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2002/07/02 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 外交防衛委員会 第22号
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2002/07/02 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 外交防衛委員会 第22号

#1
第154回国会 外交防衛委員会 第22号
平成十四年七月二日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     泉  信也君     扇  千景君
     加治屋義人君     松田 岩夫君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     扇  千景君     泉  信也君
     松田 岩夫君     矢野 哲朗君
 七月一日
    辞任         補欠選任
     桜井  新君     西銘順志郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         武見 敬三君
    理 事
                山本 一太君
                吉村剛太郎君
                木俣 佳丈君
                山口那津男君
                小泉 親司君
    委 員
                泉  信也君
                西銘順志郎君
                福島啓史郎君
                舛添 要一君
                矢野 哲朗君
                山下 善彦君
                海野  徹君
                佐藤 道夫君
                齋藤  勁君
                広中和歌子君
                遠山 清彦君
                吉岡 吉典君
                田村 秀昭君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  中谷  元君
   副大臣
       防衛庁副長官   萩山 教嚴君
       外務副大臣    植竹 繁雄君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        山下 善彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       壷井 俊博君
       内閣官房内閣参
       事官
       兼内閣府大臣官
       房参事官     古井 俊之君
       内閣府政策統括
       官        安達 俊雄君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       防衛庁防衛参事
       官        柳澤 協二君
       防衛庁長官官房
       長        山中 昭栄君
       防衛庁防衛局長  守屋 武昌君
       防衛庁運用局長  北原 巖男君
       防衛庁人事教育
       局長       宇田川新一君
       防衛施設庁施設
       部長       大古 和雄君
       法務省入国管理
       局長       中尾  巧君
       外務大臣官房参
       事官       西林万寿夫君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   宮本 雄二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高橋 恒一君
       外務省アジア大
       洋州局長     田中  均君
       外務省中東アフ
       リカ局アフリカ
       審議官      小田野展丈君
       外務省経済協力
       局長       西田 恒夫君
       外務省条約局長  海老原 紳君
       海上保安庁長官  縄野 克彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (韓国・北朝鮮警備艇の銃撃戦に関する件)
 (不審船引揚げに関する件)
 (我が国の難民政策に関する件)
 (防衛庁情報開示請求者リスト作成事案に関す
 る件)
 (中国遺棄化学兵器に関する件)
 (インド洋派遣自衛艦に対する米軍の戦術指揮
 統制に関する件)
 (沖縄返還時の軍用地復元補償の密約報道に関
 する件)
○エネルギー憲章に関する条約の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○エネルギー効率及び関係する環境上の側面に関
 するエネルギー憲章に関する議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付
 )

    ─────────────
#2
○委員長(武見敬三君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六月十二日、加治屋義人君が委員を辞任され、その補欠として松田岩夫君が選任されました。
 また、十三日、松田岩夫君が委員を辞任され、その補欠として矢野哲朗君が選任されました。
 また、昨日、桜井新君が委員を辞任され、その補欠として西銘順志郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(武見敬三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に内閣官房内閣参事官壷井俊博君、内閣官房内閣参事官兼内閣府大臣官房参事官古井俊之君、内閣府政策統括官安達俊雄君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、防衛庁防衛参事官柳澤協二君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、防衛施設庁施設部長大古和雄君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務大臣官房参事官西林万寿夫君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官宮本雄二君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高橋恒一君、外務省アジア大洋州局長田中均君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君、外務省経済協力局長西田恒夫君、外務省条約局長海老原紳君及び海上保安庁長官縄野克彦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(武見敬三君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○舛添要一君 おはようございます。
 まず、六月二十九日に起きました北朝鮮と韓国の間の韓国西方、黄海沖における銃撃事件ですけれども、この事件を外務省、外務大臣としては非常に偶発的なものと見ているのか、ないしは計画的、意図的なものと見ているのか。もし後者であるとすれば、どういう意図があったのか。その点をお伺いしたいと思います。
#7
○政府参考人(田中均君) この事件が偶発的なものであったか計画的なものであったかというお尋ねでございますが、私ども断定的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、幾つかの観測があります。
 一つは、確かにこの船、北朝鮮の船が警告射撃なくしてまず韓国の警備艇の操舵室をねらった、そういう事実関係がございます。ですから、少なくとも現場においてはかなりその意図を持って行われた可能性が高いという見通しがあります。
 さはさりながら、果たしてこれが事前に十分計画されたものであったかどうかということについては、いろんな情報からすれば疑義が大きい。現場における意図というものはあったかもしれないけれども、それが全体として、中央政府の指示により計画的に行われたものかどうかということについては疑義が多いという議論が今は一番多いのではないかというふうに考えています。
 したがって、今の情報を総合すれば、偶発的、どちらかというとより偶発的な側面が強かったのではないかという見方、これが多いのではないかというふうに考えております。
#8
○舛添要一君 そうすると、その場合、ピョンヤンの、中央の指示が、指令が末端の現場まで行っていないと。ちゃんと、偶発的であるとすれば、指示がちゃんと行っていない、ないしはコントロールが利いていないと。つまり、ある意味で北朝鮮軍部、それから体制の緩みというか揺らぎというか、そういうきっかけではないかと、こういう観測はいかがですか。
#9
○政府参考人(田中均君) 実は、韓国と北朝鮮との間で、三年前、九九年にも同じような交戦があったということで、正に海軍同士といいますか、警備艦、警備艇同士の間ではかなり、極端な話をすればやったやられたというような意識がかなり強くあったのではないかということは推測がされると思います。
 ですから、そういう指揮命令系統がきちんとしていないのではないかという観測もあり得ますけれども、やはりこういう、基本的には韓国と北朝鮮との間の軍事情勢というのは緊張状態にあるわけですから、その中でやはり実際の現場の兵士の中にはそういう思いというものが非常に強いのではないかという観測はあり得ます。
 ですから、私どもが今の段階で断定的に申し上げるということはできないと思います。
#10
○舛添要一君 もう少しこれは分析して解明する必要があると思いますが、我が国は例の不審船の引揚げの問題を抱えている。それから、拉致疑惑がありますね。そうすると、例えば不審船の引揚げ作業において、今のようなお話で、現場のコントロールが利かないというようなことになると、当然偶発的な事故ということも想定せざるを得ない。その点はいかがですか。
#11
○政府参考人(田中均君) 不審船の引揚げの問題についてどうかという、もちろん政府が引揚げをしていくに当たりまして中国との協力関係は作っていますし、それから必要な警備というものは当然行われているという状況であります。ですから、当然こういうことをやるときにきちんとした備えを持っているということは一方にあると思います。
 一方、北朝鮮側云々ということでございますけれども、不審船の問題については北朝鮮は一貫してコメントをしていない。したがって、私どもがこれが北朝鮮の船であるということを断定したこともない。正にこれからその事実関係も含めて明らかにしていくということでございますから、そういうことが起こり得るということを想定するのは間違いでないかというふうに思います。
#12
○舛添要一君 昨日、日韓首脳会談で、金大中大統領に対して、小泉総理の方から、包容政策、太陽政策を引き続き支持すると、そういうお話があったと思いますけれども、韓国の中で、野党ハンナラ党を中心に非常にこの太陽政策への批判が高まっている。ある意味では、これは政争の具として使う意味があるわけですね。
 ただ、すんなり我が日本政府が金大中大統領に対して包容政策でいいですよと、そういう感じだとちょっと待てよという感じがするので、少なくとも太陽政策、四年近くおやりになってどういう成果が現れて、どういうマイナスがあったのか。拉致疑惑も解決していない、不審船の問題も、こういう問題、北朝鮮籍であるとすれば、そういう問題が起こってきている。
 じゃ、太陽政策というのを推進して本当にいいのかと。今のエクスキューズというのは、それ以外手がありませんからという形でしかやっていない。だけど、少なくとも再検討して、外交の場においてはあめも必要だけれども、むちということもどこかにないといけない、そういう複眼的な外交の幅があってほしいと思いますので、その点は、できれば外務大臣、いかがお考えですか。
#13
○国務大臣(川口順子君) 昨日、小泉総理と金大中大統領との間で首脳会談がございまして、その席上で、韓国側からは、太陽政策、包容政策について、これを引き続き、この基調は維持をしていくということを先方がおっしゃられて、小泉総理からこれを支持するということをお答えをした、お話をしたということがございます。
 太陽政策がそもそもどういうものであるかということから考えれば、これは朝鮮半島の緊張を緩和をするということでございます。北朝鮮をエンゲージ、国際社会にエンゲージをして、国際社会の一員となるということを目的としてやっていくということであるわけですから、今回のような個々の事象を見て、それで太陽政策が成功した、あるいは失敗をしたということを言っていくというのは必ずしも適切ではないと私は考えておりまして、昨日、両首脳も合意をなさったように冷静に今後対処をしていくということでありますし、太陽政策の基調を維持していくということであると私は考えています。
#14
○舛添要一君 ただ、こういう政策のオプションの場合は、太陽政策維持というのと、それと全然違う政策でやった場合にどうなるかというのは、シミュレーションという、チームAとBと作って、そういうことをやってくださいということを常に私は申し上げているんで、基本的には結構ですけれども、ほかのオプションということについても、公にできなくても十分検討してみるということはあっていいんじゃないかと。つまり、なぜ太陽政策でいいんですかと、いろんな疑問が呈されていることに対する答えが十分出ていないんです。
 ですから、少なくとも再検討したり、今までのこの結果、じゃ緊張緩和にどれだけ役立ったのかというようなことをもう少し踏み込んだ御検討をなさるということが外務省の本来の仕事だというふうに考えますけれども、いかがですか。
#15
○国務大臣(川口順子君) まず、一般論で申し上げて、常に外務省としてほかの政策を取った場合どうだろうかということを頭に置いて政策を考えていくというのは大変に重要なことだと私も思っております。
 この太陽政策について、太陽政策を行っている、政策として考えている当事者というのは、これは日本政府ではなくて、これは韓国政府が太陽政策ということを考えているわけでありまして、太陽政策については韓国政府の中でしかるべき当然議論があって、基調を維持されているということだというふうに認識をしているわけですし、この点については我が国も北朝鮮の先ほど申し上げた国際社会が関与、国際社会にエンゲージをするという意味で重要な政策だという認識については変わらないということでございます。
#16
○舛添要一君 話題を変えまして、中東問題を少しお伺いしたいんですけれども、ヨルダンの国王がお見えになって、昨日、外務大臣も総理もお会いになっていると思いますけれども、中東問題、今、非常に重要な時期に差し掛かっていて、ヨルダンという一つのカードというか、非常に重要だと思いますけれども、その点の基本的認識はいかがでございますか。
#17
○国務大臣(川口順子君) 昨日、アブドラ国王と、それからムアッシャル外務大臣に私、お会いをいたしましたけれども、中東和平においてヨルダンの果たしている役割、この大きさ、ヨルダンという国の重要性ということについては委員がおっしゃるとおりだと私は思います。
#18
○舛添要一君 二十億円の無償資金協力ということをお決めになったと思いますけれども、これの目的はいかがですか。
#19
○国務大臣(川口順子君) このような中東和平に重要な役割を果たしているヨルダンが引き続きこの役割を果たしていくということは非常に重要な、大事なことであると思います。そして、ヨルダンは今、経済社会を、ちょっと具体的な言葉は忘れましたけれども、トランスフォームをしていく計画ということを持っていまして、これを実施をしているという段階であります。この改革の支援をするということが我が国にとって、あるいは国際社会にとって重要でありまして、ヨルダンが国内的に安定をした経済と社会を持ち続けていって、引き続き国際社会に関与し、積極的な役割をアブドラ国王の指導の下で続けていくということが非常に大事である。我が国としてはこのヨルダンの経済社会をトランスフォームをする計画に支持をしていくということが、この二十億円の無償ノンプロの意図でございます。
#20
○舛添要一君 先ほどのブッシュ大統領のパレスチナ和平に対する演説がございまして、アラファトさんの退陣ということを条件に新しい国家の設立を認めるというような話がありましたけれども、当然これはヨルダンも含めて、中東諸国はクエスチョンマークを投げ掛けていると思いますけれども、昨日の会談では、この点に関してはいかがでしたか。
#21
○国務大臣(川口順子君) パレスチナの選挙が来年行われることになっているわけですけれども、この選挙において選ばれた人がパレスチナの自治政府のリーダーであるということについては私も前から申し上げているとおりですし、ヨルダンともこの点については意見は一致をしております。
#22
○舛添要一君 是非、引き続き中東の問題に関して日本が積極的にかかわっていく、特にパレスチナ、大変な援助をしているわけですから、プレゼンスという、日本のプレゼンスということを是非続けていきたいと思いますので、最後にその点の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
#23
○国務大臣(川口順子君) ヨルダンの国王からは、昨日、先方の方から日本が中東について果たしていく役割というのが非常に重要なんだと、果たさなければならないということをおっしゃられています。私としても、そのつもりで引き続きやっていきたいと考えております。
#24
○舛添要一君 どうもありがとうございました。終わります。
#25
○広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。おはようございます。
 日韓共同開催ワールドカップが終わりました。この一か月間、日本じゅうが久しぶりに一つになって燃えたと、そういう思いがいたします。隣国韓国と非常に仲良くなれたこともすばらしかったし、世界の国々が日本人のホスピタリティーを知ってくれたということ、これも私どもにとってはうれしいことではないかと思います。
 こうした盛り上がりの後、一種のうたげの後の脱力感みたいなのがあるわけですけれども、日本を取り巻く状況というのは決して、何というんでしょうか、易しいものではなくて、ひっきりなしに外交問題が襲ってきていると。最も最近では、六月二十九日、北朝鮮と韓国が韓半島の西側ですか、黄海において武力衝突が起こって、その結果、少なくとも韓国側は四人が死亡し、一人が行方不明になっていると。
 それで、御質問ですけれども、この南北交戦のいきさつとそのインパクトを日本政府としてはどのように受け止めていらっしゃるのか。今、同僚議員からも御質問があったわけですけれども、もう一度、同様の質問をさせていただきます。
#26
○政府参考人(田中均君) 銃撃戦につきましては、先ほども御質問がございましたけれども、二十九日の時点で北朝鮮の方から北方限界線を越えて二隻の警備艇が侵入をしてきた。それに対して、かつ、北朝鮮側から警告なく射撃が行われた。韓国側も応戦をし、結果的に韓国側においては一隻が沈没をし、四名の人が死亡をし、一名が行方不明、多数のけがをした方が出たと、こういうことでございます。
 これについて韓国側は、これは明らかに軍事停戦協定の違反であるということで、再発防止、責任者の処罰、謝罪の要求というものを出しております。これに対して北朝鮮側は、これは自衛のための措置である、北方境界線というのは一度も認めたことがない、むしろこれを機に軽挙妄動をするようなことがあってはならないと、こういう声明を出しているということでございます。
 これについて日本政府としてどういう見解があるかということでございますけれども、これは昨日の日韓首脳会談で小泉総理から明らかにされましたけれども、日本政府としてはこういう事態を憂慮をしているということでございます。ただ同時に、この問題は、韓国側がこれまで対応をしてきているように冷静に対応をしていくという基本的な方針について、日本政府としてこういう韓国の政策を支持をしているということでございます。なおかつ、この問題を契機に朝鮮半島で緊張が高まる、こういうことがないようにしようというのが日韓両首脳の基本的な共通認識ということでございます。
 それからもう一つ、これは大臣が御答弁されたことでございますけれども、金大中大統領は太陽政策の基調を維持していきたいということでございまして、小泉総理の方からもこれに対してそういう韓国の政策を支持するということでございます。
 私どもとしては、更にこの問題の今後の帰趨というものを重大な関心を持って注視をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
#27
○広中和歌子君 防衛庁長官にお伺いいたします。
 防衛庁のある方の談話として、この事件に関してですけれども、ワールドカップ閉幕直前に、しかも韓国大統領訪日をねらった意図的な計画的なテロであると、そういう談話をある方が発表しているということを私は新聞で読んだわけでございますけれども、こうした談話についてどのように思われますか。それと同時に、防衛庁長官御自身がこの現在の状況をどのように把握していらっしゃるか、お伺いいたします。
#28
○国務大臣(中谷元君) 防衛庁としては、そのようなワールドカップの関連とかいうようなことで断定はいたしておりません。
 防衛庁といたしましての認識でございますけれども、事実関係としましては、韓国といたしましては国家安全保障会議を開催して北朝鮮の謝罪と再発防止を求めることなどを決定しておりますし、国連軍の司令部も休戦協定違反として板門店で将軍級の会議を開くことを提案をし、これに対して北朝鮮は韓国や国連軍の要求を拒否をしているといたしております。
 この海域は九九年にも同時期にNLLを越境した北朝鮮軍艦艇と韓国側の艦艇との間で銃撃が行われておりまして、北朝鮮側の艦艇が沈没するという事案が生起しております。北朝鮮はNLLを無効として、これとは別に海上軍事境界線を主張しておりまして、六月前後もワタリガニの漁業の時期でもありまして例年越境事案が多くなっておりまして、先月の二十日にも、越境した北朝鮮の漁船に対して韓国海軍が立入検査を実施するなどの事案が生起をいたしております。
 事実、どう見るかということでございますが、この事案以降、北朝鮮軍に特段の動きは確認をされておりません。また、韓国も金大中大統領が予定どおり訪日したことなどを踏まえましたら、事態がこれ以上悪化する可能性は低いと考えておりますが、今後とも北朝鮮の動向等を注視してまいりたいと考えております。
#29
○広中和歌子君 差し当たって非常に韓国が冷静に対応しているということ、大変結構なことだと思いますけれども、今回の南北朝鮮の一時銃撃戦というのは我が国にとって決して対岸の火事ではないはずでございます。現に我が国でも昨年十二月に東シナ海で不審船事件が起き、相手の船は沈没しましたが、我が国の船も多く被弾をしたわけで、もっと大きな被害もあり得たわけでございます。
 このような不審船事件が我が国周辺海域でどのくらいの頻度で起こっているのか、まずお伺いしたいと思います。
#30
○政府参考人(縄野克彦君) これまでに海上保安庁が確認をいたしました不審船は、昨年十二月の不審船を含めまして、合計二十一隻でございます。
#31
○広中和歌子君 この前の場合は沈没させたわけですけれども、させたのか、自らしたか分かりませんけれども、どういう形、いつも逃げられているという状況なんでしょうか。
#32
○政府参考人(縄野克彦君) これまでに捕捉をした事例はございません。
#33
○広中和歌子君 つまり逃げられているわけですよね。
 こうした不審船に対応する我が国の海上巡視体制というのはどうなっているのかということでございますけれども、どのくらいの規模の船で対応していらっしゃるんでしょうか。
#34
○政府参考人(縄野克彦君) 海上保安庁としましては、一義的にこのような不審船に対しましては警察機関である海上保安庁が対応するということで、私どもの体制は、高速特殊警備船、日本海側に三隻配備しておりますが、このような高速の警備のための装備をしました船、そういうものを中心に、大きな巡視船あるいはヘリコプター、そういうものを出没が想定されます海域に配備をしておるところでございます。
 そのような船につきましては、前回の不審船でも指摘をされましたけれども、船あるいはヘリコプターの防弾化、あるいは停船命令を拒否する場合の停船のための私どもの射撃ができるような武器の装備、そういうものについて体制整備を進めておるところでございます。
 私どもの体制がまだ不十分ではないかという御指摘がありますが、前回の不審船事案で関係省庁として検証、反省事項を取りまとめておりまして、私どもとしましても、そのような反省事項に沿いまして私どもの装備の推進、装備の整備の推進、そういうものを進めてまいりたいというふうに考えております。
#35
○広中和歌子君 最初、不審船というのは日本の古い漁船を買い取って、北朝鮮かどこかの国が買い取ってそれを改造しているというふうに言われていたわけですけれども、その逃げるスピードとか何かが非常に速いと、しかも日本の巡視船が、巡視体制では対応できないぐらいのスピードであるというようなことが分かってその対応を少し変えていらっしゃると思うんですけれども、予算とかそれから整備の状況ですけれども、どのくらいの規模で今対応していらっしゃるんでしょうか。
#36
○政府参考人(縄野克彦君) 不審船が元々漁船の形に似せておりますので、漁船を改造して速力が出るような形になっているということでありまして、一九九九年の能登沖の不審船事件では速度が非常に高いために私どもの巡視船艇では追い付くことができなかったということもございまして、先ほど申し上げましたように、巡視船艇の中で特に高速のものをその後、先ほど申し上げましたように日本海側に配備をしたところでございます。
 私どもの予算でございますが、人件費を合わせまして約千七百億でございまして、人件費が約千億でございますので物件費が約七百億弱でございます。その中で船、飛行機を整備する予算は年間約百億でございます。そのほかに、補正予算等でテロ対策という観点から必要なものを昨年度も整備をさせていただいておるところでございます。
#37
○広中和歌子君 私はこういう部分について専門家じゃないから分からないんですけれども、不審船が日本の古い漁船に見せ掛けて造り替えられたというのが本当ではなくて、むしろ見せ掛けて新しく造られていると、すごい性能を持っているというふうに聞いているわけでございまして、やはりこうした状況に、日本の近海の対応というんでしょうか、それも精度を上げていかなければならないんではないかという問題意識を申し上げたいと思います。
 それから、昨年十二月、東シナ海で起きた不審船事件で、その船を引き揚げることに決めたわけですけれども、作業船が二十五日から現場に行き作業を開始している。これまでの潜水調査結果について御報告していただきたいんですが、報道によりますと、不審船の装備に、携帯用ロケットランチャーなどを加え、新たに地対空ミサイルと対空機関砲も備えていたと伝えられておりますけれども、これは事実かどうかということ。お伺いいたします。
#38
○政府参考人(縄野克彦君) 不審船につきましては、今のような先生御指摘のような問題意識から、私どもも引揚げをした上で事実の解明を進めたいということで、まず二月末に水中カメラによりまして不審船の沈没位置を特定をいたしました。五月の初めに潜水士あるいは潜水艇によりまして船の状況を、引揚げに耐えられる状況になっているかどうかを調査をいたしました。あわせて、付近に散乱をしておりますものの一部を揚収をしているところでございます。
 中国との調整を踏まえまして、六月の二十一日に政府としてこれを引き揚げるという決定をさせていただきました。今お話ございましたように、二十五日から引揚げ作業、現在は船の引揚げの邪魔になる散乱物の除去作業を行っておるところでございます。
 お尋ねの、どのようなものが揚がったかでございますが、ロケットランチャーのようなもの、そういうものを含めまして武器について何点か揚収をしてございます。これらにつきましては、具体的にどのようなものであるか現在分析をしておるところでございます。
#39
○広中和歌子君 こうした地対空ミサイルSA16ですか、と対空機関砲ZPU2はかなりな破壊力を持つと言われておりますけれども、強力なミサイルなどが搭載された不審船が日本海域に出没する事態をどう認識していらっしゃるのか。そして、今後の警備、監視体制、これは海上保安庁だけで十分なのか、防衛庁とどのような連携を図っていかれているのか、両方にお伺いいたします。
#40
○政府参考人(縄野克彦君) 不審船がかなりの武器を持っているということは想定をされてきたわけでございます。今回、引揚げも含めましてそのような事実が更に明らかになっていく可能性もございます。
 私どもとしましては、先ほど申し上げました政府としての、四月に取りまとめました検証事項の中にも触れてございますが、巡視船、私どもが対応する巡視船艇につきまして、先ほど申し上げましたようなその装備、残念ながらまだ防弾化とか一定の距離を取って停船をさせるための武器、十分であるということでもございませんので、そういうものを整備を進める。それから、まず私どもとしましてもそのような武器を持っている可能性があるという前提でオペレーションといいますか、不審船に対する対応を考えていく必要があるということでございます。
 それから、後ほどお答えがあると思いますが、御存じのように、一義的に警察機関である海上保安庁が対応する、それで私どもの力では対応できないという場合には、自衛隊法による海上警備行動、警察、活動、行動としての海上警備行動の発令によりまして海上自衛隊によって、自衛隊によって対応するという仕組みがございますので、そのようなことも含めて日ごろから自衛隊との共同の対処につきまして、訓練、意思疎通を図っていきたいというふうに思っております。
#41
○国務大臣(中谷元君) 防衛庁といたしましては、現在この調査が進められている段階でございますが、当該の不審船が逃走時に自動小銃やロケットランチャーのようなものによる攻撃を加えてきたように、当該の不審船が相当の武器を持っていたということは事実でございます。
 こうした不審船に対しては、このような武器についても念頭に置きつつ、内閣官房を中心に関係省庁で事案の検証作業を行っておりまして、その結果に基づいて運用上及び装備上の改善を図ることといたしております。
 主な内容といたしましては、運用上の改善として、早い段階から不審船情報を関係省庁間で共有をしまして、政府の初動方針を確認をいたします。また、不審船については海上保安庁が第一に対処いたしますが、工作船の可能性の高い不審船については、不測の事態に備え政府の方針として自衛隊の艦艇も当初から派遣をするということにいたしました。また、政府としての武装不審船の対応要領を策定をするということでございます。
 装備上の措置といたしましては、不審船の追跡能力の向上、現場職員、隊員の安全対策のための措置を講じる等々をいたしておりまして、今後とも引き続き所要の検討作業を行ってまいりまして、不審船の対応について万全を期してまいりたいと考えております。
#42
○広中和歌子君 私は、我が国の地形というものを考えたときに、島国でありますためによその国と国境、地上で、陸上で接していないということが非常にラッキーであるというような、そういう認識を持っていたわけですけれども、逆の見方をしますと、海に囲まれているということはどこからでも侵入されると、道路が要らないわけですから、どこからでも侵入されるという、そういう危険を持っているということを考えますと、これから海の警備というんでしょうか、海上のそうした警備体制というのが非常に大切になるんではないかというような認識を改めて持った次第でございまして、引き続き政府とされましてはこの問題に対して警戒を怠りなくしていただきたいとお願いする次第でございます。
 さて、この沈没した船についてでございますが、政府は当初、中国への配慮から引揚げに慎重な空気があったような印象を持ちましたけれども、しかし、引揚げが認可されるといったような形になると。結果として様々なことが解明されるに違いないわけですが、今後、もしその船が北朝鮮の船だと分かった場合には、当然、北朝鮮との関係あるいは中国との関係も悪くなるのではないかと、そのように思われるわけですけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
#43
○政府参考人(田中均君) 委員御指摘の点で何点かございますけれども、最初に、不審船の引揚げについて、中国のことをおもんぱかって慎重であったという御指摘がございましたが、それは必ずしもそうではないと思います。私ども一貫して本件は日本の近海で非常に重大な犯罪が犯された、それに対して徹底的な究明をすると、そのために外務省としても最大限の支援をするというのを基本方針としてまいりまして、段取りを踏んで引揚げに至ってきているということだと思います。
 ただ、同時に、この問題については先ほど来の御議論もございますように、引揚げが円滑に進めていくためにはやはりどうしても中国の協力が要る。したがって、これは総理、外務大臣の非常に強い指示の下で、台風前に引揚げが可能になるようにきちんとした調整を中国とするべきであるという観点から中国と調整をし、中国側と一定の了解に立ち至ったということでございまして、本件は中国の一定の協力の下に引揚げを円滑に進めていくというのが基本的な方針であると思います。ですから、中国との関係においては必要な意見交換、必要な情報の提供その他も含めて、私どもとしては円滑に協力が推進されていくものであろうというふうに考えております。
 それから、実際に引き揚げた後、いろんなことが分かるであろうと。もちろん、そのいろんなことを解明する目的でやっているわけですから、いろんなことが解明されると思います。
 ただ、現段階におきましてはそれがどこの船、どこの国の船であり、どういう意図を持ってこういう事態に立ち至ったかということについて政府として断定をしていることはございませんから、そういう意味で、現段階で、これが分かったときにどういう具体的な措置を取るのかということについては現段階ではお答えをしかねるということでございます。
#44
○広中和歌子君 この引揚げのための費用でございますけれども、その中に、それに加えて漁業補償問題というのが浮上しているようでございますけれども、どのような状況なんでしょうか、お伺いいたします。
#45
○政府参考人(縄野克彦君) 六月の二十一日に閣議におきまして、不審船の引揚げに必要な経費として予備費を使用することを閣議決定をさしていただいております。今お尋ねの漁業問題に関する経費につきましては、この予備費の中に積算はされておりません。
#46
○広中和歌子君 この予備費の積算として一応五十八億八千万円。これが多いか少ないか、私は全然分からないんですけれども、漁業補償というのはどのくらいのものを予想していらっしゃるんでしょうか、お伺いします。
#47
○政府参考人(田中均君) これは、これまでも御答弁を申し上げておりますけれども、中国との関係で、私どもが漁業補償という形で中国側の要求に応じるかどうかということについては私ども決めているわけではありませんし、その補償という概念でこの問題を処理していくのはなかなか難しいんではないかというのが現在の考え方であると思います。
 ただ、はっきり言えることは、この海域において不審船の事件があって、昨年の十二月以降この海域において一定の規制がされていて、現にここは漁場になっているわけでございますけれども、この漁場において漁獲が行われない、そういう状況になっている。中国は、中国の船舶も含めて、政府の船舶も含めて、この海域の中に入ってくるのを規制をしているという状況でございますから、そういう漁獲についての損害があったと、漁獲が減ってしまっているという状況に対して、日本は、それはきちんとした話合いの中で誠意を持って対応をしていくという意図表明はされているわけです。
 ですから、今後、中国側と協議をしながら具体的にどういう額になるのかということは決めていく必要があるだろうというふうに考えています。
#48
○広中和歌子君 漁業補償という形は難しいというふうにおっしゃいましたけれども、不審船が沈んでいる地域の周辺、一定の距離、地域、いわゆる海域は閉鎖になっているんですか。
#49
○政府参考人(縄野克彦君) 私ども、作業をしているときはもちろんでございますが、作業をしていないときも、不審船の確保といいますか、例えば底引き網等でこれが散乱物も含めて影響を受けるということのないように、常時、昨年の暮れ以降、巡視船をそこに配置しまして、正確な意味での規制と言えるかどうか分かりませんが、そこの海域、一定のその距離の中に入らないでほしいということを要請をしておりますし、それから先ほど申し上げましたようなカメラあるいは潜水士による調査、それから現在の引揚げ作業をやるときには、その海域を若干、これは大掛かりな作業になりますから若干広げまして、同じようにその海域には入らないでほしいということをしております。それから、中国の公船、艦船も、話合いの結果によりまして現場海域に出てまいりまして、中国の漁船がそこに入らないようにということについての指導をしているところでございます。
#50
○広中和歌子君 周囲何メートル、何海里というのか、どのくらいの距離なんでしょうか。
#51
○政府参考人(縄野克彦君) 正確に申し上げますと、作業をしていないときには、私どもとしましては、半径二マイル、それから作業をしているときには半径三マイルに少なくとも入らないでほしいということを要請をしておるところでございます。
#52
○広中和歌子君 分かりました。どうもありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移りたいと思いますが、また繰り返しになるようでございますが、瀋陽事件の対応で、日本の外務省の亡命者や難民に対する方針が分からなくなってしまっています。テレビ映像を見る限り、日本領事館は、あの亡命者が亡命を求めた時点ではそれを拒否して彼らを阻止し、連行する中国警察に同意を与えているように見えるわけです。しかし、そのビデオが広く、ビデオ映像が広く世界に知れるようになると、日本政府は中国政府に大使館立入りに抗議し、亡命者の身柄引渡しを求めているというような印象を与えます。結果として、中国政府は亡命者を第三国経由で韓国への渡航を許可し、第三国経由で韓国への渡航を許可し、日本政府はこの件に関して中国政府から謝罪はおろか無視されて終わっていると、そういうことでございまして、このことに関しては私は状況を述べただけで、何も質問するつもりはございません。ただ、このことから浮かび上がったのは、日本政府の難民や亡命者への基本的姿勢であり対応であると思います。
 以下の質問をさせていただきたいと思うわけですが、六月二十日というのは国連難民の日だそうでございます。我が国が難民条約、難民議定書に加盟してちょうど二十年がたっております。まず、議定書の意義について、我が国がこれを認めている、この議定書の意義についてお伺いしたいと思います。
#53
○国務大臣(川口順子君) それを申し上げる前に、まず先ほどの瀋陽のことでございますけれども、この件については、私どもは最初から一貫してウィーン条約、ウィーン領事条約についての違反があったということを中国側に言っているわけでございまして、その点で、先ほど委員がおっしゃられた事実関係の認識と私どもはちょっと違うものを持っているということを申し上げたいと思います。
 それから、お尋ねの難民条約の議定書の理念でございますけれども、これについては、まず難民の人権を保障し、その地位の安定を確保するということを目的としているということでございまして、これはその適用対象となる難民の定義を規定いたしまして、締約国の領域内の難民に関して法的地位、職業、福祉等の社会生活上の待遇又は権利、及び迫害を持つ領域への難民の追放、送還の禁止等の保護措置の付与について決めているというものでございます。
#54
○広中和歌子君 それではお伺いいたします。
 現在までに我が国が難民として認定したのは何人でしょうか。
#55
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 制度発足の昭和五十七年以降平成十三年度まで、我が国で難民として認定した者の数は合計二百九十一名でございます。
#56
○広中和歌子君 それでは、申請した人の数は何人でしょうか。
#57
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 合計、先ほどのスパンで申し上げますと、二千五百三十二名でございます。
#58
○広中和歌子君 約十人に一人しか認定されていないということでございますよね。この数というのはよその国に比べて、諸外国と比べてどのように評価していらっしゃいますか。
#59
○政府参考人(中尾巧君) 正確に認定率という関係で申し上げますと、発足以来平成十三年までの認定数は合計二百九十一名ですが、不認定とした者の数は千七百二十一名でございます。ただ申請がありましても未裁というものがございますので、実際、その認定不認定の足した数で認定数を割るという、いわゆる難民認定率で比較するのが正確だろうと思います。したがいまして、この二百九十一名を二千十二名で割りますと約一四%ぐらいになります。
 これは諸外国の関係になりますと、これはUNHCRの資料によって比較せざるを得ないところがございます。平成十二年度の直近のデータで申し上げますと、我が国の場合は難民認定率は一四%でございます。イギリスの場合が一二%でございます。ドイツが一五%でございます。オランダが七%でございます。それでスウェーデンが二%でございますので、これらの数と比較しても、率から申し上げますとそんなに低いものではないと思います。
 ただ、この難民認定率の難民の問題について、庇護した者も含めてカウントしている国もございますので、若干その難民認定率が実際のものよりも大きくなっているところもあろうかと思います。我が国の場合は、平成十三年度で見ますと認定者数は二十六名でございますが、難民として認定されなかった者でも人道的配慮から在留を認めております。その数は六十七名になります。したがいまして、この庇護をした者の数ということになりますと、平成十三年の場合、九十三名でございますので、国によってはこういう形で庇護率ということを出して難民認定率ということを発表している国もございますので、それで申し上げますと、約二七%の庇護率ということになっている状況でございます。
 さらには、日本の場合はインドシナ難民というものを毎年継続的に受け入れておりまして、平成十三年にも百三十一名のインドシナ難民を受け入れておりますので、これを加えますと、平成十三年度で実質的に庇護した者は二百二十四名ということになろうかと思います。
 以上でございます。
#60
○広中和歌子君 難民の認定のための難民の定義、何が基準になるのか、そしてだれが認定しているのか、そのことについてお伺いいたします。
#61
○政府参考人(中尾巧君) 難民の定義につきましては、一般に避難民とか、あるいはいわゆる条約難民とか、あるいは経済難民とか亡命者とかいろいろな関係で定義が非常に、どの者を言うかということで非常に混乱している場合がございますけれども、私どもの方で対応いたします入管法上の難民としてどういうものを難民と言うかということにつきましては、入管法上に定義がございます。いわゆる「難民条約の適用を受ける難民」を、入管法上難民ということで定義をしております。したがいまして、これは正確に申し上げますと、これをいわゆる条約難民と称しております。
 この条約難民の定義でございますが、これは厳格に定められております。人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であると。その国籍国等の保護を受けることができない者又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者というふうに定義されておるところでございます。
 それから、難民認定につきましては、法務大臣が難民としての認定をすると、こういうことになっております。その難民の認定の業務につきましては、法務省入国管理局に難民認定室ということがございます。難民認定室でその業務をやり、したがってその地方局には、各地方局に難民調査官が置かれている、そういう組織状況になっておるところでございます。
#62
○広中和歌子君 入国管理局が取り締まるということでございますけれども、そもそもそこの機関というのは不法入国者を取り締まるところではないんですか。ですから、これが妥当なのかどうか。いろいろな難民についての資料を集めましたところ、むしろ独立した審査機関が必要ではないかといったような意見もあるわけでございますけれども、それについてどのように思われるか。今の難民認定制度を見直す必要があるのではないかと、このような記事が一杯載っているわけでございますけれども、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
#63
○政府参考人(中尾巧君) 委員御指摘のとおり、難民認定業務、難民認定手続と不法入国者等を退去する退去強制手続とが同一の官署で行われていることについての批判があることは私どもも承知をしておるところでございます。しかしながら、このような制度は日本だけではございません。アメリカの場合では、移民帰化局が難民認定手続と退去強制手続両方を所掌しております。イギリスにおきましても、内務省の入国管理国籍庇護局というところが両方の事務を所掌していることになっておりまして、決して日本だけ例外的な取扱いではありません。
 日本の場合は、昭和五十六年の三月に閣議了解がございまして、難民認定業務をどこの部署に取り扱わせるかということにつきまして閣議了解がございました。そのときの関係でございますが、難民条約への加入に当たり一つの機関が統一的に難民の認定を行うことにしたい、出入国管理行政を担当する法務省において難民認定に関する事務を担当することが妥当であるということで関係省庁の意見の一致を見たわけであります。
 このような考え方は、出入国管理行政は我が国への不法な入国を試みる外国人を国外に退去するという一面がございますが、同時に、難民条約が対象としている難民もまた外国人であるということは間違いないところでございます。難民認定に関する業務はこれらの入管法上の諸手続と有機的に関連すると。したがいまして、外国人の入国、在留から退去強制の手続までをすべてを担当いたします入管局において行うことが合理的だというふうに考えられるところでありますし、先ほど申し上げましたアメリカもイギリスもそういう形になっているというふうに承知しております。
#64
○広中和歌子君 難民申請者の扱いでございますけれども、収監すると聞いておりますけれども、これはOECD諸国ではそれをしていないと。少し厳し過ぎるのではないかというような意見が出ておりますけれども、収監はどのくらいの期間なのか、お伺いいたします。
#65
○政府参考人(中尾巧君) 委員御指摘いただいたEU諸国とかOECD諸国では、不法入国者等の難民申請中の者を収容することはないというふうに御指摘いただいているわけですが、実際のところはそのようなことではございません。この辺のところはやや誤解のあるところだろうと思いますので、若干正確に申し上げたいと思います。
 英国の場合につきましては、不法入国した者の難民認定申請者を収容することができるという規定になっております。これを収容するか、できるということになっておりますけれども、従来より最近は非常に厳しくなりまして、基本的には収容するということで施設をこの三年ほど前からかなり多く造ってきているのが実情でございます。
 ドイツ、オーストラリアにおいても、基本的には有効なビザを持っていない者はすべて収容施設に収容するということになっております。最近のオーストラリアでのいろいろの関係で新聞等に出ておりますけれども、こういう収容施設に入れられている者についての暴動事件というのがあったというのはこういうことからでございます。
 また、フランスとかアメリカにおきましても、不法入国等を退去強制への抗弁として難民認定申請がなされた場合には、難民認定申請の結果が出るまでの間は収容できると、こういうことになっております。
 我が国の場合は、当局に収容している難民認定申請者の多くは、退去強制手続の過程において、収容中に難民認定申請を行った者がかなりおります。したがいまして、難民認定手続と同時に退去強制手続が行われておりますので、退去強制手続の、先ほど若干申し上げましたように、アメリカ等の退去強制への抗弁的に難民申請をする者が多いというようなことでございます。
 もちろん、退去強制手続でございますので、適正な、仮放免というような形で、暫時いろいろな関係で一時的に収容を解くということはございますけれども、そういうような実情で、収容する期間というのは一概にここで申し上げるわけにはいかないのが現状でございます。
#66
○広中和歌子君 でも、何日なのか何か月なのか何年なのか、それくらいちょっと教えていただけますか。もちろんケース・バイ・ケースもあると思いますけれども。
#67
○政府参考人(中尾巧君) これは、難民認定申請が行われて結論が出るまでの期間というのはおおむね一年ということにしておりますし、実際そういう形で運用がされておるところでございます。
 退去強制手続につきましても、基本的には退去強制手続の中で対応することになろうかと思いますけれども、私どもの方としては、基本的に、難民不認定の一時処分がなされてから基本的には退去強制令書を発付して送還までの間を収容するということになりますので、それ以降になりますと送還が可能までの期間収容するということになっておりますけれども、これについても、先ほども申し上げた一年前後ぐらいになりましたらそれなりの対応を取っているのが実情でございます。
#68
○広中和歌子君 難民というのは来たくて来ているわけじゃなくて、本当に必要に迫られて難民申請をしているんではないかと思いますので、それに対する対応というものも少し日本の国としては温かいものがあってもいいんじゃないかなというふうな気持ちで今御質問しているわけでございます。
 それでは、日本に定住している難民についてなんですけれども、就職の機会はどうなっているのか、生活保護やあるいは子供がある場合には児童手当はあるのかどうか、それから言語、生活習慣などに手が、の支援に対して手が差し伸べられているのか、あるいは支援している民間団体などに対して国としては助成を行っているのか等々、お伺いしたいと思います。
#69
○委員長(武見敬三君) 答弁者はどなたになりますか。中尾入国管理局長。──中尾さん、着席のまま答弁をしていてください。
#70
○政府参考人(中尾巧君) この難民の認定を受けた者に対しての処遇とか、今、委員の御指摘いただきましたような日本語教育とか公的扶助というものの在り方とか、そういうものに対してどのような有効な支援をするかということにつきましては政府全体として考えるべきことだろうと私どもは認識しておりますが、基本的には私どもは難民認定するまでが私どもの所管事務でございますので、難民認定を受けた者に対する各種支援はそれぞれの、教育の面では文部科学省、労働の面、そういう面については厚生労働省、あるいはその他の支援については外務省とか、そういう形になっているのが現状でございますので、それぞれの所管のところにお尋ねいただければ有り難いというふうに思っております。
#71
○広中和歌子君 昨日、ある会合で、日本がアジア太平洋地域においてリーダーシップを取っていくといったことで、テーマで何人かが集まって議論をしていたわけでございますけれども、そうしたときに、これから我々が難民をどのように受け入れていくか、あるいは外国人をどのように扱っていくかと、そのようなことも日本が問われている今後の問題であるというような話が出ました。
 その中である方が、自分の会社では難民を中心に雇用をしていると。もちろん、言葉もできないし、非常に大変だし、文化的な摩擦があったんだけれども、自分たちの日本側の従業員を通訳も付けずにヨーロッパやアジアに仕事にというんでしょうか、仕事の、何というんでしょうか、ともかく海外に出したそうです。そして、彼らは日本に戻ってくると、社長、大変だったよと、言葉も分からないし、もうそういう中でビジネスをしなくちゃならなくて大変だったというようなことを言ったらば、その社長さんが、ここにいる難民の人たちも同じような状況なんだよというふうにお話しになったそうでございます。それから会社の中における人間関係というんでしょうか、雰囲気もすっかり変わって、そして難民の人たちもちゃんと、非常にハッピーに定着しながら技術を覚え、そしてすばらしい人材になっているというような話をしてくだすったわけでございます。
 我が国は今後、少子高齢社会を迎え、様々な対応が求められるわけでございますが、例えばアメリカなんかを見ておりますと、第二次世界大戦、その前後ですけれども、多くの難民がアメリカに移民してきて、その人たちが大学や研究機関やあるいは企業ですばらしい働きをしながらアメリカの知的、経済的な成長に寄与したと。そのような例もあるわけでございまして、そのようなことを考えますときに、我が国がまず入口で厳しく精査をするということではなくて、もうちょっと寛大な方針でそういう外からの人たちを新しい人材として、人道的な立場ももちろんですけれども、受け入れる、そういう体制があってもいいのではないかなと。ちょっとした気持ちの持ち方でやはり難民を、あるいは日本に来たいという、そういう人たちの受入れというのが変わってくるのではないか、ひいては日本の社会も変わってくるのではないかと、そのように思うわけでございます。
 日本人はとかく海外の人に対して冷たいというふうに思われがちであったわけですけれども、今度のサッカーの、ワールドサッカーを見ておりますと、日本人のあのホスピタリティーというのは、冒頭の質問で申しましたけれども、本当にすばらしいものがあるんではないかと。日本人はよそ者に対して冷たいというのはもしかしたら本当ではないのかもしれないと、そんなふうに思う次第でございまして、この外務委員会で是非こういうことを私はこの機会に発言させていただきたかったわけでございます。
 今後、法務大臣の、難民について私的懇談会が五月二十四日に設置されたようでございますけれども、今後の難民政策はどう変わるのか、そして、ということを、優しい方向に変わることを期待して、このテーマについての質問を終わりたいわけですが。
 それからもう一つ、ついでに入管の方がいらっしゃいますので伺います。
 この前の日曜日でございますか、サッカーの試合を見にアジア各地、世界各地から多くの外国人がいらしたわけです。朝の便で到着して、その日の最終戦を見ようということだったんですけれども、二時間待ちだったそうでございます。たまたま二時間待ちだったのかもしれませんけれども。
 私は、いつも外国から帰ってきて日本人というブースを通るときにすっと通れることが非常にラッキーだなと思うんですが、外国人用の窓口のところではもう長い列ができていると。やはり同じ人間として、しかも疲れて到着して待たされる立場というのはつらいだろうなと思うわけでございまして、そういう点でもサービスを向上させていただきたいと。人が足りないんだったら、是非そういうところに人を増やしていただきたいと心からお願いする次第です。コメントがありましたら。
#72
○政府参考人(中尾巧君) まず、難民の関係から申し上げますと、難民認定された者についての保護施策というのは、世界的に見て、必ずしも日本が世界的なスタンダードにあるかといいますと、その点はややスタンダードまで行っていないということは私どもも十分認識しているところでございます。インドシナ難民の場合には、国際救援センターという形で定住支援が行われているのが現実でございます。その辺のところを含めまして、インドシナ難民以外にも広げるべきだという意見もございます。これは政府全体で考えていただいて、今後ともいい方向に向かうべきものだろうと思っております。
 また、難民政策をどうするかと、受入れをどうするかという問題につきましては、非常にこれはいろんな問題をクリアしなければ解決できない問題がございます。我が国は単純労働者を受け入れないという政策を取っておりますが、同時に、専門技術的な人につきましてはどんどん受け入れるという方針でいろんな規定を、その辺のところを緩和して、今どんどん進めているのが現状でございます。アメリカのように移民政策を取っている国のやり方をそのまま私どもに持ってくるわけにはまいりませんけれども、その辺で行われているいいところは、私どもの方も受け入れられるべきものは受け入れて、今後あるべき難民体制、難民政策というものを実現していくべきだろうと思います。
 現在、法務大臣の私的懇談会において、私どもの難民政策、特に難民認定制度の在り方について、専門の方々に御検討いただくことになっておりますし、年内には一定の方向性につきまして御報告をいただけるようになっているところでございます。私どもといたしましても、人道的な配慮も踏まえながら、そういった問題について十分検討はしていきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、成田の上陸審査場で二時間以上待たされた外国人がいたということで御批判をいただいておりますけれども、この点について若干の事実関係について御説明申し上げたいと思います。
 もちろん委員御指摘のように、成田空港というのは日本の表の玄関でございます。そこで外国人が最初に日本の印象を受けるわけでありますので、ファーストインプレッションが大事であるということは重々承知しておりますし、私どもといたしましても、職員につきましても、そういうふうな感覚で入国審査に当たるよう、研修、教育を努めているところでございます。
 六月三十日の関係で申し上げますが、同日の午前八時三十分から九時三十分までの一時間に、成田空港第二ビルに、定期便四便、ワールドカップ決勝戦を観戦するために乗客等を乗せましたチャーター機が二機と、これが相次いでこの一時間の間に六便が到着したという状況でございます。しかも、この時間帯といいますのは、入国のみならず出国審査のピークの時間帯に重なっております。したがいまして、出国審査の方にも職員を割り当てなきゃならないという状況がございました。この間に入国した、一時間に入国した外国人が約千六百人ございました。千六百人の上陸審査に対して私どもが割り当てることができた職員は、審査官は十人でございました。そういうふうな結果で、審査待ちの時間が二時間という御指摘ですが、一時間程度に達したという報告は受けております。
 もちろん、この時間帯を除いては、申請者を長時間待たせたということは六月三十日になかったというふうに報告を受けておりますけれども、やはり私どもとしては、いかなる事態にも備えるだけの体制が十分でないということは、事情もございますが、限られた人員で精一杯対応しているのが現状でございます。
 以上でございます。
#73
○広中和歌子君 終わります。
#74
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
 まず初めに、防衛庁のリスト問題の調査報告書についてお伺いをいたしたいと思います。
 この調査報告書は、詳細な調査をいたしまして、かなり内容の濃いものになっていると私は評価をいたしております。それに基づいて処分もなされておりまして、一件落着したかのように見えるわけでありますが、しかし、中身を詳細に検討してみますと、私なりに問題意識を持っております。二点質問いたしますので、お答えいただきたいと思います。
 まず第一点は、現行法の行政機関の保有する電算処理に係る個人情報保護法、この現行法四条二項の違反を指摘しているわけです。この四条の成り立ちというのは、一項で個人情報ファイルの保有目的を限定いたしております。そして、二項におきましては、その目的に従ってファイルに盛るべき項目の範囲あるいは個人の範囲、これを逸脱することを禁止している。そういう成り立ちになっているわけであります。
 そして、調査報告書ではこの二項の違反のみを指摘しているわけでありますが、私は、この二項は主にファイルの作成の違法性の根拠になる法律でありまして、違法に作成したファイル、これを保有すること、これも私はこの法の趣旨から禁止されていると、こう考えるわけであります。
 海幕三佐の行った違法な作成ということは指摘されているわけでありまして、その疑いは明白でありますが、調査報告書では、それを受け取った別な職員のファイルの保有、これを黙認していたとか、そのまま持っていたということが認定されながら、個人情報保護法には抵触しないと、こういう結論になっているわけですね。私は、これは現行法の四条一項の趣旨というものを軽視している疑いがあると、こう思います。
 先般の当委員会での私の質問に対して、総務省は、個人情報公開法の趣旨からすれば、これは情報公開の言わば進行管理するとか、そういうためにのみ個人情報ファイルを保有することが許される、こういうふうに言っているわけでありまして、この目的から明らかに逸脱したファイルを作成した職員以外の者が保有し続けていた、ここはやはりこの四条に抵触する、こういう認識が正しいと思うわけでありますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#75
○国務大臣(中谷元君) まず、この海幕の三佐が作成、配付したことは個人情報保護法の四条二項及び第十二条、これに違反をするわけでありますが、配付をされた者が、同三佐に対して、同リストが行政機関電算処理個人情報保護法に違反するおそれがある旨を指摘せずにリストを受領した行為についても、違法とまでは言えないものの、遺憾な行為であると考えておりまして、受領者については必要に応じて処分を実施いたしました。
 具体的には、海幕の情報公開室の三等海佐からリストを受領した情報公開室の担当者については、開示請求者の個人情報に接する立場にありながら、個人情報の取扱いについての認識が低かったため、同三佐に対して、同リストが同法に違反するおそれがある旨を指摘せずに、また同リストを同海幕三佐から受領したことを上司に報告していなかったことは、開示請求者の個人情報に接する立場にある情報公開室の担当者の対応としては不適切でであったことから、口頭注意にいたしました。
 また、同三佐が開示請求者の個人情報を収集していることに気が付き、個人情報保護法に抵触するおそれがあることを認識していたにもかかわらず、同三佐に対して是正するための特段の指示をせずに、また同三佐からの提出に当たっては、リストを受け取り、保管した海幕情報公開室長については、減給一か月、五分の一としたところでございます。
 そこで、この海幕三佐からリストを受領し、保有した行為はこの法の四条一項に違反するのではないかということでありますが、この受領した者、リストを受領した者は、いずれも自らの業務に使用したことはないということから、当該リストを受領後、保管していたことは、個人情報保護法の四条一項に言う個人情報ファイルの保有、すなわち「自らの事務の用に供するため個人情報ファイルを作成し、又は取得し、及び維持管理をすること」に当たるまでとは言えないものと考えたわけでございます。
#76
○山口那津男君 長官、伺いますが、事実の認定のところでは、リストの作成の中止や配付資料の回収について特段指示をしなかったと認定していますね。事後的に黙認したと書いてありますね。引継ぎを受けたんだと。だけど、これ、そういう違法に作成されたリスト、これを存在を知った場合には、この作成を中止させたりあるいは配付資料を回収させたり、これやらせなきゃいけないんでしょう。ほっといていいんですか。
#77
○国務大臣(中谷元君) そのとおりでありまして、そういう行為をやめさせなければならないと思います。
#78
○山口那津男君 何条に基づいてやめさせなきゃいけないんですか。
#79
○政府参考人(宇田川新一君) 何条ということでございますが、行政機関電算処理個人情報保護法の精神からしてそうすべきだと思います。
#80
○山口那津男君 精神ってどこに書いてあるんですか。現行法の四条でしょう。一項二項両方見たら、なぜ不適切かと評価されるかといったらこの四条があるからでしょう。違うんですか。
#81
○政府参考人(宇田川新一君) 今、委員御指摘の四条一項の話でございますが、この四条一項ですと「個人情報ファイルの保有」、これは今、大臣から御答弁申し上げましたが、「自らの事務の用に供するため個人情報ファイルを作成し、又は取得し、及び維持管理すること」ということになっているわけでありますが、この維持管理につきましては、自らの事務の用に供するのに適合するよう個人情報の加除訂正、磁気テープ等の管理により個人情報ファイルを適正な状態に保ち続けることというふうなことになっておりますので、この海幕の情報公開室長、三海佐から受け取った後こういうふうな行為は行っておりませんので、ただ専ら保管しただけということでございますので、これ一項には該当しないというふうに考えるところであります。
#82
○山口那津男君 違法に作成されたファイルの保管が許されるなんということはおかしいんですよ。保管がそのまま放置されたら、それがいつ外部に出るか分からないじゃないですか。だから、それも禁止させなきゃいけないでしょう。そう思いませんか。違法に作成されたファイル、作成されていることが分かったらそれはやめさせなきゃいけないんでしょう。それが出回ったら回収させなきゃいけないんでしょう。長官、どうですか。
#83
○国務大臣(中谷元君) この点につきましては、個人情報の取扱いについての認識が低かったために、その者に対して、違反するおそれがある旨を指摘しなかったわけでございます。
#84
○山口那津男君 それでは、「不適切」という表現を使ってありますが、これはやっぱり法に触れるからいけないことなんですよ。違法性が強いか弱いかという言い方はあるかもしれません。だから、法に一応触れるんです。違法性は、処罰する、あるいは処分するに足りるほどの強さではないと、こういう認定ならば納得できますが、不適切なんて何が何だか根拠あいまいな言い方というのは妥当じゃありませんよ。
 いずれにしても、この法の趣旨に従って、違法なファイルの作成は中止をさせる、やらせてはならない、もしそれ作成されたものが存在するようなことが分かればそれを廃棄する、回収する、こういうことをしなきゃならないというのが法律の趣旨じゃありませんか。それを確認していただければ結構です。大臣。
#85
○政府参考人(宇田川新一君) 委員御指摘のように、私どもの認定は、この行為は四条一項に当たるとまでは言えないということで、可罰的違法性までは達しないんじゃないかという考えであります。
#86
○山口那津男君 可罰的違法性には達しないというお考えで分かりました。
 さて、次に、今度は情報公開室の職員が調査部門の職員に情報を提供したということは認定されております。これは、現行法の十二条違反、みだりに外部に漏らしてはならないという条項に違反すると、こういう認定でありまして、これはこれで正しいと思います。
 しかし、私は、この情報保全調査部門、これが最終的には別な法律違反で人を処罰するような基礎資料を集めるということもないとは言えないわけですね。ですから、こういう部門に公開室の集めた情報を提供することは、私は厳しくこれをやめさせなければならないと思うわけです。今回の事件がこのまま緩い処分あるいは緩い認識で通ってしまうと、国民の失われた信頼というのは到底回復できませんよ。これが有事法の審議等にも強く影響するわけです。
 ですから、私は、この情報公開の趣旨と、それから情報保全の趣旨、情報保全の任務があることは、これは大切な任務であるということは認めますけれども、それが峻別されているということをしっかり認識していただきたいと思うんです。
 ですから、例えば十二条違反だけではなくて、やはり守秘義務違反として刑罰を科される可能性も排除されないと思うんですね。そのこともしっかりと受け止めた上で、これから国民にちゃんと説明をしなければならないと思います。その点で、長官のお考えを伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(中谷元君) 今回の件につきましては、情報公開業務における根本に大半の職員の個人情報保護に対する認識の低さとチェックの甘さがあったわけでございまして、今後このような事態が二度と生起しないように、とりわけ情報公開室担当職員については、特に個人情報保護についての認識を強く持たせる必要があることから、早急に個人情報保護等についての研修体制を確立をしまして、再発防止のための措置を講じてまいりたいと思っております。
 なお、情報公開室の職員の配置の在り方につきましては、本事案の反省にかんがみまして、現在この実態について検証、検討を行っているところでございます。
#88
○山口那津男君 外務大臣にお伺いいたします。
 昨日、国際刑事裁判所、いわゆるICCの設立条約が発効いたしました。このことは、国際法上、個人の戦争犯罪や人道に対する罪などの刑事責任が問われる道が開かれたことでありまして、国際人道法領域の発展の一つとして私は画期的な意義があると、こう考えております。
 ところで、平頂山事件というのを、大臣、御承知でありましょうか。これは、一九三二年に旧日本軍が中国の撫順炭坑郊外の平頂山集落において約三千人の住民を虐殺したと言われている事件であります。先週の金曜日に、この被害者からの損害賠償請求がなされていたわけですが、その第一審判決がありました。この判決の中で、その事実、従来明らかに認識されていなかった事実を初めて認定をしたということで、この判決は意義があると言われているわけであります。この事実が確定すれば、これは我が国としても何らかの対応というものを考えなければならないと私は思っております。
 ただし、係争中の案件、個別の案件でありますから、平頂山事件に対する評価はあえて求めません。私が申し上げたいことは、お聞きしたいことは、この刑事責任が問われる道が国際法上確立したわけであります。しかしまた、民事責任を、この戦争犯罪あるいは人道に対する罪を行った者に問う道というのは国際法上確立されていないように私は思うわけですね。
 この点で、これから我が国はこういう国際ルールを進展させていく、今後の問題でありますけれども、国際法的にそういう民事責任、賠償責任を確立するルールを形成していく、そういうイニシアチブを取るべきだと思いますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
#89
○政府参考人(海老原紳君) 今、委員がおっしゃいましたように、そのような戦争犯罪等から生ずる損害賠償につきまして、これが特に個人が直接、国家に対してそのような請求ができると、そのような考え方は現在のところ国際的にはございません。
 実際問題としてどうなるかということになりますと、そのような被害を受けた個人がそれぞれの国内の裁判所に対してそのような出訴を行うと、その出訴が受理されるかどうか、あるいは救済が行われるかどうかということについては、それぞれの国内裁判所の判断にゆだねられているということだと思います。
 ただ、委員がおっしゃいましたように、このような損害をきちっと賠償するということについては非常に重要なことだというふうに考えておりまして、先ほど国際刑事裁判所についてお触れになりましたけれども、この規程にも七十五条というのがございまして、この規程におきましては、国際刑事裁判所は、被害者に対する賠償に関する原則を確立することができ、有罪判決が確定した者に対して賠償を行うよう命じることができるというふうに規定してございます。ただ、これは、もちろん個人が直接、国際刑事裁判所に訴訟を提起できるということではございませんけれども、考え方としては委員がおっしゃった考え方に沿っているということだろうと思います。
 それからまた、国家による賠償ということにつきましても、これはハーグの陸戦法規の第三条、あるいはジュネーブの追加議定書、第一追加議定書というのがございますけれども、これの九十一条にも国家にそういうような損害賠償責任があるということは認められております。ただ、これも国家と国家の間の賠償ということでございまして、個人が直接国家に対して賠償を請求できるということではございません。
 今、委員がおっしゃいましたような個人が何らかの形で国家あるいは犯罪を行った個人に対して損害賠償を求めるような道、あるいは国際的なルールというものを形成すべきじゃないかということにつきましては今後検討されるべき課題だろうというふうに考えております。
#90
○山口那津男君 終わります。
#91
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
 私は、三月二十八日のこの委員会で、華信という企業がコンゴ民主共和国政府と契約してコンゴの鉱山開発、社会インフラ関係の仕事を全部独占するようになっているという宣伝の下に出資をあおっているということに関連して、出資者の中から疑問が出ている、本当にコンゴ民主共和国政府がそういう契約をしているかどうかということを調べてもらいたいという要請を受けて、この委員会で外務省に要請しました。
 私が外務省に要請しましたのは二点です。一つは、在外公館の仕事として、この件のみならず経済の国際化に伴ってそういう国境を越えてのいろいろな事件が想定されるので、在外公館の仕事の一つとしてそういうことも考えてもらいたいということと。二点目には、今言いました華信という企業の件について相手国政府に問い合わせてもらえないかと、個人が海外まで出掛けて調査するわけにはいかないからという点でありました。
 二点とも、外務省、これを引き受けていただきまして、早速、大使館を通じて問い合わせたと。その後、まだ返事がないという連絡も受け続けてまいりました。私は、そういう努力をしていただいたことには本当に多としております。
 今の時点でちょうど三か月余りたちましたので、今の時点でもその問い合わせに返事がまだ来ていないのかどうなのか、まず一点、お伺いします。
#92
○政府参考人(小田野展丈君) 三月二十八日、本委員会での委員よりの質問を受けまして、翌日にコンゴ民主共和国政府に対しまして本件プロジェクトに対する同国政府の出資の有無につきまして照会する口上書を発出いたしました。今、委員が御発言されましたとおり、先方からはまだ回答を得るに至っておりません。
 外務省としましては、日本国民の海外における経済上の利益の保護、増進の重要性を強く認識しておりまして、国民全体の奉仕者としての中立性、公平性を害することのないよう注意しつつ、在外公館を通じた情報の収集及びその国民への提供を積極的に行いたいというふうに考えております。
 そういう観点からも、この口上書によります三月二十九日の照会以降も、五月には二回、書面にて回答を督促した次第でございます。また、大使あるいは大使館員が先方の政府関係者に対しまして、四月には三回、五月には三回、そして六月には四回、回答の督促あるいは回答準備の状況につきまして照会を行っておりますが、いまだ回答に接していないという状況でございます。
#93
○吉岡吉典君 その問い合わせていただいている中身というのは、そんな複雑なものでなく、ちょっと調べれば分かるものだと思います。三か月も返事がないということから、出資者の間ではやはり何かがあるんだろうなという疑いが強まっている状況であります。したがいまして、この問題、引き続き問い合わせをお願いいたしておきます。
 それから同時に、その出資者の間からいろいろトラブルがもう既に起こって、出資金の払戻しを要求していろいろなもめ事もこの企業との間で起こっているようです。私のところへ最近持ち込まれました例では、その企業との間で片付かないのである警察署に詐欺事件として持ち込んだら、警察の窓口で、これは民事上の問題じゃないかということ以上に取り上げてもらえなかったという話もあり、そういう人から警察庁に対してもこのこういう問題のみならず、国民からのいろいろな相談に本当にもっと真剣に、親身になって相談してもらうよう要望してもらいたいという意見が寄せられております。
 警察にそういうことをお願いに行くということは、やはりよほどのことがないとこれは行けません。ですから、私ここで、そのある県の出来事がどういう状況の下でどういうことだったかよく知りませんけれども、それも含めまして、やはり警察庁としては国民が本当に大変だということで相談に来たときには大いに積極的に、かつ親身になって相談していただく態度を取っていただきたいという、持ち込まれましたものを要請いたしまして、警察庁のまず答弁をその点で求めておきたいと思います。
#94
○政府参考人(黒澤正和君) 警察は国民の生命、身体、財産の保護を任務としておりまして、国民から寄せられました相談に対しましては積極的かつ適切に対応していかなければならないと認識をいたしております。
 したがいまして、相談を受けるに際しましては、相談者の心情に配意しつつ訴えを誠実に聞き、事案の特性、背景等を適切に判断した上で、刑罰法令に触れる事案につきましては被害届等を的確に受理して捜査を行いますとともに、刑罰法令に抵触しない事案につきましても、個々の事案に応じまして、関係者に対する防犯指導等の適切な措置を講じることといたしておるところでございます。
 このため、相談の内容が民事上の法律関係に起因するトラブルでございましても、民事不介入を理由に国民からの相談を真摯に受け止めず、所要の捜査や犯罪の防止のための必要な措置を取らないということなどがないよう指導を徹底しておるところでございます。
 警察といたしましては、今後とも一見民事事件かどうか分からない事案に関するものも含めまして、警察に寄せられました相談に対しましては真摯に対応してまいる所存でございます。
#95
○吉岡吉典君 この時間、時間の関係もあってこれ以上私、突っ込んで取り上げませんけれども、関係者の間ではかなり大きい問題になっております。そして、これはなかなかしたたかな人物がいるようで、コンゴ政府もこの企業に引っ掛けられたんじゃないかというような議論、説も出ております。今後ともまた外務省等にもいろいろお願いをすることもあると思いますけれども、その際は今答弁があった方向で努力していただくように要望しまして、次のテーマに移ります。警察庁等、結構ですから。
 次の問題は、今、山口議員からも取り上げられたような戦争の清算に関する問題です。
 私、最初に一つお伺いしておきたいのは、東チモールのことで、昨年の十二月八日に東チモールの十二のNGOの代表が小泉首相に書簡を送って、自衛隊派遣に反対し、太平洋戦争中の三年半に及ぶ東チモール占領中、日本軍は四万人の無辜の生命を奪ったことなどを指摘して、より良い将来を創造する上で歴史は非常に重要である、したがって、過去は前進を始める前に清算されなければならないなどということに関連して、総理の回答を求めたという詳しい報道があるのを読んでびっくりしました。
 インドネシアは、サンフランシスコ平和条約締結の会議の際の発言でも、四百万人の生命を日本の占領中に奪われたという発言を行っております。これは外務省の文書でそういうふうに紹介されている発言です。私は、その戦争中の虐殺の問題が今改めて総理への書簡という形で持ち出されていることの中に、インドネシアでも、またアジア諸国でも、日本の過去の戦争の清算の問題が決して過去の問題でなく今もなお重要な問題になっているということを深く考えざるを得ませんでした。
 外務大臣にお伺いしますけれども、こういうNGOからの書簡が来たと、総理あてですけれども、来たということを御存じかどうか、あるいはまたこれは回答を出されたものなのかどうなのか、今なおこういうことが提起されることについてどのようにお考えになるか、お伺いします。
#96
○国務大臣(川口順子君) 今、委員のおっしゃったNGOからの書簡が総理のところに出されたということについては聞いております。それから、総理から具体的な回答がなされたということはないというふうに承知をいたしております。
 それで、委員のお尋ねの過去の歴史についてアジアの人々の立場についてどう思うかということでございますけれども、私は、日本が過去の歴史を直視して戦争を排して平和を重んずるという基本的な立場に立つ、そして東南アジアを始めアジアの国々との間で未来志向の関係を持っていく、作っていくということが極めて大事だと考えております。今、我が国が繁栄と平和を享受できているということについては、こういった近隣の諸国との友好関係、協力関係の上に築かれたものでございまして、その関係を今後とも続けていくということが重要であるというふうに思います。
#97
○吉岡吉典君 そういう問題のいろいろある一つが、今、山口議員も取り上げられました平頂山事件もその一つです。
 私は、今日、特に旧日本軍が中国に遺棄してきた毒ガス兵器による被害の問題を取り上げたいと思います。
 私は、毒ガスの問題について取り上げる場合に、かつてこの委員会でも取り上げたことがありますけれども、三笠宮崇仁氏が支那派遣軍参謀として南京の総司令部に在勤していたときのことを「古代オリエント史と私」という本の中で書かれていることをまずここで改めて取り上げざるを得ません。どういうことを書いておられるかというと、その中で「多数の中国人捕虜を貨車やトラックに積んで満州の広野に連行し、毒ガスの生体実験をしている映画も見せられました。」と、こう三笠宮が書いておられるんですね。だから、日本は本当に大変なことをやったものだなと思いました。
 しかし、その一方では、生体実験までした毒ガス、それが戦後遺棄され、その毒ガスによるいろいろな事故が起こって戦後も被害者がいろいろ出ているということを知って、私は、この問題、日本としては本当に真剣に取り組まざるを得ないものだと思いました。
 さて、毒ガス問題については、化学兵器禁止条約が結ばれ、こういう遺棄された毒ガスについてもいろいろ条約上の責任、義務を課しております。この条約は、日本に対しては日本国内で遺棄された毒ガスも含めて、どのような義務、責任を課しているか、まず説明していただきたいと思います。
#98
○政府参考人(宮本雄二君) お答え申し上げます。
 化学兵器禁止条約の上では、一つは、締約国自身が、自分の国の中にあります老朽化した化学兵器、それからその他の化学兵器すべてでございます、これを破棄しなければならない、それから、他の国の領域内であって、その国の同意なく遺棄した化学兵器について廃棄する義務を有しておるというふうに定められております。
#99
○吉岡吉典君 そこで、この条約上の責任をどのように果たすかというところで、私は、戦後、日本でも遺棄化学兵器処理対策連絡調整会議などを作っていろいろな作業をやってこられたということは、これまでの委員会でも論議されてきているところですから承知しておりますけれども、私、今度この毒ガス問題をこの半年ほどいろいろ調べる中で感じた点ですけれども、一つは今度、どうも、どこの部局が政府の中の直接の責任を負っている、各省庁の協力ということはいいことですが、しかし、どこかが責任持ってきちっとやっているか、たらい回しをされる感じを私、問い合わせる中で受けたんですけれども。
 例えば、国内の問題ならどこの省、あるいは中国との関係の問題ならどこの省という、その責任の所在ははっきりしているかどうか、これまずきちっとしてもらいたいと思います。
#100
○政府参考人(壷井俊博君) 国内において旧日本軍の老朽化した化学兵器が発見された場合には、発見された場所、状況等の態様が様々でございます。そういうこともございまして、その都度、必要に応じ内閣官房を中心に関係省庁連絡会議を開催するなどして、政府としての適切な対応を決定してまいっているところでございます。
 今後とも、同様に対応していくことといたしているところでございます。
#101
○政府参考人(古井俊之君) お答え申し上げます。
 中国における遺棄化学兵器問題につきましては、関係省庁による協議を経まして、平成十一年三月に、閣議決定により、その廃棄処理事業については当時の総理府が担当となりまして、その後、中央省庁等改革に伴い内閣府が引き継ぎ現在に至っております。
 現在、本件を担当する担当室の陣容はほぼ二十名でございます。そして、担当室発足後これまで、累次にわたる中国国内における発掘回収、廃棄処理技術の調査研究、ほぼ毎月実施しております中国専門家との協議など、関係省庁の協力を得つつ着実に事業を推進してきておりまして、本件につきましては責任体制、明確であるというふうに考えております。
#102
○吉岡吉典君 さて、その中国に遺棄された毒ガス、これの処理、廃棄の責任は日本が持っているわけです。しかし、中国ではその後もいろいろな毒ガス兵器による事故が起こって被害者が出ており、その被害者は日本に謝罪と補償も求めてきております。一体この遺棄された毒ガスによる事故というのは、私は、戦争そのものによる事故ではなくて、それ戦後起きた事件だと思います。そして、それの処理の責任は日本が持っている。起きた事故に伴う被害については、それを救済する責任はだれが負うというのが日本政府の考え方なのか、お伺いします。
#103
○政府参考人(田中均君) 私ども、まず第一に考えなければいけないのは、こういう被害がまず生じないようにするためにも、今危険な状況にある遺棄化学兵器をできるだけ早く処理をするということを優先させねばならないというふうに考えております。
 それで、少なくとも日中間におきましては、一九七二年の日中共同声明によりまして、さきの大戦にかかわる日中の請求権の問題というのは処理済みということでございますから、戦争にかかわる請求権というものはもはや存在がしないということであろうと思います。
 それからもう一つ、遺棄化学兵器の処理にかかわりまして、その廃棄において事故その他が起こった場合に、これは日中間の覚書がございまして、日中間の覚書の中で、廃棄の過程で万一事故が発生した場合には、両国政府は直ちに協議を行い、その基礎の上に日本側として必要な補償を与えるため双方が満足する措置を取る。中国側が日本の措置に対して適切な協力を行うということが日中間の合意事項になっていると、日中間で覚書が交わされているということでございます。
#104
○吉岡吉典君 今、日中共同声明で云々という話がありました。私は、一つこの問題のみならず、平和条約その他で解決済みだということがよくこの戦後処理問題について言われますけれども、解決済みというのはどういうことなのかということについて、これはっきりしておいてもらいたいと思います。
 解決済みというのは、もうそれは国民は黙っておれという、相手のですね、黙っておれということなのか、あるいは日本がそれの補償責任を負わないという意味なのか、あるいは日本政府でなく相手国政府がその補償の責任は負っているということなのか。そこらをはっきりさせていただきたいと思います。
#105
○政府参考人(田中均君) 少なくとも、請求権として国と国の関係で相手国政府が日本に対して補償を請求してくる権利は存在はしないということだと思います。
#106
○吉岡吉典君 そこから先のことを私は聞いているわけですよね。
 そうすると、被害を受けた国民はほったらかしになっちゃうわけですよね。それは日本政府は責任を負わないからもう相手国内の問題だ、相手国の政府が責任を持ってやるべきものだということを意味するのかどうなのか、それは相手の内部だから日本は何も言わないということなのか。そこらをきちっとしてもらいたいと思うんです。
#107
○国務大臣(川口順子君) 一般論としておっしゃっていらっしゃるんだろうと思いますけれども、請求権については先ほど田中局長からお話をしたとおりでございますので、これはそれぞれの国の国民がその国の政府との関係で一義的には問題の処理をするということになるわけでございますけれども、過去の戦争の問題から生じた点ということで申し上げると、我が国の基本的な立場というのは、先ほど申しましたように、過去の歴史を直視をして、戦争を排して平和を求める、アジアの諸国との間で未来志向の友好関係を築いていくと、そういう基本的な考え方があるわけでございます。
#108
○吉岡吉典君 それからもう一つお伺いしますけれども、解決済みというのは、解決付いている以上日本は何もやっちゃならないという禁止事項になるのかどうなのか。それはあっても、その後のいろいろな状況を考慮して、日本がある種の謝罪の意味も込めて何らかの形での償いあるいは見舞い等のことも、それはそういう合意がある以上はそれもできないのか、それは日本がやろうと思えば、自発的にやろうと思えばできることなのか。その点はどうですか。
#109
○政府参考人(田中均君) これは正に日本がこれまで戦後やってきた戦後処理の形、すなわちこれは国家と国家の関係において国民の税金を使って政府との間で戦後の問題を処理をする。したがって、日本としてそのときそのときで相手の国と協定を作って政府との関係を処理をしてきた。したがって、基本的には、相手国における個々の人々がどういう対応を取るかというのは相手国の政府が処理をすべき問題であるというのが基本的な考え方だと思います。
 ただ、自発的に一つの国の政府が何かをするということを禁止されているかといえば、そういう禁止というものはございません。
#110
○吉岡吉典君 私は、今最後におっしゃった点はやはり日本政府としてアジアとの関係で考慮すべき問題だと思います。
 というのは、冒頭言いましたように、東チモールから今でもなお、かつての問題がそういう形で持ち込まれるということ、それから中国の問題ではいろいろな訴訟も起こっております。もちろん、司法に行政府が介入することはできません。特に、私が取り上げました毒ガスの問題というのは、私はこれは確かに戦争中の兵器ではあるけれども、起きた事件というのは、それが遺棄されてたまたま開発工事の中等で事故が起こって、被害者があちらこちらで相次いで出ているということで、それは戦争中の問題の解決済みだという中にそれも一緒にしてしまって、それは日中共同声明で片付いているんだというふうに言い切れるのかどうなのかという問題が一つ。
 それからもう一つは、条約によってこれの廃棄の義務、責任というのは日本が背負わされている。日本が中国に遺棄した毒ガス兵器を処理する、廃棄する責任を条約上持っている。それがまだ廃棄し切れないでいるためにいろいろな開発過程で事故が起こっている。そういうものは、処理の責任は日本政府が条約上負っているけれども、その遺棄された毒ガス兵器による事故、これの救済責任はないんだという立場に立つわけには私はいかないと思いますね。
 ですから、日本が中国との関係であれアジアとの関係であれ、過去をきちっと清算して新しい二十一世紀における関係を作る上では、やはり日本は相手国の国民感情をもやはりある程度、ある程度どころか大いに重視して日本政府として可能な方法を大いに研究して、それできちっと過去を清算する。日本は、過去いろいろ言いたいことをやったけれども、とにかく責任を持ってその清算をやったと言われる国になるということが必要だと私は思っているところです。
 一言、外務大臣のこの点についての結論的な言葉をいただいて、終わります。
#111
○国務大臣(川口順子君) 我が国といたしましては、先ほども申し上げましたように、戦争を排して平和を志向するという基本的な立場があるわけでございまして、例えばさきの大戦については、村山当時の総理大臣の談話で、我が国が遠くない過去の一時期、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことに対しておわびを表明をなさったということもあるわけでございます。
 そういった平和を志向するという立場に立って様々な問題を考えていくべきであると私は思います。
#112
○田村秀昭君 防衛庁長官と防衛庁の副大臣にそれぞれ質問をさせていただきます。
 長官には、個人情報リスト問題で二十数名の、二十九名だったですか、処分が発表されましたけれども、どういう法律に基づいて処分されたのか、お伺いさせていただきます。
#113
○政府参考人(宇田川新一君) 今の委員御質問の、今回のリスト事案関連の処分でございますが、直接的には自衛隊法四十六条であります。
 自衛隊法四十六条ですと、「隊員が次の各号のいずれかに該当する場合には、これに対し懲戒処分として、免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」と記載されておりまして、一号では「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」、それから三号では「その他この法律若しくは自衛隊員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合」と規定されておるところであります。また、一号の「職務上の義務に違反」というのは、自衛隊法の五十六条に「隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。」と書いてありますし、また五十八条には品位を保つ義務が規定されておるところであります。
 今回の処分でございますが、カテゴリー的には四つ分かれております。大臣の補佐等と実行行為と指揮監督でございます。──失礼しました、三つであります。
 どういうふうな考えであったかと申しますと、自衛隊法五十六条の指揮監督義務違反及び職務上の注意義務違反で大臣の補佐等の処分を行っております。それからまた、同様に職務上の義務違反ということで、行政機関電算処理個人情報保護法の関連で、海の三海佐あるいは空幕の情報公開室の二名を処分しているところであります。
 それからまた、法律違反ではないけれども著しく不適切な行為ということでありまして、職務上の注意義務違反でやはり四名を処分しております。それからまた、指揮監督義務違反ということで、各幕僚長とか施設庁長官に処分を行ったと、こういうようなことでございまして、今の自衛隊法四十六条のほかにも訓戒等に関する訓令で何人かの処分を行っているところであります。
#114
○田村秀昭君 四十六条、私も防衛大学の学生のときに学生にふさわしくない行為というので処罰されたことがあるんですが、自分ではよく意味が分かっていない。
 何を犯したからとかそういうことじゃなくて、何となく世間に迎合しているんじゃないですか、これ。どうですか、長官。
#115
○国務大臣(中谷元君) 今回の件につきましては、法律面や服務面で先ほど局長がお話しした内容で処分を実施をいたしましたが、当然、自衛隊でございますので、国を守るために必要な情報の収集、保全、これはしっかりやっていかなければなりませんが、一方で、情報公開法並びに個人情報保護法等に基づきまして情報公開を請求した人のプライバシーを保護するという観点も、これも守っていかないと、この情報公開法の制度自体が成り立ちません。
 この法律というものは、政府の説明責任によってより国民から政府が信頼を得るために設けられた法律でございまして、信頼される防衛庁を確立するという観点におきましても、この趣旨を十二分に理解して隊務運営をやっていかなければならないわけでございまして、そういった点につきまして各内局又は機関等の責任者も処罰の対象になりましたが、これは、指揮監督義務違反と教育の在り方等も含めまして、それぞれの法的根拠に基づきまして実施をしたわけでございます。
#116
○田村秀昭君 この情報公開というのは何人も否定できない建前なんですが、これ防衛庁もそうですけれども、教育もそうなんですね。通信簿やなんかにひどいことを書くと公開されてしまうからすばらしいすばらしいと書いていると子供が育たないわけですよ。
 そういうのもあって、そこの立場にある人がきちっと、自衛隊法の方を優先させるのか行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律というものも、どっちを優先するのかきちっとしないと、防衛庁はこの電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律を優先させて、防衛庁というのは公開原則だけで本当に有事のときに役立つのかきちっと考えていただかないと私は困るということだけを申し上げて、御返事は要りませんので、時間もありませんので、副大臣に一つ、これと違ったことをお尋ねします。
 今、エレクトロニクスの技術というのはもう非常に目覚ましい発展でありまして、一年前のものなんか旧式化しちゃうんですね。それで、陸上自衛隊、航空自衛隊、海上自衛隊もそうだと思うんですが、ヘリコプターにGPSというのを積む、みんな積まないと自分のポジションやなんか、きちっと位置がはっきりしないと。普通のドライバーでも一般車でもこのGPSを積んでいろいろ走行しているということで、陸上自衛隊のヘリコプター等はこれを自分の、自費で買って付けているんですね。
 どうして、こういうものを防衛庁は個人負担にさせないで、予算要求して各ヘリコプターに付けるとか、そういうふうにしないのか。どんどんどんどん進歩しちゃうんで古くなっちゃうからかどうか知りませんが、是非こういうのは隊員負担ではなくて装備化をきちっとすべきだと思いますが、副大臣いかがでありますか。
#117
○副長官(萩山教嚴君) ただいま田村先生から御指摘がありましたGPSというのは、グローバル・ポジション・システムということなんだそうであります。これを付けていると非常に自分の所在がはっきりするし、非常に便利であります。自動車にも付いておりますが。
 それは、自衛隊のヘリコプターについては新しい型あるいは長距離を飛ぶ型には自主的に付けてあります。だけれども、あるいはまた、私たちが乗るような、スーパーピューマというのを御存じですね、あれには付いております。
 今御指摘のあった、ヘリコプターに付いていないとおっしゃった、これはもうけしからぬことでありまして、隊員個人の負担にならないように、今後気を付けてそういうものをどしどし付けていきたいと私は思っております。また、そのように大臣にも申し上げておきたいと思います。
#118
○田村秀昭君 どうぞよろしくお願いします。
#119
○副長官(萩山教嚴君) はい、分かりました。
#120
○田村秀昭君 副大臣の御答弁を聞いて非常に力強く感ずる次第でありますが、こういうのを個人負担にするというのは非常におかしい話で、是非よろしくお願いしたいと思います。
 終わります。
#121
○大田昌秀君 防衛庁にお伺いいたします。
 防衛庁の調査報告書によりますと、情報公開制度実施に伴い多数の情報開示請求が予想され、処理が遅れたらいけないとして、防衛庁では内局、陸海空幕ともそれぞれ開示業務の進捗状況を示す進行管理表を作成することになったとされております。したがって、業務を遂行するにはその進行管理表だけあれば十分だと思われますけれども、あえて請求者リストを作った理由は一体何ですか。御説明ください。
#122
○国務大臣(中谷元君) この海自三佐が作成されたリストは、防衛庁として作成をしたものではなくて、この海自三佐の発意によって作成されたものでございますが、これの理由等につきましては、情報公開業務等を行う上において、開示請求状況の分析を行う上でこれらの情報を活用できるかもしれないと考えたと。また、防衛庁全体のデータを把握することによって海上自衛隊に対する開示請求を予想できるのではないかと考えたと。また、その後請求者がどのような行政文書を要求しているのか明確でない事例が多いことを踏まえて、この開示請求に対して迅速かつ的確に行政文書の特定を行うために開示請求者の背景を知ることが有効ではないかと考えたこと等でございます。
 一覧表等を作成した目的等につきましては、これは各情報公開室におきまして、それぞれの情報公開内容においてその進行を管理すること、また、ほかの状況等も見ることによりまして、それぞれの開示が遅れているかどうか、それぞれ早めに情報開示を行っていく必要がございますが、そういった観点で、全体として情報公開業務が速やかに行われるということを促すために作成をしたというふうに伺っております。
#123
○大田昌秀君 次に、テロ対策特別措置法に基づいて、現在インド洋に派遣されている海上自衛隊のことについてお尋ねいたします。
 まず最初に、言葉の意味について伺いますが、作戦指揮統制ということと戦術指揮統制という言葉が使われますけれども、その違いについて御説明ください。
#124
○政府参考人(北原巖男君) 今、先生御指摘の言葉でございますが、先生御指摘のは米海軍において使われている言葉を指しているのではないかと思いますが、オペレーショナルコントロール、いわゆる作戦統制、それとタクティカルコントロール、戦術統制という言葉があると承知しております。
 それで、作戦統制につきましては、作戦及び訓練の実施に関しまして計画、部隊編成を含むすべての面を統制することをいう、また戦術統制につきましては、各種活動等の実施に当たりまして、任務達成のために現場において一時的あるいは局地的に部隊の移動等を統制することをいうものと承知はいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、私ども自衛隊、海上自衛隊におきましてはこのような考え方は取っておりません。
 したがいまして、その詳細につきましては承知しておらず、今概略を申し上げたところでございます。
#125
○大田昌秀君 六月十六日付けの朝日新聞の報道によりますと、インド洋で洋上補給に当たっている海上自衛艦が米海軍の戦術指揮統制下に入ることを海上自衛隊側が容認していたということがあります。
 その記事では、自衛艦がインド洋で米艦船に海上補給を開始する一週間前の昨年の十一月二十五日、防衛庁海上幕僚監部の派遣チームがバーレーンの米中央軍第五艦隊司令部を訪れ、当時のムーア司令官に会った際、同司令官から、海上自衛隊は独自に活動するのか、それとも多国籍軍に統合されて活動するのかと質問されて、作戦指揮統制は独自に維持することが必要だが、戦術指揮統制については洋上補給を行う期間、第五艦隊五三任務群司令官にゆだねることは可能ではないかと考えると応じた、その上で、ただし戦術指揮統制を米海軍にゆだねることは政治的に公言できないため、微妙な配慮が必要だと付け加えたと報じられております。
 この報道は事実ですか。事実とすれば、武力行使をしている米海軍の指揮下に入ることですから、テロ対策特別措置法の第二条二項で言う対応措置は武力の行使に当たるものであってはならないという条項に違反しているだけでなく、憲法が禁じた集団的自衛権の行使に直結することにもなりかねないと思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。
#126
○政府参考人(北原巖男君) ただいまの御指摘の新聞報道につきましては承知をいたしております。
 しかし、この点につきまして私ども明確にさせていただきたいと思っておりますのは、テロ対策特措法に基づきます私どもの海上自衛隊等の協力支援活動、これを円滑に実施いたしますために、これまで様々なレベルあるいは段階で日米間の意見交換ですとか調整を行ってきていることはそのとおりでございますが、その一環として、先生御指摘になりました、昨年の十一月の二十三日から二十七日までの間、海上幕僚監部等の関係者がバーレーンに出張いたしまして米第五艦隊司令部等の関係者と意見交換並びに調整等を実施したことは事実でございます。
 その内容の詳細につきましては、具体的な運用にかかわる事項でございますので御答弁は差し控えたいと思いますが、明確に申し上げることができますのは、海上自衛隊として、海上自衛隊の艦艇が新聞報道のような米軍の統制下ですとかあるいは指揮監督の下で活動をするといったようなことを容認したといったような事実はございません。また、現実にも、海上自衛隊の艦艇が米軍の指揮監督の下で活動していることはないわけであります。
 申すまでもなく、私ども、テロ特措法、法律に基づきまして、またその下での基本計画あるいは実施要綱に基づきまして、これらに基づいて実施せよという防衛庁長官の命令の下に部隊を編成し活動しているものでございますので、繰り返しになりますが、米軍の指揮監督を受けているといったことは全くございません。
 ただ、当然のことでございますが、給油等を行うに当たりまして両国の部隊間等におきまして緊密な相互調整、これを行っていることは事実でございますが、繰り返しになりますが、指揮統制あるいは指揮監督を受けているという事実はございません。
#127
○大田昌秀君 だとしますと、これは新聞の誤報だということになるわけですか。もしそうだとすれば、新聞社に対して特定の措置をお取りになったわけですか。
#128
○政府参考人(北原巖男君) 御指摘の点につきましては、今私がるる申し上げたとおりでございますので、この新聞報道を受けまして、海上幕僚監部から当該新聞社に抗議の申入れをいたしております。
#129
○大田昌秀君 次に、外務省にお伺いします。
 沖縄の施政権返還をめぐる交渉で、米軍用地の復元補償費を日本側が肩代わりするとの密約があったという問題についてでございます。
 返還交渉の当時、一九七二年三月二十七日の衆議院予算委員会で社会党議員がこの密約問題を取り上げております。そのとき政府側は、密約は一切ないと答弁しております。
 つい先日、六月二十八日付けの毎日新聞がこの密約を明記した米政府の公文書を米国立公文書館で手に入れたと報じていますが、政府は今もって、そのような背景を踏まえても密約はなかったというふうにおっしゃるわけですか。
#130
○国務大臣(川口順子君) 沖縄の返還国会の当時から外務大臣及びその他の交渉の担当者の方々が一貫して繰り返して御説明を申し上げているわけですけれども、沖縄返還に際する支払問題に関する日米間の合意は、沖縄返還協定、これがすべてであって、密約は一切存在をしないということでございます。
#131
○大田昌秀君 非常に奇妙なのは、我が政府はそういうことをおっしゃるわけなんですが、アメリカの方で正式の公文書としてそのような文書が残っていて、私も手に持っておりますけれども、じゃ、そのことはどういうふうにお考えになるんですか。交渉の当事者の相手側がちゃんと公文書に記録を残しているわけですが、うそを書いたということになるわけですか。
#132
○国務大臣(川口順子君) 委員がアメリカの公文書であるとおっしゃるその文書の性格については、日本政府としては承知をいたしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#133
○大田昌秀君 これほど新聞などでも密約問題が騒がれているのに、承知をしておりませんということでいいんですか。外務省として、当然、その公文書を確認するなりして、それでもし公文書の存在が明らかになるとすれば、相手政府に対して、これは国内で政治問題になっておるのでどういうことですかと問いただすのが当然ではないかと思うんですが、いかがですか。
#134
○国務大臣(川口順子君) 我が国としては、我が国の公文書の確認ということはできますけれども、相手のおっしゃるその文書でございますけれども、これについてはその性格がよく分からないので、コメントを申し上げることができないということです。
#135
○大田昌秀君 ですから、性格がよく分からないということをおっしゃるのでしたら、これは国内で非常に、当事者にとっては重要な問題です、特に沖縄のようなところから申しますと。そのことについてコメントもできない、それから相手がなぜこういう公文書を出しているか、公開しているかということについて何ら問い合わせもしないということは、当事国としておかしいじゃないですか。
#136
○国務大臣(川口順子君) 問い合わせ、文書の性格については先ほど申し上げたわけですけれども、この密約がないということについては、アメリカに対しては、アメリカに対してといいますか、当時の河野外務大臣が日本側の交渉当事者であった吉野元アメリカ局長に直接話をなさって、密約が存在をしないということでこれは確認済みでございますので、密約がない。したがいまして、この件に関して調査をする、問い合わせをするということは考えていないということです。
#137
○委員長(武見敬三君) それでは、本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#138
○委員長(武見敬三君) エネルギー憲章に関する条約の締結について承認を求めるの件及びエネルギー効率及び関係する環境上の側面に関するエネルギー憲章に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣。
#139
○国務大臣(川口順子君) ただいま議題となりましたエネルギー憲章に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成六年十二月にリスボンで開催された国際会議において採択されたものであります。
 この条約は、エネルギー原料及びエネルギー産品の貿易並びにエネルギー分野における投資を促進すること等を目的とするものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、エネルギー分野における経済的協力の強化に寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、エネルギー効率及び関係する環境上の側面に関するエネルギー憲章に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、平成六年十二月にリスボンで開催された国際会議において採択されたものであります。
 この議定書は、エネルギー効率を高め、望ましくない環境上の影響を軽減するための政策上の原則等について定めたものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、エネルギー効率及び環境保護の分野における国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#140
○委員長(武見敬三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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