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2002/03/20 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 文教科学委員会 第3号
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2002/03/20 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 文教科学委員会 第3号

#1
第154回国会 文教科学委員会 第3号
平成十四年三月二十日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     山本 香苗君     渡辺 孝男君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     渡辺 孝男君     山本 香苗君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         橋本 聖子君
    理 事
                阿南 一成君
                仲道 俊哉君
                小林  元君
                風間  昶君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                加納 時男君
                後藤 博子君
                中曽根弘文君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                輿石  東君
                鈴木  寛君
                山本 香苗君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       総務副大臣    若松 謙維君
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       加納 時男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       財務省主計局次
       長        杉本 和行君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       山元 孝二君
       文部科学省研究
       振興局長     遠藤 昭雄君
       文部科学省研究
       開発局長     今村  努君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        遠藤純一郎君
       文部科学省国際
       統括官      白川 哲久君
       文化庁次長    銭谷 眞美君
       厚生労働省政策
       評価官      唐澤  剛君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十四年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十四年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総務省所管(日本学術会議)及び文部科学省
 所管)

    ─────────────
#2
○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。
 平成十四年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査のため、本日の委員会に財務省主計局次長杉本和行君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省科学技術・学術政策局長山元孝二君、文部科学省研究振興局長遠藤昭雄君、文部科学省研究開発局長今村努君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、文部科学省国際統括官白川哲久君、文化庁次長銭谷眞美君及び厚生労働省政策評価官唐澤剛君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(橋本聖子君) 昨日十九日、予算委員会から、三月二十日の一日間、平成十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 文部科学省関係予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、総務省所管のうち日本学術会議関係予算の説明を若松総務副大臣から聴取いたします。若松総務副大臣。
#5
○副大臣(若松謙維君) 平成十四年度日本学術会議歳出予算要求額の概要について御説明申し上げます。
 日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発展を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とし、科学に関する重要事項の審議、科学に関する研究の連絡を図ること等を職務としております。
 平成十四年度総務省所管一般会計歳出予算要求額のうち、日本学術会議の歳出予算要求額は十三億五千六百万円であり、これを前年度の当初予算額十三億五千八百万円と比較いたしますと、二百万円の減額となっております。
 次に、その内訳について御説明申し上げます。
 第一に、科学に関する重要事項の審議等を行う総会、部会等のほか、百八十の各専門分野の研究連絡委員会の審議関係経費として二億八千九百万円を計上しております。
 第二に、学術関係国際会議の開催、国際学術団体への加入分担金、国際学術関係会議への代表派遣、アジア学術会議の開催等の国際学術交流関係経費として三億六千七百万円を計上しております。
 第三に、平成十五年七月に任命予定の第十九期日本学術会議会員の選出のための、学術研究団体の登録及びそれらを審議するための会員推薦関係費として二千六百万円を計上しております。
 そのほか日本学術会議一般行政経費として六億七千四百万円を計上しております。
 以上が平成十四年度日本学術会議の歳出予算要求額についての概要であります。
 よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
#6
○委員長(橋本聖子君) 以上で日本学術会議関係予算の説明の聴取は終わりました。
 若松総務副大臣は御退席いただいて結構でございます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○有村治子君 自民党の有村治子でございます。
 まずもって、やはり教育が日本の国家の大切な大切なプロジェクトであるということを考えるときに、文部科学省や現場の先生方、あるいは教育委員会の皆様、あるいはPTAなど自発的に活動されている皆様に改めて敬意と感謝を申し上げて、私の質問をさせていただきたいと存じます。
 基本的には教育というのは、私自身は、精神的、経済的、物理的にも自立して人格と能力を持った人たちを育てる、そのために現場をどう私たちがサポートできるのか、私たちはどういう活動を進めていくべきなのかという視点で質問を作成させていただきました。けれども、質問が初めてでございますので大変緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、実際に起こった例を御紹介したいんですけれども、ある中学校に入る小学校六年生の父兄を対象にした中学説明会がありました。そこで、当該の中学校から来た副校長先生は、その小学校六年生の保護者に対して、うちの学校は女子トイレのドアがちゃんと付いています、リンチなどないから安心して来てくださいと、そういうことを言ったことがありました。もう古い、実は私が中学時代に、中学に入るときの十七年前のことなんですけれども、そうやって一生懸命中学校の副校長先生がうちの女子トイレにはちゃんとドアが付いていますということを力説されて、むしろ保護者が戸惑ったということがありました。
 どうしてこういう例を御紹介申し上げるかというふうに考えますときに、英語のことわざを思い出します。ピープル・ビカム・ホワット・ユー・メジャー、ピープル・ビカム・ホワット・ユー・メジャー。人は測定される物差しに合わせて自分の能力を高めていくということわざがございます。ですから、既にあんたのところの学校はリンチがあるんじゃないかということを聞かれていると、リンチはないよという測定基準に従って人はその能力を伸ばしていくということだと思っています。
 例えば、昨日も随分と質疑に出ましたけれども、トップ30の情報がマスコミに出たのを受けまして、動向によっては受験指導も変わる可能性があると大手予備校の河合塾だったり受験出版社の旺文社などが、民間の教育産業の企業が自らの判断でトップ30と思われるランキングの私案を公表しています。これも私たちが何を掛け声にするかということで関係者が反応する例だと思っています。
 ですから、私たちがどういう教育の物差しを作るのか、それが重要なんじゃないかというような問題提起をさせていただいて、質問を始めます。
 まず、昨日も幾つか出ておりましたが、総合学習についてお伺いしたいと思います。
 塾に行く児童や生徒と塾に行かない児童や生徒との学力の格差、又は公立学校と私立学校に通う生徒の学力格差に対する懸念が上がっております。物理的あるいは経済的な理由で塾に行かない、私立学校に行かない人たちから格差に対する懸念が生じているんですが、これに対してどのような認識を持たれているでしょうか、またこれらの懸念に対する対策をどうお考えでしょうか、お答えいただきたいと存じます。
#8
○副大臣(岸田文雄君) 今の御指摘いただきました塾に行ける子と行けない子、又は私立に行ける子と行けない子の間の格差の問題ですが、基本的には公立学校をいかに充実させていくか、このことによってそのそういった不安にこたえるというのがあるべき姿だと思っております。
 この公立学校の在り方につきまして、来月から新しい学習指導要領あるいは学校週五日制、スタートするわけでありますが、この新しい体制の中で、それぞれの子供たちが従来の知識や技能の習得にとどまらない問題解決能力を含めた真の学力を習得し、そして学校の場におきましても個々に応じためり張りの利いた対応が行われる、そういった体制をしっかりと活用することによって公立学校の充実を図っていこうと思っておりますし、そして、文部科学省としましても、教職員定数改善計画等を通じてそうしたその制度の趣旨がしっかりと実現できるようにバックアップしていきたい、こう思っております。
 そういった形によって公立学校を充実することによって、今御指摘いただきましたような格差に対する懸念、払拭していくように努力していきたいと思っております。
#9
○有村治子君 ありがとうございます。
 それから、よく出てくる言葉が生きる力とかサバイバルする力ということで、聞こえは非常にいいんですが、では実際に生きる力というのは何なのか、今までの教育と具体的にどう違うのかということを御説明いただければと存じます。
 それから、追加で、伝統に根差して未来を切り開くというのは日本のあるべき姿だと私は感じているんですが、実際に例えば総合学習で伝統を教えるという場合に、どうやって伝統を教え伝えることができるのか、具体例などがあればお教えいただきたいと存じます。
#10
○副大臣(岸田文雄君) まず、今言われております生きる力ですが、例えば、学力におきましても従来の技能、知識の習得にとどまらず、そうしたものを活用して問題解決能力を得る、そうした問題解決能力も含めた確かな学力、さらには健康を含めて生き生きと生きる知恵、そうした生きる能力、そういったものも含めたものをその生きる力というふうにとらえております。基礎・基本を確実なものにした上で、そうした自ら学び考える力、こうしたものを得る、これが今言われている生きる力だというふうに考えております。
 それから、伝統文化について御指摘をいただきました。国際社会の中で日本人が生きていく上で、日本の、自分の国の伝統文化に親しみ、理解を得るということ、まずもって大変重要なことだと思っております。
 従来からそういった意識の中で、道徳とか国語とか社会とか音楽とかあるいは美術ですとか、そうした科目の中で取組が行われているわけですが、今度新しい学習指導要領の中で総合的な学習の時間が導入されます。この中において体験学習を行うわけですが、いろいろな工夫をそれぞれの地域、学校で工夫してメニューをそろえていくわけですが、地域の文化や伝統に触れて、触れるというような体験活動、こうした体験活動を活用するというのは大変大きな柱になるのではないかなと思っております。こうした総合的な学習の時間等を通じましても伝統文化をしっかりと理解してもらい、そして親しんでもらうということを進めていかなければいけないというふうに思っております。
 その際に、今、事例集ですとかあるいは特別非常勤講師の活用に関する事例集、こうしたものを今作成配付することにしておりますが、こうしたバックアップを通じましてそうした活動を推し進めていきたいと思っております。
#11
○有村治子君 ありがとうございます。
 今体験学習というお話が出ましたが、私自身、日本の大学を卒業してからアメリカの大学院で、成人学習とか体験学習をそのアメリカの大学院の専攻科目として必死で勉強をして、やっと体験学習の何かのイロハのイぐらいは分かったつもりでおりますけれども、そのくらい体験学習というのは実はイベントをやれば終わりというのではなくて奥が深いものだと思っています。そういうことを考えると、体験学習の有意義な導入法、つまり活動すればいいというものではなくて、それから何を気付いてもらうか、何を学びとするのかということについては、教授法について専門的な部分もあると私は認識しています。
 体験活動を成功させるためにもその効果を高めたいと願う先生方に対して、これらの教授法を新たに効果的に学んでもらえるような先生のための機会やプログラムはあるんでしょうか、教えてください。
#12
○政府参考人(矢野重典君) 御案内のように、昨年の通常国会におきまして小中高等学校が様々な体験活動の充実に努めることを内容といたします学校教育法が改正されたところでございまして、それぞれの学校では、総合的な学習の時間を始めといたしまして各教科、特別活動などにおきまして、ボランティア活動など奉仕体験活動、また自然体験活動等の体験活動を充実することになるわけでございます。
 私どもといたしましては、全国の学校における豊かな体験活動の円滑な推進を図りますために、平成十四年度から推進地域、推進校を指定いたしまして、他校のモデルとなるような、モデルとなるような体験活動を実施いたしますとともに、それらの取組を事例集の作成を通じまして各教員が活用できるよう提供していくことといたしているところでございます。
 また、関係省庁等とも連絡を図りながら、多様な体験活動のプログラムなどの開発普及を図ることといたしているところでございまして、そういう意味では、今後とも、体験活動の充実が図られますようにモデルとなります事例あるいはプログラムなどの提供に努めてまいりたいと思っているところでございます。
#13
○有村治子君 ありがとうございます。
 私も初めて、昨日、事例集を見させていただきました。二百六十円でしたか、非常にお安い値段で、非常に充実した冊子だなというふうに思ったんですが、ここで懸念になるのが、どこにそれが配られるか、だれが買うか、どこで手に入るのかというところで、やっと値段を下げていただいた、皆さんが買えるようないい、すばらしい事例になっていると私自身も思いましたので、是非、頒布先あるいは活用、どうされるのかということを考えてこれから活用しやすいところに置いていただきたいと存じます。
 そして、やはり私は、体験学習に私が期待するものというのは、本物、まがいものとか偽物とか何々風とかっていうんじゃなくて、本物と触れ合う機会。例えば、実際にエベレストに登頂した人と話すとか、本物の狂言とか、本物のオーケストラとか、茶道を学ぶとか、本物の映画監督に話を聞いてみるとか、そういう本物と接する、地域の伝統文化を活用するということが大事だと私自身も思っておりますが、現場の先生方が実際にこのような方々との直の人脈を持っていない場合に、事例が、本当に事例集が活用できる、あるいは、この人とコンタクトを取りたいんだけれどもというときに、やはり現場の先生方をサポートするような体制をより充実させていただきたいと存じます。
 それから、正解答は一つあるいは正解答は一つしかないという思い込みから私たち多くの日本人がそろそろ脱却すべきときに来ているんじゃないかと私自身は思っているんですが、その意味で総合学習の時間は物事に対する多面的な評価とか複眼的思考、多様な意見を尊重することなどを学ぶ良い機会だと私は期待しているんですが、こう思っていてよろしいでしょうか。
#14
○国務大臣(遠山敦子君) 総合的な学習の時間がうまく運用されますと、今、先生がおっしゃったような目的に近づくことができると思って、大変大事な時間だと思っております。
 これまでの日本の学校教育はそれなりに大変成功してまいったわけでございますけれども、文部省が昭和五十六年から五十八年、それから平成五年から七年に実施しました教育課程実施状況調査によりますと、日本の児童生徒というのは、学習が受け身で、覚えることは得意だけれども、自ら調べて判断し、自分なりの考えを持ち、それを表現する力が不十分などの問題点が見られるところでございます。言わば、公式を当てはめて一つの解答に向かって一斉に解いていくというふうなことについては優れてはおりますけれども、しかし、本当に自分で学んだり、自分で問題を見付け出したり、あるいは自分で解答の方法を見付けたりというようなことは余り得意でないというふうな面も出てまいっております。
 そのような中で、新しい総合的な学習の時間はいろんな使い道があると思いますけれども、それをうまく活用すれば、自分で課題を見付け、よりよく問題を解決する資質でありますとか、物事に主体的、創造的に取り組む態度を育成することができるのではないかと思っておりまして、そういうことで本当の意味の生きる力の育成に資する時間として使ってもらいたいものだと思っているところでございます。
#15
○有村治子君 問題の一部となるのではなく解決の一部となれというようなことわざもありますけれども、問題解決型の日本人を多くはぐくむように取り組んでいかなきゃいけないなと、自らも自戒の念を込めて申し上げます。
 最後に、本当に貴重なゆとりの時間、総合学習の時間ができたのであえて申し上げるんですが、やはりゆとりの中で伸び伸びと個性をはぐくむという本来価値のある教育を成功させるためにも、過度の甘やかしとかわがままとか基礎力の低習熟度などを、これら例えば自由とか個性とか創造性など美名の下で履き違えることのないよう、私たち大人一人一人がこの姿勢を貫いていかねばと考えております。
 次に、学校の評価についてお伺いさせていただきたいと存じます。
 平成十四年度予算で学校の評価システムの確立に関する調査研究を進めるという項目が検討されています。率直に伺います。今までの学校の評価とどう違うんでしょうか。
#16
○国務大臣(遠山敦子君) 新しく学校評価について実践研究を行うという背後には、学校が保護者でありますとか地域住民の信頼にしっかりとこたえていくと、そういう中身を持っていかないといけないわけでございますが、家庭や地域と連携協力していきますためには、学校運営あるいは教育活動について自己評価を行って結果を明らかにしていく、それに基づいて改善を図るということが大変重要でございます。こうした観点から、各学校における自己評価システムの確立を図ることとしておりまして、一つは自己評価の実施と結果の公表に努めるということを今年度中に省令で明記するよう目下作業中でございます。
 また、今御指摘の平成十四年度予算案の中に全都道府県・指定都市で評価基準の設定や評価の在り方など学校評価の具体的な方策についての実践研究を行ってもらうための経費を盛り込んでいるところでございます。これによってそれぞれの学校において適切な評価というものをやってもらうということでございまして、今までとどう違うかというよりは、これから新しくそういう評価という視点を取り入れるということでございまして、これは私はかなり画期的なことではないかと思っております。
 それがしっかりとした形で各地で行われるようになりますために、実践研究でありますとかあるいはガイドラインとしての基準を考えていくとか、私どもとしてもまだまだこれから努力をすべき点が残っているわけでございますが、そうしたことを定着に向けて力を注いでまいりたいと考えているところでございます。
#17
○有村治子君 ありがとうございます。
 自己評価というのはなかなかつらいところもあるんですが、自分の任務とか責務に対してどう責任を持つかということの観点から考えれば非常に大事なことだと思っております。
 そこで、やはり冒頭に申し上げた、人は測られる物差しに合わせて能力を伸ばしていくということわざを御紹介申し上げたんですが、例えば学習進学塾なら現役合格数、例えば東大に何人現役で合格させた、京大にどうだ、阪大にどうだというような数を自分の測定基準にいたします。先ほどの例ですと、女子トイレのドアのちょうつがいがちゃんと機能しているかどうかということをアピールにされたという例もありました。
 ですから、どんな物差しで業績を測るのかという、その物差し自体がどんな人材を作り上げていくのかに直結する部分だと私は思っています。それだけに是非、評価項目は慎重に精査していただいた上で、その評価項目を是非明確に打ち出して公表していただきたい。こういう基準でやりますよというコミュニケーションそのものが私は大事なことだと思っております。何をどう測るのかというのは、どういう人材を評価し、どういう人材を日本で作っていくのかということに直結するということをあえて改めて申し上げたいと存じます。
 いつごろまでにその評価を実施及びその公表をされるのか、先ほども具体的にいただきましたが、確認で教えていただければと思います。
#18
○副大臣(岸田文雄君) 評価に際しましては、具体的にはその学校ですとかその教育委員会の判断になるわけですが、基本的に重要な考え方としまして、目標を立て、そしてそれを評価し、そしてその結果をしっかりと公表し、そしてその結果をその改善に反映するというこのサイクルをしっかりと確立して、年間を通じて計画的な取組をしなければいけない、これが重要なポイントだというふうに思っております。
 その際に、その評価結果の公表につきましては、学校便りですとか説明会ですとかいろいろな場を通じまして、しっかりと説明責任を果たしていかなければいけないというふうに思っています。ですから、項目等は具体的にはその学校や教育委員会の判断が入るんでありましょうが、そうした説明責任を果たし、その結果の公表に努めることによって多くの人にその結果が目に触れることによりまして、そのあるべき点検項目というのも整理されていくんではないかなと期待しております。
 そういったことで、しっかりとした評価体制、評価システムができ上がるよう努めていきたいと思っております。
#19
○有村治子君 評価結果を公表するというのは大変なことですが、それを実施していただくのは本当大変なことですが、頑張っていただきたいと思います。
 それとともに、先ほど申し上げましたとおり、私たちはこの評価基準に向かって精一杯頑張るんだという意思表明のためにも評価基準そのものを公表する、早い段階から公表していくということも是非御検討賜りたいと思います。
 アメリカの週刊誌にUSニューズ・アンド・ワールド・リポートという、本屋で言うとタイムとかニューズウイークと同様の書棚に並ぶ有力な週刊誌なんですけれども、そちらが毎年アメリカのベストカレッジといって四年制の学部・大学を、教育推進のためにカーネギー財団が開発した測定項目、この測定項目にも随分精査しています、測定項目を採用して、優良大学を公表しています。昨年のこれは秋、九月十七日に発表されたものは、例えば奨学金を多く設定している大学の順位、あるいは母校に寄附する卒業生が多い割合を測定項目にしたり、新入生がどれだけ一年間とどまっているかとか、どれだけの人数が具体的に卒業するか、卒業率、二十歳以下の学生の割合や五十歳以上の学生の割合、あるいは学長や学部長など四千人以上に聞き取りした結果の学術的ランキングなどを入れて、なぜこれらの評価項目にしたのか、その理由も一ページ掛けて詳細に明記してあります。ということによって、データの信憑性を高めています。
 また、昨年の春に公表された、こちらは学部の四年制大学のものだったんですが、アメリカズ・ベスト・グラデュエート・スクールということで大学院の評価の方を見ると、例えば工学だったりロースクールだったり、医学、ビジネススクール、経営大学院という分野別の総合評価によるランキングに加えて、さらにビジネススクールの中でも、例えば起業をしたいならA大学だよ、国際ビジネス、国際経営をやりたいんだったらB大学だよ、あるいは非営利組織、NPOの経営ならY大学がいいよ、会計学だったらやっぱりA大学だよ、マーケティングならB大学だよと専門分野別に信憑性の高い評価結果を公表しています。
 そして、大事なことは、これが近くの本屋で、三・五ドルだったと思うんですが、三、四百円でだれでもこの情報を入手できるというのがポイントだと私は思っています。ですから、先ほどおっしゃってくださった評価の結果も子供を持つ一般的な家庭の保護者、一般的な普通の御両親が情報を入手できるような形での分かりやすい、入手しやすい情報の公開を心掛けて、税金を掛けて行うこの評価が教育を受ける学生やその保護者、教育を促す先生方や私たちの参考になるべく、広く公の利益になるような情報になっていくよう進めていただきたいと思います。
 もしコメントがあればお願いいたします。
#20
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、情報公開によってその評価システムというものがより信頼性を高めるということにつながると認識しておりますので、その点を重要視しながら、是非それぞれの学校や教育委員会において前向きに取り組んでいただけるよう進めていきたいと、促していきたいと思っております。
#21
○有村治子君 ありがとうございます。
 次に、大学教育についてお伺いさせていただきます。
 昨日の質疑でも各党からありましたが、教育の機会均等という視点からは、高等教育、大学進学を望む人には引き続き奨学金を充実させることも大事だと思っています。また、それとともに、私たち日本人が今後も今のような、現在のような生活レベルを維持できるのかどうか、先進国の一員でい続けられるのかどうかという視点から、大学の国際競争力について伺いたいと思います。
 日本の大学の国際水準は一体どのようなレベルにあると認識していらっしゃいますでしょうか。世界の大学の中で国際競争力、つまり世界じゅうから見た大学の魅力度が最もある大学を十とすれば、日本の大学は一体どの程度にあるのでしょうか。
#22
○副大臣(岸田文雄君) 日本の大学の水準、数値に置き換えるというのはなかなか難しいかなとは思っておりますが、ノーベル化学賞の連続受賞等大きな成果が上がっているというのも事実だというふうに思っております。
 これは日本の大学の水準を見る場合、いろんなデータがあります。例えば一九九九年、アメリカの研究所が調査した資料によりますと、世界の論文数における我が国の占有率一〇・三%、世界第二位でありますし、世界の論文被引用回数における我が国の占有率八・五%、世界第四位ということになっておりますし、また同じ研究所が一九九一年から二〇〇一年までに発表された論文の引用回数を著者の所属機関別に分類した結果ですと、東北大学が材料科学で世界第一位、東京大学が物理で二位、化学で三位、生化学で四位、京都大学が化学で二位ということになっております。
 ただ、こうした様々なデータを参考にしながら、我々、我が国の大学の国際競争力というものが今どんな状況にあるのか、またこれからどうあるべきなのか、いろいろ考えていかなければいけないとは思いますが、しかしこれから二十一世紀に向けてますます大学に対する期待度が高まっております。我が国自身、これからもっと努力をして大学の国際競争力を高めなければいけない、これだけは間違いないところだと思っておりますので、二十一世紀COEプログラム等を活用するとか、あるいは科学研究費補助金の充実ですとか、そういったことによってより充実した大学教育、日本の大学の国際水準を高めていきたいというふうに思っております。
#23
○有村治子君 恐らく十の中のスケールではお答え賜れないだろうなというふうに思っていたんですが、私たちがあるべき姿、ここに国際競争力を持っていきたいというビジョンが見えたならば、私たちのポジションを明らかにするような心構えを持っていかなきゃいけないなという問題提起のために聞かせていただきました。
 先ほど材料科学というお話が出てきましたが、学問分野ごとに検討すれば、日本の中でどの分野が世界水準にあって、逆にどの分野は今後水準の向上が必要だと認識していらっしゃいますでしょうか。
#24
○副大臣(岸田文雄君) 研究分野において、どの分野が国際的に優れていてどの分野がこれから努力を要するのか、その業績、特に大学という視点で考えますと人材育成という部分が絡んできますので、この人材育成も含めてどの部分がどうかというのはなかなか判断するのは難しいというふうに思っております。
 時代が大きく変化する中にあって、人材育成の部分も含めて我が国においてどうあるべきなのか。人材育成ということになりますと、タイムラグがありますし、また計画的に人間を育成するというのはなかなか難しい面もあります。ですから、一概にどの分野が今進んでいるからとか、そしてどの部分が劣っているからといって、その大学に対する人材育成も含めた支援の強弱を判断するのはなかなか難しいかなと思っております。
 しかし、いずれにしましても、その環境整備だけはしっかりとしていかなければいけないと思っておりますので、平成十四年度の予算におきましても、例えば科学技術の分野において、環境ですとかあるいは情報通信ですとか、ナノテクノロジーですとかあるいはバイオテクノロジー、ああいった辺りに重点配分するとか、そういった環境整備という面ではしっかりとめり張りを付けてその努力をしていかなければいけないと思っております。
#25
○有村治子君 教育による国際交流とか、真の理解というのはすごく大事なことだと思っておりまして、留学に行ったり来たりする数とか地域がバランスよくできるというのが理想なんですけれども、なかなかそうもいきません。
 どうして日本から留学する日本人が海外に留学する場合は欧米に留学生が集中し、逆に日本にやってくる留学生は韓国と台湾と中国を合わせると七割近くになると思っているんですが、日本にはアジアからの留学生が集中するのか、その事実をどう分析されているのか、御教示賜りたく存じます。
#26
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘ありましたように、日本においでの留学生の方々、中国を筆頭にアジア地域が多くて、東南アジアまで含めますと全体の約九割がアジア地域からの留学生でございます。他方で、日本からの留学生というのはアメリカが一番多いのでございますけれども、二番目に多いのはお隣の中国でございまして、あとイギリスとか韓国、オーストラリアというような順番で、ヨーロッパ諸国が更に続いているわけでございます。
 これ、いろいろな理由があろうかと思いますが、たまたま昨年、日本で政府として留学生を迎え、正式に始めて百年になります。その以前の歴史を御存じのようにひもといてみますと、遣唐使、遣隋使の時代から言わば文化の求心力のあるところに人が集まるという、あるいは日本人自身の進取性という気質もあるかもしれませんが、割と外に出掛けていた時代が長うございました。明治以降、近代国家になりまして、日本でも留学生をお迎えしようということにしたわけでございますが、やはり何といいましても、アジア諸国の中で近隣諸国からは、一つには漢字文化圏であるということ、あるいはアジア地域の中での近代化を進めた国ということの意味合いもありましょうけれども、そういう意味で、割とアジア地域からは大変日本においでいただく希望が多いという事情があろうかと思います。
 他方で、日本からの留学生につきましては、やはり近代西洋文明なども含めまして欧米への志向が強いというのは事実でございますが、先ほど御紹介しましたように、近隣の中国、韓国にもかなりの留学生が行っている状況でございます。
#27
○有村治子君 アジア、特にここ二、三年、中国から我が国への留学生が大幅に増えています。その主な理由は、アジア、近いということは一般的にも言えることなんですが、もっと具体的にその理由は何だと分析していらっしゃいますでしょうか。また、中国から大量に学生が学生ビザを申請して日本に留学していると、この事実についてどのように感じていらっしゃいますでしょうか、御見解を伺いたく存じます。
#28
○政府参考人(工藤智規君) 我が国では昭和五十八年以来、留学生十万人計画というのを打ち立てまして積極的な留学生の受入れ体制の整備に努めてきたわけでございますが、中でも近隣の中国、韓国からが多いわけでございますが、昨年の五月現在で見ますと、日本での留学生は約七万九千人に達してございます。
 その中で、中国からの留学生が約四万四千人で全体の五六%、過半を占めているわけでございますが、この中国からの増大の状況などのお尋ねでございますけれども、私どもなりに考えておりますのは、一つには中国国内での学齢青年の進学意識が非常に高まってきているということと、他方で、中国国内に必ずしもその意欲を受け止める高等教育機関が十分整備されていないという事情があるように思われます。それと、中国の経済発展もございまして、留学志向を支えるような所得水準の向上も見られるように思ってございます。そして、それと他方で、我が国の高等教育機関が留学生の受入れにそれなりに取り組んで、熱心に取り組んでいるという事情、更には漢字圏あるいは地域的にも近いという理由もあろうかと思っております。
 いずれにしましても、日本での留学生、いろんな国からたくさん多くの留学生がおいでいただいて、それぞれの国との懸け橋になっていただくことを私ども期待しているわけでございますが、中国からの留学生が増加すること自体は日中間の人的交流拡大という観点から望ましいことだと考えてございますが、ただ他方で、一部の問題を生じている大学の例もございますので、その辺りは今後適切な指導を含めて対応を適切にしてまいりたいと思ってございます。
#29
○有村治子君 コメントを聞いて有り難く存じました。
 学生ビザで入国した外国人留学生が長期的に就労するという社会問題があり、例えば、今御指摘をされたように、中国人留学生が自分の出身省を詐称するなど、学生ビザの申請に関して疑義が持たれるケースも表面化してきています。是非、日中両国のプラスになるような真の教育交流を引き続き推進していただきたいと存じます。
 日本が大学あるいは大学で高等教育をする人を日本の国内に誘致する、あるいは世界からブレーンを日本に来てもらうというのは、私たちが国際競争力、豊かな日本、先進国で居続けるためにも重要な戦略だと私は思っているんですが、世界トップレベルの大学、つまり世界各地から学びたいなと学生が日本にやってくるような大学、そのような大学を作っていくためには何が必要だと、最も何が必要だと認識していらっしゃいますでしょうか。
#30
○政府参考人(工藤智規君) 先生の方がむしろアメリカでの御経験もあるのでお答えがもっといただけるのかもしれませんけれども、私どもなりに考えておりますのは、大学の役割としまして、教育、研究、それからその成果に基づく社会貢献というのがあろうかと思います。社会貢献として、例えば特許だとかいろんなアウトプットがあるわけでございますが、やはりそれぞれの国で人をどう引き付けるかと同じでございまして、それぞれの大学で人を引き付けるには、その機能でございます教育面、研究面、あるいはそのアウトプットがより優れたもので、人類、世界のために普遍的な成果が上がっている、そういう実績が大事ではないかと思ってございます。
#31
○有村治子君 ありがとうございます。
 これ、是非お伺いしたいんですが、スイスのローザンヌにあるIMD、国際経営大学院というところが常に先進国の競争力ランキングを付けているんですが、その調査においても日本は産学連携の項目において残念ながら最低ライン、つまり四十九か国の先進国・地域の中で産学協同がうまくできているという項目で最低ラインを残念ながらいただいております。
 なぜ産学連携がうまくいっていないのか、いっていないと評価されてしまうのでしょうか。どうすれば産学連携が少しでもスムーズにいくんでしょうか。お考えを教えていただきたく存じます。
#32
○政府参考人(遠藤昭雄君) 我が国の今後を考えますと、経済の活性化に寄与いたします産学連携が大変大事だというふうに認識をいたしております。
 今の御指摘のように、確かに我が国の産学連携については欧米と比較しましてかなり後れているなという認識をいたしております。この原因はいろいろ考えられるんですけれども、一つには、大学が、象牙の塔といいますか、必ずしもこの問題に積極的ではなかったということが一つ。それから、産学連携をやりましても研究者個人と企業が連携するというのが大半で、組織的に連携をしていなかったということも反省しなければいけないと思います。それから三つ目に、企業が自分で研究開発をしちゃう、いわゆる自前主義と言っているんですが、それが主流であったということ等々、反省点として考えられると思います。
 そこで、最近になりまして、研究成果の特許化を進める技術移転機関の承認とかあるいは国立大学教官等の兼業規制の緩和等々、いろんな取組を私どもも行ってきておりまして、その成果が徐々に現れてきている。例えば、企業との共同研究件数も過去十年間で五倍に増加しておりますし、それから大学発ベンチャーですが、これもここ三年ぐらいを見ましても百六十六社が作られております。このように、大変最近伸びてきているというふうに認識しております。
 さらに、こうした取組を強化するため、私どもとしても重要施策に位置付けまして、十四年度予算でも大学発の新産業創出を支援しようということでいろんな施策を講じておりますので、今後とも積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
#33
○有村治子君 ありがとうございます。
 次に、日本における英語教育についてお伺いしたいと思います。
 私は、今求められているのは、英語がぺちゃくちゃしゃべれる語学屋さんじゃなくて、本当に日本の精神、心を大事にして、海外の人間と対等に渡り合える、気後れすることもなく、逆に横柄な態度を取ることもなく、対等に渡り合える日本人を育てることが大事なことだと思っています。
 そこで、資料をお配り賜りたいんですが、ここに諸外国のTOEFL受験者数等の状況、あるいはTOEIC母国別平均スコアというものを資料としてお配りいたします。(資料配付)
 この星印を付けた部分をごらんいただきたいんですが、例えばTOEICによりますと、八十六万の人がTOEICを受けていて、全世界における、千人以上なんですが、全世界における日本人の受験者数が六割を超す中で平均のスコアはこの中では最低のポイントになっています。
 私は、統計や数値というのは相対的なメッセージとしか取らずに、それを、しゃくし定規にこれを取り上げてどうだと言うつもりは全くないんですが、やはり日本は英語のコミュニケーション運用能力が他国と比べて低いと指摘されて久しいと思っております。
 私が、会社員時代だったり、大学院での学術学会に、国際学会に出たときに、アジアからの参加者というのは、文法はどうでもいいと思っているのかどうか分からないんですが、文法よりも取りあえず英語で一番最後までしゃべり続けるんで、どうしても彼らの声が聞かれて、交渉力ではすごくアドバンテージを持ってくるということを幾度となく私は経験してきました。ですから、その一方で日本は、文法的に正しい英語をちゃんと話そうとして発言する機会を失い続けるもったいない日本人を私は見てきました。
 ですから、文法云々というより、むしろ使える英語というものを、日本としてそちらの方に照準を合わせていくのも一つじゃないかなと私は思っております。
 昨日、アメリカから帰ってきた、国際経営学の第一線で活躍し、社会人教育の第一人者と私が尊敬している方から直接聞いた話なんですが、ハーバード・ビジネススクールでのケーススタディーを日本人管理職が学習していたと。ウォルマートのケーススタディーをしていたんですが、こんなことは日本ではあり得ないと言った二日後に、ウォルマートが西友と包括的業務提携をするというニュースが飛び込みました。幹部を西友に送り込んで、行く行くは株式の六六・七%をウォルマート側に与えるとの情報が新聞のトップ記事になりました。伝統的な日本企業と思われていた組織でさえ何が起こるかわからないという、こんな昨今だと私は思っています。
 インターネットの情報の約八割が英語という時代に、英語と言われる時代に、デジタルデバイド、つまりコンピューターが使えるか使えないかで生じる情報量の格差というのは、実はデジタルデバイドだけじゃなくて、英語による障害、英語によるハンディがあるんじゃないかという指摘もあります。
 そこで質問させていただきます。
 国境を越えて学問やビジネス、親善交流や犯罪が展開される中、コミュニケーション手段としての使える英語、英語運用能力を飛躍的に向上させることが必要ですが、どのような方策を取れば日本人が実効性を上げることができるとお考えでしょうか。説得力のあるコメントをなるだけ期待申し上げたいと存じます。
#34
○副大臣(岸田文雄君) 日本人の英語によるコミュニケーション能力につきましては、本当に大変多くの議論が行われておりますし、最近、本屋に行きましても英語のコミュニケーションに関する本があふれ返っているのを感じます。
 そういった中にあって、日本人のコミュニケーション能力を飛躍的に伸ばすためにどうしたらいいか、それに対してどう考えているのかという御質問でありますが、飛躍的に伸ばすということについて、これはいろんな今議論が進んでいるところでありますので、これ、文部科学省としてこれだというものを今示しているわけではありませんが、まず文部科学省としてその環境整備、多くの日本人が英語に触れる機会を増やす、そうしたところから始まって、様々な場を提供する、こうした環境整備を進めるということにおいてはしっかり努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
 学校におきます新学習指導要領で外国語科を必修とすること等の制度の問題、あるいはJETプログラム、あるいは研修制度の充実、さらには平成十四年度予算でスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール事業、こうした予算を盛り込むとか、さらには、今年一月、各有識者との意見交換のための懇談会を設けておりますが、そうした懇談会を通じての議論も英語教育の改善に反映させていかなければいけないというふうに思っております。
 是非、できる限りの環境整備を進めた上で多くの日本人にそれを活用してもらう、それがまず第一に文部科学省として考えなければいけない方策ではないかなと思っています。
#35
○有村治子君 以上で私の質問を終わります。
 なかなか新人議員とか、あるいはこの答弁を聞いてくださった保護者の方々には、今コメントをいただいた力強い応援がどういうふうに形になっていくのかなかなか見えない部分もありますので、是非今おっしゃってくださったことをこれからの施策に生かしていただきたいと存じます。
 本当にありがとうございました。
#36
○後藤博子君 有村先生に引き続いて質問をさせていただきます。
 まず初めに、今日は私も初めての質問でございまして、この機会を与えてくださいました委員長始め皆様、そして今日お答えいただく大臣、そして副大臣、そしてまた文部科学省の方々、そして厚生労働の方々に深くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 私は、遠山文部大臣が今年一月に出されました「学びのすすめ」を下敷きとして、実際の教育現場についての質問を中心にさせていただきたいと思っております。
 私も半年前は普通の主婦であり、普通の一般人でございまして、こちらに入ったわけでございます。いろいろと戸惑うこともございますが、本日の質問、よろしくお願いいたします。
 まず、四月に配付される予定になっております心のノートについてのことでございます。
 この前に、子供がこの世に生まれて、親や家族の愛情を一身に受けて育ってまいります。子供が育つ過程で、心も感性も育っていきます。無理やりに指導されたり頭で押し付けられたりするようなことでは心も感性も育たないと思っておりますし、特に幼児期や初等教育ではなおさらのことだと考えております。
 一、二年生の心のノートの試作品を見る機会がございまして、見せていただきました。これはまだあくまでも試作品ということなので、これから新しい本が出てこられると思いますけれども、これは一、二年生の心のノートの試作品でございます。(資料を示す)
 これを見たときに、何といいましょう、本を見て私が感じたことで大変申し訳ないんですけれども、心を非常に育てるという意味では、すごくかわいらしい絵と、そしてカラフルな優しい色使いになっておりまして、すばらしい本ができたなというふうに思っております。
 ちょっと気になってまいりますのが、その反面、これは何か良い子になるためのちょっと教則本かなという、そういう感じもいたしました。これはちょっと私の偏った見方かもしれませんけれども、実は私の友人の子供が、自分が良い子を演じなければならないということから、またその良い子を演じることが母親から喜ばれる、そしてそれを、ずっと良い子をやってきました。とうとう彼は高校に入りましてそんな自分に気付いて、自分自身で疲れてしまいます。せっかく入学した高校にも途中で行けなくなりました。周りも家族も、あんないい子がなぜ不登校になったのか、スポーツも勉強も、友達付き合いもいいのに、だれもその理由が分かりませんでした。彼が何か脳に障害があるとか、そういうことではなくて、普通のすばらしい子供さんです。私もよく知っております。
 大人や私たちは子供を大事にする余りに、また伸び伸びと育てたいと願う反面、どこか子供に無理やりに良い子を押し付けてしまっているのではないかなというふうなことを感じました。子供自身が親や周りの顔色を見て使い分けをしているという、そういう子供の心を、その子の心を知ったときに、何だか非常にやるせない思いがしました。そのような、心のノートは押し付けのノートにならないようにと私は願っております。
 また、少し余談になりますけれども、私は四年間ブラジルに行ってまいりまして、子供たちに日本語を教えてまいりました。日本に比べてブラジルは物も豊かではありませんし、周りにも何にもそんな環境はありませんが、そういう何もない子供たちが伸び伸びと、生き生きと目をきらきらと輝かせて、アリ一つでさえ見ながら、これはどうしてこういうふうになるんだろうという、その自分の体験から不思議と思うことを取り組んでいるという姿を目の当たりにして見てまいりました。
 そういう思いを込めながら、心のノートが作成された目的と経緯についてよろしく説明をお願い申し上げます。
#37
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生の方から、良い子の押し付け、あるいは演じるというようなお話がございました。
 そういった御指摘でございますが、まず心のノート、その作成に当たりましては、善悪の判断ですとか規範意識ですとか他人を思いやる心、さらには生命を大切にする心等々の内容をまず基本的に分かりやすく書き表した上で、そうした様々な道徳的な価値につきまして自ら考えて、それを自ら実践するきっかけにしてもらうという視点でこの編集をしております。ですから、自らこうしたことについて考え、そして自ら様々な生活の中で実践してもらう、そうした活用ができるような内容編成にしているということでございます。
 そして、加えて、この心のノート、学校のみならず家庭においても保護者の方々とともにこうしたノートを活用する、そんな中で対話を通じてこの道徳的な価値観等について意見交換をする、コミュニケーションを図る、そういった工夫もできるようになっているわけでございます。
 そういった工夫をできるだけすることによりまして、今、先生御指摘のような押し付けとか、子供が無理をしてそういった良い子を演じるとか、そういったことにならないような道徳教育、道徳的な価値観の教えにつながっていくよう期待しておるところでございます。
#38
○後藤博子君 ありがとうございます。
 心は目に見えませんし、形あるものでもなく、本当に指導が非常に難しいと思われます。本来であれば家庭や親がその役目をなすべきだと私は考えておりますが、しかし現実では育つ家庭や親子関係、また地域社会がなくなってきています。やはり学校や先生に託すしかありません。心のノートを生かすも殺すも、少しこれは厳しい言い方ですけれども、教師次第ということになってまいりまして、先生の役割は大変大きいと考えております。
 読売新聞の三月四日付けの記事によりますと、文部科学省の担当者は、心のノートは先生に見せる必要はないと書いてございました。そうすると、やったりやらなかったりする子供たちが出てくると思うんですけれども、先生は、このノートについてどう御指導をするのでしょうか。心のノートを中心とする心の教育を推進するための方策を文部科学省としてはどのように考えているのか、お聞かせください。
#39
○政府参考人(矢野重典君) 心のノートは、先ほど副大臣から御説明申し上げましたように、児童生徒が身に付ける道徳の内容を分かりやすく書き表し、道徳的価値について自ら考え、実践するきっかけとなるものであり、また児童生徒が自己の生活や体験を振り返って記入したりするものとしても編集しているわけでございます。
 したがいまして、学校におきましては主に教師の指導を受けながら使用される教材であるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、自分の生活や経験を記入したりするそういうコーナー、そういうものとしても編集されているものでございますから、小学校の高学年や中学校の段階になりますれば、記入したことを親や教師に見られたくはない、あるいは知られたくはないという気持ちが生じてくることにも十分配慮する必要があるわけでございまして、そういう意味で、教師に必ずしもすべて見せなくてもよいと考えられるということを、先ほど御指摘の新聞記事はその点を言及したものと思われるわけでございます。
 しかしながら、いずれにいたしましても、それぞれの教員におきましては、心のノートの趣旨や子供たちの実態を踏まえながら、多様な教育活動の場で創意ある活用を図っていただきたいと、そのことを期待をするものでございます。
#40
○後藤博子君 ありがとうございます。
 少し具体的にお聞きいたします。
 同記事には、昨年の末の試作本、これは、私が持っているのもそうなんですけれども、小中百八十校に配って子供たちや教員の意見を聞いたとあります。私は、子供たちに意見を聞いたというのは非常に喜ばしいことだと考えております。試作本のこれと、今、印刷していると思いますけれども、印刷中のものとどこか主な改正点がありましたら教えていただきたいと思います。
#41
○政府参考人(矢野重典君) 使用した児童生徒の反応は、心のノートを読んでいると心が落ち着くとか、心の中でいつも悩んでいることが取り上げられてありアドバイスに勇気付けられたとか、あるいは人には話せないことが書けるのでうれしいなど、おおむね好意的であったというふうに私どもは受け止めているところでございます。一方、内容が難しくて読んだり書いたりするのが大変だといったような、そういう意見も一方では寄せられたわけでございます。
 そういう意見も踏まえながら、試作本からの修正につきましては、内容をより豊かなものとするために、児童生徒あるいは教員、保護者の意見も、更には学識経験者の御指摘も踏まえながら、子供たちの発達段階を考慮した分かりやすい表現に改めるといったような観点から、何点かについて、何か所かについて修正を行ったところでございます。
#42
○後藤博子君 ありがとうございます。期待をしておきます。
 心の教育を実践するために心のノートというのがあるということで作ったんだと思いますけれども、これには、やっぱり実りあるものにしていかなければならないということで、先ほども申しましたように、先生方の非常な力が掛かってくると思います。その先生方の研修ということも必要だと思いますけれども、どのような研修を考えていらっしゃいますでしょうか、また十四年度に予算処理はしていらっしゃるのでしょうか。
#43
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、心のノートは主たる教材としての教科書ではなく、また学校の教育活動全体を通じて活用されることを前提としておりますので、心のノートの使い方につきまして、一律に研修を行うことで、かえって児童生徒の実態を踏まえた活用、そういうものを妨げるようなことにならないよう、私どもとしては、この活用については十分配慮することが必要であると考えているわけでございます。
 そういう意味で、現時点では、心のノートの活用のみを目的とした研修の計画というのは予定はしておりませんが、当面、道徳教育担当の指導主事を集めた会議、あるいは道徳教育について指導的な役割を果たす教員、管理職を対象とした研修の機会をとらえて、心のノートの活用の仕方あるいはその留意点等を説明してまいりたいと考えているところでございます。
#44
○後藤博子君 ありがとうございます。
 一昨年十二月に教育改革国民会議におきまして、「学校は道徳を教えることをためらわない」と題する項目において、小学校では道徳、中学校にまた人間科、高校に人生科などの教科を設けという提言がございました。学校は道徳を教えることをためらわないとの同項目の趣旨と、「学びのすすめ」の心の教育とは同じ方向性を持つものと考えてよろしいのでしょうか。よろしくお願いいたします。
#45
○国務大臣(遠山敦子君) 新しい学習指導要領で教育のねらいとしておりますものが生きる力という言葉で表現されているわけでございますけれども、生きる力というのは大変多義的なものでございまして、単純に何と何とは言えないとは思いますが、私は、学校で注意していただきたいこと、重点として考えていただきたいことは、一つは確かな学力であり、一つは心の教育であると思っております。この両者が相またないと、本当の意味でのしっかりした人間教育、人間としての生きる力というのは身に付かないのではないかと思っているところでございます。
 その意味で、確かな学力と心の教育、言わば道徳心を持たせるということも心の教育の大変大事な要素であるわけでございます。その意味で、二つは同じ方向であるといいますか、生きる力を養うという意味で極めて大事な中心的な柱であるというふうに考えております。
#46
○後藤博子君 重複するかと思います。
 心のノートを作成する上でも、そのことが検討されて、また反映をしているということでよろしいですね。よろしいでしょうか。──はい、ありがとうございます。
 今も、感想をお聞きしようと思いましたけれども、大臣の方からもうこの提言についての感想ということで、重複すると思いますので控えさせていただきます。
 ここで、済みません、あえてお尋ねしたいと思いますけれども、なぜ我が国の教師が道徳を教えることをためらってきたと思われますでしょうか。よろしくお願いします。
#47
○国務大臣(遠山敦子君) 道徳教育につきましては、もう既に各地で優れた取組が見られるわけでございますが、率直に言いまして、道徳の時間の授業時数も十分に確保されないなど、十分な教育がなされていないという状況にあると考えております。
 その事情は一体何かということでございますけれども、これはいろんな要素があろうかと思いますけれども、一つには、昭和三十三年に小中学校に道徳の時間が特設されました際に、一部に、これは修身科の復活であるという反対を唱えた教職員もいたというわけでございまして、今日ではそのような考えを持つ教職員はいないと思うわけでございますが、そうしたことが背景の一つにあるというふうに考えられているところでございます。
 私は、道徳といいますか、少なくとも人間として生きる基本的なルールというものはしっかり教え込んでいく必要があろうと思います。先生、正に先ほどおっしゃいましたけれども、家庭の教育力が落ちている現在、学校がまず子供たちに人間として生きる際にどういうことが大事かということをしっかりと教え込んでいく必要があるわけでございまして、その意味で、道徳を教えることについてためらいを持つという教師といいますか、そういう姿勢というのは大変私は残念であるというふうに考えているところでございまして、私どもは、いろんな方策を今用いながらそのことの重要性を強調し、またいろんな手段で、学校における道徳教育なり、あるいは社会の中で生き抜く人間として必要な心の在り方について努力をしているところでございまして、各学校においても、そのような考え方にのっとってしっかりと対応してもらいたいと思っているところでございます。
#48
○後藤博子君 ありがとうございます。
 心のノートで実を結ぶために、現場で教える先生の意識が大きく影響すると思われましたのであえてお尋ねをいたしました。
 心のノート以外に、心の教育を徹底するためのほかの何か方策は考えていらっしゃいますでしょうか。
#49
○国務大臣(遠山敦子君) いろんな方策がございますけれども、例えば、道徳教育の時間を充実して、それが心に響く内容となるということをしていくというのが中核でございますが、心のノートを用いるということもございますし、同時に、子供たちに本当の意味での感動を与えるということも大事でございますので、その意味で、実際にいろんな人生経験をしてきた、心の先生といいますか、そういう人を、社会人を学校に招いて、そういう人々の話をしていただく、そういうことも大変有意義ではないかと思っております。
 また、新しい学習指導要領の一つのねらいでございます体験活動というのがございますね。これは、自らいろんな施設に出掛けたり、あるいは社会体験、自然体験などを通じながら、実感として人々に対して何らかの思いやりを持った行動をすることの意味を認知して、そのことがいかに相手にとっても自分にとっても、人間としていかに大事かということを自覚してもらう、あるいは自然の美しいものに触れて、あるいは現実の本物に触れて感動していく、そういったいろんな機会を活用しながら心の教育というものに全体として力強く学校において取り組んでいただきたいと思っております。
 それ以外に、学校だけではなくて家庭教育においてのそういった心の教育を充実するためのいろんな施策も講じておりますし、地域社会においても取り組んでいただきたいような事柄についてたくさんのメニューを用意しているところでございまして、大いにそういうことを活用していただきたいと思っております。
#50
○後藤博子君 ありがとうございます。感動する子供たち、たくさんできて、私も一緒に感動したいと思っております。
 次に参りますが、ゆとり教育と学力低下についてをちょっとさせていただきます。
 私自身は、ゆとり教育によって学力が低下するということは私としては考えたくないと思っております。子供たちが伸び伸びと明るく育つ環境の中で、いろんなことに興味を持ちながら、なぜこうなるんだろうかと科学や理科に興味を持ち、その不思議を解明するために算数の知識が必要であり、またそれを詳しく書き留めるためには国語の力が必要だと気付いて勉強していきながら自然に学力が付いていく。興味あるもの、好きなことに取り組む時間があることはすばらしいと思いますし、またそのことが学力を向上させることになると思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。簡単でいいです。
#51
○政府参考人(矢野重典君) はい。
 新しい指導要領におけるゆとりの考え方は今、委員がおっしゃったとおりでございまして、教育内容を厳選することによって時間的、精神的なゆとりが生ずる、そういう時間的、精神的ゆとりを活用して、例えば理解や習熟度の程度に応じて、理解の進んだ子にはより発展的な学習をし、また理解が後れた子には繰り返しの指導をしたり、あるいは学習の在り方として実験観察あるいは調査研究、課題学習的な学習を進めるといったような、そういう意味での時間を掛けてじっくり取り組む学習というところにゆとり教育のねらいがあるわけでございますので、そういう点について関係者の皆さんの御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#52
○後藤博子君 ありがとうございます。
 では、文部科学大臣が今年一月十七日に確かな学力向上のための二〇〇二年アピール「学びのすすめ」の中で述べられました確かな学力と、今までの新学習指導要領の中で述べられてきました生きる力、新しい学力と表現の違いがありますが、何かその意図があるのでしょうか。ありましたらお聞かせください。
#53
○国務大臣(遠山敦子君) 確かな学力という言葉である程度強いメッセージを国民の皆様及び教員の方々あるいは教育関係者に出しましたのは、新しい指導学習要領のねらいとしている本当の力といいますか真の学力といいますか、そういったものを確実に身に付けさせてほしいという願いからでございます。
 新しい指導要領のねらいは申すまでもなく、基礎・基本をしっかり身に付けた上で自ら考え、自ら行動し云々の大変すばらしい内容でございまして、そのこと自体は私は新しい世紀の教育の在り方の根本的な方針として間違いがないものだと思っております。
 そのことを確実にするには、しかしそのことを確実にするにはいろんな工夫をしてまいりませんと、これまでどちらかといいますと、知識の量でありますとか、あるいは受け身の教育ということが中心でありました日本の教育の現場におきまして混乱が起きてはいけないわけでございますし、また、こういうことはないとは思いますけれども、学力の低下につながってはならないということでございまして、そのようなことを起こさないために、確かな学力を身に付けさせてもらうためにこういうことについて留意をいただきたいということで、今後それぞれの学校で取組をしていただく際の留意点を例示として挙げたわけでございます。
 幾つかございますけれども、その中で強調したものの例を申し上げますと、一つは、学ぶことの習慣というものをしっかり身に付けさせてほしい。これの背景には国際調査の結果もございます。日本の子供たちは宿題をしたり、あるいは自分で勉強をしたりする時間が調査国中最低でございました。また、他の国際調査におきましては、理科や数学が好きである、あるいは将来それを仕事の上で反映したいというような子供たちも最低であったわけでございます。そういうようなことから、学ぶことの習慣をしっかり身に付けること、あるいは学ぶ楽しさを身に付けること、そういう習慣ないし学ぶことについて意欲を持てば将来どんな問題に直面しても十分乗り越えることができるわけでございます。
 それからもう一つのメッセージとしては、それぞれ子供たちはいろんな能力を持っているわけでございますので、その能力に応じて、伸びる子はどんどん伸ばしていくと。そのために、いろんな方策が必要でございますが、少人数の授業もする、あるいはいろんなチームティーチングでありますとかいろんな方策も講じますので、それぞれの子供たちが伸び伸びと能力に応じて学ぶことができるようにしてほしいというようなこと。さらには、それぞれの地域ないし学校の実情に応じて、あるいは子供たちの実態に応じてそういった工夫をうまくアレンジしながら、確かな学力を身に付けるようにしてほしいというためのメッセージであったわけでございます。
 したがいまして、一月という時点で出しましたことは、この四月から始まろうとしております新しい学習指導要領のねらいの本当のところがきちんと実現してほしいということで出したわけでございます。
#54
○後藤博子君 ありがとうございます。
 とはいうものの、実際に学力が低下をしていることの事実の調査がここに四つございまして、ちょっと時間の関係上述べるのを控えますけれども、勉強の意欲の低下や学力の低下や、また分数や小数の計算のような学力の基本となる能力の低下がうかがえるということで立証している調査の結果が一応ございます。これをどう考えますかということはちょっともうやめます。
 いわゆる、本来、子供たちは想像もできないすばらしい潜在能力を持っていると思います。親や教師や周りの大人はその潜在能力を発揮できるように環境を整え、しかし転ばぬ先のつえを与え過ぎないようにし、そして子供たちの本来持っている力を信じて伸ばしていくことだと思っております。
 大臣の言われる確かな学力が付くことを私自身も願ってやみません。私も文教の一員としてともに頑張ってまいりたいと思っております。
 次に行かせていただきます。
 次に、高校の家庭科の教科書についてお尋ねをいたします。
 私は、高校の家庭科教科書、とりわけ教師用の指導書を見ましたときに非常にショックでした。このような教科書や指導書が平然と使われ、高校生に大きな影響を与える、日本のこれからはどうなってしまうんだろうと危機感を抱いての質問でございます。
 まず、高校で男子に家庭科を必修させている国は日本以外にありますでしょうか、お尋ねいたします。
#55
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 私どもすべての国の教育課程を承知をしているわけではございませんが、例えば一例を挙げますと、韓国では高等学校第一学年におきまして技術・家庭科が男女を問わず必修になっておると承知をいたしておりますし、またドイツでは州や学校種によりまして男女を問わず必修になっている、こういうところがあるようでございます。
#56
○後藤博子君 ありがとうございます。
 世界的には、私がちょっと自分で調べただけで分かりませんけれども、何か独特な日本だけのもののような感じがいたしまして、世界的にも男女共同参画社会とか男女平等ということがうたわれている中で、日本だけがあえて家庭科を必修とする科目に持ってくるのは少し疑問を抱いております。また、これは少し自分自身も調べまして、質問をいつかさせていただくときが来たときにまたお願いをしたいと思っております。
 少し焦ってきました。時間が迫ってまいりました。
 次ですね、平成八年の教科書検定では四冊が不合格になったと聞いておりますが、その理由をお聞かせくださいますでしょうか。
#57
○政府参考人(矢野重典君) 平成八年度高等学校家庭科の検定におきましては、全部で十八点の申請がございましたが、御指摘のように、うち四点が不合格となりました。これらの不合格となった図書につきましては、要は学習指導要領の、その内容が学習指導要領の目標を踏まえていないといったような、そういう欠陥が見られたことから不合格となったところでございます。
#58
○後藤博子君 ありがとうございます。
 翌年の九年の検定では、申請のあったすべての教科書が合格となっていますが、それはまたどのような理由でしょうか。
#59
○政府参考人(矢野重典君) 翌年、いずれも再申請をされまして、四点とも合格になったわけでございますけれども、これも簡単に申し上げますと、再申請の段階から、前年度、私ども欠陥として指摘した内容、すなわち学習指導要領の目標を踏まえていないといったような、そういう点について内容の変更がなされたわけでございますので、そういうことを踏まえていずれも合格とされたわけでございます。
 そういう意味では、平成九年度において、平成八年度と検定方針としては基本的には同じであるわけでございます。検定方針が変わったわけではございません。内容について、前年度指摘した内容を翌年改めて、改善をして、内容を変えて申請してきたことをもって合格としたということでございます。
#60
○後藤博子君 ありがとうございます。
 もう少し詳しくお聞きしたいんですけれども、時間がありませんのでまた後日させていただきます。
 それと、三つ子の魂百までとか、私たちが育ったときはそういう言葉が出ておりました。三歳児健診、失礼しました、三歳児神話はすべて過去のものになったと平成十年の厚生白書に書いてありますが、厚生白書に書いてあると家庭科教科書は記述しておりますけれども、当時、厚生省が三歳児神話を否定したその根拠は何でしょうか。
#61
○政府参考人(唐澤剛君) お尋ねのございました三歳児神話のことでございますけれども、これは少子化をテーマといたしました平成十年版の厚生白書におきまして、母親と子供の関係を分析する中で、三歳児神話には少なくとも合理的な根拠は認められない旨の記述をしているところでございます。
 いわゆる、三歳児神話と言われておりますのは、子供は三歳までは常時家庭におきまして母親の手で育てないとその後の成長に悪影響を及ぼすと、いわゆるこういうふうに言われている考え方でございまして、欧米における母子研究などの影響を受けまして、一九六〇年代に我が国に広く広まったわけでございます。
 この考え方につきましては、これを明確に肯定する根拠も否定をする根拠も見当たらないという一方で、母親と子供の過度の密着はむしろ育児不安でございますとかストレスなどの問題を生んでいるという指摘があることでございますとか、欧米の研究におきましても、母子関係のみの強調は見直されておりまして、父親やその他の育児者などの役割にも目が向けられていると、こういう状況がございますことからこのような記述を行ったところでございます。もちろん、これは子育てにおける母親の役割の重要性を否定するものではないわけでございます。
#62
○後藤博子君 否定するものではないということなんですが、この白書の影響と思われる記述が、実教出版から出ております「家庭一般」には次のように記載されておりました。
 「一九六〇年代の高度成長期以降は、男女間の役割分業がより明確になるが、そうしたなかで母子癒着という問題も登場した。専業主婦として、日中家で子どもと過ごす母親は、生きがいは子どもだけになり、いっぽうで孤立感やいらだちを募らせる。子どもは友だちとの関係がきずけなくなる。」、「女性が専業主婦化すると、性による役割分業も明確になる。良妻賢母観は、そうした過程のなかで女性に課せられた役割期待である。」と。
 これは明らかに専業主婦や良妻賢母を否定する記述ではないでしょうか。この記述は、教科書に載せるとしては余りにも一面過ぎて、専業主婦や良妻賢母に対して誤解を与えると思いますけれども、文部大臣の見解をお伺いいたします。端的で結構でございます。
#63
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘の記述ですが、専業主婦についてですが、これは一般的に専業主婦について述べたものではなく、日中、家で子供と過ごし、生きがいは子供だけであり、一方で孤独感やいら立ちを募らせるという母親が母子癒着を起こすという問題を説明しているものと理解しております。
 また、良妻賢母につきましても、これも良妻賢母一般について説明したのではなくして、夫の中には伝統的な良妻賢母観にこだわる人がまだ多い、そして男女の在り方に関して、夫婦間の意識のギャップが生まれることなどについて述べたものだというふうに理解しております。
 おっしゃるように、一方的な記述や誤解を与える記述にならないようにすることは極めて重要だと思っておりますので、今後とも、適切にこの検定基準等に基づいて対応を行っていきたいと思っております。
#64
○後藤博子君 よろしくお願いいたします。子供はそのまんま受け取ってしまいますので、少し注意が必要かと私は考えております。
 全体としての教科書には、男らしさ女らしさよりも人間らしさをという記述が目立ちます。男らしさ女らしさと人間らしさとは対立関係にあるように感じられますが、両者は二者択一ではなく、人間らしさの中といいますか、それを土台にして男らしさ女らしさが加わって、より魅力ある人間になっていくと思います。
 続けます。
 そして、男らしさ女らしさそのものを否定しているのならば、性差とか性差別の混同に当たるのではないかというふうにも思います。
 文部科学省作成の生徒指導書における、指導における性に関する指導には、性差と性差別を混同しないように留意する必要があると記載されております。高校の家庭科教科書の記述とまたそれは矛盾をしないのでしょうか。
 済みません、続きまして、同じような質問で、そういうことを踏まえながら、学校の現場では男女混合名簿というのが広がっておりますが、このことにどのような意味があるのでしょうか。本当に必要なことなのでしょうか、疑問でなりません。
 性差と性差別の意味をしっかりつかんでいるのなら、こういう男女混合名簿を作るということは本来なればないんではなかろうかと思っております。男女別の名簿は、男女を区別しているのであって、差別しているのではないと思いますが。
 少したくさん言いましたけれども、このことに関して見解をよろしくお願い申し上げます。
#65
○副大臣(岸田文雄君) まず、家庭科教科書のその記述におきます性差と性差別の混同ではないかという御指摘についてでありますが、これは高校教科書の、高校家庭科の教科書のこの記述、男女間の生理的機能面などの差異があることを踏まえた上で、そして家族同士の人間関係や親子としての役割を考える上では、社会的、文化的に形成された男女の固定的な差異や性別役割に縛られることなく、こうした先入観に縛られることなく、互いに意識し合い協力していくことが必要であるということを述べたものであります。
 ですから、差異があることを踏まえた上で、先入観にとらわれることなく、理解し合い協力していくことが必要であるという記述でありまして、この記述は、男女間の機能的な性差と性差別の違いをしっかりと踏まえた記述である、性差と性差別を混同しないように留意した記述だというふうに理解しております。
 それから、男女混合名簿につきましては、学校教育法施行規則に、その十二条の四に「出席簿を作成しなければならない。」とか、あるいは十五条に備えなければならない表簿等が記載されているわけでありますが、決められているのはそこまででありまして、教育委員会それぞれが判断した方法を採用しているわけであります。
 国として一律にどちらを指導するというのは適当ではないと考えておりますが、それぞれの教育委員会において、教育指導や学校運営上の実態を踏まえるとともに、学校、生徒に与える影響、利便性を総合的に勘案して判断するものだと理解しております。
#66
○後藤博子君 ありがとうございます。
 いろいろと疑念もありますし、少し私にとりまして難しいなと思うお答えもございました。これからまた性差と性差別についての意味もしっかりつかんでいき、また学校現場でもそのような御指導をよろしくお願いいたします。
 そのほかにも、いろいろと教科書を見ますし、また先生の持っていらっしゃる指導書を見ますと、どうも家族のこともそういう性のことも首をかしげてしまうようなことがたくさんございます。ほかにもまた、脱家族の勧めというふうなことについてもお尋ねをしたいんですけれども、私も慣れておりません、もう時間の使い方が、ないんで、これはどうしても聞いておかなければならないということをお聞きしなければなりませんので、もう次の質問に移らせていただきたいと思っております。
 これから家族や家庭や親や子やまた先生という、そういう意味での学問の学びの勧めということの基本においての学校現場での教育がなされることを願ってやみません。
 それでは、LDの、学習障害への児童の対策についてお尋ねいたします。
 有名な映画俳優にトム・クルーズという方がおられますけれども、皆さん御存じだと思います。彼が学習障害者であるということは御存じだったでしょうか。私も知らなかったんですが、彼はBとDの区別が分からなくてセリフも読めないと。いつも耳で聞いてセリフを覚えているそうでございます。
 学習障害者は一般には普通の人と見分けが付きません。それだけに発見されにくい障害と言えると思いますが、我が国における学習障害を持つ児童生徒、小中学校なんですけれども、小中学校で構いませんが、およそどのくらいおられるのか、文部科学省は状況を把握していらっしゃいますでしょうか。簡単でよろしいです。
#67
○政府参考人(矢野重典君) 学習障害の実態についてでございますが、幾つかの調査がございますけれども、その調査は、学習障害の定義が様々であるということ、対象地域も異なるといったようなことから、その数字も差があるわけでございますので、そういう意味で、文部科学省としてこういう場で公式にお示しできるような数字は持っておりません。
 ただ、平成十一年七月の学習障害児に関する調査研究協力者会議の最終報告によりまして、学習障害の定義あるいは学習障害であるかどうかの判断基準について一つの考え方が示されたところでございまして、私どもといたしましては、その判断基準を踏まえまして、今年度、平成十三年度に約四万人の小中学生を対象として全国的な実態調査を開始したところでございます。
#68
○後藤博子君 ありがとうございます。全国的なのを開始したということで、うれしいニュースでございます。
 朝日新聞の北海道版によりますと、青森県の教育委員会の平成九年に行った県内の調査によりましたら、約二%の小中学生に学習障害があると報じておりました。また、昨年の十一月二十二日には、NHKの「おはよう日本」でこの問題を取り上げましたところ、非常に大変な反響があったと聞いておりまして、メールやいろんなことでたくさんの反響ということで、今日、資料を持っております。そういうものがあるそうでございます。
 今日、お手元にこの図形のようなものを配っていると思いますけれども、この図形は学習障害の方がどのように見えるかということを示したものです。(資料を示す)
 下にいろいろぐにゃぐにゃと書いておりますけれども、普通の能力、普通の知能を持った子供たちが、黒板の字が分からない、分かってもそれを目でとらえて次にかくときにはこういう図形になってしまいます。それがそのLDの障害になるんですけれども、これは、こういうことはもうほとんど分からないわけです、見たときも。見る限りでは全くどこに障害があるのか分からずに、その子が勉強を怠けているんだろうとか、何かそういういじめとか、そういうものに遭って、先生にもなかなか発見ができないということでございます。そういう、これを訓練といいますか、していけば、二枚目にお配りしたように、回復は、ここまで回復を高められるということが実証されております。
 こういうことがある以上は、どうしても学校現場の方でも是非取り上げていただきたいと思っておりますし、これらの方法で、学校現場で養成、発見の方法を何か学校現場ですることはできないのだろうか。健康診断のときに、今、目の検査しかやりませんけれども、そういう障害の検査ができるようになるとか、あるいは障害を持った子供たちがテープレコーダーをそばに置いて学校の授業が受けられるだとか、パソコンやワープロも教室に持込みを例外的に認めるとか、そういうことで、今なっている子供たち、あるいはこれから発見される子供たちのためにも、是非、大臣の御指導で大胆な対策を考えていただきたいと思っておりますが、最後に感想をよろしくお願いいたします。
#69
○国務大臣(遠山敦子君) この問題につきましては、やはり教員や保護者あるいは周辺の者がその学習障害児の持っている特性を十分に理解してあげるということがまず大事だと思いますし、そして、指導に当たりましては、専門の医療機関等とも連携しながら、個々の児童生徒の実態に即して、カウンセリングを始めいろんな方法で一人一人の子供の状態に合った適切な取組を行うことが大事だと考えております。
 そのようなことから、早期に判断基準や指導方法を確立いたしますとともに、引き続き教員への理解啓発、専門的指導者の養成確保、学校における指導体制の充実に努めてまいりたいと考えます。
#70
○後藤博子君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#71
○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。
 前国会でも質問をいたしましたが、ITERについてでございます。核融合でございますが、去る昨年の十二月二十五日、科学技術政策担当大臣と有識者議員会議の考え方が出されました。さらに、一月二十二、二十三ですか、東京で政府間協議が進められました。これらについての経緯と、それから、昨年の御答弁のときには、今月の半ばにはこのITER計画に参加するかあるいは誘致問題をどうするか、そういう結論を出すというふうにお伺いしましたが、その辺のことにつきまして御説明をお願いしたいと思います。
#72
○大臣政務官(加納時男君) 国際熱核融合実験炉、いわゆるITER計画に我が国が参加するか、そして我が国への誘致をするかということにつきましては、現在、関連する国際動向も踏まえ、総合科学技術会議において検討が行われているところでございます。
 今、先生が正に御指摘なさったとおり、昨年の十二月二十五日に科学技術政策担当大臣と有識者が会合の結果を科学技術政策会議の本会議に示されました。その中では、結論としまして、はしょりますと、このITER計画への我が国の参加は望ましく、そして誘致は意義があると。それで、結論として、どうするかということでございますが、我が国の政府は総合的な観点に立って参加ないし誘致を最終的に決定することが適当であるというふうに決めたというのが第一のこの大きな動きでございます。
 これにつきましては現在どうなっているかということでございますが、引き続き検討が行われておりまして、次回以降の科学技術総合会議で判断がなされることとなっているというのが第一の御質問でございます。
 第二の御質問でございますが、国際的な動きはどうかと。一月の下旬に、先生御指摘のとおり、東京でも政府間協議が行われているところでございます。一番新しい状況を御報告いたしますと、今日現在でございますが、欧州はITER誘致を前向きに検討しておりますけれども、誘致についての結論はまだはっきりとは出ていないというのが今日現在の状況でございます。
 先生も御指摘のとおり、昨年十一月からはITER計画に関しまして政府間協議が開始されておりまして、実施協定でございますとか国際的なサイト選定の手順等について議論を進めているところでございます。
 結びになりますけれども、ITER計画への我が国の参加、誘致につきましては、総合科学技術会議における検討結果、それから、既にいろいろ進めておりますが、サイト適地調査の結果、これらを踏まえ総合的に判断していきたいというところでございます。
#73
○小林元君 国として、日本としての決定の時期といいますか、いつごろになる見込みか、お分かりであれば。
#74
○大臣政務官(加納時男君) 今日現在、何月ということはまだ決まらないわけでございますが、先ほどちょっと触れましたけれども、総合科学技術会議で実は決めたわけではございません。
 あくまでも、新聞ではいろいろ参加が望ましく誘致が意義があるというふうに報じられておりますが、これは総合科学技術会議の決定ではございませんで、総合科学技術会議に報告された科学技術政策担当大臣と有識者議員の言わば提言といいますか御意見でございます。ですから、これを受けてまだ決定しておりません。決定するということは次回以降の総合科学技術会議でございまして、今日現在まだ開かれておりませんが、近いうちに開かれるというふうに私どもは理解しております。
#75
○小林元君 次に、天文学の研究といいますか、国立天文台がハワイのマウナケアにすばる望遠鏡を設置したのは二年前でしょうか、観測が始まっているわけでございます。そしてまた、観測衛星等々と連携しながら、さらに、ヨーロッパあるいはアメリカ単独でそれぞれ、何といいますか、電波望遠鏡というんでしょうか、そういう計画があったと。そういう中で、日本も独自にそのような計画をしていたわけでございますけれども、それがいわゆる国際協力といいますか、そういう考え方で、こういう経済状況といいますか、そういうこともあるかどうかは別としまして、国際的な協力の中で観測を行おうと。
 私もよく分かりませんけれども、話を聞いたところによりますと、百億光年のかなた、どうしてそんなものを見るのかなというふうにも思うんですけれども、惑星の誕生だとか、あるいは地球と似たような星があるんではないか、あるいは生命の誕生といいますか、そういうものの秘密といいますか、に迫ることができるんではないかと。正に夢のような話なんですけれども。
 そこで、この望遠鏡といいますか、正式名称は、アタカマ、チリですね、南米のチリのアタカマ山脈でしょうか、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計と。ちょっと皆さんに、これ文部省の天文台の宣伝でありますけれども、(資料を示す)こういうものを、何といいますか、小さなこの、何でしょうか、そういうものをたくさん並べて観測をすると、こういうことでございまして、そのアンテナといいますか、そういうものを取りあえず試作をしてというふうなことで今年の予算にも計上されているという状況でございますが、これらについて、もう説明の必要はないかもしれませんが、簡単でも結構ですので御説明をお願いしたいと思います。
#76
○大臣政務官(加納時男君) すべて小林先生よく御存じでいらっしゃって、先生のおっしゃったとおりでございますというと、私の答えでございます。先生がおっしゃったとおり、日本の場合は光学だったわけでございます。電波じゃなくて光学の赤外線望遠鏡として日本はハワイに建設してきた「すばる」というのがございまして、平成十一年までにこれをやってまいりました。
 そういう意味では、今、先生が正におっしゃったとおり、ALMA計画と言っておりますけれども、これは南米のチリの、名前がちょっと分かりにくいんですけれども、アタカマと言います、五千メートルの高い、標高五千メートルの高いところに六十四基の、今これまた先生がおっしゃったミリ波、サブミリ波の電波望遠鏡でございますが、これ用のパラボラアンテナを設置して、これも先生がおっしゃったとおり、宇宙の物質の進化ですとか生命の起源を探究するというもので、従来の望遠鏡から大きく超えたものでございます。こういうものを二〇一一年から運用したい、ついては二〇一〇年までに造ろうという動きが出てまいりました。
 日本の場合には、「すばる」の方に全力を尽くしてきたというのがあります。限られたお金をやはりあっちもこっちにも使えませんので、「すばる」に集中してやってきたということもあって、御指摘のとおり、若干この欧米の動きからすると出遅れたというのが率直に申して否定できないところでございます。しかしながら、やはりこれは重要な事項であろうということで、この評価試験が行われるわけでございますが、これに参加するための研究開発経費を予算案、本年度の、本年度といいますか平成十四年度の予算案に八億円計上しているところでございます。
 今後の、御質問でございますが、厳しい財政状況はございますものの、我が国としてやはりこういう先端分野の科学的な知見を得ることが重要でございますので、科学技術・学術審議会等において検討していただきながら、何とかこれに参画をしていきたいというふうに考えているところでございます。
#77
○小林元君 聞くところによりますと、このパラボラアンテナ、六十四基だそうですか、並べるんだそうでございますが、全体で一千億円のプロジェクトということになるようでございます。今、加納政務官から答弁がありましたように、アメリカは既にこれをやると、参加決定といいますか、ヨーロッパは今年の半ばに決めるということでございます。日本は財政難これありき、こういうことで、二〇〇四年ですかに決める予定と、こういうふうに聞いております。そこで、分担金等につきましても、できるだけ余りたくさん出すなと、三分の一平等ではないというような財務当局のクレーム、クレームといいますか条件というか、そういうことが付いているようでございますけれども。
 いずれにしましても、私はこのプロジェクトの是非についてここで議論するつもりはありませんけれども、やはりこういう国際的なプロジェクト、日本は非常に、決定過程というのが非常に遅いといいますか、先ほどのITER問題でもなかなか結論が出ないというような状況が続いているわけでございます。これは日本の、何といいますか、科学技術戦略というんでしょうか、科学技術基本計画というのがありますけれども、そういうものを作るんであれば、この決定のタイミングというんでしょうか、そういうものについてもやはりこれは戦略的に考えると。自分たちの財布の中ばかり見て物事を決めようというような、まあ言っては悪いですが、狭い了見でのみやっていたんではいつまでたっても日本はリーダーシップを握れないんじゃないか。
 先端の研究者は、どうしてもこれをやりたいという気持ちは、もうこれは研究者であればだれもがそうだと思いますけれども、そういうものはしっかり評価をして、その上できちんと決めるものは決める。そして、やはり日本が後れを取るといいますか、結果的に後れを取るのは仕方がございませんけれども、同じスタートラインに立ってこういうプロジェクトを一から議論をし、検討をし、参加をするというような姿勢を取ってもらいたいなと、そういうチャレンジをしてもらいたいな、こういうふうに思うんですが、遠山大臣、あるいは政務官でも結構です、よろしくお願いします。
#78
○国務大臣(遠山敦子君) 科学技術創造立国を目指している日本でございますので、科学技術の先端的なトップランナーでありたいというのは国民こぞっての願いであろうかと思っております。
 その科学技術の、日本の科学技術の振興について中核的な役割を果たしております我が文部科学省としましても、その科学技術の重要性ということについてはもちろん十分認識をしております。大きな国家プロジェクト的なようなものにつきましての決断は決して遅れてはならないと思いますし、ただ諸外国の状況も十分見ながら、その時期をきちんと見定めた上で、手を挙げるときには手を挙げるということの方が高等な戦略ではないかと思うわけでございます。
 ITERの問題、それからALMAの計画の問題、いずれも日本の科学技術及び科学の将来にとっても大変重要なプロジェクトだと思っておりまして、積極的な姿勢で取り組みたいということはもう十分関係者同じ思いでございます。
 しかし、いつその決定を下し、そして国際的にもその立場を鮮明にしていくかということについては、私は戦略的に考えて、正に戦略的に考えるべきだと思っているところでございます。
#79
○小林元君 考えるときには十分に考えてしっかり決断をするということで、よろしくお願いをしたいというふうに思います。今までとにかく、とかく遅れがちというのが日本の在り方であったような気がしますけれども、どうぞそういうことのないようにお願いをしたいと思います。
 それから、先ほども産学連携というんでしょうか、そういうお話が出ました。ビッグプロジェクトからいいますと小さな話になってしまいますけれども、科学技術振興、これはやはり国としても非常に大事でありますけれども、地方にとっても科学技術の振興、そして産業との連携というのは非常に大事だというふうにどこの地域も思い始まってきているんではないか、そういうふうに思います。
 特に、特にというか、茨城県も幸いにして研究学園都市という筑波があるわけでございまして、これはもちろん国の機関が中心でございますが、茨城県としても地域としてもそういう研究機関、研究集積というものを無駄にしたくはない。せっかく手短なところにあるということで、今回、文部省がいろいろ計画をしているようでございますけれども、そのような地域振興は、そういう地域での産学官提携というんでしょうか、そういうものの事業をやりたいというようなことで、知的クラスター創成事業というんでしょうか、そういうものを考えているようでございますが、茨城県はもちろんですから手を挙げているわけでございますが、その辺のことについて、簡潔で結構でございますから御説明をお願いします。
#80
○大臣政務官(加納時男君) 今、先生からお話がございましたように、科学技術の振興は地方にとっても重要であるという御指摘は全く同感でございます。私も科学技術の博覧会で、先生と御一緒に茨城の地で六年間にわたって博覧会に専従してまいりましたので、科学技術に対する思いは先生と共有といいますか、一緒だと思っているところでございます。
 さて、御質問にお答えしますけれども、やはり地域経済、そして科学技術、いろいろ結び付けていきますと、キーワードが三つあるような気がいたします。一つは地域という言葉、二つ目が知恵という言葉、そして三つ目が経済ということだろうと思います。つまり、地域があって国があると思います。その地域の自治体、企業、大学、様々な当事者がおられまして、こういう方々の二つ目の知恵を結集して、三つ目、経済の活性化を図るということが私どもの願いであり、それが御質問にある産学官連携としての知的クラスターという発想になったわけでございます。
 これまでも、我が文部科学省といたしましても、地域結集型共同研究事業でございますとかあるいは研究成果活用プラザの設置・運営など、各種施策を展開してまいりましたが、この平成十四年度は、これらの施策に加えまして、その上に立って、大学等公的研究機関を核として研究開発能力の集積を図る知的クラスター創成事業を新たに実施することとしたところでございます。
 既に先生御案内のとおり、この事業については、昨年六月から全国三十の地域において、フィージビリティースタディーと言っておりますけれども、実現可能性の調査を実施しておりまして、先般でございますが、各地域からこの構想の具体的な御提案をいただきました。現在、外部の有識者の方々の御助言や各地域からのヒアリング結果等の分析を踏まえまして、これらの地域の中から十地域程度を選定し、平成十四年度から事業を展開してまいりたいと考えているところでございます。
 今後とも、地域の主体性、地域の個性を発揮、重視しながら、産学官連携を図って日本経済の活性化を図ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。
#81
○小林元君 大分希望も多いようでございます。じっくり選定ということもあるんでしょうけれども、やはり各地でこういう期待にこたえられるように文部省としても取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。
 それから次に、もう過ぎました、つい金曜日ですか、土曜日に、ソルトレークでパラリンピックの閉会式も行われました。今回のソルトレークの冬季大会、そしてパラリンピックの冬季大会といいますか、あのパラリンピックの方は文部省の所管ではなくて厚生労働省のようでございますが、今日は時間がないものですから文部省だけにお伺いしたいというふうに思っております。
 国民は、長野オリンピックの大成功というんでしょうか、大変な、頑張っていただきまして、日本も一流というか、そういう気持ちになったわけでございますが、残念ながらソルトレークではどん底に突き落とされた思い、悪く言えば白けちゃったと、期待していたのに。
 これは、まあここに委員長がおりますから、委員長メダリストでございますので、選手諸君は大変一生懸命頑張ったというふうに私は評価しておりますし、そしてまたメダルの数では確かに少なかったんですけれども、八位まで入れますと過去最高ということでございまして、長野のときはメダルは十個、ソルトレークは二個ですか、八位まで入れますと長野は二十三人、三人といいますか、二十三、ソルトレークは二十五ということで、まあ増えております。
 ですが、やっぱり見ている国民は、何とかメダルを、あの表彰台に上ってもらいたい、そしてやっぱりもう一歩頑張ってもらいたいと、こういう気持ちで一生懸命見ていたんじゃないかなと。ですから、駄目だという思いと、もう少し、これはもう心技体を超えてというんでしょうか、もう一歩の力を出してもらいたかったなというふうな気持ちで見ていたんじゃないかと思いますが。
 そうはいいましても、オリンピックの方を見ますと、ソウル五輪、バルセロナ、アトランタ、シドニー、こう来ますと、だんだん落ちてきてしまっているんではないかと危惧をしているわけでございます。ソウル五輪というのは一九八八年ですから、バブルの絶頂期で、その後どうも元気がなくなっちゃったというふうにも見られるんですが、大臣、いかがですか、今回のソルトレークオリンピックについての御感想をいただければと思いますけれども。
#82
○国務大臣(遠山敦子君) 私もかなりの時間テレビの前で一生懸命応援した一人でございますが、もうちょっとというところでメダルに届かなかった選手がたくさんいたと思います。でも、本当に一生懸命やって、今、委員御指摘のとおり、入賞者はこれまでの中で、四位から八位の数ではこれまでで最高ということでございます。やはり委員長が選手で出てくださらなかったことも一つメダルに届かなかったということがあるのかもしれません。
 感想としては、もう少し頑張ってもらいたいなという気持ちと同時に、各国が国を挙げて取り組んでいるということにおきまして、我が国はこれまで十分だったかなという気もしないでもありませんでした。また同時に、もう少し科学的ないろんな選手強化の方策も考えて、選手たちが本来持っている力を存分に発揮できるように、今後やるべきことがあればやる必要があろうかなと思ったところでございます。
#83
○小林元君 率直な感想をいただきまして、ありがとうございました。
 実は、私も、アメリカは今回大躍進したんだと思いますけれども、そうじゃないと言う人もいるかもしれませんが、実は、御承知でしょうが、ポディウム二〇〇二という計画を、これは国が立てたのか、USOCというんでしょうか、アメリカのオリンピック委員会が立てたのかちょっと確認できませんでしたけれども、そういうところでいわゆる国家戦略というのか、国を挙げての、国家というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、国の戦略というものはあったというふうに新聞で拝見をいたしました。
 じゃ、それに対して日本はあったのかというと、何かメダルの目標みたいなものはあったようなないような気がするんですけれども、具体的に何をやったかということを、アメリカの場合は、やっぱり強化選手を見直すといいましょうか、名前を挙げて言っては悪いですけれども、かつての名選手をまた出すのかよというようなこともあったんではないかと。それから、それは新しい若い選手が育たなかったということにもなるかもしれません、結果は。だから仕方がないと。
 しかし、アメリカの場合には、強化選手として指定しても、直前に立派な選手が出てくればそれはオリンピックに出そうということで追加をするというような、いわゆる非常に柔軟な、そこでサラ・ヒューズですか、女子のフィギュアで優勝したのも、直前に国内で優勝して選手に選ばれた。そしてオリンピックの舞台で勝ったわけでございます。ですから、そういうところ非常に弾力的になっている。
 それから、種目はいろいろございます。別に私は国威発揚をやれやれと、こういうつもりでは言っているんじゃありません。元気がない日本で何とか国民が元気を出してもらいたい。イチローと新庄だけじゃ私は非常に物足りないと言っては何ですが、あの二人も頑張っておりますけれども、もっともっと幅広く頑張っていただきたい。だから、韓国がやったようにアーチェリーで、つまりマイナーな種目で、ほかの国はそんなに力を入れてないよというようなものについてもアメリカは力を入れたんですよ、はっきり言って。ボブスレーじゃない、何ですか、よく分かりませんが、そういう、スケルトンだとか、そういうものがございました。やっぱりそういうもので、南米のジャマイカのボブスレーじゃありませんけれども、国民の人気を呼ぶようなこともあるときには必要なのかな。勝つことがすべてではございませんが、そんなことで、その戦略というもの。
 ただ、時間がありませんのでちょっと余計なことをしゃべりますけれども、長期スポーツ振興計画ですね、サッカーくじ、お金が出てくるわけでございますので、どのように使うか、その長期計画について、要するに競技者の育成計画を、何年ですか、ちょっと時間を掛けて、二〇〇五年ですよね。これはアテネのオリンピックが終わってからの話なんですね。ですから、もうアテネに向けて、あるいは次の冬季五輪に向けてきちんとした戦略を立てて、そういうことを文部省が直々にやるんじゃなくて、JOCあるいは競技団体、文部省挙げて頑張ってもらいたいなと。その辺の考えについてお聞かせをいただきたい。
#84
○副大臣(岸田文雄君) 今回のソルトレークシティー・オリンピックの結果、メダル獲得数について大幅に下回ったこと、大変残念だという声、あちこちから聞きます。
 その原因につきまして、今、先生も御指摘になられたように、世代交代の失敗ですとかあるいは科学的トレーニングの活用の遅れですとか、いろいろ指摘されているところでありまして、この辺りをしっかりJOC及び各種団体において分析し、なおかつほかの国々がどうであったかという、ほかの国々の体制、こうしたものを十二分に参考にしながら次への体制を作っていかなければいけないと思っております。
 その中で、文部科学省としてどう努力していくかということでありますが、例えば昨年開所されました国立スポーツ科学センター、これを活用することによりまして、医学、科学、情報、いろいろな側面から支援を行うということも考えていかなければいけませんし、御指摘のスポーツ振興基金によるスポーツ活動への助成も考えなければいけませんし、また専任コーチ、強化合宿の充実など、ナショナルチームに対する国庫補助も考えなければいけないというふうに思っております。また、スポーツ振興くじによる将来性を有する選手の発掘、育成強化、これもメニューとして当然あるわけです。
 こうした様々なメニューを組み合わせながら国として支援を行い、そして先ほどの国全体としてどういった体制を作っていくのか考えていかなければいけないと思っております。
#85
○小林元君 時間も、たくさん通告したんですけれども、時間もありませんのでもう最後にしますけれども。
 今回のオリンピックでいろいろ感じたことは皆さんあったんじゃないか。スポーツの世界でもいろんなことがあるんだなと。日本人の選手が勝つと、どうも足を引っ張るというようなルール改正をしたり、評価の方法についていろいろ問題が出たりということで、やっぱりスポーツの世界でもいろいろとあるんだなと。フェアプレーだけであってほしいと思ったんですけれども、そういう問題もございました。
 それにつけても、大変、何といいますか、競技のスポーツ選手が頑張るんですけれども、それを支える人たちというんでしょうか、スポーツ選手のOBを含めて、いわゆる世界のスポーツ界で、何といいましょうか、まとめ役というんでしょうかマネジャーというんでしょうか、例えば卓球の荻村選手でしたっけ、国際的に卓球連盟の会長になったり活躍されましたけれども、そういう方が非常に少ないですね、日本は。国際的に活躍できるスポーツ選手の応援団というんでしょうか、やっぱりそういうスポーツマネジャーというんでしょうか、金のこともあるでしょうし、いろんなことがある。正にNGOをどうやって運営するのかと全く同じ問題が、そして国際交渉力というものが必要だというようなことがあるんではないかというふうな気がしておりました。
 最後になりましたが、ちょっと時間延長して申し訳ございません。やっぱりお金の問題で、先ほどもJOCですか、アメリカは五十四億円ソルトレークにつぎ込んだと、放送権料の一〇%ですね、使って選手強化に努めたと、こういうわけでございます。日本は、いただいた資料によりますと、JOCの二十億円。ですから、二年間、四年間、これは冬も夏も一緒でしょうけれども、ここへかなりの金はつぎ込んでいるのかなと。しかし、それが国民の目に見えないし、目標もはっきり国民の前に出さないというようなことで、なかなか成果が上がっていないのかな。
 そういうことで、今後、国民の目を楽しませるように、元気が出ますように頑張っていただくことを御期待して、そして質問通告をしましたたくさんの問題についてはまた後の機会に譲らせていただきます。
 ありがとうございました。
#86
○神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
 私は、昨年十月三十日の文教科学委員会におきましても公立学校施設整備費について質問いたしましたけれども、それに関して今日は御質問をしたいと思います。
 この公立学校施設整備費につきましては、国の第二次補正で約三百十億の予算が付けられたということは承知しておりますけれども、なお不十分であり、現在審議中のこの十四年度予算では、前年度当初に比較して約二百億円も減額されているということにつきまして御質問したいと思います。
 まず、この問題とも関連しますので大臣にお聞きしたいんですが、つい最近、人口研究所が人口推計を発表いたしました。それによりますと、二〇五〇年の推定合計特殊出生率は一・三九となっており、ますます少子高齢化が加速するというようなことが報道されておりました。これに関しまして、じゃ今、日本の社会はどういう対策を取っているかといいますと、高齢化対策の方は介護問題、年金など、本当にせっぱ詰まった問題として様々な対策が取られていると思うんですけれども、一方の、じゃ少子化についてはどうなのかと見てみますと、もちろんこれについては、どうしたら子供を産み育てやすくなるのか、そういった対策についてはよく議論されております。
 しかし、これはあくまで大人の側の議論であって、当事者といいますか、少子化の結果としてマイノリティー化しているという表現なさる学者の方もいらっしゃるんですが、マイノリティー化している現在の子供たちに対する施策、予算配分等がどうなっているのかというと、もちろん公立学校施設整備費だけで言えることではございませんけれども、極めて不十分ではないかというふうに私は思っています。これは子供たちに対する目線が非常に、目線といいますか、社会の扱いが非常に冷たいのではないかというふうに私は思うんですけれども、その点について大臣のお考え、簡単で結構ですので、まずお聞かせいただきたいと思います。お願いします。
#87
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の将来を考えまして、確かに少子化の問題というのは極めて深刻な問題だと思います。
 少子化対策につきましては、我が省といいますよりは、他省庁たくさん関連しているわけでございますけれども、政府としては、新エンゼルプランのようなものを作成いたしまして、それぞれの所掌のところで懸命に努力をしているものだと思っております。
 我が省といたしましても、今、先生御指摘のように、子供たちにとって安心できるような環境でありますとかあるいは快適な環境というものを整備していくということも大変大事だと思っておりまして、各種の、本来やるべき教育を充実させていくということを中心に置きながら、そういう目線でも各種の政策を今後とも力を注いでまいらなくてはならないと考えます。
#88
○神本美恵子君 安心、快適が大切というその言葉にちょっと、ちょっとといいますか大変安心をしたんですけれども、今日お手元に資料を配らせていただきました。
 委員の皆さんにもごらんいただきたいんですけれども、これは私のところに寄せられた公立学校の施設に関する、何とかしてほしいという、もっとたくさんあったんですが、カラーコピー高いので、ちょっと二枚だけにさせていただきました。
 一枚目にありますこれは、岡山の小学校のプールのトイレの写真なんですけれども、この下にある、トイレの中ですね、このトイレに子供が落ちたことがあるというふうなただし書がございました。何かぞっとするようなお話なんですけれども、先ほども、有村委員ですか、トイレの話をなさいましたが、私もあるお母さんの話を聞きましたら、入学前の説明会、小学校入学する前の説明会で、お母さん方に、和式トイレの使い方を子供たちに事前指導して入学させてくださいというふうなお願いがあったそうです。そのお母さんは、和式トイレを家では使ったことないけれども、いろんなところへ行くとそういうふうに遭遇するから、教えることはもちろん大切だと思うけれども、入学前にしておかなければいけないことの一つなのかということについて、疑問をおっしゃっておりました。
 小学生に上がるときというのは、子供たちは本当にいろんなことで胸も膨らませる一方、不安をたくさん抱えて、幼稚園、保育園から非常に大きな階段を上らなければいけないというような状況の中で、そういう心配を、しかもそういうというのは、トイレごときではなくて、トイレや給食というようなことは子供にとって非常に重要な問題だと思いますので、そういった意味でも学校がこういう状況に放置されているということについて御紹介をしたいと思いました。
 それから、その左側の三番としているのは、これもその学校の先生がコメントを付けてくださっているので、もう見ていただければ分かると思います。
 二枚目の四番、五番。これももう恐らく築二十五年、三十年経過しているのではないかと思われるような建物です。私も学校現場におりますときは、よくとげが刺さって、教室にとげ抜きを常備しておりました。
 それから、その下は更に怖いんですが、六、七番のこの写真は鉄骨が腐食しているんですね。これ、多分一階ではなくて二階か三階の渡り廊下だと思いますが、私自身も、こういう渡り廊下ではなくて、回旋塔の鉄柱が腐食していることを、学校現場では安全点検というのを月一回やるんですけれども、専門家の目ではないので、それがいつ倒れるかというようなのが分からないわけですね。それで、腐食した鉄骨、鉄柱が倒れて、その下敷きになって死傷者が出たというような事故に遭遇したこともございます。
 こういった現状については文科省の方でももっとたくさんの資料をお持ちで、十分御承知のことかとは思います。しかし、本来日本の将来を担う子供たちにかかわる予算が、先ほど本当に大臣もおっしゃったように、安心して安全に学ぶ、そういったためにも特に教育関係予算はもっと拡充されるべきであるというふうに私は思っております。
 そこで、昨年十月のこの問題についての私の質問に対して、矢野局長の方から御答弁いただいたんですが、公立学校施設整備費としては千六百十九億円を計上していると。これは老朽化対策を中心として、必要事業量の実施に支障が生じないよう今年度と同額を要望しているというふうに御答弁いただいておりました。
 ところが、今回の予算案では約千四百二億円というふうになっております。必要事業量なのになぜ二百億円も減額されたのか。これは財務省との関係もございましょうから、今日は財務省にもお願いをしておいでいただいておりますので、是非ともこういった、緊急課題であるにもかかわらず二百億円減額されたのかということの理由をお聞かせいただきたいと思います。両方にお願いします。
#89
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、平成十四年度予算案におきましては公立学校施設整備費として前年度比二百十七億円減の一千四百二億円を計上したところでございます。この背景には、平成十四年度予算編成の基本方針におきまして公共投資関係費一〇%削減の方針が示されたことがございまして、公立学校施設整備費のみならず、公共事業費はほぼ一律に一〇%削減されているところでございます。
 しかしながら、私どもの公立学校施設整備費につきましては、平成十三年度一次補正予算におきまして百八十四億円、また同年度の第二次補正予算におきまして三百十億円が計上されまして、併せまして四百九十四億円について前倒しで整備を行っているところでございます。
 この結果、来年度当初予算と合わせますと一千八百九十六億円を確保したわけになるわけでございまして、そういう点で、平成十四年度に予定されております市町村の公立学校施設整備費に係る計画にはこの予算でもって支障を来すことなく十分対応できるものと考えているところでございます。
#90
○政府参考人(杉本和行君) 公立学校の施設整備費についての御質問でございますが、今、局長からも御答弁がありましたように、十四年度予算は財源事情が非常に厳しい中、公債発行額を三十兆円にとどめるという中で編成されたものでございます。公共投資関係費につきましては、前年度当初予算よりも全体として一割の削減を行うという方針の中で編成しましたものでございまして、その中で、公立学校施設整備費につきましては、千六百十九億円の要望に対しまして千四百二億円を計上したところでございます。
 この十四年度予算に先立ちまして、十三年度の第一次及び第二次補正予算を編成させていただいたところでございますが、それぞれ、今もお話ございましたように、百八十四億円、三百十億円、合計四百九十四億円を計上しておりまして、重点的な予算配分による前倒し整備に努めているところでございます。これらの補正予算と当初予算を合わせていただきますと十分な事業量は確保できるというように配慮しているところでございます。
#91
○神本美恵子君 一次補正、二次補正で補てんといいますか、その分は確保されているというふうなお話でしたけれども、私は概算要求時にもこの一〇%というのはもう出されていたのではないかと思うんです。それにもかかわらず、にもかかわらずじゃない、それでもやっぱり必要事業量として要求がされていたのではないかということで、ちょっとすんなりと納得ができないんですけれども。
 それよりも、この十四年度の施設整備費が減少したということについては、予算編成が私にはよく分かっていないのかもしれませんけれども、今後のこの事業の進展に大きな懸念、影響が残るのではないかというふうなことを懸念いたします。それは、国家の予算の編成方針は実績主義というふうに聞いております。そうすると、十四年度予算が減額されたということは、例えば来年度、次の十五年度の予算はこの十四年度予算を基にして実績主義というふうになると要求されてしまうのではないかというふうなことも危惧されて、今後の施設整備の進展に非常に大きくかかわるのではないかというふうに私は懸念しております。
 本当は大臣のお考えも聞きたいんですけれども、ここでちょっと続けて質問をさせていただきたいと思います。
 今、これはもう繰り返すことになるかもしれませんけれども、本当に児童生徒急増期に大量に建設された学校が今後十年から十五年の間に一斉に改築、改修、補修の時期を迎えるということはもう明らかになっております。その老朽化、危険化は目に見えているわけです。先ほど写真にも示しましたようにあるわけですから、是非ともこれについては、私は、着実な年次計画で整備が進められないことには、大臣おっしゃったような安全で安心して学び、過ごせる学校空間というのはできないのではないかというふうに思っております。
 もう一つ、この老朽化、危険化というだけではなくて、最近では特に学びの、子供の学びという視点からも学校空間というのは大変重視されてきていると思います。
 これから完全学校五日制が実施になりますけれども、第十五期中教審で求められました他人と共感できる豊かな人間性を取り戻すこと、主体性を確立して、自ら課題を見いだし、考え、行動し、より良く問題解決できる能力を育成するという、つまり何を学ぶかということから、学び方を学ぶ、どう学ぶかというような、学びの転換といいますか教育の変革が求められている中で総合的な学習の時間等が創設されたわけですけれども、その中で、子供を取り巻くあらゆる環境が学びの要素となる、つまり学校建築は単なる生活をする器という考え方ではなくて、教育空間としてとらえられた様々な実践が全国に広がってきております。
 大臣も、十月の質問を私した際に、全国各地、すばらしい学校もあるんだよということもおっしゃいました。その中で子供たちは生き生き学んでいるとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。一日も早くそういう学校を一つでも多く作りたい、そうした観点からも、この公立学校施設整備の問題は最優先課題として是非とも取り扱っていただきたいというふうに思っています。
 この施設整備にかかわって、違った角度から御質問をしたいと思います。
 これも前回、矢野局長から御答弁いただいたんですが、十年後、十五年後を見通して、設置者である市町村が計画的な整備を進めていただくようにということを強くお願いしているというふうに御答弁いただきました。
 私の手元に文部省調べの教育財政に関する資料というのがあるんですが、その中に負担区分別学校教育費の推移というのがございます。これによりますと、これは国、都道府県、市町村、民間部門という負担区分を示されたものなんですけれども、市町村の教育費が、その人口急増、児童生徒の急増期でありました昭和五十五年度からずっと五年ごとに調査されたものですけれども、五十五年度が二三・一%で、その後ずっと低下の一途をたどって、平成九年度は一五・〇%まで下がっております。
 それで、市町村の教育費がこういうふうに低下している、そういう中で実際に市町村が計画的な整備計画を作成できていないのではないかというふうに私は危惧するわけですけれども、文部科学省としては、この辺りの市町村の整備計画策定状況でありますとかそういう実態をどのように把握していらっしゃるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
#92
○政府参考人(矢野重典君) 公立学校施設につきましては、これも去年の秋の委員会で私からお話し申し上げましたけれども、昭和四十年代から五十年代に掛けての児童生徒急増期に大量に建築されました校舎が老朽化の時期を迎えるわけでございます。そういう状況の中で、今後、これらの改築や改修を円滑に進めていくことが大変重大な施設行政の課題であるというふうに思っておるわけでございます。
 このため、今後の公立学校施設整備におきましては、これらの整備事業量が一時期に集中することなく円滑に実施されますように、中長期的な観点から計画的に整備していくことが大変重要であるわけでございまして、こうしたことから、私どもといたしましては、これまで都道府県教育委員会等の担当者を対象とした会議等を通じまして、それぞれの、それぞれ各自治体の学校施設の現状を十分把握しながら計画的な整備を図るように指導をしてまいったところであるわけでございます。
 そこで、そういう指導を受けての個々の市町村の整備計画でございますけれども、私どもとして、国として全国のそういう個々の市町村の全体計画、個々の市町村の計画を網羅的に把握をしているわけではございませんけれども、昨年度取りまとめられました有識者による、これは国立政策研究所の委託調査でございますけれども、その調査によりますと、全国の市町村において整備計画を策定済みのものが約五割を占めている状況であるというふうに承知をいたしているところでございます。
#93
○神本美恵子君 私もその同じ国立教育政策研究所の調査報告を手元に持っているんですけれども、これを見ますと約五割で策定されておりますが、よく見ますと、人口規模によって策定の状況に大きな差があるというふうに思われます。教育委員会の規模や力量の差が学校施設整備計画の推進に大きく影響しているという、詳しい数字を申し上げる時間ございませんので割愛しますけれども、そういう問題点が一つ。
 それからもう一つ、もっと問題だと思うことは、市町村の中での整備計画の位置付けを私はこの研究調査報告の中で読み取ったんですけれども、計画ができれば、当然その計画を基に財政当局と話合いをしてそこからお金を取るといいますか、予算を取っていくという合意に持っていかなければならないんですけれども、その合意が得られているかどうかという問いに対して、一万人未満の市町村と三十万人未満の市町村では二〇%台にとどまっているんですね。それから、三十万から百万人台の市町村では一〇・八%、百万人以上というところでようやく四〇%。それにしても、人口規模に関係なく、この整備計画が教育委員会の内部資料にとどまっているというふうに回答したものが五〇%前後になっております。
 ですから、財政当局との交渉資料にとどまっている。これで果たして計画的な、中長期的な整備の推進ができていくというふうに考えることができるのかどうかというふうに私は思っているところです。もちろん、ネックとなっている財源確保ということは、国だけではなくて市町村も同じような状況ですので最大の課題だとは思いますけれども、その中で政策順位を上げていく、そのための資料提供とか実務レベルの指導も含めて、文部科学省としてもっと市町村の実情を知ったり、その辺の指導を強化すべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
#94
○政府参考人(矢野重典君) 御案内のように、国の財政だけではなくて地方の財政も極めて厳しい状況にあるわけでございますけれども、各自治体におきましては、学校施設の整備に限らず、その自治体の行政全般について総合的な視点に立って自治体全体の財政計画なり様々な整備計画が作成されるものでございます。
 そういう中で、今御指摘がございましたけれども、御指摘がございましたようなそういう調査の結果がございますけれども、そうした状況の中で大事なことは、教育行政の関係者がその自治体全体の中で、自治体全体の政策の中で学校施設整備の優先度を、その自治体全体の中で学校施設整備の優先度を高めるべく努力をしていくということが求められるわけでございますので、そういう意味で私どもはまずは、そういうそれぞれの自治体における教育行政の関係者のできる限りの努力ということをまずは期待を申し上げたいわけでございます。
 私どもは、そういう前提で、国といたしましても厳しい財政の状況でございますけれども、市町村がこういう計画で学校整備を進めたいということを自治体の計画として持ってまいりますれば、そうした計画に支障がないように国としても、必要な予算の確保に国としても最大限の努力をいたしたいと思うわけでございます。
#95
○神本美恵子君 今の御答弁をお聞きしまして、各市町村、自治体が優先度を上げていくと、公立学校の施設整備について、そのことの努力を求めたいということですが、私もできるだけのバックアップ、支援、できることがあればやりたいと思いますので、文科省も御一緒に応援をしていただきたいなということをお願いしたいと思います。
 それから、冒頭、少子高齢化社会について大臣にお伺いしましたけれども、私は、市町村の教育費が低下しているのには理由があるのではないかと、勘ぐりかもしれませんけれども、考えます。介護保険の実施などの高齢者対策、また公共事業、いろいろある自治体の公共事業に追われているからではないかというふうなことも一方で考えてしまいます。
 この社会は、先ほど私、子供へのまなざしが冷たいというふうに指摘しました。その一例としてこの学校施設整備の問題を掲げましたけれども、このほかにも、学校に配分される予定の教材費が削減され、その分が養護老人ホームの玄関を大理石で装飾する費用に消えたなどという話も聞いたことがございます。
 高齢者対策、もちろん大切なことですけれども、その高齢化社会を支えていく子供の問題も、繰り返しになりますけれども、同じように大切にすべきではないかというふうに思っております。このような認識は共有できるのでしょうか。大臣にお伺いをしたいと思います。
#96
○国務大臣(遠山敦子君) 教育費の関係は、私は、今の大変厳しい財政状況の中で、小泉内閣の骨太の方針の中に人材養成と科学技術という二つの大きな柱として取り上げてもらっておりまして、それなりの成果を見ていると思っております。
 各地における児童生徒数の減少ということがいろんな意味で地方の教育費の減につながっているのかもしれませんし、その辺はよく精査した上で考えてみないといけないと思っておりますが、いずれにしましても、教育の重要性ということは内閣を始めとして国民のひとしく認識をしているところでございまして、先生の今の応援の御質問と取らせていただいて、私どももできるだけ今後とも頑張っていきたいと考えます。
#97
○神本美恵子君 最後に、またこれも繰り返しになるかもしれませんけれども、学校施設という空間が子供たちにとって安全で安心して学び過ごせる場所であること、それから施設環境は常に子供たちに無言のメッセージを発しているというふうにとらえて、これからの多様な学びによりインセンティブを与える場所となるように、是非とも緊急課題として予算配分がなされることを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#98
○風間昶君 公明党の風間です。
 昨日に続きまして、海洋深層水について文部科学省について伺いたいと思います。
 九七年から水深二千五百メーターの深さでの静岡県駿河湾で海洋深層水についての研究がなされているわけでありますけれども、この海洋深層水が、アトピー性皮膚炎に対する効果はいかんということの研究がなされているというふうに聞いておりますけれども、御承知のようにアトピー性皮膚炎というのは、ちょっと古いデータですけれども、三歳児では三人に一人が罹患しているというふうに言われております。
 アトピーということの概念そのものはともかくといたしまして、悪さをしているのは好酸球という血液の中の一成分なんですけれども、この好酸球が暴走するとアトピーの皮膚症状を発現するわけでありますけれども、いずれにしても、それに対して深層水が効くというふうな治験も部分的にはあるわけでありますけれども、この研究についてどこまで、また目的はどういうふうに、獲得目標はどこまでしているのかを伺いたいと思います。
#99
○政府参考人(今村努君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の静岡県の海洋深層水の研究でございますが、実は文部科学省の所管の海洋科学技術センターは平成十年より六年計画で静岡県と共同研究を行いまして、駿河湾の海洋深層水の資源的特性についての調査、特に深層水に含まれる様々な微量の金属類に着目した深層水の特性解明を目指した研究等を行っているところでございます。
 実は、今御指摘のアトピー性皮膚炎への点でございますけれども、静岡県におかれましては、この国との共同研究と並行いたしまして、独自に海洋深層水の利用法についてのプロジェクト研究を実施しているところというふうに承知しております。そして、その中で、静岡県立大学の薬学部が参加して、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の治療への応用についての研究を行っていると、このように承っているところでございます。
 具体的には、海水の表面から深度約六百メートルのところまでの数種類の海水を採取いたしまして、それぞれ細胞を培養いたしまして、皮膚炎を起こしているのと同じ状態の培養細胞にそれを付けるといいますか、それを触れさせたところ、六百メートルの深さの海水が最も消炎効果が高いという結果が得られたというふうなことのようでございます。ただ、その原因となる、その消炎効果が上がっている物質を特定するというところまでは至っておりませんで、何らかの深層水に含まれるバクテリアが有する物質がその可能性があるのではないかということで、今探索中ということでございます。
 今後の研究の目標といたしましては、その物質を海水から特定した上で海水から抽出し、これを、その効果を検証するとともに、将来的には実際の皮膚炎の治療法として臨床的な研究も視野に入れて検討を進めたいということのように承っているところでございます。
 以上でございます。
#100
○風間昶君 分かりました。引き続いて、大変な作業だと思いますけれども、やっていただきたいと思います。
 次に、ライフサイエンス分野におけることについて科学技術振興調整費という名目で予算が付いているわけでありますけれども、そのうち、文部科学省が杉花粉症の克服についての研究を行っているというふうに聞いておりますけれども、この杉花粉症もえらい多くて、花粉症の中でも六割、七割が杉によるものだというふうに言われておって、国民的にも三人に一人はこの花粉症に罹患あるいは罹患準備状況に入っているというふうにも言われているわけでありますけれども、その研究について、どのような成果を上げているのか、また目標は、克服に関する研究ですから、どこに上げているのか、教えていただきたいと思います。
#101
○大臣政務官(加納時男君) 先生御指摘のとおり、杉花粉症で悩んでいる方は非常に多うございまして、私ども、身近な家族ですとか秘書だとか、いろんな方々が実は杉花粉症に悩んでおり、最近の調査では国民の約一割が悩んでいるというような報告もございます。先生がおっしゃったとおり、更にそれを上回る方々が罹患の準備、準備と言ったら変ですが、罹患の可能性があるといった大きな問題でありまして、これに伴います経済的損失も、試算でございますけれども、約二千九百億円に上るのではないかといったことが最近の研究で明らかになってきております。
 私ども文部科学省といたしましては、この問題が極めて国民の健康に対する不安という重要な問題であり、また学問的にも未知の領域がいろいろあるものである。さらには、各省庁にこれ実はまたがっている問題でございます。基礎・基盤研究は私ども文部科学省でございますが、人に対する医療となりますと厚生労働省でございますし、材木対策となりますとこれは農水省になります。それから、気象予測ということで、気象情報になりますと国土交通省というふうに、様々にまたがります。
 そこで、こういった分野、先導的他省庁にまたがるもの、そして機動的な研究開発を行うものとして、今、先生が御指摘なさいました科学技術振興調整費が一番ふさわしいのではないかということで私ども対応させていただいているところであります。
 現状は、先生御案内のとおり、平成九年度から平成十四年度に掛けまして、スギ花粉症克服に向けた総合研究プロジェクトを進めているところでございます。
 これでどんな成果が上がっているかという御質問でございますが、これまで治療法の研究としてワクチンの開発あるいは予防に関する研究を進めてきているところでありますが、具体的な成果としては、例えば杉花粉の飛ぶ、飛散と言っておりますが、飛散予測システムの開発、これには自動化に成功したところであります。それから、花粉症にかかっている患者の推定あるいは経済的負担額等も調べたところでございます。
 先生の方から、目標は何なのかということでございます。
 目標は、一言で申し上げますと、この花粉症という非常に厄介な症状に伴います国民の健康不安の解消ということにあると思います。その目標を達成するためには、これは実は危機管理だと考えておりまして、国民の安全なり健康なりを脅かすもの、生命を脅かすもの、我々危機だと思っております。危機の管理のシステムにこれ乗っけていけばいいと思います。
 危機管理としては、危機の予知システム、それから危機の未然防除システム、それから危機が現実に起こった場合の対処システム、つまり被害をミニマムにするということ、それから再発防止対策でございます。
 この危機管理の体系を杉花粉症に当てはめますと、例えば、予知システムとしては、花粉、何が、どういう花粉がどういう影響、悪さをするのかという原因究明。それから、未然防除としてどういうワクチンが有効であるのか、あるいは生活の中でどういうところを改革していったらば未然防除ができるのか。それから、現実に花粉症にかかった場合、これが危機の発生でありますが、そのときには被害をミニマム化する、そのための投薬はどうか。それから、俗に花粉グッズと言っておりますが、花粉症グッズとしてどういうものが症状を軽くすることができるのか。それからまた、生活としてどういうふうにすることが、変えていくことが被害を軽くするのかということ。それから、再発防止対策としては、当然のことながら、この発生源対策ということでありまして、杉が原因だということがはっきりするならば、その杉のいかにして花粉の発生を抑制していくのかといったような対策になろうかと思いますが、こういった分野、先生は大変御造詣が深いということを伺っておりますので、またこれからもいろいろ御指導いただきたいと思っておるところであります。
#102
○風間昶君 分かりました、大体。
 それで、学校現場でどのぐらいになっているのかということについて、私は少なくとも、施設整備の関係からくるシックハウスシンドロームについては、罹災、罹患児童の調査をすることになっているようでありますから、この杉花粉症におきましても、学校現場で、なかなかこれ難しいと思います、ダイレクトに聞き取り調査するにしても、あるいはPTAというか、父母からの聞き取り調査をするにしても難しいと思います。しかし、マクロで現実に今どのぐらいの小学校、中学校で罹患されているのかということの調査は必要だと思いますので、是非これについてやっていただきたいと思いますけれども、それについての決意と、そして、もしそれが出た段階で、じゃ学校現場でどういうふうに生かせるのかということが次の問題になってくると思いますけれども、この二点についてどうでしょうか。
#103
○政府参考人(遠藤純一郎君) 花粉症の学校における調査でございますけれども、一般的なアレルギー性疾患の動向を把握する、こういうことで文部科学省から財団法人の日本学校健康会に依頼をしまして、児童生徒の健康状態サーベイランス事業、この中で児童生徒の罹患状況を把握をしているということでございまして、花粉症についてもこの調査事業の対象としておるわけでございます。
 平成十二年度の調査結果でございますけれども、花粉を原因としたアレルギー症状を有している児童生徒の数でございますが、約八%程度と、こういった数字が出ておるわけでございます。
 それから、花粉症の子供に対する指導の問題でございますが、これも御案内のように、なかなか花粉症につきましては、こうすれば症状が出ないとか悪化しないと、そういった意味での配慮事項といいますか、そういうものは大変少ないわけではございますが、例えばアレルギー性結膜炎の症状が出ている場合にはプールの後でよく目を洗うようにしなさいと、そういったことによって悪化を防止するとか、あるいはアレルギー性鼻炎の症状が出ている場合には授業中に頻繁にくしゃみやはな水をするということになるわけでございまして、ほかの子供たちがそれをどうのこうのと言わないように、他の児童生徒に対してそれは病気なんだからということで理解をさせる努力をするといったようなことなどを指導しておるところでございます。
#104
○風間昶君 八%程度といっても、計算しなきゃならないから、約どのぐらいいるのか教えてください。
 それから、はな水じゅるじゅるやっている先生が、はくしょん大魔王がたくさんいる子供たちと一緒にいるという光景も実は予測されるわけだけれども、難しいと思うけれども、現場でどうするかということについてはちょっと知恵出してほしいなと思いますけれども。
#105
○政府参考人(遠藤純一郎君) このサーベイランス調査というのはいろんな状況をやっているものですからそうサンプル数が多くないということで、約八%と、これは小中高全部合わせての話なんですけれども。そうすると、それから推測しますと、計算しますと、児童生徒の数、そのとおりの掛け算をしますと百万人程度と、こういうような数字でございます。
#106
○風間昶君 分かりました。
 次に、国立大学法人制度についてお伺いしたいと思います。
 新しい国立大学法人制度について、先般、九月二十七日、中間報告出ました。この中で、二ページ目にありましたけれども、国立大学の法人化が、国立大学だけの改革にとどまらないで、我が国の大学全体の活性化と云々とあって、その前提として、国公私を通じて、第三者評価に基づく重点投資のシステム導入というふうに文言がございます。また、総合規制改革会議の第一次答申でも、高等教育に関する公的支援の在り方の見直しということについて、昨日もちょっと議論になりましたけれども、「こうして充実された公的支援は、決して国立大学というだけで配分されるようなものであってはならず、国公私を通じた競争的環境の中で切磋琢磨しながら発展していくことができるよう、」というふうに三十八ページに書いてあります。
 しかし、国を設置者として、国の関与と国の予算における所要の財源措置が前提とされているとしまして、運営交付金の配付システムとして、国立大学の評価委員会、大学評価・学位授与機構などにより国立大学のスキームが目指されているわけでありますけれども、一方、公立と私立は大学基準協会による教育研究評価があって、法人に対しての評価システムがありません。
 したがって、高等教育全体に見れば競争原理が働かないようになっている、働くシステムになっていないというふうに判断されるわけでありますけれども、この高等教育全体の予算を、国公私が同じガイドラインを作って、その作ったガイドラインによる評価で競争的に獲得するようにしないとイコールフィッティングにならないのではないかというふうに思いますけれども、そのことに対して大臣としてはどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
#107
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の大学が、今後、国際的にも高い水準の教育研究の展開あるいは社会貢献を進めていくことが大変大事だと思っておりまして、そのためには、適切な評価システムの整備を進めて、国公私を通じた大学間のよい意味での競い合いというものがより活発に行われることが重要と認識しております。
 このような認識から、平成十二年度には、大学の教育研究活動に対する第三者評価機関として大学評価・学位授与機構を創設したところでございまして、平成十五年度には、お話のように、国公立を対象ではございますが、第三者評価を本格実施することといたしております。
 私立大学につきましては、なかなか難しい問題もございます。アメリカに見るように、私は、複数の優れた評価機関がきちんとあって、そして第三者評価という形でいろんな角度からの評価が行われていく、そのような社会であれば大学についても国公私を通じての第三者評価ということが位置付くのではないかと思いますけれども、残念ながら日本では国公私を通じた大学についての優れた評価機関がまだございません。
 そういったものを今後どうやっていくのか。それは本当は国が指導するというようなたぐいのものではないと思いますけれども、健全な教育研究及び大学の発展ということから見ますと、そういうこともこれから考えていかなくてはならない時代に入ったのではないかと思っております。
 大学に対する評価は、この機構にとどまらないで、官民問わず様々な立場からの評価が多様に行われるように、その育成と定着を図るということをこれから考えてまいりたいと思っております。
 国公私の各大学は、そもそもその設置目的や制度的な位置付けが異なりますために、すべての支援を一律の尺度で行うことにはおのずから限界があるわけでございますけれども、国公私を通じた競争的な支援を強化する観点から、従来から教育研究面を対象として科学研究補助金の拡充等に努めているところでございまして、これは全くそれぞれの研究者のアイデアなり、あるいは研究成果なりというものがきちんと評価されて支出されるものでございます。
 また、平成十四年度予算におきましては二十一世紀COEプログラムを計上いたしておりますが、これは第三者評価によって、国公私を通じて、主として研究面でございますが、優れた教育研究拠点に重点的に支援を行うこととしているところでございます。
 我が省としましては、今後、国公私立の各大学がそれぞれの特性を生かしながら競争的な環境の中で互いに切磋琢磨することが大事だと考えております。
 いずれにしましても、高等教育機関に対する財政の基盤というものは各国に比して十分ではございません。小さいパイを奪い合うということよりは、そのパイをいかにして大きくして、そして行くべきところに、渡るべきところにきちんと渡って、日本の教育研究、あるいは社会貢献といったような事業、仕事が十分に行われるようにしていくかということがこれからの正に知恵の絞りどころであろうかと考えているところでございます。
#108
○風間昶君 ちょっといま一つぴんと受け止めれないのは、つまり、やはり公立も私立も単独でやっていくことの自主性を重んじるという大臣の今の御答弁は理解できるんだけれども、国公私を通じて、そして第三者評価に基づく重点投資のシステムということは、先に国立大学があって、その後公立、それから私立もというふうに延長線上に行くのかどうか、そこのところについて私学は私学、公立は公立で悩んでいるんだと思うんです、きっと。
 そこのところの、今はファジーでいいかもしれないけれども、将来的に、今、大臣がおっしゃった、アメリカでは私立なんかはそういうふうにきちっとなっているということだから、日本としてどうするのかということを、どうしていった方がいいのかということの研究を今始めるということで御答弁あったんですが、どうしたらいいのかなというのが、現実に私立は今悩んでいるんですね。次の質問に掛かってくる問題ですけれども、どうでしょうか、もう一回。
#109
○政府参考人(工藤智規君) 大学といいましても、先ほども大臣から御答弁ありましたように、教育面、研究面、いろいろな機能を果たしておるわけでございますが、他方で私学の場合は設置者の自主性、自立性ということもございますし、建学の精神ということもあるわけでございますし、一応国公私それぞれの設置者としての責任というのはございます。
 管理運営に係る経費と教育責任というのは、基本的にはやはりそれぞれの設置者の責任ではないかと思うわけでございますが、プラスアルファで更に研究を振興していただく、あるいは技術移転等の社会貢献に励んでいただく、そういう側面についてはやはり国公私、お互い競い合いの中でどう限られた資源を有効配分するかというのは大変大切なことだと思ってございます。
 そういうことも含めて、現在、私ども中央教育審議会、それから科学技術・学術審議会、両方で大学問題について御議論いただいているところでございます。
#110
○風間昶君 それでは、その私立大学の経常費に対する補助で伺いたいんですけれども、いずれにしましても今度新規で予算が約六百四十四億の私立大学教育研究高度化推進特別補助というのが立てられました。今までの、じゃ特別補助あったのに何でこういうふうに形をすげ替えて、しかし予算は今までの特別補助八百八十七億の十三年度の特別補助が十四年度は三百二十七億に減になって、そして今の私立大学教育研究高度化推進特別補助が新たに付け加わった予算の補助になっているんですけれども、どうもよく分からないんですね。
 つまり、私立大学が独自性を出していくために大学院高度化推進特別経費、あるいは学術研究推進特別経費、大学教育高度化推進特別経費、高度情報化推進特別経費と、それぞれ百九十八億、百一億、百四十七億、百九十七億と四分類、類型になって新規で付いたことの経緯と中身をちょっとお話をしていただきたいと思うんです。
 つまり、それぞれ私大は今まで特別補助があってそれでやっていたのが、減額になった部分が名前を変えて推進特別補助に、新規のやつになっていくのかなっていかないのかということ、非常に大学の経営上関心を持たざるを得ないことなんですけれども、ここどうでしょうか。
#111
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘の私立大学教育研究高度化推進特別補助ですが、この補助は競争という観念を重視しつつ私学振興のための助成の一環として新たに六百四十五億円計上したものであります。
 この競争という観点を重視しつつということで、その内容としまして、優れた教育研究を実践する卓越した大学院への支援、先端的、先導的学術研究の支援、学部における教育の質の向上や教育システムの改善、教育研究の高度情報化の推進を通じて、意欲と可能性に富んだ私立大学への重点的支援を行うということをねらっているところであります。
 ですから、この正に競争という観点を重視しまして私立大学の意欲とか努力、こういったものを評価するというのがこの私立大学教育研究高度化推進特別補助の従来との違いだと認識しております。
#112
○風間昶君 分かりました。
 ただ、今まで特別補助であった高度化推進特別経費というのが三百九十億あって、これが今回からなしになるわけですよ。今の副大臣がおっしゃった大学教育高度化推進特別経費というのに名前が変わって、今まで、じゃもらっていたところが新たな競争原理を打ち出すようなビジョンとか何かがない限り当たらないということになるんじゃないかと思うんです。この辺のところがそれぞれの大学においては戦々恐々としている、どうなっていくんだろうなと。名前を変えただけのものではないようだし、つまり優れた教育研究を実践するようなところしか当たらないというふうになっているんではないかなと。その前までやっていたところは、じゃどうなるのという話ですよ、これ。
#113
○政府参考人(工藤智規君) ありていに申し上げますと、今年は政府全体を通じまして特殊法人に対する補助金を縮減しようというのが夏以来、概算要求から予算編成まで通じて一貫した方針でございます。
 そういう中で、私学助成は私学振興財団を通じた補助金なんでございますけれども、私学振興の重要性からしますと、減額したままということには忍びない部分がございます。そのために、本省執行という形で私学振興を充実しようという前提に立ちまして、従来、今御指摘の特別補助で行っておりました部分も引き継ぎながら、競争的な、言わば本省執行にふさわしい事項につきまして、整理して新しい補助金を今回創設したものでございます。
 したがって、従来、各大学で特別補助で差し上げていた部分が全くなくなるということではございませんで、それを引き継ぎながら、かつ拡充させていただいたというふうに御理解賜ればと思います。
#114
○風間昶君 総体的に、ですから名前が変わって、特別補助が残っているのはあるんだけれども、個性化推進特別経費とか生涯学習推進特別経費あるんだけれども、総体的に見れば、とにかく私立大学にそれぞれ競争原理が導入できて、なおかつ独立したというか、専門的なあるいは先端的なこともやるとか、いろんなことがメニューとして増やしましたよという考え方で、つまり高く積み上げましたよというふうにとらえればいいんですね、じゃ。
#115
○政府参考人(工藤智規君) ありていに申せばそのとおりでございます。
 しかも、私どもが本省執行ということで事務的に鉛筆をなめるということではございませんで、外部の方も参加した審査会で客観的に審査いただき、あるいは各大学のいろいろな指標で客観的に配分に適切さを競おうと思ってございます。
#116
○風間昶君 最後に、世界遺産登録についての対応を伺いたいと思います。
 今年四月に世界遺産条約締約国のビューロ会議があって、そして十月には、何ですか、ハンガリーでなくて、どこだっけ、どこかであるんだよね、その世界遺産委員会が開催されるというふうに聞いていますが、日本としてどういうふうにして臨むのか、それから今現在、暫定リストで挙げている鎌倉、彦根城、それから平泉、紀伊山地、それから石見銀山、どちらかというと西高東低で、ほとんど東部というのは、関東より上は余りないんだけれども、まあいずれにしても暫定リスト記載物件で唯一東北の平泉があるわけ、東北では。その登録についてどのような見通し持っているか、この二点について、どのように会議に臨むのかということと、平泉の文化遺産の登録についてどのような見通し持っているのか、お伺いしたいと思います。
#117
○政府参考人(銭谷眞美君) お話しのございました世界遺産委員会は、世界遺産条約締約国百六十七か国ございますけれども、そのうち、その総会で選出をされました二十一か国が構成をする会議でございます。
 現在、我が国はこの世界遺産委員会の構成国とはなっていないために、この六月にハンガリーのブダペストで開催をされるこの委員会にはオブザーバーとして参加をする予定にいたしております。ただ、委員会の議決に加わることはできませんけれども、この委員会の方針決定の場において、適宜我が国の考え方を述べたり、他の締約国との意見交換を行うことといたしております。
 この委員会は、一番大きな任務としては、各締約国からの推薦物件を世界遺産登録基準に照らして審査をし、顕著な普遍的価値を有すると認めるものを世界遺産一覧表に登録をするということが任務としてあるわけでございます。
 今お話しございましたように、現在、日本の世界遺産暫定リストには五件が記載をされておりますが、本年は推薦書の提出にまで至っている物件はないため、今年の世界遺産委員会で日本の物件が審査の対象になるということはないわけでございます。
 なお、お尋ねのこの五件の世界遺産暫定リストに載っている日本の案件につきましては、我が国の文化財をこの世界遺産に、暫定リストに掲載をし、さらに推薦をするに当たりましては、当該文化財が顕著な普遍的価値を有しているかどうか、それから世界遺産委員会の定めた登録基準を満たしているかどうか、保護のための措置が十分になされているかどうか等について、専門家の意見を伺いながら、今後、慎重に検討していきたいと考えております。
 それで、平泉につきましては、平成十三年、昨年の四月に日本の世界遺産暫定リストに記載したところでございます。
 今後、先ほど申し上げました世界遺産登録のための条件が整ったものから順次推薦を行うことといたしておりますが、平泉の文化遺産につきましては、岩手県の教育委員会あるいは平泉町の教育委員会を中心に、地元住民の協力を得ながら、現在、鋭意準備を進めているところでございまして、文化庁としても積極的にこれを支援してまいりたいと、かように考えております。
#118
○風間昶君 終わります。
#119
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 昨日、掛け算の九九を言えなくて中学校を卒業する子も出るという考えは教育の目的、新学習指導要領のねらいであるとお考えですかというふうに聞かせていただきました。岸田文部科学副大臣からは、新学習指導要領は基礎・基本を定着させるのが目的であり、九九を始め基本的な部分をしっかり習得してもらうとの御答弁を伺いました。三浦氏がどういう意図で発言したか必ずしも明らかでないので遠山文部科学大臣からはコメントを差し控えたいという御答弁をいただきましたので、もう一度、掛け算の九九を言えなくて中学校を卒業するなどという考えは教育の目的、新学習指導要領のねらいであるというふうにお考えなのかどうか、文部科学大臣にお伺いをいたします。
#120
○国務大臣(遠山敦子君) 四月からの新しい学習指導要領で教育の新しい展開をお願いしようとしているわけでございますが、それは子供一人一人に応じたきめ細かな指導を通じて基礎・基本を確実に身に付けさせ、それを基に自ら学び自ら考えるなどの生きる力をはぐくむということを基本的なねらいとしていることについては御存じのとおりでございます。
 したがいまして、各学校において、掛け算の九九のような、すべての子供が社会生活を営む上で必要な基礎・基本を確実に身に付けさせるということは極めて大事でございまして、子供一人一人の理解や習熟の状況に応じて指導を徹底するということによりまして個に応じた指導の実現を図っていく、そのための指導体制、指導方法の工夫改善に努めていきたいと思っているところでございます。
#121
○畑野君枝君 三浦朱門氏が雑誌で紹介されているようなことでは文部科学省としてはないというふうに承りました。
 さらに、三浦朱門氏が同じその雑誌の中で、続いて、「「九九を言えない子をなくす」ことがゆとり教育の目的ではないということか。」というふうに質問されて、それに答えて、「そう。やる気がまったくない子に対しては……。「馬を水辺まで連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」のと同じだ。」と。子供を馬と例えるということ自身が私はどうかというふうに思いますけれども、やる気が出るようにしていく、一人一人の子供が学ぶ喜びを身に付けることができるということ自身が教育であると思いますし、そういう点ではこういう発言は教育放棄の思想の表れだというふうに思います。
 新指導要領の下で、こうした後れがちの子を放置するような教育なのかという疑念も出てくるわけです。そういう教育なのかどうかという点についても確認をしておきたいと思います。
#122
○副大臣(岸田文雄君) 新学習指導要領の中身、ねらいでありますが、基礎・基本を厳選した上で個々に応じた教育対応をするということであります。ですから、意欲のある、前に進みたい子供たちにはそれなりの対応が準備されなければいけませんし、また基礎・基本が十分定着していない子供にはそれにふさわしい教育対応がされなければいけない、これが新しい学習指導要領の考え方であります。
#123
○畑野君枝君 後れがちの子を放置するような教育ではないというふうに承りました。
 しかし、この三浦朱門氏はいろいろなところで登場されて御発言をされていて、大変影響力があるというふうに思うのですね。例えば「教育の論点」という本が出されまして、この中では「機会不平等」という本の中身がまた引用されて、広く普及されているというふうに思うんです。で、基になっている「機会不平等」の中で筆者が言っているのは三浦朱門氏の発言の中身なんです。「学力低下は予測し得る不安と言うか、覚悟しながら教課審をやっとりました。いや、逆に平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。つまり、できん者はできんままで結構。」、こういうふうにおっしゃって、「限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。」、「ゆとり教育≠フ本当の目的。エリート教育とは言いにくい時代だから、回りくどく言っただけの話だ」と、こういうふうに言って、さらに、「それは三浦先生個人のお考えですか。それとも教課審としてのコンセンサスだったのですか」というふうに問われて、三浦氏は、「いくら会長でも、私だけの考えで審議会は回りませんよ、メンバーの意見はみんな同じでした。」と。こういうふうになってくると、これはもう本当に重大な問題発言に、問題になってくると思うんですね。ですから、私は昨日も委員会での参考人質疑をお願いをしたわけですけれども。
 こういう発言と相まって、やはり新学習指導要領の中身そのものが、例えば議論にもなってきましたけれども、円周率は三でよい、掛け算は二けた掛ける二けたでいいと。こういうふうになってくると、数学の専門家からは、そもそも数学がどんな学問であるのか分かっている人が考えたらこんなふうにはならなかったのではないか、大人は計算は嫌いでも、小学校低学年の子は計算できるようになるとうれしいと。三けたの掛け算というのは戸惑うけれども、それを通じて計算の役割というのが分かってくるということも含めて心配の声が上がっているわけですね。そして、漢字といえば今までと同じ量のままなんです。だから、教育現場ではもう一貫しない間引きとそれから詰め込みが、小学校では五百時間授業数が減って、中学校では四百時間減ると、こういうことを本当にかき立てるわけですよ。
 まあそういう点で、やはり新指導要領の抜本的な見直しを始め、国民が不安に思わないようなやはり教育行政、きちっと行う必要があるというふうに思うんです。
 それで、今、完全学校五日制が始まるということでもう一つ不安なのは、不況で土曜日も休めないということで保護者が学校休業日にいない子供などもおります。障害児を持つ家庭も大変になっております。そこで、受皿として例えば学校構内にある土曜日の学童保育クラブの充実を図る、そういう点で四月から学校を閉めることのないように実態に即した対応や予算措置が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#124
○副大臣(岸田文雄君) 今の御質問の前の先生の御指摘、新学習指導要領に対する不安の部分ですが、例えば御指摘の円周率が三になるという点などにつきましても、実際、新学習指導要領、小学校五年生の部分には円周率が三・一四と明記してあります。目的に応じて三を用いるというその注釈部分が独り歩きして、新しい新学習指導要領、円周率は三になるんだというようなことが言われているということ、これは大変な誤解につながっていると思いますし、この辺りしっかり、それ以外の漢字の部分ですとか、あるいは台形の面積ですとか随分象徴的に取り上げられていますが、この辺の誤解をしっかり解き、こうした新しい新学習指導要領に対する不安、授業数の削減についても時数がどうなのか等々、あらゆる面から不安解消のために努めなければいけないと思っております。
 そして、土曜日休めない保護者の家庭等々のその受皿の問題につきましては、やはり予算措置等もしっかりと考えていかなければいけないと思っております。平成四年度から地方交付税の措置によりまして、休業日となる土曜日において、保護者が家庭にいない子供たちや盲・聾・養護学校の子供たちに対しまして、教育委員会において、スポーツ・文化活動を学校で行うために必要な経費、措置をしているわけでありますし、また新たに新子どもプランの策定あるいは緊急雇用創出特別交付金において指導員などを雇用するということ、これも実際にスタートをしているところであります。また、文部科学省のみならず厚生労働省におきましても放課後児童健全育成事業の推進等進めているところであります。
 この辺り、厚生労働省、ほかのお役所とも連携しながらこうした受皿の確保、予算面においてもしっかりと努力していきたいと思っております。
#125
○畑野君枝君 子供たちが心配のないようにきちっと予算措置を拡充していただきたいというふうに思います。
 三・一四のお話がございました。一応それは教えるということにだけなっていますと暗記になってしまいまして、実際に筆算で計算できるというふうなシステムになっていないというふうに私は思ってそのことを指摘したわけでございます。
 さて、学校を開放いたしますと、学校健康センターの災害給付、これを本当にきちっと広げて対応していくことが必要ではないか、安心して開放ができるようにするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#126
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御案内のように、日本体育・学校健康センターの災害共済給付の制度でございますが、学校教育の円滑な実施に資するために学校の管理下における児童生徒の事故などの災害に対して給付をするというものでございまして、言わば保護者に学校の設置者や国を加えた三者の互助共済制度の性格を有していると、こういうことでございますので、学校の休業日に学校を開放した場合の活動についてはちょっとなじまない制度かなというふうに考えております。
#127
○畑野君枝君 そうしますと、やはり学校はなかなか開放できなくなると思うんですね。文部科学省としては、土曜日休みになると、完全休みになるということで、大いに子供たちのいろいろな体験をやってほしい、あるいは学童保育でもきちっと子供たちが安心して生活できるようにしていこうと、そういうお考えだと思うんです。
 そういうときに、では万が一、もちろん事故がないようにするけれども、万が一事故があったときにどういう救済制度が必要になってくるのか、そういうことを検討することが必要になってくると思うんですが、いかがでしょうか。
#128
○政府参考人(遠藤純一郎君) こういった学校外でのいろんな活動につきましては、それぞれの活動に合わせた種々の保険がふさわしいんじゃないかと、こう考えておるわけでございまして、現在広く利用されているものとして、これも御案内だと思いますが、財団法人スポーツ安全協会が民間の保険会社と協力をして実施しておりますスポーツ安全保険、これがございまして、これはスポーツやボランティア活動などを行う団体を対象として保障を行うということでございまして、現在、青少年団体、スポーツ団体を始め約九百四十万人が加入をしております。
 昨年四月にはこの保険、スポーツ安全保険の団体加入者に限りまして、まあワイドということで、個人での活動における事故につきましてもこの保障の対象とするという制度を新しく設けられたということもございます。この制度が広く活用されるよう私どもとしても働き掛けてまいりたいと、こう思っております。
#129
○畑野君枝君 九百四十万人ということなんですが、これで全部網羅できるふうにはならないわけですよね。ですから、あらゆる問題を含めて、文部科学省としても、本当にすべてのお子さんが安心して活動できるように、あるいは事故があったときの対応をするということで、私は、学校健康センターの災害給付についても、そういうこともあり得るのかどうかも含めて、もう一回全面的に検討していただきたい、そういうことができるかできないかということを含めて検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#130
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、まだ全部がカバーされているというわけでもございません。したがいまして、こういった漏れている、まあ加入もしていないという子供について何かそういったようなこと、災害給付制度はこれは難しいと思うんですけれども、何かそういった対応措置というのが考えられないかということについては研究をしていきたい、こう考えております。
#131
○畑野君枝君 是非、学校健康センターの災害給付も含めて、私は研究の対象にしていただきたいというふうに思います。
 さて次に、文部科学省が土曜日の補習を容認したという報道をめぐっていろいろありました。それで、現実には土曜に補習をしようという自治体が続出しているというふうに伺っております。そういう自治体あるいは学校は幾つあると把握されているでしょうか。
#132
○政府参考人(矢野重典君) この四月からの完全学校週五日制の実施に伴いまして、それぞれの教育委員会におきましては土曜日の児童生徒の活動に関する様々な取組が検討されているわけでございますけれども、何らかの形での補習の実施を考えている自治体数、またその学校数の実態については私ども把握をいたしておりません。
 土曜日の児童生徒の活動に関する取組につきましては、基本的にはこれは各教育委員会において判断されるべき事柄でございます。したがいまして、文部科学省として、各教育委員会が実施する土曜日の児童生徒の活動に関する取組について、それを容認するとかあるいは逆にしないとかといった、そういった性格の問題ではないというふうに私どもは考えているわけでございまして、文部科学省といたしましては、それぞれの教育委員会におきまして土曜日における児童生徒の様々な活動の場や機会の充実について、完全学校週五日制の趣旨を踏まえ、様々な工夫をして適切に対応をしていただきたいと考えているところでございます。
#133
○畑野君枝君 言わば放任だというふうに思うんですね。
 一月十七日に「確かな学力の向上のための二〇〇二アピール」を出されて、この中では「放課後の時間などを活用した補充的な学習や朝の読書などを推奨・支援するとともに、適切な宿題や課題など家庭における学習の充実を図ることにより、子どもたちが学ぶ習慣を身に付ける」として補習、宿題をアピールされました。
 こういうことが一層不安を呼んで土曜日補習ということになっているのではないかと思いますが、いかがですか。
#134
○副大臣(岸田文雄君) まず、必要に応じて授業時間外の補習を行ったり、家庭学習における適切な課題を与えるということ、これは従来までも我が省におきまして指導を行ってきたところであります。そして、その「学びのすすめ」でありますが、この新しい学習指導要領のスタートにおいて、その中身をしっかりと確認する、あるいは昨今、PISAの調査等、様々な調査結果等から、子供たちが学ぶ意欲や習慣が十分身に付けていない、こういった問題点も浮かび上がってきたということも踏まえまして、こうした辺り、いま一度この新しい学習指導要領においてねらっています確かな学力の獲得、この辺りの考え方等をもう一度確認したというのが「学びのすすめ」の位置付けだというふうに考えております。
 そして、土曜日の補習について御指摘がありましたが、この「学びのすすめ」はあくまでも月曜日から金曜日、学校のその活動の中での問題を指摘しているわけでありまして、土曜日、日曜日の活用について「学びのすすめ」は言及しているものではないということを御理解いただきたいと存じます。
#135
○畑野君枝君 新聞の社説の中でも、土曜日に後戻りするんじゃないか、六日制に後戻りするのではないかとかいう声も出されて、歯止めをどうするのだという声も出されているんですね。
 今、月曜日から金曜日までの話だ、土日は入っていない、これがアピールの中身だというふうにお話がありました。
 それで、やっぱり本当にいろんな動揺、混乱が起こりまして、例えば自治体でも、ある自治体では土曜教室に半数が参加希望すると。これは茨城県の古河市のニュースですけれども、対象となる五年生以上の小中生の半数が参加を希望していると。土曜教室は教室を開放して行う、学習指導員のサポートを受けながら自習する、こういう状況になってきているわけですね。小学生が多くて、中学生になるとだんだん希望者が五〇%台が四〇%になっているんだけれども、なぜかというと、保護者の意向が小学生は強く反映されて、そして中学生になると本人がゆっくりしたいという意向が反映されると、こういうこともあるんですね。ですから、やっている自治体はそういうのができると。
 あるいは、今すごいですよね、これ。小学校一年生、新一年生、指導要領が変わりましたので塾が必要になっていますと、来ますよね。それから中学生も来ますよね。それから高校生も来ますよね。(資料を示す)もうすごいです。こういう状況になっているわけですから、そういう経済的含めてある子は土曜日やるとかね。そういう点ではやはり五日制の下でしっかりと学校で学習ができる、新指導要領の先ほど指摘もしましたけれども、そういう抜本的見直しを含めて、安心して学校五日制の下で子供も保護者も、そして教育の現場の皆さんもできるというふうにしていく必要が私はあるというふうに思うんです。
 それと同時に、やはり後れた、世界で後れた四十人学級、ここをやっぱり手を付けて、少人数学級、少なくとも三十人学級に向かって一人一人にきめ細やかな教育が行えるようにするべきだというふうに思うんです。
 今、地方自治体で少人数学級が進んでいるという話が昨日、林委員からの質問にもありました。ところが、非常勤講師の採用が多いんですね。それで、一方で七次定数改善計画を行っているんですが、これは少人数学級には使えるのですか。
#136
○政府参考人(矢野重典君) 御案内のように、昨年四月からスタートした第七次の公立義務教育諸学校教職員定数改善計画では、教科等に応じた少人数指導等の指導方法の工夫改善が実施できるように教職員定数の改善を行うことといたしたわけでございます。この少人数指導等の指導方法の工夫改善のために加配されました教職員定数は、これは義務標準法及び同施行令によりましてその加配の目的が特定されているものでございます。
 そういう意味で、これを今御指摘のようないわゆる三十人学級等の少人数学級の編制に転用することは、これは目的外使用ということで認められないものでございます。
#137
○畑野君枝君 そういうふうに文部科学省がしているということなんですけれども、昨年の五月十一日に「平成十三年度に公立小中学校で少人数指導に取り組む学校に教員を配置する都道府県の方針等について(総括)」が出されております。これを見ますと、年間を通じて学級を少人数の学習グループに編成するとイメージしている県が十県あるんですけれども、こういう県ではどのような形態の少人数の学習をしているのですか。
#138
○政府参考人(矢野重典君) 今、委員御指摘の十三年度に公立小中学校で少人数に取り組む学校に教員を配置する都道府県の方針等によりますと、十の府県が指導の形態として年間を通じて学級を少人数の学習グループに編成して指導を行うことといたしているところでございます。
 このうち、例えばでございますけれども、岐阜県のある小学校では、小学校の算数科におきまして四学級を六つの少人数の集団として指導を行った上で、単元の途中で、単元の途中で児童生徒の習熟度の程度というのが分かります。それが分かった段階で、その習熟度の程度に応じたグループに編成をして指導をする、そういった形で指導がなされているわけでございます。
 このように、基本的には年間を通じてということでございますが、一年間同一の児童生徒による少人数指導ではなくて、学習内容でございますとかあるいは習熟度別指導や課題別指導を行うことなど、グループを固定しないで柔軟な学習集団を編成して指導がなされているというふうに承知をいたしているところでございます。
#139
○畑野君枝君 文部科学省からいただいた「平成十三年度に学級編制の弾力化を実施する都道府県の状況について」というのがございますけれども、要するに三十人学級、少人数学級にした県の中身を見ますと、きめ細やかな指導とか生徒指導が困難な学校とか、そういうことで少人数学級をしようとしているんですね。国の七次定数改善計画の中身見ますと、それも実際にはきめ細やかなとかそういうふうになっているので、実態としてはもうほとんど同じじゃないかと思うんです。少人数学級にこの定数加配を是非使えるような柔軟な対応をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#140
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、この第七次計画によります少人数指導方法の工夫改善のための加配というのは、先ほど申し上げましたように、法律や施行令によってその加配の目的が特定されているわけでございますので、恐縮でございますけれども、いわゆる固定的な意味での三十人学級等の編制に転用することは認められないわけでございますが、ただ、これは委員あるいは御案内かもしれませんけれども、教職員の定数というのはそれぞれの学級数をベースにして算定される仕組みになっているわけです。
 その場合、それぞれの学校に配当されますのは、仮に十学級であれば十人分が配当されるわけではなくて、学級数プラス何人かそれを上回る、言わば遊軍的な定数が加配されるような仕組みに全国的になっているわけでございます。そういう言わば遊軍的に配当された教員をそれぞれの学校の判断で、今もおっしゃいましたような三十人学級等の学級編制に使うということは、これは制度上可能でございます。
#141
○畑野君枝君 是非、国の制度も抜本的に充実して、実際には来年度からもっとやろうという県も増えるやに聞いておりますし、そういう県からの要望も国に来ていると思いますので、是非、国民の皆さんの願いにこたえていただきたいと思うんです。
 それで、来年度予算の中で学力フロンティアスクールが出されております。これを更に普及するというふうに言われております。こうなってきますと、二〇〇一年度の新標準法の審議の際の、習熟度別授業を行うかどうかは各学校の判断とした国会の答弁にも反することになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#142
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘の学力フロンティアスクール、その学力向上フロンティア授業の中身でありますけれども、実践研究の核となる学力向上フロンティアスクールにおいて、個に応じた指導のための指導方法、指導体制の工夫改善の一環として、理解や習熟の程度に応じたきめ細かな指導に取り組むということになっております。
 これは具体的にどのような指導に当たっての編成を行うのか、これは教科ごとに、あるいは理解の状況等様々な状況を勘案して、それぞれの学校段階において判断するということになっております。この辺は、その現場の自主性、尊重される仕組みになっていると理解しております。
#143
○畑野君枝君 しかし、この絵を見ますと、「学力向上フロンティアスクール」、「成果を普及」、「全国のすべての小・中学校」となっているじゃないですか。そういう点では、「個に応じた指導の推進」というのが絵にありますけれども、その中には、発展的な学習をやるグループもあれば、もう一つは補充的な学習をやる、つまり、より進んだ子と後れた子、こういうふうに分かれた絵が描いてあるじゃないですか。
 ですから、私は、こういう点で言えば、そういうのを普及するということになったら、各学校の判断ですということと違うのではないかと。それとも、これを、学力向上フロンティアスクールを全国に何か押し付けるとか、そういうことではないというんですか。
#144
○副大臣(岸田文雄君) まず、それぞれの編成の在り方は、その学科等に応じてそれぞれ柔軟に編成替えというものが行われるものだと理解しております。
 そして、全国へ押し付けるんではないかなんという御質問につきましては、こうした学力向上フロンティアスクール、この実践研究の核となるスクールでの成果を全国の参考としていただくということで、全国への理解を深めていくということでありまして、これは決して全国に押し付けるということではないと考えております。
#145
○畑野君枝君 最後に、中教審に対して教育基本法の見直しの諮問がされまして、中教審の議事録がその後ストップされております。是非、議事録を公開、掲載するようにしていただきたいと思いますが。
#146
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 中央教育審議会の審議につきましては、中央教育審議会の会議の公開に関する規則というのがございまして、これに基づきまして、会議は原則公開とし、総会についてはその議事録を、部会についてはその議事要旨を公表する、こういうことになっておりまして、これらの議事録、議事要旨につきましては、文部科学省のホームページにおいて公表している、こういうことでございますが、委員御指摘の問題でございます、この議事録、議事要旨の作成に当たりましては、毎回出席された委員に内容を確認をいただく、こういう必要がございまして、現在、第十回の総会、これは平成十三年十一月二十六日、つまり教育基本法、教育振興基本計画について諮問をした総会でございますが、それ以降の議事録等につきましては、現在、委員に内容を確認していただいておる、あくまで公表に向けたそういうことで作業を進めているところでございます。
 なお、その間、何もしていないというわけではございませんで、正式な議事録作成までの間、事務局の責任において作成をした議事概要につきましてはホームページ上に掲載し、公表しているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、委員の、大変、委員の先生方、各界の要職にあって多忙な方々でございますけれども、一層の御協力を得ながら早期に議事録等を公表できるように努力してまいりたいと思っております。
#147
○畑野君枝君 終わります。
#148
○山本正和君 どうも廊下の掲示を見たら、ほとんどの委員会は皆終わって、あと二つぐらいだということですね。一番まじめに勉強している常任委員会だと思うんですが、御苦労さんですが、もうしばらくひとつ委員の皆さんも役所の方も辛抱してください。
 昨日に引き続いて、ちょっと高等教育の問題で質問していきたいんですが、ちょっとその前に、大学院、それもかなり立派な学校と言われている大学院を卒業した若い人たちに、さっきの三・一四の話ですよ。三・一四というのはどこから出てくる数字だ、こう聞いたら、さあと、こうやっちゃうんですよ。何で三・一四なんだ、こう聞いたら、そんな教育をした者が、そういうことがはっきり分からない人が大学院も卒業できるということ自体がちょっと悲しくなりまして、実際は、私や仲道先生の時代は、そんなものはいやでも応でも皆知っておったですよね、なぜ三・一四という割合が出るか。ところが、今の教育は知らぬでも大学院卒業できるんですよね。何か弱った話だなと思って。ちょっとこれは今三・一四の話なもので。
 ですから、ひとつ初中局の方も、いろいろとまたその辺も含めて検討しておいていただきたいと思います。
 今日は、ちょっと医学教育と、またそれに絡む薬学教育のことで質問したいんですが、なぜこういう質問を医学部の問題で質問するかといいますと、ちょうど私の旧制中学の同級生、病院経営したり医者であったりした者がもうみんな引退しまして、息子に譲ったり自分で自由になっている。自由になったものだから、振り返って、今の医学教育ということでよく議論するんですけれども、そんなことを含めてちょっと疑問に思っていることを聞きたいと思います。
 実は今日、文部省から、東京大学の医学部のいわゆる基礎系とそれから臨床系という二つの授業時間数をもらったんです、科目について。基礎系の中に解剖学、生理学、生化学、病理学、薬理学、衛生学、細菌学と、こういうふうなことをやって、あとは臨床系が内科から以下ずっと分かれていたんです。それでいいんですが、心理学というのがなぜこの中に入らないんだろうか。これよりももっと前のところでやるんでしょうかね、お医者さんは。お医者さんが心理学を勉強しないで医者になるというようなこと、これは想像付かないんだけれども、この辺はどうなんでしょうかね、まず。
#149
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のように、大学教育は専門と広い教養とミックスしながら全人格的な教育を行わせていただいておるわけでございますが、今御指摘の心理学は、大学によって専門に入っている場合もありましょうし、あるいはその専門の基礎として他のくくり、教養的なくくりで用意しているところもあって、必ずしも先生の、これが自己完結してこれだけがすべてではないと御理解賜れればと思います。
#150
○山本正和君 これは、一九四五年の敗戦までの日本の医学教育もずっとそれなりにあったと思いますし、それからちょっといろいろな歴史調べてみると、実は文部省というのは医政、お医者さんの政、医の政治ですね、医政も全部文部省の管轄だった、昔。教育の中に、文部省の中に、医学というかお医者さんの仕事も全部中に統括しておったんですね。
 それで、なぜそうなったか、ちょっとこれは私流の解釈ですが、ちょっと若干そのことも、そうだよと言ってくれる人もおったので申し上げますけれども、明治維新があったときに西洋の文明が、西欧の文明、特にヨーロッパの文明に日本人はびっくりしてしまって、一日も早く追い付こうというので懸命にそのヨーロッパの学問やあるいは大学の制度やそういうものを取り入れようとした。
 そのときに、そうしたらイギリスの何とかいう学者が、ヨーロッパが四百年も掛かって作った文明を日本は十年や二十年で追い付こうと思っておる、そんなことをやって一生懸命走って首折らなきゃいいけどと、こういった話があるそうですけれども、それぐらい明治維新のときにいわゆるこういう学校制度の問題も含めて総力を挙げて取り組んだ。だから、昔の文部卿というのは一番偉い大臣だったんですね。今も一番偉い大臣だと私思いますけれども。文部卿というのが大変な力を持っておった。
 そういう中でずっと来ておるんですけれども、そうしたら、正直言って、先ほどの始めの方の審議で有村先生の方からだったかな、いや何とか、大学の位置付けはどのぐらいというようなお話があったけれども、少なくとも日本があの貧しい国だったけれども、旧帝国大学という制度は私は世界に誇り得る制度だったと思うんですよ、学問、研究あるいは学生の質を含めて。それで、そういうふうな中での大学教育というものがあった。しかし、今ここでいろんなことを言われているんだけれども、本当に現実にあるか何かで、ちょっと見て一番心配があるやつが実は医学なものですから、そこで医学教育はこれでいいんでしょうかということを大臣にただしたんですけどね。
 というのは、これは、昨日もロースクールの話をしましたけれども、アメリカではお医者さんになるのに普通の大学を卒業したりあるいは社会人になったりした人がみんな医学部へ入ってくる、どんどん医学部にも。そして、人間としての体験を積んだ人が患者に接するというケースが多いというわけですね。ところが、日本の場合は、もうとにかくお金は一千万寄附しても構いませんから医学部へ入れてくださいという子供までみんな医学部へ入って、そして六年間の課程が終わったらそれでお医者さんになって、診察をして処方せんも出して患者に当たると、こういうようになっているんですよね。
 こういうふうな状況で果たしていいというふうに文部省は今までもお考えになっておったのかどうか、その辺のことをちょっと最初にお聞きしておきたいなと。
#151
○副大臣(岸田文雄君) 先生御指摘のように、医師の養成に当たりましては、豊かな人間性ですとか、あるいはコミュニケーション能力ですとか、課題探求・解決能力ですとか、こうした様々な能力、不可欠だと認識しております。態度、技能、知識、こうしたもののバランスの取れた医師というものが育成されなければいけないと、まずそう認識しております。
 そうした認識の下に、大学におきましてもカリキュラム改革を進めておりますし、また客観的に臨床能力を評価するための試験、こういったものも大学の中に導入しております。特に、教養試験のトライアルにおきましても、十二大学の医学部におきまして臨床能力の評価を行う試験を実施しておるところであります。こういった取組を行って、なお医師の資質が不十分であるという者につきましては、進路変更を勧めるというような努力もされているというふうに聞いております。
 そして、そうした中での努力ももちろんですが、この入口の部分、入学試験におきましてもほとんどの大学で面接試験を実施しておりますし、二つの大学では来年度からアドミッションオフィス入試を導入する予定にしております。こうした入試、試験におきましても様々な工夫を凝らしているところでございます。
 そして、アメリカの例をお引きいただきました。他の学問を学んだ学生の受入れでありますが、明確な目的意識を持った学生を入学させるため、他の学部を卒業した学生を受け入れる学士編入学の導入、こういったものも進めつつあるというふうに聞いております。この辺りもしっかりと促していかなければいけないと思っております。
 そういったことで、バランスの取れた医師の育成、重要な課題だと考えて努めているところでございます。
#152
○山本正和君 それから、三月二十六日には国立大学法人についての若干、骨子というのが出ますね。そういうふうなことを含めて、高等教育の中でもいろいろ議論してもらっていると思うんですけれども、これは局長にお伺いしておきたいんですが、いわゆるお医者さんになるための高等教育を受けている人たちの中に、先ほど私が言いました心理学だとか、あるいは倫理学だとか、あるいは哲学だとか、何でもいい、人間学ですよね、そういったようなものを必修として学ばなきゃいけないというふうなことでの議論というのはないんでしょうか。
#153
○政府参考人(工藤智規君) 国立大学の法人化の問題とは、このそれぞれの分野ごとの人材養成とはちょっと違う話なのでございますが、国公私の医学部、歯学部の関係者が、やはりこれからの医師、歯科医師養成の在り方について相当な危機感といいましょうか、問題意識を持っておりまして、そのために大変精力的に検討の結果、かなりの改善策を御提言いただきまして、私どももそれをバックアップしているのでございますが、その一つにモデルカリキュラムを作ろうじゃないかと。
 大変僣越な言い方でございますが、医師養成のカリキュラムというのは意外と昔と変わらないといいましょうか、大変固定的になっているうらみがございまして、今御指摘ありましたように、患者さんの目線に立った、あるいは医者として基本的に必要な素養というのが本当にみんなそれぞれの大学でやっているだろうかという反省に立ちまして、そういう今の心理面、倫理面もそうでございますが、幅広い素養、あるいは信頼される医師に足りる十分な素養をモデルカリキュラムとして設定して、それをそれぞれの大学、国公私を通じて基本的に実行していこうじゃないかというような今取組を始めたところでございます。
#154
○山本正和君 今の局長のお話の中で、患者に接する問題等もありましたですけれども、要するに臨床実習とか、そういうふうな中での評価をかなり入れていくというふうなことが、当然考えておられるんだろうと思うんですけれども。年寄りの医者が、私どもと同じぐらい年寄りの医者が言うのは、近ごろの若い連中はこうやるのを嫌うというんです。患者に触るのをなるべく触らずに診断しようとしていると、こういうことを先輩の医者の皆さんが言うんですよね。だけれども、医者というのは、患者に触って、触れて、そして患者も医者にぽんぽんと打ってもらって、そこの信頼関係というものが非常に大切なんだと。
 ところが、そういうことが、どうも近ごろは若い先生で医学部出てきた人が嫌がるんだと、こんなことを先輩の老人医者たちが言っておりますが、その辺の臨床の問題なんかについては現在どんな格好になっているんでしょうかね。
#155
○政府参考人(工藤智規君) 先ほどの申し上げた幾つかの検討点のもう一つの点で、臨床実習に入る前にその適格性だとか、学生に欠けた部分があれば補わなきゃいけませんので、共通の用いると書いて共用試験と言ってございますが、国公私を通じて、しかも今こういうコンピューターあるいはインターネットが発達してございますので、全国、割とそれぞれの大学ごとにやると手間暇が掛かるわけでございますが、みんなが協力してやることによって省力化しながらやっていこうという共用試験を今試行してございます。
 その中で、もちろん基本的な知識もありますけれども、臨床、患者さんに接する前の、実際にモデルになる模擬患者さんを前にしてどういう応対をするか、それから脈の見方はどうであるか、聴診器の当て方はどうであるかということなどを、プロセスを見ながら学生の教育の充実をしていこうということも今始めているところでございます。
 おっしゃいましたように、私ども時々苦情を承りますのは、余りにもコンピューターが発達しましたので、カルテを見ながら、見るのに精一杯で患者さんと目線を合わせないままに、しかも脈も取らないままにという、これで医者かねというお話を時にお聞きしていたのでございますが、国公私の医学部関係者が正にそういう問題意識を持って改善に取り組んでいるところでございます。
#156
○山本正和君 そこで、今度は薬学教育のことでちょっといろいろとお尋ねしていきたいんですけれども、実は、薬学教育というと日本人は薬屋さんと、こう思う一般的概念があるんですが、薬学の歴史をずっと、特にヨーロッパの歴史を調べると、薬学というのは実は化学だったと、化学の専門の人たちが薬も作ったんだと、こういう歴史なんですよね。
 もう、皆さん御承知の名前のボイルなんというのは化学の開祖者ですよね。この人が薬剤師なんですよ。薬剤師というかそういうことをやっておるんですね。あるいはシェーレ。これも酸素を発見した人ですよね、酸素を正式に。こういう人たちが全部ヨーロッパでは薬剤師、薬学士なんですね。
 ですから、ヨーロッパの医学というのは、そういう化学から発していろんな薬を作って、そして人間の体にいろんな、どういう影響を与えるかということから出発していく中で、お医者さんの役割というのは診断だったんですよね。診断して、これがこういう病気だと、そのときには薬をどうしようと。したがって、薬剤師になるのに大変な勉強をしていなければなれなかった、昔は。大分、二十世紀になってから軽減されましたけれども、それでも、大変、まず基礎化学だけはしっかり勉強していなければ、ヨーロッパでは薬剤師の資格取れないんです。
 ただ、医学部というのは、そんなに化学や物理学は余りたくさん取らぬでもいいんですよね。割合簡単な、無機化学、有機化学、理論化学、ちょこっとやるぐらいで、お医者さんはもうそれで済みますよね。
 ところが、薬剤師になろうとすると、その上に更に製造化学だとか合成化学だとかいろんなのをやらなきゃいかぬ。また、外国の文献も読まなきゃいけない。私らみたいな戦争中のインチキなやつでも、ガッターマンの有機合成化学反応を全部原語で読まされたですよ。そういう、本来からいったら薬剤師というものをきちっと位置付けしなければ、いわゆる西洋医学というものの消化はできないんです、本当からいえば。
 そこが、長い歴史の中で、明治以来様々な流れがあるんですけれども、明治時代に、このことについては実は文部省はヨーロッパを学んで医薬分業をすべきだと、そして薬学教育も十分に高めるべきだと主張しておるんですよね。なかなかそれが、日本人の観念の中に、お医者さんというのは昔は薬師と言っておったですから、お医者さんから薬をもらった方が安心で、薬屋から買うのは売薬で効くか効かぬか分からないというようなのがあったものですから、なかなかそうはうまくいかなかったんだけれども、もう二十一世紀になって、OECD加盟国で、薬剤師というものの位置付けを、こんな位置付けしている国というのはないんですよ、世界じゅうを見て。OECDの国見たってね。韓国でももう掛かっているんですよ。
 私はもう、別に自分は薬をやったことは一遍もありませんから、免許状はもらったけれども、国家試験を受けてね。だけれども、免許状をもらったけれども一遍もやったことないけれども。そして、私はもう一つ免許状をもらったんです。これは文部省のあれなんですよ。旧制で言うと中学校、女学校、師範学校免許状というのです。この免許状をもらったらどこの県立へ行ってもナンバー中学ですよ、いわゆる一中、二中、四中という。そういうところへ行って月給七十五円ですよ。なかなかその免許状もらえないんですよ。
 これは、例えばあれですよ、帝国大学を出ても、昔の、それでもこの中免というのは簡単にはもらえないんです。だから大学を出ても代用教員で小学校へ行ったりね。あるいは旧制中学校なんかなかなか教員になんかなれなかった。そういう立派な免許状をもらったもんですから、私は高校の教員になっちゃったけれども。
 しかし、いずれにしてもそういう、文部省が一番始めに日本の国を何とか世界の文明の諸国家に負けないように、教育の問題にしっかり根を据えて、制度も含めて一生懸命取り組んできた歴史の中で、たった一つ後れておったのが薬学に対する位置付けなんです。
 これは、正直に言いますけれども、これは厚生省に言わにゃいかぬ話だけれども、医療費がなぜ高いかといったら、お医者さんが、私はお医者さんの技術料だとか診断料はうんと高くしたらいいと思うんですよ。ところが、病院経営者というのは、薬をたくさん出さぬことには経営できない、利益が上がらぬと言うんです。これは、ですからうっかり医薬分業したら病院はえらいことになるから困るというようなものが背後にあって、これどんどんどんどん来ている。ですから、予算委員会での議論でも、なぜこんなに医療費が高いのというような話になってくる。しかし、もう既に進んだお医者さんなどはほとんど処方せんを書いて薬局に回すようにしていますよ。そうすると病院で長い間待たぬでいいし、患者の方は自分の近所で薬を調剤してもらえばいいわけですからね。そういうふうになっていますけれども。
 しかし、それにしても、一番大事なのは、薬剤師の地位が低い、薬剤師の資格を余り簡単に与え過ぎるというところに私は欠陥があると思うんです。本来からいうと、せめてOECDの各国並みに、薬剤師の資格を取るについてもしっかりと勉強をさせるようにしていくべきだろうと。現実に四年制でもって薬剤師の免許状を出しているような国はOECDの中で一つもない。もっとしっかりとしたものを作らせぬと駄目なんですよ。
 ただ、今度はそのお話をしていくと困るということを言うのは、どこが言うかといったら私学の経営者が困ると言うんですよ。四年制を仮に五年制や六年制にした場合、また大変な金が掛かりますから困りますと、こういうふうに。
 しかし、そんな経営の問題じゃないんですよ。薬というのは人間の命の問題ですよね。特に、これだけ社会が複雑化してきて、新しい病気がどんどん出てくる、文明病と言われるような。そうなると、余計医療についてはきちっと理屈の立ったような医療にしていかなきゃいけないと思うんですけれども。
 そういう意味で、薬学教育の今の状況について、局長、ひとつお考えを、これからそういう形でひとつ検討していこうというふうなお考えがあったら、是非聞かせてほしいんですが。
#157
○政府参考人(工藤智規君) 先ほど医学部のお話でもありましたように、明治になりまして、明治十年が東京帝国大学が開学したわけでございますが、ヨーロッパ諸国に約七世紀後れて日本の大学制度ができました。そのときに、御指摘がありましたように、主としてヨーロッパ諸国に随分勉強に行きまして、また向こうの先生方を教師として、お雇い外国人としてお招きして日本の大学教育の基礎を作ったわけでございますが、そういう中で、薬学については、今OECD諸国のお話がございましたけれども、アメリカは別としまして、ヨーロッパ諸国は大体四年制の専門教育をした後、あるいはそれも含めて一年間の現場実習というので、大体五年制でやっている課程が最近の実情を見ますと多うございます。
 日本の場合は、戦後、新制大学発足いたしまして、それまでの旧制高校と一緒にした新しい学制が発足するに当たりまして、専門教育と教養教育を併せて全人格的な教育、人材育成を図ろうということにしたわけでございますが、基本的に状況が違ってまいりましたのは、戦前は専門学校あるいは旧制高校も含めて進学率がマキシマムで五%行くか行かないかの状況でございましたが、今や高校卒業生の同一世代の半分は大学、短大に進学しているような状況でございます。
 そういう中で、先ほどの三・一四の話じゃないんですけれども、全体のすそ野の部分をどうするかとかという問題はないわけではないわけでございます。
 また、薬学教育につきましても、専門が四年間にわたってはいるわけでございますが、教養教育もある中で、じゃ、薬剤や薬の専門家としての養成の在り方として、どういうことをどうすればいいのか。一つには、カリキュラムの充実の方策として、何が足りなくて、どういう部分を充実する必要があるのか。それからもう一つ、一番大きな問題は実習の場でございまして、薬局でただ薬の販売をするというのが実習じゃございませんで、先生御専門のように、やっぱり化学的な調剤といいましょうか、どういう混ぜ合わせをしながらどうする、あるいは患者さんへの対応ならどうするという、実際の薬剤師の専門職としての実習の場をどう確保するかというのは大変大きな問題なんでございます。
 現在、約一か月ほどの実習に努めているわけでございますが、一か月の実習の場としても各大学ともその機会を確保するのが大変難儀してございまして、これが我々その課題であると思ってございます。
 ただいま国公私の大学関係者、それから薬剤師協会、それから厚生労働省と私ども含めまして、いわば六者懇と言ってございますが、そこでそれぞれの立場での問題点を洗い直しして、どういう解決をすればそれがクリアされるのか、それを持ち寄りながら建設的な方向に議論を進めていこうということを検討している段階でございまして、私どもも、医療現場における重要な一翼を担っていらっしゃいます薬剤師の方々の教育の充実とその発展のために、関係者と御相談しながら取り組んでまいりたいと思っております。
#158
○山本正和君 ちょっと文部省の調査と、どうも私の方で調べたのと違うような気がするもので。
 じゃ、最後は、ドイツではギムナジウムですよ、上級のね。上級のギムナジウムといったら、これはもう一番いい学校へ行くところですよ。この上級のギムナジウム三年を含めて十三年卒業した者が大学に入るんです、薬学部。しかし、大学に入るんじゃなくて、入る前に、これ入ってから五年間やるんです、ドイツはね。その前に、大学入学前に教養科目を、全部入る前に勉強を修了している、単位を取っておかなきゃいかぬ。そしてから五年間実地の本当の薬学に必要な科目を勉強する、五年間。しかも、おまけに今度は実習時間が物すごく長いんですよ。調剤もありますし、製薬もありますし、臨床もありますしね。
 だから、そういうふうにドイツはやっているし、フランスはもうこれ丸々六年です。これも、フランスもリセですよね、いい、高級中学校ですよね。リセ出るというのが最低ですよ。これも十三年たってから入っている。六年間、それで。
 イギリスでも、これが五年と言っているけれども、実は十三年間の大学入学前教育を受けて、その後、四年プラス卒業後実習一年間で、五年やっている。
 要するに、ヨーロッパというのは、薬学というものが大変なものを勉強しなければきちんとした知識は修得できないと、こういうことを前提に置いていますからね。
 ところが、日本の薬学部の今のを私もちょっと見てみたけれども、少ないですよ。あんな勉強で薬医者やれるかといったら心配なぐらいですよ。特に、もう今は物すごく新しいものどんどん出ているでしょう。だから、やっぱりきちんとして、少なくとも人間の命にかかわる薬を扱う人はしっかりした基礎知識だけ持ってもらわないと駄目ですよとせにゃいかぬし、それから医薬分業というのは、お医者さんというのは、本当からいえば診断と検査と治療に専心せにゃいかぬわけですね。そのお医者さんに薬の知識をやれと言って薬剤師と同じだけ勉強させたら、十五年ぐらい掛からぬと卒業できなくなっちゃうんです。だから、そこはそこでけじめを付けていかぬと。
 そうしたら、文部省からもらった中で、いや、医学部は、薬理学は八十何時間か、しかやっていないけれども、内科学だとかいろいろなところで勉強していますという。そんなものは薬の勉強とは違うんです、これ。薬の勉強というのは、この成分はどうやってできているかと。例えば、どういう化学変化を起こすかというところまでやるのが薬の勉強なんです。そこのところが、お医者さんの考えている薬の勉強ということと、ヨーロッパが言うところの薬の勉強とは違うんですよね。
 ですから、よく我々が昔、バイエルの薬はよう効くとかなんとか言ったりしよったですよ。何ですかというと、ヨーロッパは薬を作るのだって物すごい慎重にやりますからね、高度な技術で。日本はまだ越中富山の万金丹みたいな発想で薬というものを見ておるからね。それじゃ近代化しないんです。医療も近代化せぬですよ。いつまでたっても、ここで、これまた医療費は高いとか安いとかいうふうな議論になってくる。
 きちっと専門性を求めて分離するところに、初めてこの国の発展がある、こう私は思いますので、ひとつ省内で私が今申し上げたことを是非議論していただきたいと、こういうことをお願いして、もう五時過ぎましたので、質問を終わりたいと思います。
#159
○委員長(橋本聖子君) 以上をもちまして、平成十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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