くにさくロゴ
2002/11/19 第155回国会 参議院 参議院会議録情報 第155回国会 法務委員会 第7号
姉妹サイト
 
2002/11/19 第155回国会 参議院

参議院会議録情報 第155回国会 法務委員会 第7号

#1
第155回国会 法務委員会 第7号
平成十四年十一月十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十五日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     柏村 武昭君
     川橋 幸子君     角田 義一君
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     鈴木  寛君     江本 孟紀君
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     松山 政司君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                松山 政司君
                江田 五月君
                江本 孟紀君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   山崎 敏充君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       警察庁刑事局長  栗本 英雄君
       総務省人事・恩
       給局長      久山 慎一君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  中井 憲治君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       法務省入国管理
       局長       増田 暢也君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、川橋幸子君及び愛知治郎君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び柏村武昭君が選任されました。
 また、昨十八日、鈴木寛君が委員を辞任され、その補欠として江本孟紀君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁刑事局長栗本英雄君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、法務大臣官房長大林宏君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長中井憲治君、法務省人権擁護局長吉戒修一君及び法務省入国管理局長増田暢也君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○江田五月君 おはようございます。
 裁判官の報酬それから検察官の俸給を決めた法律のそれぞれの改正案について質疑をいたします。
 給与全般について、あるいは今の経済状況の下での給与の在り方、官民の給与の水準の問題、その是正の方法、公務員の給与の制度などなど、いろんな問題点がございますが、それらは一切、今日は、一般職の公務員の給与あるいは特別職の給与の法案の審議が既にもう終わっていますので、そちらに譲ることにいたしまして、ここでは専ら裁判官と検察官、とりわけ検察官の方は裁判官の給与とリンクをさせておりますが、検察官の給与について憲法上の規定が別にあるわけじゃないので、裁判官の給与については憲法上の規定があるので、その関係のことを聞いてまいりたいと思います。
 確認しておきたいんですが、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、これは裁判官の報酬を減額するものであると、これは間違いないですよね。大臣、いかがですか。
#7
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございます。
#8
○江田五月君 法律の中には減額という言葉はないけれども、別表が変わって金額が下がるわけですから、これはもう減額。これは言葉の定義ですから。
 それからもう一つ、憲法に最高裁の裁判官と下級裁判所の裁判官に分けてですが、条文があって、これは「減額することができない。」という規定になっていて、この憲法で言う減額ということと今回の法律で言う減額、法律では言っていないんですが、法律が実際行う減額、これは同じことであると、これも間違いないと思うんですけれども、いかがですか。
#9
○国務大臣(森山眞弓君) 憲法の解釈ということを法務省がするという立場ではないのでございますけれども、結果として報酬が減るということが現実であるというのはそういうことでございます。
#10
○江田五月君 減額という日本語は、これはもう日本語でございまして、余り法律家がそこでああだこうだと、ここで言う減額はどうでございましてとか、いわゆる最近の言い方で言うとああたらこうたらということをいろいろ言うのは何かやっぱりおかしいので、この憲法で書いてある減額という日本語が意味するところのものの中に今回の裁判官の報酬が現実に減ることになることは入っておると、これは間違いないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。引っ掛けで質問しているのではないので。
#11
○国務大臣(森山眞弓君) 減額という日本語の意味ということでお聞きになったと思いますが、額が減るということでは同じことでございます。
#12
○江田五月君 そうなんですよね。そこは、だから私、なぜそれをこだわるかというと、別にこだわるわけじゃないんですが、今回の裁判官の報酬法の改正は憲法問題を含んでいるんだと。そのことは、いや、憲法問題なんて関係ないんですという意識ではやっぱりまずいということで、憲法に書いてある「減額することができない。」と、あるいはそれを受けて裁判官報酬法ですか、減額されることはないというようないろんな規定がある。それがあるにもかかわらず、今回これこれこういうことがあるから減額するのであって、それは憲法上許されるとか許されないとか、そういう議論はやっぱり議論としてあって、そこは正面から議論をしなきゃいけないという趣旨で言っているんですが、その気持ちは、私の気持ちはお分かりでしょうね。
#13
○国務大臣(森山眞弓君) よく分かります。
#14
○江田五月君 分かっていただいてありがとうございます。
 もちろん、政府としてこういう法案をお出しになったわけですから、これはこの法案、改正案が憲法に違反するものではないという判断でお出しになっているんだと思いますが、しかし明文からいうとこれは憲法に抵触するとやっぱり読まないというわけにはいかないので、そうすると、言葉の上ではそうだけれども、あれやこれやいろんな事情があって、いやいや、こういうことだから今回は憲法違反という評価にならないんだと。評価の問題としていろんなことがあるんだろうと思いますが、どういう事情で憲法違反にならないというふうに政府の方はおまとめになっておられるのか、法務大臣、お答えください。
#15
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほども申し上げましたように、法務省は憲法の解釈をする権限があるわけではないのでございますが、法務省なりの考え方を申し上げますと、この憲法で言っております規定は、裁判官の職権行使の独立性ということを大変重要に考えまして、その独立性を侵さないようにと。つまり、経済的な側面から担保するというために相当額の報酬を保障することによって裁判官が安んじて職務に専念することができるようにするとともに、裁判官の報酬の減額については個々の裁判官又は司法全体に何らかの圧力を掛ける意図でされるおそれがないとは言えませんので、このようなおそれのある報酬の減額を禁止した趣旨であるというふうに解しております。
 今回の裁判官の報酬の引下げは、民間企業の給与水準の低下の状況等に関する客観的な調査結果に基づきまして、人事院勧告を受けて行われる国家公務員全体の給与引下げに伴いまして、法律によって一律に全裁判官の報酬についてこれと同程度の引下げを行うという趣旨でございまして、裁判官の職権行使の独立性とか三権の均衡を害して司法府の活動に影響を及ぼすというような意図もなく、またそのような現実もないというふうに思います。
 したがいまして、今回の措置は、憲法第七十九条第六項及び八十条第二項の減額禁止規定の趣旨に反するものではなく、裁判官の報酬のこのたびの減額は憲法の禁止する報酬の減額には該当しないというふうに解釈したものでございます。
#16
○江田五月君 この憲法の「減額することができない。」と書いてある意味あるいはその目的、これは減額をすることによって個々の裁判官の職権、独立した職権の行使に影響を与えたり、あるいは裁判官全体へ圧力を掛けたりということがないようにと、それはそうだと思うんですね。
 しかし、そのことはこういう規定を作るに至った動機といいますか事情であって、でき上がった規定自体は個々の裁判への干渉をしてはならないこと、あるいは裁判官全体への圧力を掛けてはならないことを経済的に担保するためになどということはどこにも書いていないんで、それらは全部言わばこういう規定ができてくる動機であって、そして書いてあるのは単に「減額することができない。」という文言しか書いていないわけですから、動機はどうであれ、減額できないと書いてあるんだから、減額したらそれは憲法に違反するんじゃないかと。減額できないと書いてあるのに減額するんですから、単純に考えればこれは憲法違反だと。いやいや、そこは複雑に考えなきゃいけないんだと。どうして複雑に考えなきゃいけないんですかね。
#17
○国務大臣(森山眞弓君) 憲法の違反になるのではないかという疑問がもちろんございまして、その点については法務省も特別の発言をしたわけではございませんが、最高裁におきましてそのようなことが違反にならないかどうかということを真剣に御検討いただきまして、このような事情の場合はよろしいのではないか、違反ではないのではないかというふうな結論を出していただきましたので、それを受けてこのような法案の提案ということになったわけでございます。
#18
○江田五月君 最高裁においてそういう結論を出したと、最高裁というのはどこのことを言うんですか。つまり、最高裁というのは二つありまして、一つは裁判官会議、これは司法行政を行う機関、もう一つは小法廷が三つある、そして大法廷があるという裁判を行う機関、どちらですか。
#19
○国務大臣(森山眞弓君) 裁判官会議で協議をされて、そして結論を出されたと聞いております。
#20
○江田五月君 裁判官会議というのは憲法判断をする場所ですかね。
#21
○国務大臣(森山眞弓君) 直接は裁判をするわけではないと思いますが、諸般の事情を考慮されて裁判官の報酬を含む裁判、司法行政全体について考えられるお立場から結論を出されたと思います。
#22
○江田五月君 憲法は、八十一条、最高裁判所は一切の法律などなどが憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所であるという規定がある。ここで言う最高裁判所というのは最高裁判所の裁判官会議ではないと思うんですね。これはそうではなくて、やはり事件として上がってくる最高裁に係属した事件を処理をする小法廷であり大法廷であるんで、したがって八十一条の規定に基づいて最高裁がこういう措置を取っても憲法違反ではないという判断したから憲法違反ではないということは言えないと、そうじゃないと。それでも最高裁が文句を言わないと言っているんだからというのは一つの事情にはなりますけれども、最高裁が言っているから憲法違反ではないという判断が公権的に下されておると、こういう理屈はないと思うんですが、いかがですか。
#23
○国務大臣(森山眞弓君) 厳密な理屈を申せば、そうなると思います。
#24
○江田五月君 理屈を言っているというよりも、日本の国の制度の根幹ですから、これは小さなことを言っているんではないんで、その辺はやはり法務大臣、もちろん当然認識していただいていると思いますが、仕分をきっちりしておいていただかなければならぬと思います。
 それから、これは最高裁の裁判官会議で、これはちょっと聞きましょうか、最高裁の裁判官会議はどういう議論をしてどういう結果になったかを、これを御報告ください。
#25
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) ただいまお話しの点でございますが、最高裁判所の裁判官会議におきまして議論がなされております。
 その会議では、憲法上、裁判官の報酬について特に保障規定が設けられております趣旨及びその重みを十分に踏まえて慎重に検討がされまして、人事院勧告の完全実施に伴い国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合に裁判官の報酬を同様に引き下げても司法の独立を侵すものではないということで、憲法に違反しない旨、確認されたところでございます。
#26
○江田五月君 確認をしたと。確認をした上で何かその後、措置を取られたんじゃありませんか。
#27
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) そういう判断に立ちまして、裁判所の方から立法の立案を所管する法務省に対しまして今回の裁判官報酬法の改正について法案の作成を依頼することを行ったわけでございます。
#28
○江田五月君 したがって、この立法は行政の方の発意でなされたというよりも、最高裁の裁判官会議で検討し、そして裁判官の報酬について国家公務員同様の引下げを行う旨の立法関係作業を依頼をすることを決めて、そして依頼をした、その依頼に基づいて立法作業が行われたと、こう理解していいんですかね。まず、最高裁の方、どうですか。
#29
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 仰せのとおりだと存じます。
#30
○江田五月君 法務大臣はいかがですか。
#31
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございます。
#32
○江田五月君 そういう立法依頼、立法関係作業の依頼がなくて、いや、これは行政としてこの際、裁判官の報酬も下げる必要があるというので、先ほどおっしゃったいろんな事情が全部クリアされているからというんで、行政のイニシアチブでこの給与を下げる立法作業をするということは、これはあり得る話ですか、あり得ないですか。いかがですか、法務大臣。
#33
○政府参考人(寺田逸郎君) あくまで一般論で申し上げるわけでございますが、ただいま最高裁からお話がございましたように、この問題は司法権に非常に密接に関連するところから、従前、最高裁の御依頼で、定員でございますとかあるいはこのような給与関係の法令につきましては事実上の依頼のようなものがあるわけでございます。しかし、理屈の上では、最高裁の方の依頼がなくても行政庁といたしまして法案の提出権があるわけでございますので、この点について法案提出ができないわけではございません。実際に、立法依頼と申しますのも、最高裁に法案の発議権が国会に対してございませんので、そういう形を取っているわけにすぎないわけでございます。
 私どもとしては、したがいまして理屈の上では行政庁として単独で裁判所関係の法律のお手当てをすることもあるというふうには考えておりますが、ただし冒頭に申し上げましたように司法権の独立というような問題もございますので、今後も従来の慣行というものはそれなりに尊重してまいりたいと、このように考えております。
#34
○江田五月君 司法権の独立、三権分立、その理屈から行政権には法案を提出する権限があるからそれは提出できるんだと。しかし、一般に司法の運営をどうするかということとちょっと違って、憲法上明文の規定で「減額することができない。」とあるわけですよね。これは司法の、個々の裁判官の独立と同時に司法権自体の独立を先ほどおっしゃったように経済的側面から担保するということで明確に書いてあるわけで、全く明確に書いてあるんですよね、「減額することができない。」。それを裁判所の意向も聞かず、裁判所の依頼もなく、いや、それは行政の方は法案提出権はあるんですからといって理屈の上からはできますというのは、ほかのことはさておいて、裁判官の給与の減額というのは、私は行政のイニシアチブでやるというのは憲法上も大変な疑義を生ずるんじゃないかと思いますが、これはもちろん憲法解釈を今、法務大臣にお願いをするという趣旨じゃなくて、憲法全体についてのある種の感覚をお伺いしたいと思いますが、法務大臣、そんな感じしませんか。
#35
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど部長が御説明申し上げましたように、このたびは、最高裁の方からの御依頼を受けまして提案をさせていただいたわけでございます。
 しかし、理屈だけ申せば、一般論として理屈だけ申せば、御依頼がなければできないというものではなくて、なくても立案をするということはできる、提案するということはできるという余地はあるようでございますが、現実には、あくまでも最高裁の方の御意思を確認した上でやるのが普通のやり方であり、実際にそのようなことをほとんど常にやっているというふうに私は思っております。
#36
○江田五月君 これは、やっぱりちょっとはっきりさせないと。
 「減額することができない。」という明文の規定がしっかりあるのに、それでも今回は減額するという措置を取ると。後にも先にもとは分かりませんが、少なくとも、これまでは戦前一回あったということですが、これは憲法体系違いますから、戦後の憲法の下で本邦初の本俸の減額だということのようですけれども、初めてやったわけですよね。
 初めてやったときに、ちゃんと最高裁の裁判官会議での検討を踏まえて、最高裁判所からの立法関係作業の依頼があって、そして行ったというのは、これはある種の例としてやっぱり残る、こういう例でやったと。それ以外のことでやる方法はあるかどうか分かりませんけれども、それはそのときにはもっと激しい憲法違反論議が起きる。今回はこういうふうにやったということが一つの例になっていると。先例とはしないとかいうようなことを言うんですか、これ。
#37
○国務大臣(森山眞弓君) そんなことを申すつもりは全くございません。
#38
○江田五月君 したがって、今回はこういう手続を経ているということ、私どもはそのことを重く受け止めてこの法案の賛否を決めようと思っています。しっかりそこは認識をしておいていただきたい。
 次に、いろんな要件なんですが、なぜこれが憲法違反でないのか、今いろいろ言われました。いろいろ言われましたところを私なりに整理すると、一つは、給与の関係についての官民の格差があると。裁判官を含め公務員全体と民間との格差があって、そしてそれについて客観的な調査が行われて、そして人事院というものが勧告を出して公務員の給与一般全体を下げるということになって、そして裁判官との関係においても、裁判官も公務員ですから、その公務員全体を下げるということと歩調を合わせて下げるということにして、そして裁判官会議のただいまのような検討を経て、依頼もあって、そして同じような程度で下げると。しかも、下げた残りの、残りのと言うと変ですが、裁判官の報酬は憲法で言うところの相当額を割り込むというようなことはないと。そのくらいな要件だと思いますが。
 もう一遍言いますと、給与についての格差、そしてそれについての客観的な調査、人事院の勧告で一般の公務員、一般というのは特別職も含め、一般の公務員の給与を一律に下げる、それと同程度のものを裁判官についても下げる、そしてこれは最高裁判所の検討がある、そして相当額を下らないと。相当額を下らないという方は減額とまた別の憲法の規定に違反しないということだと思いますが、その六つぐらいの要件で憲法違反ではないという結論になったと、そう聞いていいんですかね。
#39
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございます。
#40
○江田五月君 この間、法務省の役人の方に来ていただいたら、余り要件をそう細かく言われても、などなどといろいろこれは総合的な判断でございましてというようなことを言っていましたが、やっぱりこういうときにはきっちり、どういう要件があるからこうなるんだという、そういう判断をしないと、次に判断するときに前はこうであったということと比べようがないですから、そこのところをはっきりと確認をさせていただきました。
 最高裁判所の裁判官会議でどういう議論があったか。これはもう少し説明をしていただきたいんですが、どういう議論が出たか。みんな何も議論なしに、ああ、これはいいですね、憲法違反じゃありませんねと言ったのか、もう少しいろんな議論があったのか、いかがですか。
#41
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 先ほど申し上げましたとおり、裁判官会議では慎重に検討がなされたものでございますけれども、この会議につきましては、最高裁判所裁判官会議規程というものがございまして、非公開ということになっておりますので、ただいまのお話の議論の詳細ということになりますと、これはここで申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
#42
○江田五月君 最高裁判所の規程はいいんですけれども、最近、最高裁も随分一生懸命、面目一新、国民のための司法、国民主権の下での司法ということでやっていらっしゃるじゃないですか。それを以前の規程があるからということで情報公開できないんですかね。
 私は、最高裁の判決は個々の裁判官の意見を明らかにするわけですよ。それは、最高裁判所の裁判官は国民審査があるから、ほかの下級裁判所と違って個々の裁判官の意見というものを国民に知っていただこう、その上で判断していただこうということなんで、裁判の方についての意見だけでなくて、やっぱり司法行政についての意見も国民審査の際にはそれは当然参考になるし、参考にすべきだし、積極的に参考にしてほしいという態度をお取りになるべきだと思いますよ。
 ですから、是非これは最高裁判所の裁判官会議の議論も、もちろん人事のことなど細かな、細かなといいますか、人事行政に差し障りがあるようなことまで言えとは言いませんが、一般的に司法行政をどう行うかというようなことについては、やっぱり裁判官の一人一人の見識を国民の皆さんに見ていただくことによって国民審査も実のあるものになっていくと思うんで、この報酬を下げるのが憲法違反に当たるかどうかについての議論をどの人がどういう議論をしたかと。ある人は、いやいや、それは政府が言うんだからいいでしょうなどという議論を仮にしたとしましたら、そんな人はもうバツですよね。というようなことはやっぱり明らかにすべきだと思います。
 最高裁が最近、今ちょっと申し上げました、いろいろ私は意欲的に裁判というものの、あるいは司法行政というものの在り方を改革をしていこうとしておられると思いますが、今日はちょっと時間がもう迫っていますのでまたこれは改めて伺いたいと思いますが、簡単に項目ぐらいぱらぱらぱらっと挙げてみてください、どんなことで最高裁が今、自己改革をしようとしておるか。どうぞ。
#43
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 裁判所の司法改革の取組ということのお尋ねであろうかと思います。
 裁判官制度の改革を中心に今鋭意努力をしております。御存じのとおり、司法制度改革審議会の意見書で様々な提言がなされておりまして、裁判官制度の改革につきましては、例えば判事補が多様な経験を積むための方策ですとか、あるいは優秀な弁護士などの任官の促進ですとか、裁判官の指名についての最高裁の諮問を受けて意見を述べる機関の設置ですとか、あるいは裁判官の人事評価についての仕組みの整備ですとか、そういったことが提言されておるわけでございまして、裁判所といたしましても、高い資質の裁判官を安定的に確保すると、国民の信頼をより一層確保していくために非常にこういう点が重要であるという認識に立ちまして様々な取組をしております。
 判事補が多様な経験を積むための方策ということでは、今までも判事補に民間企業での研修ですとか様々な機会を付与してきたところでございますが、先ほどの、申し上げました審議会意見の趣旨も踏まえまして、新たに弁護士の職務を経験する制度の整備に向けて今鋭意検討しておるところでございます。
 弁護士任官の推進につきましても、委員よく御存じだと思いますが、最高裁と日弁連との間で弁護士任官等に関する協議会を設置いたしまして弁護士任官を推進するための方策について協議を行っておりまして、昨年十二月に一定の具体的方策についての協議を取りまとめたということもございます。
 それから、下級裁判所の指名過程に関与する諮問機関の設置に関しましては、現在、最高裁判所で一般規則制定諮問委員会を開催しておりまして、今まで三回開催されて議論がされておりますけれども、そういった議論をまた司法制度改革推進本部の法曹養成検討会に報告するなどいたしまして議論していただいたりしているところでございます。
 裁判官の人事評価の見直しにつきましても、最高裁判所の事務総局に設置されました人事評価の在り方に関する研究会の報告書が出ておりますので、そういう報告を受けた上で更に検討を加えて制度を作っていきたいということを考えているところでございます。
 大変大まかな御説明になりましたが、そういったことに今鋭意取り組んでいるところでございます。
#44
○江田五月君 あるいはそのほかに、明日の裁判所を考える懇談会、いろんなことを広く有識者に議論していただこうとか、あるいは情報公開も、これもいろんなことを始められましたよね。これは、私は、私自身の受け止め方は、ちょっと最高裁にあるいは有り難迷惑かもしれませんが、最高裁が相当この根本のところを変え始めていると。
 裁判官も、それは研修所を終わってすぐ裁判官になるんですから、そのときにみんながすばらしい人材がそろう、いや、そろうんですなどとやっぱり言わない方がいいんで、一番若けりゃ二十四ですかね、そのくらいで大学出て、出る前に司法試験通っていて、二年、一年半か今は、研修やって、それで将来までずっと六十五まですばらしく裁判をやっていける人材がそこででき上がるなんということはないんですね。それは当たり前なんですから。そうすると、いや、採ってみたけれどもやっぱりこれはどうもというような人が入ってくることもそれはあり得る。
 私は、つい先日、ある最高裁の関係の人と話をしていたら、いや、そうなんで、以前はそれは、江田さんも知っているとおり、裁判所の中で何とかそういう人は、分からないようにと言うとまずいけれども、どこかに置いて害にならぬようにやってきたけれども、もうそういう時代じゃないから、ちゃんと人事評価についてもあるいは指名についても風通しをよくするという、そういう大きな発想の転換に乗り出しているんだということを聞いたんですが、それはそういう、そのくらいな覚悟でこれからやろうとしていらっしゃると、そう理解していいんですね。私の方がちょっと最高裁、持ち上げ過ぎですか。
#45
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) ただいまお話のございました裁判官の任命ですとか、あるいは裁判官の人事評価の関係につきまして、審議会の意見書にもございますけれども、そのプロセスを透明化し、あるいは国民の意見を反映させるというような、そういう観点からの制度の改革というのが提言されておりますし、私もそういう点は非常に重要な問題であろうと受け止めておりまして、そういう方向に向かうように今鋭意検討しているという点を先ほど申し上げたつもりでございます。
#46
○江田五月君 人は褒めた方がよく仕事をするんで大いに褒めるんですけれども、しかしどうも今のような答弁を聞いていると、やっぱり私が褒め過ぎかなという気もするんですが、本当にこれはまじめに考えていただきたい。
 まじめに考えるといえば、これはもう一遍、法務省にまじめに考えなきゃならぬことを言いたいと思うんですが、名古屋の件ですね。大変なことだと思いますよ。
 法務大臣、十一月十二日の会見で、この名古屋の、これは一人の受刑者に対する特別公務員暴行陵虐致傷被疑事件、これが今捜査をされているわけですが、法務大臣はそのことについて、こうしたことが、同様のことがほかであったということは聞いていないと。こういうことで、この一件だけの全く特殊例外的な事例だというようなお答えをされておるようですが、そういう認識なんですか。これはもう全く特殊な事例だという認識なんですか。
#47
○国務大臣(森山眞弓君) 十一月十二日の記者会見の際にお話ししたことについて御質問でございますけれども、私が申しましたのは次のようなことでございます。
 つまり、今回の名古屋刑務所の事案を機会に、矯正局におきまして取り急ぎ保護房収容後の死亡事案及び病院移送事案の全国調査を実施いたしました結果、平成十一年以降、死亡事案については五件で、本年五月の名古屋刑務所の事案、捜査中のものを除きますと特段の問題はなく、また平成十三年以降、病院移送事案については三件で、うち一件を、本件逮捕事件ですが、この一件を除きますと特段の問題はなかった旨、報告を受けておりましたので、これらの報告を踏まえましてお答えしたものでございます。
 矯正局としても、本件事案の発生後、私からの徹底調査の指示に基づきまして、官房審議官をキャップとする特別調査チームを編成いたしまして本件事案の原因等の調査を実施いたしますとともに、全国的にも革手錠の使用状況等を調査分析いたしまして、同種事案がほかにもないか等につきまして引き続き調査を行っていると承知しております。
#48
○江田五月君 十二日の時点でその報告が上がっておる、それによると、数は一件だけではなくてほかにもあるが、まあ特別重要なことはないのでこの事件だけだというようなことであったからそう述べたが、その後もっと詳しくきちんと調べるということで今調べておるというんですね。
 私は、法務大臣、申し訳ないけれども、この事件はもっと深刻に考えなきゃならぬと。革手錠の使用はほかにも一杯あったし、暴行後もあるし、それからこういう傷害とか死亡とかという事案、事件もほかにも一杯あるわけですよね。それは言われているわけですよ。それを新聞記者に聞かれて、いやいや、これしか聞いていないと。矯正局の調査の結果、同じような事件は他の矯正施設ではなかったということかという質問に対しては、そういうふうに聞いていますと。聞いていますだけではなくて、自分でもっときっちり調べるというそういう態度を持たないと、これは大変なことになるんではないか。
 特別公務員の暴行陵虐致死ではないけれども、刑務官が母子殺害容疑で大阪で逮捕されたとか、それから、これも問題だと思いますよ、法務大臣にどういう報告が上がるかということなんですが、集団暴行の内部報告書は幹部が書換え指示、名古屋刑務所、というようなこともあって、法務大臣、あなた、御自身の手足になって働く皆さんに、ちょっときつい言葉で言うと、おちょくられているんじゃないですか。ちょっと、そう言うと怒ります、法務大臣、どうです。
#49
○国務大臣(森山眞弓君) どのようにお取りになっているか分かりませんが、私は真剣に取り組んでおり、誠にこの起こった事件については申し訳ないことだと思っておりまして、さらにその後、チームを作りまして、その人々に徹底的に調査をするようにということを指示いたしまして、現にその調査が今も続いているというふうに思っております。
#50
○江田五月君 我々のところに来て言うときには、御自身の、御自分の部下ですから、それはおかばいになるのは分かります。分かりますけれども、やっぱり内部ではもっと厳しく、これは、そんな書換えなんというようなことがあると大変ですよ。そんなことが書き換えられて、そして法務大臣のところに真実の報告が上がらないようなことで国会で答弁されて、それで国民主権ですなんということは言えないわけですから、そこはしっかりやっていただきたい。法務大臣、ちょっとこれはもういつもの慈母観音でなくて、厳しくやっぱり閻魔大王でやってもらわなきゃいかぬ。
 人権擁護局はこの事案については何か関心を持っておられますか。
#51
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。
 この事件につきましては、受刑者の関係者の方から名古屋法務局の人権擁護部に対しまして人権の相談がございました。そこで、これは人権侵犯事件として現在、調査をいたしております。
 この事件、事柄の重大性にもかんがみまして、私ども人権擁護局からも職員を名古屋に派遣いたしまして、名古屋法務局人権擁護部と共同して現在、調査を続行しております。
#52
○江田五月君 これも、人権擁護局は自分のところ、自分の法務省管内で起きたことについてもっと何かきりっとした措置をしなけりゃ、それは、これから人権委員会を作ると人権擁護局の職員をそっちへ移すとかいうんでしょう。地方の方では、地方法務局の人権擁護課に事務委託とかいうんでしょう。そんなような状況で、その一番上にある人権擁護局が、いや、何かちょっとしなけりゃ格好悪いなというような程度でやっていたのではこれはどうにもならぬと思いますよ。
 監獄法の情願制度なんですが、これで法務大臣に訴えたら、刑務官から、同じ法務省の人間だから調査なんかするわけないだろうというようなことを言われたとかいうようなこともあって、いや、そんなことは言っておらぬと多分答えるんでしょうけれども、一般には、同じ法務省の中だから矯正局で起きたことを人権擁護局へ言ったって、それはそんなことできるものかというふうに見られているのは事実。
 情願制度というのは、これは刑務所から情願が上がってきたらどこが処理するんですか。矯正局ですよね。そこだけちょっと。
#53
○政府参考人(中井憲治君) そのとおりでございます。
#54
○江田五月君 やっぱりこれは、もう法務省というのは中がいわゆるずぶずぶで人権擁護のことは到底できないと、そういうことをこの事件では表している。この事件をどう処理するか、どういうふうにこの事件についてうみを出すか、それがどこまでできるかによって法務省のかなえの軽重が完全に問われているということだと思います。そのことだけ指摘して、質問を終わります。
#55
○荒木清寛君 今し方の質疑を聞いておりまして、今回の法律によります裁判官の報酬の引下げが憲法に違反するものではないということは私も理解をいたしました。
 しかし、今、司法制度改革が進んでおりまして、国民に利用しやすい司法制度を実現をしなければいけません。そのためには人的インフラの充実が必要でございまして、優秀な人材を弁護士ばかりに取られるのではなくて、裁判官、検察官にも優秀な人材を獲得しなければいけないということからしますと、政策論として、今回、裁判官あるいは検察官に関しては引下げをしないという選択肢もあったかとは思います。
 そこで、今後、裁判官、検察官につきまして、多数の有為な人材を確保するために最高裁及び法務大臣はどう決意を持って臨むのか、お伺いしたいと思います。
#56
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 二十一世紀の司法が今後ますます高まる国民の期待にこたえるためには、裁判官に優れた人材を数多く確保することが重要であるということは委員御指摘のとおりかと存じます。裁判所といたしましても、裁判官に有能な人材を数多く確保するためには裁判官の報酬の在り方、これが重要なポイントになろうかと思っております。
 現在、優秀な弁護士に裁判官として任官してもらういわゆる弁護士任官を推進するということも課題になっておりますので、そういう点におきましても、裁判官の報酬が適正なものとなるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#57
○国務大臣(森山眞弓君) 検察官につきましても、有能な人材を多数確保しなければいけないというのはおっしゃるとおりでございまして、従来から有能で適性のある検察官を確保してきたところでございますが、今後とも同様に、良質な人材を数多く確保するためになお一層の努力を傾けていきたいと存じます。
 なお、有能で適性のある検察官を確保するために、検察官の職務にふさわしい処遇を確保するということは極めて重要でございますので、そのような処遇の確保を図るように努めてまいりたいと考えます。
#58
○荒木清寛君 これは裁判官の配置にもかかわりますのでお聞きをいたしますが、現在、簡易裁判所の事物管轄の上限の引上げが議論をされておりますが、最高裁としては、この簡裁の機能をどう考えておりますか、お聞かせ願います。
#59
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答え申し上げます。
 簡易裁判所は、少額軽微な事件を簡易迅速に解決することを目的として設置された裁判所でございます。分かりやすい言葉で言いますと、比較的小さな事件を簡単な手続でスピーディーに解決するという点に特色を持っている裁判所というふうに認識しております。
#60
○荒木清寛君 次に、名古屋刑務所におきます今回の事件につきましては、私も、地元に住んでおるということもありますけれども、大変強い憤りを感じております。一体、法務省はいわゆる刑務官に対してどのような人権教育をしておったのかというふうに言わざるを得ません。
 そこで、三点お伺いをいたします。
 一つは、名古屋刑務所の特別公務員暴行陵虐致死事件では、保護房内の様子がビデオ録画されていたというふうに報道されておりますけれども、今年五月のまた別の名古屋刑務所での死亡事案やその他の保護房収容中の者の死亡事案ではビデオ録画がされていたのかどうか。そもそもこの保護房におけるビデオ録画というのはどういうケースに行っているのか。さらに、私は、今後はこうした事件を防止をする観点からも、すべてそうした保護房内での状況は録画をしておくべきではないかと考えますが、いかがですか。
#61
○政府参考人(中井憲治君) お答えいたします。
 ビデオ録画等の問題を含めまして、再発防止策についてのお尋ねであると承りました。
 法務大臣からは、本件事案の重大性にかんがみまして、発生直後から非常に厳しく、管理体制も含めながらきちんとした調査をするようにと、かような指示を受けており、先ほど大臣がお話しになられましたように、特別の調査チームなどを編成いたしまして私どもは対処しているところであります。
 ところで、お尋ねの名古屋刑務所の勾留中の事件と本年五月の死亡事案についてでございますけれども、これはいずれも、御案内のとおり、現在、名古屋地方検察庁において捜査中でございます。その具体的事件の個別証拠の内容にかかわるものということになりますので、ビデオ録画の有無については、これら二件につきましては回答を差し控えさせていただきたいと思います。しかしながら、そのほかの平成十一年以降の死亡事案につきましては、いずれもビデオ録画はされていなかったという趣旨の報告を受けているところでございます。
 次に、保護房に収容いたしました際のビデオ撮影についてでありますけれども、これは、当局、矯正局から発出いたしました基準というものはございませんで、それぞれの施設におきましてそれぞれの実情に応じて運用しているところでございます。
 一般的に申し上げますと、相当数の保護房では職員による巡回視察をやっておるわけでございますが、それを補充するという目的で監視用のテレビカメラが設置されております。例えば、保護房収容中の者が頭を壁に打ち付けるといったような自傷行為に及びましたり、あるいは、若干ちょっと適切じゃないかもしれませんけれども、汚物を投げ付けたり房内に塗りたくるといったような異常行動を取る場合等もございます。これらの状況につきまして記録する必要がある場合に限って録画するという運用がなされている具合に承知しているところであります。
 現在、すべての保護房に監視用テレビカメラを設置しているわけではございません。また、カメラが設置されていても、ビデオ機器の整備が限られておりますことから、ほかの状況を録画しなければならない、例えば外回りの状況などで異常事態が発生したり、ありますので、そういった場合もございますので、結局、保護房収容の際に常時ビデオ録画を義務付けるということは現時点では難しい状況にございます。
 しかしながら、ビデオ機器の整備を進めまして、可能な限りにおいて、革手錠を使用する際や、これを解除するときにビデオ録画することは可能と思われるところでありまして、ただいま委員の御指摘がありましたので、これも踏まえまして、このような措置を講ずることによりまして、保護房の収容状況を後日、確認できるようにするといったことのほかに、そもそも再発防止策という観点から申しますれば、全般的に透明性を高めるという観点から、特に保護房に収容していた者の死亡事案等につきまして、これは関係人のプライバシーの問題もございますし捜査への支障の問題もございますけれども、これらの点にも慎重に配慮しながら一定の基準を設けまして、公表することも視野に入れまして検討してみようと、こういったことを考えている次第でございます。
 長くなって恐縮でございました。
#62
○荒木清寛君 先ほどもありましたように、この法務省内における人権侵害、正に自浄能力が問われているわけでありますが、今回の名古屋刑務所での革手錠使用や保護房収容、職員による暴行について、同刑務所の受刑者が行った不服申立ての状況はどうなっておりましょうか。御説明願います。
#63
○政府参考人(中井憲治君) 受刑者が行いますところの不服申立てでございますけれども、監獄法に基づく情願のほかに、告訴、告発、訴訟等がございます。
 名古屋刑務所の被収容者がいたしました不服申立てのうち、法務大臣への情願の件数は、平成十二年が十七件、平成十三年が十七件、平成十四年が十月末日現在で三十件でございます。
 告訴、告発の件数につきましては、委員御案内のとおり、これは当事者が検察官等になすものでございますので、矯正局といたしましてその全体像を把握する立場にはございません。ただ、私どもが承知している限りということで申しますと、平成十一年がゼロ件、平成十二年が一件、平成十三年が一件、平成十四年十月末日現在が二件ということでございます。
 また、訴訟の件数につきましても、これも当局が把握している限りということで申し上げますと、平成十一年がゼロ件、平成十二年が二件、平成十三年が二件、平成十四年十月末日現在で一件でございまして、これらの内容につきましては懲罰あるいは職員の服務等に関するものとなっておりまして、平成十一年以降、保護房への収容や革手錠の使用に関するものは約二件ぐらいであると、かように把握しているところでございます。
#64
○荒木清寛君 革手錠の使用につきましては、同種刑務所がたくさんある中で名古屋刑務所が突出をしている、使用回数が突出していた、しかも本年に入って急増したということでありまして、まさか今年になって受刑者の顔ぶれが一新したということはあり得ないわけでありますから、何か組織的な背景さえあるのではないかという気もするわけでございます。
 そこで、今回の事態につきまして、法務省の調査結果はいつごろ、どのような形で明らかにするのか、お答え願います。
#65
○政府参考人(中井憲治君) お尋ねのとおり、本年に入りまして革手錠の使用件数が名古屋刑務所で急増していることについては、我々もこれは非常に関心を持っております。先ほど申し上げました官房審議官をキャップといたしますところの特別調査チーム等でも、それぞれの背景事情等への調査を進めてまいる所存でございます。また、現在もやっております。
 これらの調査結果がまとまった後の状況でございますけれども、恐らくは、法務大臣に報告した上、捜査の支障のない範囲で関係者のプライバシー等にも配意しつつということになろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、事態の重大性にかんがみ、できるだけ早い時期に公表いたしたいと考えております。
#66
○荒木清寛君 最後に、別の件でございますが、公明党は、去る七月に難民政策の見直しに関する政策提言を行いました。また、大臣の私的懇談会であります難民問題に関する専門部会も先般、中間報告を行ったところでございます。
 そこで大臣に、今後の難民調査官の増員及び能力の向上についてどう臨んでいかれるのか、決意をお伺いします。
#67
○国務大臣(森山眞弓君) 難民認定制度に関する検討結果につきましての中間報告を踏まえまして、難民認定体制の充実強化等に向けました検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、平成十五年度の予算概算要求におきましては、難民調査官七人の増員をお願いしているところでございます。
#68
○荒木清寛君 終わります。
#69
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この二つの法案は人事院の勧告に連動するものでありますが、無法な大企業を中心としたリストラによって引き下げられた民間給与との均衡を理由に公務員賃金を引き下げる、これは次の民間賃金引下げの口実になるわけでありまして、全体の給与が引き下がっていく。これは、消費の低迷で景気を一層悪化させて、これを理由にした賃下げ、正に景気悪化と賃下げの悪循環に陥るものだと思います。さらに、引下げの勧告というのは、労働基本権の代償措置としての人事院勧告制度の存在意義それ自身を失わせるものだと言わざるを得ません。しかも、裁判官の報酬を引き下げるという点については、先ほど来の議論もありますように、憲法上の疑義が指摘をされております。
 大臣は、この勧告の直後の記者会見で、憲法の立案当時の事情と今は違うと、こういうふうに述べた上で、この報酬の減額が憲法の規定に反しない旨の発言をされております。普通に読めば、立案当時なら違憲だが今はいいんだと、こう聞こえるわけでありますが、憲法立案当時の事情と今は何がどう違うという認識でこういう発言をされたんでしょうか。
#70
○国務大臣(森山眞弓君) その記者会見なるものは、たまたま私が出張しておりました先で急に質問をされましたものですから、必ずしも適当で正確な表現でなかったかもしれないと反省はいたしておりますが、私の言いたかった趣旨は、憲法の立案当時は、裁判官のみを対象としてその報酬を引き下げるような場合があり得るということを頭に置いて、そういうことは困るということであったんではないか。今回のような、国家公務員全体の給与水準の民間との均衡等の観点から人事院勧告に基づく行政府の国家公務員の給与引下げに伴いまして、法律によって一律に全裁判官の報酬について相応の引下げを行うような場合とは、ちょっとその憲法立案当時考えていた問題点は違うのではないかというふうなことを感じまして、そのように発言したところでございます。
 大変、もしかしたら不適切な発言、表現だったかもしれませんが、その点は御理解をいただきたいと存じます。
#71
○井上哲士君 憲法解釈にかかわる問題についての発言としては、私はやはり根拠薄弱だと思うんですね。
 実は、憲法の立案当時からこの問題というのは学説がずっと分かれてきた問題でありまして、全体を引き下げた場合でもこれは違憲だという有力な説もありましたし、それは構わないという二つの説がずっと今日まで分かれているわけであります。にもかかわらず、今回最高裁は言わば合憲論を採用されたわけですが、なぜ大きく学説が分かれている中で合憲論を採用されたのか。結論でなくて、その理由をお示し願いたいと思います。
#72
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 最高裁判所の裁判官会議におきまして、ただいま委員御指摘の問題が検討されたわけでございまして、その結果といたしまして、人事院勧告の完全実施に伴い国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合には、裁判官の報酬を同様に引き下げても司法の独立を侵すものではないということで、憲法に違反しない旨、確認されたと承知しております。
#73
○井上哲士君 学説を繰り返すだけの御答弁だと思うんですね。それでは納得がいかない。
 人勧のマイナス勧告自身が今回初めてですが、この裁判官の報酬引下げ、この問題で最高裁が判断を下したのはこれが最初だと考えてよいのでしょうか。これまでは引下げは許さないという立場を取ってきたんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#74
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 委員御承知のところと存じますけれども、最高裁判所の裁判官会議、これは司法行政事務に関する最高意思決定機関という位置付けができようかと思いますが、そういった最高裁判所裁判官会議でただいまのような結論が出されて、そういうことが確認されたという、これは初めてのことだという具合に承知しております。
#75
○井上哲士君 最高裁は明確に私は違憲論を取ってきたと思うんですね。今、手元に、これは最高裁の事務総局が監修をした「裁判所法逐条解説」、昭和四十四年一月というものがあります。読み上げますと、こう書いているんですね。「報酬そのものの減額は、たとえ特定の裁判官のみに対して行なわれる場合でなく、裁判官全体の報酬、さらには国家公務員全体の給与が同じ比率で引き下げられる場合でも、許されないことは、いうまでもない。」と。これは最高裁事務総局が出している本ですよ。これは明確に「許されないことは、いうまでもない。」と言っているんじゃないですか。どうですか。
#76
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 委員御指摘の裁判所法の逐条解説に関する解説の本が事務総局から出しているということは私どもも承知しておりますが、それは裁判所法の規定の解釈ということで記載がされているものという具合に理解しておりまして、憲法上の、憲法の規定の解釈ということとは少し違う問題ではなかろうかと思っております。
#77
○井上哲士君 憲法に基づいて定められた法律の報酬問題の解釈なんですよ。それは詭弁としか言わざるを得ないと思うんですね。ですから、こういうことも含めて出されているにもかかわらず、本当にしっかりとした議論がされた上で結論が出されたんだろうかという疑義を持たざるを得ないと思うんです。
 今、政府の政策によっていろんなリストラ、そして全体としての賃金引下げということが行われている下で、司法全体がそういう大きな賃下げの流れの圧力の下で毅然と対処できたんだろうかという、やはりそういうことが問われていると思うんです。憲法の守り手としての看板が泣くような事態があってはならないということを指摘をしておきたいと思います。
 もう一つ、不利益の遡及という問題であります。
 衆議院の審議では、四月から実施をした場合、今年の四月にさかのぼって実施をした場合の減額と今後十二月に予定されている期末手当の減額は金額的には一致をしているということを認めたわけでありますが、これは実質的な不利益の遡及だということはお認めになるでしょうか。
#78
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
 一般職の国家公務員の給与改定方式について申し上げますと、国家公務員法に定める情勢適応の原則に基づきまして、四月の給与から改定する方式が長年にわたり定着してきておるところでございまして、このことによりまして、四月からの年間給与において官民の均衡が図られてきているところでございます。
 本年は俸給について引下げが必要となるところでございますが、今回の給与改定におきましては、既に支給された給与をさかのぼって不利益に変更する措置は取らないとの考え方の下に、従来どおり四月からの官民の年間給与の均衡を図るために、法施行日以降に支給される期末手当の額の調整を行うこととしたものでございまして、法律の遡及適用には当たらないものと考えておるところでございます。
#79
○井上哲士君 しかし、結局は金額として同じだけ下がるわけですから、どう考えても民間では禁止されている不利益の遡及を実質的に行うものであります。それをそうでないと強弁をされてやるということは、しかもそれを最高裁までやる。私はやっぱり、民間でのいろんな脱法的な賃金カットを助長するものだということを指摘をしておきたいと思います。
 司法の独立、司法への信頼を高めていくという点で司法制度改革の審議会でも様々な問題が指摘をされております。
 次に、取調べのいわゆる可視化という問題についてお伺いをいたします。
 司法制度改革審議会の最終意見書では、被疑者の取調べは、それが適正に行われる限りは真実の発見に寄与する、しかしながら、被疑者の自白を過度に重視する余り、取調べが適正さを欠く事例が実際に存在することも否定できない、それを防止するための方策は当然必要となる、このように指摘をしております。そして、被疑者の取調べの過程、状況について、取調べの都度、書面による記録を義務付ける制度を導入すべきだとしております。
 さらに、推進計画では、二〇〇三年の半ばまでに所要の措置を講ずるとしているわけでありますが、この検討状況について、法務省、警察庁それぞれからお願いをします。
#80
○政府参考人(樋渡利秋君) いわゆる取調べの可視化に関しましては、委員御指摘のとおり、平成十四年三月十五日に閣議決定されました司法制度改革推進計画におきまして、被疑者の取調べの適正を確保するため、取調べの都度、書面による記録を義務付ける制度を導入することとし、平成十五年半ばごろまでに所要の措置を講ずるとされたところでございます。
 法務省におきましては、この制度を同計画に定められた時期に導入することとしておりまして、現在、この書面に記載すべき内容等について技術的、実務的な見地からの検討を行っているところでございます。
 なお、法務省のほか、捜査機関を所管する警察庁、防衛庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省の関係省庁の対応の統一を図るため、取調べ過程・状況の記録制度に関する関係省庁連絡会議が既に設置されておりまして、法務省といたしましては今後とも関係省庁間で緊密に連携しながら適切に対応していく所存でございます。
#81
○政府参考人(栗本英雄君) お尋ねの件につきましては、警察庁におきましても、刑事局を中心といたしまして関係部局と協力をしつつ、本制度が司法制度改革推進計画及び司法制度改革審議会意見書の趣旨にのっとった適切なものとなるよう、記録の内容、作成及び保管方法等について、現在、技術的、実務的な検討を行っているところでございます。
 また、警察といたしましては、法務省や他の捜査機関を所管する関係省庁とも緊密な連携を図りながら、先ほど御指摘の平成十五年半ばごろまでに所要の措置が講ぜられるよう、引き続き検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#82
○井上哲士君 二〇〇三年半ばまでに所要の措置といいますと、それまでに一定の中間的な取りまとめも必要かと思うのですが、そういう検討の節、いつまでを目途にそういうものを出すか、その辺は法務省、いかがでしょうか。
#83
○政府参考人(樋渡利秋君) 現在、この制度を導入するに際しましてのいろいろな問題点を洗いながら、関係省庁とも緊密に連絡を取りつつ考えているところでありまして、いずれまた、法務省だけではなしに、例えば日弁連とかそういうところなどの意見も聞かなければならない場面があるかもしれないというようなところで、それに向けて努力しているところでございまして、とにかく計画に定められました平成十五年の半ばまでにはこの制度を導入いたしまして、皆さんの御批判にこたえたいというふうに思っているところでございます。
 なお、委員長、先ほど私の答弁で司法制度改革推進計画が閣議決定された日をあるいは十四年三月十五日と間違って申し上げたかもしれませんが、三月十九日が正しい日でございますので、訂正させていただきます。
#84
○井上哲士君 平成十五年の半ばといいますとあとわずかしかないわけでありますが、にもかかわらず、今から日弁連の意見も聞かにゃならぬかなとか言われているようでは余りにも検討が遅いと言わざるを得ないと思うんですね。
 先月、十月の二十八日に草加事件の民事差戻しの控訴審の判決がありましたけれども、この中で東京高裁は遺族側の控訴を棄却をして、自白は信用できない、警察官の執拗な追及や誘導、示唆によって虚偽の自白が創作されたことも十分に考えられると、こういうふうに述べておりまして、取調べの適正を欠く事例というのはこのように今も続いているわけであります。
 一方、外国では随分可視化が進んでおりまして、私、かつてメルボルン事件というのをここで取り上げたことがありますが、日本人の旅行客五人が麻薬の密輸犯ということでオーストラリアで実刑判決を受けた事件であります。十年間の懲役を経て四人がつい先日、仮釈放になって帰国をされました。冤罪を訴えて国連に個人通報をされているわけでありますが、これ国連に出した文書でありますが、取調べの状況が一問一答で全部克明に出されておりまして、いかに通訳がいい加減だったかということがよく分かるわけですね。これができますのは、オーストラリアの場合は取調べが録音されるという状況になっているからなんです。
 審議会の議論の中でも録画、録音の必要性ということも議論をされたわけでありますが、記録の制度もそういう議論にふさわしい、やっぱり録音に匹敵するようなきちっとした記録や状況が示される必要があると、そういう内容にするべきだと思うのですが、その点で意見書への指摘への受け止め、今後の具体化について改めて法務省にお伺いします。
#85
○政府参考人(樋渡利秋君) 法務省といたしましては司法制度改革審議会の意見を真摯に受け止めておりまして、その意見に沿った改革を進めようとしておるところでございまして、今その具体的な内容につきましては検討中であるということでございます。
#86
○井上哲士君 正に、先ほど指摘しましたように、本当にやっぱり録音に代わるぐらいのしっかりした取調べの過程、状況が記録される内容としての具体化を改めて求めておきたいと思います。
 もう一つ、検察の問題についてお聞きしますが、最終意見書は公訴提起の在り方について述べまして、検察審査会の一定の議決に対して法的な拘束力を付与する制度を導入すべきとしております。この点での検討会での論議の状況についてお願いします。
#87
○政府参考人(山崎潮君) 私どもの裁判員制度・刑事検討会におきまして、現在、制度の骨組みに関する大きな論点についてひとわたりの議論、第一ラウンドの議論を行っているところでございます。
 御指摘の公訴提起の在り方に関しましては、拘束力を付与する議決の種類、要件、拘束力のある議決後の訴追、公訴維持の在り方及び検察審査会の組織、権限、手続等の在り方など、様々な点につきまして、本年五月二十一日に開催されました第三回検討会において一通りの議論を行いまして、様々な意見をちょうだいしたという状況でございます。これは今申しましたように第一ラウンドの議論でございまして、今後、更にこの様々な点についてより詳細に検討を継続していくと、こういう予定でございます。
#88
○井上哲士君 起訴相当の議決のみに拘束力を付けることであるとか、議決をされた場合に検察官から意見聴取をすることなどは、議事録などを見ておりますと基本的に意見の大勢を占めたというふうに見ておるんですが、いわゆる二段階方式についてお聞きをします。
 検察官に再考の機会を与えて、その結果を踏まえた上でなされた議決に拘束力を持たせるという議論でありますが、公訴権行使の在り方により直截的に民意を反映させるべきだという意見書の趣旨からいいますと、検察官の意見聴取さえすれば足りると私は思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#89
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の、拘束力を付与するのは起訴相当の議決とするということや、あるいは検察官からの意見を聴取すると、こういう点につきまして確かに議論がされまして、この点については特段の異論はなかったという状況でございますが、最終的にこれが合意されたというものではないという状況でございます。審議の途中だということになるわけでございます。
 それから、もう一つ御指摘の点につきまして、いわゆる二段階方式の案だと思いますけれども、この点につきましては、委員と同様な意見が述べられたということももちろん検討会でございますが、その一方で、被疑者、被告人に重大な不利益を与える公訴の提起は慎重になされるべきであると、そういう観点からいわゆる二段階方式の案、検察官に再捜査及び処分の再考の機会を与え、その結果をも踏まえた上でなされた議決に拘束力を付与すると、こういうふうにすべきであるという趣旨の意見も述べられているところでございまして、今後、その検討会における議論を踏まえまして更に検討する必要があるというふうに考えております。
#90
○井上哲士君 公訴権行使の在り方により直截的に民意を反映させるべきだというこの趣旨に沿った検討を是非お願いをしたいと思います。
 この検察審査会の適正配置という問題についてお尋ねをいたしますが、東京とか大阪、横浜などにある審査会は年間で大体新しく百四ぐらい、百四・四人新しく受けていると資料でお聞きいたしました。一方、地裁支部に対応しているところは年間五・〇人と、随分大きな差があります。そして、東京、大阪、横浜などの場合は年間三十六回も開催されているわけですね。ですから、選ばれた方は週に一回ぐらいの頻度で行かなくてはいけない、大変な負担になっているとお聞きをいたしました。出席者の確保にも大変事務局も苦労をされているようでありますが、こういうところは更に拡充をするなど、適正配置が必要かと思うんですが、その点での検討はどうなっているでしょうか。
#91
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) ただいま委員御指摘のとおり、事件数にかなりのばらつきがあるということはおっしゃられたとおりであります。検察審査会の機能の充実強化を図るということのために、現在、司法制度改革推進本部で検察審査会の機能拡充の在り方が検討されているところであります。
 裁判所といたしましても、大都市での審査の長期化への対応を含めまして、検察審査会の配置を現在の事件数等に即して合理的なものに見直す必要があるのではないかと考えており、裁判員制度・刑事検討会で同様の意見を申し上げたところであります。
#92
○井上哲士君 最後に、大臣に問います。
 今の検察審査会は来年で五十五周年を迎えまして、実に延べ四十八万人の方がこの委員になられております。なった人は、最初は嫌がる方もいらっしゃいますが、終わるとやってよかったと言われるそうでありまして、国民の司法参加の姿、示しておりますし、将来の裁判員制度を支える力を示していると私は思います。
 先日、司法改革国民会議が第一回提言というのを出しました。推進本部の顧問会議のメンバーも多数顧問になられているわけでありますが、その中で、裁判員制度につきまして、この数が制度の核心だと。現在、検討会では、国民から選ばれる裁判員を二名程度、法律の専門家である裁判官を三名程度にするなどの制度設計が取りざたされているが、これでは意見書の求める制度の趣旨を達成することは難しいと述べた上で、例えば十一人にすることが適当だと、専門家の判事は一人でいいと、こういう意見を出されておりまして、この理由の第一として検察審査会が十一人でやられてきているということも言われておりますし、社会の多様な意見を反映させる必要があることも指摘をされているわけであります。
 この国民会議の提言をどのように受け止めて今後生かしていくのか、大臣の御所見をお願いします。
#93
○国務大臣(森山眞弓君) 裁判への国民の参加ということは非常に大きな重要なテーマでございまして、先ほどおっしゃいました検察審査会もその一つの形として既に相当の実績を積んでおります。
 裁判員制度が実際にスタートいたしますときに、その裁判官と裁判員の人数がどのような具合であるべきかということについては今大変検討会で熱心な御議論をいただいているところでございまして、先生がおっしゃいました御提言も一つの意見であろうと思いますし、それらを参考にしながら、また国民各界各層の様々な御意見を更にちょうだいいたしまして十分に検討をしていきたいというふうに考えております。
#94
○平野貞夫君 裁判官の報酬と、それから検察官の俸給について、司法制度改革推進本部が今あるわけですが、司法制度改革としてどんな議論が行われていたか、事務局長、答弁お願いします。
#95
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの裁判官の報酬に関しましては、司法制度改革審議会におきましてまず議論がされました。その観点は、昇進の有無とかあるいは遅速がその職権行使の独立性に影響を及ぼさないようにする必要がある等の議論が行われてきたわけでございます。
 これを受けまして、司法制度改革審議会意見は、裁判官の報酬、進級制について、現在の報酬の簡素化を含めてその在り方について検討すべきであるというふうに提言をしているところでございます。
 私どもの司法制度改革推進計画においてもこの問題について検討するということで、現在、当本部事務局としては、今後こうした審議会の意見あるいは推進計画に従いまして所要の検討を行ってまいりたいと考えております。
 要は、現在まだそこまで進んでおりませんので、もう少しお時間をちょうだいしたいと、こういう趣旨でございます。
#96
○平野貞夫君 法務大臣、先ほど江田先生が憲法論を、裁判官の報酬の減額は憲法で禁止しているんじゃないかという鋭い質問をなさっていたんですが、さすがだと思うんですが、大臣の答弁も理解できるんですよ。理解できるんですが、私は数年前に、検察官の俸給はともかく、裁判官の報酬を、司法権の独立ということからいえば、人事院勧告に並べるという、人事院勧告に基づくというのはおかしい、別のシステムを作るべきだという意見を当法務委員会で言ったことがあるんですが、はっきり言って司法権の独立が侵されなければ減額しても違憲でないという言わば憲法の拡大解釈が行われたと、今回、そう私は理解して賛成しようと思っているんですが、そういうことでよろしいですか。
#97
○国務大臣(森山眞弓君) 拡大解釈というのではなくて、解釈そのものであるというふうに私は思っております。
#98
○平野貞夫君 そこは言葉のごろ合いで、ちょっと言葉の意味とは違った解釈が行われたというように納得して、そのことはもう追及しません。
 そこで、矯正局長、一般論としてで結構でございますが、監獄法の第四十六条一項、二項、どういう意味か、簡単に解釈してくれませんか。
#99
○政府参考人(中井憲治君) 監獄法はお尋ねの、御指摘の条文によりまして信書の発受について定めておりまして、信書の発受につきましては所長の裁量にゆだねられていると、簡単に申せばそういうことでございます。
#100
○平野貞夫君 その信書の検閲というのを、服役者が検閲されているわけですが、これの法的根拠はどこにあるんですか。
#101
○政府参考人(中井憲治君) お答えいたします。
 検閲につきましては、監獄法第五十条におきまして、接見の立会い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもってこれを定めると、こういう定めとなっておるわけでございまして、これを受けまして、監獄法の施行規則第百三十条第一項におきまして、「在監者ノ発受スル信書ハ所長之ヲ検閲ス可シ」となっておりまして、同条第二項におきましては、「発信ハ封緘」、これは封でございますね、封緘をなさしめてこれを所長に差し出さしめ、受信は所長これを開披、開くでございますね、「開披シ検印ヲ押捺ス可シ」と、こう定められているところでございます。
#102
○平野貞夫君 この信書の定義をしてほしいんですが。端的に言えば、請願文書、これは服役者も当然、請願権があると思いますが、これは国会に対する請願とかいろいろなところに出す請願権があると思いますが、私の聞きたいのは信書の中に請願文書も入るかどうかという、いわゆる検閲の対象に、請願する場合に文書で出すわけですからね、服役者も。検閲の対象になるかどうか。
#103
○政府参考人(中井憲治君) お答えの前に、ちょっとややこしい条文なもので先ほど一部読み間違えがあったようでございまして、「封緘ヲ為サスシテ之ヲ所長ニ」、要するに「封緘ヲ為サスシテ之ヲ所長ニ差出サシメ受信ハ所長之ヲ開披シ検印ヲ押捺ス可シ」と、こういうのが正しい条文でございます。先ほどひょっとしたら読み間違えているかもしれませんので、訂正いたします。
 お尋ねの請願書につきましては検閲の対象となっております。
#104
○平野貞夫君 なっておりますね。
#105
○政府参考人(中井憲治君) はい。
#106
○平野貞夫君 私、なぜこういうことを聞くかといいますと、名古屋だけじゃないと思うんですが、服役者の非常に不幸な事件が発生しておるんですが、こういう事件の多くは受刑者が人権救済などを申し立てて、弁護士さんとかあるいはいろんな人に申し立てて、検閲されると。刑務所のしかるべき人からそれはやめろと言われると。そういうことがいろんな革手錠だとか、いろいろな事件の発生の多くの原因になっておると思うんです。
 そこで、一般の信書について検閲を監獄法で設けていることについて、私は別にそのことに対して批判を言うわけではございませんが、請願の文書については、これは検閲をすべきでない、検閲するのは憲法違反ではないかという意見を持っております。
 したがって、その論拠は、皆さん、司法試験を受けるときには必ず勉強したと思うんですが、例の宮沢俊義さんのコンメンタールですね、今はもう別の先生の名前になっていますが、そこの解説によりますと、憲法十六条、「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と。この十六条の解釈として、恐らくこれは通説じゃないかと思うんですが、これは、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けないというのは、結果として受けないということじゃなくて、そういう差別待遇を内容とする法律行為をも無効にする趣旨を含むというのがこの宮沢俊義先生の解釈と。当然、この十六条はそうあるべきだと思いますが。
 となると、人権問題に限定してもいいんですが、服役者が国会に、参議院の法務委員会にも幾つか請願書が服役者から出されておるんですが、これは、監獄法に基づいて検閲をするということは差別じゃないんですかな。この宮沢さんの論で言うそういう差別待遇を内容とする法律行為をも無効とするという趣旨だと、十六条は。
 だから、服役者が国会なら国会に請願出す、文書で出す、それを検閲の対象にした現行の監獄法そのものを、それは請願書から外せれば、信書、いいわけですが、今の皆さんのやり方は憲法違反ではないですか。
#107
○政府参考人(中井憲治君) 憲法違反であるかどうかということにつきまして矯正局長として答弁するのはいかがかと思いますが、若干趣旨を踏まえまして御答弁させていただきますと、受刑者が発する信書というのは我々検閲しているわけでございますけれども、その趣旨は、逃走その他、本来の収容すべき収容目的とこれを害する行為、あるいは施設の規律及び秩序を害する行為、これを防止するということがございます。
 また、これは条文上もその旨、記載されているところでございますけれども、検閲を通じまして知ることのできる事項を当該受刑者に対する矯正処遇の適切な実施にせしめると、こういったところに目的があるわけでございまして、もとよりこの目的以外に検閲によって知り得た事項を利用することは許されません。
 先ほど来、委員御懸念のように、職員が、受刑者が不服申立ての書面、そのお尋ねの件も含めまして、これをする際にこれを取り下げさせようというようなことは、これは全く許されることではございません。
 いずれにいたしましても、監獄法の枠内で申し上げますと、「在監者ノ発受スル信書ハ所長之ヲ検閲ス可シ」と、こうなっておりますために、お尋ねの件につきましても、やはり一応は検閲しまして、特段の問題がなければ速やかにこれを発信させると、そういうことになろうかと思います。
#108
○平野貞夫君 最終的な憲法の解釈を局長さんに求めるのはそれは酷な話で、私もそのつもりはありませんが、ただ、やはり監獄法を施行、実施、運用する際に、当然、局長さんも刑務所の所長さんも憲法の規定、憲法の精神というものは何であるかということを前提に当然運用、解釈なさっていると思うんですが、私が申し上げたいのは、監獄法で言う信書というのが請願書を含むというんだったら、そこの運用、解釈は憲法違反になるんではないかという主張を私はしているわけなんです。この論拠は宮沢憲法の論拠なんですが、そのことについては違憲でないという意見ですね。今やられていることは憲法にのっとったやり方だということですね、もう一回確認をしますが。
#109
○政府参考人(中井憲治君) 基本的に憲法の趣旨にのっとった運用をしているものと承知しております。
#110
○平野貞夫君 私はそうは思わないんですよね。これは、ここで憲法論争はこれ以上やりませんですが、私、監獄法のその運用というのは憲法違反だと思います。これからも機会があるたびにこれはしつこくやっていきたいと思いますので。
 一応、じゃ、局長の憲法に準じている、のっとってやっているという、一応それ側で議論をしたいと思うんですが、ならば監獄法を改正して、監獄法を改正して、立法の言葉としては、これはちょっと精査していませんが、請願文書は検閲してはならぬとか例外だという立法、そういう立法をすることについては政府としてどうですか。立法論として私は言っておるわけだけれども、政府に出せということを言っておるわけじゃないですよ。
#111
○政府参考人(中井憲治君) 監獄法の改正に当たりましてどういう事項を対象とするのか、またその際にどういう選択肢があるのかということについては、これからいろいろと慎重によく勉強し、検討してまいりたいと思います。
#112
○平野貞夫君 立法権というのは我々国会が持っておるわけですから、それは我々の判断だと思うんですが、私は、一連の刑務所あるいは留置場での人権侵害あるいは人権にかかわる不幸な問題が起こる大きな原因として、就役されている、収容されている人たちの、特に自分の人権にかかわる問題が、刑務所の所長さんとかそういう責任者の検閲を通して、あいつはどうもおかしい、あいつは服従していないということで問題が起こる原因が非常に多い。したがって、これはやっぱり法制的に防御することによってそういうふうな問題が防げると、こういう意見を持っておるわけなんです。
 したがいまして、今、局長は検討すべきことだということで明確な、これは明確な言葉は出ないと思うんですが、私は、そういう意味での監獄法の改正等をこれから提言して、やはり服役者といえどもその基本的な人権をやっぱり我々国家機関が知り得る、状況を知り得る、そしてそれを守り得るシステムを作らなきゃ駄目だと。私は、一回、憲法違反か、現在、請願文書が検閲されていることについて憲法違反かどうかということについては、これは一回、訴訟の、司法の中で憲法解釈をしてもらわにゃいかぬ問題だと思っていますが、なおそれに至るまで時間が掛かると思いますから、そういう監獄法の法改正による対応をこれから政治の活動の場としてやっていきたいと思っております。
 局長さん、ちょっとこれに関連して聞きますが、刑務所の中の隠語としてツマムという言葉があるということを知っていますか。
#113
○政府参考人(中井憲治君) 定かではございませんが、何か摘発するというような意味で使われる場合があるという話を聞いたことはございます。
 それから、一点だけ、先ほどの請願の件、随分御懸念なので実質上の運用だけ補足させていただきますと、実務的な運用といたしましてはこの請願の差止め等ということはないものという具合に報告を得ております。
#114
○平野貞夫君 差止めというのは、そんな請願するなという、ストップ掛けるという意味ですね。それは当然でしょうが、私は、やっぱり請願の内容を刑務所長が知り得る、あるいはしかるべき人間が知り得ることによって発生するこのツマミというのは、結局、受刑者が刑務所のルールに従わない人間を摘発するということのように皆さんは理解するでしょうけれども、受刑者側からすれば、私は受刑の経験はないんですが、非常に客観的でないこと、それから法規に基づかないこと、あるいは法規に背いた形で一種のいじめ行為としてやられることを受刑者はツママレタという言葉で言っているようなんですが。こういうことをなくするためにも、私の主張とし意見として、少なくとも国会に請願する、人権制限とか人権にかかわる請願については検閲をしてはならないということをひとつ法律でもって、法改正でもって実現しようじゃないかという提言をこちらで、ここでしておきます。
 そして、次に移りますが、法務大臣、この間の新聞に、入管政策に対して緒方貞子さん、国連の難民問題の専門家なんですが、もう辞められていると思いますが、この方が日本の入管政策に対して厳しい批判をされている報道があったんですが、これは日弁連なんかの一つの要請によると思いますが、私、率直に言いまして、女性の国際的な活躍、政治での活躍というのは大事なことだと思っていますし、緒方貞子と森山眞弓といえばこれは日本を代表する女性なんですが、この緒方さんの批判、新聞、御存じですか。
#115
○国務大臣(森山眞弓君) はい。
#116
○平野貞夫君 それに対してはどういう御所見でしょう。
#117
○国務大臣(森山眞弓君) 新聞で拝見いたしました。日弁連の主催されました難民認定制度改正をテーマにしたシンポジウムにメッセージを寄せられたというふうにその新聞には書いてございました。
 私は、緒方さんと長いお付き合いでよく存じ上げておりますし、また、緒方さんと最近も二、三度お会いして、特に難民の問題についてお話し合いしたこともございますので、この新聞に報じられているような内容が本当に緒方さんがおっしゃったのか、あるいは緒方さん御自身がお書きになったものなのか、その辺の真意が定かでございませんので、腑に落ちない気持ちで読ませていただいたわけでございますが、本当の御意図がよく分かりませんので、私がコメントすることは控えさせていただきたいというふうに思っております。
 しかし、かねてから難民認定者の数が少ないという批判が一般にあるということは承知しておりまして、それの理由としては、難民の出身国とのかかわりが我が国は歴史的に乏しいということや、言語の相違もありますし、難民の出身地域と大変遠いという位置関係にもありますし、交通手段が海か空に限られているというようなこともございまして、欧州諸国とは大変違うという条件があるということもよく御認識いただきたいというふうに思うわけでございます。
 難民につきましては、これまで二百九十一人の条約難民を認定いたしましたほか、昭和五十三年以降、インドシナ難民の受入れを積極的に行っておりまして、平成十三年末までの間に合計一万七百九十七人も受け入れているわけでございますので、それらのことを緒方さんが御存じないはずはないわけでございますので、この新聞に報じられた内容はちょっと腑に落ちないなというふうな感じで読ませていただいたわけでございます。
#118
○平野貞夫君 私も、あの新聞を見て、かねがね日本の難民政策について疑念は持っていましたけれども、あれほどのことはないだろうという印象を持っていました。ただ、緒方貞子さんと法務大臣、何でも言える仲でしたら、やっぱり難民問題の受入れについては、法務省の役人の方々の意見も大事ですけれども、やはり率直に緒方さんなんかの意見も、考え方も取り入れて、今後ああいう誤解のないようにしていただきたいと思います。
 終わります。
#119
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 裁判官給与法についてまずお聞きをいたします。
 四月にさかのぼって減額するということでよろしいでしょうか。
#120
○政府参考人(寺田逸郎君) 今回の減額は、公布の日の属する月の翌月、つまり、例えば現在公布するとなると十二月の一日ということになるわけでございますが、その初日に効力を生じます。
 ただし、減額に相当するような額を計算いたしまして、それを十二月の期末手当等から差し引くというような措置が、これは一般の公務員についてなされておりますので、裁判官につきましても同様の措置が予定されているわけでございます。
#121
○福島瑞穂君 済みません。では、私は誤解しているのかもしれませんが、さかのぼって減額をするというわけではないんですね。済みません、もう一回お願いします。
#122
○政府参考人(寺田逸郎君) 法形式的にはそのとおりでございます。さかのぼってはおりません。
#123
○福島瑞穂君 じゃ、その点は誤解しておりました。私たちが、私たちがというか、例えば社民党は減額するな、減額するなと言い、当の最高裁と法務省が減額してもいいのだ、いいのだというこの関係はちょっとよく分からないというか、やはり憲法七十九条、八十条で裁判官の報酬減額禁止があるということは、やはり法律の明文にはっきり書いてあることであります。これは裁判官を優遇するという意味ではなく、司法権の独立の観点から減額をするなということがあるのだということを法学部でも懇々と授業を受けましたので、その意味ではなぜ今、国会で、もちろん不況の折ですが、減額の法律が出てくるのかと。むしろ、エールを送って頑張ってやってほしいというふうに思います。
 次に、今までもありましたが、引き続き刑務所の問題についてお聞きをします。
 森山法務大臣が、先ほどの質問でもありましたが、十二日の閣議後の記者会見で、本当に残念だ、誠に申し訳ないと思うと遺憾の意を表明した上で、矯正局で各受刑施設の実態を調べて、同様のことがほかの施設であったとは聞いていないと述べていらっしゃる旨、記者会見がありました。
 しかし、六つの裁判所で判決が確定をしている、革手錠、保護房で国家賠償請求訴訟で国側が負けている、違法であると認定をされたものが六つあります。旭川刑務所、千葉刑務所、東京拘置所、大阪拘置所、松江刑務所浜田拘置支所、府中刑務所と、六つの事件が現在確定をしております。
 東京拘置所のケースは、アメリカ人Dさんが、一九九五年九月十一日、他の房に収容されていた外国人に声を掛けたことをきっかけとして保護房に収容され、保護房内でも看守たちから暴行を受けた。これに対する国家賠償請求訴訟では、一九九八年十二月三日、看守の制圧の行き過ぎを認め、国に十五万円、安いですけれども、支払を命じた。原告のランニングシャツに明瞭に残された靴跡が暴行の証拠となったとなっています。
 ですから、名古屋刑務所は短期間の間に死亡事故が毎年起こり、致傷罪で特別公務員暴行陵虐致傷で捜査が始まっているという点では誠に異例ですけれども、他の刑務所、拘置所でもこういう問題があるということについて、大臣のお考えをお聞かせください。
#124
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほどおっしゃいました記者会見での応答についてはそのとおりでございますが、その後、矯正局に更に徹底した調査を指示いたしまして、現在それが行われているということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 いずれにいたしましても、刑務官の行動に行き過ぎがあり、それが受刑者に対して様々な傷害を与え、あるいは場合によっては致死に至るというようなことがあるということは甚だ遺憾でございますし、十分気を付けていかなければいけないことでありますので、今後も更に厳重に注意をして、二度とそのようなことが起こらないようにしたいというふうに考えています。
#125
○福島瑞穂君 今日、情願についての質問も相次いでおりますが、保護房、革手錠に関する情願、告訴、告発の件数は非常に多く出されています。二〇〇〇年、平成十二年で情願二千三百八十二件、訴訟が二百五十九件、告訴、告発が三百十六件、その他が千二百六十四件。つまり、二〇〇〇年一年を取ってみても情願が二千三百八十二、告訴、告発が三百十六という、保護房、革手錠に関するものだけで極めて多く起こされています。名古屋刑務所の大臣情願も多く、平成十四年、今年、先ほども回答ありましたが、十月末日時点までで、今年だけで三十件大臣情願が出ております。告訴、告発も、名古屋刑務所での被収容者の行った告訴、告発もありまして、今年だけで十月末日時点までで二件起きています。
 つまり、この数字は何を意味しているのか。情願があり、大臣情願があり、告訴、告発があると。また、たくさん弁護士会から、名古屋刑務所だけにとどまらず、人権救済の申立てに対して勧告、警告が出ております。
 名古屋刑務所についても今年八月、名古屋弁護士会から警告が出ているということでよろしいでしょうか。
#126
○政府参考人(中井憲治君) 事実関係についてお尋ねですので、お答えいたしたいと思います。
 名古屋刑務所に対する革手錠の適正使用に関する警告書についてでありますが、委員御指摘のように本年八月には送付されておりません。昨日、同弁護士会から届けられたという具合に報告を受けております。
 いずれにいたしましても、この問題は別といたしまして、警告書の内容につきましてはよく検討させていただきまして、改めるべきところがあれば改めるなど適切に対処していきたいと、かように考えております。
#127
○福島瑞穂君 名古屋刑務所に入っていたという人から手紙をもらいました。
 この人はトイレに行くことについて、例えば工場への出房時間までは洗面、食事、用便等の時間なのですが、保安課長が替わってからその時間が半分に減り、用便の時間もなくなりました。私は胆のうの摘出手術を受けたので、その副作用で下痢がひどく、用便をしていい時間にドアをドンドンけられ、どなり散らされ、やめろ、出て座っていろと何度もやられました。用便のことだけはどうにもならないので、それだけはやめてほしいと思い、情願したところ、矯正局の役人は話を聞いてびっくりしていましたが、その後も変わることなく朝の用便のたびやられました。名古屋では最低の尊厳もありませんでした。
 二か月か三か月後に保安課長から情願の言渡しがあり、おまえの言っているようなことは存在しないと、矯正局の判断だとの通知があったと言われました。国のやること、役人のやることはこんなものかと思っていたところ、他の受刑者に、情願等すると必ず後で仕返しされるぞと言われましたが、それが本当のことになりました。
 一か月くらい後に、工場の係長に保安課に連れていかれ、何なのかと思っていたところ、係長が私と二人きりになり、訳の分からないことでどなり、いきなりドアに自分でぶつかっておいて、何をすると大声を上げ、その瞬間十人ぐらいがどどっと入ってきて、殴る、けるされ、革手錠をぎちぎちにはめられ、保護房に入れられました。うそのような本当の話です。
 けられたときに手術の傷が破れないか心配でしたが、それよりも、保護房内には壁の四分の一くらいの大きな換気扇が取り付けてあって、空気の入替えを名目に回され続けられています。革手錠よりもそれには参りました。十二月の末だったので、寒さで眠ることができず、手はしびれる、動けないで、革手錠をされていた三日間は少しも眠れませんでした。あの寒さは身体の弱い人では凍死することもあると感じました。私は三日間、七十二時間これをやられました。
 というふうに、もっと詳しく書かれています。
 つまり、こういうことは一例であって、革手錠について、保護房についてあっても、なかなかそれの改善がされない。ぎちぎち締めることで傷跡が残っている人の写真もありますけれども、それを、革手錠をするときに暴行を振るうということも大変問題です。
 ところで、今年九月の致傷のケースに関してはビデオテープがあったと報道がされました。このビデオテープはあったのでしょうか。もし、暴行の、検察庁が挙げるに当たって、ビデオがありながら所長はなぜ正当な制圧行為であったと記者会見をしたのでしょうか。九月の事件では結局、暴行はあったのでしょうか。
#128
○政府参考人(中井憲治君) 冒頭にちょっと若干先ほどの説明を補足させていただきたいと思いますけれども、情願等がありました際には、その一方当事者の話を確認するだけでなくて、双方のいろいろな事実調査をいたしまして、それについて適正に私どもは処理していると、こういう具合に御理解いただきたいと思います。
 引き続きまして、ただいまのお尋ねの本年九月の名古屋刑務所における革手錠使用事件についてのビデオテープの存否ということでございますけれども、これは委員御承知のとおり、現在、名古屋地検において捜査中でございまして、その捜査中である具体的事件の個別証拠があるのかないのか、その内容はどうであるかということに関するお尋ねであろうと受け止めております。したがいまして、そのビデオテープがあるかないかということも含めまして、回答は差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、一般論として申しますと、私ども、大臣から、発生当初から非常に厳しく管理体制も含めて調査を徹底するようにと、こう受けておりまして、同様の内容を現地にも指示しております。名古屋刑務所におきましては、関係の証拠物、証拠書類の提出も含めまして、名古屋地検の捜査には事案を通報いたしました当初から全面的に協力しているものと、かように承知しております。
#129
○福島瑞穂君 私は、国会の質疑は、ある種の人権救済のための第三者機関的な、人権侵害があったときに問題をきちっと明らかにしていくための機能も国会は果たすべきだというふうに思います。しかし、幾ら質問しても答えてもらえない。人権擁護局が調査に入ったと言いながら、ビデオテープがあったかないかについても言ってもらえない。ただ、新聞には、ビデオがあって、暴行を振るっているのでそれが立件の大きな理由だと言われています。にもかかわらず、所長は記者会見では正当な制圧行為であったと言っているわけです。つまり、何が言いたいかというと、国会の中で何も明らかにしてもらえない。これはひどいんではないですか。
 例えば、では、刑事事件になっていないケースについてお聞きをします。去年も、名古屋刑務所で五月に、革手錠、保護房のケースで、腹膜炎で死亡したケースがあります。ビデオテープはあるのでしょうか。
#130
○政府参考人(中井憲治君) まず、おわびをしなければいけないのは、最初、二点についての質問を受けまして、前段のお尋ねについてだけお答えいたしまして、後段の名古屋の刑務所長の会見内容についてお答えしておりませんので、その点に最初に冒頭お答えし、引き続きまして今の点についてお答えしたいと思います。
 まず、ビデオテープの有無につきましては、甚だ、先ほど来申し上げておりますように、名古屋地検において捜査中でございますので、その存否の回答は差し控えさせていただきたいわけでありますけれども、これとは別に、名古屋の刑務所長が十月四日の記者会見におきまして、制圧行為として許される範囲内であったと信じたいと、こういう発言をしたこと自体は私も報告を受けているところでございます。
 この内容についてでありますが、当該所長といたしましては、それまで調査しているわけでございますけれども、その結果を踏まえまして、手術を要するような重大な結果になったということは重く受け止めるといたしましても、素朴な人情と申しますか、部下はあくまで信じたいと、こういうようなことからそのような所感を述べたものかと私どもは受け止めているわけでございますけれども、さはさりながらでございます、さはさりながら、本件事案の重大性でありますとか、問題の受刑者への配慮でありますとか、所感を述べるタイミングでありますとか、言わば施設長自らがこのような所感を述べることがいろいろな影響があると、こういったことにかんがみますと、いささか配慮が足りなかった面なしとしないと私は考えている次第でございます。
 続きまして、第二点のただいまのお尋ねの件でありますが、本年五月の名古屋刑務所における革手錠使用事件についてのビデオテープの存否につきましてはお答えはしかねるというところでありますが、その前の案件につきましては、これはビデオテープは存在しておりません。
#131
○福島瑞穂君 去年の死亡事件については、保護房にいつ入って、どれぐらいたって亡くなったかということは教えていただいていないんですが、いまだに教えていただけないでしょうか。腹膜炎で死亡した、肛門に自分で指を入れて腹膜炎で死亡したと言われているんですね。でも、そういうので腹膜炎で死ぬのかどうか、いささか疑問を持っております。
 保護房にいつ入って、いつ死んだのか、教えてください。
#132
○政府参考人(中井憲治君) 大変難しい質問を受けているわけでございます。
 要するに、お尋ねの案件につきましては、死亡した受刑者のプライバシーということを考えますと、その問題がありますので、正直申し上げましてどの程度まで答弁すべきなのか難しいところがございます。しかし、さはさりながら、現に今、強制捜査の対象に名古屋の刑務所がなっているわけでございまして、委員御指摘のように、保護房で革手錠を使用したという点でも共通性があると。しかも、その名古屋の刑務所におきましては、本年の死亡事案と現在、強制捜査中のその事件の、この二件を公表するということに踏み切っているわけでございますので、これらを総合勘案しますと、やっぱりある程度の説明は許されるのかなという具合に考えている次第でございます。
 この前提を置きまして、長々と申して恐縮なんですが、お尋ねの件に答えますと、平成十三年十二月に名古屋刑務所におきまして、保護房に収容されていた受刑者に対して暴行等のおそれがあるということから革手錠を使用したものであり、その後、これが薄らいだため革手錠を解除いたしましたところ、自傷行為によると思われる腹膜炎を生じ、保護房の収容を解除した翌日、死亡に至ったものとの報告を受けているわけでございます。
#133
○福島瑞穂君 そうすると、何日に死んだんですか。翌日、十三日ということでよろしいですか。
#134
○政府参考人(中井憲治君) 保護房の収容を解除した翌日でございます。
#135
○福島瑞穂君 自傷行為で腹膜炎で死亡ということで、私が事務所で聞いたら、自分で肛門に指を入れて腹膜炎で死亡と。これで翌日に死ぬだろうかという、実に死因について非常に奇々怪々な感じがします。この点についてもきちっと、本人の名前とかプライバシーには一切興味がありません。ただ、死んだ理由がやはり非常に変だというふうに思いますので、この点についても、今後、明らかにしてくださるようにお願いします。
 ところで、過去十年間における保護房収容者の死亡事案、病院移送事案について資料を出してほしいというふうに言っておりますが、これは出していただけるでしょうか。
#136
○政府参考人(中井憲治君) 現在までのところ、委員の要求におこたえいたしまして提出した範囲以外のものは差し控えさせていただきたいと思います。
#137
○福島瑞穂君 過去三年分の死亡事故については、件数と場所は教えていただきました。
 しかし、例えば病院搬入のケースが難しいのであれば、せめて、保護房、革手錠で、やはり保護房の中で死んでいる、二十四時間監視を受けながら死んだわけですから、保護房収容者の死亡事案について、これは記録はあると、この間の法務委員会で発言をされていますので、記録があるのであれば、この法務委員会に十年間分の保護房の中での死亡事案について出してくださるよう要求いたします。
#138
○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、理事会において協議いたします。
#139
○福島瑞穂君 やはり、私たちが何かのきっかけで知らなければ、なぜ死んだかということも、それから実態も全く、件数も分からないというのは非常に変だというふうに思っています。
 ところで、今まで人権救済申立ての警告、勧告ですね、保護房、革手錠、たくさん出ている、告訴、告発もある、情願もたくさん出ていると。にもかかわらず、なぜ死亡事件が起きたり、なぜ致傷事件が起きたり、名古屋では全く革手錠の使用頻度が減っていないと。これだけいろいろ情願がありながら、なぜ改善されていないんでしょうか。法務大臣に対する情願は全く無力なのでしょうか。
 大臣、いかがでしょうか。
#140
○国務大臣(森山眞弓君) 情願は、被収容者が刑務所等の処置に関して不服がありますときに法務大臣等に訴える制度でございまして、監獄法に定められた不服申立てでございます。
 被収容者が作成した情願書は、施設において検閲することなく法務相に進達されまして、矯正局等において申立人本人から事情を聴くなどして所要の調査を遂げ、当該調査結果に基づき裁決いたしまして、裁決書を申立人に交付しております。
 情願の申立てに係る施設の処置に違法又は不当な点がある場合には、採択の裁決をし、申立人である被収容者の救済を図るべく、施設に是正措置を講じさせるなどいたしております。
 また、施設の処置に違法又は不当な点がない場合であっても、必ずしも適切でない取扱い等が認められた場合には、施設に改善を指導するなどいたしまして、より適正な施設運営に努めさせております。
#141
○福島瑞穂君 裁判で六件勝訴判決、国家賠償請求訴訟で勝つというのはなかなか証拠の点からも難しいことはあるわけですが、六件判決が確定し、革手錠、保護房で国家賠償請求訴訟が認められております。
 このように、裁判で革手錠の使用については厳しい判決が出ている面もあると。例えば、千葉の刑務所ですと、保護房内で両手後ろの方法で革手錠及び金属手錠をされることによる身体的、精神的苦痛の程度は、戒護の目的達成のための必要最小限度の範囲、方法を明らかに逸脱しているなど、あります。にもかかわらず、なぜ今回のような事件が起き続けているのでしょうか。また、人権救済を申し立てたために、名古屋では厳しい革手錠が締められたというのもあります。
 先ほど私が読み上げた名古屋刑務所の手紙も、情願をやったために自分は革手錠、保護房に入れられたということを述べています。
 つまり、人権救済をするとむしろ身の危険が生ずるという、反省をしていない、それから人権救済を訴えるとむしろひどい目に遭ってしまう、情願の仕返しをされてしまう、このことについての大臣の考えをお聞かせください。
#142
○国務大臣(森山眞弓君) 情願というものの取扱いは先ほど申し上げたとおりでございまして、その情願をしたためにおっしゃるような仕返しというようなことがあるのはとんでもないことだと思いますので、そういうことが決して起こらないように厳重に注意しなければいけないと思います。
#143
○福島瑞穂君 私は、国会はある種の人権救済の第三者機関的な側面も果たすべきだと思います。三権のうちの一つで、国会の中で取り上げなければ、行政も取り上げない、司法も取り上げにくい問題について、人権救済のための第三者機関はもちろん必要ですが、国会もその役割を本当に頑張って果たすべきだというふうに思います。
 死亡したことについて、十年間分、革手錠、保護房事案について出してくださるよう、事案を少しでも明らかにしてくださるように強く要望して、私の話を終わります。
#144
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#145
○委員長(魚住裕一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として松山政司君が選任されました。
    ─────────────
#146
○委員長(魚住裕一郎君) これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#147
○井上哲士君 日本共産党を代表して、ただいま議題となっている裁判官報酬法、検察官俸給法の両法の改正法案に対する反対討論を行います。
 反対の理由の第一は、両法案が、国家公務員の給与を引き下げる本年度の人事院勧告に連動して裁判官や検察官の給与を引き下げることにより、社会全体の所得水準を引き下げ、一層の消費悪化を招き、景気に悪影響を与えるものだからであります。
 第二は、四月にさかのぼって改定差額を給与から減額するものだからであります。これは、民間では違法として許されない一方的な不利益遡及の押し付けを行うものであります。
 第三に、人事院勧告が憲法の保障する労働基本権制限の代償措置として機能していないからであります。今回の人事院勧告で国家公務員給与は四年連続減額となり、これでは代償措置と認められず、無用の長物となってしまいます。
 最後に、憲法七十九条、八十条は、裁判官の報酬は「減額することができない。」と明文で禁止をうたっています。最高裁事務総局も裁判所法逐条解説において減額は許されないとしていたものであり、極めて違憲の疑いが強いものであります。
 以上、反対の理由を述べて、私の討論を終わります。
#148
○福島瑞穂君 社民党を代表して、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に反対の意見を述べさせていただきます。
 憲法七十九条六項は、「この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と規定し、憲法八十条は、下級裁判所の裁判官に関しまして、二項で「この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と規定をしています。今回の改正案は、この憲法の明文に明確に反しておりまして、違憲の疑いが極めて強いもので、賛成することはできません。
 第二に、国家公務員に犠牲を強いるばかりでなく、民間給与の引下げを招き、よって消費減退、景気悪化を招くという面があります。
 三番目に、給与減額が労働基本権の代償措置として機能していないということも挙げられます。
 よって、この改正案に反対の意見を述べさせていただきます。
#149
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#151
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#152
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#153
○委員長(魚住裕一郎君) 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案及び司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
#154
○国務大臣(森山眞弓君) まず、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展等の内外の社会経済情勢の変化に伴い、法及び司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数の優れた法曹が求められております。この法律案は、このような状況にかんがみ、法曹養成の基本理念並びに法曹養成のための中核的な教育機関としての法科大学院における教育の充実、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携の確保に関する事項その他の基本となる事項を定めることにより、高度の専門的な能力及び優れた資質を有する多数の法曹の養成を図ることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、法曹の養成は、国の機関、大学その他の法曹の養成に関係する機関の密接な連携の下に、法科大学院において、入学者の適性の的確な評価及び多様性の確保に配慮した公平な入学者選抜を行い、少人数による密度の高い授業により、将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施し、その上で厳格な成績評価及び修了認定を行うこととするとともに、法科大学院における教育との有機的連携の下に、司法試験において、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかの判定を行うこととし、司法修習生の修習において、裁判官、検察官又は弁護士としての実務に必要な能力を修得させることを基本として行われるものとしております。
 第二に、法曹の養成に関する国の責務について所要の規定を置くとともに、国又は政府が必要な施策等を講じなければならないものとしております。
 第三に、法科大学院の教育の充実に関する大学の責務及び法科大学院の教育研究活動の状況についての適格認定について所要の規定を置いております。
 第四に、法務大臣及び文部科学大臣は、法科大学院における教育の充実及び法科大学院における教育と司法試験との有機的連携の確保を図るため、相互に協力しなければならないものとし、両大臣の関係について所要の規定を置いております。
 次に、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数の優れた法曹が求められています。この法律案は、このような状況にかんがみ、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携を図るため、司法試験について、法科大学院の課程を修了した者等にその受験資格を認めることとし、試験の方法、試験科目等を改めるほか、試験の実施等を所掌する機関として法曹及び学識経験者により構成される司法試験委員会を設置する等の措置を講ずるとともに、司法修習生の修習について、その期間を少なくとも一年とすることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、司法試験は、法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に、短答式及び論文式による筆記試験により行うものとし、試験科目等について所要の規定を置いております。
 第二に、司法試験の受験資格について、法科大学院課程を修了した者及び司法試験予備試験合格者が司法試験を受けることができるものとした上で、受験期間、受験回数等について所要の規定を置いております。
 第三に、司法試験予備試験について、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的として行うものとし、試験科目等について所要の規定を置いております。
 第四に、法務省に、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験を有する者をもって組織される司法試験委員会を置き、司法試験及び司法試験予備試験を実施するほか、法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項の調査審議などを行うものとするとともに、司法試験委員会に、司法試験及び司法試験予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため、司法試験考査委員及び司法試験予備試験考査委員を置くものとし、所掌事務等について所要の規定を置いております。
 第五に、司法修習生の修習期間を少なくとも一年に短縮するものとしております。
 以上がこの両法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
#155
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#156
○委員長(魚住裕一郎君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 学校教育法の一部を改正する法律案について、文教科学委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案及び司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案について、文教科学委員会からの連合審査会開会の申入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#160
○委員長(魚住裕一郎君) 次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律案の審査のため、連合審査会に政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#161
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト