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2002/11/07 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 財政金融委員会 第3号
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2002/11/07 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 財政金融委員会 第3号

#1
第155回国会 財政金融委員会 第3号
平成十四年十一月七日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     池口 修次君     勝木 健司君
 十一月一日
    選任          田村耕太郎君
 同日
    辞任         補欠選任
     若林 秀樹君     櫻井  充君
 十一月七日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     谷  博之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                林  芳正君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
    委 員
                上杉 光弘君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                西田 吉宏君
                溝手 顕正君
                森山  裕君
                若林 正俊君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                谷  博之君
                円 より子君
                山本  保君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                平野 達男君
   国務大臣
       財務大臣     塩川正十郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣)
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
       財務副大臣    小林 興起君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       国税庁課税部長  村上 喜堂君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
       日本銀行理事   三谷 隆博君
       日本銀行理事   白川 方明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (金融システム安定化の方策に関する件)
 (中小企業向け金融の在り方に関する件)
 (銀行の融資姿勢に関する件)
 (日本銀行の株式買入れに関する件)
 (NPO法人の経済的意義に関する件)
 (不良債権処理に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十月三十一日、池口修次君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君が選任されました。
 また、去る十一月一日、若林秀樹君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
 また、去る十一月一日、このたび当選されました田村耕太郎君が本委員会委員に選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に国税庁課税部長村上喜堂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(柳田稔君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君、日本銀行理事三谷隆博君及び日本銀行理事白川方明君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(柳田稔君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○櫻井充君 おはようございます。
 今日は、竹中大臣の現在の金融そして経済状況の基本認識をお伺いさせていただきたいと思います。
 まず最初に、何回もこれは聞かれていることかと思いますけれども、現在、金融システムというのは安定しているとお考えなんでしょうか。
#9
○国務大臣(竹中平蔵君) 金融システムが安定しているかというお尋ねでございますが、大変不安定で、ともすればパニックが起きる、そういう状況ではないというふうにはっきりと認識をしております。しかしながら、金融システムが万全かということになりますと、やはりそれはそうではないであろう、解決すべき問題があるというふうに認識をしております。
 こういうパニックが起きてからでは大変なことになるわけで、そういう状況でないからこそ、金融のシステムを万全に、より強固にするためにしかるべく政策をやっていかなければならない、そのように認識をしております。
#10
○櫻井充君 九八年の金融危機と言われたあの時期と比べるといかがでございますか。
#11
○国務大臣(竹中平蔵君) 九八年の当時といいますのは、そもそも金融がどのような状況になっているかというその情報の公開も非常に不徹底なままで、そもそも一体どちらにどのような形に経済が向かっているのかという点が非常に分からない、すべてが非常に不確実な中に置かれていたというふうに思います。そうした中で、非常にスパイラル的な経済の悪化が九八年の特に後半に起こったというふうに認識をしております。
 それに比較して今の経済というのは、これは大変厳しい状況にあるということは事実でありますけれども、その情報等々について、当時に比べれば非常にしっかりとしてきつつあるというふうに認識をしておりますし、何よりも実物経済そのものがスパイラル的に悪くなっているわけではないというふうに認識をしています。実物経済の、当時スパイラル的な悪化がかいま見えた、そうした点に比べますと、今の状況は少し違っているというふうに思っております。
#12
○櫻井充君 要するに、九八年ほどは悪くないということでよろしいんでしょうか。
#13
○国務大臣(竹中平蔵君) 例えば雇用の水準とか……
#14
○櫻井充君 簡単にお答えいただければいいです。
#15
○国務大臣(竹中平蔵君) そういう問題に比べて、水準そのもので今の方が厳しい面も確かにございます。しかし、当時はスパイラル的にどこまで行くか分からないというような一種の不安があったわけでありますけれども、現状は実物経済がスパイラル的に悪化していないという点も含めて、そういう九八年のような状況ではないと認識をしています。
#16
○櫻井充君 それでは、金融機関の健全度という点で比較したときに、九八年と現在とではどういう状況だと考えていらっしゃるでしょうか。
#17
○国務大臣(竹中平蔵君) 健全度を正確に同じ情報ベースで比較するということは、これはなかなかできないわけでございますけれども、まさしく当時は非常にその情報もよく見えないままに不安感も含めて非常に不安定な状況であった。今は、その意味では、いわゆるパニック的な状況が起こっていないという点も踏まえまして、当時とはやはりいささか状況を異にしている、しかし解決すべき問題は先ほども申し上げましたように大きいというふうに思っております。
#18
○櫻井充君 どうもはっきりとしない部分があるんですが、情報が公開されていないというお話ですので、例えば、じゃ昨年の今ごろと比較して、金融システムは安定しているとお考えなのか。
 もう一つ、金融機関の健全性という点で、現在と、今と、どちらが悪いとお考えなのか。
#19
○国務大臣(竹中平蔵君) 健全性というのをバランスシートの幾つかの指標で見るなり、収益率ないしはそういったものの指標で見るなり、現時点ですぱっと切ってみましたら、やはり経済が悪化する中で今の銀行の経営というのは一年前に比べて厳しくなっている面があろうかというふうに思います。
 しかし同時に、今回再生プログラムの中でこれをきちっと終結に向かわしめるという枠組みを示せたという点では、将来に向けての見方という点では、私はやはり、もちろんこれは再生プログラムをきちっと実行していくということが条件でありますけれども、むしろ良い面も出てきているのではないかというふうに思います。
#20
○櫻井充君 今、大臣、昨年よりも健全性という点では悪化しているんじゃないだろうかというお話でした。しかし、昨年の下半期六か月に破綻した金融機関の数と今年の上半期の金融機関の破綻した数、ちょっと正確な数字を教えていただきたいんですが、これを単純に比較すると圧倒的に違うように思うんですね。
 まず金融庁にお伺いしたいのは、昨年の下半期に破綻した金融機関の数と今年の上半期に破綻した金融機関の数を教えていただけますか。
#21
○副大臣(伊藤達也君) 平成十三年十月一日から十四年三月末までに破綻した金融機関は、銀行が二行、信用金庫が十三金庫、信用組合が三十組合、三業態の合計で四十五金融機関となっております。
 また、平成十四年四月一日から十四年九月末までに破綻した金融機関はございません。
#22
○櫻井充君 昨年の方が金融機関の健全性はいいんじゃないかというお話でした。しかし、実態は四十五の金融機関が破綻している。これはどうしてなんですか。
#23
○副大臣(伊藤達也君) お答えをさしていただきたいと思います。
 本年四月のペイオフ一部凍結解除を控え、金融庁では、預金定額保護下において金融機関の破綻により金融システムの安定性が損なわれないよう、的確な検査・監督を通じ金融機関の健全性の確保に努めたところであります。また一方、金融機関においても各般の経営改善努力が行われてきました。この結果、各金融機関の健全性の基準を満たした財務状況をもって四月を迎えたところであるというふうに思っております。
#24
○櫻井充君 ペイオフの一部解禁があったから危ない金融機関は破綻させたと。そうすると、この四月からは、柳澤大臣がおっしゃっていたように、すべての金融機関は健全なんだというお話だったかと思うんですね。しかし、竹中大臣の御認識では、現在と昨年の今ごろとを比較すると、むしろ今の方が健全性は悪化しているんじゃないか。ちょっと答弁が違っているんじゃないですか。
#25
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと現在というところで私が的確にお答えできなかったのかもしれませんけれども、現在の金融機関の状況というのは、十四年三月期の決算の数字で判断するという意味でお答えをさせていただきました。したがって、十三年三月と十四年三月の数字を先ほど言いましたようにバランスシートとかですぱっと切ってみると、そうしますと、環境が悪化する中で厳しい数字が出ているというふうに認識をしている、そういう趣旨で申し上げた次第であります。
 現在というのを今日この時点でということになりますと、これは数字等ももちろんないわけでございますけれども、先ほど私が答弁をさせていただいたのは、そういった数字がアベイラブルな決算の時点でというふうに御理解をいただきたいと思います。
#26
○櫻井充君 そうしますと、竹中大臣の今の御答弁ですと、今回の金融再生プログラム等が出されています、金融庁から。これは、今年の三月の時点の決算書を見て作られたわけですか。
#27
○国務大臣(竹中平蔵君) もちろん、基本的な経済、銀行の体質云々というのは、把握できる正確な数字はそういうことでございますけれども、その後の実体的な経済の変化等々を踏まえて現状の認識を正確に持った上で、更に将来の動向を考えた上で今回のプログラムを作らせていただいたということであります。
#28
○櫻井充君 万全ではないとおっしゃっていました。万全ではないのに現在の状況はよく分からないということであったとすると、万全ではないというお答えというのは、これは三月の時点で万全ではなかったけれども今は分からないと、そういうことですか。
#29
○国務大臣(竹中平蔵君) もちろん、今の時点でのバランスシートがどうかと聞かれたら、これは決算の数字を利用するしかないわけでありますから、これはお答えのしようがございません。
 しかし、昨年のバランスシート、十三年三月期のバランスシートを基に、その後の経済実態の変化を踏まえて今の銀行がどのような状況にあるだろうかということを想定した上で、更に繰り返し言いますけれども、これが近い将来どのように変化していくだろうかということを踏まえて実態的な判断をしているわけでございます。
#30
○櫻井充君 今、将来どういう展望なのかということをいろいろ検討されているというお話でしたが、その根拠となる数字は、じゃいつの数字なんですか。今数字も何もなくて、今年の三月の決算書だけからどういうことをもってして判断されているんですか。
#31
○国務大臣(竹中平蔵君) これは大変ちょっと抽象的なお尋ねでございますけれども、繰り返し言いますけれども、判断というのは常に総合的にせざるを得ません。しかし、バランスシートできちっとしたアベイラブルな決算というのは、十四年三月のものが新しい、中間決算についても幾つかの情報が入っている、それで更には月々にアベイラブルな統計というものもございます。そうしたものを総合的に、アベイラブルな統計の長短を踏まえてこれは総合的に判断をさせていただいているということです。
#32
○櫻井充君 じゃ、三月でも結構ですけれども、今、伊藤副大臣がおっしゃっていたのはですよ、竹中大臣、四十五の金融機関を破綻させたというのは、ペイオフを控えて危ない金融機関を整理しましょうと、整理という言葉がいいかどうか分かりませんけれども、そういうことで四十五の金融機関を破綻に追い込んだんでしょうか。自発的に破綻したのか分かりません。
 そうすると、少なくとも三月決算というのは昨年の十月の時点よりは本来であれば良くなっているはずじゃないですか。大臣は、今の時点はよく分からないから言葉が足りなかったとおっしゃっているけれども、少なくとも四十五の金融機関が破綻した上で、そうすると少なくとも金融システムの安定化のためにそういう措置を取りましたということであれば、半年後に良くなっていないとおかしいじゃないですか。
#33
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと言葉じりかもしれませんが、今回は主要行を対象にしたプログラムを作らせていただいております。主要行について別に破綻があったわけではございませんし、主要行については破綻云々とは別に様々な経済的な指標、財務的な指標に基づいて判断をさせていただいているということです。
#34
○櫻井充君 そうすると、主要行と、それからそうではない中小の金融機関とでは現状は違っているということでよろしいんですね。
#35
○国務大臣(竹中平蔵君) 主要行については今申し上げたとおりでございます。中小につきましては、これは様々な見方があると思いますけれども、我々としましては、現状をもう少し詳しく分析して、地方ないしはそのリレーションシップバンキングの在り方そのものを問い掛けていこうという姿勢で今回のプログラムを考えております。金融再生プログラムの一番最後には、リレーションシップバンキングについては多面的な観点から総合的に考えるというふうにしたがってしたところでございます。
#36
○櫻井充君 要するに、大臣がどうお考えなのかよく分からないんですよ。
 なぜこんなことをお伺いしているかといいますと、その、じゃ万全でないと、金融システム自体が万全ではないと、それから金融機関の健全性も決して健全とは言えないというお話ですよね、今の感じですと。そうすると、健全ではなさそうだと、そしてしかも万全ではないとおっしゃっているそこの根拠は何になるんですか。
#37
○国務大臣(竹中平蔵君) これは前回も御答弁をさせていただきましたけれども、これまで、危機を起こさせないようにするということ、危機を防ぐためということに多くの労力が割かれてきたわけでありますけれども、今、我々は構造改革を支えるためにより強い金融システムを作りたいというふうに考えているわけです。そのより強い金融システムを目指すという観点からしますと、やはり解決すべき問題は多いのではないかと、そのように判断しているわけです。
#38
○櫻井充君 その具体的な問題は何ですか。より強い金融システムを作るための具体的な問題は何ですか。
#39
○国務大臣(竹中平蔵君) 今回の金融再生プログラムの中にそうした点を、これは主要行に関してでありますけれども、解決すべき問題を三つの柱として提示をさせていただいたつもりであります。それは、資産査定の問題であり、自己資本の問題であり、ガバナンスの問題である。
 繰り返し言いますが、今回は主要行をターゲットにしてそうしたことの強化を図っているわけでございますけれども、その三つにつきましてやはりしっかりとさせていかなければ、構造改革を支えるためのより強固な金融システムにはなっていかない。そこは是非とも、より強いシステムにしていきたいというふうに思っているわけです。
#40
○櫻井充君 そうしますと、その資産査定に問題があったとお考えなんですね。
#41
○国務大臣(竹中平蔵君) 資産の査定につきましては、金融庁も様々に指導し、金融機関も努力し、改善はしてきたわけですけれども、万全であるとは思っておりません。そうした点がマーケットからの様々な評価につながっているという点に対しては、これは謙虚に耳を傾けて、資産の査定はやはりより正確なものにしていかなければいけないというふうに思っております。
#42
○櫻井充君 柳澤さんは、そういう査定に関してきちんとやっているってずっと御答弁されていたように思うんですよ。大臣が替わった途端に金融庁全体としての考え方が変わったんでしょうか。
#43
○国務大臣(竹中平蔵君) 資産査定というのは大変難しい問題だと思います。それに関してはこれまでも改良に改良を重ねて、例えば柳澤大臣がおやりになった特別検査というのはやはり非常に大きな成果を上げてきたというふうに思います。
 今回、もちろん我々が目指しているのは、これまでも資産査定の厳格化に努力をしてきたけれども、不良債権問題を終結させろという総理の御指示に向けて、資産査定についてはこれまでにも増して厳格化を図りたいと。「これまでにも増して厳格化を図る」という表現をこの金融再生プログラムの中にしておりますが、そういう姿勢でより努力をしていきたいということを申し上げているわけです。
#44
○櫻井充君 要するにきちんとしていないということですか。要するに、更にやらなきゃいけないというのは、今まではきちんとやっていた、やっていれば別にこれ以上厳格も何もないわけでしてね、更に何とかということは、やっぱり今まではきちんとしていないということですか、じゃ。
#45
○国務大臣(竹中平蔵君) これまでも努力をしてきましたけれども、現状を踏まえて更に高い目標を掲げてこれまで以上に厳格化を図りたいというふうに考えるわけです。
#46
○櫻井充君 じゃ、更に高い目標って何ですか。具体的に言ってください、具体的に。
#47
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、先ほども申し上げましたように、危機を回避するというのは大変重要なことであると思いますけれども、危機を回避するということを超えて、構造改革を支えるためのより強い金融システムを作っていく。ありふれた表現かもしれませんけれども、守りではなくて攻めの姿勢で強い金融システムを作っていきたい、それが目指しているところでございます。
#48
○櫻井充君 今の、構造改革ってばくっとおっしゃいますけれども、具体的に言うとどの部分の構造改革をやるために強い金融システムが必要なんですか、じゃ。
#49
○国務大臣(竹中平蔵君) 構造改革そのものは大変大きな問題でございますけれども、基本的には、民間でできることは民間で行うようにする。自助自立の精神の下で、より生産性の高い部門がしっかりと育つような形で、これは資源の社会的な移動が可能になるように進めていく。資源の移動というのは、人の移動、お金の移動、技術の移動、そういうものが入ってくるわけでありますけれども、そうしますと、そういう分野に積極的にやはり資金配分も回るようなシステムになっていかなければいけない。当然のことながら、それには銀行部門がきちっとしたリスク管理をして、リスクテークして、それで前向きの投資が可能になるような、そういうシステムを作っていかなければいけないということになろうかと思います。
 構造改革というのは、その意味では一種の資源配分をより高めていこうということでありますから、その中で資金の配分を担う銀行部門の役割というのは私は当然大変大きいものがあろうかと思います。それを可能にしたいということでございます。
#50
○櫻井充君 そうすると、今は資金配分ができていないという認識なんですね。
#51
○国務大臣(竹中平蔵君) 今の資金配分で反省すべき点は、ないしは修正を要するべき点は私はやはりあるということを認めるべきであろうかと思います。これに関しましては、これまでも経済白書等々でも一部議論がされてまいりましたけれども、やはり収益率が低い部門に対して、さらには低下している部門に対して、より大きな資源、資金が銀行から供給されてきたという事実がございます。
 そういった意味でも、より効率的な資金の配分が実現するようにシステムをやはり強く正常化していかなければいけないというふうに思っております。
#52
○櫻井充君 具体的に言うと、どの分野が生産性が低いと、そうお考えなんですか。
#53
○国務大臣(竹中平蔵君) 生産性が低いというのは、何々産業何々産業という形で明確に私はできないと思います。一つの産業の中でも、そうであるところとそうでないところがはっきり非常にしてきている。
 そういった点も踏まえて、最終的にはもちろんこれは個別の判断になるわけでありますけれども、そうしたこれは正に実態判断でありますから、そうした実態判断を、資源配分を担う銀行がきちっとした資産査定、きちっとしたガバナンスの下でそういった機能を発揮できるように、そういうシステムにしていかなければならないということを申し上げているわけです。
#54
○櫻井充君 不思議なのは、もし金融機関側に例えば融資する資本が少ないんだったとすると、今の大臣のお話ですと、本来融資しなくてもいいようなところに融資していて、融資すべきところに融資していないというようなお話なんですよ。ですが、もしそうだったとすると、融資するべき資本というものが金融機関に少なくなっていると言ったらいいのか、ちょっと済みません、そういうことになってくると、需要サイドがそれなりにあったとすれば、普通は金利は上がりますよね。今、金利は上がっていないんですよ。そうすると、別に不良債権の最終処理をやろうがやるまいが資本の分配ということはきちんとできるはずなんですね。違いますか。
#55
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権というのは、収益を稼げないところ、資本として十分に稼働しないところに言わば投下した資金が滞っている状況を意味するわけでございますから、その分、そこに張り付けられている分、本来貸さなければいけないところに対してお金が回らないということになります。
 お尋ねの金利の話でございますけれども、いわゆる貸し渋り、貸しはがしというのは、これは量で調整しているわけでありますけれども、その分、量で調整するというのは一種のラッショニングというか、割当てのようなことが起こっているわけでありますから、それはあえて抽象的に解釈すれば、非常に金利が高く、ある意味、無限大まで金利が高くなっている状況が出現していると解釈することもできるわけであります。
 もちろん、これがどの程度起こっているかということは正確には、これは量的には把握しがたいわけですけれども、やはり稼働率の低いところに、収益性の低いところに資金が滞っているという状況はやはり解消しなければいけない。そうすることによって、本来、より高い収益を生んで社会に貢献できるようなところ、借り手の方から見ると、きちっとした商売ができるようなところにお金が回っていくはずである、そういう状況を出現したいのだと申し上げているわけです。
#56
○櫻井充君 じゃ、なぜ国債買うんですか。収益率の低い国債になぜシフトしなきゃいけないんですか。別に国債にシフトしないで、そういうふうに大臣おっしゃるんであれば、将来有望な企業のところに国債を買わないで貸出しすることができるじゃないですか。
#57
○国務大臣(竹中平蔵君) 恐らく国債に多くの資金が向かった理由というのは、リスク資産、リスクアセットを増やしたくないという一つの中での行動だと思いますが、今、委員がおっしゃったことは実は非常に本質的な問題でございまして、銀行はこれまで収益最大化の行動を取ってきたのかという問題なのだと思います。本当に自分の、将来この企業は大きくなるかもしれない、それでその企業は、お互いに銀行とこの企業が助け合う形でお互いが伸びていく可能性はある、長期的にはそうであるにもかかわらず、そういうところにきちっとお金を貸していないとすれば、先ほど申し上げましたような、非常に単純化されたストーリーですけれども、そうであるとすれば、銀行はやはり自らの首を絞めていたということになりかねません。
 これ、ですから、ガバナンスなんです。ガバナンスがしっかりと働いていて銀行経営が機能することになるならば、こんなことは起こらないはずだというふうに思うわけです。しかし、現実には国債をたくさん買っていると。
 したがって、だから資産査定、自己資本、ガバナンスというこの三つをやはり同時に解決していくようなプログラムが必要であると、そのように判断をしたわけであります。
#58
○櫻井充君 大臣、今、リスクアセットを増やしたくないから国債の方に向かっているんじゃないかというお話しされていましたよね。
 ということは、金融機関は自己資本不足にもう陥っていると。本来であれば優良だと考えられるそういう企業に貸し出したいんだけれども、リスクアセットの問題があるから国債に走っていると、そうお考えなわけですか。
#59
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどは一つの可能性として私は申し上げたわけでありますけれども、それをもって資本が、もちろん資本との関係でリスクアセットの額というのは、リスク資産というのは影響を受けるわけでありますから、そういうふうな国債への投資という行動を取る場合に、これは自己資本が小さいというふうに見るのか、いや、リスクアセットの中に不良なものが多過ぎるというふうに見るのか、これは私は両方なのだと思います。
 いずれにしても、資産査定をきちっとして、不良な資産に関してはやはり粛々とオフバランス化を進めていく、同時に自己資本の充実とガバナンスの強化を図っていくという中で、トータルの銀行行動の中でこの問題を解決していくしか方法はないというふうに思います。
#60
○櫻井充君 リスクアセットの中に不良なものがあろうがなかろうが、一般の貸出しはたしかリスクウエート一〇〇ですから、不良なものがあろうがなかろうが関係ないんじゃないんですか。
 つまり、分子の部分の引き当てというところではかなり大きな影響を受けると思うんですよ。不良であれば、まあ七〇%ぐらいなんでしょうか、五〇から七〇ぐらいでしょうか、破綻先であれば一〇〇%の引当金を積まなきゃいけないというところで、むしろ大きな影響を受けてくるのは分子の方が大きな影響を受けるんじゃないんですか。
#61
○国務大臣(竹中平蔵君) いやいや、これは当然のことながら両方だということだと思います。片っ方だけということではないと思います。
 リスクアセットの中に、これはリスクアセットだからリスクを取って投資しているわけですから、当然、銀行から見ても高い収益を期待したいところであると。ところが、不良資産というのはそれができないわけでありますから、その分これがなかなか減らないということになりますと、その他の部分でリスク資産として運用する部門が当然影響を受けていくわけでございますから、櫻井委員がおっしゃっているような面もないとは申し上げませんけれども、これはやはり両方であると考えなければいけないと思います。
#62
○櫻井充君 今の大臣のお話は、あくまで金融機関側からの貸出しの問題なんですよね。金融システムというのは、借り手である企業の問題もあるわけです。そうすると、企業側は今どのように考えていると御判断されているんですか。
#63
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のとおり、今一連御議論させていただいたのは銀行の言わば貸出し行動をどのように考えるかということでございます。それに対して借り手の方はどのように今の問題を考えているだろうか。これはなかなか多様であるというふうに思います。
 間接金融が非常に高いウエートを占めてきた中で、間接金融に依存をできるだけしないようにする形での資金調達をするという大企業ももちろん、御承知のように、現実にはかなりございます。そういうところから見ますと、今のこの問題というのは、実はそれほど大きな問題ではないのかもしれません。
 しかし一方で、中堅企業、さらには中小企業においては直接金融の道というのは現実にはほとんど難しいわけでありますから、これは銀行に依存せざるを得ない。その企業も、当然のことながら、様々な自己の収益力の問題、将来に対する見通しの中で非常に多様な私はもう行動を取っているというふうに思います。貸出先を分散させるか、ないしは一か所に集約することによってその依存関係を強めるかというのも戦略でございましょうし、ないしは借入金をできるだけスリムにして自己のキャッシュフローの中でやっていこうというところも当然増えているわけでございます。
 ただ、いずれにしても、特に中小企業は間接金融、とりわけ銀行の融資に引き続き非常に強く依存しているわけでありますから、その点からいきますと、企業は銀行の今申し上げましたような融資行動の変化にやはり少なからず影響を受けているというのが現状であるというふうに認識をしております。
#64
○櫻井充君 ちょっとよく分からないんですが、要するに、企業側は今お金を借りて設備投資をしたい、つまりお金を要するに市場で流通させたいと、そう思っているか思っていないかです。その点はいかがですか。
#65
○国務大臣(竹中平蔵君) これはもう企業によっていろいろあるということなのだと思います。設備投資そのものはここ一年ぐらい停滞、一、二年停滞をしておりましたけれども、それにも少し、最近はちょっと、非常に短期では違った動きも見られておりますし、その設備投資の需要の中で様々な資金調達行動をしているということ、一般論で申し訳ありませんが、そういうことになるのだと思います。
#66
○櫻井充君 しかし、そこのところをきちんと分析しないと、なぜ金融システムが安定していかないのかという、そこの結論をなかなか得られないんじゃないかと思うんですよ。
 つまり、九八年に確かに金融危機を迎えたから、金融機関の健全性というのを求めたくなることはよく分かります。しかし、金融システムというか経済の大原則からいえば、金融機関の健全性と金融システムの安定化というのは違うと思うんですよ。
 つまり、金融機関が健全になったから、さあ後は企業、おまえら金を持っていけと、後は設備投資するなり何か仕事をしてくれというものではなくて、企業が何かの仕事をしたいと、しかし、今の自分のところに資金がないから金を融通してほしいということで金融機関に行くというのが、それは当たり前のことなんだと思うんですね。
 私が申し上げたいのは、要するに今、そういう意味で言ったときに、金融機関の実情で貸し出せないのか、企業が投資したいというような経済状況にあるのかどうかということなんです。今、優良企業は比較的、何というか無借金経営を目指そうとしている。つまり、借金を抱えてまで設備投資をするようなリスクを取りたくないということがあって、そのために市場にお金がまた回っていかないんじゃないだろうかと思っているわけです。
 その根拠となってくるのはやはり金利だと思っておりまして、もし企業側に需要が物すごく一杯あれば、供給サイドの方にその資本がそれほどないということになれば、金利は上がってくるはずなんですよ、一般的に、平均的な金利がですね。その平均的な金利が上がってこないということを考えてみると、供給サイドと需要サイドのことを考えてくると、需要サイドのことももう少しきちんとしていかないと金融システムは安定化していかないんじゃないだろうかと、そう思っているんです。
#67
○副大臣(伊藤達也君) 確かに需要サイドの問題は大変重要でありますので、その需要を喚起していくための政策というものは極めて大切だというふうに思います。
 私は長年、ある意味では産業サイド、事業サイドを見てまいりましたから、今、委員がおっしゃられるように、では産業サイドがどれぐらい資金ニーズがあるかということを考えていった場合に、特にベンチャー企業あるいはこれから有望だと思われる中小企業は、私は確かに資金ニーズはあるんだというふうに思います。しかし、それを十分審査できる能力が金融機関の側にあるのかと言えば、そこについては、更に金融機関として工夫をしていただく余地というのは相当にあるんではないかというふうに思っております。
 特にITの分野でありますとかベンチャーの分野、こうした企業家の方々といろんな形で接触をしてまいりましたが、自分の手持ちのやはり資金の中でしか今の積極的な設備投資というのはなかなかできない、本来であれば直接市場から資金調達をしたいんだけれども、しかしその限界性もある、間接金融にもっと大きな役割を果たしてほしい、そういう声もかなりありますので、そうしたものにこたえられるような金融システムというものをしっかり作っていくということも、経済構造改革を進めていく上にあっては非常に重要なことではないかというふうに思っております。
#68
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員のポイントは、要するに、今の金融システム全体を見ますと、貸出し市場、借入れ市場というふうに言ってもいいかと思いますが、供給の側と需要側のやはり両方の問題を考えなければいけないという御指摘なのだと思います。この点については私も全くそのとおりだと思います。
 金融システムの改革というのは、これはまあ資金の供給側の改革でありますけれども、需要の側についても政策全体としては目配りが必要であろうという御指摘に対して、私はそれを否定するつもりはもちろんございません。現実問題として、構造改革そのものの中には、需要を引き出すための様々な産業の発掘の戦略でありますとか、さらには、構造改革特区に見られますように、規制改革等を通して需要を掘り起こしたいと、様々なことを私たちなりに考えているつもりでございます。
 ただ一点、非常に明確に委員が金利の話をなさいましたので、要するに需要不足か供給不足かという非常に長い議論が、これはもう十年来、専門家の間でこの国で行われていると思います。
 結論から言いますと、これはまあそんなに簡単に決着はついていないということなんだと思っております。それは、確かに、もしも供給不足であるならば金利が上がるはずだと、それはそのとおりだと思います。しかしながら、これは名目金利で測るとそうだけれども、実質金利で見ると結構金利は高いという見方もあるわけであります。
 そういう点からいきますと、これはどちらかに偏ることなく、やはり供給側は供給側でしっかりとしていく、需要側については構造改革、規制改革等を通してしっかりと需要をつけていく。やはりそういう合わせ技のようなことを地道に構造改革の中で努力をしていくということになるんだと思っております。
#69
○櫻井充君 実質金利って今どのぐらいなんですか。
#70
○国務大臣(竹中平蔵君) 実質金利の定義は名目の金利から期待インフレ率を引いたものでありますから、期待インフレ率をどのように考えるのか、現状のインフレ率で考えるのか、過去の平均で考えるのか、もっと違う手法で考えるのか、幅はあると思いますが、幾つかの検証事例があるというふうに承知をしておりますけれども、やはり数%でありますでしょうから、過去に比べて決して実質金利は低くない、むしろやや高いという見方もできると私は思っております。
#71
○櫻井充君 そこのところが要するに幅がある。その幅の中で低いところを取ればそれほど高くないでしょうし、高いところを取ればきっと高いんでしょう。そこのばくっとした議論が本当に、要するにその議論が本当に正しいのかどうかというのは、これはまたやり始めたら大変なことになる。
 その前に、ちょっと先ほどの伊藤副大臣にお伺いしたいことがあるんですけれども、融資側が、例えばプロジェクトファイナンスができないということをおっしゃりたいんだろうと思うんですね。
 しかし、私は中小企業金融というのを見てくると、四十五、正確に言うと銀行が二つですから四十三行でも結構です。半年間に四十三行も破綻すれば自己資本規制を維持しようと考えるのは、これは当然のことなんだと思うんですね。
 そうすると、融資をしたくても、自分たちが例えば要注意先だと思って貸し出したようなところも破綻懸念先だと認定されるようなことが起これば、当然貸出しできなくなってくるんだと思うんですよ。ですから、中小企業金融という点でいうと、実態に合わない自己資本規制があるから金融機関は貸せないんじゃないんですか。それが一番大きな原因じゃないでしょうか。
#72
○副大臣(伊藤達也君) 今回の金融再生プログラムは、先ほど大臣からお話をさせていただいたように主要行に限定をしているものでございます。これから地域の金融機関をどうしていくかということについては議論を深めていきたい、そして、私たちとしても考え方を来年の三月末までにはまとめていきたいというふうに思っております。
 中小企業金融の実態については、委員御指摘をされていることも私自身も十分承知をいたしているつもりでありますし、いかに地域の金融機関の自己資本の質というものを良くしていくためにどういうことを考えていかなければいけないのかということも大変大きなテーマではないかというふうに思っております。
#73
○櫻井充君 これからと今おっしゃっていましたけれども、民間企業の九九%が中小企業なんですよね。そして、雇用者の八〇%が中小企業で働いているわけですよ。ましてや、金融機関の貸出しを見てくると、大企業向けの貸出しというのはそれほど減ってないんですよ。中小企業向けの貸出しだけはどんどんどんどん減っていますよね。ここ三年間で四十数兆円、もう五十兆円近く貸出しが減っている。そのことを考えてくると、本来やらなきゃいけない金融システムというのは、中小企業、中小企業向け金融の方を先にやるべきじゃないんですか。
#74
○委員長(柳田稔君) だれに答弁を求めますか。
#75
○櫻井充君 どちらでも結構です。
#76
○国務大臣(竹中平蔵君) 中小企業に対する金融が重要であるという点は、私たちももう痛感しております。
 しかしながら、この不良債権問題、この不良債権の問題によって経済効率全体が低下して、ともすれば何月危機、何月危機というようなことがささやかれもする。その一番大きなところをまずやはり解決しておかなければ、正にメガバンクにそういうような問題が引きずっていると、これはもう間違いなく中小の金融機関にも、中小企業にも及ぶというふうに考えているわけです。
 そこで、この不良債権問題に関して、まず主要行についてこの問題をしっかりと解決していけるような枠組みを作ろうと。その過程で、中小企業にないしは中小の金融機関に関しては、こうした主要行とはやはり違う、リレーションシップバンキングというふうに呼んでおりますが、収益を最大化するとかいうことだけではなくて、間柄、地域との関係等々を考慮した、やはり多様な観点からの取組が必要であろうというふうに思っております。
 今回も、主要行を対象としながら、しかし、例えばですけれども、中小企業に対する金融に関しては、新規の参入を積極的にする、ないしは新しい信託等を利用した新しい中小企業金融の仕組みを積極的に開発していく。そういうことを取り入れながら、まず主要行の問題を解決しようというふうに考えているわけでありますので、これは御指摘のとおり、中小企業に対する金融の問題は極めて重要であるという認識の下にこのプログラムを実行するとともに、できるだけ早くこのリレーションシップバンキングの在り方について結論を出したいというふうに思っております。
#77
○櫻井充君 同時にできるものなんじゃないんですかね。
 こういうことがあったんですけれども、前にもお話ししたかもしれませんが、仙台で徳陽シティ銀行が破綻した際に、仙台銀行がその債権を引き受けなきゃいけなくなったときに、当時の大蔵省に自己資本が足りないから数十億、公的資本を注入してくれないかと話をしたときに、今、都市銀行で手一杯だから後回しにしてくれ、後回しだと、そういう話をされたんだそうです。そこで仕方がなく仙台銀行ではどうしたかというと、劣後債かな、劣後債を発行して自己資本を調達したと。
 結局、いつの時代も大企業とかそれから都市銀行が先であって、日本の経済を支えている中小企業なり中小企業金融というのは後回しなんですよね。今、中小企業金融だって同時並行できるはずなんですよ、全然違うものなんですから。全然違うものなんですから。大企業は直接、直接金融で市場から調達できるでしょう。中小企業というのはほとんど一〇〇%に近く間接金融ですよ。そうすると、そこのところの貸出しがどんどん減ってきているというのは大問題なんです、企業にとってみれば。そのことになぜ手を付けられないんですか。
 アメリカに地域再投資法というのがあります。その地域再投資法があって、今年二月にFRBに行って聞いてまいりましたけれども、やはり地域金融にとっては極めていい法律であると。最初はマイノリティー対策から始まったものかもしれませんが、今は地域経済の活性化に極めて有用であると。それから、ある、ここ十年間で利益が十倍ぐらいに上がった金融機関の会長と先日お話しさせていただいたときも、地域再投資法というのは極めて有用な法律であって、自分のところでは二百三十万件のスモールビジネス、そこでの貸出しがあると。そして、アメリカで七〇%ぐらいの人が住宅を持てるようになっているのもこの地域再投資法のおかげなんだと、そういう話をされているわけです。
 我々は、全部が全部アメリカ版がいいとは思っていませんから、それの日本版である金融アセスメント法案を提唱させていただいて、その地域金融の安定化といいますか、そういうことに貢献できるんではないだろうかということで提案させていただいているわけですよ。この金融アセスメント法案に対して、竹中大臣はどのような評価を下されているでしょう。
#78
○国務大臣(竹中平蔵君) 櫻井委員、同時にできるというふうにおっしゃいました。いや、現実問題としては、同時に中小企業に対する金融の手当てはかなりしっかりとやっているつもりでありますし、やっていくつもりであります。
 先ほどにも申し上げましたけれども、今回、新規参入、この中小企業金融に対する新規参入を積極的に進めるというのは、これは私は、金融行政の点から見ますと、やはり非常に今までの政策をかなり前進させたものであるという御評価をいただけると思っております。また、今後お願いしようと思っております地域における再編、合併の促進に対するものも、取りあえず今、対応策として可能なものを積極的にやっていきたいというふうに考える我々の姿勢の表れであるというふうに是非御理解をいただきたいと思います。
 しかし、申し上げたいのは、やはりこのリレーションシップバンキングそのものについては、そもそもどういう理念で行っていくのかという根本的なところからやはり議論をして構築をしたいという思いがあるわけです。それで、そんなにしかし時間を掛けるわけにもいきません。ですから今年度中に、どのようにするかということはしっかりと議論をさせていただきたいと思います。その中で、コミュニティーに対する貢献のようなものとかをどのように考えていくべきかということは、当然に議論がなされていくというふうに思います。
 金融アセスメント法につきましては、私なりに勉強を今させていただいておりますけれども、例えば、特定の項目に基づいて政府が各金融機関の活動を評価するなり、報告徴求権や立入検査権を有する評価機関がどうこうするということがいいか悪いかということについては、これはやはりそのメリット、デメリットも含めて議論をしなければいけないと思っております。
 しかし、先ほど申し上げましたように、より広い立場でリレーションシップバンキングをどのようにこの国の歴史、風土を踏まえたものにしていくべきかということについては、是非しっかりと議論をしていきたいと思っております。
#79
○櫻井充君 一つの項目に関して、しかも立入検査ができて、だからどうでしょうとおっしゃいますが、じゃ、二兆九千億円の中小企業の貸出枠を確保しろと言って、立入検査して、ちゃんと実行していないじゃないかといっているのをやっているじゃないですか、金融庁、今。じゃ、これは何かデメリットあるんですか。
#80
○国務大臣(竹中平蔵君) 今のシステムといいますのは、銀行の自主的な判断に基づいて、自主的な計画に基づいて、それが実行されているかどうかを判断をさせていただくというものであると思っております。この仕組みそのものについても、さらには委員が御指摘になったアセスメント法案のような考え方そのものについても、やはりリレーションシップバンキングをどのように位置付けるかということの中でしっかりと議論をしていく問題であると思っております。
#81
○櫻井充君 金融アセスメント法案だってぐりぐりやっているんじゃないんですよ、これは。銀行の自主的な情報公開、それを促していくためにこういうことをやっているわけであって、考え方の根底は一緒だと思うんですよ。
 もう一つ言うと、アメリカのような、それこそ日本よりも市場原理絶対主義なんでしょうか、そういう国でさえ地域再投資法という法律があって、しかも我々が考えているよりもはるかに厳しいんです、要するに格付していますから。四段階に格付されていて、一番低く格付されたところは支店すら出せないというような、そういう罰則規定もあるという点でいうと、はるかに厳しい、厳しいこれは規制ですよ。そういうことをアメリカでは課しているわけです。我々のはもっと緩やかでしてね。
 それから、もう一度言わせていただければ、金融庁が今まで上からがんと、金融庁じゃなくたっていいですよ、大蔵省の時代から金融機関にこうせいと言っているような強制力を持っているとはとても思えません。我々は、金融機関に情報を公開してもらった上で、企業がどの金融機関がいいかを選べるようにしたいと言っているだけなんですよ。ですから、そこのところに規制だ何だと柳澤さん何回もおっしゃっていたけれども、私は全然その認識が違っていると思うんですね。
 もう一度お伺いしたいんですが、その辺のことについてどうお考えですか。
#82
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的に、主要行を考える場合の、グローバルな活動をしている銀行の行動原理とコミュニティーに根差した銀行の行動原理、これは私はやはり違うと思います。その点は櫻井委員がおっしゃっていることと私たちが考えていることの間に基本的な差異はないのだと思います。またアメリカも、その意味では同じように、グローバルバンキングとリレーションシップバンキングについては、これは違うという考え方で行政を進めているんだというふうに私も認識をします。
 しかし、そのリレーションシップバンキング全体について、どのようにその行動原理を考えていったらどうなのかというその根本的なところの議論が、残念ですが、私たちの社会にずっと欠落していたというふうに思います。そうした点をやはり是非しっかりと踏まえてみたいというのがこの金融再生プログラムを作った上での私たちの考え方でございます。
 繰り返し言います。急いでやらなければいけないことは、中小企業の金融に対してはございます。これについては、地域金融機関の再編、ないしは新規参入促進等々をしっかりとやってまいります。その上で、リレーションシップバンキングそもそもについて是非議論を深めて、その際に今御提示されている様々な考え方はどのように位置付けていったらよいかということをしっかりと議論をしていきたいと思っております。
#83
○櫻井充君 再編すると、何でその地域金融のシステムが安定化するんですか。再編してやったら、なぜ安定化するんですか。
#84
○国務大臣(竹中平蔵君) 金融機関がしっかりとした財務的基盤を持つということは、何より安定的な資金供給を行うための重要な基盤であるというふうに思っております。その財政的基盤を強くするということは、これはこれでやはり私は重要なことであるというふうに思っております。
#85
○櫻井充君 単純に合併して、財政基盤って安定化するんですか。
#86
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、もちろん合併そのものは非常に戦略的に経営戦略をしっかりと立ててやられるものだと。これはもちろん民間金融機関同士がそういう意思の下に合併するわけでありますから、当然のことながら戦略的に再編をしていただかなければいけないというふうに思います。
 しかし、やはりある種の、財務的に見ればですけれども、ある種の規模の経済というのは発揮されるでありましょうし、それに関連してそれを促進するための幾つかのメリットが付与されれば、そういった効果は更に高まるというふうに思います。
#87
○櫻井充君 そうしますと、大臣のお考えですと、信金信組よりも地銀や第二地銀の方が地域に対して融資をしていると、だからそういう規模のものを全部作っていきましょうというお考えですよね。本当に地銀とか第二地銀って貸し出していますか。
#88
○副大臣(伊藤達也君) 大臣がおっしゃろうとしているのは、規模のメリットといいますか、戦略的な合併というのもあるかもしれないけれども、一方で、やはり金融機関のこれからの質、あるいは地域の中小企業のニーズにこたえられるようなしっかりとした資金仲介機能というものをより持っていく方向で地域金融機関の将来性というものをどう考えていくのか、こうした議論も非常に重要だという認識を持っているということであります。
 しかし、その方向性については、先ほどからもお話がありますように、国会でも様々な御意見があり、またそれぞれの党でもいろいろな考え方があるわけでありまして、私どもとしてもそうした声に耳を傾けながらこれからの方向性というものをしっかり導き出していきたい。そして、委員が繰り返し御指摘をされているように、日本経済を再生させていくためにも中小企業が極めて重要であるという認識は、これは共通した認識ではないかというふうに思っております。
 そうした意味で、中小企業に対して円滑に資金を供給していくためにも、地域の金融機関の在り方について、私どもとしても、主要行の問題と重ねてしっかりとした方向性を打ち出していきたいというふうに思っております。
#89
○櫻井充君 要するに、今、合併なんです、市町村もみんな合併なんですけれども、合併して大きくなれば何でもいいというものじゃないと私は思うんですね。例えば、医者的な感覚で話をしますと、大学病院があって、国立病院のクラスの病院があって、二百床クラスの病院があって、開業医さんがいるのと同じように、金融機関だって、メガバンクがあって、ある程度の規模の金融機関があって、そして開業医さんと同じような信金信組があって、極めてうまく、本当であれば、役割分担してやるとそれなりの機能を発揮するはずなんですよ。それをみんな画一的な大きさにしようとしている。これは町も同じですけれども、そういう方針というのはおかしいと思うんですよ。
 そして、今回、何か小さければみんな危ないと思って預金を引き揚げていったりとかなんとかしますけれども、決してその小さいところだって極めていい金融機関だってあるわけですよね。そこら辺を本当にきちんと生かそうとされているのかどうか、私は甚だ疑問でならないわけです。
 なぜならば、合併したときにはインセンティブ掛けて、何かね。何らかのメリットがありますよみたいな話が随分報道されるわけですよ。そうすると、金融機関自ら考えてやってくださいとおっしゃっていますが、これは国の方針でやっているわけじゃないですか、違いますか。
#90
○国務大臣(竹中平蔵君) 重要な点は、地域の言わば中小金融機関に関しても様々な戦略性があるということだと思います。正しく、非常に規模を小さいままにして非常に質の高いサービスを特定の地域に供給することによって高い評価を得て、高い安定性を得て生き延びていく金融機関も当然あるし、私はそれはそれで大変必要な重要な問題だと思います。
 しかし、同じ地域といいましても、少し地域を広げながら、かつ少し言わば規模の利益を出したいと考えているところも当然あるわけであります。国が一律の基準であなたとあなたは合併しなさいというようなことでありましたら、これは大変大きな問題であろうと思いますが、そうした判断も含めて自主的な言わばその創意工夫のようなものを、新しいそれぞれのビジネスモデルを期待しているというのが現状でございまして、決して何か押し付けてどうこうしているというふうには私たちは全く思っておりません。
#91
○櫻井充君 大臣、今地域でよく貢献している金融機関があって、それは評価するとおっしゃいましたが、どういう評価の仕方があるんですか。現時点で金融機関を測っているのは健全度だけじゃないですか。BIS規制だけじゃないですか。だから我々は、地域に貢献している金融機関がこういうところは貢献していますねということをきちんと示すために、金融アセスメント法案のような法案を提出させてもらっているんです。それを担保している法律ないじゃないですか、現在。
 そして、もう一つお伺いしますが、銀行の公共性って何ですか。銀行の公共性というのは一条にうたわれているけれども、それを担保している法律が今ありますか、この国に。
#92
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、基本的な考え方でありますけれども、評価というのは、やはり利用者、預金者、投資家、貸手がなすべき、正に市場が、国民がなすべきであるというふうに思います。監督上、一つの例えば自己資本比率等々でその比率を基準に様々な早期の是正等々をやっていくというのと、その評価というのとはこれは違うというふうに思います。
 公共性でありますけれども、銀行の業務につきましては、決済システムの担い手、言わば決済を通して信用秩序を支えるということ、それと国民の資産である預金を受け入れ預かるということ、それと資金仲介機能を通じて、これは経済に対してその資金を供給する、マネーを供給すると。銀行についてはこの業務の公共性にかんがみて銀行法第一条において、信用秩序の維持、預金者等の保護及び金融の円滑化を図る観点から健全かつ適正な業務運営を行うことが求められている、そういう趣旨にのっとって我々が正に行政を行っているわけであります。
#93
○櫻井充君 それは、ですから公共性が担保されているかどうかは、今度は行政が判断しているんじゃないですか。行政がそういうふうに行うように、行政側が行っていると今おっしゃいましたよね。
 それからもう一つ、それは正しく市場が判断するんだとおっしゃいましたけれども、じゃ市場は何をもってして判断するんですか。どういう項目をもってして判断するんですか。その判断する材料がないから、判断する材料を提供したらどうですかといって、我々はこういう金融アセスメント法案を提唱しているんじゃないですか、違いますか。
#94
○国務大臣(竹中平蔵君) 銀行に対する国民の判断は非常に多様であるというふうに思います。非常に長期的に安定的な取引をずっとこの銀行はしてくれた、非常に安定的な財務基盤を維持しながら地域に貢献してくれた、そうした評価そのもののやはり多様な、多様性といいますか多様な評価は、これは現実に今国民によって行われているわけで、評価があるからこそ銀行に対する、やはり借り手から、預金者からの選別というのも現実に起こっているわけで、この評価というのは、市場において行われる評価というのは、それはそれで重視をされるべきであるというふうに思っております。
#95
○櫻井充君 そうおっしゃいますけれども、昨年、公正取引委員会から企業と金融機関の不公正な取引慣行の実態というのが出てきています。そこの中で、六割の企業が金融機関を変更するとは考えられなかった、そう答えているわけですよ。ですから、金融機関を選んでいるなんという、そういう実態とは全然違いますよ、ここは。大臣、そこはきちんと認識していただきたい。
 そして、何回もお伺いしますが、なぜ我々が提案しているような、市場で評価できるようなそういう情報公開を積極的に進めていこうという、その法案に対してそれを取り入れていこうと判断されないのか、そこがよく分からないんですよ。その点について説明していただけますか。
#96
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどから申し上げておりますように、リレーションシップバンキングの在り方については、委員御提起の点も含めて、その在り方そのものをしっかりと議論をしたいと思います。
 ただ、現状で、これは一般論として申し上げますけれども、規制・監督当局が何らかの一つの指標に基づいてラベルを張るということの是非というのは、やはり私はあるのだと思います。例えば、企業に対するレーティングというのを政府が行っているわけではございません。これは民間の企業が、レーティングの格付企業が行っていると。将来的にはそういう企業が出てきても不思議はないと思いますし、NPO、NGO等々でそういうところが出てきても不思議はないと思いますが、私は、こういう成熟した市民社会において評価というのは大変多様であるべきだというふうに思います。規制・監督の当局がラベルを張るということの是非というのは、やはりしっかりと検討していく必要があると思っております。
#97
○櫻井充君 規制・監督をやるところがその評価機構になれと我々言っているんじゃないですよ。金融の円滑化に関する評価委員会というのを別に作るんですから、そこは誤解のないようにしていただきたいと思いますし、最後に一言。
 今回の改革加速のための総合対応策の中に、「やる気と能力のある中小企業」に対して積極的に融資をという、そういう文言があります。「やる気と能力のある」って、どういう基準で判断されるんですか。これは失礼ですよ。みんな一生懸命やっているにもかかわらず、やる気と能力があるなんて、こんな書き様はないじゃないですか。是非、将来を見据えた展望が開けている企業だとか、もう少し具体的に書いていただかないと、これは大変私は失礼だと思いますので、ここの文言だけは取り消していただきたいと思います。
 終わります。
#98
○大塚耕平君 おはようございます。民主党・新緑風会の大塚でございます。
 塩川大臣、速水総裁、竹中大臣におかれては、この難局に重責を担われておられますことに本当に心から敬意を表したいと思います。また、竹中大臣は櫻井議員の鋭い質問に一時間耐えていただいて、残りの五十分はちょっと自由な議論をさせていただきたいなと思っておりますが。
 今日はお手元に、また時間が余りありませんので、議論が拡散しないように資料を作りましてお配りをさせていただきました。
 この一ページ目にありますのは、おっしゃるように、これは「論客」なんというのは大変僣越なことを週刊朝日に書いていただいて、私、竹中大臣とこうやって並べていただけるのは、これは末代までの誉れだと思っておりますけれども、申し上げたいのは、櫻井さんと私は、実はこれを見るとこんなに距離があって、仲が悪いんですよ、実は、最近。竹中大臣と私の方がずっと距離が近くて。事ほどさように、与党も野党もこれほど議論が錯綜していて、私が申し上げたいのは、経済政策には絶対これが正しいなんということは多分ないだろうなと、やってみなければ分からないということをちょっと申し上げたくてこの絵を付けさせていただきました。
 さて、今日は、せんだって発表されました総合デフレ対策や金融再生プランに絡めたお話をちょっとお伺いしたいんですが、竹中大臣は貸し渋り・貸しはがしホットラインというのを今度の発表された施策の中で設けられて、大変結構なことだと私も思います。是非、いろんな情報が入ってきたら、場合によっては行政指導もやるというふうにお書きになっておられますので、相当悪質な話が入ってきたら厳しく行政指導をするということでよろしいですか。そこをちょっと確認させてください。
#99
○国務大臣(竹中平蔵君) 貸しはがし、貸し渋り、そういった不当なことが起こらないように金融庁としては最大の努力をしたいと思っております。ここでの情報を活用して、それを検査に生かして、更に必要な措置が、行政として取れる措置はしっかりと取っていくという覚悟でやっております。
#100
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 それぞれの先生方がそれぞれの選挙区でいろんな話を耳にしておられると思いますけれども、私の地元の愛知県でも本当にいろんな話があって、例えば、どこの銀行とは申し上げませんけれども、バブルのころもひところ話題になりましたが、バックファイナンス付き融資というやつですね。バブルのころは、お金出しますからこれで不動産買ってくださいとか株買ってくださいということで、それで随分うまい話に乗っちゃって大損をした人が一杯いるわけですが、去年の年末から今年の年度末にかけて、自行の株を買ってくださいと、そのために融資をしますので自行の株を買ってくださいと言って随分営業して貸し込んだ銀行があるわけですが、これはエビデンスは私の手元に一杯ありますけれども、この年末に向けて、自行株買上げを推奨するためのバックファイナンス融資というのは厳禁であるという行政指導を紙でお出しになるおつもりはありますか。
#101
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、不当な、いわゆる優越的な地位を利用して、それに基づいて健全な取引関係をゆがめるようなそういう行為をしてはならないというのは、これは公正取引上の当然のことの、私はむしろ法律体系が既に存在しているというふうに思います。
 それそのものに対して何かアクションが取れるかどうかということについては、ちょっとこれはなかなか難しい点があるかもしれませんが、そういう問題が生じないように、これは公正取引の当局等々とも相談をしながら適正に処理をしていきたいと思います。
#102
○大塚耕平君 どういう難しい問題があるんでしょうかね。僕は竹中大臣に期待しているんですよ。前から申し上げているように、空理空論をするだけだったら国会にこんなに大勢人間が集まって議論をする必要は僕はないと思っていますから。自行株買上げのためのバックファイナンス融資は禁止すると紙一枚出せばいいわけですよ。禁止すると言ってくださいよ。言ってくれないと、この見取図で私の距離がどんどんどんどん離れていっちゃうんですけれども。それは断言してくださいよ。
#103
○国務大臣(竹中平蔵君) バックファイナンスのいわゆる好ましくない取引というのはたくさんあると思うんですね。その好ましくない取引を例示するということが、例示で一つか二つを示すということが行政の在り方として良いかどうかというのは考えさせてください。
 しかし、そういうことが本当に懸念されるというような状況であるならば、これはいわゆる非常に強い要請をするというようなことは、これはしっかりとやらなければいけないと思います。
#104
○大塚耕平君 そういうことをおっしゃっていると証拠が表に出ますよ。僕、委員会終わってから記者会見やってもいいですよ。
 大臣、これはだれが聞いても、別に与党の皆さんだってこれ賛成するわけないんだから、そういうことをやっていいって。賛成するわけないというのは、バックファイナンス付き融資がいいなんてだれもおっしゃる方いないはずですから。これは禁止すると、そんな簡単なこともこの国会の場で断言できないんだったら、大臣、意味ないですよ。
 でも、何度聞いても同じ答えでしょうから、もう一つお伺いしますけれども、貸し渋り、貸しはがしという現象がどういう形で起きているかというのは、これはやはり先生方聞いておられると思うんですが、例えば三か月ごとに貸出しの契約をロールオーバーするときに、今まで二・一二五で借りていたのを、次の三か月後には三・一二五じゃないともう貸しませんよということを言ってくるわけですよ。そうすると、さすがにお金がないと困るから、じゃ三・一二五はいいですと。じゃ次は、三か月後に、じゃ今度四・一二五だと、一%ずつ上げてきているような例が、これまた具体的な例が一杯あるんですけれども、例えば、その発射台の高さにもよりますけれども、二・一二五という金利を三・一二五に上げるという、こういうことはやや度を過ぎた金融機関側の行動ではないかといってホットラインに電話が入ってきたら、電話じゃないんですね、あれ実はメールとファクスだけだと聞いていますけれども、そういう情報が入ってきたら、それについてはどう御判断されますか。
#105
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、委員は銀行の活動に大変お詳しいですから言うまでもありませんが、それは個別の金融機関としてのリスクの評価とその条件の設定をどうするかという正に経営の判断の問題であるというのが基本であろうかと思います。重要な点は、繰り返し言いますけれども、これが何らかの貸手であるということの優越的地位を濫用する形で行われているかどうかということなんだと思うんです。
 先ほどの御指摘にも絡みますけれども、委員御指摘くださったようなお話、それと私たちなりにも一生懸命情報を集めておりますので、そういうことが生じないように、いわゆる貸し渋り、貸しはがしが生じないように、金融機関に対する要請というのはこれまでも行ってまいりましたけれども、より強い形で何らかの要請をしていくということは、これは考えなければいけないと今の時点でも思っております。
 もう一つは、これは政府の窓口としては、優越的地位を濫用ということでは公正取引委員会の窓口がございます。私は是非そこをやっぱり活用していただきたい。公正取引委員会の方で優越的地位の濫用であるということになれば、これはもう当然、我々としては、行政としてはしっかりと対応をしなければいけないと思うんです。そこの公正取引委員会との連絡とかというのは、これはどのようなやり方があるかということを今考えておりますけれども、これはもうしっかりとやります。金融機関に対しては直接の要請をする、公正取引委員会を通して、そことの連携を強める形で、そういった問題に対する防御というのは、これは私としても是非ともしっかりとやっていきたいと思います。
 ただ、今申し上げましたように、民間のいわゆる自治行為に対して、それに対してやはり行政の枠組みの中できちっと対応する必要があると思いますものですから、この点は今申し上げましたように、私たちとしてはしっかりと要請をしながら、公正取引委員会との連携を強める形で対処をしていきたいと思っています。
#106
○大塚耕平君 いや、竹中大臣が歯切れの良さがなくなったら意味ないですね。柳澤さんに戻っていただいた方がいいと思いますよ。
 私の地元の同世代の企業経営者も、例えば青年会議所とかそういうところで竹中さんを、教授時代の竹中さんを講師で呼んで、みんな竹中平蔵さんすごいなと言っていたわけですよ。そういう人たちが今申し上げたような金利交渉にさらされていて、竹中さんの答弁をみんな聞いているんですよ。これは大変がっくりしますよ、みんな。
 今聞いてくださっている与党の先生方も、例えば今年の年末に、また借りたくない企業に自行株を買い上げてくださいといって銀行が貸しに行って、片や、本当に貸してほしい企業に一%引き上げないと貸しませんよというような行動は、それはやはり度を過ぎた行動だという行政指導を発するのが金融庁の本来の仕事であって、この部分についてそういうよく分からない答弁をされるようでは、私も大変残念だと申し上げざるを得ないです。
 不良債権処理をきっちりやっているかやっていないかとか、査定基準が厳しいかどうかとか、そういうことは見解の差はあると思いますし、現に櫻井さんと私もこんな仲悪いですから、それはいいですよ。だけど、今申し上げたような具体例について金融庁としてきちっと対処できないというんだったら、金融庁解散ですね、と思います、私は。多分、伊藤副大臣も同じような気持ちだと思いますよ。どうですか。
#107
○副大臣(伊藤達也君) 個別の問題についてどうするということはやはり私たちの立場からは申し上げられませんが、ただ、今お話がありましたように、このホットラインを設けた理由というのは、私ども行政が今まで以上に中小企業者の方々の現実の置かれている状況というものをできるだけ正確に把握をして、それをこれからの検査・監督行政の中にしっかり生かしていくということが趣旨でありますので、そういう意味では、委員が御指摘をされている問題意識というのは、私自身は十分共有をしているつもりでありますし、また、今までここに構成されている委員の先生方も、各地元の中でいろいろな具体的なケースというものを見てこられているわけでありますから、しかし私たちとすれば、それを実態をしっかり把握をした上で、適時適切な監督行政をやらなければいけないというところがございますので、そうしたものを十分把握をした上で今後の監督行政の中に反映をしていきたいというふうに思っております。
#108
○大塚耕平君 伊藤さん、我々の世代はやっぱり先輩たちが繰り返してきた間違いを繰り返してはいけないんで、言葉だけの答弁ではなくて、そういう答弁だったら高木長官が来てやればいいわけですから、やっぱり伊藤副大臣にはもっと行動につながるような御答弁を今後も期待していますので、どうぞよろしくお願いします。
 この問題については今日はこのぐらいにいたしますが、金融庁にはきっちり対処していただきたいということをお願いしておきます。
 資料をちょっとごらんいただきたいんですけれども、資料の二、右肩のところに通し番号が付けてございますので、資料の二というのをごらんいただくと、「主要行の中小企業向け融資の現状と融資全体の担保構成」と、こうなっているわけですね。このUFJとあさひですか、大変実績が、中小企業向け融資の実績が計画に比べて低いのでこの間、行政指導というか注意をされたと思うんですけれども、それは大変結構なことだと思っております。引き続ききっちり御対応いただきたいなと思います。
 実は、ちょっとお伺いしたいのは、私も意外だったんですけれども、その下の数字なんですけれども、今、私どもの党は、昨日も党首討論で鳩山さんが小泉総理にお願いしたように、個人保証というのが余りひど過ぎると、中小企業の経営者がいざというときはもう首くくってでも債務を返済するという行動を取るので、それはよろしくないんじゃないかということを申し上げたわけですね。
 ところが、融資の担保の状況を見ると、ごらんのように全国銀行ベースで見て、人的保証というのは三八・九。確かに、これ過去十五年間ぐらいのピーク、ボトムなんですけれども、八八年ぐらいに比べると一〇%上がっていますので、こういうところを何とかしなきゃいけないとは思うんですが、意外だったのは、不動産担保がもっと多いかと思ったら、一九・六、メガバンクでも一二・〇なんですね。むしろ減っていると。
 それで、アメリカの銀行なんかはそういう事業や人的なクレディビリティーに融資をするんだというふうに、これまでずっとそういう認識で議会の質疑が行われていたと思うんですけれども、米国銀行は、これ統計の定義が分からないので今断定はしませんけれども、不動産担保融資って四七・五%もあるんですよね。
 これ、通告していませんので、僕もまだこれがどういうことなのかよく分からないんですが、この数字をごらんになって、今まで日本は担保融資、特に不動産担保融資が多過ぎるから地価が下がって大変なことになっているという論調でずっと議論がされてきたと思うんですが、どう思われますか、この数字を見て。所感で結構です。はい、竹中大臣。
#109
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、委員もおっしゃったようにちょっとにわかには判断し難いところがございますけれども、日本の場合、やはり個人保証にしても物的担保にしても、いわゆる間接金融、銀行貸出しのウエートそのものが非常に圧倒的に大きいということによって、例えばですけれども、アメリカでも私の知る限り銀行貸出しに個人保証を取っているものはかなりあるというふうに思います。
 しかしそれが、銀行貸出しのウエートが圧倒的に多いことによって、社会全体の中で個人保証、物的担保の存在感というのは非常に大きくなっているというのがむしろ現実なのではないかなと、以前からそのように認識をしておりますが、これもそれを一つ裏付ける可能性のあるものかなというふうに今思いました。
#110
○大塚耕平君 そこでお願いをしたいんですけれども、日銀と金融庁におかれては、やはり金融機関の担保の実態、これをもうちょっときちっと整理をして、レポーティングを委員会にしていただきたいなと思います。
 並びに、この中小企業向け融資といっても、実は日本やアメリカの中小企業がどういう特徴があって、どういう違いがあるから日本の中小企業がこんなに苦しくなっているかとか、実は分かったようで分からないんですね、正直言って私も。したがって、その辺について日銀、金融庁それぞれ分析をした調査結果を委員会に報告をしていただきたいということで、資料を要求したいと思います。委員長、よろしくお願いします。
#111
○委員長(柳田稔君) 後刻、理事会で諮りたいと思います。
#112
○大塚耕平君 次に、資料の三から五をちょっとぱらぱら見ていただきたいんですが、今日は少し持論も申し述べさせていただきたいんですが、この資料の三というのは、先ほども経済政策はこれが正しいなんということはないんだというふうに申し上げましたけれども、本当に私そう思っておりまして、例えば景気対策、デフレ対策、財政再建、不良債権問題、産業再生だとかいろんなことを言われていますけれども、私なりの頭で整理すると、実は不良債権問題や景気対策をこれごっちゃにしては私いけないと思うんですよ。
 ここに書いてありますように、景気対策というのは、つまり日本全体を企業に例えれば、GDPを増やすために物の量がどれだけ売れるかという話ですね。デフレ対策というのは、価格が低過ぎるから困るという価格の話ですね。財政再建というのは、日本の産業全体を、日本株式会社を運営していくに当たってどれだけのコストが掛かるか、なるべく低いコストの方がいいという、こういう話ですから。実は、景気対策とデフレ対策と財政再建というのはこれは同じレイヤーの話であって、どれも重要だと私は思っているんです。
 当然、ミクロの世界では企業や家計がいろんな行動を取って、まあ今大変な状況になっているわけですが、その中間にある不良債権問題というのは、これは銀行だけに任せておいてもうまくいくものでもないし、かといって、じゃ政府が何とかしてくださいといって銀行が知らぬ顔しているのも、これもよろしくないと。したがってこの中間に位置する領域だと思うんですね。したがって、産業再生というものも同じような位置付けで、企業任せにもできないけれども、かといって、政府で何とかしてくださいといって企業が寝転がるのもよろしくないという意味で、今それぞれの項目について知恵を絞ってやっておられるという構図自体は私は正しいと思います。ただ、その中身が果たしてちゃんとしたものであるかどうかというところは一つ問題がありますし、それは与野党間で議論があるところだと思います。
 もう一ページめくっていただきますと資料四というのがあって、これは、中央銀行を中心にした真ん中の流れは、これ当然資金の流れですね。もう皆様方には釈迦に説法ですからあえて申し上げませんが、幾らハイパワードマネーを提供してもなかなか民間企業に流れないというところが問題があると。そして、民間企業側は、民間経済との関係においては供給過剰にあって需要不足だと。だから、左のルートですね、歳出官庁をぐるっと回ってくる塩川大臣が御担当になっておられる部分で、歳出をちゃんと出して景気対策をやりたいと。しかし、斜めに「漏出」と書いてありますが、変なお金が出ていっちゃうわけですよね。
 ただ、これは、過去一年この委員会で大変生意気なことを一杯言わせていただいておりますが、例えば、後でごらんいただきたいですが、資料九に、政府がIT予算について業者依存で割高発注なのできちっと見直すということをやっておられて、新聞も取り上げておられて、こういう歳出の漏出の部分については努力をしていただいているというのは、この委員会でも取り上げさせていただいたことをきちっとやっていただいているということだと理解しておりますので大変感謝をいたしますし、引き続き歳出の漏出とか無駄をなくすということをやらない限りは、財源は限りがあるわけですから絶対に良くならないと思いますので、そこはお願いしたいと思います。
 そして、次に資料の五でありますが、ここでちょっと竹中大臣と議論をさせていただきたいんですが、これまで数年間の議論で、今の日本の不良債権問題、先ほどの中間に位置する、中間のレイヤーに位置するこの問題は、実は、金融機関を健全化すればいいんだという話ではなくて、幾ら金融機関が健全化しても、さっき櫻井さんが言っておられたように、ちゃんとお金貸してくれなきゃ意味ないじゃないかと。前の資料四で言うと、民間企業と市中金融機関の間のこの矢印が太くならないと駄目じゃないかという、ようやくこれはもうほぼマスコミも含めてきちっと皆さんのコンセンサスができていると思うんですね。
 そこで、竹中大臣が今おやりになろうとしている不良債権問題の処理、金融システムの安定という話は、この不良債権処理も、そして金融機関が健全な融資機能を復元するということももちろんやりますと、しかしそれは一定のルールの下で自主的に行うと、これがちゃんとできないところはもう公的資金入れて国有化するよと、こういうことを言っておられるわけですよね。基本的にこういう認識でよろしいですかという質問をまずさせていただきますが。
#113
○国務大臣(竹中平蔵君) 非常に一般的な書き方をしておられる概念図でありますので大きな方向ということだと思いますが、これに関して言うならば、破綻したら国有化、国有化というのは何を意味するかというのはちょっとございますけれども、概念としてはそのようなことだと思います。
#114
○大塚耕平君 私もこの期に及んで国有化はやむを得ないなと思っているんですが、若干、竹中大臣と私の認識の違うところは、例えば、自主的に不良債権問題を処理して健全な融資機能を復元するというこの@、Aを本当に金融機関が自主的にできるんだったら、この十年間でとっくにできているはずなんですよ。この十数年やってできなかったものを今から新しいルールを作って自主的にやってくださいといって、できる保証は何もないですね。
 だから、実は私は竹中大臣よりも表面的に聞くともっと激しいことをあちこちでしゃべっているんですよ。僕は金融産業全体をいったん国有化した方がいいですと申し上げています。それは、もうこの@とかAということを自主的に行うということはちょっと難しくなってきているんじゃないかなと。
 だから、国有化というとすぐ銀行の経営者の皆さんも過剰反応しますけれども、しかしこれは、産業として金融産業というのはなくちゃ困るわけですから、産業としての金融をどうするかというときに、いろんな不運もあってもうもはや自助努力ではどうにもならないということであるならば、金融産業全体をこの際いったん国有化して、例えば五年間のタイムリミットを与えて、四年目ぐらいにある一定の数値基準を達成するということを目標にして、その間、金融庁は口挟まないですよ、経営はもちろん彼らの自主性に任せる。そして、きちっとできたところは五年後に再民営化すれば、そこで働いている銀行の皆さんだって、きちっとした姿に立て直せば再上場益も得られるわけだし、やる気も出ますわね。
 だから、竹中大臣が言っておられることと私の頭の中にあることで、この上と下の四角の中をちょっと見ていただきたいんですが、竹中大臣のやろうとしていることは、大臣の意思は別にして世間はどう受け止めているかというと、破綻したら国有化だというメッセージで伝わっているわけですよ。金融機関はひょっとしたら破綻するじゃないか、だから国有化になるぞといって戦々恐々として、一部のメガバンクなんかは何かプロパガンダペーパーを作って行内で配付しているという、こういう事態になっちゃっているわけですね。
 私は、そうじゃなくて、国民の皆さんに、もうこれは緊急事態なんですと。この後、日銀の株式所有の話もやらしていただきますが、日銀がそんなことをやらなくちゃいけないぐらいの緊急事態なんだから、破綻させないための国有化をいったんしますというふうにかじを切られた方が国民も安心するし、その後は金融機関が一定の期間の中で自助努力で、それこそ。ただし、ただしですよ、ただしそうはいっても余り露骨にひどいことをやるところについては先ほどの話のようにきちっと御指導なさらないと、金融庁の存在意義がないわけですから。そんなふうに思うわけであります。
 それで、もう一ページめくっていただくと、資料六に、これは日銀がこの間お出しになった資料を使わしていただいていますが、日本の金融機関は貸出し利ざやというのがほとんどずっと変わっていないわけですよね、余り変わっていない、これ左側のグラフですけれども。アメリカに比べたら低いと。しかし、これはバブルのころだってずっと低かったわけですが、日本は信用コストが低かったから、利ざやが低くても別に良かったと。あとはスケールメリットで、貸出しの量を稼げば収益の絶対量が増える、こういう構図だったわけですよね。
 今、信用コストがぐっと上がってきた。これは日本の経済や金融構造全体の問題なんですよ。これを、さっきの具体例で申し上げたように、個々の金融機関に、じゃこの信用コストを個別の企業との融資行動の中でカバーしろといって一%の利上げを三か月単位で要求したりとか、そういうことをさせるというのは、不良債権問題がマクロとミクロのレイヤーにあるということをもう一回思い出していただきたいんですが、現場に任せ過ぎなんですよね、それは。日本の経済とか日本の金融産業全体の問題でこの棒グラフにあるように信用コストがこんなに高くなっているとするんだったら、それを金融機関がカバーするということを個別の融資現場でやらせちゃだめなんですよ。
 だから、私はもうそれを、個別の融資現場でこんないろんなことが起きるような事態でしか現場が処理できないんだったら、金融産業というのはいったん五年間国有化します、一回全員が頭をクールにしてどうするべきかを考えますという、破綻させないための国有化をやっていただきたいということを申し述べさせていただいて、この後は日銀の話に移らせていただきますので、竹中大臣のちょっと所感を、短くて、三十秒ぐらいでお願いしたいんですが。
#115
○国務大臣(竹中平蔵君) 大塚委員のお考えは、お考えとしては一つの整合的なといいますか、コンシステントな面があるお考え方だというふうに思います。問題は、日本のように世界第二位の規模を持った私経済においてそういうことが本当に現実的かどうかという問題に尽きていると思います。
 スウェーデンはある意味で、韓国はある意味でそれに近いことをやったのかもしれません。そこはやはり経済の規模、成熟度等々を考えた現実的な対応策というのがあり得るのだと思っております。
#116
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 いずれにしても、今後も議論をさせていただきたいと思います。
 次に、今日は日銀総裁にもおいでいただいておりますが、株式取得の話をさせていただきたいと思いますが、冒頭に自分の立場を明確にさせていただきますが、私は日銀の株式取得に関しては反対でございます。そういう立場で幾つか、技術的な質問については理事にお答えいただいて結構でございますが。
 資料七をごらんいただきたいんですが、今回、もうすぐ実際に株式を取得されるということかと思いますが、信託商品といってもごらんのように一杯あるんですね。どれでおやりになる御予定でございましょうか。
#117
○参考人(三谷隆博君) お答えいたします。
 ここにいろいろ典型的な信託契約書いてございますけれども、私どものは言わば特殊な信託と申しますか、日本銀行と信託銀行の間でつい先日決めたわけでございますけれども、やや特殊な契約をこちらの方からお見せして、これにこたえられる信託銀行ということで信託銀行を選定しているわけでございまして、これでいきますと、あえて言えば特金とかそういうところに近いのかもしれませんけれども、こういう典型的な一般的な商品とはやや違うオーダーメードなものというふうにお考えいただければと思います。
#118
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 そうすると、あえてどれに近いかといえば特金という今お答えだったんですけれども、日銀は議決権を行使しないというふうに言っておられますが、オーダーメードの商品ですから、商品というか契約ですからこの図のとおりにはならないと思いますが、しかし特金に近いとすれば、議決権は、これは商品の性質上、委託者に残るわけですが、どういう形で議決権は行使しないということを発行企業に対して担保をされるわけですか。
#119
○参考人(三谷隆博君) お答えいたします。
 もう先生には御説明する必要もないことでございますけれども、元々この株式の保有というのは金融機関のリスク軽減を促すということを目的としているものでございまして、日本銀行としてこれを奇貨として企業の経営に影響力を及ぼそうということは毛頭考えておりません。
 そういった趣旨で、これは既にもう私どもインターネットの上で公開してございますけれども、株式の議決権については、信託銀行に対しまして、株主たる日本銀行の経済利益の増大ということ、それから一般的な株主利益の最大化という、言わば一般的に妥当と考えられる指針を示した上で、具体的な議決権の行使はすべて事務を委託します信託銀行に全面的にゆだねるということで考えてございます。
#120
○大塚耕平君 現時点でのお考えは分かるんですが、例えば信託銀行側も、特金とか金外とか、それから管理信託というのは、形式上議決権を自分たちにゆだねられて、ここに書いてあります指図権だけが委託者側に残っても、そうすると、そういう形でもう信託銀行自身の五%ルールに引っ掛かっちゃうために、あらかじめどの株を取得するかが分からないときは議決権をこちらにゆだねられても困るという、そういう信託銀行側は基本的な立場のはずなんですが、日銀が今お考えになっておられるやり方で、信託銀行が、どこを使われるか知りませんけれども、その信託銀行が、信託銀行自身に掛かっている五%ルールに引っ掛かるような事態というのは想定しておられないんですか。
#121
○参考人(三谷隆博君) 今、信託銀行の話がございましたけれども、信託銀行に対しましては、私ども先ほど申し上げたような指針をまず示しまして、それに対して当然、適切な議決権を行使するために必要な社内体制の整備を求めたり、それから、あらかじめ相当細かな項目にわたってどういうものについてどういう判断基準でもって対応するかといったようなガイドラインを提出させて日本銀行の承諾を得させるという形で対応したいと思っております。
 それが先生の御指摘の五%ルールとどういう関係になるかということについては、まだ現実に特別の信託銀行からそういう話が来ておりませんので、その辺は改めて、そういう抵触する部分があるのかないのかも含めて、改めて確認させていただきたいと思います。
#122
○大塚耕平君 なかなか複雑な契約になると思いますので、現時点では決まっていないというのはしようがないと思うんですが、御列席の委員の先生方にも御理解いただきたいのは、事ほどさようにまだ細かいことが決まっていないということなんですね。
 それから、実は、どうして持ち株、持ち株というか、株式持ち合いが普及したかという理由の一つには、企業支配というグループ化を図る云々ということ以外に、実務上の問題として、株主総会を開くときの定足数を確保するためには、だれがどれだけ持っているかというのが分からないと株主総会を成立させられないので、知っている企業で、あるいは銀行さんで持ってくださいという、株式持ち合いにはそういう意味もあったわけですので、今後日銀が詰めなければいけない点としては、じゃ議決権行使しないのはいいけれども、株主総会には出るのか出ないのかと。日銀が大量に株持っちゃったら、ほかの株主の出欠次第によっては、企業が株主総会開こうと思っても成立しないとかそういう事態も、論理的にはですよ、論理的にはあるかもしれないなと。今、バックベンチの私の元同期が首をひねっておられますけれども。いろんなことが考えられますので、是非よく御検討をいただきたいと。
 しかし、事ほどさように細かいことが決まっていないということから派生して、ちょっと一つ意見を申し上げたいんですけれども、日銀が株式を取得するということの是非は、もう今更是非もないですね。中央銀行の総裁が、速水総裁がやると言って外に宣言した以上、今更これをやめるなんてことになったら大変な金融市場と中央銀行に対する信頼の失墜になりますので、もうこれは是非もないです。やるしかないです。やるしかないと思っています。
 しかし、私が申し上げたいのは、これはやっぱり大変なことなんですね。過去、香港で香港通貨管理庁が株買ったことありますけれども、これは政府です。そして、フィンランドの中央銀行が買ったのは、一年間だけ銀行株を買っただけで、過去、例のないことをやろうとしておられるわけですね。過去、例のないことをやろうとしている上に、これまで、先生方も何度も聞かれておられると思いますが、株とか不動産は中央銀行の資産を劣化させるので、断じて買うことはできないとずっと言い続けてきたわけですよ。
 私が申し上げたいのは、私を含めた政治家の発言も随分軽くなったといって御批判を浴びておりますので、政治家としても自戒の念を込めなければならないですが、この重大な決断に関して申し上げると、中央銀行の幹部の発言も随分軽くなっちゃったなと。株と不動産は買わないと言っていたことに対する大きなハンドルの切り方をする際にどのような手続を踏むべきだったかということを顧みると、実はちょっと簡単にかじを切り過ぎたなと私は思っています。その結果、今まで総裁や副総裁やいろんな方がおっしゃっておられた発言が軽くなっちゃいました。
 私が申し上げたいのは、日銀法第四十三条の業務認可を受ければ何でもやってもいいなんということはないと思います、私は。これほどの大きなかじを切るんだったら、ちゃんと個別に立法すればよかったんです。法律を作ればよかった。もちろん、内部で議論するのはいいですよ。これは日銀はいよいよ株式を取得するしかないなと、総裁がそういう御決断をされるのは私は中央銀行総裁として一つの御見識だと思います。しかし、じゃそれを実行に移す段階で、日銀法四十三条の認可でやるのがいいのか。その段階で塩川大臣と竹中大臣に相談をされて、これは個別の立法でやるべきでしょうかといって立法府の判断を仰ぐというのが法治国家の中央銀行としての在り方ではないかと、私はそう思います。それほど大きなハンドルの切り方だったわけです。
 そこで、その段階で塩川大臣と竹中大臣が、総裁の御判断は御判断で尊重いたしますと、しかしやり方はこういうやり方がありますねといって、個別の立法でやるのか、いやいや日銀法四十三条の認可でやるのか、そこは御相談されて決めればいいことですが、そこで速水総裁の御判断を尊重するというところに健全な中央銀行の独立性があるわけです、立法府側から見た。中央銀行の独立性だからといって、これまでの歴代の幹部の前言を簡単に翻すような行動を、日銀法四十三条の業務認可を受ければいいんだからといって政府に相談する前に発表してしまうという行動は、私はいかがなものかと思います。
 その点について、大変元の上司の総裁に厳しいことを申し上げるのはつらいんですけれども、総裁の御見解を伺いたいと思います。
#123
○参考人(速水優君) 今回の私どもの株式買取りという、銀行の保有している株が、このままでは銀行の自己資本がじりじりじりじり落ちていく可能性が十分あると、もう既に落ち始めておるわけですから。そういうものを救う道としてはこの方法しかないと、随分議論した結果出てきた案でございます。
 今回の株式保有は、株価を引き上げようとか、あるいは流動性を増やそうとか、供出しようというようなことではありません。世界にも余り例のない、株の二〇%近くを銀行が持っているというのは、これは極めて異常なことです。株というのは、やっぱり常にリスクを分散するために株主が分けて株を持っているわけで、上がったり下がったりするのを前提としている物件だと思うんですね。
 そういうものを不特定多数の預金を集めている銀行が運用に使っているということ自体、私は、戦後の復興の時代、あるいは高度成長を成し遂げる、あるいは国際化を成し遂げるといったようなこれまでの半世紀の中でそういうことが日本の一つの特色としてあったということは、それは私は結果として非常にプラスとして機能したと思っておりますけれども、これだけグローバリゼーションが発達し、日本の銀行も我も我もといって外へ出ていたということが認められなくなって、必要な者だけが出ていくことになったわけですけれども、株を保有するということだけについては、これやはり極めて異例なことだと思うんですね。減らしていくしかないんです。ところが、今、株価は下がりつつありますから、銀行はこれ、よう売らないんですね。
 そういう中で、私どもが極めて一時的な方法として一年間に約二兆円を限度に買ってやるということは、これをもって銀行は株式の保有を減らしていき、そのことによって経営が健全化し、ひいては不良債権の償却とかあるいは新しい貸出しへの進出とか、そういった銀行本来の持つ信用仲介機能を活発化してもらわなきゃならない。この時点をおいてはもうツーレートになる、そういう判断であのとき発表したわけです。かなり議論しております。
 それから、御心配の、持つことによってどういうことが起こるかということも十分懸念したわけでございますし、日銀法の中にも、日銀は、中央銀行の目的というのは通貨、金融の調節を行うこと、そしてまた、銀行その他の金融機関の間で行われている資金決済の円滑の確保を図って、信用秩序の維持に資することを目的とするんだということが書かれておりまして、これに、今書かれていないことが新たに起こったときには、これは法律を作ったときの金融制度調査会でもその議論がなされておるわけですけれども、四十三条の一項で、一項ただし書に基づいて、今後とも新たな業務の必要性が生じた可能性をそのときからもう予定してこういう項目を入れているわけですね。それに基づいて私どもも、これを極めて一時的な、今やらなければ金融システムの安定化が保てなくなるというリスクを感じましたからああいうふうに発表したわけです。
 それから、確かにやったことはないことでございますから、技術的には非常に問題が多いんです。それをずっと詰めて詰めて、先週ようやくたくさんの入札の中で一社、信託銀行を決めまして、今、この信託銀行との間で具体的なことを専門家も入れて十分議論しているんです。皆さんなぜ早く買わないのかとおっしゃいますけれども、やはり一月ぐらいじっくりこの議論をし、いろんなことを含めて先行きのことを考えて決めておりますので、その点は御心配いただかなくてもいいというふうに思っております。
 特に、私どもが余りやったことのなかったことでありますことだけに、相当の時間を掛けて議論を進めております。私も民間にもおりましたから、先ほど御指摘のようなことは十分分かっているつもりです。そういうことも含めまして、保有した株をどうやって維持して、そしてまたそれを市場に戻していくかというようなところまで含めて議論が進んでおるわけでございますから、私どもにお任せいただきたいというふうに思います。
#124
○大塚耕平君 お任せくださいという一国の中央銀行総裁のお言葉ですので、これはお任せするしかないとは思いますが、しかしまだルールの詳細詰まっていないところもあるわけですし、私はここで別に、さっきも申し上げましたように、もうもはや総裁が御決断されて発表したわけですから、これをやることについてはもう是非はないんですよ。やるんですよ。
 だけど、やり方については、今からでも立法作業をやっても私はできると思いますよ。これを国会の決断でやったんだという形にしてこそ初めて後世の人たちは、これは大変な事態だったから中央銀行も国会の決断によってやったんだなという形が残るわけですよ。これを日銀法四十三条の認可を求めるために内部で議論して自分たちで動いたということになると、後々いろんな問題が起きると私は思っております。
 資料八をごらんいただくと、これは日銀の株式取得に対する企業のコメント、エコノミストの十一月五日号を抜粋してきたんですが、@の方がポジティブな評価ですね。ずっと下に行くほどネガティブな評価になっております。
 実は、ここに書いてあるもの以外に、もうはっきり申し上げますけれども、私のところにいろんな企業の方から、そういうことになると日銀さんから職員をまた受け入れることになるんでしょうかといって問い合わせが来ております。私は、いやいやそんなことはないと思いますよと。そこはやはり、日銀が株を取得するということになれば、その発行企業に人を送るということになると大変利益相反が起きるので、日銀たるもの、そんなことは絶対なさらないと思いますというふうに申し上げております。
 私は、日本銀行に十八年もおりましたので、ジャイアンツ愛ならぬやっぱり日銀愛を、あります、私も。だから、日本銀行というものは、木で鼻をくくったような国会答弁ばかりでも結構ですが、絶対に周りからやゆされるようなことはしないという組織であってほしいわけですから、総裁は先ほどお任せいただきたいとおっしゃったわけですので、そういう発行企業側の懸念も踏まえて、あと残された任期の間にきちっとした行内のルールを、あるいは場合によってはそれも立法が私は必要だと思っておりますが、やっていただきたいなと思っております。
 最後に一つ申し上げて、塩川大臣に御所感をお伺いして終わりにしたいと思いますが、一番最後に「大機小機」という日経新聞の記事を付けさせていただきました。「万機公論に決すべからず」。これは、不良債権問題みたいな大変重要な問題は、万機公論に決することなく、もう竹中さん自由にやってくださいみたいなことが書いてあるわけですよ。
 ところが、私はちょっと違うと思います。もう今これだけメディアが発達して皆さんがいろんな情報を持っていますので、黙っていてもこの間の竹中大臣チームのようにいろんな情報が外に出ちゃいますので、これだけ重要な事案は万機公論に決すべしと、あるいは万機公論に付すべしと、ただし決断はトップの判断ですから、決断は公論に付すべからずと。竹中大臣がおやりになったことは、万機公論に付さずして決断を公論に付しちゃったんですよ。
 日銀の場合は、これは決断は公論に付すことなく総裁が御判断されたという意味で私は敬意を表したいと思います。しかし、議論の過程で、密室で行うような議論であったかどうか、それはいかがなものかと私は思います。だからこれから、もうこれは経済緊急時だというふうに分かっているわけですので、非常に重要な事案については万機公論に付すべしと。ただし、決断は公論に付し、一万田元日銀総裁がおっしゃったように、決断すれども弁明せずと、これが政府、官、閣僚や国をつかさどる方々のお仕事ではないかと思っております。
 そういう意味で、この日銀の株式取得も含めて大変な、不良債権問題も含めて大変なこの諸事は、失敗すればすべて財政負担にはね返ってまいりますので、最後の火消し役になられる塩川大臣の御所感をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
#125
○国務大臣(塩川正十郎君) 今、大塚さんからなかなか微に入り細に入り、非常に内部事情に詳しい方でございますから、有益な発言ございました。
 ただ、そこで私は、今度の決断の問題について、これを政治的に考えないということに私はしました。それは、四十三条一項を政治的に手続上どうだこうだというような議論よりも、私は、純粋に日銀さんが、何とかして金融の資産、金融機関が持っておる資産の安定を図りたい、その信念を持っておるんだと。だから、株買取り機構とかあるけれども、それとは違う日銀の使命というのは、銀行の財産内容を健全化するためにこういうことを考えたんだということをおっしゃったので、そのことが金融システム全体の健全化につながるという、こういう趣旨でございましたので、私はそれを純粋な日銀の、言わば独立性を持った日銀の行動だと私は判断しました。
 その代わりに、相談ございましたときに私は二つのことを実は申したのであります。一つは、その判断と行動が世間から見てなるほどもっともだとおっしゃられるような基準と手続を経て買取りの行動をしてもらいたいということが一つ。それから、保有が短期になったら投機性が走るかも分からぬので、保有はできるだけ長くやってもらうことによって投機性の危険性を、それを払拭してもらうようにしてもらいたいと、私の意見はそうだと。でも、日銀がお決めになった以上はそれでおやりになったら結構だということを私は申した次第でございまして、これがうまく一刻も早く機能して、株価の安定、そしてそのことが各金融機関の所有しております財産に、資産に安定をもたらすようにしてもらいたいと、こう思っております。
#126
○大塚耕平君 終わります。
#127
○山本保君 公明党の山本保です。私は三十五分間質問させていただきます。
 今まで金融また経済に対して大変緻密な議論がされていましたので、ちょっと気後れするところもありますが、私は自分の立場に立ってちょっと違う観点で竹中大臣また塩川大臣にいろいろお聞きしたいし、考えていただきたいということを申し上げたいと思っております。
 それは結論を言えば、そう金もうけばっかり走るのがいいんだろうかということでありまして、私ども町でいろいろお話をしたり、いろんな集会でお話をしたりしておりますときに、片方では今の社会の中に人間的なきずながないとか、協同意識が失われているとかいろんなことを申し上げておりながら、いったん経済の話になりますと、突然、物を使いましょう、買いましょう、株を買いましょう、国債買いましょう、果てはカジノを作るからかけ事をしましょう、このようなことを言うというのは、全く自分でも言いながら何かおかしなことだなという気がしておりました。一年間、金融、この委員会に出させていただいて少し勉強させていただいて、自分ながらこういう見方があっていいんじゃないかということが少しまとまってきたような気がしますので、今日少しお話をしたいと思っておりますが。
 その前に一つ。まず、今回特に私は、言うならば改革加速のための総合対応策についてということでお聞きするわけですけれども、私はこの中で、三月二十五日でしたか、予算委員会で竹中大臣と初めて質疑させていただいたときに、特に雇用というものだけではなくてもっと人間的な人間力を高めるような政策をするべきだし、それをいわゆる事務方だけの本部というのではなくて、戦略本部という形でもっと政治が主導的にそれを進めるべきであるということを申し上げましたが、今回それを見ますと、正にこういう産業とまた人材、まあ雇用ということですけれども、戦略本部ということが出てきたということで、自分としては私も少しは役に立ったのかなという気がしております。
 それで、ちょっとここでちょっと確認のためにお聞きしたいのは、まずこの対策、またもう一つ言うならば、金融再生プログラムも同じかもしれませんけれども、閣議決定を経ていないで出てきているわけですが、閣議決定を経ていないということは閣僚の同意が得られていないということだと思いますし、これはそういうことでどういう意味付けになるのであろうか、もしくは積極的にこの方がよろしいのだという御判断でされたんじゃないかと思いますけれども、この辺についてお聞きしたいと思います。
#128
○国務大臣(竹中平蔵君) 今回の対応策の基本的な性格、位置付けに対するお尋ねであると思います。
 経済を活性化させるために四つの柱で改革を進めていく、歳出の改革、歳入の改革、これは税でございます。それと金融システムの改革、そして規制改革。規制改革、当面の大きな課題は構造改革特区等の問題がございます。こうした問題を進めるということは、実は、六月末の基本方針二〇〇二、いわゆる骨太第二弾においてその方向性、詳細が、アクションプログラムを三十掲げるなどかなり詳細に決定されておりまして、これは閣議決定でございます。それを受ける形で今般、さらにそこに示されたことをより早くより大きなスケールでできないだろうかということがテーマになったわけでございます。
 これは、各省庁において既に閣議決定されたものに基づいてそれぞれ政策が進められております。その中で、それを更に加速するもの等々を各大臣のリーダーシップによって各省庁の責任においてやっていただく、各省庁がこれは既に動き出しておりますのでやっているわけですけれども、それを一つの紙に取りまとめたのが今回の対応策ということでありますので、閣議決定されたものの実行の話であるという位置付けでございます。
 大変細かい話でございますけれども、一応、何とか対策というものについては、これはいわゆる経済対策、多くの場合予算措置を伴いますが、そういうものは経済対策の閣僚協議会等々で議論をなされて決定をされる。今回のような対応策というのは、この前のデフレ対応策もそうでございますが、既に決定されていることの実行を各省庁で進めていく、各大臣のリーダーシップによって行うもの、細かい話でございますけれども、一応対策と対応策というのはそういう位置付けになっております。
#129
○山本保君 なるほど、それで了解いたします。
 今日も骨太についても少しお聞きしようと思っておりましたので、正にこの閣議決定についての具体的なプログラムであるということですね。
 では、それでは私の本体に入りたいと思うんですが、私は、さっきちょっと申し上げましたけれども、経済というものは人間の幸せというものを追求するはずのものでありまして、そのときに物が豊富にあって、それを使うことができるということは確かに必要な条件だとは思いますけれども、これだけ豊かな社会になったときにそれでいいのだろうか、それが反対に動いていることもあるんじゃないだろうか、格差が余計広がって、そして充足感が逆になくなっているということもあるんじゃないかという気がしてなりません。
 それで、以前に読みましたシューマッハーという、ドイツですか、の学者の「スモール・イズ・ビューティフル」、小さな文庫本を読んでみたんですが、そこには人間中心の経済とか仏教経済学というような言葉があったり、それで少し調べてみましたら、そういう言い方をする方もあれば、少欲知足という宗教的な理念を基にした「足るを知る経済」というような本も読んでみました。
 これは、ただこう言いますと、何か欲望を我慢するというような消極的な意味のように取られがちですが、決してそういう意味ではありませんで、正に環境にも限度があり、そして、人と人とのきずなということが人間の満足感には大きな意味を持つわけですから、そのための活動を努力しなければならないという意味で、大変積極的な意味だと私は考えております。
 ただ、具体的にどういうことをするのかなということを自分でも分からなかったんですが、ちょっと最近やっと、これの一つ具体策ということで考えておりますのがNPOだと思いました。
 それで、これについて少し議論を最初してみたいと思うんですけれども、まず、大臣は内閣府の大臣でもありますので、NPOについて、その意義付けをもう一度さらってみたいと思うんです。
 特に、この場合、いわゆる理念的といいますか、社会的な意義というものと、そして、それと裏腹だと思うんですが、全く続いていると思いますけれども、経済的な効果というようなことに関してどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#130
○国務大臣(竹中平蔵君) 私、かねてから申し上げているんですけれども、公私という言葉と官民という言葉は、はっきり言ってやはり使い分けた方が良いのではないんだろうかと。
 公か私かというのは、公的な財・サービス、私的な財・サービスという一種の配分の問題だと思います。言わば私的な財・サービスというのは、これは市場でしっかりと配分してもらう。しかし、市場では配分できない財・サービスというのがあります。それが公的な財であると思います。
 問題は、それを担う主体が官か民かという問題だと思います。日本はこれまで公的な財というのを、ある種、官が、政府が独占してきたという点、ひょっとしたら公私の私の部分まで官が出ていった部分があったのだと思います。しかし、公的なニーズというのは、大変これは多様化しています。環境の問題、それとか、地域のコミュニティーのお年寄り、子供を大切にする問題、教育の問題、そういう多様な公的なニーズにこたえるためには、すべて政府でやるのではなくて、主体は民であるべきだ。これがやはりNPO、NGOの原点であると思っております。
 これは同時に、多様なニーズ、社会的な公的サービスを満たすという面と、我々人間の側から見ますと、やはり生きがいを求めて、多様な生きがいを充足するという形にもつながる。結果的には、これはだから、経済社会全体としても個人としても、大変今の社会に、成熟した社会における重要なマクロとミクロの接点になっているのだと思います。この点は、やっぱりしたがって大変重視すべきであるというふうに考えるわけでございます。
#131
○山本保君 正に市場主義の経済に対して福祉国家論が出てき、そしてその福祉国家論がまたただ乗りであるとかいろんな問題で、それを今大臣が言われたように、正に公的な役所がその仕事をすることについての矛盾、これに対してNPOというものが出てきたと、私などは積極的に、私も同じように受け止めております。
 しかも、言うならば、NPOというのは自分の地域、また自分に一番身近な活動というふうに考えて、そのほかにも国際的な活動もありますけれども、実際に作りやすくて、どなたでも関連し参加できるとなりますと、そういうサービスであるとか、その中の仕事ということになりますので、この部門が充実されれば、それに、よく言われます一般消費というんですか、そういう形でも当然効果があるんじゃないかという気がするわけですね。こういう経済的な意義については、大臣、どのようにお考えでございますか。
#132
○国務大臣(竹中平蔵君) いわゆる民間非営利の部門ということでいいますと、実は日本という国は既にかなりのウエートを持っているというふうに認識をしております。SNA統計の中に民間非営利の部門というのがあるわけですが、これは取り方にもよりますけれども、他の成熟した市民社会に比べてそんなに劣っているわけではないと思うんです。
 ただし、現実問題としては、その民間非営利の中に実質的に官が支配している部分が入っている。それが一部の財団法人等々の問題で社会的にも取り上げられてきたし、それを、民でできることは民にというのが小泉構造改革の一つの流れになっているのだと思います。したがいまして、それを本当の意味での民間非営利、健全な民間非営利にして、そこがやはり経済の中でそれなりの存在感を持っていくということが、これは経済の側面から見ても大変重要になっていると思っております。
#133
○山本保君 私もそう思います。
 それで、国民生活白書等を見ますと、今、大臣おっしゃったように、結構高い、何か六%とかというような数字が上がっておりますけれども、今おっしゃったとおり、今のその数字というのは多分、財団法人、また民間の法人でありますとか、ひょっとすると、アメリカの調査などは、医療法人などや学校法人も含めてアメリカでは計算しておるようですから、ひょっとしますとこの数字は私そういうものを含んでいるのかなという気さえいたしまして、どうも役所が発表している数字と実態とがちょっと合っていないなというふうに私も思っております。
 そこで、先ほど申し上げたことなんですけれども、アメリカでは例えば百五十万もの団体もあるとか、まだ日本はそんなに全然いっていないんですけれども、これからはしかし、NPO法を私も一生懸命やっていましたときには、NPOといってもほとんどの方が知らなかったし、あったとしてもボランティアでしょうという感覚の方が多くて、国会でも大変な、この辺は闘いといいますか、やった記憶があるわけなんですけれども、今やそういう意識は余りなくなってきた。
 また、もちろんいろんな問題があるという指摘もありますけれども、何千と、九千ですかね、八千から九千というような団体も、これは今言いましたように、その中身についていいか悪いかという価値的判断はしていないとはいえ、しかし何らかの意味で公的に認めていただいているわけですから、私はこういう団体にもっと寄附をして、そしてそれが正に地域の中でいろんなサービスなりいろんな活動をしていただくという形があれば、さっき申し上げたように、物を買ったり売ったり、もっと言えば、税金を安くして、その分土地を買ってください、家を建ててくださいということが決して悪いことではないと思いますよ。どうなんでしょう、竹中大臣。
 例えば、土地を安くしたり家を造りやすくして家を買えば、お金持ちだけが得をするんじゃなくて、それが当然回り回って株も景気も良くなれば一般庶民もみんな良くなるんだという理屈は、理屈としては分かるんですが、一方、風が吹けばおけ屋がもうかるという感覚もないではない。というか、私など福祉の方をやってきた者から見れば、いや、実態はそうじゃなくて、それは正に貧富の格差が拡大していくだけであって、決してそんな、貧しい方の方に金なんて回ってきませんよ。回ってはくるんだけれども、そんなものは経済的にというか、数字の得意な方にお聞きしたいんだけれども、そんなのよりは、そういう回り方よりは、直接的にその同じ額を民間の方たちにどんどんどんどん寄附をして、そこで仕事をしていただく方が経済効果としては小さいはずがない。それにプラス、先ほどおっしゃったように、更に人間のきずなでありますとか、その地域の共同性を高めるという、これは経済外の効果かもしれませんけれども、これを考えればその方がいいんじゃないか。
 塩川大臣にもここはお聞きしたいんですよ。前にも冗談めかして、株、国債買ってくださいよ云々というようなことも私は申し上げたこともありますけれども、それがいけないという意味ではなくて、同じように、塩川大臣、竹中大臣、できれば総理大臣中心に先頭に立って、まず地域のそういう活動にお金出していただけませんかと。こういうことを、上から命令するような話じゃない、正にお願いであり、そういうことの意識喚起をするというようなことは大事じゃないかと思うんですが、両大臣、どうお考えでございましょう。塩川大臣、どうでしょうか、まず。
#134
○副大臣(小林興起君) 今、山本委員がおっしゃられたように、現在の社会の中にあってNPO法人がどんどんできていると、またそれを政府も認めているという状況は今の私は大きな流れだというふうに思っておりますし、民のことは民でと、こういう中で民間の活動がいろんな意味で活発になっていくためにはやはりお金も必要ですし、そこに国が何か補助金を出すというような行政から、いったん取った税金で補助金を出すんではなくて、民間の寄附というものを重視していくという社会でなければ基本的には本当の意味での民間活動というのが大きなウエートを持つようになっていかないという意味では、委員のおっしゃるとおりだと我々も思っております。
#135
○国務大臣(竹中平蔵君) 実は私もNPO、NGO活動をやっていたことがございます。これは、アメリカに住んでいますときに、例のノーベル賞を取ったクラインたちが呼び掛けて、経済学者のNPO、NGOというのがありまして、いろんな活動をやるわけですが、そういう実は支部を日本に作ろうということで、その支部の理事等もしておりましたが、余り単純な比較をするつもりはありませんが、アメリカにいるときは寄附をしても非常にそのインカムリダクト、タックスリダクトの制度があって非常にやりやすいと。したがって、普通の人は、普通に所得がある程度ある人は、みんなある程度の寄附はするものだというような風土が税制とともに定着をしているなというふうに実感をいたしました。しかし、日本ではなかなかそういうふうな形ではなっていないと。日本でNGO活動、NPO活動をするときは、やはりお金集めに大変困ったという記憶がございます。
 そうした点からいうと、キーワードはやはり多様な価値観ということなんだと思います。多様な価値観に基づいて行動する、ですから、多様な価値観に基づいてお金を出していただくというような制度は私はやはりあるべきだと思っております。
 その点、認定NPO法人の制度ができたということは、これは日本においても大きな進歩だと思いますが、それをより使い勝手の良いものにやはり是非ともしていきたいと思っております。
#136
○山本保君 認定NPOについてはまた副大臣からもちょっとお説明を後でまたお伺いしますが、私もNPO法にかかわってきまして、今おっしゃったように、寄附をした場合にそれが税の形で戻ってくるというような制度があるかないかというのは大きいなと思って、それをもちろん今もこれからもっと拡大してほしいということを申し上げるわけですが。
 最初に申し上げたいのは、それはそうなんだけれども、しかし、考えてみると、善意というのは、別にお金が戻ってくるから善意があるとかないとかじゃないんじゃないかという気がするわけですよ。ですから、まず一番大事なことは、税金をまけてあげますから物を買いなさいという同じ主張で、それよりは、そして今買うものがないんじゃないかという声もあるわけですね。もちろん、これはもっと経済が動き出してそうなれば変わるわけだけれども、最初の誘い水として、物を買いましょうということよりはそういうところへ、団体やそういう方に寄附をしたらどうだということを私はもっと内閣として言っていただきたいという気がするんですね。
 特に、小泉さんは今日おられませんけれども、小泉さんは人気もあるわけですしね、そういう感覚というのは政治家として何か本当に、金もうけ主義みたいなことだけを主張しているというようなことについてどうかなと思うんですが、小林副大臣、外でお話しされたりしていてとさっき申し上げましたけれども、その辺についてはどうお考えですか。
#137
○副大臣(小林興起君) 先ほど申し上げましたように、何かいろいろな活動の中で、いいことだから政府として応援しようという中に、どちらかといいますとこれまでは補助金を出すというような形があったわけですけれども、本当に民間に自由にやらせていくための金の動かし方として、動き方として、民間の皆さんがどんどん寄附を出し合ってそのお金で回るということは非常に私はいいことだというふうに個人的にも思っておりますし、それから、もう今は、我々の仲間でも同僚でも議員でも、地域にあっておよそNPO法人のようなものにかかわっていないという人はいなくなりました。
 つまり、やっぱり地域のことをいろいろと相談する中に、NPO法人、こういうものをNPO法人にまずしたいけれども、どこの役所へ行ったらいいのかというような相談がどんどん来ますし、そしてまた、それが実際そういう法人、NPO法人になったということになりますと、その活動についての話が来る、その助言も来るということで、今や政治家はNPO法人の中に地域と一緒に存在しているという状況になってきましたから、私は、今この流れは、政府がどうせい、ああせいというレベルを超えて、とうとうとしてNPO法人の数というものが増える、活動も大きくなっていく、そういう時代を迎えたと思っておりますけれども、山本議員のように、更にそれはいいことだということを何か政府が折に触れて言ってくれると更にいいということであれば、やっぱりそういうことも政府としては自覚もしながら行政を進めていくことがいいんじゃないかなと、そう思います。
#138
○山本保君 ありがとうございます。
 それで、竹中大臣にはもう一言それについて。これから総合対策について工程表なども作られるというわけです。見ましても、NPOという言葉は全然出ておりませんよね。いわゆる金もうけ主義みたいなところにNPOを入れるのはどうだというのは、私もちょっとどうかなという気がしないでもないけれども、しかし、今のような小林副大臣言われたような感覚というのはだれでも持っているんですよ。ただ、それは経済対策じゃないと思っているわけですよ。私はそれは経済対策なんだということを言いたいわけですけれども、竹中大臣、どうでしょう、その辺、学者としては。
#139
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、先ほど申し上げましたように、政策の枠組みというのは基本方針二〇〇二、骨太第二弾のところで書かれたものでございます。これに関しては、NPOやNGOについてしっかりと位置付けをしていたと思います。それを今、営々と今一生懸命やっておりますという位置付けでございますので、そこは私たちとしても重視をしている。それを言わば経済政策として政府が旗を振って進めるということでは必ずしもないと思いますが、その経済的な側面については私たちも十分に重視をしていると、そのように御認識いただければと思います。
#140
○山本保君 確かに、今おっしゃった基本方針二〇〇二の中に散見というか、いろいろと書いてありますから、さっき最初におっしゃったように、この中にある金融対策と経済対策を取り出したんだと、こうおっしゃるわけですから、是非NPO対策についても同じように取り出して、こんな分厚いものじゃなくて結構です、大事なところだけね、それを出していただきたいなというのが私の願いですので、それについては以上にします。
 もう一つ、ちょっと事務的な、実務的な話になりますが、さっきおっしゃった認定NPO、これについてもやっぱり言っていかなくちゃいけない。
 認定NPO、これ、時間がなくなりましたので私の方で数字言いますが、まだ九団体ぐらいしかなっていないそうです。つまり、そこに寄附をすれば、公益法人といいますか、特増法人として税金が返ってくるというか、その他のいろんな、まあそれしかないですかね、今は。そのことについて、九しかない。
 これは明らかでして、つまり、寄附をしやすくなるために特増、認定NPOになるわけですよ。ところが、認定NPOになるためには寄附をたくさんもらわなければならないという基準になっているわけですよ。分かりますですか。これはつまり、寄附をしてもらいたいのに、その資格を取るのに寄附をもらってなければ駄目ですよというんですよ。こんなことじゃ動くわけがないと思うんですね。
 ここをもっと、つまり皆さんに寄附をされる、それが市民、国民に支持をされているという基準になるということは私の法案にも書いたんです、それが正に一番いいことだと思っているんですが、しかしそうかといって、じゃ、最初からこの日本の風土でですよ、竹中さん言われたように、そういうふうに立派なことであり人のためになることは役所がやるんだと、役所の補助金で動くんだと、こういうことでずっと動いてきたときに、突然、いや、そうじゃなくて民間から寄附をいただいている人にはより寄附を受けやすくしましょうという、こんな制度では動くわけがないんじゃないかと思うんですけれども、この辺について改善をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#141
○副大臣(小林興起君) 私、このポストに就くまで、今もそうでありますけれども、自民党の議員でございまして、自民党の党税調では多くの自民党の議員が、このNPO活動を支援するためにいろいろな応援の仕方があるけれども、やはり税が非常に大きいということを関係者から言われていることもありまして、やはりもうちょっと税の優遇措置を広く広げろということをずっと主張してまいりました。たまたま今このポストに私、就いたわけでございますけれども、そういう中でやはり関係省庁からも、今、非常に税の優遇措置をもっと受けやすいようにしてくれという要望も上がってきておりまして、やはり今言いました、たった九でございますからね。この数字ではということが一つの表れだと思います。
 税当局等に話を聞きますと、やっぱり、何といいますか、税当局としては、これが悪用されないかとか、用心深くやっている部分もあるわけですね。そういった中で、しかし、なるほどなというのがどんどん増えてきているということの中で、とにかく、この要件の緩和に向けて一生懸命やっていく必要があるんじゃないかということを個人として申し上げておりますし、財務省、税当局としてもそういうことを受けて、このNPO法人の流れがいい方向に加速していくような、そういう改革に向けて税の改正を行っていければと思っておりますし、いずれにいたしましても、今、実態を調査し、各省庁の要望を踏まえまして、来年度の、十五年度の税制改正が大きな議論の場を迎えておりますので、そういう場で積極的にこの税の改正を推進していきたいと、そう思っております。
#142
○山本保君 その線で是非進めていっていただきたいと思いますし、また私どもも頑張りたいと思っております。
 次にもう一点。これは私としてはちょっと気が付いたことなんです。つまり、この方針にも書いてございまして、基本方針にも、人間が基なんだ、人間の能力、人間の力が経済を決するんだと書いてございます。それで、その中身をちょっと見てみますと、この骨太の方なんですが、大学と先進科学と、そして一方、初等教育、義務教育が出てくるんですね。私、高等学校というのが実は非常に重要であって、一番庶民の行きやすい学校であるし、なおかつその効果が高いところではないかと思っているんですが、この骨太方針には高等学校という言葉は一言も出てこないんですね。
 現実にはどうかというと、各県は高等学校を定時制でありますとか分校だとかどんどん今財政上の理由で縮小しておりまして、高等学校へ行っていない人というのをちょっと調べてみましたら、三十歳代は、これは高校が多いですから約百万人、四十歳代の方ですと二百万人、約。五十歳代になりますと約三百万人が高等学校に行っていないんです、行っていないんですよ。また、行ったとしても、私も行っておりますけれども、自分でも恥ずかしいんですが、今、高等学校の授業を考えて思い出しても全然勉強した覚えがなくて、エリートの方は違うかもしれないけれども、でも多分点を取るだけで頑張ったんじゃないかという気がしておって、本当に高等学校というのは、例えば学校教育法には高等学校の目標というのを「将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能」を習得させるとか、「社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努める」とか、正に高等学校教育というのは社会人たるときに大変重要な意味を持っていると思います。
 ここで一つ申し上げたいのは、先に、ちょっと順番を変えますが、今、じゃ何をやっているかというと、リストラされた方に職業能力開発ということは一生懸命やっているわけですよ。しかし、教育学の観点からいきますと、教育の意味というのは正に、今ちょっと読み上げたように、職業能力を高めるというのは当然あるんですが、それは三分の一か二分の一であって、より豊かな自分の人生を作っていくという、そのためにいろんな芸術、文化というのもありますし、もっと言えば、その下にもっと人間性を高めた英知といいますか、そういうものを持っていった人間をつくっていくという、これがあるわけなんです。ところが、今やっていることは何かといったら、単に次の仕事に就くためにこういう能力を持っていればできるじゃないかということしかやっていないわけですよ。
 私は、神野教授なんかの御指導を受けますと、スウェーデンで国民高等学校というような形でやり出した。私も今是非、高等学校にもう一度入るというか、又は行っていない方に入っていただくというような政策を打つのがこれは非常に効果的な、高等学校も変えます、実は。これは、ただその方たちだけではなくて、高等学校というものが大人が行くようになれば、これは今の高校のイメージが変わり、中身が変わっていきます。教育内容や教育方法も全部変わります。大変な効果があるだろうということはこれは断言します。
 こういうことで、いわゆる職業能力開発という点からもっと高等学校全体を使うというふうにいったらいいんじゃないかと思っているんですが、これについては塩川財務大臣にお聞きするようにしてあったでしょうか、大臣、よろしいでしょうか。
#143
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は文部大臣をやっていましたときに、この学校の位置付けというのを非常に議論しまして、幼稚園が幼保の分離がございまして、幼稚園を義務教育にしようという運動があったときに高等学校をどうするかという議論がございました。今、幼稚園と高等学校の位置付けが一番不安定な状態になっておるのでございまして、高等学校は御承知のように義務教育じゃございません。けれども、高度な学問のいわゆる初級段階として高等学校を位置付けておるところがございまして、同時に、先ほどお読みになったように、教養を高めて国民の素養を高めるということになっている。まず私は、やっぱり高等学校の位置付けというものを、きちっと一連の教育課程の中でどう扱うかということが問題なんじゃないかと思うんです。
 幸い大学の方は大学院ができましたので、大学を教育の機関と学術研究の機関ということに、要するにそういう位置付けをきちっと中で示して大学というものを位置付けいたしましたので、今度は高等学校をちゃんと位置付けしてもらって、それによるところの対策はやっぱり講じていかなきゃいかぬと。山本先生言うように、非常に大事な、人生の中で一番大事な、多感性の一番強いときの教育でございますから、これはしっかりとした、やっぱり国家が責任を持たなきゃいかぬ教育だと思います。
#144
○山本保君 塩川大臣、私はそれも言いましたし、私ももう一回高校へ行こうかと思っているぐらいなんですよ。大臣もいかがかというふうに思っているんですけれども。
 つまり、今までの教育学の中で高等学校教育の意義を探しますと、子供というか、正に思春期の子供に対してという議論はあるんですけれども、大人が高等学校へ行ったらどういう教育的効果があるかというのは、私もびっくりして、調べてみたらなかなかないんですよ。そんな制度がなかったからでしょうね。でも、僕はそれが実は大事なんじゃないかなということを今申し上げておりますので、大臣、そういうことについても少しお考えいただきたいんですが。
 高等学校で費用が幾らぐらい掛かるか調べましたら、なかなか文部省、最初はなかったんですが、調べてもらいましたら、今日明け方いただきまして、一人当たりで言うと、在学者一人当たり一年間で百万円なんですね、百八万。これ諸学校の中で一番安いんですよ、高等学校というのは、全日制ですけれども、これしかも。
 じゃ、そんなこと言ったって入れるのかと。これも一度調べてみましたら、実際には高等学校全部定員満杯ですと言っているけれども、どんどん縮小しておりまして、建物とか設備はあるんですね。一番多かったときと比べますと、大体四十万人分ぐらい今減っているんですね。ですから、それが全部使えるとはもちろん言いませんけれども、言うならば施設、設備についてはほとんどお金が要らないんじゃないかという気もするぐらいなんです。
 百万円ということは、これはもう全部国費で出したと、というか、そう考えてもそれだけなんです。これは全費用なんですから、全費用で百八万。ということは、これからいろんな雇用対策とか経済対策をやっていく場合に、私、そんなに金の掛かる話じゃないんですね、これは高等学校教育というのは。しかもその場所もある。
 もっと言えば、教える方は、今までの教員の方じゃ足りませんので、正に会社をお辞めになった方だとか人生を経験した方にどんどん講師、教員になっていただくという意味の、ちょっと小さいですけれども、でもそういう新しい生き方というのも出てくるということですから、是非考えていただきたいと思います。
 時間がありませんので、最後に竹中大臣に、何かこの経済活性化戦略の中に人間力戦略というんでしょうか、そういうこともお考えだということで、これで終わりますが、私今申し上げたことについての感想で結構です。お述べいただけますでしょうか。
#145
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、社会人の再教育、職業訓練、単にテクニカルなものを超えた再教育というのは私も大変重要であると思っています。
 今、山本委員のお話を伺いながら、高校とおっしゃいましたけれども、これは人間力戦略の中で我々がコミュニティーカレッジというふうに言っているものと概念としてはかなり近いのかなという印象を受けました。その際に、高校の施設や人材、リソースを使うということは、これはあり得るのだと思います。そうした点から、是非その再教育の仕組みをしっかりと作っていくように努力したいと思います。
#146
○山本保君 終わります。
#147
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 竹中大臣、このたび金融担当兼務、大変御苦労さまでございます。いつまでおやりになるか分かりませんけれども、取りあえずよろしくお願いしたいと思います。
 竹中大臣とは、予算委員会あるいはこの委員会にも来ていただいて、構造改革、不良債権処理については随分議論してきたつもりですが、私、今回大臣が出されましたこの加速案ですね、これについては、ちょっと今までと違って、どういいますか、何かちょっと奇異なものをといいますか、何か異質なものを、今までと違うものを感じるんです。しかも、なぜ今この時期にこの加速策が出されたかというふうなところも、ずっとこの委員会でこの問題を柳澤大臣とやってきた者としては非常に、今出されたこの動機というのも非常に不自然な気が私は実はしています。
   〔資料配付〕
#148
○大門実紀史君 それで、今資料をお配りしていただいていると思いますが、よく考えてみますと、そもそもこの不良債権処理を急げというのは、一年半前の森前首相、ブッシュ大統領との会談があって、その後、ちょっと資料に書きましたけれども、早期最終処理方針。その後、小泉内閣発足して骨太方針、その第一課題が不良債権の早期最終処理というふうになったわけですし、細かく今日触れませんが、この経過見てもらえれば分かるとおり、なお、この資料というのは、日本の報道だけではありませんで、アメリカの報道も含めて簡単に要点だけ、重立ったものだけまとめたものですが、要するに、その都度、その大方針が出た以降も、いろいろその不良債権処理のやり方、テクニックのことも含めてアメリカがかなり事細かくアドバイスをしているというのがお分かりだと思います。
 今回の加速策も、九月十二日ですね、今年の、この日米首脳会談の後出てきたということで、私は、大体そもそもなぜアメリカがこの日本の不良債権処理についてこれほど、手取り足取りといいますか、やり方の一つ一つまでアドバイスしながらやってきているのかが非常に不思議に、振り返ってみると特に思うわけです。
 そういう点で竹中大臣にお聞きしたいのは、大臣は金融担当に就任される前から、ハバードCEAの委員長を含めアメリカの政府高官の方々とは何度もお会いされていると思いますし、電話でも連絡取り合っておられるというふうに思いますが、大臣はそのアメリカの要請、なぜこんなに、早く処理してほしいというふうな要請についても直接お聞きになったことはあるんじゃないかというふうに思いますが、なぜこれほどアメリカが日本の不良債権処理に御執心といいますか熱心なのか、大臣、分かる範囲で教えてもらえればと思います。
#149
○国務大臣(竹中平蔵君) 私の経済財政政策担当大臣としてのカウンターパートは、アメリカの政府の中ではそのCEA委員長のハバードないしは大統領経済補佐官のリンゼーということになると思います。したがって、経済問題に関する情報交換は、カウンターパートとしては当然のことながらしております。
 しかしながら、今御指摘にありましたように、これは、アメリカの政府というのは非常にきっちりといいますか、はっきりとしておりまして、要請をしたというようなことは一度もございません。さらには、アドバイスというお言葉がございましたが、そういうことはアドバイスを受けるような性格のものでもございません。そういうことについても特にありません。
 また、不良債権問題そのものは、これは決してアメリカではなくて、日本の不良債権問題をやはりきっちりとしてほしい、そうすることによって日本の経済を安定化させてほしいというのは、これはアメリカのみならず、例えば、今年の最初にイギリスに参りまして、イギリスのエディ・ジョージ中央銀行総裁にお目に掛かりましたときも、やはり大変不良債権問題をしっかりと解決していくことは重要だというようなお話は、当然のことながら意見交換の場ではありましたし、アジアの首脳とお話ししましても、大変高い関心があるということは、これは事実であろうかと思います。
 したがって、この問題は、やはり経済、日本の経済にしっかりとしていただきたい、してもらいたい、そのためにはやはり金融の問題をしっかりと片付けなければいけないというのは、かなり幅広い認識、同時にこれは日本に対する期待の大きさでもあろうかと思います。
 最初に戻りますが、要請とかアドバイスとか、そういう性格のもの、そういうことは一切ございません。
#150
○大門実紀史君 要請、アドバイスはないということですが、絶えず重要、強調をしてきたということで、表現の問題が多分にあると思います。
 今言われましたようなことも含めて、マクロ的にはアメリカの国債を日本の銀行を含めて機関投資家がたくさん買っている、そういうことに対するアメリカの不安なども私はあるんではないかと思いますし、言われているような投資ファンド、投資銀行のこともあるのかもしれません。
 いずれにせよ、私思うんですけれども、アメリカが日本国民の幸せを願っていろいろアドバイスするということは余りないんですよね。そんなこと、今のグローバル化の中ではあり得ないと。やっぱりアメリカはアメリカの何か利益があって、メリットがあって強調したり重要視しているというふうになっているというふうに思います。
 ですから、そういうアメリカが、不良債権処理のスピードが遅い、スピードが遅いと、これはこちらでは報道少ないですけれども、向こうのワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ニューズウイーク等々には政府高官が直接インタビューで答えています、たくさん。ここに向こうの英文の資料ありますけれども、読んでみましたけれども、かなり答えていますね。政府に直接そういう言い方したかどうかは今言われたとおりかも分かりません。
 このことは、私ちょっと調べてみたんですが、竹中大臣もかつてフェローだったんじゃないかと思いますが、IIE、国際経済研究所ですね、これはワシントンの有力なシンクタンクで、ここのアダム・ポーゼンさんという方、御存じかも分かりませんけれども、ずっと読んでいますと、この方は日本担当で、ずっとこの日本の不良債権処理についてかなり強硬といいますか、なことを提案されてきました。
 IMFのレポートもこの間読んでみたんですが、かなり日本の不良債権処理、早くやってもらわないと困ると。ちょっと公的資金を入れたらどうかとか、踏み込んだこともIMFのレポートで出てきています。
 ちなみに、余り御存じのない方、私も最近知ったんですが、申し上げておきますと、アメリカの政府・財務省とIMF、FRB、今申し上げたような有力なシンクタンク、こういうところが大体アメリカの金融経済政策を考えていて、それが打ち出されたものをワシントン・コンセンサスと言うらしいですけれども、そのワシントン・コンセンサスにかかわっているような人たちのレポート、論文をずっと読んでいきますと、日本の不良債権処理を早くしてもらわなければ困ると。これは、次々といろんな方が言っています。
 そもそも、この一年半前の森・ブッシュ会談の前に、その前の二〇〇〇年の末辺りに、米国の日本研究のタスクフォース、そこにはさっき申し上げたような有力シンクタンクの方々がみんな加わっておるわけです。ポーゼンさんも、エドワード・リンカーンさん、御存じの人だと思いますが、そういった方々が加わっているわけですが、そこで出されたのが、日本の不良債権処理を早くやらせるべきだと、かなり強い言い方で書かれて、その後、森前首相とブッシュ会談が行われるというふうな流れになっているんですね。
 今日、ちょっと細かく、そのワシントン・コンセンサスの人たちが言ってきたこととアメリカ政府がどう動いたかというのは、政府の動きはここに一覧表にしましたけれども、そのバックにあるワシントン・コンセンサスの動きについては細かく触れる時間ありませんが、要するに、それをずっと見てきますと、日本の不良債権処理について絶えず提案をしてアメリカ政府に働き掛けてきている、それで日本との会談が行われてきていると。これは時系列的に一致するわけです。
 特に今回、今年のことでいきますと、五月にそのアダム・ポーゼンさんがレポートを出していますし、IMFも九月には声明を出していますけれども、ここには、日本の不良債権処理は要するになっていない、今のやり方はなっていない、もっと急ぐように米国政府は日本に圧力を掛けなさいと、ここまではっきり言っています。公的資金を入れて早期処理をしろというふうなこともこの中に出てきます。つまり、アメリカは非常にいら立ちを、この早期最終処理方針は出発したけれども、ずっと一年間見ていて、かなりいら立ちを表してきていることが読み取れるんですね。その上での九月のブッシュ・小泉会談、それで今回の加速策というふうに見て取れなくはないと。そういう流れに事実経過ではなっているというふうに思います。
 私は、そういう点で、柳澤大臣が更迭されたということも、一体どういう意味が、どういうことなのかというふうに、そのアメリカの、特にハバードさんの向こうでしゃべっていることも含めて調べてみますと、日本では九月十三日にハバードさんと柳澤大臣の会談があって、ハバードさんが、更に厳しい銀行検査をやるべきだと。もう一つは、ハバードさんは公的資金に慎重ですけれども、将来的には公的資金も念頭に入れてと、それで銀行の改革と。この辺のことをハバードさんが柳澤大臣に言われたら、強調されたら、そんな状態にはないと。柳澤大臣は、そんな状態にはないんだと、今は必要ないということで突っぱねられたと。意見対立があったという報道がワシントン・ポストでされています。
 その後、柳澤大臣が更迭をされて、竹中大臣が就任をされると。竹中大臣については、元々アメリカの評価は高いわけですけれども、この経過の中でかなり高くなってきていますね。十月三十日、竹中大臣が就任されるとすぐ、ワシントン・ポストのインタビューでハバードさんが、彼は優秀だ、これで不良債権処理が進む、歓迎というふうなことを答えておりますし、その後も、竹中方針支持、自民党の皆さんや銀行から反発が出ても、異例の支持表明をする、竹中案でやらないと日本は大変なことになるという警告までやる、ちょっと異常なかかわり方だと思いますが、そういうことがあったというふうに思います。
 そこで、ずばり私聞いてみたいなと思っているんですけれども、竹中大臣が金融大臣を兼務される、これについてアメリカの強い期待があったんではないかというふうに思いますが、そういうことを聞かれておりませんか。
#151
○国務大臣(竹中平蔵君) 閣僚の任命というのは総理の権限の中でも最も重要なものの一部に属すると思います。これについては、総理が様々な点を考えて、総理の責任においてなされたことでありますので、私がどうこう申し上げるという立場にはないと思っております。
#152
○大門実紀史君 じゃ、今度総理に聞いてみます。
 それでは、今回の加速策の中身そのものを私、先ほど言いましたけれども、ちょっと今までと違って異質だな、異様だなと思っていることがありますので、その点に絞って時間がないのでお聞きしたいと思うんです。
 まず、銀行レベルのこのシナリオ、スキームなんですけれども、これは金融再生プログラムの四ページですか、に書かれている部分なんですが、簡単に言いますと、資産査定を厳格化して、税金繰延資産を見直す等々のことで厳しくやっていって、自己資本不足に陥った場合は特別支援を行うと。それが今のところメニューでは、日銀特融、公的資金の投入、検査官の常駐というふうなことが並べられております。そういうことを受けた銀行は特別支援銀行になると。
 これはある種の、度合いがちょっと分からないんですけれども、この前金融庁にレクしたら金融庁も今の段階では分からないというふうに言っているので特に聞きませんが、いわゆる何らかの公的管理の銀行にこの特別支援銀行はなるんだと思います。例えば、資本注入の度合いが大きければ、あるいは普通株へ転換されたらもう事実上国有化ということもあるわけですが、いずれにせよ公的管理の段階にここで入るのではないかと思うんですね。
 私が聞きたいのはその先なんですけれども、この特別支援銀行がさらに、金融問題タスクフォースですか、タスクフォースというのは特別委員会か何かだと思うんですけれども、それがこの特別支援銀行の事業計画をチェックすると。モニタリングをする等々、金融担当大臣に報告をして、その後なんですけれども、それでも黒字体質に転換しないなど、必要と思われる場合は適切な措置を大臣に進言するというふうになっています。つまり、特別支援銀行になっても経営が改善しないというところについてはこのタスクフォースが適切な処置を、ある意味で最終的な適切な処置を大臣に進言するということになっているんですが、特別支援銀行になっても要するに経営改善しない駄目な銀行が適切な処置を受ける。これは具体的には、その次には何が待っているんですか。
#153
○国務大臣(竹中平蔵君) この枠組みをなぜここにこういう形で書いているかということでありますけれども、三つの意味があるというふうに考えております。
 一つは、万が一にも経営難に陥るような銀行が生じた場合には、政府が日銀と協力して万全を期してそこから経済の、つまり金融から経済の底割れを絶対に起こさないようにやっていくという、政府は責任を持って対応いたしますということであります。
 御質問の個別にその先どうなるかというのは、これは個別の事案でございますから、その個別個別で適切に判断をしていくということになるわけだと思います。
 もう一つ、そこでモニタリングのための仕組みを考えているのは、これは政府が管理するというふうに言っても、これは言わば、何といいますか、官僚機構、政治の機構が直接経営に対してそれを丸抱えにするというような形になると非効率なことも生じ得る。ですから、そういった形できっちりと客観的に専門的にモニタリングしてくれる人を、アドバイスしてくれる人をやはり作っておくべきだというのがその趣旨でございます。
 第三番目には、もう一つ、そうしたことを通して、今度は個別のことだけではなくて、全体として不良債権問題がどのように終結に向かっているのかということをしっかりとモニタリングしてもらう。これは時々マクロプルデンシャルポリシーというふうに呼ばれることがありますけれども、そういう機能が今日本の政府の中にはないというふうに思っております。そういうことも含めてやっていただきたいと。
 委員御指摘のその先がどうなるかということについては、これは個別個別の場合でございますから、その委員会の様々なアドバイスに基づいて、政府が責任を持ってこの問題から経済の底割れを起こさせないような措置としてどういう政策を取るべきかということを適宜適切に判断をしていくということになると思います。
#154
○大門実紀史君 モニタリングしても駄目な銀行で、それは個別であれ何であれ、公的資金が投入されて特別支援銀行になっていると。いろいろモニタリングをやっても、それでも駄目な銀行が適切な処置と言われると、もうそれ以上考えたら、当然、いつまでも公的管理だとか、更に公的資金を入れて国有化、全く国有化、永遠の国有化なんてあり得ないわけですから、当然営業譲渡とか株式譲渡で受皿にと、しかないんじゃないですか。
#155
○国務大臣(竹中平蔵君) それはその状況によってどのような改善策があるかということをこれは個別に判断せざるを得ませんですから、どのような方策が国民経済にとって一番良いかということを判断していくということになるわけです。
#156
○大門実紀史君 ですから個別に判断するのは当たり前で、そういうケースの次にはもう営業譲渡か株式譲渡しかないと、私はもう今のスキームだと思うんですよね。それ以外考えられませんから。その場合、日本の銀行にそういうところの受皿になる余力はありません、こういうスキームの中ですから。当然、長銀がリップルウッドに譲渡されたように、外資が受皿になることになるんじゃないですか。そのまれのケース、個別のケースでそういう場合だったらそれしかないんじゃないですか。
#157
○国務大臣(竹中平蔵君) 日本には非常に厚い貯蓄資金があって、投資のための原資は十分にあるというふうに思っております。そうしたところを活用して、さらには優秀な経営ノウハウを持って積極的にいろんな形で貢献してくれるというようなところは、私は当然に存在していると思います。もちろん、最終的にどのような決着になるか、どのような主体が登場するかというのは、これは予見を持っては言えませんですけれども、今、委員が御指摘になったように、非常に一方的にこういう形になるはずだということは、私は決してそういうことではないと思っております。
#158
○大門実紀史君 私はなるはずだと言っているわけではなくて、このスキームの先は何ですかと、スキームをお出しになったわけだから、初めてこういうスキームを、その先こういう処置までやると、ここまで出されているわけだからお聞きしているわけです。
 もう一つ、これに関連するわけですが、今回の経済財政白書の中でも韓国の例をわざわざコラムで取り上げられております、五十一ページですね。竹中大臣は、韓国の例を国会でも言われたことがあると思いますが、参考にするんだと。外国の、特にニューズウイークでしたか、なんかのインタビューでも韓国の例、韓国の例というのをよく言われるわけですが、一体、大臣は韓国の例を言われるときに何を参考になさろうとしているんですか。
#159
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、韓国だけではなくて、こうした問題に悩まされた国の経験、アメリカもそうだったと思いますし、スウェーデンを中心とする北欧の国々もすべてそうであったと思います。そういうところで様々にいろんな試行錯誤がなされて、その中でうまくいった政策もうまくいかなかった政策もある。そういうところからの経験に関してはやはり謙虚に学ばなければいけないというふうに申し上げたつもりでございます。
 その意味では、韓国にしてもスウェーデンにしてもやはりアメリカにしても、学ぶべきところは、これは私自身の当初から申し上げていることでありますけれども、やはり資産の査定をきちっとやる、それできちっとガバナンスが働くような仕組みを作っていく。自己資本についてもきっちりと見ていく、それと再生のメカニズムをきっちりと取り入れていく。そういうことをバランス良く、どれ一つということではなくて、それをバランス良くきっちりとやっていきたい、そういうつもりで申し上げた次第であります。
#160
○大門実紀史君 ですから、韓国の場合は何を学ばれるんですか。
#161
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権の査定を、洗い出しを厳格に行ったということ、それに関して公的資金が必要になった場合にはそれを速やかにスピードを持って投入して処理したこと、そういったこと一連のものについて学ぶべきことはそれぞれにあると思っております。
#162
○大門実紀史君 具体的におっしゃいませんので、一度お聞きしたことがありますが、韓国はとにかく一気に処理をしてV字型の回復をやったというようなことも含めておっしゃいましたし、この経済財政白書に書いてあるのはそういうことですね。
 ですから、私はそういうことそのものは大変危険だなというふうに思っております、韓国のまねをするのは、今この日本で。御存じのとおり、韓国は九〇年代、GDP成長率が十年間平均で六・二%ですよね、高度成長です。日本は九〇年代平均して一・七か何かですから、全然経済状況が違うと。そのときに韓国がやったことを、非常にドラスチックな韓国のやり方を日本でまねすると大変なことになるというふうに、まず経済的には申し上げたいと思います。
 さらに、私、このコラムに載ったものですからいろいろちょっと批判したくなるんですが、韓国のこのコラムに載っているのは、やり方を正確に伝えていないと、問題点とか伝えていません。このグラフにあるとおり、一遍思い切ってやればその後景気回復するよと、これだけを強調するためにこのコラムで取り上げられたような、そういうものになっていますので、少し韓国で何がやられたかということを簡潔に申し上げたいと思うんですけれども。
 このコラムには書いてないんですが、韓国はIMFが入っているんですね。まず、そこが全然違います。IMFの監督下で処理が進められたと。そんなことをまねするのは大変な事態、大変なことになります。
 主要行でいきますと、韓国で、これはカウントの仕方といつの時点かとあるんですが、結論だけ言いますと、韓国の主要行としては九つ大きいところはあると言われています。そのうち七行が、これは九八年から二〇〇〇年の間に、主要行の九行のうち七行が国有化されました。二〇〇〇年三月時点は、このコラムにも書いてありますけれども、九行でいきますと、三行がまだ国有化のまま、残り六行のうち五行が外資系です。外資系の銀行ですね。これ御存じのとおり、ゴールドマン・サックス、JPモルガンとかアメリカ系の外資系銀行が受皿になったわけです。一つ残っております朝興銀行は、これは何と日本の新生銀行が買取りを名のり出ていると、リップルウッドが名のり出ていると。
 つまり、もう韓国の場合はまず国有化して、これから更に増えると思いますが、ほとんどが外資系に、受皿になって外資に売却されたということが、そういうことが書かれていないんです、このコラムについて言えば。
 もう少し触れておきますと、公的資金の問題ですよね。韓国は幾ら使ったかと金額だけちょっとばくっと書いてあるんですけれども、相当の金額ですよね。百五十五兆ウォンというと、韓国のGDPの三割ぐらいです。十ウォンが一円ですから、日本のGDPは韓国の十倍ですから、日本でいうと百五十兆ぐらいのお金を、公的資金をつぎ込んだと。しかも、不良債権の売却に相当使っているということですよね。こんな形を日本でやったら、もう幾ら使わなきゃいけないのかと、大変なことになると。
 ですから、なかなか今ははっきりおっしゃいませんけれども、以前ほど韓国のやり方やるんだということをおっしゃいませんが、本当にこれやったら、先ほど言いましたとおり、日本の経済もクラッシュに落ち込みます。日本の財政も、こんな公的資金、これだけ出せるものありませんから、日本の財政もパンクになります。ですから、どの点取っても私は韓国の例は参考にならないと、これを述べるべきではないというふうに指摘しておきたいというふうに思います。
 こんなやり方やってだれが得するのかを考えてもらいたいんです、日本の場合ですね。経済が破綻して、もう国民生活更に大変になって、日本の銀行までもうがたがたにさせられて、どこが最後に得するんですか、これ、同じやり方日本でやったら。外資しかないんじゃないですか。外資系投資銀行しかないんじゃないですか。私、そう思います。
 その外資、アメリカの投資銀行でいえば、いかにアメリカ政府に強い圧力を持っているかと。これはなかなか日本では御存じないようですし、私、調べたんですけれども、例えば昨日のワシントン・ポスト読んでいましたら、リンゼーさん、今度補佐官を降りる様子なんですけれども、もうリンゼーさん、どこで仕事を探しているかというと、ウォール街で仕事を探し始めたということが昨日のワシントン・ポストに載っておりました。もう御存じのとおり、ボルカー前FRB議長も、クエール前副大統領ですかね、彼らとか、シードマンさんもそうですけれども、みんな、政府高官経験者あるいは政府高官は、ウォール街に戻るか、ウォール街から来た人というふうな関係ですから、アメリカの投資銀行の要求というのはアメリカ政府に直接反映するようになっているんですよね。ですから、この話を私は荒唐無稽でも何でもないというふうに考えているところです。
 しかも、私、驚いたんですけれども、調べている中で、ヘンリー・カウフマン博士、御存じだと思いますが、堂々と言っているんですよね。今度は、もう日本の不良債権の方はやくざが絡んで大変だから、直接銀行と企業の買取りに乗り出したいと。これは表ではもう堂々と言っているんです。特に向こうの投資銀行、投資ファンドの関係者たちはこういうことを、全部取り上げませんけれども、堂々と向こうで言っているんです。日本人だけが知らない、そういうことを。知らない状況で、何かもう国内だけで不良債権処理した方がいいとか、したら大変だとか、こんな議論をやっていると。
 この背景にアメリカのこういう事情があるということを指摘したいと思いますし、今回の加速策が求めるのも、若干妥協で時間的にはストップされたのか立ち往生されているのか知りませんが、スキームですね、メニュー、スキームがそういうことにこたえるようになっているんですね。そういうメニューになっているということなんです。
 ですから、今回の加速策、私、冒頭にちょっと異様だと、異質だと申し上げたのは、例えば柳澤大臣のときは、少なくとも大銀行の存在は前提にして、それでオフバランスをさせると、こういう考え、枠組みだったと思いますが、今度は、メニューが出ているんですけれども、スキームが出ているんですが、場合によってはそれ、場合によってはといいますか、それを前提にはしないと、大銀行の存在を前提にはしないと。ですから、銀行整理の中でも、もちろん破綻処理の中で不良債権というのは処理できるわけですから、何も銀行がオフバランス化、生きたまましてもらわなくても破綻させて売却すれば不良債権処理はできるわけですから、どちらにもできるわけですけれども、今回のスキームというのは柳澤大臣のときと全然違うという、そこが私は異質だなというふうに思います。つまり、銀行の意識的な追い込みになっていると。そういうことが今回の目玉になっているんですね、このスキームの。
 ですから、大手七行の方々が異例の反対声明を出したと。これはマスコミとかが言うように、私は、単に自分たちの権益を守りたいだけでああいうものを出したんではないと。日本共産党の私が大銀行の代弁をするのは変ですけれども、彼らは日本の金融資本としての危機感を私は表明したんだというふうに見ています。
 この辺のことを、大臣、いかがお考えですか。
#163
○国務大臣(竹中平蔵君) 私も、大門委員が日本の大銀行を支持したのをちょっと驚きを持って今聞いておりましたんですけれども、誤解ないように是非申し上げますが、我々が韓国のまねをしているとか、大銀行の存続を前提としていないとか、そういう部分を部分部分で決め付けて話を展開していかれますと、これは非常に話がねじれていくと思います。是非とも、今回の目標は日本の経済を強くすることであり、日本の銀行を強くすることであり、もって国民経済、国民生活を豊かにするものであるという、この経済政策が目指す本来のところを是非とも御理解をいただきたいというふうに思っております。
 韓国の事例を大門委員御紹介してくださいましたけれども、韓国は言わば通貨危機というパニックが起こって、パニックの中で非常に急激な資産劣化の中でああいう措置を取った。先ほどから申し上げましたように、日本はパニックではないんです。パニックが起こってからでは遅いから、だから今のうちにきちっとした対応策を取っていきたいというのがこの政策の目指すところでございます。
 ともすれば、部分部分を決め付けて何とか陰謀説みたいな議論というのがはやるわけでありますけれども、私は、経済政策というのは決してそんなもので成り立っているわけではなくて、一つ一つの経済事象を冷静に分析して、それによってどのような対応策を取るべきかということの積み上げであるというふうに思っております。資産をしっかりと査定するということはやっぱり必要じゃないでしょうか。銀行のガバナンスを強化するということは必要じゃないでしょうか。そういう観点からこの政策プログラムができているという点を是非とも御理解賜りたいと思います。
#164
○大門実紀史君 もう時間が少なくなってきましたので、私、陰謀説なんて細かい、せこい話をしているわけじゃなくて、国と国との利益、自分たちの利益がないとアメリカがこういう行動をするわけないと。その背景にはいろんなワシントン・コンセンサスの堂々とした戦略があると。戦略の話を申し上げているわけですので誤解のないようにしてもらいたいと思いますし、そうはいっても、スキームとメニューからすると、単に今までどおり銀行がオフバランスしてくれりゃいいですよというふうにはなっていないんです。だから、大銀行が戦々恐々として、UFJだとかいろいろなところがリストラやらなきゃいけない、資金圧縮しなきゃいけないと、こんなふうになっているわけですよね。そんな簡単な話じゃないと、今回のことはというふうに申し上げたいと思いますし。
 今日は、もう一つの話ですけれども、これは自民党の幹部の皆さんがよく言われることですが、不良債権市場、不良債権ビジネス、ハゲタカファンドと言われますが、この話は次回やりたいと思います。
 いずれにせよ、最初にお配りした時系列のを見てもらって分かるとおり、早く不良債権を市場に出せと、市場に出せとかなり強調しているんですね。関係ないんですよね、不良債権処理とは。処理した後の話でしょう、オフバランスした後の話でしょう。市場に出ることをアメリカが事細かに要求してきていると。私はこれはもう一つの重要なアメリカの要求が今回の加速策に組み込まれているというふうに思います。
 ですから、今回の加速策は、あれこれと違ってアメリカの二つの要求、外資投資銀行、それと不良債権ビジネス、これは投資ファンドの方だと思いますが、これが非常に色濃く出された案だと思っておりますので、引き続きこれについては追及をしていきたいと思いますし、これは与党も野党も私はこんな案に乗せられたら大変なことになると思うんですよね。
 ですから、将来、不良債権処理をどう処理するか、公的資金どうするかと、これは考え方はおいておいて、今回の案だけは一致してみんなで反対していくことを呼び掛けて、私の質問を終わります。
#165
○委員長(柳田稔君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時五十分まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後三時五十分開会
#166
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として谷博之君が選任されました。
    ─────────────
#167
○委員長(柳田稔君) 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#168
○平野達男君 国会改革連絡会の平野でございます。
 まず冒頭、塩川財務大臣にお伺いしたいと思います。
 国債発行枠三十兆円、これはシーリングとは別に、財政の規律を守る、安易な国債発行によらない予算編成をするんだということで設定しておりました。先般の報道によりますと今年の税収は約二兆円ぐらい予想を下回るという話で、これはちょっと三十兆円の達成というのは、堅持というのは結果としてなかなか難しいのかなという感じがします。
 それは、達成できないかどうかということについてはいろいろ議論あろうかと思いますが、むしろ私は、来年度の予算編成に向けて、シーリングとは別に、いわゆる塩川財務大臣はかんぬきというふうに言っていましたけれども、安易な国債発行によらない予算編成という意味での新たなかんぬき、三十兆円が例えば三十二兆円になるのか、あるいはほかの別な指標になるのか分かりませんが、そういった新たな、塩川財務大臣の言葉をかりますと、かんぬきというものを新たに設定する用意があるのかどうか、これをちょっと冒頭にお伺いしておきたいと思いますが。
#169
○国務大臣(塩川正十郎君) 我々は、かんぬき、上と下と二つ入れていましたので、上のかんぬきが三十兆円なんですね。もう一つ、二本入れていました一本はプライマリーバランスなんですよ。ここをもう一度計画的にしっかりしたものにして、両方、三十兆とプライマリーとの両方のバランスを考えていきたいと思っています。
#170
○平野達男君 具体的に三十兆円に代わるものを設定するということについて考えているわけではないということなんでしょうか。そこの一点にちょっと絞りたいんですが。
#171
○国務大臣(塩川正十郎君) これはまだ税収がどの程度かはっきり分かりませんし、落ち込みがどの程度か、私は率直に言いまして、もうかなりあるなと思っておるんです。
 といいますのは、今日も衆議院の本会議でお答えしたんですけれども、十四年度の税収見込みはそもそも十三年度をベースにしておりますけれども、十三年度のベースの中で、一兆七千億円の言わば決算と、それから補正後の見込みですね、その差が一兆七千億あったんですね。この分は十四年度のところに反映されておらないから、その分が過重な負担になってきておるということがありますので、かなり十五年度はきつい予算になってくる、こう思っておりますが、それの結果を見て判断をしたいと思っております。
#172
○平野達男君 私は、いずれ、これから十五年度予算編成に向けて、積極財政になるのか、あるいはいろんな経済状況に応じて弾力的に財政発動するのか、あるいは今までどおり一つのかんぬきを掛けて一定の枠組みを決めるのか、その方針の出し方によって随分議論が変わってくると思います。
 ただ、大事なことは、いずれにせよ、今まで塩川財務大臣が言われたことは、財政の規律を守るんだ、それから安易な国債発行によらないんだということをずっと言ってこられましたですね。もしこれを堅持するということであれば、その三十兆円に代わる何らかの多分指標が出てきておかしくないと思いますし、それはできるだけ早い段階で方針を是非示していただきたいなというふうに思います。
 それから次、竹中大臣に、この間の議論の続きということで、私はまだ不良債権の加速というのが何を意味するのかよく分かりません。加速という言葉だけがどんどんどんどん走ってしまっておりまして、この間のちょっと議論の続きをしたいと思いますが、この総合対応策の中に「不良債権処理の加速策」というのが出ております。このペーパーに、第一ページの中に出ています。それを受けて金融再生プログラムというのが出ていますね。これを見ますと、全体四つか三つの中で構成されていると思うんですが、一番目が「新しい金融システムの枠組み」ということで総論を書きまして、(3)に「平成十六年度に向けた不良債権問題の終結」と書いてありますが、ここにあるのは、不良債権処理等を進めた場合に、金融機関が資本不足に陥った場合にどういう対応をするかというのを書いています、(3)は。それから二番目の「新しい企業再生の枠組み」は、これは不良債権、破綻懸念先とかという区分されたときにどういう処理をするかという意味で、企業再生という新しい枠組みを入れますということで、これは処理の仕方を書いています。それから三番目の「新しい金融行政の枠組み」、これはいわゆる金融機関の財政基盤が脆弱じゃないかということで、その脆弱な基盤についてどういったまず見直しをするかというか、現状認識をどうするか、あるいはどういった対応をするかというのを書いていまして、不良債権処理の加速というのはどこにも説明されていないんですね。つまり、この金融再生プログラムというのは、不良債権の処理を進めるためのいろんな基盤の整備あるいは方法等というのは書いていますけれども、不良債権処理の加速、加速と言いながら、何が加速なのかというのは全然書いていない。
 それから、この間の質問にもしましたけれども、加速というのは一体何かという定義をだれも説明してくれない。一般的に加速で受けるというのは、現状がこうだからここの部分をスピードアップさせます、量的にもう少し処理を進めますというような一般認識があると思うんですが、そこは一体どういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。
 それからもう一つ、更に言えば、この竹中担当大臣の提出資料の中で、不良債権処理の加速という言葉はもう一言だけ、一ページ目の「不良債権処理の加速等の政策強化」という中で、ここに使われているだけなんですね。あとはもう文章からもすっかり抜け落ちているということなんですが、これをどのように理解すればよろしいんでしょうか。
#173
○国務大臣(竹中平蔵君) 平野委員の御質問にお答えする前に、申し訳ありませんが、一点だけ、経済財政の関係で、三十兆の枠組みでございますけれども、私の経済財政の方に関連する点、一言だけ是非申し上げておきたいんですが、塩川大臣がおっしゃいましたように、要するにプライマリーバランスを回復させていくと。それを実現するためにどのようにやっていくかということを「改革と展望」の中では、言わば緩やかなキャップといいますか、歳出を緩やかに抑えていくという形でそれを、あとは、税収の方はビルトインスタビライザーを活用する、動くけれども、そういう形で実現していくんだということを、これはだから、緩やかなキャップが一つのかんぬきであるということを今年一月の「改革と展望」で示しております。今回、「改革と展望」を見直す中で、そういったことも含めて、かんぬきといいますか、規律を、ディシプリンを確保するための姿というのを示していきたいというふうに思っております。
 お尋ねの加速でございます。前回、平野委員の方から御質問を受けまして、私の方で、いや、金融システムを強化するということを意味しているんだということを申し上げたら、それは言葉の巧みなすり替えではないかというような御指摘をいただきました。
 この点は是非御理解賜りたいのでありますけれども、不良債権の処理を加速する、銀行部門の中にある非効率な資産をできるだけきれいにしていく、それが一つの象徴、シンボルでありますけれども、不良債権をまず洗い出して、そのことをしっかりとオフバランス化していって、その中で銀行、金融機関のガバナンスも強化しながら、同時に経済全体での不協和音を起こさないような形で金融システムを強化していく、政策が目指しているところは実は正しくそういうところでありまして、その一つのシンボルとして不良債権処理の加速という言葉を使わせていただいております。
 それを言葉がすり替わっているという御指摘があるとすれば、これは非常に狭義の不良債権問題、広義の不良債権問題というふうにあえて申し上げなければいけないと思いますが、不良債権の処理に関しては、前回も正しく御指摘してくださいましたように、きちっと査定してそれをオフバランス化していくという、銀行から見ればあくまでもそういうことになります。
 しかしそれは、その過程で企業を再生させることも重要でありますし、そういった金融システム全体がうまく機能して強化されるようにしたい、それが政策が目指しているところでございます。
#174
○平野達男君 今、例えばマスコミなんかでは、整理されるべき企業三十一社とか、それからゾンビ企業を延命させているとかいろんなことが言われているわけですね。それから、銀行は今までも体力の範囲内で不良債権処理をしてきたということを巷間いろいろ言われているわけです。そういう中で不良債権処理の加速というのがぽんと出てきたら、いろんな憶測を生んでしまったと思います。
 今お聞きすれば、ああそういうことかというふうに理解できないことでもないです。しかし、不良債権処理の加速ということのその本質が何かということをしっかり説明しておかないと、つまり、不良債権問題というのはまだまだ何か一杯問題があるんじゃないかという憶測だけを市場に残してしまったような、一般の方々に、そういう何か怪しいという雰囲気だけが非常に残ってしまっている。そこにきちっとした答えをしていかないと、この総合デフレ対策についても、これからいろんなことを進めるときの根本的な問題解決の大きな障害になってくるんじゃないかなという感じが強くします。
 それで、この金融再生プログラムの中身については、実は私は二十分しか質問の時間がないので、たくさん聞きたいことがあるんですが、特に一点、中身についてちょっと質問したいことがございます。
 これは、五ページに「RCCの一層の活用と企業再生」ということが言われておりますけれども、この中で「貸出債権取引市場の創設」ということがあります。この貸出し債権取引市場の貸出し債権については、これは不良債権を念頭に置いているんでしょうか、それとも一般の貸出債権を念頭に置いているんでしょうか。
#175
○国務大臣(竹中平蔵君) これはRCCとの関連で書いておりますので、基本的にはRCC、既に資産の買取りを増やしておりますけれども、それを回収、売却、再生、それぞれの目的に合わせて、それぞれのパターンに合わせてしっかりと資産が新しく活用されているような形にしなければいけない、そういうことを念頭に置いて書いているわけでございます。
 もちろん、債権の売買というのは現実には今もないわけではないわけですけれども、とりわけこのRCC等に関しましては新しい組織が始まったばかりで、買う方の、売却の方の機能が強化されてまいりました。それはしかし、更に資産が有効に活用されますように回収、売却そして再生、そのようなものが機能できるような形に持っていきたいと、そういう趣旨でここでは書かせていただいております。
#176
○平野達男君 この場合に、ここでもまた加速という言葉を使っているんですけれども、「RCC及び政府系金融機関等は、保有している貸出債権の売却を加速することによって、日本における貸出債権の取引市場の創設に努力を傾注する。」と書いています。これは、この背景にあるのは、まず一つ問題点は、「貸出債権の取引市場の創設」と言っていますから、これはまだ創設されていないというか脆弱だという理解に立っているということでしょうか。まずその一点目をお尋ねします。
#177
○国務大臣(竹中平蔵君) 規模そのものが十分ではないというふうに思っておりますし、さらには、そこがやはり、市場というのは情報交換の場でありますから、その情報機能、情報の仲介機能が必ずしも十分ではないという御指摘があるように聞いております。そうした取引情報をどのように集約していって、本当に必要としている人に必要な資産を使っていただくというのが経済の再生につながるわけでありますから、そういう量、質ともに機能を充実させる必要があるのではないかと思っています。
#178
○平野達男君 昨年のRCCに関する法律改正、いわゆる時価の買取りの法律改正をやったときには、なぜRCCが要するに時価の買取りをするかということに対する説明については、市場に厚みを増すんだと、つまりサービサーの数が非常に不足している、だからRCCが参入することによって市場に厚みが増すんだという説明をしていました。そこには、取引市場が薄いとかという問題じゃなくて、既に量があると。量があるけれども、そこに参入するサービサーの数が少ないからRCCの時価買取りという、こういう説明だったと思います。
 今の私の言っていることと、この言っていることはちょっと矛盾すると思うんですが、竹中大臣は去年の議論をどこまで聞いておられるか分かりませんが、厚みを増すという言葉と、このRCCを入れた背景と、今回の私は取引市場の創設ということに対してちょっと矛盾があるんじゃないかと思うんですが、ちょっと御見解をお伺いしたいんですが。
#179
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと昨年の議論の議事録等々を改めて私も見させていただきますが、今の委員のお話を伺っております限りでは、これはマーケットに参加しようと思っている潜在的な、何といいますか、参加者というのはある、しかしながらそれが取引事例としてなかなかまだ成立をしていない、そういう取引事例を実現していく、そういう一つの重要な役割を果たすものとしてRCCがと、そういうふうなお話に聞こえたのでございますが、私が申し上げたいのは、実際に取引の実績が増えるような形で、これはマーケットが非常に多様な情報を売手と買手がしっかりと享受して、それによってしっかりとした売買が成立していく、そういう意味で、より質、量ともに充実させたい、そういうふうに申し上げたわけです。
#180
○平野達男君 さっきの質問に戻りますけれども、そうすると貸出し債権というこの貸出し債権は、竹中大臣のイメージするものとしては、不良債権をイメージしているというふうに理解してよろしいですか。
#181
○国務大臣(竹中平蔵君) 少なくともここで議論されている限りにおいてはそのとおりでございます。別途、様々な取引がいろいろな形で行われていく、その資産取引そのものがこの経済では必ずしもまだ、証券化等々の事例に見られますように、それほど十分に発達しているというふうには思っておりませんから、そういう余地は私はあるのだと思います。しかし、ここで議論されているのはそういう一般的なことではないということです。
#182
○平野達男君 そうしますと、普通、取引市場の市場の創設とか市場の活性化という場合には、これから取引がどんどん伸びますという前提に私は立っているように思います。しかし、今の言っているのは、二年後には不良債権問題は正常化させます、これは最終終結させますと、まあいろんなことを言っていますけれども、その市場に出回る不良債権というのは基本的には少なくするという方向でいっているわけですね。何でこれ短期的に貸出債権の取引市場の創設というのをここでうたわなくちゃならないんですか。しかも、RCCを無理やりここは出させて、それで取引市場を創設するというのは、非常にこれ、先ほど大門先生の中に、無理があるというか不思議な感じがするというか、ここに別な意図的なものをどうしても感じてしまうんですが、これはどういうことでしょうか。
#183
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権問題を終結させるということの重要な意味は、銀行のバランスシートからそういうものが離れて、そこでそういうものが回収、再生等々でしっかりとその対象になっていくということを意味しているわけであります。しかし、銀行のバランスシートから離れた後も、それが更によりよい貸手に対して転売されるというようなこともあるわけでありますから、不良債権問題が終結したらその市場がなくなってしまうということでは私はこれはないと思います。
 もちろんこれからオフバランス化が進む中で今後二年間というのはそういうものが増えていって、その後については少し市場の規模というのは違ったものになるというふうに思いますけれども、そういった市場がいったん形成されれば、その後様々な、これは不良債権の問題というのはなくなるわけではないわけでありますから、それはやはり引き続き重要な機能を果たすと思います。
#184
○平野達男君 ただ、ここで言っているのは、今、不良債権が結構たまっていますと、それから、これを取引市場をさせるために貸出債権の売却を加速してください、量を出してくださいといっているわけですね。これと、二年後の状況を見たときに、これはどういう説明が付くのかというのがちょっと不明です。
 それともう一つ、RCCについては売却を加速すると言っていますけれども、RCCは基本的にはもう回収をする組織としては恐らく日本最強の組織だろうと思うんですね。そこのRCCに向かって売却を加速するというようなことを言うのは、RCCの要するに創設の経緯からいってもちょっと違うんじゃないかなという感じがするんですが、竹中大臣の見解をちょっとお伺いします。
#185
○国務大臣(竹中平蔵君) 昨年秋の金融再生法の改正において、例えばRCC、買い取った不良債権の処理に関する規定を新設していると。具体的には、処分方法を多様化することに加えて、資産の性質に応じて、経済情勢、債務者の状況等を考慮し、当該資産の買取りから可能な限り三年を目途として回収又は譲渡その他の処分を行うよう努めるというふうになっておりますから、これは、私、先ほど申し上げましたように、二年後ぐらいまでに、二年半後ぐらいまでに、銀行からオフバランス化されるものが確かに一時的に従前に比べて多くなるんだと思いますが、それ以降も、マーケットを通じてこういったものの再生に向けた、さらにはより新たな利用者に向けた資産取引というのは、だからマーケットはやっぱりそこにずっと存在していくのだと思います。加えて、先ほども申し上げましたように、それ以降も不良資産というのはなくならないわけでありますから、そこはそういう御理解をいただきたいと思います。
#186
○平野達男君 去年の議論のときにいろんな資料を見たときに、不良債権を処理するというか、取引に応じる、取引しているいわゆるサービサーというのは圧倒的に外資系が多かった。その中で、まず厚みを増すという意味において、日本版の、日本のRCCが入って市場に参入しますというふうに言ったわけです。
 今回ここで言っているのは、RCCが一回買ったものを、企業再生やるとか回収するとかまた売るというのは、これはそのとおりです。しかし、わざわざ売却を加速するというのは、RCCが一つの取引市場の中で買手として入ったものに対して、もう一回売れと言っているわけですよ、ここの場合は。そうすると、先ほど言いましたように、外資系の要するにハゲタカファンドと言われるやつが、安く買いたたくやつがいろいろ非常にうろうろしていると。そういったものに対する対抗馬としてのRCCが最近入ってきたということで、先ほどの午前中の大門先生の話の質問にちょっと通じるんですけれども、これをわざわざ書いたというのは非常に私は不自然な気がします。
 ということで、時間になりましたから、竹中大臣の最後のコメントをちょっと。
#187
○国務大臣(竹中平蔵君) そこはやはり市場、マーケットというものをどのように考えるかということなのだと思います。一つのサービサーないしは一つの機関がすべての資源を有効に活用できるとは限らないわけです。私がうまく活用できないのを、例えば伊藤副大臣が活用できるということはあるわけで、それをつなぐのが市場であるというふうに思います。
 したがって、何も有効利用できないままに抱え込んだままにしておくというのはこれはよくないわけでありまして、そういう点を念頭に置いてこういう記述をしているということでございます。
#188
○平野達男君 時間になりましたから終わりますけれども、また機会を改めてお聞きしたいと思います。
#189
○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。今日はしんがりを承りまして、若干質問させていただきます。
 三十日に金融再生プログラムと改革加速のための総合対応策というものが発表されたわけであります。この中は、不良債権処理を中心とする金融対策ともう一つは産業再生という二本柱と、こういうふうに理解をいたしておりますが、私はもう一つ柱が要るのではないかと。それは政策的支援ということをもうちょっとはっきりさせるべきではないかというふうに考えております。不良債権処理と産業再生と政策的支援といった三本の柱で是非早急に金融再生、経済再生に全力を挙げていただきたいと、こういう考え方の下に質問をさせていただきたいと思います。
 十月三十日にプログラムと一緒に総理の談話が発表されましたが、その冒頭で、平成十六年度には不良債権問題を終結させる目標の達成に向けということで、いきなり不良債権と、こういう語句があるわけでございます。
 今回の金融再生プログラムは、一体、不良債権問題を解決することが目的なのか。私は、金融仲介機能を回復して金融を再生させ、ひいては経済を再生させるということが目的であって、不良債権処理というのはあくまでもその手段ではないかと考えておりますが、その辺についてお考えを聞かせていただきたい。
#190
○国務大臣(竹中平蔵君) これまでの議論と重なる点があるかと思いますが、基本的には委員がおっしゃるとおりであるというふうに思います。強い信頼に足る金融システムを作るというのが目指すところでありまして、不良債権問題というのは言わばそのシンボル的な問題、その問題の処理を加速するというふうな言い方は、極めて狭義の言い方になるかと思います。
 ここではあえて、総理の談話を今御引用くださいましたけれども、不良債権問題の終結、この問題という中に、今おっしゃったような金融システムを強化するんだという意味が込められているのだというふうに思っております。
 したがいまして、金融仲介機能の回復、より安定したシステムの構築、そういうところが政策の目指すべきところであると思います。
#191
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 そこで、少し具体的な話として、再生プログラムの冒頭にも「十六年度には、主要行の不良債権比率を現状の半分程度に低下させ」と、こうございますけれども、これは金額的なのかパーセンテージなのか。まあいずれにしろ現状の半分ということで考えますと、十四年三月末の主要行の不良債権残高というのは二十八・四兆円という数字があるようでございますが、これを半分にすると十四兆円でございます。
 しかしながら、十四年度以降新たに発生する不良債権というのが当然あるわけで、これを推計するのは難しいとは思いますが、仮に新規発生額を年五兆円といたしますと、三年間で十五兆円になると。合計すると十四プラス十五で二十九、約三十兆円というような数字がごく大ざっぱな話として出てくるわけでございますが、主要行の十六年度末の要処理額というのはそのぐらいのオーダーになるんだと、こう理解してよろしいのでございましょうか。
#192
○副大臣(伊藤達也君) 先生今御指摘をされましたが、主要行の十三行ベースで見ますと、いわゆる再生法開示債権残高が二十六・八兆円、不良債権比率で八・四兆円になります。ここにいわゆる新生銀行とあおぞらを含めたベースで、先生御指摘のとおり二十八・四兆円、不良債権比率で八・七%という数字になってくるかと思います。
 新規発生分についてでありますが、これは今後の景気動向がどうなるかということによって大変大きな影響を与えるものでありますので、様々な要因を今確定的に判断することは極めて難しいところがあるんではないかというふうに感じております。
#193
○中島啓雄君 今後の発生高はおっしゃるとおりだと思います。ということで、おおむね三十兆円ぐらいと、こう想定をいたしますと、大体現在の十四行ベースの二十八兆円とほぼ見合うような額であろうと。これに加えて地方金融機関、地銀以下の金融機関というのが当然あるわけで、地銀以下についても、貸出しシェアで五一%とか不良債権残高シェアでは四六%ぐらい占めておるということですから、こうした地域金融機関の問題解決なしには金融機能の再生というのはあり得ないんだと思います。
 そこで、十四年度内にアクションプログラムを作成されると、こういうことでありますから、これどうするんだという御答弁はもう結構でございますが、地方金融機関も合わせますと、十六年度末までの要処理額は現在の不良債権残高にほぼ匹敵する。現在の不良債権残高が五十二兆円というふうな数字がございますから、ほぼそういった数字に近いのではないかと、こう思われます。
 これはやっぱり大変なことなんで、当然世論としては、不良債権処理が加速化すれば、下振れ防止策として貸し渋りとかデフレ圧力の高まりといった事態が生ずるおそれがあるわけで、竹中大臣はこれは万全の対策を期しますというような御趣旨の答弁しておられますが、具体的にはどんな対策を考えておられるのでしょうか。
#194
○副大臣(伊藤達也君) 先生御指摘のとおり、貸し渋り、貸しはがしに対しては、私どもは十分に問題意識を持って対応していかなければいけないというふうに思っております。特に、中小企業についてはやはり日本経済を支える基盤でございますので、この中小企業に対する金融の円滑化というのは大変重要な問題でありまして、特段の配慮が必要だというふうに思っております。
 そうした意味からも、不良債権処理を加速をさせるその理由をもってして貸し渋りや貸しはがしを行わないようにということで、金融機関に対しては繰り返し繰り返し要請をしてまいりましたし、今後も要請をしていかなければいけないというふうに思っております。
 また、今回の再生プログラムの中でも各種のセーフティーネットを講じたところでございまして、これを一層積極的に取り組みながら中小企業に対する金融の円滑化というものを確保していきたいというふうに考えております。
#195
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 今、中小企業対策を中心に、まず金融機関に要請する、セーフティーネットを用意するというようなお話がございましたけれども、まだまだちょっと抽象的で、なかなかインパクトという面では不足をしているのではないかと。やっぱり政府としては、金融再生に向けて、断固もうこれで問題は解消させるんだということで国民に安心感を与えるということが大事ではないかと思います。
 私は、資産査定をかなり厳格化すると。例の税効果をどうするかというような細かい話は別として、厳格化すると同時に、政府は五十兆円以上ぐらいの新しい公的資金枠を用意をして、言わばあめとむちの戦略で万全を期すというようなことを御検討いただいてはどうかというふうに思います。
 先ほども申しましたように、要処理額が五十兆円を超えるんじゃないかという想定の下では、多くの金融機関が業務純益だけではちょっと処理額に足りないねと、こういう話になると思いますので、必ずしも特別支援という定義に当てはまらなくても、予防的措置を含めて、金融機関への資本増強であるとか、あるいはRCCなり産業再生機構の債権買取りとか、あるいは融資とかそういったことに対する保証、それから中小企業向けの融資保証といったこともあるかと思いますが、こういったことに対する積極的な支援の仕組みを考えられてはいかがでしょうか。
 平成十年以降のいわゆる金融対策で七十兆円の公的資金枠というのを作られたわけでございますが、平成四年から十三年までの不良債権の処理額というのは八十一・五兆円に上ると認識しておりますが、そういうことをやってきたわけでありますから、やっぱり五十兆円ぐらいの不良債権の処理をするからには五十兆円ぐらいの資金枠を設けるということが必要ではないか。これは別に全額国民負担になるということではなくて、当然、融資保証なりあるいは株式の購入であれば、経済が立ち直ってくれば返ってくる金、あるいはうまくいけばその株価上昇によってプラスが出るかもしれないと、こういうことでありますから、是非こういった仕組みを考えていただいて、具体的に相当なる決意を持ってやるんだということを示していただければどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
#196
○国務大臣(竹中平蔵君) しっかりとした決意を持ってやれという御指摘は正にそのとおりだというふうに思っております。これは、総理御自身がおっしゃいましたように、これは全内閣を挙げて取り組むべき仕事であり、であるからこそ、中小企業に対する対策、セーフティーネット融資、セーフティーネット保証等、これは平沼大臣の方で様々な今御工夫をしてくださっておりますし、雇用の問題につきましては坂口厚生労働大臣の方で、従来の枠組みも踏まえつつ、さらに新たにどういう点が必要かということも含めて雇用のビジョンをしっかりと作って、それで総理にお出ししたいと、そのようにおっしゃっておられる。そういうことを各省庁の協力を仰ぎながら、これは断固とした決意でやるということになるのだと思っております。
 五十兆の規模という御指摘が一つございましたが、これは先ほど副大臣が答弁しましたように、今後一体どのような発生があるのかというような点、さらには現状どの程度の引き当てが行われているかというような点、さらにはこれがどの程度再生されていくのかという、やはり再生の可能性をどう見るかという点が非常に大きな点になります。
 そういう意味で、非常に不確定な要因が多い、であるからこそ、しっかりした決意の下できめ細かく状況を見ながら各省の協力を得て、最後は財務大臣のところでしっかりと受け止めていただいて、万全の対策を取っていかなければいけない。しかし、これは内閣を挙げてやれという総理の御指示の下で着実にやっていきたいと思います。
#197
○中島啓雄君 ありがとうございました。是非少しインパクトのある対策を打ち出していただければ有り難いと思います。
 銀行経営者の経営責任問題なんですが、三十日の党首討論で、総理は、経営責任追及は当然であるというような趣旨のことを言っておられたと思います。これは当然といえば当然なんでありますし、それから銀行経営陣にもう少ししっかりしてもらいたいというのは、私もそのとおりだと思っておりますが、現実問題は、ここ一、二年の間に主要行の経営陣というのは一新をされて、これから再生に取り組もうということでやっておられる矢先に、言わばゲームのルールを変更して、ゲームのルールを変更したら不合格だよ、それじゃ退陣だよというふうな、これはいささか酷ではないかというような気もいたしますので、私は、その結果責任として、十六年度末までにおいて目標が達成できなければこれは厳格に処理しますよというような、ある程度柔軟で心優しい姿勢があってもいいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#198
○国務大臣(竹中平蔵君) 責任、特に大きな組織のトップに立つ者の責任というのは大変やはり厳しいのだと思います。基本的には、やはりこれは今の経営、将来の経営に対して責任を持ってもらうというのが本来の意味での経営者の責任であるというふうに思います。
 しかし同時に、今回の再生プログラムに書きましたように、特別支援を受けるような場合は、これはやはり国民のお金を使うという意味で、これはやはり国民から見た一種のフェアネスの問題もあろうかと思います。その間でどこで折り合いを付けるかという問題なんだと思っております。
 今回の再生プログラムでは、特別支援を受けることとなった金融機関を代表する経営者については責任の明確化を厳しく求める、健全化計画等の未達に関してはその原因と程度に応じて必要性を判断して行政処分を行うとともに、改善がなされない場合には責任の明確化を求め厳正に対応する。経営者は一体何に対して責任を負うべきか、一方で国民感情はどういうところにあるかということに照らして、このような再生プログラムでの一つの判断になっているわけでございます。
#199
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 次に、日銀にお尋ねをいたしたいと思いますが、デフレ対策ということで、現在の経済危機を打開するためにはやっぱりデフレ対策が一番重要でありますし、デフレに伴って不良債権が発生する、不良債権が発生するとまたデフレになるというような悪循環を断つことにあると思います。
 デフレ対策としては、竹中大臣もおっしゃっているように、需要面、供給面、金融面といった対策があるわけでありますが、やはりデフレというのは第一義的には金融的現象であると思うんですね。ということで、日銀の責任というのは非常に重いのではないかと。
 ゼロ金利という、言わばリクイディティートラップといいますか流動性のわなに陥った状態の中で、日銀が金融政策として取れる対策というのはかなり限定されるということは総裁もよく言っておられますけれども、そうおっしゃりながら、先ごろも当座預金残高を十五兆から二十兆円まで増やすとか、国債の買入れも増やすというようなことで手を打っておられて、これは評価したいと思いますが、どうも戦力の逐次投入というようなことで、何か効き目が悪いのではないか、もっと思い切った金融緩和策でデフレを解消できないかと。銀行持ち株の買入れもやるというところまで決断をされたわけでありますから、もっと大幅にマネタリーベースを増やしてみたらどうかというのが私の考えでございまして、経済財政白書ですか、これにもマネタリーベースを増やしてもなかなかマネーサプライに結び付かないということがるる説明してございましたが、私はそうでもないと思っておるわけです。
 今、資料としてお配りしたグラフを見ていただきたいと思いますが、下の目盛りは九九年四月から本年の九月までの時系列でマネタリーベースとマネーサプライの前年比がプロットしてございます。上の方の黒点の濃い線がマネーサプライでございまして、これは右目盛りで、現在三・数%になっておる。それから下の方の四角い点の目盛りがマネタリーベースでございまして、これは左目盛りでございますので、現状は二十数%のアップになっておる。
 これで見ていただきますと、昨年の三月、〇一年三月ですね。ここで金融政策を、日銀の当座預金残高を操作するという量的規制に踏み切ったということで、それから後のトレンドを見ますと、非常にやっぱりマネーサプライの伸びとマネタリーベースの伸びというのはよく似ている。伸びるところは伸びているし、また、マネタリーベースをマイナスにするとまたマイナスになるというような傾向でありまして。ただ、このグラフは、マネタリーベースの方は左目盛りで、マネーサプライは右目盛り、これは十倍に取ってありますんでややトリッキーなグラフになっておりますけれども、これは、やってみれば効きは悪いけれども効くんだ、こういうことではないかと思います。
 最近の傾向から見ますと、マネーサプライを一%ポイント伸ばすにはマネタリーベースを二五%ぐらい伸ばす必要があるのかなと。名目GDPをプラスにするにはマネーサプライの伸びを現行の三%ぐらいから六%ぐらいまですれば何とかプラスになるんじゃないかなというような気がしておりますが、そうすると、マネタリーベースを前年比で七、八〇%、金額にしてもう五、六十兆円増加させたらどうかと、こういうことになるわけで、もしそんな大幅なことをやってインフレが加速したらどうするんだというようなことが生じた場合には、それはマネタリーベースの伸びを引っ込めればいいわけでありまして、これによって若干金利が移動して日銀納付金が減るというようなこともあるかもしれませんが、余り大きな弊害は考えられないんじゃないかと。言ってみれば、ヘリコプターで貨幣をばらまけばこれは確実にインフレになるんで、そこまで極端は、極端な話でしょうが、それに近いところまでとにかく試みてみる価値はあるんじゃないかと、こんな感じがいたしております。
 そんなことで、日銀としての御見解を承ればと思います。
#200
○参考人(白川方明君) お答えいたします。
 日本銀行は、先週、日銀当座預金の残高の目標をそれまでの十ないし十五兆円程度から十五ないし二十兆円程度というふうに五兆円引き上げまして、それからまた、委員御指摘のとおり、長期国債の買入れを月一兆から一兆二千億円に増やしまして、資金供給に努めております。
 日本銀行は、今般決定した措置も含めまして、これまで極めて思い切った金融緩和措置を講じてきております。この結果、委員御指摘の、銀行券と日銀当座預金を合算しましたいわゆるマネタリーベース、これの名目GDPに対する比率を見てみますと、過去百年の中で現在の水準というのは、第二次大戦直後を除きますと今が一番高いという水準になっております。
 それから、日本銀行のバランスシートの規模というのを見てみますと、この二〇〇一年度末で百三十九兆円でございまして、これは実はアメリカのFRB、これが今八十六兆円、それから欧州中央銀行、これが九十五兆円でございますけれども、日本銀行の方が実は今はるかに大きくなってきているということで、それぐらいに今資金供給に努めております。
 ただ、委員御指摘のとおり、こうした思い切った金融緩和の効果が金融機関の外側にいます企業や家計にまで十分波及していないということは御指摘のとおりでございまして、この点はマネーサプライの伸びが現在マネタリーベースの伸びほどには高まっていないということでございます。
 委員がお配りになりましたそのグラフでございますけれども、ちょっと御存じのことではございますけれども二、三コメントさせていただきたいんですけれども、確かに、去年の三月以降マネタリーベースが伸びている局面と、それからマネーサプライの伸びが高まった局面というのは一致しているように見えますけれども、実はこれ、幾つかの要因がございまして、一つは、十年前に高金利で集まりました定額郵便貯金、これの満期が到来しまして、これが今、通常、銀行の要求払い預金、流動性預金に入ってきております。
 それからもう一つ、去年の秋にエンロンであるとか内外の企業が破綻しまして、そうした先のCPとか社債を組み込んでいました投資信託がこれ大幅に解約されまして、実は半分以下に下がりまして、それが銀行預金の方に集まってきている。特に、今年の四月初からのペイオフの部分解禁をにらみまして、全額保護されております実は流動性預金にどんどん入ってきたと。それがこの実は三月にかけての動きでございます。四月以降、そうした動きが少し一段落しまして、今度は逆に国債の方にもシフトするということが起きまして、そういう動きが実はこのマネーサプライの方にも反映しているということでございます。
 結局、これは委員も御指摘のことと関連いたしますけれども、金利が既にゼロに達しているということ、それから企業が過剰債務を抱えていまして借入れを圧縮したいと、若干収益が上がってもそれは債務の返済に回していくと、したがって預金の方も増やせない、マネーサプライも増えないということがどうしてもバックにあるという感じがいたします。
 その意味では、現在日本銀行が行っています金融緩和が一段と強力な効果を発揮するためには、不良債権問題への取組を通じまして金融仲介機能を高めていくとか、規制の緩和・撤廃、税制改革を始めとする財政の適切な運営などを通じまして企業や家計の活発な支出活動を引き出すということが不可欠だというふうに思います。
 それから、先ほどデメリットがあるのかということで、更に五十兆、六十兆円増やしていけばというお話ございまして、その中で日本銀行のバランスシートの話にちょっと言及されましたけれども、日本銀行もさることながら、仮に一挙に五十兆、六十兆上げて、それから、今委員御指摘のとおり、そのときには今度逆の局面があったら一挙に売りオペをすればいいんだと。それで、今度は金融機関それ自身にもまた大きな影響が出てまいります。そういう意味で、日本銀行は別に思い切った金融緩和を現に今やっておりますけれども、そうしたことも含めて効果と、それから、あり得べきデメリットといいますか、副作用も見ながら、日本銀行として最大限資金供給に努めていきたいというふうに考えております。
#201
○中島啓雄君 ありがとうございます。
 いろいろ学説は多々あると思いますが、余り大きな弊害がないのならもっと、五十兆とまでは言わないまでも、トライをしてみる価値はあるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、減税論議と財政支出の経済効果の論議についてお伺いしたいと思いますが、税制改革というのを経済財政諮問会議でも大きく取り上げられて、本来は、広く薄く簡素な体系、二十一世紀のあるべき税制を議論するんだと、こういうことだったんでしょうが、どうも最近は、二・五兆円規模で減税をやれとか、何か経済対策の論議に変質をしているような気がいたします。
 教科書的に申しますれば、減税のGDPへの効果と財政支出の効果という意味では、当然減税の方は限界消費性向分だけマイナスになりますから、同じ額なら効き目が悪いと。景気対策、経済対策として考えるならば、財政支出に重点を置くべきではないかという気がいたします。
 法人税率の議論などはいろいろありますけれども、平成十年、十一年に三七・五%から三〇%まで引き下げたんですが、どうも効果のほどはどうなのかなというのは非常によく分からないという気がいたします。ということで、研究開発とか住宅とか都市再生とか、こういった目玉はいいと思いますが、余り経済対策として減税を使うのはいかがかと。
 むしろ、財政支出、公共投資というと目の敵にされて、塩川大臣もそう簡単にうんとは言われないとは思いますが、都市環状道路の整備とか羽田空港の拡張とか、確実な需要の見込まれる新幹線といった、早くやれば確実に効果があるというのは早く整備をする方がいいのではないかと、こう思いますが。
 まず、これは竹中大臣でよろしゅうございますか、減税と財政支出のGDPへ及ぼす効果ということについて御回答をいただいて、その後、塩川大臣から御感想をお聞かせいただければと思います。
#202
○国務大臣(竹中平蔵君) 減税の効果をめぐっては、御指摘のように、やはり需要サイドの効果と供給サイドの効果、これがやはりそれぞれに重要であって、その議論をきちっと両面からやはりやらなければいけないと思います。
 需要側に関しては、正しく乗数効果がどれだけかということになりますが、これはもう正に委員御指摘のとおり、政府の支出に対するものと政府の税に対するものでは限界消費性向が掛かった分だけ税の乗数効果の方が小さい、これはもう理論的にもそのとおりだし、現実にもやはりそれに近いというふうに思います。
 しかし、今行われている減税論議は、これ正にまた御指摘くださいましたように、日本の持続的な発展、つまり供給サイドを強くするために法人の税負担を軽減してはどうか等々の議論が出発点になっているわけですから、そこはそこでやはり供給サイドの議論をしっかりしなければいけないと思います。
 結論から言いますと、供給サイドの議論に重点を置きながら、しかし、さはさりながら、やはりこれは財政とマクロ経済を整合的に考えると。そのために内閣府に諮問会議が置かれているわけでありますから。そういう観点からいいますと、需要面にも配慮しながら、しかるべく経済状況等見ながら、規模を勘案しながら、その供給サイドの効果をしっかりと見極めていくということが必要であるというふうに思っております。
#203
○副大臣(小林興起君) 公共投資、減税、景気対策でどちらがいいかということは、しばしば議論をされてまいりましたし、今ももちろんされているわけであります。
 乗数効果等につきましても、時の経済情勢によって左右されますし、中身によっても多少は違うかと思うんですが、今言われておりますことは、要するに公共事業、一定の効果はこれまでずっと景気対策でありましたけれども、その中身がだんだんと低生産性部門に公共投資が打たれると。そういうことに対して、やっぱり一定の歯止めを掛けるべきだとか、そういうものはやめるべきだというような公共投資の中身の見直し論議が進む中に、一層、この辺で公共投資も少しすぱっと抑えてみせて、その苦しい中で中の構造改革をさせていこうというような議論の中で公共投資抑制策が打たれていると私は思っておりますが、しかし、おっしゃるとおり、景気対策の中で公共投資のなおも果たすべき役割が一定のものがあるということは事実でありまして、そういう意味では効果的な公共投資も考えるべきだと思います。
 減税の方は、こういう状況で民間経済を活性化させるということの中に何が今日本にあるかといいますと、結構個人の金融資産はあるわけですけれども、これが国債に向かって公共投資というような形もあるでしょうけれども、これが、このお金がいろいろな、例えば証券税制だとか土地だとか、そういうところに優遇策を取ることによって個人のお金が動く。あるいは、御承知のとおり、今、相続税、贈与税が議論されておりますけれども、相続税、贈与税を大きく変えれば、そうすれば、今お金のあるところから、しかし使わない人たちからこれが動いてお金を使う層に移動するということによって、これが経済活動に出てくるだろうと。
 そういうようなこともありまして、そういうことの中で今特に減税が脚光を浴びていると思っておりますし、とにかく先行減税でいいという総理のお話も聞こえてきているわけでありますから、この際、逆にこの減税の中身を詰めて、そして非常に民間経済が活性化するような、今までできなかったような思い切った効果のある減税をしていくことが大事じゃないかなと、そんなふうに思います。
#204
○委員長(柳田稔君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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