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2003/07/16 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第40号
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2003/07/16 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第40号

#1
第156回国会 本会議 第40号
平成十五年七月十六日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四十号
    ─────────────
  平成十五年七月十六日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 国務大臣竹中平蔵君問責決議案(角田義
  一君外五名発議)(委員会審査省略要求事件
  )
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、元議員久保亘君逝去につき哀悼の件
 一、元議員鈴木一弘君逝去につき哀悼の件
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員久保亘君は、去る六月二十四日逝去されました。誠に痛惜哀悼の至りに堪えません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ 特に院議をもって永年の功労を表彰せられ さきに社会労働委員長 国民生活・経済に関する調査会長等の要職に就かれ また国務大臣としての重任にあたられました 元議員正三位勲一等久保亘君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
     ─────・─────
#5
○議長(倉田寛之君) さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員鈴木一弘君は、去る七日逝去されました。誠に痛惜哀悼の至りに堪えません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ 特に院議をもって永年の功労を表彰せられ さきに法務委員長 科学技術振興対策特別委員長の重任にあたられました 元議員鈴木一弘君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
     ─────・─────
#7
○議長(倉田寛之君) 日程第一 国務大臣竹中平蔵君問責決議案(角田義一君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)
 本決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。峰崎直樹君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#9
○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました金融担当兼経済財政政策担当の国務大臣竹中平蔵君問責決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、決議案を朗読いたします。
  本院は、国務大臣竹中平蔵君を問責する。
   右決議する。
 以上であります。
 ここに「日本経済再生への戦略」というレポートがあります。九九年の二月に経済戦略会議がまとめた答申であります。ここには、「十分な構造改革が断行された場合、日本経済は九九年度以降プラス成長に転じ、二〇〇一年度には二%の潜在成長力軌道に復帰する。」という堂々たる結論が記されています。
 しかし、現実には二〇〇一年度の名目成長率はマイナス二・五%、二〇〇二年度もマイナス〇・七%と、とても潜在成長力軌道に復帰したとは言えない状態が続いています。むしろ、デフレが更に進行するとともに、金融危機の先送り路線が破綻し、財政危機さえ顕在化し始めました。日本経済は、成長軌道へ復帰するどころか、奈落の底へと突き進んでいるような有様です。
 経済戦略会議は、九八年八月、内閣総理大臣の諮問機関として設置されました。新進気鋭のエコノミストとして売出し中であった竹中平蔵君は、同会議のエースとして抜てきされ、主導的な役割を果たすことになります。
 そして、二〇〇一年四月、竹中平蔵君は経済財政政策担当大臣に就任し、名実ともに経済財政政策の責任者となりました。さらには、金融危機を先送りし続けた柳澤前金融担当大臣に代わり、二〇〇二年九月には金融担当大臣をも兼任することになり、経済財政政策に加えて金融行政の責任者ともなりました。
 すなわち、竹中平蔵君はこの五年間の政府の経済財政金融政策に深く関与したただ一人の人物であり、竹中平蔵君こそが今日の日本経済の惨状をもたらしたA級戦犯であると言っても過言ではありません。
 以下、具体的な理由を申し述べます。
 第一に、竹中平蔵君には、経済財政政策担当大臣として、小泉大不況を招いた責任があります。
 一昨年四月の小泉内閣発足以来、我が国経済はますます厳しい状況に追い込まれています。先ほど述べたとおり、二〇〇一年度の名目成長率はマイナス二・五%、二〇〇二年度もマイナス〇・七%と、二年連続マイナス成長が続いています。今年度の政府経済見通しでは名目成長率はマイナス〇・二%ですから、日本経済は三年連続名目でマイナス成長という戦後経験したことのないほどの奈落の底を突き進んでいるのであります。
 また、財政規律の看板の下、国債発行額三十兆円の公約を掲げながら、この程度の公約違反は大したことではないとばかりにいとも簡単に公約をほごにした結果、国と地方の長期債務は主要先進国中最悪の七百五兆円という途方もない水準にまで積み上がりました。
 さらには、竹中平蔵君が経済戦略会議のメンバーに就任したときは二百九十六万人であった完全失業者は、今年一月には過去最高の三百六十八万人にまで増加をし、一向に好転の兆しはありません。とりわけ、若年層の雇用情勢は深刻であり、学校を卒業したのに職がないという実に憂うべき事態を招いているのであります。
 企業倒産についても、二〇〇一年度が戦後二番目、二〇〇二年度が戦後四番目の件数を記録するなど、八〇年代半ばの円高不況期に並ぶ過去最悪の水準が続いています。中には、黒字でありながら銀行の貸し渋りや貸しはがしによって倒産に追い込まれる中小企業さえあります。
 小泉総理が最近の上昇に一喜どころか十喜ぐらいの喜びようだと言われる株価も、いまだに政権発足以来三割も下落したままでございます。小泉内閣発足時と比較すれば、時価総額で実に百兆円が失われたわけであります。
 経済が悪化すれば、世相もまた悪化します。小泉大不況により自分の会社や職場を失う国民が急増した結果、年間三万人以上の人が自ら命を絶っています。先日も、大阪の高齢者三人がやみ金融に暴利をむさぼられ、絶望の果てに自殺をするという痛ましい事件がありました。
 殺人、強盗などのいわゆる重大犯罪もこの五年間でほぼ倍増しています。連日のように発生する凶悪な事件を見ていると、今や日本の安全神話はどこへ消えてしまったかと悲しみを覚えざるを得ません。やみ金融や最近流行のおれおれ詐欺など、人の弱みに付け込んだ悪質な犯罪も後を絶ちません。
 政治の使命は国民の命と財産を守ることにあります。小泉経済失政が国民の財産を奪い、さらには国民の命さえ保証できない現状を直視すれば、小泉総理及び竹中経済財政政策担当大臣の責任は致命的なほど重大であります。
 第二に、竹中平蔵君は、金融担当大臣として、国家的粉飾と欺瞞に満ちた金融行政を強行し、その結果、小泉改革の目標である官から民へどころか、ますます国依存を深め、金融社会主義への道をひたすら追求せざるを得なくなっていることの責任があります。
 小泉大不況の大きな原因が金融システムの機能不全にあることを知りながら、柳澤前金融担当大臣同様、銀行は皆健全だという大本営発表を繰り返し、問題解決を先送りしました。とりわけ、昨年十月に金融再生プログラムを策定した際に、銀行界の抵抗に安易に妥協して一層の貸しはがしの時間的猶予を与えたことは、多くの中小企業の倒産を招きました。
 さらに、小泉内閣の公約であったペイオフ解禁を延期させ、依然として護送船団行政のくびきから抜け出せていません。
 問題先送りの金融行政は、しかし、ついにりそな銀行の経営危機を招き、政府は金融危機対応会議を開催せざるを得なくなりました。りそな銀行にはかつて一兆一千億円の公的資金が投入され、竹中金融担当大臣も、今春、りそなの増資及び合併を認めています。言わば、健全銀行だと太鼓判を押しているわけであります。そのりそな銀行がわずか数か月で経営危機に陥ったということは、正に国家的粉飾と欺瞞の金融行政を象徴する出来事でありました。
 しかも、りそな銀行は、株主総会で正式に選任された朝日監査法人が認定したように、債務超過であった疑いが極めて濃厚です。それを物語るのが、金融庁幹部がりそな銀行を通じて新日本監査法人に粉飾決算をするよう圧力を掛けたのではないかという疑惑です。結局のところ、竹中金融担当大臣は、自らりそな銀行の粉飾決算を主導し、預金保険法により債務超過銀行にはできないことになっている公的資金投入を株主責任、経営者責任も問わぬまま強行したのであります。
 さらには、昨年一月、現金融庁長官である高木監督局長が当時の柳澤金融担当大臣及び森金融庁長官と相談の上、当時経営危機にあった某生命保険会社を救済するよう、本来あり得ぬ裁量権を振りかざして東京海上火災保険を恫喝したという事実も発覚いたしました。しかも、その際、高木長官は個別の企業の重要な経営情報を幾つも述べており、これが国家公務員に課された守秘義務に違反することは明白です。
 この件について竹中金融担当大臣は直接かかわっていないとはいえ、調査の結果何ら問題ないとしてだれの責任も問わないことは、竹中金融担当大臣自らが金融庁の恫喝行政を容認したに等しいものであります。誠に無責任の極みであります。
 いま一つ重大な問題が、現在審議中の破綻前の予定利率引下げを認める保険業法改正案についての不誠実極まりない対応です。
 竹中金融担当大臣は、保険金が場合によっては四割もカットされるという国民に痛みを押し付ける内容であることから、統一地方選挙への悪影響を懸念した与党に加担し、法案提出を統一地方選挙後に先送りしました。しかも、予定利率引下げは時期尚早という一昨年の金融審議会の結論を無視して、金融審議会の議論やパブリックコメントなどの手続もほとんど行わず法案提出を強行いたしました。そして、今、委員会審議での多くの矛盾点、問題点が噴出しているにもかかわらず、我々の声にも国民の声にも耳を傾けようとせず、法案成立を強行しようとしています。
 第三に、竹中平蔵君にはそもそも経済閣僚としての資質がないと言わざるを得ません。
 自らの発言が経済に及ぼす影響を熟慮することもなく、不用意な発言を繰り返してきたことがその証左であります。とりわけ、ETFは絶対もうかるという発言は、金融担当大臣としても経済財政政策担当大臣としても不適切な発言であることはもちろん、証券取引法や金融商品販売法にも違反しかねないものであります。
 また、竹中平蔵君が経済財政政策担当大臣に就任する直前の二〇〇〇年十二月発行の著書「竹中教授のみんなの経済学」の中には、年金財源が世代間で不公平になっているとの記述に関し、団塊の世代から上の世代はイナゴ世代ともいうべき世代で、何でもかんでも食い尽くしてしまいます、食えるものは全部食って死んでいくぞと考えているのでしょうかという一文があります。エコノミストとしてはウオームハート・クールヘッドでなければならないというのに、何という冷酷な発言なのでありましょうか。ましてや、経済政策を担当する大臣としては許されざる発言であります。
 さらには、竹中平蔵君は、かつて住民税逃れのために頻繁に住民票を移動していたのではないかという疑惑が取りざたされ、国会でも取り上げられたことがございます。エコノミストとしての専門知識を自らの節税に応用していたのかもしれませんが、こうしたさもしい心の持ち主が、経済とは経世済民、すなわち世の中を治め人々の苦しみを救うことだという高説をぶっても、一体だれが信頼するでありましょうか。
 最後に、竹中平蔵君と同じ学窓に学んだ者として一言申し伝えたいと思います。
 それは、四十年前に入学試験の面接で、私は、面接を担当された先生から、なぜ一橋大学を選んだのかという質問に対し、社長になりたいんですと答え、今から思えば恥ずかしいことに、鼻持ちならない出世主義、弱肉強食の能力主義を語ったものであります。そのとき、担当面接官から、経済学は社会の貧困問題や矛盾について目を向ける必要があるんだよと語られたことを今でもはっきりと記憶しています。ともすれば、アメリカ仕込みの市場原理万能の経済理論をもって日本の文化や歴史に根差した守るべき社会制度までを切り捨てようとする、そのことの弊害にも警鐘を乱打しておきたいと思います。
 以上申し述べた理由から、ここに本院は金融担当兼経済財政政策担当大臣の国務大臣竹中平蔵君を問責すべきであると考え、決議案を提出するものであります。
 これまで、立場は違えども、与党内からも竹中平蔵君に対する批判は数多く聞かれました。議員諸氏がそれぞれの立場を乗り越えて、本決議案に御賛同賜らんことを訴え、趣旨説明を終わります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(倉田寛之君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。林芳正君。
   〔林芳正君登壇、拍手〕
#11
○林芳正君 私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表して、ただいま議題となりました竹中経済財政政策・金融担当大臣の問責決議案に対し、反対の討論を行うものであります。
 竹中大臣は、小泉内閣発足とともに、平成十三年四月に経済財政政策担当大臣に就任、そして平成十四年九月からは金融担当大臣を兼務し、経済・金融政策面で小泉内閣の一翼を担い、懸命の努力を払ってまいりました。
 確かに、今もって経済状況は厳しく、雇用情勢、中小企業の経営など依然として改善しておりません。ただ、最近の株式市場にはようやく明るさが見え始め、まさしくこれからが正念場であります。この時点において竹中大臣を更迭することは、政策の継続性を維持する観点からも当を得たものとは思われません。
 現在の低迷する経済活動、滞る金融システムの原因については多くのことが言われております。識者の指摘するところによりますと、主として冷戦崩壊による世界における資本主義セクターの拡大や、我が国におけるバブル崩壊の後遺症でもある資産デフレ等の構造的かつ複雑な要因によるものであります。
 こうした厳しい環境の中にあって、政府・与党は一丸となって、そしてまた我々政治家は、地域経済の厳しい景気の状況を認識しつつ懸命に経済の再生に取り組んでまいりました。竹中大臣も、内閣の一員として、経済、金融の構造的、複合的諸課題の解決に積極的に取り組んでこられました。
 小泉内閣は、年初に構造改革と経済財政運営の中期展望、いわゆる「改革と展望」を作成し経済財政運営のビジョンを示し、その方向に沿って六月には経済財政運営と構造改革に関する基本方針を取りまとめ、当面の政策課題を打ち出したところであります。
 また、金融システムの機能回復を目指し、昨年十月には金融行政の方向性を決める金融再生プログラムを取りまとめました。これは、主要行の不良債権問題を解決し、構造改革を支えるより強固な金融システムの構築を目指したものであります。
 個別行への対応では、りそな銀行に対する二兆円の資本増強が行われ、金融行政に対する国民の信頼が回復しました。その対応過程において、野党諸君が問責理由とするような同行に対する不当な圧力はなかったものと了解をしております。
 最近の月例経済報告などの認識にも見られるように、経済情勢は依然として厳しいものがありますが、最近、株価にはやっと明るさが見え始めました。市場全体の株価は、日経平均で見て、四月の八千円割れという危機的な水準から、最近は一万円を付ける水準にまで上昇してきました。今日の株価上昇の主役は外人投資家と言われておりますが、これに誘発される形で国内の個人投資家も活発に動き始めていると言われております。
 政府・与党、そして我々政治家の懸命の政策努力により、経済構造改革はその痛みだけが主張される段階からその経済再生への展開が評価される段階へ近づいてきたと認識してよいと思われます。
 また、野党は、竹中大臣に対し、在任中でない昨年一月の東京海上火災保険の合併問題に関し、当時の監督局長の責任を追及しない大臣の姿勢をもって問責理由としております。これは、会期末の審議混乱をねらった不当な言い掛かりと断ぜざるを得ないのであります。このような党利党略的な野党の理不尽な問責決議案は否決されるべきであります。
 私は、議員各位とともに本決議案に反対の意見を表明し、反対討論といたします。(拍手)
#12
○議長(倉田寛之君) 円より子君。
   〔円より子君登壇、拍手〕
#13
○円より子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま趣旨説明がございました金融担当兼経済財政政策担当の国務大臣竹中平蔵君問責決議案に賛成する立場から討論いたします。
 第一の、そして最大の問責理由は、竹中大臣の経済失政であります。
 竹中大臣は、九八年八月、内閣総理大臣の諮問機関である経済戦略会議の中心的メンバーに抜てきされ、二〇〇一年四月には小泉政権の経済財政政策担当大臣に就任し、名実ともに経済財政政策の責任者に任命されました。さらに、二〇〇二年九月には金融担当大臣も兼任することになり、経済財政政策に加えて金融行政の責任者ともなりました。
 その際、竹中大臣は、四位一体の改革で経済を再生させる、つまり歳出の改革、歳入の改革、金融システムの改革、さらに規制改革の四つを機動的に活動させてしっかりした日本の経済をつくっていきたいと抱負を述べ、経済財政金融政策を一手に引き受けたことを自ら表明されました。しかしながら、大臣が日本の経済財政金融政策に深く関与してきたこの間に、あなたは一体どのような成果を上げたとおっしゃるのでしょうか。
 竹中大臣は、骨太の方針第一弾から第三弾や「改革と展望」、改革加速プログラム等、数々の経済対策のレポートを取りまとめてきましたが、その内容は改定されるたびに表現があいまいになったり目標達成時期が先送りされたりしています。これらの方針やプログラムは、我が国の命運が懸かる経済財政政策のマスタープランとしては極めて不十分だったと言わざるを得ません。そのため、実体経済は一向に回復しませんでした。デフレが更に進行し、二〇〇一年度の名目成長率はマイナス二・五%、二〇〇二年度もマイナス〇・七%と低迷が続いています。小泉総理と竹中大臣が標榜した改革は遅々として進んでいないのが現実ではありませんか。
 財政では、国債発行額三十兆円の公約を平成十四年の補正予算でいとも簡単に投げ出したことに象徴されるように、プライマリーバランスを二〇一〇年代初頭に達成するという目標は全く現実味がありません。平成十五年度予算編成でも、旧態依然とした利権絡みの予算分捕り合戦が横行し、歳出改革が行われないまま、国と地方の長期債務が七百五兆円にまで膨れ上がり、国民は一人当たり何と約五百二十万円の借金を背負わされています。
 歳入改革も同じです。平成十五年度税制改正では、途中、経済諮問会議で税制改革議論を始めたかと思えば、中途半端に政府税調に投げ返し、最後は従来どおり与党税調が引き取って、開けてみれば抜本的な税制改革は先送り、民間消費をただ冷え込ますだけの大衆増税が盛り込まれていました。
 規制改革も特区で散発的にしか実施されず、竹中大臣の方針どおりには進んでおりません。金融改革は、後段で述べるように、先送りとなっています。
 不況の長期化により、完全失業者は今年一月には過去最高の三百六十八万人にも上りました。産業構造を改革し新たな雇用を生み出すといった構想は全く机上の空論で、雇用問題は若年層でも中高年層でもいよいよ深刻さを増しています。
 企業倒産については、八〇年代半ばの円高不況に並ぶ過去最悪の水準が続いており、二〇〇一年度は戦後二番目、二〇〇二年度は戦後四番目の件数を記録しています。このように国民に甚大な痛みと損失をもたらした経済失政の責任は極めて重大ではないでしょうか。
 第二の問責理由は、不当な金融行政であります。
 竹中大臣は、前任の柳澤金融担当大臣と同じく、銀行はすべて健全との発表を繰り返し、問題解決を先送りしたのではありませんか。不良債権処理を一気に実行すべきところ、大銀行の立場を擁護する勢力に屈し、問題をずるずると先送りしてまいりました。その影響で中小企業への貸しはがしが横行し、多くの中小企業が倒産を余儀なくされました。
 金融庁が健全だと認め合併を承認していたりそな銀行が今年四月に経営危機に陥りました。この問題では、経営危機が明るみになる以前からりそな銀行は既に債務超過であり、金融庁幹部がりそな銀行を通じて新日本監査法人に粉飾決算をするよう圧力を掛けたのではないかという疑惑が浮上しました。この疑惑が払拭されていないにもかかわらず、竹中大臣は預金保険法により債務超過銀行には投入できないことになっている公的資金投入を強行しました。
 さらに、昨年一月、当時経営危機にあった某生命保険会社を救済するように、現金融庁長官である高木元監督局長が、当時の柳澤金融担当大臣及び森金融庁長官と相談の上、本来あり得ぬ裁量権を振りかざして東京海上火災保険会社を恫喝したのではないかという疑惑も発覚しました。しかも、その際、高木長官は、個別の企業の重要な経営情報を幾つも述べています。これが国家公務員に課された守秘義務に違反することは明白です。この件について竹中金融担当大臣は直接かかわっていないとはいえ、調査の結果何ら問題ないとしてだれの責任も問わないことは、竹中金融担当大臣自らが金融庁の護送船団行政の復活を容認したに等しいものであります。
 そして、現在審議中の破綻前の予定利率引下げ、つまり受け取れるはずの保険金の大幅カットを認める保険業法改正については、金融審議会の意見を無視し、パブリックコメントの公募の手続を取らない等、国民への説明が不十分なままの誠実さを欠くこそくな手段で法案を成立させようとしています。現在、委員会審議で多くの矛盾点、問題点が噴出していますが、金融庁は十分な答弁をしないまま強硬に成立させようとしています。金融庁がこのようにずさんな法律を拙速に成立させようとしているのは、近々経営危機に陥りそうな生命保険会社があるからではないかとの不安を国民に与えています。国民に安心ではなく不安と不信感を与えるだけでは、金融行政の長として失格ではないでしょうか。
 第三の問責理由は、竹中大臣の閣僚としての資質の欠如であります。
 自らの発言が内外で注目されることを知りながら、大臣は一民間学者あるいは経済評論家のような感覚で不用意な発言を繰り返してきました。そうした発言により混乱を招いた責任は甚大であり、大臣としての自覚が欠如していたと言わざるを得ません。峰崎議員が趣旨説明で述べたように、とりわけ、ETFは絶対もうかるという発言は金融担当大臣としても経済財政政策担当大臣としても不適切な発言だと批判されましたが、これは証券取引法や金融商品販売法にも違反しかねない重大な過ちです。
 以上申し述べたとおり、竹中大臣が金融担当大臣及び経済財政政策担当大臣としての職責を果たさず、経済情勢を更に悪化させた責任を免れないことは明白であり、これ以上竹中大臣に我が国の経済財政と金融の政策を任せておくわけにはまいりません。
 与野党を問わず、議員各位に本問責決議案に御賛同いただくことを呼び掛け、私の討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(倉田寛之君) 大門実紀史君。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕
#15
○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、竹中大臣に対する問責決議案に賛成の討論を行います。
 竹中大臣、あなたが大臣になってから日本経済と国民の暮らしはひたすら悪くなりました。最大の責任はあなたを任命し経済のかじ取りを任せた小泉総理にあることは明白であります。しかし、大臣自身も、問責決議案など出される前に、もっと早く自らの誤りに気付き、自分でお辞めになるべきでした。
 問責決議案に賛成する理由はほかでもありません。あなたが日本経済をここまで悪くした当事者だからです。
 竹中大臣が掲げてきた構造改革論は、元々、理論的な誤りと幻想に満ちたものでした。大臣は、構造改革なくして景気回復なしと繰り返しながら、この二年間、不良債権の早期最終処理、企業のリストラの奨励、規制緩和等々、実際に構造改革を進めてきました。当初から、我が党は、需要が冷え込んでいるときにそんなことをやれば、ますます景気が悪くなり、不況の悪循環にはまり込むと再三にわたって指摘し、警告をしてきました。しかし、大臣は、全く耳を傾けようとされませんでした。その結果どうなったか。この二年間で失業者を四十万人も増やし、三万六千もの中小企業を倒産に追い込み、株価も一時は二年前の半値近くまで急落させました。
 また、竹中大臣は、不良債権を処理すれば、人、物、資金などの経済資源が新しい分野へ移動し、経済が活性化すると唱えてきました。しかし、資源の移動などどこにも起こらず、ただただ倒産と失業が増えただけです。銀行の貸出しも、大銀行だけで三十六兆円も減らしています。この二年間ではっきりしたのは、不良債権処理を急げば世の中にお金が回るということではなく、無理な処理を急ぐからかえってお金が回らなくなったということではありませんか。
 不良債権の新規発生も一向に止まらない。大臣はこの三月期に不良債権処理が進んだと言っておりますけれども、要管理債権を含む不良債権の残高は小泉内閣の発足時よりも依然二兆円も増えたままです。自分たちの内閣で不良債権を増やしておいて、それを幾らか減らしたからといって、何の自慢にもなりません。正に自作自演のマッチポンプ、イタチごっこをやっているだけにすぎないではありませんか。
 しかも、竹中大臣は、この二年間の経済の悪化に右往左往し、骨太方針第何弾だの、何とかプログラムだの、工程表だの、紙ばっかり出してきました。経済見通しもことごとく修正。その都度、責任をアメリカの経済やテロなど、人のせいにしてまいりました。
 当初、改革によって失業や倒産の痛みは出るが、二、三年の我慢と国民に説明してきたものを、勝手に四年の我慢に延長いたしました。さらに、国民の痛みに対しセーフティーネットを用意するという公約も、結局、絵にかいたもちでした。
 例えば、竹中大臣が胸を張って宣伝していた五百三十万人新規雇用創出プランはどうなったのか。このプランは、サービス業の雇用を今までの倍のスピードで増やそうというものでした。しかし、実績は、一年で百万人以上増やすところを、二年間の合計でたった九十万人しか増えておりません。目標の半分以下、過去の実績さえ下回っているではありませんか。
 有名なペティ・クラークの法則によれば、そもそもサービス業の雇用の伸びは国民の所得の伸びに比例すると言われています。家計部門の所得が増えればサービス消費のウエートが高まり、その需要の増加に応じて仕事も増えるからです。
 今のように、政府がリストラの音頭を取って雇用不安と低賃金を蔓延させ、四兆円の負担増を押し付け、家計を痛め付けているようでは、今までの倍のスピードでサービス消費が増えるわけがありません。
 また、幾ら規制緩和をやっても、不況で民間消費が低迷する下では、小さなパイの中で競争が激化し、かえって倒産、廃業が増加、失業が増え、低賃金化が進むだけです。こんなことは最初から分かり切った話ではありませんか。
 今や構造改革は理論的にも実践的にも破綻し、改革を進めれば進めるほど実体経済を破壊してしまうという自己矛盾に陥っていると言わなければなりません。しかも、大臣は、不良債権処理でさんざん不況と株価を悪化させ、銀行や企業の経営を追い込んでおきながら、今度はその対策と称して、なりふり構わず公的資金の大盤振る舞いを連発してまいりました。今やあなたの政策は破綻から暴走の段階に入ったと断ぜざるを得ません。
 その第一が、銀行に対する公的資金の投入です。現行の七十兆円の公的資金の投入枠は既に三十兆円以上が使われ、このうち、返ってこない公的資金、すなわち国民負担になった部分は十一兆円を超えています。この上、りそな銀行への約二兆円の公的資金注入に見られるように、竹中プランでわざわざ銀行を自己資本不足に追い込み、すかさず公的資金を注入する、こんなやり方では、この先幾ら公的資金が使われるか分かったものではありません。
 さらに、銀行保有株の買取機構、産業再生機構、生命保険契約者保護機構への公的資金の投入の仕組みもつくられました。小泉内閣が進めてきたのは、今回の生命保険の予定利率の引下げを含め、正に国民負担のオンパレードではありませんか。
 私は、財政金融委員会で、竹中大臣に、この間、国民の税金投入の仕組みが次々と出されてきている、もう感覚が麻痺しているのではないかとただしました。大臣は、安易に公的な負担を求めるということは政策の在り方として控えなければいけないと答えました。さらに、こんなことばかり続けていては、結局、大臣のよく言うマーケットの信頼も得られないのではないかと聞くと、大臣は、おっしゃるとおり政府の介入はモラルハザードを招く、自己責任の原則を確立することが社会の大原則であると答えました。言うこととやることがまるで違うではありませんか。
 元々、護送船団方式を批判し、すべてはマーケットに任せればうまくいくと言ってきたのが竹中大臣です。破綻から、それを繕うための政策の暴走に突き進む中で、あなたの自己矛盾も深まるばかりです。いつまでもこんなことを続けて一体何が解決するのでしょうか。
 自民党は、この十年間、景気対策といえば公共事業の積み増しばかりを行ってきました。しかし、結局、景気は良くなりませんでした。小泉総理になって、今度は竹中流の構造改革論に飛び付きました。しかし、景気はかえって悪くなりました。要するに、あなた方の繰り返しておられるのは、誤った需要対策の後に誤った供給対策を行っておられるだけです。
 残された道はただ一つ、我が党がかねてから提案してきたように、家計と中小企業を直接応援する、そういう経済運営への転換しかもはや景気回復の道はないと言わざるを得ません。竹中大臣の好きなアメリカでさえ、レーガン時代の構造改革で経済が疲弊した後、個人消費の活性化を牽引車として景気を回復したのです。アメリカに学ぶとすれば、正にこの点であります。
 以上、経済政策の根本的な転換と竹中大臣の辞任を求めて、問責決議案に対する私の賛成討論といたします。(拍手)
#16
○議長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#17
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 浅尾慶一郎君外七十七名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#18
○議長(倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#19
○議長(倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#20
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十七票  
  白色票             百票  
  青色票          百三十七票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#21
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時散会
ソース: 国立国会図書館
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