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2002/07/16 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 内閣委員会 第15号
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2002/07/16 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 内閣委員会 第15号

#1
第154回国会 内閣委員会 第15号
平成十四年七月十六日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月六日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     井上 吉夫君
     藤井 基之君     山崎 正昭君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     大門実紀史君     筆坂 秀世君
 七月一日
    辞任         補欠選任
     西銘順志郎君     桜井  新君
 七月二日
    辞任         補欠選任
     桜井  新君     西銘順志郎君
 七月三日
    辞任         補欠選任
     山根 隆治君     勝木 健司君
 七月四日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     山根 隆治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 泰介君
    理 事
                斉藤 滋宣君
                松村 龍二君
                森田 次夫君
                長谷川 清君
                吉川 春子君
    委 員
                上野 公成君
                亀井 郁夫君
                竹山  裕君
                西銘順志郎君
                山崎 正昭君
                岡崎トミ子君
                川橋 幸子君
                山根 隆治君
                白浜 一良君
                森本 晃司君
                島袋 宗康君
                田嶋 陽子君
                黒岩 宇洋君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    村井  仁君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
       国務大臣
       (規制改革担当
       大臣)      石原 伸晃君
       国務大臣
       (科学技術政策
       担当大臣)    尾身 幸次君
   副大臣
       内閣府副大臣   熊代 昭彦君
       環境副大臣    山下 栄一君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        奥山 茂彦君
       内閣府大臣政務
       官        亀井 郁夫君
       農林水産大臣政
       務官       岩永 浩美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        江崎 芳雄君
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       警察庁刑事局長  吉村 博人君
       総務省総合通信
       基盤局長     鍋倉 真一君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高橋 恒一君
       外務省アジア大
       洋州局長     田中  均君
       外務省条約局長  海老原 紳君
       厚生労働大臣官
       房審議官     三沢  孝君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○内閣の重要政策及び警察等に関する調査
 (科学技術振興に関する件)
 (男女共同参画社会の形成に関する件)
 (従軍慰安婦問題に関する件)
 (靖国神社合祀問題に関する件)
 (経済財政諮問会議の在り方に関する件)
 (新障害者基本計画に関する件)
 (監察医制度に関する件)
 (日本経済の現状に関する件)
 (鳥獣被害対策に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(佐藤泰介君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、愛知治郎君、藤井基之君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君、山崎正昭君及び筆坂秀世君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤泰介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 内閣の重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に政府参考人として、内閣府政策統括官江崎芳雄君、同男女共同参画局長坂東眞理子さん、警察庁生活安全局長黒澤正和君、同刑事局長吉村博人君、総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高橋恒一君、同アジア大洋州局長田中均君、同条約局長海老原紳君、厚生労働大臣官房審議官三沢孝君及び厚生労働省医政局長篠崎英夫君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(佐藤泰介君) 内閣の重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○山根隆治君 おはようございます。
 まず、私は科学技術政策につきましてお尋ねを尾身長官にいたしたいと思います。
 平成七年の十一月に議員立法として成立いたしました科学技術基本法、国のそれ以降の科学技術政策につきましては、基本計画等を策定する中で順次年々その実現に向けて歩んでいるというふうに認識を私自身はいたしているわけでありますけれども、平成七年からもう数年たっている。その中で、この議員立法について中心的な役割を尾身長官が当時果たされてきたというふうに仄聞をいたしているわけでありますけれども、そうした政治環境の中で、尾身長官はそれ以降の国の施策というものがどのようにこの計画に基づいて推移しているというふうな御認識を持たれていらっしゃるかどうか、あるいはまた来年度予算の編成におきましてどのような方針で今、現大臣としてこの法律に基づいた施策というものを樹立されようとしているのか、その思いのたけを五分ほどで、申し訳ないんですが、お答えをいただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
#7
○国務大臣(尾身幸次君) 平成七年に科学技術の振興を日本としてしっかり進めていく必要があるということで初めて、これ議員立法でございまして、私がそれにかなり関与したのでございますが、科学技術基本法という法律が制定されました。この基本法は、国全体として科学技術創造立国を目指していくという国の基本的な方向付けをしたものでございまして、各会派の満場一致といいますか、全会派賛成の下に成立した法律でございます。以来、私は日本の国が政治の面で科学技術の振興ということを大きく取り上げた画期的なことであったというふうに考えております。
 この法律の中で、五か年計画を決める、しかもその五か年計画の中には金額を入れた五か年計画を決めるということが決まっておりまして、実はその前は五か年の科学技術のための予算等についての計画はなかったわけでございますが、この法律に基づいて平成八年から平成十二年まで第一期科学技術基本計画、それから第二期の基本計画がこの十三年度から十七年度までということで決まったわけでございます。
 第一期の計画におきましては、十七兆円という非常に大きな額の計画を立てましたところが、結果としては十七兆六千億という科学技術関係経費の支出が実現をいたしまして、結果としてその前の五年間に比べて約四〇%の増を達成した。財政再建厳しい折でございましたが、数字的に言いますと、そういう結果になっております。
 そして、十三年度、昨年度から第二期の五か年計画に入っておりますが、今度は十七兆六千億を土台といたしまして二十四兆円、対前五か年の比で三六%増という計画を立てたわけでございます。これを私ども、今どうしても金額的にも実現をしていきたいということでやっております。
 ただしかし、科学技術の研究開発はお金を増やしただけでは駄目でございまして、この第二期の五か年計画におきましても、例えば基礎研究を充実する必要がある。このためには今後五十年間に三十人のノーベル賞学者を出すということを目標にしていきましょうというふうなことも決定をいたしました。これは戦後五十七年で七人しか日本は自然科学系のノーベル賞学者が出ていないわけでございますが、アメリカでも百八十人くらい、それからイギリスでも五十人前後、戦後五十七年間で出ているわけでございまして、日本として今後五十年間に三十人ということはそう無理な数字ではございませんし、やはり若者に夢を持たせる必要があるということで、そういうことも決定をいたしました。
 それから、先ほど申しました十七兆六千億から二十四兆円に伸ばすと、金額を伸ばすということも決めさせていただきました。
 さらに、重点的に科学技術の研究開発を進めていかなければならないということで、ライフサイエンスそれから情報通信、環境それからナノテクノロジーと材料のセットという重点四分野を決定をいたしまして、この重点四分野を中心に科学技術の研究開発を進めていくということを決めました。
 それから、同時に、今のいわゆる日本経済社会がキャッチアップ時代からフロントランナー時代に変わってきたことに伴いまして、産学官の連携を進めよう、それから地域の科学技術の振興をしよう、それからもっと科学技術の分野で、特に大学改革との関連で、より大学を競争的にして活性化していこうというようなかなり具体的なところも考え決めまして、これを進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、国土が狭く資源の乏しい日本は、これからの発展は科学技術の振興以外にはないというふうに考えているわけでございまして、この点、是非皆様にも御理解をいただきながら国づくりをして、本当の意味で活力のある、競争力のある強い国に日本という国をしていきたいと考えておりますので、是非御支援のほどをお願い申し上げます。ありがとうございました。
#8
○山根隆治君 ありがとうございました。
 今御答弁の中で三十人のノーベル賞の学者、自然科学の中で、これから目指すんだというふうな御答弁がございました。
 日本はヒトゲノムでも先端的な役割を実は果たしてきたし、それはアメリカに先んじていたことでもありますし、情報ハイウエーにしても、発想はやっぱり日本が先鞭を付けたというふうに私自身は思っているところであります。
 いろいろなパテントにいたしましても、アメリカにおける特許の取得の件数というのは依然として世界有数なランクにあるというふうに承知をいたしているわけですけれども、そういう日本人の持っている英知というか、そういうものが正しくノーベル賞という受賞ということに今まで反映がされていたのかどうか、私はちょっと疑問なところ、ノーベル賞そのものにも疑問な部分があるんですけれども、その点についてはどのような御認識でしょうか。
#9
○国務大臣(尾身幸次君) 今申し上げましたが、戦後五十七年間にアメリカが百八十五人、イギリス四十六人、ドイツ二十八人、フランス十人ということでございまして、自然科学系のノーベル賞受賞者が日本はこの間に七人しか出ていない、こういうことでございます。私は、日本の科学技術の水準が必ずしも低いとは思っていないのでございますけれども、国際社会で認められている人数は非常に低い、日本の本当のポテンシャルから見ればもうちょっと実績が上がってもいいのではないかというふうに考えております。
 そこで、やはり若者が夢を持って進んでいくというためには、こういう非常に、何といいますか、元々、世界のトップの研究開発をするその結果として受けるべき賞の数を国の基本計画の中で決めるというのは、考え方によってはどうかというふうにも思いますが、やはり日本という国はこれから基礎研究を中心として進んでいかなければなりませんし、むしろ、そういうノーベル賞を目指して頑張っていただけるような若者がもっと出てくるということも大変私としては大事だというふうに考えまして、あえてそういうような方向を決めさせていただきました。
 これから、私は、既にそれを決めましてから野依教授がノーベル賞を受賞されましたので、あと二十九人、こういうふうに考えているわけでございますけれども、この科学技術担当の国務大臣に就任いたしましてからいろんな各地を回りまして研究開発の実情を拝見しておりますけれども、まだまだそういうノーベル賞を取れるような可能性のある研究が日本では相当あちらこちらで行われておりまして、そういうことも含めまして、大いに日本国民、皆さんが、特に若者が頑張っていただいて科学技術を発展させていく、そのことによって国全体を作り上げていくということを是非実現していきたいと考えている次第でございます。
#10
○山根隆治君 余りこの問題で時間取ってしまってはあとできなくなっちゃうんですが、ノーベル賞ということに私自身は余りそんなにとらわれることもないんじゃないかと。例えば、日本の経済でも、政府の首脳はアメリカの格付会社に対してちょっと公平じゃないというふうな発言があったりしていて、余りそうしたことは、例えばオリンピックでも、金メダルや銀メダル、銅メダルをたくさん取るのがいいのか。それもいいことはいいでしょう、分かりやすいけれども、少し単純過ぎやしないかという思いもちょっとあるので、必ずしもそういうことにとらわれずに、ひとつこれから、科学技術の振興というのに責任のあるお立場からひとつ御奮闘をいただきたいということで、これは要望で終わらせていただきたいと思います。
 次に、普天間飛行場の辺野古沖への建設計画につきまして、これは麻生政調会長の発言がマスコミ等で取り上げられたというふうなことがございまして、本委員会とは直接のかかわりということから少し外れるかも分かりませんが、実は後ほど申し上げますけれども、必ずしも無関係ではないのであえてこの委員会で取り上げさせていただくんですけれども、熊代副大臣に、当事者というところから離れた目で見て、この政府と与党の幹部との認識の違いというものについてはどのように考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。
#11
○副大臣(熊代昭彦君) 尾身大臣と麻生政調会長のお話のそごの問題というような御趣旨かと思いまして、私自身も大いに準備はしてまいったわけでございますが、何しろここに尾身大臣いらっしゃいまして、内閣委員会は直接の所管ではございませんけれども、話を早めるという意味で、先例とせずということで尾身大臣に御答弁いただいたらというふうに思いますが、委員長、いかがでございましょうか。
#12
○委員長(佐藤泰介君) 山根さん、どうですか。いいですか。──じゃ、尾身大臣、お願いします。
#13
○国務大臣(尾身幸次君) 国会も生き物でございますから、実情に即して臨機応変にやるということも大事かなと思います。
 先日、普天間代替施設について麻生政調会長が発言をしたというような記事が出ておりまして、それについてどう思うかというようなことをいろんな方々から言われております。
 実は、その記事を拝見してすぐに、あれは七月の九日でございましたが、私は麻生政調会長にアポイントメントを取ってお目に掛かって、実情を説明し、御了解をいただきました。御理解をいただいたと考えております。
 その内容は、普天間飛行場の移設につきましては平成十一年の十二月の閣議決定で名護市辺野古沿岸域というふうに定め、そして、昨年末の第八回の代替施設協議会におきまして代替施設基本計画の主要事項に係る取扱い方針というのを決めたわけでございますが、その場所も今の辺野古周辺ということになっているわけでございまして、一応話が出ました嘉手納飛行場に移設をしたらどうかという案は七年くらい前に一つの案として検討されましたが、いろんな事情でそれは無理であるということで先ほどの名護市辺野古沿岸域というふうになって、そのことを基本的な方向として今地元の皆様とも調整をしながら手続を進めているところでございまして、私どもとしては、これは沖縄県当局も同じ意見でございますが、その方向で地元の皆様の意見もお伺いしながら進めているということでございまして、先ほど申しましたように、この点について麻生政調会長の御理解をいただいたところでございます。
#14
○山根隆治君 端的にお伺いいたしますが、平成十一年十二月二十八日の閣議決定、政府方針、これは不変だというふうに理解してよろしいですか。
#15
○国務大臣(尾身幸次君) その方向で話を進めているところでございます。
#16
○山根隆治君 この問題、余り深追いすると時間もまた取られるんであれなんですけれども。
 私は、この政府方針、閣議決定した内容を少し読ませていただきましたけれども、やっぱりかなり環境というのに配慮をした書き方がされています。これは当然のことでございます。麻生政調会長の発言というのも非常に一つの見識だというふうに私自身は思っているところでございますけれども、科学技術担当大臣という立場からはこの新しい辺野古への移設を考えるについて、相当なやはり環境問題への気配りというかそういうことを考えておられるだろうと思うんですね。
 私自身は、党の立場ということからまだこの問題についてはっきりとした方針というのは組織的には決めておりませんけれども、やはり十五年間という期限が付く問題、あるいは一兆円という、一兆円、必ずしも一兆円とは限りませんけれども、あるいは数千億円だというふうな話もありますけれども、相当な予算というものを付けてやらなくてはいけないということで、国民の税の有効性ということからどうかという疑問は私たちは持っているということは、この際改めて御指摘しておきたいと思いますが。
 そこで、普天間基地とそれから嘉手納基地の統合案というのを自民党の有力な政治家から出ていたりします。いずれにしても、何らかの解決策というのを取っていかなくてはいけないんですけれども、そのときに、この通常国会というのは本来経済や雇用というものを中心に論議すべき、あるいは国民は期待していた国会ですが、御承知のように、スキャンダルに次ぐスキャンダルが論議され、せざるを得ない国会になってしまった。その一つは鈴木問題というふうに言われておりますけれども、沖縄でいろいろな公共施設が造られるということについても、民主党の調査によりますと、北海道の業者の方がその建築を請負をするとか、あるいは有力な政治家の地元の本土の方が、業者がいろいろな建設をするというふうなことで、非常に不自然な状況があったということが明らかになっているわけでございますけれども、今後、何らかの形でこの問題に着手するとき、新しい建設工事というのが、土木工事というのが当然行われてくるわけでございますけれども、これらについては、沖縄の振興ということを考えたときに、やはり私は地元の業者というものをとにかく優先してやっていくということが国民の理解を得る私は端的な、目に見える形でのものになってこようかと思いますが。
 この点についての、私は、担当大臣としての御決意、つまり今日は科学技術担当の大臣としておいでいただいていますので、そうした環境にも配慮した施設を造る、あるいは統廃合という、統合するという形でも新しい何か手を付けなくちゃいけないというところについて、環境についてのかかわりの中で、この建設問題について是非地元優先という立場をこの場で鮮明にしていただきたいというふうに思います。御答弁願います。
#17
○国務大臣(尾身幸次君) この代替施設の基本計画の決め方につきましては、地元の御意見もございまして、できる限り環境面、技術面に配慮をして場所等についても決めるということでございまして、環境問題については十分な配慮を図っていきたいと考えております。
 それから、中小企業の育成ということでございますが、やはり中小企業でやれる仕事はできるだけ中小企業の方々にやっていただくというのが私どもの基本的な考え方でございまして、今後、いろんな工事等を行う場合にも、そういう基本的な考え方に立っていろいろと取り進めてまいりたいと考えている次第でございます。
#18
○山根隆治君 地元の業者にノウハウがない、力がない、技術がないということで、本土から来るというふうな大義名分は立つと思うんですね。
 だけれども、その場合には、もういろいろな公共施設というのをやはり沖縄振興策で取っているわけですから、私はどんどんどんどんできるものは中小企業でやってもらって、どうしてもできないものについてはジョイントで組むとか、あるいは何らかの形で、下請でも何でもやっていかないと、やはりいろいろな、沖縄の選出の議員さんからもいろいろな話を聞くし、私どもの調査での結果でも明らかなように、どうもやはり他県の有力な政治家の地元から業者が来るなんて、こんなばかなことはないわけで、その点は是非ひとつ地元を優先する、そして地元の土木・建築業の企業を生かす、あるいは育てるということを是非御配慮いただきたいと思います。
 もう一回この点について決意を少し、もうちょっと熱入れて。
#19
○国務大臣(尾身幸次君) 熱は入っているつもりなんでございますが、やはり地元ででき、また地元の中小企業でできることは極力そういう方々の力を使っていくということは、基本的な私どもの考え方でございます。先ほどのお話のように、技術的な能力等々もございますが、しかし、それはそれとして、基本的な考え方は先ほどのお話のとおりの考え方でこれからも取り進めてまいりたいと思います。
#20
○山根隆治君 それでは、続きまして村井大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。
 実は、十月一日から身体障害者補助犬法が施行されるということで、非常に私もこの法律の施行ということについては感慨深いものがあります。と申しますのも、今は亡き参議院議員でありました柄谷道一先生がこの盲導犬の問題というものを最初に取り上げて、国会で、参議院そして当時の社会労働委員会で盲導犬が初めて傍聴を許されるというか、帯同をするというふうなことが許可された。そのとき、私も実はその先生の秘書をやっていたということがございまして、この問題について特別な思いがございます。
 時間の関係もありますので、事前に御通告していたものを全部質問するわけにいきませんけれども、特に大臣に、日本警察犬協会、これは社団法人ですけれども、が警察の行政に、相当警察犬の育成をされて、サポートしてきたということがありますし、いろいろな、麻薬犯罪等についても相当な力を発揮してきたというふうに思っております。つまり、歴史というものをやはり積み重ねてきたノウハウというものをこれから生かしていかなくてはいけないというふうに思っているわけでございますけれども、そうした意味で災害救助犬の育成というのが日本で今かなり求められてきております。
 神戸の地震、大地震でスイスの方から災害救助犬が来て、それが映像に映って、かなり国民のまだ記憶として残っておりますけれども、そこで触発されて、日本のいろいろな民間の団体等が海外のそうした天災に派遣、自分たち自費で派遣したりというふうなことも実は救助犬でございました。
 しかし、国の施策というのはまだ追い付いていない、その方針も出ていないという状況がありまして、様々な問題が今現出しているわけでございますけれども、大臣としてこの災害救助犬の問題につきましてどのように取り組むお考えをお持ちなのか、お尋ねをいたします。
#21
○国務大臣(村井仁君) 私、防災担当大臣という立場もございますので、警察の問題、警察犬の一部としての災害救助犬というのをどういうふうに考えるかという観点と、それから一般論として災害救助犬どういうふうに考えるかと、この二つの角度から申し上げさせていただきたいと存じます。
 まず、警察担当の大臣としての立場で警察犬についてちょっと御説明させていただきますと、警察犬につきましては、十分御案内のとおり、犯人追跡等を任務にいたしますいわゆる鑑識犬と呼ばれるカテゴリー、それからもう一つ警戒警備に従事する警備犬というカテゴリー、それともう一つ、これは比較的新しいタイプでございますけれども、今御指摘の救助犬というようなもの、これは例えば雪の中で人を捜すというような機能もあり得るわけでございますけれども、この三つがあろうかと思うわけでございます。
 ただ、この実は育て方でございますけれども、実際には民間に非常にお願いを申し上げている部分が多うございまして、いわゆる嘱託犬と申しておりますが、民間の育成家に飼うのをお願い申し上げまして、それでいざというときに出動してもらうこの嘱託犬と、それから各都道府県警察が自ら持っている直轄犬と、こうあるわけでございまして、率直に申しまして、どちらかと申しますと民間の側に育て方、訓練の仕方等につきましてのノウハウが重いという感じがございます。とりわけて救助犬の方でございますけれども、これも新しいカテゴリーなものでございますから、数の上でも圧倒的に民間に嘱託しているケースが多い、そういうことがまず言えるかと存じます。
 そういう意味で、警察がどのくらいそういう意味で今、委員御指摘のような方向でお役に立つか、ちょっと私、自信がない、もう少し研究させていただきたい。
 それからもう一方、災害救助犬というものを防災担当大臣としてどういうふうに位置付けるかでございますが、確かに、阪神・淡路大震災のときにスイスから入りました災害救助犬が活躍した。これは一つの事実でございますが、一方で、いわゆる災害救助犬というのはいろいろまた問題がございまして、端的に申し上げますと、一つは、輸送手段がどうしても犬の場合必要なんでございますね。連れてくるのにどうするか。それから、何といいましょうか、必ず救助部隊と一緒に行動しなきゃならないというような制約がある。さらには、ハンドラー、使う人との組合せ、これが大変重要でございます。さらには、時間的に非常に短い時間しか使えない。さらに、騒音が大きなところではほとんど働けないとか、いろんな制約がございます。
 災害担当大臣としての立場で申し上げさせていただきますと、本当のところは、もう少し、犬というよりは、私、実はちょっと、別の方でも犬の問題は関心持っているんでございますが、どうも災害救助については犬よりもいわゆる電磁波による生存者の探索システムでございますとかあるいは生存者探索ポータブルセンサー、これ具体的には二酸化炭素を検知して生きている人を見付けるというような方法でございますけれども、こういったようなことをもう少し前向きに考えていった方がいいんじゃないか、こんな感想を持っております。
 委員の犬に対します御理解はもう先ほどよくお伺いいたしまして、これはこれでまた私もなお研究はさせていただきたいと存じます。取りあえずお返事でございます。
#22
○山根隆治君 ちょっと今、逆に後ろ向きな発言になってきたのでちょっと困ったんですけれども、そういう科学技術を駆使して災害救助、人命救助に当たるというのはもう大事なことですけれども、やはりそれと併せて、例えば災害救助犬については、もうヨーロッパでは百年あるいはそれを超える歴史があって、相当な成果を実際のところ生かしている状態ありますね。今でも飛行場では麻薬の取締り等についてやっぱり犬使ったりということもあるわけで、その辺ちょっと矛盾した部分もあるので、それ並行してやはりやっていくべきものだろうというふうに思っています。
 民間が先導してやっているという状況の中で、ただやっぱり財政的に相当な困難があるということがありますので、その辺のやはり現実に即した国としての政策を立て得ないということであれば、そうした民間への助成ということをしっかりとやっぱり考えてもらいたいというふうに思いますので、その点について一言だけ、ちょっと御答弁。もう一問したいんで、是非短く。
#23
○国務大臣(村井仁君) よく研究はさせていただきたいと存じますので、よろしくひとつ。
#24
○山根隆治君 研究というのは、検討ならいいんですが、研究というのはちょっとまだ時間掛かるんですけれども、また次の機会にそれ譲るといたしまして、あと二分でございますので。
 もう一つは、電話のワン切り対策というのがございます。ワン切り対策についてお伺いしますけれども、これはもうワン切りじゃなくてツー切りで、二回ぐらい鳴ってすぐ切っちゃって、何だろうと思って電話して、それで十万円取られちゃうというふうなことが流布されておりましたけれども、実態的にはそういうことは余りないということは明らかですが、明らかになってきていると思いますけれども、やはりその辺の安心というのを国民に十分与える必要があろうかと思います。そういう意味では、総務省として内閣府に対して、数度で十分だと思いますけれども、テレビ広報等でそうした実情と対策というものを、やはり少し広報にテレビを使うということで一挙にこの問題解決すると思いますので、この点についてどのようにお考えになるか、御答弁を最後にいただきまして、私の質問を終わります。
#25
○政府参考人(鍋倉真一君) 今、先生御指摘のとおり、ワン切りにつきましては、単に掛け直しただけで、業者との間で何ら契約をしていないのであればお金を取られるということはないわけですが、それともう一つは、いわゆる迷惑メールと違いまして、このワン切りの場合には、最近非常に苦情が減ってきているという現象はございます。
 ただ、今御指摘ございましたように、私どももこういうパンフレットを何十万部作るとか、あるいはホームぺージだとか、いろんなところで周知徹底を図っているところでございますけれども、なおその周知徹底をいろんな面でやっていきたいというふうに思っております。
#26
○山根隆治君 テレビ、テレビ。
#27
○政府参考人(鍋倉真一君) それにつきましても内閣府にお願いをしたり、いろいろしていきたいというふうに思っております。
#28
○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。
 今日は官房長官に、男女共同参画の担当大臣としての質問を四問ばかり、短い時間でございますけれども、さしていただきたいと思います。
 それでは、まず一点目でございますけれども、男女共同参画社会基本法というものができまして三年たちます。それから、内閣主導の国政の推進というんでしょうか、男女共同参画もそうしたシステム、政策形成システムにのっとって内閣府の機能強化に合わせまして男女共同参画会議ができて、新しい組織的な枠組みになりまして一年半がたったわけでございます。
 男女共同参画社会基本法を作りますときには、私も総務委員会の中で参加さしていただきまして、民主党としては対案を出し、そして対案を審議していただく中で与野党通じましての前文を付けるという修正が成り立ちまして、関係者、当時、野中官房長官始め様々な方の御助力でもって女性の希望する法律ができたわけでございます。
 さて、この男女共同参画社会基本法の特徴点といいましょうか使命といいましょうか、男女平等法とか性差別禁止法と違って男女共同参画社会基本法という、こういう基本法を日本が選択したのは、性差別禁止法なんかは典型的にはやってはならないことを規定する。それに対してこちらの男女共同参画社会の方は、日本の社会の実態に照らして望ましいと考えられる法形式、やらなければいけないと、ここまで強くはありませんが、やることが望ましいことを規定するという、こういう法律の枠組みになっているわけでございます。端的に言えば、性別でなく個性で活躍できるような社会、ジェンダーフリーの社会を目指すということになりました。
 そうした基本理念が第四条で規定されまして、社会的な制度、慣行が個人の人生選択、ライフスタイルの選択に当たって中立的なものとなるように見直すと、これがこの法律の非常に大きな目玉となったわけでございます。
 釈迦に説法でございますが、少し復習さしていただきます。
 そして、この基本理念を実現するために、第十五条では、国の責務として男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすような施策、積極的に促進する施策だけではなくて影響を及ぼすような施策についても男女共同参画会議の方でちゃんと目配りすると、国としては配慮義務を持つということが規定され、更に十八条では、国の義務として、具体的に社会の制度、慣行が性に中立的であるかどうかについて影響調査をする、こういう枠組みになっているわけです。この点、私たち、大変期待したわけでございます。
 そして、その影響調査の中間報告というのが四月に出たわけでございます。女性のライフスタイルの選択等に中立的な税制、社会保障制度、雇用システムに関する中間報告というものが出たわけでございますが、実は女性の間では、一部にこの影響調査に対して大きな不満といいましょうか、期待したほどの成果が上がっていないのではないかという、こういう疑問が感じられているわけでございます。
 例えば、税につきましては配偶者控除、特別配偶者控除の廃止を明言はしておりますけれども、既に政府税調がこのほど配偶者特別控除の廃止を決定したわけでございますし、年金につきましても、従来から言われておりました三号被保険者の見直しの問題について何らかの、直接、間接の費用を徴収することと、例えば年金分割のような形で三号被保険者の年金権といいましょうか、女性の年金が確保されるようにという抽象的なことは言われているわけでございますが、この程度ですと、既に女性と年金の部会の方で検討が進んでいるというわけでございます。
 もう一つ、最後の雇用システムにつきましては、何らかの日本型均衡処遇ルールについて検討することが重要と、このように書かれているわけでございますが、既にこのことは二月の厚生労働省のパートタイム研究会の中間報告の中でもっと踏み込んだことが書かれているわけですね。
 何か、私は、影響調査、それから男女共同参画会議の方の勧告ができる、意見が言えるということ、それから、内閣主導の機能があるということから大きな期待を持ったわけでございますが、どちらかというと何か後追いのような気がするわけでございます。
 この中間報告につきましては、十二月に最終まとめをするということでございますけれど、十二月といえば、もう通常国会目の前であるわけでございます。もうちょっと、この男女共同参画社会基本法が目指した目的、それから内閣官房に寄せられた期待から考えますと、こういう影響調査の結果というものはもっと有効に機能させるべきではないかということが私の疑問です。
 そこで一問目は、男女共同参画社会基本法第四条、せっかくジェンダーフリーの社会を目指して制度、慣行について見直すと、この理念が盛られて、その施行、実施についても規定が盛られたにもかかわらず、これはさっぱり具体的な施策によって推進されていないのではないかというのが私の疑問点でございます。よろしくお願いいたします。官房長官に伺います。
#29
○国務大臣(福田康夫君) お尋ねがございましたことはこの全体の取組のスピードの問題もあろうかと思いますけれども、まず、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に大きなかかわりを持ちます制度、慣行として、税制とか社会保障制度、また賃金制度等があるわけでございます。こういう制度、慣行の中には現在の状況に適合しないものとか女性の就業の妨げや男性の選択を狭めているというものもあることから、男女共同参画の観点から総合的に検討することが必要であると考えているわけであります。そのために、男女共同参画会議の影響調査専門調査会では、昨年五月から検討を行いまして、四月には中間的な報告を行ったわけでございます。この報告は、私から五月の経済財政諮問会議においても説明をいたしております。
 今後、専門調査会で国民からの意見も踏まえまして年内に報告を取りまとめる予定でございますが、いろいろ御指摘ございました。今申したように、経済財政諮問会議においても報告をしたものもございます。税制において配偶者特別控除をどうするかといったような問題、このこと一つにつきましても、やはりこれはいろいろな意見があるわけでございます。ですから、簡単に項目を挙げてそれでできるということではない、その辺はいろいろな意見を聞きながら調整をしていくということであります。
 しかしながら、今申し上げました、ほかのところでも検討しているというお話ございましたけれども、それはそうかもしれません。しかし、男女共同参画会議としてもこれを避けて通ることはできない課題だということでもってこの問題を取り上げておるわけでございまして、このスピードにつきましても、その項目ごとにスピードアップできるというものがあればそれはスピードアップするということは必要だろうし、その辺は私どもとしてもできるだけの努力はして前向きな施策にしてまいりたいと、このように思っておりますので、今後のこの影響調査専門調査会などの動向もよく見ていただきたいと思っております。
#30
○川橋幸子君 スピードアップをしていただけるという御答弁ちょうだいしましたので、今の問題に関連して、パート労働の問題についてもう一点伺わせていただきたいと思います。
 先ほど、厚生労働省の方の研究会の意見書が二月に出されたと、中間まとめでございます。近々、七月後半には最終報告が取りまとめられると聞いているわけでございますが、私ども議会の方も、行政から上がってくるものを待つだけではなくて、政治主導と言われている現在の政治の在り方の中で、野党の議員連盟でパート労働者等の均等処遇を実現する議員連盟というものを立ち上げまして、先日、実は七月一日でございますが、シンポジウムを開きまして、このシンポジウムも、公労使の第一人者の方々においでいただいてシンポジウムを開くと。極端なものではございません、客観的に物事を把握する大変誠実、まじめなシンポジウムを開いた上で意見書を発表したわけでございます。
 官房長官にこの委員会の後でお時間取っていただけるということですので、そのときまた御説明したいと思いますが、実はもうちょっと早く御説明に上がりたかったんでございますが、御多忙ということで今日まで延びてまいりました。しかし、事務的にはその私どもの議連の要請は差し上げてございます。
 私どもの議連が何を要望したかといいますと、非常に私どもは、影響調査よりも一歩、二歩前に出て非常に分かりやすいものを出した、しかも大変ポイントをついたものを出したと自負しているところです。ちょっとこれは自慢が過ぎるかも分かりませんが、ごらんいただければお分かりいただけるかと思います。
 私どもはやはり、パート労働法ができて来年満十年でございます。パート労働法というのは、作ったときから三年目の見直し規定というものが置かれておりまして、日本のパート労働の抱える問題については必要なときに適切に見直すということになってきたわけでございますが、厚生労働省の方では、問題が難しかったのかも分かりませんけれども、検討、検討、検討を国会では答弁で繰り返すのみで、なかなか立法化に踏み込まなかったわけでございます。
 私どもは、六点提言しております。労働時間の違いを理由とする差別的取扱いを禁止すること。それから、有期契約を理由とする差別的取扱いを禁止すること。それから、働く人のライフスタイルに合わせて、フルタイム、パートタイム労働の双方向の転換ができるようにする。それから四点目といたしまして、官房長官、余りこういう情報はないかも分かりませんが、ヒアリングをしている間にこれは民間だけでの問題ではないということが非常によく分かってまいりました。公務員制度改革が言われておりますけれども、今、定員削減がぐっと掛けられている中で、むしろ臨時の職員が増えているわけでございます。公務パートの問題が非常に大きくなっているということから、そうした、以上申し上げたような点についての整備は民間のみならず公務部門についても講じてほしいということ。四点目ですね。五点目は、先ほども紹介いたしました、税制、厚生年金制度等の改正を提言し、最後に、ILO第百七十五号パート労働条約と、同じくILO第百十一号差別待遇条約の批准を早期に実施すること、実現すること。この六点を申し上げているわけでございます。
 是非、男女共同参画会議のメンバーの方々にこのような意思を、五十四名に及ぶ衆参の議員の、本当に幅広い野党の議員の統一した意見として出したことを御紹介いただきたいと思いますし、こうしたものを逆に男女共同参画会議の、その十二月ですか、お取りまとめる中でも御勘案いただきたいと。そして、関係大臣に対して、官房長官、男女共同参画担当大臣としてのリーダーシップを是非振るっていただきたいということを申し上げさせていただきまして、少々自慢が過ぎたかも分かりませんが、ですけれども自負しているものでございます。
 こうした議連の努力について、官房長官の方の受け止め方をお伺いさせていただきたいと思います。
#31
○国務大臣(福田康夫君) 今日、この委員会の後でその意見書を拝見と申しますか、いただくことになっております。その前に感想を述べちゃいけませんから、それはそれで後にさせていただきます。
 いずれにしましても、この正社員とパートタイマーの均衡、これを考慮した適正な労働条件の確保とか雇用管理の改善を図るということは、これはもう大変重要な課題であると思います。現状は決していいと思っているわけでありません。ですから、男女共同参画基本計画におきましても、具体的な施策として、パートタイム労働政策の、労働対策ですね、の総合的な推進というものを盛り込んでおります。厚生省の方でも研究をされておるわけでありまして、報告が出されました。
 様々な角度からこれは検討していく必要があるだろうというふうに思っておりますので、今後とも、この参画会議の影響調査、監視等の機能を活用して関係施策の進捗状況を把握して十分にフォローしてまいりたい、そのように思っておるところであります。
#32
○川橋幸子君 残る二問を四分間で質問しながら御答弁をちょうだいしたいと思いますので、まとめてお伺いさせていただきたいと思います。
 五月三十一日に、アフガニスタンの女性支援策について、これは官房長官が特にイニシアチブを発揮されまして、アフガンの女性支援についてその在り方を有識者に検討を依頼してまとめられたものでございます。私、これこそが男女共同参画会議の機能、内閣主導の機能ではないかと思います。大変、臨機応変、各省がやっていることを後から後追いするのではない、私はこれは大変評価するところでございます。しかし、少々疑問に思いましたのは、よくまとめてありますが、理想的な議論が、理想は高くて構わないですけれども、何か現場を少し飛び離れているような感じを持ちました。
 私ども国会議員も様々途上国の視察に参るわけでございますが、貧困という二文字が私が見た限りでは出てこないんですね。なぜ今貧困対策が非常に強調されるかといいますと、例の九月十一日のテロ攻撃以降、悪の枢軸発言もありまして、報復によって、あるいはこっちの味方に付かなければおまえは敵だというような軍事、力による平和ではなくて、むしろ貧困こそがテロを生む温床である、貧困に対して先進国はODAの面でしっかり重視すべきではないかという、そういう世界の世論があるわけでございます。
 例えば、三月にメキシコのモントレーというところで、UNDPが主体となった国連のといいますか先進国の会議がありました。開発会議というのがございました。そこでは、EUは何を打ち出したかというと、やっぱり貧困のためのODAを倍増する、それからアメリカの場合も、今までODAには大変消極的だったあのアメリカがODAにもやはり倍増するというような、非常に貧困対策のODAが強調されているわけです。そのときに、我が日本だけは一〇%削減なんですよね。財政上の理由から、外交上の戦略じゃなくて本当に国内事情から一〇%削減、それについてはODAの関係者、識者は非常に悩んでいるというか心配しているのが事実でございます。
 私も昨年、カンボジアに参りました。カンボジアの不安は、正にアフガンに集中するんじゃないかと。カンボジアだってちょっと数年前まではポル・ポト派による大変過去の重い歴史があり、そこに日本がPKOを出して評価され、明石さんが行かれ、そして日本政府もODAの面で支援をしたと。結局、そういうものは、私は持続的であって初めて効果を上げるということのように思います。
 私は、そこで官房長官にお伺いいたします。
 アフガン女性支援については今後どのようにフォローアップされるのでしょうか。本当に、一時的なものですぐ撤廃するだけでは相手国に打撃を与えるだけでございます。是非、そのフォローアップをしっかりやっていただきたいということと、それに関連して、途上国の貧困対策というのは非常に女性支援が大きいのです。水をくみに行ったり家畜の世話をやったり子供の世話をして、そのときに、女の子は男の子のために就学率が上がらないといいましょうか、非常に貧しい場合は売春、売春、エイズという貧困の連鎖が出てくるわけでございますね。そうした面に、むしろ男女共同参画会議の方からしっかり提言していただきたい。一〇%削減というのは途上国の女性支援の障害になるのではないか。持続的なODAの在り方については、むしろ小規模支援について量的な目標を男女共同参画会議から提言するぐらい、そのぐらいのことがあってはいいではないかと思います。
 官房長官、ちょっと私の質問が長くなりましたけれども、伝わったかと思いますので、それでは、短くていいお返事をちょうだいしたいと思います。
#33
○国務大臣(福田康夫君) いいお返事になるかどうか、御期待に沿えるかどうか分かりませんが、アフガニスタンの女性支援につきましては、五月にこの懇談会でもって、アフガニスタンの女性支援に関する懇談会というものを立ち上げまして、報告書が提出されました。この中の三人の委員は、現地に赴いて、そして実情をつぶさに見て報告書を書いたと、こういうぐらいの真剣な取組をしていただいたわけでございまして、非常に具体的な提案だったというふうに思っております。
 すべての支援に女性、ジェンダーの視点を組み込むという観点から、政治、制度的枠組みなどの六つの重点分野と国内の取組について基本的な考え方とか支援策の方向性、具体的支援策が挙げられておるところでございます。
 この懇談会は報告書の提出後も引き続き開催しまして、国内における取組について検討を進めるとともに、アフガニスタンの情勢の変化に応じて、関係省庁・機関との連携の下、必要なフォローアップを実施するということにしております。提言をしたけれども実行しないのでは意味がないわけでありますので、これはしっかりと対応してまいりたい。
 特に、我が国はこの春、我が国において我が国が議長国となってアフガニスタンの支援会議をしたと、そういうこともございますので、このことについて、特にジェンダーの問題、また女性の置かれている環境の問題とか、いろいろ女性問題というのはあるようでございますので、そういう女性の視点から立った支援を、是非、支援会議の議長国としての責任を果たすという意味においても重点的に取り上げていかなければいけない。そういう意味で、各方面に働き掛けを行いながらこれを実施してまいるような体制づくりをしてまいりたいと思っております。
 それから、海外支援の関係で予算が一〇%削減を今年はされたということであります。これは財政上の理由ということではありますけれども、それは、確かに一〇%減ったということはありますけれども、問題は中身でございます。中身が、これが本当に有効なものでなければいけない、単に金額だけのことではないだろうと。一〇%削減したけれども、しかし、より効果の上がる方法を考えていかなければいけないということもございます。
 これは外務省に対する大きな課題だろうというように思っておりますので、これはこれでもって、その環境の中で最善を尽くしてもらうということになろうかと思います。しかし、日本のプレゼンスがそういうことによって低下するということは、これはやはり問題があろうかと思いますので、その点の配慮もしながら今後の実施を考えていかなければいけない、そう思っております。
 女性支援ということに関して申し上げれば、平成十一年度策定のODA中期政策におきまして、女性支援がその重点課題ということになっております。ですから、女性支援、また女性対策というものは、貧困対策というような開発途上国向けの支援と併せて、それと一緒になってきめ細かい援助をしていかなければいけない、そういうことでございますが、そういうようなこれまでの施策については各方面から非常に高い評価も得ているということでございます。ODA予算が削減された中でもこの点は配慮をしているところでございまして、そういうような観点から、今後もこの支援の充実化を図っていくということを考えておるわけでございます。
#34
○岡崎トミ子君 岡崎トミ子でございます。
 先週の土曜日、七月十三日に川口外務大臣が韓国を訪問されました。川口外相が韓国の大学生との対話のために訪れました延世大学では、元従軍慰安婦とされた女性や学生が、慰安婦問題を記録し正しい教育をと書いた横断幕を掲げて迎えたということでございました。
 今回の外相の訪問の意義なんですけれども、外相が気楽に相互訪問して諸問題を話し合う関係になったことだということでございまして、形ができたわけでございまして、次は中身だということですから、私も中身の前進を願って質問をしたいと思います。
 三月十九日の内閣委員会で質問をいたしましたときに、私は官房長官に、東チモールのNGOからの手紙に返事は総理は書かれましたかということでお尋ねをいたしました。過去の過ちへの公式な謝罪なしに自衛隊が東チモールに行けば生き残った犠牲者たちの傷口がこじ開けられると。日本軍のこうしたことについてまずきちんとした解決を行って、それからこういう問題についてやってほしい、同時にやらなければいけない問題だということを是非知ってほしいということで小泉首相あてに手紙を書いたわけなんですけれども、官房長官、覚えていらっしゃいますか。いずれよく見て、事情を承知した上でお返事をさせていただきたいと思うと、こういう御返事でございましたが、返事は書かれましたか。総理は、四月の二十九日に、東チモール独立を前にいらしているんですね。どんなふうに取り組まれましたか。
#35
○政府参考人(田中均君) お尋ねの東チモールのNGOからの総理に対する書簡でございますが、総理から具体的な回答はなされていません。実は総理、今、委員御指摘がございましたとおり、四月の末に東チモールを訪問をされました。この際、東チモールの要人との間で、是非、東チモールと日本との関係は未来志向の関係を作っていきましょうということで共同のプレスステートメントを出しておりまして、その中で具体的に日本と東チモールとの関係というのを未来志向の関係として進めていくということで共同ステートメントが作られていると、こういうことでございます。
#36
○岡崎トミ子君 確かに東チモールは外国の援助を必要としています。東チモールにとっても最大の援助国は日本だというわけなんですけれども、援助を行ったからといって、第二次世界大戦中、日本占領の東チモール住民に対する大変残虐非道な行為を打ち消すことはできないだろうというふうに思っておりまして、そのことの指摘なんです。ですから、前向きというふうにおっしゃっても、前向きのためのやらなければならないこと、これは是非、私は誠実に手紙を出していただきたいということを再度お願いをしておきたいと思います。
 ところで、今度は七月九日、広島地裁で、西松建設を相手取って中国人強制連行被害者が損害賠償を求めた訴訟の判決がありました。判決は、四月二十六日の福岡地裁の判決に続いて、正面から強制連行、強制労働の事実を認定しております。住環境の極めて劣悪な収容所に入れて自由を束縛し、暴行を加えるなどして長時間の重労働を強制したとして、不法行為責任が生じたと判断しました。雇用契約に似た法的関係もあったとして、安全配慮義務違反も認めています。しかし、民法上の除斥期間を適用しまして、時効期間が経過しているとして請求は棄却されました。
 しかし、判決は、最後に結論として、被害の実態や苦難の様相は余りにも痛ましく、慄然たる思いを禁じ得ないものがあり、原告らがもろもろの経緯から長年にわたり不本意ながら権利行使の道を事実上閉ざされていた事情等も併せかんがみると、その無念の心情を察するに難くないと述べまして、法的責任は消滅しても道義的責任が消滅する理由はないと指摘をしております。
 四月二十六日の中国人強制連行被害に対する福岡地裁の判決も、国と共同して詐言、脅迫、暴力を用いて強制連行を行い、過酷な待遇の下で強制労働を実施したものと事実認定をしまして、その形態は非常に悪質と判断し、民法七百九条、七百十五条の不法行為責任を認めて、従来、この種の訴訟で障壁となってきました時効の主張を避け、正義、公平の原則を強調して除斥期間の適用制限を命じました。
 また、日中共同声明や平和条約によって賠償問題は解決済みとしてきた日本政府の主張に対しても、中国外相が、放棄したのは国家間の賠償で、個人の請求は含まれず、この見解を示しているというふうに指摘をしまして、原告の請求権が声明や条約によって直ちに放棄されたとは認められないと退け、三井鉱山に一人一千百万円、総額一億六千五百万円の支払を命じています。
 他方、国の責任については、これは福岡地裁の判決では国と企業の両方が訴えられました。広島地裁の方は企業のみでした。共同不法行為を認定しながら、旧憲法下では国の権力的作用による損害について損害賠償責任を負担しないとする国家無答責論を採用しまして請求を棄却しています。
 中国人強制労働が行われた当時、国と企業の双方に不法行為があった、この事実を今、日本政府も認めているでしょうか。お答えください。
#37
○政府参考人(田中均君) 委員御案内のとおりだと思いますけれども、いわゆる中国人の強制連行、強制労働、こういうものの実態につきましては、当時、華人労務者就労事情調査報告書、外務省報告書ということを言っておりますけれども、これによれば、政府は戦時中の国内労働力を補うために、昭和十七年の閣議決定に基づいて、一九四三年から四五年までの間、華北を中心とした地域から総計約三万八千名の中国人労務者を供出せしめ、内地の鉱業等の百三十五の事業所において就労をさせたというふうにされております。
 政府といたしましては、たとえ本件が戦時下という異常な状況の中とはいえ、当時、多くの中国人の方々が半強制的な形で来日をし、厳しい労務に就き、その中で多くの苦難を受けたということは極めて遺憾であるというふうに考えております。
 しかしながら、当時の国の行為が不法行為に当たるか否かということにつきましては、委員今御指摘のとおり、訴訟が係属中であるということでございますので、この場で政府としてのコメントは差し控えたいというふうに考えます。
 ただ、これも委員御指摘のとおり、本年四月の二十六日の福岡地方裁判所の判決は国の損害賠償責任を否定したというふうに承知をしております。
#38
○岡崎トミ子君 国の強制連行の責任については、戦前の国の統治行為について、この国家無答責という大変都合のいいルールでありますけれども、そのことがあったからといって政府が何もしなくてよい根拠、これは私にとっては大変に怒りになっております。
 当時、不法行為があったという事実のみを認めて、このことに対する責任は感じていないんですか。
#39
○政府参考人(田中均君) これも御答弁を申し上げましたように、政府としての立場は、中国人の方々が多くの苦難を受けたということに対して極めて遺憾であったということでございます。
 一九九五年に、戦後五十周年ということで、当時の村山総理談話の中でも日本としてのおわびの気持ちというのは明確に示されているとおりでございますし、他方、国と国との関係におきましては、一九七二年に日中の共同宣言ということで、請求権は放棄がされているということでございます。
#40
○岡崎トミ子君 それで免れないと思いますよ。歴史的な責任あるいは政治的な責任というものがございますよね。この歴史的、政治的な責任を感じているのであれば、人道的あるいは道義的という、そういう範疇でなくて、きちんとした政治的、歴史的な責任をきちんと果たすべきだと、この声は大変大きくなっておりますけれども、いかがですか。
#41
○政府参考人(田中均君) これは正に日本国が過去の歴史についてどういう認識を持つかという問題で、これに対しては、先ほど御答弁申し上げましたように、村山総理の談話というものが日本の基本的な認識を示しているということだと思いますし、それから戦後処理の在り方、賠償であるとかあるいは財産請求権の処理、これはいろいろ置かれた環境によって戦後処理の仕方というのはいろんな形があり得るというふうに思います。
 しかしながら、当時の日本の判断、それから国際的な状況の中でサンフランシスコ平和条約というものが作られ、その後の二国間の条約ということもしかりでございますが、これは国と国との関係で処理をしていくということで、請求権協定であるとか賠償協定であるとか、そういう形で極めて多額の国費を使って国と国との関係で請求権を処理をしたということでございます。
 ですから、そういう日本としての戦後処理というのは、国民の税金を使ってきちんとされているというのが政府の理解でございます。
#42
○岡崎トミ子君 その問題についてはまだ聞いていなかった、これからまた質問をしたいと思っていたところなんですけれども。
 まず、私の方としては、広島地裁の判決、これを尊重するという立場で被害者の皆さんに積極的にこたえると、今後ともそれを考え続けていただきたいということを要望しておきます。
 七月二日に花岡事件の被害者の皆さんにお会いしました。衆参の国会議員と一緒に話を伺ったわけなんですが、この花岡事件の被害者、遺族は、東京高裁での和解を受け入れる、今度は国の責任を追及して謝罪と賠償を求めるというふうに宣言されております。
 花岡受難者聯誼会からの書簡がこの日、二日に官邸に届けられたと思いますけれども、官房長官はお読みになりましたか。この五項目の要求はごらんになったでしょうか。
 一言、これ、触れておきたいと思いますが、一つは、公式謝罪をすること。二つ目に、歴史資料を速やかに公開すべきだということ。そして、あらゆる資料が政府の手で焼却されておりますので、責任の所在を明らかにすべきであるということ。三つ目に、経済的な賠償を行うべきであること。四つ目に、遺骨を捜し出して中国に送還すること。五つ目に、侵略戦争に対して真剣に反省する、真実の歴史によって子々孫々の友好を築くべきであるという、こういう五項目の要望でございました。いかがですか。
#43
○国務大臣(福田康夫君) 花岡の受難聯誼会の文書、これ、拝見いたしました。
 政府としては、今、田中アジア局長が答弁をしましたけれども、いわゆる中国人強制連行、強制労働問題について、当時、多数の方々が不幸な状況に陥った、そういうことは否定はできないと考えております。戦争という異常な状況下とはいえ、多くの方々に耐え難い苦しみを与えたということは極めて遺憾なことだと考えております。
 そういうことで、先ほど来御説明しております村山総理大臣の談話を始め、様々な機会を通じまして日本の立場というものを表明をいたしておるわけでありますけれども、政府といたしましても、今後とも、歴史の事実を謙虚に受け止めて、そして、近隣諸国との信頼関係を一層強化するというために引き続き努力をしていかなければいけないと考えております。
#44
○岡崎トミ子君 その締めの言葉の前に私はもっと聞きたいことがあったんですよ。
 この裁判は、原告十一人が請求総額六千五十万円を求めたものでしたけれども、和解の内容は、それを超えて、鹿島が五億円を出して、被害者九百八十六人全員を対象にしたものになったわけですね。
 花岡和解は、こうした企業の強制連行、強制労働事件の解決の方式として画期的なものとして高く評価されたんですが、先週の広島地裁の判決でも示唆に富むというふうにこれ書かれております。
 官房長官は、この花岡和解についてはどう評価していらっしゃいますか。
#45
○国務大臣(福田康夫君) いわゆる花岡事件に関する訴訟については、平成十二年に東京高等裁判所の勧告に従って和解が成立したというように承知しております。
 この訴訟は、基本的には中国側の関係者と当時の関係企業との間の民事訴訟でございます。政府としてその内容についてコメントするのは、そういうことで差し控えさせていただきたいと思っております。
 なお、政府といたしまして、いわゆる中国人の強制連行、強制労働問題、このことについては今私から申し上げたとおりのことでございますので、こういうような戦争という異常な状況下とはいえ、多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたということは極めて遺憾であると、そのように考えております。
#46
○岡崎トミ子君 苦しみと悲しみを与えた、そこまでおっしゃっているのであれば、鹿島や三井鉱山だけに責任を取らせて国は責任を取らなくていいというふうに考えるのは本当におかしいと思いますね。
 この中国人の強制連行は、一九四二年と四四年の閣議決定ですよ。次官会議決定ですよ。ここで決められている問題なんですよ。いわゆるこの外務省報告が見付かったことでこの事実については国も認めておりますよね。国の責任ですね。どうですか。
#47
○政府参考人(田中均君) やはり国と国との関係というものは国と国との関係で処理をしなければいけない。したがって、正に日本と中国の間で戦後処理の問題をかなり長い間議論をして、その結果、一九七二年の日中共同声明ということに至ったわけでございます。ですから、そういうことで、戦争中に起こったことも含めて包括的な形で請求権の処理がされたということでございますので、その点は重く受け止めなければいけないというふうに考えております。
#48
○岡崎トミ子君 いろいろな方法があると言いながらも、いろいろな方法より、同じような答えばかりさっきからおっしゃっていらっしゃいますけれども、このいわゆる慰安婦問題というのは、女性差別が強制連行に加わったものというふうに言えるわけなんですが、これはもう本当に国際法違反ということを認定しているわけなんですね。日本国内幾つかの裁判所、米国の裁判所、国際法違反の事実を認定しております。国連人権委員会特別報告官、ILO専門家委員会、社会権規約委員会も違反ということを認定しております。
 三月二十日の内閣委員会で官房長官は、慰安婦問題は非人道的な行為とそれに対する罪というふうに認めていらっしゃいます。この非人道的な行為は当時も今も国際法に違反するというふうに思いますが、いかがですか。福田大臣、お願いします。──非人道的な行為は昔も今も変わらず国際法違反ではないですかと。
#49
○委員長(佐藤泰介君) どうですか。大臣。大臣、指名です。お答えください。
#50
○国務大臣(福田康夫君) 後で。
#51
○政府参考人(田中均君) 国連の人権委員会とか国際場裏で議論が行われているというのは、今、委員も御指摘のとおりでございますけれども、今御指摘のその従軍慰安婦の問題を含め、そういう大戦にかかわる財産賠償請求権、その問題については、さっきも申し上げましたとおりでございますけれども、サンフランシスコ平和条約という中で二国間の条約も含めて処理がされてきておる。例えば、米国の連邦地方裁判所の判決におきましても、戦争後に締結された一連の条約が日本に対するすべての戦争請求権の解決を目的としていたことは明確であるという判示をしているということでございます。
 ですから、非人道的な行為であると、正にそういう言い方というのは当然できると思うし、そのことに関しては河野官房長官の声明もそうでございますけれども、それに対して非常に強いおわびの気持ちということは持っているわけです。ですけれども、それに至る責任ということに関しては二国間条約等で処理がされているということでございます。
#52
○国務大臣(福田康夫君) 今はサンフランシスコ平和条約とか、そういったようなことで法的な面のお話をされました。委員のおっしゃることは、非人道的ということは、要するに、非人間的な行為とかいったような、そういう観点からの質問でもあったのではないかと、こういうふうに思います。
 そういうことで、私から申し上げるのは、これは、私からこういう立場で申し上げることが適当なものであるかどうか分かりませんけれども、一個人の立場で申し上げれば、それは今の、戦後育った人間、私のような人間からすればそれはとんでもない非人間的なことであったと、こんなふうには思います。それは今の私の立場でそういうことは感じているわけでございまして、その当時の社会でそれがどのように受け止められていたのかということについては、私は正直言って分かりません。
#53
○岡崎トミ子君 サンフランシスコ条約等、二国間条約ということについて度々触れられておりますけれども、この締結当時に慰安婦や中国人そして朝鮮人強制連行問題は、これはどのように認識されていたんでしょうか。あれだけの大規模な戦争のすべての問題を一つの条約だとか二国間条約とか協定ですべて解決できたというふうには考えられませんね。講和条約、賠償協定などは基本的には国と国との戦争状態に終止符を打つというもので、賠償も基本的に問題意識としては国と国との問題に限定されていたんではないですか。
 当時のその認識と、このことについてお答えいただきたいと思います。
#54
○政府参考人(田中均君) 委員御指摘のとおり、当時、戦争中に起こった個々の行動について、きちんとした事実関係をもってそれを一つ一つ検証していくということは可能ではなかったというふうに思います。可能でなかったがゆえに、これは韓国との請求権協定、一九六五年の基本条約というのもそうでございますけれども、そういう個々の積み上げというのは可能でない、したがって一括してその請求権の問題を処理をするという形になったわけでございます。
 ですから、そういう意味でいけば、当時、その個々の問題について十分検証はされていたかといえば、それはそうではないのかもしれません。しかしながら、そういうことが不可能であるがゆえに全体として、政府と政府の間で一括して請求権の問題について決着をしましょうという国の意思として条約が締結されたというふうに考えております。
#55
○岡崎トミ子君 それでは、個人の被害とか加害の問題まで完璧に解決できたとは思っていないんですね。
#56
○政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。
 この点に関しましては、先ほども答弁がありましたように、国家及び国民の財産、請求権、これらの問題すべてがサンフランシスコ平和条約、あるいはその後締結されました二国間の平和条約、あるいは今のお話のありましたような、日韓の場合は一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によってすべて解決済みであるということでございまして、例えば平成十三年の十月の十一日に東京高裁の判決というのがございます。これはオランダ人の元捕虜、民間抑留者の損害賠償に関する控訴審の判決でございますけれども、この判決におきまして、ちょっと読ませていただきますけれども、「連合国及びその国民と日本国及びその国民との相互の請求権の問題は終局的に一切が解決された」というべきであるというふうに判示されているところでございます。
#57
○岡崎トミ子君 だから、考えていただきたいんですね。この平和条約とか協定を私は否定しませんし、破棄してほしいなんというふうに言っているわけでもないんですね。ここに含まれなかった問題に関して、又は解決できていない問題について追加的に措置を講じる、あるいは補完する、そのことが今求められているんだと思いますけれども、いかがですか。
#58
○政府参考人(田中均君) 今、条約局長から御答弁申し上げましたように、正に国の意思として非常に多大の国民の税金を使って戦後処理をする。それは、そういう個々の、死んだ方もおられます、死んだ方もおられるし、強制的に日本に労働に連行した方もおられる、慰安婦のような方もおられる。しかしながら、そういうことに対する責任の問題というのはすべて一括して請求権協定で処理をする、サンフランシスコ平和条約で処理をする、その後の二国間の条約で処理をするという選択をしたわけでございます。その選択は日本国として支持をされ、諸外国にも支持をされる形で処理がされてきたということでございます。
#59
○岡崎トミ子君 どうしてもドイツの例を言わなければいけないと思いますけれども、ドイツも戦後、いろいろな追加措置を立法を行って実施してきておりますよね。一昨年、二〇〇〇年に制定されました強制労働補償基金はその総仕上げとされるもので、百五十万人を対象に総額五千四百億円をドイツ政府と企業六千四百社が共同で出し合って設立をいたしました。米国も一九八八年に、戦争中の日系人の強制収容への謝罪と補償を立法で行っております。
 なぜ日本ではできないんでしょうか。
#60
○政府参考人(田中均君) ドイツの例につきましては、ドイツが分断国家であったということがございまして、日本がサンフランシスコ平和条約、その後の二国間の条約でやったような形で国と国との関係で処理ができなかった。ドイツの場合にはナチスの犯罪ということで、むしろ個人に対して種々の補償を行うという方式を選択をしたということでございますし、ドイツはその方式に従ってやってきている。
 ですから、国と国との関係、政府と政府との関係で一括して処理をするのか、それともドイツのようにナチスの犯罪という形で一定の基金を設けて個人に対して資金の支払をするのかという、その方法といいますか、いずれも過去の責任、そういうものに対して国としてどういう対処をするかという基本においては同じでございますけれども、そういう形になっているということだと思います。
 それから、米国の例を委員は指摘をされましたけれども、米国については、これはあくまで米国国民の問題、正に米国憲法の下で不平等な扱いがされた。それに対して、日系人といえども米国国民に対しての支払ということだと理解をしております。
#61
○岡崎トミ子君 経過が異なるというのは、これは当然だと思いますね。しかし、戦後補償に関して、世界はドイツを評価して日本を評価されておりません。これも事実ですよね。第二次世界大戦から半世紀以上もたって、ドイツは既に総額七兆円に及ぶ支払を行ってきましたけれども、まだやり残したことがあると政府と企業が一緒になって百五十万人も対象とした補償基金を設立しているんです。立派じゃないですか。
 確かに、ドイツ政府も、戦争犯罪を犯したのはかつてのナチス・ドイツで現政府は責任を負わないと、法的責任の継承を否定しています。しかし、パッチワークと言ったら申し訳ないかもしれないけれども、次々に補償を行って、また歴代大統領や首相が被害地を訪問して、これは必ずしもストレートに謝罪ではないけれども、心に刻む、過去の克服、許しを請う、こういうことを誠実に語り続けてきております。謝罪ということは言葉であると同時にプロセス、過程だというふうに思います。幾ら謝ったと加害者の方の側が一方的に主張しても、謝罪を受ける側の方が納得して了解できるものでなければ意味はありません。
 かつて、一九七〇年に当時のウィリー・ブラント西ドイツ首相がポーランドを訪れて、ワルシャワのユダヤ人ゲットー記念碑の前でひざまずいて一言も言葉を発することがなかった。けれども、世界じゅうの人々はそれを見て、ドイツは誠実に謝罪をして反省しているということを実感したわけなんです。四月十七日にはラウ大統領がイタリア北部のマルザボットという小さな町を訪れまして、虐殺の跡地で、ドイツ人は暴力と計り知れない悲しみをもたらした、後の世代もこの罪を直視しなければならないと語っています。こういう誠意というものが問われているのではないかと思うんですね。ほかの国の立派な行為を、実はこうなんですよ、一括してやったのと、その選択なんですよというふうに暗に否定しようとする、そういう態度は非常にこそくだというふうに思います。
 女性のためのアジア平和国民基金ですね、この償い金に添えました総理の手紙が被害者から送り返された。ドイツの補償に対して反対のデモが行われたとか、ドイツの首相の手紙に対して突き返されたなんということはかつてなかったと思いますけれども、外交的に大失態で逆効果ではないですか。どうですか。
#62
○政府参考人(田中均君) 委員の前段の御指摘、ドイツはきちんとしたことをやっていて日本はそうではないという趣旨のことを言われましたけれども、決してそうではない。日本も戦後処理、戦争処理、そういうことと同時に、やはり基本的な反省、歴史を直視するという形で、これは近隣国との関係でも常に日本として意識をしてやってきていることでございますし、それから東南アジア諸国に対する経済協力もそうでございますし、一連、やはり日本としては、戦後の状況において戦争処理を行うと同時に、近隣諸国との間で信頼関係を作るという観点から外交を展開してきているわけでございます。決して、ドイツが良くて日本が悪いということではないんだというふうに思います。
 それから、フィリピンのケースについてお話がありました。
 これにつきましては、委員御案内のとおり、正に日本の道義的な意識から、当時、一九九五年、村山内閣でございましたけれども、果たしてどういう形でこの慰安婦の問題に政府として対応するのが適当かということで、ただ、国が直接、個人補償をすることはできないという前提の中で、それでは民間の基金を使って、民間の国民の寄附をお願いをした上で、それを個々の慰安婦の方々に償い金として支払をしようという形で政府としての決定がされたわけでございます。
 そういう形で、この慰安婦基金につきましては償い金、それから政府の拠出から成り立っている福祉事業、それから福祉金と言う場合もございますけれども、それから総理の手紙ということで、その手紙も付けた上で個々の慰安婦で申請があった方に対してはお届けをしているということでございます。
 ただ、ただ、フィリピンにおいてそういう手紙を受け取りたくないという御指摘があったので、御本人の事情を聞いたということでございます。
#63
○岡崎トミ子君 今、その女性のためのアジア国民基金のことについて触れられましたので、本当に終わりましてからでも、本当はメリット、デメリットについてもお伺いしなければならなかったんですが、それ行きません。
 最後にお願いをしたいことがあるんですけれども、フィリピンの被害者の方が、今、石毛さんいらしていますけれども、これ、総理のところに、手紙いただいたものを返しに行っているんですね。フリア・ポラスさん、七十三歳です。
 六月十八日に日本大使館が、館員が押し掛けまして、どうして総理の手紙を返却したのか、だれかに指図されたので、そういうふうなことの尋問をしたというんですね。これに対して被害者が反発をしまして、六月二十五日にはマニラの日本大使館の前で皆さんが抗議デモをしたということなんですけれども。
 私は、ここでしなければならないのは、これは是非とも直接、フリアさんに対して手紙を差し上げていただきたいんですね。この日本大使館が、館員が突然押し掛けて失礼なことを申し上げましたと、大変申し訳なかったということを書き添えて、本人に是非謝っていただきたいというふうに思います。最後のお願いですけれども、福田さん、いかがですか。
 もう苦しみ、二重三重の苦しみを与えられているんですね。こんな大使館のこういう態度を許すことできないですよ。川口さんが本当にいろんな意味で前向きにやろうとするのであれば、そこと連携して、国のナンバーツーでいらっしゃる福田さんとしても、申し訳なかったという気持ちを込めて手紙を出してください。謝りの手紙を出してください。出せるでしょう。
#64
○国務大臣(福田康夫君) ちょっと事実関係であります。
 確かに、このフィリピンの方から手紙をちょうだいしました。それを受けまして、これはアジア女性基金とも相談した上で外務省の在フィリピン大使館の関係者、これは女性だったようでございますが、この基金との相談の結果を基にしてフィリピン政府のソーシャルワーカーと一緒にこの元慰安婦の方のお考えを伺うために訪問をしたと、こういうように承知しております。デモもあったということでありますけれども、十五人ぐらいのデモが確かにあったというようにも聞いております。時々デモはあるようなんでありますけれども。
 そういうことで、しかし当該慰安婦の、この元慰安婦の方のお考えをお伺いするためにこれは行ったものでございまして、決して女子職員が尋問するといったような、そういう雰囲気でなかったというように聞いております。
#65
○岡崎トミ子君 じゃ、次に回します。
 ありがとうございました。
#66
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 私は、靖国神社問題について伺います。
 小泉総理は四月二十六日の本会議で、宗教的色彩の極めて濃い春の例大祭に事寄せて靖国神社を参拝した問題を質問した際に、私への答弁で、自分は靖国神社が軍国主義と侵略戦争のシンボルとは思っていない、靖国神社は、国のため尊い犠牲となった方々に対する追悼の対象として長きにわたって多くの国民の間で中心的な施設になっている靖国神社に参拝し、追悼の誠をささげることは、極めて自然なことであると述べました。
 小泉総理は、内閣として、靖国神社が、軍国主義と侵略戦争推進のために利用したと、こういう事実も、小泉総理というか内閣は、利用したという事実も認めないと、これが政府の方針でしょうか。官房長官。
#67
○国務大臣(福田康夫君) 総理が靖国神社を訪問された、そしてそれが、そのことについて、どういうお気持ちで行かれたかというようなことについて委員から御質問があったわけでありまして、御指摘の総理の答弁というのは、国のために尊い犠牲となった方々に対する追悼の対象として長きにわたって多くの国民の間で中心的な施設となっている靖国神社に参拝して追悼の誠をささげることは自然なことであると、そういう総理の個人の真情を述べたものと承知しております。
 靖国神社は侵略者のシンボルであるかどうかと、こういうことについては、政府としても見解は持ち合わせておりません。
#68
○吉川春子君 靖国神社が、軍国主義あるいは侵略戦争、侵略という言葉は嫌なのかもしれませんが、あの戦争のために利用したと、利用されたということは、政府は認めませんか。もう一度確認します。
#69
○国務大臣(福田康夫君) お尋ねは戦争中ですか、戦争中のことを言っていらっしゃるわけですか。戦争中に靖国神社が軍国主義の象徴として使われたのかどうかということでございますか。
#70
○吉川春子君 軍国主義と侵略戦争推進のために利用したと、侵略戦争じゃなくてもいいです、戦争のために利用したという事実ですね、靖国神社を。そういうことも政府は認めませんか。
#71
○国務大臣(福田康夫君) 政府としてそのようなことを認めたという、そういう見解を表明したことはございません。
#72
○吉川春子君 官房長官自身はどうお考えですか。
#73
○国務大臣(福田康夫君) これはもう個人的なことでありますけれども、靖国神社を利用したと、その利用というのはどういう意味での利用かということがあろうかと思います。
 戦争に駆り立てるために利用したのかとか、しかし戦争で亡くなった方はあそこにお祭りするんだというようなことで、そういう意味で戦争で亡くなった軍人の人が行くんだということであれば、利用といえば利用というのか、そういう施設があったということですね。それを利用と言うかどうかというのは、私は別問題だと思っております。
#74
○吉川春子君 肯定されたのか否定されたのか、ちょっと私の日本語の能力では、今、理解に苦しむ答弁でした。
 昭和六十年の藤波官房長官に提出された閣僚の靖国神社参拝に関する懇談会の報告でさえ、「靖国神社がたとえ戦前の一時期にせよ、軍国主義の立場から利用されていたことは事実である」として、軍国主義に利用されていたということを認めているではありませんか。
 もう一度、官房長官、これは利用されていなかったと言い切るのかどうか、利用されていたという事実は認めるのかどうか、答弁をしてください。
#75
○国務大臣(福田康夫君) ちょっと待って。今見ていますから。
#76
○吉川春子君 ちゃんと通告してありますよね。
#77
○国務大臣(福田康夫君) あります。長いものですから。
 これは、利用するというふうに明確に書いてあるわけではございませんね。
#78
○吉川春子君 書いてありますよ。ちゃんと読んでください、長いなんて言わないで。利用されていたことは事実であると書いてあるじゃありませんか。これ、私の言葉じゃないんです。
#79
○国務大臣(福田康夫君) 分かりました。「たとえ戦前の一時期にせよ、軍国主義の立場から利用されていたことは事実である」と確かに書いてございます。
 その上で申し上げます。
 確かに、そういう利用の仕方ですね、ですからね。ですから、一般的に利用というふうにお聞きになったから、私は先ほど申し上げましたけれども、そういう利用をしたという部分もあったというように考えていいんではないかと思います。
#80
○吉川春子君 利用されていたという事実は官房長官としてもお認めになったので、次の質問に行きますが。
 小泉総理は、この答弁の中で、国家のために、心ならずも家族を残し、命を犠牲にしなければならなかった方々に対し、衷心から追悼を行うために参拝したものであるとおっしゃいました。靖国神社に神として合祀されている人々にA級戦犯も含まれていることはもう周知の事実ですが、戦争からの逃亡者、自殺者、日本の軍法会議に掛けられて有罪とされた者又は処刑された者は合祀をされておりません。したがって、あの戦争で命を落とした人をひとしく追悼する施設ではないわけですね。
 A級戦犯が合祀されている靖国神社、これを内閣総理大臣が参拝するということ、そして今なお政府が国家のために死ぬということに特別の意味を置いてたたえるということは、少なくとも日本国憲法の下においては許されないのではないでしょうか。
 この点について、官房長官、いかがお考えですか。
#81
○国務大臣(福田康夫君) 総理が参拝をされた総理のお気持ち、お考えは、明治維新以来の我が国の歴史において、心ならずも家族を残し、国のために命をささげられた方々全体に対して、衷心から追悼を行うと、こういう総理個人の真情であります。でありますので、そのだれだれをという特定をするものではない、命をささげられた方々全体に対して追悼を行ったと、こういうことでございます。
#82
○吉川春子君 戊辰戦争以来の方が祭られているというふうに聞いておりますので、私は、そこまでは今日はちょっと時間がないのでさかのぼりませんが、少なくとも、太平洋戦争、日中戦争、そういうときに、靖国神社の合祀ということをこれから伺いますけれども、そういう性格のものであるわけなんですね。そして、国家に対する、お国のために死ぬということに特別の意味を置いて、その死に方ですね、討たれて死ぬのは国家のために死んだことになるんだけれども、自殺とか逃亡はならないんだと。要するに、死にランクを付けて、そしてお国のために死んだ人を特別にたたえるということは日本国憲法の理念からは相入れないものだと思いますが、その点について、官房長官のお考えはいかがですか。
#83
○国務大臣(福田康夫君) 合祀とか、それからその他の理由によって亡くなられた方の合祀をするかしないかというようなことについては、これは今、靖国神社は民間の宗教法人であるということであります。どういうような考え方でお祭りをされるかということについては、政府として、民間宗教法人のおやりになることについて意見を申し上げるのは適当ではないと考えております。
#84
○吉川春子君 合祀はこれから聞きます。この時間の中でこれから伺いますけれども、そういう形で国民の死にランクを付けて、そしてそういう死に方は立派なんだと、そういう形で行われている神社を参拝するということは、やはりこれは日本国憲法の理念とは相入れないものであろうというふうに私は指摘をしておきたいと思います。
 それでは、厚生労働省、お見えだと思うんですけれども、引揚援護局長が昭和三十一年、一九五六年に靖国神社合祀事務に対する協力についての通知を都道府県に行いました。それに添付した二つの文書があるんですけれども、靖国神社合祀事務協力要綱、それから昭和三十一年度における旧陸軍関係靖国神社合祀事務に協力するための都道府県事務要領、これに基づいて国と都道府県が合祀について協力してくださいと、こういう文書なんですけれども、この靖国神社が行う合祀というのはどういうことなんでしょうか、伺います。
#85
○政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。
 国としては、靖国神社の行う合祀にはかかわりを持っておりません。合祀はあくまでも靖国神社の判断でなされておるものでございますので、合祀という靖国神社の宗教上の事項について政府としてお答えする立場にはございません。
 ただ、靖国神社関係の書物、例えば教文選書、靖国論集というものがございますけれども、それによりますと、靖国神社の合祀とは、戦没者のみたまを清めて神とし、その神となった魂を直接靖国神社の祭神に迎えることとされているところでございます。
#86
○吉川春子君 その合祀事務に協力してくださいという通達を政府は出しているわけですが、その法的根拠、合祀事務に協力するという法的根拠は何ですか。
#87
○政府参考人(三沢孝君) 厚生省の前身であります第一・第二復員省、それから旧厚生省と、その事務が旧厚生省に引き継がれたわけでございますけれども、その中で、私ども、遺族の方の援護をその所掌事務としております。その遺族の方の援護業務の一環として行ってきたものでございます。
#88
○吉川春子君 合祀事務にどういう形で協力してきたんでしょうか。靖国神社の合祀名簿の参考に資するために名簿を作成するわけですね。ちょっと簡単に、どういう、何というんですか、プロセスで合祀事務の協力をするのか、御説明をいただきたいと思います。
#89
○政府参考人(三沢孝君) 御指摘の点につきましては現在は行っていないところでございますけれども、先生御指摘の昭和三十一年の援護局長通知によれば、概略次のとおりでございます。
 まず、靖国神社の方から合祀決定のため、戦没者であって一定の合祀資格条件に該当する者及びその者の身上に関する事項、これを引揚援護局に照会いたします。この照会を受けまして、旧陸軍関係につきましては都道府県に調査を依頼し、都道府県で調査をすると。旧海軍関係につきましては引揚援護局及び地方復員部が調査をすると。その調査結果を所定のカードに記入いたしまして、これを引揚援護局において取りまとめ、同神社に回付すると、それを受けて靖国神社の方で合祀事務が執り行われたと、こういうふうに承知しております。
#90
○吉川春子君 合祀が決定された後の手続、どうなっていますか。もう簡単でいいです。
#91
○政府参考人(三沢孝君) 合祀の決定があった場合には、その後、靖国神社の依頼におきまして、都道府県におきましては事情の許す限り同神社から送付された合祀通知書というものを遺族へ交付するということとされておりましたけれども、この事務につきましては、昭和四十九年の十二月、靖国神社から依頼をしないという文書が出されており、その後は行っていないと、こう承知しております。
#92
○吉川春子君 政府がこのようにして協力した数、これはどれぐらいに上っているんでしょうか。そして、そのうち台湾、朝鮮関係はそれぞれ何人になっていますか。
#93
○政府参考人(三沢孝君) 靖国神社に対する祭神名票なり戦没者身分等調査票の送付、これは昭和三十一年度から昭和六十一年度に掛けて実施したところでございます。昭和五十五年度までの件数につきましては当局に資料が保管されていないため不明でございますけれども、昭和三十年当時の国会の審議状況、当時、約百十万柱の方々が合祀されていない状況であるとの政府側の答弁がなされていることから判断いたしまして、おおよそこれくらいの件数は送付したのではないかと、こう推測されているところでございます。また、昭和五十六年度から昭和六十一年度までに送付した数は二千八百七十五人分ということでございます。
 次にお尋ねのありました台湾、朝鮮出身の方々の件でございますけれども、この方々に対する祭神名票なり戦没者身分等調査票の送付につきましては、昭和三十四年度から昭和五十一年度に掛けて実施しております。その間の人数でございますけれども、台湾出身者につきましては陸海軍合わせて二万八千九百五十五人分、朝鮮半島出身者につきましては陸海軍合わせて二万七百二十七人、合計いたしまして四万九千六百八十二人というふうに承知しております。
#94
○吉川春子君 今答弁の中でも言われましたように、祭神名票とおっしゃったんですね。祭というのは祭る、神というのは神、名票、そういうものに詳しく書き込んで協力をしてきたその数が百十万柱ぐらいはあるのではないかと、こういう答弁があったわけですけれども、その合祀事務にこういう形で協力してきて、そしてこういう政府の協力なしには宗教行為であるところの合祀ということはできなかったわけですね。
 今中止されているかどうかというのはまた後で聞きますからそこは省略してください。この事務を政府が、今、昭和六十一年までとおっしゃいましたけれども、そういう時点まで行ってきたということは、これは宗教行為に政府が協力をしてきたと、一神社の、宗教法人の神社の宗教行為に政府が協力をしてきた、これは明らかですね。簡単でいいです。
#95
○政府参考人(三沢孝君) 先ほども靖国神社との関係の業務について申し上げましたけれども、私どもが靖国神社に対して記録の提供を行ったものは、あくまでも遺族援護の見地から行ったから適当と認められる場合に回答していたところでございます。この遺族援護のための回答は、靖国神社の以外の方々、例えば戦友会、遺族会等々からも調査依頼があり、それにひとしく、同じように回答してきたということでございます。
#96
○吉川春子君 さっき合祀という定義を言っていただきましたけれども、これは靖国神社の宗教行為の中核を成すもので、おっしゃるように宗教行為ですよね。合祀そのものを政府がやってきたと私は言っていないですよ。合祀に協力してくださいと政府が通達を出して合祀に協力をしたと、この合祀ということが宗教行為であるわけだから、靖国神社の宗教行為に政府が一時期協力をしてきたと、こういう事実は認めますか。
#97
○政府参考人(三沢孝君) 再度の御質問でございますけれども、靖国神社からの調査依頼、これはあくまでも遺族援護事務としての一般的調査回答業務の一環として回答してきたことでございます。
#98
○吉川春子君 その遺族援護事務という、遺族の援護というふうにおっしゃったんですけれども、これは後でちょっと伺おうかと思っていたんですけれども、その祭神名票に書き込まれた内容が実に微に入り細にわたっている。祭神名票若しくはその後、戦没者身分等調査票になったんですけれども、氏名、生年月日、階級、所属部隊、傷病の年月日、場所、傷病名、死亡年月日、場所、事由、本籍、遺族の現住所、続き柄、氏名、恩給等の裁定番号、こういうあれを遺族援護のためというのは言い訳が立ちませんよね。
 そして、しかも遺族援護のためというんですけれども、遺族の了解なしに行ってきているでしょう。どうしてそんな言い訳が成り立つんですか。
#99
○政府参考人(三沢孝君) 靖国神社の求めに応じて、今、先生おっしゃったような内容の情報を靖国神社に提供しておったわけでございますけれども、それは、その当時の状況を踏まえて必要だと、こういうふうに判断されて行ってきたものではないかと思っています。
 個人の同意の問題がございますけれども、国が靖国神社に対しまして個人に関する情報を提供していた当時につきましては、例えば戸籍につきましても、現在と異なり、原則として何ぴとでも戸籍謄本等を請求することができたところでございまして、このような当時の国の行為は直ちに個人のプライバシー権の侵害になるというふうには考えておりません。
#100
○吉川春子君 もうあちこち答弁が飛びますね。
 そうじゃなくて、私が言っているのは、靖国神社の宗教行為に事実的に協力してきたでしょうと言っているんですよ。協力してこないというんだったらば中止する必要もなかったわけでしょう。その後、中止したんでしょう、この通達を。大臣もこれは憲法違反のおそれがあるということを八五年に言ってきているわけであって、正にそういう宗教行為への協力は好ましくないということで中止したんじゃないですか。全然そういうことでないとするんだったらば中止する必要もなかったんじゃないですか。どうですか。
#101
○政府参考人(三沢孝君) 昭和四十六年に、確かにそれ以前に出された通知を廃止いたしました。これは、先生先ほど来御質問しておりますけれども、三十一年に都道府県に出しました通達には、合祀事務とか祭神名票とか不適切な用語が用いられていたということを考慮いたしまして、四十六年にそれまでの通達を一切廃止したところでございます。
 なお、この通知を廃止した後の状況でございますけれども、通知した後は、靖国神社以外からも、例えば遺族会とか戦友会の方々からも多くの調査依頼があるということから、一般的な事務処理要領を定めまして、靖国神社からの調査依頼についてもこの要領によることとしたものでございます。
#102
○吉川春子君 官房長官、お伺いいたします。
 要するに、政府は靖国神社の合祀に必要な詳細なデータを集めて、都道府県若しくは政府が組織を挙げて集めて、そして合祀の後の通知も、全部の遺族に政府の方が合祀されましたという通知を発してこういうことをやってきたわけですね。そういうことは今のやり取りでお分かりだったと思います。
 私は、これはやっぱり宗教行為に加担することを禁じている憲法二十条、あるいは国費を特定の宗教活動に出してはならないとしている八十九条、少なくともこの昭和三十一年当時の通達はこういうものに違反するのではないかと思いますが、その辺の官房長官の認識はいかがですか。
#103
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど来政府側答弁ございましたけれども、そういうことなんです、要するに。政府も、旧陸海軍の軍人軍属の身上記録、こういうものを保有して、整備して持っているわけでございまして、これに関して団体等から調査依頼があれば、これに応ずることが遺族援護の見地から適当と認められる場合にはこれに提供するということをしてきたわけであります。
 これは費用も掛かるわけでございますけれども、遺族援護事務としての一般的な調査・回答業務の一環として回答してきたものについて、これに要する費用は行政庁側で負担したものでありますけれども、これは決して憲法に違反するというようなものでございません。
 また、プライバシーの問題も御指摘になりましたけれども、これも、現在ではプライバシーに十分配慮して、これを保護する観点から、関係遺族等以外には戦没者に係る名簿の閲覧を一切認めていないと、こういうような措置をしているわけであります。
 以前はそういうことはしていたのでありますけれども、これは昭和何年ですか、平成二年から、ただいま申し上げたように、一切認めないと、特別な場合以外は認めていないと、こういうことになっておるわけでありますので、御懸念のことは私はないのではないかと思います。
 このプライバシーの問題につきましても、今考えているプライバシー保護とか、そういうような厳格な考え方が当時なかったというようなことも、そういうような社会情勢、政治情勢等も考えた上での政府側の措置であったというふうに承知しておるところでございます。
#104
○吉川春子君 ちょっと幾つかのことを分けて伺いたいと思うんですけれども、プライバシーの問題はちょっと後にします。
 そして、遺族援護のためにやったと言うんですけれども、遺族はほとんど知らされていなかったわけですね。こういう詳しい調査票が靖国神社に百万以上の名簿として提供されたということは遺族は知らなかったわけですよ。しかも、合祀ということは、先ほど来確認しましたように、宗教行為なんですね。そういうものに対して政府が協力をしていた、通達まで出して協力させていたということは、これは遺族援護のためにやったということは、言い逃れできないと思います。そして、こういうことを政府が、いかに遺族援護のためと思っても、合祀という宗教行為に協力するようなことはやってはならないわけでしょう。
 その点からして、憲法二十条とか八十九条に全く抵触しないと、何の曇りもなく政府はそういうことをやっていないと、こういうことが官房長官、言い切れますか。
#105
○国務大臣(福田康夫君) 靖国神社がだれを合祀するとか、また靖国神社とそれから祭られている方との関係、これは靖国神社において判断するものでございます。
 靖国神社は宗教法人でございまして、そういうような宗教上のことでございますので、政府としてお答えする立場にはないということであります。
#106
○吉川春子君 さっきも言いましたように、政府が名簿を出しても、これは、本当にお国のために死んだかどうかの判断は靖国神社がするんですよ。だから、政府の出した名簿が全部合祀されたということはないわけなんです。そのセレクトは靖国神社がやると、それは私も繰り返し言っています。
 それと、そういう宗教行為の基礎になる行為を政府がずっとお金もかなり掛けてやってきたということに対しては、これは一点の曇りもなく憲法二十条や八十九条に抵触はしないということが言えるのかどうか、その点を聞いているんです。政府が合祀していないということは私はもう百も承知です。
 そういう協力事務をやったということについて、政府は何のやましいところもないんでしょうか、その点、もう一度答弁をしてください。
#107
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど申し上げたとおりではございますけれども、政府が、また政府とそれから都道府県もそうですけれども、旧陸海軍の軍人軍属の身上記録等を保有している、そしてまた整備しているということでございまして、これは、こういう関係する団体等から調査依頼がある、そういうときには、これに応ずるということが遺族援護の見地から適当と認められた場合に回答することになっておりますので、そういうふうな観点からこの事業をしてまいったものであると承知しております。
#108
○吉川春子君 そうしますと、宗教行為に対する協力ではなかったと。それは、そういうことであれば、今でもやろうと思えばできるということになるんですか。
#109
○政府参考人(三沢孝君) 私どもは、先ほど来官房長官の方からもお答え申し上げておりますように、あくまでも遺族援護の見地から行ったものでございます。
 ただ、現時点では、先ほど申し上げましたように、関係団体からの情報提供の要求につきましては、プライバシー保護に十分配慮し、これを保護するという観点から、関係遺族等以外には戦没者に係る名簿の閲覧を一切認めていないということでございます。
#110
○吉川春子君 八五年ですかの社会党の野田哲さんの質問に答えて当時の大臣は、これは憲法に違反する行為であったおそれがあるという答弁もしているわけでございまして、それを今、官房長官が覆されたのかどうかその辺は明確ではありませんが、これは非常に憲法に抵触するおそれもあるので、政府は今はそういう形ではやっていないということだろうと思うんですね。
 それで、さっき古いという声が飛びましたけれども、なぜ私がこの古い問題を取り上げているかといいますと、政府の協力事務によって合祀されちゃった人たちがたくさんいるんですね。でも、それを、合祀を取り消してくれと言っても取り消してくれないわけですよ。
 ということは、私は神道ではありませんので、もし自分が合祀されるということになればそれは拒否すると思うんですね。クリスチャンの方もそうだと思うんですよ。そういう個人の思想、信条、宗教を無視して、全部の人を政府が提供した名簿によって、本人の、いいですかという、そういう手続がなかったわけですから、合祀していて、しかし、後で分かって遺族が取り消してほしいと思っても取り消してもらえない。そういうことに対して少なくとも政府は原因を与えているわけですから、そういうことについて何らかの責任は政府にはないんでしょうか。全くないとお考えなんでしょうか。
#111
○政府参考人(三沢孝君) 先ほど来何度もお答え申し上げておりますけれども、先生も御理解いただいているところだと思いますけれども、この靖国神社が行う合祀、これはあくまでも靖国神社の御判断で行っておる宗教上の行為でございます。したがいまして、これにつきまして私ども政府がとやかく言うということは差し控えなければならないと、こう思っているところでございます。
#112
○吉川春子君 官房長官、伺いますけれども、そういう協力をしてきたわけですね、政府は。そのことによって、今自分の、あるいは遺族の思想、信条とは違う形になっている、それを取り消したい、でも取り消せないと、こういう苦痛を味わっている方々がいるとすれば、そういうことに政府は原因を与えたわけなんですから、全く政府は加担してないとは言えないわけですから、そういうことについての反省の言葉はないんですか。官房長官に伺います。
#113
○国務大臣(福田康夫君) もう何度も御説明しているとおりでございますけれども、政府また都道府県では、遺族援護の見地から適当と認められる場合にいろいろな団体に回答していると、そういうことでございます。
 靖国神社のこととの関係で申し上げれば、靖国神社はあくまでも民間の宗教法人であるということであり、それは靖国神社の方でお考えいただく問題ではないかなというように思っておりまして、そのことについて政府としてとやかく言えるものではないというように思っております。
#114
○吉川春子君 もうそういう答弁だと、本当に政府は、過去、自分たちがやってきた行為について反省をしてないということで許し難いと思うんですが、官房長官、もう一点。
 合祀名簿作成で、個人の情報提供を本人に了解もなくたくさんしていると、そういう問題について、これは正しいやり方だったというふうに思うんでしょうか。さっきちょっと厚生労働省は答弁していますけれども、官房長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#115
○国務大臣(福田康夫君) 合祀について本人の了解を得ているかどうかということでございますか。そのことについては先ほど私からも答弁いたしましたけれども、これは靖国神社の……
#116
○吉川春子君 違います。情報提供についてです。合祀じゃないんです。情報提供したということについて。
 じゃ、もう一度。
 情報提供をしたということに対して、プライバシーの侵害に今日の場合では当たるような趣旨を今厚生労働省は言いましたけれども、官房長官としても、これぐらい詳しい個人の情報を本人の了解なしに全く第三者に提供していたということについての反省はありませんかということです。
 情報保護法が今衆議院で掛かっていますけれども、それとの関係も念頭に置いて答弁をしていただきたいと思います。
#117
○国務大臣(福田康夫君) 宗教法人等に対しまして個人に関する情報を提供していた、当時ですね、当時、例えば戸籍についても、現在と異なりまして原則として何ぴとでも戸籍謄本等を請求することができたという、そういう当時でございます。そういうような当時の国の行為が直ちにプライバシーの侵害に当たるというものではないと考えております。
 しかし、これも先ほど申しましたけれども、現在はプライバシーに十分配慮して、これを保護する観点から、関係遺族等以外には戦没者に係る名簿の閲覧は一切認めていないというところでございます。
#118
○吉川春子君 そうしますと、戸籍というのは住所、氏名ぐらいですよね。ところが、さっき言いましたように、祭神名票というのは実に細かい、たくさんの情報を用紙に記入して行ってきたわけなんですけれども、戸籍とそれから祭神名票に書かれた情報の量と、これはもうほぼ等しいものだと、戸籍とか住民票と同じように考えていいというふうにお考えなんでしょうか。
#119
○政府参考人(三沢孝君) 戸籍の例を出して御説明申し上げましたけれども、これはいずれも本人の同意を要せずに閲覧できると、こういう例として申し上げたものでございまして、もちろんその内容については相違があるところでございます。
#120
○吉川春子君 内容について何ですって。同じに考える。
#121
○政府参考人(三沢孝君) 相違があります。相違があるところです。相違があります。
#122
○吉川春子君 どういう相違があるんですか。イコールでいい、それだけ詳しい情報を提供しても本人が同意しなくてもいいと、そういうことなんですか。
#123
○政府参考人(三沢孝君) 当時の状況を踏まえて必要なものであったというふうに判断されたんだと思います。
#124
○吉川春子君 官房長官、戸籍と祭神名票の中身とを同じように考えて情報を提供したということでよろしいんですか。同じ水準で考えられますか、情報の量が全く違うんですよ。
#125
○国務大臣(福田康夫君) 今は個人情報について、またプライバシーについて非常に、まあこれは当然といえば当然かもしれぬけれども、厳しい見方をするようなときになりまして、国民の関心も非常に高まっておるということであります。
 しかし、当時は、当時は今とはやはり社会情勢が違ったんではないでしょうか。したがって、その社会情勢に応じた個人情報を提供するということが、まあ確かに戸籍とは違うかもしれぬけれども、しかし戸籍だって極めて大事な情報だと思いますので、そういうような情報をいろいろと提供するというようなことが可能だったんだろうというように推測をいたします。
#126
○吉川春子君 もうこの問題については裁判にもなっておりますので、なかなか答弁がしにくい、善意に思えばそういう面はあるかもしれませんけれども、全く無反省ですね、今の小泉内閣は。信教の自由とか内心の自由とか、そういうものに対して土足で踏み込んでいるのに、そういうものに対してかけらもないと、反省が。
 私はそのことを厳しく指摘して、この問題は引き続きやりたいと思います。
 それで、もう一つの問題も通告をしておりますので、今度は条約の、女性の権利等に関する条約の問題について質問をしたいと思います。
 一九七〇年代、国連を中心に男女平等についての理論と運動が発展し、さっき同僚の川橋議員からも質問がありましたように、男女共同参画社会基本法が制定されました。そして、それに基づいて行動計画が作られたわけですけれども、その中で、基本計画の中で、「未締結の条約に関する検討 女性に関わりの深い条約のうち未締結のものについて、世界の動向や国内諸制度との関係にも留意しつつ、男女共同参画の観点から積極的な対応を図る。」と、このようにしております。
 官房長官、男女共同参画担当大臣として、未締結の条約を批准するためにどういう取組を積極的にされようとしているのか、まず伺います。
#127
○政府参考人(坂東眞理子君) お答え申し上げます。
 昨日、第七回の男女共同参画会議が開催されまして、その席で、十四年度の監視条項として、地球社会への開発、発展、平和という基本計画の条項についてどのように検討されているかということを専門調査会で監視されることが決定されました。その中には、今御指摘のありました未締結の条約についての検討という条項も含まれております。
#128
○吉川春子君 雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、ILO百十一号条約についてですが、この条約の批准の見通しについてお伺いいたします。外務省ですかね。
#129
○政府参考人(高橋恒一君) お答えいたします。
 御質問のございましたILO関連百十一号条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約でございますけれども、この条約に関しましては、国内法制と条約の整合性などに関しまして更に検討する必要があるため、現在、未批准となっております。政府といたしましては、本条約については今後とも引き続き検討を進めてまいると、そういう所存でございます。
#130
○吉川春子君 もう全くこれは答えていないのも同じですね。これはもう先進国の中では日本とアメリカしか未批准国はなくて、ほかはもう、多くの国が批准している条約についてまだ見通しも立たないというようなことでは全く世界の物笑いと、私はあえてそのことを強く指摘しておきたいと思います。
 それで、もう一つの女子差別撤廃条約の選択議定書の問題について伺いたいと思いますけれども、我が党の林紀子議員が去年の法務委員会で追及して、大臣も真剣に検討していると、法務大臣も検討していると、していくと約束されていますけれども、この選択議定書について批准の見通し、そして障害となっているものは何でしょうか、法務省に伺います。
#131
○政府参考人(寺田逸郎君) 全体の批准の見通しにつきましては外務省の所管でございますので外務省の方からお答えをお願いしたいと思いますが、この問題はそもそも、先ほども御紹介ありました法務委員会での議論もございました当時申し上げましたとおり、元々、非常に、この個人通報制度といいますのは幾つかの条約に採用されておりますが、女子差別撤廃条約の効果的な実施を担保すると、こういう点におきましては極めて注目すべき制度だということで私どももとらえております。
 ただし、再三申し上げておりますように、この委員会への通報制度というのは具体的な案件につきまして委員会への意見を求めて行われるものでございまして、その委員会の意見いかんによりましては国内の裁判所の裁判官の独立した職務の執行というものとの関係がどうしても生ずる、これを何とかしなきゃいけないというような問題が生ずるわけでございます。そのようなおそれから再三いろいろ申し上げているところでございまして。
 あわせまして、この女子差別撤廃条約につきましては、同じように個人通報制度の位置付けといたしまして、国内的な救済措置が尽くされているということが条件にはなっておりますけれども、その問題が果たしてどれぐらいきちっとされているかどうかというような、混乱を招くようなおそれがないかどうかというようなところでもまた慎重な検討を要するというような指摘もございます。
 このようなところで、私どもは外務省の方とも連絡を取りながら、真剣に、かつ慎重に検討を行っていると、このようなところでございます。
#132
○吉川春子君 その裁判官の自由心証といいますか、そういうものに影響を与えるんじゃないかということなんですけれども、裁判官は判決を下すときに、国連の条約とか国連の動き、国際的な動向とか、そういうものを十分に判決の中に取り入れるような形で判決を下していると思うんですね。今正に女性の問題なんかは特にそうだと思うんです。
 この個人通報制度は、裁判官が判決を下して国内的な手続が完了してしまった後に政府に対して勧告をされるわけですから、その裁判官の自由心証形成について悪影響があるということはあり得ないわけなんですけれども、それにもかかわらずこのことを繰り返し理由にするということは、もしかしたら日本の裁判官は国際的な潮流とは独立して、孤立して判決を下すんだと、そのことの障害が云々されていると、こういうふうにうがった見方もできるんですけれども、まさかそういうことじゃないですよね。
#133
○政府参考人(寺田逸郎君) そういうことではございません。
 この問題は、基本的に、国際的な潮流がどうかということではなくて、具体的な事件について、国家を超えた存在であります委員会の意見、これはおっしゃいますとおり、きちっと物事が整理されれば当該事件についての意見ということではございませんけれども、しかし当然のことながら、類似の事件というのもございます。そのことに正に影響を受けるということについての懸念が示されたと、こういうことでございます。
#134
○吉川春子君 要するに、日本は、ILO条約の批准でも、重要なILO条約をなかなか批准しないわけですよ。だから、個人通報制度だから対象になるのは個々のことであっても、例えば間接差別とか例えば同一価値労働とか、そういう問題について国内法で必ずしも消化されているとは言えない。だから、いろいろな女子差別で裁判を争っている女性たちがILOとか国連とか度々行って訴えて、そしてILOからまた日本政府に対して意見が来るというようなことは、あなたもよく御承知のとおりですね。
 だから、そういうことをなくすためにも、やっぱりまず条約の批准ということは非常に重要なんですけれども、個人通報制度についても、注目すべき制度だと、こういうふうにおっしゃっているわけですから、司法権云々、主権云々ということではなくて、もっと大臣が真剣に検討すると言ったことを踏まえてやっていただきたいと思うんです。
 それで、官房長官、もう時間がなくなりましたので、私は最後の質問を官房長官にしたいと思うんですけれども、そういう形で今ILOの批准が物すごく遅れているんですけれども、何が理由で遅れていて、どこまで検討が進んでいて、何がもうちょっと前進させればいいのか、いつごろどうなるのかという情報を一切私たち国民は手にすることができないわけです。だから、せっかく行動計画の中で積極的な条約の批准ということがうたわれましたので、そういうILO、国連条約の批准に向けてもっとどういうふうに今審議の状態がなっているかというような情報公開を内閣府の主導の下、国民に示していただきたい。そのことを官房長官に要請したいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
#135
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど政府側答弁ございましたけれども、いろいろ検討する問題が多いのでございまして、このことにつきましては検討する範囲も広いものでございますので、そういう意味で時間も掛かることもございます。しかし、検討しないわけではありませんので、鋭意進めさせていただきたいと思っております。
 また、この女子差別撤廃条約につきましても、真剣かつ慎重に検討するというように申しておりますので、そういうことで、これは時間の問題もございます、それを忘れているわけでございませんので、その点も考慮に入れながら鋭意研究をさせていただきたいと思います。
#136
○吉川春子君 官房長官、情報公開の点についてどうですか。条約批准に向けてこうやっているという情報公開をもっと国民にしていただきたい。その点、最後一言だけお願いしたいんですが。
#137
○国務大臣(福田康夫君) これからやることについて、かなり明確なものをお示しできるということについて情報公開するということはあり得るかもしれませんけれども、この今申し上げたことについて情報公開できるかどうか、これはちょっと検討させていただきます。
#138
○吉川春子君 終わります。
#139
○委員長(佐藤泰介君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十分開会
#140
○委員長(佐藤泰介君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、内閣の重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#141
○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康でございます。
 何点か質問をさせていただきます。
 まず、去る七月十四日に、朝日新聞の「経済漂流」というインタビュー記事で、スタンフォード大学教授の青木昌彦氏は次のような意見を述べておられます。「九〇年代初め、日本は大いなる制度変化の時代に入った。」という認識を示された後、変化の兆しの具体的な事例として大学改革を挙げておられます。国立大学の独立行政法人化、教員、職員の非公務員化という明治以来の改革が決まったが、内閣直属の総合科学技術会議のリーダーシップによって、文部科学省や大学という当事者を超えた政策決定がなされた。いわゆる抵抗勢力が比較的弱い分野の事例だが、経済財政諮問会議も経済政策で同じような機能を発揮すべきだとの御意見であります。
 経済財政政策担当大臣として、竹中大臣はこの意見に対してどのような御感想をお持ちになっておりますか。そして、経済財政諮問会議は、現在、実際にはどのように機能しているのかを承りたいと思います。
#142
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済財政諮問会議が発足したのは去年の一月でございます。一年半ばかりのまだ実績でございますけれども、言うまでもありませんが、基本的な機能というのは、予算の枠組みについて議論を行い、さらに経済政策の重要事項について審議を行う、調査審議を進める機関として機能させてきているつもりであります。
 これは、特に、いわゆる役所の縦割りを超えまして、横割りといいますか、内閣府全体が各省庁より一段高い立場に立って総合的な調整を進めるということでありますから、内閣の戦略を担うというような観点から経済政策全般を議論しなければいけないというふうに考えてきたわけであります。そういった意思を反映して、昨年の六月には骨太の方針、今年六月末には骨太の第二弾、その間、一月には経済の中期ビジョンに当たります改革と展望というものを示して、経済全体の戦略性を踏まえたかじ取りを行ってきたつもりでございます。
 青木先生の指摘は、正にそのような戦略性、さらには総合的な視点ということを御指摘になっていらっしゃると思いますけれども、一年半の間そういった観点からの運営を行ってきた、今後ともそうした観点からの運営を行うと同時に、さらに、政策のメニューが出そろって、今後、様々な制度を具体化していくに当たっても、機動的な提言を是非総理に申し上げたいというふうに思っているところでございます。
#143
○島袋宗康君 結局、内閣の経済政策をこれから充実していくというふうな観点から、経済財政諮問会議ですか、これはいつごろまでにそういう政策を打ち立てていくのか。その期限もございますか。
#144
○国務大臣(竹中平蔵君) 様々な若干の試行錯誤の中で、諮問会議が果たすべき役割の一つのパターンのようなものを是非とも作っていきたいというふうに思っておりますんですが、今申し上げましたように、一年半の実績の中から出てくる一つの想定される姿としては、予算編成に先立って、政策の基本的な方針、基本的な方向を総括的、包括的に議論するいわゆる骨太の方針、基本方針と呼んでおりますけれども、それを夏ぐらいに取りまとめていく。
 同時に、予算編成の具体的な予算編成であります十二月ないしは一月ころには、中期ビジョン的な意味での改革と展望、五年程度のそのビジョンの中で、今年度、来年度の財政編成、予算編成をどのように位置付けるかということを明確にしていく、その二つを大きな軸にしていくということが考えられるのではないかと。こうした動きを当面定着させていきたいと思っております。
 その意味からいいますと、骨太に関しては第二弾を出した。年末ないしは年始に向けて、やはり中期展望の見直し、その中で、その時々に必要な制度改革の問題も含めた幅広い政策論議を正に戦略的に議論して内閣の方針を示していく、そのような方向が想定されるのではないかと思っております。
#145
○島袋宗康君 じゃ、必ずしも期限を設定しないで、これから日本の経済政策をやる、内閣の経済政策というものを、予算に見合わせた形での経済政策をどう位置付けていくかということと、中期あるいは長期的な展望もそれによって位置付けていこうというふうなお考えですか。
#146
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員のおまとめくださったように、一つは中期的な展望を示していく、これは予算編成に合わせて示していくと。それと同時に、政策の基本的方向を議論して、今回の第二骨太の中にも、基本的な方向を議論して、それを可能な範囲でいつごろまでに実現するというスケジュール的な、日程的なものも含めておりますけれども、そういった議論を夏ごろに更にする。その意味では、委員、今御指摘くださったような方向が当面の運営として考えられるのではないかと思っております。
#147
○島袋宗康君 先刻の朝日新聞の「経済漂流」というインタビュー記事の中で、もう一人の回答者である評論家の立花隆氏は、記者の日本経済はどんな方向に進むべきかとの問いに対して、「盛んに言われているような何でもマーケットに任せる「裸の資本主義」には反対だ。」ということと、「この半世紀を、僕は基本的にポジティブに評価している。ほかの国にいるより、多くの人々は日本に生まれ、住んできてよかったはずだ。矛盾もたくさんあるが、それなりの良さがあった。そこを守るべきだ。「裸の資本主義」にいったらその良さを捨てることになる。」との意見を述べております。
 この意見に対して、大臣はどのように御所見を持っておられますか。
#148
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘は京都大学の橘木先生の御意見……
#149
○島袋宗康君 立花隆さん。
#150
○国務大臣(竹中平蔵君) 立花隆さん、失礼いたしました。
 恐らく、すべてを市場のメカニズムに任す、すべてということは、資源配分のすべてを市場の配分機能に任せると、それでうまくいくというふうに考えているまともな専門家は一人もいないと思います。そこにはやはり公的な部門が介在して、市場によらない公的な資源配分というのが当然のことながら必要になる。これは、ハンディキャップを負った方々に対するケアの問題、離島等々、特別のやはり立場にあるその政策、これはやはり市場によらない公的な資源配分というのは当然に必要であるというふうに思います。
 しかし一方で、八〇年代から九〇年代に掛けて世界の市場経済が一気に拡大して、市場の配分メカニズムを活用することによって経済を発展させようという非常に力強い、強い世界的な動きが出ているということも事実であろうかと思います。その意味では、市場に任せるところは思い切り市場に任せる、しかし市場ができないところについては、そこにこそ政府が、集中と選択でありますけれども、集約的に資源を投入すると、そういうめり張りの利いた政府の在り方、政策の在り方が正に今求められているのだというふうに思っております。
 以前も申し上げたことがあるかもしれませんが、総理自身がおっしゃる自助自立、自助、自らを助くる、自らを助くることができる人がたくさんいればいるほど、本当の意味での弱者、自らを助くることができない人に対して手厚い保護ないしは政策を行うことが可能になると、そういう視点が今の政策運営には是非とも必要であるというふうに思っております。
#151
○島袋宗康君 先ほどの委員会の、委員の同僚の皆さん方からも質問がありましたけれども、いわゆる貧困社会をいかにして同じようなレベルに持っていくかというふうなことが経済政策の大きな課題だろうというふうなこともありましたけれども、これからやはり貧困社会をいかようにして引き上げていくかということが大事だと思いますけれども、その辺についての具体的な御意見とか、そういったふうな何か政策的なものはお持ちでしょうか。
#152
○国務大臣(竹中平蔵君) 昨年の骨太の第一弾に、経済政策を考えるに当たって七つの視点からプログラムが必要であるということを明示させていただきました。その中に、今、委員お尋ねの考え方というものをかなりはっきりと含ませていただいたつもりでおります。
 まず何といっても、多くの人が自らを助ける、将来に挑戦していくということを支援することが重要なんであって、そのためのチャレンジャー支援のプログラムというものを考えました。その中には税制の問題も入ってまいりますし、金融の支援の問題も入ってくる。
 もう一つ、しかし、これだけ多様な社会でありますから、ある種の確率で企業の倒産、失業というような問題がどうしても出てくる。そういった場合に必要になるセーフティーネットに関しても、これはまたセーフティーネットを、これまでの会社に任せたセーフティーネットではなくて、社会全体で網を張れるようなセーフティーネットに変えていこうではないかというような思想の下での政策を幾つか提起させていただきました。その一部が昨年の第一次補正予算という形で実現しているというふうにも認識をしています。
 引き続き、今申し上げたような考え方に沿って政策を運営していくことが必要であると思っております。
#153
○島袋宗康君 是非、目指すいわゆる福祉国家をいかようにして作っていくかということがやはり最終的な目標でないといかぬと思いますから、是非、そういった意味で御努力を願いたいというふうに希望を申し上げておきます。
 次に、我が国における男女共同参画社会の実現という観点から、現状に対してどのように認識しておられるのかという点、及び今後短期的に、また長期的にはどのような部分に力点を置いた政策を進めていかれるお考えなのか、承りたいと思います。福田官房長官、よろしくお願いします。
#154
○国務大臣(福田康夫君) 男女共同参画社会とは、女性と男性が互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会というように規定いたしております。
 国連開発計画、UNDPにおいて発表しております人間開発に関する指標を見ますと、基本的な人間の能力の平均がどこまで伸びたかを測りますHDIというものがございます。人間開発指数とも言うべきものですが、これは百六十二か国中、十一位と、世界的に見ても上位にございます。
 ところが、女性が積極的に経済界や政治活動に参加し、意思決定に参加できるかどうかということを測りますGEMというのがございます。GEM、ジェンダー・エンパワーメント指数、これは女性の参加指数とでも言うのでしょう、翻訳すべきでしょうか、これは六十四か国中、真ん中の三十一位にとどまっております。
 また、平成十二年の世論調査によりますと、社会全体で見た場合に男性の方が優遇されていると答えた者は男性の七割、女性の八割に上っておりまして、男女共同参画の実現という観点からは課題は少なくないものと認識しておりますので、取り組むべき課題もたくさんあると、こういうように考えておるところでございます。
#155
○島袋宗康君 いわゆる男女共同社会そのものが評価される分については、男性は七割、女性は一割ですか、御説明の。相当、大変な格差があるというふうな認識をしてよろしゅうございますか。お答えください。
#156
○国務大臣(福田康夫君) やはり日本における、我が国における女性の参画という観点から見た場合に、我が国は必ずしも満足すべき状態にあるということは言えないのではないかと、このように思っております。
#157
○島袋宗康君 そういう観点に立って、もっと努力していかなくちゃいけない課題がたくさんあるというふうに認識しますので、是非その面も御努力いただきたいというふうに思います。
 それから、先般、平成十四年度において講じようとする高齢社会対策、いわゆる高齢社会白書が発表され、昨年十二月には高齢社会対策大綱が閣議決定されております。
 政府は、今後どのように高齢社会対策を進めていかれるのか、また、そのための重点政策と政策の具体化に際してどのような点に留意していくお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#158
○国務大臣(福田康夫君) いわゆる団塊の世代が今後高齢期を迎えます。そして、我が国が本格的な高齢社会に移行するということを踏まえまして、高齢社会対策基本法に基づきます政府の高齢社会対策の基本的かつ総合的な指針といたしまして、昨年十二月に新しい高齢社会対策大綱を閣議決定いたしました。
 新しい大綱によりますと、旧来の画一的な高齢者像にとらわれることなく、施策の展開を図ることなどを政府の基本姿勢といたすとともに、高齢期の自立を支援する施策などについて横断的に取り組むことといたしております。また、就業とか所得、健康、福祉などの五分野における基本的な施策の方向も示しております。
 政府といたしましては、今後、内閣総理大臣を会長といたします高齢社会対策会議を中心に一体となって、新しい大綱において示されました基本姿勢にのっとって、分野別の施策への取組とともに、横断的課題の推進を図ってまいることにより、高齢社会対策を総合的に推進してまいりたいと思っております。
#159
○島袋宗康君 次に、村井国家公安委員長にお伺いいたします。
 最近、しばしば犯罪被害者の側から、加害者となった人物の行為に対する事前の相談に警察に行ったんですけれども、適切な対応がなされなかったという事例がマスコミ報道でなされています。これまでの顕著な事例に即して、警察の対応が適切であったか否か、また犯罪の予防という観点から、この種の事案に関して警察はどのようにかかわっていたらよいと考えておられるのか、お伺いいたします。
#160
○国務大臣(村井仁君) 警察は国民の生命、身体、財産の保護を任務としておるわけでございますが、こういう観点から、国民の皆さんからお寄せをいただきました御相談に対しましては、積極的またかつ適切に対応して犯罪の被害を未然に防止する、これが何よりも大事だということは当然でございます。そのような意味で、警察に相談をされていたにもかかわらず、その後犯罪に遭われまして、それで場合によってはお亡くなりになるというような事案が発生していることは、誠に残念なことだと思っております。
 個々の事案につきまして警察の対応が適切であったかどうかという点につきましては、それぞれのケースに即してこれは判断せざるを得ませんので、一般に警察としましては、その事案について被害を未然に防ぐことができたのかという観点から検証した上で、反省するべき点はきちんと反省しまして、今後の警察のいわゆる相談対応というものの在り方に反映させていくことが大事だと思っております。
 警察は、こういった相談にかかわります一番大きな眼目は犯罪の予防でございまして、そういう意味で、現に刑罰法令に触れない事案でありましても、その背景等を勘案しまして、犯罪を未然に防ぐように努力をするということは大切だと思っております。
 ただ、一つ是非御理解いただきたいと存じますのは、日曜祭日なしに二十四時間営業しているという、行政機関のある種のコンビニが警察でございますので、必ずしも警察が扱うべきでない問題もしばしば警察に持ち込まれる、相談事項として。それで、これにつきましては、できるだけ速やかに本来の行政機関にこれを引き継ぎまして、適切な対応をしていただくようなネットワークを構築していくこともこれは大切でございまして、それによりまして、犯罪から国民を守るという警察の一番期待されています機能、これを十分に果たしていけるようなことにしていかなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
#161
○島袋宗康君 いわゆる犯罪を犯した人の現状というものを被害者の方がこれを警察に訴えていく、あるいは情報を聞かせてほしいというふうなことをやるけれども、警察がなかなかそれは対応しないと。これは非常に簡単なようでまた難しい面もあろうかと思います。
 いろいろないわゆる福祉関係とかあるいは別の行政の問題とかいろいろあると思いますけれども、少なくともそういった、先ほどもおっしゃったように、行政とのネットワークを、あらゆる機関とネットワークを結んで、そういったものに対応するというふうなことについて、もっと具体的にそういった事例とかあるいはこれからどうしていくんだというふうな具体的なお考え方はございませんか。
#162
○国務大臣(村井仁君) やはりそこでどうしても考えなければなりません問題は、どこまで警察が入っていくのかというところは非常に微妙な問題がございまして、いろいろトラブルがございます場合に、犯罪の予測可能性というようなところはなかなか必ずしも事前には分からないことがございます。
 しかし、そうはいいながら、いわゆる警察でネットワークをいろいろな行政機関と組んでおりまして、これはほとんどの都道府県で県警中心に組まれておるわけでございますが、例えば北海道でございましたら相談業務関係機関等連絡会議というものを平成十三年に設立しまして、関係の団体二十三でございますが、これはすべての警察署で構築されている。沖縄の場合は、これちょっと残念ながら少ないのでございますけれども、これが三十二の機関を編成いたしまして、沖縄県相談業務関係機関・団体ネットワークというものを作りまして、これは残念ながら約三割程度の警察署で構築されているだけでございまして、なお一層督励をしてまいりたいと思っておるところでございます。
#163
○島袋宗康君 私たちの小さいころは、警官そのものが非常に、何かしら親から注意するときには、警察を呼ぶよといったような風潮もございましたけれども、最近はそういったことはないんですけれども。
 ただ、私が地域に住んでいて非常に感ずることは、どこの交番所に行っても、夜間になりますと、大概警察官がいない交番所がたくさんあります。非常に目に付くんですね。ですから、絶えずその地域で犯罪が起こるという可能性は十分あるわけですから、いつその事犯が発生するか分かりませんが、そういうところに駆け付けていくのはやっぱり交番じゃないかというふうに私は思っているんですけれども、ところが相談相手の交番が必ずしもそこに警察官がいないということについては、非常に地域の皆さん方にとっては寂しい思いがしていると思います。これは私の個人的な意見ですけれども。
 その辺の交番所に肝心の人がいないということでは、やはり警察の任務というのは、まだまだほかに別にあったらいいんですけれども、単なる地域の皆さん方にとっては、警察官いないじゃないかというふうな、簡単にそういうふうな思いがちになりはしないかというふうに思いますけれども、その辺の対応について、やっぱりもっと警察官が見える形での交番にしていただきたいと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
#164
○国務大臣(村井仁君) いや、もうその空き交番という問題、非常に悩ましい問題でございますが、御案内のとおり、犯罪のいわゆる刑法犯認知件数でございますが、昨年とうとう二百七十三万件というようなことになりまして、毎年のように新記録を更新している。非常に治安情勢嘆かわしい状態でございますが、一方、警察官の数が世界でも有数の、何といいますか相対的に少ない。端的に申しまして、一人の警察官がお世話をする国民の皆様の数、これが今年約四千五百人の増員をしていただきました後で計算いたしまして五百四十一という程度でございまして、これはよその国が、例えば欧米でございましたら、それは国によって違いますけれども、二百人台あるいは三百人台ということになっておりますのと比較いたしまして大変手薄である。そこで今御指摘のような事態が生じていることだと思います。
 私どもも精強な警察であるということを維持しつつ、国民のそのような御不安を解消できるように一層努力しなければならないと思っておりますが、今後、平成十四年度を含めまして三年間に警察官一万人の増員を全国で図るということを予定しておる次第でございまして、こういった面でひとつ御支援を賜りまして、少しでも、これで十分ではございませんけれども、手厚い体制にして、今、島袋委員御指摘のようなそういう事態にも十分対応するようにしてまいりたい、そのように今後とも努力を継続してまいりたいと思う次第でございます。
#165
○島袋宗康君 とにかく最近のいわゆる犯罪が、青少年の犯罪が非常に増加しつつあるということは、これは政治家にとって大きなどう解決していくかということの課題であると思います。
 そこで、やっぱり警察のそういった任務というものは、それなりの警官を増やしてどう対処していくかというふうなことが課題であると思いますけれども、やはりそういった社会風潮の中でどう犯罪をなくしていくかということが大きな課題でありますから、私がさっき言ったように、交番所にやっぱりいつでも警察官があそこにおって住民を守っていくとか、あるいは相談相手になるとかといったような構成をやはり図っていくべきのがその地域の、あるいは青少年に対する犯罪の防止につながっていくんじゃないかというふうな私見を持っているんですけれども、その辺について何かありましたら御意見を。
#166
○国務大臣(村井仁君) 正にそういう体制を作るためにはどうしてもある程度人数を増やしていただくということが大切でございますが、ただ一方で人数だけ増やせばいいかという問題ではございませんで、やはりその質を維持しなければならないという問題がございます。
 そこで、いろいろ工夫をしているわけでございますけれども、例えばOBの方に場合によっては手伝っていただいて、一番実際に起こりますことは、何かのトラブルがございまして警官がその現場へ臨場する、出掛けていく、そうすると、その間、交番が空になってしまうというようなことが間々あるわけでございまして、そういうようなことに対応しますために、場合によってはその交番に留守番をしてもらうためにOBの方にお願いするというような工夫もそれぞれの警察でしているように聞いております。
 ただ、いずれにいたしましても、これやはり人数をある程度そろえませんとどうしようもない問題でございまして、それにはどうしてもある程度のリードタイムというものが掛かる。きちんとした警察官を養成しますのに時間も掛かることでございますので、そういう御指摘を重く受け止めながら、なお努力を継続してまいりたい。
 今、島袋委員御指摘の点は、もう私どももよくよく認識しているところでございますし、問題意識も共有しているところでございます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
#167
○島袋宗康君 時間が参りましたので、もう一問あったんですけれども、もし時間があったらお許しいただいてやりますけれども。
 石原大臣、公務員制度改革に関連して評論家の立花隆氏は、先ほど朝日新聞の記事の中で、国を実質的に動かしてきたいわゆる官僚をどう見ますかとの記者質問に対して、次のように答えております。
 官僚を悪者にする風潮があるが、必ずしも正しいとは思わない。官僚を単なる行政執行者にしようとする「政治主導」は、日本にとって不幸だ。官僚は政治家に比べれば、はるかにモラルも高いし、何よりも日本という巨大なマシンを動かす専門家集団だ。彼らが状況に合わせて政策手段を提供し続けないと日本は回らない。この現実認識を欠いた理想は意味がない。官僚と政権党が拮抗する力のバランスが必要だ。
との意見であります。
 石原大臣はこの意見に対してどのような御意見をお持ちでしょうか。
#168
○国務大臣(石原伸晃君) 大変難しい質問だと思うんですけれども、前段の官僚を悪者にする風潮、一事の不祥事をとらえて官僚全員が悪いと言うのは、私は間違った考え方だと思います。
 総体的に見て、官僚と政治家のどちらがモラルが高いかというのは、いい人もいれば悪い人もいるのが人間の社会ですから、そこは分からないと。
 政治の側と官の側の力関係、力量、政策がこれからは勝負になってくるわけですけれども、それは、これも一概には言えませんけれども、これまではどちらかというと官僚の皆さんの方が政策立案能力があった、政治の側はそういう部分で劣る点があったと。しかし、今、時代が九〇年の冷戦の後変わりまして、政治家も政策立案能力がないと通用しないということが様々な面で、特に行政改革等々よりまして、このような質問をちょうだいするようになったのも実はここ数年のことでございまして、過去の、私も政治記者をさせていただいておりましたけれども、なかなかこういう質問をぶつけ合うというようなこともなかったと。その点は、今、与党野党問わず、政治家同士が互いに意見をぶつけ合って政策論を論議するというような風土が醸成されつつあるのが現実ではないかと、こんなふうに考えております。
#169
○島袋宗康君 時間です。終わります。
#170
○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。
 昨日、私は決算委員会で従軍慰安婦について質問をしましたところ、与党と保守党の委員の中からやじが飛んだので、その幾つかを紹介します。従軍慰安婦なんていないぞ、慰安婦は国がやったんじゃないぞ、証拠は何だという不規則発言がありました。それは耳を疑いたくなるほど現実を無視した内容でした。
 しかし、昨日の委員会では川口外務大臣は、軍の関与の下に女性の尊厳が傷付けられたと答弁なさいました。戦時下において慰安婦が存在し、さらには軍の関与があった、ひいては日本政府の責任があるということを認められたということで、慰安婦に関する政府見解は変わりがないと判断します。
 そこで、もう一度、皆さんと共通認識があったことを確認したいと思います。外務省アジア大洋州局長の田中さん、お聞きします。昨日の決算委員会で川口外務大臣が軍の関与があったと認識していると答弁されていましたが、その認識は河野官房長官談話以降、変化していませんね。
#171
○政府参考人(田中均君) 委員御指摘のとおりでございます。政府の立場は、平成五年八月四日に発表された内閣官房長官談話にあるとおり、いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷付けた問題であるというものでございまして、川口外務大臣の答弁のとおりでございます。
#172
○田嶋陽子君 福田官房長官にもお聞きいたします。
 軍の関与があったという認識は変化しておりませんね。
#173
○国務大臣(福田康夫君) そのとおりであります。
#174
○田嶋陽子君 それでは、昨日の決算委員会では福田官房長官に、元従軍慰安婦の女性たちに対する賠償について質問をしました。
 昨日、私は、政府がこの問題を正面から取り上げるのは難しいようだから、ハンセン病の問題を参考にして解決策を探ったらどうかと申し上げました。そのとき、私の言葉の、その真正面から取り上げることは難しいようだという言葉に対して、分かってるじゃんという不規則発言がありました。ハンセン病の患者、元患者の方々に対して謝罪と賠償、補償ができて、なぜ元従軍慰安婦の女性たちに謝罪と補償ができないのか、今日はまた角度を変えて質問させていただきます。
 田中局長にお伺いいたします。
 先ほどの岡崎さんの質問に対して田中局長は、個々の人を調べて、個々の状況を調べて支払うことが難しいので、サンフランシスコ条約や二国間条約等で被害国に対して多額の補償をしたと答弁されていました。しかしながら、元慰安婦の女性たちは、現在個人への補償を求めています。
 こういった状況下にあって、なぜ日本政府は及び腰になっているのか、これほどまで声が上がっているにもかかわらず、なぜ政府はそれに対して誠実に対応なさらないのでしょうか、理由を教えてください。
#175
○政府参考人(田中均君) 先ほど他の委員の御質問にも御答弁を申し上げましたけれども、戦後処理の在り方についてどうするかということは、正に、戦後いろんな議論があったわけでございますが、結果的に、サンフランシスコ平和条約にありますとおり、国と国との関係として処理をすると。日本の場合にはドイツのように分断国家ではなかったわけでございます。その後、ですから、国と国、政府と政府との関係で処理をして、相手国政府が国民に対して手当てをするというのが基本的な考え方であったわけです。
 その後、これはもう委員御案内のとおりでございますけれども、九五年、村山内閣でございましたけれども、これも国民的な議論を尽くしまして、既に高齢となられた元慰安婦の方々、こういう方々に対して日本国民としての気持ち、こういうものを示す必要があるということで、アジア女性基金により、民間基金によって対応すると。これも当時の決断としてなされたわけでございます。
#176
○田嶋陽子君 国民の気持ちを示すということをおっしゃいましたが、昨日の私の質疑では、従軍慰安婦の方たちの気持ちを紹介しました。国民が戦争したわけではないだろう、民間が戦争したわけではないんだろう、国がきちんと責任を取ってほしいということですが、それに関してはまた後で質疑いたします。
 田中局長にお伺いしたいのですけれども、この二国間条約を結んだ、サンフランシスコ条約を結んだ当時、女性の人権を尊重する視点はあったのかどうか、どうお考えでしょうか。
#177
○政府参考人(田中均君) 私が今ここで一概に、女性のことを考える視点があったのかどうかというお答えをすることは可能ではございませんけれども、国と国との間で戦後処理をする、そのときに政府と政府が、その国を代表する政府と政府が請求権の問題を一括して扱うという視点から、サンフランシスコ平和条約及び二国間の条約ということになったわけでございます。
#178
○田嶋陽子君 女子差別撤廃条約というのは、日本では一九七五年に批准しました。現在でも、まだ税制度においては配偶者控除だとか配偶者特別控除だとか、女性でも専業主婦であれば年金を支払わないでいいとか、健康保険の掛金も支払わないでいいとか、女性の存在というのは、男性と二つになって初めて認められるようなインビジブルな、目に見えない存在です。
 ましてや、戦後、戦中、その前と、女性の存在は水面下にあって目に見えない存在、インビジブルの存在でした。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)そうだ。失礼しました。今のは間違い、間違いじゃないですけれども、ちょっと反論しちゃいました。
 ましてや、戦争中はこういう言葉がありました。自分の妻や娘を守りたいから慰安婦を、売春婦を、そういう発想です。すなわち、女の人たちは、男の人たちの道具としての存在であって、女であって、人間としての扱いを受けていなかったわけです。
 すなわち、慰安婦というのは、敗戦国にとっても、戦勝国にとっても、あるいは元植民地の国々の人々にとっても、認めたくない存在だったわけですね。ましてや、その二国間条約のときに、あるいはサンフランシスコ条約のときに、一九五二年四月二十八日発効ですけれども、慰安婦問題は当時会談の対象にもない、だれ一人口にもしなかったことですね。
 確かにそれは、個々のことに対応するのは難しいとは言っても、軍が関与していたと後にお認めになったように、ちゃんと文書にもあることですよね。ですから、かなりきちんと言葉にできることのはずなのに、そのことには言及されていない。
 すなわち、女の人たちは、こういう女の人、例えば今のアフガンを考えてください。アメリカは誤爆しています。たくさんの女の人たち、男の人たちが死んでいます。でもそのときでも、もしそこに、貧しいから売春婦の人たちがたくさんいますが、その方たちが亡くなった場合、どういうことが起きるかというと、自分の娘たちは、妻たちは売春婦だったということをアフガンの男性たちは認めたがらないという、そしてむしろ家から追い出すという、そういう記事を読みました。
 当時の慰安婦の人たちも、無事に帰ってきても、元おまえは慰安婦だったということで家の中にも入れてもらえないという人たちもいました。そういう状況で、私は、二国間条約やサンフランシスコ条約で慰安婦の人たちの存在がましてや認められたなどということは思えません。そのときに、その人たちのことをおもんぱかって。多額の補償額を払ったその中にその人たちの分があったとは思わないわけですね。
 だからこそ、今、慰安婦の人たちは、自分たちを見える存在にしてほしい、見てほしい。自分たちはやっとここでもって、皆さんは、自分が周りの世間から白い目で見られて一生暮らしてきた、そのままでは死に切れないと言って、名乗って発言し出したわけですね。謝ってほしい、自分の人生は国によってこういう人生になったんだと、だから謝ってもらえば私たちの名誉は回復されると、その上でできるなら賠償してほしいと、そういう考えであるわけです。
 ですから、私は、日本の国の大臣たちは、やっぱり今訴えのあるこの時期にきちんと対応しなければいけないと思うんですね。ですけれども、さっき申し上げたように、やじの中に分かっているじゃんという発言があったということは、私は、幾ら国のトップがトップ主導で何かしようとしても、何かそのトップの人たちの足を引っ張るものがある。そうしたら、その足を引っ張るものが、それがさっきの与党のやじの中に本音として現れていると思いますが、その本音の部分を、田中さん、あるいは福田官房長官、具体的に口にしていただけませんか。どういう意見があってトップの人たちはそういうものに誠実に対応できないのか、お話しください。
#179
○政府参考人(田中均君) 誠実に対応する云々ということでは私はないと思います。
 要するに、当然のことながら、国と国との関係で問題を処理するというのは、当時の議論を尽くした結果でございまして、確かに、委員御指摘のとおり、個々の被害すべてについて検証した上で条約が結ばれているものではないのかもしれません。しかしながら、そこは、国と国の秩序の作り方として、国家と国家の関係で条約を結び、それを国会の御承認を得たということであって、これは単に、その方式を変えて個人補償ということになりますと、単に慰安婦の方々だけの問題ではなくなるわけでございます。ですから、そういう国民の税金というものの使い方として一つの判断がされ、国会の御承認もいただいてここに来ているということでございます。
 さはさりながら、委員御指摘のとおり、これは官房長官の談話にもありますけれども、女性の尊厳を傷付けた、当時の軍の関与の下で傷付けた。したがってこれをどういうふうに対応するかというのは、当時、九五年に本当に真摯な議論が行われたんだと思います。その結果、個人補償をすることはできないけれども、政府としてもいろんなことを考えたい。その結果、アジア女性基金というものが作られ、そこに政府はその福祉事業のためにお金を拠出をするということでございましたし、償い金事業ということで国民の浄財をいただいて、それを慰安婦の方々に総理の手紙とともにお渡しをするということで、おわびの気持ちということも明らかにしているわけでございます。
#180
○田嶋陽子君 官房長官にとっては繰り返しの話を聞くことになるかもしれませんが、今の女性基金に関しては受け取らない方たちがいらっしゃるわけですね、特に韓国で。そして、金大中大統領がそれに対して対応なさっていて、政府はそのお金を受け取らない人に対して例えば二百万とか、具体的な数はちょっと今出てきません、ウォンで出ていますので。概算では二百万円ぐらいのお金を出しているというふうに聞いていますが、大統領がこの件はのどに刺さったとげのようなものだとおっしゃっています。
 そして、なぜその基金を受け取らないかというと、その人たちに言わせると、先ほども申し上げたように、戦争は民間がやったものではなくて国がやったものなんだから、その背後にあるのは、もし民間の出したお金を受け取れば、それは自分たちは正に売春婦にされたのと同じことなんだという、そういう鋭い分析があるわけですね。
 その声を聞いて、今のような御答弁をなさった田中さんはどのようにお感じになりますか。
#181
○政府参考人(田中均君) 韓国の金大中大統領の御判断というのは、少なくとも日本と韓国の関係においては、一九六五年の日韓基本条約、その中での経済協力・請求権協定によって解決済みであると。したがって、韓国の国民の人々に何をするかというのは韓国政府の問題であるということで、韓国政府は元慰安婦の方々に一定の資金の支払をされたんだというふうに思います。
 さはさりながら、私どもとして、女性基金として、日本の気持ちを表すことが必要だから、韓国の方でも受け取られる方にはお渡しをするということが基本的な考え方だったんだろうというふうに思います。
#182
○田嶋陽子君 でも、その二国間条約あるいはサンフランシスコ条約が締結されたときには、先ほどおっしゃったような、軍の関与ということは認めていらっしゃらないわけですね。
 ということは、もう一度伺います。従軍慰安婦の人たちの存在はインビジブルで政府にも目に見えなかった、あるいは見ようとしなかったわけですね。それに対して、私たちはまだ生きているんだ、そのときの個人補償をきちんとしてほしいんだという訴えに対して、田中さんはどのようにお答えになりますか。
#183
○政府参考人(田中均君) 私の気持ちは、女性基金にも私自身寄附をいたしておりますし、そういう意味で、女性の尊厳を著しく傷付けた問題であると、そういうふうに考えております。
#184
○田嶋陽子君 田中さんも寄附をなさったんですね。それはすばらしいことだとは思いますが、先ほども申し上げたように、寄附をされたら、個人から寄附をされたら自分たちは正に売春婦に落とされたのと同じだと、そう言っていらっしゃるんですよね。それに対してどうお考えになりますか。
#185
○政府参考人(田中均君) これは繰り返しになりますけれども、日本は、戦争が終わった後、国と国との関係でどういう戦後の処理をしていくかというのは当時非常に大きな問題だったわけでございます。ですから、一定の判断の下で当時日本だけがそれを決める権限があったわけではございません。サンフランシスコの平和条約以降、いろんな形で二国間の条約が結ばれた、国会の御承認もいただいた、そういう形で相手国政府との関係で問題を解決することによって、そういう請求権の問題はなくなっているという状況の中で何ができるかという観点から、九五年の村山内閣で非常に悩み、その結果、女性基金が作られたと。そういうことで随分国民の皆様からも寄附をいただいた結果、元慰安婦の方々に対してそういう形で資金の提供が行われているということが実態でございます。
#186
○田嶋陽子君 福田官房長官、今、私と田中さんとのやり取りを聞いておられて何をお感じになられましたか。
#187
○国務大臣(福田康夫君) この問題は、もう過去幾度となく議論がされたと思います。戦後処理の問題に関しまして、あるいは個人と国家の関係について様々な御意見また考え方があるということであります。
 これは、田中局長がただいま述べているとおりでありますけれども、我が国が、さきの大戦の後、当時の国際法とか慣例を踏まえて、関係国との間で誠実に交渉を行って問題を処理してまいったわけでございます。そのようにして政府が関係国政府との間で行った戦後処理は、決して安易なものではなかったと思います。我が国国民の痛みと負担を伴ったものであり、正にさきの大戦に対する我が国政府と国民の真摯なおわびと反省の気持ちの表れであるということは御理解いただかなければならないと思います。
 戦争に伴って発生した問題は多種多様なものがあったと考えられますけれども、我が国が関係国との間で行った戦後処理は、そうした多種多様な問題を一括して処理、解決するということによりまして、一日も早く戦後の正常な関係を回復し、発展させていこうとする当時の日本国民の願望に沿った選択であったと、このように考えておるわけでございます。
#188
○田嶋陽子君 時代も変わってきました。意識も変わってきました。例えば、一九九八年に発表された国連人権委員会のマクドゥーガル報告書では、日本の慰安婦制度を、ジェンダーに対する罪、性奴隷の一類型であるとし、更に人道に対する罪と規定しています。いわゆる非人道的行為に当たるとしています。
 これまでも政府は誠実に対応されてきたという、累々とそういうことを述べておられますけれども、それなら、視点を変えて、今、福田官房長官は男女共同参画社会の会議の議長でいらっしゃいます。その視点から、要するにジェンダーに対する罪というその視点から、男女共同参画社会づくり、それが国の施策であるならば、この問題も女性の人権を尊重するという視点から改めて解決するという、そういう考え方に関してはいかがでしょうか。福田官房長官、お願いします。
#189
○国務大臣(福田康夫君) 今現在、政府はこの議論でもって何回か答弁申し上げているとおりの考え方でもってやっている。それは、私も申し上げましたとおり、決して生半可なものではないというように思っております。大変まじめに考えた結論というものをもって対応してきたというように考えております。
 したがいまして、この従軍慰安婦問題というのは多数の女性の名誉と尊厳を傷付けたと、こういう問題であることも認識しておりまして、これまでもおわびと反省の気持ちは様々な機会に表明してきておりますけれども、今後、政府といたしまして、この事業に表れた日本国民のこの問題に対する真摯な気持ちに理解が得られるように最大限の努力を払っていく、そういう考えでございます。
#190
○田嶋陽子君 男女共同参画社会基本法の中に、十一の重点目標のうちの七項目めに女性に対するあらゆる暴力の根絶という項があります。女性に対する暴力を根絶するための基盤作りとして、女性に対する暴力を根絶するために、それが犯罪にも該当するし、決して許されないものである、そういう認識を広く社会に徹底することが重要であると。そして、平成十一年、国連において女性に対する暴力撤廃国際日が定められ、各国の取組が促されているところです。
 こうした動きを踏まえて、いろんな啓発活動が行われているわけですね。ドメスティック・バイオレンスの法律もできましたし、児童虐待のもできましたけれども、例えば、現在でも、これは現実の問題ですが、女性はさらわれて性奴隷にされています。ちょうど従軍慰安婦で軍が関与をして女性たちをさらって性奴隷にしたのと同じことが現在も行われています。
 例えば、昨年十二月の第二回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議で出された国連の資料によれば、過去三十年間で性的搾取を目的にした人の密輸の被害に遭った女性と子供はアジアだけでも三千万人以上になります。現在でも、これはとても残念なことですが、私たちがよく聞かされる話では、アジアで女性を買う、しかも子供の女性を買う男性は日本人が一番多いということです。要するに、あの戦後の問題は、性奴隷の問題は今も終わっていないということです。
 福田官房長官は男女共同参画社会の担当をなさっておいでです。私は、決算委員会に官房長官の出席を求めたところ、官房長官はそちらの方の会議にお出になるので最初は出れないというお話でした。そこを是非とも出席してください、ちょうど私の質疑とそれから議長の時間とが重なるとおっしゃっていたんですね。そして、三か月に一度の大事な会議だからどうかそちらに出させてほしいというお話でした。でも、この従軍慰安婦の問題は戦後からずっと続いてきて、そして今ここでやっと私たちはみんなで議員立法を出しました。長い長い時間が掛かって、法律を出しても審議されなくて、長い長い時間が掛かってやっとここまでたどり着きました。ですから、私は時間の問題からいってもやっぱり決算委員会に出てほしいということで、そして官房長官はそれを聞き入れて出てくださいました。
 私は、この問題は福田官房長官個人としても、これは男女共同参画局で取り扱うべき問題だと認識していますが、いかがでしょうか。官房長官。
#191
○国務大臣(福田康夫君) 戦前、戦後そして今という、こういう歴史の流れの中で、男女の考え方、これはもう随分変わってきていると思います。その時代時代でもっていろいろな考え方をして、そしてその結果がこの戦争中における慰安婦の問題というようなことにもつながったんだろうというふうに思いますが、今現在、我が国でそういうように考えている方は、当時の考え方を持っている人は、これはいないだろうと思います。意識も随分変わったわけであります。
 ましてや、男女共同参画社会が二十一世紀の明るい社会を築くための一つの大きなかぎだというようにも言われて重要視されている、そういう時代にあって、男女の関係においてそれを何らかの道具にするとかいったような認識というものはあり得ないことであります。
 そういうような観点から、今後とも、政府としてももちろんであります、また男女共同参画というそういう立場からいっても、これはもう是非そういう認識を更に更に広め、そして本当に男女が心から満足して共同参画できる、そういうような社会を作らなければいけない、そのように思っておるところであります。
#192
○田嶋陽子君 アジア女性国民基金を所轄しているのは外務省が担当ですよね。この従軍慰安婦問題について、いつまでたってもくすぶっていますこの問題に対して、私は、政府は担当部署を作るべきだと思うんです。そして、この問題の解決に当たっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。福田官房長官。
#193
○国務大臣(福田康夫君) これ、実は村山内閣のときに慰安婦問題が起こりまして、そしてそのときに内閣官房の内閣外政審議室、ここでもってこの問題を扱いました。省庁再編の結果、この内閣外政審議室が、これがなくなりました。ほかの形になったのでありまして、そのときに、多分そのときだと思いますけれども、この問題については外務省を始め関係省庁に仕事の内容に基づき分散してしまったと、こういう経緯がございます。
 私も、委員からそういう御指摘がございまして、いろいろ考えておるところでございますけれども、戦後処理という観点からこれを一つのところでまとめた方が考えやすいのではないかというように思っておりまして、その辺これから検討させていただきたいと思います。早急に検討して、そして担当部署をしっかりするということができれば、それも一案と思っております。
#194
○田嶋陽子君 検討というのは実現の可能性あるということですよね。
#195
○国務大臣(福田康夫君) もちろんそうです。
#196
○田嶋陽子君 はい、よろしくお願いします。
 それで、私は昨日は、とてもこれは国と国との問題で解決が難しいということをずっと言われ続けてきますので、ない知恵を絞って、一つはハンセン病元患者への補償と謝罪の在り方、これを応用したらどうだろう。ハンセン病元患者とこの従軍慰安婦で、今もう明日をも知れない命の方もいらっしゃるわけでして、でも、傷付いた心とそれから傷付いた体の後遺症で苦しんでいらっしゃる方たち、その方たちは共通点があるということを申し上げました。いずれも高齢で、残された人生に限りがあること、今もってつらい思いを抱えながら生きていらっしゃること、そして最期を迎えるまでに何とか積もり積もった思いを晴らして、心安らかに人生を終わりたいということ、そして日本にきちんと責任を認めてもらうことでその人たちの汚名が晴らせるということ。
 そこから、ハンセン氏病の解決の仕方と同じ、首相、それからそれに陰の功労者と言われている福田官房長官、トップの方たちの決断で、少なくとも今苦しんでいる方たち、明日をも知れない方たちにもうすぐにも決断を下していただきたい、そういう解決の方法をひとつ取っていただきたいとお願いいたしましたが、ここでももう一度お願いいたします。そのやり方が不都合だとしたら、どういうところが不都合でしょうか。福田官房長官。
#197
○国務大臣(福田康夫君) 不都合かどうかというふうに言われますと、それは先ほど来ずっと説明を申し上げているとおり、いろいろな経緯があるわけですね。そういうような経緯を踏まえた上で考えていかなければいけないと思います。
 また、これは対外的な問題であるということも、これもよくその点も併せ考えていかなければいけないことで、ハンセン病のときには、これは国内の問題であったということもございます。そういう意味においては判断をよりしやすいというか、多少容易であったということもあったかもしれません。
 いろいろな観点から考えていかなければいけない問題であると思いますので、簡単なお返事はできないということであります。
#198
○田嶋陽子君 多分、こういう問題になると、そんな払う金はないというようなことが言われるようになるんじゃないかと思います、よく言われますので。
 そこで、私は、やっぱり日本はこの戦後補償のことをきちんとしないことで、表向きは世界第二位の経済大国だとかおだてられていますけれども、陰では一歩外に行くといろんな不満がくすぶっています。私は、そういう日本のマイナスイメージを何とかプラスイメージに変えるためにも、この問題にきちんと対処することはとても大事なことだと思います。そして、過去の戦争を悔い改めて、もう二度と戦争は引き起こさないと。今、アジアの人たちは、有事法制のこともありまして、いろんな疑惑、疑念を持っています。そういう疑惑、疑念を一掃するためにも、私はこの女性の人権を二度と侵害するようなことはしないというメッセージを込めることがこの問題に関してはとても大事だと思います。
 そこで、例えばNGOなどの見積りによると、元慰安婦の女性の補償金は一人当たり二百万から三百万とのことです。仮に、多くの被害者に補償金を行き渡らせることを目指すとして、補償金の金額を一人当たり二百万円とします。これから政府が支出しようとしているお金との対比をするためには、十四年度、私としては、案ですが、防衛庁の予算から自衛隊の主要装備品単価と今のお話ししたこととを比較してみます。
 防衛庁は、ボーイング社製の767空中給油・輸送機を今年度導入しようと考えています。これは一台で何と二百四十一億一千百万円掛かります。しかも、そこにはいずれは必要になるだろうとの言葉があります。従軍慰安婦の問題は緊急です。いずれ必要になるって、いつのことか分かりませんが、そのために二百四十一億の767空中給油機を買うわけですね。どうか今年はこの二百四十一億一千百万円を慰安婦の人たちの補償金に回す、そうしますと一万二千五十五人の人たちに補償金が払えます。
 政治家の仕事というのは、何に優先的に予算を配分するのかということも大事な仕事の一つだと思います。防衛予算を削ってその中から元慰安婦の女性のための予算が捻出できれば近隣各国の信頼回復にもつながるし、真の意味での日本の安全保障にもつながると私は考えるのですが、官房長官、いかがでしょうか。
#199
○国務大臣(福田康夫君) 安全保障の問題とこの問題が全く関係ないとは申しませんけれども、今の予定しているものを削って、そしてこっちの方に回せというのはちょっと乱暴な理論ではなかろうかなというように思っております。
 いずれにしても、いろんな考え方があるということはもう先ほど来申し上げておりますけれども、委員の御意見も御意見として承っておく、よく承っておくつもりでございます。
#200
○委員長(佐藤泰介君) 時間が来ておりますので、二分ぐらい過ぎておりますので、またの機会にしてください。
#201
○田嶋陽子君 それでは、しっかり考えてください。よろしくお願いします。真剣ですので、よろしくお願いします。
#202
○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。
 男女共同参画社会について、福田官房長官にお伺いいたします。
 先日出されました経済財政諮問会議の骨太の方針第二弾におきまして、男女共同参画会議の影響調査専門調査会の中間報告の反映のされ方についてお聞きいたします。
 第十二回経済財政諮問会議におかれまして、長官は一議員として、さきの中間報告に基づいた資料を提出しておられます。そこでは、一、税制、二、社会保障制度、三、雇用システムと、三分野に分けて提案をされています。この提案も踏まえた上で、経済財政諮問会議から出されました骨太の方針第二弾、この方針をよく見ますと、先ほどの三分野のうち、一つ目の税制、二つ目の社会保障制度については具体的に触れていますが、三番目の雇用システムについては余りにも抽象的過ぎて、触れていないに等しいようです。
 一つ目の税制について言えば、具体的には配偶者控除、配偶者特別控除の縮小、廃止を指し、そして二つ目の社会保障制度について言えば、主に第三号被保険者制度の見直しを指します。これら優遇措置を仮に全廃しますと、年金保険料月一万三千三百円、健康保険料月平均六千五百九十四円、配偶者手当、民間の場合は月平均一万五百円、国家公務員で月平均一万六千円、そしてさらに配偶者控除による優遇額が月平均三千円とすると、一家庭で月約四万円近くの負担増となります。三つ目の雇用システムとは、簡単に言えば、女性が働きやすく、高賃金を得られるような環境作りのことを指します。
 私は、税制や社会保障制度の専業主婦家庭を前提としたような優遇措置はいずれ見直すべきであるとは考えますけれども、それ以上に女性の働く環境整備が女性の社会進出にとっては急務であると考えております。
 今回の骨太の方針を見ると、要は取れるところから税金や保険料を徴収しようといういつもの財務省の姿勢が透けて見えるだけで、何ら男女共同参画社会づくりの理念が見えてはきません。男女共同参画社会には女性の経済的自立は不可欠なのは言うまでもありません。今回の方針は、女性にとっては骨太どころか骨抜きの方針になっています。
 そこで、長官にお聞きします。
 せっかく長官自らこの資料を提出したにもかかわらず、経済財政諮問会議の骨太の方針第二弾になぜ長期雇用慣行や男女賃金格差などという日本的雇用慣行是正の具体的方策が盛り込まれなかったのですか、お聞かせください。
#203
○国務大臣(福田康夫君) 構造改革が目指しますものは、総理が小泉構造改革五つの目標として明らかにしていますように、努力が報われ、再挑戦できる社会、それから、人をいたわり、安全で安心に暮らせる社会などの実現でございます。このためには、高齢者、女性、若者などがともに社会を支えることが重要でございまして、そのために政府としては基本方針二〇〇二で、特に男女共同参画については経済活性化のための六つの戦略を提示しております。
 そのうち、人間力戦略におきまして、女性が働くことが不利にならない制度設計、それから女性の個性や能力が活用されるようなチャレンジ支援策の取りまとめ、また企業等における女性の能力の発揮のための積極的取組の推進等々を盛り込んだところでございます。
#204
○黒岩宇洋君 今おっしゃられたのが雇用システムについての対応策というには、官房長官のこの経済諮問会議への提案の中ではもっと具体的に、長期雇用慣行や年功賃金等、片働き適合したが、非中立的なものは改めようとか、そういったことが書かれているわけです。しかし、内閣府の方に聞いても、やはりこのことは骨太の方針では触れていないとはっきりとおっしゃいました。そして、片や、先ほど言った税制や社会保険諸制度について言えば、具体的に配偶者控除等の検討とか、男女共同参画社会の理念とも合致した年金制度の構築と、はっきりと明記しているわけです。
 女性の経済的自立というのは、やはり経済財政構造改革の私は重要な柱だと思うんですが、このことが余り触れられていないのはいかがでしょうか。
#205
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本方針に関連する質問でありますので、ちょっと私の方から申し上げたいと思うんですけれども、まず基本方針の位置付けでありますけれども、昨年の骨太、それと改革と展望、それと今回の第二骨太、これ合計で三位一体で一つの考え方を示しているものというふうにまず御承知いただきたいというふうに思います。
 それと、これはあくまでも基本方針でありますので、これはもう税に関してこれは典型的に見られますけれども、例えば広く薄い税制でありますとか、例えば、もう一つ言いますと、人々のライフスタイルに直接影響を与えないようなそういう税制と、そういう書き方で、正に基本方針を示しているわけであります。
 その基本方針を議論する過程で一つの事例として官房長官の方から男女共同参画社会での議論というのも御紹介をいただいて、それで基本方針を固めて、さらにそれを制度設計していく中で今御指摘のような問題が、これはもう基本方針に沿ってやるわけですから、間違いなく入ってくると。これは担当各省庁の中で議論をしていただいて、細かな制度設計をしていただいて、そのフォローアップを再び経済財政諮問会議で行うと、基本方針のまず性格というのをそのように是非とも御理解賜りたいと思います。
#206
○黒岩宇洋君 分かりました。きっちりと入れ込むということをお聞きしたので、では次に、官房長官にお聞きします。
 現在、衆議院議員四百七十七名中、女性が三十五名、参議院議員二百四十五名中、女性三十八名という、この女性の政治への参画状態についてはどうお考えになられますか。
#207
○国務大臣(福田康夫君) これまでの国会における女性議員の推移は、これは長期的には増加傾向にございます。
 国会の女性議員の数字につきましては、御指摘ございましたけれども、衆議院におきましては、戦後の一時期を除いては、昭和六十一年までは一、二%で推移してきたんでありますけれども、その後大きく増加しまして、平成十四年三月現在では女性は七・五%という割合になっております。また、参議院におきましては、これが四%から一五・四%になっておると、こういうことでございます。
 そういうことで、政策方針決定過程への女性の参画というものは着実に進んでいるものと、こういうふうに思っておりますが、しかし国際的に見てまだ十分ではない。各党、政党間、政党におきましても女性の参画が一層進むように努力されることを期待をいたしております。
#208
○黒岩宇洋君 期待していただくことは結構なんですけれども、衆議院について言えば、今増えていると言いますけれども、平成五年では十四名、次の平成八年、これ二十三名になっているんですが、比例の選出議員が十六名です。小選挙区では七名。そして、平成十二年でも三十五名と大幅に増えているようですけれども、比例が二十二名と。すなわち、選挙制度改革によってのみ女性の数が増えているというだけで、現実には、戦後初の女性が被選挙権を得た選挙で三十九人、これをいまだに更新していないのが事実です。
   〔委員長退席、理事長谷川清君着席〕
 なぜ、このように女性が政治参画できない社会であると長官御自身はお考えですか。
#209
○国務大臣(福田康夫君) おっしゃるとおりでございまして、衆議院では、これ特に小選挙区の場合には非常に低いんですね。今現在、四・四%、比例区にいきますと一二・二%ということなんでありますけれども、いずれにしましても小選挙区は極めて低い数字であるということであります。
 そうなりますと、その小選挙区制というものが、これがまず女性が増えない一つの原因かなというようにも思います。小選挙区の場合には各党が候補者を一人に絞るということもございます。女性がその場合に候補者になりにくいと、こういうこともあるのではなかろうかと思っておりますが、また、女性候補を育成する環境が不十分だと。これは資金の問題、リーダーの育成のためのプログラムと、いろんな問題があると思います。
 男性の場合には松下政経塾なんというのもございまして……
#210
○黒岩宇洋君 女性だっているじゃないですか。
#211
○国務大臣(福田康夫君) 女性もいるんですか。女性の議員いるの。
 あ、一人。一人でしょう。それをまず増やしていただかなければいけないということもあるわけでございます。
 それから、資金問題はこれは割合と重要なことなのかもしれません。
 私がインドで、もう大分、五、六年前に女性会議がございまして、そこで、行ってまいりました。そこで議論されたのは、なぜ女性議員が少ないか、それはお金がないからだと。これは、この議論は結構まじめにされていました。ですから、これは日本でも似たような状況というのはあるのかなというような感じがいたします。
 また、労働分野とか家庭とか地域において依然として男女格差、性的役割の分担があると、性的役割分担。それから、政治領域への女性の参画しにくい環境。もろもろのものが少しずつ積み重なって、そして全体として女性が国会議員になりにくい、政治家になりにくいという環境が醸成されているというように思います。
 ですから、そういう一つ一つの条件を、状況を改善をしていくという努力が必要なんだろうと思います。
 しかし、とはいうものの、先ほど来申し上げているように、随分増えているわけですね。ですから、そういう方向に向かっていることだけは間違いないというように思っております。あとは、それをプッシュするかどうかということですね。
#212
○黒岩宇洋君 今、女性の政治参画に対し、小選挙区制というのが阻害要因になっているという答弁は非常に興味深く聞きました。
 それで、重ねますけれども、選挙制度改革によってのみに近い形で今女性の政治進出がされていると私は認識しております。
 それで、去る六月九日、フランスにおきまして、比例代表制のみならず小選挙区制にクオータ制が適用された男女同数法の下に総選挙が行われました。
 我が国において、クオータ制の導入を男女共同参画会議で提唱するおつもりはありませんか、お聞かせください。
#213
○国務大臣(福田康夫君) 女性議員を増加させるためにクオータ制を取り入れている国もございます。我が国におきましては、国民的な合意形成がまだないと、こういうことで、また議会政治の根幹にかかわる問題でございますので、これは各党、国会において議論を深めていただきたいと思っております。
#214
○黒岩宇洋君 私は、本当にクオータ制導入以外に即効的な施策がないとは思っておりますが、ちょっと先に進ませていただきます。
 選択的夫婦別姓についての長官のちょっと認識をお伺いしたいんですが、実はせんだってある議員が、これから政治を志そうとする一人の若者に対して、この人間の政治に対する根本的姿勢を聞くために、たった一つだけ質問をしました。その質問というのは、あなたは選択的夫婦別姓についてどう思うかという、そういう内容でした。私は大変感心いたしました。今現在、政治信条の分水嶺は、有事立法への賛否とか大きい政府か小さい政府かということではないようです。
 私の世代で選択的夫婦別姓について話し合うと、それに反対する人はほとんどいません。昨年の内閣府世論調査では賛成が反対を上回りましたが、この差は確実にますます広がっていくはずです。
 別姓によって日本的家族のきずなが壊れるなどとして反対する人たちは、今後一部の人間となります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうですね。
 で、先ほどの議員はその若者に、まさか君はその一部の側の人間ではないんだろうねと確認したわけです。その人間の答えは、当然、賛成でした。
 私は、若干内容は吟味するとして、当然、選択的夫婦別姓に賛成です。そして、いずれにせよ、民法は改正されると確信しています。結婚後の自分の姓すら自己決定できない国に自己責任があるわけなどないと考えております。
 昨年十月三十日の内閣委員会において、田嶋陽子委員の質問に長官は、選択的夫婦別姓について前向きな答弁をされています。今までの衆参合わせた内閣委員会で選択的夫婦別姓について賛成の立場から質問した男性議員はいらっしゃらないようですので、あえて賛成である男性である私が再度お聞きいたします。
 長官は、選択的夫婦別姓については賛成でしょうか。
#215
○国務大臣(福田康夫君) 将来のあり得べき日本の社会ということを考えた場合に、私はこの方向というものは、どういうような制度にするかということは別として、何らかの形で別姓を認めなければいけない部分が出てくるのではないかというように思っております。
 これは国民の間でも非常に議論が分かれておりまして、私もこの問題を担当してからいろいろな方に話を伺いました。当初、選択的夫婦別姓がいいというように私もいろんな方から伺っておった、しかし、その実現性が高くなってくると今度は逆に反対の意見が出てくると、こういうことでございまして、非常に難しい問題だなということで、今、党の方でもいろいろと議論をしておるところでございます。
 家族制度の在り方とか国民感情、社会事情といったようなそういういろいろな要素を勘案しながら考慮していく問題でございまして、多くの国民の御理解もいただかなければいけないということでございますので、これはそういう観点から、私どももなおあらゆる機会にその考え方を述べていきたいというように思っております。
#216
○黒岩宇洋君 この問題は、利権とか絡まない、本当、政治信条の問題なんで、政治家個人として御判断をお聞きしたかったんですが、先に進ませていただきます。
 新障害者基本計画と新障害者プランについてお聞きします。
 この基本計画とプランの作成過程があるんですが、大まかにはというか、ほとんど新しい障害者基本計画に関する懇談会で物事が決められております。しかし、この中には国会議員が入っていません。このような重要な計画、プラン作りに国民の声が届かず、ともすれば内閣府の事務局主導で作成されていきそうなこの計画とプラン、このような作成過程でよろしいとお考えですか。
#217
○政府参考人(江崎芳雄君) 新障害者基本計画でございますが、現行の障害者対策に関する新長期計画、これが平成十四年度で終期を迎えます。これを踏まえまして、本年二月の障害者施策推進本部におきまして、十年を計画期間とする新たな障害者基本計画、さらにはその前期五か年の重点実施計画でございます障害者プランの策定をするということを決定いたしました。
 これを受けまして、基本計画の作成に当たりましては、障害者御当人、それから障害福祉関係者及び学識経験者から幅広く意見を伺いこれを反映していくということで、官房長官の主宰による新しい障害者基本計画に関する懇談会、これを本年六月から開催をしているところでございます。
 詳細は申し上げませんが、先ほど申し上げましたように、障害者、障害をお持ちの方御本人、目の不自由な方でございますとか聾唖の方でございますとか、そういう方にお入りいただいていろいろ御意見をお伺いしているということでございます。さらには、知的障害なり精神障害を持った、障害をお持ちの御本人の意見もお聞きしようということで、次の懇談会におきましてはこういった障害をお持ちの御本人の方からも御意見をお聞きをしたいという具合に考えてございます。
 こういったことで、各方面から意見をお聞きしました上で、新しい障害者基本計画を作ってまいりたいと、このように考えてございます。
#218
○黒岩宇洋君 現行の二〇〇二年度までの障害者プランの実施状況は、二〇〇一年三月三十一日内閣府調べによりますと、計画を策定している市区町村が全国三千二百三十八のうち二千四百二十四で七四・九%、そして計画に数値目標を盛り込んでいる市区町村が九百十七で、全体と比べると二八・三%、このような状況で、当然達成状況は惨たんたるものだと思います。
 それで、お聞きします。
 そもそも、この基本計画、プランは実効性が担保されていなければ策定する意義がございません。今回の新基本計画、プランをどうやって達成させるのか、お聞かせください。
#219
○政府参考人(江崎芳雄君) 新しい障害者基本計画におきましては、教育、雇用、福祉など、分野ごとの施策を一層充実をするとともに、関連分野相互の連携による総合的な施策の推進を図るということで、計画を真に実効あるものとしてまいりたいと考えております。
   〔理事長谷川清君退席、委員長着席〕
 また、この基本計画、十年間をスパンとしておりますが、前期五か年の重点実施計画でございます障害者プランにおきましては、福祉等公的サービス基盤、バリアフリー等の分野につきまして極力数値目標を設定するなど、明確かつ具体的な目標設定をするということで着実な施策の推進を図るということをしております。
 それから、御質問の中にございました、特に町村でそれぞれ計画がなかなか遅れておるのではないかということでございますが、人口規模等を考えますと、大変小さなところではなかなか作りにくいということがございます。そういった面につきましては、近くの市町村と統合して障害者のための計画を作ると。また、私ども内閣府といたしましても、いろんな優良な事例をそういう市町村に対して御紹介をする、さらには、何と申しますか、計画を作る際の専門家、これが要請がございましたら派遣をするというふうな体制で、市町村の努力をバックアップしていきたいという具合に考えてございます。
#220
○黒岩宇洋君 我が国では一九九三年に障害者基本法が施行されました。しかし、これらはあくまでも基本法であり、国や地方公共団体等の施策の努力目標を定めたにすぎません。法規範性はあっても裁判規範性がないわけです。すなわち、障害者基本法では裁判が起こせないことになります。
 昨年八月三十一日、国連の国際人権規約委員会は、我が国に対して、障害のある人に対する差別規定を撤廃し、あらゆる種類の差別を禁止する法律を制定するよう勧告しました。障害者の具体的権利を定め、差別の禁止や権利侵害からの救済手続を明記し、障害者差別が政治部門ではなく裁判所で救済される障害者差別禁止法の制定について新障害者基本計画に盛り込むつもりはございますか。懇談会の複数のメンバーの方からも盛り込むよう要望も出ています。是非、基本計画に入れていただきたいと願っております。
 お答えください。
#221
○国務大臣(福田康夫君) 障害者等に対する不当な差別的取扱いの禁止につきましては、今国会に提出しました人権擁護法案で手当てをしているところでございますけれども、更に米国のように障害者に対する雇用や種々のサービス提供におきます差別についての救済措置として一般企業、事業者の特別の賠償責任等を認める仕組みを我が国にも導入することについては、検討すべき課題が多いと、このように考えております。
 いずれにしましても、障害者の権利を尊重し、社会経済活動への参加機会を確保するため、様々な制度の見直し、これは絶えず進めていく必要があると考えております。
#222
○黒岩宇洋君 アメリカのADAやイギリスのDDAに比べると、人権擁護法案で救済されるとはとてもゆめゆめ思いませんが、しっかりとした基本法を作っていただくことを重ねてお願いいたします。
 それでは、竹中大臣に経済財政諮問会議についてお聞きいたします。
 前段階なんですが、先月、自民党の政治制度改革本部が、閣僚は原則として国会議員とし、非議員を充てた場合は次の選挙で出馬を促すという案を出しました。これは事実上の民間議員の排除です。
 憲法第六十八条に、国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばなければいけないとあります。これは読み替えれば、半数を超えない限り、首相は民間から大臣を任命できる権利、そして、民間人は大臣に任命される権利があるわけです。それらの権利を制約するこの案に対して、民間大臣である竹中大臣はどうお考えですか。また、竹中大臣御自身、次の選挙にお出になる気があるか否かも併せてお答えください。
#223
○国務大臣(竹中平蔵君) まさかこの場で出馬表明をするわけにもいかないというふうに思いますが、どういうふうにその案について考えるかということでありますけれども、これは案でありますから、いろんな考え方があって、今正に議論されているのだなというふうに思います。
 私としましては、国会議員ではない立場で、経済の若干の専門性を生かして仕事をしろと言われているわけでありますから、正に多様な人材を生かして、これは何も内閣だけではなくて、日本じゅう至る所でそうだと思いますが、そういう点で貢献できれば本望であるというふうに思っているところでありますので、その立場で一生懸命やらせていただいております。
#224
○黒岩宇洋君 それでは、経済財政諮問会議についてお聞きしますが、本来は政策決定の主導権を族議員や官僚から取り戻すための首相の懐刀であった諮問会議は、今や与党などの要求を調整する舞台と化しているようです。
 私は、従来の政策決定システムで今の惨たんたる日本の経済状況を作り上げてきたわけですから、これらを改革しなければいけないと考えています。国民からも、その期待が諮問会議、そして竹中大臣御自身にも寄せられているはずです。民間大臣であるがゆえに与党に基盤のない大臣が今後どうやってその勢力と対峙していけるのかをお聞かせください。
#225
○国務大臣(竹中平蔵君) 難しい質問ばかりでございますけれども、新聞等々で諮問会議が総理の知恵袋というよりは調整の場になったのではないかという批判があることは承知しております。
 しかし、あえて当事者として申し上げますと、そのような批判は的を射ていないというふうに思っております。諮問会議としては、総理のリーダーシップを助けるべくアイデアを出して、総理が中心になってその基本方針を正に決定しているわけでありまして、それを閣議決定に持ち込む過程で若干の表現の調整とか、これはやはり当然しなければいけないわけでありますが、今回においても、その表現等々の調整は当然行わせていただきましたが、それによって政策の中身が変わっているという事実はこれはもう全くないと申し上げてよいというふうに思っております。
 これは、議院内閣制の在り方が全体として今問われている中で、しかしやはり内閣としての、内閣主導の政策、総理のリーダーシップを助ける役割というのを我々大変重要な役割として担っているわけでありますので、その本来の趣旨に沿って粛々と仕事をさせていただいているというふうに申し上げたいと思います。
#226
○黒岩宇洋君 経済財政諮問会議発足時、初代議長は森喜朗首相でした。経済財政運営を党に頼る森首相の下、諮問会議は余り重要視されていなかったようです。それが、小泉首相となり、抵抗勢力をぶち壊してきたのが諮問会議だと首相が言うほどに諮問会議に対して力を入れることによって諮問会議の位置付けが高まり、昨年は族議員の意向にこだわることなく政策を打ち出しておられたようです。しかし、首相が御自身の支持率低下に伴い与党に軸足を移していく中、またもや諮問会議の力は弱まってきているようです。
 諮問会議はしょせん首相の力頼みだけの会議なのですか。事務局役を務める竹中大臣として、経済財政諮問会議の存在意義について改めてお聞かせください。
#227
○国務大臣(竹中平蔵君) 諮問会議は内閣府の設置法等々に基づいてやはりそれなりの役割、マンデートを持っております。予算の枠組みをしっかりと議論して、経済政策の重要問題について調査審議するという役割を持っているわけでありますから、これはどの内閣になっても、今の法的な枠組みが変わらない限り、当然のことながらしっかりとやっていかなければいけない仕事であるというふうに思っております。
 しかし同時に、内閣府そのものが総理の知恵袋としての存在であって、総理のリーダーシップを支える。したがって、これは当然のことながら、やはり総理の御意向というのが諮問会議の在り方にこれは表れてくるということは私はある意味で当然であろうかと思っております。
 例えば、アメリカの大統領経済諮問委員会、CEAという組織がありますが、これももう専門家が多々分析しておりますが、これは大統領とCEAの委員長の個人的な関係も含めて、それによって非常に歴代政権によって役割が変わっている。私は、日本の経済財政諮問会議はアメリカのCEAほどそんなに極端に役割が変わるわけではありませんが、やはりある程度総理の意向というものが反映されてくる、これまたしかし総理のリーダーシップの一部であるというふうに私は考えるべきであろうかと思っております。
 先ほど申し上げましたように、しっかりとしたマンデートは持っている。しかし、総理のリーダーシップを支える、その役割である以上、その議長でもある総理の意向に沿ってその時々の役割を担っていくのが経済財政諮問会議としての立場であるというふうに思っております。
#228
○黒岩宇洋君 民間大臣であるからこそ、政党のしがらみ等なく力も発揮できるものと思っております。民間感覚の改革を期待しております。
 細かなことも聞きたかったんですが、今回は骨太の質問で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#229
○白浜一良君 村井大臣、御苦労さまでございます。
 ちょっと警察の関係を先に質問したいと思いますが、本委員会で私も大臣と確認の議論をいたしましたワールドカップ、警備上のいろいろな問題があるということで、大変警察関係者、努力いただきまして、無事に大成功で終えたわけでございます。初めての行事でございますから、フーリガンが来るとかいろいろ警備上経験のない話があって、いろいろ準備されたんでしょう、敬意を表したいと思いますが、大成功で終えて、いわゆる警備という観点から総括的にどのような御所見をお持ちでございますか。
#230
○国務大臣(村井仁君) ワールドカップサッカー大会、イベントそのものも大変成功裏に行われたわけでございますが、私ども裏方として責任を持ちます課題でございますが、警備対策それから交通対策、これが適切的確に行われたということが一番のポイントであったかというような感想を持っております。
 具体的に申しますと、テロでございますとか、あるいはフーリガンでございますとか、いろいろ懸念された問題ございましたが、これを完全に封圧することができた。そして、雑踏対策でございますとか、あるいは繁華街におけるいろいろな問題、こういった問題も余り大きな混乱を生ずることなく順調に推移したと、こんなふうに見ております。
 この警備の成功というのは、何と申しましても国民の皆様、そしてまた外国人やサポーターの良識ある行動、そして警察に対する理解と御協力、さらには諸外国の治安機関との、あるいは入管当局等関係機関との連携が大変うまくいったと、こういうようなことが言えるかと存じます。
 振り返ってみますと、今度の警備というのは、過去、重要警備という意味ではオリンピックを三度やっております。それから、サミットが幾たびか行われておるわけでございますが、こういった事案と違いまして、大変長期間にわたったものでありました上に、オリンピックもまたサミットもある意味では一点を守ればよろしいというようなものでございましたけれども、全国二十二道府県、都道府県といいましょうか、にわたるキャンプ地あるいは実際のサッカー会場というようなものの警備がございました上に、大変たくさんの要人が日本を訪問されたわけでございます。そういう意味で、非常に緊張が求められた。しかも、暑い時期でもございました。警察の諸君、非常に御苦労いただいたと思いますが、日本の警察によるソフトでスマートな警備というのが国内外から高い評価を受けたということは有り難いことだと思っております。
 ただ、是非この機会に一言だけ申し上げさせていただきたいと存じますのは、こういう警備というのは、私も改めて関与してみましてつくづく思ったことは、うまくいって当たり前、何かあればすべてそれを問われる、そしていささかでも過剰というような印象を与えますと何をやっているんだということになりかねない。さような意味で、全国警察の努力にひとつ御理解と、そしてまた今後も御支援を賜れば有り難い、こんなふうに終わりまして感じているところでございます。
 ありがとうございました。
#231
○白浜一良君 いろいろ総括されて、ますます国際的な時代になるわけでございますから、賢明な措置、今後も取られるように期待したいと思います。
 それで、今年の三月でございましたか、私、監察医制度、警察医の問題をこの委員会で議論いたしまして、今日はその続きをちょっとやりたいと思うわけでございます。
 篠崎局長、御苦労さまでございます。
 あのときにあなたともいろいろ議論いたしまして、厚生労働省という観点からはっきり認識された点が幾つかございます。五都市で行われている監察医制度が人員、予算の面で大変ばらつきがある、これはお認めになったわけでございます。そして、監察医のいらっしゃらないところはそれなりに都道府県で措置されているわけでございますが、それも行政解剖等の措置について大変都道府県でばらつきがあると、いろいろ実態を把握したいという、こういうお話もされたということでございます。それから、警察医も大変お役に立っていただいているということで、そういうバックアップする体制を関係省庁と協力しながら何ができるか検討したいと。大要、そのような答弁をされたかと認識しておりますが、それを踏まえまして何点かお伺いしたいと思うんです。
 まず、全国の実態調査をされたと伺いましたが、どういう実態でございましたか。
#232
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生から御指摘がございまして、私ども監察医制度の実態につきまして、平成十三年度の厚生科学研究で法医学の専門家を中心といたしました研究班を立ち上げました。警察の御協力もいただきながら、初めての全国的な実態調査ということをしたところでございます。
 その結果、いろいろなことがありますけれども、特に今、先生御指摘のありましたように、監察医制度があるところでも、中が、実態がかなり様々でありますが、さらには監察医制度が設置されていない地域、これが今回初めてこの調査でいろいろ明らかになったわけでございますが、ほとんどの地域においては承諾解剖、いわゆる承諾解剖というのが行われておるということが分かりました。また、検案、承諾解剖が公衆衛生上の問題だけではなくて司法にも貢献をしているというような、そういう実態が明らかになったわけでございます。
 こういう調査結果を踏まえまして監察医制度が設置されていない地域におきましても、そういうところの検案あるいは解剖体制の在り方について、関係省庁とも相談しながら引き続き検討していきたいと、このように考えております。
#233
○白浜一良君 それで、まず監察医制度のある五都市について伺いたいんですけれども、ばらつきがあると。実際、実態見ますと、それなりに機能しているのはもう東京と大阪ぐらいですよね、東京二十三区とですね。ところが、大変、それ、横浜とか神戸、それから名古屋ですか、もう予算がないんで、それなりのばらつきのある措置になっているということで、それで、もう少し、これは確かに今機関委任事務から自治事務にこれ変わったんですよね、立て分けしてですね。自治事務になっていることには違いないんですが、大変な役割があるといいながら、そういう都市でそれだけ違いがあると。これ何とか是正できないんですか。
#234
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生今御指摘のとおりでありまして、監察医制度というのは、道はありませんから都府県の五つの県でございますが、自治事務ということになっておりまして、その実施方法等につきましては基本的には各都道府県の運用を尊重するということが重要であるというふうに考えております。
 しかしながら、私どもこの法律を所管する官庁といたしましては、その運用実態が公衆衛生の向上という制度本来の趣旨に照らして問題がないかどうか、そういうようなことについては大きな関心を持っているわけでございます。そこで、制度の運用の実態を踏まえながら、監察医制度設置地域を管轄する五つの都府県と今後よく協議をしていきたいというふうに考えております。
#235
○白浜一良君 一般論としてはそれでええんやけれども、ただ、私、大阪ですわね。大阪はもう府が大変財政が厳しいんですよ。だから、府から金出しているんですよね、大阪の監察医は。ところが、金出したくても金出せないと。実際、大阪市という政令都市の担当になっているんですけれども、お金は府から出ていると。じゃ、地元でやりくりするいうんやったら、ちょっと大阪市からでも何か資金援助できるような方法ないのかと。そういうもっと弾力的な、それ大阪市から出せない場合は国からちょっとそういう補助金を上げるとか、もうちょっと弾力的なこういう運用にならないんですか、これ。
#236
○政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘ではございますけれども、現行法上はこの監察医制度というのは都府県の事務として位置付けられているわけでありまして、その監察医の、監察医というのは都府県の常勤あるいは非常勤の職員ということになっておりまして、その報酬などは本来都府県が負担すべきものというふうに考えております。
 実際はその都府県の中心的な市でそれが行われていることは事実でございますけれども、その市のいろいろな事象がその府や県に全体にも広がるというような観点から都府県の事務ということになっているわけでございます。
#237
○白浜一良君 いやいや、だから、そういう制度は分かってますがな。制度のことを聞いているのと違うわけ。実際、大阪の例でいうと、割かし制度が整っている方なんやけれども、五都市の中では。だけれども、お金がないから十分にできない、苦しいところがあると。だから、府に予算ないのやったら市が応援できるようにできへんのかと。国から応援するようにできへんのかと。制度がそういう都道府県の自治事務になっているからそうなんだと。それは、建前論、よう分かってますがな。それで行き詰まっているから言うてますのやんか。行政というのはやっぱり現実に合わして変えるべきです。そんな後進的な答えに合わしてたら絶対駄目ですよ。何とかもうちょっと前向きな答弁しなさいよ。
#238
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生から御指摘を受けまして、研究班で研究をしていただきまして、いろいろ問題点もこの研究報告書の中に挙がっているわけであります。今年の五月に報告書をいただいたわけでございますが、それから内部的にはいろいろ検討しておりますが、今、先生が御指摘のように、それぞれの都府県における中で更に、あるいは私どもも含めて何とかできないかということにつきましては、今のこの段階で何とかできるとなかなか申し上げづらいのでありますが、検討会のようなものを関係者にも入ってもらいまして、先生の御指摘のようなことが何とか知恵を絞れないものかどうか、検討させていただきます。
#239
○白浜一良君 検討をお願いしたいと思います。
 それからもう一点、警察医が全国にいるんですけれども、それを確かにその司法という観点から見ても、いわゆるその検案の重要性というのはあるわけでしてね。ですから、それをバックアップ何らかできないかという、検討したいということでございましたが、これはどう、何か進みますか。
#240
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいまの点も含めまして、前回の御質問のときにも申し上げましたが、医師の死体検案能力というようなものの向上が非常に大事でございますし、またそれに伴いまして警察医の公衆衛生上の、についてのお働きも大変大きなものがございますので、御指摘の、先生の御指摘のことも踏まえまして、そういうこれから設けようと思っております検討会の中で十分御議論をいただいて、適切な対応を図っていきたいと考えております。
#241
○白浜一良君 これ以上議論やめますけれども、厚生行政の中でも地域医療とか緊急医療とか、そういう範囲で組んでいらっしゃる予算もあるわけですから、だから、確かに地味でちっちゃな、全体の仕事の中から見たら小さな仕事かもしれませんが、しかしだんだん、それはこう現代社会が複雑になっていくわけで、あってはならないけれども、複雑なそういう何というかな、死亡とか殺人事件とかいろいろあるわけですから、重要性はますます増えていくわけです。
 だから、先手を打ってきちっとした体制を作るべきだと。そんな大きな予算が要るとかそういう話じゃないんです。大事な要素だからしっかり検討してほしいということを要求しているわけで、いろいろ研究するということでございますから、お願いを申し上げたいと思います。
 同じような趣旨の質問を警察にもしたわけでございますが、吉村局長にもしたわけでございますが、大臣もできるだけお手伝いをしたいというような趣旨の御答弁をいただいたかと思いますが、これ、警察という観点からこれどうでしょうか、警察医の問題は。
#242
○政府参考人(吉村博人君) 委員既に御承知のとおり、警察は死体の検視、見分などを行う際に、立会いに協力をしていただいておるというお医者さんを警察医と呼んでおりますけれども、その警察医の方の集まりが警察医会というのがあります。都道府県別にできておりますけれども、その警察医会と各都道府県警察との間で、年に一、二回ではありますが、連絡協議会というのを開催をしております。
 当面私どもとしては、この連絡協議会の活性化ということが、ひいては検案等の技量向上にも役立つであろうというふうに警察事務的には思えるところでもありますので、せんだって御指摘もあったところでありますが、まずは連絡会の更なる充実ということで、実際そこに大学の法医の先生をお呼びをしていろいろ講義をしてもらったり、あるいは警察で検視官、刑事調査官と呼んでおりますが、彼らが扱った特異な死体という事例があるわけでありまして、これを先生方の前で御紹介をして、一つのケースとして勉強をしていただいたりというようなことを、実質としてその種の協議会の質を高めていこうということでありますとか、それから、ほんのわずかではありますが、現時点でも県費で協議会の開催に伴います各種の食糧費、旅費あるいは会場借り上げ費を措置している県がないわけではありません。そう大きい金額ではございませんが、そういうところもございますので、これはあくまで警察医会の要望を伺いながらということになりますけれども、その県費予算で対応できる部分があるかどうかということを今後これは積極的に検討をしていきたいということで、各府県にも、府県警にも指示、連絡をしてまいりたいと思っております。
#243
○白浜一良君 今おっしゃったので私はあえて言いますけれども、そこは先ほど篠崎さんに私が言ったことと一緒で、県が予算がないのでなかなか回らないんですよ。
 それで、私、資料をいただきましたけれども、これ実際、県費で出ているといったって九県ですがな。それも、申し訳ない、どことは言いませんが、一番少ないところは三万二千円ですよ、年間で。大臣、よう聞いていてくださいよ。県費いうても少ないところは三万二千円ですよ。一番多いところで九十五万円。
 だから、本当にそういう、今、吉村局長がおっしゃったように、そういう研修してそういう技術のアップという、親睦も含めて、大変なもう、本来の仕事以外にやっていただいているわけですから、そういうことを考えたら、県費で、今の制度上は県の予算からと、こうなるんですが、私、大臣、これ以上言いませんけれども、何とかこれを、県で出せ出せ言うても、県にいったら、もうそれはそれどころやない、いろんな予算が要るわけでございまして、もう予算組むだけで四苦八苦今は財政難でされているわけですよ。
 だから、大臣、ちょっと一肌脱いでいただいて、何とか前へ進むようにしようと。都道府県から出すんやったら出す、警察から何とかそういう全国的な応援ができるものやったら、何かそういう突破口を開くというような、ちょっと前向きな答弁してくださいよ。
#244
○国務大臣(村井仁君) あれは三月でございましたか、白浜委員からいろいろ御教示をちょうだいをいたしたこと鮮明に覚えておりますが。
 確かに非常に大きな問題なのではございますけれども、そしてまた、大変お忙しいお医者様にいろいろ御協力いただいてお立ち会いいただいている。その方々に私どもとしましても何とか、今、白浜委員仰せのように、国として何とかするということを言いたいわけでございますけれども、この辺りのところは基本的に私はやっぱり都道府県警察というその地方の、基本的にはその話なんだろうと思うのでございます。
 そういう意味で、やはりそれぞれの都道府県警察で警察医会との連携というものをひとつ密にする御努力をなおしていただくということを国家公安委員会委員長としては期待をいたしたい、こういうふうに思う次第でございます。
 ただ、今、委員から御指摘のございましたことは、これは全国の公安委員などに対しましてこのような御議論があったことを何らかの形でお伝え申し上げまして、それぞれの都道府県における御努力を期待したい、そのように考える次第でございます。
#245
○白浜一良君 今、現行制度がそうなっていますので、そんな急に制度を変えるというのも無理な、それは百も承知でございますが、実態に即して適切な対応、配慮をしていただきたいということだけは十分に御理解をいただきたいと、このように思うわけでございます。
 それから、今日はせっかく竹中大臣に来ていただいたので、所管でないこともあるかも分かりませんが、ちょっとだけ御意見を伺いたいと思います。
 ちょっと景気も底打ちして一部明るさが見られるというところだとは思いますが、これは常識的に考えて、在庫調整がほぼ終えて、いわゆる景気循環的にちょっとまあ調整ができたということと、ちょっとアメリカ、アジアに対する輸出が上回っていると、こういうことだけでございまして、そんな本格的に日本の景気が良くなるというようなベースじゃないというのは、それはもう大臣自身が一番よく御存じなわけでございます。
 だけれども、どうしたら本格的な、この構造改革を踏まえた上でないと本格的な景気浮揚はしないというのもこれ事実でございまして、ただ、景気そのものが不安定さを持っておりますので、やはり適切な対応をしていかなければならない。そういう面で、構造改革を進めながら適切な手を打つというのは大変難しいわけでございますが、その中で何点か大きな柱の問題を、ちょっと御意見を伺いたいと思うんです。
 一つは不良債権の問題なんですね。これは直接の所管じゃございません。ございませんが、金融庁の担当大臣のそういう考えによりますと、十三年から十五年まで三年間で集中的に不良債権処理しようと、こういう計画になってございますね。それで、一応のプランでございますが、毎年三兆円ぐらいの不良債権が新規に起こると、それも踏まえて償還して、三年間で、まあ多少の不良債権残りますけれども、健全な形にしたいという柳澤大臣の考えが既に発表されているわけでございますが、しかし、本年度だけ考えたら、本年度いうか昨年度ですね、昨年度だけを考えましても、実際三兆円どころじゃなかったわけで、不良債権の、六兆何ぼですか、六兆九千億あって、まあ三井住友なんかは準備金まで取り崩してそういう債権処理に充てたということでございますが、この不良債権処理に対する基本的な考え方はどうでしょう。
#246
○国務大臣(竹中平蔵君) 白浜委員適切に今御指摘くださいましたように、景気は一部底入れの動きはあるものの、これは循環的なものでありまして、日本経済の競争力を強めるということと、一方で日本経済のおもしになっているところの不良債権問題についてきちっとした対応を進めていくということが是非とも必要になっていると。特にアメリカの、今、株式でありますとか為替レートでありますとか資産市場にまた不安定な動きが見られる中で、この不良債権問題への取組というのを更に強化しなければいけない大変重要な節目であるというふうに認識をしております。
 基本的なこの問題に対する考え方というのは、昨年の骨太方針の中で七つの対応プログラムを考えたわけですが、むしろその七つのプログラムのそれ以前の問題としてこの不良債権問題がまず重要であるということで、一丁目一番地の正に位置付けを与えております。
 昨年来、特別検査を行って資産査定をきちっとやっていただきたい、RCCの強化等々を行っていただきたいと、これは柳澤大臣と御相談をして金融庁でもそのような対応が取られてきたところであります。今、委員御指摘のように、不良債権、今回、六・数兆円という規模でむしろ増えているわけでありますが、これは、あえて言えば不良債権処理に積極的に取り組んで、資産査定を厳密にした結果であるというふうに前向きにとらえなければいけない面もあるんだと思っております。
 あの骨太第二弾でも更に今までの処理を一層進めて十六年度までにこれを正常化させるというシナリオが金融庁の方から示されておりまして、骨太の方針の中でもそういった方向で是非この議論を進めていただきたいというふうに我々としても考えているところであります。
 一点、最後に是非申し上げておきたいのは、そういった問題も含めて、日本の金融全体がどのような姿になっていくのかというやはりビジョンを示してもらいたいんだと、そのことをかなりお願い申し上げまして、これが今度の骨太の第二弾の中にも入っておりまして、金融庁としてもその方向で今精力的に議論を進めていただいているというふうに認識をしております。柳澤大臣のまず私的な諮問機関であるところのビジョン懇談会というのが、これは蝋山教授を座長とするところが既にレポートを出しまして、それを受けて金融庁としてのビジョンをそう遠くない時期に出していただけると思っておりますので、改めてその中でアメリカの今の現状等々も踏まえてしっかりと政策の枠組みを固めていきたいと思っているところであります。
#247
○白浜一良君 いろいろもっと議論したいんですが、もう時間もないので、ポイントだけちょっと、御意見だけ伺いたいと思います。
 もう一つは、税制の問題で、いわゆる法人税どうするかということ。これは構造改革に資しなければなりませんし、景気浮揚につながらなきゃならない、そういった面でのいわゆる税制改革をせないかぬと。
 特に今、今日は法人税に特定して、どういう法人税の改革が必要だとお考えでしょうか。
#248
○国務大臣(竹中平蔵君) 税制改革には非常に様々な視点が当然あるわけでありますけれども、やはり法人税に関しては国際的な整合性といいますか、諸外国の状況も踏まえてイコールフッティングになるような税負担の適正化というのがやっぱり必要になってくるのだと思っております。
 その意味でいいますと、法人の実効税負担をかなり目に見えて下げるような、そういった対応が今回の制度改革の中で私はやはりどうしても必要であろうかというふうに思っております。
 その実効税負担の下げ方については、これは幾つかのやり方が私はあると思いますので、政府税調、党税調等々でこれから議論がなされていくものだというふうに思っておりますが、目に見えて実効税負担が下がるというような方向に持っていけるように経済財政諮問会議としてもしっかりとフォローアップをしたいと思っているところでございます。
#249
○白浜一良君 それで、実効税率を下げる、いろんなやり方があるということなんですが、そのやり方の一つとして、やっぱり企業のいわゆる投資を促進する意味では、投資減税とよく言いますけれども、これもいろんなやり方があるんですが。だけれども、投資に対して税負担を軽くするというやり方も一つありますが、やっぱり最近は投資というのも巨額になるんですね。そうすると、当たるか当たらないかリスキーなわけでございます。
 だから、いわゆる単年度会計でなかなかやっぱりそういう投資ができないということがあるので、いわゆる繰戻し制度、繰越し制度というのがありますね、赤字の。それは日本にもあるんです。あるんですが、それがちょっと日本は中途半端じゃないかと。もう少し繰戻しも繰越しも、ある年数をきちっと取れば、思い切った投資、たとえ赤字が出ても何年かで取り戻す、前の黒字も利用できるというか、そういうことを言う方もいるんですが、一つの考え方として、これはいかがですか。
#250
○国務大臣(竹中平蔵君) かなり具体的な問題でありますので、基本方針を議論した我々の中では、そういうスペシフィックな議論は、正直言いまして十分に議論をしておりません。一方で、それは税制の問題なのか会計処理の問題なのかという問題もあろうかと思いますので、そういった観点からも含めて議論をしなければいけないのかなというふうに思います。
 いずれにしても、実態を踏まえた実効的な負担を国際的な状況にかんがみて軽減するということが重要だと思っておりますので、これは幅広く議論がなされるものというふうに思っております。
#251
○白浜一良君 じゃ、もう一点。時間でございますので。
 いわゆる特殊法人改革、これは大きな大事な問題なんですが、その中で一つ、財投が全部、いわゆる郵貯、簡保の資産運用を総務省がやるようになりました。それはそれといたしまして、特殊法人の経営に資するという意味で、いわゆる財投機関債というのを、制度を作りましたですよね。ところが、実際は余り活用されていない、発行もされていない。これで特殊法人が運営されれば民営化できたも同じことになるんですね。だから、余り今、実態的にも出ていませんし、余り意欲がないのかも分かりません。
 だから、そういういわゆる特殊法人をどうするかという問題の中で、資産運用といういわゆる資金の調達ですね、その特殊法人の。という観点から、財投機関債に対する考え方、これだけちょっと伺っておきたいと思います。
#252
○国務大臣(竹中平蔵君) 財投機関債の議論が出てきたのは、いわゆる公的な機関に対してもある程度の市場のテストを受けろという声が非常に強かったからだというふうに思っております。これはこれで大変重要なことであります。
 今、実は経済財政諮問会議で今年の後半、この政策金融の問題を中心に集中的に行おうと思っておりますが、そのときの議論は、民業の補完をどのように考えるのか、政策コストの最小化をどのように考えるのか、さらには機関・業務の統合という原則をどのように貫くか、実はより広い大きなフレームワークで政府系金融機関の在り方全体を考えようということになっております。
 その意味では、今御指摘の財投機関債というのは政策コストの最小化の中のかなり重要な一部になるのかなというふうにも思っておりますので、引き続きそういう観点から議論を進めたいというふうに思っているところでございます。
#253
○西銘順志郎君 自由民主党の西銘順志郎でございます。
 竹中大臣、持ち時間が二十分ということで大臣に集中的に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、質問通告はしておりませんでしたけれども、大臣、去った六月の三十日に沖縄へ行かれまして、骨太の第二弾の中で構造改革の特区についていろいろお話をされていたんではないかというふうに思うわけであります。
 沖縄は、そういう観点からいたしますと、去った振興計画の中で金融特区あるいは情報特区等を認めていただいて、この特区の先進県であるというふうに思っておるわけでございますけれども、今度政府の方で特区を増やそうというようなことでございますので、その辺をひとつ分かりやすく御説明をいただければ大変有り難いなと思うんですが。
#254
○国務大臣(竹中平蔵君) 先般、沖縄にお邪魔をいたしまして、特に観光業を支える財界人の方等々とも御懇談をさせていただきました。
 特区につきましては、御承知のように先般の骨太第二弾の中の地域力戦略の非常に重要な項目として考えさせていただいております。ただ、この特区は、従来の、ともすればこういうふうに考えられがちなんでありますけれども、いわゆる地域振興策とか、政府が何らかの特別の財政措置等々を行って地域を振興するという考え方とは少し違っておりまして、規制改革を中心に各地域に地域運営の、地域経営の独自のアイデアを出していただいて、その中で規制改革の先行例として是非そういうものを考えていこうというふうに実は位置付けているところであります。
 現地で皆さんといろいろ御懇談させていただいたときに申し上げたのは、沖縄はその意味では金融等々特区の先進県でもあるし、何よりも観光資源を持っているというふうに、私はよそ者でありますけれども、やっぱりそのようにお見受けする。むしろ、その観光資源を生かしてどのような形で地域運営ができるのか、是非積極的にやはりアイデアで勝負をしていただきたい。今後、特区についてはその枠組みづくりを内閣官房に設けられた推進室で行うわけでありますけれども、やはり具体的にどのような形のものにするかということを最終的なアイデアを出すのは地域自身、地域そのものでございます。
 その意味で、各地域でその地域に合った規制改革を中心とした特区のアイデアを競っていただいて、それが日本経済全体の活性化及び地域の活性化につながるような、そういう形に是非持っていっていただきたいというふうに考えております。
#255
○西銘順志郎君 大臣、観光特区の中で、大臣がお考えになっている恐らくことだろうと思うんですけれども、例えば今東京都であり、大阪府であったりして、知事さんがカジノ構想をぶち上げられておられるんですが、我が沖縄県の中にもそういう話はあることはあるんですけれども、県民のコンセンサスが得られていないということで、なかなか沖縄県の知事さんは手を挙げないわけでございますけれども、そういう提案をなさったおつもりですか。
#256
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、少なくともそのときはそういう特別な思いで申し上げたのではありません。各地域で是非ともアイデアを出していただきたいという観点から申し上げたところでございます。
 今、例えばカジノの例が出ましたけれども、その場合は例えば刑法をどのようにするかとか、それぞれのクリアすべき法律がそれぞれにあると思います。そうしたものも踏まえて、まず枠組みを作って、その上で各地域に、これはもう我々が、私が考える問題ではなくて、各地域にアイデアを出していただく問題でありますので、そこは是非ともアイデアを競っていただきたいと思っている次第であります。
#257
○西銘順志郎君 特区の件については、私は沖縄の出身でありますから、できれば特区というのは沖縄だけにしていただいて、モデル地域みたいなのを作っていただいて、本当に国際競争力みたいなところも十分太刀打ちできるようないろんな企業に来ていただいて、これが特区のモデル県ですよというような県を作っていただきたいなというふうに思うわけでありますけれども、大臣が、政府がそういう形の中で農林水産特区だとかいろんな特区をお考えになっておられて、いろんな地域にその特区をお作りになるというようなことだろうと思うんですけれども、これはそういう見方で正しいんでしょうか。
#258
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、規制改革というのは、総論賛成なんですけれども、各論になるとなかなか進まない。もちろん、規制には規制の理由があるわけでありますから、そうした議論を一概に否定することもできないわけでありますけれども、であるからこそ、各地域にアイデアを出していただいて、そこで一種の成功事例を作っていただいて、それによってその規制改革が全国的に広がるというのがこの構造改革特区の基本的な考え方であります。
 もちろん、その際に各地域が何らかの税制を含めた措置を考えるというのは、これは、これまた地域のアイデアそのものでありますけれども、それを全面的に否定するつもりはございませんですけれども、やはりそこは一種の、各地域にアイデアを出していただいて成功事例を作っていただきたい、それが制度の趣旨でございます。
#259
○西銘順志郎君 通告していなかった問題について大臣から誠意のある答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。
 通告に従って質問をさせていただきたいと思います。
 六月七日に発表された平成十四年の一月から三月の実質GDP統計速報によれば、季節調整済み、前期比プラス一・四%、年率換算の成長率がプラス五・七%という大変高い成長率を記録しておるわけでございます。
 これは、本来なら市場によって好感が持たれるべきだろうというふうに思うのでありますけれども、しかし、日経平均、株価の問題でございますけれども、五月の二十七日に一万二千八十一円四十三銭をピークにいたしまして、去った七月十日現在では一万七百五十二円六十六銭というふうになっておるわけであります。
 このように年率で五・七%という成長率があるわけでございますけれども、これは経済の実態を、その改善を意味していないというふうに市場の方が受け取っているような気がしてならないわけでありますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#260
○国務大臣(竹中平蔵君) 常に株価の評価というのは大変難しいと思います。
 御指摘のとおり、第一・四半期は一・四%のGDPの拡大があったわけでありますけれども、その間にアメリカの株式の市場が変化していると。そのアメリカの株価に連動する形で日本も影響を受けていると。その低下幅そのものは、当然のことながらアメリカの方が大きい、日本の方が小さいわけでありまして、その意味では、日米の関係で言うと相対的に日本の株価は上がったと、相対的にはですね、そういう見方もできるわけであります。
 私は、GDPが拡大したというのは、これは速報値でありますから確報値等々を更に注目していかなければいけませんが、一応、一・四%のうち外需が〇・七、しかし内需も〇・七あると、そういった点も踏まえて、日本の経済が少なくとも一時の低下一辺倒の状況を脱していい方向に向かっているという点は、これは現実問題として認めるべきであるし、マーケットもその点についてはそこそこ評価をしているということなのではないかというふうに思っております。
 繰り返しになりますが、株価の評価は、アメリカの動向その他様々な要因がありますので、必ずしも一対一の対応で考えるのは難しいのかなというふうに思っております。
#261
○西銘順志郎君 一九九〇年代、中国、韓国と言われるようなアジア諸国が工業化が進んできたわけでありまして、技術的にも大変進歩が著しいわけであります。
 今、日本の国内の中でも中国産、韓国産というようなものがいろんな店頭で見られるようになっておるわけでございまして、新聞等でしか分かりませんけれども、特に中国はもう世界の工場だというふうに言われておるわけであります。
 我が国の製造業は、そういう意味でこういう安価な労働力を求めて海外へ生産拠点を移していったわけでございまして、結果としてこれは製造業の空洞化というふうに言われるわけでございます。雇用の面でも製造業に従事する人がだんだんだんだん減ってまいりまして、我が国の経済の中心がサービス業などの非製造業に移ってきたんではないかというふうに言えると思います。
 そこで、六月の日銀短観で、大企業、製造業を中心とした大幅な業況判断指数の改善が見られるわけでありますけれども、規模がこういう縮小しつつある製造業の業況改善が非製造業にどれほどの影響を与えるのかということを御説明をいただきたいと思うのであります。
 また、製造業が景気回復を先導する構造はいまだに、もう変化しないのかどうか、この辺も大臣のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
#262
○国務大臣(竹中平蔵君) 景気循環の中における製造業、非製造業の関係という御質問は、実はこれはかなり難しいやはり御質問であろうかというふうに思っております。
 基本的には、長期的な傾向としては、むしろ先進工業国の中にあって日本のサービス業のウエートというのは相対的にはまだ低いわけでありまして、これが今後中長期的には更に高まるだろう。むしろ、雇用の関係からいうと、サービス業が雇用を吸収するということに対する期待はむしろ大変大きいわけであります。
 ただ、これ短期的には、製造業のウエート及び世界の中での日本の製造業の存在感というのは、これはなかなか大きなものがあるわけでありまして、現実に外貨を稼げるのは製造業だけであって、製造業の一部であって、その外貨を稼げる製造業が外需という形で今、日本の経済をかなり強く押しているという事実が現実問題としてあるわけでございます。
 したがって、ここは中長期的にはやはりサービス業への依存を高めるというふうに考えながらも、この景気循環の中ではやはり製造業がそれなりの大きな役割を果たしていると、そのような位置付けが適切ではないのかなというふうに思っております。
#263
○西銘順志郎君 日本の経済というのは、やっぱり雇用、設備、これは債務の調整過程にあるというふうに思うわけであります。景気が先ほど白浜先生の方から底入れしたんではないかというような話もあったわけでございますけれども、これはまだまだ脆弱なものだろうというふうに思うわけでございます。
 財務省の法人企業統計で平成十四年の一月から三月の企業動向を見てみますと、売上高は、これは全産業で前年同期に比べて七・四%減少をしておるわけであります。三期連続のマイナスということでございますが、この企業の動向というものを大臣どのように判断をなさっておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#264
○国務大臣(竹中平蔵君) 事実関係から申し上げますと、むしろ今の景気を引っ張っているのは企業部門であるというふうに申し上げるべきだと思います。これは輸出がその典型でありますけれども、在庫の調整、さらには実は企業の収益見込みですね、企業収益は下期に掛けてかなり力強く回復するのではないだろうかというような見込みが結構広がっておりまして、これがそこそこの景況感を支えているというのが状況ではないかと思います。
 実は、企業部門で唯一気になるのは企業の設備投資であります。設備投資はまだ減少を続けているわけでありますが、これも設備投資の先行指標でありますところの機械受注については下げ止まって、やや持ち直しもあり得るのかなというような状況になってきたと。
 委員御指摘の売上げの問題でありますけれども、これは物価が下がっているデフレ状況であるということも含めて、名目の売上げがなかなか伸びないという厳しい環境にあるということは大変やはり重要なポイントであろうかと思います。
 しかし、そうした中で企業が収益力を改善させて、それで今日のここの底入れから一部持ち直しの動きにつながっているということでありますので、企業部門はそれなりの健全なやはり調整能力を発揮しているということなのではないかと思います。
 これが、厳しい雇用環境とか所得環境が一方であるわけでありますから、そこにいい方向で波及していくということを今期待しているわけでありまして、その中で一種の攪乱要因として外需、為替レートの問題がありますが、その点については注意深く是非とも見守っていきたいと思っているところであります。
#265
○西銘順志郎君 この問題、これから質問をしようという件につきましては、先ほど同僚議員から質問があったわけであります。
 今回の底入れ宣言あるいは景気の回復の兆しというのは、やはり米国の景気の影響があったんではないかというふうに思うわけであります。しかし、そのアメリカでもやはりエンロンだとかワールドコムあるいはゼロックス等、粉飾決算のことがいろいろ報じられて株価が急落したり、ドル安になったりしているわけでありまして、こういうことが日本の今良くなっている景気に何らかの影響を与えるんじゃないかというふうに言われておるわけであります。
 アメリカが風邪を引いたら日本がくしゃみをするというふうによく表現もされるわけでありますけれども、今回、アメリカのダウ平均が一万ドルを割り込んで八千二、三百ドルで行き来しているような状態を見るときに、本当に日本の経済大丈夫なんだろうかというような思いをするわけでございまして、この辺について大臣のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
#266
○国務大臣(竹中平蔵君) 日本の景気が微妙な段階にある中で、やはりアメリカ経済の日本に対するインパクトというのはかなり大きいというふうに私自身も考えております。
 加えて重要なのは、世界の経済循環がシンクロナイズしているというか、アメリカに合わせてアジアも動きヨーロッパも動くという同時的な循環になりつつある中で、その振れが大きくなるのではないだろうかということが懸念されているというのはあると思います。現実問題として、特にアジアの発展途上国が極めてアメリカ依存型になっていて、そのアジアと深くつながっている日本もそれゆえに従来以上にアメリカに影響を受けるという状況は、やはりこれはあるのかと思っております。
 繰り返しになりますが、その意味でアメリカの動向には大変注意を払っているわけであります。ただ、これは経済というのは必ず多様な動きが同時にありまして、アメリカの経済に対してドル建て資産が余り十分選好されなくなると別の資産を持つようになる可能性もあると。その場合に実は、例えばの例でありますけれども、日本の株式市場にお金が流れ込むというようなこともこれは起こり得るわけでありますし、現実にそうなる可能性があるというふうに私自身も思っております。
 その意味では、アメリカの経済が世界経済、日本経済に与えるという全般的な影響をやはり注視しながら、一方でそれぞれの資産市場ないしは実物市場でそれをオフセットするような動きも出てくるという点にも注意深く見ていく必要があると思っております。
#267
○西銘順志郎君 そういうことがありますので、他国の経済を頼みにするのじゃなくして、やはり日本が構造改革をしっかりやっていくことが大事だろうというふうに思います。
 そういう観点で、大臣が経済財政担当大臣としてこれから小泉政権をしっかり支えていくというような決意をひとつ聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
#268
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員の御指摘、正にそのとおりであるというふうに考えております。
 先ほどの不良債権の問題もありましたですけれども、不良債権に手を付けるというのはなかなかしんどいことではあると思います。しかし、経済が底入れから持ち直しに動きつつある今こそ、むしろそういうことに思い切って手を付けなければいけない。その意味では、本格的に構造改革を進める非常に重要なチャンスが今来ているというふうに考えております。
 骨太の第二弾をまとめた段階でそれを具体的な政策に移す、いわゆる政策の入口から政策の出口に向かっているわけでありますので、是非ともしっかりと総理を支えて構造改革を進めたいというふうに思います。
#269
○西銘順志郎君 終わります。
#270
○松村龍二君 本日、久しぶりに委員会が開催されまして、ラストバッターとして質問をさせていただきます。是非、国家公安委員長、また農水省の政務官、環境省の副大臣、よろしく御対応をお願いしたいと思います。
 私が本日質問したい項目は、最近、日本の各地におきまして自然鳥獣、これが農作物に対しまして大変な被害を与えていると。私どもの実感を先に申し上げたいと思いますけれども、その後、鳥獣の保護をする環境省がこの問題について近年どういうふうな取組をしてこられたかといった問題、またさらには、いろいろな狩猟免許証の、山の中へ行くときに持って歩けるように小さくするとか、そういうようなことは三年前に取り組んでいただいたわけですけれども、今ちょっと問題として出てまいりましたのは、やはり銃刀法の許可、特にライフルについての許可につきまして、国家公安委員長の御英断をお願いしたいといったことについて質問させていただくわけでございます。
 まず、鳥獣被害につきましては、都会に住んでおられる方は何のことかお分かりにならないかなというふうに思います。しかし、先般、テレビを見ておりましたら、神戸かどこかの町にイノシシの親子が夜な夜な出没する、親子で町の中を突っ走っているというような映像もございました。
 私どもの地元では、シカとクマ、猿、イノシシ、この被害が甚大であります。
 シカにつきましては、林業を得意とする町で植林をしましたところ、五千本の若木が全部芽を食われてしまって全滅してしまったというようなこともございます。それから、クマにつきましては、三十年とかそれぐらい成木した木を自分の背の立つところで皮をはぐわけですね、つめを磨くためか。それで、三十年ぐらいして今から売り物といった木が枯れてしまうといった被害も出ておるわけです。
 それから、イノシシにつきましては後ほど申し上げたいと思いますが、猿がこれまた大変な悩みでありまして、農家の主婦が家へ帰りましたら、台所で猿が冷蔵庫を開けておった、それでびっくりしまして見たところ、猿がぐっと主婦をにらみ付けて、それで買物袋のものを持って屋根の上へ走っていったと、こういうようなことがもうちょくちょく聞かれるわけです。
 それから、猿というのは非常に賢くて、収穫時期に爆音器を設置いたしましたところ、逆に収穫時期を教える効果になってしまって被害が増加したと。昨日も町会議員が来まして夜一緒に懇談しておりましたら、猿は賢くて、あした庭のキュウリを取ろう、収穫しようと思ったら、その日の朝、猿が収穫、取っていくというように、非常に賢い、また何でも食べると。それから、犬を猿対策用に危害防止のために鎖を付けて飼っておったところ、初めは猿も警戒しておったんですが、ある程度以上近づいてこないなということでからかうようになりまして、犬がノイローゼになった、根負けしてしまったと、こういうような報告もあります。
 それから、農作物を食べることによって栄養状態が良くなりまして、寿命が長くなることや子猿の死亡率が低くなることが知られておりますが、それだけではなく、雌猿の出産期間が長くなり、特に高齢、括弧しておばあさんと書いてありますが、おばあさん猿が妊娠していることをよく見ると。それから、嶺南地区には五十群の野生ニホンザルが存在するが、農作物を食べている群れは体格が大柄でニホンザルとは思えないような身長の高い群れもあると、こういう状況でございます。
 私どもの地域は、ちょうど滋賀県と琵琶湖の裏の山が福井、私の地元の裏とも接しております。それから、「丹波篠山 山家の猿が」というあの京都の山ですね、兵庫、それから九州に至るまで、大変に野生の鳥獣が繁殖しているわけです。
 これは原因は何かといいますと、いわゆるドングリとかそういうような濶葉樹がなくなって、針葉樹、杉の植林によってえさがなくなったから近寄ってくる。あるいは、過疎が進んで、農家の方が山の中の田んぼまで耕しに行かないということから、だんだん人家の方へ攻めてきたと。
 それから、最近、雪が降らなくなったわけですね。雪が降らなくなったんで、イノシシが我々の地域、全く奥越という山の中なんですけれども、そういうところにもイノシシが来るようになったと。何で雪が降ったらイノシシが来ないのかなと昨日言っていましたら、いや、イノシシは胴が大きくて手足が短いので、雪だとずぼずぼはまって歩けないと、こういうようないろいろ事情があるわけです。
 それから、イノシシに一番頭を悩ますわけですが、イノシシは、さっきの猿と同様ですが、何でも食べる。春はタケノコから始まり、ジャガイモ、米、サツマイモ、大豆、ユリネ、根菜類などなどと。それから、イノシシは御承知のとおり豚の種族でありまして、非常に子供をたくさん産むわけですね。稲の収穫直前に親子七頭が毎晩水田に侵入し、約三日間で十アールを、一反を全滅させたと。それから、イノシシが暴れた田んぼの稲は、仮に刈り取ることができてもイノシシのにおいがして売り物にならない。農協のライスセンターでも受け入れない。
 それで、その猟の方法として、わなとかさくでよけるとかいろいろあるわけですけれども、ある町で鉄製のおりを作成し、集落に貸し出した。イノシシがうまく掛かったが、おりが大き過ぎて、イノシシは助走しておりの扉に体当たりを繰り返し、とうとう壊して逃げてしまったと、こういう話もあるわけでございます。
 そこで、農林水産省、政務官も佐賀県御出身でありますので、同じような被害もあろうかと思いますが、今、全国におきます農林業被害の現状と対策についてお聞かせいただきたいと思います。
#271
○大臣政務官(岩永浩美君) 今、松村議員から笑い話として看過できないほど深刻な問題になっている野生鳥獣による被害についてのいろいろなお話がございました。
 全国的な農産物の被害については、平成十二年度で被害面積が十八万ヘクタール、被害金額が二百二十四億円となっています。また、平成十一年度より調査を開始した被害金額では、平成十二年度より十四億円増加をしています。また、被害面積については、平成十二年度で八千ヘクタールとなっています。
 このため、農林水産省としては、農林業の被害を防止するために、侵入防止さく、電気さくなどの被害防止施設の整備や被害発生原因の究明と対策技術の開発の試験研究、住民全般を対象とした鳥獣の生態、被害防止に必要な知識などの普及啓発活動などを今実施しているところでございます。
 また、近年の鳥獣被害対策の実績としては、農林省として、平成十年度には二十四億円、平成十一年度には二十一億円、平成十二年度には二十一億円となっており、十三年度には二十五億円を見込んでおります。
 今後とも、地方の要望に配慮しつつ、今、松村委員からいろいろ御指摘がございましたことを踏まえて、引き続き鳥獣被害対策の推進に努めてまいりたいと思います。
#272
○松村龍二君 いろいろ農水省が県と一体となりまして対策をしていただいておるということでございますが、先般、県の方にこの質問の準備でいろいろ問い合わせましたところ、この国庫支出金がちょっと半減したので、来年もよろしく予算を付けてもらいたいと、こういうような要望がございましたので、よろしくお願いします。
 次に、このような鳥獣の被害に対しましてさくとか電気とかおりとか、そういうことで対応するという、専守防衛の策というのは日本のお得意のところでありますけれども、やはり狩猟によってこれを退治しないといけない。ところが、片や環境省は自然の鳥獣を保護すると、こういうことでございますので、なかなか最近苦労しておったわけですが、三、四年前に環境省もこのことについてお認めいただきまして、いろいろな前向きの対策、特定鳥獣被害管理対策と、今御説明あると思いますけれども、県が調査をいたしまして、異常に発生している、自然の生態系を壊すほどに多いという場合にはこれを退治することができるというような仕組みになったわけです。
 そういう観点におきまして、野生鳥獣による農林業被害の実態を踏まえて、環境省はどのように対応しているのか、お伺いいたします。さらに、併せて、狩猟の問題にだんだん絞られてくるわけですけれども、狩猟者数やその年齢構成の状況はどうなっておるでしょうか。また、狩猟者を含めた狩猟免許制度の問題点をどのように把握しておるか、お聞かせいただきたいと思います。
#273
○副大臣(山下栄一君) 松村議員の御質問にお答えしたいと思いますけれども、鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律という、そういう法律がございまして、今国会でもこの改正をしていただいたところでございますけれども、人間と野生鳥獣の共存という、そういう基本理念の下に環境省、政策を組んでおるわけでございます。人間中心でもいかぬし、イノシシ、シカ中心でもいかぬという、その共生、共存を図っていくという観点でございます。
 野生鳥獣による農林業被害、先ほども被害額二百億円を超えるというお話が政務官からございましたけれども、これについて、緊急に対応する必要がある場合は、期間と捕獲数を定めて有害鳥獣駆除を実施する。また、被害が継続して発生している、こういう場合は、先ほどもお話ございましたけれども、特定鳥獣保護管理計画と、こういう制度を平成十一年の法改正で作りまして、これを策定しまして、個体数の調整、要するに捕獲して数を調整していくと、異常に減り過ぎてもいかぬし、増え過ぎてもいかぬという。と同時に、動物の側に立った生息地をきちっとやっぱり確保する、保全する、整備するという、そういう観点に立ちました鳥獣保護管理計画というのを策定できるようにしたわけでございます。
 松村委員の地元の福井県におきましても、平成、来年度、十五年度に特定鳥獣保護管理計画、これはシカ中心ですけれども、それを作る予定になっておるわけでございます。この観点からも、環境省としましても調査を中心とする国庫補助の制度を持っております。
 また、抜本的な捕獲の在り方、それから先ほど申し上げましたように、個体数の管理、また被害防除対策も含めました基本的な制度の在り方、これを今後どうしていくかと、人間と野生鳥獣との共存という観点からどうしていくかという、そういう検討会を設けて、この一月に設置したところでございます。
 先ほども松村委員おっしゃいましたように、なぜこういう、イノシシが町の真ん中走ったり、猿が冷蔵庫開けるようなことになっていったのかということですけれども、これはやっぱりいろんな観点があるわけですけれども、本来そういうシカとかイノシシが住んでおった世界、例えば森林とか里山とか、そこの動物の観点に立った生息環境が人間によって破壊されているという面もあると。また、生ごみが、もう飽食の時代でたくさん出てきて、カラスもそうですけれども、異常に増えてしまうような状況を作った。それも人間の側にあるのではないかという観点も大事だという、そういうことから、こういう基本的な、抜本的な検討会を設けたところでございます。
 あともう一問でございますけれども、狩人、狩猟者、狩猟免許制度、これが先ほど申し上げた鳥獣保護並びに狩猟に関する、適正化に関する法律で書いてあるわけですけれども、これが年々専門家が、免許を持っている人が減ってきまして、昭和四十五年度は五十三万人、ところが最近、平成十二年度は二十一万人と。大半が五十歳以上で、免許を持っている人の七六%が五十歳以上、一番年齢構成の多いのは六十歳以上と、こんな状況になってきておるわけでございまして、有害鳥獣駆除要員としての狩猟者をいかに確保するかということも非常に大きな課題になっておりまして、これも抜本的な対策が今浮かばないような状況でございまして、これも検討会できちっと検討するということになっております。
 制度につきましては、例えば試験の実施時期、これは年一回になっておりますけれども、増やせないかと。回数も、実施時期も年一回、平日ということになっているのを日曜日にできないかとか、会場も県庁一本になっているのをもうちょっと増やせないかというようなこと、こんなことにつきましても都道府県等に対して要請しているところでございます。
 また、有効期間を延長せいという話もあるわけですけれども、これは今三年になっておりますが、これは実は昭和五十四年度にそれまで五年だったのを三年に縮めたわけです。これは当時、猟銃を持っている人の事件が、銀行強盗事件とかがございまして、短過ぎるのではないかということもありまして五年に延ばしたわけですけれども、そういう事情があったんですけれども、これを三年に縮めたわけですけれども、それをもう一度また延ばしてはどうかという意見も出ておりますけれども、これも基本的な考え方をよく幅広い観点から整理していく必要があるのではないかと、このように考えております。
#274
○松村龍二君 大日本猟友会というのがありまして、これが環境庁委託調査で平成十一年度に狩猟者の減少実態等調査報告書というのをまとめております。そういう中で、いろいろな検討が行われているわけですけれども、その一つに、今、平均年齢五十歳以上が七五%を占めているというお話がございましたが、今の銃刀法が猟銃の許可を取ると。これは例のスポーツの銃のクレーですか、あれも同じ銃かなと思うんですけれども、そういう猟銃の許可を取るのに警察署へ行くと、何か悪い目的で使うんじゃないかと、こう疑いの眼で見られるとか、何回も、今の時代、サラリーマンが、先ほどの話にありましたように、狩猟免許でも日曜日に取れるというふうな便宜を図っている時代に、平日に七回も八回も警察署へ行かぬといかぬとか、あるいはここの警察署は簡単にくれるけれども、こっちの警察署はなかなか渋ってくれないとか、そういう問題が一つありますよという話。
 それから、シカやイノシシのような大型獣の捕獲にはライフル銃が必要なわけです。散弾銃はスラグ弾という何か弾を込めますと五十メーターぐらいは倒す能力があるそうですけれども、やっぱりライフルですと二キロ、三キロ離れているところで望遠レンズであれを付けまして一発で仕留めることができるわけですけれども、散弾銃ではなかなか仕留められない。しかも、五十メーター近くまで寄っていかないといかぬと。しかも、ライフルという、この狩猟は十人ぐらいが一組になって大体市町村役場から依頼を受けて駆除隊を作って、それで獣道にみんなが張りまして、上で勢子、犬等が追い出してイノシシが逃げていく、そこを仕留めると、こういうふうなことで、十人なら十人がそろわないとその駆除隊が編成できないといったような状況にあるわけです。
 そういう中にありまして、散弾銃の許可を取ってからライフル銃の許可を取るまでに十年間ということが今法律で決めてあるわけです。あるいは、それを、ライフルを使ってけだものを猟をすると、これが専門とする人は何の時間の制限もない。あるいは、被害を受けた人は制限がないというふうな決め方をしておるんですが、ほとんどそれによって許可を得た人の話は聞いたことがないと。
 したがって、どうしても普通の方は散弾銃の許可を取って十年たって初めてライフルの許可がもらえる。しかも、それが三年おきに免許とかというようなことで、もう面倒くさくなってやめたと。しかも、高齢であるといったことから、是非この十年について法律を改正して、三年とか五年とか実態に合うように検討を賜りたいというのが今この鳥獣の被害をめぐる課題であるかなと思います。
 片や警察の方からすれば、シラク大統領がライフルでねらわれたとか、二、三週間前も猟銃の事件があったとか、そういうことで少しでも減らしたいというお気持ちは分からぬでもないんですけれども、それとこれをうまく区分けして、現実に合うように対応を賜りたいというふうに、一つの質問にまとめましたけれども、生活安全局長、最後に国家公安委員長から前向きの御回答を是非賜りたいと思います。
#275
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま委員から幾つかの御指摘がございました。
 まず、申請者にとって大きな負担となっている手続の問題の御指摘もございました。
 この問題につきましては、新たに猟銃等を所持しようとする場合には、講習、教習資格認定、技能検定、所持許可申請、銃の確認、こういった手続が必要でございますけれども、それぞれ、講習は申請者本人が受講しなければならない。それから、教習資格の認定、技能検定、所持許可申請につきましては面接調査が不可欠である。銃の確認は自分で持っていきますので許可者本人が運搬すべきものでございまして、その都度警察署に来署していただかざるを得ないと、こういう状況でございますけれども、一連の手続の流れの中で、申請者の負担軽減のためにどんなことが可能であるのか検討してまいりたいと存じます。
 それから、高齢化いたしております現状についてお話もございました。
 散弾銃を継続して十年以上所持しないとライフルが持てないと、この問題でございますけれども、先ほど御指摘ございましたように、大変威力が強いライフル銃は社会的危険性も大きいわけでございまして、その所持許可に当たりまして、散弾銃を継続して十年以上所持していることを要件としているものでありますが、しかしながら、ライフル銃による獣類の捕獲を職業とする者、そしてまた事業に対する被害を防止するためライフル銃による獣類の捕獲を必要とする者という、職業の手段として必要不可欠な者につきましてはこのような要件は求めておらないわけでございまして、こういった面での社会的な配慮はなされておるということでございます。
 この問題につきましては、やはり銃砲の安全な所持、使用等を確保する、社会的危険性と、こういった問題がございますので、もろもろの観点から、いろいろな観点から考えていかなければならないのではないかと考えておるところでございまして、委員から今現状の問題点についてお話がございましたけれども、被害の防止、いろんな被害があるわけでございますけれども、ライフル銃以外の方法はあるのかどうか、その被害の実態は今後どういうふうになっていくのか、さらに、仮に期間を短縮した場合には駆除従事者がどの程度増加が見込まれるのか、特に集団でのお話がございましたけれども、どの程度の増加が見込まれるのか、将来にわたってどの程度の駆除従事者を確保する必要があるのか、そしてまた、私ども大変関心を持っておりますのは、ライフル銃の所持者の増加ということになった場合に、その危険、危害はどの程度増加するのか、様々な観点から検討をすべきものと考えておるところでございます。
#276
○松村龍二君 大臣のお答えする前に、そういう御答弁であれば是非発言させていただきたいと思うんですが、今申しましたように、業とする者とか被害を受けている者というせっかく法律で道が開かれているわけですが、現実にそのような方がほとんどいないということだから今質問しているわけですよ。それと、しかも、それじゃ業とできるかというと、やっぱり一般サラリーマンをしながら猟をする方が多いわけで、業というふうに直ちに認定されるということは事実上難しいだろうと。したがって質問しているということと、ライフルを、散弾銃を十年持っていたら何でその人は習熟したと言えるのか。五年では駄目なのか、三年では駄目なのか。
 私、こんな質問したくないんですけれども、先般、私は自動小銃について質問をしまして、こんなもの使いこなせるのかという質問をしましたけれども、警察官が自分が銃を持っているのは安全で、一般の国民は狩猟を業とする人間でも危なっかしくてライフルは与えられないと、こんなばかな話は通用しませんよ。したがって、十年という問題については、だからこそ今こうやって国会で質問しているわけですよ。
 単なる陳情とか要望で警察が直ちにそれを検討しましょうというんなら何もこんなところで質問しませんけれども、やはり政治的な判断といいますか、あるいはさっきおっしゃったようなライフルを持つ人がどれだけ増えたらどういう心配だとか、私も昨日、町の中へ行って銃のちょっと雑誌買ってみました。そうしたら、本当にきれいないろいろ銃がありまして、散弾銃でも持っていれば、クレーでも趣味にする人が十年たったら今度はおれもライフル欲しいなというようなことで都会の方がライフルを持つようになるとか、そういうことはあると思うんですね。
 それと、今本当に日本の農民が、もう自分が、おばあさんが自分の子供や孫に野菜を食わせようと思って、食べさせようと思って、本当に一握りの小さなところで野菜を作っている。それを猿やらシカが取りに来て、イノシシが来て荒らされると。もうこんなの農業やってられないよというような実態について、せっかく日本じゅうの猟銃の、銃刀法の権限を持っているんなら、日ごろそれぐらいちゃんと勉強してほしいと思いますね。
 最後に、ちょっと前向きの答弁をお願いします。
#277
○国務大臣(村井仁君) 私の地元も松村委員のところと同じように、実はまずシカ、それからカモシカの被害、それから猿の被害が非常に深刻でございまして、地元の猟友会の皆さんが大変な努力をして対応しておられる実態でございまして、先ほど来のお話、本当に同感を覚えながらずっと拝聴をしていたところでございます。
 ただ一方で、日本の場合、日本の治安の良好さの一つの理由が銃砲に対する大変抑制的な社会環境がある。これはアメリカなんかと明らかに違う点ではないかと思っておりまして、例えば、日本の留学していた子供が、ハロウィンに仮装して出掛けて、フリーズと言われて理解せずにいきなり持ち出してきたライフルで撃たれて亡くなったというような痛ましい事件がアメリカでございましたけれども、そういうようなことが日本ではまず基本的には起こらないだろうと、こう思われていることも、これまた一つの事実だと思うわけでございますが。
 今、委員のお話を伺っており、また生活安全局長の答弁を聞いておりまして、私、少しこれはよく詰めなきゃいけないなと思いますのは、確かに御指摘のように、銃砲刀剣所持等取締法の五条の二で、確かに、いわゆる猟師でございますね、狩猟等々を職業とする者、それから事業に対する被害を防止するためライフル銃による獣類の捕獲を必要とする者、これは十年というような要件なく与えられる規定にはなっております。それが一体実行されているかどうか、こういう御指摘がございました。この点よく詰めなきゃいかぬと思っております。
 それからさらには、ここのところが非常に厳格に解されて、自分の畑を守るためだけに銃を持つということでなきゃ駄目だというふうに解されているとすれば、確かにおっしゃるように動かない可能性もあるんだろうと思います。それからまた、猟の実態というのが、おっしゃるように、松村委員仰せのように、相当集団でやることもこれ事実でございますので、そういう意味でも、この辺りはよく実態、御指摘を受けまして研究させたいと存じます。
 ただ、是非御理解いただきたいと存じますのは、これは私、また地元の猟友会の皆さんともよくお話しする点なんでございますけれども、この技量の問題というのは非常に、特にライフルは威力があるものでございますから、危険なものでございますから、習熟している必要がある、そういう意味ではある程度しっかりとその技量を磨いていく必要がある、そのための技量が磨かれているかどうかのチェック、それも大切でございますし、それから猟期以外のときにおける訓練でございますね、これもやはり重要だと思っております。
 ちなみに、警察官のけん銃使用に関連いたしましては、できるだけ練習ができる、これはわきの話でございますが、練習ができる施設を鋭意努力して増やすようにいたしまして、技量の向上に努めさせるように今一生懸命努力しているところでございますが、それと同様な期待を、猟銃を、特にライフルをお持ちの方には期待したい、そんなふうに思っておるところでございまして、いずれにいたしましても一生懸命、先ほども局長から答弁申し上げましたように、許可の手続につきまして省略できるところはできるだけ省略してまいる、そういう努力もする。それから、この条文で認められる形になっていますところが本当に生きるものかどうか、そこは検討させる、その上で実際に有効な有害鳥獣に対する制圧力になるような対応をしたい。一方で、治安の維持という観点から、みだりに銃が流布するようなことは避けてまいりたい。そのバランスをよく取って対応してまいりたいと思う次第でございます。
#278
○委員長(佐藤泰介君) 御苦労さまでございました。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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