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2002/11/13 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号
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2002/11/13 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号

#1
第155回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号
平成十四年十一月十三日(水曜日)
   午後一時二分開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         勝木 健司君
    理 事         魚住 汎英君
    理 事         中島 啓雄君
    理 事         内藤 正光君
    理 事         西山登紀子君
    理 事         島袋 宗康君
                加治屋義人君
                北岡 秀二君
                小斉平敏文君
                山東 昭子君
                鈴木 政二君
                伊達 忠一君
                月原 茂皓君
                藤井 基之君
                松山 政司君
                山内 俊夫君
                池口 修次君
                神本美恵子君
                円 より子君
                和田ひろ子君
                松 あきら君
                渡辺 孝男君
                畑野 君枝君
                森 ゆうこ君
                山本 正和君
    ─────────────
   委員の異動
 十月十八日
    辞任         補欠選任
     島袋 宗康君     大江 康弘君
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     大江 康弘君     島袋 宗康君
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     神本美恵子君     鈴木  寛君
 十一月十一日
    辞任         補欠選任
     鈴木  寛君     神本美恵子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         勝木 健司君
    理 事
                魚住 汎英君
                中島 啓雄君
                内藤 正光君
                松 あきら君
                西山登紀子君
                森 ゆうこ君
    委 員
                加治屋義人君
                小斉平敏文君
                山東 昭子君
                鈴木 政二君
                伊達 忠一君
                月原 茂皓君
                藤井 基之君
                松山 政司君
                山内 俊夫君
                池口 修次君
                神本美恵子君
                円 より子君
                和田ひろ子君
                渡辺 孝男君
                畑野 君枝君
                島袋 宗康君
                山本 正和君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村松  帝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国民生活・経済に関する調査
 (海外派遣議員の報告)
○参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○会長(勝木健司君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十月四日、鶴保庸介君が委員を辞任され、その補欠として月原茂皓君が選任されました。
 また、去る十月十七日、朝日俊弘君、本田良一君、辻泰弘君、榛葉賀津也君、日笠勝之君及び太田豊秋君が委員を辞任され、その補欠として円より子君、和田ひろ子君、神本美恵子君、池口修次君、渡辺孝男君及び山内俊夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(勝木健司君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に北岡秀二君、松あきら君及び森ゆうこ君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○会長(勝木健司君) 国民生活・経済に関する調査を議題といたします。
 先般、本院から、オーストラリア及びニュージーランドにおける経済、雇用及び社会保障に関する実情調査並びに両国の政治経済事情等視察のため、海外派遣が行われました。
 その調査の結果につきましては、議院運営委員会に報告されることと存じますが、この際、派遣議員から報告を聴取し、本調査会の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず派遣議員を代表して中島啓雄君から報告を聴取した後、派遣議員のうち御意見等のある方から順次御発言いただく方法で行いたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、最初に中島君から報告をお願いいたします。中島啓雄君。
#6
○中島啓雄君 では、海外派遣議員団の報告をいたします。
 特定事項調査第三班は、各国の経済、雇用及び社会保障等の実情調査のため、去る八月二十六日から九月四日まで、ニュージーランド及びオーストラリアに派遣されました。
 派遣議員は、本調査会の勝木健司会長を団長として、内藤正光議員、山口那津男議員、西山登紀子議員、島袋宗康議員、そして私、中島啓雄の六名でございます。
 以下、両国での調査の概要を申し上げます。
 私たちは、まずニュージーランドを訪れました。
 首都ウェリントンでは、デビッド・カンリフ財務大臣・歳入大臣・商務大臣政務官、フィリップ・フィールド社会福祉・雇用大臣政務次官、デビッド・アーチャー準備銀行総裁代理とそれぞれお会いし、経済改革、社会福祉政策、インフレターゲット政策等について懇談いたしました。
 カンリフ財務大臣政務官からは、ニュージーランドの構造改革の経緯と今後の政策の方針について説明を受けました。
 イギリスのEEC加盟により大きな輸出市場を失ったことを契機に始まった構造改革は、規制緩和、中央省庁の再編、金融財政改革など、あらゆる分野に及び、その間、若干の修正はあったが改革は継続され、経済は順調である。今後は一次産業中心から変革し、バイオテクノロジー、情報技術、映画等の創造的産業に力を入れて取り組みたい。政府としても、大きくもなく小さくもない政府、OECDの上位国を目指す。政府としてのモットーはアクティブ、スマート、パートナーシップであるとの抱負が語られました。
 フィールド政務次官からは、老齢年金、失業手当など国民のセーフティーネットや産業構造の変革による経済成長の維持、そのための人材育成等について説明を受けました。
 懇談の中では、最初に女性の参政権を付与した世界で最も古い民主主義の萌芽の国として誇りを持っている。人口はほぼ三百八十万人を維持しており、少子化対策は取っていない。特に、子供たちに機会の平等を保障し、よりよい教育、住宅、家庭環境を与えることが重要で、福祉制度もそのことを念頭に置いて構築し、最終的には国民が持っている力を発揮することが目標である。先住民のマオリやパシフィックも含めて、健康な国には健康な家族とコミュニティーが必要との発言がありました。
 アーチャー準備銀行総裁代理からは、インフレターゲット政策について説明を受けました。
 準備銀行は政府から独立した機関として設置されており、その目的は物価の安定に絞られています。インフレターゲット政策は、行財政改革の一環として九〇年三月に世界で初めて導入されました。準備銀行総裁は、大蔵大臣との間でインフレ目標値を合意し、ゼロないし三%と決められています。それに従って金融政策を実施します。導入後、インフレ率は低下し、九六年以降平均して一・六%であります。アーチャー氏によれば、インフレのコントロールのために情報公開などオープンな政策を行っており、役員にも健全な運営を求めている、これまではうまくやってきたと思うとの発言がありました。
 その他、仕事と家庭の両立問題や育児施設の実情を視察するため、オークランド大学託児所とコミュニティーチャイルドケア保育園、マオリ人のためのコハンガレオ幼稚園、女性の雇用を支援するイコール・エンプロイメント・オポチュニティーオフィスを訪れました。
 次に、オーストラリアですが、首都キャンベラで、失業者に対するセーフティーネットの現状を調査するため新設されたセンターリンクを訪れ、グラハム・バシュフォード次長から説明を受けました。
 センターリンクは連邦家族・コミュニティー省の外局で、職業紹介や年金等各種の給付など、医療以外の生活保障サービスを総合的に行う機関であります。失業者に対しては、約二百社の企業により構成されるジョブネットワークシステムを通じて求職活動を支援しており、必要に応じて職業訓練プログラムを提供しています。住民にとって各種相談、手続を一か所で済ませることができ、行政コストも節約できる仕組みになっているとのことでした。
 また、シドニーでは、ニューサウスウェールズ州のカーメル・テブット高齢者サービス大臣とお会いし、高齢者福祉・介護制度について説明を受け、懇談いたしました。
 同国も高齢化社会を迎えており、州政府としても高齢者サービスを統合するため、新たに高齢者事務所を設けました。高齢者政策は施設介護、在宅ケア等がありますが、州政府としては今後、コストの小さい在宅ケアの充実に力を入れていく方針だということです。財政負担については連邦が六割、州が四割負担します。州政府が直営する介護施設はほとんどなく、民間施設への補助金を交付する制度となっております。介護者に対しても連邦政府から補助金が支給されています。
 なお、ハリソン高齢者事務所長の、ある調査によると介護者は仕事を辞めない方が質の高い長期の在宅介護が維持できることが明らかになっているとの発言が印象的でした。
 次に、同国の構造改革の一環として行われたシドニー空港民営化について、シドニー空港のクリス・ファーベイ理事から説明を受けました。
 連邦政府は一九九四年に空港の民営化方針を打ち出し、これまでメルボルン等主要空港は民営化され、最後になったシドニー空港も今年六月、銀行を主体としたサザンクロスグループに売却されました。しかし、民営化になっても航空管制業務や入管、検疫などは従来と変わりなく連邦政府が行っております。民営化によりサービスの向上が図られ、ショッピングセンターの建設、土地の活用など収入の増加と効率化が行われました。
 空港民営化の最大の理由は、連邦政府の債務の削減を進める目的以外に、政府は高齢化対策、医療、福祉、教育などに専念すべきであり、空港経営など政府の役割でないとの議論があったとのことです。
 以上のほか、外務貿易省託児所、エルダーズゲート介護施設及びアミティ介護施設、クインズランド州環境保護局北部事務所等を視察いたしました。
 なお、この報告の詳細につきましては、後日、議院運営委員会会議録の末尾に掲載する予定の文書報告を御参照願いたいと存じます。
 最後に、今回の海外視察に際し、御協力いただいた関係各省庁、在外公館及び視察先の関係者各位に対し心から感謝申し上げ、報告を終わります。
#7
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 以上で報告の聴取は終わりました。
 派遣議員のうち、御意見等のある方は順次御発言願います。内藤正光君。
#8
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございますが、私から二、三補足意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず第一点は、ニュージーランドの規制緩和についてでございます。
 七〇年代から八〇年代の危機的な状況から抜け出るため、一九八四年に発足したニュージーランドの労働党政権は一連の規制撤廃を断行しました。そして九〇年代、ニュージーランドの規制撤廃は輝かしい成功事例として世界の注目を集めるに至ったわけでございます。しかしその後、七〇%もの国民の所得は大きく減少し、貧富の格差は拡大するなど、国民の間に改革の先に極楽浄土はなかったという失望感が大きくなってきたそうでございます。
 カンリフ財務大臣は、ニュージーランドの改革がこのような結果に終わった理由として三つの理由を挙げておりました。
 一つは、国民の完全な合意がなかったこと、二つ目は、経済発展を推し進めるほどには規制緩和のインパクトが十分ではなかったこと、そして三つ目は、ニュージーランド以上に世界は大きく変化していたこと、この三点を挙げていました。
 私は、民間の自由な発想や活動を阻む規制は早急に撤廃していかなければならないと固く信じている者の一人ではあります。しかし、後であの改革は失敗だったと言われないためにも、十分なセーフティーネットの整備や産業再生策の実施に加え、カンリフ財務大臣のこれら三つの指摘は十二分に勘案していかなければならないというふうに考えております。
 二つ目、シドニー空港の民営化についてでございます。
 シドニー空港の民営化はオーストラリア政府が断行した注目すべき改革の一つであります。民営化について当初、航空会社を中心とする強い反対意見があったのですが、結局は利用者の増加などにより二〇%もの収益増をもたらし、そして国は五十六億オーストラリア・ドルもの売却益を手にしたわけでございます。
 今、諸外国に比べ割高な発着料や既得権益を擁護する各種の規制などにより、アジアにおける日本の空港の地盤沈下が進んでおります。逆に、中国や韓国などのアジア諸国はアジアにおけるハブとしての地位を競い合うように空港の改善に積極的に取り組んでいるところであります。これ以上の日本の空洞化に歯止めを掛けるためにも、民営化なども視野に収めながら早急な日本の空港事業の改善が必要だと考えております。
 三点目、最後でございます。
 日本と特にオーストラリアとの違いとして、今回の視察を通じて多くのこと、理由を感じ得たわけなんですが、一つは、国民に安心を与える年金や医療などの社会保障制度の確立、二つ目は、どんな生き方を選んでも決して食いはぐれることのない自由さ、そして政策決定プロセスの透明性など、こういった事柄を今回の視察を通じて改めて日本とオーストラリアとの間の違いとして認識させられました。
 しかし、これらのほかにも我が国にはない何かがこのオーストラリアにはあり、それがオーストラリア国民に豊かさを充実させている。それは何かずっと考えました。そして、現地に長く暮らす日本人とも話し合ってみたんですが、それは皆が努力して作り上げた美しい町並みではないか、そんなことにたどり着いたわけでございます。
 一つ一つの家は決して大きくもなく、また豪華でもないんですが、調和を醸し出すその町並みは住む人々にえも言われぬ余裕を与えてくれます。そして、その美しい町並みは決して天与のものではなく、地域市民が努力して作り上げた結果だったのです。そして、その裏には何があるのかといえば、敷地面積や庭の広さあるいは塀の高さなどに至るまでいろいろと厳しい規制があり、そしてその下に周りと調和を保つよう地域住民が一人一人が努力をしていたわけでございます。
 美しい町づくりを進めるためには、まず住民の意識が優先されるべきだとは思いますが、土地利用に関する法規制もある程度までは必要ではないかというふうに考えます。真に豊かさを感じられる国づくりを目指して、社会保障制度の拡充と併せて、今後、土地利用の在り方についても私としては目を向けていきたい、そんなふうに考えております。
 以上でございます。
#9
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 西山登紀子さん。
#10
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 今回、私は、「真に豊かな社会の構築」をテーマにして三年間の調査を継続する重要な委員会の海外調査に参加できまして、大変勉強させていただきました。ありがとうございました。
 豊かさとは何か、経済大国日本の国民が本当の豊かさを実感できないのはなぜか、どうしたらいいのか、この問題意識を絶えず発信しながら、六人のメンバーの皆さん、とりわけ女性は私一人でしたけれども、とても有意義な調査ができたと考えております。
 私にとりましてはニュージーランドは初めての訪問でした。もちろんオーストラリアもそうです。しかし、ニュージーランドは世界で最も早く、一八九三年、女性参政権を取り入れた国であり、男女平等の未来社会の構築に示唆が得られるものと大変期待して臨みました。
 以下、ニュージーランドについてのポイントのみ補足報告をさせていただきます。
 まずその第一、ニュージーランドの男女平等の進展について、オークランド大学での懇談の問題です。
 ニュージーランドは、国内には八つの大学があり、すべて国立です。オークランド大学は五一%が女性の学生、教員の三八%、一般事務職を入れると五八%が女性だそうです。毎年政府に雇用の機会均等の状態を報告を出す義務のあるEEOという担当部署がありまして、そこの方と懇談をいたしました。
 オークランド大学では、女性とマオリと障害者を平等に対処する方針であること、ファミリーフレンドリーな施策を取ることは大切であること、女性が仕事を持つことの障害を取り除くことが必要であって、大学構内にはマオリを含めて四つの保育所がありました。正常勤務は九時から五時ですが、出産後はその時間帯から外れてパートタイムになることは可能です。学校のお迎えは三時、親が車で迎えに行くようなんですが、子供の病気の際は男女ともに自分の病欠を使えるようになっているそうです。しかし、実際は女性が主に消化をしていると聞きました。研究休暇も取れます。保育待機児は少しはあるそうで、不便なところに預けたりすることもあると言われました。国立大学や企業にこうした男女平等の状態や推進策の報告義務を負っているEEOというシステムは大変興味を持ちました。
 二番目に、ニュージーランドの雇用、M字カーブなどについてです。
 男女別、年齢別の労働力率をニュージーランド政府から取り寄せてもらいましたが、日本ほど顕著ではないものの、いわゆるM字カーブは存在をしていました。その理由は、日本のように両立困難なためか、それとも家庭保育を望む女性が多いのか、調査はできておりませんけれども、日本と異なる点は、女性の出産年齢期間の間、少し労働参加率が減少しますが、その後の復帰の伸びが大きく、四十代では八〇%を超える水準まで回復しているということです。台形型ではないところに興味を持ちましたし、また、日本の女性の機会費用が四千万から五千万という非常に高い額であることも併せて今後の研究が必要と考えました。
 三番目に、サモア出身のフィールド議員との懇談での印象でございます。
 フィールド議員との懇談で、少子化対策を聞きました。少子化対策は特にないということ。浜辺に人がいない、広々としていていいと。生活の質を、クオリティーを維持したいというお話でした。
 女性の政治進出はとお伺いしますと、議員百二十人のうち女性は三六%、内閣の二十人中六人と閣外大臣二十八人のうち八人が女性である。総督も女性、首相も女性。女性の目から見た社会問題がインプットされていいというお話でした。子育てや家族のきずなが大切だから、女性の政治参加は大切だと言われたわけです。
 駆け足の調査でしたが、人口わずか四百万足らずの小さな国ながら、大きな誇りとポリシーを持っているという印象を受けました。ホームレスもない、四人に一人がヨットを持って、セーリングやガーデニングが余暇の過ごし方だということ。男女ともに五時には仕事から帰る。店も五時に閉まり、社会全体の余暇の過ごし方は非常に注目に値します。
 ただ、南太平洋の楽園との観光PRなどがあるわけですけれども、先住民との共存の課題や刺激の少ないのが難点で、カジノはオークランドの真ん中にありました。若い人がオーストラリアに出ていく就職問題も深刻だと聞きました。また、南極のオゾンホールによる被害も深刻で、死亡原因の一位は交通事故、鉄道はありません。二位は皮膚がんという独自の問題を抱えていることを伺いました。地球規模の未来社会についても非常に深刻な問題を抱えていると思いました。
 以上、印象として報告させていただきます。ありがとうございました。
#11
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 島袋宗康君。
#12
○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康でございます。
 今回の海外派遣を通じまして、特に感じましたことを二点ばかり述べたいと思います。
 一つは、ニュージーランドのオークランド大学託児所についてであります。
 大学内には四つの託児所がありますが、訪れた施設は、乳児から二歳までの子供を預かる保育園一と、三歳から五歳までの子供を預かる保育園二であります。主に学生の子供を優先的に預かりますが、一般の人も利用しているとのことであります。私たちが訪れたときは朝の通園時間帯で、父親が同伴してくるのが目立っておりました。
 保育園一では、訪れたときちょうど小さな子供たちが朝食をしておりました。ここでは、朝食と昼食は弁当持込みで、おやつは各自好きなときに食べるということであります。お昼寝の時間もありますが、子供の自由に任せているというかなり自由な保育体制を取っているようであります。子供たちも伸び伸びとした様子であります。
 保育園の運営は大学が民間の専門会社に委託しておりまして、開園時間は午前七時から午後五時までです。大学が午後六時までなので、余り遅くなる人はいないということですが、遅い人は職場に連れていくそうであります。また、家庭の主婦のため、幼稚園が終わった後、少しの時間預かることもあるそうです。
 このような実情を見て感ずることは、職場に近いところに託児所があるということが働く親と子供にとってどれだけよいことかということです。親と子がしっかり近くにいる安心感や、働く親と子の触れ合う時間を少しでも増やすことができるということは大事なことであります。こうした職場に託児所を設けている例は、オーストラリアの外務貿易省にも見られました。
 我が国において、保育所待機児童の解消が政策課題になっており、保育所の拡充が求められていますが、その際、このような職場に近接した保育所、職場内の託児所の設置を推進していくべきだと考えます。
 次に、観光産業の振興と自然保護についてであります。
 オーストラリアのケアンズにあるクインズランド州環境保護局北部事務所を訪れ、自然保護の実態について説明を受けました。北部事務所は、世界遺産に登録されているグレートバリアリーフ、熱帯雨林を管轄する州の自然保護機関ですが、管内の自然保護として、野生生物の保護や観光客の受入れも管理しているということであります。北部事務所の話では、私たちが訪れたグリーン島への上陸についても一日千人という人数制限を設けて、観光と自然の保護の調和を図っているということです。
 私にとっては、沖縄のようにきれいなサンゴ礁の海が強く印象に残りました。それを維持するための努力も大切だと感じました。
 オーストラリアは、連邦政府としても観光振興戦略を立て、観光資源保護の取組に力を入れております。特に、グレートバリアリーフについては、グレートバリアリーフ海洋公園管理局を設置し、サンゴ礁の保護を行っており、タウンズビルのジェームズ・クック大学にはグレートバリアリーフ世界遺産区域研究センターを設け、研究者やサンゴ管理者らによる調査研究を行っています。
 沖縄にも石西礁湖地区や崎山湾海域には豊かなサンゴ礁が発達しております。これらの自然環境を維持しながら観光資源としての活用を図ることも大事だと思います。そのため、我が国においても、観光振興と自然保護の観点から、沖縄や奄美などの南西諸島海域の自然環境の保護や野生生物の保護について研究する機関の設置が必要であると痛感した次第でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#13
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 以上をもって海外派遣報告についての意見表明は終了させていただきます。
    ─────────────
#14
○会長(勝木健司君) この際、御報告いたします。
 本調査会は、今期の調査項目を「真に豊かな社会の構築」とすることに昨年十一月に決定し、グローバル化が進む中での日本経済の活性化と社会経済情勢の変化に対応した雇用と社会保障制度の在り方をサブテーマとして調査を進めてまいりました。
 その調査の過程で出された意見を踏まえて協議を行いました結果、本日の理事会におきまして、二年目の調査のサブテーマにつきましては、国民意識の変化に応じた新たなライフスタイルとすることで意見が一致いたしました。
 また、具体的な調査の内容につきましては、地域社会の活性化と課題、少子高齢社会における多様なライフスタイルを可能とする働き方、都市と農山漁村との交流、世代間交流等、新たなライフスタイルの実践と課題、個の確立を促す教育、学習の在り方、ボランティア、NPO・NGO活動等社会参加システムの在り方などを中心に調査を進めていくことといたします。
 委員各位の御協力をお願いいたします。
    ─────────────
#15
○会長(勝木健司君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○会長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○会長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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