くにさくロゴ
2002/10/31 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 経済産業委員会 第2号
姉妹サイト
 
2002/10/31 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 経済産業委員会 第2号

#1
第155回国会 経済産業委員会 第2号
平成十四年十月三十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十九日
    辞任         補欠選任
     八田ひろ子君     緒方 靖夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         田浦  直君
    理 事
                魚住 汎英君
                加納 時男君
                松田 岩夫君
                木俣 佳丈君
                平田 健二君
    委 員
                小林  温君
                近藤  剛君
                斉藤 滋宣君
                関谷 勝嗣君
                保坂 三蔵君
                直嶋 正行君
                藤原 正司君
                簗瀬  進君
                若林 秀樹君
                松 あきら君
                緒方 靖夫君
                西山登紀子君
                広野ただし君
   国務大臣
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
   副大臣
       経済産業副大臣  西川太一郎君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       西川 公也君
       経済産業大臣政
       務官       桜田 義孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       原子力安全委員
       会委員長     松浦祥次郎君
       資源エネルギー
       庁長官      岡本  巖君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院長     佐々木宜彦君
   参考人
       東京電力株式会
       社取締役社長   勝俣 恒久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (東京電力原子力発電所における不正記録問題
 等に関する件)



    ─────────────
#2
○委員長(田浦直君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十九日、八田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として緒方靖夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(田浦直君) この際、西川経済産業副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西川経済産業副大臣。
#4
○副大臣(西川太一郎君) このたび経済産業副大臣を拝命いたしました西川太一郎でございます。
 先回は、公務出張とは申せ、ごあいさつを申し上げる機会を逸してしまいまして大変失礼をいたしました。委員長を始め先生方におわびを申し上げます。
 本日改めてごあいさつをさせていただくわけでございますが、平沼赳夫大臣をお助け申し上げ、一生懸命業務に励みたいと存じます。至りませんが、御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#5
○委員長(田浦直君) ありがとうございました。
    ─────────────
#6
○委員長(田浦直君) それでは、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に原子力安全委員会委員長松浦祥次郎君、資源エネルギー庁長官岡本巖君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(田浦直君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、東京電力原子力発電所における不正記録問題等に関する件を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。佐々木原子力安全・保安院長。
#9
○政府参考人(佐々木宜彦君) それでは、先生方のお手元に「原子力発電所における不正記録問題等の調査結果と再発防止について」という説明資料がございますので、これに基づきまして御説明をさせていただきます。
 この資料の、恐縮でございますけれども、四ページに「これまでの経緯等」、簡単にまとめておりますが、「事案の概要と調査経緯」というところでございますけれども、平成十二年七月に、当時の通商産業省に米国GE子会社の元社員から、東京電力の原子力発電所点検記録の書換えなどの不正が行われた旨の申告を受けて調査に着手をしたわけでございます。東京電力に数次にわたり事実関係の解明を求めてきたところですが、調査が難航いたしました。
 平成十三年の十一月ごろに、GE子会社に対しても調査の協力を依頼いたしまして、今年の一月から申告者の情報の裏付け情報を徐々に入手し、より確実な裏付けを得たことから、改めて東京電力から事情を聴取したわけでございますが、この八月に入りまして、申告案件二件を含め、不正の疑いがある案件が福島第一、福島第二、柏崎刈羽の各原子力発電所十三基の原子炉に関して合計二十九件あることが認められ、関係する原子炉の名称等を当省に開示をしたわけでございます。その後の調査の結果、問題のある案件が十六件九基であると判明したわけでございます。
 その後、当省といたしまして、二の「対応状況」でございますが、立入検査の実施、事実関係の解明に努めてまいりました。
 また、次の五ページには、「総点検の指示」でございますけれども、その他の電力会社を含め、原子力事業者十六社に対して同様の問題が発生していないか総点検を実施いたしているところでございます。この十一月十五日までに中間的な報告が当省に対して行われる予定になっております。
 また、一連の今までの状況につきましては、関係自治体への説明を行ってきたところでございます。
 そうした中で、元のページの一ページに戻っていただきたいと思います。
 私ども、事実関係の解明に努めてまいりました。これが一つでございます。二つは、申告から公表まで二年を要したことについて、その過程について検証を行い、反省するべき点について、あるいは改善すべき点についていろいろ今後の対応を検討する、これが二つ目でございます。三つ目が、今後の再発防止のための法規制の検討についての小委員会を立ち上げて検討してまいったわけでございます。
 まず、事実関係でございますけれども、「東京電力の二十九案件」、この一ページに書いてございますが、問題のあると認定をした件につきまして十六件ございました。ここに、その技術基準維持義務あるいは記録保存義務が遵守されていなかった可能性があるもの六件、国の指導に基づく報告を怠ったり、不実の報告を行った可能性があるもの五件、事業者の自主保安活動の在り方として不適切な面があるもの五件という判断をいたしました。
 そして、これらの結果につきまして東京電力の事情聴取もいろいろやってまいりましたけれども、この事案に関しまして立入検査等を行いましたが、この事案の背景として、他部門によるチェック体制あるいは監査体制などが東京電力において機能せず、経営レベルへの情報伝達も適切に行われていないというような状況を確認をいたしました。
 この十月一日、東京電力に対しまして、こうした事案を発生させたことについて厳重に大臣からの注意を行うとともに、今後、東京電力に対しましては、保安検査の実施あるいは定期検査の特に厳格な実施等の行政措置を講じることを文書にて指示をしたところでございます。
 また、新たに国に報告された案件が、東北電力、東京電力、中部電力、日本原子力発電の原子力発電所におけるひび割れ等の報告がございましたが、これらにつきましてはいずれも報告徴収や立入検査を実施した結果、安全評価あるいは自主点検という立場から見れば適正に実施されているということを確認をいたしましたが、なお、これらについては国への報告が望ましい事項であったということを判断いたしております。
 二ページ目でございますが、その後、東京電力の福島第一原子力発電所一号機の格納容器漏えい率検査における不正ということが判明をいたしました。
 十月の二十五日に、東京電力から私ども原子力安全・保安院に対しまして、当該の不正事実が事実である旨の報告がなされました。この不正操作は法令違反に該当するということで、福島第一原子力発電所一号機については一年間の原子炉停止処分を行う方針で、現在手続を進めているところでございます。
 これが事実関係でございます。
 二つは、申告から二年を要したことについて外部委員会における評価及び改善策の提言が十月の二十八日に取りまとめられております。
 この報告書では、原子力安全・保安院の調査過程において種々の問題を厳しく御指摘を受け、また保安院として猛省すべきであるという厳しい御指摘を受けております。幾つかのこれらの指摘点につきましては、初期動作の在り方、申告者の個人情報保護の在り方あるいは法律に基づく調査権限をより早い段階で行使すべきであった、あるいは調査期間が間延びをしていたと、もっと早く処理ができたはずであると、あるいは公表時期に対する基本姿勢の問題としての御指摘もございました。
 そして、再発防止のため、今後の改善策が提言されておりますけれども、一つは、保安院が行う調査を監督し、指導、助言する機関として外部有識者から成る申告調査委員会を立ち上げるということで、既に十月の八日に調査委員会の第一回を開催をし、二十八日にも第二回会議を開催して、現在いろいろ御審議をお願いをいたしております。
 それから、この申告の調査過程におきます外部の委員会の厳しい御指摘もございまして、九月二十七日に私も含め当省の関係者の処分が行われたところでございます。
 三ページ目でございますが、「再発防止策の検討」につきましては、原子力安全規制法制検討小委員会が設置をされまして、この中間報告案が十月一日に取りまとめられたところでございますけれども、パブリックコメントを踏まえまして、本日の夜でございますが、最終の法制検討小委員会を開催いたしまして中間報告を取りまとめる予定にいたしております。
 この法制検討小委員会では、今後の対応といたしまして@からFまで指摘をされております。原子力安全規制のルールの明確化あるいは設備の健全性評価の義務付けや評価基準の明確化といったような、ここに書いてありますB、C、D、E、F、それぞれについて、今後の再発防止策が御提言を受けたところでございます。
 また、十月の二十九日、内閣総理大臣を通じまして原子力安全委員会から当省に対しまして勧告が出されております。
 原子力安全委員会からは、国と事業者の責任分担の明確化、運転段階におきます安全を重視した規制制度を整備していくこと、また情報公開と透明性の確保の一層の向上について勧告を受けております。私ども、この勧告を重く受け止め、今後これらの勧告に沿った対応策を迅速にかつ緊急に対応してまいりたいと考えております。
 「当面の対応」と書いてございますけれども、ここに、経済産業省としては、早急に電気事業法及び原子炉等規制法改正案を臨時国会へ提出させていただきたいと考えております。技術基準の整備や、あるいは原子力安全規制行政体制の充実あるいは申告調査委員会の的確な運営等に取り組んでいく所存でございまして、信頼の回復に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#10
○委員長(田浦直君) ありがとうございました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○加納時男君 おはようございます。
 一昨日、十月の二十九日、原子力安全委員会は原子力の安全の信頼の回復に関する勧告を出しました。松浦委員長の名前で出されました。一九七八年、昭和五十三年に原子力安全委員会が発足して以来、このような厳しい勧告が出ましたのは初めてのことと私は認識しております。これをどのように受け止めているのか、伺いたいと思います。
 初めに、参考人に伺いたいと思います。
 原子力安全委員会は、事業者に対して自主性、責任感に基づく品質保証の体制の下で保安活動をしっかりやれということを言っておりますが、これまでの反省を含めまして、改善策、所感を伺いたいと思います。
#12
○参考人(勝俣恒久君) 東京電力社長の勝俣でございます。
 今回の当社の原子力発電所における一連の不祥事につきましては、国民の皆様、特に発電所立地地域の皆様方に大変な御心配、御迷惑をお掛けいたしましたことを深くおわび申し上げます。どうも誠に申し訳ございませんでした。
 事業者が自ら責任を持って行う自主検査におきまして、ひびやその兆候の事実隠し、あるいは修理記録への虚偽の記載などを行ったこと、またこのたびの福島第一・一号機格納容器漏えい検査におきまして法律に抵触するような不正を行ったことにつきましては、いずれも国や社会の信頼を裏切る行為であり、弁解の余地はございません。これらは言わば企業倫理が欠如していたという大きな問題が根底にございますが、それに加えまして、原子力の安全、品質保証に関する監査システム、こういったものの社内のチェック体制が十分に機能を発揮していなかったこと、また原子力部門は限られたメンバーだけの同質化した社会であり、言わば自分の意見を言い出せない、こういった企業・組織風土が形成されていたこと、これが今回の事態を長期間にわたりまして繰り返させたものと深く反省いたしているところでございます。
 こうした反省に立ちまして、まず企業倫理の遵守、これは原子力部門だけでなく当社全体の職場一人一人にわたりまして浸透するよう改めて組織的に徹底する所存でございます。その上で情報公開を徹底いたしまして、透明性の高い発電所運営を行う。例えば、立地地域の自治体や議会、諸団体の代表なども参加をいただきまして発電所地域情報会議を設置し、その方々からの御意見をいただく、あるいは情報についてはフリーアクセスにするといったこと、あるいは社外の有識者から成る原子力安全・品質保証会議を設置し、中立的、専門的な立場から改善策などについて御意見をいただくこと、また原子力部門の閉鎖性を打破し、風通しの良い企業風土を作る、こういった観点から原子力品質監査部を設置いたすと、こういったことを含めまして再発防止に全力を尽くしていきたいと、こういうことで考えております。よろしくどうかお願いいたします。
#13
○加納時男君 お話を伺いまして、企業の風土、それから企業倫理、さらには品質保証、そういった面での改善策を深い反省の下に進められるということでございます。
 申すまでもなく、原子力は地域の方々、そして国民の信頼があって初めて効果を、その存立が認められるものであります。そして、国策として、地球温暖化防止の観点からも、またエネルギー安全保障の面からも不可欠な原子力の推進、その推進が地域の信頼を損なってはならないということは今、参考人のおっしゃったとおりでございますので、信頼回復のための、大変厳しいですけれども、地道な努力を是非新体制で進めていただきたいと思います。
 大臣にお伺いしたいと思います。
 原子力安全委員会は国に対する勧告といたしまして、先ほど佐々木保安院長から御紹介のあったような責任分担の明確化、それから規制制度の整備、情報公開の改善、こういった三点を求めているかと思いますが、これについての国の取組でございます。先ほど佐々木さんは重く受け止めているとおっしゃいましたけれども、大臣の御覚悟を伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。
 私からも、まず第一に、国の原子力エネルギー政策を進めるに当たりまして一番大切なことは、いかにその安全を担保するか、そして立地で御協力してくださる立地地域の皆様方に、そして国民全般の方々にいかに信頼感を醸成するかと、このことが一番大切なことだと思っております。今回の一連のこういった事案に関しまして、その安全性について国民の皆様方に大変御心配をお掛けし、また立地地域の皆様方にも大変その信頼を損なう結果に相なったことに関しまして、エネルギー政策を担当しております責任者として私からも心からまずおわびを申し上げなければならないと、このように思っております。
 そして、勧告に関しましては、これは御指摘のとおり初めて行われた勧告でございまして、私どもとしてはこれを非常に重く受け止めさせていただいて、その勧告をやはりしっかりと実行する、こういうことが責任につながると、こういうふうに考えておりまして、全力で私どもはその勧告に従って努力をさせていただきたいと思っております。その勧告につきまして、私どもとしましては、法令の改正あるいは制度の的確な運用により対応に努めることにしていきたいと思っております。
 今回の問題に関する再発防止策を可及的速やかに実施するために、関連する法律の改正法案を今臨時国会に提出をさせていただくことにしておりまして、原子力の安全確保につきましては、勧告の趣旨を踏まえまして、国民の信頼を取り戻すために万全を尽くしてまいりたいと思っております。
 具体的に申し上げますと、一つは、国と事業者の責任分担の明確化、これをしっかりやらなきゃいかぬと思っております。二つ目は、運転段階の安全を重視した規制制度の整備を更に一層徹底しなければならないと思っております。三つ目は、これは勧告にも当然でございますけれども、情報公開の向上と透明性の向上を図っていく。
 この三点の勧告については私どもは言うまでもなく万全を期さなければならないと思っておりまして、もう少し詳しく申し上げますと、責任分担の明確化につきましては、一つは、事業者責任を一層明確にするために、事業者の検査義務を明確化する定期自主検査を導入したい、このように思っております。それから二つ目は、事業者の安全確保に関する品質保証体制の確立が重要であることから、これを原子炉等規制法に基づきまして、事業者が定める保安規定に規定させた上で国が保安検査により確認をする、こういった体制を取らせていただきたいと思っております。三つ目は、国の検査の実施体制につきましては、新設をされる独立行政法人も活用しながら、専門性を持った人材の確保と体制の充実に努める、こういったことで対応をさせていただきたいと思っております。
 第二に、運転段階の安全を重視した規制強化の整備について申し上げますと、事業者の自主検査を法的に義務付けるとともに、ひび割れなどの不具合に対しては、事業者による健全性の評価義務を定めるとともに、評価手法を明確化することなどによって対応をしてまいりたいと思っております。
 そして、情報公開の向上と透明性につきましては、原子力関係規制法の運用につきまして、原子力安全委員会に報告して意見を求めることを制度化をしまして、あわせて、これを公開することによりまして積極的に対応をしてまいりたい。
 このような形で勧告を私どもは重く受け止めて実施をしていきたいと、このように思っているところでございます。
#15
○加納時男君 勧告を重く受け止めて具体的な施策をいろいろ考えておられることを今伺いました。
 その中で特に印象に残ったことは、一つは独立行政法人の問題でありますが、これは企業とかあるいは研究機関におられるエキスパートを活用するという観点でも従来の公務員型ではできなかったことだと思います。非公務員型の良さを利用して是非とも検査体制を、量の面もそうですが質の面でも充実していただきたいと思います。また、自主保安検査を定期的に行うことの位置付けを明確にする、これも明確な回答だったと思います。さらには、これまでも種々議論されてまいりました運転開始後の性能健全性評価の問題でありますが、これについても今お触れいただきましたので、私どもとしてはこの評価基準を明確化していくことを強く求めていきたいと思っております。
 さて、八月二十九日に発表されました東京電力の原子力発電所における記録不正等の事件でございますが、一昨年の七月に告発が行われてから、今回この事案が明らかになるまで実に二年以上掛かっているわけでございます。その原因は何かについて、参考人、政府から一言ずつ伺いたいと思います。参考人にまず伺いたいと思います。
#16
○政府参考人(佐々木宜彦君) 平成十二年七月に届きました申告の件でございますけれども、福島第一原子力発電所一号機におきます平成元年の蒸気乾燥器のひび割れという内容でございましたが、この蒸気乾燥器は平成三年の定期検査時には既に交換済みでございまして、申告を受けた時点で運転中の原子力発電所の安全性に影響するものではないと私どもは判明しておりました。さらに、その年の十一月、第二の申告がございましたが、工具を福島第一・一号機の炉内に放置されたという内容でございましたが、申告者によれば当該レンチは既に回収済みということでございましたが、この工具が炉内に放置されたとされる時期は当該原子炉はフル運転中であったということから、当時、この方の申告のこの件に関しての信憑性は低いと判断をいたしました。私ども原子力安全・保安院といたしまして、この申告の案件につきましては、安全上の問題がなく、調査は続けておりましたけれども、緊急性を要する問題とは認識しておりませんでした。
 この点について、原子力安全・保安院の調査過程を評価するために設けられました評価委員会では、原子力の技術的な意味での安全の確保だけでなく、原子力の安全行政に対する信頼の確保が必要であるという認識が原子力安全・保安院には不十分であったという厳しい御指摘を受けておりまして、なおかつ、保安院の対応に迅速さを欠き、公表が遅れたと指摘を受けているところでございます。
 こうしたことから、私どもも、今、申告の処理について外部有識者から成る申告調査委員会を既に設けておりまして、この委員会で審議、了承された方針に従って今後迅速な処理を行ってまいりたいと考えております。
#17
○参考人(勝俣恒久君) まず、申告案件と呼ばれる二件につきましては、平成十二年七月四日に当時の通産省から口頭で調査依頼を受けております。
 それで、これが二年掛かってしまったということの一つの要因につきましては、当該の事項につきまして、水中溶接を黙って行ってしまったということを背景に、記録を残さないというようなことで記録が残っていなかったこと、それから十一年前の事項でございまして、関係者の記憶に頼らざるを得なかったと、こういうことから非常に調査が難航したということが一つございます。
 また、その他の二十七件でございますけれども、GE社から情報提供を受けたのは五月でございましたけれども、最終報告に至るまで約四か月要しております。これらにつきましては、一挙に二十七件、また一番古いもので十五年前のものと、こういったこともございまして、その調査に非常に時間が掛かったこと、またGE社そのものが調査の途上であり、なおかつ種々の折衝に当たってはGE社がアメリカで意思決定をしていたと、こういうこともございまして四か月掛かってしまったと、こういうことが背景にございました。
 しかしながら、いずれにしましても、申告案件の調査の過程でもっと早期に、案件の背景にある当社の仕事の仕組みの不適切さとか、不正を許してしまう土壌の存在に気付くべきであったと私ども率直に反省をいたしているところでございます。と同時に、どうも大変申し訳ございませんでした。
#18
○加納時男君 いろいろ両者から伺いまして、理由はいろいろあったにせよ、対応が遅れたということは事実でございます。社会の批判を正面から受け止めまして、それぞれ対策を取っておられる、取るということでお約束いただきましたので、是非とも迅速な処理を今後お願いしたいと思います。
 話は変わりますが、東京電力の福島第一原子力発電所一号機の第十五回定検、これは九一年です。それから、第十六回定期検査、九二年ですが、このときに、原子炉格納容器の気密性試験、リーキングテストと言っていますが、これにおいてデータの不正操作があった、空気注入等が行われたということが十月二十五日に発表されました。これについて、現在までに分かっている範囲で結構ですが、だれがどのような理由でどのようにして不正を行ったのか、分かっている範囲でお答えいただきたいと思います。これは、参考人、それから保安院と両方に伺いたいと思います。
#19
○参考人(勝俣恒久君) この東京電力福島第一原子力発電所一号機の第十五回、第十六回定期検査における格納容器の気密性漏えい試験において不正が行われたと、この案件でございますが、これまでGEの指摘事項二十七件と性格が異なって、国の検査に直接かかわるという事案の性質上、より慎重かつ客観的に事実の究明を行う必要があると判断いたしまして、高度の専門性を持った社外の先生方に調査をお願いいたしております。
 現時点までの調査において、九一年の第十五回定期検査において、漏えい率を低下させる目的で炉内に圧縮空気を注入して、失礼しました、原子炉格納容器内に空気を注入して検査を受けたこと、また九二年の第十六回定期検査では、十五回と同様に、原子炉格納容器内に空気を注入したこと及び漏えいが生じていた弁の配管に漏えいを抑止するために閉止板を取り付ける行為を行ったことがあるということが認められるという報告を受けております。
 しかしながら、だれがなぜ、いつ、どういうふうにして行ったかということにつきましては現時点では確定できておりません。調査団には年内のできるだけ早い時期に報告をしてほしいということでお願いしておりますが、その最終報告の中で明らかにされるということで考えておりますので、御理解を賜ればと思います。
#20
○政府参考人(佐々木宜彦君) 原子炉格納容器は冷却材の喪失事故時に放射性物質を閉じ込める安全機能を有するものでございまして、事故時を想定した設計圧力において漏えい率が一定の制限値以下であるという性能を有さなければなりません。格納容器の閉じ込め性能は重要なものでありまして、国の定期検査において検査官が立ち会って漏えい率検査を行うことといたしております。
 現時点では、平成三年及び平成四年の定期検査において不正があったことは東京電力も認めているとおりでございまして、平成三年、四年、両年の格納容器の漏えい検査におきまして、漏えい率の測定中に圧縮空気を格納容器に不正に注入する、それから平成四年におきましては、漏えいが検知された弁を検査の要領書で定められた方法でない閉止板を用いる方法により閉鎖をしたと承知をいたしております。
 なお、詳細につきましては私どもも調査中でございまして、引き続き東京電力及び日立製作所からいろいろな事情の聴取を行っているところでございますが、私どもといたしましては、いずれにしても、その全容が極力早期に判明し、必要な対応が取れることで全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
#21
○加納時男君 だれがやったか、なぜやったのかは不明なままで、ただ悪いことがあった、したがって罰した、これだけでは納得できないというのが国民の感情であります。したがいまして、早急にだれがやったか、なぜやったのかということを明確にしていただきたいということを要求したいと思っております。
 この問題はポイントは二つあると思うんです。一つは、これがどの程度の不正であるかということであります。
 申すまでもなく、保安規定に違反した、しかも定期検査に対して妨害を行ったということですから、原子炉等規制法、電気事業法に違反する法令違反の、不正としては極めて良くないものであり、そのために厳しいペナルティー、一年の停止というのが出るという報道がありますが、これはもっともだと思っております。不正は厳しく糾弾すべきだというのが第一であります。
 同時に、原因をよく調べたいというのが第二であります。
 第三でありますが、どの程度安全に支障があったものか、これが一番の実はポイントだと思っております。
 今、佐々木院長からお話があったように、LOCAと言っておりますけれども、冷却材を喪失する、例えば再循環ポンプが破断してしまって放射性物質が圧力容器の中に一杯出てしまう、それがまた外に出てしまうといったようなことですね、圧力容器の外に出てしまって格納容器の中にそれが入ってしまう。そこから外へ漏れたらば大変だというので調べているのが漏えい率であります。
 そうしますと、例えば、一部の新聞に作為前の漏えい率が二%強だといったような記述があります。保安規定では〇・五%以下、一日当たりの漏えい率としていると思いますけれども、これが現実にどのような意味合いを持っているのか。例えば、二%であったならば、それは、現実にLOCAと言っております冷却材喪失事故が起こったときに敷地線の、敷地の境界において立地指針の定めている五ミリシーベルト・パー・イヤーというものを脅かすものなのかどうか。これが一番実は住民にとっては心配事でありますが、これについての事実だけは、お分かりでしたら教えていただきたいと思います。
#22
○政府参考人(佐々木宜彦君) 福島第一原子力発電所の原子炉の設置許可の申請書におきましては、格納容器の設計の漏えい率は、今、先生お話しのとおり、〇・五%・パー・日を前提といたしまして、これに冷却材喪失事故、再循環系の配管の完全破断、また同時に外部電源の喪失を仮定し、またECCS系も一系統の故障を仮定する、こうした計算評価によりまして、敷地境界におけます被曝の評価結果は、実効の線量当量で〇・〇一一ミリシーベルトとされております。
 今お話ございました、仮に御指摘の格納容器の漏えい率二%・パー・日ということを前提といたしました場合、正確には詳細な評価は必要でございますけれども、単純に漏えい率の比で被曝線量を試算をいたしますと、おおむね〇・〇四ミリシーベルトというのが敷地境界における被曝評価になります。
 なお、事故時に周辺の公衆に対して著しい放射線被曝のリスクを与えない水準についての判断基準は、原子力安全委員会の発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針に基づきまして、敷地境界では五ミリシーベルト以下の実効線量当量とされているところでございます。
#23
○加納時男君 もうこれで質問終わりますけれども、この問題は非常に数量的、科学的な要素もあるものでございますので、客観的に事実を詰めながら、そして判断をしていくということが大事だということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#24
○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。よろしくお願い申し上げます。
 民主党としては、原子力発電というのは、地球温暖化防止あるいは我が国のエネルギーの大宗を占めるという観点からも非常にやっぱり重要なエネルギー源である、そしてある意味では、やっぱり過渡的なエネルギー源であるという、そういう重要性を踏まえながら私も質問させていただきたいというふうに思っております。
 実は、二週間ほど前に福島第一原発に行ってまいりました。実際にこの目で確かめるという意味で、調査ではないんですけれども、地元の支援者の人たちと一緒に見学に行ってまいりました。私が国会議員かどうかということを知らずにもちろん話をされているんだと思いますけれども、一生懸命、この原発は安全なんだ、どんな異常、誤動作があっても止まるんだ、完璧なシステムだというふうに何のてらいもなく説明されていたわけでございます。行くところどころによって、当発電所にはお客様の信頼を得る活動を行っていますという張り紙まで出してやっているんですよね。
 一方、もらったこういう説明書を見ますと、安全のための備え、原子炉を止める、大量の水を注入して冷やす、放射性物質を閉じ込める、厳重な品質管理、入念な点検・検査と、こういうことがやっぱり書かれているんですが、ここまで言っておきながら、書いておきながら、データの改ざんをする、検査官の目を盗んで不正をするなんということは、私はもうとても、やっぱりこれは国民に対する裏切り行為だというふうに思います。
 今回のデータの改ざんももちろんですけれども、この漏えい率の問題については、ほとんどこれはもう犯罪行為に私は等しいんではないかというふうに思っております。どんな完璧なシステムで仮にあろうとも、やっぱりそれを扱う人間の心にやっぱり欠陥があれば、システムそのものも私は何の意味もなさないんではないかという感じはしております。
 そういう意味で、まず社長に、参考人にお伺いしたいんですが、今回のこの一連の不祥事、とりわけこの漏えい率の不正に関しまして、調査中だと思うんですけれども、社長自身が自らこれまでの業務経歴、そして今、社長の立場におきながら、何が本当に根本的な原因なのか、できれば御自分の言葉で語っていただければというふうに思います。
#25
○参考人(勝俣恒久君) 今回の当社の一連の原子力における不祥事、誠に先生の御指摘のとおりで、誠に弁解の余地なく、おわびを申し上げたいと思います。誠に申し訳ございませんでした。
 こうしたことをやはり私もつくづく考えますのですが、やっぱり基本的に企業倫理というものをきちっと守るといったことが非常に欠けていたということが根底にあるかと思っております。
 こうしたことから、私どもといたしましては、まず、例えばマニュアルなんかもきちっと遵守、守ると。要するに、絶対やってはいけないこと、絶対やらなくてはいけないこと、こういったこと、もう峻別いたしまして、とにかく規則、ルールを守ると。往々にしてその実態とルールが離れるといったこともあるんですが、そうした点についても極力合わせる方向で迅速に改善すると。こういったことを含めまして、総点検を今社員に命じたところでございます。そうしたこと併せまして、これが言わばさせない仕組みをきちっと作らなきゃいけない、させないルールを作らなくてはいけないと。
 それからもう一つは、やはり上司なりがルール違反的なことを指示したとか、あるいは他部門の横で見ていて、横の部門でもそういったことがあるときに遠慮なく言えて阻止し得る、言わば風通しの良い職場、組織、こうしたものを作りたいと。これを言わばしない仕組みといったことで、させない仕組みとしない風土を作ると。これを念頭に置きまして、これから徹底的に言わば全職員、職場を挙げて改善に取り組みたいということで考えております。
#26
○若林秀樹君 ありがとうございます。
 企業倫理が欠けているということなんですが、これはやはりどんなルール、仕組みを作っても、扱う当事者が倫理観が欠けていたら、もう先ほども申し上げましたけれども、やっぱり意味をなさないという意味では、私は、やっぱり社長が本当にこれに対して陣頭指揮を取って、先頭になって、こういうことは許さないんだという覚悟の上で取り組むことが私は必要ではないかなというふうに思っております。
 今回の事件、調査中だということでありますけれども、ちょっと具体的になりますが、この調査をするに当たっては原子力発電所の大体どの部署の人が何人ぐらいにかかって実際に行うのか、どういう指示があって初めてこれができるのか。やっぱり一年に一回ですか、非常に重要な定期検査ですから、私はもう総掛かりの、やっぱり発電所そのもの、全体の取組だと思うんですが、事実としてどういうことでこの検査をされるかということをちょっと教えていただきたいと思います。体制で。
#27
○参考人(勝俣恒久君) この格納容器漏えい率検査でございますが、総括責任者としては保修課長、これは保修部というのがございまして、部長もいるわけですが、責任者は保修課長、課長以下が責任を持って行うルールになっております。また、検査の工程によりまして携わる人数等々はいろいろ変わってくるわけでございますが、検査のピーク時でいえば、当社側で約十名程度、メーカー側で三十ないし四十名程度と、こういうことでございます。
#28
○若林秀樹君 そういう意味じゃ、少なくとも人数的には五十名ぐらいですかね、部署もそういう部署単位で全体で動かれてやっぱりやられた、不正をやられたということですから、最終的には調査の結果を待たなきゃいけないと思いますが、基本的には個人の判断でこれはできるものじゃないですから、もう基本的には会社ぐるみと言われても私は仕方ないんではないかというふうに思います。
 今回、漏えい率をごまかしたということは、もうこれは検査をすると基準を超えるということをあらかじめ想定したわけですよね。ということは、その漏えい率が保安規定より高いということは、放射能漏れを私は言わば容認したに等しいんではないかということを考えますと、私は、放射能が具体的にこの検査以上に漏れて、現実にもう漏れているということを認めているというふうに私は思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#29
○参考人(勝俣恒久君) 原子炉格納容器の役割でございますが、これは万一重大な事故が発生した場合に放射性物質をこの格納容器に閉じ込めて周辺の放射線の影響を低く抑えると、こういう役割でございます。したがいまして、この平成三年、平成四年のときにも事故そのものは起きておりませんので、放射能が外に出るということはありませんでした。また、この万が一の事故というのは、これまでずっと来た中でもまだ発生しているということはございません。
#30
○若林秀樹君 事故が起きていないから大丈夫だという言い方はやっぱりちょっとおかしいんじゃないですか。規定を超えているわけですから、それ自体はその規定を超えた放射能が漏れているということじゃないんでしょうか。それ自体を重要視しないというのは、事故が起きてないからいいんだという理由には私はならないと思います。
#31
○参考人(勝俣恒久君) おっしゃるとおりでございまして、事故そのものが、放射能が出たかどうかと言われればそういうことでございますけれども、この行為自身は、万が一に事故が起きたときにその安全性を十分に担保したかどうかについては非常に問題がある事象でございますので、その点は誠にもう申し訳ない、言わば犯罪行為に近いことでありまして、弁解の余地はないということでございますので、改めて付け加えて、本当にこうした行為が行われることにつきましては誠に申し訳ないということで弁解の余地はないものと考えております。
#32
○若林秀樹君 一号機というのは、私も見させていただいたんですが、昭和四十六年にスタートしたということで、非常にその中では古いですね。そういう意味では、九一年、九二年にもう既に格納容器が基準値を上回る放射線漏れをしているんであれば、それ以降も、突然こういうことが、放射能漏れするわけはないんで、かなりそういう事情が続いていて、九二年以降も放射能漏れが続いていたんではないかというふうに考えるのがやっぱり自然だと思いますが。
 現実、今の段階では、それ以降はそういう不正はなかったというふうに断定していらっしゃるんですけれども、何ゆえにそう思われるのか。ヒアリングで聞かれたというふうに伺っておりますけれども、調査中であり、詳細は分からないにもかかわらず、現時点でそういうことはないというふうになぜ言えるのか、ちょっと教えていただきたい。
#33
○参考人(勝俣恒久君) 九三年以降、これは九一年、九二年、平成三年、平成四年の事象でございまして、九三年以降につきまして、高度の専門性を有する社外の調査団に調査をお願いしているわけでございますが、その社外調査団から現時点で受けている報告では、漏えい率検査に関する報告書等を調査したということ、それから社内関係者からも聞き取りをしたということ、それからプラントメーカー、この場合には日立さんでございますが、日立さんから漏えい率検査に関する資料の調査や、またプラントメーカー関係者数名からの聞き取り調査を行ったということ、それから更に、漏えいが生じていた弁につきましては、九三年、これは言わば十五、十六に起きました、次の年の十七回の定期検査において修理が行われていたということ、こうしたことから、現時点におきまして、九三年以降の漏えい率検査における不正行為の存在は認められないと、こういう報告を調査団から受けているところでございます。
#34
○若林秀樹君 九〇年以前はいかがです。今のは九三年以降ですよね。何ゆえに九〇年以前は大丈夫だという御判断ですか。
#35
○参考人(勝俣恒久君) 九〇年以前につきましても、東京電力、当社自身が今同様な調査をいたしまして、言わば不正は認められないと判断しております。
 なお、福島第一発電所のその他の号機、それから第二発電所、柏崎発電所、これで、これまで原子力発電所が運転開始をいたしましてから合計二百十五回の定期検査を行っております。これにつきまして、残っているデータ等あるいは当時の関係者等を含めまして、東京電力といたしましてはその点について調査をいたしまして、現時点では不正のところは認められておりません。
 ただし、東京電力だけでというのはやはり公正さの問題もあるという御指摘もございますので、これにつきましても随時先ほどの社外の調査団に調査を依頼いたしまして、最終報告時点にはその結果についてお知らせできると考えております。
#36
○若林秀樹君 是非そういう徹底した調査をお願いしたいなというふうに思います。
 こういう一連の不正を見ますと、私は、かなり会社、事業者に体質的な問題があったんではないか、そういうことに対して危機管理の中でそういう対策をこれまでやってこなかったんではないかと私は思います。そういう意味では、経営者、とりわけやっぱり社長が自ら原子力問題について非常に感性を持って、先頭、先端に立って取り組んでいくことがやっぱり必要ではないかなというふうに思いますが、社長は原子力発電における現場での職務経験というのはございますでしょうか。
#37
○参考人(勝俣恒久君) これまで私自身は原子力発電業務に直接携わったことはございません。
 ただ、私自身は企画の方にずっと長い間おりまして、相当以前から原子力については経営の課題としてちょっと離れているんじゃないかという御意見もありまして、私はトップと各部門の連絡役みたいなことをいたしておりましたので、原子力問題について絶えず関心を持ち、これを経営課題として常務会あるいは経営政策会議の方に上げてというようなことで、絶えず関心を持っておりました。
 そうしたことから、ある意味で、今回の問題は非常にある意味で誠に残念でじくじたるところがあるわけでございますが、確かに原子力について専門的な技術が必要ですが、今後、再発防止策の中では、原子力の技術屋さんだけではなくて、種々の火力部門の者、法務部門、企画部門の者、こういった者を送り込んで、風通しの良い、情報公開、公明正大な行動ができるようなことの仕組みを作りたいと、こういうことで考えておるところでございます。
#38
○若林秀樹君 聞くところによりますと、東電さんの社長さんは従来から総務なり企画畑の人が多いということは、実際に原子炉の仕事をやっぱり現場でなされていないという意味では、別に社長だから現場の仕事をしなきゃいけないということはないですけれども、その現場で働いた感性というか、そういう経験というか原体験というのは私はやっぱり生きるんじゃないか、そういうことを経営のガバナンスの仕組みとしてやっぱり徹底的に考え直すべきではないかなという感じはしております。
 いずれにしましても、原子力発電所における最大の財産というのは、私はやはり施設とか機械ではないと思います。最大の財産はやっぱり国民の信頼でありますので、その信頼を失ったということは私はやっぱり最大の経営危機ではないか、そういう危機感を持ってこれから社長としての業務に励んでいただきたいなというふうに思います。
 その上で、これまでの反省を含めまして、我が国の原子力行政への注文をちょっと率直にお聞かせ願いたいと思います。今回のこれに限らずでも結構ですから、これまでいろんなことを考えていらっしゃると思うんですよね。そういう行き違いがあったことがやっぱり一つ今回の問題の原因になっているんではないかなというふうに思いますので、率直な御意見をいただければと思います。
#39
○参考人(勝俣恒久君) 今回の福島第一・一号機の格納容器の漏えい試験で不正を行った、これは誠に弁解の余地がないところでございまして、今私どもといたしましては、とにかく事業者の責任として、安全に、そして安心できる発電所の運営ということを第一義的に考えることが最大の責務と、こういうことで考えておるところでございます。
 その上で、これまでいろいろの原子力行政のことについての御注文をと、こういうことでございますけれども、私ども、今回、国において、この法案においても、先ほど御説明いただいたように、維持基準の制定等々行っていただけるということで、是非実現していただきたい、また期待しているところでございます。
#40
○若林秀樹君 ありがとうございました。
 今度は政府側にちょっとお伺いしたいなというふうに思います。
 私はやはり、なぜその不正を見抜けなかったのかという、その根本的な原因は何なのかということについてやっぱり伺いたいなというふうに思います。やっぱり定期検査の実効性が疑問があるんではないかと。ほとんど形骸化しているんじゃないか。行ってはみたものの、ただ見ただけで、あっ、大丈夫だということで、本当にそういう意味では私は監査能力の欠如だろうというふうに思います。
 改めて、なぜ不正を見抜けなかったのかお伺いしたいというふうに思いますので、そのあいまいな規制行政の放置こそ私は根本的な原因ではないかというふうに思いますので、もちろん電気事業者の責任はありますが、一方での政府の責任も重いんではないかというふうに思いますので、そこの基本的な原因について、どちらでも構いませんけれども、お伺いしたいと思います。
#41
○政府参考人(佐々木宜彦君) 格納容器の漏えい率検査には、国の検査官が一名立ち会って検査を行ってまいりました。平成三年、四年の定期検査の記録によりますと、あらかじめ定めた定期検査要領書に従って適切な検査手順で行われておりまして、当時の検査官からもいろいろ事情を聞きましたが、その記憶によりましても、検査中何らの異常も認められなかったとしております。
 このように検査について偽装の疑いを初めから持って実施するということは困難でございますけれども、不正の再発を防止するという観点からは、罰則の強化やあるいは記録保存義務の強化を含む法律案を今国会に提出すべく準備を行っております。また、検査の在り方、やり方という点についても大いに今後改めていくべき点があるとございますが、抜き打ち的な確認作業の実施等によりまして不正が抑止されるような検査の在り方を追求してまいりたいと考えております。
 一方、東京電力の自主点検記録に係ります不正の事案につきましては、従前、事業者が任意に行う自主点検において行われたものでございまして、これらの事案には事業者による自主点検に関して国がどういう関与をするかのルールは明確でございませんでした。規制制度において事業者による自主点検が適切に行われているということを確保するための仕組みが十分に整備されていなかったことが背景にあると私どもは考えております。こうしたことをいろいろ背景を踏まえながら、自主点検の実施を確実なものとするため、事業者による自主点検を法令上明確に位置付けるなど、法制度の整備を行うべく今準備を進めさしていただいているところでございます。
#42
○若林秀樹君 その上で、平沼大臣にお伺いしたいと思います。
 いずれにしましても、原発事故、非常に不安に思っておりまして、ある世論調査をやれば、九割ぐらいの方が、国民の方はもう大変な状況であると不安に思っていると。改めて政府として今回の問題についての責任をどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいというふうに思います。
#43
○国務大臣(平沼赳夫君) 今回の東京電力における自主点検記録不正問題や格納容器の漏えい率偽装問題というのは、国民の信頼を大きく損ないまして、私どもとしては大変申し訳なく遺憾に思っているところでございます。
 先ほども触れさしていただきましたけれども、このことによりまして国民の皆様方の中に不安感が広く広がっていると、こういうことも私どもは重く受け止めさしていただいているところでございます。
 経済産業省といたしましては、まず徹底をした事実解明を進めることが必要だと、こういうふうに考えておりまして、調査を進め、その結果を公表をしてまいりました。また、法令違反が確認されたものについては、御承知のように原子炉の運転停止処分など厳正な処分を行って対応を行ってまいっているところでございます。
 一方、こうした事案を認識する端緒となった申告に関する調査過程につきましては、先ほど来御指摘がございますけれども、二年も要したと、こういうようなことがございまして、当省自身としても反省すべき点は本当に多々あったと、このように認識をしておりまして、外部の専門家から成る委員会におきましても調査過程に不適切なところがあったと厳しい御指摘をいただいておりまして、それを受けまして当省関係者を厳しく処分をしたところでございます。
 いずれにいたしましても、国民の信頼回復のためには早急に再発防止策を講じることが必要不可欠であることから、今臨時国会に向けまして事業者による自主検査の法定化と国による審査、設備にひび割れ等がある場合の設備の健全性評価の義務化などを内容といたします法案を当省から提出する準備を進めておりまして、これを始めとして早急に必要な対策を講じてまいりたいと考えているところでございまして、当省といたしましては、以上のような取組を通じまして、原子力安全の確保はもとより、立地地域の方々を始めとした国民の原子力安全に対する信頼を確保するように努めてまいりたいと思います。
 また、私、再任に当たりまして、小泉総理からも、まず第一番に原子力安全行政、これを徹底して行うようにと、こういう指示もいただいておりますので、私自身、その総理指示も踏まえまして経済産業省の先頭に立ちまして、再発防止策の実現と、それから今後の国民の信頼回復、安全性の確保、これに全力を挙げて努めてまいりたい、このように思っております。
#44
○若林秀樹君 あわせてもう一問、大臣に続けてお伺いしたいというふうに思います。
 経済産業省の中に推進部門と規制部門がやっぱり同居しているということも私は問題ではないかなというふうに思います。やはり推進と規制を明確に区分せず、行政の監視のルールもやっぱり明確じゃない、そういう意味で非常に緊張感がない、お手盛りのような甘い規制というんでしょうか。
 言葉では言うんですけれども、結局こういうことはできないのであれば、保安院を作ってもこの状況ですから、私は、完全に独立したいわゆる三条機関みたいなものも必要なのではないか。民主党も二〇〇〇年の四月に原子力安全規制委員会という完全に独立した組織の法案提出をしまして、廃案になったというふうに思いますけれども、改めてこういう独立した機関が必要ではないかというふうに思いますが、大臣の率直なお考えをお伺いしたいと思います。
#45
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。
 去る一月六日の中央省庁再編のときに当たりまして、そのときもいろいろ議論がございました。そういう中で、やはりこれからも国の総合的なエネルギー対策の中で立地を推進していかなければならない。そういう意味では、安全性というものに対して知見を有して、そして責任を持ってその立地を、立地地域の皆様方や国民の皆様方にやはり説明責任を果たせるということは必要ではないかと、こういう形で、経済産業大臣の下にそういうまず一次規制という形で、そして原子力安全・保安院というものをいろんな議論の中で設置をし、そして若林先生御承知のように、いわゆる内閣府の中にやはり二次チェックとして原子力安全委員会と、こういうダブルチェック体制をしいてやってきました。
 しかし、御指摘のように、こういう結果が出たわけでございまして、いろいろな方面からも今御指摘のようなそういう体制を取るべきじゃないかと、こういう御指摘をいただいていることも事実でございます。
 私どもとしましては、今後、地元の方々を始め、国民の原子力行政に対する信頼の回復のために原子力安全行政に万全を期すことが必要だと思っておりまして、原子力安全規制の強化、これはもとよりやらなきゃいけませんし、それから原子力安全委員会との連携もこれしっかりと強化をし、更には保安院の在り方というものに対しても、これまでのこういう事案に対する反省の上に立って、やっぱり様々な方々の御意見を聞きながら私どもは総合的に検討していかなければならない、そういうふうに思っているところでございます。
#46
○若林秀樹君 分かりました。その御覚悟ということでございますので、原子力の安全行政に対して万全を期してやっていただきたいです。しかし、万一もう一回でも不祥事がこれで出るようであれば、規制委員会等の独立した組織の設立も考えていただきたいというふうに思いますので、お答えは聞きませんけれども、是非、そういう状況である、そこまでやっぱり大変な状況に来ているんだという危機感を持っていただきたいなというふうに思います。
 次に、やや今回のデータの改ざんの問題で争点になっております維持基準についてちょっとお伺いしたいなというふうに思います。
 既に欧米では三十年前からそのことが議論され、導入されているわけですけれども、何ゆえに日本では維持基準というものが今日まで導入されてこなかったのか。その過程について、その理由についてお伺いしたいと思います。
#47
○政府参考人(佐々木宜彦君) 今、先生御指摘のとおり、米国では時間の経過や使用に伴います構造物の材料にひび割れ等の不具合が発生した場合には、その進展を予測評価する手法が一九七〇年代から米国機械学会、ASMEと申しますが、これの規格として取りまとめられつつございまして、一九九〇年代から米国のNRC、原子力安全規制の基準としても取り入れられてきております。
 一方、我が国でもこのような海外動向も踏まえまして、評価手法に係ります民間規格についての検討が行われてきましたが、規制基準としての導入にはまだ至っておりません。これは、我が国が米国と異なりまして学会等において規格に係る活発な議論が必ずしも十分ではなく、規格が整備されなかったこと、また行政の側におきましても、学会などの民間規格を規制基準として取り入れる考え方が一般的でなかったことなどが原因として考えております。
 しかしながら、今後、我が国におきましても、本年、実は七月に取りまとめられました原子炉安全小委員会報告では、我が国の原子力設備に係ります技術基準の性能規定化と民間規格の活用に向けた考え方を取りまとめているところでございます。
 一方、日本機械学会などの関係する学会におきましても、国の規制基準に対応した規格の策定が活発化していることから、今後、原子力分野の民間規格を国の規制基準として導入することについて、関係の学会等とも連携を取りつつ早急に検討してまいる所存でございます。
#48
○若林秀樹君 私自身としては、維持基準の導入の必要性はやっぱり感じているんですよね。何ゆえに今日までこういうことをしてこなかったかということ自体が私は本当に本質的な問題ではないかなという感じがしております。ただ、国民の原子力に対する信頼はありませんので、今急にもう維持基準だと、欠陥性基準をやるんだと、欠陥はあるものだということをいきなり言われても、やっぱり私は国民の信頼を得るには大変な努力が必要だというふうに思いますし、情報公開あるいは情報そのものの客観性とか正当性というのをかなりやっていかないと、そんな簡単なものでは私はないと思いますし、こうやって放置してきたというそのことに私は大きな責任があるのではないかなというふうに思います。
 今回もこのデータの改ざん問題以降、先ほど御説明あったように、中部電力とか東北電力、日本原子力発電所等々、急にそういうひび割れ等があったというのが何十か所も出てくるわけですね。ということは、その前もあったわけですよ、これは間違いなく。
 今、保安院の方は、評価基準ということが必要だとおっしゃいましたけれども、やっぱり軽微な損傷は大いにあり得るという認識だったということだというふうに思うんですね、保安院の今の御説明だと。そうしたら何ゆえに、これまで報告がなかったということに対してなぜ調査とか把握をしようとしなかったのか、そのことを、私は原因をお伺いしたいと思います。
#49
○政府参考人(佐々木宜彦君) 私ども原子力安全・保安院といたしましては、原子炉の運転に支障を及ぼすような故障、事故、トラブルに該当する損傷等につきましては事業者に対して報告するよう指示しておりまして、これまでもかなりの情報の集積を行っておるところでございます。国の定期検査において確認する部位におきまして損傷等が発生した場合には、その状況も把握しているところでございます。
 一方、今回の東京電力の不正に係る事案のように、一般的に事業者が任意に行う自主点検に係る部位で軽微な損傷等が発生する場合には国がチェックする機会がないということから、現状では把握することが困難であったことは事実でございます。
 しかしながら、こうした小さなトラブルにつきましても、国に報告がされた場合には、同様のトラブルが他のプラントに発生していないかを把握する必要があると判断する場合には、各事業者に対して点検等の水平展開を指示することもやってまいりました。例えば、平成十三年の七月の福島第二原子力発電所三号機で発生したシュラウドのひび割れにつきましては、従来ひび割れが生じにくいとされておりました種類の金属材料を用いたシュラウドで発生したものであることを踏まえまして、このことを重視し、国内の類似プラントのシュラウドについて計画的に点検するよう各事業者に対して指示を行った実績もございます。
 私どもも、今、先生御指摘のとおり、技術的にはデータの集積をし、それを統計的に解析し、こうした蓄積を基準化に生かしていくといったようなことが非常に大事であり、そのようなマインドを持ってきちんと対応してまいりたいと考えております。
#50
○若林秀樹君 ありがとうございます。
 ちょっとまた別な質問ですけれども、ちょっと戻るような質問かもしれませんが、今回、GEの方から告発があったということで、それを基に調査されたということでございますが、途中段階において告発者の氏名を東電側に通知したというのはどのような理由によって行われたのでしょうか。東電への情報提供についてはだれがどのような判断、決裁を行ったんでしょうか。当然のことながら、原子炉規制法等で法的に告発者の情報が保護されるということが決まっているわけでございますが、何ゆえに、通告するということは何のメリットがあるのか、どういう判断でやったのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
#51
○政府参考人(佐々木宜彦君) 平成十二年十二月二十五日でございますが、東京電力に対しまして、申告があった案件につき当時の資源エネルギー庁が文書で調査依頼を行っております。この文書には申告者から入手した情報や資料がありまして、その中には申告者を推定し得る情報が含まれておりました。この文書によります調査依頼は、その同じ年の十一月十三日に、申告者から同庁に対しまして関係者に対して自分の身元を明らかにしてよいと伝えてきた後でございます。
 そういう意味で、申告者との約束違反という問題はありませんでしたが、保安院の調査過程を評価するために設けられました評価委員会におきましても、調査のために必ずしも必要でない情報を東京電力に示したことは適切であったとは言い難いとして厳しく評価を受けております。
 なお、この調査の依頼文書は当時の担当課長名で出されたものでございますが、文書による調査依頼を行うことは、平成十二年の十二月二十二日に開催されました当時の資源エネルギー庁長官官房審議官を委員長とする原子力発電施設安全情報申告調査委員会で決定されているということも分かっております。
#52
○若林秀樹君 いずれにしても、法令違反というんでしょうか、法的にやや問題があるということを知りながらこういうことをされたということは、私はけしからぬことだなというふうに思います。
 今回、その対策として告発担当課というのを何か設けるそうでございますが、やはりこれまでのこういう対応を見ると、こういう告発課を作ってもまたその告発者の情報が漏れるんじゃないかという心配もあるわけです。私は、内部告発というのは不正を見付ける上で健全な方法だとは必ずしも思わないんですけれども、やっぱりここまで状況が来ますと、きちっとしたこういう部署を設けて告発者の情報もきちっと守ることも必要かなという感じはしているところであります。
 その上で、今後どうするかというところをちょっとお伺いしたいんですけれども、だんだん時間がなくなってきましたので、まずプルサーマル等の核燃料サイクルの推進という方針に変更はないか、資源エネルギー庁あるいは東電さんも、もしお時間があればちょっと一言、簡単に。
#53
○政府参考人(岡本巖君) お答え申し上げます。
 先生御案内のように、資源に乏しい我が国にとりましてエネルギーセキュリティーの確保というのは先々とも重要な課題かと思っております。そのために、将来にわたってプルサーマルを始めとする核燃料サイクル、これは原子力発電とも御案内のように密にリンクをいたしておりますが、こういった方向は基本的にこれからも私どもは堅持していく必要があろうかと考えております。
 ただ、今現在、先ほど来の御審議にもございましたように、国民の方々に今回の件で大きく損なわれた信頼を回復するということがまずは大前提かと思いますので、そのことに向けて注力をするということが当面の取組かと思いますが、その上で国民の方々の御理解を得ながら、プルサーマルを含む核燃料サイクルの方向というのはこれからも私どもは進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
#54
○若林秀樹君 その前に、最後なんで、最後に大臣と東電さんに一言ずつ決意も含めて語っていただきたいと思います。
 私も今回の件についていろいろ調査し、思うことなんですが、これまでの雪印食品の問題とか日本ハムの問題を含めまして、やっぱり隠せばいいという問題ではないと思うんですね。これからの時代は情報を公開し、やはり人間もエラーをするわけですから、いいエラーとは言いませんけれども、エラーのそのものの評価をきちっとオープンにすることが逆に企業の評価につながる時代だというふうに思いますので、私は、そういう意味で発想をまるっきり変えていかないといけないんじゃないか。これまでも、国民の品質に求める目は厳しいかもしれませんけれども、やっぱり情報を公開して、その情報の正当性をきちっと確かめながら出していくということに是非切り替えるぐらいの気持ちで、中途半端な情報公開だったらやめた方がいいと思いますよ。完璧にこのシステムを転換してやることが必要じゃないかなというふうに思っております。
 それでまた、やはりこれから我が国の原子力発電の問題を考えますと、さっき言った地球温暖化の防止あるいは石油に依存しちゃいけないということも含めて、当面はやっぱり原子力発電でやっていかないと日本は成り立たないんですよね。そういう意味で、発電事業者の方もバックエンドの対策の問題もこれから非常に大変な問題を抱えておりまして、私はもうそういう意味では相当な決意でやらなきゃいけないと思いますし、原子力行政側もこれまでの中途半端な規制はやめてしっかりしてやっていただきたいと思います。
 私はやはり思うのは、本当にこれでお互いにこの原子力発電所に対してきちっと納得した上で再スタートしてほしいなというふうに思いますので、改めてこの原子力発電所のこれからの必要性も含めまして、大臣と、最後に東電の社長にお伺いしたいと思います。で、終わりにします。
#55
○委員長(田浦直君) 簡潔に。
#56
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘がありましたように、我が国のエネルギー政策上、やはり天然エネルギー資源の乏しい我が国としましては原子力というのは非常に必要だと思っております。そしてまた、地球温暖化ということも考えたときに、安全性をしっかりと担保すれば、この原子力というのは発電過程においてCO2を排出しませんから、そういう意味でも私は、ある意味では温暖化を考えたときに、ある意味ではふさわしいエネルギーだと思っております。
 そういう意味では、今回の事案の中で勧告もいただきました。透明性、これも非常に御指摘のとおり大切ですから、勧告の趣旨もしっかりと守って国民の信頼にこたえるように、そして安全性を確保するように全力でやってまいりたいと、このように思っております。
#57
○委員長(田浦直君) 簡潔にお願いします。
#58
○参考人(勝俣恒久君) ただいま大臣のお話にもございましたように、我が国にとって原子力は必要不可欠なものと考えております。それだけに、私どもが自らその信頼性を損ねたということは大変痛惜の思いであり、同時に皆様方、国民の方々、そして立地地域の方々に深くおわびするところでございます。
 当社といたしましては、まずその意味で事実関係の原因究明、これ最終報告をできる限り早く出して、その上に立って信頼回復、ここに向かって進むと同時に、再発防止策を講じ、少しでも今停止しております原子力等々の再稼働等々を図りながら、今後、安定供給確保に向けて全力を挙げていきたいと考えております。よろしくどうぞお願いいたします。
#59
○若林秀樹君 終わります。
#60
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 私は、十月の頭まで経済産業省の大臣政務官を拝命いたしておりました。そして、党におきましては女性局長でございまして、週末には全国を歩かせていただいております。そして、各地でこの原発のトラブルの問題に関しましてはおわびと、そして説明を繰り返してまいりました。しかし、今回のこの福島第一原発一号機の偽装問題につきましては、おわびなどでは済まない状況にあると思っております。
 本日は、東京電力の勝俣社長にお越しをいただいております。まず、社長にお伺いをいたしたいと思います。少し重複する質問もあるかと思いますけれども、よろしくお願いをいたします。
 東京電力と保安院、今回この問題が更に大きくなりました。これは、やはりある意味ではなれ合いの関係が根底にあったからこうしたトラブルが起きたのではないかという、こういう指摘が多くあるわけでございます。保安院との関係についてどのように社長はお考えでございましょうか、まずお伺いいたしたいと思います。
#61
○参考人(勝俣恒久君) 原子力安全・保安院との関係につきましてのお尋ねでございますが、当社といたしましては、とにもかくにも、まずは法令遵守と安全確保を第一に原子力事業者としての責務をきちんと果たしていくと、こういうことが私どもの責務と、こういうことで考えているところでございます。
 甘えやなれ合いといった御指摘があるということにつきましては誠に遺憾でございまして、そのようなことは決してないと私どもは考えておりますが、今回のような問題が二度と起きないよう、再発防止に全力を傾注していきたいと、こういうことで考えておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。
#62
○松あきら君 先ほどからいろいろ御説明いただいておりました格納容器の漏えい率低減を図るために、定期検査で、圧縮空気を注入することでデータを偽装したという点について、この格納容器という重要な設備の検査に偽装が行われたという、本当にこれショックです。
 格納容器というのは最後のとりでだというふうに私は思っております。ですから今までは、実は私もいろいろ勉強いたしまして、傷等がいろいろ二十九か所と最初言われました。しかし、これは実は、その大半が安全性に本当に問題がないということは、私もこれ勉強いたしまして分かりましたけれども、後で申し上げますけれども、これには今まで、日本はほとんどもう安全ですと、一〇〇%という言い方はしたかどうか分かりませんけれども、国民の皆様が一〇〇%というふうに受け取った、安全ですという、このことがありましたので、大変だということになったわけでございます。
 しかし、その問題と今回のこの格納容器の検査の偽装ということは、もう全く性質が違うと私は思っているわけでございます。この定期検査に合格しなければ炉は停止をされるということであると思いますが、今停止されている現在わけでございますけれども、これを停止されちゃったら大変だということで、これは一業者が、あるいは一担当者がやったという、まずは認識なんでしょうか。まず、それともそうじゃない、実は全社的なんだという認識なのかどうか。そしてまた、全社的であるとすれば、偽装しても特に安全性に問題はないと考えられていたのかなと、だれが、いつ、どういうふうにやったかということまでは分からないということでございましたけれども、もう一度その辺を伺いたいと思います。
#63
○参考人(勝俣恒久君) 松先生にはこれまで原子力推進に本当にいろいろ御尽力、御心配いただきまして、そうした中で弁解の余地ない行為、発生いたしましたことを改めておわび申し上げます。
 今御質問の件でございますが、今回報告いたしました中間報告では、空気注入等の不正な行為が行われたという結論に至ったということで調査団から伺ったわけでございますが、ただ、だれが、どういうふうに実施したのか、これが言わば一業者、一担当者のことなのかどうか、この辺につきましても大変申し訳ございませんがまだ特定できてはおりません。私どもとしては、できる限り早期に最終報告をということでお願いしておりますので、いましばらくの間お待ちいただければということで、大変申し訳ございませんが、よろしくどうぞお願いいたします。
#64
○松あきら君 やはり一日も早く特定することが今後の再発防止という点に対しても大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 原子炉につきましては自主点検が行われてきたわけでございますが、この自主点検というのは、私は答弁したことあるんですけれども、何年に一回であろうが、どこをやろうが、自主、自由だというところで、とにかく一年に一回でも五年に一回でもこれはそちらのお任せよという、こういうことだそうでございますけれども、とにかく自主点検が行われてきたと。以前から罰則が法制化をされていたら今日のような事態にはならなかったかどうか、社長はどう思われますでしょうか。
#65
○参考人(勝俣恒久君) 今回の法改正におきまして、事業者が行う自主点検についても定期的な実施が義務付けられる、あるいは結果の記録保存等が定められ、罰則が強化されると、こういう方向だと伺っているところでございます。本来、私ども、皆様方からの信頼を存立基盤とする原子力発電におきまして、罰則のあるなしにかかわらず適正な業務の積み上げが自然に行われるのが本来私どもの原則だと考えているところでございますが、これを自ら言わば破ったということで、大変申し訳ございませんが、そんなことで私どもがちょっとこの問題についてなかなか言いづらいところでございますが、不適正、不正な事例で端を発してこういうことになったということは誠に重く受け止めるところでございます。
 当社といたしましては、法改正の趣旨を踏まえまして、適正で的確、誠実な業務運営ができるよう、また失われた信頼が一日でも早く回復するよう頑張っていきたいということで、そういうことが非常に重要なことだと考えておるところでございます。
#66
○松あきら君 確かに言いづらいということは分かる気がいたしますけれども、やはり法制化等々ということはその以前の問題がいろいろときちんとされていなかったということもあると思いますけれども、正に今後法制化、しかも罰則が厳しく、厳しい状況になる、懲罰刑まで入るわけでございますので、是非その点をよくお分かりいただいて、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 これを契機に国は法律で再発防止策を講じるわけでございますけれども、先ほどもちょっと申しましたけれども、日本はほとんど安全ですよというふうに言っていた。ところが、アメリカでは何十%かのリスクはあると、こういうことをきちんと提示を元々していたんで、ああ、ここまでの傷は大丈夫、ここから先のクラッシュはこれは危ないと。だから、幾らここら辺の傷ありますと、こういう情報公開をしても皆様が御心配なさらない。ああ、そうかということで納得なさるということなんですね。
 ですから、日本もそうした基準を作るそうでございます。健全性評価ということで、そうしたことも踏まえた基準ということだそうでございますけれども、やはりリスクもあるということをきちんと情報公開をして、はっきりとした安全基準、これは事業者、国共々が国民に示されるべきだというふうに私は思います。
 本来、御社としての再発防止をお伺いするところだったんですけれども、先ほどもいろいろと再発防止はこういうふうにするのだということを伺っておりますので、時間の関係もありますので、社長は以上にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、国についてお伺いします。
 再発防止策、改めて手短にお願いいたします。
#67
○政府参考人(佐々木宜彦君) 原子力の安全に関しまして、国民の信頼を損なうものでございました。この信頼を回復していくために抜本的な再発防止策の実施が必要と考えておりまして、再発防止につきまして、法制の検討小委員会も開催をいたしまして中間報告を取りまとめたところでございます。
 具体的には、事業者による自主点検を法令上明確に位置付けるとともに、その検査の結果の記録を義務付ける、また自主検査時にひび割れ等の不具合を発見した場合には、科学的、合理的な根拠に基づく進展予測を行い、安全性の評価を行うことを義務付けること、また組織的な不正を抑止するため罰則を強化すること、また申告制度の運用を改善すること、さらに事業者において品質保証体制が確立するよう制度整備を行うこと、最後に地域住民の皆様方、国民への説明責任を果たすことなどの提言がなされておりまして、私どもは、こうした中間報告の提言を受けまして、法律上の措置が必要なものについてこの臨時国会に関連法案を提出するべく準備を進めさせていただいているところでございます。
#68
○松あきら君 種々述べていただいて、国ももちろんこれからは何とかを締め直して出直すぞという決意であるんだというふうに思います。女性の私がちょっと言うのははばかられますので言いませんけれども。
 しかし、維持基準について、名前を許容欠陥評価基準から健全性評価基準に変更したと。健全性評価基準というのは分かりにくいでしょう。例えば、安全評価あるいは安全基準などでもいいんじゃないかな。何でこんな一々分かりにくい、大体分かりにくいんです。やっぱり国民に分かりやすい私は名称の方がいいと思いますけれども、どうしてでしょうか。
#69
○政府参考人(佐々木宜彦君) いろんな御議論があることは承知いたしておりますけれども、いずれにしても、今回我々が整備すべき基準というのは、欠陥、ひび等がありましたときに、その検査のまず方法論を決めること、その検査の結果によってその傷がどういうふうに進展するか、破壊力学的な手法でこれを予測をすること、こうした判定の方法をまず決めまして、これが具体的にはいつ、安全水準からどの程度の安全余裕があるかという、そういう判断基準を示すということでございます。
 その意味で、維持基準という一般的な名称がございますけれども、実際、設備の新設時に求められる安全の水準と設備の使用開始後に求められる安全の水準は我々は変えない、同一であるものでございます。そういう意味で、新設時の安全水準と、それとは異なる、使用開始後には何か別の基準が併存するかのような誤解を生じるのではないかというのが、維持基準という名称を健全性の評価の判定方法というふうに変えさせていただいたのでございます。
 確かに、おっしゃるように健全性評価基準という言い方が本当に無用な誤解を与えず分かりやすいかということは御議論があるかとは思いますけれども、我々は、別の安全水準の基準をダブルトラックでやるということではなくて、安全水準を同一の考え方での判定方法を決めるということで今考えているわけでございます。
#70
○松あきら君 ちょっと私よく分からなかったんですけれども。とにかく、国民に分かりやすく情報公開をしていただきたいし、国民の皆様が納得する形でしていただきたいというふうにこれは申し上げて、この名称はしようがないですね。
 三年前にジェー・シー・オーの問題が起きて申告制度ができました。今回の件で、先ほども申告を保安院は事業者に漏らしてしまった、知らせてしまったということでございますけれども、これ担当課長名で出されたといいますけれども、私は担当課長がかわいそうだな、担当課長にそれが着せられちゃったらかわいそうだなと思いますよ。やっぱりこれは、単に担当課長名で出たということだけで、私は彼が一存で出したわけでも何でもないというふうにこれは思います。
 一連のこの問題で、先ほど佐々木院長は処分を受けた、私どもは処分を受けたとおっしゃっておりました。法律で今後は事業者に罰則が強化をされます。今後、このような件が何か、ないことを祈りますけれども、もし仮にあった場合、この事業者だけでなく、私は、保安院に対しましてもやはり処罰が考えられてもいいんじゃないか、国民の皆様はやはりそう思われるんじゃないかと思います。いかがでございましょうか。
#71
○政府参考人(佐々木宜彦君) 今回、私自身も含めまして五名の当省職員及び現在出向中の職員含めて六名が国家公務員法上の懲戒処分を含む処分を受けたところでございます。
 今後、こうした事態が起こらないような再発防止ということはもう当然でございますけれども、一連の今までのいろいろな評価あるいは検証の過程で、保安院の責任についても十分私自身認識しているところでございます。そういう意味で、保安院の職員挙げて使命感と責任感の下で業務を遂行していきたいと考えております。
#72
○松あきら君 時間がないので先に行かせていただきます。
 原子炉の安全を国はどのように担保しようとしているんでしょうかと私は申し上げたいんです。
 例えば保安院に対しましても、本省と地方で百六十人という数も聞いております。いろんな立場の人を入れても原子力関係者は二百六十人程度と聞いているんです。これだけ大きなシステムを検査、監督するには全く足りないと私は思います。先ほどの福島の場合でも、捜査官が一人でそこ立ち会っていたというような話もございましたけれども、アメリカでは三千人もいるそうじゃないですか。日本だって保安院と今度できる機構、これと合わせて私は二千人ぐらいいたっていいのではないか。つまり、申告制度や罰則だけでは安全は作り出せないということでございます。安全規制の充実確保のためには思い切った人的増員ということを考えるべきと思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#73
○副大臣(西川太一郎君) 松先生の御指摘、誠にごもっともだというふうに存じます。
 そこで、厳しい財政状況の中で増員を図るという予算面の制約もございますし、また行政組織の効率性も勘案しなければなりません。しかし、さりとて、それ以上に大事なことは再発防止、御指摘のとおりでございますので、関係諸機関とも協議をいたしまして、今後、御指摘の体制面での取組を多面的、総合的に強化をしてまいりたい、早急にこのことに取り組んでまいりたい、こんなふうに思っております。
#74
○松あきら君 頑張っていただきたいというふうに思います。
 しかし、このような事件が起こるたびに原子炉を止めざるを得ないんであれば原子力は頼れるエネルギーじゃないんじゃないか、あるいは基幹エネルギーイコール原子力というのを考え直して、代替エネルギーというのをもっともっと研究開発すべし、こんな意見もあります。しかし、原子力発電というのは電力の三〇%を占めるエネルギー源であり、現実には重要な私はエネルギーであるというふうに思っております。
 今、大学で原子力関係の学科を持つ大学、これを調べましたら、国立大学で八大学あるんですね。定員数でも合わせて九百五十一名。優秀な人が欲しい、私も人員増員しろと、こう言いましたけれども、そうはいっても、この人数では優秀な人材というのはほとんどメーカーに行っちゃうんですね。今も実は一番詳しいのはメーカー、次が東電、次が保安院と、こんなふうに言われているんですけれども。これは分かりません、言われているわけでございます。要するに、少ないんですよ、来ていただきたくても。優秀な方いらっしゃいますよ、保安院。少ないということを言いたいんです、私は。
 ですから、この原子力という問題、十年、二十年、三十年先を考えて、やはりこの重要な原子力に対して、文部科学省とも連携しまして、人材の育成、人材のすそ野を広げるべきだというふうに思いますけれども、これは大臣、いかがでございましょうか。
#75
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。
 松先生の御指摘は、私はもうそのとおりだと思っております。
 原子力というのは、資源エネルギーというよりもある意味じゃ技術エネルギーと、こういう観点もあると思っております。したがいまして、優秀な人材というものを確保してそれを育成するということは最も重要な原子力の安全性の担保にもつながる重要な課題だと思っておりまして、経済産業省といたしましても、この分野におきます人材確保でございますとか育成の重要性にかんがみまして、産学連携による原子力技術関連の研究開発の支援を行う、そういった努力もしておりまして、私どもとしては、そういう観点から文部科学省とも協力をしながら優秀な人材の確保に全力を挙げて努めていかなければならないと思っております。
#76
○委員長(田浦直君) 松あきらさん、あと三十秒でございます。
#77
○松あきら君 なかったとは言えない官民の持たれ合い制度を廃し、徹底した情報公開や政策決定への国民参加などの新しい体質で原子力政策を進めていくべきではないかということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#78
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 九九年の九月の三十日、日本のチェルノブイリとまで言われましたジェー・シー・オー事故が起こりました。私は、当時、経済・産業委員として、本会議質問も含めて、当委員会でも質問に立った一人でございます。今回、九月一日の東電の首脳陣が一斉に辞任をしたというニュースは、実は私、海外の視察中に知りました。重大な事故につながっていたらという、本当に背筋が寒くなった思いです。
 放射能の被害というのは、スリーマイルのあの事故や、チェルノブイリの事故や、ジェー・シー・オーの事故でも明らかなように非常に広範囲ですし、しかも人を選びません。しかも、将来に甚大な被害を及ぼします。当委員会で取り上げました三十九年前の政府の試算でも、過酷事故が起こったような場合には、これはもう被害総額というのは国家予算の二倍から三倍にもなるわけですね。当時とは全く比べ物にならない、今は規模が大きくなっております。私、ハインリッヒの法則というのを思い出したんですけれども、小さな不具合が三百、小さな事故が三十、こういうものが積み重なって大事故が起こるというようなことも言われているわけですね。本当にこういう不正が隠されていたということについてぞっとしたわけでございます。
 私は、日本共産党は、国会では七〇年代から、この安全神話が安全対策の放棄を招き、逆に危険を招くという警鐘を鳴らしてまいりました。科学的に未確立な原発は危険なものとしての前提に立った厳重な安全対策が必要であり、とりわけ推進機関とは完全に独立した許認可権を持った規制機関の設置は、これは立場の違いを超えて喫緊の課題だと政府に求めてまいりました。しかし、いまだに政府は改善しようという方向が見られておりません。そこで、今度の不正が発覚したわけですけれども、私たちは今回の事態に対しましても、直ちに国民の安全を守るための措置ということで、第三者機関による究明と独立した規制機関の設置などを含みました原発損傷隠ぺい事件を踏まえての五つの緊急提言というのを総理に申し入れてまいりました。今回の事態というのは、国の原子力政策の根幹を揺るがす大事件でございます。政府も事業者も真剣な反省と対応が求められています。まず、何よりも徹底的な真相の究明が必要だと考えます。
 今回、十数年も前からの東電やその他の電気事業者による一連の事故隠し、データの改ざん、検査の偽造などが発覚したわけですけれども、私たちは、電力業界全体が長い間の安全神話の呪縛にとらわれ、また効率優先の余りトラブル隠しにまで走っている腐敗体質になっている疑いが濃厚になったと考えております。そして、国民の皆さんは、東電だけではなくて、政府が一緒になってこの申告隠しや不正隠しをしてきたという思いで、原発の安全性に対する不信と行政不信を併せて強めている。こういう国民の厳しい批判にこたえるためにも、事業者はもちろんですが、政府も、そして国会の取組もまた求められているのではないかと考えています。
 最初に、東電の社長、勝俣社長にお聞きしたいと思います。
 言うまでもなく、原発の安全確保の第一義的な責任は電気事業者にございます。私たちは党で東電不正追及チームというのを立ち上げまして、この二か月、東電の福島第一、第二、新潟の刈羽、東北電力の女川、中部電力の浜岡、日本原電の敦賀など、ずっと原発の調査に参りました。どこの地元自治体からも住民からも、安全神話は完全に崩壊した、東電と国にだまされた、こういう声を聞いてまいりました。
 そこで、二点お聞きしたいと思います。
 東京電力の中間報告でも、だれの指示でデータを改ざんしたのか、不正の指示をしたのか、報告に記載をしなかったか、あるいはだれがそのことを認めたのかということについては明確にされていません。これでは社長就任のあいさつの、うみの出しようがないと思うんです。体質を変えることもできない、再発防止策も立てることができないというふうに考えます。
 一つの事例ですけれども、榎本さんという副社長、お辞めになったわけですが、当時の原子力本部長、この方についても調査をしていない、調査委員会の顧問に据えている、こういうことでは国民の信頼は回復できないと思いますが、きちっと調査をして、そういうことも含めて公表すべき義務がある、その決意がお聞きしたい。
 二点目は、国民の信頼を回復するためには、原子力基本法第二条、自主、民主、公開の原則に立ち返ることです。安全性と信頼の確保の第一歩として国民が求めています、定期、自主を問わず、すべてのデータを公表する決意がおありかどうか、この二点をお聞きしたいと思います。
#79
○参考人(勝俣恒久君) 今回の、今御指摘の点につきましては、GEの指摘事項二十九件に絡む問題のことが主と思います。
 これにつきまして、私どもは社内で調査チームを作り、アドバイザーとしては弁護士さんにもお入りいただいておりますが、そういった格好で徹底的に調査いたしましたことでございます。この二十九件は非常に多岐にわたり、なおかつ一番古いもので十五年前のものと、こういうことでございまして、中には既にデータ等がもうなくなっているというようなこともございましたが、できる限り最大限の努力をして調査いたしたところでございます。
 そうした中で判明したことは、例えば個人のだれがやったというよりも、組織全体でどうもこうした行為が続けられてきたというようなこと、事実が私どもとして分かりまして、言わば組織管理上の問題であったということで考えたわけでございます。例えば、今回の調査の結果、補修業務にかかわる社員たちが例えば個人的に何かおかしいと言っても、なかなか組織の中で従前どおりのやり方を踏襲せざるを得ないということで、なかなか変えるというようなことが難しい風土にあったと率直にそういったことで考えているところでございます。
 こうした事情を考慮した場合に、今回の一連の問題に対する責任を個別の一件ごとの事案の実行者として個人に求めるのは適切ではなくて、むしろこうした業務を組織として遂行して、若しくは容認してきた原子力発電所及び本店原子力部門が組織全体として負うべきものであるということで、最終的にはそれぞれの幹部に帰するものといたしたところでございます。
 なお、当時原子力本部長でございました榎本につきましても、聴き取りは必要に応じて複数回にわたって行われております。記者会見の場において、榎本がかつて所長を務めておりました柏崎刈羽発電所一号機についてヒアリングを受けたかということについて、質問に対して、答えておりませんと答えたわけでございますが、本人に確認いたしましたところ、柏崎刈羽一号機についてはヒアリングという形での調査を受けたわけではないということを述べたつもりであったということで本人から確認しているところでございます。
 私どもの調査委員会の事務局でも数時間にわたって、言わば書記を置いたヒアリングという格好では実施いたしておりませんけれども、それなりにお話を聞いておりますし、私自身も榎本から聞いていると、こういうことでございます。
 以上でございます。
#80
○西山登紀子君 二問目のお答えも。
#81
○参考人(勝俣恒久君) 失礼いたしました。
 いわゆるデータの、自主、民主、公開の原則に立ってデータを全部公開すべきと、こういう御指摘をいただいておりますが、私ども、GE案件に対する再発防止対策の中でも、原子力部門の情報公開を徹底して、社外の方の視点を取り入れて発電所運営の透明性を高めるということをお約束いたしたところでございます。
 こうした具体例の一つといたしまして、立地地域の方々の代表者に参加していただく発電所地域情報会議というものを設置いたしまして、メンバーの方々には原則として発電所運営にかかわるすべての状況を提供すると、言わば所内のフリーアクセスを保障していくということで考えておりまして、今、立地地域の方々と御相談しながら具体策を詰めているところでございます。
#82
○西山登紀子君 私は、東電の今の社長の説明には本当にそれで信頼できるかというと、非常に疑問を持ったわけでございます。安全委員会の平沼大臣に対する勧告の中でも、すべて恒常的にやっぱり事業者が情報を国民に公開すべきであるということを勧告の内容に盛り込んでいるわけですから、地域の、しかもそのメンバーにだけ公開をしていくというようなあいまいな決意では、もう東電に原発は任せられない、その資格がないんじゃないかというふうにもなると思いますが。
 時間がないので先に急ぎます。
 大臣にお伺いしたいと思います。
 今回の一連の事故隠しは、まあGEII社の元社員の告発がなければ一連、発覚し得なかったということでございます。
 今度の告発は大臣に、実はこういう申告があったということをいつ大臣がお聞きになったかということを私大変重視しています。保安院の説明では今年の八月の二十八日だったというのですが、本当でしょうか。
#83
○国務大臣(平沼赳夫君) それは事実でございまして、八月二十八日に原子力安全・保安院長から本件の報告を受けたわけでございまして、私はそれを受けて、これはもう直ちに公表しなきゃいけないと、こういうふうに指示をしたところでございます。
#84
○西山登紀子君 公表しなきゃいけないという決断をしたということなんですが、大臣、これ二年間も報告をされていない、大臣は二年間も御存じなかったと。これは私、非常に重大な問題だと思うんですよ。
 この法律というものは、従業員が大臣に申告できる、主務大臣に申告できるというのが法律の大きな目玉なんですね。大臣の責任で対応する、だから国民はまあ安心して申告してくださいという法律の趣旨でございます。ところが、大臣に二年間も伝わらなかった。これではこの申告制度そのものがもう死に体同然、もう仏作って魂入れずというふうに思います。
 平沼大臣は二〇〇〇年の七月に経済産業大臣に当たられて、しかもこの申告制度が七月から実施をされて、そしてそのGEII社の方はその法律の実施を待って二〇〇〇年七月の三日に第一回の告発をされた。大臣はこの申告制度を正に国民の安全を守るために生かす責任があったと思うんですね。報告がなかった、部下が悪かったでは済まされる問題ではないのではないでしょうか。
#85
○国務大臣(平沼赳夫君) 私、当時はまだ通商産業省と言っておりましたけれども、通商産業大臣に就任いたしましたのがちょうど二年前の七月四日だったと思っています。ですから、非常にそれは軌を一にしているところでございまして、調査開始から発表まで二年掛かったことなどについて私は御批判があることは承知をしております。
 申告に係る保安院の調査過程について私の直属の評価委員会を設置して御審議をいただいたところでございまして、評価委員会としましては調査の手順あるいは手法について厳しい御批判をいただいたところでございます。私としては、御指摘のとおりそういう規定になっておりまして、これを重く受け止めさせていただきまして、九月二十七日、当省関係者を処分するとともに私自身につきましてもけじめを付けさせていただいたところでございます。
 私といたしましては、担当大臣として抜本的な再発防止策を講じまして信頼の回復に全力を傾けることが今私に与えられた責務だと思っております。このために、申告制度に関しましては外部有識者から成る申告調査委員会の了承を受けつつ、適切に申告を処理する体制を整えまして、既に二回会合を開いていただいております。再発防止策を盛り込んだ法案を更に本国会に提出すべく準備を行うなど、原子力安全規制の改善を図りまして信頼回復に全力を挙げて取り組んでいかなければならない。御指摘のように、二年掛かったということは大変これは反省をすべきことでございますし、私もその、今申し上げたように責任を感じているところでございます。
#86
○西山登紀子君 責任を感じているということなんですが、私はその中身をもう少し大臣に分かっていただきたいというか、処分したということを言うけれどもこれは極めて軽い処分でありまして、しかも国民の皆さんもこれで済むのかという思いはぬぐえないと思うんですね。
 繰り返して言いますが、私はこの申告制度を作るときにやっぱり委員会で審議をした一人といたしまして、この申告制度というのは、当時は、ここの部屋だったと思うんですが、中曽根大臣がこの法律案の趣旨説明をしておられまして、本法律案はこのような重大な事故から得られた教訓を踏まえということで、主務大臣に対する申告に関する制度の新設であるということで説明をしているんですよ。だから、ジェー・シー・オー事故の厳しい教訓からこの法律を新設したということ、その新設した法律の申告制度の大目玉というのは主務大臣に対する従業員の申告制度なんですね。そして、この法律や命令の規定に違反する事実を従業員自らが主務大臣に申告する、そのことによって原子力の安全対策に万全を期すというふうになっているわけです。
 炭鉱などの申告制度はありますけれども、労働者は鉱山保安監督部長か鉱務監督官に申告となっていて、主務大臣というふうにはなっていないんですよ。それほど私は、これは原発の問題は重要だからこそ主務大臣に直接従業員は申告できるというふうになっているんです。そこの大目玉のところをやっぱり生かせなかったし、その程度の理解だからこそ、種々指摘がありましたように、この初期動作においても申告者の個人情報保護についてももう本当に、もうむちゃくちゃなことをやって、実際この申告制度を二年間ずたずたにして、私は死に体にしたその責任は、もちろん保安院にもありますけれども、私は大臣のその責任が厳しく問われる。
 この申告制度そのものに対する信頼を回復するためには何をしたらいいか。それは、ちょんちょんと厳重注意をしたとかあるいはちょっとお給料を減らしましたよというようなことで回復できるものではないと思うんですね。大臣はやっぱりきちっと、まずその勧告を受けたらすぐ大臣が受け止めましょう、そして申告したあなたの身分をきちっと守りますと。安全委員会が大臣に指摘したように、この申告制度というのは社会的監視機能を持つ重大な申告制度だと受け止めておりますということを私はこの場所でやっぱり国民の皆さんにきちっと大臣がお約束していただく。まず申告があったら直ちに私のところに届けさせるようにそれは改善しましょう、身分はちゃんと守ります、そういうこと御決意を表明していただけますか。
#87
○国務大臣(平沼赳夫君) これは勧告をいただいた中にもそういう重要な点も御指摘があり、我々としてはこの申告制度というものも、外部の有識者の方に集まっていただいて、そしてこれを、この運用に万全を期すと、こういうことでございまして、私は主務大臣として、今後こういう申告制度というのは、その後幾つか事案があります。これは、すべて私が今入ってきたと同時に私のところにこの報告がございまして、そしてそれをしっかりとチェックをし指示をしているところでございまして、それは万全を期していきたいと、このように思っています。
#88
○西山登紀子君 しつこいようですけれども、いろんな評価委員会のこういう報告を見ましても、大臣に報告が行かなかったということについての指摘はないんですよ。それは私は身内の調査の限界だと思いますけれども。ですから、もう一度お聞きしたい。申告があったら大臣に即報告させるようにすると約束してください。
#89
○国務大臣(平沼赳夫君) 今の、前の御答弁でもお答えをしましたけれども、その後はすべてリアルタイムで私に入ってくるようになっておりますから、そのことは私は万全を期します。
#90
○西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いします。
 国民はこの中間報告で幕引きなんというふうには絶対に思っていないわけでございまして、現在、設置自治体からはどんどんとこの決議が上がってまいりました。私が調べたところでも三十一の地方の自治体から意見書が上がっております。こういう住民の声を真摯に受け止めていただいて、例えばアメリカのケメニー委員会のようなこの第三者の、しかも専門家の、しかも推進に責任を持たない独立した機関による全容の解明、これがまず大臣の責任を取る、お取りになる第一の方向じゃないかと思いますが、決意を伺って質問を終わりたいと思います。
#91
○国務大臣(平沼赳夫君) 本年の八月二十九日に公表いたしましたこの東京電力によります自主点検における不正の疑いにつきましては、御承知のように、法令に基づく立入検査の実施など、徹底した事実解明を進めまして、そして十月一日に調査結果をまとめるとともに東京電力に対して厳重な注意を行ったところでございます。
 それからもう一つ、先般明らかになった福島第一原子力発電所一号機の格納容器漏えい率という検査不正にかかわる案件については、これは国の定期検査に係る前例のない事案でございまして、聴聞等の必要な手続を経た上で、当該機については、これも御承知のように、一年間の原子炉を運転停止をしたところでございます。
 このようにこれまでの不正の疑いが生じた案件については、当省としては徹底的な調査を実施した上で必要な措置を厳格に講じてきたところでございます。
 しかしながら、東京電力の自主点検記録に係る案件については、平成十二年七月に最初の申告一件が寄せられてから、先ほど来御指摘がございますけれども、公表まで二年間を要したことにつきましては、これは私先ほど申し上げましたけれども、当省自身として反省すべき点は多々あると認識しております。このために、法律あるいは監査、技術などの有識者から構成される私に直属する評価委員会を設置をしまして、保安院による調査過程の妥当性などについて御審議をいただいて、当省側にも不適切なところがあったという厳しい御指摘をいただきました。私もこうした厳しい御指摘を重ねて重く受け止めまして、それを受けまして、軽いと、こういう御指摘がございましたけれども、これ十分重い、当省関係者の職員を処分したところでございます。
 また、評価委員会の中間報告の提言を受けまして、保安院においては外部有識者から成る申告調査委員会を立ち上げまして、この委員会で審議、了承された方針に従って申告の処理を進めるとともに調査手順に関するルールを定めるなど、申告事案の処理体制の改善を進めているところでございます。
 ケメニー委員会についてのちょっと御指摘がございました。御指摘のケメニー委員会というのは、米国のスリーマイルズアイランドの原子力発電所の炉心の溶融事故という先例がなく安全に直結する重大な事故について原因究明等を行うために特別に設けられたものであると、こういうふうに承知しておりまして、私どもの判断としては、決してそれをおろそかにするということじゃありませんけれども、今回の記録改ざん等による問題への対応とはケメニー委員会というのは私は多少趣を異にする。ですから、今そういう出てきた安全性と国民の信頼の回復をするために今申し上げたようなことを徹底してやると、こういうことで対応さしていただきたいと思っております。
#92
○広野ただし君 国会改革連絡会、自由党・無所属の会の広野ただしです。
 先ほどからお話ありますように、原子力はエネルギーの低廉、安定供給、また安全保障上非常に重要なエネルギーだと、このように思っておりますし、先ほどもありましたように、地球温暖化の炭酸ガス防止という意味でも非常に大事なものだと、こういうふうに思っております。
 ただ、問題点は、先ほど大臣も言われましたけれども、安全の問題と、これは人間が知恵で作り出したエネルギーですから、そういう点まだまだ足りない点があるんだと思います。そしてもう一つ、核燃料のバックエンドといいますか、放射性廃棄物の問題。大きく言えばその二つのところが大きな問題点を抱えているんだと、こう思うわけでありますけれども。
 ところで、勝俣東電社長にお伺いいたしますけれども、釈迦に説法でございますけれども、やはり原子力をやっていきますときは信頼というものが非常に大切で、その信頼を得るためにはもう一つ一つの積み重ねで何年も掛かることだと思うわけです。ところが、それを打ち壊すのは、もう一瞬にして壊れてしまうということで、そこのところは、そういう中でやはりうそというのは絶対駄目だし、また不正が行われるということはもっととんでもないことだと、こういうことだと思うわけであります。
 そういう中で、先ほどから何度となくありますが、前の南社長始め幹部の方々、責任を取って辞職をされました。そのほか社内ではどういうような社内処分をされたのか。また、先ほどもありましたけれども、二度と起こらないように品質監査部門ですか、新設されるというようなことですが、そこをもう少し具体的にお話をいただきたいと思います。
#93
○参考人(勝俣恒久君) 先生御指摘のとおり、信頼に成り立っている信頼を自らぶち壊したということは本当に痛惜の至りでありまして、改めて今回の一連の不祥事につきまして心からおわびを申し上げます。
 自主検査におけるひびの事実隠しとか、修理記録への虚偽記載及び福島第一・一号機の格納容器漏えい率検査における不正というのは、全く弁解の余地もなく社会の皆様の信頼を裏切るものだという認識でございます。
 こうしたことにつきまして、まず前半の、GE指摘事項二十七件の処理は、会長、社長、それから副社長でございました原子力本部長の退任ということでございますが、それ以外にも言わば原子力発電所長あるいはその部長等々、管理責任を問いましてそれなりの処分をいたしたということであります。
 また、今後再発防止策、二度と起こさないということで、私どもといたしましてやはりまず基本的には企業倫理の遵守ということで、ルールを守るということで、させない仕組みとしない風土をどうやっても構築していかなければいけないということで、それを基盤といたしまして、私どもといたしましては社外有識者をメンバーにしました企業倫理委員会を設け、今後企業倫理に反する事案の調査、対応などをする、また相談窓口を設けて電話でも受け付けますし、発信先の分からないメール等々も備えまして、広く当社社員のみならず関係会社あるいは取引先のメーカーさん等々も含めまして、広くそういったことで相談窓口を作るということもいたしたわけでございます。
 加えまして、情報公開を徹底いたしまして、透明性の高い発電所運営をいたすと、こういう観点から、発電所地域情報会議を設置いたしまして地域の自治体、諸団体の代表等々にも御参加いただきますと同時に、また社外の有識者の方々から成る原子力安全・品質保証会議を設置いたしまして、ここで種々のアドバイス等々もいただく。また、原子力部門の閉鎖性を打破して風通しのよい企業風土にするということで品質監査部門を創設いたしまして、そこでマニュアルの、あるいは仕事のやり方等々についても徹底的にチェック、改善をする、こういうようなことをいたして当社全力を挙げまして信頼回復に向けまして進むつもりでございます。
 何とぞ御理解賜りますようお願い申し上げます。
#94
○広野ただし君 また信頼回復のために長年また積み上げが必要かと思いますが、是非万全の体制を取っていただきたいと思います。
 それと、一方、原子力を検査のために止めるとか、あるいは行政処分でもってまた止めるとか、そういうことで現在火力発電所を立ち上げているというふうに聞いておりますけれども、これから冬場になりますと、またエネルギー、いろんな需要が出てまいります。そういう中で、エネルギーの供給上全く問題が起こらないのか、その点について伺いたいと思います。
#95
○参考人(勝俣恒久君) 御案内のとおり、現在、原子力は九基八百五十万キロ停止いたしているわけでございます。そうした中で、私どもとしましては、これまで停止、休止いたしました火力の立ち上げ、あるいは火力の定期点検の時期の調整、あるいは、いわゆる自家発との契約を結んでおりまして購入契約等々もございますが、そうしたこと、あるいは他電力からの融通、こういったことでありとあらゆる施策を講じまして安定供給確保を推進いたしたいと、こういうことで考えているわけでございます。
 そうしたことで何とか頑張りたいと思っておりますが、万が一といったようなことも、気温が非常に寒くなったような場合等々ございますので、こうした点も各社との連携強化を深めながら何とか頑張りたいと思っております。御理解、御支援のほど、よろしくどうぞお願いいたします。
#96
○広野ただし君 続いて、保安院の方にお伺いしますけれども、東京電力は電力業界のリーダーだし、また経済界のリーダーだと、こういうことで、いろんな意味で信頼をしていたというのか、まあいろんなことがあったんだとは思いますが、簡単なことを言いますと、なれ合い的なことはなかったのか、その点について伺いたいと思います。
#97
○政府参考人(佐々木宜彦君) 少なくとも、昨年の一月から規制に特化した独立機関としての原子力安全・保安院の院の運営方針といたしましては、事業者の一義的な安全責任を重視し、また自主保安の体制を尊重しつつも、緊張感を持って対応し、規制のあるべき姿を求めてまいったと私自身は思っております。
#98
○広野ただし君 それと、東京電力のほかに調査をされて、日本原電等幾つかのやはり問題があったと思いますが、その概要を簡単に説明いただけますか。
#99
○政府参考人(佐々木宜彦君) 東京電力の二十九案件以外に、同じくBWR型炉でございますけれども、東京電力、それから東北電力、それから中部電力、これらにつきまして再循環系の配管にひび割れが見付かったと。それから、更に日本原子力発電の敦賀におきましても、過去、シュラウドにインディケーションがあったというような事実の公表がございまして、私どもも立入検査等、報告徴収を掛けて厳正に調査をいたしました。
 その結果、それぞれ不正があるということではなくて、自主点検が行われ安全評価も行われておりましたが、国に対する報告といった意味での、あったことが望ましいという案件であったという評価をいたしておりますが、なお引き続き調査は継続しておるところでございます。
#100
○広野ただし君 先ほども話もありましたけれども、今までの原子力規制というのは設置許可に伴って保安院と原子力安全委員会、ダブルチェックでやっておる、建設段階もそうだと、こういうことでありますけれども、運転の段階になるとこれは必ずしもダブルチェック体制じゃない。ですから、運転維持基準といいますか、そういうものをしっかりと定めていくということが非常に大事だと思うわけですが、そういうときにこういう事件がありますと、往々にして過剰規制になるといいますか、何でもがんじがらめにやってしまえと、こういう風潮になる場合があるわけであります。
 私は、何もそれをどうのこうの、今緩めろとか何か言っているのではなくて、やはり検査というのも非常に効率的に行われる検査もあります。ですから、技術ですから進歩してまいります。ですから、いろんな意味でしっかりとした基準を作っていく。そのときに、事業者の努力もよく踏まえたような、また技術進歩に合わせたものにしていかなきゃいけないと、こういうふうに思っておりますし、だれが考えましても、今度の場合、原子炉、例えば福島第一の一号炉、もう三十年ぐらいたっているわけですね。だから、非常に経年変化が長いものと、ですから、新しいもの、十年ぐらいのもの、そして十五年を越すとかなりまたいろんな意味で起こってくる、二十年越すとまた起こってくるというような段階があるんだろうと思うんですね。
 ですから、その経年変化に合わせたような運転維持基準といいますか、そういう合理的なものにやはりしていきませんと、がんじがらめにしてしまうということは、経済性の点とかいろんな点でやはり問題が起こるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#101
○政府参考人(佐々木宜彦君) 安全規制が科学的、技術的根拠での合理性を持たなければいけないと考えております。ただいま先生の御指摘は、全く私も同じ思いで規制行政の実務者として進めているところでございまして、今、先生のいろいろの御指摘、踏まえた対応をしてまいりたいと思います。
 いずれにしましても、いわゆる通称維持基準あるいは健全性評価の基準についてはしっかりした対応をしていきたいと考えております。
#102
○広野ただし君 原子力安全委員長にお伺いしたいと思います。
 規制官庁への勧告もされまして、まあ原子力の安全の問題、非常に重要ですから二重にチェックをするということであります。その中で、勧告は勧告としまして、原子力安全委員会として何か責任を感じられることはございますでしょうか。
#103
○政府参考人(松浦祥次郎君) 原子力安全委員会といたしましても、今回の問題は、国民の原子力安全に関する信頼を著しく損ねたということで、非常に遺憾なことと考えております。
 原子力発電はエネルギー確保の点で非常に重要な役割を果たしておりますが、特にこれは安全確保を大前提とするものでありまして、安全確保を大前提とすると言うからには、第一に安全を重点として事業を行うという安全文化が最も重要なものでありまして、この点、原子力安全委員会も従来から安全文化を骨の髄まで事業を行う方に身に付けていただくように行動していたわけでございますが、この点でまだその進め方が十分ではなかったのではないかというのが一つの反省でございます。
 もう一つは、先ほど議論にございましたように、維持基準と申しますか、現在、運転段階の安全確保が非常に重要な状況になっております。これに科学的、合理的、技術的に合理的な維持基準を、海外の情報あるいは国内の研究段階の進め方等をもっと早くに収集し、それを実用していただくように推し進めると、この点で我々も努力が欠けていたのではないかと反省しております。
 このために、原子力安全委員会といたしましては、十月十七日に、安全文化の向上あるいは技術基準を進める、そういうことを今後我々としてどうするかということを考えまして、原子力安全委員会決定を行っております。
 それから、今回の問題について、信頼性の回復、それから再発防止というのが非常に重要だと考えまして、十月二十九日に内閣総理大臣を通じて経済産業大臣に信頼の回復のための勧告、この中では、維持基準の早期導入等を合理的に行っていただいて、運転段階の安全を確保するようにということを含めましてそういう勧告をさせていただいたわけでございます。
 今後、安全委員会といたしましては、我々自身も、先ほど申しましたような決定に基づきまして行動するとともに、勧告させていただきました内容について、今後その勧告がどのように対応されるか、十分にフォローアップしていき、国民の信頼を回復するように最大限の努力を払うつもりでございます。
#104
○委員長(田浦直君) 時間です。
#105
○広野ただし君 最後に、大臣に決意をお伺いしたいと思いますが、絶対に起こらない、こういう信頼回復に向けてやっていただきたいことと、もう一つ、何でもかんでも原子力、じゃ問題だから止めてしまえということじゃなくて、エネルギー、ちゃんと全体的に不安がないように供給体制をしっかりとやっていただきたいと思いますが、含めて御答弁をお願いしたいと思います。
#106
○国務大臣(平沼赳夫君) 私どもも原子力安全委員会からの勧告というものを重く受け止めまして、そしてまた原因究明の評価委員会あるいは再発防止の検討小委員会で大変精力的に御議論をいただいて、そして中間報告もちょうだいをしております。こういったことをしっかりと受け止めまして、そして二番目の御指摘のエネルギーの安定供給というのは非常に大切なことですから、そのことも踏まえまして万全を期すように最大限の努力を傾けていきたいと、このように思っております。
#107
○広野ただし君 終わります。
#108
○委員長(田浦直君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト