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2002/07/11 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第18号
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2002/07/11 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第18号

#1
第154回国会 厚生労働委員会 第18号
平成十四年七月十一日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月九日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     今井  澄君
     大門実紀史君     井上 美代君
 七月十日
    辞任         補欠選任
     今泉  昭君     櫻井  充君
     荒木 清寛君     草川 昭三君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                田浦  直君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                鶴保 庸介君
                中原  爽君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                櫻井  充君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                草川 昭三君
                井上 美代君
                小池  晃君
                西川きよし君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
       発議者      今井  澄君
       発議者      櫻井  充君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  宮路 和明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局選挙部長    大竹 邦実君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    真野  章君
       厚生労働省保険
       局長       大塚 義治君
   参考人
       東海大学医学部
       付属病院副院長  堺  秀人君
       東京女子医科大
       学病院長     林  直諒君
       川崎協同病院小
       児科部長     佐々木秀樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○健康増進法案(内閣提出、衆議院送付)
○医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提
 供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法
 律案(今井澄君外四名発議)
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九日、櫻井充君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君及び井上美代さんが選任されました。
 また、十日、今泉昭君及び荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君及び草川昭三君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(阿部正俊君) 健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 本日は、特に医療事故等の問題につきまして、個別事件ということではなくて、むしろ医療の安全、信頼性の確保のための施策の在り方などにつきまして中長期的な観点から議論を行い、今後の医療安全の確立に資するという観点から、現に医療機関でこれらの問題に直面しているお三名の方々から御意見を聴取することといたしております。
 参考人の方々を御紹介申し上げます。
 まず最初に、東海大学医学部付属病院副院長堺秀人さん、それから東京女子医科大学病院長林直諒さん、それから川崎協同病院小児科部長佐々木秀樹さん、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会のために御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様にはどうか忌憚のない御意見をお述べいただきまして、三案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人二十分で順次御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの御質疑にお答えいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも、発言は着席のままで結構でございますので、どうか余り緊張なさらずに率直な御意見をお述べいただければと思っております。
 それでは、まず、順序でございますが、堺参考人から最初に意見をお述べいただきたいと思います。堺参考人、お願いいたします。
#4
○参考人(堺秀人君) 東海大学医学部付属病院の副院長を務めております堺秀人と申します。
 私は、厚生労働省が昨年度設置いたしました医療安全対策検討会議の委員の一人でございまして、この検討会議が本年四月に報告書を上程いたしましたが、その報告書の作成の起草委員長を務めさせていただきました関係上、この検討会議の報告書に沿って御報告を申し上げます。
 委員の先生方のお手元に資料が差し上げてあるかと思いますが、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料、三つに分かれております。最初はこのA4判の薄いホッチキス留で「医療安全推進総合対策について(概要)」、それから次がやや厚い「医療安全推進総合対策」、それから三番目が一番厚い同「参考資料」でございます。
 この真ん中の報告書本文、「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」に沿って御報告を申し上げます。
 この検討会議は昨年の五月に厚生労働省で設置されまして、五月から本年四月まで十二回会議を開催いたしました。そこで様々な検討が行われましたが、その内容を報告書に取りまとめますために、本年の一月から四月までの間、起草委員会が七回開かれました。この検討会議での討議の内容を報告書に原案にまとめましたものを、随時この検討会議でまた校正していただきながら報告書にまとめたというものでございます。
 では、お手元のこの「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」に沿って御報告を申し上げます。
 表のページを一つ繰っていただきますと、次に目次が出てまいります。ここでは、「はじめに」という序文の後、三つの章がございます。「第一章 今後の医療安全対策」、「第二章 医療安全の確保に当たっての課題と解決方策」、もう一つページをはぐっていただきますと、「第三章 国として当面取り組むべき課題」、そして「おわりに」、このような章立てになっております。
 では、内容について御報告いたします。
 ページを繰っていただきますと、「はじめに」、ページの一でございます。序文でございますが、この検討会議は、ここに記してありますように、第二段落の一行目から二行目でございますが、医療安全対策の目指すべき方向性を示すために設置されました。その次の章ですが、この検討会議では、医療安全対策について、主として医療事故を未然に防止するためにはどのような対策を講じるべきかという観点から討議をして報告書にまとめました。
 では、内容を申し上げます。
 ページをまた繰っていただきますと、二ページ目、「第一章 今後の医療安全対策」、「1―1 医療の安全と信頼を高めるために」でございます。
 第二段落の真ん中辺りにございますが、事故の防止を図り、医療に対する国民の信頼を高めるということを最大の目的としております。
 まず、(1)医療安全の確保でございますが、その最初の行にございますように、医療安全の確保は、これまでややもすると医師を中心とした医療従事者個人の責任において行われてきたという傾向がございます。しかし、ページをもう一つ繰っていただきまして、三ページの最初の方になりますが、今日の医療は、医療従事者のような人だけでなくて、いろいろな医薬品、医療材料などの物、それから医療機関という組織、それを運用するソフト、そのいわゆるシステム全体で対応すべきものというふうに考えまして、システム全体の安全性をいかに高めるかということを論議してまいりました。
 第二段落、第三段落ですか、ほかの産業においても既にいろいろなことが論じられております。医療においてもこれを大いに参考にすべきでございますが、しかし、それをそのままもちろん取り入れるというわけにはいきません。
 一番下から二段目の段落でございますが、私どもの検討会議の考えといたしましては、事故の予防ということを考える際には、誤りに対して個人の責任を追及するということより、むしろ起こった誤りについて原因を究明してその防止のための対策を立てていくことが極めて重要と考えております。
 最終段落でございますが、患者さんの安全を最優先に考えて、いわゆる安全文化を醸成するということをこの対策の基本としております。
 四ページに進ませていただきます。(2)医療における信頼の確保でございます。
 三行目から四行目に括弧付きで示してございますが、「医療を受ける主体は患者本人であり、患者が求める医療を提供していく」、これが非常に重要と考えております。
 第二段落になりますが、患者さんに御提供いたしますその医療の内容、情報につきましては、十分御説明し、よく納得していただき、患者さん自らに選択していただいて医療を受けることが重要だろうと考えております。すなわち、必要な情報を十分に御提供して、患者さんの医療への主体的な御参加をいただきたいということがこの骨子になっております。
 五ページに進ませていただきます。この報告書における検討の範囲でございますが、この報告書は、医療の安全性を高め医療事故を未然に防止するという観点から検討を行いました。院内感染というようなことも非常に重要な事項でございますが、これは別途専門的に検討されているということから、今回の検討対象の外、枠には入れてございません。
 六ページに進ませていただきます。「1―3 医療安全を確保するための関係者の責務等」。
 (1)国の責務。
 この国の責務につきましては、第三章で更に詳しく述べさせていただいておりますので、ここでは省略させていただきます。
 (2)地方自治体の責務。
 身近な住民の方々の行政として、やはり地域における医療の実態を把握していただいて、指導監督を行っていただきたいということが記してございます。
 七ページに参ります。関係者の責務と役割。
 まず、医療機関でございます。これについても後ほどまた詳しく述べさせていただきますが、医療機関の管理者の強い指導力がやはり是非必要であると。それの下にチームによる医療を行うということが大事だというふうに考えております。
 Aの医薬品・医療用具関連企業。これも後に医薬品及び医療用具それぞれについて記させていただいておりますが、研究、開発、製造、流通、各段階においての安全対策というものを求めております。
 Bの教育研修・研究機関。これも、教育研修ということが実はこの安全の推進に最も重要というふうに考えております。
 八ページに参りまして、医療関係団体。各医療関係の諸団体の中でいろいろな取組がなされておりますが、これを更に今後連携を密にしていただいて、一体になって安全性の向上に取り組んでいただきたいと考えております。
 保険者につきましても、被保険者に対して情報の提供を更に充実していただきたいと考えておりますし、その他、民間に様々な患者さんの団体等がございます。これも情報提供を更に促進していただきたいというふうに思っております。
 九ページ。医療従事者個人の責務。
 これは、チームとして医療を行うというシステムの一員であるということを自覚するとともに、これまで以上に人間関係をオープンにして情報を円滑に流通させることが大事である。それから、当然のことですが、医療従事者自らの健康状態も十分に配慮すべきであるとうたってございます。
 それから、(5)患者さんに期待される役割でございますが、患者さんへの情報提供を十分に行い、その前提の下に医療に主体的に参加していただきたいということをお願いしております。
 十ページに用語の説明がございます。
 この報告書で使っております用語、こういう意味で使っておりますということですが、リスクとリスクマネジメント。リスクというのは一般的に障害の発生頻度とその損害の大きさ、リスクマネジメントというのは適切な管理によってリスクを許容範囲にまで減らすということでございますが、では、医療におけるリスクマネジメントとはと申しますと、ここの報告書では、リスクマネジメントという言葉を医療安全管理と同じ意味として使っております。
 十一ページに進ませていただきます。次は、アクシデントとインシデントでございますが、英語がそのまま使われている状況がございますが、やはり日本においては日本語で行うべきであろうということから、アクシデントというのはこの報告書では事故という表現にさせていただいております。それから、インシデントはヒヤリ・ハットという言葉にさせていただいております。
 次に、医療事故と医療過誤ですが、医療事故というのは、医療機関あるいは医療の現場において起こるすべての人身事故一切ということでございまして、一方、医療過誤というものは、そのような事故が起こった原因として何らかの過失があったというものを医療過誤とするというふうにさせていただいております。
 十二ページ。第二章に進ませていただきます。
 「第二章 医療安全の確保に当たっての課題と解決方策」。
 まず、医療機関における安全対策でございますが、基本的な考え方といたしましては、医療全体の質の向上を図らなければ医療の安全は図れないという考え方でございます。もちろん他の産業における様々なお取組も参考にさせていただきますが、やはり医療への信頼を高めさせていただくこと、それから、患者さんが自己決定なさる、それを支援させていただくということが大事であろうという考えでございます。
 十三ページに参ります。医療機関における適正な安全管理体制。
 まず、管理者の指導力の発揮でございまして、これを適正に発揮して医療機関を運営することが極めて重要と考えております。
 それから、Aの安全管理体制の整備でございますが、これは医療機関内に医療安全管理委員会あるいは医療安全管理部門を設けることを求めております。
 十四ページ。Bでは医療安全管理者の配置と活用。この医療安全管理者あるいは医療安全推進担当者を設置することを求めております。
 C内部評価活動の推進や外部評価の活用。これはこのとおりでございます。
 十五ページです。D医療安全に関する情報の管理。医療安全推進担当者等がこの情報を管理すべきでありますし、それからE、他機関との連携を行うというふうにお願いしてございます。
 (3)安全対策のための人員の活用。
 @リスクを考慮した人員の配置。やはりリスクの高い部署あるいはリスクが高い時間帯、職員の能力等を把握して、その状況に応じた人員を配置することを求めております。
 十六ページに行かせていただきます。A職員に対する研修。これはやはりすべての医療従事者が安全に関する知識、技能について十分な研修を行わなければいけない。言うべくして非常に困難なことではありますが、ここは一番大事なところだというふうに考えております。
 それから、Bの職員の健康管理。これは当然でございます。
 十七ページ。標準化等の推進と継続的な改善。
 この標準化の推進、標準化と申しますと、ややもしますと、何か決まり切ったことだけやればいいのかというような御批判を受けることもございますが、そうではなくて、やはり医療の質を高めるという、そのための標準化というふうにお酌み取りいただきたいと思います。
 医療行為の作業手順の統一化もそうでございますし、入院時診療計画、今の言葉ではクリティカルパスとかクリニカルパスという言葉が使われておりますが、そういう診療の計画をきちんと立てるということが必要ですし、それについての患者さんの説明と同意、すなわちインフォームド・コンセントが必要と考えております。
 それから、十八ページに進んでおりますが、採用する物品の保管、配置なども統一化した方が誤りが起こりにくいであろうということ。
 それから、A規則化の推進。特に誤りが多い部署で規則化を推進する必要があると考えております。
 それから、B正確で効率的な情報管理の促進。これはやはり、最近のITの発達によりまして、これも大いに利用すべきというふうに考えております。
 十九ページ。C事故事例等の情報を活用した安全管理。これは全職員を対象とした事故事例あるいはヒヤリ・ハット事例の報告体制を確立して、分析、解析の結果を現場にフィードバックすることによって更に安全を高めるということが必要と考えております。
 二十ページ。医療機関における医薬品・医療用具等の安全管理。
 これは、この後すぐに医薬品・医療用具についてそれぞれの企業に対する要望も書いてございますが、ここでは医療機関における医薬品・医療用具の安全管理でございます。
 まず、医薬品に対する安全管理ですが、医薬品の採用時あるいは病棟で保管する医薬品等の見直し、それから疑義照会、つまり処方の内容について何か疑義が生じたときに、それを速やかにかつ適切に照会するということが必要と思います。
 二十一ページですが、注射薬剤、特に生命に直接影響を与えるおそれが大きい注射薬剤についての取扱いをやはり中央化すべきであろうという考えでございます。
 輸血の安全確保は当然でございます。
 二十二ページ。医療用具に関する安全管理。これも医療用具使用時の注意事項、つまり操作手順書の常備、あるいは実際何か起こったときに行政や企業に情報提供するという必要がございますし、それから機器の保守管理、あるいは医療機器を採用するときの注意を関係者がよく習得するということが必要でございます。
 二十三ページ。作業環境・療養環境等の整備。
 やはり、医療を行います環境、療養の環境が整備されておりませんと、それによって誤りが起こることがあり得るということでございます。
 (7)の医療機関における信頼の確保のための取組。
 これは、先ほど冒頭でも申し上げたことと重複いたしますが、医療への患者さんの参加を促進して、患者さんと医療従事者の対話を重ねることによってこれを推進し、また医療機関内に患者さんの苦情や相談に対応する窓口を設置することも大切だと考えております。
 二十四ページでございます。インフォームド・コンセントを一層徹底し、それから患者さんからの相談窓口を設置し、そして患者さんへの情報提供と医療安全の推進を行うということでございます。
 二十五ページに、今度は医薬品・医療用具にかかわるその企業及び行政への要請が書いてございます。
 基本的な考え方としましては、医療が高度化、複雑化しておりますので、ますます多種多様な医薬品あるいは医療用具が使われております。これに対しての安全対策が必要と考えております。
 二十六ページ。まず@、使用の安全ですが、今まではいわゆる副作用とかそういう物の安全ということがございましたが、これからはそれに加えて、そういうものを使用する際の取り違え等を防止するための使用の安全ということも大事というふうに思っております。
 その使用の安全でございますが、まず開発段階での取組、それから市販されました後の改良、二十七ページの医療機関への情報提供というものが必要というふうに考えております。
 二十八ページ。この中でのまず医薬品でございますが、医薬品における取組は、まず販売名や外観が類似しているための取り違えということが起こっているというふうに観測されますので、これの類似性についてのデータベースの開発あるいは開発段階あるいは市販後の調査によってこういう類似性を把握して対策を立てることが必要と考えておりますし、二十九ページでございますが、製品に対する情報の記載方法等の標準化・統一化も必要であろうと思います。それから、医薬品情報の提供・活用もこれまでどおり、あるいはそれ以上に推進すべきというふうに考えております。
 三十一ページに進ませていただきますが、医療用具における取組といたしましても、人の行動特性あるいはその限界を考慮した設計が必要というふうに考えておりますし、それから個々の用具の適正な保守管理、あるいは三十二ページですが、使用方法に関する医療機関内の研修への支援、あるいは医療用具情報の提供・活用。医薬品と同様に、これからは医療用具についてもこういう情報を提供する仕掛けが必要であろうというふうに考えております。
 三十三ページの医療安全に関する教育研修。
 基本的な考え方といたしましては、医療従事者に必要な資質というのは、やはりチーム医療の一員としてチーム内での意思疎通、連携を円滑に行う、そして基本的な倫理観や心構えを持ってオープンな人間関係の下にそういうことを行うことが大切というふうに考えております。
 三十四ページ。教育研修の充実。
 特に指導者の養成あるいは指導方法の開発などが重要と考えております。
 卒前・卒後教育。
 卒前教育も、このようなことを卒前から教育するとともに、従来はこういうことをすべきであるという教育が行われておりますが、これを更に、こういうことをしてはならないということを行いたいと思います。
 次に、医療機関の管理者及び医療安全管理者に対する研修。
 これは、それぞれの立場への研修、教育が大事ですし、教育の仕組みあるいはそういう教育を行うための教材が必要と考えております。
 次に、三十八ページ。医療安全を推進するための環境整備。
 いわゆるヒヤリ・ハット事例の収集・分析・結果の還元が開始されております。これはまだ部分的なものでございますので、今後これを更に拡充すべきであると思っております。
 それでは、少し先へ進ませていただきます。
 四十一ページ。国として当面取り組むべき課題。
 これは国に対する要請でございますが、医療機関における安全管理体制の整備、様々な医療機関にこれを推進していただきたいということと、四十二ページ、医療機関における安全対策に有用な情報の提供を推進していただきたい、あるいは四十三ページ、医薬品・医療用具についてもそのような情報提供をお願いしたいということでございます。
 それから四十五ページ。医療安全に対する教育研修。
 例えば、国家試験の出題基準なども工夫することも含めて、こういう医療安全の推進を行っていただきたい。
 それから四十六ページ。患者さんの苦情や相談等に対応するための対応の整備ということでございます。
 一番最後でございます。四十七ページ。ここに委員の一番願いが集約して書かれてございますが、二行目からでございます。
 厚生労働省においては、これらの対策を確実に実施するために必要な予算等の確保、診療報酬上の措置、税制改正要望、規制等の見直し、教育啓発活動などに取り組まれたい。また、今後とも医療安全対策の実施状況を踏まえて、必要な対策を講じられることを強く望みたい。
これが報告書の内容でございます。
 以上でございます。
#5
○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 それでは続きまして、林参考人にお願い申し上げます。よろしくお願いします。
#6
○参考人(林直諒君) 私は、本会議にお招きいただきました東京女子医科大学病院長の林直諒と申します。
 当病院心臓血圧研究所循環器小児外科における医療事故について、関係各位には昨年より多大の御迷惑をお掛けしておりましたところ、今般、当院の関係者が逮捕される事態に至りました。このような不祥事を引き起こしたことについて、関係各位と患者様並びに御遺族様の皆様方に対して、改めて心よりおわび申し上げます。
 それでは、資料でございますが、まずブルーの方には詳しい資料がとじ込まれておりますが、その中には調査委員会、当大学における死亡原因調査委員会報告などが組み込まれております。それから、別紙になっております方は、本日お話しいたします目次が書かれております。これに沿ってお話しさせていただきたいと存じます。
 まず、「事件のあらまし」でございますが、東京女子医科大学病院附属心臓血圧研究所、以下、心研と申しますが、における手術の結果、平成十三年三月五日に当時十二歳の少女が死亡した医療事故につき、本年二月より社会保障審議会医療分科会において安全管理体制などについて審議されておりますが、今般、執刀医外一名が逮捕され、執刀医を含む四名が業務上過失致死などの容疑により検察庁に送検されるに至りました。
 高度の医療を提供することなどを任務とする病院としての社会的責任を痛感して、深く反省しております。
 二番目の、事件の概要でございますが、ごく簡単にお話しさせていただきます。
 本医療事故の詳細については、既に資料に添付してございますが、死亡調査報告書に記載しておるとおりでございますが、本件医療事故の問題点としては次の諸点が挙げられます。
 一、本件は、人工心肺装置の操作中に発生しました。人工心肺装置は、医学上の知識だけではなく、機械の専門的な知識が要求され、専門の臨床工学技士は手術に立ち会っておりませんでした。本件手術が行われた循環器小児外科においては、臨床工学技士不在の手術が行われておりました。
 二番目の問題ですが、医療体制、すなわち内科と外科の連携という面でも問題がありました。心研では、手術直前まで内科の医師が診察し、術後直ちに内科が担当するということが通常でありました。
 三番目は、執刀医は、人工心肺装置の操作ミスがあった事実及び重篤な脳障害の可能性については何らの説明もしておりませんでした。その上、カルテなどを改ざんしました。
 四、本件医療事故は、医師の人工心肺装置の操作及びトラブルが起こった場合の対処方法に関する知識不足がその直接の原因と考えられますが、この点は、医師本人の自己研さんの不足もさることながら、循環器小児外科の研修体制に不備があったと言わざるを得ません。医師に患者及びその家族との信頼関係を築く努力が不足していたことも明らかとなりました。特に、患者様ないしその御家族様への事前説明の不足、その上、手術中発生した事実を正直に告げていなかったこと、さらには、その事実を隠ぺいすることすら行われていたことも明らかとなり、それは調査委員会報告書にも記載されております。
 三番目は、従来の安全管理体制でございます。
 本件医療事故発生前の当院における安全管理体制は、資料の、お手元の資料を配りました一に書かれております。このうち、安全管理委員会は全学又は各部署における事故防止対策の妥当性を審議し、安全管理委員長は医療事故防止システム全機関の状況把握と諸活動の監督に当たるとされ、院内事故防止対策委員会は、インシデント・アクシデント・レポートによる全学的リスクの情報の早期把握に努め、全学的に取り組むべきリスクの原因・状況分析を行い、防止策を提案することとされておりました。
 しかしながら、医療事故防止を目的とした安全管理委員会とは別に、重大事故対応、この資料一の左側の下に書いてございますが、重大事故対応、医事紛争を担当する組織が存在し、重大事故が発生した場合に、安全管理委員長には報告されないままこれに対処する特別の委員会が設置されているというのが通常でありました。その結果、医療事故に関する情報は安全管理委員長には集約されず、全学的な事故防止対策を確立するには至っておりませんでした。
 また、インシデント・アクシデント・レポートには各部署の部門安全管理委員の署名が必要とされていたため、レポートが部門安全管理委員のところで停滞し、院内で発生したインシデント・アクシデントが効率的に安全管理委員長に報告されず、全学的なリスク情報の収集が不十分となり、効果的な事故防止の検討ができておりませんでした。
 次に、四番目、新しい安全管理体制ですが、これはお手元の資料二をごらんいただきたいと思います。一番大きな変化は、図の右側に書かれております医療安全対策室の設置でございます。そして、すべての事故は医療安全管理委員会に報告されることになっております。
 各組織上の説明をさせていただきます。
 今度の安全管理体制は、各委員会の整理統合などを行い、インシデント・アクシデント情報の収集、分析、医療事故防止の対策について、病院全体を網羅したシステムの下で安全管理を行うための組織を整備いたしました。
 それで、このうち医療安全管理委員会は、委員長は病院長が務め、副院長のうち一名をゼネラルリスクマネージャーと定め、さらに同人を本委員会の副委員長に指名いたしております。本委員会は、病院全体の安全管理を統括する役割を担うものであります。院内事故防止対策委員会のほか、感染対策委員会、防災対策委員会からの報告も受け、全学又は各部門における事故防止対策の妥当性を審議いたします。重大事故も含めてすべての情報を医療安全管理委員長に報告すべきものとして情報を集約させることといたしました。
 従来、安全管理の総責任者が不明確であり、その結果、病院全体の組織を見渡す見地からの安全管理が不十分となっていた点を改め、本委員会の副委員長であるゼネラルリスクマネージャーが安全管理の総責任者であることを明確にいたしました。
 本委員会は、平成十四年三月八日に第一回目の委員会が開催され、六月末までに計六回開催されております。
 次に、医療安全対策室ですが、これは専任の職員を有する常設の機関として置きました。言わば医療安全管理委員会や院内事故防止対策委員会の事務局と位置付けられるものであります。医療安全対策室は、副院長が室長を務め、専任の看護師一名及び専任の事務職員二名のほか、兼任ではありますが、医師や薬剤師なども置くことといたしました。
 医療安全管理委員会特別部会、これは図にはございませんが、重大事故が発生した場合には、医療安全管理委員会の委員長である病院長の命令により、病院長指名のメンバー、外部委員及び当該診療科の部長で構成する特別部会を設置し、速やかな事故対応を行うことといたしました。事案によっては事故調査委員会を発足させ、徹底的な事故原因の調査及び再発防止を提言するものといたしました。
 次に、院内事故防止対策委員会。全学又は各部門における事故対策の妥当性を審議するための委員会であり、月一回、委員会を開催し、医療安全管理委員長から依頼された案件の審議、検討を行うとともに、各部門リスクマネージャー部会から報告される対策案についての妥当性を審議、承認し、その結果を医療安全管理委員会に報告するものといたしました。
 次に、アクシデント・インシデントの流れですけれども、資料三をごらんいただければと思います。
 この医療安全対策室が中心となりまして、ここですべてのアクシデント・インシデント報告書だけではなく、クレーム・事故報告書などすべて一括してここに集約し、そして医療安全管理委員会に持っていって検討するという形になりました。そして、今までは各部の責任者のサインをして上に上げていた報告書は、少しでもおかしいと思った場合は、個人で直接この医療安全対策室に上げることといたしました。
 次に、心研の問題点とその改善。特に、心研においては、本件医療事故を起こしたことを真摯に反省し、医療事故防止に全力を挙げております。
 心研は、本件医療事故当時、附属する独立した研究所とされていましたが、所定の手続を経てこれを変更し、病院内の一部門といたしました。特にこれは独立した組織という意識が強く、また、他の診療科においても心研を特別視する意識がなかったとは言えません。このような背景事情が、本件医療事故における前述した各種問題点を生み出したことも否定できません。
 そこで、現在、心研では、本件医療事故の反省から、患者及び家族との強固な信頼関係の形成を目指し、安全かつ高度な医療を提供すべく改善策を実施しております。
 そして現在、人工心肺装置の更新、新たに人工心肺マニュアルを作成し、高度に熟練した体外循環技士を育成し、手術の際にはこれら専門の技士に任せることとし、医師と技士との協力体制をすることといたしております。
 次に、基本理念でございます。
 今までインフォームド・コンセント、カルテ開示など臨時部長会を何度も開いてまいりましたが、全学的行事として、七月九日、死亡原因調査委員会委員長より事件経過報告、院長より今後の取組について、また、NPO法人ささえあい医療人権センター理事長辻本好子氏の「患者の立場からの医療安全」をテーマに講演会を行いました。ここには職員約二千人以上が集まりました。そこでは、徹底した過去の清算と新しい病院の建設をテーマとすることといたしました。
 まず、過去の清算といたしましては、医療安全管理外部評価委員会の設置をいたしております。これは四月十八日、第一回目の委員会が開催されております。この答申を受けまして、答申内容の実現に邁進する所存であります。
 二番目は、懲戒委員会の開催を、六月二十七日に、第一回を行っております。管理責任者についても適正な処分をすべく鋭意検討することとなっております。
 現在までの改善について、安全管理については、報告制度、講演会、部長会、医長会の活性化などに努めてまいりました。また、カルテ改ざんなどを防ぐため麻酔記録自動装置を手術場に設置いたしました。来年度には外来部門ではすべて電子カルテの導入を決定しております。
 今後の課題としては、一番大切なことは、全員が患者様主体の医療をすることであり、今や医療は人間の理解なしにはあり得ないことだと思っております。
 今後の課題ですけれども、まず第一に検討している課題としましては、病院長に専念する者を病院長職に充てるべく検討しております。第二に、センター方式及び大学の機構上の問題がありまして、この改革も進めていく予定でございます。それから、第三者による運営諮問委員会などの設置も検討すべきものと考えております。
 以上でございますが、最後に、本件医療事故は安全管理体制の欠陥、不備に起因し、しかも、御家族に対し事実を明らかにせず、むしろカルテなどの改ざんにより事実を隠ぺいするなど、医療に携わる者として絶対にあってはならない行為を行ったものであります。その結果、前途ある患者様の死亡という重大な結果を招きました。患者様及びその御遺族様に対して多大な御迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げるとともに、患者様の御冥福を心からお祈りいたします。
 また、医療に対する不信感も増大させ、国民の皆様方には多大な御迷惑をお掛けしたことも真摯に反省し、社会的責任を痛感しております。改めて今後抜本的な改革、改善を実行し、名実ともに安全で高度な医療を提供する病院として生まれ変わっていく所存でございます。
 以上でございます。
#7
○委員長(阿部正俊君) それでは次に、佐々木参考人、お願い申し上げます。
#8
○参考人(佐々木秀樹君) 初めに、今回の事件で亡くなられました患者様の御冥福をお祈りするとともに、改めて御遺族の方に深くおわび申し上げたいと思います。また、今回のことで国民の中に広く医療に対する不信感、不安感を喚起したことについても改めて深くおわび申し上げたいと思います。
 私は、川崎協同病院で小児科部長を務めております佐々木と申します。今回の事件との関連では、後に述べます内部調査委員会のまとめ役をやっております。
 私たちは、長年、患者様の人権を尊重する医療を追求してきたつもりでおりました。その病院でこのようなことが起こったこと、また発生後三年半も放置されていたことは、私たちにとっては痛恨の極みであり、一日も早く地域の患者様の信頼を回復するために、今、職員一同が全精力を傾注しております。
 私たちは、今回の事件を自ら徹底分析し、その問題点を速やかかつ具体的に改善していくことが、亡くなられた患者様と御遺族、また社会に対する責務であると考えております。このような目的で、調査のための委員会を事件公表直後の四月二十二日に発足させました。委員会では、調査、分析をできるだけ公正、中立、客観的に行うために、外部の識者による評価が不可欠であるとの結論に達しました。そして、日本医科大学常務理事の岩崎栄先生らの御尽力によりまして、五月九日に有識者九名の方による外部評価委員会が設立されました。そして、内部調査委員会と並行して現在調査に当たっております。
 内部委員会の調査は、診療録等の書類の検討と当時の関係者に対する聞き取りによって行ってまいりました。そして、現在までに明らかになった結果を外部評価委員会に提出後、六月十七日に中間報告という形で川崎市に提出し、同時に報道機関を通じて公表いたしました。それがこのお手元にあります資料でございます。中間報告はまだ完成したものではございません。しかし、情報公開を積極的に行うという立場から、全職員にこれを配付し、病棟、外来で患者様が自由に閲覧できるようにしております。また、病院のホームページに掲載するとともに、今後更に多くの方にお読みいただけるようにする予定でおります。
 本日は、その概要を御報告し、明らかになった問題点を克服するために私たちがどのように取り組んでいるかについてお話をさせていただきます。
 まず、事件の概要と評価ですが、本患者様は、一九九八年十一月二日に、重症のぜんそく発作のため心肺停止状態で来院されました。心肺蘇生処置をした後に集中治療室に入院となっております。数日間人工呼吸器による管理を行いましたが、その後、自発呼吸がある程度安定してきたために、気管内チューブを保持したまま呼吸器内科の病棟に移動いたしました。その後、十一月十六日に抜管、さらに鎮静剤、筋弛緩剤等の投与を受け、お亡くなりになっております。
 診療録の記載事項を基にした十一月十六日時点での病態評価は、本患者は低酸素性脳症を起こしていたと考えられ、十一月十六日以降もその意識障害が遷延した可能性があること、第二に、この時点で進行すれば致死的となり得る細菌感染症を合併していたこと、ただし、客観的な検査所見が乏しく、そのような状況でその時点で脳死と判断し、死が切迫していたと断定するには無理があったと考えざるを得ないというふうにしております。そして、上記の状況下での抜管行為には病態評価としての意義又は治療的な意義はなく、患者を死に至らしめる行為であり、その後の薬剤投与はより確実に死に至らしめたと考えられるというのが委員会の見解でございます。
 インフォームド・コンセントに関しましては、診療録の記載あるいは主治医の以前の供述と本年四月に協同病院の院長らがお会いしましたときに述べられました御遺族の言葉との間には大きな開きがございます。
 次に、なぜ公表までに三年余の時間を要したかに関して、事件発生後の病院の対応について御報告いたします。
 発生後、数日以内には事件に気が付いた医師からこのことが当時の病院長に伝えられております。院長は、入院診療部長、発見した医師、入院診療事務長に相談しまして、診療録の点検と主治医からの事情聴取を行いました。そして、医療倫理上問題のある行為であると理解しましたけれども、それ以上の詳細な調査は行わず、再発しないよう口頭で厳重注意を行うということにしました。結果的に病院管理会議には諮られず、法人理事会にも報告されておりません。
 不当に人命が奪われたこと、法的にも問題を有することに対する認識が極めて不十分であったため、本来必要な集団討議もなされず、徹底した調査を行わずに一部の幹部のみで処理してしまったことは、全く誤った初期対応であり、病院の管理者として人権意識や危機管理意識が希薄であったと言わざるを得ません。また、一九九九年六月に病院長が交代いたしましたが、このときにも本件の申し送りがなされませんでした。そのために言わば公表まで三年半も掛かってしまった。このことについての責任は極めて大きいものと考えております。
 なお、委員会として診療録などの書類について改めて検討いたしましたが、改ざんされた形跡は全く認められませんでした。
 その後の経過ですが、昨年の十月末に当該主治医と他科の医師との間の治療方針についての見解の相違がありまして、それを契機にして改めてこの問題が現在の病院長に提起されました。管理部が主治医に確認し、医療倫理的及び法的に問題があるとして、十二月末に辞職勧告することを決定、二月末に退職となりました。
 二月初めに病院管理部と法人幹部が弁護士と相談し、このときから公表を前提に可能な限りの調査を進めるということを確認いたしました。主治医には捜査機関への自首を勧め、四月半ばには院長らが御遺族と面談しております。四月十七日に当該主治医が出頭はしないという方針を伝えてきたために、保健所、警察等へ届出をした後に、十九日に記者会見を行い、病院として自主的に公表いたしました。
 本件の原因と背景についてでありますが、一般に医療事故の場合、個人要因と組織要因の両者が存在すると思います。本件につきましては、事故ではありませんけれども、やはり両方の要因が存在し、事件の性格上、個人要因が少なくないように思われます。したがって、主治医が当時の患者の状態をどう評価し、どのような考えで一連の行為を行ったか、これが非常に重要な点であります。しかしながら、本人からの協力が得られず、今日まで聞き取りが実現しておりません。そのため、記録や伝聞情報からのみで個人要因を評価する、それは適切ではないとも考えられます。そこで、この中間報告では、組織要因、すなわちなぜ事件を防ぎ得なかったのかについて、当時の病院の診療体制や管理運営上の問題を中心に分析いたしております。
 私たちの病院は、医療は患者と医療従事者の共同の営みという考え方に基づき、患者様を中心にしたチーム医療を追求してきました。
 実際に、ほとんどの病棟ではチーム回診や他職種を交えたカンファレンスが定期的に行われ、患者様の問題点や治療方針などが医療者の間で共有されておりました。しかし、当時の呼吸器内科の病棟では、事実上、このチーム医療がほとんど機能していなかったということが明らかになっております。
 このような問題について看護部から管理部には何度か問題提起がされております。管理部も、この医師の診療姿勢に問題があるとの認識は少なからず持っていたと思われますけれども、このような現場の意見を取り上げて十分に討議し、具体的な指導や対策を講ずることができませんでした。これは、管理部本来の役割からいって非常に大きな弱点を持っていたというふうに評価せざるを得ません。
 また、本件では、脳死状態あるいは植物状態という用語を使っての不適切な説明や薬剤についての説明不足、必要な手順の欠落などが見られ、終末期医療に対する勉強不足を指摘することができると思います。
 本院における危機管理システムについて述べます。
 一九九二年に病院管理会議が「医療事故が発生した場合の手順」を作成し、副院長を中心とした安全委員会が事故と感染問題を統括して管理しておりました。二〇〇〇年にはこの委員会を医療事故防止対策委員会と感染対策委員会に分離して、より専門的に対応できる体制にするとともに、従来行われていた事故報告に加え、ヒヤリ・ハット報告を開始し、毎月委員会でまとめて各職場への徹底を図っております。本年になりまして上記の手順の改定を行いましたが、四月に厚労省より出された医療安全推進総合対策に対応して、更に充実させるべく現在検討中でございます。
 次に、私たちが今回の痛恨の経験から何を学び何を教訓として改善していかなければならないのか、私たちの取組の一端を述べさせていただきます。
 初めに、情報開示についてですが、私たちの病院では、患者様の知る権利、自己決定権を保障すること、インフォームド・コンセントをより充実させ、患者様の積極的な医療への参加を促すこと、開示により医療の質を向上させること、これらを目的にいたしまして、二〇〇〇年三月からまず病棟で、更に翌年四月からは外来で診療録の開示を実施してまいりました。
 今回の事件発覚後に取り組んだこととしましては、まず内科におけるチーム医療体制の強化があります。具体的には、各臓器別グループによる回診、内科全体による重症患者に対する回診、それから死亡症例の検討会の定期化、また各病棟における他職種とのカンファレンスも従来以上に徹底して進めるように努力しております。
 危機管理システムの見直しについては、さきにも述べましたように、医療安全推進総合対策に基づいた要綱の改定作業を現在管理会議で行っております。今後、各職場で徹底的に討議、学習を進めていく予定でおります。また、六月二十七日には、外部の委員の方四名、それに生協の組合員の方にも参加していただいて、医療倫理委員会を設立いたしました。当面の課題として、当院における終末期医療についての考え方とマニュアルの作成、これに取り組んでおります。そして、これらの作業と並行して、各科、各部署で医療倫理、命の重みを深める議論が現在開始されております。
 最後に、今後の中期的な改善策を提起していくことは、私たち内部調査委員会の重要な使命だと考えております。
 このための基礎資料となるものは、第一には、私たち自身が今回の事件から抽出した問題点の分析結果だと思います。
 第二には、現在作業を進めていただいております外部評価委員会の報告が七月末に出される予定ですので、これを重視したいと思います。私たちの病院は、これまで本格的な外部からの機能評価というのを受けたことはございません。ですから、識者の方々からの貴重な御意見を真摯に受け止めまして、今後の改善策に生かしていく所存でございます。
 第三には、地域の方々から寄せられている御意見があります。四月の公表以後、私たちの病院では延べ約五百八十名の職員が五千五百世帯の地域の患者様を訪問し、おわびと説明を行い、多くの率直な御意見を聞かせていただきました。また、そのほかにも約八百通のアンケートによる御意見が寄せられております。
 二、三紹介させていただきますと、信頼している病院でこのようなことが起こりショックでした、患者については担当医が話し合って、決して自分のみの判断でなく診断しているものと思っておりました、診療所で一生懸命にボランティア活動をしておられる皆様方、自宅療養患者さんへの訪問看護を喜んでいる家族のいることを考えてください、院内だけでなく多くの方々に守られ、必要とされている病院だけに、一日も早く信用を取り戻し、安心して診察していただける病院になることを望みますという激励のお言葉とか、もっと看護婦の対応、態度を改善してほしい、プライバシーの保護を守ってほしい、病院はしっかり職員教育をしてほしい、また、インフォームド・コンセントを徹底し、そのときは分かりやすい言葉や図、文書等で説明していただきたいというような、患者様の生の声が出されております。
 厳しい御批判も含め、これらの資料も病院再生にとって欠くことのできないものであり、私たちの貴重な財産だと考えております。
 第四には、院内の現場の職員からの声があります。
 今回の調査でも、事件当時の問題点として、現場からの声が十分反映されない管理実態が指摘されております。患者様との直接の接点があり、日ごろ医療の現場で働いている職員が感じている声が病院の運営に反映される仕組みを作り上げることなくして病院の再生はあり得ないだろうと思っております。
 本格的なプランの作成はこれからの作業でございますが、その骨子について私なりに整理したものをお示しいたしたいと存じます。
 川崎医療生協には五十年、協同病院には二十五年にわたる実績がございます。これまで創立以来一貫して患者の立場に立つ医療を貫いてまいりました。しかし、今回の事件を通して改めて、今の時代にこの地域でこの病院が求められているものが何なのか、これをもう一度問い直すこと、理念を問い返すこと、そしてその答えを全職員がしっかり共有できるようにすること、これが病院再生の出発点であると私は考えております。
 そして、それに基づいた診療体制の再構築が必要になるわけですけれども、今重視していることの一つは総合診療部体制です。これは、地域の病院として特定の専門分野に偏ることなく総合的に患者様を診られるシステムを保障するということであり、また家庭医療を目指していく医師の教育の場でもあり、また在宅医療の位置付けと責任体制を明確にするというねらいもあります。病棟は患者様の安全と信頼、それに今日ではやはり快適さということを考慮した再編、改築が必要になると考えております。
 実際の診療の場では、これまで以上にチーム医療の徹底を図る必要を感じております。形だけのカンファレンスではなくて、本当にチームメンバーが患者様を中心に置いてその問題点を共有できること、主治医のチーム医療のリーダーであることの自覚、職種間の勾配をなくしたフラットな組織形態、適切な診療録記載などを重視しております。救急対応体制についても、必要な設備の充実を図る一方、他の医療機関との連携を含めて危機管理の観点からその在り方を再検討し、地域医療に貢献していきたいというふうに考えております。さらに、自分たちの医療の質を問うという意味において、学術活動を一層強化し、また日常的に医療倫理、看護倫理の教育、議論を進めていきたいと思います。
 病院の管理運営システムにつきましては、何よりもまず現場の声を管理運営に反映させるための制度的保障とその運用ということを重視しております。
 そして、医療内容、管理運営の両者に共通して必要なことは、外部評価システムの導入であり、何よりも人権を第一義とする危機管理意識の徹底とシステムの再整備であると考えております。
 最後に、教育の問題について触れたいと思います。
 私たちは患者の権利章典と呼ぶ患者の権利と責任を定めた宣言を持っております。私たちは技術習得に偏らない、患者様の人権を何よりも重視する医療観を身に付け、真のチーム医療が進められるような人材を育成していく、このことを目指しております。そのためには、指導者と指導を受ける職員がしっかりと目標を共有できるようなカリキュラム、それと指導体制が必要だと思っています。私たちは、この三年間、今日の医学教育の成果に学びながら医師研修の改善に取り組んでまいりました。二〇〇一年度には新しい要綱を策定いたしまして、現在八名の研修医がこのカリキュラムに沿って研修を進めております。そして、私は一定の成果を上げてきているというふうに考えております。今後この成果をすべての職員の教育に生かしていきたいというのが私の願いでございます。
 川崎医療生協と川崎協同病院は、一日も早く地域の信頼を回復するために、現在、病院管理部人事の刷新を含めまして、目標達成のための努力をしていることを御報告して、私の陳述を終わりたいと思います。
#9
○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 以上でお三方からの、参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対しまして質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○佐藤泰三君 自民党の佐藤泰三でございます。
 本日の委員会に際しまして、三先生のいろいろ医療事故中心の御意見ありがとうございました。
 なお、この委員会に際しまして、悲しみも新たと思われますが、平柳さんの御遺族の方から要望書が阿部委員長あてに提出されております。要点は、これからの医療のため、患者から本当に信頼される医療の実現のため、国会全体で医療事故に関する法整備等を是非進めていただきたい、要望させていただきますと。ありがとうございました。
 時間もございませんので、端的にお願い申し上げますが、まず堺先生にお願いでございますが、先生は医療事故関係の統計やっておられるわけでございますので、今、今朝ほど聞きましたら、日本医師会で現在係争中の医療事故が八百五件でございます。年々百件ぐらい増えているということでございますが、期間が三十二・七か月ということで、誠に長いという感じでございますが、これに対する、今後減りますように、いろいろまた御指導を賜ればと思いますし、また何かあったら御指摘賜りたいと思います。
 なお、次は、時間があれですので、三先生に一括してお願い申し上げます。
 林先生でございますが、昭和三十年ですか、榊原教授が日本で初めて心臓外科との形で女子医大に研究室を創設しまして、日本のパイオニアとして、特に幼小児の血管外科という形で大きな業績を残し、大勢の門徒を日本じゅうに卒業させたというわけでございますが、このたびの事件で誠に残念でございますけれども。よく新聞情報も聞きますと、どうしても組織が大きくなりますし、勤務三交代等ございます。多忙のため、お互いのコミュニケーションが不足していたんじゃないかと、医師と技術者、あるいはナースと医師という形で。我々もそうでございますが、そんな点も一応考慮されるのでございますが、どうぞこれからもその点を考慮しまして、今の特定機能病院として日本の代表的なる心臓外科のメッカでございますから、ひとつ回復して頑張って、更に更に今後とも国家のために頑張っていただきたいと、御要望と同時にお願いを申し上げる次第でございます。
 なお、記事記載云々と、瞳孔が六―七ミリが四ミリと、これは記載の間違いじゃないかなと思うのでございますが、やはりこれを、何といいますか、専門家に聞いたら、やはり六―七ミリが正常で四はおかしいんだということを聞きましたけれども、そんな形で、分かりません、記載のことですから。
 なおまた、人の死に関しまして、最近安楽死という言葉がよく使われております。どんなものかと思っていろいろ聞いてみました。裁判所の要件等がございましたが、安楽死は、死期が迫っているか、肉体的なる苦痛が激しいか、あるいは苦痛を除く処置、治療をしておったか、本人の意識があるかと。この四つが一応安楽死の四要件だろうという意見がありますと同時に、いま一つは、医者の方の立場として乱暴残虐な行為がなかったか、また注射処置は医者がすべて自分でやるべきであると。この六つが一応日本の安楽死の条件じゃないかなというふうなことをちょっと昨日聞いたのでございますが、それにつきまして、またどうぞ、川崎病院ですか、何かあったらお教え願いたいと思います。
 時間もございませんから、端的な質問で誠に恐縮でございますけれども、どうぞ、これからも我々大いに参考にしまして、また法整備等に委員長を中心に頑張るつもりでございますので、ただいまの三点、本当に簡潔で申し訳ございませんけれども、お知りでございましたらお教え願いたいと思っております。
#11
○参考人(堺秀人君) それでは、お答え申し上げます。
 医療紛争の国際比較のデータというものは、制度の違いもございまして直接の比較はできませんが、少なくとも我が国が諸外国に比べて多いというデータは全く存在いたしません。
 委員の先生方も御存じのように、日本の医療費はGDPに対する比率がアメリカの半分でございます。このような経済状況下で、アメリカの病院では患者さん一人に対しての医療スタッフの数が日本の二倍若しくは三倍おります。そのような状況で医療が行われておりますが、日本では比較的少数の人間が医療に携わらざるを得ないという状況にございます。もちろん医療機関では更にこれを鋭意努力しなければいけませんが、今後国としても、今後日本の医療体制がいかにあるべきかということを御討議いただきたいと願っております。
#12
○参考人(林直諒君) 御指摘いただきました心研のことでございますけれども、あのころはとにかく技術優先ということで、医学が進歩することが主体の考えだったと思うんですけれども、現在世の中が変わってまいりまして、本当に心を大切にしないと医療が成り立たない時代になったと思います。私たちも、そういう中でこの小児心臓外科の先生方の意識は極めて時代が後れていたというふうに考えておりまして、これは徹底的に直す必要があろうかと思っております。
 また、心の問題というのは非常に難しいんですが、同時に、改ざんとかそういうことがないようにカルテ開示をすること、それからできるだけ自動記録装置とか電子カルテとか、そういう方向でやっていくこともある意味では負担を減らすことになるのではないかと思っております。
 あと、瞳孔の件ですけれども、これは調査委員会では隠ぺいする意図が見られて誠に残念だという記載がありまして、我々もそういうふうに判断しております。誠に申し訳なく思っております。
#13
○参考人(佐々木秀樹君) まず、先ほど御質問の安楽死ということでありますけれども、私どもはこのケースを安楽死というふうには考えておりません。それは、先ほど先生もお挙げになりましたような要因を全く満たしていないからであります。
 むしろ、もう少し広い意味での終末期医療とのかかわりでどう考えていくのかというのが非常に大事なところだと思っていますし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在、私どもの倫理委員会で病院としてのそういうものに対する基本的な考え方というのを整理しているところでありますので、そこでできるだけ現在の、また、日本では必ずしもそれが全面的なコンセンサスになっていないんだと思いますが、そういう場合の延命治療の中断の是か非かというような問題について考えていきたいというふうに考えております。
#14
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 亡くなった患者様の御冥福と、そして御遺族の方に心からお悔やみ申し上げたいと思います。
 正直なところ、私は林参考人からの説明を受けて非常にがっかりいたしました。なぜなら、事故のことに関してきちんとした報告が私はなされていないと思っているからです。
 まず、今回の問題で、私は一つ大きな問題というのは、この隠ぺいというものが組織ぐるみであったのかどうかということだったろうと思うんです。その点について何も御報告ございませんでした。このことについて、まず御説明いただきたいと思います。
#15
○参考人(林直諒君) これは内部調査では一応調査してきておりますけれども、これは非常に限界がありまして、御本人の言っていることがおかしくないという前提だと一応認める形で進んでおりましたので、実際にどのぐらいのことが行われていたかよく分からない面もございました。私自身も主任教授と話ししたりしたんですけれども、そこまではよく分かりませんでした。
 現在、警察の方の捜査が行われておりまして、それは被疑者としての扱いですから非常に捜査はきちんといくと思いますけれども、内部調査の限界、それはつくづく感じております。
 そして、あと、外部の人を入れなかったというのが非常に問題であったと反省しておりますし、今現在は、四月からは外部評価委員会でもう一度徹底調査をお願いしてあります。そして、今後こういうことが起こっても解明がきちんとできるようなシステム、構造も含めて外部評価委員会の方々に御答申いただきまして、それに相応じて組織をきちんとしていきたいと思っています。非常に外部評価ということの重要性を痛切に感じております。
#16
○櫻井充君 済みません、時間がありませんので端的にお答えいただきたいと思います。
 なぜこんなことを申すかといいますと、この逮捕されたお医者さんが、手術でまずいことがあると記録類を直すことは病院でよくあった、なのになぜ私だけこうして責められるのか、こういうことを周りの人に漏らしているということなんですね。
 それから、心房中隔欠損というのは、私も内科の医者ですが、決して難しい手術じゃないと思うんですね。難しい手術でなかったのにこれだけのトラブルがあって、主任教授に対して手術中にこういうトラブルが起こったということを報告しているわけですよ。そうすると、それほど難しいと、私はそう思っているんですが、アイゼンメンジャー化とか起こしていなければ極めて簡単な手術だと思っています。そういうことがあったとすると、その主任教授はかなりの問題だという意識を持たれるべきだと思うんですよ。この主任教授も何も手当てもされていないんですね。
 その主任教授は、なぜこのときに安全管理委員会とか、そういうものがたしか女子医大の中にあったかと思います、そういうところに報告されなかったんでしょうか。どういう認識だったんでしょうか。
#17
○参考人(林直諒君) その点は誠に申し訳なく思っております。
 その主任教授の件につきましては、現在も外部評価委員会で調査しておりますと同時に、病院としても、この問題は個人責任ではなくて、そういう土壌を作っていった管理責任もはっきり追及してやっていこうということで、現在、懲戒委員会はその方向性で進めております。
#18
○櫻井充君 内部の委員会でも分かると思うんですね。つまり、ここの今日の場の中で、この主任教授がどうであったかという報告も私はあってもいいと思うんですよ。その点もございません。
 それから、こういう報告もありますけれども、市民団体の医療事故市民オンブズマン、メディオからですけれども、私立大学病院が東京地裁でここ四、五年間の中で医療事故訴訟を抱えていた、その中の一番多いのが、申し訳ございませんが東京女子医大の十九件でございます。この中で、医療訴訟の多い医療機関は患者に対する事故後の対応に相当な問題があった、だからこういうことになるんだという指摘がありますけれども、この点についていかがでございましょう。
#19
○参考人(林直諒君) その記事に関しましては何度も院内で取り上げて話しているわけですけれども、とにかく、それだけ多いということは、理由は何であれ、そうであれば一層そういう事故がゼロになるように努力しようという強い意向をみんなで持たなければいけないというふうに思っております。
#20
○櫻井充君 私は、医者も含めて、神様じゃありませんから、事故を起こすというのはこれは至極当然のことなんだと思うんですよ。至極当然と言うとちょっと皆さんに怒られるかもしれないけれども、どんなに努力しても解決できないことはあると思っています。事実、私もがんを見落としたこともございます。患者さんにその旨はきちんとお話しさせていただいたこともあります。そうなってくると、あとはその後にどれだけ誠意を尽くして患者様の方に説明をするかどうかということなんだろうと思うんですよ。そういう果たして体制ができているのかどうかということと、私は、先ほど川崎協同病院の話をお伺いしていて、結局、病院長が替わったら問題がはっきりしたわけですよ。
 私は、今の病院長の姿勢というものが物すごく問われると思っているんですけれども、その点に関していかがでございますか。
#21
○参考人(林直諒君) 誠に申し訳なく思っております。
 私は、言い訳になってしまうかもしれませんけれども、病院長になったのが昨年の四月でございます。しかしながら、職務責任としてあるということで一生懸命改革に取り組んでおりますけれども、深く責任は感じております。
#22
○櫻井充君 厳しいかもしれませんが、天下の女子医大ですから、そういうことを、その名前があるからこそ、多くの患者さん方がこの病院に行けば間違いないんだと思って通院されるわけですよね。だからこそあえて厳しいことを言わせていただいております。
 そして、その天下の女子医大でもこういうことが起こってくると、医療界全体が不信感に包まれてしまうということを是非改めて御認識いただきたいと思っておりますし、特定機能病院の返上だけではなくて、私は、正直なところ、今日のこの対策だけを見ていると、研修病院としてもおやめになった方がいいんじゃないかと思うんです。なぜかというと、どう見ても、これを見てもいわゆる大きな官僚組織がある個人だけに責任を押し付けて、それで終わらせてしまおうというような体質が見え隠れするからなんです。
 私は、先ほどの川崎協同病院の報告を聞いて、かなりきちんとした分析をされているところと大分違ってきているんじゃないだろうかという気がいたしますけれども、まあ余り厳し過ぎるかもしれませんけれども、いかがでございますか。社会の見る目はそのぐらい厳しいと思いますよ。
#23
○参考人(林直諒君) 十分認識しております。
 私も、最近、この病院として今までの機能、特にセンター方式ということで技術優先で来たことが非常に問題だということで、こういうことも組織的な改革もしていかなければいけないというふうに考えております。
 その点は、今までの面では非常に反省しておりまして、センター方式とかそういう閉鎖性をとにかく取っていくという方向と、組織も少し変えなきゃいけないと、それと、医局制度を変えて病院部と医学部とを少し分けなきゃいけないかというふうにも思っております。非常にその認識が後れてきたために大変御迷惑をお掛けしていると深く認識しております。
#24
○櫻井充君 是非、きちんとした対策を取っていただきたい。もう今までのことは今までのことで仕方がないと思いますが、これからこういうことが起こらないようにお願いしたいと思います。
 済みません、あと一点だけ川崎協同病院にお伺いしたいんですが、この方は今回まあ安楽死ではないと先ほどお話しになっていましたけれども、こういうことというのは今回が初めてのことなんでしょうか。つまりは、筋弛緩剤などの投与というのが行われたというのは今回が初めてのケースなんですか。
#25
○参考人(佐々木秀樹君) 実は、私どもは、当該主治医が受け持って亡くなった患者さんすべてのカルテをもう一回見直す予定でおりました。ところが、途中で警察捜査の方でカルテを我々が見ることができなくなってしまいましたので、今その作業は中断した状態であります。
 ただ、我々の調査が開始する以前に病院管理部の方で、これは五年分についてですけれどもやっておりますけれども、そういうような注射などをしたケースというのはないというふうに聞いております。
#26
○櫻井充君 終わります。
#27
○草川昭三君 公明党の草川でございます。
 恐らく国会始まって以来、参議院でもそうだと思いますが、今日のような不幸な審議は初めてではないだろうかと私は思います。大変亡くなった患者の方々の御冥福もあり、また今後の日本の医療をどう信頼すべきかという重大な役割を担った者として、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 それで、時間が短いので佐々木参考人に二、三点集中してちょっと御質問させていただきたいんですが、先ほど法的には殺人事件に該当する可能性があること、安楽死の要件を明白に欠いていること、医療界の歴史に残るような深刻な事件であるということを認識したと。これはいつ認識をされたんでしょう。
#28
○参考人(佐々木秀樹君) その言葉につきましては、中間報告で見ていただきますと、昨年の十月末にこの問題が再発覚をしております。その後、管理部を中心にして少しいろいろ調査をしたりしているんですが、今、委員が挙げられましたような言葉につきましては、本年二月の時点でそういう認識に達したというふうに我々は聞いております。
#29
○草川昭三君 ですから、私がちょっと申し上げたいのは、事件発生後かなりの日数がたっているわけでありまして、私ども、今日の報告と先生の方から川崎市の方に出されております中間報告書をちょっと見てみますと、川崎市に対して出しておる方がかなり詳しく書いてあるようでございます。今日のは要約されているところが率直にあるんですが、川崎市に出されましたこの中間報告書の中にはもう少し、生々しいというと大変恐縮でございますが、経緯が書かれてございます。それで、昨年の十月段階で事態を再認識しようというときにも、「副院長二名はいずれも本件は刑法上の問題がある深刻な事態と認識している。」という、こういう記述もございます。
 ですから、事件発生から少したったこの昨年の事態でも、私はこのような内部調査が行われるならば速やかに関係省庁に事態を届出をされるべきではないだろうか。それがどうしてずっと、私厳しい言葉で言えば隠ぺいというんですか、隠されてきているのかということをお伺いしたいと思うんですが。
#30
○参考人(佐々木秀樹君) その点につきましては、内部調査委員会の報告書にも書かれておりますように、私どもも昨年の十月以降のことに関しても問題がなかったということは全く申しておりません。
 そのときの評価として、ちょっと短いですので読み上げさせていただきますけれども、平成十年当時の院長らの態度に比べ、事態をより正しく認識し把握する努力がなされている、しかし病院管理会議できちっと事件の重大性を認識したのであるから、綿密かつ迅速な事実調査が求められていた、にもかかわらず十分な調査がなされていないということは、やはり事態認識が必ずしも十分ではなかったんだというふうに私たちも考えております。
#31
○草川昭三君 最初の方へ戻りまして、当初、その患者に投与しました、「ミオブロック(量の記載なし)」という報告があるわけですが、これは後ほどになっても関係者の方を尋ねれば一体どの程度の量を投与したのかということが分かると思うんですが、それは今日まで量の記載なしのままに終わっているのですか、どうでしょうか。
#32
○参考人(佐々木秀樹君) 量の記載がないというのは診療録の医師の記載する部分に記載がないということで、看護記録の方には、実際にそれが使用されたかどうかは分かりませんが、量としては記載されております。
 それで、当日その現場に居合わせた看護婦なんかの聞き取り調査もやっているわけですけれども、はっきりどれだけの量を詰めて打たれたかということに関してまでは明確な記憶が実際にはありませんでした。
#33
○草川昭三君 その点が今日きちっとした形で中間報告をされている割には私どもがまだ疑問を持っているところであります。
 それで、死亡診断書にはたしか無酸素性脳症という記載になっていたと思うのでございますが、これは今日から考えればこの死亡原因は適切だとお思いになっておられるのかどうか、お伺いしたいと思うんです。
#34
○参考人(佐々木秀樹君) 直接的な死因に関しては恐らく警察の方で鑑定を進めているところだと思いますので、この中間報告に関してもその点に関しては余り明確に書いておりませんので、ちょっと差し控えさせていただきます。
#35
○草川昭三君 じゃ、そういう御答弁で、お伺いをするということにしておきます。
 それから、今回のこの中間報告の作成に当たって前院長からの事情聴取はなされたんでしょうか。
#36
○参考人(佐々木秀樹君) 行っております。
#37
○草川昭三君 やられた。
#38
○参考人(佐々木秀樹君) はい。
#39
○草川昭三君 それで、現在の院長はお話をお伺いしますと前の副院長だったと聞いておりますが、それも間違いないわけですか。
#40
○参考人(佐々木秀樹君) はい。
#41
○草川昭三君 じゃ、また続けますが、平成十年当時に事件を公表しないということをこの中間報告の中には言われておりますが、それを決められたのは前の院長なのか、あるいは現在の院長も入っておみえになります四役会議なのか。また、そのS医師に口頭で、言葉で厳重注意をしたということを決めたと書いてありますけれども、それは前院長でございましょうか、あるいは四役会議なのでしょうか。
#42
○参考人(佐々木秀樹君) その点についてはかなり現在分かっている事実経過としてはここに書かれていると思うんですね。と申しますのは、院長がその前に、先ほどもお話ししましたけれども、何人かの方と相談をしていると。ある程度推測が入ってしまうんですけれども、ほぼそれでその方向性みたいなものは考えられたんではないかというふうには推測できるんですね。
 それで、正式な、あるいは公式な会議としては、委員が挙げられましたようなその四役会議という、病院長、副院長、看護部長、事務長から成る会議があります。そのときの記録として残っているのが、議事録がありませんで、議題を並べてあるレジュメだけが残っておりまして、そこには口頭報告という形でこの例が挙げられているということはあります。院長の話、前院長の話を総合しますと、恐らく述べられてはいるんだろうと思うんですね。ところが、これも報告書に書いてありますけれども、それ以外の出席者に個別にお話を聞きますと、このことが議論されたということが全く記憶に実はないんですね。
 そういうことで、実は非常にそれは大事な点なので、現在、もう一回それぞれ関係した方への聞き取りを始めているところなんですけれども、今の段階ではその辺のところははっきり言えないと、結論が得られていないというふうにしか申し上げられないんです。
#43
○草川昭三君 もう時間が来ましたので最後の一問ですが、結局患者の方々にも、その後、遺族の方々にも説明がなかったようでございますし、それから三年半にわたって、川崎さんのように協同組合で非常にしっかりとした組織の病院であるにもかかわらず、これが関係省庁に報告をされていない。これが私は、もう厳しい言葉で言うならば隠ぺいをされてきた。しかし、新聞社がいろいろと取材をされて、それで、大変恐縮ですが、重い腰を上げたというように私はこれを受け止めるわけですが、その点について最後に御答弁願って、私の質問を終わりたいと思います。
#44
○委員長(阿部正俊君) では佐々木参考人、簡潔にお願いいたします。
#45
○参考人(佐々木秀樹君) いろいろそれまでの経過というのはあると思いますが、少なくとも本年の二月の時点では、ここに書かれていますように、公表を前提に調査するということを確認しているということでございます。
#46
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 先ほどの櫻井委員の質問に引き継ぐような形になるかと思うんですが、林参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど話題になりました主任教授、亡くなられた平柳明香さんが入院、手術した当時の循環器小児科の主任教授のお名前を教えていただきたいと思います。
#47
○参考人(林直諒君) 今井康晴です。
#48
○小池晃君 この今井教授は、事件当時の、この事故当時の東京女子医大心臓血圧研究所の所長だったということなんですね。
#49
○参考人(林直諒君) そうです。
#50
○小池晃君 私、御遺族が証拠保全で入手をされた血漿分画製剤の申込書というのをちょっと見せていただいたんですね。これを拝見しますと、受持ち医の欄に今井と記載があるんですが、これはその当時の主任教授の今井教授のことなんでしょうか。
#51
○参考人(林直諒君) そうだそうです、私、ちょっと確認はしてなかったんですけれども。
#52
○小池晃君 私、先ほど櫻井委員も指摘したんですが、これ重大だと思うんですね。
 というのは、主任教授といえば、特に大学病院ではもう神様みたいなものでありまして、すべて相談するわけですよね、普通はね。講師といえども、やはり主任教授に逐一報告しているはずなんです。しかも、これだけ重大な事故が起こった場合に、これは相談しないはずがない。しかも、この今井教授が受持ちということの、恐らく大学ですから一人で持っていたというんじゃなくてグループで診ておられたと思うんですが、恐らくそのチームの中のリーダー的な役割であったろうと推察をされるわけです。
 ところが、今日もお配りになっているこの死亡原因調査委員会の調査報告書には、一言もこの今井教授のことが登場しないわけですね。これは一体なぜなんですか。この問題を考える上で、再発防止というのであれば、今井教授がこの事件にどのような形でかかわったのか、どういうやり取りがあったのか、当然この指摘があってしかるべきだと思うんですが、この点、いかがですか。
#53
○参考人(林直諒君) この内部調査委員会というのは死因究明が主体でしたのでそこまで行かなかったということと、それから当時、今井、今名誉教授ですけれども、三月、この手術した日はちょうど退任教授の最終講義の準備に追われていて、教授室にいて準備をしていたと。それで、ざわざわする感じがあったので執刀医を呼んで聞いたら、特に問題はないと言ったのでまたその準備をしていたと。それで、月曜日に出勤されたときに亡くなったという報告を受けたというふうに、私は直接お聞きした範囲ではそうなっております。
 それで、先ほども申しましたけれども、この心研の主治医の問題は非常に大きな問題でして、まず内科が診ていて、カルテとか検査全部内科医がやっていて、手術だけ、まあ術前の手術説明は当然していると思うんですけれども、手術だけするような感じで、ICUに入っている間だけ診る、またすぐ後は内科が診ると。そういう非常に欠陥のある診療が行われたので、現在はそれは改正しておりますが、そういう事情があって、問題は非常にあったと思います。
 今井名誉教授については、今、懲戒委員会の方でも十分討論されると思いますし、外部調査委員会でも呼んで聴取を更にする予定になっていると思います。
#54
○小池晃君 死亡原因の調査だからというのは言い訳にならないと思うんですね。これは、やはり主任教授に、これだけの人工心肺をめぐるトラブルで亡くなられたということが現場では明白に分かっている。そういうことであれば、これは主任教授に週明けまで相談しないなんということは、私は到底あり得ないと思うんですね。必ずこれは相談しているはずだと。
 この件について、じゃ死亡原因調査委員会は、今井前教授の事情聴取は全く行っていないということなんですか。
#55
○参考人(林直諒君) 事情聴取はしていないそうです。申し訳ございません。
#56
○小池晃君 これでは、私は、大学という組織の診療形態の在り方からいって、一人の患者さん亡くなられたと、チームで診ていたとはいっても、そこに主任教授がかかわっていないということは想像できない。しかし、その主任教授にこの経過について相談があったのかなかったのか、そのことすら聴取をしていない。これでは事件の真相に迫るということには到底ならないんじゃないですか。こういう調査の在り方には問題感じていらっしゃいませんか。
#57
○参考人(林直諒君) 非常に問題を感じております。特に、外部委員を入れなかったということが一つ問題だと思っていますけれども、更に問題なのは、外部委員入れても、もし隠ぺいしている場合は摘発することがかなり難しいので、もっと本格的な外部調査委員会みたいなものが必要かもしれないと思っております。
#58
○小池晃君 ちょっと余りに何か人ごとみたいに私には聞こえるんですね。外部調査委員会が入らなきゃ分からない問題じゃないじゃないですか。だって、所長だったわけですよね。それで、主任教授だったわけですよね。その人の話を聞くのに、何か外部調査委員会でないとできないというのは、私は、これは外部の問題、外部の人の話を聞くのであればそういう話はあるかもしれませんけれども、正にこれは内部中の内部じゃないですか。だって、当時の心研の所長だったわけですから。
 私は、この所長がこの問題に関与していなかったということは全く理解し難いし、これ正に組織ぐるみで隠ぺいしたんじゃないかと。この主任教授のことが一切触れられていない報告書が出されるということから見ると、これは正に心研ぐるみで隠ぺいしたんじゃないかという印象を大変強く受けるんですが、いかがですか。
#59
○参考人(林直諒君) それについては、今、外部調査、外部評価委員会の先生方に検討してもらっておりますけれども、調査したときにはさっき言ったような事情がございまして、直接タッチしていたとは思われなかったということだと思いますけれども、それは、今振り返って見ると、非常に調査のやり方に問題があったと思います。
 今後はそれも含めて改善していきたいと思います。
#60
○小池晃君 教授が術場に入っていたか入っていなかったかという問題じゃないんですよ。これはもうすべて主任教授がオペに入るということはないですよね。ただ、その後でこれだけの重大な事件が起きたのであれば、主任教授であり所長であった以上、これは相談するということが必ずあったはずだし、その経過が全くこの調査委員会の報告にはない、そのことは外部調査でなければ分からないというのは、これは私は到底納得いきません。
 そういうことでいうと、本当にこれは、今日のお話聞いていまして、私ますます、先ほどの櫻井委員の質疑も含めて、これは組織ぐるみで隠ぺいしていたという印象を極めて強く持ちましたし、過去の清算、再発防止ということであれば、この問題についての解明なしに私は進まないんじゃないかなというふうに思いますので、そのことを申し上げて、質問を終わります。
#61
○西川きよし君 御苦労さまでございます。
 そして、本日は傍聴席の方にも平柳明香さんの御両親様もお見えになっておられますし、本当にお亡くなりになった皆さん方に本当に御冥福をお祈り申し上げますし、御遺族の皆さん方にお見舞いを申し上げます。
 私の方からも東京女子医大の問題についてお伺いをしたいんですけれども、今回のこの事件によりまして小さな命を落とされた、そして大切に育ててこられた御両親様の本当にお気持ちを考えるといたたまれません。
 病気の患者、家族にとって、病院、医師の先生の存在は、病気を治し、そして命を預けて、命を救っていただける、そんな信頼、願いというものを常に我々は胸に抱きまして、そんな患者と医師との信頼関係を保つために必要なことは、それは何といいましても患者への十分な説明でないかなというふうに私は思います。しかし、今回の事件におきましては、手術前の患者さんへの説明、そして術後の患者さんへの説明、これが不十分であったように思いますし、それこそ諸先生方からも出ましたが、隠ぺい、つまり起こった事態を隠していたわけですから、そんなことはもう信じられないと思うわけですけれども、国民の医療に対する信頼を大きく失墜させることになったと思うわけですけれども、関係者の方々はその批判を真摯に受け止めまして、真相の究明、問題点の改善に全力を尽くしていただきたいと思います。
 そこでお伺いしたいんですけれども、この手術が行われたときに五人の医師の方がいらっしゃったそうでございますが、そのほかにも看護師さんの方も当然複数いらっしゃったと思います。そうした中からだれ一人として報告がなかった。それは、やはり病院の中にそういう風土があったのではないかなと。
 この点、社会保障審議会医療分科会で女子医大側がこのように言っておられます。実は、この心研ですけれども、心研の循環器外科と循環器小児科の間にはいろいろと十年にわたる確執があって、お互いに弱みを見せないというところで教室同士が張り合っているという関係があって、そういったところから、しばしばいろいろなミスを隠そうとか、相手に知らせまいと、そういった気持ち、気持ち的には働いていた可能性があるということでございます。こんな説明をされておるわけですけれども、教室同士の確執とか張り合っている関係とか、そんなことで大切な命を預かる資格が本当にあるのかなというふうに私は思います。
 そして、厚生労働省の審議会に、他の御家族や御遺族からも、その対応の悪さに、先ほど来先生方の御発言にもありました、裁判の数等々ございましたけれども、その対応の悪さに意見書が提出をされているそうでございますけれども、こちらの方は今後どういった改善をされていかれるのか。この二点についてお伺いしたいと思いますが、お願いいたします。
#62
○参考人(林直諒君) 対応の悪さに関してですけれども、これ調べていくうちに、また最近になっても次々と患者様に対する対応の悪さが非常に浮き彫りになってきておりまして、非常に申し訳なく思っておりますし、最近はなるべく臨床部長会、教授会も頻繁に行うようにして、その辺の改革も進めていきたいと思っています。
 それで、特に一つ、この間、七月のですけれども、外部からの先生をお呼びして人権についてのお話を聞くということで、職員の六〇%以上が参加していましたのを見て、本当に医療というのは心の時代に入ってきたと。それで、我々も、医師だけではなくて看護師、臨床検査技師、そういう人たちとの十分な話合い、患者さんばかりではなくそういうことをやっていきたいということで、職員とは徹底的な話合いを今後とも進めていきたいと思っております。
 もう一点は……
#63
○西川きよし君 もう一点は、循環器外科と循環器小児科、この間、十年間の確執ですけれども、これを詳しくお述べいただきたいと思うんですが。
#64
○参考人(林直諒君) ちょっと余り詳しくは分かりませんけれども……
#65
○西川きよし君 これは社会保障審議会の医療分科会でちゃんと発言されておりますので。
 じゃ、院長先生といたしましては、十年間の確執だとかというような、お互いに張り合っているとか情報交換をしない、お互いにミスを隠そうとかというようなことの何は、そういうお立場にあってお聞きしたことがないということでございますか。
#66
○参考人(林直諒君) 私は、それはほとんど聞いておりませんでした、ちょっと組織が違うということもありましたんですけれども。
 でも、今度は心研の在り方も相当変えなきゃいけない。特に間を、一つ今度は、そういうこともありまして、小児外科の方と成人の方を一つの講座にまとめました。それで、その間の連絡を十分よくするように、組織としてはそう変えておりますけれども、ただ、私はもうちょっと、個々の先生方を見て、場合によっては組織を変えても人を変えないと無理な部分もあるかもしれないとは思っております。それはまた上層部とよく考えてやっていきたいと思います。
 本当に申し訳ございませんでした。
#67
○西川きよし君 上層部という林参考人の御意見もよく分かるんですけれども、今日、こうして特別な委員会を設けて参考人としてお越しいただいたわけですから、今日を機に、お帰りになりましたらすぐにこういった部分に着手していただきたいと。でなかったら、全国の皆さん方が本当に命を預けてお世話になるというようなことにはなりませんので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 終わります。
#68
○大脇雅子君 本日は、東京女子医大で被害を受けられて死亡された小さな命の御冥福を心からお祈りいたしたいと思います。
 今、東京女子医大では十九件の裁判訴訟があるというふうに聞いております。被害者は、いつも五つの願いを持っていると言われております。失った命を取り戻してほしいという原状回復の祈り、それからどうしてこうなったのかという真相究明の願い、それから病院側に反省して謝罪してほしいという思い、そして二度とこういうことを起こしてほしくないという、再発の、願い、そしてしっかりと損害賠償をしてほしいという、この五つの願いを持っているというふうに言われます。
 私は、医療事故の防止というものと被害者の救済ということは実は深くつながっているんだということを思います。救済のシステムがしっかりしていないと事故の情報も集約されない。医療ミスで二度と死者を出してほしくないという遺族の思いに対して、私は、まだまだ被害者の方への対応とか報告書について新聞の報道などを見ますと、そうした道義的な責任を病院が果たしているというふうにはとても思えないのでございます。
 だから、私は、東京医大の方にお尋ねいたしたいわけですが、その医療事故の防止と被害者の救済ということは深くつながっているのだという考え方についての御見解を伺ってみたいと思います。
#69
○参考人(林直諒君) 誠に、お聞きしたとおり、私たちも思っておりますし、やはり幾つか非常に欠けていた点があったと思っております。
 とにかく、この事件をきっかけにして正すべきところは正していきたいと思いますけれども、非常に欠けていてこれから反省してやっていくことは、確かに情報公開とそれからインフォームド・コンセントを本当にしなければいけない。それも形の上でなくて、人間尊重というか、心の通ったインフォームド・コンセントをしなければいけないということは十分思っております。そういう教育もしていきたいと思いますし、特に今、科学が非常に進んできておりまして、心が後になっているということ、それが端的にうちではそのそごが出たと、これを何とか変えていきたいとは思っております。
#70
○大脇雅子君 被害者への対応を誠実に人間的に行われることが次の事故を予防するのだと、私も弁護士として医療過誤事件を取り扱ってきた経験から申しますと、心からそのように思いますので、私もお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 次に、川崎の協同病院の佐々木参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 川崎協同病院の事故については、病院側は当時、医師に口頭で注意をされただけだったと。そして、長い間放置されていたけれども、今なおその男性患者の看護記録で筋弛緩剤のミオブロックと鎮静剤のいわゆる投与の量というものが食い違っていると。先ほど草川議員もお尋ねになりまして、しかし川崎病院の方ではこの点は調査するというふうに約束をされているわけですが、これはどのような経過をたどっておりますでしょうか。
#71
○参考人(佐々木秀樹君) 実際には、物によっては主治医の記載の方には量が書いていない部分もございます。量の相違に関しては先ほどもちょっとお答えしたんですけれども、当時かかわった看護師の聞き取り調査の中では、はっきりどれだけ使ったかということまでは記憶していないということです。
 ただ、看護記録に書かれた量に関しては、通常は間違いがないように何かにメモをして書き記すので、恐らく間違いがないのではないかというのがそのときかかわった看護婦の供述でございました。
#72
○大脇雅子君 医療事故は、いずれもその教訓を内包していると言われます。そして、その教訓を共有化していく、それを図るためにいろいろと整備をすることが必要だと考えるわけですけれども。
 堺参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、医療安全推進総合対策では非常にきめ細かく対策が提言されておりまして、ヒヤリ・ハット事例の収集や分析ということに大きくまた力点が置かれているということは重要なことだと思いますが、この医療事故に関する情報が隠ぺいされやすいというか、底に沈みやすい要因や背景というものについてどのようにお考えでしょうか。そして、それをどう防止したらいいかというふうにお考えでしょうか。
#73
○参考人(堺秀人君) お答えいたします。
 この対策検討会議の検討の過程でも、事故事例をどのように扱うかということは討議されました。現時点でその法的な問題が完全にはクリアできないという認識がございました。しかし、このままもちろん放置するということは検討会議としても考えておりませんし、今年度もこの対策検討会議、継続いたします。その中で、今御指摘の事故事例の収集、分析をいかに扱うべきかということが討議されるであろうと考えております。
#74
○大脇雅子君 私がお尋ねしたのは、どうしてそういう情報が表に出てこなくて隠ぺいされ、沈殿させられている、その要因や背景についての御見解を重ねてお尋ねしたいと思います。
#75
○参考人(堺秀人君) この検討会議では、そこまでの事故事例の背景についての検討はまだ行われておりませんでして、ただ恐らく今年度にはそれが行われることになるであろうと考えております。
#76
○大脇雅子君 参考人の御私見としては、いかがお考えでしょうか。
#77
○参考人(堺秀人君) では、私見を申し上げます。
 私は、この事故事例の分析は行うべきだというのが私見でございます。ただ、これについてはもう皆さんもよく御存じのとおり、社会的な制約が多々ございます。特に、最も今の日本の社会でまだ社会的な合意が成り立っていないと考えられますものが司法でございます。
 現時点では、その報告を行われますとこれが直ちに司法の場へ移されまして、すべての文書、書類が司法の場に移されて関係者の手を離れるということがございまして、これはやはり日本の社会全体として、今後の医療事故の対策をもっと実効あらしめるためにこの点をどうすべきかということを論議すべきだと考えております。これが私見でございます。
#78
○大脇雅子君 終わります。
#79
○委員長(阿部正俊君) 以上で参考人に対する質疑は終了させていただきます。
 参考人の方々には、本当に長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#80
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長大塚義治君外四名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#82
○委員長(阿部正俊君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#83
○中原爽君 自由民主党の中原爽でございます。
 健康保険法一部改正につきましては、特に被用者本人自己負担二割を三割にするという件については、もう質問も御回答も出尽くしたという感がございますけれども、いずれにしましても、この問題、少し振出しへ戻ってお尋ねをしてみたいと思います。
 この健康保険法一部改正案附則の第二条でありますけれども、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」と、こういうことであります。これは、医療保険各法でありますから、すべてを含むということでしょうから、健康保険法各法、それから各種の共済保険、国民健康保険、船員保険であります。したがって、被保険者本人、それから被扶養者でありますから家族共々、給付の割合を将来にわたって七割給付にするということであります。
 本来、この医療保険を支える財源は、一つは被保険者が支払っております保険料、事業主折半でもありますけれども、保険料、まず、それから患者になってしまったときの入院にしろ外来にしろ自己負担分、それから医療保険各法制度にかかわります国庫助成、国庫負担、いわゆる税金になるわけでありますけれども、この三つが主たる財源ということになります。したがって、今後、高齢社会が続いていく中で、この医療費、更に増え続けるということになります。
 また、この負担増をどう考えるかということでありますけれども、この附則のとおりでありますと給付を七割に制限するということでありますので、そうなると、先ほど申し上げたように、財源の中身、自己負担分を増やすのか、あるいは保険料を増やすのか、このバランスによるわけでありまして、したがって、厚労省の御説明では、今回、平成十五年の四月を目途に三割負担をお願いしないと保険料が〇・四%増になると。しかし、十五年で何とか始末ができれば〇・一%増で済むんだと。あるいは、今後五年間のいろいろ計算をされたということであります。
 しかし、基本的にここに法律という形で百分の七十にとどめるわけでありますから、将来このバランスをどういうふうにするんでしょうか。将来にわたって七割給付を維持するということは、国庫負担を別にすれば保険料の引上げでしか対処できないと、こういうことであります。このことについて十分な説明をされているのかどうかということ、ちょっと疑問に思っているわけであります。
 言い方を変えますと、給付率を七割給付に統一して固定するんだと、これが上限だということでありますから、どうしてこういうような附則を付けなきゃいけないのかという対応、これは恐らく、患者さんになってしまった人にもう三割以上の自己負担を掛けるのは気の毒だと、心情的なところから出発している面も多分にあるのではないかというふうに思います。
 いずれにしても、こういう法的な対応をおやりになったことについて少しく御説明いただきたい。
#84
○国務大臣(坂口力君) 今、中原議員から御質問をいただきましたとおり、今回のこの法律の中には七割給付を維持すると明確に書いたわけでございますが、その理由は、国民皆保険制度をこれからも維持をしていくと。国がやりますこの制度、国民皆保険制度というものが存続します以上、やはり一部負担をしていただくといたしましても、その自己負担というのには限界がある、保険制度でありますから。それは三割以上ということになってまいりますと、その保険制度そのものが崩壊することになるということから、三割を、三割と申しますか七割給付を、これを一つの限度とするということにしたわけでございます。
 これから先、そういたしますと、七割給付であります以上、もし医療費に更に掛かるということになってまいりますと、これは保険料の方で見ていただかざるを得ないということでございます。しかし、これにも限界というものがあるんだろうというふうに思っておりますが、我々の試算では二〇二五年を予測をいたしまして、二〇二五年で大体どのぐらいになるかということを見ておりますが、少なくともここで、約、保険料としましては一〇%、この辺のところでは抑えなきゃならないだろうというふうに思っている次第でございます。
 したがいまして、これからの医療制度を考えていきます場合に、これらのことを盛り込みました以上、これを基本にして、そして新しい制度の積み上げと申しますか、あるいは新しい制度の改革というものをしていかないといけないというふうに考えている次第でございます。
#85
○中原爽君 御説明いただきましたように、今後、この保険料をどうするかということでありますけれども、以前に大臣の御答弁も、たしか外国と比べて将来一〇%という数字はそう大幅な数字ではないのではないかというお答えもあったような気がいたします。
 いずれにしても、こういうことでありますので、この百分の七十ということを踏まえて、やはり将来保険料をどうするかということは本当に真剣に考えていくという必要があるということでございますので、そのことを確認をさせていただきました。
 それでは、例の自己負担二割を三割にするということでありますけれども、どうして被用者本人の自己負担分二割を三割にしなければならないのかという一番最初の御説明辺りでありますけれども、今年の三月一日に厚生労働省がお出しになりました二割を三割に引き上げるということの説明の文書がございまして、「被用者保険の被保険者等の患者負担を三割とすることについて」という表題があります、平成十四年三月一日。「被用者保険の被保険者等の患者負担を三割とすることは、医療保険制度間の給付率の統一を図り、公平でわかりやすい給付体系の実現を図るものであり、」と、こういう御説明でございますけれども、この説明で、とにかく全部三割にするということが公平で分かりやすいという最初のこの何行かの文章なんでありますけれども、これよく考えてみますと、被用者本人、今二割、これを三割にすると。ほかの保険制度のものは現在三割であります。例えば、この被用者保険の家族、外来今三割ということであり、国民健康保険三割であります。
 しかし、よく考えてみると、国民健康保険が三割になったという理由はそれなりの理由が存在しているわけでありますし、それから被用者保険の家族、外来三割にして現在入院が二割だということもそれなりの理由があるわけであります。そういう今の状態で、制度間の状態から出てきている負担度、そのことをきちっと御説明された上で被用者保険の自己負担三割、これを統一する形で全部三割にしましょうということを言うべきでありまして、そこを、「給付率の統一を図り、公平でわかりやすい給付体系の実現を図る」、「医療保険制度間の」と、こういうふうに付いております。でも、制度間というよりも、もう単純にこの言葉の説明からいえば、被用者保険の現在の三割負担をほかの三割に合わせるんだということの説明でしかないということであります。このことはどうもおかしいなというふうに思います。
 ですから、誠に申し訳ないんですけれども、現在の国保の三割、それから家族の三割がどういう由来で三割になっているのかということの御説明をもう一度きちっとしていただきたいというふうに思います。これが一つ。
 それから、更にその説明文は、「これにより、現下の窮迫した被用者保険財政の状況を改善するとともに、政府管掌健康保険の保険料の引上げ幅をできるだけ抑制することが可能になると考えている。」ということであります。
 そうしますと、先ほど申し上げたことが出てくるわけでありまして、自己負担分と保険料のバランスをどうするかということであります。その説明が、先ほどのお話のように、百分の七十で附則で固定されているということの意味がこのところできちっと御説明をされる必要があったのではないか、三月の時点で。それが一つ。
 それから、更にこの文書は、「同時に、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、医療保険制度の体系の在り方、」、それから「新しい高齢者医療制度の創設、」、それから「診療報酬の体系の見直し等」と、こうなっておりまして、三つの条件が付いているわけですね。医療保険制度の体系の在り方を見直すと。例えば一元化にすると、いろいろな保険制度をですね。それから、今言われております、今後高齢者医療制度をどういうふうにするか、どう変えるかということ。それから、診療報酬体系を全部見直すというこの三つ。この三つのことを本当はやらないうちに三割負担を掛けるということをおっしゃっているわけですね。ですから、三割負担にする、被用者保険の二割を三割にするというベースに今申し上げた三つの問題があるんだと。これはやらなきゃいけないけれども、当面は三割をやるんだと、こういう説明になっているというふうに思います。
 こんなことで、こうした改革の今後の着実な進捗を図るということ。これと、平成十五年の四月に保険料負担と患者自己負担の負担度のバランスを取って、他の保険制度間との患者自己負担率を三割に統一するということですね。これは、よく考えてみると全く別個の問題じゃないのか。三つの改革をやるということと、現在被用者本人の二割を三割の負担にするということは、本当は違った問題ではないのかという疑問があるわけであります。
 このことについて分かりやすく、文章には、分かりやすく説明すると、「わかりやすい給付体系」というふうに御説明になっておりますので、分かりやすく今のことを御説明いただきたい。
#86
○政府参考人(大塚義治君) 十分分かりやすく御説明できるかどうか自信はございませんけれども、今日の制度改正の背景には、やはり一つには我が国の医療保障制度の歴史的な経過というのがございます。
 特に給付率について言えると思うのでございますが、少し話が古くなりますけれども、我が国におきましても、医療保険制度の淵源は、他の大陸、欧州諸国などと同様でございますけれども、労働者の保護立法というような色彩の強い制度として大正十一年に健康保険法がスタートした。これが淵源に当たるわけでございますが、その後、戦時を経まして、昭和三十六年に国民皆保険ということになるわけでございますけれども、健康保険法につきましてはその当初のスタートが労働者の保護立法ということも色彩が強くございまして、いわゆる十割給付という形でスタートをいたしたわけでございます。
 一方、健康保険でございますが、国民皆保険実施前は一種の市町村の任意事業ということでございましたが、当時の財政事情あるいは保険料の状況からいたしまして五割給付というのが皆保険時におけるスタートでございました。
 当時における被用者保険の方の家族でございますが、これも同様に五割給付でございました。これは、その当時の給付の状況というのは、やはり歴史的な背景、経過によるものでございますが、その後、これは御案内でございますけれども、国民健康保険につきましては、経済の発展も背景にございまして、あるいは社会保障の拡充、福祉の拡充という流れの中でその給付率の改善ということが図られてまいりまして、七割給付に引き上げられたというのが国保の場合ですと昭和四十三年のことでございます。その前、途中経過では世帯主のみ七割という時期がございました。
 一方、健保家族につきましても、五割でスタートいたしましたけれども、昭和四十八年に七割給付に引き上げられると。
 他方、被用者保険の本人でございますけれども、これも御案内でございますが、定額負担、定額負担ございましたけれども、考え方としては十割給付ということから、五十九年に一割、そして平成九年に二割給付というふうになってきたわけでございます。
 全体の流れからいたしますと、私どもの理解といたしましては、それぞれの背景、経緯があってスタートいたしましたが、医療保険制度が国民に定着するに従いまして、国民健康保険など給付率の低い方はより給付の率を高めるという方向に、また被用者保険など本人に見られますように、十割給付でスタートいたしましたけれども、これは給付率を見直す、引き下げるという方向で、言わば一種の格差の縮小というような流れがあったと思うわけでございます。
 今日、こうした背景を経まして、言わば当然のことながらもう国民皆保険制度、国民の間に定着をいたしましたし、非常に重要な制度として理解をしていただいているわけでございますが、一種の成熟期、特に今後のことも考え合わせますと、成熟期に入り、今後どういう形で運営していくかという時代に入ってきているんだろうと思います。特に、途中経過で老人保健法というものが昭和五十八年に施行されておりますが、これはそれまでそれぞれの淵源を持った、背景を持った制度を横断的に一種の調整をするという新しい枠組みができてまいりました。言わば国民皆保険という制度の中で、制度は分立しておりますけれども、全体としてはそれを調整をする手法が必要だと、また、その過程で給付率などについてもできるだけこれを合わせていくということが必要だという流れが大きな流れとしてあったと思っております。
 今日、今後の高齢社会の進展という状況を控えましてこれから先のことを考えますと、更にこの給付あるいは負担面での公平を図っていく、それで国民全体で皆保険というものを支えていくと、こういう時代だろうと考えております。
 今回の三割負担、いわゆる七割給付でございますけれども、七割給付の導入につきましては、もちろん、先ほど御指摘もございましたが、保険料とのバランスということも考慮をした上での導入ということになりますが、大きな流れとしてはただいま申し上げたようなことというふうに考えているわけでございます。
 今回、給付の面での各制度あるいは世代を通じた公平化といいましょうか、分かりやすい公平な制度と私どもも申しておりますが、制度、世代を通じた一定の給付体系ができ上がります。今後の課題として、まだまだ今度は負担面での格差というのも現実にはございますから、そういった辺りが今後の課題というふうに考えておりまして、そうした課題をどういう形で対応していくかというためには、医療保険制度そのものの体系、特に今後の高齢社会の進展を考えますと、高齢者医療制度の在り方、密接に絡みますが、そうした体系にさかのぼった議論が必要だろうということで、今後の検討課題として診療報酬も併せて明示されているというふうに考えておるところでございます。
 それから、保険料と自己負担のバランスの問題がございました。これは、原則的には、定率負担ということになりますと医療費が大きくなりましても保険料と患者負担のバランスは維持されるのが基本でございます。
 ただ、今回の御提案申し上げている制度の枠組みで申しますと、高齢者につきましては一割の御負担をお願いしておりますから、その高齢者が今後増えてまいります。したがいまして、将来に向かいますと、全体といたしましては給付率が今回の御提案しているよりも徐々に高まるという方向にはなるわけでございますが、これは高齢化に伴う変化、構造的な変化というふうに考えておりまして、医療保険制度を安定的に運営するためには、やはり患者負担と保険料負担のバランスをどう考えるかと。公的な保険制度という意味では七割が限度というのが私どもの考え方、七割給付が逆に申しますと少なくとも必要な給付率と考えておるわけでございますが、それを前提に制度の枠組みを仕組んでいくと。こんな課題が今後の課題だろうと考えているところでございます。
 十分な、御指摘に対しまして適切な御答弁を申し上げられたかどうか分かりませんけれども、私どもの現状の認識を申し上げれば以上のようなことでございます。
#87
○中原爽君 御説明がございましたように、この制度間のアンバランスを調整を要するということは、それはもっともでありまして、そこでこの医療保険制度間の給付率の統一を図り、公平で分かりやすい給付体系にまず整えるんだと。それは一つの調整でありまして、その調整をやるということについては別に問題はないわけでありますけれども、今おっしゃっておられる大きな流れというのが、本来、保険者を一元化するということが本当の基本ではないんですかね。それが一番大きな流れだと思うんですよ。いろいろな健康保険制度間のアンバランス、それはどこから生じているかと言えば、やはり今お話が出ている、将来保険制度を一元化しようということを基本に置いて、その上で末端の調整の三割を調整するんだと、こういうことが本当はきちっと言うべき中身だというふうに思っているわけであります。
 それでは、次は健康増進法についてお尋ねをしようかと思いますが、この健康保険法における、私が関係しております、私の職種にも関係あります歯科についての問題でありますけれども、この健康増進法案第七条の二の六というところにこういうふうに書いてございます。「食生活、運動、休養、飲酒、喫煙」、その次に「歯の健康の保持その他の生活習慣に関する正しい知識の普及に関する事項」と、こう書いてありまして、「歯の健康の保持」と、これわずか七文字でありますけれども、この大変、三十九条にわたる健康増進法の法案の中で、言わば歯科に関係のある文字は七文字しかないと、こういう状況であります。これは、いいとか悪いとか申し上げているわけではございませんけれども。
 別に、参議院の厚生労働委員会の調査室が作成されました参考資料がございまして、大変本当に参考になる資料でありますけれども、この百五十一ページに「八〇二〇(ハチマル・ニイマル)運動推進対策の概要」というページがございまして、そこに歯科保健運動推進の活性化の機構図というのが示されているわけであります。その次の百五十二ページにも、歯科の問題としまして、健康の問題としまして、胎児期から老年期に至ります歯科保健の年代別の対策表も付けていただいている。この二つが、それと「歯の健康の保持」が今回、歯科医療にかかわる健康増進法の中身ということであります。
 元々、申し上げたいのは、その七文字とか、そういうことにこだわっているわけではありませんで、この八〇二〇運動というのは、元は厚生省の成人歯科保健対策検討会という検討会がございまして、平成元年、一九八九年十二月十三日に中間報告書を出されました。その報告書の項目の中に、当面の歯科、成人歯科保健対策についてと、歯科衛生思想の普及啓発の項で、歯科保健の努力目標を設定するということで八〇二〇の運動を提案するというふうに書かれているわけであります。
 したがって、今、もう十何年かたっているわけでありますが、これは皆さん、歯科医師会がやっていることだというふうに御理解があるようでありますけれども、元々これは政府が二十一世紀の高齢社会に対する成人の歯科保健の健康をどうするかという努力目標を設定したんです。そこから始まっていることでありまして、このことを今回改めて申し上げて、健康増進法において今後、国民の口腔、口の中の衛生と健康増進を図る上でこの八〇二〇運動の推進が重要であると思われますが、この八〇二〇運動が開始された経緯と、その運動の持つ意味の再確認をお願いをして、平成元年以降、行政としてこの八〇二〇運動の推進をどういうふうに進められたかということの御説明をいただきたいと思います。
#88
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま先生から御指摘がありまして、若干繰り返す部分になるかもしれませんが、八〇二〇運動は平成元年に厚生省が設置をいたしました成人歯科保健対策検討会というものの中間報告書におきまして、国民の歯の健康づくりを推進していく一環といたしまして、八十歳で自分の歯を二十本以上保つ、そういう具体的な歯科保健目標として提唱をされました。それを踏まえまして、関係者の御協力を得ながら、政府として、その推進に取り組んでいるところでございます。
 その推進の経過、経緯について申し上げますと、平成四年度からは、八〇二〇運動推進会議の設置、これは今では四十七都道府県ほとんどに設置をされていると思いますが、そういうものですとか、あるいは八〇二〇運動実践指導者の養成、そういうものを行う八〇二〇運動推進対策事業というものを実施いたしてまいりました。
 また、平成十二年度からは、地域における八〇二〇運動の一層の推進を図るため、従来から行われております健康診査の普及などに加えまして、各都道府県における推進体制の整備ですとか、あるいはその地域の実情に即した事業、これを特別事業と申しておりますが、八〇二〇運動推進特別事業というようなものを実施しているところでございます。
 今後とも、こうした取組を通じまして、この八〇二〇運動の更なる推進を図って、高齢者を含めた国民の歯の健康づくりに努めてまいりたいと考えております。
#89
○中原爽君 ただいまの御説明で、八〇二〇という、八千二十という数字の意味について少し補足をさせていただきますけれども、この八〇の方は、これは日本人の平均寿命が八十歳になっているという意味でありまして、じゃ、二十は何かということであり、この二十は何かということが全くもう十何年たちまして分からなくなっている。八千二十だけが独り歩きをしておりまして、二十の本来の意味が失われております。
 何で二十かといいますと、我々人間の歯の数二十八本から、いわゆる親知らずが全部生えておりますと三十二本、それで二十でありますから、歯の数が二十という意味でありまして、じゃ、あと八本どこへ行っちゃったのかと、こういうことになります。本当は八〇二八の方がいいんじゃないかと、こういうことになるわけでありますけれども、どうして二十かということを説明しろと言われると、皆さん説明できない。
 これもう一回、余計なことでありますけれども、確認をさせていただこうと思うんですが、自分の歯が二十本残っておりますと、自分の歯でかめる最少の歯の数であり、自分の歯の数が二十本あれば、何とか自分の歯でかめる限界が二十ということであり、そういう意味で、少なくとも平均寿命に達したときに自分の歯を二十本残しておこう、あと八本なくなってしまったのは、いわゆる部分入れ歯で補おうと、こういう趣旨であり、したがって、平均寿命のときに二十本の自分の歯がどうしても必要だと、こういうことでこの八〇二〇運動が推進されているということを御理解をしていただきたいと思います。
 私ども人類は、特に日本人は平均寿命が延びました。しかし、この八十歳を超えた平均寿命の中で、私ども日本人の八十歳のときの歯の数は五本しかないわけであります。八〇〇五しかないというのが現状であります。あと十五本確保しようというのが本来の高齢社会、二十一世紀の高齢社会における歯科保健の努力目標である、こういう意味で御理解をいただきたいというふうに思います。
 それと、野生動物は自分の歯がなくなりますとえさが取れませんので、即死んでしまう。野生動物は命の寿命と歯の寿命が一致しているわけでありますけれども、我々日本人はそこのところが、命の寿命が延びましたけれども歯の寿命が延びてないということを申し上げたいというふうに思います。
 それで、もう一点でありますけれども、これは今回の法律には関係ございませんけれども、規制改革推進三か年計画という計画などがございまして、あるいは規制改革推進三か年計画、これが今いろいろ御提案がされているわけでありますけれども、この中でいわゆる支払基金のことについて、社会保険診療報酬支払基金、このことについてお尋ねをしようと思います。
 閣議決定をされましたこの規制改革推進三か年計画において、支払基金を通さずに保険者が自ら審査をし支払を行うことを可能にする方向がこの三か年計画で提案をされているわけであります。このレセプトの直接審査について、医療機関の関係者から、支払基金ができたという意味はどういう意味であったのかということのいろいろ問い合わせ、疑問がございまして、昭和二十三年の話になるわけでありますけれども、当時、支払基金が設立されてその法律ができたということは、当時、支払基金がない状態のときに、保険者からの診療報酬の支払が遅延する、いろいろなことがありまして、この支払基金が設立されたということであります。
 このことについて、一応政府の方から、今の支払基金に対するお考えを概略お聞かせいただきたいと思います。
#90
○政府参考人(大塚義治君) 医療費の支払の事務は、一方で大変数多くの医療機関がございます。病院、診療所合わせまして二十万というような数の診療機関があるわけでございますし、他方では、保険者ということになるわけでございますが、保険者は五千というような数がございます。全国それがすべて行き来をするとはもちろん限りませんけれども、大変多数の医療機関と保険者との間で支払事務を行うというのは大変複雑な、また膨大な事務になるわけでございます。
 今御指摘がございましたように、これを効率的に行う、適正に行うということになれば、必然的にこれを一元化した、集約した形で行うというのは合理的な発想でございまして、当時、こういう考え方で支払基金が設立をされたわけでございます。
 細かいことを申しますと、一部例外もございましたけれども、徐々に支払基金が自主的にも一元化をして、今、審査、支払を被用者保険については行っているわけでございます。
 念のために申し上げれば、国民健康保険については国民健康保険団体連合会が行っている、こういうことでございますので、私どもも、原理的には支払基金というような組織が一元的にこれを行うというのが少なくとも効率的で合理的だろうと考えておりますが、一方では、保険者が自主的に様々な活動をする、またしたい、すべきだと、こういう御議論がございます。
 そこの接点をどう考えるか、こういうことだろうと考えておりまして、今御指摘の規制緩和三か年計画では、保険者自らが審査、支払を行う道を開いてはどうかと、こういう御指摘で閣議決定をされておるわけでございますが、私どもの基本的な考え方は、ただいま申し上げました接点というような考え方を前提に医療機関と保険者が合意をいたしまして、相互に様々な条件も詰めてこれを合意として、当事者の間で言わば様々な約束をした上で実施するということを、これを否定をする必要もないと考えておりますし、それぞれの努力ということであれば、これも新しい一つの形というふうに考えておりまして、こうした前提で必要な措置をしたいというふうに考えているところでございます。
#91
○中原爽君 お手元に二枚ほど、歯科診療にかかわります資料をお出ししておりますが、もう時間がございませんので、歯科にかかわります各論的なことは次回に回させていただこうと思います。
 ただいま御説明ございましたように、この社会保険診療報酬支払基金というのは、いずれ民営化されるということでありますので、来年十月には民営、民間法人に移行するというふうに伺っております。したがって、これは法律改正を伴うわけでありますから、いずれこの支払基金の問題については、ただいまのレセプト審査も含めまして、各論的なことはいずれお伺いをする機会があろうかと思いますので、そのときにまた改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。
 最後に、大臣にお答えをしていただきたいと思うんですが、ただいま申し上げましたように、この総合規制改革会議であるとか経済財政諮問会議、今いろいろ諮問が行われておりまして、私ども医科にかかわります問題については、医療機関の株式会社であるとか、あるいは医療にかかわります経済特区を作ると、いろいろ御提案がありまして、基本的には市場原理を導入して、そこのところは競争していただくんだというような意味がございますけれども、改革というのはすべてを、古いものを全部変えてしまえばいいということではないというふうに思うんですね。古いものの中でいいものは残す、そして改革をして新しいものを付け加えていくということが本来一番必要なことではないかと思いますが、大臣のお立場として、この辺り、今後医療制度を含めて改革をされることについての基本的なお考えがございましたら、本当に簡単で結構でございますけれども、お聞かせをいただきたい。
#92
○国務大臣(坂口力君) 医療の抜本改革を行うにいたしましても、いろいろのことを挙げておりますが、まとめて言えば、それは医療の質を高めることと、安定したシステムを作ること、そして負担と給付の公平を図ること、大体この三つに私は要約できるというふうに思っております。
 これらのことを成し遂げるために、診療報酬体系をどうするとか、あるいは分立いたしております医療保険制度をどう統合・一元化をしていくかといったような問題がそこから生じてくるというふうに理解をしているわけでございます。
 今お話がありましたように、様々な医療を取り巻きます問題で提言されていることは事実でございますが、私も、それを聞きますごとに戸惑うわけでございますし、そこでいつも申し上げておりますのは、やはり医療というのは経済効率だけを追求するものではない、経済効率も否定はしませんけれども、併せて医療の質を高める、医療の質を高め、そして医療の効率を図る、そのことが抜きにして、そして経済効率だけを言ってはいけないのではないでしょうかということを常に申し上げているわけでございまして、そうした観点から、これからいろいろの御発言あると思いますけれども、受け入れるべきもの、しかしそれは御遠慮を申し上げなければならないもの、取捨選択を明確にしていきたいと考えております。
#93
○中原爽君 ありがとうございました。
#94
○櫻井充君 午前中の参考人の方からいろいろ意見をいただきました。その中で、私は本当に極めて残念だったのは、東京女子医大での原因の分析というものがきちんとなされていなかった点でございます。
 これ、本当は坂口大臣に聞くのは私は筋違いなんだろうとは思うんですが、女子医大の問題のような場合に、主任教授の責任というのはどのように取らなければいけないとお考えでございましょうか。
#95
○政府参考人(篠崎英夫君) 私の方から答弁をさせていただきますが、主任教授というのはその教室の責任者でございますので、部下に対する管理責任というものはあるというふうに考えられます。したがいまして、その管理に不行き届きがあったという意味での責任はあるというふうに考えております。
 ただ、今先生の御質問の趣旨が、改ざんの行為に例えば直接かかわったかどうかと、そういう意味の責任ということであれば、その事実関係は現在捜査当局で取調べ中ということでございますので、現段階で厚生労働省として判断するのはなかなか難しいと、このように考えております。
#96
○櫻井充君 私は、これは大臣にお伺いするのは筋違いと申しましたのは、女子医科大学というのはこれは管轄は文部科学省ですよね。それでよろしいんでしょうか、局長。
#97
○政府参考人(篠崎英夫君) 大学という意味ではそうでございます。講座制という意味ではそうでございますが、特定機能病院という意味では、これは厚生大臣の認可でございますので厚生省ということでございますし、また、医療機関ということでありますれば、医療法上、厚生省の所管ということにもなると思います。
#98
○櫻井充君 そうすると、改めてちょっと確認させていただきたいんですが、今、特定機能病院という話になりましたが、特定機能病院の指定を受けると厚生労働省ということなんですか、それとも、大学病院の附属病院というものはこれすべて厚生労働省の管轄の中に入るんですか。そして、もう一つ、その病院は文部科学省と共管ということになるんでしょうか。
#99
○政府参考人(篠崎英夫君) 特定機能病院と申しますのは、大学病院の本院だけでございます。したがいまして、今回の例でいいますと、大学にはいろいろ本院以外に幾つかの附属病院があるところがありますが、それは対象になっておりませんで、大学病院の本院のみでございまして、高度な専門的な医療を行っていただく全国八十の医科大学の本院、それと、国立がんセンター、国立循環器病センター、合わせて八十二か所が厚生大臣の指定の特定機能病院ということになっておりまして、これは共管ではありませんで、厚生省の所管ということでございます。
#100
○櫻井充君 そうしますと、今回問題になりましたあの女子医科大学の胸部外科になりますよね、小児外科になるんでしょうか、あそこの管轄は文部科学省なんですか、それとも厚生労働省なんですか。あそこの部署がありましたよね、あれがちょっと今、本院にあったのかどうなのかがよく分からないんですけれども、あそこの所管はどちらになるんですか。
#101
○政府参考人(篠崎英夫君) あれは本院でございますので、特定機能病院としてふさわしいかどうかということで、私どもとしては今まで四回審議会がございまして、そこで審議をしていただいているということでございます。
#102
○櫻井充君 特定機能病院の返上ということなんですが、これは私は至極当然のことなんだろうと思うんです。
 もう一つ問題になって、ちょっと済みません、これ通告していないんで後で御検討いただきたいんですけれども、あそこは心臓手術ができる全国で三か所の病院の中の一つだったと認識しております。あのようないろんな、そして、しかも、今回のお話を伺っていると、とても組織としてきちんと調査したとかいう感じではないんですね。つまり、先ほど言いましたが、その主任教授、あ、申していないかもしれません、主任教授がどういう認識であったのかとか、そういうことに関しての一切の今日は御報告がございませんでした。そうしてみると、きちんとした調査をしないで、何となく臭い物にふたで、何となく組織を作りましたからこれから大丈夫でございというようなところに、果たして手術をお願いしていいのかどうかという問題点が挙がってくるんだろうと思うんですね。
 ただし、ここにもう一つ問題があるのは、結局、東京近郊の方々は東京女子医大でなければ移植手術を受けられないという問題なんですね。ですから、その点から考えてきたときに、もっと別な病院で心臓の移植手術ができないのか。そして、そのことが可能であったとすれば、女子医大で、しばらくの間ですけれども、そのような移植の手術を取り消すとか、指定病院から取り消すとか、私はそのぐらい厳しい措置が必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょう。御検討いただけますか。
#103
○政府参考人(篠崎英夫君) 今御指摘がございましたその移植の施設ということについては、検討させていただきます。
#104
○櫻井充君 ありがとうございます。
 そして、もう一つ問題になるのは、カルテの改ざんのことなんだろうと思うんですね。これまで処罰されることがなかった。これが、カルテというものがどういうものの扱いを受けるかということが今までずっと議論になってまいりましたから、ですから、カルテの改ざんとかに関して罰則の規定がなかったというのはこれまた事実なんだろうと思います。
 しかし、今回のこの事件と、そして世論の今の現状から考えてくると、やはり何らかの罰則規定を法律上設けてくる必要性があるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#105
○政府参考人(篠崎英夫君) 今、先生の御指摘は、きっと医師法の中で位置付けたらどうかという御趣旨だろうと思いますが、医療事故を隠ぺいするというような、そういう不正の目的のためにカルテを改ざんするということは、これは刑法上の証拠隠滅罪に該当する可能性があるわけであります。しかしまた、医師法の上では、そのような行為をするということは医師としての職業倫理に著しく反する行為でございますので、現行法のこの医師法の中におきましても、医事に関する犯罪又は不正の行為というものの対象にもなりますし、またさらには医師としての品位を損する行為ということにも該当するものでございますので、医師法上、医師の行政処分の対象になるものでございます。
 また、カルテそのものの改ざんを医師法でどうかということでございますが、カルテというのは、診断書は医師法の中で厳しく規定をされておりますが、本来、流通させたりあるいは対外的な内容証明ということを想定していない文書でございますので、御指摘のようなことについてはなお慎重な検討が必要なのではないかというふうに思っておりますけれども、こういう状況でございますので、カルテの事後的な、例えば訂正というような場合には誤解のないようにするというようなこともあろうかと思いますので、その法的なことを含めて検討会を立ち上げるつもりでおりますので、そういう中で検討していきたいと考えております。
#106
○櫻井充君 どうも、慎重に検討するとかいういろいろ言葉が出てくると、どういうことなのかよく分からないんで、最後にもう一度、検討いたしますということになっておりましたから、つまりは法律上罰則規定を設けると、これを検討されるということなんですね。
#107
○政府参考人(篠崎英夫君) 医師法上罰則規定を設けるかどうかについては、先ほど申し上げましたように慎重に検討させていただきたいと思っておりますが、カルテの書き方等につきましては検討させていただきたいというふうに思っております。
#108
○櫻井充君 済みません、今日は傍聴の方、一杯来られていますよ。慎重に検討すると検討するの違いを教えてください。
#109
○政府参考人(篠崎英夫君) 現時点での私どもの判断でいきますと、医師法上それを法的に罰則規定を設けるということは難しいのではないかなと。検討はしてみますけれども、現時点で考えますにはなかなか難しいのではないか。先ほど、悪意に満ちたものについてはほかの処罰する法律があるものでございますから。
 ただ、こういう状況で、医療事故の非常に国民の関心が高まっている状況で、カルテに記載されていることが非常に大きな意味を持ちますから、その書き方等につきましては、例えばカルテというのは多くの場合事後にきっと書くんだと思いますが、訂正ということもあるいはあるかもしれない。ただ、その訂正と改ざんがはっきり、何といいますか、あいまいでは困るわけでございますので、そういうカルテの記載のことについてはこれはもう前向きに検討しなきゃいけないんじゃないかなと、こういうふうに思っているわけでございます。
#110
○櫻井充君 要するに、難しいときは慎重に検討するということなんですね。それで、やるときは検討しますという、そういうことなんでしょうか。
 しかし、世論が今どういうことなのかということはやはり判断していただきたい。そして、しかも今までは備忘録というんでしょうか、そういう位置付けだったのかもしれませんけれども、これからは決してそうではないと。特に、カルテ開示を我々は今回の患者の権利法でももっと積極的にやっていくべきだということを訴えておりますから、その点から考えてきますと、今までの考え方とは大きく変わっていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。大臣、いかがでございますか。
#111
○国務大臣(坂口力君) 今おっしゃいましたように、カルテの位置付けというものが大分変わってきていると思うんですね。したがいまして、現在の法律の中でどうかということを考えていくのか、法律そのものを合わせていくのか、改正をしていくのかということだろうというふうに思っています。
 したがいまして、新しい立場で、カルテどうあるべきかというところからどうするかということを決めたいというふうに思います。
#112
○櫻井充君 明快な答弁ありがとうございます。是非、前向きに今度は御検討いただきたいと思います。
 もう一つ、(発言する者あり)前向きにはまた違うんですか、これは。
 医療事故のことなんですが、最近増えてきたということではなくて、私は、最近その医療事故が分かるようになってきただけなんだろうと思うんですね。
 研修医時代、こういうことがございまして、ある外科のお医者さんが、胃潰瘍の手術を五百件やったけれども、そのうち三百は違っていたということを私に話をしてくださったこともあります。あの当時、胃カメラもありませんでしたから、ある部分仕方がなかったことなのかもしれません。今ならとてもじゃないけれども許されることではございません。
 つまり、情報が開示されるに従って明らかになってきていることが随分ございます。そこの中で、やはり医療事故を我々医者は起こしたいと思ってやっているわけではなくて、いろんな原因があって医療事故を起こしてきてまいります。そういう今現時点で、医療事故というものの原因はどこにあるというふうに、一番特に重要な点はどこにあるとお考えでございましょうか。
#113
○政府参考人(篠崎英夫君) 今の時点で、いろいろ検討会をしていただいておりまして、その中で言われておりますのは、一つではなくて、四つ大きく分けて言われております。
 それは、様々な職種の人が携わっておるものでございますから、まず人によることが一つの原因ということでございます。それからもう一つが医薬品や医療用具の物によるもの。これは、見た目が同じようなものですとか、あるいはやり方がよく似ているようなものですとか、そういう物による原因。それから三つ目が医療機関というものの組織の問題。これは、安全管理委員会等が話題になっておりますが、そういうきちっとした組織があるかどうかというのがある。それがなかったらまたそういう事故が起きるということでございますから、そういう組織の問題。そして四番目といたしましては、幾ら組織があってもそれがちゃんと運用されていなければ駄目なわけでございますので、そういうソフトの問題ということでございまして、こういう四つの要素が医療の現場ではきちっと動いていることが大事でございまして、このうちのいずれかの機能が不十分であることからこういう医療事故というのは起きるのではないかと、これは一般論でございますが、こういう言い方をされているわけでございます。
#114
○櫻井充君 その点でいうと、一番最初に人の問題だとおっしゃいましたが、正しくそのとおりなんだろうと思うんですよ。つまり、今の自分たち現場にいて思うことは、余りに人員配置が少な過ぎて、日常、勉強する時間もなかなかない、それから患者さん方に説明している時間もないということが私は一番大きな問題なんだろうと思うんです。そうしてくると、その人員配置を一体どうしてくるのかということがまず一番大きな問題になってくるんだと思うんですね。
 その意味でいうと、ベッドの削減をしていかなければいけないということを、これは平成九年にたしか今後取り組んでいきますということになっていたはずなんですが、平成九年と、それから今年になるんでしょうか、昨年度の数字か分かりませんが、どのぐらいベッドが削減できているんでしょうか。
#115
○副大臣(宮路和明君) 病院の病床数につきましては、平成十二年の医療法改正、そのときに地域医療計画といいますか、医療計画制度を設けまして、設けてというか設定、作りまして、そして、それ以来、効率的な医療の提供ということに資する観点から、基準病床数というのを定めることといたしておるところでありますが、以来、それまではずっと病床数が上昇傾向をたどってまいりましたけれども、平成元年の制度改正を契機に、その病床数の上昇が頭打ちと言っちゃなんでありますが、横ばいという傾向にありまして、現在では、若干ではありますが減少傾向を呈しているということになっております。ちなみに、百二十五万、大体、病床という、現在、数字になっております。
#116
○櫻井充君 九年と、私、最近の直近のデータが欲しいだけなんですけれども。要するに、九年の改正、あそこのところで、抜本改革をします、病床減らしていきますということになっていたんだろうと思うんですが、そのときの数と現在とでどのぐらい減ったんですか、変わったんですかということです。
#117
○副大臣(宮路和明君) どうも済みません。
 平成九年からいたしますと、そのときに百二十五万三千五百八十八床、そして現在が百二十五万五千七百六床でありますので、若干ながら平成九年からしますと今増えているということでございます。
 先ほどは平成二年をベースに申し上げたものですから、どうも失礼いたしました。
#118
○櫻井充君 これで二つ問題があると思っています。一つは医療費の問題です。もう一つは医者の人員配置の問題になるんだろうと思うんです。つまり、人口当たりでいうと決して日本は少ないわけではないんですが、大学病院に人がやたらいるとか、それから都市部に集まっているということがあってどうしても医師の数が足りないように見えてしまうというところが一つ大きな問題なんだと思うんですね。
 このベッドの削減というものをどうやってやっていかれるおつもりなのか、そして、若しくはベッドを削減しないんだとすると医師の数を増やさない限り、医者の数を増やさない限り、私はいろんな医療事故というのは起こってくるものだと思っているんですが、どのようにされるおつもりでしょう。
#119
○副大臣(宮路和明君) 最初の答弁でちょっと申し上げましたが、地域医療計画を作ってやってきております結果、一般の病床数につきましては平成五年以降は若干減少傾向をたどっていると先ほど申し上げて、ちょっと、平成九年からは少し増えているじゃないかという御指摘は確かにあるわけでありますが、傾向としてはそんな傾向にあるわけであります。
 そこで、それを更に推し進めるべく、病床につきましての機能分担と申しましょうか、一般病床と療養病床とのその仕分、そういうことも平成十二年の法改正でやっておるわけでありまして、そしてその結果、療養病床は一方で増えて、一方では一般病床は減ると、こういうことになるんではないかなという、そういう期待も込めてこういった機能分担をやって、今その事務を進めておるところでありまして、来年の八月までに、医療機関がどういう選択をするか、その届出を来年の八月までにやっていただくことにしておるわけであります。
 ですから、そういうことも通じながら、今申し上げましたような二次医療圏ごとの医療機関の機能分化を一層進めたり、あるいはまた、補助事業として近代化施設の整備事業をやっておるわけでありますが、それを用いて療養病床への転換を促していくといったことによりまして効果を上げていきたいと、このように思っておるところであります。
#120
○櫻井充君 実は、前回の私の質問の際に各委員の皆さんに資料をお配りして、今日はもう持ってこなかったんですが、入院医療費と病床数の相関というのは、これは取れているんですよ、きれいに。きれいに取れているだけじゃなくて、世界と比較したときに、例えば日本は、これで見るとアメリカの三倍ぐらいでしょうか、そのぐらいベッドがあるわけですよ。ここのところを整理しない限り、日本の医療費というのは削減できないんですよ。こういう基本的なことをやらないで負担だけを押し付けているから皆さん文句言っているんですよ。違いますか。これはもっと、いついつぐらいまでにきちんとやるということを言っていただかなければ解決しないと思いますよ。
#121
○国務大臣(坂口力君) 総括的には副大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、このベッド数の問題と入院日数の問題とは私は絡んでいると思います。入院日数を減らしていけば、それはベッド数がまたうんと少なくて済んでいくと。この二つを車の両輪としてやはり進めていかざるを得ないんだろうというふうに思います。
 そして、人員配置の問題につきましても、入院日数が少なくなってくると、同じベッド数でありましても非常に忙しくなるなと思うんですね。
 先日もがんセンターにお邪魔をしましたけれども、今まで三十日だったのを十九日ぐらいまで入院日数を落としてきた、そうしたらべらぼうに忙しくなったと。それはそうだと思うんですね。次から次に新しい人が入ってくるんですから、検査その他に追われるわけでありますので、私もそれはよく分かるわけであります。
 したがいまして、そういうことを行いながら、一方において、人の配置としては、ベッド数というよりも入院日数当たりどうなのかということで少し見ていかないと現場はもたないんではないかというふうに思っております。
#122
○櫻井充君 おっしゃるとおりだと思います。そのことをどういう形でやっていくのかということになるんだろうと思います。
 一つは、これは銀行の統廃合と一緒になるのかどうかは別ですけれども、病院自体の、ある意味、合併というようなものも考えていかなきゃいけないのかもしれないですね、本当は。その地域当たりどういう病院があって、その多分絵をかいていくのは県が中心になって本当はやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういうことを、ある意味、合併なら合併ということをやっていくような何らかのインセンティブを掛けていくというのも一つのことなんだろうと思うんです。例えば税制面で優遇しますとか、今、かなり借金を抱えていますから、そこの病院にすぐやめてくださいといっても、なかなかやめざるを得ないところがあるんだと思うんですね。
 そこが一点と、それからもう一つは、いわゆる社会的入院の方々の施策というのはどこがやっているかというと、基本的に世界の国々は住宅政策でやっているわけですよ。これは厚生労働省の範疇じゃないんですよね。厚生労働省が今回百八十日ルールを作って病院から追い出そうとすると、結局、ホームレスの患者さんたちがどんと増えて、どうせ病気になってまた入院してくるということの繰り返しになるんだと思うんです。そうすると、これは国土交通省になるんでしょうけれども、住宅政策を併せてやらないと、つまりは、今は病院であったところを、ある意味、住宅に変えてしまおうとか、住宅というかケアハウスでも構わないんですけれども、そういうものに変えていきましょうということと併せてやっていかないとなかなか解決しないと思うんです。
 ですから、その意味でいうと、国土交通省と連携を取って考えていくべき政策なんじゃないだろうかと思っているんですが、いかがでしょうか。
#123
○国務大臣(坂口力君) それは御指摘のとおり、私もそういうふうに思います。それは、タイアップをして進めていかなければならないというふうに思います。
 ただ、百八十日にしたからすぐその人たちがホームレスになるということは、それはちょっと、私はそうとばかりは思いませんけれども、しかし、トータルで考えましたときには、やはりそういうことが大事だというふうに思っています。
 ですから、この医療政策というのは、医療の分野だけで考えていたのでは解決が付かない問題がたくさんあるわけでございますから、そうしたこともやはり念頭に置いて、関連の省庁とも連携を密にしながらこれをやっていかないといけないというふうに思います。
#124
○櫻井充君 それから、医療事故の中で、もう一回医療事故に戻るんですが、医者のミスといいますか、医者の診断、治療、そういったもので亡くなっている方々というのも随分いらっしゃるんだろうと思うんです。私たちも、一生懸命やっていても全部のことについて知っているわけではありませんから、知らないうちに、実はほかの先生方が診ていれば助かったかもしれないと、そういうこともあるんだろうと思うんです。
 大体、アメリカではこういう、何人ぐらい亡くなっているというのがレポートとして出てきておりますけれども、日本ではそういう調査というのはなされているんでしょうか。
#125
○政府参考人(篠崎英夫君) 厚生労働省といたしまして、医師のミスが原因で患者が死亡した事例の数というものは把握をしておりません。
 また、諸外国では、いろいろ推計値で出されておりまして、それを基にした推計値が学会で報告をされたりしておりますが、これはあくまでもいろんな前提を置いた上での推計値でございます。
 しかしながら、こういう実態を把握することは私どもも大変重要なことであるというふうに考えております。それで、法律の専門家などを含めたワーキンググループを今月中ぐらいに設置をいたしまして、医療事故に関する情報の収集方策、そういうものについて検討してまいりたいと考えております。
#126
○櫻井充君 アメリカでは自動車事故より多いんじゃないかと、そういう指摘があるわけですよね。日本も恐らくそのぐらいの数字になるんだろうと思っています。
 ですから、まずその実態をきちんと調査することが極めて重要なことだと思っておりますし、そしてもう一つは、医者のレベルを上げていくという点でいうと、研修医制度というのが極めて重要なことになるんだろうと思うんです。
 平成十六年から研修医が必修になります。ところが、私びっくりしたのは、もう法律で枠組みが決まっていて、あとは政省令で落とすだけということで、この間、タイムスケジュールを見せていただいたら、七月中には一応取りまとめを行って、八月にパブリックコメントを求めて、九月には政省令で公布するという、そういうタイムスケジュールをいただきました。国会で一度も審議しないままこの研修医制度を政省令で公布されるというのは、私は極めておかしなことじゃないかと思うんですね。
 研修医制度というのは物すごく大事なことであって、その制度を国会で一度も議論しないまま、このタイムスケジュールならですよ、そういうことはあってならないと思いますが、大臣、いかがですか。
#127
○国務大臣(坂口力君) 法律ができましたのは十二年でございますが、そのときにはかなり国会におきましても研修医制度におきましての議論をしていただいたというふうに思っております。それから後も、今回のこの健保法の改正問題につきましても、その中でかなり御意見が出たりいたしておりますから、まとめてというわけではありませんけれども、かなり御意見をいただいているというふうに思っております。
 そうしたことをよく踏まえてこれやっていかないといけないというふうに思いますし、この研修医制度の今後の在り方、そのことが日本の医療の将来を決定すると言っても私は言い過ぎでないというふうに思っております。その辺のところはそれこそ慎重にここはやっていかないといけないというふうに思いますし、そして今まで大学病院だけに偏重しておりました研修医制度というものを、もう少しこれは地方においてもそれがやれるように、そうしたこともよく考えていかないといけないというふうに思っております。
#128
○櫻井充君 八月に、今まで審議がされていた、意見は今まで随分出てきたということですが、しかしやはり厚生労働省としてどういうことを考えているのかというのを見てみないと、やはりこちら側は何も分からないまま、こういうことがいいんじゃないかといっても、でき上がったものが全然違っていればこれは大変なことなわけですよ。ましてや、パブリックコメントを求めるということになれば、本来でいうと、間接民主主義の世界でいうと、パブリックコメントというか、それをコメントするのは本来、我々の役目なんですよね。その我々が国会で議論一度もできないまま政省令で落とされてしまうというのは、私はおかしいと思っているんですよ。
 改めてお伺いしたいんですけれども、こういう場で少なくとも集中審議は必要なんだと思うんですよ。厚生労働省で案がまとまったところで国会できちんと議論できるような場を、場をというか、そういう姿勢が厚生労働省におありなのかどうか、その点について改めてお伺いさせていただきたいと思います。
#129
○国務大臣(坂口力君) 私も、事務的にいつそれができ上がるのか定かに知っておりませんけれども、そうしたものを大体まとめるということになってまいりました場合に国会におきまして御議論していただくこと、決して反対するものではございません。
#130
○櫻井充君 是非、この点は極めて重要な点なので、お約束いただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#131
○国務大臣(坂口力君) これ、院の問題でございますから、私がどうこうと言うことは控えさせていただきたいというふうに思いますが、院の方で御決定をいただきますれば、それに私たちも従いたいと思います。
#132
○櫻井充君 それともう一つ、今、党の中でも研修医問題の検討を行っているんですが、そこの中で出てきているのは、卒前研修を一体どうしていくのかということが極めて重要なことだということになりました。
 卒前研修といいますか、卒前教育は、結局は、これは厚生労働省というのは何らかの形で意見を言ったりすることはできるんでしょうか。基本的に、ここはもう完全に文部省の管轄になってしまっているんですか。
#133
○政府参考人(篠崎英夫君) 一義的には先生おっしゃるように文部省でございますが、ただ、私どもは、この医学の問題、医学教育、そしてまた卒前、卒後の教育というのは一貫しているものでございますので、絶えず連携を取りながら、あと共通の協議会などを設けておりまして、連携を取りながら進めているというところでございます。
#134
○櫻井充君 文部省の方々には大変申し訳ないんですけれども、医者ってどうあるべきなのかということを私は御理解いただけていないと思うんですよね。
 ですから、本来であれば、ある部分のところか、あるところから医学教育の部分に関して言ったら、主は厚生労働省になるべきじゃないのかなという気がするんですね。いかがでしょうか。
#135
○政府参考人(篠崎英夫君) 今後の必修化される卒後の二年間の教育研修について議論いたしますときに、やはり卒前の、特に最終学年の六年生のときの臨床経験というのが非常に大きく影響してくるわけでございまして、そのような意味合いから、今までもそうでございましたが、今後も文部科学省と連携を取っていきたいと考えておりまして、坂口厚生大臣のお声掛けで文部大臣、厚生大臣と連絡協議会、私ども入りました連絡協議会を早速作っております。五月に第一回を開催をいたしております。また近々、第二回を開催する予定でございますが、そういうことを通じましてそごのないように、卒前、卒後でそごのないようなプログラムを作っていきたいと考えております。
#136
○櫻井充君 是非、もう少し厚生労働省主導で生涯教育みたいな、医者の、そういうことをきちんと作られて私はやっていただきたいと思っているんです。
 もう一つ言えば、もっと言えば、入学のときだってどうするのかって議論した方がいいと思っているんですよ。それは何かというと、最近も話題になってきましたけれども、私立大学に入る際にいろいろお金を支払って入っている人たちもいるわけですよ。私の同級生も、ある大学受けたときに一次試験受かって、親が呼ばれまして三千万円出せるかって言われたんですよ。三千万円出せませんと言った途端に当然のことながら二次試験落ちているんですよ。
 今もまだそういうことがありまして、私はそういう人たちが医者になってくることというのは極めて問題なんだと思うんですよ。大臣、その点の御認識、いかがでございますか。
#137
○国務大臣(坂口力君) 現実がどういうことになっているのかよく分かりませんけれども、しかし医師というのは能力も問われますし人間性も問われるというふうに思います。その双方をしっかりとやはり見る試験制度というものが確立されて初めて優秀な立派な医師が育ってくるのだというふうに私も思っております。
 そうした医学部の選抜制度につきましても、私も委員と同様な意見を持っておる次第でございます。
#138
○櫻井充君 是非、国民の皆様にいい医療が提供できるような体制をきちんと作っていただきたいと思いますし、我々もそのことに関して努力していかなければいけないだろうと思っています。
 それから、済みません、健康保険法のところに戻りますが、医療費をどうやって削減していくのかと。さっきベッドの問題ちょっと言いました。私、最近、民主党の中で歯科医療の問題取り上げておりまして、極めて驚く事例に何回か遭遇、経験いたしました。
 というのは、今度、もしお許しいただけるんであれば、是非、委員の皆さんにビデオを見ていただきたいんですが。車いすで動いてこられた方が、きちんとした義歯をはめた途端に立ち上がる方がいらっしゃるんですね。これは一人だけじゃないんですよ。それから、徘回されていた方が二か月ぐらいたって何時何分まで読めるようになるんですよ。これは、調べてみると、確かに歯が生えそろっていると、これはここからブラックボックスなんですけれども、その神経を通じて脳の血流が良くなるんじゃないだろうかとか、それから筋力が増してくるんじゃないか、そういうことが言われております。
 兵庫の歯科医師会の方から八〇二〇、七十歳で八〇二〇を達成されている方とそうでない方の医療費を比較してみると、八〇二〇を達成している方の方が二〇%医療費が削減できたという数字が出てまいりました。それから、先ほど車いすの話をしましたが、その先生が、二十数例です、その方が調べてみると四人に一人が立ち上がれるようになるというんですね。今、寝たきりの方々が三百五十万人ぐらいいらっしゃいますから、きちんとした歯科医療をやると医療費の削減につながっていくんだと思うんです。介護の部分でも、それから医療の部分でもです。
 しかし、今回、私が物すごく危惧しているのは、平成九年に一割負担から二割負担になりました。歯科医療費の総額は平成八年が二兆五千億円でして、その後ずっと二兆五千億円台なんです。つまり何かというと、二割負担になって一番受診抑制来たのは実は歯科医療なんですよ。今度もし三割負担になって、歯科医療がまた抑制が掛かるようなことになってきてしまうと、たかが歯だと思っているかもしれないけれども、実際のところはそういう、もう一つは痴呆が改善するというデータもありますから、痴呆が進んでしまうんじゃないだろうか、かえって、むしろそこで受診抑制来ることによって医療費が増してくるんじゃないだろうかと、そういう心配をしています。
 その点でいうと、もう少し歯科医療というものに力を入れていくような、例えば定期検診なら定期検査をもっと、今は五年に一回でしょうか、十年に一回の地域もあるのかもしれませんけれども、もう少し毎年やるなりなんなりしていくことが医療費の削減につながっていくんじゃないかと思うんです。
 こういうことをきちんきちんと一つ一つ詰めていくことによって、やれることを全部やった上で、なかなかもうやれる手だてがありませんねということであれば、医療費は皆さん、申し訳ないけれども、国民皆保険が実施できないから三割負担にお願いしますねというのは私は筋なんだと思うんですよ。少なくとも私が個人的に計算してみると、歯科医療きちんとやると五千億円から一兆円ぐらい医療費全体で削減できるんじゃないかと思っているんです。
 その辺のことについて、厚生労働省で御検討いただいたことはおありでしょうか。
#139
○国務大臣(坂口力君) 先ほど、中原議員のときにお答えをしようかなと思って、ようお答えもしなかったわけでございますが、今また櫻井議員の方からお話がございまして、この歯科医療の重要性というのは、今まで口の中の問題だというふうに思っていたけれども、そうではなかった。体全体に影響することであるということはだんだんと明確になってきたと思っております。
 そういう意味で、健康診断のときに歯科というのは余り入っていないんですね、今まで、会社におきましても、あるいは地域におきましても。私は、毎年しなくてもいいから、節目節目、例えば、四十五歳とか五十歳とか、節目の年齢のところでのこの歯科の健診というのを導入できないかということを今言っているところでありまして、これは予算もこれはかなり掛かるわけでございますので、来年度に向けましてそうしたことを今検討してもらっているところでございます。
#140
○櫻井充君 是非そういう分野に研究費を付けていただきたいと思います。そのことが、先ほども言いましたけれども、医療費全体を削減できるだけではなくて、結局、歩行できなかった人たちが歩行できるようになってくる、それから痴呆が進んでいた人たちが止まってくるということになってくると、クオリティー・オブ・ライフが変わってくるわけですよね。その意味でも私は極めて重要なテーマだと思いますし、研究費を投入するに値することだと思っておりますので、是非御検討いただきたいと思います。
 そして、これは委員長にお願いなんですが、先ほど中原先生も、各論は後日また審議できる場があるとおっしゃっておりましたから、是非もっともっと審議をしていただいて、その場で是非、治療をしたときに立ち上がる姿を私ビデオで是非多くの委員の方々に見ていただきたいと思っておるんですが、このことについて御検討いただけますでしょうか。
#141
○委員長(阿部正俊君) はい。また皆さんと理事会で協議をして、時間を作れればそうしたいと思っています。
#142
○櫻井充君 あと最後にもう一つ、医療機器の問題についてお伺いしたいと思います。
 つまり、日本の場合には、MRIとかそれからCTスキャンというのが大体世界の三倍から五倍ぐらいございます、人口割にするとございます。そうすると、いろんな問題があるんだと思うんですよ。患者さんからしてみれば、検査ができる病院がいい病院だと思っていらっしゃる方も数多くいらっしゃいますから、そうしてくると、病院側としてもこういうものを設備しなきゃいけないと。設備してみたら今度はペイしなきゃいけないからちょっとぐらい頭が痛いとみんなCT撮りましょう、MRI撮りましょうみたいな格好になっているから医療費というのはどんどん増えてきているような気がするんですよね。
 その意味で、こういう医療機器、検査といったらいいんでしょうか、こういう医療機械とか、医療検査のことについてもう少し何らかの手だてを講じて医療費を削減していく方向に行くべきじゃないのかと思っていますが、いかがでございましょう。
#143
○副大臣(宮路和明君) 確かに、我が国におけるMRIなどの高額医療機器の普及というものは大変高い水準にあること御指摘のとおりでありますし、私もおかげさまで毎年MRIも撮らせていただいていると、そういうような状況にあるわけであります。
 しかしながら、それを効率的にもっと使用を高めるといったようなことのためにも、これは共同利用などを推し進めることは大変大切なことであるというふうに思っておりまして、その結果、厚生労働省におきましてはMRI撮影に関し、診療報酬改定におきましても共同利用率を評価した点数を今回設定させていただく、また地域医療支援病院というのが御案内のように、櫻井先生御案内のようにありますが、そういったところにおける共同利用のための高額医療機器の整備に対する補助といったような手だてを講じて、そうした共同利用による高度医療機器の利用の促進と、それによる医療費の低減というものを考えて、政策を打っているところでありまして、今後とも御指摘に沿ってしっかりとそうした共同利用等を進めてまいりたいと、このように思っております。
#144
○委員長(阿部正俊君) 簡潔にお願いします。
#145
○櫻井充君 はい。毎年MRIを撮られるのはいいかもしれないけれども、それが無駄な医療費なんですよ。今回の改定でもう一つ厚生労働省考えていただきたいのは、私の知り合いの医者が去年の十月にMRIを買ったんです、整形外科の医者でですね。だけれども、急に四月の一日にぽんと三分の二に保険点数下げられたらたまらないですよ、これは。もっと前から、これから設備投資しようという人たち一杯いるわけですから、こういう保険点数になりますよというのはある程度前もって言っておいていただかないと、大変なことになると思いますね。現場の方々は物すごく困っていらっしゃいます。ですから、そういうことも併せて御検討いただきたいと思います。
 質問を終わります。
#146
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。ようやく出番が回ってまいりました。同僚の櫻井委員に引き続いて、今日はせっかくの機会をいただきましたから、医療事故に関連する課題を中心に、限られた時間ですが、質問をさせていただきます。
 質問に入ります前に、今日冒頭、午前中三人の参考人の方から貴重な御意見を聞く機会をいただきました。あわせて、そのときに東京女子医科大学病院における被害者の家族の方から、当委員会に対して要望書が出されました。その中身は、現行法では対応し切れない多くの問題があるということを体験をして分かりました、是非、これから本当に信頼される医療実現のために、医療事故に関する法整備を是非とも進めていただきたいと、こういう御要望でありました。全くそのとおりだと思いますし、私もその問題意識で今日は幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今日の質問の素材に、午前中に堺参考人から、この四月に取りまとめられた「医療安全推進総合対策 医療事故を未然に防止するために」、かなり分厚い中身について大急ぎで中身を御紹介をいただきました。そこで、これに盛り込まれている幾つかの項目についてまず今後の検討の方向といいますか、今後どのように具体化されていこうとしているかについて、厚生労働省のお考えをお尋ねしたいと思います。
 まず最初にお尋ねしたい点は、やっぱり病院にしろ、その医療機関における安全管理対策の体制整備ということが何よりも前提条件として求められると思います。もちろん、委員会を設置した、あるいは体制をそれなりに整備したと、そういう形だけ整えたというだけでは必ずしも実効的な効果が表れていないという実例が実は既に幾つか出てきているし、今日の午前中の実例もそうだったと思うんですが、それはそれとして、今後医療機関における安全管理体制の整備強化について、例えばそれは一体どういう法律に基づいて、どういう機能と役割を想定して、どんな設置基準なり運営基準、運営原則を考えて、しかもどんなメンバーで構成しようとしているのか。既にこの報告書にはそういう医療安全管理委員会の設置等を含めて体制整備が必要であると、こういうことが示されているんですが、じゃ、その具体的な中身となると、必ずしも明確にはなっていない。今後の検討にゆだねられているようであります。
 まず、この点について、厚生労働省の現時点における考え方、御説明いただきたいと思います。
#147
○政府参考人(篠崎英夫君) 四月に公表されました医療安全推進総合対策におきまして、すべての病院、そして有床診療所に医療安全管理委員会の設置を義務付けるということとされております。
 このための法令上の措置といたしましては、医療法の施行規則を改正をいたしまして、病院及び有床診療所の管理者の責務の一つとして安全管理体制の設置を義務付けることを予定をいたしております。
 また、この本委員会の役割といたしましては、医療機関内の安全管理対策を総合的に企画、そしてまた実施する組織といたしまして、院内報告制度により収集された事故事例、あるいは事故には至らないですけれどもヒヤリ・ハットのような事例、インシデントの事例でございますが、そういうものに関する要因分析や、またそういうものがあったときの、今後そういうことを二度と起こさないようなための改善策の立案などもここで検討していただく。それから、それぞれの病院における安全管理指針を策定をしていただく、そしてまた安全管理に関する職員研修、そういうものの企画立案なども行っていただくというようなことを考えておるわけでございます。
#148
○朝日俊弘君 現時点ではそういう検討の方向をお聞きするにとどまるのかなと思いますが、ただ、今の御説明に関連して、ちょっと一つあえて質問を追加したいと思うんですが、東京女子医大病院の報告を聞きますと、あそこはそれなりに安全管理委員会もきちんと設置されていて、ところが、それが必ずしもうまく動いてこなかったというようなお話がございました。特に、外部といいますか第三者といいますか、そういう目というかチェックがなかったのが問題点ではなかったかというようなことを林参考人はおっしゃっていました。
 とすると、これから検討を詰められていくんだろうと思いますが、医療安全管理委員会の構成メンバーの中に入れるのか、それとも、それとはちょっと別の横っちょからのチェックを掛けた方がいいのか、いずれにしても、病院あるいは同じ医療機関のメンバー以外の人の目で見てどうなのかという、チャンスというか機会というか、場面というか、そういうものを作っておく必要があるのではないかということを今日の午前中の意見を聞いていて思ったんですが、この点についてはどう思われますか。
#149
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま、先ほど申し上げたことを準備中でございまして、この秋に向けてそういう体制を整えるように準備をしておるところでございますが、この安全管理委員会のメンバーのことについてでございますけれども、今のところ私どもが考えておりますのは、当該医療機関が抱える安全管理上の様々な問題点について院内で検討を行う場ということから、必ずしも外部者を含めるべき性格というものとは考えていないわけでございますけれども、安全管理委員会の人選につきましては、これはあくまでも各医療機関の主体的な判断で行われるべきものであります。当面は各医療機関の対応状況を十分に見極めた上で、その後、私どもとして適宜適切な対応を検討していきたいというふうに考えております。
#150
○朝日俊弘君 今日はこれ以上問い詰めませんけれども、ただ、確かに院内における独自の安全管理委員会というのはこれはこれで必要だと私も思います。ただ、それがうまく機能しなかった場合のことをどうするかということは、ちょっと別途の問題として問題意識を片隅に置いて検討を進めていただければというふうに思います。
 さて、そのことと関連して、ちょっとこれも二点目、御説明いただきたいんですが、私もよく理解できない点があるんです。今年の四月の診療報酬点数改定で、実施は今年の十月からのようですが、医療安全管理体制未整備減点という制度が入った。もう少し丁寧に言うと、これはそれぞれの医療機関で医療安全管理体制が十分に整備されていないところについては診療報酬を減点すると、こういう、ただ十点という減点ですから、十点ということは百円ですから、どうなのかなということも思いながら、こんな制度は初めてだと思うんですね。
 これ、ちょっと制度の中身について御説明いただいて、これどうやってチェックするのかな。このどこの、この病院は整備できているけれどもここの病院は整備できていないというのはどうやって、現実問題、一つ一つチェックするのかな、何か書類だけ上げればそれでいいということなのかなというふうに思いまして、実務上のことも含めてちょっとよく分かりませんし、それから、今、局長からお答えいただいた、医療法に基づく政令なり省令なりに位置付けられた医療安全管理委員会ということと今回の診療報酬上の措置とは関連するのかしないのか、ちょっとよく分からないので、ちょっと御説明いただきたいと思います。
#151
○政府参考人(大塚義治君) 御指摘ございましたように、今回の診療報酬改定の中で、十月施行を予定しておりますけれども、医療安全管理体制未整備の場合の減算という仕組みを取り入れました。もちろん、こうしたものは今回初めての試みでございます。
 考え方といたしましては、もちろん安全管理というものはそれぞれの医療機関の言わば当然の義務ということになるわけでございまして、必要最小限というべきでしょうか、そうした観点から安全管理体制の整備が行われていないというところにつきましては十点、これはもう基本診療、入院料でございますけれども、入院料一日十点減点をする、減額をする、こうした措置を導入をいたしたところでございます。
 具体的には幾つかの条件があるわけでございますが、委員会の開催が、設けられて開催されている、あるいは文書化した指針が整備されている、院内の報告制度が準備されているといったようなことでございまして、先ほどお話、御議論のございました安全管理体制と軌を一にしているというか、考え方を一にしているというふうに考えております。
 ただ、おっしゃいますように、これ具体的に実施するというのはそう簡単ではないわけでございます。もちろん私どもの前提といたしましては、減算という方法を導入したという考え方の御説明いたしましたように、基本は、こうしたことは必然的にやっていただける、またいただくという前提に立つというのが一つでございますが、診療報酬の面だけでこれ実施あるいはその安全確保というわけにはまいりませんで、診療報酬の面からも何かできないかという、言わばそういう発想でございますが、どういうふうにチェックするのかということになりますと、指導、監査あるいは医療法に基づく指導といったようなことも活用しながらということになりますけれども、基本的には、むしろこうした考え方を導入した、今後これをどういうふうに定着しあるいは改善していくかと、そういった段階だと私どもは認識をいたしております。
#152
○朝日俊弘君 気持ちというか思いは分からぬでもないんですけれども、私の意見は、実際にチェックしようがなくて実効が上がらないような事細かなものは作らない方がよろしいというふうに思っているんです。例えば似たようなので、褥瘡対策をちゃんとやっているかどうかでこれまた減算するというのがありましたよね。これも、一々どうやってチェックして減点するのか、正直言って決して実効的ではないと思う。
 もちろん、診療報酬の面でそれなりに何らかの対応を検討したというお話でありますけれども、私は、診療報酬体系はできるだけ、加算するにしても減算するにしても簡素化するべきだというふうに思っていまして、しかも、実効性の乏しいような加算や減算はどんどん廃するべきだと、新たにこういう項目を作ることはいかがなものかというふうに思っていまして、趣旨は分かるんですよ。だけれども、意味がない、ナンセンスだというふうに私は思わざるを得ない。もう今更、四月からスタートして、いや実質的には十月から実施ということのようでありますが、再検討しろといっても難しいのかもしれませんが、やっぱりこういう考え方で診療報酬について組み立てていくことについては一定の反省を求めておきたいと私は思います。
 さて、その上で、もう一つの問題。もう一つの問題といいますのは、この医療安全推進総合対策の中で指摘されているのは、医療機関における体制整備とともに、地域において苦情や相談に対応するための体制も整備する必要がある、こういうふうに報告をされているわけです。その中では、仮の名前として医療安全相談センターというものを設置するということも含めて、是非そういう体制整備をしたいと、こういうお考えのようでありますが、しかし、これも先ほどの質問と同じようになりますが、どういう法律上の位置付けがあって、その機能と役割はどのようなものを考えていて、その設置基準なり運営規則はどんなものを想定しているのかな、どんな構成メンバーを考えているのかな、中身についてよく見えません。
 現時点で、厚生労働省、どんなふうにお考えか、お聞かせください。
#153
○政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘の医療安全相談センターにつきましては、これは法律上の位置付けはございませんけれども、予算上で対応したいと考えておりまして、来年度、予算要求をしたいと考えておるわけでございます。
 一応、二層制の苦情処理相談の機能ということを考えておりまして、一つは、三百六十三ございます二次医療圏ごとに一つそういう処理機構を作る、それからもう一つは、四十七都道府県の都道府県レベルでそういう相談、苦情相談機能を作る、つまり二層制にするということでございます。
 その中で相談事例の分析、検討などを行いましたり、またそのメンバーにつきましても、医学、法律家あるいは住民の代表等の、そういう第三者の方に入っていただくような機関が、相談協議会が必要なのではないかと考えております。
 また、その相談の内容に応じましては、必要に応じて、医療機関への問い合わせですとか、あるいは場合によっては指導なども行う必要があるのではないかというふうに考えております。
 また、それを、窓口になる相談員に関しまして、私ども、国として研修の実施とか、あるいは相談件数、集まりましたらば、対応の事例集の作成など、そういうようなことも考えておりまして、医療安全の総合的な対策の一環としてこの機能を位置付けたいというふうに考えております。
#154
○朝日俊弘君 基本的なお考えは分かったんですが、ただちょっと、例えば今二次医療圏という言葉が出てきましたけれども、二次医療圏というのは分かりにくいんですよ。地域の住民の皆さんに二次医療圏に一か所と言ったって、全然説明通じないんですね。都道府県に一か所とかいうのは分かりやすいです。あるいは市町村に一か所とかいうのは分かりやすい。
 そうはいっても、全市町村にというわけにいかないからという理由もあり、また二次医療圏ごとに医療機関の整備が進められているからということもあって二次医療圏とおっしゃるんでしょうが、具体的には二次医療圏に一か所というのはどんなところを考えているんですか。
#155
○政府参考人(篠崎英夫君) 二次医療圏につきましては、医療法上、生活、住民の生活圏域をベースにいたしまして、現在、全国で三百六十三あるわけでございますので、四十七都道府県で見ますと大体一つの都道府県で十前後の区域に分かれておりまして、それぞれの住民が日常の生活できる生活圏域というようなことを基本にして都道府県が決めておるというところでございます。
 その単位に今どんなことを具体的に考えているかと御質問でございますが、今のところは関係省庁といろいろ今調整をしておりますので、まだはっきりとここだということではございませんけれども、前回委員会でも御答弁を申し上げましたように、保健所が一つの有力な選択肢なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#156
○朝日俊弘君 かなり、これもどこまで実効性あるものができるのか、いささか心配というか、危惧をしていますが、是非地域においてそういう相談、支援できる場所が必要だということについては私も同意見ですので、来年度予算に向けて、より具体的な検討を進めていただきたいと思うんですが、ただ、ここで一点注文しておきます。注文ですから聞きおきください。
 苦情処理とか苦情相談とかいう枠組みは変えてほしい。多分、患者さんや家族の皆さんは、ちょっとこれ聞いてみたいなという話から、ほとんど告訴、告発に近い話から、随分幅があると思うんですね。何かそれを十把一からげに苦情の相談というふうに言うのは、いささか相手を見下していないかというふうに私は思えてならない。だから、表現も含めてですが、相談を受ける範囲については相当広範にわたらざるを得ないということも念頭に置きながら、その中身について検討を進めていただければというふうに思います。これは要望であります。
 さて次に、時間が迫ってまいりましたから、ちょっと視点を変えて大臣に伺います。
 医療事故をいかに予防するか、防止するかという観点から考えて、どうしても患者さん一人一人の診療情報というか、個人健康情報というか、そういう情報をまずはできるだけ丁寧に説明をし、御理解を得て納得していただくといういわゆるインフォームド・コンセントの徹底と、それからそれを記した診療録、カルテ、このカルテ開示について、当然、本人あるいは本人の権利を代理する者から請求があれば開示すべきと、こういうことについて、既に、あれ三年前でしたか、医療法改正のときにも議論がございました。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 そのときには、必ずしも一気に法定化するのはいろいろ問題があるというような御議論もあって、インフォームド・コンセントについては努力規定ということで盛り込まれたわけですね。
 さて、それから三年ほど経過をして、今日の午前中のような大変不幸な医療事故──医療事故なのか医療犯罪なのか、両方がダブっているような事例をお聞きするたびに、改めてこのインフォームド・コンセントの徹底と診療録、カルテの開示についての義務化、法制化について再度検討すべきではないかというふうに私は思いますが、改めて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#157
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから医療事故につきましていろいろの御主張があるわけでございます。この医療事故の原因をやはりずっと考えてみますと、最近、非常にチーム医療というものが進んでまいりまして、一つの医療に多くの人たちがかかわるようになってまいりました。一対一で患者さんと医師とということではなくなるという形にもなってきているわけでございます。
 こうした形になってまいりますと、余計に今御指摘いただきましたインフォームド・コンセント、説明というものをだれかが代表して十分にこれをしないと、患者さんに現在行っております治療の内容が十分にお伝えすることができ得ない。また、その結果が全体、トータルで今どうなのかということにつきましても、皆さん方に提示ができ得ないということでございますので、時代の進み具合に応じまして、その必要性というのは私も率直に言ってだんだんと高まってきておりますし、そしてここは年々歳々やはり義務化するかどうかは別にいたしまして、そうした是非患者さんの方にお伝えをするという方向に進めていかなければならないんだろうというふうに思っている次第でございます。
 先ほども局長の方から答弁しましたが、七月五日に、診療に関する情報提供の在り方に関する検討会、検討会ばかりたくさん作ってどうするんだという御意見もあるわけでございますが、しかし、いろいろ議論をして前に進めていかなければなりませんので、多くの専門家の皆さん方の御意見もいただきながら、ここは少し整理をして、そして前に事を進めるということにしないといけないというふうに率直にそう思っておる次第でございます。
 今年中に大体結論を出していただくようにいたしておりますので、それに従いましてひとつ更なる検討をしたいというふうに思っている次第でございます。
#158
○朝日俊弘君 私も臨床現場にいたことがありますから、実務的にいろいろ考えると、大変難しい場面があることは十分想定できます。
 つい先日も、自治体病院協議会の精神病院部会では、精神病の患者さんに対する電気ショック療法についてのインフォームドコンセントが十分に取れていない、半数ぐらいにとどまっているというようなお話もあって、何とかそれを改善していこうという自治体協議会の病院レベルでの取組もありますので、是非全体として患者さんに十分に説明をして、それも人によるとドイツ語で説明するお医者さんがいるんですけれども、ちゃんと日本語で説明をして、十分御理解を得て、納得、同意を得るということが当たり前のルールなんだという方向で是非検討を進めていただきたいと思います。
 さて、そのことともう一方で、これ全く矛盾するような話になるんですが、さてさてこの個人診療情報、個人健康情報というのは大変デリケートなセンシティブな個人情報ですから、それがもちろん本人にはきちっと開示してもらわなきゃいけないんだけれども、逆に他人に漏れるというようなことがあってはならない。また、どこかに漏えいして目的外に使用されるようなことがあってはならない。そういう意味では、個人健康情報あるいは個人の診療情報については、相当にきちんとしたデータセキュリティーとプライバシー保護、これは是非とも必要だというふうに思います。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 今、医療分野の問題は超えて、個人情報保護の問題が議論になっているわけですが、しかし現状で個人の診療情報あるいは健康情報について、どういう仕組みで保護されるようになっていますかとお尋ねしますと、基本的には医療に従事する資格、医師とかそういう資格に伴う守秘義務が明記されていることはあるけれども、それ以外にはなかなか十分なる法律や規則はないようでありますね。
 これは一つ今後の課題だと思うんですが、是非個人情報を大きく十把一からげにどうするという議論ではなくて、医療にかかわる診療情報あるいは個人の健康情報についてのデータセキュリティーとプライバシー保護については、一定のルールを確立していく方向で検討すべきではないか、こういうふうに思っているんですが、この点についてのお考えをお聞かせください。
#159
○国務大臣(坂口力君) このプライバシーの問題につきましても、これ大事な問題でございまして、先ほどのお話と裏腹の問題でございます。
 それで、一つは昨年の六月に、これまで守秘義務が課せられていなかった看護師につきましても、新たにこの法令上の守秘義務の整備を図ったところでございます。これはほかの医療従事者には掛けられていたのに看護師さんだけなぜ掛けられていなかったのか、よく分かりませんけれども、今まで抜けていたようでございますので、看護師さんにも是非お願いをするということにいたしました。
 それから、電子カルテの普及等と併せまして、ネットワークにおけるセキュリティーを確立しますために、今、技術的な基盤整備というものも、これもしていかなければならない。今までは外に出ることがなかったものが、IT化によりましてそれがかえって出るというようなことにもなりかねないわけでございますので、ここも整理をして、そういうことがないようにしていかなければならないというふうに思っております。
 その一番の根っこのところの個人情報保護でございますが、これは個人情報保護法、デッドロックに乗り上げておりまして、私も昨日でしたか呼ばれまして、お前は政審会長時代、個人情報保護法がちゃんとでき上がらなければすべては動かないというふうに言ったじゃないかといって、大分つるし上げられたわけでございますけれども、ここは個人情報保護法を明確にしていくという意味では、現在の個人情報保護法案の中にもそれは含まれているわけでございますが、しかし、いろいろの問題があって、ここがデッドロックに乗り上げるということになれば、もう一遍、一から考え直さなければならないというふうに思っているわけでございまして、医療に関しますこの個人情報につきましても、利用目的の特定でありますとか第三者利用の制限など、こうした問題を明確にしておかなければならないというふうに思っております。
 そうしたことで、法律、もっとこれかかわってまいりますが、ここは怠りなくやっていきたいというふうに思っております。
#160
○朝日俊弘君 是非これは取組を進めていただきたいと思いますが、私は余り全体の個人情報保護法の話にとらわれないで、それはそれでいろいろあると思いますけれども、ちょっと置いておいて、個人情報には私はかなりセンシティビティーの度合いが違うだろうと。かなり、例えばこれからどんどん遺伝子分析などが進んでいくと、個人の遺伝子情報なども分かってくるようになる。これはもうセンシティビティー第一級というような個人情報、そういう意味では個人情報のレベルというか、センシティビティーによってその規制の在り方は変わってくるんではないかというふうに思うので、個別のルールの積み重ねみたいなことがどう集大成されていくかということで考えた方がいいんじゃないか。何か上からがばっと大網掛けるような法律の仕組み方というのはまずいんじゃないかと思っていまして、是非そういう意味では医療分野、これは実は医療分野だけじゃなくて、次の機会に健康増進法のところでもお尋ねしたいと思っているんですが、健康情報についても、例えばがん登録の問題にしても、かなりそういうセンシティブなデータを扱うわけですから、是非これは、厚生労働省として着実な検討の積み重ねを是非お願いしたいと思います。
 それじゃ最後に、今日はこの問題だけに絞って質問を終わりたいと思います。
 いろんな安全対策あるいは安全管理体制を医療機関ごとに作っていくことの必要性は一方で十分認めながら、どうもそういう体制というか委員会というか、そういう仕組みを整備していっても、なおかつそれがうまく動かないところがどうも多々あるようだ。何か医療の世界というか病院人間というのは、やや閉鎖された空間というか、ある種専門家集団という中での壁というか、そういうところがかなりいろんな問題を風通しよく議論するという雰囲気を失わさせているんじゃないかという気がしてなりません。私は、以前から時々半分冗談に、病院人間の半数以上は施設病にかかっているというふうに言っていたことがあるんですが、何かそういう発想にとらわれてしまっている。是非、そこはひとつ脱施設化の方向で運営なりを考えていかなければいけない。
 そういう意味で今後、例えば病院の運営について、もう既に幾つか実践的にやっておられる病院もあるんですけれども、患者さんたちとか家族の皆さんとか、場合によっては市民の皆さんとかが入っていただいて懇談会を開く、あるいは協議会を持つ。是非、もう少し開かれた病院運営というかそういう方向に持っていって、医療機関というか病院がもう少し何というのか地域に開かれたオープンな場になってほしい、そんなふうに思っていつもいろんな議論に参加をしてきました。
 具体的に何をどうしろというふうに今この段階で申し上げるつもりはありませんが、幾つかの例があるわけですから、今後、医療機関の運営の在り方について何か是非そういう方向をできるような、しやすくなるような仕組みというかインセンティブを考えられないだろうかという思いを持っているんですが、この点について大臣のお考えを伺って、今日の質問は終わりたいと思います。
#161
○副大臣(宮路和明君) 私の方から御答弁申し上げさせていただきますが、朝日先生御指摘のように、市民と申しますかあるいは利用者といいましょうか、そういった方の参加という方法を含めて、医療機関の運営あるいは経営にもっと透明さを高めていく、地域に開かれたものとしていくということは、これは重要なテーマであるというふうに考えております。
 このため、例えば外部の有識者を医療法人の理事とかあるいは評議員として登用するといったようなこと、さらにまた、医療機関の運営について直接地域住民の皆さんの意見を聞く場を設けるといったことが考えられるわけでありまして、昨年、厚生労働省といたしましては、これからの医業経営の在り方に関する検討会というものを設置をいたしまして、今後の医業経営の問題について検討を目下いたしておるわけでありまして、今年度末を目途にその取りまとめをするということで検討を急いでおるわけでありますが、今後、この検討会におきましてそうした方向を、そうした問題を重要なテーマの一つとして検討をしていきたい、積極的に取り上げてまいりたいと、このように思っておるところでございます。
#162
○朝日俊弘君 終わります。
#163
○草川昭三君 公明党の草川です。
 最初に大臣に一言、高額医療費制度をめぐる取扱いの改善についてお尋ねをいたします。
 今回の改正案では患者負担の見直しが行われてくるということでございますが、患者負担が大きくなれば高額療養費が果たす役割は極めて重大になる、当然のことでございますが、厳しい今日の経済情勢の中で家計に与える影響を考慮しようというような声も当委員会で随分出ております。きめ細かな対応を検討すべきではないかというのが一つの意見だと思うんですが、今回の改正法案の附則に、医療保険各法、老人保健法及び介護保険法の自己負担が著しく高額になる場合にはその軽減を図る仕組みの創設が規定されているわけでございますが、大臣の御見解を賜りたいと思います。
#164
○国務大臣(坂口力君) この附則は大変大事な附則だというふうに思っているわけでございます。ただし、これを実現をするのには幾つかのハードルを越えなければならないということもございます。
 一軒のおうちの中で何人もの方が御病気をされる、あるいは介護をお受けになるといったようなことは、これは間々あることでございます。これは高齢者に限ったことではないというふうに思いますが、とりわけ高齢者の皆さん方におきましてはそうしたことが起こりやすい。介護も必要だ、医療も必要だというふうなことが起こりやすい。その皆さん方の中で、これは所得にかかわりなくそういうことは起こるわけでございますけれども、とりわけ所得の少ない御家庭におきましては大変大きな問題になるだろうというふうに思っております。したがいまして、どういう方法でこれを進めていくかということを、いろいろございますけれども、一つは所得の低い皆さん方のところからそれをどういうふうに行っていくかということを、これを詰めていかなければならないんだろうというふうに思っております。
 ここで一番問題になりますのは、名寄せではありませんが、掛かられました医療費なりあるいは介護費用というものをどう寄せるか、そしてどれだけ掛かったかということをどう把握をするかというその仕組みを作り上げていかなければならないわけでありまして、ここを電算化すればこれは早くいくんでしょうけれども、そこに、どんなふうにして早くここを実現に移すことができるかということが一番の難しいところだというふうに思っておりますので、それに対して少し知恵を絞りたいというふうに思っているところでございます。
 レセプトの電算化と併せまして考えたいと思いますが、しかしレセプトの電算化が行われなくても何かやれる方法がないかということも探りたいというふうに思っておりまして、そうしたことで、重要な附則でございますので、一日も早くそれが確立できるように努力したいと考えております。
#165
○草川昭三君 今の大臣の答弁は非常に私本法案の審議に当たって重要な答弁だと思いますので、さらにまた当局の御努力をお願いをしたいと、こう思います。
 次に、午前中に参考人の質疑が行われましたが、これに関連して若干の質問をさせていただきたいと思うんです。
 川崎協同病院は、国の指定によって臨床研修の病院になっているわけでございますが、つい最近の神奈川県議会でこの問題が取り上げられております。研修医の問題については、先ほども他の委員の方からの御発言がございましたし、厚労省の方からも、たしか二年前ですか、一定の方向を、今日の方向を出したという答弁がございましたが、この研修医の問題は実は国会では長い間議論になっておりましたし、陳情もございまして、教室の権威とどう対処したらいいのか、あるいは特定病院に集中をし、研修医の方々の研修希望がなかなか受け入れられない等々の様々な問題があり今日の状況になっておると思うんでございますが、そのときの条件というのは、かなり厳しい条件で研修医というものを受け入れるというような制度になったと思うわけであります。
 是非私は、今日の午前中の参考人の報告ではこの研修医制度の問題について適格かどうか私は疑問があるわけでございますし、そういう主張をどうも神奈川県議会でも議論になったようでございます。当局の見解を求めたいと思います。
#166
○副大臣(宮路和明君) この川崎協同病院の臨床研修病院としての指定の問題、このことにつきましては、実は以前に衆議院の厚生労働委員会におきましても福島議員からその旨の御指摘がございまして、そのとき、実は私の方から、そうした御指摘も含めて、私どもとして遺憾なきを期してまいりたいと、かような答弁をさせていただいているところでございますが、その後、五月になりまして厚生労働省として書面を発出いたしまして、その研修体制等の現況を把握するための調査を行わせていただいたところであります。
 その結果、臨床研修病院としての指定基準、これいろいろ、今、草川先生御指摘のとおりいろいろあるわけでありますが、その指定基準に照らして著しく不適切な研修が行われているとの実態は、その書面調査上は認めることができませんでした。
 しかし、いずれにしましても、今後、私どもとしては、司法当局による捜査、あるいはまた外部評価委員も含めた真相究明委員会による調査も進められているところでありますので、そうした状況把握も十分いたしながら、また今後、書面調査だけではなく、立入調査ということも含めまして鋭意、調査検討して対応に万全を期してまいりたいと、かように思っているところでございます。
#167
○草川昭三君 これは、今から申し上げるのは神奈川県川崎市の議会で議論になったことを基に質問するわけでございますが、川崎市の地元の新聞で、「川崎協同病院での不在者投票 「職員の面前で記入」 入院患者、市に苦情」というこれは新聞が出たようでございます。
 これを基に川崎の市議会で川崎協同病院についてどういうような不在者投票が行われているかということが議論になったようでございまして、神奈川県の選挙管理委員会と川崎市の選挙管理委員会が連名で不在者投票の指定施設としての事務処理について調査をするというようなことを聞いております。
 その調査依頼文によると、川崎協同病院は昭和五十一年以来、不在者投票の指定施設として入院患者の不在者投票事務を行ってみえたわけでございますが、この今、私が申し上げた新聞等で報道をされたことで議会で質問が出、不在者投票事務の執行体制が確保されているかという確認のために選管の方に話がどうも行ったようでございます。
 それで、この川崎市の選挙管理委員会と神奈川県の選挙管理委員会が先ほどの川崎医療生活協同組合の病院長に事務の処理についての照会ということをされているようでございまして、この回答が七月の十日でございますから、もう正しくリアルタイムな話でございますが、この調査票を見ますとかなり細かい点がたくさん出ておりまして、どういう答えが出るか分かりませんけれども。
 例えば、質問の中で、投票記載場所の設備については、事務机につい立てを置くなど投票の秘密をどのように配置されているのかお答えを願いたい、専用の台数は何台ありますかというようなことまで書いてあるようでございますし、また重病人が歩行が著しく困難な場合は不在者投票管理者の管理下で立会人の立会いがある限りベッドで投票することができますが、このような事例はありましたかどうかというような、そんなことまで何か選挙管理委員会は病院の方にお尋ねになっておるようですね。あるいは、いろんな投票、代理投票をする場合の取扱いにつきましても、補助者の承諾を求めることになっているが、このような事例はありましたかとか、どうでしょうかというような問い合わせ、非常に細かい問い合わせをやっているようでございますが、総務省の選挙部長さん、お見えになっておられると思うんですが、どういうようなふうにこの点はなっておるのか、現状をお尋ねしたいと思います。
#168
○政府参考人(大竹邦実君) 不在者投票制度につきましては、これは公選法で定めております投票当日投票所投票主義、この例外でございますことから、これにつきましては、投票の秘密でございますとかあるいは公正な選挙の確保のために、公職選挙法はその施行令におきまして詳細な規定かつ厳格な手続を要求しているところでございます。
 例えて申し上げますと、投票記載場所につきましては、投票の秘密を保持し、不正が行われることを防止するため相当の設備をしなければならないこと、それから不在者投票をするときは不在者投票管理者や事務に従事する者のほかに少なくとも一人の立会人が必要であること、それから代理投票を行います場合につきましては、投票所におけるものと同様に、立会人の意見を聞いて補助者二人を本人の承諾を得て定め、その一人の立会いの下に他の一人が投票記載場所で選挙人の指示する候補者の氏名を記載しなければならないこと、こういった手続を規定しているところでございます。
 また、このような規定のほかにも、指定施設の不在者投票管理者につきましては、公正な選挙の執行のための機関としての地位にかんがみまして、不在者投票に関し、その者の業務上の地位を利用して選挙運動をすることはできないこと、それから買収等の罪を犯した場合につきましては一般の人がその買収罪を犯した場合に比べますと罪が加重されていること、こういった規定が設けられているところでございまして、不在者投票の公正確保のために種々の規定を設けているところでございます。
#169
○草川昭三君 自治省の、総務省でございますが、選挙部長さん、御苦労さんでございました。私はそれだけで結構ですから。
 それで、今度は生活協同組合法のことについて、これは一つ厚生労働省にお伺いをしたいと思うんです。
 それで、私の手元に川崎医療生協の発行されました機関紙があるわけです。
 この機関紙を見させていただきますと、これは毎月一回出しておみえになるわけでございまして、二〇〇二年四月一日の、これは第何面ですか、第二面の一番下のところに、「川崎医療生協のあゆみ 組合員が育てた五十年」、連載事項が出ておりまして、一九七〇年代のいろんな過去の経緯がありますが、その一番下段のところに、
 革新市政を求める気運が高まり、一九七一年の市長選挙では、労働組合や住民運動、婦人団体、文化団体など幅広い市民の統一へのねばり強い働きかけのなかで「明るい革新市政をつくる会」が日本共産党と日本社会党(当時)、市民団体、労働団体を中心に結成され、川崎医療生協は常任幹事団体としての重責を担いながら組織をあげて奮闘しました。
  その結果、統一候補の伊藤三郎氏が当選し、川崎市に革新市政が誕生しました。大師病院の金谷芳恵事務長も市会議員に当選しました。
 こういう、これは機関紙でございますから、それをちょっと読まさせていただきました。
 同じく六月一日の、これは二〇〇一年の六月一日の医療生協の新聞では、「介護保険 問題点改善へ一大署名運動」というところに「特別決議」というのがございまして、二〇〇一年の五月、第四十九回川崎医療生活協同組合通常総代会、それで一つ、二つ、三つとございまして、最後に「今年は、四年に一度の川崎市長選挙が十月に行われます。 介護保険改善へ多くの市民と署名対話して、大きな世論をつくり、介護保険を抜本改善する市長を誕生させて要求を実現しましょう。 右決議します。」。これは、通常総代会というところで決議をされておみえになるわけであります。
 いろいろと、各種団体でございますから、生協ですから、いろんな政治運動を個人としておやりになるのは全く自由でございますが、総代会でこういうようなものを決議する、あるいはまた、その他の政治活動というんですか選挙運動というんですか、そういうものについて、厚生労働省にお伺いをいたしますが、生活協同組合法の立場からどういうような関連になるのか、お答えを願いたいと思います。
#170
○政府参考人(真野章君) 消費生活協同組合法第二条の第二項におきまして、「消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」というふうに規定をされておりまして、これを踏まえまして、生協の政治的中立の確保ということにつきまして周知を行っているところでございます。
 例えば、国政選挙や統一地方選挙の際に、生協が選挙に際しまして、組織としての特定の政党又は候補者の支援を決定したり、組織として支援をしてはならない旨を都道府県及び生活協同組合連合会等に対して通知をしておりまして、今後とも、機会をとらえまして、その趣旨の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
#171
○草川昭三君 もう一回、時間がございませんので、念を押します。それは過去一回だけですか、それとも過去何回かおやりになったんですか、お尋ねします。
#172
○政府参考人(真野章君) 先ほど申し上げましたように、国政選挙や統一地方選挙の機会をとらえまして通知をいたしております。
#173
○草川昭三君 我々もいろんな政治活動のことについては十分承知をしておるわけですが、お互いにやはり基本的なルールというものがあると思うんです。そして、やはり役所の方からそういう通達が出ておるならば、それが担保されるような形で是非やっていただきたいと思いますし、それが医療現場でございますので、私は、日本の医療というものが生活協同組合方式としてどんどん伸びるようにするならば、やはりそういう方向で私はやっていただきたいということを申し上げまして、時間でございますので、終わりたいと思います。
#174
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 宮路厚生労働副大臣にお伺いをしたいと思います。
 副大臣は昨日の参議院の予算委員会で帝京大学の入試をめぐる寄附金の疑惑について質問されましたね。私もその場で聞いておりました。大臣は医科大学あるいは大学の医学部の在り方について御答弁されていましたが、もう一回、あるべき姿についてあのとき答弁されたことをお答えいただきたいと思うんです。
#175
○副大臣(宮路和明君) あのときは、大臣が御出席できなかったものですから私が代わって予算委員会に出席をいたしたわけでありますが、そのときの小宮山先生の御質問に対しまして私がお答えしましたことは、大学の医学部あるいは医科大学は、我が国の医療を担う医師の基本的に必要とする技術あるいは知識を習得させ、また医師として必要な人格を涵養する、そういう場であって、したがって非常に大切な役割を、重要な役割を担っているところであるので、その学生の選抜あるいは育成に関連して不正があってはならないというふうに考えておりますと、そういう趣旨の答弁をいたしました。
#176
○小池晃君 大変立派な考えだと思うんです。そのとおりだと思うんです。問題は、果たしてそれが実行されていたのか、副大臣の行動の中でそれがどうだったのかということであります。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、副大臣は、今年になってから、ある受験生の親から帝京大学の医学部の入試をめぐって依頼を受けたことはありませんか。
#177
○副大臣(宮路和明君) 私どもは、日ごろ、いろんな陳情と申しましょうか要請を、相談を受けるわけであります。就職相談しかり、あるいは受験相談しかり、結婚相談しかり、もろもろの相談を受けるわけでありますが、そういう中にあって、受験についても私どもの後援会の方からいろんな相談を受けているということは、これは事実でございます。
 帝京大学と私との関係につきましては、これはもう二十年ぐらい前から私は帝京大の冲永荘一先生とは、大学の先輩後輩ということを通じて、そういうこともあって、政治の世界を志す以前からよく存じておるわけであります。
 そこで、小池先生の御質問、なぜそういうのが私に降ってきたのかなと思って私もけげんに思ったわけでありますが、先般、もう三週間か一月ぐらい前だと思いますが、御党の機関紙でありますところの赤旗の記者の二人が私の事務所にお見えになって、それで、鈴木宗男さん絡みでいろいろと調査をしているんだけれども、宮路事務所が鈴木さんに何かその面でいろいろと計らいをしたことあるんではないかというふうな点から御指摘があったということで、いや、私どもは、鈴木宗男さんのところとは一切そういう問題でかかわりはないんですがということを申し上げたところ、実は、こういうようなメモが、私どもは持っているんですということであった、その記者の方がですね。
 何かと思ってうちの記者が、うちの記者じゃない、うちの秘書が見ましたところ、どうも私の秘書が帝京大学からも確かに、大分前だったと思いますが、電話があった。そしてまた、私のこれは地元の後援会の会長であった人のお孫さんでありますが、その親御さんから私の方へ連絡があった。これはもう大分前から、その受験生は三回目の今度帝京大学を受験するということでありまして、前からその辺でかかわりは持っておったわけでありますけれども、うちの事務所にその旨連絡があった。それを、メモを書いて、電話があったことを、私の方へ、本会議場へどうも持っていった、私が。それを私が見たものを、どうも二階のカメラ席から望遠レンズでそれを、鈴木宗男さんの取材の一環として、どうも望遠レンズで撮ったのを赤旗の記者が、その方は手に入れていると。
 こういうことのようでありまして、私もびっくりたまげて、そのことを秘書に聞きましたところ、確かに私どものところへその記者が見えて、赤旗の記者が見えて、それでそのことをただしたんで、秘書として、その連絡を取り合ったことはあるということは申し上げたと。これは、先ほど申し上げたように、もう前から随分、三回目でありますから、もう前から私どもの事務所として、そういった御照会といいましょうか、そういったことはこれはやっておったと、率直に言って。
 ということだと思うんですが、考えてみると、副大臣になってもっと身を清めなきゃいけないときに、うちの事務所としてそういうことをまた昔と同じようにやったのはちょっとまずかったかなと、こう思うわけでありますが、いずれにしましても、私として、その裏口入学、先ほど櫻井先生がおっしゃったような、そういうことには一切関知をいたしていないところであります。
#178
○小池晃君 これ、笑いながら話しているような話じゃないですよ。こんなふざけた話ないですよ。ずっと前の話だなんてあなたごまかすけれども、今年の一月末ですよ。あなた、そのとき何でした、もう既に副大臣じゃないですか。厚生労働副大臣ですよ。しかも、あなたは厚生労働副大臣二人いるうちの厚生担当の副大臣でしょう。今、この重大法案を提出しているその責任者のトップの方の一人ですよ。そのあなたが、今年の一月末に、もう今ほとんどお認めになった、冲永総長ともお友達だったということもお認めになったし、ずっとこういうことをやっていたんだということもはっきりお認めになった。そして、これは今年の一月末にやったと、これは今年の一月末に。経過はこういう経過なんですよ。
 ある医療法人の理事長の御夫人が宮路事務所に電話を掛けてきたそうですね。そして、この方は、自分の息子さんが二月の四日、五日に帝京大学医学部を受験するということをお話しになっている。で、宮路議員にこう伝えているんですよ。息子の帝京大学入学試験が近づいてまいりましたが、ごあいさつに伺った方がよろしいでしょうか、先生も大変お忙しいことと存じますので、御指示どおりにいたしますと、向こうはそう言っている。そして、あなたは、お友達だった、旧来から、大学時代からのお友達だった帝京大の冲永荘一総長に話をつないだ。そうしたらば、総長側から、受験番号を至急御連絡くださいと要請があったと。そして、宮路事務所は、理事長夫人に照会の上、一月三十一日に受験番号を冲永総長に通知をしたと、こういう経過ですね。これが事実ですね。
#179
○副大臣(宮路和明君) 私は直接、それは逃げるわけじゃないんですけれども、そのメモもおたくの方で、そういうことで望遠レンズで取得された情報にあるそのメモも、秘書のメモになっているかと思いますが、私が直接電話したんではなくて、恐らく、恐らくじゃなくて、秘書がそういうメモを残しておりますから、それでそういうことがあったということはこれは否めないことだろうと思いますが、そのことによって、それが、これはもう三回目でありますから、そのお子さんも。ですから、その前もやっておったわけでありますが、それは……(発言する者あり)いや、だから、そのことによってそれが裏口入学と云々されることじゃないと私は思っております。
#180
○小池晃君 これは重大ですよ。三回目だからいいんですか。交通事故を起こしたけれども、これは三回目だからいいんだというのと同じじゃないですか。こんなふざけた話ないですよ。どうやって撮ったかなんて、よくそんなことを。私らは知りませんよ、私たちはメモを入手しただけですから。そんなことまでよく知っているというのも大変驚きですけれども。
 じゃ、私が言ったこと、全く答えていないんですが、こういう経過があったと、一月末に。それで、あなたは、事務所がやった事務所がやったとおっしゃるけれども、先ほどおっしゃったように、確かに私どもの日本共産党の赤旗の記者が宮路事務所に行って、その経過を確認しているんですよ。対応された政策秘書、北山さんとおっしゃるんですか、北山さんがこう言っているんですね。帝京大学の話は副大臣にしか分からない話だ、私どもは、事務所は関係ない、私は報告をしているだけだというふうに言っているんですよ。
 これは、一月三十一日、一月末に電話があって、二月四日に受験するんだと、このことを冲永荘一総長に電話をされたのは、副大臣、あなたですね。
#181
○副大臣(宮路和明君) そこは私はよく覚えておりません、正直言って。それはメモも……(発言する者あり)いや、そうですよ、それは。それはメモも、最初、さっきから、最初、三回目ぐらいだと言いましたけれども、以前からそれはもうよく存じ上げておって、それでその橋渡しは……(発言する者あり)いや、それはもう二浪されて、三回目のチャレンジであるということもよく知っていましたから。一回目、二回目は失敗だったし、三回目はどうか私は分かりませんが、そういうことでその連絡はしておったと、こういうことでございます。
#182
○小池晃君 おかしい。全く答えていないです。
 あなたは大変よく覚えていらっしゃるじゃないですか、経過を。一回目は落ちた、二回目も落ちた、三回目に合格したと。非常に詳しいじゃないですか。三回目に、お友達だった、大学時代からのお友達、正にあなたがお電話された、そういうことじゃないですか。思い出してください。すぐに思い出せると思いますが。
#183
○副大臣(宮路和明君) いや、それはおととしもあった、去年もあったというのは、それは私の後援会の幹部であった人のお嬢さんの、子供さんのことでありますから、それはおととしも去年も失敗だったと。今年はうまくいったということぐらいは、これは大変大切なことでありますのでよくそれは承知をしておりますが、電話を自分がしたかどうか、そこは、その時点でですよ、それは秘書のメモとして残っておるわけでありまして、私のメモじゃないわけでありますから、私はそのとき電話はしていないということであります。秘書が連絡をしたと、そういうメモであります、それは。
#184
○小池晃君 秘書が言ったなんてことは一言もこのメモには書いていませんよ。読みましょうか。
 これは、ちょっとここは名前を伏せますけれども、○○医院○○院長夫人よりということが書いてあるんです。どういうことが書いてあるかというと、息子の帝京大入学試験が近づいてまいりましたが、ごあいさつに伺った方がよろしいでしょうか、先生も大変お忙しいことと存じますので、御指示どおりにいたしますと。これは電話を受けた北山政策秘書が書いたそうです。御本人に確認をいたしました。大変達筆ですね、この人。その横に了というサインがあるわけです。これは宮路副大臣のサインだというふうに聞いております。ですから、このことをあなたは了解をしたわけであります。そして対応を指示したと思うんですね。その結果がその下にあるんです。一月三十一日、木曜日、午後十二時三十分、帝京大学冲永総長より、○○君の受験番号を至急御連絡ください、○○様にナンバー照会の上、回答済み、北山と書いてある。で、そこにまたあなたの了というサインが出ているわけであります。
 全部あなたが指示をして、それで秘書は報告しているだけなんですよ。電話の受け答えをやっているだけなんです。冲永総長に電話をされたのは正にあなたなんですよ。その結果が秘書のところに返ってきて、そしてちゃんと受験番号を相手方に教えましたと、もう明々白々たる経過がここに出ている。このメモをもうお認めになりましたけれども、これは正にあなたが直接手を下したということははっきりしているんじゃないですか。
#185
○副大臣(宮路和明君) 繰り返しになりますが、そのメモは、これは秘書が書いたメモであるわけでありまして……(発言する者あり)だから、それを見たということを了と書いて、見たという、了と書いてあるわけでありまして、そこはだから秘書が連絡を取り合ってそういう具合にしたということだろうと思います。
#186
○小池晃君 もう基本的に全部お認めになっているんですね。しかも、それだけじゃないんです。
 もう一つ確認したいんですが、あなたはこの医療法人から政治献金を受けていらっしゃいますね。あなたの資金管理団体である宮路和明後援会明翔会、それからあなたが支部長の自民党鹿児島県第三選挙区支部、この資金管理団体と自民党支部にこの医療法人から一九九六年から二〇〇〇年で百数十万円が献金されている。これは間違いありませんね。
#187
○副大臣(宮路和明君) 具体的な数は覚えておりませんけれども、私の言ってみれば後援会の幹部であった方の娘さんに当たるわけでありまして、それで当時、当時というか、私の政治活動を始めるに当たって大分以前から物心両面にわたるいろんなお支えをいただいたことは事実であります。
#188
○小池晃君 そうしたら、もう構図ははっきりしているじゃないですか。もう毎年毎年お金をもらっていると。そして、三年前から入試の依頼を受けて、毎年ちゃんと口を利いていたんでしょう。(発言する者あり)
#189
○委員長(阿部正俊君) 静粛にお願いします。
#190
○小池晃君 三年目は見事に合格したんだということでしょう。そこには全部あなたが関与したんだということですよ。
 もう一度お聞きしますけれども、事務所の方は、この問題は全部すべてこれは副大臣に任せてあると。この問題は副大臣しか知らないんだ、北山さんはそうおっしゃっていますよ。帝京大学の話はこれは多分そうでしょう。もう大学時代からのお友達だったとすれば、きっとあなたがもう直で電話される関係なんでしょう。ですから、この話は副大臣にしか分からない。
 この話は北山さんは中身は分からないとおっしゃっているんですよ。この話は副大臣と冲永総長との関係なんだと。事務所は関係ない、私は報告しただけと言っているんです。これ、どう考えたってあなたの冲永総長との関係からいっても、あなたが直接電話をして、そして口を利いたということ以外あり得ないと思いますけれども、どうですか、思い出してください。思い出してください。
#191
○副大臣(宮路和明君) 冲永先生は、実は私の後援会にも来ていただいて、講師としてですね、私の後援会の皆さんの前でいろいろと講演もしていただいたこともありますし、うちの事務所の者もですから顔は当然つながっておりますし、確かに、元はというと私と冲永先生との関係が根っこにあって、そこから私の事務所もかかわりを持っていると、こういうことであるわけですから、したがって、元が私にあることはこれは当然であるわけでありますけれども、そのときの連絡は、さっき申し上げているように、秘書が向こうの事務所の方と連絡を取り合っていると、そういうことでございます。
#192
○小池晃君 言い逃れは許されませんよ。これね、正に不正入試、帝京大学の。この不正入試にあなたは関与したんですよ。口利きしたということじゃないですか。これは言い逃れ、許されないですよ。はっきり答えていただきたい。
#193
○副大臣(宮路和明君) 不正入試というのを、どういうことを不正入試というかよく分かりませんが、それは、不正入試というのは。不正入試というのはどういうのを不正入試というか分かりませんが、裏口入試、不正入試、そういうものは私はあったとは思っておりません。
#194
○小池晃君 委員長ね、これは正に不正入試じゃないですか。受験番号を試験の前に教えたんですよ、あなた。これが何で不正じゃないんですか。何のために教えたんですか。不正入試、これは不正入試以外の何物でもないですよ。
 だって、受験日は、入試日は二月四日、五日なんですよ。そして、二月四日、五日が入試日だったんです。帝京大学の冲永総長から返事があった日というのは一月三十一日なんですよ。入試の前に受験番号を宮路事務所から帝京大学に言ったわけですから、これは一体何を意味するか。この受験生に特別な取り計らいをしていただきたいということ以外の何物でもないじゃないですか。これが不正入試じゃなかったら、一体不正入試というのは何なんですか。
#195
○副大臣(宮路和明君) 私どもは、先ほどから申し上げたように、通常も就職試験やあるいは入学試験についても、そういったことを国会議員にはいろんな方がいろいろ言ってまいりますよ。ですから、そういうことを、事前に受験番号もじゃ教えてください、じゃ連絡しましょうというようなことでやっていることは、しょっちゅうというわけでもないわけでありますが、これは往々にしてあるところでありまして、往々にして、就職試験についても……(発言する者あり)
#196
○委員長(阿部正俊君) 静粛に。
#197
○副大臣(宮路和明君) それは、ですから別段そのことをとやかく言うようなことはないと思います。
#198
○小池晃君 こんな、そんなことは普通のことだと、しょっちゅうやっているんだというようなことで、私、これ以上審議できません。ちょっと速記止めていただきたい。
#199
○委員長(阿部正俊君) じゃ、速記をちょっと止めてください。
   〔午後三時四十三分速記中止〕
   〔午後三時五十九分速記開始〕
#200
○委員長(阿部正俊君) じゃ、速記を起こしてください。
 それでは、宮路副大臣の発言、答弁につきまして野党の方々から意見が出ておりますので、一連の答弁につきまして再確認というような意味で、宮路副大臣の今後の対応といいましょうか、今までの確認及び今後のこれからのことについてお考えを確認させていただきまして対応を決めたいというふうに思いますので、宮路副大臣からの御答弁を求めたいと思います。お願いします。宮路副大臣。
#201
○副大臣(宮路和明君) この件につきまして、先ほど申し上げたように、こういう副大臣という立場にある中にあって、過去のそうしたことの延長線上といいますか、そういう気持ちでうちの事務所として対応したということについては私として深く反省をしなきゃならないことであると、身を引き締め、気を引き締めてこれからしっかりやっていかなきゃならないと、このように深く反省しつつ、思っておる次第であります。
#202
○委員長(阿部正俊君) それじゃ、この際、暫時休憩いたします。
   午後四時一分休憩
     ─────・─────
   午後四時三十分開会
#203
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 本日はこの程度として、これにて散会いたします。
   午後四時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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