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2002/07/25 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第22号
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2002/07/25 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 厚生労働委員会 第22号

#1
第154回国会 厚生労働委員会 第22号
平成十四年七月二十五日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月二十三日
    辞任         補欠選任
     谷  博之君     今井  澄君
     内藤 正光君     辻  泰弘君
 七月二十四日
    辞任         補欠選任
     田浦  直君     斉藤 滋宣君
     宮崎 秀樹君     山下 英利君
     大塚 耕平君     今泉  昭君
     井上 美代君     西山登紀子君
 七月二十五日
    辞任         補欠選任
     西山登紀子君     井上 美代君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                斉藤 滋宣君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                鶴保 庸介君
                中原  爽君
                藤井 基之君
                山下 英利君
                今井  澄君
                今泉  昭君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                草川 昭三君
                井上 美代君
                小池  晃君
                西山登紀子君
                西川きよし君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
       発議者      今井  澄君
   委員以外の議員
       発議者      櫻井  充君
       発議者      若林 秀樹君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省老健
       局長       堤  修三君
       厚生労働省保険
       局長       大塚 義治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○健康増進法案(内閣提出、衆議院送付)
○医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提
 供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法
 律案(今井澄君外四名発議)

    ─────────────
#2
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、谷博之君及び内藤正光君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君及び辻泰弘君が選任されました。
 また、昨二十四日、田浦直君、宮崎秀樹君、大塚耕平君及び井上美代さんが委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君、山下英利君、今泉昭君及び西山登紀子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(阿部正俊君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、それでは理事に斉藤滋宣君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(阿部正俊君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長大塚義治君外五名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(阿部正俊君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 私は、九七年の二兆円の負担増を国民に強いました医療保険の改悪法案のときに、この場所で反対をいたしました。三千通の怒りのファクスを持ち込みました。根拠のない薬代の二重取り、健保本人の二割負担、お年寄りの負担増など、医学的根拠も合理的根拠も欠く欠陥法案で、撤回しかないと主張いたしました。あれから五年がたちました。やっぱり破綻をいたしました。そして、今回、またその破綻の上に破綻を上塗りするような法案が出されております。私は、徹底的に慎重審議をするべき、こういう立場から質問に入りたいと思います。
 大臣にお伺いいたしますけれども、今回の法案による患者負担にとどまらずに、四月からの診療報酬の改定では、六か月以上の入院患者に対する入院基本料金の一五%を保険外負担として患者に負担させることが行われているわけですけれども、これは大問題だと思います。
 今までの特定療養費というのは、高度先端医療ですね、ハイテク医療、差額ベッドや金歯のような選定医療について、特例として患者に差額徴収をしてもいいと認めていたものでございます。そもそも、入院基本料を特定療養費化することは、今までの金歯とか差額ベッドとかの特定療養費と性格を異にするものではないでしょうか。必要な医療の基本部分を特定療養費とするものでありまして、私は医療保険制度の根本原則に反するものだと考えます。
 保険外負担一五%の別料金、これ、約月五万円の自己負担だと言われておりますけれども、こういう自己負担ができない長期入院患者は退院しかない。大臣は、不況の下で、今、庶民にとっても、もちろん低所得者にとっても、月五万円の負担がどんなに大変なことかお分かりになるでしょうか。そして、このことは若い人もお年寄りも子供たちも対象になるわけですね。月五万円の特定療養費が払えないなら六か月以上の入院はできないことになります。患者の病状や治療の内容にかかわらず、必要な入院治療を中断せざるを得ません。これで国民の命と健康が守られるとお考えでしょうか。大臣の御答弁、伺います。
#9
○国務大臣(坂口力君) ここのところはもう何度かお答えをここの場所でしたところでございますが、入院をされております皆さん方の中で約四割ぐらいな方たちは医療の必要性は薄くなって、そうしていわゆる福祉の分野での療養が必要であると、こういう方がおみえになるわけであります。そういう皆さん方につきましては、これはやはり病院で治療をお受けいただきますよりも、老健施設なりあるいは特養なりあるいはケアハウスなりというようなところも御利用をいただき、あるいはまた御家庭でひとつ在宅介護等をお受けをいただくということでよろしいのではないかということでございます。
 病気の、必要のある人を出ていってほしいということを言うわけでは決してありませんで、例えば精神科の患者さんでありますとか、あるいは結核の患者さんでありますとか、難病の患者さんでありますとか、そのほかもたくさんいろいろあるだろうというふうに思いますが、そうした継続をして医療の必要な人は、それは継続をして病院に入院をしていただいて結構でございますと、こういうことでございますから、いわゆる福祉的な意味で、いわゆる言われるところの社会的入院に匹敵するような皆さん方につきましては、どうぞひとつそれなりの施設の方にお回りをいただくようにしてほしい。
 それにつきましては、急に言いましてもいけませんから、二年間ぐらいの移行期間を置いて実現をしていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
#10
○西山登紀子君 このことの対象になるのはすべての患者でございます。先ほど大臣は除外項目のことをおっしゃったんだと思いますけれども、除外項目なんというのはわずか十項目です。元々、六か月以上の入院医療に除外規定などと設定すること自身が私は間違っているというふうに思います。
 私の手元には「怒りのひとこと集」、これは二万人の声をお集めになった中央社会保障推進協議会の資料でございますけれども、その中には、「乏しい年金から消費税、介護保険料の天引おまけに今後の医療費の改悪とこれ以上の痛みといわれたら死ねということでしょう。日本に生まれて良かったと思う時代はもうこないのでしょうか。」、こういう声だって寄せられているんです。
 厚生労働省は、実は三月二十七日に全国に通知を出していらっしゃいますね。「療養病棟等に百八十日を超えて入院している患者の取扱いについて」という文書ですよ。通達出していらっしゃる。
 それを読みますと、「基本的対応」、こんなふうに書かれているんですね。「療養病棟等に百八十日を超えて入院している患者であって、厚生労働大臣が定める状態等にある者に該当しない者については、入院基本料が特定療養費化され、特定療養費として支給される額を超える部分は患者負担とされることから、医療扶助受給者については、速やかに退院後の受入先を確保し、百八十日を経過するまでに退院するよう指導すること。」、これが「基本的対応」として、通達として厚生労働省社会・援護局長の名前で発出されているわけでございます。本当にひどいことではないでしょうか。
 大臣にお伺いいたしますけれども、この通達の内容は、大臣ももちろん御存じであります。六か月を超えて入院している生活保護の皆さんの入院基本料の一五%負担、月約五万円は医療扶助の対象としないということなのですね。どうですか。
#11
○国務大臣(坂口力君) 生活保護をお受けになります皆さん方につきましては、いわゆる医療扶助の対象になっている方でありますから、大変なことはよく分かっております。そして、その生活保護をお受けになっている皆さん方が退院をしていただきますときに、やはり退院先ということをちゃんとこれは探さなければいけない。探してありましたときには、どうぞそういうふうにしてくださいと。何もそれは、病気のときは、病気が継続しているときは別ですよ。そうではなくて、もう福祉的なことしか後に残っていないというときにはそれ相応の先を探してください、しかし探してもないというときには、それはやむを得ませんから、そのままに入院を続けていただく以外にない、そういうことだと思います。
#12
○西山登紀子君 大臣、生活するお金がないから生活保護を受けているんですね。その人々に、六か月以上入院したいと思った、そうすると、それは月五万円の医療費を捻出しなさいということなんです。医療費がないから医療扶助を受けているのに、入院を六か月以上続けようと思ったら五万円出せ、こんな矛盾したとんでもない仕組みはないんじゃないですか。生活保護者は六か月以上の入院医療を受ける権利がないということではないでしょうか。
 こんなひどい事態は認められません。人権侵害じゃないでしょうか。
#13
○国務大臣(坂口力君) そこは少し考え方が違いますね。
 六か月を過ぎましても、どこかに本当は移っていただく予定であったとしても、やはり市町村等で探しましても適当な場所がないといったときには、そのまま病院に入院を続けていただかざるを得ない。そのときにはその五万円というのはいただかないということになっているわけでありますから、そんな無理なことを言っているわけではありません。
#14
○西山登紀子君 大臣、この通達には「例外的対応」というふうに書いてあるわけですよ。ところが、今おっしゃった例外的な扱いというのは、真にやむを得ない者に対する例外的なものであって、厳正に取り扱うこと、こういうふうなただし書まで付いている。
 さらに私は、例外的なこととおっしゃいましたけれども、生活保護法の目的、生活保護法の「医療扶助」、第十五条、ここにはこんなふうに書かれています。「医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、」以下のことを行うということで、「一 診察」から始まってずっとあります。五番目には「病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護」というのがちゃんと入っている。その十五条には六か月という期間的な制限もなければ、例外だというような例外規定なんというのは何にもないんですよ。今、政府が行おうとしていることは、私は生活保護法にも違反する人権侵害だというふうに言わざるを得ません。
 現場でどんなことが起こっているか。私の入手した資料、御紹介したいと思います。
 厚生労働省の今の通達を受けて、ある自治体では既に入院未然防止推進事業、こういうことに加えまして長期入院患者退院促進事業、こういうものを実施いたしまして、生活保護者の入院の抑制、退院の促進、こういう動きが既に起こっているわけですね。入院基本料が特定療養費化されて医療扶助受給者の自己負担が生ずる、こういう矛盾した仕組みを進めたからこそ、こういうことが現場では起こっているんです。
 やり方もひどいです。例えば、ケースワーカーに二名以上の選定を課す、ケースワーカーと保健師と相談して特定療養費化対象者リスト、医療機関別に担当者を決めて主治医に当たらせるようにする、生活保護者の医療を打ち切る。非情な事態ではないでしょうか。
 入院基本料金を特定療養費化したことが招いた私は人権侵害だと思います。直ちに、こうした人権無視の生活保護受給者の入院の抑制や患者の追い出し、やめるべきだと思いますが、大臣の御答弁を聞きます。
#15
○国務大臣(坂口力君) 生活保護を受けていただく皆さん方にとりましても、それはいつまでも病院におっていただくことが幸せだとは私は思いませんね。
 それは、病院で治療が必要なときにはそれはお受けをいただかなければなりませんけれども、治療が必要でなくなった場合にはそれぞれの場所にお帰りをいただく。どの場所にお帰りをいただいたとしても、生活保護の方々に対しましてはそれに相応したことを行うということでなければならない。病院でいつまでもおることがいいことではなくて、その病院を今度は出ていただいた後、そこをどうしていくかということをやはり地域も含めて考えなければいけないというふうに思います。
 そのことができるかどうかということがこれからの医療費にとりましても大変大事なところでございまして、病院の中にいる期間が長ければ長いほどいいという考えは、私は改めなければならない。それを出られたときに、そこを受ける受け皿をどう作り上げていくかということが地域を含めて一番大事なことではないかというふうに私は思っております。
#16
○西山登紀子君 だれが好き好んで長い入院を望むでしょうか。私はそのことを問題にしているのではありません。
 厚生省が今おやりになっている通達に基づいて、現場では今こういう非情なことを促進する動きがあると言いました。こんなふうに書いているんですよ。入院期間が百八十日を超える入院患者について、入院基本料が特定療養費化されたことに伴い、医療扶助受給者の自己負担が生ずることになり、早急な取組が求められているので、下記要領に従って長期入院患者退院促進事業を実施し、退院の促進に努めるものとする、こういうことなんですよ。治療が必要な人、入院が更に必要な人にはもっともっときちっとした治療や入院を施しましょう、こういう通達ではありません。
 さらに私が驚いたのは、こういう作業が今非常なスピードで進められているということです。当然、手続を進めなければなりませんね。どんなふうに流れていくか、それもちゃんと書いてあります、ここに。まず対象者を確認する、もうやり始めていますよ。病状調査の実施、これはもう八月の上旬に済まさなければいけない。処遇方針の決定は八月の下旬には行わなければ間に合わない。退院に向けての処遇の推進は九月の上旬だと。
 私は、これは生活受給者の強制的な入院追い出しのスケジュールをこういうふうに進めているというふうにしか見えません。厚生省の通達どおりやればこうせざるを得ないわけですよ。
 しかも、こうした事実というのは私たちが入手した一つのある自治体だけにはとどまりません。全国的にやらざるを得ない。事実、厚生労働省はそういう徹底も行っているんですね。七月に都内で、福祉事務所の生活保護担当のケースワーカーをたくさん集めて通達の徹底を行っていますね。
 しかも問題なのは、厚生労働省の推計でも、医療扶助削減の対象となっている人たちは三万四千人、その中でも、この特定療養費化に伴う対象者というのは二万人という推計すら出ているわけでございます。大変な問題じゃないでしょうか。
 私は、生活保護法にも反するし、憲法二十五条にももとるこういう人権侵害は直ちにやめるべきだと思います。大臣の答弁を。
#17
○国務大臣(坂口力君) 先ほども述べましたように、必要な人は入院をしていただきますけれども、治療が終わりまして、そうしてその病院におっていただく必要性というものが少なくなった方、その方はやはり地域に戻り、御家庭に戻り、あるいは御家庭に戻れない人はそれぞれの施設にお戻りをいただいてそれなりの治療を御自身でお続けをいただくということは、私は当然のことだと思います。
 病院の中でいつまでも治療をそこで受けているということは、それは必ずしもその人にとりまして好ましいことではないというふうに思います。しかし、先ほどからも申し上げておりますように、必要な人まで帰ってほしいということを申し上げているわけではありませんから、問題は、その人たちを受け入れる側の整備ができるかどうかということに私は大きなウエートがあるというふうに思っております。
 したがって、御家庭にお帰りになることのできない人につきましては、それはケアハウスなりあるいはまた老健施設なり、そうしたものを増設をしなければならないかもしれません。現在、全体の状況を把握をしながら、足りないところはそこは造り上げていこうというので急ピッチで今そうしたことも進めているところでございます。
 しかし、そうしたことをやりながら、そこでもやはり問題になりますのは、やはり御家庭に帰っていただいて在宅介護というものをお受けをいただくということを抜きにしては考えられないわけでありますから、それができる体制をどう作り上げていくか、そして御本人、御家族だけでそれができないときには、全体でそれをどうカバーをしていくという体制を作り上げていくか、その辺がやはり私は大事なことだと、最も大事なことだと私は思っております。
#18
○西山登紀子君 今までも長期の入院なんてだれも望んでしているわけじゃないわけですよ、それは。行き場所がないわけでしょう。
 さらに問題は、それが今度六か月という期限が決まってきて、六か月以上たったら生活保護者医療扶助を受けている人に月五万円の負担をしなきゃ入院ができない、こういう矛盾が起こっているということを言っているんです。
 最後にお伺いをいたします。
 この入院基本料一五%の患者自己負担化というのは、対象は生活保護受給者だけではございません。富山県の保険医協会の民間病院の対象調査では、入院患者の四四%に当たる千百人余りが六か月を超える入院患者でございます。特別養護老人ホーム、老人保健施設の入所待ち調査では、定員を超える入所待ち者がたくさんいます。
#19
○委員長(阿部正俊君) 時間が過ぎております。簡潔にお願いします。
#20
○西山登紀子君 私の地元の京都でも、京都府保険医協会が実施した入所待ち調査でも定員の約二倍いるわけですね。老人難民という言葉すら生まれています。こういう患者さんは大量に出現することになる心配がございます。
 社会に貢献してこられたお年寄りに行き場がない、そういう不安を与えるこういう非情な医療改革の名に値しない改革については直ちに撤回をするべきだと考えますが、時間が参りましたので、そのことを大臣にお伺いいたしまして、本日午後に採決を強行するかのような報道がされておりますけれども、自民党の執行部の方針だということですけれども、中央公聴会も開かないで……
#21
○委員長(阿部正俊君) 時間が過ぎておりますので、質疑を打ち切ってください。
#22
○西山登紀子君 こんな問題だらけの法案を強行するのは許せないということを申し上げたいと思います。
#23
○委員長(阿部正俊君) じゃ、答弁はなしということで参りたいと思いますが、よろしゅうございますね。
 じゃ、次に参りたいと思います。森ゆうこさん。(発言する者あり)森ゆうこさん、質問してください。森ゆうこさん。
#24
○森ゆうこ君 おはようございます。自由党の森ゆうこです。
 前回の参考人質疑では、宮路副大臣も冲永総長も、両当事者とも御出席いただけず、結局、疑惑は一向に明らかになりませんでした。国民に負担を押し付けるこの法案を審議する前提として、この政治とお金に絡む問題、医師という大切な人材を育てる医学部の入試に関するこの疑惑というものを晴らす必要があると私どもは再三訴えてきたわけでございますが、一体どなたにお聞きすればこの疑惑は明らかになるのでしょうか。
 坂口厚生労働大臣、お願いいたします。
#25
○国務大臣(坂口力君) それは私に聞かれても分からない話でありまして、それは無理な話でありますけれども、医学生の養成ということにつきましては文部科学省が全体の権限を持っておやりになっているわけでございますから、この医学生の育成ということにつきましては、それは大学の所轄であります文部科学省にお聞きをいただきたいと思います。
#26
○森ゆうこ君 いや、そんな無責任な御答弁でよろしいんでしょうか。
 先日、大臣は、宮路副大臣については坂口厚生労働大臣は任免権者ではないのでと、宮路副大臣の任免権者ではないとお答えでございました。それであれば、副大臣の任免権者である内閣総理大臣の当委員会への出席を要求したいと思います。委員長。
#27
○委員長(阿部正俊君) 理事会で協議いたします。
#28
○森ゆうこ君 それでは、まだまだなかなか審議が深まっていないこの健康保険法の改正案でございますけれども、参議院の方にこの法案が来てから、その国民の負担増というものが実態はどんなものであるのか、ようやく少しずつ姿が見えてきたところでありますけれども、私は、本日は同じ国民といいましても雇用の場を確保している経営者の側から見た場合いかがなのかということについてお聞きしたいと思います。
 まず、政府の雇用政策について基本的な考え方をお聞きしたいんですけれども、坂口厚生労働大臣、現在日本が取っている雇用政策というものは基幹労働者としてやはり正社員を位置付けている、正社員を中心とする政策を取っていらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。
#29
○国務大臣(坂口力君) それはそのとおりでございます。
#30
○森ゆうこ君 それでは、先ほども申し上げましたけれども、今回の健保法の改正によって社会保障費の企業負担というものは幾ら増えることになるんでしょうか。政府参考人に伺いたいと思います。
#31
○政府参考人(大塚義治君) 直接的には企業負担につきましては保険料の事業主負担という形で御負担をお願いすると、こういう形になるわけでございますが、様々なケースがあり得るわけでございますが、政府管掌健康保険を例にいたしまして、平成十五年度から御案内のように今回の提案では総報酬に切り替えるというのが一つ。総報酬ベースに切り替えまして保険料率は八・二%、十五年四月からということを御提案しているわけでございます。したがって、これを前提にいたしまして、十五年度から十九年度、五年間を単年度で平均をする、一年間当たりというふうに試算をするという前提で以下ケースを申し上げます。
 全体で事業主負担、単年度平均で約二千九百億円程度の増というふうに見込んでおります。また、これを被保険者一人当たり、従業員ということになりますが、被保険者一人当たりの企業負担というふうに置き直してみますと、平均的な被保険者の場合で年間一人当たりの企業負担が約一万五千円の増加、年間一万五千円の増加ということでございます。
#32
○森ゆうこ君 今のは医療保険の分についてでございましたけれども、ほかにも様々な社会保障費が負担増になるということで、これにつきましては、国民の社会保障費の負担増の全体は総額は幾らかというお話をたびたびさせていただきましたけれども、雇用保険料も値上げするということですね。そして、これは政府参考人、介護保険の二号被保険者については負担はどれぐらい増えることになるんでしょうか。
#33
○政府参考人(堤修三君) 介護保険の給付費でございますけれども、国、自治体が半分、保険料が半分、その保険料のうち六十五歳以上の方が給付費全体の約六分の一、四十歳から六十四歳までの方、これを第二号保険料と言っておりますが、これが給付費の約三分の一ということでございます。これは、それぞれ医療保険者に費用を集めていただいて納めていただくということになっておりまして、例えば被用者保険、健康保険の場合であれば、国庫負担が入っている部分を除いて事業主と被保険者本人が折半というのが原則でございます。
 実際、全体の費用がどれぐらい掛かるか、十五年度以降どれぐらい掛かるかということにつきまして、今、各市町村が十五年度以降をにらんで事業計画というのを作っております。今ちょうど作っている最中でございまして、最終的にこれ決まるのはもう来年になるわけでございます。現時点で私ども中間的な状況を集計をして今精査をしております。概算要求等に向けてそういう準備をしておりますけれども、まだ中間的な段階の数字もまとまっていないということでございます。
#34
○森ゆうこ君 数字はいいんですけれども、そういう理由であれば。
 間違いなく値上げの方向にあることは確かですね。いかがでしょうか。
#35
○政府参考人(堤修三君) 介護保険の費用は、高齢化が進みますと、要介護者が増えていく、それからサービスの利用も増えていくということが当然予想されますので、サービスの増加は保険料あるいは国庫負担、公費負担の増というのと裏腹の関係にあるのは確かでございます。
#36
○森ゆうこ君 ということは、来年度、企業側が負担する介護保険料もやはり値上げの方向であるということでよろしいですね。再度、御確認させていただきます。
#37
○政府参考人(堤修三君) サービスの量が増えるということは予想されるところでありますので、そういうことになろうかと思います。
#38
○森ゆうこ君 ということで、もちろん国民の負担増そしてその雇用の場を提供している企業の側の社会保障費の負担増、この社会保障費の企業負担分が増えますと、正社員を雇用することは企業にとって人件費が増加するということを意味します。
 私、今、地元へ毎週帰りますと、地域の雇用の場を守っている、本当に中小企業の皆さんというのはその地域の雇用の場を守っている、そこにその場を提供している、そういうところですから、もうこんな厳しい情勢の中でもカルロス・ゴーンのように簡単にリストラなんかしないで、とにかく雇用を守るということで一生懸命努力されているんですね。
 中小企業の経営者の皆さんからは、とにかく政府がやろうとしている政策がよく分からないと。もう、とにかく企業の側に正社員をカットしろと言われているように感じる。この厳しい状況の中で必死に耐えてきたけれども、来年度以降、社会保障費の負担がもうこれ以上増えると、やはりリストラを覚悟せざるを得ないということが、必ずお訴えがございます。
 先ほど、なぜ正社員の雇用をちゅうちょさせるようなそういう政策を取られるのか、坂口厚生労働大臣に伺います。
#39
○国務大臣(坂口力君) 企業はやはり企業としての任務を果たしていただかなければならないわけでありますから、企業が御負担をいただきます社会保障費につきましても、当然これは御負担をいただかなければならないわけでございます。中には、日本のこの企業側の負担はまだ少ないから企業の持分を増やせという御意見もあるぐらいでございまして、大変ではあるというふうに思いますけれども、企業は企業として御負担をいただかなければなりません。
 経済状態がこういう厳しい状況の中でございますから、それは厳しいこの状況の中で今大変な御努力をいただいておりますことは、私たちも十分これは分かっているわけでございます。しかし、そうした中でありましても、正社員を抱えながら、そしてこの競争の中を打ちかつんだというふうに心に決めておやりをいただいております経営者がありますことは、大変敬意を表さなければならないというふうに思っております。しかし、正社員を雇うことはなかなか難しいので、パート労働に切り替えるといったところも中にはございます。
 しかし、全体として見ました場合に、正社員がパートに置き換えられる、パートの皆さん方の社会保障が非常に未熟なものであるということでありますと、これは社会全体にとりましても大変大きな問題になります。したがいまして、現在、パート労働の皆さん方の社会保障につきましても、これは見直していかなければならない。パートではございますけれども、社会保障はきっちりとしていかなければならないというので、今、鋭意検討を重ねているところでございまして、そうしたことが今後の大きな課題になってくる、年金改革なら年金改革におきましても最大の課題になってくるというふうに思っております。したがいまして、パートを増やしたからそれで社会保障費は出さなくていいというわけにはいかない、そういう時代になってくるというふうに思っております。
#40
○森ゆうこ君 しかし、先ほど冒頭に大臣は、今の政府の雇用政策は正社員中心という政策であるとおっしゃったわけですよね。一方で、今回のこのような社会保障費の負担増、様々な社会保障合計の負担増というのは、明らかに、そういう今の制度の上でその正社員中心政策という雇用政策を取っていらっしゃる、政府がお取りになるということは非常に矛盾しているのではないかと思います。
 もし政府が、これはもう労働の流動性を高めなきゃいけない、労働市場の流動性を高めなければいけないということで、正社員の雇用を減らしてパート労働者を増やすという方向に政策移動したいんだということであれば、今回のこの社会保障費の負担増の政策も納得できますが、大変矛盾するんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#41
○国務大臣(坂口力君) 労働力の移動を行うといいますことと、その正社員、パートというものとは関係ありません。これは流動化は流動化で、こういう時代でありますから、進めていかなければならないというふうに思いますし、政府が無理に進めるというわけではありませんけれども、流動化が起こりましたときにそれに対する対応ができるようにしておかなければならないというふうに思っているわけであります。そのことが即それはパートを増やすということでは決してありませんで、新しい企業の中で、あるいはまた新しい職業でそうした問題を乗り越えて新しい職に就かれる方も増えてくるだろうというふうにこれは思いますから、そのことと何ら矛盾する話ではございません。
#42
○森ゆうこ君 そうおっしゃいますけれども、大臣はどうも、今、正社員からパート労働者への移行、要するにパート労働者の急増ということについて余りにものんびりと構えていらっしゃるんじゃないかと思います。先日の大脇雅子委員の、私どもパートタイムの均等処遇を実現する議員連盟が提出した意見書に対する御見解につきましてもこうおっしゃっていらっしゃいますが、一口にパート労働と申しましても、これ中身は様々な方がおみえになるわけでありますから、検討しなければならない、十分に拝聴しておりますが、その中で新しい行き方を確立していきたいと思っております。これは非常にのんびりと構えていらっしゃるというふうに私は受け取りました。
 先日いただきましたこのパートタイム労働研究会の最終報告でも、平成十三年のパート労働者は千二百五万人で全体の二割と。今回の調査で初めて正社員が大幅に減少する一方で、これは百七十万人が減ったわけです、平成九年から十三年、非正社員が大幅に増加、二百万人増えているという報告がされています。特に若年層では男性の、もうこれは女性の問題だけじゃないんです、男性の一六・三%がパートであると。
 この最終報告の中でも、パート等の拡大は不可逆的な流れであるというふうに位置付けられているわけですが、これはもっと急速に進むという、このような経済状況が続けばあっという間に全労働者人口に占めるパート労働者の比率が五割ぐらいに達するということも十分考えられるわけで、お隣の韓国では、金融危機の後構造改革が進んで、短期間のうちにそのような状況になっているわけです。
 非常にこの問題についてのとらえ方が悠長なのではないかと思うんですが、この点に関しまして、坂口厚生労働大臣の見解をもう一度お願いいたします。
#43
○国務大臣(坂口力君) パートに対する考え方だと思うんですね、一つは。何か長期の雇用が非常に良くて、そしてパートの働き方が良くないという、そういう考え方があってはならないと私たちは思っております。それは、その人その人にとりまして長期の、長期と申しますか、長時間の勤労というものを、労働というものを好まれる方もありますし、そして中には短時間でいきたいと、あるいはまたそれも限定的なものでいきたいと、こういうふうにおっしゃる皆さん方も最近は増えてきているわけでございますから、そこはそれぞれの御要望によりましてパートの中身というものもいろいろだということを私は申し上げたわけでございます。
 また、パートにおきましても、私はいろいろの人事異動がありましてもどこへでも行きますと、こういうふうにおっしゃる方もあれば、あるいはそれぞれのグループ長だとか、あるいはその部屋の室長だとか、そういう役職等につきましても、私は堂々と受けますというふうに言われるパートの皆さん方もあれば、そういうことはもう控えたいと、場所を変わるとか、そういうことも控えたいと、こうおっしゃる方もありまして、パートの中身もいろいろだということを申し上げたのはそういうことを申し上げたわけであります。
 短な時間の労働でありましても、それ相応、それぞれの時間に合いました評価というものがなされれば、それは一つの労働の在り方として成り立つわけでございますから、その分を私たちはどのように改革をしていくかというので今取り組んでいるところでございます。
#44
○森ゆうこ君 とにかく、今のこの短期的な目で見て、長期については課題を解決していくということはあったとしても、短期的に見て、一方で保険の支え手を増やさなければいけないと言っておきながら、今回のこのような政策によって正社員をリストラして社会保障費を負担しないパート労働者を増やすという非常に強力なインセンティブが働くということで、これは非常に矛盾するものではないかといま一度申し上げておきます。
 特に、政策決定の場所にいらっしゃる男性の皆さんというのは、いまだにパート労働の問題は他人事ととらえているのではないでしょうか。女性の問題というふうにとらえていらっしゃるのではないでしょうか。これが、先ほども申し上げましたように、急速に拡大して、そのような問題ではもうなくなってきているということを認識しなければいけないと思いますが、大臣、お願いいたします。
#45
○国務大臣(坂口力君) どうもかなり論理の飛躍があるようにお聞きをいたしますが、それは医療費が確かにアップになりまして、これは企業の御負担もそれは若干増えることは確かでございます。しかし、企業の皆さん方というのはその辺のところはよくごらんになっておりまして、そしてやはりこの医療保険制度というものが今後とも堅持していくようにするためには、何をやはり国がしなければならないのか、経営者でありますのでそこはよく私は御理解をいただいているというふうに思います。
 しかし、それぞれの企業にとりましてはそれぞれのやはり負担も増えるわけでありますから、そのことを計算に入れてどういう企業戦略を立てていただくかということになるわけでありまして、企業の皆さん方もそのことを念頭に置きながら御努力をいただいている、そのことに対して私も敬意を表するわけでございますが、そのことが即パートを増やすということを奨励しているということには決してならない。そうした中であっても懸命に、やはり現在の従業員を抱えて、そしてその人たちを守っていきたいと、こういうふうにお考えになっているところも多いわけでございます。
 しかし、今、不幸にしてそうはいかない、現在の経済状況の中でそうはいかないという方も、中にはそういう企業もそれは当然おありであろうと思います。これは経済全体の問題として起こり得る問題だというふうに思います。その御過程におきまして、パートに替えられるということはあるかもしれない。しかし、パートに替えたから、それじゃパートは社会保障の外側ですよということは良くありませんから、それは、パートであろうとそれが長時間の勤務であろうと、同じように社会保障の中でこれは考えていくようにしたい、そういうので今努力をしていると、こういうことを申し上げたわけであります。
#46
○森ゆうこ君 経営者の努力というふうなお話がありましたけれども、普通、経営者というのは、お客様に負担を、値上げをする前に、自分たちのやり方がそれでいいのか、コストを削減するべきところはないのか、徹底的にやって、改革をやって、それで、でも仕方がないから値上げすると。これは経営者のやり方ですね。政府がやろうとすることは全く違う、本末転倒である。制度の改革を約束はしておりますけれども、それは前にも申しましたが、二回破られております、ほごにされておりますので、それも信用できないような状態で再度国民に負担を押し付けるということですが。
 本末転倒ということは別としても、取りあえずこの附則で約束されました改革について、抜本改革について、いつどうなるか分かりませんので確認だけしておきたいと思いますが、附則の二条で、高齢者医療制度の在り方を、平成十四年度中に具体的内容、手順及び年次計画を明らかにした基本方針を策定し、二年を目途に所要の措置を講ずるというふうになっておりますが、今年度中にそういう基本方針を策定するということであれば、もう今の段階で論点の整理はできて、議論もほとんど尽くされているのではないかと思います。あとは政治的判断だけというところだと思いますので、政府参考人に、この高齢者医療制度の在り方についての論点整理、簡潔にお願いしたいと思います。
#47
○政府参考人(大塚義治君) おっしゃいますように、高齢者医療制度、恐らく今後の医療保険制度全体の最大の課題であろうかと思います。したがいまして、かねてから議論が様々ございまして、そういう意味での論点は恐らく尽くされている、あるいはそれに近いものだと思います。
 御案内のとおり、具体的な案といたしましても、俗に四方式と言われますように、それぞれのお立場からそれぞれの御主張がございます。逆に申しますと、正にそれだけ意見が分かれているというところでございまして、意見の集約がなかなかできないというのが今日までの状況であったろうと思います。
 したがいまして、その四方式、その他の論点といいますのは今御案内のとおりでございますので重ねて御説明を申し上げる必要はないかと思いますけれども、非常に大きな枠組みで申しますと、やはり医療保険制度の体系の中でどう位置付けるかということに一つは集約をされる問題だろうと思います。医療保険制度それ自体をどう考えるか、それとの関連でやはり高齢者医療制度の在り方もある意味では方向が出てくる。
 それからもう一つは、財源面で、保険料と公費と患者負担との割合、今日御提案している老人保健制度という枠の中では、今回も高齢者は七十五歳以上を対象に公費五割という方針を打ち出しているわけでございますけれども、そうした方向を踏まえながら、保険料、公費、患者負担の割合をどう設定していくのか、大きく分けますとこの二点の論点、この二点の論点が整理されますと、あるいは合意が得られますればおのずからその方向は見えてくる。
 私どもといたしましては、部内で、大臣を本部長といたします推進本部というのを設けまして、部外の有識者にも参加をしていただきまして今議論をしているところでございます。しかし、私どもの考え方を整理した上でまた幅広く御議論をいただく、その上で結論を出すと、こんな手順を考えておりますので、鋭意引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
#48
○森ゆうこ君 今ほどの保険局長の話の中にもありましたように、様々な御意見が出てなかなかまとまらないと平成九年からずっと言い続けてきたんではないでしょうか。いまだに同じことを言っているんではないかと思うんですけれども、いかがですか、その点について。
#49
○政府参考人(大塚義治君) 平成九年の当時の与党協議会における御提案の柱の一つが高齢者医療制度でございました。与党協といたしまして一つの御提案をされましたが、その後の関係審議会や与党の中での御議論でも一つの方針がまとまらなかったという意味では、今日までの経緯としてはおっしゃるとおりでございます。
 しかし、今回、法案の附則で期限を定めて結論を出すということにいたしておりますから、これは、政府といたしまして言わば宿題をきちんとこなさなければならないわけでございまして、政府としての答えというものを必ず準備しなければならないというふうに考えております。
#50
○森ゆうこ君 大臣いかがですか。ここで大臣の、もう様々な御議論は聞かれて、そして大臣の持論もあると思います。きちんとした方向性、それは必ずこの方向に決まるというものでなくても、少なくとも今年度中に期限を切っているわけですから、大臣としてはこうしたいという明確な方向を今、今日も大勢傍聴来ていらっしゃいますけれども、国民に負担増、非常に大きな負担をお願いするわけですから、政府の責任として、坂口厚生労働大臣として、少なくとも様々抜本改革項目ありますけれども、この一番問題となっています新しい高齢者医療制度ということに関して、坂口労働大臣のこうしたいという方針をお聞かせいただきたいと思います。
#51
○国務大臣(坂口力君) この場でも何度か申し上げたことでございますが、高齢者医療の問題を考えていきますときに、どういうタイプにするかということがいつも先行するものですから、そういたしますと、様々な御意見があってなかなかまとまっていきにくい。考え方の手順といたしましては、高齢者医療に対する財源をどのように確保していくかというところから私は考えていくべきだというふうに思っております。
 財源といいましても、それは一つは国庫負担、これは皆さん方から税金で出していただきました国庫負担、それからもう一つは保険料、これもお若い皆さん方にどれだけ御負担をいただくのかということも含めての保険料、そして高齢者の皆さん方に御負担をいただく自己負担、この三つの割合を一体どうするのかということを、まずここを詰めていくということが大事でありまして、その詰め方というものにつきましては、それから先の詰め方につきましてはいろいろあるというふうに思いますけれども、しかしそこまでいきますれば、どういうふうな形にしていくかということはおのずから見えてくるのではないかというふうに思っております。
 今回の改正で出していただいておりますこの案の将来像と申しますか、二〇二五年を目指しました考え方といたしましては、六分の六という中で、六分の三は公費負担、そして六分の二は保険料、そして、逆ですかね、済みません、六分の三が保険料、そして六分の二が公費負担、そして六分の一が自己負担という、六分の一といいますと一五%ぐらいということになるわけでありますが、そうした形に今成り立っているわけでございます。そうしたところを中心にいたしまして、これからさらに、それに合う制度とすればどういう制度にするのが一番望ましいかということをこれから詰めていきたいというふうに考えているところでございます。
#52
○森ゆうこ君 どういう制度がいいのかこれから検討したいという御答弁だったんですが、これで本当にこの附則で約束されている日程できちんと抜本改革がなされるのか、非常に不透明だと申し上げたいと思います。
 それで、二つほど確認しておきたいことがあるんですが、自己選択権、自己決定権ということについてです。
 リプロダクティブライツということに関してはかなり議論は進んでいると思うんですけれども、逆に、人間が死ぬというこの死ぬ時期、死に方、どんな尊厳のある死に方を自分で選べるのか、このことについてはなかなか議論が深まらないということを申し上げたいと思います。
 単に延命治療を拒否するとかそういうことではなくて、個人の自己選択権、自己決定権を保障するという意味で、不要な医療を拒否できる権利を保障するということに関して、大臣は法的な整備も含めてどのようにお考えか、お願いいたします。
#53
○国務大臣(坂口力君) いわゆるリビングウイルと言われておりますことについてこれはお聞きになっているのではないかというふうに思いますが、少し調査は古くなりますけれども、平成九年に実施をいたしました意識調査におきましては、この延命治療をどうするかといったようなことにつきましての意思表示、いわゆるリビングウイルというものを法制化をすべきだというふうに、賛成するというふうにお答えになった方が四八%でございました。そして、賛成するという方は四八%で、法律を制定すべきという御意見は全体の二三%でございました。ちょっと古くなります、平成九年でございますから、あるいは最近はもう少し意識の変化が起こっているかもしれません。
 もう一度、また改めてこの辺のところを近いうちに聞かなければいけないというふうに思っておりますが、過去のこういうデータによりますと、趣旨には賛成だと、しかし法律まで作らなくてもいいじゃないのという御意見が過去におきまして、平成九年当時のものにおきましては強かったということでございます。
 患者と医師との間でどのような終末期医療というものを構成するか、どういう形で迎えるかということは、その信頼の中で話合いを進めていくというのが一つの方法ではないかというふうに現在は考えております。したがいまして、私はこうしてほしいという、やはり終末期をお迎えになります方の御意見というものは、それは率直にお聞きをするということは医療機関として大変大事なことだというふうに思いますが、そこを法律で縛る話かどうかということにつきましては、もう少しこれは様々な角度から議論をしなければならないことだと思っております。
#54
○森ゆうこ君 この件に関してはタブー視することなく、もっと議論を深めていかなければいけないと思います。今はそういう自己選択権、自己決定権が著しく侵害されるという場面が多々見られるということを申し上げておきたいと思います。
 その自己選択権、自己決定権につながると思うんですが、カルテの共同利用ということに関して、個人情報保護、自分自身の医療情報がいかに使われるかということについての自己決定、自己選択というのが侵されるという危惧がございます。医療関係者については法的に守秘義務というものが整備されているわけですけれども、この点、健康保険者につきましては守秘義務について法的な整備がないと思います。
 このカルテの共同利用ということが今回言われているわけですけれども、患者個人の病歴や薬歴といった極めて個人のプライバシーにかかわる個人情報に、守秘義務を課されない健康保険者がかかわるということは、非常に個人情報保護、漏えいの観点から問題であります。
 そして、今の、今回の健康保険法の改正論が言わば本当に財政論だけですから、そういう観点からいえば、保険者は総保険料を抑制するために、この情報を非常に被保険者にとって不利な材料として使うという可能性もあると思います。
 このことに関して、健康保険者に対する他目的利用や漏えいなどを法律で禁止する必要はないのでしょうか。坂口厚生労働大臣に伺います。
#55
○国務大臣(坂口力君) 政管健保でございますとかあるいは国民健康保険といいました場合には、これはそれぞれ公務員でございますから、これは守秘義務が掛かっております。御指摘のようなケースというのは健保組合ですね、健保組合にどうするかという問題があるわけでございまして、健保組合の皆さん方に対しましては、個人情報の管理や秘密漏えいの防止の徹底を図るようにこれは指導をしているところでございますけれども、法律的なものがないと言われれば、ここはないわけでございます。
 しかし、そのことはこの保険者の皆さん方もよく御存じの、それは優れた健保組合が多いわけでございますから、十分理解をしていただいているというふうに思いますけれども、ここは、もしもそうしたことがありました、何か漏えいをするというようなことがありましたときには、これは健康保険上で必要と認めました場合には監督上必要な処分を命ずることができるということになっておりまして、これは全体としてこの権限を、役所の方の権限を付けているところでございます。
 ただ、これから先、職場と、職域と地域、地域と職域というふうに、情報をお互いに共有をしなければならないものというのも中には出てくる可能性もございますから、そういうふうになってまいりました場合に、それを共有する人たちが、国家公務員でありますとか地方公務員だけにそれがゆだねられるかといえば、そうでないケースも中にはある可能性というのは当然ございますので、そうしたことは、今後新しいこの健診の問題が更にこれから進んでいくにつれまして、それと並行してそうした問題も考えていかなければならないことだというふうに思います。
 先日も、朝日先生からもお出しをいただいておりますので、そこはよく理解をしているつもりでございます。
#56
○森ゆうこ君 今日、先ほどもお話がありました強行採決ということが何やら予定されているようですけれども、先ほども大臣がお話がありました、経営努力というお話がありましたけれども、普通はまず経営努力をして、抜本改革をして、そしてそれでも仕方がない場合にはお客様に対して負担を求める、値上げを求めると、これが普通だと思いますけれども、今回の健康保険法改正案は、そういう意味で全く本末転倒という法案であるということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
#57
○大脇雅子君 法律案提案理由説明におきましては、医療保険制度については、給付と負担の公平を図るとともに、将来にわたり持続可能な安定的なものとしていくことが求められると言われておりますが、給付と負担の公平を図る上で最も負担を担う国民の十分な理解やコンセンサスが今得られているかと問えば、そのような状況にはありません。むしろ、先行き不安を増大する長引く不況の下で、雇用と労働条件がますます深刻になっている現在、公的責任主体である国と地方自治体の果たすべき役割が問われるべきであると思います。
 今朝ほどの新聞報道によりましても、四年連続自殺者は三万人を超えておりまして、その中で、経済問題を理由とする自殺者は二二%に増大をしております。失業者も五・四%で三百五十八万人、生活の主たる維持者とする人たちの失業が増え、倒産も戦後最大数を数えるに至って、とりわけ大型やしにせの倒産が増加していると。
 こういう中で、今この健保法改正法案の意味ということは、国民の権利保護を後回しにして提出された有事関連三法案と同じ手法で、医療制度改革の全体像が不透明のまま目先の負担増という痛みだけを国民に押し付ける、改革のインセンティブさえ消してしまうという、私は根本的に問題である改正には反対をするものであります。
 さらに、この改正の効果というのは五年がせいぜいであるとも言われておりまして、それも、被保険者である国民の保険料負担ということが今後高まっていくであろうということが前提になっている。
 今私どもがやるべきことは、まず患者の権利をどのように確保するかということであろうと思います。民主党が提出されている患者の権利法案というものの実現が喫緊の課題と思わざるを得ません。
 この中で、医療機関が安全かつ適正な医療を確保するための体制整備ということが重要なテーマ、基本的な思想になっていると思われますが、医療に係る事故防止等に対する具体的な指針ということを挙げておられますが、この骨格及び内容の基準というものについてお尋ねいたします。
#58
○委員以外の議員(若林秀樹君) 大脇委員にお答えしたいと思います。
 医療事故を防止するためには、医療従事者のその自覚とか努力はもちろんのことですが、医療機関全体として取り組み、事故防止体制の確立を図ることが必要であります。そのためには、各医療機関に医療事故の防止に関する具体的な指針を策定させることが重要であると考えております。
 この指針におきましては、医療適正化委員会を始めとする事故防止委員会の設置、そしてリスクマネジャー等の配置、診療・医療機器、医薬品等の管理体制の整備などの医療事故防止のための組織体制、そして二番目に、ヒヤリ・ハット事例の報告と評価分析、事故防止のための注意事項、医療従事者に対する教育、事故防止の周知徹底などの医療事故防止のための方策、三番目には、事故の際の初動体制、事故の報告・公表、患者や家族への対応などの医療事故に対する対応、そして最後に、医者も看護師も生身の人間ですので、医療従事者の負担の軽減を図る、あるいは労働条件の改善などの作業環境の整備などに関する事項が定められるものになると考えております。
 以上です。
#59
○大脇雅子君 患者の権利法案の中で、医療適正化委員会というものの設置が言われておりまして、義務付けられる医療機関の規模とか委員会の構成あるいは委員の選任、権限等についてどのようなものと考えられていられるでしょうか。
#60
○委員以外の議員(櫻井充君) 大脇委員にお答えいたします。
 まず、医療機関の規模ですけれども、今回、この医療適正化委員会に外部の方に加わっていただくという要件を定めておりますので、その費用負担を考えますと、やはり百床規模以上の病院がふさわしいのではないかというふうに考えております。
 それから、委員会の構成なんですけれども、この間の医療事故の参考人質疑の際を皆さん思い出していただけばよく分かるかと思いますが、外部の方にお願いした川崎協同病院の調査と、それから内部の人だけで解決を図ろうとした東京女子医科大学とでは、私はやはり大きな差があったんではないだろうかと思っております。そういう意味におきまして、やはり外部の方に入っていただいて、第三者の目から見て、中立に、公平に運営していくということが極めて重要なことではないかと思っています。
 そして、あとは病院の中の方としては、いろいろな職域の方に入っていただく。もちろん医師もそうですけれども、看護の方、それから検査の方、そして事務の方、そういう方々から構成されるべきだろうと考えております。
 それからもう一つ、権限についてですけれども、もちろん医療事故もそうなんですけれども、ヒヤリ・ハットなどの、事故までは至らないけれどももう少しで事故に至ってしまうような原因分析等を行っていくこととか、それから、患者さん方の方から医療相談などを随分受けますので、その医療相談についてセカンドオピニオン的な役割を果たしていけないだろうか、それからもう一つは、患者さん方から苦情と、ここの法案には苦情と書いてありますが、苦情という言葉がふさわしいかどうかもう一度考えなきゃいけないんで、いろんな病院に対しての問題点の指摘と意見があるかと思いますから、そういう問題点を指摘されたものの解決とか、それから御意見の処理などをやっていく、そういう必要性があるかと思っております。
 最初に大脇先生が申されておりましたとおり、やはり今までの医療財政だけの在り方を検討するということではなくて、医療の質をどうやって高めていくのか、そして、これまでなかなか十分に検討されてこなかった患者さんの権利に対してどうやって取り組んでいくのかということは極めて重要なテーマではないかと思っております。
#61
○大脇雅子君 どうもありがとうございました。この法案が是非実現をする日を私は願うものでございます。
 それでは、健康保険法の改正について質問を続けさせていただきます。
 健康保険の本人及び家族の入院時の一割負担について、各制度間の給付を統一する観点から三割負担とするという内容も、低きに流れる手法ではないかと思われるわけであります。
 七月十一日の参考人質疑でも指摘されておりましたが、日本医師会の櫻井参考人の指摘をまつまでもなく、実際に病気やけがの治療等あるいは入院での実費負担が増加すれば、経済的理由で医療機関の利用を我慢する国民が生ずると。で、重篤な状態になって初めて医療機関を訪れるということがつとに指摘されております。
 このようなケースでは、かえって医療費のコストが掛かるのではないかと思われるわけです。具体的にその点について推計をしていられるでしょうか。受診の抑制でなく、早期の受診を確立することこそ医療費の削減に資するのではないかというふうに考えます。いかがお考えでしょうか。
#62
○政府参考人(大塚義治君) 疾病にかかりました場合に、早期に適切な受診をしていただくということが必要あるいは適当であることはもちろんでございます。
 問題は、その患者負担によりましてそれが大きく制約されるかどうか、またそれが医療費にどう影響するのかということでございますが、これは当委員会でも何度か御議論にございましたように、一定の御負担をお願いいたしますけれども、様々な配慮もございます。
 また、例えば、国民健康保険あるいは被用者保険家族、既に三割になっておる、自己負担率三割というふうになっておられる層とその他の層との比較をいたしましても、決して受診状況に大きな差があるわけではございません。
 今日の全般的な日本の医療を取り巻く、例えば医療提供体制の状況、あるいは厳しいといいながら今日の経済水準もろもろ総合的に勘案いたしまして、またデータを勘案いたしましても、受診が抑制されるというふうには、私どもは必要な受診が抑制されるとは考えておらないわけでございまして、したがいまして、それに伴ってむしろ重症化して医療費が大きくなるといったような推計はいたしておりません。
#63
○大脇雅子君 私は、すべての個人負担二割への負担の軽減をむしろ実現する政策判断こそ必要だと思います。
 医療財政の確立のためには、例えば、二〇〇〇年、三百七十万世帯という国保の保険料滞納率の上昇を踏まえて、無収入や低収入の人たちの生活実態に配慮しつつ、各制度間の保険料全体の連帯による支え合いを実行すべきではないでしょうか。この場合は公的、すなわち国と地方自治体の積極的な財政支援が大前提となりますが、むしろ国民の目線からそのような改革が重要だと思うものであります。
 次に、高齢者の高額医療費についてお尋ねをいたします。
 高齢者に対する医療費が国民医療費の三分の一強の水準にあり、これこそ医療財政悪化の元凶のように言われておりますけれども、世界でも例を見ない少子高齢化社会が到来した日本では、いたずらに高齢者医療費の総額だけに目を奪われるのではなく、一人一人に要する医療実費の比較こそ必要ではないかと思います。
 高齢者と現役世代とではほとんど差のない状態で推移しているという状況を踏まえ、高齢者の健康と生活の確保には、医療制度だけではなくて、公的介護保険の果たすべき役割というものが大きく関連して議論されなければならないと思います。そういう意味では、介護保険制度の充実との連携が必要だというふうに考えるわけであります。
 これまでの審議において、各市町村の協力を得ながらできるだけ高齢者の負担を軽減する方策を検討することになっておりますが、一か月の上限を超える場合の合計額の通知や償還払の手続についても、高齢者にもっと簡素化をして還元する書式というものが検討されるべきだと思います。こういう意味で、高齢者やその家族に配慮した施策についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
#64
○政府参考人(大塚義治君) 今回の改正の中で、高齢者の方々につきましてもいわゆる高額療養費制度というのを設けるわけでございますが、確かに高齢者の場合には、その事務負担が過大になりますと、その申請あるいは受給という点で実質的な制約を受けるということもあり得るわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、極力その事務的な手続は簡素化し、簡略化し、その負担を軽減したいと考えております。
 ただ、その事務はどうしても市町村にお願いをしなければならない。市町村の事務負担というのも相当に上るということも考えられますので、細部につきましてはよく市町村と御相談をし、御協力を得たいと思っておりますが、いずれにいたしましても、できるだけの簡素化が図られますように努力をいたしたいと考えております。
#65
○大脇雅子君 高齢社会の到来と家族構成の変化等、様々な要因で増加する高齢者医療費問題や社会的入院問題、居宅の在宅介護の困難な状況と支援等を背景にして公的介護保険制度がスタートいたしました。高齢者医療と介護保険制度の有機的結合、連携について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(坂口力君) 老人医療とそして老人介護の問題というのは、非常に密接な関係があるわけであります。
 現在まで、ややもいたしますと、老人医療の中にすべてが包括されてきた嫌いがございました。しかし、よくよく考えてみれば、そのすべてを老人医療の中で包括するのではなくて、その中で介護をして、そして健全な家庭生活あるいは地域生活が可能になる方々も多く含まれていたわけでございますから、そこは老人医療というものと切り離して在宅介護というものの制度を確立をして、できるだけ家庭において、あるいはまた地域において、健康な日々あるいは健康に近い状況を作り出していただこうというのが介護保険の精神であるというふうに思っております。
 したがいまして、そこは、介護制度の中でおやりになっている皆さん方の中にも時には入院の必要な方もありますから、行き来はあるというふうに思いますけれども、すべてを医療費の中ではなくて、できる限り地域でやはり介護ができるような体制をどう作り上げていくかということが最も大事でございます。
 ややもいたしますと、いわゆる施設介護と申しますか、介護施設が重視をされまして、介護施設の中に入りたいという方が多いわけでございますけれども、しかしそれも、行き先のない方、そしてそれがどうしても必要な方もございますが、できるだけやはり御家庭において、地域において介護が進んでいくという体制を作ることが私は大事である、そのことが医療費の節減にも結び付いていくと考えております。
#67
○大脇雅子君 社会保険及び労働保険の保険料徴収事務の一元化についてお尋ねをいたします。
 二〇〇〇年四月に地方事務官の身分と行政が国に一元化されたいきさつがあります。最近の厳しい雇用情勢、とりわけ各地方、地域における雇用創出の緊急課題にこたえるためにも、真の地方分権の推進こそ政策課題に合致しているのではないかと。それぞれの職務遂行の実情に合わせて利用者本位の制度にするためには、事務職員の身分を県レベルに移管することが検討されてしかるべきではないかと。社会保険事務所とハローワークの徴収事務の一元化及び効率化が図られるということに関して、私はそのことが必要ではないかと思いますが、御意見いかがでしょうか。
#68
○国務大臣(坂口力君) 前回の改革の中でこれは国の方に一元化をされたわけでございまして、それはそれで進行をする以外にないというふうに思っておりますが、ただ、先生が今御指摘になりましたことと関連いたしますのは、これからの保険徴収の一元化の問題でございますとか、あるいはまた診療報酬体系の在り方等々がこれからどのように変化をしていくかといったことともこれはかかわってくる話でございますので、一応、これは国に決めていただきましたから、そうすぐにまた県にというわけにはまいりませんけれども、全体の流れの中であるいはまたいろいろと検討をしなければならないことも、それはなきにしもあらずと、私もそう思っております。
#69
○大脇雅子君 文部省の方に来ていただいております。
 医学部における医療教育、特に医師、看護の医療従事者の倫理性の錬磨、事故防止対策の意識を高めるなど、具体的な教育というものが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#70
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のようなことは大変大事なことだと思ってございます。
 現に、国公私の医学部におきましては、ヒポクラテスの誓いを始めとする医の倫理というのはすべての大学で教えているわけでございますし、また安全管理、事故防止につきましても、その教育の充実が図られているところでございます。
 また、さらには、国公私の医学関係者が中心になりましてこれからの医師養成に必要なモデルカリキュラムを作っていこうという中でも、御指摘のような医の倫理あるいは安全対策というのは必須の事項として取り上げられてございます。それは、医師だけに限らず、看護師等、医療関係者の養成の場におきましても同様の取組が進められているところでございまして、私どももその大学側の努力を更に促し、バックアップしてまいりたいと思っております。
#71
○大脇雅子君 何となく不穏な雰囲気が満ちてきております。
 民主主義のルールをきっちりとお守りいただきまして、参議院の権威にかかわることや政治不信を増長するようなことがないように、私は委員長と与党の先生方の良心と良識に訴えて、質問を終わります。
    ─────────────
#72
○委員長(阿部正俊君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、西山登紀子さんが委員を辞任され、その補欠として井上美代さんが選任されました。
    ─────────────
#73
○委員長(阿部正俊君) 先生、もしよろしければどうぞお座りになって、御遠慮なくやっていただきたいと思います。
#74
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 我が党は、一九九七年の改革もそうですが、特に今回、本会議以降、前回に引き続き、本当に国民のための医療改革、抜本改革ないままに負担増だけ、財政問題だけが先行することに反対してまいりました。そういう反対という立場だけではなく、衆議院での質疑、それから我がこの委員会での、参議院での質疑を振り返ってみましても、まだまだ審議が尽くされていない。それはもちろん私ども自身の責任でもあるわけですけれども、余りにも問題が広く大きいので、これがこのまま、今も何人もの委員からお話が出ましたが、本日強行採決されるというふうな変なうわさがありますが、そんなようなことがあってはならないんではないかという視点に立って、まだこれからこういうふうに整理して議論を進めなければいけないんじゃないかということも含めて、質疑をしたいと思います。
 たまたま今日は一九九七年の与党協の責任者として前回の抜本改革案をまとめられた丹羽元厚生大臣もお見えになっているので、大変有り難いことだと思いますし、質疑をさせていただきたいと思います。
 それで、まず最初に、これは委員長にも理事の皆さんにも、それから厚生労働省にも御礼を申し上げたいと思いますが、本委員会においては共通の認識で議論するために、それぞれ出されて説明の資料はいただいていたんですが、この委員会としての共通の資料をいただきたいということで、二回にわたって資料を出していただいたことをまず感謝申し上げたいと思います。
 ただ、残念ながら、前回出していただいた厚生労働省の資料の十二、十三、十四、附則第二条の規定にかかわる件、つまり、お金の話じゃなくて、それとは別の、医療の中身を良くする、改革することにかかわるこの附則第二条を整理し直して資料として出してほしい、いつまでにと書いてあるもの、書いていないものがあるが、その理由はなぜかと。いつまでにというのはやるという意味なのか、方向を示すというものなのか。これも我が党の山本委員の方から質問したんですが、そういう中身については全然なくて、ただ、法案だと縦に附則第二条何々、つらつらと書いてあるものを横書きにして表にしたというだけなのが非常に残念だと。
 残念だというのは、ひょっとするとこれ厚生労働省がサボっていたというだけではなく、中身がないということになるんではないだろうかというふうに思わざるを得ないので、この五年間一体何をしていたのか。この五年間抜本改革がされていないというのは国民もそれから我々国会議員も大方の認識のはずなんですが、一部には、いや、部分的には進んだよという認識があるようで、小泉総理もその辺が非常にあいまいなんですね。
 衆議院での坂口厚生労働大臣の答弁をお聞きしますと、忘れもしません、五月二十三日ですか、あのハンセン病のことについて劇的な解決を図られたそのときに、総理から、本当に今度こそ抜本改革やってくれよということで、坂口厚生大臣が小泉総理からもう熱っぽく頼まれたという答弁をされていて、小泉さんもやっぱりこの前できなかったと思っているんだなと、本当にやらなきゃならないと思っているんだなと私は思ったわけですが、一方の答弁を聞くと、薬価差益が三分の一に減ったから進んでいるんだとか、薬価差益が減ったから抜本改革が進んだというのは、これは全然見当違いじゃないかななんと思いながらお聞きをしていたわけです。
 そこで今日、私なりに資料を作らせていただきました。前回、厚生労働省から出していただいた、抜本改革にかかわる、今回の健保法改正案附則第二条にかかわることを、横書きになっていたので、前回どうだったかなということとの比較表で出させていただきました。
 それをごらんいただきたいんですが、前回の改革は、丹羽元厚生大臣お見えにならなくなっちゃったので言いやすくなりましたが、前回は四つの柱というのを立てたんですよね、抜本改革をするには。その前提としては、国民の立場に立った医療提供体制と医療保険制度の両面にわたって改革をしなければならない、この認識は私どもも一致しております。
 ところが、四本の柱を立てた。四本の柱というのは、薬価制度の見直し、二本目の柱が診療報酬体系の見直し、三番目が、先ほども何人かの方から話が出た、新しい高齢者医療制度の創設、それで四番目が、非常に多岐にわたる、医師教育から医の倫理まで、情報公開まで含む医療提供体制の見直しと、四本なんですね。
 それに対して我が民主党は、医療改革案の中間報告を一九九九年に発表したときに、こういう四本の柱という立て方がそもそも間違っちゃっているんだということを申し上げたんです。
 それは、そもそも、先ほど引用しましたように、どういう医療がいいのかという改革とその医療を行うためのお金はどうやったらいいのかという医療保険制度と、この二本の柱にしなきゃいけないのを四本にばらしちゃった。それで、厚生省が縦割りですから、それを縦割りの部局で縦割りの審議会に掛けてやったから、全部袋小路に入っちゃった。これを原点に帰れということを私どもは提案したわけですが、それはそれでおいておきましょう。おいておいて、四本の柱に合わせてどういうふうに取組が進んだのか、全く進んでいないのか。
 そうすると、一番上の薬価制度の見直しが今度の附則にも何も書いていないんですね、消えちゃっているんです。もう済んだとお考えなんでしょうかね。それから四番目の、国民にとって一番関心の深い医療提供体制の見直しも今度の附則には何も書いていない。だから、そこに横棒線を引っ張ってあります。
 何も書いていないと言われると何か厚生労働省言うでしょうから、関係あることは、第六項一号の医療事故対策、これも苦情処理ぐらいのことしか書いていないんですね。それから第六項の二号が医療及び医療費のデータベースを作ることと、こう書いてあるんですね。これは私も評価いたします。それから、第三項の一号に社会保険病院等の在り方の見直し、これも医療提供体制の在り方、国立病院なんというのは本当に必要なの、社会保険病院、労災病院というのは役割を果たしているのという話が今出ていますから、医療提供体制と言えばそうですけれども、これはむしろ厚生省改革の一環として出ているので、むしろ医療提供体制に入れるのはやめようかなと思ったんですが、でもあえて入れればこうなるんです。
 簡単に言えば、薬価制度と医療提供体制は今度の抜本改革、この附則にも全然書かれていないと考えていい。この辺どうしてなんですかね。厚生労働大臣、そこを。
#75
○国務大臣(坂口力君) こうして先生に表にしていただきましてこれを拝見をいたしますと、確かに薬価制度の見直しというのが私たちの今回挙げました中から落ちているわけです。
 これは、私個人の気持ちの中には、この薬価制度というのは診療報酬の問題と非常に結び付きが強い。どちらかといえば診療報酬体系の見直しをする中で薬価は一緒にやったらいいんではないかという思いが強くて、薬価としてここに名前を挙げなかった。しかし、御指摘を受ければやはり薬価は薬価としての非常に大きな問題点、診療報酬の問題以外の問題もあることは事実でございますから、あるいは挙げておいた方がよかったのかなという気もしながら今お聞きをしていたところでございますが、しかし、ここは、この薬価の問題につきましての見直しというのは診療報酬だけでございませんで、それにまつわるほかのことにつきましてもその中に含めて、これは改革に取り組まなければならないというふうに思っております。
 それからもう一つの方の、医療提供体制の、これは、こっちの方は大変大事なことでございまして、これは現在のいわゆる制度を改革をしていくといいますよりも、これは厚生省の中で決着をしていかなければならないことの方が私は大きいというふうに思っている次第でございます。もちろんそれがすべてではないかもしれません。
 したがいまして、これは全体として制度改革ということよりも内部で決着を付けなければならない話でございますので、これも私たちは断行をしていかなければならない問題の重要な柱であるという認識は持ち合わせておりますことを御理解をいただきたいと思います。
#76
○今井澄君 私、大臣の認識は基本的に私も共有するもので、そのとおりだと思います。
 薬価については、私ども民主党の提案では、そもそも製薬メーカーが薬を作るという制度自身、これは市場経済の中で作るわけですから、そもそも公定薬価なんて決めること自身の中に無理がある。しかし、国民皆保険ですから、皆さんから集めた保険料や税金をどう払うかということだから、じゃ薬価、野放しでいいかというとそうもいかない。ここの矛盾をどう解決するかは正に診療報酬体系の問題だと思うんですね。正に大臣の御認識のとおりだと私は思います。
 ですから、民主党としては、むしろ診療報酬の支払の基本を定額制にすれば、お薬を使うのか、手術で治すのか。あるいはお薬を使うとしても、高くても効き目のいい薬をちょこっと使って治すのか、何となくだらだらと薬をあれ使ってみる、これ使ってみるという今のようなやり方でいいのか。これはおのずと定額制にすればその中で方向が見えてくるという提案を申し上げているんですが、一向にそうならない。
 ただ、この問題も、薬価の問題だって、例えば医薬分業がいいかどうか。私は、歴史から考えて、昔、日本では、これ中国もそうでしょうか、医師は薬師と言われていたんですね。いいお薬を調合するのが優秀なお医者さんだった。聞いてみると、実はイギリスもそうで、アポテカリーという薬を商う者というのがそもそものイギリスの家庭医の元だったらしいですね。
 そういうことですから、これは医薬分業もいいですけれども、もう一つ患者の利便からいいますと、私は患者になってみて分かったんですけれども、今コンピューターシステム、トータルシステムの入っている病院に行くと、もう会計を済ませたら薬できているんですよ。待ち時間ないんですよ。処方せんもなくて、調剤薬局なんか行く方がかえって患者にとっては利便性が悪いんです。しかも、処方せん料が上乗せされているから支払料も高いんですよ。そうすると、これも薬価差益があるから医薬分業、それで薬価差益が減ったと言うけれども、本当にいいことなのというのは本当は見直してみなきゃならない。
 それから、薬の承認制度も随分変わりましたね。アメリカに後れを取らずに承認しようと変わってきたり、いろいろあります。だけれども、そもそも、日本の薬価は高いというのを大阪の保険医協会が現地調査に行ってばあんと出して以来、日本の薬価は外国に比べて高いのか安いのかという論争、実はまだ決着が付いていないんですよね。そうすると、この薬価の問題一つ取っても本当に十分審議する必要がまだ残されている。
 だけれども、私は、今日は薬価のことはこれ以上踏み込みませんが、二点だけあれします。
 実は、日本版参照価格制という、ドイツを見習って給付基準額制度というのが厚生省原案で出されて、結局、それは健保連や日経連、支払者側は一生懸命推奨したし、私どもを応援してくれている連合も何とかこれだけはやらせてくれということを言いに来ました。ところが、自民党さんは、何だか訳の分からない理由でこれをつぶしちゃって、白紙に戻した。
 私ども民主党は、そもそも薬は市場経済の中でできている、これに対して規制を強化するようなこういう日本版参照価格は反対だと。しかも、ドイツでやったように、二、三年しか効果がなくて、効果がないということは分かっているじゃないか、だから反対だというのをいち早く打ち上げたんですよ。
 あれ、つぶれちゃって私はよかったと思っているんですけれども、厚生労働省当局は、あの日本版参照価格制、鳴り物入りで提出して、これが通らなければ改革ができないようなことを言いましたけれども、通らなかったのに、薬価差益は三分の一に減って進んだなんということを小泉総理の答弁で耳打ちをして言わせている。どういうように御認識ですか。
#77
○政府参考人(大塚義治君) 当時の厚生省の考え方といたしまして、御指摘のございました日本型参照価格制度というような、仮称でございますが、そうした御提案をしたわけでございますが、その趣旨は、正にただいまの御質問の中にございましたように、一方では、製薬企業のある意味では自由な活動というのを制度的にも保障、保障といいましょうか、導入をすると。これは価格設定は、最終的な価格は、売買価格は当然のことながら当事者で決めるという意味でございますが、と同時に、一方で、保険給付、保険財政も考えました保険給付として一定の基準を定めるという、その両者の調整を図る仕組みという意味で、たまたまドイツが先行的に実施をしておった例も倣いまして、日本版という前提を置きまして御提案をしたわけでございます。
 これもお話にございましたけれども、賛否が率直に言って分かれました。審議会におきましても賛否が分かれまして、例えば学識者と言われるお立場の方々の賛否も分かれました。一方、それに対する別の御提案というのも多数出てまいりました。
 私どもがあえて提案した立場で今思いますと、特に大きな論点が二つございまして、ちょっと長くなって恐縮でございますが……
#78
○今井澄君 できるだけ短くしてください。
#79
○政府参考人(大塚義治君) はい。
 論点がいろいろございまして、私どもの反省点としては、その論点に対して十分御説明がし切れなかったという意味では私ども反省点の一つでございますが、当時、最大の問題はやはり薬価差ということでございました。
 薬価差の存在が医療全体を、あるいは薬価全体をゆがめているんではないかというお話が論点の焦点でございましたので、その後、この参照価格制度を断念せざるを得なかったわけでございますけれども、薬価差の縮小、解消ということに焦点を合わせまして、その後、様々な改革をしてきたと。特に、価格を決定する手続を透明化すると、この点に重点を置きまして改革を進めてきたというふうに認識をいたしております。
#80
○今井澄君 確かに、価格の決定システムが透明化されたとか承認が早くなった、これは私も率直に認めます。御努力があったと思いますが、その薬価差の問題だって、今日はもう先ほども言いましたように質疑しませんけれども、表面上の薬価差は三分の一に減ったと言われるけれども、これ世の中、商売というのは安く買って高く売るのが商売の常識なんですよね。これに付け込んで薬漬けになるからいけないんであって、今度、薬価差どこかへ行っているんじゃないのと、調剤薬局には薬価差というのはないんですかということだって調べてみたいし、それをやるために、例えば処方せん料という新たなもので医療費が増えているんじゃないですか、それを差し引きしたらどうですかということだってまだまだ議論する余地があるんですよね。
 それから、二百五円ルールが問題になりましたけれども、今度は二万円ルールなんて変なものもあるわけでしょう。審査に出さなくてもいいわけですよ、月二万円以下はね。そうすると、またまた不透明なもの。まあそれはそれでいいです。苦しい答弁、要するに、あれが抜本改革ではなかったということですよね。
 それでもう一つ。本当にお薬の無駄を患者の立場に立って、薬害の問題もなくすとすれば、今日はあえて新聞コピーをここに付けましたけれども、これは医政局長と保険局長、両方にお聞きしたいんですが、昨年の八月、約一年前に、動脈硬化学会がコレステロールの正常値を二十上げるということを提案した、九月までにそういうガイドラインを作るということになったと。そうすると、およそ二千三百万人の人がコレステロールを下げる薬を飲んでいるんだけれども、そのうちの一千万人はお薬飲まなくてよくなるようになりますねということが書いてあるんです。これは医療界の中に抵抗が大きいと。そんなことを言ったら、昨日まで出していたのに患者に何て言うんだって言っている人がいる。何て言うんだって、あんた、どういう医者ですかと言いたくなるんですけれどもね。そういうことが書いてある。
 それから、今年六月十八日にまた同じ新聞が取り上げて、その後、全然決まっていない、あれだけの提案があったのに決まっていないと。相変わらず一千万人以上も無駄に飲まなくていい人が飲んでいて、たなざらしになっている。しかも、飲まなくていい人は主に女性だと。女性なんというのは、女性なんというのはじゃない、女性はそもそも心筋梗塞になりにくいんだよね。その人たちが主に飲んでいる。
 こういうことを新聞に書かれて、国民の健康に責任を持つ、そしてしかも医者が、医者であって局長をやっておられる医政局、厚生行政をどう考えられるのか。また、保険局長には、一千万人がコレステロールのお薬を飲まなくてよくなれば医療費は幾ら安くなるのか。それを答えてください。
#81
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま先生御指摘のコレステロールの基準値のことでございますが、確かに、今月十九日に、日本動脈硬化学会におきまして疾患の診療ガイドラインというのが取りまとめられまして、合併症の有無によって違いますけれども、それに基づいた基準値の見直しが行われたというふうに承知をいたしております。
 今回のように、学会においてその治療法などに関する様々な御意見、またあるいは学説がございまして、意見の集約が困難な場合があるということは承知をいたしておりますけれども、このような議論が起こる原因の一つとしては、我が国においては臨床研究が少ないというような事情もあるのではないかと考えております。よりレベルの高い科学的な根拠を生み出すような、そういう大規模な臨床研究の振興が必要なのではないかというふうに考えております。
 御指摘の点でございますが、今回学会が作成された診療ガイドラインにつきましても、十四年度、十五年度、準備期間を設けまして、十六年度から供用を開始する予定にしておりますが、診療ガイドラインのデータベースに収載するなどいたしまして、こういう最新の医学情報が速やかに国民、そしてまた医師サイドに提供できるように努めてまいりたいと考えております。
#82
○政府参考人(大塚義治君) 仮にコレステロールの基準値が変更になりまして患者さんが半分になる、翻訳をさせていただきまして、高脂血症用剤が仮に半分になると、こういう前提で数値を申し上げますと、十二年度の調査でございますけれども、高脂血症用剤が全体の医薬品に占める割合が一・一二%という数字がございます。こういうことでございますので、薬剤費とのボリュームを掛け算をいたしますと、三百数十億というようなことかなというふうに考えております。
#83
○今井澄君 三百数十億という数字は信じられないですね。というのは、高脂血症薬である有名な、私も医者の時代に使いまして、本当に切れ味がいいんですね、下がるんです。そのお薬はその一品目だけで一千億を超える売上げがあるんですよね。どうも三百数十億というのは分からないので、後でその算定根拠を出していただきたいと思いますが。そのお薬の名前、具体的に私取り上げてかつて厚生委員会時代にやったんですけれども、余り具体名挙げるとやっぱりいけないようですので、やめますけれども。一品目だけで一千億を超える売上げがあるお薬があるんだから、今の数字は信じられないです。
 それから、前者、医政局長のお答えに対しては、私、恥ずかしいと思います。質疑準備が不足だったな。そうですか、十九日に動脈硬化学会でガイドライン出しましたか。それは分かりました。そのことを調べていないまま質問したのは非常に恥ずかしいと思いますが。
 ただ、この問題は、医療内容というのはあくまでも現場の医師と患者の問題ですから、確かに私も国家権力が介入すべき分野かどうかは大変疑問に思っておりますが、しかし国民の健康に、あるいは経済も含めて、財政も含めて責任を持つ厚生労働省としては、やはり正しいものは正しいということで進める方向で、特にデータベースの方や何かはもっともっと力を注いでいただきたいと思うんです。
 ついでに、ちょっと時間がない中で申し上げますと、実はコレステロールに関して私苦い経験があるんですが。
 私、三十年前に長野県で脳卒中の予防、高血圧の予防に取り組んだときに、何しろ当時の地方では卵や牛乳、こういうものの摂取が少なくて、動脈硬化が進んで高血圧二百を超える人はざらでしたし、脳卒中で倒れる人、多かったんですね。どういう指導をしたかというと、もちろん寒さ、塩、と同時に牛乳や卵、こういうものを摂取して丈夫な血管を作れという指導をしたんです。
 ちょうどそのころアメリカから、心臓病の予防にはコレステロールはいけないよというので、卵、牛乳を制限する運動が入ってきたんです。それがいきなり田舎にストレートで来るんですよね。ああいう世界は医者の世界でも速いんですよね、ばかげたことに。それで、こっちが保健婦さんと一緒になって一生懸命、塩分減らせ、卵と牛乳一日一本一個と言っているときに、卵と牛乳減らせというような指導する保健所のばか所長がいる。もう参ったですね、本当に。いや、まあそれはそれとしておいて。こういう点も厚生労働省としてはきちっと見張っていただきたいと思います、過剰な介入はともかく。
 そこで、もう一つ、今度、医療提供体制なんですけれども、これが今度ないということで、厚生労働大臣の方から先ほど、これは全力を挙げて取り組むけれども、これは厚生労働省の問題だというお答えがあったんですが、確かにこれ健保法の問題ではないことは確かだと思うんですね。だけれども、これは医療法とかそういうことにかかわる問題で、これはやっぱり厚生労働省だけの問題じゃなくて、やはり国会にかかわる問題だと思うんですよ、法律にかかわること。
 特に、私は、やはりこの医療改革の根本は、今医療がどんどんどんどん一方で高度化する、医療費もどんどんどんどん増えていくと。その中で、医師と患者の関係、あるいは医療機関と患者の信頼関係がどんどん損なわれている。事故もある、情報隠しもある。実は、そこを直していくことを抜きにしては、単にデータベースを作って情報を出したから国民がいい医療を受けられるかというと、そういうものでもないんですね。
 私も今度患者になっていろいろ掛かってみましたけれども、やはり情報だけだったら取れるんですよ、何も日本の情報じゃなくても。アメリカの情報をデータベースでどんどん取れますからね。
 これはある患者団体からも聞いたんですけれども、今の三十代、四十代は説明なんかしてほしくない、説明を求めていないと。インターネットでもう情報は取れるんだと。その情報が正しいかどうか、お値段としてこれが適切なお値段でこれだけ払っても受ける価値があるかどうかということのアドバイザーとしての医師が欲しいんだという年代もあるそうです。七十、八十になると、あなたの病気はねなんて説明をすると、先生、もういいです、お任せしますからというふうに違うんですよね。
 そう考えてみますと、やっぱりこれ医師、患者関係の在り方をどう作り直すかということだと思うんです。その根本としては、私はやっぱり医者教育というのは非常に必要だと思うんですね。
 さっき文部科学省の方が来られて、ヒポクラテスの誓いなんていう非常に懐かしい古典的な言葉を聞いたんですけれども、あれ大間違いなんですよ、いないところで言っちゃ申し訳ないんですけれども。確かに、我々、私のような年代の人間はヒポクラテスの誓いということを教わりました。医の倫理ということ。だけれども、その前提に立っているのは、医療というのは極めて専門的な知識や技術であって、これは医者のみぞ知るものなんだ、一般の人は知らないんだと、したがって我々はそういう立場にあるんだから、尊い仕事をしているんだから、高い倫理性を持ってやらなきゃならないということを教わったんです。
 ところが、今はそうじゃないんですよ。情報は患者のものなんです。患者の選択権、患者の権利という時代になったんです。もうヒポクラテスというのは知らしむべからずよらしむべしの時代の医の倫理で、あんなことを言っているから古いんですよね。そういう中で育てられた医者は、どんなにいい医者であっても患者の立場なんて分からないということが私よく分かりました。
 私は、この間、もう数々の専門医に実は恥ずかしながら掛かりました。ところが、その専門医は、自分の専門のことは本当によく知っています、教えてくれます。自分の専門以外のことは一切分からないんです。それをコーディネートする必要があるんですが、私は幸い医者だったからコーディネートをして、今度は皮膚科だ、今度は整形外科だとか、うまく掛かって、ちょっと医者歩きをしちゃって医療費を増やして申し訳なかったと思っておりますけれども。
 実は、必要なのは、患者は何で悩むのか、何が困っているのか、情報がないから困っているだけじゃないんですよ、患者の立場に立って考えてくれる専門家がいないから困っているんですよ。それは、大学のように研究や学問や教育を中心とするところで、医者を集めてヒポクラテスの誓いなんて言っているから、それは優秀なお医者さん育つでしょう。でも、その優秀なお医者さんは本当に患者のためにその優秀な技術も知識も発揮できないという悲劇が今日本じゅうに生じちゃっている。
 しかも、日本は医療費抑制策がどんどん進むから、現場のお医者さんが夢を失っている。最近、東大病院の病院長以下幹部七名とも話しましたが、一人一人はみんないいお医者さんで、何しろ医者を教育するのに非常に困っている、夢を与えられなくて困っていると。
 優秀なお医者さん、これ新聞にも出ていましたね、ドイツも今医者不足なんだそうですね、あの医師過剰だった。なぜかというと、医学部に入った学生の二割が卒業するまでに転科、転部をしてしまう。医者になっても展望がないと。卒業して医師免許を取った二割が外国へ行ってしまうと。一生懸命立派な医者になりたい人間は実力の発揮できるアメリカに行くと。金をもうけたい人は今医者不足で困っているスウェーデンとかそういうところへ行って出稼ぎをする。あとは製薬メーカーとか保険会社に勤めて、医者の専門知識を高く、そこで高い給料をもらうと。なぜか。忙し過ぎるんですよ。忙し過ぎて、その割に、ドイツも相当医療費抑制策やっていますよね、それで給料が少ないというんで、良心的な医者ほど忙しくなって、実入りが少なくて、評価がないもんだからそうなる。
 日本でもそうなんですね、実は、だんだん。
 ある人の本に書いてありました。本当に医者らしい医者をやろうと思うんだったら外国へ行く。外国へ行っちゃったのいます。金をもうけたかったら開業する。権威が欲しいんだったら、研究したいんだったら大学に残ると。誠におかしな世の中になってきてしまっていると思うんです。
 そうすると、この医者の教育の問題というのは、これは確かに厚生労働省の管轄ですけれども、もう一つ相手、文部科学省があります。厚生労働省だけではどうにもなりません。
 それから、もう医師の研修の義務化が二年後に控えていて、これは確かに政省令の事項、厚生労働省の事項になっているかもしれないけれども、しかしこれはやっぱり国民的議論をする必要があるんですよ。うちの今、櫻井先生が法改正も含めて取り組んでいるから、是非これはやっていただきたいと思うんですが。
 さて、ちょっと余分なことを申し上げましたが、医療提供体制の在り方について厚生労働大臣にお尋ねしたいんですけれども、どういうことがポイントで、そして一九九七年の改革にもいろいろなことが書いてありましたが、どの程度進んだ、これはもしあれでしたら事務当局でも結構ですが、今、何をじゃ厚生労働省としてお考えなのか、進めているのか、進んできたのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
#84
○国務大臣(坂口力君) これまで進みました問題は事務当局の方から少しやらせたいと思いますが、医療供給体制の今後の進め方でございますが、これも考え方、それぞれあるだろうというふうに思っておりますけれども、やはり地域の医療を中心に考えましたときに、そこに中核の病院があって、そして他の診療をおやりになっている先生方がおみえになっている。やはり連係プレーがうまくいっているようでいっていない。そして、そこがうまくいかないものですから、患者の皆さん方にとりましては、いわゆる渡り鳥をしなければならないというようなことが起こってきている。そのやはり連携がひとつうまくいかなければいけないと、そこをもう少し、どう知恵を絞るかということが一つ。
 それからもう一つは、病院の在り方。地方の病院は何でもやらなきゃならないということもありますから、そう系統化ということはなかなか難しいかもしれませんけれども、しかしもう少し大きい病院におきましては、どういうふうなところを自分の専門にやって私のところは成果を上げているということは、これはもう情報開示もしていただかなければなりませんし、また全体に情報開示をしなきゃならないというふうに思いますが、もう少しそこは、何をやはり得意としているのかということを明確にして、そうした病院との体系をどうしていくかということがもう一つ。
 三番目に、もう一つ挙げさせていただければ、これは救急医療の問題でございまして、これなかなか、小児の問題も含めて、掛け声は掛けるんですけれども、現実問題としてうまく機能していない。ここを、救急医療体系をどう構築をしていくのか。現在でもまだまだできていないところがたくさんございまして、そうしたことをどうしていくのかということが、先生が先ほどお挙げになりましたような医師そのものの質の問題とまた別個に、病院、診療所の体系化の問題として私は大きな問題ではないかというふうに考えている次第でございます。
#85
○政府参考人(篠崎英夫君) 御質問の、平成九年以降、医療提供体制の見直しにつきまして、経年的に、具体的なものを代表的なもので幾つか御説明をさせていただきますが、平成九年の第三次医療法改正におきましては、まず、患者の立場を尊重した医療を確保するためのインフォームド・コンセントの規定を整備をいたしました。そして、医療機関の機能分担と連携の促進を図るための地域医療支援病院というものの創設を行いました。
 平成十二年の第四次医療法改正におきましては、まず、患者の病態にふさわしい医療を提供するための病床区分を明確にいたしました。急性期病床と療養病床の区分でございますが。次に、療養環境を向上させるため、人員基準、そして設備構造基準を改善をいたしました。さらには、医療従事者の資質の向上を図るために、医師などの臨床研修の必修化を図りまして、これは平成十六年の四月から実施という、そういう措置を講じたところでございます。
 平成十三年になりまして、昨年の九月には、「二十一世紀の医療提供の姿」として我が国の医療の将来像のイメージを御提示申し上げまして、その実現に向けた改革のスケジュールも御提示したところでございます。このスケジュールにのっとりまして、昨年の末には「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」というのを公表いたしまして、電子カルテなどの普及目標、その実施方策をお示しをいたしました。
 そして、今年になりましてでございますが、平成十四年の四月には、患者の選択の拡大のため、広告規制を大幅に緩和をいたしました。
 そして、平成十四年度、先ほど御答弁申し上げましたけれども、十四年度から、最新の医学情報などを医師や患者に提供するEBMデータベースの構築に着手をいたしまして、十四年度、十五年度、準備期間を置きまして、十六年度から供用開始の予定というようなことでございます。
#86
○今井澄君 それなりにいろいろやってきておられることは私も知っておりますし、今お話しになったようなことだと思うんですが、しかし問題は、なぜ抜本改革なき負担増と私どもが批判するか、あるいは国民はそう受け取るかということは、やっぱり目に見えた形で、これまでの医療の在り方をこういうふうに変えるんだという、そのやはり基本的な視点の変え方がないと思うんですね。
 例えば広告規制の緩和、今度の四月からの広告規制の緩和はかなり大胆だと私も評価いたします。ですけれども、要するに厚生行政のこれまでの考え方は、広告をやたらにやらせると、今度の中国のやせ薬じゃないけれども、国民に被害が及ぶから、認めたものしか広告させないよという規制行政。要するに、悪いやつがいるから、そういうやつをはびこらせないためにまず規制するんだという考え方でずっとやってきているわけですね。その結果どうなったかというと、それはいい面もあるけれども、既得権を持った人の既得権を守ることになっちゃっているんじゃないですか。新しいことをやるようになった人たちというのがなかなか知られない。
 例えば、アレルギー科なんというのは、あれ、いつ認められたんですか、今は認められていると思うんですけれども。アレルギーなんというのは国民の中ではもうとっくに知られているのに、アレルギーを専門として言うことができない。それは、言ってみれば医療界の古い体質の中で、これは自分の科の、自分の縄張だと思っているものだから、新しい科の名前なんかを作られて、新しいばりばりの医者にそこをやられると困るからという、そういう既得権を守ることに実は国民を守るはずの規制がなっちゃっているというところで今、実は大改革。
 したがって、広告規制の緩和も、原則広告はいいですよと、だけど国民に害を与えるようなこういう広告は規制、してはいけませんよ、そういうふうに例えば法律を変えるということをやると国民にも分かりやすいし、我々も、ああ、抜本改革だなというふうに受け取れるんですよ。それを役所の中で、業界との、業界の既得権を持ったところとあれこれ。これはもう医療界だけじゃないですよ、建設業界だってどこだって。それが今問われているわけでしょう。
 そうすると、やっぱり抜本改革と言うからには、そこのところを法体系も含めて根本的に変えるということが必要だと思うんですね。
 それで、実は、質問、ちょっと急いじゃったんで飛ばしちゃったんですが、さっきの診療報酬との関係でも、これは大臣にも是非お聞きしたいんですけれども、私どもは、ずっと議論されてきている診療報酬、医師への支払システムが今のような出来高払、注射一本やったから幾ら、肝機能調べたから幾ら、往診に行ったから幾ら、こういう出来高払から、治して幾らという包括払にすべきじゃないかとずっと提案してきているわけですよね。そう提案してきているからといって、包括払、定額払の方が絶対的にいいとか、出来高払は絶対に駄目だとか、そういうことを言っているつもりはないんですよ。
 結局、現場の医療機関がちゃんとした医療をやって、そして職員を、ちゃんと過重労働にならないように働いてもらって、経営が成り立つ診療報酬であればどういう支払い方でもいいんですよ。ただ、坂口厚生大臣も何回もお答えのように、今の診療報酬は本当に数千項目あるんですよね。
 私も診療報酬の審査員というのを十四年やっていました。もう大変なことですよ。それで、あのレセプトというのを毎月二万件も机の上に積まれて、それを審査するんですからね。もう大変なことですよ。これを民営化しようなんという意見がどこかにあるようですけれども、民営化してごらんなさいというんですよ。だれが引き受けてくれますかって、こんな専門的な知識と技術を要するレセプトの審査なんというのは。恐らく、民営化したってだれも引き受けてくれないんですよ。
 その話は別として、経験がありますけれども、坂口大臣もおられるように、あんな複雑なものは窓口で患者さんが見れば、ああ、そうか、おれの注射は幾らだったのかと分かるぐらいまで簡素化できないんだったら、治して幾らにした方がよっぽどましじゃないですかというのが我々の主張なんです。だから定額制を言っているんですが。
 そこで問題になるのは、定額制の前に標準化があるんですよね、医療の標準化。今、EBMとかなんか言われましたけれども、やはり今の医療というのは、患者によって同じ病名でも違うんだ、同じ病名でもそのときによって違うんだ、何か常識みたいなことを言われますよね。風邪だって人によって違うよ、風邪だって今日と明日で違うよ、だから治療法が違うんだよ、だから標準化はできないよ、まして定額払はできないよと言われると、そうかなと思うけれども、皆さん、医者に行ってごらんなさい。自分の前に診てもらった風邪の患者と自分と違う治療を受けていると思う人はいますか。どう少なく見積もっても、八割以上の患者は定型的な治療を受けているんですよ。なぜか。その方が安全だからなんですよ。間違えないからなんですよ。
 例えば胃がんの手術だったら、入院して、手術して、何日目にどうなってこうなってと、クリニカルパスがもう今進んだ病院に全部できているんですよ。胃がんは慢性期か急性期かどっちに分類するのか知りませんけれども、こういう病気はもう治療法はきちっと決まっているんです。肺炎だとなったら、まずばい菌が、原因の菌を検査に出すと。その菌に一番効く抗生物質を使おうなという前提の下で、しかし今最もはやっている菌はこの菌で、今一番効く抗生物質はこれだからというので、はい、入院して、点滴して、抗生物質はこれ。決まっているんですよ、マニュアルが大体。それが決まっていなかったら医者はやってられないですよ、一人一人全部考えて。
 第一、昔は医者のさじ加減といったけれども、今は全部錠剤じゃないですか。背の低いおばあちゃんが来てコレステロールの薬を出した。次には相撲取りみたいな大人が来てコレステロールの薬を出した。さじ加減なんかしないで同じ薬を出しているじゃないですか。それが現実でしょう。標準化しているんですよ。
 これは坂口大臣も御経験はおありだろうと思いますが、私も医者になったときに、これは小池さんたちのグループで作っているんですかね、「臨床医の注射と処方」、非常に便利な薬がありましてね。風邪だと思ったら、風邪の種類、鼻水が主体かせきが主体かによって、薬はこう、注射はこうという非常に便利な薬が毎年改訂されて出ているんです。我々は、教授に教わるよりも、それを大事にしながら、OJT、医者になってからのトレーニングを始めたんです。
 そのぐらいどの世界にだってマニュアルがあるし、マニュアルに沿ってどうやって治すか、マニュアルに合わない人にどうするかというところで医者の裁量権があるんですよ。そうすると、標準化をしなければ何もできない。それを今までは、何ですか、厚生労働省も、審議会の偉い先生方も。医者から、患者一人一人違うんだよと言われると、ああ、そうですかと引き下がっちゃって。ばかげた話ですよ。
 そこで、坂口大臣にお尋ねしたいんですけれども、いっそのこと、ここで抜本改革と言うからには、診療報酬の支払制度も治して幾らということにしてみようじゃないか。下手くそやったらその病院が損するよ、うまく治したら得するよと。お薬の使い方もそうです。そういうふうにしてみて、当然それに当てはまらないものあるでしょう。この人は特例でした、その人だけ紙に書いて、どうして特例かということでプラスアルファくださいと、そういうシステムに切り替えることこそが抜本改革だと思うんですが、そう思いませんか。どうでしょう。
#87
○国務大臣(坂口力君) 名医今井先生がおっしゃるんですから間違いないんだろうと思いますが、出来高払でずっと今までまいりまして、出来高払だけではやはりいろいろの弊害を生むというので、包括払を大分混ぜ合わせてまいりました。しかし、まだ十分ではないというふうに私たちも思っておりまして、とりわけ救急のものとそれから慢性のものと、慢性のところには包括医療を大分入れてきたわけですね。しかし、少しまだ足りない。
 今回、今度は大学病院の中で包括医療をやってもらってはどうかという提案を申し上げて、そして今、大学病院と御相談をさせていただいている。これはかなりな抵抗ございまして、病院長さん方に先日もお会いをいたしましたけれども、東京大学の附属病院長さん始め皆さん方、これ、余り機械的にやられちゃ困るというので随分お言葉がございました。
 しかし、ここは大学病院のようなところこそ包括医療でひとついろいろおやりをいただいて、そしてお若い皆さん方にも、やはりこういうふうに医療というのはやるものだと。掛かるところは掛かるけれども、しかしここはこういうふうにすれば少なくてよくできるんだというところをやはり教えていただかなければならないのではないかというふうに思っておりまして、これはお話合いを十分させていただきますけれども、是非やらせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 そんなことで、御指摘のように、ここは拡大をしていく方向であることはもう間違いがございませんので、そのスピードをどうするかという問題だろうというふうに思っています。
#88
○今井澄君 そこなんですけれども、大臣、やっぱりちょっと歯切れが悪いと思うんですよ。確かに、大臣がちょっと言われた、データがないと。実は、日本の厚生労働行政で一番後れてきたのはそこなんですよね。もう定額払というのは、いいか悪いかは別として、世界の流れなんですよね、DRG―PPS。それを今ごろ厚生省は、まだ何病院か本当に数えるような病院で試行実験やっているだけでしょう。本当に後れているんですよね。
 つい最近、私は、レセプトの電算処理システムについて三十年来、最初のころからやっているあるコンピューター会社の人から手紙をもらいました。
 私も、実は三十年ぐらい前からそういう人たちとお付き合いしながらコンピューター化やってきたんですけれども、日本と同じ出来高をやっている韓国では、もうコンピューターでほとんど八割、九割はレセプト審査やっている。ところが、日本はいまだにできないと。聞いてみると、何かDSLですか、あれなんかでも韓国は完全に進んでいるそうですね、ADSL、ブロードバンド。日本は本当、後れちゃっているんですね。どうしてかということを調査団出して調査してもらうべきじゃないかと、手紙いただいたんです。
 本当にここは後れているんですよね。ですが、だからこそ、だからこそこれは、大臣が先頭に立って声を掛けないとだめだろう。ここは、小泉総理も前回の改革のときにも歯切れが悪かった。これはだれに遠慮しているかということ、本当に気になるんですけれども。
 いや、要するにどっちがいいと言っているんじゃないんですよ、さっきから、出来高と包括と定額とが。そうじゃなくて、頭を切り替えて、どっちを基本にするというやり方で今後やりましょうよという、そこにこそ抜本改革ができるかどうか、スタートできるかのかぎがあるから、そこを言ってほしいというふうに私は考えているんです。
 現に、今までは、慢性疾患だったら定額でいいだろう、急性はそうもいかないだろうなというけれども、今、大臣がおっしゃられたように、正に急性期病院で何だか訳の分からない千差万別の難しい病気を扱う大学からまず定額払を始めようとしているわけでしょう。さっきお話ししたように、風邪みたいな典型的な急性疾患が定額払にふさわしいということはお分かりでしょう、大体。風邪治して幾らでいいじゃないですか。いや、風邪だと思ったら違ったんですよと、プラスアルファくださいという請求システムを付加しておけばいいでしょう。
 急性疾患こそある意味では私は定額がふさわしい、治して幾らの包括がふさわしい。慢性疾患の方がコントロールが難しいんですよ、実は。実は、慢性疾患の患者を数多く病院や医者に通わせている日本のシステムが問題なんで、慢性疾患は自己コントロール、地域での管理を含めてやることで医療費以外のところで見る方がいいわけです。
 私は、一歩も二歩も後れているし、これ、勘違いしているんじゃないか。今まで慢性疾患は定額払、急性疾患は出来高払とか、何か常識みたいに言われていたような、常識を覆したところから、いいと思います、大学病院からでも。急性疾患でもいいんです。とにかく標準化と包括払をやりましょうと。そのために厚生労働省はデータベースをきちっとそろえますよと。もう急いでここにはお金をつぎ込んでやりますよという姿勢を見せた方が、実は診療報酬システムも医療の標準化も情報公開も私は早道だと思うんですけれども、その辺、厚生大臣からもう一度お答えをいただきたいと思うんです。
#89
○国務大臣(坂口力君) 標準化の問題は、今一生懸命取り組んでおりますが、私も初めて知ったんですけれども、この標準化というのも随分金の掛かるものでございまして、こんなに金の掛かるものかと今思っているわけでございますが、しかし、そういうことを言っておれませんしいたしますから、この標準化をもう積極的に進めまして、今、病気の中では十幾つですかね、十数種類ぐらい、十六種類ぐらいでき上がってまいりましたし、これをすべて国の方がやらなきゃならないか、やはりここはそれぞれの専門学会等もあるわけでありますから、そういうところでお出しいただいているところもあるわけでございますので、そうしたこともお願いをして、できるだけ早く広げていきたいというふうに思っております。
 包括払の方は、一生懸命御指示に従いましてやりたいと思います。
#90
○今井澄君 御答弁ありがとうございました。
 それで、政府参考人にお尋ねしたいんですが、標準化とかあるいはデータベース化とか、それに幾ら予算付いているんでしょうかね。昨年の補正予算で、たしか病院にコンピューター入れてレセプトをコンピューター化するというのには二百何十億付いていたんですけれども、ちょっとその辺お願いします。
#91
○政府参考人(篠崎英夫君) 昨年の補正予算のことで、電子カルテ等につきましては二百五十億でございましたが、平成十四年度、ただいま先生御質問のございましたEBM等の関連予算といたしましては五十三億七千万円でございます。
 先ほど来御質問がございますように、診療ガイドライン等の整備は大変重要なことというふうに考えております。このために、現在、公的な第三者機構にこのデータベースをお願いするということがようやく決まりまして、今年度、来年度そのデータベースを構築をいたしまして、既に診療ガイドライン、今年度中に十六ほどでき上がることになっておりますが、逐次そういうものを整備して、そして医療現場の医師、そしてまた国民にも提供できるような形にしていきたいというふうに考えております。
#92
○今井澄君 時間がなくなってきましたので、あと二つほどあれしますが、一つは先ほどちょっと話し掛けた医師の教育のことなんですけれども、やっぱりどの職業でも大学を出てから、あるいは資格を取ってからの訓練ですね、いわゆる職業人としての訓練、OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、現場でやるのがどの世界でも常識ですよね。
 先ほども申し上げましたように、国民が一番必要としているのは、例えば欧米では九割の患者さんは家庭医に掛かっているわけですね、地域のお医者さんに。そうすると、そういう医者を育てるということをまず一つやらなきゃならない。それから、専門医も必要なんです、高度な専門医ね。多少心根が悪くたって、腕さえ良けりゃいいという点もありますからね、まあそれはそれで。
 そうすると、患者の立場に立った医者を教育するシステムに今なっていないんですよね、大学病院中心にやっているから。これ、地域で育てるべきだし、ある意味で、そういう医師を育てる、そういう医師が必要なんだという、厚生省もかつて家庭医を取り上げました。私は、家庭医というのはどうもいろいろ評判悪いんで、顧問医と呼んだらどうかと思っているんですけれどもね。
 そういうシステムを二〇〇四年の医師の卒後研修に合わせて、それと同じじゃなくてもいいですけれども、お考えになっていく、医師の研修場所を地域にしていくと。専門医は専門病院でいいです。そういうことについていかがでしょうか。
#93
○国務大臣(坂口力君) 研修医につきましては、今まで余りにも大学病院に偏り過ぎておりました。そうではなくて、地域でこの研修医を受けていただけるようにしたいというふうに思っております。一つの病院でいろいろな科をやっていただくのは御無理な場合もあるわけでありますから、それは、例えば小児科なら小児科がその病院にはないというときには、別に開業しておみえになりますところでもいいと思います。
 そうしたところでそこはお受けをいただくというふうにして、それこそ、今御指摘のように、地域の病院群の間で研修を受けていただくというふうにしたいというふうに思っているところでございまして、そうした中で新しいドクターをはぐくんでいくということが大事。いわゆるプライマリーケアという言葉がございますけれども、そうしたところに勘の鋭い医師というものが大事だというふうに思っております。
 家庭医という言葉がございますし、今いろいろ、そういう言葉はございますが、何となく受け止め方が、医師の側のですよ、医師の方の受け止め方が、専門医と家庭医といいますと、何か専門医は偉くて家庭医は一段差が付いているような錯覚に陥ると。
 先ほどの薬の話じゃありませんが、先発品と後発品といったら、別に悪いことないんですけれども、後発品というと何か悪いような感じが受けるというのと同じでございまして、何となくそういうところがございまして、やはり家庭医というのも、これはスペシャリストだと私は思うんですね。プライマリーケアというふうにいったら、本当にこれはスペシャリストで、非常に大事なところだと思うんです。
 その辺のところも考えて、今後、ネーミングも含めながらどういうふうにしていくかということをやはり検討しないといけないと思っております。
#94
○今井澄君 この問題はやっぱり大きな問題で、医師の養成システムをどうするのか、場をどうするのかというのは非常に大事だと思うんですね。
 私なんかも、考えてみますと、長野県で脳卒中の予防だとかいろんなそういう活動に携わってきたのは、先輩の若月先生とか吉沢先生とかいうそういう先輩のお医者さんに教わった面も多いんですけれども、むしろ現場では、今は保健師ですね、保健婦さんに教わったことの方が多いんですよね。あるいは栄養士さんに教わったことの方が多いということを考えると、やっぱり本当に生活の中での医療が大部分、八割、九割ですし、本当に専門医を必要とするような高度な医療が必要な場合というのは非常に少ないんで、遅れずにそこへ到達できればいいわけですから、そういうことをやってくれる医師の養成を主体とする方向にやらないと、どうもさっきのヒポクラテスの誓いじゃないけれども、何か専門の偉いお医者さんをどう育てるか、その人はどう崇高な使命を持つべきかなんという何か雲の上の話で研修問題を考えていては全然駄目だと。
 本当に国民的な視点の議論をこの委員会でも引き続き本当は、強行採決なんかせずに、きちんとやっていかない限り、抜本解決はできないんじゃないかと思います。
 それで、あと二問用意したんですが、一問は、病院の数を減らすという厚生労働省のあれが出ているのは私はいいことだと思うんですね。数だけあればいいというものじゃなくて、今みんな日本の病院が質が落ちてきているんですよね。だったら、数を減らしても質を上げながら、一方で今の家庭医みたいなのを作る方がよっぽど大事だと思っているんですが、これはもう質問しませんが。
 制度論、これは差し替えで来られた入澤肇先生が制度論をやらなきゃ駄目じゃないかということを質疑をされました。今日、森先生の方からも制度論の話出たし、大脇先生からも老人医療が出ましたが、この問題、最後に一つだけ。
 実は、新しい高齢者医療をどうするかということが前回の抜本改革の項目にも一つの柱として立てられ、今回の附則の中でも大きな柱として立てられていると。これがどういくのかが大変大切だと、方向を示せと先ほど御意見があったと思うんですが、私の認識は、実はこの新しい高齢者医療制度という、七十歳なり七十五歳なり年齢で区切って、老人を一まとめとして、この人たちの医療は中身はどうするか、お金、財源はどうするかという議論はもう実は終わったと、やっても袋小路に入ったということが明らかなんじゃないかと思っているわけです。それは、去年、厚生労働省が主宰して全国四か所で行われた公聴会でも結局そうでしたよね。
 問題は、日本だけですよね、年齢で区切って高齢者の医療制度を作っているの。その元は何かというと、老人医療の無料化から出発して、あれ自身は良かったか悪かったか、いろいろいい面もあったわけですが、袋小路に入っちゃったと。欧米どこを見たって年齢で区切っている制度、アメリカみたいな国民皆保険でないところはありますけれどもね。
 そうすると、今、坂口大臣が言い出された保険の統合、一本化ですよね。本来、全然別にサラリーマンだ、自営業だ、無職者だとできてきたものを今全国民でどうするのか、どうやって地域化するか、そういうことを一生懸命考えていかなければ、医療だけじゃなくて保険制度も都道府県化したり、住民の近くへ持っていって、そして住民がお金の使い方までコントロールできる、保険料まで介護保険のように参加できる、保険料を決めるまで。そうなれば、老人だけ区別する必要ない時点に来ているんじゃないかと。
 だから、新しい高齢者医療制度をどう作るかなんという、あの四案どれ取るか、お金どうするかよりも、そっちを先にした方がいいんじゃないかと。それこそ制度論だと思うんですが、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(坂口力君) 確かに、医療保険制度を統合していきますとそうした問題に突き当たってくるわけであります。一元化してしまえば、これはもう言うに及ばずでございますけれども、今御指摘のありましたように都道府県単位で統合するということが可能であれば、私もあえて老人医療制度というのを別に作る必要はないと、そう思っております。
#96
○今井澄君 ありがとうございました。
#97
○委員長(阿部正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩といたします。
   午後零時三十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#98
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案及び医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#99
○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本孝史でございます。
 午前中、同僚の今井先生の大変すばらしい御質問をお聞きをいたしておりました。医療の将来像こうあるべしというビジョンを提示しながら、厚生省が財政問題だけしか対応できない、医療制度の改革について少し腰が引けていたのではないかと、そういうお話を聞いておりましたんですが、御本人がお触れになるのも気が引けられたのかしれません。もう皆さんお読みかもしれません。先生、最近御本をお出しになりまして、「理想の医療を語れますか」というこういう本で、今、長野県の地域医療の問題ですとか、日本の様々いい取組をしておられるところ、あるいは失敗をしたようなお話も載っております。ただ、この本、全部書き切れなかったそうで、こうした小さなコンパクトディスクにも完全原本版ということでお書きをいただいていますので、是非私からもお読みをいただければというふうに思います。
 ヒポクラテスのお話が出ておりました。独善的な医療をやってはいけないよというお話でございましたが、国会の中も独善的なごり押しをしてはいけないというふうに思います。せっかくの、やはり知恵を出し合わなければいけない。
 私は昔、東京大学におられました緒方富雄先生から、血清学の先生でいらっしゃいますが、ヒポクラテスの木というものをいただきました。エーゲ海のコス島で、スズカケノキでございますけれども、その木の下でヒポクラテスは思想にふけった、また弟子に医学を教えたというふうに言われております。そういう思いを聞いておりますと、やはりもっと国会として知恵の出すところがあるんじゃないか、力のごり押しはどうもいけませんねというふうに思いました。
 国民の中でやっぱり今医療に求めていることは、やはり医療の財政という問題も大切だというふうには思いますけれども、安心できる良質な医療の提供というのを一番求めているんだと思います。そういう意味で、民主党は今回、患者の権利法ですとかあるいは医療事故の防止法ですとか、様々な法案も出させていただきました。残念ながらなかなか議論の対象にしていただいておりませんけれども、しかしそういう取組がやはり必要なんだと思っております。
 今国会、帝京大学の裏口入学の疑惑、あるいは東京女子医科大学におけますところの医療事故などの問題について、参考人として来ていただきまして、いろいろとお話をお伺いをさせていただきました。それを通じて、医師の倫理あるいは医療の質というものが問われた私はもう一つの委員会だったというふうに思っております。
 その中で、今後、国立大学の附属病院が、国立大学そのものが独立行政法人化されることもありまして、大学病院というものの在り方がかなり変わっていくのじゃないだろうかというふうに私は思っております。
 午前中も今井議員がお触れになりましたところですが、坂口厚生労働大臣にこの点もう一度お伺いをさせていただきたいわけですけれども、医者の研修施設として大学病院は本当にふさわしいんだろうかどうか、ここはもう一度検討してみる必要があるんじゃないだろうか。もう一つの御質問は、大学病院は地域の中においてどういう役割を果たしていくべきというふうに考えておられるのか。この点、まずお伺いをしたいというふうに思います。
#100
○国務大臣(坂口力君) 大学病院の役割はいろいろあるというふうに思いますが、現在、主に教育の問題と、そして診療の問題と研究の問題と、大きく分けて三つのことに携わっておみえになる。しかし、私はもう一つその中に地域医療というものがあるのではないか。ただし、その地域医療ということは大学病院の中では余り重視を今までされてこなかった。
 これは大学病院だけではございませんけれども、関連の病院ということで多くの病院が存在をし、そこで医師の人たちがそこに派遣をされておりますけれども、その派遣をされております皆さん方も大学の研究のテーマによって、そのスケジュールによって次から次と交代をするといったことになってまいりまして、やはり地域の医療の中で非常に慣れて、地域の皆さん方もなじまれて、そしていい先生だと、こういうふうに思われ始めたころにすぐお替わりになるといったようなことで、地域からは、もう少し長期間あるいはもう少し長い間の派遣でありますとか、派遣と申しますかその地域の病院に対する任期というものを考えてほしいとか、やはり地域の医療というものを考えて医師の検討をしてほしいといったようなことがよく聞かれるわけでございます。
 そうした点につきまして、やはり大学病院というところはどうしましても研究中心になってしまっているというふうに、私は率直にそう思っております。そうした点をどう改革をしていくかということがこれからの大きなテーマであるというふうに思いますし、これは文部科学省の皆さん方と、そして厚生労働省の間でいろいろとお話合いをさせていただかなければならないことではないかというふうに思います。
 また、地域医療というものこそこれは医療の最も重要な部分でありまして、そこがどれだけ充実をしているかということが、その国にとりましての医療レベルというものを決定するのではないかというふうに思っている次第でございます。そうした思いをしていることを一言申し上げたいと存じます。
#101
○山本孝史君 今おっしゃったようなことだと思います。
 患者の側からすると、大学病院に行けば最高水準の治療が受けられると、こう思って行くわけですし、しかしながら、今一連の医療事故を見ておりますと、ほとんどが大学病院で起こってまいりますので、大学の病院の在り方というのは、やはり国民の側からすると必ずしもいい病院ではないのじゃないかと、こう思っているような部分もある。
 しかしながら、地域の中で大変大きな存在として、総合病院としてあるわけですから、ここは今お話をいただきましたように、検討会をしておられますけれども、どうも文部省が持っている大学病院の権限の部分と、こういうお医者さんが欲しいんだと思っている厚生省の部分とが、何かそれぞれが行政の縦割り行政といいましょうか、の弊害だと私は思いますけれども、何か相互の間での意思の疎通といいましょうか、合意がないような思いがいたしております。
 今、大学病院の在り方の検討会、厚生労働省と文部科学省と両方で、両者でやっておられるというふうに思いますけれども、検討会、坂口大臣、三十幾つお作りになってなかなか大変だというふうに思いますけれども、これもその一つかと思いますが、やはり宮路厚生副大臣お辞めになってしまったんであれですけれども、副大臣、仕事がないとおっしゃるんだけれども、副大臣、やっぱりそこはこういう中心的な問題について、省庁またがったような問題については出っ張っていく私は立場もあるかなという、そういう仕事もできるんじゃないかなというふうに思っておりまして、是非早く決めていただいて、岸田さんと一緒にやっていただきたいものだというふうに思っておりますけれども。
 今日は、文部副大臣にもお越しをいただきましたのは、この間来から問題になっております帝京大学の問題は、私はここでひとつきっちりけりを付けておいていただきたい。
 といいますのは、いろいろな調査資料を見せていただきましたけれども、学生数二万人を超える総合大学で、しかも関連して多くの教育機関を抱えておるわけであります。そこのところの理事がわずか七人しかいないという、その七人も高齢の方であったり、あるいは同族の方であったり、今度御就任になった御子息は二十八歳でいらっしゃいますけれども、若いからいけないというわけではありませんけれども、この体制でこんなに大きな大学が本当に運営できるんだろうかというふうに思うわけであります。
 私学というものにとって建学者の存在は大変に大きいものがありまして、どの大学も似たり寄ったり、同族的な色合いを持っているんだろうというふうに思いますけれども、大学は社会的な存在でございますので、そういった観点から、細かな質問で恐縮でございますが、やはり大学の規模に応じてしっかりとした組織運営ができるように、理事の数の下限を五人などと言わずに、これはしっかりと規模別に設置をするというようなことも必要なんじゃないだろうか。
 これから、とりわけ医学部を抱えておりますような大学、あるいは大学入学人口が減っていく中で、きっちりとした人材を養成していくという日本社会の最大の課題の一つでもございますので、文部副大臣としてどのような観点でこの後、取組をしていただけるのか、今、私申し上げましたような点についてのお答えをいただければと思います。
#102
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、私立学校にとりまして、建学の精神あるいは自主性の尊重ということ、大切なポイントであると同時に、一方、学校教育というもの、これは公の性質を有するわけでありますから、公共性を確保するというのも大変重要なポイントであります。自主性の尊重と公共性の確保、このバランス、大変私立学校において重要な点だと考えております。
 そういった中にあって、御指摘のように、今、私立学校法の中で、理事の人数につきましては、少人数の者の専断あるいは同族支配を排除するために一応制限を設けているわけです。あと、兼職につきましても、告示でもって兼職を制限するというような縛りを掛けております。
 帝京大学の場合、この両方の基準は一応クリアしている状況にはあるわけでありますが、御指摘のように、二万一千人の学生に対して七人の理事という体制を取っております。
 私立大学全体を見ますと、学生数と理事の数との関係、これは様々のようでありまして、例えば明治大学ですと、三万三千人に対して理事の数十二人、法政大学ですと、二万九千人に対して理事の数十一人ということであります。そういった中にあって、二万一千人の帝京大学、七人が多いか少ないかということでありますが、全体を見る限り、やはり帝京大学の場合比較的少なめだなというふうに感じております。
 明日、二十六日から、文部科学省としまして帝京大学に対します現地調査、開始しようと思っております。その中で、この経営体制につきましても、今のままでいいのかどうか、この辺り、その調査の結果を踏まえてしっかりと改善指導をしていかなければいけない、そのように感じております。
#103
○山本孝史君 法人の理事会運営というのはやはり透明なものであって、そこで情報が公開されるということが大変重要でありまして、そのためにも、一族で固まっているのではなくて、外部の方にもお入りをいただくような運営をしなければいけないものなんだと思います。
 二十六日から現地調査に文部省入られるわけですけれども、私はやはり総長、学長をしておられます冲永さんの責任は大変に重いものがあるというふうに思いますので、帝京大学の在校生あるいは卒業生に会いますと、大変に肩身の狭い思いをしておりまして、かわいそうだなというふうに思いました。その意味で、理事者の責任はしっかりと取るように指導をしていただきたいということが一つと。
 それから、関連する財団がたくさんございまして、拝見をさしていただきますと、同じ日に複数の団体が、財団が理事会を開催をしている。あるいは、文部省の関係になりましょうか、愛媛、福岡等々、山梨の県教育委員会が所管しております育英財団の中で多額の資金が留保されているという状態があるわけでございます。この状態も、ほかの公益法人あるいは奨学団体にとりましては大変に迷惑な話でございまして、こういったところもしっかりと御指導を今度の立入調査の中でしていただく、そのことがやはり文部科学省の責任を果たしていくということだと思っております。このことを一つ一つのきっかけにして、大学運営というものをしっかりチェックをしていくという体制を作り上げていただきたい。そのことをお願いをしますが、いかがでございますか。
#104
○副大臣(岸田文雄君) まず、明日から開始いたします現地調査でありますが、一応三日間を予定しておりますが、先方の協力状況あるいはその調査の内容等によりましては延長することも想定しながら、しっかりとした調査をしていきたいと考えております。
 まず、事実を把握する、事実を解明するということが重要だと思っておりますが、その上で、やはり厳しい対応をしなければいけないというふうに認識しております。経営体制も含めまして、しっかりと強く改善を求めていくということが必要だと考えております。
 そして、今、関係財団につきましてお話がございました。この現地調査の中でも、帝京大学と関連のある財団への寄附金の有無や収支状況などについてしっかりと調査をしたいと考えておりますし、そして、その上で、関係財団、所管官庁が愛媛県とか山梨県、福岡県等々多岐にわたっております、所管官庁とも連携を取りながら、やはり財団の運営の在り方についても必要な指導をしていかなければいけないと認識しております。
#105
○山本孝史君 よろしくお願いします。
 副大臣、ありがとうございました。結構でございます。
 今回、様々な法案が出されております中で、健康増進法について、先般、同僚の朝日委員がずっと一時間使って御質問をさせていただきました。私は、栄養改善法の抜本改正で十分足りている話だなと思っておりますけれども、逆に、今回の法律ができたことで、一つ私自身懸念しております点がございますので、そこの点について御質問さしていただきたいと思います。
 それは、個人の健康情報というものがこれから先の日本社会でどのように扱われていくのか、保護されていくのかという問題であります。
 実は、平成十三年版の厚生労働白書の百三十三ページのところに、生涯を通じた健康の増進に向けてということで、今回の健康増進法の提出あるいはその成立を見越したような記述がございまして、多少長くなります、恐縮ですが、読ませていただきます。
 健康情報というものについて、「異なる保健事業の実施主体による健康診断を受診した場合においても、その者の健診情報が経年的に連続して管理されていることが必要である。そのために職域においては事業主間、地域においては地方公共団体の間で個人の転職や転居により、個人の健診情報についての相互の伝達が行われるとともに、職域・地域間においても、相互に健診情報の伝達を行っていくことが重要である。」と、こういう厚生白書の記述がございます。この流れに沿って今回の私は健康増進法が提出をされていると、こういうふうに理解をしております。
 この記述のままに理解をしますと、例えば職域でこの健診を受ける、それから退職をして地域の国保に移る。そうすると、健保から国保にこうした私自身の健診の情報が伝達をされる。あるいは学校が小学校から中学校へ、中学校から高校へと替わるたびに情報が伝達をされる。これ、伝達という言葉が使ってありますので、きっとそういう思いをしているんだろうと思うんです。
 今、住民基本台帳の住基ネット、いろいろ問題になっております。市役所の職員がのぞき見をして、あるいは防衛庁の職員ものぞき見をして、情報はやっぱり面白いものだからのぞき見をして、見た人はついしゃべってしまう、こういう話なんだろうと思うんですね。
 個人の健康情報というものは一番センシティブな情報でございますので、今の個人情報保護法の中でもいろいろ議論がされていると思っておりますけれども、この厚生労働白書に書かれている記述どおりのことを厚生省はお考えになっているのか、この点について明確な御答弁をいただきたいというふうに思います。
#106
○国務大臣(坂口力君) 個人の健康診断の結果というのは、それぞれの地域あるいはまたそれぞれのこれは企業の中でどう取り扱われていくかというのは大変大事な問題で、今までからも大事な問題であったわけでありますが、これからはそれがその人の一生涯の健康をどう管理をしていくかという面で、小さいときのデータ、あるいはまた学生時代のデータ、そしてまたお勤めになったときのデータ、そうしたものの積み重ねが例えば老後になりましたときに必要なことがございます。
 したがいまして、一生涯におきましてどういう記録が残り、どういう疾病に罹患をしたかといったようなことが、その人個人個人にとりましては大事なことがございますが、しかし、そのことがいわゆるオープンになるようなことがありましては、これはもう御指摘のとおりあってはならないことでありますから、個人個人のところが、それがその人の御了解を得て個人が持っているということは、これは私はそれで許されるだろう、許されると申しますか、そういうふうにしていくことが私はいいんだろうというふうに思っておりますが、しかし、そのことをどう内容を保持していくか、内容が漏れないように保持していくかという、これは今後大きな課題になると私も実は思っております。
 ですから、職場から地域へというふうにその内容が移行するということになりますと、それがそっくりそのまま移行するということになればこれは問題でございますが、そういう移すときにはそれぞれの方々の、こういうふうにしてもいいかどうかということをお聞きをして御本人の御了解を得なければそれはやはりできないことだというふうに思っております。その了解が得られるかどうかということだろうというふうに思います。
#107
○山本孝史君 本人の了解なしに本人の健康情報データが左右されることはないと、ただ、本人が同意をすればそのデータは動かしてもいいと。
 データベースの構築ということについての危険性をどう認識するかということだと思うんですけれども、当然のことながら健康情報は本人のものですから、本人がそれを経年的に比較できるように何らかの様式を統一するなり、あるいは健診のデータが正確な比較できるようなものにするようにするなり、これは行政の側としてするお話だと思いますけれども、何かを集めて、しかも、ここの表現にありますように、伝達をすると、異なる保健事業者間で個人データを伝達するということは、これはどういうお気持ちでこの厚生労働白書にお書きになったのか知りませんけれども、今の厚生大臣の御答弁とは私は違うと、こう認識をしておりますので、そう認識してよろしいですね。
#108
○国務大臣(坂口力君) 私が書いたわけじゃないものですから、書きました者がどういう趣旨で書いたか分かりませんけれども、私が今申し上げましたことが正しいというふうに思っていただいて結構でございます。
#109
○山本孝史君 だったら訂正をしてください。訂正文を出すなりしていただきたいと思います。
 厚生労働白書というのは厚生労働省が出している、これからの厚生労働行政、現在行っている厚生労働行政について国民に説明をする白書でございます。その中に書いてあるものが、自分の思いとは違う、私は、書いたのだから、知らない、だれが書いたか分からないけれどもというような御答弁は私は認められません。ちゃんと訂正文を出すなりということをやっていただきたいと思います。
#110
○国務大臣(坂口力君) 私が今申しましたように、個人の了解なくしてそれを移すことはできない、その範囲内のことである。もしその言葉が、それが適切でないということならば、それは変えることは結構でございますが、訂正をさせます。しかし、書きました者はそのことは十分に配慮した上で書いているのであれば、それは一遍聞いてみたいというふうに思いますけれども、そういう誤解を生むということでありましたら、それは訂正をいたします。
#111
○山本孝史君 書いた方はおられると思いますが、決裁をされてこのものは外へ出てきているわけですから、これは厚生労働省全体のお考えですので、そのようなちゃんとした対応をしていただきたいと思います。
 実はここにもう一つ、これは質問通告しておりません、恐縮でございますが、同じような実はお話がありまして、これは新宿区でやっております包括的な地域システム、「ゆーねっと」というシステムがあると書いてあります。これは新宿区の医師会が中心になって、新宿にあります国立国際医療センター、あるいは区内の診療所、訪問看護ステーション、在宅の患者家族、小学校等をISDNの専用回線で結びまして、その回線でデータベースが作られておりまして、患者情報へのアクセスを個人認証により許可された者に限ってと書いてありますが、中核病院、診療所、訪問看護ステーションで診察、看護を行った患者情報を医師会及び中核病院の病診連携サーバーで共有をするという形になっております。
 がん登録のときも問題になっておりますけれども、個人の情報をだれかがどこかに保管をするということについては、それは個人の了解なしにやってはいけないことだというのは、もうこれは基本的な認識だと思います。
 確かに、同一のこうしたデータベースが作られていて、患者さんが来ました、その方のデータをデータベースで見ていけば、どこでこんな病気にかかって、こんな治療を受けて、どんなお薬を飲んでと分かってそれはやりやすいのかもしれません。しかし、そのことは大変に危険性を持っていると思っています。
 ここにこの「ゆーねっと」という形でお書きいただいている、厚生労働白書に書いてありますので、これは大変にすばらしいシステムなんだと、これは全国でこういうシステムを展開していくことが医療費の削減あるいは医療の向上につながるんだという思いでこれを御紹介されておられるとすれば、それは厚生省の私は一方的な思い込みだと思います。余りにも国民に説明のないうちにこういうシステムが運用されているんだと、私はそのことを心配しています。
 したがって、この「ゆーねっと」、今モデル事業としておやりになっておられるんだと思いますが、この「ゆーねっと」に患者さんのデータが登録されるに当たっては、患者にそのデータはどう使われるかということは説明されているんでしょうね。
#112
○国務大臣(坂口力君) ちょっとそこは、そこまで調べておりませんから、これは一遍調べまして御答弁を申し上げたいと思います。
#113
○山本孝史君 調べていただきたいと思いますが、私は、やはり厚生労働白書、いろいろ毎年出てくる内容が違いますけれども、その中に厚生省は、ここが非常にいいモデル地域なんだと、地域福祉はここがこういうふうに進んでいる、介護保険はこんなにうまくやっているところがあるということで、こうしたコラムという形を使いながら御紹介をされておられるんだというふうに思います。その意味で是非、今調べるというふうにおっしゃっていただきました、個人情報が本人の了解のないところでそうしたデータベースに使われたり勝手に伝達をされるということがないように、そのことは絶対にやってはいけないことなんだということをもう一度御確認をいただきたいと思います。
#114
○国務大臣(坂口力君) 原則論はそのとおりと思います。
#115
○山本孝史君 原則でないものがあるということですか。
#116
○国務大臣(坂口力君) 今お話しになりました具体的なものにつきましてはちょっと今私は分かりませんが、総論としてお述べになりましたところはそのとおりであるとお答えを申し上げております。
#117
○山本孝史君 政治用語ですから、原則としてなどということを言われると私は信用できません。
 そういうことはやってはいけない、個人の遺伝子情報も勝手に使ってはいけないということをここで申し上げました。生まれながらに本人が持っているものによって差別をされることはあってはいけないんだと、それを是非、日本社会の原則にしてほしいとこの間もこの委員会でお願いをさせていただきましたが、明確な御答弁をいただけませんでした。便利だからとか、合理的だからとか、この方が早いからとかというような形で個人のセンシティブな情報を扱うことは絶対にやってはいけないという共通認識を是非、委員の皆さんの中にも持っていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほどもほかの委員が御質問されておられましたけれども、こうした情報の取扱いについて、とりわけ健診データの情報等、健康保険組合あるいは病院の事務職員、この方たちには守秘義務を定めた法的な根拠がございません。そのことがそれでいいのかどうか。いいようなさっき御答弁に私は受け止めたんですが、もう一度御答弁をいただきたいというふうに思います。
#118
○国務大臣(坂口力君) これは、医療従事者につきましては守秘義務がございますし、先ほど申しましたように、政管健保でありますとかあるいは国民健康保険の場合には、これは公務員でございますから守秘義務がございます。
 しかし、健康診断にかかわります人というのは、多種多様の人がかかわるようにこれからなってくる可能性がございます。ましてや、一つの企業内、一つの地域内ではなくて、それらを総合して生涯にわたってそれを見ていこうということになりますとなおさらでございまして、非常にその取扱いは拡散する可能性がございます。そのときにどういう人がそれを扱うかということは、必ずしも医療従事者だけに限られた話ではないというふうに思いますから、そのところは今後の取扱方と併せまして考えていきたいというふうに思います。
#119
○山本孝史君 様々な検討課題が出されておりますけれども、今御指摘しました点についても是非、十分な検討を加えていただきたいと思います。
 健康保険法に関連して、幾つか確認の意味も込めてお伺いをしておきたいと思います。
 健康保険法の改正で、今回、一兆五千億円の国民の負担増になる。なかなかこの数字もお出しをいただけなくて、参議院の審議になってようやく厚生省は、前提がありますけれどもということでお示しをいただきました。その結果として、ようやく健保財政、五年間収支が保たれるということになるという数字でございました。ただ、同時に、来年からは八二パーミルですけれども、保険料率は九一パーミルまで引き上げることができるという今度の法改正になりました。
 しかしながら、負担増を求めながら、一方で改革はまたも先送りをされているというのは各委員が指摘をしているとおりだと思っています。
 こういう改革で負担増を、改革なしに負担増をお願いをする、しかし必ずやりますと、こうおっしゃっておられるわけですから、私は大臣の口から、せめてこれから先の五年間において保険料率を引き上げることはないということをはっきりとおっしゃっていただきたいと思います。いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(坂口力君) 今回のこの改正案を作るにいたしまして、向こう五年間のこの計画を立てたわけでございます。その中期的財政運営ということでも内容を詰めたわけでございますので、今八二パーミリになっておりますが、この値で五年間はいけるというふうに考えております。
 抜本改革との間の話でございますが、抜本改革を行いますことの中には、大きな一つはそれは無駄を省くということがございますから、徹底的に無駄を省いていかなければならないというふうに思いますけれども、しかし無駄を省くだけではなくて、現在までのところ、足らざるところを補わなければならないという部分も恐らく私は出てくるのではないかというふうに思います。
 先日、朝日先生から御質問いただきましたけれども、精神医療の分野等につきましては、現在、大変不十分な状況がまだ続いているわけでございますから、こうした面につきましては人的配置等で充実をしていかなければならないという面も私はあるというふうに思っております。
 まあそれらのことを総合してどうするかということだろうというふうに思いますから、抜本改革をしたら大変それで財政的なゆとりが出るということにもなりにくいとは思いますけれども、しかし、まず抜本改革の中の大きな柱が、これはできるだけ無駄を省くということがあります以上、それを徹底して行っていきたいというふうに思っております。
#121
○山本孝史君 小泉厚生大臣の、私もあのときの法案審議に加わっておりましたので、小泉さんの約束は非常に軽い、彼の言っていることは信用できないという苦い思いをしておりますけれども、私ただいま申し上げましたのは、今回の委員会の審議を通じて、この九一まで自動的に引き上げることができるという範囲を、余裕を持っておりますので、今回、八二と決めて五年間はそれでやっていけると、こういうことに計算上なっております。
 これから先、財政状況は非常に厳しいわけですね。自己負担の三割は上げないと、こうおっしゃっておられます。国庫負担の引上げもなかなか厳しいだろうと思います。そうすると、やはり改革を進めないことには、私はこの八二では収まらないんじゃないだろうかと思います。
 その意味で、しっかりとした改革をやるという意味においても、厚生大臣がお約束されてお辞めになれば前の方が何を言ったか分からないという話ではなくて、さっきの厚生白書ですと、だれかが書いた話で私は知らないと、こうおっしゃいますけれども、今後の話として、厚生官僚が、あれは坂口大臣が勝手に言った話であって、私たちはそんなことは知りませんと、こうでも言われますと困りますので、後ろにいる人たちに向かって、おまえら必ずやれよと、これ以上上げないんだと、私は上げないとあの場で約束をしたんだから改革はしなきゃいけないんだという思いを込めて、八二でこの少なくとも五年間は上げないんだと、これぐらいのことはおっしゃっていただかないと負担増をする側はたまったものじゃない、また上げられるのかという話になりますから、御答弁してくださいと申し上げております。
#122
○国務大臣(坂口力君) こちらに参ります前に、山本議員からそう言われたら、八二%でこの平成十九年まではいける、大丈夫だというふうに言ってもいいかと、おれは言うぞというふうに言いましたら、みんな結構ですというふうに言っておりますので、今更聞き直す必要はないと思います。
#123
○山本孝史君 官僚の皆さんには、大臣がこうおっしゃったわけですから、そう言わせたんだと、勝手に言った話じゃないんだということでこれはやっていただきたい。
 ただ、委員会審議を通じて、大臣御自身もおっしゃいましたように、無駄を省いたとしても一兆円ぐらい無駄が省けるか省けないかぐらいだろうと、こうおっしゃいました。今井委員が指摘しましたように包括払にするとか、かなり大掛かりなことをしていかないと上がっていかないというか、この中に収まっていかないんだろうと思うんです。
 私は、この委員会の質疑の中で、今後の、財務省が出しております税収入の上がりがほとんどこの今の景気の状況の中で上がってこないと、そういう中において公費の負担を増やすということは厳しい、むしろ削れ削れの大合唱がこれから毎年やっぱり同じように続くんだろうと、こういう状況の中でいかにしてこの増大し続ける国庫負担金を確保していくのかということについて明確な御答弁をいただきたいと、こう何回か御質問をしました。
 委員会答弁の中で、大臣は、この法律を出すに当たっては財務省の了解をいただいておりますと理解をしておりますと、こうおっしゃったので、御本人が勝手に理解をしているだけじゃ困ると思いましたものですから質問主意書を改めてお出しをさせていただいて、それはどういうことなんですかと、こうお聞きをしましたら、政府部内で制度改正による国庫負担等への影響を含む厚生労働省試算を踏まえた検討を行って法案を閣議決定したんですと。すなわち、政府全体の意思としてこの財政の、国庫負担が上がるということも当然承知の上で今回この法律を出しておりますので、この五年間は大丈夫ですと、こういうお話になるんだと思うんです。
 さてさて、それでは、それはどうやってその財源を確保していくんですかと、こうお聞きをしましたら、歳出全体の見直しを行うことを含め、必要な額の確保に努めてまいりたいと、こうはお書きをいただくんだけれども。
 しかし、これは厚生労働大臣という立場だけではなくて、政府の重要閣僚のお一人として、この財務省が出しております、大変厳しいこれからの税収入あるいは三十兆円の発行枠、様々なことを考えました中で、どうやってこれから先、この医療にかかわりませず、年金の基礎年金の部分もあるいは介護の部分も国庫負担金を確保していくということをお考えになっておられるのか、是非お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#124
○国務大臣(坂口力君) 医療のみならず、それは年金、介護等ほかの分野にも話が及んでいますと、かなり話は大掛かりなことになるわけでございますが、医療だけに限って申し上げれば、現在のこの状況にいたしましても、なおかつ毎年毎年の医療費は増加をしていく。やはり平成十九年、今から五年先にいたしましても、三兆数千億ぐらいな金は増えるわけでございます。ですから、そのことについては、財務省もよく理解をした上で合意をしているわけでありますから、それは財務省の方も覚悟をしているだろうと。それは事ありますごとに、やはり年々歳々高齢者の数が増えていくんだから、この数が増えることについてはこれは認めないと話にならないということを言っているわけでありまして、そこは私は理解をされているというふうに、十分にそう思っております。何度も議論をしたところでございます。
 問題は、いわゆる高齢者の人口が増える以上の増え方がしましたときに、その部分を一体どうするかという問題が残されているというふうに思います。その年齢の増加以上に増えてまいりますところにつきましては、やはり無駄を省いていくということを行わざるを得ないというふうに私は思います。
 そうした意味から、これからいろいろの改革も加えていかなければならないというふうに思っておりますが、やはりその中での大きな課題は、抜本的な改革の中での診療報酬体系の在り方、そしてもう一つはいわゆる健康保険の在り方、そうしたところの在り方にメスを加えないことには、やはりここは解決のできない問題だというふうに思っている次第でございます。
#125
○山本孝史君 そこは今井委員からのお話もあって、私たちも同意なんですね。やっぱり地域保険に保険者を再編をしていく中でいかにこの医療費の調整をしていくかということが大切ですし、国民のやっぱり今一番の期待であります安心できる医療を提供できるという医療体制の確立というところと、この両者をやっていかなければいけないんだと思うんです。
 今の流れはどうも、何も結局できなくて、最後に手荒な方法であるところの伸び率管理制度でありますとかあるいは総枠制という形で押さえ込んでしまおうと。これは、一種負けてしまって、最後これしかないということで出てくる私は方策だと思うんですね。それを言ってしまったらもう終わりで、そうしないようにいろんな手だてをその前に考えなければいけないんじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 時間の関係で若干質問が入り繰りになって恐縮ですが、その点において今井委員も御指摘申し上げましたように、これまでの医療改革の歩みの中で、審議会ですとかあるいは与党の協議会ですとか様々な場所でいろいろな改革案というものが提示をされてきたというふうに思うんです。それがどれだけ進んできたのかということを私たちはやっぱり検証していかなければいけない、そこに次の道筋が見えてくるんだと思うんですね。
 そのときに、やはり一つの問題は、病院のベッド数が多過ぎるんじゃないかという問題だと思うんです。社会的入院が問題になっているという中で、平成九年改正の前年の平成八年十一月に医療保険審議会が出しました建議書、私はここがここ数年の改革の出発点だと思っておりますけれども、そのときに、平成十二年までに急性期医療の充実対策に着手して、平成十七年に入院の期間を短縮すると、こう書いてありまして、平成九年以降、医療の効率化を目指して病床数、医師数等の見直しに着手をして、平成十二年から十七年の間に病床数、医師数等の適正化を推進する、こういう方向性が示されていたわけですね。
 現実はどうかというと、病床数は、平成三年十月に百六十八万五千床ございましたけれども、十二年の十月は百六十四万七千床で、わずかしか減っていない。お医者さんの数は、平成二年二十一万千七百九十七、十二年は二十五万五千七百九十二人。これから先、今、大学入学定員をコントロールしていますけれども、三十万人ぐらいまでお医者さんの数は伸びていくというのが厚労省の考え方になっております。
 ここにある基本的な考え方は、そもそも、大臣もずっと今日もおっしゃっておられますように、そもそも病院にいる必要性がない、治療が終わっているにもかかわらず行き場所がないから病院にとどまっている人たち、この方たちは、介護保険ができたわけですから介護の施設の方に移っていただく、あるいは在宅に戻ってもらう。今、介護施設におられる方も、介護保険ができたことで在宅での介護をしていただくという形で、こう移っていただく中で、病院のベッドの数を減らしてその分半分にすれば、当然一ベッド当たりの医療従事者の数は増えるわけですから、いい医療ができるようになるんじゃないかと。介護保険の保険料は上がるかもしれないけれども、しかしトータルとして見れば、当然いい医療、いい介護をしながら国民の負担は少なくなるはずだと、こういう流れの中で私はやってきているんだと思うんです。そのときに、やっぱりここの、病院から介護の施設に移らないというところが、ここ何年かやってきて、結局、病床数が減っていないということに現れているんだと思うんですね。
 そのことについて、今後どういう見通しを持ってやっていこうとしておられるのか。この平成八年の建議書どおりの形で病床の減少を考えていくのか、あるいはお医者さんの、日本の社会における医者の適正数として三十万人までの養成を考えておられるようですが、その辺が適正の数だというふうにお考えになっておられるのか、この辺教えていただきたいというふうに思います。
#126
○国務大臣(坂口力君) ベッド数につきましては、御指摘をいただきましたように、これはやはり減らしていくべきだと私も思っておりますが、先日、櫻井議員にお答えをしたときでございましたか、いろいろ御提案がございまして、そのときにもお答えを申し上げたと思うんですが、やはりベッドの数とそれからいわゆる入院日数というものはかなり関係の深いものだというふうに思っている次第でございます。
 したがいまして、入院日数を一か月も一か月半も、平均してですよ、というふうになっていくのではなくて、もっとここは短くしていくという努力がやはり必要。ここを短くしていこうということは、それは御家庭かどこかにお帰りをいただくわけでございますから、その受け取っていただくところの充実と申しますか、そこの組織化というものも進めていかなければならないんだろうというふうに思っております。
 先日も、今井議員に御案内をいただきまして、諏訪の中央病院を拝見させていただきまして大変感銘を受けたわけでございますが、非常に短な入院期間で地元にお戻しになっている。それをなお、普通の病院と比べると非常に短いのに、なおかつまだもう少し短縮ができるのではないかというふうに言っておみえになります。大変私は感銘も受けましたし、びっくりもしたわけでございますが、そういう努力、そういうふうにして、病院がそうなるためには、やはり地域がその患者さんを受けてくれるような状況にしておかないといけないと思うんですね。そこができるかどうかということだろうというふうに思っています。
 そして、できるだけ入院期間は短くする、そして回転を良くして、必要な方には入院をしていただくということをやりながら、一方において、全体のベッド数は減らしていくということにこれはしなければならないのであろうというふうに思っておりまして、全体としての、先日、あの千葉県の増やした話もございましたけれども、全体としてやはり、それじゃ人口の減ったところは減らしていくんだという、少しそうしたことは強い意志を持ってやっていかないと、これはできないんではないかということをみんなにも言っているところでございます。
#127
○委員長(阿部正俊君) ちょっと待ってください。
 室内の方に、皆さん方に申し上げます。
 大勢の方が見えておられますので、小さな私語でもみんな集まると大変質疑の妨げになりますので、どうか御静粛にお願い申し上げます。
#128
○山本孝史君 建議書の中で指摘をしていてもう一つ全く実現していないと私が思っていますのは、この委員会でも問題になりましたけれども、地域医療の支援病院の問題であります。ここを制度化していこう、そして掛かり付け医機能を充実をしていこう、医療機関を体系化していく中で市民にとって安心できる医療体制ができるじゃないかと、こういうお話でした。平成十七年にはその結果として、三時間待ち三分診療が解消されて、患者の大病院指向が是正されて、はしご受診、重複受診の是正が実現されると、ここまで実は建議書の中に書いてありました。
 どこまで進んだんですかとお聞きしましたら、平成十四年の一月一日現在で何と三十九の病院しかできておりません。三十九病院のほとんどと言っていいぐらいが実は医師会立病院でございます。地方の国立療養所等は再編される中で、地元の医師会がそれを引き受けてくださったりといったような形も中にはあったというふうに思っております。これ、三十九しか何でできていないんですかと、こう思うわけですね。八年からですから、五年ほど掛かっているわけであります。
 その中で、私は地域医療の支援病院というのはいい考え方だと思っておりまして、ここを今後、本当に本腰を入れて広めていくお考えはあるのかどうか、あるいはあれは絵にかいたもちに終わるのかどうか、そこをお聞かせをいただきたい。
#129
○国務大臣(坂口力君) ここは私も非常にいい制度だというふうに思っておりまして、私もこれでどれだけ届け出たところがありますかと聞きましたら、私は三十八というふうに聞いたと思いますけれども、何しろ非常に少な過ぎると。なぜそんなに少ないのと。もう少しここを、多くの病院が手を挙げていただくようにしなければいけないが、それはいろいろ等のこういう基準がなければならない、ああいう基準がなければならないという、何か基準が厳し過ぎるんではないですかと。だから、その基準はもう少し緩和をして、できやすい体制というものを一つは作らなければならないのではないですかということを少し皆にも話をしたところでございます。
 しかし、それだけではなくて、やはり地域の医療機関がそれぞれ医療機関同士の間でやはりその地域を守っているんだという気持ちになっていただかないといけないわけですね。地域の医療の間でお互いに、競争はいいんですけれども、しかし共通しているのはこの地域をお互いに守っているんだという気持ちがあって競争していただくのはよろしいわけですけれども、そこが取れてしまいますと、それは競争だけがあって、そして同じに行動できないということになってしまうわけでありますから、そこは医療従事者の間の問題として大変大きい問題だというふうに思っておりますし、そういう思いを持っていただいて、そして是非とも地域支援病院体制と申しますか、そうしたものができ上がっていく。そこに中心になりますのが一つの病院でなくて二つあっても私はいいと思うんです。そして、その地域の開業しておみえになる先生方とが、そこが自由に行き来ができる、そして患者さんの方が自由にその中で選択ができるという形を作り上げていかないといけない。
 ですから、私も十分にまだ見ておりませんが、こちらの方のやっておりますことの基準が高過ぎると。例えば一つ例を挙げますと、その何ですか、八〇%紹介率、紹介率が八〇%という、これなんかはちょっと高過ぎるんではないかと。そこまでいかなくてももう少し何とかならないかといったようなこともあるわけでございまして、この辺のところをどう理解するかということは理解の仕方はいろいろあろうかというふうに思いますけれども、もう少し全体としてそこが育っていきやすいような環境を作り上げていかなければいけないというふうに思っています。
#130
○山本孝史君 地域医療支援病院の理想というものもありますので、曲げるわけにはいかないところあると思いますが、是非検討を加えていただきたい。
 質問時間が来てしまっているのであれですが、私は、今回の法律を是非地元の市民の皆さんの声をもっと聞くべきだと思っています。
 今、地方公聴会の話がなかなかまとまっていないようですけれども、例えて言いますと、衆議院で私たち出させていただきましたけれども、リストラをされる、失業をする、仕事を失うという中で大変に国保の保険料が厳しい負担になっている。高齢者にとってもその状態は変わっていないので、この国保の問題、とりわけ保険料の観点からどうするのかという点もあるし、あるいは、私は国保の保険料も年末調整があっていいんじゃないだろうかと思うんですね。前年収入で掛かってくるという大変に厳しいものですから、税は年末調整をしていただけるんですが、保険料も年末調整があっていいのじゃないだろうかと思っています。
 総報酬制の導入は賛成ですけれども、今度の来年の夏から年金も総報酬制の導入になりますので、お出しをいただいた資料におきましても、例えば従来九千円だった人が十一万八千円と十倍以上の負担になったりもするわけですね。その意味で、総報酬制はいいけれども、夏のこの総報酬制にかかわる年金やあるいは健康保険料の負担増という問題についてもっとPRをしないと、これは大変な心理的な影響があって景気に悪い影響を与えるだろうと。本当に今やるのがいいのかどうか、考えた方がいいんじゃないですかと、こう何回か申し上げたわけです。
 是非、地方公聴会はやっていただきたい。議論はやっぱり少ないので……(発言する者あり)何かすごい期待感が高まっているのか何か知りませんけれども……
#131
○委員長(阿部正俊君) 静粛にお願いします。
#132
○山本孝史君 是非ともにこれは議論はして、各人の少なくとも今日皆さん質問する方たちはちゃんとした質問をさせていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。(発言する者あり)
#133
○委員長(阿部正俊君) 静粛にお願いします。
#134
○中原爽君 自由民主党の中原爽でございます。
 御質疑をお願いいたします前に、このたびは医療事故にかかわります病院あるいは大学、あるいは大学入試の不正疑惑にかかわります大学等につきましての参考人招致、参議院の独自性をもって与野党一致による時局対応をいたしてまいりました。このことにつきまして、与党の委員を代表して、皆様に心からの感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 ついては、健康保険法の一部改正でありますけれども、午前中からいろいろ適切な御質疑がございまして、私がお願いしようと思っております今回の健康保険法一部改正についての附則の事項でありますけれども、この質疑につきましては午前中の森ゆうこ議員、今井澄議員から適切な御質問がございましたし、それに対して大臣からも大変適切な、適切な御回答を得ておりますので、この部分については、誠に、質問を出しておりますけれども、少しく割愛をさせていただきたいと思いますので、大臣、お許しをいただきたいと思います。
 ただ、私が七月の十一日のときに御質問をいたしました件でありますけれども、健康保険法改正案の附則第二条、医療保険各法の被保険者等の医療にかかわる給付割合を将来にわたって百分の七十を維持すると、こういうことでございまして、この実施をいたします時期等については同僚議員からの質疑もございましたし、私が前回お聞きしたことについては、この百分の七十に固定するということでございますと、将来医療費がどうしても値上げをせざるを得ないという時点でありますと、給付率七割に据え置くということと、それから保険料とのバランスの関係から将来保険料を上げざるを得ないだろうということについて御質疑をお願いしたわけでございます。
 この給付率ということについては、従来、九割給付、八割給付という段階を経てきまして、今回七割に固定をするということになるわけでありますけれども、このことについてやはり国民全体からどうもこういうパーセントが変わっていくということについての信頼感が薄れているという側面があろうかと思います。
 このことについて、将来、国民皆保険制度を維持するということ、それからこの改正法案の附則の七割を堅持するということについて、大臣に再度の御決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
#135
○国務大臣(坂口力君) いわゆる公的皆保険制度というものを維持をしていくということになりますと、当然のことながら公的保険としての自己負担の限界というのはあるというふうに思っております。したがいまして、これからのすべての医療制度の改革の根幹をここに据えて、そしてこれ以上の自己負担を増やすことはないということで、そしてすべてを構築をしていくということにしなければいけないというふうに思っている次第でございます。
#136
○中原爽君 ありがとうございます。
 午前中のお話でございますけれども、高齢者医療制度のことについてやはり附則の事項に書かれているわけであります。老人医療費が既に高齢者の人口増を上回る勢いで伸びているわけでありまして、将来、この持続可能な医療保険制度を堅持する必要があるわけでありますけれども、今回の改正では老人医療への公費負担の分、この分を今年の十月から四%上げまして、逐次毎年四%ずつ上げて、平成十八年に五〇%の公費負担をすると、こういうことであります。
 このこと自体は評価されるべきことでありますけれども、今後、この現行の制度を手直しするのではなくて、どういう形で老人医療制度を変えていくのかと。今、四つの試案が出ているけれども、これをどうするんだということについて、今井議員からの御質問もあったわけでございます。
 重複をいたしますけれども、簡単で結構でございますけれども、将来に向かっての高齢者医療制度の改革に向けての大臣の御決意を伺いたいと思います。
#137
○国務大臣(坂口力君) 今日、今井議員からも御質問をいただいたところでございますが、高齢者医療につきましては、高齢者医療そのものもこれは非常にどうするかということが大事でございますけれども、しかし、この高齢者医療のところはほかの部分と非常に関係の深い、これはほかとのかかわりの多いものでございます。したがいまして、今井議員からも御発言がございましたように、例えば医療保険の制度を四十七都道府県単位ぐらいにしていくと、こういうことになれば私は特別に高齢者医療制度というものを別枠で作る必要はなくなってくるというふうに思っています。一元化をしなくても私はそれでやっていけるのではないかというふうに思います。
 ただ、そのときにも必要になってまいりますのは、その財政の中身を、国庫負担と、そして保険料、それもお若い皆さん方にある程度の御負担をお願いをする分がどれだけにするのか、そして自己負担の分をどうするのかということのその中身につきましての問題は残るわけでございまして、その問題を決着する必要は当然のことながらある、むしろここを先に決めておく必要がある。その後は、保険全体の在り方等々とそうした問題と絡めてこれは決着の付く問題だというふうに思っている次第でございます。
#138
○中原爽君 ありがとうございました。
 ただいまのお答えと関連をいたしますけれども、やはりこの改正法の附則の中に、保険者の統合、再編を含む医療保険制度の体系的な在り方については本年度中に基本方針を定めると、こういうふうにうたっておるわけでございます。
 ただいまの御説明と併せてお答えいただいたということになろうかと思いますので、次に、同じく診療報酬体系の見直しについて附則に書かれているわけではございますけれども、この点については今井議員から包括、出来高払ではなくて包括制度を推薦されたわけでありますけれども、一言申し上げたいんですが、私が関係しております歯科の領域の診療については、人間の歯牙の数、二十八本から三十二本あるわけでございまして、その一本一本についての治療が行われます。したがって、二十八の歯牙全体を包括として診療報酬を得るというシステムにはならない。やはり出来高払の部分が歯科の診療については残るということを御理解をいただけるように申し上げたいというふうに思っております。
 いずれにしても、今年度中にこの問題について見直しの基本方針を策定するというふうに書かれておりますので、これも簡単でございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#139
○国務大臣(坂口力君) 現在、出来高払中心になっているわけでございますが、この出来高払を中心にしていくというのにも限界がある。しかし、出来高払にもいい面も率直に言ってあるということでございます。包括払と今混合した形で行われているわけでございます。
 包括払の方に非常に利点もございますし、こちらにもまた難点もあるわけでございますから、これらの問題も双方見ながらこれはやらなければいけないわけでございますけれども、全体としての流れとしては、現在の出来高払中心からもう少しこれは包括払を増やしていくという方向に全体としては流れざるを得ない。大学病院等の包括払をお願いしているのもその一環であるということを今朝も申し上げたところでございます。
#140
○中原爽君 ありがとうございました。
 ただいまの包括払の問題につきましては、今井議員からの御説明では、DRGあるいはPPSという形で一種の診療マニュアルを作成するということから手始めにやらなければいけないという御指摘もございました。そのことも含めてでありますけれども、私ども歯科の領域についてこういった包括の制度がどういう形で役に立つのかということについて、十分検討をしていただくようにお願い申し上げたいと思います。
 それでは引き続きまして、別の問題でございますが、去る二十三日の日に総合規制改革会議がまた新たな中間とりまとめを発表されました。このとりまとめの中で、医療分野と福祉分野における株式会社の参入について、メリットと問題点、すなわちデメリットについて、いわゆる両論併記の説明がなされておりまして、平成十四年度中に検討・措置を行うという旨が記載されております。
 特に医療分野における営利事業が参入することについては、医療機関の経営に市場の、市場の競争原理を導入することでありますので、我が国の医療制度の優れた点である皆保険、国民皆保険と、一人一人の国民が医療を受ける医療受診のフリーアクセス、この実質的な大変いいメリットが、制度が崩壊につながるのではないかというふうに危惧されているところであります。
 また、中間まとめの言う医療法人の資金調達とそれから市場の金融機関とのかかわりから利益配当の側面だけを見ることに対して、我が国の社会保障の制度上優れた現在の医療をすべての国民が平等に享受できるというこの制度をどうしても維持したいんだという側面があるわけであります。
 また、規制改革特区という問題も提起されておりまして、引き合いに出されております、米国の地域医療にかかわる非営利法人組織というような言葉が出てきております。そして、その組織自体、株式会社化とは異なった次元の問題なのでありますけれども、このことについて中間報告の中に何行かの説明がございます。
 今の、現在のアメリカの、地域医療圏統合ネットワークと言われておりますけれども、インテグレートのヘルスケアネットワークというわけでありますが、これは、非営利の地域保険会社あるいはPFIの特別目的を持った会社が全体として非営利のホールディングカンパニーを作りまして、地方自治体との間で、医療施設、福祉・介護施設、それから在宅の介護事業所、あるいは薬局、検査センター、こういった等のことによりまして地域住民のための医療の提供を共同体組織で行って、その収入収益については全部公開をして還元をするという形をやっているわけであります。このことを今回のこの総合規制改革会議の中間まとめがおっしゃっておられるのかどうかということについては定かでないわけでありますけれども。
 そこで、この総合規制改革会議が提案をしております、医療分野への株式会社の参入と、それと医療にかかわります経済特区を実現したいんだということに対しまして、厚生労働省としての大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#141
○国務大臣(坂口力君) 医療の分野におきます株式会社の導入につきましては、これは賛否両論あるところでございます。恐らく委員の皆さん方の中にも賛否を、私は分かれるのではないかというふうに思っておりますが、私は、個人の意見を言わしていただければ、あるいは私個人じゃなくて厚生労働省としての意見を言わせていただければ、これは慎重論でございまして、ここは株式会社化をいたしましてもそんなメリットはないのではないかというふうに思っております。
 と申しますのは、いわゆる医療を受けていただく患者さんの側から見まして、その病院が株式会社であったといたしましても医療法人であったといたしましても、何かメリットになるところがあるのかといえば、私はないのではないかというふうに思っております。むしろ、株式会社になって、そして株主に配当を返すというようなことになってしまいますと、今までの医療法人なるものの制度が根幹からこれは崩れてしまうわけになりますし、そうした意味からも私は慎重にならざるを得ない。
 経済財政諮問会議でございますとか規制改革会議等で御意見をいただきまして、その中でいい返事をしないものでございますからおしかりを受けているわけでございますけれども、しかしそこは、一つは、何らいい方向が見当たらないということと、それから、この制度を行うことによって何か医療そのものの内容が良くなっていくかといえば、そういうことでもないというふうに思っている次第でございます。
#142
○中原爽君 ありがとうございました。
 まだ中間とりまとめの状況でございますので、いずれこの問題については国会で十分御審議をいただきたいというふうに思います。
 それでは、ただいま医療法人の言葉も出ましたので、医療法人における理事長の要件につきまして確認をさせていただきたいと思います。
 平成十四年の三月の閣議決定にかかわりまして、規制改革推進三か年計画が出ております。そこで、「病院経営と医療管理とを分離して医療機関運営のマネジメントを行い、その運営の効率化を促進する道を開くため、平成十四年度のできるだけ早い時期に、合理的な欠格事由のある場合を除き、理事長要件を原則として廃止する。」と、こう書かれておりました。
 この提言を受けまして、厚生労働省の方でこれからの医業経営の在り方に関する検討会を作られまして昨年から検討され、今年の三月に一応の中間報告をされております。この報告の中で、医療法人の理事長要件については、例の富士見産婦人科事件を契機にいたしまして、医療の適正な提供を確保するという観点から、現行の制度、考え方は維持しながら、運用面での弾力化によるその要件の緩和を図るという結論を発表されておりまして、この点について厚生労働省は、これを受けてこの四月に通知を出されたとのことでございます。
 私自身としては、経営、医療の近代化、効率化を図ることは必要でありますけれども、経済合理性のみに基づく経営というのは問題が多いと考えております。したがって、医療法人の理事長要件そのものは堅持していくべきであると思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#143
○国務大臣(坂口力君) これは今お話ございましたとおり、かつては理事長さんは医師、歯科医師の皆さんではなくて一般の方でもよかったわけでございますが、今お話ございましたとおり、富士見産婦人科病院事件がございまして、そして、再びこれは医師、歯科医師が務めるということにまた元へ戻してもらった経緯がございます。
 そうしたことから、今後も原則としてここは堅持をさせていただきたいというふうに思っておりますが、ただ、都道府県の知事さんが許可をすると、特別に、例外として許可をするといったようなときには若干規制緩和をするということにしたいというふうに思っております。
#144
○中原爽君 ありがとうございます。
 今回のこの健康保険法の一部改正について本日まで大変熱心な議論が行われてきたわけでありますけれども、医療保険制度の改革を進めるに当たりまして、国民がこの制度改革を信頼をして、安心して良質な質の高い医療が受けられる国民保険制度が維持できるということが本当の基本であろうかと思います。国民と医療関係者の理解を得るということでなければいけないと思います。
 先ほど申し上げましたように、午前中からの質疑の関係で、私がお聞きすることについては既に御回答も得ているということでございますので、多少早くなりますけれども、お立ちの先生方も多いようでございますので、これで質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#145
○中島眞人君 委員長。
#146
○委員長(阿部正俊君) 中島、中島君。(発言する者多し)
#147
○中島眞人君 私は……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
#148
○委員長(阿部正俊君) ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
   〔委員長退席〕
   午後二時四十五分
     ────・────
  本日の本委員会における中島眞人君の発言の
 後の議事経過は、次のとおりである。
  ○健康保険法等の一部を改正する法律案(閣
   法第四六号)
  ○健康増進法案(閣法第四七号)
    右両案は、質疑を終局した後、いずれも
   可決すべきものと決定した。
ソース: 国立国会図書館
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