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2002/11/07 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 経済産業委員会 第3号
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2002/11/07 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 経済産業委員会 第3号

#1
第155回国会 経済産業委員会 第3号
平成十四年十一月七日(木曜日)
   午前十時十五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     若林 秀樹君     櫻井  充君
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     若林 秀樹君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         田浦  直君
    理 事
                魚住 汎英君
                加納 時男君
                松田 岩夫君
                木俣 佳丈君
                平田 健二君
    委 員
                小林  温君
                近藤  剛君
                斉藤 滋宣君
                関谷 勝嗣君
                保坂 三蔵君
                直嶋 正行君
                藤原 正司君
                簗瀬  進君
                若林 秀樹君
                松 あきら君
                緒方 靖夫君
                西山登紀子君
                広野ただし君
   国務大臣
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
   副大臣
       内閣府副大臣   根本  匠君
       財務副大臣    小林 興起君
       経済産業副大臣  高市 早苗君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       桜田 義孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       資源エネルギー
       庁長官      岡本  巖君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院次長    松永 和夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (不良債権処理に関する件)
 (デフレ対策に関する件)
 (エネルギー関連税制に関する件)
 (原子力政策に関する件)
 (自動車の排出ガス規制対策に関する件)
 (税制改正による経済活性化に関する件)



    ─────────────
#2
○委員長(田浦直君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長松永和夫君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(田浦直君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#4
○委員長(田浦直君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
#5
○直嶋正行君 どうもおはようございます。民主党の直嶋でございます。
 今日は一般質疑ということなんですが、今の日本の経済、大変、大変な状況にあるというふうに思っております。恐らく平沼大臣も同じような御認識ではないかと思います。したがいまして、今日は日本のこの経済あるいは産業の状況について率直に大臣の御見解中心に承りたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず最初に、大臣にお伺いしたいのは、去る十月三十日に政府が取りまとめられましたこの改革加速のための総合対策について、この報告書が出ているわけですが、これの位置付けについてお伺いしたいと思うんです。率直に言って、いろいろメニューは並んでいるんですけれども、残念ながら、具体的な内容については率直に言って乏しいと言わざるを得ないと思いますし、また閣議決定がされて政府の正式な政策として決まったわけでもない。したがいまして、これで何かが具体的に始まるということでもないと思うんですね。したがいまして、政府内の議論の中のある意味では中間取りまとめ的な感じではないかなというふうにも思えるわけでございますが、これについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
 今日はクエスチョンタイムではありませんので、もう率直にやり取りもさせていただきたいというふうに思います。
#6
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。
 この総合対応策につきましては、政府部内で随分議論を重ねました。そして、今御指摘のように、十月三十日にこれが取りまとめられたところでございまして、その日に私もメンバーでございます経済財政諮問会議、ここに報告をされまして、そして十一月一日には、これ閣議にも報告がされたものであります。
 閣議決定をしていないではないかと、こういうことでございますけれども、この総合対応策というのは、既に閣議決定をされました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二に基づきまして、そこに盛り込まれたいわゆる政策を拡充しようと、こういうものでございます。そこで私どもとしては、そういう拡充をすると、こういう中で、これはもう閣議決定と正に同じだと、こういう立場で、各省庁とも密接な連携を取りながら、不良債権処理を経済不安の端緒ではなくて経済再生のこれは始まりにすべく一生懸命にやっていかなければならない、この実行に、着実に行わなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
#7
○直嶋正行君 ということは、既に政府の方で決定された方針の追加である、こういう位置付けになるわけでございますか。
 そうだとすると、なかなかこれは今の経済の状況からいいますと、基本方針は従来と変わらないと、さらにそれの追加であるということになると、国民的な期待あるいは今回の総合政策に対する世論での議論、そういうものを考えると、私は非常に、そういう面で申し上げますと、経済の状況も考えて申し述べますと、やはりそれは追加ということでは済まないんじゃないか、このように思っているということだけちょっと申し上げておきたいと思います。この点についてはまた機会があれば御議論させていただきたいと思います。
 それで次に、この対策に関して、先般の大臣の所信といいますか、ごあいさつの中でお触れになったこと等を含めて基本的な御認識を伺いたいというふうに思います。
 大臣はこの間の、先日の所信の中で、今回の総合対応策というのは金融機関の不良債権の処理の加速化ということが大きなテーマになっているわけですが、それに関連して、不良債権の加速化によるデフレ圧力増大のおそれがあると、したがって、様々なことを一体的にやらなければいけないと、こういうお考えをお話しされたわけです。
 私も誠にそのとおりだと、こう思うわけでありますが、そうすると、今、日本はデフレ経済です。デフレの状況にありますから、このデフレの状況下でなおかつ大臣が危惧されるようにその圧力を増大させるおそれがある。この時期になぜあえてこの不良債権処理を加速化しなければいけないのか。そのことを、不良債権処理をあえてこの時期に加速化していかなければいけないと、こう大臣はお考えになっておられるのか。あるいは、もしそうだとしたら、なぜそうなのかと、それをやらなければいけないのか、この点について御認識を承りたいと思います。
#8
○国務大臣(平沼赳夫君) 小泉総理が、構造改革なくして経済の成長はない、その構造改革をするに当たっては、何といっても、ずっと懸案でございます金融サイドの不良債権、そして産業サイドの不良債権を処理しない限りいつまでたってもこの国の経済の再生はできない、こういう基本的な考え方を持っておられまして、正にまなじりを決してやっているわけであります。
 この不良債権処理というのは、だれしもがこれは処理をしなきゃいかぬというのは共通の認識だと、私はこのように思っています。私も閣内の一員としてそこには協力をしなければならないという形で汗をかかせていただいているところでありますけれども、今、委員御指摘のように、現状の経済というのは非常にデフレ基調でございまして、この不良債権処理というものを進めていくとデフレを加圧する、こういうことにもつながります。
 そういう中で、この一連の政府部内で議論をしてまいりましたときに、私は、不良債権処理はしなければならないと、これはなるべく早くする、そのことは私は理解をする。しかし、デフレを加圧する、そういう要素が非常に大きいわけですから、それをやるんであれば、私は幾つかの手当てをしなければならないんではないか。
 私が主張させていただいたのは、やはりこういう不良債権処理を進めると、銀行が大変BIS規制等で自己資本比率が更に悪くなる。そうしますと貸しはがしが起こると。そうなると、中小企業に対してそれはもろに大きな影響が出てくると。我々経済産業省は、中小企業を、責任を持って中小企業対策を講じさせていただいている役所でございますから、よほどのしっかりとしたセーフティーネットをやはり同時に張らなければならない、こういったことは主張させていただき、私も、その対応策の中に、不良債権処理に伴って中小企業に対するセーフティーネット、これをしっかり構築する、こういう文言が出ておりますけれども、そういう形で私どもはやらなければならない不良債権処理をし、しかし、同時にそういった手当てもしっかり行っていく。
 そういうことを私はその政府部内の会議の中でも言わせていただき、そしてその中で、特に不良債権で処理をするマイナスに対しては、やはり同時に、車の両輪ですから、プラスのサイドの政策も積極的に行わなきゃいけない。それと同時に、一連のこの対応策の中には政策減税のことも入っておりますけれども、そういったことを一体化してやるべきだと。こういうことで、私はその対応策、これにそういう条件下で一生懸命にみんなで力を合わせてやっていこう、こういうことでまとまったところでございます。
#9
○直嶋正行君 ちょっと私がそこのところで大臣にお伺いしたかったのは、要するに、不良債権処理といっても実はそれを加速化をすると、こう言っているわけですね、加速化をする。大臣の今の御答弁をお聞きしていると、そのセーフティーネットも含めてセットでと、こういうふうに聞こえるんですけれども。
 そうすると、今の御答弁を受けてもうちょっと踏み込んでお伺いしたいんですけれども、セーフティーネットとデフレ対策を一体で進めると、先日も所信の中でそのようにお話しされました。
 そうすると、不良債権処理を加速していくと、今お話しされたデフレ対策が仮に思うように進まないと、今おっしゃったそこが思うように進まないと、これは不良債権処理の方も一体であるから速度を緩めると、こういうことになるんでしょうか。それとも、まず不良債権処理の加速化があって、これは総理の強い指導だと、こういうお話もございましたが、不良債権処理の加速化が初めにありきで、そのマイナスを避けるためにいろいろ手を打っていくと、こういうふうに思っておられるのか。あくまでこれは一体なんだと、一体が前提なんだと、こういうふうに思っておられるのか。そこのところはどうなんでしょう。
#10
○国務大臣(平沼赳夫君) この不良債権問題には、資金がやっぱり経済の隅々にまで行き渡る上で障害となりまして、景気低迷を長期化させまして、そしてデフレを悪化させるという側面があるわけであります。そのデフレの克服のためにもその抜本的な解決が不可欠だと、私はこういう認識をしております。他方、不良債権の処理に当たっては、デフレが進行し、新たな不良債権が発生する中では進まないわけでございまして、持続的な民間需要というものを創出をしてデフレを克服することが重要だと思っています。ですから、デフレと不良債権処理というのは一体化、一体的に、かつ有機的に取り組んで、そして経済の長期低迷を打破することが私は必要だと思っています。
 だから、したがって、この不良債権処理というものをいつまでも引きずっていると、それはデフレという形でいつまでも解決付かない。だから、小泉総理は、やっぱりここで思い切って不良債権処理というのは平成十六年度までにきちっと形を付ける、しかしそのときにいろいろな加圧があるから、それに対してはやっぱり必要な手当ては最大限やっていくと、こういう形で同時進行ですけれども一体的にやると、こういう基本的な考え方でございます。
#11
○直嶋正行君 今のお答えの中で、実は私もいろいろ自問自答しながらこの問題を考えてきたんですが、私は結論的には、やはり今ここで不良債権はできるだけ早く処理した方がいいと、こう思っています。実は思っていますが、今の大臣のお答えになったように、長期的に今このデフレ経済の下にあるわけですけれども、長期的にこの不良債権処理の問題を持ち越すといろいろマイナスが出てくると、こういうふうにおっしゃいましたが、例えばデフレ、今の経済を、デフレ状況を克服していくためにも不良債権の処理は急がなければならないと、こういうふうにも聞こえたんですけれども、この点はどうなんでしょう。
#12
○国務大臣(平沼赳夫君) 小泉総理が常に言っていることは、今までいろいろやってきたと。しかし、この不良債権の処理というものが、このデフレの中で、バブルのときにできた不良債権というのは一応消せているけれども、しかし、更にこのデフレが起こって、資産デフレが起こって、そういう中で更に新たな不良債権が出てきている。だから、ここの根を断ち切らなかったら、やっぱりいつまでたってもデフレの克服はできないと。ですから、ここで思い切って不良債権の処理をすると、こういうことでございまして、一連の流れの中でも、そういう流れで更に出てきたそういう不良債権というものはここで思い切って断ち切ることなんだと。だから、現在のデフレというものに対しては、やっぱり不良債権の処理をしない限りはこのデフレというものを克服できない、こういう基本的な認識だと思っております。
#13
○直嶋正行君 今の点は、恐らく与党の中でもいろいろ御議論があると思いますけれども、私ども野党の中でもいろいろ議論があるんです。極端なことを言えば、デフレを先に克服してから不良債権処理やればいいじゃないかと、こういう議論がありますが、そうではないということですよね、大臣の御認識は。
 もう一つさっきの質問に絡めて申し上げますと、一体ではやるんだけれども、まず不良債権処理の加速化が初めにありきだと。このように、あくまでこれはマイナスを消すために対策と一体にやるんだけれども、やはり不良債権処理の加速化がまず初めにありきだと、こういうふうに理解したんですけれども、それでよろしゅうございますか。
#14
○国務大臣(平沼赳夫君) 不良債権処理を進めるということは政府の基本方針で決まりました。ですから、それをやるんであれば、まずということじゃなくて、同時に、私が政府部内の議論で主張したのは、それをやるんだったら、同時進行でやはり中小企業に対するセーフティーネットあるいは政策減税等の中でバランスを取ってやるべきだと、こういうことで、そういう基本的な認識でございます。
#15
○直嶋正行君 ややあいまいなところはあるんですけれども、さっきの御答弁の中では、デフレを克服する上でも不良債権処理は急がなければいけないと。これは一つの大きな認識だということで承っておきたいと思います。
 それで、この議論、なぜやったかといいますと、これからのいろいろ経済考えていく上で、ここが一番最初のスタートとして非常に大事な点だなと思ったので、少ししつこく確認させていただきました。
 それで、今度、この不良債権処理と借り手側の問題についてお伺いしたいと思うんです。
 不良債権処理を加速させるということは、これはコインの裏と表の関係だと思うんですが、その借り手である、いわゆるこの過剰債務企業というんですか、ここの問題にもなってくるわけでありますが、この過剰債務企業については、例えば経済産業省の所管の産業についてもいろいろこれまでもやってこられたわけであります。
 さっき議論させていただきましたように、不良債権処理を加速させるということになってくると、この逆側の借り手側のやはり過剰債務企業対策といいますか、ここの、これも併せて加速をさせなければいけない。したがって、そこをどういうふうにやっていかれるおつもりなのか、次にお伺いしたいと思うんですが。
#16
○国務大臣(平沼赳夫君) 直嶋議員御指摘のとおり、不良債権処理を加速をする過程において、借り手側の産業構造改革を更に進めまして、経営資源を散逸させないように、産業の再編によりまして過剰供給構造を是正するということが必要だと思います。そしてさらに、有効な経営資源を過剰な債務から早急に切り離して事業の早期再生を図ることが、これも極めて重要なことだと思っています。
 こういう考え方の下で、次期通常国会に相なりますけれども、産業再生法の抜本改正を私どもは行って、これをお願いをさせていただきたいと思っています。この産業再生・雇用対策戦略本部、これはまだ仮称でございますけれども、これが策定をする基本方針を踏まえまして、措置の大幅な拡充を図る方向で検討しております。
 具体的には、事業の再構築でございますとか、共同事業の再編でございますとか、経営資源再生等の取組に対して、税制の措置でございますとか、政策金融の措置でございますとか、商法特例等の所要の支援措置を講ずることによって、これまでの個別企業での事業再構築に加えて、企業の壁を越えた産業再編、活用可能な経営資源の早期再生を加速化することが必要だと思っておりまして、やはりそういった形で、私どもとしては、この加速する過程においてやっぱり借り手側のそういった企業等の構造改革を同時にやっていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
#17
○直嶋正行君 今の御答弁で、ちょっと私もそれで思うのは、産業再生法を次の通常国会にというお話ですが、最初にお伺いした総合対応策の位置付けの関係になるんですけれども、ということは、これは基本的には金融分野でもまだ具体的に詰めなければいけないことはたくさんありますし、ということは、政府としてこれは動き出すのはもう来年の春である、春以降であると、こういうことになってくるんじゃないかと思うんですが、そんなにのんびりしていていいのかなというのが、率直にそういう気持ちしますが、もっとこれ急ぐべきじゃないんでしょうかね、法律改正は別にしまして。
#18
○国務大臣(平沼赳夫君) これは次期通常国会という形で、そういう御指摘だと思いますけれども、一つは、今基準づくりを一生懸命やっております。そういう基準の中で、現行の再生法の範囲の中でできることは私どもはどんどんやっていかなきゃいかぬと、こういうふうに思っておりまして、私どもとしては、そういう基準づくりの中で、できることから、とにかく産業再生法の抜本改正ということは、これはやっぱり時間が要ることでございますから、これは次期通常国会の早い時期にお願いをさせていただく。それまでは、やっぱりいろいろ基準づくりをしたり、そして現行の体制の中でできることからどんどん手を付けていきたいと、こういう基本認識でございます。
#19
○直嶋正行君 できることは前出しにということなんですが、私は、正直言って、この枠組みも含めて、最初に言いましたように一体ですから、金融の部分も含めてやはりもっと早く立ち上げないと、これはどんどん事態が悪くなっていくんじゃないかと。
 というのは、最初に大臣がおっしゃったように、不良債権処理を進めるとデフレを加圧すると、こういうことが指摘されていますし、これはどんどんやっていくと経済大変なことになるんじゃないかと、こういう議論がありますね。今、世の中はそういう雰囲気ですから、そうすると、正直言って、こんなにのんびりしていていいのかなというのは率直にこれは申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、次にお伺いしたいのは、今回出ました総合対応策の中で、金融再生プログラムという形で、これは金融庁を中心にまとめたものだと思いますが、その中で、割合明確にいろいろ言っていますので、ちょっとそこの関係をお伺いしたいと思うんですが。
 一つは、この金融再生プログラムをずっと読みますと、基本的に、例えば金融機関の資産査定なんかも含めて、ここで強調しているのは、金融機関としては主要行であると、こう言っているわけですよね。
 それからもう一つは、その主要行の大口債務者の債権を中心にこれは査定を強化するとか、いろいろそういうことが言われているわけです。そうしますと、これを読む限りは、さっきから議論しています不良債権処理の加速化というのはもっと突き詰めて言えば、主要行の持つ不良債権、しかもその中のいわゆる大口のもの、例えばこれは横ぐし通して評価するとか、こう言われています。そういうものが中心であると。
 したがって、逆に言い換えますと、さっきちょっとお話をされました中小企業等については、むしろこの金融再生プログラムの中でもいろいろケアをするということがうたわれております。かなりきめ細かくケアするということがうたわれています。金融マニュアルの運用なんかも含めてそういうようにうたわれていますので、逆に言うと、つまり中小企業は全体としてこの金融面の政策でも保護をする、対象にはしないんだと、基本的に。あくまでも主要行の大口債務なんだと、問題は。処理を急ぐのは。こういうふうにも読み取れるんですけれども、この点はどうなんでしょう。
#20
○副大臣(高市早苗君) 確かに、先生御指摘のとおり、金融再生プログラムでは、まず主要行の不良債権処理問題を解決する必要があるとされております。これは、主要行とその他の地方銀行であるとか、そういった銀行の区分けをしているものであって、残念ながら債務者の区分けを示したものではありませんので、中小企業が債務者となる不良債権処理もその対象から特に除かれるわけではないんだろうと私たちは考えております。
 その中で、金融再生プログラム、さらに中小企業貸出しに対する十分な配慮ということで何点か書かれております。これは、日本企業の九九・七%が中小企業ということで、その資金繰りをどう書き込んであるかというのは私たち経済産業省としても非常に注意深く見守っておりました。
 金融庁の金融再生プログラムが出たときにも一番関心を持って読み込んだところなんですが、この中で、中小企業貸出しに関する担い手の拡充ですとか、それから企業再生をサポートする仕組みの整備でありますとか、あと中小企業にお金を貸し出す計画を立てて、それを未達成だった場合の業務改善命令の発出ですとか、それから金融検査マニュアルですね、これが最初に作られたとき、どうしても私たちとしては借り手側の理屈がきっちり入っていないんじゃないかという懸念もありまして、実は金融庁と経済産業省の間で随分議論もし、借り手側の各団体の御意見も聞きながら、金融検査マニュアルの別冊作りを協力して行ってきたところでございます。
 これに関しても、中小企業の実態を反映した検査の確保ということで書き込まれてありますし、また貸しはがしをしていないかどうかのモニタリングをするとか、ホットラインを設けるとか、貸し渋り・貸しはがし検査を実施するとか、こういったことが金融庁から出てきたペーパーには書かれておりますので、これはまた更に具体化というのは金融庁の中で行われるものと感じておりますが、あくまでも今回の不良債権処理で中小企業が持つ不良債権はその対象から外れるということにはなっていないんだろうという解釈の下で、私たちとしては中小企業金融、政策金融でどうやってセーフティーネットを築いていくかという点に最も力を入れて取り組んでいるところでございます。
#21
○直嶋正行君 御答弁の最後の部分は、またいずれ近いうちに多分法案の審議があると思いますので、そこで具体的にやりたいと思いますが、今の御答弁で言うと、金融再生プログラムにかなり中小企業についてはケアはされている、これまでと違ってケアはされている、きめ細かくだからこれ具体化をしていくと。しかし、まるっきり中小企業が枠の外に置かれるわけではない、こういうことなんですが。
 それで、もう一点ちょっと確認させていただきたいんですが、これは予算委員会でもちょっと議論があったんですが、国内銀行の貸出企業の内訳を見ると、ずっと十年くらい前から眺めましても、大企業に対する融資額というのは、多少凹凸はありますが大体百兆円ぐらいでずっと推移してきていまして、ほとんど減っていないんですよね。中小企業に対する貸出しあるいは真ん中の中堅企業もそうなんですが、そこは近年更にかなり落ちています。特に過去一、二年を見ると、中小企業向け貸出しは大幅に落ちているんです。
 これをどう見るか。貸しはがしが起きているからけしからぬと、こういうふうにも言えるわけですが、私は、ちょっとさっき申し上げた金融再生プログラムの書きぶりですね、資産査定の厳格化等の書きぶりを見て、ちょっと疑問といいますか、こういうことが言えないかということでちょっと大臣にお尋ねしたいんですけれども。
 さっき言いましたように、かなり主要行の大口債務者の不良債権処理を相当これ重点にやっていく、こういうふうに受け止めますが、そうすると、貸出先の話で言いますと、当然、大企業向けのところは率直に言うといろいろ整理されてくるんじゃないか、特に大手行について言いますと。そうすると、今まで中小企業向けの貸出しが減っていたわけですけれども、これはいずれ上向いてくるんじゃないか。主要行の大口債務者対策が進んでいけばこれは置き換わってくるんじゃないか。銀行も貸す相手がないとそれはビジネスとして成り立ちませんから、そういうことが言えるのではないかというふうに思うんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
#22
○副大臣(高市早苗君) 直嶋先生御指摘のとおり、確かに将来的には中小企業向けの金融についても円滑化が図られていくだろうと考えております。ただし、短期的には不良債権処理の加速化で相当金融環境というのは厳しくなるだろうと考えております。
 ですから、経済産業省としては、そのための中小企業金融の手だてに万全を尽くすべく頑張る所存でございます。
#23
○直嶋正行君 私は、今の御答弁のとおり、短期的には問題出るかもしれません、それはそうかもしれません。ただ、対策を考えていく上で、そうすると中長期的にはかなり改善される、したがって対策は短期的な対策を考えていく、こういうやっぱり視点に立って検討すべきだと。していかなければ、何といいますか、先々も含めて政府がいろいろ面倒を見ていく、こういう発想はむしろ取らない方がいいんじゃないか。先々というのは中長期的も含めてですね。それを一点ちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、冒頭、大臣からも構造改革というお話があったんですが、じゃ、中小企業の構造改革というのはどういう目線で見ていけばいいのか。経済産業省としてこの点についてはどう思われているのか。今はどっちかというと中小企業を保護しなきゃいけない、私もそうだと思います。やはりきちっと守るべきものは守っていかなきゃいけないと思いますが、しかし日本経済全体を構造改革していこうということになってきますと、これは率直に言って中小企業だってその枠の外にあるわけではない、こういうふうにも思うんですけれども、この点に関してはどんなふうなお考えでしょうか。
#24
○国務大臣(平沼赳夫君) 直嶋先生御指摘のとおり、今、高市副大臣からも答弁をさせていただきましたとおりです。
 中小企業に向けての大手銀行等のそういう貸付けというのは中長期的には改善されると思いますけれども、しかし今の段階では、この不良債権の処理を進めるに当たってはやっぱり中小企業には非常に厳しい状況になりますから、そういう意味では私どもはこれはしっかりとしたセーフティーネット、そういう対応策は強化をしていかなきゃいかぬと、そういう基本認識でございます。
 構造改革に関しましては、経済の活性化と雇用の原動力となる元気な中小企業というものを育成をしなければ、今五百万社近くある企業のうち九九・七が中小企業ですから、その日本の経済の基盤を支えてくだすっている中小企業というのはやっぱり活性化をして、そして活力を持っていただかなければならないわけです。今の、現下の厳しい経済環境の中で、やっぱりやる気と、そして能力のある中小企業に対する金融面のセーフティーネットというのは、そういう意味でも私どもはしっかり今の段階はやらなきゃいかぬと、こう思っております。
 そして、更にこれから大きく構造改革をやっていくという展開では、もう一つはやっぱり新規の創造ですとか新事業展開への果敢な挑戦を後押しをするということが、中小企業全体の構造を変えていく上で私どもは大切なことだと思っております。
 一つは、例えば昨年の秋に臨時国会で御賛同をいただいた、新しく業を立ち上げる、そういうベンチャーを含めてそういう意欲のある方々に対しては、従来の土地担保だとか個人保証だとかそういうことに頼らないで、やはり事業計画等に着目をして、そしてそこを大きく伸ばしていくと。それに対しては非常に利用率も増えてまいりまして、昨年と比べますと六倍ぐらいのスピードでそういう新規創業がその分野で行われているということは、非常に私は顕著なことだと思っております。
 また、新事業展開への果敢な挑戦ということをそのほかでも、例えば今回お願いしている法案の中で最低資本金、これ一千万円、株式会社ありましたけれども、これを極端に言えば一円でもいいというような形でみんながチャレンジしやすい、そういったこともやっていくと。
 私どもとしてはそういう形で、既存の中小企業の中でも悪いところといいところありますけれども、いいところをやっぱり伸ばして、そしてそこに、今厳しい中でセーフティーネットを張って後押しをしながら全体の構造改革をしていく、そういうこともやっぱり必要なことだと思っておりまして、そういう面でのセーフティーネット対策もしっかりやっていかなきゃいけない。
 したがって、やる気と能力のある中小企業、こういったところに関しては私どもはしっかりと後押しをして、そして皆さん方が真剣に取り組んでいただいて構造改革をしていただくと同時に、やっぱり新しい血液を注入しながら新規のそういった中小企業、ベンチャーを含めて起こすような、そういった日本全体の構造改革をしなければならないと思っておりまして、今申し上げましたように、今お願いをしております、昨日、衆議院で可決をしていただきましたけれども、中小企業挑戦支援法案、こういったことも私どもは一生懸命にやっているところでございまして、こういった取組を通じまして、私どもとしては我が国の経済の活力の源泉である中小企業の構造改革は進めていかなきゃいけないと、こういうふうに思っております。
#25
○直嶋正行君 今の大臣の御答弁の中で、ちょっと二つばかりお願いを申し上げておきたいと思います。
 一つは、今のお話の中で、従来のように土地担保ではなくて事業計画を元に融資をしていくと、こういうお話ございました。
 私は、これは実は是非、大臣に閣議なんかでも御提案いただきたいと思うんですが、これは中小企業だけの問題ではなくて、今の金融機関そのものが融資方針を変えていかなきゃいけないと思うんですよ。なぜかといいますと、依然として土地担保中心に融資をしていますから、デフレが進んで地価が下落するとますます苦しくなってくるわけですよ。基本的に、日本の金融機関というのはそういう意味でいいますと、融資に対する、融資先の評価の仕方が私はまだ従来と全く変わっていないんじゃないかと。実は、ここが日本の金融機関が立ち直れない理由の大きな一つではないかというふうに思っていまして、ここは是非、閣議なんかでも金融担当大臣にも注文を付けていただいて、金融機関のやはり経営のノウハウというのをもっとこの今の時代に合ったものに切り替えるように御指導いただきたいんです。これは、いつまでたってもこれ変わらないと根っこの問題がなくならないと、こういうふうに私は思います。
 それから、二つ目の話は、実は我々の方は、この中小企業者向けの融資について、ほとんどがこれ個人保証を付けてやっています。この仕組みがあるがゆえに、経営に行き詰まった中小企業の方は非常に難しくなってくる、だから自殺者が増えたりと、こういうことも出てくると思うんですよ。
 これは、私ども外国のケースなんかもいろいろ勉強しておりますが、結構中小企業対策の基本的な部分になってくるんではないかというふうに思います。ですから、目先のセーフティーネットはそれはそれとして、中長期で考えていく場合には是非ここも、我々法案出していますからこれに賛成していただくといいんですが、そのことは別にして、やはり政府としてもきちっと真正面から取り組んでいただけないかなと、このことはお願いを申し上げたいと思いますが。
#26
○国務大臣(平沼赳夫君) この二点は非常に私も重要だと思っておりまして、確かに日本の場合には土地担保主義と、こういう形で、今、さなきだに資産デフレと、こういう形でそれを加速することにもつながっています。
 昔の日本の銀行をいろいろ調べてみますと、必ずしも土地担保でなくて、例えば住友の中興の祖と言われている、戦前の大蔵大臣なんかなすった小倉正恒という方が銀行マンであったときは、これは極端な話だと思いますけれども、経営者の目の色を見てお金を貸したと。こういうことで、やっぱりその事業内容と、そして意欲と能力というのをよく見て、そして非常に名銀行家と言われたと、こういうふうに言われていますけれども、目の色というけれども、そこまで極端にいく必要はありませんけれども、やっぱりこの土地担保主義というものはそろそろ変革をして、事業内容ですとか、それからその経営者の意欲ですとか、それからそのサポートする体制だとか、そういったことを着目をしてやっていくということは私は非常に重要なことでございまして、そういう意味でも、実はこれは新規に企業を起こす、そういったところに、事業計画に着目してこういう法案を昨年の秋に出させていただいたと、こういうことでございます。
 それから、個人のいわゆる保証の問題についてお話がありました。
 これはもうお調べになっておられるということですからよくお分かりだと思いますけれども、アメリカでも個人保証というのはやっぱりあるわけですけれども、しかし日本とはもう全然程度が違うわけでございまして、日本の場合には、もうこの個人保証によって、結局家の子郎党全部身ぐるみはがれてしまうと。そこで、今法務省と一生懸命やっておりますのは、やっぱりこの個人保証の部分を少なくともアメリカ並みに軽くしなきゃいけない。今の場合には、とにかく仏壇一つしか残らないというような、二十一万円と仏壇一つというような感じでありますから、そうじゃなくて、やはり再起ができるような、そういったものはやっぱり担保する。ですから、自由財産の範囲というものをやっぱりもう少しちゃんと拡大をするというようなことで、今これ一生懸命に審議会でも詰めていただいております。ですから、そういう形でこの個人保証の面も、私は直嶋先生言われるとおりだと思っておりまして、そういう努力も私どもさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
#27
○直嶋正行君 よろしくお願い申し上げたいと思うんです。実はこの事業計画に基づく融資等についても、私も大阪の出身でして、非常に中小企業がたくさんある地域で、昔はそういうケースが随分あったというのは、実際に私も実例よく知っています。ですから、土地神話とともにやはり日本の銀行の融資の仕方が変わってしまったと、こういうふうに思います。
 したがいまして、第二点目も含めて、できればこの総合経済対策の中に、例えば金融再生プログラムの中に今の融資の仕組みの問題というのは全く触れていません。日本の銀行を健全化していく、収益性を高めるというようなことを考えても、これは本当は入れるべきだと思いますよ。是非そういうことも含めてお願いしたいと思います。
 もう余り時間がございませんので、次の問題に行きたいと思うんですが。
 実は私、一つ今非常に心配していることがございます。といいますのは、八〇年代の初めころ、まだ私議員になる前でしたが、御記憶にあると思いますが、日米自動車戦争と言われた、もう激しい、日本の輸出をめぐって激しいやり取りがあったんです。基本的には、これは構図は、日本の自動車産業が非常に競争力が高くて、強くて、アメリカの自動車産業が競争力が落ちてきた。したがって、この貿易のインバランスが議論になったんですが、そのときにアメリカの自動車産業が競争力が低下した理由の大きな一つが実は設備、設備の老朽化と陳腐化だったんですよ。日本の企業はそのころは最新鋭の設備を使って生産をした。これは、私は自動車産業だけではなくて電機にしても鉄鋼にしても同じような状況じゃなかったかと思います。
 ところが、ここ数年、企業の設備投資がどんどん落ちてきていまして、日本の特に製造業の設備の一つの指標としていいますと、いわゆる平均年齢というんですかね、これがすごく延びてきています。経済産業省でお調べになればもっと詳しいことが分かると思うんですが、私がちょっと取り寄せたデータを見ても、例えばこの十年くらいの間に大体製造業平均で約二年強平均年齢が延びています。二年強延びるというのは、これは大変なことだと思うんですが。とりわけ、データが二つしかありませんので細かいことはよく分からないんですが、素材産業、素材産業の今設備、日本の設備の平均年齢は大体十三年。これは一番短かったころは九年くらいだったんですよ。こんな古い設備を使っていると。加工産業で見ても今十年超えてきています。これは、ちょうどバブルのころの一番ピーク時の平均年齢は約八年強ですから、これもやはり二年ぐらい延びてきていると。このままでいくとどんなことになってくるんだろうなというのは空恐ろしくなります。
 例えば、アメリカを見ますと、実はここが、例えば製造業の今設備の平均年齢というのは、大体平均で八年強、八・五年ぐらいです。耐久消費財と非耐久財と数字少し違いますが、いずれにしても日本よりも物すごく新しい設備を使っている、平均的に見ますと。しかも設備投資はあちらの方が多いんですよ。例えば、中国も今いろいろ議論になっていますが、今年度の中国の設備投資額の伸び率というのは大体二〇%強と、こう言われているんですよね。
 日本の設備は、もう御承知のように設備投資全体落ち込んでいますし、その中でいいますと、設備の更新率が物すごく悪い。実はこれは、今不良債権処理だとかいろいろやっています。これはやらなければいけないことだと思いますが、先ほど申し上げたとおり。しかし、これはバブル以降の負の遺産、これをずっと引きずってきているわけですよ。我々が後ろ向き、後ろ向きの話と言っちゃ申し訳ないんですが、後ろ向きの話なんです、この後ろ向きの話にどんどん時間とお金を掛けている間に、実は日本の産業の一番強いところが駄目になりつつあるんですよ。
 これは、例えば半導体、今半導体の設備投資どうなっているかというのを僕も調べましたけれども、例えばアメリカのインテル、年間七千億強ですよ、設備投資が。このデータ正確かどうか分かりません、二〇〇二年の三月期で見ると七千百五十億円になっています。韓国のサムスン、ここの設備投資は大体五千億近いんです、四千八百八十億。これはまだ増えるかもしれません。日本は、例えば半導体五社全部まとめて、計画ベースで三千五百億です。恐らくこれはまだ減少するんだと思います。だから、全部束ねても、インテルはおろかサムスンの設備投資にもはるかに及ばないということなんですよ。これは大変なことだと思いますよ。
 私は、電機産業の中で、特に最近いろいろリストラで努力されていますけれども、経済産業省としてはもっとここに目を向けていただかないと、せっかくいろいろ掃除をしてきれいにしても、肝心の足下が駄目になってしまうということになると、これはもうとんでもないことになってしまうなと。これから将来、日本は何で飯を食っていくのかということも含めて、やっぱりそれこそ戦略を練り直していただきたい。こういうふうに申し上げたいんですけれども、どうでしょうか。
#28
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のとおり、我が国の製造業における設備の平均使用年数というのは大変近年長期化しておりまして、私ども経済産業省の試算でも、二〇〇〇年には一一・一。これは三十年前と比べますと四・三年も長くなっている。これは事実だと思っています。
 私どもは、経済産業省は問題意識を持たせていただきまして、実は昨年の十一月からでございましたけれども、省内に産業競争力戦略会議というのを立ち上げさせていただいて、半年間かんかんがくがく議論をさせていただきました。そして、やはり物づくり、これは日本の原点だと。そこが今御指摘のようにバブルの中で十年間本当に回り道をしてしまった。戦後、振り返ってみますと、日本は物づくりにいそしんで、本当に最新鋭の設備をどんどん導入して、鉄鋼も家電も自動車もこれは世界で一番競争力を持つに至ったわけであります。そういう実体験があるにもかかわらず、やっぱりこの十年大変な無駄をしてしまった。しかし、まだまだポテンシャルがあるんだという形で、私どもは、やっぱり四つの分野というものはすべての産業を包含しますけれども、四つの重点分野というものを実は柱にさせていただきました。
 一つは、やっぱりこれから百兆、二百兆というような市場規模が拡大でき、日本がポテンシャリティーのあるバイオでありますし、もう一つは、今ファーストステージでこれから家電、ITというところで非常に伸びるとされているIT、情報通信、これもやっぱりポテンシャル、それから半導体のことをおっしゃいましたけれども、ここもまだ余力がある。それから三つ目は、経済産業省としては、逆に環境の問題に対してはマイナス要因でとらえられているけれども、これをやっぱり成長の起爆剤、エンジンにしなきゃいかぬということで、エネルギー分野、これには燃料電池等々世界の最先端を行くものがあります。それといわゆる環境対応と、こういうこともミックスした一つの分野。それからもう一つは、これも日本が最先端を行っておりますナノテクと材料の分野。こういったところでやはり大きな戦略を作らなきゃいけない。
 そのためには、一つ例としては、やっぱり、半導体のことをおっしゃいましたけれども、日本の場合には半導体は確かに世界で圧倒的な競争力を持った時期がありましたけれども、逆にNECにしても日立にしてもあるいは富士通にしても、水平で、すべてのチップから最終製品まで作るというような形で集中できないような体質がありました。そこで、経済産業省としては、次世代の半導体に対しては五社を共通のことで、そこに国からもインセンティブを与えるためにそこにしっかりとした予算を付けて、そして今インテルとサムスンのお話をされましたけれども、それを超えるものを作っていこうと。こういう形で、これは非常に今半導体メーカーも評価をしてくれておりますけれども、そういった形で我々としては産業競争力を付けていかなきゃいけない。
 そういう活性化をすることによって、今御指摘のように、設備投資が鈍化してしまっている、そしてそういう意味では新しい活力が生まれてこない、そこを、そういった四つの柱を軸にしながら、一つは、いい種はありますけれども、それが商品化に結び付くためには、アメリカなんかではそれを死の谷と言っているんですけれども、そこにやっぱり橋を架けることをしないと、いい種でもそれが商品化できないと。そこは産学官の協力の中でこの死の谷に橋を架ける、そういったことは国がやっぱりそこのところの手助けをさせていただこうと。こういう戦略で、我々としては今の問題点をしっかりと認識をしながら、やっぱり日本はまだまだポテンシャリティーがあるんだから、そういう産業競争力を作り、そしてやっぱり再び物づくりとして世界に貢献していかなきゃいけない、こういう考え方で今鋭意進めているところでございます。
#29
○直嶋正行君 もう時間が余りありませんので、ちょっともう一つお願いをしておきたいと思うんですが、今、大臣のお答えになったことは非常に重要なことだと思いますから。
 ただ私は、いろんな研究開発、新しいものを生み出していく、これはもう非常に大事なことですが、同時に、やはり日々の中で設備を強化していくということで考えると、やはり避けて通れないのが税制なんですよ。今の日本のこの税制、特に減価償却というのはそういうインセンティブにはなっていないんですよね、むしろ逆なんですよね。これ、国際比較してもかなり日本の税制はそういう意味では私は問題ありだというふうに思っています。
 ですから、先ほどの一体化の対応策ということで申し上げれば、研究開発減税とかいろいろ議論されているんですが、やはりそれに設備投資をプラスをしないと余り意味ないんですよ。さっき大臣は、死の谷を越えるものはそれは要るんですが、もう一つやはりそこに具体的に経済効果を現して競争力を強化していこうというと、どうしてもここが避けて通れないと思いますので、是非これもセットで御検討いただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
#30
○国務大臣(平沼赳夫君) ちょっと私、答弁の中でこの税制については申し上げなかったんですけれども、御指摘のとおり、そういういわゆる設備投資減税を含め研究開発、そういった政策減税というのは非常に重要なことでございまして、私どもとしては、役所としてこのことはしっかりとやらせていただきたいと、こういうふうに思います。
#31
○直嶋正行君 それで、もう一つは、今の研究開発、設備投資、それとどうしても大事なことは、国際的な競争力ということでいうと、やはり日本全体の、例えばよく人件費の話が出ますけれども、それだけじゃないと思うんです。日本全体のやはり物づくり環境というんですかね、例えば物価が高いとかよく言われる、物流費が高いとか、いろんなこと指摘されていますね。やはりこれもどう整えていくかということは避けて通れないと思いますので、私はそういう総合的な努力をしないとこれからますます物づくりの分野は厳しくなるというふうに思っています。
 実は、あと自由貿易協定のことについてお伺いしようと思ったんですが、ちょっと私の持ち時間がもうなくなりました。ただ、一点申し上げておきたいのは、これも今の物づくりの話と同様で、日本の経済の将来を考えると、特にASEAN等含めた自由貿易協定をきちっと結んでいくということは、結構これは死活的に重要な問題だというふうに私は認識しています。したがいまして、そこの部分の大臣のお考えだけをお伺いして、私の質問を終えたいと思います。
#32
○国務大臣(平沼赳夫君) 非常にこの自由貿易協定というのは、私は、大きな世界の自由貿易というのはWTO、しかしもう世界の趨勢ではやっぱり二国間あるいは地域の中の協定というのが非常に主流になってきました。ですから、大きい方はWTO、もう一つは地域ないしは二国間、こういうことでございます。
 特に、ASEANということをおっしゃられましたけれども、私はこの東アジア経済圏というのは非常に大きなポテンシャリティーがあると思っておりまして、人口も三十億、それからGDPを全部寄せますと七兆ドルと、こういうところでございます。小泉総理も、御承知のように今回ASEANの首脳会議に出、そしてこの十年以内なるべく早い時期に首脳間で地域及び二国間を含めたこういう連携、FTAを含めたことをやろうと、こういうことで合意をしたところでございまして、私はこのことも非常に大切だと思っておりまして、シンガポールとの間では、御承知のように日本第一号のFTAができました。そういう中で、これから、私も担当大臣の一人でございますので、更に推進をしていきたいと、このように思っているところでございます。
#33
○直嶋正行君 ありがとうございました。
#34
○藤原正司君 民主党の藤原でございます。
 今のやり取りを聞いておりまして、私、電力の出身ですから、一昔前なら通産省から設備投資、修繕費の上積み、繰上げ発注とか、もう相当強い御要請があっただろうなというふうに聞いておりました。
 さて、私の方からは、通告させていただきました質問とちょっと順序が替わりますが、お許しいただきたいと思います。
 大臣所信の中でエネルギー政策あるいはその背景といいますか、この点について大臣がお述べになっておると。この中では、大臣は、地球環境対策、安定供給確保、競争的市場環境整備などの要素を踏まえた最適なエネルギー政策を構築すべく、エネルギー関連予算の歳出歳入構造の見直しを鋭意進めていくと、こういうことを言っておられるわけでございます。
 これは、七月十九日の経済財政諮問会議におきます小泉総理からの指示に基づきまして大臣が八月二十八日ですか、この総理指示への回答として出されましたエネルギー政策の見直しと、こういうものであるというふうに承知をいたしているわけです。特に、この点については大臣の強い肝いりで作られたというふうにも聞いておりますが、この内容についてまずお伺いをしたいと思います。
#35
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のとおり、先般の総理からの御指示に基づきましてエネルギー政策の見直しを行っているところでございます。
 今般の見直しに当たりましては、地球環境対策、それから安定供給、その確保でございます。それから、効率性の向上という観点から天然ガスシフトへの加速など、今後のエネルギー政策の重点の見直しを検討をしているところでございまして、さらに、こうした政策の見直しにふさわしい歳出と歳入の構造の見直しも行っているところでございます。
 具体的に申し上げますと、歳出につきましては、石特会計におきまして、一つはエネルギー政策と地球環境対策の一体的な推進を図る、二つ目は、今申し上げましたように天然ガスへの大胆なシフトを行う、三つ目は省エネルギー、新エネルギー対策の拡充などを検討しているところでございます。また、電特会計におきましては、原子力を始めとする長期固定電源への支援でございますとか、原子力の安全対策の強化を図る等の見直しを進めているところでございます。
 こうした歳出の見直しに伴いまして、歳入についても、いわゆる負担の公平、こういう観点から、今まではなかったことでございますけれども、石炭への新規課税を含め負担構造の組替えも検討をしているところでございます。
 以上の方針を、八月の経済財政諮問会議で表明をし、総理からもひとつ是非そういう方向でやれと、こういう指示をいただいたところでございます。
#36
○藤原正司君 大体概略は承知をいたしました。
 そこで、なぜこの時期に見直しをされるのかということについてでございます。
 今回の見直し時期というのは、どのような時期を想定されているのか。あるいは、一部には段階実施というふうな報道もされているわけですが、そういう点も含めましてお考えをお聞きしたいと思います。
#37
○国務大臣(平沼赳夫君) 京都議定書が批准される中で、地球温暖化対策推進大綱に掲げられましたエネルギー起源の二酸化炭素排出抑制対策、これをより確実、そして円滑に実施していくことが日本としては非常に必要なことに相なってきております。
 エネルギー分野における地球温暖化対策の充実強化というのは、言うまでもなく早急に取り組まなければならない課題でございまして、また我が国及びアジア諸国の中東石油への依存度が高まっております。日本の場合には、中東に八八%の依存率というようなことでございまして、流動的な中東の情勢等を勘案いたしますと、エネルギーセキュリティーの観点からやっぱり戦略の再構築を図る必要がある、こういうふうに私どもは認識しております。
 見直しの具体的な実施の時期についてのお尋ねでございますけれども、来年度からの実施に向け、現在関係者との調整を鋭意進めております。これは、これをやることによって電力業界だけではなくていろいろな産業にも影響を及ぼすことでございますので、今その調整を進めさせていただいております。
 また、導入に当たりましては、激変緩和の観点から段階的な施行についても検討をしてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#38
○藤原正司君 そこで、今、地球温暖化といいますか、環境対策のお話が出たわけでありますけれども、地球温暖化対策推進大綱、いわゆる新大綱ですね、この新大綱との関連についてお尋ねしたいわけですけれども、地球温暖化と税制の関係につきましては、今年策定されましたいわゆる新大綱において方針が一応決められているわけでございます。
 すなわち、この新大綱におきましては、温暖化対策の実施に当たってはまずステップ・バイ・ステップ、三つのステップを踏みながら実施をしていくということ、そしてその第一ステップにおきましては、あくまでも民間の自主的な取組を重視していく、温暖化対策を促進していくグリーン化、いわゆる環境面といいますか、このグリーン化の問題につきましては石油税、電源開発促進税等、その他特定財源については使途のグリーン化を進める、第一ステップにおいては。すなわち、歳出のグリーン化ということにつきましては、いわゆるこの新大綱の中では環境対策税という表現がされているわけですけれども、この歳入側のグリーン化ということについては触れておられない。あくまでもまず歳出側のグリーン化が書かれているわけでございます。
 その上で、いわゆる環境税につきましては第二ステップ以降に導入する可能性を事前に明示する、このことは早期の対策実施を進めるメリットを国民あるいは企業などに与え得る点から大変望ましいんだ、こういう表現をしつつも、先ほど言いましたように、税の問題はあくまでも第二ステップということになっているわけで、そこで、今言われるエネルギー特別会計の見直しと環境税との関係、環境対策税──環境税と言わせてもらいますけれども、この環境税との関係につきましてどういうことになるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#39
○副大臣(高市早苗君) 藤原先生がおっしゃいましたとおりに、日本では今年の三月に地球温暖化対策推進大綱を決定いたしまして、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップとある中で、第一ステップでは省エネルギー対策、新エネルギー対策、燃料転換の対策、こういったことを着実に推進することとなっております。
 御質問に関しましては、今回の石炭課税の見直しということに関して、この大綱では第二ステップ以降早期に温暖化対策税を導入すべきとあるので、時期的におかしいんじゃないかという御指摘ではないかと思っているんですけれども、この大綱に書かれております温暖化対策税と申しますのは、これは中央環境審議会の定義でございますけれども、価格効果によって、つまり税率などによってCO2排出抑制を主たる目的とする税であるということでございます。
 ところが、今回の石炭課税につきましては、私どもといたしましては負担の公平を確保するということを主たる目的と考えております。御存じのとおり、石炭につきましては、平成十三年度まで国内炭対策を実施してまいっておりました。その一環として、輸入炭に比べて割高な国内炭の引取りを電力業界にお願いしたりしておりました事情から、これまで課税対象とはしておりませんでしたけれども、石炭というのはCO2の排出割合は高いんですが、しかし資源の賦存量は多うございますし、また大変安価な、安い燃料として重要なエネルギー資源でございます。このため、石特会計予算の中で石炭の環境負荷のより少ない利用技術、これはクリーンコールテクノロジーの開発ですとか、それから海外炭の開発などの施策を講じているところです。
 そういった事情から、負担の公平の観点から石炭を消費する者にも応分の負担をしていただくことが適当だということで、今回の石炭課税につきましては主たる目的は負担の公平でございます。
#40
○藤原正司君 今言われたのは、環境税というのは相当高い金額を課税して、この価格インセンティブによって環境対策を進める、こういうものである、したがって今回石特会計等の見直しについてはその対象でない、こういうことですか。対象でないというか、環境税ではない、こういうことですか。
#41
○副大臣(高市早苗君) そのとおりでございます。環境税という位置付けではございません。主たる目的は負担の公平ということでございます。
#42
○藤原正司君 そういう定義があるというのは私も初めてお聞きをしたわけですし、環境税というのは幅広いものでありまして、税に対するインセンティブの観点だけではなくて、それが何に使われるかも含めて判断すべきものであると私は思っているわけでありますけれども、今言われたのは、あくまでも今回の石特会計の見直しというのは環境税とは関係のない別物だ、こういうことでございますね。
 そうすると、先ほど、その上で環境税の考え方も言われたと。そうなりますと、これまで経済産業省は、この環境税につきましては、拙速な環境税の導入については環境に与える影響や価格インセンティブの不透明さから消極的な姿勢を取られている、こういうふうにお聞きをしているわけでございますけれども、もし今回、石特会計を中心とする見直しがされて、次のステップツーの段階で環境税問題というものが論議をされるということになった場合、経済産業省はこの環境税についてどういう態度を取られますか。
#43
○国務大臣(平沼赳夫君) 環境税の定義に関する当省の考え方についてお答えをまずさせていただきたいと思うんですが、経済産業省といたしましては、税率によりましてCO2等の排出抑制を主たる目的とした税制を私どもは環境税と、こういうふうに定義をするのではないかと、こういう認識を持っております。
 環境税については、当省としては、本年三月に策定されました地球温暖化対策推進大綱にあるとおり、税や課徴金の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果、マクロ経済、産業競争力等、国民経済に与える影響、諸外国における取組の現状等の論点について、国際的な連携にも配慮しつつ、これから様々な場で引き続き検討されることが私どもは適当だと、このように基本的に認識を持っております。
#44
○藤原正司君 その定義につきましては後からまた少し質問させていただきたいというふうに思いますが、そういう今までのお考え方を踏まえて、このエネルギー特会といいますか、石油特会と電源特会、この二つの特会の見直し、もう少し具体的にお聞きしたいんですが、一つは税収に関して、これは中立なのかどうかという問題あるいは中立ならば全体としてどういう調整を行うのかと。
 これは、数字についてはまだ詰め切っておられないというふうに事前にお聞きしているわけですけれども、あちこちで新聞が既に出ておりまして、石油は触らない、LNGは七百二十円から、トン当たりですけれども、七百二十円から千百四十円に上げるとか、LPGは六百七十円から千二百十円、石炭は今は非課税から七百円と、こういう数字がもう、これは検討中ということでいいわけですけれども、少なくとも定性的に各エネルギー品目ごとの、燃料品目ごとの調整はどういうことになっていくのか。先ほど言われた電促税の関係も含めてどういうことになっていくのかということ、それと、課税をするに当たって、この税率を決めるに当たって、一体どういう考え方に基づいて課税されようとするのか。単にトン当たり幾らというんじゃなくて、トン当たり幾らに至る考え方というのは一体何なのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#45
○副大臣(高市早苗君) 石特会計におきましては、エネルギー対策と、それから地球環境対策を一体として着実に推進していくとの観点から、エネルギー環境対策を強化するということにしております。財源の負担に関しましては、従来のエネルギー税体系の中で、負担の公平の観点から負担構造の組替えを行うこととしています。
 具体的には、先ほども触れましたが、石炭を新たな課税対象に追加する、石油、LNG、LPGといった各燃料の消費者における税負担能力、それから負担格差、各燃料の性質などを総合的に勘案しつつ、税率調整を行うこととしております。
 それから、電源開発促進対策特別会計におきましては、安定的な電力供給源であり、また地球環境負荷が非常に低い原子力、水力、地熱といった長期固定電源の利用の促進や立地の促進に比重を移すこと、それから原子力発電に係る安全対策の抜本的強化、さらに発電関連の省エネ、新エネ対策を石特会計の方に一元化するということを考えているところでございます。こうした歳出面での一連の見直しと併せまして、電源開発促進税の減税を検討いたしているところでございます。
 このような電促税の減税と、それから石油税の増税とを総合的に勘案しますとともに、この激変緩和を図るという観点から、一挙に税率を引き上げるんじゃなくて段階的な税率アップを検討するということなどで、エネルギー需要者の負担に十分配慮をしてまいりたいと考えております。
 個別の燃料に係る負担の在り方につきましては、関係者との調整を鋭意進めているところでございます。
#46
○藤原正司君 私自身も昔、給与を担当していろんな手当の計算したことあるんですけれども、総合勘案というのは何でもありということなんですね。理屈があって理屈がないようですし、どんな理屈でもひっ付いていくと。米の飯と一緒だと。こういうことで、要は分からぬわけです。そういうことしかないわけです。
 その上で、税制中立といいますか、できるだけトータルの税額に変動が出ないようにと、こういうことではありますけれども、しかしそれは大まかな、平均的な、何といいますか中立であって、個々具体的にどういうことだということになると、必ずしもそれは当てはまらないということが言えると思うんですね。例えば、ガスだとかセメント業界あるいは化石燃料の高い電気事業者あるいは自家発、こういうところにはかなりの大きな影響があると。
 既に、温暖化ガスといいますか、この排出の削減努力というのは、それなりに産業界は精一杯努力をしてきているわけであります。しかも、時は今、先ほどの前段の論議にもございましたように、大変経済的に厳しい状況にある。こういう中で、更にこのタイミングで増税をしていくということについては大変問題があると思うんですが、この点についてちょっとお伺いしたいと。
#47
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、御指摘のように、個々の産業にとってはこの税負担というものはかなりのものに相なると思っております。そういう意味では、今、私どもは鋭意それぞれ回らせていただき、御理解を求めるように話合いをさせていただいています。
 しかし、冒頭申し上げましたように、やはりこの京都議定書、これを批准をする、そしてその中で、この日本も国際的な公約を守っていく。そして先ほど申しましたように、私どもとしては、そういう環境に優しい、そういう形で政策転換を行っていく、こういうことに私どもは政策を重点化していかなきゃいかぬと、そう思っておりますので、私どもは、できるだけ激変が起こらないように緩和措置を講じながら、業界の御理解を求めながら整合性を図っていかなければいけないと、こういうふうに思っているところでございます。
#48
○藤原正司君 この石炭課税についてもう少し御意見を、お考えを聞かせていただきたいというふうに思うわけでありますが、元々この石特会計というのは、石油ショック以降、我が国のエネルギーの安定供給といいますか、エネルギーセキュリティーというものをどう高めていくのかというところがこの会計のスタートの発端であったというふうに思っております。そのために、できるだけ石油の依存度を下げていく、あるいはその石油においても自前の石油を増やしていくと、こういうことの中で、この石特会計というのはスタートしている。
 この石油ショック以降、我が国のエネルギーの安全保障という面から、エネルギーのベストミックスといいますか、一つのエネルギーに頼らない、多様化を図っていく、こういう中で、国としても、相当海外炭を中心とする石炭というものについて慫慂をしてきた経過があるというふうに思っているわけでございます。
 御承知のとおり、石炭につきましては、その優れた供給の安定性あるいは地域的に余り偏在をしていないということ、あるいは脆弱な我が国のエネルギーセキュリティーの確保という面で大変大きな貢献をしてきているというふうに思っているわけでございます。
 総合資源エネルギー調査会の需給部会という中で、平成十三年七月にレポートが出ているわけでございます。要は、その中で、税による転換効果をねらう場合、例えば石炭が化石燃料の中で最も環境負荷が高いからといって、最も環境負荷の低い天然ガスに過度に依存するような措置を取ることは、石炭が最も安定供給に優れている点を考慮すれば、エネルギー全体の安定供給を確保する点から好ましくないと、こういうことを述べているわけでございます。
 私は、LNGにシフトをしていくということは、これは大変重要なポイントであるというふうに思っておりますけれども、先ほど言いましたエネルギー源の地域の偏在性とか、そういう安定供給ということを考えますと、石炭というのはもう駄目だという位置付けをすべきではないというふうに思っておりますし、この上で、今回の石特会計等を中心とするこの見直しというものが、我が国の石炭に対する見方というものを変えようとするものか変えようとしないものなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#49
○副大臣(高市早苗君) 今、先生から御指摘ありましたとおり、確かに供給安定性が高くて、また経済性にも優れたエネルギーでございます。それで、環境面での制約要因はありますけれども、先ほど先生がおっしゃいました、去年の七月に出されました長期エネルギー需給見通しの中でも、二〇一〇年度においても我が国の一次エネルギー供給の一九%程度を石炭が占めるだろうということが書かれておりますので、引き続き主要なエネルギーと位置付けております。
 この課税も、繰り返しになりますが、負担の公平の観点から課税するものでありまして、エネルギー政策の中での石炭の位置付けを変えるものではございません。
#50
○藤原正司君 そこで、今までのお話をずっとまとめて考えてみますと、若干この環境税に対する、何といいますか定義について合わない部分もあると思いますけれども、要は、新しい石特会計といいますか、仮にエネルギー環境特会と、仮にこうした場合、新しい会計においては、歳出の方は一体どうなるのかといいますと、これまで石油公団等に支出してきたいわゆるエネルギーセキュリティー対策といいますか、そういう部分と、いわゆる温暖化対策といいますか環境対策といいますか、この中には、従来石特会計が持っていたグリーン歳出の部分と、それから電源特会が持っていたものを合わすと、こういう大ざっぱな会計。歳入側については、今度は石炭を含む一次エネルギー全体に課税をすると。ただし、どういう掛け方をするかということについては、ちょっと先ほどの総合勘案ということでよく分からぬのですが、ある程度税の決め方もグリーン化していくと、こういうふうに見えるわけでございます。
 その意味で、私どもとしましては、これは実は環境税ではないのかと。ところが、高さが違う、税金の高さが違うから環境税ではない、別物なんだというふうにおっしゃるわけですけれども、これよくよく二つに割ってみますと、これまでのエネルギーセキュリティーの確保という歳出と均等に一次エネルギーに掛ける部分、それから今度は、ある程度CO2を意識して税率を掛ける部分と環境対策の歳出、これ真っ二つに割ると、一方は間違いなく環境税なんです。かつての石油特会のスタートしたころの一つの会計と環境会計が二つひっ付いているだけで、割ってみれば、一つは間違いなくだれが見てもこれ環境税なんですよね。
 仮に、今言われているように、環境税というのはこれとは別物なんだ、将来いろんな面を勘案した上で判断していく、こういうふうに言われますけれども、この会計を残したまま環境税が入っていくということになりますと、これは二本立ての環境税、二重課税ということになってしまいはしないのか。これは単に、税率を高くして価格インセンティブがあるからないから環境税ではないという問題ではないのではないかと、こういうふうに思うわけですが。
#51
○国務大臣(平沼赳夫君) 今回のエネルギー税制の見直しは、地球環境対策、繰り返しになりますけれども、安定供給の確保、そして効率性の向上の観点で総合的なアプローチを行うための財源でございまして、負担の公平の観点から、石炭への課税を始め歳入歳出構造について見直しを行うものでございまして、したがいまして二酸化炭素排出抑制を主たる目的とする、いわゆる環境税を企図したものではございませんで、エネルギーの政策及びそれに伴う歳出歳入の見直しによりまして大綱で示されました第一ステップの取組の強化を行う、こういうふうに私どもは認識をしておりまして、是非御理解をいただきたいと、こういうふうに思います。
#52
○藤原正司君 私は頭が悪いもので、なかなかおっしゃるとおり理解できないんですが。
 ちょっと話を次に移しまして、今回、経済財政諮問会議に回答をなされた中で、大臣は大変画期的な発言をされているわけでございます。それは、この会計といいますか財布を環境省との共管ということを言っておられるわけでございます。この点についてお聞きをしたいわけですけれども。
 この特別会計というのは、所管官庁にとりましては自分の財布ということでございまして、正にこれまでは縦割り行政の象徴的なものであったというふうに思っております。その意味では、今回の環境省との共管の考え方というのは、ある意味では画期的であるということが言え、よくぞここまでという方が一部おられる一方、なぜそこまでという、この共管に疑問を呈しておられる方も大変多いわけでございます。
 そして、この共管について、環境省の方にラブコールというのは表現がいいかどうか分かりませんけれども、私の財布を使ってもいいですよと、一緒に使いましょうと、こういうことを言っておられることについて、私は具体的なことは分かりませんけれども、例えば中環審の中では、将来の環境税導入を阻害する、そういう危ぶむ声もあって、必ずしも好感を持ってこの会計の見直し、そして共管ということが受け止められていないのではないか、こういう気がするわけでございます。
 共管というのは、突き詰めていけば特別会計否定論にもつながっていくと。これどんどん広げていけば、一般会計でいいではないかということにもつながりますし、またこの特別会計を残したまま、いろんな理屈を、法律を変えて歳出の使途をずっと増やしていけば、この特別会計が自己増殖をしていく、だれからもいちゃもんを付けられない財布がどんどんどんどん膨らんでいく、こういう危険性もあるわけでございまして、あるいは仲間うちで共管ということで、環境省だけじゃなしに、おい、おまえもおれと一緒にやろうやということで、ある意味では特別会計そのものの本質が変わってきてしまうというおそれがあるわけでありまして、この点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#53
○国務大臣(平沼赳夫君) 我が国の温室効果ガス排出量の御承知のように約九〇%がエネルギー起源の二酸化炭素であることから、地球温暖化推進大綱の策定を始めとしまして、地球温暖化対策の推進に当たっては、これまでも地球温暖化対策推進本部の私は副本部長として環境省と連携を密にしながら取り組んできたところでございます。
 今回のエネルギー政策の見直しの一つといたしまして、温暖化対策の強化を挙げていることを踏まえれば、これまでにも増して密接に環境省と共同で地球温暖化対策を実施していくことが私は不可欠のことだと思っております。こういった認識から、石油特別会計の共管を含めて、環境省とのよりよい協力の在り方について現在調整を行っているところでございまして、今、その税の在り方の基本的なことについてお触れになられましたけれども、そういったことにつながらないように私どもはしっかりと調整をしていかなきゃいかぬと、このように思っております。
#54
○藤原正司君 このエネルギー関係の特別会計の見直しについて、今までいろいろ大臣を始めとする方々にお考えをお聞きをしてきたわけでありますけれども、結局、この温暖化対策というのは、国全体として進めていかなければならない大変重要な問題であります。と同時に、環境と経済というのはある意味では裏腹の問題も一部まだあるわけでございまして、このステップ・バイ・ステップでどのようにアプローチをしていくかと、これは大変重要なことではないかというふうに思っております。
 今、大臣が言われましたエネルギーと環境問題も裏腹の問題なんだから、これは分けて考えるわけにはいかないんだと、これはあくまでもトータルとしてこれから考えていかないと我が国のエネルギー政策というのは十分なものにはならないんだと、こういうお考えは十分理解をできるわけでございます。
 しかしながら、率直に言いまして、今回、経済産業省といいますか、が出されたこの特別会計の見直しというのは、片側でそのステップツーの二〇〇五年度以降の環境税問題を検討するというものが目の前に見えているだけに、なぜ今なのかということについて、大変唐突に受け止めざるを得ないのも事実でございます。
 今、先ほど大臣は、環境税とは別物なんだと、環境税を入れるかどうかということについて三点ばかり、こういうことを検討した上でないと駄目だということを言われました。私ももちろんそのとおりだと思います。今回の会計の見直しが大変気になるというのは、この第一ステップでこういう環境税的なものを入れようとされているということと、もう一つは、環境税を論議するときには既存の税制とか既存の歳出が一体どうなっているのかということをトータル的に判断していく中で、改めて税の在り方と歳出の在り方というものが論議されるべき問題であって、たまたま経済産業省とあるいは環境省が所管しているから、そこの二つのところで考えればいいというものではないと。だから、根本的な論議、我が党についても環境税という問題について否定はしておりませんし、これからの温暖化対策の一つの手法として有効であるということは承知した上で、しかし、それは先ほど言いましたように、現在の税制、そして歳出の在り方あるいはその時々の経済の状況とか、様々なものを総合的に検討した上に立ってどうすべきかと。
 したがって、その場合、現在のこのエネルギー特会がどうなっているかということもらち外ではない、当然対象になってくる。対象になってくるだけに、今なぜ手直しをされるのかということの納得性といいますか、理解がしづらいということでございまして、この点につきましてもう一度お考えをお聞きしたい。
#55
○国務大臣(平沼赳夫君) 今回の見直しによりまして、このエネルギー特別会計の歳出歳入、これを思い切ったグリーン化を図ることによって大綱で示された第一ステップの取組が私どもは強化されると、このように認識しております。
 また、税制の見直しについても、税率による二酸化炭素排出抑制を主たる目的としたいわゆる、私どもは、繰り返しになりますけれども、環境税ではないと、このように思っておりまして、まずは第一ステップの対策に取り組みまして、二〇〇四年、そして二〇〇七年に評価、見直しを行い、段階的に必要な対策を講じていくステップ・バイ・ステップのアプローチで取り組むとの私どもは大綱の方針にも沿ったものだと、このように思っておりまして、是非御理解をいただければと、このように思います。
#56
○藤原正司君 デフレ不況対策は比較的後手後手ですけれども、この問題だけかなり先行的であるという強い印象を受けたわけでございます。
 さて次に、大臣所信の中で、競争構造の整備ということが言われているわけでございますので、若干、原子力についてお尋ねをしたいと思います。
 さて、今般の原子力発電所におきます不正等の問題につきましては、私自身もかつて電力に職場に身を置いた者として、誠にじくじたる思いがいたしておりますし、国民の皆さんの信頼が大きく失墜したということは誠に残念でならないわけでございます。原子力の推進というのは、何よりも国民の皆さんの信頼というものが重要であって、この大きく損なわれた信頼というものを今後どういうふうに回復をしていくのかと。そのため、事業者あるいは行政というのは何をなすべきかということにつきましては、この不正の問題のみならず、全般にわたる論議が必要だというふうに思っておりますし、この点につきましては、今回の臨時国会におきましても、関連する二つの法案が提出されておりますので、この場の論議にゆだねるということにいたしまして、先ほども申しましたように、私の方からは大臣所信にも触れられております競争市場の整備に関して何点かお尋ねをしたいというふうに思うわけでございます。
 まず、今回の原子力発電所の不正問題によりまして、国民の信頼が大変大きく揺らいで、我が国の原子力政策にとりまして大変大きな問題を投げ掛けたというふうに思っておりますけれども、ただ、こういう問題がありながらも、なお我が国の原子力の基本政策であります核燃料サイクルを前提とした原子力を推進していくんだと、この基本に変わりはないかということを確認させていただきたいと思います。
#57
○国務大臣(平沼赳夫君) 私どもといたしましては、日本というのは御承知のように天然のエネルギー資源に恵まれない国でございまして、エネルギーのセキュリティーの確保というのは国にとっては最重要の課題だと、こういうふうに思っております。
 将来にわたってのエネルギー確保の観点から、国内処理を前提としました核燃料サイクル、これを進めていくことは私どもの基本的な考え方でございまして、今、藤原先生もおっしゃられましたけれども、原子力発電所におけるいろいろな事案がございました。このことは、エネルギー担当大臣としても私どもは本当に猛反省をしておりますし、二度とこういうことが起きないように再発防止策、それから今後の対応策、これを今しっかりと検討させていただいているところでございますけれども、私どもとしては、繰り返しになりますけれども、基本的な考え方は全く変わらずに、国民の御理解を得て信頼回復に努めて、更に努力を積み重ねていきたいと、このように思っております。
#58
○藤原正司君 そこで、もう一点確認をさせていただきたいんでありますが、先ほども出ましたいわゆる新大綱の中におきまして、二〇一〇年までに原子力発電による発電量、キロワットアワーを二〇〇〇年比で三〇%増量すると、このことは温暖化対策の大変大きな柱になっているわけでございます。ところが、発電所の新規建設ということになりますと、今回の不祥事のこともありまして、現在建設中のものを除きますと、なかなか進展しそうにない。こういう中で三〇%増やすということが本当に達成できるのか、大変難しい状況にあるのではないかというふうに思うわけでありますが、この点についても、この方針というものに変わりがないのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
#59
○副大臣(高市早苗君) 確かに、今般の東京電力におきますあの不正の問題などによりまして、原子力を取り巻く状況というのは以前より数段厳しくなっておりますし、まずは事実関係の究明ですとか再発防止策を徹底的に進めるということを再出発点にしなければならないのは当然のことでございます。
 しかしながら、燃料供給、価格安定性、そしてまたCO2を発生しないという環境特性を有しております原子力が極めて重要であるという認識はいささかも変わるものではございません。
 更には、二〇一〇年までに原子力発電電力を約三割増加させるという地球温暖化対策推進大綱の目標達成に向けまして、これもまた地元の皆様を始めといたします国民の皆様の御理解を得られるように最大限の努力を続けるという方針も変わっておりません。
 具体的には、二〇一〇年までにこの目標を達成しようと思いますと十二基新たに運転を始めるということで、未着工が九基もございますので大変な作業ではございますけれども、御理解をいただくための努力を続けたいと考えております。
#60
○藤原正司君 そういう環境の中で、先ほど原子力発電を推進していく上で、大臣所信の中で触れられております競争市場の整備というのは何を指すのかということになるわけでありますけれども、御承知のとおり、今、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会で電力の自由化が論議をされております。もちろん、海外に比して割高な電気料金をどう下げていくのかという意味において、原子力基本法の中にも触れております競争原理を使いながらいかに効率化を図っていくかというのは極めて重要な問題であるというふうに思っております。ただ、原子力発電というものが競争市場の中になじむかなじまないかというと、大変難しい発電方式であるというふうに思っております。
 そこで、経済産業省として、この電力の自由化と原子力発電の推進というものを両立をさせていく上で何が重要であろうかという点について、お考えをお聞きしたいと思います。
#61
○政府参考人(岡本巖君) 今、先生御指摘のとおり、一方で、競争市場の整備ということで分科会で一連の御議論をしていただいております。あわせまして、そういう中にあって、私どもも電気事業者の方々が原子力を、先ほどの大臣、副大臣の御答弁にもありましたように、是非ともこれからも進めていっていただきたいと思っておりまして、その両立を目指すというところに一番大きな腐心をしているところでございます。
 これまでの議論の中で、原子力投下資本の回収に大変長期を要するという大きな特性がございますものですから、そういった電源についての投資回収というものをより良くする、投資環境を整備するということで、給電指令に当たって原子力を優先する、あるいは送電容量の配賦に当たって原子力を優先する、そういったことを分科会の議論の中でも、これまでの中でおおむね委員の方々の意見の一致を見ているところでございまして、自由化の制度設計ということとの関係では、こういう投資環境を整えることによって引き続き電気事業者の方々に原子力への取組をしていただきたいというふうに期待しているところでございます。
#62
○藤原正司君 私がお聞きしたのは、電気事業分科会の論議がどうであるかということをお聞きしたんではなくて、この原子力行政を所管される省庁としてどういう基本的なお考えですかということをお聞きをしているわけでして、すべて分科会でどういう論議がされているからどうとかというんだったら、ちょっと看板を付け替えた方がいいんではないかという気すらするわけでございます。
 それは別にしましても、私が申し上げたいのは、原子力発電というものが市場というものになじみやすいかなじみにくいかと、そういう点においてということを申し上げた。その上で考えてみますと、原子力発電というのは非常にイニシアルコストが高い、長期にわたって安定的に発電していくということをやらないとコスト回収が大変難しいという面が一点ある。そのことの解消策は、今、エネ庁長官も言われた、要は優先的に発電するように指令をすればいいんだと。これはこのこととして分かるわけであります。
 しかし、もう一つ問題なのは、我が国の原子力政策、基本政策は、核燃料サイクルというものを基本に置いた原子力政策になっているわけでございます。使用済み燃料をどういうふうにしていくのかと。核燃料サイクルは、御存じのとおり、使用済み燃料を再処理をして、もう一度使えるウランとプルトニウム、これをもう一度燃料に回す、そして残った高レベル廃棄物は貯蔵すると、こういうことでありますけれども、これがうまくいけるかどうか、極めて難しい状況にある。
 今回の不正の問題等もあり、例えばプルトニウムの再利用であるMOX燃料によるプルサーマルというのはなかなか見通しがないと。しかも、使用済み燃料の永久貯蔵という問題につきましては、今の方針では平成四十年というような方針を書かざるを得ないような状況にあると。まあ四十年も百年も変わらぬわけですけれども、要はそういうことを書かざるを得ない状況にある。これは経済的なリスクというよりも、むしろ、もしこの再処理といいますか、バックエンドが止まってしまえば、経済の問題ではなく、即長期安定運転なんというようなことは全然できないわけで、こちらのリスクが大変大きいというふうに思うわけであります。
 この点について、私は、電力の規制緩和というのは、これはお客様も参入業者もあるいは既存の事業者もこれは自由になるということであります。ですから、余りこのことが、市場原理といいますか、競争の中において原子力がふさわしくない、発電方式として選択しづらいということであれば、ノーと言ってしまったときに、では国として温暖化対策あるいはエネルギーセキュリティーの面からどうするんですかということが逆に問われるというふうに思っているわけです。特に、先ほど言いました長期安定運転の問題はいいと、しかしこのバックエンドの問題ですね、見通しがなかなか付いていないのも事実でございます。
 で、アメリカ、この前も一度申し上げましたように、欧米においてはほとんどの国において、この下流域の問題については事業主体あるいは責任主体が国になっている。その点、我が国は一体どうなっているのかと。本当に国が責任を持ってこのことを推進していこうとしているのかどうかということは大変疑問に思わざるを得ないわけでございます。
 もう一つは、ちょっとむかっとすると言わぬでもいいことまで言いますけれども、例えば福島県の核燃料税の問題でも、値段の次に今度は重さに掛けると、一物二税というような状況が、これは地方分権の時代ですから、地方自治体が徴税権といいますか、税に関する権限を強化されるというのはこれは望ましいことだと思います。しかし、それは逆に、そこの住民によるチェックといいますか、議会等を通じた民主主義が機能して、そして自らが大きい自治体を望むのか小さい自治体を望むのか、どういう政策を望むのかというこのことが担保されている間において、地方自治体における税金の問題というのはあると。
 ところが、一企業だけに掛けられる税金となると、議会選挙権があるわけでも何でもない。こういうことについて同意する省庁は総務省ですけれども、経済産業省は確かに反対、余り賛成ではないというふうな見解を出されたようですけれども、本気になってこれはおかしいぜということになってきたのかということすら思う。
 その点でもう一度、先ほど申し上げました、こういう社会の中でなお原子力を推進しようとすることについて、国の責任について、一体どうお思いになるのか、お尋ねしたい。
#63
○政府参考人(岡本巖君) 先生御指摘のとおり、原子力を進めていくという場合に、フロントサイドの原子力発電のみではございませんで、バックエンドの問題が非常に大事だというのは御指摘のとおりかと思います。
 バックエンドに関連するプルサーマルということについては、これは平沼大臣を先頭に私ども、地元の方々の御理解をいただくべく大変な努力も事業者の方々と共々にやってまいりました。そういう中において、今回の東電の事件の件で地元の方々を中心に大きく信頼を損ねて、プルサーマルの計画が今凍結あるいはとんざしているということについては大変遺憾に思っております。
 ただ、私ども、プルサーマルは引き続き必要だということで、大臣もそれぞれの地元の首長の方々を始めいろんな機会にお話をいただいているところでございますが、信頼回復が成るということを前提に引き続き私どもはプルサーマルについても取り組んでまいりたいと思っております。
 バックエンドにつきましては、基本的には廃棄物の処理ということで事業者の方々は基本的な役割を担っていただくというのが今の基本法の下での大きな考え方でございますが、ただ、国においても、先生御指摘の再処理、それから廃炉に至った場合の解体処理、さらには高レベルの放射性廃棄物の処理ということにつきまして、一つは技術開発の面で、あるいは将来にわたって大きな費用を要しますので、そういったものの費用の徴収、積立て、そういったものを可能にする一連の引当金を始めとする税制の整備、さらには国民の方々の御理解をいただくための一連のいわゆるPA対策というものを進めてまいっているところでございます。
 特に、そういう中にありまして高レベルの放射性廃棄物につきましては、十二年度から特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づきまして公的な制度によって環境整備をやるということで、今一連の地点公募の作業を含めまして、機構を中心に電気事業者の方々も一緒になってこの取組を進めてまいっているところでございまして、いずれにしましても、核燃料サイクル、それからそれを支えるバックエンドの一連の事業の着実な推進なくして原子力はうまく回らないという点は先生御指摘のとおりでございますので、私どもも今申しました各般にわたって努力を更に強めてまいりたいと考えているところでございます。
#64
○藤原正司君 具体的な論議は避けたいというふうには思い、時間もありませんので。原子力の開発、利用というのはやっぱり国の政策であると。国は原子力の安全性を規制、監視するという責任もありますけれども、片側で推進をしていくという責任もある、ここをまずしっかりと受け止めておいていただきたいというふうに思うわけでございます。
 もちろん、今回の不祥事が原子力の推進に大きくマイナスの影響を与えたことは否定をいたしませんが、ただこのことによってエネルギーの三E、すなわち安全保障と環境保全と経済成長というものの同時達成というものが大変難しくなってきていると。温暖化は二〇一〇年までの目標達成も含めて大変難しくなってきていることも事実でございます。この社会性といいますか、政治的といいますか、こういう面において大変リスクが大きいといいますか、困難な原子力発電について、これまで国としての責任というものをどちらかというと明確にしないまま、そして原子力について正面から議論をすることを避けてきたことが今回のツケとして回ってきたと言っても私は過言ではないというふうに思います。
 私は、審議会だ分科会だということをすぐお役所の方は言われるけれども、しかしその委員を選ぶことも全部含めてお役所でやり、お役所自身が一体どういう考え方を持つかということをまずはっきりしておかないと、私はこの原子力の問題というのは本当にこれ本気でやる気があるのかいなという気がしてならないわけでございまして、大臣も、こういう事情がありながらも、我が国における原子力問題が環境の面においてもセキュリティーの面においても今後とも重要な柱であるという考え方は不変なんだから責任を持ってやるということをおっしゃっていただいたということで、質問を終わりたいと思います。
 誠に申し訳ないですけれども、中小企業問題をやる予定が時間がなくなりまして申し訳ございません。
 以上で終わらせていただきます。
#65
○委員長(田浦直君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
#66
○委員長(田浦直君) ただいまから経済産業委員会を再開します。
 休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
#67
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 私は、前回の質問で、大臣の就任以来の原発の安全確保の責任にかかわる問題として、新しく導入されました申告制度が機能不全に陥っていたという問題について取り上げまして、大臣もその点について責任をお認めになったわけですね。
 今日は、なぜジェー・シー・オーの教訓が真剣に生かされなかったのかという根本の問題について伺いたいと思います。そこには、この二年間の申告制度の機能不全だけに帰せられない根本問題があると考えています。それは規制と推進の体制が経済産業省の中で一体となっている、ミックスになっている、この問題であります。
 今回の東電の、あるいは一連の電気事業者のトラブル隠し、不正、こういったものを私は歴史的にずっと調べてみました。現場にも行って調べてみました。そういたしますと、原発の安全神話に立って企業の利益を優先するという政府の姿勢にはかなり歴史があるということが分かりました。
 通産大臣の通達を昭和五十二年三月三日に出していらっしゃるんですが、一九七七年三月三日ですね。これは原子力発電所における安全対策の強化についてというタイトルになっておりまして、概略は、法律に基づく報告義務を厳守することはもとより、運転上その他原子力発電所の工事、維持及び運用に係る軽微な故障についても、これを当省に速やかに連絡し適切な措置を講ずることということで、明確に軽微な故障についても当省、当時は通産省ですけれども、速やかに連絡すべきだということを明確に指示をしていた、これは大臣通達が出ていたと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。
#68
○国務大臣(平沼赳夫君) その通達はたしか田中龍夫通産大臣のときに出ていると、こういうふうに承知をいたしております。
#69
○西山登紀子君 大事な通達なんですけれども、余り評価委員会などの今回の事件の調査などには余り名前が出てきません。そこで、少し詳しく申し上げたいと思います。
 田中大臣の名前で出ております大臣通達は、「原子力発電所における安全確保対策の強化について」ということで、
 一、通商産業省においては、原子力発電を推進するに当たってはその安全性の確保が第一であると考え、従来から原子力発電所における軽微な故障についても、その原因を調査し、結果を公表するとともに速やかに所要の措置を講じてきているところである。
つまり、七七年以前もそういう措置は講じてきていたと。
  しかしながら、今回、昭和四十八年に関西電力株式会社美浜発電所において発生した燃料体の損傷事故に関し、同社が電気事業法第百六条の報告を怠っていたことが判明した。このような事態が生じたことは誠に遺憾であり、当省としては再びこのような事態を繰り返さないよう所要の措置を講じているところである。
といたしまして、
 二、当省としては、本件を機に今後定期検査及び立入り検査を充実、強化して電気事業者の法令及び保安規程の遵守状況を厳重に監督し、原子力発電所の安全確保対策を一段と強力に推進していく所存である。
として、
 三、ついては、貴社におかれても、法律に基づく報告義務を厳守することはもとより、運転上その他原子力発電所の工事、維持及び運用に係る軽微な故障についてもこれを当省に速やかに報告し、適切な措置を講ずるよう、ここに改めて強く要請するとともに、今後とも原子力発電所の安全の確保に万全を期し、電力の安定供給という重大な使命を全うすることを期待する。
という大臣の通達でございます。
 法律違反の事故隠しの事件が二十五年前にもあって、それでこういうふうな通達も出されているわけですが、これは今日の不正あるいはトラブル隠し、記録や検査記録の改ざん起きているという事態にも対応する内容だと思うわけですけれども、大臣、今もこの大臣通達が基本として生きていると、こういうことですね。確認をしたいと思います。
#70
○国務大臣(平沼赳夫君) これに関しましては、一九七七年、田中通産大臣のときに出、それから更に一九八八年に新たなそういう形で通達が出ているわけでございまして、そういう関係からいえば連続して生きていると、こういうことでございます。
#71
○西山登紀子君 大臣通達が基本であるということはこれはもうだれしも認めるところでございますし、大臣もお認めになったわけですが。そこで、今も大臣が言われました一九八八年の十一月の八日に「大臣通達による軽微な故障等の報告について」という題が付いて、原子力発電運転管理室という文書が出ているんですけれども、こういう文書は出ていますよね。確認をしたいと思います。
#72
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘のとおり、八八年十一月に当時の資源エネルギー庁原子力発電運転管理室の名前で、今御指摘の昭和五十二年、一九七七年の大臣通達の内容、軽微な故障等の内容を明確化するために具体的な判断基準を示すという趣旨で通知をされたものがございます。
#73
○西山登紀子君 私は、この原子力発電運転管理室という通達ですから、室長通達、言わば課長通達のようなものなんですが、その内容を読んでみて本当にびっくりしました。大臣通達を本当に骨抜きにするような内容なんで、ちょっと御紹介をしたいと思います。
 これは、「昭和五十二年三月三日付け大臣通達による軽微な故障等の報告は、下記の基準によるものとする。」ということで十項目並べられているんですね。その一は、「原子炉の運転中において、原子炉施設又は原子炉施設以外の施設の故障により計画外の出力変化が生じたとき又は出力抑制の必要が生じたとき。(極く軽度な出力変動又は極く軽度な故障による予防保全措置を除く。)」となっています。二つ目は、「原子炉の運転中において、安全保護系の故障が生じたとき。(消耗品の取替等により直ちに復旧可能な場合を除く。)」となっています。三番目は、「原子炉の運転中において、工学的安全施設の故障が生じたとき。(消耗品の取替等により直ちに復旧可能な場合を除く。)」となっています。四番目は、「原子炉の運転中又は運転停止中において、燃料に係わる故障があったとき。(軽度な場合を除く。)」となっています。五番目なんですが、「一〜四の他、原子炉の運転に関連する主要な機器に機能低下又はそのおそれのある故障が生じたとき。」となっているわけですね。
 今回のいろいろな不正あるいはトラブル隠しというのが、大体この五の、一から四ほか主要な機器に機能低下又はおそれのある故障が生じたときというふうな形でいろいろとマスコミなんかに出ている箇所だと思います。あと十項目ほどずっと出ているわけですけれども。
 読んでみて本当に、七七年のときは軽微な故障はすべてきちっと報告しなさいというふうになっていたものを、十年ほどたってこのように基準を非常に緩めた、骨抜きにした、こういうふうに思うわけですけれども、どうですか。
#74
○政府参考人(松永和夫君) 一九八八年の今御指摘いただきました通達は、西山先生御指摘のとおりでございますけれども、その趣旨、内容でございますけれども、昭和五十二年の大臣通達における軽微な故障の解釈をより明確にして、原子力の安全問題に関するトラブルについて確実に報告を受けるためという趣旨で、それまでの実績を踏まえて報告事象の判断基準というものを明確化したものでございます。
 したがいまして、この判断基準は安全に関係するトラブルについて網羅的に言わば記載をしたというものになっているわけでございまして、この通達に従いましてその後も報告がなされておりまして、今、先生御指摘のような問題はないというふうに私ども考えております。
#75
○西山登紀子君 骨抜きにしたんじゃない、甘くしたんじゃないということなんですが、済みません、お配りさせていただいておりますこのグラフをちょっと見ていただきたいと思います。これは経済産業省より提出いただきました資料について、私の方でグラフ化したものでございます。原子力発電所におけるトラブルの報告件数、これは通達対象ですから法律対象というものではございません。
 よく見ていただきますと、大臣通達が出たのは七七年でございます。括弧の中は原発の何基あるかということで、十四基でございます。七七年に軽微な故障があってもきちっと報告しなさいということで通達が出された後、ずっと見ていただきますと、八〇年のときにはぽんと四件だったのが八一年には四十五件トラブル報告がございます。八二は四十一件、八三年には四十五件。
 ずっと見ていただきますと、八八年にこの室長通達が出ました後はどうなっているでしょうか。八九年は十三件、後、十一、四、十二、七、五、十五、八、十一、六、十二、七、〇一年は四件でございます。これは、原発の数は八一年から現在まで数えてみますと二十三基から五十二基という形で、むしろ倍以上に原発の数は増えているんですけれども、トラブル報告は正に一けたないしは十件台というところで推移をしています。
 これは、明らかに八八年のこの室長通達が私は影響している、つまり骨抜きを図り、相当なものでなければ報告しなくていいよということで甘くした結果だと。これはもう数字が語っているというふうに思うわけですね。事業者のトラブル隠しに通産省がお墨付きを与えたことになるのではないでしょうか。
 この通達が、やはり今回のいろんなトラブルの各電力事業者のところに私たちが調査に参りましても、これは意図的に隠したんじゃないんだ、報告する必要がないから報告しなかったまでなんだというふうに堂々と居直ったような発言をなさるような現場もございまして、本当に驚いたわけですけれども、問題は結局、通産省がこういう室長通達を出して、企業のトラブルに甘い体質を作ってきた、むしろ監督官庁としての責任が非常に重いというふうに思うわけですけれども。
 大臣、こういう経産省の指導の下に今日のような企業のなれ合い体質、トラブルに甘い体質、そういうものを作ってきたのではないでしょうか。責任をどのようにお考えでしょうか。
#76
○国務大臣(平沼赳夫君) 一九八八年の運転管理室の通達というのは、今、次長から答弁をさせていただきましたとおり、軽微な故障等に関する国への報告基準を明確にし、安全に関係するようなトラブルに係る電気事業者からの報告を確実にするために策定されたものでありまして、官民なれ合いという、そういうお言葉ございましたけれども、その御指摘は私は当たらないと、こういうふうに思っております。
 しかし、今回のいろいろな事案に関しましては、大変国民の皆様方の信頼を裏切り、そしてエネルギーを所管する経済産業省といたしましてもこのことは重く受け止めなければならないと思っておりまして、原子力安全規制法制検討小委員会で、トラブルに関する報告の法的位置付けを明確にし、報告基準をできる限り定量的な基準に改めるべきであると、そういう指摘を受けておりまして、さらに情報公開の一環として、事業者は軽微な事象であったとしてもその情報を適切に公表すべきであると、こういう御指摘もいただいています。
 経済産業省といたしましては、これらの御指摘も踏まえまして、故障等に係る報告及び情報公開については適切な措置を講じていかなければならないと、こういうふうに思っております。
#77
○西山登紀子君 この通達が、言わば甘くして報告をしなくてもいいよというふうなところをラインを引いたためにうんとこの報告件数が下がっているというのは、これはもうこの数字を見れば明らかです。
 問題は、報告が多いことが問題なのではなくて、その報告がされなくて隠されて、そして重大な事故につながるというところがやっぱり怖いわけですよね。国民は、こういうふうな国の体質そのものを問題にしているのでありまして、どんな基準がいいかということではなくて、正に経産省の指導の下にこういう規制の骨抜きがされてきた、甘い基準が行われて、むしろ主導的にそういう今日のような事態を招いてきた責任が国にあるという点で問題にしているんです。
 私はやっぱり、規制と推進が今経済産業省の中に一体となっているんですが、これは一人の大臣が規制もやれば推進もやるという、これは大変矛盾した体質でございます。例えば、白い色と黒い色を混ぜたらこれはもうグレーになってしまって、これは本当にけじめが付かなくなってしまいますね。また、車でもアクセルとブレーキを同時に踏めばどうなるか、それは踏めっこないわけでございます。踏めっこないものを今、踏める踏めると言って国民をだまして私は原発の推進をやっている、この体制について今、原発立地自治体や住民の皆さんも大いに不信のまなざしを向けていらっしゃる。
 私は、もう今、やっぱり原発の推進と規制はきちっと分離すべきだと思うし、なぜその分離ということに着手しないのか、それに踏み出さないのかということが大いに問題になっておりまして、今踏み出さないというようなことを固執しておりますと、その固執していること自体が正に規制をなおざりにするという官民一体のなれ合い体質なんだというふうな批判をこれからも受けるということになると思いますが、大臣の決断をお願いしたいと思います。
#78
○国務大臣(平沼赳夫君) 今の安全の確保の点についての御指摘でございます。
 これは委員も御承知のとおり、一月六日の省庁再編、それをめぐってどういう体制で臨むかという形で広く議論をしていただいた経緯がありまして、その中で、一方においては国の基本的な方針としてやはり原子力の推進をしていかなきゃいかぬ、それと同時に、国民の信頼と、そして何よりも安全性を担保しなきゃいかぬ、こういうことでダブルチェックシステムと、こういうことをさせていただきました。
 一次的には、いわゆる推進を図るそのところでは、やっぱり安全ですとか保安、そういうものに対して十分な認識と知見、経験を持っている者でないとやはりこの推進を進めることはできない。しかし同時に、今、一人が二つのことをやって白と黒を混ぜれば灰色だと、こういう御指摘がございましたが、しかしそれは、やはりある意味では独立性を担保するために内閣府の中に原子力安全委員会というものを作って、しっかりと今度はこの安全面についてはダブルチェックと、こういう体制で、中央省庁再編に伴って原子力安全・保安院、そして原子力安全委員会、こういうものを設置をしたところでございまして、私どもとしては、このダブルチェック体制の機能というものを、御指摘のそういう問題もやっぱりよく踏まえながら、しっかりとした運営をしていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
#79
○緒方靖夫君 私は、ディーゼル車の排ガス規制について質問したいと思います。
 先月末、東京大気汚染訴訟で東京地裁は、国、東京都、首都高速道路公団の責任を認める原告勝訴の判決を下しました。判決は、幹線道路から五十メートル以内に住む住民を対象に排ガスと健康被害との因果関係を認めて、国、都などに対する損害賠償を命じました。
 道路公害対策を怠ってきた国の責任を認めたのは、一九九五年の西淀川訴訟以降、川崎、尼崎、そして名古屋南部に続いて今回が五度目になります。初めて国の公害病認定を受けていない患者に賠償が認められた、また判決で認定患者への賠償を認めたことは、同時に、公害は終わったと言ってきたそういう言い分を排して、公害指定地域を解除した国の政策、その点についての誤りも厳しく指摘したものとなったと思います。
 東京訴訟がこれまでの大気汚染訴訟と異なるのは、被告に自動車メーカーを加えたことです。判決では、自動車メーカーが、例えばアメリカ輸出用のディーゼル車の二酸化窒素排出量が日本で販売される車の三割も少ない、そういうものを採用していた、それも裁判の過程で明らかになりました。最大限の技術だと言いながら国によって異なる基準を使ってきたという二重基準、ダブルスタンダード、これも厳しく批判されてきました。排ガスに含まれる二酸化窒素や浮遊粒子状物質、SPMが健康被害を引き起こしている、このことも裁判の過程で明らかになりました。
 判決では、メーカーの責任について、排ガス中の有害物質を低減するための技術開発を行い、新技術を取り入れた自動車を製造、販売すべき社会的責務がある、こう述べておりますけれども、その点で大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#80
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘の先般の東京大気汚染公害訴訟の判決におきましては、国、そして東京都、首都高速道路公団に道路管理者としての責任を認める一方、自動車メーカーについては、環境負荷の小さい自動車を製造、販売すべき社会的責務があるとしつつ、健康被害の回避義務はないと、そういう判決でございました。
 自動車メーカーは技術開発の努力によりまして、常に時々の排ガス規制に適合した自動車の製造、販売を行ってきたことを踏まえますと、自動車メーカーの社会的責務に関する今回の判決というものはある面では妥当であると、こういうふうに思っております。
 しかし、いずれにしても、大気環境問題に関する社会的要請が高まっている中で、自動車メーカーにおいても、今回の裁判を一つの契機といたしまして、排ガス規制の対応は言うまでもなく、より高度な環境技術の開発に努める等の責務を積極的に私は果たしていかなければならないと、このように思っております。
#81
○緒方靖夫君 判決は、自動車排ガスによる人の健康への影響については高度の注意義務が課せられる、そうも指摘しております。七三年ごろにはぜんそくなどの呼吸器疾患の発症、悪化を予見することは可能だったんだと、そうも述べているわけですね。そのことも非常に大事な点だと思います。自動車メーカーに公害防止の社会的責務、深刻な被害の予見可能性の責務を負っていること、今、大臣もそのことをおっしゃられたと思いますけれども、私は当然だと思うんです。
 そうすると、あらゆる方法で自動車メーカーが公害防止の責務を果たすべき、そういうところに行き着くと思うんです。それは当然の帰結だと思いますが、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(平沼赳夫君) 答弁でも申し上げましたように、やはり自動車メーカーもそういった本当に大気汚染をできるだけ少なくするようなそういう努力は継続的に、そして強力に進めなければならないと、こう思っております。
#83
○緒方靖夫君 とりわけ首都東京の大気汚染、自動車排ガスによる汚染というのは本当に大変な状況です。それは、例えば環境省が発表した平成十三年度の大気汚染の状況というデータがあります。これはデータを見るだけじゃなくて、実体験として、二酸化窒素それからSPM、その排ガスを調査しているポストをずっと見ていくと、ワーストテンの中に東京がずらりと並ぶわけですね、上位に。とりわけ板橋の中山道大和あるいは大田区の松原橋、こういうところでは、車の中にエアコンから排ガスが入って、通り掛かるだけで胸が悪くなる、そういう経験をしょっちゅうしているわけですね。
 ですから、こういう状況、大臣もそういうことは御存じだと思いますけれども、私は、こういう状況が放置されていいのかどうか、その点が問われていると思いますが、その点の大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
#84
○国務大臣(平沼赳夫君) 私も日常、車で都内を走ることが多いわけでございますけれども、やはり非常にそういう意味では自動車の排気ガスというものが道路を走っていてもその走行中の車の中に入ってくると、こういう形で、その程度というのが、先ほどワーストテンの中に東京が相当数含まれると、こういうお話がございましたけれども、私はそれは事実だと思いますし、こういった状況をやっぱり改善していくことが非常に大切なことだと、このように思います。
#85
○緒方靖夫君 そのために東京都ではSPMを排出するディーゼル車、また貨物車、バスを条例で規制する、そういうことをやっております。他方で、国でも自動車のNOx法が改正されて、新たに粒子状物質、PMを規制物質に加えた自動車NOx・PM法が制定されました。この法律によって来年十月からディーゼル車への規制が強化され、それに伴って国、自動車メーカーは、トラックなどのディーゼル車を使用している事業者、個人に排出ガスの除去装置の装備や車両の買換えを要求しているところです。
 しかし、同時にこれはユーザーに非常に過剰な経済的負担を強いるものになっている。大変な今悲鳴が上がっております。特に、NOx、PMの低減に有効な後付け除去装置が開発されなければ、ユーザーの使用は初年度登録から十年で使用不可となって、さらに、低公害車などの規制適合車への買換えが高額のためにできない、そういう業者が大勢おられるわけですけれども、そこから大変な悲鳴が上がっている。廃業に追い込まれる、そういうことに大変危惧が強まっております。
 そこで大臣、ディーゼル車を製造したメーカーの責任でNOx、PM双方の低減に有効な後付け装置の早期開発、これを進めるよう徹底した指導を行う、これが今大変重要だと思います。その後付け除去装置を中小業者や個人が経済的に無理なく装着できるように、国土交通省、環境省などと連携して助成の制度を拡充していく、今こういうことが後のことを見れば非常に大事になっていると思いますけれども、その点での大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
#86
○国務大臣(平沼赳夫君) 自動車の排気ガスに起因する大気環境を改善していく観点から、使用過程車対策を講じていくことは御指摘のように極めて重要であると思っております。
 一義的には自動車のNOx・PM法に基づく最新規制車種への代替により進めていくべきものと考えておりますけれども、同時に中小運送事業者へのきめ細かな配慮を行う等の視点も含めて、御指摘の後付け装置の普及も重要だと、このように思っております。
 御指摘の後付け装置につきましては、自動車メーカーやフィルターメーカー等によるこれまでの開発努力によりまして、現在、経済産業省で把握をしているところによりますと八十種類のPM除去装置が市販はされているんです。しかし、まだ耐久性等の技術的な問題がございまして、すべてのケースに適用されるという状況にはなっていないわけでございます。ただ、NOxの除去というのが非常に、これ御承知かと思うんですけれども、なかなか技術的に難しい問題がございまして、それぞれ関係者は努力をしているわけですけれども、まだそういう形で決め手のものが出てきていないのが現状でございます。
 経済産業省といたしましては、使用過程車対策に万全を期す観点から、後付け装置を含めまして、自動車メーカーに対して、今御指摘のように引き続き開発努力を促すように私どもは一生懸命督励をしたいと思っておりますし、また関係省庁と連携しつつ、今、関係の国土交通省あるいは環境省そして我が省、こういう御指摘がございましたけれども、支援措置を講じていかなければならないと思っておりますし、また、最新規制車種への代替というのも大変これユーザーの皆様方の負担が大きく伴うものでございますから、ここも関係省庁と連携を取りながら、税制を含めて私どもは、それから低利の融資、こういったものも含めて考えていかなければいけないと、こう思っております。
#87
○緒方靖夫君 今答弁を聞きながら、大臣は問題点をよく御理解されていると、大臣だから当然だと思いますけれども、そう思いました。
 ですから、新しいその除去装置、これを開発させるということが至上命令であるということ、それからきめ細かな税制も含めた対応措置、これを取ることが大事という答弁をいただきましたけれども、私は本当に大事だと思うんですね。
 それは、ちょうど今から三十年余り前に日米繊維協定が結ばれました。そのときに政府がどういう対応を取ったか。要らなくなった織機等々設備、これが大変な業者の困難になったわけですね。そのときに、設備の買上げ、長期低利融資、利子補給等を実行したわけですね。私は、今そういうことが求められていると思います。
 私、手元に三菱総合研究所が先月発表した自動車NOx・PM法実施によるトラック運送業界への影響調査、そういうのを持っております。これを見ると、細かく御紹介する余裕はありませんけれども、中小ほど廃業に追い込まれる、大変な事態になる、そういうことが書かれているんですね。
 ですから、今、大臣がおっしゃられたように、きめ細かな、もちろん開発が非常に大事だと思いますけれども、同時に、様々な助成措置、今答弁がありましたけれども、それをしっかりやっていただく、このことが非常に大事で、できるならばメーカーに開発をさせるなんてそんな程度じゃなくて、これは至上命令として、おっしゃられたようにこれをきっちりやらせていく、省庁の、また大臣の正に命運を懸けてそのことを叱咤激励して指導し、それをやり抜く、その決意を表明していただきたいと思います。
#88
○国務大臣(平沼赳夫君) 二十一世紀というのは環境をいかに我々が保全をしていくかと、それが大きな命題だと思っています。そういう中で、御指摘の問題点についても、先ほど答弁で申し上げましたけれども、やはり関係省庁連携をして、そしてきめ細かく対応し、また自動車のメーカーに対しましても、一日も早くそういうNOxだとかそれからPM、そういったものが少ないそういう技術開発、これを促進していきたいと、こういうふうに思います。
#89
○緒方靖夫君 次に、生活困窮者への電気、ガスの供給確保、この問題についてお尋ねしたいと思います。
 私は、今年三月の当委員会で、餓死という痛ましい問題を取り上げながら、生活困窮者の電気、ガスの料金滞納について、機械的に電気、ガスを止めるなというそういう質問をいたしまして、大臣から大変良い答弁をいただきまして、その後、省庁の担当局の大きな努力によって大きな改善が見られたこと、大変喜んでおります。
 今日取り上げたいのは、生活困窮者、もっと広げてですね、生活困窮者に対する電気、ガスの対応なんですけれども、今現状では、各社の対応はどうなっているのか、お尋ねいたします。
#90
○政府参考人(岡本巖君) 私ども、本年四月に電気事業者、ガス事業者に対しまして、自治体の福祉部局との連携等に係る協力について文書で要請したところでありますが、その後、文書の趣旨を踏まえまして関係の事業者におきましては、社内で周知徹底を行い、福祉部局等との連携あるいは需要家に対する柔軟な対応を行っていると承知しております。
 例えて申しますと、自治体の福祉部局から生活困窮者に関する情報提供を受け、そうした需要家が料金不払等に至った際にも、機械的な供給停止を行わず、生活保護のための給付金支給日まで料金支払を待つ等の対応を行っております。また、料金の不払を行っている需要家のうち生活困窮者と認められる方々については、自治体の福祉部局等への紹介等も行っているところでございます。
#91
○緒方靖夫君 今の答弁は大変重要だと思います。やはり今の不況、不景気の下で生活困窮者が増えている。そうした中、新たな対応が始まっている、そう思います。ですから、同時にこれからが非常に大事になってくると思います。特に、寒さが厳しくなる、そして年末年始を迎える、そうしたときにリストラ、不況、大変暗いニュースが多いわけですけれども、そうした中で、私は、特に厳冬期には供給停止について特別に柔軟な対応、これが必要になっていると思うんですけれども、その点で、今の答弁も含めて、大臣のこれからどう進めていくかというお考えについてお伺いしておきたいと思います。
#92
○国務大臣(平沼赳夫君) 先般、料金不払の原因が生活の困窮である場合におきまして、電力、ガス各事業者に対して、柔軟にやっぱり対処をし、そしてまた自治体との密接な連携をするようにと、こういうことを私ども文書をもってそれぞれに要請を行いました。各事業者もこれをある意味では真摯に受け止めてくれまして適切な対処をしてくれていると、こういうふうに思っております。
 今後とも、生活困窮者への対応としては、やっぱり地域への、地域の連携が私は非常に必要なことだと、こういうふうに思っておりますので、こういう今厳しい状況でございますので、引き続き電気事業者、ガス事業者に対して、この趣旨を踏まえて私どもは継続をして働き掛けを行っていきたいと、こういうふうに思います。
#93
○緒方靖夫君 そこで、私、大臣が先日の質疑の際に答弁されたことで非常に大事なことがあるなということを痛感しております。それは、地域社会と生活保護のはざまがある、あるいは生活保護の制度が機能していない場合がある、そういうことを答弁されました。私は、これは達見だと思いますし、大臣は国民の生活のことを具体的に御存じだなということをその答弁を聞きながら感じました。
 確かに、生活保護を受けているということと、そして受けていないけれども生活保護以下の生活をしているという、そういう実態というのは大変な実態があるんですね。つまり、年収三百万円以下の世帯、国民生活調査でも国民世帯の二割を占めているわけですね。しかし、生活保護はその中のごく一部です。とすると、私はこういう考え方からすると、電気、ガス、こうした問題について低所得者への供給を保障するための減免の制度、これを検討する時期に来ていると思います。
 私、アメリカとフランス、イギリスの例を調べましたけれども、アメリカでは連邦全体にそういう制度があって、カリフォルニア、ニューヨーク、そういう州ですね、マサチューセッツ州もそうですけれども、そういうところではそういうかなり手厚い制度があります。フランス、イギリスもしかりです。
 ですから、私は、大臣として今こういう減免制度の創設ということについて研究着手、これを検討する時期に至っているんじゃないかと思いますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
#94
○副大臣(高市早苗君) まず冒頭に、去年の秋に問題提起をなさって、それから三月の委員会での御質問で非常に運用面ですばらしい改善のきっかけを作られましたことに、私も感動しておりますし心から敬意を表したいと思います。
 電気・ガス料金でございますけれども、これは電気事業法の十九条と、それからガス事業法の十七条でございますが、原価主義の原則、それから公平の原則に基づき設定されることとなっておりまして、特定の需要家について政策的な見地から割安な料金を設定するということは法の趣旨に基づいたら適当ではないと考えております。
 むしろ、低所得者への対応につきまして、先ほど緒方先生がおっしゃいましたように、実際には物すごく生活に困っているのにその対応がなされていないといった御家庭があるとしたら、それはいわゆる社会福祉政策の観点から議論すべき問題ではないかと考えます。
#95
○委員長(田浦直君) 時間です。
#96
○緒方靖夫君 福祉制度という、そういう対応というところに谷間があるから、私、そういう部分で提起しているわけで。
 それからまた、法的には、アメリカもイギリスも、またフランスも似たような問題を抱えている中でそういう制度を作っているわけですね。私は、そこに知恵を出して、これは役所の皆さんもそうだし、大臣もそうだと思うんですけれども、知恵を出しながら、大変な時期を迎えている中でこの問題を検討していくという、その問題をここで提起させていただいております。
 今、高市副大臣から御答弁いただきましたけれども、最後に、もう時間になりましたので、大臣から御答弁いただきたいんですけれども。やはり、こういう制度について研究してみる、あるいは諸外国がどうなっているのかということも検討してみるという、やはりそういうことを、そういうスタンスで物に当たっていただきたいということを要望したいと思いますが、その点、大臣、いかがでしょうか。
#97
○委員長(田浦直君) 簡潔に答弁してください。
#98
○国務大臣(平沼赳夫君) 海外では、その国ごとの社会福祉制度の整備状況や、電気・ガス事業制度の実情を踏まえまして、低所得者への対応が行われていると承知しております。
 アメリカ、フランス、そういった例を出されましたけれども、例えばドイツでは低所得者については社会福祉制度で対応しているというふうに承知しておりますけれども、いずれにしても、私どもとしては、諸外国の事例をよく検討し、こういう厳しい時代でございますから、そういった御趣旨も踏まえましていろいろな面で検討させていただければと、こういうふうに思っております。
#99
○緒方靖夫君 終わります。
#100
○広野ただし君 国会連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。
 しんがりですので、午前中の議論と若干重複するところがあろうかと思いますけれども、重要な問題ですので、よろしくお願いをしたいと思います。
 十月三十日に改革加速のための総合対応策というのが出ましたけれども、現下の経済情勢、非常に厳しいものがありますが、まずそのときに、この現状をどのように認識しているかというのがやはり対応策の根本だと思います。
 今年の六月ですか、今年の一―三月のGDPの統計を見て、景気底入れ宣言を竹中大臣がされました。このとき、海外の、海外需要に依存する非常に不安定な側面があったにもかかわらずそういう景気底入れ宣言をしたわけでありますけれども、このことを内閣全体としてどう思っておられるのか、まず内閣府副大臣にお伺いします。
#101
○副大臣(根本匠君) 我が国の景気の状況でありますが、平成十二年の秋に要はピークを打って、その後ずっと景気は下降線をたどってまいりました。平成十四年に入って、アメリカ経済あるいはアジア経済の動向によって輸出が増加に転じたことや、あるいは国内要因としては相当急速の大幅な生産調整、在庫調整も進みまして、五月の月例経済報告におきましては、その辺の状況をにらみながら、ここは、この辺が底入れであると、要はずっと下降してきた、ここはもう底入れだということで、底入れという判断をいたしました。
 その後の先行きにつきましても、輸出の増加あるいは生産の持ち直しが続いて、企業収益の増加や、雇用・所得環境の改善をもたらせば次第に持ち直しに向かうことが期待されているところでありますが、ただ、ここのところIT関連を中心とした最終需要の伸びが世界的に鈍化する中で、これまで景気を牽引してきた輸出の増加テンポはこのところ緩やかになっておりますし、アメリカ経済への先行き懸念あるいは我が国の株価の下落など、環境は厳しさを増していると認識しております。
 したがって、今後の景気動向については、これまで以上に注意深く見守っていく必要はありますし、今回の総合対策打ったわけですが、この総合対策の効果をしっかりと発現していく、これが大事だと思います。
#102
○広野ただし君 底入れ、その後、ある意味ではまだ横ばいというような認識というふうに受け止めましたけれども、私は、地方の状況等、また倒産がまだ非常に続いておると。株価も下がった、地価も下がっておるということから考えますと、底入れしたというのはもう撤回してもらわなきゃいけないんじゃないかと、こう思っておりますが、平沼大臣、いかがでございますか。
#103
○国務大臣(平沼赳夫君) 今、副大臣から御答弁がありましたけれども、GDPの発表がございまして、六月に、その底入れと、こういう形で今いろいろ指標を言われましたけれども、その時点ではそういう指標だったと思っておりますけれども、現状はなかなか状況は厳しいものがあると思いますし、それからもう一つは、不良債権の処理というのがこれから始まるということになると、厳しい今の状況を更に加速する、そういうおそれがあります。そういう中で、私どもとしては、やっぱりそれに対する対応策はしっかり取っていかなきゃいけない。
 私どもとしては、底入れはしたけれども、そこから今度は上向くその勢いが今なかなか付かない。そして、そこに不良債権の処理が入ってくるとなかなか厳しいから、私も主張しましたけれども、そこでセーフティーネット対策等をしっかりやると、こういうことが必要じゃないかと、こういうふうに思います。
#104
○広野ただし君 今日は竹中大臣が見えていなくて、根本副大臣でいらっしゃいますし、そこのところの認識が私は非常に大事だと思っております。
 そして、この間、十月三十日の総理の談話でもデフレ克服と経済の活性化という言葉を使っていますけれども、このデフレというのを、現状、デフレなんだということでありますけれども、そのデフレというのを大臣はどのように思っておられますか。どういうふうに定義、申し訳ございませんが、どういうことをもってデフレと言われるのか、この点。
#105
○副大臣(高市早苗君) デフレは、九〇年代の後半から進行していると考えております。民間需要が不足していて、これも先行き不安に伴うものでありましょうし、投資不足、企業なんかですと設備投資への意欲も萎えますし、デフレ、特に資産デフレが進行することで、残念ながら土地担保主義でございますので、まだまだなかなか運転資金が調達できないことで更に投資意欲も萎えると。住宅や土地の需要に関しましても、今買い換えたいと思っていても、来年更に下がるんじゃないかという期待があって買い控えが起こるといった、この需要の不足というものが恒常化してしまっている。
 それから、為替の問題もありますけれども、特に安い値段の輸入品が増加しておりまして、これがまた供給側の構造要因となってきていると。企業なんかの法的整理ですね、企業の法的整理なんかを行う場合でも、そこでまた不要不急の資産というものが安く市場に放出されてしまいますから、これがまたデフレ圧力を強めるというようなことになってきていると。資金の流れの停滞なども要因となって、総合的な作用によりまして物価が下がり続けている状況と判断をしております。
#106
○広野ただし君 簡単に言えば、卸売物価あるいは生産者物価、消費者物価が下がるということではありますけれども、今おっしゃいましたが、有効需要の不足あるいは供給過剰かどちらかなんだと思うんですね。ですから、そういう判断になれば、供給過剰であれば過剰設備を切らなきゃいけないし、また需要不足ということであれば有効需要を付けなきゃいけない。その対策を政府としてきちっとやってもらわなきゃいけないんじゃないかと、こう私は思うんですね。
 その点、大臣、需要不足と。私は有効需要がやはり不足しているんだと。供給過剰の面、随分切ってまいりました。設備だとかあるいは店舗ですとか、いろんな点切ってまいりましたけれども、なおデフレの下にあるというのは、有効需要が不足しているということじゃないんですか。いかがでしょうか。
#107
○副大臣(高市早苗君) 正に需要が不足しているということだと思います。
 その中で、政府が今般取りまとめました改革加速のための総合対応策、この中では、需要創出策としては、一つは研究開発やIT投資などに対する政策減税、これは、よりすばらしいものを作り出していただいて、需要したいという意欲がわくような形の物づくりも目指していただくということになりますし、物づくり現場での効率性をアップするということにもなります。また、潜在需要を喚起するような規制改革、これで、今まででしたらなかなか民間が着手できなかったこと、こういったものの中からまた新たな需要が生まれていくかもしれない。
 それから、創業支援、新規開業の支援策といったものが経済産業省の関係では盛り込まれておりますし、先ほど言いました土地や住宅の面で言いますと、これも土地・住宅流通促進税制、今要求中といったもの、それからまた都市再生プランなども同時にこの総合対応策に盛り込まれておりますので、そういったところから生まれてくる需要に期待したいと考えております。
#108
○広野ただし君 今、前段で言われたのは、言わば供給、サプライサイドのてこ入れ策であります。後半の部分が需要不足を補う部分だろうと思うんですが、私は、デフレギャップといいますか需要不足、いろんな計算あると思いますが、潜在成長率等を考えますと、やっぱり十兆円ほどの需要不足になっているんだと思うんですね。これは、真水をどれぐらい入れるかとかそういうことと別にして、やはり何らかの手を打たないとどんどんデフレスパイラルになっていくんだと、こう思うんですね。そういう中で、私は、大きいのはやはり税制の問題だと思うんです。
 今日、小林副大臣がお見えでございます。小林副大臣、誠にいつも歯切れのいい、すぱっとした結論をおっしゃる。私もずっと尊敬をしておるわけでございますけれども。
 ところで、今までの税制改革、さきの国会でやりました連結納税制度。連結納税制度は入れたけれども、付加税を入れて、アクセルを踏んでまたブレーキ踏んでいるようなこと。あるいは証券税制でも、譲渡益課税の引下げをやったけれどもまた規制で、空売り規制ですとか様々な規制を入れて、結局何をやっているかさっぱり分からない。こういうことを続けているわけであります。
 今年の初めからやっている税制改革、中長期的な税制改革。こういうところでも財務省は税制中立だと、こんなばかなことを先に言っちゃったんですね。せっかく税制、先行、前倒しで景気刺激をやる。ある意味で、そういうものはアナウンスメント効果ということで非常な効果を持ったであろうものを、何かまた税制中立というようなことを言う。
 こんなことでは一つも景気を良くすることにはならないと、こう思うんですが、税制改革についての副大臣のお考えを述べていただきたいと思います。
#109
○副大臣(小林興起君) 今は図らずも財務副大臣というポストにいるわけでございますが、私は自民党の議員として、昨年末は自民党の党税調にあって、こういう税制議論をさせていただいておりました。
 そのときも私は、もう広野先生が今言われたとおり、誠にごもっともでございまして、景気対策に税を使うんであればもう大減税がいいわけですから、そこで税収中立なんという議論にとらわれていたんでは税が有効に景気対策が機能しないと、これは思い切ってもう大減税でいくべきだということを唱えておりまして、しかし昨年は何かああいう連結納税にしても付加税が入っちゃったりして、余り、そういうことの中に、税制改革のおかげで景気良くなったなと、経済活動が活発になったと、そういう声は全然聞こえてこない中に相変わらずデフレ経済が続いているわけですが、やっとここに来て、私の声が届いたか、広野先生の声が届いたか分かりませんけれども、初めて先行減税をするというところまで来ましたので、これからの税制改革において、なるほど景気対策に税が有効だなと言われておりますことを実現するように、今流れが大きく変わっていくと私は思っております。
#110
○広野ただし君 是非、税収中立ということをまた言いますと、これはマーケットはすぐまたそれに反応して、あ、こんなことだったらどうにもならないなと、こうなりますので、税制を、前倒しに減税することによって将来ぐっと景気が盛り返せば、その点どうなるか分からないんですから、その税率を上げるとかなんかという話は。その点、是非前向きに考えてもらいたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。
#111
○国務大臣(平沼赳夫君) 先ほど高市副大臣からも答弁をさせていただきましたけれども、私は経済財政諮問会議の場で、やっぱりこの政策減税というのを積極的にやらなきゃいかぬということをずっと主張させていただきまして、それが今回の対応策の中にも盛り込まれたと思っております。
 具体的に言わせていただくと、やはり研究開発税制でございますとかIT関連の投資減税でございますとか、あるいは創業、事業の再編税制、さらには中小企業の活性化税制、それから、やっぱり今、資産デフレというのがデフレの一番大きなファクターでございますので、証券、土地取引の活性化税制等あるいは法人の税負担の軽減を中心とした政策減税の集中投入、これをしていくことが肝要だと、このように思っております。
#112
○広野ただし君 続きまして、エネルギー問題であります。
 日本経済、二度の石油ショックを経験して、今回、原子力の不祥事と申しますか、こういうことで非常な問題を抱えておるわけでありますけれども、やはりのど元過ぎれば熱さ忘れるというようなことをやっておったのでは大変だと思うんです。
 この間の集中審議で原子力の問題をやりましたから繰り返しませんけれども、今現在、東電の原子力発電所九基が停止をしている、こういうことで、それに代わって石油、火力等が動いている、冬の需要期に合わせてぎりぎりの線だと。この九基、八百六十万キロワットということでありますが、こういうぎりぎりのときに、何とかなるだろうと言っていますが、ぎりぎりのときに何かの事故がどんと来ますと、これが大停電にどんとつながっていくということなわけですね。
 ですから、そこのところの保証、絶対起こらないようにという点、どのようになっておるのか、大臣、いかがでございましょうか。
#113
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、御指摘のように、今この一連のデータ改ざん、隠ぺい、そして虚偽の報告等で九基が定期検査を含めて止まっているわけでございます。そういう中で今やりくりをしております。それで、幸いまだ需要期という形じゃなくて不需要期でございまして、これから需要期を迎えるに当たって本当に綱渡り的な、そういう様相があるわけであります。
 したがいまして、私どもとしましては、電力会社間でも融通をし合っていただいたり、そういう形で、何といっても電力の四割近くが東京の場合は原子力発電と、こういう形で、いったん緩急ありますと正に日本の経済に壊滅的な打撃があるわけでございまして、そういう意味で、何か完全なということ、そういうことは、じゃこれだということは申し上げられませんけれども、今あるものを総動員をし、さらに電力間での融通ですとか、そういうあらゆる可能性をやっぱり網羅をして、そしてこの安定供給に対して私どもはでき得る限り万全の措置を取っていかなきゃいけない、こういうふうに思っておるところです。
#114
○広野ただし君 午前中に藤原議員の方から、石特の燃料税制といいますか、そこのところのお話がありました。それで、そのところに税率調整あるいは負担の公平ということをおっしゃっておりましたが、やはり原則として私は、さきの国会で通りましたエネルギー基本法、市場原理、そしてまたエネルギーの安定供給、安全保障、それと環境問題、この三点の、三本の柱というものはやはり非常に大切なんだと思うんですね。
 その中で、今度、石炭に課税をする。石炭、やはり私は大切なものではありますけれども、ここのところは午前のものとちょっと違いまして、石炭はやはり環境問題に一つ大きな弱点があるということであります。ですから、やはり石炭に関しては、カロリー換算なんかした場合に、やはり若干高めのものにしないと石炭の方へシフトしていきますから、高めにする、そしてまた石油もやはりある程度高めのものにしておくということで、あとクリーンなエネルギーということで、LNG、LPG、これは低めに抑えるということがやはりエネルギー基本法等の政策からいって正しいんじゃないかと思うんですね。
 そこのところに今回、LNGあるいはLPGも倍に上げるんだと、これはやはりどう、負担の公平というのは分からぬではないですが、エネルギーベストミックスの考え方の中でちょっとやっぱり間違っているんじゃないのかなと、こう思うんでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
#115
○国務大臣(平沼赳夫君) 先般、総理からの指示に基づきましてエネルギー政策の見直しを行っているところでございます。その一環として、エネルギー税制の見直しを検討しているところでございまして、その見直しに当たりましては、御指摘のように地球環境の対策でございますとか、安定供給の確保あるいは効率性の向上という観点から、一つは燃料転換の促進、GTL、DMEの開発導入支援などによるLNGなどの天然ガスの一層の導入促進、二つ目はLPGの国家備蓄のための施策の充実、こういったこと、それから歳出面では、歳入面でも負担の公平から、歳出面での対策を踏まえまして、歳入面でも負担の公平の観点から負担構造の見直しを行うことにしております。
 具体的には、御指摘のように、税の公平の観点から、石炭を新たな課税対象に追加するとともに、石油、LNG、LPGといった各燃料の消費者における税負担能力や負担格差、各燃料の性質等を総合的に勘案しつつ、今、税率調整を行っているところでございます。
 ですから、税制の見直しに当たっては、現在の景気の状況も踏まえて、激変緩和の観点から、段階的な施行についても検討していきたいと思っておりますけれども、ベストミックスという形で、CO2の排出量の少ない、そういったものにやっぱりインセンティブを与えるべきじゃないかと、そういう御指摘ですけれども、やっぱりエネルギーは総合的に見ながら、私はその中で最適なそういう税率というものを考えていくべきだと、こういうふうに思っているところでございます。
#116
○広野ただし君 時間が参りましたので最後にさせていただきたいと思いますが、やはりエネルギー基本法の環境問題等を考えますと、クリーンなエネルギー、そしてまた調達先が非常に多様化できるということで、LNG、LPG等は私はやはり税率が低くていいんではないかと、こう思いますので、激変緩和の措置等もございますでしょうけれども、その点、しっかりとやっていただきたいと思います。
 終わります。
#117
○委員長(田浦直君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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