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2003/03/21 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第12号
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2003/03/21 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第12号

#1
第156回国会 本会議 第12号
平成十五年三月二十一日(金曜日)
   午前零時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十二号
  平成十五年三月二十一日
   午前零時五分開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(イラクに対
  する武力行使後の事態への対応についての報
  告)(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告)(第二日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。広中和歌子君。
   〔広中和歌子君登壇、拍手〕
#4
○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告について質問いたします。
 ブッシュ大統領は、全世界の人々が恐れていたとおり、現地時間で三月十七日夜、アメリカ国民に対するテレビ演説でイラクのフセイン大統領に最後通告を行いました。フセイン及びその息子は四十八時間以内に亡命しない限り、重大な結果になると。その重大な結果とはイラクへの空爆の開始を意味します。そして、四十八時間後の期限切れを迎えた昨日、アメリカによるイラク攻撃が始まりました。
 民主党は、この戦争に抗議し、それを支持する小泉総理に、国連に基づく平和的解決に立ち戻るようアメリカを説得することを強く求めます。
 以下、その理由を述べます。
 ブッシュ大統領は、その演説の中で、武力行使を行うとしたらイラク政権に対してであり、無実な一般国民に向けられたものではない、彼らを独裁者から解放するのだと言っています。しかし、本土に空爆が始まれば、その被害は無差別に広がります。多くの人々が死傷し、都市とそのインフラはずたずたに壊されます。暴力から民主主義を守るという大義名分の中で、イラクの人々と国土が傷付きます。何十万、何百万という難民も発生することでしょう。そのほとんどは罪のない子供や女性、争いとは無関係な人たちです。一般市民の犠牲について総理はどう考えますか。
 アメリカの持つ兵器はハイテクで、強力かつ効果的です。二十一世紀を迎えるに当たり、私たち人類は戦争に血塗られた二十世紀と決別したいと願ったはずです。武力によらない解決を願ったはずです。国連憲章も我が国の憲法の理念もそれを示しているではありませんか。
 第二の理由は、これまでの人類は二度の世界大戦で五千万以上の人が殺された反省から国連を創設しました。国連憲章は、自衛のためかあるいは国連安保理の容認以外の戦争は一切禁止しています。したがって、今回のアメリカ等によるイラク攻撃は国連憲章の違反になりませんか。
 なぜなら、イラクは米国を攻撃もしていないし、一昨年、九・一一テロを起こしたとされるアルカイーダとの関連も証明されていない。そのイラクを、新たな安保理決議のないまま、安保理決議六七八、六八七、一四四一をベースに、一方的に三十万人の兵力、六個空母陣の大軍で攻撃することは明らかに国連の権威と信頼性を損なうことになりませんか。新たな安保理決議が必要だとしていた総理のこれまでの主張に反しませんか。お伺いいたします。
 ブッシュ政権による武力行使が許されない第三の理由は、イラクへの攻撃は、現在ではなく、将来脅威になるという理由で行われるからです。それが実行されれば、これは明らかに先制攻撃であり、先制攻撃が国際社会で容認されることに道を開くことにつながるからです。恐怖が先制攻撃を生み、そこから更に武力行使の連鎖が生まれます。総理の御所見を求めます。
 第四に、この先制攻撃の目的はサダム・フセインの武装解除、大量破壊兵器を問題にしているはずなのに、今はフセイン政権そのものを倒すことにその矛先がシフトしていることです。サダム・フセイン憎し、フセイン政権打倒が先にあるのではありませんか。それは内政干渉ではありませんか。
 第五の理由は、今回のアメリカ等の攻撃で今後多くのテロを世界じゅうに引き起こす可能性が生まれるからです。特に、イスラム圏の人々の反感は中東問題を更に悪化させます。文明の衝突を引き起こすことを私は懸念いたします。総理の御所見を求めます。
 第六に、戦争は紛争解決の手段としては必ずしも所期の効果をもたらすとは限りません。アメリカはベトナムでの体験からそのことを十分に知っているはずです。特に、相手の国民の自尊心を傷付ける場合には究極の勝利は望めません。国際間の問題は、地道な辛抱強い外交協力で解決していかなければなりません。このことは総理のお考えではなかったのですか。
 第七に、戦争が経済に与える影響です。原油の価格と供給の不安定化などによって、世界の経済は様々な形で大きな痛手を受けます。我が国の経済にとってもその影響は計り知れません。総理の評価を伺います。
 第八に、戦争による環境破壊も見逃すわけにはまいりません。戦争は究極の環境破壊です。
 現在、関西では第三回世界水フォーラムが開催されています。二十一世紀は、戦争ではなく、環境の世紀にしなければ人類の存続はあり得ません。
 第九に、この戦争にアメリカは多くの戦費を費やすでしょう。その試算を教えてください。アメリカは、当然、同盟国日本に応分の負担を求めてくることになるでしょう。政府はどういう形で戦費と戦後処理の負担を考えていらっしゃいますか。
 自分たちの望むこと、正しいことに応分の負担をすることは当然ですが、日本はアメリカと友好国であり、日米安全保障条約を結んでいるというだけでは、血税を支払うことに国民は同意しないでしょう。戦争で破壊した後、再建支援をするという愚かな行為にではなく、査察を徹底して行い、平和的解決のために努力をすることではありませんか。
 一昨日のブッシュ演説の直後、そして昨日開戦の日、小泉総理は改めて米国への支援を表明しました。国民の八割が反対しているにもかかわらずです。なぜ、日本は国連の権威を無視し、国際法学者の多くが国際法違反として反対するアメリカのイラクへの武力行使に同意し、支持しようとするのでしょうか。それが同盟国、友好国として取るべき道とお考えなのですか。今回の対イラク戦で日本はどのような形で協力するのか、具体的にお述べください。
 テロ特措法は厳格に適用されるかどうか、重ねて伺います。
 アメリカがイラクに大量破壊兵器を破棄させるべく最大の圧力を掛けているのだから国際社会も一致協力することが大切だという川口外務大臣のこれまでの繰り返しの発言を私も一応受け止めさせていただきました。その圧力もあってか、イラクは穏当に国連の査察を受け入れてきたではありませんか。通常兵器と言われるアッサムード2の廃棄にしても、少なくとも所持する五〇%は実行されたではありませんか。
 確かに、イラク全土で査察を効果あらしめるにはイラク側の自発的協力は欠かせず、それをイラクはこれまで小出しにしてきたことは事実かもしれません。しかし、これは、フランスやドイツが主張するように、国連査察チームがもう少し時間を掛ければ解決することではありませんか。
 戦争が始まれば、各地にテロが多発するかもしれません。テロ攻撃に対し、アメリカは国土安全保障省を設置し対応を一本化していますが、日本の場合、テロ対策にどのような緊迫感を持って対応策を検討していますか、伺います。
 さらに、イラクとその周辺国に滞在する日本人、自らを危険にさらしながら救援活動をするNGOの人々の安否が気遣われます。ガスマスクや解毒医療薬などの支給を含め、邦人保護のための日本政府の対応を伺います。
 小泉総理、日本がアメリカを支持するのは、緊迫する北朝鮮問題がすぐそこにあるための苦渋の選択であり、その脅威に対応するためにはアメリカの協力が欠かせないということなのですか。それなら、総理は国民にもっとそのことを説明するべきです。第一、アメリカははっきり具体的に北朝鮮問題の平和的解決について日本に保証をしているのでしょうか。
 総理、あなたはいつも短い言葉でしか説明なさいません。世の中が平和なときは、それはそれでパンチが利いているという形で国民に受け止められたかもしれません。しかし、現在のような危機の時代には、国民にはっきり説明してくださらなければなりません。政府には説明責任があります。
 その点、イギリスのブレア首相は、初めからアメリカ支持の態度を明らかにしつつ、自らの政治生命を懸けてでも国民に平易に状況を説明してきたのと対照的です。少なくとも、ブレア氏は国民に対してフェアプレーをしてきたと思います。
 しかし、ブレア政権がアメリカに加担して武力行使に参加することを決定したとき、イギリス労働党院内総務クック氏始め、ブレア政権の閣僚の辞任が相次いでいると報道されています。
 小泉政権の閣僚の中にはそのような正義に基づいて行動する勇気ある方はいらっしゃらないのでしょうか、伺います。
 私は、かつてアメリカで長期に暮らし、アメリカを第二の故郷とさえ思う者です。アメリカの友人の多くは、ブッシュ政権の初めに武力行使ありきのやり方を批判し、自分たちの国のありようを非常に心配しています。そして、日本の原口国連大使の、日本はアメリカを支持するという、早々と去る二月の国連の場での発言を日本の世論と受け止めています。
 私は、日本の声を国の内外に発信する必要を感じ、仲間の女性議員と署名を集め、小泉総理あてに米国等のイラクへの武力攻撃に反対することを強く求める申入れを行うことにいたしました。七十二名の衆参女性議員のうち、過半数の四十二名が署名しました。その申入れは英訳され、外国通信社経由で世界じゅうに発信されています。
 申入れ書は、日本人が過去の経験から学んだ教訓として、戦争や紛争で最も深く傷付くのは女性や子供を含む一般市民であり、暴力からは何も生まれてこないことを強調しています。また、八割を超える市民が武力攻撃に反対しているにもかかわらず、日本政府の立場がその世論を反映していないことへの憂慮も表明しています。
 去る十二日、総理には忙しいということで会っていただけず、福田官房長官に直接署名の束を手渡しましたが、私どもの申入れに対し、総理のお考えを聞かせてください。
 総理、そして議員の皆様、私たち日本の進むべき道は、国連を重視し、国際的なルールにのっとって、平和で持続可能な地球社会の秩序を構築することだと思われませんか。
 日本は、既に、亡き小渕総理などのイニシアチブで、予防外交や人間の安全保障という概念に基づき国際的に活動を始めているではありませんか。そのために、政府も議員も官僚もNGOも個人も、それぞれに創造的なリーダーシップを発揮するべきです。
 日本は、世界最大の大量破壊兵器の被爆国であり、武器輸出をしたことがないという特質を生かし、平和国家を今こそ世界にアピールする機会です。
 政府は、速やかにアメリカに対しイラク攻撃の中止を申し入れるべきことを強く要請し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 広中議員にお答えいたします。
 米国のイラク攻撃は国連憲章違反ではないかとのお尋ねでございます。
 私は、国際社会が一致結束する上で、新しい安保理決議が望ましいと考えてきました。新しい決議が採択されなかったことは残念でありますが、今回の米国等の武力行使は国連憲章に違反するものとは思っておりません。すなわち、査察官の累次の報告等で明らかなとおり、イラクが決議一四四一で履行を求められている武装解除等の義務を履行していないことから、更なる重大な違反が生じていると言わざるを得ず、停戦条件を定めた決議六八七の重大な違反が生じていることから、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えております。
 イラク攻撃の目標に関するお尋ねですが、米国政府は、従来より、達成すべき目標はあくまでも関連安保理決議により義務付けられた大量破壊兵器の廃棄であると明確に述べています。
 イラクに対する武力行使についてのお尋ねでございますが、私は、イラクにおける戦闘が一刻も早く、人的、物的被害もできるだけ少なく終結することを心から望んでいます。
 また、イラク問題の本質は文明の衝突の問題ではありません。イラクが長年にわたり関連安保理決議を履行せず、大量破壊兵器を廃棄してこなかったことであります。このための国際社会による懸命な努力も尽くされ、イラクの対応を根本的に変えるための見通しが全く見いだせない状況の下、米国等が武力行使に至ったことはやむを得ないことだと思います。
 イラク攻撃による経済への影響についてでございますが、戦闘開始以降、我が国の経済・金融市場は安定して推移しており、混乱は生じておりません。
 今後の動向については、戦闘の推移などに左右されるものと考えられることから、現時点において確たることを申し上げることは困難ですが、本件が内外の経済に混乱を引き起こし、国民に不安を生じさせるようなことがあってはならないものと考えております。
 このため、政府としては、各国との協調の下、引き続き為替、原油、株式などの経済・金融市場の動向を十分注視しつつ、不測の事態が生じないよう、原油の安定供給、金融システムの安定確保などについて、日銀とも一体となって万全を期していく考えであります。
 戦費の試算等についてでございますが、米国行政府として戦費の試算を公式に発表したことはありません。我が国としては戦費負担については考えておりませんし、また、米国よりも要請を受けていません。
 我が国は、さきに発表した対処方針に基づき、総合的かつ効果的な緊急対策を強力に推進するつもりでございます。また、これらの措置とは別に、テロ対策特措法に基づく支援を継続、強化します。
 日本国民の安全確保のための対策についてでございますが、イラクとその周辺における在留邦人の安全確保のために、危険情報を速やかに発出するとともに、周辺国の在外公館において在留邦人との連絡、避難の体制を確立しています。さらに、一部の国については政府チャーター便や政府専用機の派遣も考慮しており、必要な準備を行っております。
 国内でのテロを未然に防止するため、テロ関連情報の収集・分析を強化するとともに、国内重要施設、在日米軍施設、各国公館の警戒警備など、国内における警戒態勢の強化、徹底を図ります。
 我が国関係船舶の航行の安全を確保するため、航行警報などを通じて情報を提供するとともに、関係国に対して警備強化の要請を行っております。
 我が国の米国支持の背景についてでございますが、米国は我が国にとって掛け替えのない同盟国であり、我が国を取り巻くアジア地域の平和と安全の確保にとっても米国の役割は不可欠であります。そのような米国が大量破壊兵器廃棄という国際社会の大義に従って米国自身大きな犠牲を払おうとしている今、我が国が可能な限りの支援を行うことは同盟国として当然のことであると私は思います。
 辞任する閣僚はいないのかとお尋ねであります。
 米国を始めとする国々のイラクに対する武力行使を支持するとの立場は小泉内閣の一致した立場であります。本件が経済に混乱を引き起こしたり国民に不安を生じさせることがないよう、全閣僚一丸となって必要な施策を効果的かつ迅速に遂行してまいります。
 我が国の立場についてのお尋ねでございますが、武力行使を支持するということは容易な決断ではございません。しかし、大量破壊兵器の脅威は人ごとでもありません。武力行使なしに大量破壊兵器が廃棄されない現在の状況の下では、今般の行動を支持することが我が国の国家利益にかなうものと考えております。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(倉田寛之君) 高野博師君。
   〔高野博師君登壇、拍手〕
#7
○高野博師君 私は、公明党を代表して、イラク問題に関して総理に質問いたします。
 今般、国連安保理において新決議案が取り下げられ、アメリカ等が対イラク武力行使に至ったことは誠に残念であります。我が党としても、平和的解決を目指し、神崎代表を中心に、アナン国連事務総長や米国のアーミテージ国務副長官、イラン高官、さらには在京関係各国大使等に対し、国際協調、国連の枠組みでの解決を強く要請するなど、独自の外交を展開してまいりました。
 国の内外での大きな反戦の動き、世論には真剣に謙虚に耳を傾けなければなりません。反戦・平和は自然な感情であり、戦争を嫌い、平和を願わない人はいないと思います。しかし、現実の国際政治の中では、責任ある対応、判断が求められることも事実であります。
 今日の世界の平和と安全にとって最大の脅威は何か。それはテロリズムであります。テロは、法と制度に基づいた秩序を持たない集団の行為であり、最も卑劣で非人道的な行為であります。
 一昨年の九・一一の同時多発テロは大量破壊兵器を使用して実行されたものではありません。通常兵器すら使用していないのであります。一本のナイフでハイジャックし、あれほどの大惨事を引き起こしているのであります。
 万一、あのテロリストたちが核兵器や生物化学兵器などの大量破壊兵器を保有したらどうなるか。無差別の大量殺りく行為はもちろんのこと、無防備な一国を支配することも可能であり、人類全体が恐怖に陥れられることも現実に起こり得るということを私たちは厳しく認識しなければならないと思います。
 国境なきテロリストは世界で数万人、シンパも入れれば数十万人とも言われ、豊富な資金を有し、大量破壊兵器の保有に必死になっていると言われています。
 先日のテレビの報道番組によれば、あのアルカイダのビンラディンが核兵器を入手し、あるいは製造しようとした証拠が残っているということでありました。イラク問題の本質は正にここにあると思うのであります。
 イラクが繰り返し安保理決議に違反し、国際社会を欺いてきた事実と、このイラクに対する対応を間違えば、テロ支援国家やテロリストに誤ったメッセージを送ることになり、大量破壊兵器の拡散につながる危険が十分あるということであります。
 テロ組織やテロ支援国家に対しては、国際社会が一致して毅然として廃棄を迫る必要があります。
 アメリカの単独行動主義に対する批判はあるにしても、このテロとの闘いに責任を持って対処しているのがアメリカであり、もしアメリカが手を引いてしまった場合はどうなるか。だれがその任に代わり得るのかという極めて深刻な問題があります。
 ちなみに、劇作家の山崎正和氏は、テロの背景に貧困や差別があることは事実だが、それを解決しなければテロは根絶できないとは思わない、テロそのものは軍事的、政治的な力で封殺すべきだとも言っています。
 私は、昨年暮れ、シンガポールのゴー・チョクトン首相にお会いした際に、日本は北朝鮮ばかり目が向いているが、アメリカの同盟国である日本はテロのターゲットになっている、マラッカ海峡を通る日本船舶は危険があるとの情報だと警告してくれました。テロ特措法に基づいて行動している主要国の一つである日本がいつテロ組織にねらわれても不思議ではありません。したがって、イラクの問題は、我が国自身の問題としてとらえる必要があると思います。総理のイラク問題の本質とテロに関する所見を伺います。
 さて、我が国は、自国民の安全と自由と繁栄を守るために、平和主義を取り、国連中心の国際協調主義を取ってきました。国連分担金も第二位の負担をしているのもそのためです。今回のイラクに対する攻撃に関しては、国際社会の一致結束が得られなかったのは残念でありますが、平和維持の国際機関としての国連の権威をおとしめ、無力化させてはならないと思います。
 そこで、アメリカの武力行使は国際法違反との見方もありますが、総理はその法的根拠は何だとお考えか、伺います。また、先制攻撃や予防攻撃という見方についても伺います。
 アメリカが国連という枠組みから離れて、国際社会の協力なくして単独でテロとの闘いを進めるのは困難であります。その意味で、アメリカが査察を継続すべしとの意見もある程度受け入れるべきではなかったかと思います。しかし、一方で、広大な土地の査察検証を百数十名で実施するのも限界があり、アメリカの軍事的圧力がなかったならほとんど進展がなかったであろうということも国際社会の認めるところであります。
 なお、イラクは化学兵器禁止条約に加盟していないのであります。
 米国政府が最後通告を突き付けたとき、イラクのサブリ外相は、十八日夜、何年も前からこのときのために準備してきたと発言しました。イラクの意図と不誠実さを如実に表現していると思います。
 いかなる戦争にも大義はないとの言葉に対しては、どんな説明も言い訳でしかないと思いますが、現実の政治は、よりましな選択をしなければならない、放置しておいて大きな悪とならしめてはならない、それが政治の責任であると思います。事ここに至っては、アメリカが徹底した自制を持って限定的かつ必要最小限度に武力を行使すること、そして早期終結を切に望むものであります。
 今般、安保理で新決議案の採択がなされなかったのは、拒否権の問題も含め、国連の制度上の問題があると思います。したがって、我が国がイニチアチブを取り、国連改革を推進すべきチャンスと思いますが、総理のお考えを伺います。
 大量破壊兵器の問題については、アメリカを筆頭に安保理常任理事国すべてが保有しており、他の国が保有することは許さないという態度は道義的説得力を欠くという意見があります。問題は、民主主義国家が保有しているのか、軍事独裁政権やテロ組織が保有しているのかは、危険度という点で大きく違いますが、いずれにせよ、保有国すべてが管理システムや削減、廃棄の道筋を付けなければならないと思います。
 ところで、北朝鮮が挑発行為を繰り返し、瀬戸際外交を行っていますが、テポドン二号の発射実験はいつでもやりかねないとの情報もあります。我が国にとり、北朝鮮の大量破壊兵器の開発は極めて重大な脅威であります。
 先般、アメリカのアーミテージ国務副長官と会談した際に、同副長官は、北朝鮮の軍事行動に対しては同盟国である日本と沖縄の米軍基地を守ると明言しました。
 北朝鮮に対しては対話と抑止が我が国の基本政策でありますが、北朝鮮の核やミサイル、生物化学兵器の脅威に対しては、我が国独自では対応できず、アメリカの軍事的協力を得るしか防衛する手段がないというのが現実であります。したがって、日米同盟の中でしっかりと抑止力を働かせる必要があります。
 自国の利益を守る、その最たるものが国民の生命と財産を守るということであります。それができないとすれば、政治の責任を果たしているとは言えないのであります。その意味で、日米の信頼関係は極めて重要であります。この点についての総理の見解を伺います。
 イラク攻撃により難民等が発生した場合に、政府は難民支援、食糧、医薬品などの人道支援についてどう対処するのか、また、戦後の復興支援に関しても伺います。
 また、中東問題の根源はパレスチナ問題であり、イラクの武装解除は入口にすぎないと思います。中東和平に我が国は一層の尽力をすべきと思いますが、総理の所見を伺います。
 今回のイラク問題については、政府は国民の不安を解消するために万全の危機管理体制を取るべきでありますが、小泉総理の決意を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 高野議員にお答えいたします。
 イラク問題の本質についてでございますが、イラク問題の本質は、イラクが長年にわたり関連安保理決議を履行せず、恐ろしい大量破壊兵器を廃棄してこなかったことだと思います。大量破壊兵器の問題は人ごとではなく、また、大量破壊兵器に対して厳しい態度を取り続けている我が国にとって重要な問題だと思います。
 テロ特措法に基づいて行動する我が国がどのようにテロを防止するかというお尋ねでございますが、テロ特措法は、平成十三年九月十一日のテロ攻撃による脅威を除去するために活動する外国軍隊等を支援することを目的としており、イラクの大量破壊兵器の完全廃棄に関する支援を目的とするものではありません。こうした観点からは、米国等のイラクに対する武力行使に関して、テロ対策特措法に基づいて我が国が支援を行うことは考えにくいところであります。
 他方、我が国は米国等の武力攻撃を支持する旨を明確に表明しており、現時点で具体的な情報はありませんが、今後の情勢によっては国内でテロが発生したり我が国がテロの標的となる可能性は否定できないと考えます。
 このため、我が国では関係機関が一体となってテロ対策に万全を期しており、具体的には、出入国管理、テロ関連情報の収集・分析、ハイジャック対策、NBCテロ対策、重要施設の警戒警備を強化するなどの措置を講じております。
 今後とも、テロを未然に防止するため、情勢の変化を踏まえて、必要に応じて警戒態勢を強化、徹底してまいります。
 米国等の武力行使の法的根拠についてでございますが、イラクは義務の履行のための完全な協力を行っておらず、決議一四四一の規定に基づき更なる重大な違反が生じており、いわゆる湾岸戦争の停戦決議六八七の重大な違反が生じていることから、停戦の基礎が損なわれ、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えます。米国等の対イラク軍事行動は、関連安保理決議の履行のためのものであり、先制攻撃や予防攻撃には当たらないと思います。
 国連改革についてお尋ねでございますが、二十一世紀の国際社会の平和と安全の維持に引き続き主要な役割を果たすためには、国連、特に安保理を国際社会の現状を反映するよう改革し、その機能を強化することが必要であります。我が国としては、安保理改革を始めとする国連改革の実現に向けて今後とも積極的に取り組んでまいります。
 北朝鮮問題との関係で、日米関係につきお尋ねがございました。
 核問題やミサイル問題を始めとする北朝鮮に関する安全保障上の問題については、これを平和的に解決するため、アメリカ、韓国等の関係国や関係国際機関と緊密に協力しつつ、外交努力を行っているところであります。同時に、我が国及び国民の安全のため、日米安保条約に基づく抑止力が必要であり、その前提として日米間の信頼関係が重要であることは言うまでもないと思います。
 難民支援、人道支援及び戦後復興支援についてでございますが、我が国は、このたびの武力行使によって難民、被災民が発生するのに応じて、国連、国際機関やNGOを通じた支援、周辺国に対する国際平和協力法に基づく自衛隊機による人道物資の輸送等を含む支援を行います。また、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、イラクの復旧・復興のため、できる限りの支援を行ってまいります。
 中東和平への取組に一層尽力すべきとの御指摘でございますが、御指摘のとおり、我が国は中東地域の安定のかぎともいうべき中東和平問題について真剣な取組を続けます。そのため、我が国は、イスラエル・パレスチナ間の交渉再開のための働き掛け、パレスチナ改革支援等の取組を一層強化する考えであります。
 米国等がイラクに対して武力攻撃を行ったことを踏まえ、政府は万全の危機管理体制を取るべきとの御指摘でございます。
 国際的な安全保障にかかわる重要な情報については、友好国から提供される情報を含めて、関係機関が内閣の下で相互に緊密な関係を保ちつつ収集・分析に努めています。また、情報の管理については、伝達範囲の限定、施設面の情報保全機能の強化等により、その万全を図っているところであります。今月中に安全保障や大規模災害などへの対応といった危機管理に必要な情報の収集を目的とした情報収集衛星を打ち上げる予定にしており、内閣の情報の収集・分析及び管理体制の更なる強化に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(倉田寛之君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#10
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問いたします。
 昨日、米英軍は、国際社会と国際世論の強い反対を押し切って、イラクへの大規模な軍事攻撃を開始しました。この間、戦争反対、査察の継続強化による平和解決をの声は人類史上かつてない規模で地球全体に広がりました。国連加盟の圧倒的多数の国々も、国連安全保障理事会を構成する多数も武力攻撃に反対し、平和解決の道を真剣に追求してきました。米英によるイラクへの軍事攻撃は、こうした国際世論と平和解決への努力への最悪の挑戦であり、国際の法と正義に照らし、断じて容認できないものであります。
 日本共産党は、この暴挙に怒りを込めて断固抗議するとともに、軍事攻撃の中止を強く求めるものであります。何よりも、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とうたった憲法を持つ我が国政府がこの武力攻撃を支持したことは絶対に許すことができません。
 国連憲章は、二十世紀の二度にわたる世界大戦の悲惨な経験から、戦争を違法なものとし、武力の行使も武力による威嚇も禁止しました。その上で、自国が攻撃されたときの自衛反撃と、安全保障理事会が決定した集団的措置で行う場合にのみ例外として武力の行使を認めたのであります。今回の米英によるイラク攻撃は、第一に、この国際ルールを公然と踏みにじるものであります。
 ブッシュ大統領は、イラクが持っているかもしれない武器がアメリカに使われるかもしれないという二重の仮定の上に、大量破壊兵器の武装解除のために武力を行使する権利があるとして自らの攻撃を正当化しました。しかし、アメリカがイラクから侵略されたわけではない。攻撃も受けていない。にもかかわらず、イラクが大量破壊兵器を持っているかもしれない、その疑いがあるというだけで武力攻撃を行い、政権転覆を謀る。これは、国連憲章が厳しく禁止した先制攻撃そのものであります。
 こんなことが許されるなら、相手の国が自分を攻撃するかもしれないと認定しさえすれば、どこの国でも勝手気ままに他国を攻撃することができることになってしまうではありませんか。諸国民が長い間の努力で築き上げてきた平和のための秩序を崩壊させ、世界を、いつどこで戦争が起きてもおかしくない混沌とした状態に逆戻りさせかねない許し難い暴挙であります。それとも、総理は、今回の武力行使がさきに挙げた例外に当たるとでも考えているのですか。明確な答弁を求めます。
 国連安全保障理事会は今回の戦争の根拠となるいかなる決議も行っていません。これまでの決議では戦争ができないからこそ、アメリカ、イギリスは武力行使に道を開く新しい決議の成立を執拗に求めたのではありませんか。しかし、それは世界と安保理の多くの国々から拒否され、失敗に終わりました。ブッシュ大統領は、攻撃の正当性が問題なのではない、我々の意思が問題だと開き直りましたが、いかに国際法上の根拠がないかを自ら吐露したものであります。
 総理、あなたは今になって国連決議一四四一などが武力行使の根拠となり得ると述べています。しかし、一四四一決議が武力攻撃を容認するものでないことは、あなた自身が国会答弁でも繰り返し述べてきたことではありませんか。国際法上の根拠のなさを自覚していながら、アメリカを支持するためなら自らの公式の発言も国際的に確立した解釈も投げ捨ててもいいと考えているのですか。余りにも無責任、無定見ではありませんか。
 第二は、米英による武力攻撃が、査察の継続と強化という平和の手段で一致団結して成果を上げようという、国連を中心とした世界の努力を台なしにしてしまったことであります。
 一九九一年から続けられた国連の査察によって相当量の大量破壊兵器が廃棄された後、一九九八年の米英による大規模空爆で査察活動は中断されました。そして、四年を経て、アメリカも含め全会一致による国連決議一四四一によって査察による問題解決の道が動き始めたのが昨年の十二月、つい三か月前のことであります。
 この間の活動は、五回にわたる査察委員会やIAEAの報告によっても、それまでの四年間とは様相が一変し、曲折はありながらも査察活動は実質的な成果を上げつつあります。そして、国連決議一二八四に基づく今後の本格的な大量破壊兵器の廃棄に向けた作業手順と対象リストが国連安保理に提出されたのが一昨々日のことであります。査察活動は国連の決議に従って今本格的な軌道に乗り始めたところなのであります。
 十九日に開かれた国連安保理の外相会合では、提出された作業計画に基づいて、平和的な武装解除のための努力が今でも続けられています。
 総理は、フセイン政権に武装解除の意思がないということが断定された以上、私はアメリカの武力行使を支持するのが妥当と言われました。しかし、査察を行ってきた責任者のブリックス委員長は、ブッシュ大統領が最後通告を行った十八日、査察はやめるべきではない、査察団はイラクが依然として大量破壊兵器を保有しているとは断定してこなかった、説明されていない事項がたくさんあると主張してきただけである、三か月半で査察の扉を閉ざすのは筋が通らないと思うと述べました。
 総理、あなたが支持するアメリカなどの武力攻撃はこうした努力を力ずくで断ち切ってしまったではありませんか。はっきりと答えてください。
 アメリカ政府にとっては、結局、大量破壊兵器の廃棄が目的ではなく、武力によるフセイン政権の打倒が本当の目的だったということになるではありませんか。そのことは、ブッシュ大統領が、開戦に当たって、フセイン大統領親子のイラクからの退去や政治体制の転換を公然と求め、それが中東地域にとっての新しい民主的なモデルとなるという見通しさえ展開してみせたことにもはっきりと示されています。これは、他国の主権尊重、内政不干渉を定めた国連憲章を踏みにじり、アメリカ言いなりの政権を戦争によってイラクと中東諸国に押し付けることにほかなりません。総理が支持をすると言った今回のアメリカの方針にはこうした内容が含まれていることをどのように考えているのですか。明確に答えてください。
 第三に、この戦争は多くの罪なき人々の命を奪い傷付けるものであり、許すことのできない非人道的戦争であります。
 報道によれば、米英軍によるイラク攻撃は、開戦から三ないし四日間の間に、湾岸戦争のときの十倍に当たる約三千発の精密誘導爆弾や巡航ミサイルによる大規模空爆が予定されているといいます。あなたが支持したこの戦争で、総理は一体何人の犠牲者が出るとお考えですか。国連の報告によると、五十万人が戦闘の直接の犠牲になり、三百万人の難民、国内避難民が発生する、乳幼児とそれを抱えるお母さんなど五百万人が健康などの被害を受けるとされています。
 こんな戦争を自由と平和の名で行うことほど許し難い偽善はありません。あなたは、こうした無実の人々の命を奪い、傷付けることに心が痛まないのですか。
 今、日本政府がなすべきことは何でしょうか。日本国憲法は、戦争放棄、武力による威嚇と武力行使の禁止を高らかに宣言し、明記しています。この世界に誇るべき憲法九条の規定を誠実に実行し、米英に戦争の中止を呼び掛けるとともに、この戦争への支援を直ちに改めることではありませんか。
 日本共産党は、党創立以来八十年、侵略戦争反対を貫いてきた平和の党として、イラク戦争反対、平和のルールを守れの旗を高く掲げ、国内外の平和を求める人々との共同を更に強め、全力を尽くすことを表明して、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 米国等の武力行使の法的根拠についてでございますが、イラクは諸義務の履行のための完全な協力を行っておらず、決議一四四一の規定に基づき更なる重大な違反が生じており、いわゆる湾岸戦争の停戦決議六八七の重大な違反が生じていることから、停戦の基礎が損なわれ、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えます。このように、今回の軍事行動は関連安保理決議に基づくものであり、国連憲章に整合的なものだと思います。
 イラクの武力行使に関する法的根拠についてでございますが、決議一四四一自体に武力行使を容認した規定がなく、同決議に従って安保理の審議が行われたことはこれまで繰り返し述べてきているところであります。
 我が国としては、査察官の累次の報告等で明らかなとおり、イラクが決議一四四一で履行を求められている武装解除等の義務を履行していないことから更なる重大な違反が生じていると言わざるを得ず、いわゆる湾岸戦争の停戦条件を定めた決議六八七の重大な違反が生じていることから、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えており、米英も同様の解釈を取っております。
 イラクでの査察の継続が認められなかった理由に関するお尋ねでございますが、イラクが最近になって査察に小出しに協力してきたのは米国等の強力な軍事力が、圧力があってこそであります。イラクの姿勢が根本的に改められない限り、査察は有効たり得ないと思います。我が国を含む国際社会による懸命な努力も尽くされ、イラクの対応を根本的に変えるための見通しが全く見いだせない状況の下、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考えます。
 米国の姿勢についてでございますが、米国政府は、従来より、達成すべき目標はあくまでも関連安保理決議により義務付けられた大量破壊兵器の廃棄であると明確に述べています。我が国としても、いわゆる湾岸戦争の停戦条件を定めた決議六八七の重大な違反が生じていることから、停戦の基礎が損なわれ、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えます。
 武力行使による被害者及び犠牲者についてのお尋ねでございます。
 私は、イラクにおける戦闘が一刻も早く、人的、物質的被害もできるだけ少なく終結することを心から望んでいます。同時に、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、イラクの復旧・復興のため国際社会と協調してできる限りの支援を行っていく考えであります。
 イラク問題における我が国の対応についてでございますが、イラクの大量破壊兵器の廃棄のための我が国を含む国際社会による懸命な努力も尽くされ、イラクの対応を根本的に変えるための見通しが全く見いだせない状況の下、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考えます。我が国は、戦闘行為が現在行われておりますが、武力行使は行わず、また、戦闘行為にも参加いたしません。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(倉田寛之君) 西岡武夫君。
   〔西岡武夫君登壇、拍手〕
#13
○西岡武夫君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表して、米国、英国等によるイラクに対する武力行使の開始に当たっての小泉総理の報告について質問いたします。
 国連と関係諸国の真剣な取組にもかかわらず、米国、英国等によるイラクへの武力行使が行われ、戦争に突入したことは、極めて残念であります。この上は、一日も早く戦争が終結し、無辜のイラク国民の被害が最小限に抑えられることを祈るものであります。
 イラク問題の根源は、明らかにイラク側にあります。
 問題は、日本が米国の武力行使に賛成するためには、大義が必要であり、国民各位の深い理解が不可欠であります。
 まず、今回の米国、英国等によるイラク攻撃に対し、小泉総理がこれを支持することを決定した理由と、その背景となる日本の原則について明確に御説明いただきたい。また、今回の政府の決定は、事実上、米国の武力行使に対する参戦の意思表示と考えていいのか、お答えください。
 これまで、小泉総理は、日本の方針について、国民にも国会にも何ら説明されませんでした。野党の質問にも、はぐらかす答弁しかありませんでした。新聞の伝えるところによれば、事もあろうに閣僚にも説明していないとのことであり、何をか言わんやであります。挙げ句の果て、日本の態度はその場の雰囲気で考えると言い、その数日後、記者会見もないまま、記者団に、米国を支持している、既に前から支持していると述べておられたのです。それならば、今回の重大な決定についてなぜ事前に国会で方針を明らかにして国会の議決を求めなかったのか、お尋ねいたします。
 私たちは、現時点では、国連において武力行使を認める決議が行われないまま米国などが独自に行う戦争には日本は参加しない、また、国連で決議がなされ、かつ国連の参加要請がある場合には、日本は国連の一員として平和活動に参加し、要請された協力を行うことを明確にすべきであったと考えます。
 この方針は決して日米安全保障条約と相入れない方針ではありません。これは、日米安全保障条約が「国際連合憲章に定めるところに従い、」という文言から始まり、その七条において、この条約は、国際連合憲章に基づく締結国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対してはどのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならないと明記しているところからも明確であります。
 小泉総理は、後方支援と称して、日本は武力行使をしないのだから新たな国連決議がなくても問題はないとしていますが、そのような理屈が国際社会に通用するとは到底考えられません。
 私としては、遅まきながらですが、この機会に政府として集団的自衛権の行使について明確な方針を打ち出すべきと思います。それは、国連憲章五十一条において明記されているところであります。日本がこの問題に明快な方針を示して初めて、国連における発言と行動が国際社会に認められると確信いたします。小泉総理のお考えをお尋ねいたします。
 このことは、北朝鮮の現状を考えるとき、正に緊急の課題であります。そこで、北朝鮮の状況について小泉総理はどう認識されておられるのか、万一、北朝鮮が突如、武力行使に出た場合、政府はどのように対応するのか、その準備はできているのか、お尋ねいたします。
 今回の米国、英国等によるイラクへの武力行使が短期間で終了したとしても、難民問題やイラクの再建問題にとどまらず、世界は国連の再構築という重い課題に取り組まなければなりません。
 今回見せ付けた、小泉政権の、何ら確立した見解も理念もない漂う外交に期待することはできないのであります。
 小泉総理が直ちに退陣されることを求め、内政、外交ともに日本を危機から脱出させるための新しい政治勢力を結集した大連立政権を提唱して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西岡議員にお答えいたします。
 我が国が米国等の行動を支持することを決定した理由についてでございますが、まず、イラクが一連の国連決議を誠実に実施に移さなかったこと、そして危険な大量破壊兵器あるいは化学兵器、生物兵器、このような危険な大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡ったらどのような危険な状況に我々直面するか、この脅威の認識について私は非常な危機感を持ちました。
 同時に、日米同盟の重要性であります。
 アメリカは、日本への攻撃はアメリカへの攻撃とみなすと言っております。これは、いかなる国が日本に攻撃しても、アメリカと戦わざるを得ないという覚悟はなしに日本への攻撃はできません。これが日本の安全確保にとって大きな抑止力になっております。
 私は、アメリカは日本にとって掛け替えのない信頼に足る同盟国だと思っております。日本もアメリカにとって信頼に足る同盟国でありたいと思います。今回、国際社会の責任ある一員として同盟国であるアメリカの行動を支持することは我が国の国家利益にかなうと思って支持いたしました。
 今回の政府の決定についてでございますが、御指摘の参戦の意味が必ずしも私には理解できません。
 我が国の同盟国である米国が国際社会の大義に従ってアメリカ自身大きな犠牲を払おうとしているとき、我が国が可能な限りの支援を行うことは私は当然だと思っております。このような観点も踏まえ、政府としての対処方針を発表いたしましたが、我が国が武力の行使を行うことはありません。
 今回の決定と国会との関係についてでございますが、政府は今回の対イラク軍事行動に際しての我が国の立場及び我が国が取る措置に関する対処方針を決定いたしましたが、このような決定は、我が国憲法上、政府の責任において処理すべきものと考えます。他方、この決定の重要性にかんがみ、国会に対し私から直接御報告した次第であります。
 集団的自衛権の行使について検討すべきとの御指摘であります。
 検討は結構であります。歓迎いたします。集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利と解されています。我が国がこのような集団的自衛権を行使することは、憲法第九条の下で許容されている必要最小限度の実力行使の範囲を超え、許されないと考えております。将来に向かって政策論として議論するのは結構でありますが、集団的自衛権に関し小泉内閣の見解を変更することは考えておりません。
 北朝鮮に関するお尋ねでございましたが、核問題を始めとした北朝鮮に関する安全保障上の問題は、我が国自身の安全保障、北東アジア地域の平和と安定等の観点から重大な問題であると認識しており、これら問題を日朝平壌宣言に基づき包括的、平和的に解決していく考えであります。
 北朝鮮の将来の行動について現在確たることを申し上げるような情報には接していませんが、いろいろな可能性、我が国としてあり得べき対応を念頭に置きながら、北朝鮮の動向を引き続き注視してまいりたいと思います。(拍手)
#15
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前一時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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