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2002/05/21 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 環境委員会 第13号
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2002/05/21 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 環境委員会 第13号

#1
第154回国会 環境委員会 第13号
平成十四年五月二十一日(火曜日)
   午後一時二十二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     段本 幸男君     片山虎之助君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     段本 幸男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         堀  利和君
    理 事
                大野つや子君
                佐藤 昭郎君
                清水嘉与子君
                福山 哲郎君
                高橋紀世子君
    委 員
                愛知 治郎君
                小泉 顕雄君
                段本 幸男君
                西田 吉宏君
                真鍋 賢二君
                江本 孟紀君
                小宮山洋子君
                谷  博之君
            ツルネン マルテイ君
                加藤 修一君
                福本 潤一君
                山下 栄一君
                岩佐 恵美君
   国務大臣
       環境大臣     大木  浩君
   副大臣
       環境副大臣    山下 栄一君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  奥谷  通君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局長       原口 恒和君
       外務省北米局長  藤崎 一郎君
       厚生労働省医薬
       局長       宮島  彰君
       厚生労働省医薬
       局食品保健部長  尾嵜 新平君
       農林水産大臣官
       房審議官     坂野 雅敏君
       経済産業省産業
       技術環境局長   日下 一正君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院長     佐々木宜彦君
       国土交通省総合
       政策局長     岩村  敬君
       国土交通省土地
       ・水資源局長   河崎 広二君
       環境大臣官房廃
       棄物・リサイク
       ル対策部長    飯島  孝君
       環境省総合環境
       政策局環境保健
       部長       岩尾總一郎君
       環境省地球環境
       局長       岡澤 和好君
       環境省環境管理
       局長       西尾 哲茂君
       環境省環境管理
       局水環境部長   石原 一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○土壌汚染対策法案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(堀利和君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 土壌汚染対策法案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局長原口恒和君、外務省北米局長藤崎一郎君、厚生労働省医薬局長宮島彰君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、農林水産大臣官房審議官坂野雅敏君、経済産業省産業技術環境局長日下一正君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省土地・水資源局長河崎広二君、環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局環境保健部長岩尾總一郎君、環境省地球環境局長岡澤和好君、環境省環境管理局長西尾哲茂君、環境省環境管理局水環境部長石原一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(堀利和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(堀利和君) 土壌汚染対策法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎でございます。
 一度この法律についてしっかりとお伺いをしたんですが、まだまだ分からない点も多々ありますので、再度質問をさせていただきます。
 まず第一点なんですけれども、未然防止の点、土壌汚染の未然防止の点について確認を含めお伺いしたいと思うんですが、前回の参考人の方にお伺いして、特に浅野参考人、いろいろお伺いをしたんですが、これは一度聞いた話ではありますけれども、浅野参考人もはっきりと、今回未然防止という規定をはっきりとこの法律の中に明示をするのではなくて、法体系全体、環境法体系全体の中から未然という、未然防止を図っていくというお答えでした。特に、この法律に明確に入れてしまうと法体系上重複してしまう部分があるので、かえってその対策の一次的な執行を難しくするという御指摘がありましたけれども、その点について確認なんですが、再度、この法律の体系上、どのような位置、どのような目的というか役割を果たしているか、お聞かせください。
#6
○政府参考人(西尾哲茂君) 今、未然防止ということの位置付けにつきましての法体系上の御質問でございます。
 環境法におきまして、特に大気汚染でございますとか水質汚濁でございますとかいう公害の防止の分野におきましては、かねてから順次、各それぞれの媒体ごとにその汚染を防止するという法律が作られてきたわけでございますが、この土壌の汚染対策という分野につきましては直接それを目的とした法律が作られていなかった、そういうことで現在提案させていただいている次第です。
 ところで、土壌汚染対策におきます未然防止ということでございますけれども、土壌汚染につきましては、これは土壌汚染が起こる事柄を順番に考えますと、有害物質が水を通じて土を汚す、あるいは大気を通じてそういう有害物質が落ちてきて土が汚れる、あるいは廃棄物といったような形で直接に廃棄されて土が汚れる、いろいろな経路で土壌汚染が起こるわけでございますので、こういう経路を遮断するということにおきまして土壌汚染の未然防止が図られる。
 そういうことでいえば、既に大気汚染防止法、それから水質汚濁防止法、廃棄物処理法等の各その排出を規制する法律がございますので、そういう意味合いの未然防止につきましては各法にゆだねることといたしまして、この法律では、そういう経路を通じて既に生じてしまった土壌の汚染ということにつきまして、今まで法制度がなかったわけでございます。そこの対策につきましてルールを定めるという法律を提案する、それは全体の公害法の体系にも整合しているのではないか。これは参考人からもあった意見ではないかと思っておりますので、私どももそのような全体体系ということで考えております。
#7
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 ということは、まず、この法律においては二次的汚染の防止、それが明記をされているわけですけれども、その点については全く異論はありませんが、一次的なものに関して言えば、既にほかの法律で防止規定があるので、あえてここでは必要ないというか、もう既に行われているというか、法体系上十分に完備をされているという理解でよろしいのでしょうか。
#8
○政府参考人(西尾哲茂君) 直接的な排出等の規制という見地につきましては、他の各法令で措置がされていますので、もちろんそのそれぞれの各法令につきまして日夜必要なことがあれば改善強化していくという努力は片方で必要でございますが、この土壌法におきましては、そこの部分を重複して行うということではなくて、既に生じてしまった土壌対策をきちんとやっていく、これが直接的な目的でございます。
 したがいまして、この土壌法でそういう除去等の措置が行えますということで除去等がされるというのが、これは直接的な目的でございますが、恐らく先生御指摘は、そういう生じてしまった土壌につきましてもきちんとした措置をしなきゃならないんだというルールができ上がるということにおきまして、そういう公害法全体を眺めたときに、より一層土壌汚染というものに対する注意を喚起して、あるいは事業者も注意をしていこうというようなそういう効果といいますか、そういうことが促進していくという効果はあるのだというふうに思っております。
#9
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 では、理解としては、ほかの法律で十分にもう法整備はされているけれども、この法律が通ることによって、また未然防止に対してより強い力が働いて未然防止に資するということで、理解でよろしいでしょうか。
#10
○政府参考人(西尾哲茂君) 先生御指摘のように、他の公害規制法と相まちまして健康被害を防止していく、その未然防止をしていく政策というものに対しまして、この土壌法案、大きな力といいますか、大きな資していくという力があるんだというふうに思っております。
#11
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 では、それを前提に、これからまた未然防止の観点からも環境、健康被害に対する抑止力として働くということですが、前回の質問でもさせていただいたんですが、諸外国、特にアメリカにおいてこの問題が、土壌汚染の問題が明確に問題視をされまして法律が整備をされた。それが約二十年以上前、一九八〇年ということでしたが、その間、問題があるにもかかわらず、これも前回も話をさせていただいたんですが、日本においてこのような法律が作られなかった、提出をされなかったというのはなぜですか。
#12
○国務大臣(大木浩君) この土壌汚染の問題というのは、問題意識としてはもう大分前から、十年ぐらい前からいろいろと議論されてきたわけですね。ところが日本の場合、まずは、大気だとか水というのと違いまして土地ですから、大体だれの土地だということからまず始まるわけで、所有権の問題があると、これが一つございますね。
 ですから、そういった、だれかが所有しておる土地だと。そして、しかも汚染が、汚染状態ができるのも、これストック型の汚染といいますか、要するにもうだんだんに積み重なって、しかしなかなか外から見にくいという形でそういった汚染状態が存在していると。そういったことがあるものですから、仮に何かそれに対して対策をするといいましても、なかなかこれを、正直申し上げまして、法制的あるいは技術的に、問題としては意識はあるんだけれども、どういった法制を作ったらいいか等についてはいろいろ議論がありまして相当時間が掛かったというのが正直なところだと思うんです。
 しかし、今回こういう法律を出させていただきましたのは、いろいろとある意味におきましては土壌汚染に関する科学的な知見というものもだんだん集積されてくるし、それから現実にまた土壌汚染というのが社会的にもいろいろなところでそういうのが見付かったということで、これ何とかしなきゃいかぬぞといった、そういう意味での社会的なニーズも多くなってきたということですから、これはひとつ国民の健康に対する大きな影響を及ぼす問題でもあるということで、これはひとつ早急にそういった法律を作ろうということで、今回こういった新しい法律を提出さしていただいたわけであります。
#13
○愛知治郎君 確かに問題、難しい問題が山ほどあるというのは十分理解はできるんですが、それにしても二十年以上というのは遅過ぎるんじゃないかというのが私自身の問題意識なんですけれども、その点について、難しい問題というのはありますけれども、そこが聞きたかったんですね、なぜにその議論が進まなかったのか。
 その理由の幾つか、自分自身考えてみて、前回でおしかりちょっと受けた部分で、自分の意図が伝わらなかった部分もあるんですが、いろいろな様々な理由。例えば、これは分からないですけれども、例えば環境省、環境大臣、私の父も環境庁長官やりましたけれども、の不作為というか怠慢であったのか、環境省自体の怠慢であったのか、それか若しくはそれだけの人員なり役所の規模なり、力が足りなかったのか、それとも議員がその問題意識を把握できずになかなか協力的じゃなかったのかと、いろいろな理由があると思うんですけれども、その点、大臣の見解、どのような理由でなったのか、ここまで遅れてしまったのか。先ほどとは違った視点でお答えをいただきたいんですが。
#14
○国務大臣(大木浩君) 先ほどもアメリカとの比較で非常に後れておるじゃないかというようなお話もございましたけれども、今、少なくとも日本で土壌汚染の問題が出ているのは、どちらかといえば都市部におる工場とかそれから工場跡地とかいうような、そういうようなところが多いんですね。
 アメリカの場合はちょっとまた土地の、いろんな意味での、えらい広い土地があって、そこのところを広い地域を使っておるとかいろいろありますから、ちょっと私は日本と違って、まず何か対策をするといっても、日本の場合とアメリカとを比べますと、アメリカの手法が必ずしもそのまま適用できないというようなことも多々あったと思うんです。
 いずれにいたしましても、そういうことで今まで時間は掛かっておったんで、それじゃその環境省、あるいは環境、昔の庁が弱かったのかとおっしゃいますと、いやいやそれは非常に努力はしておったんだけれども、やっぱり日本は日本独自のいろんな条件があって、先ほど局長の説明もありましたけれども、ある程度その関連での、水の汚染はきちっとするとか、そういったようなことで間接的にできることはしてきたけれども、土壌というものに直接、を対象として土壌の汚染法というのを出すまでに至らなかったと、こういうことであろうと思います。
 しかし、それが社会的なニーズも今申し上げましたように非常に出てきたということですから、客観情勢と、それからこちらの方のそれに対する対応の能力といいますか、準備状況もある程度整ったんで今度出さしていただいたというふうに御理解いただきたいと思います。
#15
○愛知治郎君 分かりました。
 この点では、また積極的に取り組んでいっていただきたい。ほかの問題も多分どんどん出てきますし、環境の世紀ですから、これは社会的状況ももちろんあるんですけれども、少なくとも、行政の側としてみれば、最善をどんどん尽くしていっていただきたいということです。
 次に、まず、これも参考人にお伺いしていろんな意見が、いろんな意見というか別方向の意見があったんですが、リスクの低減措置についてなんですけれども、特に技術的なものですね。まず、前回の参考人にお伺いしたところ、大野参考人に関していいますと、技術的には十分可能であるということをおっしゃられていました。ただし、コストの面が問題ではあるということはおっしゃってはおられたんですが。しかしながら、畑参考人におかれましては、完全な封じ込めはできないであろうと、このように申しておりました。
 環境省として、この完全な封じ込めをして健康被害を防止できるのかどうか、見込みというか考えをお聞かせください。
#16
○政府参考人(西尾哲茂君) 汚染の除去等の対策につきましては、これは参考人からも意見がございました。いろいろなことを考えて、できるだけ完璧を期していいもの、リスクを避けるものをしていくということを目指さなきゃいけないわけですけれども、他方、現実に機能する制度といたしましては、健康リスクを回避する上で必要十分な措置を的確に打つということは大切だと思っています。
 そういう面では、ある参考人の方のおっしゃいました封じ込めでございますとか、あるいは覆土、舗装とか、そういうふうなことをしていくという対策手段というのは、これは完全な浄化ではないわけでございますから、そういう面では当面の手段ではないかという御指摘もありました。
 そういうこともございますので、この法律では、浄化をする場合はよろしゅうございますけれども、浄化に至らず、封じ込めでありますとか舗装でありますとかいう措置を取りました場合は、そういう土地を台帳に掲げておきまして、土地形質の変更などにつきまして一定の規制に服させるということにしているわけです。
 さはさりながら、もうちょっと技術論といたしまして、そういう措置を取った場合、そういうものがきちんと十分なものにできるのかということでございました。
 これは、ある参考人の方も言っておられましたように、近年、そういう土壌汚染対策なども進んでおりまして、大分経験を積んできておりますので、やはりこれからその技術基準に、更に検討いたしまして技術基準においてきちんとしたものを決めていくということは基本だと思っております。
 封じ込めや舗装の場合、例えば十分な耐久性を有しているんであろうか、あるいはそういうものにつきましても維持管理というのは必要な場合もあろうと思っておりますので、そういう適切な方策というのも併せて書いておく、条件として書くように、条件としてやらせるようにというようなことにしなきゃいけないんではないだろうか。
 そういったような視点から、十分これから専門家の意見を聞きまして、詳細にその対策の技術的基準にきちんとした方法を盛り込みたい。また、そういう方法を盛り込むことはできるだろうというふうに考えております。
#17
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 やってみなければ分からないというのもありますし、どれだけ進むかその状況に応じてというのは多分あると思うんですが、一つだけ確認というか聞きたかったことがあるんですけれども、その措置をした後に、浄化したわけではないんでリスクは必ず残ると思うんですが、その汚染されたものがまた流れ出したり、防止措置をしている間に万が一漏れ出したときの対応というのはどういうふうに想定をされておられますか。
#18
○政府参考人(西尾哲茂君) この法案に基づきます汚染の除去等の措置は、その技術的基準をこれから決めますが、それを踏まえて、健康被害を防止するため、適切な措置というのを都道府県知事が命令をするというわけでございます。
 そういうことでございますので、例えば、そういう覆土や封じ込めをやりましたと、そういうものがどうも技術的基準に適合をしていないようなことをした、その結果、漏れ出したというようなことがもし起これば、それは技術的基準に反しておるわけでございますから、当然措置命令者に対して、その命令が完成していないということで、その技術的基準にしたもののようにするということを求めていくということになろうと思っています。
 それから、もちろん技術的基準におきましては、そういう覆土や封じ込めといったような措置の場合におきまして、先ほど申しました耐久性だとかあるいは維持管理の必要性だとか、そういったようなことにつきまして適切な規定を盛り込むことによりまして、そこは基準をクリアしていれば措置実施後に再び汚染が起こることがないように、そういうような基準を決めていくというのが基本だと思っています。
 ただ、今後いろいろ運用していく過程でいろいろなことが起こると思っていますので、何らかの原因によりまして再び汚染が起きました場合は、もちろん住民の健康被害が起こらないよう適切な対応を行っていく必要があるわけでございます。
 そういったような考え方で、これからまず取りあえずは技術基準の設定に際しまして、専門家の意見も聞いて適切な技術基準を定めるということで取り組みたいと思っております。
#19
○愛知治郎君 分かりました。
 基本的には、技術的な基準をクリアしていれば問題がかなり低減されるというか、ほとんどないとは思うんですが、その技術的基準をクリアしていたにもかかわらずというのが一番問題となってくるとは思うんで、その点、慎重にこれからの動向を見ていただきたいと考えております。
 次に、その点、今のとも関連するんですが、この法律に置いている主目的というか、大きな目的の一つに、調査をしてリスク評価をする、どのような状況になっているかという調査をして情報を管理するということが大きな目的の一つだとは思うんですが、その管理の方法、どのような管理をされているのか、お伺いしたいと思います。
#20
○政府参考人(西尾哲茂君) この法律で予定いたしておりますそういうリスク評価の結果の情報でございます。
 これにつきましては、本法案では、そういう汚染があるという地域になりますれば指定区域としていくわけでございまして、指定区域におきます土壌汚染の調査結果といったようなものにつきましては、都道府県がこれは台帳に記載いたしまして一般の閲覧に供していくということがこの法律上の制度として用意されておるわけでございます。
 台帳の閲覧に関しましては、これは特別の申請を要することなく閲覧できるようにすることとしたいというふうに考えておりますし、それからまた、この台帳の閲覧を便利にするということで、先からインターネットのような御議論もございます。いろいろなことを工夫しながら、簡易に閲覧ができるという形で、その情報の管理、提供を行っていきたいというふうに考えております。
#21
○愛知治郎君 分かりました。私自身の考え方としても、とにかくこの情報の管理、これが非常に重要になってくると思います。
 まず、どのような措置をしたかにもよりますし、これから土地を取引をしたりかかわっていくときに、その土地がどのような状況になっているのかははっきりと示していただかないと、また風評被害の問題もありますし、全く意味がないものとなってしまいますので、慎重にしっかりと取り組んでいってほしいと考えております。
 その点で、情報開示がしっかりされて、どなたでも、だれでも気軽にというか、いつでも見られる状態がなされていることが前提なんですが、やはり土地取引をする場合に、この情報を基にいろいろな経済活動を行っていくわけですが、この土地取引に対してまたどのような影響があるのか、今度は国土交通省にお伺いをしたいと思います。
#22
○政府参考人(岩村敬君) 近年の土地取引の中には、工場跡地の再開発等に伴いまして、土壌汚染がその再開発に当たって顕在化するということがございます。その結果、土壌汚染の状況がその土地取引に当たって支障を及ぼしている、こういった例が幾つか報告されているわけでございます。
 そういう意味で、この法律が成立をして適切な運用がされますれば、一つは、今、先生御指摘のように調査がされるわけでございます。土壌汚染の状況の調査、それから指定区域の指定等の措置がされるという、更には情報、汚染に係る情報が開示されるということがされますので、トラブルの防止が図られ、取引の安定化に資するものというふうに思っております。
 また、その汚染の除去に当たっても、汚染原因者が明らかな場合には、汚染原因者に対しましてリスク低減措置の実施命令が出されるとか、また土地所有者等がリスク低減措置を行った後に汚染原因者が明らかとなれば、土地所有者が汚染原因者に費用を請求できる等々、土地取引を行うに当たってはプラスに働く方向がこの法律で出てまいるというふうに思っております。
 そういうことで、先生もおっしゃったように、この法律作っただけではなくて、その施行がきちっとされる、特に情報開示等々、それからこの施行が、十分法律の趣旨を体した施行がされるということが当然前提ではございますけれども、それをするために、今後、関係者と連携を図りながら、新しい仕組みの周知徹底、これに努めまして、土地取引の安定を図ってまいりたいというふうに思っております。
#23
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 調査自体もこれから始まる、それからその情報の管理もこれから始まるということなので、時間的にはまだしばらく混乱であるとか、はっきりとすべて整備がされるわけじゃないので、これからの問題だと思います。その点についても是非しっかりと、そのときそのときの状況を踏まえた上で運用なり環境省の対応を決めてほしいと考えております。
 もう一つ、土地取引に関連してなんですが、金融機関など、原則的に土地所有者が責任を負う部分が多くありますが、一時的な所有者に関してどのような配慮をしているのか、どのような扱いをするのか、お聞かせ願えますか。
#24
○政府参考人(西尾哲茂君) 金融機関など一時的な所有者というお尋ねでございます。
 金融機関等が所有者になるような場面というのは、恐らく土地所有者に貸付けをしたりとか抵当権を付したりといったようなことをしたその後、その処理をしていくという過程で一時的な所有者になるという場面があるんだというふうに思っておりますが、そういう形で抵当権を実行して一時的に土地所有者となったような場合の扱いということでございますが、人の健康の保護という法目的が損なわれない範囲で一定の配慮をするという余地があるのではないかと考えております。
 金融機関等が抵当権を実行いたしまして、一時的に土地所有者となっている場合においては、そのことを確認の上、都道府県知事は、当該金融機関が当該土地を売却した後にこれを取得した所有者に対して汚染の除去等の措置を命ずるということにいたしまして、その旨を政省令において規定すると考えております。
 ただ、その更に詳細な点につきましては、これは実体取引に絡みますので、これはよくよく、もう少し実体取引のいろんなパターンをよくよく検討した上、詳細、慎重に検討して、今申し上げましたような考え方に沿って対処してまいりたいというふうに思っております。
#25
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 私自身が何度も何度も申し上げていることですけれども、とても危惧しているのはその責任の所在ですね。だれがどのように責任を取ればいいのかというのがすごく問題になってくると思うので、特に大事なのが求償権ですね。原因者に対して求償をするということなんですが、これは、この法律において、ほかの民法の規定にでも瑕疵担保責任であるとかいろんな規定があるんですが、その規定に比べてどのような対応をなされているか、聞かせてください。
#26
○政府参考人(西尾哲茂君) まず、こういう土壌汚染対策の費用でございますが、汚染原因者が見付かった場合には、そういう汚染の除去等に要しました費用というものは汚染原因者に負担を求めていくということは、これは条理上当然のことではないかというふうに思っています。
 ただ、先生御指摘のように、民事上の求償にゆだねるといったような、現在の民法上の扱いというものにゆだねていきますと、これは民間同士でそういうお話合いがされると、あるいはそういうお話合いが付かない場合には裁判ということになりますので、実際の場面で民法上どのような根拠で、あるいはどのような場合についてそういうものが請求できるのかというようなことにつきまして、実際の法律実務の場で争いとか紛れが生じかねないというふうに思っております。
 これに対しまして、本法案におきましては、八条におきましてこれを明記いたしました。本法律案の措置命令を受けて講じた対策の費用につきましてはその汚染原因者に求償できるという旨の規定を明示で定めたということでございますので、その意味では適切な求償がより容易に実現できるという方向での規定が盛り込まれているということと考えておる次第でございます。
#27
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 その点ではしっかりと明示していただけたということなので安心をしておりますが、いずれにせよ、実際にこの法律が運用されてみていろんな問題が出てくる可能性はありますし、まだ分からない部分は今の段階では致し方のない部分もあるかもしれませんが、いずれにせよ、実際にやってみて問題点が出たときにまた検討するという必要があるかと思います。
 その点で、一応この法律自体が十年間、見直し期間ですね、というのを置いているんですが、当然のごとく、十年間たったら初めてというのではなく、その状況に応じて対応するものだと思いますけれども、環境省の見解をお聞かせください。
#28
○国務大臣(大木浩君) 大分時間が掛かってやっと法案を出しまして、一応この期間は十年ということになっていますが、これは、一つはやっぱり国民の健康を守るための法律ということで出しておりまして、これがこの法律でどの程度本当にきちっと効果を出すかということはある程度法律を施行してみませんとなかなか出てこないという面もありますし、もう一つは、これは先ほどからも申し上げておりますが、土地の所有ということで、所有権、それが移動したり、あるいは問題が生じた場合の汚染の、実際の汚染の起こした人の問題、あるいは所有者の問題、いろいろありますから、やっぱりいろんな、それから土地、それとの関連もあって、土地の取引というようなこともありますから、やっぱりある程度法律が安定して施行されるということが必要じゃないかと思います。そういうことで、法的安定性と申しますか、そういった見地からは十年程度はひとつ施行した方がいいんじゃないかというふうに考えております。
 ただ、具体的にまた何か問題が出てくれば、それについてそれをどうするかということは、これはもう法律を全面的に改定するとかしないとかいうことばかりではありませんけれども、それについてどういうふうに対応するかということは当然に検討するということで御理解いただきたいと思います。
#29
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 私自身、まだまだ分からない部分も多くありますし、現実にやってみないと分からない部分もありますので、これからずっとかかわりながら、私自身もしっかりとこの法律、また現在、世の中の状況も踏まえて勉強していき、問題意識を持ち続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#30
○江本孟紀君 民主党の江本でございます。よろしくお願いします。今、愛知先生の御質問も、多少私もダブろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、本会議で私が代表質問でお尋ねいたしました第一の項目でもありましたが、この法案の本質的な意義について再度またよろしくお願いしたいと思います。
 土壌汚染の現状をこれ以上放置することはできない、だから法律を整備して汚染源の調査と浄化を義務付け、都市再生や土地取引の円滑化に資するものにしたいということは、これはよく分かるのでありますけれども、やはりこの法律は、法案は、事後対策法といいますか対処療法といいますか、肝心かなめな予防という観点が欠落しているんではないかというふうに思います。ということですから、そもそも法案の名称からしても、土壌汚染防止対策法案というふうにすべきではなかったのかなというふうに思います。我々人間でも最近ではもう早期発見、早期治療というのがこれはもう常識でございます。そういう予防という観点をこれを抜きにして、このことには抜きにすることはできません、この法律に関してはですね。
 ある企業では、汚染の有無を把握するために工場内に観測井戸を設けて定期的に地下水調査というのを行っているようであります。こんな企業というのはもう本当に特例でしょうけれども、しかし、それぞれの自主性に今ゆだねているというような現状では未然防止にはほど遠いと言わざるを得ません。
 例えば、観測井戸の常設を義務付けるとかそういった方法を考えられないのか。環境省が土壌汚染のそういった未然防止のために今後具体的にどのように取り組まれるのか。また、この法律案で拡大防止に十分な効力を発揮できるのかどうかということについて再度お尋ねをしたいと思います。
#31
○国務大臣(大木浩君) この法律の直接といいますか目的といいますと、やっぱり国民の健康を守ると、こういうことにあると思うんですね。ただ、この法律が土地を対象としておりますから、こういった土地から発生するいろんな汚染問題についての情報がある程度集積すれば、それでまた土地取引に、土地取引のためにもまた参考になると申しますか、一つの情報を提供するものだという、そういう付随的な効果もありますけれども、あくまでも国民の健康を守るということであろうと思います。
 それじゃ、その予防はどうだということになるんですが、予防もこれなかなか、具体的にそれじゃどういう方策で予防するかということになりますので、これはなかなか難しいわけで、先ほど申し上げましたけれども、その実際の汚染の状態というものが地下に潜っておるというようなことになりますとそれを常に監視してどうかということもなかなかできないということになると、何か機会をとらえて、みんなが納得できるようなときにそういった機会をとらえて少しぴしっと調べるとかそういうことはできますけれども、常に何か四六時中監視しておるとかいうことはちょっとなかなかできないんじゃないかという感じがいたしております。
 今の観測井戸設置の話も、これは自主的にやっていただくところはもちろん結構でありますし、それから、最近はいろいろとこういった土壌の汚染問題というのが出てまいりまして、ですから、土地を持っておって何かいろいろ仕事をしておる、それで自分のところの何か土地を土壌を汚染しておる危険があるんじゃないかなというようなことを心配される企業はむしろ自主的にかなりそういったこともやられると思いますが、今直ちに法律でもって義務的にみんな観測井戸をいろんな企業の中に設けろというのはちょっとツーマッチじゃないかという感じをしております。
 ですから、これは、これからまた今のこの法律を施行していろいろと実際の運用の中で御意見も出てくると思いますから、そういったものは十分参考にしたいと思いますが、とりあえずは、井戸の話について限って申し上げれば、ちょっと今すぐにはこれを義務付けることは無理があるんじゃないかなというふうに考えております。
#32
○江本孟紀君 全部に井戸というようなことはとても無理だとは思いますけれども、やはり自主性だけに任せておいてもなかなかそう簡単には今の現状ではできないんじゃないかと思いますので、ある程度の方向性といいますか、そういったものを出していくべきではないかなと思います。
 次に、汚染原因者の特定と責任ということについてお尋ねをしたいと思います。
 まず、汚染原因者の特定については、土地所有者等が汚染原因者の存在について都道府県に申出を行う場合や、都道府県が措置命令等の不利益処分を行う際に行政手続法に基づいて行われる弁明の機会等に土地所有者等が汚染原因者の存在を主張する場合が考えられ、これらを受けて都道府県が当該土地の履歴調査等の合理的な根拠の存在を前提として汚染原因者を特定させることが考えられるということですが、仮に汚染原因者を特定し因果関係についても立証できたとしても、その汚染原因者に補償能力がなければそれまでということになりはしないかという、これは素朴な疑問が生まれるわけですけれども。
 それから、求償を求める際にどの程度国や地方自治体が関与してくれるのか、それから土地の所有者と汚染原因者の関係、さらに融資等の担保としての土地の一時所有者となった者に対する法的な位置付けなど、それから、第三者に不利益が及ばぬように明確にしておかなければならないという問題が規定をされていないことに対して、これは疑問を感じざるを得ません。
 本当はリスク管理地に指定しなくてはならない土地であっても、最終的な売主の責任が明確にされていない以上、リスク低減措置に掛かる費用を回避するために、汚染された土地であることを隠して取引をされることが起き得るという危険性を否定できないと思うんですけれども、この辺について環境省はどういうお考えでしょうか。
#33
○国務大臣(大木浩君) まず、ちょっとその全般的なことについて私お答えします。また、あと必要に応じて細かい点は局長から答えてもらいたいと思いますが。
 先ほどから申し上げておりますけれども、この今対象となっています土地というのが、土地の所有者がまずあると。しかし、昔何かあったことによって汚染されたかもしれないと。しかも、それもある程度時間を経て、後になって出てきたというようなことになる。だから、その辺のところもなかなか難しいんですね、正直申し上げまして。ですから、その辺のところは現実に応じて、一つはまず、だからその責任だれだということ。
 それから、まずは第三者からいたしますと、それを汚染されて被害が被ったとすれば、その人が一体だれと話をするかというところから始まるわけですから、いろいろございますけれども、基本的に言えば、汚染者負担の原則に則して、汚染原因者が明らかな場合には汚染原因者が汚染の除去等の責任を果たしてもらう必要があると、これは当たり前の話ですけれども、そういうことになりますけれども。
 その円滑な実施のために、第一に、国や地方自治体がいろんな意味での技術的な指導、助言あるいは情報提供等を行うことによって、それからまた第二には、汚染の除去等の措置の実施に関して、低利融資等の支援措置を講ずるというようなことによりまして汚染原因者が責任を果たすことを支援するという、そういう体制をひとつきちっとしてまいりたいと思っております。
 また、汚染の除去等の措置を実施した土地所有者が汚染原因者に対して今度は行う求償ということにつきましては、本法案においては、まず都道府県知事が関係者から聞き取りを行う、それから土地についての履歴調査等の情報に基づいて汚染原因者の特定を行うということであります。また、環境省といたしましても、もちろん関連情報の収集、提供、科学的知見の提供等によって、都道府県知事等によってのまた汚染原因者の特定が円滑に行われるようにと、これはまたそういうことについての協力もしてまいりたいと思っております。
 それから、一時的な土地所有者の位置付けというようなお話がちょっとございましたですね。これは非常に、最近私ども、恐らく私も江本議員も同じような話を聞いておられると思うんですけれども、外国の企業等でそういった一時的な所有者になったというような金融機関等々で話がありますけれども、この土地の一時的な所有者の位置付けにつきましては、だから抵当権の実行によって土地所有者となった者というようなのが措置の実施主体から一律に除外するということは、これはちょっと適当じゃないと思いますけれども。
 例えば今の、ちょっと私ども申し上げ掛けましたが、金融機関が抵当権を実行して一時的に土地所有者となった場合については、やはり、さっきこれ申し上げておりますけれども、法律の目的としては健康の保護というところでありますけれども、その法目的が損なわれない範囲内においては一定の配慮をする余地があるのじゃないかと。つまりは、特例的な措置というものを検討してもいいんじゃないかという議論がございますので、それは頭に置いて、今後それを検討してまいりたいと考えております。
#34
○政府参考人(西尾哲茂君) 今お尋ねのうち、大臣が全体的なこの制度の運営につきまして大臣の方からお答えいたしましたけれども、恐らく最後に、所有者それから原因者との関係の法律上の問題、あるいは売主との法律上の問題のお話がありました。それにつきまして若干実務的な説明をさせていただきたいと思いますが、汚染がある土地、そういう土地を売買したときに、一体売った人、それから汚染者、それから買った人の責任関係はどうなるかというような議論だろうと思います。条理上は、汚染者が見付かれば汚染者に持ってもらうということだと思います。
 それから、売主と買主との関係でございます。これは、現在でも汚染が実はあるかないかが分からないから問題だというようなところがございまして、汚染があることを分かっていて売ったというようなことであれば、通常、民事上何らかの遡求の手段、要するに買主の方が売主に責任を求めるという手段があると思いますし、あるいは両方とも知っていて、それを承知で安く買ったんであれば、それを込みの価格でしょうというようなケースになります。
 問題は、恐らくは土壌汚染という問題に対する認識、意識が余り進んでいない段階では、そういうことも知らなかったし、そういうことについて明確な意識なしに取引がなされたということが起こるわけでございまして、こういう事柄は、実際の問題としてもだんだん土壌対策の意識が深まるにつきまして、実際上も土壌リスクがどうなっているんですかというときに、取引のときになされるということがだんだん出てきているんだと思うんですが、今はそういう面ではルールがないという状態でございます。
 この法律ができますことによりまして、そこは一つでも一定の機会をとらえて調査をし、あるいはリスク管理地となったものについてはそういうものがオープンになっている、そういうことを前提にして取引等もやっていけるということで、そこは前進するんだと思います。
 ただしながら、実際の取引、いろいろなケースがございます。それから、責任関係もいろいろございます。恐らくそういう、この法律では非常にリスクのある土地について対策を取ってもらうという環境上の要請は果たしますけれども、汚染が起こってしまったものにつきまして、経済上あるいは民事上の売買上何が公平なんだ、その公平を最後にどうやって実現をしようかというところまでの、土地制度の全体のところまではこの法律は手が出せていないわけでございますので、そこはいろいろなケースがありますから、民事上の実際にゆだねていくことになると思いますが、ただ、こういう法律ができますと、これからの取引に当たりましては、土壌汚染があった場合のリスクということが取引に当たって非常に大きなことになってくると思いますので、実際の契約に当たっても、そういうものが将来生じた場合どっちが持つんだというようなことは、だんだんとそういうときにはっきりされていくということによりましてだんだんとルール化を図られていく、そういう副次的な効果はあるだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
#35
○江本孟紀君 今の御答弁ですが、確かにそういうことで土地所有者とその汚染原因者の責任というものを明確にしておかないと、先ほども出ましたように、訴訟問題とかそういったことで非常に混乱が起きるんじゃないかということでこの点について今お伺いをしたわけですけれども、次に、具体的なリスクの低減措置についてお伺いいたします。
 土地所有者に異議がない場合、汚染原因者をリスク低減措置の主体、実施主体とすることが適当であるとされていますが、適当とするのではなく、汚染原因者に浄化責任があるというふうに明記をしなくては、何ら実効性が伴わない法案になるのではないかというふうに思います。それは、費用の面から当然明確にしていないといけないということになるのではないでしょうか。リスク低減措置の規模、例えば深度、堆積等、さらに汚染物質の種類、濃淡、複合汚染の有無などによって低減措置にはかなりの幅が生じられるということが想像できます。
 汚染対策の事例の一つとして、土木学会研究報告では、土壌汚染調査費用と土壌汚染浄化費用を足したある企業の浄化対策費用が十億円を超えたケースを紹介しております。規模の大小は問わずに、初期調査では四か所程度のボーリング調査を行って分析をし、それから汚染物質が検出されましたという報告を受けるまでに約七十万の費用が掛かるとされております。その後、本格的な調査を行って具体的な低減措置に取り組むわけですから、浄化のコストと土地の評価のバランスが崩れる事例が多数生じることは、これまた容易に想像できるわけです。
 汚染原因者の所在が不明であったり、補償能力がなくなっていた場合などは、費用負担能力の低い土地所有者にとっては、浄化するよりは閉鎖して永久にリスク管理地とするしか選択の余地がなくなるわけです。土地の流動化が逆に鈍化してしまうケースが増えてくるんじゃないかと思いますけれども、それについては環境省はそういったことが将来起こらないというふうにお思いなのかどうか、お聞きしたいと思います。
 土壌汚染の防止及び被害を最小化するための対策であるリスクコントロールと、それから汚染被害が発生した場合の資金的手当てを行うリスクファイナンシングの二本の柱が確立をされていなければ、この法案は絵にかいたもちのようになってしまうというふうに思います。費用の負担の面や責任所在の明確化などの面でまだまだ不備があるんではないかなと思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
#36
○国務大臣(大木浩君) この今の土地の汚染というのは、先ほどからも申し上げておりますけれども、まずだれかが土地所有者というので、所有者がいると。しかし、本当に考えてみると汚染の原因者はまた別かもしれんぞということで、その両者の関係がいろいろと、いろんなケースがあると思いますけれども、基本的に言えば費用負担というのは、要するに先ほどからおっしゃっているとおりに、いろいろな調査なり、それから実際の汚染が生じている場合のその対策の費用、両方ありますけれども、基本的には汚染者負担の原則ということになります。
 ただ、その汚染土壌の除去等の措置ということを考えますと、これはまた、汚染の状況あるいは土地の利用の方法等に応じてどういう措置を取るかということは、今ちょっとおっしゃいましたけれども、ただ土を除くというようなことではなくて、覆土というか、要するに覆ってしまうというようなこともあるし、舗装だとか封じ込めといったような措置から、あるいは正しく浄化措置そのものまでいろいろあるわけで、基本的には健康リスクを回復するために必要だ、十分だということが、まず法律の趣旨からいうとそれが必要なことだということになるわけでございます。
 そこで、いろいろと必要な費用ということが、時には非常に高額なこともあるということはこれは十分予想されるわけでございますが、これをしかし、今申し上げましたように健康被害防止ということからいえば、汚染原因者に原則として負担をしてもらうというところで、そこで止まってしまったんじゃなかなか現実にできないというようなことも出てきますから、こういった措置が円滑に行われるようには、資金的な問題として、例えば日本政策投資銀行による低利の融資とか、あるいは土壌地下水浄化施設に係る固定資産税の特例措置、あるいは環境事業団がやっております環境浄化機材の貸付け等のそういったいろいろと財政的な援助ですね、そういった措置というものは用意をしておるわけでございまして、またそれと、実際に何か起こった場合にできるだけ、何と申しますか、費用のことも考えながら効率的な対策というのをこれまたひとつ研究開発することによって、そういった非常にだれもが負担できないような大きな何というか損害が起こるような、そういったケースをできるだけ除去していくということもこれはまたひとつ基本的な対策として環境省としても検討してまいりたいと考えております。
#37
○江本孟紀君 そこは大事な問題だと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、罰則規定と見直し期間について。
 先ほど見直し期間についてはお話ありましたけれども、土壌の汚染は何も人体に影響を与える化学物質を扱う工場や廃棄物処理場だけで起こる問題ではありません。産業廃棄物や医療廃棄物の不法な投棄によって様々な場所で深刻な土壌汚染が発生しているからであります。例えば、人目の付かない山間地であるとか、休耕田であるとか、河川敷などが挙げられます。
 こういった事例には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の範疇であることは承知しておりますが、この略称であります廃掃法においては、罰則規定二十五条において当事者に五年以下の懲役と一千万円以下の罰金を、委託された者については三年以下の懲役と三百万円以下の罰金を規定をしております。さらに、三十二条においては、法人に対して一億円以下の罰金も規定をしているのであります。
 不法に廃棄物を投棄する行為と、土地を汚染したまま放置して浄化義務を果たさない行為にさほどの差があるとは思えないのでありますが、本案の罰則規定は廃掃法に比べて非常に寛大な罰則規定になっているのではないでしょうか。
 そうしますと、第三十八条において規定した命令違反者に対する罰則が、これは一年以下の懲役又は百万円以下の罰金というその程度では、浄化に掛かる多額の費用を考慮しても罰則規定がこれは甘過ぎるというふうに考えます。何億もの浄化費を捻出するよりも、自己破産して懲役刑にでもなった方が得じゃないかと考えてくるような人も出てくるんではないかというふうに思います。基金創設による一時立替払などの救済措置や罰則の強化がこういった場合不可欠と考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 さらに、先ほど言いましたけれども、問題を多く抱えたこの本案の見直し規定が十年というのは、先ほどの御答弁には法律が安定するには十年ぐらい必要だろうというふうに御答弁されておりましたけれども、これはやはり十年というふうに決められるのはこれは納得できないんではないかと。やはり不備が出れば即迅速にこの法案を改めていくということが我々立法府の役割ではないかなというふうに思いますので、その点もう一度、大臣、よろしくお願いします。
#38
○国務大臣(大木浩君) まず、その罰則、少し甘いんじゃないかというお話でございますけれども、この今回出しております土壌関係の法律というのも、先ほど局長の説明もあったかと思いますけれども、今までにも水質汚濁防止法だとか大気汚染の防止法だとかやや関連があるというか、似たり寄ったりとは申しませんけれども、同質の法律もございまして、今おっしゃったように一年以下の懲役又は百万円以下の罰金ということにしておりまして、確かに産廃の廃棄物の不法投棄については非常にまた、もっと強い、きつい、五年以下の懲役だとか一千万円とか、あるいは法人の場合の一億円とか、いろいろと差があります、確かにあります。
 これは、ですから、一つは社会的にこういうものをほかっておいた場合にどれだけ出てくるかと、これはもう何とかして早く止めなきゃいかぬというのと、また、どれだけ悪意があって意識的にやっておるかという話がありますので、産廃の場合には本当にもうだれがやったか分からぬと、どこか本当に見えないところへほかっていったというんですか、これは見付かったときは非常にきつく罰しないと、罰するということになりませんと、なかなかその効果が上がらない。
 片やこっちの今の土壌の方は、大体どこで何が起こっているかということぐらいは分かるわけですね、その対象になる土地も分かりますし。というようなことでありますから、たまたま、その責任はだれだということはもちろん明らかにしなきゃいかぬわけですけれども、今のところは今の類似の水質汚濁防止法とか大気汚染防止法と関連したところもあるものですから、それに横並びにしたということでありますから、これはひとつそれでとにかくやってみたいというのが実は私どもの考えであります。
 ただ、先ほどの、法律自体の見直し期間十年というのは少し長過ぎないかというのは、これも確かに、ちょっと先ほども申し上げましたけれども、ある程度土地取引とかそういったものに関連すると一応法律的には安定した、法的安定性といいますか、そういったものもあるし、それから国民の健康を守るのに一体これで必要かということで、両方の見地から十年ぐらいがいいんじゃないかということは考えておりますけれども。
 しかし、具体的に本当にこれは是非とも何とか手直ししなきゃいかぬというような問題があれば、それはひとつ、形は別といたしまして、何らかの方法によりそういった見直しを、あるいは対策の改正というようなことも考えなきゃいかぬかということでございますから、一応の十年という期間は設けておりますけれども、何もその間はやらないということではございませんので、必要があればまたひとつ検討させていただきたいと思っております。
#39
○江本孟紀君 是非ともよろしくお願いします。
 それから、やはりさっき申しましたように、この罰則規定をうまく悪用して、そういった産廃業者とか、よくそういったケースが見られますので、その辺の監視等も含めて是非ともきちっとしていただきたいと思います。
 最後に、未然防止こそがこの法律の私は最大のテーマであると思っております。是非とも調査の対象を現在操業中の工場や事業所にも拡大して、さらに、住民からの指摘を受けた場所などへの調査もその義務付けをして、そしてその調査結果を公開するということも必要だと思います。
 第一勧銀総合研究所がまとめた土壌汚染問題と企業の対策では、土壌汚染調査が望まれる事業所の数を四十四万か所とし、調査と浄化の費用を十三兆三千億円と算出をしております。汚染原因者が特定できる段階で処置しなくては汚染の拡大等リスク低減措置に掛かる莫大な費用は増える一方であり、具体的な基金創設の当てがないまま本案が施行されれば様々な問題が生じてくるのは火を見るより明らかであります。
 土壌の汚染に取り組むことは、これはだれ一人として反対をする人はいないと思います。しかし、そういった今まで審議をされた中でもかなり問題があると思っておりますが、ここで、後、修正案が出ますし、それからそれが駄目であれば附帯決議等も要求しまして、この問題に関しては早期に見直しを図ることをお願いいたしまして、ひとつ最後に大臣のこの御決意を願いたいと思います。
#40
○国務大臣(大木浩君) 土壌汚染が非常に最近社会問題になっておるということは、今、江本議員がおっしゃいましたいろんな件数だとか調査とか、そういったところからも出てくるわけでございますから、これは真剣に取り組まなきゃいかぬというふうに思っております。
 ということで、未然防止ということをあらかじめ前提にして、あらゆる工場について措置を取るとかいうことまではいきませんけれども、常にやっぱり、こういった問題は非常に大きな社会的な問題であるよというようなことについての指導、教育と申しますか、またできるだけその状況の公開をしてもらうとか、そういったことについては今後も私どもも進めてまいりたいと思います。
 特に最近は、そういった実際に工場の所在地の都道府県とかあるいは市町村も非常に、それは自分ところの問題ですから、これはやっぱり非常に関心強く持っておられますから、そういったところとも協力しながら、できるだけまず実態をきちっと把握して、これからまた必要な措置を進めたいということと同時に、もし何らかの意味で改正を必要とするようなところがあれば、これはまた改正と申しますか、是正と申しますか、そういったことも十分考えながら進めてまいりたいと考えております。
#41
○江本孟紀君 ありがとうございました。
#42
○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。江本委員に引き続きまして、質問させていただきます。
 前回の質疑、それから先週の参考人、それから今回の質疑を通して愛知委員、江本委員からも出てきましたように、この法案、大きく言って三つぐらい問題があると。まず未然防止の観点があるということ、それから土地の取引の流通にひょっとすると支障を来すかもしれないという点、それから十年の見直し期間が長過ぎるんじゃないかという点が与野党ともに出てきておりまして、そこに対して大臣からもかなり前向きな答弁をいただいているので、非常に有意義な審議が進んでいるとは思っているんですが、私は、前回申し上げました覚書の件について、まず質問したいというふうに思います。
 前回の審議で指摘をさせていただきましたように、今年の二月の十三日に環境省の環境管理局長と原子力安全・保安院長の間で覚書が交わされています。これは、いわゆる鉱山保安法に基づいた保安区域と土壌汚染対策法のバッティングに対しては、基本的にはこの土壌汚染対策法からは鉱山保安法の有害物質の部分に関しては除くというのが趣旨だというふうに私は判断しておりまして、具体的に申し上げますと、都道府県知事は鉱山保安法管理区域であることを確認すれば、いわゆるこの土壌汚染対策の調査を命じられる特定有害物質使用特定施設には該当しないということ。それから第四条の一項にある「人の健康に係る被害が生ずるおそれがある」というところの調査についても、鉱山保安法管理区域は該当しないことをこの覚書でお互い約束をしているわけです。
 前回の質問で、じゃ実際にこの土壌汚染対策法の水質汚濁防止法の特定施設とこの鉱山保安法の特定管理施設はどのぐらいバッティングするんですかと申し上げたら、バッティングはするけれども何か所あるかは分かりませんというお答えだったので、まずは、もうお調べをいただいているというふうに思いますが、水質汚濁防止法上の対象となって、なおかつ鉱山保安法の管理区域となっている、バッティングしている地域は何か所あるか、お答えください。
#43
○政府参考人(西尾哲茂君) 水質汚濁防止法の届出情報を基に想定いたしますと、鉱山保安法とそれから土壌汚染対策法案の両方の対象となり得る有害物質使用特定施設が設置されている事業場、鉱山事業場というのは二十一か所というふうに想定しております。
#44
○福山哲郎君 二十一か所あると。そうすると、この覚書で言うと、この二十一か所に関しては土壌対策汚染防止法については適用外だというふうに環境省は認めたというふうに言ってよろしいわけですね。
#45
○政府参考人(西尾哲茂君) 鉱山につきましては、端的に申しますとこの二十一か所を想定しておりますが、これは鉱山保安法で適切に措置されている限り、この法律案の第三条、第四条の措置を実施する必要はないものと判断いたしまして、そのような趣旨に沿ってこの法案の実施に当たるということを確認したものでございます。
#46
○福山哲郎君 私は後でこの覚書を交わしたことの是非は議論したいと思いますが、現実に鉱山保安法でどのように適用されているかとか、この管理区域がどのように汚染について措置をされているかということに関してやっぱり調べておかなければいけないと思ってお伺いをしました。ただ、正直申し上げて大変よくやられていると思います、行政の措置としては。ですから、今日、経産省原子力保安院の方来られていますので、現状、鉱山保安管理区域ではどのように措置が行われているか、お答えをいただけますでしょうか。
#47
○政府参考人(佐々木宜彦君) 御説明させていただきます。
 鉱山保安法におきましては、事業者に対しまして坑廃水を地下に浸透させないような措置や使用終了後の鉱滓などの堆積場の覆土、植栽など、鉱害防止のための措置を義務付けております。
 さらに、国家試験に合格した鉱害防止係員を選任することを義務付けるとともに、鉱害防止係員による定期的な巡視検査、あるいは坑廃水の水質測定あるいは記録を義務付けるなど、環境リスクの管理を義務付けております。
 一方、国は、この鉱山法に基づきまして、鉱山保安監督部が鉱害防止義務の履行状況を日常的に確認し、問題があれば必要な措置を命ずるとともに、鉱山を廃止し、鉱業権が消滅した後も鉱害防止のために必要な設備を命ずることと法定されております。
 このように、土壌汚染対策法の一般法である土壌汚染対策法案と比べまして、鉱山保安法におきましては、鉱山の特性を踏まえて土壌汚染対策について具体的かつ詳細な措置を定めておるところでございます。
 これに加えまして、鉱山保安監督部という鉱山保安について専門性を有する特別の監督機関がこれまで厳格に監督を行っておりまして、鉱山については、鉱山保安法によりまして土壌汚染対策についてより的確な対応ができるものと考えております。
#48
○福山哲郎君 ということで、私はある意味でいうとこの二十一か所については理解はしたんです。理解はしたんですが、少し気になることがありまして、鉱山保安法の二十六条では、鉱業権消滅後五年以内にはその鉱業権を持っている人に対して措置命令が下せるんですが、五年後は措置命令下せなくなるんですが、五年後はこの鉱山保安法の適用になるのか、それともこの土壌汚染対策法の適用になるのか、それはどちらなんでしょうか。二十一か所に関して。
#49
○政府参考人(佐々木宜彦君) 先生今御指摘のとおりでございますけれども、鉱山保安法第二十六条では、鉱業権が消滅した後も五年間は、事業者に対し、危害又は鉱害を防止するため必要な設備をすることを命ずることができるようになっております。
 また、五年の間に命令をすれば、事業者は命令に基づく措置を将来にわたって実施する義務を負うこととなります。その実施状況については鉱業権者に対するものと同等の監督を行うことになります。
 なお、鉱業権消滅後五年以内に命令を課さなかった場合及び消滅後五年を経過した場合いずれにおいても、今鉱山法の適用についてはなくなるわけでございます。この場合には、なお土壌汚染対策が必要なことが生ずれば、土壌汚染対策法によって対策が取られることとなると認識しております。
#50
○福山哲郎君 五年以内ならば鉱山保安法で、五年後の場合は土壌汚染対策法が適用されるということで、環境省よろしいですね。
#51
○政府参考人(西尾哲茂君) 御指摘のとおりでございまして、鉱山保安法の監督下から外れました場合は、健康被害防止の観点からこの土壌汚染対策法案の適用対象になるというふうに考えていただいて結構だと思っております。
#52
○福山哲郎君 それでは、現実の覚書の件に関して申し上げます。
 これは、覚書を取り交わした理由については今の話で僕は法律の実施上は理解はします。理解はしますが、現実にこれ法案の中に書いてありますように、今の実態というのは全く国民には明らかにならなくて、いつの間にかその二十一か所については適用外だということを省令で決められると。ましてや国会の審議が始まる前の二月に環境省と経済産業省の間で覚書を交わされて、法律の適用範囲に対してある種の解釈なりが行われて狭められていると。よく例が、こういう例が去年もありましたので、今回は適用上、理解はするんですが、こういうことが頻繁に行われるのは本当に立法府の私、一員としていいのかどうかというのは大変悩んでおりまして、そこについて、もし環境省、環境大臣、他省庁との関係もあるので難しいというのは僕も分かっているつもりですが、ただ、余り後ろというか裏で覚書が交わされて、それが国民に明らかにされないという前例が幾つも幾つも積み重ねるというのはやっぱり私は余りいいことではないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#53
○国務大臣(大木浩君) 今、国会の立場からというお話もございましたし、やはり行政府としても、できるだけ法律を作り、全体としての全体像をしっかりと示すということは、これは一つ、ですから余りそれに、法律に書いていないところでほかのものがくっ付いておるというのは好ましいことではないと思います。
 ただ、たまたま、今の鉱山のことにつきまして、従来からの経緯もあったと。それから、鉱山法という一つの基本的な法律があって、その枠内で処理しておるということですから、勝手に、何というか、どっかの省庁あるいはどっかの局長さんが自分勝手にやるということではないということでありますから、これは省庁間、二つの省の中の、あるいは局の中の話合いということできちっと決めておいて、別にこれを隠すというつもりはないわけですからこうやって御説明をしておるわけであります。
 ただ、こういうものがやたらたくさんできますとやっぱり全体としての法律の、何と申しますか、意味というか、その姿とかいうものを理解する場合には分かりにくいということはありますから、そういう意味におきましては、今後、余りやたらにこういった覚書をくっ付けるということはやっぱり好ましくない。今後の方針としては、そういったものはできるだけ抑えるというのが好ましいことではないかと思っております。
#54
○福山哲郎君 今、大臣から前向きに御答弁いただいたので余りこだわる気はないんですが、これは私、立法の、立法論として当てはまるかどうか分からないんですが、なぜ法律に、この鉱山保安法の適用外に関しては、適用外にするというようなことを附則等で書けなかったというのは、局長、何か理由はあるんでしょうか。
#55
○政府参考人(西尾哲茂君) 鉱山保安法につきましての扱いの実体的な理由は、今、経産省からも御説明ありましたように、鉱山保安法の方で随分経験も積まれてきて、万全を期することとされているということがございます。それから、これは、鉱山は従前からかねへん鉱害ということでいろいろ対策を講じられてきました。この土壌法が対象としております市街地土壌汚染という事例とは実際の事例として重なる事例も余り多くないのではないかというようなことも頭にありました。
 そういうときに、この法律を立案するに当たりまして、やはり新法を立案させていただきますので、私どもとしては法律上の適用除外の扱いは極力避けたいというのが正直な気持ちでございます。そういう中で、しかし、だから鉱山でやっておられた行政との調整をどう取るかというようなことで、法律の運用方法として整理するという道があるんではないだろうかということでございまして、法律に書くというのも一つのお考えとは存じますけれども、法律上の適用除外の扱いは極力避けたいというようなことで、今申し上げました運用方法の問題として整理させていただいたという次第でございます。
#56
○福山哲郎君 なるべくこういったことは少なくするように御努力をいただきたいと思います。
 現実に、先ほどから出てくる未然防止の話に少し移したいと思いますが、未然防止の話が出たときに、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等で未然防止の仕組みがあるからこの土壌汚染対策に関しては未然防止は入れないでいいんだというような議論がこれ審議の中ずっと来たというふうに思うんですが、例えば、これ鉱山保安法にも関係するんですが、三井金属の神岡鉱山について、これ排水等でかなりの汚染が見受けられているにもかかわらず地下水汚染の要は浄化措置命令が出されていないというふうに伺っています。これは、何で三井金属の神岡鉱山については水質汚濁防止法の措置命令が出ていないのか、理由をお答えいただけますか。
#57
○政府参考人(西尾哲茂君) 御指摘の神岡鉱山の地下水汚染につきましては昭和五十一年に判明したものでございまして、神岡鉱山の汚染した土中を地下水が通ってくる、それが電力の排水路、公共用水域内、電力の排水路にまず漏出するというような特異な流出形態の汚染であったと思います。
 そのようなことでございましたが、そこは鉱山保安法に基づく指導等によりまして五十年代にいろいろな対策が基本的に講じられました。その後もそれの維持、補修、管理といったような対策が継続して打たれているということでございます。
 そういうようなことでございまして、実は神岡鉱山につきましては、この問題だけではなく、各種の汚染対策が鉱山保安法に基づいていろいろ行われてきたということがございまして、実は水質汚濁防止法の浄化措置命令制度が導入されたときには、今申し上げましたような指導による措置はみんな一応講じられていたということでございます。しかも、この排水路から接続いたします公共用水域の高原川におきましては、その時点ではもう環境基準を満足して十分低い汚染物質の濃度であったと。そういう二つの事情から水質汚濁防止法の浄化措置命令の発動には至っていない、そのように理解しております。
#58
○福山哲郎君 ということは、水質汚濁防止法上の水質浄化措置命令に当てはまるかどうかの調査等はされたということですね。
#59
○政府参考人(西尾哲茂君) この排水路におきます汚染状況の把握、それからそこから出ましたところの公共用水域における汚染状況の把握をしております。もし、そこで問題があれば、御指摘のように、法律の適用という問題を具体的に議論をするという調査は必要だったかも分かりません。
 ただ、その時点で、その公共用水域では環境基準を十分満足していると、それからそれは実は具体的な対策はもう鉱山保安法で打たれているということでございましたので、その先の議論は進展していないというふうに理解しております。
#60
○福山哲郎君 それでは、今ので神岡鉱山については水質の浄化措置命令が出ていないと。
 では、この水質汚濁防止法の中で、九六年改正がされまして、水質の浄化措置命令ができるというふうに改正が行われたわけですが、九六年以降今年までこの地下水の水質浄化措置命令が出された件数は何件ですか。
#61
○政府参考人(西尾哲茂君) 毎年水質汚濁防止法の施行状況調査をしておりますが、法律に基づきます浄化措置命令が発動された事例は今までございません。
#62
○福山哲郎君 ここは、実は先ほどから未然防止は水質汚濁防止法でやられていると、だからこの土壌汚染対策法では要らないんだという議論があるんですが、現実問題では、先ほど申し上げた神岡鉱山にしても、さらに現実に九六年に法案が改正されてから今まで水質の浄化措置命令が下されたことはゼロ件なんですね。これは、未然防止はそこでやるんだとずっと御主張いただいてきたこととどう整合性が取れるのかという話になると甚だ疑問でございまして、環境省は反論があると思います。なぜ水質浄化措置命令が出されなかったのか、お答えください。
#63
○政府参考人(西尾哲茂君) 地下水の汚染が判明した場合、通常、都道府県では汚染原因究明のための調査等を行う、その上で指導等により汚染原因者に対応を求めるというようになっております。
 この指導というのは、言うまでもなく水質汚濁防止法の浄化措置命令制度を背景といたしております。あるいは、この浄化措置命令制度を入れましてから、その前後、地下水モニタリングということも強化して行っておるわけでございますので、そういうことで都道府県におきまして汚染を発見し、そしてそれを指導した場合は、ほとんどの場合、今日では汚染原因者において必要な対策がなされるということでございます。
 したがいまして、結果として、最後の手段といいますか、最後の強硬手段でございます法律に基づく命令の発動ということには至っていないという事例が大半ではないかというふうに考えております。
#64
○福山哲郎君 要は、今のお話で言うと、事前に、発動の措置命令が出る前に、事前に指導してきれいにしているから最終措置はしなかったんだというお話になりますが、やはり九六年、通産省と、当時の通産省と環境庁、当時の環境庁で、水質保全局長と環境立地局長の間で恐ろしい数の項目に及ぶ覚書が交わされていますが、これは事実ですね。
#65
○政府参考人(西尾哲茂君) この地下水質浄化命令措置を、制度を導入するに際しまして、特にそういう新しい制度を導入いたしまして、原因者に、原因者であったようなその特定施設設置者に対策を求めるということからいろいろな実施運用上の心配事があるということで、そういう諸点につきまして確認をいたしたということは事実でございます。
#66
○福山哲郎君 この内容の正当性は別にして、例えばで申し上げると、知事は措置の実行で水質が浄化される十分な見込みがある場合には措置を発動していいと、若しくは、例えばそこの浄化するに当該施設の、何というか、汚染者が必要な資金負担能力がある場合のみ措置命令を課すとか、そういったことがずっと書かれているわけです。ある種のこれまた制約条件が一杯書かれているわけです。
 結果として、水質汚濁防止法に対する浄化措置命令というのはゼロ件なんですね。これが足かせになってきたかどうかというのは別の議論ですし、更に言えば、今の環境省さんの御議論で言うと、いや、それはちゃんとモニタリングをして、強化をして、事前指導をしているから措置を出す必要はなかったんだというお話になりますが。
 大臣ね、この法案では、先ほどから言っているように、未然防止の部分は水質汚濁防止法でやりますよと。現実には水質汚濁防止法では命令措置はゼロ件です。また、九六年も通産省と覚書を交わしていて、いろんな措置命令が出せない条件が課せられています。これ、同じなんですよ、構図としては。これはやっぱり僕は甚だ問題ではないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがですか。
#67
○国務大臣(大木浩君) いろいろと覚書が交わされたその個々の案件の内容について、私、正直申し上げますけれども、十分に承知しておりませんけれども、一般論として、こういった覚書を交わしたのは、言うなれば行政官庁、二つの省の中で、自分たちの中で調整したということで、別に法律の意味をなくしようと思って、何か裏から、何か裏工作したというようなふうだということには私は受け取っておりません。
 ただしかし、そういったものがやたらに多くなるということは、結果として、何と申しますか、その法律がきちっと公開されて、内容が名実ともに公開されて、国民によく知らしめるということが行われないということについては問題があると思いますが、これやっぱり、やたらにそういうものがどんどん増えるということは先ほど申し上げたとおりに問題があると思いますし、基本的には個々の問題の内容によるとは思いますけれども。
 ですから、ちょっと、私もその一つ一つについてちょっと今コメントするだけのバックグラウンドの情報を持っていませんけれども、一般論として申し上げればそういうことだと思いますので、これやはり、全体として法律の意義とかいろんなことをうたっておるわけですから、それがきちっと守られるというか達成されるということのためには、やたらに覚書などでいろんなものを、何というか、法律の姿を少しでも変えるということは余り望ましいことじゃないということですから、今後とも十分注意してまいりたいと思っております。
#68
○福山哲郎君 分かりました。ありがとうございます。
 そうしたら、ちょっと具体的に聞きます。現実に水質浄化措置命令はゼロ件なんですが、先ほど局長言われました事前指導で対処してきた件数とか内容についてはどの程度ですか。
#69
○政府参考人(西尾哲茂君) 毎年の事前指導等を行いました件数、それから行ったものにつきましての内容を直接把握するという形の調査ができておりません。ただ、全国の汚染事例調査を毎年実施しておりますので、これによりますれば、十二年度末までに原因が判明したような有害物質汚染事例が五百五十七件ございまして、そのうちの七割の三百八十六件につきましては、汚染原因者等によりまして、地下水を揚水して浄化をするとか、あるいは土壌ガスの吸引浄化をするなどの対策が実施されています。こういう事例につきましては、ほとんどの場合は都道府県と連絡をし、あるいはその指導に従って対策が講ぜられたものだと思っております。
 しかしながら、これが水質汚濁防止法を背景とした事前指導であったかということをきちんを跡付けるような形でその件数でございますとかその内容を把握するという形になっておりませんので、この点は今後、改善をしてきちんと把握をしていきたいというふうに思っております。
#70
○福山哲郎君 大臣、今の答弁聞かれましたでしょう。五百五十七件あるんですけれども、それが現実に水質汚濁防止法の事前の指導かどうかは分からない、現実にはどの程度のものがあったのか分からないと言われていますが、外に出てくる公の公表はゼロ件なんです。確かに、事前指導で汚染が浄化をされればそれはある種の進歩だと思います。しかし、全くそこの地域の住民や周辺には分からないでそれはされるわけです、見掛け上は措置命令ゼロですから。それでなおかつ、今お話を伺うと、都道府県知事は把握しているけれども現実には環境省は把握していないわけです。それで、この議論の中では未然防止だ未然防止だという議論になるわけです。僕はこれはやっぱり、どう、何というか、前向きに考えようとしても少し納得できない。大臣、どうですか。
#71
○国務大臣(大木浩君) 私も四年ほど前に環境庁長官をやらせていただきまして、四年たったんで、環境省になったんで、どこまでいろんな意味での環境省としての、何と申しますか、各地域の、日本各地のいろんな実情の的確なる把握というのができておるかということをもう一遍考え直してみましたけれども、正直申し上げまして、なかなか、あえて弱音を申し上げますと、人手不足ということもあって情報がそれだけ毎日緻密に取れないという面もあります。これはもう正直申し上げますが。ですから、これは確かに環境行政ということからいえば決して十分じゃないと。各都道府県にお任せしておいてこちらは全然分からないということでは非常に問題がありますから、そういう意味では、これからひとつ環境省としての、何と申しますか、情報をきちっと把握する、あるいは集めるという努力は今後更に強化してまいりたいと思っております。
#72
○福山哲郎君 本当に大臣は前向きにお答えいただいているんですが、本当にこれからどれだけ実効性を上げていただけるかが重要なポイントです。
 先ほど申し上げましたように、何が問題かというと、事前の指導で行われるということはある種都道府県知事と当該汚染者の間でアンダーグラウンドの密室の中で全部行われるということです。先ほどの覚書にありますように、そこの汚染者の資金力や状況によって、それぞれに応じて判断がされるわけですから、適切な汚染浄化措置が行われているかどうかの保証は今のところ全くないわけです。そこに関して、やはり環境省としてはしっかりと目くばせをしていただかなきゃいけないし、もっと情報をきっちり取っておいていただかなければいけないし、この土壌対策法案というのを作って未然防止はこっちでやるんだと言ったからには、やっぱり全部アンダーグラウンドで、浄化措置命令はゼロ件だけれどもあとは内々でやりましたみたいな話は、もう本当にこの委員会で言ってきた情報公開の観点からも私は逆行しているというふうに思っておりまして、どうかここは前向きにお願いをしたいと思うんですが、局長、何らかの具体的な前向きな答弁いただけませんか。
#73
○政府参考人(西尾哲茂君) まず、地下水の浄化措置命令でございます。
 これにつきまして、実際に汚染が判明した事例におきましては、それは対策をしないでほってあるということは都道府県で考えられません。必ずや何らかの形でできるときには事業者に指導をして対応を取らすということをやっているのだと思います。ただ、その事柄がこの水質汚濁防止法の権限との関係できちんと整理されて行われているかということにつきましては、元々、この水質汚濁防止法の措置命令ができる前からもういろいろな形で自治体は対応してきていますので、そういったものにつきましていろいろと指導をしているという理解になっていると思います。
 したがいまして、今後、水質汚濁防止法の施行状況の調査といったようなところで、この水質汚濁防止法を背景として事前調査をしたものはどういうものがあるのか、そしてその調査をした結果は水質汚濁防止法の求めるところに照らして正しい浄化をやっていなきゃいけないわけでございますから、そういうことをどうやって確認をした、あるいはどういう浄化対策を取ったというようなこと、これをどこまでどういう詳しい把握の仕方をするかということは詳細を今後詰めなきゃいけませんけれども、何らかの形でその施行状況調査という中でそういうことをきちんと取っていく。
 そういうことによりまして、都道府県の環境部局もそういう意識を持って、水質汚濁防止法を背景としながら自分たちは権限行使をしているんだ、あるいは事前指導をしているんだということをきちんと明確に意識をして行動ができるということにつながるのではないかと思いますので、そのような方策、改善方について努力をしたいと思っております。
#74
○福山哲郎君 具体的な御答弁をいただいたんで今日は納得しますが、是非、本当によろしくお願いします。私は、環境省の努力を別に否としているわけではないんですが、やはりやっていただく限りは実効性を上げていただきたいという思いですので、そこのところは御理解をいただきたいと思います。
 それから、先ほど江本委員から大分詳しく審議がありました土地の問題について少しお伺いしたいと思います。
 今日は金融庁とそれから国土交通省もお呼びをさせていただいています。本案の土地取引の影響について金融庁並びに国土交通省は今どのように判断をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。
#75
○政府参考人(原口恒和君) 御指摘のように、本法の施行によって土地の動向に一定の影響を与えるということは事実だと思いますが、一方で、本法案は環境行政上の観点から重要な意義を有するものだと認識しておりますし、また、土地汚染対策に関しまして一定のルールが設けられるということは、これはプラスに評価できる点もあると思います。また、金融機関の融資判断とか、そういうことにつきましては基本的に企業の将来価値に基づいて行われるということで、土地取引等が直ちに、その影響はございますけれども、直ちに直結するということではないと思います。
 また、法案の成立を受けて環境省においても実施面でいろんな手当てをされるということも聞いておりますので、そういうことも含めまして、ただ一方で影響が出てくる面もあろうかと思いますので、金融行政の観点からも金融機関等に対する影響については注視をしていきたいというふうに考えております。
#76
○政府参考人(岩村敬君) 土地取引への影響でございますが、最近、工場跡地の再開発等が盛んでございますが、そういう際に土壌汚染が見付かる、そしてその土壌汚染の状況によっては土地取引に当たって支障を及ぼすという、そういう事例も報告がございます。
 そういう中で、本法律が成立いたしますと、一つは、有害物質使用特定施設が建てられていた土地、また土壌汚染による健康被害が生ずるおそれのある土地についての土壌汚染状況の調査がされる、また指定区域の指定等の措置が講じられるということでございます。そういうことで、適切にこの法律が運用されるということが当然の前提ではございますが、そうなれば、土壌汚染に係る情報が開示される、そしてトラブルの防止が図られるということでございますので、土地の取引の安定化には資するものというふうに我々思っております。
 また、汚染の除去に当たって、一つは、汚染原因者が明らかな場合には汚染原因者に対しリスク低減措置の実施命令がされる、また土地所有者等がリスク低減措置を行った後に汚染原因者が明らかになった場合には土地所有者等が汚染原因者に費用を請求できるという、こういった規定もございます。そういう意味で、第一義的に汚染原因者がリスク低減措置等の負担を負うことになっておりますので、法が適正に運用されれば、汚染原因者に当たらない土地所有者等が過大な負担を負うことがない仕組みが整備されているものと理解いたします。
 そういうことで、今後、施行に向けて、土地取引に影響が生じないよう、今言ったような法律の適正な運用、情報開示も含めてですが、そういったことについて関係者と連携を図りながら新しい仕組みの周知徹底に努めていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
#77
○福山哲郎君 影響があるということは金融庁もお認めいただいたんですが、まだ分からないし、法律の適正運用を見るというのが大体のお答えだったというふうに思いますが、先ほど江本委員への大臣のお答えで、一時保有については一定の配慮というふうなお言葉を使われました。一定の配慮というのは非常に実は抽象的でございまして、一時保有をする立場でいうと、じゃ、二年が一定の配慮なのか、三年が一定の配慮なのか、転売するときに転売されるまでが一定の配慮なのか、さっぱり分からないわけですね。
 そうすると、明確なルールがない状況の中で、ずるずるずるずる土地保有をしたり、それからある種どこかで区切られていきなり土地の汚染の浄化命令が下されたり、逆に言うと非常に危うい部分も出てくると思うんですが、済みません、私は性格が悪いものでここまで詰めないと気が済まないので、少し大臣、お答えいただけますでしょうか。
#78
○国務大臣(大木浩君) 具体的なことは今、局長からも説明してもらいますが、今たまたま具体的な案件が出てまいりまして、考慮をする、配慮をする、その気持ちがあるのかないのかというようなことが非常にかかわると思っておりますから、私は一定の配慮と申し上げましたけれども、今の進行状況につきましては局長から説明をさせていただきます。
#79
○政府参考人(西尾哲茂君) 大臣が一定の配慮と申しました趣旨は、金融機関等が抵当権を実行して一時的に土地所有者となっている場合において、そのことを確認の上、都道府県知事は金融機関がその土地を売却した後にそれを取得した所有者に汚染除去等の措置を命ずることにしよう、そのことを政省令において規定をしようということでございます。
 今、先生御指摘のように、今申し上げた言い方は趣旨でございます。それでは、一時的に土地所有者となっているというのはどういう意味なんだというような事柄につきましては、何らかの形で、外形的にはっきりする形で決めていく必要がありますので、それは政省令においてきちんと考えようと思っております。
 ただ、どういうことをとらえますと一時保有になるのかという事柄につきましては、これはいろいろな取引の実態等々をよく片方で見なければいけないと思っておりまして、取引の円滑化、あるいは本当に一時的保有をするのでその人に義務を課するというのは余り意味がないというような場合が片方にありますけれども、他方で、これはやはり土地所有者にそれなりの責任を果たしていただかなきゃいかぬと、それをむやみに免脱するということではあってはいけないということでございますから、いろいろな実態をよく勉強した上で、そこはぎりぎりのところをきちんと線を引かなきゃいけないというふうに考えている次第でございます。
 その具体的内容につきましては、今後詳細に検討いたしたいというふうに思っております。
#80
○福山哲郎君 金融機関の話が答弁の中でも出ているんですが、私は、抵当権の行使のときに、銀行が抵当権の行使でその当該土地を所有をして転売をするということは銀行法上ないんじゃないかと思っております、銀行は不動産取引できませんから。
 そうすると、金融機関の中でも、今ある一時保有をして転売をして、一回自分のものに取得するというのは、銀行ではなくて、恐らくなんですが、私はノンバンクとかがそこの対象になるというふうに思うんですけれども、金融機関という議論になってしまうと、非常にちょっと抽象的で、なおかつ非常に幅の広い議論になるので、今の一時保有の関係というのは銀行は当てはまらないように思うんですが、これは環境省に聞いていいのかどうか分からないんですが、いかがですか。
#81
○政府参考人(西尾哲茂君) まず、担当でございませんので、承知していることを申し上げますと、銀行は銀行業務をやるわけでございますから、不動産業務はやらない、これはそうでございますけれども、いろいろな債権債務の整理上、抵当物件を競落する等々、債権債務の整理上ある物件の保有者になることはあり得ることだと思っております。
 そういう面では、私どもは、いろいろな取引の形態において土地所有者がどなたになるかというのは、これはいろいろな法体系あるいは取引の中でいろんなケースがあると思いますが、いずれにしても、この土壌法の施行に関していえば、土地所有者というのは登記もされておりますので、そういう方は土地所有者であるとはっきりしております。で、その方に義務を掛ける。義務を掛けるんだけれども、しかし、土地所有というのは、その土地を用益しようとして所有しているんじゃなくて、たまたま金融、債権債務の整理上、形式的に一時的に所有者になった、そういうふうな場合にまで一々そういう人に実行せよといっても、土地利用の仕方も別に決まっていないしということで、余り合理的ではないんじゃないかと。
 そういうケースを考えておりますので、そういうケースがうまく特定されるように、よくよく詳細の整理をしていきたいというふうに思っております。
#82
○福山哲郎君 金融庁、御答弁願えますか。
#83
○政府参考人(原口恒和君) 先生の御指摘のように、金融機関というのは一般的には担保不動産を売却するわけでございますが、いろんなケースがございまして、貸出し債権の回収方法として、単純にそれを売却するより、自ら取得をして、何らかの形でそれを処分をするとか、あるいは他の再生方法と組み合わせていくということの方が債権回収の最大化ですとか早期の資金化にプラスであると判断した場合に、自己競落を行うということについては別段法律では禁止されておりませんので、一般的なケースということではございませんが、観念上といいますか、実際にそういうケースもあり得るということでございます。
#84
○福山哲郎君 それから、要は、先ほど江本委員も言われましたけれども、私、善意の第三者にこれが汚染されているという告知もせずに売却をされたときの善意の第三者が、先ほど言われましたように、訴訟なり民事等で争ったときに、その善意の第三者が取得したときに、この法律に言われている求償権というのは一体どこへ求めるんだと。売られた相手なのか、それとも汚染者なのかというのもよく分からないんですが、それは局長、どちらなんでしょうか。
#85
○政府参考人(西尾哲茂君) 今、一時的保有土地のケースでのお尋ねでございますんですけれども、一時的保有土地で汚染が判明しているということであれば、ちょっといろんなケースがありますので全部の説明はできないと思うんですけれども、一時的保有土地だけれども汚染が判明した、しかし措置は、これは一時的保有なんで措置までやるのは勘弁して、次の本当の所有者にやってほしい、こういう状態のときは、通常はこの法律ではもう指定区域になって台帳にも載っている、こうなると思います。
 そういうことでございますので、それをお買いになる方はその台帳を見て、それを承知でお買いになるか、あるいは自分の取得するときにいろいろ条件を付けるかということはできるんだと思っています。
 それから、汚染が分からない状態のときに、実はこの問題は一時的保有者の土地に汚染があった場合という設例なんですけれども、もしか汚染が分からない状態のときには、いずれかのときにもし本当に汚染があったんだとすれば、措置命令を掛けられることはあるかもしれない。これは一時的保有者の場合であると通常の所有者の場合であるとかかわらず、潜在的にあるわけでございます。潜在的にありますものは、今後は実はやはり取引等の際に、そういうものを実際に将来、これは別にこの法律があろうとなかろうと、そういう汚染というものが出てきたときに、一体どちらの責任であるんだろうかというようなことは今後はだんだん整理をされていくんではないかと思っています。
 ただし、極端なケースでいいますと、一つは、売買に際してみましては瑕疵担保というものがございます。これは民法で通常一年、通常は二年の特約を付けているケースが多うございますので、売買が成立してから二年の間にそういう汚染が見付かれば瑕疵担保で請求できる。そういうことで請求できない場合は、そういうものを知っていながら隠して売ったとか、そういう責任があるということであれば、契約違反でありますなり不法行為でありますなり、そういうことで売り主に請求していくことは可能ではないかというふうに思っております。
 それから最後に、汚染原因者に対しては、これは不法行為に基づく損害賠償ということで、汚染原因者が結局自分の土地に対してそういうきずを付けて価値を下げたんだということを請求して、それが不法行為として認められるケースもあるというふうに考えております。
#86
○福山哲郎君 もう時間がないので終わりますが、その汚染原因者は恐らくもう会社がつぶれたりなんかしているんでしょうからなかなか取れないだろうなというふうに思っていますが、とにかくこの法律、いろいろまだ問題点がありますし、江本委員おっしゃられましたように、とにかく十年と言わずに逐一見直しを含めてお考えいただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#87
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 同僚の委員の答弁に、土壌汚染が起こる経路が様々あると、大気中からも当然あるという答弁があったわけでありますが、地球規模的に発生し、大気中を長距離輸送する、そういう土壌等の飛来あるいは着地等、そういったことも当然考えられるわけでありまして、そういう土壌汚染に関しては、やはり国際協力の下でモニタリング等、そういったものに関する知見の積み重ね、そういうことを行うと同時に、さらに適切な対策、防止策については検討を進めていくべきである、このように考えているわけでありますけれども、この辺について環境省、よろしくお願いいたします。
#88
○政府参考人(岡澤和好君) 御指摘のように、近年、大気中を長距離輸送する黄砂が大規模化しておりまして、こうしたことを背景に、汚染された土壌の飛来の可能性についても関心が高まっているところでございます。こうしたことから、黄砂については、日本、中国、韓国の三か国大臣会合におきましても共通の関心を有する環境問題の一つとして議論をしたところでありまして、また既に日中の間では研究協力を実施中でございます。
 国際協力の下でのモニタリングという御指摘でございますが、本年四月の三か国環境大臣会合におきましても黄砂のモニタリング能力を強化する必要性について確認されております。また、今後、関係国を含めた黄砂の予報モニタリングネットワークの構築を目指して、その具体的な内容を検討することを合意しております。今後、更にこのような様々な努力を一歩一歩進めまして、黄砂の現象解明と対策検討が進むよう取り組んでまいる所存でございます。
#89
○加藤修一君 文部科学省には、地球シミュレーターといういわゆるサイバー地球、そういうことを開発して運用していこうという、それを進めている段階でありますけれども、やはり地球的規模の長距離輸送の問題については、そういったサイバー地球を使いながらシミュレートしていくことも当然考えられるわけでありますし、それに伴う対策も当然その中から出てくると思われます。こういった面については、他省庁との連携、これを強力に進めていく必要が当然私はあると思いますので、是非こういったことについて検討を進めていただきたい、このように思います。
 それで、次に、前回のときには参考人の陳述を我々いただきまして非常に参考になったわけでありますけれども、その中でリスクコミュニケーション、これを十分に行っていくことが今後の大きな課題だという、そういう話もございました。
 それで、PRTR法についてでありますが、これもやはり対象となっている事業所等を考えてまいりますと、土壌汚染につながることも当然あるわけでありまして、地域の中にそういった当該事業所がある場合についてはそういうことが可能と考えられる。そういった意味では、化学物質の排出、それについて、どの化学物質がどの程度排出されているかということについても当然情報開示をしなければいけない。そういったことがリスクコミュニケーションを推し進めていくことになるわけでありますけれども、そういった意味ではインターネット上で個別データについて十分提示をしていくべきではないかと。
 法律では有料化になっておりますけれども、これは将来的には無料化を含めて、もちろんこれは法律の改正が伴うわけでありますけれども、そういったことを強力に進めていく必要があると私は考えておりますけれども、この辺について環境省の見解をお伺いしたいと思います。
#90
○政府参考人(岩尾總一郎君) 開示に係る手数料の件でございます。
 我が国のPRTR制度は、事業者自身が創意工夫して化学物質の排出や管理について国民の理解を深めるということが重要であるという考え方に立っております。このような事業者の取組を補完する観点で、国が全国的に集計したデータについてはインターネットなどを活用しつつ広く公表することとしております。ただ、個別事業者のデータについては関心を有する者が開示請求により知ることができるという仕組みにしております。
 個別事業者開示の手数料につきましては、法制定時、この参議院の国土・環境委員会での附帯決議で「できる限り低廉なものとする」という決議を受けましたので、行政情報公開法の積算の例に倣って実費の範囲内で設定しているところでございます。
#91
○加藤修一君 個別データについて、例えば今無料化してほしいという話をしたわけですけれども、ただ、有料化の段階であったとしても十分な個別データをインターネット上で掲示するということ、そして無料化がなかなか難しいんであるならば、電子決済等を含めて将来的にそういった検討があってしかるべきだと私は思いますけれども、そういったことがデータに対してアクセスを容易にする、すなわちそれが更にリスクコミュニケーションに対して大きな効果を及ぼす、こういうふうにも取ることができるわけですけれども、この辺についてもう一つ答弁をお願いします。
#92
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先生おっしゃるとおり、リスクコミュニケーションの促進の観点ということで、私どももこのPRTRデータの届出については積極的に後押しをしてまいりたいと考えておりますが、電子決済については、e―Japan重点計画に基づき政府として整備を進めている歳入金電子納付システムを利用する必要があると考えております。このシステムは平成十五年度に導入されるということでございますので、政府全体としての作業の進捗を踏まえつつ、関係省としてPRTRの開示請求手続についても必要な手当てを行いまして、インターネットによる電子決済を可能にしてまいりたいというふうに考えております。
#93
○加藤修一君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 G8の環境大臣会合についてでありますけれども、この委員会で大臣からも報告をいただいているわけでございます。その中で、環境と健康について言及してございます。
 それで、子供の環境保健はという形でその宣言の中に書いてございますが、「G8の環境大臣にとって特に関心の高い問題である。二〇〇二年に我々は、一九九七年の子供の環境保健に関するマイアミ宣言を実施するための共同の及び個別の行動を検討したが、同宣言を実施するとのコミットメントを再確認する。我々は、環境上の脅威から子供の健康を守る任務が続いていることを認識し、関連多国間機関と協議しつつ、モニタリングの手法として、子供の環境保健の指標の開発に係る作業を共に進めることに合意する。」という形で宣言がなされているわけでございますけれども。
 私も、非常にこのWSSDですか、その世界サミットに向けてこういった環境と健康についての議論がなされているというふうに考えておりますが、これに関連いたしまして、子供のおもちゃの関係でありますけれども、これはフタル酸エステルの関係でございます。
 これ厚生労働省に質問でございますが、コンビニの弁当から多量のフタル酸エステル類が検出されたというのが過去にございました。それは弁当の食材を詰めるときに使用されるビニール手袋から出ているということが判明したわけでありますが、要するに、フタル酸エステル類とは、肝臓障害とか発がん性あるいは内分泌攪乱化学物質、それの疑いが掛かっているものでありますが、このフタル酸エステル類というのは、言うまでもなくポリ塩化ビニールに混合されている、そういった状態でありますから、非常に外に漏れやすいというふうに考えていいわけでありますけれども、食品や唾液など、そういったものに簡単に溶け出すというふうに言われているわけですね。
 そういった中で、おしゃぶり等の乳幼児製品や野球のボール等、子供のおもちゃに使われているわけで、その使用に対しては消費者から規制を強く求められているところでありますけれども、最近、厚生労働省はそのうちの二種類について禁止する方針を発表しておりますが、それでおもちゃの安全性について本当に確保できるかどうか非常に疑問であると思っていますが、まずこの辺について詳細を述べていただきたいと思います。
#94
○政府参考人(尾嵜新平君) 御質問ございました乳幼児のおもちゃの規格基準の関係でございますけれども、厚生科学研究等により得られました知見を踏まえまして、平成十三年の七月に薬事・食品衛生審議会へ諮問をいたしまして、現在、ポリ塩化ビニールに使用されますフタル酸エステルのうちの二種類につきまして審議をお願いいたしておりまして、既に方針とそれからパブリックコメント等所要の手続を経まして、六月には分科会の方に最終的な答申をいただくというふうな手続になってございます。七月じゅうには、使用してはならないという形での規格基準というものを制定をしたいというふうな考え方を持っているところでございます。
 現在、二種類についてはそういう状況でございます。
#95
○加藤修一君 それ以外にフタル酸エステルについてはあるわけでありますが、今述べたDEHPあるいはDINP、それ以外にもフタル酸エステル類というのはあるわけでありまして、例えばDBPとかDNPあるいはDHP、さらにDnOP、DIDP、BBPという、ほかに六種類主なものがあるわけでありますけれども。
 こういったものについて、やはり代替製品をどう開発するかというのが極めて重要なところでありますけれども、そういう代替製品を開発することと同時に、やはり将来的に禁止の方向、段階的に禁止していくということも含めて是非検討していくべきだと私は思っておるんですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
 あるいは、さらに、さらにといいますか、要するに、それが段階的に禁止になっていく過程においては、当然それが市場に出回るわけでありますから、溶出のおそれがあるとか、そういった表示をきちっとすべきであると思いますけれども、この二点について、是非お願いいたします。
#96
○政府参考人(尾嵜新平君) 今、先生から御指摘のございました二種類以外のフタル酸エステル類につきましての取扱いについてどう考えるかという御質問でございますが、今回の二種類のフタル酸エステルについての規格基準を定めるという考え方を整理していただいた際に、残りのものにつきましても今後検討すべきであるということで御指摘をいただいているところでございます。
 現在、残りのものにつきましても文献の収集に現在努めておりまして、そういったものを踏まえまして、御専門の見地からの評価、検討をしていただくというふうなことを考えているところでございます。
 それと、二点目の表示の関係の御質問でございますが、現在、おもちゃにつきましては食品衛生法上表示についての基準を定めることができることになってございますが、おもちゃについての表示基準というのは現在のところ何もございません。
 具体的なものは基準として定められたものはございませんが、今回のこういったケースにつきまして、今後、今申し上げました科学的な知見の検討を進める中で、規格基準の検討と併せて、表示について必要性のあるかどうかということも含めて検討をしていただきたいというふうな考え方を持っているところでございます。
#97
○加藤修一君 表示の関係について、何か阻害的な要因とか問題が、どうしても表示できないことについての問題があるということについてはどういうふうにお考えですか。
#98
○政府参考人(尾嵜新平君) 食品衛生法の考え方で申し上げますと、食品も同じでございますが、公衆衛生上の危害のおそれがあるのかないのかと、そういった一つは科学的な知見というものが基本になるというふうに考えております。
 そういった義務付けをするという考え方に基づきまして、どういった知見を基に義務を課すのかというところはやはりひとつ整理する必要があるんではないかというふうに考えているところでございます。
#99
○加藤修一君 科学的知見の積み重ねという趣旨だと思いますけれども、厚生労働省はよく予防原則という言葉を使って、BSEの問題のときなんか特にそうだったと思いますけれども、比較的私は、私が受けている印象としては、予防原則あるいは予防的方策ですか、そういった面についての取り組み方が割と積極的なように見受けられるわけなんですけれども、そういったことについて、このおもちゃとの関係についてはどのようにお考えですか。
#100
○政府参考人(尾嵜新平君) 私ども、言葉を使う際には予防原則という言葉を直接使うことはございませんで、予防的な措置と、先生がおっしゃいました後者のような表現を使っているわけでございます。
 予防原則というのは一つの考え方でございますが、いろんな受け止め方があるというふうに考えておりますが、それをおきまして、こういった予防的な考え方、措置というものは、こういった食品、特におもちゃもそうでございますが、口に入るというものについてはある程度そういった考え方に基づいた措置を取るということが必要な場合があるというふうに判断しております。
 そういったケースについても、一つやはりその判断をするベースになります知見なりそういったものが全くないところで、むやみにそういう措置が取れるかどうかというところとの兼ね合いもあるというふうに考えておりまして、そこのところは前向きな姿勢を持っておりますけれども、そういったデータなり根拠というものも一応踏まえた上での判断というものも必要ではないかというふうに考えているところでございます。
#101
○加藤修一君 今の答弁の中にありましたように、確かに予防原則ということについての定義は極めて難しいと。
 実際的に運用をどうやってやっていくかということについては、農水省で考えている予防原則、これも定義というものについては明確に定まっているわけじゃありませんが。あるいは、環境省におきましては環境基本計画ですか、その中では、必要に応じて予防的方策を取るというふうに書いておりまして、そういった意味では、予防的方策ということについて定義が明確になっているのは環境省かなというふうに思っておりますが、いずれにしても、政府見解的な面では統一的なものがないように私なんか受けておりまして、やはりこういった面については、今回のBSE等の問題を含めて食の安全等を考えていった場合に、この予防原則あるいは予防的方策、あるいは予防的措置なんというふうに言う場合もありますけれども、きちっとした見解を示さなければいけない、そういう時期に来ているんではなかろうかな、このように思いますので、そういった面についての議論を是非とも深めていただきたいと、このように思います。
 それと、私は実は昨年、新潟県で五十万を超える、これは化学物質の関係で、環境ホルモンでありますけれども、その関係で子ども環境安全確保法という、そういった法制化に向けた署名をやってまいりました。また、同様に茨城県においても環境ホルモンに関して十六万を超える県民の署名を集めてきたわけで、その中で、やはり県民の皆さんのいわゆる子供の環境に対する、あるいは健康に対する関心は極めて大きいと。
 そういった意味で、法制化をしていくことを、あるいはその検討をしていかなければいけないというふうに考えているわけでありますけれども、これは環境省副大臣それから厚生労働省に質問ということになるわけでありますけれども、子供環境、特に胎児、乳幼児の生育環境、これは健康リスクに対しては非常にユニークで私はあると思うんですね。
 アジェンダ21には、予防的方策を日本政府も講じなければならない、そういう義務があるわけでありますし、あるいは環境関連大臣の関係で、マイアミの会合においては子供の環境基準の創設、これをしなければいけない、それにも参加しておりますし、宣言に署名をしているということでございますし、それから、せんだって行われました国連の子ども特別総会、これの中では子供に投資を積極的に行っていこうと。もちろんこれは環境に直接的な意味合いであるかどうかは定かではありませんが、ともかく子供の将来について積極的に考えていこうという趣旨であるわけでございます。
 それから、先ほども少し触れましたけれども、ヨハネスブルク世界サミットに向けたテーマ、その一つは環境と健康である、特に子供の健康について留意をしていかなければいけないと、こういうふうに進めている最中でありますし、先ほどの乳幼児のおもちゃに関してはやはり食品衛生法の準用にとどまらないと私は思います。材質がプラスチックの可塑剤であることを考えますと、特に化学物質に関しての検討が必要でありますし、そういった意味では、既存の法律、それを検討していく必要が当然あり得ると。例えば、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、食品衛生法、水道法、学校給食法、学校保健法、建築基準法、そういったものも子供に当然かかわってくるわけでございます。
 もちろん、子供ということで特に明示がしているわけでありません。しかし、かかわってきているわけでありまして、そこで、子供のユニーク性から問題点を抽出し、あるいは集約し、検討して、これ例えばの話でありますけれども、子供環境リスクの削減十か年戦略、さらに子供の環境安全向上法、そういった新たな新法を作ると、こういうことが極めて私は必要になっているんでなかろうかなと思います。
 これは、環境省、厚生労働省、他省庁連携してやっていく対象であると思いますし、特にこういった新法については当然の話でありますけれども、目的、定義、予防的方策、目標の設定、計画の策定、代替案の探索と評価、種々の責務、さらに予防原則、どういう定義によるかに当然よりますけれども、そういった視点からこういう新法を考えるべきである、積極的な検討をすべきでないかなと、このように考えているわけでありますけれども、環境副大臣そして厚生労働省からこの辺についての御見解をいただきたいと思います。
#102
○副大臣(山下栄一君) 昨年、今お話しございましたように、新潟そして茨城ですか、数十万を超える国民、県民の署名参加によりまして、子供の健康そして安全を守るという観点からの、特に化学物質にかかわる御署名だったと思いますけれども、いずれにしても、子供の側に立った法制度の取組をしっかりすべきだという、そういう声の結集でございます。
 私は、今おっしゃった未来の世代、未来を担う世代に対して、行政に取り組む立場でそういう観点を忘れないということ、そういうところに意を用いていくということ、私は今までともすれば取組がそう強くなかったというふうに感じております。そういう意味で、今の御指摘について大変大事なお話だと思うんですけれども。
 マイアミにおける環境サミットでも、環境基準の設定に当たっては子供の観点をしっかり入れて基準を作るようにというのもございましたし、先月、大臣が出られた環境大臣会合でも子供の健康にかかわる取組についての確認が行われたわけですけれども、環境省におきましても、このマイアミ宣言を受けまして、環境基準を作る場合には、大気にしろ水にしろ、そういう乳児とか幼児とか子供の観点を忘れないでしっかり取り組んでいくと。その前に、まず子供の環境リスク評価にかかわる情報収集をしっかりする、その上で、子供への影響を考慮した環境基準を設定するということ、政府は取り組んでおるところでございます。
 具体的には、大気の環境基準におきましては、二酸化窒素等の環境基準を設ける場合におきましても疫学調査結果を考慮しながら基準を作成しておりますし、トリクロロエチレン等の有害大気汚染物質におきましても同様の設定をやっておると。水質汚濁につきましても、例えば硝酸性窒素、亜硝酸性窒素につきましても乳児の健康を守る観点からの基準値を設定しておるという、具体的な取組を既にやっておるところでございます。
 環境を通した、要するに大気とか水とか、そういう環境媒体を通した子供の健康を守るという観点からは、環境省、しっかり取り組まさせていただいておるというふうに言えるのではないかと思っております。
#103
○政府参考人(宮島彰君) 厚生労働省といたしましては、これまで子供などの抵抗性の弱い方々に視点を置いた化学物質の安全性評価を行ってまいりまして、これに基づき、ダイオキシン類の耐容一日摂取量や、あるいはシックハウス対策において十三の物質の室内化学物質濃度の指針値などを策定してまいりました。今後とも、こういったものを順次策定してまいりたいというふうに思っております。
 また、子供の健康リスクの削減につきましては、胎児や乳幼児に対する化学物質の影響を始めとする調査研究を厚生科学研究の中において今進めているところでございます。
 また、科学的に信頼できる知見を最大限施策に活用しつつ、国際的な考え方も踏まえて、関係各省とも連携して着実な取組につなげていきたいというふうに考えております。
#104
○加藤修一君 質問を一つスキップしておりますけれども、時間の関係で。
 それでは、環境大臣にお聞きしますけれども、今までの多少の議論を聞いて、子供の環境と健康について感想を、さらにWSSD、その世界サミットに向けてこのテーマについてどういう取組、決意をされているのか、お聞きしたいと思います。手短に、済みませんが、お願いいたします。
#105
○国務大臣(大木浩君) この子供の問題、あるいは子供の健康の問題と申してもいいかと思いますが、これにつきましては、先般のG8の環境大臣会議でも取り上げられまして、その環境大臣会議の意見の取りまとめはまた、サミット自体、各首相、大統領のサミット会議にもその問題が提出されると思います。また、今、ヨハネスブルクにつきましては、このためにいろいろとその準備会合をしておりまして、今月末から六月に掛けて行われますバリ島の第四回準備会議におきましてもこの問題は当然取り上げられると思いますし、今、議長の一つリポートというのが作成中でございまして、そこの中でもそういう問題が出てまいりますので、これは当然ヨハネスブルクで議題の一つになるものと考えております。
#106
○加藤修一君 次に、米軍基地の関係でございますが、ダイオキシンの関係で日本の環境基準を最大約四倍上回るものが検出されていたと。これは日本政府に何ら報告がなかったわけでありまして、いわゆるアメリカの情報公開制度で入手した報告書から分かったわけでございます。アメリカの調査で三年前に判明していたが、日本政府に一切伝えていなかったということなんですけれども、これ、米軍にはJEGSといういわゆる日本環境管理基準というのがあるわけでありますけれども、迅速な報告とこういった面についての遵守、きちっと守るということについてはどういうふうに環境省は考えているのか。
 さらに、これは日米地位協定でどういうふうになっているかということについても関心があるわけでありますけれども、私は、日米地位協定はNATOの地位協定と同じように環境条項というのはきちっと入れるべきであると、この辺については外務省に対する質問になるわけでありますけれども、ぜひ環境条項を入れる修正をすべきであるということでありますが、この辺について見解をきちっと示していただきたいと思います。
#107
○国務大臣(大木浩君) 今、過去においていろいろありましたけれども、現在は日米合同委員会の中に環境分科委員会というのがございまして、そこで米軍も極力日本側の環境基準は守るようにということでいろいろと話合いをしておるというふうに理解をしております。
 それがどこまで十分に行われているかということは、今までのところは日本側の基準に合わせて守るように努力をしているというふうに理解しておりますので、今後ともそれがきちっとそういうことで行われるように見守ってまいりたいと思います。もし、必要に応じてまた米側と話すということが出てくれば行いたいと思いますが、今のところは一応そういう委員会の方で話合いが常時行われておるというふうに理解をしております。
#108
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 今、委員からJEGSにかかわる御質問、あるいは地位協定に関する御質問がございました。
 今、JEGSにつきましては環境大臣の方から申されたとおりでございますけれども、基本的には日本の基準あるいは米国の基準のより厳しい方の基準を遵守するということでございます。ダイオキシンにつきまして、元々のJEGSになかったものでございますけれども、昨年版のJEGSからダイオキシンというものが入ったというふうに承知しております。
 それから、地位協定との関係でございますが、地位協定には、御承知のとおり、十六条に尊重義務というのが、国内法令の尊重義務がございまして、駐留米軍は日本の国内法令を尊重するという義務がございます。私ども、米国の軍隊はこの十六条に従いまして日本の環境法令を含む国内法令を尊重しているというふうに承知しておりますが、今後ともきちんとこういう環境基準が守られることが大事であるということで、二〇〇〇年の九月に、これは防衛庁長官と外務大臣が先方の国防長官と国務長官との間で出しました環境に関する日米共同声明というのを出しましたので、これに従いまして、今、環境大臣申されましたとおり、環境に関する作業部会等できちんと詰めてまいりたいというふうに思っております。
 あと、外国との関係でございますが、NATOの地位協定には環境に関する規定はございませんが、最近改正をされましたドイツに関しての地位協定には環境に関する規定があるのは委員が御指摘のとおりでございます。
#109
○委員長(堀利和君) 時間が参りました。あと一問で。
#110
○加藤修一君 もう最後でありますけれども、要するにJEGSをまず公表するということと、作業部会で詰めていくという話ですけれども、私はこれ数回取り上げておりまして、そのたびに遺漏があるわけなんですよね。要するに、環境省も明確に言っていないし、あるいは外務省も明確に言っていないということで、後々こういう形で情報公開法を使って、アメリカのですよ、使って初めて分かるような状態は非常に私は残念でたまらないですね。両者でやっていることが、忠実に向こうが守っていないということでありますから、これは強烈に善処を要求いたします。しっかりやっていただきたいと思います。
 終わります。
#111
○岩佐恵美君 前回の質疑で、大田区のPCB汚染の事例を通しまして、工場から工場に土地所有者の移転が繰り返された場合、汚染原因者の特定が困難になるということを指摘をしました。そして、土地を売却する際に汚染調査をするべきだと質問をしました。これに対して大木大臣と局長、西尾局長は、所有権移転の情報が知事にあるから原因者を特定できる、そう答弁をされました。九日の参考人質疑で、この点について私は参考人の意見を伺いました。鈴木参考人は、科学的には原因行為や原因箇所は確実に分かるが、所有権移転が次から次へとあった場合には汚染されたのはどの段階かということは非常に難しいと述べられました。現場の自治体の担当者が所有権移転が繰り返されると原因者の確定が非常に困難だ、そう訴えておられるわけですね。一体、こういう事例に対してどう対応されるおつもりですか。
#112
○政府参考人(西尾哲茂君) 今、先生御指摘のように、参考人におかれて工場から工場へ所有者が転々と移転するような場合は原因者の特定がなかなか困難ではないかという御指摘があったという指摘でございます。
 これは、現在ではそれはそうだろうと思っております。現在は何らそういう土壌汚染ということでの制度がないわけでございますので、必ずしも都道府県等の公的機関に触れることなく、環境という側面ではそういう機関に触れることなく所有権が移転していくと、こういう状況でございます。
 ただしながら、この法案が成立いたしまして、この法案に基づく規制が働いていくということになりますれば、その三条によりまして工場等を廃止するときには調査等をしていただく。それは、工場のまま所有権が移転していくというようなことであるような場合におきましても、これは三条ただし書の適用に当たっては確認を受けると、都道府県知事の確認を受けていただく。それで、所有者が移って、それでどういうふうに使うんですかと、それじゃそういう使い方なら三条ただし書に当たるということで調査を猶予しましょうと、こういうようなことを一々確認をしてやっていくわけでございますので、新しい法律ができますれば、そういう情報が都道府県知事の下に集まっている。そういうことでございますので、そういう情報を駆使することによりまして、将来、汚染が発見されました場合にも原因者の特定ができる、そのように考えている次第でございます。
#113
○岩佐恵美君 私は、今の局長の御説明を伺って納得がいかないんですね。だって、工場から工場の場合には調査を猶予するわけですよね。汚染の調査をしなくてもいいということになるわけです。ですから、大田区の場合、現在、現状ですけれども、そういうことが行われて、そしてだれが汚染したのかということが分からなくて、今争いになっているわけですね。
 今、一番大切なことは、人の健康への被害のおそれが顕在化しているから調査や対策を講ずるということではなくて、先ほどの議論にもありましたけれども、早く実態をつかむということだと思うんですね。それで、汚染されているならばその原因を究明して、とにかく早いうちに汚染源を断つ、そして汚染の拡大を防ぐということだと思います。
 そのために一番確実な方法というのは、自治体が主体となって特定有害物質を扱っている工場等を把握することが大事だと思いますし、また、特定有害物質を扱っている工場等では土壌汚染があるかどうかの簡易な測定を行って、その結果を自治体に報告をする。そして汚染の有無を判定するだけの簡易な測定、これを行えば、そう手間もお金も掛けないで自治体が情報を把握することができるようになる。私は、そういう意味では自治体の役割がとても大事だというふうに思います。
 参考人質疑では、滋賀県ではほとんど汚染原因者を把握できていない、ところが神奈川県は汚染原因者を解明しているという紹介がありました。つまり、自治体によって取組の格差があるわけですね。私は、そういう意味では先進的な自治体の取組をきちっと把握して、そしてそういう取組を全国的に広げていくべきだと、広げていったらどうですかということを率先して環境省がやっていくのが一番いいのではないかというふうに思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#114
○国務大臣(大木浩君) 岩佐委員の御質問の中にほとんど答えも入っているような感じもするのでありますけれども、一般論として申し上げますと、操業中の工場、何でもすぐ常に立入りして調べろというのはこれはちょっと無理だという感じがしますけれども、しかし簡単に調査できるというような方法があれば、それはまた、先ほど申し上げましたけれども、そういうものも私どもも検討はしておりますし、それから県によって、場所によっていろいろとその取り組み方に差があるというのはこれは確かであります。ただ、今おっしゃった滋賀県なども、ある面では非常に環境について努力しておられる場所でございますから、どうして今の、そういった滋賀県の方は非常に行われていない方の例として出されたのでちょっと私も意外な感じがしておりますけれども、いずれにしても、場所によって確かに取り組み方が違うし、それから県によってはいろいろと、条例とまではいきませんけれども、いろいろと実質的にはそういったできるだけ何か疑いがあれば調べるというような態度でやっておられるところもありますから、これは、そういったものはできるだけ今後も、私どももそういったものの実態を見ながら、ひとつ疑わしきはやっぱり何かするということの方が望ましいわけでありますから、そういうふうに進めてまいりたいと思っております。
#115
○岩佐恵美君 先進的な自治体の事例を紹介しながら応援していっていただいて、全国的なレベルを高めていくということで取り組んでいただきたいと思います。
 次に、参考人質疑で、土壌汚染の対策を実施すべき基準、要措置レベルが緩過ぎるということが問題になりました。
 環境省の土壌の含有量リスク評価検討会の報告は、措置を要する土壌の汚染レベルについて、総水銀では一キロ当たり九ミリグラム、カドミウム、鉛、砒素は百五十ミリグラム、六価クロムは九百ミリグラムとしています。
 日弁連、日本弁護士連合会は、措置レベルの基準だけでなく、土壌保全の目標として、自然形態に極力手を加えないレベルの基準を設けるべきだとして、ドイツの土壌保全法の予防値を例示をしています。そのドイツの予防値は、水銀が〇・一から一ミリグラム、カドミウム、〇・四から一・五ミリグラム、鉛が四十から百ミリグラム、クロムが三十から百ミリグラムと極めて低いものです。
 浄化などの措置を行うべきレベルの基準、つまり、措置値だけでなく、ドイツの予防値のように汚染されているかどうかを判定する基準、これを設けるべきだという考え方を日本でも取るべきではないでしょうか。局長、いかがでしょう。
#116
○政府参考人(西尾哲茂君) この土壌法案の中環審の審議、あるいはその前の先立つ検討会の審議等におきましても、どういう、基準というものについての考え方はいろいろ議論はされておるところでございます。いろいろな見地から複数の基準を考えてはどうかという議論もありましたが、やはり事は人の健康を保護するというレベルでございます。やはりひとつそういう基準値をきちんと決めて、そういうもので措置を取っていくべきではないかという方向で答申案がまとまっていると思っております。
 したがいまして、この後、本法案に基づきます汚染の除去等の措置に関する基準値、これを適切に決めていくということは大切なことでございますが、それに当たりましては、やはり今私ども念頭に置いておりますのは、専門家で検討されました要措置レベル、これは、人の健康リスクを回避するという面で長期的な暴露による有害物質のリスクを回避するという見地から、いろいろな資料に基づきまして専門家で考えられたものでございます。
 ただ、先生の御指摘のドイツにおける予防値というようなもの、ドイツは幾つかの基準の複数の考え方で、予防値につきましては、この値を超過した場合に何らかの、自然状態に比して何か人為汚染があるかどうかという判定する基準ということを持ち込んでおられます。やはり私どもは、これは両者はちょっと性格が違いますので、私どもの法律では人の健康を、リスクを回避する、そういうときに措置をするという基準を引こうというものでございますので、直ちにドイツの予防値のような考え方を持ち込むということは難しいと思っています。ただしながら、いろいろとこれからの有害物質の汚染防止を考えていくに当たりまして、こういうドイツのような考え方、各国の知見というのを常に参考にしていくべきことは当然でございます。
 今後、中環審その他、専門家の御意見をいただいて基準を設定する際にも、非常に広い範囲からこういう各国の例あるいは知見というものも提供して御議論をいただきたいというふうに考えております。
#117
○岩佐恵美君 基準値を決める、きめ細かく決める際に、きめ細かくいろいろ対応を考えて決めるということはとても法律を有効なものにしていく、効果的なものにしていく上で大事だと思うんですね。だから、予防値という考え方というのはそういう意味では、この法律が予防原則がないじゃないかとか、いや、大きく見ればあるんだとか、いろんな議論がありますけれども、やっぱり基準を決めるときにも、この法律の一体スタンスがどこに立って決められているのかということから、そういうことが大きく影響してくるというふうに思うんですね。ですから是非、基準値を決める際にも、やっぱり予防的な観点を盛り込んで、それで対応していくようにしていただきたいと思います。
 日本の要措置レベルですけれども、これもまたドイツの措置値に比べて緩いんですね。ドイツは措置値の基準を四段階に分けて定めているということですが、住居に適用される基準、これで見ると、二番目に厳しいもので見ますと、水銀、カドミウムは二十ミリグラム、砒素は五十ミリグラム、クロム、鉛は四百ミリグラム。日本の基準と比べると、クロムは半分以下、砒素は三分の一以下、カドミウムは七分の一以下になっています。
 参考人質疑でもちょっと私、指摘したんですけれども、既に水銀とかカドミウムについては日本人は体内蓄積が諸外国よりも高いという現状にあるわけですね。ですから、そういうところを勘案して要措置レベルもより厳しくしていく必要があるというふうに考えますが、局長、いかがでしょう。
#118
○政府参考人(西尾哲茂君) 本法に基づきます基準値を考えるに当たりましては、要措置レベルというのは一つの、基にしていくということが一つの想定でございます。この要措置レベル自体はこれまで内外の知見を基に専門家により議論をされてきたものでございますので、水銀につきましては、汚染の除去等の措置が必要な濃度レベルといたしましては、このレベルは現時点ではおおむね妥当だと思っておりますが、今後とも国内外の関連する知見の収集を進めていかなきゃいけないと思っています。
 それから、カドミウムにつきましては、現在、国際的な場で農作物に関する基準値の問題あるいは毒性に係る再評価というような国際的な議論がされているわけでございまして、したがいまして、専門家で昨年議論いたしました要措置レベル自体はこういう動向も踏まえて暫定的なものとして試算をされておりますので、そういう前提の下の試算でございます。したがいまして、今後はそうした国際的な動向も踏まえつつ更に検討をするということが必要に当然なるわけでございます。
 いずれにしても、これらにつきましては今後、専門家の意見をいただきながら詳細に考えるということでございますので、予断を持ってこの要措置レベルにするというわけじゃないんでございますが、これをひとつ基にいたしまして専門家によって議論をしていただいて決めたいというふうに考えております。
#119
○岩佐恵美君 日弁連の意見書では、そもそも土壌汚染のリスクを直接摂取による健康へのリスクに限定して考えている点で相当ではないと、そういう批判をしています。さらに、その直接摂取に限定しても、乳幼児、妊婦、高齢者などへのリスクを十分踏まえたものとなっていないと指摘をして、乳幼児等への対応を厳しくすべきとしています。
 先ほど、マイアミ会議での、子供に対する厳しい基準を世界各国は決めていきましょう、そういうことが申合せされているわけですけれども、ドイツの場合は、子供への影響が中心となる遊び場については住居の基準よりも更に半分の基準としています。カドミウムでいえば十ミリグラム、日本の要措置レベルは百五十ミリグラムですから、ドイツの遊び場の措置基準の十五倍となっています。弱者に配慮した基準が必要という、そういう立場で、是非日本もマイアミ会議に出ていかれて、そういう立場で合意をされておられるわけですから、こうした基準値を決める際には踏まえて対応していただきたい、そのことを大臣にお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#120
○国務大臣(大木浩君) その弱者についての配慮というのは、当然またこの法案でも私どもいろいろ考えておりまして、例えばこの法律で、重金属等に関して設定する基準につきましては、既に中央環境審議会の方の答申におきましても、感受性の高い集団というのは、これは子供とか妊婦とかそっちの方ですけれども、を念頭に置いて、汚染土壌を通じた長期的な暴露を前提として設定をするということにされておりますし、今のこれは一つの例示でございますけれども、そういった弱者に対する配慮というのは十分考えながら今後もこの法案の運用を進めてまいりたいと思っております。
#121
○岩佐恵美君 それで、ちょっと今日具体的な産業廃棄物の処分場の問題について伺いたいと思うんですけれども、実は今度の法律は産業廃棄物については触れないということになっているわけですけれども、そこで、今起こっている重大な問題がありますので、この問題をちょっとただしていきたいというふうに思っています。
 具体的な事例は、福岡県の筑紫野市にある株式会社産興というところの産廃の処分場です。一九八八年に設置許可された安定型産廃処分場で、その後拡張されて、現在九ヘクタールあります。処理能力が百三十七万五千四百三十立米のうち、既に八十万立米埋め立てられています。これはもう全日本的に見てもかなり大きな量となっています。一九九九年十月に汚水ピット内の硫化水素中毒で三人が死亡する事件が発生して、この事件について私は、国土・環境委員会の当時に、この委員会でも取り上げました。実はこの最終処分場でまだいろいろと問題があるということで現地からの訴えがありましたので、今年の五月の二日に現地調査に行きました。
 前回行ったときもこの産興は私たちを受け入れてくれなかったんですけれども、今回も、福岡県を通して調査を申し入れたんですけれども、拒否をされました。拒否されただけじゃなくて、実は私たちの調査が車で尾行をされました。集会場でちょっと現地の方々と懇談をしていたら、その集会場のところまで来ていましたし、集会場から今度現地に動くときに車でずっとつけられると。現地で見ている間もずっとつけられて、私たちがそこから離れるときまでずっと見張られていたということで、ちょっとこういう調査というのは異常だなと思いました。調査というか、こういう尾行されるというのは異常だなと。私もあちこち調査をしていますけれども、こんな経験は初めてです。
 この会社はこれまで何回も廃掃法違反で県の指導を受けています。どのような違反が今まであってどういう措置をしたのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
#122
○政府参考人(飯島孝君) 今御指摘の筑紫野市の株式会社産興でございますが、平成九年九月から現在に至るまで廃棄物処理法に違反する行為として、まず平成九年九月及び十一年二月の二度にわたりまして、安定型最終処分場に搬入してはいけない木くずや紙くずなどの埋立て処分を行いました。これは事業の範囲の無許可変更という違反事項に当たります。また、平成九年九月には、焼却予定の産業廃棄物である木くず、紙くず及び廃プラスチック類を飛散、流出などの措置が講じられない場所で大量に保管したという処理基準違反を犯しております。
 さらに、平成十一年四月、産業廃棄物処理施設の変更許可を受けることなく施設の規模を拡大いたしまして、許可容量を超えて埋立て処分を実施しております。また、今年の三月でございますが、焼却施設の排ガス中のダイオキシン類濃度が基準を超過するというダイオキシン類対策特別措置法の基準違反がございました。
 こうしたことに関しましては、福岡県、すべての事例につきまして厳重注意により対処しているところでございます。
#123
○岩佐恵美君 今、部長、一九九三年の野焼きは入っていましたっけ。
#124
○政府参考人(飯島孝君) このほか、平成十一年十月から十二年一月にわたりまして最終処分場の浸透水のCOD、BODの基準超過、あるいは、今御指摘になりました平成十二年七月に火災が発生したということがございまして、これらにつきましては直接廃掃法違反ということは証明されておりませんので、特段の処置は講じておりません。
#125
○岩佐恵美君 九三年に野焼きが行われて、それで焼却処分許可違反ということでこれも摘発をされていると思います。
 これまでのボーリング調査で約一〇%の有機物が確認されています。県は、違法埋立て物の撤去を指導して、除去されたことを確認したというんですけれども、表面を見ただけで、どこにどれだけ持っていってどのように処理したかということは確認していないとのことでした。ですから、高濃度の私は硫化水素が発生して死亡事故が起こったと思います。いまだに許可された高さを超えた大量の埋立ても残っています。こういうものが放置されるということは大変よくないと思います。きちんと処理をさせるべきだと思いますが、いかがですか。
#126
○政府参考人(飯島孝君) 先ほど答弁いたしましたように、安定型最終処分につきましては平成十一年四月に施設規模の無許可変更に対しまして福岡県から厳重注意を行ったところでございますが、これに対しまして産興は、改善対策といたしましてこの過積み分をもう一つの処分場、容量の大きい処分場の方に移動していたわけでございます。ところが、その最中の十一年十月に委員御指摘の硫化水素発生による事故が発生したために、この事故発生以降現在まで、福岡県では安全確保ということでこの移動を中止させているという状態でございます。
 なお、福岡県は、この事故の発生後、直ちに事故調査委員会を設置いたしまして、これまで硫化水素発生の原因と対策について検討が鋭意進められているところでございまして、過積みの問題については安全確保対策が講じられた段階で適切に対処していくというふうに承知しているところでございます。
#127
○岩佐恵美君 その調査が終わらなければ過積みの問題が解決できないということでは、やっぱり現地の人たちは非常に不安にさいなまれるわけですね。私は、やっぱりこういう対処の仕方というのは適切でないというふうに思います。しっかり、ちゃんとやっていただきたいと思いますが、どうですか。
#128
○政府参考人(飯島孝君) ただいま申し上げましたように、過積みされているものを容量の大きい第二処分場の方に運んでいた途中で事故が発生したということでございまして、事故がなければすべて過積み問題は解決したわけでございますが、まだ途中の段階ですので、過積み状態のものがまだ残されているということは御指摘のとおりでございますが、これにつきましては安全を確認した上できちんとした撤去をすべきであるという福岡県の考え方を承っているところでございます。
#129
○岩佐恵美君 実は、この業者は別のところにも最終処分場を何か持っているというふうに聞いています。そこに入れられないとしても、とにかく過積み、違法状態になっているわけですから、それを直ちに処理をするということについては、できないことではないと思います。
 だから、ここで押し問答しても部長が、はい分かりましたとどうも言いそうもないので、今日は、そういう宙ぶらりんな形で放置をするというのは良くないということを指摘をしておきたいと思います。
 実は、基準を超える汚水は出ていないと、ここは出ていないと県は言っているんですね。しかし、当日、近くの沢水の電気伝導率を調査をしたら、処分場とは別方向から流れてくる水は八八でした。私は現場で見ましたから。ところが、処分場から出てくる水は一七〇〇だったわけですね。ですから、処分場から汚水がしみ出しているということはこれから明らかだと思います。
 処分場の下流一・二キロに県営の山神ダムがあります。筑紫野市を始め三町二市、二十万人の水道水源となっています。山神水道企業団の調査では、処分場排水のマンガン含有量は夏場に特に高くなって、過マンガン酸カリ等による有機物の処理が行われているのではないかと推測をしています。
 近くの沢にいたサワガニ、現に私、捕ったのを見ましたけれども、おなかの部分が真っ黒だったわけですね。本当にサワガニがこんな色しているというのは見たこともないような状況でしたけれども、私は、こういう排水の汚染というのをすぐに原因を究明して、汚染水が下流に流れないように対応すべきだと思うんですね。これを飲んでいる人がいないからいいんだということではなくって、その原因を究明して、それが下流に流れないように対応するというのは当たり前の措置だと思うんですが、その点どうですか。
#130
○政府参考人(飯島孝君) 福岡県におきましては、硫化水素の発生事故を受けまして、先ほど申し上げましたように、平成十一年十月に事故調査委員会を設置して、現在、原因解明及びそれに基づく改善方策の検討を行ってきたところでございます。
 御指摘のございました電気伝導度でございますけれども、これはイオンのモニタリング指標になっているものでございまして、例えば完全な安定型廃棄物でありますコンクリートの破片等の瓦れき類からの浸透水においても検知されるものでございます。カルシウムイオン等がこの電気伝導度に現れるわけでございます。
 福岡県におきましては、現在、事故調査委員会の提言を踏まえて、汚染の程度や周辺の影響の有無について幅広くモニタリングできるよう、維持管理基準に係る項目を中心として電気伝導度も指標としているものでございまして、こうした観点から、今後ともモニタリングを継続していくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
 なお、この処分場の浸透水につきましては、平成十二年の九月以降これまで、すべての項目について基準に適合している、その前は確かに基準をオーバーしたことがあったわけですが、平成十二年九月以降はすべての項目について基準に適合しておりますし、下流の河川につきましても、河川三か所、それから地下水、これの定期的なモニタリングを行っておりまして、いずれも水質環境基準に適合していると聞いているところでございます。
#131
○岩佐恵美君 時間がなくなったので、ちょっと大臣にお願いしておきたいんですけれども、従来、都道府県においては違反行為に対して口頭の注意や指導票の交付といった行政指導を継続して、法的効果を伴う行政処分を講じない場合も見受けられるとして、環境省は去年の五月に産業廃棄物課長通知を出しているんですね。恐らく今の部長が課長のときだった──ではないですか、とにかく、そうではないようですが、そういう通知を出しているわけです。
 ところが、このケース、産興のケースは、県が何度も指導しているんですけれども、それを聞かないということなわけですね。そこでああいう重大な事故が起こって、現在、その調査をしている、検討しているという状況なんですけれども、やはり現地で私は見てみて、とても、やっぱり業者の対応も余りオープンではありませんし、住民との間も非常にぎくしゃくをしているということですので、環境省としてこれはしっかり対応していくということをしていただきたい。
 それから、法律を作る際に、こういう、地域の人々に、特に飲み水の上流にあるそういう、八十万立米、今埋め立てているわけですけれども、キャパシティーは百四十万近くあるわけですね、そういうものが本当にこういうよくわからないままで放置されるというのはとても良くないことなので、今別途法律を準備しているということで、法律というか法制化ですか、準備しているということですけれども、こういうことが決してないようなきちんとしたものを作っていただきたい。
 この二点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#132
○国務大臣(大木浩君) この業者さんが、残念ながら何回も違反行為といいますかを繰り返しておられますから、その都度に福岡県の方ではいろいろと訂正を求められておるようでございますけれども、さっきからもう説明しておりますように、硫化水素問題への対応を決めた上で、この事業者に対して必要な行政命令を出すと、こういう今、段階に来ておるわけでございますけれども、それはもう、そういつまでもほかっておくわけにいかぬわけでございますから、これはもうある程度きちっと早くやるということで、また環境省としても福岡県にはひとつそういった方針で動くようにということは申入れをしていきたいと思っております。
 いろいろと、廃棄物の処理基準等に対して強化するというようないろんなことはやっているんですけれども、いろんな基準を決めてもそれがきちっと守られないというんじゃ、やっぱりそれは結果的には十分望ましい環境行政が行われていると言えませんので、今後ともそういったことは本当にきちっと、作ったものはきちっと守られるというふうに努力をしてまいりたいと思っております。
#133
○岩佐恵美君 終わります。
#134
○高橋紀世子君 私、質問を考えてきたのが、大体皆さんがもうおっしゃってしまったので、手短にお話ししたいと思います。
 この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めることにより、土壌汚染対策の実践を図り、国民の健康保持を目的とすると書いておりますけれども、私は、これを見て、前にも出ましたけれども、やはり未然に防止する規定がどこか弱いような気がしたので、そのことを伺いたいと思います。
 また、次は、今、汚染の対象にする土壌、土壌の定義がよく出てないように思いました。地質汚染のことや、それから相互のコミュニケーションを明確にするためには、どうしても土壌の定義をもう一つ伺いたいなと思いました。
 それからもう一つ、土壌汚染の禁止というのがはっきりこれには出てないなと思いました。土壌汚染等の原因となる行動について、もう少しはっきりと書かれた方がいいのではないかと思いました。土壌汚染の禁止ということがちょっと弱いように思いました。
 それだけでございます、質問。お願いします。
#135
○国務大臣(大木浩君) この法案というのは、取りあえず、まずは目的として人の健康に対する被害を防止すると、こういうことでありますけれども、それじゃ、具体的に土壌をきちっと汚染から、汚染を除去してということになりますと、これは具体的にどういう方法でやるかということがありますから、先ほどから申し上げておりますとおりに、本当の意味での予防というのはなかなかしにくいというそういう点はありますけれども、まずはとにかく、現実にどういうところでそういう汚染が発生しておるかというようなことを一つ対象にして、ですから、いろいろとその責任問題というのも出てくるわけですけれども、土地を所有している人、それからその汚染の原因者、そういったところの関係を明確にいたしまして、何か状況が、そういった汚染問題が起こった場合には、今度、それを除去するための措置を取るということを定めておるわけでございますので。
 確かに、まだ今、現在の土壌問題というのが、日本においては一つやっぱりいろいろと、いろんな意味で現実に使っておる土地、あるいは例えば工場だとか事業所として使っておるというところでございますから、それに常時立ち入るということはできませんけれども、できるだけ注意して見守って、何か疑いが生じたというようなことがあればそれを契機として措置を取るというような方法で、できるだけ土壌汚染というものを防止したいというふうに考えておりますので、先ほどから申し上げておりますとおりに、取りあえず十年ということを言っておりますけれども、その間にももし不十分なことがあれば、また適宜、またそれについても是正を加えて運営してまいりたいと思いますので、そのようにひとつ御理解をいただき、御協力をお願いしたいと思います。
#136
○高橋紀世子君 今のを伺って、それで終わりでございます。
 ありがとうございました。
#137
○委員長(堀利和君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について福山哲郎君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福山哲郎君。
#138
○福山哲郎君 私は、ただいま議題となっております土壌汚染対策法案に対し、民主党・新緑風会及び日本共産党を代表して、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 まず、その趣旨について御説明申し上げます。
 土壌汚染は、人の健康とともに環境に対して長期にわたって影響し、その汚染箇所も膨大な数に上るものであります。しかも、このような土壌汚染は二十世紀の産業活動の結果として生じた負の遺産であり、将来世代に対してこのような汚染を残さないようにするのが私たちの世代の責任であります。
 そのためには、土壌汚染を防止するための法制度を構築し、汚染箇所の調査を広範囲に行って、計画的に土壌リスクの削減に取り組む必要があり、現に、諸外国の制度の多くはそのようなものとなっております。
 我が国は、これまで、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が制定されておりましたが、市街地の土壌汚染防止の法制度は制定されておりませんでした。長年の懸案であった市街地の土壌汚染防止の法制度がようやく提案に至ったわけであります。
 しかしながら、提出された本法案は、土壌汚染の防止ではなく土壌汚染対策を内容とするもので、調査の対象や範囲を始め、極めて不十分な内容のものとなっており、そのことは、参考人からの意見聴取や各委員の質疑を通じて明らかになっております。
 そこで、不十分な内容となっている本法案をより良いものとするため、本修正案を提出するものであり、これは立法府の責務だと考えております。
 次に、修正案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的として、土壌の汚染による人の健康に係る被害の未然防止を明記することとしております。
 第二に、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査の機会として、有害物質使用工場の敷地などの土地について、都道府県知事が調査を命ずることができることを明記することとしております。
 第三に、調査に係る申出として、都道府県知事に対する住民からの申出制度と調査しない場合の応答義務について定めることとしております。これにより住民の不安がかなり解消されるものと期待されます。
 第四に、都道府県知事は、土壌汚染状況の調査の結果について公開する旨を明記することとしております。
 第五に、都道府県知事による指定区域台帳の閲覧の拒否に係る文言を削除することとしております。
 第六に、汚染除去等の措置の実施状況について都道府県知事が公開することとしております。
 第七に、法案の施行状況の検討を十年後ではなく、三年後としております。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
#139
○委員長(堀利和君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより土壌汚染対策法案について採決に入ります。
 まず、福山君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(堀利和君) 少数と認めます。よって、福山君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(堀利和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 福山哲郎君から発言を求められておりますので、これを許します。福山哲郎君。
#142
○福山哲郎君 私は、ただいま可決されました土壌汚染対策法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    土壌汚染対策法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、土壌汚染による生活環境や生態系への影響、油類等の特定有害物質以外の他の物質による土壌汚染の実態把握などについて早急な科学的知見の集積に努めるとともに、土壌汚染の未然防止措置について早急に検討を進めること。
 二、土壌汚染に対する住民の不安を解消するため、住民から土壌汚染の調査について申し出があった場合には、適切な対応が行われるよう、都道府県等との連携を十分に図ること。
 三、操業中の工場・事業場、廃棄物の最終処分場跡地等及びその周辺の土地においても、汚染の可能性が高く、汚染があるとすれば人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものについては、土壌汚染の調査が適宜行われるよう、都道府県等との連携を十分に図ること。
 四、操業中の工場等から汚染又は汚染のおそれのある土壌を搬出・移動することにより汚染が拡散しないよう、各事業者を指導することについて都道府県等との連携を十分に図ること。
   また、汚染された土壌の適正な処分の在り方について、廃棄物処理法の見直しを含め、早急に検討を進めること。
 五、指定区域台帳に関し必要な事項を環境省令で定めるに当たっては、周辺住民が安心できるよう、土壌汚染の状況、汚染の除去等の措置の実施状況等について、情報の透明性確保に十分配慮するとともに、都道府県等との連携の下、リスクコミュニケーションを積極的に推進すること。
 六、汚染の除去等の措置の実施に際して、作業員や周辺住民の健康不安が生ずることのないよう、有害化学物質や重金属類の大気中への拡散を防ぐことに万全の措置を講ずること。
 七、土壌汚染状況調査及び汚染の除去等の措置については、これが適正かつ円滑に実施されるよう、その手法が簡易で低コストなものとするための技術開発の促進を図ること。
 八、農薬による土壌汚染の実態解明を進めるとともに、残留性有機汚染物質に指定されている農薬等について必要な措置を講ずること。
 九、土壌に含まれている有害化学物質や重金属類の大気中への放散に対して、早急に知見を収集し客観的な基準の設定について検討を進めること。
 十、本法の規定に関しては、その施行状況を踏まえ、施行後十年以内であっても適宜適切に見直しを行い、制度の改善を図ること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#143
○委員長(堀利和君) ただいま福山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(堀利和君) 全会一致と認めます。よって、福山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大木環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大木環境大臣。
#145
○国務大臣(大木浩君) ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力する所存でございます。
#146
○委員長(堀利和君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(堀利和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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