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2002/07/04 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 財政金融委員会 第23号
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2002/07/04 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 財政金融委員会 第23号

#1
第154回国会 財政金融委員会 第23号
平成十四年七月四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     段本 幸男君     清水 達雄君
 七月三日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     山根 隆治君
     櫻井  充君     今泉  昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下八洲夫君
    理 事
                入澤  肇君
                林  芳正君
                若林 正俊君
                円 より子君
                山本  保君
    委 員
                上杉 光弘君
                金田 勝年君
                鴻池 祥肇君
                清水 達雄君
                中島 啓雄君
                溝手 顕正君
                山下 英利君
                大塚 耕平君
                峰崎 直樹君
                山根 隆治君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                平野 達男君
                大渕 絹子君
                椎名 素夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )

    ─────────────
#2
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二十六日、段本幸男君が委員を辞任され、その補欠として清水達雄君が選任されました。
 また、昨三日、櫻井充君及び勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君及び山根隆治君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山下八洲夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山下八洲夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。速水日本銀行総裁。
#6
○参考人(速水優君) おはようございます。
 本日、御多忙の中、時間を差し繰っていただきましてありがとうございます。
 日本銀行は、先月、平成十三年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしました。今回、日本銀行の金融政策運営につきまして詳しく御説明申し上げる機会をいただきまして、厚く御礼申し上げます。
 本日は、最近の経済金融情勢や金融政策運営につきまして、日本銀行の考え方を少し述べさせていただきたいと思います。
 まず、経済の動向でございますが、我が国経済動向につきまして御説明を申し上げますと、昨年初来、IT分野の調整に伴って世界的に景気が急速に後退する中で、我が国経済も悪化傾向をたどってまいりました。しかし、今年の春先以降は、海外経済の回復を背景にして景気悪化のテンポは緩やかになっていき、最近では、輸出がはっきりと増加し生産も持ち直すなど、景気の下げ止まりに向けた動きが見られるようになりました。雇用面でも、所定外労働時間とか新規求人数が持ち直すなど、限界的な部分には改善の動きが見られ始めております。
 また、先日公表いたしました六月短観でも、企業の業況感の改善が確認されました。しかし、持続的な景気回復のかぎを握ります民間需要につきましては、設備投資が引き続き減少しておりますほか、個人消費も全体として弱めの動きが続いており、まだ回復へのはっきりとした動きはうかがわれません。
 先行きにつきましては、海外経済の回復基調が続けば、輸出や生産の増加が企業収益、ひいてはこれが国内民間需要の下支えに作用していくことを通じまして、景気は下げ止まっていくものと予想されます。もっとも、過剰労働や、過剰雇用や過剰債務の調整圧力が根強いことなどを踏まえますと、非製造業や中小企業あるいは家計部門へと前向きの動きが広がってまいりますには、なおかなりの時間を要すると考えられます。
 この間、物価面を見ますと、国内卸売物価は、これまでの輸入物価上昇とか在庫調整進展の影響もありまして、ほぼ横ばいの動きとなっております。前年比で見ましたマイナス幅も徐々に縮小しつつあります。ここ四、五か月のこれは新しい動きだと思って見ております。
 他方、消費者物価につきましては、緩やかな下落を続けております。先行きにつきましては、消費財輸入の増勢鈍化が価格低下圧力を何がしか緩和する要因として働くと考えられます。しかし、先ほど申し上げたように、国内民間需要の明確な回復にはなお時間を要すると見られますほか、技術革新とか規制緩和とか流通合理化といったような要因も、引き続き物価を押し下げる方向に作用すると考えられます。これらを踏まえて見ますと、当面、物価は緩やかな下落傾向をたどるものと見ております。
 次に、金融面の動きについて御説明させていただきます。
 金融・資本市場は、本年三月に掛けまして、ペイオフ解禁を控えた金融システム不安の高まりなどで、これらを背景にして神経質な展開をたどってまいりました。企業金融面でも、民間銀行の貸出し態度が慎重化して、信用力の低い企業、とりわけ中小企業では資金調達環境が徐々に厳しさを増してまいりました。
 しかし、四月以降、金融・資本市場は、経済情勢が幾分改善傾向を示す下で、全般に徐々に落ち着きを取り戻してきたように思います。社債、CPなど市場を通じた企業の資金調達環境はこのところ改善傾向にありまして、投資家の信用リスクに対する姿勢が回復してきたことがうかがわれます。もちろん、相対的に信用力の低い企業の資金調達環境がなお厳しい状況にあることも確かであります。このため、金融機関行動や企業金融の動向には引き続き十分注意していく必要があると考えております。
 また、六月中旬ごろから、米国株価の下落などを背景にして、株価がやや軟調に推移しているほか、為替相場もひところに比べてドル安・円高の動きとなっております。こうした市場の動きが行き過ぎ、金融・資本市場が大きく不安定化すると、改善傾向にあります我が国経済にも悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、金融・資本市場の動きにも細心の注意を払ってまいりたいと思っております。
 次に、金融政策運営につきまして御説明を申し上げます。
 日本銀行は、昨年三月に、コールレートがほぼゼロに達し、オーソドックスな金融政策による緩和余地がほぼなくなった下で、日銀当座預金という資金の量を目標とする金融政策運営の枠組みを採用いたしました。それ以来、こうした新しい政策の枠組みの下で、内外の中央銀行の歴史に例のない思い切った金融緩和を実施してまいった次第でございます。
 また、金融緩和の効果が企業金融の面でも浸透していくことを期待して、資金供給手段や担保面でも様々な工夫を凝らしてまいりました。
 この結果、金融市場では、オーバーナイト金利はもちろん、やや長めの短期金利までほぼゼロに低下するなど、金利は極めて低水準で推移しております。また、マネタリーベースの前年比は、三割前後の高い伸びとなっております。
 こうした日本銀行の金融政策運営は、IT分野の世界的な調整とか、米国テロ事件の発生とか、金融システム不安の高まりといったような、こういうものが我が国経済に大きなストレスを掛けている中で、金融市場の安定を確保することを通じて景気の底割れを防ぐという意味で大きな役割を果たしてきたと思っております。
 しかしながら、我が国経済が様々な構造問題を抱える下で、企業の投資や家計の支出が十分活発化するには至っていないことも事実であります。金融緩和がその効果を十分に発揮して、景気の本格的な回復を実現していくためには、税制改革や経済活性化策の具体化などによって経済・産業面での構造改革を進めて、民間需要を引き出していくことが不可欠であると思います。同時に、不良債権処理を通じて金融システムの強化・安定を図ることが極めて重要だと思います。
 我が国経済は、九〇年代以降、循環的には三度目の景気回復局面を迎えようとしていると申してよいかと思います。これまでの二度の回復局面につきましては、九五年前後、そして九九年から二〇〇〇年に掛けて、四半期ベースで見ますと、一時三%、年率で三%以上の上昇を示したことがございます。ところが、海外経済の減速とか金融システム不安などをきっかけにして景気は勢いを失ってしまい、民間需要全体の自律的かつ持続的な拡大には至ってまいりませんでした。こうした点を踏まえまして、我が国経済の持続的な成長の基盤を整えるために、各方面における構造改革への取組が粘り強く進められていくことを強く期待しておる次第でございます。
 日本銀行としましても、今後とも、デフレ脱却に向けて、潤沢な資金供給を通じて市場の安定と緩和効果の浸透に全力を挙げていくこと、また、最後の貸手としてシステミックリスクの顕現化を回避することの両面において、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けてまいりたいと思っております。
 以上で私からの説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(山下八洲夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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