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2002/10/31 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 厚生労働委員会 第2号
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2002/10/31 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 厚生労働委員会 第2号

#1
第155回国会 厚生労働委員会 第2号
平成十四年十月三十一日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                北岡 秀二君
                鴻池 祥肇君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                朝日 俊弘君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                西川きよし君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  鴨下 一郎君
       厚生労働副大臣  木村 義雄君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       渡辺 具能君
       厚生労働大臣政
       務官       森田 次夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       渥美 千尋君
       財務省主計局次
       長        杉本 和行君
       厚生労働大臣官
       房審議官     阿曽沼慎司君
       厚生労働省健康
       局長       高原 亮治君
       厚生労働省医薬
       局長       小島比登志君
       厚生労働省職業
       安定局長     戸苅 利和君
       厚生労働省保険
       局長       真野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (経済動向と医療費支出に関する件)
 (診療報酬再改定に関する件)
 (社会保険診療報酬支払基金の民間法人化に
 関する件)
 (健康増進法に基づく受動喫煙防止対策の在
 り方に関する件)
 (雇用対策の在り方に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長真野章君外六名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(金田勝年君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○宮崎秀樹君 おはようございます。
 坂口厚生労働大臣におかれましては、先国会で御苦労さまというふうに実はだれしも大半の方は思ったと思うんですが、また御苦労さまでございます。どうも駅伝でたすき掛ける人がいなくて、独走態勢でございまして、大変その道もイバラの道で、箱根の山を登っているような感がございまして、御苦労なことだと思っております。
 ただ、今日、私、これから御質問いたしますが、私の言っていることを御了解いただければ、後は下り道で楽になるんじゃないかというふうに思うのでございますが、いずれにしろ、新しい副大臣、そして新しい政務官、御就任おめでとうございます。すばらしいサポーターを得られまして大臣も多少これから楽ができるんではないかなと思うんですが、私、今日は、両副大臣にも御質問申し上げたいと思います。政務官の方々も余裕があればまたいずれ御質問申し上げる機会もあろうかと思いますので、よろしくお願いします。
 まず一問目でございますけれども、よく経済の動向と医療費、特に老人医療費との乖離をするということはどうもまずいから、いわゆる抑制の指針を設けるというようなことが言われております。これは経済財政諮問会議等からも出ているんですが、私はそもそも医療というのは世の中の景気に左右されることはおかしいと思うんですね。それは、じゃ、バブルのとき景気が良くなったから医療費が十倍もそのとき掛かって、それをちゃんと配分されたかというと、そういうことはありません。バブルのときは景気がいいから負担を増やしたんですね。これは消費者物価指数にスライドして老人負担を増やした。今度、じゃ、景気が悪くなったら負担が減るかと思ったら、景気が悪くなったらもうこれまた負担を増やすんですね。
 だから、両方ともこの負担を増やすということだけは一生懸命やるんですが、人間の命というものは、これはもう必要最小限度、これは憲法二十五条で「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということがうたわれておりまして、私はそういうことを考えると、この経済動向がどうこうだから医療費を云々ということじゃなくて、国としてこれはきちっとやはり国民の生命と健康を守る私は責務があると思うんですね。
 そこで、これは一つのデータでございますが、一九八三年から一九九八年、十五年間でこの医療費の動向を見ますと、一九八三年のときはいわゆる国庫負担の国民医療費に占める割合は三〇・六%だったんですね。ところが、一九九八年になると二四・四%、これは大変な国庫負担の率が減ってきた。それを単純に計算しますと、これ一九九八年の国民医療費の総額は、これは二十九兆八千二百五十一億円ですね。これを一九八三年の三〇・六%のいわゆる国庫負担の割合で計算しますと、九兆一千二百六十五億円にならなきゃいけないのが、これは二四・四%、一九九八年のいわゆる国庫負担の率が減りましたから七兆二千八百十一億円ですね。そうしますと、この間で率は六・二%ダウンして、金額にして一兆八千四百五十四億円ですね。これは国庫支出を減らしている、こういう計算になるわけですね。
 やはり、そういうことを考えますと、私は二〇二五年までお年寄りが増えると、老人医療費の伸びというのはこれは止まらないと思うんですね。ですから、そういうことを考えたときに、国としてしっかりしたポリシーを持ってこれに対応するやはり理念を持つべきだと思うんですが、これについてまず大臣の御所感をお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(坂口力君) 先日のごあいさつでも申し上げましたけれども、引き続きましてお世話になることになります。どうぞひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 今、いわゆる経済動向というものと医療費の問題を先生お挙げになったわけでございますが、私も原則的には、経済動向に合わせて医療費の上下をするということは私もそれは原則論からいえば避けなければならない。
 したがいまして、このGDPの動きに合わせて医療費というものも合わせていくというようなことがよく言われたりいたしますけれども、それは私も反対をいたしておりまして、むしろ高齢化に伴いますところの医療費の増加、そのことを念頭に入れた経済運営をやってほしいということを申し上げておるところでございます。
 今、具体的な問題としまして、一九八三年と言われましたですか、のときとの比較をお出しをいただいたわけでございますが、私自身の記憶に誤りがなければ、そのころは介護保険、まだ導入される前だったというふうに思っておりますが、したがいまして、最近は介護保険も導入されておりますし──介護保険じゃない、済みません、老人保健ですね、間違えました。介護保険じゃなくて老人保健がまだ導入される前でございましたので、老人保健が導入をされて若干全体の構造も変わってまいっております。またさらに、最近では介護保険等も導入をされてまいりまして、更にまたその構造は変わったということでございます。
 したがいまして、医療費の内容も全体で見ますと多少の変化はいたしておりますけれども、しかし高齢者が非常に多くなり、医療費が増え続けていることだけは間違いがないわけでございまして、公的負担も増えていることは間違いありませんし、今後も増え続けることは間違いないというふうに思っております。
 最近、二〇二五年の姿というものをどうとらえるかということで今いろいろ検討もいたしておりますが、やはり現在のままでいきますと、自己負担それから保険料の負担、そして公費負担を見ますと、伸び率といたしましては公費負担の伸び率が一番大きくなってくるということだけは間違いがないというふうに思っている次第でございます。
 そんなことでございますので、先生の御試算は御試算として尊重させていただきますけれども、やはり前提の置き方によって計算というのは違ってまいりますので、その辺もひとつ御理解をいただきたいと思っております。
#7
○宮崎秀樹君 私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、私はもう何回も申し上げているんですが、一九九七年の厚生白書に二〇二五年の医療費は百四十一兆円になると書いてあるんですね。私が先回質問したら、これは毎年一兆円ぐらいずつの伸びだろうと、二〇二五年には五十三兆円ぐらいだと。約九十兆円もサバを読んでいる試算を厚生労働省が出したということは、これは私は厚生労働省の試算なんというのは全く当てにならないと。
 つい七、八年前に平成十二年度の医療費は四十三兆円になると言っていた。そのうちの十五兆六千億は老人医療費と、こう言っていた。ところが、現実の話は二十九兆円台ですね。これでも十四兆円のサバを読んでいる。
 だから、医療費を抑制するためにサバを読んで、もう何かこう圧迫圧迫をすればいいんじゃないかという、そういう動きがあるので、私はそこも大臣、よく再検討をされた中で是非お考えいただきたいと思うわけでございます。
 それから、現在のこのデフレの状況を見ますと、大変世の中は今、暗いわけですね。どうも今の政策を見ていると、北風を吹かしてみんな国民が将来に不安を抱いて、そしてみんなたんす預金しちゃうと。結局頼れるものは何もないよというような状況ですね。例えば国民所得、一人当たりが今減ってきております。それなのに負担は一生懸命増やしていますね。来年の四月から三割負担を被用者保険に導入すると、本人に。これも大変前途が暗いということでもう既に受診抑制が始まっております。そういうことを考えると、とにかく所得を減らして負担を増やす、そして何で雇用がそこで生まれてくるのかと、失業者は出るけれども、私は大変問題が出てくるんじゃないかと思うんですが。
 これは一番の問題は、景気を良くするには内需拡大しなくちゃいけないと、こう言っているんですね。ところが、所得を減らして負担を増やして何で内需拡大ができるか、これは分からない。
 そこで、新しく労働担当副大臣になられた鴨下副大臣に、これをどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#8
○副大臣(鴨下一郎君) 初めての答弁でございますので、いろいろとお手柔らかによろしくお願いいたします。立場が変わりますと、なかなか答弁も難しいなというふうにつくづく思うわけであります。
 先生おっしゃるように、可処分所得を減らすような政策をすることが果たして内需拡大につながるのか、こういうようなお話でありますけれども、誠に御指摘はごもっともなところが多いわけであります。
 ただ、先生御存じのように、社会保障そのものが例えば将来的に持続可能かどうかというようなことについては国民は非常に敏感に考えておりまして、もし将来的に社会保障に不安があるとなるとそれがきっかけで財布のひもを締めてしまう、こういうようなこともあり得ると。こういうふうな考えから、できれば持続可能な、そして安定的な医療制度、そして社会保障制度を作っていく、こういうようなことが最終的には国民、特に御高齢の方々の中で財布のひもが緩み、それぞれ消費が伸びていく、こういうようなことも考えられると。
 こういうようなわけでありまして、先生の御指摘の、最終的には保険料や自己負担の増加が短期的に可処分所得を減らし、そのことが経済に、特にデフレ圧力になりはしないかと、こういうような御指摘でありますが、そういうようなことも否定できないわけではございませんけれども、より長期的スパンで考えますと、むしろ安定的な、国民を安心させるような社会保障制度を作っていく、こういうような趣旨で今回は国民に対して御負担をお願いしたと、こういうようなことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#9
○宮崎秀樹君 鴨下副大臣も立場上そう言わざるを得ないということで大変お苦しいことだと思いますが、これ以上追及するといろいろ問題がありますのでやめますが。
 とにかく、不良債権を処理すれば景気が良くなるなんてこれは全然別次元の話で、不良債権とデフレ・不況対策というのはこれは別なものだと思うんですね。ですから、私は、厚生労働省の仕事というのは、これは国民生活を直撃しているんですから、一番その具体的な案を出せば即国民の方にこれ反応が出てくるんですね。経済財政諮問会議だか総合規制改革会議だか何かごちゃごちゃやっていますけれども、民間の全く社会保障を分からない連中が私は引っかき回している、単なる。それを小泉総理が丸のみしているかどうか知りませんけれども、これは私は、政府の一責任者に鴨下副大臣もなられたんですから乗り込んでいって、おかしいところはおかしいということを、木村副大臣も元気がいいですから、ひとつ大いに厚生大臣の言えないところは両副大臣で大いにカバーしてやっていただきたい。よろしくお願い申し上げます。
 そこで、総務省が出したデータがあるんですが、一兆円の税金を要するに社会保障に入れると五兆四千億の経済波及効果があると、こういうデータが出ております。雇用効果は五十八万人となっております。これは公共事業に入れるよりは二倍の効果があると、経済波及効果も雇用効果もですね。
 そこで、今回、二・七%医療費がこの四月一日から削減されました。そうしますと、約三十兆円の医療費の中で二・七%といいますと約九千億ですね。今、四分の一が国庫負担ですから、税金は約二千億強ですね。そうすると、それだけ減らすということは、これは実際的には一兆円強の経済波及効果が落ち込むんですね。それから、医療機関においてもこれは十二、三万人人員を整理しなきゃならない、これ削減しなきゃならない。そうしますと、これは失業者を出すわけですね。これは大変深刻な問題であります。
 失業者が出れば失業保険を払わなきゃならない、そして再雇用のための対策に費用も掛かる、それから保険料の徴収ができなくなる、こういうことであります。ですから私は、失業者を出すよりも出さない方策、予防、これを私は、そこにお金を掛けた方がこれは私は効果が出てくると。景気にもこれ影響することですから、その辺について鴨下副大臣、いかがお考えでしょうか。
#10
○副大臣(鴨下一郎君) ただいま、診療報酬を引き下げることによって様々な医療機関がリストラをせざるを得ない、最終的にそれによって雇用にどれほど影響があるというようなことについての御指摘でありました。
 確かに、これは様々な議論があるわけでありますけれども、例えば公共事業と比較して社会保障、特に医療に関するものにお金を使うということが経済誘発効果、特に雇用を支えるという意味で非常に効果がある、こういうようなことは今委員御指摘のとおりでございますけれども、そういう中で最終的には、これは先ほどのお答えと同様でありますけれども、社会保障制度を維持していく、こういうようなことのためにやらざるを得ないこともあるということでございまして、これから厳しい経済状況の中で医療改革についても、これは大変苦しい状態の中で改革をしてきたわけでありますけれども、そういう中での診療報酬の二・七%の引下げと、こういうようなことでありました。
 これが最終的には国民にとってプラスになるように持っていきたいというのが厚生労働省の考えでありますけれども、ただ、これは雇用の面というようなことで言いますと先生御指摘のこともごもっともでありますので、できるだけ、一つは今回の緊急デフレ対策等も含めて雇用を支えていかなければいけない、そのために何が一番効果的なのか、そしてそのためにはどこに重点的にお金を使うべきかと、こういうようなことは今後更に検討はさせていただきたいというふうに思いますし、先生御指摘のように、そのときに果たしてどの分野が最も効果的なのかというようなことは、今のお話を受けて、さらに、先ほどの話じゃないですけれども、木村副大臣と相協力して大いに攻め込んでまいりたいと、このように思っております。よろしくどうぞお願いします。
#11
○宮崎秀樹君 大変ありがとうございました。
 私、一番心配しているのは、医療だとか福祉だとかは、人間がこれ、マンパワーが減ればサービスが落ちるんです、一〇〇%。ですから私は、そこはきちっと重点的な配分をしていただきたいというふうに御要望を申し上げておきます。
 それから、先ほど来出ました医療費と経済の動向との乖離の問題でございますが、これは先ほど大臣も言ったように、これはやはり命というものは、これはもうどうしても最低限度守らなきゃならない、それには費用が掛かる、これはもうしようがないんですね。
 ところで、我が国は世界に冠たる皆保険制度、国民皆保険制度というのをやっておりますが、これが今いろんな面で崩壊されそうな危機に瀕しております。それは財源問題が一つありましょう。しかし、それ以外にも、これを株式会社で医療をやらせようというアメリカのいわゆる政策を取り入れようというような一部の民間の人たち、自分の懐を肥やそうという思惑でやっているんでしょうけれども、総合規制改革会議とか、そういう動きがございます。
 ただ、私は基本的なことで大臣にお伺いしたいんですが、我が国のGDPに占める社会保障費、社会保障給付費ですね、これは非常に少ないんですね。ドイツの二分の一です。それから、スウェーデンの五分の二、半分以下なんですね。こういう状況を考えると、まだまだ私は我が国にとってこの社会保障給付費というものの支出に関してはもうちょっと先進諸国並みにこれはやるべきであると、またその余裕は私はないとは言い切れないと思うんですね。それについて担当大臣としてのお考えがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
#12
○国務大臣(坂口力君) 確かに、日本のGDPはかなり高いわけでありまして、ドイツやフランスと比較をいたしましても二・五倍、二倍から二・五倍ぐらいございますでしょうか、かなり高いわけであります。そのGDPをどのように国内の中で配分をするかということは非常に大事な問題だというふうに、率直に私もそう思っているわけでございます。ただ、一方におきまして、社会保障費が確かにドイツやスウェーデンやその辺のところは高うございますが、また負担をしています保険料を見ましてもかなり高いわけでございます。
 これから先、二〇二五年ぐらいに、今の制度をそのままにもしすると仮定をしての話でございますが、仮定をして、これから保険料がどれだけ伸びるか、あるいは公費がどれだけ伸びるかということを考えてまいりますと、二〇二五年ぐらいになりまして現在のドイツ、フランスの大体状況に近づく、あるいは到達する、スウェーデン辺りはもっと先を行っていると、こういうことでございまして、支払をしている額もかなり高いということもあるわけでございます。
 これらの問題を今後どのように考えていくかということが大きな課題になってくる、その辺の国民合意というものも必要になってくるのではないかというふうに思っております。
 GDPの中身をどう配分するかというのは、日本全体にとりまして大変大きな課題であるというふうに思っておりますことは先生と同じ認識でございます。
#13
○宮崎秀樹君 全く大臣もそう御認識をいただいておるということで、私はやはり、確かに一銭も負担をしないでもらうものは何でもよこせというのはやはり間違いだということで、やはり国民にこれは選択肢を幾つか出して私は選んでもらうというところにもう来ているんじゃないかと思うんですが、是非それはお考えいただきたいと思うわけであります。
 それから、次に移りますけれども、現在の状況を見ますと、年金にしても医療にしても負担増、負担増ということが現実で行われております。特に、今年の先国会で健保法の議論をした中で、来年の四月一日から被用者保険本人の三割負担を導入するということが明記されたわけですね。私は、これについてはまだその必要はないんじゃないか、もう少し先に延期しろということで反対をしたわけでありますが、私の先国会のこの委員会の答弁で大臣は、御答弁いただきました中に、今後の保険財政の状況等を見極めまして、政府の見通しが大きく違った場合には改めて財源の在り方につきまして国会に御相談申し上げることがあるだろうというような御答弁でございました。
 そこで、今日は表を配付いたしました。これをごらんいただきたいと思うんですが、これをごらんいただくと、二〇〇一年度の政管健保の決算は単年度収支で四千七百十億円のマイナスとなっております。それから、事業運営安定資金残高は五千七十一億円のプラスでありました。
 二〇〇二年度の予算編成時に厚生労働省は政管健保の収支見通しを立てまして、単年度収支で七千七百八十二億円の赤字、そして事業運営安定資金も千八百十二億円のマイナスとなっております。これが三割負担の導入の根拠とされたわけですね。
 しかし、診療報酬の引下げとかそれに伴う受療自粛によって、これは医療費の状況が大きく変化しております。状況変化を織り込んで平成十四年度値を推計いたしますと、単年度収支は三千百六十二億円の赤字となっておりますが、事業運営安定資金は千九百九億円のプラスになっているんですね。そして、事業運営安定資金ベースで見ますと、三千七百二十一億円、これは改善されていることになります。二〇〇三年度になりますと、総報酬制によって保険料徴収が開始されます。その効果によると単年度収支は四千九百九十五億円の黒字になります。事業運営安定資金も六千九百四億円のプラスになる。二〇〇四年度に入りますと、対象年齢引上げ効果による老人保健拠出金の削減が本格化いたします。その効果等によりまして単年度収支は六千百二十九億円のプラスになる。事業運営安定資金もこれは一兆三千三十三億円のプラスになるわけですね。ですから、二〇〇二年から二〇〇四年度の三年間で事業運営安定資金は約一兆五千億円改善されるわけでありまして、三割負担導入の必要は私はないと思うんですね。
 そこでさらに、さきの健保法の改正の中の附則に、これは社会保険庁病院、これを整理する話だとか、もろもろの附則に書かれてあること、これを着実に実行すれば更にまた資金が出てくる。国公立病院に行っているいわゆる一般会計からの繰入れ、その他をきちっと整理していく中で、私は何も来年の四月一日にやる必要はないんじゃないのかと。ペイオフもこれ、我々はおかしいと、何でそんなに慌ててやるんだとかねがね言っていたんですね。そうしたら、とうとうここへ来てペイオフも解禁がいわゆる変わってきちゃったということで、延期になったんですね。
 だから、こういうことは、やはり経済は動きでございますから、私は、こういうこと一つを改善しても、改善してもというより改善するべきであるということは、これは来年四月一日の三割負担は延期しなさいと、こういうことが言えるんじゃないかと思うんですが、これについて大臣、どういうふうに思われるか。
 そして、木村副大臣には、社会保険庁病院の整理等についてどういうふうにお考えになるか、そして来年度の予算にもうこれを組み入れているみたいな話がございますが、そんなものはもう必要ないということで私は対応してもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#14
○国務大臣(坂口力君) 立派な試算をお出しをいただきまして、ただ、私も今拝見をしたばかりでございまして、先生は立派なこの試算をお出しいただいたんですから、それなりの論点の下にこの整理をされたんだろうというふうに思いますからこれは尊重させていただかなきゃならないというふうに思っておりますが、ただ、ざっと拝見しただけでございますので余り私は大きなことは申しませんけれども、政府の方が試算をしておりますのと比較をいたしましたときに、老人保健拠出金の計算が少し違うのかなという気がいたします。これは最も大きな違いではないかという気がいたしております。
 計算は前提条件によりまして大きく変わりますので、その辺のどこが、厚生労働省が試算をしておりますものと先生が試算をしていただきましたものとの比較を一遍きちっといたしまして、どこに相違点があるか、そして真実はどうなのかといったことにつきましてよく議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 確かに、来年三月の問題につきましては、先生の前国会におきます御質問に対しましてそう答弁をさせていただいたことは事実でございます。しかし、その前提条件といたしまして、景気が非常に回復をして雇用者が非常に増えてくる、あるいはまた賃金も回復をしてくるといったようなことがあればこの前提条件は大きく変わってくる可能性もございますと、そうしたことも申し上げたというふうに記憶をいたしております。
 しかし、誠に残念なことでございますけれども、その前提条件のところは今のところ回復していませんし、むしろあの当時に比べましていろいろ難しい問題も出てきている。先ほどお触れになりましたこのデフレ対策でありますとかあるいは不良債権処理の問題等々、この在り方につきましてやはりいろいろ議論をされているような状況でございますので、今そうした状況になってきていないことも事実でございます。
 今年の四月からの診療報酬、新しい診療報酬におきます今後の動き等も十分参考にさせていただきながら将来のことは決定しなければならないというふうに思っておりますが、現状だけで申し上げますと、なかなかそういう状況にないのではないかというふうに思っている次第でございます。
#15
○副大臣(木村義雄君) おはようございます。
 宮崎先生から社会保険病院の件につき答えよと、こういうことでございまして、誠に私も宮崎先生と考えが非常に似ているわけでございまして、ここの問題というのは、今この政管健保の財政における一つの大きな大きな問題点であろうと、こう思うわけであります。
 なぜならば、例えば、いかにこの政管健保から社会保険病院にお金をつぎ込んでいるかというと、直近の十年で見ましても五千億円以上のお金が社会保険病院につぎ込まれていると。しかも、これは皆様方の保険料であります。医療費に使うべきお金が、ソフトに使うべきお金がハードに費やされていると、しかもそれをただで貸していると。こういうふうなところを見ますと、先生の御指摘ごもっともなところが私も感じさせていただくような次第でございまして、これが来年の四月一日に保険料の自己負担が三割になるというときに、まだまだ新しい病院の建設が続いておりまして、同じ四月一日に何かホテルのような社会保険病院がまた一つオープンしてテープカットをしたと、このようなばかなことがないように努めてまいりたいと、かように思っているような次第でございまして、今後ともこの社会保険病院の根本的な見直しというものをしっかり取り組んでいく必要があるんではないかなと、このように私自身は考えているわけでございます。
#16
○宮崎秀樹君 全く私と同じ考え方でございますので、せっかく木村副大臣、政府にお入りになりましたので、是非これは早急に改革をしていただきたいと思います。
 ところで、厚生大臣の今お話でございますが、今そんな状況にないというお話でございますが、私はもっと真摯に、じゃ、このデータとこのデータ、実態どうだという、前向きに、これまだ来年の四月までは日にちがございますから、私はやっていただきたい。
 さらに一つの例を挙げますと、二〇〇一年の厚生労働省が出した「医療制度改革の課題と視点」というのが二〇〇一年の三月に公表になったんですね。そこには、「政府管掌健康保険は、毎年、赤字が続いており、このまま推移すれば、平成十四年度には積立金が枯渇し、医療費の支払いに欠けるおそれも出てきます。」と言って、その二〇〇二年度末の積立金は五千億円近くなる、マイナスですね、と言っておいて、二〇〇二年に発表したデータは千八百十二億円ということで、五千億から千八百十二億円、一年間でこんな違うデータを平気で出しています。これは証拠がありますから、だからこういうことはやっぱり推計がおかしいんですよ。
 だから、これも真摯にやり取りをした中で、本当の数字というものを見た中で、本当に余裕があるなといったら何もそこにこだわる必要はない。それはなぜかというと、経済のデフレ不況対策にもなるわけですから、そこはひとつ大臣、お考えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#17
○国務大臣(坂口力君) 先ほども少しお答えを申し上げましたとおり、この数字というのは前提条件をどう置くかによりまして決まるわけでございますので、いかなる前提において試算をしたものかということが最も大事でございますから、先生がお示しになりましたもの、そして厚生労働省が出しておりますもののいわゆる前提条件がどういうものにして、そして試算をされたものかといったことをよく比較をすることが大事だというふうに思っている次第でございます。
#18
○宮崎秀樹君 是非お願いしたいと思います。
 それから、次は、本年四月一日の医療費改定におきまして、特に整形外科医療費のマイナス改定に問題があるということで、これも先回いろいろ問題になりました。
 そこで、今日は資料を出しまして、三枚目に、一番最後に付いている資料でありますが、これは単なる今度の再診料の逓減制ということについて、ここに落とし穴があるんじゃないかと。さらに、整形外科はいわゆる理学療法、これにプラスされて逓減制になっているということでありますから、大変問題があると。
 再診料だけについて見ましても、大体、平均再診回数が多いということで、三、四回ですね、それから五回というようなところが多いんですね。これは、内容を見ますと、慢性疾患と急性外傷性疾患が混在しているというようなことであります。一、二回の急性疾患と、それから十から二十回の慢性疾患の両極端にこれ分かれております。収入源は、主として通院回数の多い慢性老人性疾患というのがこれは整形外科の主たる財源に、収入源になっております。
 これは一つの計算でありますけれども、これはなかなか分かりにくいと思うんですが、今度の改正で、一回目の再診は八十一点なんです。これは八百十円になるんですね。二回目、三回目は七百四十円。四回目になりますと三百七十円に減るんですね。そうすると、後何回来ても三百七十円なんですね。ですから、再診で二十回通院した患者さんは、八十一点プラス七十四点プラス七十四点プラスの三十七掛ける十七と、これで二十回になるわけですね。そうすると、これは八百五十八点になるんです、これ。そういういわゆる計算になります。
 その前に、じゃ平均再診回数五回ということで、患者数九十五人ということに仮定して計算しますと、再診二十回の患者さんが二十人、再診一回の患者さんが七十五人の場合、いわゆる二十回掛ける二十人プラス一回掛ける七十五人と、こういう計算になります。そうすると、これはトータルで四百七十五回という数字が出ます。そうすると、四百七十五回を九十五で割ると、これは一人当たり五という数字になるんですね。
 そうすると、今言ったように、こういう計算で、いわゆるトータルで、いわゆる一回来た人と、それから三十七掛ける十七回来た人、こういうのを計算していきますと、八百五十八掛ける二十人ということになりますから、これは一万七千百六十と。そして、再診が一回の人が七十五人おりますから、これを掛けると、八十一、七十五で六千七十五。これを足すと二万三千二百三十五点と、こうなるんですね。
 ところが、これはまやかしがありまして、再診五回を平均してこれをやりますと、点数として八十一プラス七十四プラス七十四プラス三十七プラス三十七と、これで五回です。三百三点です。この三百三点掛ける九十五人というと、二万八千七百八十五点と。この二万八千七百八十五点というのを厚生労働省は出してきて平均値を出してきた。そうすると、実際には二万三千二百三十五点しかならない。そうすると、厚生労働省が出した計算とこれを引くと五千五百五十点、これでサバを読まれちゃったわけですね。こういう例が今回実はあったわけであります。私は、こういうことが落とし穴になって、そしてこの医療費改定がどうも横っちょの方へ行っちゃったというような感を受けているんです。
 こういうことにつきまして、これは早速現在中医協で医業経営実態調査というのに取り組んでおるようでございますから、是非それを見た上で再改定をこれはすべきであると。二・七%はのみますけれども、これをやって一〇%もダメージを受けているところ、これは結構あります。ですから、そういうことも是非改善していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#19
○政府参考人(真野章君) 御指摘をいただきましたけれども、再診料の逓減制につきましては、受診回数の適正化等の観点から中医協において御議論をいただいてお決めをいただいたというふうに思っておりますし、これは先生の方がよく御存じだろうと思いますけれども、今御指摘をいただきました整形外科につきましても、慢性疼痛疾患管理料というものを設けまして、これの管理料を算定した患者さんは再診料の逓減の対象にならないというようなことで、この四月の診療報酬改定においてもそういう必要な配慮が行われているんではないかというふうに私どもとしては考えております。
 今御指摘の中医協での御議論でございますが、中医協におきましても、必要な医療経済実態調査の議論の調整とかそういうものを行いまして、医療経済実態調査について、調査実施小委員会を開催してその在り方について検討していくということになっておりまして、私どもその議論を見守ってまいりたいというふうに思っております。
 とにかく医療費の動向につきましては十分私ども注視をしていきたいというふうに思っております。
#20
○宮崎秀樹君 真野局長、新任早々大変ですが、きちっと実態を見極めた中で、これは別に、何というんですかね、一つのものを膨らませてどうこうするという話じゃないんですから、現実の話ですから、実態を見た中でやっぱり訂正するものは訂正していただきたいと思うわけであります。
 それから、今回のまた改定の中で高齢者の一部負担の上限が撤廃されているような感がありまして、いわゆる定率一割、二割負担というふうに高齢者の外来負担がなりました。悪性腫瘍だとかC型肝炎なんかの治療はやはり高い薬を使わなきゃいけないんですね。そうすると、外来で治療していましても、これはほとんどの対象の方が今までは定率は三千二百円までですね、一月負担が、それから定額の場合は八百五十円掛ける月四回までということでこれは三千四百円。ところが、これが一挙に一万二千円になったんですね。これはほとんどの方がそういう対応になるわけであります。
 しかし、世の中せいぜい私は負担を増やすということもあっても二倍止まりじゃないでしょうかね。これは六千円ぐらいにとどめておくということが私はやはり健康を守るという上では必要じゃないかと。ですから、通院を途中でやめられる患者さんが出てきている。これはやはり大問題であります。
 そこら辺の改善方をひとつ議論してもらいたいというので私は今日は申し上げたんですが、これは中医協マターになりますけれども、しかしそれは政治をやっている、また行政を預かっているそういう一つのやっぱり考え方というのは、これは国民に密接に影響してくるわけですね。だから、そういうことについてどういうふうにお考えいただいているか、これは大臣、専門家でドクターでありますから御答弁いただければ有り難いなというふうに思っております。
#21
○国務大臣(坂口力君) 新しい制度をここにスタートさせていただきまして、まだそれが完全に実現はしておりませんけれども、しかし既に実施をされているものもあるわけでございます。特に、十月一日から一部新しい制度に入らせていただいております。
 御指摘をいただきましたように、高齢者といえども所得の多い方には二割の御負担をお願いをするということになったわけでございますし、また上限を設けておりますが、上限につきましても、この二割の方には、二割御負担をいただく所得の多い人にはやはり上限も少し高くさせていただいている。しかし、低所得の人には低くそこはさせていただいているということはもう御承知のとおりでございます。とりわけ高齢者の所得の低い方には更に低くさせていただいております。
 そうした中で、受診抑制というものが先生が御指摘になりますように本当にどれだけ起こっているのかどうかということは、我々もこれは注意をしていかなきゃならない問題であるということはそう思っておりますが、現在のところ、はっきりとした数字を我々も得ているわけではございません。
 お若い皆さん方の方から見ますと、やはり若者の負担が大きくこれはなり過ぎるという大変な御批判もあるわけでございまして、所得が少なければいざ知らず、所得のある高齢者に対しましては相応の御負担をやはりいただくのが当然ではないかと、こういう御意見もまた一方で非常に大きいわけでございまして、そのお若い皆さん方の御意見というものも十分に尊重をしていかなければならないというふうに思っているところでございます。
 しかし、全体として、必要だけれども、それが医療が受けられないといったようなことがないようにしなければならないのは当然でございますので、その辺は十分に考えていきたいというふうに思っております。
#22
○宮崎秀樹君 保険というのは、保険料を多く納めている、そういう人は今度は給付が多くなると、これが普通の常識なんですね。
 保険料が一律であって、所得の多い人はそれじゃ給付のとき負担を多くする、これはそれならそれでいいんです。保険料も多く払って、そして負担も多く、給付を受けるときは給付が少なくなると、これはやっぱり理にかなっていないんじゃないですかね、保険という概念からいうと。
 だから、そこも思い付きで何かやっているような感じがしますね。じゃ民間で、じゃ民間の保険会社へ入ると、保険料を一杯払っていれば給付は一杯来るんですよ。ところが、保険料を一杯払っておいて、その人は給付が少ないと。ですから、ここはやっぱりちょっと医療保険というのは考え方が変わってくるので、これは一度、時間があったときは大いに議論をしたいということで、私はそこのところはどうも納得できないですが、簡単に、時間ございませんので、どういうふうにお考えになっているか、大臣。
#23
○国務大臣(坂口力君) そこが民間の保険と公的な保険の違うところだろうというふうに思っております。
 現在、また次の年金制度の問題も今スタートさせてやっているわけでございますが、これを考えていきます場合にも、所得の多い人はこれまた保険料も高いわけで、それじゃ所得の高い人には青天井でそれだけの年金を払うかといえば、それはそうすべきだという意見もありますし、しかし上は抑えるべきだ、それだけの所得のある人だから、やはり保険料はたくさん納めてもらっているけれども、その額に見合うだけの年金というのではなくて、やはりこれは上限を付けてある程度に抑えるべきだという御意見も一方であるわけでございます。
 そこは社会保障に対する考え方だというふうに思いますが、公的保険なるもののやはり使命というものもそこにはございますので、私たちもそこをよく調整をしていかなければならないと思っているところでございます。
#24
○宮崎秀樹君 医療はやっぱり特別で、病気になったときには収入がなくなると、こういうことでございますから、その保障というものはやはりどこでとらえていくかという観点も大いに私は議論する必要があるんじゃないかと。これは時間がございませんから、いずれの機会にまたやりたいと思っております。
 そこで、最後になりますが、愛知県である学生がパソコンを買ったと。それはオリックスのリースの関係の、今あの規制改革会議でやっている金もうけ主義の会社ですね、あれは。そこから買ったパソコンを開いたと。そしたら、レセプトがばあっと出てきたんですね。これは民間にある保険者が委託をしてやったときのデータがそこにソフトで残っていた。これはやはり守秘義務や何かのとき、大変問題になるわけですね。そこで、愛知県医師会の担当理事が厚生労働省の窓口へ電話して、これはおかしいじゃないかということを言ったら、担当者が、それは買った学生が勝手に開いたのが悪いんだと、こういう返答をしたというんですね。
 これはとんでもない話で、名前は私、今日ここでは明かしませんけれども、そういうことは言語道断ということでありますので、これは厳重注意ということを是非私はここでやっていただきたいと思うんですが、これは木村副大臣が担当が一番いいんじゃないかと思うので、副大臣、どう思いますか。
#25
○副大臣(木村義雄君) 厳重注意してまいりたいと思います。
#26
○宮崎秀樹君 じゃそれでよろしく、今後そういう対応誤りなきようにしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#27
○中原爽君 自民・保守党の中原爽でございます。
 持ち時間三十分でございますので、質疑につきましては簡略でお願いを申し上げたいと思います。
 最初に、社会保険診療報酬支払基金のことでありますけれども、この基金は既に閣議決定によりまして民間法人化するということが決定されております。それで、この臨時国会でこの支払基金法の一部改正案が提出されるわけであります。
 この支払基金は医療保険を支える基本的な制度上の仕組みとして昭和二十三年から重要な役割を担っておるわけでありますけれども、今回改正につきましては、二十三年当時にこの支払基金が設立された目的といいますか趣旨がありまして、その趣旨は現在も引き続いているわけであります。
 確認の意味で、当初、昭和二十三年当初に説明されましたこの基金の設立の趣旨について簡単に御説明を伺って確認をしてみたいと思います。保険局長、お願いをいたします。
#28
○政府参考人(真野章君) 支払基金は、先生御指摘のとおり、昭和二十三年の七月に基金法の制定によって設立されたものでございます。
 御案内のとおりでございますが、若干経緯を申し上げますと、社会保険診療報酬の審査、支払につきましては、戦前は日本医師会、日本歯科医師会によって行われておりましたけれども、終戦後、これが解散をさせられるということになりまして、その後、事実といたしましては、各保険者がこれを行うと。そして、そのために請求に手間取るとか、診療担当者側の事務が煩雑になるということが行われまして、保険診療の円滑な実施ということが危惧をされる状況になりました。
 そういう意味で、診療報酬担当者の事務の煩雑化を防ぐ、又は診療報酬の支払の遅延を防止するというようなことから、診療報酬の迅速、適正な支払を行い、あわせて公正な審査を行うということを目的として社会保険診療報酬支払基金が設立されたというふうになっております。
#29
○中原爽君 引き続きまして、民間法人化するということでありますが、法人格になるわけであります。そうしますと、この改正法の七条に、民法の四十四条、民法の五十条を準用すると、こういうことがありまして、法人のいろいろな行為責任あるいはメンバーの理事者のことにつきまして民法を準用すると、こういう格好になっております。
 しかし、性格的にこの法人格という実態はどのようなものかということをお尋ねしたいと思います。これも保険局長から簡明に御答弁をお願いいたします。
#30
○政府参考人(真野章君) 今、先生から御指摘がございましたように、この臨時国会に改正案をお願いをいたしておりますが、その具体的な内容といたしましては、民間法人化ということの趣旨に伴いまして、政府の出資を含みます基本金に関する規定を廃止をする、それから理事の選任につきまして、厚生労働大臣の委嘱というのを廃止をいたしまして、基金において選任し厚生労働大臣が認可をするということなどの所要の改正を行っております。
 この支払基金の法人形態でございますが、これは支払基金法という特別の法律により設立される民間法人ということになっております。
#31
○中原爽君 そうしますと、この法人という意味は、この支払基金法によります特別な法人と、こういうことで理解をしてよろしいのかと思います。
 ただいま御説明のございました基本金を廃止するという件につきまして、これ、この改正法の附則第三条にこの返還金関係が説明されておるわけでありますけれども、政府からの拠出を含む基本金の規定を廃止する、その基本金については政府に返還しろと。それと併せまして、政府以外の保険者が拠出した金額についても返還すると、こういうふうに附則に書かれておるわけであります。
 そうしますと、設立当時が二十三年、昭和二十三年でありますから、政府が出しました拠出金というのは今から見ればわずかな金額であろうかと思いますけれども、政府以外の保険者が拠出したという中身も含めて、どういう保険者なのか。その保険者が現在も存在していると思いますけれども、そういった内訳について御説明をお願いいたします。
#32
○政府参考人(真野章君) 支払基金の基本金でございますが、現在は百万円ということになっております。このうち、政府から拠出された分が四十万円でございます。これは政府管掌健康保険として拠出をいたしたものでございます。この四十万円は、そういう意味で政府管掌健康保険に返還をすると。
 それから、御質問のその他の保険者でございますが、から拠出された分が残りの六十万円でございまして、健康保険組合連合会に三十万円、それから国民健康保険中央会に二十万円、それから、各種共済組合がございますが、これが合計で十万円、合計六十万円を返還をするということになります。
#33
○中原爽君 分かりました。
 引き続いて、支払基金というこの基金自体の基本的な業務でありますけれども、診療報酬の請求明細書、すなわちレセプトの公平な審査を行い、それに基づいて適正な診療報酬を支払うということであります。これについては、この審査あるいは支払について医療機関側、あわせて保険者側双方の信頼が得られなければいけないわけでありますけれども、こういったことについて、支払基金そのものの理事者の構成、あるいは審査委員の構成ということが適正に決められているはずでございますので、この関係のことが民間法人化になりましてもきちっと維持されるのかどうかということについてお尋ねをいたします。
#34
○政府参考人(真野章君) 御指摘の審査、支払等の業務運営でございますが、これはもちろん公正中立を期すと。それから、医療機関、保険者双方の信頼を確保するという必要がございまして、理事構成につきましては、現在、保険者、被保険者、診療担当者及び公益を代表する者と、こういう四者構成になっておりまして、人数もそれぞれ四者同数ということでございます。また、審査に担当される審査委員でございますが、これは診療担当者、保険者、学識経験者、それぞれ三者構成で構成をいたしまして、その人数も同数ということになっております。
 今回、改正をお願いをいたしておりますが、この支払基金の言わば業務の公正中立性を確保するというこの理事構成の四者構成、審査委員会の三者構成、これはもう維持をすべきものというふうに私ども考えておりまして、そういう内容で今改正案をお願いをいたしております。
#35
○中原爽君 ただいま御説明がございましたように、この支払基金が法人格という形に変わりましても、今後引き続いてこのレセプトの審査、あるいはそれに基づく支払業務ということが引き続いて的確に行われなければならないわけでありますけれども、ただ、現時点で民間法人化になりましても、その法人化になったというだけでは今後の社会情勢からいきまして余り意味がないわけでありまして、やはりこの支払基金が法人格を得ましても、その業務についてこれから電算化、IT化ということを行う必要があると思いますし、現時点でこのレセプトの枚数、七億九千万枚あるということでありまして、これを支払基金の職員、現在どのぐらいでしょうか、六千三百名ぐらいだと思いますが、そのうち審査、支払にかかわる人たちが五千二百名ぐらいというふうに伺っております。この七億九千万枚のレセプトを一枚六・六秒でめくると、そういう操作をしないと審査がし切れないと、こういうことも言われているわけであります。
 しかし、そういうことで、紙の状態から今後やはり電子レセプトのような形を普及させていくと、あるいはレセプト自体のオンラインで請求をするというようなIT化を進める必要があると思うんですが、現時点では電子レセプトの普及率が〇・四%というふうに聞いております。こういう状態で民間法人化しても、業務上は変わりがないということであってはいけないと思います。
 こういう意味で、IT化について厚生労働省としてどういう形で御指導されるのか、御説明いただきたい。
#36
○政府参考人(真野章君) 現在の状況は先生御指摘のとおりでございますが、私どもも、こういう膨大なレセプトの適正な処理ということでレセプト電算システムというものを取り入れて、その公正、効率的な処理を図ろうということで努力してまいりまして、今後ともこういう電算処理システムの更なる推進を行うと、それからペーパーレス化だというようなことの取組をすると一応目標を定めて努力をいたしておりますので、その一層の業務の効率化に努めてまいりたいというふうに思っております。
#37
○中原爽君 ありがとうございました。
 最初にお尋ねをいたしました、この支払基金が昭和二十三年七月に設立されたその当時の国会での説明がありまして、それを調べてまいりましたけれども、ちょっと簡単に読ませていただきますが、被保険者等が保険医等について診療を受けた報酬として支払う費用は、従来各保険者又は共済組合から直接支払っていたところでありますが、各保険者等から各々に支払うことは、ややもすれば、その支払遅延と診療担当者の煩雑性によって、とかく円滑な保険診療を阻害していたことは否めないと、事実であると。これらの通弊にかんがみ、今後社会保険診療報酬支払基金を設立いたしまして、従来の支払方法を改め、その支払機関を一元化したいと、こういう説明でございます。これは今も変わりがないはずでございますので、民間法人化になりましても、この点について十分御指導をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、引き続きまして、健康増進法の第二十五条についてお尋ねをいたします。
 この二十五条は受動喫煙の防止という項目でございまして、このことについて、この二十五条を読みますと、これは固有の施設名、例えば学校であるとか病院であるとか、あるいは官公庁の施設であると、そういった施設名が掲げてありまして、この多数の者が利用するこういった施設の管理者は、これらの施設を利用する人たちの受動喫煙を防止するために必要な措置を講じろと、こういうことが二十五条でございまして、要は健康、たばこを吸う弊害について、その健康状態を勘案したことなんですけれども、しかし、これは管理者がその対策を講ずるということだけの条文の説明になっておりまして、それが、管理者によって受動喫煙が防止される必要な措置が取られれば、たばこの弊害から生ずる健康を害するということについては防止されると、こういう意味であります。
 回りくどいような説明になっておりますけれども、これ、従来いろいろなたばこについての検討会がございまして、そのときには公共の場所における分煙、煙を分けるということについていろいろなことをやれと。例えば、分煙の、禁煙の箇所を完全に分割をして、たばこを、煙を吸う人、その煙を受動的に吸わされる人と、こういった区分けをきちっとしてそういった施設を整えろと、こういうことが従来分煙という意味で言われてきておったわけでありまして、その分煙を今回は受動喫煙という表現に入れ替えて、しかし、相変わらず施設の管理者が講じろと、こういうことだけの内容になっているわけであります。
 それと、一方、千代田区の条例、御承知のようにこの十月一日から千代田区の条例が出ておりまして、ここでは環境の整備という意味でこういうふうに書かれてあります。生活環境の整備に関する状況の確保の一環として、千代田区の一定の地域について禁煙の区域を設けたいということであります。それで、環境美化・浄化推進モデル地区ということでごみのぽい捨てあるいはたばこの吸い殻のぽい捨てということを禁じ、その地域については路上喫煙を禁止する区域を作る、地域を作ると、こういう条例でございます。
 したがって、この条例は十月からの施行でありますので、この健康増進法とは無関係に千代田区の条例としてこれが出ているわけであります。この罰金については二万円、当面は二千円でいいと、こういうことになっております。
 しかし、この健康増進法の内容については、いろいろ書かれておりますけれども、例えば第五条でありますけれども、少し前の方は省略いたしますが、国民の健康の増進の総合的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するようにしろと、これはもう国、都道府県、市町村であります。これが第五条。それから、第七条関係につきましては基本方針が掲げてありまして、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向を決める、それから目標を設定する、それと都道府県の健康増進計画あるいは市町村の健康増進計画を策定しなさいということが書かれてありまして、それで七条の二項の六号のところで、食生活、運動、休養、飲酒、それで喫煙と、こう出てくるわけであります。それが書かれてありまして、八条関係では、市町村は、基本的方針及び都道府県健康増進計画を勘案して、当該市町村の住民の健康の増進の推進に関する施策についての計画を策定しろ、策定するように努めろと、こういうことになっているわけであります。
 今申し上げました千代田区の条例は健康を考えているわけではありませんで、千代田区の一定の区域の中の生活環境の整備をするということが主たる目的であります。でも、実際は、快適な生活環境が整備されれば、それは区民の健康の保持につながるという裏腹の関係にあるというふうに思います。
 したがって、この健康増進法が今後この基本的方針に従って市町村に対していろいろな住民の健康の増進の推進に関する施策を定めるように努めろということを言うのであれば、こういった市の条例が今後たくさん出てくるということについて、この健康増進法の趣旨と、それからこういった都道府県あるいは市町村における生活環境の整備、あるいは別の法律でありますと、労働安全衛生法の中に、七章の二でありますけれども、快適な職場環境の整備のための措置ということがありまして、たばこのにおいや煙に係る施策について、要するに快適な職域の環境を整備しなさいということがうたわれております。これも健康について直接指示をしているわけではありませんで、労働者の快適な職場環境を整備しなさいということでたばこの煙ということが出てくる。
 こういったいろいろな条例、あるいは今まであった労働安全衛生法、こういったところの関連付けをきちっとこれから指導されるという必要性があるというふうに思いますけれども、厚生労働省のお考えとしてはいかがでしょうか。
#38
○政府参考人(高原亮治君) 健康増進法の第二十五条の規定でございますが、委員御指摘のとおり、多数の者が利用する施設を管理する者に対して、その施設を利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努力義務を設置者に課しております。
 この受動喫煙防止のための措置でございますが、委員も質問の中でお触れになりましたように、事業場において講ずるべき分煙のための措置に関する指針でございますとか、公共の場所における分煙のあり方検討会における報告書であるとか、望ましい分煙の在り方が様々の観点から示されてきたところでございます。
 それで、それではその分煙が効果が上がったのかどうかということを客観的にどう評価するんだという問題になるわけでございますが、本年六月には分煙のための具体的な方法につきましてその効果判定基準を策定しまして、効果的な分煙の在り方を示したところでございます。
 また、千代田区の生活環境条例ないしは労働安全衛生法について御質問ございました。
 千代田区の生活環境条例におきましては、御指摘のとおり、路上禁煙地区の設定が定められておるところでございます。この条例は、生活環境の整備を通じて安全で快適な都市の実現を図ることを本来の目的としておりますが、喫煙場所が限定されることや喫煙マナーの向上等を通じまして、結果として喫煙による健康への悪影響が低減し、健康増進にもつながるものである、こういうふうに考えております。
 今後、御指摘の具体的な内容、基本指針でございますが、様々のこういった報告書やガイドライン等を踏まえまして検討を進め、施行までにお示ししたいと考えております。
 なお、たばこの健康影響が減少し、健康増進が図られることは望ましいことであり、厚生労働省としては、引き続きたばこの健康影響に関します情報の提供や受動喫煙対策などのたばこ対策の更なる推進に努めてまいりたいと考えております。
#39
○中原爽君 それでは、この改正法の十三条でありますけれども、国民健康、それから栄養調査に関する費用を国が負担すると、こう書かれております。たばこという意味では、たばこ税という一般的な財源があると思いますけれども、この財源をやはり健康増進法の十三条、国が費用を負担するということのかかわりでお考えになるのかどうか、この点を財務省の方に伺いたいと思います。
#40
○政府参考人(杉本和行君) たばこ税収を健康増進法の推進のための財源に充当することについての御質問でございますが、この点につきましては、受益と負担の関係をどういうふうにとらえるのか、また、新たな特定財源といったものになるかと思いますが、そういったものを創設することについてどう考えるのか、さらには、今後健康増進法を推進していくための具体的な方策及びその財源の在り方をどう考えるのかといった点を含めまして、幅広い観点からの検討が必要な問題ではないかと考えております。
#41
○中原爽君 ありがとうございます。
 それでは、もう一点だけお尋ねをいたします。
 先般の坂口厚生労働大臣の御所見、所信の御表明につきまして、医師の臨床研修のことについてお触れになっておられますし、また厚生労働省の方も医師の臨床研修に関する省令を近々お出しになるということでございますが、これ、十五年の義務化を目指してということであります。
 しかし、一方、歯科医師の方は義務化、必修化というのは平成十八年でまだ余裕があるということでありますけれども、やはり、医師と同じように、臨床研修の必修化を踏まえて、臨床研修の指定の病院であるとか、あるいは研修のプログラムの標準化、基準化ということも必要であろうと思います。
 この進捗状況を御説明、簡単にいただきまして、それと、医師と違いまして、歯科医師の場合には研修期間が二年以上ではなくて一年以上で少なくなっているわけでございますけれども、こういったことの差についての概略の御説明だけ伺いたい。
 それともう一点は、平成十年の厚生省の歯科医師の需給に関する検討会の報告書によりますと、歯科医師の臨床研修が義務化されますと、需要と供給のバランス上、二千四百名程度の歯科医師数が削減されることになるだろう、その削減効果は二〇二五年の上位の推計で二%ぐらいになるだろうということが平成十年の報告書にあるわけでありますけれども、これが実際上、平成十八年の必修化の実施にかかわりましてどのような関係を持つのかということについてお尋ねをしたいと思います。副大臣。
#42
○大臣政務官(渡辺具能君) これらの問題につきましては、中原委員、大変御精通のところでありますけれども、厚生労働省としての考え方を答弁させていただきたいと思います。
 臨床研修の必修化につきましては、ただいま中原委員おっしゃったように、医師と同じように、年限は十八年の四月からでございますけれども、必修化に向けて、平成十三年九月から歯科医師臨床研修必修化に向けた体制整備についての検討会におきまして検討を進めているところであります。研修体制ですとか指導体制の在り方、あるいは研修プログラムの基準、あるいは研修施設の指定基準等の調査研究を行っているところであります。
 また、期間一年のことについてでありますが、年限につきましては、臨床研修施設数や指導医師、あるいは受入れ体制が必ずしも十分でないこと、あるいは現在の研修の実施率がまだ六割程度であり、その普及を一生懸命図っているところでありまして、こういうことを踏まえまして、いきなり長期化するより当面は研修年数を一年というふうにしたところでございます。
 今後とも、歯科医師臨床研修の必修化に向けまして体制整備を進めますとともに、平成十八年度以降に始まります研修の実施状況を踏まえまして、研修年限も含めまして、その在り方を更に検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから、後半の歯科医師の需給に関する質問でございますが、平成十年五月にまとめられました歯科医師の需給に関する検討会報告書におきましては、歯科医師需給に関して今後取り組むべき課題として指摘された問題として、歯科医師数の適正化あるいは資質の向上について示されたところであります。この報告書に基づきまして、歯科大学及び大学歯学部の定員の削減につきまして文部科学省に対しまして要請を行って、歯科医師数の適正化に努めてきたところであります。
 また、資質の向上につきましては、先ほど申し上げました臨床研修の必修化でありますとか国家試験におきます出題内容や出題形式の改善、あるいは国家試験におきます実技試験を導入することについての検討会の開催等についても取り組んでいるところであります。
 今後とも、関係省庁に対しまして粘り強く要請するなど、引き続き歯科医師数の適正化と資質の向上に努めてまいりたいと考えております。
#43
○中原爽君 時間になりましたので終わります。
 ありがとうございました。
#44
○沢たまき君 公明党の沢たまきでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、まず雇用問題についてお伺いをいたします。
 我が国経済は、不良債権処理だけで景気が良くなるというわけにはいかないと思います。やはり、企業も国民も不良債権処理後のその先が見えなければ無用な混乱を引き起こすと思っております。不良債権処理はデフレ対策の一つであるとは思いますが、やはりそのために総合的な経済対策がなされなければならないと思っております。特に、雇用対策については万全のセーフティーネットが講じられなければならないと思っております。
 坂口厚生労働大臣は、二十九日の閣議後の記者会見で、雇用対策に関連し、雇用重視型社会の考え方を取りまとめて十一月中に小泉総理に提出することを明らかになさいました。特に、現在、どんどんリストラをやって経営状態を良くすることが良い企業だという印象を与えているが、そうではなく、企業努力でリストラをしないで済むように努力する企業、社会を作っていかなければならないとお述べになっていらっしゃいました。全く同感であります。しかし、その切替えをどのように取り組まれるのか、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
#45
○国務大臣(坂口力君) 少しお時間をいただいて説明をさせていただきたいというふうに思いますが、私、この職に就かせていただいて、そして今日までの雇用政策をずっと見てきたわけでございますが、厚生労働省として取り組んでおります雇用政策というのは誠にきめ細かなものでございまして、もう種類でいきますと五十種類も六十種類もあるわけで、これ以上具体的に、これ以上きめ細かなものはできないというほどいろいろのものがあるわけでございます。
 それはそれでかなりの大きな力になっているというふうには思っておりますけれども、それは失業者が二百万なり二百五十万までぐらいなときの話でございまして、三百数十万になってくる、あるいはこれが更に増えるというような可能性がありましたときには、そうした今までの厚生労働省の中でやっております失業対策だけでは、これはなかなか私は乗り切れないのではないかというふうに危惧をいたしております一人でございます。
 そうした意味で、個々の皆さん方に具体的に御相談に乗らせてもらうためにキャリアカウンセラーを増やしますとか、あるいはまた地域のお考えをいろいろとお聞きをして、地域からの雇用対策、雇用政策というものをやはり取り入れていかなければならないというので、そういうことも今やらせていただいているわけでございます。
 地域でやるというのも、これで大体一年間やってきたわけでございますが、中には、大阪や東京辺りでやっておりますように、企業を卒業になったあるいはリストラになった皆さん方の中で非常に有能な皆さん方を雇入れをして、そして中小企業のその人たちを新しい方向としてどういうふうにしていったらいいかというようなことに、その人たちにやっていただくというようなことで、大変、中小企業の販売網を拡大しましたり、中小企業が抱えております技術を更に世に出すことに貢献をしたりというようないい面も出てはまいっておりますけれども、総体的にいきますと、やはり地域にいろいろの知恵を絞ってもらってといいましても、十分な知恵は出てきていないというふうに思っている次第でございます。
 さて、それじゃそれをどうしていったら今後の雇用対策を立て直していくことができるかということをずっと考え続けております。過去二十年ぐらいさかのぼりまして、二十年ぐらいさかのぼったその間のこのGDPの対前年GDPの伸び率と、そして雇用の関係を見てみますと、対前年GDPが一%とか二%増えたぐらいでは雇用は過去にもそんなに増えていないわけであります。そういたしますと、これから先の経済というのはそう五%も六%も増えるわけではありませんから、一%なり二%の低成長でいかざるを得ない。そうすると、その低成長の中で雇用がどれだけ増えるかといえば、なかなかそれは増え難いという現状があります。
 したがって、ここを乗り越えていきますためにはどうするか。十年も二十年も先になってまいりますと、労働力人口が減ってまいりますから、それはある程度そのことは影響するだろうというふうに思いますけれども、この数年のことを考えてみましたときに、あるいはこの十年ぐらいのことを考えてみましたときに、もう少しやはり国全体としての対策が必要ではないかというふうに思っております。
 少し、記者会見でも一部だけを申し上げたわけでありますが、企業がリストラをいたしますとその株価が一遍に上がるといったようなことがございまして、リストラをする企業が優秀な企業であるという、何となくそういう風潮と申しますか、そうしたものがかなりあることも事実でございまして、経営者の立場からするならば、それはリストラも必要なときもあるのでございましょう。そして、やはり世界の企業の中で、国際化しました企業の中で打ち勝っていくためには、合併もしなきゃならないということもあるんでしょう。だけれども、ただそれだけで、そういう考え方だけで一体日本の雇用が守られるかといえば、私は、そこは少し違うのではないか、やはりもう少し、企業としてはそういう立場を取らなければならなかったとしても、国全体としてやはり雇用というものをもう少し大切にしていくという考え方があっていいのではないだろうかということで雇用重視型社会という言い方をさせていただいたわけであります。
 先ほども宮崎先生からGDPの配分のお話出ました。確かに日本のGDPを見ますと、ドイツやフランスに比べますと二倍か二倍半ぐらいあるわけですね。これは人口の違いもございますし、いろいろの違いございますから一概には言えませんけれども、GDPだけで比較をすると日本のGDP高いわけですね。しかし、いわゆる労働力人口、労働時間割りのGDPというものを見ますと、これはドイツ、フランスに比較をいたしまして日本はその八〇%ぐらいなんですね。国全体でGDPを見ますと、これは二倍もある。しかし、労働時間割りのGDPは八〇%程度にとどまっている。
 先ほど宮崎先生のお話にもございましたとおり、もう少し社会保障を充実させるべきではないかというお話もございました。これから少子化対策もやっていかなきゃならないわけでございます。そういたしますと、ドイツ、フランスなどは全体のGDPは日本ほどではないけれども、しかし労働者は十分にその保険料も出し、あるいは税金も出しということをやっておみえになって日本よりも高い雇用保険なら雇用保険の状況でありますとか全体の維持をやっておみえになる、社会保障の維持をやっておみえになる。どこがどう違うのであろうかと、先日来そこに着目をしているわけでございます。
 これから先、少子化対策を日本がやっていく、そして女性の皆さん方が働いていただくと同時に子育てもしていただけるようにするような社会を作り上げていくということになりますと、私は日本のGDPの配分のその問題にやはり目を向けることなしにしてでき得ないのではないかというふうに思っております。
 したがいまして、時間当たりのGDPだけのことを私は決して申しませんけれども、そうしたところにも目を向けて、やはりそのGDPの配分の問題にもう少し目を向けていくということがなければ、この雇用問題につきましても、あるいはまた全体の問題についても解決をしていかない。その辺のところにもう少し目を向けさせるやはり国としての施策というものが全体として必要になってくるのではないかというふうに思っております。
 そうした意味で、何が一体できるのかということを考えているわけでございまして、そのやり方にもいろいろあるだろうと思うんです。そういう企業の中でも雇用というものを非常に重視をしていただいているようなところに対して何か優遇策、手を差し伸べることが国としてできるのかどうか、あるいは予算の編成におきましても、雇用特別枠のような形でできないのかといったようなことを、これはもう厚生労働省の範囲の中ではなくて、全体としてそういうことができないのかということを先日も少し申し上げた部分もあるし、今日初めて申し上げるところもあるわけですが、言ったわけであります。早速、財務省の方からは、そんな気持ちは更々ないという言葉が返ってきておりますけれども。
 いや、そんな小さなことではなくて、もう少し大局的な立場でやはり今考えるときに来ているのではないかということを私は率直に訴えたいわけでございまして、もう少しその点のところをまとまったものを作り上げて総理にも提出をしたい、そういうふうに考えている次第でございます。
#46
○沢たまき君 ありがとうございます。期待をしております。
 また一方で、大変有名な女性の未来学者、ヘンダーソン博士は、もう既に全世界で国民総生産というその指数では物を考えてはいけない時代に入っているとも言っていらっしゃいましたので、私は、その配分の仕方も、総生産だけに頼らない、もう少し違った観点からも是非よろしくお願いしたいと思います。
 では、二番目に参ります。
 現行の雇用施策が十分な効果を上げていないのではないかという声が上がっておりますが、政府は今次の不況下で様々な施策を打ち出して雇用の確保とか創出に努められてきたことは十分承知をしております。補助金を中心とした雇用対策については、一つ、実績が上がっていない、二つ、不正利用がなされている例が見受けられる、三、真に雇用創出に結び付いているのかなど、その効果や在り方をめぐって様々な指摘があります。
 補助金については、雇用創出、雇用の維持確保に一定の役割を果たしておりますし、また補助金の適切な運用に向けて、整理・統合など、厚生労働省が努力もされていらっしゃることは評価もいたしますが、しかし、今日のような不況下のときに、国民の国の施策、政策に対する目は大変厳しいものがあります。この厳しい国民の要求をしっかりと受け止めて、効果のある雇用の改善策を進めていただきたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
#47
○副大臣(鴨下一郎君) ただいま補助金の使い方を含めて、雇用政策に本当に有効に使われているのかどうかと、こういうようなお話がありました。
 先ほど大臣からのお話の中でも、今正に失業率は五・四%という大変高水準で推移しておりますし、過去から比べますと、こういうような言ってみれば雇用状態、失業率の上昇というのは余り想定できなかったような状況もございます。
 そういう中で、緊急的には補助金等を有効に使うというのは非常に言ってみればタイムリーな手を打ちやすいというようなことでございますけれども、今、議員おっしゃっているように、様々な問題も指摘されています。特に、一部には実績が上がらないとか、それからまれには併給、二つの制度が同時に渡っていないかとか、そういうようなことについてこれからより精査をして慎重にやっていくべきだということはもうおっしゃるとおりでございます。
 そのために、特に助成金につきましては、今、雇用保険の本体給付に係る制度の見直しをしているところでありますけれども、それに伴ってより円滑な労働の移動とかミスマッチの解消だとかこういうようなものに資する、そういう意味での重点的な配分や、それから利用実績の上がっていないようなものについてはできるだけ整理していくと、こういうようなこと、それから助成金の不正受給の防止のための言ってみれば事前のチェックから事後どういうふうに使われていったのかという、こういうような体制についてもより整備をしていきたいと、こういうふうに思っておりまして、ただ、冒頭申し上げましたように、補助金そのものは、補助金といいますか助成金そのものは、ミスマッチの解消だとか、特に中高年の世帯主、非常に困っている方々に対しても有効な手段の一つであることは間違いないわけでありますので、委員御指摘のように、より言ってみれば効果的な使い方をこれからやっていきたいと、このように思っております。
#48
○沢たまき君 特に、雇用創出関係の補助金は、単に予算規模の実績が上がったということのみではなくて、本当に雇用創出効果が上がったか否かをチェックしていく時期に入っていると思っておりますので、また補助金制度があっても、逆にその企業の人が、中小零細になりますと知らない方が意外と多いということが分かりました。せっかく政策統括官というのが設置されて政策評価を行うことになったわけですから、是非チェックをしていただきたいと。補助金が雇用創出にいかに効果を発揮したかどうかを評価する仕組みの構築とか調査を検討していただきたい。おっしゃっていただいたのでございますのでよろしくお願いしますが、大変厳しい問題だと思いますが、できるだけその調査をしていただきたいと思っております。
 そして、補助金の雇用の維持それから雇用創出に対する効果については、長いこと議論がなされてきたことでございますので、国民の皆様の目にその有用性を明確にすることによって国民が更に期待される、国民が、皆さんが雇用政策に転換ができるのではないかと思っているんですが、いかがでしょうか。
#49
○政府参考人(戸苅利和君) 政策評価の実施につきましては、今年の四月から施行されました政策評価法に基づきまして基本方針、閣議決定されております。それから、厚生労働省におきましても基本計画を策定しておりまして、これを踏まえまして現在評価の実施をしているところであります。
 各種助成金の雇用維持あるいは雇用創出の効果につきましては、例えば雇用調整助成金の対象者数でありますとか、中小企業雇用創出人材確保助成金の支給決定人数といった実績をもちまして評価指標ということにしているところでありますけれども、単に実績だけではなくて、それぞれの制度の目的に沿った効果が発揮されているかどうか、その辺りをより適切に把握するということは、先生おっしゃるように、政策を実行していく上で極めて重要なことであるというふうに考えています。
 したがって、それぞれの助成金の有効性あるいは効率性、そういったものを明確にできますように、今後、更にそれぞれの施策の特性に応じました評価手法の改善充実につきまして検討を行い、より適切な政策評価の実現を目指したいというふうに考えております。
#50
○沢たまき君 そこで、こうした雇用創出に向けた補助金の中でトライアル雇用制度を支援する制度がございますが、特に障害者については大きな効果を上げております。
 失業率が高まりを見せる中で、そのかなりの部分が労働力需給のミスマッチによって生じているのが実態でございますし、その原因として職業能力の不一致、職業情報の不完全性、労働者や企業の選考などが挙げられております。ミスマッチ解消は、現下の雇用政策を進める上での重要な課題となっております。私は、その解消策の一つとして、トライアル雇用は失業者にとっても企業側にとっても大変優しく有効な政策であると思っております。
 ミスマッチの解消には、とにかく就職のきっかけを少しでも増やすことが必要でございますし、トライアル雇用制度はともかく企業で働いてもらうものであり、いろんな条件が合わないところがあったとしても、職場の雰囲気が良かったり自分に向いた仕事であったりすれば、そこで働いてみようとする意欲がわいてくるのではないかと思っております。私は、是非ともこの制度を拡充するとともに、適切に運用して大いに活用されるべきではないかと期待をしております。
 厚生労働省では、障害者、若年者、母子家庭の母、ホームレスなどに対して実施するお考えのようですけれども、十五年の概算要求の状況と制度の概要を簡単に御説明いただけますでしょうか。
#51
○政府参考人(戸苅利和君) トライアル雇用は、現在、障害者それから若年者、そういった方々、就職困難な方々に実践的な能力を身に付けていただいて、正規の雇用に移行するために短期間の試行雇用を実施するということでやっておるものであります。
 委員おっしゃるように、トライアル雇用から正規の雇用への移行率というのは非常に高い状況でありまして、八割前後ということになっています。中身は、トライアル雇用期間三か月でございまして、一か月につきましてトライアル雇用をしていただく事業主に対しまして五万円の奨励金を支給しているというものでございます。
 平成十五年度の概算要求につきましては、現在行っております障害者につきまして四億八千万円、それから若年者に関しまして九十三億円、来年度から新たに行います母子家庭の母等に関しまして八・一億円、ホームレス等に関しまして二・四億円ということで、総額約百八億円の概算要求を行っているところでございます。
#52
○沢たまき君 是非より多くの方の就職に結び付くよう期待をいたします。
 しかし、一方で補助金が悪用されることが懸念されるわけです。制度が効果的に適切に活用されますよう、また常用雇用に結び付くように、厚生労働省はどのような工夫をなさっていらっしゃるでしょうか。
#53
○政府参考人(戸苅利和君) トライアル雇用につきましては、効果的に活用が図られ、正規雇用に着実に結び付くということが重要でございまして、不正受給などはあってはいかぬというふうに私どもも思っていろいろ努力をしているところであります。
 具体的には、障害者のトライアル雇用につきましては、求人を受け付けますときにトライアル雇用の雇用計画書を提出いただきまして、その内容がトライアル雇用制度の趣旨に即したものになっているかどうかを確認いたしております。さらに、トライアル雇用期間中につきましては、ハローワークとあるいは関係の機関の担当者、連携いたしまして、職場に円滑に定着できるようにといった指導を行うなどきめ細かな支援を行って、常用雇用への、正規の雇用への移行を図っているというところでございます。
 若年者につきましては、若年者によっては直ちに雇用できるのにトライアル雇用になってしまうというのもトライアル雇用制度の趣旨にかんがみますと余り適当でないということがございます。そういう意味で慎重な運営も必要だろうというふうに考えておりますが、具体的には、トライアル雇用を行うことによりまして正規の雇用に結び付く可能性が高いと思われる若者、これを登録いたしまして、登録された若者に見合ったトライアル雇用求人をハローワークの方で開拓をすることにより制度の乱用を防止あるいは不正を防止するということをまずやっております。
 さらに、トライアル雇用期間中につきましては、ハローワークの担当者が事業所、それからトライアル雇用の対象になっております若年者に相談、援助を行うということをやりまして、円滑に正規の雇用に移行するようにということで努力をいたしているところでございます。
 以上申し上げましたように、トライアル雇用奨励金は、ハローワーク等によります指導、援助、これを前提に支給をし、正規雇用に結び付けているということでございまして、こういった指導、援助を通じまして、不正受給、悪用等の防止を図るとともに、正規雇用への円滑な移行を促進しているということで、引き続き先生のおっしゃるような不正等が行われないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#54
○沢たまき君 ありがとうございました。
 中高年の就職について、年齢がネックとなって応募すらできないというのが実態であります。こうした方の再就職はより切実であります。昨年の雇用対策法の改正で年齢差別解消に向けた施策が図られましたけれども、その後の状況はどのようになっているでしょうか。いかがでしょうか。
#55
○政府参考人(戸苅利和君) 御指摘のように、昨年の十月に施行いたしました改正雇用対策法におきまして、労働者の募集、採用に当たっての年齢制限緩和の努力義務の規定が設けられたところであります。厚生労働省としては、その実効を上げますために、官民の職業紹介機関の窓口、それから中央、地方を通じました経済団体、地方自治体、それからマスメディア、そういったところに働き掛けを行いまして、事業主への周知、理解の徹底を図ってきているところであります。
 現状を申し上げますと、ハローワークにおけます求人、すべての求人に占めます年齢不問求人の割合でございますが、雇用対策法の改正前、平成十三年の九月は一・六%であったわけでありますが、最近では一〇%台の半ばということで改善は相当見られるところでありますけれども、最近の状況を見ますと、雇用情勢も非常に厳しいということもあって改善の状況が横ばい状態ということになっております。
 我々としては、更なる改善に向けて年齢制限緩和の徹底を図っていくことが必要だろうというふうに考えておりまして、今後更に年齢制限緩和の法の趣旨を浸透させることによりまして、能力本位の採用選考を促し、求人年齢制限の緩和を図るように努力していきたいというふうに考えております。
#56
○沢たまき君 よろしくお願いします。
 ちょっと視察に行ったところで若い女性に声掛けられて、三十六なんですけれども三十六でも駄目なんですと言われたので、私から見ると大変若いと思うんですが、求人の中ではもう年齢が駄目だということを言われたので、よろしくお願いします。
 それはともかくとして、中高年に対する年齢差別は、本当にそういうふうに三十代の後半というか中くらいでもそういうのがありまして、特に企業の倒産によって失業者になった方は一家の生計の担い手でありますし、一刻も早い再就職が必要であります。
 年齢差別の背景には、企業の中高年に対する先入観、認識不足もあるのではないかと思います。こうした先入観がミスマッチを増幅しているのではないかと思っております。まず何よりも企業に受け入れてもらって、そして一定期間働いてもらって、有用であれば継続して雇用をしてもらい、合わなければまた別の仕事を探していただくと、こういうことが必要だと思っております。そうでなければ本当に就職はできないわけですし、こういうことをしていただければ、少なくとも門前払いは少なくなると思っております。年齢差別の解消にもつながるのではないかと思います。
 したがいまして、以前、中高年のトライアル雇用が実施されていたようですけれども、その状況の御報告と、制度をリニューアルをして中高年についてもトライアル雇用制度を実施すべきだと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
#57
○副大臣(鴨下一郎君) ただいま御指摘になりました中高年のトライアル雇用につきましては、これは平成十二年の十月に策定された日本新生のための新発展政策の一環として行われまして、平成十二年の十二月より十一か月実施されたものであります。
 その中で、中高年トライアル雇用によりまして約三万人の方が試行的に雇用されて、そのうち七二%の方が常用雇用に移ったと。こういうようなことで、大変ある意味では一定の成果が上がったと、こういうような評価で認識をしております。
 今、委員がおっしゃっているように、特に企業の倒産、それから様々なリストラ等で非自発的に失業せざるを得なくなった中高年、特に世帯主の方々の状況というのは非常に深刻でございますので、そういう方々にいろんな意味で仕事を、スキルアップしてもらうとか、そういうような目的も含めまして、今後トライアル雇用を実施していくかどうするかということについてはできるだけ積極的に検討してまいりたいと、このように思っておりますし、これから緊急デフレ対策だとか何かの後の様々な離職者等の問題もこれから出てくるだろうと思いますので、委員御指摘のように、検討してまいりたいと、このように思っております。
#58
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。
 次に、京都民医連中央病院における検査に係る診療報酬の不正請求事件についてお伺いをいたします。
 まず、事件の概要と主な経過についてお伺いをしたいと思います。
#59
○政府参考人(小島比登志君) お尋ねの京都民医連中央病院の事件の件でございますが、まず概要を申し上げますと、同病院の検査課が平成十年一月から本年九月までの間、同病院医師からの指示及び関連医療機関の依頼を受けた検査約二千五百件について、検体の必要な培養を行わずに検査結果を報告し、診療報酬の請求を行っていたというものであります。
 経緯につきましては、この事件は、本年九月十三日に同病院が外部医療機関から検査に関する照会を受けた際に発覚したものでありまして、その後、九月二十七日に京都市の中京保健所、同二十九日に京都市、三十日に京都府及び十月一日には社会保険事務局へ届出が行われております。
 京都府からは、同病院から報告を受けた九月三十日に、まず患者及び家族への説明、実態把握と真相解明、それから再発防止策の確立等について指導を行いまして、これを受けて同病院では、これまでに患者、家族を対象といたしました相談窓口の設置、細菌検査室の閉鎖、検査委託医療機関への謝罪文書の配布等を実施したと厚生労働省としては京都府から報告を受けているところでございます。
#60
○沢たまき君 私は、この虚偽報告は極めて悪質だと思っております。一方では診療報酬を不正に請求しながら、一方では検査すべきものを検査していなかった。保険者ばかりではなく、患者の皆さんまで欺いているわけであります。こんなことがあっていいはずはありません。患者の皆さんから見れば、絶対に許すことのできない蛮行であると思っております。
 そこでお伺いいたしますが、京都社会保険事務局においても医療保険各法に基づき必要な措置を講ずるとしていますけれども、一般的にこのような不正請求があれば保険医療機関の取消しなど、どういう措置が行われるのか、お伺いをいたします。
#61
○政府参考人(真野章君) 今回の事案につきましては、今後、京都社会保険事務局におきましても、不正請求の実態を十分に明らかにした上で、その結果を踏まえまして厳正に対処したいというふうに考えておりますが、今お尋ねの具体的措置の内容でございますが、言わば一般論として申し上げますと、個々の事案につきまして、故意や過失の有無、またその程度、それらに応じまして保険医療機関の指定の取消し、戒告あるいは注意という措置を講ずるということと、それから不正請求額及びそれに対します加算金の返還を求めるということになろうかと思います。
#62
○沢たまき君 ありがとうございました。
 問題は不正請求の問題だけではありません。検査しなかったことによって医療事故が発生しているのではないかという、それが心配です。このようなことがあればゆゆしき問題であります。喀たん検査、尿検査は感染症にかかっているのかどうかの検査でありますし、マイコプラズマ検査はマイコプラズマ肺炎が発症しているかどうかの検査であります。それを見落としていれば、これ自体、医療事故が存在していたことになると思います。
 医療事故があったかどうかは極めて重要な問題でありますし、徹底的に調査すべきだと思っております。患者が特定できているわけですし、カルテも存在しているわけです。しかし、カルテだけでは信用できませんから、特に病状が悪化したかどうか、感染症を見落としていたかどうかの因果関係を調査する必要があると思います。そのために、患者さんに対しても個人面接をして調査すべきだと思います。
 そこで最後に、京都府及び京都市が医療法に基づく立入検査を実施していますが、その概要と今後の方針についてお伺いします。
 各種の検査をしたとの虚偽報告はだれが行ったのか、なぜ四年間も気が付かなかったのか、この間、組織的な隠ぺいはなかったのか、徹底的に調査すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
#63
○政府参考人(小島比登志君) 本件事故の報告を病院側から受けまして、京都府及び京都市は、病院に対しまして、十月四日以降、随時合同で医療法に基づく立入検査を実施しております。
 その際、患者及び家族への対応状況の確認、検査業務の体制、外部有識者のみで構成する原因究明委員会の設置等につきまして病院側に指導を行っているところでございます。
 特に、虚偽報告されました検査の総数は約二千五百件に上ることが判明しておりまして、近日中にも原因究明委員会を設置し、検査の未実施による治療への影響の有無、事件自体の背景や原因の究明が行われる予定と聞いております。
 厚生労働省といたしましても、京都府及び京都市に随時報告を求め、十分に状況を把握するとともに、適宜適切に助言を行うなど、対応に万全を期してまいりたいと考えております。
#64
○沢たまき君 この問題については、医療機関と患者の在り方、医療の倫理面からも重大な問題がありますので、今後も取り上げてまいりたいと思っております。今後、その原因究明委員会で調査が進むと思いますが、調査結果につきましては最大限公開するよう強く要望しておきます。
 次に、特定疾患対象、いわゆる難病の医薬品であって製造中止になったアナドロールについてお伺いをしたいと思います。
 これは、現在、薬価基準より削除されております。薬事法における本剤の承認の整理も行われております。その経過についてちょっと伺いたいと思います。
#65
○政府参考人(阿曽沼慎司君) アナドロールにつきましては、塩野義製薬株式会社が原料を輸入いたしまして、製剤を国内製造しておりました。
 しかしながら、平成七年、原料製造会社の生産中止によりまして原料入手が困難となりまして、また類似薬もありますことから、平成九年十二月に厚生労働省に対しましてアナドロールの供給停止の事前報告書が提出されました。
 それを受けまして、厚生労働省といたしましては、関係学術団体に対しましてこの医薬品の供給停止の可否について確認をいたしまして、御了承がいただけましたものですから、これを受けまして、約一年の周知期間を置きました上で、最終的に薬価基準から削除し、薬事法における承認整理を行ったものでございます。
#66
○沢たまき君 実は、このアナドロールのお薬が何とか手に入りませんかと一人のお母さんから切実な要望がありました。
 お子さんが十歳のときに病魔に侵され、十四年間の長期にわたって闘病生活を強いられていられるそうです。発病後、五年目で骨髄異形成症候群と診断をされて、八年目になって、年齢がたんぱく同化ホルモンを投与してもよい時期になってアナドロールを投与されたんだそうです。その後、大変健康になって、大学にも通えるようになって、普通の生活が送れるようになった。ところが、この薬が製造中止になりまして、そのため同系統のプリモボランに切り替えたところ、一時的に病状が悪化して死ぬ寸前までの状態となられて、アナドロールを探し求めて命拾いをされたということでございます。このお母さんは御主人もお嬢さんもお医者さんで、この病気の息子さんには有名な東大のお医者さんが主治医として治療をしていただいているとのことです。
 同系統の再生不良性貧血に対して効果のある薬が三種類あると。ですけれども、全くその成分がばらばらで、この方はオキシメトロンでなければ効果がない。その原料が製造中止になって大変に困っておいでになります。
 このほかにも、医薬品の業者の採算が取れない等の理由で必要な薬が製造中止になって困っている患者さんがおられるようですが、このような問題は薬品会社だけで対応できるというものではありませんので、実効的な対策を是非御検討いただけませんでしょうか。
#67
○政府参考人(阿曽沼慎司君) アナドロールの供給停止の後、私どもとしましては、患者さんについて類似薬の使用によりまして特に問題があるということは承知しておりませんでしたが、御指摘のようなアナドロールの使用で症状をコントロールされていた患者さんといった方々の切実なお悩みは十分理解はできますので、御要望を関係企業等に対して十分お伝えしたいというふうに考えております。
#68
○沢たまき君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、北朝鮮による拉致被害者の原状回復の問題についてお伺いいたします。
 二十九日よりクアラルンプールで始まった日朝国交正常化交渉については、全国民、いや全世界が強い関心を持って、祈るような思いで交渉の経緯を注目してまいりました。お帰りになりましたけれども、ちょっと、もう少しというところでございましょうか。
 ほかの国から不法に拉致するという野蛮的な行為、また拉致の期間が二十四年間というとてつもない長い年月であったことは到底許されることではありませんし、拉致された御本人や日本の御家族、また北朝鮮にいるお子さんたちの心情を考えますと胸に迫るものがあります。様々な思いが交差しております。特に、被害者、御家族の親子の問題の解決は同じ母親としていたたまれない思いがいたしております。一刻も早く日本で親子そろって新しい出発をしていただきたい思いです。そうしなければ、二十四年前の親子の苦しみを現在の拉致被害者御本人のお子さんにも味わわせることになります。そんな残酷なことは、もう再び繰り返されてはならないと思っております。
 被害者、御家族のお子さん方を一刻も早く日本に帰国させることは必要なんです。日本国が日朝国交正常化交渉の中で、あくまで被害者、御家族の思いを率直に伝えて、北朝鮮は親子の情の問題として受け入れるべきであります。一人の命の大切さというものを北朝鮮の指導者は理解すべきであります。
 拉致問題の解決とともに必要なのは、帰国してくるお子さんたち、拉致被害者の御家族が帰国した後の働く場所、教育、メンタルケアなど、安心して暮らせるような生活の環境を整える必要があります。
 そこでお伺いをいたしますが、政府は、十月二十四日、永住を前提とした滞在の延長と北朝鮮に残されたお子さん方の早期帰国を北朝鮮に求める政府方針を決定をいたしました。専門幹事会を強化して、国としても本格的に永住に向けて取り組んでいくことにいたしましたけれども、今後、その幹事会のメンバーである厚生労働省はいかなる役割と支援策を講じていかれるお考えか。また併せて、日本における拉致被害者の御家族が安心していけるような就職の場の確保など、全力で支援していくべきだと思いますけれども、坂口厚生労働大臣のお考えをお伺いできればと思っております。
#69
○国務大臣(坂口力君) 時間が参っておりますので簡単に申し上げますが、現在、被害者の方々とその家族の永住帰国に向けまして、内閣官房を中心にして政府全体で取り組んでいるところでございます。
 被害者の方々とその御家族が安心して暮らしていただけるように、厚生労働省として受け持つ分野は、一つは、もし永住されましたときの就労、雇用を責任を持って担当しなければいけないというふうに思っておりますし、もう一つは健康面からのケアをしていかなければならない。これは御本人からのお申出があるとか、あるいはまた御相談があったときということになろうかというふうに思いますけれども、いろいろこちらにお帰りになりまして悩みの多いこともあるだろうというふうに思っておりまして、そうしたときに御相談は十分に応じさせていただいて、そして健康管理等につきまして責任を持ってやっていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#70
○沢たまき君 十五分までといただいておりますので、あと二、三分、よろしくお願いします。
 亡くなったと言われている拉致被害者の家族の方々は誠に悲痛な思いでいらっしゃるわけですけれども、必ず生きていると希望を持って政府の交渉に期待されております。第二次調査団の派遣を一日千秋の思いで待っていらっしゃいますが、第二次調査団派遣について、実現した場合は生存を含めて難しい調査になると思いますけれども、第二次調査団の派遣の見通しについてお伺いして、終わりにしたいと思っております。
#71
○政府参考人(渥美千尋君) 生存が確認されていない拉致被害者の方々に関しましては、昨日まで、二十九、三十日とクアラルンプールで、国交正常化交渉におきまして、我が方から事実解明を強く求めたところでございます。そして、政府が既に得ております情報の中で疑問点を取りまとめた追加の質問リストを、これは拉致被害者の御家族から出された疑問点も踏まえたものでございますけれども、これを出して、これに対する早期の誠実な対応を強く求めたところでございます。
 これについて、北朝鮮側は、関係機関とも協議しつつ可能な限り速やかに回答できるよう努力する、そう言っておりましたけれども、我々としては引き続き先方の前向きな対応を強く求めていくつもりでございます。
 御指摘のございました調査団の今後の派遣でございますけれども、今申し上げた我が方の照会事項に対する北朝鮮側の回答も踏まえまして、最も効果的な時期に派遣する方向で検討してまいりたい、こう考えております。
#72
○沢たまき君 ありがとうございました。
#73
○委員長(金田勝年君) 本日の調査はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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