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2002/04/10 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 共生社会に関する調査会 第4号
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2002/04/10 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 共生社会に関する調査会 第4号

#1
第154回国会 共生社会に関する調査会 第4号
平成十四年四月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     谷林 正昭君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     大沢 辰美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         小野 清子君
    理 事
                有馬 朗人君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                羽田雄一郎君
                風間  昶君
                高橋紀世子君
    委 員
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                大野つや子君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                段本 幸男君
                中原  爽君
                山下 英利君
                郡司  彰君
                小宮山洋子君
                鈴木  寛君
                谷林 正昭君
                平田 健二君
                弘友 和夫君
                山本 香苗君
                大沢 辰美君
                林  紀子君
                田嶋 陽子君
   副大臣
       内閣府副大臣   松下 忠洋君
       法務副大臣    横内 正明君
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
       厚生労働副大臣  狩野  安君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      石川  正君
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       厚生労働省健康
       局国立病院部長  河村 博江君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (共生社会の構築に向けてのうち児童虐待防止
 に関する件)

    ─────────────
#2
○会長(小野清子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。
 また、本日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○会長(小野清子君) 共生社会に関する調査を議題といたします。
 「共生社会の構築に向けて」のうち、児童虐待防止に関する件について、内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省及び最高裁判所当局に対し質疑を行うことといたします。
 なお、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○後藤博子君 ありがとうございます。私は、自民党の後藤博子と申します。
 本日は、このような機会を与えていただきましたことを心より感謝申し上げます。まだ二回目でございまして、多少どきどきしておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 では、早速ですが、本調査会が取り組んでいます児童虐待防止に関して、昨年十一月に二回にわたって政府の取組状況について説明を受けました。その後、三回にわたる参考人からの意見聴取や委員派遣を通じ、様々な課題や提案もいただいたところであります。それを踏まえまして、今回、限られた時間ではありますけれども、政府に質問をさせていただきます。
 児童虐待防止に関しては、これまでどちらかといえば虐待発生後の対応にウエートが置かれてきたことは否定できないところではありますが、これからは虐待発生の予防という視点が重要であるとの指摘が各参考人からもなされたところでありますし、私もそのように思います。
 そこで、まず母子保健施策についてお伺いをいたします。
 虐待の予防のためには、妊婦健診、周産期診療あるいは乳幼児健診の場で虐待のハイリスク家庭を発見し、対応することが重要であります。日本の地域保健は他国に例を見ないほどライフサイクルのすべてを対象として対応されているとの指摘もなされておりますけれども、一方で、母子保健施策の視点は子どもの成育を中心とした育児指導に置かれていた嫌いがあったのではないかと思います。
 これからは、その指導の内容を母親の育児に対するケアを含んだものへと変えていく必要があるのではないかと考えておりますけれども、厚生労働省といたしましては、母子保健施策の見直しの必要性を感じておられますでしょうか。おられるといたしましたら、その見直す中身についての考えをお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
#5
○副大臣(狩野安君) 今、後藤委員が御指摘のように、大変育児不安を抱えている親が多いわけです。ですから、親子関係の正確な把握をしたり、それから児童虐待の予防とか早期発見というのは、それを早期に対応を図ることが大変大事なことだというふうに私も思っております。
 このために、厚生労働省としては、平成十三年度より一歳六か月、三歳児健診の場に心理相談員や保育士を配置することによって、育児不安を抱える親などに対する専門的な心理相談を実施をします。それと同時に、親と子どもが参加するグループワークを通じて、親子関係を把握できるようにするための事業を行っておりますので、育児支援という観点も踏まえて各市町村が対策を実施しているところであります。
 これは、虐待予防のために地域ぐるみの密接な協力が、育児支援を行うことが大変大事であるというふうに思っておりますので、関係団体とも連携しながら二十一世紀の母子保健施策を推進していきたいと思っておりますので。
#6
○後藤博子君 ありがとうございます。
 市町村がすべてじゃなくて、希望する市町村に対しての健診の場に保育士や心理士の派遣を行っているということだと思いますけれども、児童虐待の増加状況にかんがみますと、事態は全国にあまねく広がっていると考えられます。是非、対象者のいる、もうこれは対象者がいるというか全国だと思いますが、市町村に対し、保育士や心理士の派遣を行うことを前向きに御検討いただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。お願いします。
#7
○政府参考人(岩田喜美枝君) 先ほど副大臣が御説明いたしました乳幼児健診時における育児支援事業につきましては、平成十三年度から始めております。十三年度はそういうことで初年度でございましたので、実施をしていただいた市区町村が二百六十七か所でございました。
 厚生労働省といたしましては、是非この事業を広げたいというふうに思っておりまして、各都道府県の母子保健の主管課長がお集まりになるような会合などにその趣旨のことをお願いしていることでございます。先行して実施をしている市区町村の事業の実績を把握いたしまして、どういう効果が上がっているかといったような情報も収集し、それをその他の自治体にもお知らせすることによりまして全国的な普及を図っていきたいと思っております。
#8
○後藤博子君 ありがとうございます。何かそれを聞いて安心いたしました。是非、今後も広がっていくように、よろしくお願い申し上げます。
 次に、虐待の超早期予防策といいますか、早期の上にまた超が付くという非常に早い時期での予防策についてお伺いをしたいと思います。
 調査会に参考人としてお見えになられた先生方によりますと、子どもの出生前にハイリスク群を把握することや対応を行うことも重要であるとの指摘をなされました。すなわち、妊娠している母親の心理的な不安定感や夫婦間の問題、この中にはDVも含まれていると思いますけれども、妊娠の状況、不幸な妊娠、望まない妊娠、また、過去に虐待を受けた人が親になって、そのまた親が子どもを虐待してしまうというそういうケースもあるようでございます。そういう虐待のハイリスク群として把握をし、対応を考えていく必要があるということでありました。
 平成十二年の十一月に、当時の厚生省は、二十一世紀の母子保健の課題と取組の方向性を示した健やか親子21を作成しておりますが、今後の具体的取組の中に、さきに述べたような超早期予防対策を講じていくべきではないかと考えております。
 さらに、保育士や心理士を始めとして、児童虐待に関係する仕事に従事する方々の資質向上も併せて図っていくべきだと考えておりますが、厚生労働省の前向きな見解をお聞かせくださいますようにお願い申し上げます。
#9
○政府参考人(岩田喜美枝君) 健やか親子21におきましては、例えば産科で妊産婦の育児不安のチェックをいたしまして、不安があるなというふうに思われれば、地域の保健機関や地域の小児科のお医者さんたちを御紹介してつなぐといったようなことをやる必要があるんではないかとか、心の問題が発生することが多い出産後の時期があると言われておりまして、マタニティーブルーとか産後うつ病の問題なんですけれども、そういうことについても予防や早期発見、治療などの取組が必要であるというふうに言っております。
 またさらには、今、委員がおっしゃいましたように、妊産婦の中にはハイリスクと思われる方たちがおられますし、生まれてきたお子さんの中でも、例えば極めて体重が小さい、軽いお子さんなど、お子さんから見てもリスクが高いというふうに思われるそういう出産もございますので、こういったケースについては退院後も長期にわたって子どもの健康や発達、あるいは親子の愛着形成が順調にいっているかといったようなことを、きちっと地域で医療機関と保健機関が連携をしてフォローする必要があるんではないか、そういったようなことを健やか親子21では述べておりまして、早期予防対策、先生のお言葉をおかりしますれば、超早期予防ということも含めてでございますが、その必要性を指摘しているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、このような考え方に基づきまして幾つか事業をやっておりますけれども、最近の事業を御紹介いたしますと、母子健康手帳、これは今年の四月から改訂いたしましたが、その中で、マタニティーブルーだとか育児の困難さを感じるといったような記述について追加をするということもいたしておりますし、またプレネイタル・ビジットという、英語で恐縮なんですが、妊娠後期の妊婦さんに、まだ出産前に地域の小児科医にもつなぐという、そういうプレネイタル・ビジットという事業も推進したりいたしております。
 それから、先生が、もちろん、おっしゃいましたような関係方面の職員の研修、これも更に質のレベルを上げていくということは大変重要なことであるというふうに思っております。
#10
○後藤博子君 本当にありがとうございます。
 超早期予防ということは、実際に虐待が発生する以前に虐待が起こる可能性の芽を摘むという究極の予防策であると思っております。その策を講じることの意味は極めて重要なことと考えておりますので、今おっしゃいましたような様々なことを考え、また知恵を絞って、これからも是非取り組んでいただきたいと思っております。
 ありがとうございます。
 次に、虐待を行った親のケアについて、家庭に子どもを戻すためにも是非親のケアが必要じゃないかと思っております。虐待を受けた子どもは、たとえひどい虐待を受けても、できれば親の元に帰りたいと願っていることは関係者からよく聞かれる言葉であります。子どもにとって家庭がどんなに重要な存在であるかを如実に物語るものであると思います。それゆえに、虐待された児童への対応とともに、虐待を行った親への対応もまた大変重要であると考えます。
 既に米国におきましては、虐待を行った親に対して裁判所の判断で治療的アプローチも行われているようであります。一方、我が国における現状は、虐待する親のケアも被虐待児の保護、ケアをしている児童相談所が対応しているのが実態であります。
 加害者、被害者、こういう呼び方は私にとっては非常につらい呼び方でありますので、この場合では加害者、被害者と言うよりも、やはり虐待してしまう親、する親とまたその被虐待児ということで呼ばせていただきますけれども、そういうケアを同じ、する、した親とされる子どもたちが同じ児童相談所でケアを受けるということがいいのかという疑問も出されております。しかし、虐待する親のケアを行う場所がないから児童相談所が対応せざるを得ないということも言えております。
 親が、子どもを受け入れるように親が変わらなければ、被虐待児はいつまでも家庭に帰れません。虐待した親の養育能力、そして子どもを愛する心、それを回復させるための治療的プログラムの開発研究や専門機関の創設は急務の問題ではないかと考えておりますが、厚生労働省の取組に対する見解をお伺いいたします。
#11
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待問題は、委員もおっしゃいましたように、できることであれば最終的には親の元に帰して家族の再統合を図るということだと思いますが、その前に親に対する指導、カウンセリング、ケア、これをしっかりやることが不可欠でございます。このために児童相談所で保護者に対する指導もやっているわけでございますが、専門性を非常に要する仕事であるということもありますので、地域の精神科医の協力も得て保護者に対するカウンセリングができるように、これは平成十三年度からそういう体制にしたわけでございますが、そういう取組もやっております。
 また、児童相談所の職員の専門性を更に高めることによって保護者への指導、支援が適切に行われることが必要でございますので、職員の研修というのも非常に重要でございます。そのため、今年度から事業が開始できるように今準備を進めているところですが、虐待・思春期問題情報研修センターという施設を整備中でございます。ここで専門的な研修や情報の提供を児童相談所の職員等に対して行っていくということにいたしております。
 さらに、保護者に対する指導や支援の確立したプログラムが残念ながらまだ我が国にはないと言わざるを得ないというふうに思いますので、現在も厚生科学研究などの枠組みを活用しながら指導・支援プログラムの開発についても積極的に取り組んでいるところでございます。
#12
○後藤博子君 今おっしゃいました治療的プログラムが現実に使われる時期というのは、大体予定としてはございますでしょうか。
#13
○政府参考人(岩田喜美枝君) この厚生科学研究事業は、数年、たしか二、三年だったと思いますが、三年程度の時間を使いながら、実際に先進的な児童相談所等でどういうプログラムが使われているかといったような実態把握から始まりまして、三年程度掛けてプログラムの開発をするというふうに聞いておりますので、いましばらくお時間をちょうだいしたいというふうに思っております。
#14
○後藤博子君 ありがとうございます。
 一刻も早い対応を子どもたちを救うためにもよろしくお願い申し上げたいと思います。
 今と少し関連いたしますが、今度、保健師の増員対策についてお伺いをいたします。
 虐待予防のための母子保健施策を充実していくためには、保健師の果たす役割が重要であります。ハイリスクケースにタイミングを失しないで、早期に定期的に根気強く家庭との信頼関係を築いていくことが保健師さんに求められておりますけれども、現在の配置状況では極めて限界がありまして、その増員が不可欠であります。先般、香川や岡山への委員の派遣のとき、私も行きましたけれども、県当局からは保健師の絶対数が不足しているとの話がありました。各都道府県でも同様な状況にあるのではないかと推測されます。
 保健師の人員的な手当ての問題は、直接的には市町村の問題であろうかと思いますけれども、母子保健施策を所管する厚生労働省として、この問題をどう認識され、どう対応されていくのか、よろしければ副大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#15
○副大臣(狩野安君) もう後藤委員が御指摘のように、保健師の役割というのは大変重要な役割を持っているというふうに思います。特に、今、児童虐待が発生が増えているということに対しましても、児童虐待の発生予防とか早期対応においてもその役割というのは大変重要になってきていると思います。
 厚生労働省としても、都道府県や市町村に適切に人員の配置をお願いをしてきておりますけれども、都道府県と市町村合わせた保健師数というのは、平成二年度は約二万人で、六千人に一人ということでしたけれども、平成十二年度には約二万八千人に増加をいたしました。これは四千五百人に一人という割合です。また、平成十三年度から平成十六年度までには千三百五十五人の増員を行うことができるように、これは総務省において地方財政措置が講じられるというふうに私は承知しております。
 今後、これからもそれぞれの地域において児童虐待の防止など、各種の施策を推進する上で必要となる保健師の確保が図られるように努力をしてまいりたいと思っております。
#16
○後藤博子君 ありがとうございます。
 現場はなかなかやっぱり足らないという声をよく聞きます。数字で今お示しいただきましたように、今どんどん増やしているとは思うんですけれども、やはり現場に行くとどうしても足らなくて困るということをよく聞きますので、併せまして今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 次に、児童虐待ということはやはり学校教育にもかかわってくるのではないかと思っております。私も文部科学委員をさせていただいておりまして、併せましてまた共生社会でも岸田副大臣に御答弁をお願いしておりますが、もう本当に学校教育、この教育の問題を語りましたらまた文教の方でも長くなると思いますが、今日は共生社会の中の学校教育における育児の体験教育という、そういうことをちょっとお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 虐待の発生予防という観点からは、現在の教育の在り方も大変重要と考えていかなければなりません。そこで、文部科学省にもお尋ねいたしますが、学校教育や社会教育における各種施策を通じて虐待の防止と対応に努めていただいておりますが、少子社会が進む中で、各家庭においても子どもの数が減っているため、兄弟がたくさんいた昔のように、お兄ちゃんやお姉ちゃんが弟や妹の面倒を見るというようなことがなかなかできにくくなっております。そのため、そのような子どもたちが大人になり、結婚をし、出産を迎えるということになっても、子どもをどう扱っていいのか分からない親が増えてきております。それが結果的に虐待につながっていくということも指摘されるところであります。
 ある参考人のお話によりますが、正確なデータではないということで前置きがありましたけれども、保健センターや保健所で調査を行ったときに、七割以上の母親が初めて赤ちゃんを抱いたというショッキングな話をしておられました。ましてや、少子化の真っただ中にいる児童生徒にとってはもう推して知るべしとの感を深くするばかりであります。この四月から学校も週休二日制となりまして、総合学習制度なども導入されておりますが、そのような機会をとらえ育児体験教育などを学校で行っていくことが必要との指摘も参考人からなされております。
 そこで、文部科学省といたしましては、平成十四年より新規に、豊かな体験活動推進事業を全国の百地域八百校で、モデル校としてスタートをさせたとお聞きしております。まず、その事業の概要を端的でよろしいですので、お話をお伺いしてよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
#17
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、児童生徒が健全に成長していく上で、学校教育段階から幼児について学んだり、あるいは幼児に触れるということ、これは大変重要なことだと認識しておりまして、新しい学習指導要領の中にもはっきりと明記しているところであります。
 そして、御指摘の平成十四年度から始まります豊かな体験活動推進事業でありますけれども、各都道府県に体験活動推進地域及び推進校を指定しまして、他校のモデルとなるような体験活動に取り組んでいただく、そしてその成果を全国に広げていくというのがその趣旨、概要でございます。数字につきましては今、先生の方から御指摘がございました。推進地域百地域、推進校八百校を想定しておりまして、平成十四年度から進めていこうというのがこの事業の概要でございます。
#18
○後藤博子君 ありがとうございます。
 その活動の中に保育体験活動というのがありますでしょうか。お尋ねいたします。
#19
○副大臣(岸田文雄君) 保育体験活動、これは、従来も平成十一年度から高校生保育・介護体験事業というのを進めていまして、従来からもこうした幼児との触れ合い体験というものを体験活動として取り入れるということをやってきたんですが、それを平成十四年度から御指摘の事業において拡張するということにしたわけであります。
 ですから、当然のことながら保育活動も含まれることになるわけですが、ただ具体的な取組につきましては、やはり各地域の事情ですとか、あるいは関係者の理解ですとか、こういったことが必要になりますので、それぞれの地域や学校が創意工夫するということであります。その上で、保育活動もその選択肢の一つとして含まれるということでして、実際調査によりますと、今のところ全国で十四の県におきましてこの保育体験活動を取り入れるという報告を受けているというのが現状でございます。
#20
○後藤博子君 ありがとうございます。
 保育体験活動の中身は、例えば赤ちゃんを抱くとか、赤ちゃんの衣服を着替えさせるとか、そういうことまで含んでいるということは副大臣は今お分かりでしょうか、その内容は。
#21
○副大臣(岸田文雄君) 具体的なことについては地域や学校の判断ではありますが、ただ、幼稚園あるいは保育園に訪問をして実際に子どもたちと触れるわけですから、当然御指摘のようなことも含まれるものだというふうに認識はしております。
#22
○後藤博子君 ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたように、七割が赤ちゃんに触れたことがない、初めて自分の子どもを持ったときに初めて抱くという、それの予防のためにも是非今おっしゃられた保育体験活動というのを進めていっていただきたいと思いますし、是非、抱くこと、あやすこと、赤ちゃんがかわいい、赤ちゃんは守ってあげなければいけないんだという、そういうような心が表れるようなカリキュラムであっていただきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。
 では、逆に、今健診に来ない家庭への対策ということで厚生労働省にお伺いいたしますが、母子保健法で市町村に義務付けられています一歳六か月、先ほど副大臣もおっしゃいましたが、一歳六か月健診や三歳児健診の場は、児童虐待の早期発見の場としては極めて有用であるということは言うまでもありません。この健診の受診率は全国平均で九〇%という、これはすばらしい高い率だと思いますが、児童の虐待のハイリスク群の発見ということを考えました場合には、健診に来ない残り一〇%にちょっと問題があるのではなかろうかというふうに私も考えております。何らかの理由で健診に来ないとか、来れない家庭にこそ児童虐待の実態が存在するケースが多いのではないかと私も思っております。保健師さんもまた受診に来ない家庭を訪問するなど、大変な努力をいただいていることは大変敬意を表します。
 そこで、厚生労働省といたしまして、健診に来ない家庭への対策について、各市町村への指導をどのようになされているかをお伺いいたします。
 また、併せまして、将来の課題になるかもしれませんが、各地域に誕生しつつあります子育てネットワークのようなものを健診に来ない人々を誘い出すような場として、長い目で育てていくようなお気持ちはおありでしょうか。併せてお伺いをいたします。
#23
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、委員にもおっしゃっていただきましたように、我が国の乳幼児の健康診査の受診率、これは相当高い、おおむね良好な状況にあるというふうに思っております。一歳六か月健診で九〇・八%、三歳児健診で八七・四%でございますが、おっしゃるように一割程度の方が受診をされないということがございます。
 その一つの理由には、やはり近年、共働き家庭が増えておりますので、なかなか勤務の都合などで平日の乳幼児健診が受けにくいという、こういう事情もあろうかというふうに思います。このために厚生労働省といたしましては、平成十二年度からやっているんですけれども、土日、祝祭日など、休日に市町村の保健センター等が乳幼児健康診査や健康相談等を実施していただく、そのような事業を助成するといったようなこともやっておりまして、こういうような形でできるだけ乳幼児の健診の受診率を上げたいというふうに思っております。
 それでもまだ未受診の家庭は残るわけでございますが、そういう家庭に対しましては保健師が家庭訪問するというのが基本かというふうに思いますけれども、併せまして、そういった家庭の中にやはり児童虐待などの問題を抱えている御家族がある可能性もありますので、保健所、保健センターなどの保健機関と児童相談所や、そしてまた地域に主任児童委員というのを配置いたしておりますので、こういう地域の関係者が連携を取りながら早期発見、早期対応に努めないといけないというふうに思っております。
 もう一つ、引き続いてお尋ねになりました、地域での健康診断に受診に来られないような方も含めて、子育て支援のためのネットワークを地域に整備をし、育てていくべきではないかという二点目のお尋ねにつきましても、そのとおりであるというふうに思っております。
 従来から、育児相談や子育てサークルへの支援などを地域子育て支援センター、これは保育所などに併設されている場合が多いんですが、この地域子育て支援センターが中心になってやってきております。
 これに加えまして、十四年度から新しい事業も始めたいというふうに思っております。これはつどいの広場事業というふうに銘を打っているんですけれども、子育てに不安や悩みを抱えているお母さん方が、お父さんもいらしてもいいんですが、お子さんを連れて、そこで集って情報や気持ちや体験をシェアをするという、そういう場を、例えば公共施設のちょっとした空きスペースですとか商店街の空き店舗なども利用していただいて事業を実施をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
 また、市町村に地域の子育ての支援をしていただける熱意と経験のある方、例えば児童福祉司の関係のお仕事をしておられたOBの方ですとか、里親をやりたいというふうに希望なさっておられるような方、そういう方を登録してもらって、必要な研修も受けていただいて、その方を、地域で問題を抱えておられるような家庭、外になかなか出てこられないような家庭には出前型と言いましょうか、サービスをこちらからお届けするというような形で、児童相談所や児童養護施設やそういった専門的な機関や施設との連携も取りながら、そういった方を派遣するといったような事業も十四年度から新しくやっていただきたいというふうに思って、予算措置をさせていただいております。
#24
○後藤博子君 ありがとうございます。
 そういうことが行われているということを、是非国民の皆様に浸透していくように、よろしくお願いいたします。
 私のちょっと知っている方たちが、パパ集団がありまして、お父さんだけが子どもを自分の部屋に、お父さんだけが集まっておしめを換えたりおむつを、いろんなことをやったりという、女入れずに男だけでやっているというネットワーク、グループがありまして、これからまた男女共同参画社会の中ではそういうことも本当に実際あっているんだなというふうに思いました。そういうことを含んで、またそのネットワークが広がっていくように、地道な活動かと思いますが、よろしくお願いいたします。
 では次に、そういうことを、いろんな面があるんですけれども、逆に、児童福祉司の増員、児童虐待防止法の施行に伴って虐待の通告件数が増大している一方で、それに対応する児童福祉司が毎年徐々に増員されているものの、業務に見合った増員が追い付かない、追い付いていかない現実があります。
 先ほどとちょっと重なりますが、ここで何をお尋ねしたいかというと、児童相談員が児童を、被虐待児童を一時保護するときに、その離された、引き離された親から暴行を受けるというケースが多発しているということが新聞に載っておりました。こういう問題に対してどう対処されているのかをちょっとお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#25
○政府参考人(岩田喜美枝君) おっしゃるような事件が起こっているようでございます。
 日本子ども家庭総合研究所が十三年度にやりました調査でも、親から暴言や脅しを掛けられる、そういった言葉の暴力も非常に多いようですけれども、実際に暴行を受けた、けがをしたという、こういう職員も出てきております。そういうことで、一時保護などの際に、保護者からの暴行の問題というのはしっかり対応しないといけないことだというふうに思っております。
 児童虐待防止法の中で、児童の一時保護あるいは家庭への立入調査の際に警察官の援助を求めることができるという旨の規定が置かれまして、警察の方には大変お世話になって、非常に警察の方がよく動いていただけるようになったというふうに話を聞いておりまして、必要なときには警察のお力もかりながら、やっぱり職員の安全をしっかり確保しないといけないというふうに思っております。
#26
○後藤博子君 是非、連携を取りながら取り組んでいただきたいと思います。
 そろそろ時間が来ましたので、最後、質問ではありませんけれども、ちょっと立たせて言わせていただきます。
 私は、この共生社会に入りまして児童虐待という問題にかかわってまいりました。非常に毎回毎回心を苦しめられるようなことがたくさん起こっておりまして、各委員の皆様も同じお気持ちかと思います。私は、本日、このような質問をしながら、どこかですごくむなしさを感じております。何をどのようにすれば一日も早く子どもの命を救えるのか、国は、私たち国会議員は、またこの共生社会の調査会は、重大な責任があると考えております。
 今この瞬間も、お母さんごめんなさいと泣きながら、ただ、なぜたたかれるのかも分からないまま、ひたすら自分が悪い子だからお母さんがたたくんだということを必死に我慢しながら、部屋の片隅で耐えながら、そしてだれにも助けを求められずに死んでいっている子どもたちが、今この時点でも起こっています。
 そういうことで私は、ちょっと済みません、感情的になりましたが、国会議員になって非常に感じていることは、すごい時間が掛かるんだなという、何事をするにもすごく時間が掛かるということを非常に感じます。私は今まで、この世界に入って初めてなものですから、この場でこういうことを申し上げていいか分かりませんが、初めて国会議員になって感じたことは、政治活動というのは一体何なんだろうかと。何か大きな事件や物事がないと政治も法律も変わらない、そして危機感もなく、他人事でだれも責任を取らない、少なくともそういう状況の中で私も国会議員になりました。私も、そういう意味では是非責任が取れるような委員になって、この児童虐待を少しでもなくすようにしていきたいと思っております。
 共生社会調査会は、そのようなことがないように、ただ皆様と心を合わせてこれからも真剣に取り組んでまいりたいと思いますから、このような私ですが、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。
 本日はありがとうございました。
#27
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 本日の議題は児童虐待防止に関する件ということでございますが、直近の役所から教えていただきました統計によりますと、平成十二年度で児童虐待の相談件数は何と一万七千七百二十五件ということでございます。ただいま後藤委員からもお話がございましたが、正に私もこの児童虐待のお話、いろんな方々から伺います。そして、その惨状を報道も含めて耳にするたびに、その光景を思い浮かべるだけで本当に胸が締め付けられる思いがいたします。
 事この問題は、人間の生命とか尊厳とかいう問題でございますし、また、政治の仕事というのは正にこうしたことをきちっと正面から取り組んでいくということがその任であろうということを信じて、私もこの世界に入りました。特にこの児童虐待の問題というのは、子どもの話でございますから、私は、GDPを上げていくということ、その政策も重要でありますが、その政策以上にこの児童虐待の問題をゼロにしていくということの方がはるかに重要な、国会あるいは人間としての仕事ではないかということを思っております。
 本日は、そういう観点から、私自身もこの調査会に所属をさせていただいていることに大変に誇りを感じておりますし、また同時に、責任の重さを痛感しているということを冒頭にお話を申し上げて、議論を始めさせていただきたいと思います。
 この児童虐待の問題については、第百四十七の通常国会で、平成十二年でございましたが、児童虐待防止法案、全会一致で可決成立をいたしたところであることは皆様方もよく御承知のことだと思います。この法律ができたことによりまして、児童虐待への対処のプロセスというものが社会的に、法的に明らかになりまして、そのことについて、児童虐待が大変な社会問題なんであるということが社会的にも認知がされ、そして、この法律の中で通報義務が規定をされたということなどから、先ほども御紹介をさせていただきましたが、平成十二年には児童虐待相談処理件数一万七千七百二十五件、こういうことになっているわけであります。
 このことは、今まで児童相談所が知り得なかった事例がこの法律の制定によって表面化をしてきたということだと思いますけれども、まず御質問を申し上げたいことは、もう先ほどの後藤委員の質疑で同法の各施策についての概要はかなり明らかになりました。
 そこで、もう一回この法律に立ち返りまして、法律が平成十二年にできたわけであります。そして、皆様方は正にこの法律を行政の執行者として日々担当されていらっしゃるわけでありますけれども、その児童虐待の現状というものが今、その平成十二年から比べてどういうふうになっているのかと。それから、この法律ができて様々な施策を皆様方は一生懸命推進をしていただいているわけでございますけれども、その施策についてどのように評価されているのか。
 もちろん非常に頑張っておられるところもあるし、それから、自らやっておられてこの辺がちょっと不十分だなとか、こういうところをもうちょっと何とかしたいなといういろんな思いをお持ちの中で日々行政に当たられていると思いますが、今申し上げました児童虐待の現状と、法律の施行に関する政策の評価についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#28
○会長(小野清子君) どなたに。
#29
○鈴木寛君 関係各省庁それぞれに。
#30
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待防止法のまず最大の効果は、虐待としつけは違うんだと、何が児童虐待かということについてその定義が法律で明らかになったということで、国民や関係の行政機関や関係者の理解が大変進んだということがあるというふうに思います。また、通告の義務についても法律で明らかに規定されましたので、国民の義務として通告をしなければいけないということも相当浸透したということであろうかというふうに思います。
 厚生労働省といたしまして一番力を入れたことは、ちょっと時間の制約もありますからごく簡単に言いますと、二つございまして、一つは、この児童虐待防止法の施行のやはり中核的機関となる児童相談所、この体制を質量とも、特に専門性の向上という質の問題でしょうか、それをどういう形で強化するかということ。そして、その児童虐待の問題というのは児童福祉の関係機関だけではもうとても予防も解決もできませんので、それと医療や保健の関係、教育の関係、警察や司法の関係、そういう様々な関係者といろんなレベルでネットワークを作る。それも、単に情報をシェアをするというネットワークではなくて、個々具体的な事例の解決のために援助行動型と言うんでしょうか、そのためのネットワークを作るというようなことをやってまいりまして、それが今できつつあるというふうに思っております。
 総括いたしますと、問題をなるべく早く発見をして、必要であればちゅうちょなく早期介入する、ここのところは関係者は随分経験を積んで行政的にも進んだというふうに思いますが、予防の段階、そして問題が起こった後の子どものケアや親に対するカウンセリング、こういうところは本当に難しい問題がたくさんございまして、まだまだこれから拡充しないといけない大きな課題であるというふうに思っております。
#31
○副大臣(岸田文雄君) 文部科学省の取組でありますが、児童虐待防止に関する法律、これがスタートしたことを受けまして、文部科学省としましては、この趣旨を学校教育関係者あるいは社会教育関係者、こうした関係者に周知すると。これを徹底するというのが、まずこの法律のスタートを受けまして取り組んだ具体的な施策であります。早期発見、早期対応に努めること、あるいは児童相談所等への通告をすること等々を関係者にしっかりと周知するということにまず努めたわけであります。
 また、文部科学省の児童虐待問題に対する役割でありますが、特に文部科学省の役割としましては、この児童虐待の予防の部分で果たす役割が大変重要だというふうに感じております。そして、そうした見地から、取組としまして、家庭、地域あるいは学校、それぞれの関係者がこの役割分担の中でしっかりとその役割を果たしていかなければいけないというふうに認識しておりまして、社会教育法の改正等で様々な連携を図っていくとか、あるいは子育てサポーターを配置するとか、あるいは子育て学習の全国展開ですとか、こうした様々な施策を積み重ねているところであります。
 こうしたものがお互いに連携し合いながら、児童虐待の予防の部分で成果が上がるようこれからも努めていきたいと考えております。
#32
○鈴木寛君 どうもありがとうございました。
 私は、この児童虐待防止という大変重要な施策を進めていく上で大事なことは、やっぱり国民各位、各層、各界の意識の向上というのは大変重要なんじゃないかというふうに思いました、思っております。先ほど岩田局長も、しつけと虐待は違うんだということが理解されたと、それも一つだと思いますけれども、私はやっぱりこの問題は、児童虐待というのは子どもの権利に対する重大な侵害なんであるということを、国民全体がその意識を共有することが非常に重要だと思いますし、そのことがまず第一歩ではないかというふうに思っております。
 子どもの権利の重要性について規定した国際条約に子どもの権利条約という条約がございます。私は、この条約、大変重要な条約で、国際人権規約と相互補完的に正に人権の国際的保障の中核を成すものだというふうに思っておりますけれども、児童虐待の防止の原点である本条約について少し議論をさせていただきたいと思います。
 この条約でございますが、人類は、子どもに対して最善のものを与える義務を負っているという名文句で有名な一九五九年の国連における子どもの権利宣言がこの下敷きにあるわけでありまして、その権利宣言の原則九で、子どもはあらゆる形態の放任、虐待及び搾取から保護をされなければならないというふうになっておりまして、それが一九八九年、ちょうどこの宣言から三十年たって、一九八九年の第四十四回の国連総会で条約としてこの成立を見たというふうに私は理解をいたしております。
 この条約制定とともに、ユニセフなんかは静かな緊急事態というふうにも呼んでおりまして、正にユニセフのグラント事務局長が、この条約は世界じゅうの人々が何よりも子どもを最優先するんだという、そういう原則をみんなが重視をしていく、そういう世界的な決意の表れであると、各国はこの条約に照らして、それぞれの社会の在り方をもう一回ちゃんとチェックをし、評価をし、そして条約を守るということがそれぞれの国の重要な関心事項であり、かつそれを守ることがその国の誇りであると、そういうふうにしていかなければならないということを訴えておられまして、私も全くそのとおりだなと思います。この条約でも、十九条、三十四条を始めとして子ども虐待について明記がされております。我が国は、若干後ればせでございますが、一九九四年に世界で百五十八番目にこの条約を批准しております。
 こうした条約を受けて、日本でもこうした意識を草の根で一生懸命普及をしていこうと頑張っておられる方々が大勢いらっしゃいます。例えば、子どもの権利条約ネットワークというNPOがございますが、そのためのシンポジウムを本当に長年地道に続けておられますし、また私の地元でもございます東京・生活者ネットワークという団体では、東京都が三十三の市や区に対して、子どもの権利条約の精神を反映した条例というものをそれぞれの市や区で作っていこうという運動を熱心に展開をされていらっしゃるわけでございます。
 しかし、そうした実態をお伺いをいたしますと、そうした条約の趣旨に賛同して、そしてそれを十分理解して条例を制定している市というのは、全国で見ても川崎市とかあるいは兵庫県の川西とかあるいは北海道の奈井江町など非常に数少ない、一けた、片手ぐらいしかそういう条例化に至っている市区町村はないというふうに聞いております。川崎なんかは、この子どもの権利条約の精神を生かして、そうした虐待防止をも含む条例の制定というものがされたというふうに伺っておりますし、それによって、虐待というものは事後的な対応だけではなくて世の中全体をきちっと変えていくんだと、そういうふうな雰囲気といいますか、理解というものが市役所の中にも広まったし、市役所のいろいろな関連の団体、組織に、あるいはその関係者に非常に広まって、自治体を挙げた、あるいは地域も含んだ取組というものが行われているというふうに伺っております。
 それで、私が御質問を申し上げたいのは、この子どもの権利条約でございますが、条約批准の折に国内法、要するに国レベルの法律の整備は必要なしということで国内法の手当てというのは今のところなされていないわけでございますが、例えば先ほど申し上げましたように、私は三千三百の市町村でそうした条例化の動きが最終的には目途、目標としては行われていく、それを通じて国民全体が子どもの権利というものが本当に重要なんだということを理解をしていく、その上で非常に重要なことだと思いますが、そういうことをやっていくためにも、国レベルできちっとこの子どもの権利条約を見据えた法制化、例えばそうした子どもの権利に対する基本法みたいなですね、というものの法制化というものをしてはいかがかという意見を私自身は持っております。
 この質問をあしたさせてくださいと昨日いろいろ御相談申し上げたんですが、どこの担当なのかというのが分からないというお返事を受けまして、もしもお答えいただけるところがあればお答えいただきたいのでありますが、私は別に、であれば、この調査会で正に国会がイニシアチブを取ってそうした国内法制化、基本法でありますから、そういったメッセージを出すということも含めて検討をしていったらいいのではないかなということは個人的に思っておりますが、もちろん法制化についてのお答えをいただけるならそれは大変有り難いですが、それが難しいのであれば、そうした、今私がるる申し上げました、子どもの権利というものが非常に重要なんだと、その国民的理解を深めていくということの観点に立って、各省庁どういった施策をされているのかという現状の取組と、そのことについての各省庁の問題意識をお聞かせをいただきたいと。
 そのことで、取りあえず今日のところはよしということにしたいと思います。それはあとは、会長に後の議論を盛り上げていくところはお願いをするということにしたいと。
#33
○副大臣(岸田文雄君) 児童の権利に関する条約ですが、基本的人権の尊重を掲げる憲法ですとかあるいは教育基本法ですとか、さらに国際人権規約ですとか、こうした様々なものと照らしましても軌を一にするものでありますので、その教育あるいは指導におきましても十分配慮したものが行われなければいけないというふうに認識しております。
 そういったことから、文部科学省においては、まず、この条約の発効を契機としまして、各都道府県の教育委員会等に対しましてこの主要な点につきまして通知を行いました。そして、各種の広報誌ですとかあるいは研修会ですとか、そうした場をとらえましてこの周知に努めているというのが現状であります。また、教科指導におきましても、現代社会ですとかあるいは政治経済ですとかあるいは家庭一般、こうした教科におきまして、教科書においてこの条約について具体的に取り上げているというのが現状であります。
 こうした、その様々な取組においてこの条約を周知していくと、努めているというのが文部科学省の現状でございます。
#34
○副大臣(横内正明君) 法務省は人権擁護行政ということをやっている立場でございますが、そういう立場で子どもの人権擁護について大変に大事な課題として取り組んでおります。
 今、委員からこの子どもの人権の問題について国民に対する啓発というのをどういうふうにやっているのかというお話がございましたが、毎年十二月の四日から一週間、人権週間というものを設けているわけでございますが、その人権週間の強調事項の一つに、子どもの人権を守るというのを重要事項として取り上げまして、各種の広報活動を実施をしております。
 同時に、子どもの人権を専門に扱う子どもの人権専門委員という制度を平成六年から発足をいたしまして、全国五百六十八名の人権擁護委員さんに子どもの人権専門委員さんになっていただいて、子どものための、子どもが相談する専用電話として子どもの人権一一〇番というようなものも設けまして子どもさんからの相談に応じているという施策を進めております。
 また、言うまでもないことでありますが、いじめだとか体罰というようないわゆる人権侵犯事件につきましては、これを調査をし、児童の保護、加害者に対する勧告、説示などの適切な処理を図っているということでございます。
 そこで、委員から基本法の制定というお尋ねもございましたけれども、子どもの権利ということに限った基本法ということではありませんが、法務省としましては、今国会に人権擁護法案という法案を提出をいたしまして、人権擁護に関する施策の充実を図っていきたいということで、人権委員会を中心とする人権救済制度を確立をしたいと考えております。その中では当然子どもの人権の問題も大変に大きな柱として取り扱っていきたいというふうに考えております。
#35
○政府参考人(岩田喜美枝君) 私どもは児童福祉法に基づいて行政を展開いたしておりますけれども、この法律の理念は、児童は心身ともに健やかに育成されるべきこと、児童は生活を保障され愛護されるべきことという、こういう理念に基づいて様々な施策を展開いたしておりまして、何が子どもにとって最善かということを常に最優先に念頭に置いた行政の展開でなければならないというふうに思っております。
 平成六年に児童の権利条約が批准されました際に、私どもの行政の分野では既にその条約の趣旨は確保されていたというふうに整理をされましたけれども、その後、平成九年に児童福祉法の改正の機会がございましたので、そのときにもう一度、児童の権利条約の趣旨に照らして、更に何が前向きにできるかということを検討いたしました。
 その結果、例えば児童養護施設などに入所を決めるときに、それまでは子どもの意見というのは必ずしも聞くということが制度上の要件とされておりませんでしたけれども、必ず子どもの、子ども自身の意見を聞くということですとか、あるいは都道府県に児童福祉審議会がありますけれども、その児童福祉審議会という第三者的な審議会の意見も聞いて行政が判断するという、そういう仕組みを作るための法律の改正なども行ったところでございます。
 今後とも、児童の権利条約の趣旨を常に念頭に置きながら児童福祉行政というのは展開しないといけないというふうにも、今日の先生の御質問を聞いてまた更にその気持ちを強くいたしました。
#36
○政府参考人(黒澤正和君) 警察でございますけれども、まず、児童虐待につきましては、前々から申し上げておりますけれども、人格形成期にある児童の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題と認識をいたしておりまして、また、児童の生命、身体を守るという観点も併せまして、児童の精神的な立ち直りを支援することによって問題行動等に走ることを防止するという観点から、少年保護対策の最重要問題の一つとして位置付けまして、関係機関と連携し対応してまいったところでございます。
 児童の権利条約の趣旨を踏まえまして、児童の最善の利益を考えまして今後とも更なる努力をしてまいりたいと存じますが、私ども、子どもは、委員御指摘の観点とちょっと離れるかもしれませんが、やはり犯罪弱者という立場もございます。それから、非行の問題から犯罪を犯す、あるいは犯罪の被害者になってしまう、そういった少年、子どもの問題がございまして、私ども、平成十一年のことでございますけれども、女性と一緒でございますけれども、女性と子どもを守るための対策というものを体系的に取りまとめまして、全国的に、全国警察に指導、指示をいたしまして、子どものそういった権利の保護という観点も踏まえまして、子どもを守るべく総合的な力を発揮をいたしまして取り組んできておるところでございます。
 委員御指摘の権利条約、このことを十分踏まえまして、今後とも適切な対応に努めてまいりたいと存じます。
#37
○政府参考人(石川正君) 内閣府で青少年担当をいたしております審議官の石川でございます。
 今日は松下副大臣が御出席いただいておりますけれども、内閣府の関係について簡単にお話を申し上げたいと思います。
 今、内閣府では課題を持っておりまして、青少年をいかに育成するかというバイブルである青少年プラン、これがありませんし、委員から御指摘がありましたように、青少年の健全育成に関する法律もございません。この四月に官房長官の下に有識者懇談会を立ち上げまして、青少年をどのように育成支援していくか、そういう観点から、できれば本年度中を目途にして御提案をいただくような審議会を発足することにいたしております。
 これを踏まえて青少年プランを策定し、更にそれを踏まえながら青少年の健全育成をどのようにしていくかという基本法的なものを策定したいというふうに考えております。もちろん、関係省庁いろいろ御議論いただきながら、有識者の方、それから青少年自身の意見等も踏まえながら、そういった形で、今後の課題として策定を目指して努力してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#38
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 裁判所の立場でございますので政策的な問題ではないわけでございますが、ただいま委員が御指摘あったような、正に子どもの利益を図るためにはどうすればいいかといったことについては、常に私どもとしてはいろんな角度から留意しているところでございます。
 家庭裁判所におきましては、家事事件の場面において、例えば離婚後の子どもの親権者をどうするかとか養育料をどうするかとか、こういった場面がありますし、先ほど来御議論の虐待の問題はその典型的な場面だろうと思いますし、他方で、少年事件において少年の健全育成を図るための各種の方策を考えているところでございます。
 そのような中にありまして、今度の権利条約についての周知も十分図っているわけでございますけれども、昨今の子どもをめぐる悲惨な問題状況についての認識を深めながら、具体的な施策を更に講じていって、適切な、妥当な事件処理ができるように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
#39
○鈴木寛君 ありがとうございました。是非、今、皆様方の御努力を更に深めていただければと思います。
 それで、児童虐待法の私なりの評価なんでございますが、先ほど岩田局長からもお話がございましたように、児童虐待防止ということで言いますと、発生予防、早期発見、早期対応、保護、指導、そしてアフターケア、こういう段階があろうかと思います。それで、局長も御指摘されていましたけれども、私も先ほど御紹介をしました東京・生活者ネットワークの皆さんとか、ほか関係者の方々の御意見を伺いますと、やっぱり発生予防とアフターケアのところがもう一段の工夫といいますか、改善というものが必要なんではないかなというようなお話を伺いまして、そういう意味では認識が一致しているのかなというふうに思いました。
 そういう中で、私はもちろん、冒頭申し上げましたように、この政策というのは大変重要な政策でありますから、予算も人もすべてのリソースをまずここにトッププライオリティーで付けるべきだというふうには思っております。しかし、それは有限な資源でありますから、我々思うに任せないところがあると。
 そうした中で、私が申し上げたいのは、やはり地域コミュニティーあるいはNPO、もちろん行政は最大限責任を果たすというのはこれは当然中の当然であります。しかも、それは国、都道府県、市町村、この三者がそれぞれのその責務を全うするということはこれはもう言うまでもないことでありますが、しかし問題の大きさ、あるいは問題をこれはもう一刻も早く解決をしなければならないということになった場合には、やはり地域コミュニティーあるいはNPO、そうしたパブリックの力といいますか、そういうことをやっぱり最大限活用していくための知恵というものは出していくということが今私たちに採り得る最善の方策の一つではないかなというふうに思っております。
 そうした中で、もう時間がなくなりましたので、先ほど後藤委員も御紹介をされていましたが、前回の調査会で汐見先生から育児支援士という構想が出されておりました。
 これは、正に草の根にいらっしゃる大変に意欲ある、こうした問題にボランタリーに貢献をしていこうと思っておられる方々、一杯いらっしゃると思いますので、そういう方々を今申し上げた三位一体、しかも官とパブリックとのコラボレーション、こうした動き、一連の国民運動的なことを私は起こしていくべきだと思っておりますが、そういったところに参画をしていただくための一つのいい提案ではないかなと思いますので、是非この点については各省庁あるいはこの調査会でも御検討いただければというふうに思います。
 それから、もう時間がありませんから最後に提案といいますか、問題提起で終わらせていただきたいと思いますが、いろいろな方に伺ったり、あるいは一連のここでの、調査会での御発言、前回は小宮山委員もいろいろな指摘をさせていただきましたが、やっぱりまだ縦割りなんですね。省庁内の、要するに中央省庁内の縦割りということ。それからもう一つ言いますと、国と地方、しかも都道府県と市町村の、この三段階あるわけでありますが、ここの連携というのは、地方自治というのはよく分かるんですけれども、どうしてもぽてんヒットになってしまうところがあるということ。この問題は、やっぱりある意味でオーバーラップしながら、しかも、先ほど申し上げましたように、いわゆるコミュニティーといいますか、民の力といいますか、そういうところも入っていっていただきながら、共同という、コラボレーションという言葉がありますが、それをやっていくということが本当に必要だと思います。
 そういう意味で、私は、現在、この問題は、いろんな関係省庁連絡会議などはありますけれども、是非、例えば子ども支援対策総合推進国民会議のようなものをきちっと設定をして、官だけではなくて国民全体の運動体を引っ張っていくような、そうしたことも含めた対応が緊急な課題であって、しかも極めて重要な政治課題であるということを申し上げて、私の持ち時間を終えたいと思います。
 是非、今後、皆様方のより一層の御協力と御指導をお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
#40
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 先日、敬宮愛子様を御出産されました雅子妃殿下が、皇太子殿下と出産の喜びを涙ながらに語られていらっしゃるその会見の中で、生まれてきてありがとうという気持ちで一杯になりましたとおっしゃっていらっしゃいました。まだ私は母になった経験もありませんし、というか、結婚もしていないんですが、子どもを持ったときの喜びというのはこういうものなのかなと久々に感動したわけです。
 他方、最近連日のように児童虐待のニュースというのが流れておりまして、そういうものを見ると本当に先ほどの後藤委員のようにやるせない思いになるわけですが、子どもというものは生まれながらにして不幸であるわけではなく、またお父さんもお母さんも、子どもを産むときにこの子をいじめようといった気持ちで産むわけでもない。どこかで大きなボタンの掛け違いがあって、これは当事者間だけではもう解決できないもので、社会全体がこの問題に取り組んでいかなくちゃいけないんだということを認識しております。
 ですから、今日はこうした観点から、児童虐待にかかわる方々がより機能的に動けるよう、また一刻も早くこの問題を解決していけるように実務的な質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、裁判所の方にお伺いしたいと思っております。
 いろんな現場の意見を聞いたり、また専門家の方の意見をお伺いしておりますと、児童虐待において裁判所がもっと具体的に介入する場面があってもいいんじゃないかという声がたくさんございます。
 まず、具体的には立入調査のときがよく言われております。令状を出したらどうかという話がありますが、それ以外に、今日お伺いしたいのは、子どもと保護者の面談の程度というものを決めるのも裁判所がいいんじゃないかという声がございます。今、児童相談所の判断で決められているわけでございまして、面談の制限についてはっきりと言うところが増えてきてはいるものの、もう少し落ち着いてからと言って明言を避ける傾向があるとお伺いいたしました。
 当事者同士の間で問題を解決しようとすると大変大きな問題が生じます。後藤委員の御指摘にもありましたとおり、実際、職員が親から暴行を受けるのが三年前と比べて十倍になったとか、特に一時保護のときにこういう問題が多いわけでありまして、裁判所が保護者に具体的なチャンスなどを明示して今後の見通しをはっきり説明することによって親の混乱、こうしたものを防げるんじゃないか、軽減できるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#41
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 家庭裁判所といたしましても、児童虐待の現状については非常に心を痛めているといいますか、この問題を解決すべく全力を挙げたいと、こう考えているところでございます。
 現在のところ、家庭裁判所の関与する場面は二つあるわけでございますが、一つは児童福祉法二十八条事件による施設収容の承認についての手続でありますし、いま一つは親権の喪失宣告の場面でございます。
 今、委員からお尋ねの場面は、そのような限界的な場面よりは、むしろ一般的に広げて、いろいろな場面を通じて子どもと親が面接する場面等について裁判所が一定のアプルーバルを与えてはどうかと、こういう御趣旨かと理解したわけでございますけれども、突然のお尋ねだったものですから、私として十分検討はしたいとは思いますけれども、ただこの問題については、裁判所が判断するということになりますと、各種の場面そうでございますけれども、一定の要件をやはり設定をして、要件の充足性を判断するということになろうかと思います。一方で、行政機関が対応することになりますと、正に臨機応変に弾力的な対応が期待できるということだろうと思います。
 つまり、裁判所と行政機関の仕事の仕方の違いと言いますのは、裁判所はある意味では中立公平な立場で慎重に物を判断する、こういったことが期待されているものと理解しているわけでございまして、そういったことを考えた場合に、今のような正に子どもと親の面接という、心情なり環境といったものをつぶさに見た上で臨機応変に対応しなきゃいけない問題について、果たして裁判所が今のような臨機応変に対応するのになじむのかどうかといったことについては、慎重な検討が必要だろうと考えている次第でございます。
#42
○山本香苗君 この場面、具体的に言ったわけで、例示したわけなんですけれども、裁判所がステップアップ方式的に介入することによって、より現場の方の、児童相談所の方々の負担が軽減するんじゃないかなと思ってお伺いしたんです。
 ちょっとお伺いしたいんですが、裁判所の方々というのは、このような児童虐待とか、例えばDVとかそういった事案、こうしたものを判断するための研修というものを受けていらっしゃいますでしょうか。
#43
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 今お尋ねの件につきましては、最近、児童虐待が深刻化してきている、社会問題化しているということを踏まえまして、各種の方策を取っているところでございますので、説明させていただきたいと思いますが。
 まず第一に、その判断をする主体、中心になる裁判官の関係でございますけれども、各種の研修の機会を用いております。例えば、裁判官は、裁判官になりましてから何年目かに、節目ごとに研修を全裁判官を集めてやっているわけでございますが、三年目とか六年目の研修において児童虐待防止法の立法趣旨でありますとかDV防止法の趣旨等の説明をするとか、さらには、男女共同参画局の課長さんに来ていただいて説明を伺うとか、こういった研修等の機会を作っておりますし、さらに、研究会等を通じましてそういった問題意識の覚せいを図っているところでございます。
 さらに、一方で、家裁調査官が現実の問題の調査等に当たるわけでございますが、家裁調査官につきましても、各種の研修においてこの問題を取り上げて、その理解の浸透に努めている段階にございます。
 併せまして、ごく最近のことでございますけれども、家庭裁判所において受け付けた児童虐待に関する事件についての実証的研究を行うということを考えておりまして、これを行いまして問題の本質を明らかにすると。そして、それを裁判所の実務家に参考に供するといったことを考えたいと思っているところでございます。
 更にもう一点でございますが、家庭裁判所は、各地方におきまして地元の児童相談所等との間で協議会を持っております。これは、十三年以降は児童虐待に特化したものを行っているわけでございますけれども、この協議会においては、裁判所の側からは裁判官、調査官、書記官等関係職員が出ておりますし、関係機関としては児相等の機関が出ていただいているわけでございまして、ここで具体的な問題状況をつぶさに両機関との間で意見交換をするということによりまして、家庭裁判所が受ける問題意識も更に深まってきていると考えております。
 なお、今後一層その面での工夫を重ねていきたいと考えている次第でございます。
#44
○山本香苗君 正にこの三月末、いわゆるここ二年間、家裁で扱った事例を分析して、親が虐待に至った背景や子どもの影響などを研究することをお決めになられた。本当にやっと、これが初めての試みというふうに報道に出ていたわけなんですが、こうした研修を通じながらまたこうした分析をしていただく、そうしたことを通じて意識を高めていただきたいというのがまず一つあるんですが、ここに出ております分析結果というものは、どのぐらい、いつぐらいに報告されて、どういう形で現場にそういったお話を報告をされるのかということについて教えていただけますか。
#45
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) この研究自体は家裁調査官の研修所を主体にして行う予定でございますけれども、内部の実務家である家裁調査官に加えまして外部の専門家にお入りいただく予定でございまして、一年間の研究期間を予定しております。一年間の研究期間を経て取りまとめたものにつきましては、先年、少年事件についての研究発表を行いましたけれども、同じような方法でこれを取りまとめまして、部内に配付すると同時に、社会的にもこれを公表することを考えているところでございます。
 以上でございます。
#46
○山本香苗君 広く関心を呼び起こすためにも、そうしたものを積極的に行っていただきたいと思います。
 先ほどもいわゆる児童相談所における人の不足ということが言われておりまして、現場に行ってもそれを感じてまいりました。人が少ないのみならず、専門家が少ないといったことも指摘されております。年々、どんどん通報件数というものは増えているわけでありまして、その通報を受ける方、それはどうなっているのかと。マンパワーとか質、そういったものは放置されたままだといったことを現場でもお伺いいたしました。
 結局、通報が増えても子どものSOSをきちんと受け入れることができない体制だということなんですが、いろんな取組を厚生労働省さんの方でされているとお伺いいたしました。例えば、戸塚に今度いろんな新しい児童虐待センターみたいなものを作られるとお伺いしたんですけれども、例えば大学院とかそういったところで児童虐待等子どもの福祉の専門家を養成するような、そうしたコースを設けたらいいなと思うんですが、現在あるのか、また、そうしたことをやったらどうかと思うんですけれども、文部科学省工藤局長、お願いいたします。
#47
○副大臣(岸田文雄君) 児童虐待の問題を含めて、臨床心理ですとかカウンセリングですとか心理学関係の教育を行っている大学ということで言うならば、平成十三年度、学部レベルで六十三大学、六十六学部、六十八学科・課程で行っております。それから、大学院レベルで五十四大学、五十六研究科、五十九専攻が設置されております。
 そして、大学におきましてはこれ以外にも、例えば医学部とか附属病院におきまして児童精神医学を専門とする精神科領域の医師の養成というのも行っておりますし、また、児童の心のケアを担当する精神保健福祉士について五十一の国公私立大学において資格取得のための教育を実施しているというようなことで、それぞれ様々な角度からこうした専門家の養成を行っているというのが今現状でございます。
#48
○山本香苗君 ありがとうございます。
 海外とかいろんなところで児童虐待、アメリカとか進んだところで勉強してきた人が、帰国してきた途端にそういった経験を生かした職に就くことができないといったことが結構あるというふうにお伺いしまして、これだけ専門家が足りないと言われているのに何でなんだろうなと思ったら、結局、公務員試験に合格しなくちゃいけないとかそういったことがあるというふうにお伺いいたしました。
 たしか任期付職員制度というものができまして、専門性を有する民間の方を任期付きで職員として受け入れることが可能になったはずだと思うんですが、こうした制度をフルに活用して、例えば、どんどん国の方が、厚生労働省さんの方が民間から専門家を雇い入れたらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#49
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童相談所の職員は地方公務員でございまして、それぞれの地方自治体に任用の権限が、採用の権限がありますので、国としてどうしなさいというようなことを具体的に言うのは適当ではないかもしれませんが、そういった任期付きの制度を使って民間の専門家を採用できるということであれば、そういうことで判断なさる自治体が出てくるということはいいことだというふうに思います。
 もう一つは、職員として採用するということ以外に、先ほどの御答弁の中でも申し上げたんですが、今、各市町村レベルで児童虐待の問題を、個々の問題を解決するために関係機関がネットワークを組んでいるんですが、関係機関、関係団体、昨年の年度の途中ですけれども、全国で五百ぐらいできておりまして、その時点でプラス三百余は準備中だということでございましたので、相当の市町村レベルでそういうネットワークができる。そして、そのネットワークに、少なからずのネットワークにNPOなどの団体が入っておりますし、専門家が個人で入るということもございますので、地方公務員として採用するという道もあるかもしれませんが、併せてそういうネットワークの中にどんどん民間の団体や個人が入っていただいて、そこで専門性を発揮していただいて問題解決に当たっていただくということも併せて重要ではないかというふうに思います。
#50
○山本香苗君 地方というんじゃなくて国の、中央省庁の方でという意味合いでちょっとお伺いしたんですけれども、どうにか民間の方の活力を使っていただきたいということだったんですが。
 今、ネットワークというふうにお話をされたわけなんですけれども、子どもの虐待にはいろんなケースがあるからいろんな機関が一緒になってネットワークを作ることが必要だということなんですけれども、私の地元の大阪にもこうした地域、関係機関との緊密なネットワークを構築して大きな成果を上げている例がございます。
 例えば泉大津は、児童虐待の通報を受けますと、いったん児童相談所とかいろんな関係機関が集まった事務局にその事例が集められて、そして児童カルテを作られて、その後、危険度とか緊急度、そうしたものをみんなでチェックして、解決に当たっていく方法や手段、そうした、また各機関の役割分担、これ、明確に細かく決めていくんだそうです。
 このネットワークはかなり成果を上げているそうなんですが、平成十四年度、都道府県、政令市が各機関の連携に向けたマニュアルづくりを進めていく際に、経費の二分の一を補助して支援するということになっておりますが、この各自治体が取り組んでいる良い例、そういうものをまとめて事例集なんかにして、それを配付していったら、このマニュアルづくりには結構役に立つんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
#51
○政府参考人(岩田喜美枝君) おっしゃいますように、十四年度の予算で全国の幾つかの自治体、御希望、手を挙げてくださる自治体にそういう事業をやっていただこうかというふうに思っておるんですが、その自治体、それぞれの状況が違いますので、自治体の社会資源を最大限うまく組み合わせて、どういう形の連携ができるかということのマニュアルを作成していただこうというふうに思っております。
 各自治体が作成したマニュアルは、そのものはやはりその自治体で最もうまく機能するということだと思いますが、他の自治体の参考になるということも委員おっしゃるように大いにあるというふうに思いますので、例えば、今準備中でございます虐待・思春期情報研修センター、ここで専門的な研修やそういった専門機関に対する情報提供をやりますので、こういったようなところが例えばインターネットなども活用してそういったマニュアルをオープンにして、使える自治体には参考にしていただくというようなこともやりたいと思います。
#52
○山本香苗君 是非ともいろんな形で、各自治体が知恵を出し合って作ったものをみんなで共有できるような、ここはいいところというように取っていけるような形にしていただけたらいいなと思っております。
 ちょっとまた話が変わりますが、先ほどちょっと保健師さんのお話が出ておりました。この間の調査会にも来ていただきまして、本当に貴重な御意見をお伺いしたなと思っていたわけなんですが、保育士さんというのは、医療の知識もあって育児支援という名目で訪問できることから、児童相談所の方よりずっとずっと親に近寄り、子育てに悩んでいる親に接しやすい立場にいらっしゃるわけです。虐待の芽というのを発見も可能であると思いますし、しかし、この児童虐待における保健師の役割というのが明確ではないといったことをこの間もお伺いいたしました。
 実際、報告事項、やったことを報告するような事項の中にも児童虐待という項目がないため、どれぐらい保健師さんが働いていらっしゃって、かかわっていらっしゃるかという実態もちょっと分からないということをお伺いしたんですが、保健師さんの児童虐待における位置付けを明確にしていくために、児童虐待対策を保健事業として位置付けることが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#53
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待問題に保健師は大変大きな役割を担っていただいております。副大臣の先ほどの答弁の中にもありましたが、乳幼児健診ですとか家庭訪問などの機会を通じて虐待の予防、早期の発見、そして問題が起きた後の地域でのフォロー、こういうような仕事に重要な役割を果たすことができる専門職であるというふうに思っております。
 現行の児童虐待防止法の中では、虐待を発見しやすい立場にある者として位置付けが明記をされておりますが、これと併せて、二十一世紀、その冒頭十年間の母子保健分野の国民運動計画であります健やか親子21の中では、児童虐待対策を母子保健の主要な事業の一つとして明確に位置付けをさせていただいたところでございます。
 今後とも、地域では福祉と保健と、これがいかに連携をうまく取って児童虐待防止対策を推進することが重要かというふうに痛感をいたしております。
#54
○山本香苗君 ありがとうございます。
 この間ちょっと報道に出ておりましたが、国立成育医療センターこころの診療部というところでこういった虐待のことも扱われるというふうにお伺いしました。報道でしか知らないので、具体的な概要とか、例えば児童虐待に対してどれぐらいの人が割かれ、どういうことをしてくれるのかとか、そういったことをちょっとお伺い願えますか。
#55
○政府参考人(河村博江君) この三月に開設されました国立成育医療センターでは、小児医療あるいは母性・父性医療を包括する医療の概念であります成育医療の先導的な役割を果たすということになっております。
 児童虐待に対する取組といたしましては、小児期あるいは思春期あるいは母性・父性等のメンタルヘルスに関します、おっしゃいましたようなこころの診療部というものを中心にいたしまして、児童虐待の発見でありますとか、あるいは介入、評価、あるいは治療に関するチーム医療を構築をするということが一点。
 それから、やはり親子関係の最初の段階が非常に大事であるということで、周産期診療部というのが一方にあるわけですが、こういった周産期診療部とこころの診療部を中心といたしまして、周産期からの親子関係の支援を通じた虐待予防のケアプログラムを策定すると。
 それからさらに、医療関係者を中心といたしました虐待の早期発見に係る研修、そういったような基盤的な取組を踏まえまして、児童虐待に対する専門的ケアを実施しているわけでございます。
 三月一日のオープン以来、児童虐待の症例というのは、まだ発足したばかりでありますけれども、救急外来で一例、それから総合外来で一例ということになっていますが、これからどんどん増えていくんではないかというふうに思っております。
 それから、この国立成育医療センターの研究所があるわけでございますが、成育社会医学研究部を設けまして、児童虐待等に関する社会医学的な見地からの専門的な調査研究にも取り組んでおるわけでございまして、今後とも、児童虐待に対する専門的ケアを含めまして、このセンターの成育医療に関する機能の強化の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
#56
○山本香苗君 以上です。ありがとうございました。
#57
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 今日は各省庁の方皆さんに来ていただいておりますけれども、私は時間の関係で厚生労働省への質問に絞ってお聞きしたいと思います。
 まず、児童虐待防止のネットワークについてですが、先ほど岩田局長もこの虐待防止の関係者のネットワークというのが大変重要だというお答え、お聞きいたしました。私もネットワークが力を発揮することがこの虐待防止解決、そのために大変有効だと思うわけですが、県においては大変ばらつきがあると思うわけですね。
 いただいた資料によりますと、この地域のネットワークというのが市町村一か所も設置されていないし、これからの計画も全然ないと、そういう県もあるかと思うと、青森県のように六十七自治体すべてにできていると、こういうところもあるということなんですが、今全国的にはこの地域のネットワークというのはどのくらい作られているものなんでしょうか。
#58
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待防止のための関係機関、関係団体の連携は中央レベル、そしてすべての都道府県レベルでは整備がされました。問題は市町村レベルでございますが、平成十三年六月時点では、五百六の市町村で既にネットワークが整備され、また三百十四の市町村で準備が進められているというような状況でございました。
#59
○林紀子君 今まで参考人からいろお話を聞きましたが、その中で何人もの方からこのネットワークの重要性というのはお話がありました。積極的にこのネットワークづくり、各県で広げていくべきだと思うんですが、その辺はどのようにお考えになっておりますでしょうか。
#60
○政府参考人(岩田喜美枝君) このネットワークを作るために、厚生労働省としては平成十二年度からそれを支援するための予算措置も講じておりますので、そういう補助事業も活用していただいて、できるだけ速やかにすべての市町村で、必要であれば市町村レベルで整備をしていただきたいというふうに思っております。
#61
○林紀子君 そのためにもネットワークの中心になるのはやはり児童相談所ではないかと思うわけですね。その児童相談所というのをもっと増やしていくということが必要じゃないかなというふうに思うわけです。
 虐待により保育園児が死亡したという東京都の町田市ですけれども、市議会ではその反省を踏まえて、町田児童相談所の設置を求める決議というのを昨年の九月に全会一致で採択したということなんですね。
 その中には、「都内でも相談件数の多い地域である町田市において児童相談所の設置は不可欠です。」というふうにうたっているわけなんです。そういう動きもあったせいか、この四月の一日からは子ども家庭支援センターというのが町田市でもスタートして、都の児童相談所の職員が一人常駐するようになったということなんですね。これ一つ前進ですけれども、しかし、相談の数の多さから見ると、これでもなかなか大変だというふうに思うわけです。
 児童相談所は人口五十万人に一か所という基準が児童相談所運営指針に書かれてありますね。町田市の人口といいますのは三十八万人をちょっと超えたところだということなんですね。ですから、この五十万人というところはクリアしないわけですね。ですから、この五十万人に一か所という基準というのは何とか見直していくべきではないかというふうに思うわけですし、もう一つ、児童福祉法の十五条では、都道府県と指定都市のみがこの児童相談所は義務設置だというふうに書かれているわけですけれども、ここの十五条の改正というのも必要なんじゃないか。もっと大きな市には、政令指定都市でなくても、児童相談所というのがちゃんとできるようにするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#62
○政府参考人(岩田喜美枝君) まず、現状から簡単に御説明させていただきたいと思います。
 御指摘のように、児童相談所の設置基準は児童相談所運営指針で定められておりますが、各都道府県、そして政令指定都市についてですけれども、地理的な条件ですとか利用者の利便など、地域の事情を勘案をするということを踏まえて人口五十万人に一か所程度ということで設置をされております。
 現状どうかというふうに見ますと、自治体によりまして大変差があるということでございまして、例えば、一つの児童相談所が管轄する人口が非常に少ないところもございまして、島根県ですと十九万人に一か所、鳥取県では二十万人に一か所、三重県ですと三十七万人に一か所、こういうところもございますが、一方では管轄人口が極めて多いところもありまして、大阪市では二百六十万人に一か所、名古屋市は二百十七万人に一か所、札幌市は百八十二万人に一か所と、こういうような格差がございます。
 児童相談所の設置については、その数を、その児童相談所の数、設置箇所数、それをどうするかという問題と、そして併せて、やはりそこに配置をされる児童福祉司などの専門的なスタッフの人数とその質的なレベル、専門性、これらが総合的な力となるんだというふうに思っておりますので、現状では、自治体が地域の実情を総合的に勘案していただいて児童相談所の整備、体制の強化、こういうことを図っていただきたいというふうに思っております。
 なお、厚生労働省といたしましては、児童相談所は今都道府県と指定都市が設置をする機関でございますけれども、この児童相談所と連携をして、もう少し地域でいろいろお困りになっている相談に対応する、で、児童相談所で具体的な措置をしないといけないようなことは児童相談所につなぐといった、これを児童家庭支援センターというふうに呼んでおりますが、この児童家庭支援センターをそれぞれの地域でもっと整備をしていこうというようなことで考えていきたいというふうに思っております。
#63
○林紀子君 そうしますと、その五十万というのは必ずしも壁になってしまうというものではないというふうに受け取りましたけれども、必要性に応じて作らなければいけないというところがあると思いますが、しかし児童相談所がないと、つないでいくと言いましても、この町田市でも今までは八王子の児童相談所から児童福祉司が駆け付けるということだったんだそうですけれども、今一人常駐になりましたけれども、児童福祉司がそこから駆け付けてくるんじゃ、もう緊急の場合間に合わないというところがあったので、こういう決議を上げたわけですね。
 ですから、そういうことでは、必要性というところがあったら、やっぱりきちんと児童相談所を作っていくということを是非お考えをいただきたいというふうに思うわけです。
 そして、この児童相談所の受ける相談件数というのは年々、平成四年を境にして増えている。その中でも児童虐待の相談の増加が著しいということですけれども、統計を取り始めた平成二年度を一とすると、児童虐待の相談は、平成十二年度、十年間で十六倍に増えているということを伺いました。しかし、この相談を受ける児童福祉司、これは同じ十年間で一・四倍に増えただけだということなんですね。
 この児童福祉司の配置に対する国の交付税措置の積算の基礎、それは、やはりここも人口何人に一人というふうになっているということですが、現在、人口何人に一人ということになっているのでしょうか。
#64
○政府参考人(岩田喜美枝君) 地方交付税の積算の基礎人員におきまして、児童福祉司の数をどういうふうに積算に盛り込んでいるかということについてですが、自治体の状況を見ますと、近年、急速に増員をお願いできているというふうに思います。
 具体的には、標準団体、これは人口百七十万人を想定しておりますが、標準団体当たりですけれども、昭和三十二年から長い間児童福祉司は十六人ということで推移してまいりましたけれども、平成十二年度には十七人に、十三年度には十九人に、そして平成十四年度には二十一人にということで、近年増員を図っていただいているところでございます。
#65
○林紀子君 百七十万人という数字でお答えいただいたんですけれども、それを人口何人に対して一人というふうに計算をし直すと、八万一千人に一人というふうにお伺いしましたが、これでよろしいわけですね。
#66
○政府参考人(岩田喜美枝君) 単純に割り算をいたしますと、百七十万人を二十一人で割りますと、およそ人口八万人に一人という水準でございます。
#67
○林紀子君 ここでもまた一つ壁があるわけですが、児童福祉法施行令では、児童福祉司は人口おおむね十万から十三万人に一人が基準になっているということなんですね。しかし、今お答えいただきましたように、既に人口八万一千人に一人の割合で交付税措置は行われている。また、先ほど例に出ました青森県では三万人に一人の割合で児童福祉司を配置していると、こういうところもあるということですね。ですから、これから見ますと、この児童福祉法施行令の基準は実態にもう合わなくなっているんじゃないかと思うわけですね。
 昨年、全国児童相談所長会総会、ここで要望書が出されたわけですが、これには、児童福祉司の配置基準を人口十万人から十三万人に一人ということになっているけれども、これを人口五万人に一人に改善して、もっと児童福祉司を増やしてほしいという要望、これが真っ先に挙げられているわけですから、この十万人から十三万人に一人というのはもうおもしにだけなっていて何の役にも立っていないということはあるわけですから、ここを改正していただきたいと思いますが、どうでしょう。
#68
○政府参考人(岩田喜美枝君) おもしになっているのではないかという大変厳しい御発言ですけれども、おもしにはならない仕組みにはいたしております。地域の実情に応じて児童福祉司を配置する際の標準的な基準ですから、都道府県が実態に応じてこの基準を上回る配置をしていただくのは何ら妨げるものでもございませんし、また、先ほど先生もおっしゃいましたし、私からも御説明させていただいた地方財政措置では、この基準を上回る児童福祉司の配置を既にさせていただいておりますので、必要な経費はもう措置済み、措置をさせていただいているという考え方でございます。
 厚生労働省としては、引き続きその児童福祉司の配置の充実については今後も努力してまいりたいというふうに思っているわけですが、都道府県にそういう要請をお願いすると、併せて、これまた自治体によって格差がございますので、児童福祉司の配置数の少ない都道府県もありますので、それがどういう事情でそういう状況になっているか、その辺りも把握したいというふうに思っておりますし、また、これから保護を要する子どもの数がどのくらい増えるのか、児童相談所における業務の増加がどの程度になるのかといったようなことも見ながら、この基準の在り方につきましては将来検討してまいりたいというふうに思います。
#69
○林紀子君 これ以上どんどん虐待が増えてということにはなってほしくないと本当に思うわけですけれども、そのためにも、やっぱり今児童相談所というのは、それを防止をしていく、予防も含めて、ネットワークというのを作るその中心になるわけですから、やはり児童福祉司というのはその中核として増やしていってほしいし、県が、私も拝見したものによりますと、十三万人に一人というような配置をしているところもあるということなんですが、この十万人から十三万人に一人というのがあると、自分たちはまだ範囲内だからいいんだというふうな考えにもなるんじゃないかと思いますので、先ほど改正の方向でというお話もありましたので、是非これは急いでお願いしたいと思います。
 それから、最後にお聞きしたいのは、児童養護施設の居住性の問題ですね。施設はいつも一杯で狭過ぎるという声が本当にどこに行っても聞かれるわけですけれども、特に中学生や高校生になりますと、これではプライバシーも守られないのではないかというふうに思うわけです。
 さきに紹介しました全国児童相談所の所長会総会の要望書では、これにも、こういうふうに言っているわけですね。児童の居室一室の定員十五人以下、一人当たり三・三平方メートル、この基準を見直して、せめて老人福祉施設並みの十・六五平方メートルとし、個室や二人部屋の整備を図ること。実情を一番よく知っている児童相談所の所長さんたちの声なわけですから、是非これは受け止めて、改善に向かってほしいと思うわけです。
 それからもう一つ、児童養護施設に入ったけれども、そこで再び体罰や虐待に遭うと。本当にこれは悲惨な状況だと思うわけですけれども、こういう事例というのも報道もいろいろされているわけですけれども、そういうときに子どもたちは一体どこにSOSを求めたらいいのか、そういうシステムがあるのか、それも併せてお聞きしたいと思います。
#70
○政府参考人(岩田喜美枝君) 一点目の児童養護施設の居住性についての御質問についてですが、現状では、目安と言いましょうか、ルールが二つのレベルでございます。
 一つは、児童養護施設の最低基準、これ以下ですと児童養護施設が運営できないという最低基準ですが、その面積を児童一人当たりの居室の面積として定めておりまして、これは平成十年にそれまでの二・四七平米から三・三平米に改善をしたという最近の改善の努力もございます。
 それからもう一つのレベルは、地方公共団体や社会福祉施設が児童養護施設を施設整備するときの国の補助基準、補助の対象になる基準面積についてでございますが、これは平成十二年にやはり、従来児童一人当たり、これは居室だけに限らずなんですが、一人当たり二十三・五平米から二十五・九平米に拡大をしました。これは居室面積に換算いたしますと、新しい基準では一人当たり九・〇平米ということになります。
 先生御指摘のように、居住性の問題は大変重要であるというふうに思いますので、なるべく大部屋を解消して、特に年齢の高いお子さんについては個室化を進めるように私どもも地方自治体と一緒になって努力をしてまいりたいというふうに思います。
 二点目の施設内の体罰や虐待の問題についてですけれども、これはもうとんでもないことでございまして、決してあってはならない重大な子どもに対する権利侵害だというふうに思います。これはやっぱり、子どもがそういうことが起きたときになかなか外に向かって訴える力が弱いとか、それから、施設職員の間で十分な人権意識が教育されていないとか、あるいは、施設自体が閉鎖的である、第三者に開かれていないと、こういうようなことから起こる危険性というのが出てくるんではないかというふうに思います。
 そういうことで、厚生労働省としてはいろいろ努力はしてきておりまして、例えば平成十年の二月に児童福祉施設最低基準を改正をいたしました。その最低基準の中で、施設長が懲戒の権限、子どもに対する懲戒の権限を濫用するということを厳に禁止するということを、当然のことですけれども、やっております。
 また、平成十二年の六月に児童福祉法が成立いたしまして、その中で、利用者からの苦情解決について社会福祉事業経営者が努力をしなければいけないという努力義務が規定をされまして、併せて、都道府県の社会福祉協議会の中に運営適正化委員会を設けて、利用者からの苦情の相談に応じ、その苦情の解決のためのあっせんなどを行う仕組みができたところでございます。
 これは社会福祉施設全般についてでありますが、児童福祉施設についても、入所している子どもから苦情が受け付けられるように、まず最低基準の改正を行いましてやりましたことは、必ずそういう窓口を設けて、それをはっきりさせる。入所するときに、お子さんや保護者の方にパンフレットなどを渡しまして、問題があったときにはだれが苦情の担当の窓口なのかといったようなことをきっちり説明するということを最低基準の改正としてやりましたし、それ以外でも、意見箱を設けるとか、あるいは子ども自治会を設置するとか、それから第三者委員と言いまして、外部の方に問題があったときには連絡しなさいと。私が視察させていただいたときにも、弁護士さんのお名前と電話番号が施設の子どもたちが見えるところに張ってありまして、何かあったときにはここに連絡しなさいといったような、第三者委員制度というのを導入している児童養護施設も出てきているところでございます。
 こういうようなことをやりながら、施設内の虐待が決してあってはならないということでしっかり予防してまいりたい。そして、万が一そういうことがあったら救済策をしっかり講じていきたいというふうに思っております。
#71
○林紀子君 ありがとうございました。
#72
○高橋紀世子君 私は、児童虐待について自分が率直に疑問を抱いていることを伺いたいと思います。
 このごろ、児童虐待が大変一般的になって表ざたになっておりますけれども、私は昔からあったように思うんです。でも、暗い話題ですので、とかく隠されてしまっていたんではないかと思います。最近では情報が、まあ皆さんが率直に話すようになったり、情報公開の効果があったり、そんなことで今たくさん増えていると思うんですが、昔からあったと思うんですけれども、それはどういうふうにお考えでしょうか。
#73
○政府参考人(岩田喜美枝君) そこのところはなかなか、科学的にと言いましょうか、実証的に説明できるものではないように思うんです。
 近年、相談件数が急増しておりますけれども、なぜ急増しているかということについては様々な見方がありますけれども、私は、やはり児童虐待防止法の制定が大変大きな契機になって、政府、地方自治体、関係機関が広報に努めましたし、マスコミでもこの問題を大変大きく頻繁に取り上げていただきました。そういう結果、国民が児童虐待という問題に関心を持っていただけるようになったということ、そしてまた、問題があるときには相談に行けばいいんだということだとか通報する必要があるというようなことも、そういうようなことを多くの方が理解ができるようになったということだと思います。また、手前みそにはなりますけれども、児童相談所その他の関係機関が頑張ってきているということもその背景にはあるというふうに思っております。
 また、こういう児童相談所に出てくれば件数として把握できるわけですけれども、児童相談所など関係の機関や団体が把握できていない隠れた児童虐待の事例というのも、多分我々が把握しているもののほかに相当数あるんではないかというようなことも考えているところであります。
#74
○高橋紀世子君 やっぱりこれは隠れて、家庭内のことですから、本当に分からないケースがあるので注意していかなければいけないと思います。
 民法四章八百二十三条をちょっと読んでみましたら、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。」と書いてあります。私は、職業を選ぶということは、たとえ未成年であっても就職をするということはやはり個人的なことだと思いますし、それを親の許可を得なければできないというのは、私は子どもの人権、基本的人権を侵しているような気がしてなりません。
 就職というのは人生にとって大きな出来事ですから、どう考えても子どもが自分で決めていかなければいけないと私は思っています。そして、親も子どもの決断に関与しなければならないということは、やはり私は大変な重圧なんだと思うんですね。親がなぜ家庭内暴力をするかということは、もう大変私はその原因は難しいと思うんですけれども、子どものことについて、就職もその他も親に責任があるというふうに思うこと自体も大変重荷になっていて、それがある意味で暴力を振るうような父親、母親のストレスを招いているのではないかと思うんですけれども、それはどういうふうにお考えでしょうか。
#75
○副大臣(横内正明君) 今御指摘がありましたように、民法では、親権者は「子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」という親権が定められておりまして、親権の効力として、居所を指定する権利とかあるいは懲戒権とか、それから、先生が今お話しになりました職業許可権というものが定められているわけですが、こういうものはやはり親権者が、子どもが非行をしたりあるいは過ちをしたりしたときにそれを正して、そして健全な人間として成長するように教育をしていくと、そういう親としての監護、教育の義務があるわけですから、そういうものを果たすために必要な範囲内でそういった権利が親権者に与えられているということだというふうに思います。
 したがいまして、それを、必ずしも先生はそれが適正じゃないんじゃないか、過大な負担になっているんじゃないかという御指摘はあろうかと思いますけれども、一般論としてはやはり適切な規定ではないかというふうに思っているわけでありますが、しかしその親権を、したがって親権者が勝手にその親権を放棄するというようなことは認められないわけなんですけれども、ただ、親権の辞任を一切許さないとした場合にはかえって支障が生ずる場合がありますので、現行の民法では、やむを得ない事由があるときには家庭裁判所の許可を得て親権を辞任することができるという規定がありますし、また、親権者が親権を濫用したり、あるいは非常に著しい不行跡があって親権者として適切ではないというようなときには、その子どもの親族とか検察官の請求によって家庭裁判所が親権を喪失させるという道もあるということでございます。
#76
○高橋紀世子君 やはり親権のために子どもの就職、それから今おっしゃった、ここにあります居所指定権、これは、「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。」、また、さっきも出ましたけれども懲戒権、「親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。」、これは、私はどう考えても子どもの基本的人権を侵しているように思えてなりません。
 やはり、それは確かに子どもを育てていくという観点においてそれなんですけれども、上から抑えることでは子ども自身が本当の発達はしないんではないかと私は思っております。ちょっとその辺、もう一度伺えますでしょうか。
#77
○副大臣(横内正明君) 先生の御意見も一つの御意見だというふうに思いますけれども、しかし、やっぱり親として子どもの教育をする一定の義務と権利が当然あるわけでありまして、したがって、それを果たすために一定のそういう居所を指定したりとか、あるいは懲戒をするというのは適切なことではないかというふうに思っております。
 もちろんその濫用は許されないわけでありまして、懲戒なんかにつきましても、体罰を加えることも一定の合理的な範囲では認められるわけですけれども、しかし、子どもに傷を残したりとかそういうことは、これはもう傷害罪に当たるわけですからそこまでは認められておりませんが、一定の良識的に許される範囲でのそういった居所の指定とか懲戒というのは許されているわけであります。
 居所の指定も、例えば子どもが家出をするというのを、親としてそれは止めるというのは当然のことでして、そういうものがすべて子どもの自由というのは、やはりこれは問題があるんじゃないかというふうに思います。
#78
○高橋紀世子君 私は逆に、これを余り子どもに対して決めてしまうことがやっぱり子どもの発想の展開を妨げているというような気がしてなりません。
 例えば、今全国に小中学校で百三十万人の登校拒否児があると聞いておりますけれども、それは今の学校教育が、本当に子どものしたいことよりもむしろ教科がもう何もかも決められていまして、それで本当に、文部省の決めたとおりに北海道から沖縄まで、学校で自由にやるところがないものですから子どもが大変つまらなくなっているというように思いますので、私は、子どもを教育する上である程度コントロールしなければ分からぬというのは分かるんですけれども、もし本当に子ども本位にしたら、それなりに子どもたちがまた生き生きとしてやっていくんではないかと思います。
 学校についても、やはり地区地区、学校学校にカリキュラムの設定を任せたとしたら、もう少し活性化した教育ができるんではないかと私は思っておりますけれども、その点について、もう一回御答弁いただきたいと思います。
#79
○副大臣(岸田文雄君) 教育におきまして、子どもの意思とかそれから自ら学ぼうとする思い、こういったものを大切にしなければいけないということ、これはおっしゃるとおりだと思います。
 ただ一方で、やっぱり教育においては、全国においてひとしく教育を受ける権利を国民が受けられるような条件整備をするというようなこと等々、また子どもたちに対してふさわしい指導というものがどうあるべきかというような議論等々を考えますときに、これは現状のような形が取られているわけであります。
 その中にあって、地方分権ですとか子どものこうした学ぶ意欲あるいは意思、こういったものをどれだけ取り入れていくのか、そういった努力は必要かなというふうに思っています。
#80
○高橋紀世子君 やはりどう考えても、今の学校の現状はある程度文部省が決めて、そのとおり。やっぱり子どもから、学校から地域から何を勉強しようよというふうになってくると活性化すると思いますし、この親権のことにでも、余りにも親が手取り足取り責任を取っているということは子ども自身が生き生きとしていかないような理由になっていると私は思えてなりません。
 ですから、やはりこの親権と子どもの権利というのは、もう少し子ども自身が権利を持つように変えていった方がいいんじゃないかと思っておりますけれども、そんなことで今日の質問は終わらせていただきます。
#81
○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。
 これまで様々な各論について質疑をしてきました。お話を聞くたびに、あるいは話すたびに、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待の根本原因というのは一体どこにあるんだろうかという疑問を抱きます。現在、各省庁では担当者を中心に様々な対応策を考えておいでですが、その対応策が対症療法に終わらないためには、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待を生まないための抜本対策を考えていく必要があると思います。今日は、その視点から質問させていただきます。
 厚生労働省が各都道府県の児童相談所に寄せられた児童相談の内容に関する統計を取っていますけれども、その統計によれば、二〇〇〇年度の虐待者の内訳は、実母が六一・一%、実父が二三・七%です。実の親による虐待は八四・八%に上るわけですが、その中でも実母によるものは実父の二・六倍、約三倍近くですね。しかも、実のお母さんによる虐待は前年度よりも四千人以上増えていて、一万八百三十三人になっているということです。なぜ実母が多いかと言えば、主に子どもの世話をするのが圧倒的に母親だということになると思うんですが。
 そこで、お伺いします。この虐待者の半数以上を占める実母は、どのようなことに不安や不満を感じてストレスのはけ口として子どもに当たってしまうとお考えでしょうか。岩田局長、お願いします。
#82
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待は、何と言うんでしょうか、家族が抱えておりますいろんな問題、例えば経済的な事情がどうかですとか家族関係がどうかですとか、あるいは家族の心理的、精神衛生的な問題がどうかとか様々に複合的な要因があって起こっているということだというふうに思いますので、母親が、何とい言ましょうか、母親個人がどういう問題を抱えているかというようなことだけでは律し切れないというふうに思っております。
 しかしながら、一般的に想像されますのは、都市化が進み、そして核家族化が進み、非常に育児が孤立した状況の中で行われていることが多いということ、そしてそれが、ほとんどが女性が一人で担っているということ、そういったような育児についての不安とか負担感ですとか、そういうことが非常に心理的な重荷になっているということは十分予想されます。
#83
○田嶋陽子君 先ほど岩田局長が地域の子育てということを平成十四年度から力を入れてくださるということで、その面からは安心してまたよろしくお願いしたいと思うんですけれども、この複合的という理由が、大変いいんですけれども、一つには何か具体性に欠けるというか、問題ですから一つ一つ形を付けていかなければいけないと思います。
 そういう視点から見てみますと、ここに社会福祉法人の子どもの虐待防止センターが調査したものがあります。それは、首都圏一般人口における児童虐待の調査報告書なんですけれども、千五百人を対象にして一九九九年に調査をしました。
 そこでは、虐待あり、または虐待傾向の人に夫との関係が悪い人という数字があります。児童虐待をしている人は虐待をしていない人に比べて五倍も夫から暴力を振るわれている人がいるということです。ここはやはり一つ注目すべき点だと思うんですね。夫に暴力を振るわれた妻が子どもにそのストレスの矛先を向けるということは、この調査でもある程度明らかなんではないかと思うんですけれども。
 そこで、岩田局長にお伺いします。厚生労働省は、今後、児童虐待相談の虐待者、すなわち半数以上を占める母親がDV被害者であるかどうかという統計を取る方針はおありになりますか。
#84
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待とDVの問題が重複したり関連したりする、そういうケースがあるということは承知をいたしております。ですから、児童虐待への対応、DVへの対応をする場合にはそういうことをよく念頭に置いた機関間の連携というものも非常に重要になってくるというふうに思います。
 先生今お尋ねの統計的な把握の問題については、先ほど申し上げましたように、個々のケースもそれぞれすべてのケースが大変複合的な要因で問題を起こしておりますので、それを児童相談所の方で時間を掛けて家庭内の人間関係なんかを把握していくプロセスの中でDVの問題があったというようなことが判明するというようなケースがあるわけでございます。これが現状ですので、児童相談所の業務として児童虐待とDVの重複、関連ケースを全数統計的に機械的に把握するということはなかなか困難ではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、この児童虐待とDVの関係については今後事例が集積されていく中で、どういうことでそういう関係になってきているのか、そういうケースを救済するためにどういう対応があるかということについての研究を進めるということは重要であるというふうに思っております。
#85
○田嶋陽子君 よろしくお願いします。家庭内での力関係の構図を見るためには、やはりそういう数があると見やすくなると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、坂東眞理子局長にお伺いいたします。
 今の質問とは逆なんですけれども、今年の四月から配偶者暴力相談支援センターがスタートしました。そこに夫から暴力を受けたDV被害者、女性が子どもを連れて相談に来た場合、そのDV被害者、女性が子どもに対して虐待しているかどうかを把握する方針はおありでしょうか。
#86
○政府参考人(坂東眞理子君) 各都道府県の配偶者暴力相談支援センターは去る四月一日からその運用を開始したところでございまして、一か月ごとの統計を、どういう相談があるかということを統計を取ることにしておりますけれども、まだ今の段階では把握しておりませんが、この支援センターは、いろいろな問題を抱えるひどい目に遭った被害者の方たちの相談、カウンセリングあるいは一時保護、各種情報提供などの仕事を行うという施設ですので、御指摘の相談に来た被害者の人が今度は加害者になるんじゃないか、児童虐待の加害者になっていないかについて聞くというのは、そういう状況から考えますとなかなか難しいのではないかなと。御本人の方から、自分は児童虐待をしているというふうな申出がない限り、相談員の方たちが、今本当に精神的に傷付いている被害者から児童虐待の事実を聞き出すというのは難しいと思ってはおりますが、そのままにしておくわけにはいきませんので、内閣府におきましては、何とか負担にならないような調査の方法を別途工夫いたしまして、次の世代にそうした配偶者からの暴力が悪い影響を与えないか、いろいろな付随的な部分についてもいろんな角度から調査研究を行いたいなと思っております。
#87
○田嶋陽子君 要するに、今もおっしゃってくださいましたけれども、暴力を受けているかもしれない母親が自分が受けた暴力を子どもに返していく可能性があるということですよね。
 これは、現在でも世界じゅうで、今テロが起きてからみんなが口にしていることですけれども、暴力の連鎖ということは、世界じゅうで起きていることが実はこの小さな家庭の中でも起きているということです。これが問題なんですね。世界と家庭は切り離せない、同じような状況が起きているということ。そして、先ほど申し上げたその調査の中でも、虐待をしている人の傾向としては、夫がいろんなことに非協力的だからとか、その結果よくけんかをする人が多い。これは、さっきの岩田局長のお話によると非常に複合的な難しい状況ということを考えれば、非常に簡単そうに見えますが、意外と男女関係の力関係を表しているような気がします。
 私が思うには、いろんな考え方があると思いますが、この児童虐待をなくすためには、家族の中の、特にその主宰者である夫と妻の関係性を良くしなければだめだと思います。私がいろいろ研究したところによれば、いろんな複雑な構造を突き詰めていくと必ずそこには男と女の力関係、いびつな力関係が存在しているということです。
 前回の共生社会の調査会で汐見稔幸参考人が夫の育児責任の意識がないということを指摘されていました。夫の育児責任がなくて、夫との関係が良くないことがどのような結果につながるのかを端的に示す調査があります。これは若い夫婦の間のことなんですけれども、先ほどの首都圏一般人口における児童虐待の調査報告書では、千五百人の対象者の中で、子育て協力者がいる人は千三百七人なんですが、子育て協力者がいない人は百九十三人。その千三百七人のうち八〇%が虐待なしです。子育て協力者がいない百九十三人のうち七一%が虐待なしです。これを整理しますと、協力者がいる方といない方と比べますと、約二倍ですね、七%と一四%で。協力者がいない方は一四%児童虐待があるということです。
 これは、先ほど岩田局長がおっしゃられたように、夫の協力がない場合は、やっぱり地域の協力とかいろんな協力とか、今そういう対応策を考えてくださっていて結構なんですが、一番身近な人で、一番関係改善ができそうなその夫の協力がないということは、同じ家族を作る相手として非常に情けないことだと思います。単純比較はできないにしても、子育て協力者がいる人といない人と比べて、虐待ありの割合が二倍だということ、これは大きな問題だと思います。
 それで、これはある意味では政治的、政策的な国の問題でもあると思います。厚生労働省は三月二十七日に女性労働白書を公表なさいましたけれども、その中で、子育て期の三十代男性が長時間働いている偏りを見直す必要があるとした上で、短時間労働制の導入など、男女間の、世代間での多様な就業形態の整備が必要だとしています。そのとおりだと思います。また、白書では、三十代男性が家族団らんを大切に思っていながら、ほかの世代の男性よりも長時間働かざるを得ない状況に置かれている、こういうことも指摘なさっています。このような働き方ですと特に専業主婦の女性に負担が掛かるわけですね。
 それで、面白い調査があるんですが、普通は、私たちは常識では、働きながら子育てをしている女性の方が子育ての負担感は多いんだろう、こういうふうに思うんですけれども、このこども未来財団の調査によれば、共働き片働き双方に調査をしたところ、共働きの女性の子育ての負担感は二九・一%です。片働き、いわゆる専業主婦の子育ての負担感が四五・三%になっています。
 岩田局長にお伺いします。専業主婦と共働き女性の負担感の違いはどこから生じるとお考えになるでしょうか。
#88
○政府参考人(岩田喜美枝君) 数字は先生おっしゃったとおりなんですけれども、共働き女性の場合には子育てを自分一人でやるということは決してございませんで、保育所を例えば使う。その場合には、保育士さんといろいろ育児についての相談もするわけです。あるいは、おじいちゃん、おばあちゃんにお願いしているということであれば、それはおじいちゃん、おばあちゃんと相談しながらやっているわけで、必ずチームを組んで子育てをしておりますので、そういう意味で育児の負担感、特に精神的な負担感が少ないということだと思いますが、一方、専業主婦の場合には、しばしばそういうことがない。そして、夫が長時間労働でなかなか育児にかかわってくれないというような状況の中では、大変孤立化をして、精神的な負担感、時間的な負担感とか肉体的な負担感ではない精神的な負担感というのが大きいのではないかというふうに考えております。
#89
○田嶋陽子君 やっぱり専業主婦の場合は子どもから一日離れないでいることがいいお母さんだという発想もありますし、それから専業主婦のお母さんは保育所に子どもを預けにくいという状況もありますし、今厚生労働省から出ていますこの国の政治、政策にもかかわること、いろんなことが複雑に絡まってくるわけですけれども、二〇〇〇年に総理府がまとめた男女共同参画社会に関する世論調査によれば、男性が家事、子育てや教育などに参加するために必要なこととして、やっぱり四一・三%の人が夫婦の間で家事などを分担するように十分に話し合うこととあります。それから、三四・九%が男女の役割分担についての社会通念、慣習、しきたりを改めることだとしているんですが、ここで問題なのは、十分に話し合うこととあるんですが、実はこれは今の男女関係で、特に家庭で専業主婦とそれから働く夫という構図の中では、女の人は夫と十二分に話し合うことができるだけの対等性を獲得している家族は数少ないということなんですね。
 今度、朝日新聞によると、高校の教科書でジェンダー教育が書いてあるのを、六点が合格しました。たった六点です、あれだけたくさんある教科書、三百幾つある教科書の中で。それでもこういうことを取り上げてきたということは大変いいんですけれども、一九八九年に家庭科共修ということがありました。私たちはこれができたときに、これで世の中が変わると思いましたが、幾ら男が料理が上手になっても、私の学生を見ていてもそうですが、小中高の学生を見ていても、料理は上手になっても男女間の意識改革はできていないんですね。だから、私の学生が、同じ大学の一年生なのに男の学生は女の学生におまえと言うんですね。小中高生でも結構そういうことを言っています。女の子もふざけておまえと言っていますけれども、年を経るに従って、大人になるとやっぱり君と呼んだり、何か違ってきますね。何でなんだろう、何で男だけが女の子をおまえと呼ぶ権利があるんだろう、そういう教育もなされていないんですね。
 高校の教科書でジェンダーフリー教育が取り入れられたにしてももう遅いんですね、実は。保育園の段階で取り入れられないといけなくて、その保育園の先生たちも、そして私たち国会議員もそうかもしれませんが、このまたジェンダーフリー意識というのは、立ち居振る舞いにおいて、生き方においてのジェンダーフリーというものはまだ獲得できていないんですよね。
 私は、このジェンダーフリー教育というものを徹底してやらないといけないと思います。もっと厚生省も文部省も、この男女関係の構造改革こそが小泉さんの構造改革に欠けているものであって、これを抜本的にやらない限り日本は変わらないというふうに思っています。
 男は外に女は内にという、女の人が男の人に養われている限り、男女の上下関係、経済格差がなくならない。そこでは、いろんな心理的な複雑な問題が生まれるところがそこにあると思います。私は、この経済格差、上下関係をなくすためにも、是非文部省と厚生労働省、あらゆるところが力を出してくださって、保育園段階から私はこの、性教育とエイズの教育を含めて、ジェンダー教育を是非やっていただきたいと、最後はお願いになってしまいました。
 終わります。
#90
○会長(小野清子君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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