くにさくロゴ
2002/04/23 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 国土交通委員会 第12号
姉妹サイト
 
2002/04/23 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 国土交通委員会 第12号

#1
第154回国会 国土交通委員会 第12号
平成十四年四月二十三日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     佐藤 雄平君
     榛葉賀津也君     池口 修次君
     羽田雄一郎君     谷林 正昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         北澤 俊美君
    理 事
                鈴木 政二君
                脇  雅史君
                藤井 俊男君
    委 員
                荒井 正吾君
                木村  仁君
                月原 茂皓君
                野上浩太郎君
                野沢 太三君
                森山  裕君
                吉田 博美君
                池口 修次君
                佐藤 雄平君
                谷林 正昭君
                藁科 滿治君
                続  訓弘君
                大沢 辰美君
                富樫 練三君
                田名部匡省君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉谷 洸大君
   参考人
       日本大学理工学
       部建築学科教授  野村  歡君
       一級建築士事務
       所アクセスプロ
       ジェクト代表   川内 美彦君
       障害者の生活と
       権利を守る埼玉
       県民連絡協議会
       副会長      國松 公造君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定
 建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(北澤俊美君) ただいまから国土交通委員会を開会をいたします。
 理事会の協議がいささか長引きまして、お待たせをいたしまして申し訳ございませんでした。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る十八日、羽田雄一郎君、榛葉賀津也君及び櫻井充君が委員を辞任をされ、その補欠として谷林正昭君、池口修次君及び佐藤雄平君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○委員長(北澤俊美君) 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、日本大学理工学部建築学科教授野村歡君、一級建築士事務所アクセスプロジェクト代表川内美彦君及び障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協議会副会長國松公造君の以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変御多忙の中にもかかわりませず御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の委員会の審議に資していきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、野村参考人、川内参考人、國松参考人の順序でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 また、御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度挙手をして委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきを願いたいと存じます。
 なお、恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願いを申し上げます。
 それでは、まず野村参考人にお願いをいたします。野村参考人。
#4
○参考人(野村歡君) お手元にございます発言要旨に沿って十五分間お話をさせていただきたいと思います。
 一、自己紹介ですが、私は、研究者として、大学院修了後、約三十五年にわたりまして高齢者、障害者の生活環境整備ということを建築学の立場から研究してまいりました。このハートビル法の改正に関しまして最初の検討の場となりました建築物バリアフリー検討委員会の委員長として、また社会資本整備審議会委員として答申作成に携わった立場から、本日は改正法案について意見を述べさせていただきます。
 二、建築物バリアフリー検討委員会、社会資本整備審議会における検討概要でございます。
 この建築物バリアフリー検討委員会は、一昨年の十月、建設省、現の国土交通省ですが、このときに始まりまして、主な議論は、対象建築物を拡大、義務付けの創設、既存建築物対策の充実、更に事務の手続の簡素化等を中心とした報告を行いました。しかしながら、当時は、義務付ける建築物、用途、規模等までは具体的には明記はせず、検討課題として報告をさせていただいております。
 本年一月末の社会資本整備委員会におきましては、この答申、この案に対して更に具体的にこれを詰めるということが行われまして、現在審議中の政府案の、答申の方向はほぼこれを反映された形というふうに私は考えております。
 三番の社会資本整備審議会答申のポイントでございます。幾つかの大事なポイントがありますが、私はこれを七つのポイントに絞って考えていきたいと思います。
 一番は、基礎的基準への適合の徹底についてと、いわゆる義務付けの問題でございます。
 この義務付けに関しましていろいろと議論がございました。結論といたしましては、審議会では、二千平方メートル以上の建築物の新築を行う際の基礎的基準へ適合を義務付ける、しかし、それに併せて地方の条例による制限の付加を可能とするということで、面積が二千平方メートル未満の部分については条例によって付加をしようと、こういうリンクを考えたわけでございます。ちなみに、地方条例、いわゆる福祉のまちづくり条例が整っていない都道府県はただ一県というふうに聞いております。
 答申は、この点を踏まえまして政府案は、国による一定の用途、規模に関する一律の義務付けの仕組みを創設いたしました。さらに、この線に沿って組み立てたわけでございますが、最低限の対応を全国民に担保しつつ、地域の実情に応じたバリアフリー対応を推進可能な形に考えたわけでございます。
 二ページ目に参ります。
 一番上の施策対象とする用途の拡充についてということで、これまでの法律はいわゆる不特定かつ多数という考え方がありましたけれども、検討委員会ではできる限りその幅を広げようではないかということで、審議会におきましても、特定の者が利用する福祉施設、工場、事務所、学校、共同住宅等も努力義務の対象にすべきではないかということが大変大きな点でございます。
 答申のこの点を踏まえまして、政府案は現在のような形で作られているというふうに御理解をいただきたいと思います。
 三番の既存建築物における対応を推進する方策についてということでございます。
 かつての、これまでのハートビル法は増改築のみを施策の対象としていたわけですが、今度は修繕、模様替えについても努力義務ないし認定による支援の対象としてバリアフリー対応を推進するように求めているわけです。
 答申を踏まえまして、政府案は努力義務の対象を拡大いたしまして、既存建築物対策の充実要請にこたえる内容としていただきました。
 四番、優良なバリアフリー対応を推進する方策について。
 こういう配慮をするには何がしかのやはり費用がかさむ、掛かるというわけですが、このことについては、税制、融資等の支援措置を充実することに加えまして、認定建築物である旨を示す表示制度、あるいは拡幅部分に関する容積率の特例措置など、利用者の合理的な選択行動あるいは負担軽減を通じまして、優良な対応を誘導する方策を創設するよう求めております。
 答申を踏まえまして、政府案は、低位な水準にとどまらず、良質な建築ストックが形成されるよう、整備促進に向け、容積率の特例及び表示制度を新設する内容となっております。
 五番、基準のあり方について。
 基準の適用方法や改修工事について、段階的な取組を可能とする基準の適用方法について検討することを求めているわけであります。
 このことについては、ちょっとお分かりにくいかと思いますが、その下のところに括弧のところで、老人ホームにおける視覚障害者対応の在り方や改修工事の場合の工事部分及び至る経路の基準の適用というふうに書いておりますが、このことについてちょっと補足をしておきたいと思います。
 全国的に、いわゆる福祉、社会福祉施設というのがあります。現在、福祉のまちづくり条例でかなりこれに合致、適用されているわけですが、私どもはこの障害者、高齢者に対して、段差がないということを実は大変厳しく求めているわけですが、こういう老人ホームにおいて視覚障害者に対する誘導ブロック、逆に、足で触るぶつぶつがございますね、あれがかえって高齢者の転倒を引き起こしかねないということが最近指摘されているわけで、そういたしますと、やはり建築物に対して、それぞれの特徴を生かした形で、きめの細かい配慮というものも必要ではないか、そういう趣旨のことを書かせていただきました。
 それから、改修工事である部分をこの対象にした、するわけでございますが、そこに至る経路というものもやはりちゃんと整備をしなければ、せっかく改修した部分が生きてこないではないかと、こんなことで、ここのことを括弧で補足をさせていただきました。そういう趣旨でございます。
 六番、義務付け等の執行体制のあり方について。
 現在の法律では都道府県知事の指導あるいは指示ということになっておりますが、これによりますとなかなか事務がスムーズに動かないであろうということで、当然、建築物を建築する場合には建築基準法による確認業務というのがございます。この確認業務に連携をさせて、あるいは検査というところと連携をさせて、一体的に処理をする仕組みを考えた方がいいのではないか。それに伴いまして、指導、助言、認定等の関連事務を建築主事を置く市町村で担うべきであるということを求めました。
 政府案は、この答申の方向にあるような方向で権限委譲を図るべく、所管行政庁が事務を担うことということで考えていただきました。
 七番、意識啓発について。
 やはりこういう高齢者、障害者に対する配慮というものは、建築主あるいは国民、あるいはこういう事務につかさどる人、あるいは建築関係者、広い人たちの理解と協力がなければ実現しないことは言うまでもないわけで、そういう意味で、交通部門との連携、いわゆる交通バリアフリーとの連携も必要でしょうし、あるいはガイドライン、マニュアルといったものでそういう意識を更に推進していただきたいということを求めているわけです。
 三ページ目に入りまして、答申は、この点を踏まえまして交通バリアフリーとの関係、あるいはここにおきましては重点整備地区内ということが書かれておりますが、こういうところとの十分な連携を図って進めていただきたい。そして、国が率先して教育活動や啓発活動において一層この点を国民の皆さんに理解と協力が得られるように努力をしていただきたい、こういう趣旨でございます。
 全体をまとめます。
 昨年一月に建築物バリアフリー検討委員会報告を委員長として取りまとめさせていただきました。この段階では、ここまでできればいいなというかなり将来的な展望、環境整備の方向性を示しつつ、制度全般の見直し方向を提言させていただいたわけでございます。
 本年一月の社会資本整備審議会の答申におきましては、この検討委員会で提示された方向がより明確にされ、より現在の社会情勢に見合った形で実施できるような段階で義務化の仕組みの詳細、あるいはより優れたバリアフリー対応を促す方策などが具体的な方向で提起をされ、今回の政府案は、検討委員会の基本的な考え方、さらに審議会の答申の考え方が忠実に反映されたものというふうに考えております。
 さらに、これが現実的な環境に向けて、社会情勢を眺めながら、一歩一歩でありますが、速やかにこの改正案の内容が実現されることを私は期待しているわけでございます。
 最後のフレーズになりますが、ここに書かれておりますハートビル法はあくまでも建築物のみに限定されるわけでございますが、先ほども申し上げたわけですが、ゆとりと潤いのある生活全般の実現に向けてはこれだけでは十分でございませんで、生活環境全体のバリアフリーの実現が重要でありまして、建築物と併せて交通機関、道路、公園等の施設のバリアフリーを一体的に、そして総合的に推進していくこと、これが私は大変重要なことではないかというふうに思います。
 時間、少々短くなりましたけれども、これで私の発言を終了いたします。
#5
○委員長(北澤俊美君) ありがとうございました。
 次に、川内参考人にお願いいたします。川内参考人。
#6
○参考人(川内美彦君) 一級建築士事務所アクセスプロジェクト代表の川内と申します。
 私は、ごらんのように車いすを使っています。それで、ハートビル法が九四年にできてからずっと車いすで建物を利用する者の立場として、いろいろと気付いたことがあります。そのことについて、今回の政府案に対して意見を申し上げたいと思います。
 今回の政府案、いろいろと、九四年の最初のハートビル法に比べて随分いろんな試みが入っていると思います。ただ、九四年に積み残されていた問題というのがそのまま今回の改正案でも積み残されているという問題があります。
 皆さんのお手元の「「ハートビル法」改正に向けた政府案への意見」という二枚組みのものがありますが、それが私の発言の要旨です。
 まず一番目は、この法律のタイトルにもありますように、「高齢者、身体障害者等」というふうになっていますが、既に、例えば障害者基本法というふうに、身体というふうに特定するということが合わなくなってきているんですね。建築物においても、例えば認知の問題、サインなんかの認知の問題だとか、あるいは障害者に特定するということではなくて、その対象を妊産婦だとか子供だとか、拡大していこうというふうな流れがあります。そのようなときに相変わらず身体とかというところにこだわっているということについて、もう少し明文化して対象者の拡大をするべきではないかというふうに考えています。
 それから二番目は、いかに言っても、税金で造られた建物が使えないというのはどうも納得がいかないわけです。自分も納税者の一人として、なぜ税金で造られた建物が使えないんだろうというのが非常に素朴な疑問としてありますので、これについては一般の建築物よりも少し厳しい義務化というか、そういうものが必要なのではないかというふうに考えています。
 それから三つ目は、ハートビル法、九四年にできたときからこれは言われていたことですけれども、二千平方メートルというのが一つの目安になっていますが、そうすると、身の回りの小さなコンビニとかというのは百平米、二百平米のサイズなんですね。そうすると、二千平米とははるかに届かない小さな規模なわけです。ですから、そのようなコンビニとかあるいは床屋さんとか、そういうところになかなか入れないと。目の前の生活環境はハートビル法ができてもなかなか改善されないということがあるわけです。ですから、すべての建物とは申しませんが、生活に密着した用途の建築物については、もう少し小さな規模の建物もカバーするようになるべきではないかというふうに考えています。
 それから四つ目は、およそ二年前に交通バリアフリー法ができました。それで、これの一つの特徴として、市町村が駅及びその周辺を一体的に整備するということで重点整備地区というのを定めることができるようになっていますけれども、そこでは、その重点整備地区内の駅前広場だとか歩道だとか、そういうものは交通バリアフリー法でカバーされます。ところが、その駅前広場や歩道に沿った建築物というのはハートビル法でカバーされるわけですね。そうなると、交通バリアフリー法で歩道や広場はうまく整備されたのに、ハートビル法の方では努力義務までですから、必ずしも駅及びその周辺の建物がちゃんと整備されるということにはならないわけですね。そうすると、同じ国土交通省の管轄である二つの法律でそごが生まれるわけです。
 ですから、政策の一体性ということから考えると、交通バリアフリー法と同じように、駅及びその周辺というのを交通バリアフリー法で定めたら、その範囲内の建築物についても何らかの一般の建築物よりは高いレベルの義務化というのが必要なのではないかというふうに考えています。
 それから五つ目は、特にホテルの問題で申し上げますけれども、現在の認定建築物のレベルにおいても、それがカバーするのは多数の方が利用する場所に限っているわけです。ですから、ホテルに例えば私のような車いすを使う人間がチェックインします。認定建築物だからと思って喜んでチェックインしますと、ロビーまでは行けます、エレベーターも使えます、廊下も使えます。フロントに聞くと、フロントの横に皆さんが使うトイレがありまして、そこに車いすで使えるブースもありますよということです。そこまではいいんですけれども、かぎを受け取って部屋の中に入ると、車いすで使えるようには配慮されていない。なぜなら、かぎの中一つ一つの個室というのはハートビル法のカバーしないところなわけです。
 ですから、認定建築物であっても、認定建築物というのは、私の理解では、日本の国がこのくらいのレベルにやればよく頑張ったというふうに認めてあげようというレベルの建築物だろうと思いますが、よく頑張ったと日本の国が認めてくださっている建築物でありながら、しかもホテルという泊まるのが目的の建物でありながら泊まれないということが現実に起こっているわけです。
 ちなみに、ハートビル法ができて八年間たちましたが、全国の県庁所在地、それぞれの県で看板となる町ですけれども、全国の県庁所在地のうち、車いすで使える部屋が一部屋もない県庁所在地がいまだに二か所あります。一部屋しかない県庁所在地がいまだに八か所あります。その八か所のうち四か所は、組合だとか、何とか保険だとか、何とか障害者センターだとか、そういうふうな言わば半分公的なお金で造られたもので、民間のホテルで使えるようになった、それにしても一部屋しかありませんけれども、それは四か所のみです。つまり、四十七か所の県庁所在地のうち、十か所が全然使えないかあるいは一部屋しかないというふうな、ある意味で惨たんたる状況になっているわけです。これは、ハートビル法の共用部分は整備するけれども個別のところは整備しないよというところの基本的な問題なのではないかというふうに考えています。
 それで、泊まるとなると、おふろはもちろん私のような者は入れません。おふろ入るのは我慢するとして、トイレに行こうと思うと、エレベーターを使って一階のロビーまで降りなくてはいけない。ホテルに泊まっている間には、手を洗ったり髪を解いたりとか、いろいろ洗面所に行かなくてはならないことがあるわけですけれども、そのたびにエレベーターに乗って一階のロビーに行かなくてはいけない。朝起きると、ぼさぼさ頭ではれぼったい目をして、しかし廊下を寝巻きで歩くことは許されませんから、なぜか身支度だけはきちんとして、エレベーターで降りて人前を通ってその共用のトイレで身支度をするということになります。男性の場合は、私なんかはまだいい方ですけれども、女性なんかはそういうお化粧前の髪もぼさぼさの状態でロビーまで降りていって、共用のトイレを使わなくてはいけないというふうな状態が現実に起きているわけです。これをハートビル法と、ハートビルというふうに呼ぶのは、私としては非常に情けない状況なのではないかというふうに考えております。
 それから六つ目は、ハートビル法というのは、鉄とコンクリートでスロープをこうしましょうとか、手すりをこうしましょうとかということは言っているんですけれども、そこで実際に障害のある方が利用したいというのを、あなたは使ってはいけませんよ、あなたはお帰りくださいということを言ってはならないということは求めていません。ですから、いまだに、盲導犬を連れて入ろうとすると、犬はお断りですからというふうに拒否されたり、電動車いすで入ろうとすると、床が傷むから入ってくれるなというふうに拒否されたり、そういうふうなことが現実に起こっております。
 盲導犬については補助犬法というふうなことが考慮されているように伺っておりますけれども、本来、なぜハートビル法によってバリアフリーの試みを進めようとしているのかということをお考えいただくと、それは鉄やコンクリートを整備することではありますけれども、その鉄やコンクリートを整備するのは手段であって、本来の目的は今まで排除されていた人たちがきちんと使えるような環境を作るんだと、つまり、きちんと使えるということが本来の目的なんではないかと思います。ところが、ハートビル法及び二年前にできた交通バリアフリー法もですけれども、拒否してはいけないんだと、障害を理由にしてあなたは使わせてあげませんということを言ってはいけないんだということは実は一言も書いていないわけです。ですから、スロープができた建物で車いすを使う人が入ろうとするとお帰りくださいということが現実に起きるわけですね。
 ですから、なぜ本来の目的である利用というのが法律の中で言及されないのかということは、私は九四年から非常に大きな疑問として持っております。
 それから七番目は、交通バリアフリー法でも明記されましたけれども、五年後の見直しということが必要なのではないかと考えています。
 今回、ハートビル法、八年目の見直しになっているわけですけれども、九〇年代に入ってのこのバリアフリーに関する動きというのは非常にドラマチックというか、劇的なものがあります。その中で、八年間掛かって見直しというのはいかにもスピードが遅い。五年ごとの見直しというふうな規定を言及していただきたいというふうに考えております。
 それから、交通バリアフリー法でもそうだったんですけれども、これは民間の、ハートビル法は民間の建築物がほとんどですのでなかなか難しいとは思うんですけれども、一定の数値目標というものを掲げて、政府としての努力目標というか、そういうふうなものを掲げられて施策を進められる方がいいのではないかというふうに思っております。
 私の発言は以上です。
 どうもありがとうございました。
#7
○委員長(北澤俊美君) ありがとうございました。
 次に、國松参考人。
#8
○参考人(國松公造君) 障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協議会副会長の國松と申します。
 私は、今度の法改正によって少しでもバリアフリーが前進するように、たくさんの事例をこの場でお話しさせていただきたいなということでやってまいりました。ひとつよろしくお願いします。
 まず最初に私が申し述べたいことなんですが、やはりバリアフリー、これを進めていくために、障害者、関係者の意見に忠実に耳を傾けていただいて、行政も、そして各分野の方々も一緒になってまちづくりを進めていくという、そういった姿勢が大変大事になってくるんじゃないかというように思います。
 実は私たちも、もう三十年になるんですけれども、バリアフリーを進めていくということで、市役所とか駅とか道路ですね、歩道、そういったものをよく点検してきました。これはやっぱり障害者の社会参加を進めていく上で決定的な条件なんで、重点として進めてきました。
 それで、まちづくりの問題で、私、埼玉から来ましたから埼玉のお話しますけれども、もう大分前になりますけれども、JRの熊谷駅、そこで駅のエレベーターに車いすの女性が閉じ込められてしまったという事件がありました。これは車いすで操作ボタンが押せなかったということですね。そのために一夜をエレベーターの中で過ごしたという事件がありました。実は、この事件をきっかけに埼玉のまちづくりの運動ということは非常に盛り上がったわけです。
 そういったこともありまして、埼玉県で制定している県のまちづくりの指針、そういったものがありましたけれども、もう指針なんという手ぬるい話ではなかなか進まないということで、条例化してほしいという願いが各方面から上がってきました。そういった中で、本当に県もしっかり対応してくれたなというふうに思いますけれども、障害者の団体もたくさんその委員に入れていただいて、本当にたくさんの議論を重ねてこの条例を立ち上げたという経験があります。
 そういった中から、最近でいえば、バリアフリーという問題では、さいたまの新都心というのができたんですね。これは、県もバリアフリー都市宣言というのを掲げてまちづくりにやっていったという問題があります。そこで、大きなバリアフリーのエリアができました。そういった中で、私たちは大変期待をしたんですね。そして、実際に完成してみると、実はあれっという問題もたくさん出ました。
 そういったことにならないようにということで、工事中ももう私たちとしては本当に心配で心配でしようがないということで、途中で、是非チェックさせてほしい、あそこの問題は大丈夫なんですかねというようなことも盛んにお聞きしていったんですね。それに対して、大丈夫です、皆さんの意見はしっかり押さえてやっていますからということだったんですね。それで、完成しまして招待されるわけです。それで見学会に、さいたま新都心に行きました。
 そこで私たちは、いろんなところは確かに改善されて非常に良くなっている。ところが、問題点もあったんですね。さいたま新都心駅から二階の、橋上がずっと延びているわけです。当然、その延びた橋上からエレベーターや階段やいろんな形で下に下りるところがあります。そして、階段とスロープが並んでいるんですね。そして、スロープの方の下り口には黄色い警告ブロック、点字ブロックが張ってあるんです。ところが、肝心の階段の方は張ってなかったんですね。こういう初歩的なミスといいますか、そういったものが出たわけです。視覚障害者の人は、これじゃもうこの階段から落ちてくれと言わんばかりじゃないかというようなことを言って非常に怒っていました。
 その後、その見学会の後、意見交流会もあったんですね。どうでしたか、さいたま新都心はすばらしかったでしょうというようなことで意見を求めたんですね。そのときに今言ったようなお話をさせていただいたんです。そうしたら担当の行政の方は、一遍にまちづくりは進まないよというふうに言ったんですね。もう私たち、とんでもないというふうに思いました。それはなぜかというと、これは障害者団体もたくさんかかわってプロジェクトを組んで、何度も議論を重ねてやってきたことなんですね。途中でも心配で、そういったチェックもしたいというようなことも盛んに言っていったところです。開けてびっくり、こういう話なんですね。やはり、一緒に作っていくということの大切さがこれで本当に身にしみたわけなんです。
 それから、もう一つ事例を言いますと、その後、もうつい最近ですね、できたのは。南北線の、地下鉄南北線の伸延で埼玉高速鉄道というのができました。これは埼玉スタジアムへ皆さんをお連れしてくる鉄道です。これのやっぱり試乗会にも参加しました。やはり、何というんですかね、待望のホームからの転落防止さくである可動さくができていたんですね。これは本当にうれしかったですね。もう内心やったという気分ですね、皆さん。
 そういう感じで点検をしましたけれども、じゃ、ちょっとトイレもということでトイレへ行ったんですよ。トイレの入口、一般用のトイレとそれから車いすの人なんかも使える広い間口のトイレあります。全体的にフラットなんですね。要するに、一般用のトイレも、階段はあるけれどもスロープもちゃんと付いている、手すりも完備されていると。しっかりそこまで誘導していける状況ですね。これで言うことはないだろうなと思ったら、何とその、大便するときの便房ですね、その扉を開けるところにわざわざ一段段差を作ってくれてあるんですね。これには、実際参加した皆さん、あきれてしまったわけですね。もうほとんどのところはいいんだけれども、やっぱりそういったところに抜けが出てしまうといった問題がありました。そういった意味で、これへ参加したつえを頼りに歩く肢体障害の人ですね、何でもう一つ考えてくれないんだというようなことを盛んに言っていました。
 また、今のは交通バリアフリー法に近い話なんですが、例えば公共機関、市役所とか、そういったところも点検活動をしています。
 最近できたところでは鳩ケ谷の市役所があるんです。県南の鳩ケ谷市役所です。ここは、入口からロビー、本当に広々としていて、しかもなかなか豪華でおしゃれといいますか、イタリア歌劇の舞台のような雰囲気なんですね。そして、二階から曲がり階段というんですかね、ループ階段といいますか、しゃれた階段があります。そこには手すりもちゃんと付いているんです。ところが、手すりが途中で切れているんですね。もう少し何とかならないかなということで、これは一見してやっぱり危険だということで、即刻改善のお願いをしました。残念ながら、いまだに改善されていません。
 というよりも、改善申し入れた数日後に年金受給で来たおばあさんがその階段の途中から転落してけがをしてしまったんですね。その後の処理をどういうふうにしたかというと、何とその両わきに、落ちないようにという意味だと思いますけれども、鉢植えをぽんぽんと置いただけなんですね。これではもう視覚障害者の人や何か大変だと思います。全然落ちるということが分かっていないという状況が、やっぱり率先してこういったものを進めていく行政機関でもなかなか理解が進んでいないなというような、これで感じました。そんな問題もたくさん感じながら、最近でもやっぱり役所を作るといろんな不都合が点検のたびに出たりしています。
 やっぱり大事なことは、何というんですか、一緒にまちづくりを考えていくと。そういった意味で検討委員会とかそういったものの発足というのは非常に評価できるわけなんですけれども、一緒に進めていくというところで、検討委員会の場だけの論議じゃなくて、やっぱり設計段階、そして施工していく工事の段階、やっぱりここで確実に押さえていく機関がないと抜けが出てしまうと。抜けが出るとやっぱりなかなか改善するまでに手間取るんですよね、結局、できてしまうと。そういった意味で、こういった考え方を大事にしてほしいなと思います。そういったものが反映されるといいかなというふうに思います。
 それで、先ほども川内参考人がおっしゃったんですけれども、何のためにそのものがあって、そこに行く、行って、確実に目的が達成されるというのがすごい大事なんですね。それがなかなかできないという状況があります。
 例えばデパートだったら、視覚障害者の人なんか特にそうなんですけれども、どこにインフォメーションがあるんだろう、どこにエレベーターやエスカレーターがあるんだろう。もう視覚障害者の人はほとんど、一人で出掛ける人はエスカレーター利用するんですよ。ところが、ほとんどのところでそうなんですが、エスカレーターの前に停止ブロックというか、警告ブロックはあるんですが、そこへの誘導のブロックというのはないんですよね。本当、あの広いところでたくさんのものがある中で、もう本当に迷ってしまうというのが実態で、買物一つできないという実態があるんですね。やっぱり、そういったもので確実に目的を達するというところまで導線、導く線が行っていないと、やっぱりまちづくりの問題では大事なところが欠けているんじゃないかなというふうに思うんです。
 そういった問題は、今、先ほど出たホテルの問題でもありますし、それからレストランの問題でもあります。レストランも、実際はそこまで行って、テーブルに座らせていただいて食事が食べられないといけないんですが、なかなかそこまで行けるようなところがたくさんないという状況ですね。ホテルも、結局そこへ行って、最終的には部屋に入ってしっかり寝れるという状態にならないとホテルじゃないですからね。そういった意味で、きちっと目的を達する導線、そこをしっかり法律では押さえてほしいなというふうに思います。
 そんなことを発言させていただいたんですが、具体的なこの法令のところで、法案のところで私言いたいのは、やっぱり一つ目は法律の題名にこだわりたいなというふうに思うんです。
 先ほども出ましたけれども、高齢者、身体障害者だけじゃなくて、高齢者、障害者等、要するに身体障害者から障害者というふうに大きくくくってほしいなと思うんです。これはやっぱり、町点検やなんかをしているときにいろんな障害者の団体が出てくるんですね。行政の方なんかも出てきて、一緒に点検活動なんかもします。でも結局、知的障害の人たちのことというのはほとんど考えられていない。これを何としてでも入れていただくためにも、やっぱり「身体」というのを抜いてほしいなと思っているんです。
 今すぐにでもできるというのは、知的障害者の人たちにとって大事なものというのは、その表示の問題ですね。表示が漢字で書かれているだけとかというのが多いんですね。やはりできるだけ易しい平仮名を使ってほしいなというふうに思うんです。あるいはルビを打っていただく。ほかの表現方法としては絵文字ですね、そういったものも工夫されて付けていただいたら有り難いなと思います。そういった意味で、是非位置付けていただけたら有り難いと思います。
 二つ目は、義務の対象を、それとしてたくさん僕たちはもっと増やしてほしいというふうに思いますけれども、例えば学校ですよね。学校は、やっぱり単純に生徒が行くところってだけに考えていただきたくないなというふうに思うんですね。やっぱり教育権保障大事です。そのほかにも、やっぱり災害時の避難所にもなるというのが大きいんですね。これは実際に避難所があって、そこへ行ってどうにもならなかったというのがさきの災害でも大変マスコミでも言われたことです。それから、学校なんかは選挙のときに投票所として活用されるというのがあるんですね。やっぱりこれも、参政権保障というところで大変大きな問題もあって、そういったものが絡み合っての大変公共性の高い場所だと思うんです。ちなみに、埼玉で選管が調べたところによると、前回の参院選のときに……
#9
○委員長(北澤俊美君) 國松参考人にお願いをいたしますが、時間が過ぎておりますのでおまとめをいただきたいと思います。
#10
○参考人(國松公造君) はい。
 たった五か所なんですが、二階でエレベーターのないところがあるんですね。これはやっぱりもう重大な人権侵害だというふうに思うので、是非お考えいただきたいというふうに思います。
 それから、最後なんですけれども、バリアフリーの思想が大変進んでいるということで、やっぱり五年見直しというのを是非明記してほしいなと。やっぱり社会の発展、目覚ましいということで、是非よろしくお願いしたいと、そういった願いをお伝えして、発言に代えさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#11
○委員長(北澤俊美君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。
 参考人の先生方におかれましては、それぞれのお立場で御経験を基に御所見を賜りましてありがとうございました。
 私たちの国は、戦後、大変厳しい経済状況の中から急激な高度成長をしてまいりました。特に、昭和三十六年に農業外所得が農業所得を上回った時点から、右肩上がりの急激な高度成長をしてまいりました。確かに、バブル崩壊後の失われた十年間がございますが、しかし、この経済成長の中で物の豊かさだけを求めてきたというのが現状ではないかと。我々は、心の豊かさというものがいささか欠けてきたんじゃないかと思いました。
 そんな中で、二十世紀は競争の時代、二十一世紀は共生の時代と、これは期待を込めて言っておるわけでございますが、そして昨年、二十一世紀の扉が開かれました。普通、新世紀を迎えますと、浮き浮きとして新世紀を語り合うときなんですが、何となく今国民の皆さん方が自信をなくしていると。目の前の老後の心配、多くの青少年は夢をなくし、経済は依然としてトンネル状況にあると。しかし、かつて物が豊かでなかった時代を振り返ったときに、家族はいたわり合い、地域は支え合い、志にあふれた時代がありました。
 私たちは、昭和三十六年以前のそうした古き良き時代の気概をしっかりと踏まえた中で、この新世紀に立ち向かっていかなきゃいけないなと思っておるところでございまして、先ほど来、参考人の先生方もおっしゃいましたように、このハートビル法は平成六年に成立をいたしました。私は、正しくこの法律はいたわり合い、支え合いの精神に基づいた、起因した法律じゃないかと思いました。
 そして、この八年を迎えて今日、やはり大規模な建物等にはかなり浸透してまいりました。しかし、先ほど来いろんな問題点もございましたし、特に、一方では今高齢化がより一層進んでまいりまして、六十五歳以上の高齢者が二〇一五年には全人口の四分の一を超すようになると言われておりまして、これは何としてもスピードアップを図らなきゃいけないということで五年間ということをおっしゃった。これは八年目でございますが、こうした法案が提案をされたわけでございます。
 私は、そんな中で、このハートビル法を改正をすることによって、より一層、高齢者、先ほど来、障害者の皆さん方が本当に社会参加ができる形を取り、そしてひいては福祉の向上につながるような法案となるべきではないかと思っておるところでございます。
 そこで、先ほどそれぞれの参考人の方々から、先生方から御所見を賜ったわけでありますが、野村参考人におかれましては、建築物のバリアフリー対策の検討委員会の委員長として報告書を出されて、その結果がかなり政府案としても出されているということでございますが、その中で、この本法案の改正の中で最も重要な点はどういう点であるかということと、そして、これは私からしてもいささか問題点があるんじゃないかなということが本法案の中でありましたら、そのことを野村参考人からお聞かせいただきたいと思います。
 また、川内参考人からは、御自身が障害者であるということで、本当にきめ細かな生活をする上の重要性ということを改めてまた私たちも身につまされて感じたわけでございまして、非常に参考になったわけでございますが、川内参考人からいたしまして、今法案の、出されている改正案、最も共感ができるところはどういう点かと。しかし、先ほど来いろいろな問題点が出たがこれ一番、一番の問題点はこういう点だというものがございましたら教えていただきたいと思います。
 また、國松参考人におかれましては、三十年間でございますか、ボランティアとして本当にこのバリアフリー対策等を非常に検討されて、あらゆるところで勉強されてきて、現場での実情というものをお聞かせいただきまして、なるほどな、あの通りがあんな違うのかと、これはおかしいな、段差があっておかしいなというようなことをやっぱり本当にそういう形の中でお聞かせいただいたということは、分かりやすく、また次の段階の中で、今法案でもしできなければ考えていかなきゃいけないんじゃないかということも私も改めて感じたわけでございますが、國松参考人も、同じ質問でございますが、この改正案の中での共感をできる点はどの点が最も共感できるか、しかし、この中で一番問題点があるのはどういう点に問題点があるかということをお聞かせいただきたいと思います。
#13
○参考人(野村歡君) 二点についてお答えいたします。
 一番重要な点というのは、やはり今まで努力義務であった建築物に対して義務付けを行うということ、これが一番大きいかと思います。二点目は、対象用途の拡大、さらに既存建築物への対応、そういうことは私は大変重要な点ではないか。更に申し上げるならば、二千平方メートル以上の建築物に対応する新しい法律改正案と、今までの二千平方メートル未満を対象とする今までの福祉まちづくり条例との連携ということがこの法律によって図られたことだと思います。
 問題だというふうに言われるとちょっと難しいんですが、強いて言うならば、先ほど川内参考人がおっしゃられた客室というような、今の法律案は基本的には、建築ではサーキュレーションという玄関、廊下、階段、エレベーターと、そういうことが中心でありまして、部屋のそれぞれの用途のことについてはまだ触れられていない。これは、前の法律の考え方をそのまま受けているわけでございますが、ただこれは、それぞれの建築物についてはやはり更に検討を重ねないとなかなか十分な結論が得られないのではないかというふうに思います。
 それから、もう一つ強いて言うならば、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、できる限り多くの人の意見を聞きながらこういうものを更にレベルアップした方向に持っていきたいというふうに思っております。
 以上です。
#14
○参考人(川内美彦君) 御質問は、今の法案の共感できるところと問題点ということでしたけれども、共感できるところは、野村参考人がおっしゃったように、義務付けが図られたというところはやはり共感ができます。それから、一点のみとおっしゃられたんですけれども、地方で条例によって上乗せができるという点も非常に注目すべきところだろうというふうに考えております。
 それから、問題点としては、先ほども申しましたけれども、利用の保障というところが考慮されていない、つまりハードの整備が何のために整備されるんだという、その何のためにというところが明確に書かれていないというところが大きな問題だろうと思います。
 それから、もう一点申し上げますと、ホテルの例で申し上げましたように、建物のその本来の目的が達せられないということが起こっているわけですね。それは、その建物に本来こういう目的で行ったんだというのを肩透かしを食うような感じになっていまして、非常に問題だろうというふうに考えております。
 以上です。
#15
○参考人(國松公造君) 私は、評価点として言いたいのは、やっぱり皆様と同じなんですが、やっぱり義務化ですよね。これが何といっても大きいことだと思います。やっぱりこれがなくして先に進まないということがありますから、やはりその義務化というのが一番の問題だというふうに思いました。あとは、そうですね、やっぱり対象を少し拡大していただいたというところですかね。そういったものが評価につながるというふうに思います。
 それから、問題点の方もということでしたけれども、そうですね、一つはやっぱり人が利用するというところでの権利規定ですよね。これは表現は違うんですけれども、ほとんど川内さんの言っておられることと同じだと思うんですけれども、そういったことだと思います。実際面これやっていくときに、もう一つなんですけれども、既存の施設、それをどう改善させていくか。町はほとんど既存の施設なんですよね。これが圧倒的なんです。これをどうするかという問題をもっと深めていただきたいなというふうに思いました。
 以上です。
#16
○吉田博美君 それぞれありがとうございました。
 実は、今回の法案を見ていまして、よく我々外国に行きますと、外国での、海外の事情等を見ますと、バリアフリーはかなりいっているなというところと、この辺は足りないなという、いろいろのことを感じるわけでございますが、参考人の方々、先生方、海外の方の事情等にもし精通されているようでしたら、私も行かれたか行かれていないかということは分からないものですから、海外でのバリアフリー対策と今回の法案との類似点だとか違う点が、こういう点が違うというのがございましたらお聞かせをいただきたいと思うんですけれども。
#17
○参考人(野村歡君) 海外のことにつきましては、こういう法律の整備という面では我が国は大変後れているのではないかというふうに思います。法律の前、一番早いのは一九六一年にアメリカで、これはガイドラインでございますが、これができて以来、一九六七年でしょうか、スウェーデンでもう既に法制化が始まっております。その後、アメリカはそのころからいろいろと整備をして、御存じのように、一九九〇年にはADA法、アメリカ障害者法という法律ができて、大変微に入り細に入りした法律ができております。一方で、イギリスにおいてもそういうことでは随分進んでいるかと思います。
 大きな法律の体系では、要するに建築物そのものに対する配慮の法律の体系と、一方で障害者差別禁止法といったような、差別をしてはいけないというような法律の二つの体系で大きく作られていて、いわゆる先進諸国においてはほとんど法律はできていて、内容も相当に濃いというふうに思っております。
#18
○参考人(川内美彦君) 既に一昨年の十月の国際会議で報告されたことですけれども、利用の保障につながるものですけれども、世界の四十三か国で障害を理由にした差別をしてはいけないという法律ができています。日本にはまだこれはありません。それがないからこそ、先ほどから申し上げているハードは作るんだけれども利用の保障は抜けているというふうなことが起きているわけです。
 それから、アメリカの場合だと、先ほど野村参考人がおっしゃいましたように、一九九〇年のADAから全米をカバーする整備が進んできたわけですけれども、このADAにしても、ハートビル法のような個別の技術規定というのはADAの本体の下にぶら下がっている規定なわけです。ADAの本体というのは、先ほど申しましたような障害を理由にして差別をしてはいけないんだ、その差別をしてはいけないという、それを具体化するためにスロープをこういうふうに作るべきであるというふうなことを言っていると。その上の骨組みというのが残念ながらハートビル法や交通バリアフリー法にはないというところが問題なのであろうと。ですから、先ほどから申し上げておりますように、ハートビル法という個別の法律の中に利用の保障ということを組み込んでいただかないと話が前に進まないということになっているわけです。
 それからもう一つ、既存の建物などについての規定としては、これは連邦法ではありませんけれども、アメリカの州でやっていることは、マネーキャップと呼ばれるものをやっています。これはどういうものかというと、今回のハートビル法もですけれども、新築とか増築とか、このバリアフリーのために、何にもない、ほかに建築計画がないところにバリアフリーのために既存の建物を改修しなさいということは求めていないわけで、新たにその既存の建物なり新築の建物に増築とか新築とか、そういうことを行うときに付随してバリアフリーのところも改修しなさいというふうになっているわけですけれども、そのマネーキャップの考え方というのは、建築の総工費の何%以上は、何%を超えてまではバリアフリーのところにお金を使わなくてもいいですよということを言っております。
 つまり、一千万円の増築工事にバリアフリーにまた一千万円掛かるんだったら建築主はやりたくないということになるわけですけれども、その一千万円の工事に例えば一割と定めると、百万円まではバリアフリーのところに使いなさい、それで整備の優先順位を作っておきまして、まずは外部から中に入れること、それから中で移動できることというふうに優先順位を作っているんですけれども、その優先順位に従って百万円を順次使っていきましょう、それで、なくなったところでそれ以上の整備はしなくてもいいですよ、あるいはたばこ屋さんのように小さなところだったらば人的対応だけでもいいですよというふうな柔軟性のある対応をやっていますけれども、日本のこのハートビル法にはそういう柔軟性のある対応が含まれていないので、既存建物に対して幾つかの問題点がこれから生じるのではないかというふうに考えております。
#19
○藁科滿治君 民主党・新緑風会の藁科でございます。
 それぞれの立場から大変貴重なお話を承りまして、ありがとうございます。時間の制約がございますので、私の方から数点一括、それぞれの参考人に質問をさせていただきます。
 まず第一は、基礎的基準の適合義務の問題でございます。お話がありましたように、今回の改正案では二千平方メートル以上と、こういう基準がございます。私は、今日までの討議の中でも、この基準をいかに二千平方メートル以下に波及させるか、むしろこの基準は法律の精神、目的からいうと矛盾しているんではないかと、こういうような主張もしてまいりました。そういう意味では、この改正案の今後の成果の可否はこの二千平米以下にどれだけ効果をもたらすかということが決め手になるんではないかというふうに思っております。
 そこで、野村参考人からは、より網羅的な対応が可能になる、可能にしなければというお話がございました。そういう意味で、交通バリアフリー法との連携であるとか国民全体への啓発運動であるとか、全く私も同感でございます。しかし、現行法の体系から考えてまいりますと、今回の改正案で行政府が末端に委譲されるわけでありまして、地方行政府の指導性というものが非常に重要である、これがかぎを握っていると言っても過言でないと思っております。
 格別、現行法の中でも第四条、第八条、これは指示、改善命令、認定取消しというようなかなり厳しい条項も入っているわけでございますが、現在、問題がありながらこれらの条項がほとんど機能していないと、こういう体系の中で、やはり地方行政の指導性、心のこもった指導性というものが非常に重要であるというふうに考えておりますので、この点についてのお考えを改めて伺いたいと思っております。
 それから第二に、障害者の方々からよく聞く話でございます。また、既にお話もございました。近年、ホテル、旅館の入口であるとかエレベーターであるとか駐車場であるとか、こういうところは非常に改善傾向が顕著でありますけれども、問題は肝心の部屋の中、寝泊まりする部屋の中がほとんど旧態依然ということで、先日、当事者からも大変厳しい苦情を含めたお話も伺いました。せっかく楽しみに行ったのに、トイレが使えないということで一階の共同トイレに行くというようなことで、何を楽しみに行ったんだろうかという、こういう実態があちらこちらであるわけですね。是非、こういう部屋の中の改善ということに力を入れていかなきゃいけないというふうに考えております。
 そこで、川内参考人からも提案されておりますけれども、ホテル、旅館の部屋数に見合った一定の利用できる、安全に利用できる部屋数を確保すると、こういう基準を明確にしていくべきではないかと思う、指導性というのは正にそこにあるんではないかということ、私も全く同感でございます。
 この基準の数字については大いに論議をして決めればいいことでありますけれども、時期はそういう時期に来ているというふうに思っておりますので、この点については、是非、野村参考人にも御意見を承りたいと、このように思っております。
 それから三番目に、今、地方行政のレベルでの対応が非常に重要であるということを冒頭から申し上げておりますが、それぞれの行政で、福祉のまちづくりというような掛け声の下にそれぞれ立派な成果を上げているところがあるわけですね。もしか、是非紹介したいというようないいお話があったら報告かたがた御紹介いただければというふうに思っております。
 それから最後に、見直し規定が最低五年必要であるというお話がありまして、私も全く同感でございます。今後の展望は非常に不確定要素が多いわけでありますから、しかも時代も環境も急速に変わっているわけでありますので、是非この五年の見直しということを組み入れるべきであると。
 若干意見も含めまして、以上、質問をさせていただきます。
#20
○参考人(野村歡君) 四点お話をいただきました。最初から順番にお答えしたいと思います。
 初めの、法の精神からいいますと、すべての建築物について義務付けるべきではないかと、こういう趣旨で承りました。お話はごもっともでございますが、現実にこれを二千平方メートル以下の建築物にすべて適用した場合に、私はある意味では混乱が起こるのではないか。要するに、小さな店舗の人たち、あるいは小さな建築物の経営者、その限られた面積の中でそれがどこまでできるかということは、私にとってはちょっと今の段階では不十分で、それはどういうことかというと、そういうことに対する社会がどこまで醸成をしているか、この社会の醸成に見合った形で私は法というものは整備をしていくべきものではないかと、こういうふうに第一点目は考えております。
 それから、とはいうものの、国がこのハートビル法を平成六年に作った時点で、その以前に条例があったところは三都道府県にとどまっております。その後、四十幾つかの都道府県一斉に作った。そういう意味では、このハートビル法はかなりそれぞれの自治体に対してこの取組を後押しをした、あるいは先導的役割を果たしたというふうに思います。
 そういうことから見ますと、今度の法律の改正というものは、やはりこの各都道府県の考え方を更に引き出して、それを活性化させる大きな役割を果たしているのではないかというふうに思っております。
 それから、ホテル、旅館の件です。これはもう川内参考人のお話を聞くまでもなく、私も障害者の皆さんとよく接触しているわけですから、十分その点は分かっているわけでございます。
 ただし、ホテル、旅館というものは立地条件、あるいはホテルのタイプ、いわゆるリゾートホテル、ビジネスホテルあるいは都市型のちゃんとしたホテルといろいろとございます。それによってかなり客層も変わってくる。それに合わせてやはり客室も様々な形があるというふうに私は理解しております。ということは、その客室が大きければバリアフリー対応というのは比較的しやすい反面、つい、今の例で、私の経験で言うと、一つの部屋にもういろんな整備をするために非常にオーバースペックになるというようなことで、ほかのお客さんが入ったときにはなかなかその部屋に理解がされにくいと、こういう面も一つある。いわゆる違和感を感じると。これは、そういう意味でやり過ぎのマイナス点というのもあろうと思いますし、あるいは客室が狭いビジネスホテル等では構造的にもそういう車いす対応というのがなかなかしにくい。例えば、ユニットバスというのをお考えいただくと、扉の幅が狭いしあるいは床のところに段差があるというようなことで、これを、単に扉の幅を広げるということはそんなに難しいことではないんですが、床の段差をなくすということは実は大変、更に難しい問題があろうかと思います。
 そういう意味において、いずれこういう設計者がもっとこのバリアフリー対応のうまくできるようなことが、できるようなことがまず第一にあるべきでありまして、そのためには、先ほども申し上げましたように、ガイドラインあるいはマニュアル等で社会をもっと喚起をする、それから法に組み入れていく準備が妥当ではないのか、あるいは福祉用具を使ってそういう配慮をしていくのが妥当ではないかというふうに思います。
 それから、地方のレベルで何かいい例はないかというふうにおっしゃられましたが、私の非常に身近な例で申しますと、横浜市というのは市民発意型のまちづくりというような運動をやっておりまして、えてしてまちづくりは行政が主導をするという形になりますが、市民発意型のものに対して、わずかではございますが、そういう運動が活性化するように、そしてできるだけ市民の発意が十分生きるような、こういう形も一部行っているところでございます。
 また、見直しの件につきまして、最後の点ですが、基本的には私も、この大変動いている社会の中で五年の見直しというのは私は基本的には妥当であろうというふうに思っております。
 以上です。
#21
○参考人(川内美彦君) 四点の御質問ですけれども、まず最初の小規模の建築物に対してどうかということですけれども、野村参考人がおっしゃったように、今、義務化ということについては混乱が起きる可能性があるというのは私もそうかなというふうに思います。それがあるので先ほどマネーキャップということもお話ししたわけですけれども、仕組みとしては、いかにして過重な負担にならないで、特に既存の場合ですけれども、過重な負担にならないで実効が上がるようなことを考えるかということがあります。
 それからもう一つは、例えば行政の担当の方々が余りにもしゃくし定規ということが現実に起こっています。設計基準、ハートビル法の場合は設計標準という名前になっていますけれども、その設計標準の中で例えばといって示したような図があると、お役所の担当者は業者に対して、ここにこういうふうにかいてあるからこのとおりやらなくちゃいけないんだというふうなことで、しゃくし定規に適用されるというふうな例がたくさんありますので、その文言に書いてある裏の真意というものを理解して柔軟な基準の適用ができるような人材養成ということが非常に重要なのではないかと。その点では、今まで多くの法律というのが、作ってぽんと投げ出して、現場への説明というものがなかなか十分に行われてこなかったということがありますから、もう少し血の通った運用ができるような体制を作るべきではないかというふうに考えています。
 それから、ホテルについては、私のお配りした資料の中の二ページ目に何%というふうなことを書いています。これはアメリカのADAという法律にある設計基準をそのまま持ってきたものですけれども、実はADAの設計基準はここに書いたものよりも厳しくなっています。パーセンテージは同じなんですけれども、一番上の段の、私がお配りした資料では滞在室数は五十から百というふうに書いていますけれども、ADAでは一から百までです。つまり、一部屋でもホテルの部屋があれば、そこに右の方、円滑に利用できる部屋数の基準としては一以上かつ四%以上という規定になっています。ですから、一部屋しかない場合はその一部屋を車いすでも利用できるようにしなさいよということを言っているわけですけれども。
 なぜ五十にしたかというと、小規模な旅館などでそこまでを求めるのは私としても酷であろうということで五十から書いたわけです。ただ、これは特に統計的な根拠があって書いたものではありませんから、これは皆様の御議論の中でこの数字はどうすべきであろうということはお決めいただければいいと思いますけれども、要点としては、ホテルというのは泊まるのが目的である、だけれども泊まれないという現実を何とかしなくてはいけないのではないかということであります。
 それから三つ目の、条例の好例はどうかということですけれども、現在、福祉のまちづくり条例の早い段階に、九〇年代の初めごろに作った福祉のまちづくり条例の中には改正作業が進みつつあります。これはもうパブリックコメントをしたりして、かなり初期に作られたものとはオープンにした手法で作られているわけですけれども、福祉のまちづくり条例に限らず、多くのところで参加型のまちづくりということがもう珍しくなくなってきています。これは、先ほど國松参考人もおっしゃいましたけれども、利用者と作り手側が一緒になって議論をして、ニーズを掘り出して、合意を形成して作っていこうというものですけれども、そのようなまちづくりがこれから主流になっていくのではないかというふうに考えています。
 それから、見直しについては、最初申し上げましたように、五年というのがやはり必要なのではないかと考えております。
 以上です。
#22
○続訓弘君 公明党の続でございます。
 本日は、野村参考人には、建築物バリアフリー検討委員会の委員長として、また社会資本整備審議会の委員として貴重な経験から御発言をいただきました。そしてまた、川内参考人からは、御自分がスポーツ事故で障害者になられ、かつ一級建築士としてこれまた長い間経験を踏まれて、著書にも、「バリア・フル・ニッポン」という著書をも著しておられますし、この中にも貴重な御意見がございました。また、國松参考人には、三十年間の長い間、自らバリアフリー運動を進める献身的な運動にも携わってこられました。そういう経験から先ほど来貴重な御意見をいただきました。
 そこで、それらを伺いながらも、なお私として、お三方に御意見を伺いたいと存じます。
 それは、今回の改正案についてそれぞれ先ほどお述べになりましたけれども、改めて評価を、どういう評価をしておられるのか、そしてまた、この改正案を施行する場合の留意点及び改正案の残された課題として今後どのような問題を認識しておられるのか、この点についてお三方から御意見を伺いたいと存じます。
#23
○参考人(野村歡君) 評価の点ですが、先ほども申し上げましたように、この法律の改正案の前の部分ですね、これは国の法律が福祉のまちづくり条例を作ることを大変後押しをしたということでございます。そういう意味において今回の法改正は、更にその動きを活発化し、更にこの国の法律と相まっていい状況を作っていくのではないかというふうに大いに期待をし、またそれを評価点というふうにしたいと思います。
 それから、先ほども申し上げているように、やはり何といっても義務化ということが我が国の現時点においてはもう必要である、これを法の改正案に入れていただいたということは、私が一番評価する点でございます。
 留意点ということになりますと、これも先ほどちょっと申し上げましたけれども、今はサーキュレーションという通路の部分が中心でございますが、それを更に広げていく、あるいは、私は研究者として長年研究をしておりますと、もう既に御指摘されているように、既存の建築物をどうするか、あるいは小規模建築物に対してどういうふうにこの環境整備を広げていくか、これは法だけでは必ずしもできないんですが、法がどこまでそれにアプローチできるかというところが私のちょっとこれから更に研究をしていきたい部分でございます。
 ちょっと残された点も含めてお話をしましたけれども、そういうことを意識しつつ、国とそして地方自治体が協力し合ってこの法律を推進していただきたいというふうに思っております。
 以上です。
#24
○参考人(川内美彦君) 評価する点としては、先ほども申しましたけれども、義務化ということがやはり大きいと思います。
 それから、地方が上乗せができるということによって、地方の福祉のまちづくり条例との連携というか、今までちょっと福祉のまちづくり条例ではこう言っているけれどもハートビル法ではこう言っているよというふうなずれが生じたところもあったように伺っていますけれども、それが調整がうまくいくようになるのではないかというふうなことを考えています。
 それから、法律の施行の留意点というところでは、先ほど私が七点申し上げましたが、それはもちろんなんですけれども、更にもう一つはこの法律の精神、物の考え方あるいは設計標準の考え方というものを現場の人にいかに理解していただくか、その理解していただくプログラムというのがうまく運用されないとなかなか、先ほども申しましたけれども、しゃくし定規な運用に固まってしまうのではないかというふうなことを考えています。
 それから、この改正案の残された問題というのは、先ほど申し上げた七点に私は集約しておりますので省略させていただきます。
 以上です。
#25
○参考人(國松公造君) 私もこの改正の評価といいますと、先ほど申しましたように、何といっても義務化、これが一番だと思います。やはりこの義務化によって一歩やっと踏み出すという状況で、それまではやっぱり啓蒙策だったわけですから、これは大変大きなことだというふうに思います。
 そして、問題点を挙げさせていただきますと、先ほど既存施設ということをお話ししましたけれども、もう一方では交通バリアフリー法がありますから、やはりそれとの整合性といいますか計画性、そういったものをしっかり盛り込んでいただけたら有り難いなというふうに思います。
#26
○続訓弘君 私は、一つの提案を申し上げたいと存じます。
 利用者のために少しでもバリアフリー対応が進むようとの観点から、バリアフリー目安箱あるいはバリアフリー一一〇番といった形で地方公共団体などが建築物、町のバリアフリーに関する利用者の意見を随時受け付け、該当する建築物等の所有者、管理者にこれを伝え、適当な機会に所要の対応を図ってもらえるようなきめの細かい指導、助言システムを設けることについて、お三方はどういう御意見を持っておられるのか、伺わせていただきます。
#27
○参考人(野村歡君) 大変よろしい提案ではないかと思います。
 もう既にアメリカではそういうことをやっておりますし、私は、日本の国内でももうそういう高齢者、障害者の皆さんが自分たちの意見をまとめて行政にアドバイスをするという形は現実にあろうかと思います。
#28
○参考人(川内美彦君) これまでも利用者の方からいろいろな建築物だとか公共交通だとか行政に対して問題点を指摘したりお手紙を書いたりすることはしばしばあったわけですけれども、それについて、多くの場合は無視される、聞いてもらえない、あるいはお考えは分かりますけれどもいろいろな事情があって、将来的に考慮していきますがというふうなところで、その場しのぎの答えをいただくということが多かったわけです。
 ですから、御提案のこの目安箱なり一一〇番なりでその意見をつなぐということはもちろんとてもいい提案だとは思うんですけれども、その根拠は何なのかということと、それからそれを受け取る相手に対してどの程度有効なものなのかというところはもう少し考えないと、結局、手紙は来たけれども、ほっとけばいいやということになるのではないかと。今まで痛い目に遭ってきて多少不信感もありますので、疑い深い意見かもしれませんけれども、そういうふうに考えております。
#29
○参考人(國松公造君) 私は目安箱の問題なんかも非常にいいと思うんですね。啓発、そしてバリアフリーの思想を醸成していくということで大変いいなというふうに思います。
 ただ、運用というか考え方として、そうやって啓発していく部分と、やっぱり実際にこの制度を活用して、実際にバリアフリーな建物を建てていくという誘導策と合わせた形でそういったものがうまく転がっていくといいなというふうに思います。
#30
○続訓弘君 それぞれ御意見いただきまして、大変ありがとうございました。確かに、御指摘のようなフォローアップするべき点はあるかと存じます。大いに研究させていただきます。
 そこで、次は、もう一つお伺いいたします。専門家の育成の必要についてでございます。
 建築物の所有者、管理者は、具体的にバリアフリー対応を行おうとしても、専門知識が不十分であり、どこに相談していいか分からない場合も多いと思います。行政の指導、助言を有効にするためには、建築物の所有者、管理者が気軽に相談できる専門家やNGOなどの育成、活用も必要ではないのかなというふうに思います。
 そこで、参考人のお三方に伺いますが、専門家、NGOの育成、活用などについて、今後どのような取組が必要なのか、伺わせていただきます。
#31
○参考人(野村歡君) ただいまのお話で、まずそのお答えをする前に、いわゆる建築教育の中で高齢者、障害者配慮の教育がどれだけ行われているか、私はこれをもっと多くの大学あるいは高等専門学校、ここできちんと行うことが私はまず先決ではないか。そうすることによって、設計者が自然にこういう配慮を、高齢者、障害者に配慮ができるように、そしてその不自然な配慮をできるだけ少なくしていく、これがまず一番重要ではないかというふうに思います。
 その上で、建築主に対する相談体制、これについては今お話しのように、NPOというお話もございましたけれども、基本的には行政でこういう相談をされたときにそれが受け答えられるような窓口といいますか、相談体制といいますか、これがまずできるということが重要だと思いますし、あるいは民間のNPOということで、いろいろな方が集まったレベルでそれぞれの案に対して意見を言う、あるいはアドバイスをするということが必要ではないかというふうに思います。私はできるだけ多くの方が意見を言えるような場が必要かというふうに思っております。
#32
○参考人(川内美彦君) 専門家の育成あるいはNGOの育成についてですけれども、日本建築学会ではバリアフリー、ユニバーサルデザイン教育を行っている全国の大学、高等専門学校について調査をしております。その調査について、昨年シンポジウムを開いたりして、その詳細についてはちょっとここではっきりと申し上げるほど私が記憶が定かではありませんけれども、全体のカリキュラムの中からすると非常に寂しいというか、関心のある先生のところにその教育が偏っているというふうなところで、その一般化をしていかなくてはいけないだろうというふうに考えます。
 ただし、その前提となるのは、やはり初等中等教育からの統合教育というものが前提になるのではないかと思います。既に障害のある方々、子供たちがほかの子供たちと一緒に学んでいくという体制は多くの国では取られているわけですけれども、日本の場合はどうしても隔離教育ということが中心になってきています。大人になって初めて障害のある方に出会って、どうすればいいんだというふうに固まってしまうというふうなことになるわけですね。ですから、子供のときからお互いにけんかをし合いながら育っていくという関係の中で、テクニカルな面は大人になって学ぶとしても、どういうふうに接すればいいんだとか、あるいは自分たちと全く異なることのないただの人間なんだと、変な言い方ですけれども、そういう先入観のない、偏見のない考え方を持って、それに後で学んだ技術的なものを適用できるというふうな人材を養成するためには、やはり統合教育というものが必要なのではないかと思います。
 それからもう一点、法律の体系として、建築基準法がおよそ五十年前にできたときには、高齢の方、障害のある方というのは本当に社会の中の非常に少数であったかもしれません。だけれども、今やその数が非常に多数となってきたときに、基本的に建築基準法とハートビル法という二本立てにしていく必要があるのかどうかということも含めて、将来的には、標準装備として高齢の方や障害のある方への配慮というものが建築物の中に求められていく時代に近い将来なっていくだろう、これは多分間違いのないことだろうと思います。ですから、それに目掛けて、その教育のところの足腰をしっかりしておかないと早晩行き詰まってくるのではないかというふうに考えております。
#33
○参考人(國松公造君) いわゆる専門家の育成ということなんですが、私は、それよりもやっぱり全体の意識ですね、そういったものを引き上げていくということの方が重要かなというふうに率直に思っているんですよ。
 それで、例えば、いわゆる専門家の話になると視点が偏るという感じがするんです。例えば、点字ブロックなんかでもやっぱりその美観が重視されてしまうということで黄色原則というのを貫けなくなってくるというようなことが、例外として、悪い例としてあるんですね。これは町の景観や何かも同じようなことで感じられます。
 そういった意味では、やっぱり具体的に生活していく当事者、そういった意味ではやっぱり障害者、関係団体等々の意見やそういう考え方をもっともっといろんな場所で一般化していくというか、それが大事かなというふうに思います。
#34
○続訓弘君 どうもありがとうございました。
#35
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。
 三人の参考人の方、お忙しい中ありがとうございます。
 最初に、私は、先ほどの三人の方々の御意見を伺って、バリアフリーを実行していく上でかなめになるのは、障害者の皆さん、利用する皆さん方の意見がきちんと反映されるかどうかと、ここが一つの大きなかぎだなということを大変強く感じました。
 人が移動するには目的があって移動するわけであって、例えばレストランに入るには食事をするために入るわけで、食事ができなければ目的は達成されないわけですし、ホテルの場合でいえば宿泊ができなければ目的は達成されない、こういうことだと思うんです。
 私は、先日、大宮の現地の調査をしたんですけれども、そこで障害者の方と一緒にトイレやエレベーターやいろいろなところを調査をしました。
 実際にそのトイレを障害者の方が使う場合に、まず入口のところで、表示は出ているんだけれども、視覚障害者にとってみれば右側が男性で左側が女性なのか、その反対なのかというのが、まず最初のところで分からないというわけなんですね。ですから、そういうことが分かるようにきちんとするとか、あるいはトイレの中でもトイレットペーパーの位置が届かないところに設置されているとか、一つ一つ挙げれば切りがないほどいろんな問題点があるということが分かりました。
 したがって、意見を聞くと同時に、それが実行に移されるというか、きちんとそれが生かされなければ意味がないというふうに大変強く感じたわけです。
 そこで、最初に國松参考人と川内参考人の方に伺いたいと思うんです。
 この実行に移す、意見は、大体最近はどこのお役所でも意見は聞かないなんというお役所はないんですね。みんなよく意見は聞くんです。聞くんだけれども、そのとおり実行するかというと全く別の話になりまして、予算の問題であるとか事業全体の計画の問題であるとか、そういうことを理由にして、結果としてはそれが生かされないということが少なくないわけなんですね。
 そこで伺いたいわけですけれども、実行させるためにどういうふうにしたらいいだろうかというところだと思うんです。極端な例としては、法律でもちゃんと決めなければお役所はなかなか実行してくれないんじゃないか、こういう意見を言う方もいらっしゃるくらい、なかなかきちんといかないものだなと。
 先ほど地下鉄南北線の延長線上の問題がありましたけれども、いろんなところはクリアされたんだけれども、最後の一点が駄目なために役に立たなくなっちゃうとか、こういうこともあるわけで、どうやってここをきちんと実行させるか、この辺、いい知恵がありましたら、國松参考人、川内参考人からお聞かせいただきたいと思います。
#36
○参考人(國松公造君) そうですね、このバリアフリー、そういったものを進めていく実効性の問題なんですけれども、やはりこの中で私いつも感じているのは、やっぱり計画、それはすごい大事だなというふうに思うんです。きちっと法の中でやっぱり目標、計画、そういったものを明記していただく、あるいはその実行体制ですね、推進体制も明記していただく。
 特に、障害者、関係者のそこへの参加、それはすごい大事だなというふうに思うんです。そのことがないと、なかなかこの案が絵にかいたもちで終わってしまう、これはちょっと極論かもしれませんけれども、なかなか進むスピードが鈍いんじゃないかと思うんです。
 そういった意味で、是非基本計画、バリアフリー法との関連もありますけれども、お願いをしたいというふうに思っています。
#37
○参考人(川内美彦君) 参加のまちづくりと非常に密接に関係のある御質問かと思いますけれども、参加のまちづくりというのは最近は参画のまちづくりと進化してきていますけれども、最後の合意形成をやって何をやるんだというところまで最初から利用者の関与があるということが必要になってきます。ですから、そういうことの仕組みをまちづくりの中で組み入れていくということが、実行に移すという、実効性を高める上で必要であろう。
 それからもう一つは、交通バリアフリー法のときに設計基準なんかのパブリックコメントをやったときに、当時は運輸省でしたか、の担当のところがやったのは、たくさんの意見が寄せられました。そのたくさんの意見が寄せられたうちで、これは採用します、これは採用できませんということをふるい分けた後に、採用できないものに対してはこういう理由で採用できませんということをすべて説明したんですね。
 ですから、もし実行に移さないのであれば、地方でもこういう理由で実行に移せませんという説明責任を果たさなくてはいけないだろうと。それは、その担当者の善意で行われるべきではなくて、その説明責任はきっちりやりなさいという仕組みを条例の中なりなんなりで決めるということは必要なのではないか。
 それから、もう一つ日本の場合に欠けていると思うのは、利用者が行政なりなんなりにお願いをするといったときに、例えば裁判であれば原告と被告がいて真ん中に裁判官がいるわけです。ところが、日本の場合、行政と利用者の間に裁判官に当たる人はいないんですね。中立になってお互いの意見を公平に聞いて仕切っていくというか、そういうふうな役割のところがないと、いつまでたっても押し問答に終わるようなところが非常に多いのではないかというふうに感じています。
 以上です。
#38
○富樫練三君 計画の段階からの参画ということが大変大事だということがよく分かりました。
 次に、國松参考人と野村参考人に伺いたいんですけれども、今の法の体系というのは、交通バリアフリー法と今回のハートビル法ですね。この二つの法律を実態としてどうつなげていくかということは一つの大きな問題だろうというふうに感じています。
 交通バリアフリー法でいえば、例えば重点整備地区ということが駅前などを中心に作られる。その部分は道路もバリアフリーになるわけなんですけれども、ハートビル法で規定される、今回の場合は二千平方メートル以上の建物ですけれども、それは駅周辺の例えば重点整備地区内に必ずしもあるとは限らないわけなんですね。そうしますと、その建物と駅を例えば結ぶための道路についてのバリアフリーが完備しなければ、せっかく建物がバリアフリーになってもその建物まで到達できないという事態が発生しないかと、こういう問題が出てくるだろうというふうに思うんです。
 そこで、この交通バリアフリー法とハートビル法をつなぐ歩道の問題、ここのところがやっぱり解決されなければ有効に機能しないのではないかというふうに感じております。
 この点について、國松参考人、野村参考人、それぞれどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#39
○参考人(國松公造君) そうですね、やはり歩道というのは、確かに、今この問題でいうと大変目的のところへつないでいく確かな導線になりますから、大変重要なんですね。それがこのどちらの法律でもないという形になっているんで、やっぱりこれきちっと押さえてほしいなと思うんですけれども。
 埼玉県の例を少し申したいと思いますが、埼玉県は数年前に二年続けて障害者団体も参加して歩道の点検活動をやったんです。それは、実態調査をやって歩道はどうあるべきかということをまとめていく調査なんですけれども、ここで面白い事例が出たんです。歩道というと必ず車道との関係が出ますよね。歩車道の分離といいますか、その境界線をきちっとするということとか、それはガードレールだったり、そういった防護さく、そういったものを造っていくという話で、それで安全にしていくという問題があります。
 ところが、抜けている部分があるんです。歩道と車道じゃなくて、歩道と、何というんですか、建物側というか民地の側というか、反対側ですね、これについての事柄が全然入っていないんです。私たちも調査してあれと思ったんですが、国道沿いの道を点検しました。反対側が畑だったんですね。その畑に、当然、地主さんは入ってもらっちゃ困るんで、畑だし、そういったことで鉄条網を巡らせてあるんですよ、ばら線を。非常に通行人としては怖い話で、やっぱりけがでもしたら大変です。この話はもう県にお話ししたら即刻改善してくれましたけれども、こういった事例というのはかなりあるんじゃないかと思うんです。
 反対側というと、家であったり、駐車場であったり、河川であったり、がけであったりするわけですね。車の方ばかり気を取られてしまって、そちらの方が全然対策がされていないという問題があります。そういった意味では、落差があってけがしてしまうようなところもたくさんありました。これはもう全国的にもあるんじゃないかなと思うんです。
 そういったことも、やっぱり歩道の中ではそういった問題も含まれているし、大変重要な問題じゃないかなというふうに思っています。
#40
○参考人(野村歡君) 二つの視点でお答えをしたいと思います。
 一つは、道路は、私は専門ではないんで詳しくないんですが、基本的には道路構造令ということで造られているはずでございます。この道路構造令は、かつてはかなり自動車の交通を意識しておりますが、最近何回かの道路構造令改正が行われまして、歩行者優先の思想が大分入ってきているということで、私は、道路の構造そのものが以前に比べれば相当法的にもあるいは実際にも整備されてきている状況があるのではないか、こういうふうに認識しております。
 それから第二点で申し上げますと、先ほども申し上げました福祉のまちづくり条例というのがございます。この福祉のまちづくり条例は、建築物、公園、交通機関に合わせて道路がほぼ入っているかというふうに思います。したがいまして、福祉のまちづくり条例において道路の整備というのは相当に進められる状況にあるというふうに思いますので、私はそういう意味において、ハートビル法、交通バリアフリー法、そして福祉のまちづくり条例、この三本が相携わって進めていただけたらというふうに思っております。
#41
○富樫練三君 最後になりますけれども、今回の場合、二千平方メートルというのが一つの基準になっています。実際には、先ほどお話にもありましたけれども、二千平方メートル以下で、しかも日常の生活に欠かせないような、例えばコンビニであるとか床屋さんであるとか美容院であるとか、そういう施設というか、そういうものもあるわけなんですね。そういうところについて、どうバリアフリーにしていくかということも当然考えられなければならないというふうに思います。
 私どもは今度の法案に対して修正案を用意しておりますけれども、そういう場合に、個人営業で建物を造っているという場合にはなかなか費用の問題でも難しさが出てくるというふうに思います。そういう個人事業主の場合に公の財政援助などが必要なのではないかというふうに思いますけれども、この財政援助について三人の方にそれぞれお答えいただければと思います。
#42
○参考人(川内美彦君) 補助金についてですが、先ほど多少建築基準法との絡みも申し上げましたけれども、私の個人的な考え方では、建物、いろんな建築主に会いましたけれども、建築主の中に、階段はお金が掛かるから階段を取ってくれと言う建築主は聞いたことがありません。階段はあるのが当然であると。かなり以前に耐震規定が大改正になりました。これによって建築の構造関係に掛かるお金が非常にたくさん要るようになったわけですけれども、それも補助金なしでやりました。
 つまり、建築物に必須なものであるならばそれはやはり社会資本として、補助金という対象ではなくてやらなくてはいけないんだ、建物に壁や屋根があると同じように、ある意味でのバリアフリーというか、アクセシビリティーの整備が行われるべきなのではないか、そういうふうに私は考えております。
 ただし、おっしゃるように、小規模なものに対して過重な負担をするというのは非常に酷であるということもありますので、先ほど申し上げた、マネーキャップの例も申し上げましたけれども、ちょっと思い起こすと、例えばコンビニだとか床屋さんだとかというところが例えば車いすを使う人間が入れるようにしようとすると何が要るかというと、入口のところに三角形の鉄板を一枚置けばそれで片付くというのが非常に多いんですね。ですから、別にコンビニや床屋さんにエレベーターを付けてくださいとか、トイレまでがちがちに整備してくださいとかということを言っているわけではなくて、そこのビジネスに負担を与えない程度で、ちょっと頑張ってもらいましょうということは、いろんな基準の決め方あるいは柔軟な適用のやり方によって可能なのではないかというふうに思っております。ですから、そのような柔軟な適用を考える方がむしろ先なのではないかと私は考えています。
 ただし、先ほど私が七点申し上げましたけれども、それの四番目に、交通バリアフリー法の重点整備地区内で建築物との整合性を図るべきであるということを申しましたけれども、この部分については多少の補助金が、もしこれが実現するとしたらですけれども、そこの建築物が、重点整備地区内の建築物に多少の強制力が、強い強制力が働くわけですから、ここの部分については多少の補助金ということが考えられる必要があるかもしれないというふうに考えております。
 以上です。
#43
○委員長(北澤俊美君) ちょっと時間が参りましたので、よろしゅうございますか。
#44
○富樫練三君 はい、結構です。
#45
○委員長(北澤俊美君) 申し訳ありません。
#46
○田名部匡省君 国会改革連絡会の田名部と申しますが、お分かりいただけないと思うので、自由党と無所属の会が一緒になって今院内会派を組んでいる田名部と申します。
 最初に、野村参考人にお伺いしたいんですが、私はいつも委員会で申し上げるのは、国は基本的なことを決めたらあとは地方に任せなさい、何でこまいところまでやるかと。
 それは、私のところは城下町ですし、あるいは雪は多いですし、地域の実情によって皆違うんですよ、建物の構造から何から。野村参考人は専門家でありますけれども、やっぱり基本的には障害者の皆さんの意見というのが一番大事だと思うんですね。使う人が一体どこへ行きたいのかどうかということを、そのためには何が必要かというこの意見を受けてやらないと、健常者の皆さんだけ集まっていろいろやってみたって私はいいものはできてこない。それから、先ほど来も大分質問出まして、二千平米の話もありましたが、それも地域でやれるところは皆やればいい。金のこんなに掛からぬでやれるところもあるし、お金が相当掛かるところもある。
 それは後で別個に、どうするかという方法は補助金制度もあれば税制もあれば、いろんな形でその人たちが選択をしてやれる仕組みさえあればいいと私は思うんですが、まず最初にお考えを伺いたいと思うんです。
#47
○参考人(野村歡君) 今の御質問で幾つかの点があろうかと思いますが、まず財政的な面から入りますと、この法律を義務化にするということは、当初からこういう配慮をすれば、後で改造といいますか直すことに比べれば相当に少ない金額で済むということが実は試算データで分かっております。そういう意味において、できる限り少ないお金というか、基本的なことはそれぞれの建築物でまず御負担をいただくと、これがまず非常に重要な点ではないかと私は思っています。
 それから、国は地方に任せるというふうにおっしゃいましたけれども、建築物それぞれのお金、もちろん国で造るもの、あるいは地方自治体が造るもの、あるいは民間が造るもの、それぞれいろいろとあるわけですが、本来この法律の精神は一体どこにあるかというふうに考えますと、大きく国によって、実は権利という問題でとらえる場合と、それから福祉という思想の下でこういう高齢者、障害者に配慮をすべきだという考え方があるわけですが、大きな流れからいうと、基本的には今は権利、要するに障害者の権利を守ろうというような思想が割と強くなってきているわけです。そうしたときに、やはり自分でできることはなるべく自分でしていくということが私はベースにあるべきではないかと思います。しかし、実際にそのお金が十分あるわけではないということがあります。そのときには、私は、先ほど川内参考人がおっしゃいましたけれども、具体的にそれじゃどういう配慮をしたらいいのか、これをきめ細かくやはり分析をして、そしてどうしても多額のお金が掛かる場合には何か助成をしていくというようなきめ細かい作戦を練って、作戦というか施策を練って進めていくべき性格のものではないかというふうに考えております。
#48
○田名部匡省君 地方の条例による制限の付加も可能だと、二千平米以下はですね、これを活用すれば相当のことはできると思うんでありますが。
 次に、川内参考人にお伺いしたいんですが、実は私はスポーツの関係で随分付き合いがあるんです、皆さん方と。国体終わると身障者の大会やりますし、私は青森県の体育協会の会長をやって、実はアイスホッケーも、アイススレッジスケートの今、日本の会長やっているんです。それは、私はアイスホッケーの選手だったものですから。私ももう大分障害者でして、オリンピックや世界選手権で随分痛めたのが今ごろ出てまいりまして、そういう意味でのお付き合いが非常に多いんです。
 私は、この前も、いろんなバリアフリー化することも大事ですがという、これは青森県に、シドニーのパラリンピックの水泳の金メダリストの成田さんが、御両親向こうだということで講演に来たというんですね。そこへ障害の人たちも行ってみたんですが、選手だから、大活躍しているから余り困らぬだろうと思ってお話を聞いたら、エレベーターやトイレの利用、タクシーや列車の乗り降り、いろんな壁にぶつかっているということを聞いて、その障害者の人も、中途からの障害だったんだそうですけれども、ようやく外へ出るようになって、いざ外出してみると、階段や道路の段差や交通手段の問題など、まだまだバリアフリーにはほど遠いということを感じたということ、これは東京新聞に出ていまして、その人も、建物をバリアフリー化することも大事ですが、障害者と健常者がそれぞれが人に頼む勇気と手助けする勇気を持つことが大事だということを書いてある。そう言われるとそうだなと。
 この間も、鍼灸マッサージ師会の会合、スポーツをサポートする会というのを作ってくれって、私、行きました。会長さんが目が不自由な方で、私はトイレまで一緒に、そういうの付き合っていると何ともなくやるんですが、いざ、何でもないと、やっぱりどうしてやったらいいだろうと。車いすで町を歩いている人、何か戸惑いがあると思うんですね。やっぱりこれは教育というのは大事だなという気がしまして、もうこの辺からしっかりとやっぱり始める必要があるんじゃないかと、こう思いました。
 それからいま一つは、青森市でバスが車いす一台乗れるように造ってやっているんです。ところが、歩道が狭いものですから、上っていくのを降ろせないというので、これできないところが多い。特に、私の町は城下町ですから、歩道というのはほとんどないですよ。私はもう町のど真ん中に住んでいるんですけれども、歩道がないんですから、道路は狭いし、というようなことを考えると、これはなかなか難しいこともあろうかなと、こう思うんですけれども、いずれにしても、皆さん方のそういう御意見というのは私は非常に大事だと思うんで、先ほども野村参考人に申し上げましたけれども、やっぱり活用する人たちの、何を望んでいるかということは分からないと難しいと、こう思うんですが。
 どうでしょう、そういういろんな審議会とかなんとかいろんな制度ができて、地方にもできていくんでしょうけれども、そういうところに皆さんをうんと活用すると、入っていただくということについてはどう考えますか。
#49
○参考人(川内美彦君) 審議会の人選の権利があるわけではないんですけれども、お声が掛かればどんどん喜んで参りますし、そのような席が最近少しずつ増えているのも現実に確かだろうと思います。
 ただし、実際にその問題について真剣に意見を持っている人を審議会に入れる場合と、それからこれまでの慣例どおりこの団体の代表だから入れようというふうな形で審議会に入っている場合というのがあって、実質的な議論をするためにはやはりその問題をずっと考えている人を審議会に入れるべきではないかというふうに思います。
 それから、審議会というのはやはり入れる人というのは一つまみ、一握りではなくて一つまみの人なわけですね。ほとんどの人は意見を表明する場がないわけです。ですから、必ずその審議会で議論されていることは可能な限りオープンにして、今はインターネットなりなんなりいろんな手段がありますからオープンにして、そして先ほどから申しておりますけれども、パブリックコメントという形で幅広い意見を募ることで、その審議会で発言する機会のない方々の意見も吸い上げる、そしてそれに対してこれは採用するけれどもこれは採用できないということをきっちりと説明していくということが必要だろうというふうに考えます。
#50
○田名部匡省君 國松参考人にお伺いしたいと思うんですが、努力義務ということでどの程度進むとお考えでしょうかということと、私は、公的な例えば公民館だとか体育館とか、もういろんな施設、どれもバリアフリーになっているところがもうないですね。特に、私のところの体育館なんというのは二段の階段上って体育館に入っていく仕組みですから。中へ入ってからまたスタンドへ行くには二段の階段上らないとスタンドへ行けないという。これを全部直すと、公民館が二十二か所ありますけれども、敬老会なんかありますと、もう健常者のおじいさん、おばあさんでさえも手すりにつかまって二階へ上がったり下りたり、トイレが近いものですからしょっちゅう上がり下がりがある。この間、市長にエレベーターか何かぐらい付けてやったらどうだと言ったら、一か所付けてくれた。
 そんな程度ですから、やっぱり人のことですから、しょせん、自分のことは熱心だけれども、この国の国民は、人のことになると全く関心がないんだ。そういう中でこれを進めようというんですから、大変なことだなとは思いますけれども。
 どうでしょう、昨日もちょっと私は会合へ行って、この話を今日皆さんにお伺いすると言ったら、おトイレへ行って、上にこれを引っ張るのを付けてやったと言うんですね。その人は専門の工事をやっている人です。既存の売っているやつは全然使い物にならぬと言うんだ。座ったら、今度ズボンを上げるのに寝なきゃ上げられないと言うんだ。だから、もうそういうことは全く考えていないという話を私は昨日伺って、なるほど、これは我々じゃもうとても手に負える話じゃないなと思って帰ってきましたが、そういうこと等を含めて、どうあるべきかという御意見あったらお伺いして、終わりたいと思います。
#51
○参考人(國松公造君) そうですね、努力義務でどれほど進んでいくかという問題なんですけれども、やはり努力義務というのはやっぱり限界があるということで、やりようによってはほとんど進まないということにもなるんですね。そういった意味では、やっぱりそれを誘導していく策がやっぱりすごい決め手になるんじゃないかなというふうに思います。
 だから、それはやっぱり何といったってお金だと思うんですよ。やっぱり民間がそういったものをきちっとやっていくというのはなかなか大変な話なんです。ましてや小規模の商店や何かというと、なかなかそういう具合にはなりませんね。
 ただ、やっぱり町の生活者として障害者の人が暮らしていくときに、やっぱり少なくとも商店の入口ぐらいはちょっと入っていけて、直接そのお店の人に話ができるぐらいにはならないとどうにもならないんですよね。そういった意味で、そういったものを取り付けていくというところへの誘導策、やっぱり補助金がきちっと付いていかないとなかなか進んでいかないんじゃないかというように思います。
 それから、そのお話の中で公的なところの問題も出ました。やはり私は、公的なところは二千平米以下でもやっぱりきちっと位置付けて、法の網に掛けて直接義務化なっていかないとなかなか、先ほど言った公民館てなかなか大変な、バリアだらけのところが多いんですね。そういった意味では進みにくいんじゃないかなというふうに思います。
 ただ、大事なことは、二千平米以下の問題なんかでどう網を掛けるかというのでは、やっぱり公的な部分と民間の部分というのは、やっぱり一定レベルの差というのはどうしてもその網の掛け方は違ってくると思うんですね。そういった意味で、やっぱり公的な部分はそれだけ率先してやるような内容にしていただいて、それを率先してやるということが全体を引き上げていく問題だと思うので、是非その公的な部分はきちっと対応していただきたい、そういうふうに思います。
#52
○田名部匡省君 ありがとうございました。
#53
○委員長(北澤俊美君) 以上で参考人に対する質疑は終了をいたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 皆さん方には、長時間にわたりまして御出席を賜りまして、有益な御意見を拝聴いたしまして、誠にありがとうございました。
 今後は、皆さん方の御意見を委員会の審議の中に十分に活用をしていきたいというふうに思っております。
 委員会を代表して、一言御礼を申し上げました。誠にありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト