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2002/11/11 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 行政監視委員会 第1号
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2002/11/11 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 行政監視委員会 第1号

#1
第155回国会 行政監視委員会 第1号
平成十四年十一月十一日(月曜日)
   午後零時三十一分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         白浜 一良君
    理 事         佐藤 泰三君
    理 事         清水 達雄君
    理 事         田名部匡省君
    理 事         渡辺 秀央君
                大野つや子君
                加納 時男君
                北岡 秀二君
                近藤  剛君
                橋本 聖子君
                林  芳正君
                福島啓史郎君
                森下 博之君
                森元 恒雄君
                吉田 博美君
                若林 正俊君
                脇  雅史君
                浅尾慶一郎君
                池口 修次君
                岩本  司君
                小川 勝也君
                岡崎トミ子君
                鈴木  寛君
                高嶋 良充君
            ツルネン マルテイ君
                続  訓弘君
                山本 香苗君
                岩佐 恵美君
                西山登紀子君
                大渕 絹子君
    ─────────────
   委員の異動
 十月十八日
    辞任         補欠選任
     清水 達雄君     亀井 郁夫君
     大野つや子君     鶴岡  洋君
     大渕 絹子君     森 ゆうこ君
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     亀井 郁夫君     清水 達雄君
 十月二十四日
    辞任         補欠選任
     林  芳正君     谷川 秀善君
 十月二十五日
    辞任         補欠選任
     谷川 秀善君     林  芳正君
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     近藤  剛君     西銘順志郎君
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     西銘順志郎君     近藤  剛君
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     岩本  司君     藤原 正司君
     小川 勝也君     今泉  昭君
     鈴木  寛君     若林 秀樹君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         白浜 一良君
    理 事
                北岡 秀二君
                佐藤 泰三君
                高嶋 良充君
                続  訓弘君
                田名部匡省君
                渡辺 秀央君
    委 員
                加納 時男君
                近藤  剛君
                清水 達雄君
                橋本 聖子君
                林  芳正君
                森下 博之君
                森元 恒雄君
                吉田 博美君
                脇  雅史君
                浅尾慶一郎君
                池口 修次君
                今泉  昭君
                岡崎トミ子君
            ツルネン マルテイ君
                藤原 正司君
                若林 秀樹君
                鶴岡  洋君
                山本 香苗君
                岩佐 恵美君
                西山登紀子君
                森 ゆうこ君
   国務大臣
       国務大臣     石原 伸晃君
   政府特別補佐人
       人事院総裁    中島 忠能君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        白石 勝美君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関
 する調査
 (公務員制度改革に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(白浜一良君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。
 議事に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る七月三十一日の本会議におきまして行政監視委員長に選任されました白浜一良でございます。
 委員長としてその職責の重大さを痛感している次第でございます。
 委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りまして、円滑かつ公正な運営に努め、職責を全うしてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#3
○委員長(白浜一良君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十月十日、又市征治君が委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。
 また、去る十月十七日、小川敏夫君、千葉景子君、山本孝史君、大塚耕平君、松井孝治君、森本晃司君、中島眞人君、阿南一成君、森田次夫君及び岸宏一君が委員を辞任され、その補欠として高嶋良充君、小川勝也君、浅尾慶一郎君、池口修次君、ツルネンマルテイ君、山本香苗君、北岡秀二君、森下博之君、加納時男君及び橋本聖子君が選任されました。
 また、去る十月十八日、大野つや子君及び大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として鶴岡洋君及び森ゆうこ君が選任されました。
 また、去る十一月八日、小川勝也君、鈴木寛君及び岩本司君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君、若林秀樹君及び藤原正司君が選任されました。
    ─────────────
#4
○委員長(白浜一良君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(白浜一良君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に北岡秀二君、高嶋良充君及び続訓弘君を指名いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(白浜一良君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(白浜一良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(白浜一良君) 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。
 本日は、公務員制度改革について政府から説明を聴取することといたします。
 まず、行政改革推進本部から説明を聴取いたします。石原国務大臣。
#9
○国務大臣(石原伸晃君) 行政改革担当大臣といたしまして、公務員制度改革の取組について御説明をいたします。
 行政改革は、小泉内閣の推進する聖域なき構造改革の最重要課題の一つであり、その中で、公務員制度改革は、特殊法人等改革及び公益法人制度改革とともに行政改革の主要な課題であります。政府は、行政改革大綱において、平成十七年度までの集中改革期間に各般の行政改革を実施することとしており、私といたしましては、公務員制度改革等の行政改革を着実に進めるため、全力を尽くしてまいる所存でございます。
 小泉内閣の下であらゆる分野での改革を進めようとしている現在、公務員には、既存の価値観にとらわれず、国民の視点に立った新たな政策を企画立案することや、ただ前例を踏襲し予算を消化するのではなく、コスト意識や顧客サービス意識の徹底を図ることなどが求められています。
 公務員制度改革は、こうした国民の皆様の求めに応じ、公務員の意識、行動原理を改革することで、行政の在り方自体を根本から改革しようとするものであります。
 公務員制度改革は、元をただせば平成十三年一月に実施された中央省庁改革との車の両輪を成すものであります。平成九年十二月に行政改革会議がまとめた最終報告では、自由かつ公正な社会を形成するにふさわしい二十一世紀型行政システムとして、総合性、戦略性の確保、機動性の重視、透明性の確保、効率性、簡素性の追求を追求することとしています。
 このため、内閣機能の強化を始め、中央省庁の再編、情報公開・政策評価制度の整備等が行われ、内閣及びその構成員である各主任大臣が広い権限と明確な責任を持って大胆かつ機動的な行政運営を遂行するとともに、常に内閣及びその構成員の責任が国民の代表である国会から問われる内閣主導の枠組みの構築が図られてきたところであります。
 中央省庁改革が行政改革の第一弾として組織の抜本的見直しを行う言わばハードウエアの改革であるとするならば、公務員制度改革は、これに続く行政改革の第二弾として、組織を支える人の問題に関する言わばソフトウエアの改革と位置付けられるものであります。
 公務員制度改革を推進するため、平成十三年一月には、内閣官房に設けられた行政改革推進事務局に公務員制度等改革推進室を置き、各府省、人事院、民間企業等から改革意欲に富んだ人材を集め、検討を進めてまいりました。また、検討に当たっては、各府省の若手職員等に対するヒアリング、民間企業の事例研究を行うとともに、人事院等の制度所管省庁、各府省及び職員団体との意見交換を実施しつつ、中央省庁改革の精神に沿った公務員制度の実現を図るため、検討を進めてまいりました。
 公務員制度改革は、公務員の行動原理に直接影響するもので、行政制度改革の中核に位置付けられます。国民の厳しい批判にこたえて、正すべきところは正しつつ、公務員が誇りを持って働けるような制度を実現する必要があると考え、まず、昨年三月二十七日に公務員制度改革の大枠を内閣官房主導の下に取りまとめ、それにのっとって検討を進め、昨年六月二十九日には、公務員制度改革の基本設計を行政改革推進本部で決定し、この改革のグランドデザインを明らかにしました。さらに、昨年十二月二十五日には、公務員制度改革に向けた法制化等の具体的な内容、平成十七年度までの集中改革期間におけるスケジュール等を盛り込んだ公務員制度改革大綱を閣議決定しました。
 ここで、大綱の内容を簡単に説明させていただきます。
 昨年十二月に閣議決定された大綱で示された主な改革の内容は、国民を代表する国会に対して責任を持つ内閣及び各主任大臣等が人事行政について主体的に責任を持って取り組む枠組みを構築すること。内閣が人事管理に係るルール設定を行うとともに総合調整機能を発揮すること、各主任大臣等を人事管理権者として制度上明確に位置付けること、機動的な行政運営を行う上で制約となっている人事院の事前チェックの仕組みを事後チェックの仕組みへと転換すること。職務遂行能力に応じて職員を等級に格付ける能力等級制度を導入し、これを任用、給与、評価の基準として活用すること。能力等級制度を基礎とした新たな任用制度を整備し、真に能力本位で適材適所の人事配置を実現すること。職員一人一人の貢献度をその能力、職責、業績に応じて適切に反映した、能力向上と業績達成に対するインセンティブに富んだ給与処遇を実現すること。公正で納得性の高い評価制度を導入し、救済制度を充実すること。職員の能力・資質向上のための計画的な人材育成の仕組みを整備し、職員の主体的な能力開発を促進すること。勤務実績不良者等の不適格者に対し厳正に対処するため、明確な基準及び手続を定めること。多様な人材を確保するとともに、人的資源の活用を図ることとし、行政ニーズに即した有為な人材を確保するため、採用試験の企画、立案を内閣が主体的に行う仕組みに転換するとともに、より多くの候補者の中から人物本位で採用者を決定できるよう試験制度を見直すこと。公務員の再就職が天下り問題として国民の強い批判があることを真摯に受け止め、国民の信頼を確保し得るルールを確立すること。財政民主主義及び勤務条件法定主義の下で、勤務条件に関連する事項について人事院が関与することとし、労働基本権制約に代わる相応の措置を確保することであり、これらの改革内容はすべて二十一世紀型行政システムの実現に向けた流れに位置付けられ、これまでの行政改革の大きな流れの中に位置付けられるべきものであります。公務員制度全体の基礎となる国家公務員法の改正はその具体的な現われであり、こうした観点を踏まえて改正作業を進めていくことが肝要であります。
 公務員制度改革については、昨年十二月に閣議決定した大綱に基づき、現在、内閣官房が中心となって、各制度の具体的な設計について、関係各府省等とも議論を行いながら鋭意検討を進めているところであります。
 今年三月十五日には、特殊法人等の役員の給与の平均一割削減及び退職金の平均三割削減を内容とする特殊法人等の役員の給与・退職金等についてを閣議決定し、四月から実施したところであります。
 また、四月二十六日には、大綱を踏まえ、行政職の能力等級を中心とする新人事制度の考え方を明らかにするために取りまとめた行政職に関する新人事制度の原案を各府省等に提示し、意見交換を行うとともに、一般の行政職以外の職種についても、行政職についての改革案を踏まえ制度の検討を進めているところであります。
 さらに、八月二日には、平成十六年度以降の採用試験について、試験結果中心の採用から人物評価重視の採用へと転換すること、採用試験制度の企画、立案を内閣が行うこと、キャリアシステムを見直し能力重視の人事管理を推進すること、大学院修了レベルの人材への対応を行うことを内容として見直しを図ることとする採用試験の抜本改革の在り方を行政改革推進本部で決定しました。
 また、現在、国家公務員法の改正案の策定を進めるに当たり、法律で規定すべき事項は何か、法律に基づき下位規範で規定すべき事項は何かなどの様々な論点について整理し、検討を始めているところであります。
 政府といたしましては、今後とも大綱の一層の具体化に向け、制度所管省庁、各府省及び職員団体とも意見交換を行いながら検討を進めていく所存であります。いずれにせよ、今後とも関係者から幅広く意見を伺いながら制度の具体化を図っていくことを考えており、所要の法律案の取りまとめに努力してまいる所存であります。
 公務員制度全体の基礎となる国家公務員法の改正案については平成十五年中を目標に国会に提出することを考えており、あわせて関係法律案及び政令、各府省令等の下位法令の整備を平成十七年度末までに計画的に行い、全体として平成十八年度を目途に新たな制度に移行することを目指すこととしています。
 以上申し上げましたように、今回の公務員制度改革は、平成十三年一月に発足した新しい中央省庁体制という器に魂を入れようという試みであり、半世紀以上も前に構築された人事行政システムの枠組みを根本から見直し、国民の視点に立った行政を実現するとともに、公務員が使命感と誇りを持って国民のために働くことのできる制度の確立を目指すものであります。この改革を真に実効あるものとするためには、単に制度を改めるだけでなく、現在の行政組織の風土や公務員の意識を改革することが必要であり、正にこれからが正念場となります。平成十七年度までの集中改革期間内に多岐にわたるすべての改革を具体化するため、大綱で示した全体の改革スケジュール、改革に向けた法制化等の作業を進めてまいる所存であります。
 委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
#10
○委員長(白浜一良君) 大臣、退席、結構でございます。
 次に、人事院から説明を聴取いたします。中島人事院総裁。
#11
○政府特別補佐人(中島忠能君) 本日は、行政監視委員会における御審議に当たり、公務員制度改革に関する人事院の所見について御説明申し上げる機会を与えていただき、厚くお礼申し上げます。
 まず最初に、公務員制度改革についての所見を申し述べるに当たり、公務員制度の目的と人事院の役割について御説明させていただきます。
 公務員制度は、公務の民主的かつ能率的な運営を国民に保障するため、公務員が中立公正かつ能率的に職務遂行に当たるために必要な枠組みを設定することを目的としております。人事院は、こうした目的を果たすため、内閣の所轄の下に置かれた中立第三者機関として、公務員人事制度の中立公正性の確保と労働基本権制約の代償機能等の責務を担い、人事行政の専門機関として、公務員制度の企画、立案及び運営に携わっております。
 公務員人事制度の中立公正性という点について敷衍しますと、憲法十五条に定められた全体の奉仕者である公務員が、特定の利害や政治的影響を受けることなく、不偏不党な立場で効率的に職務を遂行できる枠組みを設定することが公務員制度の基本であります。
 そのため、独立の行政委員会としての人事院が、公務員人事管理の中立公正性の確保に必要な基準、例えば採用、身分保障、政治的行為の制限に関する基準等を設定するとともに、採用試験、研修、営利企業への再就職規制など、公務員としての職業生活の節目節目で中立公正性を確保する役割を担っております。
 次に、労働基本権制約の代償機能について御説明申し上げます。
 国家公務員については、全体の奉仕者としての地位の特殊性と職務の公共性から労働基本権が制約されております。その代償措置として、人事院が労使交渉に代わるものとして、給与制度や給与水準等の勤務条件に関する勧告や意見の申出を行うとともに、法律の委任を受けて、例えば「初任給、昇格、昇級等の基準」その他の職員の処遇にかかわる人事院規則を制定し、その中で昇格基準や給与格付に当たっての職務の分類基準を定めるなど、勤務条件の基準を設定するという役割を担っております。
 第二に、公務員人事管理の現状認識と改革の課題について申し上げます。
 まず、公務員人事管理の現状認識ですが、今回の改革案では、時代の要請に応じた政策の立案や国民のニーズにこたえた行政サービスの提供が効率的に行われていないのではないかとの認識の下、政策決定上の立案能力の強化と、前例踏襲主義、予算消化主義等を改めるため、能力、業績に基づく任用、給与、評価制度の導入が必要との方向性が示されております。
 私どもも、基本的には問題意識を同じくするものであり、能力に基づく採用、昇進管理や職責、業績に基づく給与処遇を推進する必要があると考えています。
 近年、不祥事の続発や様々な分野におけるいわゆる行政の失敗が指摘され、また公務員の使命感や士気の低下が言われております。
 人事院としても、年次報告等においてこういった問題の要因を分析し、解決の方向性を示してきたところですが、公務員制度上の大きな問題としては、例えば年功的、閉鎖的な人事管理や特権意識と結び付いたキャリアシステム、国民不在のセクショナリズムの弊害といった点が挙げられます。人事院として、人事行政の継続性、安定性を重視する余り、そのような運用を黙視してきた面があることについては、率直に認めざるを得ないと思います。
 時代の要請に応じた行政運営に資するよう、機動的、弾力的な人事管理を行い得る仕組みとすることは重要でありますが、公務員の人事制度は各府省が担当している個別行政の基盤となる制度であり、同時に、民主的にして中立公正な行政運営に資するものであること、公務組織の円滑な運営に資する納得性の高い制度であることが必要と考えます。
 次に、改革課題のとらえ方について申し上げます。
 公務員制度に対する国民からの声に耳を傾けますと、セクショナリズム、キャリアシステム、天下り、幹部公務員の不祥事等に対して極めて強い批判が寄せられています。今年、人事院が国民に対し行ったアンケート調査においても、省益重視、エリート意識、天下り、事なかれ主義といった点が公務員の問題として指摘されています。
 公務員制度について現在求められている改革は、このような国民の批判に正面からこたえることであります。人事院としては、今年の夏の報告でも述べたところですが、国民全体の奉仕者を確保、育成することを基本に、採用試験改革やキャリアシステムの抜本的見直し、不祥事の防止と厳正な服務規律の徹底、セクショナリズムの是正施策の確立、天下り問題を始めとする退職管理の適正化、職務、職責を基本とした能力実績主義の確立等を制度、運用の両面から図っていく必要があると考えます。
 第三に、現在進められている改革に対する所見を申し上げます。
 現在、その具体化に向けた作業が進められておりますが、公務員制度改革大綱が公にされて以降、本委員会を始め国会の各委員会において活発な質疑がなされているほか、マスコミ、学界、有識者から様々な意見や問題点が指摘されております。
 そのような批判の多くに共通するものとして、まず、今回の改革の検討プロセスが透明性を欠いており、各方面での多角的な議論や職員団体など関係当事者との意見調整が不十分といった指摘があります。
 また、改革の内容については、霞が関に勤務するT種採用職員を念頭に置いたお手盛りとの批判や、本省庁から地方機関までの多種多様な職務に従事する一般職員も念頭に置いた実効性ある改革という視点が十分でないとの指摘が示されております。同時に、セクショナリズムの問題やキャリア問題など、国民の関心に十分こたえていないとの声も示されています。
 こうした視点に立ち、今後、大綱を具体化するに当たっては、開かれた場で広く議論を行い、あるべき改革案をまとめていく必要があると考えます。
 以下、改革案に示されている個別事項について、主要な点を申し述べます。
 まず、改革案における営利企業への再就職の大臣承認制については、各方面から厳しい批判が寄せられています。
 公務員制度に対する国民の最大の批判の一つが天下り問題であり、その批判は営利企業への天下りに限らず、特殊法人、公益法人等への天下りを含めたものに及んでいます。この点を考えますと、今回の改革では、こういった再就職全般について、大臣承認ではなく、内閣が一括管理する方向で検討する必要があると考えます。あわせて、天下り問題を根本的に解決するため、幹部公務員の早期退職慣行を是正する必要があり、これについては、現在政府内で計画的に進められている取組を着実なものとする必要があると考えます。
 次に、改革案で示されている幹部要員の早期選抜と計画的な育成は、今後行政が複雑化、国際化する中でますます重要と考えますが、他方、現在のキャリアシステムについては、いたずらにT種採用職員の特権意識を醸成し、優秀なU、V種採用職員の意欲を喪失させているなどの弊害が指摘されており、この際、キャリアシステムの見直しの問題として早急に改革を行うことが適当と考えます。
 この問題とも関連いたしますが、大綱で提言されたT種採用試験の合格者の四倍への増加については、各府省における採用の選択幅は広がるとしても、一方で採用に結び付かない合格者を大幅に増加させることとなり、地方大学、受験生等から強い懸念が示されている中で、慎重に検討すべき問題と考えます。また、不透明との批判のある最終合格前の内々定の慣行については廃止する必要があると考えます。
 能力、実績に基づく人事管理を実効あるものとしていくためには、抽象的な能力ではなく、それぞれが分担する具体的な職務、職責を基本とし、能力、実績等が十分反映される任用・給与システムの構築を目指す必要があると考えます。これまでも、能力・実績主義の理念の下で、制度の趣旨に沿った運用が実際には行われてこなかったことにかんがみると、能力という計測が容易でない要素に立脚することには限界があるため、大綱が掲げる能力等級制度とこれを支える評価制度については、改革理念に沿って適切な運用がなし得るのか、今後十分な検証が必要と考えます。
 最後に、内閣と人事院の機能分担について言及させていただきます。
 今日、国政における政治主導を徹底するため、内閣機能の強化が目指されております。この場合、内閣の機能は、国の基本方針、総合戦略を策定し、その意図するところを行政各部に浸透させることが基本であると認識しますが、公務員人事管理においても、内閣はその本来的な機能にのっとり各省を指揮、調整する立場にあるものと考えます。
 今回の改革においては、内閣が主体的に責任を持って人事制度自体について幅広く設計、運営に当たることとし、そのため内閣と人事院の機能分担の整理が取り上げられています。しかし、公務員制度においては、公務員人事管理の中立公正性と代償機能の確保が基本理念として要請されており、法律の委任の下で、人事院が必要な基準の設定等に当たる仕組みとする必要があることを念頭に、制度設計を行う必要があると考えます。
 なお、各府省大臣は、こうした枠組みの下で、任命権者として採用、昇進、退職管理など所属職員に対する人事権を行使し、機動的、弾力的な行政運営を図る仕組みとすることが適当と考えます。
 現在検討中の改革案によれば、公務員制度の基本事項は法律で、下位規範については人事院に代わって内閣が政令で定めることを基本としています。しかしながら、内閣の性格や役割に照らした場合、採用試験その他の公務員人事管理の中立公正性にかかわる事項については、内閣と人事院とが相互に連携を図りつつ、人事院が基準設定等の適切な役割を担う仕組みとすることが適当と考えます。
 また、労働基本権の制約が変わらないのであれば、公務員の勤務条件の設定について、代償機能が適切に発揮される仕組みが維持される必要があると考えます。使用者の立場に立つ内閣が勤務条件に関する事項を政令で定めるとすることは、憲法上の疑義が生じ、公務員の労働基本権の在り方が問題になると考えます。
 人事院の機能に関し、大綱において事後チェック機能の重視とその充実が言われています。人事院としても、事前の承認や協議については既に大幅な基準化や廃止を行ってまいりました。現在残されているものは基本的に基準化が困難な例外的なケースに限られておりますが、今後とも、各府省人事当局からの具体的な要請に応じて、十分に協議しながらできる限り基準化を図るとともに、事後チェックの仕組みを充実させたいと考えております。しかしながら、そのことと基準の設定主体の在り方とは別の問題であり、基準の設定は、あくまでそれぞれの制度の趣旨や目的に従い、それぞれ適切な機関がこれに当たることが必要と考えます。
 以上、公務員制度改革に関する所見を申し述べさせていただきました。
 公務員制度の在り方は、行政運営を支える基盤として国民生活を左右する重要な問題であります。人事院としても、あるべき公務員制度に向けて適切にその役割を果たしてまいりたいと考えておりますが、本委員会において幅広く御審議がなされるようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#12
○委員長(白浜一良君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 総裁、退席、結構でございます。
    ─────────────
#13
○委員長(白浜一良君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(白浜一良君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(白浜一良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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