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2003/07/26 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第45号
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2003/07/26 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 本会議 第45号

#1
第156回国会 本会議 第45号
平成十五年七月二十六日(土曜日)
   午前零時十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四十五号
  平成十五年七月二十六日
   午前零時十分開議
 第一 外交防衛委員長松村龍二君解任決議案(
  輿石東君外九名発議)(前会の続)
 第二 イラクにおける人道復興支援活動及び安
  全確保支援活動の実施に関する特別措置法案
  (内閣提出、衆議院送付)(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり

     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 外交防衛委員長松村龍二君解任決議案(輿石東君外九名発議)を前会に引き続き議題といたします。
 討論を続けます。宮本岳志君。
   〔宮本岳志君登壇、拍手〕
#4
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案のあった外交防衛委員長松村龍二君の解任決議案に対する賛成の討論を行います。
 解任決議案に賛成する最大の理由は、イラク特措法の重大な問題が一層明らかになり、国民の反対の声が日増しに高まる中、野党各党が徹底審議を要求してきたにもかかわらず、松村君が与党の言うままに質疑を終局させ、混乱の中、採決なるものを強行した上、何と手続に瑕疵はないなどと開き直りの態度に終始していることであります。
 このような松村君の態度は、公正中立の立場で委員会運営を行うべき委員長の職責に著しく反し、松村君が委員長の適格性を著しく欠いていることは明白であり、委員長の解任は当然だと言わなければなりません。
 イラク特措法が極めて重大な法案であることは与野党共通の認識でした。だからこそ、松村委員長自身、運営協議の場で、しっかりした論議をしたい、十分に審議を尽くすと、何回も約束したのではありませんか。
 我が党は、法案の重大性にかんがみ、冒頭から徹底審議を求めてまいりました。衆議院での質疑はわずか四十三時間。次々明らかとなる法案の問題点の解明にはほど遠いという状況の下で、徹底審議を行い問題を解明することこそ、参議院外交防衛委員会の責務であることは全く明白ではありませんか。
 ところが、本日の締めくくり質疑を含んだとしても、本院における委員会の質疑時間はわずか三十一時間にしかなりません。しかも、その内容たるや、戦闘が多発しているイラクの一体どこが政府の言う非戦闘地域に当たるのかというごく基本的な問題でさえ、政府は法案成立後に調査を行い決めるのだなどと言うばかりで、いまだにまともな説明すらできないのであります。
 これ以外にも、いかなる安保理決議でも米英軍には正当性が与えられていないという問題、自衛隊がイラク国民に銃口を向けることになるという問題、米英両政府による情報操作の疑惑とイラク戦争の大義が揺らいでいる問題、小泉首相がイラクは大量破壊兵器を保有していると断定した根拠をめぐる問題等々、全くまともな答弁すらできないことばかりだったではありませんか。我々野党が徹底審議を求めたのは当然のことだったのであります。
 ところが、外交防衛委員長松村龍二君は、野党の徹底審議の要求や日増しに高まる国民のイラク派兵反対の声を無視して、衆議院の七割、三十時間を超す審議を行った、公聴会も行ったなどと開き直り、採決なるものを当然とする態度を取ったのであります。公正で民主的な運営を旨とし、慎重な審議に責任を負うべき委員長の職務に照らして、松村君の委員長解任は余りにも当然だと言わなければなりません。
 特に許すことができないのは、与野党の意見の対立を誠実、真摯な協議で解決するというのではなく、一方的に委員長職権で処理するという非民主的なその手法であります。また、総括質疑が終わったばかりだというのに早くも公聴会を提起し、会期も迫っているので協力してほしいなどと述べ、十八日の委員会では採決によって強引に公聴会の開催を決定するということまで行いました。
 しかも、我が党理事が、与党が提案した二十二日の締めくくり質疑、討論、採決に反対し、野党一致の要求である徹底審議を要求するや、突如大きな声を発して我が党理事の発言を封じる態度にさえ出たのであります。委員長の役割は、与野党の主張を調整することにあるのであって、与党の立場で野党を批判するなどというのは全く委員長としての資質にさえ欠けるのではありませんか。このような品性を欠いた松村龍二君は解任されて当然であると言わざるを得ないのであります。
 そもそも、この法案は、戦後初めて、いまだに戦闘が行われているイラクに自衛隊の地上部隊を派兵し、米英占領軍の支援を行うという希代の違憲立法であります。
 イラクでは、その全土で戦闘が頻発し、毎日米兵が襲撃され、死亡しています。そのイラクに自衛隊を派兵すれば、自衛隊員の生命が危険にさらされることは明らかであります。防衛庁長官が、イラクの現状について、法的には戦争状態の継続と答弁しましたが、実態もまた戦争の継続状況にあります。
 アビザイド・アメリカ中央軍司令官は、米軍はイラク全土で典型的なゲリラ戦闘を実施している、それは戦争だと述べました。そんな戦争状態のイラクのどこに非戦闘地域などがあるというのでしょうか。昨日まで安全であった地域が今度は戦闘地域に変わるのが今のイラクの現状です。それを、小泉総理は、何と、私に分かるはずがないではないかとまで言い放ちました。こんな政府のいい加減な説明で自衛隊を派兵するなどというのは、全く言語道断だと言わなければなりません。
 さらに、米英の戦争も、それに続く米英の軍事占領も、国連安保理が何ら正当性を与えない国連憲章違反の行為であることもまた明白であります。だからこそ、米英、特に米軍に対して、フセイン政権やバース党の残党だけではなく、一般の国民からも反感や憎悪が強まり、抵抗運動も広がっているのであります。
 質疑を通じて、自衛隊が米軍が行っている砂漠のサソリ作戦やガラガラヘビ作戦などとおどろおどろしい名前を付けた掃討作戦に支援することがあり得ることも明らかになりました。これでは、自衛隊に対してもイラク国民の抵抗運動の矛先が向けられることとなるのは必至と言わなければなりません。こうした問題の解明も全くなされないまま、質疑を打ち切り、採決を行うなどというのは全く言語道断であります。
 米英の軍事占領に対する自衛隊の支援問題もこれから究明しなければならない重大問題でありました。政府は、日本がイラクと交戦したわけではないから支援は問題ないなどと説明してきました。しかし、これはごまかしであり、強弁にすぎません。
 衆議院の参考人として公述した国際法専攻の松田大阪市立大学教授は、交戦国かどうかはイラク攻撃に参加したかどうかという過去の実績だけで決まるわけではない、他国が軍事占領を行っている場所へ行って、その占領の継続に役立つ行動を行えばその国も交戦国になる、安全確保活動はもちろん、給水や食料の輸送であっても、占領の実効性、継続を支援する行動はすべて交戦権の行使に該当すると述べています。
 日本国憲法が交戦権を放棄していることは今更言うまでもありません。同時に、他国の軍事占領に対して自衛隊が支援するなどということを憲法は想定すらしていません。したがって、この問題も憲法上の問題として十分な審議が必要でありました。しかるに、松村君は法案の審議を打ち切り、採決を強行したのであります。松村龍二委員長の責任は誠に重大だと言わなければなりません。
 以上が松村君の外交防衛委員長解任決議案に対して賛成する理由であります。
 イラク戦争は、戦争の口実とされた大量破壊兵器が発見されるどころか、うその情報で戦争に誘導したという情報操作疑惑が当の米英で大問題となっています。それにもかかわらず、小泉内閣は、ブッシュ大統領とアメリカ政府の言いなりに、自らの説明すら矛盾や破綻が明らかになる中で、国民の声に一切耳をかさず、あくまで自衛隊のイラク派兵に固執し、イラク国民に銃口を向けさせようとしているのであります。
 我が日本共産党は、たとえ無法なやり方でこの法案が強行成立させられたとしても、自衛隊のイラク派兵を断固阻止する決意を表明して、松村龍二君の外交防衛委員長解任決議案に対する賛成討論といたします。(拍手)
#5
○議長(倉田寛之君) 大江康弘君。
   〔大江康弘君登壇、拍手〕
#6
○大江康弘君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表して、ただいま議題となりました外交防衛委員長松村龍二君の解任決議案に賛成をする立場から討論をさせていただきます。
 この本会議に先立って、先ほど正に暴挙と言っていい強行採決が行われました。その際、私は少しばかり傷を負いまして、この痛みに耐えて討論をしてみたいと思います。
 そもそも、今回のイラク特措法案は提出そのものに正当性を欠いていたのであります。日米同盟という大義の下に、米国の要求には何が何でもこたえなければならないとの小泉総理の誤った外交感覚が、今、日本の真の独立国家としての存在を非常に危ういものにしております。
 戦後、日本人は、自らの意思で物事を決めたり、またつくり上げていくということに関し、とりわけ国の根幹にかかわる外交、防衛、憲法といった大切な事柄に対し、極めて消極的な姿勢を貫いてきたのであります。それは、さきの太平洋戦争における敗戦という経験が我々日本人を萎縮させ、時には卑屈にさせてきたことが大きな原因であったかと思います。
 自来、我が国では、国民の一致した世論形成や意見集約ということは、何か事が発生し、だれかが大きな犠牲を払う、こういう二つの事態がリンケージしなければ一歩前に踏み出せない、そんな国家になってしまったのであります。誠に残念であり、その最も大きな犠牲は、御存じのとおり拉致問題でもあります。
 正にこのような環境の中で安全保障も語られてまいりました。語られてきたといっても、自らの国は自らが守るという独立国家としての主体性や自主性に基づいた強い信念や義務感によるものではなく、日米同盟という名の下、日米安保という条約を支えてくれている米国の軍事力にひたすら頼り、平和と安全をゆだねてきたのであります。
 しかし、米ソ冷戦が終わり、世界情勢が激しく変化する過程で、もはや日本だけが世界の平和と安定の維持に無関心でいることは許されず、時代は大きな変化を我が国に求めてきたにもかかわらず、安全保障米国依存症は治らず、我が国の安全と平和を守るという崇高な使命を果たしてくれている自衛隊に対し、海外派兵を求められる際にしても、しっかりした法体系の下でその名誉と誇りを与えながら職務を果たしてもらえることもすることなく、何か事が起こるたびに枝葉の法律を間に合わせでつくり、政治の究極の決断である軍隊を海外へいとも軽く送り出してきたことは決して認められるものではありません。
 とりわけ、今回のイラク特措法案も、その思いとは違い、いまだかの地イラクは戦闘中という状況であり、日々刻々と現地の状況は変化し、決してこの法案が自衛隊が現地で活動するに当たってイラクの人々の十分な期待と信頼に本当にこたえられるべきものであるのかどうか、一体何のための、だれのための法案なのか、ただ米国に評価をしてもらいたいといった非常におかしな法案であります。正にポチ法案であります。
 私は、党派は違えど、松村委員長が外交防衛委員長に就任されたときは大いに期待を掛けた一人でありました。それは、御存じのとおり、委員長の政治家になるまでの華々しい経歴であります。
 東大法学部を卒業後、警察庁に入られてから、防衛庁調査一課長等を歴任され、文字どおり外交防衛畑のオーソリティー、専門家としての活動は、必ずや我が国の防衛の在り方、自衛隊のあるべき姿を、国際状況に合った、また諸外国から見てもらっても決して恥ずかしくない正しい形に変えてくれるであろうと信じておりましただけに、今回の強行採決という暴挙を許したあなたの委員長としての手腕や能力はその適格性に欠けるものと言わざるを得ません。あなたを信じた私がばかだった。
 しかし、このような法案を通すことは許されず、良識のある議員の皆さんと必ず廃案にすることを目指すとともに、まず、その第一歩として、このような法案をしっかりと審議もさせず、与党の数の論理だけで、自らの過去の尊い経験をも勇気を持って生かすことの努力も怠り、数の力に乗っかってこのような結果を招いた責任を厳しく問うとともに、ここに松村委員長の解任を強く求めて、私の賛成の討論を終わります。(拍手)
#7
○議長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#8
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 浅尾慶一郎君外八十三名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#9
○議長(倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#10
○議長(倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#11
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十七票  
  白色票            百一票  
  青色票          百三十六票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#12
○議長(倉田寛之君) 日程第二 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)を前会に引き続き議題といたします。
 これより委員長の報告を求めます。外交防衛委員長松村龍二君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔松村龍二君登壇、拍手〕
#13
○松村龍二君 ただいま議題となりましたイラク人道復興支援特別措置法案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、イラク特別事態を受けて、国家の速やかな再建を図るために行われているイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする国際社会の取組に関し、我が国が主体的かつ積極的に寄与するため、国連安保理決議第千四百八十三号を踏まえ、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うことについて必要な事項を定めるものであります。
 その主な内容は、政府は対応措置を適切かつ迅速に実施すること、対応措置の実施は武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないこと、対応措置は戦闘行為が行われることのない地域等で行うこと、この法律に基づき実施される対応措置を人道復興支援活動及び安全確保支援活動とし、対応措置を実施する際には閣議の決定により基本計画を定め、国会に報告すること、自衛隊の部隊等が対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議して、その対応措置の実施につき国会の承認を求めること、対応措置の実施を命ぜられた自衛官は、自己又は自己とともに現場に所在する他の自衛隊員等若しくはその職務を行うに伴い自己の管理下に入った者の生命又は身体を防衛するために一定の要件に従って武器の使用ができること、この法律は施行の日から四年を経過した日に効力を失うこと等であります。
 委員会におきましては、まず、内閣委員会との連合審査会を開会し、小泉内閣総理大臣並びに福田内閣官房長官、石破防衛庁長官及び川口外務大臣に対し質疑を行いました。次いで、所管大臣等に対する質疑を行い、また、公聴会を開会して五名の公述人から意見を聴取し、さらに、小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行いました。
 連合審査会及び委員会における質疑の主な内容を申し上げますと、イラクの復興を支援する理由とその取組方針、国連安保理決議第千四百八十三号と本法案に基づく対応措置との関係、憲法と本法案との関係、米国等による対イラク武力行使の正当性とイラクの大量破壊兵器をめぐる問題、連合暫定統治機構及び米英軍との関係、文民の職員やNGOなどによる人道復興支援、イラクの治安状況、自衛隊派遣の必要性と想定される業務内容、戦闘行為の判断権者、戦闘地域と非戦闘地域との判別、武器使用の在り方、対応措置の実施に当たっての安全の確保、派遣自衛隊員の処遇と事前研修、派遣国における自衛隊の地位に関する取決め、自衛隊の海外派遣を含む国際平和協力に係る恒久法の検討などでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局した後、討論を省略して採決に入ることの動議の可決により採決に入り、その結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(倉田寛之君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。若林秀樹君。
   〔若林秀樹君登壇、拍手〕
#15
○若林秀樹君 二回目ですので声が余り出ませんから、与党の皆さん、やじを飛ばさず静かに聞いていてください。
 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、政府提出のイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案に対し、反対の立場から討論を行います。
 先ほどの解任決議案でも申し上げましたが、参議院史上例を見ない民主主義を踏みにじる暴力による強行採決に踏み切ったことを改めて強く抗議し、採決そのものが無効であることを国民の皆さんに訴えたいと思います。
 良識の府参議院の皆さん、有権者から選ばれた皆さんは責任ある立場です。そして、一千名にもなろうとする自衛隊員とその御家族の方の立場も本当に考えていただきたいと思います。
 この法案が本当にイラクの復興支援に役立ち、自衛隊員が安心して安全に任務を果たすと心から思っていらっしゃるんでしょうか。責任ある立法府として、この法案で自衛隊員が日本国を代表し、胸を張って本当に活躍できる内容になっていると心から思っているんでしょうか。是非、自分の胸に手を当てて考えていただきたいと思います。そう思っている人は手を挙げていただきたいと思いますけれども、恐らくそういう勇気もないと思いますから、あえて聞きませんけれども。
 参議院の外交防衛委員会は、私は良識の府だと思いました。むしろ、与党の皆さん方からこの法案に対する様々な問題点の指摘がたくさんあったんです。
 民主党は責任ある野党第一党として、この法案に反対する理由を与党の良識ある皆さんの気持ちも代弁して、以下述べたいと思います。
 まず、イラク攻撃の大義であります。
 民主党は、イラクの大量破壊兵器問題に対し、徹底的な国連査察を通じた武力行使によらない平和的解決を訴え、国連憲章上も疑義のある米国等による対イラク攻撃に反対しました。しかし、小泉総理は、安易に米国等の情報をうのみにして、イラクの大量破壊兵器の脅威を理由に米国の攻撃を支持したのであります。
 あれから四か月、大量破壊兵器はいまだに見付かっておりません。それどころか、大量破壊兵器に関する情報や報告書が意図的に操作され、脅威が誇張されていたとの疑惑が持ち上がり、アメリカ、イギリスで大問題になっております。
 にもかかわらず、小泉総理は、大量破壊兵器が見付からないことに関し、サダム・フセインが発見されないからといってサダム・フセインがいなかったとは断定できないでしょうと詭弁を述べ、非戦闘地域についても、どこが戦闘地域だか私に分かるわけがないと無責任極まりなく開き直り、法案の前提となる非戦闘地域の所在についても、この場に及んで、あるかないか状況を調査すると、支離滅裂の答弁を繰り返しております。このような国民を愚弄するような答弁が一国の総理に果たして許されるのでしょうか。
 民主党は、小泉総理がフセイン政権による大量破壊兵器保有の確たる証拠なしにイラク攻撃を支持した正当性を改めて問いただし、小泉総理の責任を今後とも厳しく追及することをここで明確にしておきたいと思います。
 民主党は、我が国がイラク復興支援に積極的に取り組んでいくべきとの見解を明確にし、その上で、先月いち早くイラク調査団を派遣し、私もその一員として現地のニーズをつぶさに検証してまいりました。最終的には、調査団の報告を踏まえつつ、現地のニーズと我が国の支援する能力、憲法上の問題、対イラク、対中東政策を総合的に勘案し、民主党は現時点で自衛隊を派遣することは妥当ではないという結論に至りました。
 反対の理由は一杯あります。時間がありませんが、最大の理由は、この法案が自衛隊派遣先にありき、米国にいい顔をしたいがための泥縄式の欠陥法案であるからであります。
 確かに、法律上、憲法上の問題を回避するために戦闘地域、非戦闘地域を分け、自衛隊は安全な地域にしか行かず、米国の指揮下ではなく主体的に行動し、武力を行使しないということになっております。しかし、言葉だけきれいな文言を並べるのは簡単でありますけれども、イラクは法的にも実態的にも戦争状態が続いているのであり、全土が組織的なゲリラ攻撃が続く戦闘地域であり、そのことを米軍は公式に認めているのであります。安全なところしか行かないから大丈夫などという、正にフィクションであり、イラクの実態に目をつぶった自己矛盾の法理論であります。
 世界じゅうに、戦闘地域でないから軍組織を出せると国民に説明している政府はどこにありますでしょうか。私の知る限り、日本政府しかありません。日本以外の国は、戦闘地域だから軍組織を出すと考えているのであって、だからこそ戦闘地域でなければ軍組織を出さないという節度が働くのであります。
 石破長官も大変詭弁がうまくなってまいりました。最近、戦闘地域、非戦闘地域は地理的な概念ではない、地図上で色分けできないでしょうと言っております。しかし、実際の法案上は、要件を決めてここが非戦闘地域という、実施区域を区分けする、正に地理的、物理的な概念なんです。もう支離滅裂のこの答弁に、私は全く最後まで、最後まで理解できませんでした。
 しかし、このような区分けがないことは、毎日頻繁に起こっている米軍襲撃の事件で分かることだというふうに思います。米国の情報をうのみにして米国のイラク攻撃支持を決めた日本政府は、なぜこの治安に関する米国の情報だけはうのみにしないのか、全く理解できません。
 その他の欠陥を挙げても切りがありません。
 武器の使用基準をとっても、今回は具体的な任務を遂行するために派遣されるのに、任務遂行を阻止する動きを排除する目的で武器を使用できないことであります。
 武器を使用するためには、自らを意図的に危険な立場にさらし、無理やり正当防衛の状況をつくらないとそれが使えないという、正に信じられない対応が求められるのであり、正に本末転倒ではないでしょうか。
 また、本法案が自衛隊の対応措置について国会の事後承認としているところであります。
 政府は事前承認すると迅速な対応が取れないと言いますが、そもそも国会延長してのんきに出してきた法案でありますし、二、三か月の訓練を経てようやく十月下旬に派遣されるというふうに思っていたら、総選挙への影響を恐れ、十一月中旬以降に先延ばしするなど、およそ自衛隊派遣が国会承認を得る余裕もないような緊急事態であるとは全く想定できないのであります。
 今、イラクとイラクの国民のためになる支援は何かを考えたとき、日本が一番なすべきことは、私は国連を中心とした復興援助で中心的な役割を果たすことだと思っております。十月には支援国会合が開かれ、本格的な復興支援が始まろうとしております。
 我々の調査で分かったことは、医療、教育、電力、放送通信施設復旧など、復興支援でやるべきことは一杯あるんです。
 特に、失業率六〇%と言われているイラクで一番求められている援助は、私は、雇用の創出、仕事をつくることではないかというふうに思います。まずは政府機能を一日も早く回復させ、復興援助のプログラムを実行しながら、経済を立て直し、雇用をつくることであります。そのことが中長期的にも治安の維持に一番役立つのです。
 以上、イラク支援法案は平和と安定の道を歩んできた日本外交を正反対に転換させかねない欠陥法案であります。
 改めて申し上げたいと思います。
 良識の府、責任ある参議院の皆さん、是非とも派遣される自衛隊員とその家族の立場も十分考慮し、是非皆さんお一人お一人の良心に従って責任ある判断を心からお願いし、私の反対討論を終わらさせていただきます。(拍手)
#16
○議長(倉田寛之君) 山本一太君。
   〔山本一太君登壇、拍手〕
#17
○山本一太君 私は、自由民主党・保守新党を代表して、議題となっておりますイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案につきまして、賛成の立場から簡潔に討論を行います。
 与党三党は、先月、イラク戦争後のイラクの復興に関する調査団を現地に派遣し、イラク国内の治安状況、支援ニーズ等についての調査を実施いたしました。こうした様々な調査や情報収集を通じ、イラク国内の主要な戦闘は終結していること、また国際社会がイラク復興及びイラクの民主的な統治機構の設立に向けて全力を挙げ支援していることが明らかになっております。事実、イラクに部隊を派遣している国は米英を除いて十数か国に上り、派遣を決定あるいは検討中の国を合わせると、最終的に四十か国程度に達すると見られております。
 このような国家再建に向けたイラク国民の自主的な努力を支援、促進しようとする国際社会の取組に対し、我が国が国連安保理決議第一四八三号の趣旨を踏まえ、世界第二位の経済大国として、また責任ある国際社会の一員として主体的かつ積極的に協力する必要があることは当然のことと考えます。
 イラクが復興を遂げ、民主的な国家として再生することは、イラク国民のみならず、イラクを含む中東地域全体の平和と安定に大きく貢献します。同時に、このことが、中東地域から原油の約九割を輸入する我が国の国益に合致するということは言うまでもありません。
 このような観点から、イラク復興のために自衛隊の部隊等及び文民であるイラク復興支援職員による総合的な支援を可能にする本法案を速やかに成立させることが不可欠です。
 現在のイラク国内の治安状況に関しては、主要な戦闘は終結したとはいえ、局地的、散発的な米英軍への襲撃が発生しており、その点には十分に留意する必要があります。当然のことながら、本法案に基づく対応措置は戦闘行為が行われることのない地域で実施することとなっております。
 非戦闘地域の設定は、政府が的確かつ多角的な情報の収集に最大限の努力を行うことにより可能であると考えますが、仮に、情勢の変化により、活動中に戦闘行為の発生に遭遇するなどの状況になったとしても、本法案では、活動の一時休止や避難等により、武力の行使との一体化の問題を生じさせないことが制度的に担保されております。
 本法案に基づく対応措置は、自衛隊の部隊等及び文民であるイラク復興支援職員が実施することとなっております。しかし、イラクという厳しい環境の中で効果的な活動を行うためには、自己完結性を備えた自衛隊の能力等を活用することが現段階で最も適切な選択であることは言をまちません。
 占領行政を担う米英の連合暫定統治機構、CPAや米英軍との関係については、自衛隊が本法案に基づく活動を行ったとしても、CPAや米英軍の指揮下に入るものではありません。また、我が国は、イラクに対し武力を行使していない非交戦国であり、本法案に基づく自衛隊の活動はあくまでも国連安保理決議の要請にこたえるものであります。
 本法案の成立後、政府は、速やかに現地のニーズや具体的な活動内容について引き続き調査検討を行う必要があります。派遣する自衛隊員へのイスラム文化の基礎的教育や自衛隊の活動に関するイラク国民向けの広報を行いつつ、時期を逸することなくイラクの復興に対する活動を実施すべきことを政府に強く要望して、賛成討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(倉田寛之君) 小泉親司君。
   〔小泉親司君登壇、拍手〕
#19
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、イラク特別措置法案に対する反対の討論を行います。
 まず、私は、戦後初めて自衛隊の地上部隊を戦地イラクに派兵する究極の違憲法案が、わずか三十数時間という極めて不十分な審議時間の下で、自民、公明、保守の与党三党によって強行されたことに満身の怒りをもって糾弾するものであります。
 反対の理由の第一は、戦闘地域と非戦闘地域の区分ができるという虚構の下で、自衛隊を戦地に派遣する危険極まりない法案だからであります。
 参議院での審議のさなかにもイラクの現地の情勢は悪化の様相を呈しており、正に泥沼化しているのであります。ロケット弾や仕掛け爆弾、自爆テロなどによる米軍兵士の犠牲も増大の一途をたどり、イラク戦争による米軍の死亡者はついに湾岸戦争を上回る百五十五人に上っております。七月十六日、アビザイド米中央軍司令官が、米軍はイラク全土で典型的なゲリラ戦闘を実施している、それは戦争であると述べていることでもはっきりと示されています。
 これら一連の事態は、法案で言う戦闘地域、非戦闘地域が全くの虚構であり、たとえ非戦闘地域でも決して安全とは言えない状況に至っていることは明白であります。それにもかかわらず、政府は非戦闘地域を設定し、その非戦闘地域に自衛隊を派兵するのだから大丈夫だと、壊れたテープレコーダーのように繰り返すだけであります。
 こうした中で、元防衛庁教育訓練局長であった小池清彦加茂市長は、全国会議員に書簡を送り、イラク特措法の考え方は詭弁であり、強弁であります、イラク特措法が成立して、私が激励した人たち、自衛隊員が招かざる客としてイラクに派遣されて、万一命を落とすようなことになったら、私は今度は自衛隊入隊者激励会において何と申し上げたらよいのでしょうか、私は言葉を知りませんと厳しく指摘しております。このようなことを現実のものにしてはなりません。
 政府が強調する国連安保理決議でさえも、軍隊の派遣を要請していないことは総理自身が認めていることであります。このような虚構の下に無理やり自衛隊をイラクに派兵することは絶対に認められないのであります。
 理由の第二は、この法案が、政府が言うような自衛隊によるイラクの復興支援ではなく、米英占領軍を支援する以外の何物でもない、憲法に違反する交戦権行使の法案であるからであります。
 イラク特措法案は米英占領軍の治安維持活動への自衛隊支援を定めています。これは国連決議でも専ら占領軍の任務とされているものであります。このような支援活動が国際的にもイラク国民からも占領軍と一体の活動と見られることは明白であります。
 米英占領軍は、砂漠のサソリ作戦やガラガラヘビ作戦など、フセイン軍やバース党の残党を掃討する攻勢的な軍事作戦を展開しています。イラク国民の民家を急襲し、強圧的な捜索と攻撃、パトロールと、武装を解除させるための作戦であります。この作戦によって米軍がイラク国民と敵対関係に陥っていることも報告されています。政府はこのような作戦も支援の対象としており、これらが占領軍と一体の活動と見られることは当然ではありませんか。
 しかも、これらはフセイン前政権の残存勢力の掃討ということにとどまりません。イラクでは、今、仕事をよこせなどの住民のデモ、住民の抵抗闘争まで起きています。米軍はこのデモに対して発砲、鎮圧するという暴挙まで行っています。
 ところが、石破防衛庁長官は、イラクの普通の国民を弾圧する米軍の軍事活動を安全、安定回復の活動とみなすこともあることを明らかにしています。川口外務大臣に至っては、占領当局の同意を得てイラクに入るのだから法的にはイラク国民の抵抗は合法的ではないと答弁して、イラク国民の抵抗に対して自衛隊が武器を使用することもあり得るとまで述べているのであります。小泉総理もこのことを追認いたしました。
 自衛隊の派兵が米英占領軍と一体となってイラク国民の抵抗を抑圧し、場合によれば武器を使用するというのは、イラク国民に銃口を向けるものであり、断じて容認ができないものであります。
 第三は、イラク特措法の前提となっている米英のイラク戦争の正当性は今や根本から崩れているのであります。
 そもそも、米英によるイラク戦争は国連憲章に違反した先制攻撃戦争であり、国連の安全保障体制を侵害するものであり、断じて許されません。米英がイラクに対する武力行使に当たって最大の口実にしたのが大量破壊兵器の問題でありました。ところが、この最大の口実であった大量破壊兵器はいまだに発見されておらず、アメリカでもイギリスでも戦争の正当性が大問題になっています。
 米英のイラク戦争をいち早く支持した小泉総理は、イラクが大量破壊兵器を保有していると断定しておきながら、いまだにその誤りを認めておりません。それどころか、フセイン大統領が見付からないからといってフセイン大統領がいなかったと言えるのかと何遍も開き直りました。こんな詭弁でイラク戦争を正当化する法案を強行するなど、絶対に許されないのであります。
 今、アメリカでは、政府による情報操作が暴露され、戦争の口実の一つとされたイラクがアフリカから核燃料を輸入したという情報がうそだったことが公式に確認されたのであります。ブッシュ大統領は、とうとうイラクが大量破壊兵器を保有していたとは言えなくなって、ラジオ演説の中で、大量破壊兵器の計画があったと言い換えているのであります。
 イラク戦争が何の大義もないことは明白であります。イラク戦争が違法な戦争であることが明白となった今、そして戦争の大義が崩壊した以上、イラク特措法案は廃案にすべきであります。
 このイラク特措法案は、参議院が一九五四年六月二日に採択した自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議をじゅうりんするものであります。この決議に照らせば、現に戦闘が多発しているイラクに自衛隊を派遣することも、米英の軍事占領を支援することも、イラク国民に銃口を向ける米軍を支援し、自衛隊がイラク国民から反発と抵抗の的にされる状況をつくり出すことは許されないことは明白であります。しかも、総理が自衛隊の海外派兵恒久法の検討をするなどというのは言語道断であります。
 アメリカの不当、不法な戦争で傷付けられた、破壊されたイラクの国民と国土の復旧・復興のために必要なのは、自衛隊という軍隊の派兵ではありません。イラク国民が求めている食糧、水、医薬品、学校用具、上下水道や発電施設の修理などの復興支援は国連中心で、憲法の平和原則に基づく非軍事的手段で積極的に進めるべきだということを強調するものであります。
 以上述べたように、本法案はどこから見ても許されないものであります。政府の詭弁と虚構が明らかになるにつれ、国民の反対の声が高まり、どの新聞の世論調査でも反対の声が大きく広がっております。こうした国民の多数の声に背いて法案成立を強行することは、我が国議会政治に重大な汚点を残すものであり、断じて許されないものであります。
 たとえイラクの特措法案が与党三党の暴挙によって成立したとしても、闘いが終わったわけではありません。我が党は自衛隊のイラク派兵の実施を許さないために一層奮闘することを表明して、反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(倉田寛之君) 山本保君。
   〔山本保君登壇、拍手〕
#21
○山本保君 私は、公明党を代表して、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案について、賛成の立場から討論を行います。
 その理由を簡潔に申し上げます。
 第一には、この人道復興支援活動等が、我が国の国益に合致し、さらに平和憲法の理念にかなうからであります。
 現今の国際情勢の中で、我が国だけが平和と繁栄を享受することはもはや許されません。国際社会において責任を有する立場にある我が国がイラクを含む中東地域の平和と安定に寄与することは、憲法前文の「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という平和主義原則からしても当然であります。本法案は、人間の安全保障を外交の基本とする、平和、人道の日本の第一歩を記すものであると確信いたします。
 賛成の第二の理由は、本法案の最大の目的がイラク国民自身によるイラクの国づくりを全面的に支援することにあるからです。
 国連では、イラクへの人道復興支援への協力を求めた安保理決議一四八三が全会一致で採択されました。本法案は、この決議の要請にこたえ、我が国が主体的判断の下に自衛隊派遣を始めとする幅広い協力を行うための枠組みを定めるものであります。
 現在のイラク情勢を考えれば、復興の初期段階として、自己完結的に行動できる自衛隊の派遣が絶対に必要であり、これを選択肢から外すことは机上の空論と断ぜざるを得ません。
 この自衛隊の活動は、人道的見地から行うものであり、憲法九条の禁ずる「武力による威嚇又は武力の行使」には当たりません。また、本法案が自衛隊の活動地域を非戦闘地域に限定していることは、平和憲法の趣旨をより体現化したものとして高く評価できるものであります。
 政府においては、速やかに現地調査を実施し、住民のニーズや文化、伝統に十分配慮した基本計画を一刻も早く策定し、立法府に示すよう求めます。また、その基本計画は政府の責任をもって着実に実施されるよう要請いたします。
 最後に、私も与党調査団の一員としてイラクに行ってまいりました。私は、我が国が支援の限りを尽くして、イラクの一日も早い安定と復興に寄与することを熱望します。現地は、フセイン政権の失政の影響で生活基盤が壊滅状態にあり、国民が困窮にあえいでおりました。自衛隊の派遣だけではなく、文民組織の派遣や国際機関を通じての支援、NGOへの協力も重要であり、長期にわたりあらゆる面からイラクの国づくりを支えていく覚悟が求められております。
 本法案の成立は我が国が主体的に行う平和的取組のために必要不可欠であり、そのことを改めて確認し、賛成討論といたします。(拍手)
#22
○議長(倉田寛之君) 広野ただし君。
   〔広野ただし君登壇、拍手〕
#23
○広野ただし君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。
 私は、国連を代表して、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案に対し、反対の立場から討論を行います。
 まず、自民党、公明党及び政府の強引な委員会運営に対し、強い抗議の意を表明いたします。
 本来であれば、このような重要法案は、十分な時間を掛けて、幅広く参考人等の意見を聴きながら慎重に審議すべきであります。しかし、政府・与党は、会期末だということで、衆議院が四十三時間の審議をしたのに対し、もちろんこれも十分な時間ではありませんが、参議院はわずか三十一時間の質疑で、無謀にも昨日、強行採決を行ったのであります。この採決は、異常な雰囲気の中で行われ、全く委員長の声も聞こえない状態でしたので、採決は無効であります。委員長は瑕疵がなかったと言っていますが、こんな採決がまかり通るとなれば世も末であります。強く抗議するものであります。
 次に、小泉内閣の外交政策のいい加減さを指摘いたします。
 その前に、このイラク特措法の本会議質疑になぜ川口外務大臣、石破長官が出席していないのか、誠に不思議に思うわけで、二大臣の無責任さが表れているのではないかと考えるわけであります。
 ところで、小泉総理の外交態度は、口では、日本は主体的かつ自主的に決断しているかのごとく言っていますが、実際はアメリカ追随の考え方で、アメリカの言いなりであります。イラク特措法についても、アメリカの内々の要請にこたえて、まず陸上自衛隊のイラクへの派遣ありきなのであります。
 先日の民主党菅代表との党首討論で、イラクの非戦闘地域は具体的にどこかとの問いに、小泉総理は、分からない、分からないのが当たり前と言わんばかりの答弁であります。そんな無責任な態度で陸上自衛隊をイラクに派遣されたのでは、命を懸けて国際貢献しようとしている自衛隊員に誠に失礼であります。小泉総理は、自分が行くのでないから、人の命だからと安易に考えられておるようで、本当に問題であります。
 今度のイラクへの陸上自衛隊の派遣で、もし万一、不幸にも日本側に大きな被害や犠牲が出た場合、そしてまた反対に、誤解に基づいてイラク側に大きな被害や犠牲を出すこととなった場合、小泉総理の責任は極めて重大で、総辞職をしたとしても責任は取れないくらいのものだと申し上げておきます。
 また、心配なのは、陸上自衛隊をイラクに派遣することで、イラク国民からは日本がアメリカの占領軍に協力しているかのようにも受け止められかねないことであります。また、大義のない英米軍のイラク攻撃に対し、小泉内閣はいち早く積極支援を表明しました。
 これらのことから、日本はイラク国民の大きな反感を買い、これまで良好であったイラクや中近東との友好関係が失われ、長期的な日本の国益が失われかねないことであります。
 また、日本国民が海外旅行中にテロの対象になりかねないことも極めて心配であります。正に、小泉内閣の中近東政策、中東外交は、その場限りの場当たり的、無責任な政策そのものだと断ぜざるを得ません。外交防衛政策は国の根本を成す重要な政策です。小泉内閣の外交が誠にいい加減なことは本当に腹立たしい限りであります。
 ところで、自衛隊は実力行使部隊でありますので、自衛隊を海外に派遣するということは極めて慎重でなければなりません。ところが、小泉内閣は、暫定的な特別措置法の積み上げで経験を積み、しかる後に恒久法をつくればよいと考えています。これは、余りにも安易な、いい加減な考え方で、総理が自衛隊の最高司令官だとの明確な自覚も責任も感じておられないようであります。
 今回、公聴会で公述人となられた東大名誉教授の板垣雄三先生は、「日本人よ、覚悟はできているか」という著書で、覚悟も何もないところで海外に出ることの恐ろしさを言っておられます。
 自衛隊の海外派遣は、自由党が国会に提出している安全保障基本法案のように、日本国憲法の平和主義及び国際協調主義の下、明確な基本理念に基づいて行わなければなりません。したがって、まず基本法をつくることが重要で、次にその枠内での個別法というのが通常の考えで、小泉総理の言う順序とは全く逆であります。
 おまけに、イラク特措法は、憲法との関係では、憲法違反を逃れるため、迷路のようなすき間をくぐる法律となっており、全く現実離れのした欠陥法案であります。小泉内閣の外交防衛政策の危うさを強く懸念するものであります。
 イラクは、現在も終わりのない戦争状態にあり、極めて危険であるということは英米軍も認めているところであります。その上、言語、風土、民族、宗教、習慣、文化、歴史等が大きく異なるイスラムの世界であります。日々接するイラク国民と陸上自衛隊の間でちょっとした行き違いが誤解を生み、それが更に拡大して、イラク、日本双方に大きな事故、大きな被害、大きな犠牲が出るかもしれません。
 先日も、テロを探索するためにイラク市民の家に捜査犬とともにアメリカ兵が入ったことがもとで、イラク市民が大きな侮辱を感じ、大事件に発展しました。敗戦後の日本でも、アメリカ兵が畳の上に土足で入ったために大事件になったケースが数多くありました。これらは正に習慣や文化の違いからくる誤解がもとで生じた卑近な案件であります。
 イラク国民は、メソポタミア文明を生み、古くはハムラビ法典を生み出した誇り高い国民です。その誇りを侮辱することのないことを祈るばかりであります。
 このようなことに対処する覚悟と責任はすべて小泉内閣にあるわけですが、小泉内閣にはその覚悟ができていません。驚くべきのうてんきさであります。
 また、北朝鮮問題でアメリカに守ってもらうために、イラクでアメリカに協力するのだという議論がありますが、ブーツ・オン・ザ・グラウンド程度のお付き合いでアメリカが命懸けで日本を守ると期待するのは安易な幻想です。自分の国は自分で守る。当然のことであります。
 北朝鮮問題に対処するには、まず日本が自らをしっかりと守ることであります。そして、しかる後、日米安保条約の運用体制を万全にすることであり、これはこれで努力しなければ、他の地域で何をやっても駄目です。そもそも、北朝鮮問題で楽をするためにイラクで自衛隊の隊員を危険にさらすというのは卑怯であり、諸国民の軽蔑と侮りを受ける考え方です。
 以上のほか、数々の大きな欠陥を抱えるイラク特措法でありますが、時間の関係でこの程度にとどめることといたします。
 私は、イラクに対して日本がなすべき支援は、国連決議に基づき、国連機関を通した人道支援及び経済復興支援に限るべきだと考えておりますが、その場合でも国際的に高い評価が得られると確信しております。
 以上のごとく、小泉内閣提出のイラク特措法は日本の進路を大きく誤るものであるということを強く指摘して、私、広野ただしの反対討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#25
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 浅尾慶一郎君外八十三名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#26
○議長(倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#27
○議長(倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#28
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十八票  
  白色票          百三十六票  
  青色票            百二票  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#29
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前一時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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