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2003/01/22 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第2号
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2003/01/22 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第2号

#1
第156回国会 本会議 第2号
平成十五年一月二十二日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十五年一月二十二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり


     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 高橋千秋君から海外渡航のため来る二十七日から十三日間の請暇の申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(倉田寛之君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。海野徹君。
   〔海野徹君登壇、拍手〕
#6
○海野徹君 私は、民主党・新緑風会を代表し、財務大臣の財政演説に対し、小泉総理及び関係大臣に質問いたします。
 一九九〇年代初めのバブル崩壊から十年余、バブル不況からデフレに突入して四年、この期間に日本は多くのものを失いました。株価と地価を例に取ってみても、それらの下落のために失った富の総額は第二次大戦の敗戦時のそれを上回ると言われ、金額にして千三百兆円、ピーク時からの減少率は四三%とも言われております。背景には、これこそ日本経済再生の妙薬という政治的な掛け声の下に内閣が打ってきた政策が、きちんとしたビジョンに乏しく、全く無駄であったことがあります。
 更に問題は、小泉総理は不良債権の抜本処理を勇ましく掲げたものの、デフレという副作用を緩和する処方せんを十分に用意しないまま船出をするという愚を犯してしまったことです。
 こうした内閣の経済無策により、若い人、高齢者を問わず失業者が町にあふれ、地域の中小零細企業は塗炭の苦しみにあえぎ、工場が廃墟となり、商店街がシャッター通りと化しています。そして、倒産に追い込まれた経営者やリストラされたサラリーマンが自殺に追い込まれており、三年連続で年間三万数千人の自殺者が出ています。背景には経済的理由があり、調査によれば、その予備軍である心の病の症状を訴える人々は我々の想像を超える数字となっております。これは解決すべき極めて大きな政治テーマであるにもかかわらず、適切な対策が講じられておりません。
 日本が依然として閉塞感に覆われており、かつては英国病と言われたものが今日日本病と称される事態は遺憾の極みであります。これまでの度重なるデフレ対策は全く効果がなかったのではないでしょうか。
 ここまで深刻化し長期化しているデフレの基本的原因をどう分析し、現在の我が国の経済がいかなる局面にあるのか、世界のデフレと日本のデフレとの違いを明確にして、総理の認識を伺いたいと思います。
 関連して、最近の銀行の自己資本増強策について質問します。
 大手銀行は自己資本比率を維持するためにあの手この手で資本増強をしようと躍起になっております。高利の優先株配当、不良債権分離会社での増資、合併差益による含み損一掃、取引先企業への出資要請などです。
 これらの自己資本強化策は極めてテクニカルな問題であり、一部には変形とやゆされるように、金融再生プログラムの形骸化につながりかねません。本質的な問題の解決はまた先送りされていくのではないかと懸念するところでありますが、とりわけ、保険会社への出資要請はBIS基準に照らしても国際的にも資本性が薄いと指摘されるのではないかと考えますが、竹中金融担当大臣の見解をお伺いします。
 今回の補正予算は、約五兆円の国債を追加発行し、総理が金科玉条のように唱えてきた国債三十兆円枠を突破しました。
 総理は、昨年の施政方針演説で、歳出面における努力や歳入面における税外収入の確保などにより、国債発行額三十兆円を守り、税金を無駄遣いしない体質へ改善を図る、それとともに将来の財政破綻を阻止するための第一歩を踏み出すことができましたと公言されております。まさか自分の発言を忘れてしまったとおっしゃることはないと思います。その舌の根も乾かないうちに安易な方針を転換したことは誠に無責任極まりないものと断ぜざるを得ません。
 さらに、平成十五年度当初予算においては、国債新規発行は過去最大の三十六兆円台に達し、国債依存度は四四・六%と最悪の事態になる見込みです。内閣府の試算した中期経済見通しによれば、財政再建は更に大きく後退し、平成十六年度以降、毎年四十兆円規模の国債発行が必要になるとのシナリオが描かれています。これでは将来の財政再建のめどが立たず、後は野となれ山となれという、そういう方針ではありませんか。プライマリーバランスの回復もますます遠のくばかりであります。さらに、昨年初めて国債未達が生じていますが、国債消化が計画どおりできるかどうか、これも定かではありません。
 総理は、予想に反して税収が下回ったのだから国債増発、すなわち公約破りは当然と強弁しておりますが、しかし、この二兆五千億円を超える税収不足はひとえに小泉不況が原因なのです。その自らの失政こそが国民生活を破壊し、公約破りにもつながっていることをまず認識すべきです。今日の不況、デフレが自らの失政が招いたものであることも認識できない総理には日本の経済財政運営をゆだねることはできません。唯一、律儀に守って、かつ結果の出ている公約は、国民に痛みを与えることだけです。スローガンの絶叫だけでは事態は改善しません。
 公約違反を犯し、政策をこっそり転換して国民に負担だけを求めるのならば、そこには正当な理由を明示し、責任者として国民にわびることから始める必要があると考えますが、総理の認識を伺います。
 私たちは、行政改革、経費節減、無駄な公共事業の中止によって財源を賄い、喫緊の課題である雇用失業対策、中小企業対策に最重点を置いた斬新な補正予算を編成するよう求めてきました。しかし、今般の補正予算の内容を見ると、従来型施策を踏襲しており、雇用対策は現行補助制度の予算拡充、中小企業対策も見せ掛けの事業規模を膨らませているだけで、サラリーマンや中小企業の経営者の期待を大きく裏切る内容となっております。公共事業は都市再生や環境といった体裁の良い冠を付けただけで、従来どおりの土木型事業が中心となっています。本当にこのような補正予算で今日の危機を脱することができるのでしょうか。
 日米構造問題協議に端を発し、生活大国の実現をうたい上げた公共投資基本計画が九一年に決定されました。その後、九四年に改定され、九七年に期間を延長しましたが、総額六百三十兆円という枠組みは残り、日本の財政を大きくむしばんでいます。そうした状況下で編成された補正予算ですが、景気への波及効果、経済活性化への展望等、具体的な補正予算の効果について政府はどのような見込みを持っていらっしゃるのか、総理及び竹中経済財政政策担当大臣の答弁を求めます。
 特に雇用政策については問題があります。政府がこれまで雇用対策と称して実施した事業の中には、退職前長期休業助成や建設業労働移動支援助成金等、ほとんど活用されず、求職者の再就職には役に立たなかった制度もあります。再就職先が決まらないうちに失業給付が期限切れになってしまう事例が今増えています。補正予算案に盛り込まれた雇用対策費には、過去の政策への反省が見受けられません。民主党は、非自発的失業者の生活基盤を守り、新たな需要がある分野への就労を支援するための能力開発に重点を置いた事業こそ必要だと考え、訴えております。
 補助金で創出される雇用には継続性がなく、規制改革等による雇用創出、新産業育成が重要であります。経済産業省の試算によりますと、規制緩和や行政サービスの民営化、民間委託などが進み、公共サービス分野における就業者比率が米国並みに高まると仮定すると、最大で約八百万人の雇用創出が可能とされております。
 今回の補正予算で雇用はどれだけ増えますか、新事業創出の効果はどれぐらいあるのでしょうか、具体的な数値を示していただきたい。これは竹中大臣より明らかにしていただきたいと思います。
 次に、中小企業・産業政策について質問いたします。
 我が国の事業所の九九%以上が中小零細企業で占められております。この中小零細企業が元気になることが日本経済再生の最低条件だと考えます。しかるに、厳しい不況は中小企業の経営者、従業員やその家族の生活を圧迫しております。
 まず第一に、中小企業金融政策を抜本的に組み替えるべきです。銀行を始めとした金融機関は、大企業向けの不良債権処理を棚上げして、自己資本比率維持のために、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしを容赦なく行っている実態があり、地方からは悲痛な叫びが上がっております。
 民主党は地域金融円滑化法案を国会に提出いたしました。地域金融円滑化評価委員会が金融機関に資料の提出を求め、金融機関が地域金融の円滑化にどの程度寄与しているかを公表するものです。この法律は、情報開示によって貸し渋り、貸しはがしに代表される不公正な金融慣行を是正し、これによって金融機関が地元の中小企業に積極的な融資を行う有益な存在になるそのための環境をつくることができると確信しています。全国の四百を超える地方議会で、超党派により、この金融アセス法案の早期成立を求める意見書がまとめられ、採択されております。また、中小企業の方々を中心に八十万人を超える署名も集まっております。
 竹中大臣自身が履物店を営む両親の下で育ったという、そういう原点に立ち、今、中小企業の再生のために政治決断をすべきそのときに来てはおりませんか。私たちの提案する法案を実現する意思があるのか否か、大臣の明確なる答弁を求めます。
 また、私たちは、借り手ばかりではなく貸手の責任も明確にし、事業者がむやみに貸し渋りに遭わないためのセーフティーネットを確立すること、担保至上主義を廃止し、個人保証の要らない事業者ローンを実現すること、ベンチャー支援税制を強化することなどを提言しております。この点についてどう取り組むのか、竹中、塩川両大臣の答弁を求めます。
 また、通商政策、産業空洞化対策においては、海外の通貨とのレートの問題が大きな意味を持ちます。かつて、日本は、一九八五年プラザ合意を始め、急激な円高を受け入れざるを得なかった経緯があります。このことが我が国の産業競争力の低下を招き、産業空洞化の一因となっている側面も否定できません。日本の輸出依存度は一割程度であり、しかしながら、輸出動向が日本経済に与える影響は誠に大きいものがあります。購買力平価に基づく水準以上に評価されている実力以上の円高を是正するため、政府、日銀は大胆に円安への誘導策に踏み切るべきではないでしょうか。それが日本経済再生のかぎです。その手段の一つとして、公的部門の資金の対外証券投資の拡大を行うべきであります。
 さらに、中国がWTOに加盟したことを重く受け止め、中国人民元あるいはアジア通貨との関係を先進諸国の共通の議題として取り上げ、適正な為替レートに落ち着くように、日本政府は積極的に働き掛けるべきではないでしょうか。
 為替政策は、経済問題である以上に国益追求のために必要な外交努力をすべき課題であり、政治指導力の問題であると考えますが、以上の諸点について、小泉総理、平沼大臣、塩川大臣の答弁を求めます。
 昨今、アジア太平洋地域においてはFTAに向けた動きが活発化していますが、日本には出遅れ感があります。川口外務大臣は、先日、インドで汎アジア経済圏構想を提唱されましたが、経済連携構想など言葉遊びを脱却して、日本経済の発展のために自由貿易が重要であることを改めて示し、包括的FTAとして、韓国や台湾を筆頭に、日本が中心となってアジアの自由経済をつくり上げていくことが肝要であります。多くの国とのFTA締結により、海外からの対内直接投資を促進し、地域経済の活性化につなげることができます。その際に経済特区を効果的に利用することができれば、更に日本経済に活力が出ることにもなります。自由貿易協定の推進、骨抜きにならない経済特区の仕組みづくりについて小泉総理の答弁を求めます。
 次に、国家ビジョンの提示についてお尋ねします。
 昨年度の米国における企業別特許取得ランキングでは、上位十社のうち七社が日本企業です。ノーベル賞のダブル受賞など民間部門では個別の強さが目立つものもあります。しかし、そうしたミクロでの強さをマクロでの強さに昇華できておりません。正に国家が合成の不利益状態になっているのです。
 まず、国家戦略上、あるべき社会像を掲げることが必要になってきます。これまでの高度成長願望から脱却した、個人の心の満足に基づく新たな成長ビジョンです。公共を担うものは民間であるとの基本認識の浸透、教育と労働の一体化を進める起業家教育の促進、あるべき日本型資本主義をともに考えるための金融教育の推進、分かりやすい税制と日本版SEC創設による信頼される直接資本市場の育成、転職インフラ、企業再生インフラの早急な整備など、将来への活力となる政策が必要であります。
 総理は、道は近きにあり、しかるにこれを遠きに求む、事はやすきにあり、しかるにこれを難きに求むという言葉を御存じのことと思います。日常生活においても、周囲を見渡してみても、こんな経験を総理もしておいでのことと思います。未来は遠くにあるものでも見えないものでもありません。未来は現在の中に潜んでいます。特別な才能がある、あるいは特別な人間だけそれが発見できるものではありません。望ましい未来を描いてみること、そしてきちっとしたビジョンを持つことでそれが見えてくるものであります。
 総理は、構造改革なくして成長なしと訴えられておりますが、いまだに二年後、五年後、十年後といった後の日本の社会、経済の姿を国民のだれもが理解できるように具体的な内容をもって示しておりません。改革後の成長の姿が明確になっていないから、すべてが期待外れに終わって、痛みだけが増しているというのが国民の実感であります。
 今回の補正予算の内容にその萌芽すら見えないことに落胆しますが、この点について小泉総理の答弁を求めます。
 次に、消費税についてお尋ねします。
 年明けから税率引上げ論議がにぎやかです。今、小泉政権は、経済無策によって不況を拡大するだけではなく、医療保険、介護保険、雇用保険の保険料の引上げで国民に負担を押し付けようとしています。さらに、発泡酒、ワインへの増税、配偶者控除の廃止、拙速な外形標準課税の導入など、庶民や中小企業の税負担を安易に増やそうとしています。正に安心、安全を縮小させ、不安と負担だけを拡大させています。
 国民は、将来への不安が高まっていることから、最後の支えとなっている個人消費が控えられ、このことがますます景気を冷やし、失業や倒産が増える悪循環が生まれております。特に、財務大臣等が軽々に消費税の大幅引上げにも言及していることが国民の間で不信感を増幅させております。
 消費税の税率問題については、政府がきっちり手順を踏んで、やるべきことをやって、議論を進めるべきではないでしょうか。
 私は、以下の五つの点を明確にした上で消費税率の在り方を考えるべきだと思います。
 第一に、国民に負担を強いる前に、政府自らが汗をかくことであります。民間で行われている厳しい合理化、省力化に匹敵する行政スリム化が不可欠です。
 第二に、社会保障ビジョンを明らかにすべきです。単に年金の財源をどう確保すべきかという財源論だけではなく、いかなる哲学、原則に基づいて福祉体制を構築するのか、国民に示すべきです。
 第三に、財政再建の道筋を確立することです。かつて一般消費税は財政再建には充当しない旨の国会決議がなされておりますが、国債償還の部分を安易に増税で穴埋めすることのないよう歯止めを講じるべきであります。
 第四に、国民の生活コストの問題と併せた議論を行うことです。欧州諸国の付加価値税率は高いと安易に指摘する意見がありますが、そうした税金を含んだ物価そのものが日本の物価よりもはるかに安い国が多いことを思い起こすべきです。構造改革、規制改革と併せて、適正な生活費の負担のビジョンを示すことです。
 第五に、抜本税制改正の骨格を示すことであります。直間比率をどうするのか、国税と地方税の割合をどうするのか、これを明らかにすべきであります。
 以上、申し上げました五つの前提条件を明確にした上で、初めて消費税の税率論議が成り立つと思います。
 こうした手順を踏まずしては、政府は安易な消費税率引上げは行わないと国民に約束をすべきです。政府にとっては、年金の財源として消費税率の引上げは魅力的に映っているようで、その魅力に負け、首相在任中は税率を上げないとの発言も、これまでの数々の公約と同様に簡単に撤回するのではないかとの危惧を感じざるを得ません。この点について、疑念を払拭し得る答弁を小泉総理、塩川大臣に求めます。
 最後に、詩人フランシス・ポンジュは、人間は人間の未来であるとうたっています。人間が人間社会をつくり出そうとする不断の努力がそのまま歴史になるのです。今、歴史的に、人間の夢と希望を行動基準にして、人間の社会をより人間らしい方向へと社会のハンドルを切り、人間に従属する経済システムをつくるときが来たように思います。コーポレートバリュー一辺倒の時代から地球規模のヒューマンバリュー追求の時代へと時代は移行していくことでしょう。
 環境保全や食の安全など人類の生存のための価値を意味するヒューマンバリューに今日の日本全体を覆う閉塞感打破のかぎがあることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 海野議員にお答えいたします。
 デフレの原因とデフレ対策についてのお尋ねであります。
 日本経済はここ数年緩やかなデフレの状態にあり、これは戦後初めての経験であります。
 要因としては、安価な輸入品の増加等の供給面の構造要因、内需の弱さから来る需要要因、銀行の金融仲介機能が低下しているという金融要因があり、これらの要因が総合的に物価下落に作用しております。
 また、戦後、他の先進国においてもこうしたデフレの状態は例がないものと認識しております。
 デフレ克服は経済財政運営における重要課題であると認識しており、政府としては、不良債権処理の加速や今般の補正予算の編成など経済活性化に向けた取組を進めてきたところであります。また、日本銀行におきましても、量的緩和政策を継続するなど、これまでもデフレ克服に向け様々な努力をしてきたところであります。
 今後、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け、政府は日銀と一体となって総合的な取組を実施していくことが必要であると考えております。
 国債増発についてでございますが、平成十四年度当初予算の編成に当たっては、税収が五十兆円程度にとどまると見込まれる中で、八十兆円を超える歳出の規模、内容について、財政の規律を確保するため、国債発行額三十兆円を目標としました。
 今回の補正予算の編成に当たっては、当初予算編成時には想定し得なかった税収の落ち込みや、経済情勢に応じて大胆かつ柔軟に対応する観点からの雇用、中小企業などのセーフティーネットの構築や構造改革推進型の公共投資などの経費の追加の財源として国債の追加発行に踏み切ったところであり、政策転換という御指摘は当たらないと考えております。
 補正予算の効果についてでございますが、十四年度補正予算においては、日本経済の再生に向けて構造改革の加速に合わせて緊急に措置することが必要な施策及びデフレ抑制に直接的に資する施策として、国費ベースで雇用、中小企業等のセーフティーネットの構築に一兆五千億円、構造改革推進型の公共投資に一兆五千億円の予算措置を講ずることとし、十五年度当初予算と併せ、経済活性化に向けた切れ目のない対応を図ることとしておるところであります。
 政府としては、今般の補正予算は必要な施策を厳選したものと考えており、これらの実施により、不良債権処理の加速に伴う雇用、中小企業への影響に十分対応できるようなセーフティーネットが構築されるとともに、構造改革推進型の公共投資の効果が早急かつ着実に発現され、民間需要、雇用の創出につながることが見込まれるものと考えております。
 為替政策についてでございますが、郵貯、簡保、年金といったいわゆる公的資金は、その性格から安全な運用が期待されているため、為替リスクを伴う対外投資の割合にはおのずと限度があります。また、仮にその割合を高めたとしても、様々な市場の需給によって決定される為替レートに、これのみによって大きな影響を与えることは困難と思われます。
 いずれにせよ、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要と考えており、必要に応じて適切な措置を取っていくという為替政策に変更はありません。
 中国人民元は、現在、米ドルに対して事実上固定されていますが、対円ではその時々のドル・円レートの変動につれて変動しています。他のアジア通貨の中には、韓国ウォンのように基本的には市場において調整がなされる変動相場制のもの等、様々な制度が併存しています。
 他国の通貨の相場水準の適否について言及することは差し控えさせていただきますが、為替は国民経済に大きな影響がある一方、通貨の交換レートである以上、必然的に相手国が関係いたします。したがって、必要に応じ、為替の問題を含め各国経済をめぐる問題について二国間や多国間の場でいろいろと議論し、相互理解に向けた努力をしていくことが重要であると考えています。
 自由貿易協定の推進及び経済特区についてですが、自由貿易協定を含む経済連携の強化は、WTOを補完し、貿易、投資の促進を通じて経済の活性化に資するものであり、積極的に推進してまいります。
 また、構造改革特区の導入は、国内外の企業を問わず、投資に魅力的な地域とすることを目的としています。幾つかの地方公共団体からは外国資本の導入を図る構想が出されており、今後作成される構造改革特別区域計画において、内外からの投資を呼び込む魅力的なものが申請されることを期待しております。
 補正予算の内容についてでございますが、小泉内閣としては、日本経済の再生のためにはデフレを克服しながら構造改革を進める以外に道はないとの認識の下、活力ある民間と個性ある地方が中心となった経済社会の実現に向け、不良債権処理の加速を含む金融、産業の再生策、都市再生等の構造改革に全力で取り組んでいるところであります。
 平成十四年度補正予算においては、これらの構造改革の加速に併せて、緊急に措置することが必要な施策及びデフレ抑制に直接的に資する施策を盛り込むこととし、民間需要誘発効果や雇用創出効果が特に高い施策を厳選して予算措置を講じているところであり、経済の再生に向けた小泉内閣の姿勢と軌を一にするものであると考えます。
 消費税率の引上げについてのお尋ねでありますが、私は、在任中、消費税率を引き上げる考えはありません。小泉内閣の大きな目標は、歳出の徹底した見直し、行財政改革を徹底的に行うことが先であると思いますが、消費税の議論については封殺するものではありません。大いにしていただいて、今後のあるべき税制あるいは社会保障の負担と給付、そういう問題を絡めて議論していただくことについては歓迎いたします。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(塩川正十郎君) 私にお尋ねありましたのは五点でございますけれども、その大部分は先ほど総理の答弁でもう言い尽くされてはおると思っておりますが、なお私に関係深いもので若干補足させていただきますならば、一つは、個人の融資に対しましては、担保至上主義を改めて、また個人保証を廃止したらどうだという提案でございまして、これは各銀行が行います与信行為でございますので、一概にこれ申し上げられませんが、国民金融公庫におきましては、既に限度額五百五十万円までに限りましては個人保証がなくても融資をしておるという状態でございます。
 なお、これを補完するものの一つといたしまして、納税証明による、あるいはまた当座預金の取引等を、その実績を勘案する等、いろんな手段はあると思っておりますけれども、まず、政府関係機関におきましては、そのような五百五十万円までは無担保無保証で融資をしておるという制度があるということを御認識いただきたいと思っております。
 それから次に、ベンチャー税制についてのお尋ねでございましたが、かねてからエンジェル税制を拡大してまいりまして、今回の税制改正におきましては、譲渡益の扱い方を拡大するとともに、またこの期間につきましても、譲渡期間を一年で計算しておりましたのを今回三年に延期するという措置等を講じましてエンジェル税制を強化しておるのでございまして、この点につきましても御認識をいただきたいと思っております。
 それからなお、対外投資に公的資金を使って円安を積極的に誘導したらどうだということでございましたが、この点につきましては先ほど総理から御答弁ございまして、我々といたしましては、公的資金をそのように使うということにつきましては、これは政府の権限外にも属してくることでございますし、また郵貯等の運用につきましては自主運営でございますので、これはそれぞれの審議会において決定されることでございますので、政府として積極的に介入をするという考え方はございません。
 また、あえてそういう公的資金を使って為替相場に政府、直接な介入をするということは対外的な不信を招くことでもございますので、慎重に取り扱うべき問題だと思っております。
 それから、為替政策一般につきまして、これも総理から答弁ございまして、特にアジア通貨につきましては、ウォンの扱い方はこれは完全に変動相場制に移行しておりますし、他の国におきましての通貨も変動制を取っておるところがございますが、中にはやはり元、中国の人民元に見られますように、人民元の扱い方は全部中央銀行に集中しておりまして、これは国営でございますのでどうしてもドルにペッグするということになっておりまして、これは我々とやっぱり関係国との間で念入れて十分な話合いをする必要があるだろうと思っておりますけれども、それぞれの国の政策でございますので、それぞれの国の政策にとって利害があると思っております。人民元におきましても、十分にペッグをしておることは果たして人民元にとっていいことかどうかということも考える必要があるだろうと思っておりますので、対話を進めていきたいと思っております。
 それから、消費税の在り方についてお話がございましたが、我々はまず消費税を上げるということ、そんな原点に立って議論をしておるものじゃございません。まず消費税ありきという議論は全然しておりません。ましてや、財政上の問題としての消費税の議論をしたことは全くございません。それよりも、今後起こってくるところの、社会保障に対します当然増が起こってまいりますが、その財源をどうするかということについての一つの問題としての消費税の検討は必要であろうということは言っておりますけれども、これをもって消費税をまず考えるべきであるということはいたしておりませんので、誤解のないようにお願いいたしたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(竹中平蔵君) 海野議員から五点の質問がございました。私も重複を避けて御答弁をさせていただきます。
 まず、大手銀行の資本増強についてのお尋ねでございます。
 金融庁としては、昨年十月の金融再生プログラムを取りまとめ、平成十六年度までに不良債権問題を終結させるという内閣の方針の実現に向けて、資産査定の厳格化等の施策を講じてきたところであります。
 これに呼応して、各銀行においても資本増強等の様々な取組を行っているというふうに承知をしておりますが、一般論で申し上げれば、現下の厳しい経済情勢の下で、各行が金融再生プログラムを受けて不良債権問題の解決に向けて積極的に取り組みつつある、健全性の確保のため財務基盤の強化を図るということは、これは必要であるというふうに考えております。もちろん、その際重要なことは、とにかく結果を出していただくことであるということでありますので、その点については引き続き注意を持って見守りたいと思っております。
 なお、バーゼル銀行監督委員会の議論におきましては、一般的な銀行、生保間の持ち合いについては通常の資産として取り扱うというふうにされておりますし、また新BIS規制の公式の議論の対象にもこれはなっていないというふうに認識をしております。
 補正予算の効果をどのように見込んでいるのかというお尋ねでございます。
 平成十四年度補正予算におきましては、民需の誘発効果や雇用創出効果が特に高いものを厳選しまして、事業規模で四・四兆円程度、事業融資規模を含めたベースでは十四・八兆円程度を確保しているところであります。
 補正予算の効果でございますけれども、新たな雇用機会の創出、各種セーフティーネットの構築により雇用への好影響が期待されるわけでありますが、公共投資につきましては、もちろん公的な資本形成を増加させるということに加えて、マクロ経済的に波及効果が当然考えられます。また、需給の改善を通じて、その分、物価の下落幅の縮小効果を持つというふうにも期待をしております。
 技術的な問題でありますので計測は大変難しいんでありますが、公的固定資本形成の増加分、これのみに着目しましてGDPに与える影響を内閣府のマクロモデルで試算したところ、今後一年間で実質GDPを〇・七%程度引き上げる効果を持つというふうな結果が得られております。名目GDPは一%程度の引上げ、雇用者は九万人程度増加するというふうに見込んでおります。
 今回の補正予算における雇用対策及び創業・新規開業支援策の効果についてのお尋ねでございます。
 雇用対策については事業規模で五千億円程度を盛り込んでおり、直接的な雇用創出効果のある事業の拡充、経済・社会構造の変革に備えたセーフティーネットの構築として、不良債権処理の加速に伴う離職者の再就職支援や雇用の受皿づくり等を行うこととしており、これらにより雇用への好影響が期待されます。
 また、創業・新規開業支援等については事業規模で三千億円程度を盛り込んでおり、産学官連携による研究開発等の積極的推進、起業や新産業を担う人材の育成等を行うことにより、創業・新規開業等々を促進する環境を整備することとしております。
 いずれにしても、こうした取組により構造改革を更に加速し、民需主導の持続的な経済成長を目指していくという考えでございます。
 民主党提案の地域金融円滑化法案についてのお尋ねがございました。
 金融機関の融資業務等については、各金融機関の自主的な経営判断に基づいて行われることが基本であり、その評価については、基本的には市場によって行われるべきものであるというふうに考えます。
 具体的に、地域金融円滑化法案につきましては、第一に、多様な金融機関の業務を画一的な基準により評価することは困難なのではなかろうか、第二に、金融機関が自主的に行う業務について政府の一機関が評価をして公表することは、自由かつ適正な市場競争を妨げるおそれがないのか、そういった等々の問題があり、慎重な対処を要するものと考えております。しかし、言うまでもありませんことですが、地域金融の円滑を図ることは重要な課題であるというふうに私自身も重視しております。
 そこで、金融庁としましては、現在、地域金融機関におけるリレーションシップバンキングの在り方について、専門家を集め金融審議会において検討した上で、今年度内を目途に中小地域金融機関に関するアクションプログラムを作成することとしております。そこの中で様々な議論を是非ともしていきたいというふうに考えております。
 最後に、中小企業への貸し渋りに対する取組についてお尋ねがありました。
 我が国経済の再生を図る上で経済の基盤を支える中小企業への円滑な金融の確保は極めて重要であり、金融庁としては、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めること、不良債権の早期処理等を口実に貸し渋り等を行わないことなどについて、金融機関に繰り返し繰り返し要請を行っているところであります。その際、金融機関が担保や保証のみに依存することなく、事業計画や財務状況等の的確な把握に基づき適切なリスク管理を行った上で融資を行うことが重要であると考えており、金融機関に対し積極的な取組を促しているところであります。
 御承知のように、金融再生プログラムにおいて、主要行の不良債権処理によって日本企業の大宗を占める中小企業の金融機関が著しく悪化することのないように、我々としては銀行業における新規参入を積極的に促進し、貸し渋り、貸しはがしのホットラインなど、各種のセーフティーネットを講じることとしております。
 いずれにしても、これらに基づき中小企業金融の円滑化に努めてまいる所存であります。金融はようやく変わりつつあるというふうに思っております。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(平沼赳夫君) 海野議員にお答えをさせていただきます。
 為替についてのお尋ねでございますけれども、既に総理、そして財務大臣から御答弁がございました。
 米国の経済の先行きに対する市場関係者等の厳しい見方、これを反映をいたしまして、ドルでございますとかドル固定になっております中国人民元などの関係におきまして円高基調にある、そのように私どもは認識をしているところでございます。
 円高が我が国経済に与える影響につきましては、当たり前のことでありますけれども、輸出企業の収益圧迫につながる一方、やはり我が国、経済大国でグローバリゼーションの現況の中で輸入企業の収益改善につながる、そういう面もあると認識しております。
 いずれにいたしましても、為替相場というのがファンダメンタルズを反映して安定的に推移をしていく、このことが我が国の経済運営上非常に重要なことだと思っておりまして、当省といたしましては、産業界に与える影響、ここに特に留意をいたしまして為替相場の動向に十分注意をしていきたいと、このように思っております。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(倉田寛之君) 尾辻秀久君。
   〔尾辻秀久君登壇、拍手〕
#12
○尾辻秀久君 私は、自由民主党・保守新党を代表して、ただいま議題になりました十四年度補正予算案と関連法案について、総理と財務大臣に質問をいたします。
 まず、総理のロシア訪問についてお伺いをいたします。
 日本と旧ソ連邦は、一九五六年に国交が正常化して以来、五十年近くがたちました。その間、経済・文化交流等、幅広い分野にわたって関係を強化してまいりましたが、領土問題がネックになり、いまだに平和条約は締結されておりません。
 今回の総理訪問の目的は、外務省の不祥事等により生じたきしみを修復することにあったと思いますが、ロシア側も日本との関係強化について大きな期待を寄せているのが分かります。プーチン大統領は拉致問題についても可能な限り協力するという意向を示されたと聞いております。閉塞感のある日朝間の諸問題の解決につながればと期待をいたします。
 アジアの安定、平和のためにも日本とロシアの関係はますます重要になってまいります。領土問題の早期解決、日ロの平和条約締結等について総理はどのように取り組んでいかれるのか、基本的なお考えをお聞かせください。
 次に、国民の今日の最大関心事であります景気・経済問題についてお尋ねをいたします。
 企業倒産、失業率は依然高い水準にあります。雇用不安と所得の減少等が消費マインドを冷やし、それを受けて更に生産が縮小していくという悪循環を繰り返しています。資産デフレの加速もあります。産業空洞化、少子高齢化等、構造的なものも加わり、複合的不況から一向に回復の兆しを見せておりません。
 一月の月例経済報告では、景気はこのところ弱含みという表現になっておりますが、分かりにくい言葉でありますので、現在の景気をどのように認識されているのか、分かりやすく総理に説明をしていただきたいと存じます。
 また、アメリカによるイラク攻撃の動きがあります。それが現実となれば、原油価格の高騰、長期金利の上昇等が予想され、世界経済にもマイナスの影響を与えることは間違いがありません。その影響を大きく受けるのは、中東からの原油輸入に多くを依存している日本であります。
 イラク情勢が及ぼす影響を含め、今後の日本経済の見通しと経済運営について総理のお考えをお伺いいたします。
 改革加速プログラムや総理の年頭の記者会見においても、政府と日銀が一体となってデフレを克服することが重要との認識を示しておられますが、インフレ目標など意見が一致しているとは思えません。日銀の独立性が高まり、財政と金融が分離された今日、総理がリーダーシップを発揮されるべきと考えます。総理のお考えをお尋ねいたします。
 次に、補正予算についてであります。
 今、提案されている補正予算は、デフレ脱却の方策を熟慮した上で、その必要額を積み上げていった結果が三兆円になったのでありましょうか。まず三兆円という規模ありきだったのではないかという見方もあります。補正予算を編成するに当たってどのようなお考えで臨まれたのか、財務大臣にお尋ねをいたします。
 景気対策にはタイミングがあります。機動的かつ弾力的な対応が必要であります。臨時国会ではなく通常国会の冒頭で補正予算の提出となったのはどのような理由なのか、併せて財務大臣にお尋ねをいたします。
 この補正により、総理が言われた国債三十兆円の枠は崩れました。やむを得ない措置と理解いたします。
 ただ、心配なのは将来のことであります。借金をまた借金して返しながら、その借金が雪だるま式に増えていくという、言わば無間地獄に入っていくのではないかと不安を感じます。
 そこで、「改革と展望」の今回の改定では、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指すという考えを示しておられますので、大ざっぱな数字でいいのでありますが、そのときの歳入歳出の規模、公債費の額をどの程度と想定されているのか、総理にお尋ねをいたします。
 次に、社会保障と財政についてお尋ねをいたします。
 国民が現在消費に慎重になっているのは、年金、医療等について不安を持っていることにあると考えます。
 総理は、聖域を設けることなくあらゆる改革を進めることが将来の日本には必要と、常日ごろ言っておられます。しかし、消費税については聖域化され、在任中は税率はいじらない。ただいまの民主党の代表質問に対する御答弁の中でも言明をされました。一方、消費税についての議論は解禁されたようでありますので、お伺いをいたします。
 無駄な歳出の徹底的な洗い直しは当然のことではありますが、消費税を社会保障関係の財源の一つとして検討すべき時期ではないかと考えます。総理の基本的なお考えを改めてお示し願いたいと存じます。
 日本は、技術立国として製造業を中心に経済が成り立ってきました。
 日本企業は、昨年のアメリカの特許認定件数で十位以内にキャノンなど六社が入る健闘をしております。一方、技術の流出、模造品等による被害も深刻になっております。
 知的財産保護や中国や東南アジア諸国の模造品に対する対応については、昨年秋の臨時国会において知的財産基本法が成立しており、また中国等においても国内法が整備されつつあると聞いており、一応の対応策は講じられつつあります。
 いずれにいたしましても、中国がWTOに加盟し一年が経過し、今後ますます日中の経済交流も進んでいくものと思われます。日本の高い技術力と中国の労働力の組合せ、お互いが補完し合いながら経済の結び付きを強化していくこと、いわゆる国際的な分業を進めることが重要となってまいります。このためにも、新しい企業の創出、産業の高付加価値化の推進、流通・エネルギー等の高コスト体質の改革を急がなければなりません。やる気のある企業の支援について、総理のお考えをお尋ねいたします。
 我が国経済は今極めて厳しい状況にあります。
 その中で、私たちは、過剰債務の解消、厳しいリストラ、企業再編等、日本経済再生への努力を続けております。規制改革による新たな分野での企業の誕生も期待されます。大学発のベンチャー企業も少しずつ芽を出してきています。
 総理は、新年早々、靖国神社にお参りをされました。国のために散っていかれた方々に報いるためにも、私たちは一日も早く元気にならなければなりません。日本経済の底力はいまだ健在であります。私たちが自信を取り戻すべきときであります。
 この点について総理のお考えをお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#13
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 尾辻議員にお答えいたします。
 日ロ平和条約交渉についてでございますが、先般の日ロ首脳会談におきましては、四島の帰属の問題を解決して平和条約を可能な限り早期に締結するとの決意をお互いに確認いたしました。
 ソ連がロシアに変わり、そして一党独裁から民主主義体制へ、統制経済から市場経済重視型に変わる。なおかつ、米ソ対決から米ソ協調路線に変わった。そして、ロシアはサミット参加国になった。三年後にはロシアが議長国になる。こういう国際情勢の変化とロシア自身の国内の変化をとらえて、私は、困難な北方領土の交渉、平和条約の締結、これが一番大事なんですが、同時に二国間で協力できる分野がある、また、国際舞台においても日ロが協力できる分野がある、そういう観点から、今後、ロシアと政治、経済、文化、芸術、スポーツ等、交流を通じて信頼関係を深めていく。これが平和条約締結交渉にとってもその交渉の基盤を強めていくことになるのではないかという観点から、私は今までの日ロ関係から新しい日ロ関係へつなげていきたいという気持ちを持ってロシアを訪問いたしました。
 いろいろ難しい問題もありますが、同時に未来志向で、協力できる分野もあるという中で、ロシアと日本との信頼関係を築いて、将来、平和条約締結交渉に結び付けていきたいと思っております。
 現下の景気認識及びイラク情勢の影響を含めた今後の日本経済の見通しと経済運営についてのお尋ねでありますが、一月の月例経済報告におきましては、生産の減少などにより景気が足下で下向きになっていることから、このところ弱含んでいるという表現を用いて景気判断をしたところですが、株価の低迷や緩やかなデフレが続いていること、また議員御指摘も含めた世界経済の先行き懸念が存在するなど、厳しい状況が続いているものと認識しております。
 こうした中、政府としては、デフレを抑制しながら、経済活性化に向け構造改革を一体的かつ整合的に実行し、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指すとともに、国際経済等の動向を注視しつつ、経済情勢によっては大胆かつ柔軟な政策運営を行っていく考えであります。
 このような政策運営により、我が国経済は、今年度後半はほぼ横ばいで推移することが見込まれるものの、十五年度には政策効果の発現や世界経済も徐々に回復していくことが見込まれることなどから、民需中心の緩やかな回復へと次第に向かっていくことを期待しております。
 政府、日銀一体でのデフレ克服についてのお尋ねでありますが、デフレ克服は経済財政運営における重要課題であると認識しておりまして、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け、政府は日銀と一体となって取り組むことが必要だと思います。日銀においては、更に実効性ある金融政策運営を行っていただけるよう期待しております。
 いずれにしても、日銀とは、今後とも、経済財政諮問会議のほか、様々なレベルにおいて意見交換を行い、連携を取っていく考えであります。
 プライマリーバランスの回復と歳出歳入の規模についてのお尋ねであります。
 財政健全化は引き続き極めて重要な課題であり、一昨日の経済財政諮問会議において、二〇〇六年度までの政府支出規模は二〇〇二年度の水準を上回らない程度とすることを目指す、二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスを黒字化することを目指す等を内容とする答申が出されたところです。
 今後の財政運営に当たっては、こうした考え方を踏まえつつ財政構造改革を推進していくこととしておりますが、二〇一〇年代初頭における歳出歳入の規模、公債費の具体的な額については、時々の経済財政状況を踏まえて適切に決定されるべきものと考えております。
 消費税についてのお尋ねでございますが、消費税については私の在任中は引き上げることを考えておりません。しかしながら、この消費税の問題というのは、所得税あるいは資産課税、税制改革の中で議論は当然出てくると思いますし、私はその議論を封鎖する考えはありません。私の内閣におきましては、優先すべきは、消費税の引上げではなく、徹底した歳出の見直し、行財政改革だと思っております。
 そういう中で、やはり社会保障をめぐる問題においては給付と負担、これをしっかりと正面から取り上げる必要がある、いかなる政策も税の裏打ちなくしては推進できないという観点から、私は議論は大いに結構だと思います。社会保障についても、これから持続可能な、高齢者と若い世代が協力し合っていけるような、そういう社会保障制度を構築していく必要がありまして、そういう点からも、税制の観点からあらゆる税項目についての議論を封鎖する気持ちはございません。
 やる気のある企業の支援についてお尋ねがありましたが、厳しさを増す国際競争の中で、我が国の産業が選択と集中を通じて持てる強みを発揮し、高付加価値化を進めていくことが求められております。規制改革を通じた高コスト構造の是正、研究開発促進税制の抜本的強化、知的財産権の的確な保護などを通じ、我が国産業の国際競争力の強化を政府として後押ししてまいります。
 日本経済の底力は健在ではないか、一日も早く日本が元気を取り戻すべきだという御指摘であります。同感であります。
 小泉内閣は、やるべき改革を行わなければ経済の再生はないという認識の下に構造改革に取り組んでおります。現在、この構造改革の途上にありまして厳しい状況が続いておりますが、国民のたゆまぬ努力で培われた潜在力をいかに発揮するかが構造改革だと思っております。
 厳しい環境の中で果敢な挑戦を続ける企業も数多く存在しております。また、都市再生、構造改革特区など、地方や民間の意欲を生かした経済活性化へ向けた取組が既に大きく動き出しているところであります。私は、このような我が国の持つ潜在力をいかに発揮させるかということについて改革が必要だと認識しております。
 今後とも、勇気と希望を持ってこの構造改革を推進していきたいと思いますので、よろしく御理解、御協力をお願いしたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(塩川正十郎君) 補正予算につきましてお尋ねが二つございましたが、御質問の前後、相互いたしますけれども、先に、なぜ補正予算を臨時国会でなく通常国会の冒頭に上げてきたかという御質問でございまして、これに先にちょっとお答えいたしたいと思っております。
 今回の補正予算を組み、編成いたしますにつきまして、その時期でございますけれども、まず第一に、十月の末に不良資産の処理を加速さすということが出まして、そのためにはセーフティーネットを十分にしなきゃならぬと、こういう提案が一つございました。これを受けまして、改革加速プログラム、つまり総合対策を立案いたしましたのが十一月でございました。それともう一つは、十四年度の税収につきまして精査いたしまして十分に検証いたしました結果、十一月中旬に約二兆円十四年度だけで不足するのではないかということが判明してまいりました。すなわち、この二つの要件、改革加速のための総合対策を実施するセーフティーネットを講ずる、それと税収対策を講じると、この二つの案件を構えまして補正予算を編成するということが決定いたしました。
 けれども、それは十二月になってからでございましたので、それを十五年度本予算を編成するのと併せて実行していくということは非常に作業的に難しいことになってまいりましたので、補正予算を審議するのは通常国会冒頭にお願いしようということにせざるを得なくなったということでございますので、この間の事情を御了解いただきたいと思っております。
 それでは、この補正予算の内容についてでございますけれども、まず、三兆円ということが先に議論があって、三兆円ありきということではないかというお尋ねでございますけれども、決してそうではございませんで、補正予算を考えますにつきまして、三つの案件から考えております。
 一つは、GDPに影響を、何とかして大きくこれに加速させるようにしたいということでございまして、そのためには、セーフティーネットを十分に活用して補正予算を編成したいということが一つ。それから二番目には、景気を加速さすために公共的な投資を十分にしなければならぬということでございまして、構造改革推進型の公共投資に十分手当てをするということ。それぞれ一兆五千億で組みまして三兆円となったものでございまして、そのほかに、税収を補足するために国債を発行するということをしたものでございまして、いずれにいたしましても、この補正予算の措置を講じまして、十五年度税制改正と相まって景気が加速することを信じておるようなことでございます。
 できるだけ早くこの補正予算を通していただきまして、安定した経済成長ができますよう、お願いいたしたいと思っております。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(倉田寛之君) 日笠勝之君。
   〔日笠勝之君登壇、拍手〕
#16
○日笠勝之君 私は、公明党を代表して、政府の財政演説に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問を行います。
 本題に入る前に、政治姿勢の問題についてお尋ねいたします。
 政治倫理、なかんずく政治腐敗防止の確立は議会政治の根幹であります。我が公明党は、結党以来、清潔な政治を目指してまいりました。
 すなわち、ここ最近だけでも、政治家個人に対する企業・団体献金禁止、あっせん利得処罰法の制定、さらに、同法の処罰対象に私設秘書まで拡大、また、官製談合防止法の成立等を積極的に推進してまいりました。
 しかるに、長崎県知事選挙に事寄せた違法献金事件、次いでは、ゼネコン汚職事件に絡み現職衆議院議員の実刑確定など、相も変わらず政治と金の問題は後を絶たず、政治の信頼を損ねたことは極めて遺憾であります。
 中国のことわざに、源清ければ流れ清く、源濁れば流れ濁るとあります。法律を制定する国権の最高機関である国会が自浄能力を今こそ発揮すべきであります。
 総理は、昨年三月、記者会見で、公共事業にまつわる政治献金の在り方について法的対応が必要ではないかと述べられました。今後どのように対応されますか。総理の強いリーダーシップを求めます。
 今、私たちの眼前には、一つには、デフレ不況克服・経済再生、二つには、イラク、北朝鮮情勢にかかわる外交・安全保障問題と、二つの大きな課題があります。
 そこで、最初に、経済再生についてお伺いいたします。
 公明党は、深刻なデフレ経済からの脱却を図り、国民生活を守るための補正予算編成を昨年九月から一貫して主張し、官邸にもその旨を伝え、また、十二月四日には財務大臣に補正予算の重点事項の申入れを行ってきたところであります。
 具体的には、中小企業の対策の充実に五千億円、雇用対策の強化に五千億円、安心して暮らせる少子高齢化の実現に二千三百億円、また、安心、安全、バリアフリーの町づくり等、都市・地方再生緊急対策費として六千億円など、我が公明党が強く要請した内容が今般提出された本補正予算に反映されております。
 更に申し上げますと、中小企業対策として、金融セーフティーネットの整備は十兆円の保証規模を確保、また、取引金融機関から不良債権処理の加速を理由として貸し渋り、貸しはがしを受けた中小企業者に対する融資制度が中小公庫、商工中金等に新たに創設されます。
 さらに、雇用対策では、不良債権処理の加速化による失業者の発生に対応するため、早期再就職者支援基金事業に二千五百億円を確保、雇用再生集中支援事業に一千四百六十億円を創設、地方自治体の臨時雇用支援のため、今までより使い勝手の良い緊急地域雇用創出特別交付金事業には八百億円の拡充。そして、きめ細かな対策として民事法律扶助にも三億円余を計上。
 続いて、公共投資は、環境、教育、地方と都市の再生等、重点四分野に特化し、交通渋滞対策としてはボトルネック踏切対策に一千三百五十億円。交通機関のバリアフリー化に八百億円。電線等の地中化などで七百億円。
 また、公立学校施設等の耐震化に五百五十億円。保育所、特養等の少子高齢化基盤整備に一千億円など国民の安心、安全の要請にもこたえる内容となっており、大いに評価するところであります。
 そこでお伺いしますが、この補正予算は経済及び雇用にいかなる効果があるのか、お答えください。本補正予算と平成十五年度予算及び一兆八千億円の先行減税の平成十五年度税制改正が三本の柱となり、現下のデフレ不況克服・経済再生のエンジンとなるものと期待され、一日も早い成立を願うものであります。
 ただ、財政投融資で奨学金事業費が追加措置されている件について一言申し上げたい。
 公明党の強い要望で平成十一年四月から発足した、勉学に意欲のある人は全員に行き渡る有利子奨学金制度、すなわちきぼう21プラン奨学金により、現在三十九万二千人以上の学生に貸与されています。
 しかし、平成十二年度は一万七千百八十人、十三年度は二万一千六百人、今年度は九千五百人と三年連続して募集人員を補正予算で追加措置しています。実に三年間で合計四万八千二百八十人の追加をしなくてはならないという大変な見込み違いをしたということであります。
 この奨学金に応募し貸与されなかった学生並びに家族の方々の不安な心情を察すると、到底見過ごせません。どう責任を痛感しているか、御見解を求めます。
 ここで、税制について一点だけお尋ねいたします。
 公的年金の基礎年金部分への国庫負担割合を三分の一から二分の一への引上げ等、社会保障給付の財源として消費税税率引上げについて、複数の閣僚から引上げ容認とも言える発言が続いております。総理は、在任中は引き上げないと明言されています。閣内不一致と言われないよう、消費税税率引上げについて総理の明確なお答えを願います。
 次に、国際情勢に移ります。
 まず最初に、北朝鮮問題についてお尋ねいたします。
 北朝鮮のIAEA要員の国外退去指示、NPT脱退宣言、さらに弾道ミサイル実験再開等は北東アジアの安全保障を脅かしかねません。我が国としては、米国等関係諸国との十分な協議をしていくべきでありますが、今後の我が国の対応についていかに考えておられるか、お尋ねいたします。
 ここに来て、先日の総理の靖国参拝が日中、日韓の二国間の友好、信頼に影を差すのではないかと危惧されています。この信頼関係を今後どのようにして再構築されますか。
 さらに、昨年十二月に官房長官の私的懇談会が報告書をまとめ、その中に、国を挙げて追悼平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設が必要であるとの提言がありました。この提言に対し総理の御所見をお伺いいたします。
 また、帰国した拉致被害者五人の家族の日本への帰国問題は粘り強く交渉すべきでありますが、進展状況についてお答えください。
 次に、イラク情勢について伺います。
 米軍がクウェート等に大量の軍事配備を行って、一段と深刻化の様相を呈しています。今後の見通しをどう把握していますか。また、イラクの要人から、米英に次ぐ敵国などと我が国が言われる筋合いはありません。我が国はイラクに六千億円と言われている債権を持つ国として、イラクへの直接対話ができる数少ない国であります。一層の平和的外交の努力が不可欠だと思いますが、いかがお考えですか。もし、残念ながら米国がイラク攻撃をした場合、我が国の同盟国支援の対応として何が考えられるか、御答弁を求めます。
 終わりに、我が公明党は、本年を生活与党、与直し公明党として、まじめに働いている人が報われる社会を目指し、十八歳選挙権の実現など十一項目の公約を掲げ、庶民、中小企業の目線での要望実現に全力を挙げてまいる決意であります。そのためにも、本補正予算と来年度予算との一体化による切れ目ない十五か月予算として、経済再生に向けて早期の本補正予算の成立を重ねて期待し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日笠議員にお答えいたします。
 政治献金についてでございますが、政治献金の在り方については、疑惑を招くことがないような仕組みを考えることが必要であり、昨年、あっせん利得処罰法を改正、強化するとともに、いわゆる官製談合防止法を制定したところであります。公共事業、中小企業からの献金についても、現在、自民党において検討が進められているところであります。
 消費税率の引上げについてでございますが、私は在任中消費税を引き上げる考えはありません。歳出の見直しを含めた徹底した行財政改革を行うことに小泉内閣の大きな意義があると思っております。
 しかしながら、将来の税制の在り方について、あるいは少子高齢化が進展する中で社会保障等財源をいかに調達するか、また、社会保障どうあるべきかということを考える際には、税の議論は避けて通れません。そういう面において、所得、資産、消費全般にわたる議論を封鎖するものではございません。
 北朝鮮の核開発問題に関するお尋ねでございますが、政府としては、アメリカや韓国、これらの国と緊密な連携が核問題の解決にとって大変重要だと考えておりますし、その上で、中国、ロシアなど関係国や国際原子力機関とも協力しながら、北朝鮮に対しまして核兵器不拡散条約の脱退表明の撤回を求めるとともに、核関連施設を再凍結し、すべての核兵器開発を放棄することを強く求めていく考えであります。
 私の靖国神社参拝についてでございますが、これは前からお話ししていますように、今日の平和というものは、過去の、心ならずも戦場に行って命を落とさなければならなかった方たちの尊い犠牲の上に成り立っているのだということを常に思い起こさなきゃいかぬと、平和の有り難さをかみしめ、そして二度と戦争は起こしてはならないという決意を新たにするために参拝したものでありまして、日中、日韓友好という考えは今後とも変わりないということを御理解いただきたいと思います。
 日中、日韓関係につきましては、アジアの安定と繁栄にとっても重要であり、中、韓両国との間で未来志向の協力関係を増進すべく、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 国立の追悼平和祈念施設についてのお尋ねでありますが、新たな施設については、懇談会の意見を踏まえ政府としての今後の対応を検討してまいります。
 拉致被害者家族の日本への帰国についてでございますが、現在、現地に残っておられる家族については、その早期帰国の実現に向けて北朝鮮側に対し強く働き掛けているところであります。これに対し、北朝鮮側は、まず被害者の方々を北朝鮮に戻すことが必要である旨引き続き主張をしておりますが、今後とも、様々な機会をとらえ、北朝鮮側に前向きな対応を粘り強く求めていく考えであります。
 イラク問題についてでございますが、まず重要なことは、イラクが現在行われている査察に対して積極的に協力し、大量破壊兵器の廃棄を始めとするすべての関連安保理決議を履行することであります。
 我が国としても、今後とも、外交努力を継続して、いずれにせよ、イラクによる安保理決議の履行状況など今後の事態の推移を注視しながら、国際社会の責任ある一員として主体的に対応する考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(塩川正十郎君) 平成十四年度補正予算に経済、雇用にいかなる効果があるかということと、我々与党の方から要望した問題が十分に、これが編成の中に入っておるかというお尋ねでございまして、まず補正予算につきましては、現下の金融・経済情勢を反映いたしまして、国費ベースでセーフティーネット充実対策に一兆五千億円、その中身は、先ほど日笠議員からお尋ねございました雇用対策に五千億円、そしてまた中小企業対策として五千億円、これは事業費に直しますと十兆九千億円になりますが、これを盛り込んでございます。さらに、高齢化対策として二千億円、これは事業費にいたしまして五千億円等を組み入れ、さらに、構造改革を推進するに、加速するのに公共投資に対しまして一兆五千億円の予算措置を講じまして、これは事業費に直しますと四兆四千億円となってまいります。そのようなことをいたしまして補正予算対策を十分に講じたことでございます。
 これによりまして、民需誘発効果とか、あるいは雇用創出効果は特に出てくるものと期待しておりますのと、それから事業の執行が、早期執行ができるもの、公共事業等に対しまして経済の即効性をねらった、そういう点を受けましての公共事業等に配慮したという次第でございます。これによりまして、不良債権の処理を加速いたしましても、それに対するセーフティーネットは一応講じたものと思っております。
 それからなお、十五年度税制改正におきまして、日笠議員等の要望のございました点について十分な対策を講じまして、中小企業並びに個人資産の運用等についての配慮を十分に配慮いたしました。これ等によりまして、経済のより一層の活性化を期待しておるところでございますので、よろしく予算審議のほどお願い申し上げたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(遠山敦子君) 日笠議員より、有利子奨学金について補正予算でなく当初予算で対応すべきであったのではないかとの御指摘がございました。
 次代を担う学生が経済的な面で心配することなく安心して学ぶようにするために、奨学金の充実というものは大変重要な課題と認識いたしておりまして、毎年度その充実に努めてきたところでございます。
 特に、有利子奨学金につきましては、学生のニーズに対応するために、平成十一年度に事業規模を十万人から二十四万人に抜本的に拡充し、それ以降も現下の厳しい経済状況等を踏まえて希望者全員に貸与できるよう、補正予算を含め充実を図ってきたところでございます。これによりまして、今年度は昨年度に比べ約一八%増の四十万人に貸与する状況となっております。
 平成十五年度予算案におきましても、厳しい財政状況の下ではございますが、有利子、無利子奨学金合わせて六万八千人余の貸与人員の増員を図り、合わせて八十七万人に貸与できるよう大幅に充実を図る予定でございます。
 これからも引き続き、教育を受ける意欲と能力のある学生支援のために、学生のニーズを的確に把握しながら、奨学金の充実に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(倉田寛之君) 宮本岳志君。
   〔宮本岳志君登壇、拍手〕
#21
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、財政演説について小泉総理大臣に質問いたします。
 小泉総理、あなたが構造改革なくして景気回復なしと言い続けて二十か月が過ぎました。本補正予算案は小泉改革なるものの破綻を証明するものにほかなりません。あなたは本予算で公共事業を一〇%減らしたなどと言ってきましたが、補正予算案では何と一・五兆円も追加し、結局五%増やしてしまいました。財政危機だからとの理由で国民に押し付けた医療費など社会保障の負担増は一層個人消費を冷え込ませ、不況を深刻にして税収不足を招くばかりであります。結果として、今年度国債発行三十兆円枠などという看板はもろくも崩れ去ったではありませんか。あなたが改革の中心に据えた金融機関の不良債権処理に至っては、処理しても処理しても逆に増え続けています。すべてが今や支離滅裂であり、小泉改革の破綻はもはや明瞭ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 ところが、あなたは全く無反省に破綻済みの路線を暴走しようとしています。
 その最たるものが四兆円の国民負担増であります。総理は、昨日の衆議院本会議で、あたかも我が党が負担増を過大に見ているかのような不当な答弁を行いました。しかし、政府がやろうとしていることが庶民にとって平年度ベースで四兆円の負担増となることは紛れもない事実であります。
 医療保険制度の改悪で全体として一・五兆円、介護保険料の引上げで〇・一兆円、年金給付額の引下げが一%として約〇・四兆円、これは決して物価スライドの完全実施を前提にしたものではありません。さらには、雇用保険料の引上げと失業給付の削減で合わせて約〇・六兆円。これを合計すれば、社会保障の改悪だけで二・六兆円となることは子供にでも計算できることです。そして、酒税とたばこ税の増税、配偶者特別控除の廃止と消費税の特例縮小で合計一・七兆円の庶民増税になることについては、財務省自身が詳細な数字を示しているところであります。合計すれば四・三兆円。たとえ児童手当の拡大による〇・二兆円を差し引いたとしても、庶民負担増は四兆円を超えるではありませんか。先行減税というのも、内容は法人税減税や相続税の最高税率の引下げなど、大企業、大金持ち中心の減税であります。庶民にとって減税となるようなものはほとんど見当たりません。
 総理、デフレ不況の最大の要因は個人消費の落ち込みによる需要不足にあり、国民所得はこの四年間で実に十兆円以上も下がっています。正にそのときに国民から更に四兆円も奪うならば、これが国民の暮らしと日本の経済に破壊的な打撃を与えることは明確ではありませんか。答弁を求めます。
 とりわけ、社会保障の負担増は三重の意味で愚策と言うべきであります。一つは、需要をますます低迷させ、景気に悪影響を及ぼすこと、二つは、負担増が受診抑制を招き、国民の健康悪化がかえって医療保険財政を破綻に導くこと、三つは、負担増と財政の悪化の悪循環が保険料収入の低下をもたらし、社会保障制度への信頼性と基盤そのものを崩すこと。
 総理は、口を開けば持続可能な社会保障制度のための負担増だと繰り返してきましたが、事態は全く逆に、負担増こそ社会保障制度の基盤を崩すものではありませんか。経済再生を言うのであれば、この事実を真摯に受け止め、社会保障の負担増を直ちに中止すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 経済のかじ取りで行き詰まった与党三党からは、打つ手なしを証明するかのようなインフレターゲット論まで持ち出されています。しかし、これはデフレをつくった政府・与党の責任を棚上げし、日本銀行に後始末をさせようというもので、無責任の極みと言わなければなりません。
 大体、あなた方は、今、史上空前の超低金利、超金融緩和政策を取り、国民が受け取るべき預金利子を奪い続けてきました。しかし、金融の現場で起こっていることをごらんなさい。超金融緩和の下で貸し渋り、貸しはがしが横行し、超低金利の下で貸付金利の引上げが横行しているではありませんか。つまり、政府の超金融緩和政策の下で、銀行の窓口では過酷な金融の引締めが行われているのです。不良債権処理の名によって企業つぶしを進めれば、銀行の自己資本不足が発生するため、こういう事態が起こることは明らかなことではありませんか。答弁を求めます。
 総理、あなたは不良債権処理の加速策への我々の批判に、では不良債権処理はしなくていいのかなどと繰り返し、反論したつもりになっています。しかし、あなたは不良債権をいささかも減らせず、逆に増やし続けてきたではありませんか。
 あなたの何が間違っているか。それは、あなたが企業をつぶせば不良債権が減るという間違った考え方に固執しているところにあります。不良債権を本当に減らしたければ、深刻な不況下でも歯を食いしばって頑張っている中小企業を支援し、成長させることであり、ここにこそ金融機関の本来の役割もあるのです。不況の下で不良債権に区分されている企業を正常債権に変えること、これこそ不良債権を解決していく本道ではありませんか。総理の明確な答弁を求めるものであります。
 本補正予算案では、セーフネットの構築などともうたわれています。しかし、政府の雇用失業対策はセーフティーネットの名に値しないものです。そもそも、政府が昨年末閣議決定した平成十五年度の経済見通しでは、完全失業率は前年度に比べて若干上昇するなどと述べ、今でも深刻な失業率がこの先まだ上がるという想定で経済運営をしようというのです。国民が史上空前の高失業率にあえいでいるとき、失業を減らすのではなく増やそうというような政府が一体どこにありますか。小泉内閣はもはや統治能力すら失ったと言わざるを得ないと考えますが、総理の答弁を求めます。
 更に重大なことは、消費税の増税への動きが強まっていることです。日本経団連は、一月一日、消費税を毎年一%ずつ、一六%まで引き上げるなどという恐るべき提言を発表しました。しかも、同時に、法人税の大幅引下げや、これらの政策に賛同する政治家に企業献金を行うことまで公言しています。
 総理は、小泉内閣は消費税を引き上げないと言いますが、来年度予算には免税点の引下げや簡易課税適用上限の引下げが盛り込まれようとしています。これは、政府税調が将来の消費税税率引上げのための前提条件として実施せよと言っているものではありませんか。消費税増税をしないと言いながら、その地ならしを進めるなどというのは国民を愚弄するものではありませんか。そうでないというなら、免税点の引下げなど撤回すべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
 国民に耐え難い痛みを押し付ける一方で、無駄な公共事業には一向にメスは入っておりません。構造改革推進型などというのも看板だけで、中身は相も変わらぬ高速道路や中部国際空港などが並んでいます。関西空港二期事業は、国土交通省自身の需要予測の下方修正によって、二〇〇七年に空港がパンクするなどという口実は完全に破綻しました。関空会社の有利子負債は既に一兆二千億円を超え、自民党の幹部さえ三大ばか事業の一つと指摘し、朝日新聞の世論調査では住民の七割が中止を求めています。すべての口実が破綻したにもかかわらず、一兆四千二百億円もの膨大な資金を投入する関西空港二期事業は直ちに中止すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 あなた方がここまで破綻が明瞭な事業をなぜやめることができないか、その理由を白日の下にさらしたのが自民党による公共事業を食い物にする政治です。関西空港二期事業でも、自民党の久間政調会長代理の政策秘書がペーパー会社を通じて二期工事請負業者から五千万円のコンサルタント料を得ていたことが明らかになりました。
 総理、ここに何らメスを入れられないばかりか、関空二期事業を続けるというなら、日本政治の真の改革にとってあなたこそ最大の抵抗勢力ではありませんか。総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 宮本議員にお答えいたします。
 小泉改革が破綻しているではないかという御指摘でございますが、日本経済再生のためには、デフレを抑制しながら構造改革を推進して、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応する方針は一貫して変わりありません。
 平成十四年度補正予算につきましては、雇用、中小企業のセーフティーネット対策や構造改革推進型の公共投資に予算措置を講じることとしたところですが、その際、財政規律を維持する観点から、国債追加発行はできる限り抑制することとしたところであります。
 なお、不良債権処理については、平成十四年九月期においては、主要行の不良債権残高は前期に比べ一〇・六%の減少となるなど、不良債権処理は確実に進んでいるところであります。したがって、小泉改革が破綻したとの御指摘は全く当たらないものと考えております。
 社会保障や増税による負担増は経済に打撃を与えるものであり、再考すべきではないかとのお尋ねであります。
 急速な少子高齢化が進展する中で、今後、社会保障給付費は増大していく見込みであり、国民の安心を支える社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、医療保険などの制度改革は不可欠なものと考えます。
 また、今般の税制改革については、現下の経済情勢を踏まえ、国、地方合わせて一兆八千億円程度の先行減税を実施するとともに、あるべき税制の構築に向けて、税制上のゆがみを是正するなどの観点から増収措置を講じるものであり、全体として経済活性化に資する改革であると考えております。
 共産党の主張される四兆円の負担増については、どのような試算によるものにせよ、十五年度における先行減税の実施や社会保障給付全体の拡大が今後とも見込まれるなどの事情を考慮せず、いたずらに負担増のみに着目しているなどの問題があり、これを基に経済に与える影響を議論すること自体、適切ではないと考えております。
 不良債権処理と中小企業金融の問題についてでございますが、不良債権処理の加速は、金融機関の収益力の改善や貸出し先企業の経営資源の有効活用などを通じて新たな成長分野への資金や資源の移動を促すことにつながるものであり、他の分野における構造改革と併せ実施することにより、日本経済の再生に不可欠なものと認識しております。
 政府としては、こうした認識に立って、先般、不良債権処理をこれまで以上に加速し、政策を強化することとしたところでありますが、併せて不良債権処理の加速に伴う影響にも細心の注意を払い、やる気と能力のある中小企業への円滑な資金供給を確保するためのセーフティーネット対策を取りまとめ、着実に実施に移しているところであります。
 平成十五年度の経済見通しにおける雇用の見通しと経済運営についてのお尋ねですが、平成十五年度の雇用の見通しについては、景気の緩やかな回復や政府の雇用対策の効果の発現が見込まれるものの、日本経済は構造改革の途上にあり、雇用情勢は引き続き厳しい情勢が続くのは避けられないと見込んでおりまして、完全失業率は十四年度実質見込みの五・四%から更に若干上昇し、五・六%程度となると見込んでおります。
 政府としては、平成十四年度補正予算におきましても、雇用等への影響に十分配慮し、セーフティーネットの拡充策を講じるなど、万全を期したところであります。
 いずれにせよ、政府としては、デフレを克服しながら、経済活性化に向け、構造改革の取組を更に加速し、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指していく考えであります。
 消費税の免税点などの制度の見直しを撤回すべきとの御指摘であります。
 消費税は、世代間の公平確保、安定的な歳入構造の確保などの観点から、中長期的にはその役割は重要となっていくものと考えております。したがって、消費税をより一層国民から信頼される税制にしておくことが大切であると考えております。
 御指摘の免税点制度や簡易課税制度については、このような観点から、あるべき税制の構築に向けた平成十五年度改正において見直すこととしたものであり、消費税に対する国民の信頼性や制度の透明性の向上に資するものと考えております。
 いずれにせよ、消費税率について在任中は私は引き上げることは考えておりません。歳出の見直しを含めた徹底した行財政改革を行うことに専念したいと思います。
 公共事業についてのお尋ねですが、小泉内閣としては、公共事業について、都市の再生や環境問題への対応を始め、構造改革に資する分野への重点化を推進するなどの見直しを進めてきており、公共事業の中身が変わらないとの御指摘は当たらないものと考えております。
 御指摘の高速道路等の高規格幹線道路は個性と工夫に満ちた魅力ある都市、地方の形成につながるものであり、中部国際空港の整備も国際競争力の向上に必要なものであると考えております。また、関西空港第二期事業は今後の我が国の国際航空需要に適切に対応するため必要となる事業であり、その整備は着実に推進する必要があるものと考えております。
 具体的には、予定どおり用地造成事業を進めることとし、供用開始に必要な施設の整備については、今後の需要動向や関西国際空港株式会社の経営状況等を見つつ行うこととしているところであります。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(倉田寛之君) 広野ただし君。
   〔広野ただし君登壇、拍手〕
#24
○広野ただし君 私は、自由党・無所属の会、国会改革連絡会、通称国連の広野ただしです。私は国連を代表して、さきの政府の財政演説に対して、総理に質問をいたします。
 まず、政治改革の問題です。
 御承知のごとく、現在の日本を取り巻く内外情勢は本当に危機的状況にあります。このようなときこそ、官僚任せの政治ではなく、正に政治が先頭に立って危機を打開していかなければなりません。しかるに、小泉内閣は、丸投げ的政治手法、傍観者的政治手法にどんどん堕落して、最近では従来型の官僚主導の政治に陥っています。
 政治腐敗、政治と金の問題をただすこと一つを取っても、昨年は、鈴木宗男衆議院議員、加藤紘一自民党元幹事長、井上前参議院議長、大島農林水産大臣をめぐる疑惑ほか、数々のスキャンダルが表面化し、先日は中村喜四郎氏のゼネコン汚職判決に伴う議員失職、さらに自民党長崎県連前幹事長のゼネコンからのやみ献金容疑での逮捕等々、政治と金をめぐる事件は次から次と現れています。
 これに対して、総理は、最初は自民党をぶっつぶしてでも改革を推進すると大見えを切っていましたし、公共事業受注企業からの献金制限について前向きな検討を表明していましたが、今では全く傍観者的立場に終始しています。
 国や地方の公共事業を食い物にし、国民の税金を食い物にするこの自民党的政治体質そのものを正せなくして、総理は改革改革と言う資格はありませんし、何も変えることはできません。情けない限りです。このことについて、改めて総理の見解を伺います。
 ところで、総理は、今年、年頭の記者会見で、改革に伴い、国民にちょっとの痛みは耐えてもらわねばと述べられましたが、このちょっとの痛みという考え方、認識は全く許せないものであります。小泉さんの経済財政政策の失敗で国民は大変な苦難にあえいでいます。倒産は年間約二万件、完全失業者は約三百五十万人、そして自己破産者も年間二十万人以上、自殺者も年間三万人となっています。国民が大変な苦難にあえいでいるのに、ちょっとの痛みに耐えてという認識はとんでもない間違いだし、無責任極まりない発言です。
 総理は、国民のトップとして、渾身の力で国民生活の安全、安心を守ってもらいたい、そういう気概を持ってもらいたいと思います。総理の所見を伺います。
 小泉内閣が発足して間もなく二年になろうとしています。現在、日本経済は大変な苦境下にありますが、これは小泉経済財政政策の失敗によるものと言わざるを得ません。小泉さんは改革なくして成長なしとよく言われます。そして、構造改革は進んでいると胸を張っておっしゃっています。しかし、日本経済は悪くなるばかりで、国民の痛みはひどくなるばかりです。構造改革はどこがどう順調に進んでいるか、是非具体的に教えていただきたいと思います。何とぞ国民に分かりやすくお願いいたします。
 小泉政権は、発足以来、国債発行三十兆円枠を言い続けてこられました。しかし、昨年度、平成十三年度の補正予算でのNTT株の売却益の基金取崩し、そして今年度、当初予算の地方交付税特会のいわゆる隠れ借金などで何とかやりくりして体裁を取り繕ってきましたが、実質、公約は破綻していました。
 私たちは国債発行三十兆円枠は実質破綻していると指摘し続けてきましたが、小泉さんは三十兆円枠は守っていると絶叫してこられました。今回の補正では、大幅な税収欠陥が生じたこと、また後追い的にばたばたと講じるセーフティーネット政策や優先順位がはっきりしないばらまき的公共事業の追加などで、結局国債は約五兆円追加発行され、また借金は大幅に増えてしまいました。
 小泉総理は、税収が減ったのだから国債の追加発行はやむなしとしらっとしておられますが、こんな無責任な総理はかつてなかったと言わざるを得ません。総理の発言は本来極めて重いものでありますが、小泉さんだけは例外のようであります。
 そもそも税収欠陥はどうしてできたのか。小泉さんは予想せざることが原因としていますが、小泉経済財政政策が失敗したから景気悪化がひどくなり、税収が減ったのです。景気を良くする経済政策が取られていれば税収も当初見込みより多くなることだって考えられるわけで、景気を悪くして税収を減少させ、国債の追加発行をして穴埋めをする、そして借金を増やす。これでは、国民は景気で泣き借金で泣く、正に泣きっ面にハチのさんざんな状況です。
 小泉内閣の景気判断は常に甘過ぎます。特に、昨年四月―五月に底を打ったという判断は全く間違っています。そして、打つ手打つ手が後手に回る。同じ五兆円のお金でも、年度当初と年度末では一年以上の遅れが生じます。例えて言えば、病人の傷口を大きくして後でどんなにカンフル注射をしても手後れのときだってあるのです。
 今の小泉内閣の経済財政政策では、経済不況は長期化し、財政赤字は積み上がるだけです。政治は、結局、結果責任だと思います。日本の経済と財政を極端に悪化させている、この小泉さんの責任をどうやって取るつもりか、総理の見解を改めて伺います。
 次に、外交政策について伺います。
 米ソ冷戦体制が終結しても各地で地域紛争が多発して、そしてテロが頻発しております。そういう世界の中にあって世界平和と日本の平和をどうやって守っていくのか。私は、日本の外交戦略について、特に対米、対ロシア、対中国、対アジア、対北朝鮮、対欧州等々、二国間関係のみならず、多国間外交についても日本の外交戦略は根本から見直さなければ、日本の平和と安全、そして日本の発展は図れないと考えています。
 特に昨今、日本を取り巻く北東アジア地域の平和と安全の問題は危機的状況にあります。その中にあって、小泉さんの北朝鮮外交は、友好国との十分な調整もなく、思い付き的に突発的に行われました。小泉総理は、自分が行かなければ拉致問題の糸口はできなかったと胸を張っておられますが、今日までに拉致問題全体が解決したわけではなく、全くの膠着状態であるし、北朝鮮の核の問題、ミサイルの問題、武装工作船の問題等々、北東アジア地域の平和と安全の問題は先が見えないし、本当に緊迫してきています。私は、小泉外交に戦略なし、特に北朝鮮外交は落第点、失敗だと断言いたします。
 小泉内閣は、ピョンヤン訪朝前後において朝銀、いわゆるアサギンに対する約七千億円もの公的資金の追加を平気で強行し、そして拉致問題や武装工作船問題で明確になった犯罪国家である北朝鮮と極めて密接につながる朝鮮総連を野放しにするという、全くもって信じられないのうてんきな政策を展開しています。日本の平和と安全が脅かされるおそれがあるのに、一年間の政府開発援助予算にも匹敵する七千億円もの資金を朝銀に投入するセンスに唖然とするばかりです。この結果、もし北朝鮮へ援助的資金が流れたらどう責任を取るおつもりか、総理の明確な見解を伺います。
 改革なくして成長なし、改革は順調に進んでいる、米百俵の精神で痛みに耐えてくれ、このようなキャッチコピー的言葉を、小泉内閣発足以来約二年間、どれだけ国民は聞かされたでしょう。このことをワンフレーズポリティックス、言わば大見え口先政治と言うようです。私に言わせれば、小泉内閣は格好良しの内閣、改革もしなければ成長もしない、そして何よりも内閣は無責任、ただ国民に激痛を押し付けるのみの政治だと言いたいと思います。
 このような内閣が続くと、日本と日本国民は不幸になるばかりです。小泉内閣には責任を取って早く辞めること、そのことが改革の本当の第一歩だ、そしてそのことが日本の立て直しの正に第一歩になると強く強く訴えて、私、広野ただしの国連を代表しての質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 広野議員にお答えいたします。
 自民党的政治体質についてのお尋ねですが、政治と金の問題は常に政治家が襟を正して当たらなければならない大事な問題だと思います。
 昨年、あっせん利得処罰法を改正、強化するとともに、いわゆる官製談合防止法を制定したところです。公共事業受注企業からの献金についても、現在、自民党において検討が進められているところであります。国民から信頼される政治を目指し、一つ一つ改革を積み重ねていきたいと思います。
 改革に伴う痛みと改革の進捗状況についてでございますが、やるべき改革を行わなければ経済の再生はないという基本認識の下、デフレの克服を目指しつつ、構造改革に小泉内閣は全力で取り組んでいるところです。
 こうした改革の取組を進める過程においては社会の中に痛みを伴う事態が生じることがありますが、こうした痛みを和らげることは政治の責任と考えており、雇用や中小企業のセーフティーネットには万全を期すこととしているところであります。
 構造改革の効果が発揮されるにはある程度の時間を要するものですが、都市再生、構造改革特区など、地方や民間の意欲を生かした経済活性化に向けた取組が既に大きく動き出しているほか、郵政事業改革や道路公団改革など、構造改革は着実に進んでおります。
 政府としては、今後とも、デフレ克服を目指しながら、金融、税制、歳出、規制の四本柱の改革を一体的かつ整合的に実行し、構造改革の取組を更に加速することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図ってまいります。
 景気判断が甘く、経済財政政策が後手に回っているのではないかという御指摘であります。
 政府はこれまでも時々の経済動向を注視し、経済情勢に応じて大胆かつ柔軟な政策対応を行ってまいりました。
 具体的には、日本経済再生のためにはデフレを抑制しながら構造改革を更に強化する必要があるとの認識の下、不良債権処理の加速を含む金融、産業の再生策、都市再生、規制改革などから成る改革加速のための総合対応策を取りまとめ、その実施に努めてきたところであります。さらに、これを補完、強化するための平成十四年度補正予算を編成し、平成十五年度当初予算と併せ、経済活性化に向けての切れ目ない対応を図ることとしているところであり、御指摘の点は当たらないものと考えております。
 朝銀信用組合についてでございますが、朝銀も我が国の法律に基づき設立された我が国の金融機関であり、その破綻処理については、預金者等を保護するため、他の国内金融機関と同様のルールにのっとって行うこととしたものであります。その際、資金援助のほとんどは受皿組合ではなく、RCCに直接投入されたものであります。
 なお、朝銀の破綻に関してはこれまでも金融整理管財人等が責任追及を行ってきており、今後も厳正に対応してまいります。
 朝鮮総連に対して何らかの監視、規制を行うべきではないかとのお尋ねであります。
 これまで、北朝鮮の工作船や工作員が我が国に侵入し、違法な活動を繰り返していたことが明らかになっており、北朝鮮の強い影響下にある朝鮮総連の動向については関係当局において重大な関心を持って情報収集を行っております。具体的な違法行為が確認されれば厳正に対処するほか、状況に応じて法律の範囲内で可能な限りの措置を講じてまいります。(拍手)
#26
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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