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2002/04/24 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
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2002/04/24 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号

#1
第154回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
平成十四年四月二十四日(水曜日)
   午後一時三分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         勝木 健司君
    理 事
                魚住 汎英君
                太田 豊秋君
                内藤 正光君
                日笠 勝之君
                西山登紀子君
                島袋 宗康君
    委 員
                加治屋義人君
                小斉平敏文君
                山東 昭子君
                鈴木 政二君
                伊達 忠一君
                中島 啓雄君
                藤井 基之君
                松山 政司君
                朝日 俊弘君
                榛葉賀津也君
                辻  泰弘君
                本田 良一君
                松 あきら君
                畑野 君枝君
                山本 正和君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        村松  帝君
   参考人
       東京大学社会科
       学研究所教授   佐藤 博樹君
       お茶の水女子大
       学大学院人間文
       化研究科助教授  永瀬 伸子君
       株式会社ベネッ
       セコーポレーシ
       ョン人財部長   柏渕  忠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (「真に豊かな社会の構築」のうち、豊かさを
 支える雇用環境の整備について)

    ─────────────
#2
○会長(勝木健司君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「真に豊かな社会の構築」のうち、豊かさを支える雇用環境の整備について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、東京大学社会科学研究所教授佐藤博樹君、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科助教授永瀬伸子君及び株式会社ベネッセコーポレーション人財部長柏渕忠君に御出席いただき、御意見を承ることといたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の皆様におかれましては、御多用のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております「真に豊かな社会の構築」のうち、豊かさを支える雇用環境の整備につきまして忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 さて、議事の進め方でございますが、まず佐藤参考人、永瀬参考人、柏渕参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、二時間半程度、午後四時三十分までの間、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。
 この質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行いたいと存じます。
 また、時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、佐藤参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(佐藤博樹君) ただいま御紹介いただきました東京大学社会科学研究所の佐藤博樹です。
 豊かさを支える雇用環境の整備ということで意見を述べろということでありますが、そこの、お手元にお配りしてありますレジュメに沿ってお話をさせていただきたいというふうに思います。
 いただいたテーマの中に雇用環境の整備というふうに書かれていますけれども、私は、これから多様な働き方、就業形態、そういうものが十分生かされるような社会を作っていくためには、政府の政策としても従来の雇用政策というものから就業政策というふうに考え方を変えていくということが必要なのではないかというふうに考えております。その視点からお話をさせていただければというふうに思います。
 一番目は、そういう意味で、政府としての政策目標や政策の在り方を変更する必要があるだろうということです。
 一つは、最近、失業率が上昇傾向にあって、これを下げるということが一つの政府の目標になっています。従来からも完全雇用の達成ということが雇用環境の整備ということでは重視されてきたわけでありますけれども、私はこれからもその完全雇用達成、あるいは失業率を引き下げていく、そういう政策というのは重要だというふうに思いますけれども、そういう政策目標では十分カバーできないような課題というのがあるのではないかというふうに考えております。
 それを、そういう課題を含めて政策を考えていくためには、新しい政策目標として就業率というものを設定するということが大事なのではないかというふうに思います。失業率というのは、皆さん御存じのように、労働力の中で仕事を探している人、自分で事業を起こそうとして準備をしている人も入りますけれども、仕事に就いていない人、この割合が失業率であります。これに対して、ここで私が言いました就業率といいますのは、人口に占める就業者、働いている人の比率です。一般的には十五歳から六十四歳、生産年齢人口というふうに言われているこの人たちの中に占める働いている人の比率であります。
 ただ、日本の場合を考えますと、高校までほとんど全員が進学していますので、十八歳から、年金、これから年金支給が六十五歳に引き上げられていくわけでありますけれども、十八から六十四を考えた方がいいのかも分かりませんけれども、取りあえずそういう十五歳から六十四歳の生産年齢人口の中で働いている人の割合、これが就業率でありますけれども、こういう就業率というものを政策の目標として考えるということが失業率を低下させるとか、完全雇用ということに加えて重要になるのではないかというふうに考えております。
 その理由を幾つかお話ししたいと思いますけれども、一つは、日本の中で重要な資源として人的資源が挙げられるわけでありますけれども、この有効活用を重視するとすればこの就業率というものは有効だということであります。例えば、失業者が仕事を探さなくなる、つまり非労働力化すれば失業率が下がるわけであります。ですから、それは確かに失業率は低下するわけでありますけれども、能力はありながら仕事を探さない、非労働力化するということは人的資源の不活用が起こるわけでありますけれども、失業率を見ているだけでは例えばこういうことが把握されない。とりわけ、今後、高齢者やこれまで非労働力化した既婚女性等の就業促進を図るということが重要な政府の政策目標になっているわけでありますけれども、こういう高齢者や女性の就業促進をするということは短期的には失業率を高める可能性もあるわけであります。
 ですから、失業率を政策目標としますと、そういう非労働力になっている人たちの就業促進を促進する政策と整合的でなくなってしまう。しかし、他方で就業率という政策目標を立てれば、そのことと整合的な施策の展開ができる、これが一点であります。
 二番目は、社会保障制度の支え手の拡大ということであります。
 若年者が減少し、高齢者が増加する、人口が減少する、そういう中で、持続可能な社会保障制度を作っていくためにも働き手を拡大していくということが大事なわけでありますけれども、その観点からも就業率向上という目標を立てるということが重要なのではないかということであります。
 三番目は、多様な人々の社会への統合を促進するということであります。やはり、社会とのつながりという点で一番大きいのは働く場というものが提供されているということであります。ですから、非労働力化している若年者、正にフリーターというような問題があります。学校を出てもなかなか仕事に就けないんですね。あるいは既婚女性、能力はあるけれどもなかなか働く機会がない。ですから、働くことをあきらめてしまっているんですね、仕事を探すこと自体をあきらめている。あるいは高齢者、こういう潜在的な人的資源に社会参加の機会を提供する、その結果、多様な人々に社会への統合、参加の機会を提供する、そういうことにも機能するのではないか。
 あと、最後、これ付随的でありますけれども、失業者と非労働力の区別というのは、実は、後から説明される永瀬先生は労働経済学の専門でありますけれども、専門家の間でも非常にあいまいなものである。定義いかんによって、ある人は失業者になり、ある人は非労働力になってしまうということで、実際はこの失業者あるいは失業率という目標自体がそれほど確かなものではないということが経済学者の間でも言われています。それに対して就業率、これは働いているか働いていないか、この指標の方が明確な指標にもなる。そういう意味では、政策を遂行する上で、それがどの程度実現されているのかということを測定していく上でも失業率よりも有効な数値として使えるのではないか。
 この四点から、就業率の向上というものを、完全雇用、あるいは失業率を低下させるという目標に加えて、政府の施策の中に入れるということが重要なのではないかということであります。例えば、目標就業率を設定するということですと、例えば全人口の少なくとも半分以上は就業者とするとか、あるいは生産年齢人口の中で何%ぐらい就業率を目指すというようなことが考えられます。とりわけ日本の場合ですと、女性の就業率が海外と比べて低いわけでありますので、女性についての就業率をこういう目標を立てるということが考えられるかと思います。
 ちなみにEUですね、EUは、二〇一〇年までに、現在の大体六〇%強の就業率を二〇一〇年までに七〇%にするとか、女性については五〇%強の就業率を二〇一〇年までに六〇%にするというような目標を立てております。こういうものが参考になるのではないかというふうに考えております。
 じゃ、そういう新しい就業率目標を政府の施策の中に入れたとしたとき、どういう施策が考えられるかということであります。
 一つは、やはり雇用対策から就業対策へということが施策としての範囲が広がってくるだろうというふうに思います。例えば、雇用者だけでなく非労働力や、いわゆる企業に雇われるということだけじゃない、いろいろな様々な就業形態の多様化と言われる、そういう多様な就業形態が視野に入る。そうすると、例えば能力開発、人的資源の向上、あるいは非労働力だけれどもこれから仕事に就くために能力開発をしようとする人たちの施策、こういうものがちゃんと整備されているということが重要なわけでありますけれども、こういう就業政策という観点からしますと、現状の例えば能力開発の仕組みというのは雇用者を前提とし、雇用保険に入っている人が対象の施策、対象になっているわけであります。
 例えば、働いていたけれども結婚や出産で家庭に入ってしまう、五年ぐらい。働こうと思ったときに、じゃ能力開発を受けるときにどういうサポートがあるのかというと、雇用保険で提供している様々な、例えば自己啓発の能力開発支援して助成金が出るというのも使えない。あるいは若年のフリーターですね、高校を出て仕事に就けない。ですから、働いた経験ないわけですから雇用保険にカバーされていないわけであります。こういう人たちに能力開発の機会は提供されていないわけでありますけれども、ですから、こういうことをやはりどういうふうに変えていったらいいのかということが議論の中に入ってくるということであります。
 二番目は、就業政策というふうに考えたときは、労働需要の拡大と同時に労働者供給の拡大が不可欠であります。そうしないと就業率が上がりませんので。そういう意味で、雇用機会の開発だけじゃなく就業機会の開発ということが重要な施策になるでしょうし、多様な方たちが働けるような就業機会を作り出さなければ就業機会が上がりませんので、多様な就業形態、働き方の開発ですね、例えば、最近であれば労働時間の柔軟化とか労働時間を短くする、短時間での働き方というものをきちっと位置付けていくというようなことが政策の視野に入ってくる。
 最近、ワークシェアリングという議論の中で、多就業型、多様な働き方を時間の長短にかかわりなく選べるような、そういう働き方を整備していく議論が出てきていますけれども、そういうものなどがこういう施策の中に十分位置付けられるのではないかというふうに思います。
 それともう一つは、そういう多様な働き方や就業形態が広がっていきますと、当然、そういう異なった働き方の間での処遇の均衡、均等というバランスでありますとか、いろんな働き方や共通のセーフティーネット、例えば、先ほどお話ししましたような能力開発の機会が働き方に関係なく、あるいは今働いている働いていないに関係なく一定の、働こうと思えば、だけれども能力が足りないといったときに一定の能力開発機会を得られるとか、そういう仕組みを整備しますとか、社会保険等、そういうものも働き方に関係なく共通の基盤が整備されているかどうか、そういうような課題が重要になるというふうになっていくのではないかというふうに思います。
 あともう一つ、三番目に、先ほど多様な働き方を整備する必要がある、とりわけ労働時間の柔軟化、あるいは短時間の働き方を作る、そうすることによって今まで非労働力化していた人々が仕事に就き、就業率が高まる、社会とのつながりもできる、そういう方向を目指すべきだというお話をしましたけれども、それを考えていくときに、日本の場合一番大事なのはパートタイマーとしての働き方、この働き方の改善というものを当面対象として取り上げることが重要なのではないかというふうに思います。
 パートタイマー以外に多様な働き方、派遣でありますとか広がってきているわけでありますけれども、短時間の、あるいは仕事と生活の両立が取りやすい、時間管理が柔軟な働き方として今存在するのはパートタイマーとしての働き方でありますし、パートタイマーとして働いている人が一番多いわけであります。
 しかしながら、現状のパートタイマーの働き方を見ますと、他の働き方との処遇のバランスでありますとかセーフティーネットの問題とか、そういう点でいろいろ問題があるというふうに考えております。ですので、この点について少しお話をさせていただいて、私の説明にさせていただきたいというふうに思います。
 まず、現状のパートタイマーとしての働き方はどういう状況にあるのかということであります。
 まず一つは、パートタイマーとして働く人たちが非常に増えてきております。今、データの取り方でありますけれども、企業に雇用されている人のうちの四人に一人とか五人に一人とかというものがパートタイマーとしての働き方です。さらに、図の一にありますように、最近は企業の人の使い方が変わってきてまいりまして、いわゆる社員、正社員として働く人たちが減る、他方、パート等の非正社員の方が増えるという状況にあります。ですから、ますますパートとして働く人たちが増えてきているということであります。
 それと同時に、もう一つ大事な点は、パートとして働く人たちの働く中身が相当変わってきております。研究者の間では、レジュメの二枚目の初めの方でありますけれども、パートの基幹労働力化ということが言われております。この基幹労働力化というのはどういうものかといいますと、パートタイマーの就いている仕事は、従事している仕事が、正社員が就いていると同じような仕事に就くとか、パートタイマーの持っている職業能力、能力は正社員と変わらないような能力を持っている。あるいは、仕事も、例えばスーパーマーケットのレジの仕事だけじゃなくて、レジの仕事から品出しでありますとか商品陳列とか、そういう仕事もやるという、仕事の範囲もパートだから狭いというわけでなくて、正社員と劣らず広い仕事をこなせるような、そういう能力を持ったパートが出てきている。
 さらに、パートというのは残業がないというふうに言われていますけれども、二割ぐらいの人は残業もしているわけであります。そういうふうに、量的な拡大だけでなく、パートの働き方を見ますと、その一部については従来の正社員と同じような働き方をする人たちが増えてきている、これが一点であります。
 もう一つは、他方、正社員の方の働き方も変わってきております。正社員というのは、転勤があり残業がありというようなイメージがあるわけでありますけれども、そういう正社員もあるわけでありますけれども、そうではない正社員も増えてきている。例えば、転勤がない勤務地限定の社員とか、職種が限定される、正社員というのは普通は仕事を決めて採用されるわけではないわけでありますけれども、職種を決めて採用されるとか、あるいは育児や介護のために短時間勤務を選ぶ、それもかなり長い期間短時間勤務を取れるような会社も出てきていますので、正社員が常に長い時間働くわけではない、短時間勤務であったり残業を免除されるような正社員も出てきている。
 そうした結果、先ほどのパートの働き方の変化と正社員の働き方の変化を見ますと、両者の間で、パートあるいは正社員という企業の中での呼び方が違っても、働き方の実態を見ますと重なっている人たちが増えてきているというのが現状だろうというふうに思います。
 しかしながら、働き方は両者の間で差がなくなっている人たちが増えてきているにもかかわらず、処遇ですね、処遇や処遇の決め方を見ますと大きな違いがある。例えば、パートタイマーは時間給であるけれども正社員は月給である、正社員にはボーナスがあるけれどもパートにはないですね。あるいは、その賃金の水準についても、時間当たり賃金の水準を見ますと、正社員の六割であるとか七割というような大きな賃金水準の違いや処遇の違い。
 こういう処遇や処遇の仕組みの違いが、仕事が違うでありますとか働き方の違いという要因から合理的に説明できるのであればいいわけでありますけれども、先ほどお話ししましたように、働き方の面で見ると両者で重なっている部分がかなり広がってきている、にもかかわらず両者の賃金水準とか決め方が大きな差があるものになっている、ここに矛盾が出てきているというのが現状ではないかというふうに思います。
 その結果、現状のまま正社員が減りパートが増えるとどういうことが起きるかといいますと、労働市場全体として見ると、労働条件の低下や雇用の不安定化が起きかねない。また、パートの人たちも、今までは能力開発をし、責任ある仕事に就くということを一生懸命やってきたにもかかわらず、そういうものが報われない。処遇の面で報われないと、もうこの程度のほどほどの働き方でいいというような考え方を持つようなパートが増えないとも限らない。つまり、企業としては、パートを増やし、その基幹労働力化を進めようとしているわけでありますけれども、そういう企業の人材の活用の仕方をこれから進めようとすることが阻害されるというような問題も起きかねないというふうに私は危惧しております。
 じゃ、こういう問題をどういうふうに解消したらいいのかということであります。これは最後、あと二、三分お話ししてやめたいと思いますけれども、レジュメで少し間違ったのは、正社員とではなく、正社員を含めた雇用システム全体の見直しが必要だろうというふうに思います。
 一つは、パートは、極端なことを言えば、企業の中で言えばわき役であるというような考え方を改め、つまり正社員とパートを、やはり両者それぞれ企業経営を支える大事な人材、正に社員として位置付けるということがまず出発点だろうというふうに思います。
 その上で、確かにパートは正社員に比べれば労働時間が短いわけでありますけれども、労働時間の長短ではなく、長い短いということではなく、それぞれの、パートであるか正社員であるかということではなく、それぞれの働き方に応じて処遇するということが大事だろう。つまり、パートは社員でないとか、パートは補助的な働き方ということを改めて、それぞれの働き方に応じて処遇するということが大事だろうというふうに思います。
 そういう意味で、同じ働き方であれば、社員である、パートである、つまり時間の長短に関係なく同じ賃金の決め方を適用し、賃金水準については時間比例にするということがすごく大事になるのではないかというふうに思います。そうすることを通じて、働き方が同じであれば、時間の長短に関係なく処遇が均等化されるということができるのではないかというふうに思います。
 そのことが、資料の図の二ページの方でありますけれども、図の二を見ていただければいいかと思いますが、現状は上の状況であります。パートは補助的な仕事だけじゃなくて責任ある仕事に就く、しかし処遇については大きな差がある。これを、働き方が同じであれば時間に長短に関係なく同じ処遇が適用されるという方向を目指すべきと。こうすることによって、短時間勤務とフルタイムの間を行ったり来たり、相互に行き来できるような働き方ができていくということになるのではないかというふうに思います。
 一応大体二十分ぐらいかなというふうに思いますので、ここで私の説明を終わらせていただきたいというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
#4
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 次に、永瀬参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(永瀬伸子君) お茶の水女子大学の永瀬伸子と申します。本日はお招きいただきまして、どうもありがとうございました。
 今日は、お配りしたレジュメの、多様な働き方、選択性の確保の課題と今後の展望、それから一枚の図、この三枚がございますけれども、これに沿ってお話をしたいというふうに思います。
 今、佐藤先生から全般の非常に大きなお話がありましたので、若干ダブる点もあるかもしれませんが、御容赦ください。
 まず、レジュメの一ですけれども、正社員以外の非正社員の急増がこの九〇年代に見られているということはよく御存じのとおりです。例えば、数字を挙げますと、十五から二十四歳の在学でない男女がどのくらい非正規が増えたかというのを見ますと、数値ここに挙げていませんが、男性で一九九〇年は六%、それが一八%、五人に一人の在学中でない十五から二十四歳の男性は非正規です。女性に関しては、九〇年の一〇%が二五%、四人に一人が非正規就業になっています。では、二十五から三十四歳で見るとどうか。男性は二%が五%、上がってはいますが、余り変わっていません。女性は二四%が二七%。では、中高年の四十五から五十四歳層ではどうか。男性が一%が三%。女性が四一%が四九%、つまり半数が非正規で働いております。
 ちなみに、この女性は既婚女性ばかりではありません。例えば、同じ四十五から五十四歳の単身の女性、この単身で自分で生計を支えている女性についての非正規比率を見てみますと三一%です。
 ですから、女性全体よりは若干低いものの非常に高い割合の女性、そして若年層、それからあと高年齢の男性、ここで非正規がこの九〇年代に急速に拡大したということになります。
 そして、この非正規雇用あるいは非典型的雇用の拡大というのは、別に日本に限られたことではないんです。世界的に見られる流れではあります。
 では、日本のどこが特徴的かというと、二に行きますけれども、日本ではその格差が極めて大きいというのが日本的な特徴と言えます。それは賃金面、あるいは雇用の安定性や雇用保障面、あるいは賃金経路、これらの点で格差が極めて大きいのです。
 賃金水準や賃金の上昇率、あるいは契約期間が短期の繰り回しが多いこと、片方は契約のその終期がないという、それから社会保険に関しても、百三十万、例えば既婚女性でありますけれども、は入らなくてもよろしい、あるいは労働時間で四分の三条件等があると、こういったようなことで除外されている方も多いですし、それから企業年金や退職金その他の福利厚生でも大きな格差があります。さらに、これほど女性や若年に多いこの非正規ですけれども、育児・介護休業法の保護、これも及んでいない人が大変多くございます。というのは、この法は有期雇用者、一年未満の有期雇用者は除外しておりますので、このように若いところであるいは女性で増えている非正規ですけれども、その保護は及んでいないわけです。
 そういったわけで、この非正社員と正社員の雇用区分の格差は隠れた男女格差になっていると言えるだろうと思います。
 これまで正社員は家族を養えるような世帯賃金、若年からだんだん上がっていって、子供や奥さんも養えるような賃金、そして非正社員はお小遣い程度の賃金だったのではないかというふうに思いますが、果たしてそれでいいのかどうか。生産性と乖離するケースも多くなっているのではないかと思います。
 それから、正社員の拘束性を、これまでは正社員というのは高い拘束性がある、転勤や残業も受け入れると、ですからそういった格差はあるのは容認できるという見方もこれまであったと思いますが、それを是認することが経済的に効率的ではない時代になってきているのではないだろうか。それは具体的には、若者で正社員になるその拘束性を嫌う人が増えています。それから、正社員の仕事を持って、かつ子供を持っている女性は少数です。
 例えば、育児休業を利用した人がどのぐらいいるかと。出産に占める割合で見ますと、これは九九年ですが、四%にすぎないんですね、出産者の四%なんです。これは、出産した時点で正規の社員の仕事を持っていた人に限りますと過半数を超えているんです。ですから、辞めてしまった人を除けば産休明け復帰は減って育休利用者は増えているんですけれども、出産した女性の割合で見ると四%にすぎない。ほかの人たちは辞めているか元々取れないか。大多数が辞めているんですね。そういう実態が今の正社員の働き方にはございます。
 また、シングルであっても正社員になれない、あるいは正社員にならない女性も増加しておりますし、あるいはそういう男性も増加しておりますし、またこういった世帯賃金である場合は男性の中年失業者の再就職がかえって難しくなったりもしております。
 現状ということでこの図をちょっと見ていただきたいんですけれども、お配りした一枚のぺらの図ですが、この図は平成十一年にいわゆる物差し研というパートタイム労働に係る雇用管理研究会が行った職場における多様な労働者の活用実態に関する調査から集計したものです。そして、同じような職務内容の正社員との賃金差に納得できない非正社員がどのぐらいいるかというのを見たものですが、納得できない、納得できる、分からないというこの中で、あと、賃金差があると思っている、思っていないという、その辺もありますけれども、自分の方の賃金が低いと思っていて納得できないとした人が大体四割、それから賃金を低いと思って納得できると思った人が大体四割です。それで、それを納得できないと言った人を特に取り上げてみたのが図一で、しかもこの度数が全体の度数ですから女性が非常に多い、そして納得できない人は女性のフルタイムで比較的高いということが図一から分かると思います。
 次に図二ですけれども、図二はその納得できないと言った人を属性別に見たもので、折れ線グラフが、大変見にくいんですけれども、納得できない人の割合を示していますが、特に高いところにある二本の折れ線グラフはシングルの女性と母子世帯の女性です。つまり離別した女性です。こういった人たちは、賃金差が納得できないという方が男性及び既婚女性に比べてかなり高くなっております。
 この白い面積はシングル、黒い面積、一番黒いところは既婚女性で、高年齢で高くなっている黒い面積は男性ですけれども、非正社員の内訳がこのように年齢とともに変化しておりますけれども、全般に一番納得度が高いのが男性、次に既婚女性、そして離別あるいは未婚女性という順番に納得度の格差が出ておりますのは、恐らく生計を維持する必要があるけれども、お小遣い賃金というところに対する納得度がシングルで低下する理由ではないかというふうに思います。
 最後の図三が賃金の分布、年収の分布ですけれども、これは四つの類型別に面積が全体で一〇〇%になるように書いてありますけれども、ちょっと見にくいところがございますが、就業調整している女性ですと大体五割ぐらいが百三万周辺である。今度、就業調整をしていない女性、見にくいところがありますが、百六十万から三百万ぐらいに多くが分布しております。
 これに対して、男性は三百万から五百万ぐらいに分布と、全体に男性の方が分布が高くなっております、就業調整をしていない男性ですね。それから、非正規であってもかなり男女差があるということと、就業調整をしていなくても非正規女性の年収分布は大体百六十万から三百万ぐらいまでにしか分布していなくて、三百万から急に分布は落ちているということが、ちょっと見にくい図ですけれども、お分かりになるんではないかというふうに思います。
 では、このように非正規であっても、まとめますと、実態のところとして、就業調整しようとしないと比較的低い賃金しか非正規女性は取れない。その中で、ほかの主な稼ぎ手があって、さらに家庭責任がある人には納得している人も比較的多いのだけれども、そうではなくて、経済的な必要が高まるほどに賃金差に納得できないという人は増えているということが大体まとめとして言えるのではないか。そして、非正規労働市場であっても、かなりの男女の年収格差があるといったようなことが言えるのではないかと思います。
 レジュメの三に行きまして、では均等待遇、正社員と非正社員の均等待遇が望まれているのかということ、あるいはまたそれが進むべき方向かということですけれども、これに関しては、人口構造等から見ても進むべき方向と言わざるを得ない。そして、そういった総論としての理解は恐らく多くの方々がもう既に持っておられるのではないかというふうに思います。この格差は大き過ぎる、様々なゆがみが出てしまうということは多くの方が感じていらっしゃるのではないかと思います。しかし、実態としてはなかなか簡単に進まない、進めない、進んでいない。
 それはなぜかというと、これまでの日本の雇用慣行の在り方が正規と非正規を非常に分けてきた。そして、正規は正規なりの人事管理をしてきたために均等待遇を進めることがなかなか難しい。具体的には、採用の仕方も随分違いますし、それから選別、キャリアルート、教育訓練、これらもかなり違ってきたということ、そしてまた労働法上、雇用区分の差による差異は認められていること、それから正社員に対する法の保護は極めて大きくて、場合によっては非正社員と正社員とで利害が対立する場合もあり得ますけれども、労働者の代表の圧力団体であるはずの労働組合が主に正社員の利益を代表してきたこともあるのではないだろうか。
 そして、先ほどの図でも見ましたけれども、女性自身による就業抑制行動等も格差がそのままとどまる理由になってきた。均衡待遇を進めることをちゅうちょする政治力や発言力を持つ団体は多いけれども、これを強力に進めるような政治力や発言力を持つ団体がいないこと、こういったことが、均等待遇が方向としては進むべきであろうし、そうでないと現在の人口構造の変化等をかんがみても、どうにかするべきだということに対しての理解や合意は深まっているにもかかわらず余り前進がなされていないで、ただ非正規の労働市場が拡大してきてしまっている、それは企業のコスト削減に対する努力の結果等でもあるでしょうけれども、というのが現状なのではないかと思います。
 では、今後の展望ですけれども、今後はやはり正社員と非正社員の雇用区分の垣根を低める必要があるだろう。そのためには、パートから正社員、正社員からパートといった随時の転換を可能にしていくのが重要なのではないか。そのためには、やはり法律上の扱いというのをひとつ考えてみる必要があるのではないか。また、従業員代表の中に非正社員の代表が入るということをもっと高めることが必要なのではないか。それから、社会保険の扱いも格差をなくす、権利もまた義務も同じように扱われるべきなのではないか。それから、育児休業・介護休業法等の保護は非正社員も含めるべきではないか。
 それから、少し話が飛びますけれども、新卒就職の在り方も私は今とても問題があるというふうに思っています。そういった保護の厚くてキャリアルートの深い正社員という職に私の大学の卒業生も含め大勢が今殺到するんですけれども、本当に入口が狭くなっています。果たして大学卒業時にそれほど能力を振り分けることができるのか。今インターネットでもう何万人も一社に応募することがあるんですね。その中からほんの一握りを選別するんですが、むしろそういうことよりは、キャリアを生かして次のキャリアに進んでいけるような、そういう就職の在り方が必要なのではないか。つまり、その辺を見ても、今までの新卒採用、長期雇用の正社員の処遇の在り方というのはもう少し見直されていく必要があるのではないかというふうに感じます。
 とても重要なのが、働き方の暗黙の合意を変えていくことなのではないかと思います。現在の制度は、家庭責任は働いていない人が取るということを前提にしているのではないかと。つまり、働いて子供を育てるのが当然という下で社会の仕組みはまだ今の日本では余りできていないということを私は日常生活の中からも感じることが多うございます。家庭責任を男女の雇用者が取るということを前提に制度を変えたらいかがかなと、それはパートの均等待遇という方向に向けての大きな環境整備にもなるだろうというふうに思います。
 具体的に是非お願いしたいのが二つほどありまして、一つは、育児休業法を時間貯蓄制のような形にできないかということです。
 保育園に入るために四月に復帰する女性は多くて、まだ育児休業期間をかなり残して復帰する人も多いんですけれども、そういう方たちの残り時間を例えば短時間でずっとこの後も使えるですとか、今は育児休業は一回復帰するともう使えないんですね、それをもっと時間貯蓄という形で使えないのかということです。
 それから、もう一つは保育園枠ですけれども、今は目標値として何万人という保育園の目標が出ています。ただ、この何万人というのは合計の数字なので、私が是非お願いしたいのは、子供の何割というふうにしてほしいということです。
 これは、実は大都会ほど子供に対する保育園の割合は低いんです。枠だけじゃなくてその割合として、例えば一歳、二歳とその辺の枠の割合が非常に低いんですね、大都会ほど。ですので、何万人ではなくて、例えば二歳児の三割というふうにしますと、どこの自治体で保育園が相対的に非常に少ないのかということは明確になるとともに、より多くの人がその保育園に対してアプローチできるんです。
 というのは、今待機しているといっても、元々すごく低い割合のところで、やっと入れるかなと思って待機している人たちのことだけをとらえていますと、枠が増えれば増えるほど申込みは増えていくんですね。ですけれども、その割合自身を目標にすれば、非常にこの点は改善されるのではないかなというふうに思いまして、是非この点はお願いしたいというふうに思います。
 そして、あと、残業や転勤の慣行あるいは中途入職の扱い等の雇用慣行の見直し、労働者代表団体の在り方の見直し等も必要かと思います。そしてまた、施策をするとすると、是非若年層に重点的な施策をしていただきたいというふうに思います。
 中高年はある一定の選択をした方々ですので、それはそれとして、まだ選択をしていない若年層が普通のこととして家庭も子供も仕事も持てる、そういうビジョンを若い男女が描けるような、そういう施策ができていってほしいというふうにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#6
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 次に、柏渕参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(柏渕忠君) ベネッセコーポレーションの柏渕でございます。
 本日は、こういう貴重な場にお招きいただきまして、ありがとうございます。
 お手元の資料、「ベネッセコーポレーションの雇用環境」という資料がございます。
 初めに、私のことになるんですけれども、実は私、ベネッセコーポレーションには昨年入社いたしました。言わば、雇用的に言えば中途でございます。中途入社して、しかも私、実は契約社員でございます。こういうことをやっているというのは余り日本企業ではないと思うんですけれども、後ほどこういうベネッセが少し挑戦しているようなことをちょっとお話の中に挟もうと思っています。
 本日は、雇用、それから人材の活用の在り方、それから支援する制度、これは社員でも契約社員でもしかりだと思うんですけれども、この辺は、実態、事業会社がどんなことをやっているかということで御参考にしていただければ幸いでございます。
 まず、雇用と人材活用の在り方なんですが、これをお話しするのに、我が社、ベネッセコーポレーションの事業の特性をちょっと簡単に述べさせてもらいます。非常にこれは事業構造と密接なところがございます。
 お手元の資料の「会社概要」というところに書いてございますベネッセ、これはフィロソフィーブランド、理念的なところでございますが、ラテン語のベネとそれからエッセ、これはよく生きるという造語でございます。これに至った経緯なんかも、この事業の今までの展開もございます。
 創設は、ここに書いてありますように一九五四年でございます。しかし、実はこの四年前に、先代の社長、福武哲彦が富士出版社というものを作りました。これが五四年に倒産しております。このときの体験といいますか、それが非常に今まで生きております。
 それは何かと申しますと、三つございまして、一つはやはり在庫、これはやっぱり最小化しようじゃないかと。それからもう一つは、今で言えばリピーター、やはりリピーターを大事にしようということでございます。これが継続ビジネスということで我が社の今の根幹を成しているようなフィロソフィーでございます。もう一つが、本日のテーマにも関係してくるんですけれども、外部人材の活用、これを徹底的にやっていこうと。後ほど御紹介いたします赤ペン先生という、こういう組織がございます。これなんかは典型的な外部人材の活用でございます。
 そういう経験がございまして、我が社の事業の三つの大きな柱が従来ございました。
 一つは、一九六二年、「関西模試」と書いてございます。現在進研模試という形でネーミングしておりますが、これがその一つ、模擬試験でございます。それからもう一つが、一九六九年、実際には六五年ごろから始まったんでございますけれども、「通信教育セミナ」、現在進研ゼミと申しております。これが一つでございます。それからもう一点、出版事業でございます。一九八一年に「書籍・雑誌事業へ参入」と書いてございますけれども、元々は受験、中学・高校生向けにした受験をなりわいとしておりますので、そういう教育にかかわる出版だったのでございますけれども、最近では文化までも広めて、文化、生活、こういったところまで広めて出版をやっております。
 この中で、三つお話ししました中で、進研ゼミというところが実は我が社の最大のビジネスの規模でございまして、これが雇用形態の一つの特徴を成しているということでございます。
 概要はそういうことでございまして、あと我が社がどんなことをやっているかということは、一九九三年に、これは語学教育のベルリッツをグループインといいますか、買収したということですとか、それからベネッセホーム、これは介護事業でございます、これは拠点型に特化してございますけれども、そういう介護ビジネス、こちらの方をやらせていただいているということでございます。
 我が社の従業員の構造をまずざっと御紹介いたします。
 ここに、図に書いてございますが、特徴といたしましては、やはり女性の社員、女性社員がやっぱり歴史的に非常に多うございます。正社員のうち六〇%近く、若干最近比率が落ちているんですが、やっぱり六割が女性という、余り例を見ない組織でございます。
 しかも、これはいわゆる事務職とかそういう補助職というような、女性というとどうしても歴史的にそういう部分があったかと思いますけれども、全員いわゆる総合職でございます。給与体系も全く一緒でございます。これは非常に特徴ではないかなというふうに思います。
 このほかに、先ほどの外部人材の活用ということの一つの例でございますけれども、赤ペン先生というのがございます。これは、進研ゼミをやっていただいている生徒さんに添削を上げてもらうわけです。それを解答していくと。赤い字で書くから赤ペンと言うんですけれども、こういう仕組みでございます。ただ、これは単純な添削というのではなくて、言ってみればコミュニケーションのツールということで活用すると。ですから、お母様方との接点にも、特に小さいお子様、小学校の低学年の方々ですとお母様も見るような形で、言わばコミュニケーションのツールという形でやっております。そういう赤ペン先生が現在二万人ぐらいおります。
 それから、ここに書いたレターカウンセラーとかもありますけれども、ほかにはゼミレポーターというのがございます。実際にゼミをやっていただいている方、そこから実際に声を上げて、また会員の方に展開していくと。こういう協力していただいている方が五万人ほどいます。
 ですから、正社員が千七百二十一人と書いてございます。で、契約社員、準社員も、準社員というのは社員の形態をちょっと変えたような形なんですけれども、含めて見ると二千人と。そこに外部の協力していただいているスタッフが六万人を超えるような形でいると。これもやはり非常に特徴ではないかなと思います。
 次のページでございます。二ページ目でございます。今度は、じゃどういう形でそういう人を支援しているのかと、働いている人たちをどう支援しているのかということのちょっと特徴を述べたところでございます。
 弊社は、一九九五年、平成七年に新しい人事制度の柱といたしまして成果主義、当時でいうと比較的新しい取組だったんですけれども、自由と自己責任ということを柱にして制度改革を全般に行いました。本日は報酬の制度とかそういった細かいことに関しては割愛させていただきますけれども、働く上での諸制度でございます。こちらの方をちょっと御紹介したいと思います。
 三ページにちょっと詳しく書いてございますので、ちょっと一覧で恐縮ですが、ごらんいただきたいと思います。
 例えば、やはり我が社の社員、六割が女性ということでございます。実際、お子様を持って働いている、我が社ではワーキングマザーとかいう表現を使っておりますけれども、百四十名ほどいます。今働いているそういう、お母さん社員と言うとちょっとあれなんですけれども、そういうワーキングマザーがそうなんですけれども、育児休職、この制度がちょっと特徴的かと思います。
 昭和六十一年に再雇用制度ということでスタートしました。平成七年、先ほど申しました制度改革と併せてこういう育児休職制度というのも設けました。非常に特徴的なのは、従来の再雇用制度、一度お辞めになってそれから登録しておいて復帰するというふうな仕組みでは、やはりリターン率といいますか戻ってくる率は非常に低うございました。三〇%とかそんなものだったと思います。最近ですと、やはり八割とかそういう形で復帰してくるというふうなところが特徴的だと思います。
 それから、介護休職、この辺は比較的他の企業も取り組んでおりますので割愛させていただきます。
 それからもう一つ、特徴的ではあるかなと思います育児時短、こういう育児時短勤務というものを設けてございます。勤務時間を五時間それから六時間と選択できるようにしまして、そういったものを平成四年ぐらいから導入しているということでございます。
 それから、ほかにはカフェテリアプランというのを、これは比較的早い段階から、今ではいろんな企業さんでやっていると思いますけれども、早い段階から、九五年、平成七年から取り組んでいると。この中に先ほどから申していますようないろんな制度を補助するような形で盛り込んでいたり、それから、下の方に書いてございます事業所内託児所、こちらも比較的早い段階から取り組んで、これもカフェテリアのポイントを使えるような形でやっているということでございます。
 冒頭申し上げました育児休職なんですけれども、別に女性だけではなくて男性も使えるという形にはなっているんですけれども、今のところは活用している人間はいないということでございます。
 それからもう一つ、特徴的なことを一つ申しますと、三ページの下の方に書いてございます「その他の会社からの支援策」というのがございます。この二行目に「休職中の情報誌の送付」とございます。この中の一つに、社内報なんかもあるんですが、「リターン通信」という情報誌がございます。これは、復職してきた方、男性、女性かかわらず、その方たちの声を載せているということで、それで非常に勇気付けられて戻ってくるような形、こういう形もあるんではないかなというふうに思います。非常に立体的に、現実感のあるような声を上げているようなケースもございます。
 次の四ページでございますけれども、表現上、「会社側のメリット」とちょっとストレートに書きましたけれども、企業サイドとしてどんな、こういう制度を入れていいことがあったかということをちょっと書いてございます。
 我が社は、他社の非常に伝統的な企業と比べると、勤続年数十年を切るような、短いんでございますけれども、今までの我が社の比較からすると、やはり最近は勤続年数が延びているというようなところで、一つのこれも今までやってきたことの成果ではないかと。
 それからもう一つは、女性が働きやすい職場ということでは、新卒の採用のところではランキングも高い、就職の人気ランキングも高いような形で出させていただいているというような状況もございます。
 それから、実際の、冒頭申し上げましたような我が社の事業形態なんですけれども、子供でございます。たまごクラブ、ひよこクラブなんという言葉が、こういう商品ございますけれども、実際にモニターを自らやって、それをまた商品に反映する、こういうような形で、言わばコミュニティー、社員も含めたコミュニティービジネスをやっているというふうなことでございます。
 今後の課題でございます。
 一つは、女性社員が比率が多いというふうに申し上げましたけれども、どうしても管理職という中ですと、どうしても低いというような状況ございます。ですから、ちょっと表現を、あえて申し上げさせていただければ、上に行けば行くほど女性の比率が少なくなる、男社会的なところはやっぱり残っている、この辺はやっぱりチャレンジングなところだと思います。
 それからもう一つは、最近の業績、実は他社さんもそうですけれども、やはりようございません。こういう実態、事業の実態に合わせて残業が増えるとか、そういったところがあって体調を崩したりと、こういった、何といいますか、ヘルスケア的なところもございます。こういうところの課題、これが最近非常に多くなってございます。
 もう一点、最後なんですけれども、組織を編成する上での特徴だと思うんです。やはり女性と男性、それから経験の年数ですか、年齢ですね。若い若いといいましても、だんだん、年齢の層といいますか、高くなってきたのは事実でございます。ですから、そういう意味で、組織編成するときに配慮をするようなことが最近特に目立ってきています。
 これは、時短勤務、時間を短縮して勤務する方がいるというとなると、どうしても圧迫されて通常勤務の人が残業が多くなる、こんなことをどうやって今度はケアしていこうかなと。これはもう制度というよりも実際のマネジメントのテーマになってくると思います。
 最後のページ、五ページに、先ほどちょっと特徴的なところということで、外部協力スタッフの活用ということで、「進研ゼミの赤ペン先生」とちょっと載せさせていただきました。
 一つのこれ特徴なんですが、ちょっと述べさせてもらいますけれども、一人のグループリーダー、これはいわゆる赤ペン先生の一人です、その人が大体二十人ぐらいを見ていくと。十数人から二十人ぐらいまでだと思うんですけれども、それでリーダーとして活躍していると、コミュニティーを作るみたいにです。それがグループ、グループといいますか、その幾つかのグループ、これも十五から二十ぐらいのグループを社員が見ていると。ですから、一人の社員が実際マネージをしているというか、赤ペン先生の人数というのは三百から四百人ぐらいということで、非常に戦力といいますか、会社への貢献ということでは協力していただいているということでございます。
 もう一点、ここにはちょっと書いてございませんが、今後の課題ということでちょっと一、二点付け加えさせていただきたいと思うんですけれども、契約社員みたいな形での雇用形態、これもやっていることはやっているんですけれども、今度は勤務形態でございます。在宅、世の中でいうSOHO、こういったことも志向していこうじゃないかとか、それから、契約社員といってももうちょっと安定的な、何といいますか、雇用上、守られると言うと変ですけれども、ちょっとサポートしてやるような形。どうしてもやはりまだまだ契約社員というと、実際に入社していただくときに迷ってしまうという方もいらっしゃると思います。それが現実だと思います。そういったところを変えていきたいなと思います。
 例えば、私も米国の会社が十九年と長いんですけれども、テンプ・ツー・パームとかテンプ・ツー・ハイヤーとかいろいろ言いますけれども、個人事業主として契約をしていくと、言わばそのときそのときでは非常にプロとして活躍して、実際に会社への貢献が終わった段階でまた移っていくみたいな、これはどちらかというと今の会社、それから事業形態が変革の時期には非常に私は効くような、効くといいますのは、有効性のあるようなやり方だというふうに思います。この辺はやはり法制面での御支援みたいなのも必要な部分があるようになってくるかもしれません。
 ちょっと話が二時を過ぎましたけれども、以上、ベネッセコーポレーション柏渕の方からの説明ということで終わらせていただきます。
#8
○会長(勝木健司君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後四時三十分までをめどとさせていただきます。
 なお、時間が限られておりますので、質疑者お一人当たりの発言時間及び各参考人の答弁ともに、それぞれ三分程度までにおまとめいただきますようお願いいたします。また、質疑の御希望は挙手をもってお知らせいただくこととし、質疑は会長の指名を待って行われますようお願いいたします。
 それでは、質疑を希望される方は挙手をお願いいたします。
#9
○内藤正光君 民主党の内藤正光でございます。
 本日は、お三方の参考人、お忙しい中お越しいただきまして、本当にありがとうございます。
 そこで、佐藤先生と永瀬先生に同じ質問をさせていただきたいんですが、やはりこれからパート労働者とそしてまた正規社員のいろいろな格差をなくしていかなければならない、おっしゃること、私もそう思いますし、これから政治家の立場でいろいろな格差をなくしていくべくいろいろ取り組んでいかなきゃいけない、それはそう思っている一人でございます。働く者の立場からもやはりこれは望ましい方向性だとは思うんです。
 しかし一方、翻って経営者の立場に立って考えたときに、果たして、パート社員を雇うのも正規社員を雇うのも一人当たりのコストは実質的に変わらない。ところが、パート社員は好きなときに働くだけですよね。何となく、経営者の立場からもし考えたとしたら、ちょっとやりづらいかなというところがあろうかと思うんです。そこも一つなかなか進んでいかない要因なのかなとは思うんですが、経営者に対して、こんなインセンティブが実はあるんですよと、今いろいろ皆さんが気付いていないんだけれどもこういうインセンティブがあるんですよ、すばらしさがあるんですよというものがあったら、両先生からちょっとお伺いしたいと思うんですが。
#10
○参考人(佐藤博樹君) まず一つ、私、パートであれ正社員であれ、時間の長短に関係なく働き方に応じて処遇することが必要だというお話をしたのは、働き方が違えば異なった処遇をすることは合理的だというふうに考えています。ただ、今問題になっていますのは、会社の雇用区分と実態の働き方を見ると、同じ部分がかなり増えてきているものがある。そこについては実は、ですから、現状の会社の処遇の区分がおかしいのであって、働き方に合わせて処遇をそろえてくださいと。ですから、ここの部分については働き方に応じて処遇する。ですから、そうすることによって私は、働き方に応じて処遇するということは会社にとってプラスが当然あるだろうと。それだけパートの人たちの能力向上意欲ですとか働く意欲が高まるということになって、僕は、働き方に応じて処遇することは会社に対する貢献も高まるのではないかというふうに思います。
 もうちょっと補足して説明させていただきますと、その図の二のところですね、この右側の上に出っ張ってきた三角形のところですね。つまり、パートの中で正社員と同じような仕事に就いている、あるいは仕事は違うけれども能力が同じような人たち。正社員の中でも、全部の正社員を言っているわけじゃないわけであります、正社員の中でもそういう基幹労働者、パートと同じような働き方をしている人たちが出てきている。
 例えば、あるスーパーマーケットの売場主任ですね、正社員の売場主任もいればパートの売場主任もいる。ただし、片方は八時間働き、片方は六時間である。こうしたときに、片方が月給制でボーナスもあり、片方は時間給、時間当たりの賃金が違うというのはおかしいのではないか。そこについては実は、社員、パートという区分ではなくて、新しく別の区分を作り、同じ処遇をすべきではないか。
 ここは、もしかすると、パートが安いのか、あるいは正社員の方が高過ぎるのかもしれないんですね、ここについては。だから、正社員とパートについて同じような処遇の枠組みで処遇してくださいということであります。そうすることによって私は、企業からすればパートの戦力化、活用というものがより積極的に行われるのではないか、そういうことです。
#11
○内藤正光君 ありがとうございます。
#12
○参考人(永瀬伸子君) 企業に直接、企業のインセンティブを高めるかどうかは分かりませんが、人口構造の変化等から考えまして、やはり税制や社会保険上も、恐らく同じように働いている人から同じように負担をしてもらうということになっていかざるを得ないのではないかと。今はそこが、負担しないでいい方たちもかなりまだいますので、例えば既婚女性というようなことで負担がないところもありますので、そうすると、国の制度としても一部からは負担がないと。企業の負担もないし本人の負担もなく、そして本人としてもそれほど本格的に働く誘因を持たないような、そういう制度が今残っていると思うんですが、これを残し続けていくことは極めて難しいのではないかというふうに考えられます。
 そうしますと、男女同じように学校教育を受けて、そして既婚女性になったときに、後は余り働かなくてもいいような状況というのと、なるべくその能力を発揮する、それはもちろん家庭内と仕事と両方だと思いますが、その状況とを比べた場合にどちらが日本という国全体にとってより良いかということを考えますと、恐らく、昔は前者であっても良かったのかもしれませんけれども、人口構造の変化やあるいは生産構造の変化の中で、恐らく今はそういったことで実現できるものと、それからそれぞれが能力を発揮していくことで実現できるもので考えますと、やはりシステムとしてはそちらに移っていかなくてはならない。
 こちらに移っていくとすると、やはり処遇もより均等にしていかないと労働者の方の納得も得られなくなりますし、また実際本人が十分に働く意欲を持つかどうかということに関してもよく分からないと。そうなりますと、今は企業がそういうふうに安い労働力をうまく使える状況があるので、そういう状況がある限りは新しい方向にシフトする誘因は個々の企業で見ると余りないのですけれども、日本全体で見るとこれは決していい状況とは言えないことがあるわけで、そうしますとやはり政策としてそちらに移っていく必要があるのではないかなというふうに思います。
#13
○内藤正光君 ありがとうございます。
#14
○日笠勝之君 公明党の日笠でございます。
 佐藤先生にまずお伺いをしたいと思うのでございますが、先ほど就業率のアップといいましょうか向上と、こういうことをレクチャーいただきました。これ、就業者の定義ですね。例えば正規社員に比べて四分の三以下の俗に言うパートというような方も就業者に入るのかとか、先ほどベネッセの柏渕さんおっしゃった赤ペン先生のような、昔でいう内職なんでしょうかね。こういう方、内職なんでしょうかね。
#15
○参考人(柏渕忠君) 近いと思いますけれども。
#16
○日笠勝之君 近いと思いますね。そういう方々もこの就業者に入るのか。これ、就業者の定義ですね。これはちょっと聞き漏らしたように思いますので、お願いしたいのが一点。
 それからもう一つは、多就業型ワークシェアリングも視野にと、こういうふうにおっしゃいましたが、これはもう簡略に言えばオランダ型のようなワークシェアリングを言っているのかどうか。まあドイツ型、フランス型、いろいろあるようでございますが、もう少し、この多就業型ワークシェアリングというのは同一労働同一賃金のようなオランダ型というふうに私は理解したんですが、それでよろしいのかどうか。
 それから、永瀬先生にお伺いいたしますが、保育の件をお話しいただきました。
 大都市で二歳児の三割から四割に義務付けと、こういうことでございますが、保育は福祉政策でございまして、保育に欠けるということでそういう制度があるわけでございます。要するに、義務付けということになりますと、いわゆる財政支出との問題でございまして、大変なこれは厳しい財政的な措置をしなければならないのかなと。これは、ゼロ歳児を例えば一か月預けると、建物から土地から人件費から全部計算をいたしますと、一人三十万ぐらい掛かると。保育料は五、六万と。残りは補助金なんですよね。そういうことを考えると、財政的な支出の問題がありますが、それをどうクリアをすればいいのか。
 それから、幼保再編と、こう書かれてございますが、これは説明がなかったんですが、これはどういう意味なのか。幼保一元という意味なのか、一体化という意味なのか、お願いします。
 それから最後に、柏渕さん、私も岡山市在住でございまして、ベネッセさんの本部、本社があるところでございまして、娘も進研ゼミを受けておりまして、いつもお世話になっているところでございます。
 先ほど、一番最後、課題を言われましたね。組織再編で配慮が難しいと、こうおっしゃいましたけれども、今後このような制度もこのまま進めていかれるのかどうか。かつては労働大臣優良賞とか努力賞とか数々の賞もいただいておるようでございますが、こういう組織再編でいろいろ難しい点があるということならば、少しこれ修正をしていくのか。その辺のもしお考えがあれば、簡潔でお答えいただければと思います。
 以上です。
#17
○参考人(佐藤博樹君) まず最初の就業率ですけれども、このときの就業者は、基本的に働き方の種類を問わず、つまり収入の伴う仕事に就いている人すべてが就業者です。ですから、内職であれ派遣であれ正社員であれパートであれ、ですからそういうものも含めて、ある、例えば十五歳から六十四歳の中で何人働いているのか。つまり、十五歳から六十四歳、生産人口というのは働く可能性、働く、ポテンシャルとしてはあれですが、その中でどれだけ活用しているのかということを見たいということです。
 ただ、御指摘のように、就業の中身ですね、質というものも併せて考えるということはもちろん大事だと思います。率が高くてもその中身がどうかということは、もちろん当然考えていかなきゃいけない。ただ、この場合、失業率なり雇用だけで考えても、実際その問題は同じにあるということです。雇用者が増えればいいというわけではなくて、その中身の問題がありますので。就業率であれ、失業率を減らすという、雇用率を上げるということでも同じような問題があるだろうというふうに思います。
 あと、二番目の多就業型ワークシェアリングですが、これについては御指摘のようにオランダ・モデルと言われているものを想定しております。つまり、個々の企業が雇用を維持するために行う緊急避難型のワークシェアリングではなくて、一定規模の働く機会を、いろんな人がそれぞれニーズに応じた働く時間を選ぶことによってシェアすると、かつ処遇については、時間の長短ではなく働きに応じた処遇になると、そういうような仕組みを想定しております。
#18
○参考人(永瀬伸子君) 保育園に関してですけれども、まず幼保の再編というふうに申しました。私が思いましたのは、全国を見ますと、幼稚園が中心の地域と、三歳以上でも保育園が中心の地域がございます。そして、今、主に保育が足りないのは、特に足りないのは大都市圏であって、そういった地域は実は幼稚園が中心の地域であります。ですので、そういう、そして少子化が起こっていますので、幼稚園としては長期的には施設が余っていく可能性もあるわけです。そういう地域ではかなり保育園の需要が上がっているんですね。幼稚園の需要は若干下がっていて保育園の需要は上がっているけれども、元々保育園中心じゃない地域なので、そうでない地域に比べても保育園の充実が低いんです。それは、例えば代表とすれば、この東京圏の辺りですね、埼玉とか千葉とか神奈川とか、この辺が一つの代表になっています。
 ですので、長期的に人口が、子供数が減っていくことを考えると、私は、三から五歳は例えば幼稚園、ゼロから二歳を保育園というふうにすれば、そして再編をすれば、保育園と幼稚園を別組織として保育園だけを充実していくということを考えるよりは、施設の有効活用になってうまくいくのではないか。それから、幼稚園に比べて保育園の方が児童対保育士さんの比率が高いんですけれども、それも、低年齢を中心にするということで、ひとつどうにか工夫ができるかなということで、幼保の再編ということが一つの解決策なのではないかと思ってここに書かせていただきました。
 次に、保育園を、ここの二歳児の三、四割に義務付けというこの点ですけれども、この三、四割というのは、実は何割と書こうかなというのはちょっと考えたんですけれども、こういう地域がないかというと、実はございます。それほど多くの子供たちが保育園に行っている地域というのはどこかというと、私は全国の都市の調査をしたんですけれども、例えば、ちょっと今手元でデータを見ようと思って、まだ出てきていないんで見られませんが、私の記憶が正しければ、四国とか中国地方、あるいは九州や北陸の方ですか、あるいは長野とか、意外と地方の方の都市でそういう地域はあるんですね、実際に。そして、大都市は、例えば神奈川県のある例を言いますと、四、五歳児まで見ても、保育園が例えば一四%ぐらいしか充実していないというのは、神奈川県は大体そんなものです。
 ある地域で三、四割子供たちが保育園に行っていて、ある地域では保育園に行っている二歳児が例えば七%と。それは果たして労働需要の差がもたらしている変化なのか、それとも、元々施設がないので多くの人がやめていっている、結果としてそういうふうな利用実態の差があるのか。というのは、幼稚園は三歳からしかありませんので、幼稚園中心の地域は、要するに子供があって保育園に入れなければ親が見るしかない地域なんですね。利用実態としてその三、四割という地域もかなりあって、そういう地域というのは意外と出生率も高い地域であり、かつ既婚女性の労働力率も高い地域なんですね。
 そういうことを考えて、またほかの国々の例等も考えてみますと、例えばフランスなどは非常に、これは幼稚園ですけれども、二歳から入ることが可能と。それからあと、ゼロ歳からの保育園等があるという、こういった国もありまして、その辺を考えてみると、まあ二歳の三、四割ぐらいをひとつ見ておくといいのかなと。つまり、残りの六、七割は家庭で見たい人もいるということですけれども、三、四割ぐらいはあってもいいんじゃないかと。例えば神奈川では、先ほども言いましたけれども、十何%ですね、一〇%台前半しかないわけです。
 これは福祉政策だからどうなのかという話ですけれども、例えば社会保障給付費で見ますと、高齢者に対する給付は五十兆円なされております。児童に対する給付は二兆円です。ちなみに、年金への給付は三十六兆円です。だからどうなのかということですが、だから本当に子供には支出がされていないんです。もっと支出は充実されるべきだというふうに私は思います。これに関しては、年金の積立金を運用する、年金の積立金をひとつ財源にしてもいいのではないかという論文を書いたこともございますが、その点に関して、それが果たしてどういう問題を生むかということをいろいろ考えてみますと、どの財源がいいというふうに明言はできませんけれども、明らかに子供に対してもっと財源が振り向けられるべきだということは申し上げたいと思います。それは税金であれですね。
 以上です。
#19
○参考人(柏渕忠君) 先生の御質問、資料の四ページの一番下の段、現状の課題というところの丸三番目のところというふうに、でよろしゅうございますでしょうか。
 ここで、組織編成上難しくなっているし、これからも難しいんじゃないかというふうな形で述べさせていただきました。
 三つほどあるんではないかなと思います。
 一つは、今までですと非常に右肩上がりで成長させていただいていますんで、これがやはり少し難しくなってくるとなると、やはり現場のマネジメント、今は各事業部に任せるような形でやっていました。これはやはり本社サイドが横から支援していって、仕事の仕方とか工夫して、そういう例えば時短の勤務者とフルタイム勤務している人とのやり方を少し工夫したらどうかというふうなことを本社が側面支援するという点が一つでございます。これはちょっと制度とは関係ございませんけれども。
 もう一点が、制度の方なんですけれども、我が社の時短勤務のルールといいますのが五時間、六時間、最長一年というふうな形で、これはちょっと違いますね、就学前のお子さんということで限定しております。この辺が、就学児も支援しようかとか、それから五時間、六時間にもうちょっとバリエーションを持たそうかというふうなことも一つは考えられなくはないです。ただ、やはり現場のマネジメントをちょっと見ていきながらかなというふうに思っております。制度でいきなり変えるというのもなかなか、制度があってなかなかすべてがうまくいくとは、ちょっとなかなか難しい部分もございますので、現場のマネジメントと合わせていこうかなと思っております。
 三点目が、これはちょっとレベルが変わってしまうかもしれませんけれども、こういういわゆるお子さんをお持ちの社員が増える、これは我が社だけではなくてほかの会社でも当然起こっている実態だと思います。そうすると、やっぱりそういう働きながら子育てしているというふうな社員といいますか、そういう方がいるということで、そういう人ができるビジネスみたいなものを、ビジネスを新しく作っちゃうと。今現在ちょっと我が社も厳しい状況になってきていますので、ちょっと違った次元なんですけれども、こういう機会だから、そういうワーキングマザーと、それから時短でどういったことが新しくビジネスができるかと。具体的に何かというのはちょっと企業秘密、いや、まだ考えていないんですが、実態なんですけれども、済みません、どうも、これから考えにゃいけないなというふうに思っております。
 以上、大体三つぐらいが対応だと思います。
#20
○日笠勝之君 ありがとうございました。
#21
○山東昭子君 自民党の山東昭子でございます。本日は、参考人の皆様方、いろいろありがとうございます。
 佐藤参考人にお話を伺いたいんでございますけれども、我が国は、終身雇用の時代から、アメリカナイズされてきてこれからは転職の時代に入ってきたと言えるんではないかと思いますけれども、その際に、正社員とパートということになりますと、働く側からいたしますと非常にフレキシブルな大変働きやすい環境になってくるような気がするんですけれども、しかし、経営側の方から見ますと、やはり働いている人たちがこの企業で働いているんだという帰属意識、あるいはその中での企業秘密であるとかあるいはその企業のノウハウ、そういうものが何か薄れてしまって、あるいはライバル会社にもその先に勤めるかもしれないなんということになりますと、会社と社員との信頼関係というものがこれからどのようになっていくのか。あるいは、今申し上げたそうした社員側の帰属意識。
 そして、長期的に見ますと、やはり二十一世紀は今までのような西洋スタイルのビジネスというようなものよりも、東洋的ないわゆる人脈を大切にするビジネスというものもむしろやはり原点に返って必要ではないかなどということも言われてまいります。コストだけのビジネスというようなものか、やはりそうした、何というんでしょうか、ウエットなビジネスあるいはドライ型かというようなことを含めて、これからの経営体制あるいは勤労形態というものがどういうふうに変わっていくのか。
 意識とそして形態というもの、そういうものを総合的にちょっとお考えを伺わせていただければと思うんでございますが。
#22
○参考人(佐藤博樹君) 非常に難しい御質問で、十分お答えできるかどうか分かりませんけれども、企業の雇用の在り方がどう変わっていくかということだと思うんですけれども、先ほど終身雇用から転職が当たり前の時代へというお話があったわけですけれども、企業の側から見ますと、先ほど、コストだけじゃないビジネスになってくるということです。正に付加価値で競争する時代ですので、そうしたときに付加価値はだれが生み出すのかというと、これはやはり人材なんですね。それも、どこかの会社からスカウトしてきた人材ではなくて、その企業が企業の中で育成する。つまり、その企業の外にいるのでない、その会社の中でしかないスキルを持った人材を企業の中に確保するということが企業の競争力を支える、正にそういう時代になっていく。
 そういうことですので、私は、アメリカでも同じなんですけれども、企業が従業員に人的資源投資を、教育訓練をし、企業固有の能力を育成していくという部分は必ずある。それがなければ企業の競争力は支えられない。ただし、その割合は、従来のように百人雇っているとすれば九十人だったのが、今後は三十人か四十人になっていくだろう。ですから、その三十人、四十人がゼロになることはない。やはり本当の企業の競争力を支えるのは、企業が正に企業の中で育成した人材だというふうに思います。
 ですから、そういう意味では長期雇用の人たちは残る。この人たちについては会社や仕事に対する高いコミットメントを会社としても当然期待するし、それなりにこたえてくれる人を高く処遇するということが一つですね。
 それともう一つは、そういうコアの人材とこれからはそれ以外の様々な就業形態の人材、ベネッセさんがそうですけれども、それをうまく組み合わせていくということももう一つ大事な競争力になっていくだろうというふうに思います。
 それと同時に、多様に人材を組み合わせていくときに、やはりそれぞれの雇用の仕方、就業の仕方に合った処遇の仕方を作っていくということと、もう一つ、今日議論になりましたように、それぞれ異なった処遇の間にもバランスというものもやはり大事なのではないか。そのバランスが崩れてしまうと、例えば在宅で働く人、短時間で働く人、契約で働く人、それで雇用区分が違うんだから、どんなに労働条件が違ってもいい、それは法律上は規制できないと思うんですけれども、しかし、人事管理上、やっぱり納得できる範囲内、自分あるいは会社として説明できる範囲内での処遇のバランスの中にないと、そういう多様な雇用の仕方の人たちをうまく動機付けて活用することはできないのではないかというふうに思います。
 ですから、コアの人材をどう確保し育成するか、もう一つ、それ以外の人材をどうやって組み合わせていくのか、それぞれの間の処遇のバランスをどういうふうに作っていくのかということが、これからの人の面で見た企業の競争力を支える大きな基盤になるのではないかというふうに思います。
#23
○山東昭子君 ありがとうございました。
#24
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。参考人の皆さんには本当に貴重な御意見をありがとうございます。
 まず最初に、三人の参考人の皆さん、一つのテーマでお聞きをいたします。
 この調査会は三年掛かりの調査でございまして、「真に豊かな社会の構築」という大きなテーマを掲げて調査を進めているわけですけれども、日本が非常に大きな経済大国でありながら豊かさを国民が感じることができないということで、じゃ、これからどうやっていったらいいのかということなんですけれども、この真の豊かさとは何か、それぞれの参考人の方々がどういうふうに思っていらっしゃるか、まずその点が一点です。
 それから二つ目は、今日は非常に私も関心の強いテーマで今お話をいただいているんですけれども、この調査会は、前の三年間は少子化問題一つテーマにずっとやってまいりました。
 二十一世紀というのは、やっぱり男女ともに仕事と家庭の両立ができるような社会だというふうに私は思っております。そのときに、前のテーマの調査会のときに、実は非常に私は教えていただきまして、こだわった内容がございます。
 それは、慶應義塾大学の清家先生が、少子化の原因というのは、経済発展の結果、女性による子育て機会費用の増大、これが少子化の原因だというふうに教えていただきまして、その後、八代先生の方から、このいわゆる機会費用という、つまり機会費用というのは、女性が結婚・出産退職で、子育て後にパートタイムで再就職する典型的な場合の女性の生涯所得を、正社員のままで定年まで勤務した場合と比較したその逸失所得というんですか、そういうものだそうですが、この金額が四千四百万円という国民生活白書の数字を出されて、随分大きな額ですよね、さらに五千万、六千万という数字もあるんですが。これほど、そろばんではじきますとそういう額になる。
 それだけの損失を女性が失ってしまうということについて、これは女性だけがそういう損失を受けるということであれば、やっぱり仕事と出産、育児というものを並行してやっていくということに、自覚するしないは別にして、大変な負担が、リスクが女性の側にあると。これは、やっぱり将来社会というのは、女性だけに負わせないで男女が負担をする。つまりそれは、企業も負担するけれども国もある程度制度的に保障していくという、そういうふうな解決方向を持たないと、これは、仕事もしながら、それから子供を産む自由も確保できる、そういう社会というのは実現しないんじゃないかなというふうに思っています。今のこの日本の少子化というのは、産まない自由はあるけれども、産む自由がない社会だというふうに思っているんですね。そういうことだと思うんです。
 それで、三人の参考人の皆さんに、そういう機会費用というものについて、何か研究をされたこと、あるいは工夫されてきたこと、あるいは問題だから国はこういうふうにしてほしいんだというようなことがおありになれば教えていただきたいと思います。
 特に、例えば企業側の、今のファミリーフレンドリー企業ですか、柏渕さんのお話の、この表の中にも、育児休職制度のところではやっぱり無給ですよね、介護休職も無給なんですよね。これは、お話、前の調査会のときにも聞きましたが、企業側からすると、ノーワーク・ノーペイだと。働いていない人にはペイする義務はないという、そういう企業論理というものがあるんだということで御説明いただいたわけですね。そこはやっぱり企業の限界というのがあるだろうと思うんです。
 ですから、私は、やっぱり母性機能、出産、育児をするという母性の機能というのは、社会的機能として国や政府が、あるいは社会がどのように考えていくかということでなければ、個人の問題というふうにしている以上は両立できないというふうになってしまうんじゃないかなというふうに思っているんですね。
 そういうふうな点で何か御示唆がいただければ、その機会費用の問題について、御見解をお願いしたいと思います。
#25
○参考人(佐藤博樹君) これまた難しい御質問なんですが、真に豊かな社会は何かという最初の御質問ですけれども、今回は、豊かさを支える雇用環境の整備ということですから、働くということからすれば、それぞれの人の働く意欲や能力、そういう個性に応じた働き方が提供されるような社会を作るということがやはり豊かな社会だろうというふうに思います。
 ですから、そういう意味では、働く意欲や能力もありながら、例えばある一定の仕事しか提供されない、あるいは、例えば能力を付けたいと思っても能力を高めるような機会が提供されていない、そういうことを改善するということがすごく大事になるのではないかなというふうに思います。それが一つです。
 二番目の機会費用なんですが、経済学者でないので、これは後で永瀬先生の方から説明があるかと思いますけれども、やはり私は、仕事を辞めて途中で寸断するとその費用が女性だけに掛かるということは変えていかなきゃいけないだろうというふうに思います。
 今、確かに、女性が仕事をしながら子育てもし、仕事を辞めないでもいいような仕組みというものがいろいろできているわけであります。先ほどお話がありましたような育児休業でありますとか短時間勤務。そして、短時間勤務も今回、法改正で三年まで延びましたし、育児休業期間中の所得保障についても雇用保険から今四割が出るようになっています。ですから、そういう仕組みが出てきているわけでありますけれども。
 ただ、この仕組みはいいんですけれども、もう一つ大事なのは、やはり男性の働き方が変わらないと、今の状況というのはどうかといいますと、女性が働きながら子育てもできる、それを支援するということだけになりかねない。男性は今までどおり仕事だけで子育てにかかわらない。そういう男女の役割分業を固定化しかねない。女性は、ですから働きながら子育てもできる、そういう仕組みができる。ですから、男性は変わらなくても済んでしまう、以前よりもある面では子育てにかかわらなくてもいいということが起きかねないわけですね。
 ですから、私は、そういう状況を変えていくためにやはり男性の働き方を変えて、もちろんそれは、育児にどうかかわるかはそれぞれ夫、妻が決めればいいことでありますけれども、男性も、例えば育児休業なり子育てにかかわりたいというふうに思えば、それは取りやすいという、今制度はあるわけですよ。でも、事実上、会社の中では管理職が、部下の男性が取れば少し白い目で見るというような状況がある。だから、そういうものは変えていく必要があるだろうというふうに思います。
 それぐらいです。どうも済みません。
#26
○参考人(永瀬伸子君) 真に豊かな社会は何かということに関して、私はまだ若輩でございますけれども、私の思う範囲で申し上げると、仕事の場があり、かつ家庭や地域、そのほか非金銭的な豊かさを感じられる場があると。それをすべての人が、一方だけではなくて双方を持つことができる。それからもう一つは、やり直しができるという、そんなようなことかなと思ったりいたします。
 機会費用については、先ほど五千万、六千万の逸失所得があるということでしたけれども、それは言い換えれば、それだけの逸失所得があるにもかかわらずなぜ女性が仕事を辞めてきたかというと、恐らく子供を持ったり家庭を作ったりするということがそれほどのものを生産してきたという見方もできるんですね。つまり、子供を一人育てる、二人育てるのは五千万、六千万の仕事であるという言い方もできるわけです。
 それを片方が仕事をして片方が子育てをしてくるということでうまく回っている時代もあったが、今はそれは嫌だという人が増えて、仕事を続ければ就業収入があり続けるし、社会的なままあり続けると。ところが、子供を持つとそれを続けるのが非常に困難ということからなかなか、明示的に子供を持ちたくないという人はそれほど増えていないんですけれども、先送り先送りをするうちに年齢が上がっていっているというのが現状のように思います。
 つまり、今の雇用というのは、正社員の雇用は私の理解では、一人分ではなくて何人分か養えるだけの賃金を払っているというふうに私は考えます。それだけの、つまり、親、妻と子供も養えるだけの賃金を払うような雇用が正社員就業であると。なので、このベネッセさんほど非常にもういいということで有名な企業でも育児休業の復帰率が八九%ということは、一一%の方は勤めるつもりであっても、実際に生まれた子供を見て、その子供のいろんな状況がありますよね、それで復帰ができないのがやはり子供を育てるということだろうと思うんですね。
 そしたら、これからは、一人に対して四人分を払うんじゃなくて、やはり一人に対しては一・五人分ぐらい払って、その代わり両方がもっと自由な時間を持てる、そして子供、負担ができるという、そういう在り方がより支持されていくのではないか。
 そして、日本に関して言いますと、先ほど、どの国でも女性の雇用、就業化が進むと女性の機会費用が高まって少子化が進むという説明があったということですけれども、あるところまで行くとそうなんですが、その先に仕事と子供を持てるような、そういう環境整備が進んだ国ではそれほどには少子化は進んでいません。そして同時に、そういった変化を進める国が多く、それができない国において少子化が恐ろしい勢いで進んでいるというのが私の理解です。
 日本においても、日本の地方に行って、先ほど言ったように保育園の整備等が進んでいる、そして既婚女性で労働力率が高いというのは日本では地方なんですね。そういうところというのは出生率も高いので、日本の国内で見ても、そういう仕事と子供が持てるような社会的な状況が整備されている地域では大きく出生率は落ちていない。ただ、そういう地域というのは、では新しい日本の状況に見合っているかというと、どちらかというと社会の変化の、若干ちょっと。だから今、大都市でそういう地方に倣いなさいというよりは、大都市でよりまた更に新しくそういう環境を作っていかなくちゃいけないということで、それが先ほど申し上げた保育園を子供の四割ぐらい、子供の四割ぐらいに対しては何らかのそういう社会的なその場を作ってよろしいんではないかという、そういうことにつながるというわけです。
#27
○参考人(柏渕忠君) 西山先生の御質問は非常に奥が深くて難しいんですけれども、一点目の真に豊かな社会の構築ということで、これは言ってみれば、我が社、ベネッセコーポレーションがこれからどう、ビジネスはさることながら、社会に貢献していこうかということと極めて近いところがあると思います。
 これは個人的なちょっと意見も含んでしまうので、この会社としての意見ということではちょっと削除させていただきたいんですけれども、豊かということに関しては、やはり役に立ったかどうかという、個人が、これがやっぱり僕は大事なのかなと思います。
 例えば、今、我が社でシニア、介護ビジネスをやっております。これは拠点型でございます。今、仙台に造っているある介護の施設なんですけれども、老人の方が住まわれる部分、ホームですね、それから幼稚園、それから病院、こういう複合型で計画しております。
 これは、やはり横のコミュニティーといいますか、どちらかというと、学年が上がっていく上で、横での社会といいますか、同じ、同学年とか同級生という世界から、縦ですね。やはりこれだけ、お話があったような少子化という構造ができてくるということは、イコールどんどんどんどん核、それぞれの核家族がもっと増え、もっと分散化していくと。極端に言えば、親と子がほとんど一緒に住まないような状況というのは別にイメージできないわけじゃない。やっぱり、それは家族ということをもっと超えて、その地域に住む人、それを縦、要するに、子供、小さなお子さんと、それから経験の豊かな高齢者、こういうものを結び付ける、そうするとお互いにコミュニティーも成り立って、それで今までの経験豊かな高齢者というのも若い人に対して教えるようなことだって構造的にできると思うんです。
 これが果たしてビジネスでどう成り立つかというのはまた別の次元かもしれませんけれども、そういう社会というのは、すごく日本というある意味単一的な言語圏の世界では、やっぱりそういうものをやっていかないと文化的にも危ういところもきっとあると思います。
 そういうふうな、ちょっと縦のコミュニケーションみたいなものをすごく増やしていくようなことが、私は何か豊かということ、今までの経験のある人がまだ若い人に対して教えるということは、やはり身近な人にしかやっぱり聞けないのが現実だと思うんですね。それはやっぱり、例えば社会に出てどういうことになろう、例えば国会議員の先生になりたいといっても、なかなか身近にやっぱりいないと、じゃ、どういうことが起きていてどういう、国の政策をどうやって作るんだみたいなもの、こういったものはすごくやっぱり知りたいと思うんですよ。やっぱりそれは、どういう会社に勤めればどうだとか、どういう大学に行けばどうだというのも等しいと思うんですね。やっぱり広く、自分が知っているんではなくて、そういうふうなものを知れるような社会みたいなものができるとすごく豊かじゃないかなと思います。
 もう一点の機会費用の件ですけれども、ちょっと私の専門ではございません。ちょっと難しいんですけれども、先生の御指摘の我が社の育児休職制度の休職中は無給と、ノーワーク・ノーペイと御指摘されましたけれども、やはりこれ非常に定義は難しいと思います。こういう局面だけとらえてもし対応するとすれば、例えば休職期間を非常に短くするために働く、ベビーシッターなんかをやるようなことも、これは局所的には考えられると思うんですね。
 ただ、やはり本質的なところは、これは休職というよりも子育てしながら働くという環境を作らなきゃいけないと思うんですよ。これはやはり、それをケアするんであれば、フルタイムワーカー、フルタイムに働いている人とどんな形で組織を作るかとか、結局、先ほどの私の答えにも似てくるんですけれども、組織編成の在り方みたいなもの、それで安心して働けるところを設けていってやるというところになるかなというふうに思います。
 ちょっと機会費用の御質問には触れていないんですけれども、ちょっと我が社の休職制度と、それから働きながら子育てをどうするかという支援、こちらの方は考えていかなきゃいけないかなと思っております。
#28
○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康です。
 お三方の先生方、大変今日は御苦労さまでございます。
 まず、お三名の方々に一問ずつお尋ねしたいと思います。
 佐藤先生の方からお伺いいたします。
 佐藤先生は、働き方や職務遂行能力の面でパートと正社員の両者が接近したり重なる状況が生まれている、しかし、その処遇や雇用の在り方には極めて大きな相違があると雇用環境の状況について述べておられます。その上で、ワークシェアリングなどが進展すると正社員の短時間勤務が増加し、労働時間の長短は社員区分の設定基準として機能しないことになると分析しておられます。我が国におけるワークシェアリングの進展及びその是非、功罪等について、佐藤先生がどのような御見解を持っておられるのかという点についてお伺いしたいと思います。
 次に、永瀬先生の方にお願いします。
 女性の仕事と育児の両立にとって望まれることは、短時間就業機会の拡充、保育の提供、男性の育児、家事への参加という三条件を挙げておられます。この三つの点に関する我が国の現状はどのような状況で、今後望まれる対策としてはどのようなものがあると考えておられるのか、お伺いいたします。
 それから、柏渕先生にお願いします。
 株式会社ベネッセコーポレーションは、平成十一年ファミリーフレンドリー企業表彰で労働大臣優良表彰企業となっておられる由で、表彰理由の中で、仕事と家庭との両立がしやすい企業文化が醸成されていると、大変大きな評価を受けておられます。敬意を表したいと思います。永瀬先生もお喜びになられるような模範的な企業ではないかと思いますが、今後の我が国の社会で貴社のようなすばらしい企業文化が育っていくためには、政府がどのような施策を推進すればよいとお考えになっておられるか、それぞれお伺いいたします。
 よろしくお願いします。
#29
○参考人(佐藤博樹君) 私は、やはりこれからの日本社会の在り方で、働く意欲や能力のある人がそれぞれの意欲や能力に応じて働きたい長さ働けるような社会を目指すということが、日本の人的資源を活用する上でも、あるいは日本に住んでいる人たちの社会への参加を促す上でも非常に重要だろうというふうに思っています。そういう意味で、多就業型のワークシェアリングを目指すということがすごく大事だろうというふうに思います。
 このときに、多就業型ワークシェアリングを働く人たちの側から見ますと、どういう選択ができる社会なのかといいますと、一つは、一日当たりの働く時間、これが選択できる。もう一つは、例えば一週間とか一か月で働く日数、例えば一日はフルタイムで働くけれども週三日働くとか、日数であります。
 もう一つは、もう少し長期的なスパンで見て、職業生涯で見たときに、働くということと働くこと以外のことをする、例えば休業を取って子育てするとか、あるいは介護休業で親の介護の問題もあるでしょう。あるいは自分が新しい仕事に転職する、あるいは違う仕事に就くために一年間教育訓練のための休業を取る、仕事をしないで勉強したり、そういうことをする。そういう職業生涯の中で仕事をする時期というものを自分で選ぶ、こういう選択はできるだけ働く人たちが選択できるような社会というのが、働く人から見た多就業型のワークシェアリングが実現できる社会かなというふうに思っています。そのことを通じて、今度は家庭の中を見ますと、夫と妻でそれぞれ働く時間なり、家庭生活、育児等、家庭責任に割く時間もお互いで話し合って調整できるということも実現していくのではないかというふうに思います。ですから、子育てだけじゃなくて、妻がフルタイムで働き、夫は一年休んで勉強するということがあってもいいと思います。そういうような家庭内での時間の配分の柔軟性も高まるのではないかというふうに思います。
 こういう社会を目指すためには、例えば一つのオランダのように、働く人が働く時間帯、こういう時間とかこのとき休みたいと言ったときに、合理的な理由のない限り会社としては認めなきゃいけない、会社は拒否できるけれども、その場合どういう理由でできないのかということを明示する義務がある、例えばそういうようなことを少し考えていく必要があるだろうと思うんですね。
 それともう一つは、何度もお話ししましたように、処遇が、例えば賃金等が時間の長短に関係なく決まるということが大事だろうというふうに思います。
 こういうことを言われますと、どういうことを考えればいいのか分からないという方がいらっしゃるかと思いますけれども、育児休業法の中に短時間勤務があります。ですから、完全に休むのではなくて、例えば一日八時間働いていたのを六時間にする。ですから、八分の六ですね。そうしたときに、ベネッセさんの例にもありますように、普通、正社員が短時間勤務になりますと給与は八分の六です。月給のまま八分の六になる。それは時間が短くなるだけで一時間当たりの会社への貢献は変わらないという考え方であります。こういう考え方を適用していくということです。
 ところが、先ほど言いましたように、パートタイマーを見ますと、元々六時間で働いていた人、八時間の人の八分の六をしている人たちがいるわけでありますけれども、処遇で見ると八分の六でないという人たちがいる、これはやはりおかしいのではないかということであります。ますます正社員が時間を選べるようになります。元々短かった人たちが、なぜ短いということだけで処遇が低いのかということを私は十分説明できないのではないかというふうに思います。
 ただ、こういうふうにお話ししますと、同じ仕事であれば同じ賃金にしろと言っているのかというと、私そういうことを言っているわけではないのであります。同じ仕事に就いていれば同じ賃金を払うというのも一つの賃金の払い方であります。そうではなくて、例えば速記の方がいらっしゃいますが、速記に就く資格があればみんな賃金は同じという決め方もありますし、速記の仕事に就いていてもその人によって能力が違いますね、正確に速記できる、ちゃんと能力を見て給与を決めるというやり方もあるわけであります。しかし、速記の仕事をする以上、同じ給与の決め方が適用されている。仕事だけじゃなくて能力も見るというふうな賃金の決め方にすれば、同じ仕事をしていても給与が違うわけであります。
 ですから、私が言いますことは、同じ働き方については同じ賃金制度を適用してくださいというのはそういうことです。同じ働き方であれば時間の長短に関係なく同じ給与の決め方を適用し、時間の長短については時間比例にするという考え方を普及させるということが大事なのではないかというふうに考えております。
#30
○参考人(永瀬伸子君) 三点御指摘になられました日本の現状についてですけれども、女性の短時間勤務の状況はどうかということですが、今、佐藤先生からお話もありましたように、正社員を続ければ一定の賃金見通しがあるけれども、いったん辞めてしまうとその先は非正規労働市場になってしまって、最低賃金に幾ら上乗せされるかという労働市場しかないというのが日本の現状で、この特徴というのは諸外国と大きく異なっているというふうに思います。
 次に、保育の現状ですが、日本は歴史的に保育園の歴史は戦後から長く、かなり充実もされております。そういう見方もできますが、一番必要な、特に最近必要になっている大都会では極めて整備率が低く、むしろ地方で高いという特徴がありますので、そういう意味で、しかも、何というんでしょうか、古い制度がちょっとあるのでかえって抜本的になかなか対策が取れていないという問題もあるように思います。
 次に、男性の家事、育児参加ですけれども、国際的に見ても極めて低いのが現状です。育児に関しては多少手伝いがありますけれども、家事は余りないと。その理由は何かというと、やはり男性が世帯賃金で、女性が本当に低い賃金であるので、女性が家事を調整するということも大きいのではないかというふうに思います。
 分析したことがありますけれども、女性の賃金が上がると実は男性の家事時間は増えます。増えるということがございます。あと、男性のじゃ家事時間が増えるためにどんなことが可能かというのを考えてみまして、一つどうかなと思ってレジュメに書いたのは、男性の出産休暇と書いたんですけれども、ノルウェーの例などにございますが、私の例、それほど詳しくありませんけれども、出産したときに男性も休暇をもらうんですね、たしか十日間ほどだったと思いますけれども。それで、女性だけでなくて男性も一緒に休んで子供を迎えるわけで、日本は大体実家のお母さんなんかが対応することが多いと思いますけれども、地方出身の人にはなかなか難しいのかもしれません。そんなこともあるかもしれません。
 以上でございます。
#31
○参考人(柏渕忠君) ファミリーフレンドリーの企業として表彰を受けたわけでございますけれども、仕事と家庭の両立ということでやっているというふうにお褒めのお言葉をいただきましたけれども、まだまだ十分できていないところはあると思います。
 今後、政府にお願い事というふうなのも、ちょっとまず前提としては、やっぱりここは企業として働く意欲のある女性にどう支援するかということがすごく大事なことだと思います。我が社としましては、これは先ほど来申し上げていますように、六割ぐらいが女性である、全員総合職というところで、今特徴でございます。これは平等であるように見えていて、やはりある意味プレッシャーになるという部分はあると思います。ですから、総合職という形じゃなくて、専門用語で言うと職群と申しますけれども、やはり職種、比較的余りプレッシャーもなく働ける、しかも時間も短くていい、でも当然報酬面は違いますよと、むしろそういうふうなところで企業サイドは支援していくようなことをちょっと考えております。
 もう一点あえて政府にお願いとすれば、我が社の東京本部は多摩にございます。やっぱり一番困るのは、困るといいますか、現実いろいろあるのは、保育施設とかいうふうなところ、こういったところがやっぱりなかなか十分見付からないとかいうところがございます。結構社員からの声があります。ですから、復職のタイミングがずれるとか、そういう実態がございます。その辺が、何と申しましょうか、政府にお願い事といえばそのぐらいはちょっとあるともっと働くインフラとしてはすごくいいかなというふうに思っております。
#32
○辻泰弘君 民主党・新緑風会の辻泰弘でございます。
 まず佐藤先生にお伺いしたいと思いますが、先生のお言葉で、多様な就業形態はオランダ型が一つのモデルであるという御指摘がございました。オランダは一九九六年、労働時間による差別禁止法というのを作ってやっているわけですが、やはり正規、非正規の均等待遇ということを求めていく、そういうことが大事だと思うんですが、そしてさっき先生が、従業員が会社に求めたとき会社が拒否できないようにするべきだと、こういうふうにおっしゃったわけですが、それはやはり私は基本法的なものがないと駄目だと思っているんですが、そういう基本法、基本的な法体系、そのことについてのお考えを一つ聞きたい。
 それから、一つは規制緩和ということで、雇用労働について、派遣あるいは有期雇用契約、こういう面で規制緩和すべしというのが規制改革、この間の三月末の閣議決定でもそういうトーンが強くなっておりますが、また特区を作って地域的にそこのところだけやるというようなこともあるわけですが、そのことについての規制緩和についてお伺いしたい。
 それからもう一つは、日本の場合の雇用保険、上限が三百三十日になっているわけですが、ドイツやフランスを見ましても三十二か月とか千八百日とか非常に長いわけですが、厚生労働省が余り長くすると失業者が滞留するというような言い方するんですが、その上限、日本の三百三十日の上限についてどうお考えかということをお聞きしたいと思います。
 それから、永瀬先生につきましては、パートにかかわる社会保険、税制についてお考えをお伺いしたいと思います。
 一点は、第三号被保険者の負担の在り方についてどうお考えか。二つ目は、被扶養者の認定基準の百三十万、四分の三のことをどうお考えか。それから三つ目は税制ですけれども、配偶者控除、配偶者特別控除についてどうお考えか。この三点をお伺いしたいと思います。
 それから柏渕さんには、一つ、赤ペン先生のお話がございましたけれども、確認ですが、内職的なというお話がございましたが、リーダーの方もやはりバイト的な雇用形態なのかということが一つ。それから二つ目は、カフェテリアプランの話がありましたけれども、これは支援の場合は給付と、お金で渡されるのかというポイント。それから三つ目は、コアタイムなきフレックスタイムということですけれども、コアタイムが全くなくて、機能しているからやっていらっしゃるんでしょうけれども、機能できるのかなということで、その点、お伺いしたいと思います。
#33
○参考人(佐藤博樹君) また難しい質問ばかりなんですが、まず、最初の多就業型ワークシェアリングについてですけれども、もし日本で法律を何か考えるとすればどういうことが大事かということですけれども、一つは、パートと正社員と、パートの処遇という点について言えば、例えばパート労働法、現行のパート労働法は第三条の中で、通常の労働者と短時間の労働者の間の雇用管理や処遇について均衡を配慮する義務というものを事業主に課しています。
 一つは、こういった配慮義務では弱過ぎるという議論もあるわけでありますけれども、例えば、ここについて、労働時間の長短による処遇差別を禁止するという形にするのもあるだろうというふうに思います。つまり、労働時間の長短以外に合理的な理由がない場合の処遇差を禁止するということであります。つまり、労働時間の長短以外に合理的な理由があればいいわけです。仕事が違いますとか働き方が違うとかあればいいわけでありますけれども、というような考え方が一つですね、これは処遇面について。
 もう一つ、従業員が、働く人たちがいろいろな時間を選べるという点では、例えばオランダのように従業員が働く時間帯とか曜日というものの希望を企業側に出して、もちろん企業側は合理的な理由があればそれを断ることができるわけでありますけれども、例えばそういうような仕組みを入れるというようなことが考えられるのではないかというふうに思います。
 あと、二番目の御質問の規制緩和ですが、これも規制緩和はいろんな領域があるわけでありますけれども、本日のパートとのかかわりで言えば、有期雇用の問題が一つ大きいだろうというふうに思います。
 パートタイマーの場合、大体半数ぐらいが有期契約です。かつ契約更新されています。例えば半年契約の有期契約であっても、三年、五年同じ事業所で働いている人がいる。残りの半分は雇用期間定めなしなんですけれども、これは正社員と違ってあいまいな雇用契約をしているケースが多いだろうというふうに思います。そういう意味で、パートタイマーのところについては雇用契約上幾つか問題はある。
 特に問題なのは、有期契約を結びながら反復更新してて長期勤続になっている、これをどうするかであります。これについて一つは、もう少し長期の、例えば三年等の雇用契約を結べるようにすれば解決するというふうな議論がありますけれども、私はこう考えております。
 基本的には、原則、雇用契約は無期雇用を原則とする。つまり、雇用期間定めなしを原則とし、有期雇用は臨時的な仕事に限る。例えば百貨店であればお中元の時期一か月だけアルバイトを雇う、これは当然業務がそこしかないわけでありますから有期雇用ですね。あるいは一年間のプロジェクトの仕事がある、一年で仕事が終わっちゃうわけでありますから、そこでエンジニアを雇うとすれば有期雇用、これはいいわけであります。そうではなくて、そういう、業務が一時的じゃない限りにおいては無期雇用を原則にする。
 そんなことを先生言うと、企業側として困るのではないか。パートは、例えば仕事を限定して雇用するとか、事業所を限定して雇用するんだから、ある事業所を閉めるときに、正社員と同じように転勤させるんですかと、こういうふうになるわけであります。私は、そこについてこう考えています。
 雇用保障の在り方についても、従来の正社員の場合、会社が負うべき雇用保障上の義務と。それはどういうことかといいますと、正社員の場合の典型例は、事業所や職種を限定せず採用し、会社が強い人事権を持っている、その代わり、どこかの事業所を閉めるといっても、会社としては転勤させてどこかほかの事業所に仕事を探してください、こういう話であります。ところが、パートタイマーの場合は、事業所なり職種を限定して雇用しているわけですから、私は、事業所なり職種を限定して雇用契約を結んだ場合、無期雇用で、そうしたとき、その事業所を閉める場合、パートを解雇することは合理的である、そういうルールにすれば、わざわざ有期雇用で契約更新する必要はないだろうというふうに思います。
 もちろん、一部にはできるだけパートを解雇したいから有期契約でやっている事業主もいますけれども、そうじゃない事業主が実は多いわけですね。実際上そのパートにいてほしいわけです。有能なパートさんがいるから、二年、三年勤めていただいているわけです。でも、なぜ有期契約で更新しているのかといえば、その中間的な雇用保障の仕組みがないわけですね。一度社員にしてしまうと、もしその事業所を閉める、正社員と同じような雇用保障をしなきゃいけないのかというと、これは会社としてはとてもできない。パートさんとしても、転勤してまでその会社で働きたいと思っているわけではない。
 ですから、私は雇用保障の多元化というふうに言っていますけれども、いろんな、もう少しその中間的な雇用保障の段階を作ることによって、私はこのパートの有期雇用契約の更新の問題は解決できるのではないか。そのためには、新しく雇用契約法制を整備するということが大事なのではないかというふうに思います。これが二つ目です。
 三つ目。雇用保険の問題ですが、私も雇用保険の期間を長くするということについては反対です。ただし、その代わり、雇用保険と能力開発の仕組みをうまくリンケージさせる。現状はそういう仕組みがあるわけですけれども、うまくつながっていないです。職業安定所で失業者が来て仕事を探してもなかなか仕事がない。例えば、ある日にちを超えたら、その人にどういうような教育訓練機会を提供したらいいのかということをちゃんとカウンセリングして、能力訓練機会の方につなげるということが大事なんですけれども、その接合の部分がうまくいっていないんですね。
 私は今の給付日数のままでいいと思います。しかし、やらなきゃいけないことがあると思います。教育訓練とのうまくつなぎのところです。そこについては、きちっとその人の今までの能力、希望というものを見ながら、どういう能力訓練機会を提供すれば就業につながるのか、そこのカウンセリングをちゃんとやれるような人材を輩出するということが大事なのではないかというふうに考えております。
#34
○参考人(永瀬伸子君) パートの社会保険と税制についてでございますけれども、私は女性と年金検討会の委員でもありまして、そこでは六十五万円からの加入というのが一つの案として話し合われました。その後もいろいろ考えてみたんですけれども、この基準は、下限は低ければ低いほど、最初にお金を払うときのそのジャンプが小さくなるわけですね。つまり、下限が高くなれば高くなるほど、その例えば一〇%、百万の一〇%ですと十万円ですし、六十五万の一〇%だったら六万五千円と、三十五万の一〇%だったら三万五千円ですから、下限を低くすればするほど、最初に払うそのジャンプが小さくなるので払いやすくなるんですね。そうですよね、あるとき突然十万円課されるよりは、三万円ぐらいから課されていった方が楽なわけですね。なので、本当は基本的には下げた方がより良いのではないかというふうに私は思っています。
 そして今、日本は一号、二号、三号というふうに分かれていまして、一号は定額、所得にかかわらず定額、しかも、所得がなくてもあったものと推定するところから始まります。失業者であっても、学生であってもあるものと推定して、そして一万三千三百円課されるところから始まるのが今の一号の制度です。そういうこともあって、多分未納者が大変増えているんだろうというふうに思います。
 今、どうして定額かというと、自営業を想定していたので定額であったと。つまり、所得の捕捉が低くて幾らあるかよく分からないというのから定額であったと。しかも、雇用者と違って引退時期も遅いし、かなり違う行動をしているというので雇用者と別にしてきたというのが一号を別にしてきた理由だと思いますが、今、一号の半数以上は非正規社員、非正規の男性や女性や、それから既婚女性などがかなりの割合を占めるようになってしまいました。その意味では私は、収入が明らかな雇われている人については、事業主負担が付いて、かつ定額ではなくて、所得に比例する定率で課されるべきなのではないかというふうに思います。
 そうしますと、今度もう一つ別の問題が出てきまして、被用者年金に入りますと、今は基礎年金権と報酬比例部分が保障されることになります、一年当たり部分ですけれども。それは払ったよりもかなり多くを保障されてしまうということになってしまいますので、そこを、最初下限を低くするのであれば、例えばほかの国であるような例としては、非常に下限が低い人については、一年分の権利ではなくて何分の一の権利にするというような、権利を少し小さくするというようなやり方があるわけですけれども、そういうのを何か入れて、なるべく低いところから定率で事業主負担付きで課されるのが被用者についてはより良いのではないかというふうに考えます。
 特に、それは女性の問題だけではなくて、今からほんの十年前には新卒者の九五%は正社員で雇われていましたので、正社員をカバーする制度であればほぼ働く人はカバーできたのです。それが今は新卒者の八〇%しか正社員にはなっておらず、二〇%は非正社員で労働市場に出たり入ったりしています。ですので、社会保険の仕組みを非正社員を含めたものに大きく転換する必要というのは非常に長期的に見ても高いというふうに考えます。そして、そのためにはかなり大きな制度の組替えが必要になるだろうということです。
 次に、妻の考慮ですけれども、妻を特別に扱うべきかどうかという点ですが、私は基本的には妻も夫も特に、夫も妻も両方とも家庭を持つ者としての権利を付与するべきであって、一方だけに対して扶養される者という特別のスタンスを取る必要は、国として取る必要はないんではないかと思います。
 ただし、子供がいる場合には、子供というのはやはり時間を非常に必要としますので、妻への配慮というのは子供をケアすることに対する配慮という形で変えるべきなのではないかというふうに私は考えております。特別、妻の扶養控除や扶養特別控除等もこれは基本的にはなくして、そしてその代わりに、男女を含めた雇用者は家庭の、家庭責任も取るということを前提にその権利を付与する。そして、特に子供がいる世帯に関しては、子供がいることで無業になる選択はもちろん可能にする。つまり、子供がいても働き続けなくちゃいけないような制度ではなくて、子供がいた場合には、保育園に入れることも自分自身がケアすることもどれも認めると。そして、自分自身でケアした場合も年金権は付与すべきというふうに私は考えております。
#35
○辻泰弘君 済みません。そうすると、第三号の被保険者の、今の専業主婦の場合の三号の制度はどう、幾つか、研究会でも六ぐらいありましたですね。そのことについて何か。
#36
○参考人(永瀬伸子君) 私はあの中のどの案という明確な案ではなくて、私自身の案は、お配りしました資料の中の「「妻」の考慮から「子どもケア」の考慮へ」というのなんですけれども、それはどういうのかというと、これはあの研究会が終わった後に更にもう少し考えてみたんですけれども、三号をなくすということに対する根強い反対というのはやはりあったんですね。なので、三号をすぐさまなくすのは難しいのかなと。
 そうすると、三号で得られる権利というのを半分ぐらいに減らして、そして代わりに非正社員であれば報酬比例部分も付けるような年金制度にする、つまり定率部分を付けるような制度にすると。そうすると、今は三号にとどまる方が得ぐらいの制度になっているんですね。もちろん、厚生年金に入れば二号になって定率部分が上に乗るんですけれども、定額部分は三号で保障されてしまっているので、新たにパートに出ても余りメリットが実はない、実はないんですよ。本当のことを言うと、計算をすると余りないんですね。報酬比例部分は増えますけれども、保険料を払いますので、余り、相殺されちゃって余りないんですね。ですから、三号の権利を下げて、そしてパートに出て保険料を払えばそれなりに年金が増えるというふうに変える必要があるのではないか。
 それから、子育て時期というのに関しては、むしろ今よりもっと年金権の拡充をしてもいいのではないかと。例えば、今のモデル年金というのは男性四十年加入を基本としているんですけれども、現状で、子供がいる女性ですと、大体二十年ぐらいが今の日本の現状なんですね。長くて二十年ぐらいの就業期間というのは今の日本の現状でして、そして子供を持つと大体八割は辞めているというのが今の日本の都会の現状なんですね。
 ですから、そういうところを考えますと、やはり子供というのはかなり重点的に考える必要があるのではないかと。ただ、妻だから、妻であれば一生涯扶養されるのを当然とするような制度というのは私は極めて時代には合わないのではないかというふうに思います。
#37
○参考人(柏渕忠君) 先生の御質問、ちょっと繰り返させていただきます。
 赤ペン先生のこと、それからもう一つがカフェテリアプランのこと、それから三点目がスーパーフレックス、このコアタイムに関してだと思います。よろしいですか。
#38
○辻泰弘君 はい。
#39
○参考人(柏渕忠君) 一点目ですが、赤ペン先生、内職みたいなものだというちょっと表現しましたけれども、ちょっと赤ペン先生に怒られちゃうかもしれませんが、内職という表現もなかなか難しい。契約形態はいわゆる業務委託契約に近いです。ですから、請負型といいますか、そういう形でございます。
 報酬体系は、ちょっとこういうところで余り述べるのも適切じゃないと思いますので、グループリーダーですね、グループリーダーとそれから実際の赤ペン先生との関係性なんですけれども、グループリーダーも実際に添削といいますか、赤ペン先生です。これはどういう報酬体系になっているかといいますと、手当とそれから出来高払。ですから、一枚幾らという形でございます。そういう形です。それから、グループリーダーに関しては手当部分が厚くなっているということでございます。
 ただ、こういう報酬体系だけでグループリーダーをやるかといいますと、やはり決してそうではなくて、非常にこれは特徴的だと思うんですけれども、グループリーダー勉強会みたいなものを月に一回、実際、スーパーバイザーの社員等集まってやっているわけでございます。そこで、実際の質を、どうやって添削の質を上げるかとかいうことに積極的に参加すると。十何人から二十人ぐらいの実際の赤ペンスタッフを抱えていろんな、例えば一緒に買い物に行ったりとか、そういう言わば場としてのコミュニティーみたいなものもリードしていくみたいなことになっています。
 ですから、決して報酬がいいからリーダーをやるというだけでは決してないと私は思います。ざっと、そういうふうな報酬体系になってございます。
 それから、二点目のカフェテリアプラン、これは現金給付でございます。翌年繰越しが可能なものでございます。
 それから、最後のスーパーフレックスのコアタイムなしで大丈夫かという点でございますけれども、非常にずばりとポイントをつかれてしまいましたけれども、これ、実は、やはり職種によって非常に難しゅうございます。実際にこれを活用しているのは、編集ですとか出版、非常に周りの、何といいますか、外部の依頼先に非常に影響を受けるといいますか、夜遅くなるとか非常に不定期な部分、こういうときにはやっぱり活用しないといけないといいますか、そういう部分で、今はほとんど現実的にはスーパーフレックスという形ではほかの部分は使っていない雇用でございます。
 ちょっと三ページの資料の右の一番下のところに書きましたように、平成十四年は朝会実施等で規律重視の方へなんて、ちょっと内輪事を書いてございますけれども、やはりどうしても規律が守れないというか、そういう声も大分上がってきておりまして、ちょっとここはひとつぴしっと締めるような就業形式にしようじゃないかということで、ただ、じゃ制度をやめようというのもなかなか今現時点ではちょっと踏み込めなかったので、実態、就業形態の方でもうちょっと規律のあるというふうなことに行っているのは事実でございます。
 以上でございます。
#40
○辻泰弘君 ありがとうございました。
#41
○松あきら君 佐藤先生、永瀬先生、柏渕先生、お忙しいところお出ましをいただきまして、ありがとうございます。公明党の松あきらでございます。
 皆様方からもう大分質問がいろいろ出まして、私も伺いたいと思うことはほとんど出たという気がいたしますけれども、しかし今、この長引く不況下でなかなか雇用といった問題も大変なときであるというふうに思っております。
 ドイツでは、一〇%近くの失業率であるにもかかわらず、失業中もきちんと国が、例えば新たな就業をするまで、新たな企業に雇用されるまで教育費も見てくれる、そして住宅費も出してくれるということで非常にゆったりしているわけですね、それは先生方、もちろん御存じだと思いますけれども。そして、先ほど佐藤先生が、カウンセリングをする人材が必要であるというお話がありましたけれども、正にドイツなどでは、日本で言うハローワークのようなところにその人の能力を見るカウンセリングがいて、教育訓練に、それも長期間なんですね、見るのは。三か月から七か月、十か月ぐらい、一年近く掛かってその人の適性を見て、そして訓練をさせると。そうすると、その訓練したところにほとんど、七〇%の人が雇ってもらえるような、そういったすばらしい教育訓練をしてくれるような状況である。これなども日本は本来は見習わなければいけないところであるなというふうに思っておりますけれども、そういう状況であると。
 そして今、同一労働同一賃金というような話も出ておりますけれども、先生は、佐藤先生は、しかし、同一労働同一賃金ではないぞと、能力も見なければいけないというお話を先ほどおっしゃいましたけれども、正に今の日本はワークシェアリングにならざるを得ないような今企業の状況であるのではないかというふうに思います。もちろん、それぞれの大企業から中小零細企業に至るまでいろいろなもう大変な状況であるということと、そしてまた女性の就労、賃金の面と、夫がリストラに遭ってしまった、あるいは収入が減ってしまったから働きたいという思い以外に、女性も自分の能力を生かして働きたいと。この両方でワークシェアリングにならざるを得ないというときに、やはりコストと生産性というものを考えますと、長期の全く同じ社会保障でのワークシェアリングというのは、長期ではやはり考えられないというふうに私も伺っております。
 このワークシェアリングの在り方というものも一つポイントではないかなというふうに思っているわけでございますけれども、先ほど、私自身、社会、実は配偶者控除の質問もしようと思ったんですけれども、辻先生から出ましたけれども、年金の問題では、私自身は実は個人的には個人年金がいいのではないかなというふうに思っております。
 そこで、皆さんが御質問になっていないようなところからと申しますと、今、政府の男女共同参画会議の提言で、中間報告で、女性の社会進出の障害を取り除くために配偶者控除の縮小あるいは廃止、これを求めているという、こういう提言が出ました。やはり、制度を意識した年収や労働時間調整が行われている、つまり百三万あるいは百三十万の壁というのも、こういうことがあるから女性の方でこれを考えてしまってこういうことになってしまっている、そういうことで制度を見直すべき時期に来ているというふうに提言をされております。しかし、企業の家族手当など縮小、廃止、しかしそれは基本給に盛り込むなどという提言もされているようでございますけれども、この点に関しましてお三方の先生にそれぞれ伺いたいと思います。
 それからもう一点は、今なかなか企業は雇用をしてくれない、大変な状況になっております。そこで、実は創業、新しく事業を作るということになるとどうなるかといいますと、この新規の起業というのは雇用を生むということが分かっているわけでございます。新規雇用は、例えば九〇年代中に、大規模事業所では、従業員三百人以上ですね、これなんかは新規雇用は六十万人、解雇、退職は百七十万人で百十万人が減、純減ですね。小規模事業所、これは従業員五人以下の新規雇用は二百七十万人、退職は二百五十五万人で十五万人の純増なんですね。
 新しい、つまりもうなかなか雇ってくれないんならば新しく会社を創業したらどうかと、こう思うわけですけれども、今のこの状況の中で、実は私はこの女性の創業というものに着目をしておるところでございます。なぜかといいますと、男性の起業したい、創業したいという人は大体八二%おりまして、女性は一七・九%、男性は八二・一%、こう言われているんですけれども、そこで、男性はどれぐらい実際に新しく創業するかというと、五五%、五五・九という数字が出ております。女性は四四・一%なんですね。女性が非常に元気でやる気があるという状況なんです。そして、女性は大体平均しますと五百万円くらいの借入れで、自己資金が三百万であったり、あるいは五百万円であったり、つまり一千万以下の資本金で新しく小さな事業を始めるという点でも多分創業がしやすいのかなと思うんですけれども、女性の創業がしやすい環境整備が必要ではないかなと思いますけれども、それに対する御意見をまたお三方の先生に、以上二点を伺いたいと思います。
#42
○参考人(佐藤博樹君) じゃ、まず後半の開業支援のお話です。
 これは非常に大事な点だと思います。やはり雇用機会なり就業機会を増やすということが重要ですので、先ほどお話ししました失業者を減らしたり就業率を高めるといったときによくミスマッチと、こういう失業者がいますけれども、これは、ミスマッチというのは今ある雇用機会なり就業機会を前提とした話でありまして、やはり全体として失業者を減らし就業率を高めるためには全体として働く機会が増えなきゃいけませんので、そういう意味では、やはり開業支援というのは非常に重要だというふうに思います。
 そのときに、先生御指摘のように、どうやって開業する人を増やすかということなんですが、開業する企業を増やすためには三つ大事な点があるんですね。
 一つは、開業しようとする、国民の中で自分でビジネスを起こそうと思う人を増やさなきゃいけないんです。まず、母集団を増やす。
 このためには、ですから小学校のころから企業を起こすってどういうことなのかというのを教えるということが大事だというような議論がされていますけれども、つまりサラリーマンという働き方以外、自分でビジネスを起こすというような仕事の仕方もあるんだというようなことを若いころから教える。昔のように、お父さん、お母さんが自営業をやっているという人が減ってきているわけですね。ですから、サラリーマンという働き方しかイメージにないというものを変えていく、ビジネスを起こすということも一つの選択肢だというふうなことを若いころから教育し、社会全体としてキャリアを考えるときに、雇われるだけじゃなくて自分でビジネスを起こすということも選択肢として考える人たちを増やすということですね。
 それで問題は、二番目は、そういうふうに開業しようと思うような潜在層を増やすとともに、その中で実際に開業する開業率ですね、開業しやすさです。この開業率を高めるということが二番目の仕組みであります。
 これは、先ほど女性というお話がありましたけれども、女性の場合、開業したい、いいビジネスプランを持っている人はたくさんいるわけでありますけれども、やはり企業を起こすとやっぱりマネジメントというのはすごく大事になります。ところが、女性の場合、例えば企業の中、今の場合、雇用者から開業する人が日本の場合すごく多いわけでありますけれども、会社の中を見ますと、管理職まで行って開業するという人は少ない。なぜかというと、管理職に就く女性というのは非常に少ないですから。そうしますと、マネジメントの経験がない、だけれども、開業についてのアイデアはいいものを持っている人がたくさんいるわけであります。
 そうしますと、女性の中で開業したい、いいビジネスアイデアもある、その人がじゃ実際開業できるためには、そのビジネスプランを具体化するところについて支援するような仕組みというものがきちっとあれば開業率が高まるということです。これが二番目に大事です。
 もう一つは、開業した後、存続率です。開業した後、どのぐらい存続するか。
 これはどこの国もそうなんですけれども、大体四十八か月たつと半分になるんです。これはもうしようがないんですね。ですから、僕は、簡単に開業を勧めるということは良くないことでありまして、倒産する企業を増やすだけなんです。
 ですから、僕は、存続率を多少なりとも高めるということと、もう一つは、二番目の開業しやすさにかかわるわけでありますけれども、やはり事業をやめやすくする、つまりもう一度、失敗してももう一度開業するためには深手を負わないうちにやめるということがすごく大事なんです。
 ところが、一番事業を始めるよりもやめるというのはもっと難しいんですね。やはりリスクを取ろうと思ってビジネスを始めるわけです。確かに、これだと続かない、ビジネスが続かない可能性が四割あっても、またその四割にかけるというのが事業家であります。ですから、そこはやはり人を雇ってしまうと、例えば雇ってしまったりすると、退職金も払えないところまで頑張って倒れるというのはやっぱり問題なんですね。
 ですから、僕は、創業支援と同時に廃業支援というのが実は大事でありまして、やってみたけれどもうまくいかなければ撤退していく、そうするとまた新しい企業が入っていきやすくなるんですね。これは四つ目です、廃業支援。
 こういう四つぐらいの仕組みをやるということが創業支援というときには非常に大事なのではないか。そういうときに、先生おっしゃったように女性、あと高齢者とか若年というふうに、今まで開業の担い手としては少なかった層の中に実際創業したいとか創業する人を増やす。特に女性はチャンスだと思いますね。実際開業する人のうち女性は大体五%から一割ですから、ここに膨大なポテンシャルがあるわけでありますから、それを支援していくということが大事かなというふうに思います。
 あと、最初のその控除の問題とか家族手当の問題は多分永瀬先生の方が専門家なので、でよろしいでしょうか。
#43
○松あきら君 分かりました。ありがとうございました。
#44
○参考人(永瀬伸子君) では、私は主にそれに関してお話をさせていただきたいと思います。
 あと、先ほどの三号についてのちょっと補足も入れてもよろしいでしょうか。
 私は、三号という制度は、無償労働を担う女性に対する配慮として入っている制度だというふうに思うんですね。これを廃止するということは、配慮をなくすということではなくて、形を変えるべきということだろうと、私はそう思っているんです。その制度がもう、例えばサラリーマンの妻でないとそれは受けられないと。特に若年層なんかのフリーターの奥さんなんか、子供がいても何の保護もないと。それから、働こうと思うと、壁になって働けないと。それから、働いても大して、低賃金で年金が増えないと。こういうので、かえって悪い部分が大きくなっているので変えるべきなんじゃないかと。
 変える方向としては、じゃ第三号に代わる制度として、まず一つ目は非正規社員の被用者年金への加入。これでかなりの人たちが自身の年金に入れるんですね、非正規の人を、多くの人を被用者年金に入れることを可能にすれば。
 それから二点目としては、一つの目安として、私は、末子、今の日本では末子十歳ぐらいかなと。これは配慮し過ぎだと言う人もいるかもしれませんが、今の日本の現状を考えると、末子十歳ぐらいまでに関しては、例えば社会保険料を免除で基礎年金分は付与という今のような形を一号の人の奥さんも含めて提供すると。
 加えて、その後に就業した場合の報酬比例部分ですけれども、育児によって短くなっている部分あるいは育児によって低収入になっているような部分については、最終的な報酬比例の計算で、その低い部分を報酬比例の平均から、計算から除くとか、加入年数を少し加えるということで報酬比例部分を上げることはできるんですね。そういうような配慮を、もう一つ育児配慮を入れると。
 それから、それ以外でもまだ専業主婦といういう世帯はいるんですね。それは、子供が育ってもなおかつ専業主婦の世帯というのは、大多数が豊かな世帯ですけれども、一部は本当に貧しい世帯、つまり仕事がないような世帯なんですけれども、豊かな世帯に関しては夫の年金権の二分割、妻への分割というところで、これは世帯の選択としてそこで対応してもらうと。国全体での支援というのは児童に対してはするけれども、生涯の性別役割分業的な選択に関して世帯で解決するような方向という、この三つをやることで新しい女性配慮になるんじゃないかなというふうに私としては考えております。
 もちろん、そのほかに様々な代案が出ておりますのでそれに固執するというわけでもありませんが、一つそういうのが考えられるんじゃないかなと思っております。
 それから、配偶者控除、配偶者特別控除等については、私は、子供への配慮という形に、できれば児童手当という形で直接給付の方がいいと思いますけれども、形を変えて、配偶者であるということで特に考慮は必要ないんではないかと。失業者であるとか、それはまた別のことだと思うんですね。
 あと、企業の家族手当については、これはなくす方向の企業はすごく少ないんです、調査によりますと。それは、やはりそういう形の給付であると退職金に出てこないとか、様々な意味で企業にとってより都合がよいのでなかなかそこを取らないと。そして、労働組合にとってもそこをずっと長いこと一つの焦点にしてきたので、なかなかそれが転換しそうもないんですけれども、私も、これ基本的にはやはり児童に対するものというふうに考えた方がよりいいのではないかというふうに私としては思っております。
 以上です。
#45
○参考人(柏渕忠君) 二つの質問に私が答えられるかどうかと思います、二つとも適切でないかなという感じもするんですけれども。
 今、永瀬先生が配偶者控除の件は申し上げられましたので、私の方ではちょっと、これがどうこうというよりも、ちょっと特徴の一つなんですけれども、我が社は女性が多いということを述べたと思うんですけれども、逆に女性が男性を扶養しているというケースもあります。別に何もしていないわけじゃないと思うんですけれども、例えば大学、大学院に行っているとか、そういうケースもあります。ですから、ちょっとこれは、こういう実態もあるということぐらいしかちょっと私の方からは申し上げられないんですけれども。
 もう一つ、女性の創業ですね。これは非常に私も聞いていて参考になったんですが、実は、ウィメン・アンド・ファミリーという一つのビジネスカンパニーがあるんですけれども、ここは女性向けのメディアを展開しています。ここで担当しているのは結構女性が多いんですね、やはり。いわゆる結婚している女性もたくさんいます。
 言わば、そこで起業家を支援するようなことは十分考えられると思います。マネジメント・バイアウトまで行くかどうかは、そこまではちょっと分かりませんけれども。やっぱり一組織の一員としてではなくて、そのビジネスを切り離してそこで企業をやっていこうとか、言わば企業内起業家を育てて、そこで、何といいますか、その支援をすると、起業家支援みたいなこと、これは考えてはいます。ただ、今現実に何があるかということではちょっとなくて、想定されるんではないかなというふうに思っております。
 ですからこれは、企業サイドの努力としてはそういうものをやっぱり支援していくというのはあるのではないかと。ただ、なかなか女性が、女性の比率ということで、我が社みたいなちょっと特徴的な企業はちょっと例外的かもしれませんので、なかなか女性の起業とは結び付かないかもしれませんけれども、我が社の特徴としてはそんなことが言えると思います。
#46
○松あきら君 ありがとうございました。
#47
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 佐藤先生と永瀬先生に、まず、パートなどの非正規職員、社員の均等待遇、均等処遇の問題について伺いたいと思います。特に、正規を含む労働者全体の雇用条件の水準を引き上げていくという点で、どのように考えていったらいいのかということを含めて、今後の日本での在り方について御意見があれば伺いたいというふうに思っております。
 佐藤先生が、パートがなぜ導入されるかということで、雇用主からすれば人件費が抑えられるというようなことを何か書かれていた御本を読ませていただいたことがあったのですが、今、正に不況の中で、正社員がパートやアルバイト、派遣労働者に置き換わるということが急速に進んでいるわけですね。
 そういう側面から、昨日の四月二十三日付けの夕刊の中でも、「パート・派遣 家庭との両立 残業増え苦慮 仕事は正社員並み 夫の理解得にくく」ということで、パートが戦力化する中で家事や育児を夫と分担できないと体がもたないんだけれども、夫はパートじゃないかということでなかなか協力してくれなくて、妻の仕事の大変さも分かってくれないと。だから、パートや派遣で働く女性は、雇用の不安定さにおびえる一方、一人で子育てをしなくちゃいけないと、そんなような記事も載るような状況だと思うんですね。
 ですから、一方で日本のそういう条件があって、そして永瀬先生は、先ほどのお話の中でも、家庭責任は男女で取るという方向が流れとして必要なのではないかというお話もされておりました。一方でそういう流れもあると思うんですね。
 ですから、ヨーロッパで同一労働同一賃金の考えでEUパートタイム指令なども共通のルールになっていると思うんですが、日本でもやはり、正社員と同一労働のパートなどの賃金を時間比例で改善していくと、目指していくということなどや、育休を含めた社会保障の制度も充実させていくということが、今この日本の働き方の中でも急務になっているかなと思っているのです。
 その点では、しかし、人件費の問題とか、あるいは正社員の方のを低く抑えてということでなく、どう日本の労働者全体の水準を高めていくかという点での、矛盾の解決方法というのがあれば伺いたいのでございます。
 それから、柏渕参考人に伺いたいのは、ベネッセコーポレーションの実態を資料で伺いました。各制度の内容で、育休は男性の利用はないということで、介護休職制度は三名取られているという、この辺の何か実情があればというのと、先ほどのパート等の均等待遇、処遇との関係もあるのですが、育児時短勤務とか介護時短勤務という制度が始まりまして、これは正社員ということであるのかということを含めて、どのような待遇になっているのか、賃金上の問題やあるいは今後の昇給との関係などで何かあるのかということを伺いたいと思います。
#48
○参考人(佐藤博樹君) これもまた難しいんですが、まず最初に、私のレジュメの中でも正社員、非正社員というような呼び方をしていますけれども、まず大前提として、正社員、あとは非正社員、正社員にあらず、社員にあらずと、こういう言い方を変えていくということが大事だろうと。企業は雇用する以上、みんな社員である、だけれども、社員でもいろんな働き方があるわけですから、社員の中について、社員A、社員B、社員Cという区分があるかもしれない。しかし、みんな社員だというまず考え方で雇用なり処遇の仕組みを考えるということが大事だろうと、それが大前提です。
 もう一つとしては、だけれども、といっても企業はパートを低賃金で使っているんじゃないかというお話ですけれども、この低賃金ということと、その働きがあって合理的賃金というのは一応別だろうというふうに思っていまして、例えば企業は、今まで社員、それも新卒で雇って、五年ぐらい教育訓練して能力を付けてやってもらっていた仕事があるとする。それを、企業が仕事の見直しをし、例えば八時間ではなくて四時間の人で二人に分けて、かつ仕事を見直すことによって五年も教育訓練しない人でもやれる仕事に組み直したとする。これを、ですからパート、二年ぐらいあるいは半年教育訓練すればやれるような仕事にする。以前に比べれば安いコストでやれるようになった。これを、一企業が安く使っているということではないと思うんですね。だから、つまりその働きに応じた合理的な賃金でその仕事ができる。組み合わせたとすれば、一つの経営として合理的な選択であったというふうに思います。
 ただ、問題になりますのは、仕事を組み直して、例えば半年ぐらいの訓練で四時間でもやれるような仕事に組み直した、でパートにやっていただく。それは従来の正社員の仕事を安く使えるようになった。ただ、その隣に、今度はその仕事を勤続二年ぐらいの社員が同じようにただ八時間でやっているとすれば、で給与が違うとすれば、私はこれは改善すべきだというふうに言っているんですね。ですから、同じような企業に対する貢献でありながら処遇差がある、ここについてはこれは不合理な格差だと言っているわけです。ですから、ここのところについては正に同一労働同一賃金。ただし、同一労働同一賃金と言いますが、同じ働き方であれば同じに処遇する。そのときにいろんな考え方がある。
 一つは、極端な例、外形的に同じ仕事であれば特に同じ賃金にしなきゃいけないという考え方もあります。しかし、短期的に、スナップショットで、同じ仕事というだけじゃなくて、もう少し長期的に見て働き方が違うと。正社員の売場主任とパートの売場主任がいる、パートの売場主任はずっとその売場主任の仕事をやる、正社員の人は動いていく、その一環としてそこにいるといったときに、これ同じにするのかというと、これは考え方、違いがありますね。
 ですから、私、だからどこの国でも同じ働き方であれば同じ処遇をするという原則はやはり守らなきゃいけない。しかし、同じ働き方というものをどうみなすのかということを、やはり日本なりに合った考え方をすべきだろうと。
 海外でも仕事だけで給与を払っている部分は非常に少ないです。生産現場というか単純事務のところだけです、仕事だけで給与を決めていますのは。どこの国でもやはり仕事だけでなくて能力とかそういうものを含めた給与になっていますので、やはり同じ仕事といったときに、仕事だけじゃなくて能力とか将来のキャリアというものを少し含めたような賃金の決め方にしていかなきゃいけないだろうというふうに思います。ただ、そこについての整理がまだ十分できていないというふうに思いますので、それはやっていく必要があるだろうというふうに思います。
#49
○参考人(永瀬伸子君) 私も本当に難しい問題だろうというふうに思います。
 ただ、私はやはり、ある場面では正社員の待遇が下がってパートの方が上がるということも必要なんじゃないかと。それを、正社員が下がってということを考えずにパートだけ上げるというのは恐らく難しいんじゃないかというふうに思います。
 今の日本では、例えば学生なんかが千時間働くといったら物すごく働くわけですけれども、やっとそれが上限でしょうけれども、それで百万円ぐらいですよね。そして、フルタイムで働いてもせいぜい二百万です、時給千円とすれば、二千時間働いて。それほどフルタイムで働いても低いので、要するにお父さんが働いて学費を出してあげなくちゃならないと。つまり、夏休みにアルバイトするなどで学生が学費をかなり稼げるかというと、そうではない。これも全体的にやはり、何年入社で、年次管理で賃金が支払われているという、そのことが女性を働きにくくし、また学生も親に依存せざるを得ないような状況にしている。それが八〇年代には日本の大変すばらしい雇用慣行というふうにして取り上げられていたと思うんですけれども、やはり今はその見直し、大きく見直すべき時期である。
 しかし実際、何年入社で勤続何年目という人たちというのは今の会社組織の中では最も力のある優秀な方々なので、なかなかその方々がそれ以外の人も含めた見直しというのはしにくい状況にあって、特に、私は労働組合が大きな役割を果たすべきだと思っているんですが、労働組合は実は一番そういう年功賃金の男性社員の代表である場合もかなり大きいと。なので、労働の側から来るべき変革への力は薄いんじゃないかと。これは上から押し付けてできるものじゃないと思うんです。やはり中から変えていこうという力があって、合意があって初めてできるように思うんです。
 今、その不整合というのは拡大している一途で、そして正社員になれない人たちというのが増えている。そこから落ちこぼれる中高年の一部はとても困っているけれども、そうじゃない方たちというのは、やはり奥さんが働こうと子供が働こうと百万ぐらいですから、やはり今の働き方にどんなことがあってもしがみつくというんですか、リストラされないように頑張らざるを得ない。それがまた更にゆがみを生んでいるのが今の状況のように思います。
 ですので、オランダのワッセナーの合意というのは政労使の合意でできたということですけれども、是非、例えば自分の賃金が下がっても奥さんの賃金が上がれば世帯としては十分なわけですけれども、それを考えられないので、自分の企業だけ考えていると下がることになっちゃいますから、でも、自分の企業が下がっても奥さんの方が上がれば十分やっていけるわけなので、そういう方向に考えるところに是非転換してほしいなというふうに私は思っております。
#50
○参考人(柏渕忠君) まず、一点目の育児休職制度、男性の利用者はなしと書いてありますけれども、あえて書いてしまったのはちょっとまずかったかなと思うんですけれども。
 一つは、有休を取る人は何人かはいます。ただ、それは多分ヘルプというか、手助けということだと解釈できますけれども、やはり産休、産時休暇、産休から連続して取るという人が多いということがまずあれなんですが、ただ、それは男性が利用者なしというのに全然理由になっていないんですけれども。
 ちょっとこれは余りこういう場で話していいかどうか、実はうちの社員はいわゆる職場結婚、ですから、まだ同じに働いている人、結構いるんですね。冗談混じりな話なんですけれども、非常に有能な女性社員がいる、産休からそれから育児休職に入るというと、その男性に、君が何か休んでやった方がいいんじゃないのみたいな、そういう話は冗談じゃなくて実際にある場合もあります。済みません。
 それともう一つ、時短の件なんですけれども、育児時短、介護時短ですね、こちらの方ですが、正社員にあります。契約社員にはございません。したがって、私、契約社員なので時短はないなと改めて思いました。それで、報酬はここに書きましたとおり、比例減額でございます。ですから、労働時間七時間としますと六分の七とか六分の五になります。それは、非常に単純といえば単純でございます。
 ただ非常に、これ、我が社の一つの特徴なのかもしれませんが、勤続年数とか昇格、我々、等級制度ございまして、こちらの影響というのは極めてございません。ですから、マイナス要素というのはまずありません。かなりこの辺は人事で以前よりコントロールしていて、この辺は余り表に出さないというふうなことでやっております。
#51
○畑野君枝君 ありがとうございました。
#52
○会長(勝木健司君) 他に質疑を希望される方は挙手をお願いします。
#53
○本田良一君 私が最後にしました理由があります。実は、参考人の皆さんにはこじつけの質問で、これは委員長か理事の皆さんに、後、振っていくという質問です。
 それは、豊かさということですから、この調査会は豊かさを求める調査会ですね。今までのずっと参考人の皆さん、聞いておりますと、企業をいかに起こして日本の経済を再生させるか、あるいは今ここにありますような雇用関係、全部生活の糧を得るための参考人の皆さんが多かったですね。
 だから、先ほど西山先生もいみじくもおっしゃいましたが、そしてまた柏渕さんがおっしゃいました、これから日本がもうそろそろ欧米並みにとずっと言ってきたこの衣食住の問題、あるいは休暇で、長期休暇で過ごす問題。そういう、例えば住居であれば、もうほとんど今までのこの住居、衣食住、特に、企業福祉で今日まで戦後日本の我々国民はほとんどそうだったと思いますね。そして、まだアパートに、企業のアパートに住んでいる。それはそれでいいんだけれども、大体一つ、一戸ぐらいどこかに別荘を持っていいんじゃないか。カナダなんかはバスの運転手さんが別荘を持っておりますね。だから、そういうふうな衣食住。
 だから、例えば、これからの衣食住の住宅は、建設会社の方を今日、今回呼んで、これからの皆さんの生活様式の住居はこういうふうになりますよと、我々はこういうものを造りたいとか。食であれば食、衣類であれば衣類。例えばブティックが、高級ブランドがフランスでなぜあれだけあれするかといえば、もう親子の代に家は全部調っている。もう何代と。自分の世代では身の回りの時計とか洋服とかバッグとか、そういうのをそろえればいいわけですから、もう家は建てなくていい。そういう社会資本の蓄積がありますね。だから、そこにブランドというものが生じてくる。だから、そういうことを今から日本はもう目指していっていい。
 それと、一番、さっきおっしゃいました、柏渕さんのいわゆる存在をしているための奉仕。奉仕をすることによって、この文化的な存在感。だから、生涯学習というのがありますけれども、そういうふうなことをこれからやっていくために、もう参考人の皆さんを、実を言いますと、そういう参考人をこれから呼んで国民生活の調査会をぴしゃっとやっていっていただきたいと。そこをお願いします。
 あとは、だからこじつけで、この雇用環境の中に、今は就労のことだけだったんだけれども、レジャーを、長期休暇を取るための余暇の時間というのが皆さんの参考人の中に私は含まれていない、このことは非常に残念でしたね。だから、その点を一つ、いかがですか。
 そして、日本がどうあるべき休暇であるか。今は週休二日ですね。ヨーロッパは週休二日になぜしたかといえば、一つは日曜日には必ず教会に行かなくちゃいかぬ。だから、教会の牧師が会社の経営者を怒るんですよ、なぜあなたの会社は、ミサにあなたの従業員は来ないんですかと。そういう伝統から日曜日があるわけです。だから、余分なもう一つの、自分が過ごす、個が過ごす土曜日が必要だった。日本は丸々二日間遊んでいるんです、今から。
 だから、そういうのをどうするか。ひとつ三人にお願いします。
#54
○参考人(佐藤博樹君) 働くということについてかなりお話ししたわけでありますけれども、私は働く時間についてかなり今日強調してお話ししたわけですけれども、やはり働く時間がどうなるかということが働く時間以外の時間がどうなるかということを規定するわけですね。やはり労働時間が長ければ、それ以外に使える時間というのは短くなるわけです。あるいは、有給休暇が取りにくければ、やはり例えば長期の旅行なんてできないわけですから、私は、働く時間の柔軟性とか、そこを自由にその生活のニーズに応じて選べるということは、実は自分たちで生活時間を選べるということになるだろうというふうに思います。
 ですから、私が今日お話ししたことは、生活の豊かさと無縁ではなくて、生活の豊かさを実現する上で大事な条件ではないかなというふうに思っています。そのときに、やはり職業生涯にわたって時間をどういうふうに配分するのかというのが、一つ大事だと思います。
 今、雇用者の場合、定年延長が問題になって、六十から六十五に延ばすと。そうすると、企業は、これだけ景気が悪いときに六十から六十五に延ばせば、ますます若い人を採用できないというようなお話がありますけれども、これは六十を六十五にすれば働く期間が、例えば大卒ですと二十二歳から六十歳までですと三十八年働くわけですけれども、五年延ばすということは三十八年働いていたのがこれから四十三年働く社会を作るという想定であればそうですけれども、やはりそうではないようにしなきゃいけない。
 つまり、働く期間は延びるわけではない。つまり、六十から六十五に延ばしても、職業生涯、働く時間というのは余り変わらないということがこれから目指すべき社会の在り方ではないか。つまり、じゃ五年どうするのというと、今日お話にありました育児や介護ということで男性も女性も二年ぐらいは休むでありましょう。あるいは、リカレント、能力開発のために学校に行くということがあるんですね。
 それと、もう一つ大事なのは有給休暇です。先生おっしゃられたとおり、日本の場合、有給休暇二十日あっても大体十日しか使っていません。そうすると、十日残しますと、四十年だと四百日なんです。つまり、二年分使い残しているんです。これを全部使えば実際それだけ働く時間が短くなるわけでありますので、そういうふうに、五年長く働くのではなくて、確かに六十五まで働く機会は提供されているけれども、その中で実際働く時間というのは余り延びない。そういう意味では、仕事の機会は増えていくということですね。正に世代間ワークシェアリングですけれども、それを目指すということが大事だろうというふうに思います。
 それともう一つは、それぞれ日々の生活という点では、一つはやはり有給休暇を完全消化する。それも、細切れではなくて、例えば五日有給を取れば九日休めるわけですから、十日前後の休みを少なくとも年二回ぐらい取るというようなことを一般化する。そうしますと、実は育児休業とか介護休業というのも取りやすくなるんですね。
 どういうことかといいますと、社員がある程度長い期間休むということが一般化している職場であれば、その人がいない間にどういうふうに仕事をやりくりしたらいいんだろうか、隣の人がどういう仕事をしているのかどうかということがきちっと伝わらないと、例えば十日の休みを取れない、二週間の休みを取れないわけです。そういう十日とか二週間、社員が有給を取っても職場が回るような仕組みができていて初めて、実はだれかが育児休業なり介護休業を取ったときに回るようになるんですね。ですから、僕はそういうことをすることが大事だと。
 そんなことを言っても、会社としてもたないのじゃないかというお話あるかも分かりませんけれども、実はそういうふうにだれかが十日休んだらお互いカバーできるということは、その職場の社員の能力が高いんです。隣の仕事も手伝えるとか、管理職の仕事も手伝えるという社員がいないと、お互いサポートするということができないんです。つまり、休みを取りやすい職場、それで仕事が回る職場というのは高い技能を持った社員がたくさんいることになります。それは、みんながそんな休みを取らないとき、普通の状態では非常に生産性が高い職場だというふうに私は思います。そういう研究がたくさん出ています。そういう有休を取る。
 もう一つは、週休二日で土日休むようになったんですけれども、今、日本の問題は、平日は目一杯働く、残業も結構多いですね。で、土日は休む、ただし家で寝ている。これをいかに変えるかなんです。つまり、平日のゆとりということが大事です。いわゆる、平日、会社終わってからコンサートに行ける、例えば映画を見に行ける、これがないんですね。土日行けるというだけ。それで、もう土日は、でも疲れちゃうんですね。だから、平日のゆとりをいかに作っていくのかということが働くという観点からすごく大事なのではないか。
 ですから、繰り返しますと、平日のゆとり、あと長期休暇を取る、あと職業生涯、節目節目にリカレントか休業を取れる。そういう仕組みということが実は生活面での豊かさを作っていくということになるのではないかというふうに思います。
#55
○参考人(永瀬伸子君) 男女が働いて、男女で労働時間が短くなって、家庭責任も取るということは、長い有休を取るということあるいはゆとりのある時間を持つということの一つの前提条件のようにも思うんです。今は、統計等を見ていますと、男性の労働時間は変わっていないんですね。女性の方の労働時間が増えている、平均的に増えていますので、本当に家庭時間というのが縮小して、私はとても良くないことだというふうに思っています。
 それはどうしてかというと、男性が休んだりすると仕事を失ってしまうかもしれないというので、もう休めない。その上で、女性は少しぐらい働いても大した賃金にならないので、賃金を増やそうと思えば長時間働かざるを得ないというので、長時間労働というのが両方の要因で成立しています。
 これをやめていくためには、やはり男女ともが普通の仕事を持つ、仕事を持つというのは一つの普通のこととして、かつ自分自身の余暇時間を持ったり、子供や家庭の時間を持ったりというのを前提に社会をもう一度組み直していくということなんじゃないかなというふうに思います。
 ちなみに、私のいる大学というのは、母子関係とか父子関係、その辺を専門にする先生が多いんですけれども、国際比較をすると、日本の父親と子供の関係が非常に離れているんですね。そして、友達父親というのが増えているんですが、本当に子供に対してコミットできていないような、友達のようだけれども余り子供のことはよく知らないし、きちんとして指導もできない、そういう非常に離れた父親関係というのが日本で見られて、それは先進諸国とも違うし、あるいは東洋の諸国とも違って、日本で特徴的で、非常に悪い傾向で、そこが挙がっているということが示されております。また、その反面が母子密着であるわけです。
 こういうことを考えてみましても、私は、長期休暇というのは是非取るようになりたいと思うんですが、男性が自立しないと、長期休暇のお父さんがうちにいると家事が増えるという奥さんもいるかもしれませんので、その面も含めて、男女がともに働き、ともに家庭責任を取るような方向に行けばというふうに思います。
#56
○参考人(柏渕忠君) 先生御指摘の、企業福祉と、いわゆる社宅ですね、こういったものは手厚くてどうなんだという御質問は、非常に私はそのとおりだなと思います。
 数点申し上げたいんですけれども、一つは、今までの企業で従業員なり社員を取り巻くところを支援してきたと。やっぱり不安を取り除く、不安を解消するという取組だと思うんですね。それに結構収れんしてしまうんではないかなと。ですから、長期休暇に代表されるもの、これはやはりこれからの楽しみであり、我が社のブランドネームでもあるんですけれども、良く生きる、そういうものを支援する取組というのは、我が社でもちょっと実はありません。
 長期休暇の制度をやれというふうな形で社長から昨年言われまして研究しているところなんですけれども、やはりどうしても、若い社員が多いというのもあるんでしょうけれども、どうしても仕事が好きといいますか、そこで成り立っているみたいな、しかも有給の消化率が非常に我が社は低いんですね。だからそれを見ても、長期休暇をやれというのが何か、まず有給の消化からだみたいになっちゃって、外というか、社会に対しては非常に、良く生きるとか言っていながら、自分たちが一番良く生きていないというのを今日改めてちょっと感じましたので、今後ちょっと勉強させていただきます。済みません。
#57
○会長(勝木健司君) 他に御発言はございませんか。
 それでは、以上をもちまして参考人に対する質疑を終了いたします。
 佐藤参考人、永瀬参考人及び柏渕参考人には、御多用の中、本調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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