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2002/06/13 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 財政金融委員会 第21号
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2002/06/13 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 財政金融委員会 第21号

#1
第154回国会 財政金融委員会 第21号
平成十四年六月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下八洲夫君
    理 事
                入澤  肇君
                林  芳正君
                若林 正俊君
                円 より子君
                山本  保君
    委 員
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                金田 勝年君
                清水 達雄君
                中島 啓雄君
                溝手 顕正君
                山下 英利君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                平野 達男君
                大渕 絹子君
                椎名 素夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   参考人
       東京大学大学院
       法学政治学研究
       科教授      中里  実君
       社団法人日本経
       済団体連合会専
       務理事      中村 芳夫君
       日本労働組合総
       連合会総合政策
       局長       成川 秀明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 法人税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として東京大学大学院法学政治学研究科教授中里実君、社団法人日本経済団体連合会専務理事中村芳夫君及び日本労働組合総連合会総合政策局長成川秀明君、以上三名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、中里参考人、中村参考人、成川参考人の順序で、お一人十分程度でそれぞれ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと存じます。
 なお、参考人の意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず中里参考人からお願い申し上げます。中里参考人。
#3
○参考人(中里実君) 委員長の方から着席のままということでございますので、着席のまま失礼させていただきます。御紹介いただきました東京大学の法学部の中里でございます。
 昭和二十六年に、その前のシャウプ勧告を受けまして、東京大学と京都大学に租税法の講座が開かれまして、それ以来もう五十年ちょっとたったわけですけれども、この五十年ちょっとの間に日本の租税制度、非常に大きな変革の時期を迎えているということでございます。しかし、その基本を成すところの公平といった観念については、これは揺るぎもしない、揺るがせてはいけないというところがあるのだろうと思います。そういう視点から、今日は、連結納税制度につきまして幾つかの点を理屈の上から申し上げさせていただきたいと思います。
 最初に、連結納税制度の理屈の上での簡単な位置付けの話、それから二つ目に、この連結納税制度だけ取り上げて税制改革を語るわけにはいきませんから、連結納税制度とほかの制度との関係、それから、連結納税制度が導入されることによって生ずる様々な実務的な問題点、この三つに分けて申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 最初の位置付けの点でございますけれども、法人税の課税所得の計算というのは、法人格ごとに、課税年度ごとにという、この法人格の区切りと課税年度の区切り、二つの区切りによって課税所得を計算するというふうになっております。したがって、親会社が黒字百、子会社が赤字百であっても、基本的には、この場合には、黒字の方からは税金は取るけれども赤字の方はほっておかれる。あるいは、去年黒字、今年赤字であっても、本来の姿からいえば、それは黒字のときには税金取るけれども、赤字のときはそのままということになるわけです。
 ただし、これでは余りにも、企業というのは設立されてから清算されるまでずっと続くものでございますので、今のような法人格による区切りや課税年度による区切りを余り徹底的に追求しますと様々な不都合が生じてくる。そこで、法人格による区切りを多少緩めてグループ全体として見てあげようというのが連結納税制度でございますし、また、課税年度の区切りが余り厳格ですと欠損金が取り残されたままになってしまって黒赤の変動の激しい企業等は不利になりますから、この間をならすために欠損金の繰戻しあるいは繰越しの制度があるわけでございます。
 このうちの連結納税制度とそれから欠損金の利用、繰越しの制度とは、ですから、一見違うように見えて非常に密接な関連を持っておりますので、他方だけを独立させて議論するというわけには必ずしもいかないところがございます。
 連結納税制度については、諸外国の例を見ますと、アメリカあるいは一九八〇年代の終わりのころに作られましたフランスの連結納税制度等の厳密な本来の意味での連結納税制度と、ドイツやイギリスにおけるような欠損金の振替利用を認めるような比較的柔軟なといいますか、本格的でない連結納税制度と二通りあるわけですが、日本ではこのうち本格的な連結納税制度の方を採用するという方向が打ち出されて、これまでの議論がなされてきたということでございます。
 私は、個人的には欠損金の振替制度の方がフレキシビリティーが高くて運用も簡単ではないかと思っていたのですけれども、せっかく導入するのであれば本格的という気持ち、これも分からないではありませんので、このこと自体は正しい方向だったのではないかというふうに思いますが、同時に、本格的な連結納税制度を入れたおかげで、法人税法が異常な分量、異常と言ってはなんですが、大変な分量になってしまいまして、これから授業をどうやってやっていこうかとか、途方に暮れているところがございます。これは、教える方にとってみればたまらない話ですし、教わる方にとっても非常にシビアなところで、今後、税理士試験で法人税法を専攻する方がいなくなるのではないか、これが試験範囲に入りますとですね、そんな話さえつぶやかれているわけです。
 以上が位置付けの問題で、欠損金の利用と密接な関係があるという点を申し上げましたけれども、経済的効果でございますが、法人格による人為的な区切り、あるいは課税年度による人為的な区切りというのを余り極端に追求しますと、所得のないところに課税してしまうということが起こる。それは欠損金が取り残されてしまうということで、所得のないところへ課税が行われるということが起こってしまうわけですから、その意味では、連結納税制度というのは言わば当然というところがございます。そのことによって赤字がどこかに取り残されてしまってそのまま終わってしまうということを防ぐということですから、非常に中立性、課税の中立性の観点からいって望ましい制度であるということは、これは言えるのではないかと思います。
 ただ、日本のただいまの財政状況を見ますと、これはもうどう考えても、国債の格付のことはともかくといたしましても、非常に深刻な事態でございますので、このような時期に税収の減少に結び付くような制度をそう大ぶろしきで入れるわけにもいかないという財政上の考慮というのも、これも別に財政当局に悪気があるとかそういう問題ではありませんで、当然のことだろうということになります。中立性の観点からは連結納税制度をなるたけ広く取り入れた方がよろしいんでしょうけれども、今の財政状況を考えると必ずしもそう簡単にはいかないという、非常に複雑なというか、解決の困難な対立の軸の中で連結納税制度をどういう範囲でどの程度ということが決まってくるということです。
 そこで、二年間二%の付加税というものが導入されたんだろうと思います。このこと自体は、急激な制度の変更を緩和するというようなところもありますし、それから他方で、例えば老人マル優の廃止云々というようなこともありますから、大企業等だけが結果的に税収減になるとすれば、たとえそれが理屈上一〇〇%正しくてもというような気持ちの問題、気持ちと言ってはなんですが、政策と言い換えましょうか、政策の問題がございますので、正面からこれはけしからぬ、付加税けしからぬと言うことは理論上は可能ですけれども、しかし今の財政状況その他を考えますと、これはこれで仕方がないというところがございますので、理論的にはこれは何とも言えない、先生方がお決めになる事項だというふうに考えます。
 他の制度との関係について少し述べさせていただきますと、先ほど申しましたとおり、区切り、法人格による区切り、あるいは課税年度による区切りという点から見ますと、連結納税制度とそれから欠損金の繰戻し、繰越しの制度というのは非常に密接な関係をしているということでございますので、この点は無視することができないと。
 それからもう一つは、企業組織再編税制との関係が密接でございまして、企業グループを一体として見るという視点がございますので、連結の場合でも企業組織再編の場合でも、単体の企業のみに着目しないというところがございますから、両者は密接な関係にあるわけです。
 意外に我々が無視しがちなのが、これは外形標準課税との関係でございまして、連結というのは、赤字の利用が、企業グループの中での赤字の利用というのが比較的緩やかに認められるということだと思いますが、外形標準課税は赤字法人に対する課税というのを内在させておりますので、企業グループ全体として見ますと、連結の効果が一部分外形標準によって打ち消されるというところはある場合もあります。
 しかし、逆に考えますと、グループ全体が非常に黒字体質のところは、外形標準と連結が相乗効果を持って競争力を増すというところもございますので、両者は関係するんですが、それは企業グループ全体が黒字体質なのか赤字体質なのかによって影響が違ってくるというところがございます。
 赤字体質のところは、外形標準課税が連結の効果を多少打ち消すところがあるということ、これは否めない事実だろうと思いますが、黒字体質のところは、逆にこれによって競争力が増すということで、今の日本の経済状態を考えますと、競争力、国際的な競争力というのは重要ですから、その点は無視できないということだと思います。
 最後に、執行の点でございますけれども、個別法人を念頭に置きました制度が従来どおりございますので、これと連結との間でいろいろなフリクションが起こるということはあり得るわけです。
 地方税は個別の企業を前提とした制度を作っておりますので、連結の適用から除外するために様々な苦労を総務省等がなさっているというふうに聞いておりますし、また消費税の調査というのは個別的な企業を念頭に置いて行うものですから、連結納税制度導入以降、国税庁が消費税の調査等で多少の困難な局面に遭遇するということも考えられます。
 それから、更正処分をどう打つかとか、租税滞納処分、税金を払わない企業に対する租税滞納処分等の関係で、処分というのは特定の法人格に対してなすものですから、様々な難しい法律問題が起こってくるということも無視できないということでしょう。
 いずれにいたしましても、我々だれでも知っていることですけれども、打ち出の小づちとか魔法のつえというのがございません。にっちもさっちもいかない財政状況の中で、企業にも頑張っていただきたい、しかも国も一定の税収は確保したいという、解けない問題を解こうとしているわけでございますから、一面的にこれはいいとか悪いとかというのを言い切れないところに今の問題があるのじゃないかというふうに思います。
 以上でございます。
#4
○委員長(山下八洲夫君) ありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いします。中村参考人。
#5
○参考人(中村芳夫君) 日本経済団体連合会の専務理事を務めております中村でございます。着席させていただき、失礼いたします。
 連結納税制度を導入するための法人税法等の一部を改正する法律案を支持しまして、その早期成立を期待する立場から意見を申し述べさしていただきたいと思います。
 初めに、連結納税制度の必要性につきまして、経団連の考えを御説明いたします。
 経団連では、アメリカが一九六六年に本格的な連結納税制度を導入いたしましたのをきっかけに、その制度内容を子細に分析いたしまして、我が国にとりましても連結納税制度を導入することが望ましいと考えて、一九七〇年代早々より今に至るまで、数次にわたりまして具体的な提言を繰り返してまいりました。
 しかし、我が国におきましては、グループ経営の重要性が本当に強く認識されるようになりましたのは、実はここ数年のことではないかと思います。
 その直接のきっかけは、平成九年の独占禁止法改正によりまして、それまで長らく禁止されておりました純粋持ち株会社が解禁されたことでございます。これによりまして、単なる親会社、子会社の関係ではなく、企業グループ全体を戦略単位として経営を考えることが制度的にもできるようになりまして、日本企業にとって本格的なグループ経営の時代が開かれるようになりました。
 その後、今に至るまで、株式交換・移転制度、会社分割制度の創設など相次ぐ商法の改正が実現しまして、企業会計制度におきましても、従来の単体企業中心から連結主体への転換が図られて、企業経営の在り方が、もはや個別企業によるものではなく、グループ全体としての効率性を追求する時代に入ったことが、企業規模の大小を問わず広く認識されるに至っております。
 さらに、企業は、厳しい国際競争の中で生き延びていくために、その時々の経済環境や需要構造の変化に迅速に対応して、戦略的な分社化や経営統合によりグループを再編し、グループ全体の姿を柔軟に変えてその活力を高めていくことが必要になっております。
 しかし、日本の法人税制は長らく個別企業をその課税単位とするものでありましたことが、グループを一体とした課税制度を持つ欧米企業との間で大きなハンディキャップとなっておりました。
 確かに、税制におきましても、平成十一年度改正におきます株式交換・移転制度の創設に対応しました税制の整備や、昨年、平成十三年度改正におきます新しい合併、会社分割、現物出資などの税制の整備によりまして、企業組織再編成についての環境は整えられてまいりましたが、グループを一体として課税する仕組みであります連結納税制度がなければ、本格的なグループ経営への移行はかなわないものと考えております。
 連結納税制度は、一つの企業の中で、事業部門によって事業を行う形態と分社化によって事業を進める形態との間で、税負担の中立を保つために不可欠な仕組みと考えております。
 特に、グループ経営のメリットを生かして新規事業分野への展開を行ったり、既存事業の再構築を行うに際しまして、税制を組織形態に対して中立的なものとして事業組織形態選択の自由度を広げるためにも、是非とも必要なツールと考えております。
 その意味で、連結納税制度は、単に法人税制の大改革ということのみならず、我が国の企業経営の在り方に新天地を開くものと言っても過言ではないと考えております。
 経済構造改革の必要性が言われて久しいわけでありますけれども、構造改革を進める中で、国内における雇用を維持しまして経済を着実に回復軌道に戻していくためには、活力と創造性に優れ、厳しい国際競争の中でも積極的な事業展開をできる企業の存在が欠かすことができません。
 そのためにも、連結納税制度を活用することによりまして、国際的に遜色のないグループ経営を築いていくことが期待されております。経団連がこの連結納税制度の導入を待望してやまなかった理由はここにございます。
 次に、ただいま御審議いただいております法人税法等の一部を改正する法律案につきまして、この法律案の内容を基本的に支持する立場から何点かコメントをさせていただきたいと思います。非常に膨大な内容であり、まず、この場をかりまして、法案を作成されました財務省主税局の方々の御苦労に厚く御礼を申し述べたいと思います。
 初めに、連結納税制度の導入に係る部分を全体として見れば、私どもが求めてまいりました連結納税制度の姿として支持できる内容であると思います。
 子会社の範囲につきましては、少数株主の利益との調整の問題が生じますので、導入当初は、直接、間接にも一〇〇%となるというふうに考えております。
 また、グループ内部での寄附金の扱いや中小法人の交際費の損金算入枠や同族会社の留保金課税の適用方法など、連結納税制度の採用によって不利になるとされている点につきましても、企業グループを一体とした課税の仕組みであるということから、やむを得ないものと考えております。
 ただ、幾つかの点では私どもの求めるものとは異なる内容となっておりますが、それは、先ほどお話ありましたように、主として財源措置によるものだと考えております。
 具体的には、子会社が連結納税制度に入る前に有しておりました繰越欠損金が否認されること、さらに、買収して一〇〇%子会社となる会社などにつきまして、その含み損益を時価で評価して課税した上で連結計算への加入を一年間制限することにつきましては、決して喜ばしい内容ではありません。
 続いて、今回の法案審議の中で非常に大きくお取り上げいただいております、いわゆる連結付加税を始めとする連結納税制度導入に伴います財源措置についての考えを申し述べたいと思っております。
 連結納税制度の本質は、第一に、企業グループの中で損益を通算して課税する仕組み、第二に、グループ内での取引につきましては譲渡損益を売手側で繰り延べる仕組みでございます。
 前者は、今まで法人税では、個別企業の赤字を繰越欠損金として翌期以降の黒字と通算するのと、連結納税で同じ期にグループ内の黒字企業と通算するのとでは、中長期的にはその分の税収は変わらないはずであります。
 また、後者につきましても、グループの外にその資産を売却されたり、グループの内部でも二回目の取引がなされれば最初の譲渡損益は課税されるということから、永久に課税がなされないわけではありません。
 しかし、導入当初数年間は減収になるということが明らかでありまして、厳しい財政事情の中でこれを放置できないことは理解できるということから、経団連でも、この導入当初の減収につきましては真剣に対応すべく経済界内部のコンセンサスづくりに努めてまいりました。とりわけ、連結納税制度自体が広い意味での課税ベースの適正化であることから、その導入によります減収は、やはり法人税の課税ベースの拡大で補うことが必要であると考えております。
 加えまして、連結納税制度を活用してメリットを受ける企業に対しましても、子会社の繰越欠損金を連結の中に持ち込めないようにしたり、あるいは、連結納税制度のメリットを受けんがために子会社を買収によって増やす場合につきましては、連結に入る前に含み損益の清算を求めるとの仕組みにつきましては、当面の間との限定付きのつもりではありますが、やむを得ないと考えております。
 このように、経団連といたしましても、法人税の課税ベースの拡大あるいは連結納税制度の仕組みの中での財源対策を真剣に考えまして、我々が連結納税制度導入による減収額として想定いたしました六千億円弱につきましては、協力するということで経済界のコンセンサスをほぼ得ておりました。
 しかし、財務省は、三千社余りのアンケート調査の回答から得られました数字を全法人レベルに敷衍いたしまして、さらに、今後、一〇〇%子会社の数は四割程度増えるという想定の下で減収額を八千億円程度と試算し、更なる財源策といたしまして、連結納税採用企業に対しまして法人税率を二%付加する、いわゆる付加税の導入を提案されました。
 この付加税の導入は、連結ベースでの所得が大きい優良企業であればあるほど連結納税制度を活用しにくくするものでありまして、企業のグループ経営を支え、その活力を高めていくという連結納税制度導入そのものの趣旨に反するものでございます。
 事実、大和総研が三月に公表いたしました調査では、主要企業の中で、せっかくの連結納税制度につきまして、本年度から適用を行おうとする企業、また前向きに検討するものも含めましても二割に達しておりません。また、使わないとする企業の九三%が付加税の存在を理由として挙げております。
 経団連といたしましては、付加税につきましては容認し難いものであり、是非とも速やかに撤廃をしていただきたいと考えております。
 しかしながら、付加税は、この連結納税制度導入と一体のものとしてただいま御審議中の法案になっておりますので、先ほど、今年度から連結納税制度適用を考えている企業は二割と申し上げましたけれども、逆に言えば、二割の企業が厳しい条件の中でも連結納税制度を今年度から活用できるということを求めておりますわけで、その中には日本経済や地域の雇用にとって極めて重要な企業も含まれております。したがいまして、連結納税制度を予定どおり今年度から活用できるものにしていただくことが企業活力再生のために最も大切な課題であり、是非とも、今回におきましてこの法案の成立をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
#6
○委員長(山下八洲夫君) ありがとうございました。
 次に、成川参考人にお願いします。成川参考人。
#7
○参考人(成川秀明君) 日本労働組合総連合会の総合政策局長をやっておる成川でございます。参議院財政金融委員会のこの席で私どもの意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。
 私ども、労働組合としてこの連結納税制度、議論をしてきましたが、今の企業の大きな経営の在り方の流れの中で、グループ経営がやはりこれから大きな役割を担う、そういう認識に立っております。
 しかし、この連結納税につきましては、やはり租税の回避行為などをしっかり防止をして、公正で公平な当然負担の中でやるべきである、そのほか幾つかの、特に労働組合として今の中で考えなければならない点がある、こう思ってございます。
 以下、その中で主に三点につきまして、是非雇用の機会の確保を図る、そして失業を減らしていく、そういう社会を作るという労働組合の立場で意見を申し述べたいと思います。
 まず第一点は、この法律で提起されております財源措置についてでございます。
 この法人税法等の改正によれば、法人税の負担の形が変わるということになります。政府の資料で拝見させていただきますと、この連結納税制度の導入によって、連結納税会社は平年度ベースで約八千億円の法人税負担減と、こういうふうな試算が出ております。そして、今回の法律案では特に子会社への適用を厳しくするということで、二千数百億円がそれで対応措置を取るということで、実際のこの法律による減収、連結納税制度導入による減収の見込額は約五千八百億円という形になるというふうに説明を受けてございます。そして、この五千八百億円の税収減を、連結付加税の導入で約一千億円、連結子会社の欠損金持込みの制限等で五百億円、そしてまた受取配当の益金不算入制度の見直しで約八百億円、退職給与引当金制度の廃止で三千二百四十億円の増収を図り相殺するというのがこの法律案の財源措置であるということでございます。
 すなわち、連結納税制度に移行する会社は五千八百億円の税の軽減を受けられるけれども、連結付加税と子会社欠損金持込み制限等で千五百億円の新たな税負担をする。そして、残りの税軽減分四千三百億円につきましては、連結納税が適用されない企業も含めて新たに負担をする。その負担増は、退職金引当金の廃止で三千二百四十億円、また配当受取の益金不算入の限度額引下げ、現行八〇%ですが、それを五〇%に引き下げるということで八百億円余の増収を図るという案となってございます。すなわち、この負担の変更は、連結納税の会社には税を軽減し、その他の会社が増税を引き受ける、こういう考えでございます。
 企業の活性化あるいは雇用機会の確保・創出という視点から考えますと、連結会社に優位な刺激を与え、その他の会社に負担増のおもしを課す、こういう法案について我々どう判断するかということでございます。
 御承知のように、現在大変不況が長引いておりまして、特にその中で失業増が非常に高まっております。また、中小企業におきましては、収益減どころか中小企業の数も減ってきている、雇用減も大きい、こういうふうに我々受け止めてございます。今後、失業を減らしていく、あるいは雇用機会を増やしていくという点から考えますと、それぞれの企業に是非一層の発展を我々は願っておるわけでありますが、やはり日本におきましては、中小企業、中堅企業に雇用の受皿として更にしっかり頑張っていただく必要がある、こう考えてございます。
 こういう観点に立ちますと、退職引当金制度の廃止につきましては、中小企業を除外するということが必要ではないかというふうに考えます。また、配当金等の益金不算入割合の引下げが提起されているわけでありますが、これにつきましても、中小企業への引下げ、二年間程度の経過措置ということで提案されておりますが、これを更に長くする必要があるのではないかというふうに考えます。
 次に、第二点でございます。
 それは、連結納税制度によって親会社の子会社に対する支配力が強まるのではないかというふうに思われます。
 既に連結会計制度の導入によりまして親会社の子会社に対する支配力は、役員人事のみならず投資、経営計画、そして職員人事などに広範に及んでおりますし、子会社の賃金などの労働条件に対しましても親会社が指示を与える例が増えてきてございます。
 こういう動きの中で、この連結納税制度は親会社による子会社への支配力を更に強める働きがある、こういうふうに受け止めております。
 確かに、この租税回避的行為を防止するというために、子会社の寄附金及び交際費等についての損金不算入制度に対しましては厳しく対処する必要があります。グループ内においてこれを親会社基準を適用する、またグループ外にも適用するということで今回提案されているというふうに受け止めてございます。しかし、このことで子会社の独立経営体としての活動条件が制約を受け、そのことで雇用の受皿、あるいは今後の中小企業の活動に制約が出るということは好ましいとは思われません。
 子会社あるいは中小企業の子会社の経営の在り方を更に強めていくという視点に立つと、租税回避的行為の防止というのは当然でございますけれども、それに併せて、子会社、中小企業の経営のより行いやすい形での連結納税制度を工夫する必要があるのではないかというふうに思われます。例えば、子会社の寄附金あるいは交際費等についてルールを定めて租税回避行為を防ぐ条件を整えるという中で、グループ外への寄附金等の支出については損金算入を認めるなどの措置について検討が必要ではないか、こう受け止めてございます。
 第三点は、先ほども第二点でも指摘しましたが、子会社の賃金など労働条件に対しまして親会社の支配、関与が強まっているという事態でございまして、我々としては、親会社が子会社の労働組合との労使交渉を行うとの労使交渉の応諾義務を是非法律で定めていただきたいということでございます。
 当然、この親会社による子会社の賃金等の労働条件決定への支配等につきましては、判例によりまして労使交渉等を受けなければならないということが明らかになってございます。しかし、この義務が必ずしも守られていないのが現状でございます。子会社の労働組合は、親会社との労使交渉を実現するために多くの苦労を今現在受けている事態にございます。
 このような問題を解決するために、連結親会社が子会社の労働組合が申し入れた場合には労使交渉を受け入れるという、是非、労使交渉の応諾義務を定めていただきたい、こう考えているところでございます。
 以上、三点につきまして、本法律案に対する私どもの考えを申し述べさせていただきました。どうもありがとうございます。
#8
○委員長(山下八洲夫君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人の皆さんに対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○入澤肇君 最初に、中里参考人にお尋ね申し上げます。
 預貯金を株式の投資に誘導する方法を議論していましたときに、例の株式の配当課税、二重課税の問題が議論されました。そのときに、要するに法人の性格につきまして、法人は株主とは独立した存在であるという法人実在説、それから法人は個人株主の集合体であるという法人擬制説、神学論争的なものがかなり与党の中でも議論になりました。
 今回、グループの連結納税制度というのは、こういう法人実在説とか法人擬制説、そういうふうな講学上の説に対して終止符を打つものと理解していいのか、新しい法人についての概念を確立することが行われるのかどうかについて、学問的な話を聞きたいと思います。
#10
○参考人(中里実君) 考えたこともなかった御質問でございまして、何とお答えしたらいいかもよく分からないんですけれども。
 法人実在説と擬制説の対立というのは、ミクロ経済学的に考えればやはり擬人説以外あり得ませんので、法人が実在してどこかのレストランで飯を食っていたとか、そういうことはあり得ませんから、法人というのは人の集合体で、その活動、存在によってだれかが利益を受けていると。そのだれかがよく分からない、株主じゃないかもしれないという問題があり得るということなんだろうと思います。ですから、このことを直接租税政策論に一〇〇%反映させる必要もないわけですが、かといって全く無視するわけにはいかないということなんだろうと思いますね。
 連結納税制度につきましては、これによって神学論争に終止符が打たれるというようなことでは必ずしもなくて、もうちょっと別の視点から、中立性ということなんでございましょう、法人の本質云々ということよりも、法人格の区切りによって、区切りを越えた場合と、同じグループ内に属しても法人格の区切りがあると赤字が取り残されるというようなことはやはり望ましくないだろうという、そういう話で、我々は取引費用経済学と呼んでいますけれども、そちらの産業組織論的な視点からの導入の根拠ということなんだろうというふうに思います。
 ですから、事業の内容がそれによって余り変わるということではなくて、どの範囲で企業というものをとらえるかという、もうちょっとダイナミックな話じゃないかというふうに理解しております。
#11
○入澤肇君 分かりました。要するに、制度論でなく、技術論としてとらえていこうというわけですね。
 もう一つ、先ほど外形標準課税についても言及されましたが、今悩ましいのは、外形標準課税の導入につきまして総理からの指示がございましたけれども、検討の指示がございましたけれども、中小企業を始めとして猛烈な反発がございます。広く薄く、しかも中小企業に悪影響を与えないような外形標準課税ということにつきまして、先生が何かお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
#12
○参考人(中里実君) それこそ魔法のつえでして、とても私の能力ではそのような制度は考え付かないんですけれども。やはり、中小企業の方々に負担を求めるといたしましても、程度の問題というのがございますから、全くゼロでいいかと言われると、なかなかこれは、都道府県の置かれている状況も厳しゅうございますので、少しはということで納得していただければ一番いいという、それこそ政治のマターなんだろうというふうに思います。
#13
○入澤肇君 その次に、中村参考人にちょっとお尋ね申し上げます。
 先ほど付加税の問題について言及されました。主税局のアンケートも見せてもらったんですけれども、これ日経新聞社もやっていますが、付加税がなくなったとしても適用企業が増えるというふうに必ずしもなっていないわけですね。付加税は問題だけれども、もしなくなれば、先ほど二割の企業は既に厳しい条件の中でも適用すると言っているんですけれども、もっと大幅に連結納税制度を採択する企業が増えるかどうか、その見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
#14
○参考人(中村芳夫君) 連結納税制度、今回の法案の中で確かに付加税も大きな問題だと思いますが、そのほかに、子会社の欠損金を使えないとか、あるいは導入時に時価評価をするとか、更に寄附金の否認とか、いろいろ問題があります。
 ですけれども、その中で一番大きな問題はやはり付加税ということで、その導入しない理由の中に九割以上の企業が付加税があるから導入しないということを言っております。特に、いわゆる俗に言われているエクセレントカンパニーという大きな所得の企業というのは、この付加税があるために、むしろ連結納税を採用すると税負担が増えるということで導入しないということを表明しておりますので、付加税がなくなれば二割以上の企業が連結納税を採用すると思います。
#15
○入澤肇君 もう一つ、この連結納税制度はグループ経営の進展とかあるいは構造改革を進めるという観点から歓迎すべきものであるという言及がありましたけれども、ただ、一〇〇%出資の子会社に一応限られていますね。これをもっと広げるというふうなことの方が、税制上の、何といいますか、収入、税収を上げるとかなんかいうことは問題にしないで、制度論として見た場合に、構造改革を促進するという観点からは、一〇〇%出資の子会社というのを広げて、五〇%あるいは五一%まで認めるとかいうふうなことを考えるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#16
○参考人(中村芳夫君) 子会社の範囲につきましては、連結納税制度を導入当初はやはり一〇〇%ということではないかと考える。と申しますのは、少数株主の権利の問題等が残っております。それをどういうふうに解決するかということもありますので、当初は一〇〇%でやっていかざるを得ないんではないかと思っておりますが、アメリカでも八〇、諸外国でも必ずしも一〇〇%だけではございませんので、財源が許せばその範囲をいずれは広げていただきたいと思っております。
#17
○入澤肇君 そうすると、経済界として、更に構造改革を進めるという視点から、どのような連結納税制度が望ましいか、それについてはいかがでしょうか。
#18
○参考人(中村芳夫君) 今回のこの法案は是非通していただきたいと申しますのは、やはり今、制度の間の競争があると思うんです。先進国、OECD諸国の中でこの連結納税制度を持っていないのは日本だけ、韓国もないと思いますが、日本だけだというふうに言えると思いますので、やはり制度間の競争で日本が負けてしまうということがないためには、やはり今年度、是非今国会でこの連結納税制度をまず導入していただきたい。
 ただ、いろいろの問題点、先ほど申し上げた子会社の欠損金を引き継げないとか、時価評価をするとか、寄附金が否認される、あるいは連結付加税があるということでございますので、財務大臣もおっしゃっていると思いますが、連結納税制度を導入した後の実態調査をしていただいて、問題点をもう少し浮き彫りにしていただきたいというふうに思っております。
#19
○入澤肇君 分かりました。
 その次に、成川参考人にお伺いしたいと思います。
 親会社の子会社に対する支配が高まるんじゃないかという言及がございました。今回のこの法案の中でも、親会社が申告納税をします、子会社は連帯納付をしますと、そういうふうに役割分担が、責任分担が明定されておりますね。このようなことがむしろ子会社の独立した経営とか自由度を阻害するということにつながるのかどうかについて御意見をお伺いしたいと思います。
#20
○参考人(成川秀明君) 連帯責任、これはグループ経営ということでやむを得ないんじゃないかと、こう思いますが、当然、現在の動きの中でも、親会社がかなり子会社に対しまして、役員人事以外の面において、いろんな面で指導を強めているという現状があります。当然、この連結の納税制度が入ってくるということになれば、親会社による、グループ全体の経営という視点に立って親会社のそういう支配力が強まる、こういうふうに我々受け止めております。
#21
○入澤肇君 もう一つ、最初にお話しになりました雇用機会の確保でございますけれども、この連結納税制度の採用というのは、ある意味では赤字の子会社を救済する手段でもありますから、雇用確保について相当な効果があるんじゃないかと思うんですけれども、それについてはどうお考えになりますか。
#22
○参考人(成川秀明君) そういう側面もないことはないと思いますが、現在におきましても、それぞれの会社経営の中で、今、日本の経営としては最大限の努力をし、それぞれ収益を上げる、あるいは雇用をなるべく維持する、我々はそう求めているわけですが、行われていると思います。
 単純に親会社が赤字の子会社に収益面で支援をする、今回の法律でも単純な支援はできないという形になっておりまして、そういう面での効果というのは、むしろグループ経営全体でどうするかという正に経営の在り方で決まってくるんじゃないかということで、この連結納税制度そのものからは、直接的には子会社に対する何らかのプラスの面が出るというふうには私としてはどうも受け取れないというふうに思っております。
#23
○入澤肇君 終わります。
#24
○櫻井充君 今日は、本当に貴重な御意見ありがとうございました。
 まず最初に、中里参考人にお伺いしたいんですけれども、付加税のことに関して、急激な変化を緩和するということでそういうこともあるんじゃないだろうかというお話がございました。しかし今、小泉さんなんかの方針は、構造改革をやっていかなきゃいけないということをあれだけおっしゃっているわけでして、むしろ急激な変化をしなければこの国は立ち直っていかないんじゃないかという意見の方が強いんだろうと思うんです。そういう意味でいうと、このようなものを導入するということはむしろ逆行するような感じがするんですが、いかがでございましょうか。
#25
○参考人(中里実君) 急激な変化が皆の賛同を得られて民主的なプロセスの中で行われ、その結果として世の中が良くなるのであれば、そのとおりだと思います。
 ただ、税収不足していますので、大盤振る舞いして、ないそでまで振ってしまう急激な変化が果たして望ましいのかどうかは、そう単純には答えは出ないんじゃないかというふうに思っておりますけれども。
#26
○櫻井充君 どうも、要するに構造改革とそれから今の景気というのと両方追えるのかというとなかなか難しいところがあると思っておりまして、一時的に税収が減ったとしても、企業の再編を進めて収益が上がってくれば将来的には増えてくるということを考えてくると、ここ数年間ある程度赤字は覚悟しなきゃいけないんじゃないかという考え方もあるんじゃないかと思うんですが、その点について先生はどうお考えなのか、教えていただけますか。
#27
○参考人(中里実君) 本当に一時的税収減で、その後ぱっと税収が増えるというような魔法のつえが用意されているのであれば私も飛び付くんですけれども、そうであるかどうか必ずしも分からない状況で、一定の範囲でやっておいて様子を見ながらということは決して悪いことではないと思うんですが、これは思い込みの問題なのかもしれません。
#28
○櫻井充君 同じ点で中村参考人にお伺いしたいんですが、今、中里参考人から、こういうことをやって果たして企業の収益が上がってくるのかどうかという話がございました。もし、付加税云々関係なしにして、こういう連結納税制度を導入することによって、企業の収益というのは今後、見通しで結構でございますが、何年か後にはかなり大幅に収入が増えていくというふうにお考えなんでしょうか。
#29
○参考人(中村芳夫君) 企業の収益がどうなるかというのは、単に税制だけではない、いろんな周りの環境にもよると思いますので、何年後にどうなるかちょっとお答えはできないんですが、ただ、競争上の不利な条件というのは、この連結納税制度を導入することによってマイナス点はなくなってくるということで、対等のイコールフッティングの下で競争はできる条件は整うというふうに考えております。
#30
○櫻井充君 そうすると、競争はできるけれども勝ち上がれるかどうかは分からないというふうに、ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
#31
○参考人(中村芳夫君) 税とか経済法制、商法というのはあくまでも企業が活動できるためのインフラの部分だと思いますので、そのインフラの部分のイコールフッティングをお願いしたいということで私どもの方は考えております。
#32
○櫻井充君 そうしますと、そのインフラが整備された上で、ちょっとここは連結納税制度から外れるんですが、国が民間企業の活性化のためにやるべき措置で一番大きなことというのは一体何なんでしょうか。
#33
○参考人(中村芳夫君) それは税とか経済法制の整備を国際的な整合性を持ってやることでありまして、あとは、やはり民間の活力は自ら発揮することだと思っています。
#34
○櫻井充君 それから、成川参考人、先ほど親会社の支配力ということを申されておりましたが、親会社の支配力が増していくということは、企業の活性化につながるとは考えられないんでしょうか。
#35
○参考人(成川秀明君) そういう側面もありますが、やはり企業の経営の実態の中で、日本の経営はそれぞれの経営の単位で努力をしてきているということだと思いますし、そういう意味で、そういう経営の単位の、しっかりした単位のところが創意工夫が発揮できるような、そういう企業組織でなければなかなかこれからの経営発展は難しいんじゃないかというふうに我々は見ております。連結グループの中でもそういうふうな条件が整えられれば可能かもしれませんが、今回のこの制度の中だけではそれは保証されていない、こう見ております。
#36
○櫻井充君 改めてお伺いしますが、そうすると、何というか、ベクトルとしたときに、各々やりたいことをやっていくという、まあそうは言いませんけれども、むしろある一方向を向いていて、そのグループ内で全体で意思の決定を行ってその方向に努力していく方が私は収益なんかは上がっていくような感じがするんですけれども、そうとは取れないものなんでしょうか。
#37
○参考人(成川秀明君) グループ経営、それぞれの中でのお考えだと思いますが、日本の経営の場合は、具体的な事業について、やはりその事業分野での専門性なり、まあ物づくりなら物づくりなり、そこで勝負をしているわけでありまして、親会社がそういう事業の技術関連性の中でそれぞれの部署、単位企業を尊重すればそういくと思いますが、安易に税だけの問題で連結納税を考えたり、金融面だけで考えたりすれば、私としては、連結納税が入っても企業発展につながるというふうには簡単にはいかないというふうに見ております。
#38
○櫻井充君 それは、税制上の問題と企業内の努力の問題と若干違うんじゃないかという気がします。つまり、税制がそういうふうになったから、その制度があるから親会社の支配がということと、会社、グループの中できちんとした話合いをするということとちょっと違う視点じゃないかという気がしますが、いかがでしょうか。
#39
○参考人(成川秀明君) この連結納税制度がそういう支配を強めるという側面を持つということを、私は是非御指摘をしたいということでございます。
#40
○櫻井充君 もう一つ、じゃ、先ほど労使で話し合うようなことをというお話がございました。そして、それを制度化すべきだというお話があったんですけれども、ほかの国で、例えばこういうグループ企業を育てていこうというような中で、労使の中できちんと話合いをしろと、そういう法整備がされている国というのはあるんでしょうか。
#41
○参考人(成川秀明君) ちょっと私、海外の例まで今回調べておりません。正確に答えられませんが、日本におきましても、判例におきましては、親会社が労働条件等につきまして指示を与えた場合には、必ず労働組合との話合いを受けなければならないという形になってございます。そういう法律的な関係はあるわけですが、ただ、それが法律で明記されていないものですから、残念ながら必ずしも守られ切れていないということでございます。
 海外においても、ちょっとよく分かりませんけれども、その権利義務関係は明確になっているというふうに理解してございます。
#42
○櫻井充君 我々、ハンセン病のときに立法不作為ということを問われました。もし、本当にそういう法律がなくて雇用が確保できないということになってくると、やはり立法不作為を問われても私は仕方がないことなんじゃないだろうかという気がいたしております。
 是非、大変申し訳ないです、我々が勉強すればいいのかもしれませんけれども、世界の国でどういう状況にあるのか、後で教えていただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
#43
○参考人(成川秀明君) 分かりました。
 我々としても、よりしっかり勉強しまして、是非議員の皆様にもいろいろまた問題提起をさせていただきたいと思います。
#44
○櫻井充君 よろしくお願いいたします。
 それでは、再度中村参考人にお伺いしたいんですが、六千億になるのか八千億になるのか分かりませんけれども、税収減ということになっております。もし、企業再編等を進めていくということになったときに連結付加税等を導入しないとした際に、もしそうでなかったとした場合には、法人税全体を例えば一%若しくは二%引き上げて、これは連結納税制度を導入した企業もしない企業も併せて法人税で負担していただくというような制度と、今回の措置とどちらがよいとお考えでしょうか。
#45
○参考人(中村芳夫君) 私どもの試算では、これによる減収額は約六千億弱だと思っておりまして、この連結納税制度そのものは課税ベースの適正化というふうに考えております。したがいまして、この課税ベースの中で調整していただきたい。例えば、退職給与引当金の縮減とか受取配当の益金不算入のところで今回調整が行われておりますので、その範囲の中でやっていただきたい。税率の調整とは別の問題だと考えております。
#46
○櫻井充君 ただ、私は、付加税自体がやはり企業の再編を阻害していくものだろうと思っております。その上でなんですけれども、企業全体として努力していく、方向性として活力あるところを探していくということになってくるとすると、そういうところにだけ税金を付加を掛けて抑え込んでいくというやり方は、決していいやり方ではないんだろうと思うんですね。あとは、日本の税全体の中で占めている法人事業税が多いか少ないかという話になるんだろうとは思うんです。
 ただ、一時的なものであるにせよ、企業の再編を進めていくという点で考えていけば、この付加税というものを取りあえず廃止するということの方が我々はいいと思っているんですが、その点はもちろん中村参考人も同意見でございますよね。
#47
○参考人(中村芳夫君) 私どもとしては、やはりこの法案を是非通していただきたいと。その後で実態を調査していただいて、恐らく付加税があるというのは大きな問題になると思いますので、その段階で即時撤廃をしていただきたい。
 やはり日本に連結納税制度がないということは、制度間競争に日本が負けているということだと思いますので、今は正に企業が国を選ぶ時代ということになっておりますので、是非連結納税制度を制度として導入することが先決であるというふうに考えております。
#48
○櫻井充君 それから中里参考人に、ちょっと全然我々が考えてもいなかったような、授業で教えるのが大変で、そして法人税を勉強する人がいなくなっちゃうんじゃないだろうかというお話がございました。いやこれ、でも大変なことだと思うんですよね。税理士さんの中で法人税が分からないというか、そこが詳しくなかったら僕は大変な問題だと思うんですけれども。その意味で、今回確かに、もらうと千ページもあるわけですよ。どの辺を減らすともう少しすっきりした形になったとお考えでしょうか。
#49
○参考人(中里実君) 本格的なアメリカ流とかフランス流ではない、そういうアメリカ流やフランス流のような本格的な連結納税制度ではなくて、ドイツとかイギリスのような欠損金の利用をもうちょっとフレキシブルに認めるという制度であれば、はるかに条文等は楽であったというふうに考えます。
 この条文、これは郵便で送られてきましたけれども、私もこれで飯を食っている人間ではありますが、ちょっと相当つらいところがございますので、実務の方も同じようにお考えになっているというふうに思いますけれども。
#50
○櫻井充君 それと、最初、先生が公平という観点でというお話をされました。今、欠損金のお話がございましたけれども、公平という観点から見たときに、今回の法律上、欠損金の取扱いに関してはどうお考えでしょうか。
#51
○参考人(中里実君) 税収全体のバランスの問題がございますから、理屈だけの問題でいかないところがやっぱりあるんだろうと思いますけれども、連結納税制度を導入する際に、今後のこととそれ以前のことを分けるというのは一つの考え方かと思うんですね。租税回避の問題さえなければ過去の欠損金を引っ張ってきても別にいいんですけれども、赤字企業の赤字を買ってきてどんどんどんどんそれを利用するというのではさすがにもちませんので。
#52
○櫻井充君 最後に中里参考人に。
 まず一つは、日本というのは、世界から見たときに租税負担率というのは極めて低い国だろうと思います。白紙のキャンバスにもし、いろんな既得権益があるからいろんな問題点が起こってくるんだろうと思うんですけれども、白紙のキャンバスに描いてくるとした場合に、もう少し日本という国は租税負担率を上げるべきだとお考えでしょうか。
 それから、もし現時点の租税負担率とした中で、法人事業税の割合というのは、この程度というものは当然のことなのか、もう少し増やした方がいいのか、減らした方がいいのか。減らした方がいいのかというのは、企業収益が上がればもちろん増えてくるわけですけれども、税率の負担として適当だとお考えでしょうか。
#53
○参考人(中里実君) 白紙で絵をかくのが可能であるならば、消費税を上げて財政赤字をもうちょっと減らすのは当然のことであろうというふうに、これはだれが考えてもそうなるんじゃないか、反対の方もいらっしゃるかもしれませんが、反対の方も心の底ではそう思っているんじゃないかというふうに理解しております。
 それで、法人の負担云々のことですけれども、これは国際競争力に非常に絡む話ですから、できれば、消費税が上げられるのであれば、そちらは少し低めにして、さもないと日本の企業がどんどんどんどん外国に出ていってしまって、要するに失業を輸入しているような状況になってしまうわけですね。ですから、消費税の問題をいつか近い将来考えなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。
#54
○櫻井充君 ありがとうございました。
#55
○浜田卓二郎君 まず、中村参考人に伺いますが、この連結納税制度というのは積極的に利用されるとお考えですか。
#56
○参考人(中村芳夫君) 今の状況では、私どもの大和総研の調査では約二〇%の企業が利用するのではないかというふうに答えております。
#57
○浜田卓二郎君 そうすると、それはほとんど大企業というふうに考えたらよろしいんでしょうか。
#58
○参考人(中村芳夫君) その調査は大企業に対して行われた調査であります。
#59
○浜田卓二郎君 現在、赤字法人が七割であると。ということは、企業のうち三割しか法人税を納めていないという現状については、これはやっぱり不況だからしようがないということでしょうか。
#60
○参考人(中村芳夫君) 赤字法人の問題を内訳を見ますと、資本金が五千万以下の法人は確かに赤字法人が多く、七割以上だと思いますが、それ以上の法人の赤字割合は五割ということで、むしろ中小零細企業の中で赤字法人が非常に多いということが言えると思います。それは税制上の問題もあるんではないかなと思っております。よく言われている、法人成りした方が企業として存続できるという、本来なら個人であるべきものが法人になっている、それで赤字でずっと存続しているというようなケースがあるんではないかなと思っております。
#61
○浜田卓二郎君 経済が普通の状況になったときに、一体どのくらいの法人がちゃんと法人税を納めていればノーマルだと考えるんでしょうかね。
#62
○参考人(中村芳夫君) ちょっとその辺はよく分からないんですが、五割ぐらいではないかなと個人的には思いますけれども。
#63
○浜田卓二郎君 そうすると、当然、今問題になってきつつある外形標準課税の話が出てくるわけですけれども、この点についてちょっと意見は述べにくいんだろうとは思いますけれども、感想で結構ですから。
#64
○参考人(中村芳夫君) 企業が、事業税は都道府県税ですが、地方自治体から受けているサービスというものは十分認識しております。そういう意味で、応益課税というのは当然なことだと思います。しかしながら、今、地方の法人課税を見ますと、固定資産税、都市計画税、事業所税、法人税の均等割と既に外形的に課税をされております。
 私どもとしては、この外形標準課税の議論をする場合、その辺の地方法人課税の制度をやはり整理をして、簡素にして企業の応益課税というものを考えたいと思っております。
#65
○浜田卓二郎君 じゃ、同じことを中里参考人に伺いますけれども、七割が赤字で法人税を納めていないと。ですから、多分、この連結納税制度が導入されて納税する企業が増えるというふうにはならないだろうと思いますから、七割がもっと増えるのか、あるいはほとんど動かないのかということでしょうけれども、こういう状況の中で、法人課税の在り方、外形標準課税も含めて、どういうふうにお考えになって、どういうふうに学生には教えていらっしゃるのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
#66
○参考人(中里実君) 学生には、自分の頭で考えるようにということで、余り結論は申し上げておりませんけれども、やはり課税ベースを拡大して、特別措置を減らして課税ベースを拡大して、できるだけ広く薄くという方向、これは永遠の真理ではないかというふうに思っております。ですから、そういう意味の課税ベースの拡大は外形標準課税と方向的には似たようなところがあるわけですね。所得の範囲を逸脱してしまうと外形標準ということになりますが、所得の範囲にとどまれば課税ベースの拡大と呼ぶんだろうと思います。ずっと、設立されてから三十年間一度も黒字がないという企業がどうして存続できるのか、考えてみると大変になぞでございまして、それは別の要因で存続しているということでしょうから、多少の負担はしていただくというのは、これは仕方がないんじゃないかなというふうに思いますね。
 地方の外形標準課税につきましては、仕組み方の問題でございまして、外形標準がいいか悪いかということを抽象的に論ずるというわけにはいかないんだろうと思いますが、ただ、たった一つだけ事実なのは、東京都の銀行税のような、ああいう理解不能な悪税よりはまともじゃないかというふうに考えております。
#67
○浜田卓二郎君 法人の課税ベースを広げるということは、租税特別措置の問題が一つというか、最大のことだろうと思うんですけれども、量的に、何といいますか、把握、最近したことはないんですけれども、かつて実務をやっているときの感想で言えば、ある企業が申告漏れで調査を受ける、その結果、例えば青色申告の取消しがあるとか課税特別措置についての特典の剥奪ということがありますと、途端に脱税額といいますか、申告漏れの額というのが倍ぐらいになっちゃうとか、租税特別措置の影響というのは利用の仕方によっては非常に大きいものだなというふうに私は実感をしてきているんですけれども、中里参考人は、法人課税の在り方ということから見て、この租税特別措置についてどういうふうにお考えでしょうか。
#68
○参考人(中里実君) かつての時代と、私が学生のころの時代と比べますと、租税特別措置はかなり整理されてきており、課税ベースは、そういう意味では、昔と比べますと随分広がってきたのではないかというふうに思います。
 ですから、今、特別措置を整理したところで、全部廃止したところで、上がる税収というのはそれほどそんなに大きいものではないんだろうと思いますけれども、それは税収の問題というよりは理念の問題でございまして、効果のある特別措置というのは場合によってはよろしゅうございましょうけれども、効果のないと言ってはなんですが、そういう特別措置については常に厳しい目で国会の先生方がチェックをしていらっしゃるというのは、これはとても重要なことだろうというふうに思っております。
#69
○浜田卓二郎君 そうなりますと、あとは、それでも、先ほど中村参考人のお話ですと、ノーマルであっても五〇%ぐらいがいいところじゃないかというようなお話でありました。そこは感想を伺っただけですから厳密な話ではないんでしょうけれども、そうなりますと、それでいいのか。そこに外形標準課税の話が出てくるんですけれども、この面について中里参考人のお考えを聞かせてください。
#70
○参考人(中里実君) 実務に就いたことがございませんので、経済状況については至って疎いんですけれども、ただ、私のような実務をよく知らない人間が見ても、赤字法人のかなりの部分というのは、本来法人ではないと言うと言葉は悪いですが、個人課税を受けるべき方々が法人課税を受けて、家族の間で所得を分割するとかというような形で利用されていると思うんですね。
 そのこと自体をいいとか悪いとか今申し上げるつもりはございませんけれども、税金の上だけから考えると、それこそサラリーマンとどうのとかというような問題が起こってくるわけですよね。不平等の問題というのが起こってまいりますので、できれば法人税の課税対象を、法人税の適用を受ける法人と呼ばれるものの範囲を、商法上法人だから法人課税なのかという形で問い直すということはあってもよろしいかと思うんですね。ただ、余り弱い者いじめになってしまってもいけませんけれども、もうかっている方についてはそれでも十分よろしいかとも思います。
#71
○浜田卓二郎君 先ほど櫻井委員も触れておられましたけれども、私自身は、今の日本の税構造というのがちょっと縮こまり過ぎちゃっているというふうに絶えず思っておりまして、そういう趣旨からの議論をいろいろやっているんですけれども、例えば政策減税の話なんかも大変、何というんですか、空々しく聞こえるというと言い過ぎですけれども、それ以上更に細らせるのかと、そんな議論ができる余地がそもそもないじゃないかというような思いがしちゃうんですね。
 ですから、投資減税とか活性化のための議論というのはいろいろありますけれども、そういう非常に政策的な租税の活用ということが、それ自体がもう今の我が国の現状では制約されてしまって、その余地すらなくなりつつあるという感想を強く持つんですけれどもね。
 そういうことからいえば、やはり税というのは、そういう経済活性化とか政策的誘導とかそういう面と同時に、もっと基本は、国家の必要な収入を確保すると、そういうことであるはずであって、当面の経済状況の中ではしようがない面はあると思いますけれども、その面をもっときちんと議論をしないと、これ一体どうなっちゃうんだと、この日本の将来はないじゃないかというふうな気持ちにすらなるわけなんですが、そういう観点から中里参考人とそれから中村参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、そして成川参考人にも一言お願いしたいと思うんですけれども。
 私は、一つは、所得税の課税最低限が上がり過ぎている、それから税率構造の中での最低税率の適用範囲というものが非常に広くなっておって、しかも一〇%ということで確実な税収になかなか結び付かないと、そういう面を指摘をしておりますし、それから法人税については、先ほど来申し上げたような多くの赤字企業ということで、法人税を納める企業が非常に減っているということ。さらに、消費税についていえば、三%を導入するときは大変でしたし、それを五%に上げるときは大変でしたから、何か消費税の負担というのは大変なものだという、そういう思いが何となく残ってはいるわけですけれども、客観的に見れば、直接税から間接税へという合い言葉とは裏腹に、その面でも最も低い水準で動けなくなっている。
 そういう税の現状というのを私は根っこからやはり見直さなければならない時期に来ているというふうに思っておりますが、そういう面についての御意見を一言ずつ、一言で済まないと思いますけれども、簡単に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#72
○参考人(中里実君) 租税制度をほんの少しいじることによって経済活力が増して日本が高度成長期のようになるというのであれば、みんな賛成してその方向に行くと思いますね、ほんのちょっとした減税でそうなるのであれば。でもそんなことはならない、ならないと承知で活力とおっしゃっているんだろうと、それはちょっと言い過ぎですが、そういうところもあるのではないかと思います。
 やはりこういう時期には、基本理念に忠実に、憲法三十条は納税の義務を定めているわけでございますので、皆で少しずつ国の費用を負担しようという理念、ハンディキャップのある方とかは除きまして、皆で少しずつという理念を踏み外しては、やっぱり国家が立ち行かないのみならず、国民が立ち行かなくなってしまうというふうに私も考えております。
#73
○参考人(中村芳夫君) やはり、今度の税制改革、これからの改革を考える場合、活力というところに重点を置いていただきたい。そのためにはやはり、広く薄く、簡素な税制にしていただきたいと思っております。特に、資本や人が国際的に自由に移動する時代においては、その課税ベースは所得よりも支出に重点を置いた税制にすべきだというふうに考えております。
#74
○参考人(成川秀明君) やはり税制は公平が大事だというふうに我々議論をしてございます。確かに国の機能を維持するために当然税は必要でございますが、その際は公平が大事である。と同時に、是非今国がやらなければならない支出面で何が必要なのか。私どもとしてはやはり、国民が生活、安心をしてもらう、安定をしてもらうためには、失業を減らす、この対策をきちっとやっていただく。それから、社会保障についてはやはり国民が安心して活動できるという支えでございますから、社会保障の安心の給付をしっかり支える支出はやはり国としてやりますと、そのための負担はどのぐらい掛かります、それはやはり企業と個人とが公平に負担するという中で是非国民合意を取り付けていただきたいと、こういうふうに思ってございます。
#75
○浜田卓二郎君 どうもありがとうございました。
#76
○池田幹幸君 今日はどうも参考人の皆さん、本当にありがとうございます。日本共産党の池田幹幸でございます。
 今度の連結納税制度導入については、いろいろ政府の側も随分文書も出しておって、読ませていただいたんですが、かなり大上段に構えておりまして、先ほどからのるるのお話の中にあったんですけれども、ともかく何で導入するのかというと、我が国企業の国際競争力強化するんだと、日本経済の活性化に資するためにこれやるんだという非常に大きなことを言われております。確かに、減税ということになりますと、国際競争力強化という、一企業の国際競争力強化というようなこともあるんでしょうが、さて経済の活性化ということになるとどういうことになるのかということ、そういったことをちょっと頭に置きながら中里参考人に伺いたいと思うんですけれども。
 近年、日本の企業の国際競争力が低下したと言われているわけですけれども、私なんかは、低下したのかもしれないけれども、これは相対的なもので、八〇年代から九〇年代初めのころの国際競争力というのは、これはもう世界的に異常なものでして、その異常な国際競争力が少し下がったという程度じゃないかなというふうに考えておるんですけれども。その当時の競争力というのは、結局それを低下させたのは、八〇年代からずっと問題になってきました設備過剰問題や、八〇年代半ば以降の、プラザ合意以降の円高ですね、もうこのごろトレンドとしてずっと円高なわけですけれども、こういったことが大きく作用しているわけでして、そういったものを今わきに置いて税制を論じて、それでもって日本経済の活性化ということを言っているわけですけれども、もちろんそれが全然ないわけじゃありませんが。
 そこで、中里参考人に伺いたいのは、一体、税制による経済の活性化、国際競争力の強化という点では、確かに減税になる企業がそれだけ強くなるというのは分かります。ただ、それが日本経済全般の、日本経済の活力、これを増していくんだというふうなところまでいくとすると、どういった程度の税制改革でそれが可能なのか、それやるとすれば相当なものじゃないかというふうに思うんですが、まず伺いたいと思います。
#77
○参考人(中里実君) 例えば法人税を廃止して消費税を二〇%とか三〇%にするというようなことでも可能ならば、もしかすると何か起こる、かなりの活力ということはあるのかもしれませんけれども、なかなか日本がタックスヘーブンになるわけにもまいりませんので、それは現実的ではございません。そうすると、先生のおっしゃられたように、租税制度に余り過大な期待を抱いていただいても困る。やっぱり国の税収を集めるのが租税制度の本来の役割ですから、経済活力のために租税制度があるわけではございません、それは付随的な効果でございますので、そこは基本だと思います。
 ただし、国際競争力というのはぼうっとしているとすぐなくなってしまうものでございまして、五年、十年でもうとんでもないことが起こるというくらい急激な変化が経済活動、世界的に起こっておりますので、日本企業がちょっとした税率の差で外国に全部出ていってしまって、残るのは失業問題だけであるというようなことになりますと、これも困りますから、他の国と同じ程度の水準には維持しておかなければいけないということじゃないかと思います。もちろん、為替の変動によってドル建ての、ドルベースの賃金が下がればまた国際競争力の回復ということもあるのでしょうけれども、しかしそこまでならないようにするというのがいいことじゃないかというふうに思っております。
 一九八〇年代後半のアメリカでも国際競争力の確保のために様々な議論を行いましたから、税収の確保、国際競争力の確保、両方やっぱり程度の問題として突き進めていくということしかないんじゃないかと思いますが。
#78
○池田幹幸君 消費税の問題についていいますと、もし先ほど中里参考人のおっしゃったようなことになれば、むしろ日本経済、活力どころか逆にもう崩壊に向かうんじゃないかなと思うんですよ。法人税ゼロにして消費税を三〇%なんということにしますとね。そういった仮定は成り立たないあれですけれども、それはかなり乱暴な御意見じゃないかなと私は思いますが、そのことについてはともかく今論じません。
 そこで、中村参考人に伺いたいと思うんですけれども、程度問題というふうに中里参考人はおっしゃったんですが、国際競争力を強化していくという方向でのこの連結制度の導入ということになりますと、現実の問題として、抽象的にこれを見ていっても仕方がないので、恐らくどういった産業、どういった企業ですね、どういった分野で今回導入されるような連結納税制度を導入すると国際競争力が強化されていくのか。それがどういったルートを通じて日本経済の活力を高めるということにつながっていくのか。
 なぜこういうことを聞くかといいますと、今の日本におきまして、納税額の減少が競争力強化ということでは、これは現れていると思います。しかし、じゃ、国際競争力を強化された企業が増えることによって経済の活性化、これに結び付いていっているかというと、そうでない面というのは相当現れています。つまり、黒字企業において雇用を減らしているという、これ、統計上は今そう現れていますね。もちろん倒産によって失業が増えるということもあるんですけれども、黒字企業、もうかっている企業でリストラで雇用を減らしているんですね。まだ更にそれで経過をしております。そのことを私、念頭にあるものですから伺うんですけれども、競争力強化と日本経済の活性化ということで、今の現状から見れば逆の方向に向かっている面があるんですね。
 そういったことを考えますと、今、中村参考人に伺いたいのは、じゃ、どんな分野で、どういう企業でこういった納税制度、税制を導入すると活性化につながるというのが言えるのか、ちょっと具体例を挙げながらお聞かせ願えたらなと思うんです。
#79
○参考人(中村芳夫君) これは、どの分野、どの企業ということではないと思います。やはり日本企業全体が国際競争をする場合に不利な条件に置かれないということでこの連結納税制度が非常に重要な制度だと思っています。制度間競争に国が負けないためにも、この連結納税制度を導入すべきだというふうに考えております。
 もしもこの制度がなければ、今お話ありました、黒字企業でも減らしているんじゃないかというお話がございますが、むしろそういう企業は海外に出ていってしまう。そうしますと更に雇用が減ってしまう。やはり日本における雇用を維持するためには、日本が制度間競争に負けないということがこの連結納税制度の意味、意義だと思っております。
 むしろ、競争力の強化ということであれば、法人税率を引き下げるということが一番重要ではないかと思っております。
#80
○池田幹幸君 法人税率にいえば、もうずっと引き下げてきまして、国際的にももう、むしろ少し国際的に見ても低いんじゃないかと思われるところまで来ました、法人税率のことでいえば。経団連でも遜色のないところまで来たという表現を使っておられるぐらいですから、そういう状況だと思いますね。
 要するに、今お話しされた、かなり抽象的で私、納得いかないのは、大和総研の調査でも、今すぐ導入するというのは二%しかいないと、付加税を取り下げてくれれば導入するだろうというのが二割あったというお話でしたね、先ほどね。そういう統計がある。私もここに大和総研の統計を見せていただいていますけれども、アンケート調査、そうなっています。
 つまり、イコールフッティングだという形でこれを導入するというけれども、現在、実際に企業は大きな減税効果があれば導入するよと。要するに、目的はイコールフッティングの競争ということじゃなしに、減税されるかどうかなんですね。それが関心事になっているということでしょう。そうすると、全く、今言っておられるような崇高な、何というんですかね、制度上の問題ではなしに、今、減税されるかどうかだと。だから、この付加税がなくなって二年後には導入するところは増えるかもしれません。付加税がなくなると減税が多くなるから。そういう問題だろうと思うんですがね、じゃないでしょうか。
#81
○参考人(中村芳夫君) 先ほど申し上げたのは、二%は今すぐ導入を考えている、それと二割が前向きに考えているということで、なくなれば導入するということではございませんでした。
 それと、減税があるから導入するということではないと思います。やはり全体で、今回の試算に出ておりますように、課税ベースの拡大によりまして税収は中立になっていると思います。付加税の二%があると更なる増収になるのではないかと思っておりますので、減税があるからこれを導入するということではないと思います。
#82
○池田幹幸君 少し認識がまた違うと思うんですがね。
 それじゃ、ちょっと一つ伺いたいと思いますが、この問題、中小企業にとっては余りメリットがないんだという論があります。それについていろいろと中村参考人もあちこちで書いておられる。座談会でも話しておられる。読ませていただいたんですけれども、これはやっぱり、中小企業にとっては不利でないというふうなかなりお話をしておられますけれども、やっぱり中小企業にとっては余りメリットないんじゃないですか。
#83
○参考人(中村芳夫君) これは企業の規模を問わずメリットがあると考えております。実際に、導入されたフランスにおきましては、むしろ中小企業の方がこの制度を利用しております。
#84
○池田幹幸君 その制度の問題が、制度の違いというのもあるだろうと思うんですがね、そこでは。
 ただ、私、経団連の専務理事としておいでいただいているし、その経団連全体の考え方かなと思ったら必ずしもそうじゃなくて、座談会、経団連の月刊経団連ですか、読ませていただいても、やはり中小企業にはこれ不利だよと言っておられる方もあるわけですね。
 非常に私は奇異な感じがするのは、「税務経理」などでも書いていらっしゃるんですが、中小企業にはメリットがないということについて質問されて、参考人は、連結納税を導入することによって大企業にだけメリットが行くというのはおかしいとおっしゃっているんですね。それで、むしろ連結納税がなかったためにグループとしてより多くの税を納めていたのではないか、むしろ今まで納め過ぎていたんじゃないかというふうにおっしゃっているんですが、私、これはいかがかなと。
 少なくとも、大企業の事業部制を持っておったその構成と同じような中小企業の一団があったとしますね、そうしますと、連結納税によってこのグループは確かにこれから減税になります。しかし、中小企業の一団というのは依然として同じだけの税金を納めなければいけなくなるわけですね。そういった中小企業というのは税金を納め過ぎているということになるのかというと、そうじゃないだろうというふうに私は思うんですね。
 そういう点では、むしろこれから経団連、この税制一日も早くということをおっしゃっているんですけれども、そういったところについても、日本経団連となられたわけですけれども、もう少し目配りしていただければなというふうに私は思います。
 時間がございませんので、成川参考人に一点伺いたいと思うんです。
 先ほど労使協議のお話もありました。これ考えますと、私は、今までずっとお二人の参考人に伺ってきたその延長線上の問題なんですけれども、連結納税によって分社化がしやすくなるとか、いろいろ出てきます。それはそうなんですけれども、それ自身が、何といいますか、賃金の減額とかリストラ、そういったところにむしろ現実問題としては進んでいく傾向があるんじゃないかなというふうに私は思っているんです。
 それについて、連合として、これはどういうふうに見て、もしそういうふうに進むおそれがあるとすればどうしようとしているのか。もし具体例なんかもあれば、今の時点で具体例があればそれをお示ししながらお話しいただきたいなと思うんですが。
#85
○参考人(成川秀明君) 企業の分割は確かに今進んでございまして、我々労働組合としましては、同じ事業部門が分割されるということであれば、そこにおきます雇用、労働条件は当然今までの労働条件が維持されなければならないということで、労働組合の活動としてはそれをしっかり実現する取組をしてございます。雇用等につきましては雇用継承等の法律もできたわけであります。我々としては、やはり本人同意でしっかりした雇用保障する、と同時に、労働条件につきましても維持する必要があると、こう考えております。
 ただ、残念ながら現実には、それをしっかり実現できている労働組合あるいは会社分割もございます。が、今、議員が御指摘のように、大変な今のこの不況長期化の中で、親会社自身の経営が厳しい中で分割等に直面するという中で、労働条件等について一部低下やむなしということで組合が譲歩している例も、これやはりかなり数出てきてございます。大変我々としては残念な事態である。しかし、そこではやはり、労使の協議の中で最大限労働条件を確保すると同時に、やはり企業の活力を全従業員が引き出すような、そういう企業組織でなければならないというふうに考えてございます。
 そういう点で、是非、単なる国際競争力というだけではなしに、国際競争力自身は、その企業あるいは事業で働く人のやはり能力がよく発揮できると、これが基本だというふうに思っておりまして、我々労働組合としてはそういうことを基本にして取り組んでいきたい、こう考えてございます。
#86
○池田幹幸君 最後に、先ほどのお話の中で七割の企業が赤字だと、中小企業はほとんど税金を納めていないといったような感じのお話があったんですが、これは一言お話ししておかにゃいかぬなと思うのは、この委員会でもずっと論議ありましたように、金融庁の検査マニュアルがありました。あれ見ても、三期連続で赤字になった企業はもう金貸してくれませんからね、もうつぶれるしかなくなっちゃうわけで、ですから、七割の中小企業、七割を占める中小企業がみんな赤字で税金を納めていないとかそういったことではないし、赤字続きの企業でも、むしろ四苦八苦して黒字にして税金を納めて企業を存続させているという実態にあるということは、今日、参考人の方にも是非御理解いただきたいなというふうに思います。
 終わります。
#87
○平野達男君 国会改革連絡会(自由党)の平野でございます。今日はどうもありがとうございます。
 まず、中里参考人にお伺いしますけれども、参考人は、税制というのは市場における企業活動にまずできるだけ介入しないようにするのがいいんだというスタンスを取っておられますけれども、今回の連結納税制度の導入というのは、今までの税制がどちらかというと企業活動、あるべき企業活動に制約を受ける方向で動いていたという前提で導入されるのか、あるいは、そうでない、もっと別な観点で導入されるのか。先ほど国際競争力というお話がございましたけれども、いわゆる税のあるべき姿という本来論からいった場合には、どのような考え方をお持ちであったんでしょうか。
#88
○参考人(中里実君) 私の専門が金融取引に対する課税なものですから、どうしても中立的な租税制度を仕組みませんと取引があちこち動いてしまったり、大きなディストーションが生じますので、そういうところに焦点を当てますと、どうしても中立性を重視し、税制による介入は少ない方がいいということになるんですけれども、一般論として語りますと、金融取引だけでは世の中ございませんので、もうちょっと複雑な要因が絡み合っているというふうに思います。
 ただ、法人格をここで区切ったから、あっちは赤字、こっちは黒字でも、全体として黒字の方から税金取られるけれども赤字の方はそのままだというのはやはり説明は付かないですので、連結納税制度というのは、その本質から考えるならば、それはもうあるべき姿としてやっと導入されたかなという、それはそういう考えでございます。
#89
○平野達男君 その観点からいきますと、制度論的には、これを選択制にしていますけれども、制度論的にはこれはどういうふうに評価されるんでしょうか。企業はやっぱり当然プラスかマイナスでこれは判断しますから、その観点は当然前面に出てくるんですけれども、今のおっしゃった先生のいわゆる純理論的な考え方からすると、選択制というのはどうもなじまないという感じもするんですが、中里先生のその学説というか考え方から見てどのようにお考えになるか、ちょっとお聞かせ願いたいんですが。
#90
○参考人(中里実君) 自由主義経済の基本というのは選択ということでございましょうから、それはそれで仕方がないというか、特に大きな問題ではないというふうに実は考えております。
 ただ、年じゅうあっち行ったりこっち行ったりというのはちょっと困るかもしれないですね。
#91
○平野達男君 先ほど外形標準課税のお話が出ましたけれども、導入の時期という点でちょっと御質問したいと思いますけれども、本当に今、企業は、いいところはいいんですけれども、基本的に困っているところは過剰債務、債務で困っているというのが現状だというふうに認識しております。その中での外形標準課税の導入というその時期の問題なんですけれども、これについては中里参考人はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
#92
○参考人(中里実君) 具体的にどのような外形標準課税の案が出されてくるかによって、これは全然違ったものとなるのではないかと思います。ですから、一般論としてちょっとお答えすることはなかなか難しいんじゃないかというふうに思います。
 今まで出てきたような案でいきますと、いろいろなそれに反対の力というのも大きいと思いますから、そう簡単にすぐ導入ということになるような気はいたしませんけれども、仕組み方を変えて、その変え方によってはそんなに遠くない将来ということもあるかもしれませんので、すべてこれからということになるんじゃないかというふうに思いますが。
#93
○平野達男君 そこがやっぱり政治の判断だと思うんですが。
 次に、中村参考人にお伺いしますけれども、今回の制度の中で一〇〇%子会社に子会社を限定していますが、ほかの諸国を見ますと、五〇%以上、八〇%以上株式の所有で、かなり今ハードルを下げていますが、この今回の一〇〇%という措置を経団連の中村参考人は、今回暫定的な措置、取りあえずこれでいいという考え方で受け取っておられるのか、いや、そうじゃなくて、将来的にはこれはもうちょっとやっぱり下げるべきだという考え方を取っておられるのか、まず、そのお考えをちょっとお聞きしたいと思いますが。
#94
○参考人(中村芳夫君) 導入当初は一〇〇%で仕方がないというふうに考え、これは少数株主の権利の問題の調整がなかなか難しいというふうに考えております。しかしながら、やっぱり将来は八〇とか、そういう数字まで行っていただければというふうに考えております。
#95
○平野達男君 その少数株主の権利の調整にはどういった問題、理論的には分かるんですが、それは時間が掛かるものなんでしょうか。というのは、例えば今回の中で非常に不思議に思うのは、欧米諸国、八五とか九〇に下げているんですが、話が付かなければ子会社に入らなくてもいいと。制度上はそこまで下げておいて制度を最初から導入してもいいじゃないかという考え方があったと思うんですね。そこは中村参考人はどのように考えられるでしょうか。
#96
○参考人(中村芳夫君) やはり配当可能利益が変わってしまうというところの調整が付かないと思うんです。これ、もしも、今単体で配当をしておりますので、その辺のところの調整が付けば、一〇〇パーでなくてもよろしいかと思います。
#97
○平野達男君 要するに、それはもう短期間では付かないという見通しだったから一〇〇%にしたということですね。
#98
○参考人(中村芳夫君) やはり、今年度是非導入していただきたいということで、一〇〇%ということでお願いしました。
#99
○平野達男君 本音はやっぱりどうしても、本音はやっぱりもうちょっと下げてもらいたかったという本音をちょっと感じたんですけれども、そこはどうなんでしょうか。
#100
○参考人(中村芳夫君) 先ほどからお話、これは財源の問題も絡んでくると思います。そこまで広げますと、やはり財源上の問題が出てくると思います。
#101
○平野達男君 分かりました。
 それで、先ほど成川参考人がちょっと御指摘されましたけれども、今回の税収の部分を、例えば退職手当引当金を崩すんだというようなことで、課税ベースの拡大ということで補てんをするということも入れています。これは、連結納税制度を入れる企業とそうでない企業の中にずれがやっぱりありまして、結局、連結納税制度を入れる企業のいわゆる減税分を他の企業の増税で負担をするという仕組みがどうしてもここでできています。これは経団連としては、中村参考人としてはこれはしようがないというお話だったんですけれども、今回の税収の確保というのが本当にこれでよかったのかどうか、もう一度ちょっとお伺いしたいと思います。
#102
○参考人(中村芳夫君) 退職給与引当金につきましては、これまでも四〇から二〇に今下がっている過程であります。むしろ、国会からの我々に対するメッセージは、退職一時金というのはこれからは減らしていくんだぞというメッセージとして我々は受け取っております。ですから、そこに手が付くということは、そこを調整するということは理解できることだと。むしろ、この際、企業年金の方の充実を図っていただきたいというふうに考えております。
#103
○平野達男君 先ほどの池田委員の質問にもちょっと関連しますけれども、二割の企業が今回導入を、本当なら可能性があるんだけれども見合わせているということの理屈の中で、いろんな理由があるというふうにおっしゃいましたけれども、私は、基本的にどうもやっぱりプラス・マイナスで判断しているんではないかという要素が非常に強いんですが、もう一度、具体的に、じゃ、なぜその二割の企業が今回見合わせているのかということについての具体例をちょっと具体的に教えていただけないでしょうか。
#104
○参考人(中村芳夫君) 二割の企業は前向きに考え、八割が見合わせているということでございますね。
 それは、いろいろ問題点があるということで、例えば子会社の欠損金を使えないとか、時価評価されてしまうとか、寄附金が否認されてしまうとか、更に付加税が掛かるということを総合的に判断して、むしろ税負担が高まるということで、それならば単体課税の方がよろしいということで導入しないんだと思います。
#105
○平野達男君 それじゃ、成川参考人にお伺いしますけれども、先ほどの退職手当引当金の取崩しなんですけれども、これは帳簿上だけの問題だという見方もありますが、だけれども実態的には本当に影響が出てこないのかどうか、これは成川参考人、どのように考えておられるでしょうか。
#106
○参考人(成川秀明君) 確かに、企業の退職金支払におきましては、もちろんこういう引当金制度があった方が対応しやすいということはあると思いますが、これは支払わなきゃならない企業の債務でございますから、ほかの融資などによって当然企業は調達して退職金支払われる、こういうことだと思います。
 ただ、この制度の中で中小企業、なかなか利用できていない現実がございますが、これのあることによって退職金の支払が、やはり一部は支払がしやすくなっているという側面はあるわけでございまして、それまでを廃止するという点については、我々としては、やはり問題は残っていると、こういうふうに受け止めております。
#107
○平野達男君 何でも制度の導入というのはプラス面とマイナス面がやっぱりあると思うんですが、この連結納税制度を、企業が一体となって活動するよという意味において私はこれは実は賛成なんですが、成川参考人は総体として、ずばりお聞きしますけれども、今回の制度についてはプラス評価なんでしょうか、マイナス評価なんでしょうか。
#108
○参考人(成川秀明君) 企業の今の経営活動の実態からいけばこういう流れになる。ただ、その中で、やはり個々の企業の中の、企業に参加している、あるいは企業組織に携わっている者は本当に能力を十分発揮できるかどうか、これが企業の活動のポイントでございまして、その点から見ますと、今回の法案はその点への配慮が余り見えずに、主に、当然税制の制度でございますから、かなり親会社中心に租税の回避行為等の防止という点をきつく考えている制度であるというふうに私どもは受け止めてございます。
#109
○平野達男君 ちょっと話が、質問の内容が変わりますけれども、先ほど社会保障の給付の話がございました。
 御承知のように、社会保障については今賦課制度でやっておりまして、これについては、少子高齢化の中で世代間の不公平の問題とかあるということで、非常にたくさんの問題が指摘されています。その中で、これを賦課から税金に変えたらどうかという今意見が強く出てきています。それに対する成川参考人のお考えがどうかということ。それから、その場合に、税金化した場合に、これは反対だと言えば次の議論に進まないわけですが、時間がありませんから先に進みますが、いわゆる消費税の引上げという形がいいのか、あるいは課税最低限度の引下げによる、いわゆる課税ベースを引き下げて薄く所得税に賦課する方式がいいのか、成川参考人、どのように考えておられるでしょうか。
#110
○参考人(成川秀明君) 先ほども申しましたが、やはり国民は社会保障の給付につきましては、制度は当然持続的で国民生活を支えるものであってほしい、こう強く願っていると受け止めてございます。
 したがいまして、これをしっかり支える制度にしていくというのが大事であるということで、我々としましては、例えば今、年金であれば空洞化問題、なかなか払わない人、払えない人が増えているということについては、これは税でやはりある程度工夫しながら支えていくということが必要である。そのためには、基礎年金のある部分については、この基礎年金の目的税というふうな形でこれは消費税を充てると。もちろん、この消費税は今、益税等をしっかり改めるという形でございますが、それも必要であるというふうに受け止めてございます。
 課税最低限、所得税につきましては今課税最低限の引下げが大変論議されてございますが、実は、国際的に見ますと、一人に対する課税最低限あるいは二人世帯に対します課税最低限、日本の場合は決して高いものではございません。具体的に給与所得者、特に源泉徴収をされている者は八十数%が納税してございますし、二百万円以上の所得のある者で見ますと九〇%を超えているという現状でございます。この広く薄くという考え方の中では、やはりしっかりした最低生活をどう保障していくのか、社会保障給付との関係の中で議論すべきであるというふうに思ってございます。
#111
○平野達男君 もう時間ないですね。じゃ、これで終わります。どうもありがとうございました。
#112
○大渕絹子君 三人の御参考人の皆さんには本当にありがとうございました。
 まず、中村参考人にお尋ねをしていきたいと思いますが、今、平野委員からもお尋ねがございましたけれども、グループ全体で活力を高めて、産業構造改革にも資して、国際競争力を高めるために連結納税制度は必要であり、その導入には積極的に早くしてほしいということをおっしゃっているわけですけれども、実態では二%しか今年は導入しない、また、二割の人たちが今まだ考えていて、いろいろ条件がそろえば導入をしていきたい、あとの八割は積極導入には至らない、それはいわゆる単体税率の方が有利だというふうにさっきおっしゃいましたですよね。
 そうしますと、この連結納税制度を一九七〇年代から経団連では提言をしながら早期導入を要求をしてきたにもかかわらず、実際に導入の段階になってみたらこういう実態であるとするならば、私は率直に申し上げて、税制の改正によって赤字である企業を救済をするという極めてゆがんだ形の税制が今導入をされようとしているんではないかというふうに思うわけですけれども、こういう私の考え方について、参考人の考え方を聞かせていただきたいと思います。
#113
○参考人(中村芳夫君) 先ほどから申し上げておりますが、やはり制度として日本が持つということが非常に重要なことで、制度間競争に負けないという意味で是非導入していただきたいと思います。
 ただ、当初から一〇〇%完全なものを導入することは難しいということも我々十分理解しておりまして、一たび導入された後、それがどういう問題点を持っているのかと、実態調査されるというふうに財務大臣おっしゃっております。是非調査をしていただいて、直すべきところは直していただきたい。まず導入をすることが先決だというふうに考えております。
#114
○大渕絹子君 中里参考人は今の私の主張をどのようにお考えでしょう。
#115
○参考人(中里実君) 税金で赤字企業を救済する制度だという御指摘でございますか。
 救済するのは親会社の方じゃないかというふうに思うんですけれども、何か間違っていますでしょうか。
#116
○大渕絹子君 いえ、ですから、親会社と一体的な産業グループの中で赤字経営に陥っている部分を救済をするというところの、いわゆるそのことで産業に活力を与えていくということですので、理解しないわけではないのですけれども、極めて意図的であるというふうに私は思うのですけれども。
#117
○参考人(中里実君) 事業がすべて、各系列の会社もすべて黒字になるということであれば、もちろんそれは一番よろしいわけですが、これはヘッジというのか、リスクの問題で確率的な事象でございますので、五つ何か事業をやればそのうちの一つくらいは赤字になるというときに、赤字だからつぶしてしまうという考え方もあるかもしれませんが、トータルで考えるという考え方も当然あると思いますので、先生のようなお考え、もちろん理屈としてはあるのかもしれませんけれども、私は、親会社のコントロールをトータルで考えるということ自体は、特に大きな何か論理矛盾のような問題があるとはちょっと考えられないんですけれども。申し訳ありません。
#118
○大渕絹子君 いいえ。はい、ありがとうございます。
 それでは、中里参考人に重ねてお尋ねをいたしますけれども、今、法人事業税の中に外形標準課税で適用したいという話が持ち上がっています。総務省の改正案を見ますと、所得割で三、そして付加価値割で二、そして資本割で一で、それぞれ税率は、所得割で四・八%、そして賃金などの付加価値割を〇・六六%、資本割は〇・四八%というのが示されています。そして、なお、資本金一千万円未満の法人には年四万八千円を限度として課税をするというようなことで示されているんですけれども、こうした外形標準課税の導入についてどのようにお考えになりますでしょうか。
#119
○参考人(中里実君) 一千万円未満の企業について四万八千円、年に四万八千円というのが高いのか低いのか、これは何とも私のような世の中知らない人間にはお答えのしようがないんですけれども、多少はお支払いいただくということ自体はなかなか一〇〇%否定はできないんじゃないかというふうに思います。ただ、これは去年ですかね、出された総務省の試案ですから、このとおりの形で出てくるかどうかも分かりません。
 ただ、この案にもし問題があるとすれば、資本の部分じゃないかというふうに思っております。資本金で課税してしまいますと、例えば銀行とか物すごい負担になってしまうわけですね。ですから、それで金融行政の方がもつのかとかいろんな波及効果がありますから、もうちょっとこの所得割、付加価値割、資本割というのの中身は詰めた上で検討していただいた方がよろしいんじゃないかというような感じは持っております。
#120
○大渕絹子君 ただ、賃金割のところを割合を高めることによって雇用の幅を狭めるとか、あるいは労働者の賃金に大きくかかわってマイナス面が出てくるのではないかということもあって、そこは非常に難しいのではないかというふうに思いますけれども、成川参考人、この賃金割のところの導入というところと資本の割合というのをどのようにお考えになるでしょうか。
#121
○参考人(成川秀明君) 法人事業税の外形標準化でございますが、私ども普通に働く者から見ますと、赤字法人、実はこれは大企業におきましても今四割ぐらいあるというふうに我々見ております。これが赤字であるということで、特に地域におきまして応益的な負担からある程度逃れるというのは納得いかないというのが我々の基本的な考えです。したがいまして、何らかの形での外形化が必要である。しかし、やはり赤字法人の多くは中小企業でございまして、単純な外形化ではこれは中小企業に大きな影響が出るというふうに思っております。
 そういう意味で、我々としては、この所得分についてはやはり半分ぐらいきちっと残す、課税ベースに残す。同時に、やはり外形化につきましては、中小企業等への影響がなるべく低い形で外形化を考えると同時に、今、賃金部分とおっしゃいましたが、実はこれは付加価値部分でございまして、これ加算型付加価値で今計算せざるを得ないということになりますと、賃金部分が見えてくるということで、賃金課税という形になってしまうわけであります。
 我々としては、なるべく外形化に当たりましては中小企業への影響を少なくし、かつ賃金部分について二割ぐらいまでに引き下げた形での外形化を行うべきである。ただ、今のような大変な不況の事態の中でこれを即導入しますと大変中小企業に大きな影響が出るということで、やはり二%ぐらいの成長に戻り、それが安定、継続するという段階で導入はやむなしということを考えてございます。
#122
○大渕絹子君 中村参考人にお伺いいたしますが、経団連の税制改革の方向みたい、御提案というのをいただきました。そして読ませていただきましたら、今の話と連携するんですけれども、二百三十万企業の中で七割が赤字、その七割の赤字の中の九五%が五千万円以下の企業であるというのが提言の中に書かれてございました。
 そうしますと、私は、この課税制度、外形標準課税を入れてくるときに、総務省の案では一千万で区切って四万八千円というのが出てきましたけれども、そのもう一段上のところで五千万円まで、一千万円までは幾ら幾ら、五千万円の企業までは幾ら幾らというようなのを出さないと、赤字の九五%が五千万円以下に絞られているという経団連の御指摘からすると、そういうことも必要になってくるのかなというふうに思うのですけれども、そこはどういうふうにお考えでしょうか。それとも、示されたような税率できちんとやればそこも救われてくるんだというふうにお考えでしょうか。
#123
○参考人(中村芳夫君) 私どもの提言の中でそのことを指摘させていただいたのは、要するに、赤字法人と言うには問題があるんではないですかと、赤字法人課税をしろということで提言させていただいたんではなくて、やはり中小法人の中には、先ほど中里先生からお話しありましたように、なぜ法人になっているのかと、そういう根本問題をやっぱり突き詰めていかないと、単に赤字法人課税ということで議論を進めていくと問題を誤るんではないかということで指摘させていただきました。
#124
○大渕絹子君 成川参考人に最後にお伺いをいたしたいと思います。
 今、課税ベースの拡大という論点の中で、配偶者控除、特別配偶者控除の問題が非常に大きくなってきていますけれども、私は、働く者の立場からすると、課税ベースを広げる論点で配偶者控除を削除というのはちょっとなじまない。むしろ、女性の社会参加を促進をして、そして働く女性からも所得税をきちんと納めていただいて税収入を上げていく観点からすると、この配偶者控除、特別配偶者控除というのは撤廃をしていってもいいのではないかなというふうに思うわけですけれども、しかし、その撤廃をされた控除額はそのほかのところ、例えば子供たちや老親の扶養とかあるいは基礎控除とかというところに当然付加をされていって、課税ベース、個人の給与所得者のところからは当然引かれていくべき金だというふうに思うのですけれども、どうもそうではなく、課税ベースの最低限度の引下げの論理の中でこれが使われていることに私は不満があるのですけれども、成川参考人のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#125
○参考人(成川秀明君) 私どもも今議論をしておりまして大変頭を悩めている問題ですが、今、先生の方から御指摘のように、これを単純に廃止しますと、今適用されている方にとってその分だけ税負担が増えるという制度で単純な廃止論はございます。そして、今の配偶者控除、配偶者特別控除につきましても、多くの方が、六割ぐらいの方は実は五百万円、所得層五百万円以下で適用になってございまして、影響を受けるのはむしろ中低所得者層に大きな影響が出るという特色がございます。
 そういう影響をどうやはりしっかり緩和あるいはなくす形で女性の方の働くあるいは社会参加に制約にならないような、そういう制度にするかということが大事じゃないか、こう思ってございます。特に、配偶者控除については現在扶養控除と同じ金額になっていますが、配偶者控除の廃止ということでは何らの、配偶者に対して扶養という面でも見ないという制度になると、大変やはり実際家計の中ではこのことで生活自身に大きな影響が出るんじゃないかというふうに思っております。
 配偶者特別控除については、なるべく働き方に影響を与えないような形でのやはり制度の施策が考えられるべきじゃないかというふうに思っておりまして、連合としましては、例えば夫婦合算して二分の二乗、半分ずつで負担をするというふうな制度も当然検討されてしかるべきじゃないかというふうに思っております。
#126
○大渕絹子君 済みません、最後と言ったんですけれども、先ほど税は広く薄くというような話が出ておりましたけれども、私は、税というのはそもそもやっぱり応能負担の原則というのを貫かれるべきでないかというふうに思います。富の再分配ということを図っていくのが税の私は本来あるべき姿だというふうに思っておりまして、今盛んに広く薄く公平にというこの論理で、低所得者あるいは応能ができないところにまでも負担をさせていこうというような風潮が広がりつつあることに非常に懸念を持っているわけですけれども、これは私の意見として申し上げさしていただいて、終わります。
#127
○椎名素夫君 今日、お三方の参考人の方々、ありがとうございます。すぐに終わるようにいたします。
 中村参考人に伺いたいんですが、要するに、世界の国際的な流れ。それで、これに対抗するためにはやっぱりグループ経営みたいなことをどんどんやっていかなければいけない。事実、それが海外でも進んでおって、したがって、その具体的な形としてはこの連結納税というようなことが各国で取り入れられていて、このインフラを日本でも作っておかないと競争力の基本的な条件が整わないというような話の筋ですね。
 しかし、実際にこれやろうと、こういうことになってみると、それほどの会社あるいはグループが、これもうじりじりして待っていたからすぐにも取り入れたいというわけでもないというのは、どういうわけなんでしょうか、よく分からないんですが、付加税があるからやめたというだけじゃないと思うんですね。
 先ほど最初に申し上げたような問題意識ですね、日本の経済、元気になってやるためにはという。その、こうあるべきで、みんなそれでやりましょうという感じでお考えになっておられるんだろうと思うんですが、実際に、そういうものがあれば、税を納める、あるいは国の立場からいえば徴収するのに、実態と懸け離れない形でこの税金を納めてもらおうということがそもそもの筋なわけですが、その実態というのがまだ御期待になったほどできていないということなんですか。付加税で何のということを離れて、日本の企業の姿勢というか、構造というものが本当に国際化していないということによって参加率が減るということなのか、この税金の仕組みだけで割に少ないのか、どういう見当で見ていればいいんでしょうか。
#128
○参考人(中村芳夫君) 先ほど申し上げたのは、調査は三月時点のもので、実際まだ法案が提出される前の段階での調査でしたので、今また調査すればまた違うかも分かりませんが、やはり先生の御指摘で、日本の企業の経営上の問題があるんじゃないか、国際的になっていないんじゃないかというより、むしろやはり制度の仕組みの問題だと思います。やはり付加税の問題、子会社の欠損金の持込みの否認の問題、時価評価の問題、寄附金の否認の問題等、すべて一〇〇%にこれができ上がっていないというところから、三月時点の調査では二割方の企業が検討するということになったんだと思います。
#129
○椎名素夫君 それでは、是非とももう今回導入をしたいという、非常に強く希望しておられるようですが、それをやると、その方向に言わば誘導されるとお思いなんですか。
#130
○参考人(中村芳夫君) 財務大臣がおっしゃっておりますように、導入した後、その実施状況を調べたいとおっしゃっておりますので、是非その実態調査をしていただいて、なぜ導入しなかったのか、実際導入してみませんと企業が採用するかどうかも分かりませんので、その調査を是非やっていただきたい。
 ここで制度が導入されませんと、我々としては、いつ導入になるのか、また不安な気持ちになります。我々としては、この連結納税制度、もっと早い時期に導入していただきたかったんですけれども、企業再編税制が次から次とあったために今まで延びてしまったということと、やはり財政状況が非常に厳しいということも考慮した結果このような制度になったということも理解しているということで、是非今の段階で制度として導入していただきたいという気持ちを強く持っております。
#131
○椎名素夫君 ありがとうございました。
 中里参考人に、御専門だけじゃなしに、税というものについて私よく分からないところがあるんで伺いたいと思うんですが、簡素、中立、公平ですか、よく言いますね。中立というのが一体いいのか悪いのか、そいつを活力とかいうのに言い換えたらいいのかとかいうような話が一方ではあります。そして、小泉総理は、今度は抜本的な税制の改正をやると、こうおっしゃって、そうすると、何かいいことが起こるんじゃないかという気が方々でするわけですね。
 しかし、先ほどおっしゃったように、税だけで何もかも解決できるというようなことはほとんどないと私も思うし、現実に、手を付けていくとそれぞれの税をいじっていかなきゃいけない。これは昔からそうなんですが、この場合には企業税制の中でいろいろ考える。そうすると、ここでしかし導入すると赤が出るなと。これをどうしようかというのを、中立というのを非常に狭く狭く取っていくと、十円赤が出たら十円どっかから持ってこなきゃいけないという、もっと大きなのもありますけれども、あらゆる話にそういうのが付きまとって、結局、余りその選択肢というのは全体幾ら足してみても出てこないというようなことが、ずっと私、日本の様々な政策で続いてきたように思うんです。
 その時々に、当時は今よりもお役人に対する信頼感というのは随分ありましたけれども、何かおかしいんじゃないかねと、三年ぶりの土地の値上がりで、値上がり分だけでアメリカ買えちゃうよというような話はどうもおかしいんじゃないかねと言うと、いや、そんなことないんですと。これは新しい概念で、国土のGNP密度というようなことを考えますと、この東京辺りの地価がそのぐらいになっても別に不思議はないというような、本当に不思議な話を聞かされたことがある。いつ聞いても、いや、ちゃんとしておりますと言うんですね。
 ゴルフで、私はもうやめちゃいましたけれども、ぽんと球を打って、スライスだか何かしますと、ぼおんとまず真っすぐ飛んでいくけれども、途中からぐうんと曲がるでしょう。しかし、あの一刻一刻、五十センチか一メートルぐらいずつに着目していると、大体直線上を飛んでいるんですね。ところが、いや、真っすぐ飛んでいますと言っている間にふうっと曲がっていって谷底に落ちるというようなことが、今、日本の経済全体にも起こっているんじゃないかという私は気がしてしようがないんですが。
 それから、中立、中立というようなことを一体どういうふうに解釈すればいいのか。とにかく十円出ていったら即刻十円拾ってこなきゃいけないというような話が一番厳格なわけですが、まあ一年の間に取り返せばいいよというのか、三年でもいいよというのか、まあどうなるか分からないけれどもやってみるかというようなのもあるでしょうし、それは最後のケースは余り感心しませんけれども、どうも日本の経済などが危機的な状況にあるというときに、この税の問題でも、そのときそのときに中立というような観念というのを一体どこまで一つのディシプリンとして守っていかなきゃいけないのかというのがどうも私分からないんですが、その辺り、雑駁な質問で申し訳ないんですが、教えていただけますでしょうか。
#132
○参考人(中里実君) 先生のおっしゃられたのは税収中立のことだろうと思いますけれども、これは、財政が赤字体質のときには、どうしても余り大盤振る舞いで減税これ以上することもできないというようなところの一種の財政規律の問題として税収中立ということを言わざるを得ないんだろうというふうに思います。そのこと自体がいいかどうかというのは、またもちろん別の経済的な考慮があるんだろうと思います。
 税制の基本原則として、簡素、中立、公平ということ、この意味の、ここで言う中立というのはマーケットメカニズムに過度に介入しないという意味でしょうから、こちらの中立というのはもちろんそれはそれなりに意味のあることで、活力と読み替えるというのは、世界、私そういう論文というのは今まで読んだことなくて、どうして出てきたのかよく分からないんですが、ほとんど課税理論的には、活力というのを言うのは経済財政諮問会議の方々だけじゃないかと。そういう答案が出てきたらどう採点しようか非常に困ってしまう話ですが、立派な先生方ですから、きっとさぞ難しい理屈があってそういうふうにおっしゃっているんだろうとは思いますが。
 日本の問題は高齢化でございますので、高齢化の問題は税制で解決できない話で、今まで高齢者比率が余り多くなかったから経済発展できたところもあって、その方々が、今高齢化しつつある方々が一生懸命働いたからここまで来たということはあるわけですから、多少みんなで痛みを分け合うというような感じで広く薄くというのも、これは人間として僕は惻隠の情は仁なりという話じゃないかというふうに考えますけれども。
 ちょっと雑駁なお答えで申し訳ございません。
#133
○椎名素夫君 じゃ、もう一つ簡単に。
 要するに、広く薄くという話になりますと、それより前に、まず税金というのに対する意識というのがないのは、特に給与所得者などで源泉でもうやってもらって、結局手取り幾らだというような話しかやっていないことにあると私は思うんですが、全部申告制にするということというのは非常に私は意味があるように、一時アメリカにちょっと住んでいたときに、アメリカのそろばんもない人たち、当時まだコンピューターもない、本当に筆算でもって物すごい苦労しながらやっぱり申告を自分でしていたのを見て、これは意味があるなと思ったんですが、これについて、殊に成川参考人にどうお考えか伺いたいんですが。
#134
○参考人(成川秀明君) やはり税は、私はまずやはり支出面、いかに国民の経済あるいは国の基本的な役割に税がしっかり使われるか、そのためにどうしてもこれだけの支えるお金が必要であるということを国民に示していただいて、その分は税金として納める、こういうのが国の税の基本的な考え方じゃないか、こう思っております。
 そういう中で、それをやはり、今、先生御指摘のように自動的に源泉徴収で税が徴収されますと、歳出に対して、あるいは国のやっている役割に対する納税者あるいは国民のやはりチェックの目がどうしても薄くなるというのは事実だと思っておりまして、我々としては是非この申告納税、働く者、確かに今、年末調整でもうすべて任している側面があるわけですが、自ら申告する、これがやはり大事じゃないかというふうに我々は議論しまして、まずは選択にさしてもらう、申告納税をしたい人は申告納税できるという制度をきちっと作るということが大事である、こういうふうに思ってございます。
#135
○椎名素夫君 ありがとうございました。
 終わります。
#136
○委員長(山下八洲夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様にお礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。
 午前の審査はこの程度にとどめ、休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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