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2003/07/24 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第25号
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2003/07/24 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会 第25号

#1
第156回国会 法務委員会 第25号
平成十五年七月二十四日(木曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月二十二日
    辞任         補欠選任
     藤井 基之君     青木 幹雄君
 七月二十四日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     山下 英利君
     浜四津敏子君     木庭健太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                山下 英利君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                木庭健太郎君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  園尾 隆司君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山崎  恒君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       内閣府大臣官房
       審議官      田口 義明君
       内閣府政策統括
       官        山本信一郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       厚生労働大臣官
       房審議官     青木  豊君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○担保物権及び民事執行制度の改善のための民法
 等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○仲裁法案(内閣提出、衆議院送付)
○人権擁護法案反対に関する請願(第六八号)
○外国人住民基本法の制定に関する請願(第一〇
 九号外二件)
○民法改正による夫婦別姓も可能な制度の導入に
 関する請願(第三八八号外二件)
○民法改正による選択的夫婦別氏制度の導入に関
 する請願(第三八九号)
○児童保護に名を借りた創作物の規制反対に関す
 る請願(第八六四号外二件)
○いかなる修正もすることなく、心神喪失者等医
 療観察法案を廃案にすることに関する請願(第
 一六〇七号外一五件)
○在日朝鮮人等に対する民族差別強化反対に関す
 る請願(第一七三九号外一件)
○成人重国籍の容認に関する請願(第一七四八号
 外七件)
○法務局、更生保護官署、入国管理官署、少年院
 施設の増員に関する請願(第一八四四号外四六
 件)
○選択的夫婦別姓の導入など民法改正に関する請
 願(第一九四三号外一件)
○司法試験短答式試験の点字試験における受験条
 件改善に関する請願(第一九九九号外四件)
○借地借家法の改悪反対、定期借家制度の廃止に
 関する請願(第二〇三四号)
○人権擁護法案の立法化反対に関する請願(第二
 〇九三号)
○国民がより利用しやすい司法の実現のための裁
 判所の人的・物的充実に関する請願(第二一四
 〇号外三六件)
○治安維持法国家賠償法(仮称)の制定に関する
 請願(第二一八五号外八四件)
○治安維持法国家賠償法(仮称)制定に関する請
 願(第二一八八号外一三件)
○強行採決に強く反対し、心神喪失者等医療観察
 法案を即時廃案にすることに関する請願(第二
 三二一号)
○重国籍容認に関する請願(第二九一三号外一件
 )
○人権擁護法案立法化反対に関する請願(第二九
 四八号)
○人権擁護法案の廃案に関する請願(第二九四九
 号)
○民法改正による夫婦別姓も可能となるような制
 度の導入に関する請願(第三〇九一号外二一件
 )
○国籍選択制度と国籍留保届の廃止に関する請願
 (第三二六〇号外一四件)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、藤井基之君が委員を辞任され、その補欠として青木幹雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長房村精一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○千葉景子君 今日は、担保物権そして民事執行制度の改善のための民法の改正案、もう最後の質疑ということでございます。委員会としても最終の定例日ということでございます。
 この担保物権と民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案、基本的に私は賛成をさせていただく立場でございます。
 ただ、ちょっと何点か意見だけ申し上げておきたいというふうに思いますが、先般の質疑の際にも、私も大きな項目三つほど立てながら質疑をさせていただきました。ただ、それ以外の部分も本来であれば細かくお聞きをすべきところもあったかというふうに考えております。
 ただ、いずれにしても、この法律が極めてこれまでの制度、そしてシステム、それをやっぱり大きく変えるということになるわけでございますので、そういう意味では、これ、後ほど注意点などを附帯決議等で是非確認をしながら遺憾なきを期していかなければいけないというふうに思っておりますが、特に短期賃貸借につきましては、やっぱり審議をしてみましても、なかなかこれを、賃貸借を今している多くの市民の皆さん、あるいは事業をなさっておられる皆さんなどに十分にやっぱり徹底をする。そして、これが決して賃貸借を危うくするものではなく、むしろこれまで不足をしていた部分を逆に言えばきちっと整備をするという面もこれはないわけではありませんので、そういうところも含めましてやっぱりここは十分に周知をする。そして、現場での混乱等がないようにやっぱりしていかなければいけないというふうに思っているところでもございます。
 また、今回、私も大変うれしく思うところの一つに、扶養義務、この扶養料の確保、これに前進が果たすことができたわけですけれども、これもやはり短期賃貸借と同じようにこういう手段が取れるのだと、こういうことを本当に多くの、この扶養料の確保で困難をされている、あるいはこれが不安なゆえに、やっぱり自分の人生、もう本当にやりたい人生を送りにくいと、こういう女性なども多くいるわけでございます。
 そういう意味では、ここもやっぱり、こういう本当に制度をきちっと活用できるのだという、そういうところの周知あるいは問い合わせがすぐできるような、そういうことが必要であろうと思いますし、これは議論の中でも出てまいりました。やはり、さはいっても裁判所等の手を煩わせながら手続を取っていくということでもございますので、これを何とか、やっぱりもっと社会が、あるいは行政等が手を差し伸べながら、そしてそれを確保していくような、そういうこともやっぱりこれを機会に考えていかなければいけないと、こんなふうにも思ったりいたします。
 そしてもう一点、やはり働いておられる皆さん、やっぱり労働債権の問題も生活の糧でございます。もう何かあれば、すぐあしたから生活がいろいろ困窮する、あるいは困るということになるわけで、今確かに、世上、経済的にも非常に混迷しておりますし、景気がなかなか良くならない、あるいはその中でリストラがあったり、あるいは解雇があったり、そういう状況でございます。
 だとすれば、なおさらこういう労働債権、あるいは働く皆さんの生活の基礎をきちっとしませんと、やっぱり消費も拡大しない、不安があればあるだけ経済の基盤というものが萎縮していくと、こういうことになるわけでもあり、そういうことを考え合わせますと、今回、一定の前進は果たし得たとしても、やっぱり国際的にILO条約などで租税債権などに優先するような形で、やっぱり社会の一番担い手です、支え役ですから、そういうところが元気になる、そして安心できるような、そういう措置を取るべしと、この要請は極めて適切であり、それから早急に取り組まなければいけないものだというふうに思います。
 どうぞ、こういう点改めまして、今回の審議、限られた時間でございましたので、尽くせぬところがあったかと思いますけれども、よく念頭に置いていただいて、大臣にもその点の今後の対応等、リーダーシップを取っていただきたいというふうに思っております。
 そして、先ほど申し上げましたように、この国会、今日が最後の定例日ということになるわけでございまして、本来であれば一般質疑、いろいろな角度からの法務にかかわる、司法にかかわる問題を十分に論議をする、そういう機会ももっと設けたかったなというふうに考えております。残念ながら国会のやっぱり会期ということでございますので、それはかなうものではありませんが、是非、大臣にこの国会を振り返りながら所感を聞かせていただきたいというふうに思っております。
 実はこの国会、ここまで本当に法案の審議がどん詰まりまでもう大変な思いをすることになったというのは、幾つかの問題点があろうかというふうに思います。
 一つは、やっぱり司法制度改革、これは二十一世紀、私はもう最大の改革だろうというふうに思っております。いろいろな改革というのは今手掛けられておりますけれども、日本の民主主義、そして国民主権、こういうことのやっぱり大きな柱になる改革であろうというふうに思いますので、これを実現するために、本当に多くの法案や制度の見直しなどをしていかなければいけない。それをこの法務委員会というところに託されているということは極めて責任も重いというふうに思いますし、私もその点については積極的に議論を進めていきたいものだというふうに思います。
 ただ、若干残念なことは、法務大臣、担当大臣として頑張っていただいているかと思いますけれども、どうもやっぱりこの本部長の意気込みというものがなかなか伝わってこないというところもございます。改革のいろんな問題はよく報道などもにぎわすことになるわけですけれども、どうもこの司法制度改革といいますと、なかなかそういうところにも上ってこない。それから、本部長も事あるごとにいろんなことをおっしゃいますけれども、その中に司法制度改革ということが言われたことというのは余り聞いたことがない。やっぱりこれだけの改革を成し遂げようというのであれば、やっぱり法務大臣にも本部長にも大いにしりをたたいていただきまして、やっぱりこれがどれだけ大変なことなんだということを是非よくよく知らしめていただかなければならないのではないかというふうに思います。
 今回は時間がございませんでしたけれども、やっぱり本部長自ら、やる気であれば委員会などにもむしろ自分の思いやあるいは熱意を伝えるために出張っていただくくらいの、そういうこともあってしかるべきだろうというふうに思います。また、そういう機会が是非ありますように期待をしているところでもございます。こういうことがある。
 もう一方、これは本当に残念なことですけれども、名古屋刑務所に端を発して、日本の行刑の在り方ということが大変大きなこれは社会の問題にもなりました。そういう中で、法務省でもかなりの処分がなされたり、あるいは行刑改革会議というのが立ち上げられまして、抜本的な改革の道が今ようやくスタートをされつつあるわけでございます。ただ、これだけの処分を出し、そして社会的にも厳しい批判を浴びた。法務大臣、本当におつらいところもあったかと思いますけれども、これは法務大臣の責任というのは本当は極めて大きかったのではないかなというふうに思っております。
 そこで、法務大臣がどういう姿勢を示されるかということがやっぱりこれからの法務省の信頼とか、そういうものにもつながっていったのではないかというふうに思っておりまして、その辺りを本当に大臣としてはどういう思いでこの国会臨まれたのかなと、こういうことも感ずるところでもございます。そういうことを踏まえながら、是非、大臣がこの国会をどういうふうに振り返られるか、御自身の言わば責任の重さも含めながら御所見をお伺いをしたいというふうに思います。
 そして、一点だけ。これは、きっと大臣もちょっぴり残念だなと感じておられるのではないでしょうか。長年の懸案でもございます、多くの女性も待ち望んでおります民法、選択的夫婦別姓、これを含んだ民法の改正作業、大臣も多分、大臣になられたときには、よし、これで実現できるぞと内心思われておられたのではないかというふうに推測をさせていただきます。残念ながら、今に至るまで実現というところには至りませんでした。大臣として内心じくじたる思いがおありかもしれません。この展望なども含めながら、是非、大臣に御所見をお伺いをいたしまして私の、担保物権ばかりにはなりませんでしたけれども、質問とさせていただきたいと思います。どうぞ大臣、十分にお述べいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(森山眞弓君) この国会を回顧しての所見をというお言葉でございましたが、今、先生のお話の中にほとんど十分に盛り込まれておりまして、大変行き届いたお言葉をちょうだいしたというふうに思っております。
 私といたしましても、国会、今、四十日延長していただきまして、その日数のおかげもありまして、今日ここまでこぎ着けることができたのは先生方の御支援と御鞭撻のおかげだと心から感謝しておりますが、振り返ってみますと、おっしゃいますとおり、司法制度改革という、法務行政の歴史に残る、あるいは日本の歴史に残るかもしれない非常に大きな事態と真っ正面からぶつかった最初の国会でもございましたので、それにも大変一生懸命やらせていただきました。まだ一部ではございますけれども、幾つかの法律を通していただきまして、その取っ掛かりができたかなと思っております。
 本部長の言葉が聞けなかったのが残念だというお話でございましたが、本部長は総理大臣でございまして、時間的にも非常な制約がございましたこともあるんでございますが、非常に御熱心にこのことは、私などには始終お言葉をいただきまして、言わばハッパを掛けられていたわけでございますので、聞こえてこないというお話はちょっと言い方が、私の力が不足だったのかなというふうにも思いますが、総理はともかく大変熱心でございますので、今後とも、私自身も従来に増してこの問題に力を入れていきまして、身近で取っ付きやすい司法制度の確立ということ、使いやすい司法制度を確立するということのために更なる改革の推進をしていきたいというふうに思っているところでございます。
 また、おっしゃいました行刑改革の話でございます。
 特に、一連の名古屋事件の結果、のきっかけになって、このような問題が表に出てまいりまして、非常に国民が行刑行政に対する信頼を失ったということを考えますと、これを回復するのは非常に大変だというふうに思うわけでございます。法務省といたしましても、矯正局ばかりではなく、全省的な取組をもってこの信頼を回復しなければいけないということで一生懸命力を合わせて今もやっているところでございますが、御存じのように、民間の有識者の知恵をおかりするべく行刑改革会議というのを始めまして、国民の視点に立って、一切の聖域を設けずに自由に御議論をいただくという方針で既にもう四回ほどやらせていただきました。
 行刑を抜本的に改革いたしまして、国民に理解され、支えられる行刑施設を作るために今後とも、行刑改革の先生方はもちろんでございますけれども、本委員会の委員の皆様方からも引き続き様々な御指摘、御意見をいただきまして、目的を果たしていきたいというふうに思っております。
 世の中は凶悪な事件や思い掛けないようなことが多発いたしまして、多くの国民が治安の悪化あるいはその不安定なことに大変心配を抱いているというのが今の実情ではないかと思います。安心して安全に暮らせる生活、社会ということを実現するということが法務省の役目の一つで、重要な一つでございますので、そのためにあらゆる努力を惜しまないで頑張っていかなければいけない。先ほど申し上げた司法制度改革はもちろんでありますが、そのほかにも改めるべきことがたくさんあるかと思いますので、私自身はもちろんのこと、職員挙げてそのために努力していきたいという気風で今一杯でございます。どうぞ御支援をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 なお、最後に御指摘がございました選択的夫婦別姓制度のことにつきましては、衆議院におきまして、つい先週でございましたか、各党の御意見の開陳の機会がございまして、それを私もテレビを通じて拝見しておりました。各党各派におきまして議論を更にお進めいただきまして、なるべく早く良い結論が得られますように、私も心から願っているところでございます。御協力くださいますように今後ともよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#8
○委員長(魚住裕一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として山下英利君が選任されました。
    ─────────────
#9
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 先日は労働債権の先取特権の種類と範囲について質問をいたしました。今日はその行使に当たっての運用改善の問題をまず質問をいたします。
 担保権実行の一般原則は公文書で証明することですが、民事訴訟法では一般の先取特権については例外を認めてそういう制限を加えておりません。その趣旨はまず何でしょうか。
#10
○政府参考人(房村精一君) これは、一般先取特権を証する公文書というのはなかなか適切なものが見付かりにくいという実情にありますので、これを公文書に限定いたしますと、利用できる文書が極めて限られてしまいまして、一般の先取特権による申立てを困難にすると、そういうことが配慮されたものと思っております。
#11
○井上哲士君 その証明文書について、担保権の存在を証する文書という抽象的な形で規律をして、具体的な文書名を挙げておりませんが、その趣旨はどういうことでしょうか。
#12
○政府参考人(房村精一君) これは、具体的文書を例示するとなりますと、確定判決であるとか公正証書であるとか、非常に証明力の高いものをどうしても例示することになろうかと思います。
 逆に、そういたしますと、なかなか各種多様な文書を総合して判断するということが困難になるおそれもあると。そのようなことから、特に具体的な例示はしないと、こういうことにしたものと思っております。
#13
○井上哲士君 今の二つお尋ねをいたしましたけれども、要するに証明が困難であっても、できるだけ幅広くいろんな文書を使うことによってこの先取特権を認めようという、こういう趣旨だと思うんですね。今回の民法改正でこの保護の範囲が広がるわけでありますが、建設現場の請負的就労者など、これまで以上にこういう賃金台帳などの書類の提出が困難な労働者の先取特権の行使を可能にすると。そうであるならば、それにふさわしい立証使用の運用というのが必要かと思うんですが、法務省としてはどういう運用を期待をされておるんでしょうか。
#14
○政府参考人(房村精一君) これは御指摘のように、今回広げる結果、相当多様な形態の労働債権が先取特権の保護の対象になってこようかと思います。この法律が特に書面の限定をしていないということが、そういう個々の事情に応じた多様な証書を総合して適切に判断をしていただけるようにと、こういうことでございますので、その趣旨を踏まえた判断をしていただければと、こう思っております。
#15
○井上哲士君 その上で、最高裁にお聞きしますが、今そういう立法者の方の期待の声がありました。請負的就労者の場合、特に建設現場などでいきますと、もう口頭で仕事の依頼を受けて、給料明細などもちろんないし、明文の就業規則や賃金規定がないという方がむしろ多いぐらいだと思うんです。そういう皆さんが第三者的ないろんな文書を出すのに非常に困難があるわけで、相当柔軟な運用が必要かと思うんですが、今回の法改正の趣旨に沿った形でどういう運用改善が考えられているのか、いかがでしょうか。
#16
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) ただいま御指摘のように、労働債権に関して、例えば契約が請負である、しかしその実態は雇用関係であるというような事例もございます。私も経験をしたことがございます。これについて、そのような実態に即した認定をしていくということが大変重要であるというように考えております。今までの経験からいたしましても、そのような認定をする上で最も重要なことは、これは書類が整っていない場合の労働債権の認定ということになりますので、当該事案に応じて様々な立証上の工夫をしていただいた、そういう立証を行っていただいて、裁判官もその事案に適した柔軟な、言わばしなやかな認定をしていくということが大変重要なことでございまして、このような認定がされていくように、これまでも研究をしておるところでございますが、なお一層現場の裁判の実務において研究がされるような空気が醸成されていくように私どもも努力したいというように思っております。
#17
○井上哲士君 園尾さんが大変しなやかにやっておられたというのはいろんな論文で見る機会があるんです。
 それで、例えば全くそういう書類がないという場合に、陳述書というような形でもこれが証明文書の一つとして採用されていくのか、これはどうでしょうか。
#18
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 労働債権と認定いたしますと、一般の先取特権という担保権が成立いたしますので、これについて裁判官がいろいろ虚偽の債権が混入しては困るということで認定に工夫をしておるわけでございますが、陳述書に関していいますと、この陳述書というのは自己証明の文書ですから、これのみで先取特権を認定していくということはかなり難しいことではありますが、しかしかなりその陳述書を裏付ける何らかの証拠というのがある場合が少なくありません。
 これを丁寧に見ていく、例えば給料に関する明細書のたぐいだとか、そのようなものを大変丁寧に見ていって、その陳述書がどれだけ裏付けられているのかというような観点から事実を認定していくというようなことをやって、柔軟な認定をするということも理屈上可能でございまして、そのような様々な事案に応じた認定をしていく努力をしていかなければいけないというように思っております。
#19
○井上哲士君 是非、そういうしなやかな運用をお願いしたいと思うんです。
 その上で、この間の参考人の質疑でもありましたけれども、一人親方など、労働組合などにも入っていない方が先取特権を行使しようと思いますと、非常に簡易な申立て書にしないとなかなか難しいと。地裁によれば、窓口に見本を置いているというふうに聞いたんですが、先日、この「書式債権・動産等執行の実務」という本を見せていただきまして、そこにこの申立て書の一つの例が掲載をされているのを見ました。これは民事法研究会が出版している本ですからかなりスタンダードなものだと思うんですが、これを見ますと、「添付書類」として「証明書」、「(1)従業員名簿の写し」、「(2)給与台帳の写し」、「(3)給与債権未払明細」、この三つが書いてありまして、何のただし書もないんです。ですから、むしろ窓口に行ってこういう申立て書を見ますと、こんな書類はとっても添付できないということでむしろしり込みをしてしまうんじゃないかと。先ほど来の趣旨とはかなり違うんではないかなということを私は思ったんです。
 ですから、やっぱり今回の法改正の趣旨に合ったような簡易な申立て書というものが研究もされ、交流もされる必要があるんではないか。それぞれ、地裁ごとにやられることになるかと思うんですけれども、その点でも是非、最高裁としての御努力をお願いしたいんですが、その点はいかがでしょうか。
#20
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) ただいま御指摘のようなひな形というような工夫もあるわけですが、これはただいまの御指摘にもありますとおり、運用のよろしきを得なければかえって硬直な運用というのを推認させてしまうというような問題もございます。
 特に、この労働債権の難しい認定の事例について言いますと、事案ごとに適切な書類を工夫していくということが是非必要ですので、むしろひな形というような定型的な処理を念頭に置いた事務処理ではうまくいかないというような場合もあります。やはり、事案に応じて知恵を絞っていくという姿勢がまず大事だというように考えておりますが、御指摘のような、運用についてこのような場で議論がされたということも踏まえて今後の検討が進んでいくということを私どもも期待をしておりますし、努力もしていきたいと思っております。
#21
○井上哲士君 これ、行使を本当にしようと思いますと、時間との勝負もあるわけですね。それこそ一人親方の方などが裁判所に駆け込んだときに、なるほど、これならすぐできるというやり方、やはり一から書くというのはとても難しいことがあるわけですし、その辺の窓口の対応も含めて大変大事だと思うんです。せっかく今回の改正があるわけですから、本当にしっかり行使ができるように是非この研究や普及をお願いをしたいと思います。
 次に、敷金返還の問題についてお尋ねをします。
 この改正案では、敷金返還請求権は買受人に承継されないことになりますので、賃借人は預託金の返還を求めることができずに元の家主に請求をするということになります。しかし、経営状態が悪化をしている旧所有者が支払えるわけはありませんので、実際は賃借人の権利保護にとって重大な後退になる。むしろ、やっぱり敷金、保証金は買受人に引き受けさせると、こういう制度にすべきではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#22
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、短期賃貸借制度、賃借権が引き受けられる場合には敷金返還請求権も買受人が引き継ぐということになっているわけでございます。
 ただ、これを悪用いたしまして、高額の敷金の差し入れを仮装いたしまして、買受人に対してその返還の名目で金銭の支払を要求するという執行妨害行為がしばしば行われているという具合に言われております。
 また、敷金の返還請求権を引き継ぐということになりますと、当然、買受け代金はその分、減額、低くならざるを得ない。それは、配当を受ける抵当権者の損害ということになるわけでございます。本来、抵当権に後れて設定されて対抗できないはずの賃借権に伴って生じた敷金返還請求権の分だけ抵当権者が予測できない損害を被ってしまうということで、合理的ではないという指摘もなされていたところでございます。
 また、現在の短期賃貸借制度は、必ずしも賃借人を均等に保護するようにはなっていない。たまたま賃借権の満期が競落の前に来てしまいますと、そこで対抗できなくなりますので、その場合には敷金はやはり従前の賃貸人に返還を請求せざるを得ない、そういう事態になるわけでございます。
 そのようなことを総合的に考えますと、現在の短期賃貸借制度を維持して買受人に敷金を引き継がせるということはやはり難しいであろうということから、今回、短期賃貸借制度を廃止するということとしたわけでございます。
 ただ、今回の改正は、この法律、改正法の施行前の賃借権には適用されませんので、既に設定されておりますものについては従前どおりでございます。したがいまして、今後、設定される賃借権については短期賃貸借制度の適用がないということになりますので、私どもとしては、この新法が成立をいたしました場合には、施行までの間、全力を挙げてこの周知を図りまして、賃貸借契約設定時にそういうことを十分認識して設定をしていただけるようにという努力をするつもりでございます。
#23
○井上哲士君 どれだけの周知が本当にされるんだろうかということはこの間、指摘をしたとおりなんです。
 衆議院での答弁を見ておりますと、賃借人が差押えを受けた場合には、敷金と賃料を相殺する特約を結んでおけば相当程度保護が図れると、こういう答弁をされておりますが、今後こういう特約を結ぶような賃貸契約が増えていくと、何かそういう根拠があっての答弁なんでしょうか。
#24
○政府参考人(房村精一君) これは実際に、そういう賃貸人が差押えを受けた場合に敷金の返還時期が到来するという特約が結ばれているという実例があると聞き及んでおります。
 今回の短期賃貸借制度を廃止した場合、そういう特約が結ばれていれば賃借人の保護が相当充実することは間違いございませんし、今回のような法改正をにらんでそういった特約がされるという可能性は十分あり得るだろうと思っております。
#25
○井上哲士君 先日も国交省の方にも来ていただきましたけれども、今度の法改正によってこの敷金のことなどがどういうことになるのかということをしっかり宅建業者に説明させろと言っても、なかなか後ろ向きなお話でありました。
 そういう状況の下、仮に敷金が返ってこなかったら、そういう事態、そういう事件が起きたら相殺できますというようなことを契約時に特約をするようなケースがおよそ増えていくとは私はとても思えないんです。ですから、それを根拠に相当程度保護が図れるというようなことが一体本当に起きるんだろうかということを、それだけ指摘をしておきます。
 その上で、最後に内覧の問題についてお聞きをいたしますが、現場の執行官の方のものなどを読んでおりますと、例えばマンションの一室を競売したい場合に九十九通の入札があったというようなこともあるそうであります。そういう場合に、多数の内覧希望者に対して目的の建物に案内するということが実際にできるんだろうかと、こういう疑問が当然あるわけですね。
 六十四条の二の第四項で、「執行裁判所は、内覧の円滑な実施が困難であることが明らかであるときは、第一項の命令を取り消すことができる。」と、こういうことがありますが、例えばこういう大変たくさんの人が希望されて、実際上無理じゃないかと思われるようなときなどもこの項目を活用するということは可能なんでしょうか。
#26
○政府参考人(房村精一君) 基本的には、相当多数の方が希望した場合には相当回数に分けて行うとか、そういう工夫をすることによって円滑に実施できるのではないかとは思っておりますが、場合によれば内覧希望者が極端に多数で、どんな工夫をしてみても到底円滑に実施できないという場合も、それはあり得ないわけではないだろうと思いますし、そのような場合にはこの条文の対象として取り消すこともあり得るのではないかと思っております。
#27
○井上哲士君 さらに、一度に十人とか十五人内覧をさせますと物件が傷付けられるんじゃないかとか、それから談合の危険性が生じるんじゃないかと、こういう指摘もありますけれども、こういう懸念にはどのように対応されるんでしょうか。
#28
○政府参考人(房村精一君) この内覧の実施は執行裁判所が執行官に命じて執行官の責任において実施することになっておりますので、正に内覧を希望する人が物件を傷付けるような行為をすれば円滑な実施を妨げるものとして直ちに退去を命ずることができるようになっておりますし、談合を防止するために適切な指示を執行官はできますので、それに従わなければやはり退去と、こういうようなことによってそういう違法な行為が起こらないように対処できるものと、こう考えております。
#29
○井上哲士君 今、第六項のお話があったわけですが、今、談合とか執行妨害ということがありましたが、プライバシー保護という観点からもこの項目が活用されるわけですが、プライバシー保護のために立入り制限とか退去を命ずるというのは、具体的にはどういうものが想定をされているんでしょうか。
#30
○政府参考人(房村精一君) 例えば、その建物に立ち入って中を見ているときに内覧をしている者が勝手にその住人の持ち物を見るとか、そういうことがあれば、これは必要な限度を超えた行為でございますので内覧の円滑な実施を妨げるものとして制止できますし、言うことを聞かなければ退去を命ずることができる。このようなことによって不当にプライバシーが侵害されることは防げるのではないかと、こう思っております。
#31
○井上哲士君 病人がいる場合とかも答弁もありましたけれども。
 参考人質疑のときにも日弁連の代表の方から、当初の議論よりも内覧の範囲が広がっているということから、非常にプライバシーが侵害をされるんではないかという危惧の声が出されておりました。是非、こういう危惧が実際にならないような運用を強く求めまして、質問を終わります。
#32
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、民事執行法五十五条、この条文が変わって、著しく不動産の価値を減少する行為の「著しく」が削除されております。これの要件緩和についてなぜか教えてください。
#33
○政府参考人(房村精一君) これは、民事執行法で保全処分を発令する要件として、不動産の価格を著しく減少する行為があった場合には保全処分が発令ができるとされていたものを、今回、「著しく」を削除して発令要件を緩和しているわけでございますが、これは、近時、執行妨害の手段が非常に巧妙化いたしまして、価格は減少させている、しかし保全処分を発令されるほど著しくは行わないと、そういうような巧妙な事例が増加していると。こういうことから、それにも対応できるように、この著しく減少するを、減少する行為があれば発令できると、こういう具合に改正するものでございます。
#34
○福島瑞穂君 確かに、「著しく」の代わりに、ただし、価格減少行為による価値の減少、おそれが軽微なときは除くとあります。
 衆議院の段階の答弁では、議事録を見ますと、労働組合の占有行為は軽微に当たるとのことですが、労働組合が保全処分や排除の対象にならないよう十二分に注意し、配慮し、労働者を保護するために、意見聴取など具体的措置を取る必要があるのではないでしょうか。
#35
○政府参考人(房村精一君) この保全処分と労働組合の正当な組合活動の関係につきましては、保全処分を設ける段階から議論をされたところでございますが、その当時から一貫して正当な労働組合活動がこの保全処分の対象となるようなことはないということを御説明申し上げているところでありますし、今回、この著しいという要件を外したからといって、それによって従来の考え方が変わるわけではございませんので、従前どおり、正当な労働組合活動であればこの保全処分の対象となるようなことはないと、こう考えております。
 その手続的保障として、今、審尋ということがございましたが、これは保全処分の発令に当たっては審尋を行うという規定がございまして、これは正にそのような正当な占有権原を持っている者の意見を十分聞く機会を保障するという趣旨で設けられたものでございますので、裁判に当たってはその規定の趣旨を踏まえた運用がなされていると、こう考えております。
#36
○福島瑞穂君 正当な労働組合がこれで阻害されないということであったんですが、でも、今おっしゃるようにある程度配慮がされるのであれば、もう一歩踏み込んで、きちっと審尋しなければならないとすれば、正当な組合活動であるかどうかというのは、正当かどうかとかいろいろ要件はあるとは思いますが、審尋をすればある程度そのことが、いつからか、どういう組合なのか、何をしているのかということを聞けますから、審尋を要件にすれば両方の価値衡量が実現するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#37
○政府参考人(房村精一君) これは審尋するまでもなく却下する場合もあるわけでございますので、審尋をするかしないかというのは、やはりその事案に応じた裁判所が適切な判断を行うということでございますし、この法律の趣旨が先ほど申し上げたような趣旨だということは種々解説にも書かれているところでございます。裁判所においても、当然その趣旨を踏まえて、労働組合活動が問題になっているような事例においては当然、審尋をされた上で判断をするという具合に考えております。
#38
○福島瑞穂君 そうしますと、条文には審尋とは入っていないけれども、通常、仮差押え、仮処分などでちょっと複雑な経過であれば審尋などは行われるので、正当な組合活動かどうかということが争われるような事案は審尋があり得るという理解でよろしいですね。
#39
○政府参考人(房村精一君) あり得るというよりは、執行裁判所は、債務者以外の占有者に対してこの決定をする場合において必要があると認めるときはその者を審尋しなければならないということで、必要があるということであれば必ずするということになっておりますし、この必要があるということの中には、先ほど申し上げたような、正当な労働組合活動かどうかという判断が求められるというような場合は当然この必要な場合に当たりますので、審尋はされるものと、こう思っております。
#40
○福島瑞穂君 了解をしました。是非、きちっとされるようによろしくお願いします。
 次に、強制執行や保全処分、競売への妨害への量刑が一挙に重くなっていることについて教えてください。
#41
○政府参考人(房村精一君) 今回、民事執行法の手続面で種々、執行妨害対策を講じているところでございますが、その手続面だけではなくて罰則についても強化をしております。
 その内容について簡単に申し上げますと、まず民事執行法上の保全処分、この保全処分の実効性を高めるために、保全処分の内容を公示書その他の標識を掲示する方法によって公示する制度というのを今回新たに設けました。それに伴いまして、この公示書を損壊する方法による執行妨害に対処するために、公示書の損壊に対して刑事罰を設けると。これは罰則を新設しているわけでございますが、やはり何といっても執行妨害として一番重要な保全処分、これを実力で無視する人に対してやはり刑事罰の罰則をもって臨まなければ実効が上がらないと、こういうことでございます。これは一年以下の懲役又は百万円以下の罰金と、こういうことになっておりますが。
 そのほか、執行官が現況調査を行います。この現況調査は、執行の言わば基本を成すものでございますが、この執行官の現況調査に対して、質問に答えない、あるいは虚偽の陳述をすると、そういう場合に現行法では十万円以下の過料の制裁しかない。しかし、これでは適正な民事執行の実現が図れませんので、今回これを、罰則を強化いたしまして、刑事罰に引き上げて六月以下の懲役あるいは五十万円以下の罰金と、こういうような重くしておりますが、これはやはりこの現況調査の重要性にかんがみれば必要な罰則強化だと、こう思っております。
 また、併せて、不動産の明渡し執行のために占有者を特定する必要があります。今回、不特定で発令できるようにしたものですが、その必要性がより強くなっております。そういうことから、この明渡し執行のときの執行官の質問に対する陳述拒絶についても同様の罰則を設けるということとしておりますが、いずれも手続的な改正の言わば裏打ちとして罰則の強化を図ったというものでございます。
#42
○福島瑞穂君 倒産のときなどはいろんな権利が錯綜し、いろんな利害が対立をするので、いわゆるばっこする占有屋、占有屋と言うといけない、占有屋と言ってもいいのかもしれない、いわゆる占有屋の人たちに対して対抗することは大変必要だと思うのですが、他方、正当な権利、あるいは組合、賃金債権など、極めてきちっと保障しなければならないということも事実です。ですから、この罰則の規定が運用面で、ちょっと繰り返しになって済みませんが、労働組合への弾圧とかそういうふうにならないように、是非それは運用面でよろしくお願いします。
 先日も雇用関係に基づき生じたる債権ということについてお聞きをいたしました。そのときもちょっと申し上げたんですが、労働組合法三条は、「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。」と。つまり、給料その他これに準ずる収入によって生活する者は労働組合法上は労働者なわけですが、現実においては、例えばダンプカー、生コントラックの持込み運転手や、いわゆる手間請従事者、建築職人、それから今非常に多いSOHOビジネス、一見、委任契約みたいに、請負契約に見えるけれども、実は自宅でパソコンで労働者として働いているという。で、その境目が実はよく分からない。
 先ほど局長がしなやかにというふうには言っていただいたんですが、ここでもう一歩、請負契約、外注委託契約で働く個人事業主型の労働者も入れると。SOHOなどは委任のようで実は労働者なわけですから、もう一歩ここははっきりすべきでないかという点についてはいかがでしょうか。
#43
○政府参考人(房村精一君) 今回の改正で、実質的に雇用関係にあれば契約類型を問わないということでございますので、請負契約の形を取っておりましても、実質雇用と、雇用関係という具合に認定できれば、当然、先取特権の保護は与えられますし、またその立証のための資料は多様なものが許されると、こういうことでございますので、実情に合った認定をしていただけるのではないかと、こう思っております。
#44
○福島瑞穂君 是非、法改正の趣旨を裁判所始め法曹関係者に徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#45
○政府参考人(房村精一君) そのように努力したいと思っております。
#46
○福島瑞穂君 これもちょっとほかの委員とダブる質問で申し訳ないんですが、賃金債権に先取特権があっても、実際の仮差押えや取立ての場面では担保権の存在を証明する文書を裁判所に提出しなければならないと。しかし、賃金不払を証明するには就業規則、会社代表者の印鑑証明、賃金台帳など多くの資料をそろえる必要がありますけれども、その多くは会社の所有、保管するもので、不可能な場合も実は多いです。
 ですから、実は賃金不払の裁判とかもやったことありますが、なかなか資料が見付からない、あるいはどこに行ったか分からないなんということもあります。要件を緩和するか、さもなくば賃金不払を使用者に証明させる文書の発行を義務付けるなどの措置が必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#47
○政府参考人(房村精一君) 確かに、雇用関係に基づいて生じた労働債権を証する資料の多くが会社側にあるというのは御指摘のとおりだろうと思います。そういう意味で、そういう事情も配慮いたしまして、この執行法では、先取特権を証する書面、文書とするだけで、決して特定のものを必ず必要だという具合には定めていないわけでございますので、いろいろ御苦労はあろうかと思いますが、それぞれの事情に応じた工夫をしていただいて、また裁判所においてもしなやかな認定をしていただけるということのようでございますので、この規定を活用して何とか先取特権の実現を図っていただきたいと、こう考えております。
#48
○福島瑞穂君 今回はしなやかなということの現実なんですが、是非、将来的には少し抜本的に、改正面で今のようなしなやかな対策を何とかできないか、よろしくお願いします。
 不動産執行妨害対策で、先ほど労働組合の正当な活動は入らないというふうに言っていただいたんですが、政省令、法律で明確に適用除外とすることはできないのでしょうか。
#49
○政府参考人(房村精一君) これは、保全処分の対象として、基本的には違法な行為が対象になるわけでございますので、正当な労働組合活動が違法な行為ではないということからそういう結論は出てくるわけでございますし、この法案の審議、あるいは、そもそも保全処分を設けるときの国会審議においても政府側からも何回にもわたってそういう説明がなされておりますし、解説書等でもそう解説されておりますので、改めて政省令で規定する必要はないのではないかと、こう思っております。
#50
○福島瑞穂君 もちろん何度も確認をしてきたんですが、是非、例えば省令などで生かすことができないか等の検討を是非よろしくお願いします。
 ところで、今日が最後の委員会ということで──あっ、ごめんなさい、とは分からないですが、済みません。今日は担保法の、担保物権のことですけれども、私ももうそろそろ、そろそろ今通常国会を振り返る時期も来つつあるかという段階ですので、ちょっと大臣にお聞きをしたい、感想もお聞きしたいというふうに思っております。
 この百五十六通常国会は、去年からもそうですが、いろいろありました。いろいろ激動のこともありましたし、ただ、改革が本当になされることを、例えば刑務所の問題一つ取っても改革がされることを本当に強く強く望んでいます。百年以上手が付けられなかった問題に関して、死亡帳を出していただき、この委員会にもたくさんの資料を出していただいて、情報公開という面では大変努力をしていただいたと、それは本当に率直に思っています。私たちも本当に、不本意な死に方をされる人がないように、医療の面で苦しむ人がいないように、待遇面で苦しむ人がいないように、万が一、人権侵害が起きたら、きちっと救済がされるようにというふうなことを本当に強く思っています。
 行刑改革会議が今進んでおりますが、大臣がアメリカに視察に行かれるとか、あるいは民事の委託やいろんなことも考えていらっしゃるという報道があります。今、どういう状況で、あるいは大臣の意気込みとしてはどうかということについてちょっと聞かせてください。
#51
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど千葉委員の御質問にもお答えしましたように、この委員会は特に、毎年やる普通の委員会というのではなくて、おっしゃるように特別ないろいろな改革が各方面にわたって出てきた委員会だったと思います。
 私自身も、このような非常に、この法務行政の歴史の上でも特筆すべき委員会に法務大臣として参加させていただいて、いろいろと先生方の御指摘をいただき、御指導をいただきまして、幾つかの改革を既にすることができたというのは大変有り難かったと思っておりますが、これからまだやるべきことがたくさんございまして、先生方の御意見を率直に拝聴しながら、またこの委員会での御指摘の点を十分考えながら、これからも更に進んでいきたいというふうに思っております。
 今、私がアメリカに行くというようなことをおっしゃいましたが、それ確定しているわけではございませんけれども、外国のいろんなケースについても、私ばかりではなく、必要な人が必要なところへ行きまして勉強してくるということは大変重要だと思いますので、これからも、予算の制約はありますけれども、できる限りそういう機会を持って勉強を続けていきたいと思います。
 今のところ、行刑改革会議の一応の方向を出していただくのは、今年の終わりまでにと一応申し上げてございますけれども、それを目指して既にもう四回の会議をやっていただきましたが、夏から秋にかけて少し回数をまめにやっていただくことになるかもしれませんと思いますし、またテーマも少し分けて、そのテーマごとに濃密な会議をしていただきたいというふうに思っております。
 そういうことによって、それぞれの分野においてなすべきこと、すぐにやれること、あるいは中長期的に更に検討しなければいけないこと、その他いろいろあろうかと思います。また、来年度の予算あるいは今後の財政的な裏付けその他まで考えなければいけないこともあろうかと思いますので、まだまだやることがたくさんございますので、法務省挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
#52
○福島瑞穂君 アメリカは民営化、刑務所を民営化したところ、私立大学ではないですけれども、きちっとお客さんが来なくてはいけないので、逆に刑務所を満杯にするように、例えば国会議員、政治家に非常に働き掛けるとか、重罰化にという事態が起きたとも学者の論文には書いてあります。ですから、民営化するというのは逆に非常に危険な面もありますし、あるいは、その刑務所を建てることが例えばゼネコン、ある別の意味での公共事業になった、なるという面もあるやにも聞いております。
 ですから、私たちは本当にいい改革がなされることを心から期待をしていますし、そのために法務省挙げてやってくださることを本当に期待をしておりますので、その点について是非いい改革に進むようによろしくお願いします。
 最後に、先ほど千葉委員も民法改正についてお聞きをしました。私も民法改正について非常に望む者の一人なんですが、先ほど、是非、超党派で、議員立法でということをおっしゃいましたけれども、是非これは法務省も責任持ってやっていただきたいと思っておりますし、その点についてちょっと御言及をお願いします。
#53
○国務大臣(森山眞弓君) 民法の選択的夫婦別姓についてでございますけれども、これについては、当初はできれば政府提案でやりたいというふうに考えておりまして、法務省の中でも非常に努力をしてもらったんでございますが、なかなかそこまで事態が進みませんで、大変残念ながら政府提案の目標は今のところ下げて、取り下げておりまして、これは考えてみれば、家族全体に対する重要なテーマでございますので、各党各派の御意見を調整していただいて、議員の先生方の指導力によって進めていただければ何よりだというふうに考えまして、そちらの御努力に期待しているというのが今の実情でございます。
 私も、法務大臣としてはもちろんですが、一議員としても、できるだけそういう方向でなるべく近い将来に実現できるようにしたいものだと願っているわけでございます。
#54
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですが。
#55
○福島瑞穂君 刑務所問題を法務省挙げておやりになるように、是非是非、民法改正も、私たち議員の問題でもありますが、法務省挙げてやってくださるように申し上げて、私の質問を終わります。
#56
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#57
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 今日、集合住宅や賃貸マンションには約九百二十八万世帯が居住しており、実に全国四千四百万世帯の二一%、借家住まいの七八%に上ります。これら住民の居住の安定を図ることは政府の責務であります。
 ところが、本法案は、占有屋による執行妨害排除や短期賃貸借制度の不安定さを理由として短期賃貸借制度を廃止し、賃貸マンション居住者が安全に、かつ安心して住まう権利を後退させ、生活の基盤を揺るがすものです。いわゆる占有屋等による違法な強制執行妨害による収益が暴力団など反社会的集団の資金源の一つになっており、対策が必要なのは当然のことです。本法案の保全処分の強化、明渡し執行の実効性の向上など対策強化は必要です。しかしながら、短期賃貸借制度を廃止しても、悪質な占有屋を根絶はおろか激減させることもできないことは、与党側参考人も述べたとおりであります。
 逆に、短期賃貸借制度廃止が抵当物件がほとんどである我が国建物賃借権の保護を決定的に後退させるのは余りにも弊害が大きいと言わねばなりません。明渡し猶予期間が設けられるといっても、原案での三か月、修正による六か月では賃借人の居住の安定を図ることはできず、また敷金返還請求権も承継されないというのでは、到底、国民の納得を得られるものではありません。
 そもそも賃貸物件は、その多くが自己使用目的ではなく、賃借を目的として建設されています。金融機関も、賃貸用物件であることを前提に賃料収入を返済原資と見込んで融資しています。たまたま物件の所有者が破産したからといって、何の落ち度もない賃借人が立ち退きを迫られる理由はありません。
 今求められているのは、フランス、ドイツのように正常な賃借人の保護を拡充することです。改正案がその方向を顧みなかったのは、不良債権早期処理を求める規制緩和論者や大手ディベロッパーの要求のみを最優先させたものと言わざるを得ません。
 なお、労働債権の先取特権の種類及び範囲の拡大、扶養料等の債権の履行確保は、改善であり、賛成であります。
 以上、反対の理由を申し述べ、反対討論を終わります。
#58
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#60
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 短期賃貸借制度が廃止されることに伴い、賃借人保護制度として建物賃借人に対する明渡猶予制度及び抵当権者の同意による賃貸借に対抗力を与える制度が導入されたことについて、混乱が生じないようその内容を関係団体のほか広く国民に周知されるよう努めるとともに、抵当権と賃借権の権利関係の調整については、本法施行後の状況を勘案し、必要な検討を行うこと。
 二 労働債権に係る先取特権の実行手続については、労働者自らが「存在を証する文書」を提出することは困難である状況にかんがみ、労働者に過剰な証拠収集の負担をかけることなく迅速な権利実現が図られるよう、賃金台帳等一定の形式の文書を必要とするものではないことの周知に引き続き努めること。
 三 改正後の民事執行手続が適正かつ迅速に運用されるよう、裁判所の人的・物的体制の整備に配慮すること。
 四 扶養義務等に係る金銭債権を請求する場合における強制執行の特例が養育費等の履行確保のために創設されたものであることにかんがみ、その特例の内容及び強制執行の申立てに必要な手続について広く国民に周知されるよう努めるとともに、養育費の取立ての国による代行等諸外国の制度も勘案して、支払確保のためのより実効性のある制度について検討すること。
 五 財産開示手続については、過酷な債権取立ての手段として濫用されることがないよう、その制度の内容について広く国民に周知されるよう努めること。
 六 改正後の民事執行法上の保全処分について、労働組合運動その他正当な活動を阻害することのないよう十分配慮し、関係者への周知徹底を図ること。
 七 競売不動産の内覧実施に当たっては、居住者・家族等のプライバシーが不当に侵害されることのないよう、制度の趣旨について周知徹底を図ること。
 八 倒産時における労働債権と他の債権との調整について、労働者の生活の保持に労働債権の確保が不可欠であることを踏まえて検討し、所要の見直しを行うこと。
   また、ILO百七十三号条約について早期に批准するよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#61
○委員長(魚住裕一郎君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#62
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#63
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。
 また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。
 ありがとうございました。
#64
○委員長(魚住裕一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#66
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#67
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 仲裁法案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、内閣府大臣官房審議官田口義明君、内閣府政策統括官山本信一郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省矯正局長横田尤孝君、厚生労働大臣官房審議官青木豊君及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#69
○委員長(魚住裕一郎君) 仲裁法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
#70
○国務大臣(森山眞弓君) 仲裁法案について、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、社会の複雑化・多様化、国際化等が一層進展する中で、社会も事前規制型から事後監視型に移行しつつあり、裁判外の紛争解決手段についても、その拡充・活性化が求められております。このうち仲裁につきましては、公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律にその手続が定められておりますが、この法律は、明治二十三年に制定された大変古い法律であり、現代の社会経済の状況に適合していない部分が多くなり、かねて仲裁法制の抜本的な改革が望まれてまいりました。この法律案は、このような状況にかんがみ、仲裁手続の改善を図り、利用しやすく実効的な仲裁制度を構築する見地から、仲裁合意の要件、仲裁手続、仲裁判断の取消し及び執行を許可する裁判その他基本となる事項について、必要な諸事項の整備を図り、国際的な標準にも合った規律とすることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、紛争を仲裁によって解決する旨の仲裁合意につきましては、合意内容の明確化等の観点から、国際的趨勢に合わせて書面によってすべきものとするとともに、昨今の通信手段の発達を踏まえ、電子メール等を利用して仲裁合意を締結することも認めることとしております。
 第二に、仲裁人の選定手続や仲裁人の仲裁を行う権限について、これらをめぐって仲裁手続が停滞するのを抑止するため所要の規定を設け、仲裁手続が円滑に進むよう配慮しております。仲裁手続につきましても、当事者が自主的にルールを定めることを基本としつつ、当事者間に合意が成立しない場合に適用される標準的な手続について、その開始から終了に至るまで、国際的な標準にのっとった内容の規定を置いております。
 第三に、仲裁判断につきましては、仲裁判断書の記載事項を定める等所要の規定を設けるとともに、仲裁判断の取消し事由並びに承認及び執行の拒絶事由に関し、国際的な標準に沿って整備を図ることとしております。あわせて、仲裁判断の取消し及び執行の許可を求める裁判の手続について、現行法では厳格な判決手続によるとされておりますが、迅速で機動的な対応を可能にするため、これを決定手続に変更することとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#71
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#72
○江田五月君 仲裁法案の質疑の前に、本日も長崎の幼児殺人事件について若干伺っておきます。最高裁判所の方にお願いをいたします。
 昨日、長崎家庭裁判所で動きがあったようですが、最新の状況を報告してください。
#73
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 現在係属中の事件でありますので、一般的、外形的なことしか申し上げられませんが、お尋ねの少年につきましては、七月十日に長崎家庭裁判所に送致があり、同日、少年鑑別所送致の観護措置が取られ、七月十六日に審判開始決定がされ、昨日、第一回の審判が開かれ、鑑定を実施することが決定されたと聞いております。
#74
○江田五月君 昨日の第一回の審判に両親が出てきていないという報道がありますが、これは事実ですか。
#75
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) これも現在審理中の事件でございまして、個別の事件の内容につきましては説明を差し控えたいと思いますが、一般的に言いますと、少年保護事件においては、少年の保護者に対する調査を行い、審判期日にも出頭させるのが原則であり、触法少年におきましてもこの点は同様でございます。ただ、この事件では、昨日の審判には保護者は出頭しなかったとのことでございます。
#76
○江田五月君 具体的な、しかも現に進行中の事件ですので、私も質問をややちゅうちょをしながら聞いておるんですが、保護者が来ていなかったということ、これはもうちょっと、何か理由があるかどうかはお分かりでしょうか。
#77
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 承知しておりません。
#78
○江田五月君 先日の委員会で、私は鴻池大臣の市中引き回しの上、打ち首という暴言について質問いたしました。これは幾ら何でもひどい、加害者の少年の親に刑罰を科すようなことはナンセンスなんですが。
 しかし、この加害者の少年の親が全く姿が分からないというのもいささか奇異な点があると思うんですね。その親のコメントや意思表示が全く分からない。これは、ただ知りたいというだけでなくて、やはりああいう事件の少年の家庭の環境、生育環境などそうしたことを、もちろん専門家の皆さんが十分検討されるということも大切ですし当然だと思いますけれども、社会一般もまたそうしたことを素材にしながらこの問題を深く考えてみるということは必要だと思うんです。
 やっぱりそれは、鴻池大臣の暴言はとんでもないですが、しかしある種の、世間から見て、親はどうしていたんだろうかという、こういう気持ちはやっぱりあるんです。
 例えば、民法の規定でいけば、七百十二条でしたかね、未成年者の不法行為について親が責任を負うと、未成年者に、不法行為、能力がない場合ですか、いずれにしても、そういうことで親が責任を負う場合があって、これは立証責任がむしろ転換されるわけですね。親の方が監督をきっちりしていたということの立証、それは、現実に不法行為が起きていれば監督していたという立証は簡単じゃないですから、大体、損害賠償は親が負担をしなきゃならぬということになるんだろうと思いますけれども。したがって、民事の訴えを被害者側が起こせば親は法廷に出てこざるを得ないと、欠席判決は別として、という姿になるわけで、親が完全に隠れてしまうというわけにはいかない筋のものだろうと思います。
 少年法では、家庭裁判所は調査官に命じて保護者の取調べ、調査を行わせることができるわけで、また保護者に対して呼出し状とか同行状を発することもできるわけで、なぜ昨日、親が来ていないかということは承知していないということなんですが、家庭裁判所が親をそういう意味できっちり調査をしなければ、親が調査に応じないときには同行状、呼出し状までちゃんと出して、それの執行までして調査をしなければ、やはりこういう事件の場合に適切な調査にならないという、それは私はそう思いますが、いかがですか、一般論として。
#79
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 一般論で申し上げますと、委員御指摘のとおり、保護者に対して調査を行い、審判にも出頭を呼び掛けるために呼出しを行い、それが実現しない場合には同行状を出すという手続がございますので、事案に応じてそういうことも考えられるのではないかと思います。
#80
○江田五月君 今、十六日に審判開始決定があったとおっしゃいましたね。そうすると、それより以前、送致を受けた直後でしょうか、調査官に対する調査命令、これは出ていますか。
#81
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 具体的な事件のことなのでお答えしかねる部分がありますが、当然出ているものと思われます。通常の手続ですと当然出されているものと思われます。
#82
○江田五月君 当然出ていますよね。出ずに審判開始決定をするわけもないし、また審判期日が開かれるわけもないので。そうすると、調査官としては、やはり親はきちんと調査をするというのが当たり前のことだろうと思って、その点は信頼をしております。
 また、同様に少年法では、家庭裁判所は検証とか押収、捜索、あるいは警察官に対して援助をさせることもできる。その援助は、通常ならば刑事訴訟法に規定する捜査の手法を捜査官、警察官が用いて捜査をする、それによって家庭裁判所の援助にこたえるということが当然起こるわけですね。
 今回の事件で、これらの家庭裁判所が検証とか押収とか捜索とか、あるいは警察官への援助を要請する、こうしたことはありますか、ありませんか。これはお答えにくいでしょうが、質問だけちょっとしてみます。
#83
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 具体的な審理をどう行うかはその裁判体が考えることですので、やはりお答えはできかねるところでございます。
#84
○江田五月君 そこで、私の問題意識は、警察官に刑事訴訟法に規定する捜査の手法で家庭裁判所の調査に援助を要請した場合に、本件はその刑事訴訟法所定の捜査ができないと。これはやはり、もちろんこの事案でそういう捜査が必要であるかどうか、恐らくもう既にそういう捜査、そういう意味の強制捜査が必要な場面は過ぎているかもしれませんが、一般論としては、やはりきっちり刑事訴訟法所定の捜査をしなければ事案が解明できない、家裁の審判に万全を期することができないという場合があるだろう思っておりまして、そこのところをどう解決していくか、これは大問題だと思っております。
 さてそこで、家庭裁判所の保護処分ですが、保護処分というのは、もちろん保護観察、それから児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、そして少年院送致と、三つの選択肢があるわけですが、今回は、残念ながらといいますか、少年院は十四歳以上の少年でなければ処遇することができないというそちらの方でこの選択肢が使えないということになって、保護観察と児童自立支援施設送致の二つしかないということになる。
 しかし、さあ児童自立支援施設送致でいいのか。どうも、私はこれは今、一応確認だけしておきましょう。児童自立支援施設へ送致し、併せて専門的な保護矯正の施策を行うという意味で保護観察に付すると、両方併せて行う、これはできますか、できませんか。
#85
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 委員御指摘のとおり、保護処分としては、保護観察と児童自立支援施設送致又は児童養護施設送致があるわけでございますが、この保護処分はどれか一つということになりますので、併せてということは難しいということになります。
#86
○江田五月君 どれか一つとどこに書いてありますか。
#87
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 保護処分としてどれを選択するかということですので、その三つあるうちのどれか一つを処遇選択して行うということで、特に一つというふうに書いてあるわけではございません。
#88
○江田五月君 まあ、私も別に、解釈としてはそうだろうと思います。ですから、それがおかしいという、解釈がおかしいというんじゃないんですけれども、やはり厚生労働省所管の児童自立支援施設に入れていて、そして刑事司法的な意味での専門家の監督もちゃんとそこにかぶせるというようなことが必要な場合というのはあるんじゃないかという気がするんですね。
 児童自立支援施設でなくて、例えばすぐ送致をせずに、調査官が試験観察で一定程度、補導委託先に預けて、そこでかなり専門的な処遇をしながら試験観察で調査官が観察をすると、こういうことは可能ですよね。
#89
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 可能でございます。
#90
○江田五月君 児童自立支援施設ではどのような、こういう事件の場合、どういうプログラムがあるんですか。
#91
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童自立支援施設では、まず子供一人一人に自立支援計画を立てるわけでございますが、児童相談所、本人、親、こういった者と相談いたしながら計画を策定いたします。そして、その計画にのっとりまして、職員が言わば二十四時間、生活をともにする中で生活指導を行う、あるいは施設の中で教育を行う、あるいは労働を通じた、作業指導と言っておりますけれども、そういったようなことを行う、そういうようなことで一人一人の子供の処遇を行っております。
 また、精神医学的なケアが必要であるというふうに思われるケースにつきましては、児童自立支援施設に精神科医を配置いたしておりますので、この精神科医が中心になりまして、カウンセリングですとか心理的な治療を行うということになっております。
 また、この精神科医だけではなくて、もっと専門的な治療が必要であるといったような場合については、外部の医療機関ですとか専門家と連携しながら個別のケースに当たる、そういったようなことで処遇をいたしております。
#92
○江田五月君 これは、お答えはそういうようなお答えになるんでしょうが、実際問題、一体どの程度の精神科医の配置があるのか、詳しくいろいろお聞きをしなきゃならぬかと思いますけれども、なかなか困難じゃないかなと想像いたします。
   〔委員長退席、理事荒木清寛君着席〕
 今回、内閣府に少年非行対策のための検討会が設置されたということですが、七月十七日のこの法務委員会で問題提起をした少年院法の改正、これはこの検討会でテーマとして取り上げられておりますか。
#93
○政府参考人(山本信一郎君) 今、委員御指摘の少年非行対策のための検討会でございますけれども、重大な少年事件の続発にかんがみまして、少年非行対策につきまして総合的に検討を行うため、大臣主宰の下に開催をしておるところでございまして、検討対象の範囲につきましては特段の限定を設けることとはしていないところでございます。この検討会は、先週十五日、スタートしたばかりでございまして、今後、現場経験等を有する専門家にも加わっていただきながら多角的に検討を行うこととしております。
 どのような具体的な事項が取り上げられるのか、現段階では申し上げられないわけでございますが、非行少年の処遇の在り方というものが一つの課題として検討されるものであろうという具合には考えております。
#94
○江田五月君 少年院法の改正も検討の課題として取り上げられる可能性はあると、これはよろしいですね。
 厚生労働省に伺いますが、私が問題提起した少年院法の改正、十四歳以上という規定をおおむねとかいうようにして弾力的に少年院で処遇ができるようにするという提案なんですが、これは厚生労働省では、いや、そんなことをしたら厚労省の権限がちっちゃくなるから嫌だとかいうような反応ですかね。どうでしょう。
#95
○政府参考人(岩田喜美枝君) 厚生労働省として方針を確定したわけではございませんが、児童自立支援施設も含めまして私どもが児童福祉法に基づいて取り組んでおりますのは、子供が心身ともに健やかに成長するように自立をいかに支援するかといった、そういった児童福祉の観点から取り組んでおります。したがいまして、今、委員が言われました具体的な構想につきましても、児童福祉といったような観点からも、そういった観点からもやはり検討することは必要ではないかというふうに思っております。
 先ほど内閣府の方から答弁がございましたように、検討会の中に厚生労働省も入っておりますので、そこでの検討の状況も踏まえまして、事柄が事柄でございますので、慎重で、かつ十分な議論をしながら考えていきたいというふうに思っております。
#96
○江田五月君 法務大臣に改めて、先般、答弁はいただいているんですが、改めてもう一度。
 少年院というのは、これは確かに矯正施設、しかし同時に少年保護の施設であって、少年を懲らしめるとかじゃなくて、かなり濃厚といいますか、インテンシブなケアで少年を、道を踏み外したのを何とか元の道へ戻そうといろんな努力をするところですから、ですから厚生労働省の今のような御説明も、あるいはそういう目的も当然、少年院の中で果たせるものであって、十四歳というもうこの年齢でぴしっと切ってしまうというのじゃなくて、もうちょっと弾力的にその辺りが運用できるようにした方が私はいいと思っておるんですが、もう一度、どうお考えになるか、お答えください。
#97
○国務大臣(森山眞弓君) 先日も御答弁いたしまして、そのとき申し上げましたのは、十四歳未満の少年を少年院に収容するという考え方も選択の一つだというふうに申し上げたわけでありまして、それを含めて少年保護全体の在り方について広く勉強してみたいという趣旨を申し上げたわけでございます。
 ただ、この問題を検討いたしますにつきましては、十四歳未満の少年を少年院に収容していわゆる矯正教育を行うことの効果といいましょうか成果、自由を拘束する施設に収容することの情操面への影響も考えなければなりません。
 いろいろな観点から考えていく必要があるというふうに思いますので、関係各方面との連携を図りながら、冷静な議論の上で、かつ真剣に対応していきたいというふうに思っております。
#98
○江田五月君 冷静な議論はもちろん大切です。真剣にひとつ検討してください。
 仲裁法に移ります。
 私は、実は、今から何年前になるのか、裁判官の初任のときに執行判決を書いたことがありまして、私の付いた部の総括裁判官が、とにかく珍しい事件は全部合議と言うんで書いたことがあります。そのときに仲裁手続についてはずっと勉強をして、そして要所要所をずっと判断をして、最後、仲裁判決まで至ったんですが、それからもう何十年もたつので、その当時の知識はもうとっくにどこかへ行きまして、今回改めてまた仲裁を勉強し直しました。ああ懐かしいなと思ったりするんですが。
 今回の仲裁法は、明治二十三年制定の公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律の百十四年ぶりの抜本改革というわけで、なぜこれほど長く仲裁法というのは改正されなかったのか。これはどういうふうにお感じですか。国会の方が改正しなかったのでおまえたちの責任だということになるかもしれませんが、どうですか。
#99
○政府参考人(山崎潮君) 本当に大変遅れたことをまずおわびを申し上げなきゃいかぬと思います。
 これは元々法務省の権限の法律でございますけれども、法務省におきまして、これまでも改正作業着手の検討は何回かされました。しかし、たまたま仲裁の余り利用がなかったということと、それとやはりそれ以上の大きな改正が次から次へ来た、具体的には新民事訴訟法の改正と倒産法の改正、こういうものがメジロ押しになったわけでございます。それ以外、法務省民事局としては商法等の一連の改正も行っております。そういうことから、手が回らなかったというのが正しいところだろうと思います。
 これは元々、昭和六十年にウィーンで成立をいたしましたモデル法、これに準拠しているわけでございますが、その当時、仲裁の担当者は私でございまして、その会議に出たのも私でございまして、少なからず個人的にも責任を大変感じているところでございます。今回、責任が果たせるところまで来たのかなということで、ほっとしております。
#100
○江田五月君 なぜこう時間が掛かったか。私の責任だと言われてもどうも、そうすると私も私の責任だと言わなきゃならぬ、みんなでここで責任を分担し合ってもしようがないんですが。
 やはり、非常に古い手続でいろいろ不備もあった、それがゆえに余り使われなかった、使われないから余計に問題意識が鋭くならなかった、それが悪循環になってずっと置いておかれたということがあるだろうと思うんですね。
   〔理事荒木清寛君退席、委員長着席〕
 どうも我が国の法律の中でそういうのが時々あって、陪審法なんというのも、戦後、戦争が終わったらすぐにもう一遍復活させるとなっているのにいまだにそのままになっているとかですね。これは余計なことですが。
 仲裁というのは、司法制度改革のかなり重要な柱であるADR、裁判外紛争解決手段、この全体像の中のある重要な位置を占めているものだと思うんですが、もう簡潔に、ADRというのをどういうふうに、今、我が国の紛争解決手続の中でどういう位置付けというふうに認識をし、その中で仲裁というのはどういう位置を占めているのか、その認識を説明してください。
#101
○国務大臣(森山眞弓君) 仲裁や調停等のADRは、厳格な裁判手続と異なりまして、利用者の自主性を生かした解決や簡易迅速な解決など、柔軟な対応が可能であるという点で意義を有する紛争解決手段でございます。司法制度改革審議会意見では、ADRが国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう、多様なADRについて共通的な制度基盤を整備すべきであるというふうにおっしゃっております。
 このうち、特に仲裁につきましては、審議会の意見におきましても、明治二十三年制定の法律がそのまま残されているということは大変遺憾であるというふうにおっしゃっておりまして、国連国際商取引法委員会における検討等の国際的な動向を見ながら仲裁法制を早期に制定すべきものだと指摘されておりまして、この趣旨にのっとって仲裁検討委員会を開催して検討会を急ぎ、今回、仲裁法案を提出したということでございます。
 さらに、審議会の意見では、ADR全般の拡充、活性化を図るために、総合的なADRの制度基盤を整備するために必要な方策を検討すべきであるともされておりまして、現在、ADR検討会におきまして、そのために必要な方策について多種多様なADRのあるべき姿を見据えつつ幅広く御検討いただいているところでございます。
 なお、司法制度改革推進本部事務局では、今月中には、これまでの検討状況を踏まえまして、今後、更に検討を深めるべき論点を整理いたしましてパブリックコメントに付する予定と聞いております。
#102
○江田五月君 民事紛争の解決というのを一体どういうふうに構想するかということで、紛争解決というのは社会にとっても大切なことですから、だから司法、裁判、これでもう公権的に解決をしてしまうというのが、これが裁判というもので。しかし、元々紛争は、民事、私的紛争なんですね。ですから、私的紛争の解決は、やはり当事者の自主的な努力で解決されるのが何といっても一番いいわけです。
 私も民事の裁判、随分やりましたけれども、やっぱり判決で本当に民事の紛争が解決できるかというと、それは解決はしますよ、公権的にもう権力でもってですね。しかし、判決で恐らく回収できる、実質的に回収できる金額なんというのは知れたものでしてね。それよりは、やはり例えば和解で、合意で、長期間掛かって少しずつでもちゃんと払っていくという方がよほど全体としては債権の満足度が高いということが多いわけでして。
 そこで、その私的紛争解決の様々なバリエーションの中で仲裁というものもあるんだろう、あるいはその他のADRもあるんだろうと。そのADR全体の中で仲裁というのは、かなりある意味で伝統的な、ある意味で典型的な姿なのだろうと。そこの部分がしっかり今回でき上がるということは非常に大切なことだと思っております。
 そういう意味で、この法案、まあ国会のいろんな事情で、今日、本当にわずかな時間の審議しかできずに、参考人の意見なども伺うこともできずに審議を終わらなきゃならぬというのは大変つらいことでございますが、ここに、質疑の中で取り上げられた問題以外の問題もいろいろあるということはひとつ是非念頭に置いておいていただきたいと思います。
 さて、附則の三条、四条で、消費者の関係、労働関係、これに特則を設けられましたよね。これは、附則でこういう特則を設けた、これはなぜなんですか。
#103
○政府参考人(山崎潮君) やはり、仲裁が現実に使われる例が非常に少ないという状況を踏まえまして、現在、その附則で二つの特例を設けましたけれども、こういうものを運用してみて、こういうような考え方で本当に大丈夫なのかどうか、また将来的に違う考え方もあり得るのかどうか、そういうことを十分検証した上で、本則的なところに持ち込むなら持ち込むということで将来の検討にゆだねて、最終的な考え方を盛り込もうということから、暫定的な措置というふうにしたわけでございます。
#104
○江田五月君 そうすると、消費者関係、労働関係の特則を運用してみて、そして、なるほどこれがいいなということになったら、それを仲裁法案、法の本則の方に移すという、そういう将来展望があるんですか。
#105
○政府参考人(山崎潮君) これ、やや舌足らずで恐縮でございますが、仲裁法の本則に置くというわけではございませんで、例えば消費者問題でございましたら消費者保護法とか、あるいは労働関係であれば労働関係法規、そういう中で手当てを加えていく、例外を設けていくと、こういうことでございます。
#106
○江田五月君 仲裁法はこれはもう仲裁の一般法ですから、しかし消費者のことや労働関係は、仲裁が、仲裁合意がなされる場合も随分あって、実際に仲裁がそういう場面で使われると。使われるけれども、使われるので、今回、仲裁法案を起草するに当たってそこまで視野に入れなきゃいけない、入れなきゃいけないけれども、仲裁法の本則とは違うという意味で附則にしているということですよね。そうでしょう。
#107
○政府参考人(山崎潮君) そのとおりでございまして、本則の適用と少し違うものということと、それから将来も見直す余地があるということで暫定措置と、こういうことです。
#108
○江田五月君 そうすると、この附則でいろんな経験を積んでいって、そこから出てくるものを今おっしゃるように例えば消費者契約法の中に取り込んでいくということかと思いますが、内閣府の方はそこはどう考えているんですか。
#109
○政府参考人(田口義明君) お答えいたします。
 消費者、事業者間の仲裁につきましては、ただいま御説明のありましたような理由から暫定的措置といたしまして消費者に関する特例が設けられたところでございますが、内閣府といたしましては、今後、今回の新しい仲裁制度の利用状況といたしまして、例えばどのような消費者紛争についてどのような形でこの制度が利用され、またその場合どのような問題が生じ得るのかといったような点を踏まえまして、消費者政策の観点からこの消費者に関する特例の扱いについて対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
#110
○江田五月君 消費者の関係については解除という制度と。労働関係については無効という位置付けと。これについてそれぞれいろんな角度から聞きたいところですが、関係各方面の皆さんの検討の結果こういう結論になったということで、それはそれで良しとしたいと思いますが。
 全国の都道府県、市町村に消費者センターがある。この消費者センターが仲裁機関という機能を持つようになれば消費者にとっても仲裁法が随分生きてくると思いますが、これはもちろん都道府県、市町村、地方の機関であるけれども、そういうものが仲裁機関の機能を持ちたいと、こういうことになれば、これは、今のこの附則の運用をずっとこれから内閣府の方は見ていかれるんでしょうから、それはそれで、消費者センターの皆さん、頑張ってくださいという、そういう考え方でよろしいんですか。
#111
○政府参考人(田口義明君) ただいま御指摘のございました消費生活センターにつきましては、都道府県あるいは市町村の条例等に基づいて設置されておりまして、現在、消費者苦情に対します助言でありますとか、消費者、事業者間のあっせん等を行っているところでございます。
 この消費生活センターが消費者からの苦情に対する助言やあっせんに加えまして仲裁を行うことが適当かどうかにつきましては、委員御指摘のとおり、基本的には各自治体が条例等に基づきまして自主的に判断すべき事項というふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、消費者をめぐる紛争の仲裁に関しましては、消費者の一方的な不利益とならないように適切に解決されるということが重要でございます。それと同時に、民間の機関も含めまして、多様な紛争解決機関が今後育っていくということが重要というふうに考えております。
 このような観点から、内閣府といたしましては、今後、この消費者に関する特例の在り方を検討するに際しまして、仲裁法制定後の動向を踏まえながら、どのような仲裁機関が適切なのか、あるいは当該仲裁機関への支援等の問題なども含めまして、今後検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
#112
○江田五月君 厚労省はおられますね。ごめんなさい、ちょっと、なるべく答弁を短くしてくださいませんか。
 附則四条の労働に関する特例、これはやはり同じように、労働関係法規の中に将来はきっちり位置付けていくという意味で、これから注意深く見守っていくという態度でよろしいですか。
#113
○政府参考人(青木豊君) 将来の個別労働関係紛争に関する仲裁合意につきましては、労使関係というのが労働者と事業主という継続性を持った関係であるとか、あるいは労使の関係が事実上対等とはなかなか言い難い場面があるということもありまして、そういった特性でありますとか、それから別途、個別の様々な労働紛争に関する処理の仕組みというものがありますので、そういったような在り方、そういったことも十分検討した上で必要な措置を講じていくというふうに考えておるところでございます。
#114
○江田五月君 やはり、仲裁法というのはもう仲裁の一般大原則ですから、その中にいろんなものが、もちろん今、今回は、必要だから、しかし附則で入れているわけですから、厚労省にしても、あるいは内閣府にしても、ひとつよく事態の、仲裁の動向を見極めて、それぞれ本来あるべき場所にきっちり移す、引き取っていただくと言うとちょっと言い方が変ですが、努力をしていただきたいと思います。
 実は、仲裁は、今いろんな仲裁機関ができていますが、弁護士会がかなり仲裁に取り組んでおりまして、私の所属しております岡山弁護士会でも仲裁センターを始めたんですね。もう今から六年ぐらい前でしょうかね。私は、立ち上げのときに手を挙げて仲裁人登録をしまして、そして事件を一件処理をいたしました。交通事故の事案で、これはなかなか重要で、保険会社が普通の交渉のときにはなかなか金額を上げないんですね。だけど、いざ裁判ということになったら、で、弁護士が付くと、ぽんと上がる。仲裁が下がる方へ行くのか上がる方へ行くのかというのは非常に重要なところですが、有り難いことに私が扱った事案というのは、少なくともそれまでの仲裁の事案の、もっとも最後は結局は和解で解決したんですが、それまでの事案の中で一番高い金額で合意ができまして、責めを果たしたと思っておるんですが。
 そのときに、岡山弁護士会では、仲裁の手法として当事者双方同席で手続を進めると、これを大原則にするということでやってまいりました。私ども、裁判所で和解するときには、当事者を交互に交代交代に呼び入れて、そしてそれぞれに、ある意味で名人芸で説得の技術をそれぞれ駆使しながら、だから両方の当事者が一緒にいたんじゃとても言えないことをあれこれしゃべって、合意を作り上げるんですが、やっぱりそれよりも当事者同席のところで、相手方の言い分も仲裁人も聞く、それを相手も聞いているという形でやった方が、お互いの納得も得られやすいし、また将来的には、長い時間を掛けて見ると、結局は手続に対する信頼を確立する道ではないかと。
 そんなことで、例えばレビン小林久子さんとか、あるいは山田文さんとか、こういう皆さんの学問的な努力もあるわけですが、この当事者同席という原則、これはこの仲裁法の中ではどういう評価になるんでしょうか。
#115
○政府参考人(山崎潮君) 仲裁の手続は、第一次的には当事者が合意で定めると、それがなければ仲裁廷が定めると、こういうことになっておりまして、基本的には、私的自治の世界でございますので、お任せをするということになろうかと思います。
 特に、口頭審理を行う場合に両方が一緒に必ず対席するかということは決めてございません。ただ、現実の運用としてはそうならざるを得ないだろうと。それから、仮にばらばらに聞いたときも、やっぱり当事者平等の原則というのはこの法律に規定されておりますので、きちっと平等に扱わなければならない。あるいは、片っ方からもらった資料は必ず相手に、片っ方には見せなきゃいかぬと、こういうこと全部決まっておりますので、そういう意味では、いろんなところで当事者を平等に扱うという手当てがされているということでございます。
#116
○江田五月君 規定の中に、例えば当事者が主張の書面やあるいは証拠を出した場合には、それを相手方にもちゃんと渡せるように手配をしなきゃいけないとか、あるいは仲裁人が片方だけから何か聞いたときに、それが仲裁の判断になるようなことであれば、相手にもちゃんとそのことを言わなきゃいけないとかということはありますから、同席ということを法定はしていないけれども、やはり同席的効果というものを常に念頭に置いて手続進めなさいというのがこの基本にあるんだろうと思います。それはそれでよろしいですね。
#117
○政府参考人(山崎潮君) 明確な規定はございませんが、精神としてはそういう精神だということでございます。
#118
○江田五月君 この仲裁人の資格なんですが、資格について何も規定がないので、例えば行為能力のない人、未成年者も仲裁人になれる、これはそれでいいですよね。
#119
○政府参考人(山崎潮君) 自然人であれば行為能力等問わないと、だれでもいいということになります。
#120
○江田五月君 そうすると、例えば両当事者が合意すればいいんだから、合意の上である人を仲裁人に頼もうと、あの人は五歳の子供だけれども霊感があるから、あの霊感でぱっと判断してもらったらいい結果が出るんじゃないかという、こんなことはいいんですか。
#121
○政府参考人(山崎潮君) まず、だれでもいいと申し上げましたが、五歳の子供で意思能力があればいいということになりますが、天才的な方で意思能力がある方もおられるかもしれません。意思能力がそのまず前提だということで、意思能力があった場合もこれは法に基づく判断をするということでございますので、勘とか霊感とか、これでやるというのではいかぬということになります。
#122
○江田五月君 やはり、そこはしっかり押さえておかないと、やっぱり民事紛争の解決で、民事紛争の解決というのは、やはり主張がそれぞれ述べられて、証拠が出されて、それが裁判のような厳格なものでなくてももちろんいい。しかし、それなりの主張があり証拠があり、そしてルールに基づいてそれについての判断を下すと。そのルールが現に行われている法律であってもいいし、違うルールであってもいいけれども、そういうある種の主張と証拠とルールというものによって結論を得ると。しかも、それはちゃんと理由を説明できるということでなければいけないので、霊感であったり、くじであったり、幾ら当事者合意であって、そして仲裁人が仲裁をするのでも、くじで仲裁したらそれは仲裁じゃなくてくじなので、くじ法じゃないんですよね、仲裁法ですから。そこは、私のような理解でよろしいですね。
#123
○政府参考人(山崎潮君) そのとおりでございまして、当事者が定めた法、法を準拠して判断をしろと、こういうふうに書かれております。
#124
○江田五月君 仲裁地を仲裁判断書に書けということになっておりますが、仲裁地はどこまで書くんですか。どこまでというのは、つまり何丁目何番地までなんですか。もうちょっと大ぐくりでいいんですか。あるいは、仲裁地を書いていなければ無効になるんですか、そうでもないんですか。
#125
○政府参考人(山崎潮君) 仲裁地は、通常は東京とか大阪というふうに書かれると思いますけれども、最小単位は国単位で書いていただきたいということでございまして、そこの場所で施行されている法律、これが適用されていくという関係になりますので、その適用関係をはっきりさせるために書いていただくと、こういうことでございます。
#126
○江田五月君 多分、委員長、時間のことが気になっているんだろうと思いますが、もうこれ本当にこれだけの時間でやるので、もうちょっとだけ、済みません。
 執行決定ですが、これは口頭弁論か審尋かいずれかが必要的だということで、執行決定が出される。執行決定があっても、それだけでは多分、執行できない。やはり執行文が要る。承継執行文が必要なときには承継執行文もちゃんと要る。そして、それで執行ということになる。その執行に対する争い方というのは、通常の民事判決と同じように請求異議も第三者異議もすべてあるという、そういう理解でいいですか。
#127
○政府参考人(山崎潮君) そのとおりでございまして、今までは執行判決と言っていたわけでございますが、今度は決定になりますので、執行決定ということになりまして、口頭弁論かあるいは当事者双方が立ち会うことができる審尋期日、どちらかを経なければならない、こういう手当てになっております。ここで決定が出ましても、執行文の付与が必要になります。執行文の付与についていろいろ争いになれば民事執行法上の手続で行っていく、あるいは執行に対して異議があれば、やっぱり民事執行法上の異議の訴え等を提出すると、こういう関係でございます。
#128
○江田五月君 確定判決と同一の効力ですが、規範力とかいうものはやっぱりないんだろうと思うんですが、この口頭弁論をやったからといって口頭弁論終結時以前の事情について請求異議で主張があったらどうしますか。
#129
○政府参考人(山崎潮君) これは仲裁判断は、判断をするときまでの資料が、事情資料が対象になりますので、一種のそこで基準、標準時的な考え方がございまして、そこの前にある事情についてはやっぱり遮断をされると、こういう関係だろうと思います。
#130
○江田五月君 そのほか、いろいろとまだまだ聞きたいこと山ほどあるんですが、やはりこの仲裁というものはこの私的自治の世界の紛争解決をなるべく私的な自治の世界の中で行えるようにということで、しかしそれについて一定のモデル的な手続を作ると。モデル的な手続は基本的には私的自治の中だけれども、しかし一定の強行的な部分もあると。例えば、管轄は地裁となっているわけですが、これは当事者が仲裁を、この事案については簡裁でと幾ら言ったってそうはいかないというようなこととか、あるいは手続が公平でなきゃならぬこと、内容が公序良俗に反してはいけないことなど、一定の、幾ら私的自治といっても仲裁法によってその私的自治に対して一定の介入がなされる場合というのはあるんだろうと思いますが、そのようなことも含め仲裁というのがこれから大いに活用されていくようになっていくこと、これは大変必要ないいことだと思っております。
 そこで、この仲裁が国民にどんどん利用できるようにするためには、国民の皆さんの仲裁に対する理解もあるいは信頼も深まっていかなきゃならぬし、また国民が利用しやすい信頼できる仲裁機関というのもいろいろできていかなきゃいけない。仲裁というのは本来アドホック、そのときにだれかを仲裁人で選ぶということではあるけれども、しかし、例えば先ほどの弁護士会の仲裁センターであるとか、あるいは建物に関する仲裁の機関であるとか、いろいろ現にあるので、そういうものがこれから豊富になっていかなきゃいけない。
 そういった仲裁制度の国民に対する周知徹底とか、あるいは仲裁機関の支援であるとか、そういうことはこれは推進本部がこれからずっとやるんですか。推進本部というのはどこかで終わりますよね。終わった後は一体だれがやるんですか。推進本部の副本部長であり、同時に、恐らく仲裁法を所管する法務省の大臣である森山法務大臣にお答えください。
#131
○国務大臣(森山眞弓君) 仲裁法が成立いたしますと、法務省がこれを所管するということになるわけでございます。司法制度改革推進本部の設置期限の経過は、法務省といたしましては、この新しい仲裁制度が裁判外の紛争解決手段の重要な一つとして幅広く活用されますように、同法を所管する立場から、その趣旨、内容について広報周知を図っていきたいというふうに思っております。
#132
○江田五月君 終わります。
#133
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この仲裁法は事実上の新法であり、十分な審議が必要だということを主張してまいりましたけれども、今国会最後の定例日にこういう形での審議になりました。元々、審議時間が短い上に、今日のような事態の中で予定されていた方も質問に立てないというようなことも今お聞きをしたわけで、国会の都合の中で、できた法律はすべての国民にかかわるということを考えますと、こういう審議の在り方についてまずいかがなものかということを最初に申し上げておきます。
 その上で、この仲裁制度は、当事者の合意がある場合に裁判を受ける権利を放棄をして仲裁によって私的に紛争を解決をする制度です。国際商事事件を始め、一定の分野での対等な立場にある当事者間においてこの制度を活用することは合理的でありますし、これまでの法整備に当たっても我々は賛成をしてまいりました。しかし、いったん仲裁合意がされますと、たとえどんな仲裁判断がなされようと裁判を起こすことはできない。今日、いろんな契約がありますけれども、当事者間の対等な関係で行われないような契約の下でいろんなトラブルが起きている。そういう事態を見ますと、安易な仲裁合意というものは憲法で定められた裁判を受ける権利が奪われる、そういうおそれがあります。
 その点で幾つかただしていきたいと思いますが、今回の改正案で、中間取りまとめの段階ではなかった労働者や消費者についての保護規定が設けられましたけれども、その目的はどういうことだったんでしょうか。
#134
○国務大臣(森山眞弓君) 仲裁は、おっしゃいますとおり、仲裁人の判断に服するという合意に基づく紛争解決制度でございますので、仲裁人の判断に不服がありましても後で裁判で争うことはできないわけでございます。この点、消費者や労働者は契約の際に仲裁の意味を理解していないことが多くございまして、仲裁の意味を理解していたとしましても、事業者又は使用者との交渉力の格差がございますから、仲裁合意をせざるを得ない場合が多いということが考えられます。
 そこで、新法では、消費者と事業者間の仲裁及び個別労働関係紛争に関する仲裁について特例を設けることにいたしたわけでございます。
#135
○井上哲士君 私も、去年の臨時国会で当時の中間取りまとめについて質問をいたしまして、特に労働者、消費者の問題についてもお尋ねをいたしました。その点で、この保護規定が法案では設けられたということは、中間取りまとめからは一定の前進だと思うんです。
 ただ、先ほどもありましたけれども、当分の間ということになっているわけですが、これは、将来はこういう保護規定が外されていくと、こういうことを意味するんでしょうか。
#136
○政府参考人(山崎潮君) これは、当分の間は、今後いろいろな運用をしていって、いろいろ改善すべき点があれば改善をして、その上でそれぞれの必要な法律の中に本則として置いていくと、こういう性質のものでございますけれども、私ども、今、これを外すということは考えておりません。
#137
○井上哲士君 形はどうあれ、こういう保護の規定というものは残されていくんだと、こういう理解でよろしいわけですね。
#138
○政府参考人(山崎潮君) 私どもの理解はそうでございます。
 例えば、これは消費者と労働者の場合で扱いを変えているわけでございますね。こういうものも今後やっていくうちに共通なルールになるのか、また別のものになるか、そういうことを検証しながらやっていこうと、こういうことでございます。
#139
○井上哲士君 こういう保護規定がしっかり恒久的に作られていくことが必要だと思いますが、同時に、保護の範囲というものを拡大をしていく必要があると思うんです。労働者と消費者については今回、保護規定が入りましたが、これ以外にも力の差が大きい者同士の契約というのはたくさんあります。例えば、建設業における元請企業と下請企業、それから運送業における発注者と個人でやっているような運送業者。
 大臣にお聞きしたいんですが、こういうケースでは圧倒的な力の差がある、先ほど、交渉力や情報量に格差があるために消費者、労働者に保護規定を入れたということでありますが、それ以外のこうした様々な交渉力に差がある契約になぜ保護規定が設けられなかったんでしょうか。
#140
○国務大臣(森山眞弓君) 事業者というものは、団体であれ個人であれ、自ら事業活動を営む者でありますから、主体的な判断をする能力が備わっているということが認められまして、消費者や労働者と同視することはできないと考えられたのでございます。
 なお、仲裁合意が詐欺、強迫等によりなされた場合にはその意思表示を取り消すことも可能であり、意思表示が取り消されますと、仲裁合意によって訴権を失うという効力もなくなり、裁判で紛争を解決することができることになるわけでございます。
 このように、下請業者であるがゆえに常に不利益を被るとは言えませんので、仲裁合意の効力については民商法等の一般的な実体法の規律にゆだねられるべきものと考えたわけでございます。
#141
○井上哲士君 事業者であれば常に主体的な判断力や交渉力が相手に対して本当にあるのかどうか。
 例えば、今、大変大きな社会問題になっておりますのがコンビニのフランチャイズ契約です。今、この契約をめぐりまして、もう全国各地で店主の側が本部を相手取って訴訟するということが起きているんですね。そういう実態があること自身は推進本部としては把握をされているでしょうか。
#142
○政府参考人(山崎潮君) 私どもでも、フランチャイズ契約に伴って、様々な態様はあろうかと思いますけれども、紛争が生じているということは判例等で把握をしているという状況でございます。
#143
○井上哲士君 このコンビニのフランチャイズ契約を結ばれる方というのは、脱サラをされた方とか、多くが個人なわけですね。こういう方々は、このフランチャイズ契約によってどういう権利関係になるのかと、こういう知識は、フランチャイズのこのコンビニの本部と比べましても格段の、劣ることになります。契約においては、本部が出してくる情報とか資料を信じるわけがありませんで、形の上では事業者間ですけれども、実態は大企業と個人というような契約になるわけですね。しかも、実際は、契約してみて初めて中身が分かるということがたくさん起きておるわけです。売上げは聞いていた話よりも少ないと。
 それから、一番問題になっているのがロイヤルティーですけれども、その利益に掛かると自分は思っていた、ところが、実際は総売上額から売上原価を引いた額にロイヤルティーが掛かりますので、店主の方は、その残りから経費を差し引きますので残らない、恒常的な赤字になる、本部の方は安定的にロイヤルティーを得ることができると、こういう仕組みになっております。
 二十四時間営業を義務付けられますが、こういう状況ですからなかなかバイトも雇えなくなる、そうしますと、もう家族で二十四時間支えなくちゃいけないということで、もう家族も崩壊状態になっていくと、こんなことも起きるんですね。
 じゃ、やめたらいいじゃないかと。しかし、やめようと思いましても、非常に多額の解約違約金というのがあります。それから、保証人というのも付いておりまして、大抵は親族なんかにやっていますから、これにも縛られてやめることができない。
 ちょっとこれは大臣に、この実態について御意見をお伺いしたいんですが、要するに、やめる自由もないんですね。コンビニの経営者というのは事業主というよりも労働者だと、こう言う方もいらっしゃいますが、それよりもひどいということを言われる方もいます。こういう解約違約金や保証人に縛られてやめたくてもやめれない、労働者のように退職する自由もないんですから現代の奴隷契約だと、こういうふうに言われる方もいらっしゃるんです。
 こういう非常に力関係が違うような契約が横行しているような分野でも保護が必要ないんだろうか、こういうところでも対等な事業者の契約だと考えられるんだろうかと、この点、大臣、いかがでしょうか。
#144
○国務大臣(森山眞弓君) いわゆるフランチャイズ契約というものにもいろんなのがあると思います。
 先生がおっしゃったような大小の違い、あるいはそれぞれの交渉能力や情報力の違いというものがかなりあるものもあるかと思いますけれども、それはフランチャイズ契約一般の問題でございまして、個別のそのような例につきまして司法制度改革という見地から御答弁申し上げることはちょっと難しいというふうに思うわけでございます。
 また、フランチャイズ契約の中に仲裁合意の条項があった場合については、仲裁合意の当事者はいずれも事業者でありまして、事業者は、団体であれ個人であれ、自ら事業活動を営むことから、主体的な判断をする能力が備わっていると認められるわけでございます。したがって、個人である消費者や労働者と同じように扱うということはできませんので、特則を設けて保護するまでの必要はないのではないかと思います。
#145
○井上哲士君 今るる説明をしましたように、実際には個人で脱サラをしたような人たちが、コンビニ本部と全く情報力も交渉力も違うという下で、様々な現に今トラブルが起きているわけです。こういう中に、将来の紛争についても仲裁契約という契約が入ってきたらどうなるのかということが問われると思うんですね。
 例えば、具体例を一つ紹介しますと、裁判になっているもので東北ニコマート事件というのがあります。九八年の八月三十一日の仙台地裁で、この本部によるフランチャイズ契約を結ばせるための勧誘方法は取引通念上相当な範囲を逸脱したものと、こういうふうに断罪をされました。この判決にあります勧誘方法というのは、日商が四十数万円しかなかった直営店があって、その情報を伏せたまま、契約者に対しては日商が五十二万三千円ある、月七、八十万円の利益が上がっているという説明をして店主に営業譲渡をした。実際には、業績が上がらずに、高額なロイヤルティーなどによって借金だけ背負わされたと、こういう実態なんです。
 こういうフランチャイズ契約の場合に、情報力、交渉力に本部と店主の場合に相当の格差があると、そのこと自体は認められるでしょうか。
#146
○政府参考人(山崎潮君) そちらの専門ではございませんが、個々のケースによってそういうものはあり得ると、それが全部かどうかということはちょっと分かりませんけれども、それは判例がございますので、まあそうだろうというふうに思っております。
#147
○井上哲士君 裁判の場でコンビニの側が主張しますのは、契約内容どおりに行動しているので本部側に契約違反はないと、こういう主張なんですね。
 しかし、実際の契約の実態はどうかといいますと、売上予測と経費という一番重大な問題については本部側の資料に店主の方は頼る以外にない。これが大変いい加減なものだったことは先ほど述べたとおりなんです。しかも、事前には売上予測とか経費について説明があるだけで、三百万円前後の契約委託金というのを支払って初めて契約書が提示をされるというのが大部分なんですね。契約書が提示されるのは多くは契約当日で、五万字にも及ぶ契約書を読み合わせをすると。まあすぐに理解をできるはずもありませんで、契約をしてしまうわけですね。しかも、解約違約金を払う覚悟で裁判に訴えようとしますと、その膨大な契約書の中には裁判所の管轄事項が入っている。ですから、たとえ契約者が地方であっても、コンビニの本部のある裁判所まで行かなくちゃならないということになって、これでもまた裁判を受ける権利が阻害をされると、こういう仕組みになっているんです。
 しかし、そういういろんな困難を乗り越えて何人かの方が裁判に訴えたことによってこの問題が今、社会問題化をしているわけですけれども、今後、そういう何百ページも及ぶような契約書の中に、将来の紛争については仲裁で解決をすると、こういう合意が入っておりますと、もう契約者は分かりようがないわけでありまして、やはり裁判を受ける権利そのものが奪われてしまうと思うんです。やはり、こういう分野についても私はきちっとした保護規定を設けることが必要だと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#148
○政府参考人(山崎潮君) 先ほど大臣からも答弁ございましたように、フランチャイズ契約についてどういう保護をすべきかというのは、それぞれ所管をするところで、法律を所管するところできちっとまずお決めをいただくという問題だろうと思います。私どもは、仲裁法の、まあその基本法を定めているわけでございまして、その中で典型的に言わば強者と弱者と通常言われているものですね、そういうものについて労働契約と消費者契約、この二つを暫定措置として設けたわけでございます。
 ですから、今後、そのフランチャイズ契約、どのような本当に実態になっていくか、それはそれぞれのところでいろいろ御判断をいただいて、やはりそこを分けるべきだという判断になれば特例も設けられていくということになりますし、そうでないという判断であればそうではないということで、それぞれのところでみんな御判断をいただくという、こういう形になろうかというふうに思っております。
 それからなお、膨大な書類の中に仲裁条項があったという場合も、判例が幾つかございまして、いろんな事情を総合勘案しまして、そもそも仲裁合意が成立をしていないというふうに判断をしているものもございまして、やはり仲裁合意は裁判にいけないということになるわけでございますので、相当重要な効果を、効力を生ずるということから、判例もそこは非常に慎重に扱っていると、こういうことで保護も図られていると、こういう状況だろうというふうに理解をしております。
#149
○井上哲士君 典型的な例として消費者と労働者に規定を設けたんだということでありますけれども、まあ今のフランチャイズはコンビニだけじゃありませんで、いろんな分野でもこういったトラブルが様々起きておりますし、最初も挙げました元請と下請の関係とか、それから今日も担保・執行法で議論になりました借地借家契約などでもやはり大きな交渉力の格差があるという分野はたくさんあるわけですね。ですから、むしろそういった典型的な例だけではなくて、全体に網をかぶしたような法の在り方ということが私は必要だと思うんです。
 その上で、次にお伺いしますけれども、例えばこういうコンビニ業界が言わば業界の肝いりの仲裁機関などを設立をして、そして将来の紛争を仲裁、この機関にゆだねるということを契約書に入れておくと、こういうこともあろうかと思うんですが、こういう言わば業界団体などが仲裁機関を立ち上げること、これ自体は可能ですか。
#150
○政府参考人(山崎潮君) これは何ら禁止する法律等ございませんので、自由だということになります。
#151
○井上哲士君 そうしますと、例えばそういう今挙げたような、例えばコンビニ業界が立ち上げたところがいろんな紛争の中で実際上公正な機関として機能しないというような場合に、これは例えば行政としてはどういう対応がされるんでしょうか。
#152
○政府参考人(山崎潮君) ちょっと、対応がちょっと具体的につかみかねるわけでございますが、業界が作った仲裁機関でそれを押し付けるような契約だということになった場合には、一般的には例えばそれが信義則に反する場合だとか、もっと程度が激しければ公序良俗に違反するとか、そういうことになれば、仲裁契約そのものですね、これが無効であるという判断にもなりますし、またそこに意思表示の瑕疵があるということなら取り消せると、こういう問題になります。
 それからもう一つは、この仲裁に入って、その中で非常にへんぱな判断がされるということになれば、先ほども申し上げましたけれども、この法律の中に当事者を公平に扱わなければならないという規定がございまして、この規定に反するような判断をすれば仲裁判断の取消しというところに効果が結び付いていくということでございまして、こういうことがしょっちゅうされれば、それはもう仲裁機関としては評判を落として成り立たないと、こういう形になっていくだろうというふうに思っています。
#153
○井上哲士君 その分野でいろんな仲裁機関があって、紛争が起きたときに自由に当事者が選べるという場合でありますと、今おっしゃったように、評判が落ちて選ばれないとかということはあり得るかと思うんです。しかし、あらかじめ業界団体がそういう機関を作っておいて、そして将来の紛争はここにゆだねるんだということを契約書の中に入れておく。こういうコンビニだけではありませんで、不動産、例えば不動産問題の仲裁センター、いろんな名前はあろうかと思うんですが、そういう形で入っていた場合に、もちろん見た感じは公正なものとして作られるわけですから、これはなかなか選ぶ状況がないということになりますと、結局そういうものがずっと残っていく、裁判を受ける権利を放棄をして仲裁をここにゆだねても公正な解決ができないと、こういうことが続くということになりませんか。
#154
○政府参考人(山崎潮君) ですから、そういう事態が生じて仲裁判断が取り消されるというようなことになれば、そもそも仲裁契約を結ぶような形になるのかどうか。やはり、世の中の方々、皆それぞれ賢いところはお持ちでございますので、それはそれぞれで判断して断ればいいということになるんではないかと思います。
#155
○井上哲士君 現に、消費者センターなどに寄せられるいろんな今の問題を見ましても、断ることができない、いろんな形でのトラブルがあることを考えますと、やはり大変、先ほど来申し上げているような心配がこのやり方にはあるということで、やっぱり全体としての、社会的に弱い、交渉力の弱い、情報力の弱い、そういう人たちを全体として保護をするということがやはり必要だと思います。
 その上で、もう一つ聞きますが、こういうコンビニフランチャイズ契約に限らずに、この種の契約書は大部でありまして、一般の国民がすべて理解するということは非常に困難です。将来の紛争について契約書の中に仲裁合意事項が書き込まれていても、裁判の権利を、受ける権利が奪われることに気付かずに契約してしまうという危険はいろんな形であろうかと思いますが、仲裁合意をするときに、当事者が将来自らの訴権が奪われる可能性があるということを認識をせずに合意をしてしまった場合に、認識がなかったことをもって、言わば錯誤があったとしてこれを無効にするということができるのか、ちょっと改めて、確認でお願いします。
#156
○政府参考人(山崎潮君) 判例では、契約の様々な状況を認定をいたしまして、そもそも合意がないという認定をしているものもあるわけでございますが、仮に合意があったとしても、それが例えば強迫に基づくものということになれば取消し、民法上の取消しができるということになるわけでございまして、そういう場合にはその効果が生じないということは、この法律の十四条一項の例外、一項でただし書を設けておりまして、そこに、仲裁合意が無効、取消しその他の事由により効力を有しない場合を訴権喪失の例外としてはっきり規定をしているわけでございますので、ここで救済がされると、こういうふうに理解をしております。
#157
○井上哲士君 今の、脅迫に基づくというような話もありましたけれども、じゃ、こういう場合はいかがでしょうか。
 例えば、建設業で元請と下請、それから運送業における発注者と事実上の個人事業者、この発注者が提示をする契約条件におよそ注文を付けるようなことができないという場合は間々あるわけですね。こういう場合に、下請業者などは契約内容に注文を付けたらもう仕事ももらえないと、生活も維持をできない。仲裁制度については問題だと思っていても拒否をできないということが間々あろうかと思いますが、こういう、仲裁合意を拒否したくてもできなかったという事情の下で合意をしてしまったという場合には、この意思表示の取消し事由になるんでしょうか。
#158
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの前提だけでなるかならないか判断しろというのはなかなか難しいところでございますけれども、その状況次第であろうと思いますけれども、かなり大部のいろんな条項がございまして、その中にも、埋もれていることでほとんど気が付かないような場合、そういうようなことになれば、本当に合意があったかどうかという判断になろうかと思いますが、一応合意があることを分かって、分かってやったという場合には、なかなか、直ちにそれが力関係の優位があったからといって、それが取消しになる、無効になるということではないというふうに理解はしております。
#159
○井上哲士君 労働契約の場合に、それを断ったら自分が仕事を得る機会も得られなくなるかもしれないということで保護規定が付いたわけですけれども、実際の今のいろんな契約の分野でいいますと、先ほど来挙げておりますように、そういうようなケースというのはやっぱりたくさんあると思います。そういうものについてもこの仲裁が将来の紛争にわたっても適用されるということが入っていきますと、やはり国民の裁判を受ける権利、そして暮らしの権利というものが脅かされる危険がある、そのおそれが高いということを再度改めて指摘をいたしまして、質問を終わります。
#160
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#161
○委員長(魚住裕一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。
    ─────────────
#162
○委員長(魚住裕一郎君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#163
○井上哲士君 日本共産党を代表して、仲裁法案に対して反対の討論を行います。
 仲裁制度は、当事者の合意がある場合に、裁判を受ける権利を放棄し、仲裁によって私的に紛争を解決する制度です。国際商事事件や一定の限定された分野での対等な立場にある当事者間において仲裁制度を活用することは合理的であり、これまでの法整備に当たっても我が党は賛成してまいりました。しかし、本法案は以下の理由により反対であります。
 その理由の第一は、本法案が、本来、力関係が対等な当事者間で行われるべき仲裁制度を、国内の一般民事紛争すべてについて対象としており、しかも紛争発生時の事件に限らず、将来において生ずる紛争すべてに仲裁合意を有効としている点であります。
 これによって、知識、情報量、交渉力で圧倒的な力の差がある当事者間においても、仲裁合意がなされれば、仲裁制度での解決が迫られ、仲裁で不服がある結論が出ても裁判に訴えることができなくなってしまいます。
 我が国の企業間取引では、建設業における下請関係や運送、卸、金融取引など、ほとんどの分野で力関係に差があるため、取引を成立、維持しようと思えば、仲裁合意を拒否したくとも拒否できない実態があります。ですから、社会的に弱い立場にある方が不利な仲裁合意を押し付けられ、裁判を受ける権利に重大な侵害を及ぼす危険が強いと指摘しなくてはなりません。まして、仲裁機関の公平性を担保する法的保障も本法案にありません。
 反対の第二の理由は、労働者、消費者に対する保護規定について、仲裁制度の対象から外したわけではなく、あくまでも当分の間というものである点です。これでは今後の改悪の危険性は残っていると言わなければなりません。将来の紛争に関する仲裁合意はすべての国内取引について無効とすべきであり、本法案については反対であります。
 以上で反対討論を終わります。
#164
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 仲裁法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#165
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#166
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました仲裁法案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    仲裁法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 仲裁制度が裁判外紛争解決手段として幅広く利用されるよう、その意義、内容等について、事業者及び一般国民に十分周知するとともに、仲裁機関等へのアクセスの向上及び仲裁人の確保等体制の整備を図ること。
 二 仲裁制度が国際的な民商事紛争への解決に資するよう、今後の国際的動向等を踏まえて必要に応じて所要の見直しを行うとともに、仲裁機関の充実や国際的・専門的知見を備えた仲裁人の育成等に努めること。
 三 多様なADRの育成・充実を図るため、仲裁制度を含む総合的なADRの利用促進及び裁判手続との連携強化等を内容とする基本法の整備等を含めた施策について、早急に策定すること。
 四 消費者仲裁においては、情報・交渉力等に格差がある中で消費者に不利な仲裁合意がなされることがないよう、関係法令を含めて適切な措置を講ずるとともに、仲裁廷による消費者への仲裁制度、解除その他の重要事項の説明に当たっては、消費者の十分な理解を得ることが必要であることを仲裁機関に周知徹底すること。
 五 個別労働関係紛争を対象とする労働仲裁においては、労働者の権利保護の視点から関係法令を含めて所要の整備、見直しを行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#167
○委員長(魚住裕一郎君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#168
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#169
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#170
○委員長(魚住裕一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#171
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#172
○委員長(魚住裕一郎君) これより請願の審査を行います。
 第六八号人権擁護法案反対に関する請願外二百七十件を議題といたします。
 今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の資料のとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一八四四号法務局、更生保護官署、入国管理官署、少年院施設の増員に関する請願外四十六件及び第二一四〇号国民がより利用しやすい司法の実現のための裁判所の人的・物的充実に関する請願外三十六件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第六八号人権擁護法案反対に関する請願外百八十六件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#173
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#175
○委員長(魚住裕一郎君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 人権擁護法案につきまして、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#176
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#178
○委員長(魚住裕一郎君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#179
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#181
○委員長(魚住裕一郎君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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