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2003/05/06 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第9号
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2003/05/06 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第9号

#1
第156回国会 法務委員会 第9号
平成十五年五月六日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
       発議者      江田 五月君
       発議者      千葉 景子君
   委員以外の議員
       発議者      朝日 俊弘君
       発議者      山本 孝史君
   衆議院議員
       修正案提出者   塩崎 恭久君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者
 の医療及び観察等に関する法律案(第百五十四
 回国会内閣提出、第百五十五回国会衆議院送付
 )(継続案件)
○裁判所法の一部を改正する法律案(第百五十五
 回国会朝日俊弘君外三名発議)(継続案件)
○検察庁法の一部を改正する法律案(第百五十五
 回国会朝日俊弘君外三名発議)(継続案件)
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一
 部を改正する法律案(第百五十五回国会朝日俊
 弘君外三名発議)(継続案件)

    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
#3
○国務大臣(森山眞弓君) 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 心神喪失又は心神耗弱の状態で殺人、放火等の重大な他害行為が行われることは、被害者に深刻な被害が生じるだけでなく、精神障害を有する者がその病状のために加害者となる点でも極めて不幸な事態です。このような者につきましては、必要な医療を確保し、不幸な事態を繰り返さないようにすることにより、その社会復帰を図ることが肝要であり、近時、そのための法整備を求める声も高まっています。
 そこで、本法律案は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療の実施を確保するとともに、そのために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善とこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もって本人の社会復帰を促進しようとするものです。
 この法律案の要点は以下のとおりです。
 第一は、処遇の要否及び内容を決定する審判手続の整備についてです。
 心神喪失等の状態で殺人、放火等の重大な他害行為を行い、不起訴処分をされ、又は無罪等の裁判が確定した者につきましては、検察官が地方裁判所に対してその処遇の要否及び内容を決定することを申し立て、裁判所におきましては、一人の裁判官と一人の医師とから成る合議体が、必要に応じて精神障害者の保健及び福祉に関する専門家の意見も聞いた上で審判を行うこととしています。この審判におきましては、被申立人に弁護士である付添人を付することとした上、裁判所は、精神科医に対して被申立人の精神障害に関する鑑定を求め、この鑑定の結果を基礎とし、被申立人の生活環境等をも考慮して、処遇の要否及び内容を決定することとしています。
 第二は、指定入院医療機関における医療についてです。
 厚生労働大臣は、入院をさせる旨の決定を受けた者の医療を担当させるため、一定の基準に適合する国公立病院等を指定入院医療機関として指定し、これに委託して医療を実施することとしています。指定入院医療機関の管理者は、入院を継続させる必要性が認められなくなった場合には直ちに裁判所に退院の許可の申立てをしなければならず、他方、入院を継続させる必要性があると認める場合には、原則として六か月ごとに、裁判所に入院継続の必要性の確認の申立てをしなければならないこととし、併せて、入院患者側からも退院の許可等の申立てができることとしています。
 また、保護観察所の長は、入院患者の社会復帰の促進を図るため、退院後の生活環境の調整を行うこととしています。
 第三は、地域社会における処遇についてです。
 退院を許可する旨の決定を受けた者等は、厚生労働大臣が指定する指定通院医療機関において入院によらない医療を受けるとともに、これを確保するための精神保健観察に付されることとしています。
 また、保護観察所の長は、指定通院医療機関の管理者及び患者の居住地の都道府県知事等と協議して、その処遇に関する実施計画を定め、これらの関係機関の協力体制を整備し、この実施計画に関する関係機関相互間の緊密な連携の確保に努めるとともに、一定の場合には、裁判所に対し、入院等の申立てをすることとしています。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(魚住裕一郎君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員塩崎恭久君から説明を聴取いたします。衆議院議員塩崎恭久君。
#5
○衆議院議員(塩崎恭久君) ただいま議題となりました法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その主な趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 第一は、この法律の目的を規定する第一条に、この法律による処遇に携わる者は、前項に規定する目的を踏まえ、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の円滑な社会復帰に努めなければならないとの文言を加えることであります。
 第二は、精神保健観察官の名称を社会復帰調整官に変更することについてであります。
 第三は、裁判所が医療を受けさせるために入院の決定をする要件等についてであります。
 原案は、「入院をさせて医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合」としておりますところ、「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」と変更するものであります。
 第四は、入・通院患者の申立ての期間制限に係る規定を削除するものであります。
 第五は、政府は、精神医療等の水準の向上を図るものとすること、及び政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、施行状況を国会に報告することとし、所要の措置を講ずるものとするとの旨の条項を附則に加えるものであります。
 以上が本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び概要であります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#6
○委員長(魚住裕一郎君) 次に、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、発議者朝日俊弘君から趣旨説明を聴取いたします。朝日俊弘君。
#7
○委員以外の議員(朝日俊弘君) ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案並びに裁判所法の一部を改正する法律案及び検察庁法の一部を改正する法律案の趣旨を説明いたします。
 二十一世紀の我が国における重要課題の一つは、「障害者と共に生きる街づくり」、すなわちノーマライゼーションの理念に基づく地域社会の実現であります。とりわけ、従来の取組が大きく遅れていた精神障害者の医療と福祉の分野については、こうした理念の重要性を特に強調しておきたいと思います。
 しかしながら、一昨年の大阪・池田小学校事件における不幸な事件を契機として、重大な他害行為を犯した精神障害者に対する新たな立法化の動きが一気に加速され、政府は関係する審議会の意見を聞くこともなく、昨年の通常国会に心神喪失者等医療観察法案を提出いたしました。こうした政府・与党の一連の動きは、全国各地で地道に取り組まれてきている障害者支援の活動に水を差すものとなったばかりか、新たな差別感情をあおることにもつながり、結果として障害者の社会参加を促進する動きを逆流させるものと言わなければなりません。
 今回、私たちは、精神保健福祉施策全般の着実な改善計画の実施と併せて、従来、必ずしも適切ではなかった司法と精神医療の連携の改善を図ること等を目的として、現行の精神保健福祉法等の改正案を提出させていただきました。
 これに対して、政府が提出した法律案は、司法精神鑑定の在り方や、司法と精神医療の連携、あるいは措置入院制度の実態等々、現行法制度上の問題点には一切目を向けることなく、更に新たな強制医療法を制定しようとするものであり、到底認められるものではありません。
 また、衆議院における修正の内容についても、政府案の本質的な部分は何ら変更されておらず、むしろ概念規定のあいまいさゆえにかえって理解し難い内容となっており、賛同することはできません。
 以上に述べた理由から、私たちは、新たな立法によるのではなく、現行の法制度の一部改正とその運用の改善を図る観点から本法律案を提出させていただきました。
 以下、その内容について説明いたします。
 第一に、起訴前及び起訴後における精神鑑定の適正な実施を目的として、最高裁判所と最高検察庁のそれぞれに司法精神鑑定支援センターを設置し、鑑定人の選定事務、精神鑑定に係る情報と資料の収集、調査分析等を行うこととします。
 このことにより、鑑定人の選定に関して裁判官や検察官の負担を軽減することができるとともに、鑑定に当たる精神科医を適切に選定し、鑑定結果の偏りやばらつきを防ぐことができます。また、情報の収集、分析を通じて、より精密な鑑定技能を開発していく道をも開くことが期待できます。
 第二に、現行の措置入院制度に係る判定委員会の設置であります。
 都道府県知事の下に新たに判定委員会を置くこととし、精神保健指定医のうちから知事が任命する二名の合議体を構成し、措置入院及び措置解除の判定を行うものとします。
 第三に、現行の措置鑑定が極めて限られた情報の下で行われている現状を改善するため、精神保健福祉調査員制度を設置し、措置鑑定の必要性を判断するための調査、判定委員会の求めに応じた調査等を行い、より厳密な措置鑑定が実施されるよう支援します。
 第四に、人員配置基準が低い現在の精神科病棟では十分な医療、看護の提供ができないことから、より密度の高い人員配置基準を満たす精神科集中治療センターを制度化します。
 この集中治療センターは、政府案のように重大な他害行為の有無を要件とするものではなく、あくまでも治療上の必要性からサービスを提供する、言わば精神科ICUであります。
 第五に、精神障害者の社会参加、とりわけ措置解除後の退院患者さんの社会復帰支援体制を強化するため、精神障害者の保健、福祉に関する業務を担う者の相互の連携、協力を図ることを義務付けることとします。
 以上が提案理由及びその概要の説明であります。
 なお、私たちは、本改正案の提出と併せて、精神保健福祉改善十か年戦略(仮称)を提案しており、新たに策定された新障害者基本計画及び新障害者プランの確実な実行と併せて、精神保健福祉全体のレベルアップを目指していること。そして、こうした精神保健福祉施策の大幅な改善こそが、たとえそれが遠回りではあっても、他害行為を犯した精神障害者のための対策ともなるということを強調しておきたいと思います。
 議員各位におかれましては、私どもの提案に是非とも御賛同をいただきますよう心からお願い申し上げまして、趣旨の説明とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#8
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 四案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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