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2002/03/19 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第2号
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2002/03/19 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第2号

#1
第154回国会 厚生労働委員会 第2号
平成十四年三月十九日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                田浦  直君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                鶴保 庸介君
                中原  爽君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                今泉  昭君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                草川 昭三君
                井上 美代君
                西川きよし君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  宮路 和明君
       厚生労働副大臣  狩野  安君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      中城 吉郎君
       文部科学大臣官
       房審議官     寺脇  研君
       文部科学大臣官
       房審議官     玉井日出夫君
       文部科学大臣官
       房審議官     上原  哲君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省医薬
       局長       宮島  彰君
       厚生労働省医薬
       局食品保健部長  尾嵜 新平君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   酒井 英幸君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省老健
       局長       堤  修三君
       厚生労働省保険
       局長       大塚 義治君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
       社会保険庁運営
       部長       冨岡  悟君
       農林水産大臣官
       房審議官     山本 晶三君
       林野庁次長    米田  実君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (厚生労働行政の基本施策に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長篠崎英夫君外十七名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(阿部正俊君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○宮崎秀樹君 おはようございます。
 坂口厚生労働大臣、以下の副大臣の皆様方、また厚生労働省の方、連日、本当に今医療改革制度の問題で御苦労さまでございます。
 今日は私、今、今国会に出ました健保法がそのうち付託されてこちらへ来ると思いますが、そのとき突っ込んだ議論をまたするわけでありますから、今日は軽くジャブ程度のことでやっていきたいと思いますが、言うなれば、与党ですから、同じジムから出ていますから、これはノックアウトしちゃまずいわけでありますが、その辺は八百長とならないように、これは政策論でございますから、やってまいりたいと思います。
 一つ目は、これは日本で冠たるこの医療保険制度、昭和三十六年に皆保険になりましたが、その間いろいろな経緯がありまして、保険医総辞退なんということがございました。しかしその結果、世界で一番いい、効率のいいこの制度、そして世界の健康寿命が第一位と、そして医療費は、OECD諸国の中では総医療費がGDPに占める割合は十八位ということで、大変私の、今までの医療に私も携わっておりましたが、いろんな、それは細かいこと言うといろんな点、やはり是正しなきゃならない点ありますが、総じてこれは大変立派な私は制度であると。
 しかし、ここへ来て何か空気がおかしくなってきた。それは確かに二十一世紀に入って社会構造も変わってきますし、国民のやはり考え方も変わってきましたから、この制度のいろんな制度疲労と申しましょうか、それが一気に出てきたと思うんですが、ただ、アメリカの制度を日本へ持ち込もうとする一部の人たちがどうも画策しているんじゃないかと、これに非常な危惧を持っているわけですね。
 ちなみに、私もアメリカへ何回も行きまして現場を見てきましたが、四千三百万人という方々が医療を受けられない、そういう人たちの状況は悲惨なものであります。日本は全くそういうことはありません。と同時に、アメリカの医療、一番私は問題なのは、やはりお金持ちでなければどうも命の保障が全くないということですね。例えば、病院に入院しますのも、最初にもう銀行の口座預金を見せろとか、そこから始まるわけですから。入院料にいたしましても、日本は五千百円ぐらいが平均ですね、一日。アメリカへ行くと十九万幾らですか、平均が、ここに出ていますけれども、失礼しました、十九万三千六百円、こういうような、一日何十万も掛かる。そういうことに比べれば日本は本当にいいのかなと。
 ただ、高度先進医療ができますと、これは効率の悪い医療をしなきゃならないことになりますね。それはお金が掛かる。しかも、これに対して国民皆保険制度と社会保障制度で見るにはやはり限界があると思うんです。
 その辺を考えたときに、やはりここで制度改革をやらなきゃならないと思うんですが、ただ、本当に基礎的ないわゆる医療というものは、これはきちっと命の保障だけは国家がやはりすべきであると私は思うんですね。だから、その辺のことを考えて、今後いろいろなことがございますが、これまでの日本の医療保険制度に対する評価について、厚生大臣、簡単で結構ですが、率直にどうお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
#6
○国務大臣(坂口力君) おはようございます。
 医療保険制度につきましては、今、宮崎委員が御指摘になりましたとおり、皆保険制度ができ上がりまして、そして平均寿命も大変延びて乳幼児死亡率も非常に減少をしている、全体としては非常にいい制度ができ上がっているというふうに私も思っております。
 今まで、こうした中で日本の医療制度、しかも、今御指摘がございましたとおり、予算的にも非常に限られた予算の中で、しかもその限られた予算の中で効率良くいい医療ができてきた、諸外国に比較をして、国際的に見ますとそういう評価を得られるのではないかというふうに思っております。
 しかし今、これも委員が御指摘をいただきましたとおり、だんだんと高齢化が進んでまいりました。その高齢化の進み方も我々が想像していた以上に進んでまいりました。人生八十年時代というふうに言っておりましたけれども、八十年どころではなくて人生九十年に、もう入口に差し掛かった。そして、その後には人生百年が待ち受けている。今年の人口統計を見ましても、今年生まれた女のお子さんは二十人に一人が百歳まで生きる、こういう統計でございますから、私は、このスピードはこれから先、またゲノムでありますとかあるいはその他の最新医学によって私はもっともっと進められていくのであろうというふうに思っています。
 もっと早く人生百年時代は来るのであろう、そういうことを考えますと、現在までこの医療制度、医療保険制度はうまく機能してまいりましたけれども、このままではしかし今後は行きにくい。やはり御自身で御負担をいただくところはいただきながら、そしてお互いに支え合うところは支え合いながら、そしてまた国としてもここに投入すべきものは投入をしてやっていかなければならないだろうというふうに思っている次第でございます。
 そうした過渡期に今差し掛かっているというふうに思っておりまして、今後のそうした状況を十分に踏まえながら新しい一歩を踏み出すときではないかというふうに思っている次第でございます。
#7
○宮崎秀樹君 今お話ございましたように、確かにもうこれから高齢化社会、超高齢化社会、迎えるわけであります。そこで、やはりこの保険制度は、一つやはり高齢者保険制度ということを念頭に置かなきゃいけないと思うんですね。
 ただ、最近言われていることの中に、過去を正に振り返らないで、そして前に向いていくということは、これは結構なんですが、法律も過去の法律をきちっと整理して、そして国民に示さない限り、この昭和五十七年にできた老人保健法なんというのは、この目的の中に「この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。」ということが書かれて、その基本理念の中に「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」と。これ、老人の費用を公平に負担するものとすると、ここにはっきり書いてあるんですね。
 今、老人の費用は、お金のある人はもう自分でもうやりなさいよというふうな風潮に今なってきていますね。ですから、ここら辺も整理しないと。老人の費用を国民が全部負担すると書いてある。だから、やっぱりそこら辺もきちっと整理しないでああだこうだと言うこと自体が、これは国民もどちらが本当なのと、こうなるわけですね。この整理をやはりする必要があると思うんです。
 それから、もう一つ間違えられているのは、どうもお年寄りがお金を全部使っちゃうんだと、こういう話が一方的に出ていますけれども、私はこれはちょっと違うんじゃないかと。確かに、お年寄りは現在若い人が掛かっている人の五倍だなんてデータ出していますけれども、お年寄り一人とそれから若い人一人では、若い人の方が一回掛かった医療費というのは多いんですよ。
 ちなみに、これは高額の一月のレセプトを見ても、一位が約二千万使っています、これ、一月で。それから、十番目の方が大体千五百万使っている、一月で。これはトータルで見ると年寄りは一人もいないんです。これ、みんな若い人です。平均大体二十歳内外。こういう人たちは保険料を納めていないんですよね。
 ですから、それはどこからそのお金が出るかといったら、お年寄りが営々とためたお金を回して使っている分があるわけですね、これは。だから、単年度で見るんじゃなくて長いスパンで見れば、じゃお年寄りは、大体七十八まで健康で、一日で心筋梗塞で死んだ人は、これは大体二千二百万円使える権利を持っているわけです。そうすると、二千百九十九万円、これはほかの人が使うことになるんですね、これ。
 ですから、お年寄りにしてみると、何だと、おれは一生懸命健康に注意して、病気になったときに年寄りが悪いみたいなことを言われたら、これはかなわぬぞと、そういう御意見もやはりあるわけですから、やはり国民に分かりやすくそこのところは説明していかなきゃいけない。国民の生涯医療費というんですか、一人当たりやはりこれも二千二百万円です。そうすると、二千二百万、二千二百万で、これはツーペイなんです、これ。
 これは、厚生省のデータというのは、そう言っては悪いけれども、いい加減なデータが多いんですが、今回私が調べたのとちょうど二千二百万という数字が一致しまして、六、七年前までは平成十二年度の総医療費は四十三兆円になるとこう言っていたんですね。そのうちの十五兆六千億は老人医療費と。ところが、何と三十兆円、全体で少し切っているわけですね。十三兆円もいい加減な推計のデータを出すようなところですから、私どもは、この推計のいわゆる数値というのは、本当に真剣にこれはやはりやってもらわなきゃいけないので、長瀬指数というのがありますけれども、あれも私ども全部微積分でこうやりまして、ところがあれは数値の一つの基準値の置き換えでもうどんどん変わっちゃうんです、あれも。あれも私は非常にいい加減なものだというのを指摘していたんですが、いずれにいたしましても、そういうデータというのは私はきちっとやらなきゃいけない。
 やはり、お年寄りをきちっとこれから老後を安心するというようなことで制度を作るんならば、基本的な考え方をきちっと分かることが、私は国民に説明することが必要だと思うんですが、これに関していかがなものか、お考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
#8
○国務大臣(坂口力君) 最初の高齢者施策に対しまして、いわゆる高齢社会の理念が明確でないかというお話につきましては、これはだんだんと高齢者の状況も変化をしていくわけでございますから、それに合わせたようにしていかなければならないというふうに思っておりますが、現在の高齢社会対策基本法におきましてもそこはかなり明確に書いている。一つは、「国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会」、あるいはまた「国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会」等々、かなり明確に書いてあるところも私はあるというふうに思います。やはりその中には「自立」という言葉も入っているということでございますから、かなり変わってはきているというふうに思っているわけでございますし、既にその基本的な考え方というものは明確になっている点もあるというふうに思っております。
 それから、先生の後段の厚生労働省の数字はでたらめなのが多いというお話でございますが、これは同じジムの人にしてはジャブがひど過ぎるとちょっと思いながら聞いておりましたけれども、まあそんなこともないと。的確に表現している数字だというふうに私は信じておりますけれども、この数字というのはしかし、何を、どういうことを前提にして出すかということによってうんと変わってくる、そういうところがございますので、その前提とする数字をどうするかということによって全然そこは違います。ですから、その前提の置き方がどうかということを吟味をしないとその数字というのは明確になってこないと、こんなふうに思っております。
 決して先生がお示しをいただきましたその数字が間違っているなどというような大それたことを私は申し上げているわけではございませんで、先生は先生としてのそれなりの前提の上に計算をされておみえになるわけでございますから、その辺のところは十分に尊重させていただきたいというふうに思いますけれども、厚生労働省は厚生労働省としての一つ前提の上に計算をしている、その前提がどうかという問題は多分いろいろと議論のあるところなんだろうと、そんなふうに思っております。
#9
○宮崎秀樹君 そちらはジムの会長さんだから弁護されるのはこれはしようがないと思いますけれども、いずれにしても十三兆円という数字はちょっとこれはもう非常識だと私は思います。しかも、五、六年の間にそれだけの誤差の推計を出すということはやっぱり反省してもらわなきゃいけないということだけ指摘しておきます。
 それから、今日は時間ございませんので個別の問題にもう入りたいと思いますが、宮路副大臣がいますからちょっとここだけは触れたいと思いますが、日本には保険者が物すごく多いわけですね。五千二百以上あるわけですね。ドイツが四百二十でフランスが十五ですか。そういうことの中で統合一本化ということをやはり考えますと、この保険者機能の強化ということは、逆にこれは統合一本化に背を向けていくんじゃないかと。むしろ母集団が大きければ多いほど社会保障もやはり安定度というのはあるわけですから、これは日本は余りにも細か過ぎる。そこでいろいろな格差ができてくる。負担も給付も不平等。
 一つの例を挙げると、国家公務員はいまだに被用者本人は一割負担なんですね。今みんな二割負担です、サラリーマンは。一割負担です。今度三割負担にするなんて法律出ていますけれども、三割負担にしたって自分たちは二割負担でいいやって、そんなことにもしなったとするとこれはおかしな話で、そういう付加給付は大体年間一千億しているんですね、これ、健保組合で。
 私は、こういうことをまず是正すべきだと思うんですが、これについて簡単で結構ですから、どういうふうにお考えになっているか。
#10
○副大臣(宮路和明君) 今、宮崎委員御指摘の健保組合などの付加給付の問題でありますが、御指摘のように、私ども調査をしてみましても、健保組合のうち、全部の健保組合に対する比率でありますが、健保組合のうち九割もの組合が付加給付を行っているというような、そういう非常に高い水準を示しておるところでございます。
 この付加給付の問題は、基本的には委員も御案内のとおり、組合の自主的、自律的な運営ということをこれは基本といたしておりますから、そこに由来するものであるわけでありますが、確かに、同じ医療保険のシステムでありながらそれが制度間で余りにもバランスを失しているといったようなことはいかがかなというふうにも思いますし、一方で、健保組合はそうした付加給付をやりながら老人医療費拠出金については、それは苦しい苦しいといったようなことをおっしゃっておられる。そういうような側面もあるわけでございますので、こういったところを十分勘案しながら、そうした付加給付の極端な姿というものが是正されていくように私どもはやっぱり努力をしていかぬといかぬなと、このように思っておるところであります。
#11
○宮崎秀樹君 やっぱり統合しなきゃもうだめなときに来ていると思いますから、これはいい機会ですから、ひとつそこはきちっと私はこれから前向きにやっていかなきゃいけないと思っております。
 それから次に、今日資料を皆さんに出した、この「市販中古パソコンにデータ」というのが出ております。これはどういうことかと申しますと、審査、支払いのレセプトを、これは請求するときにデータを全部、診療報酬のいわゆる明細書、これをパソコンへ打ち込んだデータが、実はリース会社のいわゆるコンピューターを使っている。これは民間業者でありますが、それが売り飛ばしたんですね、中古品として。それを買った一学生が家へ持っていってたたいたら、どこのだれが性病だというのが全部出ちゃうわけですね、これ。こういうことが漏れるという危険がありまして、よく調べたら、やはりこれは保険者から流れていったと。
 そうすると、保険者機能の今強化といって審査、支払いまでやらせると、こう言っていますが、こういうものに対する守秘義務、プライバシーの問題、これは医師や看護婦、こういう医療従事者は守秘義務がありますから、これは漏らしちゃいけない。また、国家公務員等には、やはり公務員にはそういうことが課せられると思うんですが、これは民間の業者へ行っちゃったらどういう罰則があるんですか。そういう縛りはどうなっているんですか。そこら辺はどういうふうにこういう問題が起きたときに対応するか、その辺はきちっと整理されているのか、お教え願いたいと思います。
#12
○政府参考人(大塚義治君) 個人情報保護という問題は非常に重要な問題でございますし、特に医療に関連する個人の情報というのは、これは特に保護されるべき情報の一つ代表的な例だろうと思っております。
 今回、お示しのようなケースが生じまして、たまたま報道直後に全国会議も開催をする予定もございましたので、具体的に申し上げれば、全国厚生労働部局長会議あるいは地方厚生局長会議におきまして、改めて個人情報保護に関する指導を徹底したわけでございます。
 今日におきましては、確かにレセプトの点検などを外部の業者に委託するというケースがございます。それはそれで事務の合理化、効率化という面でこれも否定できない、一概には否定できないわけでございますけれども、一方では、個人情報の保護に特に留意をする必要があるということで、一つには、こうした個人情報の管理を徹底するために、例えば健保組合でございますれば、その監督に当たるべき責任者をきちんと決める。あるいは、当然のことながら、委託業者との契約におきまして守秘義務をきちんと契約上も明記をする。仮にそれに反するような事例が生じましたら契約解除ができるように、そういうことも含めて契約をきちんとすると、こういった観点で指導をしているわけでございますが、更に指導徹底をいたしたいと存じておるところでございます。
#13
○宮崎秀樹君 それは契約解除だとか、営業上の問題であって、これ漏らされた方はもうたまったものじゃないですよね。だから、もっと強い縛りを掛けない限り、これは次から次へと起きますよ。
 このリース会社というのは某系列の会社だそうですが、これはもうけ仕事でやっていますから、そんな中身までチェックしないだろうし、民間業者はお金になりゃいいわけでありますから。これ、消せないんだそうですね。それで、しかもこれは、一回ソフト入れられると、砕くか何かしないと消えないんです、なかなか。
 だから、そういうこともきちっと、法的にきちっと、私は、規制緩和、規制緩和と言うけれども、国民が安心、安全、やっぱり安定という、そういう、本当にそういう気持ちで、だからこそ税金払っているんです、これ。それを全部民間にやりゃいいという、ここはやはりおかしいんで、やっぱりそこはきちっとした歯止めをこれから考えていく必要があると思うんですが、厚生大臣、どうでしょう、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。
#14
○国務大臣(坂口力君) 機械もだんだんと、パソコン等も発達をしてまいりますと、こうした事態が起こってくる可能性も、これからそれはなきにしもあらずというふうに私も思います。
 今もお聞きをしますと、一度入れたものはなかなか消せないということだそうでございますので、それをもう新しいのにパソコンを替えるといったようなことはもうこれは日常茶飯事あることでございますから、そうすると前の中に入れたもの、そこが自分でちゃんと消して、そしてそれを出すということができればいいですけれども、なかなか仕事ではそれができないというようなことになってくると、これは一体どうするのかといったような問題は当然起こってくるわけでございますから、これはこの個人情報保護の問題をこれからどうするかということ総体にかかわってくる問題であって、医療だけの問題では決してございませんけれども、こうした問題をこれからどのようにしていくかということ、早く結論をちょっと出さないといけない問題だというふうに思っております。いい御提案をいただいたというふうに思っております。
#15
○宮崎秀樹君 是非歯止めを作ってもらいたいと思います。
 それから、もう一例、これはまた別のことなんですが、名古屋の北社会保険事務所から去年の八月分の医療費通知が出たんですが、それもこれを、民間業者にこれも委託したおかげで、Aという医療機関に掛かった人がBという医療機関に掛かった通知が患者さんのところへ行っちゃった。患者さんが見て、私はこんなところで、この医療機関では受診した覚えありません、これは不正請求だと。こういうことが表へ出て、よく調べたら、民間業者がみんなパンチの入れ違えして、これは大混乱を起こしたわけですね。こういうことも実際起こっている。民間業者に委託するということは、責任がないわけですから、この責任はじゃ最終的にだれが取るんだということになりますと、今、大臣がおっしゃったように、何かやはりこれは歯止めを作らないと大変なことになるという事例がありました。
 これは社会保険庁、来られていると思いますが、簡単でいいですから、処理がそうなったかどうかということでちょっと教えてください。
#16
○政府参考人(冨岡悟君) ただいま先生御指摘の件につきましては、医療費通知のデータの作成につきまして、パンチ入力部分につきまして外部の業者に委託しているというケースにつきまして、その業者がたまたま入力ミスをしてしまったということから、違う医療機関名でその通知が出されてしまったという件でございます。
 本件につきましては、ある意味では単純なパンチミスから生じたものでございますけれども、医療機関、それから被保険者の方に大変御迷惑をお掛けしたというふうに痛感しております。
 そういうことで、この件につきまして報告を受けまして、よく中身を精査いたしまして、今後のこういったことの防止につきまして全国の社会保険事務局に指示いたしますとともに、こういったことのないように再確認体制の確立といったものを十分今後とも確立してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#17
○宮崎秀樹君 漏らされてしまった人はひどい迷惑を受けるわけですから、これもやはりきちっとした何か歯止めを付けなきゃいけないというふうに思っています。きょうは時間がございませんから、これ以上突っ込みませんが。
 その次は、いわゆる薬価の蔵出し価格の問題であります。
 この薬の問題は非常に今まで議論されておりまして、もう既にその薬価差というのはほとんどなくなってまいりました。これはもう全然問題ないんです。ただ、製薬メーカーから薬価基準に載せる蔵出し価格をどうやって決めているかというと、これは厚生省の経済課とそれからメーカーの代表と話合いして決めるんですね。この決め方がどうも情報開示されていない。うがった話をすると、かつての厚生事務次官が武田薬品の副社長になって、そこら辺と話をして決めるんじゃないのなんという話まで出てくるわけですね。
 大手製薬企業の最近の状況を見ましても、これは経常利益が製薬メーカーは何と二二・一%ですね、これは大手十五社で。これは製造業は大体平均三・六%です、経常利益が。これは九九年でのデータですけれども。
 やはり、私は薬の決め方について非常に疑問を持っているのは、ワンロット二十八掛ける千、いわゆる二万八千錠でいろいろの経費を割って一錠の単価を出すなんて話は、これは二万八千といったら、大きな医療機関だったら一年で使っちゃうあれですよね。そこで、じゃ、原価が償却されたらそれから薬の値段安くなるかといったら、安くならないわけですよ。こういうことがやはり私はこの薬の問題としては一番大きな問題だと思う。
 私は、開発費だとか研究費、これは別途にこれだけ要るんだったら、これは別途で見てあげりゃいいと思うんですよ、経常利益がきちっと出た中でね。ただ、薬をいい加減な決め方をして言いなりで決めていくという話はこれはおかしいんで、それから後のことは事細かに追求しているんです、これ。だから、そこの辺の問題をやはりきちっと整理しないとこの問題は解決しないと思いますから、そういうことを情報開示するつもりがあるかどうか、まずそこからお聞きしたいと思います。
#18
○政府参考人(篠崎英夫君) 厚生労働省におきましては、製薬企業とそれから卸業者との間におきます医薬品の取引価格、今、先生御指摘のいわゆる蔵出し価格につきましては把握をしておりません。御指摘のことにつきましては、製薬企業と卸業者との間の取引でございますので、私企業間の取引でありまして、国としては調査実施の権限はございませんので、その取引価格を調べるのであれば両団体、双方の協力を得る必要があるということでございます。
 昨年末に中医協においても同様の議論がございましたので、その際、製薬企業の団体と卸業の団体、業界団体に調査への協力を要請いたしましたけれども、双方の団体から、価格交渉が、医療機関との価格交渉が不利になるというようなことで協力できない旨申出がございましたので、そういう御回答をいただいたところであります。したがいまして、御指摘のような調査あるいは価格のことにつきましては、現段階ではなかなか協力が得られず、難しい問題であるというふうに認識をいたしております。
#19
○宮崎秀樹君 これ、全くおかしな話で、これ税金が入っているんですよ、社会保険のいわゆる保険には。税金が入っていて、そこら辺がやみに葬られるという話は全くないんで、これは時間が今度ございましたら徹底的にこれは追及していきたいと思います、今日はジャブ程度にしておきますけれども。
 資料、私持っているんですから、やりゃいいんですけれども、時間がございませんので次に行きますが、最後に私お尋ねしたいのは、今度の医療費改定でございます。二・七%ダウンしました。ところが、これ実際全部割り振ってみましたら、実際私のところで試算してもこれはすごいダウンでありまして、二・七%どころじゃありません。と申しますのは、経費の方はずっと掛かるわけですね、これ。これ下がっても、薬の分は多少今度は変動ありましたけれども、その分は全く経営の内容には影響しないんですね。実質、技術料とか再診料、初診料、まあ初診料今度はいじられませんから、再診料、技術料が下がります。そうしますと、すごいダメージが実は受けるわけであります。
 私のところにも投書が幾つか来ておりますが、特にひどいのは整形外科領域であります。これは、今まで六十五点だったものがいきなり三十五点なんですね。そして、今度八単位まで、八回やって、そうすると今度打切りになっちゃう、ゼロになっちゃうんですね。そんなこととか、ほかの別の方法でやっていると、三十五点が十八点で、三百五十円が百八十円になる。しかも、再診料が、逓減制といって、最初は八百十円ですね、次が七百四十円、三日目も七百四十円、四日目から今度三百七十円になるんです、ずっと永久に。そうしますと、一番問題なのは医療機関の窓口なんです。昨日と同じ行為ですよ、同じ行為やって、毎日どうして値段変わるんですかと。これは、スーパーマーケットで六時以降に行くとお弁当なんか余ったのは二〇%引き、三〇%になっていますよね。これはそれで話分かるんですが、これこそ医学的な根拠がない。EBMといいながら、何ら理念もなきゃ、何もないですよ、これ。これは医療機関でも説明するのに説明のしようがない。これは厚生労働省、政府できちっと、こういうふうに複雑怪奇になって毎日値段が違いますよというのを張ってもらわないと、周知を国民にしてもらわないと。
 ですから、私は、外来にこの逓減制持ち込んだことは、これは医療にとって大変な間違い。命の値段が毎日変わるんですよ、これ。こういうことをよく私は、まあ事務方が恐らく何か机の上で金の経済的なことばかり考えてやったんじゃないですか。
 それから、手術にしましても、三つの分類をしまして、一つのところで百例以上やっていなかったらこの手術はやっても七〇%しか手術料払えませんとか。これもいかがなものかと思いますよ。ある大学の助教授がある病院の部長になって、外科部長で行って、その先生はもう二百、三百という症例こなしているけれども、そこへ行って手術をすると今度七割しかもらえない。これは学会でも総力を挙げて、こんなばかなことを何で決めたと、EBMなんか全くないじゃないか、ただ値段だけで決めたんだ。こういうことは非常に分かりにくい。患者さんにしても、ある病院に行って手術料が安くなったと、こういったら、同じ人であんた何で高く取られたと、こういう話になりますよ。
 やはり私は、きちっとそこは整理した中での話ならいいんですが、そこら辺説明していただきたいと思います。
#20
○政府参考人(大塚義治君) 幾つかのお話がございました。
 一つ一つの診療報酬の改定に関する事項につきましては、例えば逓減制の導入でありますとか、手術につきまして施設基準をかなり幅広く設定をするとかいった内容につきましては、もちろん中医協でも様々な議論がございまして、逓減制につきましては、当然のことながら医療の効率化ということを念頭に、また受診の適正化ということも含めての議論でございますけれども、例えば十五歳未満の方でありますとか、整形外科で申しますれば、包括的な点数を決めまして、恒常的に必要な医療が必要な場合にはその包括点数を採用することによって逓減制は採用しないで済むようにするとか、そうした工夫もございますし、手術の施設基準につきましても、技術の集積という点につきましてかねて議論のあったところでございますので、今回様々な角度から検討し、また関係審議会で御議論いただいて整備をしたわけでございますが、いずれにいたしましても、診療報酬改定自体が大変広範多岐にわたるものでございます。詳細な御説明をすることは技術的になかなか難しゅうございますけれども、医療現場において混乱が生じることのないように、私どもとしましても、これを丁寧に御説明をするという機会をできるだけ広げまして、ひいては国民の理解も得られるようにいたしたいと。
 例えば、かなり技術的でございますからごらんいただいて御理解いただくのは簡単ではございませんけれども、厚生省のホームページに診療報酬の改定の内容につきましては載せておりますし、改定の説明会というのも各地で行っておりますし、これからも更に続ける予定でございますが、そうした努力は当然のことながら私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#21
○宮崎秀樹君 ホームページなんかお年寄り見ませんよ。だから、そういうのはいいよ、余り意味ないんでね。やはり医療機関にきちっと、厚生省として今度の改定ではこういう矛盾点がありますよということをやはり書いて指示してもらわないと困るわけですよ。それは、お金をやり取りするところでそんな話したってなかなか通じませんからね、これ。だから、それはきちっと整理やれますかどうかということだけきちっと今御返事いただきたいと思います。
 それから、整形外科に関してはもう少し、やはり過ちは改むるにはばかることなかれというのがありますから、やっぱり間違ったことをやったりするときは、やはりこれは中医協をもう一回開いて、いや、二・七%はとんでもないことになっちゃったと、これはもう経営が成り立たないんだよと。中小病院なんかつぶれるところが出ますよ、これは。私のところだってこれはひどいものですよ。五日来た患者さんに置き換えよったら一二%です、五日で。七日通った人が二五%、十四日通った人は三七%ダウンですよ、これ。こんなものは二・七%ぐらいの話じゃないんです、これ話が。
 だから、そういうことをこれから検証した中できちっと是正する。そして、最後にきちっと厚生省がこういう複雑怪奇になりましたということを国民に説明するような周知方、医療機関にそういうものを張り出してもらう、これ厚生大臣やっていただけますか。
#22
○国務大臣(坂口力君) 先生が今御指摘いただきました問題、診療報酬体系の問題は、基本的な大きな問題と非常に具体的な問題と双方あるというふうに思っています。
 この具体的な問題は、今回この改正が非常に分かりにくくなったと。それじゃ、今まで分かりやすかったのかといったら、今までも分かりにくかったんです、これは。特に今回分かりにくくなったわけでは私はないと思います。それは、もう屋上屋を重ねておりまして、これはもう次から次へと病院の建て増しみたいなものでして、もう中は迷路になってしまっている、次から次へともう変えてきていますから。私が医学部を卒業しましたときには薄っぺらいこんなものだったですよ、診療報酬のことを書いた本というのは。それが今は電話帳みたいなものですね。あれを覚えよと言われたって、それは覚えられるものじゃありません。
 これは、私は、現在の診療報酬体系はトータルで申し上げますと非常に分かりにくくなっている、それはいわゆる物差しが明確になっていないと思っています。何をもってこれは高くするのか、何をもってここは点数を低くするのか、その物差しが明確でない、そのために非常に分かりにくくなっていると私は理解をいたしております。
 したがいまして、この一年間を掛けてやります診療報酬体系の基本の見直しにおきまして、何をもって物差しとするか、その尺度を明確にして、もう一度この診療報酬体系の再構築をやらないと、これは患者の皆さん方からも御不満がございますし、医療を行っていただきます先生方からも御不満がございます。双方ともに不満は募る一方だと私は思っておりまして、ここで一度きれいにして、新しいキャンバスの上にデッサンをするようなつもりでもう一遍そこのところをやらなければならないというふうに思っている次第でございます。
 そういう意味もございまして、この抜本改革、この一年間掛けましてやります抜本改革の中の一つの大きな柱としてこの問題を取り上げさせていただいたわけでございます。
 それからもう一方、非常に具体的な話として、今回のこの改正の中で整形外科の先生方のところが非常に切下げが厳しい、こういうお話ございまして、先日もある県の会長さんから私のところにもちょうだいをいたしました。そうしますと、整形外科の方の切下げは二九%と、こう書いてあるわけですね。それで、厚生労働省の方で、一体こういうふうに出ているけれどもこれは本当か、どうなんだといって出してもらったら、厚生労働省から出てきたのを見たら二%になっていると、二%。なぜこんなに違うのと。片や二九%、片や二%。それは、先ほど申しましたように、前提とする条件が余りにも違い過ぎじゃないの、どういう根拠で二%になるの、なぜこの先生方の出していただくのは二九%になっているの、そこを説明してくれと、こう私言ったわけでございますが、そういたしましたら、先生方が出していただきます二九%というその数字は、これは今回大きく下がりますところだけを取り出してその比較をしますと、今までと今度の新しいところを比較すると、そこは二九%下がりますと。大きく下がります。例えば、湿布しますとかマッサージしますとか、あれは何と言いましたかね、疼痛管理、疼痛管理部門、そういうところだけを取り出しますと二九%確かに下がる。ところが、医療全体を、先生方が行っていただく中で疼痛管理というのは大体二五%ぐらいだというので、そこをトータルで見るとどれだけというと二%しかならないと、こういうわけです。これもなるほどそうかということでございまして、その辺のところを確かに整理をしてやらなければいけない、そういうことだろうというふうに思っておりまして、もう少し整理をしてほしいということを今言っているところでございます。
#23
○宮崎秀樹君 もう時間が、大変答弁長いんで、申し訳ございませんが。
 私申し上げるのは、全部置き換えたんです、カルテを。先月例と今月例、点数をこれ全部置き換えた。だから、前例でやっています、これ。私、証拠見てきた。だから、それも一回やってください。だから、恐らくその先生とあなた方が一緒になって全部置き換えてみて、ああそうだったというのを出さないと駄目ですよ。両方でやっていて、これは駄目だ、一回それはやらなきゃね。
 これだけ申し上げて、そしてその結果、逓減制はやはり困るんだから、きちっとそれは厚生省として日本医師会と話して、きちっとそういうものを出してもらうということを要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#24
○藤井基之君 本日は、先般のお述べになられました大臣の御所信及び、二週間後にもう迫っておりますが、新年度より実施される予定の診療報酬改定等につきまして、先ほどの宮崎先生に引き続きまして御質問させていただきたいと存じます。
 昨年十一月二十九日に政府・与党社会保障改革協議会が医療制度改革大綱をまとめられ、これに基づいて作成されました平成十四年度国家予算案における医療に関する予算編成の基本方針により予算編成が行われました。二十一世紀の少子高齢化を迎える我が国に求められております医療制度改革に向けて、そのスタートとなるべく十四年度予算案をおまとめいただきました大臣を始めとする厚生労働省の方々の大変な御努力に対しまして、まず敬意を表したいと存じます。
 さて、今回の医療制度改革におきましては、小泉首相のいわゆる三方一両損の方針に従いまして、医療費の引下げ、保険料の引上げ、そして患者負担の引上げ等々、それぞれが負担を担うということになりました。
 最近において株価の値上がりなどの兆候は若干見られますものの、我が国の景気は依然として回復の兆しが見られていません。現在、春闘の結果が報じられておりますが、自動車大手、金属大手、ともに軒並みベアゼロで決着したということでございます。企業のリストラも続いております。私の友人の一人も二十数年間勤務した大手企業をリストラされまして子会社に出向いたしました。残念ながら会社になじめませんでして、そのまま退社ということで四月からは新就職口を探すんだと今模索しております。
 こういった状況の中で、三方一両損の一方として、来年四月には健保のサラリーマン本人の患者負担が二割から三割に引き上げられる予定となっております。また同時に、保険料も総報酬制とすることにされておりまして、これはボーナスからも保険料が天引きされることになるわけです。高齢者につきましても、患者負担が定率一割と統一され、また現行の窓口負担の上限制も撤廃されます。償還払い制ということが予定されているわけでございまして、この場合、医療費が掛かったら、一時的とはいいましても相当の額の窓口負担をしなければなりません。
 しかし一方では、現下の経済状況にありまして、保険財政も非常に厳しい、これもよく分かります。先日、健保連の二〇〇二年度の予算で経常収支の赤字が史上最高の五千七百億円見込まれているんだという、そういった報道もなされました。したがいまして、国民皆保険制度を守るためには保険料や患者負担の引上げはどうしても必要なのだということをきちんと国民に分かりやすく説明する必要があろうと思います。
 厚生労働省は、平成十四年度概算要求の時点で、医療費については自然増で五千五百億円の増が見込まれる、しかし医療制度改革を実行することによってその医療費の増を何とか二千七百億円に抑え込みたい、そのような説明がなされたと記憶しております。つまり、医療制度改革を行うことで二千八百億円の財源を捻出したいということであったというふうに思います。
 今回の医療費の引下げや薬価の引下げ等々によりまして一連の保険財政対策を取ったわけですが、これによってこの二千八百億円、目標の財源捻出はできたのでしょうか。具体的にはどれほどの保険財政に対する寄与率があったのか、御説明いただきたいと思います。
 その上で、明年四月より健保本人三割負担を導入しなければならなくなった、それに至った理由につきまして、できましたら厚生労働大臣から御説明をいただきたいと存じます。
#25
○国務大臣(坂口力君) 総論的なお話を私の方から少しさせていただいて、あと具体的なことを局長の方からひとつ答弁させていただくことをお許しをいただきたいと思います。
 この話は、経済財政諮問会議におきまして、やはり経済の動向と大きな乖離のないようにひとつ医療費の方もやってもらいたいと、こういう話がございました。私はそこで、大きな乖離がないというふうにいいましても、高齢者はどんどん増えてくるわけでありますから、この高齢者が増える分は、これは乖離がないようにというふうに言われましてもこれは上がってまいりますと、それまで駄目だと言われてもそれはやむを得ませんということをそこで申し上げたわけでございますが、社会保障費トータルとして約一兆円ずつ増えてくる、その中でやはりそれを少なくともそこは七割程度に抑えてもらいたいという強い御要望がございました。
 医療費全体で見ますと、確かに今御指摘になりましたように、五千五百億円ぐらい予算としては増えてくるわけでございます。この中で全体としては四%ぐらいの毎年、年々伸びがあるわけでございますが、高齢者だけを見ると八%ぐらい伸びている。この八%伸びておりますものの中でその半分、四%分というのは、これは高齢者が増えることによりまして、人口動態の変化によって起こってくる伸びでございます。しかし、その残りの四%はそれ以外の要因によって伸びているわけでございます。
 確かに、この高齢者の伸び以外の要因で伸びているところもかなり多いわけでございますので、ここは年々歳々そこが余り伸び続けますと、やはり全体としていわゆる医療保険が成り立たなくなってくることも事実でございますし、国全体の財政に大きな影響を及ぼしてくることも事実でございますので、そこはひとつ、総理の言葉をかりれば三方一両損という言葉でございましたけれども、医療を行う皆さん方も、あるいはまた薬をお作りをいただきます製薬会社の皆さん方も、あるいは医療機器をお造りをいただく皆さん方の方も、あるいはまた国民の皆さん方も少しそこは御理解をいただきたいということにトータルでなったわけでございます。
 そうしたことで皆さん方に御理解を今いただこうと努力をしているところでございますが、更に引き続いて努力をしなければならないものと思っているところでございます。
#26
○政府参考人(大塚義治君) 計数の点について補足をさせていただきたいと存じます。
 お話がございましたように、概算要求段階で自然増五千五百億、これは国庫負担の金額でございますが、これをシーリングの設定の段階で約二千七百億に縮減をする。その差が二千八百億でございますけれども、診療報酬改定で約千八百億、それから制度改正によりまして約千億、合わせて二千八百億、これは国庫の縮減でございます。
 制度改正による今度は各保険者あるいは保険制度への影響でございますけれども、平成十四年度は初年度ということもございまして、診療報酬改定あるいは制度改正合わせてでございますけれども、政管健保組合は約千四百億円の財政負担減、市町村国保全体で千六百億円の財政負担減という試算でございます。
 以上でございます。
#27
○藤井基之君 ありがとうございました。
 私は、今、大臣及び保険局長から御答弁いただきましたが、明年四月から三割負担を導入しなければならなかった理由については必ずしも私自身まだ明確に理解できないところがあります。多分これは国民にとっても同じじゃないかと思うんですね。私は、それを国民に求めるのであれば、やはり国民に対する政府の説明責任というものはあろうと存じます。是非国民に分かりやすい御説明をしていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 続いて、特定療養費についてお尋ねいたします。
 特定療養費制度は、医療制度改革大綱を見ますと、「公的医療保険の守備範囲」の項で次のように記載されております。「医療技術の進歩や患者ニーズの多様化等に対応するため保険診療と保険外診療を組み合わせる仕組みとして設けられた特定療養費制度を活用する」云々、このようになっております。つまり、特定療養費制度とは保険診療と保険外診療とを組み合わせる仕組みであるわけです。
 この特定療養費制度、この制度はたしか一九八〇年代から導入されているというふうに記憶しておりますが、当時、まだ保険採用されていない高度先端医療を保険で扱うことができるようにこの制度を設けたのだと、そういったふうなマスコミ報道もなされたと覚えております。
 しかし、御案内のように、この特定療養費制度というのは、実は国民にとって分かりにくい制度でもあります。といいますのは、高度先端医療が特定療養費制度によって保険でやってもらえるようになったと、こう理解をする一方で、実は特定療養費制度というのは、法定されている二割とか三割とかという患者負担とは別に、患者がある程度自己負担を強いられる制度でもあるわけですね。家族が病気になったら、できれば大きな病院で受診をしたいと、こう思う。しかし、そうした場合、予約料を取られる。この予約診療というのは特定療養費、通常の二割とか三割の負担とは別に自己負担が強いられる制度となっております。
 この特定療養費という制度が拡充されてきていますし、今回の医療費改定でも新たな特定療養費の項目が採用されると聞いております。来年度から三割負担の実施に当たって国会に提出されております健保法の改正案の附則として、保険の趣旨からいって、給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するんだという、そういった方針が盛り込まれることになっております。国民皆保険制度を守るためにはこれは非常に大切なことだと私は考えております。しかし、給付率が維持されても特定療養費が拡大し続けていけば、新しい良い医療というもの、これは自己負担とセットで導入されることになる、事実上これは給付率が低減する、そういったものにつながるのではないかという危惧が一方にございます。
 厚生労働省は、患者負担の増大という視点から見て、今後この特定療養費という制度をどのような方向に運用していくおつもりなのか、御質問させていただきたいと存じます。
 また、公民ミックスとよく言われますが、この推進に特定療養費制度を活用するというのであれば、これもやはり国民に説明をする責任が厚生省はあるのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
#28
○国務大臣(坂口力君) この七割給付という問題につきましては、これは既に今までからも国民健康保険等におきましては三割自己負担、七割給付というのをお願いをしてきたという経緯もございますし、保険制度として一つの限界であるというふうに私も思っております。二割が限界だということをおっしゃる皆さん方も中にはございますけれども、しかし、現在の諸般の状況を考えますと、保険制度として三割というのは一つの限界だというふうに私は思っております。この三割を一つの限界だというふうに言います以上、やはり様々な問題を作って、そして全体として三割を超えてくるようなことがやはりあってはならない。
 現在、三割自己負担というふうに申しますけれども、外来の場合にはそうでございますが、入院などで非常に多額の医療費が必要なときには上限がございまして、そしてそれ以上にはならないようになっております。ですから、三割とは申しましても、トータルで見れば大体二五%ぐらい、二・五%ぐらいになるのではないかというふうに思いますが、三割以下に私は抑制できるだろうというふうに思います。
 ですから、そうしたことを考えていきますと、今御指摘のように、この特定療養費といったものを、だんだんそこを拡大をして自己負担のところを多くしていくということになれば、トータルで見ました場合にそれが三割あるいは三割を若干超えるというようなことだって起こり得る話でございますから、ここはやはり私は気を付けて、そしてそうならないようにやはり努力をしていかなければならないというふうに思っております。
 しかし、一方におきましてこの自由診療をもっと認めるべきだという御意見も、これもまた強いわけでございます。非常な強さでその御意見が広がってきていることも事実でございまして、どうしてもこの自由診療を加味すべきである。
 ですから、そうした意味で、この特定療養費というのも言ってみれば一つの自由診療的な行き方でございますからその中の一つに入るだろうというふうに思いますが、しかし私は、自由診療というものを余り増やしていくということになれば、先ほど御指摘のように、トータルとしてそれの歯止めが、保険としての歯止めがなくなってしまいますから、やはりそれ相応の明確な理由がなければここはそうは、そう拡大をすることは私はできないという考えを持っております。
 したがいまして、政府におきますいろいろの議論の中でも私はそうしたことを主張いたしておりますが、御意見は非常に様々、たくさんの違った御意見の出ていることも御紹介をしておかなければなりません。しかし、現在のところ、この療養費の問題、若干の拡大はいたしますものの、しかしそこの歯止めはしっかりとしておかなければならないという考え方を持っておりますことも御理解をいただきたいと思います。
#29
○藤井基之君 ありがとうございました。
 続いて、医療費の引下げについてお尋ねさせていただきたいと存じます。
 この四月に予定されております医療費改定は、医療費の技術料本体を下げるといういわゆる初めての実質マイナス改定となっております。医科診療報酬、歯科診療報酬、そして調剤報酬、それぞれが一律に一・三%引下げということになりました。これは医療制度改革大綱におきましても、当面する十四年度の診療報酬改定については改革の痛みを公平に分かち合う観点からもということで、この一・三%一律ということは一見公平に見えます。
 しかし、御案内のとおり、診療報酬、調剤報酬等には薬剤費とか医療器材の金額も入っておるわけです。そして、結果として各々の報酬体系の中の技術料の比率が異なってまいります。非常に大ざっぱに申し上げますと、医科診療報酬では技術料の比率はトータルの約八割、歯科診療報酬はトータルに対して約九二%ですから九割強、そして調剤報酬では総報酬の約三分の一、これが技術料だと私は認識しております。そして、医療費における一・三%の引下げというのは、各々すべて技術料の部分でこれを捻出しなければいけないわけです。ですから、技術料のベースでいいますと、この医科、歯科、調剤の引下げは一・三%という同じ数字になりません。こちらで試算しますと、医科ではこれは約一・六%の引下げになります。歯科では約一・四%、そして調剤では三・八%の引下げになってまいります。つまり、調剤の引下げは歯科と比べますと二・六倍の引下げ率になります。
 診療報酬改定のときに厚生省が中医協の議論等に使われる、いわゆる厚生労働省が実施されております医療経済実態調査というものを二年ごとにやられております。直近のものは昨年の六月の調査、これが速報値で発表されております。介護保険事業に係る収入のない医療機関等の集計によりますと、一般診療所のこの十三年六月におきます収支、つまり一施設におきます収益とでも申しましょうか、一般診療所ではこれが二百三十三万八千円、歯科診療所のそれは百二十三万九千円、保険調剤はわずか八十五万九千円にしかならない。つまり、ある意味で、収益として見ましたら保険薬局は一施設当たり一般診療所の三分の一だと、歯科診療所の三分の二しか収益がない。それなのに、先ほど言いましたように技術料ベースでいったときには調剤の引下げが非常に厳しい。
 今回、調剤報酬の引下げ率を非常に高く設定した理由について御説明いただきたいと存じます。
#30
○政府参考人(大塚義治君) 医科、歯科、調剤、それぞれにつきましていわゆる技術料の占めるシェアが異なるということ、それから今回のいわゆる技術料のマイナス改定、初のマイナス改定でございますけれども、の影響がそれぞれの技術料のシェアに応じて違う、これはおっしゃるとおりでございます。
 ただいま引用されました医療経済実態調査の結果でございますけれども、絶対額はおっしゃるとおりでございますけれども、例えば金額の伸びで見ますと、一般診療所あるいは歯科診療所は収入、支出ともに前回の調査に比べますとマイナスでございますけれども、保険薬局は収入、支出ともにプラスでございますし、収支差ということで見ますと、一般診療所が一二・七%の増、歯科診療所はマイナス〇・三%に対しまして、保険薬局は四八・九%の増ということになります。一方、医療費そのものの伸び率につきましても、医科一・五%、歯科〇・五%というのが平成十三年度上半期の伸びでございますけれども、保険薬局は一六・九%と大幅に伸びているわけでございます。
 こうした背景には、御案内のとおり、医薬分業がある意味では順調に進展してきたということもございまして、全体のバランスから見ますと、収入、支出、あるいは収支差というものが他の科に比べますとかなり大幅に、好調を保っているということを背景にいたしまして、全体として技術料の引下げをどのように配分するかという議論の中で、ただいま申し上げましたようなケースを背景にいたしまして今回のような取扱いにさしていただいたということでございます。
#31
○藤井基之君 局長のおっしゃられる趣旨も分からないわけではないんですが、伸び率の話をおっしゃられるけれども、実額が明らかに大きく違っているわけですから、やはりそれは、その実額の違いが大きく違っていて伸び率が少しどうだという話では本来決めるべきじゃないんだろうと私は思っております。これはそれの専門の委員会で御検討いただいたことですので、またそのように実施されるわけでございますけれども、これから先の、私はいろいろな、一般診療所もそうですし歯科診療所もそうですが、同様に保険薬局も医療に対する多大な貢献をしているわけですから、そこの経営というものもやはり配慮していただきたいと考えております。
 今回の診療報酬改定におきましては、また別に医師の処方せん料が、後発品を含まない場合、現行の八十一点から六十九点に十二点大幅に引下げとなっております。医薬分業の推進は、医薬品の適正使用でありますとか薬物療法の安全対策の充実の一環として厚生労働省がずっとその推進を図ってきたところでございます。一部には、厚生労働省は今後はその医薬分業の政策誘導はもう行わない方針を決めたのだと、そういった方針も一部、報道がございます。現在、分業率は確かに高くなってきておりますが、地域的な偏在がございまして、全国平均の半分以下にとどまっている県もまだ幾つもあるわけです。
 昨年十二月十一日、参議院の決算委員会でこの分業に関する質問を厚生大臣に、厚生労働大臣にさせていただきました。その際、厚生労働大臣は、医薬分業というものはこれからも進めていくべきものだと思っていると、そのようなお答えをちょうだいいたしましたが、厚生大臣にお尋ねいたします。そのお考えは現在でもお変わりございませんでしょうか。いかがでしょうか。
#32
○国務大臣(坂口力君) その考えに、変わっておりません。論理的に考えましても、ここは分離をして、調剤を分離をするということが国民にとりましてそれはプラスだからでございます。
 この調剤を分離をすることを、そのことによってあるいは財政的には私は多くの財源を必要とするかもしれない、今までのように医療機関が自分のところですべて調剤をやっているという時代に比べて、調剤薬局なるものを造って、そして分離をするということは、かえって財政的には厳しいかもしれないと私は思っております。しかし、その若干厳しくなることによって、国民の健康というものに対して、あるいは疾病というものに対してそれが大きな働きをしてくれる、やはりそういうふうに理解をすべきだというふうに思っております。
 やはり、医療機関の中だけで、あるいは医師だけで診ておりましては、それは間違いということも、これは間違おうと思っておる人はだれもいないんですけれども、やはりそれは薬等で起こるわけでございますから、一つのチェック機関というものがやはり大事でありまして、私も過去に何度か薬剤師さんにチェックをしていただいて、そして間違いを指摘をしていただいて助かったことがありますが、そうしたことは制度としてやはり位置付けていくべきであるというふうに思っております。このことを後退させるつもりは全くございません。
#33
○藤井基之君 どうもありがとうございました。
 大臣のお考えを確認できて非常に幸いでございます。よろしくお願いいたします。
 次に、薬価基準の改定についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 今回の薬価基準改定では、医療費ベースでは一・三%、薬価ベースでは六・三%の引上げになります。厚生労働省の発表によりますと、今回のこの六・三%の引上げは、薬価調査によって実勢価格が下がることによって引き下げられた分が四・六%、それに加えて後発品のある先発品に対する政策的な引下げ分としての一・七%、そして合わせて六・三%の引下げになったと、このように説明をされております。
 新しい薬価の算定方式というのは、御案内のとおり、かつての九〇%バルクライン方式から加重平均値をベースにする方式に変遷してまいりました。そして現在は、かつてはリーズナブルゾーン、合理的な幅というふうな言い方をされておりましたRゾーンという言葉から調整幅という呼び方をされる、そういう価格のぶれといいましょうか、そういったものを認める、そして加重平均を中心にして新しい薬価を決めるんだと、そういった方式が採用されております。
 それで、お尋ねしたいんですけれども、この調整幅というのは一体何かということなんですね。これは個々の実勢価格の平均値からの合理的な差異の範囲という、そういった位置付けをこの調整幅と呼んでいるんですか、それとも流通経費なんでしょうか。一説にはこれは合法的な薬価差益だと、そういう声までもあります。
 私は、この調整幅というのを、ある程度その性格というものを明確にしておくことが、これは近代化が遅れていると言われております我が国の医療用医薬品の流通の適正化のためにも重要だと考えておりますので、調整幅の意味というものについて簡潔に御説明いただきたいと存じます。
#34
○政府参考人(大塚義治君) 今お話がございましたような経緯をたどりまして今日の調整幅方式というふうに変わってきたわけでございますけれども、端的に申し上げれば、市場の実勢価の加重平均値に薬剤流通の安定を確保するための、平たい言葉で、表現が適当かどうか分かりませんが、一定のバッファーという意味で、平成十四年度の薬価改定におきましては、従前と同様でございますけれども二%、これを算定をした、こういうものと考えております。
#35
○藤井基之君 今回、それに加えて新たな算定方式、いわゆる長期収載医薬品の価格を下げるといいましょうか、薬価を政策的に引き下げるという政策的な薬価引下げが初めて取られました。この引下げ率は四%、五%、六%という三段階になっているんですね。ですから、実勢価格の下げ幅に加えて、こういった薬価の引下げがオンされたものがある。ですから、物によっては非常に大幅な薬価の切下げが起こっております。もちろん医療制度改革におきまして薬剤費が適正化されなきゃいけないのは極めて当たり前の話でございまして、実勢価格が下がっているのはちゃんと下げなきゃいけない、それは当然であります。
 ただ、政策的な薬価引下げというのは、これは当事者があるものですから、やはりそれに対する説明責任が必ず発生しております。政策的に引下げを行う者が一方的な主張でそのような政策決定ができる、そういったことになればこれから先の医薬品の安定供給、価格の適正化維持、こういったことがないがしろになるのではないか、そういった心配がございます。
 私は、今回のこの四%、五%、六%にされた根拠といいましょうか、その理由というものをやはり説明する責任が厚生省にはあると思うんですね。そして、今後ともこのような政策的な価格引下げをお取りになるとするならば、これは関係者に納得のいくような政策趣旨の説明をしなければいけないと考えています。
 私は、これについて是非厚生省から責任ある答弁をいただきたいと存じます。
#36
○政府参考人(大塚義治君) おっしゃいますように、今、政策的な判断の前提といたしまして、それを行政としてきちんと説明をするという姿勢は当然重要なことだと考えております。
 今回の長期収載品といいましょうか、先発品につきましての価格の設定でございますけれども、先発品の価格の適正化を進めるべしという御議論はかねて強くございまして、今回、中医協の議論を踏まえまして一つの結論、政策選択をしたということになるわけでございますけれども、基本的な考え方といたしましては、後発品のある先発品、本来でありますれば特許の期間の切れたものというのが本来の性格と思いますけれども、考え方と存じますけれども、それを具体的な扱いといたしましては、後発品のある先発品について市場実勢価格に基づく引下げに加えまして、平均約五%という引下げをいたしたわけでございます。
 この平均の引下げ幅につきましては、現行の再算定におきます引下げ率の下限として一〇%というのがございます。また、今回の通常の市場価格、市場実勢価格に基づく引下げ幅がおおむね五%、そうしたことを勘案いたしまして、平均で五%引き下げるということとしたわけでございますけれども、この後発品のある先発品も多様でございます。
 特に、時間的な経過でそれぞれこれまでの取扱いが異なっておるわけでございまして、大きく分けますと長期に、かなり長期に収載されておりまして、過去の薬価改定で言わば十分に市場価格がある程度下がっているというもの、それから比較的最近でございますけれども、平成九年、十年につきまして、長期収載品につきまして、これもR幅、当時のR幅の引下げという形で特別な政策的な引下げを行いました。この対象となったもの、それ以外のものと、大きく分けますと三分類ができようかと。むしろ、こうした要素を勘案した方が政策としては公平になるのではないかということを勘案いたしまして、お話しのように四%、五%、六%と三種類の引下げといたしました。平均をいたしますと約五%の引下げという結論でございます。
#37
○藤井基之君 続きまして、後発品と言われるいわゆるミー・ツー・ドラッグ、これの使用促進の問題についてお尋ねさせていただきたいと存じます。
 医療制度抜本改革の課題の一つが薬剤費の節減ということでもあるわけですが、その方策の一環として、今回、低価格品であります後発医薬品の使用促進を図ろうと、そういったことから医療費改定、幾つかの点が今回導入されているというふうに見ました。
 医師の処方せん料を後発品を含む処方をした場合にはその点数を高く設定するとか、一方におきまして薬局において後発品の調剤に対しては技術料加算を盛り込む、私はこういった施策というものはこれから先の後発品使用促進に対してプラスに作用するというふうに信じております。しかし、果たしてこれだけで後発品使用促進が図られるのかどうか、これについては疑問を持っております。
 例えば、これは国会でも議論が少しなされておりますが、抜本的な政策の導入、例えば処方されたお薬と同一の成分だ、同一の規格だ、同一の剤型の医薬品だ、もしもそういった医薬品があれば、そしてその価格が安いんであれば、患者さんの同意を得て、患者さんがそれでいいと言われたら、そういったより安い後発品に替えて調剤することを認める、いわゆる代替調剤といいますか、そういった欧米で行われているような方式を導入を検討されたらどうかと考えますけれども、いかがでございましょうか。
#38
○副大臣(宮路和明君) 今、藤井委員御指摘のように、諸外国におきましては、例えばアメリカにしましても、あるいはフランス、ドイツにいたしましても、いわゆる代替調剤というものが認められているようでありますが、我が国では御案内のように薬事法第二十三条によって薬剤師は医師の処方せんによらなければ調剤をしてはならない旨の規定がしっかりと盛り込まれておるところであります。これは調剤、どういう薬を患者さんの容体に応じて、疾病に応じてそれを服薬していただくかどうかということは医療の上で極めて大切であるということから、そうしたお医者さんの役割をしっかりと踏まえたそういうシステムに現在のところなっているんじゃないかな、こういうふうに思います。
 このいわゆる代替調剤を今後どうするかについては、これは正にそういった意味で医師と薬剤師との役割分担、機能分担をどうするかという大変これは大きな、そしてこれはなかなか難しい問題であるというふうに承知をいたしておるところでありますが、先ほど来御議論がありましたように、医薬分業が我が国でも進んできている、そういう中で、薬剤師の方の業務の役割と申しましょうか重さといいましょうか、そういうものも高まってきているということが一つは言えようかと思いますし、また欧米の今申し上げたようなそういう事例もあるわけでありますから、そういった最近における医療の情勢の変化と申しましょうか、そういうものを踏まえながら、また欧米の諸国の例なども参考にさせていただきながら更にこの問題については議論を深めてまいることが必要じゃないかな、このように思っておるところであります。
#39
○委員長(阿部正俊君) 時間ですが、大体。
#40
○藤井基之君 最後にします。
 今、いわゆる後発品使用促進に対する政策について申し上げましたが、後発品の使用を促進するのに、我が国でなかなかその使用は広まっていないわけですね。例えば平成十一年度、厚生労働省が実施した調査報告によると、医療機関がなぜ後発品を使用しないのかという調査結果が出されている。それによると、一番大きな理由は後発品メーカーに対する信頼性が薄いということなんですね。つまり、供給される医薬品の品質と情報と、そして供給体制そのものに対する信頼感がないんですよ。ですから、これは医療機関がなかなか後発医薬品を使用しないわけですよね。
 総務省の調査した報告におきましても、総務省が、六十一医療機関のうち十七医療機関は後発品使用、これは製薬企業等が副作用等の情報収集や提供が十分でないため緊急時の対応が不安であるから質問をした……
#41
○委員長(阿部正俊君) 時間ですので、簡潔にお願いします。
#42
○藤井基之君 このようなことがありますので、是非これにつきましては厚生労働省におきましても総合的な政策展開を図っていただいて、後発品使用促進を促していただきたいと思います。
 終わります。
#43
○委員長(阿部正俊君) 答弁簡潔に、じゃ、お願いします。
#44
○副大臣(宮路和明君) ただいまの御指摘の趣旨も十分踏まえて、厚生労働省としても積極的に対応してまいりたい、このように思っています。
#45
○沢たまき君 公明党の沢たまきです。よろしくお願いいたします。
 大臣にまずお伺いいたします。
 大臣は、所信の中で、国民生活のセーフティーネットである社会保障制度については、国民全員が安心・信頼できる、公平・公正で、少子高齢化社会にふさわしい持続可能な制度に構築することが必要だと冒頭に述べられております。特に医療制度については平成十四年度中にその抜本改革をまとめられると理解をしておりますが、このことは健康保険法等改正案の附則でその骨格が示されております。
 大臣は早急に具体的内容を示す旨おっしゃっていらっしゃいますが、本当に早期に示していただいて、国民に不安をなくし安心と安定を与えていただきたいと思いますが、坂口厚生労働大臣の御決意をまずお聞かせいただきたいなと思います。できれば八月の概算要求ぐらいまでにというのが希望でございますが、いかがでございましょうか。
#46
○国務大臣(坂口力君) 医療制度改革を行うに当たりましてやはり一番大事なことは、これから迎えます超少子高齢社会において安心して、しかも安定して医療制度が継続することにあるというふうに思っております。そのために今何をなすべきかということでございますが、今御指摘をいただきましたように、当面の予算措置、併せて今後の抜本的な改革もお示しをしなければならないところだというふうに思っております。
 先日も参議院の予算委員会におきまして、あるいはまた衆議院の予算委員会におきましても、平成十二年でございますか、医療制度改革のときに、あなたは当時の小泉厚生大臣に対して、抜本改革を同時にやるべきだということをあなた自身が質問しておるではないか、西に行くか東に行くかをはっきり明確に示さずに新幹線に乗れと言われたって乗るわけにいかないとあなたは言っているではないかと、こう言われまして、うまいこと言ったなと今思っているわけでございますが、そう言っております私も、若干、今回抜本改革を同時に出すことができなかった、大変私もじくじたるものがあるわけでございますが、少なくともどちらの方向を向いていくかということだけは明確にしなければならない、一日も早く明確にしなければならない、私たちはこういう考え方で抜本改革を進めていきますということをはっきりさせなければならないというふうに思っております。
 八月の概算要求までにというお話もございましたが、すべてをそこまで行くことができるかどうかは分かりませんが、おおむねはっきりさせることのできるものにつきましてはこの概算要求までにはっきりさせたいというふうに思っておりますし、そこまで、概算要求に間に合わないまでもどういう方向に展開をするか、どういう方向でどういう計画でこれから進めるかということを一日も早く明確にしたいというふうに思っている次第でございます。
 なぜ抜本改革がやはりうまく進んでいかないかということを私も今になって分かったわけでございますが、大きな問題であればあるほど厚生労働省だけの政策ではなくて、他の政策と関連してくるということでございます。例えば、一番大きな問題は三つあるというふうに思っておりますが、その中のやはり中心は高齢者医療、これをどうするかということだと思うんです。高齢者医療をどうするか、これは一番中心に据わってくるわけでございますが、このことをやろうと思いますと税制をどうするかということと大きく絡んでくる、そういうことがありますためになかなかそこから前に進みにくいというものがある。しかし、もうそんなことを言っていることはできませんので、厚生労働省としてはかく考えるということをもう言わなければならないというふうに思っている次第でございます。
 三つと申しましたので、あと二つだけ名前だけ申し上げておきたいと思いますが、もう一つは先ほどから出ておりますように医療保険、この五千を超えます医療保険の統合化、一元化と言いたいところでございますが、これは一元化というのはなかなか一気にはできなくて、統合化、これは是非進めなきゃならない。国保辺りを見ましても三千人以下の保険がもう三六%ぐらい占めている、組合健保でも四五%ぐらいが三千人以下でありまして、誠に小さいのがたくさん林立している。これはやはり何とか統合をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
 もう一つは、先ほど申しました診療報酬の基本、その根っこにありますところの基本的な考え方、何を基準としてこの報酬を決めるか、その基準が明確でないためにいろいろの批判を仰ぐ、そこを明確にしていきたい。
 その三点を一番中心にして進めたいと考えているところでございます。
#47
○沢たまき君 大変ありがとうございました。御苦労がおありだと思いますけれども、私たち国民が東か西かちゃんと分かると安心させていただけると思います。よろしくお願いを申し上げます。
 次に、最近の、厚生労働省の食品衛生法、それから農水省のJAS法、それぞれの不正表示といいますか虚偽の表示といいますか、この事件の徹底の解明と再発防止に関して伺ってまいりたいと思います。
 まず、食というのは人の命をつなぐものでございますから、その安全性については万全を期すべきだと思っております。
 そこで、まず最初にそれぞれの事件について、発生の日時、会社名、違反事項について、概略で結構でございますので、厚生労働省、農水省から御説明をいただきたいと思います。
#48
○政府参考人(尾嵜新平君) 御指摘の不当表示に関係します食品衛生法上の違反事項につきまして概略申し上げますと、一つは雪印食品の事案でございます。
 一月二十三日に、豪州産牛肉を国産牛肉用の段ボールに詰め替えを行いまして、併せて加工者の名称と所在地の書換えを行ったと、これが食品衛生法上の違反に該当いたします。このことが兵庫県及び西宮市より確認をされたところでございます。また、同月の三十日に、北海道産の牛肉について熊本産に書き換えた際に、加工者の名称及び所在地の書換えを行ったこと、これが兵庫県により確認されたという事案でございます。
 二つ目が全農チキンフーズの関係でございますが、国産鶏肉の、鶏肉の受注量の急増に対応するために鹿児島チキンフーズに指示をいたしまして輸入鶏肉を国産鶏肉に混入した際に、併せて加工者にかかわる表示について虚偽の記載があったことを三月五日に鹿児島県が確認したという事案でございます。
 三つ目がスターゼンの関係でございますが、農林水産省におきまして牛、豚、鶏肉につきまして原産地等の虚偽表示を行ったことが確認されておりますが、関係の東京都及び佐賀県が立入検査を行いましたが、食品衛生法の違反はなかったという事案でございます。
#49
○政府参考人(山本晶三君) JAS法の関係について御説明申し上げます。
 雪印食品につきましては、一月二十八日に同社が北海道産の牛肉に熊本産等のラベルを張り替えるなどの虚偽の表示を行っていたことを公表いたしましたことから、一月の二十八日から二月の七日まで立入検査を実施いたしまして、輸入牛肉を国産牛肉と表示を行っていたなどの事実が判明いたしました。
 スターゼンにつきましては、二月の下旬に同社が虚偽の原産地表示などを行っている旨の情報提供がございましたので、二月の二十二日から三月一日まで立入検査等を実施いたしまして、同社がSPF豚を黒豚と表示していた等の事実が判明いたしました。
 また、全農チキンフーズにつきましては、三月四日に同社が輸入鶏肉に国産と表示して販売していたことを公表いたしましたことから、三月五日より立入検査を実施しておりまして、現在なお継続中でございます。
#50
○沢たまき君 これ今まで、今伺いましたけれども、いつごろからこの違反が行われていたのか、またその違反した数量はどのくらいか、それぞれの処置状況、処置の状況について、現在分かっている範囲で結構でございますので、厚生労働省、農水省、御報告いただきたいと思います。
#51
○政府参考人(尾嵜新平君) 関係の自治体の方から報告をいただいておる内容を申し上げますと、最初の雪印食品につきましては、輸入牛肉を国産牛肉として月一、二回、一回約四百キログラムを一年以上にわたって加工者等を偽って販売しておったと。それと、国産牛肉の産地偽装に伴いまして、月五、六回、一回二十ないし二百キログラムにつきまして三年以上にわたって加工者名、加工者を偽って販売しておったということで、当該違反行為が常態化しておったということでかなり悪質であるということで、兵庫県は二月一日付けで雪印食品の関西物流センターに対しまして営業禁止処分を行ったところでございます。
 二つ目の事案の全農の事例につきましては、今御説明がありましたが、全農チキンフーズの方の指示の下に、鹿児島くみあいチキンフーズが鹿屋及び川内両工場におきまして、輸入鶏肉約七トンを国産鶏肉に混入したということでございます。これにつきましては、現在、食品衛生法違反に該当することが確認されておりますが、その対応については県の方で現在検討していただいているという状況でございまして、過去にさかのぼっての、いつからかと、過去についてはないのかどうかというところについても最終的な報告はまだ鹿児島県の方からいただいておらないという状況でございます。
 スターゼンは、先ほど申し上げましたように、食品衛生法の違反はなかったということで私の方からは御説明は割愛させていただきます。
#52
○政府参考人(山本晶三君) JAS法の関係につきましては、私ども立入検査等の場合におきまして職員から証言をするのを中心にしておりますが、それに基づきますと、雪印食品につきましては、関西ミートセンターにおきます虚偽表示は少なくとも約二年前から、関東ミートセンターにおきます虚偽表示は平成十三年六月ごろから行われたと承知しております。また、スターゼンにつきましては、虚偽表示がいつから行われたかにつきましては明確には確認できておりません。
 この二社につきましては、立入検査を実施いたしまして、その結果に基づき、原因の究明や責任の所在の明確化等を求めますJAS法に基づきます指示を行ったところでございます。
 なお、全農チキンフーズにつきましては、先ほども申し上げましたように、現在、立入検査を実施中でございますので、そういう手続中でございます。
#53
○沢たまき君 事件が発覚した背景について、どういう状況なのか、全体の状況として御報告いただけますか。
#54
○政府参考人(山本晶三君) 個別の事案の発覚した経緯につきましては、例えば情報提供者等につきまして留意する必要がございますから慎重にする必要がございますが、私ども承知しておりますところによりますと、雪印食品につきましては一月二十八日に同社が記者発表をしておりますし、全農チキンフーズにつきましては三月四日に同社が記者発表しておりますが、スターゼンにつきましては、私ども二月から行っております食品表示一一〇番の開設など監視の強化の取組を行っているわけでございますが、そういう中で二月下旬に同社が虚偽表示を行っていることにつきまして情報提供があったところでございます。
#55
○沢たまき君 まだ調査中のものもございますけれども、賞味期間を延長して自社製品の原料に使ったり、品質保持期間を再延長して全国的に販売を展開しているわけですが、今回はもう本当に大量の食中毒などが発生しなかったのは不幸中の幸いだなと胸をなで下ろしておりますが、大変危険な違反なのでありますので、厚生労働省はその危険な違反であるということに関してどういう御理解をしていらっしゃるのか、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
#56
○政府参考人(尾嵜新平君) 期限表示の関係につきましては二つございまして、一つは消費期限ということで、これはどちらかといいますと日もちがしない食品につきましておおよそ五日以内の期間での表示を消費期限という形で表示していただくというものと、もう一つは、今お話しございました品質保持期限ということで、これJAS法では、あるいは食品衛生法でも賞味期限という形でも結構だということになっておりますが、これにつきましては、どちらかといいますとかなり日もちがする、長いものでございまして、その期限の設定につきましても消費期限と同様にその企業に任せておるわけでございますけれども、かなり余裕を持った期間を設定するようにという指導をしております。
 そういう意味で、品質保持期限の方の、今回のケースは品質保持期限の方の書換えのケースでございました。そういったものにつきましては、それが直ちに危害を及ぼす、食品衛生上違反になるかといいますと、そこには、直ちには違反という形にはならないというのが私どもの考え方でございますが、ただ、こういった品質保持期限というものをそもそも設定した趣旨から申し上げますと、こういうものを科学的な根拠に基づいて設定をしていただいたのに書き換えるというのはやはり趣旨に反するということで、そこのところはきちんとその品質保持期限についての考え方、あるいはその設定の仕方について明確にするようにという指導をしているところでございます。
#57
○沢たまき君 ありがとうございます。
 JAS法を見ておりますと、どうも性善説によって立っているような気がいたします。しかし、しばしば企業は組織的に悪さをするという、これは国際的な常識でございまして、外国はかなり公共団体とかこういう大きな企業には重い罰則を付けているんですが、今回の事件に関しても、何か故意によって行われたというようなことが見えますので、大変悪質だなと思っております。
 特に、経営者とか管理者に対して、現行のJAS法あるいは食品衛生法の中で厳しく処分する必要があると思っておりますが、厚生労働省、農水省、両省、いかがでしょうか。
#58
○政府参考人(尾嵜新平君) 今回の一連の表示の、不当表示と申しますか、事案につきましては、先ほど案件を、事案を御説明する際に、雪印食品につきまして、兵庫県の方が悪質であるということで営業禁止処分をしたというふうに御説明申し上げました。今回の中では営業禁止処分をしたのはこの案件一つでございますが、ほかのケースについても今検討中のものでまだ結果が出ておらないというものがございますが、私どもの方としましては、都道府県等に対しまして、監視、指導の徹底と、それから違反を確認した際には内容の公表を行うようにと、原則そういうふうに行うようにというふうなことで厳正に対応するように要請しておりまして、適正な表示が行われるように努力していく所存でございます。
#59
○政府参考人(山本晶三君) ただいま先生御指摘のように、食品の原産地を偽るなど虚偽の表示を行うことにつきましては、消費者の食品に対します信頼を著しく損なう行為でございまして、極めて遺憾であると思っております。このため、私どもとしましては、JAS法に基づきまして立入検査を行い、その結果に基づき、原因の徹底的な究明と責任の所在の明確化等を求めるJAS法の指示を出したところでございます。
 また、今後、食品産業全体におけますモラルの向上を徹底いたしますため、一月の二十三日付けで、食品産業センターに対しまして関係法令の遵守や倫理の維持等について各企業の自主的な取組を強化するような指導を行いましたとともに、これを受けましてその食品産業センターにおきましては、各企業におけます行動規範等の策定状況やその周知徹底状況の点検、調査、さらに行動規範の一層の周知徹底の働き掛けをしておりますとともに、本日でございますが、会員企業を対象といたしました企業行動規範に関する講習会を開催することとしております。
 農林水産省といたしましても、引き続きこのような業界の取組を支援してまいりたいと思っております。
#60
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。
 豚肉とか牛肉の表示を偽って販売したり、輸入物を国産として販売していますけれども、これは本当に消費者に対する悪質な背信行為以外の何物でもないわけですから、輸入品を国産品と偽って販売した場合の価格の単価はそれぞれどのくらいの差があるのか、事例的に農水省に御報告いただきたいと思います。
#61
○政府参考人(山本晶三君) ただいま御質問の国産品と輸入品の価格差でございますが、これは、もちろん部位でございますとか産地でございますとかといろいろ異なるわけでございますが、おおむねの小売段階の平均で見ますと、牛肉でございますと、国産牛肉は輸入牛肉に比べまして大体一・二倍程度のものから一・七倍程度のものまで、百グラム当たりにいたしまして大体五十円から二百四十円程度の差がございますし、豚肉でございますと、国産豚肉は輸入豚肉の一・一倍程度から一・五倍程度までございまして、百グラム当たりでございますと大体十五円から六十円程度の差があるところでございます。
#62
○沢たまき君 いや、実際には十倍も差があると私は思っていますが、特に農水省、輸入品を国産品として発売した場合の価格差はもう大きな価格差があるわけですから、いわゆる消費者から不当にお代金をいただいているということに対して農水省はどうお考えですか。
#63
○政府参考人(山本晶三君) このような不正表示を行った企業に対しましては、先ほど来申し上げておりますように、JAS法に基づく行政上の措置といたしまして指示、さらにその指示に従わない場合等におきましては公表等の措置があるわけでございまして、このような措置が講じられました場合は実質上相当の社会的制裁があるものと考えております。
#64
○沢たまき君 社会的とおっしゃいましたけれども、JAS法の行政処分とか罰則は法に違反した場合はどのように適用されるんですか。
#65
○政府参考人(山本晶三君) JAS法に基づきます食品の品質表示基準に違反した場合でございますが、このような違反が立入検査等で明らかになった場合には、JAS法におきましては、まず当該食品の販売業者等に対しましてJAS法に基づく品質表示基準を遵守する旨を指示いたします。その指示にもし従わない場合につきましては、その旨を公表をいたします。さらに、その公表の後も指示に従わない場合につきましては、指示に従うべき旨を命令いたします。この命令にも従わない場合につきましては、司法手続でございますが、罰金がございまして、五十万円以下となっております。
#66
○沢たまき君 本当に低いなと思いますね。個人、小さな商店ではない、組織でやった場合にはもう少し徹底したものが必要だと思っておりますが、今おっしゃったように、いわゆる悪質な違反でもささいな違反でも、表示基準を守る旨のまず指示があった時点で業者がそれに従えば、そこから先は業者へは何の処分もないわけですね。そのようなシステムになって、仕組みになっているわけですね。そうすると、悪質な業者ほど得をするシステムになっているような気がしてなりませんね。これでは法の実効性というのは本当に期待できないと思うんですが。
 今回の一連の事件の中で、ある小売業者は現実に消費者に代金を返還しているんですね。消費者に対して故意に選択も誤らせた企業、そしてそのような商品を売るような悪質な者に不当利益を還元というか返還させる仕組みというのを確立するべきではないかと思いますし、また、その五十万円なんというのも、とてもじゃないけれどもそんなものでいいのかなという気がしておりまして、これは私、ちょっと予算で名誉毀損のことも伺ったんですが、その額もどちらにしても低いなというふうに思っておりますが、消費者を優先するというその機能がちゃんと確立し、また再度、再発の防止をするということを含めて何か法改正を進めるべきだと思うが、いかがでしょうか。
#67
○政府参考人(山本晶三君) 私どもとしましては、消費者保護を第一に、また消費者に軸足を置いた農林水産行政を展開するという観点から、不正な表示を行った事業者に対しまして公表をしたり罰則を強化するというような考え方につきましては必要ではないかというふうな認識も持っているところでございます。
 このため、まずその罰則の強化などにつきましては、できることならば今国会でのJAS法の改正を視野に入れた取組を行いたいと考えているところでございます。さらに、食品の表示が消費者保護の観点から十分機能いたしますよう、食品衛生法、不当景品表示防止法などを所管する厚生労働省、公正取引委員会とも協議しながら、消費者に分かりやすく信頼性の高い表示の在り方につきまして政府全体で検討していくべきものと考えております。
#68
○沢たまき君 いや、返還している業者もいるのでそういう処置をするような法改正をお願いしたいと伺ったわけですが、まあしっかりやっていただきたいと思いますが。
 先ほども伺いましたけれども、違反の摘発は内部告発ですよね。食品衛生法の監視体制とJAS法の監視体制、いずれも機能していなかったんではないかなと思うんですが、両省、いかがでございますか。
#69
○副大臣(宮路和明君) 食品衛生法に基づく食品表示の取締りの件でありますが、これは、都道府県等の食品衛生監視員によりまして、特に食品が傷みやすい夏の時期、それから大量に食品が出回る年末等、集中的に立入検査を実施しておるところであります。そして、例えば昨年度ですと、一千件を超える表示についての違反事例を見いだしまして、そして改善指導を行っておるところであります。
 そして、今回は、今お話のありましたような一連の違反事例が次から次へと起こっているということにかんがみまして、特別、都道府県の方に通知を発しまして、一斉に立入検査を実施をすること、そして違反事例が確認された場合にはその旨を公表をすることを含めて厳正に対応すること、またあわせて、JAS法などの違反事例を発見した場合は関係部局と連絡を取ってその面でもしっかりと対応することなどを指示したところでありますが、今後、委員御指摘のとおり、一層の私ども強力な取組をやっていくように、食品衛生法の改正をも含めながら対応策を検討し実行に努めてまいりたいと思っているところであります。
#70
○沢たまき君 JAS法の表示と食品衛生法の表示の間で、具体的には名称とか品質保持の期間、それからいわゆる賞味期限、保存方法、遺伝子組み換え食品などの部分はこの両方に重複しているわけですので、厚生労働省と農水省は連携を密にして取締りに当たるべきだと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。
#71
○副大臣(宮路和明君) 委員御指摘のように、食品の表示につきましては三つの役所がそれぞれ別個の法律に基づいて表示制度を所管し、そしてその運営を図っておるところでございますが、御指摘のように重複している部分も見られるところでありまして、そういったことで、関係省庁しっかりと連携して、そこらの改善も含めながら、あるいはまた、効果的にどうやってお互い連携してそうした違反事例を発見し、そしてそれに改善を指導していくか、対応していくかということも含めて今後検討して、そして対処してまいりたいと、こう思っておるところであります。
#72
○沢たまき君 済みません、もう時間なんですが、あと一つ大臣に……
#73
○委員長(阿部正俊君) 時間がありませんので、簡潔にお願いします。
#74
○沢たまき君 済みません。
 大臣に伺いますが、外国においては食品衛生法上の監視、独立させて行っているところがあります。監督機能を徹底させて実効性を持たせるための体制だと思うんですが、大臣の御所見を伺って、終わりにさせていただきます。
#75
○国務大臣(坂口力君) 食品安全庁構想というのがあるというふうにお聞きをいたしておりますし、私たちもそれを十分に議論しなきゃならないというふうに思っておりますが、エイズのときには、それを振興するところと規制するところが一つになっているので、そこが具合悪いというので二つに分離をしたという経緯もあるわけでありますから、その辺をどのように考えていくか、整理をしながらひとつ我々も検討したいと思っております。
#76
○沢たまき君 終わります。
#77
○草川昭三君 私の方からは、平成十四年度の春闘をめぐる情勢について、労働省、旧労働省の見解を承りたいわけであります。
 厚生労働省の平成十四年度春闘をめぐる情勢のメモを見ますと、今度の春闘は、三月十三日以降、自動車、電機、造船、いわゆる金属労協傘下の組合を中心に、民間の主要組合はベアはなし、定期昇給程度の回答が示された、雇用を重視をした春闘と思うというようなコメントがされておりますが、全くそのとおりだと思います。
 ところが、私が今日問題提起をしたいのは、定期昇給、すなわち賃金カーブ維持分ということは、それはそれなりに労使で非常に理解をされた結果だと思いますけれども、その翌日に日立製作所を始めとする主要ないわゆる電機産業という企業、その他メーカーがいわゆる賃金切下げを経営側が発表した。こういうことについて、私は非常に驚きを持っておるわけでございますが、賃下げといいましても定期昇給を半年間凍結をするとかというような提案ではございますが、これは、経済専門紙を見ますと、坂口労働大臣も、普通のルールではないなというような感想を述べたとある新聞にコメントが出ておりますが、困惑の表情を浮かべたと言われております。
 いずれにいたしましても、時代が変わったかと思いますし、労働経済という立場から見ますと、今度の春闘というのは今後の日本の労使関係を基本的に見直す問題提起をしたのではないか、こんな感じがするわけですが、その点について労働省の見解をお願いをしたいと思います。
#78
○国務大臣(坂口力君) 今、草川委員がもう御指摘になりましたことにすべては尽きるわけでございまして、賃金の引上げにつきましては昨年を下回る水準でありますし、一時金につきましても総じて昨年を下回る傾向にあります。そして、今年の特徴というのは、雇用の維持、安定に関する労使の話合いというものが非常に中心になっているというところが今までと非常に違ったところだというふうに思っております。
 先ほど御指摘になりましたように、妥結をしました翌日に賃下げの話がまた出たというのは、これは私も驚いたわけで、なぜこんなことになっているのかなと。一生懸命翌日まで労使でお話し合いになっていて、そして、そのときにはそこで何ら意思表示されずに翌日になってなぜまた別なことが出てくるのかなという驚きを感じたわけでございますが、いろいろ、そうしたお話合いが突然出たというふうに思いますけれども、そうしたお話合いも、別途、別ルートでは続いていたということのようでございますから、それはそれなりにやはり理解をしなければならないのかというふうにも思っている次第でございます。
 いずれにいたしましても、御指摘になりましたように、非常に労使の話合いも内容が変わってきた、大きな一つの潮目の変わり目に当たる春闘ではなかったかというふうに思っております。
#79
○草川昭三君 全く大臣の答弁と私も同じ見解でございますし、個別の労使関係に行政が関与するとか、あるいは我々が物を言うという立場にはないと思うんです。
 ただ、日本の国の経済というのは、もう言うまでもありませんが、デフレ経済あるいはデフレスパイラルの、いかにこれを避けるかという議論をしておるところでありまして、そういう時期に消費の拡大をいかにして推し進めるかというのが、一方、議会では一生懸命議論をしておるところなんです。そういう中に、大手の企業が、たとえ短い期間であっても定昇を凍結をする。定昇であろうと賃上げであろうと、労働者が受け取るいわゆる賃金がその分だけ少なくなるということは明らかに消費拡大に逆行をするということでございまして、非常にこれは重要な点だと思うんです。
 それで、一方、政府の方としては、経済諮問会議ですか、経済財政諮問会議等が、ちょうど第七回の会議が三月十五日、同じころに官邸で開かれているわけです。そこでは、景気の方もどうやら底をつきましたねと、景気というのか不況の方も底をついたということで、アメリカの経済も若干良くなるというので、まあ大いにこれからは明るくなるよということを言おうとしている。そういうときに、一方、逆の、非常に労働組合対経営側との話合いの中でマイナスの要因の話が出る。日本経済全体としては非常に今ちぐはぐな動きを私はしているんではないかということを心配をするわけであります。そんな中で、これからの労働行政はどうあるべきか、非常に私は、従来のいわゆる年功型賃金を依拠した、あるいは生涯雇用を基本とした労働行政からはもう大きく転換をする、こういう時代が来たのではないだろうかというのは、私のこれは意見なんです。
 そこで、ちょっと少し立ち至った内容に入ってまいりますが、いわゆる賃金の値上げということ、いわゆるベースを上げるということは、もう中国市場もあるわけですから非常に厳しくなってきたというのはほぼ定着をしてきた。それで、定期昇給制度というのが一方にはある。これは、本来言うところの定員制が前提とするならば、一人辞めた後、一人その賃金を引き継ぐわけですから、個別の労働者にとってみれば毎年ワンランクずつ賃金が上がる、それが定期昇給だと思うんですね。だから、その代わりに総支払賃金は変わらないというのが定期昇給なんでございますけれども、それすら年功型賃金の在り方を見直そうというような時期が来たということでございまして、今後、私はこういうような日本的な雇用関係というものは変化をしていくのではないだろうか。いわゆる大学を出て入社をすれば生涯雇用されるという、そこでもう安心をして、日本のシステムというのは、親御さんたちもなるべくいい学校に入りましょう、いい会社に入りましょう、いい会社に入れば生涯雇用は保証されるであろうということは、もう時代が変わったという認識をどこかで私は国民の皆さんに承知をしてもらわなきゃいかぬのではないだろうか、こんな感じがします。これは私の演説ですから、これは聞いておってください。このことについての特別のコメントをいただこうとは思いません。また反論もあるかも分かりませんから。
 しかし、明らかに賃金の在り方、労使関係は変わってまいりまして、どちらかといえばもう賃金も年間契約、特にソフト関係にタッチをする人は年間一千万だと、その代わり、もう悪いけれどもフリータイムでやってくださいよと。期待をした労働力を提供しなければ翌日解雇だと。その代わり、また力のある人は一千万の契約をしても千三百万円の契約があるならば途中で契約を解除していい企業に行く。その能力を買われるというような、そういう横移動の私は雇用というものがもう急速にこれは始まってくると思うんです。しかも、それは世界にまたがってそういう雇用というのは出てくる。また、そうしないと私は日本の産業というものは物づくりも含めて生きていけない。ただ、ブルーの場合は別だと思いますよ。ラインは別だと思います。ラインにそんなことをすれば大混乱をするんですけれども、少なくとも基本的な日本の生きる道というのは、私はそういう方向に転換をしていくのではないだろうかと思います。またこれも、もしよければ後で大臣からも御見解を賜りたいと思うんです。
 そこで、時間が過ぎてまいりますので、取りあえず、このリストラの進行というのが各産業、企業において非常に活発に行われております。それで、当然のことながら離職を余儀なくされる方々もあるわけでありますし、政府としても昨年来から再就職のためにいろんな支援を行っていただきまして、補正予算も組んでいただいておるわけであります。あるいはまた、改正雇用対策法に基づいて、再就職の援助計画もやっておみえになるわけでありますが、少し具体的に内容をお聞かせ願いたいと思います。
 私、今朝たまたまラジオで評論家の内橋さんの話を聞いておりますと、非労働力人口というのは非常に増加をしてきていると。この非労働力人口というのはいわゆる失業者の中に現れない数字で、少なくとも約一%はあるんじゃないだろうかというような問題提起をしておみえになりました。いわゆる働く意思のない方ですね。ですからカウントされない。しかし、かなりそれは有能な方々も多いんで、それがちまたにたくさんおみえになることを忘れるなというような趣旨のことを言っておみえになりましたが、そんなことを含めて、安定局長の方から答弁を願いたいと思います。
#80
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今、委員御指摘の再就職援助計画でございますが、昨年十月から施行しております改正雇用対策法に基づいて制度化されたものであります。昨年の十月一日から本年の一月末まで、再就職援助計画の認定企業数、一千三百六十事業所になっております。
 再就職援助計画は、法律上の義務とされておりますのは一月に三十人以上の離職者を出す企業ということで、三十人未満でありましても、任意作成、計画の公共職業安定所への任意承認申請という、二つありますが、一千三百六十のうち法律の義務に基づきます作成、申請が六百七十四、任意作成、任意申請が六百八十六件ということで、ほぼ相半ばしております。この一千三百六十事業所の再就職援助計画の対象労働者、合わせて六万一千余名ということになっております。
 この再就職援助計画は、やむを得ず離職する方々に企業の方から離職前にいろんな支援をするということがポイントでございまして、それにつきましては計画に即して企業が誠実にやる、それに対して国も一定の助成をするというスキームで現在進行しております。
 それから、非労働力人口が増えておるというお話でございますが、御指摘のとおりでありまして、いわゆるディスカレッジドワーカーという、言わば労働市場が非常に厳しいために求職意欲をなくして非労働力化してしまう、こういう方々も統計上は失業者にカウントされませんが、実態を考えれば失業者に近いという意味で、その存在がかなり背景にあって非労働力人口が増えておる。逆に言えば労働力人口が減っているということで、これは経済の正常な状態においてはない事態であります。
#81
○草川昭三君 局長からそういうように非常に、非労働力人口のバックグラウンドというんですか、背景を十分承知をしてみえるわけでありますから、今後の雇用行政に是非とも大きな柱としてそれを立てていただきたいと思います。
 もう時間が迫ってまいりましたので、最後に一問になりますが、どちらかといえば雇用維持というのは積極的な雇用維持というのはないと思うんですね。どうしても消極的な政策しかないと思うんですけれども、この際、積極的な雇用創出、新しく生み出すという政策というものを出していただいて、先ほどもございましたような交付金事業を活用していくべきではないだろうかと思います。この交付金の方の実績状況も含めて、具体的にどんなような事業が行われているのか。少し明るい、いい、納得いく、例えばどこどこの県知事にお任せしたらこういう県ではこういういいことがありましたよ、こちらの市長さんにお任せしたらこんないい例があったよという例を二、三挙げさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#82
○政府参考人(澤田陽太郎君) 昨年の第一次補正で予算措置されましたいわゆる三千五百億円の緊急雇用創出特別交付金事業でございますが、この一月から順次各都道府県、市町村で実施されております。
 平成十三年度、十四年度、十五年度とこの三か年度分でございますが、平成十三年度は一月から三月までの三か月間の短い期間でございまして、全国で百億円、約二千の事業が企画され、それで一万九千人ほどの雇用創出を見込んでおります。
 具体例、草川委員から紹介というお話がございましたので幾つか申し上げますと、これは和歌山県の事例でございますが、環境分野ということで熊野古道、旧跡でありますが、ここの周辺の良好な景観を作っていく、そして快適な森林環境を確保していくという意味で、この交付金事業が使われております。
 それから、岩手県におきましては、教育・文化分野におきまして、これは小泉総理が一つの推奨メニューとして言っておられたものでありますが、実社会で豊富な経験を持っている社会人を教育補助者として採用して学校に配置して児童生徒のいろいろな指導に当たるということをやっております。
 それから、愛知県では治安、防災という分野におきまして小規模の雑居ビルの防災対策、安全対策という観点から、助言、指導を行う専門の指導員をこの交付金事業で雇って巡回指導等を行っておるという例がございます。
 それから、この地域交付金はあくまでもつなぎの雇用創出ということでございまして、草川委員御指摘のように、本格的な雇用創出ということにつきましては厚生労働大臣、平沼経済産業大臣が昨年八月合意いたしまして、地域において実情に即した形で本格的な雇用創出をやっていかなければ駄目だということで地域産業・雇用プログラムというのを作りまして、私どもの出先、地方労働局と経産省の地方の経産局が連携して、都道府県、関係事業団体等々と協力しながら地道な努力を重ねているということでございます。
#83
○草川昭三君 分かりました。
 終わります。
#84
○委員長(阿部正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#85
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開させていただきます。
 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○山本孝史君 民主党の山本孝史でございます。時間が限られておりますので、早速質問させていただきたいと思います。
 最初は、在外被爆者への援護法の適用問題でございます。
 これ、端的に申し上げまして、課題を積み残したままで政省令を改正をするのかという思いがいたします。結局、手帳を持っていても外国ではそれは通用しないという内容での政省令の改正をされるそうですけれども、私は、まずこの課題を積み残したままでの政省令はまず待っていただいて、大臣御自身も課題があると、こうおっしゃっておられるわけですから、ここは早計にこういう改正に踏み出すべきではないと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
#87
○国務大臣(坂口力君) この在外被爆者の問題につきましては、昨年後半から検討会等も作りまして、そこでいろいろ議論をしていただいたところでございます。第一段階としまして、今年の予算におきましても、外国から日本にお見えをいただいて、そして皆さん方に健康診断等を受けていただく、そうした予算を組んだところでございますが、御指摘のように、その次にどうするかということが最大の課題であるというふうに思っております。
 しかし、そうはいいますものの、一遍、今度お見えになりまして、そして日本を離れられます場合に、またそのお見えになった国にお帰りになりますときに、例えば一か月なら一か月日本にお見えになって、そしていろいろの検査等もお受けになった、そしてまたブラジルならブラジルにお帰りになりますときに、今まででございますといわゆる健康手帳の問題が、それがあったわけでございまして、いろいろの今までの問題がある。そうしたこともございますので、日本を離れますときに届け等の手続規制を整備をして、その所在を把握できるようにするというようなことについては少しこれは変えておかないと具合が悪いというふうに思っておりました、これは予算との関係でございますが。
 そうしたわずかなことはございますけれども、しかし一つの大きな方向性としては、それぞれの大きな方向性としては、今御指摘のように、今後どうするかという課題を決定をして、それでそれに沿って改革をしていくべきものと、そういうふうに思っております。
#88
○山本孝史君 検討会をお作りになった大臣のお気持ちがあったというふうに思いますし、私も検討会、できるだけ傍聴させていただきました。出てきました検討会の報告は検討会の中で話されていた趣旨とあるいは大臣が検討会をお作りになったその意図と随分私は懸け離れた内容であったというふうに思います。
 結局、日本に来て被爆者手帳をもらって被爆者援護法の対象になって、じゃ外へ帰るときに持って帰っていただいて結構ですよ。帰った国の先で別にそれは何にも生きないわけですね、それに対する手当も何にもないわけですから。言わば、あなたは日本に来られた来日記念に被爆者援護手帳を持って帰りなさいと、そっちで持っていなさいと。所在の把握ぐらいはそんなの別に手帳を持っていようが持っていなくたってできるわけで、何かおっしゃっておられることは私は違うと思うんですよ。
 そういう意味で、閣議後の記者会見で大臣御自身おっしゃったように、今回のこの十四年度予算の措置は第一段階なんだと、まだ積み残しの課題は一杯あるんだと、それについては早急に結論を出したいというふうに思っているんだと、こうおっしゃっておられるわけですから、まだ結論が出ていない、課題を積み残している中で政省令を改正して、この原爆手帳の効力が外国でなくなる、何も現状変わるわけじゃないんですから、そういう意味ではやっておられることは私はおかしいというふうに申し上げているわけです。御答弁の内容は違っているというふうに思いますが。
 時間もありませんので併せてお伺いをしたいと思いますけれども、外国におられる方たちに健康管理手当あるいは保健手当に類する手当を出したらどうだというのが検討会の中でも議論が出ておりました。そういう声が被爆者団体からも、日本の被爆者団体からも私は出ているというふうに思います。
 そういう意味で、そういった手当の支給を検討されてはいかがかというふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
#89
○国務大臣(坂口力君) その辺のところが一番中心課題でありまして、これから先、個々人に対しまして手当に匹敵するものを出すのか、それとも今まで韓国にしてまいりましたように国別に、それぞれの国に対して何らかの措置をするということの方が妥当なのか、その辺が最終課題であるというふうに思っております。それはしかし、それももう早くやらないといけないというふうに思っておりますが、それらのことをやる中の一つの選択肢として、今、先生が御指摘になりましたようなことも選択肢の一つとしては存在するんだろうというふうに思います。
 今、在外被爆者が多くおみえになりますのは韓国、北朝鮮、そしてアメリカとブラジル、この四か国が一番多く、そのほかのところが少しずつおみえになるということでございまして、そしてそれら主なこの四か国だけを見ましても、それぞれの国によって考え方も違うということもあるわけでございます。
 特に、アメリカ辺りにおみえになります方は、治療費といっても、そんなのはもうこちらの方で十分できるし、するから、どうこうということはないと。日本にまでわざわざ行って治療を受けなくてもいいと、こういう御意見もあるわけでございます。国によりましてかなり違いもある、その辺のところを一体どうするかといったことをよく理解をしながら最終的にどうするかということを決めなければならないというふうに今思っております。
#90
○山本孝史君 高齢化しておられますし、遠いですから、向こうから日本に来られるという方はこれから先は少なくなっていくだろうというふうに思うわけですね。
 もう一遍聞きます。
 検討課題を残したままで政省令を改正されるのか。
#91
○国務大臣(坂口力君) ですから、政省令の改定といいましても、それは部分的なものでありますから、大きな流れには影響しないようにしていきたいというふうに思っております。
#92
○山本孝史君 ブラジル、アメリカにおられる方は日本の方でいらっしゃいますし、裁判も次々と起こされておられます。高齢の方にこれ以上御負担を掛けるようなことのないように、厚生省として早く結論を出していただきたいというふうに思います。
 次の問題に参りたいと思います。
 いろいろ私のところにも問い合わせがございます。今年の看護婦試験でございます。随分と、ここしばらくの年数の合格率見ておりますと、一〇〇%近い年もあれば八〇%台というところもございます。五万人が受けて四万人少ししか通らないという年もあれば、ほとんどの方が通るという年もある。なぜこんなにばらつきがあるんだろうというふうに思います。
 明確な合否の基準をお作りになって公表されるべきだというふうに思います。
#93
○副大臣(宮路和明君) 最近における看護師の国家試験の結果の状況でありますが、今御指摘のように、例えば平成十三年、それから平成十年は八三、四%、平成十一年、十二年は九六、九七%台と、こうなっております。
 そこで、今御指摘の合格の基準でありますが、看護師の国家試験の合格基準につきましては、規制改革の推進三か年計画にのっとりまして今年度から合格水準は発表を公表するということにいたしておりまして、今年につきましては三月二十九日、来る三月二十九日の合格者の発表と同時に行う予定といたしております。
#94
○山本孝史君 この際、厚生省が所管しておられます各種国家試験について、その受験状況、あるいは合格率の内容、そして、それに合格基準についてこれを作成をしてこの委員会に提出をしていただきたいというふうに思います。
#95
○委員長(阿部正俊君) 厚生労働省、いかがでございますか。
#96
○副大臣(宮路和明君) 各種試験の合格率の関係につきましては今手元に持っておりますけれども、その基準とかあるいは全体の受験者あるいは合格者の数についてはちょっと持ち合わせておりませんので、追ってまた御相談をさせていただきたいと思っております。
#97
○山本孝史君 委員長にお願い。ちゃんと出させるようにしてください。
#98
○委員長(阿部正俊君) また、じゃ、それは理事会で皆さんと話した上で、厚生労働省にもどういうふうな形で対応できるか御返事いただければというふうに思います。
#99
○山本孝史君 関連してですけれども、看護婦等の人材確保の促進に関する法律があります。「看護婦等」となっております。保助看、全部入っていますね。ですけれども、基本指針を見ておりますと、ほとんどが看護婦の記述に偏っております。
 この際のことなので、私は、対象に作業療法士とか理学療法士等を加えて、そしてそれぞれの医療従事者の役割等を明確にしながら、どういうふうに確保していくのか、どういうふうに配置をしていくのかといったことについて国の方向性をしっかりと示されたらどうだろうというふうに思います。
 加えるということと、そしてそういうことを検討されるかということ、御答弁をいただきます。
#100
○副大臣(宮路和明君) 御指摘の看護師等の人材確保法、人確法でありますが、これは平成四年に制定をされておるわけでありますけれども、御案内のように、当時、看護職員につきましては大変、看護職員の確保の問題が大変重要な課題となっておりまして、私も初当選してまいりまして厚生委員会に当時所属しておったわけでありますが、非常に看護職員の資質の向上及び確保の問題が大変大きな政策課題にもなっておりましたし、またその業務については夜勤等の特殊性を考慮した特別の成果が必要であるというようなことが議論されまして、そういう中からこの法律ができてきたというふうに承知をいたしておるところであります。
 ところが、理学療法士や作業療法士でありますが、こういった職種の方につきましては近々いずれ需給の問題も均衡するというふうな、そういう状況になるだろうというふうにも予想をされておるところでありまして、今申し上げました看護職員とはその取り巻く状況が違っているんじゃないかなというふうに考えておるところでありますが、いずれにしましてもこういったコメディカルの職種の皆さんが果たす役割の重要性、そういうものをしっかりと踏まえながら今後ともその養成確保や適正な配置等には特段の努力を払ってまいりたい、このように思っておる次第であります。
#101
○山本孝史君 数がそろったからそれでいいという話ではなくて、基本指針は数だけの話ではなくていろんなことが書いてあるわけですから、そこを見直せと私は申し上げているわけです。要らぬことを答弁するから、副大臣、答えなくていいですから。私、求めていません。
 ヤコブ病の薬害関連について御質問します。
 一律に三百五十万円支払うというふうにお決めになって和解を受けられたことは私はそれなりに評価をしておりますけれども、この三百五十万円はいかなる性格のお金なのか明確にしなければいけないと大臣もおっしゃっておられますし、明確にしていただきたいというふうに思います。
#102
○国務大臣(坂口力君) ヤコブ病訴訟につきましては、東京及び大津の地方裁判所から和解勧告が出まして、それによって和解が現在進んでいるところでございまして、間もなく和解が成立するものと期待をいたしております。
 その中で、この裁判所から示されましたものの中に三百五十万円、これはいわゆる和解金として、和解金という範疇の中の一つとしてこの三百五十万円というのがあったわけでございまして、それ以上に具体的にこれがどういうことかということを裁判所も示しておりません。そこはなかなかいわく言い難いと。しかし、これは国がすべての人に支払うべきだと、こういうことなんだろうというふうに思います。
 したがいまして、裁判所が具体的にこれはどういう内容のものだということを具体的に言わずに、広い意味での和解金の中に入れてお示しになったその御趣旨というものも我々は尊重をしながら、しかし我々としては対応したいというふうに思っていたわけでございますが、しかし国といたしましては何らかの名目を付けなければ、これは国民の皆さん方の税からお支払をさせていただくわけでございますので、何も、何のために使われるのかということが分からないままではこれはいけない、そうした意味を含めまして弔慰金又は見舞金的な性格のものと、こういう位置付けをして、そして我々はそういうふうに理解をさせていただいて、そして合意をさせていただいた、こういうことでございます。
#103
○山本孝史君 弔慰金又は見舞金的なものと「的」を付けておっしゃっておられるんですよね。責任の言葉、謝罪を云々というわけじゃありませんが、これは見舞金的なものですと言って渡された側だって一体それは何だというふうに思うわけですね。それで、国民がじゃ税金の使われ方として納得するかというと、私はやっぱり納得しないんだろうと思います。
 先ほど和解の中なので和解金というふうにおっしゃいましたけれども、和解金という認識をお持ちなんでしょうか。
#104
○国務大臣(坂口力君) いや、それは和解金の中の一部にこれが入っていることも事実でございます。
#105
○山本孝史君 和解金ということは、和解してくれということだから、こっちが悪かったということにつながっていくわけですね。
#106
○国務大臣(坂口力君) この裁判の和解勧告、そしてこの和解勧告はいつもここで議論になるわけでございますが、いわゆる法的責任の存否を超えてということで和解を、和解勧告を出されました。その中でいろいろの双方の意見を聞きながら、そしてその結果としてこういう最後の調停案を裁判所がお示しをいただいたわけでございますから、その御趣旨というものを十分に尊重をして我々はこれに応じるということにしたわけでございます。
#107
○山本孝史君 いかなる趣旨でお支払になるかというところがやはり今の説明では分かりませんし、その形で支出をするということが私は薬害の被害者に対する国の救済にかかわる姿勢を変えられることになるのかなと、そこのところがどうなんだろうと思うものですからしつこくお伺いをしているわけですね。
 五十四年に薬事法が改正されて、そこ以来国の責任ははっきりしてきたわけですけれども、今度の訴訟の和解の内容は、いつから責任が発生したか、すなわちいつの時点で国が認識をしたかということを争っていたのではごちゃごちゃして長く掛かるので、被害者のこの非常に厳しい状況を見て、そこはいつからということについての法的な責任は問わないで、遅くとも八七年二月には分かっていたはずだと。すなわち、その前にも分かっていたはずだと言いながら、いつからだということは、ここは争っていることではなくてお互いに和解をしようと、こういうことになったんだと思います。
 その背景を考えると、そうすると国が承認した医薬品、あるいは後で問題になります医療用具等々について被害が起きた場合は国は責任はあるんだということを明確に改めて示したというふうに思うわけですね。
 そうすると、その話はほかの薬害の皆さんにも併せてつながる話なのか、あるいはいつからかしかそれはつながらない話なのか、後でお伺いしようとしておりましたスティーブンス・ジョンソン症候群の被害者の方たちに対する姿勢はでは国はお変えになるのか、そこのところをお伺いをしたいわけです。
#108
○国務大臣(坂口力君) そこが一番、この和解の一番難しいところだったわけで、裁判所の方は何年何月からが責任があって何年何月までは責任がないということを明確に言うことができないから、そこのところを明確にしないままでひとつ今回の和解をやろうじゃないかと。多くの皆さん方の窮状を察すると、長く裁判をしているということは見るに忍びないと、こういう御趣旨なんだろうというふうに思うわけです。
 だから、よく言われますように、一九八七年、第一例が出ましたそのときから国が責任があって、それまではないんだといったようなことをあからさまに言ってしまうと、これは和解がなかなか成立をしない。原告の皆さん方の方は、それじゃもう始めからしまいまで全部国の責任だというふうに言われてしまうと、国の方としてもなかなかそこは受け難いところがある。そうしたところを双方勘案をして、そしてひとつこの法的責任の存否を超えて和解をしようと、こういう呼び掛けをしていただいたと。だから、我々もその趣旨というものを、その裁判所がお考えになっているその気持ちというものを十分に我々も尊重して、そしてこれは和解をしなければならないということに踏み切ったわけであります。
 ですから、そういうことでありますから、この三百五十万というのも、非常にこの趣旨というものは不明確であるかもしれないけれども、しかしそこは和解金の中の一部に入っているということをよく理解をしながら我々もこれに対応をしたということでございますから、そこはこれは山本先生もひとつ理解をしていただきたい。我々も、だからそれは駄目だということを言っているわけではなくて、和解金の一部に入っているそのことを十分理解をして、そして我々はこの和解勧告を受けさせていただいたということですから、ここは理解をしていただきたいと思います。
#109
○山本孝史君 和解案を受け入れられたことは評価をしておりますと冒頭申し上げました。
 私が御質問申し上げているのは、ある時点で国が薬として、医薬品として承認をしますね、それが使われていくどこかのところで危険だということが分かった、それに応じて国は適切な措置を取らなければいけないと、こうなっているわけですが、ここのところを今争わずに、ここは争っちゃいけないよということだったわけですが、そうすると、それで三百五十万円をお支払いになるということは、危険な情報が出てこなくても医薬品を承認したということそのものにおいて既に国は責任を負っているんだと。したがって、そこにおいて見舞金あるいは弔慰金、見舞金的なものというものを今後ともに支出をされるというふうに国は姿勢をお変えになったのかというのが私の質問なんですが。
#110
○国務大臣(坂口力君) そこは、脳硬膜というものを国が承認をして、そして脳硬膜を承認したそのことによって、その脳硬膜をお使いになって手術をなすった皆さん方にほかの皆さん方よりも優位に高くそこから発病をしているという事実は、これはやはり脳硬膜が影響したということを取りも直さず示しているというふうに思うわけです。
 それは、国の方が承認をしたその脳硬膜を使って、そしてその中から病気が発生をしたということは、これはその当時こういう病気があるとかないとかというようなことが分からなかった時代でありますから、非常にいろいろの事情があって難しいとは思いますけれども、国が承認をした中からヤコブの皆さん方は発病をしておみえになるということは、これは明確になっているというふうに私は思います。
 ですから、その明確な皆さん方に対して今回は争われているわけでありますから、そのことは我々も十分に理解をして今回のこの和解に踏み切ったと、こういうことでございます。
#111
○山本孝史君 国が承認したものによって被害が生じたんだと、だから国はその裁判において和解に応じているんだと、こういう話ですよね。
 スティーブンス・ジョンソン症候群も一般の風邪薬なり、あるいはお医者さんで処方される抗生物質なり、様々な薬で起こりますね。厚生省の調査でも、たしか三年間で八十一人が亡くなっておられたというふうに思いますけれども、因果関係ははっきりしているわけですね。例の医薬品副作用被害救済基金ができてからは、ここは製造者責任といいましょうか、薬会社が出しているお金で救済をするんだということになっております。しかし、薬の承認はもっと前なわけですね。
 じゃ、この間について、五十四年の薬事法の改正ありますけれども、その薬事法の改正にかかわらず、国は医薬品を承認したということにおいて、そこから起きる被害について一定の責任を持つという御答弁をされておられると理解してよろしいんですね。
#112
○国務大臣(坂口力君) ヤコブの問題と、そしていわゆる副作用、薬の副作用の問題とは若干私は違うと思っています。
 今回のヤコブ病でありますとかあるいはHIVでありますとか、こうした病気は、国が認定をいたしましたものの中から、それはその副作用として起こったといいますよりも、そこから新しい病気が発生していったと。そのことを、それはそういう病気が発生するとは思わなかったというふうに理解をいたしておりますけれども、しかしそこから新しい病気が発生をしていったということでありますから、このことと、そしていろいろの薬を飲みましたときにそこから起こります副作用の問題とは少し違う、これは私は少し分けて考える必要があるのではないかというふうに思っております。
#113
○山本孝史君 薬の副作用の、その薬の副作用をどう承認したかというのはこれまた難しい話ですから、今日これ議論しておりますとあれですし、薬事法の改正が後でもう一遍控えていますので改めて議論させていただきたいというふうに思いますけれども、私は、大臣の御答弁を前向きにとらえれば、承認した以降の国の役割というものがあるんだということを明確におっしゃっているんだと、私はそういうふうに前向きに受け止めをさせていただきたいんですけれども。
 それじゃ、もう一つお伺いしていきたいというふうに思いますけれども、今、薬害と副作用は違うと、こうおっしゃいましたね。何か、医療用具というか、今度の硬膜の話でそうおっしゃったわけですが、新聞を読んでおりまして、まだ詳細を確認しておりませんけれども、三月十六日の朝日新聞を読んでおりますと、CDCが、アメリカの組織バンク、人体組織バンクから提供を受けた人体組織によって、非常に少ないんだけれども感染症を発症して一人亡くなったという記事が出ておりまして、私も詳細は確認はしておりませんけれども、今後ともにこの人体組織を使っての治療行為が行われた折に、それによって被害が、今度の硬膜と同じような被害が生じるおそれは大いにあり得るわけですね。
 そういう意味で、医薬品副作用被害救済基金、救済振興基金法でしたっけ、の内容を単に薬だけじゃなくて医療用具も含めて救済の対象にするように法律改正をしたらどうだということで私たち野党四党で共同で提案をさせていただいているわけですけれども、そういう意味で、今、大臣いみじくもおっしゃいましたよね、硬膜という、物が違う、薬ではないと。人体、ヒト由来のこの組織ですね、それによって起こる被害を救済するために考えられる手だてとすればやっぱり救済基金法の改正というもので医療用具を使った場合も含めるべきだと私は思うんですけれども、大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
#114
○国務大臣(坂口力君) ここはこれから十分に気を付けていかなきゃならない点だというふうに思います。今までよりもより厳しくここは見ていく必要があるというふうに思いますし、これから様々な人間の一部を利用して、そして医療にそれを使うといったことが起こってくるだろうというふうに思いますから、それらを含めまして、そしてこれからそうしたときにはどういうふうにするかといったことをまとめなければならないというふうに思っておりまして、現在その検討会を続けているところでございまして、間もなくもうこの検討会も結論が出るというふうに聞いております。
 これを早く、そうした意見も充分に聞きました上で、制度が早期に創設できますように最大限の努力をしたいというふうに思っているところでございます。
#115
○山本孝史君 私たちも不十分かもしれませんが法律を出させていただいておりますので、是非議論をしていただいて早急に対応していただきたいというふうに思います。
 ヤコブについてもう二つだけ関連してお伺いをしておきたいと思います、質問の順番が入れ替わりましたけれども。
 大阪府の守口市の女性の方が同じように硬膜を移植をされてヤコブで亡くなったということが新聞で報道されました。これは厚生省の調査に載っていない患者さんでいらっしゃいました。そういう意味で、今後ともにそういう患者さんがたくさん出てこられるというふうに思っているわけですけれども、まず一つは、今、厚生省がお持ちになっておられる輸入業者からの使われた先、納付先の医療機関リストを持っておられるわけですから、そういったところで患者さんの追跡調査を早急にやっていただきたい。カルテがなくなる前に是非やるべきだというふうに思いますことが一点と、もう一点は、今後新しい患者さんが出てこられたときに、今度の同じスキームでその患者さんたちもこの補償の対象となるのかということの二点について御答弁をいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(坂口力君) その前半の話でございますが、いわゆる非加熱性の脳硬膜というのは二十数万枚輸入されたということになっております。それがどれだけの人に一体使用されたのか。一人に何枚も使用されたということもございましょうし、その枚数と人の数、患者さんの数とは必ずしも私は一致しないというふうに思いますが、かなりの人がお受けになっていることだけは事実だというふうに思います。
 その人たちが名前を確定できるかということでございますが、これはもうかなり古いものもあるわけでございます。一九七三年に承認をいたしておりますから、それからでございますので古いものもあります。ですから、中にはもうカルテも、これは当然のことながら五年を経過しておりますからなくなっている、そうしたものもあるわけでございまして、そこを全部が全部なかなか確定できないというのが現在の我々もつらいところでございます。
 しかし、できるだけそうした手術をなすったところにつきましては、カルテを五年を過ぎても保存をしてほしいということを皆さんにお願いをしているところでございますし、できるだけ保存をしていただいて、そして古い皆さん方もできるだけそれが確認ができるようにしていきたいというふうに思っておるところでございますが、今のところそれが確実にこれこれの人にこれが全部使われましたということは、早い人もありますので、その人たちは分かりにくいという面がございます。
#117
○山本孝史君 確実に全員が把握できるというふうには思いませんけれども、カルテの保存をお願いをしていると、できるだけ確認をしていきたいというふうにおっしゃいましたので、そのような取組をしていただけるものだというふうに理解をさせていただきたいと思います。
 後段の部分、補償されるかどうかという点はどうなんでしょうか。
#118
○国務大臣(坂口力君) これは多分、今回の和解の中の一項目になってくるだろうというふうに思っております。今協議をしていただいておりますので、その結論に従いたいというふうに思っておるところでございまして、間もなくその結論も出されるだろうというふうに思っております。
#119
○山本孝史君 同じような移植絡みの話でございますけれども、臓器移植ネットワークという団体がございます。聞いておりますと、大変に国の方の補助金が減ってまいりまして、七か所ありましたコーディネーターの移植ブロックセンター、三か所に統廃合する、あるいは普及啓発活動を大幅に削減をする、移植を受けた患者さんからあっせん料を徴収するというような案を打ち出されているようでありますけれども、今後ともこの移植ネットワークに対する補助金は国としては削減をするというお考えなんでしょうか。ネットワークの安定的な運営についてどのような方策を講じていかれるお考えなのか、お伺いをしたいというふうに思います。──要らないよ、指名していないもん。こういうのにちゃんと答弁してくれないんだもん。時間だけ掛かるような答弁しないでください。
#120
○副大臣(宮路和明君) 御指摘のように、今年は政府全体の国庫補助金を受けている民間法人への補助金抑制という、そういう方針にのっとって一定の削減をさせていただいているところでありますが、今後の取り扱いにつきましては、我が国において臓器移植ネットワークが果たしている臓器移植を円滑に推進していく上での大きな役割、そういうものを十分認識をいたしまして、引き続きネットワークにおける効果的な体制整備等についてお願いいたしますと同時に、厚生労働省としましても、今後とも事業内容を精査して必要な経費が確保できるよう十全の努力をしてまいりたいと思っております。
#121
○山本孝史君 事業内容を精査してと。
 私の質問は、今後補助金が今年の額よりも増えるのか減るのかという話なんです。
#122
○国務大臣(坂口力君) これは例えば骨髄移植なんかのことを言っておみえになるんでしょうか。
#123
○山本孝史君 骨髄移植は次の質問で、今は臓器移植ネットワークの方をどうするんだと。すなわち、補助金が大幅に今年減らされていますよね。私の感覚からしますと、要は、ある特定の篤志家の方が一生懸命頑張ってお作りになってきて、本来移植ネットワークというものは臓器移植を進める上で中心的な役割を果たすはずなのに、そこに対して国は責任を取らないで補助金は減らすばかりで、結局業務を縮小して何とか帳尻合わせをするわけですよね。あっせん料で十万円を取ると。私は、臓器を移植してもらってあっせん料で十万円取るというのは、じゃ、何だ、それは十万円の話なのかというふうにも取られかねない話ですから、そんなことはやめた方がいいと思っているんですが、国が補助金を減らすもんだからどうしようもなくなっちゃっているわけですよ。
 だから、ある意味ではぽんとほうり出してしまって、そして後はこの補助金は国が方針だから減らしていくということでいくのか。いけばどんどんどんどん帳尻合わなくなるじゃないか、こういうふうに思うわけで、まずは移植ネットワークをどうするか。
#124
○国務大臣(坂口力君) 分かりました。
 臓器移植等にいろいろの団体が御努力をいただいておりますことは十分に分かっておりますし、そしてそこが財政的にも非常に厳しい状況になっておりますことも聞いているわけでございます。そうした各種団体がこれから従来の仕事を続けていただきますためには、もちろん国の方もここは補助をしていかなければいけないというふうに思いますが、それぞれの団体もひとつ御努力をいただいて、独自のひとつ御努力もいただきたいというふうに思っているわけでございます。
 しかし、トータルで申しますと、これらのところをだんだん切って、そして国の方が手を引いていこうというような考え方は持っておりません。これは次に御質問いただくというふうに言っておみえになりますが、骨髄移植の問題も同じでございまして、そうした各種団体がこれからどのようにやっていけるかということにつきましても御相談に乗せさせていただいて、そしてこれからそこが、安定的にその団体がお仕事をしていただけるように我々も努力をしたいと思っているところでございます。
#125
○山本孝史君 臓器移植ネットワークは、成り立ちは大臣も御承知のとおりだと思いますけれども、ここで国が補助金を切ると私はほとんど運営が成り立たないだろうというふうに思います。
 骨髄バンクの方のお答えをしておられるので骨髄バンクについてお伺いをすれば、骨髄移植の推進財団が、ここも財政ピンチでして、基本財産を取り崩すということになりましたね。財団法人で基本財産を取り崩すというのはよほどのことがなければそんなことにはならないわけで、その原因といえば国が補助金を減らしたからと、こういうことになるわけです。臍帯血バンクの方は補助金は大幅に増えておりますけれども、これも来年以降はどうなるか分からないというふうに聞いておりますので、お答えしていただきそうなんですが、骨髄バンクの運営に関してどうするのか、今移植ネットワークはそういう御答弁でしたけれども、これも同じ御答弁になるんでしょうか。
#126
○国務大臣(坂口力君) 骨髄バンクにつきましては、いろいろと御相談に実は今乗っているところでございますが、かなり財政的に厳しい状況でおみえになるということもお聞きをいたしております。それで、これからの在り方というものをもう少し具体的に御相談に乗せさせていただきたい、今まで以上に御相談に乗せさせていただきたいというふうに思っております。
 この皆さん方はいわゆる保険点数として認めてほしいということをおっしゃるわけでございますが、骨髄バンクにいたしましても、大体年間五、六百人、現在のところでございますと千名以下でございますから、お一人の方にかなりな保険点数を付けたといたしましても、これは全体の数が少ないですから、それによってこの団体が運営が可能になるとは私は思いません。そのことを団体の皆さん方にも申し上げているわけでございます。
 それよりも、今までお作りになりました団体をこれからどう運用をしていくか、どう持続をさせていくかということを御相談に乗せさせていただく方がそれは大事ではございませんかということを先日も申し上げたところでございまして、この夏までの間にそうした皆さん方の御要望も十分聞きながら、今後の在り方について十分我々も相談に乗せさせていただきたいというふうに思っております。
#127
○山本孝史君 それぞれの団体の誕生からの今日までのいきさつがあって、議論がいろいろあるんだというふうに思いますけれども、国というのはお金は出すけれども口は出さないというのが一番いいと思っていますけれども、うまく、ここは限られた資源をどうやって運用していくかということですから、骨髄バンクについては何か温かい御答弁で移植ネットワークは冷たい御答弁だったかなというふうに思いますけれども、移植ネットワークの在り方そのものをよく考えていただきたい。
 それから、先ほども申し上げましたけれども、人体組織バンクという問題も、先ほど感染が起きましたよということを申し上げたわけですけれども、こちらの方も今後どういうふうに作っていくのか、早急に御検討して対処していただきたいというふうに思っております。
 それから、今国会の委員会で随分議論になりました救急救命士の話でございますけれども、救急救命士というより私は救急医療体制そのものをこの際抜本的に見直しをして、必要なことはやっていくべきじゃないかなというふうに思っているわけです。
 厚生省の救急救命士の業務拡大に対する取組がなぜ遅れたのかなというふうにも思うわけですけれども、今般、救命救急センターについて、その設備を基準にしてAからCのランクを付けられましたよね。それによって診療報酬の点数も変えるというふうにされたわけですけれども、何を、実際に私たちのところの手元に来ております資料は各救急救命センターがAからCになっているだけで、なぜAからCになったのかということが私たちには分からないわけです。
 お願いは、一つは、設備面での相対的な水準を知り得るようなこの救急救命センターにかかわるところのデータを出していただきたいということと、これは時間が掛かると思いますけれども、医療面におけるところの救急救命センターの診療水準といったものがどうなっているのか、ここのところの調査をしてぜひ公表していただきたい。この二つをまずお願いをしたいと思います。
#128
○国務大臣(坂口力君) 我々が持っておりますデータはできるだけそれはお示しすること、決してちゅうちょするものではございません。
 それから、現在の水準がどうなっているかということは大体把握できていると思いますから、これもお示しすることができるだろうというふうに思います。
 かなり地域差というものが非常に大きいことも事実でございまして、そうしたことも、都道府県におきます格差もございますし、地域におきます格差もございますから、それら点の大枠は把握をしているというふうに思っておりますので、それはお示しできるだろうというふうに思っております。
#129
○山本孝史君 私の部屋に来てくださる御担当の方にお伺いすると、この診療水準というものについては実はデータがないのでと。
#130
○国務大臣(坂口力君) 診療水準。
#131
○山本孝史君 診療水準の部分はデータがないとおっしゃいましたので、ただ国民の側が知りたいのはやっぱりその診療水準の部分だというふうに思うものですから、ぜひ調査をしてデータを出していただきたいというふうに思います。
 それから、この際にと申し上げたのは、これは私の手元にありますのは平成七年七月の旧総務庁の行政監察局がやりました救急業務及び救急医療業務に関する行政監察の結果報告書というのがあります。七年七月の報告になっていまして、実際に調査をしましたのは平成五年のたしか十月―十二月だったというふうに思いますけれども、のところで調査をしたんですね。ここに実は救急医療業務について改善しなければいけない点がいっぱいあるよということでいろんな指摘、勧告をされたわけです。それを受けて厚生省も、それから旧自治省もそれぞれに検討会等々を作ってどうしていけばいいかということをやってきたわけです。かねて問題になっています救急救命士の業務拡大の話ももうとっくの昔に実は問題になっていて、それへの実際の取組が遅れてきたというのが私は実際の姿だというふうに思っているわけです。
 そういうふうな点から見ていますと、今、例えばこの勧告にも触れられましたけれども、四十二あります国立大学の医学部で救急医学に関する講座を持っているのは三十しか大学持っておりません。公立、私立大学の状況は担当に聞いても把握はしていないと、こういうことでございました。大学附属病院が救急救命センターとして機能すべきだというふうに言われておりますけれども、どの程度そこが機能しているかということも実は分からない。
 二次医療圏ごとに設置を求められております救急医療体制に関する協議会というのがあります。今度また新たな協議会をおっしゃっておられますけれども、平成九年の調査では三五%しか設置されていない。その後の状況はどうですかというと、その後は調査をしておりませんので分かりませんと、こういうふうなお答えでございました。
 すなわち、今の救急医療業務がどういうふうな状態になっているのかということについての最新のデータを実は厚労省はお持ちになっておられない。これは総務省の消防の方も同じだというふうに思うんですね。
 まず、やはりそこをきっちりと洗い直しをするということと、是非、総務省と一体となってこの救急医療体制、これまでのいろんな検討会なりいろんな報告なりがある中で出てきている課題をちゃんと精査をして、整理をして、それで、これはこういうふうにできる、これはこういうふうにできない、こういう課題があるんだというようなことを是非整理をした資料をこの委員会なりに私は出していただきたいというふうに思うわけです。早急にそういう資料を整理して御提出をいただきたいということでお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#132
○国務大臣(坂口力君) 先ほど私少し間違えまして、私が先がた申し上げましたのは、救急救命士がやっております救急のところの程度がどれだけ行われているかということだというふうに思いましたので申し上げたわけでございますが、もう少し広げましてこの救急救命全体のところがどう把握されているかということのようでございますから、そこは先ほど御指摘をいただきましたように十分に現在把握のできていないところもあるだろうというふうに思っております。
 これは御指摘を受けるまでもなく明確にしていかなければなりませんし、小児救急の問題も今手掛けておりますので、これらの問題をひとつ各都道府県あるいは二次医療圏でどういう状況になっているかといった程度のことはやはり把握をしなきゃいけないと思いますから、早速に把握したいというふうに思います。当然のことながら、それは把握できましたら皆さん方にもごらんをいただければというふうに思っている次第でございますが、問題は、今御指摘のありましたように、大学病院でありますとかあるいは国立病院、いわゆる国公立病院とこの救急体制の関係、こうしたことも、これはもう少し整理をして、そしてこうしたところがやはりもう少し積極的に救急医療にも携わっていくようにしなければいけないというふうに私は思っております。
 ややもいたしますと、私立の方にお願いをして国公立の方がどうも手を引いているのではないかという、そういう御批判もあるわけでございまして、私はそこは甘んじて受けざるを得ないというふうに思っているわけでございます。だから、その辺のところも改善をしていかなければなりません。
 近く、近くと申しますか、もうすぐでございますけれども、これは文部科学省と連携をいたしまして大学病院におきます医療の在り方というものについて早急にひとつその在り方を我々も検討をしたいというふうに思っているところでございまして、そうした中でこの救急医療の問題も取り上げていきたいと考えているところでございます。
#133
○山本孝史君 そういう意味ではデータがないということをまたお認めになっているわけですけれども、データの部分もありますけれども、いろいろこれまで言われてきた課題をちゃんと整理して、なぜできなかったのかと、なぜ救急救命士に業務拡大できなかったのかといえば、研修体制が作れなかったとかお医者さんの協力が得られなかったとか、あるいはいろんな問題があるわけでしょう。だから、そういったものをちゃんと整理をして、それで先に行くと。もう検討会幾らやっても仕方がない話なんで、平成五年から考えたら、もう十年近くたって実は何も進まなかったというのが実態なんですから、この際、そういうものを作っていただきたい。
 この救急医療体制基本問題検討会、厚生省が作った平成九年十二月の報告書も、救急医療は医の原点であると、こうおっしゃっておられるわけですよね。だから、お医者さんが現場に出ていくか、優秀な救急隊が病院に運んでくるか、どっちかをやらなきゃいけないのにどっちもなくて、ドクターカーも普及しなければ、話をするとすぐ空を飛んでいくような話にしかならなくて、私は地に足が付いていない議論だと思っていますけれども、そういう意味で、ちゃんとやらなきゃいけない課題を整理をしていただいて、それをここへ出していただければ、私たちは大いに検討して、法律が必要であれば法律というのも作りましょうと、こういう話だと思うんで、もう一遍ちゃんと課題を整理してここへ出すということを確約していただきたいんですが。
#134
○国務大臣(坂口力君) 今までほってきたわけでは決してないんですが、いろいろとその対策を講じようとしたんですけれども結論を得なかったというのが正しい過去のいきさつではないかというふうに思っております。
 今まで結論を得なかったのにはそれなりの理由がまたあったんだというふうに思っておりますが、私はこの救急救命士の問題にいたしましても、国民の側から見て何が一番安全に結び付くのかというところを中心にして決定をすべきであるということを先日も今井先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたところでございまして、そういう立場から決定をしたい。いろいろの、それぞれの各種団体、御意見はあるというふうに思いますけれども、国民の側から見て何が安全か、その一点を中心にして結論を出したいと、そういうふうに思っている次第でございます。
#135
○山本孝史君 私が要求しております資料の取扱いについて、委員長の方で諮ってください。
#136
○委員長(阿部正俊君) じゃ、今お話のあった資料について、整い次第また委員会に出していただくようにお願いいたします。
#137
○山本孝史君 済みません、持ち時間がなくなりましたので、お願いだけして終わりたいというふうに思います。
 一つは食品衛生法の改正、五項目挙げられて大変に良かったというふうに思っています。食の安全を確保するために、私は議論が、ラベルの偽装の問題と食品の安全性の問題の議論がごっちゃになっているように思っていまして、その意味で、大臣さっきもおっしゃいましたけれども、そこを整理するということと、さっきおっしゃいましたように、振興する部分と安全性を確保する部分を一緒にしないように、薬害エイズの教訓は是非生かした取組をしていただきたいということが一つ。
 それから、あと労働問題で、今泉先生御質問ありますが、高校を卒業する新卒者の求人状況、非常に悪いわけですね。今度、指定校制だとかあるいは一人一校制だとかということのこれまでの就職慣行を見直しをするというふうにおっしゃっておられるわけですけれども、私は井上義久さんが質問されておられたものを聞いておりまして全くそのとおりだと思うんですけれども、システムを幾ら整備しても、人と人をマッチングさせる話はやっぱり人がやっている話なんで、人がしっかりしないといい結果は出てこないわけなんですね。その意味で、私は、就職慣行の見直しはかえって高校生にとっては大混乱になって、たくさん受けたけれどもたくさん落とされるという形になりかねはしないだろうか、それが働くということをますます嫌気が差すんじゃないだろうかというような思いもしているものですから、慎重なここは対応をしていただきたいというふうに思っております。
 そのことを申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。
#138
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。
 残りの時間をいただきまして、私は雇用問題を中心といたしましてお尋ねをしたいというふうに考えております。
 一月の失業状況が過日発表になりました。厚生労働省からいただいた資料を今手にしているんですが、十二月の五・五%の失業率であったのが一月は五・三%というふうに〇・二ポイント低下をいたしました。表面上、これを受け止める立場としては、下がったということは大変いいことでありまして、ある意味では一息つくのかなという期待を持っているわけでございますが、しかしながら内容をいろいろ見てみますと、厚生労働省の説明にもありましたように、必ずしもどうももろ手を挙げてこれは安心するというような状況にはないようでございます。
 特に私が分からないのは、十二月の場合は男の失業率が五・八でありました。今回、男の失業率が一挙に〇・四ポイントも下がっているわけですね。女性の場合は全く下がっていない。一体これはどういうところから生じているんだろうかなと。むしろ、男性の方が大変就職難で困っていると、就職難で困っているという状況にあるにもかかわらず、この一月の失業率が下がったということ、この統計を見まして、ひっくり返してみましてもなかなか分からないわけです。こういう統計というのは本当に分かりにくいわけでございまして、一体どういうようなからくりがあってこうなったのかなというふうに頭をかしげなきゃならないようなことがいろいろと出てまいります。
 一般的な状況を見てみますと、一月は御存じのように史上最悪と言われるように設備投資の先行指標である機械受注が一五%もマイナスになっている。その他の経済指標を見ましても、一つも好転もしていない。にもかかわらず、一応失業率だけは下がったと。一方、大企業と言われる企業は倒産をして大騒ぎをしたということも聞いておりますし、この辺、労働大臣はどのように分析をし、そして今後の失業率の推移というのをどういうふうに受け止めていらっしゃるのか、まず最初にこの点についてお聞きしたいと思います。
#139
○国務大臣(坂口力君) 確かに最近の雇用に対します統計のいろいろの数字を見ておりますと、その数字と現在の経済の動向とが必ずしも一致をしないことがございまして、なぜこうなったのかということを非常に不思議に思うことが再三ございます。
 この現在の雇用に関係いたしますところの数字は、まあそうした多少の上下のぶれというのは、これは起こるんだろうと。今、大枠でもう少し考えなきゃならないんだろうというふうに思っています。零コンマ、一度に三下がった、四下がったというようなこと、あるいは一挙にしてまた上がったといったようなことはございますけれども、もう少し大きな目でここの辺は見ていかなければならないのかなというふうに思っています。
 したがいまして、この一月におきましては五・三とその前の月を〇・二下がったわけでございますが、これは統計上の一つのぶれの範囲内というふうに思っておりまして、ここを〇・二に、〇・三になったからといって、それで現在のこの雇用状況が良くなっているというふうに考えるのは早計である。その中身を見れば、雇用者が減っている、新規求人が減っていると。あるいは非自発的失業者が増えているといったような内容を見ますと殊更そういう感じがするわけでございまして、そうした意味でこれからもう少しこの雇用というものに対する取組は手綱を緩めてはならないというふうに考えておる次第でございます。
#140
○今泉昭君 もう少し細かいことをちょっとお聞きしたいんですが、この数字が発表されたときに、これは厚生労働省として解説したのかどうか知りませんけれども、マスコミの一般的な報道は、いわゆる余りにも失業状態が悪いからもう求職活動をやめた人が相当あったんではないだろうか、こういう報道がありました。
 恐らくこれは厚生労働省からのレクチャーを受けてマスコミがそういう報道をしているんじゃないかと思うんですが、この内容についてもし分かったら少しお聞きもしたいと思うわけでありますが、何というんでしょうか、求職活動をやめた人たちというのは女性が多いのか男性が多いのか。ここで見ますと、女性の失業率は変わっていないわけでございますが、もしそういう分析ができているのであったならばちょっとお知らせ願いたいということと、もう一つは、厚生労働省は、職安行政としてやっているハローワークにおいて毎月毎月就職のために窓口では努力していると思うんですが、大体どれくらい、求職活動をしている人たちの中でどれくらいの人が職安を、ハローワークを通じて就職を実現しているのかどうか、そういう統計を厚生労働省としてはお持ちなんでしょうか。
 というのは、いろいろなデータを私ども分析してみますと、大体、失業をした人たちの、これは調査機関によっていろいろ違いますから必ずしも確実だとは言えませんけれども、求職活動をしている人たちの中でハローワークを通じて就職をする人というのは約二割ぐらいにしかすぎないと。一番多いのが親戚縁者を通じて、縁故を通じて自分で就職活動をしていって仕事に就くということ、これが三割ぐらいだと言われている。さらにまた、自ら広告であるとかそういうものを通じて自主的に仕事を求めていって就職をする人がおよそこれまた三割ぐらいだと。残りはその他いろいろな条件があるんでしょうけれども、そういうような統計もあるんですが、これはどういう形での調査をなさっているか知りませんけれども、年間どのくらい厚生労働省としては職安の窓口を通じて就職実現できているのか、そういうことの統計があるならばちょっとお聞かせ願うと大変有り難いんですが。
#141
○政府参考人(澤田陽太郎君) まず第一点の新聞に載っていたというお話でございますが、あれは総務省の方からコメントしたものと思われます。私どもの方はいたしておりません。
 それで、あれのバックデータをチェックいたしますと、比較的若い層、三十歳以下ぐらいのところで非労働力人口が増えたと、一月は。非労働力人口が増えたということは、求職意欲を失って労働市場からリタイアした人が増えたんであろうという推測が成り立っておりまして、そうしますと分母としてその若い層の労働力人口がその分減っているわけですね。逆に、失業率を計算するところの失業者も労働市場にとどまらずに引退しちゃったものですから、分子、分母から同数が減ったということになりますと、結果として失業率はより大きく下がるという、言わば当然のことを多分解釈として申し上げたんだろうと思います。
 それから、二点目の安定所経由の就職でございますが、平成十二年、年ベースでございますが、安定所、ハローワークを通じた就職者数は百八十七万人でございます。同じく平成十二年に、私どもが毎年雇用動向調査というものを上半期、下半期、年二回やっております。これに基づいて平成十二年一年間で日本国で就職した方の入職経路というのは取っておりますので、それを見ますと、安定所で百八十七万人就職した人がいますが、そうした方々は全体の入職経路の中では二一・五%ということになっております。一番多いのが、委員御指摘のように、広告等を見て就職したという方が全体の中で三二・三%おります。それから次に、縁故、出向等という、言わばインフォーマルな形での就職経路が二九・一%ということで、安定所経由は言わば三番目に属しております。
 ちなみに申し上げますと、民営の職業紹介機関経由で就職された方は〇・九%と、こういう状況になっています。
#142
○今泉昭君 ありがとうございました。
 残念なことに、国のハローワークを通じて就職口を見付ける方が三番目にランクするのは大変残念なことだと私は個人的には思うわけでありまして、これからますます雇用が厳しい状況になってくるわけでございまして、そういう状況の中で、今までも、平時でもいろいろ問題になっていた公的機関でないところを通じて就職する人たちが受ける被害というもの、いろんな形で私ども聞くわけであります。必ずしもみんながおかしなそういうあっせん機関ではないと思うんですが、そういう被害を防ぐ意味でも、少し公的機関のハローワークが就職あっせん率を高めるように工夫を凝らし、更に努力をしていっていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 次に、この失業率との関係があるものですから内閣府にちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、十―十二月期、いわゆる第三・四半期の経済成長率がマイナスの一・二%と大変大きく落ち込みました。一月の二十五日に発表されました内閣承認の平成十三年度の経済成長率の見込み、実績見込みというのはマイナスの一%というふうに発表されております。
 そのマイナス一%という実数を確保するためには、残されたこの一―三月期において相当我が国の景気が上向かなければマイナス一%というのを実現するのは大変厳しいような状況になってくるんじゃないだろうか。
 と申しますのは、第一・四半期にはこれまた御存じのようにマイナス一・二、第二・四半期がマイナス〇・五、そして第三・四半期がマイナスの一・二でございますから、年度間を平均してマイナス一にとどめるというのは大変難しい状況を今我が国の経済環境から見て感じるんですけれども、内閣府として実現するために、一―三月期の経済成長率、大体どれぐらいに収めればこれが実現できるのか。これは雇用問題に大変関係があるのでちょっとお聞きしたいと思うんです。
#143
○政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、政府経済見通しにおける平成十三年度の実績見込みは、実質GDP成長率マイナス一・〇%程度でございます。これを実現するために必要な十四年の一―三月期のQEでの成長率というのを試算いたしますと、実質GDP成長率前期比一・六%程度ということでございます。
#144
○今泉昭君 これまでの一年間の我が国の経済活動を見ていって、ずっとマイナスであったものがプラス一・六%にこの第四・四半期に実現するということは夢物語みたいなことではないかという感じが私どもするわけであります。
 先ほども申し上げましたように、早くも一月の機械受注はマイナス一五%ということが期待されている。しかも機械受注というのは民間設備投資の先行指標でもございますから、消費支出に次いで最も力強いGDPの下支え要因、牽引車の役割である設備投資ですらこれからの見通しが大変厳しい状況に見られているわけでございまして、GDPの三条件と言われる労働力の投入量とそれから設備投資と新しい科学技術の導入というこの三本柱の中で、雇用が大変悪くなっていれば当然労働力の投入量なんて期待できない、新たな投入力は期待できない上に更に設備投資が先行指標で大きく下回っているという、こういう環境の中で本当に一・六%の経済成長ができるんだろうか、むしろ早々と修正する必要があるんじゃないかと、こういうふうに思っているんですが、どうですか。
#145
○政府参考人(中城吉郎君) 今回のQEの結果を踏まえますと、現在、今の政府の見通しのマイナス一・〇%という十三年度実績見込みを下回る可能性があるというふうに考えております。
#146
○今泉昭君 少し論点を変えてみたいと思うんですが、正式な名称をちょっと忘れちゃったんですが、財政諮問会議ですか、あそこにおきまして、これからの雇用の中心をサービス産業に置いていくと。そして、あれ何年間か知りませんけれども、何年間かを目標のうちに五百三十万人の雇用の創出を考えていらっしゃるというようなことが打ち出されていました。
 これは、振り返ってみますと、毎回いろんな形のそういう計画が出されて、それが一つも実現されたことはないんですよね。一昔前はIT産業ばやりでございまして、これからの雇用の中心はIT産業だということが盛んに喧伝をされました。そして、雇用の吸収力はすべてそこにあるんだと、高度情報化社会の中の中心のIT産業に期待をしていたところが、むしろこのIT産業はもうパンク状態であると。むしろ雇用を吸収どころか雇用を外に出していっているような状態であります。それに代わって出てきたのが、今度はサービス産業期待論であります。
 ところが、考えてみますと、このサービス産業というのは、御存じのように、この戦略会議で期待をしている国際競争力という視点から取ってみますと、一番実は競争力の弱い産業ですね。要するに、生産性の一番低い産業ではないかと思うんであります。国際競争力が一番強いいわゆる製造業ですら、今どんどんどんどん雇用が減少していっておりまして大変な状況になっていると思うんであります。
 例えば、厚生労働省で「最近の雇用情勢について」という、出されているこの資料の中で出されている数字をちょっと使わせていただきますと、一千万人以上の雇用を今持っている産業というのは、製造業が一千百三十七万、卸・小売、飲食店が一千百八十九万、そしてサービス産業が一千五百六十五万、この三大雇用吸収産業のうちの二つまでが実はどんどんどんどん今雇用がなくなっていっているようである。毎月発表される雇用統計の中から雇用の数が減っていっているわけであります。
 その中で最も国際競争力が高いと言われて、しかも生産性が高いと、国際的に見ても生産性が高いと言われている製造業ですらこんな減っていっているんです。にもかかわらず、一番国際的に競争力のないサービス産業、生産性の低い産業に何でそれまで雇用の吸収の可能性があるのかと非常に疑問を持っているんでありますが、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#147
○政府参考人(中城吉郎君) 先生御指摘のように、経済財政諮問会議に設置されました雇用拡大専門調査会というところで、昨年五月に、福祉、保育を始めとするサービス分野を中心に雇用創出型の構造改革を実行することによって今後五年間で約五百三十万人規模の雇用創出が期待できるという試算を出したところでございます。
 我が国のサービス産業の就業者の増加数というのを見ますと、一九八〇年から二〇〇〇年までの間で、十年間で平均して約五百万人増加しております。これと欧米先進国におけるサービス産業の比率などを勘案いたしますと、この試算については雇用創出型の構造改革というものを実行すれば十分実現可能であるというふうに考えられると思います。
#148
○今泉昭君 いつもアメリカ型の雇用創出の例を引き合いに出されるんですが、これは非常に大きな間違いを犯していらっしゃるんじゃないかと思うんです。日本の場合の雇用慣行とアメリカの場合の雇用慣行とは全く質的に違うわけであります。
 もう私が言うまでもなく、アメリカの場合は、景気が悪くなればすぐ雇用を外に出してしまうというレイオフ制度が定着をしていますし当たり前の慣行になっていますし、労働組合も大体、雇用反対闘争なんてやったことがない国でございます。もうこれは当たり前に定着しているわけであります。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 でありますから、あの八〇年代のアメリカの大不況のときに、分社化を中心として、いわゆる生産性が一番低いところをみんな分社化してしまった。そのときにレイオフをした人たちが三分の一で、そこで実は雇用、新雇用として就職の道を見いだしているわけであります。
 大体、私がこれまで仕事をしていた金属産業において、当時、一時間大体三十二ドル、三十五ドルぐらいの熟練労働者が、分社化になって、レイオフになって分社化で再雇用される場合に十ドルで雇用されているんです。例えばGMなんかは、最盛時に三十万人いたのが今もう十三万人ですよ。そういう人たちが外に放出されて、いわゆる低賃金で数を多く雇用できるというような社会システムができていたからそういうサービス産業がどんどんどんどん増えていったんでしょう。しかし、日本の場合はそういう雇用慣行が定着しているわけではないし、むしろそれは日本にとっては最も望ましくないというふうに見られている慣行の一つなんであります。
 ということは、そういうところに期待をするということは、この五百三十万人を期待しているというのは、アメリカ型のそういう慣行に持っていこうと、しなければならないという考え方がその背景にあるんですかね、どうなんでしょう。
#149
○政府参考人(中城吉郎君) この専門委員会の結論は、むしろ雇用創出型の構造改革を行うことによって効率性の低い部門から、いわゆる人々のウォンツといいますか、潜在的需要を充足して、効率性や社会的ニーズの高い成長分野へ人や資本を移動しようと、こういう提言でございまして、特に個人向け、家庭向けサービスとか子育てサービスとか高齢化ケアサービスとか医療サービスとか、そういった新しい形の雇用創出を構造改革を通じて行おうと、こういう趣旨でございます。
#150
○今泉昭君 言葉の説明でいきますと非常にスムーズにいくように響いてくるんですが、その実情を一つ一つ分析していくと、大変これは問題がある考え方なんですよね。
 家庭サービスというのは生産性がある意味では一番低い産業なんですよ、これは。その低い産業に高賃金が払われるはずがないわけであります。そういうところからどういうシステムが出てくるかというと、例えば、いわゆる個人との、個人契約の自由労働者、あるいはオンタイムサービスの時間を切り売りするような労働市場を作っていかなければそういうことが実現することは大変不可能なんであります。
 私が一番危険に思っているのは、今日は経済産業省がお見えになっていないからこのことを内閣府に申し上げていくのは大変酷な話かもしれませんけれども、御存じのように、我が国の産業の基盤というのはこれまで製造業が担ってきたことは間違いないわけでありまして、特に年間五十兆円近くある輸出額の大体三〇%は日本の大手十五社ぐらいで稼いでいた。製造業全体でその五十兆円の輸出の中の六六%稼いでいるような状態ですよね。いかにその製造業が資源のない我が国の経済基盤を支えてきたか。
 そして、そこの製造業で働いている方々の雇用形態というものは、オンタイムサービス、オンタイム労働者ではない。技術を切り売りしてある日突然ちょっと用があるから来てくれという形で働く労働者ではない人たちがこういう我が国の大変重要な経済を支えてきたことは事実なんでありますが、そういう基盤を崩していかなければならないということは我が国の将来にとっても大変不幸ではないかと思うんであります。まず、オンタイムサービスの労働者、あるいはその日その日の必要に応じて今日どこに行くか分からないような仕事が幾ら増えても、国の技術基盤は固定化しないし、国の産業が根本的に強くなるはずないわけであります。
 そういうところを目指しながら、国際競争力に生き抜くような産業を作っていこうという命題を立てていらっしゃるという、片方で大変矛盾に満ちた私は政府の方針ではないかというふうに思って仕方がないわけでありまして、こういうような状況の中で、労働大臣にお伺いしたいんですが、今後の日本の労使慣行の中で最も今問われているのは、今までの労使慣行というのはもう古い時代の労使慣行で、通用しない。例えば、今まで三種の神器と言われていた年功賃金、終身雇用あるいは企業内労働組合というようなものはもう古いシステムであって、これはもう根本的に変えていかなきゃならないという、雇用慣行を考えなきゃならない時代だというふうにお考えでしょうか。ちょっとお聞きしたいと思います。
#151
○国務大臣(坂口力君) そのことにお答えをします前に、現在の日本の雇用状況をずっと見まして、この厳しい中であるにもかかわらず、地域によってはかなり雇用のいいところもあるわけです。完全失業率が低く、そして有効求人倍率の高いところがある。
 先日も実は、この有効求人倍率が非常に高くて失業率が低いところは一体何がそうさせているのかということに興味を持ちまして、そして四十七都道府県、ずっと見たわけでございます。
 その中で非常に優秀なのは福井、石川、富山、そして山梨、この辺のところがずば抜けているわけであります。この辺のところが、なぜそこがずば抜けて有効求人倍率も高いのか、失業率も低いのかということを見ますと、そうするとこの地域というのは、共通しておりますのはいわゆる組立て産業、二次産業で申しますと組立て産業が比較的多いところで、組立て産業の中もいろいろでございますけれども、おしなべてここは組立て産業が盛んである。そして平均値が、全国平均、あらゆる組立てを総合的に見ると少なくとも皆平均は行っている。そして、その中でずば抜けていいのが一つか二つある。全国で一、二、三、三位まで入るところが、一つか二つ持っている、そのほかのところは平均値であるというようなところが有効求人倍率が非常に高くて失業率が低い、かなりそこは健闘をしている。
 やはり中小企業も含めて、そういう施策というものをふだんから努力をしておやりになっているのではないかという、一つの私は現在の状況を見てそういう結論に達したわけでございますが、そういうことを見ますと、それは日本全体にも言えることでありまして、現在いろいろの経済状況の中で非常に厳しい中にはありますが、その中でやはり日本がこれから生きていく場所というのはやはり組立て産業、そこにいわゆる地元の特色というものを生かした、そうしたところにはこれから日本の国自体も生きていく芽があるのではないかというふうに実は思っているわけでございます。
 ですから、今、先生が御指摘になりますように、今までの終身雇用、年功序列あるいは組合の在り方、そうした問題が確かに崩れ掛けていると言う人もありますし、ここはもう変えなきゃいけないと言う人もありますし、意見は様々でございますけれども、日本の国の中の産業の在り方をどこに求めるかということによっては、今までの終身雇用あるいは年功序列といったようなことが非常に効果的なところも私はあるのではないかというふうに実は思っているわけでございまして、おしなべてそれを、そこを崩していく必要はないと思っております。
 それから、先ほどから御議論をいただいております第三次産業でございますが、第三次産業というのは中身がいろいろでございますから、これもおしなべて第三次産業を一つにくくって言うことはなかなか難しいわけでございますが、過去の欧米を見ましても、非常に開発途上国が様々な問題で後ろから追い掛けてくると、そのときにやはり労働力をどこに転換をしたかといえば、やはり三次産業のところに広げていったことも私は事実だと思うわけでございます。
 それから、日本の国の中は第三次産業の環境というのは整備されていない面も私は多いことは率直に認めなきゃならないというふうに思いますが、いわゆる第二次産業の範囲が今までよりも縮められてくるとするならば、第三次産業のところにももう少し活路を見いだす必要があるし、それは活路を見いだすこともでき得る場所ではないかというふうに私は思っている次第でございます。
#152
○今泉昭君 大臣のお考え方、分かりました。
 そこでもう少し、ちょっとお聞きしたいんですが、私も第三次産業を全く否定するわけではございませんで、健全なる第三次産業が育ってもらって、是非大きな吸収力になってもらいたい、こういうふうに思っているわけでございますが、御存じのように第三次産業というのは大変中小企業が多いわけであります。今、私どもが調査をしてみますと、中小企業の労働分配率というのは極端に高くなっていっているんですね。ひどいところになると一〇〇%近くになっちゃっている。結局、そういうところはどうしているか。借金でもって企業を維持せざるを得ない、こういうことになっているわけです。
 製造業全般もここのところどんどんどんどん分配率が高まっておりまして、恐らくもう七十数%になっているんじゃないかと思うんです。一時、六〇%台のときに分配率闘争、分配率を引き上げる闘争なんかあったわけですが、今は逆にいかにこの分配率を低くして健全なる企業経営をやっていくかということが企業経営者にとっては命題になっているわけであります。そういうところから賃金ダウンであるとかあるいは労働条件の、何というんでしょうか、悪化につながるような改定を行ったりすることがもう大変増えているわけであります。
 特に私どもが注意をしておかなきゃならないのは、中小サービスにおいて最近大変増えている派遣労働者、あるいは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一日契約社員であるとかオンコールワーカーなんという人たちに対しましては請負業的な仕事を与えてしまって、労働者的な保護を全く外してしまうような形で企業のいわゆるコストを削減していこうという流れが出ているのはもう労働省も気が付いていらっしゃると思うのであります。
 例の大阪のパソナの中で起こったような事件は全く典型的な例でありまして、社会保険料なんかは全く払わないで個人に全部押し付けてしまう、請負業者みたいな形にさせていくというような、こういうことが大変起こりがちなわけであります。
 そういう意味で、これから労働行政の重要性、国民の皆さん方から労働省の行政に対しての期待というのは大変高まることが予測されるものですから、この点は是非ひとつ大いに頑張ってやっていただきたいと思うのであります。
 派遣労働者の法案の改定も規制緩和という名目の下でまたぞろ聞こえてくるわけでございまして、規制緩和を私どもは反対をするという立場にはないのでありますけれども、あってよい規制とよくない規制というものは当然あるわけでありますし、その辺のひとつ十分な検討を厚生労働省ではしていっていただきたい、かように思っている次第であります。
 それからもう一つ、内閣府にお尋ねしたいんですが、今年の我が国の経済成長率、ゼロ成長だということを予測されておりますね。今年じゃございません、平成十四年度ですね、四月の一日からの一年間。このゼロ成長の中で失業率の予定、五・六%でしたかね、予定をされております。これは相当なやっぱり悪化ということ、雇用環境の悪化ということを頭に描いていらっしゃることだろうと思うんです。これはもう当然だろうと思うんです、私は。先ほど言いましたように、中小企業なんというのはもう労働分配率が限度一杯に来ていて、そういうところが借金借金でやっていて、もう行く先がなくしてこれから倒産ますます増えてくるというふうに思うわけであります。大手企業ですら、今年の大体ベースアップゼロを回答したところの大手企業でも大変な赤字を、赤字決済をしているわけでありますから、赤字決済をしているということは相当なこれは労働分配率が高まっていることはもう間違いのないことなんであります。ですから、そういうことを考えてみますと、本年度の雇用情勢というのは、私は毎回申し上げるんですが、よっぽど思い切った雇用対策を労働省に、厚生労働省に考えていただきたいと思うんであります。
 ある意味では、私、ワークシェアリングの成り行きを大変期待をしていたわけでございますが、まず最初に、その問題ちょっと置きまして、内閣府の方にお尋ねしますけれども、今年の、現在進行中の十三年度の経済成長率が予定どおりに一―三月期にプラス一・六にならなかった場合、相当にマイナスのげたが履かされるんじゃないかと思うわけでありまして、そのことを考えてみましても、十四年度のゼロ成長というのはゼロであっても厳しいなという気がしてならないわけであります。OECDやIMFの予測を見ましても、もう明らかに日本の十四年度の経済成長率はマイナスということを言っております。最近のOECDの発表でもマイナス一・五と、十四年度もマイナス一・五というような発表、修正、下方修正しているような状況でございますが、こういう状況についてどういうふうに受け止められていらっしゃいます。
#153
○政府参考人(中城吉郎君) 平成十四年度の経済につきましては、先生御指摘のように、〇・〇%程度という実質成長率の見通しを持っているわけでありますが、これにつきましては平成十三年度の第一次補正予算、それから第二次補正予算、それから平成十四年度予算の実施による政策効果の発現ということと、それから米国経済の回復も期待されるというようなことで、経済見通しはこういうことを織り込んで作成したところでございまして、現時点におきましてはこうした政策の効果を慎重に見極めていきたいというふうに考えているところでございます。
#154
○今泉昭君 分かりました。
 労働大臣、先ほどちょっと言い掛けたんですが、ワークシェアリングの問題に、ちょっとお聞きしたいと思います。
 前からのお話で、三月ごろをめどにある程度の政労使の話合いがまとまる、それを見守っているというようなことをおっしゃったような気がするんですが、もう三月もそろそろ終わりに近づいているわけでございまして、これまでの政労使の話合いの中でどういう方向性が見えているか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
#155
○副大臣(狩野安君) 厚生労働省としては、現在、政労使ワークシェアリング検討会議において検討を進めているところでございますけれども、今月中にワークシェアリングについての基本的な考え方について政労使の間で合意ができるようにしたいと考えております。
 なお、現時点においては、いわゆる緊急避難型ワークシェアリングについては、所定労働時間短縮と収入の減額により実施することで労使の意見は一致しております。しかし、いわゆる多様就業型ワークシェアリングについては、パート労働者等の処遇や社会保険の適用の在り方について労使の見解には隔たりがあるというところでございます。
#156
○今泉昭君 どういう最終的な結論を政労使の間で発表してくださるか期待をしているんですが、どうも話を仄聞するところによりますと、労使の考え方、必ずしも一致をしていないと。ある程度の中間報告という形が三月には出るかもしれないけれども、基本的な問題についてはまだ十月ごろまで先送りになるという話も聞いているところでございますが、一つはそういう状況にあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
#157
○国務大臣(坂口力君) 先ほど狩野副大臣から御答弁させていただきましたように、この緊急避難型のものにつきましては今月中に出したいというふうに思っています。
 その後で中長期的ないわゆる今後その展望を持ったものについてどうするかという問題が後に残るわけでございますが、これらの問題引き続いてやらせていただきたい。それもそんなに十月までと言わずに、もっともっと早くこれはまとめていただきたいというふうに思っているわけでございますが、なかなかここは難しい面もある。
 率直に申しまして、中長期的な問題はいわゆる厚生労働関係の中だけで収まり切れない様々な問題が出てくることは事実でございます。いわゆる人生のこれも生き方を変えていこうという話でございますから、出てまいりますのは当然だというふうに思っております。
 それで、多少私、今危惧をいたしておりますのは、この緊急型も含めてでございますけれども、現在の、一方、この連合の皆さんでありますから大きい企業が中心でございますが、大きい企業の場合に、新しくそこに、新しい雇用者をそこに導入するというのではなくて、現在お勤めになっている人をいかに減らさないかという視点にどうも話は来ている。だから、現在お勤めになっている人をこのまま持続して働いていただくために労働時間を若干少なくして賃金を若干下げるということはあってもやむを得ないかなということで大体意見の一致はしているようでございますが、併せてそこに、新しい人をそこに導入するというところまでどうもお話は行っていないようでございます。少し、初め言っていたのとは何となく小さく小ぢんまりとまとまり掛けているなという印象を私は実は持っておりまして、ここに国の方がそれじゃどう関与するのかという問題もあるわけでございます。
 そこを、国の方が関与をいたしますときに、今お勤めになっている皆さん方がこれから若干のそこにワークシェアリングがあったとしましても、この皆さん方に公的な資金を導入するというのはなかなかいろいろ問題があるのかなと。いわゆる失業者の皆さん方も一方でおみえになるわけでありますから、その皆さん方よりも勤めておみえになる皆さん方の方にその資金を導入するのもどうかなという御意見があることも、それも私もなかなかそれは捨て難い御意見だというふうに実は思っておるわけでありまして、新しい人をそこに導入してもらうときにどうするかということに絞って国としての役割をどうするかといったことを検討してはどうかな、私は率直にそんな思いを致しておるところでございますが、現在はそういう状況にございます。
 しかし、早く、緊急のものだけは早く一遍まとめていただいて、四月から何らかの形でスタートしていただけるようにしたいというふうに思っております。
#158
○今泉昭君 私も基本的には大臣と同じ考え方持っているわけでして、長期的な問題というのは、働く人たちの働き方やそれから生活の在り方、それから労使の慣行、すべて根本的に変えていかなければならない大変大きな課題を持っているわけでございますので、私はこういう問題は一年や二年でまとまるはずはないというふうに前から思っていたところでございまして、十年なり十五年ぐらいを目安に我が国の働いている人たちの働き方やあるいは労使慣行、そういうものを少しずつ方向転換をしていくようなものでなければならないんじゃないかなと思っていたわけであります。
 と申しますのは、このワークシェアリングになりますとすぐオランダモデルとかドイツモデルとかフランスモデルが出てくるわけです。ところが、あれらの、あれらのと言ったら失礼ですが、あの国も一年や二年で今のその方式を決めたわけじゃないんです。
 実は、私、組合の現役時代、第一次石油ショックが起こったのは今から二十九年前であります。昭和四十八年の十月でした。一年半ぐらいまでは、その前の景気の余韻があったから大したことなかったんですが、二年目ごろから大変な雇用不安になりました。このときに、当時の労使間では、何とか時間短縮によって日本的な雇用の確保を図っていこうという問題意識を持ちまして、実は欧州に実地視察に行った覚えがございます、私自身。
 当時、ドイツに行きますと、ドイツは同じようにこの石油ショックで大変な雇用不安でございまして、一〇%近くのもう失業率でございました。彼らはそこからスタートしているわけですね。そこからずっとスタートしていって今日のあのワークシェアリングシステムを作り上げている。オランダしかり、フランスしかりなんですよ。
 そういう長い積み重ねがあって初めて今のシステムができているんですが、日本の場合はどうかといいますと、大変うまく石油ショックを乗り切ったものですから、二、三年しますとこの問題消えちゃったわけですよ。ワークシェアリングどころじゃない、むしろ人手が足らないというような形の問題でありまして、それから消えてしまったわけであります。それで今持ち出したわけですね。これが一年や二年の話合いでまとまるはずは私は全くないと思うんです。
 そういう意味で、恒常的にずっとこれは積み重ねていっていただきたいと思うんですが、今問題になるのは、直面するこの緊急的な雇用不安に対してどう対応していくかということが一番重要ではないかと思うんです。ますます十四年も厳しいと私は思うんですよ。そういう意味で、緊急避難的なやり方を、是非これは行政指導で、行政指導というか国が主導でやっていかなきゃならないと思うんです。
 私は、方法としては三つしかないと思っているんですよ。どういうワークシェアリングの形態があるかどうかという問題じゃないと私は思うんです。
 一つは、法律でこれを規定するかどうかということが一つです。我々国会議員が関与してこれから緊急的な、緊急避難的な雇用確保をどうしていくかということを法律で決めるということが一つ。それからもう一つは、今ある法律の中で行政的な裁量を基にどのようにモデルを示し指導をしていくかというアプローチの仕方、行動の仕方、これが二番目にあると思うんです。それから第三番目には、政府には関係してもらいたくないという、どちらかといえば、労使の考え方もあるでしょう。金をもらうときだけもらうけれども、いろいろ内情のものに細かく干渉してくれなくてもいいというような気持ちが労使双方にもある程度あると思いますよ。そこで、労使の話合い、労働協約的にこれをやっていくと。方法としてはこの三つしかないと思うんですよ。
 その中で、国からどのような援助をするか、あるいは手助けをしていくかというのが二段目の段階としてあるわけでありまして、基本的に、どうでしょう、大臣としてはこの三つの手法の中でどれが緊急的なあれとして望ましいと思っていらっしゃいますか。
#159
○国務大臣(坂口力君) ここはなかなか難しいところでございますが、一番の新しい法律を作るというのは、これはなかなか難しい、そこまではちょっといかない、緊急を要しますからそれはいかない。すると、二番目か三番目かということに私はなるというふうに思いますが、三番目だけにしてしまうと、これなかなか行き詰まるところがありますから、国としてはある程度行司役をやって難しいところも打開をしなければならないところがある。ということになりますと、どこかといえば行政的な裁量で、こういうことをどうかということを主張するといったようなことが一番近いのかなと、今お聞かせをいただきながら、これ皆さんと相談したわけでも何でもありませんけれども、直観的にそう思った次第でございます。
#160
○今泉昭君 これは大変悩まれることだと思うんですが、私は、厳しくますますなっていくことを考えますと、行政裁量あるいは労使関係だけの問題じゃ済まないと思うんです。
 というのは、労使関係でやっても、大体できるのは大手だけですよ。七五%を占める中小零細企業において労使関係でワークシェアリングやれといったって、これは全く無理な話です。これは、彼らを救うためには、やっぱり法律を決めて、これに従わなきゃならないという形で持っていかなきゃ絶対進まないと思うんであります。行政の範囲だって、これも、どちらかといえば無理があるでしょう。労働時間短縮一つ取っても、四十時間が行政の指導の枠内でなかなか実現できないんですから。
 だから、緊急事態として我々が今やらなきゃならないのは、これは立法化だと思いますよね。方法はいろいろあると思うんです。そういう意味で、是非ここのところ検討をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから、もう時間がなくなりましたので、あと細かい問題を少し──内閣府の方、もう結構でございます。済みません。ありがとうございました。お伺いをしたいと思います。
 先ほどの質問の中で申し上げればよかったんですが、一つは、この景気が大変厳しい中で、基準法から守られない労働者というものが大変増えるような傾向にあると思うんですよ。これからいろんな労働の形態を、柔軟な形態の働き方というものを恐らく労働省としても打ち出すでありましょうし、民間の中からも打ち出してくるかもしれない。そういう中で、不幸にしてこの基準法の中で守られない労働者が出てくる危険性があるわけであります。
 例えば、一つの例を申し上げますと、本来ならば労働者という位置付けのない一人前の、一人前というか一人親方という形で建設業界で働いていた方の中で、この厳しい建設業界の状況を受けまして、ゼネコンから下請、孫請、そしてその下にいわゆる個人契約という形で働く請負的な、実質的に働いているのは賃金労働者と同じような条件をぎりぎりぎりぎり締め付けられながらやっているという労働者がいるわけであります。
 そういう方々が、例えば形の上では、これだけの仕事をこれだけでやってくれよといってぽんと投げ出される。そうすると、これは請負業者だという位置付けになっちゃって、ところがこの方々は、ゼネコンが倒産したりあるいは下請や孫請が倒産すると、一応契約したものが、これでやってくれよといった手間賃が全く払われないという状況になる。
 ところが、一般の労働者でありますと、例えば賃金債権がこういう状況の下ではこれだけ保証されるとか、あるいはまた賃金不払に対する立替え制度というものがある。そういうものから全く離れてしまった建設労働者が現在大変増えてきているわけでございまして、こういう問題の救済措置というものをそろそろ考えていく必要があるんじゃないかと思うわけであります。手間請労働というふうに言っておりますけれども、これについて、ひとつどういうふうにお考えになっているのか、何か救済措置を考えていただくわけにはいかないだろうかということをひとつお伺いをしたいと思います。
 それからもう一つ、もう時間がございませんので先に申し上げますけれども、補正予算のときに地域雇用の創出のための緊急助成金制度ができました。これにつきまして、各地方からいろいろなアイデアを出し、あるいは計画を立てて出されていると思うんですが、たくさんいろいろある中で一つだけちょっと今日は取り上げさせていただきたいと思うんですが、林業労働者の問題であります。
 林業労働者の問題になりますと、これは農水省関係に属するかもしれません。この林業労働者に対しましても国から補助が出ていることも事実でございますが、この緊急雇用創出のためにいろいろな計画を練ってこられていることも私は見聞きしております。
 例えば、雇用対策といたしまして、新規就業者を活用した林業作業であるとか、環境保全のための林業環境整備であるとか、あるいはまた林道の美化、維持管理の作業であるとか、あるいは病害虫等の被害を除去するための林内環境整備であるとか、あるいはその他のいろんな計画を立てられて出されているわけでございますが、こういう計画が一体どの辺まで実現できているのか。
 これを見てみますと、私どもはもっともっと、環境整備だけではなくして、我が国の水資源の保護のためにも国有林、民有林の整備のために人を投入しなきゃならないと思っているんですが、この計画でいきますと、平成十六年まで五年計画ですか、五年計画でわずか三万人の雇用計画しか持ち合わせていないというような状況でして、これだけの労働者でやる場合に、果たして今必要な我が国の林業保全ができるのかどうか。そういうところから、和歌山県では和歌山県独自のやり方を考案して立ち上げをしているというような状況がございますが、この点についてお考え方を少しお聞きしたいと思います。
 二点でございます。
#161
○政府参考人(日比徹君) お尋ねの手間請、いわゆる手間請従事者でございますけれども、もう委員から御指摘ございましたように、現在、労働基準法等の適用につきましては、その実態を見るということで、個別具体的な事情を見ていって労働者として法律を適用するかどうかやっております。
 それで、数年前ですけれども、私どもの方の労働基準法研究会というところでも、手間請従事者につきまして、いろんな実態等も見まして、いろんな類型があると。その中で、比較的法律判断容易な形式のものもございますが、先ほどお話しされましたように、いわゆる一人親方的に働く方々、この場合には手間賃であるのか請負代金であるのか等々、いろいろ見た上でということになりますが、なるほどなかなか線引きのしにくいものもございます。そしてその結果として、労働者として法律を適用することがいかがかということになれば、もう委員御指摘のように、現在のところ労働関係法令のいわゆる保護は受けられないということになっております。
 この点につきましては、どこまでを行政対象とするのか。元々、労働関係というのが、使用者がいて雇われていると、その関係に着目してほとんどの分野やっておるところでございますが、一方に家内労働の取扱い、その他純粋の雇用関係にない場合についても、従来、行政分野として取り扱ったことがないわけではない状態でございます。
 したがいまして……
#162
○委員長(阿部正俊君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
#163
○政府参考人(日比徹君) はい。
 したがいまして、その点につきましては今後の、先々の勉強とさせていただければと思っております。
#164
○委員長(阿部正俊君) じゃ、続いて簡単、簡潔に。
#165
○政府参考人(米田実君) 御説明申し上げます。
 森林整備を通じた雇用対策でございますが、委員御指摘のとおり、平成十三年度第一次補正予算におきまして、就業相談の開催なり事前研修の実施なり、更にはそれを現地における具体的な研修と、実地研修というふうにつなげるようにしたところでございます。
 その結果、今までのところ、全国十か所の就業相談会に約五千人、十三年度中に更に三千五百人の事前研修を実施したところでございます。順次、林業事業体に雇用されて事業に取り組んでいるということでございまして、厚生労働省の交付金事業につきましては、約九割の都道府県で森林関係の事業を行っております。その事業費全体の約二割というふうに承知しておるわけでございます。
 ちなみに、平成十二年で、古くて恐縮でございますが、林業労働者が六万七千人いるわけでございます。新規就業者は同じく十二年で二千三百人余という状況でございまして、そういう中でこの事業で三千人を超える研修、現地研修ということが行われております。
 ただ、林業の場合、一点だけお話しさせていただきたいのでございますが、非常に危険度の高い研修でございますので、安全に力を入れた研修を十分やっていかなければ就業者を軽々に導入するわけにはいかないと、かような考えで研修を行っているところでございます。
#166
○今泉昭君 時間が来ましたので、ILO九十四号条約のことについてはまた次の機会にさせていただきます。
#167
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 まず、私は介護保険の保険料について質問をさせていただきます。
 先日、医療保険の改正法案が国会に出されました。サラリーマンの自己負担を三割に引き上げるということとともに、高齢者の自己負担をも引き上げるというふうになっております。
 私は、行く先々でお年寄りの方とお目に掛かるんですけれども、話合いをしてみますと、必ず出てくるのが介護保険の負担で大変なのに医療費もまた上がるのですかと、こういうふうに非常に痛切な声で問い掛けられます。特に所得の低い高齢者は非常に大変だというのが実感です。
 高齢者の介護保険料につきましては、一昨年の十月から半額徴収が始まり、そして昨年の十月より全額徴収が始まっております。つまり、二〇〇〇年度の保険料は半額で、しかも半年分となるわけですが、その統計も地方自治体から出てきております。
 そこで伺いますが、六十五歳以上の高齢者、つまり第一号の被保険者の介護保険料の二〇〇〇年度の収納率というのは何%になるでしょうか。年金から天引きする特別徴収と、そして自治体の窓口などで支払う普通徴収のそれぞれについて何%になるか教えていただきたい、そして合計についても是非述べていただきたいと思います。
#168
○政府参考人(堤修三君) 平成十二年度におきます高齢者の保険料の収納率でございますけれども、全国百七の市町村を私ども定点市町村ということで様々な実施状況を集めておりますが、その百七の市町村の状況を調査をいたしますと、金額ベースでの加重平均値で収納率九八・六%でございます。これは年金から天引きする部分、それから普通徴収、両方の加重平均合計でございますけれども、年金から天引きする特別徴収は基本的には一〇〇%と、こう考えられます。それから、被保険者が自ら納める普通徴収の場合には、その数字だけを取り出してみますと九二・八%でございます。
#169
○井上美代君 今、収納率を教えていただきましたけれども、大臣にお聞きしたいんですけれども、一〇〇%というのは、例えば年金から差し引くなどということですので当然一〇〇%になるわけです。普通徴収が九二・八%という数字が出ておりますけれども、こうした数字に、この九二・八%という数字を大臣はどのようにごらんになるのかと、その評価について大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
#170
○副大臣(宮路和明君) 私の方からお答えさせていただきますが、今御指摘の九二・八%という数字につきましても、これは大変高い水準を確保できているんじゃないかなというふうに考えておりまして、これは市町村の皆様方が制度の開始に当たりあるいはその制度実施後におきましても大変な御努力をいただいて、国民の皆さんのこの制度の趣旨なりあるいは内容に対する御理解が進み、介護保険の助け合いの考え方が浸透してきた、そういう結果ではないかと認識をいたしておるところでございます。
#171
○井上美代君 大臣も同じでいらっしゃいますでしょうか。
#172
○国務大臣(坂口力君) 同様に考えております。
#173
○井上美代君 私は、この普通徴収の九二・八%というのは順調だとは言えないというふうに思うんです。
 国民健康保険の場合があるんですけれども、これ、二〇〇〇年度の収納率というのは九一・四%です。この数字について国民健康保険連合会が言っておられるのがあります。言っておられる言葉は国保制度の堅持、ひいては国民皆保険体制の維持が危ぶまれる状況と、このように言っておられるんです。非常に危機感を持っておられるということがここに出ているわけなんですけれども、介護保険料の収納率の九二%という数字は国保をわずか一%しか上回っていないんですね。だから、私はこれは大変深刻な、先が深刻に見えてくる事態ではないかというふうに考えております。その点を是非お考えいただきたいというふうに思います。
 そこで、私は、お配りした資料を見ていただきたいのですが、これは二十三区のうちで四つの区について第一号被保険者の所得段階別の普通徴収の収納率を表したものなんです。二十三区では八つの区で減免制度を実施しております。表にしたのは、減免制度を実施していない十五の区があるんですけれども、その区に全部お手紙を出しました。そうしましたら、この四つの区から御返事をいただきました。すべて厚生労働省の示された五段階基準でやっているところばかりです。
 だから表に整理をしたわけなんですけれども、厚生労働省ではこのような所得段階別の収納率を集計した資料は作っておられません。だから、これは初めてのこういう整理の仕方をしているわけなんですけれども、このような、生活保護受給というのが中心になっているのが第一段階で、第二段階というのは住民税非課税、そして第三段階ですね、そして第四段階が二百五十万未満、そして第五段階が二百五十万以上と、こういうふうになる五段階基準でやっているわけなんです。
 これを細かく見ていただきますと、収入の総額を賦課総額で割った数字をパーセンテージで表しているんですが、第一段階が一番高いといいますと、これは先ほどからいろいろ申し上げているんですが、代理納入ということで本人の同意を得て生活保護者に出ているお金が天引きされているというケースがこの第一段階の大半を占めているんですね。四つの区の全部で第二段階が一番落ち込んでいるというのが共通して出ていると思います。
 上は四区を別々にしておりますが、その下の、四つの区の合計をしているのが二つ目の表ですけれども、ここは、第二段階を見ていただきますと、落ち込んでいるわけなんです。そういう、第二が落ち込んでいる、六・四%も落ち込んでいるということ。
 ちなみに、第三段階の方が第四段階よりも、二つ目の表を見ますと、収納率が高いのは、自治体の担当者に聞きましたところ、第四段階では、本人に住民税が課税されるぐらいの所得があっても、所得が二百五十万円以下ということですとやはり生活がかなり苦しいと、こういうふうに言っておられます。特に、住民税の所得割が課税されるほど所得が高くなく、均等割だけの人も多いわけなんです。だからこういうふうになっているんだというふうに言っておられます。
 第三段階の人は本人非課税で、同じ世帯に、本人が非課税ですので同じ世帯の中に息子さんなどがいらっしゃる、そして課税をされているケースがあるから負担が緩和される、そういう場合が結構あるということなんですね。だからこういうふうに表がなっているんですけれども、その下に、また今度は世田谷からいただいたアンケートを載せました。
 このアンケートを見ますと、世田谷区が実施した調査なんですけれども、年収の低い人ほど負担感を強く持っていらっしゃるということが分かります。
 斜めの線の部分なんですけれども、制度の趣旨を理解してもなお高く納付することに負担を感じるという人が年収の百二十万円未満で二七・七%、上から二本目ですね、そして斜めに斜線が引いてあるところです。そして、百二十万円から三百万円までの人でいきますと二三・一%だということがここに示されているわけなんです。そして、三百万円以上のところでは一三・九%になっておりますし、五百万円以上のところですと一〇・六%になっていて、一千万以上ですと一〇・四と、こういうふうになっております。所得の高い人に比べて低所得者の場合は負担を感ずる人がほぼ倍いることがここでも分かるというふうに思います。
 三百万円未満とは、この第一、第二段階に当たる人たちが多い部分なんですけれども、これらの表からも、やはり低所得者の人たちが介護保険が大変大きな重荷になっているということを言っておられる。そこがこの表から明らかになっているというふうに思います。
 高齢者にとって医療と介護というのは正に命とつながっているというふうに思います。本当に切実な課題であるというふうに思います。将来を非常に不安がっております。みんながだから頑張って一生懸命介護料を払おうとしているんです。それこそ、食事の回数を聞いてみますと、一日に二回しか食べていない、それから薬の回数も減らしていると、こういう人たちが結構いらっしゃるんですね。そして、何とか介護料は払っている。それでもこういう数字が出てくる。とりわけ、低所得の第二段階の収納率が、この四つの区を見ても、そして全体を合計したのを見ても、もう非常に落ち込んでいるわけなんです。
 私は、そこで大臣にお聞きしたいんですけれども、この第二段階が八〇%台に落ち込んでいるんですけれども、落ち込んでいるのはやはり所得に対する負担額が大きいという問題があるのではないかというふうに思っているのですけれども、大臣はこの第二段階が落ち込んでいることについてどのようにお考えになっているのかということをお聞きしたいんですけれども、大臣、御答弁お願いいたします。
#174
○国務大臣(坂口力君) 今この表を初めて見せていただいて、いろいろのことを言えるんだろうというふうにも一部思いますし、またこれだけの資料でどこまでそれを言えるのかという疑問もありますし、双方ありますけれども、所得の少ない層の皆さん方が負担感をお持ちになるというのは、これは当然のことのようにも思うわけでございます。
 この所得の少ない層の皆さん方は、保険料を出すことについては、これはいろいろの思いはあるというふうに思いますが、しかしこの層の皆さん方がもしも介護が必要になりましたときには一番少ない額でより多くの介護を受けることができ得る層の人であることも間違いがございません。したがいまして、介護をお受けになっている人がどう思われるかということと、そしてこの層の皆さん方でお元気な方がどう思われるかということと両方私はあるだろうというふうに思っております。この層の方でお元気な方は、こんなに元気なのになぜ払わなければならないかという思いがする、それは全体の額が少なければやはりその思いがそういうふうに募るというのもこれは思いとしては無理からぬことだというふうに思っておりますが、しかしこの層の皆さん方のためにこの介護保険制度は存在するというふうに私は思います。
#175
○井上美代君 五段階に分けてあるということで一定の低所得者への配慮というふうに考えておられるんだというふうに思いますけれども、これは二十三区の中で四つですけれども、協力できる自治体のすべてに出して、この統計が出てきているんですね。だから、私はこれはまじめに受け取ってもらわなければいけないと思うんです。
 そして、やっぱり払うのに無理があるかどうかではなくて、このほかの横の方と比べてやはり第二段階が落ち込んでいるというのには、私は、ここはボーダーラインの人たちですし、理由があるというふうに思うんですね。だから、一生懸命努力して元気な人は元気な人なりに頑張って納めているというふうに思いますが、客観的に、この落ち込んでいるのを見て、私は、大変ここの部分については、この第二段階の部分については無理があるのではないかなというふうに思って、やはりこれは二〇〇五年の介護保険制度の見直しを待たずして低所得者への保険料の軽減策は必要ではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。
#176
○国務大臣(坂口力君) 介護保険制度を見直しますときには、全般にそれは見直しをしなければならないというふうに思いますけれども、その前に、この介護保険制度というのはそれぞれの市町村に主体になっておやりをいただいておりますが、しかし市町村だけではなくて国なり県なりもそこに関与をしているわけであります。全体としてそこには各市町村以外のところの皆さん方のお力も得て、そして介護保険というのは成り立っているというこの現実もやはり理解をしていただかなければならないというふうに思います。
 この表を拝見させていただきますと、やはり制度の趣旨を理解してもなお高く納付に負担を感じるという人は所得が低い層ほどこれは多くなっておりますし、これは先ほど申しましたように、所得の少ない人がそういうふうに理解されるのは私も理解できるところだというふうに思っております。
 しかし、この一番上の表を拝見をいたしますと、第二段階と、そして第三段階は良くなって、第四段階でまた悪くなっていると、この辺のところもなぜこういうふうになるかということも少し理解のしにくいところでございまして、これらのこともよく検討をしながら、我々としましては、全国的なレベルでどうかといったことを全国の状況を把握をしながら決定をしなきゃならないものだと考えております。
#177
○井上美代君 私は、厚生労働省がこういう表も作っておられませんので、せめて二十三区から調べてお出ししたいと思ってこれを出しているんですね。
 だから、やはりこのようになっている、大臣がおっしゃいましたように、第二段階がこう落ち込んでいて、そして第四段階も、このC区については落ち込んでいるというようなのがあるということで、これは私、区の方に、担当の方にお聞きしたんですけれども、それは非課税個人とか非課税世帯とかということで、個人の場合には息子さんや何かがいるから幾らかでも助けられて何とかいっているんだということを言われているんですけれども、そういうことも含めて、それではこういう調査を厚生労働省がやられるということに理解してよろしいんでしょうか。
#178
○政府参考人(堤修三君) 市町村の保険料の徴収状況というのは、年間を通じて決算の状況等で把握をしたいと思っております。
 今、先ほどの収納率についても、全国的に全三千二百の市町村をいただくというふうにはなっておりませんので、今後どういう形であればできるだけ全国的な傾向をつかめるか、三千の市町村に大変な事務を、事務作業をお願いするのも工夫をしながらやらなければいけませんので、全国的な傾向をつかむ方法についてはよく検討させていただきたいと思います。
#179
○井上美代君 方法については検討させていただくということですけれども、やはり見直しをするにしても、その現状を握らなければいけないというふうに思うんですけれども、その辺は調査をするおつもりでいらっしゃいますでしょうか。
#180
○政府参考人(堤修三君) 主な市町村、先ほど言いましたように全国的な定点市町村ということで百幾つ、あるいは比較的規模の大きい、事務処理能力の大きい市町村であれば大体把握できると思います。ただ、三千二百完全にということになりますと、本当に小さい市町村までいきますとなかなか難しいという面がありますので、できるだけ全国的な傾向をつかむような工夫、努力をしながら、どういうやり方が一番いいのか、そしてそういう方法があれば五年後の見直しに向かって当然いろんな勉強をしなきゃいけないのは当然だと思います。
#181
○井上美代君 私は、厚生省が五段階、六段階でもいいというふうに言っていらっしゃいますよね。でも今、大体厚生労働省が言われる五段階でやっていらっしゃるところが多いわけなんですけれども、第二段階で八五%という、こういうのが出ているということは、これはやっぱり相当大変な数だというふうに思うんですね。そして、やっぱり第二段階の方たちの負担がいかに重いかということもこの表から、四つではありますけれども、特徴がとらえられるんだと思うんです。だから、是非私はそこを全国的にも、今何か一つの典型のところを調査するというふうに言われたのか分かりませんけれども、調べるということですので、私は、相当現場ではこの第二段階の人が非常に大変なんですね、だからそういうことも含めて私は調査をきちんととらえてほしい。それで、介護料を支払うのにこの第二段階の人たちがどんなふうに苦労しておられるかというそこのところをとらえていただきたいというふうに思います。
 私はいろいろと自治体の職員の人にも話を聞いたんですけれども、やはりとても自分たちとしては、介護保険制度で介護料が払えない人たちに対して、今、厚生省が言っておられる償還払いとか、それから利用料を一割負担できなければ三割負担というようなことにもなっていきますよね、行く行くは、そういうことも自分たちとしてはとても言えないほどひどいということを私は聞いております。だから、私は非課税の人から保険料を取るというのはいかがなものかと思っているんですね。で、もう皆さん方のおっしゃるのは保険だから皆同じだというふうに言われるんですけれども、じゃこの低所得者はそれでいいのかということがここ、介護保険制度をやってみてはっきり出てきていることだというふうに思うんです。私は、この私が調べましたものは正に本当に今後の大変さを警告しているというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#182
○国務大臣(坂口力君) 先生がお示しをいただきましたこの表というのは一つの参考にさせていただけることは間違いないというふうに思っております。
 しかし、この表からはいろいろなことが読み取れるわけでありまして、例えば百二十万から三百万未満のこの第二段階の人のところを見ますと、「制度の趣旨からするとおおむね妥当だと感じる」という人がこれで三二・四%、「高いが制度の趣旨は理解できるので納付すべきだと感じる」人が二三・五%、約五五%の人がこの段階の人でもなおかつ、やはり私たちは支払をしてこの制度を支えながら、万が一のときのために私たちも参加をいたしますということをここに表明をしておみえになるわけでありまして、むしろ私は、ここのランクの皆さん方で五五%の人がそう思っていただくことに私は感謝を申し上げたいと思うわけでございます。
 したがいまして、この表からはいろいろのことが、受け止めることができますし、参考にさせていただきたいと存じます。
#183
○井上美代君 やはり、努力しようと思って頑張っておられる方たちは、私は、本当に頑張っておられるので感謝をしなければいけないというふうに思います。
 同時に、どうにもならないよと言ってあえいでいる人に、あなたたちはもっともっと頑張ってお金をどこからか探してきて、探すのもなければもうどうなるんでしょう、もう分かりませんけれども、そういうことを言ってこういう人から取るということは、これはもう本当に保険とはいえ大変だと思うんです。
 やっぱり、政治というものがある以上は、私は低所得者に対してはきちんとした対策が取れるような見直しをすることが必要だというふうに思っておりますので、そのことを強く訴えまして、先へ進んでいきたいというふうに思います。
 よろしいでしょうか。先へ行きます。
 自治体の介護保険料の減免制度について質問をしたいと思います。
 厚生労働省は、国として減免制度を作ることを拒否しているわけですけれども、それだけではなく、自治体が作ることにも様々な制限を加えておられます。
 厚生労働省は、昨年秋から、自治体で介護保険料の減免制度を作る場合には基準とすべき三つの原則というのを示しておられます。これは、皆さん、参考までに二枚目の資料に入れておきました。
 一が、一、二、三と。上の方に、「第一号被保険者の保険料の減免措置について」というのがあります。第一に介護料の全額免除というのがあります。第二に収入だけを基準とした一律の減免、そしてまた第三に自治体の一般財源の導入、以上三つを不適当だとして書いてあるわけなんです。
 国の自治体への関与に関しては、二〇〇〇年度から新しい実施がされている地方分権推進法があります。私は、これは非常に重要だというふうに思っているんです。この法律というのは、国と都道府県、そして市町村といった自治体は、対等、平等の関係を基本とすると、こういうふうにされ、国の自治体への関与の仕方というのも法律の根拠に基づいて行われるべきで必要最小限のものとすると、こういうふうに定められております。また、自治体が行っている事務のうち、本来国がやるべき事務というのは法定受託事務というふうに改められました。そして、それ以外というのは自治事務というふうにされて、自治体の自主性が最大限保障されるべきものとなりました。
 ところで、介護保険は言うまでもなく自治事務だと思います。自治事務に国が関与する場合には、地方自治法上は助言若しくは勧告、是正の要求などに限定されているというふうに思っておりますが、そこで確認しておきたいんですけれども、自治体の介護保険料、それから介護保険料の減免制度ですね、これに対する三つの原則というのは、国の関与の仕組みの中で何に当たるのでしょうか、御答弁お願いします。
#184
○政府参考人(堤修三君) 今御指摘をいただきました保険料の単独減免に対する私どもの三つの考え方をお示しをしておりますが、これを、地方自治法の国の関与という条文がございますので、それに当てはめて考えてみますと、地方自治法二百四十五条第一号のイに規定する助言あるいは勧告に当たるということだと思います。
#185
○井上美代君 助言若しくは勧告の場合に、自治体にはそれに従う義務があるでしょうか、御答弁お願いします。
#186
○政府参考人(堤修三君) 自治体に対する国の関与には、今の助言、勧告のほかに、先ほど先生も御紹介ありました是正の要求というのがありますが、これは、この是正の要求のように地方自治体が地方自治法上従うべき義務という、法律上の義務というものはないというふうに解釈をされております。
#187
○井上美代君 従う義務はないということです。このように法律が改正されております。
 ところで、二月の十二日に都道府県の担当者を集めた全国会議が開かれております。この三原則の徹底が強調されているわけなんですけれども、その際、厚生労働省のやり方には私問題があると思っているんです。
 やはり古い法律から新しい法律に変わってきているわけですからいろいろあるとは思いますけれども、まず、この会議で出された資料では、その二十三ページなんですけれども、三原則について、引き続き市町村に対する御指導をお願いすると、こういうふうに書かれているんですね。これはやはり法律から、改められました法律から見てもおかしいというふうに思うんですけれども。
 そもそも、指導という言葉というのは法律の規定の中にはないんですね。上下関係を表すもので、今の時代に私そぐわない、だからやっぱりそういう言葉は不適切な言葉ではないかというふうに思うわけなんです。地方自治法のコメンタールを読んでおりましたけれども、通常、上下関係を表す指揮だとか命令という用語は一般的に使用することは不適当であると、こういうふうに言われております。指導という言葉も、文部科学省辺りではまだ幾つか残っているというふうに聞いてもおりますけれども。やはり、このように二月の十二日の会議で言われたということについては、私は、上から下を見ないという地方分権の精神というのが非常に重要だというふうに思っているわけなんです。
 もう一つは、そのとき資料にも示されましたけれども、厚生労働省が会議で配られたその資料、これは資料の中に、ほんの上の部分だけですけれども、資料に入れました、よく分かりませんと思いましたから。「低所得者に対する介護保険料の単独減免を実施している市町村一覧」というのが、この皆さんにお配りしているお手元の資料の下の方にあります。
 これがもっともっと何枚もあって一覧表が出ているんですけれども、これを見て、私これもやはり気になったわけです。減免制度を実施している市区町村の固有名詞を全部北海道の何市までずっと出してあります。何町も出してあります。だから、固有名詞が出してあるんですけれども、一覧表にした資料が配布されて、三原則を守っているのかどうかということで、ここにマルとカケとが、ずっと全部マル・カケという、厚生労働省の、三原則を言っておられる、強調しておられる厚生労働省の側からの表がここに出ているわけなんです。
 これはやっぱり、言葉は、言ってしまえば見せしめというのかな、そういうようなやり方じゃないかなと。テストなどを競争させるときに順位を職員室の前にずらっと、私、自分の高校のころも随分張られたんですけれども、張り出されて、そして三原則に反する自治体がたくさんある都道府県は赤点だと、こういうふうに言われているのと同じではないかというふうに思うわけなんです。
 私は、全国的な数字だけ示せばいいのであって、都道府県、市町村の名前まで出す必要、しかもマル・カケをして出す必要はないんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういうふうになっているんですね。三原則をどうしても自治体に守らせたいという、その思いを持っておられるというのは分かりますけれども、余りにも配慮がなさ過ぎる、このように思うんですね。そして、一方的なやり方というのは、やっぱり助言だとか、自治法にもちゃんと出ている助言とか勧告の範囲を超えているのではないか、こういうふうに思います。
 以上の二点について、国と自治体との対等、平等の関係にふさわしく、私はこの介護制度についても改善をすべきではないかというふうに思っているわけなんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。
#188
○国務大臣(坂口力君) 御指導をお願い申し上げますというのは同僚の間でも言うわけですね。これは必ずしも上下の関係を私は指しているわけではない。指導というのは、下から上を向いて指導することもあるし、上から下を見て指導をすることもあるし、対等の立場で指導をすることもあるし、私は指導という言葉にそれほどこだわりません。こだわりませんが、国の方が主体性を持って決めました介護保険制度というものを、国が末端の市町村、末端と言うとまたしかられるかも分かりませんが、市町村にそれが浸透ができるかどうかということは国にとりましても大事なことでございますから、どうぞひとつ、県の、各都道府県の皆さん、ひとつ国が言っておりますように御指導をというのはそう無理な注文を私はしているようには思いません。
 そして、このマル・ペケの問題もございますけれども、しかしこれはどう見るかでありまして、例えば井上先生の立場からするならば、この表を見て、よくぞ頑張っていると、こう思われるんでしょうし、これは取り方はこれもう様々だと私は思うわけでありまして、別に義務があるという、先ほどの御指摘のように義務があるというわけではないわけでありますから、これをどう取るかもそれぞれの主体的な考え方によるというふうに私は思います。
 国の立場からしかしするならば、そうはいいましても国の立場からするならば、先ほど申しましたように、各市町村だけで行っている国保のような保険ではございません。その半分は税も導入をされておりますし、そして市町村以外の保険料もそこには導入をされているわけでありますから、一つの町村だけが私たちはこう思うというふうにおっしゃっても、それはしかし皆さんの側にはそういうお考えはあるかもしれないけれども、そういう財源を、全体から回ってきているんだということを理解をしていただければ、そこは皆さん方の、要するに皆さん方の御意見は御意見としながら、こういうふうにしてほしいというふうに国が言いますことはそんな無理のあることでもないし、そう言うのもまた当然ではないかと私は思っております。
 そこはひとつ御理解をいただかなければならない。そうでなきゃ、どうぞひとつ御自由にやってくださいというのではこの保険制度というのは成り立たないわけでありますから、保険制度を成り立たせようと思うと国の方はそう申し上げる以外にないと私は思います。
#189
○井上美代君 私は、指導は、下からでも指導はできる、上からでもやると、そういうふうに言われたんですけれども、それはやっぱり言葉の詭弁だと思うんですね。やはり今まで指導というのは上から下へやってきたと思うんですよ。それが、やっぱり法律が変わって、対等で平等にやっていくというふうに地方分権がなってきている、そういう中で今変化をしてきているときだというふうに思うんですね。
 だから、やはりこういう言葉を使うということは、やはり厚生労働省が下に、下にということですよね、さっき下に、下に指導をするという、下からの指導ではないんです、上からの指導になるというふうに思いますので、私は、小さいことにこだわっているように思われるかもしれませんけれども、非常に重要なところを私は申し上げているつもりなんです。だから、やはり私は、この三原則、三つの原則というものについても疑問を持っているわけなんです。
 それで、三つの原則の三つ目の原則なんですけれども、それは自治体の一般財源の導入は駄目だというふうに言っているところなんですけれども、厚生労働省は減免制度に対して、自治体の一般財源を使うことは助け合いの精神を否定することになるかというと、介護保険制度では介護費用に占める高齢者の負担割合は一七%としているので、一般財源を使うとこの割合が崩れてしまうからだと、こういうふうに言っておられるんですね。全部負担の割合が決まっているわけなんです。だから、そういう点でそのように言っておられるんですけれども。
 しかし、介護保険制度によって高齢者の負担割合を決めてしまった以上は自治体は生活の苦しい高齢者を一切支援することができなくなるということは、私は全くこれは納得いかないわけなんです。一般財源を使わずに厚生省の方針で保険料を減額する制度を作ろうとすると、今度は中所得者だとか高所得者の保険料を引き上げなければならなくなるわけなんですね。それではなかなか住民の合意は得られませんから、自治体の予算の無駄な部分を削って、そして減免の財政をしようというこの自治体の努力ですね、なぜこういう選択がいけないのだろうかというふうに疑問を持ちます。これだって私は、一生懸命努力している自治体の努力はやはり助け合いの一つの方法ではないかというふうに考えるわけなんです。
 自治体が福祉の増進のために頑張るというのは、地方自治法の第一条にも明記されていることなんです。それは自治体の使命なんです。だから、本当にもうどうにもならない人がいたら、それを無駄なお金を少しでも削って、そして助けていくというのがやはり当然のことだというふうに思うんですね。
 やはり、介護保険制度ができたために自治体が国の制度に上乗せして福祉施策を進めることができなくなるとしたら、一体何のために介護制度というのはできたんでしょうか。介護制度そのものがやっぱり助け合いということでできたと思うんですよ。このような原則は、私は、この三つの原則というのは自治体を圧迫しておりますし、いろいろ矛盾を起こしております。だから、三つの原則というのは私は撤回すべきだというふうに思っているんです。
 大臣、これを見直しの中で撤回をしてほしいというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
#190
○国務大臣(坂口力君) 介護保険ができますときに、私は野党の立場でございましたけれども、そのときに各市町村長さんから伺いましたことは、これを第二の国保にしてほしくない、そういうお話でございました。そのことを私もその当時の厚生大臣にも申し上げたことがございますが、やはり第二の国保にして、そして一般財源をそこに積み込むようなことだけはしないでほしいということでございましたし、国の方も、そのときの厚生労働大臣は、そうはしません、市町村の財源をそこに投入するという形にはしませんということをお約束をしてこの私は法律はできたというふうに考えております。
 したがいまして、今になりましてから、どうぞお金が余っておりましたらひとつそちらの方にお金を出してくださいということを厚生労働省の方からなかなか言うことはでき得ない。それは、先ほど申しましたとおり、それぞれで保険料を出し、市町村だけで出しているだけではなくて、他の勤めておみえになる皆さん方の保険料もそこはミックスをして、そこで支援をしながらでき上がっている保険でありますから、だからそこはおのずから限度がありますよということを申し上げるのは、これは国として私は当然のことだと思うんです。
 でもしかし、そこではそうは言いますけれども、私の方はそれを乗り越えてやりますというところも、先ほど申しましたように、百幾つでございますか、あるわけでございますから、それはそれで、それでもなおかつそこを乗り越えてやるというのを、私たちも、それは私たちの言うことからはみ出ているからそれは絶対駄目だと、やめろということまで私たちは言っていないわけで、それはそれとしてその皆さん方の主体性というものも尊重しながら、しかしそういうことを私たちは奨励しておるわけじゃありませんよと。こういうことになってしまったら、みんなこれは市町村のまた負担になるではありませんかと、そういう形でしないでこれは運用しましょうということを申し上げているわけでありますから、そこはひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
#191
○井上美代君 今、大臣が答弁されましたけれども、やはり奨励はしないけれども、やめろとは言わないということです。私は、先ほどから自治体の法律を出したり、地方分権を出したりしているのは、やはり地方自治体が自発的に自主的にこの減免制度をもうやむにやまれぬ立場からやっているわけなんですね。だから、やっぱりそこを尊重してやっていただくということは非常に今後の問題としても大事だというふうに思いますので、もうその点、是非尊重をしてやっていただきたいとお願いをいたします。
 実は、何しろ厚生省の方針に反しないようにというので本当に自治体は苦労しているんですね。それで、保険料の減免制度というこの介護保険の枠内でやると問題にされるのではないかということで、予算措置による助成制度として一般財政から支出している自治体もあるわけなんですね。それは、東京でいきますと、東大和だとか東村山だとか、こういうところはそうなんです。こういうところでは、自民党の方々もそれから公明党の方々も全会派が一緒になって実施をしております。厚生労働省の方針では、それもカケ、カケ、カケと、こういうふうにマル・カケでやられたら、やっぱり地方自治体の自主性を損なうというふうに思うんですね。
 だから、私は、間もなくその見直しをしていかれるというふうに思いますけれども、やはりこの三つの原則にこだわりますが、是非この原則を見直していただきたいということを強くお願いをして次に進みたいと思います。
#192
○委員長(阿部正俊君) 時間も考えてください。
#193
○井上美代君 時間はまだあります。
#194
○委員長(阿部正俊君) 四十五分までですから。
#195
○井上美代君 時間もありますとはいいながら、四十五分までというのをいただいておりますが、私は、今日、何しろまだいっぱい、準備しているのがいっぱいありまして、残念ながらまだこんなに持っているんです。今回は保険料のことだけしかできませんでしたけれども、利用料が高くて実際に利用できない問題だとか、もう特養老人ホームの待機者の問題というのも、これも非常に深刻になってきております。そうした問題も山積しておりまして、今日も傍聴の方々がたくさん来てくださっておりますけれども、非常に要求が強いです。介護保険制度の抜本的な改善のために、私自身も頑張っていきたいと思いますが、また質問をさせていただくということで、これで質問を終わります。
#196
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは、まず、坂口大臣が所信でお述べになりました子供を持つこと、育てることには大きな価値があるという考え方を基本に今日は質問をしてまいりたいと思います。「子供の幸せを第一に考え、子育てを社会全体で支援していくことであります。」と、この部分から質問をさせていただきます。
 これまで大臣にも子供さんのことをいろいろお伺いいたしましたが、御自身の子育てについては当委員会でも何度か、私も反省する点が多々ございますというお話も聞きました。私自身も、三人の子供を育てまして、本当に後悔することも多々ございますが、子供が生まれ、そして成長していく過程の中で、幼児期から幼稚園、小学校、そして成人になるまで、子供は子供なりに、また親は親なりにいつも壁にぶち当たると申しましょうか、ともに苦しみながらそれを乗り越えてお互いに成長していくということですけれども、大臣御自身、子育てをされてきた中で、子供さんがどのような時期に壁にぶち当たられたのか。以前にもちらっとお伺いしたと思うんですけれども、話せる内容程度で結構でございますので、まずお伺いしたいと思います。
#197
○国務大臣(坂口力君) いつかもここでお話を申し上げたと思いますが、どうも私はこの質問が一番弱いわけでございまして、ほとんどもう母親任せでございまして、また私が子供の成長のために大きな仕事をしてきたとは正直申しまして私は思っておりません。気が付いたら成長していたというのが現実でございますので、大きなことを私は申し上げることができませんが、それだけに私は、子供が受験をしますとき、あるいはまた大きくなってまいりましていろいろのことを考えるようになりましてから、非常に大丈夫だろうかと人一倍気を使うようになりました。何も教えずに高校や大学の試験が通るだろうかというふうに思うのは、これは普通の親も皆同じだというふうに思いますけれども、それだけではなくて、やはり私は政治の場に自分がいるものですから、親が政治の場にいるということは子供にいろいろの影響を与えるものでございまして、いろいろのことを言われることもまた事実でございます。
 こういうことを申し上げていいのかどうかは分かりませんけれども、私の娘の教えてもらった社会科の先生が、職業として政治家と警察官とそして坊主は一番嫌いだと、こういうことをおっしゃった。それで、帰ってまいりまして随分嘆いたそうでございまして、私のところにも電話をしてまいりまして、先生は政治家というのは最も嫌いな職業の一つだということを言われた、もう皆が見るし、私は本当にいる場所がなかったということを申しまして、非常に私は子供にそういう思いをさせているかというので非常に気を使った時代がございました。そうしたことが、大変私としましては、子供に対しましてどういうふうに指導をし、どういうふうにしていったらいいのかということを非常に深刻に受け止めた時代があったということは事実でございます。
 しかし、全体として考えますときに、私の両親が、特に母親が子育ては人生にとって最大の事業であると、こういうことを申しました。確かに私は、子供を産み育てる中で、私が産んだわけじゃありませんけれども、子供を育てる中で、やはりこの子育てというのは人生最大の事業であり、そこに人間として受け継がせなければならない多くの点をどのように今していくかということを最も考えさせることであったというふうに今振り返っているわけでございます。
 個人的なことを言えということでございますのでそういうことを申し上げたいわけでございますが、私は八年間、実は結婚して八年間子供がございませんで、それはそれで私は人生、子供なければないでいいかなというふうに思っておりましたけれども、子供が生まれて、そしてそういういろいろの、遠くに離れながらもいろいろの思いをする中で、やはり親が申しましたとおり人生にとって最大の事業である、そのことをやはりしっかりと心に刻んでいかなければいけないというふうに思っておりますし、また子供にもその子供がまたできましたから、子供たちにも子育ては人生最大の事業であると、そのつもりでひとつ育てなければいけないということを今また言っているわけでございます。遺伝子のごとくそういうことを言い伝えているというのが私の過去でございます。
#198
○西川きよし君 本当に真心一杯、包み隠さずと申しましょうか、おうちの話まで聞かせていただいて本当にありがとうございます。大臣もそういうふうに御家庭で奥様におっしゃられたという子供さんのお話もまた聞かせていただきました。
 私も三人子供がいるんですが、家内にもいつも言われます、あんたは一生懸命国会で福祉のことを頑張っているけれども、家では親のことも子供のことも何にもしてくれへんと、家の福祉はまるで私ばっかりやというふうに私も言われておるんですけれども、ただ、大臣がそうして真心一杯お話し、今のお話なんか僕本当に全国の方々にNHK辺りが時間を取っていただいて、本当に日曜討論会なんかたまにはこんなお話で一時間していただければ全国の方々大喜びだと思いますけれども、NHKの方が見ていたら是非これ企画していただきたいと思いますけれども。
 先日、一月の末の予算委員会がございまして、テレビ中継のときに僕も五分ほどいただきました。今日はなぜこういう、いつもはお年寄りの福祉の御相談を申し上げるんですけれども、今日はあえて、僕の周囲で大変悩んでおられる方々もたくさんおられますので、子供さんのことを。せんだっての補正予算の審議のときも、五分間という時間でしたけれども、テレビ中継のときやらせていただきました。子供たちはもちろん選挙権も持たないわけですし、一〇〇%これは大人の責任だと、政治の責任であるという信念で児童虐待の問題、病気治療をしている子供の問題を取り上げさせていただきました。当日は大臣からも丁寧な御答弁をいただきまして、今日改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 ただ、残念と申しましょうか、折しも田中前外務大臣の問題に質疑が集中しておりました時期で、家族だとか子供の虐待とか治療だとか、そんなことどうでもいいじゃないかということで、テレビの質問が終わりまして部屋に帰りましたら何本かの電話があったということで、ああそうか、そういう人もまた世の中にはいるんだなというふうに思いました。そういう人もやっぱりおるわけですね。子供なんかどうでもいいという方もおられるわけです。決して僕はそうではないと思います。子供の幸せなくして明日の日本の、世界の平和も幸せもないと思います。
 政治の責任において、また厚生労働省におかれましてもできる限りの子育て支援を講じていく必要があるのではないかなと思います。やはり、子供が生まれて、乳幼児期というのは親にとりましても最初の関門でありまして、育児のやり方についても、保育の問題についても、あるいは虐待防止の施策なり支援体制の整備が必要なことはだれもが認識を同じくするところであると思います。
 そうして、その壁を乗り越えたとして、次の関門としては小学校の高学年から、特に中学校に入学した辺りからと思います。いわゆる世間で言う思春期の時期を迎えるこの辺り、親と子供の関係、私も体験をいたしましたが、この時期というのは子供にとっては心も体も大人へと成長する過程で最も重要な時期であると思います。それがゆえに親も子供も悩みますし、壁にぶち当たることもあります。
 今度は女性の立場で狩野副大臣にお伺いしたいと思います。
 副大臣も当然思春期ということはあったわけですし、また子供を育てた母親として思春期の時期を過ごされたと思いますけれども、やはりその時代の背景、随分今と昔とは変わっておりますけれども、親と子を取り巻く環境というものも随分変化をしてまいりました。
 子供が思春期を迎えたときの親と子の関係については、副大臣はどのようにお考えでしょうか。
#199
○副大臣(狩野安君) 私も今、大臣の話を聞きながら、私自身ももう一度できたら昔に戻って子育てを最初からやってみたいな、でもやってもやっぱりできなかったんじゃないかなというふうに思っております。
 思春期を迎えるというのは、私も一番大事な時期だというふうに思っておりまして、私は女ばかりのきょうだいだったものですから、息子が、男の子の心理というのは分からないということで、なるべく父親に、ちょうど体の変わり目辺りはできるだけ早めに帰ってきてもらってお風呂に一緒に入るということを強制をいたしました。そしてまた、とにかく私は男の子の悩みが分からないんだからあなたが父親として聞くべきだということで、できるだけ一緒にお風呂に入るということを強制させたわけですけれども。ただ、私は男の子の心理は分からないということで、そればかりは男の子の思春期はどういうふうにして迎えたらいいかということを真剣には考えたんですけれども、同性で娘の場合には、私は、同性だから私と同じ気持ちだろうというふうに子供にずっと思春期も接してきた結果が、私はやっぱり同じ同性だといっても、子供である、そして一人の個人の人格を持っているんだということで、今改めて反省をしておりまして、女、同性だから分かるという思い上がりというのは今ちょっと育児に失敗したかなというふうに考えております。
 私は、やっぱり両親というのは子供の育児にかかわり合いを持つことがとても、二人で持つことが大事だと思いますけれども、特に私は母子手帳を交付された時点でお父さんとお母さんで、うちの子供はどれぐらいか、どれぐらいたったら、何か月たったらこれだけ成長したのかということを二人で眺めながら子育てをしていくことがとても大事だなというふうに思います。
 私、ここで告白をさせていただきますと、今大変はやっております、これは西川議員のお人柄で私もつい言いたくなったわけですけれども、いわゆる、いろいろ事情がありましたけれども、私はできちゃった婚なんですね、今随分はやっておりますけれども。でも、私はそのために親としての自覚を持たないうちに子供ができたということで、大変コンプレックスといろんなものが混ざり合って背伸びしたということで、いろいろと子育てに悩みを持ったということで、その悩みが今でも子供たちに影響を与えているんじゃないかなという反省もしております。
 ですから、いろんな形で私自身の体験を踏まえながら、子育て、子供を産むということのいかに大事なこと、女性としても、そして男性としても子供が一人授かるということがいかに大事なことかということをもう一度考えてみたいな、そして、私の体験を通しながら、そういうものをいろんな形で影響を与えることができればいいなという思いで今ここでお話をさせていただきました。
 ありがとうございました。
#200
○西川きよし君 どうもありがとうございました。本当に今日は、再度申し上げますが、両大臣のお話を中継したい、全国に中継したい、そんな気持ちで一杯です。
 今日は二十五分いただきまして、私は十分まででございますけれども、まだ二問しか質問が終わっておりません。少しスピードアップをさせていただきますが、よろしくお願いいたします。大変いい御答弁をいただいて、本当に感謝いたします。
 そこで、一昨年の十一月、旧厚生省の時代にまとめられました健やか親子21検討会の報告書にはこの辺りの、福祉だとか医療だとかいろいろありますけれども、子供たちのこういう課題、今後の取組、かなり細かく的確な報告がされておりますけれども、この報告書の趣旨と概要について政府参考人よりお願いいたします。
#201
○政府参考人(岩田喜美枝君) 健やか親子21は、これまでの我が国の母子保健におけます取組の成果と、そして今後取り組むべき課題を整理をいたしまして、二十一世紀の初頭十年間の母子保健の取組の方向性を示すビジョンであったと思います。またあわせて、具体的な目標値を設定いたしまして、国、地方自治体、関係団体、国民お一人お一人が取り組むべく国民運動計画でもあったというふうに思っております。
 具体的な課題は四つございまして、一つは思春期の時期の問題で、思春期の保健対策の強化、健康教育の推進を取り上げております。二つ目は、妊娠、出産時期の問題でございまして、妊娠、出産に関する安全性と快適性の確保と不妊への支援でございました。三つ目は、小児医療、小児保健の問題ですけれども、小児医療、小児保健の水準を維持、向上させるための環境整備の課題。そして、四つ目は子供の心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減という、こういう主要四課題を示したものでございます。
#202
○西川きよし君 そこでお伺いします。
 この思春期の心の問題への対応でございますけれども、どのような問題といいますか問題認識をお持ちであるのか、お伺いします。
#203
○政府参考人(岩田喜美枝君) 健やか親子21の報告書によりますと、例えば心身症、不登校、引きこもり、思春期やせ症を始めといたしまして、思春期特有の心の問題も深刻化、社会問題化しているという認識が示されておりまして、思春期の子供の心の問題は深刻な社会問題となっているということでございます。
 この問題は、その御本人の思春期の時期の心と体の健康問題と、その時期の問題だけではなくて、生涯にわたる健康障害に及ぶこともありますし、また時にはその方が子育てをするということを通じて育児障害など次の世代の心の発達にも影響を及ぼす場合もあるというふうに考えております。
 そういうことから、先ほど申し上げましたように、健やか親子21の四つの課題の最初の課題ということで位置付けて取り組んでいるところであります。
#204
○西川きよし君 ありがとうございます。
 まず、子供の心の問題、最初に、どういうんでしょうか、何らかの身体に異常、何らかのサインを発せられるというようなことも言われておりますけれども、それをいかに親が見抜くか大変難しいんですが、先ほど副大臣の御答弁にもありました、特に異性、女の子と父親、男の子と母親、異性の親と子の関係におきましては、そのサインが何を意味するのか、親としてどんな対応が必要なのか、この点十分な知識なり理解ができなければ結果として親の思いと子の思いがすれ違う、衝突をしてしまう、子供が反発をする、だんだん距離が離れていくというふうに僕自身思います。
 身近な相談機関であったり、情報提供機関の整備というものが必要だと思いますが、来年度以降の方針についてお伺いしたいと思います。
#205
○政府参考人(岩田喜美枝君) 委員おっしゃいますように、子供にとって最も身近な存在であります親が子供の心身の異常などのサインを早期に発見できる立場にあるわけですから、それを正確に理解できるだけの情報と知識を親が持つ必要があるというふうに思います。
 このため、厚生労働省としては、従来からでございますが、思春期特有の医学的な問題や不安、悩みなどについて、その思春期の子供自体にいろいろ情報提供をする、教育をするということと併せまして、思春期を持つ親を対象として、医師や保健師、そして助産師、こういった専門家の方々が相談に応じる、情報提供を行うといったようなことを市町村でやっていただきたいというふうに思っておりまして、そういうことを、そういう事業を実施する市町村に対する助成を行っているところでもございます。
 また、文部科学省の方、文部科学省にもそういった親に対する教育事業を展開なさっておられますので、その事業にも各自治体の母子保健部局として協力をして一緒にやらせていただいている、そういう状況でございます。
#206
○西川きよし君 ありがとうございます。
 次に、その医療の分野での対応ですけれども、大学病院でありますとか公立病院でありますとか、思春期外来でありますとか思春期病棟の整備が始められていると、進められていくことですけれども、諸外国に比べてかなり後れているのではないかなという指摘もされておられます。
 この現状についての問題認識をお伺いします。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
#207
○政府参考人(岩田喜美枝君) 委員御指摘の思春期外来、思春期病棟の整備の状況につきましては、大変申し訳ないんですが、現在のところ、全国的な網羅的な調査はございません。
 ただ、平成十一年一月現在の状況ですが、日本思春期学会がその所属する医師を対象として行いました思春期外来の設置状況に関する調査というのがございます。それによりますと、百四の医療施設で思春期外来を設置しているということが分かっております。
 この思春期外来あるいは思春期病棟の整備の促進につきましては、先ほど来話に出ております健やか親子21の中でも指摘されておりますので、専門家の御意見も聴取しながら自治体や関係団体と協力して整備を進めていかなければならない課題であるというふうに認識しております。
#208
○西川きよし君 今後、こうした医療体制の整備ですけれども、報告書では診療報酬面での改善、医学系大学における講座の開設、医療法上の標榜の課題、思春期の心の問題に対応できる医師そして児童精神科医及びその他の医療スタッフの育成と、こういうふうに記されているわけですけれども、こういう内容ですけれども、これまでの検討状況を是非お伺いしたいと思います。
#209
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、三つの課題を委員の方から御指摘いただきましたけれども、まず診療報酬面での対応でございますが、思春期における医療の充実を図る上で特に児童の精神医療について診療報酬の改善が重要であるというふうに考えており、今回の診療報酬改定の中でもその充実が図られたところでございます。
 また、医療法上の診療科名の標榜の課題、児童精神科という診療科名を標榜できるかどうかという課題が従来から議論になっておりますけれども、この問題につきましては国民が医療機関を適切に選択する上で必要な情報が提供されるような環境を整備するといったそういう観点から検討がされるというふうに思っておりますが、今回、医師の専門性や医療機関の特性などを広告できるような規制緩和が行われるということもございますので、その中で改善が期待されるというふうに思っております。
 三点目の子供の心の問題に対応できる児童精神科医その他の医療スタッフの育成の問題でございますが、問題は、指導していただく専門医が少ないという、その指導者を養成するというところから始めないといけないというのが現状でございまして、これについても大変重要な課題であるということで検討を具体的に進めたいというふうに思っております。
#210
○西川きよし君 ありがとうございます。
 時間が十分までですので次の八番目も飛ばさせていただきまして、九、十まとめてお伺いして終わりにしたいと思います。いろいろ御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 医療、保健、福祉だけで対応できるものではないということもいろいろお話をお伺いして分かりました。やはり教育、学校における取組、さらには医療、保健、福祉と学校の連携というものも大切であると思います。
 報告書におきましても学校の取組に対する指摘も随所にございますけれども、この報告ございますけれども、是非その辺りの学校側の対応とともに、医療、保健、福祉の連携の在り方、文部科学省の対応の現状と今後の取組の方針についてお聞かせをいただきたいと思います。最後に文部科学省の政府参考人にお伺いして、終わりたいと思います。
#211
○政府参考人(上原哲君) お答え申し上げます。
 当該報告書につきましては、私どもといたしましても思春期の母・子供、親・子供につきまして重要な問題を提起しているというふうに認識いたしておるところでございまして、当該報告書につきましては、特に思春期の保健の問題について、学校と地域の連携、地域のお医者さんとか地域の保健所とかそういう連携の中で子供を育てていく必要性が指摘されてございますので、平成十二年の十二月二十六日付けで都道府県の教育委員会あてに、報告書の趣旨を理解した上で地域との連携を強化を図ってくださいという指導をいたしているところでございます。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 また、具体の取組につきましては、養護教諭の方々の研修の機会を増加し、こういう問題につきましての研究、研修の機会を増加することを始め、地域と学校の連携強化を図っていきたいと考えてございます。
 また、例えば性教育の問題ですと保健所の保健師さん、それからお医者さん、それから薬物乱用の問題ですと例えば麻薬取締官のOBの方を学校に特別非常勤講師として来ていただくとか、そういう形で実際の授業に御参画いただくとともに、保護者の方、それから教職員の人間もそういう研修が必要でございますので、併せて今先ほど局長からも御答弁ありましたとおりやらせていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、非常に子供が社会環境の変化におきまして非常な環境の変化があるわけでございますので、当該報告書も含めまして、厚生労働省と協力しながら、私どもとしても児童生徒の保健の増進に努力していきたいと考えているところでございます。
#212
○西川きよし君 ありがとうございました。
 終わります。
#213
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党)の森ゆうこです。よろしくお願いいたします。
 私は、今日は最初に、大臣から社会保障制度の哲学といいましょうか、その理想、思想というものについてまず伺いたいと思います。
 先ほども井上委員のお話を伺っておりましたら、やはり今までの日本の社会保障制度というのは、次々と出てくる様々な要求にこたえて制度を繕うように構築したために非常に複雑な制度になってしまったと。その一方で、ある意味手厚過ぎる部分もあり、しかし本当に支援を必要としている人に届かない。そして、福祉なのか、例えば保健なのかというところの部分もまだはっきりしていない部分もある、様々な問題があると思います。
 一月末に発表されました新しい人口推計によれば、前回の推計よりも少子高齢化がますます加速して、やがて日本は三人に一人が高齢者という超少子高齢社会を迎えることになりますが、少子高齢社会に適した社会インフラとして社会保障制度を再構築する必要があるということは大臣も同じお考えをお持ちだと思います。
 先ほど、午前中に診療報酬体系のお話もありました。きちんとした物差しがないからきちんとした仕組みが作れないということをおっしゃっておりましたけれども、本来この社会保障の理想形ということの議論の前には、どんな社会にしたらいいのかと。日本人というのは本当に、六十なら六十で完全にリタイアして、後は悠々自適、楽園生活を年金で送るというふうなのがいいのか。私、個人的にはやはり生涯現役で元気に暮らしていけるというふうな社会の方が日本人には合っているんじゃないかなというふうに思っておりますが。そういう理想を、例えば事故や病気等で理想が果たせない、自ら自立して生きていくことが困難だというときに、そのときにはお互いに助け合う。それは国民が税金を払って、又は保険料を払って、そして国が支えるということになるかと思うんですが、まず坂口厚生大臣にその社会保障の哲学、そして思想というものをお聞かせ願いたいと思います。
#214
○国務大臣(坂口力君) そんな難しい哲学を私も語ることはでき得ませんけれども、人間というのは自立自助というものがやはり本来中心にあるべきだというふうに思いますけれども、それではやはりなし得ないところが時として生まれてくる、そこを共助あるいは公助によって補うというのがこれは社会保障の基本ではないかというふうに思っております。そのリスクの分散をやはりさせるというところに価値があるというふうに思っておりますが、しかしこの少子高齢化社会、これだけ進んでまいりますと、なかなかそこが、この支え手の方が少なくなってきて、そこがうまくいきにくくなってきている現実というものもあるわけでございますので、これから先、今、先生が御指摘になりましたように、やはりいつまでも元気にひとつ頑張るといったようなことが大事になってくるのではないかというふうに思います。
 すなわち、支え手をいかに増やしていくかという施策がこれから要求をされますし、そして高齢者になりました皆さん方もできる限り自身で生きていける人はやはり生きていけるようにしていただくということが大変大事な時代ではないかというふうに思っております。
 そうした生き方の中で、新しいこの社会保障制度、あるいはまたお互いのセーフティーネットを構築をしていく、そういう時代に差し掛かってきたというふうに思います。今までの若い人たちが多い世代とはやはりそこはかなり大きく変化をしてきているというふうに思っている次第でございます。
#215
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 私が言うまでもなく、全く新しい社会保障制度再構築というものが急がれると思うんですが、今回、年金の物価スライド制というのがまた見送られるということに、その予定だそうでございますけれども、この国民年金の物価スライド制の特例法というのは、これで何度目になるんでしょうか。
#216
○副大臣(宮路和明君) 平成十二年度、十三年度、そして今回法案を出しておるところでありまして、三回目になるというふうに理解をいたしております。
#217
○森ゆうこ君 合計三年の特例で、本来であれば物価が下がっているところを様々なことをかんがみてということで下げずに、年金を下げずにそのまま据え置くということですけれども、その結果、今年度それを実施しますと、そのための財政の支出というのは、物価スライドで上げた場合、本来上げていった場合と比べて合計幾ら出ていきますでしょうか。政府参考人でも結構です。
#218
○政府参考人(辻哲夫君) 通常であればマイナスにスライドをするという場合に比べまして、そこから比較いたしますと、給付費ベースで、厚生年金、国民年金合わせまして四千七百八十億円、そのうち国庫負担ベースで七百九十億円が含まれておりまして、この分スライドしないよりも支出が多いということでございます。
#219
○森ゆうこ君 まず最初に、高齢者は弱者であり、すべて弱者であり保護しなければならないという、その前提をまず見直すべきではないかということを伺いたいと思います。
 そして、この年金物価スライド制、これ、決めたのであればきちんと守るべきではないでしょうか。この制度を決めたのになぜその約束を守らないんでしょうか。これは大臣。──どうぞ副大臣。
#220
○副大臣(宮路和明君) この物価スライドをしっかりと遵守すれば、先ほどからお話がありましたように、年金額等で一・七%今回引下げということになるわけでありますが、この点につきましては、将来これが財政事情にまた影響を与えるということに当然なるわけでありまして、先ほど御説明申し上げたとおりでありますけれども、しかしながら、それを次期の財政再計算までに後世代に負担を先送りしないという観点から、その先送りしないための方策について検討を行って、そしてその結果に基づいて所要の措置を講ずるということを今回の法案の附則にも明記をいたしておるところであります。
 したがって、今回の特例措置に伴って負担が将来的に先送りされることはないものというふうに理解をいたしております。
#221
○森ゆうこ君 一つ確認しておきたいんですが、この物価スライド制によって年金を引き下げるというのは、これは痛みですか。
#222
○副大臣(宮路和明君) 法律をきちっと守っていくということも一つのまた政策判断だと思いますが、御案内のような経済情勢、家計も大変苦境に立たされておる、可処分所得もむしろ減少ぎみであると、そういう中にあって、現在のデフレ状況を一日も早くまた脱却するというようなそういう経済対策面も考慮しますときに、こうした法律にのっとったスライド制を回避させていただいた、いただくことにしたと、こういう総合的な判断の結果であることを御理解賜りたいと思います。
#223
○森ゆうこ君 たしか小泉改革のキャッチフレーズというのは、問題を先送りにしない、子供たちの世代に負担を残さない、そのために、将来のために今の痛みに耐えて改革に協力してくれと、これが小泉内閣の最大のキャッチフレーズであり、これが国民に支持されているのだと思いますが、私は、この物価スライド制をまた特例で今年度もやらないということは、小泉改革はやっぱり全く本当の改革をやろうとしていないということの証明だと思うんですね。国が決めた約束を守らない。これで若い世代が、例えばこの国民年金というものを信用して、じゃ自分たちも加入して払っていきましょうと、そういうふうになるでしょうか。
 社会保険庁にお聞きしたいんですけれども、先般、収納率というものを発表されたようですが、それについて詳しく御説明ください。
#224
○政府参考人(冨岡悟君) 先生ただいま御指摘の点につきましては、私どもが先日発表いたしました平成十二年度社会保険事業の概況におきまして、国民年金の第一号被保険者の納付状況を示します検認率、これが平成十二年度に七三%になったことの御指摘かと思います。
 この点につきまして、実は検認率と申しますのは、対象となります日本全国の十二年度の保険料につきまして、被保険者が納付すべき月数のうち十二年度中に実際に納付された月数の割合を示すものでございます。これはなかなか分かりにくい表現になっておりますが、この四月から制度が変わりますけれども、国民年金の保険料につきましては、国の保険料を市町村が収納するということから、印紙で納めるという建前になっているものですから検認率という言葉を使っております。それで、それが七三%ということでございますが、これは現年度分でございまして、従来、過年度分、その年に納められなかったものが更に四%ぐらい後で納められるということがございます。
 こういった国民年金の保険料の収納の実態を発表したわけで、それが報道されたわけでございますが、この保険料の収納の状況につきましては、近年、経済状況といったこともありまして少しずつ低下しておりますが、特に都市部の若い層、世代、やはり年金に対する現実感がないことからかと思いますが、低いという傾向がございます。
 基礎年金は公的年金全体で、国民全体で二十歳から五十九歳までの全国民が支えるものでございまして、この全体の数から見ますと、納めていない方の割合というのは実は五%程度ということで、制度自体が将来的に基盤が揺らぐということではないわけでございますが、未納の方につきましては将来年金がいただけないと、そういったことになるわけでございまして、そういった観点から、国民の年金権を将来確保していくという観点からは非常に重要な課題だと認識しております。
 そういうことで、若い世代の教育、広報、そしてやっぱり年金は、公的年金は将来的にも安定したものとするというこういった基本的な点から、それから保険料の納付につきましては口座振替といったもの、こういったものを普及するとともに、これからはすべての金融機関、郵便局、そういったものに拡大します、こういったこと。
 そういったことの広報に努めますとともに、それから四月から国民年金を社会保険事務所が直接収納するということもありまして、この収納対策の徹底、例えばこういうもの、たまりますとなかなかいただけないわけでございますものですから、年に六回催告状を滞納している人に差し上げる、それから電話でも注意を促すと、こういったこれまでにない対応をしまして制度の根幹を是非とも揺るがないものにしてまいりたいと、かように思っております。
 以上でございます。
#225
○森ゆうこ君 今の説明、よく分かったような分からないような、済みません。
 ただ、年金に対して実感がないというよりも、やっぱり若い人たちに聞きますと、年金信用していないんです。自分たちが年を取ったときにもらえないんじゃないかという不安があるわけですね。それは本当に二十代とかそういう人たちだけじゃなくて、もう私たちの年代以降は払い損になるかなというふうな国民の負担があるということだけは事実です。
 そして、それを解消する、解消しなければ経済も良くならない、需要は喚起されない、将来に不安があるから需要が喚起されないというところだと思うので、とにかく小泉構造改革は将来のために痛みに耐えてと言っているんですから、選挙用に、何というんですか、特に高齢者に対してきちんとした説明もなく特例をどんどん付けるということはやめて、きちんとした改革をやってほしいと思います。
 次に、通告してある質問があるんですが、この問題に関して坂口厚生労働大臣に、とにかく雇用の問題も含めまして新しい日本モデルの構築ということが必要だと思うんですけれども、社会保障と税、雇用政策、その中には定年制をどう考えるかとかその賃金体系をどう考えるか、また今までいろいろな壁があって労働市場に参入していない女性と老人、その人たちの社会保障をどう考えるか、そしてそれらの財政的問題をどう考えるか、もうこれらのことが、様々な問題があって、これをいろいろ考えた上で、本当に先ほど午前中おっしゃいましたけれども、白いキャンバスに、真っ白いキャンバスに絵を新たにかくような気持ちで作らなければいけないと思うんですけれども、この件に関していま一度大臣の御答弁をお願いいたします。
#226
○国務大臣(坂口力君) いろいろのことを言っていただきましたので、どこを中心にお答えをしていいのか少し分かりにくくなりましたが、年金の改革につきましては、これは平成十六年を目途にいたしまして、これはもう今年から精力的に年金の在り方について検討をしていかなければならないことは事実でございます。
 今年のこの物価スライドの問題はございますけれども、ここは延期を、引下げを行わずにそのまま据置きを決めさせていただきましたが、これは先ほど副大臣の方から御説明を申し上げた様々なことを総合してそう結論を付けたわけでありまして、このことによって年金制度が大きくゆがむということは私はないというふうに思っています。
 むしろ、このことによって将来その負担をより多くしてもらわなきゃならないという点があるわけでございますから、そこをこの次の改正のときに、すべてそこを織り込みながら新しい制度の改革を行わなければならないというふうに思っています。
 これからの年金の在り方の中で一番大きな問題は、やはり年金と女性の立場、これをどうするかということになってくるだろうというふうに思っておりますので、そのことを中心にしながらこれから新しい対策というものを立てていかなければならないというふうに思っています。これはもう今年かなり精力的にやらないといけないわけでございますので、一生懸命に皆さん方のお声も聞かせていただきながらやりたいというふうに思っております。
#227
○森ゆうこ君 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 先日の所信表明で、子供、子育ての社会化というふうに大臣の方からお話がありました。大変心強いというふうに思いました。
 しかし、子供の、子育て支援という部分についてですが、四月から完全週五日制が始まるということで、土日、特に今度、第一、第三土曜日どうするかということで大変な心配があるんですが、様々な施策もやられているようです。学童保育、それから児童館、そして文部科学省の方では子どもセンターなどを設置して地域での子供たちの受入れというふうに様々やられているようなんですが、ただ二つの省に分かれていますのでその辺のところ、いろいろあるんだけれども、統一が取れていないんじゃないかなという気もいたしますが、まず文部科学省の方からその完全週五日制の対応についてお願いいたします。
#228
○政府参考人(寺脇研君) 四月から完全学校五日制を実施いたしますのは、子供たちが家庭や地域で育つということをもう一度再認識をし、その家庭や地域で子供が育つことを社会全体で助けていけるようなことにしていきたいということなのでございます。
 それで、文部科学省といたしましては、今、委員御案内の子どもセンターを始めといたしまして様々な居場所、いわゆる居場所の整備をしてきておるわけですが、しかしこれは、その子供の活動というのは、これが何省、これが何省という活動、そういうことで子供が行動するわけではございませんので、御指摘のとおり、縦割りの弊害が子供に及ぶことがないように努力をする必要がございます。
 そこで、この学校五日制を完全実施することが決まりましたときから厚生労働省とは特に連携を図ってまいりました。また、ほかの省庁とも御相談をしてまいったわけでございますけれども、そういった体制の中で、特に厚生労働省と私どもが連携をさせていただきまして、子供が安心して過ごせる、子供には必ず安心できる居場所とその子供をサポートする大人の目が必要でございますので、それをどれがだれの役割というようなことを、縄張意識で影響が及びませんように、不断に今後とも、四月以降も御相談をしながら努力をさせていただきたいと考えております。
#229
○森ゆうこ君 ごめんなさい。もう一度文部科学省に伺いたいんですけれども、完全週五日制ということで、その土曜日の体制というのは十分ともうお考えでしょうか。
#230
○政府参考人(寺脇研君) これは、土曜日の体制といいますか、休日に子供を受け入れていくというのは、御家庭、個々の御家庭と、それから地域社会の言わばボランティア精神というか、地域社会の人間がそのまま動くことと、それから私どもが行政として落ちがないようにきちんと行政体制を作っていくことと、その三者が組み合わさって子供たちが安心して過ごせるようにしていくということでございます。したがって、私どもが行政施策をこれだけ取ったからもう安心でございますというようなことではない。
 ですから、御家庭にもそういうお気持ちになっていただき、地域にも御協力いただくということをやっていきながら、そこでこぼれることがないように、行政は最後の責任者として努力をしていくという形の中で遺漏のないように努めてまいりたいと考えております。
#231
○森ゆうこ君 ちょっと時間がありませんので、岩田局長にはまた明日伺いたいと思いますけれども。
 まず、文部科学省に一応私の意見だけ言わせていただきたいんですが、完全週五日制、結構だと思います。総合学習、結構だと思います。でも、その授業時間、ただでさえ減る授業時間を削って総合学習を平日やる必要はない。総合学習、生きる力をはぐくむ体験学習、そういうものこそ地域の力を利用して、そしてまた環境を行政の方で、後ろで支えながら環境を整えて土日にやるべきものじゃないかと思います。総合学習は二年間の試行を終えて四月から始まるわけですけれども、これも何か文部科学省が言っている二年間の試行の報告と私が実際に周りで聞く話、見る話とは随分違うような気もします。
 政策、もし間違えたと思うんでしたらすぐおやめになった方がいいと思いますし、土日に総合学習というようなことができる体制を省の連携を取り合って行われたらいかがではないかなと、特に社会体育の部分、部活の問題もありますし、その辺のところをお願いしまして、私の質問を終わります。
#232
○大脇雅子君 最後になりました。
 今日は社会保障制度と雇用、労働の問題について通告をさせていただいておりますけれども、まず雇用の問題からお尋ねをしてまいりたいと思います。
 失業率は五・五%が五・三%になったということですが、完全失業率は三百四十四万人、そして非労働力人口が四千二百九十九万人で、前月比が〇・九%増加するということで、いわゆる失業率は悪化しているにもかかわらず、改善が見えたような数値になっております。しかし、大量の人が求職をあきらめて、いわゆるあきらめ層というのが五百八十六万人ということで、これを一種の失業者とみなせば失業率は一二・七%になるんだという深刻な状況でございます。市場メカニズムではもうこの失業は解決できず、希望退職者も多くは長期失業者に転化しつつあるという深刻な状況が報告されております。
 私は、リストラと企業の社会的責任という点についてまずお尋ねをしてみたいと思っています。
 リストラ策の一環といたしまして、例えば造船業の住友重機械というところでは、五十五歳以上の労働者を関連子会社に在籍出向させる。その前に希望退職を募るということであります。住友重機械の在職従業員は、千三百二十五名を二〇〇三年三月末までに削減をする、そして月例賃金や一時金などを平均一五%カットするというふうに言われています。
 希望退職者優遇制度によっては、二百六十名が対象となっておりますけれども、居住地の変更を伴う配置転換とかグループ関連企業への転籍とか、あるいは事業の分社化等を実施して賃金カットを行っていくということであります。
 この希望退職というのは、あくまで厳しい条件を付けて強制となるということは非常に不合理だと思うのですが、いかがでしょうか。
#233
○政府参考人(日比徹君) ただいまの労働条件の変更なり希望退職の募り方ということでございますが、企業におきましてはやはりそれぞれの事情あるわけでございますので、労働条件の変更なりあるいは要員の問題につきまして時として希望退職を募ると、こういうことも起こり得るものと思います。
 この点どのように思うかということにつきましては、これは裁判の結果等を見るということになりますけれども、裁判例におきましては、もう御案内のとおりだと思いますけれども、労働条件の変更について合理性が問われると、あるいは希望退職を募る等の点につきましては、解雇権の濫用に当たらない範囲でというようなことが行われておるところでございます。
#234
○大脇雅子君 そして、希望退職に応じない場合は解雇していくと。そして、その条件を提示する中で、いわゆる五十五歳になった人たちは賃金を二〇から三〇%カットしていくと。これだけカットされるともう生きていけないということでございまして、このような不合理な条件というものは非常に問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
#235
○政府参考人(日比徹君) 具体的なお尋ねでございましたけれども、やはり合理的かどうかというのはいろんな諸事情を勘案すべきと裁判例等でもされておるところでございます。
 ただ、いずれにしましても、労働条件の変更の問題なりいわゆる希望退職を募る等のことにつきましては、裁判例の考え方等も踏まえまして、具体的な事情に応じて関係労使で十分話し合っていただくことが大切であろうと思っております。
#236
○大脇雅子君 再就職援助計画というものが雇用対策法で作られましたが、こういった場合は再就職援助計画を作成をしていくということは必要だと考えますが、いかがですか。
#237
○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用対策法に基づきます再就職援助計画は、一か月の間に離職を余儀なくされる方が三十人以上出るというときに事業主に作成義務が掛かりますので、その要件に該当すれば当然計画を作って公共職業安定所に提出して認定を得ていただくということになります。
#238
○大脇雅子君 収益が黒字でありながら株価を上げるためにリストラを行うというような、方便といいますか、そうした傾向がこのところ強くなっているのではないかと思います。こうした便乗的な言わばリストラとかあるいは合理化計画というものは、企業の社会的な責任ということを考えた場合に非常に問題ではないかと。
 失業の防止を徹底し、労働条件の切下げを抑制するためには労使協議というものが徹底して行われなければならないというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
#239
○政府参考人(日比徹君) ただいまおっしゃられました件でございますけれども、労働条件の切下げの問題、あるいは人員の配置の問題等、いずれにいたしましても、今委員お話ございましたように、労使間で十分話し合うということは大切なことだと思います。
#240
○大脇雅子君 一般会計による各種の助成措置やあるいは雇用保険三事業における各給付金、雇用保険三事業におけるそうした助成金や給付金というのは六十三数えますとあるわけです。それのいわゆる予算措置と、それから言わば実績を調査させて資料を提出していただきました。
 これを見て分析いたしますと、一般会計の助成金は四種類あるのですが、効果を上げていないのは緊急雇用創出特別奨励金とか、あるいは新規・成長分野の雇用創出特別奨励金ではないかと思います。そして、雇用保険三事業のいわゆる各種給付金について見ますと、非常に効果を上げていないのは中小企業関連の助成金、それから新規・成長分野就職や人材移動の助成金、そして育児・介護雇用とか高齢者雇用とか、あるいは介護雇用等の分野における助成金というものが非常にその効果において非常に実績率が悪いと。
 そうしますと、今、労働移動、失業なき労働移動というのが労働政策の労働省の根幹になっているわけですが、そのところで非常にこうした助成金というのは効果を上げていないのではないか。そして、成長分野におけるそうした奨励金や助成金もまた非常に効果が疑問視されるのではないか。先ほど予算委員会におきまして、こうしたいわゆる助成金、給付金の労働政策というものについて議論をいたしましたところ、これは既に手詰まりに来ているのではないかと。採用したときに出る助成金というのは、もう採用しないということで、雇用主が使わないということで、非常にこうした政策というのは見直しを必要ではないかというようなことが言われております。
 私は、根本的にこうした助成金措置というものについては徹底的な根本的な見直しが必要ではないかというふうに考えるのですが、労働省としてはこの実績を踏まえてどのように考えておられるのでしょうか。
#241
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今、委員御指摘の具体的な助成金につきましてすべて触れるわけにまいりませんが、特にコメントすべきものとして一般会計の緊急雇用創出特別奨励金、確かに予算に比して実績が少ないという状況にあります。
 ただ、これは制度自体が、全国レベルで申しますと失業率が単月で五%に乗ったときに発動する、あるいはブロックであれば連続する二四半期が連続して五・四%を超えたときに発動するということでございましたので、平成十一年に制度ができた当初はその状況に失業率がなかったということでほとんど出ませんでしたが、昨年の八月に全国で失業率が五%を超えましたので全国発動したということで、最近は活用が進んでおります。
 あと、新規・成長分野の奨励金なども当初なかなか周知徹底がいかずに支給が伸び悩んでおりましたが、近年しり上がりに増えているということで、むしろこれの予算が出過ぎないように気を付けるというようなことも一部にあるような状況であります。
 総じて助成金につきましては、明確に活用されているものと活用されていないものがかなりはっきりしております。私ども昨年、雇用保険三事業の助成金について申しますと、六十一あったものを三十九に見直して要件等も実情に沿ったものに直してまいりましたが、更に雇用保険制度全体につきまして、大変厳しい財政状況等々に向かっておりますので、今後とも三事業の助成金、とりわけ賃金助成につきましては真に効果のあるものに重点化するという姿勢で不断に見直していきたいと、こう思っております。
#242
○大脇雅子君 今、一番深刻な問題というのは、長期失業者に対してどのようにその手当てをするかということが最も優先的に行われなければならないのではないかと。そういう意味で雇用保険の発動ということは、訓練給付期間という一つの制度が作られて、これは確かに有効な政策だと思うんですが、総体として雇用保険の失業保険、失業手当、いわゆる失業手当の延長給付というのは雇用保険財政が逼迫している折から非常に難しいのではないかと。
 この長期失業に対する手当てというものに何か新機軸を打ち出さないと我が国における失業は非常に大きな社会不安を呼び起こすのではないかというふうに考えるのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#243
○政府参考人(澤田陽太郎君) 近年、失業者に占める長期失業、例えば一年以上の失業者の割合が二七、八%ということでじわじわ増えております。こうした方々に対しますいわゆるセーフティーネットの整備ということが議論になっておりますが、諸外国と比べて日本の失業給付日数が少ないという議論は一つありまして、これにつきましては、労使の負担する保険料の水準がドイツ、フランスの水準に比べて日本国は格段に低いという財源の問題も言わば裏腹の問題としてあるわけであります。
 長期にわたる失業給付を制度化している国におきましては、セーフティーネットとして生活の安定を図るというプラスの側面と、それによって失業者が長期にわたって滞留してしまうというマイナスの面、両方ございまして、我が国においてその辺の兼ね合いをどうしていったらいいかというのは大変悩ましい問題となっております。
 当面、私ども考えておりますのは、長期失業者が生じないように、滞留しないようにということですので、失業した場合にはなるべく早く再就職をすると、再就職促進ということに政策の重点を置いて、失業期間を短くする、結果としての長期失業を減らすということに現在の政策も重点を置いておりますし、今後につきましてもそうした観点は大事にしていきたいと、こう思っております。
#244
○大脇雅子君 この厳しい雇用情勢の中で、高校生の内定率というのは空前の低さだというふうに言われています。インターンシップ制度とかトライアル雇用事業等積極的に推進していくということで初めて若者対策というのが作られたと思います。しかし、我が国で若者に対する職業教育その他まだまだ若者の就業の可能性を高めるために行うことはたくさんあるんだと。
 企業の人材選別というようなことが助長されては若い人たちの希望を切り捨てるということになるのではないかと思いますが、現状と施策についてお尋ねします。
#245
○副大臣(狩野安君) 高校生を対象にするインターンシップについては、職業安定機関と高校とが連携して普及に努めてきていたところであります。また、平成十三年度上期において約二万人の高校生を対象に実施をいたしております。
 また、トライアル雇用事業については平成十三年十二月から事業を開始し、平成十四年二月末現在、約二千人がトライアル雇用を開始いたしております。特に、トライアル雇用事業については新規高卒者の内定率が過去最低となるなど非常に厳しい状況であることにかんがみ、緊急の支援策として高校の未内定生徒に対し卒業時から前倒しで実施し、積極的に活用することといたしました。
 このトライアル雇用事業は、若年者にとってもその企業が自分の適性や能力に合うかどうかを十分見極め納得した上で本雇用に移行できる制度であり、御指摘のように、若年者にとってのメリットが損なわれないよう、インターンシップ事業も含め事業の適正な運用に努めていく所存でございます。
 よろしくお願いいたします。
#246
○大脇雅子君 大臣の所信を伺いますと、雇用の選択肢を拡大し労働者が多様な働き方を選択することができる環境の整備のため、検討課題として、有期労働契約や裁量労働制の見直し、正社員とパート労働者の処遇の均衡が課題として示されております。
 有期雇用制度の在り方、裁量労働で働く労働者の適正な労働時間管理、過労死予防政策、そしてまた正社員とパートの処遇均衡について具体的にどのような対処方針をお持ちか、伺いたいと思います。
#247
○国務大臣(坂口力君) 有期雇用の問題等につきましては、現在、審議会におきましていろいろ御議論いただいているところでございます。これは、今、先生御指摘のように、これは使い方によりましてもろ刃の刃と申しますか、いいように運用すれば大変効果がございますし、それを一歩誤ればいろいろの問題が起きてくることも事実だというふうに思っております。したがいまして、それをどのように運用するかということがこれは非常に大事な課題だというふうに思っておりますので、審議会におきましてきめ細かく今御議論をいただいているところでございます。
 今までの終身雇用、そして終身雇用等を中心にしてこれからすべて行けるかといえば、そうもいかない様々な状況が生まれていることも事実でございます。現在の全体の経済状況を考えましたときに、今までの雇用状況だけではいかない。ですから、そうした有期雇用を始めといたしまして様々な働き方も加味をしていかなければならないということだろうと思います。
 ただ、さりとて、今日もお答え申し上げましたとおり、今までの雇用の在り方、終身雇用等を否定するものではありませんで、そうした行き方をこれからも大事なところは守りながら、しかし一方においてそれだけではやはり生きていけない人たちが生じることも事実でございますので、幅広い選択肢を作り上げていきたいと思っているところでございます。
#248
○大脇雅子君 終わります。
#249
○委員長(阿部正俊君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて委員会を散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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