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2002/04/17 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 国民生活・経済に関する調査会 第5号
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2002/04/17 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 国民生活・経済に関する調査会 第5号

#1
第154回国会 国民生活・経済に関する調査会 第5号
平成十四年四月十七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         勝木 健司君
    理 事
                太田 豊秋君
                内藤 正光君
                日笠 勝之君
                西山登紀子君
                島袋 宗康君
    委 員
                加治屋義人君
                小斉平敏文君
                伊達 忠一君
                中島 啓雄君
                藤井 基之君
                松山 政司君
                朝日 俊弘君
                榛葉賀津也君
                辻  泰弘君
                本田 良一君
                松 あきら君
                畑野 君枝君
                山本 正和君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村松  帝君
   参考人
       専修大学経済学
       部教授      鶴田 俊正君
       社団法人大田工
       業連合会会長   小倉 康弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○国民生活・経済に関する調査
 (「真に豊かな社会の構築」のうち、産業の空
 洞化問題及びグローバル化における企業の国際
 競争力の強化について)
    ─────────────
#2
○会長(勝木健司君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 まず、理事の辞任についてお諮りいたします。
 北岡秀二君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○会長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に太田豊秋君を指名いたします。(拍手)
    ─────────────
#5
○会長(勝木健司君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「真に豊かな社会の構築」のうち、産業の空洞化問題及びグローバル化における企業の国際競争力の強化について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、専修大学経済学部教授鶴田俊正君及び社団法人大田工業連合会会長小倉康弘君に御出席いただき、御意見を承ることといたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 参考人の皆様におかれましては、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております「真に豊かな社会の構築」のうち、産業の空洞化問題及びグローバル化における企業の国際競争力の強化につきまして忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず鶴田参考人、小倉参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、二時間半程度、午後四時十分までの間、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。
 この質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行いたいと存じます。
 また、時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、鶴田参考人からお願いをいたします。
#6
○参考人(鶴田俊正君) 御紹介いただきました鶴田でございます。貴重な時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私のこのテーマに関連した論文等を参考人関連資料のところに収納されております。ちょっとお開きいただきたいと思うんですが、三ページに、「産業構造は「空洞化」するか」という大きなタイトルで論文があります。これは、一九八八年に東洋経済新報社から「日本経済 挑戦と協調」という本を出しましたが、その第三章に掲載したものであります。
 続きまして十七ページに、「産業構造とはなにか」という論文がございますが、これは昨年度出版いたしました「日本産業構造論」の第一章に掲載したものであります。直接、空洞化とは関係ございませんけれども、産業構造をどういう角度から認識したらいいのかということを戦後の、第二次世界大戦後の日本経済の産業構造に焦点を合わせて記述したものであります。
 それから、四十一ページに、「論壇 直接投資のダイナミズム 日本向け増やし起爆剤に」というのがございますが、これはごく最近に信濃毎日新聞の論壇欄に掲載したものであります。二〇〇二年一月二十七日でございます。これは非常に短いものでございますから、私の考え方を知る上では極めて便利かと思います。
 四十二ページに、「新しい産業構造は「水平」型国際分業をめざせ」とありますが、これは毎日新聞の雑誌、「エコノミスト」に掲載したものでございまして、九六年の八月十九日号であります。
 そして最後、四十六ページに、「空洞化乗り越え国際分業形成へ 悲観論に立ちすぎた空洞化論議」というのがございます。これは、社団法人の平和経済というところで出しております「平和経済」という出版物に九四年に編集者のインタビューに応じて掲載したものであります。
 いずれも読みやすいものと思いますから、後でお目通しいただければ大変幸甚に存じます。
 それでは、お手元に私の簡単なレジュメがございますから、レジュメに即して私の考え方を述べさせていただきます。
 まず最初に、「空洞化とは」というのがございますけれども、空洞化というのが最近では日常のあいさつ代わりに使われている言葉のように思います。景気が悪い、いや空洞化して景気が悪いとか、そういうようなあいさつ代わりに空洞化という言葉が使われるのはしばしでございますが、空洞化というのは通産省が次のように定義しています。一九八六年の通商白書であります。三ページの私のペーパーをごらんいただきたいんですが、この右から三行目に、「産業構造の「空洞化」は海外直接投資の増大によって国内の生産、投資、雇用などが減少するような事態を、また、一九八五年度の「世界経済白書」では、製造業全体が競争力を失い、国内から重要産業が直接投資などを通じて国外へ流失し、国内にはサービス産業のみが滞留し、成長率が弱化する状況を指す」と、こういうふうに言われております。
 産業構造の空洞化というのは、いずれにしましても、海外直接投資と密接に結び付けられて、国内における生産なり投資、雇用などが減少する事態を言っているようであります。
 実は、産業構造の空洞化というこの空洞化という議論は、一九八〇年前後にアメリカでディインダストリアライゼーションという議論が行われました。ディインダストリアライゼーションですから産業の衰退とかいうような意味合いで使われたんだと思いますが、これを日本に輸入するときになぜか空洞化というふうに訳された経緯があります。その後、日本で空洞化の議論が活発になってから、今度は英語ではホローイングというような言葉が使われるようになりました。したがって、アメリカでもホローイングという言葉を使って空洞化という議論が行われているようでございます。
 この一九八〇年ごろのアメリカというのはどういう状態であったかと申しますと、第一次石油危機直後であって、また第二次石油危機に直面しておりましたが、当時のアメリカは長期にわたって生産性が停滞しておりました。七三年から八二年のおよそ十年間の非農業、つまり農業以外の生産性の上昇率は年率〇・五%にとどまっていたわけであります。当時の日本は、石油危機直後といっても世界の中で最も成長率の高い経済でありました。高度成長から見れば中程度の成長に転換したわけでございますけれども、アメリカの生産性の停滞と比較いたしますと、際立って活況を呈していたと言ってもいいと思うんであります。そういうアメリカ経済の停滞の中でディインダストリアライゼーションというコンセプトが使われ、そしてそれが日本に輸入されてきたという経緯があります。
 日本では空洞化の議論は、私のこのペーパーをごらんいただいても分かりますが、一九八五年のプラザ合意による円高がございました。その後にも空洞化論が大変活発でございまして、したがいまして、この私の三ページの「産業構造は「空洞化」するか」というペーパーはその当時の議論を念頭に置きながら書いたものであります。また、一九九〇年代になって日本経済が長期停滞の状態に入ってまいりますが、前半でもやはり産業構造の空洞化の議論がございました。そんなことを念頭に置いて、先ほど御紹介申し上げました「エコノミスト」のペーパーとかあるいは「平和経済」のペーパー等々が書かれているわけであります。そして、ごく最近にまた産業構造の空洞化論が活発化してきたわけであります。そんなことを念頭に置いて、ごく最近に信濃毎日新聞に私が論壇欄に掲載をさせていただいた、こういう経緯がございますから、空洞化論というのはかなり歴史的な背景があるんだということを御認識いただいた方がいいと思うんです。
 この空洞化というのを生産、雇用、所得等々が低下するというふうに定義いたしますと、今日の日本のいわゆる空洞化と言われる現象は、直接投資だけによって生じているんじゃなくて、むしろ日本経済の長期停滞との関係で生産、所得、雇用等々が減少しているというふうに理解した方が適切でございまして、必ずしも直接投資だけがその原因じゃないと。むしろ、日本経済が九〇年代に入って長期不況にあえいでいる、それが全般的な産業の経済活動を不活発にし、そして雇用なり所得なりの低下をもたらしているというふうに言っていいと思うんであります。
 もう一つは、このミクロの側面でいいますと、日本経済は多くの産業分野で規制が行われておりました。
 一九九〇年代に入ってから、規制緩和なり規制改革が国の重要な政策と考えられるようになりました。これは九三年の細川内閣からだと思います。それ以降、内閣は六、七代替わりましたけれども、一貫して規制緩和なり規制改革というものが志向されておりますし、その一環として多くの分野で自由な競争の枠組みの中で競争されるような状態になっております。
 つまり、規制が行われている状態というのは、ある意味では、サプライサイドの大きさを見ますとやや過大であって、それが自由競争に転換する過程で、どうしても過去の水膨れ状態をスリムにしていくということが行われなければいけません。ある意味では、保護政策が行われているところから自由競争に行くプロセスにおいて、過去のぜい肉をそぎ落とすということをきっちりやらない限りは企業が生き残れないというふうになりますが、端的な例を一つだけ申し上げますと、NTTがごく最近にワークシェアリングというコンセプトで何万人という雇用をアウトソーシングいたしました。これはNTTという単体を見ますと、従来は規制の中にございましたから、多くの雇用を抱えていても存立できたわけでございますけれども、競争状態になるとそれが不可能になって、したがってアウトソーシングしていわゆるスリムな形に変わっていかざるを得ないというのが一つの例でございます。
 あるいは、最近になって、日立、東芝、三菱、日本電気、富士通等々、日本を代表する企業で雇用調整が行われておりますけれども、これもある意味ではプラザ合意以降のメガカンペティションの時代に企業が適応できない状態があったわけでございまして、それをいわゆるぜい肉をそぎ落としているということだと思うのであります。
 そういう意味では、現在の雇用なり所得なり生産が低下している原因は、直接投資によるだけじゃなくて、むしろ日本経済の長期不況なり、あるいはミクロのレベルでいうと、企業が世界の激しい競争状態に適応できない状態からオプティマムなサイズに転換していく、そういうプロセスで起こっているというふうに私は理解しているわけであります。
 そこで、空洞化論との関連で中国の脅威論等々がございますけれども、直接投資というのは非常にダイナミックなものでありまして、世界経済をむしろ発展する原動力が直接投資だというふうに理解することが必要であります。
 例えば、長い歴史を見ますと、今世紀初頭からアメリカは非常に活発に直接投資を行ってまいりました。しかし、この長い一世紀の間でアメリカ経済が衰退化したかというと、そうではなくて、むしろアメリカの直接投資の結果として、世界経済がアングロサクソンを中心とした世界からどんどん外延的に産業化が広がって、むしろ地球的規模で産業活動が活発化しているというのが現状であります。そういう意味では、直接投資というのは世界経済を発展させる原動力だというふうに言って差し支えないと思います。
 また、私のレジュメで「直接投資は保護貿易を克服する手段」だと書いてございますけれども、一つの例を申し上げますと、例えば一九七〇年代の後半に日本のカラーテレビの輸出をめぐってアメリカと日本とで貿易協定が締結されました。OMEと言っておりました。オーダリー・マーケティング・エクイップメントであります。OMAですね、オーダリー・マーケティング・アグリーメントであります。こういう日米で生産協定を締結いたしましたが、この結果として日本は貿易ができなくなりましたから、アメリカに投資をいたしました。これが、このことによって日本の電機メーカーは一斉にアメリカに進出して、アメリカで、現地でテレビ生産を行うようになりました。これがアメリカ経済の活性化につながってくるわけでございます。
 自動車も、同じような役割を日本のメーカーはたどって、実施しています。その意味では、この保護貿易が行われて、保護貿易は世界経済を停滞化させるわけではございますけれども、保護貿易があったとしても、直接投資が行われることによって、むしろその保護貿易による弊害を直接投資がカバーしているというふうに言っていいと思うのであります。
 そこで、直接投資がどういうふうな役割をするのかということを、私の、信濃毎日新聞に書きました「論壇」、四十一ページにございますけれども、これをお開きいただきたいと思います。
 まず、日本からの直接投資はどういう効果があるかというと、日本から被投資国、受入れ国でございますけれども、相手国に新しい雇用機会なり所得機会が移動いたします。あるいは技術、マーケティングなどの経営資源も日本から受入れ国に移転いたします。ですから、この一事だけを見ると、日本では、もし直接投資が行われなければ日本の国内で生産活動が行われているわけですから、そこだけ見ると日本から海外に様々な資源が移動して、そして日本国内では空洞化が起こっているように見られるわけであります。
 しかし、経済現象はここだけでは終わりません。この直接投資をして結果として生産機会なり雇用機会が日本から移動いたしますけれども、それはどういうような効果を受入れ国に与えるかと申しますと、日本からの直接投資の増大は受入れ国の経済を刺激して所得を高め経済発展を促すわけであります。経済発展の結果、受入れ国では、消費財なり投資財を含めて、日本なりよその国、アメリカ等々他国からの輸入が増加いたします。日本からの輸出の増加は、当然日本の中に新たな所得機会と雇用機会が生まれてくるわけですね。
 つまり、日本から受入れ国に雇用機会等々が移動しますけれども、むしろその結果として経済が発展し、相手国の経済が発展し、日本からの輸出が拡大することによって、むしろ日本の中に新しい所得機会と雇用機会が生まれる。そして、それがある意味では産業構造の高度化を促すんだということであります。
 でありますから、プラザ合意以降に日本の直接投資はかなり増加いたしましたけれども、その結果としてアジア周辺が非常に経済が活発化してまいりました。東アジア、ASEAN、中国経済の発展に対して日本の直接投資が非常に大きな役割を果たしているわけであります。
 その結果として、日本の貿易構造がどう変わったかと。この「論壇」の下の方に書いてございますけれども、一九八五年当時、日本の輸出と輸入の合計額は、全貿易額は七十三兆円でありました。二〇〇〇年には九十三兆円弱まで来ています。この十五年間に年率一・六%の拡大でございましたけれども、日本のアジアとの貿易を見ますと年率四・五%で拡大しているわけであります。この結果、全貿易額に占めるアジアの比重は、一九八五年当時は二七・三%でしたけれども、二〇〇〇年には四一・四%になっております。
 そういうふうに、むしろ日本の直接投資がアジア経済の発展を促し、その成果として日本の貿易構造は非常に大きく変わっている。つまり、対米依存からアジア依存へと大きく転換していると、こういうことではございます。これが日本の産業構造を大きく転換させていることは否定できないわけであります。
 ただ、今後の非常に大きな課題として、日本経済は活性化することが必要でございますけれども、そのためにはマクロ経済全体の経済成長率が高まっていく必要もございますけれども、ミクロのベースでいえば、日本から資本が外に出ていくだけじゃなくて、海外から日本に入ってくる、このことをきっちり考えなければいけないと思うのであります。
 つまり、日本から海外に直接投資が増大することによって、世界経済ないしは周辺国に対して非常に大きないい影響を与えるということは先ほど申しましたけれども、今度は世界の国々から日本に投資が入ることによって日本経済が更に活性化することがあり得ると。したがって、空洞化論で欠けている議論はこの論点であります。
 最近、金融の自由化に伴いましてかなり金融・保険業に海外の企業が進出してまいりました。あるいは、一九六〇年代、七〇年代では想像もできなかったことでございますけれども、日本の産業構造の中核を占める自動車企業のトップに海外の経営者が入ってくるようになりました。また、日産自動車なり三菱自動車に海外の資本が入ってくるようになりました。
 そのことが日本の企業なり産業の活性化につながっていることは言うまでもございませんし、そういう意味では対内直接投資も増加していることは事実でございますけれども、しかし、現時点で厳然と存在しているのは、出る方と受け入れる方の差が非常に大きいということでございます。
 この十五年間の対外直接投資の累積額、外に出ていった分でありますが八十三兆円強ございます。反面、入ってきた海外企業の対内直接投資は九・五兆円弱であります。およそ十対一でございますから、したがいまして、空洞化論という悲観論に浸っているんじゃなくて、日本経済の活性化を促すためには海外からも日本に資本が入ってくるような方策を考えなければいけないということであります。
 じゃ、そのためにはどうしたらいいのかと。じゃ、なぜ海外から日本に入ってこないのか。
 いろいろ要因はあります。そのうち、一つは、日本の中でまだ規制が十分に緩和されていないということがあります。規制改革が進んだところでは海外企業がかなり日本に積極的に投資をしているということがございますから、規制を思い切って見直して、そして海外企業が日本でビジネスを展開しやすいような風土を作ることが一つ重要であります。もう一つは、やはり日本の取引慣行であります。取引慣行が、やはりややもすれば閉鎖的になりがちであって、それを開いた取引慣行に転換し、そして海外企業が日本で安心してビジネスができるような環境を作っていくということが重要だと思います。
 そういう対内直接投資を促進する政策を検討しながら、日本の企業の競争力を培っていくということがこれからの大きな課題だと思います。特に、メガカンペティション時代の企業競争力をいかに強化するかというのが本委員会の主要なテーマだと思いますけれども、そのためには、日本の産業構造を高技術、高品質、高生産性、高付加価値の構造へと転換していかなきゃならない。ということは、こういう高技術、高品質、高生産性、高付加価値の企業が日本の産業構造の中核を担っていくようにならなければいけないというのが私の結論であります。
 ほぼ二十分になったと思いますから、ここで終わりにさしていただきます。
#7
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 次に、小倉参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(小倉康弘君) 御紹介いただきました大田工業連合会の小倉でございます。お手元にレジュメをお配りしてございますので、その順序で説明さしていただきます。
 まず、社団法人大田工業連合会、概要につきましては、お手元にお配りしているんで大体お分かりと思います、事業内容につきまして。また、大田工業連合会は十一団体ございます。各大田区の地区、昔の蒲田区あるいは大森区というところで、地域的には明治、大正から大企業が進出いたしましたんで、それに追随する中小零細企業の集まりと、こういうふうにお考えいただければと思います。
 そして、内容的には、金属機械工業が八五%でございます。鉄道関係あるいは船舶関係あるいは自動車関係という企業の集まりでございまして、大田工業連合会としては三十七年、昭和三十七年に社団法人として発足いたしまして、その傘下の企業の従業員の福祉ということも考えまして、食事等、そのころは大変取りにくい、都南工業給食協同組合というものを三十七年、同時に立ち上げまして、大田区の産業のためにいろいろと施策を練ってまいりました。
 大田区の工業の現状としましては、昭和五十八年、一九八三年、九千百九十ございました。一九九〇年のバブルのときは七千八百六十でございます。それが、現在二〇〇〇年に入りまして六千三十八と。お手元にお配りしてあるので、各一九九〇年と二〇〇〇年、バブルがはじけて七千八百六十が六千三十八と。一般機械器具製造とかあるいは金属製品製造、電気機械器具製造、プラスチック製造、プラスチック成型というようなもの、金型を含めまして、金型四百社を含めまして、お手元に大田区工業の現状についてというところで千八百二十二減っております、バブルから。
 倒産の方も、帝国データバンクによりますと、バブルのときには二千百五十四社の倒産でございましたけれども、二〇〇〇年には一万八千九百二十六社と、二〇〇一年には一万九千四百四十一社というふうな倒産を見ております。その中には、建設もございますけれども、工業の、企業の閉鎖とそれから倒産というのがございます。
 これは、大企業に追随する中小零細企業ということで、いろいろと下請産業の脱皮というようなことで中小企業法の改正、平成十二年に行われましたけれども、そのときに資本金一億から三億に格上げしまして幅を広げたということでございましたけれども、その理念そのものとしては余り変わりがございません。
 ただ、中小企業法の改正ということでは、資本金が三億になったために、一億、一万六千社が増えたという程度の話はございましたけれども、何らそういった中小企業に対する支援というものについては顕著な施策はなされていないんではないかなというふうに思っております。
 元々、中小零細企業というのは業種別分業でございまして、大企業ができないところをやっているということですから、相互提携という考えを持っていただければよろしいんですが、大企業はあくまでも下請ということで、後で出てまいります支払の問題につきましても大変厳しい状況にあるというふうに思います。
 六千三十八が、現在ではもう少し減って六千を切ったやに思います。その内容につきましていろいろと、企業の大半は日本の産業の母体である機械金属工業というものでございまして、平成十年、先ほど言いました六千三十八の中で、一人から三人が二千九百六十八社、四九・二%で、約半分は三人以下の企業でございます。で、四人から九人というと千九百六十九社、三二・六%と。これを合わせますと、九人以下が八一・八%というような現状でございます。
 そこへもってきて、空洞化ということにつきましては、大企業が中国ほか進出しておりますが、追随していけるかどうかというのは、あくまでも零細に近い九人以下の企業でございますんで、なかなか追随できない。資本金のこともありますし、いろいろの条件が整いませんので、今のところは少ないということでございます。
 後の方に空洞化の──ちょっと時間をはしょります。
 大田区の現状といたしましては、そういったいろいろの技術、集積技術がございまして、地域の背景としましては大企業の下請ということで、大企業から来る注文が、現在では景気が低迷しておりますので受注が減っているということで、小泉内閣、構造改革なくして景気回復なしということでございますが、企業としては構造改革をせざるを得ないというところでございまして、リストラ等をやっております。
 ということは、大企業の海外進出もございますし、景気低迷のために受注が減っているということ、それから利益のない仕事にどんどん移行していると。それは価格破壊でございまして、受注が少なくなっておりますんで価格競争と。それからまた、下請としては親企業からの価格の値下げ要請ということが重なりまして、現在では、景気も反映しまして、大体企業の六割は受注が減っていると。これも三〇%以上六〇%というような状況にございます。
 それにつきまして、ちょっとお手元にお配りした受・発注情報交換会というのをやっておりますが、一九九三年、九二年から始めまして、そこにちょっと一覧見ていただければ、参加企業に対して、右の方に受・発注企業数の中で受注と発注というのを分けてございます。この受注と発注が、一九九五年、少し発注者が多かったというところで、一九九八年、受注したいというところよりも発注するというところが非常に少なくなって、受注の方が多くなってきた。
 そこに、下に二十二番で、平成十三年の二月、全体の企業として参加していただきましたのは百四十四社で、発注の方が二十二社ということで一五・三%になっております。これはちょうど半導体の景気のいいときでございまして、ここで設備投資をした企業は正に明くる年には奈落の底に落ちるというようなところもございます。
 平成十三年の十月、百社ありまして、たった三社が発注したいというような、景気の動向がはっきりとこの受発注パーという意味では出ております。これは大田区でやっておりますが、横浜も参加するようになりまして、右の方に合同とかいうふうに書いてございますので、ごらんいただければ分かると思います。
 大田区にいろいろと、自動車部品あるいは電気機器部品あるいは精密機器等ございます。ただ、機械金属工業が大田区で八五%を占めているこの技術というものにつきましては、個々の零細企業の集まりでございますので集積技術というふうに申し上げて、よく小関さんという方が、紙飛行機を飛ばすと製品になって出てくると、図面がなくても技術者が寄り集まってチームワークを組んでやっているというようなことも言っております。そういうことで、基盤技術としては揺るいでおりませんけれども、大企業が進出していきますので受注が減って閉鎖ということになっております。
 それから、大田区の産業の空洞化につきましては、そこにございます、お手元にお配りしてあるあれなんですが、空洞化の影響に関するアンケート調査というのを約一千九十社やりましたけれども、回収率は一九・六%、二百十四社のアンケートを取ってございます。そこに、全体を申しますと、最初のところに受注の額の増減というのがございます。そこに、ほぼ同額というのが一四%、増額が六%、約四十三社の二〇%と。あとの方は百七十社の七九・四%ということでこれが減額で、受注が減っているという状況でございます。その中で内訳は、一〇%から二九%が五十一社、三〇%から四九が六十三と、五〇%以上が三十六社と、こういうふうな状況でございまして、大変厳しい状況にあるというふうになっております。
 この間も東京信用金庫協会というところが資料を出しておりますのが、やはり受注が六〇%減って、それから利益率が、利益がないというのが三九%、そして価格競争及び値下げということで、値が下がっているのが三一%というような資料が出ております。そういうことから、あらゆる角度から見ましても大変厳しい状況にあるんではないかというふうに思っております。産業の空洞化と言いましても、今先生の方から、鶴田先生の方からお話がありました、マクロ的にはそういうことで。
 大田区の技術としては大量生産というものは余り、大企業はやっております、中小零細企業というのはそれこそオーダーメークというか、数の少ない、また開発製品の試作等こういったところでやっております。たまたま絞りという、へら絞りというのがございますが、これが宇宙ロケットですか、あの先端などをへら絞りでやるというところは、個々の、量産しておりませんし受注もそんなに数ございませんので、そういうところは生き延びております。
 ただ、スプリング等につきましては、大変幅広くやっておるところは、自動車産業が減れば携帯電話のスプリングが増えるというようなことで細かいスプリングは作っておりますが、大きいものは仕事がなくなると。ですから、スプリングを作っているところなどは約七割ぐらいは工場の機械が遊んでいると。
 金型屋さんにつきましても、やはり一つの例としましては、携帯電話がいろいろと機種が変わってまいります。そうすると、金型がどんどん変わってくると。そのたびに価格が安くなるということで、何かこう型物につきまして、金型につきまして、どうも中小企業としては試作の段階で親企業に出しますと、図面提出、承認図提出ということが要求されております、最近は。その図面を出しますと中国あるいは台湾で作られちゃうと、二度とその品物は来ないというようなことで大変苦労しているところでございます。
 こういったところを規制するのはなかなかいけないんでしょうけれども、企業の倫理観の問題というふうに思っております。私などが考えますのは、先進国がビルマだとかマレーシアとか言ったときにはその地域の発展のための産業移転でございまして、日本はどうも低賃金を求めて、安く作って利益を上げようという経営倫理の問題、企業倫理の問題じゃなくて経営論理の問題というふうに考えております。この辺のところは大企業に考え直してもらわなくちゃならないなと思うんですが、やはりこれは企業として、プロパーがやっておるわけじゃないんで、そのときそのときのやはり考え方、利益を生むと、論理的な考え方から行われる嫌いはあるんではないかというふうに思っております。
 そんなことで、日本の産業が中国に進出しましても、地域の繁栄のためにやって、ただ労務費の安い、二十分の一の中国の労務費を使って逆輸入してもうけようという考えでは、世界の日本ではなくなっていくんじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。
 アンケートもそういうことで、空洞化につきましては、基盤技術そして開発、あるいは試作品等々の技術については移転はしておりません。大企業に付いていくんですが、余り移転については考えていないと思います。
 ここに、アンケートを見ていただきますれば分かるんですが、ほとんど海外へ移転という、Qの五ですか、取引先の製造拠点の海外状況はということで、ほとんど海外へ移転、半数ぐらいが海外へ移転、一部が海外へ移転というのが五八・九%でございます。
 それに対しまして、中小企業のやはり要望に、打診されたりなんかしておりますQの七では、取引先の製造拠点の海外移転に伴って取引先から貴社の海外移転を要請されましたかということにつきましては、要請されたというのと打診されたというのが十五件で、あとは要請されないと。どっちかというと、日本の技術を持っていくんじゃなくて、単純なものは向こうで製作して利益を出そうという単純な考えが先行するんではないかなというふうに思っております。
 あと、ちょっと済みません、大田区の今後としましては、そういった技術的には基盤技術を温存しながら、そしてやはりITによって受注活動をしながら情報を入れて、より特化した技術の研さんに努めたいなというふうな考えでおります。
 大田工業連合会には青年部がございますので、若手経営者と青年部というものを活発に動かすように考えております。
 これにつきましては、なかなか資金がございませんので、特別会計として、大田工連としては二百万、昔は二百万で五・五%か六%の利息がございましたので、八万円ぐらい、手取り八万円、二〇%の税金を引かれましても八万円、それが一応活動費というような、細々とした青年部の、今後の若手経営者に対する行事として行っております。
 その下、「行政施策に対する要望」としまして、ちょっと時間を過ぎておるようでございますが、契約及び支払条件の適正化については、下請支払遅延防止法というのがございますが、そこに書いてございますのは、支払に困難な手形は切っちゃいけないということで、繊維は九十日、あるいは製造業については百二十日という制限がございます。この繊維と製造業の比較がどうなのか、平等でいいんじゃないかとか、あるいは支払手形というのは現金決済にならないものかということで、中小企業庁長官が大田区に参りましたときに私も言ったわけですが、なかなか商法を改正しなくちゃできないと、こういうことですが、日本だけが手形決済でございまして、この手形決済がこういう不景気になりますとどうしても不渡りになりまして、その間、要するに手形割引、一・七二五とか一・八二五というような金利を払って銀行から借りたものが、期日が来れば不良債権ということで、なおなおこの中小企業については大変厳しい状況にございます。
 金型工業会からもこれはしかとお願いしてあるということでございますが、政治家として、やはりこの手形決済というものを行政指導なりあるいは法律、中小企業庁長官が、ああいう規制をなくせばいいというふうに、規制を改定していただきたいなというふうに思っております。
 またもう一つは、この間、石弘光さんが事業継承についての不動産の評価ということを言っておりました。そこに何を言ったかといいますと、農業とそれから商工業とでは流動性が違う、だから事業継承の不動産価格の評価は違うのが当たり前だというようなことも書いてございました。こういうことはちょっと、我々工業者としては今の時代に納得できないということでございます。
 というのは、農耕社会から工業社会に移って今や情報化社会になりつつあるのにもかかわらず、昔の観念を捨てていない、一向に代わり映えがしないということで、例えば農林漁業金融公庫にしてみますと利息一・二%の融資金利息でございますが、工業になりますと、どうしても中小企業金融公庫あるいは商工中金等に見ますと二・三%、こういった利息の違い、こういったことも一つお考えいただけたらというふうに、ここでちょっと産業の空洞化から離れるんですが、国際競争力を強化するためにはやはりそういった点もひとつお考えいただくと。
 それから、特別保証制度で、平成十年の十月一日から五千万を貸出しいたしました。そのとき、平成十年の十月二十六日、堺屋太一さんほか、岩田中小企業長官等々、深谷さんもお見えになりました。私、そのときに、一年据置きの四年返しなんというのは、小渕さんが一両年景気の回復が掛かるということなんで、二、三年の据置きで四年返しの七年にしてくれたらどうだと言ったら、大蔵省に言っておきますと。こういう考え方では大変、中小企業としては大変厳しい経営を強いられるということでございますので、篤とお考えいただきたい。よろしく。
 ありがとうございました。
#9
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 ここで、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#10
○会長(勝木健司君) 速記を起こしてください。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後四時十分までをめどとさせていただきます。
 なお、時間が限られておりますので、質疑者お一人当たりの発言時間及び各参考人の答弁ともに、それぞれ三分程度までにおまとめいただけますようお願いいたします。質疑を希望される委員は、挙手をもってお知らせくださるようお願いいたします。また、質疑は会長の指名を待って行うようお願いいたします。
 それでは、質疑を希望される方は挙手をお願いいたします。
#11
○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。
 両先生には、今日はお忙しいところをいろいろ貴重なお話を聞かせていただきまして誠にありがとうございます。
 最初に、鶴田先生にお伺いいたしたいと思いますが、先生がおっしゃいますように、直接投資でNIES諸国等にやることによって世界経済全体が活性化するんだというのは、マクロな話としては誠におっしゃるとおりだと思うんですが、ミクロの対応をどうするかというところにいろいろフリクションが生じ得るし、今の日本経済もそのような状態に陥っているんではないかと思いますが、過去を振り返ってみますと、アメリカの対応も、今アメリカは繁栄を謳歌しておるわけでありますが、実は繊維産業とか鉄鋼産業とか自動車産業とか、日米間でも、また日欧間なりその辺でも多分に貿易摩擦というのがあって日本との関係も険悪な時期もあったと。今は、今度はアメリカとの関係ではいわゆる温暖化問題で温暖化摩擦が生じているんじゃないかと思いますが、そういう意味でアメリカの対応というのも決して褒められたものではないと。
 それから、中国の空洞化という問題がございますが、これも日本は、日本の商社が、例えばユニクロが中国で作らせているとか、食品類等についても商社が向こうへ行っていろいろ栽培法を教えて逆輸入をしているとか、そういうことで言ってみれば天につばしているような面もあるので、そういった教訓から日本が具体的にこういう摩擦に対応してうまく空洞化問題を乗り切っていくのは、高付加価値化、高技術化するというのは総論としてはおっしゃるとおりなんでございますが、具体論として、もう少し政策課題としてお知恵がありましたら聞かせていただきたいという点でございます。
 それから、小倉参考人にお伺いしたいんでございますが、今、大田区の実情をいろいろお聞かせいただいて、正に大変厳しい中でいろいろ御努力をしておられると思うんですが、一つお伺いしたいのは、工場の数が随分減っておるということなんですが、これはいわゆる業種転換のようなことをやって、ほか工場跡地の転換とかそういう意味でも、人間の転換という意味でもなんですが、業種転換のようなことをやっておられるのか、それとももう解散をしてしまって人はどこかに散らばってしまったのか、どういう事例が多いのか、その辺の実態を少しお聞かせいただければと。
 この工場の減少傾向というのは、本来は止めたいところなんでございましょうけれども、今後ともある程度やむを得ないと考えておられるのか、減少傾向を止めるために何かお知恵があるのかどうか。
 それからもう一つは、先ほど金融の問題をいろいろおっしゃいまして、御説のとおりだと思いますけれども、今いわゆる中小金融機関等の貸し渋りなり、そういう融資条件の実態がどんな感じになっておるのか、信用保証協会の保証というようなのも少しずつは充実しておるんだと思いますが、使い勝手がいいものになっているのかどうか、その辺の金融問題の実態について少しお聞かせいただければ有り難いと思います。
 以上でございます。
#12
○参考人(鶴田俊正君) 大変難しい宿題を与えられたような印象がございますけれども、端的に申し上げますと、日本の国内の中で産業構造がスムーズに転換できるような状態を作ることが大事だと思うんですね。
 アメリカにつきましても、先生おっしゃるように、繊維、鉄鋼等々古い産業が中心の時代から、やっぱりITを中心としてかなり九〇年代に経済が活性化いたしました。これは産業構造がスムーズに転換できた結果だと思いますし、またオールドエコノミーでもITの技術を使って生産性を上げる努力をされたわけですね。そういう意味では、アメリカから我々が学ぶべきことは構造転換をスムーズに行うための政策を行うことじゃないかというふうに思うわけであります。
 そのポイントは、やはり個々の企業の競争力を強化することにあります。そのためにまず我々が考えなければいけないことは、日本の構造転換を妨げている要因は何だろうかというふうに考えますと、私が専門としている分野でいえば、非常に多くの規制がまだ残っているということだと思いますね。
 かつてはGNPの約四割ぐらいが規制でございました。この十年間でかなり規制緩和が進み、経済のダイナミズムが取り戻せたところもないわけじゃございませんけれども、今やはり中心的に考えなければならないのは、例えばIT関連分野とか、あるいは高コスト構造の源になっている電気事業の規制を見直してコストを安くエネルギーが調達できるような仕組みを作ることとか、また生活者という観点から見れば、ガス市場もやはり自由化をして、そして安い料金で消費者が都市ガスを買えるとか、そういう規制を見直すことによって生産者を活性化させたり消費者の負担を軽減する措置というのは幾らでもあると思うんですね。
 特に、すべての公益事業に共通しているのが従来の垂直構造から水平構造に転換させるための努力であります。例えば、NTTに関連した分野でいえば、光ファイバーがかなりこれから中心的な技術になると思うんですが、ここのところはかなり多くの企業が共通して使う社会的なインフラであります。その他のコンテンツ等々を含めると自由に競争できる分野であります。あるいは電力でいえば、送電線を中心とした託送部分は独占部門でありますけれども、その他のところは競争を活発にすることができるところですね。
 そういう意味では、私が今念頭にありますのは、日本経済の持っている垂直構造というものを、規制を見直すことによって水平構造に変えて、自由な競争のフィールドを作り出していくことじゃないだろうか、それがある意味では、産業構造の転換を促進し、そして企業の活力を戻す非常に大きな政策手段になるはずだというふうに思います。また、そのことが海外からの対内直接投資を促進させて、そして日本経済に対して海外の優れた経営資源を呼び込んで、経済を活性化させていくということにつながっていくんじゃないかなというふうに私は認識しております。
#13
○参考人(小倉康弘君) 工場数の減っているというのは、一九八三年九千百九十から一九九〇年バブルまでというところは工場拡張と、それから三十九年公害防止条例あるいは四十二年の公害対策基本法、四十四年の東京都の公害防止条例等々によりまして工場移転というのが始まりました。
 それは山形、秋田、福島というところが誘致しておりまして、そちらの方に行ったということと、それから少し埋立地を、昭和三十九年から海側に埋立地をやりまして、ここに、お手元にお配りした京浜島とか城南島とか昭和島というところに移動したのもございます。それは、数的には減らないと思いますけれども。あとは、戦後、団塊の世代という方たちのときに、やはり大企業志向、それから三Kの問題等々で、後継者不足ということで閉鎖する企業がございます。そういったことで企業が減っておりますし、最近では倒産ということで、先ほど言った金型の四百社などはもう一割は仕事はまるっきりないというようなことで、お互いに融通し合うという生き延び方をしております。そんなところで、後継者問題とそれから公害基本法、公害防止条例等々の規制がございましたので、工場移転ということもございました。
 それから、金融問題につきましては、今、合併がここでやられておりましたので、そういう点で、二社あるいは三行が合併しますと、それぞれ支店長どこへ飛ぶか分かりませんし、自分の存続が危ぶまれるというようなこともございますので、なかなか貸し渋りということになって、責任を取らされることで、やはりそういうことを言っております。ですから、貸し渋りというのはそういう点からもあると思いますし、景気がこういうふうに低迷しておりますので、やはり確たる保証がないところには貸さないと。そして、植草さん言っているように、要するに資産価値が八三%落ちておりますので、担保能力が全くないというところも続出しております。それで、例えば手形割引にしましても、一部上場企業でも百五十六日という手形を発行しております。これは銀行は手形割引はしてくれません。そういうところから、資金繰りはなお厳しいと。
 先ほど手形の問題を、現金決済にしてくれたらどうかというようなことと相まって、大変資金繰りには厳しいと。銀行はそういうことで貸し渋り、担保能力がございませんのでね。平沼さんなんか言っていました、企業の事業内容を審査した上で貸せと言いますけれども、その事業内容を審査するようなのがいるのかいないのかということも私たちとしては見ておりますけれども、なかなか簡単には貸してくれません。
 それから、銀行によりまして、手形の割引をしてくれる手形の枠を決めております。業者を、企業名を限定しまして手形を割っているというような状況にございます。
#14
○内藤正光君 民主党の内藤正光でございます。本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。
 まず、鶴田先生にお尋ねをしたいと思います。
 先ほど鶴田先生の陳述の後、小倉会長からいろいろな大田区の現状についてお伺いしたわけなんですが、私自身の考え方としては、やはり物づくり技術というのは日本経済にこの数十年間多くの貢献を果たしてきたと思いますし、またこれからITの時代だと言われながらも、物づくり技術が日本経済に果たす役割はかなりの大きさを保っていくんだろうと思います。
 そこで、鶴田先生に、物づくりに対するちょっと御認識、お考えをお尋ねしたいんですが、物づくり技術というのは、やはり産業構造の転換の中でどんどんどんどんその重要性は薄れていき、場合によっては海外に移転していっても致し方ないものと考えるのか、あるいは、いやいや大事だと、守っていかなきゃいけないとお考えなのか、お尋ねをします。そしてまた、もし守っていかなければならないというのであれば、行政としてどういう支援が必要なのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
 そして、次に小倉会長にお尋ねしたいと思いますが、最後、五番目の行政に対する要望ということで、契約だとかあるいはまたお金に関すること、いろいろお話しいただきました。これちょっと離れて、私、最近、中小企業、町工場の力が弱くなってきたのは、集積というものがだんだん壊れてきた、一ところに集まるというこの集積が壊れてきたという話もちょっと聞いております。それはなぜかというと、例えば、変な区画、土地に関する行政、規制なんでしょうか、ここは例えばもう工場は造っちゃいけないとか、そういうような中途半端な、何というんですか、政策ゆえにどんどんどんどん工場がなくなっていったとか、何かそういうような話も、それによって集積というものが崩れてきた。これが全体として日本の物づくり技術を弱体化させているんじゃないかという話も聞いているんですが、こんなような話も含めて、今こういった中小企業が抱える問題、どういう問題があるのか。これが行政が関与すべきかどうかは別として、中小企業が抱える問題、ありていにちょっと語っていただければと思います。
 以上です。
#15
○参考人(鶴田俊正君) ありがとうございます。
 先生がおっしゃるように、私は物づくりというのは物すごく大事だと思っております。実は、私は経済学者ですけれども、物づくりに物すごく関心を持って、今までも企業の現場を随分歩きました。
 二、三年前になりますけれども、当時の通産省が旗振りいたしまして、正式な名前は忘れましたけれども、物づくりのための委員会を作ったことがあります。これは大田区のある会館でやって、現地の中小企業の方々、関東地方の、東京周辺の中小企業の方々も含めた、どのようにして日本の物づくりの伝統技術を継承させていったらいいんだろうか、あるいは発展させたらいいんだろうかと、こういう考え方から委員会を作り、具体的なディスカッションをしたことがあります。
 私は、物づくり、特にIT時代になっても、伝統的な技能とそれから近代的な技術をいかに接合して、それを後世に伝えていくかということがすごく大事だというふうに認識している一人であります。ただそれを守れというんじゃなくて、どうやって力強いものにしていくかということが重要であって、特にその場合のポイントは人間だと思うんですよね。人間です。残念ながら、今の学校教育の中で物づくりに対する正確な知識をどれほど与えているだろうかということでありましょう。
 例えば、ここに先生方大勢おられますけれども、先生方、缶ビールを召し上がることがあると思うんですが、あの缶ビールの、アルミで作ってありますけれども、簡単に要するに取って、そして飲めるようでなければいけません。ところが、余り簡単に取れると、中からビールが、発泡酒ですから、噴き出てしまうわけですね。あの金型の技術というのは物すごいものが僕はあると認識しているんです。つまり、簡単に取れるようで、したがって中からビールが噴き出さないような、そういうことは、青少年は缶ビール、子供たちはビール飲むわけございませんけれども、大人でもそこまで認識して缶ビールを召し上がっているかどうか。ましてや、子供にとって、子供たちが物はどうやって作られるんだろうかということをふだん余り考えることもなく大人になっていっているんだろうと思うんですね。
 先ほど話した物づくりの何委員会だか、ちょっと正式な名称は忘れちゃったんですけれども、そこのプログラムの一つとして中小企業の現場に小学校の子供を親御さんと一緒に連れていって、そこで物づくりの現場を見させたことがあるんですよ。そういう小さいときから物づくりの、ああ、こういうふうにして物を作るんだという知識を与えることが、日本の社会の中で物づくりというものを正確に位置付ける上で必要だなというふうに思うわけであります。
 あるいは、高等専門学校でしょうか、そういう技能、技術を教える高等学校がございますけれども、その先生方は日本の経済社会の中で物づくりがいかに大事かという認識を必ずしも正確に持っていないケースがあると思うんですよね。その卒業生に対して、いや、こういう中小企業に就職するよりはもっとサービス産業に就職した方が君、楽だよというようなことを教育、指導するケースだってあり得るんですね。現にあるわけです。
 ですから、私たちは、小さな子供から大学生に至るまで、物づくりに対する正確な知識、認識を埋め込むことが私は物すごく大事だと思うんですよね。そういう努力を私たちは国を挙げてすべきだというふうに思います。特に、日本経済というのは原材料のない国であります。御存じのとおりであります。要するに、日本経済成り立っているのは人間の知識、技能であります。
 したがって、それを、サービスとか経済も物すごく重要でございますけれども、やはり経済が成り立っている根幹は物づくりですから、そこにいかに有能な人間を振り向けていくかということに私は最大の政策的な課題があるんだなというふうに思いました。これ短期の視点じゃありません。中長期の視点からそこに取り組まなければいけない。一見、空洞化という問題と教育というのは離れているようですけれども、実は私が感じているのはその教育の問題なんです。
#16
○内藤正光君 ありがとうございます。
#17
○参考人(小倉康弘君) 先ほど中島委員に言われました、業種転換しているか、そういうものがあるかというお話、ちょっと御説明しなかったんですが、業種転換ってなかなか、この金属機械加工においては、フライスからミーリングに変わるとか、プレスに、板金になるとかというのは、ちょっと業種を転換するというのは大変難しいことでございまして、機械金属加工から部品加工から製品組立てまでを一貫してやるというようなことはございます。そんなところで御了承いただきたいと思うんですが。
 無資源国日本でございますので大変、製造、物づくりというのはしなければ日本経済支えていけないということで、まず物づくりというのは絶対にと、こういうふうに私は思っております。
 そこで、大田区というのは元々職住、家族的、先ほど一人から三人ぐらいの企業が約半数以上、四六%とかいうふうに申し上げました。ということで、おやじさんと奥さんと子供ということで、子供が継いでくれればよろしいんですが、夫婦ということで、その職人かたぎといいますか技能、こういったものを温存して続けていく以外に生きる道は中小企業、零細企業にはないものですから、技術、技能、これの研さんを続けていくということがまず言われます。
 それで、集積されたというのは、大田区にそういった六千近いのがありまして、やはり先ほど、紙飛行機を飛ばせば一か所じゃなくてぐるぐる回って製品ができてくるというようなチームワークといいますか、そういったものが現在も残っております。ただ、くしの歯がこぼれたようにやはり工場が閉鎖されるとかいうのがございます。そういうところは、先ほど、技術的にだれかが、ほかの方が継いでいくということもやっておりますので、基本的技術の連係というのは大田区ではいまだに行われていると思います。
 この間、国際交流機関から私のところに参りました。中国でできないので大田区で作ってくれというのは何かというと、腸の洗浄機ということでございました。中国だと駄目なんで、日本で、大田区で作ってくれないかと。これは中国に七千の診療所があるそうで、そこにみんな売れるんだという宣伝でございました。それを今、大田区としては検討しております。
 ですから、技術は残っておりますし、また物づくりは残したいと。私たちの会では物づくりの会議をやっておりまして、インターンシップ、学生に夏休み三日から一週間ぐらい、各企業が一応無報酬で、企業の中でいろいろと見たり試したりしてもらうということもやっております。
 それから、私、シルバー人材センターの方も関係しておりますので、シルバー人材センターでは、子供に対して物づくりというものを指導してやっております。
 そんなことで、物づくりから離れないように、そして親がどうもホワイトカラーばっかり向かって子供を育成してきた、これの結果がこういうことで後継者がいないということですが、今、リストラされて行くところないから親の後を継ぐというのもちらほらと出ております。
 そんなことで、何とか大田区工業としては物づくりの継続をしたいと。世界の部品工場としてでもいいと思っております。量産品については二十分の一の中国がやっても、やはりその主体となる部品についてはどうしても手放さないと。
 ただ、ここで、先ほど申し上げましたように、金型を作ってその上に図面を出せと、その図面を持って海外に行く企業があるわけですが、これらについて、その図面について、何とか政府としてなんという声も、要望もございます。しかし、政府にこれを望んでも無理なんで、その図面について、何百万という値段を付けて買ってもらう以外ないんじゃないかと。特許があれば、ロイヤルティー幾らということで売れた数量だけもらえるわけですから、そういった図面について、中国、台湾で作るならば、その前にその図面を高く売ると、適正なる価格、高くというよりも価格で買い上げてもらうということも考えたらどうかということを言っております。
 そんなんでよろしゅうございますか。
#18
○内藤正光君 はい。
#19
○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康でございます。本日は御両名の先生方、大変ありがとうございます。
 まず、鶴田先生にお伺いいたします。
 鶴田先生は、エコノミストに寄せられた論考の中で、国際分業型産業構造の時代には、産業の知識化と知識の産業化とが国際的な広がりの中で実現していくことが求められていると述べられております。また、人間の知識をいかに産業化に活用するか、中高年齢層が持つ知恵をいかに企業成長に活用するかが今後の日本経済が活力を維持できるか否かのポイントであると述べられております。
 私は、現実には、中高年齢層は新しい知識や技術になかなか付いていけないなどのため、しばしばリストラの対象になりやすいのではないかというふうに考えます。先生の言われるような、中高年齢層が持つ知恵を、企業成長に活用する知恵をお教えいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
 それから、小倉先生には、日本の企業は今、内外の競争にさらされているわけでありますが、小倉参考人は、実践的なお立場から、日本の産業が国際競争に打ちかって生き延びていくためには、今一番何が必要なことだとお考えか。また、そのためには政府はどのような施策をすればよいとお考えになっていらっしゃるか、お教えいただきたいと思います。
 以上です。
#20
○参考人(鶴田俊正君) 私の古いペーパーをお読みいただきまして、本当にありがとうございました。
 やはり、経済が発展する原動力というのは、私は人間の知識だというふうに思っております。技術進歩が経済発展の原動力だということはよく言われますが、技術を生み出すのは人間であります。そういう意味で、産業革命以来、経済社会を発展させた原動力は人間の知識であります。知識の産業化というのは、その知識を使っていかに産業発展を促進するかという側面に着目したものでありますし、また産業の知識化というのは、そういう知識を専門的に、知識を使った専門企業が出現することを言っているわけであります。
 例えば、コンピューターのソフトを開発するのは全くの知識産業でございますから、経済が発展することによってそういう産業が自立してくると。その知識を使った産業化のダイナミズムというものを知識の産業化と、産業の知識化というふうに使ったわけであります。
 ただ、知識といっても非常に層が厚いと思うんですね。多様な広がりを持っている。特に先端技術に関しては、大学で基礎的な学問を終え、そして専門家の道を歩んで、ノーベル賞クラスの最先端の科学技術を生み出す。このことから、あるいは経済社会の底辺と言っては語弊がございますけれども、それぞれの現場の中で技術の進歩に貢献するような、そういう技能なり知識も存在していると思うんです。そういう意味では、産業化に役立つ知識というのは非常に重層的かつ多様な広がりを持っているんだと思うんですね。
 したがいまして、経済社会を発展させるためには、この重層的な社会が持っている知識の体系なりをどのようにうまく活用するかということが重要だと思うんです。往々にして先端技術のところに注目いたしますけれども、やはり大田区の場合でもそうだと思いますけれども、もっと基礎的な部分ではそういう伝統技能というものが極めて重要な役割を担っているんだと思うんですね。技能という点から言うならば、年齢を刻んだからその技能の質が落ちるということは、ないわけじゃございませんけれども、やはり年齢を刻むことによって技能がますます研さんされるということは十分あり得るだろうというふうに私は思うんですね。
 私は、かつていろんな自動車部品工業の現場を随分歩きましたけれども、年輩者の方が工場のところでやすりをすりながら本当に精度を出している現場がございました。企業では、この方は神様なんですよというふうに位置付けて、非常に大事にされていたケースがあります。
 やはり日本社会の中でも、そういうふうに年輪を刻んでも優れた技能を持っている方が非常に多いと思いますから、そういう方に雇用機会が開かれるような社会でなければいけないんだと。定年が幾々つだからもうそこで終わりというんじゃなくて、やはりそういう働く意欲があり、働く能力があって、しかも物づくりの基礎を伝えられるような方々には雇用機会を開いていくというようなことが私は必要なんじゃないかなと。それがある意味で日本の社会のダイナミズムの基礎を形づくっていくんじゃないかというふうに私は思っております。
 非常に抽象的でございますけれども、私自身の経済社会観というのはそういうものでございます。
#21
○参考人(小倉康弘君) お話の日本企業の今後の行き方といたしましては、我々としては、今までアメリカの、先進国の技術に追い付き追い越せということで追い付いてまいりまして、今度中国が、発展途上国といいますか、同じようなことでございますので、ある程度の産業の移転はやむを得ないと。しかし、追い付き追い越せとした日本の技術、技能、これは中国にはまねできないんではないかというふうに思っておりますので、物づくりには将来とも希望を持っております。
 この間中国に、私、ちょっとお話をしたんですが、百個の良品を送ってくれと言いましたら、百五十個送るから選んでくれということでございました。これを見ましても、やはり中国の方は量産物で、機械を入れて、それでやれと言えば二十分の一の賃金でできるということは言えますけれども、技術、技能についての比較はまだまだ追い付いてはいないのではないかというふうに思っております。
 そういう点で、技術はますます後継者に磨いてもらって、日本の物づくりというものはなくさないようにしていきたいなというふうに考えています。
 そこで、最近、産官学と言っております。かつては私のところも、学校にいろいろ共同研究をしてくれと言いますと、まず金が先でございます。何百万出してくれということでございますが、その辺のところを、今、官大、公立大学、この辺のところの考え方はどうなのかというふうに私は思っています。言葉では産官学、産官学と平沼さん辺りも言っております。しかし、果たして現実にどう考えているのかというふうに考えております。私などは、成果報酬という形でパテントがあって、それが企業化するまでの間は金を取らないと。しかし、パテント料と同じように、成果が出たときに成果報酬として吸い上げたらいいじゃないかというふうに思っておるんですが、その辺のところは政治の方としてはどうお考えなのか。
 この間もベンチャー企業と言いまして、二月十七日、平沼さん、テレビで十八万のベンチャー企業の意欲があると。全国で調べれば四十万人ぐらいはベンチャー企業、意欲を持っているのが四十万社立てれば、一社五人ずつやっても二百万の雇用ができると。三百五十七万人、三百五十二万人という失業者の大半は吸収できるなんということを言っておりますが、果たしてその対策やいかにというふうに私は大変憤りを感じておるんですが。
 そういったことで、中小企業としては技術を存続する以外に生きる道はないんです。そういうことで、物づくりに対しては後継者あるいは子供に対してもいろいろと手だてをしております。
 以上です。
#22
○辻泰弘君 民主党・新緑風会の辻泰弘でございます。
 まず、鶴田先生にお伺いしたいと思います。
 確かに先生がおっしゃるように、日本が海外直接投資をして、そこの、現地の生産、雇用に貢献し、また日本にも直接投資が来て、いろいろ国際的な分業が進んでいくということでうまく流れれば、それは双方にとっていい形だと思うんですけれども、この先生の論文にもあるように、現実には日本への直接投資はそんなに来ていないと。そして、かつ日本からはかなり行っていて、その結果として、日本には百円ショップのようなことを象徴的に、消費者から見れば非常にハッピーなことでありますけれども、そういうことがはんらんしている中で現実に町工場がつぶれているという現状がある。すなわち、日本から物づくりというものがかなり廃れていっているという現状になっていると。そして、現実に身の回りのものを作らない国に日本がなりつつあるのではないかと、このように私は大変懸念しているところでございます。
 その意味で、理想としてはいいことではあるんですが、本当に今の状況が継続していくことが日本の経済全体にとっていいことなのかということで、私は、率直なところ答えが出ないんですけれども、疑問に思っているところでございまして、その点について先生のお考えを教えていただきたいということが一つ。
 それから、その流れの中でもありますが、日本はこれから一体何を作る国になるのかと。先生の御指摘のように、一般論としては高技術、高品質、高生産性、高付加価値というふうに言われるわけですけれども、じゃ、一体本当に何を作って何を売っていくのかと。結局、日本は身の回りのものはほかの国に任せて、机の上で作るものといいますか、そういうものを、身の回りのものではないものを作っていくということになるんでしょうか。その辺をちょっとイメージとして教えていただきたいということが一つ。
 それから、先生の御指摘のあれは、直接投資を増加させるため促進が必要だとおっしゃっているわけですが、そのために何をなすべきかということ。この三点を教えていただきたいと思います。
 それから、小倉会長に対しましては、当然、経済産業の発展ということから見ますと、技術の継承ということがおっしゃっているとおり大事なことで、特化した技術の研さんに努めているんだという御指摘があったわけですが、さっき、リストラされた息子が継承しているというお話をされておりましたけれども、技術の継承というものが、すなわち若い人が採用されるということがスムーズにいっているのかどうか。そのことについて教えていただきたい。
 それからもう一つ、鶴田先生と同じですけれども、日本は何を作っていく国になるのか。大田工業会ではもちろんその中でやっていらっしゃることを発展させることになると思うんですが、よりちょっと次元を変えて、日本は何を売る国になるのか、作っていく国になるのかと。このことについてお考えがありましたら教えていただきたいと思います。
#23
○参考人(鶴田俊正君) ありがとうございます。
 今、先生が三つのことをお尋ねいただきましたけれども、それぞれ答えますと若干、三分を超えるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。なるべく短くお話ししたいと思います。
 まず、今の状況の継続は望ましくない、私もそう思います。というのは、この十年間、日本経済は全く死んだような状態であって、日本経済の活力が生かされていないと思っています。日本の底力というのはこんなものじゃなくて、やはり現在でも貿易収支で見れば十兆円ぐらいの黒字を出している国なんですね。そういう意味では、やっぱり世界の中で比較優位がかなりきっちり確立している国であります。にもかかわらず、日本の潜在的能力が全く生かされていない。
 したがって、九〇年代以降、経済が落ち込むと、また多少良くなると落ち込み、良くなると落ち込む、こういうことを繰り返していて、多分、九〇年代前半の生産性上昇率を見ると多分一%以下、〇・幾らというふうになるんじゃないかと思います。それは、ある意味ではアメリカの一九七〇年代から八〇年代の経済停滞と非常に似通った状態だろうというふうに思います。
 したがって、日本の経済の潜在成長力を高めるための経済政策が必要なんでございますけれども、私、小泉首相が掲げる構造改革ということに対して、新聞の論壇等々で筆を振るっているということもございますけれども、評価する反面、反面やはり疑問を持っているところがあります。というのは、日本経済の活力を高めるための構造改革は何かということをあの方は御存じないというふうに私は思っているんです。構造改革ということを言いますけれども、本当は何が必要なのかということをあの方はお分かりになっていないなと。もちろん、郵政の民営化とかいうことについて私は重要だと思っています、財政の構造改革も必要だと思っています。だけれども、本当の構造改革は何かということはあの総理大臣の口からは聞いたことがないと思います。私は、一言で言えば、日本の生産性をいかにして高めるかということですよ。じゃ、高めるための方策はどういうことがあるんだろうかということを一つ一つおっしゃっていない。そういう意味で、やはり経済学に関して、経済に対しては疎いお方だなというふうに私は思っております。
 でありますから、私は今の状況がいいと思っておりませんし、今の状況は日本の対外直接投資の結果起こっているんじゃなくて、日本の国内における潜在能力を生かすための政策が行われていないということが大問題だというふうに思います。
 したがって、私は先生と全く同じ認識であって、現状では駄目だというふうに思います。したがって、一刻も早く日本の経済の全体の生産性を高めるための政策を体系立って展開してほしいというふうに思うところがまず第一点であります。
 じゃ、日本は何を作る国になったらいいのか。やはり日本の直接投資だけじゃなくて、アメリカなりヨーロッパ、国々の貢献もあってアジアが急速に産業化しつつあります。私は、簡単に大量に作れるものはこれから日本が、日本はアジアの国々に太刀打ちできないなと思っております。
 ただ、大量生産商品でも、自動車のようにすそ野の広い、特に二万点ぐらい部品があって、関連産業と密接な関連がありますし、自動車というのは私は精密技術だと思うんですね。要するに、ミクロン単位の精度を要求する産業であります。こういう産業は東アジアでそう簡単には作れないと思うんですね。でありますから、私は、自動車産業は大量生産商品ですけれども、かなり日本が、あるいはアメリカが比較的長期にわたって比較優位を確立していける産業の一つだというふうに思っております。
 また、ITの先端部門についても日本はこれから比較優位をますます強めると思いますけれども、もっともっと言えば、今日ここに小倉さんいらっしゃいますけれども、大田区のような伝統的産業を基礎としたいわゆる機械工業の例えば投資財とか資本財、そういう分野というのは一品生産の分野であります。こういうところというのは非常に高度の技術なり技能を必要とするものでありますから、こういうところが私は日本の物づくりの根幹を形づくっていくなという気がするんです。こういうところがきっちりしていれば、自動車のようなすそ野の広い産業が競争力を失うということはまずないというふうに思うんですね。
 アメリカの自動車産業というのは前世紀初頭に形成されて約一世紀の歴史があります。ドイツにしても例のベンツ等々ができてから一世紀以上の歴史があるわけですね。こういう国々は、いろんな国の産業化が進展してもやっぱり強靭な産業としてその国に残り、発展し続けているわけですよ。
 ですから、日本が物づくりという抽象的なレベルじゃなくて、産業でいえば自動車のようなこういう総合的産業、しかも基礎では超精密技術を必要とするような産業、そういうものを私はこれから日本社会の中核に据えていくべきだなというふうに思っております。
 ただ、おっしゃるように、身の回りのものは作らなくなる、これは事実だと思います。これは、産業構造が転換する過程で簡単な技術のものはどんどん周辺の国に資源が移転していくのはやむを得ないことであって、例えば先生がまだお生まれになった直後かもしれませんけれども、昭和三十年代の日本経済では、クリスマス電球を作ってアメリカに輸出してドルを稼いでいた時代があります。今、クリスマス電球というのは日本じゃなくて周辺の国でもなかなか作らなくなっているわけですね。クリスマス電球というのは私たちの身近なものです。身近なものであっても簡単なものはやはり発展途上国の方へ生産拠点を移していくというふうになっていくと思うんですね。
 ただ私は、救いなのは、先ほど小倉さん、会長がおっしゃいましたけれども、開発技術は移転していないんだというふうにおっしゃっていましたけれども、その開発技術というものをやはり超精密加工につながるような、そういう機械加工技術の分野だというふうに私は認識しておりますし、これはやはり日本の経済の、日本の産業社会の土台になるだろうと思います。
 それから三番目に、対内直接投資を促進するのに何が必要かと。
 例えば、自動車でいえば、御存じのように、日産自動車ではゴーンさんが今社長であります。ルノーが資本の三分の一ぐらいを投入しています。これも対内直接投資ですね。それから、三菱もベンツと提携しています。それから、マツダもやはり海外の資本が入っているわけですね。こういう分野でなぜ資本が入ったんだろう。一九六〇年代は、例えば三菱自動車とクライスラーが資本提携することに対して通産省は目くじら立ててそれはまかりならぬというふうな政策を打ち立てたわけですね。それほどやはり日本の中で海外の企業の経営者が日本に乗り込んでくる形というのは非常に否定的でありました。これは、資本自由化の議論が一九六〇年代後半にあって、大変皆様方にとっては申し訳ないことを申し上げるんですけれども、当時は自民党から野党に至るまですべてが資本の自由化に対して反対した歴史があります。そういうふうに国内で政策が閉鎖的であって、また国民の海外資本を見る目が偏っていた場合には海外から入ってこない。
 しかし、自動車産業について言えば、そういう海外の企業から資本を受け入れる自由な風土が現在はでき上がっている。それによって海外から優れた経営者が日本に来て、日本の企業の再生に取り組んでいるわけですね。あるいは流通でもそうです。世界最大の流通企業が西友と資本提携するなんということは、前は考えられなかった時代でございますけれども、今や流通の分野でもそういうのが入ってくる。そういうふうにやはり自由な風土を作ることが海外の企業が日本で自由に仕事ができることでございます。
 したがって、先ほど私は規制を見直せというふうに申し上げたのも、日本の社会の中にある広い、幅広く存在している規制を見直すことによって海外の企業が自由にこの日本の社会の中でビジネスを展開できるような風土を作らなければいけないというふうに思うわけであります。
 ただ、その場合でも、やはり日本的なもの、日本の文化が日本の取引慣行を支えている面があります。例えば、アメリカでは企業と企業との取引は文書契約が主であります。日本では諾成契約でありまして、諾成契約というのはお互いに了解することによってそこで契約が成立したという観念であります。つまり、これは日本とアメリカの文化がその取引の根底を支えているわけでございまして、そういう日本の持っている文化というものが海外企業に閉じた構造の一つの原因になっている面もないではない。したがって、それをどこまでマーケットを開くために文化をグローバリゼーションしていくのか、あるいは日本の伝統的な文化をどこまで維持していくのか、これは非常に難しい選択の問題だなというふうに思っております。
 若干長くなって申し訳ありませんでした。
#24
○参考人(小倉康弘君) 大変三分というのは厳しゅうございまして、ちょっと延びるかもしれません。
 何を作るかということになりますと、工業人としましては、より精度の高い製品に転化していく以外にないというふうに思っております。
 日本も戦後非常に物のないときから今は大変豊かな環境に置かれて、何でも手に届く、そしていいものが買える。ただ、個人消費が増えないのは、やはり満たされておりますので、やはり消費が減っているんではないかなというふうに思っております。
 それが、中国の人口は十二億とも十四億とも言われております。その市場というところに打ち出していく、日本の産業として決して悪いことではないんですが、それによって価格破壊をするということが非常に厳しくて、日本の技術、技能の温存ができないで倒産していかざるを得ないというところが一つ問題だと思っております。
 やはり無資源国の日本でございますので、資源のある国との価格競争には到底労務費も、それから資源、前に佐藤信二さんが言っておりました、日本の電気料金高い、外国より二割高いと、それなら資源はどこから持ってくるんだというふうに私は言いたいわけです。その後、佐藤信二さん、新聞で出ておりましたが、料金のことを言うとおかしくなるというふうに新聞で反省をしておりました。
 それが今の電力の自由化ということで、エンロンの倒産とそれからジャパン・パワーの問題といろいろと出てまいりまして、日本の東北電力と東京電力との入札というような他の地域に行ってやっているようなこと、これが一つ日本の今後の在り方としては余り良くないんではないかというふうに思います。
 これが政治家の国家戦略といいますか、前に深谷さんが平成十年にお見えになったとき、私は新潟巻町の原子力問題、これで巻町の住民投票によってそれを中止するなんというのは国家戦略としておかしいんじゃないかと。要するに、日本のエネルギーは何によって行われているんだ、産業エネルギーを確保する、政治家の姿勢というのは何なのかということを質問いたしました。
 そういうことで、やはり日本の産業のエネルギーをどうやっていくか、それが石油が地球環境上問題だと、そしてやはり水力も限界があって、風力といっても、この間私のところで議員さんが私と言い合ったんですが、風力発電所を日本に建てたらいいと言うんですね、風力。三百キロワットあるいは五百キロワットと性能が大きくなったといっても、原子力百十万キロに対しましてそんなの何本建てるか、三千七百七十本だと。あるいは五百やったって二千二百本日本のどこに建てるんだと。そういう根本的な政治家の考え方というのを私はちょっと指摘したんですが、そういうエネルギーの問題とか資源の問題、これが日本の製品の価格をいやが応でも競争価格に対抗できないということは一つ言えると思うんです。
 その辺のところの無資源国日本が何で立っていくかというと、私は部品加工、これでも大変厳しいといっても、やはりそれが技術と技能ということによっていかにコストダウンするかというところにきゅうきゅうとして日本の産業人はいるわけでございますので、それも一つ御理解いただきたいと思います。
 そういうことで、日本の産業は、どうしても産業で立国しなければならないので、農業が今、農業立国と言われた時代から今工業立国になっているんですが、私、この間も言ったんですが、食糧の自給率四〇%であと六〇%はどうするんだと、みんな購入するんじゃないか、それは産業で稼いだ金で購入しているんだと。日本の農業補助金というのは何兆円とある。中小企業の補助金というのは千九百億、この間増えて二千二百五十一億円ですか、とか出ておりました。こんな比較をしますと、農業社会が今補助金で潤っているなんというのはもってのほかだと、こういうふうに思うんです。地方議員の方が多いわけですから、私のような神田生まれですととても腹が立ってどうしようもないわけでございまして。
 そういったことで、私、第二次大戦、昭和十二年のシナ事変後、十六年の大東亜戦争のころは諸外国の経済封鎖によって日本は突入せざるを得なかったとする、経済封鎖というのは食糧も資源もと、こういうふうになっております。
 今、日本のそういったエネルギーの問題ということをもう少しお考えいただければ、この産業についてのコストダウンで世界の製品の競争力というものは、やはり高度な製品、要するに質の高い製品を作っていくに特化していけば何とかなるんじゃないかというふうに思っております。
 以上です。
#25
○辻泰弘君 技術継承のための人材の確保の部分、お教えいただけますか。
#26
○参考人(小倉康弘君) 後継者でございますか。私は、今青年部を立ち上げて、後継者を作るということで、後継者、若手経営者がチームワークを作っております。
 ただ、この経営者というのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、団塊の世代、戦後生まれた人たちがやはり荒廃の中から自分の食いぶちだけを一生懸命稼いで子供の面倒を見なかった。かぎっ子という話もその時代はございました。過保護的に育てておりますし、また就職について私もちょっと十一年ばかり非常勤をやりまして、生徒といろいろと話したんですが、やはりお母さんが就職の相談に、学校にお母さんが来るわけですね。そうすると、お母さんは大企業、大企業ですよ。中小企業なんてきつい、汚いようなところには行かせないという時代がございました。そういう人たちが今育っているわけですから、到底きつい、汚いという三Kのところには行かないわけです。ですから、これからの人といいますと、やはり親が日本人としてどうあるべきかというのを一人一人が考えて子供を育てる必要があると。
 学校五日制なんといって、遊ばせているのか教育するのか、日教組の先生が休みたいのか、それはよく分かりませんけれども。何といいましても、政治家というのは休暇、休暇を与える、また小泉さん連休を作ろうと。これやりますと、中小企業なんというのは全く賃金の、実質賃金アップですから、こういうことはなかなか考えていただけないなんというのは、どうも雲の上の人たちだなというふうに思っております。
 そんなことで、後継者というのは、今我々が一生懸命やっていても、やはり学校教育じゃなくて家庭教育がしっかりしてくれないと困ると、こういうふうに思っております。
 以上です。
#27
○辻泰弘君 ありがとうございました。
#28
○榛葉賀津也君 両参考人、本当にありがとうございます。昭和四十年代生まれのような私が大先輩の両参考人に質問できると、本当に光栄に思っております。
 実は私のおやじは昭和十四年生まれでございまして、一昨年に他界をいたしました。私の選挙の真っ最中だったんですけれども、私はずっとおやじを恨んでいまして、厳しいだけのおやじでございました。ところが、おやじがあの世に行って、最近本当にいいおやじだったなと思うことが多々あります。
 そのうちの一つが、私を五歳のときから牛乳配達をやらせまして、私はやらされた方ですけれども、八年間毎日毎日牛乳配達をやらされました。そのおかげで、給料とも言えないような小さな額の給料なんですけれども、それをずっと八年間ためておいてくれて、そのおかげでアメリカの大学で学ぶことができました。
 ところが、私の徳がないものですから、アメリカに行ったときは双子赤字と言われるアメリカの景気が最悪のときでございまして、ジャパンバッシングの真っ最中でございました。そのアメリカで五年間生活をいたしまして、その後中東に行ったんですけれども、行った中東では今度は湾岸戦争が起こりまして、最悪の状況の中近東で三年間生活をし、やっと帰ってきた日本ではバブルが崩壊しておりまして、全くいいことがなく今日まで実は来たというのは冗談ですけれども、そのような中を今日まで来ているんです。
 日本へ帰りまして、私、観光農園に就職をいたしまして、朝から晩まで土をいじって農業のようなことをやっていたんですけれども、そのときに私の同級生たちが、おまえのやっている仕事は三Kだというようなことを実は言われまして、大変ショックを受けた記憶が今でもあるんです。ただ、今の両参考人の、鶴田先生の教育がいかに大事か、そして今、小倉参考人のお話をお伺いいたしまして、少しほっとした思いがいたします。
 やはり我々が子供たちにどのように働くことの貴さ、汗を流して働くことの大切さを教えていくかということが本当に大事なんじゃないかなというふうに考えております。
 ところが、現状は、確かに今このような景気の中、大きな中での新しい産業であるとかインキュベートであるとか構造改革と。言葉では簡単ですけれども、私も小さな会社の経営者として、まず来月の人件費をどうしようか、今月の現金をどうしようか、電話代をどうしようかと、そんなことで実は中小の経営者というのは悩んでいるのが現実でございまして、一番手っ取り早いのがやはり給与の高い日本の労働者を海外からの労働者に雇うであるとか、社会保険等の事業者負担を払いたくないがためにいわゆるアウトソーシング、人材派遣業に頼むであるとかいうようなことが安易に起こりがちなんですけれども、大田区の現状を少し教えてほしいんですけれども、ブラジル人なり中国人なり海外からの労働者の状況、またアウトソーシングの活用の状況を少し教えていただきたいということを小倉参考人にお伺いしたいと思います。
 そして、鶴田参考人には、先ほど辻委員からの質問にもありましたけれども、もう少し具体的に、直接投資をするために先ほど規制緩和が大切だと、規制改革が大事だという話がございましたけれども、特にここの規制を緩和していったらいいというようなつぼがございましたら教えていただきたいというふうに思います。
#29
○参考人(小倉康弘君) 榛葉委員のお話ですが、バブルのときにお帰りになったということは大変幸せだと思うんです。
#30
○榛葉賀津也君 バブル崩壊してです。
#31
○参考人(小倉康弘君) バブルを知らない方がかえってよろしいのでございまして、バブルの癖が取れないのが今のフリーターみたいなのが出てくる原因でございます。
 景気というのは、そのときそのときでいろいろと周期、経済周期というのが、経済学者がおりますので余り私がしゃべることはないんです、してはまずいんですけれども、そのときそのときに耐える方法は何かという新しい発想の下に生きていかなきゃならぬというふうに思っております。
 給与の高いというのは、決して中小企業は給与は高くないんですよ。それで、家族でやっていれば、こういう景気になりますと、どうしても預金を食いつぶして企業を存続しているという企業が大変多いわけです。これがオーナー経営者だからできるので、サラリーマン経営者だったらこれはできないわけでして、それをリストラして役員共々何%カットということを言っております。
 日本の役人というのは大変いいわけですよね。国家公安委員など一月一回か二回で二千六百万とか、それから商工中金の総裁などは二千九百九十七万、それで住宅公団など二千五百八十一万、こういった報酬をいただいているわけです。ですから、構造改革なくして景気回復ないと言う小泉さん、しっかりやってくれと私は応援するものであります。ですから、住宅公団にしましても、おれは三十五年もやっているんだから、おまえら何を言うんだ、素人に何が分かるかという議員もおります。これはちょっと、昔から言っている、歴史に学ぶ人と、それから経験に学ぶんじゃなくて経験する人との、愚か者と賢者の違いということも言えます。
 ですから、給料の安い中小企業というのは、生きるのに、どんな景気が悪くなっても自分の企業の存続というのをやっぱり大切にするわけですから、相当苦しくともやると。
 さっき、アウトソーシングとか言われました。景気のいいところでデジタルカメラ、あるいは半導体の景気のいいときにはブラジル人を向こうへ採用に行く企業もございます。それで、プリント基板の製作につきましても景気のいいときは向こうに採用に行きました。日本人よりも非常にまじめに働きます。私の会社にもブラジル人はおりました。一生懸命やります。日本人よりいいと、こういうふうに思っております。
 そんなことで、何か満たされ過ぎて、日本人というのは作業意欲というんですか、問題意識を余り強く持たない、惰性に生きているというか、慣習にとらわれて安易な生活をしている日本の国情でございますね。これは日本全国、日本の国民全体に言えることではないかなというふうに思っております。
 以上です。
#32
○参考人(鶴田俊正君) ありがとうございます。
 榛葉先生が大変御苦労をされて今日があるということが非常に良く理解できましたが。榛葉先生のお父さんは昭和十四年生まれだそうでございますけれども、私は昭和九年生まれでございますからそれよりも多少年長で、小倉さんは昭和二年生まれでございます。この国会はこういう老人を大事にして意見を聞いてくださるという意味で大変心強くしているところでございますけれども。
 お尋ねの件ですけれども、一つは電気通信分野での話をひとつさせていただきたいと思うんですが。
 一昨年の暮れから昨年に、また今年に掛けてADSLが物すごく普及しています。今、日本ではもうやがて二百万近くなるんでしょうか。ところが、一昨年の十二月ごろはまだ一万前後だったと思うんですね。それをADSLが普及していなかったんです。それがある一つのことをきっかけとして急速に普及し始めて、日本もアメリカなり韓国にずっと後れを取っておりましたけれども、高速ITの時代に適応できるようになりつつあるわけですね。
 そのADSLが爆発的に普及し始めた契機は何か。それは、公正取引委員会がNTT東西に対して独禁法違反だという警告を出したからなんです。警告を出したんです。これはどういう、なぜその警告を出したかというと、NTTはADSLの専門企業に対して接続をスムーズにさせなかったんですね。つまり、独占企業でございますから、要するに参入妨害をしていたわけであります、参入妨害を。それは独占禁止法に違反しますよという警告を出したことによって接続問題が改善され、そしてADSLが爆発的に普及するようになったわけです。私の家もそのおかげでADSLを去年の二月ごろから入れて、高速インターネットを私は今フルに活用させていただいています。
 それは何を意味しているか。つまり、独占であって、独占を維持すること、あるいはその規制の中でビジネスを行うということがいかに駄目かということを言っているわけですね。実は、それまでのNTTはISDNに膨大な投資をしましたから、ADSLはなるべくもう売りたくない、もうISDNのコストを回収する、ストランデッドコストにならないように回収するということを意図していました。ISDNでも要するに電話を掛けながらコンピューターを使うことができますが、これは低速なんですよね。低速です。ADSLは高速です。ですから、そういう意味で、高速のインターネットの普及に対してブレーキを掛けていたのは規制の中で保護されていたNTTであったということであります。
 したがいまして、規制からいかに自由になるかということが重要だということは、先ほど、直接投資を促進することは自由でなきゃいけないと、自由な経済フィールドが形成されていなきゃいけないと申し上げたのも、この点に関しているわけですね。
 これからのこの電気通信分野ではどういうふうになるか。光ファイバー網が全国に敷かれて、この光ファイバーが今度家庭の中に入り込んでいくことによって、正に通信と放送が融合する時代に入っていくと思うんです。その場合、どの程度ビジネスが自由に展開できるかということが重要なことになると思うんです。
 そこで、電気通信産業の構造というものを考えていただくと、今の光ファイバーはさておいて、ADSLも電話線使っているわけですね。これはNTTの独占なんですよ。独占ですし、こういうネットワークの経済性が働くところというのはやたらに参入できません。したがって、この部分というのは公的規制の中においてきっちりそこで自由に使えるような管理をして、むしろNTTから切り離して、所有はNTTでもいいですけれども、利用に関しては切り離してしまって、そして他のコンテンツやなんかを自由に企業がビジネス展開できるような条件を作ってやらなきゃいけないと思うんですね。これが先ほど申し上げた垂直構造から水平構造へ転換することなんです。
 そういう意味で、電気通信分野でも規制を見直すことによってかなり自由なフィールドが広がってまいりますから、そこに多くの日本の企業が参入し、また海外の企業も参入して電気通信分野で非常に活発なビジネスが展開されるはずです。アメリカのようになる可能性があります。
 更に言えば、NTTが今持ち株会社の中で東西ないしコミュニティーズ、ドコモが入っています。こういう構造の中で果たして、今、先生がお尋ねになったような参入が促進され、海外企業が投資するような環境が作れるのかどうか。やっぱり多くの規制があるから、それも見直して自由な風土を作っていけば、恐らく日本企業も含めて海外の企業もそこでビジネスを展開するに違いないと思うわけです。
 先ほどエネルギーの話がありましたが、電力も同じですね。電力も、送電線は社会的なインフラです。したがって、電力会社がこの送電線を所有しているのはいいんですけれども、利用に関していえば、公的管理に入れて自由にアクセスできるようにするわけですよ。そうすると、自家発業者も含めてかなりな企業が参入することができるようになるはずです。
 エンロンは、不幸にしてあれは倒産しましたけれども、なぜああなったかというと、電力の自由化の結果じゃなくてデリバティブに失敗したわけですよね、あの企業は。そのことが余り言われませんけれども、あれはエネルギーの分野で失敗したんじゃなくて金融取引で失敗したんですよ。ですから、エンロン・モデルというのは余り参考にならないんですけれども、やっぱり、しかし、そこまでのエンロンは、電力なりガスなりを一体にサービスを提供する、そういう意味では新しいビジネスモデルだと思いますけれども。
 これからのやはりエネルギーコストを引き下げるためには、日本の企業ないし海外の企業を含めてこのエネルギー分野に参入できるような条件を作ってやらなきゃいけない。それが今の電力の自由化であり規制改革だというふうになるわけですよね。そういう意味ではこの電力も、垂直構造から、つまり発電から送電、配電まで持っている垂直構造から水平構造に転換することによって新しいビジネスフロンティアが広がるというふうに認識しなければいけないと思うんです。
 そういう意味では、電気通信にしても電力にしても、やっぱり自由なビジネスのフィールドをいかに作るかということが重要であって、今日、銀行もそうです、あるいは保険もそうです、海外の企業が参入して事業展開しているのは、これも規制改革によって自由なビジネスの環境が作られたからだということであります。
 その意味で、私たちの福祉の分野も含めて、あるいは物流の分野も含めて、流通の分野も含めて、更に海外企業が日本社会の中で活発にビジネスが展開できる素地を作り出す、どうやったらできるかというのは一杯材料があると思うんですね。もう調べる観点は自由な経済環境をどう作るかということだろうというふうに私は思います。
#33
○榛葉賀津也君 ありがとうございます。
#34
○会長(勝木健司君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#35
○会長(勝木健司君) 速記を起こしてください。
 引き続き、質疑を希望される方は挙手をお願いいたします。
#36
○松あきら君 今日は、鶴田先生、そして小倉会長、本当にお忙しい中、ありがとうございます。
 少し公務で抜けておりまして申し訳ございませんでした。その間にいろいろ出ていると思いますけれども、また後で、私もちょっと書いておいてもらったものがありますので参考にさせていただきたいと思います。
 私も、本当に今ボーダーレスになっているこの時代、たくさんの、多くの皆様がこの不況、長い不況に苦しんでいるわけでございますけれども、やはり日本は、今もお伺いしているとおりに、これからどういう部門で勝ち残っていけるのであるか、あるいは勝ち残らなければいけないというふうに思いますけれども、そこで、やはりこれからは、正に鶴田先生もおっしゃっているように、高技術、高品質、高生産性、高付加価値の産業構造の形成というふうにおっしゃっておりますけれども、対日直接投資というのを増加させることによって経済活性化の起爆剤に使えないものであろうかというふうに先生も書かれていらっしゃいますけれども、しかし日本はやはり土地も高い、あるいは人件費も高い、法人税ということも考えましても、これが、諸外国いろいろありますけれども、高い方だと思います。
 こういうことを考えるとなかなか、では日本にそういうことを、高コストということを考えて対日投資ということが進むのであろうかと。これを考えますと、あるいは経済特区みたいな例えばところを作ってそれを起爆剤にするという考えはまずどうなのかなと。それを一つ鶴田先生にお伺いしたいんです。
 それからもう一つは、今、知的財産の活用というものが問題になっておりますけれども、例えばアメリカですと、これは大学生ですけれども、五千超の特許出願があります。日本は五百です、約。十倍なんですね。そして、もう一つ、これ大事なことなんですけれども、例えばいろいろな研究費、こういうものの税額控除、これは日本でも受けられる制度があるんですけれども、アメリカと日本は全然違うんですね。つまり、日本は増加額の一定割合を控除してもらえるわけですけれども、これがどれぐらいのお金かというと、今、約、二〇〇一年で四百十億円なんですね。これに対してアメリカは、実はアメリカは日本の制度を見てまねをしました。これがいいということでまねをして、そしてその間に改正をしまして、現在のような試験研究費総額の一定割合を控除する仕組みを併せて導入しましたので、例えば二〇〇一年だと六千八百億円、これ控除になっていると、こういう差があるんですね。
 ですから、私は、例えばこういう控除という研究開発促進税制、こういうものももっとアメリカのようにしていけば、いろいろな意味で研究開発というものも進むんじゃないか。あるいは特許と、また企業というものに、産業というものに結び付いていくんじゃないかと思います。
 この二点について鶴田先生にお伺いしたいと思います。
 それから、小倉会長も本当に、私も、うちの父も中小企業をやっておりましたので、いろいろその苦労は、本当に御苦労されているのはよく分かります。
 この間もテレビで大田区の正にやっておりまして、一ミリの千分の一ですからミクロですか、これが何と手でねじの、金型もそうですけれども、ねじの会社の方だったと思うんですけれども、これが分かるということで、機械で測った誤差と手での誤差と、何と手の方が少ないんです、誤差が。機械の方が誤差があるという、正にミクロのたくみが大田区にはたくさんいらっしゃって、しかも家族で会社をやっていらっしゃる方たちが多い。それが、しかし、国際的に認められている、国際的に信用を得ている会社がそういう小さな会社であると、これが非常に大きな私ポイントだなと。
 こういう、これほど国際的に世界のいろいろなところから注文もあり認められている会社が、これほど苦労をして家族で経営をしていかなければならない実態というのは一体何なのか、その一番のポイントは何なのかということを一つお伺いしたい点と、そして、このたくみの技術というものを是非私は残していかなければいけない、それに対して国としてどういうサポートをあるいはすればいいのかと。もちろん、先ほど事業承継の不動産に対するいろいろな問題等もございましたけれども、事業承継税制なんかももっと改正の余地があるというのも分かりますけれども、それ以外の点で御示唆がありましたら、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
#37
○参考人(鶴田俊正君) ありがとうございます。
 松先生のお話を聞いていまして、女性にしてはなんというと差別語になるかもしれませんけれども、物づくりに対して大変な御造詣をお持ちだなというふうに感銘を受けて拝聴していました。
 正にたくみの技術をどういうふうに作り出すかということが、あるいは継承させるかということが非常に重要なポイントでございますし、先ほど教育の問題に触れましたのもそのことを意識してのことであります。
 順序逆になりますけれども、知的財産あるいは研究開発促進税制について御質問でございましたけれども、その方から先に答えさせていただきますけれども、アメリカというのはやることがダイナミックだと思うんですね。かつて一九八〇年代にアメリカが、先ほど冒頭に申し上げましたように七〇年代からもう生産性が停滞している中で、レーガンさんが大統領に就任され、そしてレーガノミックスを展開されました。そのときの大減税政策とかそれから規制見直し等々、これいろんな批判もございますけれども、しかしそれが、そういうレーガンさんの政策展開というものがアメリカのある意味での活力を作り出す源泉になったというふうに思うんですね。
 したがいまして、アメリカは日本から、日本の産業政策をかなり吸収している面があるし、また日本の物づくりなり、あるいは日本的な生産システムについてかなりアメリカは研究していた節があります。特に一九八〇年代でしょうか、「メイド・イン・アメリカ」という本が出ていましたし、MITの生産性調査委員会でしょうか、それは日本とドイツとを比較研究しながら日本の長所はこうだというふうな分析をされて、そういうこともございましたし、また私が一九八二年に「戦後日本の産業政策」という本を書いたことがきっかけでございまして、当時、MITと日本とでシンポジウムをしたことがあるんです。テーマはレッスン・フロム・ジャパンでございまして、日本を探求するという意味だと思いますが、そこで日本からマクロの経済政策からミクロに至るまで十数人のエコノミスト、学者が参加して向こうのMITのスタッフとディスカッションしたことがございますけれども、それなんかでもやっぱりアメリカは日本の仕組みに対して強い関心を持って、そして吸収するものがあったらとことん吸収しちゃおうという精神に富んでいたという気がするんですね。
 もう少しさかのぼっていくと、例えば第二次世界大戦中に日本は零式戦闘機を開発しました。これは非常に性能の優れた戦闘機でありました。緒戦においては日本が、要するにかなり、価値判断を含めないで申し上げますけれども、事実として戦況を有利に導けたのも零式戦闘機の存在抜きにしてはあり得なかったと思うんですが、ミッドウェーのところを境にして日米の軍事バランスが逆転いたしますけれども、そのときにアメリカは零式戦闘機を徹底的に解剖して、そしてこれを陸海空が一体になってこの零式、零戦を解剖して、それで日本の戦闘機を裸にして、それに勝る性能の飛行機をすぐに開発して第一線に出してくるわけですね。
 そういう意味では、アメリカという国はある目的、目標をきっちり設定したらそれに対する対策はどうあるべきか、それを解析し、そしてどういうふうな政策を行うべきかということを一貫してやることのできる国だと思っております。
 したがいまして、非常にダイナミックな政策展開を行える国でございまして、おっしゃるように研究開発促進税制なんかでも、そのアイデアは日本にあったのかもしれません。しかし、それをアメリカ社会の中に生かすという意味では、ダイナミックにそれをやっているという意味では、私たちはアメリカの政策決定の仕組みに学ぶべきものが随分あるなという印象を持っております。
 したがいまして、今政府で税制改革に取り組み始めておりますから、先生のおっしゃったような問題意識で、やっぱり税制改革の中で研究開発促進税制はどうあったらいいのかということを政府税調を中心にして御検討いただけたらというふうに思いますし、その面で松先生の御尽力を賜れればありがたいなということがまず第一点であります。
 それから第二点は、対日投資を促進するためにどうかと。
 土地が高い、人件費が高い、法人税が高い、事実であります。ただし、人件費が高いと言っても正にミクロのたくみが存在している社会であります。あるいは、日本社会というのは非常に豊富な知識が経済の中にビルトインされている経済だと思うんですね。したがって、無資源国であっても五百兆円を超えるGNPを年々作り出しているし、私たちが過不足なく豊かな生活をできるのも、やはり日本人の持っている知的能力が基礎にあると思うんです。ですから、人件費が高いといっても、その知的能力に対する対価だというふうな割り切り方をすれば決して高くない。幾ら人件費が安くても知的能力が低かったらこれは余り今日のような経済社会では使い物にならないわけでございますから、人件費が高いということは裏返して言えばそれに見合った知的能力が伴っているかどうかということが問題であって、日本の場合には十分それが伴っているんじゃないかというふうな印象を持ちます。あるいは、不足している部分があるならば、第一点の研究開発促進税制のようなものをビルトインして、そしてそういう知識をディベロップしていくということが重要だというふうに思うんですね。
 土地が高いというのも確かにそうですけれども、対日直接投資をされる方は日本で農業をやられる方はまずおられないと思うんですね。農業でしたらアメリカともう比較しようがないくらいに向こうの方が比較優位が高いわけでございますから。したがって、土地代がそれほど負担にならない分野でのエントリーというふうに私はなると思いますから、必ずしも土地の高いことが対日投資を、直接投資を制約している主要な要因とは私には思えません。先ほど来お話ししていますように、いろんな規制があって自由な風土に欠けていることが大きいんだろうと思います。
 経済特区について、一つのアイデアとして私は傾聴すべきだと思いますし、特に沖縄でそれを試みようということのようでございます。日本の社会の、日本の本土の中でそれをやることが果たして国際社会の中で受け入れられるかどうかという問題がもう一つあると思うんですね。やっぱり経済特区となりますといろんな恩典を与えます。そういたしますと、今度、国際社会の中でそれは余りにも産業育成に偏っていないかというような批判も出る可能性がございますから、これは私は沖縄なら許されても本土でそれが許されるかどうかということに対しては若干疑問があります。ただ、法人税も含めて、やはり対日投資を促進するような税制というのはあり得るだろうというふうに私は思っております。
#38
○松あきら君 ありがとうございました。
#39
○参考人(小倉康弘君) 非常に精密な関与をし、お話しいただきました。
 今、大田区と大田工業連合会共同で新製品・新技術開発コンクールというようなこととかやっております。その中で、ナノの時代、ミリの時代、ミクロンの時代を超えまして、もうナノの時代。それが日本の技術又はきめ細かい日本人の神経というものが、やはり測定器は人間が作るものですから、やはり時々狂うこともございます。そういう時代に突入しまして、相当研究開発もしておりますし、また宇宙開発事業の一部にそれも取り入れております産業が大田区にはございます。そういうおきなを温存するといいますか、その人たちを残すといっても年齢的にはもう六十、六十五過ぎておりますので、後継者としての育成ということについて頭を悩ませているところでございます。
 いずれにしましても、技術の継承についてはいろいろと、先ほど申し上げましたような子供の時代から、小学校から又は高校生にしても工場になじませるというようなこと、それから興味を持たせること、これに苦心をしております。なかなか思うようにいっておりません。
 ただ、先ほど、何か外国に学ぶといいますか、どうも日本人は昔から舶来主義でございまして、外国のものはいいものだということで横並び志向が大変多いんですが、政治にいたしましても、やはりいろいろと外国ではこうだから日本はと。外国でやっているからこうしようというのでなくて、日本の国情に合った、国民性に合ったやはり施策をしていただきたいなというふうに思っています。何か日本独自の主体性に欠けるところがあるんではないか、苦言を申し上げますが。
 この間も社会生産性本部から参りまして、ワークシェアリングをやったらどうかということでございます。最近、ワークシェアリングということで、少しでも企業の合理化というかそれに伴う、また人の雇用ということを兼ねて、なかなかそうしましても、まあワークシェアリングで五人のところを七人雇うのはいいんですが、能力的になかなかいいのがおりませんので大変苦労しておりまして、おきなの育成というのは、そうやって人を選ぶのに、またそういう意欲のある人がなかなか集まらない時代でございます。
 特に、私の方、知的特許の方、ちょっとさせていただきますと、知的所有権というものの評価をしてくれということで先ほどもちょっとお話をいたしました。この辺のところも是非ひとつ政治の方には考えていただきたいなというふうに思っています。
 以上でよろしゅうございますか。
#40
○松あきら君 ありがとうございました。
#41
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 お二人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 私、大田区の機械金属工業の集積の状況のお話も伺いまして、お二人の参考人に、この日本産業における意義、あるいは世界における意義というのはどういうものなのかということを、小倉会長から具体的に、今、大田区でおやりになっていることをもう少しお話しいただけたら、日本産業での果たしている役割や、また今後国際的にアジアや国際的な分野でどのような果たすべき意義があるのかという点。それから、鶴田先生には、それを客観的にごらんになって、こういう方向性が大事ではないかということを伺いたいと思うんです。
 小倉会長は、新しい商品開発についても政府のバックアップが必要だということをおっしゃっていらしたというふうに思うんですが、そういう具体的なバックアップをする上でも、これだけ重要な意義があるんだということを私たちがよく分かって検討していくことが大事ではないかというふうに思うからでございます。
 私、大田区とは多摩川を挟んだ対岸に生まれ育ちまして、また大田区にも通っていた時代がございます。しかし、いろいろお話を伺ってみますと、大変重要な地域で重要な仕事をなさってきたというのを改めて感慨を深くいたしました。
 例えば、ナショナルテクノポリスと言われるように、どんな要求にもこたえられるような集積をこの間、多摩川の挟んだ大企業あるいはハイテク産業ともおやりになってこられたわけですし、そういう点では東京の大田、品川区とそれから神奈川県の横浜、川崎、相模原、大和市の両都県にまたがって京浜広域地域の国の指定も受けて、そういう活性化ということもされてきている地域だというふうに思いますけれども、今後、新しい時代のニーズにこたえて、やはりそれにこたえられるような物づくりをしていくということが求められていると思うんです。
 ですから、これまでの到達点の上に、今後こういう支援というか、そういうものがあればもっとアジアや国際的にも評価されるような物づくりが進められるのではないかという点など含めて伺えればと思います。
 以上です。
#42
○参考人(小倉康弘君) 大変難しい問題でございまして、今、世界の産業の果たすですか、日本の産業の果たす、果たしていると。先ほど申し上げましたように、基盤技術のおきながおりますので、図面さえ与えれば何でもできるということ、簡単にお話ししますとそういうことでございます。
 それで、やはり国民性の違いというのがございます。まず、非常に器用だという点では他国には勝っているんじゃないかなと思います。一例を挙げて、中国に、先ほど申し上げましたように、百個製品いいのを作れと言ったら、百五十個も作ってくるから選んでくれというようなこと。それからまた、穴空け加工にしましても、嵌合性が悪いというようなことで、穴空けはできるけれども嵌合性が悪いというところ。それから、よく、自動機で部品が出てまいりまして、それをわきでチェックして、欠陥製品をぴょっと抜く、そういうことは日本人でなくてはできない。私の知っているベトナムではそれもできません。中国でも、ちょっと流れ作業の中で欠陥商品をすっと抜くという、部品すらも抜けないというようなところで、日本の、技術もそうですが神経もそうだというふうに、国民性が違うんじゃないかなというところで、これに技術を伴えば決して世界に負けはせぬと、こういうふうに思っております。ヨーロッパのベンツを見ても、昔、キャデラックあるいはパッカード等、私もいろいろと扱ってまいりました。やはり日本の自動車みたいなきめ細かな点について良くできているものはないと。
 ただ、ここで、価格の競争となりますと、やはり資源がない国でありますので、まずそこのところが差が付いてくるんではないかなというふうに思っておりますし、また、先ほどお話がありましたような土地とか人件費とか税制の問題、これによってやはり固定資産税、法人税、そして何かというと、今度の石弘光さんのように、税収を考える税制調査会長でございますので、減税など毛頭頭にないようで、税収を考えるのが税制調査会だ、諮問委員会とは違うんだと、こういうことを言っております。
 こんなことで、発泡酒が売れれば税を掛ける、あるいは外形標準課税が、石原さんが言えばすぐ、それ、外形標準課税に、考えると。それを東京商工会議所あるいは日本商工会議所が反対しておりますが、行政サービスについて、私などは、要するに行政サービスに対しての対応ということで税金はいいんですが、税金の根本的な体系を考えていただいて、たばこが売れるからたばこから二円、一本二円取るとか、いろいろこう言われておりますが、そういう税体系すらも考えていただけないと、やはり日本の製品が幾ら良くてもやはり価格競争に勝てないということになると思います。
 そういう点で、日本の産業は決して、技術的にそれから技能的に十分対応できるというふうに確信しておりますし、アメリカのように基礎技術が確たるものがあればなおよろしいんですが、日本はその基礎技術の研究費というものが、なかなか研究費の、税制の問題じゃなくて、国自体が余りバックアップしてくれないというところが一つ私として問題は提起したいなというふうに考えております。
 以上でございます。
#43
○畑野君枝君 ありがとうございました。
#44
○参考人(鶴田俊正君) 三つのことを申し上げたいと思うのであります。一つは割と広い枠組みの話でございまして、あとの二つは日本の産業組織の特徴なり企業システムの特徴で、ある意味で世界に対して日本が発信できるメッセージがそこにあるなと思うものでございますから、三つのことを申し上げたいと思うんですが。
 一つは、一月の初旬だったと思いますけれども、小泉首相が日本とシンガポールとの自由貿易協定に署名いたしました。また、シンガポールで、東アジア繁栄に向けてASEANとの提携を呼び掛けたのを記憶しております。つまり、直接投資、自由貿易を通して国際分業を促進して、共存共栄を図ろうというような趣旨だというふうに思います。これを小泉ドクトリンと呼ぶのであるならば、私はこの小泉首相の提案、発言は高く評価したいというふうに思うわけであります。やはり国際社会の中で自由貿易を促進するリーダーシップの役割を日本は担っていかなきゃいけないという気はいたします。
 また、同時に、それを担っていくためには、やはり先ほど研究開発促進税制の御提案がございましたけれども、そういうものを含めて、知識集約型の企業といいましょうか、ベンチャーがもっともっと育つような風土を形づくっていって、それで国際社会の中で真に自由な経済活動が展開できるような、そういう政策展開を行っていただきたいなというのがまず第一点目の私の発言でございます。
 二点目は、二点目以下はもう少しミクロに入ってくるわけでございますけれども、日本の経済構造を見ていて、かつてはそれは日本の弱点だと言われたことでございますけれども、第二次世界大戦後の経済発展を見ますとむしろ日本の長所になっているなと思うのが、いわゆる産業構造の中に非常に能力の高い中小企業がたくさん存在していることです。つまり、日本経済の第二次世界大戦後の発展というのは大企業だけで発展したんじゃなくて、むしろ日本経済の基礎部分を中小企業は担われていたと、それを私は日本の強さだというふうに認識しております。
 こういう経済構造を持った国というのはそう多くありません。例えば、アジアの中で韓国が急速に成長いたしましたけれども、やはり韓国の場合、日本以上に産業政策主導型で産業化が推進されましたから、ある時期までは中小企業は非常に層が薄かったと思います。最近広がりを持ったとしても、まだまだ薄い。中国が脚光を浴びておりますけれども、そういう中小企業群は、強靱な中小企業が必ずしも十分に育ってはない。ましてやベトナムとかインドネシアの方に行ったら、中小企業の基礎は余りにも脆弱であると。
 したがいまして、小倉会長おっしゃいましたように、日本の中小企業は技術力で負けないよとおっしゃいましたけれども、そういう基礎を持っていることが日本経済の長所でございますから、やはり産業構造というのはビッグビジネスと中堅企業、中小企業とがバランスよく存在し形成されていなきゃいけない。これはやはり世界に対して日本が一つのモデルになりますよということを情報発信できることじゃないかなという気がいたします。これが二番目です。
 それから三番目は、これも私は、アメリカ、アングロサクソンなりヨーロッパになかった一つの日本の仕組みでございまして、これはもう正に日本経済が世界に対して発信できる非常に重要な仕組みだと思っておりますのは、現場主義ということであります。
 今から三十年ぐらい前でしょうか、ボルボというスウェーデンの会社がございますが、あそこは一九六〇年代後半に非常に経営が悪化したことがございます。当時、世界的に労働者のサボタージュが一般的になって、ボルボも生産性が低下するし企業業績が悪化したことがあります。
 そのときに、当時のボルボの社長はユーレンハンマーという人ですが、この人は「人間主義の経営」という本をお書きになっているんですが、そこでるる述べていることはこういうことなんですね。ボルボをいかにして立ち上がらせるかということのために、経営者なりあるいはホワイトカラーの方々でさんざっぱら議論をしたそうです。ところが、一向にらちが明かない。ところが、あるとき偶然の機会からその委員会の場に労働者が参加したそうです。そうしたら、もういろんなアイデアがどんどんどんどん出てきて、そこで新しいボルボという企業の再生に向かっていったという話なんですね。そこからいわゆるボルボは現場主義という考え方を意識的に作り出していったわけであります。
 実は、この現場主義というのは、日本は、例えばトヨタ自動車はトヨタ生産方式ってありますけれども、第二次大戦後に知らず知らずにこれ日本で作っているわけですね。初期のころというのは、無駄を省くというこの一点からいわゆる現在のトヨタ生産方式ができてきて、現場のことは現場の人が一番よく知っているよという発想に立って、したがってアメリカとは似て非なる自動車の生産システムを作っているわけです。
 アメリカなりヨーロッパというのはそうじゃなくて、ホワイトカラーの技術者が指令するわけですね。それで、現場の労働者にはほとんど発言権がない。むしろマニュアルどおり彼らは行動することが彼らにとっての重要なことであったし、それが効率を高める上で必要だという認識が立っていたと思う。つまり非現場主義であって、例のチャップリンの「モダン・タイムス」という映画がございますけれども、あそこでそれを批判した描写がございますけれども、要するに指令型なんですね。それは、ある意味では日本の生産システムと、ヨーロッパ、アメリカの生産システムはもう非対称的であるというふうに言っていいと思います。そういう中で第二次世界大戦後の日本産業が発展して、特に自動車産業でいえば、日本のトヨタ生産方式というのはフォードシステムとは似て非なるものだし、また、フォードシステムを改良したGMのスローン方式とも似て非なるものができているわけですね。
 こういう現場主義というものが実はアメリカが、日本、一九七〇年代から八〇年代に、レッスン・フロム・ジャパンという考え方の下に学び、それを取り入れつつあるわけですよ、取り入れつつある。特に、一九八三年にゼネラル・モーターズとトヨタが資本提携して、カリフォルニアでNUMMIという会社を作りました。このときに、GMの労働者たちが大挙して日本に学びに来るわけですね。それで、トヨタの生産現場の中でトヨタ生産方式を学習して、そしてアメリカに帰って、アメリカのカリフォルニアでその技術に基づいて自動車を造り出しているわけです。これは正に現場主義に立った考え方なんですよ。つまり、日本の現場主義の考え方に基づく生産システムがアメリカに技術移転されているわけですね。今日のアメリカでそれがかなり浸透しつつあることも事実であります。
 私は、こういう現場のことは現場の人が一番よく知っているよというのは、正に日本の社会の中で形成されてきた考え方であるし、もう少し意識的にそれを取り入れたのがボルボだというふうに考えるならば、これから、旧社会主義国が今、産業化に取り組んでいます、あるいはアジアを中心として発展途上国が産業化に取り組んでいます。その場合に、日本の企業システムの持っている現場主義といいましょうかインフォーマルな参加の仕組み、こういうものがやはり産業発展の基礎になるんだよというメッセージを発信し続けることが私は世界に対する日本の大きな貢献だろうと思います。特に、アジアの中心として位置付いているわけですから、やはりアジアの中の先進国として彼らに対する非常に有益なメッセージだというふうに思うんです。
 特に、次の一点を十分御理解いただきたいと思うんですが、QCサークルということはよくお聞きになると思います、品質管理運動ですね。あるいは創意工夫提案制度というのがあります。これは、現場の方々がこれはこういうふうに改良したらいいですよということを提案する仕組みであります。
 このアイデア、理論はアメリカのフォードの中で生まれたものであります。その理論を日本に輸入して持ってきたのが、一九五〇年代の前半でございますけれども、当時のトヨタの常務取締役であった前社長の豊田何とおっしゃいましたかね、今の豊田章一郎さんの前の社長の方ですね、豊田一族の方でございますが、この方が石田退三社長の下でアメリカに行ってそのアイデアを日本に持ち込んできている。そして、理論はアメリカで生まれましたけれども、それを実践して日本の社会の中に完全にビルトインしてしまった。QCサークルにしてもサジェスチョンシステムにしても、日本の社会の深層にもう入り込んでいるし、中小企業でもこういうことをやっているわけですね。そういう実践力は、理論は持ってきたけれども、実践したのは日本である、そこに僕は日本が世界に発信すべきすごく大事なものがあるなというふうに思っております。
 以上です。
#45
○畑野君枝君 ありがとうございました。
#46
○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。
 大分時間もたっておりまして、先生方お疲れでございましょうが、もう少し質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、小倉参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 実は、私も大田区の仲池上というところに住んでおりまして二十数年になるんですが、地元の大田区にこのような多くの工業が存在されることを私自身実は認識不足でございまして、今日改めてそういったことを理解させていただきました。
 ただ、一つお話というかお尋ねをしたいのは、私その大田区に住んでおりまして、実は仲池上に住んだのはなぜかというと、そこが私が世帯を持ったときにちょうど準工業地帯でございまして、ですから、はっきり言ってマンションがそこが安かったから私はそこに入ったわけです。当時、確かに準工業地帯ですから、周辺もある意味でこの工業会のメンバーの会社さんもいらしたと思うんです。ところが、それから二十数年たちまして、現在私の住んでいるところの周辺はもうマンションだらけです。ほとんど工場ない。だから、ここにあるとおり、二十数%企業が減っているというのはそのとおりだと思うんです。
 ただ、私は思うんですけれども、この大田区というのも結構広うございまして、私の住んでいる仲池上の辺りのところと、当然、いわゆる羽田近い方向と、かなりそれは状況は違っているんだと思うんです。ですから、そういう、日本全体はこうですという言い方が非常に誤解されるのと同様に、大田区はこうですと言われても、それでも大田区の中でもいろいろな方々の、あるいは場所によって違うんだろうと思うんですね。
 そうした場合に、この大田区工業会、今後の目的とか今後の方向性については先ほど会長お話になられましたけれども、実際に地域の産業が地域の活性化に今まで機能を持っていた、これからもそういった仕事をするという、そうした伝統とか歴史的な文化というか産業土壌というか、それに、その上に今生きているわけですけれども、新しい流れというのが当然あるわけですね。そういう、新しく例えば住宅化しているような状況になっているとかというそういったことと、この過去の伝統というのをこれから先どういうふうに対応されていこうとされているのか。特に、それは私は人材の確保問題について、後継者がいらっしゃいますとおっしゃられるけれども、本当に私は、途中からUターンされた方が本当にじゃそういった先ほどから言われている技術を持った企業群の後継者たり得るのかどうか、それについてのお考えをお尋ねしたいと思っております。
 それから、鶴田先生にお尋ねさせていただきます。
 先生の資料を読ませていただきまして、特にまた今日の御説明受けまして、直接投資の持つ意義というのは確かに私も先生のおっしゃるとおりだと思うんですね。これをやはり評価をすべきだし、その直接投資が産業活性化に対する原動力の一つになるというのはそのとおりだと思っております。
 これを考えた場合に、特にボーダーを越えて直接投資がなされるとした場合のカントリーリスクの問題は当然あると思うんですが、その一つとして為替レートの問題というのをちょっと教えていただきたいんですが、先生の御本の中で、日本は対ドルに対して三百六十円からいわゆるフローさせてきたと。そのとき、当然ドル換算しますから、日本の直接投資の、海外直接投資が増えたというのもある意味で非常に分かりやすい話で、ただその後、その後の円とドルの動きが非常に大きく動きました。百円を割って八十円ぐらいのところになって、現在百三十円ちょっとになっているわけですね。この間の動きというのが直接投資に対してどのような影響を与えたかというのを、先生の御見識をちょっと教えていただけたらと思っております。
 それからもう一点、こういった為替レートというのは、動くことが産業のダイナミズムだというふうに思うんですけれども、このような直接投資を日本から海外に持っていったり、あるいは日本に対しても直接投資をもたらすとするときに、例えば適切な日本の対ドルレートというのは、あるいは先生もしもお考えがありましたら、今の百三十円程度なのか、あるいはもっと円というのは強く評価されるべきなのかどうか、その辺についてのお考えがあったら教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
#47
○参考人(小倉康弘君) 仲池上は準工地帯ということでございます。ちょっと私のレジュメの方に表を出しております。「経済社会の構造変化(GDPの産業別構成比)」というのがございます。昭和四十年を、一九六五年からちょっと、第一次産業、第二次産業、第三次産業とその推移をごらんいただきますと、四十年、オリンピックの後、三次産業が五〇%ですが、平成十二年には七〇%と、こういうふうになっている。
 ですから、準工地帯で周りが、公害防止条例あるいは工業規制が出ました四十二年、四十四年ですか、こういうところで、やはり後から来たものが非常にいろいろ騒音の問題、準工地というのは併用でございますから住宅も建ちます。そうすると、どうしても周りに住宅が来ますと、今、大変工場は締め出されることが多いわけでございます。そして、ましてや産業構造が第二次産業から第三次産業の方に移行しておりますので、ソフトあるいはサービス産業、こういったものが増えておりますので、だんだんだんだんそういった住宅、混在する準工地帯というのは減っております。
 工場地帯ですら、この間、やはり景気が悪いので墓場を建てたいというのが東糀谷にございました。これに対して、大田工業連合会、反対してくれと言われているんですが、やはり工業地帯で墓を建てちゃいかぬという規制はございませんので、工業連合会としてはタッチしておりません。結局、工業地帯で墓にしないで何かにしようという方向転換はしたようでございますが、準工地はそういった形で、ましてこういう景気が悪いときには閉鎖してマンション建てた方が安定した収入が得られるという企業は結構ございます。
 また、商店街にしましても、やはり大店舗法によって、スーパーの方に行きますので、シャッターの閉まっているところは大田区にはたくさんございます。
 大田区、六十五万の人口でございます。幅が広いんですが、やはり公害防止条例以来、埋立地、海と川に、多摩川に挟まれておりますけれども、海の方の埋立地、これに先ほど言いました京浜島とか城南島、昭和島というところに移行しておるわけで、なかなか仕事の景気が悪いということが言えると思います。
 それから、Uターンというのは中高年では駄目なんで、若くて、やはり企業の倒産とか、そういうところからUターンしているのは育成すれば継承はできるというふうに考えております。
 よろしゅうございますか。
#48
○参考人(鶴田俊正君) 藤井先生が御指摘になったことは非常に難しい問題だというふうに思います。
 為替レートの変動が直接投資にどういう影響を与えたかということでございますけれども、日本の直接投資、海外直接投資が増加し始めたきっかけは、一九七〇年代、七三年に変動相場制に移行しました。そのころが一つのきっかけになりまして日本の企業が海外に進出するようになってまいりました。また同時に、日本が変動相場制に移行するのと同時に、アメリカでも保護主義が台頭してまいりました。したがって、その保護主義に対応するために日本の企業が海外進出をしていったという面が多々あると思います。
 ただ、その流れが非常に促進されたのが一九八五年のプラザ合意からだと思います。プラザ合意の当時は、日本の為替レートは二百四十円ぐらいだったと思いますけれども、数年のうちに百二十円まで円高になりました。そして、若干円安に振れますけれども、その後数年間、一九九五年だったと思いますが、八十円まで円高になる。そして、現在百三十円でございますが、こういうふうに円高が進むということは、やはりドルで計った日本での労働コストも含めて、様々な点で日本での生産、日本で生産するよりは海外で生産した方がよろしいというふうな一般的風土を作り出すことは言うまでもないわけであります。
 したがって、こういう為替レートの変動に対応するために、企業はそのリスクをどういうふうに回避するかという観点から海外に出ていったケースがありますけれども、ただそのすべてが成功したわけじゃなくて、為替レートの将来を見誤って失敗したケースも多々ございます。特に、一九八〇年代にアメリカの不動産を買ったり、あるいは映画会社を買ったりするケースがいろいろありました。ホテル買ったケースもございましたけれども、これは全部、全部とは言いません、かなり失敗してしまっているということがございます。したがって、この為替レートの変動にうまく対応するということは非常に難しいことでございますけれども、日本の直接投資を促進しているのはこの円高だということは間違いないと思うのであります。
 ただ、先生も御指摘のように、非常に為替レートが変動する、特に円高になり過ぎるということは、むしろ日本の経済バランスを維持する上で非常に不都合なことを醸し出すということになります。つまり、過大な為替レート、オーバーシュートいたしますと、企業の対外進出が促進され過ぎちゃって、いわゆる俗に言う空洞化の問題を短期的に生み出すこともまた否定し難いだろうという気がいたします。したがって、為替レートをいかに安定させるかということが、先生方を含めて様々な観点からお考えいただかなければならないことだと思います。
 それでは、為替レートがなぜ変動するのだろう。その基礎にあるのは、貿易バランスが極めて輸出超過になっているということと、それからそれを基礎として日本の資本の流出入が流出型、流出超過であって、流入が少ないという問題があります。もし資本の流れが日本の方に流れてくることになるとすれば、それは円需要が発生するわけでございますから、円高じゃなくて円安要因になるわけですね。
 したがって、その資本の流れを逆転させるこの前提が貿易バランスをもっともっと輸入が増えるような形にして、貿易バランスも改善し、そして資本の流出においても改善するような方策を取らなければいけないわけであります。
 実は、これからは単純な経済学のモデルでございますけれども、先生方御存じだと思いますけれども、実はマクロ経済学の理論の中で、貯蓄超過経済では輸出超過経済になるという、そういうモデルがございます。これは極めてシンプルなモデルでございまして、大学の一、二年生は必ずこういうことを学ぶわけでございますけれども、そうしますと、日本の為替レートがこういうふうに変動する、つまり輸出超過経済だということは、ある意味で貯蓄超過経済になり過ぎているという面が基礎にあると思うんですね。
 それでは、なぜ貯蓄超過経済になっているんだろうかと。そうすると、家計は将来の老後のためとか、いろんな理由によってやはり消費を抑えて貯蓄をするというふうになっていると思うんです。ということは、もっともっと根源的にさかのぼっていくと、日本という国は安心して生活できるようなそういう福祉社会であるのかどうかということが意外とこの貿易のインバランスなり為替レートのドル高傾向というものに結び付いているところがあると思うんですね。
 そういう意味で、現在、年金問題も含めていろいろな難しい問題がございますけれども、実は日本の社会の中では、一般の国民が安心してこの国で生活できるというふうな確信を持てるような福祉社会を作り出すことが、迂遠のようでございますけれども、この貿易摩擦を改善したり、あるいは過大なドル高を改善したり、あるいは過度な対外進出を抑制する一つの方策にもなるわけであります。これは日本の経済政策の根本に触れる問題でございますから、実は全く無関係のようでございますけれども、根っこのところではそういうものとリンクしているんだということを是非先生方に御認識いただいて、これからの国会の場でそういう政策に対して御努力を払っていただければというふうに思います。
#49
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。お二人の参考人の方々には大変遅く、長時間ありがとうございます。
 まず最初に、鶴田参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 先ほど御紹介ありました先生の論文をちょっと読ませていただきました。そこには、直接投資には投資国の側に正のブーメラン効果と負のブーメラン効果があるという、こういう指摘がございまして、空洞化を懸念する人はこの負の効果を過大視する難度があるという指摘がございます。更に読み進みますと、アメリカの海外生産比率は二〇%、日本はわずか二%で、日本の実態を考えると産業構造の空洞化論は慎重であるべきであろうということなので、日本はわずか二%という数字を見まして、私はこの論文はいつ書かれたのだろうと思ってめくり直してみましたら、一九八八年に出版をされております。その後、時間が経過をしておりますけれども、私どもは空洞化に対して非常に早くから警鐘乱打をしてきたところでございます。
 そして、現在の政府統計をちょっと見ておりましたら、海外の現地生産比率という、ちょっと数字が手元にあるんですが、その数字が、製造業全体では、平成十二年、二〇〇〇年度ですね、一一・二%でございます。加工型では一五・七%になっています。さらに平成十七年、つまり見込みなんですけれども、製造業全体は一三・七%、加工型全体では一九・一%に上がるだろうという、こういう数値が出ております。
 そこで、この数値はどのように先生はお考えになるのかということが一点と、それから、先ほど直接投資は経済の活性化につながるという御発言があったわけですけれども、こういう海外の現地生産比率というものの数値の増大というのはどのように考えたらいいのか、いいことなんでしょうか、その点を教えていただきたいと思います。
 それから、二点目なんですけれども、これはお二人のそれぞれの参考人にお答えをいただきたいと思います。
 先ほど、ブーメラン効果というふうに、鶴田参考人の著書の中で書かれているということを私申し上げたんですが、ちょっと考えておりまして、ブーメランを投げます、それで戻ってくるんだけれども、直接投資をするという人は一体だれなのかということをちょっと考えたら、やっぱりこれは大企業なんですね。それから多国籍企業がブーメランを投げます。そして、正の効果を受けるというのは、やっぱりこれは大企業じゃないかなと私は思います。四百二十社、百二十兆円、二〇〇〇年三月の内部留保があるという、こういう数値がございますが、そして、ブーメランのじゃ負の効果を受けるのはだれなのかと思いますと、これは投げていない労働者や中小の零細企業が正に敗者としての負の効果を受けちゃうんじゃないかと。もちろん、労働者や中小企業がブーメランを投げられるわけがないわけでございまして、そういう負の効果というのは、実は私は非常に重大な、このまま放置いたしますと取り返しの付かない日本経済あるいは国民の生活にとって問題を起こすんじゃないか、今も現実に起こっているわけですが、大田区はそうですし、私は京都で西陣を見ておりまして、実際そうでございます。
 で、問題は、仕事がなくなる、雇用がなくなる、地域から仕事が消えていくという、生活が消えていく、つまりこの調査会のテーマであります豊かさが消えていくという、これが非常に大きな問題であるということと、それからもう一つは、歴史のある、大田区なんぞもそうですが、西陣なんかはもう四百年、五百年のそういう歴史を持っている、そういう技術や技能が非常にたくさんの連鎖の中で蓄積がある、それがいったん消えてしまいますと、今度それを再生するということは不可能でございます。そういう負の効果というのは非常に重大だと思うわけですね。
 それで、じゃ、これをどうしたらいいかということなんですが、最近、昨年の十二月に産業構造審議会が、新成長政策部会というのがあって、報告を出しました。その報告の中にも、やはり「空洞化の懸念」という文言がちゃんと出ております。大きな見出しで出ておりまして、これには政策対応が必要だというんですけれども、なかなかその政策対応というのは具体的には出されていない。ここに一つの問題があろうかと思います。
 そこで私、お二人の参考人にお聞きしたいのは、これはちょっと僣越なんですが、私たちが考えていることなんですが、実は日本の資本主義ほど非常にノンルールな、非常に大企業が、まあ横暴、勝手と言っているんですが、やっている社会は、資本主義社会はないというふうに思っています。ですから、そこを個々の企業の、大企業の倫理観にゆだねる、期待するということではこれは到底無理なわけでありまして、やはり法的なきちっとした制度を作る必要があるというふうに思っております。既にヨーロッパなんかではあるわけですから、日本もできないことはないというふうに思っています。
 で、具体的には、リストラアセスメントなんかによって、大規模な人減らし、それから生産縮小、海外進出を計画段階で国と自治体に報告をさせて、影響を調査した上で計画の変更や中止を勧告できる、そういう法制度を整備してはどうかというのが私たちの提案でございます。既にヨーロッパで、EUなんかでは、大規模な海外移転やそのための企業規模の縮小、閉鎖、大量解雇などについては労使間で協議をするという仕組みが作られておりまして、そういうルールをきちっと作るべきではないのかということについて、鶴田参考人とそれから小倉参考人の感想、御意見、どちらでも結構ですし、お伺いをしたいと思います。
#50
○参考人(鶴田俊正君) 非常に貴重な御意見を承らさせていただいて、ありがとうございます。
 今、西山先生がおっしゃったことには、実は私が今までに話したことをまた最初から話さなければいけない部分がかなりございますし、多分……
#51
○西山登紀子君 短くていいです。
#52
○参考人(鶴田俊正君) それは存じています。
 したがいまして、話しにくい面もあるわけでございますけれども、まず結論の部分で、日本の大企業は横暴かということについては、私は基本的に違うと思うんですね。むしろ、どういう尺度で横暴かという定義する必要がありますけれども、例えば会社が獲得した所得をどういうふうに労使で分配するかという点で見た場合には、アメリカの経営者は非常に巨額の報酬を得ます。日本の場合には恐らく先進国の中で労使の所得の配分というのはむしろ公正さを持っているということがOECD等の調査によって明らかになっています。その一点から見るならば、大企業は横暴だというふうにはならないだろうと思います。
 それから二点目。
 先ほども触れましたけれども、現場主義という観点に立っているのは日本の企業であって、アメリカは指令型であります。そういう意味から見ても、むしろ日本の企業、大企業の方々でも現場の労働者を大事にするという観点は依然としてあるし、今なおキャノンさんを始めとして、この時代にですよ、この時代に日本型の経営システムを維持している、また維持しなきゃいけないというふうに考えている経営者も多々いるわけであります。
 そういう意味で、私は日本の企業は横暴だというふうなそういう眼鏡を掛けてごらんになるんじゃなくて、素直に日本の実態をごらんになった方が私はいいなというふうな率直な印象があります。
 特に私が思いますのは、大企業がブーメランの正の効果を受けて、負のブーメランを労働者と中小企業が負うというのは、これもやっぱり私の認識とは基本的に違っていると思うんです。
 というのは、ブーメランということは、別の言葉で言えば直接投資の利益について私は申し上げたわけでございまして、冒頭に触れましたように、一見、直接投資は日本から雇用なり所得機会が移動するようだけれども、長い動態的な過程では、そこでむしろ日本からの相手国に対する輸出を拡大するとか、そこで産業構造の転換が起こるとか、日本の中で新しい雇用機会、所得機会が生まれるとか、そういうダイナミックな展開が実は直接投資の動態的な過程なんですね。
 であるがゆえに、二十世紀からアメリカやヨーロッパを中心として、直接投資によって彼らが空洞化したんじゃなくて、正にそのことが経済を発展させて、世界経済の、産業の拠点をどんどん外延的に広げているわけですよ。そのことがアジアの産業化を促しているわけでありますし、そのアジアの産業化の成果を我々自身が受け継いでいるわけですね。
 ということは、貿易構造が、冒頭に申し上げましたように、アジアの比率はもう十数年前の二七・三%から四〇%を超えているというふうになっているわけでありますから、そういう直接投資に刺激されて、アジアの産業化というものが日本の貿易構造を変え、そしてそれが日本の産業構造を大きく変えているという、正にこれが正のブーメランであります、正のブーメランです。その恩恵は大企業だけじゃなくて私たち国民も受けているんだということが私は申し上げたいと思います。
 そして、海外生産比率二%というのは一九八〇年代の数字でございますから、それから大きく変わっているのは事実でございますけれども、この海外生産比率が高まることによって、そのことが相手国の経済発展を促すし、またそれが日本経済の成長にとって非常に重要な役割を果たしているということは常々申し上げたことでございますから繰り返しませんけれども、大事なことは、今の日本経済の状況というのは、日本の海外直接投資が増えた結果起こっているんじゃなくて、この十年間日本経済が停滞していることによって雇用と生産が減少し、失業率が高まっているんだという認識をお持ちになる方がいいと思うんです。
 そういう意味では、じゃ、なぜこうなったのかと。いろんな原因があります。それは経済政策に関係するところもあるし、いろんな制度、規制等々によって守られたそういう制度もありますし、それは一体だれが作ったのか。やはり我々国民自身が今までの中でそれを望んできた面が私はあるんじゃないかという気がするんですね。
 したがって、私は、特定の企業が悪いとかいいとかというんじゃなくて、やはり日本の経済システムが持っている潜在能力をどう生かしたらいいんだろうか、またそのための経済政策がどうあったらいいんだろうか、そういう観点から私は物を考えるべきだと思いますし、先ほども申し上げましたけれども、円高が海外直接投資を促進する面があるとするならば、やっぱりモデレートな円高にならなきゃいけないし、そのモデレートな円高になるための非常に大きな条件というものが貯蓄投資バランスを改善することであって、それは国民が安心してこの国で生活できるようなそういう福祉政策を展開することが重要だということを先ほども申し上げましたけれども、そういうことに関して、私はここにいらっしゃる先生方に深く考えていただいて、これからの政治活動を行っていただきたいなというふうに思っております。
#53
○参考人(小倉康弘君) 今、大企業の横暴という、私は横暴というのはちょっとあれで、大企業に恩恵は受けておりますけれども、やはり官尊民卑というようなものでございまして、やはり大企業の傘下にあります城下町、これは今の時代は全く城下町ではなくて、ほかの企業が入り込んで入札制を取っている。それから大企業が、下請さん十二社あるところで八社に絞りたいから見積りを出せというのも、これも横暴といえば横暴と。
 それで、何しろ大企業が海外移転をしておりますので、先ほど、付いてくるかどうかというのを問われているわけですが、八〇%は付いていかないということでございますので、中小企業としてはやはり大企業に対する考え方として相互提携だと。そして業種別分業ということで、大企業に一つの製品を作る部門があれば、採算ベースに乗らないから中小企業に頼るんだという考え方をひとつ持っていただければ、相身互い、要するに協力し合うと。大企業の倫理問題でございまして、やはり先ほど私が申し上げましたように、企業の論理で、企業の論理でいくか倫理でいくかという問題、日本の企業の悪いところ。また、一つ言えば、やはり国自体の考え方、国民性というものがだんだん変わってきちゃったんだなというふうに思います。
 商売というのは同情、それから情実、恥をかいても割り切るということもございます。ですから、大企業はやはり中小企業を悪く言えばこき使っているということも言えるわけで、単価の点については値下げ値下げとまいります。電力の問題にしましても、今度七%の四月一日から料金を下げるについては、やはりその傘下はかなり厳しいということが言えます。
 ですから、大企業があって中小企業があるとはいうものの、業種別分業ですから考えていただきたいと、こういうふうに思います。
 この間、二〇〇一年の製造基盤白書で、経産省と厚労省、文部科学省の共同で出ております。日本の製造業は、事業分野や製品の種類が多岐にわたるため、経営資源が分散しているほか、研究開発の自前主義も根強く、外部機関との連携が不十分と指摘しているんですが、こういう指摘をしたら、それじゃ、政治家は何をやるのかという対応策が載ってないと。この辺は、事業分野の製品の種類が多岐にわたるというのは業種分業ですからこれはやむを得ない、その理解を深めていただければと、こういうふうに思います。
 そういった点で、日本の在り方というものが、私たちの大田区で倫理問題を持ち上げて話したこともあります。日本に投資がないというのは、やはり税金だとかいろいろ高いということもあるでしょう。それから、そうやって誘致するからには、羽田近辺の我々大田区は、もっと町をきれいにして外国人になめられないように、そしてさげすまれないような考え方を起こしたらどうかという企業倫理と国民性、国民、こういったことを強く要望するところであります。
 それで、前に新聞にも載っておりましたけれども、公僕とは何かというと公は僕のものだと、こういうふうにうたっておりましたが、そんなことで、いかにも中小企業、企業の苦労しているところに、この間の野上次官だとか、あるいは厚生労働省の熊何とかという人が八千八百七十四万も退職金を得るような金があれば、是非中小企業に援助をしていただければと、こういうふうに思います。
 それは、もう一つ言わせていただきますと、金利の要するに補給と。二・三、一・三の利子補給をして、一%とか、こういうふうに長期の据置期間を持って、ドイツでは十年の据置期間があってその後十年で返すというような融資制度もございますので、それらを含めて中小企業のために何かをお考えいただければと、こういうふうに思います。
 以上です。
#54
○西山登紀子君 よく分かりました。頑張ってまいります。
#55
○日笠勝之君 時間も来ておりますので、簡単にワンクエスチョンだけ申し上げたいと思います。
 小倉会長の方へお聞きしたいと思います。
 物づくりの日本の基本は金型だと思うんですね。ところが、最近、この金型の加工データとか設計図がどんどん外国へほとんど有料でなくて無料に近い形で流出していると、こういうことでございますが、これはゆゆしき問題でございますので、私どもとすればこれは知的所有権の、当たるんではないかなと。そういうところでこれからも努力していこうと思うんですが、簡単で結構でございますが、この金型の加工データ、設計図は知的所有権に当たると、こういうふうにお考えでしょうか。また、御所見があれば、簡単で結構でございます、お返し願えればと思います。
 以上です。
#56
○参考人(小倉康弘君) 知的所有権と思いますのは、要するに金型を注文して金型を作って出すことについては私は知的所有権ではないけれども、それの図面を出せということでございますので、これは知的所有権としてお認めいただけないかなというふうに思っております。
#57
○会長(勝木健司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 鶴田参考人及び小倉参考人には、御多用の中、本調査会に御出席いただき、誠にありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表して厚くお礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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