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1947/10/18 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第14号
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1947/10/18 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第14号

#1
第001回国会 文教委員会 第14号
昭和二十二年十月十八日(土曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 高津 正道君
      田淵 実夫君    永井勝次郎君
      松本 七郎君    伊藤 恭一君
      押川 定秋君    米田 吉盛君
      近藤 鶴代君    坂田 道太君
      圓谷 光衞君    松原 一彦君
      織田 正信君    黒田 重治君
 出席政府委員
        總理廳事務官  三橋 則雄君
        文部事務官   日高第四郎君
        遞信政務次官  椎熊 三郎君
 委員外の出席者
        議     員 島田 晋作君
        議     員 海野 三朗君
        議     員 受田 新吉君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 六・三制教育實施に關し兩院文教委員會の合同
 審査會開會の件
本日の會議に付した請願
 一 岐阜農林專門學校昇格に關する請願(武藤
   嘉一君紹介)(第六六號)
 二 新制中學校の施設對策に關する請願(神山
   榮一君紹介)(第七三號)
 三 岐阜農林專門學校農村工業實科修業年限延
   長の請願(武藤嘉一君紹介)(第二四一
   號)
 四 善通寺町に四國綜合大學設立の請願(福田
   繁芳君紹介)(第二七二號)
 五 香川師範學校男子部附屬中・小學校復興促
   進の請願(福田繁芳君外二名紹介)(第四
   ○一號)
 六 私立中等學校に國庫補助の請願(栗田英男
   君紹介)(第四一六號)
 七 水野村における東京帝國大學演習林の一部
   拂下の請願(早稻田柳右エ門君紹介)(第
   四六三號)
 八 新添第二師範學校昇格の請願(猪俣浩三君
   外三名紹介)(第四九〇號)
 九 盲教育義務制實施に關する請願(山口好一
   君紹介)(第五〇九號)
一〇 定時制高等學校設置の請願(奥村竹三君紹
   介)(第五六九號)
一一 北海道に國定教科書の作成委讓の請願(正
   木清君外二十一名紹介)(第七六四號)
一二 六・三制完全實施のために全額國庫負擔の
   請願(鈴木善幸君紹介)(第七六五號)
一三 秋田鑛山專門學校昇格の請願(島田晋作君
   紹介)(第七六六號)
一四 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外二件(松本淳造君紹介)(第七八六
   號)
一五 教育振興のための特殊郵便切手發行に關す
   る請願(受田新吉君紹介)(第七八八號)
一六 小學校教員の恩給増額に關する請願(石川
   金次郎君紹介)(第七九七號)
一七 同(淺利三朗君紹介)(第八二一號)
一八 鹿兒島青年師範學校を鹿屋市に移轉竝びに
   昇格の請願(的場金右衞門君紹介)(第八
   三九號)
一九 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願外三十四件(佐々木更三君紹介)(第八
   四一號)
二〇 小學校教員の恩給増額に關する請願外五件
   (志賀健次郎君紹介)(第八五一號)
二一 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請
   願(井谷正吉君外二名紹介)(第八五六
   號)
二二 福島經濟專門學校昇格の請願(原孝吉君紹
   介)(第八七五號)
二三 小學校教員の恩給増額に關する請願外二件
   (志賀健次郎君紹介)(第八七八號)
二四 定時制高等學校設置の請願(豊澤豊雄君紹
   介)(第八八〇號)
二五 同(松原一彦君外二名紹介)(第八八一
   號)
二六 小學校教員の恩給増額に關する請願(今村
   忠助君紹介)(第八八二號)
二七 同(石川金次郎君紹介)(第八八三號)
二八 松江市に官立大學設置の請願外一件(木村
   小左衞門君外四名紹介)(第八八八號)
二九 宮城縣の新學制完全實施のため國庫金増額
   その他に關する請願(佐々木更三君外三名
   紹介)(第八九二號)
三〇 實業教育大學設置の請願(豊澤豊雄君紹
   介)(第九〇〇號)
三一 米澤工業專門學校昇格に關する請願(海野
   三朗君紹介)(第九〇六號)
三二 小學校教員の恩給増額に關する請願(海野
   三朗君紹介)(第九一五號)
    ―――――――――――――
#2
○高津委員長代理 會議を開きます。
 これより本委員會に付託されました請願の審査に入ります。この際申し上げますが、會期の延長もほぼ決定いたしましたので、本日御審査を願う請願の諸件につきましては、愼重審議の建前から、決定を留保いたしておきますから、この點御了承願います。
 日程第一三、秋田鑛山專門學校昇格の請願、文書表第七六六號、紹介議員島田晋作君。
#3
○島田晋作君 私は秋田鑛山專門學校昇格に關する請願の紹介議員であります島田晋作であります。ごく簡單に請願の趣旨を申し上げます。
 まず請願の趣意といたしましては、秋田鑛山專門學校は、すでに創立以來三十七年にわたりまして、鑛山技術の研究と教育に努力しまして、地下資源の開發のために多大の貢獻をなしてまいつたのであります。しかして現下の日本經濟再建が、鑛業の發展にまつところ、きわめて大なるものがありますにつきましては、本校の使命がますます重要性を加えてまいつたのであります。殊に東亞地方、殊に秋田縣における地下資源は、御承知の通りいろいろな意味におきまして豐富でございまして、そうしてこれからの再建のためにはどうしてもこれを科學的に開發しなければならぬ。それにつきましては、技術的な面におきまして、今日の鑛山專門學校を昇格せしめまして、そうしてほんとうにAクラスの大學といたしまして――御承知の通り專門學校はこれからどんどん大學になるのでありましようけれども、そういう單なる大學昇格でなくて、名實ともに備わりました、つまり大學院あるいは研究所をもちましたところの本格的な大學に昇格していただきたい。これが鑛山專門學校の關係者竝びに秋田縣民一致の要望なのであります。秋田縣の鑛山專門學校昇格運動につきましては、非常に長い歴史がございまして、この際詳しく申し上げますことははばかりますが、全部政黨政派を超越いたしまして一致してこの年來の希望を達成したいというのが念願でございます。趣旨はもはや多々辯ずる必要もないのでありますが、御參考までに今までの經過をごく簡單に申し上げまして、皆様の御了解、御了承を得たいと思うのであります。
 大體秋田鑛山專門學校の設立というものは、明治四十年ごろから實は行われたのでありまして、當事の文部大臣牧野伸顯氏は、時の文部次官眞野文治、的場中、俵國一、渡邊俊雄の四氏を設計顧問といたしまして鑛專を設置いたしたのであります。ところが、これは將來單科大學になるという一つの約束があつたのであります。今日になりまして當事の約束云々ということは、申しがたい點もありますが、秋田縣の縣民といたしましては、當時文部大臣から、單科大學はすぐできないが、單科大學にするという含みをもつて鑛山專門學校にするという約束があつたことは、みな知つているのであります。これが大正になりまして、中橋徳五郎さんが大正九年文部大臣になりまして、機運が熟しまして、もう少しで單科大學になるということになりましたが、いろいろな當事政治情勢の變化からいたしまして遂に實現されなかつたのであります。しかし實現されませんでしたが、今度は確實にほんとうに單科大學にするのだということを中橋さんから牧野さんの時代とは違つた意味におきまして約束がありまして、それが延び延びになりまして今日にまでなつたのであります。
 ただ私どもはそういう口約ということばかりにこだわるのではございません。現在の秋田鑛山專門學校の實體というものはどういうものであるか。これはすでに御承知のごとく、ただいまの校長には池田謙三さんという方がおられますが、この人は斯界の權威者でありまして、人的な機構から申しましては、ただちに昇格いたしましても、他の單科大學あるいは總合大學におきまする、たとえば東大におきまする鑛山專門學校に相當した總長、學長さんに比して學殖におきましても、人格におきましても、少しも劣らない方であります。また鑛山專門學校それ自體の今までの研究というものも、いろいろな意味の成果をあげておりますので、かれこれ總合しまして、私どもは自身をもつて鑛山專門學校が大學になりましても、その大學が冒頭に申し上げましたように、單に昇格でなくて、いわゆるAクラス、つまり大學院なり、あるいは研究所なり、名實ともに備わつたところの大學になりましても、皆様國民には決して御迷惑をかけないし、またそれだけの成果をあげ得るという自信をもつて申し上げるのであります。しかも理論的な方面における研究のみならず、秋田懸は先ほども申し上げましたように各種の鑛山がありまして、石炭に關しましては劣つておりますけれども、他の鐵、金屬におきまして、あらゆる鑛産物が豐富にあります。實際上の研究ということも可能であります。學生諸君も、あるいは先輩の方、あるいは縣民の人が鑛山に對しては歴史的な密接な關係がありますので、學校の當事者はもちろん、先輩ももちろん、縣民自身が鑛山に對しても非常な關心をもつております。一つの高い常識をもつておる國柄でありますので、どうかその點を御勘案くださいまして、愼重審議の上、滿場一致この請願の趣旨を達成されまして、四十年になんなんとするところの縣民の希望を貫徹されまして、日本再建のために一つの大きな原動力になるところの機會を與えられんことをお願いしまして、簡單でありますが私の請願の趣旨の辯明を終る次第であります。
#4
○高津委員長代理 ただいまの請願に對し、政府の御意見をお伺いします。學校教育局長日高政府委員。
#5
○日高政府委員 秋田鑛山專門學校の歴史と現状については、今お話のあつた通りであろうと思います。牧野文部大臣が單科大學に昇格を約束されたかどうかは、私は承知いたしませんが近く新しい大學に轉換いたします際に有力な候補者になるであろうということは、想像できるのでありますが、御承知のように今囘は高等專門學校、官立だけでも數百のものを處置いたさなければならないのでありまして、それについて今日の國家財政經濟上の條件から申しますと、どの學校をどういうふうにするということを、あらかじめ私見を申し述べる自由はございません。それは御承知のように、學校教育法の第六十條に規定されておりますような大學設置委員會の議を經て、その諮問機關の諮問の結果によりまして文部大臣が認可決定するような手はずをとりたいと思つております。委員會によつて十分審議されるであろうと思います。私どももできるだけ國家財政の許す限りにおいて、各地方の要望については御希望に副いたいように考えております。結果についてはあらかじめ申し上げることができない次第であります。
#6
○高津委員長代理 本件について委員諸君の御意見はございませんか。――なければ次に移ります。
    ―――――――――――――
#7
○高津委員長代理 日程第一六、第一七、第二〇、第二三、第二六、第二七及び第三二、以上七件の各請願は、小學校教員の恩給増額に關する請願で、同一趣旨でありますから、一括議題といたします。これは前囘紹介議員の御紹介を了しておりますので、紹介を省きますが、委員諸君の御意見、御質疑がありますれば御發表を願います。
#8
○松原(一)委員 今日は前囘お願いしておきました恩給局長のせつかくの御出席でございますから、私はこの請願の趣旨を敷衍して、ぜひとも政府は適當に御考慮になつて、御實施になるように希望する趣旨を申し述べたいと思うのであります。
 今囘制定になりました公務員法の第百六條によりますると、退職者に對する恩給の根本基準が法律によつて定められたのであります。第百六條は「職員であつて、相當年限、忠實に勤務して退職した者に對しては、恩給が與えられなければならない。」と規定してあります。また第百七條には、「前條の恩給制度は、本人及び本人がその退職又は死亡の當事直接扶養する者をして、退職又は死亡の時の條件に應じて、その後において適當な生活を維持するに必要な所得を與えることを目的とするものでなければならない。」と明記してあります。またその末項に「恩給制度は、健全な基礎のもとに計畫され、人事院によつて運用されるものでなければならない。」「人事院は、なるべく速かに、恩給制度に關して研究を行い、その成果を内閣總理大臣に提出しなければならない。」かようにあるのであります。これによつて見ましても、公務員にして相當年限忠實に勤務し、退職した者に對しましては、恩給が與えられ、かつその額はその後において適當な生活を維持するに必要な所得の程度を與えられなければならないのであります。ただいまの恩給法はきわめて古い不完全なものでありまして、しかもその施行に際しましては、昨年十月十五日に出ました恩給法臨時特例によりまして、給與の額三百圓の者は四十五圓の假定俸給額によつて恩給を査定し、最高二千圓の者が、わずかに六百五十圓の假定俸給額によつて恩給計算の基礎となつておるのであります。これは臨時の特例でありまして、至急に改廢しなければならないことは、今囘の公務員法においてこれを明確に示しております。ただいまの小學校教員の恩給の増額請願は、全國的のものでありまして、たくさんなものがここに集まつておるのでありますが、まことに不合理きわまるものであつて、ただいま給與せられておりまする恩給額では、最低の文化生活はおろか、配給のものを受取るだけの金額にも達しない、きわめて菲薄なものであるのであります。私どもの承知しておりまする限りにおいて、今日恩給を受けておる者は、過去において最も低い俸給時代にあつた人々であつて、その標準で算出される恩給額が、今日の時代にまつたく無理であることは、きわめて明らかであります。
 第二は、公職におつたために、在職中には一切の營利事業を禁止せられておつたのでありますから、副業等によつて晩年の生活を保障する用意もできておりません。第三は、轉任また轉任、公職であるがために居住地の選擇が許されませんから、最近職を離れて歸つた人々は、不在地主のゆえをもつて、先祖傳來の耕地も取上げられてなくなつておるのであります。第四は、それならば生活保護法によつて國家の保護を受けたならばいいではないかという説も成り立ちます。しかしこれは、過去にとにかく正しい公務として教職に勤めてまいりました人々のプライドが許しません。いまさら私どもは晩年になつて國家の生活保護を受けるを潔しといたしません。たとえ少額でも、既得權によつてわれわれに與えられた恩給で生活いたしたい、かように申しておるのであります。私の友人ですでに七十歳を越えた者がおります。先般これを訪ねましたらば、これは昔のいわゆる士族の出で、古い華冑屋敷の小さい家におりますが、長年校長を勤め、助役をも勤めて、りつぱな紳士として、人格者であるにかかわらず、今日は本人が生活に困つておるところに、夫を失つた軍人の未亡人の娘が子供をつれて歸つております。彼は今、ぞうりをつくり、わらじをつくつて細々と暮らしをしておりますが、私の顏を見るなり、一體政府はわれわれに死ねと言われるのでありましようかと、暗然たる言葉をまず第一に投げかけたのであります。どこから見てもりつぱな教育者であつた彼が、今日は戰死したる軍人の未亡人の子供づれの娘まで引受けて、まつたく生活に困り切つて、ぞうりをつくるなり、わらじをつくらなければならない生活に陷つておるのであります。このときにも私は懇々それならば生活保護を受けてはどうかと言いましたが、本人は頑としてこれをば拒絶いたします。これを私は今日の恩給受給者の現状と生活保護法の現實とに照らして考えてみたいと思うのであります。私が持つてまいつております大分縣の小學校教員の恩給受給者は、ここに一千五十八名とあります。これは現在における全員であります。總額はわかりません。受ける恩給の總額は明確にはなつておりませんけれども、恩給局が今日支拂つておいでになるところの文官の普通教職員の受給者の總數を見ますと、一萬六千百三十五人、一千二百九十二萬八千百六十三圓というものが支拂われております。その平均は一人八百一圓二十五錢、約八百圓と思われます。これはもちろん小學校教員ではないのであります、いわゆる國庫によつて俸給を受けておる教職員でありますから、小學校教員ではないのでありますが、これを標準にして見ましても、一人平均わずかに八百一圓二十五錢、その年齡を見ますと、九十九歳という者が一人ある、九十六歳という者が一人、最も高齡者と思われる九十歳以上の人々が十數人を算え、八十歳以上に至りましては三百人を算えるような姿であるのでありまして、まさに生活力を失つておるのであります。現に、九大の名譽教授で、恩給生活ではとうてい耐えられないで、榮養不良のために命を縮めたという方をも、私は聞いておるのであります。しかるに一方生活保護法によつて今、國家が支給しておる人員は、前月において約二百五十萬人であります。一番多いときは二百九十萬に達しております。しかも國家の負擔しておりますところの生活保護法によつて要する費用は三十六億圓であつたのでありますが、今囘の追加豫算にはさらに十八億圓が追加せられて、五十四億圓となるのであります。これは、御承知のように、東京その他の六大都市に居住する者と、普通の市におる者と、町村におる者との三地域による區別があるのでありまして、最低の町村におる一人の要保護者に對する支給は日額十二圓五十錢となつております。これを月額にいたしますれば三七五圓、年額にいたしますと四千六百五十二圓五十錢支給せられておるのであります。また甲地東京を標準としますと、月額が一人當り十五圓八十錢で、家族五人があるとしますれば、その總額は實に月額にして千三百六十圓、年額にして一萬六千百三十二圓の給與を現に受けておるのであります。一人を増すごとに甲地においては、四圓七十錢、乙地で四圓二十五錢、丙地で三圓八十錢の増加があるのでありますから、五人以上の家族をもつ者には、なおこれ以上の給與が與えられるのでありますが、恩給生活者には、家族幾人あろうとも、斷じてそれより以上の増額は認められないのであります。しかも恩給生活者は、さような金を望んではおりません。われわれはわれわれの過去の御奉公によつて得たる既得權として、老後の生活を細々であろうとも、その恩給によつて暮らしたいという切なる希望をもつておるのであります。かりにこれを全國に推定してみますと、大分縣が千五十八名でありますから、およそ一千名と假定しましても、全國における小學校教員の恩給受給者はおよそ五萬人、あるいはいま少し上ではないかと思われます。正確な統計をもつておらないことが遺憾でありますが、五萬人平均八百圓としましても、一年總額四千萬圓であります。これを十倍にしましても四億圓に過ぎません。五倍にすればわづかに二億圓であります。これくらいの恩給の増額が、一體できないのであらうか。私は今日の國庫の窮乏は十二分に承知いたしております。敗戰後の惱みは國民ひとしく分たねばならぬのでありますから、一部の者のみが特權を主張する理由はございません。現に既得權であつた軍人の恩給は、推定して人員百三十四萬五千人、總額にして四億九千六百五十三萬圓というものが、今日はおよそ打切られておるのであります。一方には四億九千萬圓すなわち五億圓近い軍人の恩給が打切られておつて、殘る文官の恩給は、國庫から現に支拂いつつあるものを加えましても、國庫はわずかに一千二百九十萬圓。これは教職員だけであります、文官全體ではございません。文官全體としますれば八萬三千九百四人、普通恩給額は五千七百五十七萬五千七百五十五圓となつております。この軍人以外の文官普通恩給の總額と、地方の小學校教員の受ける恩給額を合わせましても、年額わずかに九千萬圓くらいに過ぎないのであります。これを十倍にいたしましても十億を出でない數であります。先般のつぴきならぬ生活の補給として、千六百圓と千八百圓ベースの差額である月額二百圓すなわち三箇月分六百圓を國庫は支出することの法律を承認いたしたのでありますが、そのわずか二百圓の差額の三箇月分がまさに十六億圓を超すのであります。一方においてはこの高進するインフレに應じて現職職員に對する増額は刻々に認められつつ、一方には過去の善良なる受恩給者が何ら一點の増減もなく、默々として悲慘なるインフレの波の中にその生命をも保ち得ないような苦しい状態におかれてよいものかどうか、私は斷じてさような不公平なことがあつてはならないと信ずるのであります。今日、十億の金は決して大きい金ではございません。二千億を超える國庫豫算に比べますと、斷じて大きい金ではないのであります。かかる不均衡なる處置があつたのでは、今日の憲法に示されておりまする國民はひとしく文化的な最低生活を保障せられるという趣旨から申しても、これは合致いたさないのであります。どうかこの點におきまして、政府は至急善處せられ、今囘できます人事院を通じて、その後において適當な生活を維持するに必要な所得を與えることのできる恩給法を新たに制定していただきたい。これはひとり受恩給者の切實なる要求であるのみでなく、現職の教職員または官公署すべての人々がひとしく要求するところであろうと私は思うのであります。もちろん恩給制度そのものに對する根本的な疑義は私ももつております。あるいは一時金制度によつて打切るという意見もありましよう、あるいは國民年金法という制度も考えられましよう、もつと進んで社會保險制度、あるいは社會保障制度といつたようなことも考えられなければならないのでありますが、それは日本の財政が立て直つた後の話であつて、現實に間に合う問題でありません。かような意味から申しましても、この恩給の請願はまことに至當なるものであるのみならず、至急を要するものと考えられますから、どうか政府の當局におかれましても、誠意をもつてこれが解決に御盡力を願いたいし、私どもも、立法の面から、ぞひともこの改廢に對しましては、最善の努力をいたしたいと思うのであります。以上の意見を述べまして恩給局長の御所見を承りたいと思います。
#9
○高津委員長代理 ただいまの小學校教員の恩給増額に關する請願の紹介議員海野三朗君より、一言趣旨を述べたいとのことでありますからお願いします。
#10
○海野三朗君 私も過去において學校の教員をやつた者の一人でありますが、今日小學校教員の恩給、これにつきましてはまことに目に餘るものがあります。小學校の校長を三十年もやつて、そうして田舎に歸つて何か仕事をしようというよぼよぼの人たちもあり、また子供に死なれ、そうして老後を送ることができないような、私どもが見て何とも耐えかねるところの小學校の恩給受給者がまことに多々あるのでございます。教育に對しまして、政府當局におかれましては、ほんとうにこれを重んじ、教育者の最後を何とかしてやろうという御誠意がありましたならば、せめて何とかこの困る人たちを恩給の増額によつて救つていただきたいというふうに私は思います。また恩給を受けておる人たちでも、働いておる人は私は申しません、働き得ない人、年をとつた人、五十過ぎた人、六十過ぎた人、七十過ぎた人、そういうふうな過去における教育界の功勞者、そういう者がまことに今、目も當てられない生活をしておるのでございます。この點につきましてどうか政府御當局におきましては、誠意ある御處置をお願いしたいと思います。これをもつて私の申し上げることを終ります。
#11
○高津委員長代理 右七件の請願に對し、政府の御意見を伺います。恩給局長三橋政府委員。
#12
○三橋政府委員 最近の物價の高騰に伴いまして、恩給の收入にもつぱら依存して生活されておる一般の恩給受給者、殊に小學校の教員を勤めて退職されました人々の生活の困難さに對しましては、私たちといたしましては、十分お察し申し上げ、御同情申し上げておるところでございまして、かねがねこの恩給の増額につきましてはいろいろ研究、檢討を加え、心を碎いておるのでございますが、未だ増額し得るという結論に到達していない状態でございます。昨年七月一日から俸給が大幅に増額せられました際におきましても、一般の俸給の増額に伴いまして、恩給の金額をいかに取扱うかということにつきましては、いろいろ檢討を加えました結果、その當時におきましては、いろいろな事情からやむなき處置といたしまして、とりあえず公務傷病關係の恩給、すなわち増加恩給と傷病年金、また公務傷病のために死んだ人々や、またその公務のために傷痍疾病にかかりまして増加恩給をもらつておつた人たちの遺族の恩給だけを若干増額いたしまして、そのほかの恩給につきましては從來の支給水準にすえおくという處置をとつたのでございます。これはその當時におきまして、恩給法の規定によりますれば、恩給は退職當時の俸給を基準といたしまして、一定の率をもつて算出することになつておりまするので、俸給が増額になりますれば、自然恩給もそれに伴つて増額されることになりますから、七月一日以後における俸給増額後の退職者は俸給の増額に伴いまして自然恩給が増額されることになるのであります。そういうふうに七月一日以後の退職者に限つて恩給が自然増額するような處置をとつて、過去の恩給者をそのままにすえおくか、あるいはまた七月一日以後の退職者につきましても一應前通りの恩給支給水準において恩給を支給するようなふうの處置をとつておくかの問題につきまして、いろいろ研究いたしました結果、その當時におきまするところの國家の財政の面、また恩給の増額をいたしますれば恩給類似の制度でございますところの共濟組合制度、あるいはまた厚生年金の保險制度、そういう方面のことも考慮いたし、國家の財政支出の面からも檢討いたしまして、一應やむなき處置といたしまして、現在とつておりますような過去の恩給の支給水準にすえおくような處置をとつた次第でございます。これは臨時の特例としてとつた處置でございまして、私たちといたしましては、でき得る限り速やかにこの制限をやめたいと考えまして、昨年の俸給増額後において、この恩給増額のことについて、いろいろ檢討を加えてきたのでございます。昨年の末から今年の初めにかけましても、いろいろ研究、檢討を加えましたが、いろいろな事情からいたしまして、未だ増額し得るという結論に到達していないことは、まことに恩給受給者に對しまして、いかんなことと思つておりますが、いろいろな事情からいたしまして、現在は研究を重ねておりますけれども、まだ増額し得るという結論に到達しないような事情でございます。いろいろと研究努力をしまして、増額し得る結論に達しました曉におきましては、もちろん具體的に速やかに増額の措置を講ずるようにはいたしたいと考えておるのでございます。
#13
○押川委員 ただいまの御請願七件は、現在の生活上の不平等を匡正しようという御請願だと思い、まことに結構だと考えます。政府がこれを取入れられるにつきまして、特に考慮を煩わしていただかなければならぬ點があることを、ここで御注意申し上げておきたいと思うのであります。現在敗戰によりまして、國民の中で一番困つている者は、教育家の諸君がお困りになるということも、過去の給料生活からよくわかるのでありますが、日清日露の戰爭において、現代のごとく侵略戰爭でなかつたという時代に相當な傷痍軍人が出ておるのであります。この傷痍軍人は今聞いてみるところによりますと、一箇月に四十圓の扶助料と申しますか、生活費をもらつて手も足もかなわない人間が今日の生活の中にあえいでおりまして、むしろ生命を捨てた方がいいというような状況になつております。侵略戰爭によつた、ポツダム宣言受諾前の軍人であつた傷痍者は、今度の法律によりまして、一箇月に三百七十圓ずつかをもらつておるようですが、前の人はやはりそのまま四十圓で續けておる現状にあるのであります。これはどういたしましても、こうした公平の觀念からこれを訂正してやる必要がある、こう考えておるのです。ただいまの請願につきまして、政府におかれましては、特にこういう點も考慮をされて、時代に適應する増額をされますように、ただいまの請願の御説明に贊成するとともにお願いをいたしたいと思うものであります。
#14
○松原(一)委員 ただいま御贊成いただきました通りに、小學校教員のみの要求ではございません。一番氣の毒なのは、警察官にもあるのでありまして、警察官はもつとひどいのであります。また國庫から出ております恩給を受けておる教職員の表に見ましても、年額わずかに三百二十圓、月に二十五圓なにがししかもらつておらない者もあるのでありますが、警察官などにおいてはもつと低い者もある事實があるのであります。政府のお立てになります今後の恩給は、當然一つのベースのもとに置かれるものと思いますから、どうか小學校教員のみの恩給増額ではないという點を、御承知おきを願つておきたいと思います。いま一つ、過去の軍人の方々の悲慘なる事實は、私もまことに御同情にたえないのでありますが、これは今日は恩給が許されませんので、一方の生活保護法によつて十二分に救助せらるるようにお取計らいをいただきたい。これは私の希望であります。以上を附け加えておきまして、どうかこの請願が一日も早く效果をあげますように、御善處をお願いする次第であります。
#15
○伊藤(恭)委員 ただいまこの請願について松原委員、押川委員から申されたことくに、この文教常任委員會の一般の意見としては全面的であると思います。もちろん生活保護法によつてやつたらいいじやないかという説も出てきますけれども、先刻松原委員が言われたことくに、實際過去の經歴からして、この際何としても、生活保護法によることのできないという、實に苦しい人がたくさんにあります。現在生活保護法によつてやつているものが、先刻もお話がありましたように、すでに三十六億も國費で出して、本年度は五十億にもなるというふうで、實際の状況を調べてみますと、相當樂にやつている方もわれわれは認めます。そういう點から考えまして、恩給受給者の人達の環境を考えてみますときに、われわれは實際悲慘な情に打たれるのであります。そういうような意味から言いまして、われわれといたしましては、この際ぜひともこれを是正していただいて恩給受給者を救つていただくようにお願いしたいということを附け加えておきます。
#16
○高津委員長代理 速記を止めて。
    〔速記中止〕
    ―――――――――――――
#17
○高津委員長代理 速記を始めて――日程第一五、教育振興のための特殊郵便切手發行に關する請願、文書表第七八八號、紹介議員受田新吉君。
#18
○受田新吉君 教育振興のための特殊郵保切手發行に關する請願の趣旨を朗讀いたします。
 左記理由により政府は教育振興を目的とし、それに適應する意匠を有する特殊郵便切手を速かに發行せられたい。
 右請願する。
    記
 一、敗戰日本を再建するには教育の振興を急務とする。今春より實施の六・三制新學制を完全に遂行し、また乏しい資源の開發利用をはかるために科學教育を振起することは特に必要である。
 二、しかるにこの大切な教育の現状を見るに教材、教具はもちろん、教室、教員さえ不十分の點少くなく、實施に困難をきわめている。
 三、ここにおいて政府の萬全の施策をまつとともに、内外國民の教育に對する關心の高揚と生徒、兒童竝びに教育者の一層の奮起とを望まれねばならない。
 四、これがために國内のみならず、世界のすみずみまで普及し、上下の別なく人心の奧底に感激を與える郵便切手の國際性、普及性、滲透性、宣傳性を利用することは大きな効果を得られるものである。
 五、よつて教育振興特殊郵便切手の發行を請願する。
 以上は東京都立城南中學校教官の谷信勝君ほか多數の教員生徒の請願であります。
 紹介議員として附言いたしますが、このひからびた敗戰下の日本に、どこか文化のにおいのするうるおいのある郵便切手のごときものが發行されるならば、いかに人心をやわらげ、しかも教育を尊重する。そういうものを表徴される意匠のある郵便切手によつて、教育尊重の觀念も非常にゆたかになると思います。特に男女共學の美しい場面を描いたものとか、野口英世、二宮尊徳のごとき平和的教育者を象徴されたものとか、あるいはペスタロツチのごとき外國の有為な教育者を描いたものとか、こういうものを郵便切手にして廣く巷間に流すことによつて、知らず知らずのうちに非常に美しい氣分が起ると思います。先般六・三制が完全實施された際に、願くばこの切手が發行されることが望ましかつたのでありますが、これが政府に考えられておらなかつたことを遺憾に思います。目下鐵道開通七十五周年記念の切手が發行されております。こういうような意味で、今までゆるがせにされていた教育切手の發行が、今後繼續的に世に示されることを念願してやまないのであります。わけて經費多端な折柄、たとえるならば表示價格と發行價格を違えて、五圓の切手を發行する場合に、發行價格を十圓とし、その差額五圓を國庫の収入とするというようにするならば、これは思わぬところに財源も得られることと思います。また切手蒐集本能というものは、今相當に巷間に平和的な立場から流行しております。こういう意味から、外國においても、國内においても、平和を象徴するこういう方面の切手の發行により、思わぬ財源の獲得ができるという點に、政府も御留意になつて、特に遞信當局と文部當局が常に密接な連絡をとられて、いかなる切手、いかなる意匠をつければいいか。こういう點で時には懸賞募集とか、そのほかかわいい子供たちにいろいろな希望を聽いてやるとか、こういうふうにして今ひからびた敗戰感の中に、その日の生活にもあえぎ、日々の勉強にも飢えておるこの子供たちに、こういうささやかな面からでも明るい希望をもたせてやるという點に政府の親心が必要であると、特に紹介議員として感ずるものであります。願くば遞信・文部兩當局を中心に、政府における絶大なる文化を愛する立場から、こういう問題をお取上げを願いたいと念願してやまないのであります。
#19
○椎熊政府委員 ただいま御紹介をいただきました教育振興特殊郵便切手發行に關する請願ですが、これは私どもとしては、まことに同感の次第でございます。しかもこのことにつきましては、遞信省としては、すでに幾多の計畫をもつております。實は六・三制の實施の際にも記念切手を發行したい計畫もございました。ところが、その當時におきましては、日本の舊來發行せられておつた切手を整理せよというような關係方面の嚴重な注意がありまして、たとえば、軍國主義的、あるいは侵略的な切手は全面的に廢止しなければならぬ。ちようどそういう時期でありましたので、新切手發行の準備には至らなかつたのてあります。從つて遺憾ながらこの六・三制の實施のときにおける教育切手のごときは、發行できなかつたのであります。
 ついでですから申し上げますけれども、その際に二十一種類の切手を嚴命によつて廢止することになりました。楠公銅像の切手、あるいは中には敵國降伏なんという切手もございました。それらを合して二十一はことごとく軍國主義的であるという嚴重なるお叱りを受けて沒收するという、そういう事態もございました。その後におきまして、文化的なる國家再建の基礎としての切手の普遍性を活用するという一面、このことによつて遞信行政上における收入増加の途をも考慮いたしまして、その後幾多の新切手を發行いたしました。殊に教育に關する切手で最近出しましたものでは、慶應義塾大學の創立何周年記念ですか、あの記念日の際におきましても、そういうものを發行したのでございますが、これらはほんの特殊的な、地域的にもそれから利用者におきましても極く小部分でございまして、ただいま御説のように普遍的に實效をあげるというのではなかつたのでございまするけれども、しかしながら、かくのごとき小部分のものでも、これは教育の振興のためには非常に有効適切なものであつたと私どもは考えているのでありまして、今日、平均毎月一囘、一種類ぐらいずつ新郵便切手を目下出しつつあります。この請願の趣旨による教育振興のためにこれを活用するということは、非常に適切な御意見でございます。早速これを取上げたいと思つております。
 しかしながら切手發行にはおよそ時機があるのでございまして、その時機を誤るにおきましては、目的に副わない結果にもなるのでございます。私どもは、たとえば憲法實施の記念日であるとか、あるいは教育基本法の施行せられた日であるとか、そういうような何か教育方面の記念日的な、國民に感覺を與るような時機なども、最も適當でなはないかと考えております。御説の中に全世界くまなく普及するというお話がございましたが、目下外國郵便につきましては、飛行機による郵便の一部分が二箇月ほど前に關係方面から許されまして、地域的にも限られておるし、數量においてもほぼ限定を受けておる關係で、外國を對象としたままでも考慮するのには、いささか時期が尚早ではなかろうかとは思いますが、講和會議等の結果によりますれば、もちろんそういうことはなるのでございまして、今日からそういう準備を進めてまいりたいと思います。なお切手に對しましては、私ども切手の廣告價値というものを研究しておりまして、切手そのものに廣告文書、廣告圓案等を入れることをも、目下研究中でございます。これらは教育振興と關係があるかないかということは別でございまして、そういう方面にまでも考えておるのでございますので、御説のような趣旨による切手を發行するということは、これは最も適切であつて、大贊成でございます。願わくば本文教委員會等におきまして、この請願を滿場一致御採擇くださいまして、その採擇の結果、われわれ遞信省におる者をこれ以上に激勵いただきたいと思いますが、御趣旨に副うように萬全の研究を進めてまいりたいと思います。意匠等につきましては、目下遞信省でも教育に關する切手の意匠等について、それぞれ専門家に委囑してございますが、今の御説のように、全國の兒童に懸賞募集でもするということも、非常ないい思いつきだと思います。早速それらの事務當局には、これらの意見をも加えて申し上げておきたいと思います。御趣旨にはまつたく贊成でございます。私はこの意味において本請願が滿場一致採擇せられんことを、遞信當局として希望いたします。
#20
○高津委員長代理 文部當局には御意見ございませんか。
#21
○日高政府委員 御説明の御趣旨は、私どもまつたく贊成でありまして、そういうことができるかどうかわかりませんけれども、先ほども紹介議員からお話のありましたように、五圓の切手を十圓に買わせて、その差額を政府に寄附したようなことにする。それがまた教育の方面にまでまわつてくるようなことがありましたならば、一擧兩得であります。また、たとえそういうことがなくとも、日本全體の空氣の現われとして、文化的な教育的な方面の功勞者が、今までの軍國主義的な雰圍氣を表わすようなものに代つて出てくることを、私どもも衷心から望んでいる次第であります。少し場所が違いますけれども、ここで遞信次官の方に私からもお願いいたしておきたいと思います。
#22
○高津委員長代理 前後したかもしれませんが、委員諸君の御意見があれば御發表願います。
    〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
#23
○高津委員長代理 御異議ないものと認めます。
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#24
○高津委員長代理 日程第三一、米澤工業專門學校昇格に關する請願、文書表第九〇六號、紹介議員海野三朗君。
#25
○海野三朗君 米澤工業專門學校昇格に關する請願の紹介議員といたしまして、一言申し上げます。
 この昇格運動につきましては、山形縣知事、それから山形縣の織物工業協同組合、縣會議長はもちろん、それから專門學校卒業者、在校生、それからの代表として今日御説明申し上げます。
 この米澤工業專門學校は明治四十三年十月、官立米澤高等工業學校として新設せられたのでありますが、以來三十八年を經過してあまたの卒業生を出しておるのであります。教育につきましては、いろいろ學制の改革も行われつつあるのでありますが、大都市への集中、そういうふうなことを打破する意味におきまして、また地方文化の竝進普及、また通學の便宜、交通機關の利用とか、あるいは食糧の關係とか、いろいろな點から考えまして、どうしてもこの地方に工業大學を新設していただきたい、學校を分散してもらいたいという考えが一つ。米澤工業專門學校は御承知の通り敷地、校舍、そういうものが實に廣大でありまして、その設備内容が完備しておりますこと。また米澤という所は、御承知のように上杉鷹山公の遺訓が徹底しておりまして、舊幕時代から唐絲織物、いわゆる米澤織によつて東北地方纖維工業の中心地となつておるのであります。この點について卒業生一同中心となりまして、一千萬圓を目標としての寄附を今醵出しつつあるのであります。そうして何とか米澤の高等工業を工業大學に昇格していただきたい。地元民竝びに卒業生の非常な熱意でありまして、敷地も廣大でありますし、内容も相當完備しております。殊に織物、纖維工業の大學でありまして、東北大學にはまだこの方面の專門の學部がありません。よつて東北地方の織物の中心地であるところの米澤へ工業大學、すなわちこの高等工業を工學部に昇格せられんことを熱望する次第であります。すでにこの企成同盟會が今一生懸命になつて、卒業生その他から一千萬圓を目標に寄附を募集しつつあるのであります。どうか東北地方開發のために――今日まで東北地方は、ほとんど顧みられなかつたのでありまして、そういう點につきましても、十分政府御當局におかれましてはお考えをいただいて、この米澤の高等工業を大學に昇格せしめられますように、お願いをいたす次第であります。なお卒業生は今猛烈な運動を續けて、自分たちがみな金を出し合おう。そうして政府のお仕事に協力して工學部に昇格せしめられたいという熱意のもとにやつているのでありまして、どうか政府御當局におきましては、過去の米澤の歴史と、また東北地方の纖維工業の中心地であるということと、特殊な、工學部の中におきましても東北大學にはこれがないのでありまして、そういう點を御考慮くださいまして、どうぞ善處せられんことをお願いいたします。
#26
○日高政府委員 高等工業の大學への轉換の手續や順序等につきましては、先ほどの秋田鑛山專門學校の場合と同じ趣意でまいりたいと思つております。ただいま御説明のありましたことは、十分理由あることと私ども考えておりますので、文部省といたしましては財政經濟上許す限りにおいて、御趣旨に副うようにいたしたいと思つております。
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#27
○松原(一)委員 この際、日程第一〇、第二四、第二五の三つは、定時制の高等學校設置の請願でございますから、一括して議題に供されたいということを希望いたします。
#28
○高津委員長代理 御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○高津委員長代理 日程第一〇、定時制高等學校設置の請願、文書表第五六九號、日程第二四、定時制高等學校設置の請願、文書表第八八〇號、日程第二五、定時制高等學校設置の請願、文書表第八八一號を一括議題に供します。紹介議員松原一彦君。
#30
○松原(一)委員 私の紹介いたしておりまするのは、その中の第二十五でございまするが、これは、全國の勤勞學徒連盟と稱しまする、いわゆる青年學校の生徒の總意を集めたる希望が請願となつてまいつておるのでございまして、箇條が五つございまするが、箇條のごく要目だけを簡單に申し上げておきます。
 第一は、各市町村ごとに定時制の高等學校を設けられたい。勤勞青年なるがゆえに、時間的にも勞力的にも、なるべく近い位置になければ、實際上の利益を受けることができない。
 第二は、定時制高等學校教官の俸給給與は、どうか全額を國庫で負擔せられたい。市町村は人件費がまことに乏しくて、今日はどうしても一應國庫の補助を得たい。
 第三は、今囘定時制の高等學校ができます際には、現在の青年學校の生徒をば同學年に編入をするように御善處願いたい。
 第四は、定時制高等學校の教官は、勤勞青年の教育に適合する意氣と熱と實力のある方々を配置せられるよう特別の希望を申しております。
 第五は、働きつつ學ぶ勤勞青年を有給で定時制高等學校に就學せしむる義務制を雇傭主に負擔させるようなごくふうをいただきたいという切實なる希望でございます。今日勤勞青年は日本の青年の八割に達しておるのであります。どうかこの人々のために、切實なる希望をば逐げしめるようにお願いをいたします。これはもう數囘出ておりまする問題でありますから簡單に趣旨だけ申し上げておきます。
#31
○日高政府委員 請願の御趣旨に副うように、極力努力いたします。
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#32
○高津委員長代理 この際お諮りいたすことがあります。六・三制に關し參議院の文教委員會と合同審査會を開會いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○松本委員長 御異議がなければさよう決定いたします。日時は明後二十日午後一時、參議院の第三委員室で開催いたします。他の日程はこれを延期いたします。
 本日はこれにて散會いたします。
    午後零時八分散會
ソース: 国立国会図書館
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