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2002/11/28 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 財政金融委員会 第8号
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2002/11/28 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 財政金融委員会 第8号

#1
第155回国会 財政金融委員会 第8号
平成十四年十一月二十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     後藤 博子君     上杉 光弘君
     海野  徹君     櫻井  充君
     平野 達男君     岩本 荘太君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                林  芳正君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
    委 員
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                溝手 顕正君
                森山  裕君
                若林 正俊君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                円 より子君
                山本  保君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                岩本 荘太君
                大渕 絹子君
   国務大臣
       財務大臣     塩川正十郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣)
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
       財務副大臣    小林 興起君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       内閣法制局第三
       部長       梶田信一郎君
       内閣府産業再生
       機構(仮称)設
       立準備室次長   小手川大助君
       金融庁総務企画
       局長       藤原  隆君
       農林水産大臣官
       房審議官     林  建之君
       中小企業庁次長  青木 宏道君
   参考人
       日本政策投資銀
       行総裁      小村  武君
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等
 に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措
 置法案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、海野徹君、平野達男君及び後藤博子君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君、岩本荘太君及び上杉光弘君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に内閣法制局第三部長梶田信一郎君、内閣府産業再生機構(仮称)設立準備室次長小手川大助君、金融庁総務企画局長藤原隆君、農林水産大臣官房審議官林建之君及び中小企業庁次長青木宏道君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(柳田稔君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本政策投資銀行総裁小村武君及び日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、両案の審査のため、来る十二月三日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#9
○委員長(柳田稔君) 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○中島啓雄君 おはようございます。自由民主党の中島啓雄でございます。本日は竹中大臣始め関係者の皆様、御出席いただきありがとうございます。
 まず、いわゆるペイオフ延期法と申しますか、預金保険法等の改正について質問させていただきます。
 まず第一に、ペイオフが二年延期されるということでございますが、ペイオフの問題については、いろいろ議論はありましたけれども、まず第一に定期性預金について十二年度末から十三年度末ということで一年延期されたと。それから、決済性預金をどう保護するかという問題で五か月延期というのが柳澤大臣のころ出まして、それで今回二年延期ということになったということで、それぞれ事情はあるんでしょうが、やはり金融制度の信頼性ということからいえばやや朝令暮改ではないかというそしりを免れないと思いますが、その辺の今回の延期の理由について少し国民に分かりやすく説明をしていただくとどういうことになるか、教えていただきたいと思います。
#11
○国務大臣(竹中平蔵君) 中島委員御指摘のように、ペイオフをどのようにするかということに関しましては、恐らく国民の皆さんから見て一体どういう経緯だったのか、どういうことだったのか、非常に分かりにくいという御印象が確かにあるのだと思います。それに対しまして、我々やはり説明責任を果たさなければいけない立場にあるということも強く認識をしております。
 ペイオフの問題というのは、これは日本もかつてはこの制度が作用していたわけで、多くの先進工業国で通常に機能している制度でございます。金融システムそのものが完全に、何といいますか、十分な機能を果たしている状況であるならば、これはペイオフというものがある種、一種の正常なシステムとして機能しなければいけないものであるというふうに思います。
 何度も申し上げていますように、日本の金融システムは極端な状況、危機的な状況にあるわけではありませんが、しかしやはり解決を要する多くの課題を持っているというふうに認識をしています。そういうものが解決される、そういうものを解決していくということがまず政策として何より重要であって、そうした問題を解決すればある意味でその先にペイオフというのは当然のことながら作用するような状況になってくるということなのだと思います。
 我々としては、今般、総理から平成十六年度までに不良債権問題を終結するようにという非常に強い指示を受けました。そのために、資産査定の強化を始め様々な形で政策のパワーアップを図るということを考えたわけでございますけれども、その過程において国民に不安が広がってはいけない、中小企業等々に対する金融が滞るようなことがあってはいけない、そうしたことから、言わば無用な混乱を避けるためにペイオフの解禁を延期して、とにかく十六年度までにこの金融システムの問題を解決したいというふうに思っておりますので、その後にこのペイオフのシステムも正常な形で作動するような形に持っていきたいというふうに考えた次第でございます。
 その意味では、とにかく金融システムを強化する、不良債権問題を解決するという非常に大きな政策の流れに沿ったものであるということに対して御理解を賜りたいと思います。
#12
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 無用な混乱を避けたいというのがポイントだと思いますが、それはそれとして、さきに出された金融再生プログラムでも、「平成十六年度に向けた不良債権問題の終結」ということで、「終結」と書いてあるので、非常に強い言葉だと思いますが、一体、終結とはいかなる内容を意味するのか。一つには、現在の金融機関の不良債権の比率を現行の半分ぐらいにするんだというようなお話がございますが、必ずしも不良債権の比率を下げたからといってそれで終結ということになるのか。やはり金融の仲介機能というのが回復されて、貸し渋りとか貸しはがしとかいう現象がなくなって、金融が再生されたと皆が認めるようになって経済も活性化してくると、こういうことだと思いますが、終結とはいかなる概念で考えておられるのか、その辺を教えていただきたいと思います。
#13
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、十六年度までに終結させなさいという宿題を総理からもらっているわけでありますけれども、しからば終結とはどういう状況かというのは、考えれば実はなかなか難しい問題でございます。
 今、解決すべき問題があるというふうに申し上げました。人間で言えば、人間にとって、例えばこういう病気はどういう病気かという特定化は比較的できるのかもしれませんけれども、健康というのはどういう状況かというのを一般的に定義するのはこれはなかなか難しいというのと私は似ているのかと思います。その意味では、終結というのは、あくまで委員御指摘のように、金融の機能が正常に機能している、象徴的には金融仲介機能が正常に機能している状況ということになるのだと思います。国民からも、投資家から預金者から、また借り手の企業からも信頼されるような金融システムになっている、その信頼の基礎にあるのはやはり成長性であり安定性であり、そのシンボリックな状況としては金融仲介機能が回復しているということになるのだと思います。
 実は、終結の議論をするとき、当初こういう議論を我々もしていたわけでございますが、それはそれで分かるけれども、やはりより具体的な目標みたいなものが政策である以上は必要なのではないかという御指摘も多方面からいただきました。
 そうした点も考慮しまして、終結というのはあくまで金融の仲介機能回復に象徴されるような全般的な信頼性の回復でありますけれども、一つの中間的な政策目標としてこの不良債権比率を回復させる、不良債権比率を半減させるというのが、これは諸外国の例等々も踏まえてでありますけれども、一つの重要な目標になり得るのではないだろうかというふうに考えた次第でございます。
 不良債権比率が低下すれば、これは金融機関が持っているリスク要因を減らして、もって貸出しの仲介機能も十分に果たせるということで、そうした意味での効果といいますか、も期待できるというふうに考えておりますので、目標としては全般としての正に金融システムを強化して信頼性を回復することである、その中間的な目標として不良債権比率を半減するという目標を掲げた次第でございます。
#14
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 不良債権問題の表裏の問題としてデフレという問題があると思うんですね。デフレが先か不良債権処理が先かと、こういうことが世間でもいろいろ言われているんですが、私はやっぱり金融再生というか不良債権処理のためにはデフレの脱却というのが先行すべきではないかと、こう考えております。
 不良債権がなぜ発生するかというと、やはりデフレということで物価が下落し、売上高が減って、資産価格も減る、そういうようなことで実質的な債務額が増加してしまうというような結果として不良債権が増えるのではないかと。特に、現在のように不良債権が新規にかなり発生しているという状況ではそういうことではないかと思っておりますけれども、一体、不良債権というのはデフレの原因なのか結果なのか、その辺、むしろ財政・金融担当大臣としての竹中大臣の御見解を伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(竹中平蔵君) デフレの進行と不良債権の拡大、増加に関する関係はこれはなかなかやはり難しい、正に鶏と卵のような関係にあるということはもう事実であろうかというふうに思います。
 デフレというのを物価水準全般の下落というふうにとらえたならば、これはいろいろこれからも議論を重ねていかなければいけないところでありますが、不良債権の増加の中に占めるデフレによって生じたもの、正に新規の発生というふうにおっしゃいましたけれども、これが一体どのぐらいあるのかということはこれからもしっかりと見極めていかなければいけない問題であると思います。
 しかし、私なりの現状における基本的な認識というのは、デフレによって新規に発生した不良債権というものももちろんあるけれども、それが主たる、決してその大宗を占めるような主たる要因では必ずしもないのではないだろうかと。
 繰り返し言いますが、デフレによって不良債権が拡大しているという面は確かにありますが、それが非常に大きなウエートを占めるということでは私は必ずしもないのではないかというふうに思っております。少なくとも、今年の三月期の不良債権の増加等々に関して言うならば、言わば洗い出しといいますか、資産査定を厳格にしていく中で増えたものというものがむしろ大きかったというふうに思っております。しかし、繰り返し言います、デフレが不良債権に影響を与えているということは、これは全く否定するものではございません。
 しからば、今度は翻ってデフレの原因は何なのか、物の値段が下がる原因は何なのかということなのだと思います。もしも、仮にですけれども、もしもこれが非常に単純な国内の需給ギャップ、需要不足の要因にあるということであるならば、これは御指摘のように、この問題を先に解決しようではないかというような選択肢も私はあり得るのだと思います。しかし、この今の状況というのは決して閉じられた閉鎖的な経済ではなくて、オープンエコノミーで世界全体での需給ギャップの問題を実は議論しないと、国内の需給ギャップだけを議論しても実態的にはほとんど意味がないのではないだろうかと、そういう状況。
 かつ、よくよくいろいろ分析してみますと、需要要因というのがないわけではありませんが、やはりデフレの根底にあるのは、中国からの製品輸入、さらには非常に速いIT部門での技術進歩という供給側の要因、それに加えて、先ほど正に金融仲介機能のお話が出ましたが、日銀が少々頑張っても結果的に金融仲介機能が低下しているのでマネーが増えないと、そういう金融的な現象というのがやはりどうも極めて大きいのではないだろうかというふうに考えられるわけでございます。
 その意味では、この問題はやはり同時解決していく以外にない。こちらの問題を先に解決してということではない。金融の問題、不良債権処理は不良債権処理で是非しっかりとやっていって、かつ、それを支える総合的な対応策というのをマクロ面からも取っていく、そういう合わせ技を行わない限り事態は進展しないのではないかというふうに考えているわけでございます。一連の政策はそうした考えに基づいて積み上げたものでございます。
#16
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 デフレが先か不良債権処理が先かというのは、なかなか政策的な優先順位というのは付け難い、同時解決ということなんだろうと思いますけれども、ただ、どうも今の政府の政策を見ていると、デフレ問題というのがちょっと横に置かれ過ぎているのではないかなと。
 十月の三十日に発表されました改革加速のための総合対応策、これはマスコミではデフレ対策と、こう言っておりますけれども、どうもデフレに対する記述は、証券、不動産関係の話ぐらいしか出ていないとか、それから十一月二十二日に経済財政諮問会議で竹中大臣がお出しになった「改革と展望」の改定についての論点整理の中でも、この二枚目ぐらいに「デフレ克服に向けた取組み、展望」というのはあるんですけれども、「集中調整期間において、景気は厳しいながらも回復に向けて動き出す。こうした動きを受け、デフレも克服され、物価上昇率はプラスに転じると見込まれる。」というんで、甚だ客観的に政府の政策としてやっていくという迫力が感じられないんで、私は、やっぱり日銀と一体となった支援体制というのは、もちろん日銀特融などもあるわけですけれども、デフレ対策ということで、私は十一月七日の当委員会において五十兆ぐらいの資金を用意したらどうだというふうな御提案も申し上げたわけでございますが、もう一歩踏み込んだデフレ克服への対策が必要ではないかと、こう思っておりますので、御回答はもしいただければ結構でございますが。
#17
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘になりました十月三十日の改革加速に向けた総合対応策というのはデフレ克服という観点から見て甚だ力不足ではないかという御指摘は、確かにそういう御指摘をいただいております。
 これ、実は新聞では、今おっしゃいましたように、デフレの総合対応策というふうに新聞では出ているんですが、これは正式には改革加速のための総合対応策ということで、六月に決定しました第二骨太方針を加速するために何をやったらいいかということで、実はそこで議論をしているわけでございます。
 「改革と展望」についても御議論いただきまして、どうも言い方がちょっと客観的で、政策的な何か強い意思が見られないのではないだろうかという御指摘でございますが、これは正に中期の展望でございますのであえてそういう書き方になっているという点も御理解賜りたいと思います。
 それで、重要な点は、決して総合対応策だけで事足れりというふうには思っているわけではございませんで、それをマクロ的にバックアップするために、実は今回、総理の方から補正予算の編成に向けて、これは税収が不足するということもありますが、ここはしっかりと経済のマクロ運営をしようということで補正予算についても御決定、総理の方で決断いただいたし、あわせて、これから編成される来年度の予算編成の中で先行減税を行うことになっております。この今回の補正予算と先行減税を合わせることによって、トータルとしてのマクロ経済管理はマクロ経済管理としてしっかりとやっていきたいという決意を持っております。
 そのためにも先行減税はしっかりとしたものにしなければいけないというふうに思っておりますが、そういう政策の流れになっているということを是非申し述べさせていただきたいと思います。
#18
○中島啓雄君 ありがとうございました。是非デフレ対策の方もお忘れなくよろしくお願いをしたいと思います。
 じゃ次に、金融機関の組織再編成等に関する法律に関連した質問をさせていただきたいと思いますが、今回の組織再編法というのは、要するに地方金融機関等の合併を促進する、それによって金融機能の再生を図ると、こういうことなんだろうと思いますが、なかなか現実を取ってみると、救済する金融機関側も超優良な金融機関というのはそうあるわけではないので、弱いのと弱いのが集まって合併した場合に果たして効果があるかどうかと、大銀行の合併の例ではどうも余り効果が上がっていないというふうな例もありますし。もう一つは、支援措置を適用された金融機関には、経営基盤強化計画というのを出して、これでどうも官による統制があって、経営の自由度が奪われて、かえってやりにくいんじゃないかとか、そんな批判もあるわけでございますが、具体的にどうやって合併等を進めて金融機関の再生を促進するのか、その辺の何か具体的施策がございましたら教えていただきたいと思います。
#19
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。
 一般に、合併等につきましては、いわゆる店舗等の配置の合理化とかそういうような規模の経済、あるいは人材の確保とか先端金融商品の取扱いといったような範囲の経済、こういうものを働かせることによりまして経営の効率向上に効果が大きいというふうに考えられております。
 本法案は、金融機関がこうした効果を発揮することを期待いたしまして、自主的な経営判断によりまして合併等を選択する場合、それを円滑に行わせることができるように支障となっているような措置を取り除くというようなことを目的といたしております。この場合に、当該合併が経営基盤の強化につながることを、経営基盤強化計画とこの認定、それからその履行状況のフォローアップと、こういうもので確認していこうということでございます。
 しかしながら、あくまでも自主的な経営判断をサポートすることが本制度の趣旨でございますので、例えば計画の記載項目でありますとかにつきましては、収益性の向上の程度あるいは新たなビジネスモデル等につきましては必要最小限の項目とするように、経営の自由度に対する配慮を行っているところでございます。
#20
○中島啓雄君 今、法律に書いてあるようなことの御答弁があったわけでございますが、やっぱり効果を上げるというのが第一でございますので、きめの細かい施策を考えていただきたいと思います。
 合併促進に関連して、十五年度の金融庁の予算要求において政府保証枠一兆円ということを考えておられます。これは、救済機関側の自己資本比率が低下しないように、それを回復するという限度において公的資金を投入するかと、こういうことでございますが、現実は、今までの預金保険機構からの例えば支援策としての贈与に限って見ても、毎年度一兆円以上入れているわけで、それで足りるのかなというのが一つでございますし、もう一つは、自己資本比率を回復するだけで足りるのかどうかということで、今朝の新聞でもいわゆる金融再生プログラムの工程表の案が出ておりましたけれども、そこで早期是正措置を要請された金融機関については従来の改善期間を三年から一年にするんだというようなことが述べられております。
 そういう意味では、やはりかなり公的資金の投入については予防的措置ということを含めて予算措置もしていくべきではないかというふうに思いますが、十五年度の概算要求等を見ますと、公的資金枠の要求は従来どおりの、いわゆる国債も含めて七十兆円ということで、別に新しい施策に伴う公的資金枠ということについては入っていないようでございますが、その辺についてはどうも早期是正等について早めるという施策と予算上の措置がやや整合性を欠いておるのではないかというような気がいたしますが、どのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
#21
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。
 まず、本法案につきましては、この法案の中にも書いてございますように、健全な金融機関同士の合併ということを前提にいたしております。それから、主としてその主眼は地域金融機関の合併をお助けするということを念頭に置いてやっておるところでございます。
 今回の金融機関等の組織再編成法の特措法の資本増強の財源につきましては、預金保険機構に新たな新勘定を設けまして、その借入れに対しまして一兆円の政府保証枠を付すということを今要求いたしておるところでございます。
 その積算に当たりましては、先ほど申し上げましたように、健全な金融機関同士が、主としてその地域の金融機関が合併を行うという前提に立ちまして積算をいたしておるところでございまして、例えば地域銀行、これは地銀とか第二地銀あるいは信金・信組、こういう各業界につきまして平均的な金融機関同士が合併が行われたというふうに仮定した場合に必要となります金額を基準にいたしまして、過去の組織再編成の実績を相当程度上回る件数の合併が一年間に集中的に生じたとしてもなお対応が可能となる、そういうようなものを機械的に積算を行ったものでございまして、財源としては十分なものだというふうに認識いたしております。
#22
○中島啓雄君 後段の今後の予防的措置も含めた再生支援制度ということについてはどのように考えておられますでしょうか。特に、半年掛けてそういう新しい公的支援の投入の仕組みも検討するというようなことでございますが、その辺の展望について教えていただきたい。
#23
○政府参考人(藤原隆君) 報道等でそういうのが出ておるわけでございますが、現在まだその改革工程表につきましては検討中でございまして、ちょっと今申し上げることができないことをお許しいただきたいと思います。
#24
○中島啓雄君 施策というのは、金融再生をハードランディングさせようと思えば、それに対する措置というのもやっぱりセットで出てこないとおかしい話でございますので、その辺そごのないように是非早めに検討をしていただきたいと思います。
 じゃ最後に、今回の法律というのは主に地域金融機関の健全化策と、こういうことだと思いますので、特に中小企業に対するセーフティーネットというのをどんなことを考えておられるのか。中小企業貸出信託会社というような構想も載っておりましたが、当面できる一番早い話としてはやはり信用保証協会による保証枠の拡大というようなことだと思いますが、その辺のセーフティーネットについて、経産省からお願いいたしましょうか。
#25
○政府参考人(青木宏道君) お答え申し上げます。
 ただいま中島先生より不良債権処理の加速化に伴う対応につきまして、特に中小企業の金融セーフティーネットについてお尋ねがございました。
 今後、私ども、不良債権処理の加速化に伴いまして中小企業をめぐる金融経済情勢、一段と厳しさを増すおそれがあると考えております。このため、先般取りまとめられました総合対応策におきましても、主要な措置といたしまして、先生御指摘になりました信用保証の拡充並びに政策金融の活用について、この二点について措置が盛り込まれておるところでございます。
 まず、第一点目の信用保証の拡充につきましては、既に今臨時国会におきまして中小企業信用保険法の改正を成立をさせていただいております。
 この改正法におきましては、三点措置が盛り込まれておりまして、第一点目が金融機関の経営合理化に伴い信用供与の減額に直面する中小企業の方々、あるいはRCCに譲渡された中小企業者であってもなお再生の可能性がある方、こういう方々をいわゆるセーフティーネット保証、これは通常の保証枠とは別に、すなわち倍額の保証が可能となる制度でございます。この制度に対象とするという点が二点でございます。
 さらに、不幸にも法的手続に入りまして再生計画が認可されました中小企業者に対しても、私ども新たにDIP保証制度を講ずることといたしてございます。こうした措置がこの改正法に盛り込まれておりますが、できますればこの十二月の中旬にも改正法の施行を図るべく、その準備に現在取り組んでおるところでございます。
 また、第二点目の政策金融の活用につきましては、デフレ経済の下で十分な担保力を有しない中小企業の方々が増加している現状にかんがみまして、商工中金の貸し渋り対応無担保融資保証制度、これは従来、別枠で三千万まで無担保でお貸しをするという制度でございましたが、既に今月の十一日にこの限度額を五千万に引上げをいたしているところでございます。
 また、第二点目に、RCCに譲渡された中小企業者であっても、再生可能な中小企業が再生することを後押しするために、商工中金あるいは中小公庫の政府系金融機関におきまして新たな融資制度を創設をすることといたしております。
 いずれにいたしましても、私ども、関係当局とも十分相談し、やる気と能力のある中小企業に対し円滑な資金供給がこの年末あるいは年度末に掛けまして十分確保できるよう万全を期してまいりたいと思います。
#26
○峰崎直樹君 これから二時間という時間をいただきましたので、久しぶりに何か長時間質問するということになりますと、もしかすると時間が多過ぎたり余っちゃったりすることがあるかもしれませんので、その点は御容赦願いたいというふうに思います。今日は日銀総裁にもおいでいただきましたし、もしかすると、今までもう何度も答弁をしていただいていることを繰り返してお聞きすることがあるかもしれませんが、その点、ちょっとお許しいただきたいと思います。
 そこで、今回の金融二法の問題の中で、一番私たちが依然としてこれは小泉内閣の公約違反だねというふうに思っている問題は、やはりペイオフを延期をしたということだと思います。
 そこで、改めて竹中大臣にお聞きしたいと思うんですが、これはなぜ二年間またこれを延期をしたのか、その理由。そして、塩川大臣にも併せてお聞きしたいんですが、これは政治家として、やはりこれは小泉内閣の掲げてきた公約を実際上変えましたと、必ず私はやるんだというふうに言ってきたわけでありますから、それを二年間延期したというのは、加速だとか、ある意味では言葉の魔術じゃなくて、やっぱり事実上これは我々の金融政策が今まで誤っていたと、ある意味ではそういうことをきちんと明確にすることが私は非常に重要なことじゃないかというふうに思っておりますので、この点について、もしそうではないというふうにお考えであればお二人の大臣からお聞きしたいと思います。
#27
○国務大臣(竹中平蔵君) ペイオフの問題に関しましては、先ほどの御答弁と一部ダブるかもしれませんけれども、基本的には、我々にとってまず最も重要な政策の基本、総理がおっしゃる幹の部分というのは、不良債権の問題をきっちりと解決を付けることによって経済の活性化を図ることであるというふうに思っております。
 昨年の骨太方針以来、この不良債権処理の問題というのは構造改革の一丁目一番地であるという位置付けを与えてまいりました。今般、その問題を更によりハードルを高くするといいますか、目標を高めて、十六年度末までに終結させるという目標を掲げたわけで、それに合わせて、その過程で生ずるかもしれない様々なやはり不安や混乱は避けたい。国民の不安、それと中小企業の金融に支障が生じないように、そうした観点から、その過程においてペイオフを延期するということを決断したわけであります。
 繰り返し申し上げますが、政策というのは幾つもの側面を持っております。私たちにとって一番重要なこのいわゆる幹の部分ないしは幹に近い部分というのはこの不良債権問題を解決していくということであって、ここは何ら変えていない。その意味では、これは言葉の問題だというふうに言われるかもしれませんが、そこはやはり強化といいますか、不良債権問題を処理するという幹の部分に関しては目標を高めて強くしているのだというふうに思っております。
 その過程で、繰り返しになりますが、無用の混乱を避けるためにペイオフに関しては延期をさせていただくということにしたい、その方向に向けて、しかし日本の経済を安定化させて金融も強くしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#28
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、自分の考えといたしまして、もうペイオフは予定どおり実施すべきだと思っておったのでございますけれども、やっぱり世間が余り騒ぎ過ぎますね。特に、中小の金融機関がつぶれるとかなんとか、より一層デフレが進行するとか、騒ぎ過ぎてしまって、政府も、ちょっとそれじゃ、方針は変えないけれども実施をちょっと遅らそうか、そんな程度のことだと私は思っています。
#29
○峰崎直樹君 塩川大臣、ちょっとその答弁は、私どもは、何というのか一国の財務大臣としてのお言葉とはちょっと思えないようなお話なんですが。
 これは実は私たち民主党の立場からすれば、ペイオフを解禁するということは、それまでに事実上不良債権問題は片が付く、一応、片が付くというのはなくなるということじゃないと思うんですね、不良債権というのは絶えず一定の率で発生するものだから。それは私たち別にそれを否定しているわけじゃないんですが、問題は、日本の経済が順調に円滑に発展するに当たって、もう不良債権問題というのは峠を越しましたと、何度もこれを聞いたんです。それが、ペイオフを延期しなきゃいけないということは、不良債権問題は解決をしていたというけれども実は解決をしていなかったということが、実は今、私、竹中大臣の口から、不良債権をきっちりと解決するとこれが経済にとって非常にいい結果をもたらすんですよ、一丁目一番地なんですよと。実はそれが十分やられていなかったということを私はやはり表したものだというふうに思うんですが、これはそういうふうに考えてよろしいんですね。
#30
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権問題の解決ということを言う場合に、想定されるやはり幾つかの段階があるのだと思います。その段階の問題と、それともう一つは、やはりこの一年、過去一年半、二年ぐらいの間に、これは当初予想できなかったような世界経済の悪化があったという点も、これは両方考えなければいけない要素であるかと思います。
 申し上げたいことは、解決の段階というふうに申し上げましたが、世界経済が悪化する中で、これまで金融庁は、そして柳澤前大臣は、やはり危機を回避するために非常に多くの労力を割いてこられたというふうに思います。その危機の回避という点では、これまでの政策はそれなりの効果を上げてきたというふうに思います。
 しかし、そうした中で、世界の経済がより厳しい環境に直面している中で、総理は今回は終結させるということをおっしゃったわけでありますから、この終結というのはやはり危機を回避する、問題を生じさせないという意味を更に踏み込んで、本当にこれでもう終わりにしようではないかと。繰り返し申し上げていますが、その意味では目標、ハードルをより高いところに置いた、より強い、強固な金融システムを作りたいんだというところに置いたと。そういう意思決定の中で今回のペイオフの延期という一つの手段が取られたというふうに御認識を賜りたいと思います。
#31
○峰崎直樹君 そうすると、今まで柳澤前大臣は危機の回避のために努力をしてこられたと。私は、柳澤担当大臣は、ずっとこの間やり取りをしてまいりましたけれども、危機を回避するために努力をしたんじゃなくて、不良債権問題も柳澤大臣なりに一生懸命やってこられたと。
 あの段階において、私たちもいつも、よく二月危機だとか三月危機だとか九月危機だとかいろいろ、危機はしょっちゅううわさされていましたけれども、その間、金融政策の上において何らかのプレッシャーがあって、景気が良くなるとか悪くなるとかは別でしょうけれども、デフレがあるいは恒常的にずっと続いているということはあったかもしれませんが、しかし、危機を回避するというんじゃなくて、やはり金融システムを正常化させようと努力をされてこられたというのは私は間違いないと思うんですよ。
 それが、今お話を聞いていると、危機を起こさないように努力をされたということは評価をするとおっしゃられたんですが、金融システムの健全化のために努力をされることについては余り評価はされないということなんでしょうか。
#32
○国務大臣(竹中平蔵君) 私が申し上げたいと思いますのは、政策的な課題というのは何かということなんだと思います。
 この一年半の間に予想を上回るような世界経済の悪化があったというふうに申し上げました。当然のことながら、これまでも短期の課題、中長期の課題、両方に取り組んできたわけでありますが、結果的には世界の経済が非常に大きく悪化する中で、短期的な課題、これが正に先ほど申し上げた危機を回避するということでありますけれども、短期的な課題に対応するウエートが非常に大きくならざるを得なかったということなのだと思います。
 繰り返しますが、これは予想を上回るような世界経済の悪化があったと。日本の経済が例えば非常に悪化したというふうに言いますけれども、アメリカ経済も五%成長から二%成長に、ヨーロッパの経済も三・五%成長から〇・五%成長に、日本の経済はプラス一・五からマイナス一・五ぐらいに、つまりどこもマイナス三%の下方圧力というのが掛かってきたというのが過去一年半の経済なのであったと思います。その中で、短期的な課題にこれはもう追われざるを得ないような状況が世界的に私は出現したのであろうかと思います。
 その意味では、その短期的な課題に対してはこれを対応し切ったというふうに私は思いますけれども、その中長期の課題に向けて、ここでこの問題を二年半後に終結させるという高い目標を掲げて、今回ペイオフを延期させていただく。その中で、しかし金融再生プログラムを策定することによってその不良債権処理の加速に関しては一層の努力を積み重ねていく、そういう体制を取ったということでございます。
#33
○峰崎直樹君 実は、二〇〇〇年の四月だったでしょうか、小泉内閣の成立は二〇〇一年だったでしょうか、いずれにせよ、アメリカのバブルが、ITバブルがはじけた。その後、随分私たちも景気の問題について議論してまいりました。そして、アメリカ経済は、バブルが崩壊をして、たまたま今モーゲージのローンが下がったために個人消費が増えているけれども、しかしこれは相当やはり深刻に考えなきゃいけないんじゃないかということの警告は、私たち、随分実はこの場でも議論をしていました。柳澤前大臣にもしてまいりました。
 ですから、そういうことがあったがゆえに、つまりアメリカの経済成長が落ちてくる、あるいはEUも落ちてくる、それがあるがゆえに日本の金融システムが大変になってくる。だから、それがゆえに実はペイオフを、ある意味では、何といいましょうか、延期をするという、こういう問題との結び付きが、何かちょっと取って付けたというか、変な言い方なんですが、世界的な外的な要因が大きく変わってきたと、だからそういうふうにするんですよというんでは、ちょっと私、説得力がないような気がするんですが、その辺りは、やっぱり今までの柳澤大臣の進めてきた金融政策、とりわけ金融システムの安定ということについてはこれはやはり不十分だったと、誤りだと。誤りだというのはちょっと言い過ぎだけれども、不十分だった、だからこれを変えるんだと、こういうふうに話をされれば何か一貫性が出てくるような気がするんですけれども、そう思われませんかね、竹中大臣。
#34
○国務大臣(竹中平蔵君) 私が申し上げようとしていますのは、これは現実問題として、これは政府だけではなくて民間の機関の予測も是非御確認いただきたいと思いますが、多くの機関の予測を上回る形で経済の悪化があったと、これはもう事実であったと思います。
 峰崎委員はその点を非常に賢明に見通しておられたということなのだとは思いますが、しかし、繰り返し言いますが、政府の予測、経済見通しのみならず民間の見通しも非常に大きく違ってきた、国際機関の予測も違ってきた、それが二〇〇〇年から二〇〇一年、二〇〇二年に掛けての世界の経済であったというふうに思います。
 その中で、政策的な課題といいますのは、申し上げていましたように、やはり短期的な対応に追われざるを得ないような状況にあったというふうに私は思っております。この短期的な対応については、しかし危機を回避するという観点でそれなりの成果を上げた、ここで、その意味では改めてその中長期的な目標に向かってもう一度アクセルを踏もうではないかと、その高い目標に向かって、その政策の新しい流れを作ろうではないかというのが今回の一連の動きでございます。
 繰り返しになりますが、その中で金融再生プログラムという資産査定、ガバナンス等々を含む包括的なプログラムを提示させていただいた。しかし、こうした改革を加速する中で、無用の混乱を国民に、さっき塩川大臣おっしゃいましたように、やはり世間をあおる勢力もありますし、非常にその不安をかき立てるようなことを並べ立てる人たちもいる。そうした中で、不安を和らげ、特に中小企業に対する金融を円滑化するために今回ペイオフを延期させていただきたいということを考えているわけでございます。
#35
○峰崎直樹君 私は、実は柳澤大臣とは随分長い議論をさせてもらったことがございます。それで、そのときに、たしか去年の九月だったと思いますが、大臣、ヨーロッパに、アメリカにもたしか行かれて、各地のいわゆる経済のエコノミストの人たちや金融関係の大臣の人たちと会われて、日本の金融問題についてどういうふうに考えているのかというディスカッションをされて帰ってこられたと思っております。
 そのときに、私、やり取りをして、非常に慎重な言い回しをされる方ですが、何度も議事録を読んでもう一回再質問したことがあるんですね。そのときに柳澤大臣は、やはり今は、何というのかな、九九年に自分としては日本の金融システムを健全化させるために資本注入まで行った、それが虚構だとかいろいろ、いろんな批判があることについては別にして、その後、実は慎重にやられてきた経過というのは、どうもやはりデフレというものがずっと続いている中で、この不良債権問題というものを余りにも急激にやれば、そのことによって日本経済は更におかしくなってしまうと。
 そういう実はニュアンスのことを、政府の方針となってはいけないのかどうか分かりませんけれども、竹中大臣や総理大臣との見解がどうだったのか分かりませんけれども、それを実に微妙な言い回しをされながら私はお話しされていたのを聞いて、そこの点が実は、先ほどの中島委員も含め、あるいは世の中で、今回の竹中プラン、竹中プランというふうに表現していいのか、金融再生プランを議論をしているときに、どうしてもこのデフレの問題、デフレが起きている状況の中で不良債権問題の急激な処理を進めていけば、これは大変実は解決を遅らせてしまうんではないかと。これは私が言っている、私たち民主党の立場の見解ではありませんよ、そういう見解というものがあった上でペイオフという問題が、そういう中で実はペイオフというものがあったというふうに思うんですね。
 ですから、そういう意味で、竹中大臣、そういう意味で、不良債権問題をこのデフレ下で解決をすることがどうしても必要なんだと。それは、過去はうまくいかなかったけれども、つまり過去、そういう事例がないんだそうですよ。デフレ下の中でこういう緊縮財政を取ったり、デフレを更に加速するような対応を取ることについて、実は過去にそういう事例がない。じゃ、今回は、それをやらなければいけない理由というのはさっきおっしゃいました。これをやることによって本当に成功するんだろうかという、その疑問というものがあると思うんですが、その点はどういうふうに考えておられますか。
#36
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のように、このデフレ下で構造改革、不良債権処理を進めるのは非常に困難が伴うのではないだろうかと、過去にそういう事例はなかったのではないだろうかという御指摘は私も存じ上げております。
 しかし、そもそも考えれば、近代国家になって、特に二十世紀以降、先進工業国においてこうしたデフレ現象が顕在化したという事例そのものがほとんどないと。全くないわけではありませんが、ほとんどないというような状況でありますから、その意味では過去にないことに我々はもう挑戦せざるを得ないということなのだと思います。
 恐らく、例えば為替レートが安定していた時期から為替が変動する時期になったときにも同じような議論があったと思います。しかし、そのときに、例えばそうした為替レートの変動で非常に苦労してきたカナダという国での経験が生かされた。カナダはカナダで、正にそれまでに我々は余り知らなかったけれども、そういう問題に悩みながらいろんな政策的な努力をしていったと。今、ある意味では、皮肉なことに、日本がデフレ先進国としてこのような問題に挑戦していかなければいけない立場に置かれているということなのではないかと思います。
 これに関しては、今の委員の御質問の中にもありましたけれども、急激にやるべきなのか、ゆっくりやるべきなのか。そもそも、今やろうとしていることが急激なのかどうなのか。これはもういろんな見解があることは承知をしております。これ、例えば極端な人は、十何年間も掛かってこれからやろうというのは何が急激だと言う人もいらっしゃる。しかし、一方でまた、これ二年半も待つのかと言う人もいらっしゃる。二年半という短い期間でやるのかと言う方もいらっしゃる。
 しかし、我々としては、これまでやってきた不良債権処理の延長で二年半という期限を、厳しい期限ではありますが、これを設けてこの問題に挑戦していくことが今の時点の一つの政策判断としては大変重要であるというふうに思っておりますし、それをトータルでコントロールする、つまり不良債権処理だけやればよいというわけではもちろんありません。それを補うためのマクロ的なフレームワーク、規制改革等々の経済活性化の諸策、そういうものを組み合わせることによって何とかこの狭い道を歩もうとしているわけでありまして、幸いにして、例えばこれまで財政とマクロは別々に議論されていましたけれども、今そういうものも統合的に議論できるような枠組みができました。構造改革、規制改革に関しても、特区というような新しい仕組みに挑戦できる基盤が整いつつあります。そういう中でこの問題をしっかりと位置付けていく必要があるのだというふうに思っております。
#37
○峰崎直樹君 ちょっと話を変えたいと思いますが、日銀総裁、今日お見えになっていただいていますが、もう何度もお聞きしているんですが、改めて、世界の中央銀行がやったこともない、日銀が銀行の保有する株式を購入する、改めて、簡単で結構ですから、その理由についてお聞かせ願いたいと思います。
#38
○参考人(速水優君) これまで、不良債権の処理の過程で金融機関の体力というのがかなり低下してきているというふうに私どもは見ております。我が国の金融機関は、歴史的な経緯から、多額の株式を保有しております。これはドイツと日本でございます。ドイツの方は非課税などにしてどんどん売らしているというようなことでございますが、日本は一向に減ってこないと。最近の株価動向は、この株価の変動は個別の金融機関経営や金融システム全体の大きな不安定要因となっております。
 こうした状況を踏まえまして、日本銀行としては、金融システムの安定確保と、それから不良債権問題の克服に向けた環境を整備するという観点から、金融機関が保有する株式の価格変動リスク軽減を促すために、異例でございますけれども、時限的な金融機関の保有株式を買い取るということを始めたわけでございます。この辺のことは、明日から受付が始まったりしますので、今朝の某新聞の経済教室に私どもの担当の理事が非常に分かりやすく書いてございますので、もしあれでございましたらお読みいただければよく分かると思います。
#39
○峰崎直樹君 そこで、竹中大臣、日銀総裁が今おっしゃったようなことを決定した、九月のこれは何日だったでしょうか、十八日、十七日だったでしょうか、それに対して竹中大臣は、まだこれは前の大臣のときですが、九月十八日にこんな記者会見をされているんです。投げるべき直球が幾つもあるのに、投げたこともない変化球をなぜ投げたのかよく理解できないと。これ、どういう意味なんでしょうか。ちょっと教えてください。
#40
○国務大臣(竹中平蔵君) 日銀が方針を発表したのは九月の十八日であったと思います。私が金融担当大臣に就任させていただいたのが九月の三十日でありますから、二週間ぐらい前、経済財政政策担当大臣として。
 私、その日のことをよく記憶しておるんでございますが、日銀の政策決定会合が開かれているということで、私、金融政策に関して何か非常に長い時間議論をしておられるというふうに聞いておりましたので、金融政策について当然非常に詰めた議論をしているのだろうなというふうに考えておりました。時間が許す限り私は日銀の政策決定会合に出させていただいておりますんですが、その日は何か所用で出ることができませんで、担当の者が、審議官が出ておりまして、その報告を待っていたわけでございますけれども、繰り返し言いますが、私は、金融政策で非常にこんなに議論をしているのは、ああいうこともひょっとして考えているのかな、こういうこともひょっとして考えているのかなということを考えていたわけでございます。
 そうしましたら、この発表そのものは、正確に聞きますと、日銀の政策決定会合ではなくて、別の会合を引き続いて開いていたということでありますけれども、日銀のこれは金融政策ではないという形でこの政策が出されてきた。私が大変驚いたのはその点でございます。金融政策について何かいろいろあれやこれやと思いを巡らしていたところに金融政策ではないという政策が出てきたので、これは何かいきなり変化球が来たなというような印象を申し上げさせていただきました。
#41
○峰崎直樹君 非常によく分からないですね。何か竹中大臣、私は竹中大臣の過去の発言をずっと見ると、要するに、本来これは金融庁がやるべき政策ですよね。いやいや、銀行が持っている株を買う、これはある意味では、これも同僚の大塚議員が言っているように、この政策はどう見てもプルデンシャル政策だという意味であったとしても、個々の銀行の株を買うというのは、先ほどおっしゃったように、金融のリスクの遮断だというふうにおっしゃっているんですが、それならば、当然のことながら株の買取機構みたいなのがもうでき上がっていますよね。これに、例えば、もっとやりなさいと、その代わり日銀はある程度保証しますよとか、政府が保証付けますよとか、いろんな方法があってしかるべきなのに、何でこういうものが出てきたのかねというのが私は恐らく竹中大臣の一番率直な印象だったんではないかなというふうに思うんです。
 と同時に、投げるべき球というのは、もっと違う方法があるでしょうと。というのは、竹中大臣はかねてからずっとインフレターゲットの話をされてきていますよね。そうすると、例えばETFですか、その指数連動株を買うとか、あるいは日本版REITを買うとか、そういう方法を通じて、ある意味では個別企業とか個別の不動産とかそういうものを遮断した形で実は買う方法があるじゃないか、もっと流動性を提供する方法もいろいろあるじゃないかと。そういうことをせずして、なぜいわゆる銀行の株を直接買うということに踏み切ったのかというのが恐らくよく理解できないと、こういうふうに私は竹中大臣の発言を理解したんですが、そうではなかったということなんですか。
#42
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、峰崎委員がおっしゃったのは、正に金融政策としてこういう手段があるのではないだろうかとあなたは考えていたのではないかという御質問だと思います。
 私が申し上げていたのは、いや、ですから正しく金融政策のことを議論しておられるのだなというふうに私は思っておりましたので、ひょっとしてあんなことか、ひょっとしてこんなことかというふうに考えていたと。しかし、金融政策ではないという前置きで今回の買取りの議論が出てきたので、それでまあ、ああこれは変化球だなと、ああ予想と違うなというような印象を申し上げたわけでございます。
 これは、金融政策のしからば中身に関してでありますが、私、先ほど変動相場制に関するカナダの例を挙げて、やっぱりこれはフロンティアといいますか、諸外国に先立ってこういうことを経験する国は思い切っていろんなことを大胆に考えていかなければいけないというふうに思います。そのフロンティアの中で、私は、その中の一つとして、やはりインフレターゲティング、物価目標というようなものについても、これはやはり議論はしていかなければいけないのだと思います。
 これについては、しかしもう既に専門家の間でも激しく意見対立がありますように、メリット、デメリットはあります。メリット、デメリットがあることを踏まえて議論をしていく必要があるのではないかと、これはもう私自身かねてこの場でも申し上げておりますし、これは速水総裁ともそういうお話は、議論はする必要があるんじゃないですかということは申し上げさせていただいておりますわけですけれども、その意味で、今、峰崎委員がお尋ねの金融政策をいろいろ考えていたのかということに関しては、中身はともかく、金融政策が出てくるかなと思っていろいろ考えていたと、これはもう私が申し上げているとおりでございます。
#43
○峰崎直樹君 そこで、ペイオフ問題のところとそれから株の購入のところから外れて、私、実はやっぱり最後のところは、小泉総理大臣がいわゆる構造改革なくして経済成長なしというふうに言っていることが、どういうふうに本当に私たちの頭の中できれいに整理できるのかなというところに最後は帰着するんだろうというふうに思っておりまして、先ほど竹中大臣が、不良債権をきっちり解決をすればそれが経済のある意味では発展を高めていくことになるんだよと、こういうことなんですとおっしゃられましたですね。
 実は、小泉総理のメールマガジンというんですか、メールマガジンじゃないですね、これはホームページですか、小泉内閣の構造改革の中身というのが、この二〇〇二年一月二十五日に閣議決定された例の中期展望の中身で、ちょっと事前にこの問題は余り資料というか質問を用意していなかったので、もしかすると突然なので答えにくいかもしれませんが、しかし竹中大臣はもうこの点のベテランですから是非理解をしていただきたいんですが、その中で、こういうふうに書いてあるんですね。「不良債権処理の促進、規制改革、財政構造改革などを中心とする構造改革への取組みを継続することにより、その効果は峠を越えるように加速的に現れ、今後二年程度の集中調整期間の後は中期的に民間需要主導の着実な経済成長が実現される。また、財政や社会保障制度を持続可能なものとしていくことができる。」と、こういうことをそこに書いてあるわけです。
 そこで、どうして二年間集中調整期間をした後に、不良債権問題、それから、もちろん規制改革と財政構造改革が書いてありますけれども、どうしてそれを過ぎれば、峠を越えるような加速的な効果が現れるというふうにおっしゃっている意味は、第一番目に、この不良債権の処理を促進すれば、恐らくそれに伴って銀行が、ノンパフォーマンスといいますか、不稼働資本ですね、要するに不良債権ですから、それを稼働資本、パフォーミングローンになれば、よりそれはてこの原理でどんどん貸出しは増えていくはずだと、要するに与信機能が増えていくはずだと、それが実はこの経済の拡大再生産をもたらしていくんじゃないかと、こういう恐らく論理なんだろうと思いますが。
 そこで、私はどうしても、今日お手元に資料をお渡しを申し上げましたけれども、この資料はいろんな人から出ていますので、例えば岩田規久男先生からももらったことがございますし、これはたまたまパリバ証券の河野龍太郎さんの勉強会のときにもらった資料なんです。
 要するに、企業部門は、不良債権の処理をしないから企業は本当に必要とされているところに貸出しが増えていかないのかというと、どうもそうではないんじゃないのかと。これをごらんになって分かりますように、営業キャッシュフローよりも設備投資がずっと下回っているというのが大体九四年ごろです。これは大体GDPのデフレーターがマイナスになっていく、すなわちデフレ傾向が顕著になるころからこういう動きが出てきているわけですね。これは全産業です。
 それから、もう一つ、二ページは、今度は中小企業です、全産業の。製造業とか非製造業と分けておりません。ここでも実は中小企業はお金に困って、いろいろ投資したいとか、いろいろやりたいんだけれどもお金がないんだというふうに言っているけれども、実はこれを見ても、九四年前後からキャッシュフローの中に設備投資が収まっちゃって、これは実は要するに銀行に対して積極的にお金を借りて設備投資をして、そして自分のいわゆる利益プラス減価償却以上の資金需要があると、こういうことになっていないんじゃないのかということなんですね。
 そうすると、一体これはどういうことが起きるかというと、不良債権問題を処理しても、企業は、じゃお金がないから、つまり銀行が貸してくれないからいわゆる設備投資もできない、そして新しい設備を増やしていくこともできないのではなくて、もう今はそれぞれの企業は、大企業にせよ中小企業にせよ、これは恐らく自分の借りている借金をいかにして払って、いわゆるデフレの圧力をかわしている。これが一番大きな私は要因になっているんではないかなというふうに思えてならないんです。
 もちろん、企業は資金、これは設備投資資金ですから、いわゆる運転資金とかいろんな資金需要というのも別にあるので、これだけで物も言えないと思いますし、また平均的な数字でございますから、中にはもう物すごい苦労しているところもある。設備投資したいのに貸してくれないとか、貸しはがしだとか、個別の事例はたくさんあるのはよく知っているんですが、マクロで見たときには、明らかに民間部門は資金がいわゆる足りないんではなくて、資金超過になって、いわゆる貯蓄超過部門になっていると。私はここが一番一つは大きな問題ではないかなと思っているんですが。
 この表をごらんになって、今私がお話ししたことに伴って、本当にどう考えたらいいんでしょうかねということについて、竹中大臣と、日銀総裁も一生懸命マネーは恐らく提供されているんですよね。それが回らない回らないとおっしゃっているわけです。マネーサプライの増加になっていかないわけですね。それには恐らく銀行部門が問題があるんだろうというふうに思うわけでありますが、それはなぜこういう実態になっているのかなということについてお聞きしたいと思います。
#44
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員が御提出されましたそのキャッシュフロー、いわゆる貯蓄投資差額、企業部門の貯蓄投資差額をどう見るかという問題は、日本の経済の現状把握と今後を展望する上で私も極めて重要なポイントであるというふうに思います。
 元来、家計は貯蓄の提供者であり、法人部門というのは負の貯蓄を行って借り入れる。これはもう八〇年代まで正にそういう形で資金が回ってきた。それが九〇年代の半ばぐらいから企業部門が、特に製造業だと思いますけれども、これがキャッシュフローの中で、内部留保の中で投資を行うようになってしまった。
 この点をどのように見るかということでありますけれども、私は正にこれを不良債権問題と結び付けていく必要があると思います。不良債権の問題というのは、これは銀行から見た問題でありますけれども、企業から見れば正に過剰債務を抱えている企業が多いという問題になります。
 どうしてこういうことが起こるかというと、基本的には、企業はこの間要するに債務を返済しているわけです。債務を返済するために、ところがキャッシュフローでしか返済ができませんから、キャッシュフローの範囲内に支出の大きな部分である設備投資を抑えざるを得ないというような状況になっている。これがやっぱり無視できない非常に重要な側面であると思います。この点は今年の経済財政白書の中でもかなりしっかりと書かせていただいております。
 これはまず債務返済、つまり不良債権問題の裏側にある過剰債務の問題があるから、債務返済のためにこういう行動を取っているというのが重要だと。これも、したがって正にバランスシート調整ですけれども、不良債権問題と過剰債務問題をやはり解決していかないと新しい展開が出てこないということになります。
 もう一つの側面は、やはりこれは委員御指摘のとおりデフレであるということだと思います。デフレが続くというような期待をもし企業家が持っていたならば、その資本を一定のものに固定する、つまり物という形で、固定した物という形で持つというのは圧倒的に不利であります。お金で持っているとお金の価値が上がるわけですから、お金で持っている方がいい、物を買わない方がいい、設備に投資しない方がいいという形に当然のことながら出てくる。そこが今の非常に閉塞感のある企業の状況を生み出しているわけでありますけれども、ここで結局のところ、じゃなぜデフレなのかということに、先ほどの議論に返っていかざるを得ないのだと思います。
 繰り返し言いますが、デフレの要因はこれは様々ございます。しかし、その中で私は金融の要因というのが無視できない非常に大きなウエートを占めている。だから、これを同時解決していくためには、この不良債権の問題というのを、やはりこれに果敢に取り組んでいかなければいけないというふうに思うわけでございます。
 一点、加速的に変化するという、総理のホームページにあるけれどもこれはどういうことかということでありますけれども、これは経済の構造の大きな変化というのは私は常に非連続に起こってきたというふうに思います。非連続的にというのは、経済というのは良くなるときもだんだん良くならないわけですね。あるときから急に良くなる。アメリカ経済が一九九三年ぐらいから急に良くなったということでも見られますし、悪くなるときもやっぱり急に悪くなる。バブルというのは徐々には崩壊しないわけですね。一気に相場というのは下がる。
 このやはり非連続な変化というのが常に経済にはあるというふうに思いますし、実は、特に日本の場合、委員御存じの、よく言われる制度の補完性という問題が非常に強い。一つの制度はほかの制度との関係で、この制度とうまくいくような形で成立している。ほかの制度もそうだと。そうすると、一つを変えようとするとすべて変えなきゃいけなくなる。だから構造改革は難しい。しかし、徐々にブレークスルー型で変わってくると、今度はほかの制度もある種自動的に変わっていくようなメカニズムも働き出す。これはどこの社会でもあることだと思いますが、特に日本の場合は、ある意味で非常に日本の社会というのはその意味では完成度の高い仕組みを今まで作っておりまして、それが制度の補完性を成している。
 その意味では、これは本当に二年後ぐらいに実現できるかというのは、これは大変重要なチャレンジではありますが、やはりそこはベースをしっかりと作っていく、規制改革を行う、不良債権を処理するというベースをしっかりと作っていくことによってその効果が加速的に現れるということを私はやはり期待をするべきであるというふうに思います。
#45
○参考人(速水優君) 今の企業の貯蓄超過問題というのは、確かに注目すべき点であると思いますし、貸出しの方も伸びないんですけれども、企業の方が借りないというのがやっぱり大きな問題だと思います。
 企業部門の貯蓄超過というのは、基本的には、経済の低迷が長引くという下で企業の投資意欲が低下していく、そして設備投資というものがキャッシュフローの範囲内で抑制されていくということになっているんだと思います。現在、短期金利はもうほぼゼロに近いし、長期金利も一%前後ですから、これほどの低金利にもかかわらず企業は投資を余り進めてこない、抑えていると。また、それはやはり債務返済を優先する状況が継続しているからだと思います。
 こうした状況から早期に脱するためにも、規制や税制の見直しを含めた構造改革の加速、スピードアップ、これを通じて民間需要を創出してほしい、前向きの企業活動を動かしてほしいというのが私どものかねてからの、流動性は十分出すからそちらの方をよく頼みますよということを政府にも申してきたものであります。
 やはり企業が前向きなイノベーティブなアクションを取る、そして、シュンペーターの言う創造的破壊というんですか、クリエーティブディストラクションといったようなことをどんどんやり始めれば設備投資はおのずから増えていくと思うんですね。そういうものを呼び込んでいくためには、規制の改革、税制の活性化による税制、そういったものが生きてくることが非常に望ましいと思いますし、そういう空気が企業間の間に出てくることが望ましいというふうに考えております。
 日本銀行としましても、引き続いて、日本経済を持続的に安定的な成長軌道に復帰させるためには、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けていきたいと思います。
 先ほどの株の買取りの話にしても、九月十八日の段階で、私どもとしてできることは何かということを夏場ずっと考えてきたつもりです。その結果として出てきたのが、とにかく銀行が不良化し、自己資本を株の低下で押し下げてくるということ、このことを非常に心配し始めて、それに対しては、やはり二年先、二〇〇四年九月までですか、ティア1まで減らせということを法律で決めてあるわけですけれども、現実に株価が下がってきているときに損が今出るということを思い切ってやるのはなかなかできないことなので、その中で私どもとして、時限的な一時的な方法として日銀が一定の条件の下で銀行の持っている株を買いますよということを決めて、これはもう二兆円ぐらいのものですから、来年、限られたもので、これが不良貸出しを抑えて減少を促進していくといったようなものではありません。
 しかし、こういうことで、銀行が自己資本の圧縮に余り気を使わないで貸出しを増やしていくというようなことをやっていく、不良貸出しを減らしていくということを落ち着いてやってもらいたいというふうに思ってこういう手を打ったわけで、それを総理などに説明させていただいたときにも、やはり基本的にはこういうものを通じて、政府の方でも、今申し上げたような不良貸出しを抑え、企業に対する貸出しを増やしていくという空気ができてくることが大切だということを申したつもりでございます。
 そういうことでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
#46
○峰崎直樹君 やっぱり議論し始めたら時間がたつのは早いなというふうにつくづく思うんですが。
 竹中大臣、先ほど中島委員に対するデフレに対する見方で三つぐらい要因を挙げておられましたですね。今、デフレの関係でいえば、不良債権とデフレの関係でいえば、やはりデフレの要因に不良債権問題があるんだと、こういうふうにおっしゃられたんですよね。そこはどういうメカニズムでデフレーションにつながっていくのかということ、もし何回ももうお答えになっているかもしれぬ、私も不良債権がなぜデフレに結び付くのかというメカニズムをちょっと教えていただけますか。
#47
○国務大臣(竹中平蔵君) まず、物の値段が下がる要因には幾つかあるというふうに申し上げましたけれども、物の値段、物価の水準というのはやはりマネーサプライに影響を受けるマネーの変数であるという点が大変一つの重要なポイントだと思います。
 繰り返し言いますが、需給バランスによっても影響を受けます。コスト、技術進歩によってコストが下がるということによっても物の値段は影響を受けます。しかし、社会の物価水準全体は、マネーが多いか少ないか、世の中に出回っているマネーが多いか少ないかによってこれは大いに影響を受ける。これはまあ非常に古いといいますか、従来からの、これ極端に言うと、いわゆる貨幣ベール観ということになって、マネーサプライを幾ら出しても物価が上がり下がりするだけだというちょっと極端な議論にもなりかねないわけですが、繰り返し言いますが、今、我々がこの社会の中で、今の状況でマネーの量が急に何らかの理由で二倍になったら物の値段が上がるというのは、これは容易に想像していただけると思います。つまり、物価はマネーの変数であるということになる。
 しからば、じゃマネーはどのようにしてコントロールできるのか。これは正に日銀総裁の大変重要なお仕事になるわけでありますけれども、日銀がベースマネーを出します。それが銀行の与信プロセスを通じてどんどんどんどん広がっていく。それが全体としてのマネーサプライになる。
 もう何度も申し上げましたけれども、日本銀行はこの間非常に努力をして、前年同期比二〇%、三〇%という非常に高い伸びでベースマネーを出したにもかかわらず、全体としてのマネーサプライは三%から三・五%ぐらいしか伸びてこなかった。ベースマネーを出して、それがどのようにマネーサプライ全体に結び付くかというのが例の信用乗数でありますけれども、この信用乗数がこの十年間で間違いなく半分ぐらいになったということです。つまり、銀行が信用創造をする力を明らかに失っている、金融仲介機能が低下している、そういうことを意味しているわけです。
 それはなぜなのか。これは、これもまあ厳密にはいろんな要因があるわけですけれども、非常に平易に言うならば、銀行がリスクを取って貸し出すという行為に対して非常に今ナーバスに、慎重になっている。その考えられる一つの大きな要因は、既に不良債権という大きなリスクがあるからだと。この大きなリスクを抱えたままで更にリスクを取って果敢に信用を増やしていくことが困難である。
 これは実は裏返しで、先ほど言いましたように、不良債権の裏には過剰な債務を抱えた企業があるというふうに言いましたけれども、企業にとっても同じことだと思います。企業が過剰な債務を抱えていて、過剰な債務を抱えている企業が更に、前向きの事業プロジェクトがあっても、それに従来のように果敢に挑戦していくことはできないのではないか。
 結局のところ、バランスシートの重荷、繰り返しますが、企業にとっては過剰債務であり、これは銀行にとっては不良資産ということになりますけれども、このバランスシートの調整が終わるまでは、今申し上げたような、企業はしっかりと投資をして、それに対して銀行はしっかりとリスクを取って貸していく。これは要するにリスクを取る力というのが私はキーワードになると思いますが、そこが非常に低下していく中で、結果的にはマネーサプライが日銀が頑張っても増えていませんね。信用乗数が低下したままの状況になっていますね。
 やっぱりここのトラップといいますか、このわなを解きほぐすことが日本の経済全体の活力を高める上で私はやはり大変重要なポイントであるというふうに考えるわけでございます。
#48
○峰崎直樹君 非常にそのとおりだというふうに思うんですが、かつて竹中大臣、今の日本の不良債権問題のポイントは、特定業種の特定企業の問題だというふうにおっしゃられたのを私非常に印象深く覚えているんです。
 つまり、今のお話を聞いていますと、要するに日本の例えばU分類以下の企業はどのぐらいあるかといったら、百兆も百五十兆もあるかもしれない。しかし、景気が悪くなると恐らくそういう事態というのは一時的に出てくるんだろうと思うんです。
 そうではなくて、前にもおっしゃられた、これは木村剛さんなんかもそういう言い方をして、最近も五十一社リストとか、そういうものを出したとか出さないとかとあります。そうではなくて、日本の今の不良債権問題と言われているのは、単純な不良債権ではなくて、どうもゾンビ企業、ちょっと表現よくありませんが、本来はもう死んでなきゃいけない企業なんだけれども、ちょっと非常に表現よくないですかね、リタイア、市場から退出していなきゃいけない企業なんだけれども、実はそれが今日の状態の中でずっと生かされ続けている。ここに実は不良債権問題の本質があるんじゃないかという私は問題提起を受けたような気がするんですが、それはそうではないんですか。
 それと、今おっしゃられたこととの関係からすると、私はどうも、一般的な、先ほど述べられた貨幣と信用掛ける流通速度とか、例の公式がございますね。その問題ももちろん非常に重要なんだけれども、そうではなくて、ゾンビ企業が生かされ続けているのは、私は日銀のゼロ金利が続いているからじゃないかというふうに思い続けているんです。
 これは実はこの委員会で、今年の四月だったと思いますが、ゴールドマン・サックスが作成した、いわゆる企業の貸出しの比率だとかそういうものをずっと積算をしたデータを提出していろいろ議論したことがございますが、どうもそういうものが、リタイアすべきものがリタイアしないまま残っているがゆえに、実は日本の供給過多といいますか、いわゆる需給ギャップといいますか、そういうものが非常に今日まで存続しているんじゃないのか。これは日銀も多分、いや、そういう構造改革を遅らせているという様相はあるとおっしゃっていますが、実はそこに私はいわゆる価格が相対的に上がっていかない要因の大きな原因というのがありはしないかなと思っているんですが、その点はどんなふうに竹中大臣はお考えになっていますか。
#49
○国務大臣(竹中平蔵君) 個別の企業の問題についてどうこう言う立場ではもちろんございませんですけれども、基本的に、やはり不良債権と言われるものが、その貸出し債権が三つ、四つの特定の業種にかなり大きく偏っているというのは、これはアンケート調査等々においても示されている事実でございます。特に、そういうところで非常に収益性の低いまま大量の借入金を抱えている企業があるということについても、これはやはり注目をしていかなければいけない重要な問題であろうかと思います。その意味では、私も、そういった構造になっているということが今の問題を、問題の所在を象徴しているというようなニュアンスのことをかつて発言させていただいたことがあるというふうに記憶をしております。
 しかし、いずれにしても、その所在はある意味で偏っているということなのかもしれませんが、それが結果的に銀行にとってみれば大きなリスク要因になっているということは事実でございますから、先ほど私が申し上げた基本的な流れといいますか、ストーリーと、その所在が業種的には例えば偏っているというような問題については、これは別に矛盾する話ではないというふうに思っております。
 特に、したがって、そういう過剰な供給力を持っている業種については、これはやはり産業全体として供給過剰の構造そのものをどのようにしていくかという非常に大きな政策的な課題が突き付けられているわけであります。
 今回、産業再生機構の中で、決してこれは企業再生、企業のミクロの話ではなくて、産業全体の過剰供給構造まで含めた産業再生という名前を、あえて産業という名前を付してその問題に取り組もうとしているのは、正に委員御指摘のような問題意識があるからであるというふうにお考えいただいてもよいかと思います。
 しかし、繰り返し言いますが、これは決して特定業種の、多くの問題が特定業種といいますか幾つかの業種に集約されているのは事実でございますが、かといってこの業種だけの問題ではないという点も、これは経済問題としてはやはり指摘しておかなければいけないと思います。
 経済は連鎖をしております。したがって、例えばその業種によって、このメカニズムは経済産業研究所の小林慶一郎さんら若い研究員たちが非常に明快に解明したわけでありますけれども、一種の産業組織の崩壊といいますか、要するに、ここの会社が信頼できるからうちもこれに合わせてしっかりとした設備投資をして、そして研究開発をするという、その産業組織のいわゆる連鎖みたいなものが日本の生産性を非常に高めてきた。しかし、どこかにこういう、ここ本当に大丈夫だろうかという不安の要因がちりばめられていると、それは決して特定業種の話ではなくて、そうすると、ここの何かどこかが気になるからうちも安心して設備投資できないという形で産業組織、非常に高密度に構築された産業組織そのものが破壊されていって、社会全体の生産性が低下していくというメカニズムがあるわけであります。いわゆる組織破壊のようなことなわけであります、産業組織破壊のようなことでありますけれども。
 結局、したがって、このもとを断つということがやはり大変重要であって、そうすることによって、決してこれは局所の問題ではなくて、経済全体に対して非常に大きな影響力を持ってくるということなのではないかと思っております。
#50
○峰崎直樹君 小林慶一郎さんの話も私ども直接お聞きしたことがあるんですが、本当にあれは、ただロシアとか新興国の、つまり新しく市場企業に入ってきたところにおける事例を何か随分参考にしながら類推をされているんですが、果たしてこれ、デフレが進んでいる国に本当に適用できるんだろうかなというちょっと私は疑問を持ってはいるんですけれども、一つの理屈ではあるんだろうというふうに思います。
 そこで、また何だかこうあっちへ行ったりこっちへ行ったりしているような感じがしないでもないんですが、要するに、不良債権を処理することによって私は本当にこれが、先ほどお話があったように、信用乗数を高め、そしてそれが企業への与信が増えていくと、こういう形へと良循環をしていくはずだと、こうおっしゃっているんですが、今、日本の優良企業、例えば、例えばというよりも、一部上場メーカーなんかで無借金経営をやっているところがある。つまり、バランスシートが余り毀損していない企業というのがもう圧倒的に多いんですね、やっぱり見てみますと。株価が百円以下あるいは百五十円以下のところというのは、恐らく一部上場メーカーでいけばせいぜいこれは百社か二百社だと思うんです。要するに、そういう非常に限定された市場が示しているわけですけれども、大半のところは実はもう既にバランスシートは非常に良好になっている。そこでは、先ほど申し上げたように、設備投資というのは余りやらない。
 だから、そういう意味でいうと、私は、今、大臣がおっしゃった、膨大な中小企業が問題だよというのはもちろんそうだろうと思いますし、ベンチャー企業なんかはもっと重要なんだろうと思うんですが、そういう意味でいうと、不良債権問題と言われているこの問題というのはどうも一部の特定業種の、特定企業といいますか、そういったところに出てきているという側面と、もう一つは、私もゴールドマン・サックスのその分析ずっと読みながら感じたんですけれども、今の日本の九〇年代が進んできた経済で、かなり規制緩和が進んできたと。そのために、それぞれの産業で勝ち組、負け組がはっきりしてきた。いや、どこの産業と言いません。鉄鋼にしたって、大体二つの企業、大手鋼が大体中心になり始めている。自動車でいえばトヨタと、それからホンダとか、まあ日産も最近少し出ているかもしれない。
 そういう勝ち組、負け組が出始めているのに、実はそれが、先ほど申し上げたように、本来リタイアしなきゃいけない、退出しなきゃいけないような企業になっているにもかかわらず、これがゼロ金利でずっと生かされ続けているんじゃないか。これが日本の産業全体を広げているんではないかということを、実は大きな要因になっているらしいんですね。それを、実は銀行のいわゆる貸出し金利を調べてみると、そういう企業に実は非常に低金利で貸していると。本来ならば、例えば社債の格付でいえばBBBとかあるいはBBとか、もっと、利率でいえば八%も九%も取らなきゃいけないような、その社債なのに、実は貸出し金利が一%とか二%ぐらいに下がっていると。これが、要するにそういうところに実は大きな問題があるんだから、私はやはり不良債権の問題というのはそこのところを解決する問題なんではないかなというふうに思えるんですが、そこのところはそういうふうに思われませんですかね。
#51
○国務大臣(竹中平蔵君) 昨年の経済財政白書等でも分析をさせていただいたんですが、九〇年代の日本の銀行行動を見てみますと、先ほど申し上げました特定の業種、その特定の業種がどんどん利益率を下げていっている。その利益率を下げていっている特定の業種にむしろどんどん銀行が貸し込んでいったという事実が、これは統計的に明確に確認されます。その分、本当にお金を必要としていた中小企業にお金が回っていかなかったのではないだろうかと。これは極めて不健全ではないだろうかという、これは一つの類推でありますけれども、類推も成り立つわけでありますが、正に不良債権問題の解決というのはそういった状況からいかに脱するかということなのだと思います。
 しかし、ここで翻ってやはり考えなければいけないのは、どうしてそんなことを銀行がしたんだということなのだと思います。銀行というのは、自分のその利益を高めるのがいいことでありますから、収益率の低いところにお金を増やすというのは、正に資本主義の中での収益最大化行動に反するのではないかということになるわけですね。私たちはその金融再生プログラムの中で、だから単にその不良債権をオフバランス化することではなくて、銀行経営のガバナンスをしっかりとすることが必要であるというのは、正にそういう点に力点を置いているわけです。本来だったら、やはり収益性の低いところに貸し込むというのは、これは市場社会の企業行動としては、これは理解できないことなのだと思います。
 しかし、ここはやはり様々な人的な問題等々いろんな問題があったから現実にはそのようになっている。しっかりと経営者に対して銀行経営の責任を持っていただけるような仕組みを同時にこの中に作っていかないと、単にオフバランス化するというだけの問題ではない。その意味では、今、峰崎委員がおっしゃったような問題意識に私たちも立ってこの金融再生プログラムの議論を進めてきたつもりでございます。
#52
○峰崎直樹君 日銀総裁にちょっとお尋ねするんですけれども、潤沢な資金供給をしていると。もう何年たちますかね、一年九か月ぐらいたつんでしょうか。その効果というのは余り上がっていないんではないかというふうに思うんですが、日銀の目指すべき目標として、これは消費者物価の上昇率がここでゼロになるまでというふうにおっしゃっていますね。消費者物価のCPIの上昇率がゼロになるまでとおっしゃっているんですが、この点についてはそのリザーブを提供することが、消費者物価の上昇率をどうやったらゼロにするという結び付きですね、そこをちょっと教えていただきたい。
 というのは、なぜかというと、インフレターゲットについては取らないというのは、インフレターゲット、いろんなことをおっしゃっているけれども、それをやったって物価がマイルドに上がるというふうな保証はないんだと、こうおっしゃっているんですが、じゃ今のリザーブを潤沢に提供することが恒常的に消費者物価のCPIをゼロにできるというのは、どういうふうになったら説明できるんだろうかというそこが、どうも私はずっとこの間、日銀のお話を聞いていても、インフレターゲットは駄目だけれどもゼロ%を恒常的に目指すというのはいいんだというこの違いがよく分からないというのが率直なところなので、お聞きしておきたいと思います。
#53
○参考人(速水優君) 物価が上がりますのはやはり成長が進んでからだと思います。これはもう諸外国の例を見てもそうです。一年か二年後れて物価は上がっていくんです。総理がよく言われる改革なくして成長なしと、これも私確かだと思います。私どもは、成長なくして物価の低下は止まらないという、デフレ解消はなしということをいつも言ってきているんです。これはもう各国の例を見てもそのとおりだと思います。
 こうやって私ども資金量を、一年九か月とおっしゃるのは、恐らく二年前の二〇〇一年三月の量的緩和のことをおっしゃるんだと思いますけれども、既に公定歩合は九五年から〇・五%なんですね。私は九八年に総裁になってきましたけれども、もう下げていく余地はほとんどない、そしてそういう中でなお流動性を増やしていかなきゃいけないということで量的緩和というものを打ち出してきたわけですが、そのときの条件として、CPIがゼロを上回って安定的にデフレが解消するまではこれを続けるということを言ってきたわけです。
#54
○峰崎直樹君 今もなかなか詳しい説明なかったんですが、消費者物価の上昇率というのはゼロというんじゃ駄目だという説があるんですね。
 たしかアメリカでボスキン委員会というのがあって、九〇年代の前半に、大体消費者物価というのは、要するに質の向上だとかいろんなことがあって、ある意味ではそのゼロというのは実は一%、二%、少し高くないといけないんだというような意見があるんですが、そういうことは日銀では検討をされたことございますか。
#55
○参考人(速水優君) 日本銀行は既に、先ほどの量的緩和を始めましたときに、インフレ率が安定的にゼロ以上となるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けるということを宣言しておるわけでございまして、ゼロを少し上回ったところで安定していくのがいいと思っておりますが、それは今の状況ではもう少し時間が掛かると思わざるを得ないわけです。
 必要なことは、やはり民間需要を早く起こしていくと。そういうことで需要が増えていかないと資金は使われていかないので、今の銀行の持つべき信用仲介の機能というものが今、これは眠っていると言っちゃ悪いですけれども、活発に動いていないわけなので、それだからあれだけ、先ほどもおっしゃったように、マネタリーベースは増やしてもマネーサプライは増えない、マネーサプライが増えないのは、銀行貸出しが増えない、減っているからなんです。
 そういう状況が続いているわけですから、もうこれはやっぱり、私どもは引き続き流動性を供給し続けますけれども、構造改革の方が効果を発揮、なるたけ早く発揮することが必要だと思いますし、不良貸出しの早期改革というんですか、これをなくすということも、これも今最も重要な構造改革の一つの問題だと私どもは思っております。
#56
○峰崎直樹君 ちょっと竹中大臣にお聞きしますが、今年の経済白書で、もう先日発表になったやつですけれども、「量的緩和政策のマクロ的影響」というところがあるんですよね。この中で、ちょっと私、余り要領得ない質問要旨を伝えていたと思うんですが、為替と物価の関係といって書いたんですが、量的緩和と為替の関係ですよね。要するに、そこの中で量的緩和がどんな成果を上げているのかという中で、二番目に挙げられているのがポートフォリオ・リバランシング効果という形で、これは実は為替相場をある意味では円安方向に持っていったというふうに評価してあるんですよね。
 これは竹中大臣、担当大臣でございますし、その点はやはり今の量的緩和政策というのは円安政策に持っていくのに非常に効果があったと、こういうふうに思っておられるんでしょうか。
#57
○国務大臣(竹中平蔵君) 白書の分析を御紹介くださいましたけれども、基本的には、今正に御指摘になったように、マネタリーベースの増加によって為替レートが円安になるということをこれは計量的に検証しているわけであります。つまり、量的緩和政策によって日銀当座預金残高が増加して、経済全体で見たときに資金運用の変化が起こる、これが正にポートフォリオ・リバランシングの効果でありますけれども、そうしたことを通じて円安になる。
 これはある意味で極めて常識的なことなのだと思います。マネーが、結果的にマネタリーベースが増えることによって、これはちょっと議論はなかなか錯綜しますが、実質金利がその分マネーが増えないことによって下がっているはずである、実質金利が下がると円建て資産に対する需要が減るからその分円は安くなっているはずであると、これはそういうふうに想定されるわけですが、そのようなことがトータルとしては日本の中でもやはりメカニズムは働いているということを示したものだと認識しています。
#58
○峰崎直樹君 それで、実は財務大臣に質問通告していなかったんですが、実はこれは前の副財務官の伊藤隆敏さんもたしか論文を書いておられましたけれども、どうも日本の財務省は一ドル百二十五円を境として、それ以上になると実は円を売り、それでそれよりも高くなると逆に円を買うとか、逆だったかな、ちょっと私も今頭の中整理していませんが、百二十五円を基準にして、それより急速に高くなれば百二十五円以下になるまでやり、そして百二十五円を下回ればまた上へ上げていくというような、そういう為替のいわゆる管理政策を取っていると、こういうふうに言われてきました。
 質問通告していませんが、そういう、何といいましょうか、百二十五円というのは、日本のいわゆる為替相場を見た場合に何かの一つの妥当性というのはあるんでしょうか。
#59
○国務大臣(塩川正十郎君) そんな政策は持っておりません。
#60
○峰崎直樹君 それじゃ、今度、伊藤隆敏さんにちょっといろいろ聞いてみなきゃいかぬかと思うんですが、しかしいずれにせよ、どうも日本の、やはり私、為替の相場というのは価値以上に、いや日本の今の経済力からするともっと、やはり私は購買力平価でOECDや世界銀行なんかは百五十円前後じゃないかと、こういうふうに言っているわけですね。ですから、そういう意味でそれが為替の相場が円安に振れて、それが実はデフレを和らげていく効果があるとすれば、私はそこで何も百二十五円というところに決めていくということは必要ないんじゃないかなというふうに思っているんですが、これは竹中大臣、質問しておりませんけれども、もし何か見解あればちょっとお聞きしたいんですが。
#61
○国務大臣(竹中平蔵君) 為替レートについて云々する立場にはございませんが、一般論としては、そういった、何といいますか、水準なり目標値というようなものは存在していないというふうに思っております。
#62
○峰崎直樹君 この問題はまたいつか時間があればやりたいと思いますが、そこでいよいよ金融再生プログラムの方に少し内容を移らせていただきたいというふうに思います。
 ただ、私はやはり、今までずっと議論してきたというのは、どうもデフレというものをやっぱりきちんと止めない限り、不良債権の処理の問題を急ぐと少し何か問題があるのかなというような、そんな感じをちょっと持っておりますので、またこれはゆっくり議論させていただきたいと思いますが、そこでまず、金融再生プログラムの、竹中大臣、作業工程表というのが、実は今日質問しようと思ったら、今朝の日経新聞に作業工程表というのが、工程表の骨子が出てきているんですけれども、工程表はいつ公表されるんでしょうか。
#63
○国務大臣(竹中平蔵君) 十月の末に金融再生プログラムを発表させていただきましたときに、十一月中に、十一月を目途にだったか十一月中にだったですか、お約束をしております。十一月中にということになりますと、もう実は明日しかないわけでございまして、明日に発表できるように今は一生懸命努力、調整をしているところでございます。
#64
○峰崎直樹君 今日出たやつはまだ確定版ではないと、こういう理解でいいですか。
#65
○国務大臣(竹中平蔵君) もちろん、まだ確定版は存在しておりません。
#66
○峰崎直樹君 これは、十一月二十五日にたしか大手銀行、一斉に中間決算を発表いたしましたですね。そうすると、この工程表の影響というか、織り込んでいる問題について、織り込んでこれをいないというふうに考えていいんでしょうかね。その点はどう考えたらいいんですか。
#67
○国務大臣(竹中平蔵君) 工程表というものに対する世間では若干の誤解があるかもしれないんですが、基本的には工程表に新しい政策が織り込まれるわけではありません。これは、金融再生プログラムに政策は明示しているわけでありまして、この金融再生プログラムを実現していくに当たってどのような作業手順が必要かということを明示する、これが工程表の目的でございます。
 すなわち、ディスカウント・キャッシュ・フローを、要管理先の大口についてはこれはやろうじゃないですか、そうすることによって、マーク・ツー・マーケットといいますか、市場の評価にこたえるようにしようじゃないですか、そういうことは工程表には書いております。しからば、しかしディスカウント・キャッシュ・フローといっても、これはやり方はなかなか大変でありまして、これは公認会計士協会にきちっとその基準を検討してもらわなければいけない。公認会計士協会にいつまでに検討することをお願いしますとか、そういうことを書くのが工程表でございます。
 今回の中間決算に、したがってその工程表の中身といいますか、その政策の中身は反映されているのかということでありますが、これは例えば物によると思います。つまり、自己査定と、それと金融庁の査定の間の乖離は埋めていただきたいと、そういうふうに言っている。これに関しては、私はそれなりに銀行は見込める範囲では見込んでいるのではないだろうかと期待をしております。しかしながら、技術的な、ディスカウント・キャッシュ・フローの割引率とか、そういうものをどうするかということに関しては、これはまだ見込めませんから、正確に定量的に織り込むというのはこれはまだ無理であります。銀行によっては一部、一定の仮定を置いてプログラムの内容等を踏まえた通期見通しを行ったところもあるというふうに聞いておりますが、基本的にそういう技術的な細かいことについてはこれから詰めていただく問題であると思っております。
#68
○峰崎直樹君 日銀総裁、一問質問しようと思ったんですが、もう結構でございますので、退席していただいて結構です。
 それじゃ、竹中大臣、引き続き本日ここへ出ている資料というか新聞に基づいてちょっと質問するので、いや、それは間違いだということであればそう指摘してほしいんですけれども、特別検査を実施する時期が二〇〇三年三月期決算に向けて実施をすると、こういうことなんですが、これはいつからスタートされるような予定なんでしょうかね。年内なんでしょうか。
#69
○国務大臣(竹中平蔵君) まだその点に、スケジュールについては、これは検査の手順でございますので、これから検討することになります。
 一つちょっと誤解なきように。
 特別検査というものに関してこれまた若干誤解があるんでありますが、これは何か特別に今すぐ総動員掛けて実施すると、そういうものではございませんで、銀行の決算期に合わせてリアルタイムで銀行と相談しながら、かつ監査法人と相談しながらやるものをこれまでも特別検査というふうに呼んでいるわけでありますので、したがってそれは当然のことながら決算に合わせてやると、そういう趣旨でございます。
#70
○峰崎直樹君 そうすると、この中に、工程表の中にこういう記述があるんですね。例の横ぐしを刺すやつですよ。大口債務者に対する銀行間の債務者区分の統一、これが年内の体制整備は、二〇〇三年一月よりスタートする検査から適用と。当然これは今のお話だと、決算期の直前ということになれば、当然これは横ぐしを通すやつもこれは適用されるというふうに、来年の三月に向けて適用されるというふうに、特別検査の中ではそこをきちんと横ぐしを通すと、こういうことについてはそういう理解でよろしいですか。
#71
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、工程表の中身につきましては、今日、国会の審議が終わりましてから最終的に私たちも議論に参加しようというふうに思っておりますので、ちょっと中身について今の時点で、これはいろんな御意見がございます、それを今最終的に調整しようとしている段階でございますので、その点、御考慮いただきたいと思います。
#72
○峰崎直樹君 確かに、だからまだ出ていないから答えられないということなんですが、一つだけ、じゃ中小企業に対する貸出しを、未達の場合、つまり計画でこれだけ貸しますよというのが達成できない、これは今度の十一月二十五日の中間決算でも大体出てくると思うんですね。ですから、できればその段階から、もう中小企業に対する貸出しのいわゆる業務改善命令というのは今度のいわゆる中間決算から適用すべきだと思うんですが、その点は考え方があればお聞かせ願いたいと思います。
#73
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、業務改善命令は年度の決算に基づいて行うというのが基本的な考え方であろうかと思います。様々な形で銀行に対してしっかりとした目配りをさせていただいて、金融全体が滞らないようにという、その一般的な努力は我々としてはさせていただきたいと思いますが、今御指摘の点につきましては、これはやはり年度の決算に基づいて行うべき行政的な措置であるというふうに思います。
#74
○峰崎直樹君 しかし、公的資金を入れて、大手行、三菱東京は別ですが、それで中小企業に対する貸出しはこれだけ出しますということを言っていて、中間決算でそれに達していなかったら直ちにそれは改善すべきじゃないかというのは、私は出していいような気がするんですけれども、そういうことを約束しているわけですから。それは是非そういうことを努力をすべきだというふうに思いますが、いかがですか。
#75
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のように、公的資金を入れた銀行に対しては健全化計画の中でその目標値を掲げてもらっています。しかし、この目標値そのものが年度の目標値なわけですね。年度の目標値しかありません。中間の目標値というのは実はないわけでありまして、これはやはり年度の目標値を立てて、その年度の中でしっかりと責任を持っていただくというのが今の取決め、ルールだというふうに認識をしております。
#76
○峰崎直樹君 今のお話を聞いていても、中小企業の皆さんは困っているわけですよね。そういう意味で、その点、先ほどの話とはちょっと外れますけれども、そこは中間段階で見付かったら、もっとこれをしっかりやらないと駄目ですよというようなことの業務改善指令というのはやっぱり私は出すべきだと思うんですが、これは意見ですから、またそういうふうに申し上げておきましょう。
 そこで、自己査定と金融庁検査の格差の問題が、これは今日お渡しした資料の一番最後の八ページ目に、これは金融庁、私はもう大英断だと、大英断というか、やっぱり竹中大臣になってこういうデータが出るようになったなというふうに思っているわけですが、自己査定と検査の格差についてということで、たしか日銀も何か同じように考査と実態との自己査定があったということで、やっぱりそうかというふうには思ってはいるわけでありますが、このいわゆる格差の是正というのは今度の中間決算では是正されているというふうに見ておられますか。
#77
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、御指摘のとおり、今回初めて我々なりに本当にしっかりと考えてこのような形の公表に踏み切らせていただきました。
 この公表した正に目的というのは、こういうことに関する情報を開示することによって、ある種、健全なプレッシャーを銀行が受けていただいて、しっかりとした査定をしていただく、そういうことを目標にしているわけであります。これは、銀行に対して検査結果を通知した後は監督上もフォローするということになっておりまして、銀行においてその後の決算に検査結果を反映させるということになっております。したがって、今回の例えば中間決算においても、それに向けて適切な処理がなされたものというふうに認識をしております。
#78
○峰崎直樹君 是非、是正されていない場合は決算の修正を求めていただきたいと思うんですが。
 そこで、自己査定のところで、余りちょっと事前にお話ししていなかったんですが、DCF、ディスカウント・キャッシュ・フローですか、という形で査定のやり方を変えるというふうにおっしゃっているんですが、どうもこれは日本で適用するというときに非常に適用しにくいんじゃないかという意見があるんですね。規則上はたしかこれDCFでやるというふうになっているんですが、どうもそうなっていないということなんですが。
 やはりアメリカのやり方というのは、よく言われるように、プロジェクトファイナンスだと、一つ一つの事業に対してファイナンスをしていく。そうすると、そのプロジェクトがどれだけの今利益を上げているのか、これが将来どうなるのかということについて意外と情報が集まってくる。やりやすいと。日本の場合はコーポレートファイナンスだと。企業全体にお金を貸して、そしてやっていくわけですね。そのときに、このディスカウント・キャッシュ・フローというものを、どういう事業でどれだけの利益を出していくのかということがはっきりしない中で、果たしてこれが有効に機能するんだろうかという、そういう疑問を持っておられる方がおられるんですが、もし、これは事前に質問しておりませんでしたので、その点、分かる範囲で教えていただけたらと思います。
#79
○国務大臣(竹中平蔵君) このディスカウント・キャッシュ・フローの話をしますと、必ずアメリカ的手法というまくら言葉が付くのでありますが、私はこれは決してそういうことではないというふうに思っております。
 ある意味で、これは企業の、ないしは今ある何か資産の評価としては、これは当たり前の話だと思うんですね。例えば土地の値段でも、過去の取引事例から土地の値段を判断するのか、収益還元型で把握するのか。収益還元型というと比較的分かっていただけると思うんですが、この土地が今後どのぐらいレンタルに出したら収益を生むだろうかと。それを今の価値に割り引く、割り戻したものが、ですからこれは基本的にはディスカウント・キャッシュ・フローと同じことになります。したがって、これは先を見て、先の将来の価値を見て考えているのかという問題、これは将来の価値を見て普通は考えるんだと思うので、これはその意味では常識的な、私は考え方そのものは、ベースにあるのはそういう常識的な話なのだと思います。
 これはある著名な経営者の言葉でありますけれども、DCFで自分の企業の価値を考えていない経営者なんてそもそも失格だ、経営者ならだれだって常識的にそんなことは考えているんだという御指摘をされた方がいらっしゃいましたが、私は基本的な性格はそのようなものであると。過去の取引事例とか過去の何か貸倒れ率とかではなくて、将来どうなるかということを考えていったらこういう形に行き着くのだと思います。
 ただ、正に委員御指摘のように、これはプロジェクトファイナンスの場合にはプロジェクトが確立していますから、このプロジェクトが生み出す収益等々というのは比較的計算しやすい。これがコーポレート、企業に対する融資になりますと、プロジェクトの場合に比べると、これは実は困難性が増すというのも技術的には全くそのとおりでございます。しかし、じゃ全くできないかというと、そんなことはあり得ないわけで、現実に一部の銀行は既にやっていますし、これは例えばRCCなんかでもこのようなやり方は取り入れてやっているわけであります。こういう技術的な問題があるということはもちろん認識をしておりまして、であるからこそ公認会計士協会にしっかりとした技術の詰めを行ってほしいと、これはもう要請を行ったところでございます。
 かつ、金融再生プログラムの中では、これは原則としてというふうに書いておりますので、場合によってはこれが適用できないような場合も私は理論的にはあり得るのだと思います。そういう意味で、これはやっぱり原則としてできるだけ将来を見てください、それが市場の見方に近いはずだと、そういう観点で実はお願いをしているわけでございます。
#80
○峰崎直樹君 次に、繰延税金資産の評価の問題についてちょっとお話を申し上げたいと思うんですが、また資料の七枚目をごらんになっていただきたいと思います。後ろの方に、変な順番に行って恐縮なんですが、これ私どもが政策調査会の方で調べていただいたんですが、各大手銀行で繰延税金資産というものはどのぐらい計上しているのかというのは一番右端です。昨年度はじゃどれだけ利益を上げて、その実績上どのぐらいあったのかということをやってみますと、これを五倍すればごらんになった数字です。過去三年間の平均を取った場合は少し良くなる。それから、過去五年の平均を取ったものを、左に行くともうちょっと、これは余り大したことないけれども、過去十年の平均を取ると少し良くなってくる、こういうことなんですね。
 それにしても、このいわゆる繰延税金資産を昨年度とか過去三年、過去十年に匹敵したところで、今計上している金額と対比をしていただくとこんなに大きな差があるんですね、実際問題。大臣、これをごらんになって、この繰延税金資産の計上額というのは異常だな、余りにも過大だなというふうに思われるかどうか。この質問を聞いて、午前中は終わらせていただきたいと思います。
#81
○国務大臣(竹中平蔵君) 言うまでもございませんが、繰延税金資産というのは、これは会計原則に基づいて、これはしっかりとした基準に基づいて認定されている一つの項目でございます。しかしながら、この繰延資産の計上というのは、いわゆる将来の回収可能性、言わば一種の前払税金に当たるわけでありますから、その回収可能性についてしっかりと認定を行う必要がある。このことは実は公認会計士協会の正に実務指針に書いているわけで、その回収可能性をどのように判断するかという問題に基本的には尽きるのだと思います。
 これは基準にのっとって、基準は御承知のように大変複雑になっていますから細かな基準がありますが、計上はされているわけでございますが、何度も申し上げましたように、マーケットからは本当に大丈夫だろうかというような疑問の声もある。これ大変複雑な問題でありまして、容易に解のない問題ではありますけれども、これについてはそういった声も踏まえて、しかし極端な、何といいますか、一〇〇%満足できる解がなかなか見付からない問題でありますから、専門家の知恵を集めて議論をしていく必要がある問題であるというふうに思っております。
#82
○委員長(柳田稔君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#83
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○峰崎直樹君 午前に引き続き、繰延税金資産の問題について引き続き進めていきたいと思うんですが、この繰延税金資産の問題は、当初はもう大変、中間段階で竹中案なるものが出たときには大変なあれだったんですが。
 実は、日本経済新聞のインタビューの欄で、日本公認会計士協会の会長の奥山章雄さんという方がおられます。この方もたしか竹中さんの金融チームに入られた方だということで、その中でいろいろ興味深いやり取りがございます。
 それは、繰延税金資産が本来は一年しか適用できないのを五年になっている根拠は、そのいわゆる実務指針の例外規定にあると。例外規定の中に非経常的な要件が根拠だと。その根拠は、例えば特別検査があるということで一回やったら、また次の年特別検査があったら、これはもういわゆる非経常的要件には該当しないと、こういう話なんですね。そうすると、例えば先ほどの話、午前中議論したディスカウント・キャッシュ・フローというものを適用した場合はどうなるかということになってくると、これは、ある意味ではそれは少し、これも要件に入るかもしれないと、こういうことを言っているわけですね。
 そうすると、このいわゆる繰延税金資産に関する会計の実務指針というものを、その意味ではこれは検査をするときとか、厳格にやはりこれを適用する、運用するということで、ある意味では非常に、午前中お見せしたように、繰延税金資産というのはもう過去の実態を見るとほとんどもうけが上がらないような実態になっているのに、これを過大に計上しているという実態をやはり何らかの形できちんと正すべきではないかというふうに思うんですが、この点どういうふうに、非経常的案件の乱用を防ぐということについて、担当大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#85
○国務大臣(竹中平蔵君) この問題は二つに分けてやはり考えるべきであろうというふうに思います。
 一つは、今、峰崎委員御指摘のように、その資産性をどのように認定するかというのは、将来の回収可能性については監査法人による検証を経なければいけない、その監査法人による検証の過程で実務指針がございますから、これは当然会計のプロの方々がこの実務指針を厳正に運用していくと、そのことをしっかりと運用してくださいということは、これは金融庁としては当然のことながら要請をしなければいけないわけでございます。そういう形で運用がされていくものというふうに期待している、これがまず第一のポイントでございます。その上で、それはそれとして、例えば何らかの上限を設ける必要があるかどうかというのは、これはまた別の観点からこれまでも一部の方々から主張されてきた問題だと思っております。そうした点については、これはより大きな制度の問題でございます。
 先ほど、午前中この問題はなかなか容易な解を見付けることが難しい、それは税制の問題と企業会計の原則の問題と、それとBISの会計、失礼、銀行の監督基準の問題、この三つのはざまにある問題であって、これはじっくりとやはり議論をしなければいけない。この後者の問題に関しては、これは是非とも専門家を集めて検討をしたいというふうに思っております。工程表ではどういう形で検討を進めていくかということを示したいと思っております。
 繰り返しになりますが、その前者の問題、これは会計監査法人の方で、会計士の方で実務指針にのっとってこれを厳正に運用していただくということは、これは私たちも求めておりますし、当然なされるべきことであるというふうに思っております。
#86
○峰崎直樹君 前者の問題でいえば、例えばこの非経常的案件の乱用を防ぐかどうかというのは、これは監査の問題だとか検査の問題だということですね。後者の問題というのは、恐らくきっと税制上の措置を、無税償却とか有税償却とかそういった問題も絡むのかもしれません、これはまた後でまたお聞きしたいと思うんですが。
 お手元に、四ページ目から、この九月期決算を私どもが、大手行は大体正味の自己資本比率、一体どのぐらいになるかなということを計算をしてみたわけであります。企業名載っておりますけれども、いわゆる税効果会計、それから公的資金、これを実はティア1から削除しますと、正味のティア1というのは上からみずほホールディングス以下、数字をずっと挙げておりますが、ここでもマイナスになる、りそなとか三井トラストホールディングスなんというのはマイナスになるなと。
 ティア2もティア1以上出られませんので、そのうち公的資金がどれだけ入っているかということで、正味のティア2というのは幾らかということで、それを控除項目として外すということになると、これは正味のティア1の倍、二倍にして控除項目八百九十三を減らすと、これが正味の自己資本になるわけですね。
 そうすると、正味の自己資本というのはもうマイナスになるところが三つ出てくるということですね。そして、隣にリスクアセットを置いておりますから、これで割っていくと、正味自己資本比率が何とマイナスになっているのが三つ、それから一%を切ってもうほとんどマイナスになり掛けているのが二つ、辛うじて七%台を維持しているのが三菱東京と住友信託銀行と、こういう結果に実はなるわけですね。右端に公表されている自己資本比率を並べているわけですが、この違いに実は愕然とするわけなんでございます。
 次のページはこれは三月期決算でございまして、同じようにやっております。六ページ目には繰越税金資産の見直しに伴う大手行の自己資本比率の変化ということで、先ほど説明したものの元数になっているわけであります。
 こういう形になったことを竹中大臣は一体どのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#87
○国務大臣(竹中平蔵君) こういう試算は以前からも一部のアナリストによってなされていたものというふうに認識をしております。しかし、これは委員御指摘のように、もしこれとこれを除いたらこうなるという議論、これは仮定の議論に基づいて算出されたものでありまして、これはやはりこういう比率だけを言及するのは私は誤解を生むおそれがあるので適切ではないというふうに思います。
 公的な資金の方にしても、税効果にしても、今のルールの枠組みにのっとって認められたものである。それぞれについてその資産性を厳しく問うていくというのは当然の姿勢ではありますが、これはやはり認められた枠組みの中で、そもそも自己資本比率を議論するのはバーゼルの枠組みに戻って議論する、そのバーゼルの枠組みの中でこういうもう認められたものでございますから、繰り返しますが、回収可能性であるとか資産性について十分に厳密に査定していくというのは当然のことではございますが、もしこれとこれを外したらこうなるという議論は、これはどうもやはり誤解を生むことになるのではないのかというふうに思います。
#88
○峰崎直樹君 何だかかつての柳澤大臣と話をしているような感じになってまいりましたけれども、本当にこの実態を見て、これはやはりきちんとこれ改革をしなきゃ駄目だなと、そして場合によったら、これはマイナスになっているところは完全にやはり自己資本というものが非常に毀損してきているのではないか。公的資金の注入ということも恐らく視野に入れられていたと思うんですよね。
 その意味で恐らく、多分繰延税金資産の関係でいえば、税制上の関係で金融庁が何か要望を出されたというふうに、財務省に要望を出されたというふうに聞いていますが、どういう要望を出されたのか、ちょっともし分かれば教えていただきたいと思います。
#89
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的な考え方というのは、そもそも繰延税金資産、税効果会計の問題というのは、頑張って銀行としては償却を、不良債権の償却を行ったんだけれども、税務の取扱い上、これはコストとして認められなかった。すなわち有税償却をした、その有税償却をしたことによって、これが将来オフバランス化したときにはその分の税金が安くなるはずであると。だから、将来の回収可能性がある、資産性があるというものであるわけです。そういった税の取扱いがあったことによって、今回の繰延税金資産の問題というのが出てきているわけでございますから、そのもとの税金の仕組みそもそもについてやはり考えていただきたいというような要望を求めているわけであります。具体的には三点ございます。
 金融機関について、企業会計上の貸倒償却及び貸倒引当金の全額損金算入を認めること、つまり損金算入認めてくれというのが第一点。第二点は、金融機関について欠損金の繰越控除期間、これは現行は五年でありますが、それを十年にしてもらいたいということ。第三に、金融機関について欠損金の繰戻し還付、現行一年でありますけれども、これの凍結を解除するとともに、繰戻し期間を十五年に延長していただきたいと。今資産として計上されているものでありますけれども、過去に払った税金の中から、ちょっと簡単に言えばそれをキャッシュ化できるようなことを考えてもらいたいというふうな要望をしたわけでございます。
#90
○峰崎直樹君 しかし、繰戻しを十五年というのは、ちょっと私ども考えたら、要するにバブルのときの払った税金を戻せということなんだろうと思うんですが、これはちょっとやはり何となく余りにも異常だなという感じがするんですが、財務大臣、これは質問しておりませんけれども、塩川大臣、いや小林副大臣でも結構です、どう考えられます。
#91
○副大臣(小林興起君) どう考えられるも、こう考えられるも、今御要望としていただいたようでございますけれども、いろいろなところからいろいろな御要望があるのが税の議論のたたき台にいつもなって、これからいよいよ本格的に党税調も動いていくところでございますので、そういう場におきまして常識的な線で落ち着くようになるのではないかと思っております。
#92
○峰崎直樹君 常識的な線というのが本当は聞きたかったんですが、これは恐らく来年度税制改正で議論されるんだろうと思いますから。
 この繰延税金資産の方は、どう見てもやはり、ずっと今までお話ししたように、どうもやはりこれは竹中大臣お得意のマーケットから見たら、こんな冷や冷やの自己資本ないぞと、その意味でやはり、今日もう帰られましたけれども、日銀総裁が株を買おうというのは、こういう非常に脆弱な自己資本をやはり指しているんだろうと思うんですね。
 その意味で、私は、こんなにやはり不良債権問題の処理というか、本当にきちんとした自己査定やりなさいと我々言い続けてまいりましたが、この点はやはりきちんと進めて、そしてどうしてもこれはもうマイナスになっていくような銀行は、それはもうこれは国有化ということも視野に入れざるを得ないんじゃないかなというふうに思いますが、それは実は、次の優先株を普通株に転換するための運用ガイドラインを設けるというところに入ってくるわけですね。これはいつガイドラインは設けられるのか、この作業工程表を作られると同時に公表されるのかどうか、この点明らかにしていただきたいと思います。
#93
○国務大臣(竹中平蔵君) 優先株から普通株へのガイドラインそのものにつきましては、これはそのガイドラインをやはりしっかりと作るということは金融再生プログラムの中に書かせていただいたものでございます。誤解なきように、それによってこうしたことを、頻繁にこうした手段を使って国有化するのではないかというようなニュアンスの報道がありますけれども、もちろんそういうことを考えているわけではない。
 これはしかし、正に銀行経営のガバナンスの中にこうした問題も組み込んで、ガバナンスをしっかりとやってもらう、そのための一つの方策として、この普通株のガイドラインの整備は、やはり私はしっかりとやっておかなければいけないというふうに思うわけでございます。つまり、ルールの明確化をしておきたいというふうに思うわけであります。
 これはしかし、いつやるのかということでございますが、これをどのような形で議論して、どのように発表するのかということは、正にこれは工程表の中身そのものでございまして、工程表の中身につきましては、先ほど申し上げましたように、今最終的に詰める段階で、明日には公表したいというふうに思っております。
#94
○峰崎直樹君 ということは、工程表、二十九日ですか、じゃ二十九日にはもうこのガイドラインも明らかにするという理解でよろしいんですね。
#95
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、工程表というのは、再生プログラムに書いている政策をいつまでにどのような手続でやっていくかということを明らかにするものでございますから、このガイドラインの作成については、どのようにしていくということについて、いつごろまでにどのような形で明らかにするかということについて工程表の中で明らかにしていくことになります。
#96
○峰崎直樹君 ということは、工程表の中で、いつまでにというのはそこで出しますということですか。
#97
○国務大臣(竹中平蔵君) 正にそれが工程表の意味でございます。
#98
○峰崎直樹君 いずれにしても、先ほど申し上げましたが、正味の実質上の自己資本比率が結果的にマイナスになっているようなところは、これはやはり優先株を普通株に切り替えるとか、そういうことを直ちに実施してもいいのではないかと思うんですが、その点はどのように考えておられますか。
#99
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、この項目を除いたらどうなるというその仮定の計算は、これはやはり誤解を生むということは重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
 ただ、市場からその資産性についていろんな声があるということを私たち認識しておりますから、その繰延税金資産の問題については、その上限の設定も含めてその在り方を議論しようというふうに再生プログラムの中で明示したわけでございます。その中で、その方針に沿って工程表で、どのような形で明らかにしていくのか、どのような形で議論を進めていくのかということは工程表の中で明らかにしますので、それにのっとって粛々と議論を進めていきたいと思います。
#100
○峰崎直樹君 どうもぱっとここで出ないのかもしれませんが。
 さて、もうあと時間が少なくなりましたので、残された時間を数少ない質問に充てたいと思うんですが、一つは、新生銀行の瑕疵担保特約というのがこの何年間かずっと話題になってまいりました。いよいよ来年二月で期限が切れるわけですが、これを延長してもらいたいという申出は金融庁の方に来ておりますですか。
#101
○国務大臣(竹中平蔵君) 新生銀行、旧長銀の株式売買契約書に基づく瑕疵担保条項の対象期間というのは、御指摘のとおり来年の二月末でございます。これについては新生銀行自身も新聞の取材に応じておりまして、解除権の期限延長の意向は持っておらない、当局への要請や交渉も一切ない旨の回答をしているというふうに承知をしております。
#102
○峰崎直樹君 分かりました。ということは、まだ申出が来ていないということですから、当然もうこれは来年二月で切れるということだろうと思います。
 さて、大手行と生保の資本の持ち合いの問題で、実はこれもやはり先ほどの自己資本というものが非常に不十分じゃないかということの一つによく挙げられるんですけれども、この持ち合い状況、状態というのは公表されるんでしょうか。
#103
○国務大臣(竹中平蔵君) 大手の生保十社と、十社の銀行との資本持ち合い状況につきましては、先般の十四年度上半期の報告におきまして各生命保険会社から公表しているところでございます。ちなみに、各保険会社が銀行との資本持ち合い状況を公表したのは、今回の上半期の報告が初めてであるというふうに承知をしております。
 この公表内容によりますと、平成十四年九月末におきまして、大手生命保険会社十社が銀行から調達している基金及び劣後ローンの額はそれぞれ八千二百八十億円、これは基金ですね、及び劣後ローン一兆百十億円というふうになっております。また、大手生命保険会社十社が保有している銀行株式の額及び銀行に対する劣後ローンの額は、それぞれ二兆六千四十六億円と五兆六千九十三億円というふうになっております。
#104
○峰崎直樹君 この持ち合いの資本を銀行が自己資本に入れるというのは、どうもやっぱりこれも余り適切でないんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#105
○国務大臣(竹中平蔵君) いわゆるダブルギアリングの問題といいますかお互いが、その資本を金融機関同士が持ち合いしていることによって、一方の経営状況の変化が他方に波及して、非常に不健全な状況になるのではないかという議論は確かに一般論としてはございます。
 しかし、銀行と保険会社の間では、基本的な業務内容や資金の調達、運用の様態に差異があるということから、リスクの特性も異なっておりますから、必ずしも一方の破綻が他方の業界に直ちに伝播するというような関係にはないというふうに考えられております。つまり、例えばですけれども、保険の方は長期で調達して短期で運用する、銀行は短期で調達して長期で運用する、例えば状況が変化したときも、この損得はお互い逆の方向というか補完的に現われるという、そういう関係にあるんだと思います。
 したがって、銀行等預金取扱金融機関の自己資本比率規制において連結対象となるほかの規制対象金融機関との間のダブルギアリングについては、これは否認されることになっておりますけれども、一般的な銀行と政府間での相互に劣後ローン等を持ち合うことについては否認しないというような、そういうルールになっているわけでございます。
#106
○峰崎直樹君 この間、自己資本の厳格な査定という話をずっと議論してきたんですけれども、やはり今の銀行の持っている自己資本というのは非常に脆弱であるということが、だんだん一つ一つ点検していくとやっぱり明らかになってくると思うんですね。ですから、そこを変えないとなかなか銀行は与信機能を拡大していくということは難しいだろうというふうに思っているわけで、ここは大臣、少しきちんとやはりやってもらう必要があるのかなと思います。
 さて、生保の問題、もう少し触れたかったんですが、時間の関係で、今日は塩川大臣に来ていただいていますので、ちょっとこの機会に是非お聞きしておきたいことがありますので、そちらの方に移していきたいと思いますが。
 今年度補正予算を組まれることを総理は決定されたそうですが、これは三十兆円枠の問題が守れないと。先日、たしか円委員が予算委員会で質問されていました。私もずっとこういう問題を含めて聞いていて、何か、木の幹は変わらないけれども葉っぱの色が変わるぐらいだというような、私も聞いていてこんなむちゃくちゃな話ないなと思いながら聞いていたんですけれども、これは別に塩川大臣の発言ではございません。ただ、三十兆円枠をやはり守れなかったということについては、これはやっぱり公約違反だというふうに申し上げていいんだと思うんですが、その点について、両大臣、もし御意見が。塩川大臣にだけまずお聞きしたいと思います。
#107
○国務大臣(塩川正十郎君) 公約違反じゃなくて公約不実行でしょうね。
#108
○峰崎直樹君 同じことじゃないですか。不実行というよりも、公約をしていたことが実際にできなかったんだから、やっぱりこれは違反をしたということじゃないですか。国民に対してずっと言い続けてきたわけですね、三十兆円と。去年の参議院選挙もそうでした。それをやっぱり守れなかったことは、守れませんでしたということで約束違反じゃないですか。
#109
○国務大臣(塩川正十郎君) だから、こだわらないということは初めからずっと言っておりますから、国債発行三十兆円ということを目標にずっと努力してまいりましたけれども、できなくなりましたので実行できなかったと。けれども、三十兆を守ろうというこの方針は変えておりません。
#110
○峰崎直樹君 三十兆を守ろうという方針は変えていないと言ったって、方針を覆したんでしょう。何か今のお話を聞いていると、三十兆枠はまだずっと生きていますよというふうに言っているけれども、実際上はもうあれでしょう、補正予算を組んで、歳入欠陥と、それからいろんなものをまた追加してやろうということなんでしょう。その辺りは間違いなく、それは約束を守れませんでした、約束違反ですと、こういうことを、塩川大臣、財務大臣として当然それは国民に対して言わなきゃいけないことじゃないですか。
#111
○国務大臣(塩川正十郎君) 三十兆は、これはやむを得ない事情等いろいろございまして、努力したけれども実行できなかったということでございました。けれども、三十兆の精神をというか、その方針は曲げていない。それがためには、補正予算で必要とする財源、新しい財源は恐らく五兆五、六千億円は超えるであろうと思います。けれども、それを全部それじゃ国債によって賄うかということは、そんなことはいたしませんで、できるだけ国債を減らして三十兆円の乖離をできるだけ縮めていくということをいたしたいと思っております。
#112
○峰崎直樹君 三十兆の精神はというふうに言えば何となく、要するに財政規律を守っていく努力はしたいんだよということは分かるのですが、三十兆は守っていますよと言われると、ちょっとそれは間違いじゃないですかということを言わなきゃいかぬと思うんですよね。
 しかもそれは、歳入欠陥とおっしゃるんですけれども、歳入欠陥自身も実は、当然のことながら、中期展望も持って毎年これぐらい予想しますよということで、それが事実上できなかった、経済政策の失敗がやっぱり歳入欠陥をもたらしたということの一面もあるわけですから、何か社会現象、自然現象のような感じで、このいわゆる三十兆円枠を守れなかったことは、あたかも私、自分の責任ではないと、政治的な責任は問われなくて済むんだというように私はならないと思うんですが、その点、塩川大臣、どう考えますか。
#113
○国務大臣(塩川正十郎君) できるだけその三十兆の実現のために努力をするということは当然であります。
#114
○峰崎直樹君 そういう努力目標じゃなくて、あれだけはっきり、もうとにかく総理大臣の言っていることは最初はもう物すごい高らかに言うわけですよ。靖国神社、八月十五日必ず参拝します、絶対やりますと。そうかと思ったら、十五日じゃなくて十三日になってみたり。それから、一内閣一閣僚だといって、これも言う。しかし、ふたを開けてみたら、いやいやもう大変な閣僚を替えていっている。いや、今のペイオフも絶対やりますぜと言っていて、それがふたを開けたら、いや二年間延期だと。今度のやつも、三十兆も、全部そうじゃないですか。
 だから、そういう意味で、この内閣というのは本当に約束をするけれどもそれを守らない内閣じゃないかと、言葉が軽い内閣じゃないかと。これが実は政治不信というものを私はもたらす大きな原因になっていると思うんですよね。塩川大臣、そういうふうに思われませんか。
#115
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、先ほども言っていますように、三十兆円を守りたい、それはもう当然やりたいと。ちょうど労働組合の交渉でもそうでして、絶対確保だと、こう言っていて、やっぱり結局この点は収まったというふうなことで、同じもので、やはり状況というものはそういうもので、目標はきちっと持っていなきゃならない。だから私は、目標は変えていないと言っているんです。けれども、実行できなかったということは、これは残念だと思っておるんです。
#116
○峰崎直樹君 それは、残念じゃなくて、責任が伴うんだと思うんですよ、それはやはり。もう隣で竹中大臣はちょっと苦笑いされていますが、竹中大臣、どう思われますか。
#117
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、三十兆というのは大変重要なシンボルであるというふうに思います。
 我々が守るべきなのは、今年一月の最初に閣議決定しました「改革と展望」の中で、平成十年代の最初にプライマリーバランスを回復させると、これをやはり守らなければいけないのだと思います。そこのところは実は堅持するというのが重要なポイントになります。
 それと、これは「改革と展望」の中に明確に書いているわけですが、例えば峰崎委員は税収不足の分について言及されましたが、この税収不足の分については、これは、経済は正にその時々の状況によって変動しますから、経済が予想より悪くなって税収が落ち込んだ分については、これは言わばそれをそのままで受け入れる。結果的に赤字、要するに国債の発行が増えてもそれはそれでよい。つまり、正にこれがビルトインスタビライザーである。ビルトインスタビライザーは積極的に活用する、そういう方向でやるんだということは、これはもう閣議決定の中で述べているわけですね。
 今回、新たな条件変化として出てきましたのは、正に不良債権の償却を加速するという状況だと。それに対するセーフティーネット等々で新たな措置をやはりこの際きちっと講じておこうではないかと。この点は、総理は、財政の規律をきちっと打ち立てながらも、しかし状況によっては柔軟かつ大胆にやるということは明言してこられたわけですから、財政の規律を堅持するということと状況の変化に応じては柔軟かつ大胆にやると、これは正にこれまでの公約の範囲の中での一つの選択であるというふうに私は理解をしております。
#118
○峰崎直樹君 非常に我々からすると、中期展望で、二〇一〇年代ですか、それの早い時期にプライマリーバランスを回復すると。その間の、プライマリーバランスを回復するのと現在との間で、今までは三十兆円枠というのがあったんですよ。このプライマリーバランスを回復するということになると、これは我々も随分検討してみたんですが、これはその間、税負担が伴わないとこれはならないと見ているんですよね。そうなると、プライマリーバランスは二〇一〇年代に回復しますといっても、本当にこれ、公約としてこの内閣が守れるか守れないかという議論になったときには、私は、どうもそれはちょっともう余りにも時間軸が離れ過ぎて、我々からしてもそんなの信用できないなという感じになっちゃうわけです。
 そうすると、この二、三年の、あるいは来年、再来年のこの軸において一体どういう方向にならなきゃいけないのかという、その財政をどういう方向に示すのかという、この財政規律を示す指標というのは、私はやはり新しく作らないと、今度の補正予算で、我々よく言うところの、従来型の公共事業とよく言いますけれども、余り役に立たないもの、要するに効果がないもの、こういったものがまたぞろ景気対策と称して増えていくということを防ぐ方法というのはあるんだろうかねということを大変心配するわけです。
 その意味で私どもは、そういった点では、今度の三十兆円枠が事実上ほごにされてしまったというのは大変政治的な責任としては重いんじゃないかというふうに思うんですが、この点は改めてまた、これ財務大臣にお聞きしましょうか、どのように考えておられるんでしょうか。
#119
○国務大臣(塩川正十郎君) これは、私は何遍も申しておりますように、三十兆円というのは一つの私は財政規律の目標であって、これは実行したいということで一生懸命やってきました。しかし、そのとき国会はわんわんと、もうこれ破っても構わぬからもっと金出せということをおっしゃっていた。こういう状態になってしまったんですね。そうなりましたら、実行はできにくくなったけれども、しかしその三十兆円の精神を生かしてできるだけ国債の発行を抑えていこうと、そして、国会なり国民が要望しておるものにできるだけこたえるものには対応していこうということでございますから、私はちっとも矛盾はしていないと思っております。
#120
○峰崎直樹君 何だか、私本当にお話聞いていてちょっとがっかりきたんですけれども、今日は財政のところは中心的な議題じゃありませんからもうこれで終わりますが。私、多分またこの質問したらあんたもしつこいねと言われるかもしれませんがね。
 総理大臣になられたとき、道路特定財源を廃止して一般財源にすると言ったんです。これはもう何回もしつこく聞いたんですね、予算委員会の場で。来年の三月三十一日でこの道路特定財源のいわゆる暫定税率の問題も全部切れるんです。それから道路のいわゆる五か年計画も、公共事業の計画の五年目がちょうど切れて新しいものに入るんですよ。今回やっておかないと道路特定財源の一般財源というのは実は私できないと思っているんですよ。それを部分的にどこか、何か歩道橋、これを何か道路財源で別の方にちょっと、関連したところに使うというような言い方をしているんですが、これもやっぱり公約を言っていて実際実現できなかった。
 大変難しい問題だと思うんですが、我々民主党は、道路特定財源は一般財源化する、そしてガソリン税の暫定税率、この問題ももちろん、暫定税率を本則に戻せという意見あるけれども、これは一般財源としてきっちり確保する、そして環境税への組替えを提案するということの方針を出しました。私はやっぱりそういう、総理大臣が言い始めた中身をきちんとやはり実践するというのが重要なんだろうというふうに思うんです。
 これはもう後で答えいただきますが、私ずっと見ていて、このいわゆる小泉内閣というのは、小泉内閣という一つの実体があって、自由民主党とかほかの与党は第一野党みたいで、我々民主党は第二野党のようになって、何か議論はいつも総理大臣を中心とした内閣と第一野党の自民党や与党が攻防している、そこは随分面白おかしく取り上げられる、第二野党の民主党が発言しておる中身というのはどうも実はそれでくすんでしまうような状況になっている。これは議会制民主主義にとっては本当に余りいいことじゃないんじゃないかなと思っているんですが。
 ちょっとその最後の例えは当たっているかどうかは別にして、これ最後になりますので、塩川大臣、本当にそういうやはり難しい課題だけれども、今やっておかなきゃいかぬ課題を、やっぱりこれも先送りされた。先送りしたら五年間これ続きますよ、もしこのいわゆる法律の問題で言えば。是非その点についての反省の弁だとか、あるいはこれからこういうふうに変えたいとかということがあれば含めて意見をお伺いして、たくさんあと質問用意しておりましたけれども、やっぱり二時間というのは時間があっという間にたってしまいましたので、以上で終わりたいと思います。
#121
○国務大臣(塩川正十郎君) おっしゃることは私たちもよく分かりますけれども、これはやっぱり行政と国会、やはり立法と行政とのある場合においては交渉であり、ある場合においては話合いであるという、そういう中で政治が行われておる。だから、行政がしっかりとした目標を立てなければ、やっぱりそれは責任を負うことはできない。
 けれども、だからといって行政が立てた目標が一〇〇%絶対できるとは、それだったら独裁はできますよ、そこが民主主義の難しいところであり、また民主主義の大事なところなんです。それは、だから行政が立てた精神というものは、これを変更はしておらないんです、変更はしていないけれども、実際にそれが実行できにくいことになってきたということは、その場合には何が原因で実行できないのかということを、そこの反省をして、それを是正していくことにしたらいいと。
 一方、特定財源のことをおっしゃいますけれども、特定財源という税目はないんですね。ガソリン税であり、重量税でありというその精神は、いや、その使途はそれぞれ相当多様化していくと、一般財源的に使うということをやっています。
 例えば重量税にいたしましても、三分の一ほどは、じゃ重量税、道路以外の公共事業等に使用いたしております。またガソリン税も、立法いたしました趣旨は道路に投入するということでございましたけれども、今度は道路以外の面、つまり道路に関連した、あるいは道路に附帯するところの施設、そういうものにも当用するということにすると。
 峰崎さんおっしゃる一般財源といったら、ガソリン税から上がってきたガソリン税を福祉でも教育でも何でも使うたらいいと、こういう趣旨だと思うんですが、それだったら、ガソリン税、税制創設のときの趣旨にもやっぱり背くということがある。ですから、税制定の趣旨を生かしながら一般財源化していくということでございまして、それじゃ、根本的にガソリン税を廃止して違う税目で新しく徴収し直したらいいんじゃないかと。これははっきりすることはできます。
 しかし私は、負担する側からいうと、ガソリン税の負担を、言わば正規以上に付加したものを負担する以上は、やっぱりそこに、一般財源に使ってもいいけれども、道路を中心としたものに、つまりガソリン税を払う趣旨に沿った利用の方法を取ってほしいと。これは納税者として、移行するのは当たり前だと、当然だろうと思いますし、そういう意味において、できるだけ一般財源化して使いますけれども、従来のようにガソリン税はもう道路に完全に使うんだと、こういう考え方を広げて一般財源化していくということであります。
#122
○櫻井充君 ちょっと通告していないんですけれども、塩川大臣、今の峰崎議員とのやり取りを聞いていて、三十兆円というのはこれは行政の目標だったんですか。行政の目標ですか、三十兆円は。
#123
○国務大臣(塩川正十郎君) 予算編成のときの一つの目標です。
#124
○櫻井充君 今年度の三月十三日の参議院の本会議で塩川財務大臣はこう答弁されております。
 「国債発行、何で三十兆円にしたかというと、やっぱり財政の秩序を守らなきゃいかぬ、いつまでも無制限に国債に頼った安易な財政を組んではいかぬという観点で三十兆円というかんぬきを入れたということでございまして、これは政治の決定でございます。」と、こうおっしゃっているんですよ。大臣、政治の決定って一体何ですか。
#125
○国務大臣(塩川正十郎君) かんぬきを入れたことが政治の決定なんです。
#126
○櫻井充君 三十兆円というのは、じゃ何ですか。
#127
○国務大臣(塩川正十郎君) 目標じゃないですか。
#128
○櫻井充君 三十兆円ということを設定した上でかんぬきを入れるということが政治の決定だったんじゃないんですか。
#129
○国務大臣(塩川正十郎君) 三十兆円という目標を、これをかんぬきとして入れましたということなんです。
#130
○櫻井充君 そうすると、このときの三十兆という数字は、どういう意味を持って三十兆という数字を出されたんですか。
#131
○国務大臣(塩川正十郎君) その当時は二十八兆幾らでしたかな、残高、二十八兆三千億でしたかな。そうすると、あと二兆円近くの余裕があるけれども、これを安易に使ったらいかぬということで、取りあえず三十兆で一応節度を付けようということで三十一兆以上はもう発行しないということに一つの目標を立てようということでやったわけです。
#132
○櫻井充君 その前年度の、たしか私の記憶が正しければ三十兆円以上国債を発行していたかと思います。平成十年が三十四兆、平成十一年が三十七兆、その後が三十三兆か四兆だったかと思いますけれども、決して二十何兆円ではなかったはずです。ですから、元々のその目標設定がそれでは甘かったんじゃないんですか。
#133
○国務大臣(塩川正十郎君) いや、妥当だと思いました。
#134
○櫻井充君 妥当なものがなぜ、そうだとすると、妥当な線であったものがなぜその三十兆という数字が守れなくなったんですか。
#135
○国務大臣(塩川正十郎君) 状況の変化が急激に変わってきたということもあるし、また、一つは税収の見込み違いなどあったということ、あるいはセーフティーネットとか、そういう補完的な政策を充実させていくための緊急資金の必要があるという事態等が起こってきたということであります。
#136
○櫻井充君 その見込み違いというお話がございましたけれども、前回のこの場でも申し上げましたが、社会実験ができないんですね、こういうものは。そうすると、今までの状況を全部勘案した上で数字を出してくるというのはこれは当然のことなんだと思うんですよ。
 そうすると、先ほどおっしゃっていますが、二十八兆幾らだから少し上乗せして三十兆にしておけば大丈夫だろうというお話をされていましたけれども、やはりきちんとしたその状況把握ができてきていないということが結果的にはその公約を守れなくなってしまったということにつながっているんじゃないですか。
#137
○国務大臣(塩川正十郎君) 状況判断は相当な深刻な数字を持って判断はしておりました。けれども、やはり経済は生き物であり、社会情勢というものは変動いたしましてきちっと絵にかいたようなことにはならない、そこが非常に現実の難しいところでございます。
 ですから、私たちどんな努力したかということは、三十兆を守りたいということで、昨年度二度にわたる補正予算の要求が国会から出てまいりました。それに対して国債を発行しないでも何とか乗り切っていきたいという努力をしたということ、これはやっぱり正当に観察し、評価してもらいたいと思っております。
 そういう努力をしたけれども、なおかつまだ社会の要求が強い。これを拒否していくか、あるいはその社会の要求に応じて対策を講じるかということはこれは政治の重大な責任でございますから、その政治の責任を果たす意味においても、自分らが持っておる目標をある場合には実行できなくても要求に応じていくということも必要であろうと思います。
#138
○櫻井充君 塩川大臣は平成九年の財政構造改革の失敗の原因について、運が悪かったとこの間御答弁されました。今回も運が悪かった程度ですか、じゃ。
#139
○国務大臣(塩川正十郎君) 運もありましょうけれども、私は運じゃなくて、これはやっぱり国民のニーズにこたえていったということです。
#140
○櫻井充君 大臣はよく迎合する政治は良くないとおっしゃっていますよね。今度は国民のニーズにおこたえになった。じゃ、今回の国民の皆さんのニーズというのは一体何なんですか。
#141
○国務大臣(塩川正十郎君) セーフティーネットを張れということですよ。
#142
○櫻井充君 どういうためのセーフティーネットになるんですか。
#143
○国務大臣(塩川正十郎君) 不良資産を加速して整理をしようということでございます。
#144
○櫻井充君 不良債権の処理をしていこうということは、小泉内閣の以前の森総理のときにオフバランス化をして、そして不良債権の処理をどんどん進めていきましょうという政策だったんじゃないですか。
 そうすると、なぜ今になってそのようなことが起き上がってくる、起こってくるんですか。
#145
○国務大臣(塩川正十郎君) これは私は担当していませんけれども、政府の金融庁の方では、何年ですかな、三年ですか、何かでやるということを、不良債権の整理やると言っていますけれども、それを加速しようということになったんで、加速すればセーフティーネットが必要だと、こういう要求が出てまいりまして、それにある程度必要を認めて対策を講じにゃいかぬということです。
#146
○櫻井充君 セーフティーネットの額は幾らでしょうか。むしろそれよりも多いのは、それは税収が、歳入欠損によるためではないんですか、今回の補正の額を見たときにですよ。
#147
○国務大臣(塩川正十郎君) それはセーフティーネットの方が多いです。
#148
○櫻井充君 セーフティーネットは一兆五千億で、補正の額が二兆八千億じゃないですか。
#149
○国務大臣(塩川正十郎君) 一・五兆が言わば社会保障的なセーフティーネットであり、一・五兆は急速な加速をすることによって景気対策を支えにゃいかぬという意味におけるセーフティーネットの一兆五千、合計して三兆円。
#150
○櫻井充君 しかし、前回も、運が悪かったの一言で平成九年の財政構造改革に関して御答弁されていました。今回は、運が悪かったと同じような、状況の変化が分からなかったというようなお話ですよね。そのようなことで財政を本当にきちんと預かっていけるんでしょうか。
 もう一つ申しますと、先ほども峰崎委員から為替の話が出ました。そのときに、百二十五円のという設定、多分百二十五円ではないんだと思います。しかし、三月十三日の本会議のときに、塩川大臣は百二十二円を一応は目標にするというお話をされているんですよ。この百二十二円というのは何かというと、為替特会の収支計算を百二十二円で見ていると。百二十二円で見た上で、平成十四年度においてはその中から一千五百億円を一般会計に繰り入れるんだというふうにおっしゃっているわけです。
 そしてもう一つ、外国為替特会の目的のところは、国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とするということとすれば、為替の政策というのはあるのは当然だと思うんですよ。
 為替の政策がないということ自体の方が私は問題だと思いますし、恐らくはその分岐点が百二十二円ということなんではないんですか。
#151
○国務大臣(塩川正十郎君) 為替の政策と為替の介入とは全然違いますよ。
 為替の政策はちゃんとやっておりますよ、それは。それは何かといったら、為替の動向を厳重に監視し、急激な変化があった場合はそれに対応する措置を講じるということは為替政策で、介入ということは、いや、これいたずらにすべきじゃない、これは市場が決めるものでございますから。
#152
○櫻井充君 ですから、その市場が決めてくる中で、急激な変化の場合に、そのときに国際収支等での均衡が図れなくなった場合には介入してくるということになるんじゃないんですか。
#153
○国務大臣(塩川正十郎君) それはそうです。
#154
○櫻井充君 そういうことですよね。
 どうもいつも煙に巻かれているんですけれども、もう一つちょっと竹中大臣にお伺いしたいことがあるんですが、経済学的にデフレに種類ってあるんですか。申し訳ございません、通告しておりませんが。
#155
○国務大臣(竹中平蔵君) デフレの議論そのものがそんなに成熟していませんから、余り自信を持ってお答えできませんけれども、例えば、インフレにはコストプッシュとディマンドプルがあるという、そのコスト側の要因と、つまり供給側の要因と需要側の要因があるというような観点からしますと、これは幾つかの類型ができるんだと思います。昨年の経済財政白書では三つないし四つに分けてその要因を考えていたというふうに思います。
#156
○櫻井充君 そのデフレの中にも何種類か、じゃあるんですか。インフレには今お話しありましたけれども、デフレの中にも何種類かあるんですか。
#157
○国務大臣(竹中平蔵君) 全体の非常に、何といいますか、たくさんの観察例から出てきたものでは必ずしもありませんが、考えられる理由としては、需要が不足して物価が下がる場合と、供給側の技術進歩とか海外から安い物が入ってくるという供給側の要因で物が下がる場合と、マネーの量が増えないことによって、先ほど言ったように、物価はマネーの変数であるからそれで物価が下がる場合と、そういった要因には私は分けられると思います。
#158
○櫻井充君 そういう中で、リッチなデフレというのがあるんですか。
#159
○国務大臣(竹中平蔵君) そのリッチなデフレという言い方、私も聞いたことがありますが、多分そのあれは、デフレの影響がどのように出るのかという一つの形を描写したものだと思います。
 つまり、名目の賃金が余り変わらないような状況で物が下がるということは、実質賃金は決して伸びていないんだけれども生活水準はむしろ上がっていくということがあり得ると。例えば、確かに自分の給料もう余り増えないか、ひょっとしたら五%ぐらい下がったかもしれないけれども、しかし百円ショップに行ったら今まで考えられないようなものがもう何でも手に入って、ちょっと極端な話、身の回りのものは何でも百円ショップで買えるね、海外旅行も安くなったねと、そういうような実感を持っている消費者はいるのだと思います。そういうある側面を描写して、そのような言い方はあるのだと思います。
#160
○櫻井充君 それは経済学的にあるんですか。
#161
○国務大臣(竹中平蔵君) 何が経済学的かということになるかと思いますが、今申し上げましたように、名目賃金よりも物価水準の方が下がり方が低くて、結果的に実質的に実質賃金が上がっているような状況というのは、これは一つ説明できると思います。
 ただ、繰り返します。これは一つの側面でありまして、むしろ我々が問題にしなければいけないのは、物の値段が下がっても過去の借金は絶対に下がらないわけです。結局、物の値段が下がっていくということは、物の値段というのは自分の賃金であり、自分が売り上げている売上価格が下がるということを意味しますから、そうすると企業にとって過去の借金が名目で変わらないということは、これは実質借金負担が増えるということであって、これが実は今、経済政策としてこの議論をしている最大のポイントであると思います。
#162
○櫻井充君 この間も塩川大臣、リッチなデフレということをおっしゃっていました。そういう学説ってあるんでしょうか、塩川大臣。
#163
○国務大臣(塩川正十郎君) どういう学説ですか。
#164
○櫻井充君 リッチなデフレの定義をいただけますか。
#165
○国務大臣(塩川正十郎君) 私はリッチだと思いますね。普通のデフレというのはもっと深刻な生活の圧迫を受けて、生活水準をうんと下げなきゃならぬということになりますけれども、今生活水準は下がっているか。見方によっては下がっている部分はあるかも分からぬが、非常に生活が向上している部分もあり、その点は一概に水準を判定することはできませんけれども、しかし、これは、現在のデフレは従来のデフレと全然違ったデフレの形で来ているじゃないですか。そこをよく認識しなきゃ間違えますよ。
 それはなぜ来たのかといいましたら、資本主義社会と今まで共産主義社会というか社会主義社会とは全く経済が違っておったんです。要するに、社会主義経済というのは極端に国民を冷酷に押し込んで賃金を搾取しておった。だから、低賃金やったんです。資本主義は、経済実践に合うたそういう賃金を払っておったから高賃金やったんです。ところが、グローバリゼーションが始まった一九九〇年、そうでしょう、ソビエトは、ベルリンの壁を破って解放しましたね。それで、低賃金がどっと資本主義に押し寄せてきたんですよ。これが物価を下げてきておるんですよ。
 だから、そういうことから来たデフレと、それから本当に生産過剰に悩んで失業で行き詰まってきたデフレというものとはちょっと違う。ですから、その間の調整というものはやっぱり時間が掛かるんです。ですから、今すぐにデフレ解消、デフレ解消とぎゃあぎゃあ言ってみたって、そうデフレ解消するものじゃないんです、世界の趨勢がそうなんだから。それで、時間を掛ければ解消します。
 だから、そういうことにおいて、私は、デフレよりもむしろ現在の経済の実況を見た方がいいということを言っておるんです。だから、経済の実況を見た場合、日本はそれは確かに技術革新の対応が遅れたから、企業が技術革新の対応が遅れたから雇用を喪失し、世界の競争に一部負けてきておる。その分が失業になってきておりますけれども、しかしながら生活の水準はそんなに変わっておりません。第一、賃金もそんなに変わっておるということは、私は、一〇%ぐらいは下がっているかも分からぬけれども、そんなに極端に悪くなっているものじゃない。ちゃんと一定の昼飯も晩飯も食っているじゃありませんか。それから、外貨準備にしてもだんだんと外貨準備増えていっておるし、それから個人貯金も、個人の金融資産も増えておるじゃありませんか。
 そうした場合に、何をもって我々の経済政策の重点を置くか。私は今求められるのは企業を活性化する、そのためには設備投資をうんとして新しい技術革新に合うたものにして、そして雇用をもっと積極的に採用することによって経済を活性化するということ、そのためには古い資産、不良資産、古い資産を早く清算して新しい資産に取り替えていかなきゃならぬという、これが私は政治の目標だと思います。
#166
○櫻井充君 デフレの認識が違っていると大変になるとおっしゃっていましたけれども、国民の皆さんの生活の実態の認識を間違っている政治家の方が、官僚の方が私は罪は大きいと思います。
 これ以上議論しても無駄だと私は思いますので、申し訳ございませんが、次の話題に移らせていただきますが。
 今回、生保の中間決算が出てまいりまして、そこの中で三利源の合計としては結局プラスであるということが分かってまいりました。そうだとすると、予定利率の引下げ等、そういう議論というのは不必要なんではないのかなと思っていますが、竹中大臣の御認識をお伺いさせていただきたいと思います。
#167
○国務大臣(竹中平蔵君) 生保の十四年度上半期の報告がございました。その三利源の話がありましたけれども、三つの利益ソースの中でいわゆる逆ざやの問題というのがある、しかしそれ以外のソースからは利益が得られているというのが御指摘のとおりの状況であろうかと思います。
 これを収益構造をしかしもっともっと良くしていかなければいけない、そのためにどのような方策を取っていくかということについては、これは生保の収益構造、生保をめぐる問題を今幅広く勉強しているところでございまして、より強い収益基盤が持てるような状況を目指して努力をしていきたいと思っているところであります。
#168
○櫻井充君 これは全体の三利源のことについては出てきているんですけれども、各個別の会社のものが全く出てきていないんですけれども、その数字について教えていただけますでしょうか。
#169
○国務大臣(竹中平蔵君) 個別の問題といいますのは基本的には各社の経営戦略にかかわる問題であると思います。そうした経営戦略にかかわる計数を出すというのは基本的には不適切なことであるというふうに考えているわけです。
#170
○櫻井充君 費差益、死差益、利差益を出すということは、これは経営戦略にかかわってくることなんでしょうか。
#171
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的にそのように判断しております。
#172
○櫻井充君 そうしますと、金融機関が不良債権抱えているわけですが、不良債権を全部ディスクロージャーするというのは、これは経営戦略上全く問題ないことですか。
#173
○国務大臣(竹中平蔵君) これはリスク管理の問題と、言わば競争戦略にかかわる内部管理指標の問題というのはやっぱり私は違うのだと思います。その三利源の話というのは各社の経営戦略にかかわる言わば内部管理指標であるというふうに考えまして公表もしていないわけであります。
#174
○櫻井充君 そうしますと、ソルベンシーマージン比率を出してきている数字がありますよね。その数字というものに関しては各企業ごとから出していただけるということになりますか。
#175
○国務大臣(竹中平蔵君) これは各社別のソルベンシーマージン比率がどうかということに関しては、これはもう御承知のように、それは当然公表しているわけです。
#176
○櫻井充君 そうではなくて、そのソルベンシーマージン比率を計算する基になった数字は出していただけるんでしょうか。
#177
○国務大臣(竹中平蔵君) それは内部管理のものに関しては出すべきではないというふうに考えているわけです。
#178
○櫻井充君 銀行の自己資本比率の計算、自己資本比率だけではなくて、大まかな数字というのは出てまいりますよね。ですが、なぜ生命保険会社の場合にはそれは出せないんですか。
 なぜこんなことを申し上げるか。どうも私はおかしいと思っているのは、すべての確かに大手の生保はソルベンシーマージン比率が四〇〇を超えています。四〇〇を超えているにもかかわらず、二つの生命保険会社は準備金を取り崩しているわけです。なぜ、準備金を取り崩して、本来であれば二〇〇を維持していれば健全だという一つの指標になるわけであって、そこのところまでいかなきゃいけないのか。そこら辺のところをきちんと知る権利が皆さんあると思うんですよね。
 その意味において、委員長にお願いしたいんですが、この委員会に、そのソルベンシーマージン比率を計算するに、その比率が出てまいりますが、それの基になった数字を委員会の方に御報告いただきたいと思います。
#179
○委員長(柳田稔君) 後刻、理事会で協議をいたします。
#180
○櫻井充君 よろしくお願いします。
 それから、自己資本比率の話なんですが、アメリカのシステムをちょっと調べてみますと、アメリカの場合には、例えば住宅ローンなら住宅ローンの場合には、モーゲージローンを組んで証券化してさばいてしまうということになってくると、リスクアセットの分というのは、日本の債券市場の実態から考えてくると、かなりリスクアセットの分は小さくなるんだと思うんですよ。
 そういうアメリカと日本と同じような自己資本の計算の仕方、違う部分もありますよ、ただ少なくともリスクアセットという点でいった場合には、モーゲージローンなどを組めてリスクアセットを小さくできる国と、それと日本と同じように考えていっていいんでしょうか。
#181
○副大臣(伊藤達也君) 今、米国のお話がありましたが、米国においては、抵当権付住宅ローンのリスクアセットはリスクウエート五〇%を乗じて計算されておりますが、当該住宅ローンがモーゲージ証券として銀行にリスクが残らない形で完全に販売された場合は、リスクアセットの計算上、除外されているものと承知をいたしております。
#182
○櫻井充君 それは知っていますよ。ですから、そうやったらアメリカの場合は随分リスクアセットの分が小さくなるわけですよ。そうすると、自己資本というのはかなり大きく計算されることになるはずなんですよ。ですから、日本の金融機関が自己資本が小さくなってくるというのは僕は至極当然のような気がするんですが、その点についてどう考えるかということです。
#183
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、副大臣の答弁したとおりだと思うんですが、基本的に委員が御指摘のことは、要するにオフバランス化を証券化という形で進められるような場合には、当然のことながら資産内容は良くなるであろう、そういう御指摘だというふうに認識、それはそのとおりでございます。
 ですから、今度の金融再生プログラムの中でも、そうした形でオフバランス化が進めやすいように、証券化等々についてはこれは積極的に進めることができるように、これは我々も問題意識を非常に高く持って対応しているわけです。
#184
○櫻井充君 住宅ローンの場合には、確かにアメリカはもうモーゲージローンで五〇%以上だと思いますけれども、中小企業の債権をそのような形にできるかというと、リスクが余りにばらつきが多過ぎてできないと言われていたかと思います。そうしてくると、中小の金融機関が貸し出している先はほとんどが中小企業ですから、そうすると、信金や信組というのはそういう逃げ道すらないんじゃないかと思っているんですよ。
 ですから、その意味から考えてきてみたときにも、自己資本規制というものが、今の世界の基準というものが我が国に本当に当てはまるんだろうか、そこら辺に対してちょっと疑問を感じているんですが、大臣、いかがですか。
#185
○国務大臣(竹中平蔵君) 自己資本比率という一つの指標に着目していろいろ議論がなされている、そのことについての、やはりそれなりの功罪は私もあるのだと思います。
 しかし、しからば、じゃどのような指標を持っていったらよいのかということになりますと、ここはやはりどこかでシンプルなルールを作らざるを得ないというのが私は監督行政の現実であろうかと思います。このバーゼルの合意に関しては、日本もそういう立場から自ら参加してそのような形になっている。繰り返しになりますが、そういった規制を我が国にも当てはめられるわけですが、他国にも当てはめてもらうことによって、むしろ我々が安心して外国の金融機関とお付き合いできるという場面も出てくるわけであります。
 御指摘のように、基本的にはオフバランス化を進めること。もう一つ、中小企業に関して、今、委員が御発言になりましたけれども、むしろデット・エクイティー・スワップを進めるとか、これは中小企業に対するものでありますけれども、そういう形も今度の金融再生プログラムの中では我々考えておりまして、何よりもオフバランス化が容易に進むようにするためには、資産査定を厳格化して簿価と時価が一致するような状況を作ることが重要でありますし、そういうことを重ねて、いろいろ合わせることによって御指摘のような形で財務が健全化していくということを目指しているわけです。
#186
○櫻井充君 済みません、時間になりましたので、来週また時間があるのでこの点について議論させていただきますが、もう一点だけ。
 前回、政府の信用保証が付いているものに関していうと、要管理先の場合には貸倒引当金を計上しなくていいようなお話がございました。しかし、うちの秘書が、これは十月の二十八日に確認したところ、これは金融庁の検査局の総務課に確認したんですけれども、このときには、要注意先の中で政府の信用保証が付いているようなものでも全部貸倒引当金を計上しているんだというふうにこの総務課では言っておりました。ですから、大臣、副大臣の御認識と現場は私は違っているんではないかと。
 今日は御答弁結構でございますので、このことについてきちんと調べていただきたい、そう思っております。よろしくお願いします。
#187
○浜田卓二郎君 前回の質疑のときに、竹中案といいますか、そういう処理方針について全体的な質疑をさせていただいたわけですが、それを補足するような意味で、若干具体的な話について承りたいと思います。
 金融再生プログラムの冒頭に、「平成十六年度には、主要行の不良債権比率を現状の半分程度に低下させ、問題の正常化を図る」という、これは大目標が掲げられていると思うんですけれども、これを数字で表現するとどういうことになるんでしょうか。
#188
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権比率は、このプログラムが発表された時点では今年の三月期の比率でございましたから、八・四%ということでありました。それを四%程度に持っていきたいということでございます。
 ちなみに、この九月期にはこの八・四%を八・一%ということに、わずかでありますが低下をしている。しかし、約八%でございますので、これを四%程度に半減させるというのがここから出てくる一つのイメージでございます。
#189
○浜田卓二郎君 そうしますと、四・二%程度というんですか、これが理想的な状態だと御判断していらっしゃるんですか。
#190
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権の比率というのは、基本的には低ければ低いほど良いのだと思います。四%でも、これはまだ高いじゃないかという御指摘は私はあると思いますし、個人的にも四%で十分低いというふうにお答えするようなつもりは全くございません。ただ、現状八%を少し超えるようなところから出発した政策目標として四%程度を掲げるのはそれなりに実現可能性も含めて妥当なのではないのかなというふうに判断しているわけでございます。
 一つのよりどころとしては、アメリカのS&Pが、アメリカの不良債権比率が三ないし四%となっても問題ないと、そういうような言い方をしております。この三ないし四%程度であればコンフォタブルであるというような言い方をS&Pがしているということ。それと、アメリカの景気回復局面であった九二年から九三年におけるアメリカの不良債権比率が三%台から四%台であった。したがって、四%というと決してそんなに、非常に喜べる水準ではないと私自身は思いますが、とにかくそこを目指してその問題の正常化を図っていきたいと現時点では考えている次第でございます。
#191
○浜田卓二郎君 アメリカに行く前に、今八・一まで下がったということですが、いわゆるバブルがはじけて、不良債権を処理しなければ日本発の信用不安になると騒いでいたころの不良債権比率と比較してどうなんですか。
#192
○国務大臣(竹中平蔵君) 大変申し訳ありません、ちょっと数字が今すぐ出ないのでございますが、不良債権とは何であるかという定義そのものが、例えば九〇年代の前半とは変わっておりますので、今すぐ比較可能なものはちょっと出てまいりません。大変申し訳ありません。後でまた御説明させていただきます。
#193
○浜田卓二郎君 いや、その答えでいいんですよ。事務当局も数字はないはずですね。
 つまり、不良債権の定義そのものが変わってきているわけですよね。ですから、その当時にどの程度の不良債権があって、それがどういう変遷をたどって今日の状況に来ているか、これの内容の定義は実は私できないんだと思うんですね。
 その証拠に、この乖離率というのを数字をお出しになりました。これ驚くべき数字ですよね。ちょっと、金融検査が入ったら、一巡目の検査で三五・九%不良債権が増えちゃったというんですね。それで、また二巡目で入ったら一四・五%増えちゃった。これ、合計すると何%なんですか。
 だから、不良債権とは何ぞやというのは、実は分かっているようで私は分かっていないというふうに思うんですけれども、いかがですか。
#194
○国務大臣(竹中平蔵君) 御質問は、その不良債権とは何ぞやということであろうかと思います。
 金融機関は、基本的には、お金を貸し出して、その資産を運用することによって利益を得ると。その利益を得るということに参加できない、稼働していない資産が正に不良債権でありますから、これはその時々の経済状況によってやっぱり非常に違ってくるのだと思います。
 しかし、これは健全にやはり元本を回収していただいて、そのマーケットの需給をバランスさせるような金利をきちっと払っていただける、そういうことが将来にわたって期待できる、そういう状況でないものが不良債権ということに当然なるわけでございますから、そうした観点から、基本的には銀行自身の収益性の判断の下にこの算定がなされているというふうに思います。
#195
○浜田卓二郎君 いや、私が伺っているのはそういうことではなくて、要するに、それは書いてありませんから、半分程度と書いてありますから、三〇%とあれほど言っても、後の言い方があれぐらい変わるんですから、どうでも言い抜けができるんだろうと思うんですけれども、しかし、一応プログラムとして四・二%という目標、四・二とは書いてありませんが、四%程度というのを出された。それは大変な一つの価値基準というふうに考えておられるのかどうか。もしそうだとしたら、大変あやふやなものですねということを実は私は申し上げたいんですよ。
 先ほど、S&Pの話を出されました。このS&Pの、これは格付会社ですよね。それで、一方、塩川大臣は、こういうところが出す国債の評価についてとんでもないと言ってけちを付けておられるわけですから、何か政府の大方針の根拠が、S&Pがかつてどこかで言ったことがあるという程度の話なのかなというのが私の感想なんですが、大臣の感想はいかがですか。
#196
○国務大臣(竹中平蔵君) どういう状況、その不良債権比率だけでこの問題の終結が図れるかどうかということに関しては、これは午前中も申し上げさせていただきましたが、そんな単純なものではないというふうに私自身も認識をしております。
 やはり、まずマーケットがきちっと、いや、マーケットというより国民がきちっと日本の金融は良くなっているなと、しっかりしているなと思える状況こそが正に終結の状況であります。その意味では、不良債権比率というのはあくまでも一つのめどにすぎません。しかしながら、やはり非常に分かりやすい基準で目標を立ててこれを誘導していくということが、私はやはり政策を進めていく上では重要な方法ではないかと思います。
 その際に、私たちが一つ考えましたのは、不良債権比率の分母がいわゆる貸出債権であるということです。比率を高めようと思ったら、つまり分母を小さくすればいいということ、分母を大きくすればいいということでありますから、普通、いろんな何とか比率というふうなポイントを掲げた場合、分母を大きくするために、ないしは分子を小さくするために非常に無理な行動が起こる。今回、こういうような目標を立てることによって、いわゆる信用圧縮が起こらないような形の目標を立てるのが一つの方法であろうと。そういったことも踏まえて、もちろんそれだけではございませんが、この不良債権比率というのを一つの目標に掲げた次第でございます。
 ちなみに、こうした不良債権比率を我々自身が把握するようになってから、こういう四%の目標というのは、これはやっぱりかなり、これまでが、今、八%でありますが、かつても六%とかそういう水準でありますので、やはり目標として達成すべき、四%になるとこれはかなり金融市場のイメージが違ってくるのではないかというような実態判断もございました。決して、S&Pの数字をそのまま持ってきたということでは、したがってございません。
#197
○浜田卓二郎君 それはそうだと思いますね。
 それで、私、事務当局に質問いたしましたら、S&Pの数字ではなくてアメリカの不良債権比率というのを教えてくれまして、それは正常時では、まあ現在は一・五%程度、悪かったころで五%台というお話であります。先ほど、櫻井委員の質問の中でも、自己資本の計算方法が本当に同じなのかということが一つありましたけれども、私、特にこの日本の国内でさえ、あの大騒ぎのときの不良債権比率が現在と比較してどうだという比較すら正確にはできない状況であるわけですから、アメリカの不良債権比率が一・五%ですとそれに比べて八%は高いですなという話が本当にできるのか。
 それじゃ、これは直接金融が中心の国で、先ほども出ていましたけれども、プロジェクトファイナンスが中心の国で、日本のように企業を丸ごと銀行にお預けするというような間接金融の国とは違うわけですね。それでは、その間接金融中心と、日本と同じような体制にあるドイツとかあるいはフランスはどうなんでしょうか。そういうヨーロッパの国々の不良債権比率というのはどうなんでしょう。教えていただきたいと思います。
#198
○国務大臣(竹中平蔵君) 大変申し訳ありません、ちょっと手元に今数字がございません。後日、御説明の機会をいただければと思います。
#199
○浜田卓二郎君 それは大臣、手元にないんじゃないんですよ。事務当局も数字を持っていないんですよ。つまり私が言いたいのは、不良債権比率なんというのは金科玉条にお考えになるような代物ではないということを申し上げたいんですよ。
 ですから、例えば、好況時と不況時では多分、正確に比較できるとすれば、不良債権比率は変わるはずですね。つまり、この前の質問でも申し上げましたけれども、日本というのは、良くても悪くても間接金融で来ている国でありまして、つまり企業が預金者のリスクをテークする、それから企業経営のリスクもテークする、だから、銀行の果たす役割というのは日本の企業社会ではとてつもなく大きいわけですね。ですから、これをつぶさないようにしようという護送船団行政があったわけですよ。護送船団行政というのは、最後は宴会騒ぎで終わりましたけれども、何というんですか、悪の代名詞みたいになっていますけれども、それは、企業が間接金融でやっていくという、この社会の一つの安全弁ではある。
 今、セーフティーネットという盛んに言葉が使われますけれども、私は一番のセーフネットは不良債権であると。だから多くていいと言っているわけじゃなくて、そういう性格というのはやっぱり正確に認識をしていかないと、この間接金融の国で、今、竹中さんを中心に何をしようとしているのかというのが見えなくなりますよということを申し上げたいわけなんですが、いかがですか。
#200
○国務大臣(竹中平蔵君) 日本の金融が担ってきた位置付け、銀行分野が担ってきた位置付け、ないしはそれを戦略的に今後どのようにやっていくのかと、そういう視点を踏まえて議論をしていかないと、矮小な議論だけでやると、方向が非常に見失うぞという御指摘に関しては、これはもう全くそのとおりだと思います。我々もそうならないように努力はしているつもりでございます。
 護送船団に関して言うならば、しかし恐らく銀行は、どの国においてもリスクを担っている、正にリスクの最後の引受け手がこの銀行なのだと私は思います。それを、日本の場合、なぜ護送船団が可能であったかというと、護送船団というのはある意味で一番足の遅いところといいますか、一番効率の悪いところに焦点を当ててもやっていけるということですから、これはやはりその土地という、無限にリスクを吸収してくれる安全弁があったからそういうところに照準を合わせて丸抱えでやることができたと、私はそのように理解をしております。その状況が変わっているということなんだと思います。
#201
○浜田卓二郎君 それは私も別に異論はありません。護送船団は解体されるべくして解体されたというふうに思っております。
 ですから、私が申し上げたいことは、ただ、このリスクテークという重要な機能、先ほどほかのことに関して大臣の御答弁の中にもリスクテークというのが大事だという話が出てきました。やはりこの社会の中で、個人や個々の企業が全部リスクを取るということであっては極めて不安定な社会です。福祉国家そのものがいわゆるリスクテークの仕組みをビルトインしていく国家だと私は思っているわけですが、それでは、護送船団は確かに間違いでした、だから直していかなきゃいけない、じゃ、そのときに、銀行が担ってきたこれだけ大きなこのリスクテークをどういう形でどういうシステムでほかに転嫁していくのか。
 だから、議論としては直接金融という議論が出てきますけれども、確かにこのエンロンなんかの事件を見ると、直接金融が行き着くときにはああいうところになるのかなという感じを受けます。でも、あれは確かに銀行以外にリスクをテークしてくれるところがきちんとあるシステムにはなっているはずですね。だから、そこのところの問題というのを私はきちんと認識していこうよということを申し上げておるわけですが。
 議論をちょっと元に戻しまして、それでは、まあしかし不良債権は減らしていかなきゃいけないでしょう。今の八%がいいと私は思っておりません。しかし、四・二%が金科玉条ではないということは、ひとつ是非金融当局は正確に認識しておく必要があると思うんですよ。しかし、これを実施する手段として三つ書いていらっしゃいますね。
 その一つが、これが最大の手段ですよね。これが金融検査の強化でしょう。要するに、洗い出すと。だから、一巡目で行ったら四割近く増えちゃって、二巡目に金融検査が行ったら更に一五%も不良債権が増える。これは一体何だと。昔は税務署が怖かったけれども、今は金融検査官の方が怖いそうですから、つまりそういう実態になるんですね。つまり、今から二年間で半分にしますなんという目標がどうして出てくるのか。半分にするために、じゃ、ぎりぎり金融検査をやって洗い出して、そして無理やり引き当てを積ませて、足らぬやつは公的資金だという筋書が、これ見えているじゃないですか。
 だから、今、大臣がおっしゃったのは、貸しはがしや貸し渋りにならないようにということをおっしゃったけれども、正にそういう目標を設定して、そういう手法でその目標に向かおうと。役人さんというのはまじめですから、本気でこれやられたら、私は現場は大変なことになる、そういうふうに思うんですけれども。そこのところを申し上げたいんですが、大臣、どのようにお考えですか。
#202
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のリスクに関しましては、まずリスクを、そのものを減らすような仕組みを社会全体で作っていくこと、ないしはリスクを分散できるような別の社会の仕掛けを考えていくこと、最終的にはリスクがテークできるような自己資本を中心とした体力を付けていくこと、それを総合的に考えなければいけないという御指摘だと思います。私もそのとおりだと思っております。
 御指摘の点は、この八%を四%に低下する中で、一体銀行経営はどのようになっていくのか、運営されていくのかという極めて本質的な基本の問題であるというふうに思います。これは、一番最大のまだ不確実要因というのは、新たなる不良債権が今後どれだけ出てくるのかという問題なんだと思います。それによって基本的にストーリーは変わってくるという性格のものであろうかと思います。今この時点で、その意味では余り単純化されたシナリオを申し上げるのは少し誤解を招く可能性もありますが、私は、今の五割八割ルールを適用していく、これは、今ある不良債権について適用していく、今後出てくるであろうものについても適用していく、そうすることによって、非常にラフな見通しでございますが、その四%の基準というのは達成可能であるというふうに見ております。
 したがって、もちろん、繰り返します、これは次の決算でどのような形で不良債権が出てくるかということをしっかりと見極めたいと思いますが、今の路線でそのような形が可能であるという基本的な、非常に大ざっぱではありますが、ビジョンを持っております。その上で、その際の、正にその場合に自己資本がそれに堪え得るようなものになっているのかと。この問題があるからこそ実はガバナンスをしっかりしていただいて収益力を高めていただきたい。
 もう一つ、自己資本に影響を与えるのは、これは株価でございますから、こうした問題については、マクロ的な政策を総動員することによって、マクロの環境が大きく底割れすることがないように運営をしていきたい。そういうことを組み合わせながら、不確実性、不確定要因がございますけれども、しっかりと見極めてやっていきたいというふうに思っているわけであります。
#203
○浜田卓二郎君 株についておっしゃいましたが、私もそうだと思うんですよ。格付機関の、それこそ銀行の格付というのを昨日いただきましたけれども、ひどいものですね。しかし、これ、国がシングルAのときですから、その国の銀行の評価ですから、これでもまだ高過ぎるんじゃないかなんというふうに思っちゃうところはありますが、株の問題ですよね。だから、不良債権の問題にしわ寄せをし過ぎて判断すると、私は間違うことがあると思うんですね。格付機関が全部不良債権比率で格付をしているとは思いませんよ。これだけ奈落の底のような感じにある株を、株価であるそういう株を二十五兆円も持っているというのが、これも一つ大きな判断要素になっているはずですから、すべて不良債権の問題だというふうにお考えになると、これは、私は、余り定量的に申し上げる根拠を持っておりませんけれども、直観的に言えば、間違う可能性が高いというふうに思いますね。
 それと、繰り返しになりますけれども、たかだかこの目標に掲げられた不良債権比率というのはその程度の中身しかないものである、客観性のないものである、しかし多いより少ない方がいい、だから極力少なくしましょうと。だけど、これを二年で半分にするために、これが至上命題だといって金融検査官のしりをたたかれるような手法は、私は是非御注意いただきたい。その間に、先ほどおっしゃったけれども、新規の不良債権どんどん発生する。それも無理やり半分にしなきゃ目標達成じゃないよという話になったら、これ、かなりつらい話になりますし、そんなことではこの改革が進む前に日本の企業社会そのものがもっとひどい状況に陥ってしまう。そう思うものですから、しつこくて恐縮ですけれども、重ねて申し上げた次第です。
 次は、産業再生機構というものをお作りになっていらっしゃるようですが、何を目的にお作りになるのか、もう一度聞かせていただきたいと思います。
#204
○政府参考人(小手川大助君) 先般の十月の三十日の対策におきましてこの産業再生機構というものが出てきたわけでございますが、これは基本的に、不良債権の処理、それから産業の再生というものを、同時にこれを加速していくという観点から、これを作ってはどうかというふうになっております。
#205
○浜田卓二郎君 小手川さんに申し訳ないけれども、産業再生というのは大変なことですよ。産業再生なんだからね。それを不良債権処理でやれるんですか。
#206
○政府参考人(小手川大助君) 実は、この対策の中は、大きく分けますと三つの部分になってございます。それで、一つは、内閣の方に本部を作りまして、ここでいわゆる産業再生等にかかわる基本指針というものを作っていくというのが第一にございます。それから第二がこの産業再生機構の設立でございまして、三番目に産業再生法の見直しの問題がございます。その三つを全部合わせて今のその対策に入っているという姿になってございます。
#207
○浜田卓二郎君 私は、また不良債権処理の関連の機構だと思っていたものですから、これを何で竹中大臣は谷垣大臣に丸投げをするんだろうというふうに思うんですけれども、竹中大臣、これ不良債権処理のための機構じゃないんですか。
#208
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権の処理、銀行から見ると不良債権、企業から見ると過剰債務を抱えた企業の問題、これ何度かお話をさせていただきましたが、これが表裏一体となって解決されなければいけない、正に日本社会全体のバランスシート調整をいかに進めるかということなのだと思っております。
 これは銀行については、いわゆる監督、検査・監督の当局がありまして、我々が正に幾つかの基準を作って銀行にしっかりとやっていただくということでありますが、銀行は銀行として企業をモニターする立場にありますので、大変この企業の再生等々について重要な役割を果たさなければならない。
 しかしながら、現実問題として、このバランスシートを社会全体で一体化して成していくときに、この再生の機能というのは、残念だけれども、我々の社会全体に十分にノウハウがないということもあってか、必ずしも進んでいないということなのだというふうに思っております。
 金融庁としてももちろん努力はしてきたわけで、RCCに企業再生の機能を作っていただいた。RCCの企業再生部門は企業再生部門で今非常に頑張って、先般は再生学校というようなものも作って、再生のノウハウを勉強しながら伝えていくというようなシステムをやっている。
 しかし、今回、不良債権の処理を加速するに当たって、やはり社会全体でこういう機能をもう一度加速、強化する必要があるという考えの中でこの産業再生機構の構想が出てきたものであるというふうに認識をしております。これにはもちろん企業再生のノウハウというのは大変重要でありますが、これは産業全体の過剰供給構造をどうするかという問題もやはり絡んでまいりますので、これは、その担当大臣が副本部長に、本部の本部長になるというような形も踏まえて、これは是非ともしっかりとやっていかなければいけない問題であるというふうに思っております。
#209
○浜田卓二郎君 ますます分からなくなっちゃうんですけれども、竹中さんも分かっていないんじゃないんですかね。
 あなたは金融再生プログラムの中にこれをお出しになったでしょう。そのプログラムの中にこれが出てきますね、この機構は。だから、これは私は企業再生機構だと思っていたんですよ。つまり、不良債権の中で金融機関が再生できる貸付先かそうじゃないか判断して、その先がちょっと分からなくなるんですけれども、何か第三者機関があって、そこにゆだねたら再生しそうなやつが再生するぞというのなら金融機関はそこに預けるかもしれませんね。そういうことによって不良債権がはけていく、はけていくというと言い方は悪いですけれども、バランスシート上から整理されていくと。そういうことをお考えになったのかなと思っていたんだけれども、谷垣大臣が出てこられて、今の小手川さんの御答弁のように産業再生まで行っちゃうと、これ全然違うんですね。
 もう一度、何をお考えになっているのか、聞かせてください。
#210
○国務大臣(竹中平蔵君) 企業再生機構ではなくて産業再生機構とあえてしたのは、やはり非常に積極的な意味があるというふうに私は認識をしております。
 今回の改革加速のための総合対応策で、まず金融産業の再生ということで我々のプログラムを書いていただいておりますが、その中にも、むしろこれは金融の改革と産業の活性化の接点としてこれは再生総合対応策の中に非常に大きくこれが位置付けられているわけでございます。これは金融を中心として、金融機関のモニタリングを通した企業再生、これはあくまでも大変重要な機能でありますが、それだけではやはり片付かない問題がこの社会にはあるという認識を持っているという趣旨でございます。
 それは、いわゆる囚人のジレンマというか、過剰供給の場合には、早くそこから退出したところが実は損になるといいますか、残って居残り続けた人が、残存者の利益というようなものがあり得ると、そういう構図は実は現実にはあるわけでございます。これがどうして日本でこれだけ大きいのか、諸外国に比べて日本で大きいのかというのは、これはちょっとなかなか難しい問題であろうとは思いますが、であるからこそ、産業全体としての視点からの取組が必要であるというふうに考えているわけであります。
 そのような意味では、実はこれまでも金融庁と経済産業省と、それで国土交通省等々で三者協議とか前大臣のときからいろいろやってはきたわけですが、必ずしも十分な成果を上げることができていない、その機能をやはりこの機構の中でしっかりと強化をする必要があるのではないかというふうに位置付けているわけであります。
#211
○浜田卓二郎君 これから中身を固めていかれるんでしょうから余りしつこく申し上げませんが、企業再生であれば、私はやっぱりもち屋はもち屋で、メーンバンクがあって、そしてそこが一番企業の再建計画なんかにも手掛けて関心を持ってやってきているわけですから、メーンバンクをきちんと巻き込んだ形で、せいぜいほかの銀行の、何といいますか、交通整理をやるとか、そういう話で企業再建を、企業再生をやりやすくしてあげるということかなというふうにも想像していますが、それだったら、何も新しい機構を作らなくて、去年法律を作ったRCCの企業再生機能で十分じゃないかなと。またそこに戻っちゃうわけですが。
 しかし、今、野心的に前向きにお考えになって、本当に産業再編成、産業再生をやろうとおっしゃるのなら、これは大事ですよ。今、日本で一番欠けているのは、そういう新規の企業が育って産業構造が本当に再編成されていくということが足らないんですから。ですから、そういう機能を本格的に産業再生機構に持たせようということであれば、ひとつこれは、そう簡単にやれる話ではありませんけれども、今の日本にとっては大事な役割になりますから、ひとつ小手川さんにお願いして谷垣さんに張り切ってもらって、そういう産業再生という名前に恥ずかしくないものに中身をしっかり検討していっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
#212
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。私も今日、企業再生の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず竹中大臣に二、三お伺いしたいんですけれども、この間、企業再生という言葉が、今日も今ございましたけれども、飛び交っているわけですけれども、まずこのことが、竹中大臣としてはどういうことをイメージされているのか、なぜこれが必要なのかというところをまずお聞かせいただきたいと思います。
#213
○国務大臣(竹中平蔵君) そもそも企業というのは何なのかということに直結する問題だと思います。
 企業というのは、そこにまず元手としてのお金があります。それを担う人がいます。人はいろんな技術を持っております。その経営全体のある固まりが、これは内部の規律、就業規則まで含めて一つの組織としての一つの経営資源を構成しているということなんだと思います。これが今傷んでいると。不良債権になってしまった、作ってしまった。しかし、これをこのままばらばらで解体すれば、これはもう元も子もなくなってしまう。しかし、ここに経営資源があるんだから、この経営資源を少しノウハウを入れることによって、ないしはお金を少し入れてやるということもあるだろうし、人を強化してやるということもあるだろうし、ノウハウをインプットしてやるということもあるだろうし、この固まりである経営資源をより強くすると、これがやはり企業再生の基本的な考え方なんだと思います。
 そのときに、お金、人、ノウハウ、そういうものを一体どこが担ってやってくれるのかと。今回議論している再生機構というのは、そういうものを担える一つのものにやはりなってほしいというふうに考えているわけであります。
#214
○大門実紀史君 一つ確認しておきたいんですけれども、そういうふうに言われる場合の企業というのはどれぐらいの規模が想定されるのか。私、RCC問題、以前にも取り上げましたけれども、実際には中小企業といっても中堅クラスといいますかね、なかなか小企業とかそういうところはその対象にならないんですが、今おっしゃったようなところでいくとやっぱり中堅企業以上のようなところなんでしょうか。
#215
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと小企業という場合どういうイメージなのかという問題かもしれませんが、私の認識しております限り、RCCというのは小企業も含めて再生の対象になっているというふうに認識をしておりますので、中堅企業以上とかそういうことでは必ずしもない、小さい企業体であっても非常に企業体として強い資源、ノウハウを持っているところもあるわけでありますから、そこはもうケース・バイ・ケースであろうかと思います。
#216
○大門実紀史君 RCC問題はまた別にやりたいと思うんですが、私の部屋に今いろんな相談が来ているんですけれども、なぜこの会社を清算しなきゃいけないのかと思うようなところまで。やっぱり規模が小さいんですよね。資本金で言えば二億、三億ぐらいだとなかなか、再建するというよりも回収に入っているというケースが多いので、実態の話はまたお伺いしたいと思います。
 話を戻しますけれども、この企業再生というのは、何といいますか、前向きな前進的なようにとらえられる部分もあって、確かにそういう部分もないことはないと思うんですが、実際、私、今、スーパーの流通大手の破綻したところの問題に取り組んでおりまして、この委員会でもやりましたが、長崎屋が、私もここでストレートに指摘しましたけれども、第一勧銀がかなり追い込んで破綻させた、その事実もここで申し上げましたが。
 その後、要するに流通大手なんかでも救うのは、再建しようというのは本体だけで、関連業者、その前にもちろん従業員のリストラ、解雇をやられますし、取引した関連中小業者、あるいはそこに入ったテナント中小業者、こういう人たちが守られないで、本体だけの再建が、あれは今、会社更生法ですけれども、やられているとか、今やっておりますのはマイカル問題なんですけれども、同じように、マイカルだけは本体をイオンが支援して、スリムにして何とか再建と。ところが、その関連中小企業が切り捨てられていっていると。
 例えば、債務の圧縮というと何かいい言葉のようですけれども、そういう取引している中小企業にとっては一般更生債権ということでほとんど戻ってこないというようなことなんですよね。ですから、それほど企業再生といっても、私は、もっとどろどろとした、現実的にはどろどろした話で、そういう部分で置き去りになっている問題があるということを是非御指摘を今日はしておきたいと思います。
 その上でですけれども、金融再生プログラムの、あるいは改革加速のための総合対応策の中に企業再生ファンドというものが書かれております。これもどういうものをイメージされているのか、大臣のお考えを聞きたいと思います。
#217
○国務大臣(竹中平蔵君) 企業再生ファンドのイメージということでありますけれども、先ほど言いましたように、お金、人、ノウハウ、いろんな経営資源の固まりをいろんな形で提供することによって企業をよみがえらせてくれる。これはもういろんなところが考えられるのだと思います。そういうお金とまず人とノウハウが要るというものが前提でございますけれども、金融庁としては、金融庁が直接今掛かっているのはRCCということでありますけれども、RCCにおける積極的な企業再生への取組を促す、企業の早期再生のための環境整備として様々な制度の手当てをする、そういうことを今関係省庁に要請しているところでありまして、非常に多くの参加者がここでいろいろなノウハウを提供してくれる、人、お金、ノウハウを提供しているということを期待しているわけであります。
#218
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 この企業再生ファンドについて今日この後ずっとお聞きしたいわけですけれども、とにかく大臣のお考えとしては、特に再生ファンドとなると更に、お金集めて再建するとなると更に余り小企業は相手にされないのではないかというふうに私は思いますが、いずれにせよ、中堅クラス以上の企業としても、何といいますか、再生を重視していく、やっぱり再建を重視していくと。まかり間違っても企業買収で短期に売り抜けて利益を上げるというような、こんなことはもちろん想定されていないというふうに思いますが、その辺、確認の意味で、本当に再建していくファンドだということをお聞きしたいと思います。
#219
○国務大臣(竹中平蔵君) 何かよくこういう話をすると、必ず安く買って高く売るという言い方で売り抜けとか、場合によってはハゲタカとかいろんな言い方されるわけでありますけれども、重要なのはやっぱり再建をしないとその価値は高まらないわけです。高く売るというふうに言いますけれども、高く売るというのは、これは正に見事に再建されている場合に高い価値が付くということでありますから、我々としては再建するというプロセスに非常に大きなウエートを置いているということであります。
#220
○大門実紀史君 ありがとうございました。
 今の大臣のお考えを踏まえて、今日は忙しいところ日本政策投資銀行の小村総裁に来ていただきました。ありがとうございます。
 総裁に伺っていきたいと思いますが、去年の十月に改革先行プログラムが出まして、政策投資銀行等々が企業再建のためのファンドを設立してこれに参加するよう要請するというふうな方向が出ました。
 政策投資銀行からそこに出資をしていく、その必要な財源手当てを講ずるということで去年の補正で五百億付いて、政策投資銀行の内部資金として五百億、合わせて、産業投資資金特別会計ですか、そこに一千億円の枠を作ってファンドに出資をされてこられたということだと思います。つまり、国策としてファンドに出資していくというのが去年から始まっているわけだと思うんですけれども、付け加えて言うなら、今回の改革加速のための総合対応策の中にも政策投資銀行がやってこられました再生ファンドへの出資制度の拡充というのがありますし、まだ検討されている段階のようですけれども、更に国から五百億、それとまた内部資金で五百億、計一千億の枠の拡大を検討されているということもお聞きいたしました。更に国策としてファンドに出資していくということを拡充していこうという方向だと思います。
 ただ、私、先ほどもちょっと質問で心配をしていたわけですけれども、これはもう正に国民の税金あるいは財投ですから国民のお金を出資する話ですので、ファンドといってもいろんなファンドが私はあると思うんです。その中で、ですから、どこにでも出資するというわけにはもちろんいかないと思うんですが、そういう点で幾つかお聞きしていきたいと思いますが、まず最初に、日本政策投資銀行がファンドに出資を決められるときの最終決定権者、どなたが最終判断をするのかお聞かせいただきたいと思います。
#221
○参考人(小村武君) 御指摘のとおり、昨年、金融再建プログラムによりまして、産投特会から五百億、私どもの資金から五百億を出しまして一千億円の資金を手当てをいたしました。この運用に当たっては最終的には私が責任を持って出資行為を行う、そういう仕組みでございます。
#222
○大門実紀史君 その場合、どういう基準でどういう判断で出資を決定されるのか。これは資料をお配りいたしましたけれども、資料の一に、政策投資銀行の文書ですが、出資に関する基本的な考え方、多分これだと思うんですけれども、基本的な考えは。長い文章ですが、要するにどういうことなのか、簡潔に判断の基準を教えてください。
#223
○参考人(小村武君) お手元に資料が配られておりますが、ちょっと小さい文字で恐縮でございます。
 私どもの「「企業再建ファンド」への出資に関する基本的な考え方」、これは昨年の十二月に発表いたしております。簡単に申し上げますと、このファンドの目的は金融再生と事業再生の一体的な実現をすることということであります。
 再建対象企業につきましては、過剰債務問題が円滑な事業遂行の障害となっており、経済合理性の高い再建計画に基づいて債務圧縮と事業再構築により再建を図るということでありまして、この際、私どもは適正な事業計画に基づいて行っていただく、そういう意味におきまして、いわゆる反社会的企業とか風俗企業等々は除外をいたしております。
 それから、再建の手法でございますが、これは再建対象企業の経営に適切な関与を通じまして企業価値の向上を図るということでざいますが、あらゆる専門家の手法を通じまして企業価値を高めていく。
 その際、先ほど先生の御指摘がありましたハゲタカファンドのようなもの、これは、ここに書いております「株式取得後、即座に企業を解体・処分する等、目的が再建とは考えられないファンド」、こういうものは除外をするということであります。
 それから、ファンドの中立性、これは、例えばある金融機関がファンドを設けて、そこに債権を移転するとか、いわゆる飛ばし的な行為をするようなファンドは対象にはならないということであります。
 五と六は、もう当然のことでございますが、情報の開示をきちっとし、それからファンドの運営能力がきちっとあるところ、こういったところを我々は対象にするということでございます。
#224
○大門実紀史君 簡潔にありがとうございます。
 そうしましたら、資料の二枚目も、私の方から説明しようと思ったのですが、簡潔に説明していただけるようですので、総裁から、二枚目の資料というのは今まで出資したところの実績ですけれども、九つですかね、上の二つが何か同じものみたいですが、どういうファンドなのか、これも簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
#225
○参考人(小村武君) 私どもの出資をするファンドには二種類ございます。まだどういう企業に対して投資をするか分からない、複数の企業に対して投資をする、これをマザーファンドと呼んでおりますが、そうしたファンドと、それから特定の企業に対して再建をしていこうと、こういう目的のために組成をされるファンドと、この二種類がございます。
 私ども出資をいたしました一覧表を簡単に申し上げますと、日本みらいキャピタル、これは下のものと同じでございますが、これは、日本で初めて企業再建ファンドを作ろうということで、日本興業銀行に勤めていた方が設立をしたものでありまして、今、この中身について、どういうところに投資をするか、鋭意詰めている段階であります。
 その次のジャパンリカバリーファンド、これは、東京三菱銀行と私どもで設立をしたものでございます。この中には、有名な和服のいちだとか、そういったところに対する企業再建ファンドからの出資をいたしております。
 それから、次のダックビブレでございますが、これは、マイカルの倒産によりまして、東北地方で元々ありました百貨店、マイカルの傘下にありました百貨店が今度独立をして再建を図ろうというものでありまして、これはいわゆる個別ファンドであります。私どもと地元の財界の方々、あるいはみちのく銀行等に参加をしていただきまして、直接、直接といいますか、個別のファンドとして形成したものでございます。
 それから、エーシークリードファンドT号でございますが、クリードというのは不動産のベンチャーでありますが、このクリードを中心にして形成されたファンドでございます。これは、主として中堅・中小企業を対象にした企業再生ファンドであります。
 それから、ルネッサンスファンド、これはBNPパリバの系統でございますが、これも、中堅・中小企業に特化をしたファンドでございます。
 それから、MKS壱号投資事業有限責任組合ということでございますが、これは、日本人でございますが、シュローダーに勤めておって、ベンチャーをやっていた方が設立をされたファンドでございます。
 それから、その次がカーライルでございますが、これは、外資系のカーライルが設立をしたファンドでございます。
 最後に、ダイエー企業再建ファンド、これも個別の企業に対する再生ファンドであります。
 以上でございます。
#226
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 済みません、それぞれに対する出資額を教えていただけますか。
#227
○参考人(小村武君) 私ども、各ファンドとの間に守秘義務協定を結んでおりますので、個別に幾らということは、ここでは差し控えたいと思いますが、ダイエー企業再建ファンドにつきましては、先般、私ども及びダイエーファンド関係者との間で話合いが付き、これは百億円ということで公表をいたしております。
 あと、大まかに申し上げまして、四十億から五十億というのが私どもの出資額でございます。
#228
○大門実紀史君 一つ確認ですが、その守秘義務、これは一応国民のお金ですね。それを出資する場合に守秘義務というのはどういう意味でしょうか。
#229
○参考人(小村武君) もちろん、産投特会のお金が半分入り、それから私ども事業活動を通じまして上げました収益からも半分お金を出しております。
 決して粗末に扱うという意味ではございませんが、これらの各ファンドがこれから事業展開をしていく際においていろんな作戦があるとか、いろんな企業の活動において、彼らの、我々との個別の契約に基づきまして、各々細部については守秘義務を設定したわけでございます。
#230
○大門実紀史君 その問題はまた改めてやりたいと思いますが、この各ファンド、二の出資ですけれども、これは厳格に先ほどの基本的な考え方に基づいてされたということですか。
#231
○参考人(小村武君) 御指摘のとおりであります。
#232
○大門実紀史君 もう一つ伺います。
 先ほど一個一個説明があったんですが、要するにこの中で、こういうことでよろしいですか。何らかの外資の資金が入っているところは、エーシークリードも入っているということですか、先ほどの説明ですと。
 要するに、それじゃ伺いますが、外資の資金が入っているファンドはどれになるんでしょうか。
#233
○参考人(小村武君) 先ほどの中では、BNPパリバが運営いたしますルネッサンスファンド、それからMKSファンドTにつきましては、この夏までイギリスのシュローダー・グループに属しておりましたので、これは完全な、今は日本法人でありますが、外資系と言われれば、そういう関係が深いと思います。あとはカーライルでございます。
#234
○大門実紀史君 そうすると、この中で、はっきり外資系、全くありのまま外資系というのはカーライル・ジャパンということでよろしいですか。
#235
○参考人(小村武君) BNPパリバとカーライルであります。
#236
○大門実紀史君 パリバはただ出資、要するに、ルネッサンスファンドもパリバの日本でのファンド、まるっきりそういうことですか、そうすると。
 じゃ、ルネッサンスとカーライルという理解でよろしいですか。ちょっと確認を。
#237
○参考人(小村武君) 各々、ファンドの設立の根拠というのはそれぞれ違っております。
 カーライルは、アメリカにおいてカーライルの会社そのものは設立をされております。日本には、日本法人はございません。投資組合はまた別のところに置いております。
 それから、先ほどのBNPパリバは、日本において拠点を設置しているという意味では若干ニュアンスが違うかと思います。
#238
○大門実紀史君 私、このカーライル・ジャパンの問題、予算委員会で、非常に短くですけれども取り上げさせてもらいました。
 いろいろ調べてみたんですが、全く資料がないんですね。公表されているものがないんです、カーライル・ジャパンについて言えば。カーライル本社は、インターネットで本社のがありますけれども。
 これはあれですか、どう言うんですかね。これ、私的なファンドだから公開されない、中身が、というふうなことになっているのか。いわゆる届出も報告の義務も、日本でそういう国民の税金を預って仕事するのに、報告も届出の義務も、事業内容も一般に明かす必要がないということになっているんですかね。
 これは、アメリカでは普通のことかも分かりませんが、国民の税金とか財投資金が入っているという関係で、どうもそういうところが不透明な感じがするんですが、いかがですか。
#239
○参考人(小村武君) これは私がお答えするのが適当かどうか分かりませんが、現在、ファンドを経営することに限っては、日本で事業法とかその他の規制をする法律はございません。
#240
○大門実紀史君 そうすると、万が一これ、出資ですから、このファンドが、もう巨大なファンドだって破綻したことあるわけですから、破綻したりして出資が戻ってこない場合はだれが責任を取るんですか。
#241
○参考人(小村武君) 他のファンドも同じであります。すべて私どもの責任、いわゆる投資家、プロ対プロとの契約に基づいて成り立っているのがファンドであります。したがいまして、契約に従ってお互いその責務を果たしていくと、こういう関係であります。
#242
○大門実紀史君 あなたが責任を取ってお辞めになったりするのは構わないんですけれども、お金はどうなるんですか、国民のお金は。
#243
○参考人(小村武君) これは投資行為ですから、常に危険性は伴うことは当然であります。ただ、私どもが、政府がお決めになり、日本の企業再生のためにこのファンドを通じた再生をしていこうということが政府全体の方針として決められ、それに基づいて、政府の持ち分については産投特会から出資を我々は受け、我々も自らの収益から五百億を出したわけであります。これを通じて、我々はこのファンドを通じて、他の投資家と違い、企業再生をするという大きな目的があります。その実現のために我々は今回こうしたファンドを設立したわけです。
 日本ではまだこうした企業ファンドというものは育っておりません。一つは、ファンドマネジャーも余りおりません。それから、事業を再生する請負人といいますか、事業家が育っておりません。こういうマーケットが未整備な段階におきまして、比較的私どもの金融機関は日本でも、プロジェクトファイナンスやPFI、あるいは事業再生融資等を通じまして今最先端を走って、マーケットが形成されるようにということで、我々が政策金融機関としての使命を果たしていると。その中の一環の活動として誠意ある行動をしていると。
 その際、我々が、国家の目標に合うような企業再建、ハゲタカにならないように、これは放置しておきますと、企業再建ファンドにしてもDIP融資、事業再生融資にいたしましても、いわゆるハゲタカファンドが出てきて日本のマーケットを食い荒らしてしまうと、そういうような状況にあるものですから、例えば事業再生ファンドにつきましては、司法界、破産管財人とか監督人とかそういった方々からも、我々の公正中立な機関であるということで出てくるようにいろいろな誘いを受けて、私どもはそれに対して役目を果たしていると、こういうことでございます。
#244
○大門実紀史君 私は、このカーライルがハゲタカとは申し上げていませんし、実績いろいろ調べましたが、そのハゲタカというところでは、むしろ地味な方だというふうに思っています。
 そうではなくて、要するに地味なところであろうと何であろうと、そういうファンドが、私的なお金を集めてやっているファンドに対して、国が国民の税金を使って、あるいは国民の財投を使って出資すると。それが万が一、この御時世ですから破綻する場合はあり得るわけですね。そのときに、目的がいいから仕方がないというような言い方ですけれどもね、今のあなたがおっしゃったのは、企業再生のためにやっているんだと。私はそういうことを言っているんじゃないんです。どこでそれがファイナンスされるのか、守られるのか。もしもそれが戻ってこない場合、だれが責任を取ってどこが損失をかぶるのか。政策投資銀行がかぶるということですか。
#245
○参考人(小村武君) 私どもは、こうした専門家を抱えている日本では恐らく唯一の金融機関だと思います。私どもの職員が、例えばこのファンドに出資をするためには、三か月から六か月間相手方と交渉し、いろんな細かい条項等についても詰めを行い、あるいは必要があれば渉外関係の弁護士等々も中に入れてお互い真剣な論議をしております。
 決して粗末に我々は行動をしていないわけであります。しかし、与えられた責務はきちっと果たしていかなきゃいかぬ。出資ですから、毀損をすればそれは出資した者の責任において処理をされるべきものと思います。
#246
○大門実紀史君 ですから、何年調べようと、何年付き合いがあるところだって破綻する時代ですから、そういうことをお聞きしているわけじゃないんです。だれが責任を取るのかと。
 だから、今申し上げられたのでいくと、出資した者の責任というと、最終決定権者はあなたということだから、政策投資銀行だから、政策投資銀行が責任を取るということでよろしいわけですね。
 竹中大臣にお聞きしたいんですけれども、ちょっと私、アメリカはどうなっているかというのは詳しくありませんが、いずれにせよ、多分アメリカはこういうのを規制するもの何もないと思うんですけれども、日本でこうやって国策として税金を使って投資ファンドをやっていく場合、少なくとも何か届出とか情報公開とか、もちろん、出資者の名前全部明かせというのは、こういうファンド、そんなことをやったらお金集まらなくなったりしますから、それは限界はあるかも分かりませんが、こんなに何も分からないところに四十億も出資されていると、こんなままでいいのかどうかなんですよね。
 そういう点では、何らかの規制とは言いませんが、少なくとも何らかの、業法とも、ファンド業法というのは変ですけれども、何らかのこう、大体これ、監督官庁はどこになるんですか、投資ファンドというのは。御存じですか。
#247
○国務大臣(竹中平蔵君) 最後のファンドの所管官庁はどこかというのは、恐らくそれは私の少なくとも所管するところではございませんが、業種によっていろいろ所管が分かれているのだというふうに承知をしております。
 それで、前半、大門委員が御指摘の点でありますけれども、基本的に、先ほど総裁の方からもお話がありましたように、まず私たちはやはり今政策課題を持っているということだと思います。その政策課題に対して、これは正に内閣の方針に基づいて国の機関である政策投資銀行がしかるべき行為を行っているというふうにこれはもう認識せざるを得ないのだと思います。
 この政策投資銀行の所管大臣は私ではありませんので、詳細のことを申し上げる立場にはございませんが、今政策金融そのものに関しましては経済財政諮問会議でも議論を進めております。本来でしたら、政策投資銀行が行っていますそのDIPファイナンスにしましても、今回のようなファンドへの出資にしても、民間の金融機関が健全であれば、正しく今日一日じゅう議論をしてきましたように、リスクを取れるような体質にあるならば、これは民間でできるのかもしれません。しかし、もうだれの目から見ても明らかなように、現実はそうはなっていないということであります。
 その中で、私、先ほどから経営のノウハウ、それと金、人、ノウハウの塊、経営資源というふうに言っておりますが、これはやはり幸いにしてというか、国の機関である政策投資銀行でそういうものが活用できる状況にある。そうした中で政策金融は中長期的にどうあるべきかということは、これはしっかりと、民間にできることは民間にという中で考えていかなければいけないわけですが、当面の課題として、民間金融機関が疲弊している中でこの政策投資銀行等々にしかるべき役割を担っていただくというのは、これは大変重要なことであると思います。
 結局それは、責任をだれが負うのかということでありますが、正に政策投資銀行、融資、投資を行う以上はそこにリスクは掛かってくるわけで、その点、政策投資銀行はこれまでも非常に高い審査のノウハウ、審査の力を活用して、結果的に日本に大きく貢献したのだというふうに思っております。今、正にそうした力を改めて発揮していただきたいというふうに我々も思うところであります。
#248
○大門実紀史君 要するに、これからさらに、今度の補正で恐らく出てくるんでしょうけれども、一千億増額してこういうファンドへの投資を増やしていくという方向ですから、そういうリスクが付きまとうのは当然ですし、それについて何らかのものを考える必要があるということを今日は問題提起しておきたいと思います。
 カーライルの話に戻りますけれども、公開されておりませんので難しくはあったんですけれども、インターネットで本国の資料が取れましたし、やっと昨日、カーライル・ジャパンがこれ公開していない、公表してないんですね、お客さん向け、投資家向けの資料が手に入ったので、その点に質問を進めていきたいと思いますが、このカーライル・グループというのは、若干御紹介いたしますと、もうとにかく世界最大級の私設のファンドです。ワシントンに所在地がありますし、そもそも軍需産業に対する投資で伸びてきたということで、アメリカ最大級のファンドですね。日本への進出が二〇〇一年の八月ですから、日本のファンドとしては後発になると思います。ベンチャーのファンドの方で二件ぐらい仕事をやっていますが、いわゆるバイアウトといいますかね、企業買収の方では、ダイエーのエー・エス・エス、あそこ一件だけということで、余り日本ではまだ実績がないところですね。
 予算委員会で申し上げましたが、ただ、政治家とのつながりが極めて強いファンドです。元ブッシュ政権の国防長官ですかね、CIAの副長官か何かやられていたと思いますけれども、フランク・カールッチが会長ですし、今度、来年からIBMの会長が、ガースナーさんですかね、会長になられるそうですけれども。あと、ブッシュ政権のときの国務長官のジェームズ・ベーカーとかワインバーガー元国防長官、イギリスのメージャー元首相も顧問になっておられますし、どういうわけか、フィリピンのラモス元大統領も顧問になっていると。大変な世界的な人脈です。これは恐らくブッシュ政権のときの、お父さんの方ですね、お父さんのブッシュ政権のときの閣僚メンバーと、そのときの世界的な人脈で作られてきていると。
 これは業界筋の情報ですけれども、とにかく今ブッシュ政権、息子さんの方が、ジュニアがやっていますんで、情報がいろいろ入るということもあってこの間非常に勢いよくやっていて、過去十五年間の平均のリターン、配当が、三五%という驚くべき配当をしているのがこのカーライル・グループの本体の方です。
 カーライル・ジャパン、先ほど申し上げたとおり、何も公開されていないのをやっと手に入れましたけれども、カーライル・ジャパン・パートナーズの御案内と。これは投資家、公表しないやつですね。一部の投資家向けにカーライル・ジャパンというのはこういう会社ですよというのを手に入れたわけですが、全貌が全然分からなかったんですが、要するに、日本では二つのファンドを作ると。カーライル・ジャパン・パートナーズ、もう一つはカーライル・ジャパン・ベンチャー・パートナーズ。一つはバイアウト、企業買収の方のファンドと、新規企業の立ち上げといいますかね、ベンチャーの方のファンドと、この二つを立ち上げて、バイアウトの方のファンドは五百億円規模でお金を集めて、ベンチャーの方は二百七十億ぐらいですかね、集めると、そういう募集をいたしますということです。
 簡単に何をどういう募集をしているかといいますと、日本で集めるファンドについて言えば、年率三〇%の配当をいたしますと、年三〇%の配当をいたしますと。コミットメント期間、つまりお金を預けてもらうのは五年間。年率三〇%ですから大変な額ですが、そういうファンドですので、一口五億円以上の出資を募っているというふうなファンドです。
 このカーライルそのものは、ハゲタカとは先ほども言いませんでした。企業買収が、バイアウトが中心のファンドです。私は、先ほど御紹介いただきましたほかのファンドに比べて、どうしてわざわざ、ほかのファンドではもうはっきり企業再生ということを目的にしている外資系のファンドもあるわけですよね、なぜこのカーライルに、バイアウト中心のカーライルに出資をされたのかと、どうも疑問が残るわけですが、どうしてここに出資されたんですか。
#249
○参考人(小村武君) 私ども出資をする際には、私どもの方針に乗っかった形で出資をする。相手方がそれをのまなければ出資をいたしません。
 カーライルにつきましては、御指摘のように、企業再生という大きな枠だけでなしに、もう少し範囲が広いと思います。ただ、その広まった部分については私どもは出資をしないと。企業再生に特化した形で契約を結び、しかも、先ほど申し上げた、風俗だとか反社会的な企業等については出資対象にしないとか、いろんな条件を付けまして話合いが成り立ったわけであります。
#250
○大門実紀史君 ここは三〇%のリターンをやると言っているんですよ、三〇%。先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、そういう大体配当することを目的に、日本で今言われている企業再生というのは、やろうなんという話じゃないんですよね。ハイリターンなんということを考えて企業再生なんかやろうと、そういう政策じゃないわけですよね。
 なぜ政策投資銀行がこんなハイリターンのところに投資しなきゃいけないのか。わざわざそんな、いろいろ言われましたけれども、そういうことを言われるんだったら、選ばなきゃいいと思うんですよ、このバイアウト中心のファンドを。ほかのところを考えればいいと思うんですが、なぜ選ばれたんですか。
#251
○参考人(小村武君) カーライルを選んだのは、あくまでも企業再生能力があるというところから私どもは契約をしたわけであります。
 三〇%のハイリターンがあると。これは、投資家を集める際に各ファンドが大体この程度のということで掲げますけれども、それは確定した利回りでも何でもありません、それは目標値であります。私どもは、更に企業再生に特化したものですから、恐らく三〇%というような収益を上げるという分野ではないと思います。これは五年後にきちっとした精算をして答えが出てくるということでありまして、先ほど来申し上げておりますように、私どもがハイリターンを求めるために外資と組んでファンドに出資したものではございません。
 たまたま、今の日本の金融情勢を見ますと、ファンドだとか事業再生融資とか、こうしたマーケットが非常に小さい、専門家がいない。これを育てるためには、こうしたノウハウも活用しながらより多くの、また日本のそういう事業家あるいはファンドマネジャーを養成をしていくと。経済産業省もまたそういう考え方だというふうに聞いております。
#252
○大門実紀史君 仕組みを御説明しないと聞いている方も分からないと思うんですが、つまり、この五百億円のファンドというのは、五百億の中に二つの枠があるということですね、簡単に言えば。二つの枠があって、一つは企業再生をやる部分と、もう一つは自由にバイアウトをカーライルがやるという、こう二つありまして、企業再生の部分については政策投資銀行の四十億円が使われると。それに一緒に乗っかってくるお金というのはもちろん企業再生だけに使うと。ところが、この五百億のうち、それはどれぐらいやられるか分かりませんが、それ以外の部分は自由にバイアウトに使われると。カーライル、当然そうでなきゃ商売になりませんからね。三〇%もリターンできませんから。
 私が申し上げているのは、なぜそもそもバイアウト中心で、バイアウトやり遂げてきているところにわざわざ、何も企業再生、ここ専門じゃありませんよ。専門じゃありません、よく御存じだと思いますけれどもね。それは、バイアウトの中には再生もありますからね、短期的な。ただ、やっぱりハイリターンマネーというのは宿命をしょっているわけですよね、そういうマネーというのは。本当に企業を立て直してということと若干ミスマッチがあるんです、日本で考えているものとは。確かに、企業再生ということでいえば、再生したことがあるかも分かりませんが、今の国策といいますか、出されている企業再生とは若干種類が違うということを踏まえて考えると、要するにバイアウト中心なんですよ、このカーライル・ジャパンの五百億のファンドというのは。もう一つの二百七十億くらいのベンチャーのファンドは、これはもう自由にやるわけですね、自由にハイリターン、短期的に利益を得るわけですよ。ですから、わざわざ何でカーライル・ジャパン・パートナーズが政策投資銀行に出資を求めなきゃいけなかったのかさえ私は不思議なくらいなんです。
 ましてや、それは後で伺いますが、政策投資銀行が、この前伺いましたのは五十ぐらいですか、外資が十、民族系といいますか、国内のファンドが四十ぐらい出資してほしいと来ているのに、なぜこのバイアウト専門のところに出資されたのか。どうしてここのノウハウがそんなに必要だったのか。ほかにもノウハウを持っている方は一杯いるんですよね、企業再生だったら。なぜここを選んだのか、もうひとつ分からないんですが、もう一遍お答えいただけますか。
#253
○参考人(小村武君) 先ほど来御説明をいたしておりますように、私どもの出資に関する基本的な考え方に合わない部分、ミスマッチの部分は、私どもはそこの部分については対象にはしていないということであります。あくまでも企業再生であります。企業再生についてカーライルのファンドマネジャーが大変能力があるということを我々の交渉を通じて分かりました。
 それから、カーライルは五年間のファンドでありますから、すぐにバイアウトをしてしまうということではなしに、他の部分についても五年間のファンドであります。
 それからもう一つは、カーライルの出資者は、投資家は年金基金等長期的に資金を運用する人たちが多いと。そういう意味でも私どもはハゲタカではないと。しかも、私どもの間尺に合った部分にだけ協力をしていただくと。
 それから、今、五十ほどのファンドの申し入れがあります。これは例えば銀行をスピンアウトした人、あるいは証券界にいた人、不動産の人、商社にいた人、いろんな人が日本で新たに芽が出てきつつあります。そうした中で、私どもも今後能力のある方については出資をしていこうと思います。しかし、先ほど来先生がお話がありましたように、国から二分の一出資をいただいております。私どものなけなしのお金も出します。そうしたところで、きちっとした企業能力、営業能力のあるところにこれからも出資をしていきたいと、こう考えております。
#254
○大門実紀史君 分からないんですね、どうしてここなのかというのが。ほかにももっと能力のある人一杯いますし、あるんですけれども。
 年金の基金のことを言われましたけれども、アメリカの年金基金というのは例のヘッジファンドにさえお金出していたわけですから、リスクマネーに出資するところなんですよね。だから、年金基金扱っているから手堅いとは言えないし、私はここはハゲタカとは言っていないんです。ここハゲタカですぐ売り抜けるよと、日本の企業駄目にされるなんということは言っていないんです。そんなこと申し上げていません。むしろ地味だと、地味な方だと宣伝までしてあげているぐらいですから、そんなこと言っていないんです。
 私が申し上げたいのは、なぜわざわざ、もっと言いますと、ほかに出資されたところはもう目的を、ファンドの目的そのものを企業再生というふうにしているところもあるじゃないですか、外資系で。ありますよね、ほかにね。そういうところはほかにもあるんですよ、今、出資してほしいというところに。そういうところがあるのに、そこにはノウハウ持っているアメリカの弁護士さんなんかが入ったりいろいろあるのに、なぜここなのかということをさっきから聞いているわけで、それはちょっと分からないんです。
 予算委員会でも聞きましたけれども、ちょっとその話に入ってきますけれども、あなたはこのカーライル・ジャパンへの出資を全く御自分の独断で決められたんですか。
#255
○参考人(小村武君) 私どもの営業範囲というのは大変広うございます。何でも総裁が自分で調査をし、意思決定をするというわけではございません。幸いにして私どもは、冒頭申し上げましたように、こうしたファンドやいろんなDIPファイナンス、近代的な金融手法にたけた職員が多うございます。そういった人間が三か月あるいは六か月を掛けてデューデリジェンスをやり、意思決定をしていくと、そういう仕組みでございます。
 先生おっしゃるように、いろんなファンドがこれからもあると思います。立派なファンドであれば私どもにも御推薦をしていただきたいと思います。何もここに限るわけではありません。これからまた次から次へと出てくるファンドについて、間尺に合うものがありましたら、私どもはこれから日本経済の再生のために、これが私どもの役割でありまして、あえてリスクを背負いながら使命を果たしていくということでございます。
#256
○大門実紀史君 最近、私、この外資関係をいろいろ調べていますと、たくさんの方に知り合いになりました。結構、外資のいろんな話をお聞きしますけれども、簡単に言いますと、結論から言いますと、なぜ外資が政策投資銀行に出資を求めるかといいますと、四十億、五十億、二十億とか出資して、そのお金が目当てではないんです、外資というのはもっと巨額を集めますから。要するに、日本で仕事をやる上での、日本で資金を集める上での信用付けといいますか、日本で認知されているファンドだと、これなんですよ。
 ですから、リップルウッドを見てもらって分かるとおり、やっぱり日本で資金を集めると努力するわけですね。やっぱり外資アレルギーというのがありますからね。全く外国からお金を持ってきてやるとやっぱりアレルギーあるので、日本でマネーを集めると。もちろん世界からも来るわけですけれども。そのためには政策投資銀行のお墨付きが欲しいというので今殺到しているわけじゃないですか、うちに出資してほしいということで。そういう方の話を私何人も聞いてきて今日質問しているわけです。ですから、言ってみればこの政策投資銀行の出資というのは彼らにとっては広告塔なんですよ。彼らにとっては広告塔なんです。こちらは一生懸命ファンドを通じて企業再生をやってもらおうと思っているかも分かりませんけれども、彼らにとっては広告塔なんです。だからみんな必死になって政策投資銀行に、十億でもいいし二十億でもいいということで今たくさん話が来ているんだというふうに思います。
 ですから、先ほど申し上げましたけれども、政策投資銀行がカーライルに出している四十億というのは、彼らにとっては、それ使わなくてもいいと、その案件があればそれなりに付き合っておきましょうと。問題は、そのお墨付きをもらってバイアウトで、あるいはベンチャーでもっと大きくやっていきたいと。そうしなきゃ三〇%のリターンなんかできるわけないんですよ。地道に企業再建やっていて三〇%のリターンというのは、それはよっぽど株を落として上場させて、その差というのはあるかも分かりませんが、そういうことじゃないんですよね、もう御存じだと思いますけれども、外資の投資ファンドのやり方というのは。
 ですから、こういうことはもう総裁、私はっきり申し上げて、総裁はよく外資が何で投資欲しいと思っているか御存じだというふうに思いますが、その点だけ御存じなかったんですか。
#257
○参考人(小村武君) 私ども日本政策投資銀行は、投資の判断あるいは融資の判断においてこれは審査能力があるという定評をいただいております。したがいまして、国内外の金融機関からも信頼をされております。
 そういう意味で、私どもが参加するというのは、それだけのまた意味があるということであろうかと思います。これは私どもにとっては名誉なことでありまして、単に利用されているとかそういう趣旨ではありません。私どもが出る限りは責任を持って審査をし出ていくわけであります。
 それから、カーライルがお金が余っているとかそういうことではありません。日本で、やはり日本の投資家というのはまだファンドに対する投資というのは未成熟であります。したがいまして、カーライルだから投資をしようとか、そういう状況ではございません。誤解のないようにしていただきたいと思います。
#258
○大門実紀史君 聞いたことにお答えいただけないようですけれども、政策投資銀行の関係者とお話ししたときにも、外資はやっぱり信用が欲しいんだということで今たくさん来ているんですというのはあなたの部下がおっしゃっておりますので、それは改めて御存じだということだと思います。
 私は、なぜこういう、このカーライル、バイアウト中心のところにわざわざ特別に、何といいますかね、特別な縛りを掛けて四十億を、これは企業再生だよ、これだけはそうしてよというふうな、わざわざそんなイレギュラーな形で出資したのかやっぱり理由が分かりません。
 これ予算委員会のときも申し上げましたけれども、ブッシュ元大統領が六月十九日に訪日されまして、六月十九日に小泉総理とお会いになっています。小村総裁とも十九日に会談されているということですが、そこで何を話し合われたんですか、簡潔にお答えください。
#259
○参考人(小村武君) 六月十九日に日本政府の招きに応じましてブッシュ元大統領が来日されました。その際、公務を外れた時間帯におきまして、夜でございますが、私は面会をいたしました。
 ブッシュ元大統領は、いわゆる第二次世界大戦中に撃沈をされたときのその思い出の場所に旅行をしたと、そうした話をされまして、このカーライルとかそういう話は一切ブッシュ大統領からは出ませんでした。
#260
○大門実紀史君 小泉総理と同じようなこと答えないでください。
 要するに、カーライルの話は何も出ていないと。じゃあなたに何しにお会いに来られたんですか。お茶でも飲みに来られたんですか。何しにあなたに会いにわざわざ元大統領が来られたんですか。
#261
○参考人(小村武君) 大政治家でありますから、私ごときに個別の事業についてどうこうというお話は一切なさりませんでした。私も、戦後、日本経済が焼け野原から今日まで発展をしてきた、そういう日本経済についてのお話を申し上げました。
 詳しいことは言う必要がないということで、要点はそういうことであります。
#262
○大門実紀史君 ですから、私申し上げたいのは、特別な理由もなしに私ごときに会いに来られるわけがないと。元ブッシュ大統領はこのカーライル・アジアのシニアアドバイザーですよ。今最大の案件がカーライル・ジャパンの立ち上げですよ。その方があなたと会って何も言わないと。口で出さなくたって、目くばせするとかいろいろあったはずですよ。何も話し合わないというのは全くおかしいわけです。
 私は、事実経過からしても、この後、三か月後に、十月一日に政策投資銀行からカーライルに四十億円の出資がされると決断をされたわけですね。ですから、もう前後関係からいって、はっきり言ってこの投資案件どうなのかと。私は小村総裁は誠実な方だと思うから、いろいろ迷われたと思うんです、この案件については。だけれども、こういう政治的な背景で決断をされたんじゃないかというふうに思います。そうじゃないですか。
#263
○参考人(小村武君) 一切そういうことはございません。あくまでも金融的判断において行った行為であります。
#264
○大門実紀史君 とにかく、日本の外資の業界では、カーライルというのは政治銘柄だったと、なぜあそこに投資されたのかというのは非常に不思議だというのが業界筋では今話題になっております。それも御存じだというふうに思います。
 私申し上げたいのは、予算委員会でこのアメリカのいろいろな背景を取り上げてまいりましたけれども、今日申し上げたこともその一環だというふうに思います。
 ただ、もう一つ、この話は、国策である企業再生ファンドを活用していく、政策投資銀行がそれにお金を出す、それは国民の税金、原資が国民のお金、国民の税金だと。政策投資銀行が出資するということが相手方にとっては大変大きな価値のある看板になるということになっているんですね。ですから、政策投資銀行が外資の本当に広告塔に使われたと、これからそんなことはまた起こり得るかもしれないと。しかも、その広告代というのは国民の税金だという流れなんですね。
 ですから、単にアメリカのどうのこうのというよりも、政策投資銀行が投資ファンドにこれからお金を出していかれるということについて大変問題があると思いますので、今度の補正でまた要求されるようですが、厳しく解明を引き続きしていきたいというふうに思います。
 質問を終わります。
#265
○大渕絹子君 竹中大臣にお聞きをしていきたいというふうに思います。
 政府が十一月十三日に発表した二〇〇二年度の七月から九月期の実質GDP成長率は、年率で三・二%増と緩やかな景気回復が確認をされたということでございますけれども、私たち国民の側は大半がそういう状況にないというふうに認識をしておりますのですけれども、この三%成長という、景気の底入れは済んだというような認識と、そうじゃないんじゃないか、まだまだこれからすごく不安になるんじゃないかという、その国民の思いとの乖離の要因というのはどんなところにあるのか教えていただきたいと思います。
#266
○国務大臣(竹中平蔵君) マクロの経済統計と国民の実感との乖離というのは、これは常にいろんな形で問題になると思います。
 GDP統計というのは我々が生み出している付加価値の合計でありますから、例えば、今年の前半から中盤にかけて輸出が非常な勢いで伸びた、輸出が伸びることによってその関連の業界というのは間違いなく生産が増えたわけですが、そういうのはいわゆる生活者には直接やはり見えないものであるというふうに思います。したがって、ある程度こうした乖離が伴うのはやむを得ないという面があるのだと思います。
 これはあるエピソードでありますが、バブルのときにも生活水準が上昇しているという実感は余りないというふうに考えていた人はやっぱり間々いたわけであります。
 もう一つ、しかしやはり考えなければいけないのは、今委員が不安というふうにおっしゃいましたけれども、今、現実に生み出している付加価値は三%ぐらい増えた、これは事実であろうと思いますが、しかし環境が非常に厳しくなっているということをやはり我々ひしひしと感じるわけでございます。現状と将来を含めた経済環境、このやはりギャップというのが非常に大きいというのも重要なポイントであろうかと思います。現実に、今回GDPが増えたうちの半分が在庫の増加でありまして、在庫以外のもの、消費とか、特に投資でありますけれども、そういうふうにはそれほどは増えていない。消費はまあまあ安定していたんでございますけれども。
 そして、何よりもこれからアメリカを中心とした世界の経済がどのようになっていくのか、不良債権の処理加速がどのようなインパクトをもたらすのか、不確実な要因が増えているということは事実でございまして、この不確実性、将来に対する環境が厳しくなるという点に対しては、これは我々も非常に厳しく認識をしておりますので、適切に是非対処をしていきたいというふうに思っております。
#267
○大渕絹子君 統計の取り方に限界があるのではないかということも言われているわけですよね。肝心の所得が減り続けているのに家計消費は増え続けているというようなことで、この取り方、統計の取り方あるいは家計調査の問題点としての扱い方はどんなふうでしょうか。
#268
○国務大臣(竹中平蔵君) そのような問題はもちろんあると思います。
 家計調査というのはそもそも、いわゆる家庭があって、単身者ではなくて家計簿を付けてくれる人がちゃんといるような家庭、そのようなところの統計を集めて消費動向を見るならば、これは単身者とかそういうところは除かれるでありましょうし、統計には統計としての明らかに限界があろうかと思います。
 ただ、この点でも決して我々手をこまねいて見ているわけではなくて、今までGDPの統計というのは需要側の統計を中心に作っていた。需要側の統計というのは、例えば消費者はどうしたか、企業はどう使ったかというのはこれは比較的早く分かるわけでありますけれども、サンプル調査的になりましてなかなか正確性がない。一方で、供給側の統計、これはどれだけ売ったか、どれだけ生産したか、これは比較的正確性があるわけです。しかし、少し時間が掛かると。
 これまで需要側の統計で作っていたわけですが、この前の四―六月期のGDPの発表のときから、これは供給側の統計も含めてできるだけ正確に、しかも早くできるような工夫をいたしました。今回の七―九月期の統計の発表も去年に比べましたら実は一か月程度早く公表されております。その意味では、地道な統計を正確にするというための努力は続けているつもりでございます。
#269
○大渕絹子君 九月以降の見通しはどうなんでしょうか。
#270
○国務大臣(竹中平蔵君) 見通しそのものを述べるというのはなかなか難しいものでございますけれども、内閣府としては、今年度の経済の見通し、内閣府試算として、これは何月だったでしょうか、数か月前に公表をしております。何といってもアメリカの経済がどうなるかというような不確定要因がございますけれども、今年度に関しては、当初の経済見通しはゼロ%成長でありますけれども、数か月前に見直したときは、それより少し高めの成長が可能ではないかというふうには現時点では、現時点というか、その時点では見ております。
 いずれにしましても、もう間もなく来年度の政府経済見通しを発表しなければなりません。その中で今年度の実績見込みについてもきちっと見直しをしたいと思っておりますので、先ほどから指摘しております不確定要因をしっかりできるだけ織り込むようにして経済を見ていきたいと思っております。
#271
○大渕絹子君 財務大臣にお伺いをいたしますけれども、非常に、今話をしてきましたように、景気回復の足並みが遅いという状況に私たち国民は思っているわけでございます。そういう中で、補正予算の必要性というのが随分叫ばれてきたというふうに思うのですけれども、この国会に出せるという状況にはないわけでございますが、今回、補正予算を組むということが決定をされた。三十兆円枠の公約を破ってでも組まざるを得ないという状況が起こってきたわけですけれども、補正予算の規模と具体的な内容について教えていただきたいと思います。
#272
○国務大臣(塩川正十郎君) 実は昨日、補正予算に対する各省の要望を提出せいということは、昨日が期限でございまして、今日もその整理をしておるところでございます。ですから、まだ概要は決まっておりませんけれども、かなりな要求は出ておることは事実でございまして、来月の四日ごろまでにはこれを整理して、一つの体系的な要求、要望にまとめたいと思っております。
#273
○大渕絹子君 新聞等で見るところによりますと、三兆円規模でということで景気の悪化を食い止めるということはなかなか難しいのではないでしょうかということでございまして、下支え効果も来年の四月から六月ぐらいまでと極めて限定的ではないかというようなことも言われているわけでございます。
 もう少し的確に今の状況を判断をした補正予算の組み方であってもよかったのではないかと思うのですけれども、これは総理が公約をした三十兆円という枠にこだわったためにこういう小出しなものになっていくのでしょうか。
#274
○国務大臣(塩川正十郎君) そうじゃございません。思想的にそういうことでやっておるんじゃありません。今でも私たちは三十兆円の枠を堅持したいという、それがために国債発行額を極力絞っていきたいと思っておりますが、補正でまず問題となりましたのは、税収の不足を補っていくということが一つと、それから不良資産の整理を加速するということでございますから、加速から起こってくるところのセーフティーネットを強化しておかなければいかぬということ、同時に、補正予算の、整理を加速するに並行して、景気の下支えとなるような新しい財政支出を、少しでもこれを補強することによって落ち込みを防いでいこうと、この考え方からやっておることであって、先ほどおっしゃいましたように、三十兆円の枠は堅持しながら、かつ大胆に当面する要望にこたえていこうという考えであります。
#275
○大渕絹子君 枠を堅持しながらといっても、既に堅持はできていないのではないかというふうに思いますけれども、今回の補正を実施しても政府が中期展望で示した二〇〇三年度のデフレ脱却というのは困難なんではないかというふうに思われますけれども、この中期展望の展開というか、転換はなさるつもりはございますでしょうか。
#276
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済財政の運営は中期展望によって、「改革と展望」で示された中期展望によって行っていくということがまず基本であると。その中期展望に関しては毎年ローリングを行うことにしておりますので、それについての議論を経済財政諮問会議においても始めたところでございます。これは議論を今しているところでありますので、どのようなシナリオにローリングしていくかということはまた追って発表させていただきたいと思います。
 先ほど一点、委員が景気の悪化を食い止めることができるかという御指摘がございましたんですが、これは是非御理解賜りたいのですが、景気は悪化しているわけではございません。持ち直しが続いているんですが、持ち直しの動きが緩やかになっているというところでございまして、そうした状況を踏まえて対応しているということを御認識賜りたいと思います。
#277
○大渕絹子君 悪化をしていないというわけですけれども、不良債権の処理を加速をさせていくと悪化をするという要因になっていくのではないかという心配がありますけれども、それでは、それは絶対ないとお考えですか。
#278
○国務大臣(竹中平蔵君) これから先、そのような不良債権の処理によって様々な影響が出る可能性があるということは認識しております。そうしたことも踏まえて、今回、セーフティーネットの拡充等々で補正予算を組んでいるわけでありますので、これは、私が申し上げましたのは、現状の景気認識がそういうことだということを申し上げましたわけで、これからの先についての不確実な要因に対応して今回の補正予算も決定いたしましたし、来年度の予算編成に当たりましてはしかるべく活性化のための先行減税を行いたいというふうに思っているわけであります。
#279
○大渕絹子君 従来型の公共投資ではデフレの脱却効果が大変薄いということは過去において既に実証済みでございますよね。ずっと、バブル崩壊後、補正予算あるいは本予算で国債を大量に発行しながらやってきたわけですけれども、なかなか脱却できなかったという経過がありますけれども。持続的な需要拡大の道をどう切り開いていくかということはこれからの大きな課題になっていくんではないかと思いますけれども、一つは需要創出のための新しい担い手を後押しをするような予算の組み方が必要なんじゃないかということが言われています。
 例えば企業家支援のための税の優遇制度や、あるいは規制改革を進めるというようなことも必要でしょう。あるいはイギリスでは起業間もない企業に個人が出資をした場合、その分を税額から控除をするというような制度があるというふうに聞いています。あるいはまた寄附金の制度の拡充とか、特許権を活用した資金調達などが最も民間からスムーズに流れるという、資金が流れていくというような環境整備も必要だろうというふうに思います。
 当初予算の配分を見直して、新しい担い手による需要創出を促すというような政策に重点的に予算を配分をしていく必要があると思いますけれども、いかがでございましょうか。
#280
○副大臣(小林興起君) 今のお話は、予算もさることながら、予算というより政府としては税制で相当対応していこうと思っている部分があると思うんですね。今の新規の企業に対する金の集め方、エンジェル税制、そういう形でもう導入をして、更にそれをもっと拡充せよという声が今ありまして、そういう形で新規企業を支援していく。それから、あるいは研究開発投資のようなところでどんどんそういう企業に新しい分野に投資をさせて、そこから新しい技術の芽あるいは産業が出てきて、企業が出てきて、そして雇用が拡大していくというような、そういう税制によって企業を元気にさせて、そして雇用創出を生んでいく、新しい職場を作っていくということは、今正に議論されております来年度、十五年度の税制改正に向けて非常に大きなテーマになっているわけでありまして、今回は予算というよりは税が非常にこの分野では大きなウエートを占めていると、そう思っております。
#281
○大渕絹子君 しっかりとそこの部分に取組をしていただきたいというふうに思います。また、予算の積極的な活用という部分では、過剰債務を整理促進をしなければならないということは、もうこれは今日の議論の中でずっと言われてきたことでございます。
 政府も産業再生機構を作ったり、あるいは産業再生法を改正をしてこの過剰債務の整理促進に充てていこうという積極的な取組が見られるわけでございますが、昨日の夕刊で、産業再生を図る機構の債権買取りの任務に所管大臣の関与をさせていくべきではないかというようなことが載っているわけですけれども、これはもう既に決定になっていることでしょうか。
#282
○国務大臣(竹中平蔵君) 産業再生機構の具体的な制度設計につきましては、その準備室を設けて今議論をしているところでございます。今日もこの後、第二回目ですか、三回目ですか、本部が開かれるのでありますが、その詳細な制度設計はまだ議論の途上であるというふうに聞いております。
#283
○大渕絹子君 所管大臣の関与で、いい面もあると思いますけれども、むしろその産業の所管大臣であるがゆえに様々なデメリットもあるというふうに思いますので、しっかりとした議論の中で決定をしていっていただきたいというふうに思います。
 さらに、過剰債務の整理促進に取り組むべき決意について述べていただきたいと思います。
#284
○国務大臣(竹中平蔵君) 産業再生機構の御担当は谷垣大臣でございますが、谷垣大臣の方で今非常に力を入れて御検討をいただいているところでございます。
 いずれにしましても、不良債権の処理を加速する、それと表裏一体の関係にあります企業の再生を政府としても全力を挙げて進めるという決意でありますので、その象徴が産業再生機構の設立ということでありますので、御指摘のような点を踏まえてしっかりとやっていきたいと思います。
#285
○大渕絹子君 この予算の編成で、需要の創出、それから過剰債務の整理、それからもう一つは、将来不安への対応をどう予算付けていくかということだというふうに思うんですけれども、このことについて財務省の考え方を述べてください。
#286
○副大臣(小林興起君) 将来不安という中にはいろいろと、老後の問題とかあるいは雇用不安だとか、そういうことがあろうかと思いますが、まず今のこの補正予算の中にセーフティーネットを張りまして、ここはもう雇用不安の将来への解消と、そういう不安を持つことの解消というセーフティーネット対策を充実させようと思っております。
#287
○大渕絹子君 雇用の不安なども大変あって、雇用給付金の手当を少し期間を長くしてほしいとか、あるいは年金制度の更なる拡充とか、あるいは健康保険制度の国庫二分の一負担などということが、そうした私たち国民の側から常に将来に対して大きく持っている不安に対してきちんと手当てをしていくという方向が見えてこない限りにおいて、本当の意味の景気回復ということにはなっていかないというふうに思うのですね。そこのところをきちっとやっていただきたいということで今日質問をさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
#288
○副大臣(小林興起君) すべて、給付があるところにはそこに財源もなければならないわけでありまして、そして、特に保険の場合には、両者間で保険を掛けてやっているというところの中に、財政というものがどれだけそこに手を出してくるかということについては、元々の保険は保険だけで置いていれば、正に保険でございますから、そこにおいてしかし多少公的支援があるというその兼ね合いというものがいろいろとこれまでもあったわけでございまして、御承知のとおり、今日の財政状況で今以上の財政が出動されるということはなかなか考えにくいと。
 そういう中でしかし、おっしゃるとおり、国民の皆さんからは同じように手厚い保護をしてくれという要請にどれだけ堪えるかというこの兼ね合いに向けて、今、例えばこの補正予算におきましても微妙な調整があろうかと思われます。
#289
○大渕絹子君 そこのところを大胆に予算の組み方を変えていかなければ、これからの日本の国民の要望にこたえられていかないと私は思っているのであえて言っているわけですので、財源がないのは元々もう分かっていることでございますが、その少ない財源の中でどう国民の期待にこたえていくかということは極めて重要な視点じゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
#290
○副大臣(小林興起君) もう一つ大事なことは、将来を見通して、こういうふうにしかお金がないんだからこうであるということをある意味ではきちっと国民に示す、その代わり、ここは必ず大丈夫だというそういう線を見せるというような形で、それも一つの安心感につながろうかと思うわけでありますが、そういうけじめといいますか、そういうものをもうそろそろしっかりと示さなければいけないときが来ている。その線をどこにするかということについて、今、政府部内においても議論が闘わされていると、そういうふうに承知をしております。
 そういう中で、先生のお気持ち、国民を、そういう方を大事にするという思いがどこまでまた貫いていけるかということを考えていきたいと思っております。
#291
○大渕絹子君 そっちの方向で検討されているとはどうしても思えないですよね。医療費は切り上がっていきますし、介護保険の負担も多くなっていきますし、本当に国民の不安にこたえていく方向が研究されているとはどうしても思えないんですよ。
 ですから、来年度の本予算を組むに当たっても、今度の補正予算を組むに当たっても、そうした従来型でないやっぱり発想の転換をして予算編成をしないと国民の期待にこたえていけないと思いますので、新しくそれはもう閣僚に加わった竹中さんなら十分分かっておられると思いますが、いかがでございますか、私が申し上げること。
#292
○国務大臣(竹中平蔵君) 人々の安心感、消費をしっかりと支えるためにもその安心感が必要であるということは言うまでもないと思います。ともすれば、本当に実現できるか、もらえるかどうか分からないことについて大きな額を約束されるよりも、私は、少し金額は小さくても必ずしっかりと保証してくれるというような約束をしてくれる方が、私は安心感は高いのではないかと思います。そうした問題については、これは社会保障全般について、医療、雇用、年金、多くのものについて共通している問題であるというふうに思っております。
 年金再計算が二年後にございますが、それを控えてやはり非常に大きな枠組みについての議論をしていかなければいけないというふうに思います。厚生労働大臣の方では、今年じゅうにでも素案を示して、一年を掛けて本当に中長期的な観点からしっかりと議論をしてもらいたいというようなこともおっしゃっておられますので、これは経済財政諮問会議でもしっかりと受け止めたいと思いますし、委員御指摘のような問題意識を参考にさせていただきながら、しっかりとした制度にしたいと思います。
#293
○大渕絹子君 大手十一行が九月中間決算発表をいたしましたけれども、率直に言って、この決算内容について竹中大臣はどのような御感想を持たれましたでしょうか。
#294
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように十四年九月期決算が発表されております。
 これは、単体で見ますと不良債権の残高というのは大変気になるところでありますけれども、破綻懸念先以下が全体で今年の三月に比べて一〇・六%減少しているという数字がございます。重要な点は、実質業務純益が二兆円程度そこそこ確保されている中で、不良債権の処分損は、前の三月期において引き当て強化が行われたということ等から一・一兆円になったということで、その範囲に十分収まったということであります。一方で株式等の損失がありまして、株価下落によって〇・七兆円分は、これは赤というかマイナスが出てくる、そういう状況に今、日本の銀行は置かれております。
 業務純益はそこそこしっかりしている、不良債権の処理額は前期の引き当て強化で少なくなってきた、これは明らかにいい傾向でありますけれども、しかし同時に、これはもうもっともっと金融当局も努力をするし、銀行にも努力をしていただかなければいけない状況であると思っております。より収益力を高めてもらいたいというふうに思いますし、従来からの懸案である資産査定の強化の中で今回見え始めたこうした傾向が、業務純益の中で不良債権処理をしっかりとやっていく、そうした傾向が是非定着できるように我々としても努力をしたい、銀行にも努力をしていただきたいというふうに思っているところであります。
#295
○大渕絹子君 銀行の方たちが、非常に金融再生プログラムの内容がまだはっきりとつかめていないために、決算に当たるに当たってばらつきがあるということも懸念として言っているわけでございますけれども、繰延資産の対応について、マスコミ等々では一〇%ぐらいにするというようなことも流れていったわけですけれども、どういうふうな方向を出していかれるんでしょうか。
#296
○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。
 繰延税金資産につきましては、自己資本への算入ルールをどうするかということについて大きな議論になっていることを承知をいたしております。この繰延税金資産の問題につきましては非常に多くの論点がございまして、一つには税制の問題、そしてもう一つには企業会計、会計基準の問題、さらには、自己資本の中に繰延税金資産というものがどの程度あることが銀行の健全性にとってという、その健全性の基準の問題等々がございます。そうしたことを幅広く検討して今後の対応というものを考えていかなければいけないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、いわゆる作業工程表の公表に向けて一生懸命今作業を進めているところでございますので、そうした中で、私どもとしての議論の方向性というものを、あるいはどういう形でこうした議論を進めていくのかということを公表していきたいというふうに考えております。
#297
○大渕絹子君 自己資本の拡充への取組をどのように指導されますか。
#298
○国務大臣(竹中平蔵君) 今の問いにお答えさせていただきます前に、先ほど不良債権の残高が破綻懸念先で一〇・六%減少というふうに申し上げましたが、全体で一〇・六%の減少ということでありますので、申し訳ありません、訂正をさせていただきます。
 自己資本の充実策には、実はなかなかいわゆる打ち出の小づちのようなものはないわけでありまして、これは、しっかりと収益力を付けていただいて、それによって自己資本が充実していくようなプロセスをたどっていただくというのがやはり基本的な道であると思います。そのためには、やはりガバナンスを強化していただく等々、我々としては、できるだけ銀行が自由にいろんな商品開発ができるように、その意味での規制等々の緩和等にも努力をしなければいけないというふうに思っております。
 もちろん、その一方で、銀行の努力によって増資をするとか、そういった銀行独自の努力は努力で、これは大変重要なことであるというふうに思っておりますし、現に銀行はそういう努力を重ねつつあるというふうに思っております。
 また、政策的な枠組みとしましては、自己資本の強化を促すための税制の改正、繰延税金資産に関する算入の問題など、やはりこれはこれでしっかりと議論をしていかなければいけないというふうに思っております。
 金融審議会の中にこの自己資本に関する委員会等もございますので、そういったところでの議論も踏まえながら対処をしていきたいというふうに思っています。
#299
○大渕絹子君 トヨタの社長さんが、希望されるならば出資をしてもいいというような発言も積極的になさっているというような報道もありますので、そういう取組を進めていったらいいというふうに思います。
 あと、公的資金による資本注入ということが随分と問題になっていて、今度の預金保険法ですか、そういうもの、現行制度ではなかなか難しかったのではないかと言われていたんですけれども、今日、工程表の報道を見る限りにおきますと、現行法でも資本注入ができるようになるような書き方をしているんですけれども、そうなんですか、これ、違うんですか。ちょっと教えてください。
#300
○副大臣(伊藤達也君) まず、工程表は、まだ作業をいたしておりますので、そういう意味では、今、作業中でございます。
 それと、現行法のいわゆる預金保険法では、資本注入等の措置が講ぜられなければ、我が国又は当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき、金融危機対応会議の議を経た上で、資本注入の必要性の認定を行うことができることとされているわけでございます。
 このような現行法の枠組みを踏まえつつ、単に危機を回避するというだけではなく、より強い金融システムの構築を目指す中でこの枠組みで十分かといった議論も含めて、新たな制度の創設の必要性についても検討をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、検討に当たっては、幅広く専門家や関係者の方々、そして、この問題については今日まで国会でもいろいろな議論がございました。そうしたことも踏まえて検討をしていきたいというふうに思っております。
#301
○大渕絹子君 新法を制定しないと、金融危機というふうな認定がされなければ公的資金が入れられないという認識にあったものですから、何か、今日の報道を見たら、工程表ができていけば新法は要らないのかなと、私はそんなふうに読んでしまったものですから、そうなのかな、そういう手続でやっちゃうのかなというふうに思ったのですけれども、そのことも含めて、じゃ、これからの検討ということでございますね。はい、分かりました。
 それから、金融関連の税制改革について、引当金の損金扱いとか、あるいは法人税の還付の問題など、税制改革もこれから重要な議論になってくると思いますけれども、どんなふうに考えておられますか。
#302
○副大臣(伊藤達也君) 先般公表させていただいた金融再生プログラムには、金融機関の自己資本を強化するための税制改正として、引当金に関する新たな無税償却制度を導入をしたい、あるいは繰戻還付金制度の凍結措置解除及び期間の延長、そして欠損金の繰越控除期間の延長について関係府省への要望を盛り込まさせていただいたところであります。
 そして、金融庁としましては、本プログラムに従い、先般、十一月七日、金融機関の自己資本の充実に資する税制として、企業会計上の貸倒償却・引当金の全額損金算入、そして欠損金の繰戻還付制度の凍結解除及び繰戻期間の一年から十五年への延長、そして欠損金の繰越控除期間の五年から十年への延長を内容とする税制改正要望書を税制当局に提出をさせていただいたところでございます。
#303
○大渕絹子君 銀行側で、政府がルールをよく変えてしまうので、非常にその影響が大きくて経営内容が悪化をしてしまうんだというような発言をされている方があるわけですけれども、これに対してどうお答えになりますか。
#304
○副大臣(伊藤達也君) 金融再生プログラムにおきましては、現下の最重要課題であります不良債権問題を平成十六年度には収束させるという方針に従って、資産査定の厳格化、自己資本の充実、そしてガバナンスの強化等により、不良債権処理を加速させるための包括的に政策強化を図るものであるというふうに考えております。
 金融庁といたしましては、金融再生プログラムを速やかに実施に移すことによって強固な金融システムを構築し、内外からの信頼を回復することが、御指摘のようなルールをいきなり変えるということではなくて、しっかりとした対応を関係者の方々にも十分理解をしながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#305
○大渕絹子君 今度のこの法律でペイオフが二年間延期をされるということになったわけですけれども、国民は、私たちは、来年の四月から実施ということで、それぞれ預貯金を移動させるとか、あるいはそれに対応してもう準備を進めてきたというふうに思うわけでございます。
 ここに、経済産業省が調査をした調査書が、私がいただいた中にあるわけですけれども、企業等のペイオフへの対応ということで、規模の大小を問わず、企業の六割がペイオフ解禁に前向きであるということが書かれています。そして一方、都道府県や地域金融機関は、ペイオフ解禁に対して多少不安はあるものの、そのための準備を進めてきているというふうにアンケートではなっていて、もう既定の事実として、行われるんだというのを前提にしながらその準備が進められてきたにもかかわらず、今回、また急に二年延長をせざるを得ないという、ここはどうしてこういう決定になったのか。
 柳澤金融担当大臣のときにも、変更をしなければいけないというようなことで、五か月だったですかね、半年間だったですかね、延期をするというようなことがなされてきて、非常にここは目まぐるしく変わってきたというふうに思うのですけれども、その経過について教えてください。
#306
○国務大臣(竹中平蔵君) このペイオフ延期の経緯につきましては、委員御指摘のように、国民から見るとなかなか分かりにくいという側面があったというふうに感じております。そういった点に関しては、本当に重ね重ねしっかりと説明をしていきたいというふうに思うわけでございます。
 言うまでもありませんが、そもそもペイオフについては、預金者が自己責任原則に基づいて金融機関を選別して、そうした中でシステム全体が強くなっていくというものでありますから、これは大変重要なものであるということは言うまでもないと思います。
 しかし重要なのは、今般、不良債権処理を加速する、十六年度にはこれを終結させるという、より高い目標に向かって政策の新しい流れを作ったということではないかというふうに思っております。そうした中で、国民の混乱を避けるために、中小企業等々への金融が滞らないように今回の措置を取ったわけでございます。
 国民は、当然非常に賢く行動しておりますから、それなりの備えをしてきたものだというふうに思います。しかし、国民にとっても、その前提となる不良債権問題の処理を加速するというところが、前提が、何といいますか、強化されたわけでありますので、それに対しては、やはり政策的には措置が必要だったのではないかと思います。
 これはあくまで仮定のあれでありますけれども、もしアンケート調査で、不良債権処理を加速する、加速するに当たってペイオフを延期する方がよかったかどうか、延期しない方がよかったと思うかと、一部こういったアンケート調査もあったように記憶しておりますが、そうした点についても、私は、国民からは今回の措置については一応の理解が得られるのではないかというふうに思っております。
#307
○大渕絹子君 私もその点は同感でございまして、よかったというふうに思う一人でございますけれども、どうせよかったのなら、もう少し金額について、これから先、この二年間の間に、一千万円という枠ではなくて、個人の預貯金については、アメリカなどは何か五十万ドルとかいう上限になっているそうですけれども、そうしたことも参考にしながらもう少し金額を増やしてもいいのではないかと思いますが、いかがですか。
#308
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。
 預金保険の保険基準額につきましては、平成十一年十二月の金融審議会答申におきまして、我が国の一人当たりの平均貯蓄残高や諸外国の水準、保険料負担の増加等を勘案すると、現時点でこの水準を引き上げる必要はないとされておりまして、現在においてもこの考え方が適切であると思っております。
 なお、ちなみに、アメリカの保証額は一人当たり十万ドルでございます。そういうことでございます。
#309
○大渕絹子君 何か、名目はそうなっているけれども、実質的な運用のところではもう五十万ドルが保護されているというふうにお聞きをしましたけれども。
 それでは、決済性預金というのを今度、決済用の預金というのをこの法律で創設ができることになりましたけれども、普通預金を保護するために、二年後からですけれども、施行されるときからですけれども、決済用預金に移し替えてしまって守っていこうというようなことが行われるのではないかという懸念はないのでしょうか。
#310
○政府参考人(藤原隆君) 今回の決済用預金というものにつきましては、決済機能の保護、いわゆる仕掛かり中の保護と一体のものとして決済用預金の保護ということを今回打ち出しているわけでございます。
 したがいまして、そういう決済機能の保護から、今回、決済用預金につきましては、決済機能という観点にかんがみまして、極めて低い利用料を課すべきではないかという観点もございましたが、そういうのは現在の状況から見て好ましくないということで、金利をゼロということにいたしております。
 また、答申の中でも触れられておりますように、預金保険料につきましても通常の預金とははがしてもっと高い預金保険料を課すべきというようなことが書かれておりまして、今回提案されました法案におきましてもそういう措置を講じているところでございます。
 そういうことを考えますと、通常ゼロ金利でございますので、預金者がそこにあえて持っていくというインセンティブはない、それからまた、金融機関にいたしましてもあえてかき集めるというインセンティブも働かない。そういうことでモラルハザードが防止されるというふうに考えております。
#311
○大渕絹子君 しかし、普通預金はペイオフが解除されますと一千万しか守れなくなりますよね。そうしますと、全額保護をされる決済性預金の方に移し替えておくということは当然の理として出てくるだろうというふうに思うのですけれども、そういうことにはならないというふうなお答えですので、ならないのかどうかはやってみないと分からないということなんでしょうか。そこはどうなんですか、ちゃんと検証したんですか。
#312
○政府参考人(藤原隆君) 先生御指摘のように、今のような超低金利下におきましては、かなりその辺がインセンティブが働かないといいますか、モラルハザード防止のあれが働かない可能性はあるわけでございますが、通常の経済状況の下ではかなり金利選好というものが働くのが普通でございますので、そういう御懸念も少なくなるのではないかというふうに考えております。
#313
○大渕絹子君 この決済用預金を動かすに当たって、システムの開発費などというのはどんな程度掛かるのでしょう。銀行側にそれは圧力にはならないのでしょうか。
#314
○副大臣(伊藤達也君) システムの導入に当たってのコストは、これは恐らく個々の金融機関によって違ってくるというふうに思いますので、具体的にどれぐらいかというのは今ここでお話しすることは大変難しいというふうに思っております。
 先生御指摘のとおり、確かにコスト負担というものは要することになると思いますが、この実施までに二年間という期間がございます。その間に周到に準備を進めることが可能であると考えておりますし、金融機関においては、やはり決済に果たす役割、その重要性にかんがみ、適切な対応がなされるというふうに思っております。
#315
○大渕絹子君 金融機関の組織再編を促進するための特別措置法案も今日審議をされているわけですけれども、地域金融のあるべき姿というのは、どういう姿が地域の中小零細商工業者やあるいは一般の金融利用者にとって理想なんだろうかということをちょっとお聞きをしたいと思いますが。
#316
○副大臣(伊藤達也君) やはり地域の金融機関は、リレーションバンキングをベースに、地域に根差してきめ細やかに地域住民や企業のいろいろなニーズに対応することによって、地域の経済の発展に貢献できることが基本ではないかというふうに考えております。
 地域金融機関がこうした役割を十分に果たしていくためにも、やはり経営基盤というものをしっかりしていく、一層強化していくことが必要ではないかというふうに思っております。そういう意味で、今御審議をいただいております合併等の組織再編、組織の再編成は、そうした中で地域金融機関の経営基盤強化のための一つの有力な手段と考えられるんではないかというふうに思っております。
 このような観点から、今般の法案においては、こうした地域金融機関の自主的な取組を支援するために、組織再編成の円滑化に資する手続の簡素化や資本増強等の政策支援措置を盛り込んでいるところでございます。
#317
○大渕絹子君 高月さんとおっしゃる明海大学の経済学部の教授さんが、合併一本やりでは大変新陳代謝がかえって遅れて地域金融が活性化をしなくなるんだというようなことを書いておられるのを見るんですけれども、こうした考え方についてはどうでしょうか。
#318
○国務大臣(竹中平蔵君) 合併、組織再編というのは、経営基盤を強化するために一つの有力な手段であるということは、これは基本的にそういう側面があるというのは委員もお認めいただけるのではないかと思います。しかし、かといって合併すればうまくいくものではないと、これまた大変重要なポイントであります。
 今回の法律は、そうした意味からいうと、何か一つの理念、目標を決めて合併を促進するというものでは全くありません。地域の金融機関独自の判断によって合併が自分たちのためになるというような場合には、それは、それによって生ずる様々な障壁について政府が政策的に取り除こう、例えば手続を一部簡素化しようとか、それによって自己資本比率が低下するような場合にはそれに対しても手助けをしようと、そういうものでありますから、これはやはり一概には言えない問題だと思います。
 合併が良い悪いの問題ではなく、ここの委員会でも一度議論させていただいたかと思いますが、やはりうまくいく合併というのは非常に戦略性の高い合併であり、単に大きくなるだけでうまくいかない合併も当然あるわけでありますから、そこは地域の金融機関の正に自主性、自主的な経営判断に基づくという点。一方で、我々としては、計画が非常に組織の強化にとっても地域の金融の円滑化にとっても十分なものであるということを一つの認定基準としてこうした枠組みを作りたいというふうに思っているところであります。
#319
○大渕絹子君 合併が決められるときに、利用者側の意見というのはどんな形で吸い上げられるんでしょうか。銀行側の努力によって利用者側にきちんと説明をするようなシステムになっているんでしょうか。あるいは、ある日、全然利用者側が分からない中で決められていってもやむを得ないということなんでしょうか。
#320
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと、委員が言われるように、預金者の意見を直接吸い上げるというような、何か説明会でも開いてと、そういうことなのかということでありましたら、それは手続の中では特には予定されているわけではございません。
 しかし、そういった合併に当たっての計画を出してもらう、それに関して我々は、まさしくそれが利用者の利便になるのか、地域の金融、地域金融機関としての役割を十分に果たせるのかという観点から、言わば我々の方で審査といいますか、させていただくということになりますので、そういう観点から、これは行政の、金融当局の立場として是非ともしっかりと見ていきたいというふうに思っております。
#321
○大渕絹子君 農水省に来ていただきましたけれども、岡山県にある大原町農業協同組合が十一月の一日の日に県から公的管理命令を受けて事実上破綻をしたという、これはエコノミストという雑誌に載っていた記事を見させていただきました。
 その中の、この大原町農業協同組合の破綻処理の様子をちょっと教えてください、経過を教えてください。
#322
○政府参考人(林建之君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、十一月一日に岡山県下のJA大原町に対しまして岡山県が公的管理命令を出したわけでございますけれども、これに至る経緯について若干御説明申し上げます。
 JA大原町につきましては、平成十二年に前の組合長が就任をいたしましたけれども、岡山県がそのJAに検査に入るのを拒否するとか非常に問題がございましたので、岡山県が報告徴求命令あるいは検査受入れ命令等を発出したわけでございます。
 そういった中で、どうも前の組合長は組合運営を私物化していると、こういった状況、資金運用が法令に違反していると、そういった状況が明らかになってまいりまして、このまま放置しておきますと組合員に著しい不利益を与えると、あるいは場合によっては貯払い停止という事態が、そういうおそれがあるということから、この公的管理命令を発出したということでございます。
 現在、この公的管理命令を踏まえまして、公的管理人がその資産の状況を精査をいたしておるところでございまして、この精査の今途上でございますけれども、精査の結果によりまして、必要がある場合には、貯金保険機構の資金援助だけではなくて、更にJAバンク法に基づきます農協系統の自主的な積立組織でございますJAバンク支援協会というものがございますが、そういった協会からの支援というものが行われることになろうというふうに考えております。
#323
○大渕絹子君 この記事によりますと、一千万円を超える定期預金、いわゆるこの四月からはもう保護をされないことになっている分野の金額が総額で八億円あるわけですけれども、その八億円についても県は全額保護を約束をしたと、こう言っているんですが、保護されない金額八億円がどうして保護されることになるんですか。
#324
○政府参考人(林建之君) 先ほどJAバンク支援協会というのを申し上げましたけれども、これは結局、JA組織におきまして自主的な積立てを行っているわけでございます。
 一千万円を超える定期貯金部分につきましては、このJAバンク支援協会がその判断におきまして支援をするということを、まだ精査中でございますのでそれが必要になるかどうかという点はまだ確定ではございませんけれども、必要が生じた場合にはこの自主的な組織であるJAバンク支援協会の方で支援をするというふうに承知しております。
#325
○大渕絹子君 JA金融は、こういう形で独自なセーフティーネットを敷いて、ペイオフ後も定期預金と同種類の預金についても保護が図れたという事実が今あるわけですけれども、信用組合とかあるいは信用金庫等々においても、こういうセーフティーネットを独自に張るということは今システム化されているんでしょうか。
#326
○政府参考人(藤原隆君) 現在はそういう制度はございません。
#327
○大渕絹子君 これからその独自の判断の中でそういうことを信組や信金などという中小の金融機関がやることについては、どういうふうにお考えでしょうか。
#328
○政府参考人(藤原隆君) 今回の大原町農協のケースというのは極めて特異なケースだというのは、今農水省の方からお話があったと思います。それはともかくといたしまして、JAバンク支援協会による今回の支援の財源、これは農協等の負担金によって賄われていることにかんがみますと、同様の今仕組みを信金とか信組、これについて設けることにつきましては、まず信金・信組業界がその必要性についてどのように考えるかが重要であると考えておりまして、慎重な検討が必要であると考えております。
#329
○大渕絹子君 預金の流れが、信金・信組から農協金融の方にこういうセーフティーネットがあれば当然流れていくというふうに思いますので、信金とか信組を保護していくという観点からすれば、同じようなセーフティーネットが張られていかなければならないというふうに思いますので、今後の検討課題にしていただきたいと思います。
 終わります。
#330
○委員長(柳田稔君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回は来る十二月三日午前九時三十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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