして裁判官や検察官等を実務家教員として派遣することによりまして、地方の法科大学院においても実務家教員を確保することが容易になると考えられますし、その教育の充実を図ることができるものと考えるわけでございます。この法案によって、この派遣制度は法科大学院の全国的な適正配置にも資するものだと考えております。
#219
○荒木清寛君 法科大学院におきましては、もちろん従来実績のある、法曹養成の実績と伝統を持つ、例えばよくビッグファイブとか言いますけれども、そういう大学がたくさんの学生を集めて輩出するということも当然これは想定をされます。
 それはそれとして、しかし法科大学院のいいところは、小規模な大学院があちらこちらにできて、それぞれ特色を持った教育を行っていろいろ多様な人材を輩出するというところにも、一つロースクール構想といいますか、法科大学院の長所があるわけでございます。
 実際に、教員が最低で十二人必要だというようなことになりますと、一学年六十人からできるわけですね、もっと少なくてもいいわけでありますけれども。そういう小規模な法科大学院を設立をすることもできるわけであります。これは私は非常に大事な点であろうかと思います。
 そこで、しかしながら一方で、小規模な法科大学院あるいは従来そういうたくさんの合格者を出してきたというような伝統がないというような場合には、果たして教員を確保できるだろうか。まして、この実務家教員に来てもらえるだろうかという懸念もあるわけでございます。そこで、今回の派遣法が、そういう小規模な特色を持った法科大学院をあちらこちらに設置をすると、そうしたことを支援する意味で役に立つのかどうか、お尋ねをします。
#220
○国務大臣(森山眞弓君) 新しい法曹養成制度におきましては、各法科大学院の創意によりましてその教育の多様性を確保することが不可欠であると考えます。小規模な法科大学院も、先生おっしゃいましたとおり、非常に特徴のあるユニークな教育を施していただけると考えますし、また少人数の教育ということを考えますと、非常に価値のあるものだと思っております。
 そのようなことを考えますと、この法案によりまして裁判官や検察官等を実務家教員として派遣することになりますと、小規模な法科大学院においても実務家教員を確保することが容易になると思いますし、その教育の充実を図ることができるというふうに考えるわけでございまして、幸いにして、その実務家教員と言われている裁判官なり検察官なりは全国各地におりますので、そのような人々を対象として実務家教員というふうに考えますと、非常に地域を問わず、また大小を問わず、この法案による派遣制度を利用していただいて、内容の充実した小規模な法科大学院の設置を支援するということができるのではないかと思います。
#221
○荒木清寛君 このような法科大学院の適正配置あるいは小規模大学院への支援ということを考えますと、この法律を、今回成立をしました場合に法律をどう運用するのかというその運用面が非常に大事でありますので、そこで、最高裁の事務局と法務省にお尋ねをいたします。
 そうしますと、この法案に基づく派遣は、実際どうした、どういう基準で各大学院に派遣をするのか、公平な派遣ができるのか。もっと分かりやすく言うと、リクエストがある、要請をしてきた法科大学院に対して全部きちんと派遣できるのかと。もしもそうでないとすると、そこで最高裁なり法務省によるより分けといいますか、選別が行われるわけでありまして、それは非常にこの法律の趣旨にも反すると思いますので、現在、運用面における準備状況につきまして、両当事者から答弁願います。
#222
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 最高裁判所におきましては、法科大学院に対する裁判官教員の派遣などの支援を図るために、連絡調整の統一窓口といたしまして、事務総局に法科大学院設立支援プロジェクトチームというものを設けまして、この派遣の問題につきまして各大学の担当者から要望をお伺いしたり、あるいは御相談に応じたりしているところでございます。
 四月二十一日現在の状況を申し上げますと、五十一の大学の担当者と面談させていただきまして、その要望をお聞きしたところでございます。承りました各大学の御要望を要約いたしますと、各大学ともおおむねみなし専任という形態、あるいはもう少しスポット的な非常勤という形態での裁判官の派遣を要望されておりまして、数につきましても、各大学一人ないし二人程度というところが現在のところでございます。
 裁判所といたしましては、こうした御要望を一通りお伺いした上で、今申し上げましたみなし専任教員として派遣できるのか、あるいはスポット的な単純な非常勤の形態で派遣できるのかということを引き続き検討していきたいという具合に考えております。
 委員御指摘がございました言わば公平性という点でございますけれども、地方の法科大学院でありますとか、あるいは小規模な法科大学院からの要請があった場合でありましても、こうした地方であるとか小規模であるとか、そういったことを理由として不公平な取扱いをしてはならないというのはこれはもう当然のことでございまして、各法科大学院の具体的な要望というものをよくお伺いした上で、その上で裁判事務に与える影響というもの、これは考慮しなければならないわけでございますので、その点を考えながら適切に対応していこうという具合に考えておるところでございます。
#223
○政府参考人(寺田逸郎君) 法務省といたしましても、ただいま最高裁判所の方からもお答えがありましたとおり、この制度の運用に当たりましては、やはり実質的な公平性を保つということが非常に重要だろうというふうに考えております。
 法務省にも先ほど申し上げましたような支援のための窓口を設けておりまして、やはり同じように五十近い大学から、既に準備的に、こういうような派遣が可能だろうかというような打診をいただいているところでございます。
 これは地域的にも、あるいはお作りになられようとする法科大学院の規模から申しましても様々なバリエーションございますけれども、いずれにいたしましても、具体的にどのような形態での派遣をすれば最もその大学に効果的かということを十分に見極めた上で、先ほど申しましたように、公平性ということを十分念頭に置いて今後具体的な派遣について検討してまいりたい、このように考えております。
#224
○荒木清寛君 推進本部の事務局にお尋ねをいたします。
 現職の裁判官や検察官が法科大学院に派遣されまして教授会に参加をし、人事を含む大学運営に関与すると、意思決定に参加することは大学の自治や教育の自由の関係で問題がある、こういう指摘もありますけれども、そうした懸念は払拭できますか。
#225
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のような意見、私ども耳にしておりますけれども、そのような懸念はないというふうに考えております。
 まず、この法案における教員の派遣のシステムでございますけれども、これは法科大学院からの要請に基づいて行うということが前提でございます。そして、法科大学院と最高裁、あるいは任命権者、これでお互いに協議をしていただくということになりまして、最終的には双方で派遣についての取決めをすると、こういうような制度設計になっておりまして、こういうような制度設計から考えて、大学の自治や教育の自由、これに十分にこれを尊重しているということでございまして、俗っぽく言わせていただければ、法科大学院からの要請もないのに国が一方的に押し掛ける、こういうようなシステムは一切取っていないということで、制度的なもので担保されているということをまず御理解いただきたい。
 それから、人事案件を含む大学運営ですね、これにどの程度関与をするかという、あるいはさせるかという点につきましても、これも大学の意向を十分に尊重していただきまして、そこで大学の方で、大学院の方で判断をしていただきまして、それに従った教育あるいは教授会への関与ですね、こういうものを行っていくというふうに考えておりますので、大学の自治やその教育の自主性を害することはないというふうに考えております。
#226
○荒木清寛君 再び最高裁事務局と法務省にお尋ねをいたします。
 やはり、教育の自由あるいは大学の自治の関係では、実務家教員を派遣するときに、カリキュラムといいますか、教材まで最高裁なり法務省で作って、これで教えなさいというようなことであると、正に各大学院の教育の自主性を害するわけでございますけれども、そういう画一的なカリキュラムや教育内容を指示をするということはありますか。
#227
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 裁判所といたしましては、新たな法曹養成制度が充実したものとなるように、法科大学院の要望に応じまして、先ほど申し上げました裁判官の派遣を考えるほか、司法研修所でこれまで蓄積してまいりました教育上のノウハウ、こういったものを提供するなどの面でも協力していくことは重要であろうかなと思っておるところでございます。
 例えば、司法研修所におきまして、派遣される裁判官が各法科大学院の特色ある教育を行うにふさわしい実務家教員として十分な貢献、協力ができるように、例えば法科大学院教育と司法修習との役割分担の在り方ですとか、あるいは教育を行うに当たっての心構えですとか、教育上のノウハウですとか、そういったことについて意見交換をするだとか、あるいは参考までに教材の活用方法について情報交換する、こういった個々の裁判官教員が充実した準備を行う契機となる、そういう機会を付与していくという、こういうことは考えていきたいという具合に思っておるわけでございます。そうしたことによりまして、個々の裁判官教員が各法科大学院において創意工夫を凝らして充実した実務教育を行ってもらえるのではないかと考えております。
 お話ございました個別の具体的な授業内容、こういうことになりますと、それはもうそもそも派遣される裁判官が各法科大学院の教育方針あるいは教育理念に沿って、他の法科大学院教員とも連携を図りながら、自らの実務経験を踏まえてその責任において考えていくべきものでございまして、最高裁判所がその派遣される裁判官に対して全国画一的な内容のカリキュラムや教育内容を指示するということは全く考えていないところでございます。
#228
○政府参考人(寺田逸郎君) 法務省も、基本的に今、最高裁の方で言われましたスタンスと同様の考え方を持っております。
 前に、臨時国会の際に、派遣法、その基になる連携法を御審議いただきました際にも、特に大学の自治あるいは大学の自主性というものが非常に尊重されるべきだということが、これは条文にもございましたし、審議の中でも強調されたわけでございます。また、先ほども委員も御指摘になられましたように、それぞれの大学の自主的な取組、特色のある教育というのがこの法科大学院にとっては非常に重要な一つのポイントでもございます。こういうようなポイントを十分に踏まえた上で具体的な派遣を行いたいということになるわけでございます。
 この派遣は、もちろん検察官は実務家として請われて行くわけでございますが、決して、例えば検察官でありますと検察制度の説明をしに行くわけではないわけでございまして、やはり教育の助けに参るというスタンスでございますので、これは当然のことながら、検察制度というものをある程度客観視して、そういう対象としてとらえた上でいろいろな教育を実施するということにもなるわけでございます。そこでは、当然カリキュラム、あるいは教材もございますけれども、これはあくまで補助的なものでございまして、根本はやはりどういう実務家としての考え方を持って取り組んでいるかということを十分御理解いただいた上で今の制度の在り方などを御議論いただく、そのための助けになればいいというようなスタンスでございます。
 最高裁もおっしゃられましたように、いろいろな準備はするということでございますけれども、決して大学の自治あるいはそれぞれの大学の特色ある教育内容というものを損なうことのないように、取組に当たっても十分配慮はいたしたい、このように考えております。
#229
○荒木清寛君 最後に、山崎事務局長にお尋ねをいたします。
 法科大学院の設置認可申請については本年六月末に締め切られるという話でありましたので、我々もこの法案も精力的に審議をしておりますが、どうも衆議院の議論ですと、実務家教員に関する書類については十月上旬ごろに提出すればいいというようなことのようです。
 そうしますと、この今審議をしている法案もそのタイミングに合わせれば、合わせて成立をすれば間に合うという、そういうことなんでしょうか。
#230
○政府参考人(山崎潮君) 若干説明が不十分だと思いますので、きちっと説明をさせていただきたいと思います。
 確かに、四月十五日の衆議院法務委員会における文部科学省の答弁がございました。これは、担当を予定している全教員の氏名及び授業科目が認可申請時に明らかにされていること、これが原則であるということでございますけれども、本年の六月の法科大学院の認可申請時においては、この法案に係る実務家教員に限りましてその氏名を空欄にしたままでも申請を受理すると、こういう趣旨でございまして、そのことは、逆に言えば、氏名以外の事項、これにつきましては、例えば法科大学院のカリキュラム編成、それから授業科目等については早期に決定をして、設置認可申請の締切りであります六月末までには書類を提出しなければならないということを意味するわけでございます。
 したがいまして、本法案が早期に成立しない場合には、これが成立しない場合に備えて、この法案によらない実務家教員を別途確保するとか、また新たなカリキュラム編成、こういうものを余儀なくされるおそれがあるということなど、その設置認可申請の準備に重大な支障が生ずるということでございますし、また法科大学院への進学希望者、これに対する情報提供も遅れるというおそれがございまして、そういう観点から、本法案の早期成立が望まれているというところでございます。
#231
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、法科大学院の全国適正配置との関係でお聞きをいたします。
 全国適正配置は司法過疎の解消のためにも大変重要だということは、連携法のときでも確認をしてまいりました。特に、現地の弁護士会の援助で実務家教員をそろえれる大学もありますけれども、地方の場合、弁護士さんも少ないということで、とりわけ実務家教員の確保が非常に困難だと言われております。国からの派遣というのが法科大学院の設立の成否を握るというところも多いわけでありまして、派遣を望む大学には国の責任でしっかり派遣をする必要があります。
 この法案でそれに資する枠組みができるという先ほど御答弁がありましたが、それにふさわしい運用がなければ、正に絵にかいたもちになるわけでありまして、推進本部としてこの司法過疎解消のための法科大学院の適正配置における国の責務という点をどのようにお考えか、まずお願いします。
#232
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点は大変重要な点でございます。
 私どもも、いわゆる地方に住む方々にも法科大学院への進学の機会、これを確保するという観点が大変重要でございます。また、弁護士の地域的偏在、これを解消するというためにも、法科大学院が地方に設置をされまして、その修了者がその地域で法曹として活動すると、これがもう期待されているところでございます。国といたしましても、法科大学院の適正配置、これに十分配慮する必要があるというふうに考えているところでございます。
 私ども、運用においても各法科大学院からいろいろ御希望が出てまいりますけれども、その希望にできるだけ沿うように、その大学が地方にあるのか都会にあるのか、あるいは大きいのか小さいのか、そういう区別をすることなく、教員として、教員を派遣をしたいというふうに考えておりまして、そういうことから、法科大学院の全国的な適正配置、これにも資することになるというふうに私どもは理解をしております。
#233
○井上哲士君 東京や関西圏など大学数も多いわけですので、派遣をされる検事なども兼任もしやすいと。そういう点でいいますと、最高裁や法務省ともに大学からの要請にも応じやすい条件があると思います。一方、地方の場合は地裁支部の裁判官や地検検事自身も少ないわけですね。ですから、非常に派遣しにくいという実情もあると思います。
 いろいろ聞きますと、例えば大都市の三百人の規模に一人派遣、地方の五十人の大学にも一人派遣、これでは逆に公平をそぐんじゃないかという声も聞きますし、逆に地方の方に聞きますと、最高裁や法務省に要請をして当てにしていて、やっぱりできるだけ努力したけれども駄目でしたということになると、構想自身がつぶれてしまうということで、非常にそこでの懸念があるということをお聞きをしています。
 やはり、全国適正配置をしっかり位置付けて、大学の側もその計画がしっかりできるようにやっぱり何らかの基準というようなものを示すことが必要ではないかと思うんですが、これは法務省、いかがでしょうか。
#234
○政府参考人(寺田逸郎君) この派遣法案をお願いしている一つの理由が、今、正に委員がおっしゃられましたように、地方にも十分な実務家教員をやはり提供していかなきゃならない、それが国の責務だというところにあるわけでございます。
 すなわち、現実に、先ほどから申し上げておりますように、私どもが窓口を通じていろいろ伺っているところでは、やはり地方における法科大学院の設置の難しさというのは、やはり教員の確保、とりわけ実務教員の確保で、私どもとしては、そういった地方の実情に十分配慮しながら、今後具体的な教員の派遣の取決め、あるいは現に派遣するかどうかということについて決定していきたい、考えていきたいというふうに考えております。
#235
○井上哲士君 地方の実情に十分に配慮をするという答弁でありましたけれども、この立場は最高裁も同じということで確認できますか。
#236
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 最高裁では、現時点での大学の要望を承っている段階ではございますけれども、今後具体的な要望が出てまいりました段階で、事件処理に与える影響等を考慮しながら派遣できるかどうかを決めていくという、こういう段取りになろうかと思います。
 裁判官の派遣はいわゆるパートタイム型ということになっておりますので、言わば事件処理との両立を図りやすいという、そういう形態であろうかと思いますが、そうでありましても、特定の裁判官に過重な負担が掛かるようなこと、これは避けなければいけないという具合に思っております。
 そこで、地方の法科大学院からの御要望がありました場合には、当該裁判官の所属長の事件処理の状況ですとか、当該裁判官の事件の状況ですとか、そういったものをいろいろ考えながら具体的な派遣を決めていくということになると思いますが、場合によっては配置の見直しが必要になるということもありましょうし、あるいは近々の裁判所から派遣するというそういう手段を検討しなければいけないという、そういうシチュエーションもあると思いますけれども、少なくとも法科大学院の設置場所によりまして不公平な取扱いをするということ、これはあってはならないという具合に思っておりますので、適切な対処をしていきたいと思います。
#237
○井上哲士君 裁判事務に与える影響ということを言われるわけでありますが、特にやはり地裁などは規模も小さいわけですから、そこから一人派遣をしただけでも大変大きな影響が出るということで、実質的に地方でやはり困難になるのではないかと、こういう懸念もあるわけですね。
 ですから、法科大学院の設置という事態の下で、全体としてのやはり裁判官自身の増員、それから法科大学院の設置されるような地域での地裁での増員などということも当然視野に入れて対応すべきかと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#238
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 先ほど申し上げましたとおり、具体的に派遣を決める場合には、その裁判所の事件処理の状況をよく検討して考えなければいけないということでございますけれども、その必要がございますれば、事件配転ですとか、あるいは配置を見直した上で、できるだけ現場の裁判事務に支障のないように配慮していくという考え方を取るべきだろうと思っております。
 ただいまお話ございました裁判官の全体としての増員ということになりますと、これは今後の事件動向ですとか、ただいま申し上げましたけれども、裁判事務処理への影響の度合い、そういったことを総合的に検討しながら適切に対処していくということになろうかと思います。
#239
○井上哲士君 全国的な法科大学院の設置で、特に地方の優秀な教員が私学にヘッドハンティングされて法学部教員が不足しているとか、こんな事態もお聞きをします。
 附帯決議のことも繰り返し先ほど議論ありますが、全国的に適正配置となるように財政措置を求め配慮するということが挙げられているわけでありますから、正に地方への実務家教員の配置という点で十分な配慮をするという点での政府そして最高裁の積極的な取組を強く求めておきます。
 その上で、大学の自治とのかかわりでお尋ねをいたします。
 現職裁判官や検察官等が法科大学院等で、大学院で教えることになって、大学の管理運営にまで参画をするという点で、大学の自治が脅かされるんではないかという懸念が各方面から出されております。派遣の形態としては専任とかみなし専任、非常勤とか様々な形態があるわけでありますが、いずれの場合もこの教授会への参加というのはすべて法科大学院側の意向なんだと、これ、先ほど推進本部からも御答弁ありましたが、文部省、これでよろしいですか。
#240
○政府参考人(清水潔君) お答え申し上げます。
 一般的に申し上げれば、大学のそれぞれの教授会の構成員あるいはその構成の中でどういう審議事項にどういう者が関与するかということは、それぞれの各大学で御判断されることでございます。
 ただ、法科大学院について申し上げさせていただければ、正に法曹養成の中核を成す者として理論教育と実務教育の架橋、正にそういう意味で理論と実務のスパークがその基盤をどう作っていくかが課題となっているということであります。すなわち、実務家教員と理論研究を中心とする教員が、カリキュラムの編成、授業内容、方法、教材あるいは教育能力を高めるための研修等、様々な場面で切磋琢磨し、お互いに連携協力する、そしてよりそれらの両者が相まって法科大学院の理念の実現を図る、こういうことであろうかというふうに思っております。
 御指摘のように、専任教員、みなし教員あるいは非常勤、様々な教員が法科大学院の場合に考えられるわけでありますし、繰り返しになりますけれども、教授会にどう参画させるか、あるいは法科大学院の運営にどう関与させるか、正にそれは判断であると言うことができるわけでございますけれども、実務家教員で考えてみますと、例えばみなし専任はなぜみなし専任なのかということでございます。その数あるいは質の確保等々の観点から、担当する授業科目、単位数こそは少ないけれども、実際上、学生のオフィスアワーを含めた指導に十分な責任を持っていただく、あるいはカリキュラム、実務基礎科目を中心とするカリキュラムの編成にも責任を持っていただくということが、それが持っていただくということを言わばしてみなし専任と評価するというものである。
 そういうふうなことを勘案するということになりますと、実務家教員にあって、カリキュラムの編成とか他の人事等、実務家教員の人事等について法科大学院の運営に携わることというものは、これは必要なことではないかというふうに考えております。
#241
○井上哲士君 カリキュラム編成それから実務家教員の人事などには関与が必要だという今、御答弁ありましたが、にしましても、いずれにしても、最終的に教授会へ参加云々は、これは大学院側の意向だと、これは確認できますね。
#242
○政府参考人(清水潔君) 御指摘のとおりです。
#243
○井上哲士君 じゃ、最高裁、法務省、それぞれにお聞きしますけれども、最高裁ないし法務省の側から、是非、教授会にこの派遣する教員を参加をさせてほしいと、こういうことを要請をするということはありますか。
#244
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 教授会への出席を始めといたします法科大学院の運営への関与あるいはカリキュラム等教育内容をどうすべきかといった点につきましては、それぞれ教育に携わる人たちを中心にしまして各法科大学院において検討されるべき事柄であろうと思っております。
 裁判官の派遣に関しましては法科大学院との間で取決めを行うことになるわけでございますけれども、最高裁といたしましては、取決めに当たりまして、派遣される教員に関する教授会への出席の有無あるいはその程度を含む大学運営への関与という問題につきましては、各法科大学院からの要請あるいはその意向を尊重するつもりでありまして、最高裁の側から教授会への出席を求めるというようなことは考えておりません。
#245
○政府参考人(寺田逸郎君) 法務省も同様に考えております。
 基本的には、この件に関しましては法科大学院側の御意向を尊重するということで、こちらの方から、こうしてくれというようなことを申し上げるつもりは全くございません。
#246
○井上哲士君 大学の自治にかかわる問題でありますから、あくまでも大学の側からの要請がある場合のみだということは改めて確認をしておきます。
 さらに、検察官の場合は一人で複数の大学に派遣をするという場合も予定されているようです。その場合に、複数の大学から教授会へ参加の要請があるということも考えられるわけですね。私は、やっぱり一人が複数の大学の教授会に参加をするということは好ましくないと考えているんですが、こういう要請があった場合はどういう対応をされますか。
#247
○政府参考人(寺田逸郎君) 御指摘のように、複数の大学において教壇に立つということもあり得るわけでございます。その場合は、取決めにおきまして、基本的にこの派遣される者がほかの大学においても教壇に立つということを前提にした上でいろいろ協議をさせていただき、それを前提にして取決めをしたいということでございまして、この場合にも、基本的にはやはりそれぞれの情報を明らかにした上でそれぞれの大学の御意向に沿って対処したいと、このように考えております。
#248
○井上哲士君 複数の要請があった場合は少なくとも片方は辞退をするとか、こういう対応が必要かと思うんですが、それはいかがでしょうか。
#249
○政府参考人(寺田逸郎君) なかなか一般論としては申し上げにくいかも分かりませんが、原則としてはおっしゃるようなことが多くの大学では恐らく考えられると思います。その場合は、そういう御意向を尊重して、一つの大学のみで教授会に参加するという方向で調整させていただきたい、このように考えております。
#250
○井上哲士君 教授陣の人事についてはあくまでも大学に人事権があるんだということは衆議院の議論でも確認をされていますが、実際上、人事権が生きるためには、大学側に派遣をされてきた、派遣をされる、この人でどうかという打診に対して、ほかの人がよいとか、この人では困るとか、ある程度こういうことが言えないと事実上の人事権はないということになってしまうわけですが、そういうことに対して異議を唱えたという場合に別の人材が派遣をされていくと、こういう対応ということで間違いないですね。
#251
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおりでございまして、派遣の要請は法科大学院の設置者側の方からの要請であるということでございまして、取決めに基づいて、協議をして取決めに基づいて行うということになるわけでございますので、具体的な派遣者、これにつきまして法科大学院側に異議があるというような場合には取決めが成立しないということになるわけでございますけれども、で、その具体的な人間は派遣をされないということになろうかと思います。
 ただ、この場合におきましても、法科大学院の設置者側が別の者の派遣、これを希望するというときには、私どももなるべくその条件に合った者を人選して派遣をしたいというふうに考えております。
#252
○井上哲士君 次に、教育内容の問題でお聞きをします。
 裁判官や検察官が法科大学院で教えるということで、いわゆる国側の一方的な法的解釈や実務を教えるのではないかと、こういうような懸念もまた各方面から指摘をされています。
 衆議院での議論で山崎事務局長は、裁判官・検察官教員が教える内容についての一般的なマニュアル作り、これについては否定をされましたけれども、基本的な考え方、実務の基本的な考え方をどう教えるかという問題についてそれぞれやらなきゃならないと、こういう御答弁でした。
 先ほど、最高裁の答弁でも、いわゆる指示をすることはしないと、こういうことでありましたけれども、しかし何かマニュアル的なものが用意をされますと、指示はしなくても、結局それで画一的にやれるんではないかという懸念もあるわけですが、最高裁、法務省、この点ではそれぞれどういう対応を今お考えでしょうか。
#253
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 派遣されました裁判官が行います個別の授業内容というのは、これはその裁判官が当該法科大学院の教育方針等に沿って自ら考えていくべきものだということでありますんで、最高裁としてその内容について指示をするということ、これは考えていないわけでございます。
 最高裁といたしましては、そういった裁判官教員が法科大学院で充実した教育が行えるためのサポートをするという、そういうスタンスで臨みたいという具合に考えております。
 そういう点ではいろんなことが考えられるわけですが、一つは教材ということでいいますと、補助教材といったものを準備するということもあると思います。これは、各法科大学院やあるいは派遣される裁判官の要望に応じて検討していくということになるわけでございまして、司法研修所でいろいろ蓄積がございますんで、そういったものを活用していくという考え方になろうかと思います。
 そういったものとしては、例えば実務基礎科目として訴訟手続等、法律実務の基礎を教える際に、その授業用の教材として活用することができる簡単な事件記録のようなもの、あるいはそういったものを活用する際の参考となる資料、そういうものを提供することはあろうかなと思っております。
#254
○政府参考人(寺田逸郎君) 法務省といたしましても、この教え方でございますが、これについて統一的なマニュアルを作るというような方向では全く考えておりません。
 先ほども申し上げましたように、これは基本的にそれぞれの実務家が各大学のニーズに応じまして実務家としての体験を基に教育を行うということでございまして、やり方も、場合によっては自分一人でなくて多くの実務家、例えば検察官の場合ですと裁判官や弁護士会からおいでになった方などと共同してやるような授業も想定されるわけでございまして、いろんなやり方があろうかと思います。したがいまして、統一的なマニュアルというもので対処できるようなものでは到底ないだろうというふうに考えております。
 なお、法務省におきましても、実務家が教壇に立つということの一つのメリットは、やはり生きた事実、生の資料というものに基づいて教育ができるという点にあることは、これは否定できないところでありまして、したがいましてそういった意味での教材を提供するということは、これはお手伝いの一つとしてはあり得るだろうと考えておりますが、これも、基本的には何も検察出身のその派遣される者だけが用いるものではなくて、もう少し広く、実務家共通に用いられるものというような形で用意させていただくのが適当ではないかなというふうに考えております。
#255
○井上哲士君 最高裁にちょっと御確認いたしますが、一つは、いわゆる講義案のようなものは作らないということでいいのか。それからもう一つ、今、法務省からも答弁がありましたが、予定されている簡単な事件記録、判例集のようなものでしょうか、こういったものは、いわゆる最高裁から派遣した教員のみが使うようなことではなくて、使わないこともあるし、またそうでない人もだれでも使えると、こういうようなものとして用意されるということでよろしいでしょうか。
#256
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 先ほど例に挙げさせていただきました事件記録ということで、訴訟手続の流れを理解するに資するそういった裁判記録の非常に簡単なようなもの、そういったことをイメージしているわけでございます。そういったものはもちろん裁判官教員だけ使う必要はないわけでございまして、必要があれば広く提供するということも考えられるだろうと思います。
 いずれにしましても、そういう教材をどのように活用していくか、これは正に個々の裁判官教員の考えるところでございまして、全体のカリキュラムの状況ですとか、あるいは具体的な授業の運び方ですとか、そういうことに応じて適宜使用していくという、そういうものであろうと思いますが、先ほどちょっとその事件記録のようなものを活用する際の参考となる資料と申しましたのは、やはり初めて教員業務を行うような裁判官にとっては教えるということに余り慣れておらないということがありますので、そういったガイドになるようなものは準備してはどうかなと思っておりますけれども、講義案というような中身をがっちり決めていくようなもの、そういったものをイメージしているわけではございません。
#257
○井上哲士君 法務省に聞きますけれども、例えば今、司法制度改革審議会の意見書の趣旨を踏まえまして捜査の可視化ということが具体化が検討を進められています。日弁連などは、録音、録画に匹敵するようなものが必要だということを言っておりますが、今、法務省が検討しているというものはかなりそれとは異なる水準のもののようです。
 衆議院の答弁で、派遣する検察官については一定のトレーニングをするというような答弁もあったわけですが、例えばこういう実際的な問題でかなり国側と弁護側などで意見の違う、現に違う問題が今あるわけでありますが、こういうことについての基本的な研修を行って、検察官教員というのは法務省の意向と一致した見解をやっぱり教えなくちゃいけないと、こういうようなことが要請されるということにはなるんじゃないでしょうか、このトレーニングということになりますと。それはどうでしょうか。
#258
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、かつて連携法の審議の際にもいろいろ御議論があったところでございますが、実務家として非常に秀でた者が必ずしも教育に慣れているわけではない、いい教育者とは限らないというような御指摘は強くございまして、それで私どももかねてからそういうことを非常に懸念する向きもございますので、やはり派遣する際に、実務家の教員として送り出すためには一定の教育メソッドというようなものにある程度慣れていただく必要はあろうかという程度のトレーニングは必要かなと、このように考えているわけでございます。
 具体的にその者がどういう内容で教育をするか、あるいは検察でございますとかあるいは司法制度についてどういう考えを持っているかについて、これは統一的なやり方を指導するというようなことはもう全く考えておりません。相手はいやしくも大学院生でございまして、こちらの方から一方的に説明すればそれが直ちに受け入れられるというふうにももちろん考えておりませんし、それが適当なこととも思っておりません。
 私どもは、そういった意味で、やはり大学院の教育レベルを上げるという観点でこういった人たちに貢献してもらいたいというつもりで派遣をしたいと、このように考えているわけでございます。
#259
○井上哲士君 現場で、例えば先ほどの可視化のような問題で、検察と少し違うような見解を教えたというようなことでそのことが問題視されるようなこと、これは当然だと思いますが、ありませんね。
#260
○政府参考人(寺田逸郎君) 問題視されるということがいろいろなレベルで考えられるわけでございますが、基本的に、やはり対象を客観視するということは教員としての素養だろうというふうに考えておりますので、国家公務員でございますのでいろいろ限度はあろうかと思いますけれども、そういった資質に基づいていろいろ教育上行うことについて、法務省の方からいろいろ申し上げるということはないだろうというふうに考えております。
#261
○井上哲士君 従来、法務省や検察サイドは、法科大学院に行ったら大学の一員になり切って親元の意向など気にせずに自由にやれというんだと、こういうことをいろんなところで発言もされております。
 今、幾つか確認をさせていただきましたけれども、そういう最高裁や法務省から派遣をされている教員が、みんな全く同じ教材を使い、同じような見解を教えるということになりますと、法科大学院に求められるこの多様性という点からも非常に問題がありますし、それから大学院も一体どういう人たちが派遣をされ、どういう教育をするのかということを大変注目もしているわけでありますので、この点での配慮を強く求めまして、質問を終わります。
#262
○平野貞夫君 裁判官、それから検察官、それから一般職の国家公務員の法科大学院への派遣のこの議題となっています法案の質疑の前に、ちょっとおさらいをしておきたいと思いますが。
 この法科大学院制度を設けたというその理由、分かりやすく言えば、私は、現在の法曹人養成の制度といいますか、在り方といいますか、そういうものに問題がある、欠陥があると。そういうことを反省してこの法科大学院制度を設けたというふうに私は理解しておりますが、そんな感じの理解でよろしゅうございましょうか。法務大臣にこれはお答えいただければと。
#263
○国務大臣(森山眞弓君) 法曹養成の今までのやり方というものが、ここへ来て大分限界があるという感じを抱いております。
 既にたくさんの立派な法曹を輩出してきた今までの制度はそれなりに大変重要な、かつ有意義なものであったわけでございますけれども、最近の司法試験の合格の非常に合格率の悪さ、つまり難しさということから、非常に点を取るということに夢中になりまして、それにばかり頭がいきまして、要するに、本来、法律というのはどういうものでなければいけないかとか、あるいはどういうふうにあるべきかとか、お互いの立場をお互いによく理解し合って、そして必要な法律的な解釈をどのようにするかというような基本的な問題にやや欠けるところが見えてきたように思われるわけでございます。
 いわゆる大学の法学部というのは法曹を養成するものではむしろございませんので、本格的に法曹を養成するという機関がこの際必要ではないかと。広い視野を持って、深い洞察力と理解力、分析力を持ったそういう法曹を養成していくにはどうすればいいかというような問題意識から、今回のようなことになったと思います。
#264
○平野貞夫君 よく分かりました。
 そこで、その一つの問題は、各法科大学院でそれぞれ設置の目的を全うする特色のある法曹人養成の様々なカリキュラムや、あるいは特色を出そうとそれぞれ努力すると思うんですが、文部科学省にお尋ねしますが、各法科大学院で一生懸命努力して作ろうとするその大学院の特質なり、特色なり、あるいはカリキュラム、そういったことに対して文部科学省としてはどのようなかかわり合いをされるのか、基本的な考え方でよろしゅうございますから。
#265
○政府参考人(清水潔君) 法科大学院につきましては、法科大学院の目的、趣旨を実現するために、私ども、設置基準を定めるという形で、先般、設置基準を制定させていただいたところでございます。基本的に法科大学院として必要な要素、例えばカリキュラムの体系性でありますとか教員組織でありますとか専任教員の数でありますとか、あるいは実務家教員等々についての一つの基準を示したものでございます。
 私どもといたしましては、その設置基準を満たすものについては広く参入を認めるという考え方でございますし、もう一つ、連携法でも御審議ございましたように、正に第三者評価制度というものを核にしながら、その趣旨に沿った法科大学院のさらには質の、水準の維持と同時に質の向上というものをそれぞれの大学院が創意工夫を凝らしながら模索していく、そういうふうな仕組みとして動いていただきたいなと、こんなふうに考えておるところでございます。
#266
○平野貞夫君 そこで、優秀な、しかも人格も立派で法曹界で活躍しようという人材を大学院の入試で合格させて養成させるということは大変大事なことでございますが、世の中、必ずしも健常者だけでない、目の悪い人とかいろいろいらっしゃるわけですが、法曹界に活躍するという、活躍できるというもちろん範囲の中でそういう健常者でない方も法曹人として大いに養成するということは、これは社会の要請だと思うんですが、法科大学院の入試について、これはそれぞれの大学院が決めることとはいえ、今、基本指針というのはやはり文科省で作るということでございまして、作っておるわけでございますので、例えば点字の入試を認めるとか、あるいはそういうものを指導するとか、各大学院に。点字だけじゃなくて、健常者でない人たちができるだけ多くそういう教育を受けれるような機会を作るべきだという意見を持っていますが、その点についてどのようなお考えでございましょうか。
#267
○政府参考人(清水潔君) 私どもといたしましては、大学の学部あるいは大学院を通じまして、障害の有する方々も、広くそういう方たちの能力、適性に応じて教育を受ける機会を確保されるということは非常に重要なことだというふうに考えております。
 例えば、学部等におきましては、例えば今御指摘の点字あるいは拡大文字における出題とか時間の延長でございますとか試験場整備でありますとか、そのための特別な措置を当然、入学者選抜の場において取るよう指導し、現実に取られているというふうな状況でございます。法科大学院についても、基本的には、そういう意味での障害を有する方に対する受験機会の確保ということは大変重要なことであるというふうに思っております。
 ただ、今、法科大学院はまだできておりませんので、入学者選抜、現段階におきましては十二月ごろに各大学から募集要項が出されるものというふうに思っておりますが、現在、法科大学院の協会の設立準備会というようなところで、例えば障害者の方々に対する入学者選抜の配慮、点字による出題等々の、その配慮を当然要請するということを今検討されているというふうな段階でございますし、各法科大学院は当然のことながらそういう配慮はなされるというふうに信じております。
 なお、法科大学院への入学者選抜とかかわって、適性試験の問題もございますけれども、適性試験につきましては、適性試験の準備をいたしております二団体につきまして、それぞれ点字や拡大文字あるいは試験時間の延長など、障害を有する方の障害の程度に応じた配慮というものについて、既に現実にそういうものがなされているというふうな状況でございます。
 いずれにいたしましても、先生の御指摘、非常に重要な観点でございますので、私どもとしても十分な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#268
○平野貞夫君 認可される法科大学院すべてが一斉にそういう障害者に対する入試が整うということについて物理的に可能かどうか、これは分かりませんですが、できる限りスタートのときからそういう制度が整備されるように要請しておきます。よろしくお願いします。
 さて、本案の、裁判官、検察官、それから一般の公務員の、国家公務員の派遣のことでございますが、私は基本的に賛成でございます。しかし、賛成でございますが、問題もないわけではないと思います。
 プラス面とマイナス面があると思いますが、山崎参考人、このプラス面を事務局としてはどう考えていますか。
#269
○政府参考人(山崎潮君) 法科大学院の役割でございますが、先ほど大臣から御答弁がございました。
 一つには、非常に多様化した時代でございます。いろいろな分野について法律家が求められているということでございますので、そういうところについてもきちっとした教育を経た上で法律家となっていくという点がどうしても必要になるわけでございます。その点から、そういう分野について生きた知識を持った者が、現代の考え方、また将来どういうふうにつながっていくのかということを、公務員が教官になって将来の法曹を育てるためにきちっとした感覚で教えていくと、これがもう最大のメリットでございます。
 また、これから大量に法曹を輩出していくという場合に、現在の研修システムではなかなか全部に手が回らないということもございますので、そこの研修所での教育の一部を、これも法科大学院に持ってくるという発想でございますので、そこの部分についても実務家が直接教官になってきちっとしたものを教えて、将来幅広い人材が輩出されるようにと、こういうところに特徴がございます。
#270
○平野貞夫君 その話はよく分かるんです。
 それから、実務といいましても、目まぐるしく変化する、あるいは進化する社会でございます。専門の実務家から手取り足取り早く実態を教わるということは非常に大事なことだと思いますが、ところが、実務を教える、実利的な教育をするということにウエートが置き過ぎますと、先ほど大臣のお話にもありましたように、やはり法曹の本質とか法の原点とか、あるいは法と人間のかかわりとかという、そういう根本問題がやっぱり軽くなるといいますか、抜ける可能性も出てくるわけなんです。
 ですから、この派遣法のやっぱり一つのマイナス面といいますか、そういうものも指摘できる、言えると思うんですが、その点については、司法制度改革推進本部としてはどのような把握をしていますか。
#271
○政府参考人(山崎潮君) 今、委員御指摘のとおり、法曹としての人間の在り方、いわゆる法曹倫理、これは当然に入ってまいりますので、たとえ実務家が行って実務を教えるといっても、その前提としては、やっぱり法曹倫理もきちっと教えなければならないと、こういう認識でございます。
 デメリットと言われますと、私ども、法案を提案させていただいてデメリットというのはなかなか言いにくいわけでございますが、留意しなければならないという点につきましては、これは法科大学院、大学院でございますので、それぞれの特徴に応じた教育をしていくということが前提になるわけでございますので、私ども、ずっと審議を続けてさせていただいておる中でいろいろ御質問がございますのは、やはり一つの画一的なパターン化した教育、これはあってはならないということの御指摘がずっとございます。これは、私どもも正にそこは留意しなければいけない最大のポイントであろうというふうに思っておりまして、やっぱり教育でございますので、客観的な立場で自由な意見で教えるということが一番肝要かなと、そこが注意しなければいけないポイントだと思っております。
#272
○平野貞夫君 そこで、法科大学院という大学院が許可された場合に、当然一定の、特定のレベルであらゆることに法曹界に通用するという教育が行われなければなりませんが、その上に、Aという法科大学院は人権で非常に研究、造詣が深いとか、Bという大学院は国際的な問題で非常に特徴があるとか得意だと。是非、そういうような各法科大学院の特徴というものを是非生かしていただきたい。大学、法科大学院法の中にもそういう趣旨がありましたんですが、そこは法務省なりあるいは文部科学省がどうかひとつ大学の特色を作ることについて余り規制しないように、先ほどからのお話を聞いてみるとまあ大丈夫だと思うんですが、是非そういういい特色を行政も育てるように努力をしていただきたいと、これは私の要請でございます。
 そこで、山崎さんの話に戻るんですが、となると、やはりどういう裁判官を、どういう検察官を、あるいはどういう国家公務員を教員に派遣するかという、その人たちの人格、識見、知識、これが非常に大事だと思うんですよ。いい加減な、いい加減な人はいないと思いますが、そういう人たちにいい加減な人はいないと思いますが、それでもやっぱり人間ですから問題がないわけじゃないわけですから、やっぱり立派な人を送ってもらいたいんですよ。まあそれは裁判所なりあるいは法務省なり一般の国家公務員ならそれぞれの所管の省庁のこれは了解が要ることでしょうから、いい加減な人は送らないと思いますが、その辺のつもりはあれでしょうね、推進本部も立派な人が来るという前提でこれ作っているんですよね、この法律は。
#273
○政府参考人(山崎潮君) 正に、非常に大事な点でございまして、私どもも、これは法科大学院の希望もございますので、その希望と見合ったような方を選んでいくと。選ぶ場合には、ただ非常に法律知識が詳しいだけではなくて、やっぱり教育者として適しているかどうか、この辺もきちっと人事当局に把握をしていただき、それで、まず、かつ行く前には教えることについての少し研修もやっていただいた上で、それで派遣をしていくということで、私どもも当然立派な方が行っていただくということを前提にしているわけでございます。
#274
○平野貞夫君 その立派な人が立派な教育するために基本的に大事なことは、私は待遇だと思うんですよ。
 それで、この法案によりますと、裁判官と検察官の場合には多少この待遇の遇し方が違うと思うんですが、少なくともパートの、パートタイムの検察官の場合、忙しい、極めて忙しいと思いますが、その職務に従事しない時間について給料を減額するとか、それからフルタイムの派遣の場合に、特に必要があると認められる場合には給与の半分ですか、以内を支給するとかという規定、ごく基本的な規定があるんですが、どうですかね、余りけちけちせずに、こういう人は特別なことをやってくれるんですから、その特別手当みたいな形で、これ大変ですよ、人を教えるということは、しかも自分の仕事をしながら。
 これ、きちっとした待遇をやっぱり遇するような方法はないんですか。その点はちょっとこの法案に私、不満なんですよ。いかがですか、山崎さん。
#275
○政府参考人(山崎潮君) お気持ちは大変有り難く受け取っておりますけれども、気持ちだけをちょうだいするというふうにさせていただきたいと思います。
 これ、連携法、昨年の御審議でいただきましたけれども、国の責務として教育をしていくということでございますので、基本的にはその給与の範囲内できちっとしたことを教えていくということで、特別なものはいただかなくてもやるというのは公務員の姿勢であるということで御理解を賜りたいと思います。
#276
○平野貞夫君 それは、公務員の一つの生きがいとしてそれをやられるということは大変立派なことなんですが、これ、やっぱり時間も取られますし、それから自分が勉強しなきゃ人を教えられないんですよ。だから、我慢させるということは、私は必ずしもいい教育をやるということではないと思うんですよ。
 まあこれ以上言いませんですが、スタートにおいて一回やってみなきゃ分からぬという部分もあるんですが、私は、将来的にはここのところは、私の所属している自由党というのは、義務教育の先生の給料を上げて、名誉と、やっぱり名誉と一つの誇りを持たせるということが教育の根本だと思うんですよ。やる気を本当に起こさせるためには私はやっぱりこだわりますねということを申し上げて、質問を終わります。
#277
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト