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2002/05/23 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第11号
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2002/05/23 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第11号

#1
第154回国会 厚生労働委員会 第11号
平成十四年五月二十三日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     泉  信也君     鶴保 庸介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                田浦  直君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                今泉  昭君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                草川 昭三君
                井上 美代君
                小池  晃君
                西川きよし君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  宮路 和明君
       厚生労働副大臣  狩野  安君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      谷内  満君
       総務省統計局長  大戸 隆信君
       法務大臣官房審
       議官       桂   誠君
       法務省民事局長  房村 精一君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高橋 恒一君
       財務大臣官房審
       議官       石井 道遠君
       文部科学大臣官
       房審議官     玉井日出夫君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   木村 政之君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   長谷川真一君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       播   彰君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   酒井 英幸君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
       経済産業大臣官
       房審議官     桑田  始君
       経済産業省製造
       産業局長     岡本  巖君
       国土交通大臣官
       房審議官     岩崎 貞二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (雇用保険の財政状況と今後の対応に関する件
 )
 (ワークシェアリング導入に対する財政支援に
 関する件)
 (新技術開発に伴う新規雇用創出に関する件)
 (企業再編に伴う労働者の労働条件に関する件
 )
 (若年者の雇用対策に関する件)
 (働く女性と幼保一元化に関する件)
 (外国人研修生の処遇に関する件)
○薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一
 部を改正する法律案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日、泉信也君が委員を辞任され、その補欠として鶴保庸介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(阿部正俊君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長日比徹君外十八名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(阿部正俊君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今泉昭君 おはようございます。民主党・新緑風会の今泉でございます。
 しばらくの時間をいただきまして、雇用問題を中心として質問をさせていただきたいと思います。
 先日、政府が月例報告によりまして今日の我が国の経済の状態につきまして見解を出されました。一応景気が底を打ったという宣言をされたようでございまして、我々にとりましては大変喜ばしいことで、ほっとしているところでございます。当然、雇用もこれに大きく関係をしてくることでございますから、我々の気持ちとしては是非早急な景気回復を願いたいと、こういうふうに思っているわけでございますが、昨日、日銀が同様に景気に対する見解を出されました。政府の見解とはやや異なっているようでございまして、底入れ宣言とまでは行っていないようであります。
 この点につきまして、まず内閣府の方に伺いたいと思うんですが、底入れ宣言を出された背景には、一つは輸出が大変上向いてきたということ、それから在庫の積み増しが、あるいは在庫が大分減ってきたというところを軸に見まして、一応の景気底入れ宣言だったようでございます。
 しかしながら、設備投資は依然として思わしくないし、個人消費は全く横ばいの状態だと、こういうことでございますが、今、景気立ち直りの最大の期待は、設備投資がどうこれから上向いていくのか、消費がどう回復していくかというところが一つの期待になっているわけでありますが、どうも最近の状況をまた見てみますと、急激にここのところ円高になってまいりました。
 円高というのは、当然これは輸出入に大きな影響を与えて、せっかく良くなった輸出のブレーキも掛かってくるようなことが考えられますし、アメリカの景気が立ち直る立ち直るとはいいながらもまだ先行きに対する不安な状態があるようでございますが、こういう点を総合して出された底入れ宣言だっただろうと思うわけですが、そういう総合的な見方からいたしまして、この一―三月期の我が国のGNPの動向も大変な急回復ではないかという一部の民間の予測も出てきているようでございます。
 そこで、内閣府の方では、昨年度の、十三年度の実質経済成長率が政府が予測してきたような範囲の中で収まるというふうに見ていらっしゃるのか、また今後の景気の動向につきましてどのような判断をされているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#7
○政府参考人(谷内満君) 今お話ございましたように、今月の政府の月例経済報告では、景気は依然厳しい状況にあるけれども、底入れをしているという判断をしております。この判断は、設備投資が減少し続けておりますし、また失業率も依然高い水準にあるということで厳しい状況にありますけれども、一方で、輸出が増加している、あるいは在庫調整が進展しているということから、生産が下げ止まってきているということなどからこれまでの景気が悪化するという悪化傾向に歯止めが掛かったということを評価したものであります。
 先行きにつきましては、厳しい雇用情勢あるいは所得環境というものが今後の民間需要を下押しする懸念がある、また一方、輸出の増加とか在庫調整の進展ということが今後の景気を下支えするという状況にあると見ておりまして、下押しをする力と下支えをする力というのが拮抗している状態だというふうに見ています。
 このように、これまでの景気の悪化情勢、悪化傾向には歯止めが掛かりましたけれども、先行きについては依然下押し懸念もありまして、景気が直ちに回復するかどうかについては注視をする必要があると考えております。
 もう一点御質問の平成十三年度の経済成長の見込みでございますけれども、御案内のように、政府の経済見通しでは十三年度の成長率はマイナス一%と見ておりますけれども、これが実現されるかどうかは来月発表されます一―三月のGDP速報次第であると。今後、その速報を推計するためのデータが更に入ってくるという状態でございます。
 ちなみに、今の十三年度の実績見込みマイナス一%程度を実現するために必要な一―三月のGDPの伸び率を機械的に計算しますと、前期比で見て一・七%程度の成長が必要であるということになりますが、今、先生から御指摘がありましたけれども、ちなみに民間シンクタンクの一―三月の成長率の予測を、大体十三機関ほど最近出たものを単純に平均しますと、前期比では一・九%という比較的高い成長になると見込まれています。現状までのデータを基にまたこうした民間の予測などを勘案しますと、マイナス一%というのは不可能な状況ではないのではないかというふうに考えております。
#8
○今泉昭君 これは厚生労働大臣にお聞きした方がいいのか、閣僚の一員として、それとも内閣府の方で答えられるのかどうか分かりませんが、将来必ずしももろ手を挙げて楽観するような状況でないというベースの話であっただろうと思うんですが。
 そういう意味で、我々の耳に聞こえてくるのは、六月早々にはデフレ対策を考えにゃいかぬと。政府としてもそういう話合いがちらほら出ているようでございますが、特に我々が心配するのは、雇用という問題が一番心配であるわけでございまして、どういうところにポイントを置いたデフレ対策というものを今の段階で考えていらっしゃるのか、分かっていたら聞かせていただきたいと思うんです。
#9
○政府参考人(谷内満君) 政府としましては、民間需要・雇用拡大に力点を置いた構造改革を推進する、特に現状のデフレを克服することが重要だというふうに考えておりまして、六月には経済活性化策、税制改革などについて基本的な方針を示させていただくということで今鋭意検討している最中でございます。
#10
○今泉昭君 内閣府の方は結構でございます。
 次に、総務省の方にお聞きしたいと思うんですが、失業統計を出されているという意味合いでお聞きしたいと思うんです。
 これまで一般的に発表される失業統計に加えまして、去年の一月の段階あるいはその後もまた出されたということも聞いておりますが、いわゆる求職戦線から引退をした、求職活動をやめてしまったという方々の統計を取られて出されていたようですが、そのような統計は今も常時取られているのか、その点についてちょっとお聞きしたいと思います。
#11
○政府参考人(大戸隆信君) そのような統計が取られているかどうかという御質問でございますが、労働力調査で完全失業者の数、率等を出しておりますが、より詳しいことにつきましては、労働力調査に加えまして特別調査というのを過去やっておりまして、最近では二月と八月にやってきておったわけですが、実は今年から労働力調査全体の改善を図りまして、労働力調査の中で把握できるようにということでございまして、今年から四半期ごとに年四回把握できる、発表できるようにしております。最初の結果を今月末、一月から三月分の第一・四半期の結果でございますが、今月末に公表する予定にしております。
#12
○今泉昭君 最近時、最も新しい時点で出されたのは昨年の末だというような話も聞きますが、そのときの数というものはどのくらいの数になっていますか。
#13
○政府参考人(大戸隆信君) 直近の特別調査は、実は十三年の八月でございます。その結果によりますと、完全失業者とはされない、仕事を探していない方でございますけれども、就業を希望している、しかし適当な仕事がありそうにないので仕事は探していないというふうに答えている人を推計いたしますと、二百十六万人となっております。
#14
○今泉昭君 昨年の一月の段階では恐らく百二十万人ぐらいだったと思うんですが、その数が二百万を超えたということは、これは大変なことであろうと思うわけであります。
 したがって、ここのところちょっと失業率が停滞、停滞という表現じゃないですね、低下をしているという数字をもらって大変我々も一安心をしていた状態なんですが、実質的にはそのように、どうしても仕事がないからといってもう仕事を探すのをやめたという人たちがそのように増えていっているということは、ほとんど我が国の潜在的失業率も含めますと一〇%近いものが続いているんじゃないかと思うんでして、そういう意味も考えまして、我々としましては引き続きこの雇用対策を大変重要視していかなければならないというふうに思っているところでございますが、総務省の方でそのようなものを今までと違って四半期ごとに出される、大いに結構なことでございまして、是非、短い期間、四半期とは言わずに出せるような体制を取っていただくと有り難い、かように思っているところでございます。
 それからもう一つお聞きしたいんですが、最近の失業者の中身を見ていただきますと、私どもが入手できる範囲の総務省の発表の数字を見ますと、年々、一年以上の完全失業者の数というのが増えていっているわけですね。失業しながら再就職に向けての動きという、失業者の方々の流れというものが統計の中から変わってきているのかどうか、もしこういうことをお気付きになったら知らせていただきたいと思うんですが。
 実は私どもがいろいろ調査をしてみますと、アメリカがかつての八〇年代と違いまして非常に失業率が下がっていった。失業率が下がった中でも、失業者の再就職のパターンが大きく変わってきているというところから失業率が下がっているわけですね。かつてアメリカの失業者というのは、ほとんどこれは労働組合との労働協約の関係上、景気が悪くなるとレイオフというのが自由にできた。レイオフされた失業者というのは、景気の回復を実は待って、先任権に基づいて原職に復帰をしていくという形の失業者の再就職のパターンというのがアメリカの一つのパターンであったことは事実なんでありますが、ここのところのアメリカの失業者のパターンを見てみますと、かつての職場にレイオフ解除されて復帰していくという労働者は非常に減ってしまっている。
 というのは、日本もそうなんですけれども、企業が国際競争力の中でどんどんどんどん企業をスリム化をしていっている、分社化をしていっている、そして労働コストを極端なまでに絞り込んできている、こういうような状態の中でレイオフされた人が元の職場にカムバックできるというような状態が全くなくなりつつあると。そういう中で、どうしても仕事がないから元勤めていた賃金の三分の一とかあるいは半分でもやむを得ずどんどんどんどん仕事に就いていっていると。こういうことが実は失業率の低下に結び付いているというようなことだと言われているんですが、日本の状態を見てみて、それに似たような傾向がこの失業者の再就職という面でもし統計上見られるかどうか、これは総務省に聞くのはちょっと無理な質問かな、教えてほしいと思うんです。
#15
○政府参考人(大戸隆信君) 申し訳ありませんが、そのように詳しい、失業者がどういうふうに動いているかというところまでの詳しい統計はございません。
#16
○政府参考人(坂本哲也君) 失業者の再就職先の動向ということで私どもで把握している状況を御説明をさせていただきたいと思いますが、先生お話ございましたのは、アメリカのレイオフ制度が最近永久レイオフの割合が非常に高まっておるという御指摘でございますけれども、一九九〇年代の、九〇年から九二年ごろに掛けてかなり高くなったと、その後アメリカ全体が景気が持ち直してきたということもあってレイオフの件数自体も減ってきておる、それから永久レイオフの割合も若干その後は低下をしておるというふうに聞いてはおります。
 しかし、我が国の場合はそれと同じような制度がございませんので比較はできないわけですけれども、私どもの方で雇用動向調査というものをやっております。これで事業所に入職した人で過去一年間に仕事に就いていた人、前職経験のある人の入職状況、前職産業と新しくどういったところに移っていったかといったことを見ますと、おおむね、例えば製造業辺りですと五〇%近くがやっぱりまた製造業の方に就職をしている、再就職をされているといったようなことで、おしなべて半分ぐらいは同一産業内での労働移動ということでございます。
 ただ、一九九〇年、一九八〇年の同じような調査でその数字を見てみますと、製造業なんかは実は昔はもっと高かった、六割以上が製造業に行っていたのが最近はその割合が若干低下をしてきておるといったようなことが言えようかと思っております。
 また、年齢別でちょっと分析してみますと、若い人の場合はどちらかというと別の産業に、産業間の移動をするという割合が比較的高くなっている、しかし中高年は依然として同じ産業内で移動するというケースが多いというふうに把握をいたしております。
#17
○今泉昭君 ありがとうございました。
 要するに、政府の今後の雇用創出の目玉がサービス産業、五百三十万人からの雇用の機会の創出というものに中心を置いておられるということはもう前々から我々聞き及んでいるんですが、今のお話聞きましても、実態の流れというのは、若い人はどうもそちらの方に少し変わっていっているけれども、ほとんどが同一産業、同一製造業の中で賃金の条件、労働条件が違っても移動しないで残っていくというような状態がどうも続いているような私は印象を受けたわけでありまして、そういう意味では政府が声高に叫ばれているサービス産業の雇用拡大というものの実態というのが本当にまだまだ実効を上げていないんじゃないだろうかなと、こういう印象を今の報告から強く受けまして、是非その点の今後の分析や対策を急いでいただきたい、こういうふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
 総務省の方、結構でございます。ありがとうございました。
 そこで、現在、一日当たり大体五十件近くの倒産の中で、企業倒産によりまして実は労働債権というものの保全というものが大変大きな実は失業者の間では問題になっているわけであります。大企業のリストラによって辞められる方々は、どちらかといえば早期退職の勧奨によりまして、定められていた退職金にプラスアルファの上積みをして第一線から引いていくという形が大変多いんですが、我が国の大多数を占める中小企業の場合は、そのような企業の体質もないというところから、実はリストラによって、あるいは倒産によって失業者になった方々は自らが持っておられる労働債権というのはほとんど手に入っていないというような状況が実は我々としては見れるわけであります。
 例えば、その中の最大のものは退職金、社内預金という問題があるわけであります。私どもが労働組合を通じて調べてもらったところによりますと、中小企業の場合は大体退職金がリストラによって、あるいは倒産によってもらえるという結果になったところは一割程度にしかすぎないわけであります。その一割程度も全額もらえるのではなくして、大体五、六%程度の、要するに労働協約で定められていた、労使間で協定をしていた退職金の水準のせいぜい五、六%の金額、涙程度の金額を確保するのが精一杯だというような実態を私どもの調査の中では見聞きしているんですが、厚生労働省の方でそのような状態、調査をされているか、つかまれているのか、お聞かせ願いたいと思います。
#18
○政府参考人(日比徹君) ただいまの退職金どの程度、倒産時といいますか、そういうときに払われているかですが、私どもではそのことの直接的な調査といいますか、その把握はいたしておりません。
 唯一あるとしますと、推測、手掛かりとしては、そういう場合の賃金の立替払の関係で、これは現実に手続をお取りになった方々の状況ということでありますが、それが若干それから推測できるかどうかというような状況でございます。
#19
○今泉昭君 それじゃ、ちょっと視点を変えてお聞きしたいんですが、賃確法によりまして退職金でも保全措置が定められているわけであります。どのような保全措置が取られているのかどうか。これは、大企業ならば当然これはそれに対する十分な措置が労使間の協議でできていると思うんですが、中小企業の場合はほとんどこの保全措置というものがなされていないんじゃないかと思うんであります。
 こういうものを監督、行政指導する立場に厚生労働省はあると思うんですが、そういう意味でその保全措置がどの程度日々取られているのかということに対する指導や調査などされたことがございますか。
#20
○政府参考人(日比徹君) 保全措置の点につきまして、定例的な意味の調査というようなことはやっておりません。
 現在、既に御案内のとおりでございますけれども、努力義務というようなことでやらせていただいておりまして、十分な調査という格好ではございませんが、今御指摘の中小企業の場合にどうだろうということでございますと、社内で退職金制度を持つ、要するに外部化していない場合の保全措置についてはなかなか十分には、これは努力義務ございますけれども、なかなか十分な状況ではないように承知しております。
#21
○今泉昭君 確かに努力義務であることも事実でございます。また、賃確法によりますと、その保全措置の最低のベースとして四分の一というのが一つの目安になって、四分の一だけはもう最低保障としてでも保全措置を取っておかなきゃならないというような努力義務が課せられていると思うんでありまして、そういうことを考えてみますと、特にこの倒産による中小企業の失業者の増大というものが目立っているわけでございまして、そして、そういう人たちが大変、労働債権が全く取れないという状態にあるとするならば、そういう実態を是非ひとつ厚生労働省としてもつかむように調査をしてほしいと思うわけでございます。
 それと併せまして、法務省の方にむしろお尋ねしていいのかな、これは。特に我々がこれを問題にしたいのは、倒産した場合の労働債権のいわゆる順位というものが決められているわけであります。例えば、会社更生法で実質的な倒産をするとか、民事再生法であるとか、破産であるとか和議とか、いろいろたくさん倒産の形があるんですが、形によってその労働債権の順位が違うわけであります。倒産した際に必ず押さえられる、取られるというのは、国民の義務としてのこれは公租公課、いわゆる税金、社会保険料、これが真っ先に押さえられるわけです。これは一国民として当然のことだろうと思うわけでございますが、一方、その押さえられた、倒産をした企業の従業員の労働債権が取れないで、まず税金で取られながら、一方ではその税金があの巨大な銀行の不良債権にどんどんどんどん投入されるということを見てみますと、何で中小零細の企業の人たちから取った税金をそちらの方にばかり優遇されているのかという、これは不満、怒りというのは大変あることも事実なんであります。
 そういう意味で、お聞きするところによりますと、法務委員会ですか、審議会か分かりませんが、そこらで労働債権だけではなくしていろんな債権の順位等の検討がされている、法改正に向けての検討がされているというふうにお聞きしますが、その件の状態、ちょっとお聞きしたいと思います。
#22
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、現在法務省の法制審議会におきまして、退職金を含む労働債権、この扱いについて検討を進めているところでございます。実際に検討されております法制審議会の部会といたしましては、担保・執行法制部会というところと倒産法部会の破産法分科会というところで行っております。
 まず、担保・執行の関係で申しますと、御承知のように、労働債権につきましては、民法、商法で先取特権を与えて一般債権に優先して弁済を受けられる地位を保障しておりますが、これが民法と商法とで保護の範囲が異なっております。そういうことから、現在、担保・執行法制部会ではより広い商法の範囲に合わせた民法の改正をしてはどうかということが審議の対象とされているところでございます。
 それから、破産法分科会では、正に今御指摘を受けました債権の優先度、これが議論されております。現在、破産法におきましては、民法、商法で優先権を与えられている、先取特権を与えられている部分につきまして、これを優先破産債権としております。そういう意味で一般の債権に比べれば優先的に配当を受ける保護が与えられているわけでございますが、破産法上はそれに更に優先する財団債権というものがございまして、そこには御指摘の公租公課が入っていると、こういうことで、税金に比べますとその地位としては劣後する立場になっております。ところが、会社更生法におきましては、労働債権のうちの一部の部分につきましては租税と同じような最も優先する共益債権という扱いがされております。そういうことから、この破産法分科会におきましても、労働債権の一部についてその順位を上げて、現在の優先破産債権から財団債権にしてはどうかということで議論がされているところでございます。
 ただ、この問題は、御指摘のように、正に国の最も基本を成す租税との比較ということもありますので、種々御議論があるところでございます。鋭意今検討を進めているところでございます。
#23
○今泉昭君 この問題、今指摘がございましたように、財務省あるいは法務省、労働省、もういろいろなところに、経済産業省にもつながるでしょうし、大変改正の問題としては複雑でややこしい問題だと思うんですが、この論議が始まったのはもう大分前のことですね。一向にこれが結論として出てこない。しかも、雇用情勢が今一番重要なときに、その被害者が一杯出ているにもかかわらず放置されているというこの実態につきましては、何やっているんだという気持ちなんですよ。もうできるだけ早くこれはまとめてほしいと思っているわけでございまして、是非ひとつ推進していただきたいというふうに思うわけであります。
 それからもう一つ、社内預金の問題があります。
 社内預金に関しましても、これは中小企業は比較的少ないから退職金ほどの被害はないとは思うんですけれども、これもまた同じように、倒産してしまったならばこの社内預金につきましてもほとんどこれは取れないというような実態になっているわけであります。実は私も、幾つかの倒産の事例で、会社更生法などでどのように社内預金が取り扱われているかというものを見せていただいているんですが、管財人の立場によりまして、管財人の姿勢によりまして社内預金の扱い方が実は違う場合があるわけです。
 こういう意味で、社内預金というものは本人の実は預け金でありますから、これをどう企業が弁済をしていかなきゃならないのかということについての姿勢を法務省としてはっきり示していってほしいと思うんであります。
 この点についてどうですか。
#24
○政府参考人(房村精一君) 社内預金の問題につきましては、やはり倒産時、その扱いがいろいろ問題になるわけでございますが、ただ、いわゆる給料債権等が労働者の生活の基となるということで民法、商法で先取特権が与えられているわけでございますが、社内預金そのものはいわゆる預金としての性質でありまして給料等の労働債権とは必ずしも同じでないと、こういうこともあって、その扱いをどうするかということが、現在、会社更生法に関する審議を法制審議会の倒産法部会で行っておりますが、そこでも議論されているところでございます。
 確かに保護の必要性というものもあるわけでございますが、ただ、債権の性質として、他の一般債権者の持っている債権とどの程度債権の性質があるのかというような点から種々議論がされているところでございますので、現在、その扱いにつきましても試案を示してパブリックコメントに付しているところでございます。その御意見を伺った上で更に検討を続けたいと、こういう具合に考えております。
#25
○今泉昭君 今のこの労働債権のいろいろな話を聞かれておりまして労働大臣に考えをちょっとお聞きしたいと思うんですが、今、そのように労働債権が実際上取れなくて大変悩んでいる中小企業の労働者、多いわけでございまして、こういう状況を失業の実態と照らし合わせながら、厚生労働大臣としてはこの問題について厚生労働省としてはどのような姿勢で臨んでいかれたいと思っていらっしゃるか、ちょっとその見解をお聞きしたいと思います。
#26
○国務大臣(坂口力君) 労働債権の問題につきましてはこの委員会においてしばしば取り上げられているところでございますし、現在のこの雇用情勢等を考えましたとき、あるいはまた経済動向を考えましたときに、ここで多くの委員の皆さん方がお取上げになるのは、やはりそれなりの理由があるからお取上げをいただいているものというふうに理解をいたしております。
 したがいまして、この労働債権、いわゆる労働債権の中で、労働者がやはりどう位置付けられるかということの一つのバロメーターみたいなものでございますから、私はやはり、働く人たちがより安全に働き得る職場、そして、たとえそれが倒産あるいは失業といったようなことになったとしても、それ相応のやはり、事が報われると申しますか、今まで積み立てていたものが、当然それが本人に戻るとか、それは当然のことでございますから、当然のことは、やはり当然戻っていくということが優先的にこれは行われるべき問題だというふうに思っている次第でございまして、これは各省庁にまたがる話でございますし、そして、我々はどうしましても労働者の問題を中心にして考えますけれども、この債権ということをまた中心に別途考えますと別な考え方が浮かんでくるということもあるわけでございますので、各省庁とその辺のところはやはり御指摘いただきましたように早く解決をしなきゃいけない。そしてやはり、我々は我々の立場としてのことを申し上げさせていただかなきゃならないというふうに思っている次第でございます。
#27
○今泉昭君 労働債権の問題は、ただ単にそこに働いている労働者の権利だから全部保護されなきゃならないということだけでは済まない問題であるということは十分承知をしております。
 そういう中で一番やっぱり気になるのは、例えば社内預金を一つ考えてみましても、社内預金は、これはある意味では労働に対する対価として企業が支払を義務付けられているものではなくして、労働者がある程度余裕があるからその分を積んでいるんじゃないか。これは人に対してお金を貸すとか、あるいは投機をするとかという一面的な要素もないわけではないわけでありまして、それはそういう危険を個人が十分承知をした上でやらなきゃならないという責任も当然あることは分かっているわけであります。
 ところが、一番神経に障るのは、同じように銀行だって、企業に貸し付けたり、いろんなところに貸し付けている。そして、それが焦げ付いた不良債権が大変存在をする。これは税金でもって補てんをされ、一方の大きなそういう企業の銀行関係だけは保障されながら、何で貧乏、貧乏と言ったら表現が悪いな、これは、決して豊かでない働いている中小企業の皆さん方が何の保護ももらえないというのはちょっとひど過ぎるんじゃないだろうか、こういう気がするわけでございまして、そういう意味では、働く人たちのいわゆる立場を守るためにいろんな行政を、指導している労働省として、なかなか法でこう定められているからということでそのとおりいっていない実態がたくさんあるわけでして、賃確法に基づいてこういう措置を取りなさいよというふうに指針が示されているわけですから、それがどうなっているかという日常のやっぱり行政指導やら実態調査をこういう時期には是非ひとつやっていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。
 次に、雇用保険のことについてお聞きをしたいと思います。
 このような失業率の高い今日におきまして、失業した人たちは雇用保険に基づいて失業手当が出るということは本当に唯一のよりどころになっているわけでございますが、この雇用保険のどうも財源が底をついてきたということを我々としては聞いているわけであります。そのために雇用保険料を引き上げなければならないのではないかというように今一般的に伝えられてきているわけであります。
 考えてみますと、この法の運用によりまして、雇用保険財政が雇用保険の支給率、支給実額を下回ったときには弾力的に、弾力条項としても定められている二%を自動的に引き上げるということは当然のことだろうと思っていたんですが、ところが、この保険財政の中身をずっと見てみますと、平成十一年度からもう既に支給額を下回るような積立金の実態になっているにもかかわらず、十二年、十三年というこの間はほとんどそれに手を付けていないという実態になっているんですが、これはどういうことだったんですか。景気が上向いて支給額もこれから少なくなっていくだろうという実は期待からだったんでしょうか。そういうことであるとするならば、これはもう実態分析の誤り、見通しの甘さというものが責められなきゃいけないと思うんですが、その点はいかがでしょう。
#28
○政府参考人(澤田陽太郎君) まず、弾力条項でございますが、委員御指摘のとおり、十一年度の決算が確定した後、ですから十二年度の夏過ぎだということになりますが、それ以降は弾力条項発動の条件が満たされておりまして、労働大臣が決意をして審議会に諮るということは可能でございました。
 ただ、それをしなかった理由については二つほど大きくございまして、十二年に雇用保険法を改正いたしまして、十三年の四月から保険料を千分の四上げることが決まっておりました。そういう状況の中で更に弾力条項を発動して保険料を上げることについては、当時も雇用情勢厳しく、勤労者の賃金状況も厳しかった中でありますので、いかがかという言わば短期的な問題が一つあります。
 それからもう一つは、十二年に雇用保険法を改正いたしましたときの前提として、当面の失業率が四%台半ばで収まるであろうという前提で収支見通しをやっておりましたので、この点につきましては、誤りであるということになるとそのとおりでございまして、私どもの想定以上に経済の構造変化等々が進み、全体の需給状況が厳しくなったというところがございまして、想定した以上の単年度収支の悪化、積立金の減少のスピードアップというものが出たということでございます。
 そういうことなので、今回、既に労働政策審議会の雇用保険部会の方で今後の雇用保険制度の在り方全体につきまして御審議をいただくということで、雇用保険制度が労使連帯のセーフティーネットとしてどうあるべきかということを今後幅広い観点から御議論をいただき、それに従って必要な手当てをしていきたいと、こう思っております。
#29
○今泉昭君 労働省の方で出されている資料を見てみますと、いわゆる失業保険の給付費として平成十三年度は一兆九千九百五十億程度あるんですが、積立金の残額がそれの四分の一程度しかない、こういう実態であります。そうしますと、今後の経済情勢や労働の需給状況、失業者の数を考えてみますと、これはもうとてもじゃないけれども前の年よりも給付費が減っていくというような状況にはないというふうに見なきゃならないわけですから、審議会で審議をされているとは言われますけれども、大体選択肢は二つぐらいしかないはずであります。
 一つは保険料を上げるのか、もう一つは給付水準を下げるのかと、こういうことになってくるんじゃないかと思うんですが、既にいろいろマスコミ等を通じて、新聞で報道される中身を見てみますと、給付水準を、大体失業前の賃金、今までで大体六割ぐらいをめどにしていたものを五割ぐらいに引き下げるというようなことも検討されていると。さらにはまた、弾力条項でいいますと、千分の二自動的に上がるんですけれども、その枠を超えて、その枠を超えた形での保険料率の引上げがなされなければ、とてもじゃないけれども賄えないんじゃないかというような点で検討もされているやに聞くわけでございます。
 恐らく質問すると、いや、審議会で検討中だから今の検討状況は言えませんということなんでしょうけれども、問題意識として持っていらっしゃるのは、これらの二つの中で、いかがなんでしょうか、どちらに重点を置いて考えていらっしゃいますか。
#30
○国務大臣(坂口力君) 昨年の暮れぐらいからでございましたか、委員からも何度かこれをどうするんだという御指摘をいただいておりまして、四月時点ぐらいなところで、今までの雇用保険の財政上の状況をよく見ながら、そしてそれから先の経済動向も勘案しながら、これは四月ぐらいには決断をしなきゃならないのではないかというふうに思いますと、そういうふうにお答えをしてきたというふうに思っておりますが、その四月が過ぎたわけでございまして、いよいよ決断をしなきゃならないときが近づいているというふうに思っております。
 現在のところ、この雇用保険法を改正をしなければならないということは間違いのない事実でございまして、それを、そこはもうそうせざるを得ないというふうに思っておりますが、そこから先、今御指摘になりましたように、保険料を上げるのか、それとも給付を下げるのか、あるいは両方とも少しバランスを取って少し上げて少し下げるのかといったような選択肢も中にはそれはあるんだろうというふうに思いますが、それらのうちのどれを選ぶかということについての議論というのをしなければならないわけでございまして、検討会におきましてその議論を正しく今始めていただいているところでございます。
 新聞等にも確かに出まして、私も新聞を見まして、そして、おい、こんなふうになるのかということを聞いたような状況でございますが、決して新聞に、新聞はかなり先走って、いろいろの委員をしていただいている皆さん方の御意見を聞いたりいろいろなことを聞いて、総合的に見て先取りをして書いているということのようでございまして、決して議論もまだそこまで詰まっている段階ではない。しかし、あの新聞に出ておりますような議論をされる委員の皆さん方もおみえになるといった状況でございますので、そこをどうするかということにつきましては、もう少しお時間をいただきたいというふうに思っておりますし、我々もその議論をいただきながら、またここでいろいろ先生方の御議論もちょうだいをしながら決断をしていかなきゃならないだろうというふうに思っているところでございます。
 いつごろ、夏ぐらい、秋にならないうちに決断をしたいということだそうでございます。
#31
○今泉昭君 いや、私、次の臨時国会辺りで出てくるのかというふうに思ったんですが、今の話ですと、どうも臨時国会ではなくして来年の通常国会辺りじゃないかなというようなちょっと印象を受けました。
 それはまた別といたしまして、もう時間がなくなってしまいまして、幾つか用意をしている質問を削らさせていただきます。
 法務省の方、もう結構でございますから。ありがとうございました。
 私ども、ここで心配しているのは、健康保険法の改正に基づきまして医療費の負担も増える、今度また失業保険の負担も増えるというような状況というのは、ただでさえ消費支出が頭打ちになって、一番後れている部門の景気の柱が実は足を引っ張られるようなことになるのを一番危惧するわけでありまして、かといって、これを全然放置していくわけにはいかないわけでして、そういう意味での非常に悩みがあることは、行政府の皆さん方だけではなくして、やっぱり立法府の我々としても無責任なことは言えないものですから、そういう意味で非常に関心を持っているところであります。是非早急にまとめていただいてその方向付けを示していただきたいなと思っているところであります。
 最後に、坂口厚生大臣にお伺いしたいんですが、二、三日前でしたか、総理から少子対策の指示を受けて、このまま放置していたら国は滅びるというところまでの発言をされていたようであります。私もこの少子対策、少子高齢化対策というのは非常に重要なことだろうと思います。
 いわゆるこれから三十年、四十年後には我が国の人口が一億を切るんじゃないか、あるいはまた、生産に関与していくとするならば従属年齢と言われる十五歳未満、それから六十五歳以上の人たちが大変増えていく。現在の我が国の経済体制を縮小しないでこの経済のスケールを担っていくためには、これからの少子高齢化の労働力人口の減少を考えてみると、おおよそ三千万近くの新しい労働力を生んでいかなければ我が国は経済が縮小していかざるを得ないという試算が発表されているような状態であります。
 その対策として、例えば高齢者を活用するという方向、あるいはまた、特にまだまだ進出が足らない女性の方々の社会進出、労働界への進出、その条件を整備していくという点もあるでしょう。それから、もう一つの選択肢として最近ささやかれているのが、移民労働者ということが言われている。最大の範囲で二〇六〇年には三千万近くの移民が必要だと。我々の、私個人の感覚からするとお断り申し上げたいんですが、むしろそういう意味では高齢者の活用、そして女性の職場進出を可能にする環境整備というところに重点を置いてやっていただきたいと思っているわけでございますが、坂口労働大臣としては、将来、我が国が移民労働者というものをどのように考えていかれている考えをお持ちなのか、それを最後にお聞きをして、私の質問を終わらせていただきます。
#32
○国務大臣(坂口力君) これは大きなお話を最後にいただいたわけでございますが、とにかく少子高齢化社会の影響、今現在出ておりますのは、どちらかといえば高齢化、長寿化の影響だというふうに思っています。この少子化、本当に少子化のこの苦しみが、この影響の苦しみが来るのは十五年ないし二十年ぐらい先の話ではないかというふうに思いますが、そのときにはかなりもろに少子化の苦しみというものを我々は経験しなければならないだろうというふうに思っています。そうした意味で、少子化がたとえ進むといたしましても、もう少しマイルドに、もう少し徐々になだらかに進んでいくように少なくともしなきゃならないというふうに思っている次第でございます。
 それに対します労働問題でございますが、まず、選択肢としては、今お挙げになりましたように、女性及び高齢者がより長くやはり働き得る体制というものを作るということが私は大前提だと思うんです。このことを抜きにして先に外国人のことを考えてしまいますと、私は日本の社会が全体としてそういう少子高齢化の体制の中で回ることにならないと思います。まずは女性及び高齢者の皆さん方が働いていただける環境の整備というものが先決問題だというふうに思っています。
 それじゃ、現在のように外国人労働者の問題が非常にかたくなになっている、かたくなという言葉がいいかどうか分かりませんけれども、かなり厳しいですよね。旧労働省の考え方もかなり厳しいと僕は思うんです。皆とよく議論もするんですけれども、少なくとも私が考えておりますよりも皆の方が厳しいですよ。この後ろに並んでいる人たちの方が厳しい。私はそれほど厳しくしなきゃいけないかと。しかし、それほど厳しく言っていて日本の将来がもつかと、こう私は時には言うこともあるわけでございますが、しかし、今の状況を変えて、そしてまず外国人労働者の皆さん方にお願いをしようという、今そういう時期では少なくともないと。今は国内における体制の整備がまず先決問題である、その後においてどう考えるかという時期はしかし来るということを覚悟しておかなければならないのではないかというふうに私は考えている次第でございます。
#33
○今泉昭君 ありがとうございました。
 質問替わります。
#34
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 今日は、労働問題を中心とした一般調査ということで、雇用労働問題を中心にお伺いしたいと思っております。
 まず、五月十四日、坂口大臣、記者会見をなさいまして、厚生労働省の職員の働き方、やはり少子化の時代に育児を奥さんにゆだねてはいけない、職員は早く帰って家庭の人になるべきだ、厚生労働省自身がまず働き方を見直さなければ説得力はない、私も夜行性にならないよう早く帰ると、こういう記者会見をなさっておるわけでございます。そして、早期退庁促進検討チームというものを省内に作っておられたとお聞きしておりますが、その意図といいますか、お考えについてお伺いしたいと思います。
#35
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから議論出ておりますように、この少子化、どう対応をしていくかという問題でございますが、これには女性の働きやすいようにどうするかということもございますし、そのためには保育所をどうするかとかいろいろの問題があるわけでございますが、そうした問題だけで少子化が片が付くかといえば、私は付かないんではないかと実は最近思っているわけでございます。もう少し広範に少子化対策というのは取り組んで、そして我々の生活のパターンそのものがやはり変わっていくようにしないといけないのではないかと。外国から見て仕事中毒だというふうに言われるほど働きながら、とにもかくにもそれで一応の生活が維持できるというようなことは、これは少し変えていかないといけないのではないかというふうに思っている次第でございます。
 この委員会におきましても時間外労働の問題でございますとかいろいろお取り上げをいただくわけでございますが、そうしたことを担当いたしております厚生労働省が夜十時になりましても十二時になりましても毎日電気がついているというのではちょっとこれは具合が悪いんではないかと。もう少し、それは仕事がたくさんあるのに早く帰れと言ったって無理だといって皆さんは言うかもしれませんけれども、そこは早く帰れるようにするのも仕事のうちと私は思っておりまして、ですからもう少しみんなが早く家庭に帰れるような仕事の段取りというものをやっぱりやらなきゃならない、そういうふうにしていくことが大事ではないか。それは、役所を出ましてもそれは家に帰らぬ人もおりますから、それは別でございますが、やはり少なくとも役所がもう少し早く出られるようにしてあげないと、私は本当に、実際問題として結婚もできないし子供も産めないのではないかという気がいたします。
 そうした意味で、隗より始めよでございますので、率先をしてひとつ検討するチームを作って、二、三か月掛けて、どうしたらもう少しお互いの仕事量を効率的にやるようにできるか、早く帰れるようにできるかということをまとめて、みんなでひとつやろうということを言ったわけでございまして、そうしたことが結局は少子化対策に私は大きく影響するというふうに考えておる一人でございます。
#36
○辻泰弘君 ただいまの大臣の御指摘、私も耳が痛いものでございまして、昨日の晩もこの質問のために役所の方々にお電話をしたりいろいろとお聞きしまして、大臣がおっしゃるとおり早く出られるようにしてあげるべきだと。しっかり仕事の段取りせいというのは私に跳ね返ってくることだと思っておるわけでございます。
 さて、大臣の、何といいますか、働き方と言ったら失礼でございますけれども、大変過重な過密なスケジュールの中でお仕事をされていると思うわけでございます。
 去年、十月十八日、私、初質問をさせていただいたときに、厚生労働省という、厚生省、労働省、一緒になって対象領域が広がったということを前提として御感想をお聞きしたところ、非常に大きくなったもので全体をまとめていくということは大変だった、全体として責任を全部持ってやっていけるか非常に不安に駆られることがあると、こういう御指摘もいただいたところでございます。
 また、先般、五月七日の新しい官邸での閣議の後、大臣は、新しい革袋ができた、気分を一新して新しい政治を始めないといけないと、このように語っておられるわけでございますが、このことが改造要求と受け取れるというふうなことも伝えられたわけでございますが、大臣はいろいろ課題を多く抱えておられますが、早く帰って家庭の人になりたいと思っておられるでしょうか。いかがでございましょう。
#37
○国務大臣(坂口力君) 私は帰りましてもだれもいるわけじゃございませんので、そんなに早く帰らなきゃならないというわけではございませんけれども、しかし、私がおりますと一緒におらなきゃならない人がたくさんいるわけでございまして、甚だ人迷惑な話でございますから、できる限り私も早く仕事を片付けて早く退庁させていただくように心掛けているところでございます。
 先ほど辻先生が言われましたから甘えて言うわけじゃございませんが、やはり厚生労働省の皆さんの動向を見ておりますと、やっぱり質問取りというのも、これもかなりな分野占めておりまして、なかなか質問いただけない先生がございますと、そうすると少なくとも五百人から七百人ぐらいの人が残っているわけですね。これは大変なことだと思うんです。多いときには、予算委員会になると千人ぐらいの人が残っておるわけですね。なぜみんな残っているのと言うと、質問がいただけないからもらうまで待っておると、こう言うんですね。別に愚痴を言うつもりは決してございません。ついでの話でございますので申し上げたわけでございますが。
 そんなこともございますが、これなかなか厚生労働省だけで片付く話でもございませんので、御協力いただくところは御協力をいただいて、全体でこれ考えていかなきゃならない問題だというふうに思っております。私個人は、できる限り早く退庁させていただいて、そしてどうするかじっくり考える時間を持たせてもらいたいというふうに思っている次第でございます。
#38
○辻泰弘君 それは、大臣がわしが全部質問答えたるからみんな帰れと言われればいいような気もしますけれども、それはちょっと横に置きまして。
 実は、先般、生活保護の問題につきまして私質問させていただきました。そのことについて一点お伺いしておきたいと思います。
 これは三月に別冊問答集ということで、生活保護について、冷蔵庫等についての扱いについて新たな見解を出された。そのことについて私、冷蔵庫のように冷たいじゃないかと、このように申し上げて、大臣は四月二十三日の御答弁で、余りにも冷蔵庫のように冷たい話では具合が悪いというふうに思いますので、御指摘のことを十分尊重して、近いうちにひとつもう少し分かりやすく全国に流すようにしたいと、このようにおっしゃっていただいたところでございまして、新聞にもそのことが見出しになって、「冷蔵庫冷たい話やめます」という、大臣のコメントみたいな形で出ておるわけでございます。
 その後五月七日に、厚生労働省社会・援護局保護課保護係長名で、全国の生活保護担当係長に、ある意味では修正といいますか補正の文書が流されております。ただ、突き詰めて言いますと、実は変わっていないと私は思っております。すなわち、「家具什器費は、保護開始時等において、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって、それらの物資を支給しなければならない緊急やむを得ない場合に限り、臨時的に認定するものであることについては、何ら変更する趣旨ではない」と、こういうことを明示しておるわけでございまして、本質的に見解が変わったわけではないと思うわけでございます。
 それで、私は大臣にお聞きしたいと思いますことは、大臣は、冷蔵庫のように冷たい話では具合が悪いと、このようにおっしゃったわけでございますけれども、要は、この五月七日の通達を踏まえてみても、今の厚生労働省の見解は、生活保護を受給をされる当初の段階で冷蔵庫を保有していない方に対しては、それは基本的にはそのための一時扶助費は出さないということに、ということは、そういう理解の上の見解と思うわけですけれども、そのことが私は冷たいと申し上げたわけですが、大臣は、今回の五月七日の通達によって、大臣御自身がおっしゃった冷たい、冷蔵庫のように冷たい話では具合が悪いということがクリアされたというふうに思っておられるのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。
#39
○国務大臣(坂口力君) これはかなりクリアされているというふうに私は思っております。先日も委員がいろいろと例をお挙げになりましたけれども、必要な方というのはあるわけでございます。例えば薬をどうするかというようなことでも必要な場合もございますし、そうした必要なときにはこれはいいということにこれはしているというふうに私は理解をいたしております。
#40
○辻泰弘君 私は、やはり冷蔵庫の保有というものが最低生活であるというふうに思っております。そういう意味では、ほかの電子レンジだとか、その三月の通達のときには冷蔵庫のみならず、テレビ、電子レンジ、洗濯機、ルームエアコンという例示があったわけでございます。また、五月七日の例示においても、「冷蔵庫、電子レンジ等」ということで同列に扱っているわけですが、冷蔵庫だけは食生活にかかわるもので、最低生活の一部として認めるべきだと、このように思うわけでございます。
 そういう意味において、生活保護の支給の当初の段階で保有していない方に対しては、それを保有することに向けての臨時的生活費、一時扶助費の支給があってしかるべきだと、このように思うわけでございます。
 ですから、五月七日のことを踏まえましても、新聞では「冷蔵庫冷たい話やめます」ということでしたが、実はこれは冷蔵庫冷たい話続けますという措置だというふうに私は思うわけでございます。
 この問題につきましてはまた継続して追っ掛けさせていただきたいと思っております。
 さて、次の問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 今、経済財政諮問会議、また政府税調におきまして税制改正の取組があるわけでございます。私、四月二十三日の質問で大臣にお伺いしまして、税制改正に絡んで、あのときは障害者雇用促進の問題についてでございましたけれども、政府税調の方で障害者控除の見直しがあると、その動きがあると、そしてそのことについてどう対処するのかと、またどうしてもやむを得ないときは歳出の方で手当てすることも考えるべしと、このようなことを申し上げましたところ、大臣としては、障害者の福祉増進を図りますために重要な意義を有していると、このような御見解を示していただいたんですが、その後、実は石弘光政府税調会長が新聞のインタビュー、五月十五日のインタビューに応じておられる中で、障害者控除など社会的な配慮が必要な納税者への控除を減らす分を歳出で対応することも必要だということをおっしゃっておられまして、このことは政府税調会長個人かもしれませんけれども、その方のお考えとして障害者控除は縮減していくということを意図されていると、それに応じて歳出面で見ていくということをおっしゃっていると思うわけでございます。
 このことについて、やはり障害者の立場というものを代弁するといいますか、そういう立場に重きを置いて行政つかさどられるべき厚生労働省としてこの動きについてどういうふうに対処されるのか、お伺いしたいと思います。
#41
○国務大臣(坂口力君) 政府税調の中がどれだけ進んでいるかということにつきましては詳細には私存じませんけれども、少なくとも今御指摘をいただきました障害者控除の縮減の問題につきましては、それは新聞には確かに出ておりましたけれども、現在のところ、それは話題にはなっていない。その全体としての控除の問題、控除の問題全体としてどう見直すか、とりわけ配偶者控除だとか、そうしたところをどうするかという話が中心になっているというふうに私は聞いているところでございます。
 控除全体の問題につきましては、これはいろいろ御意見ございますけれども、余りにも控除が多くなり過ぎていて、そして少なくとも控除でなくてほかのものに代わってもいい問題も、実際に提供すべきものは提供するということにした方がいい問題も私はあると思っております。
 と申しますのは、控除、大体額がどれだけということになっておりますけれども、これは所得によりまして随分格差ができてまいりますし、本当に必要な人に対する控除の額というのはそれほど大きくない、そしてそうでない人に非常に大きいといったようなことになっている部分もございますので、控除の在り方というものについては検討していただくことは私は別にいいのではないかというふうに、総論としてはそう思っておりますが、この今御指摘いただきました障害者の問題、これにつきまして、今これが話題になっているということではないというふうに聞いているところでございます。
#42
○辻泰弘君 この政府税調等の検討の中には、退職所得控除の見直しなどもあると、配偶者控除、特別配偶者控除の問題等もあるわけですが、要は、私が申し上げたいのは、厚生労働省所管のかかわりの障害者であるとか勤労者、労働者であるとか高齢者であるとか、そういう厚生労働省の守備範囲の中の税制改正についてもっと発言があってしかるべきではないかと、こういう思いなわけでございます。
 塩川財務大臣は年金を辞退すれば相続税を免除するとかワークシェアリングに財政支援したらいいじゃないかという、ある意味で踏み込んだ発言もされておりましたし、経済財政諮問会議におきまして、尾身沖縄北方・科学技術担当大臣などは在職老齢年金の廃止とか年金等控除の廃止などということを、踏み込んだ発言も経済財政諮問会議でされている。また、平沼経済産業大臣も相続税、贈与税の問題について指摘されたり、福田官房長官も配偶者控除の廃止などをおっしゃっているというわけでございます。
 坂口大臣も、四月の三日でございましたか、経済財政諮問会議に出ておられて、その資料、「厚生労働行政における対応」ということで、医療・食品分野の研究、外国人が暮らしやすい環境整備、あるいは少子化の問題等のペーパーも出されて御発言されているようでございますけれども、私が申し上げたいと思いますことは、こうやってある意味では所管でない分野にでもいろいろ発言をされているという現状の中で、厚生労働省は自らが所管される領域についての税制改正等についてもっと発言して、発信すべきではないかと、このことを申し上げたいわけでございます。
 四月三日の厚生労働大臣の、坂口臨時議員提出資料の中では、医療の分野では税制面での支援ということで、医薬品業界が国際競争力を付けていくためには研究開発に対する税制面の支援が一層必要であると、こういうコメントをされているわけでございますけれども、医薬品のことも大事でございますけれども、やはり大きな控除の根本のところについての税制改正がされようとしているときに、それに一番接しておられるであろう厚生労働省としてやはり見解をお持ちになって発信してリードしていくと、こういうことにしていただきたいと思うわけでございます。
 そのことについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#43
○国務大臣(坂口力君) これは、税制問題につきましては、毎年この予算のときに厚生労働省としてどういう予算的な要望があるかというのを全部出しておりまして、過去には公的年金等の控除の問題につきましても出した経緯がございます。
 しかし、この公的年金につきましては、大きい枠組みそのものを変えなきゃならないということになってきたものですから、検討しなきゃならないということになってきたものですから昨年は出さなかったというふうに思っておりますが、今まではかなりこうしたことも出してまいりましたし、他のことにつきましても厚生労働省としてこういうふうにしてほしいということは全部出しているところでございます。
 経済財政諮問会議等ではいろいろの発言あることも事実でございますし、厚生労働分野につきましての御発言がかなり多いことも、私が多いというふうに感じるのかどうかは分かりませんけれども、かなり多いような気がいたします。それはどういうふうに御発言をしていただくのも別に自由でございますからよろしいわけでございますが、余り決め付けないようにしてもらいたいと、こう思っているだけでございまして、私も言うべきことは言っていきたいと思っております。
#44
○辻泰弘君 厚生労働省として税制改正の要望を作っておられることは承知しておりますが、それは概算要求のちょっと後といいますか、八月になることが通例だと思います。
 今、政府税調並びに経済財政諮問会議で取り組んでおりますのは六月に一つの方針を示すということでございますので、ですから厚生労働省の常時の、通例の形の対応では間に合わないんじゃないかと。すなわち、政府税調、経済財政諮問会議の税制改正の取組は十二月の六か月間前倒しした形でございますので、そういう意味ではこれまでの八月にまとめられるというものではちょっと間に合わないんじゃないかと思うわけでございまして、その意味についてまた御検討いただいて御対処いただきたく思う次第でございます。
 それでは、次の問題につき、取り上げさせていただきたいと思います。
 昨日、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱、このことを記者発表されておりまして、その要綱に基づいた省令案を作成して六月一日より施行する予定だということでございます。これはすなわちワークシェアリングの具体的な対応ということで、ワークシェアリングに対する財政措置、財政支援の具体化ということになるわけでございますが、四月には方針をある程度示していただいたわけでございますが、昨日のことを踏まえて、政労使でお取り組みいただいたワークシェアリングに対しての財政支援策の具体的な内容、また時期について御説明をいただきたいと思います。
#45
○政府参考人(澤田陽太郎君) ワークシェアリングに対します財政支援については、三点措置をいたすことといたしております。
 第一点が、緊急対応型ワークシェアリングを導入し、雇用創出に取り組む事業主への支援ということで、既にあります緊急雇用創出特別基金、これは平成十年度に当時の補正で六百億円を一般会計で積んだものでございますが、これを使うものが一つございます。
 具体的には、政労使で検討会議で合意いたしました緊急対応型ワークシェアリング、これを導入いたしまして、四十五歳以上六十歳未満の中高年齢者を非自発的離職者という形で雇い入れた場合に助成金を支給する。従来の基金でございますと、常用労働者一人三十万円という形でございましたが、今回はワークシェアリングでございますので、短時間労働者につきましても雇い入れた場合には十五万円を支給するという拡張を行っております。
 と同時に、今申し上げた労働者を雇い入れた場合には企業規模に応じて、言わば従業員規模に応じて加算をするということで、この加算の意味は、緊急対応型ワークシェアリングを導入するに当たっての、企業側が言わば人事労務管理等々を多少見直す初動経費を見るという趣旨で、従業員規模一―三百人につきましては三十万円、三百一人以上につきましては百万円を加算するというものであります。
 それから第二点は、ワークシェアリングにつきまして、地域において労使が理解を深め、自主的に取り組むことを支援するという意味で、そうした活動を行う地域の事業主団体、経済団体を含むそういう団体に対し、情報提供だとか相談等々の事業を委託するというものでございます。
 それから第三点目は、緊急対応型雇用シェアリングそのものではございませんが、従来の雇用調整という形で休業という形態を取って雇用を維持するということも緊急対応型ワークシェアリングと同等といいますか近い雇用維持効果があるということで、今回、雇調金の活用をしたいということであります。
 具体的には、現在の雇調金は一日丸々休業する形か一日のうち部分的に一時間以上休業する場合と、こうなっておりまして、一時間以上休業する場合には事業所の対象労働者が全員一斉という要件が付いておりますが、これを外しまして、一日の時間単位休業であっても部門単位とかグループ単位とかいう形でできるというところに弾力化をすると。
 以上、三点でございます。
 そして、省令改正必要な部分、雇調金の拡張部分につきましては、昨日、審議会に諮問し答申をいただいたと。他の部分につきましては、事務的に要領を改正する等々で、いずれも六月一日から実施できるように鋭意準備を進めてまいります。
#46
○辻泰弘君 雇用創出の問題について一点お伺いしておきたいと思います。
 内閣府が「「暮らしと構造改革」ハンドブック」なるものを作っておられまして、その中で、新しいサービス業がどんどん出てくれば雇用が拡大しますということで、雇用創出が期待されるサービスということで幾つか列挙されまして、トータル五年間で五百三十万人の雇用創出を目指すんだと、こういうことが出ております。
 また、先般の経済財政諮問会議におきましても、島田顧問、同会議顧問の方から五百三十万人の雇用創出計画のことの言及がございまして、それらを受けて小泉総理が、五百三十万人の雇用づくり、これは前向きの対策で、その実現に向けて全省庁協力して是非とも推進体制をお願いする、また具体的な提言を出していただきたいと思うと、こういう発言をされておるわけでございます。
 私の承知しているところ、必ずしも厚生労働省がこの案といいますか、このことの議論に直接はかかわっておられないんじゃないかと思うんですけれども、しかし雇用の一番責任を持って対処されるべき厚生労働省としてはやはりこれに無関係でもおられないと思うわけでございます。
 具体的にこのことについてどう取り組まれる御方針かということと、ある意味ではこういうことが発言されるのであればこそ、厚生労働省、こういう議論にもっともっと積極的にかかわっていくべきだと思うわけでございます。その点についてお伺いしたいと思います。
#47
○国務大臣(坂口力君) 経済財政諮問会議に設置されました雇用拡大専門調査会が昨年五月に取りまとめたいわゆる緊急報告というのがあるわけでございますが、その中で、雇用創出型の構造改革を実施をして、そして五百三十万人の雇用をサービス分野で作り上げていくと、創出するということを御提案をしているわけでございます。
 これは、この内容を細かく見てみますと、様々な分野が取り上げられておりまして、御承知をいただいておりますように、いわゆるどこかに勤めるというのではなくて、家庭におきます問題等もそこには含まれておりまして、その内容は様々でございます。しかし、このサービス分野で拡大が可能なことも事実でございますので、そのことにつきましては私たちもこれは一生懸命にやっていかなければならないというふうに思っています。
 その中は、国の方が予算を付けて、それによって拡大をする部分もあるわけでございまして、そのところはこれはもう間違いなく、拡大していくことは間違いないというふうに思います。我々、厚生労働省に関係のあるところでございますと、新エンゼルプランでございますとかあるいはゴールドプラン21でございますとか、こうした分野におきましては確かに雇用が増えてきていることは間違いございません。しかし、五百三十万という大変な大きな人数になるのには少し小さ過ぎるわけでございまして、これは各省庁でそれぞれお願いをしなきゃならないわけでございますが、これはもう少し、より具体的にどういうふうにしていくかということをもう少しきめ細かくやらないと私はいけないというふうに考えております。
 この中には予算を付けるというものもあるということを申しましたけれども、それはそれでいいんですが、しかし、そうではなくて、例えば外国、欧米並みにもし日本がこれからなるとすればこれだけになるであろうという、傾向として、トレンドとしてこういうふうになるだろうということを示している部分もあるわけでございますので、そうしたことを日本の中で実現をしていこうということになりますとそういう方向の施策が必要でございますから、そうしたことももう少しきめ細かくやっていかないと、五百三十万というのは、掛け声は大きいですけれども、現実にそれが実現しにくいということに私はなってくる。
 やはり、これを進めていくためにはもう少しきめ細かさというものが私は大事だというふうに考えておりまして、これは厚生労働省がかなり積極的に発言をしなきゃならないことでございますので、私も積極的に発言をしていきたいと思っているところでございます。
#48
○辻泰弘君 一番雇用政策に責任を持たれるのは厚生労働省でございますので、政府といいますか、総理が五百三十万と打ち上げておられながら、実はその中身が厚生労働省に、何といいますか、そのことの具体策が整合性が取れていないというような状況がないように是非お取り組みいただきたいと思います。
 さて、先ほど今泉議員御指摘のポイントにもつながりますが、外国人労働者の問題について基本的なお考えを聞いておきたいと思います。
 これまで、第九次の雇用対策基本計画においても見解を示しておられますし、前の経済計画においても出されておりますし、厚生労働白書にも見られるわけでございます。ただ、私がなぜこれを思うかといいますと、最近のヨーロッパにおける、いろいろ移民排斥の極右勢力の台頭というような状況があるわけでございまして、ドイツにおいても実質的に移民を規制する方向を出しておるとか、最近のフランスやオランダでの移民等への排外的な勢力の増大ということがあるわけでございまして、そういう意味で私は基本的に踏まえておかなければならないと思うわけでございます。
 すなわち、ある意味では、来てもらいたいというときにどんどん入れておいて後で追い出すということは、長い目で見たときの国の在り方としてやはり問題だと、禍根を残すと思うわけでございます。将来、そういう形になるならば、未然に、やはり慎重に対処すべきだと、このように思うわけでございまして、その意味から厚生労働省の外国人労働者の受入れについての基本的なお考えをお聞きしておきたいと思います。
#49
○副大臣(狩野安君) お答えいたします。
 外国人労働者の受入れについての政府の基本方針につきましては、平成十一年八月に閣議決定をいたしました第九次雇用対策基本計画におきまして、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進すること。そのほかに、いわゆる単純労働者の受入れにつきましては、国内の労働市場にかかわる問題を始めとして日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすことが予想されることなどから、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠であるとしております。
 また、外国人労働者の現状につきましては、平成十二年に我が国で就労する外国人労働者は、合法、不法を合わせまして約七十一万人と推計しております。我が国で雇用されている労働者全体の一・三%に相当していると思います。
#50
○辻泰弘君 先ほど申し上げましたように、外国人労働者のとりわけ単純労働者、いわゆる単純労働者についての対応というのは私は慎重であるべきだと思っておりますが、しかし逆に、日本に来ていただいた方に対してのしっかりした対応ということも求められるわけでございます。
 現在、研修生、実習生の受入れというのがございますけれども実習生については労災保険が適用されているけれども、研修生については民間の保険ということで必ずしも十分でないと。そういう中でトラブルが起こっている現状もございますので、そういう意味で外国人研修生に対しての保険というものについても労災に準ずるような形でのしっかりした制度を考えていただきたいと、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 次に、過労死のことについてお伺いしたいと思います。
 これも昨日、過労死のことにつきまして、脳血管疾患及び虚血性心疾患等過労死等事案の労災補償状況及び精神障害等の労災補償状況というものを発表されておるわけでございます。これは、昨年十二月十二日に脳・心臓疾患の認定基準というものについての認定要件の変更がございました。長期間の過重業務ということで、発症前おおむね六か月の間を評価して、発症前の長期間にわたって著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことというのを認定要件に付け加えたということでございまして、それに伴って認定された件数が増えたのではないかという分析があるようでございます。
 そこでお聞きしておきたいと思うんですけれども、この十二月の新しい基準によりまして、新しい基準以前に再審査請求をされてきた、それでまだ決着していないその分について、再審査の決定前の認定というものもあるのかどうか、不支給処分の見直しの方針についてお伺いしたいと思います。
#51
○政府参考人(日比徹君) お尋ねの点でございますが、端的に申し上げますと、それはあるということでございます。
 実は、監督署長が不支給の処分をし、それが争われているというのは、審査官段階、あるいは再審査請求ということで労働保険審査会、さらには裁判とそれぞれの段階ございますが、裁判あるいは労働保険審査会で現に係属しているもの、それにつきましても、原処分庁である監督署長として新しい基準で見て自ら処分をやり直すべきものはやり直すということで進めてきましたし、今後もその方向で進めたいと考えております。
#52
○辻泰弘君 未払賃金の立替払の制度についてお伺いしたいと思います。
 現在は労災保険料の財源を使って労働福祉事業団がなさっているわけでございまして、この一月から百七十万の上限が三百七十万に引き上げられたということで、やはりこれは、私は一つのセーフティーネットとして大事なものだと思っているわけでございますが、しかし、考えてみますと、労災保険料がその財源となっている未払賃金の立替払というのも考えてみますと少し趣旨が違うのではないかと思われるわけでございます。
 厳密に言いますならば、未払賃金の立替払のための保険料は労災と別に設定されるべきじゃないかと。労災保険料は事業所ごとに出ているわけですが、倒産はその事業所ごとに、数字が同等に、災害の発生率と同等な倒産率ではないと思うわけでございますので、そういう意味からもやはり本来別勘定といいますか、保険料もここは未払賃金分だというふうな位置付けがあって、現在の労働保険特別会計の労災勘定と分離した別の勘定であってしかるべきじゃないかと思うわけですが、そこまで行かないまでも、少なくとも予算上明確化されているべきじゃないかと思うわけでございます。
 平成十四年度一般会計予算を調べましても、実は労働福祉事業団への交付金という形で出ているわけではございますけれども、未払賃金の立替払に充てられるのだというふうには一般会計の予算書各目明細書を見ましても出ていないわけでございます。
 そういう意味におきまして、私は、これはやはり強制保険料徴収のものでございますから、その歳出についてはやはりはっきり明示されるべきじゃないかと思うわけでございまして、本来は勘定も別建てにすべきじゃないかと思うけれども、少なくとも予算上そのことが見えるようにはっきりさせるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#53
○政府参考人(日比徹君) ただいま御指摘の点でございますけれども、未払賃金立替払制度を発足しまして随分たっておりますが、当初から今御指摘のような予算建てになっております。
 それで、国の予算の場合には、もうこれ私から申し上げるまでもないかもしれませんが、科目編成をどうするかということで、こういう交付金のたぐいというのは一括して交付金というような形になっておるところでございます。
 そこで、元々きちんとした言わば区分経理もし、そこをはっきりというような御趣旨であろうと思いますが、これは先ほど申し上げましたように長い間たっておりますけれども、ここ何年か非常に確かに金額的にも巨額になっておるという点は確かにございます。
 それで、長い経過の中で予算編成の仕方としては今申し上げたとおりでございますが、立替払のこの財源の問題につきましては、労災保険の関係審議会でも実は若干どうなんだというような御議論もあったところでございます。まあすぐにどうこうということではございませんけれども、少なくとも立替払所要の財源の問題、あるいはそれを何といいますか保険料負担者との関係ではっきり分かるようにと、これは心掛けておるつもりでございますけれども、その点は十分慎重にやってまいりたいと思っております。
#54
○辻泰弘君 是非、予算書でその部分が少なくとも見えるように、予算の説明の中には未払賃金の立替払の指摘がありながら実は予算書の数字が出ていないという状況がございますので、少なくともそこは取り組んでいただきたいと、このように思っております。
 さて、無年金障害者の問題についてお伺いしたいと思います。
 私、三月二十八日の質問のときに、無年金障害者の問題についてお聞きしまして、大臣から、今も一生懸命考えてやっていると、もうしばらく時間をちょうだいしたいと、こういう御答弁があったわけでございます。また先般の、二日前でございましたが、この委員会におきまして、今国会中というようなめどで大臣としての御所見を示されるような御答弁もあったわけでございますが、私はせっかく大臣が検討しようとおっしゃっていただくわけでございますから、その無年金障害者の対象に、任意加入のころの学生のみならず、やはり国籍条項があって、昭和五十七年の一月一日より前に国籍要件があって加入できなかった、そういう無年金の在日外国人の無年金障害者の方々のことも含めて御検討し御提言をいただくようにお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(坂口力君) この無年金障害者の問題につきましては、かねてからいろいろの御指摘もあり、何かいい方法がないものだろうかということでいろいろの議論も実はしているところでございますし、またいろいろ検討もしてもらっているところでございますが、今御指摘のこの国籍条項によりますところの国民年金の適用を除外されている在日外国人もこの対象にすべきだという話は少しまた別の話でございまして、現在のところ私はここまで議論の対象の中に入れているわけではございません。
 この問題はこの問題として、社会保険方式の制度の下でそれぞれの方がどのような事情で無年金になったのかということを、これは十分分析をしなきゃいけない問題だろうというふうに思っています。いろいろのこれは条件があるだろうというふうに思っておりますので、そうしたことをもこれは整理を一遍しなければどうするかということにはなかなか至りにくい、もう少しそうした意味での整理はしなければならないというふうに思っております。
 今のところ、無年金障害者の問題についてはどうしても解決する方法がないか、いい方法を見付けたいと、そんなふうに思っているところでございます。
#56
○辻泰弘君 いわゆる年金担保融資についてお伺いしたいと思います。
 厚生年金法は、第四十一条におきまして「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」という規定がございまして、またその他船員保険法や国民年金法にも同じような趣旨があるわけでございます。
 唯一、公的年金担保貸付けということで社会福祉・医療事業団がそういう年金を担保としての貸付けが制度として創設されているわけでございますが、このことについてでございますけれども、そういうことで公的年金を担保に取ることは法律で禁じられているわけでございますが、現在そのことによっての非常に悲劇が全国的に増えているという状況がございます。年金を担保に取って高齢者の方々に融資をして通帳と判こも取り上げてしまうと、こういうことで非常に被害が増えているという状況が伝えられているわけでございます。業者は、年金証書、通帳などを担保に取って法定利息の上限に近い金利で貸し付けて、振り込まれた年金は高齢者に渡らず業者が勝手に引き出すと。また、返済後も年金証書を返さず、借り手が死ぬまで年金を取り続ける悪質業者もいると。こういうことが現象としてあるわけでございます。
 これは厚生労働省の対応だけでは済まない、すなわち金融庁だとか都道府県の対応にもよるべきところもあろうかと思うわけでございますが、しかし、年金を支給しているのが厚生労働省である限りにおいて、通帳に入ったらそれはもう預金であって年金ではないんだというような理屈もございますけれども、しかし、やはり年金を支給している責任官庁として、そのことの実態をやはり見詰めていただいて、他省庁とも連携を取ってその防止に努めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#57
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、年金証書や通帳などを貸金業者が預かり融資を行っているというケースにつきまして各種報道なされておりますし、また被害者救済のための活動をしておられる団体等から要請も受け、お話も聞いており、私どもこれは大変な問題だというまず認識をしております。厚生労働省は貸金業を所管しておりませんのでその詳細な実態までは把握できておりませんが、いずれにせよ、御指摘のように、この問題は今後真剣に取り組まなければならないと、まずこの認識を持っております。
 年金受給権の担保は禁じられているわけですので、唯一の例外として今御指摘の社会福祉・医療事業団が融資を、担保融資を行うことを認め、まずこれを適切に行うようにしておりますので、このことを十分周知する、国民の皆様に知っていただくということが必要かと存じます。したがいまして、社会福祉・医療事業団におきまして、本年三月に、年金担保融資についてのポスターを、相当ポスターを作成いたしまして関係機関、特にお年寄りがまず訪れる金融機関ということですので金融機関、そしてもとより市町村、社会保険事務所に掲示をいたしまして、制度のPRを徹底すると。そしてその際には、悪質な業者には注意するよう併せて呼び掛けを行っております。まずこの点を一層進めてまいりたいと思います。
 それから、規制につきましては、年金証書などを担保としているというこういうケースにつきまして、ちょっと私どもよく詰めてみたんですが、仮にこの年金証書を貸金業者が預かっておりましても、受給者が新たに社会保険庁に対して振り込み口座を指定すればその口座に振り込まれます。したがいまして、厳密には法的に証書を取っているからといって年金受給権を担保に融資したものにはならないと、こういったなかなか難しい問題があるわけでございますが、しかし事実上担保を取るに等しいような実態についてはもう明らかに問題でございますので、どのような有効な規制ができるか、今後関係省庁とも相談してまいりたいと思います。
 それから、受給者からこうした事実上担保にされちゃってんだというような相談がありました場合には、私ども年金行政サイドとしては、その意向を十分確認して、適切な振り込み先に振り込むなどの対応をしてまいりたいと考えております。
#58
○辻泰弘君 最後の質問になると思いますけれども、先ほど今泉議員の御質問にもございましたけれども、少子化問題についてでございます。
 三月二十七日には少子化社会を考える懇談会を開催された。そしてまた、先般五月二十一日には小泉総理から坂口大臣に直々に少子化対策の見直しに対処すべしということでお話、指示があったと。九月をめどに中間方針を取りまとめるべしと、このような御意向だったようでございますが、総理からの指示の内容、またそれに向けての取組方針をお伺いしたいと思います。
#59
○国務大臣(坂口力君) 総理から御指示のありましたのは、先日来発表いたしました厳しい人口動態というものをごらんになって、もう少し少子化対策というものを幅広くあらゆる角度からひとつ検討していくようにということでございます。
 しかし、もちろん今まで厚生労働省が掲げてまいりました問題、新エンゼルプランでございますとか、別な言葉で言えば育児休業の取得でありますとか看護休暇制度の普及などについて具体的な目標を定めて子供を安心して産み育てられるような環境作りに努力をしてほしいと、こういうことでございます。また、各家庭の事情に合わせた多様な保育事業でありますとか、地域の子育て情報の発信や、あるいは子育て支援サービスを推進する体制作りなどにも一層の努力をしてほしいと、こういうことでございまして、一つはやはり厚生労働省がやっておりますことをよりきめ細かく本当に皆さん方がそれが受けられるようにどうしていくかということをもう少しやってほしいということだと思います。それからもう一つは、厚生労働省の範囲を超えて各省庁が協力をしてどういうふうにしたらいいか、それはひとつ厚生労働省の方でもこういうふうにしてほしいという話があったらそれは出してほしい、私の方から各省庁にそれはお願いをする、こういう話でございました。
 そういう内容でございまして、我々もそのことについてひとつ九月までにどういうふうにしていくかということについて早速協議をしたいというふうに思っている次第でございます。
#60
○辻泰弘君 以上で終わります。
#61
○草川昭三君 公明党の草川であります。
 まず最初に、五月の月例経済報告を見ますと、景気は依然として厳しい状況にあるけれども底入れをしたと。底入れ宣言という言葉が今新聞紙上をにぎわしているわけでございますが、一方、中小企業の白書等々を見ますと、デフレ、空洞化、貸し渋り等で倒産件数は一万八千八百件を上回り、これは史上三番目の高水準だと、こういう言い方もされているわけでありまして、私は雇用という面から景気を眺めてみますと、非常にこれは厳しいものがあるのではないか。
 元々、雇用は景気に後れて動く指標だと言われているわけであります。それで、若干景気展望は良くなるとはいっても、アメリカの経済に非常に依存をする景気動向でありまして、アメリカのIT関係が回復したとはいうものの、まだまだ設備投資には若干遠いと。あるいはまた、今の日本経済が円安によって輸出増強でございましたからこの三月期決算なんかでは若干輸出産業は上回っておりますが、今度は円高というような新しい事態が出ますともう全くまた逆の動きが出ておりまして、いわゆる円高介入も政府としてやらざるを得ないというようなことがここ二、三日の新聞報道にも出ているわけであります。
 こういうようなことを考えてまいりますと、先ほども御質問がありましたけれども、雇用保険制度についても一体将来どうなるのか。既に一部の新聞報道では審議会の部会の先生方の意見というものが紹介をされているわけでありまして、この保険制度の見直しが避けられなくなってきておると私自身も思うのでございますけれども、その基本的な方向性について、この際、大臣から御答弁を願いたいと思うわけです。
#62
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから御議論のあったところでもございますが、景気につきましては依然として厳しい状況が続いているというふうに思いますし、ましてや、この雇用の問題というのは景気がたとえ上向きになりましても、その後半年ないし一年間は低い水準で継続するといったようなこともございますので、これは、雇用の問題というのは、たとえ経済に若干の明るさが見えたといたしましても予断を許さない問題だというふうに思っている次第でございます。
 雇用保険制度の在り方につきましては、現在、労働政策審議会の雇用保険部会、この中で御議論をいただいているところでございまして、先ほどから御議論ございましたとおり、何とかこの雇用保険を改革しなきゃならないということでは一致をいたしておりますが、その中身につきましてまだ意見の一致を見るところまで至っておりません。ここは、今日ここでここまでというふうに申し上げられる段階でございませんので、もうしばらくだけお待ちをいただきたいというふうに思っている次第でございます。
#63
○草川昭三君 よく分かります。
 そこで、今度は現場を担当している安定局長にお伺いしたいんですが、今の大臣の答弁を踏まえて、私は是非雇用保険の受給者の実態というのを把握をしていただきたい、よく把握をするということが非常に重要であり、それを是非部会の議論の中に反映をしていただきたいと思うわけです。
 雇用保険受給者の再就職時の賃金が一体どういうものになるのか。これがよく言われるように受給者、特に年配の方々は高額の受給を受けるから、新しく再就職のときの賃金が低いから逆転現象だ、だから雇用保険をいたずらにと、まあ言葉が悪いんですけれども、受け取るのではないだろうか、思い切って下げたらどうだろうかというような発想があるとするならば、それは私は受給者の大変神経を逆なでするようなことにもなるわけであります。
 また、就職時期をどのようにして、受給してから就職をする間に大体何か月ぐらいのパターンで就職をさせるように後ろから押すのか等々も是非私は考えていただきたいと思うんですが、その点、局長、どうでしょう。
#64
○政府参考人(澤田陽太郎君) 労働政策審議会の雇用保険部会で労使公益で今議論を進めていただいておりますが、委員御指摘のようにベースは実態がどうあるかということになりますので、私どもも各種資料を提供しております。
 その中で、まず再就職時賃金と雇用保険の給付額との関係についても詳細にはじいておりますが、雇用保険の給付額が無税でございますので、再就職賃金の名目ではなくて税だとか社会保険料を控除した手取りで比較するのが適当だろうということで見ますと、給付額が手取りの再就職賃金よりも高いという現象が基本日額の高いところで現に起きておるというのも事実であります。これについてはどう解釈するかは労使それぞれ意見が若干違うところもございます。今私が申し上げた範囲での言わば逆転という現象は年齢計で見ても若干あるわけですが、六十歳以上の年齢層のところでかなり目立つというのは事実でございます。
 それから、雇用保険受給者の再就職時期、これも大変大きな論点の一つでございますので、平成十二年度中に失業保険の受給資格決定を受けた方全員についてその後どうなったかを雇用保険のデータで追跡をいたしました。
 昨年の十二月現在でどうなっているかと見ますと、再就職された方を一〇〇といたしますと、年齢計で申し上げますと、失業給付の受給期間中に再就職された方が二一・五%であります。そして、失業給付が切れて一か月後、その一月間に再就職された方が二九%ということでございまして、受給期間中全体の就職された方の割合よりも切れて一か月の方が多いということになっています。これをまたどう解釈するかというのは、今部会で議論していただいておりますが、いろいろ難しい議論になろうかとは思います。
 そして、所定給付日数と再就職時期あるいは再就職率との関係を見ますと、年齢を固定して見ましても所定給付日数が長い方が再就職率が低いというデータもございまして、この辺全部、総合的に雇用保険制度としてセーフティーネットとしての役割、かつその中で早期再就職を促進するという役割、こういう両面からどういうふうにしていったらいいか十分御議論をいただきたいと思っています。
#65
○草川昭三君 離職者を救うという観点からは、いかにして離職者の早期再就職を支援するかということに尽きるわけです。そのためには、私は離職者の能力開発、能開というものが非常に重要になってまいりますし、あるいはまた企業の側に新しい雇用を創出する、そういうバックアップが必要だと思うんです。
 特に日本の場合は外国に比べまして雇用創出というパーセントが非常に低くて、例えば一九九一年から九四年までの日本の雇用創出率は七・四%、アメリカは一三%、イギリスが八・七、フランスは一二・七、ドイツは九、カナダは一四・五というように、日本は非常にそういう点では貧弱なんですね。
 そういう点で、どうでしょう、能力開発局としてどういうお考えか、お答えを願いたいと思います。
#66
○政府参考人(酒井英幸君) 先生、今、おっしゃいましたように、役に立たなければ職業訓練は意味を成さないということを我々も十分頭に置きながら、いろんな能力開発のメニューを取り組まさせていただいて、特に昨年の補正予算以降あらゆる教育資源を活用させていただいて能力開発のいろんなニーズに対応していこうということで、大学あるいは大学院あるいはNPOであるとか更には事業主さんにも受けていただくといったようなことも含めてやっておるわけでございますけれども、今、先生もおっしゃいましたように、やはり求職者がどのようなニードを持っておられるかということの言わば相談、コンサルティング、そんなようなこともしっかりとやりながら、訓練のコースもどういうものが現在使えるのかといったようなことも含めてやっていかなければならないということで、実は職業安定行政と能力開発行政の連携を一段としっかりとやって、現場の人間がまた一人一人就職させていくというやる気を持ってやっていっていただかなきゃいかぬということで現場の指導もやっておるところでございます。
 さらには、能力開発の面でも、新しい起業をされるとかあるいは創業をされるとかということを、そういうことを目指した能力開発事業というものも大臣の御指示で取り組めということで、近時そういうものも開始させていただいております。
 いずれにしましても、現場の人間が一人一人頑張れるように私どももやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#67
○草川昭三君 今のことを是非進めていただきたいと、こう思うわけでありますが、離職者の早期再就職のためには、公共職業安定所の情報提供や相談機能の充実を図ること、あるいはまた民間の職業紹介所の活性化ということが非常に必要だと思うんです。
 それで、インターネットの活用状況なんかを見ておりますと、十四年の三月の一日平均のアクセス者数というのは七万七千百四十四人あると、こう言うんですね。なかなか、結構検索の画面なんかを見ておりましても、いろんな配慮をしていることは分かります、私どもも。あるいはまた、平日夜間の、土曜日のハローワークの開庁、休んでいただいていないというようなことも頑張ってはいるということはよく分かりますし、ハローワークの紹介による実績も昨年と比べて約二万人増加をしておるという、こういう御報告もいただいておりまして、頑張っていただいておるなということがよく分かるわけでありますが、私は、今申し上げましたように、民間職業紹介等を含めてどのようなお考えか、お伺いをしたいと思います。
#68
○政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘のように、離職者の早期再就職という観点からは、私どもの情報提供、職業相談、職業紹介を効率的にやっていくということと併せて、民間の事業者の方々の活力と申しますか、機能を十分発揮していただくということが大事だと思います。
 そうした意味で、民間職業紹介事業等に係ります規制改革というものを私ども着実に進めておりますし、特に、助成金の支給等ということになりますと、公共職業安定所経由の場合に支給するということを大幅に見直しまして、民間紹介所経由でもイコールフッティングで助成金を使っていただくというふうに直しております。そして、再就職支援会社に対する言わば実質的な機能活用ということで、大量に離職者が出る場合に、そうした方々の言わばアウトプレースメントを専門業者にお願いする、事業主に対して一定の支援をするというようなことも始めております。
 まだそれで十分だとは思っておりませんので、現在、また審議会かとおしかりを受けるかもしれませんが、労働政策審議会の中の民間需給制度部会というのがございまして、そこで日本全体の労働市場の需給調整機能を高めるには官民合わせた仕組みをどうしたらいいか、今の仕組みをどう見直したらいいかという観点で今御検討いただいておりまして、これにつきましてもそう遠くない時期に結論を出して必要な対応を取っていきたいと、こう思っております。
#69
○草川昭三君 そこで、経済産業省にちょっとお伺いをしたいんですが、これは、もう是非、今の答弁と併せて旧労働省の方としても旧通産と連携をしていただきたいという立場からの質問なんですが、例えば、経済産業省もいろんなことやっておみえになるわけですが、その中の一つに省エネの促進、環境あるいはリサイクルへの対応について、いわゆる新規需要や雇用の創出を図るために、鉄鋼、製鉄のいろんな技術を応用をし、プロセスガス利用水素製造技術の開発なんというのを相当大きな、何というんですか、プロジェクトとして取り組んでおられるようであります。
 それで、いろんな評価等を私どもも参考にさせていただきますと、二〇三〇年に向けて民間需要創出効果が四百八十億ぐらいは誘発されるだろうと。それを雇用に置き換えてみると、四千八百人は新しい新規雇用が開発される。また、そのことによって民間の消費需要というのが八百億また膨らんでくる。そのことから雇用というものが三千二百人から更にそれを増加することが見込まれるという、このプロセスガス利用という大きな、壮大なプロジェクト、あるいはまた日本の鉄鋼技術が持っている超鋼板、これはもう今ヨーロッパとも日本が積極的に技術提携をし、EUもその中に参加をするような力を持ってみえる。あるいはまた、電磁鋼板というようなものをうまく利用するならば、ハイブリッド車等のモーター等についても非常に軽くなっていく。
 こういう技術をどんどん私は発展をさせていただく中で、ちまちました雇用創出ではなくて大型の雇用創出になるわけでありますから、そういう点なんかを頭に置きながら能力開発もやっていただきたいし、あるいはまたハローワーク等々も若い人たちに夢を与えながら教育をすることができるのではないか、こんなような感じがするので、この際、私が申し上げたこと以外でも結構でございますので、経済産業省の方から御答弁を願いたいと思います。
#70
○政府参考人(岡本巖君) 雇用機会の創出ということに向けて、私ども、やっぱり産業が元気を出していただくということ、それからベンチャーを始めとする新しい事業の創出ということに向けて一連の施策を講じてまいっているところでございますが、そういう中にあって、実は旧労働省のころから両省の間で緊密な情報交換と連係プレーをしながら、新しい事業の創出に向けての支援でありますとか、その過程で求められる人材の養成ということに向けての能力開発等につきましても今の厚生労働省の施策にいろいろお願いを申し上げてきているところでございます。
 今、草川先生御指摘の新しい技術を開発することによって新しい事業を生み、そこから雇用の機会を作り出していくというのは非常に大事な方向だと思います。
 今、先生が例示的に言及なさいました鉄鋼業において、コークス炉ガスから、メタンが大変多いガスでございますので、併せてコークス炉ガスの持っている熱を利用して水素を製造する。水素ということに着目しました場合に、先生方御案内のように、燃料電池というものが自動車用あるいは定置用としてこれから大変有望な、かつビジネスとしても大きく伸びていく大きな可能性を秘めております。そこに向けて大きな課題の一つが、どうやって水素を安価にかつ大量に製造していくかという点でございますが、ガソリンの改質、天然ガスあるいはメタノール、そういうものと並ぶ有望な選択肢の一つとして鉄鋼業のコークス炉ガスというものを原料として水素を製造していく技術というものは非常に大事な位置付けを有するものだと考えておりまして、私ども、鉄鋼企業、石油精製企業、あるいは私どもの産総研が一緒になりまして今この技術の開発を進めているわけですけれども、それがうまくいきました場合には、正に市場の面でも、あるいは雇用機会の創出という面でも、先ほど草川先生御指摘のような効果が期待できるところでございます。
 これにとどまりませず、新しい技術を開発して、それを早く実用化につなげて事業を起こしていただくという取組がやっぱり質のいい雇用機会を作り出していくという観点から非常に重要かと私どもも考えておりますので、厚生労働省との間で連絡を密にしながらこういった取組というものを私ども引き続き努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#71
○草川昭三君 是非頑張っていただきたいと思うんです。特に、また電炉技術を用いた鉄及びプラスチックの複合リサイクルの技術開発等々についても、これは将来三千二百人程度の新しい雇用創出が見込むことができるというようなことももう既に検討というんですか、実施に入っておみえになるわけでありますので、特に厚生労働省として産業政策官庁との密接な連携がこれから私、より一層重要になってくると思うので、その点についてお答えを願いたいと思います。
#72
○政府参考人(澤田陽太郎君) 私ども、今、経済産業省から御答弁がございましたように、これまでも産業政策と連携した雇用対策、雇用創出ということをやってまいりましたが、特に昨年八月、坂口大臣から当時平沼経済産業大臣にお話をいたしまして、両省連携して地域で新しい産業をどう起こす、既存の産業をどう高度化していくかということで協力しようということで、地域産業・雇用対策プログラムというものを作りました。これに従って、私どもの出先、労働局と、経産省の出先、地方経産局が都道府県と連携を取りながら事業をやってまいりまして、ほぼ一年たちますので、先般、フォローアップをいたしまして、足らざるところについて更に両省共同で地方に指示をいたしました。
 今後は、雇用機会をどう作っていくかにつきましては、正にそれぞれの地域で技術、資源等々を活用した産業をどう起こすかが決定的に大事だという認識に立っておりますので、先生御指摘のように、経済産業省とも一層連携をして努力をしていきたいと、こう思っております。
#73
○草川昭三君 あと一分ありますので、もう簡単に答えていただきたいんですが、雇用保険に戻りますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ここの給付期間あるいは保険料率はどうなっているか、日本と比べて、簡潔にそこの点だけ答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#74
○政府参考人(澤田陽太郎君) 失業保険の給付期間でございますが、ドイツ、最大三十二か月、フランスが六十か月と、これは非常に長期でございます。アメリカは州によって四週から三十週間、ですから最長七か月半、それからイギリスでは二十六週間、六か月半と、こう短いということで、日本はその中間ぐらいに位置しておるということになります。
 それから、保険料率でございますが、イギリスは、国民保険の保険料の一部として日本で言うところの雇用保険料を徴収しております。それから、米国ではすべて事業主のみが負担するという形で支払賃金の千分の二十六相当の保険料率となっています。それから、ドイツ、フランスでは、これは労使が負担いたしますが、ドイツの場合には賃金の千分の六十五、フランスの場合には千分の五十六と非常に、日本から比べれば一けた違う料率を負担いただいているということになります。
#75
○草川昭三君 はい、分かりました。
#76
○委員長(阿部正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩といたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#77
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#78
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 私は、今日は具体的にリストラの問題、非常に大変になってきているわけです、それを具体的に挙げながら大臣に質問していきたいというふうに思っております。
 まず一つは、横暴とも言える、無法とも言えるリストラによる首切りというのが国民生活をやはり破壊しているというふうに考えておりまして、将来への不安をやっぱりかき立てているというふうに思います。
 これがもう不況をより一層深刻にしているというふうに思っているわけなんですが、特に最近、NTTに代表されるように、子会社をわざわざ利用した形で企業再編という手法を用いながらリストラを広げていっているということがあります。非常に大変な内容ですので、私はこれは労働者の生活の面からしっかり見てほしいし、また職場の実態として是非大臣に聞いてほしいというふうに思っております。NTTなどやっているんですが、一方ではリストラによる労働条件の切下げというのが非常に強くありまして、とりわけ国民の安全と命にも深刻な影響を及ぼしているというふうに思うんですね、自殺者も大変多くなっておりますし。
 本日は、輸送業務に携わる労働者、バス事業労働者の問題を取り上げたいというふうに思います。
 まず、バス事業においても企業再編が進んでおり、分社化という手法、すなわちこれは子会社を作り、そしてそこに営業譲渡をするということです。そして、労働者も移していく、労働条件を大幅に切り下げていくという、こういう手法です。
 そこで、まず私は国土交通省の政府参考人にお聞きをしたいんですが、この間、分社化による事業者というのはどのような推移になっているかということを、最近、八〇年代からの動きを述べてほしいというふうに思います。御答弁よろしくお願いします。
#79
○政府参考人(岩崎貞二君) お答えいたします。
 乗合バス事業の分社化についてでございますが、乗合バス事業者においては、厳しい経営環境等に対応するため、経営するバス路線の一部を子会社に地域ごとに譲渡するといういわゆる分社化が進められているところでございます。
 具体的には、バス事業者は平成十二年度末で四百四十四社ございますけれども、そのうち分社化されたものは、平成十二年度に新たに五社の分社が加わりまして、七十八社となっているところでございます。
#80
○井上美代君 毎年着実に進んでいるということが今明らかになったと思います。この数も十年間で見てみますと倍になっているということになります。バス事業では、経営の効率化や競争力の強化を口実として、リストラによる過酷な労働条件の切下げが進められているということを裏付けしていると思います。
 一昨年来、京王電鉄では一〇〇%出資の子会社を作り、その子会社にバス事業部門を営業譲渡し、そして従業員をすべて新会社に転籍をさせ、出向をさせて移してしまうという、そういう手法をやっているわけです。そういう計画が進められておりますけれども、現在、労働者は、子会社の営業が八月から始まるということに合わせまして、今月の、五月の三十一日までに、自分が転籍を求めるのか、出向を求めるのか、どちらかを選択しなさいという、そういうことが今迫られているんです。五月三十一日ですから、もう幾らも日がないんですけれども。そして、八月からはこれを子会社に移して、そして労働者は切り下げられた条件でやっていくということになるわけです。
 計画どおりにいくのかどうかということが本当に大きな問題ですけれども、どういうふうになっているかということをもうちょっと申し上げますと、転籍・出向先の労働条件は大幅に引き下げられます。会社は、平均でまず一五%の賃金引下げだと、こういうふうに言っているんですけれども、賃金が既に引き下げられるんです。そして、四十七歳の勤続十八年の労働者の方ですけれども、これを見ると一月で九万六千円、年間で百四十万円もの賃下げ、引下げになるということであります。その上、驚くべきことなんですけれども、移った先では退職金が全くなくなってしまうということです。そのために二千四百万円もらえるものが八百万円になってしまうというんです。今の会社から子会社に移される、そのことによって二千四百万円もらえるのが八百万円になってしまうというんですから、本当にこれは大変な引下げです。そして、計算してみれば一千六百万円の減額で、そして賃金と合わせて単純計算で三千六百万円の減額となってしまうのです。三千六百万円といえば、言ってみれば労働者の家庭にとっては家が一軒買えるという、そういう内容です。
 こんなことになったらもう本当に大変というので、生活設計、そしてまた生涯の計画も持って、設計を持っているわけなんですけれども、完全にこれが狂ってしまったということですね。そして、崩壊してしまうという、そういう不安に今労働者が追い込まれているということ、そして切実な声になっているということが、私も現場の声を聞いて改めて驚いております。特に、住宅ローンを抱えた労働者からは悲鳴が上がっております。転籍だと社内融資制度を利用できなくなるわけなんです。そして、賃金カットと合わせてダブルパンチになっていくという、こういう人たちがたくさん出てきているわけなんです。
 更に重大なのは、この計画が進められると残業が激増していくということがあるということです。
 なぜということなんですけれども、収入が減った分を残業で補おうとするわけなんです。これまで以上に残業をしなければ生きていけないというふうになりますので、残業が更に増えていくというふうになります。何しろ疲れた体にむち打ってでも頑張ろうと労働者が残業に追い込まれるのは、私は、収入ががたんと落ちていくわけですから、もう火を見るよりも明らかだというふうに思うんです。
 現在、京王電鉄のバス部門の三六協定では、残業の上限時間というのは一日七時間、そして一か月で八十時間、年間で九百六十時間というこの異常な長さ、もう大変な長いものになっております。実際にはそれを超える残業をする人もいるということですので、現場の労働者に聞いた実態は本当に深刻なものです。
 現在でも大変厳しい労働条件にある中で、急激な長時間労働が進めば、当然、労働者の健康がまず破壊されていくということがあるわけです。医療問題も深刻な実態がありますけれども、その上にこのような労働条件の中で労働者が病気になっていくということが大変心配されるわけです。そして、それはひいては乗客だとか国民の安全性にも悪影響が出てくるというのは、もうこれは必至ではないかというふうに思うわけです。
 京王電鉄のバス部門では、以前、労働者が運転中に失神をする大変な事件が起きました。そして、これは私たちにも本当にショッキングな事件として今も記憶があるわけですけれども、京王電鉄は九三年以来、長時間労働の是正を求めて労働基準監督署の指導を何回も受けておりますけれども、今もなお是正はされておりません。
 乗り合いバスやタクシーの運転手の労働条件に関しては、労働基準法の残業時間の法定上限時間が適用除外になっているために、厚生労働省は自動車の運転者の労働時間等の改善のための基準を設けております。しかしながら、このまま行きますと企業再編によって運転手の労働条件の向上に向けた方向に全く、今度は労働の現場から悪化していって、そして逆方向になっていく事態というのは大変心配されるんですね。そういう点からも非常に危険なことだというふうに思っております。
 そこで、まず私は大臣にお聞きしたいんです。基本姿勢について質問をしたいんです。
 企業再編によるリストラにおいても、労働者の労働条件のルールや、そしてまた転籍や出向にかかわる労働者の権利を厳格に守らなければならないと、このように思います。労働のルールというのはあるわけですから、それを守るということが非常に重要だと思います。政府、厚生労働省にはその責務があるというふうに思いますけれども、それはいかがでしょうか。責任があるというふうにお思いになっておられるかどうか、大臣にお聞きしたいのですが、大臣、御答弁お願いします。
#81
○政府参考人(坂本哲也君) ただいま、企業組織の再編に伴って労働条件がどういうふうになるのか、その点の認識ということでございます。
 企業組織再編の手法としまして幾つかございますけれども、合併と会社分割、その場合とまた営業譲渡の場合とで異なっておるわけでございまして、合併あるいは会社分割におきましては商法の規定がございまして、労働契約を含むすべての権利義務が相手方会社に包括的に承継されるということでございますので、その際には労働者の労働条件はそのまま維持されるということになるわけでございます。また、営業譲渡の場合でございますけれども、こちらは民法六百二十五条によりまして、転籍をする際には労働者本人の同意が必要ということになっておるわけでございまして、これに伴いまして労働条件の変更がなされる場合にはその変更部分を含めた同意が必要ということになるわけでございます。
 いずれの場合におきましても、企業組織再編のみを理由として一方的に会社側が労働条件の不利益変更を行うということは判例上も認められていないというふうに理解をいたしております。
#82
○井上美代君 今いろいろ法律的なことも言われたんですけれども、私は、今日、いろんな法律が新しくできまして、そしてそれによって今労働者が追い詰められてきているというこの問題を言っております。
 だから、今の御答弁はよく承知いたしました。承知しておりますけれども、私は、そうしたたくさんの法律を作りながら、企業の分社化だとか合併だとか営業譲渡だとか、もうより取り見取りだと私は思うんです、企業側から言わせれば。そういうより取り見取りで自由自在に転籍をさせたり出向させたりして労働者の労働条件も引き下げていっているという今日の現場の状況、現状というのを私はだから今日は特に重視して質問をしているんですけれども。これに対して厚生労働省というのが責任があるのかないのか、責務があるのかないのかということを私はお聞きしているんです。
 だから、法の上で、いろいろあると思いますけれども、このような状況が今日生まれているということについて、大臣は厚生労働の一番の主としてどのようにお考えになっているのかということ、そのことを御答弁願いたいと思うんです。やはり厚生労働省も労働者に責任を持っているんだと私は思っているんです。信じているんです。だから、それを御答弁願いたいんです。
#83
○国務大臣(坂口力君) 具体的な問題につきましては今日初めて私もお聞きしたわけでございますので、具体的な問題、私も十分に存じ上げているわけではございません。
 しかし、今答弁いたしましたように、いわゆる営業譲渡等の企業組織を再編するときにこれは限らず、在籍出向した労働者の労働条件というのは、これは出向元会社、元の会社ですね、出向元会社との間の労働契約に基づいてこれは定められているものでありますから、それを変更する場合には出向元会社との間で労働条件の変更をすることになるというふうに思います。
 それから、労働条件の引下げは好ましいものでないことはもうこれは言うまでもないわけでございますが、企業の経営状況等からそれがやむを得ないことも中にはあり得るというふうに思います。その場合であっても、しかし企業の経営状況等を踏まえた上で労使間で真摯に交渉がやはり行われなければならない、それを抜きにしてはないというふうに思っている次第でございます。
 もう先生も御案内のとおりでございますが、平成十二年ですからおととしになりますけれども、いわゆる会社の分割、合併それから営業譲渡におきます企業組織変更に伴います労働関係の問題への対応についていろいろと検討をいたしまして、そして労働契約承継法が出されまして、それが成立をしたという経緯がございます。
 その成立しましたときに、衆参の附帯決議としまして、合併・営業譲渡を始め企業組織の再編に伴う労働者の保護に関する諸問題については、学識経験者を中心とする検討の場を設けて、速やかに結論を得た上で、立法上の措置を含めその対応の在り方について十分に検討するという、これは附帯決議されたところでございます。
 この附帯決議に従いまして、企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会というのを設置をいたしまして、京都大学の西村先生に座長になっていただきまして、現在それを進めているところでございます。現在までもかなり熱心におやりをいただきまして、十一回ほど検討会を進めていただきました。
 その中で様々な検討をしていただいておりますし、企業組織再編の現状とその問題点、あるいはまた営業譲渡を行った企業の労使からのヒアリングも何回かおやりをいただいておりますし、それから諸外国の、外国の例も検討していただきまして、出張していただきましていろいろ検討もしていただいている、アンケート調査等もやっていただいているといったようなことで、あと二、三回御議論をいただきましたら大体終結するのではないかというふうに思っておりまして、少なくとも今年の夏ごろにはその結論を出していただけるというふうに思っている次第でございます。
#84
○井上美代君 今、こういう問題について検討をされているということを御答弁くださいましたけれども、私は、法律を決めて、大競争の時代だから企業に競争させて労働者が犠牲になろうともやっていくというのではなくて、やはり労働者の権利を守るというのも厚生労働省の仕事だと思うんですね。
 だから、そういう意味で私は、そこの研究をやって、検討をやっておられるそこのところでも、労働者をやはり守るという点で、これだけの法律を並べて、より取り見取りで、あなたたちのいいようにしなさいというだけでは済まない問題があるということを私は強く指摘して、一日も早くその検討会の結論が労働者の立場を踏まえて出てくることを期待したいと思います。よろしくお願いをいたします。
 それで、次に行きますけれども、私は更に実態も含めて続けさせていただきます。
 最初のうちには、京王電鉄側は労働者に対して転籍しか道はないと、こういうふうに言われたんですね。そういうふうに言って労働条件が引き下がる転籍を事実上は強要しようとされていたわけなんです。
 しかし、労働者側が転籍は拒否できると、法律上も労働者には選択の自由があるということを明らかにして追及をすると、昨年の九月のことですけれども、今度は出向という選択肢を作って出してこられたわけなんです。その背景には、出向ならば本人同意の要件が転籍ほど強くないという、そういう計算があったようなんです。
 しかも、その際、今年の一月から現在の京王電鉄のバス部門の労働者だけ子会社の労働条件に合わせて労働条件を引き下げることも一方的に決めてしまったんですね。だから、もう既にこの一月から労働条件は引き下がっております。出向を選ぶ労働者にも子会社の労働条件と同じ、賃金の一五%の大幅カットなんですけれども、これがもう既に待っているということなんです。
 しかも、転籍よりひどいのは、出向を選ぶ労働者については退職金を凍結するなどということを言い出しているということなんですね。退職金を凍結するということ、凍結するということはどういうことかといいますと、退職金については出向する前、それは七月の三十一日の時点になってきますけれども、その時点で退職金の金額を確定してしまい、それ以上増やさないということです。それ以上はもう増やさない。そして、出向先の新しい会社を退職するまで京王電鉄の側で預かっておくということなんですね。元の会社で預かっておくんです。しかも、預かっている間は利子がずっと付きます。付きます。退職金だから相当なお金ですけれども、それに付いていきます。そうしたら、その利子も労働者には上げない、付けない、そういうふうに言っているわけです。
 私は、本当にこれはおかしな話だというふうに思うんです。子会社を作って、そこに追い込んでいくというのもおかしいと思いますけれども、その退職金を凍結して本人には渡さない、そして子会社に行けということを言って、そして利子が付いてもそれさえも渡さないなんというのは、これは本当におかしなことだというふうに思うんです。
 そこで、まず私は一般論として、もうこれは今日はあくまでも一般論としてお聞きするわけなんですけれども、転籍と出向では労働条件の扱いはどのように違うのかということを私は政府参考人に答弁していただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
#85
○政府参考人(坂本哲也君) 営業譲渡に伴いまして、譲受け会社へ出向するか、あるいは転籍するかによって労働条件がどう変わってくるのかということでございますけれども、まず在籍出向をする場合でございますが、この在籍出向は譲渡会社との労働契約を維持しながら出向命令に基づいて譲受け会社において勤務をすると、そういう形態になるわけでございまして、この場合は労働条件は譲渡会社との労働契約の内容に基づいて定められるということになるわけでございます。
 一方、営業譲渡に伴って譲受け会社へ転籍をする場合でございます。この転籍といいますのは、譲渡会社との契約関係がなくなりまして、新たに譲受け会社との間の労働契約関係が生まれるということになるわけでございますので、労働条件は譲受け会社との間の労働契約の内容によって定められるということでございます。
 ただ、先ほど申しましたけれども、民法六百二十五条の規定がございます。転籍には労働者本人の同意が必要ということでございますので、これに伴って労働条件の変更がなされるという場合には、それを含めた同意が必要ということになるわけでございまして、本人の意に反して一方的に労働条件を引き下げるということは判例上も認められていないというふうに理解をいたしております。
#86
○井上美代君 出向の場合では労働条件が変わらないのが一般的だというふうに私は思います。出向先の労働条件が下がる場合というのは、この差額を埋めるとか、そしてまた本人自身の同意を必要とするとか、様々に労働者を保護するルールがあるんですね。あるんですね。
 私は、凍結することの中身をお聞きしたいわけなんですけれども、本当におかしな話、このおかしな話が一体、私はもう初めてこんなこと聞きました。NTTのも相当ひどいものですけれども、それとまた一つ違った新手のやり方だというふうに思うんですけれども。
 それで、大臣に私お聞きしたいんですけれども、このように出向に当たって退職金額を固定化して、そして利子も付けずにやるという、こういう事例というのが今まであったのか、あるのか。もうそこのところを、大臣、どういうふうにお考えになっているでしょうか。事例はあるんでしょうか、私は初めて聞きましたけれども。大変異常なことだというふうに思うんですけれども、こういうの初めてお聞きになりましたでしょうか。
#87
○国務大臣(坂口力君) 私は、そうした例があるかどうかということを調べたことちょっとございませんが、今まで私は聞いたことはございません。
#88
○井上美代君 私は、やはりこういう新手のやり方が次々やってくるというふうに思いますけれども、私は、検討もやっておられる、研究もやっておられるという中で、やはりこれは厚生労働省として調査が必要だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。是非私はこの現場の調査をやってほしいと思うんですよね。
 そして、これは新しい法律を、先ほど言われましたように、平成十二年から次々次々とできて、その中、結果としてこのような大変なことが出てきているわけですから、だからそういう意味では、A企業、B企業というふうに企業の問題としてよりも、そういう企業が次々と出てきている問題としてまず私は調査をする必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#89
○政府参考人(坂本哲也君) 本件の事案につきましては、いろいろと今お話をお伺いをさせていただきました。基本的には労使の間で真摯に交渉して行われるべきものというふうに考えておるところでございます。
 なお、先ほど大臣の方から答弁いたしました研究会の方でございますけれども、幅広くいろんなケースについての実態把握に努めて、現在、最後の詰めの議論を行っておるところでございます。
#90
○井上美代君 やはり私は、大臣が聞いたことはないというふうに言われました、このことは非常に重要なことだと思うんです。
 これは、過去ずっとこういう状態にあったというのではなくて、やはり今日新しい法律が次々とできてきて、そういう中でこの状態が出てきているわけですから、私はどうしても大臣にこのことを認識していただきながら労働者の権利を守るために頑張ってほしいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#91
○国務大臣(坂口力君) 先ほど申しましたとおり、西村先生を中心としました研究会が今いわゆる総論としての結論を出していただこうというふうにしているわけですから、その総論としての結論をまず私は出していただきたいというふうに思っています。
 これは、おっしゃるように、平成十二年からの法律の続きの話でございまして、それを実際に実行していく上でのいろいろの問題点、これは委員会でも御指摘をいただいて、そして附帯決議にも付けていただいて、そしてその中身をどうするかということを今総論としてこれは結論を出していただこうというふうにしているわけですから、まずこの結論を先に出していただくことの方が私は先だというふうに思っております。
#92
○井上美代君 私は大臣とそこは意を一つにできないんですけれども。
 やはり私は、この研究をやって、検討をやっておられるのでしたら、このように今現実のものとして五月三十一日まで迫られている問題、八月一日から実行をするという、こういう新手の問題というのは、大臣がやはり御自分がお調べにならなくてもその検討会に調べさせるということはできるんだというふうに思います。そういう材料も加えて検討していただかなければ、検討のメンバーは、今日聞くゆとりもありませんけれども、検討のメンバーがどういうふうになっているのか、労働者がどのように入っているのかということも含めまして、私は結論はいい結論が本当に出るのかということは心配です。だから、こういう現象として既に出てきているこの問題を私はどうしても研究してほしい、検討の課題の中に入れてほしいというふうに思います。
 次へ進みます。
 退職金を凍結するというこのおかしな制度なんですけれども、労働者は、そういう凍結もされるんですけれども、結局は転籍しか選ぶことができない、そういうところに追い詰められているんだということをもうちょっと明らかにしていきたいと思います。
 転籍の場合というのは退職金はもらえるんです。もらえるんです。そして、出向の場合は、もらえない上に金額を固定して、そして利子も付けないと。こういうことになれば、結局は出向を選ぶよりも転籍に追いやられていくということになっていくのじゃないかなというふうに思います。これは、そもそもは最初に転籍を会社は出してきているわけですから、その次に労働者の要求も入れて出向というのを出してきたけれども、出向というのは更に手が込んでいるわけですよね。だから、結局は出向も選択できないで、最初企業が出したように転籍に追いやられていくことになるということなんです。この出向というのが新たな選択肢という、企業が言った選択肢とはとても思えないわけなんです。
 大臣、この点、いかが考えられますでしょうか。
#93
○政府参考人(坂本哲也君) 今回のような企業組織の再編に際してどういった形でそれを実施をしていくかということにつきましては、これはその企業の自由な経営判断に基づいて選択されるべきものであろうということが基本的な一般論としての考え方でございます。
 今回、その中で、労使の間で十分に真摯な話合いが行われて問題が解決をされるべきであるというのが我々の立場でございます。
#94
○井上美代君 私は、労使の関係でそんな密接に、緻密に細かく話合いが行われているかということも疑っております。そういう点でも私は調査をしてほしいというふうに思うわけなんですけれども、やはり労働者が転籍を求められているというのははっきりしていると思います。
 私は、更に労働者の怒りを招いている問題、それは当局側が転籍か出向かどちらかを選べ、二つに一つの道しかないと労働者に迫っていることなんですけれども、転籍を拒否できないなどというのはもうとんでもないことですけれども、出向についても結局は拒否できないという、そういう問題があるというふうに思うんです。判例でも、雇用調整の場合の出向については出向拒否を理由として解雇はできないという裁判所の判例もあるんですね。
 もしこんなやり方が許されると、結局は大幅な賃金カットとなる転籍しか選びようがない、こんなやり方を許していたら、分社化などの企業再編の中で歯止めなく労働者の労働条件は切り下げられていくことになると思います。
 大幅賃下げの転籍、出向しかないと労働者に迫る、こういうやり方は重大な問題だと思いますが、厚生労働省の責任者として、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。
#95
○国務大臣(坂口力君) 先ほども申しましたとおり、具体的な問題につきましては今日初めて私もお聞きしたところでございますし、実態というものを私も十分に把握しているわけではございません。
 ただ、大きい企業でございますから、労働組合もしっかりしたものがあるんだろうと思うんですね。そして、そこでいろいろお話合いもこれはされておみえになるんだろうというふうに思うんですが、その結果が一体どうであったのかということにも私はこれはよるというふうに思っておりますが、その辺のところもちょっと分かりませんからこの具体的な問題につきまして私がコメントするというわけにもなかなかまいりません。
 しかし、総論としてのことを先ほどから申し上げたわけでありまして、具体的な問題をどうこうと言う前に、骨格となります総論としてこういう問題に対してはどういう形で対処するかということをまず決めなければならないというのが私たちの立場だというふうに思っております。
#96
○井上美代君 今のその最後の言葉は非常に重要な言葉だというふうに思うんですよ、御答弁。
 私は、それをどのようにやっていこうと大臣が思っておられるのか、そこが聞きたいんですけれども。具体的じゃなくて結構です。大臣の政治的判断で思っておられることを是非答弁してください。
#97
○国務大臣(坂口力君) これは政治的判断といいますよりも、今日までの労働法その他の法的な措置によってどういうふうにされてきたかということが大事な問題でございまして、それであるがゆえに専門家の学者の先生方にお集まりをいただいて、そして今御議論をいただいているわけでございますから、それも過去の問題だけではなくて、現在当面しておりますいろいろの問題につきましてもヒアリングを幾つもしていただいて、そして今結論を出そうというふうにしていただいているわけでございますから、これは政治的判断をすべき問題ではなくて、そうした今までの積み重ねてまいりました法律的な根拠、そうしたものの上にやはり決定をしなきゃならないものだというふうに思っております。
#98
○井上美代君 やはり新しい問題が出てきているわけですから、私は総論的に考えていくということは非常に重要なことだと思います。
 私は、それを深めることも含めて、やはり大臣の決意で調査をしていただくということが非常に重要であると。そして、こうした新しいやり方を改善していく。そして、労働者も本当に悩んでおります、苦しんでおります。そこも救出しながら事業もやっていくというのでなければ、私は競争に、大競争の時代に勝てるような、そんな甘い時代ではないというふうに思っております。
 是非調査をしてほしいと再度お願いしますが、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(坂口力君) この研究会におきましては、先ほどから申しておりますように、様々なケースもこれはお聞きをいただいて、今議論を進めていただいているわけでございます。したがいまして、今日、日本の国内で起こっております様々なケースを想定をしてと申しますか、様々なケースを念頭に置きながら結論を出していただけるものと思っている次第でございます。
#100
○井上美代君 その様々な例の中にこれを入れていただくということを是非お願いしたいというふうに思います。
 このように、皆様方も法律ができたのをよく御存じですから、やはり法の目をくぐり抜けるようなやり方で労働条件を引き下げているということ、これは許せないというふうに思います。労働者の権利は歯止めなくもう切り下げられることになってしまうんだということを私は今日は一つの例でお示ししたわけなんですけれども、私はこうした今の労働者の現状というのを断じて許すわけにはいかないというふうに思っております。
 今日は、もう一つ私はどうしても質問をしたいというふうに思っているものがあります。それはサービス残業についての質問なんです。
 特に、今、労働者の間でのサービス残業というのは増えておりまして、大きなやはり社会問題になってきております。働く女性、それから働く夫を持つ主婦からのサービス残業についての深刻な訴えがたくさん出ております。
 私は女性団体の会長もしておりますものですから、そういうところでの調査なども、そしてまた今全国的にいろいろこの訴えがありまして、労働基準監督署を女性が訪れているというのが増えているんです。私のところのその会の報告でも、指導に入り、会社がサービス残業を認め改善されたというのが二件今出ておりますけれども、指導に入り継続中だとか、指導に入る約束をいただいたとか、資料不足で後日タイムカードと勤務表を送ることになっているとか、そういういろいろな人たちが全国的に出てきております。
 サービス残業の実態調査、監督署の申告を行って対応した監督官は全体としてよくやってくれていると、これが報告として上がってきております。企業数に比べて監督官が足りないので迅速、十分な指導ができないのではないかというような心配も女性たちの間からも出ております。
 問題点として次の三点があるわけなんですけれども、一つは、深刻なサービス残業の実態があっても、会社に知れるのを恐れて申告をためらい、申告しないということなんですね。
 例を挙げれば、Aさんですけれども、一か月約百七十時間以上も残業しているんです。残業代というのは三十時間分しか付きません。毎日くたくたになって帰ってきて、そして家で食事はできない、夫婦でゆっくり会話もできない。そしてまた、監督署に申告したけれども、監督署は指導に入ったけれども、会社は就労状況の報告書になるものはないと言ったんです。その監督署はAさんの名前を隠して就労状況の報告書を会社に示しました。そうしましたらサービス残業を認めました。そして、その後Aさんは早く帰れるようになったんです。しかしながら、これまでのサービス残業代は会社に名前が分かってしまうため請求をしていないという、そういう状態にあります。
 二つ目の問題は、会社自体がタイムカードを廃止して自主申告になっている、そしてまた正確に残業時間を書く雰囲気ではないためにサービス残業時間を事実に基づいて書けないという。これも例がありますけれども、何しろ毎月毎月少しのサービス残業代しかもらっていないんですね。何しろ三倍やっている、もらっているのの三倍やっているという報告来ておりますけれども、そういう状況にあります。そのように三分の一しか付いていないという中にあります。
 三つ目の問題なんですけれども、サービス残業というのは労働基準法に違反しているんですね。だから法違反なんです。犯罪行為です。会社や労働者に徹底する必要があるわけなんです。
 私、これを質問するというので、福岡からファクスも届いておりまして、東京に住んでいる長男のこともとても心配してやってきているんですけれども、この犯罪行為であるサービス残業が息子のところでもやられているというので、もう追い掛けるようにして、この質問に間に合わせて手紙も来ているんですけれども、詳しく読むいとまはありませんけれども、私は三つのことを質問したいというふうに思います。
 一つは、新日本婦人の会の取組でも明らかになってきた問題の一つなんですけれども、サービス残業は犯罪であるということ、この徹底が、会社に対しても労働者に対してももっともっと徹底すること、サービス残業を行った企業をもっと厳しく罰するということが大事なのではないかなと。そうじゃないと、もうサービス残業が今のように野放しになっている、通達は出たけれどもなかなか減らないという今日があるわけなんですけれども、やはりそこのところ、犯罪行為であるということをもっと知ってもらう、それは企業にも労働者にもということが大事だと思いますが、その点いかがでしょうか。参考人に質問いたします。
#101
○政府参考人(日比徹君) 御指摘のように、いわゆるサービス残業、残業をやったけれども賃金を払わないと、これは労働基準法違反でございまして、労働基準法には当然罰則が付いておりまして、これは刑事罰に至るというたぐいでございます。
 ただいまの、この罰則の点についてもっと周知徹底をという御指摘だと思いますが、その点は私どもも心掛けてまいりたいと思いますが、今、委員から御指摘の中でもございましたように、現実に未払分をどうやって払わせるか、払っていただくか、未払賃金の問題が、まず賃金の未払状態の解消、未払賃金を確保するという点にやはり一つ大きな重点を置くことが肝要だろうと思いますし、今も御指摘ございましたように、やり方といいますか、調べ方によりますとなかなか回収し難いといいますか、そういうようないろんな現実の問題に逢着しておることも事実でございます。
 そういう点もございますが、基準法違反というのが御指摘のように罰則付きの条文違反だということ、これについては今申し上げましたように是正状況等を知ったときには必ず言っておりますけれども、さらに、事前の周知の方法というのがあるのか、あるいは、それが先ほど申し上げましたようないろんな関係の中でどの程度やっておくことが結果としていいことなのか、その点については十分真剣に検討したいと思います。
#102
○井上美代君 罰則があるというのを言っていいのかという話なんですけれども、私はこのことをはっきり言わない限りはサービス残業というのはなくならないというふうに思います。それでかなりの利益が上がるんですから。上がるんですから、そう簡単ではないと思います。
 ところで、私はこの機会に是非お聞きしたいと思いますが、労基法の三十七条違反のサービス残業で罰した企業の数というのはどのぐらいになっているのか、この五年間ぐらいを教えてほしいと思います。
#103
○政府参考人(日比徹君) 労働基準法三十七条に係る送検件数でございますが、平成九年九件、それから平成十年六件、それから平成十一年九件とそこら辺は十件弱でございましたが、平成十二年に十八件、平成十三年十三件とここ二年間は二けたの数字になっております。
#104
○井上美代君 増えてはきておりますので相当やっぱり監督署が頑張っておられるということも分かるわけなんですけれども、私どもが見えるサービス残業の犯罪行為というのは物すごい数に見えておりますからね。だから、そこを行き届いていくようにやはりしていかなければいけない。まだ課題が相当あるというふうに思いますので、その課題も併せて追求してほしいと思います。
 私は三問目に、厚生労働省は都道府県に通達を出されました。この通達が十三年の四月六日に出ておりますけれども、そしてこの黄色のリーフを作られました。これも非常に私、分かりやすくて読みやすくて、これが監督署の窓口に置いてあったり都道府県にも行っているというふうに思いますけれども、そういうふうにして配られておりまして、今、女性団体のところでもこれがすごく読みやすくて歓迎をされております。
 私は、こういうふうに作られたんですけれども、このリーフを見ますと、このリーフの中には罰せられるということがどこにもないんですね。ないんです。じゃ、この通達はどうなのかというふうに見ますと、通達は第三のところに「基準の遵守のための指導等」というのがありまして、「使用者が基準を遵守しておらず、労働基準法第三十七条違反が認められかつ重大悪質な事案については、司法処分を含め厳正に対処する」というふうになっております。
 私はやはり、この通達に書いてあるように、これを守らせるというふうにするにはどうするかという知恵をやっぱり出さなければいけないんだと思います。だから、具体的に改善策を研究していくということが必要だと思いますけれども、最後に大臣にそこをどのように具体的に改善策を作っていくかということで御答弁をいただいて、終わりにしていきたいと思います。
#105
○政府参考人(日比徹君) ただいまの点でございます。確かに御指摘のように、具体的な改善の仕方、どうしていくか、これがあろうかと思います。
 昨年、もう旧聞になりますけれども、昨年前半にいろんな調査的監督といいますか、事前にPR兼ねてこの労働時間の問題をやらせていただきました。元々の私どもの考えでも、労働時間の把握の仕方について若干の適切な例、そうでないもの等をやっておったんですが、その点の分析等を含めまして、サービス残業、つまり働いているけれども払っていないという状態、その前提は労働時間の把握の問題でございますので、その点について具体的などういう手法を取って、企業レベルでどういう手法を取っていけばいいのかにつきましては従来の調査的監督等の結果も踏まえながら具体的なものを逐次考えてまいりたいと思います。
#106
○委員長(阿部正俊君) 以上でいいですか。
#107
○井上美代君 一言だけ。
 やはり、今、労働問題を述べたんですけれども、私、先ほどから人口推計の、二十年間、これから厚生労働として九月までに計画を作るということを持っておられますので、やはり子供が産めないというのは、これを知れば知るほどもう本当にそのとおりなんです。だから、是非、新しい少子化対策の取組の計画を厚生大臣は言っておられますけれども、その中に労働問題も入れていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
#108
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いをいたします。
 私の方からは、大変大切な問題を私の方からも御質問をしたいと思います。
 まずは若年者の雇用対策、とりわけ新規高校卒業者の就職問題についてお伺いをしたいと思います。
 まず、冒頭、今春の高校卒業者の就職状況について政府参考人より御答弁をいただきたいと思います。
#109
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今春の高校卒業者の就職状況でございますが、三月末時点で申し上げますと、求人数が二十四万一千人、これに対しまして高卒者の求職者数、これが十九万一千人、現在といいますか三月末時点の就職内定者数十七万一千人ということで、内定者数、それから内定率ともに過去最低という厳しい状況になっております。
#110
○西川きよし君 この未就職者対策でございますけれども、厚生労働省では先月からこういったことで緊急支援事業を実施されておられるわけですけれども、この事業内容と現状の状況について御答弁をいただきたいと思います。
#111
○政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘の未就職卒業者就職緊急支援事業についてでございますが、幾つかのステップがございまして、スタート時点から申し上げますと、高等学校から未就職卒業者のリストをいただきまして、御本人の意思を確認した上でハローワークへの登録をしていただく。次に、登録した各未就職者のニーズに合った個別支援方針を策定いたします。それに従って職業講習、職業実習等の実施を行います。更に進んで、一定の事業場を開拓してトライアル雇用ということで、現場に近いところで職業経験を積んでいただくということを一貫して行う事業でございまして、四月から実施しております。
 実施して間もないということで残念ながら実績は把握できておりませんが、できるだけ多くの方がこの登録に参加していただいて我々が支援できるようにしていきたいと思っておりますが、若干残念なことがございまして、学校側から未就職者のリストをいただくという入口のところで幾つかの教育委員会からはリストの提供を拒まれております。そうした場合には、学校から生徒に対して、安定所でこういう事業をやっているので登録に応じてはどうかという呼び掛けにとどまっているという状況がございまして、こうしたこともこれからなるべく解消していくように努力していきたいと思っております。
#112
○西川きよし君 ありがとうございました。
 細やかにいろいろやっていただいていることは承知をいたしておるんですけれども、当面の緊急的な対応につきましては引き続きよろしく重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 ただ、この新規卒業者の就職でございますが、特に高校卒業者の就職問題は極めて深刻であるという状況にあります。この求人数については、平成三年度で何と百六十七万六千人をピークに翌年以降は急速に減少いたしております。それも、し続けまして平成十三年度につきましては約二十四万人ということでございますから大変な減少となっているわけですけれども、その背景につきましてはどういうふうに分析をされておられるのか、再度政府参考人にお伺いします。
#113
○政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘のとおり、新規高卒者を対象とします求人は年々減少しております。
 その要因としては、基本的には厳しい経済情勢を背景に求人全体が減っている、学卒に限らず求人全体が減っているというのがあると思いますが、高卒特有の求人減少の理由としては、これまで高卒を採用してきた企業が大卒等あるいは中途採用に求人をシフトさせているということがあるのではないかと。また、そうした中で、言わば学卒を定期採用で正規社員として育成していくという動きの若干の変化として、正規社員から非正規社員へ求人ニーズを変えていくというような動きも影響しているかと考えております。
#114
○西川きよし君 ありがとうございます。
 不況の影響による求人数の減少でございますけれども、これは一刻も早く景気の回復を図らねばならないというふうに思うわけですけれども、私自身が心配いたしますのは、企業の高卒者に対する見方が非常に厳しくなっているということでして、日経連のアンケートの調査も見せていただきましたし、こちらの方にリクルートのワークス研究所所長さんという方が出しておられる本も、「新卒無業。」という本ですけれども、なかなか読みごたえのある本でございますけれども、いろいろ調査をいたしました結果、日経連のアンケートの調査を見ましたら、一般常識や態度、マナーに対して不満とする割合が四割前後と大変高くなっております。こういう状況が続くことで、企業からは高卒から、今少しお話にも触れましたけれども、いわゆる高卒から大卒あるいは短大卒の採用にシフトしていく企業が増えているという、そういう意味では人間一人一人の資質、能力を高めるための教育、あるいは職業意識の育成、こうした学校在学中の対応が大変大切である、また求められているのではないかなというふうに思います。
 教育分野におきましては文部科学省において対応されていると思うわけですけれども、厚生労働省といたしましてはどのようにお考えでございましょうか、政府参考人にお伺いします。
#115
○政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘のように、特に高校卒業者に対して企業の見方が最近なかなかシビアになってきているというふうに思います。
 それで、在学中の早い段階から職業意識の形成、向上を図っていくことが大事だという点につきましては、文部科学省も私どもも同じ認識に立って対策を打っているところであります。
 私どもといたしましては、高校生に対します職業意識形成支援事業ということで、年度当初に計画を立てて学校サイドと御相談をして、例えば職業講話をするしない、その場合の講師はこういう人がいますとか、あるいはそれにとどまらず、ジュニアインターンシップということで企業の方に短期間でも行って実際現場経験、見学等をしてもらう、その場合の受入れ企業を安定所サイドで開拓して学校の方に連絡するとか、そういう連携を取っております。
 ただ、こうしたことも今のレベルで十分かというと、そういうことでございませんので、これから文科省ともよく連絡を取りながら、正に若年者の職業意識啓発という観点から適切な職業選択が行われるような基盤づくりのために両省協力してやっていきたいと、こう思っております。
#116
○西川きよし君 ありがとうございます。
 七五三なんてな言葉もありますし、早く辞めていくとか、そしてまた、今おっしゃいましたように、現場を勉強してもこれは早くからの内定ではないかなとか、いろいろ賛成したり反対をしたり、現場でも大変でございますけれども、高校卒業時に就職をした方でも三年以内に離職する方の割合が非常に高くなってきております。やはり、厳しい求人状況の中ですから、希望していた職種や企業に就職できなかったことなどがいろいろ個々にあると思います。
 しかし、こういった点についても、例えば在学中からキャリアカウンセラーによってカウンセリングを受けるというその環境整備も、今少し触れられましたけれども、そういう必要はあるのではないかなと。
 ここ最近、その無業者、無業者という言葉をよく耳にいたします。高校、大学を卒業いたしまして進学もしない、また就職もしない、そんな若者が大変たくさん増えてきておりますし、二十歳代、いわゆる二十歳代というのはその先の職業人生にとって極めて大切な年代ではないかなというふうに私自身も五十五歳になりまして特に特に特にそう思うようになりました。その先々にどういうふうな先の人生、そしてまた社会に影響を及ぼすか。例えば保険であるとか年金であるとか、もう本当にひょっとすれば将来の社会、こういうことが続くと、こういう方々が多くなりますと、本当に大変心配であります。
 この若年者雇用対策の今後の取組についての方針、是非この部分は大臣に御答弁をいただきたいと思います。
#117
○国務大臣(坂口力君) 先ほどお挙げになりましたその本の名前、「新卒無業。」でしたかね、私もその本を読ませていただきました。
 それで、その中にも書いてございますが、一つは、今まで、卒業しますと、卒業と同時に就職するというのが一つの習慣に今まで日本の国ではなってきたわけですけれども、若い人の中には卒業と同時に就職をするという意識がだんだんと薄れてきているということも私は率直にあると思いますし、その中にも書いてございました。いわゆる終身雇用、年功序列というものが崩壊をしていくのと同じように、卒業と同時に就職をするという意識も変わってきていると、一つは。
 それから、採ります方も、企業の方も必ずしも新卒者を採らない。新卒者も採りますけれども、中途採用でもいい人があれば採ると。必ずしも、新卒者を採るということから変化をしてきている。双方の変化の中で私は現在進んでいるというふうに思っています。
 せっかくお勤めになっても二年ないし三年でお辞めになるという、その若い人たちの考え方の中に、その考え方というのも私は、卒業と同時にどこかに就職をして、それでずっとそれを辛抱してやっていくという気持ちが薄くなってきている、私はその延長線上の中の一つの選択肢になっているんじゃないかという気がいたしております。
 じゃ、その人たちに一体どうしたらいいのかという処方せん、これなかなか私も持ち合わせていないんですけれども、だれしもそんなに一〇〇%自分に合った職業というのはそう出会うわけでもないんですよね、考えてみれば。六割か七割か、とにかくこれ一遍やってみるかと何となくやっておりますうちに、よし、これ面白いぞ、何か感動することがあって、それをもって終生そのことを選んでいくというのが今までの多くの人が選んできた私は道だと思うんですね。
 若い人たちが自分に合った、一〇〇%合った職業があるんだというふうに意識しておみえになるとしたら、それは少しやはり違うんではないかと。もう少し、やはりこれを一遍やってみるかというふうに思い付かれるようなところがあれば、現在はたとえ苦しい、現在は恵まれてなくてもこの仕事をやり通そうという気持ちの中でそれをやっていただければ、将来そのことが認められるようになってくる。現在だけではなくて、もう少し複眼的に物を見ていただくという、そうしたことがやはり若い人たちにあってほしいなと私は実は思っております。
 それを厚生労働省の政策としてどういうふうにするかということになると、これはなかなか難しい話でありまして私も悩むわけでございますけれども、そうしたことも念頭に置きながら、皆の考え方が変わってきている、就職する方もそれから採る方も、両方とも何か変わってきているという、その変化の中で私たちも考えていかないといけないという気がいたしております。
 私もその本を読ませていただいて、その中にもそういうことが書いてございまして、なるほどそう言われてみればそうかなと私も実は思っている次第でございます。
 そうは言いますものの、我々の方もハローワークを中心にしまして一生懸命やっているわけでございますが、民間企業の人事担当者を活用した職業講習の実施でありますとか、インターンシップの在学中の早い段階からの職業意識の形成支援だとかと、こういったことをやっているんです。やっているんですが、それだけではうまくいかないなという気持ちも率直に持っておりまして、新しいこういう環境の中で若い人たちに何を今言うべきか、何を求めるべきか、もう少し整理をしなきゃならないというふうに今考えている最中でございます。
 答弁にならなくてごめんなさい、申し訳ありません。
#118
○西川きよし君 とんでもございません。いつも本当によく分かりやすく、そしてまた、もう明日からでもすぐに社会の皆さん方に、いつもお伺いした、御答弁をいただいたお話は僕はすぐにお話をさせていただくんですけれども、周囲の皆様方に。いつもそういった真摯な本当に御答弁をいただいて感謝しております。
 次は、お許しをいただきまして、ちょっとテーマは変わるんですけれども、雇用のテーマから外れまして、小児がんの一種であります、せんだって大きく新聞に報道されましたが、神経芽細胞腫という難しい呼び方でございますが、乳児検診の在り方について御質問をさせていただきます。お許しいただきたいと思います。
 神経芽細胞腫という病気について、まず政府参考人よりお願いいたします。
#119
○政府参考人(岩田喜美枝君) 神経芽細胞腫は、今、委員が言われましたように、小児がんの一種でございまして、本来は神経細胞になるべき胎児期の細胞、これを神経芽細胞と呼ぶんだそうですけれども、この細胞ががん化するという、こういう病気でございます。初期の主な症状は、腹部などに腫瘍ができると、こういうことでございます。
 この病気は、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象として国の政策の対象になりますので、この事業を通じてどのくらいの患者さんがいるかということを把握をいたしております。小児がんの中では白血病や脳腫瘍に次いで発症率が高いということでございまして、平成十年度と十一年度、この二年間で七百七人の患者さんが新規に登録されているという、こういう病気でございます。
#120
○西川きよし君 この病気ですが、一九八四年から生後六か月児を対象に検診が行われておるわけですが、その目的と今日までの成果というんですか、お願いします。
#121
○政府参考人(岩田喜美枝君) 神経芽細胞腫のマススクリーニング検査と言っておりますけれども、これは生後六か月程度の時期に尿検査で簡単に検査ができるということでございますので、この年齢に達した子供を対象にして実施をいたしております。この疾患は早期に発見できれば多くが治癒するということでございますので、早期発見、早期治療ということを目的として実施をしております検査でございます。
 一九八四年度、昭和五十九年度から実施をいたしておりますが、平成十二年度、二〇〇〇年度までの累計で申し上げますと、千六百万人の子供さんが検査を受けておられまして、その結果、二千七百三十一人の方に異常が見つかっております。
 検査結果で異常が発見されたケースについては、更に精密検査を受けていただいて、腫瘍が発見された場合には主治医と相談されながら治療を行っていただいているというふうに理解しております。
#122
○西川きよし君 ありがとうございます。
 そこでですけれども、先日の新聞報道では、ドイツの研究者ですが、検診で神経芽細胞腫を見付けても死者は減らない上、受診者の一部は不要な手術などで死亡しているといった調査結果を発表いたしております。そして、厚生労働省では、検診の有効性について見直すことを決めたという内容でございますけれども、この点についての御答弁をお願いいたします。
#123
○政府参考人(岩田喜美枝君) 先日の新聞報道にもありましたように、神経芽細胞腫について、ドイツ、カナダで一定の地域でマススクリーニングが行われておりますけれども、それらの国の専門家が疫学研究をやられまして、その結果、統計的な有意性が出なかったということでこのマススクリーニングの在り方について懐疑的な結論が出され、それがアメリカの医学専門雑誌に載ったというようなことは承知をいたしております。
 この検診の有効性については、我が国の国内の専門家の意見も分かれているようでございまして、そういうことで、今回のドイツやカナダの研究成果も含めて、内外の研究成果についてどう考えるかということを、これは正に専門家の御意見をしっかり伺わないといけませんものですから、早速専門家にお集まりいただいて、今後どうするかということについて検討したいというふうに考えております。
#124
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私は、その専門的な知識があるわけではございませんので医学的な観点からというような質問はできないわけですけれども、ただその検診を受ける側の立場からというお話をさせていただきますと、私も子供が三人おりまして、長男、次男、長女とおるわけですけれども、次男の子供が今一歳七か月の女の子ですが、この子が、ちょうど一年前ですけれども、検診を受けた結果陽性反応が出まして、ある大学病院で検査をいたしましたら、この神経芽細胞腫という診断を受けました。
 その際、お医者さんからは、当然ながら早期の治療、つまり手術を勧められたわけですけれども、子供夫婦はびっくりいたしますし、私ども家族も、女房もそうですけれども、びっくりいたしました。僕は早く手術した方がいいんじゃないかというふうに勧めさせてもらったんですけれども、親としては、いろいろ息子夫婦は情報を知りたいということで、とにかくみんなで調べてみようということで家族一丸となっていろいろと四方八方に手を尽くし調べてみました。
 その際、一般的には早期発見、早期治療、つまり手術をして取ってしまう、一歳を超えてからの発見では非常に死亡率が高くなりますよと、しかしその一方で、その神経芽細胞腫については自然治癒する可能性もありますよと。あるいは、すぐに手術をすることに疑問を持っておられる、それだけではなくて、検診そのものにも疑問を投げ掛けておられる専門のお医者さんもいらっしゃいました。そういうことも知りました。
 ただ、一年前に厚生労働省にお聞きしましたときには、そうしたお考えはごくごく限られた一部の意見ということでございました。また、検査については必要なものである、そういうふうに教えてもらいました。
 子供夫婦といたしましては、複数のお医者さんに相談をいろいろして、その結果、手術をしないという判断をしたわけですけれども、しかし、その判断を下すには相当家族でみんな悩み苦しんだわけですけれども、親にしてみますと、生まれて間もない子供ですから、まさか自分の子供ががんと言われてその精神的なショック、また対応についても専門家の意見が大きく分かれておりますので更に更に苦しんだわけですけれども、このような報道を目にいたしますと、混乱、そして迷い、当たり前のことですが、相当深くなると思います。
 この病気については別途厚生科学研究におきましても研究中であるというふうにお伺いをいたしておりますが、この検診の在り方についても早急な対応をお願いいたしたいと思います。
 これをお答えしていただいて、最後にしたいと思います。この答弁は、大臣、お願いいたします。
#125
○国務大臣(坂口力君) これは、今、局長の方から答弁をしましたとおり、少し専門家によります検討をしていただくということが大事だろうというふうに思っておりますが、私個人はこう思うんですね。
 検査をしなければ、もう何も分からないままに進んでいくということもあるわけですね。その中には治癒する人もあるということですから、進んでいく。知れば知ったで、またそれは苦しまなきゃならないということも、先生のところの御家庭のように私はあるだろうというふうに思うんです。しかし、その場所によっては手術が可能な人も私はあるだろうというふうに思いますし、それから、現在はそれがなかなかその治療の対象になりにくいということであったとしても、将来、それに対する対応の方法というのがまた見付かる可能性もあるわけでございますから私はこの検診はやめずに続けた方がいいのではないかという気持ちを持っておりますけれども、まだこれはみんなで相談して決めたわけではございませんので、よく専門家の意見も聞きながら最終的に決めたいというふうに思っております。
#126
○西川きよし君 よろしくお願いします。
 終わります。
#127
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党)の森ゆうこです。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は、雇用対策ということで雇用問題についてということなんですけれども、大臣の方からも前に、もう今までの雇用対策では限界があるというふうなお話がございました。もちろん、雇用対策という、この厚生労働省でやるものも重要なわけですが、その雇用の受皿となるのはもちろん企業でございます。今、小泉内閣の構造改革で規制緩和、改革なくして成長なしというスローガンでやっていますけれども、ちっとも企業活動が活発になるような改革が見えてこないというふうに私は思っております。
 規制緩和というのは、何も郵政民営化だけではなくて、例えばこの厚生労働省の分野でいえば、一般の乗用車の車検に当たるようなもので作業用クレーン車の点検というのがありまして、これが労働安全衛生法の中で厚生労働省の省令ということで規則が定められていると思うんですが、これが非常に企業にとって、特に製造業にとっては、規制コストというんでしょうか、中国などとの厳しい価格競争というところにさらされている企業にとって非常に大きな負担になっているという現状があると思うんですけれども、この作業クレーン車の点検、例えばこれを例に取ってちょっと検証してみたいんですが、何回年に行われているのか、費用は幾らか、その点検の状況等を政府参考人にお尋ねいたします。
#128
○政府参考人(播彰君) 初めに、クレーンの検査、移動式クレーンと固定クレーンがございますが、それに要する、お払いいただく料金の御説明をさせていただきます。
 クレーンのうちでも三トン以上の重量物を持ち上げるクレーンにつきまして二年に一度の性能検査をお願いしておるわけですが、固定式のクレーン、重量によってランク分けされておりますが、一回につきまして一万七千円から十三万円、最も検査の件数の多い五トンから十トンにつきましては二万三千円でございます。また、移動式クレーンにつきましても、最もケースの多いものが四万四千円を一回にちょうだいするということでございます。
 また、具体的な検査の項目につきましては、荷重を支える構造部分の変形、摩耗とかワイヤーロープの摩耗の状況、あるいは安全装置の確認などを検査機関が行ってございます。
 以上でございます。
#129
○森ゆうこ君 製造業の皆さんにお聞きしますと、その今の金額、それはクレーンのトン数によって段階があるわけですけれども、実際にやっていただいている点検作業から見ますと非常に高い、それが非常に重い負担であると。
 例えば、同様の点検規制を国際比較した場合というのはございますでしょうか。他国、先進国ですけれども、どのようになっていますでしょうか、お答え願います。
#130
○政府参考人(播彰君) 先進国ということで英、米、独、仏でございますけれども、直接幾らのコストになっているのかというのは持ち合わせはございません。
 検査期間と申しますか、回数でその負担というものを比較させていただきますと、一年に一回の検査を義務付けておりますのがアメリカ、イギリス、フランスでございます。ドイツの場合、一回目は四年目でいいと、それ以降二年目、一年目というように刻んでいくということで、直接一回幾らということの資料、御答弁申し上げられませんけれども、回数でどれぐらいのインターバルで義務付けられているのかという点では今申し上げたとおりでございます。
#131
○森ゆうこ君 今、新しい技術を、そして事業を実用化したり、新しい産業をこれから伸ばしていかなければいけないときに、今ある規則が邪魔をしているという例をたくさん聞きます。
 新エネルギーの開発は、例えばマイクロガスタービン、これが実は今の規制ではボイラーというふうなことで、これがボイラーの構造規則やボイラー管理者の設置基準等の規制が今までいろいろあったと、そのようなお話もいろいろ聞いていますけれども、こういう安全にかかわるたとえ規制であったとしても、様々な、ほかにもありますけれども、こういうものを全廃しろとは私も言いませんが、必要最小限にとどめて、今の現状に合わせて、今の例えばそういう製品の安全性というものを併せて、そういうものをやっぱり規制を緩和して企業活動を促進するべきではないかと思うんですが、大臣の御所見をお願いいたします。
#132
○国務大臣(坂口力君) 私もクレーンのこと余り詳しくないものですから十分にお答えできかねますけれども、全体的に見まして、やはりクレーンでの事故というのはかなりたくさんあるというふうに思うんですね。私の地元でもクレーンによって亡くなった人を一人二人私も存じておりますし、大変事故の多いものであることは間違いありません。
 しかも、重いものをつり上げるわけでありますから、それなりの安全性というものがやはりなければならないというふうに思いますので、その値段が高い低いの問題はこれは私あるんだろう、考えなきゃならないというふうに思いますが、この検査そのものはやっぱり私はちょっとやっておかないと危ないじゃないかという率直に気がいたします。
 ただ、私は素人の考えでそう申し上げているわけでございまして、詳しくこのクレーンのことを勉強した上での答えではございませんので、お許しください。
#133
○森ゆうこ君 クレーンのことを聞きたかったわけじゃなくて、厚生労働省としても、企業活動を促進するためにいろんな分野で今の規制でいいのか、もっと緩和すべきものは緩和する、例えば検査に掛かる費用はもっと下げられるでしょうと。現場の話を聞きますと、たったこれだけの検査で二十万はひどいんじゃないのという、そういうお話もありますから、是非その点の見直しをお願いしたいと思います。
 そして、とにかく企業を元気にしなければ、雇用の受皿がないことには、どんな雇用対策を取ろうと、失業保険をどんなに良くしようと、ちっとも問題の根本的な解決にはならないわけですが、どうも政府のやっていらっしゃることが企業活動の促進という方向には国民に伝わっていない。特に、今検討されています税制改革も、税制はあっても経済はなしというふうに、今日からですか、日経新聞朝刊、連載で始まったようですけれども、そういうふうな批判があると思いますが。
 特に、退職金の問題についてお尋ねしたいと思います。
 今回、連結納税制度の導入に伴って、その税収減を補うために退職給与引当金の廃止をされるということですが、今回税制適格年金の廃止も行い、そして確定拠出年金等、退職金を取り巻く様々な改革が行われようとしているわけです。特に中小企業にとっては退職金倒産を起こすんじゃないかという不安が非常に広がっておりますが、政府の意図というものを、各省を代表して財務省そして厚生労働省、政府参考人にお願いいたします。
#134
○政府参考人(石井道遠君) お答えいたします。
 連結納税制度に係る法案を今提出させていただいておるわけでございますけれども、そもそも連結納税制度といいますものは、実質的に一つの法人と見ることができる企業グループを一つの納税単位として課税するという仕組みを導入するものでございます。
 これによりまして、最近企業を取り巻くいろんな経営環境の変化が起こっておりますけれども、企業の組織再編というものをより柔軟に行わせるとか、あるいはこれによりまして企業の国際競争力を強化して経済の構造改革にむしろ資するものになるように、この制度そのものを先進国でも既に導入しておりますものですから、日本でも新たに創設をしたいということで、これを今提案を申し上げているところでございます。
 問題は、この制度の導入をいたしますと、赤字会社の赤字と黒字会社の黒字とを通算して税金を掛けるものですから、従来の制度に比べますと当然減収、国にとっては減収になります。私どもの試算では約八千億円という巨額な減収が生じるのではないかと。そういう中で、どうしても早急にこの制度は先ほど申しました観点から導入はせざるを得ないと。今の厳しい財政状況下でこれを導入するに当たっては、この八千億円の減収をどうしても穴埋めせざるを得ないという考え方に立ちまして、これを法人税制の仕組みの中で何とか補てんする措置を併せて講じたいということを考えておるわけでございます。
 具体的には、一つは今いろいろ話題となっております連結納税制度を採用する企業の方々に対する措置として連結付加税を始めとする仕組みの導入、それから退職給与引当金、今、先生正に御指摘になられましたような退職給与引当金の廃止などの法人の一般的な課税ベースの拡大を行うことによりまして、この増収を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
 御質問の退職給与引当金につきましては、その実態を見てみますと、大法人を中心にこれが利用されておりまして、利用している企業と利用していない企業との税負担のアンバランスが生じている状況にございます。
 また、そもそも、この引当金は外部拠出されるものではございませんで、企業の会計上の、企業内の引当金でございますので、労働者の受給権の保全という観点から見ますと、最近施行されました確定拠出年金ですとか、あるいは確定給付年金制度の方が労働者の受給権の保全ということに寄与すると考えられますことから、今回、連結納税制度の導入に伴う財源措置としてこの引当金を廃止をさせていただきたいということを御提案申し上げておるわけでございます。
 ただし、その際、全体の変化が急激にならないように、四年間にわたって段階的に取り崩す措置を考えておりますことに加えまして、特に中小法人につきましては、激変緩和という観点から、これを十年間で取り崩すという措置を講じておりまして、その経営に与える影響を配慮しておるつもりでございます。
#135
○森ゆうこ君 やっぱり財務省というか大蔵省的発想というんでしょうか、何か足りなくなった税金をどこかから引っ張ってこなきゃどうしてもいけないということで、メッセージとしてやっぱり企業を活性化するんだ、そして雇用を確保していくんだということが、せっかく連結納税制度を導入するのに、付加税を課すとか、それから退職給与引当金を廃止するとか、何をしたいのかなというのがよく伝わらない政策なんじゃないかと思います。
 ありがとうございました。
 次の問題に移らせていただきたいと思います。
 女性と労働ということで午前中からもいろいろお話がありましたけれども、この四月一日から千代田区にいずみこども園が開設されました。これは元々あった施設なんですけれども、新たに幼保一元化を現実化したような運営状況で始めたということで、保育に欠けるという入所条件を保育を必要とするというところまで実質拡大して始められたということで、私は先日視察してまいりましたが、最初、千代田区の方では、千代田区独自で、千代田区だけで頑張ってでも、とにかく保育に欠けるじゃなくて保育を必要とする子供たち、その保育に欠けるという条項を外すんだというふうな意気込みで準備されてきたそうですけれども、その間にいろいろ厚生労働省そして文部科学省の方とも東京都を通じていろいろ折衝があったと思うんですが、残念ながら結果的に現在の時点ではその保育に欠けるという条項を取り外すことができなくて、現在の二制度を利用して、そして千代田区独自で保育を必要とするというところを設けて、子供を育てながら安心して働く、そして育児に悩んでいる保護者を支援するという園にしたということなんですけれども、その設立までの経緯について、それぞれ厚生労働省、それから文部科学省の方、政府参考人の方に伺いたいと思います。
#136
○政府参考人(岩田喜美枝君) 千代田区のいずみこども園の設置に当たりましては、千代田区は東京都の方といろいろ御相談されたと思いますが、私どもの方が千代田区に対して直接助言、指導するという場面はございませんでした。東京都からは、児童福祉法との関係を明確にするようにというようなお話はされたというふうに聞いております。
 御案内のとおりでございますけれども、多様な子育てのニーズが一方でございますし、また保育所という福祉施設と幼稚園という教育施設のそれぞれの役割もございますが、そういった中でどのようにして保育所と幼稚園の連携施策を進めていくかということは大変重要な課題であるというふうに考えております。
 そういうことで、文部科学省の方ともこれまで何度も協議をいたしておりまして、例えば保育所と幼稚園の施設や設備を相互に共用できるようにといったようなことについての共同指針を出すなど、十分な連携が取りやすいような条件整備に努めてきたところでもございますし、また今後とも更に十分な連携が進みますように文部科学省と御相談してまいりたいというふうに思っております。
 このいずみこども園という一つの事例については、そういった保育所と幼稚園の連携施策の一つということで大変注目をさせていただいております。
#137
○政府参考人(玉井日出夫君) 千代田区のいずみこども園でございますが、直接の相談などがあったわけではございませんでしたけれども、私ども文部科学省としては、東京都を通じて情報を得てきたわけでございまして、学校教育法上の幼稚園としての位置付けをされるのであれば、やはりどの部分が該当するのか、そこはやはり明らかにする必要があろう、こういった考え方はお示しはしたわけでございます。
 そこで、先ほど厚生労働省からのお話もございましたとおり、幼稚園と保育所はそれぞれ目的、役割が異なるところはありますけれども、しかし就学前の幼児を対象にしていると、大変重要な施設であろうと、こう思っておりまして、したがってそのためには文部科学省と厚生労働省はその連携を強化する必要があるということで様々な施策を講じているところでございまして、今後とも私どもは連携は強化していきたいと思っております。
 そこで、いずみこども園でございますけれども、私どもから見ても地域における幼保連携の一つの事例であろうと思っておりまして、今後の運営をよく見守ってまいりたいと、かように思っております。
#138
○森ゆうこ君 そういう意味では、地域の、地方の行政の方が一歩進んでいると。なかなか国の制度というものが、この場合は児童福祉法と学校教育法ということで分かれていて、それを連携させるという一つハードルがあるわけですね。むしろ地方の方が進んでいるという、自治体の方が進んでいると言えると思いますが、私も地元で子育て支援のグループ、それから自分たちで子育ての育児サークルですか、そういう人たちとこの間大きな懇談会を持ったんですが、そこで皆さんからの声というのを代表しますと、やはり子供は親の責任で育てるものでしょうという周りからの反応があって、いろいろな支援を求めても、そんなの自分たちでやりなさいよというふうなところがどうしても常に行政のところへ行っても壁になると。
 前にもお話ししたかと思うんですけれども、子供は社会の宝、社会全体で育てましょう、もちろん基本的な責任はその保護者にあるけれども、やっぱりこの少子化です、未来の日本を支える子供たちを社会の宝として子育てを社会全体で支えていくと、このことをむしろ児童福祉法を改正して盛り込んで、保育に欠けるということではなくて保育を必要とする子供たち、保育を必要とする保護者にそういう支援の手を差し伸べていくということをしていかなければいけないんではないかなと思うんですが、この点につきまして大臣の御所見を是非お願いしたいと思うんですけれども。
#139
○国務大臣(坂口力君) 難しい問題いつもこちらに飛んでくるものですから、易しいのを少し当ててほしいと思うんですが。
 今の保育所、児童福祉法ですか、児童福祉法を中心にいけば保育に欠けるということになるんだろうというふうに思うんですが、しかし私は、これから保育所もそれから幼稚園も限りなく近づいていくと。保育所の幼稚園化、幼稚園の保育所化というんでしょうか、双方ともかなり最近接近をしてきていることも事実でございますし、私はまだ進んでいくんじゃないかという気がいたします。それは、そうしたことをやはり国民の皆さん方からごらんになったときに、そういうふうにしてほしいという要望がある限り、私はそうなっていくんではないかというふうに思っております。
 そのときにどうしていくかという、二つの法律があって、そして、だけれども現実問題としてはどちらもよく似たものねということになりますと、保育に欠けるというふうに申しましても、そうではなくて、何とおっしゃったですかね、保育を要するですか、という形に現実的にはなるという可能性もあるわけでございますから、私は、現実的にはその双方のできるだけ壁を低くして、そうして、現在あります保育所と幼稚園とが、それぞれ今までの特徴を生かしながら、しかしひとつ、一方におきましては一体化をして皆さん方の要望におこたえできるようにしていかなければいけないというふうに思っています。
#140
○森ゆうこ君 大臣からは、そういう御答弁じゃなくて、法律の中にメッセージとして、基本的な理念として子育てを社会で支えていくんだということを盛り込んでいくということが、本当に政府が少子化対策に本気で取り組むんだぞということを国民に伝えるためにもいいのではないかというふうに考えて、そのような観点からの御答弁を是非いただきたかったんですけれども、また次の機会に質問させていただきますので、是非もっと前向きな御答弁をお願いしたいと思いますが。
 いずみこども園の園長先生に伺いましたら、延長保育がこの数年で急激に増加して、かつては入園児の三分の一に必要だったものが今は三分の二になっているということで、長い子で十時間も保育をされているということで、私はこれは決していいことではないと思うんですね。将来的には、できれば本当に子育ての期間は仕事を休んでゆっくりと子育てを楽しむということが保障されるような社会というものを目指していくべきだと思いますが、現時点での更なる対応の充実をお願いしまして、質問を終わります。
#141
○大脇雅子君 私は、まず研修生問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 三月三十日付けの朝日新聞によりますと、外国人研修生が労災申請をした、人さし指切断のインドネシアの研修生が、実質的には労働をしていたにもかかわらず労災申請が却下されたという状況の報道であります。
 まず、法務省と厚生労働省の方にお尋ねをしたいんですが、外国人研修生そしてそれに続く技能実習生が研修中あるいは技能実習中に事故により身体、健康を害された実情あるいは状況についてどのように把握しておられるか、お尋ねいたします。
#142
○政府参考人(桂誠君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の研修生のうち、実務を伴う研修生の方でございますけれども、いわゆる入管法の基準省令におきまして保険の加入が義務付けられております。
 そこで、委員御指摘の研修中の事故の実情につきましては、多くの研修生が加入しております外国人研修生・技能実習生総合保険、通称JITCO、これは特殊法人の名前でございますが、JITCO保険というのがございますが、の支払状況から見ますと、昨年度、傷害により支払われた保険支払件数は、保険加入者約三万六千件のうち約二千八百件となっております。ただ、この二千八百件という数字は、研修以外の自由時間における交通事故等による傷害も含まれた数でございますので、そのすべてが研修中の事故とは限らないわけでございます。
#143
○政府参考人(酒井英幸君) 先生、今、技能実習生についても御指摘がございましたので、研修生につきましては今法務省からありました状況の把握と同様の把握でございますので、技能実習生につきましてでございますけれども、これにつきましては、休業四日以上の労働災害が発生しました場合に事業主が基準監督署に提出いたします報告がございますけれども、そこではこの技能実習生を含めた外国人労働者の労働災害による死傷者数は平成十三年において八百九十九名、これも、今申し上げますように、外国人全体でございますので技能実習生もその中に含まれていると、こういうような状況でございます。
 先生御指摘のアイム・ジャパンということでございますので、私どもいろいろ定期訪問をして実情を把握する等のことをしておるわけでございますが、そういう中でも今後実態把握により正確に努めていくように指導していきたいというふうに思っております。
#144
○大脇雅子君 今回新聞報道されました労災申請事件というのは、二〇〇〇年二月に研修生としてインドネシアから来日したダルマンという研修生が、アイム・ジャパンで一か月の座学研修の後、新潟県南蒲原郡の田代製作所に配属をされ、そして八月の七日、まだ研修中に、プレス機械の穴引き作業中、左手の人さし指を切断する事故に遭ったという事件であります。
 研修生といいましても、本件は、プレス工場に日本人労働者や技能実習生とともに配置をされてプレス機械で作業をしていたと。本来ならば、研修生ですから研修計画の下に研修をしなければならないにもかかわらず、朝七時四十五分から夕方の四時ないし五時まで日本人ないしは技能実習生とともに並んで工場長の指揮命令の下に仕事をしていた。作業の内容も相違がなく、残業時間として一時間七百円の報酬を受け取っていたということであります。休日労働もしておりまして、この工場内に寝起きをして、他の事業所に移っていくという自由も全くなかったということであります。
 今回の労災申請においては、研修とあるいは労働の判断が重要なポイントになっていますので、外国人研修生の研修実態について確認をしたいと思います。名目上研修生であれば労働者性はないのか、ないと判断するのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
#145
○政府参考人(日比徹君) ただいまお尋ねの点でございますが、私ども、労働災害という面、あるいは労働基準法一般でもそうでございますが、労働者性の判断というのはいろんな諸事情を総合的に勘案しまして個別具体的に判断するということにいたしております。
 今般問題になっている点でございますが、今般のは技能実習制度というものに乗りまして、これは在留資格との関係あるいは入管法との関係があろうかと思いますが、一定期間は研修ということで、その後は技能実習ということで、その間、技能実習部分についてはこれは雇用として見て労働関係だと、それ以前の部分につきましてはどこまでも研修であるということで、例えばその際払われます金員にいたしましても、技能実習中であれば賃金として、それ以前であれば研修手当その他として、そういうことで制度上成り立っておるものでございまして、先ほど名目上とおっしゃいましたけれども、私どもとしては、こういう仕組みの中で研修の実が仮に上がらないようなことがかりそめにもあったとすれば、それはそのことを是正すべきものでございますと考えております。
 したがいまして、私ども、先ほど申し上げましたように、原則としては総合的に勘案、個別具体的に判断と、この姿勢は持っておりますけれども、今先ほど申し上げましたいろんな制度上のことを考えますと、研修中は研修できちんと行われているその限りでは労働者ではないというふうに考えて、先ほど具体的におっしゃられた事案につきましても現時点、不支給決定をいたしたところでございます。
#146
○大脇雅子君 一九八五年の労働基準法研究会の第一部会は「労働基準法の「労働者」の判断基準について」というものを示しておりまして、使用従属性の判断基準とその労働者性の判断を補強する要素というのを示しております。
 それについて説明をしていただけますか。
#147
○政府参考人(日比徹君) 御指摘の研究会での、いろいろとちょっと長うございますので、使用従属性のその点でございますが、ポイントだけで申し上げることになりますけれども、一つは、具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無、あるいは業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無、三点目としまして時間的、場所的な拘束性の有無、それから四点目としまして報酬の労務対償性、その他にもあろうかと思いますが、などの事情というものを総合的に勘案して判断するようにということであったと思っております。
#148
○大脇雅子君 アイム・ジャパンに対しては、各受入れ企業及び各研修生に対して、所定時間外研修や休日研修の禁止の厳守についてという文書が交付されたと思うんですが、その受入れ向けの文書は到達しておりますか。そのフォローアップはされておりますか。
#149
○政府参考人(酒井英幸君) アイム・ジャパンにつきましては、インドネシアの方々の研修あるいは技能実習につきまして、かつてはっきりしない、あるいは必ずしも取扱いが明確になっていない、更には不適切な取扱い、こういうものがありましたことと、それから実態につきましても十分把握していなかった面がございまして、当委員会でも先生始め多々御指摘をいただきまして、私どもといたしましては数次にわたりこの中に入るなり指導をすることによってその是正に努めてまいったところでございまして、今、先生おっしゃいました所定時間外及び休日における研修につきましての改善措置につきましては、平成十三年の二月二十八日にアイム・ジャパンに対して指導いたしました文書のことであろうかと思いますけれども、それにつきましても当時フォローをいたしておりますし、引き続きこの適正実施につきましては毎年行っております訪問調査等によりまして精一杯、不適正事例がない、あるいは発生しないよう点検するように指導しているところでございます。
 引き続ききちんとこの辺の取組については継続してやってまいりたいというふうに思っております。
#150
○大脇雅子君 研修内容としては、実務研修と非実務研修があります。この区分けについてはどのような基準を設けておられますか。とりわけ、実務研修を受けている研修生の指導など、事業主について具体的に何らかの基準を設けて指導をされているのでしょうか。
#151
○政府参考人(酒井英幸君) 先生御案内のように、研修の段階は、これは正に言わば勉強、学習という段階でございますので、言わば労働法的に言えば労働者という立場ではなく学ぶ立場でございますので、そういうことに資する内容がその中心的な内容で、これは受入れ企業のマニュアルにもその辺を表現をいたしまして、そういう趣旨を表現いたしましてやっておりますし、研修段階につきましては、ちゃんと研修計画を提出してそれを入管御当局に承認をいただいた上で研修という段階に入っていくわけでございます。
 研修が終わりまして技能実習に入ります段階では、一定の技能を身に付けたかどうかにつきまして技能検定的な言わば能力のチェックをした上で、より実務的な内容ができる状態にあることを踏まえて以後の様々な業を通じての勉強をするというようなことでございまして、今、ただいま手元に詳細なる、何といいますか、実務的な内容については手元に持っておりませんけれども、趣旨はそんなことで大きく考え方を分けて対応しているところでございます。
#152
○大脇雅子君 本件のダルマンさんの研修に関しては、研修生にはやらせてはいけない所定労働時間外作業や休日作業があり、就労とみなされる報酬を受けた時間外活動、所定時間外の活動があり、そして報酬も払われていた。研修も研修計画書や実施の予定どおり適正に行われていなかった。ほとんどの日本人労働者とそれから技能実習生と同じ時間帯に同じように並んで同じような作業をさせていた。そして、田代製作所でのダルマンさんの作業は、出入国管理令の規定しております、単一の反復作業であって、いわゆる技能実習のような高度の専門性を持ったものではなかった。これは研修生制度が実態上は安い労働力として使用され、利用され、そして搾取されているとつとに指摘されているそのような実態があったのだと思います。
 こういう人たちをただ研修生というだけの理由で労働災害とみなさないということは、まず人権上大きな問題がある。そして、日本人ないしは技能実習生と差別的な取扱いをするものであって、労働者性というものに立って労働基準法は国籍や資格外で差別的な適用をされる法律ではないということを考えますと、厚生労働省の今おっしゃった考え方というのは根本的に間違っているのではないか、不当ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 もう一度きちっとその労働実態を把握して、労働基準法の適用というものを考えて再検討し直すということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#153
○政府参考人(日比徹君) ただいまの御指摘でございますが、先ほども申し上げましたが、労働基準法は個別具体的に判断すると、これが基本でございます。
 先ほども申し上げましたように、技能実習生の取扱い、言わば全般三分の一ぐらいが雇用関係にない研修生という扱いでございますが、その点につきましては、先ほども申し上げましたけれども、在留資格なり入国管理法上、日本国における立場というもの、それについてはおのずから一定の事柄が定まっておるわけでございまして、今御指摘の点というのは、やはり研修が予定している実質というものを伴う伴わないの話であろうかと思いますので、別途、研修制度がその本来予定の姿で行われているもの、そういうことになっていくことが基本であろうと思っております。
#154
○大脇雅子君 労働基準法というのには適用に国籍上の制限はありませんよね。そしてまた、資格によって労働者性というのは適用に差が、差別的取扱いをしてもいいんですか。
#155
○政府参考人(日比徹君) 御指摘のように、労働基準法におきましては国籍の差はございませんし、国籍による区別はございません。さらに、労災保険が分かりやすいと思いますけれども、かつて、言わば不法就労中の労災事故、これについても私ども補償をいたしております。したがいまして、そういう区別は付けておりません。
 ただ、先ほども申し上げましたように、在留資格、入管法その他の関係で、その方がどういうことで何かの活動をやっておられるか、これにつきまして行政権限全体、政府のいろんな中で見ますと、その方々の位置付けというものが別途あるわけでございますので、これはそういう条件というものがきちんと守られているということが前提で在留もしておられるものと思いますので、そういう観点で見るということが一方に、個別具体的に判断するといいましても一方にはそういうことがあるということを申し上げたところでございます。
#156
○大脇雅子君 しかし、厚生労働省の労働基準局長であられるのなら、労働基準法の適用は国籍による適用差別もない、不法就労者にも労働基準法は適用される。なぜ研修生という在留資格というものがあるだけで、そして労働実態があるだけで、労働実態があればそれは労働基準法を適正に適用をしていくというのが法の解釈ではありませんか。なぜ研修生だけ別途になさるのですか。それは大体労働基準法の解釈として間違っているというふうに思います。労働者性をしっかりと検討していただいて再検討をお願いしたい、それが法の適用の根源である、根本的なことであるということを申し上げたいと思いますが、いかがですか。大臣の御所見もお願いを最後いたしまして、(発言する者あり)だって、労働基準法の適用になぜその研修生だけ差別をするんですか。不法就労者も外国人も同じように適用されるのに研修生だけはないんだというのは、それは論理として通らないと私は思うのでお尋ねをいたします。
#157
○政府参考人(日比徹君) 繰り返しは避けたいと存じますが、労働基準法の適用の問題に関しましては個別具体的に判断する、この原則は変えたつもりはございません。それから、国籍のいかんも問いませんし、不法就労かどうかも問わないつもりです。
 したがって、研修生だから必ず絶対に排除するということを申し上げているのではなくて、技能実習ということで入っておられるという、政府としてはそういうことで取り扱うということで国内で活動しておられると思っておりますので、その事情は事情として重く受け止める別途の勘案事項であろうと思っているということでございます。
#158
○大脇雅子君 どうか、労働実態というものをきちんと見て、そういう在留資格で差別をしないで法の適用を再度お考えいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#159
○委員長(阿部正俊君) それでは、本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#160
○委員長(阿部正俊君) 次に、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
#161
○国務大臣(坂口力君) ただいま議題となりました薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、バイオ、ゲノム等の様々な科学技術を駆使した医薬品、医療機器等が開発され、その製品も多様化している状況の中で、それぞれの製品の特性に応じて品質、有効性及び安全性を確保していくことが求められております。
 また、医薬品、医療機器等について、市販後安全対策の一層の充実を図るとともに、企業形態の多様化等への対応、国際的な整合性の確保等の観点から、現行の承認・許可制度の見直しを行う必要があります。
 さらに、血液製剤につきましては、非加熱製剤によるHIV感染問題等を踏まえ、その安全性の向上に加え、安定供給の確保を図るための法的な枠組みの整備が求められております。
 このため、今回の改正では、医療機器に関する規制の見直しや生物由来製品の特性に着目した安全確保のための措置を講ずるとともに、医薬品、医療機器等の承認・許可制度の再構築を行い、あわせて安全な血液製剤の計画的な供給の確保等を図ることとしております。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、医療機器に関し、高度管理医療機器等について販売等の許可制を導入するとともに、指定管理医療機器等について厚生労働大臣による承認制度から認定認証機関による認証制度への移行を図るなど、それぞれの特性を踏まえた安全対策を講ずることとしております。
 第二に、人や動物等に由来するものを原材料として製造される生物由来製品について、原材料の採取及び製造に関する付加的な基準を設けるとともに、感染症定期報告制度を導入するなど、原材料の採取から市販後の段階に至る安全対策の強化を図ることとしております。
 第三に、医薬品等の承認・許可制度に関し、従来の製造業の許可制度を再編して、市販後の安全管理体制が整備されていること等を要件とする製造販売業の許可制を導入するなど、総合的な見直しを行うこととしております。
 第四に、血液事業について、法の目的・基本理念を定め、国を始めとする関係者の責務を明確化するとともに、厚生労働大臣による基本方針、需給計画の策定等を通じて、献血の推進を始めとする血液事業の適正な運営の確保を図ることとしております。
 最後に、この法律の施行期日は、薬事法の改正に係る事項については、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日とし、採血及び供血あつせん業取締法の改正に係る事項については、一部の事項を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#162
○委員長(阿部正俊君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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