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2002/05/15 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第3号
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2002/05/15 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第3号

#1
第154回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第3号
平成十四年五月十五日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     渕上 貞雄君     福島 瑞穂君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         西川きよし君
    理 事
                国井 正幸君
                鈴木 政二君
                江本 孟紀君
                福本 潤一君
    委 員
                有馬 朗人君
                大野つや子君
                太田 豊秋君
                河本 英典君
                沓掛 哲男君
                近藤  剛君
                保坂 三蔵君
                伊藤 基隆君
                谷  博之君
                長谷川 清君
                和田ひろ子君
                草川 昭三君
                浜田卓二郎君
                井上 美代君
                福島 瑞穂君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   参考人
       東京都知事    石原慎太郎君
       作家
       エコノミスト   堺屋 太一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国会等の移転に関する調査
 (国会等の移転に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(西川きよし君) ただいまから国会等の移転に関する特別委員会を開会いたします。
 国会等の移転に関する調査を議題といたしまして、国会等の移転に関する件について参考人から意見を賜ることにいたします。
 午後一時からは、東京都知事石原慎太郎君を参考人として御出席願っております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 石原参考人におかれましては、御多忙中のところ当委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。
 本日は、忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の当委員会の調査の参考にいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人から三十分程度御意見をお述べいただきます。その後、九十分程度委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、早速ではございますが、石原参考人にお願いいたします。石原参考人。
#3
○参考人(石原慎太郎君) 石原でございます。
 今日はお招きをいただきましてありがとうございましたと言いたいんですが、衆議院では二回も行きまして、同じ話なんでもういいだろうと言いましたら、参議院の与党の某大幹部が、衆議院と違って参議院ははるかに品がいいし、良識の府であるから、どうもちょっとそう思えない節もあるけれども、このごろ、まあ是非、トーンも違うし話をしたらどうかということでまかり出ました。
 当然、私は反対の立場でいろいろ申し上げたいと思いますが、ただこれは、私が都知事であるから東京の利益、都民の声というものを反映するということでなしに、私の自負としては、自負と言うと大げさでありますけれども、意識としては、あくまで世論というものをいろんな媒体通じて私なりに摂取し、いろんな人の意見を多岐にわたって聞きまして、これはほとんど多くの国民の声、ゆえに私は国の利益を代表したつもりで申し上げたいと思っております。
 衆議院に最初に呼ばれましたときにも事前に幾つかの質問をいたしましたが、訳の分からぬ返答しか返ってきませんで、何の参考にもなりませんでした。ですから、その問題について、まず私の解釈といいましょうか、私がどういう手だてを講じ、どういう認識を持っているかということを申し上げたいと思いますが。
 衆議院に出した質問は幾つかありましたけれども、その一つは、一体首都というのは何なんですかと、首都の定義をしていただきたいということでしたが、訳の分からぬ、公表するのも恥ずかしいみたいな内容のない話でありまして、私なりにこれ要約しますと、いろんな辞書なり辞苑なりを引きましても共通していることは、首都とは国の中枢の機能を備えた都市であるということであります。
 しからば、その国の中枢の機能というのは何かといえば、これはいろいろ解釈はあるでしょうが、ごくごく常識的に言えば三権の執行、つまり行政、立法、司法ということでしょうか。しかし、加えて、これは非常に地域的にも分散して機能しているものでありますけれども、やはりその国の中枢の機能の一つは、特に政治と密接に関係のあるものはやっぱり経済だと思います。同時に、後で申しますが、社会の機能的な運営のためにも、私は、文明工学的にも、政治と経済というものは不可分であると思っております。
 この首都移転なるプロジェクトでありますけれども、いろいろせんじ詰めますと、担当している政治家によって意見がばらばらでして、これは首都の移転ではないと、首都機能の一部の移転だとか、首都の機能だけの移転だとか、訳の分からない答えが返ってくる。
 大方の定義、これは異存がないことだと思いますけれども、首都なるものは国家の中枢の機能というものを備えた都市であるとするならば、その中枢の機能の最たるものを移転する、あるいはその一部を移転するということはすなわち私は首都移転だと思うので、このプロジェクトの名称を首都の機能の移転とするか、あるいは首都機能の一部の移転とするか、首都の移転とするかはまちまちのようですけれども、いずれにしろ、首都というものの定義というものを踏まえて言えば、国家の中枢の機能を移転する、あるいはその一部を移転するということは、首都の移転であり、首都の部分的移転であると私は思いますが、そういう誤謬というものを正さぬままに、確かめぬままに、この問題を論じるということは非常に危うい感じがいたしてまいりました。
 私がこの問題に疑義を感じ、反発を感じるのは、今まで、建設省時代でありますけれども、国が構える大きな事業に関しては必ず便益考査というものをしました。つまり、このプロジェクトを遂行することでどれだけの費用対効果があるか。これは非常にずさんな計算でしかなかったのがほとんどですけれども、じゃなかったらあの四国に橋を三本架けるみたいなばかなことはやらなかったと思うんですが、いずれにしろ、プロジェクトに関して便益考査というのをやってきた。ところが、この首都移転なるものについて便益考査というのはないんですね。今になっていろんな数字が出てきていますけれども、最初からこれが、建設省がかつて構えていた方程式で計算された事実はない。このごろになって幾つか数字が出てきて、東京の言う数字は多過ぎるとか少ないとか、いろいろ議論があります。それもプロパーに論じられたことがない。
 なぜ首都移転という、結果としてはこういう形になったんですが、これは大きな大きな国家的な事業についての便益考査がなかったかというと、これは皆さん、私も参議院にかつていましたが、割と年次として新しい方がおられるし、その方々は経験しなかったことでしょう。
 そもそも、十数年前、これが出てきたときには、ある日だれかが話題にして、官邸はいかにも古いぞと、れんが積んであるだけの建物で、直下型の地震が来たら、マグニチュード幾つだったら崩壊しちゃうだろうと。そうかもしらぬなと。そのとき官邸はどこへ移すのかなと。ホテルに移すのか、どこがいいかなという。そうしたら、そのときだれかが、官邸が崩れたらこの国会議事堂もかなり古いので国会も崩壊するだろうと。官邸と国会が建物として崩壊したとき、どこでその機能を代行してやるかということは、やっぱりバックアップをちょっと考えておかなきゃいかぬなということで、そのとき出た案は、東京もかなり小広いし、八王子辺りなら、この霞が関、永田町に直下型の地震が来たときならば、東京も広いし、八王子ぐらいまでに行ったら向こうは被害が少なかろうと。あそこも結構土地が空いているし、いろいろな建物があるから、どこかで国会やったらどうだという話だった。そのうちに、金丸信さんという、余り好ましからざる、私、評価していませんが、政治家が出てきて、これがどんどんどんどんエスカレートして首都移転というプロジェクトになっちゃったんですよ。その間、私もたしか三回ぐらいこれについての議決に要するに応じたことがありますけれども。
 いずれにしろ、最初は国会議事堂と首相官邸をとにかく持っていくだけのプロジェクトとしてこれが始まった。それで、そのうちに、これは非常に大規模な社会事業、国家事業ということになったわけで、東京がまずいなら、どこがいいここがいいということでいろいろ名のりを上げる地域が出てきて、該当地の国会議員たちがそれに飛び付いた形になって、今日、こういう特別委員会が国会が開催されるごとに、そのたびに設置し直されて合議をしてきた。私もそこにも出席もいたしました。
 これは、首都を仮に移転するというならば、国家的な事業でありますから、それぞれ、特に衆議院議員は自分の選挙区というものを踏まえてその地域の利益というものを当然代表もしなくちゃいけないでしょうけれども、それ以上のことは申しませんが、やっぱり後でちょっと質問の形でもひとつ申し上げたいと思いますけれども、該当しない地域の国会議員というのはほとんどこの問題に関心がない。
 私は、自民党の総務会の大ベテラン議員に、非常に懇意にしている、ほかのことで。あなた方は、今度国会開催またされるそうだけれども、あしたあさって総務会やるんでしょうが、こんな特別委員会、やっぱり国のためにも改めて設置することないんじゃないですかと。極端な言い方、できたらつぶしてくださいよと言ったら、そんなものもうないよ、君と言うんです。ないことない、やっていますよと言ったら、まだやっているのか、あいつらと。
 そんな要するに関心の中で、限られた人たちが、悪い言葉かもしれないけれども、要するに利益誘導という形で奔走されるのもそれは国会議員の仕事の一つでありましょうが、国会全体の中でとらえると、この特別委員会の存在そのものがほとんど他の国会議員の関心のうちにないままに、私は首都の在り方というものはその国の命運を左右する大きな問題だと思いますけれども、そういうプロジェクトがどういう形で審議され、その辺について他の多くのほとんどの国会議員がほとんど承知せずにいるというのも、日本の国会の非常に不健全な在り方の一つの証左としてとらえざるを得ないような気がいたしております。皆さん、お気に障るかもしれませんが。
 まず、今お答えいただかなくても結構ですけれども、私は、さっき申しましたように、都民の声、国民の声を代表しているつもりで、それはすべてではないかもしれません、今日、この参考人としてまかり出ましたから、国民の声、国民の疑義を代表した形で三つほど質問をさせていただいて、いずれもっと開かれた形で、メディアも当てにならないところもあるけれども、良識の府である参議院の特別委員会の見識というものをお答えいただきたいんですが。
 先般も、新しい官邸が誕生いたしました。旧官邸は震度幾つかの地震が来たらもたないだろうと言う。今度の官邸は相当強いんでしょうな、それは。新しく造ったんですから、関東大震災並みの地震でもつものは当然造ったと思うんですけれども、これに掛かった金は幾らですか。六百四十七億、総工費。それから、外務省も、何か耐震性が弱いというので、今どこかへ仮に引っ越しして補強工事を始めている。その前に、六本木にありました防衛庁は、これも膨大な工費を掛けて、四千八百十九億、五千億近い金を掛けて移転いたしました。
 それから、皆さんが使っていらっしゃる議員会館も、余りに狭小なのは私も体験しましたので、もっとましなものにしようということで、アメリカの議員会館なんかに行きますと、大体一議員の部屋全体が受付のオペレーターを兼ねた女の子の部屋になっていまして、その奥に数倍の部屋があってうらやましい限りですけれども、その議員会館も限界に来ておるので、これをとにかく建て直そうかということで調査費が付いているようですけれども。
 あれやこれや、とにかく国会・政府関係のそういう施設というもののこれから建て替える、あるいは既に終わった経費というのは六千九百億、一兆近い金を掛けて国の中枢の機能を運営するための施設というものをリニューアルした。これは私は別に反対しませんが、このことと、どこかに国家の中枢機能を丸ごとかあるいは部分的に移転するというプロジェクトの整合性というのはどこにあるんですかということを、実はこの間、衆議院の二度目の会合で松本さんという自民党の議員が質問されたら、寂として声がなかった。あの人の私語に終わったけれども、私はこれはやっぱり異常な現象だなと思って眺めていましたが、これは国民はみんなそう考えていますよ。
 官邸を直し、外務省を直し、防衛庁は移り、その他の政府の、国家の中枢機能を運営する施設というものを一兆近い金を掛けてこれから直していこうというこの時期に、国の経済というのはかなり疲弊してきた、まだまだ日本は余力を持っていますけれども、その使い方を国が知らないからばかのように国民は見ているけれども、この時期に首都をどこかに丸ごと移転する、あるいは部分的に移転するというプロジェクトの整合性というものをまず私はお聞きしたい。いずれ、その時点で衆議院と参議院の特別委員会の趣旨が違っても、私は良識の府であるこの参議院の委員会としての権威としての回答をいただきたいと思うんです、国民に向かって。
 第二は、この間、たまたまテレビを見ていましたら、ユーゴの独裁的な大統領だったミロシェビッチの非人道的な虐殺行為云々についての裁判がハーグの国際裁判所で開かれておりました。私は、ミロシェビッチという人に対する評価そのものは、前後の事情を詳しく知りませんから、ユーゴというのは非常に厄介な国で、これは多民族が集合し、幾つかの宗教が寄り集まってできた地域ですけれども、これはかつていい意味での独裁者のチトーという人がこれを強引に束ねて、言ってみると、小さいけれども一つのエンパイヤーとして存続し、西側にとってみると、ソビエトの目と鼻の先にユーゴというああいう地政学的には重要な拠点が、異民族異宗教というものを超えて強力な軍事力なり政治力で束ねられたということの存在は、冷戦構造の中でも西側にとっては非常に有利な条件としてチトーも評価されていたわけですが、この人が亡くなってそういうくびきというのがばらばらになってああいう内乱が始まった。
 その中で、ある民族を代表するミロシェビッチが民族間の抗争というものを巧みに利用して自分のヘゲモニーを続けたわけでしょうが、その中で行った行為が非常に非人道的であると今裁かれていますけれども、ミロシェビッチだけじゃなくて、アメリカの人権運動家も含めて、この裁判は極めて疑義があると。なぜならば、つまりミロシェビッチが非人道的なことをした、つまり彼は有罪というか、これに責任があるということを前提にしてこの裁判が今までなかった形でハーグで組み立てられて行うことは、これはやっぱり人道上の問題として非常に問題があるという、そういう運動もありまして、アメリカの人権運動家たちもこれに反対しているという、そういう報告がテレビでオーディオビジュアルに非常に生々しく分かりやすく報道されていましたが。
 それとこれと同じとは言いませんけれども、ちょっと私、この委員会もそういう疑義を感じざるを得ない。つまり、これはいずれの時点にかどこかにともかくも日本の首都を移すんだということをポジティブリーにアプリオリとして大前提として発足しているというなら、私は、やっぱりもっともっと開かれた形で委員会が運営されてしかるべきだと思います。
 そうじゃないと言う人もいるかもしれませんけれども、私が手にしました、過去この委員会で同じ方が何度か発言されているのもありますけれども、その回数の中で、私が調べた限り、発言によっては微妙なものがあったかもしれませんが、都庁のスタッフがこれを精読して、マル・バツというんですか、付けた限り、過去、延べ数十人の方が参考人としてここで意見を陳述された中で、首都移転に反対だという人は二人しかいませんでしたな。私はこういう参考人の招致の仕方そのものが非常に、つまり不公平だと思いますよ。アンフェアだと思いますよ。国民にとって私はこれは許容できない運営だと思います。
 実は私、最初に衆議院の特別委員会に呼ばれたときに、そのときの委員長は社会党時代から知っていた井上一成君でありました。彼は今、議席にいるんですか、いないんですか。彼が、私がるる陳述した後で、昔から仲間ですから、その終わった後、握手して、いや、石原さん、呼んでよかったわ、あんた、やっぱり反対は一人ぐらい呼ばなあかんなと言った。これは正直な、私は、要するに、どう言うのかな、告白というか言葉だと思うけれどもね。
 やっぱり、こういう国家の命運を左右しかねないプロジェクトについての特別委員会が、この委員会がそれをどう規定するというのは非常に難しいことでしょうけれども、とにかく、いつかどこかへとにかく首都を移すんだということをアプリオリとして、大前提として設置されているならば、それは国会の都合でしょうから、そこまで国民は口を挟めないでしょう。それなら、一層これはやっぱり開かれたものにして、ハーフ・アンド・ハーフに近い賛否両論というものを皆さんが聴取されるべきと思いますけれども、衆議院の例を見ても参議院の例を見ても、反対の意見が本当に一割にも満たないというのは、私はこれはやっぱりアンフェアだと思う。こういう議事の運営の仕方というのは民主的じゃない。特に、参議院は良識の府なら、こういう点についての反省というのもしていただきたい。このプロジェクトの是非の問題じゃないんですね。それを一つ申し上げたい。
 それから、こういう問題ですから、憲法の問題が絡むか知りませんけれども、この問題について国民投票をしたらどうですか。私は、何回もあるものじゃないから、こういう問題こそ国民が国民投票をして、それは、何というんでしょうね、決めれば、何十年に一回もないイベントですから、そういうことで国民の国に対する一つの参加感というのは出てくると思うし、是非参議院からも諮って国会全体で決めて、この問題を国民投票していただきたい。
 というのは、どこどこと言いませんけれども、同じ立場にいる知事さんたちに聞いても、いや、実は私の立場でこの地域で決めているから言えませんけれども、私は反対です、頑張ってくださいという声があちこちにある。それぐらい、千々に乱れている利益といいましょうか、思惑がある。ならば私は、国民全体がこれを決めるということで国民の参加感というものが図れると思うので、こういった三つの問題について是非ひとつ参議院としてお考えをお諮り願いたい。
 私の反対の理由というものをるる申しますが、過剰な集積、集中というのがやっぱり非常に東京にいろんな混乱をもたらして、不便をもたらしているからこれをやっぱり分散しようと言われますが、そういうところからこの論は出てきたと思う。
 ですけれども、私たちが迎えているこの二十一世紀は、後半はかなり違った文明というのが誕生するかもしれない。私はその前に人間というのはもたないと思いますけれどもね、地球そのものが。ですけれども、その間、私たちは最善を尽くさなくちゃいけないわけでね。この二十世紀の後半から始まったいわゆるコンピューターエージと言われる新しい時間帯の文明というものは、コンピューターエージという言葉が象徴するように、コンピューターの本質的な機能である集中、集積だと思います。
 こういう新しい技術体系というものに人間の文明、文化というのは規制されるし、支配されざるを得ない。人間自身が考案した一つの技術体系でありますけれども、私はやっぱり、それに逆行するような、本質的に逆らうような試みというのはやっぱり歴史的に否定されているだろうし、人間にとっても効率のいいものには決してなり得ないと思うのです。
 確かに、東京も不便なことが多々あります。私、都知事に就任する前、同じ東京に選挙区を構えていて、東京ですから、あちこち出回ったり、友人もいますし、東京の中で動いてみると、いかにも渋滞が激しくて、東京の中での移動に時間が掛かり過ぎる。これはもう東京の決定的なマイナスでありますけれども、これが何で招来されたかということを考えていただきたい。
 それは、美濃部さんが都知事をしているとき、あのコミュニストの知事がすべての要するに社会資本の造成というものに反対して、そのいわれは非常に単純なもので、ゼネコンが利益を上げることが自民党を太らせるんだということで、自分の知事選のときも、ストップ・ザ・佐藤、ストップ・ザ・自民と言って選挙をした。この人を三期ですか、都民は迎えたわけですけれども、そのときに彼がすべての公共事業というもの、ほとんどの公共事業を止めてしまったおかげで、何かあの人が非常に時代をかぶっていた印象があったものですから、私、非常に個人的に親しかったけれども、根本龍太郎なんという威勢のいいおじさん、元気がいいおじさんなんだけれども、この人は何かびびってしまって、環状線の工事というものを凍結宣言したんです。こういう政治家の責任を、私は生きていたら根本さんを知事としても弾劾したいぐらいだけれども、これがいかに東京というものをパラライズしたかということを考えていただきたい。
 もし、彼が止めてしまって動かなくなった環状線というものができていたら、もう当然できていたでしょう、スムーズに進んでいけば。かなり時間が、日本の公共事業は時間が掛かり過ぎます、金も掛かり過ぎますが、それにしても完成していたでしょう。そうすると、パリとかロンドン並みに外環状道路が二つ、要するに同心円の形でできていれば、東京の渋滞を招いている、他県から来て東京を抜けて他県に行く自動車の過半はバイパスすることができたんです。
 私が住んでおりました選挙区の大田区でも、東さんの時代に、あの多摩川の河川敷を使って、立川を経由して抜ける、北側に抜ける環状線の計画があって、調査費まで付いていましたが、立川の共産党の議員が騒いで、四百人の署名が集まっただけで美濃部知事はこの計画をつぶしました。その後遺症がいかに東京のデータイムの交通渋滞というものを招来して、東京だけじゃなしに国家に大きな損失を与えるかということを私は改めて感じるんですけれども。
 同じことがありましたね。大阪でも京都でもありました。特に、京都の蜷川さんというのはスターリンみたいな人で、いや、本当にそうでしたよ。だから、野中なんて、よくあいつ闘ったよ、本当に、一人で。自民党で闘ったのは野中だけだったんだから。彼が何をやったかといったら、とにかく要するに全部公共事業を反対して、あのときから既に北陸新幹線の計画があったけれども、武生止まりで、京都は絶対に通さないと蜷川が言ったために、北陸新幹線の計画というのは武生で止まってしまって、その先、どうやって大阪という、東京の、いや日本の第二のメガロポリスにアプローチするか、いまだに計画がないんです。
 こういうばかげた事態というものを、正にあれは共産主義者だったんでしょう、しかし皇室の崇拝者でもあった不思議な人ですけれども、あれがとにかく京都のためじゃなしに日本のためにそういう弊害というのを生んだということでありまして、私はそういうものも思い起こしながら、東京の要するにマイナス点というものは決定的に交通事情でありまして、これが、ならばという話は仮定の仮定でしかありませんけれども、もしああいう知事が登場せずに成就していたなら、東京はもっともっと機能的ですばらしい町になったと思いますし、これからでも私は間に合うと思うから、森内閣時代に私の仲間の亀井君と諮って、五年間で十兆円の予算を組んで東京の再生、大都市再生というのを提言したんですけれども。
 いずれにしろ、歴史というものの堆積は、今度要するに堺屋君が、私の論敵が来て何か歴史を云々と説くそうだけれども、歴史は歴史で結構でしょう。しかし、やっぱり歴史のいい意味の堆積というものが、江戸という世界に比類のない中世というものの成熟構造を経て今日の東京を造った。結果、どうなっているかというと、霞が関、永田町に三権の要するに機能というのは集積してある。同時に、つい目と鼻の先、歩いてでも行ける丸の内に日本の経済の、経済界を代表する集積というのが行われていて、この政経不可分の、文明原則の中でこんなに、つまり経済の中枢と、丸の内がすべてではありませんけれども、政治の中枢というものがほとんど肩を接してあるような機能というものを備えている首都は世界にありません。
 加えて言えば、その周りに、皆さんお好きかお好きじゃないか知りませんが、これも一つの成熟を明かすあれですけれども、赤坂とか柳橋とか新橋とかいう花柳界があって、つまりこの首都というものに彩りというものを添えているというのは、私はとってもいいことだと思う。
 今日、IT化の時代でインターネットでどんな情報も簡単に取れますけれども、大阪に本社のある日本の代表的企業が幾つもあります。この人たち、この幹部、特に社長、会長、知っている人が多いですが、私も大阪へよく用事があって行きますと、行き来の新幹線の中、飛行機の中で多くの人にお目に掛かる。聞いてみると、必ず週に一回は東京に出ると。どういうことですかと言ったら、きちっと情報を取るためだと。情報なんか幾らでも取れるじゃないかと言ったら、石原さんね、やっぱりその情報源である政治家なりあるいは高級官僚なりに会ってフェース・ツー・フェースで自分で確かめない限り、その情報というものは責任者として採択できないと。
 私は、これは確かにそのとおり、そこは人間の偉さでありまして、やはりインターネットでどんなに簡単に膨大な情報が取れても、それに目を通した後でフェース・ツー・フェースでその当事者に人間として会って、余計な会話も挟みながら、お茶でも飲みながら、やっぱり自分の情念、感性というものをフィルターにしてその情報をしまったことで初めて情報が情報になる。
 これは当然のことであって、なるほどなという感じが私は改めていつもしていたんですけれども、いずれにしろ、東京というのはそういう形の集積、集中があって、それを是として大阪の、日本第二のメガロポリスに居を構える重要な経済人も、ごくごく遠いような近いような距離でありますが、飛行機で一時間足らずのところへ来ておられるということも、政経不可分という文明工学の原理からいって、この東京は非常にいい条件を備えていると私は思います。
 どうか皆さんにも、地域の利益もあるでしょうけれども、国会議員なんですから、偉そうなことを言いますけれども、一種の文明論として、社会工学論として首都というものをもう一回考え、東京というものを見直していただきたいと思うんです。
 例えば、せめて一部でも他に移そうと、これまた愚の愚でありまして、韓国が一部やりましたら、これはいかにこれが不便をかこっているかということは彼らも誇り高き民族だから言わないけれども、心ある政治家みんな失敗したと言っている。いっそ移すなら全部移せば良かったと言っているぐらいですけれども、そういう例があちこちにあるということも一つ認識いただきたいと思うんです。
 皆さんに偉そうなことを言うわけじゃありませんが、物事というのはどんな物事でも複合的、重層的なものですよ、ヤスパースの言葉を引くまでもなく。歴史に限らず物事というのは、歴史が発生してやってくるいろんな出来事、現実もまた歴史でありますから、だから重層的なものなんです。その複合性、重層性というものを考えずに、何というんでしょうか、一元的にそれを切って物を考えると非常に効率が悪い行政にしかならないと私は思います。
 私も二十五年間国会にいました。やきもきしながらうんざりして辞めたんですが、その後、東京を引き受けてやってみると、国とのかかわりが非常に多い。それはやっぱり日本あっての東京ですから、ですからこれ、就任してから三人の総理大臣と話し合ってきましたけれども、総理一人の責任じゃありませんが、多大に総理の責任もありますけれども、やっぱりライン化し過ぎた、つまり日本の今の要するに政府の在り方というのは、新憲法が発布される前の、三条何とかが太政大臣やったときの太政官と同じですな。もうとにかく分化したままずっと硬直して、とにかく一元化、ライン化してきた、それがもう更に徹底されたと。
 ですから、そういう役人の発想を是正するのはもう政治家の責任ですし、この要するに首都移転の下請というのをどこの役人がやっているか知らないけれども、やっているでしょう、それはやっぱり。それは要するに与えられた仕事で、彼らはただの運営者ですから、その自分の与えられた仕事というものを一元的にしか考えない官僚を、それは実は複合的な重層的な意味が、要因があるんだということを説いて、いろんな形で束ねて使うのは政治家の責任だと思うけれども、私も含めて過去に与党、野党問わずこの国会がそういう、中央集権と言えば格好良く聞こえるけれども、それなりにまた硬直して一元化した、それぞれ一元化した行政機構というものを重層的に、複合的に束ねて使ってきたかというと、私はその努力はいささか足りなかったような気がするんです。
 例えば、それは東京なんというのは小さな小さな自治体ですから、国に比べれば。私が決心してみんなを説けば局長たちもすぐ反応してできることでしたけれども、例えばこの間も自動車工業会を呼んで東京のこの劣悪なる大気汚染、皆さんだってこの空気吸っているんです。選挙区のある人は週末帰っちゃうからいいかもしらぬけれども、ずっと東京に住んでいる人間だっているんだ。もう東京で生まれる幼児のほとんどはアトピーであり、ぜんそくですし、アレルギー持っていますよ。こんな状況を放置してきたのは国ですよ、国。尼崎でも負けた。愛知県でも負けた。負けるのは分かってるんだ。東京でも負けますよ。私は東京は負けるに決まっていると言っている。あなた都知事じゃないですかと。おれは負けたら国を告訴すると言っているんです。不作為で来たんだから。
 だから、私は自動車工業会呼んでとにかくできる協力をしてくれと言ったら、いろいろ協力してくれている。またそうすると、一部の運送業者がどこか、愛知県辺りからわっと束ねてインターネットで抗議すると戻っちゃった、前倒しが。行ったり来たりしているんだ。
 それで、とにかくそれをまた更に巻き戻すためにこの間、自動車工業会の人に集まってもらった。そのとき妙な感謝をされたんです。工業会の代表が、だれでしたか、トヨタか何かの副社長か何かだったかな、とにかくその人が、いや、おかげさまで助かりましたと。これ国へ参りますと同じ環境省なり運輸省行っても大気汚染の問題といったら何局、NOxの問題だといったら何局、ばらばらで四つぐらい行かなくちゃいけない。一緒にやってくれませんかと言ったら前例がないからできないと。それを束ねるのが大臣だろうと思うんですが、なかなかそうはいかない。また、それぞれの部局に族議員がいらしたりしてとにかく、何というのか、省益と族議員の利害関係がとにかく一致してふくそうするものだから非常に国政は進むのに時間が掛かり過ぎるという気がしてならないんですけれども。
 そういうことで、この何年もやっている首都移転がめどが付かないならそれは有り難いような話だけれども、いずれにしろとにかく、余計なことまで申しましたが、この日本という先進国の首都というものはそこらの要するに開発途上国の首都といささか違うんだ。
 まだまだ何といったって日本は世界第二の経済のグロスを持っていますし、大分日本人このごろ自信なくなってきたけれども、日本の持っている力というのはたくさんあります。それを案外評価しているのは隣の中国であったりアメリカであったりしまして、日本の持っている技術力の先進性というのはなかなかばかにならない。
 例えば、皆さん、去年の一月から超鉄鋼という鉄板を日本だけが作れるようになった。これは同じ鉄板、同じ薄さ、同じ重さの鉄板でも粒子が十分の一小さくなったものだから強度が全然違うんです。こんなものは世界じゅうで日本しか作れない。これは付加価値がただ一枚の鉄板なのに二十倍あるぐらい物すごくつまり価値のあるもの、アメリカはそれを知っているから、今度自分の選挙も踏まえて、何というんですかね、鉄板に関する輸入規制というのを仕掛けたみたいですけれども、いずれにしろそういったものまで世界を席巻していくのは間違いない。そんなものを含めて一杯あるわけですよ。
 おととしの八月も、クリントンの時代ですけれども、国防総省の次官補代理の一人がヘッドになったデリゲーションが日本に来た。何を調べて行ったかと言ったら、デュアルユーステクノロジー、つまり日本は民間の用途に使っているけれども、アメリカがそれを活用したらアメリカの戦略にとって物すごく効果の出る技術というものを調べに来た。その機械は何かといったら、ソニーが作ったプレイステーション2だ。あそこで搭載されているマイクロチップというのはアメリカの一番進んでいる宇宙船に搭載されている六十四ビットの倍の百二十八ビットに突然なった。これが、もしこの生産技術体系というものが中国なり北鮮に流れたらアメリカの戦略にそごを来すから、これを規制しに来たし、同時にアメリカはいろんなものを調べて行った。
 アメリカの戦略、世界戦略の展開のために不可欠なものというのを日本はたくさん作っている。日本人がよく知らないだけなんだ。そういう力というものを私たちはやっぱりもっと活用すれば、まだまだ日本は大国というか存在感のある国家として栄えていくことができるのに、何かとにかくそういったものの活用が、言ってみると国の行政がもうみんなばらばらになって、複合化されないからこういうていたらくになった。
 東京がその大事な部分というのをかなり負うているところはあります。だからこそ、私はこの首都というものをもう一回意味合い考え直して、非常に拙劣な形での移転なんてものをやっぱり撤回していただきたいし、都知事だから言うわけじゃありませんが、この東京の世界に比類のない首都としての機能性というものを活用するために、私はだから首都の再生法というのは小渕ちゃんのころから言って、やっとできた、小泉時代になって。これをどう使うかということも考えていただきたい。その大都市再生法というのの主眼というのは、東京であり大阪であり、要するに九州のメガロポリスであるでしょう。しかし、やっぱり首都は首都ですから、私、ここで何も東京の宣伝をしきりにするつもりはありませんけれども。
 いずれにしろ、それからもう一つ皆さんに認識願いたいのは、日本の首都は東京じゃありません、東京圏です。日本の首都は神奈川県でもあり、埼玉県でもあり、千葉県でもあるんです。ですから、そういう複合体として日本の首都が、何と、東京の人口は一千百万ですけれども、その首都圏全体を合わせれば三千三百万の人口のヒンターランドがある。この意味合いというものは世界に比類がないんですよ。
 それを一番だれが知ったかといったら、日本の役人でも政治家じゃない、ビル・ゲイツだ。ビル・ゲイツは、手突っ込んできて、自分の資本出してここに彼のネットワークの王国作ろうと思って、ソフトバンクの孫君なんかと語らってやってきた。東電もうかつに乗れなくて、僕はちょっとストップしたんだ。僕は小渕総理に言ったんだ。これ、小渕さん、下手するとナショナルセキュリティー、関係出てくるぞ、現にECHELONみたいなことで、あの三沢の基地使われて、日本も西欧の先進国も、アングロサクソンの国が全部つまり盗聴されて、民間のネゴシエーションの情報盗まれているじゃないかと。東京は東京圏としてやられたらかなわぬから、これはやっぱり国家のナショナルセキュリティーとして考えてくれと。
 しかし、やっぱりアメリカのビル・ゲイツが三千三百万の、しかも東京から北海道まで青、赤の信号を、ゴーストップのつながっている警察のそういうインフラというものを活用してここに大IT化というものを進めたなら、それはもちろん東京もその恩恵に浴しますけれども、しかしその三分の一の資本を外国が持っていることは非常に危険だと思っているんで、これは東京プロパーでやるつもりでいます。
 それから、皆さんに是非理解と力かしていただきたいんです。これやったらシンガポールなんて目じゃないでしょう、こんなものは。東京の十分の一しか人口いないんだから。この三千三百万の要するに人口も、西欧の大国に匹敵する人口を持ったこの首都圏が完全にIT化されたら、これは一種の人間の文明革命になると思う。そういう可能性もやっぱり持っているということ。ですから、それをひとつ皆さん理解して、この掛け替えのない首都としての条件を備えた東京というものをもうちょっと再評価していただきたい。
 それぞれ皆さん、故郷もお持ちでしょう。要するに、それぞれのローカリティーがあって、それは美しい皆さんの地域であり、日本の一部であり、掛け替えのなさというのは要するにそれぞれ違った意味であると思いますけれども、東京が既に歴史の堆積の上に培ってきたこの首都としての比類のない可能性というものを、あるものを補修すればこれがもう一〇〇%発揮されるということもひとつ認識していただきたい。これはやっぱり皆さんの社会工学的な、文明工学的な要するに認識によるものだと思います。
 それからもう一つ、これも一種の文明工学、社会工学の問題だと思うんですけれども、先進国の首都ですから国際空港というものは不可欠なんですよ。ところが、成田はあのていたらくだ。何だかんだ言いながら、四十年かたったって空港一つできないんだ。しかも、羽田だって国際空港の可能性があるし、キャパシティーあるんだし、もう一本滑走路造って、プラス、東京がある判断をすればもっともっとあそこのユーティリティーが出てくる。だから、僕は亀井君に言って、あれ政調会長しているときに、彼、運輸大臣やって分かっているから、やろうじゃないかと。
 皆さん、御認識していただけると思う。御存じでしょう。釈迦に説法かもしれないけれども、日本はあと三年半たったら国際線はパンクします。もう何年も前から言われて、だんだんその日にちが迫ってきた。パンクということは、急用ができてワシントン、ニューヨークに行こうと思っても、そういう人気路線というのは切符がもうフルブッキングで買えない。そうすると、その切符を手に入れている人に、あなたは大して用事がないんだったら、ホテルオークラに泊めますから、二日間待ってください、その代わり飲み食いして結構ですから、インセンティブ付けますから、とにかくその切符売ってよという形じゃなかったら、飛行機に乗れないんですよ。
 もう目の前に見えている。私も運輸大臣やってそれ分かっているんです。だんだんだんだん日にちが迫ってきたんだ。国際線だって国内線だって、七年たったら人気の大阪線とか北海道の要するに千歳とかというのは満杯で飛べなくなりますよ、飛びたいときに。分かっていて、国会議員もほとんど何となく数字の上で承知しているけれども、これが日本の社会の命運をどういうふうに決する大事な問題かということを認識せずにここまで来ちゃった。ですから、国際空港というのは首都にとって不可欠なんです。
 残っている三つぐらいの土地があるようだけれども、仮にどこかへ移ったときに、国際空港をどこへ造るんですか。この間、岐阜県の知事が常滑と。常滑から今の岐阜まで四時間掛かるよ、自動車の。電車で行くったって金掛かる、別に。それから、スーパーソニックが間もなく、十年たったら飛ぶでしょう、ニューヨーク―東京が四時間で飛来できるときに、日本へ着いてそこからまた数時間掛かって行くんですか、新しい首都のあるところへ。これはもうナンセンスですよね。
 私は、やっぱり世界第二のボリュームを持っている経済大国にふさわしい空からのアクセスというのはきちっと作ってもらいたい。いつか、何か、去年ですか、国会というのは時々あちこちでばかなことを言うけれども、アメリカの国会が日本の国際的な空路のアクセスがもう非常に貧困で駄目なのはあいつらが意識して構えている非関税障壁だって、これは言ってもらうのは有り難いみたいな話で、アメリカの外圧で開いてもらいたいんだ、どこかの飛行場でも。
 結局、成田があのていたらくですから、だから私が亀井君と諮って、三年半たったらパンクしたらえらいことになるから、とにかく沖合展開やろうじゃないかと東京の案を示したら、彼も、そうだ、やってくれと。今度は、大蔵省のばかが何言っているかといったら、東京が言い出して再展開するなら半分東京に出させろと、金を。どういう発想なんだ、これ。彼らは要するにてめえの預かっている金を守るだけの話でしょう。出したくないから東京に半分出せと。
 国家を考えたら、こんなものは、昔は偉い政治家もいて偉い経済人もいたから、よし、分かった、設計図ができたら地盤の問題だけは並行してやったらいいんで、ラガーディア式に上に桟橋を造ってやるんだったら、もう発注しちゃえと。その代わり、政治はちゃんとヘッジしますな、それぐらいあなたが約束しているんだったら、経済界受けますよと。内閣がくるくる替わっても、しっかりした政治家としっかりした経済人が間に入って、こんなものはヘッジし合ってやりましょうということで三年でやれたんだ、昔は。そういう人がいたんだ。皆さんの中からそういう人出てくださいよ、政治家として、国政で。経済界も受け手がなくなってきた。そういう乱暴なようでストレートのキャッチボールというのは昔はあったんだ。それが、やっぱり私は政経不可分の中でも、要するに国益というものの推進の効率のある方法だと思います。
 るる勝手なことを申しましたけれども、どうかひとつ、相対的に世界の首都に比べて日本の東京がどれだけのポテンツを持ちながらそれの活用をできずにいるか、それからその認識をかなりの政治家も欠いたままにこういう非常にイージーな案が、しかも時代ががらっと変わって日本が長い経済不況に苦しんでいる中で、実際に幾ら掛かるかということも正式な計量計算もされずに。
 それから、もう一つついでに申しますと、東京はいろんな経験を持っているんですよ。例えば、今度どこかの案は、福島の方ですか、クラスターというちっちゃな町を作って、それをつなげる。町から町の遠さを測ってみたら、東京の要するに都心部から八王子ぐらい離れている。そんな町を幾つか作って、それを何でつなげるんだといったら、道路じゃなくてモノレールだと。モノレールの経営ってやったことあるの、何県。こんなに割に合わない、コストが掛かって赤字ばかり出る苦しい事業というのはないんで、東京はもうさんざん苦しんできたんだ。
 そういうものもやっぱりちゃんと、要するに民間の持っている知見をしんしゃくして、国民に迷惑掛けない、費用対効果というものを考えながら、この訳の分からぬプロジェクトは国家の利益のためにひとつお考え願いたいということを切に切にお願いいたしまして、終わります。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(西川きよし君) ありがとうございました。貴重な御意見ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#5
○委員長(西川きよし君) この際でございますが、委員の異動について御報告を申し上げます。
 本日、渕上貞雄君が委員を辞任されました。その補欠として福島瑞穂さんが選任されました。よろしくお願いいたします。
    ─────────────
#6
○委員長(西川きよし君) これより参考人に対する質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきます。
 また、委員の一回の発言はおおむね三分程度といたしまして、発言は着席のままで時間をお守りいただきますようによろしくお願いいたします。おおむね三時をめどによろしくお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#7
○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。
 今日は、本当にお忙しいところ、石原知事においでいただきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 幾つか知事さんの方から私どもへの質問もあったわけでありますが、これは行政が、新しい施設等については行政が進めているところでありますが、しかし、さりとて議院内閣制を取っているわけでありますから、国会の問題でもあろうと思いますので、これらは後で協議をして、何らかの形でお答えをしたらいいんではないかと、このように私は考えております。
 そういう中で、三点ほどひとつお聞かせをいただきたいと、こう思っております。
 第一点は、石原知事は、首都機能というか首都移転と、こういうふうなことで東京都の作られた、知事さんがお出になっているビデオも私見せていただきました。どうも、私どもは国会等の移転と、こういうふうなことでこの委員会もできておりますし、その国会等とは何だということで衆議院でも御質問をいただいているようでありますが、国会並びに、私どもの理解は、国会並びにその立法措置を取る上で必要最小限の行政の中枢機能、特に議員立法ということばっかりでありませんから、これは内閣提出の法律も相当ありますので、そういう政策立案の中枢機能並びに最高裁判所等を念頭に置いているわけであって、少なくとも、ここの議論でずっとやってきましたが、皇居を含めて移動させると、こんな議論は全然した経過はありません。
 したがって、私どもは、首都移転という認識よりも、大変御批判をいただきましたが、国会並びに行政機能の一部と司法機能の一部を移転をさせると、こういうふうに思っているわけでありますが、どうも知事さんは、そういう表現でやっているにもかかわらず、首都移転、首都移転ということで、何か東京からそっくり何かが全部抜けていくように作為的に言っておられるように印象を受けるんですが、その辺のことをひとつお聞かせをいただきたい。
 それから、よろしいですか、三分以内なものだから、こちらから申し上げてお答えをいただきたい。
 それから、今のやっぱり一極集中の弊害というのはあろうと思うんです、これまでずっとやってきて、交通渋滞の問題もしかりですね、あるいはこの国会に通う職員だって既に一時間半、場合によったら二時間も掛かって通勤をしてくるという状況もあるわけですよね。これはやっぱり東京なればこその一つの弊害だと思うんです。一日、限られた、二十四時間という我々に与えられた時間の中で通勤ということに多くの時間を割いているというのは決して好ましからざることだろうというふうに思うんですね。そういうことを含めて、この一極集中というものに対して、今後どういう形で知事さんは解消していくということをお考えになっているのかと、それが二つ目。
 それから三つ目は、一都三県並びに三市ですか、七都県市でもってバックアップ機能、危機管理のバックアップ機能が必要だと、こういうふうなことで、これらについては代替施設の提供なども御検討されたように思いますが、特にこの南関東直下型地震の危険性は指摘をされているわけでございます。そういう中で、いつ起きるかは分からぬけれども、少なくともやっぱり刻一刻そういう大地震が起きる可能性が近づいているんではないかと、このように認識しているわけです。
 アメリカの同時多発テロのとき含めて、アメリカにおいては、やはり大統領と副大統領が、少なくとも外へ出るときなどは同時に同じ飛行機に乗らぬとか、いろんな意味でやっぱり危険分散というのをやっておりますし、既に民間会社においても、特に金融機関においては、電算センター等バックアップ機能を地方に置いている例が多いんですね。
 私は栃木でありますが、例えば、あさひ銀行の電算センターも栃木県にあります。あるいは三菱信託銀行の電算センターもあると。こういうふうなことで、いろんな意味でやっぱり二元管理を、やはり効率は悪いかもしらぬけれども、しかし、いざというときにそういう二元管理で危機に対応しようという考え方を民間も既に持っている。そういう中で、確かにこのバックアップ機能、大変議論されたことは意義深いというふうに思いますが、しかしやっぱりこの一定の限られた地域で大災害が、同時被災するとは限らぬというふうに思うんです。
 そういう意味で、せめて、国会の議論、国民の関心が低調だというのは私どもも承知をしています。しかし、やはりこの危機管理という面に関しては、これは、これこそ何もしなかったら国の不作為責任というものもあろうと思いますので、これらはやっぱりしっかりと必要最小限のことは私は進めるべきだと、このように思っておるんですが、それらについて、その三点についてお聞かせをいただければと思っています。
#8
○参考人(石原慎太郎君) 最後の要するにバックアップシステムですけれども、栃木県はなかなか巧緻なことを考えて、東京との要するに共同作業で、私たちは首都の移転なんかを考えていないと、バックアップシステムだけ栃木に持ってきたらどうだ、東京も賛成してくれ。私は、駄目と言ったんです。そんな必要ないでしょう、東京は広いんだし。それはね、あなたがおっしゃったみたいに東京、千葉、神奈川、埼玉が沈没したような地震というのは、起こったらこの国終わりですよ。今までそんな例もないし、しかし、同時にやっぱり栃木県だってどこだって、北海道だって沖縄だって、このごろボーリングの技術が進んできてお金が安くなったから、千五百メートル掘ったら東京そこらじゅう温泉出ますぞ。地下水掘ろうと思ったら温泉出て困っているんだから、みんな。
 それは、世界で一番大きなファイアリング、火山帯の上に日本はあるんですよ。こんな大きな火山列島というのはないんですよ。案外御存じないけれども、ミッドウェーから西へ千キロ来まして、あの辺りから海底火山があって、カムチャツカまでつながっているんです。それ全部天皇の名前が付いている、日本の天皇の。これは日本人が見付けたらしいんだ。神武天皇から始まって、江戸の何とか天皇まで何百という海底火山がある。それぐらい日本というのは大きなファイアリングの上にありますから、私はとにかくどこがいい、悪いかというのは、何というのかな、バックアップですから、最小限のことでこらえておいたらいいと思うし、それから、銀行がやるのは当たり前ですよ、そんなものはね。ITを使っている時代に銀行の機能の分散なんて当たり前な話で、さっさとやるのは、そんなに金も掛かりませんし。
 ただ、人間が右往左往する、やっぱり、何というのかな、行政を含めて、立法も含めての国家の中枢機能というのは、ここはやっぱりあるキャパシティーがなかったらできないでしょう。
 ですから、話は前後左右しますけれども、地震の対策のときも、せっかく国があるんだから、いろいろとにかく県とも連合を図っていろいろな措置をしたらどうなんだと。
 私は、たまたま九月十一日にちょっと基地の問題で行っていたらあれが起こったので、まあ前の日ウルフォウィッツに会っただけで終わっちゃったんですけれども、向こうからいろいろ聞かれましたよ、逆に。例えばサリンのような、ああいう化学テロに遭った後、日本は何をしたかといったら、何もしなかったですな、国会は。やったのは裁判と合同慰霊祭だけだ。向こうはたまげていましたけれども。
 事ほどさように、帰ってきて、政府にもFEMA作ったらどうですかと言ったら、動かない。だから、これは要するに首都圏の責任でやります。せめて首都圏だけでもやります。ですから、それがきちっとできてきたら、私はいろんな点で人間が動かずに済むようなバックアップシステムが当然できると思いますし、それから、調べてみましたら、災害、災害と言いながら、県と国のネットワークはあっても、県同士の、例えばどこに電話掛けたらいいか、そういうラインの確保が全くない。こんな国ないですね。だから、それはワールドカップの前に、図式の上ですぐできることですから、東京も参与を使って各県と話してやっていますけれども、ということです。
 それから、最初の問題ですけれども、それじゃ立法府でいろいろ立法、新しい法律できているけれども、そのうちの何%が議員立法なんですか。全部役人が作った、国が提出したほとんど法律じゃないですか。議員だけで済むというなら結構ですよ、国会移ってもらっても。そのためにぞろぞろぞろぞろ、予算委員会の答弁も含めて、皆さん国会議員が必要としている役人を連れていったら霞が関がら空きになっちゃう。現にそれが韓国で起こっているんだから。
 私は、それは立法のためだというんだったら、それは皆さんがもうちょっと、そういうのを的確に、役人に力をかりずに議員立法されたんなら結構だけれども、とにかく立法府で論ぜられる議案、立法案のパーセンテージを見れば、ほとんどつまり役人が作ったものじゃないですか。それだったら、要するに立法府だけ移ればいいといったって、そこへ結局行政府が移っちゃうことになるんですよね。同じことが今韓国で起こっている。
 それから、東京という首都の機能を運用している人ですけれども、確かにおっしゃるとおり、二百四十万の人が昼間人口で他県からやってきてここで働いてくださっている。それは本当に人間の生活のサーキュレーションを考えたら非常に不自然なことだと思います。今度は国交省とも諮り、塩川さんなんかとも話して都市再生法を作りまして、とにかくもう今までの規制をほとんど無視した形で、要するに都心にリターンをしてくるような、そういう都市構造というのを作ろうということで始めましたので、これは少し時間が掛かるでしょうけれども、その弊害はやがて除去されると思います。
 それは都庁の役人も他県の要するに住民がたくさんおりますし、東京で働いている警察官も過半は都民じゃないという不思議な現象がありますので、これはやっぱりもうちょっと修正するような都市の改造というものを政府とも諮ってやっと今年から動き出したということでございます。
#9
○江本孟紀君 民主党の江本です。
 今日は、知事、お忙しいところありがとうございました。今日は、知事さんに来ていただいたことによって、この地味な委員会がえらい派手な委員会になりまして、誠にやっと日の目を見たと。あちらにいらっしゃるメディアの方も、過去これは十二年間この委員会をやっておりますけれども、私も十年前にこの委員会に参加をしまして、これほどにぎわっているのは初めてでございます。知事のおかげでやっと問題が皆さんの前に……
#10
○参考人(石原慎太郎君) 余り評価されない方がいいんだけれどもね。はやらない委員会の方がいいよ。
#11
○江本孟紀君 ふだんは本当に目立たない委員会でございますけれども、先ほど知事は、参考人も含めて非常に不公平だ、賛成派ばっかり呼んでいると。その意見は前にもこの委員会でもどなたかにも指摘をされたんですけれども、でも今日こうやって見ますと、知事が一人来ただけで、恐らく明日の新聞やメディアは反対論の記事ばっかり出て賛成の方はほとんど出ないんじゃないかということで考えたら、逆に何か不公平かなという……
#12
○参考人(石原慎太郎君) そんなことないよ、そんなもの。それなら堺屋太一を、何で堺屋を先に呼ばないんだ。
#13
○江本孟紀君 いや、それだけ知事の影響力がすごいなと思って今感心をしております。
 そこで私は、もう賛成反対の論点というのはかなりこの中でも議論を尽くされてきまして、知事が大体反対されるその御意見というのはもうほとんど大体分かっております。
#14
○参考人(石原慎太郎君) 分かっておれば呼ばなきゃいいじゃないか。
#15
○江本孟紀君 いや、分かっておりますけれども、ここであえて来ていただいたのは、実は各党も本当にもう意見を出せない状態でかなり混乱をしているんですね。ここら辺でもうはっきりした方がいいんじゃないかということで知事に来ていただいたということもあるんですけれども。
 実は、小泉総理のことについてちょっと知事の御意見を伺いたいんですけれども、小泉さんは何年か前の御自分が書かれた本にこういうことを書かれておるんですね。
 首都機能移転という問題については、「私は、昭和四十七年に初当選しましたが、その前の落選した昭和四十四年の選挙時から、首都機能移転論者でした。なにもかも東京へ集中しては、いつか破綻がくるに違いない」。ちょっと要約して言いますと、それから田中角栄内閣の下で日本列島改造論が脚光を集めましたが、列島改造と同時進行で首都機能移転を実施していれば東京が今のような状態ではなかったんじゃないかと信じております、見てごらんなさい、今の東京をと。当時より一層人も学校も企業の中枢も集中しました、もうこれは限界ですと。電車はぎゅうぎゅう詰め、働く人は無駄な労力、道路の渋滞ひどい、時間が無駄、燃料の無駄、それから道路を造るにも土地代が高くて工事費に負担が掛かると。まるで道路に札束を敷き詰めるといったような感じだと。壮大な無駄を生んでいると。それから、先々をきちんと見通せば首都機能移転というものが、もっと早く東京の一極集中を防ぐ手だてを打てたはずで、政治に先見性と決断がなかったとしか言いようがないと。
 これは小泉さんのこれだけは言いたいという本の中なんですけれども、それで、東京一極集中は危険であると。東京が抱えている問題、つまり日本が抱えている問題でもあります、それから東京に住んでいる人の多くはそれほど反対していないと思っています、首都機能移転は東京を快適な町にしようという側面もあるからですと。それから、移転する場合は過疎の方がいいというようなことを言っております。それから、東京だって徳川家康が三河から移ってきたときは何もないへき地だったというようなことを言われて、それからまあいろんな移転論というものをその本の中でとうとうと述べて、それでそれを一つの柱にして私は総理大臣になったんじゃないかというふうに思うんですね。
 そうしますと、今、正に小泉総理は、(発言する者あり)いや、こういうことをちゃんとうたっているんですよ。いいですよ。何ですか。(発言する者あり)いや、何を言っているんですか。(発言する者あり)いや、だから小泉総理はそう言って総理大臣になって、日本の一国の総理として日本の将来を考えた場合に、首都機能移転という問題に対して、やはりその意見を総理になった途端にほとんど発言されていないんですよ。それから、まさか知事に脅かされたわけじゃないでしょうけれども、小泉さんは急にこの問題に対して口を閉ざし始めたわけですね。こういう総理はどうかなと私は思いますけれども、本当ならもうそろそろ小泉総理が出てきて知事と対決して、首都機能移転論争というのを一遍していただきたいなと私は思うんですね。それによってある程度方向性も少しは変わってくるんじゃないかと。
 こういう総理の感覚的なものに対して石原知事はどのように思われますか、その辺をちょっとお聞きしたいんですけれども。
#16
○参考人(石原慎太郎君) いや、今、保坂さんが言われたように、それはいつごろの本なんですか。
#17
○江本孟紀君 九七年ですね。
#18
○参考人(石原慎太郎君) 千九百。
#19
○江本孟紀君 ええ。
#20
○参考人(石原慎太郎君) まあ五年ぐらいたったわけだ。
#21
○江本孟紀君 ええ。それは日はたっていますけれども、このことを、政治家が一回言ったことをいつだというのは問題じゃないじゃないですか、そんなものは。
#22
○参考人(石原慎太郎君) いや、それはそうじゃないんですかね。やっぱり政治家というのは、大局的な問題と限局的な問題というものを考えなくちゃいけないし、いろんなスパンというものを踏まえて物を考えなかったら行政というのはロスになりますから、私は小泉さんが今どういう考えを持っているかと、それこそ聞きたい。
 だから、メディアが駄目なんだよ。これは官邸に移ったときに、あなた、こんな立派な官邸ができて、そもそもこの首都移転論というのは官邸が崩れたらどうなるかというところから始まったんだから。あなた、この時点で首都移転をどう考えているか、聞いてくれよ、君らが、本当に。官邸へ行って聞いてくれよ。そこから議論が始まるんだよ、本当に。
 だから、私は、よく憲法改正必要だと思いますと言いながら、どの歴代の自民党の総理大臣も、就任すると、在任中、芸者のお披露目みたいに三つ指付いて、私の在任中は改正いたしませんと、こんなことで済ませてきたんだけれども、それじゃ要するに憲法というのは、大事な問題というのはどんどんどんどん疎外されてきたけれども、それは別にして。
 この問題は、今、官邸が移った時点で、最初の要するに総理としてあそこへ入ったんだから、この時点で議員諸君なりメディアが総理に聞いたらいいじゃないですか。それから私を呼んでもらいたいんだよ、本当に。僕は、私が呼ばれるまでに、官邸に移った後にしようと言ったんですよね、もっと前に呼ばれたんだけれども。多分そこで小泉総理にメディアなり議員が、議員というわけにいかない、メディアだろうね、それは、この委員会からは出てくるわけないんだから。予算委員会でも聞けば良かった、だれかが。ちょっとそういうところが怠慢だね、みんな。
#23
○江本孟紀君 確かにそう思います。
 要するに、総理がそろそろもう方向性をびしっと出して、そして国会のその方向性というものを出すべきだと思うんですね。そうでないとずっともう今、実際のところを言いますと、かなり混乱しておるんですよ。だから結果は出ない、もう。今、凍結論が非常に出ているというのは確かなんですね。だけれども、今まで十二年間やってこれだけ、例えば衆議院で百三十二回、参議院で七十九回委員会が開かれて、それを全く無駄にしてしまうということもどうかなというふうに私は思っておりますので、今あえて、機会があれば是非とも知事と対決をしていただいて、皆さんに周知していただきたいと思います。
#24
○参考人(石原慎太郎君) 江本さんの発言、とても大事だと思うんだよね。ここでそういう発言が、どの立場の方が出たか出なかったか分かりませんが、官邸もああやって新しくできたこの時点で、石原を呼んだら総理呼んだらどうだと言ったし、とにかくあなた、出なくてもいい委員会にも駆り出されているみたいだけれども、ここはあなたの発言を基軸に大事な問題が論じられたんだから、一回総理自身の見解を聞かせてくださいと、この委員会で呼んだらどうですか。私も傍聴に来ますよ。
#25
○江本孟紀君 是非ともやりたいと思います。
 ありがとうございました。
#26
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。今回は貴重な御意見聞かせていただきました。
 先ほどお話ありました、今もありましたけれども、新しい官邸できて、また外務省新館、六百四十七億円使っているんじゃないかというお話もございました。様々な意見のあった中で、これは私はある意味では短期的目標だと思うんですね。短期的目標であるがゆえにこの予算を掛けると。ある意味で長期的な、国家百年の大計としての国会等移転のこの委員会でございますので、そういう意味では、長期的将来、例えば二〇五〇年とか二〇四〇年とかそういうときの目標に定めて、未来世代に対する責任として、東京にこのまま一極集中、また交通渋滞、また地震の問題等々があるから、これに対する対策が必要ではないかということだと思うんです。私もむしろ、石原参考人が国会議員でおられたときに議決された問題に引き続きまして、私、九五年まで学者でございましたので、それ以後の審議の中でこの国会等移転は国会議決に基づいてやらさせていただいているわけでございます。
 そういう意味では、今まで、この委員会へ来る前、私も東京十三年おりましたのでふるさとの一つでございますし、また生まれ故郷もふるさとでございますし、東京のふるさとという人がかなり多くなっている時点だろうというふうに現時点思います。そういう中で、今まで思考の惰性があったなと。もう東京に首都が、また国会等三権が集中するのは当然のような惰性の思考の中で考えて国家百年の大計をするわけにはいかないという思いで、そういう意味では、移転される、移転する等々にかかわらない、選挙区も全国比例区でございますので、そういう意味では、そういう立場でお話しさせていただこうと思いますけれども。
 今回、災害対策等々に関して一番大きな問題があるんではないかというふうに考えておるわけです。私も、一九六八年、東京へ上京してきたときにかなり地震を、頻発するところだなと思いながら、なおかつ、政治学者でなくて、地震学者で木村政昭さんという三原山の噴火等々も予知していた人ですけれども、二〇〇一年プラスマイナス二年でやはり関東大震災級の大地震は起こりかねないというお話を私は伺っております。
 ですので、東京へ来たときには必ず非常時のパックを買い集めるというような生活で東京生活いたしましたけれども、そういう中で、東京の地震対策、方途をどういうふうに今後考えていかれるかということと、これは東京改造をするという一つの新しい考え方あると思いますけれども、この予算、BCレシオ、先ほど言われました費用対効果ですけれども、百兆円は掛かるだろう、五十年以上掛かるだろうというふうに言われておるわけですね。三権の立法、司法、行政、こういうところを移すというところで考えても、試算にもよりますけれども、二兆円で、目標年次立てれば対応できるだろうというふうに言われておるわけでございます。
 ですので、そういう災害対策、地震災害の対策、方途についての計画、都市再開発の、また東京改造の方策についての見解をお伺いしたいということと、先ほどから出ております一極集中というものが様々問題になっていくだろうというのが、二千例えば四十年とか二〇五〇年目途に考えると更に起こってくるだろうと思うわけです。
 例えば、中国、四国、九州、様々なところございますけれども、そういう中国、四国、九州から見ると、この一極集中によって、関東圏は人口増加がこの年月広がっていったと。ただ、中国、四国、九州は全部人口減少になっておるという現実が具体的に起こっております。もうどの県取り上げても、例えば福岡取り上げてもやはり人口減少というような問題がございますし、日本の歴史考えてみますと、平安、鎌倉、室町、安土桃山、江戸、それで更に東京というふうに考えてみたときに、江戸・東京時代合わせて、明治維新間に挟んでもう四百年を超えているわけですね。日本最大だったあの平安時代、京都だったときももう四百年以下のそういう年月でございましたので、そういう意味で、一極集中を抑えて、アメリカのニューヨークとワシントンというような二極中心構造を、国の安全管理としても、また日本の将来発展に関しても作っていくという考え方についてどう思われるか。この二点、お伺いしたいと思います。
#27
○参考人(石原慎太郎君) ちょっと質問が良く分からない部分があるんですがね。
 東京の災害対策については、都議会傍聴されたらいいと思いますね。もう既に何度も何度も、自衛隊まで動員してやっていまして、公明党の同志の諸君も非常に協力して画期的なことを過去に東京は二回やりましたので、データはそちらからお取りいただくと、国がやらないことを東京がやったなという御満足をいただけると思います。やっぱりこれは国が本当は主唱してやることだと思いますけれどもね。
#28
○福本潤一君 それと絡めて費用対効果もですね、差があるんではないかと。
#29
○参考人(石原慎太郎君) 何の費用対効果。
#30
○福本潤一君 二極集中したときと。
#31
○参考人(石原慎太郎君) ああ、それ、もうその次はその話。
 それで、この次、堺屋君が来て、彼の歴史のサイクル論やるんでしょうけれども、平安、平城の要するに遷都というのは、別に、何というか、集中が行って、要するに堆積しての弊害が出てやったわけじゃないですよ。それは、京都から首都が東京へ移ったのは皆さんよく御存じ、近代史の中に出てくることだし、それから平城京から平安に移ったのは、これはやっぱり坊主が偉くなり過ぎて非常に尊大になって、そういった弊害を避けるために京都に移したわけでしょう。
 それは要するに、それを歴史のスパンで当てはめて、何かあたかもそういうサイクルが、外国にはないのかもしれないけれども日本ではごく妥当で、つまり、必然というか、原理的に働いているというのはちょっとこじつけだと思いますし、私はその論を別に多としませんが、いずれにしろ、国家がこれだけ疲弊しているときに、費用対効果のろくな計算もせずにこういうプロジェクトを国民の合意も完全に得られずに行うということの乱暴さというのは、私はとても危険だと思う。
 それから、東京がすべき修正をして持っている条件をそれでもなお発揮できずに、つまり、何か非常に首都としてのそういう東京があるということが国家に弊害を与えているんなら別ですけれども、役に立たない橋を四国に三本も架けたり……
#32
○福本潤一君 役に立っている。
#33
○参考人(石原慎太郎君) 立っていないよ、あんなものは。
#34
○福本潤一君 立っています。
#35
○参考人(石原慎太郎君) あなた、本四架橋、それじゃ財投でつぎ込んで、あんなものは採算取れるんですか。あそこにぶち込んだ……
#36
○福本潤一君 まあそちらが趣旨じゃないですけれども……
#37
○参考人(石原慎太郎君) いやいや、だけどさ、そういうものはごろごろあるのに、東京の環状道路というのを整備もろくにしないで、東京の可能性を試さずにこの東京を見捨てるということは、私はやっぱり何というか無責任だと思いますね。だから、私は自分の責任で巻き返しをしているだけでありまして。
#38
○福本潤一君 アクアラインよりは立っているんじゃないか。
#39
○井上美代君 参考人、石原知事、本当に御苦労さまでございます。日本共産党の井上美代でございます。
 私は二つ質問をしたいというふうに思います。一つは、一極集中の解消にならないということと、それからもう一つ、財政問題についてお聞きしたいというふうに思っております。
 首都移転を推進しようとしている人たちというのは、東京への一極集中の解消とか、それから大規模災害などを取り上げてその必要性を述べておられますけれども、私は、もう最初に首都移転は絶対に反対であるという立場でこの委員会でやっております。
 国会等移転の審議会の試算では、数十年後に人口が五十六万の都市を造ると、こういうふうに言っているわけですね。そしてそれから、首都機能等の移転を要望している岐阜だとか愛知、岐阜・愛知ですね。あの地域では二十万人の都市を想定していると。どちらを取ってみても、一極集中の解消という点では、首都圏だけで三千万以上いるわけですね。だから五十六万とか二十万とかって言っても、それではこの一極集中の解消にはならないというふうに私は思っておりますけれども、参考人はどのようにお考えになっているかということを一つ質問したいと思います。
 もう一つは費用の問題なんです。費用の点から見て述べたいんですけれども、国会等移転の審議会の試算では、移転費用は十二兆三千億円と、こういうふうになっております。ところが、東京都の試算だと二十兆一千億円の試算です。さきのこの委員会で、国土交通省では試算を再度やっていないという、そういう答弁をいただきました。移転費用があいまいでは、移転というものについて国会も、国も簡単に決めることはできないのではないかというふうに思うわけなんです。地方自治体の関連でいうと、移転ということになりますと、国の負担もありますが、地方自治体の負担、これはやはり非常に大きいものがあるというふうに思っております。
 私は、さきのこの委員会で岐阜県の知事に対し、県の財政状況について質問をいたしました。私たちの調査を岐阜方面の地域についてやりまして、その調査では、岐阜県は今八千七百億円ですか、赤字を抱えておられるんですね。八千七百億というのは大変なものですけれども。知事は、移転との関連で、岐阜・愛知に移転する場合には年間二千から三千億円の行政投資で足りるというので、健全財政を維持する枠内で進めていくというふうに答弁をされたんです。また、栃木県の場合も、私たちの調査だと一般予算では八千五百億円の赤字が、負債がありまして、負債は九千億円を超えるということが出されているんですね。栃木県知事は、移転費との関係で聞いたところが、毎年二千億円ぐらい使って十年ぐらい掛ければ十分国会移転はできると、こういうふうに答弁をされたんです。
 しかしながら、二人の知事の答弁でも、自治体の財政赤字と、そしてまた移転費用との、自治体の負担との関係、ここのところはついにはっきりならなかったんです。明確にならなかったんです。二つの県について、財政状況と移転費用の具体的例を挙げて質問しましたけれども、自治体の財政状況からして、移転負担に耐えられるかどうかということを私はとても大変と思って、しかもこれは判断しても甘いんじゃないかなという気を持っているんです。
 都知事は都政を担当しておられて、財政方面でも本当にいろいろ苦労しておられるというふうに思っておりますけれども、私は、膨大な予算を必要として、地方自治体にも費用分担が押し付けられる国会等移転に対しどのように考えておられるのか、反対であるということはよく分かっておりますが、そういう具体的な一極集中、そしてまたこの財政問題ですね、そこでどうなのかと。
 国と自治体合わせまして六百九十三兆円という赤字財政です。それはもう国民一人一人にしますと五百四十三万円ですから大変なものです。是非そこのところをお聞きしたいというふうに思います。私は壮大な無駄遣いであるというふうに思っているわけなんですけれども、知事はどのようにお考えになるでしょうか。
#40
○参考人(石原慎太郎君) 正にやっぱり壮大な無駄遣いになると思いますしね。
 さっきの羽田の沖合再展開のケースじゃありませんけれども、昔の大蔵省、今は財務省ですか、時々訳の分からぬことを口走ったり、かなり大きなツケが私は地方の自治体に回ってくるだろうと思います。しかし、私の立場でそれを断定するわけにはいきませんけれども。
 先ほどおっしゃった東京と国土省の要するに費用の積算、かなり食い違いありますが、そういうものこそ、この委員会で専門家も呼んで、内容がどこが是か非か、費用対効果というものについて検討を要するにされたらどうなんでしょう。東京も、議員だってやっぱりいろんな能力の違いがありますし、ですから、外部監査も入れましたし、その前提になるバランスシートも一種の新しい公会計のパターンとして作らせました。随分役に立っていますけれども。国はやっぱり結局、あずかるところ、お役人の数字聞いて、こうなのかなというだけで済んできたんじゃないですか。
 それは、僕はやっぱり国会議員は、自分が信用する要するに会計士を連れてくるなり、公認会計士を連れてくるなりして、第三者に東京なり国土省が出している移転費用というものが是か非かということを、あなた方が自分の席で計算されることを、他人の能力をかりて、専門家の能力をかりてされることが、私はやっぱりこの委員会の責任だと思いますよ。
 それから、どこの県が何十万の都市を考えているか知らぬけれども、その程度の規模の中都市で、果たしてどんどんどんどん何というのか、中枢機能というのが膨らんでいって、増幅されて仕事が多くなっていくと思いますけれども、つまり大事な業務は、仮に新しい首都ができたときに、その主なる業務は当然国事でしょう。要するに、全部か部分か知りませんが、立法を核にした、行政はこちらに残すと言っているようですから、ある人は。そういったものだけでその都市が済むかといったら、それはやっぱり都市というものはいろんな性格というものを付随してきて文化としての在り方ができてくるわけですから、私は、とてもじゃないけれども、そんなことで日本の顔である首都たり得ないと思うんです。
 それは、早い話がオーストラリアのあそこの、行ってごらんなさい、メルボルンですか……
#41
○井上美代君 キャンベラ。
#42
○参考人(石原慎太郎君) キャンベラ。あんなものは本当に色気のない雑駁な都市ですよ。あれが果たして首都になるか。みんなあそこに住みたがらない。私は、そんなものを二の舞でやったってしようがないと思いますけれどもね。
 ただ、この間、東京が主催で反対の大会をしました。ほとんどの方が参加してくださって、私の隣に不破委員長がいて、不破さんが私に、石原さん、あなたと私が同じ演壇に座るのは初めてだと言うから、多分これで終わりでしょうと言ったんだけれども。共産党も賛成したというのは結構な、同調して結構なんですが、有り難いのは有り難い話ですけれども、つまりこれは、それならそれで、共産党にお話ししたけれども、東京でやろうとしている環状線の整備というのは急務ですから、これは共産党も賛成していただきたいの、本当に、東京の再生のために。
#43
○井上美代君 それはいろいろ問題もあると思いますけれども、やはり大都市のところで解決していかなければいけないんじゃないかと思います。
#44
○委員長(西川きよし君) 時間の都合もございますので、どうぞひとつ双方簡潔によろしくお願い申し上げます。
#45
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 今日はどうもありがとうございます。二点お聞きをしたいと思います。
 国会等の移転が地方分権などに資するのであれば私はいいことだとは思うのですが、大変危惧があります。というのは、例えば国会を移転しますと、ロビー活動などに来た市民の人たちが非常にアクセスが大変で、結局、国会と市民、国民との距離が広がってしまうのではないか。あるいは司法機能が移転してしまうと、裁判所と国民や市民の距離がよりもっと広がってしまうのではないか。行政が移転すると、場合によっては国民とやはり距離が遠ざかって、長い目で見るとやはり非常に不便だったり問題が起きるのではないかという危惧も持っております。
 そうしますと、先ほど、韓国で首都機能の移転、一部移転をして大変不便だったと。キャンベラの例も挙げられましたけれども、そういうことをもうちょっと話を韓国の例などを話していただければ有り難いです。
 二点目は、ちょっと済みませんが、石原都知事は国会議員でいらっしゃるときに、国会等の移転に関するときにたしか起立をされたのじゃないかと。その点は、国会議員のときは賛成をしていらして、都知事になられて反対だったのか、それとも一貫して反対なのか、そこも教えてください。
#46
○参考人(石原慎太郎君) 首都移転が地方分権につながるか云々というのはちょっとおかしな命題でして、つまり、首都は首都ですからね。地方分権一括法なんというものが体裁だけでできましたけれども、肝心の、要するに仕事だけは分けてもらっても、それをバックアップする財源あるいはその基になる税源というものの分与というのは中長期でしょう。国会の中期というのは早くても五年か十年、長期というのは半世紀掛かるわね。その間、つまり地方自治体に待てと言ったってそれは無理な話ですが、ここでその話はくどくどしませんけれども。
 首都移転で、首都が非常にアクセスの上で隔絶されて不便なことになるといろんな障害が起こってくると思いますね。それは市民にとっても、インターネットがあるから情報をディスクロージャーすればいいじゃないかということがあるかもしらぬけれども、やっぱり、まああれがいいか悪いか知らないけれども、旗を仕立てて国会を取り囲むのも一つの方法でしょう。そこでやっぱり、何というのかな、反対は反対で意思表示することで、つまりその政治意識というのが醸成されてくることもありますし、それがぽつんと離れたところへ首都が行っちゃうということは、そういう市民運動というものも阻害すると思うし、私は決していいことじゃないと思います。
 それから、首都移転の決議は三回やりましたんです、たしかね、後で調べてみると。それで、私は賛成したじゃないかと言うけれども、私は多分最初から反対だと思うんですが、写真を見せてもらったんですけれども、やっぱり反対して座っている諸君が、ちょうど私の角度は見にくいので、立って見たのかなと思うんですが、私はそのときに明らかに自分の記憶では座っていたと思います。それから十二年前のことで定かではありませんしですね。
 それから、どういう手順でどの決議が行われたのか。最初は、とにかく首都機能というか、バックアップをする云々の決議があったのかな。それに対して、私は自分がどうしたというか、ちょっと定かに覚えていませんが、ただ、大事な決議のときに私は座ったと思うし、すぐ斜め後ろに金丸さんがいて、君は反対かと言われて、私は反対ですと答えた記憶がありますが、いずれにしろ、とにかく私は反対であります。
 小泉さんも、過去に本がどういうふうに書かれたか、それほど私は自分の記憶を鮮明に持っていませんけれども、いずれにしろ、この社会状況、経済状況の中で、総理もまた、日本の経済の再生を考えるなら、この期に及んで新しい官邸にも入られたんだし、改めて首都の問題について、先ほどどなたか発言がありましたが、発言をしていただきたいなと思っております。
#47
○沓掛哲男君 私は、この委員会の発端になる首都機能移転の最初のところは議運で作ったので、そのときから議運でやっていたんです。ちょうど同じ派で知事の下にいたんですけれども、そのときからずっとやって、昨年はここの委員長をやっていたんですが、私は、この十何年間ずっと見て、やっぱり私自身の地域は石川県ですから、全く中立です。ですから、東京でそれをちゃんと、一極集中の弊害がなくてきちっとやっていけるんなら、私はそっちへの賛成者です。
 ただ、私は建設省にもいた関係上、やっぱりこの一極集中という問題にはずっと取り組んでまいりました。昭和三十七年に第一回の全国総合開発計画が発表になったときも、そのときは、いわゆる集積の利益というのは東京にたくさんある、首都圏にある、でも、もう現在はこの集積の利益を超えて過密の弊害が現れつつあるんだというのが第一回の全国総合開発計画でございまして、それをなくするにはどうしたらいいかということを一生懸命に役所でやってきた人間です。
 そして、その中身というのは、今おっしゃられた交通渋滞の問題、それから住宅不備の問題、それから災害への脆弱な構造の問題。
 ただ、この問題が、じゃ、一生懸命にずっとやってきたんだけれども、改善されてきたかというと、残念ながら改善できていないというのが現状です。に比べて、このわずか三・五%の首都圏の面積に現在日本の人口の二六%。これも景気の状態によって増えたり減ったりしているんですが、趨勢的にはやっぱり増えてきているというのが状況です。
 住宅不備と交通でいえば、首都圏、この都心三区に集まってくる人たちのうちの二五%というのは通勤圏が一時間半を超えています。それも増えてきているんです。昭和五十年ですと一七%だったんですが、現在ではいわゆる一時間半よりも掛かっている人が二五%で、やっぱり増えてきているという、そういう状態にあります。
 それから、やっぱり脆弱な状態というのに対しては、関東大震災のような震災が起きたらどうかということについては、この委員会等で調べたのでは、約二十万人の人が傷害を受け、十万人の人が死ぬ。東京都の方でも、これ十七万人の人の傷害が出ると言っています。
 私は、災害とかそういうことにもずっとかかわってきたんですが、そういうことも勉強したくて、アメリカの方でいろいろ災害をやっているそういう安全関係の人を呼んで、いろいろ話を聞いて、日本として首都は大事だから災害が起きないようにしたい、どうしたらいいという話。また特に、東京湾岸にいろいろ沈埋トンネル等を造った場合、ここに高圧ガスを入れてほしいという強い要請もあったんですが、それで、沈埋トンネルの中で高圧ガスが発裂したらみんな死ぬわけですから、絶対安全にするにはどうしたらいいですかと言ったら、こういうふうに言われました。それはナンセンスな質問です、必ず災害は起きるんです、災害が起きたときにそれがミニマムになるようにどうしてするか、計画からそして施工からどうするかというのが我々の職務なんで、あなたの言うように絶対起きたら困るんだからどうしたらいいという質問はナンセンスだと言われました。
 そういう点のこの三つ、いわゆる脆弱性、そしてやっぱり住宅不備の問題、そして交通渋滞。私も役人時代は一時間半掛かって船橋から通っていました。一時間半朝掛かり、帰り一時間半というのはすごい労働です。
 そういうことを考えてみると、やっぱり知事になられてから随分改善されつつありますが、まだその結果はまだなかなか短いですから出ていません。
 それから、おっしゃられたように、昭和四十五年、美濃部さん、四十年代が美濃部さんの全盛期でしたから、このときに本当に全部止まってしまったのが今おっしゃられたように致命的ではあるんです。でも、それがじゃ今や回復できるかというと、なかなか私は、非常に難しいということを強く思います。
 そういう中で、やっぱり地方はどんどん東京に吸い取られてきている。そして東京の環境も、知事は一生懸命、排気ガスその他で一生懸命やっておられますけれども、集まってこうして来たらどうしてもそれには限界がある。どんなことをしても限界があるんですから、そういう限界を踏まえてみたときに、やっぱり一部のそういう首都機能を地方にも移して、東京はまたそういう国際都市として、また経済的に、そういう面で大いに伸びていく、そういうようなことも必要ではないかなというふうに特に思っております。
 このいわゆる一極集中の弊害、そしてそれに伴う環境問題から、やっぱり東京には限界が来たんではないかな、一生懸命やってきたけれども、やっぱり限界があるというふうに思います。石原知事には、今、東京都知事としてのお立場ですが、やっぱり国家的な観点からもいろいろお考えいただければ大変有り難いと思いますので、まず、そういう面について御意見をいただければ有り難いと思います。
#48
○参考人(石原慎太郎君) 沓掛さんは建設の方の専門家でいらっしゃるので、おっしゃることを非常に私も的確に理解できる節がございます。
 ただ、一つサンプルとして考えていただきたいのは、土屋知事が副都心として浦和に作られたあのプロジェクト、あれは私は非常に大事だと思いますよ。関東に分散していた国家の機能というのをあの大きなビルに全部集約された。非常にそれは便利になったと思います。ああいうことを私は要するに七都県市で考えたらいいんで、とんでもなく遠くに行くよりも、つまり国際的なアクセス、羽田なり成田というものを利用し得るところで私はこの首都の機能というのを分散するならもう大賛成です。私、こういうことを申し上げるのは初めてですけれども、それだったら、要するに東京の近郊、つまり神奈川県なり埼玉県なり千葉県にこういったものを分散する。
 しかし、それにしてもなお、やはりこの首都圏というものの機能をアクティブにしていくためには、やっぱり何だろうとかんだろうと、三千三百万の要するに人口のあるこの首都圏の道路の事情というものを、環状道路というものを整備することでもうびっくりするぐらい良くなると思いますし、現にこの間も湾岸地域で一つトンネルが開きました。それから、本当に一部ですけれども、中央道につながるべく、まだつながらないんですが、環状道路の一部が開通しました。これだけで都心の車の流れというのが随分変わるんですね。これはもうとても有り難いイニシアルだと思って、私、評価しているんですけれども。
 だから、そういうものを踏まえれば、あの在来あった二つの環状外環道路というものが完成すれば、私は、東京が助かるだけじゃなしに首都圏そのものが助かりますし、そういう条件の上で、この二十三区に集中している機能というものを私は要するに神奈川県なり埼玉県なり隣接した県に移転するのは、これはもう通勤者にとっても効果のあることですし、一つの案だと思って、かねがね思いました。今日、今そういう御質問を受けましたので初めて申しますけれども、何もかも東京へ抱えるつもりはございません。
 ただ、やっぱり、これを外国からやってくる人間の立場を考えたって、とんでもないところへ移し、しかもそのための航空、国際のアクセスがないところへ移すということは、これは国家にとってのシェームだと私は思いますので、空港のことをいつも盾に取っているんですけれども。この首都圏の中に首都の機能というものを分散するというのは、私はもう十分あり得ることだと思っております。国会なんかはどこかへ移ってもらったら大変歓迎いたしますよ。
#49
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。
 今日はありがとうございます。今日は、石原知事が日ごろおっしゃっておられる首都機能移転反対のお言葉をよく聞かせていただきました。石原知事が東京都知事でいらっしゃる限り、これは絶対に反対をされるということをよく存じております。
 そして、私は平成七年に参議院議員にさせていただいて、国会、立法の機関として、国会議員の一員として、これは平成二年に衆議院も参議院も決議を出したことに対して、私たちはこれを粛々ともう審議をしながら、いかにしたら日本の国が、国民が同じ利益を持って、そして国民が同等のいろんなものに、文化に接しながら生きていけるかということを私たちは考えていくのが国会議員の役目だというふうに思っています。
 だから、もう今日は知事のお言葉は十分にお聞きをして、これからこの委員会はそういうことをきちんとやっていかなければいけないんだということをつくづくよく考えました。そして、十二兆、二十兆という話がよく出ます。そしたら、都市の再生に掛かる百兆円というのも一緒にやっぱり審議をしていかなければいけないというふうに思っています。
 今、例えば知事が本当にくしくも、いろんなところに移って国会がなくなればいいんだなんというふうにおっしゃいましたが、私は福島県の出身なんですが、だから福島に来てほしいとかと、そういうことではなくて、福島は新幹線で一時間ちょっとで来ます。そういうことであれば、本当に東京都に全部置くことがそんなに大事なことなんだろうかというふうにいつも思っています。
 そして、東京都は、災害から命を守る、これは災害が起きてから命を守るということを論議をされておられますが、今、議員がおっしゃいましたが、やっぱり大きな地震が起きたら困らないような、都民に安心で安全な社会を作ることも知事のお役目だというふうに思っています。例えば、同時に災害が起きたら、東京都は阪神大震災のときに言われたのは六十万人ぐらいの死亡者が出るんじゃないかという試算がされましたが、例えば今三候補地に挙がっているところに震災が来たらそんなことにはならないというふうにも思っています。
 そして、今、東京には首都圏大深度地下使用協議会というのがあるんですね。これは早いもの勝ちにいろんな地下を利用してはいけない、みんなで地下を上手に使い合おうということの協議会なんですけれども、こんなことまでして地下を使っていかなければいけない東京都というのは何なんだろうかと。やっぱり、都民が安心して安全な暮らしをできる地域ではないんじゃないかと。そしたら、東京の皆さんの補完を地方がいたしますよ、そういう思いで今地方は声を上げているというふうに思っていますが、どうぞ、そういう意味では、そんなにもう道路の上に三階建ての道路を造るよりは、地下鉄の下にまた地下鉄を造るよりは、もっと広いもっと豊かな地方があるということをお忘れなくいただきたいというふうに思っています。
 それで、知事の反対の御議論を十分にお聞きをしました。そして、私たちはそれを踏まえてこの委員会で粛々とやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#50
○参考人(石原慎太郎君) 誠に結構な御意見、よろしくお願いいたします。
 私も地方をちっともないがしろにするつもりはございませんし、地方に行けば東京にない非常に豊穣な生活条件がありますし、そういった東京にない自然の条件、環境を備えた地方と東京をどういう形で結ぶか。昔はソビエトのモスクワの市民というのは、ダーチャという、まあまあ粗末なものでしたけれども、それぞれちょっと出掛けていく別荘というのをみんな持っていましたね。そういうものを、私は、地方に構えることで東京の居住者というものが地方でリフレッシュする。そういうネットワークというのは十分これからもできると思いますし、国なんかやっぱりそういうことに手をかすべきだと思います。
#51
○河本英典君 自民党の河本でございます。
 私は滋賀県選出なんで、地元のことということと全然関係なしに、この首都圏機能移転ということについて前から興味持っておったわけでありますけれども。
 一つ知事にお聞きしたいのは、政経不可分ということをおっしゃいましたけれども、それがコンピューターエージの、時代の集積体系に逆らうような試みということもおっしゃいましたけれども、逆に私は、規制緩和とか、規制の中での経済活動が非常に今苦しくなっているという状況の中、分かれた方がいいという話があるんですけれども、政経は離れた方がいいと思うんですけれども、結果として今は東京にひっ付いておるわけでありますけれども、そんな意味で考えたらまた違う考え方できるんで、その一点ちょっとお聞きしたいと思いまして、政経不可分ということをおっしゃったんですけれども、それはやっぱり大事なことなんですか。
 今までの工業社会といいますか、キャッチアップといいますか、欧米型に今までここまで引っ張ってくるには大変重要なスタイルであったかもしれませんけれども、これからの新しい時代というのはどういうものになるかは具体的なイメージというのはちょっと薄いかもしれませんけれども、しかし政経というのは分かれた方がいいんじゃないかなというのが私の考え方で、そういうふうな意味で首都圏機能というのを考えたらいいというふうに今までちょっと考えてきたわけでありますが、東京に今は集中しているということで不可分でいいんだということをおっしゃいましたけれども、その辺についてのお考えを少し聞かせていただきたいと思います。
#52
○参考人(石原慎太郎君) おっしゃるところ、分からない節がないでもないんだ、部分的には。
 それは、さっきもちょっと言ったかもしれませんが、日本というのはいまだに太政官の本質が抜けていなくて、よらしむべし、知らしむべからずみたいな形、中央集権の一種の社会、官僚統制国家としてやってきたわけですね。その間、要するに日本の経済というものを官僚が保護して育てたという自負は官僚にあるかもしれないけれども、戦前はそういうものあったかもしれぬが、戦後は私は違うと思いますね。それで、やっぱりそれにようやく気が付き出してPFIのような法律までが、PFIに関する法律までできるような、つまり民間の知恵の方がはるかに複合的、重層的で、ダイナミックで、国会議員が信用している官僚よりも進んでいるわけですよ。
 早い話が、私も自分の本にも書きましたが、日本が金融戦略、アメリカにもうこけにされて完全に金融の奴隷にされてしまったプロセスで、一番利口者が集まっていると彼ら自身は自負しているかもしらぬ大蔵省の中で、アメリカがその金融戦略に駆使しているデリバティブ、金融派生商品について知っているやつがいたかというと、いやしなかった。勉強しているのはノンキャリの人間だけで、その人間たちに意見も聞きもしなかった。結局手玉に取ってやられたわけでしょう、日本は、今日。それ一つ見ても、もう要するに官僚の発想というのは後れているし、現代に通用しませんよ。だからPFIなんてことを言われ出したんです。
 その限りで、私は、何というのかな、むしろ経済界は気ままにやってきたし、松下幸之助とか、本田宗一郎とか、盛田昭夫とか、井深大とか、あるいは今も現役でやっている京セラの稲盛君とかそんな連中が、国家の指導、役人の指導であの企業を育てたかといったら、全部彼らの創意ですよね。それに国が引きずられてきただけで、日本の経済も引きずられてきた。
 私はその限りで言うと、何というのかな、丸の内と霞が関の物理学的な親近感というのは、今までは役に立ったと思いますし、これからも無益じゃないけれども、別にそれを固執する必要はないと思います。ただ、やっぱりいろんな形で民間の企業の発想というものを逆に国がこれから吸収しなくちゃいけない時代だと思うし、それから、民間がやっている非常に先進的な前衛的な仕事そのものを官僚が理解していない、それから国会議員も、要するにとらえ切れていないから外交交渉が拙劣になるし、持っているカードを使い切れずに外国に引きずり回されているわけでしょう。だから、私は、そういう意味では、どう言いますかね、今までと違った意味で、これからは政経不可分というのはもう要するに一つの原理として続くと思いますし、それをせっかく間近にあるんだから殊更切り離す必要はないと私は思っております。
#53
○草川昭三君 簡単に質問をします。公明の草川です。
 ありがとうございました。知事の方で、「ここがポイント!首都機能移転問題」というのを賛否でやった議事録を見まして、非常におもしろい、興味がありまして、最後に横尾という司会者が、東京都にとってなぜ首都が大切かということのきちんとした理論付けが必要だと思うという、これ非常にポイントをついた問題点だと思うんで、その点についてのお答えを願いたい。横尾って、たしかNHKの方だったと思いますけれども、それが……
#54
○参考人(石原慎太郎君) ちょっと記憶にないんですけれども、私がそこへ出席しておりました。
#55
○草川昭三君 知事は出席されていないと思うんです、討論会ですから。賛成、反対、二人ずつ、東京都が一月の十八日にやられたと思うんです。そのまとめでそのことを言っておるんで、その点について、知事が御出席でなくても結構ですが、もし御感想があればお聞かせ願いたい。
 反対論が即必要なのかどうかということでもいいんですけれども、それから……
#56
○参考人(石原慎太郎君) もうちょっと前からそのコンテクストを承知したいんですけれども、最後は何ですって。
#57
○草川昭三君 まとめの、東京都にとってなぜ首都が大切かということのきちんとした理論付けも必要だ思いますというのがコーディネーターの横島さんという方のまとめの発言なんです。
#58
○参考人(石原慎太郎君) 東京が……
#59
○草川昭三君 東京都が。
#60
○参考人(石原慎太郎君) 東京、つまり言い換えると、東京都がなぜ首都で……
#61
○草川昭三君 にとって。
#62
○参考人(石原慎太郎君) とって、東京都がなぜ首都でなくてはいけないかということですか。
#63
○草川昭三君 そうそう、そうそう、その理論付けが……
#64
○委員長(西川きよし君) 挙手でお願いいたします。
#65
○草川昭三君 どうも済みません。
 それからもう一つ、先ほど知事が、超鉄鋼鋼板の話が出ましたが、多分電磁鋼板のことを指しておみえになるんじゃないかと思うんですけれども……
#66
○参考人(石原慎太郎君) 大阪の会社、作っていますね、新日鉄。
#67
○草川昭三君 それで、新日鉄が今度はティッセンなんかと技術提携した、非常に高速の電導体という、それについて東京都が技術都市として、例えば今、私ども、不勉強なんですが、例えば豊洲地区なんかがそういう一つのゾーンになるのではないだろうか、そういうことを知事の方も考えておみえになってこの技術集中の話が出たのかなと、こう思っておるんですが、もしその点についてのお考えがあれば、簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。
#68
○参考人(石原慎太郎君) 日本の先進的な技術というのは、別に東京とか大阪とか大都市で開発されなくても技術は技術でありますから、むしろ閑静な、周りからディスターブされないような状況の中で専門家が研さんされた方が事は進むんじゃないかと思う。ただ、やっぱりそれを生産に移していくプロセスはその技術を開発した会社の問題であり、その会社は、あれですな、どこかにヘッドクオーターを置いているでしょうけれども、それを更に生産に移していくために、国との絡みがあったり、地方自治体との絡みがあったり、いろんな許認可の問題もあったりするでしょう。ただ、やっぱり今日では、非常に大事な製品を生産して、何もその大都市圏ではなくて地方でやっていますよね。ただ、ヘッドクオーターはやっぱり大都市にあるというのが一つのパターンだと思います。
 それから、なぜ東京が首都でなくちゃならないかというのは、というよりも、その司会者の言い分もちょっと私はおかしいと思うんだけれども、東京は首都であるわけですよ。あったわけです。あってきたわけです。それを今どこへ移す、東京を首都でなくさしめるというプロジェクトに私は反対しているんで、東京がなぜ首都であってはいけないのかということを逆に私は言ってきたわけですから。
 今あるものはもう要するに限界効用に達しているなら、ぼろぼろになった議員が引退すると同じように私はやっぱり東京は首都として引退したらというふうに思うけれども、まだまだいろんなポテンシャルを持ちながら、それに手を付けずに、それで思い付きに近い形で、もっと多角的な検討が必要と思いますけれども、今のようなプロジェクトがもうさながら何かこう信憑性があるがごとく喧伝されながら進んでいく、しかもその負担は結局国民が持つということになると、だって国鉄だってそうじゃないですか。みんな忘れちゃって、民営化されてすばらしくなりましたけれども、あの清算事業団の仕事は終わっていないんで、あれある年月が来たらまた要するに国民の税金になって戻ってくるんですよ。
 そういうことを忘れて、首都を移した後で、私は、結局、ほえ面かくのは国民ということになったら申し訳ないと思うから国民の立場で私なりの所信で反対をしているわけですけれども、なぜ東京が首都でなくちゃいけないかという司会者の問いというのはちょっとおかしいんで、なぜ東京が首都であり続けちゃいけないのかということを私は逆に聞きたいですな。
 失礼しました。
#69
○谷博之君 民主党の谷博之でございます。
 時間がありませんのでいろいろ前段の話は省略しまして、具体的に災害時のバックアップの体制の問題について、既に議論が出ていますけれども、お伺いしたいと思っております。
 石原参考人も、石原知事も、いわゆる災害時の耐震に配慮したバックアップの体制ということについては、施設を造ることについてはその必要性を認めておられる。それは、今の御説明によると、東京圏なり首都圏ということで、その具体的な内容は七都県市の、新聞報道にも出ていますけれども、国会は幕張メッセなど六施設、輸送については横浜港、備蓄については埼玉スタジアム、こういうような内容まで報道されております。この発表されている内容を見ておりますと、災害の規模にもよりますけれども、多数の被災者とか避難者が出た場合、その一部を収容する施設としてこういうふうな施設があるということについては、我々は利用可能が十分あるというふうに見ておりますが、しかしながら、国家の司令塔としての国会が、例えばそういうところで開催する場所としてはいかがなものかというふうな率直な感じもいたしております。
 それからもう一点は、いわゆる大規模な災害になればなるほど、せいぜいこの東京、埼玉、神奈川、千葉というのは五十キロから百キロ圏の範囲に入る地域だろうと思うんですが、そういうふうな地域が正に震災の対象の区域に入ったときに、そこで対応できるバックアップ施設に果たしてなるのかということについて、私はもう少し離れたところにそういうバックアップ施設というのは造るべきではないかというふうなことも考えておりますが、時間がありません、その点だけお答えいただきたいと思います。
#70
○参考人(石原慎太郎君) 日本で関東大震災を上回る地震というのが想定されることは、あり得るようなあり得ないような、これはもう素人ですから、お互いに、分からないことですけれども、私たち過去に体験した、歴史に記述されている規模の地震というものを考えれば、私は、我々が七都県市でほぼ合意しているような形、その範囲の中での移転というか移譲で済むことで、その全域が壊滅するような地震というのはこれはまあちょっと想定されないと思いますね。
 これも、この信憑性については私は素人ですから言えませんが、しかし、先ほど申したように、日本は世界最大のファイアリングの上にあるわけで、そういう条件というのはどういう大災害をもたらすかということは専門家といえども想定できない状況の中で、私たちは非常に悪い条件を想定して対処しなくちゃいけないんでしょうけれども、例えば、この間、鳥取ですか、島根県でかなりの規模の地震があった。これは神戸の地震並みの地震だった、あるいは僕ちょっと詳しく分かりませんが、関東大震災並みの規模の地震だったようですけれども、やっぱり密集していない地域ではもう本当に死者もほとんど出ずに被害があれだけで済んだというのは、やっぱり都市の恐ろしさというのを逆に知らされた思いがしました。
 ですから、私たちいろんな対策を講じなくちゃいけないんでしょうけれども、東京は東京で非常に悪い条件備えて、木造密集地域なんかあちこちにありまして、こういったものはどうするかというと、これまた個人の私権の問題とか住宅に対する趣味の問題になって非常に難しいんですけれども。
 話が少しそれたようでありますが、私は、やっぱり国会なり官邸の機能が、ここが壊滅したときにどこかの体育館借りてできるかと、やってくださいよ、そんなもの、ぜいたくな建物造らずに。それで修復するときにまた元に戻したっていいじゃないですか、ここを。それは、いつ来るか分からない地震のために、それじゃ、要するに第二の国会なり官邸を造っておいて、そこが地震に襲われたらどうするんですか。私は、そこまでヘッジするのはちょっと国民にとって酷な話だと思いますよ。体育館で折り畳みいす並べて国会やったっていいじゃないですか。私は国会ってそんなものだと思うね。
#71
○保坂三蔵君 今日は石原知事、ようこそおいでいただきました。
 今日は知事の出席仰いでとても良かったと思うんです。それはなぜかと申しますと、東京都知事、石原知事という冠もございますけれども、今、日本の国家の指導者の一人として非常に着目をされて、そして小泉さんの後の総理大臣の名前まで国民の間から出ているようなお立場の方から、国家観の、一体として今日お話を聞くことができたということで非常に参考になった思いです。
 先ほど私の党の河本議員がお話がありました政経不可分の話。それから、今もお話がありました、東京都にとってなぜ首都が大事なのかと、こういうお話でしたが、私は全く河本先生がおっしゃったことの延長上の意見でございまして、首都の問題は東京都にとってどう大事かではなくて、東京が首都であることが日本の国にとってどう大事であるかという観点から私たちは論じてきたつもりなんですね。ですから、都市対都市の問題ではなくて、国対国の問題で東京都が引き続き首都であらねばならない、この辺りの主張をもう少し知事のお口から、なぜ東京がここまで頑張って、ハブ都市として、あるいは世界の国対国、都市対都市の競争の中で、唯一日本を代表するたった一つのグローバルプレーヤーとしての東京が力が減退したときに日本にどういう影響を与えるか、そういう観点から首都問題をとらえようと思っていたものでございますから、この辺りを是非伺いたい。
 そして、さっきもお話がありました平成二年の議決に盛んにとらわれておりますけれども、私は、あのときの議論はやっぱりずっとこの十年間国会主導で来たんですよ、議論が、国会主導で。いみじくも自由党の平野貞夫議員、この方は国政の内外を、表、裏と言った方がいいんでしょうか、よく御存じの方ですが、あの方がこの平場の委員会で、この国会の決議は、こう言っているんですね、昭和三十年代から続いた全総の意見をずっと反映してきたけれども、結局最後は特定の政治勢力が押し切ってこの議決をしたと、こういうふうに断言してはばかってないんですね。ですから、私は、そういうことからいうと初めに移転ありきでありまして、そういう点では少しく国家の議論というのが欠けているような気がしてならないんです。そこをちょっとお話しを。
 それからもう一点は、実は時間の経過なんです。たかだか十二年とおっしゃいますけれども、十二年前の平成二年の議決、平成四年の法律を作ったとき、ここにかかわった現職の国会議員は、衆議院ではわずか三割、参議院においてはわずか一割しかいないんですよ。このぐらいに激しく時代が変わって、しかも経済情勢は更に今厳しい状況下にあり、六百九十六億の長期負債の話もありました。
 そしてもう一つは、現実的にはそういう背景の中で、私たちは首都東京を守る意味で、東京がうんと頑張ってきた実態を目の当たりにしてきたわけですよ、そういう力とやっぱり結節してこの難しい時代をどう乗り切っていくかということで、今東京が首都であらねばならない点をお答えいただく。
 それから、時間の経過は、法律の二十二条にこう書いてあるんですね、二十二条には、政治、経済の変化というものを見なさいと。それからもう一つは、国民の合意形成を見なさい、ここに合理的な判断ができたらば首都を移転をすることを決めなさいと、こう書いてある。一体この合理的な結論ができているかというのが……
#72
○委員長(西川きよし君) 簡潔にお願いします。
#73
○保坂三蔵君 それから最後に、審議会の審査結果、これだけ聞いてください、時間ないところ申し訳ないですけれども。審議結果は、第一位が栃木・福島の六三・六なんです、十八項目を数量化しまして。第二位が岐阜・愛知の六〇・六なんです。第三位が三重・畿央の五五・一なんです。ここで決着が付いているんですよ、栃木・福島で。なぜ一つに選んでこないで国会にゆだねてきたのか。一体どうやって合意形成するのか。
 だから、知事がおっしゃったように国民投票、いい意見だと思いますので、この国民の合意形成はどうやって決めるのか、この辺りももう一度ちょっと教えていただきたい。
#74
○委員長(西川きよし君) どうぞ簡潔によろしくお願いいたします。
#75
○参考人(石原慎太郎君) とても大事な質問で、それは私の方が逆にお聞きしたいんですよ。この間は、質問をしちゃいかぬというけれども、それ答えてくれぬなら私は今日、参考人で証言しませんよと言った。そうしたら、衆議院の方の自民党の理事が、いやこうだったと言ったんですけれども。巷間というか、私に伝わっている院内の確かなうわさでは、要するに、一つに絞らずに、東京とその三つの候補地を比べてやろうと。こんなばかな話はないんでね。これはもう、分かるでしょう、いかに不合理かということが。ですから、そうしたら、まあそんなことはないという答えだったので私は自分の陳述したんですけれども。それは本当に保坂さんおっしゃるように、きちっとクリアな形で、周りが納得する形で、つまり絞り込みなり比較考量というのをしていただきたい。
 それから、掛かる費用の問題だって、専門家がいるんですから、役人じゃなしに、外側の監査人呼んできて会計監査さしたらいいじゃないですか。
 それから、最後のことですが、例えば一つの例として羽田のような、まあかつてはあれ国際空港で、羽田のような、ダウンタウンに近いあんな便利な空港というのはないんですよ、世界じゅうに。それを国際線で使い切れないところにいろんな問題があるので、まあキャパシティーの問題あるから東京で提言して再展開するようになった。
 それから、国は何だかんだ言いますが一向にやらないので、この間も七都県市と、首長さんたちと合議してやろうということになったんですけれども。そうしたら、同じことを平松さんが言っている、九州もやると言っておられましたが。やっぱり広域行政しなかったらもう駄目な時代ですよ。だから、少なくとも首都圏では、新しい税も含めて、参加し得る条件のところとないところと、都県市あるかもしれませんけれども、とにかく三つほどのことをこれからやります。
 それで、そういう要するに進行状況の中で国が考えていただきたいのは、やっぱりブッシュという政権ができて、これはクリントンと違うことは、彼らは、アジアというものをいろいろ考えながら、中国が今のような軍事拡張をする姿勢を保ちながらアジアのハブになることは今の政権は好まない。これは確かです。そういう政権が恐らくもう一期続くでしょう。その八年間の中でアメリカのそういうスタンスを日本がいかに活用するかということを考えていただきたい。それは、日本がもう一回しっかりしたアジアのハブになることですよ。
 そのための整備は何が要るかといったら、私は、例えば今東京は首都でありますけれども、この首都として、東京というものをハブのハブとして首都圏を構築し直すこと。例えば、東京湾というのは非常に有益な閉鎖水域でありまして、これを、東京のウオーターフロントなんかはわずかしかない。あとは千葉県と神奈川県の海ですよ。もうここからこっちが線引きでどこの海だなんて言わずに、国が乗り出して、あそこにポートオーソリティーを作ってシンガポールやっているみたいなことを東京でやったら、世界の荷物かっさらうことはできるんだ、地政学的にも。そういうことを何でやらないのか、僕は本当に分からないな。もう頼むよ、本当に、国会、日本のために。私は東京から日本を変えると言ったけれども、国政から、国会から国、日本を変えてくださいよ。最後お願いします。
 それから、さっきの三つの質問ですね。やがて、いずれの形で、メディアも媒体としてあるわけですから、参議院は参議院の委員会としてのひとつ所見というものを是非お聞かせ願いたい。委員長、よろしくお願いいたします。
#76
○委員長(西川きよし君) ありがとうございました。
 まだまだ御質問も尽きないようでございますが、時間が参りましたので、石原参考人に対する質疑はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。
 この際、参考人に一言御礼を申し上げます。
 石原参考人におかれましては、本当に大変お忙しいところ、当委員会にお越しいただきまして、懇切丁寧にお答えをいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 暫時休憩いたします。
   午後三時八分休憩
     ─────・─────
   午後三時十四分開会
#77
○委員長(西川きよし君) ただいまから国会等の移転に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国会等の移転に関する調査を議題といたしまして、国会等の移転に関する件について参考人から御意見を賜ることといたします。
 ただいまから、作家・エコノミスト堺屋太一君の御出席を願っております。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 堺屋参考人におかれましては、お忙しいところ当委員会に御出席賜りまして、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。
 本日は、忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人から三十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、九十分程度委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず堺屋参考人にお願いいたします。堺屋参考人。
#78
○参考人(堺屋太一君) よろしくお願いいたします。
 私は、まずこの首都機能移転という大変歴史的な大問題をどのように考えるべきか、我が国、そして人類の文明史の中でいかに位置付けるべきかについてお話ししたいと思っています。細やかな数字につきましては、既に事務当局その他、いろいろと提出されているものと思いますのでそれはなるべく省略いたしまして、文明論の大筋を申し上げたいと思っています。
 まず、首都機能移転とは何なのかという本質論でございますが、首都機能の移転といいますのは、まず第一に、この時代の精神を転換しようということであります。首都機能の移転は世の中の座標軸を変えまして、つまり時代の精神、パラダイムチェンジを行うという大事業でございます。そういう意味では、これは文化的、社会的大事件でございまして、一つの公共事業と考えられてはならないということでございます。
 しばしば、首都機能移転といいますと公共事業の一種として議論され、そういう経済効果を言う人がおりますけれども、それはほとんど小さな部分でございまして、圧倒的に、これは世の中をどうするか、時代の精神をどうするかという問題である。まず、このことが極めて重要だろうと思います。
 日本の歴史を見ますと、すべての時代が首都機能の所在地の名前で呼ばれております。飛鳥時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、安土時代、桃山時代、江戸時代、そして今、東京時代でございます。この事実は、首都機能が移転すれば必ず時代が変わった。そして、移転しなければ絶対に時代が変わらなかったということを示しております。
 例えば、平安時代は三百九十八年も続きますけれども、この間に世の中、文化あるいは政治勢力などはどんどん変わりますが、やはり平安時代というのは一色でございまして、一つの王朝文化の時代という概念がどうしても変えられません。平清盛の力をもってしても変えられなかったのであります。また、室町時代などは、後半になりますと戦国になりまして、かなり動乱になり、状況も変わってまいります。政治勢力も変わってまいりまして、四国の方から三好長慶が来たり、いろいろ変わりますが、やっぱり室町時代は室町時代です。
 ところが、平安京から鎌倉に替わる、あるいは室町から安土に替わる、一挙に世の中が変わります。例えば、平安時代が鎌倉時代になると、首都機能が鎌倉に移動しますと、ただそれだけのことで、たちまち家の建て方から宗教の勢力まで変わってしまいました。あの三百九十八年間変わらなかった平安時代が一遍に変わってしまう。そういうような文化的、社会的効果というのは極めて大きなものがあります。
 例えば、江戸時代でございますが、江戸時代も二百五十年続きまして、数々の改革、享保の改革とか寛政の改革とか行われますが、全部、後ろ向けの改革になってしまいます。ところが、幕末になりまして、天保以来の文化の停滞あるいは経済のスタグフレーション現象、あらゆる困ったことが起こってまいりました。そこへ黒船がやってまいります。けれども、黒船がやってきても世の中全く変わっておりません。黒船がやってきたのは一八五三年ですが、それから十年間、文久三年までは全く変わっていない。いろいろやりますけれども、何ら変われない。
 ところが、文久三年に将軍以下、京都へ移住いたします。そして、諸大名も京都へ移りますと、一遍にこの五年間で世の中が変わって、首都機能が京都にあった五年間に世の中が変わって、新しい時代ができて、そして明治になって、首都でなくなっていた江戸に東京と改名してやってくる。
 そういうような状況がございまして、これまで日本の歴史の中で首都機能の移転がなければ本当に時代が変わった例がないということを申し上げたいと思います。
 次に、最近の情勢でございますが、これは、ますます首都機能の移転を必要としていることが極めて明確です。この十年間、私どもこの議論をさしていただくようになりましてからの十年間に首都機能の移転が必要なことが非常にはっきり分かってまいりました。
 その第一は、世界の文明が近代工業社会、規格大量生産を前提といたしました近代工業社会から多様な知恵の時代に変わり出した。ところが、日本の国というのは、明治、大正、昭和と掛けて殖産興業、つまり近代工業社会、規格大量生産社会を作るためにでき上がっているわけです。特にこの首都東京集中の状況というのは、正に近代工業社会、規格大量生産を作るためのものでございました。
 したがって、この様々な改革、平成になりましてから十一の内閣ができましたけれども、どの内閣も必ず改革を掲げられましたけれども、十分にできないのは、正にこの根底にある規格大量生産型近代工業社会を目指す仕掛けでございます。そのために、日本は知価革命に後れを取りましてどんどんと遅進国になりました。アメリカ、ヨーロッパに比べればもちろん、アジア諸国に比べても日本の国際的地位の下落は明白であります。つまり、日本は、この東京一極集中構造のために、情報の一元化、文化の単一化、発想の固定化に陥り、諸外国に比べて進歩が極めて遅い国になったわけです。
 今でも日本では大企業集中、大組織依存、そして固定資産重視というような工業社会のパラダイムが続いております。巨大都市東京に集中する体制が継続していることから、この状況は変わりません。そのために新規の起業、新しく業を起こす人はどんどん減りました。また、新しい業態も生まれておりませんし、新しい文化の創造もこの十年間非常に停滞しております。
 この十年間、悪くなったのは経済だけではありません。犯罪率も増加いたしました。検挙率は猛烈に下がりました。もう二〇%を割ってしまいました。学校教育は荒廃をいたしまして、学級崩壊などということも起こってきました。これ、ことごとく規格大量生産工業社会が今の文明に合わなくなってきた、この証拠だと考えております。
 そして、一時は東京集中も止まるのではないかと期待されたのでございますが、九四年を底といたしまして、九六年以降、東京集中が猛烈な勢いで加速いたしました。そして、関西圏、中京圏等も空洞化が始まっております。この傾向が続きますと、平成三十年ごろには東京圏以外は空洞化が著しくなり、日本は極めて非効率な国になるだろうと思われています。
 ITが発達したとか、あるいは飛行機、高速道路、新幹線等の交通が整備されたといいますけれども、結果としては、九六年以降の東京集中、特にITにおける東京集中は驚くべきものがございまして、日本社会の情報一元化という現象が続いております。
 また、規格大量生産型の官僚主導体制が依然として続いておりますために、新しい施設や新しい技術もことごとく東京集中吸い上げのストロー効果を発揮しております。
 ちなみに申しますと、第二次大戦以降、首都圏の経済と文化に占める比重が高まった国は、自由主義先進国では日本だけであります。
 例えば、アメリカの首都圏といいますとワシントン、フィラデルフィア、ニューヨーク、いわゆる東部でございますが、この比重はがた落ちでございまして、選挙の定員でも、ニューヨーク州は四十人以上いたのが、今二十数人になりました。発展著しいのは、カリフォルニアとかテキサスとかジョージアとか首都圏から遠い方であります。同様に、ドイツでもイタリアでもそうでございますし、最近ではフランスでもはっきりとパリの低下が見えています。ところが、日本だけは首都圏集中構造ができ上がっておりまして、どんどんと集中が進んでおります。
 三番目の問題は、財政負担です。現在の状況では長期的財政負担に堪えられないだろうと考えております。
 この現在の状況というのは規格大量生産型の国土構造でございまして、人口の増加と物価の上昇と経済の拡大、この三つが日本の財政の前提になっております。そして、人口も増える、経済も成長する、そして物価がどんどん上がることを前提にして膨大な公共事業を出し、ヒエラルヒー型の公共サービスをする、このことによって、公費で維持する。物価が上がり経済が発展し人口が増えるから財政収入はどんどん増えるという前提でやってまいりました。
 ところが、このような形、つまり頭脳機能は全部東京に集中する、首都に集中する、そして地方には手足の機能のみを残す、この形は地方で工場がどんどん増えていた場合のみできたわけでありますが、今こういう知価社会、知恵の値打ちの社会になってまいりますと地方の工場が増えません。そうなりますと、この財政構造、地域構造は保つことが不可能であります。権限、情報、資金が首都に集中し、そこからの指揮、統制によって再配分される極めて高く付く構造であります。規格化が巨大な富、規格大量生産が巨大な富を生み出した工業社会では良かったんですが、そうでなくなってまいりますと、こういう東京集中構造、首都集中構造は維持することが不可能でございまして、財政赤字は膨らむ一方であります。
 したがって、首都の機能を大幅に縮小し、国民経済と文化創造の脇役にする、そして民間の地域開発や経済発展に自由な創造を導入できるようにする、そういう形を取らなければ我が国の財政、経済はやっていけないのではないかと考えております。
 四番目に、世界的な傾向でございますが、御存じのように、世界的に今、政治行政機構と経済文化機構は分離されておりまして、日本とロシアぐらいでございまして、あとは全部分離いたしました。
 アメリカはワシントンとニューヨークやシカゴ、ロサンゼルス等に分かれておりますし、中国は北京と上海、香港等に分かれておりますし、インドもニューデリーとムンバイに分かれております。そして、ヨーロッパは、ECの統合によりまして、政治機構はストラスブール、行政機構はブラッセルということになりまして、パリもロンドンもベルリンもローマも文化、経済の中心機構でございまして、政治からは遠く離すということになりました。一時はパリ辺りに行政機構を作ったらという話もありましたけれども、現在の文明的流れとしてはそういう発想は完全に否定されております。
 したがって、規格大量生産型の一極集中体制を日本だけが維持することになりますれば、日本経済の低迷、財政の破綻、文化の画一化、社会的停滞に陥りましてアルゼンチン型の低迷をもたらすのではないかという気がいたします。
 これはアルゼンチンとブラジルの違いを見ればはっきりしているところでございまして、アルゼンチンはブエノスアイレス一極集中をずっと続けてまいりました。そのために、二十世紀の初め、一九〇〇年ごろにはアルゼンチンは世界有数の豊かな国でございまして、どんどんとヨーロッパからアルゼンチンへ人が移住したんですね。あの「母を尋ねて三千里」という小説がありますが、あれは貧しいイタリアのジェノバから豊かなアルゼンチンのブエノスアイレスを目指す話でございまして、今見ると逆でございますけれども、それぐらい豊かだったところが一極集中、ほとんどの地主がブエノスアイレスに住んでいるという状況から、どんどんと後退いたします。日本もそうなる危機があるのではないかと心配する次第であります。
 次に、首都機能の移転の効果について申し上げます。
 まず第一に重要なことは人心の一新であります。
 現在の日本は、非常に閉塞感が強くて、夢と希望と未来の設計図がなくなってまいりました。こういうときには、目に見え分かりやすい改革で国民精神に夢、あるいは一部の反対の人にとっては怒りになるでしょうけれども、そういったものを燃やす必要があるのではないかと思います。首都機能移転は新しい首都機能の所在地、新都のみならず全国の地域構造を変え、東京に再生の限りない夢を与えると思います。
 第二番目は、文化の変革、いわゆるパラダイムチェンジが行われることであります。
 平成になってから、十一内閣はすべて改革を唱えました。しかし、それは仕方、税制や行政手続、仕掛け、金融再生や会社法の変更、あるいは仕組み、行政改革や公団、公社の改革等にとどまりまして、文化の改革、パラダイムの変化には至っておりません。
 日本史でそれができたのは、過去の例で見ますと首都機能の移転だけであります。あえて言えばマッカーサーの敗戦のときがありますが、それ以外で見ますと、首都機能の移転だけがはっきりとパラダイムチェンジをいたしました。
 奈良時代の豪族文化から平安時代の宮廷貴族の文化へ、そしてそれが鎌倉時代になりますと土着武士の文化へ、そして室町時代にはあの金閣寺、銀閣寺を造りましたような貴族武家の時代に、安土桃山時代になりますと実力大名の時代に、そして江戸時代になりますと封建社会が成立して様式的な武士文化ができました。明治維新は、京都に存在する間、武士の都江戸から公家の都京都に移ることによってこの武士文化というものを取り除きました。これによって明治維新ができたのであります。
 したがって、日本が今この官僚文化に終止符を打つためには、小さくてしなやかな新都に移転することが最適だと考えております。
 三番目、多様な情報発信も必要であります。
 日本は、東京集中のために、どんどんと思想が単一化し、新しい起業や文明が生じなくなりました。今や、世論も東京発のマスコミに統一されまして、議論さえ起こらなくなってまいりました。
 この閉塞感を打破するために、情報発信源を複数にすることが必要であります。これには、必ず情報発信力を持つ、絶対にこの首都機能は情報発信力を持ちまして、ほかの機能の移転とは全く違うものであります。したがって、この情報発信力を持つ首都機能を移転することが唯一現実的な方法だと思います。
 これまでも、地方分権、地方分散で文化の多様化と情報の多源化を図る試みは二十年間行われてまいりました。しかし、実際には猛烈に東京集中が進んでおりまして、各地域で見ますと、地方紙もほとんど東京発の共同記事になる、あるいはあらゆるものが東京の世論に押されまして東京世論以外のことが非常に発言できない状況に陥ってまいりました。この事実を率直に認めて、これまでのやり方では不十分だと言うことが必要だろうと思います。
 四番目に大事なことは、首都機能の移転は財政を決定的に軽減する唯一の方法だということであります。
 頭脳機能は東京集中、地方は手足の機能という有機型地域構造、これは昭和十六年ごろに決定した方針でありますが、これでは地方の開発ということは工場誘致しかできない。これが戦後続いてまいりました工業先導性の理論というものでありますが、これでは就業の維持も財政の維持もできなくなってまいります。財政は、就業を維持するためには公共事業依存というような地方形態が生まれつつあります。
 これからの時代には全国に知価創造活動が広がるようにしなければなりません。多様な知価活動が行われれば、日本の地方は財政的にもまた就業構造の上でも自立することができるようになると思います。
 首都機能所在地、新都の建設には国費二・三兆円が掛かると思われますが、これを十年間で実施しようといたしますと、公的投資の二%以下というわずかなものでございます。
 私は、PFIを採用すれば、また東京の官庁等の証券化等を行いますれば、むしろ財政負担はなしで十分にできると考えております。公共事業として見れば、新都建設は東京湾岸の建設や関西空港よりもはるかに小さな事業でございまして、東京に投じられている一年間の公共事業費三兆四千億に比べましても、十年間で二兆三千億というのは極めて小さな数字であります。それに比べて、これを行うことによる財政効果は極めて大きなものだと思っています。
 五番目は、東京を二十一世紀の世界都市として本当に再生する唯一の方法だと考えております。
 東京は、国内の一極集中にもかかわらず、金融、文化、情報発信の点で国際的な地位がどんどんと低下してまいりました。特に東京証券市場のこの十年間の地位低下は著しいものがありまして、東京もやはり不況の一つになっています。
 東京は、国賓の来訪のたびに交通が麻痺いたします。また、首都機能のある部分で交通の整備網が困難になっています。官僚との対面情報交換が習慣化し、固定化しておりますので、どうしても足を運ぶ習慣から抜けられない、情報社会化いたしません。その結果、日本の民間企業交際費総額は五兆四千億に上りまして、アメリカやドイツに比べますと数倍という高さになっています。しょっちゅう顔を会わす習慣から抜けられないということであります。このために、自由化、規制緩和といいながらも行政指導ががんがん行われておりまして、今の金融問題にも見られるとおりであります。こうしたことの経済的、心理的負担は実に大きなものがあります。
 もし、この霞が関、永田町一帯を、一部は公園、記念公園として残すといたしましても、経済、金融の中心機能か、あるいは文化、情報の機能か、あるいは国民全体の楽しみ特区というようにいたしますと、東京の発展は物すごく効果が大きなものになるだろうと考えております。
 六番目といたしまして、政治、行政における情報の公正性ということが考えられます。
 つまり、東京におりますと、先生方は、国会の先生方はそれぞれの選挙区から情報を持ち寄られますけれども、役人は同じ東京の話だけ、新聞もテレビも東京のものだけ見ております。だから、しばしばお役人、官僚と話をしていると、東京だけの議論ということが非常に多いんですね。それで日本の判断を誤ることがよくあります。
 例えば、土地が高いから住宅が建たないというようなことがよく言われました。しかし、土地が高いのは東京でございまして、全国どうなんだということを聞いたら、あっ、東京以外のことなんて考えていなかったよというのが非常に多いんですね。こういう、現在の不況対策でも困難な点はそこに依存するところがたくさんあります。
 最後に、よく知られていることですが、国家、社会の安全性であります。ますます災害、人為的攻撃に対する日本の脆弱性は目立ってまいりました。ITが進むに従って非常事態の危険性は非常に高まっています。
 一部には東京圏を中心に関東、南関東辺りに分散すれば何とかできるという説もありますが、それができるのなら、現在のIT回線の一極集中、これ一か所破壊されると日本は全く破壊できるように、もう通用しなくなっているんですが、それを指摘されてもう数年たちますけれども、全然改正できません。物すごい金を掛けているけれども改正できません。やっぱりそこへ集中する、全体が集中するんですね。分散しろ、分散しろと再三言っておりますが、できません。
 この事実を見れば、ソフトウエア、利用者を伴わないハードウエアは効果がないということなんです。だから、一地点で集中して、そこで手りゅう弾が破裂しただけで日本は全部つぶれるような状況が生まれてしまいました。
 この被害に当たりましては、災害の被害では、第一次被害は、地震が揺れてどんとつぶれる、これを第一次被害と言うんですが、これは都市の規模の一乗に比例します。それによって火災が発生するのを第二次被害と言いますが、これは都市の規模の二乗に比例します。そして、水道や鉄道、電力が止まることによって生じる第三次被害、これはインフラの停止、ライフラインの停止でございますが、これは三乗に比例します。そして第四次被害、一つの地域が破損したことによって経済、文化、情報が止まって全国、全世界に与える影響、これは都市の規模の四乗に比例します。したがって、仮に東京が神戸の十倍の規模があるといたしますと、第四次被害は一万倍、世界の経済を揺るがすものになるでしょう。
 阪神大震災で私も復興委員として随分通いましたけれども、はっきりしたことがあります。
 第一は、被災者が救済活動に当たるというのは非常に困難です。自分の家、自分の家族が傷付いているときに、その人が救済の中心になるということは非常に困難です。だから、救済者と被災者はやっぱり別にいないといけないということです。
 第二番目に、十キロ以上離れたところの出勤率は急速に落ちます。また、十キロ以上離れたところの人が都心に住み込むとなりますと、その職場地域でのライフライン、食料の供給や水の供給ができなくなります。したがって、東京のように平均の通勤距離が二十キロもあるような地域では、ほとんど救援活動は困難になると思われます。そういったときにやはり政府機能が別にあるということは極めて東京の人にとって安心なことでございまして、これは、東京圏の中でどこかへ急速に移転してなどというのは、言うべくして全く不可能なことだろうと思います。神戸の震災のときにも兵庫県庁とか神戸市役所を移転するというのは全く不可能でございました。したがって、この点は十分留意していただく必要があると思います。
 最後に、幾つかの留意すべき問題について申し上げたいと思います。
 まず第一に、首都機能の規模でございますが、政府審議会ではある一定の条件を付けて規模を決めまして、それで、最初は十万人ぐらいで、最終的には五十六万人というような規模を作りました。けれども、やはり首都機能を移転するときには官僚主導をやめるということが前提ですから、もう少し小さな規模で移転できるのではないか。これは、ドイツの例などをいろいろ研究いたしますと、首都機能の移転こそは行政改革の中枢でございますので、その際にはやはり規模の縮小ということも考えるべきだろうと思っております。
 大体、公務員の数で二万数千人。二万数千人ということは、新宿に建ちました東京都庁舎二本分ということでございます。あれ、随分立派な建物をお建てになりましたけれども、千六百億円ぐらいでございますから、バブルの最中だそうですから今だったらもう少し安いと思いますけれども、あれ二本分ですから、公共事業としてみれば大して大きなものではございません。したがって、私は、今言われている国費よりもかなり安くできるのではないかと思っております。
 十年後に首都機能を移転するといたしまして、そのときが十万人、それから、開設してから更に十年くらいたって十五万人程度のものではないか。この点は更に研究する必要がございます。あの審議会におきまして、政府、内閣の審議会ではある条件の下に作ったものですから、こういう点も再検討する必要があるかと思っております。
 第二番目は、首都機能は本当に一か所かということでございます。
 私も審議会の委員に閣僚になるまでずっと入っておりました。それで、議論されたことは、まず新産都市とテクノポリスの例で、複数だといえば無限に増えると。四十七都道府県一つずつということになりかねませんから、とにかく数を減らすということ、集中的に移転するということで、一か所ということになりました。しかしながら、これが絶対かどうかというのは依然として疑問を感じております。国会とそれに関係深い行政官庁、それから最高裁判所などの司法機関あるいは特許庁や国土地理院のような権利関係の役所、こういったものはそれぞれ別の地域にあるという選択肢ができるのではないか。
 ドイツの場合には、最高裁判所はボンからベルリンに移りましたが、ボンにもかなりの機関が残っておりますし、最高裁判所はカッセルというところにありますし、中央銀行はフランクフルトにあります。いろいろとそういう分散をしています。イギリスも最近は、環境庁はウェールズに行ったり、もう既に国家公務員のうちの五〇%ぐらいがロンドンから遠く離れたところに移りました。そういう例を見ますと、これが一か所であるべきかどうか、問題に思います。
 また、これまでの日本の公共事業等から見まして、用地取得、特に国有地を使う場合には反対運動がよく出るのでございますが、民営地を買収するとそういうことはないんですけれども、成田空港のように国有地が三分の二ということになりますと、大変後がもめます。したがいまして、一か所にする場合には困難が生じやすいと思います。二か所程度にいたしまして、地元の状況や工事費の高低に応じて施設を増減する、地元の土地買収あるいは地域協力、交通条件等の、優良になるとみなせるときには施設を拡大していくというような状況を作った方がいいのではないか。またこれは、私がかねがね申し上げております競争的移転という感じであります。
 そして三番目に、特に重要なことですが、新都建設に当たりましては、現行の建設法規あるいは土地使用法規、こういったものは一応全部ないことにいたしまして、新しい技術を集積する。全世界からソフト、ハードの新技術、新思考を全部取り入れて新しい町を造るべきだと考えています。
 そういたしますと、二十一世紀に最も重要な技術になるであろう都市・環境技術が日本に集積いたします。二十世紀は、残念ながら軍事技術が優先した時代でありました。だから、軍事技術が強い国は九〇年までの冷戦構造あるいは第二次大戦までの間には世界で一番強いバーゲニングパワーを持ったのでございますけれども、これからは軍事技術よりも都市技術、環境技術だと思います。これが、このあらゆる法規を見直す空白地帯の中に、日本のような豊かで技術水準の高い国が新都を造るとなりますと、世界じゅうから技術が集まってまいります。これを集積することは日本の大きな財産になり、また国際的バーゲニングパワーになろうかと思っています。
 以上、様々な点から考えまして、首都機能の移転は今や大変重要で、かつ効果が高い。この審議会、前の決議案、基本法、首都機能移転基本法ができましたころに比べて、十年たちますが、その間に非常にこの必要性は高まっている、このことを是非御理解いただきたいと思っております。
 ありがとうございました。(拍手)
#79
○委員長(西川きよし君) ありがとうございました。誠に貴重な御意見、ありがとうございました。
 それでは、これより参考人に対する質疑を行います。
 本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員には懇談形式で自由に質疑を行っていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って質疑を行っていただきます。
 また、委員の一回の発言はおおむね三分程度と、よろしくお願いを申し上げます。発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#80
○保坂三蔵君 済みません、短くやらせていただきます。
 堺屋先生、今日はありがとうございました。
 堺屋先生は、青島知事がつぶされた世界都市博覧会もプロモートしていただきましたね。それから愛知万博も、今、堺屋先生、やっていただいている。そして今日、首都移転にも大変御熱心で、しかもこの十年間、その移転は必要性が増したという今日のお話でございましたけれども。
 私ども、この三つの事業をそれぞれ見ておりますと、実は共通項は、極めて官主導のプロジェクトであるというふうに感じるわけですね。官の文化にさお差すと、官僚文化にさお差すというような話でしたけれども、むしろ私は、こういうことからいうと、どちらかというと首都機能の移転というものが、世の中の座標軸の転換というよりも単なる場所の転換であって、そして、中央集権の移転をするにすぎないんじゃないだろうか。そして、むしろ中央集権を強化するという意味合いが含まれているんじゃないかと思うと、先生がここに書かれている、お話があったように、パラダイムチェンジの大事業であるというけれども、パラダイムチェンジをさせない大事業ではないだろうかというふうに私は受け取ったわけですね。
 先生が、やらねばならない理由の中に、いろいろありましたけれども、私は、今の日本の国が中央集権を打破して、社会経済システムが変わって地方分権に移っていると。それから、先生が一生懸命やったe―Japanのように、ITが、これはもう世界に冠たるIT国家にしよう、こういうソフトをやることによって、文字どおりハードの首都移転はますますその移転する必要性というのはなくなってきたような気がするんですね。
 むしろ、今までの歴史から見れば、東京にすべてのものが集中したのは、むしろ規制が緩和されているような、大阪に本社を置かないでも、東京に置いた方が効率性が高いと思えば東京に移すことを黙って見ていたわけですよ。ですから、そこには当然市場の原理や経済の原理が働くというような、選択と集中があったわけですけれども、これをむしろ規制をさせようという巨大な規制事業が、私は、今、堺屋先生がおっしゃる首都移転ではないだろうか、こういうふうに私は思うんですね。この辺りをもう少し分かりやすくお話ししていただきたい。
 それからもう一つは、決め方で困っています。一体世論の形成を、合意形成を図って、どういう決め方で一か所に決めたらいいと先生は、私見ですが、教えていただきたい。
 それから最後に、参考までですけれども、先生は今の社会情勢、社会事件の中で、今度の中国の問題をどういうふうに、遼寧省の事件の問題ですね、お考えになっているか、教えていただきたい。
#81
○参考人(堺屋太一君) まず第一に、現在の状況、日本の現在の地域構造の体制というものをどう見るかということでございますが、これは、明治、特に戦後、戦争中から戦後、昭和十六年前後に帝国の基本方針といたしまして、有機型地域構造を作ろうという発想がありました。その中で、できるだけ頭脳機能は東京都一極に集中する、その頭脳機能とは、産業、経済の中枢管理機能と情報発信機能と文化創造活動だと、こういう定義が考えられておりました。
 それで、産業、経済の中枢管理機能を東京に集めるためにはどうすればいいかというので、全国に、全産業に全国団体を作らせる。電気事業連合会とか自動車工業会とか医師会とか弁護士会とか芸術院とかいうのを全部作る。そして、その本部事務局を東京都に置くと。そういたしますと、会社が大きくなりまして全国会の会長になるようになりますと、その社長は東京に住まざるを得なくなる。何度も事務局に出なきゃいけない、役所に出なきゃいけないしということになりますから、東京以外には住んでいられなくなる。したがって、各大企業の社長さんはみんな東京に住む。そうすると、各企業、大企業の本社機能は東京に集中し、そこで一極集中が行われる。こういう発想を取り入れたわけです。私が通産省に入りました一九六〇年ごろ、正にその政策の真っ最中でございました。
 ところが、これが、昭和十二年に経団連法ができます、経済団体連盟法というのができます前に既にできておった全国団体があります。その典型は繊維団体でございまして、これはその前にできておりましたから、大阪に本部がありました。紡績協会以下十幾つの団体がことごとく大阪にあり、また情報発信機能も繊維に関しては大阪にありました。
 それで、通産省は、これはけしからぬと、何としても東京へ連れてこいというので、さんざん苦労をいたしましたが、なかなかうまくいきませんでした。ところが、六八年に至って日米繊維交渉というのが起こりまして、これは国が交渉するんだという話になりました。そのときに、これを契機として、アメリカと交渉してほしいんなら本部を、繊維団体の本部を東京へ持ってこなきゃいけないということを強烈に指導いたしまして、最初は抵抗がありまして、日本繊維工業団体連合会という屋上屋のものだけがまず東京に来、やがて化繊協会とか合繊協会も東京へ来まして、今、紡績協会を除くすべての団体が東京にあります。また、名古屋にありました陶磁器工業会、京都にございました伝統産業振興会等も東京に移転させました。こういう強烈な行政指導によって産業が東京へ集められたのであります。
 このことは今もずっと続いておりまして、各省お聞きになると分かると思いますけれども、やはり東京で東京でということになっています。銀行協会も長い間、東京に本店のあるところでないと銀行協会の会長にしないと。会長にならないと勲一等やらないなんということを言っておった時代もあります。
 第二番目に、情報発信でございますが、これは昭和十六年ごろに電波と印刷について東京に集中いたしまして、印刷につきましては取次ぎを、日販とかトーハンとかいう取次業者を東京に集中する。したがって、東京以外で印刷した本を他府県で売るためには一度東京へ持ってくるという仕組みを作り、今も再販制度の下でかなり強く守られています。
 電波につきましては、当時はNHK、日本放送協会だけでしたが、やがて民間放送ができたときに、世界に類例の少ないキー局システムというのを作りまして、キー局は東京都にのみ認める、そしてキー局にのみ全国番組編成権を与えるというような仕組み、これは法律で決まっているというよりも、現実的に事実の問題として決めておりますけれども、そういうキー局システムを作りました。この結果、地方から番組を全国に発信するときにはキー局の了解が要るということになりまして、非常に東京のスクリーンが強くなるという仕掛けになっております。今もこの情報発信の東京一極集中というのが解けない。これはなかなか難しい問題が重なっておりまして、解けません。
 したがって、ITを普及いたしましても、マスコミと関係のあるもの、あるいは文化創造活動と関係のあるものは、東京に集まる仕掛けがありまして、一時は北海道や九州にもかなりのITが事務所ができましたけれども、どんどん東京へ移転してまいりました。
 第三番目には、文化創造活動でありますが、これは大体、特定目的のもの、特定目的の施設は東京に造るようになっています。例えば、歌舞伎専用劇場は東京に幾つもございますが、地方にはほとんど、余りございません。あるいは、格闘技専門体育館も同じようになっています。
 このように施設、特定施設を東京に集中することによって歌舞伎俳優は東京にしか住めない。私が学生のころには関西歌舞伎も盛んでございましたけれども、やはり今は関西に住んでいる歌舞伎役者は、先代仁左衛門がお亡くなりになりましてから、いなくなりました。同様に、昔はボクシングジムは全国にありましたけれども、今はプロレス団体はほとんど東京に集中と。そういうような体制としてがっちりした東京集中があります。
 これが仮にどこかよその場所へ行ったとして、同じことが全国団体、全部それに付いていけるかというと、これは絶対不可能でありますし、既に東京に定着しております。
 そうすると、地方に、地方といいますか、新しいところに行った行政がいかに強権を振るおうとも、この体制を維持することができませんから、更にこれによって官僚主導、官庁の主導が強くなることはあり得ない。これは、東京という大きな首都、そしてそこに官僚がおり、全国団体を集め、機能を持ち、施設を造ると、この全部が一体となったものでございまして、その一部切り離すということはできないと考えております。
 私も、万国博覧会、今の名古屋はちょっと違うんです、あるいは湾岸の開発の都市博覧会などを考えましたときには、これは正にそういった日本の工業社会の、特に万国博覧会というのは工業社会の時代の冠たる行事であったと思うんです。それによって七〇年から九〇年まで二十年間、やはり日本の繁栄はあったと思うんですが、今や万博の時代を超えて新しい知恵の時代を作らなきゃいけない。そのときに、この地域構造だけが有機型地域構造、規格大量生産時代のものを残している。そして、そこに従事しているお役人も、そのように教育され、そのような倫理観を持ち、そのような美意識を持っている。これはやはり断然変えなきゃいけない。何としてもこの日本の中心は民主であって、民が主であって、官僚主導というのはわき役だ、官僚というのはわき役だ。それを地域としてやはり日本の経済、文化の中心地でないところに置いてみるということが非常に重要だと思います。
 先ほども申しましたように、首都機能が転換したとき、移転したときには必ず時代が変わり、文化が変わりました。今やはり私たちはそれが大事なときだと考えております。
#82
○伊藤基隆君 民主党の伊藤でございます。
 久しぶりに堺屋さんにお会いしまして、文化の転換、パラダイムの転換が首都機能移転によって起こってくると、文化とはあらゆるものを総合して言えばそういうことと。大変魅力のある分析だと思いますが、若干無理はあると思います。パラダイムの変換が新しい首都を造ってきたんじゃないかということもある意味では言えると。生産様式が変わって、武士が台頭して、経済力を付けて、武力を持って、鎌倉幕府ができてくるというずっと経過ですから、その後は室町、戦国、それぞれ変質した武家政権による首都の新設がずっと行われてきたと。戦国は分権時代だと思うんですけれども、ある意味では、割拠分権ですが、安土桃山に収れんされるんじゃなくて、未完だったんだけれども大阪だったんじゃないかというような気もいたします。ですが、そういうものは言えても、やはり首都移転ということはパラダイムの転換を促すということはよく分かります。
 ただ、この議論が、今、堺屋さんの答弁の中でもありましたように、一極集中をどう転換していくかというところにも非常に有力な意図があるわけでして、ということになると、東京を考えたときに果たして、この政治・経済機能というか、政治機能の分離、移転ということだけなのかと、選択肢は。首都機能というのは、東京を考えたとき、それはある意味では、グローバルの中での東京という視点でいけば、今後首都が生きていくためには、それがどこに移転しようと、経済、政治、それと生活機能というものが一体となっていないと駄目で、ある程度の規模、それも相当大きな規模というものが私は必要になってくるんじゃないかというふうに思います。例えば、福島に移っても、それはアジアという中での日本の位置付けということもありますし、グローバル化の中での位置付けというのもあると思います。
 だから、首都機能移転は、政治的なものだけでなくて、例えば国際的なアクセスといいましょうか、航空、コンピューターネットワーク、又は船舶、港湾というような機能の日本国内におけるそれぞれの分散ということも必要なんじゃないかと。例えば、港湾は釜山に取られてしまっているとか、ソウルがハブ空港、アジアのハブ空港を持っているとかというようなことが起こっているわけで、それらを考えたときには、そういう国際アクセスの問題も重要なんじゃないかというふうに考えます。
 ですから、東京を考えて首都機能移転するという、東京の過度集中が起こしている弊害をどう除去しながらはつらつとしたものを作っていこうというときには、政治機能以外にそういう国際アクセス問題も考えていけるんじゃないかと。
 さらに、私はいろいろ自分で考えたんですが、群馬県に首都機能を移転させようじゃないかという動きがあったときに、私は反対だったんですが、国会議員団が集まって議論する前にその国会議員団が解散してしまったためにできなかったんですが。私は若いころ、群馬県から、群馬県の活性化を図るにはどうしたらいいかというときに、それは首都機能移転問題を考えてのアンケートみたいなのがあったんですが、そのとき、私は東京大学を群馬県に移転させるべきだと。東京のことを考えれば、群馬のことを考えれば、東京大学が群馬に来るのが非常に有効だというふうに思っていましたけれども。
 私は、その国際アクセスの問題のほかに、大学とか、又は自動車という問題があると思うんですよね。東京都内で混雑しているのは、東京から出発した自動車が東京都内を走って東京都内に到着するという動きがかなりの比重を占めていると思います。公共の交通機関とかトラック輸送は首都機能とか都市を守るために非常に重要なんですが、東京発東京着の自動車の運行というのはかなり制御するべきじゃないかと、それは自動車の移転と私は思いますが。
 そのことを考えると、様々な部門での移転ということがあって、そのことが東京のスリム化というか、生活の環境としての非常に豊かな地域になるとか、また機能を高めるとかということにもつながっていくんじゃないかというふうに考えていまして、逆の発想みたいな感じもするんですが、その私の考えについていかがでございましょうか。
#83
○参考人(堺屋太一君) この東京を過密のゆえに考えるとなれば様々な議論があります。そして、実際問題としてもいろんなことが行われてまいりました。しかし、それによって日本の一極集中の体制、いわゆる有機型地域構造が強化されこそすれ緩むことはなかったんです。
 これは、もう過去二十年以上掛けてやってまいりまして、あらゆるデータが、東京集中がこの二十年間にこそ猛烈に進んでいることを示しております。例えば、いろいろと地方分権といいますけれども、地方の知事さんたちの東京滞在日数は相当延びているんですね、この二十年間で。だんだん延びる傾向にあるというようなことも示されております。
 東京という、これから正に世界都市に発展しようというところで、世界の東京、それから首都としての東京、自治体、我々の住んでいる町としての東京と三重の機能があるわけですけれども、その中で首都としての東京の機能が非常に大きなウエートを占めています。
 それは、単に人数の問題とか車両の問題とかいうことではなしに、東京に首都があるがゆえに様々な業界との関係、人間関係も情報の関係も金融の関係も役所に依存するという体制ができてしまいまして、これがなかなか変化できない。変化できないからこそまた東京に集まってくるわけなんですけれども、この明治以来積み上げられた東京の重圧というもの、これを東京都民からも日本の産業界からも、また国際関係からも切り離さなければいけない。これは、日本人の、近代日本のDNAにかかわったような事態になっておりまして、なかなか除去することができません。
 例えば、これだけ規制緩和なんとか言いながら、やっぱりいざとなると役所に相談をするし、役人も、ここは大事なところですが、役人も法律に書いていない権限でも口出しすることは悪いことと思っておりません。親切心であるのか老婆心であるのか、とにかく今の金融でもそうですが、すぐ役人は権限ないことでも口出しをする。口出しをされると、民間の方もお役所に逆らわぬ方がいいなということでそれを聞いてしまう。これの繰り返しなんですね。これは民間企業もそうですし、自治体もそうですし、教育機関もそうです。
 この風習というのを打ち切るためには、やはり東京という日本のど真ん中、経済文化のど真ん中に官庁機構があって、そこから指令を発するという精神的、物理的体系を切る必要があると思います。これは、この二十年間、何度も何度もいろんな人が試みて一度も成功しなかったことであります。百年河清を待つという言葉がありますけれども、河清を待っているんじゃなしに、どんどん濁りがひどくなっているときにじっとしていていいのかというやはり感じがあろうかと思います。
#84
○井上美代君 参考人、どうも御苦労さまでございます。
 私が質問したいのは、堺屋参考人が平成十年の七月の三十日から、そして平成十二年の十二月五日まで経済企画庁長官としてやられておりました。就任のほぼ一年前ぐらいになるんですね、平成九年の六月三日に閣議で「財政構造改革の推進について」というのが決められましたよね。その中で、「財政構造を改革し財政の再建を果たすことが喫緊の課題であり、もはや一刻の猶予も許されない。」と、こういうふうに書いてあります。そして、「首都機能移転問題については、その経緯及び財政構造改革においてあらゆる分野で痛みを伴う改革が進められている状況を総合的に勘案して慎重な検討を行うことを提起する。」と、こういうふうに決めております。
 私は、あくまでも、ここに「慎重な検討を行うことを提起する。」と書いてあるこの意味というのが今日、非常に重要であるというふうに思うんですね。その後、この移転審議会の報告も出され、そしてまた試算も出されて、そして審議もされてきたわけなんですね。今日に至っておりますけれども、国や地方自治体の財政状況というのは本当に悪化してきていると思うんです。
 大変悪化していることを心配しているんですけれども、一方で、平成九年六月四日ですけれども、本委員会で堺屋参考人は参考人として答弁をされておりますが、そこには、目下の重要問題であり、財政再建との関係を見ていただきますと、首都の機能移転は財政再建に一番貢献する事業だろうと私は考えておりますと、こういうふうに言っておられるんですね。私は、この閣議決定との関連で考えるとき、堺屋参考人のこのくだりというのは全く逆の考えだというふうに思うのですけれども。
 国と地方の財政赤字というのは本当にこれも大変になってきて、両方で六百九十三兆円という莫大なお金を赤字として抱えているわけなんですけれども、これをどうなくすかというこの筋道というのはいまだ示されてはいないわけなんです。それで、参考人が経済企画庁長官時代も赤字は増え続けたということがずっとあるんですけれども、やはり十二兆円、二十兆円とこの首都移転等に税金を投入すること、これは私は赤字をますます大きくしていくということにつながっていくというふうに思います。
 そういうことで、国会等の移転といっても壮大な無駄遣いではないかというふうに思っているんですけれども、参考人はどのように考えられるのかというのが一問です。
 二問は短いのですけれども、移転審議会でも数十年後に人口が五十六万人の都市を造るということ、先ほど出ていましたけれども。また、岐阜や愛知地域では数十年で二十万人の都市を造ると、こういうふうに言っているわけですけれども、首都圏だけでも三千万を超えているんですね。三千万人を超えている。だから、これらの移転構想では一極集中というのは解消しないのではないかと、スローガン倒れになるんじゃないかと、こういうふうに思っているんですが、その点についても御意見をいただきたいと思います。
#85
○参考人(堺屋太一君) まず第一に、財政との関係について申し上げます。
 ここに御指摘ございましたように、慎重な検討をした結果、この首都機能の移転が非常に効果があるのではないかと、こう考えているわけで、慎重に検討するということは、別に反対ということでもやめるということでもなしに、よく勉強しろということだろうと思うんです。
 財政との関係について申し上げますと、今日の日本の財政というのは、まず第一に人口は増え続けるという前提がありました。その次に、土地は足りないという前提がありました。そして三番目に、必ず経済は成長する、物価は上昇する。そして、日本は孤立した島国であって、公共施設については国際競争は考えなくていいんだ、だからコストはすべて価格に、使用料金に転嫁していいんだと、こういう前提でやってきたわけです。したがって、日本の国土の考え方の中にはコストパフォーマンスが入っておりません。これが今日の非常に大きな問題です。
 その中で何を考えたかというと、規格大量生産をやろう、日本が近代工業国家になるためには、殖産興業、その殖と産というのは、殖産の産というのは正に規格大量生産の近代工業を興そうという一点でございました。そして、規格大量生産を興すためには、東京にすべてを集中して、東京で作った規格、東京で作った情報が全国に流れる、そうすると同じ製品が北海道から沖縄県まで一遍に流れる、これが一番効率的なんだ、そういう条件になっていました。この規格大量生産が続く限り、日本の財政は赤字になってもどんどん次に税収が増えますから、拡大し、物価も上がり、経済も成長し、そして人口は増えるという前提で行われてきたわけです。
 ところが、今やこの前提は全部崩れました。人口は減りぎみで、土地は余りぎみになりました。そして、物価は上がったり下がったり、経済も成長したりしなかったり、そして何よりも日本はグローバル化の中の真ん中にいるわけです。
 こういう条件変化を考えますと、今の財政問題は、それぞれの地域があらゆる可能性のある状況で自ら発展を追求できるようにしなければなりません。この東京に頭脳機能を集中し、地方は手足の機能に限るよと、だから工業先導性の理論なんだ、工場誘致以外に地方の発展はないんだと、こういう縛りは解かなきゃいけません。そのためには、今の地域構造の根幹にあるこの首都の状況、東京という巨大都市にだけ人を集めるという状況をやめなきゃならない。
 だから、私はこれこそ財政に役立つものだと。建設事業として考えますと二兆数千億の小さなものでありますけれども、これが財政構造、日本の文化構造を変えていくきっかけとして非常に大きな意味があり、これこそ慎重に考えたら財政を救う最大の手段であると思います。
 私が経済企画庁長官をやっておりました間は非常な不況でございまして、景気振興のためにかなり赤字を増やしました。その代わりに、二〇〇〇年度には相当税収も増えました。やはり、そういう経済の活性化と税収の増加という中で解決していく必要のある問題でありますが、同時に、この日本の地域が効率的で安くできる地域構造に変えねばならない。これにはやはり首都機能の移転が最も効率的だ。
 現に、東京都に投じられております毎年の公共事業に比べましても決して大きなものではございません。その他いろいろな地方で行われております大型プロジェクトに比べましても公共事業としては微々たるものでございますから、そういう点ではこの財政に影響するほどのものではありませんけれども、財政構造を変えるという意味では、非常に重要なポイントだろうと思っています。
 それから、この移転の問題で、せいぜい十万人、将来多く見ても五十六万人ぐらいを三千万人の中から移転しても東京がすかないんじゃないかとおっしゃいました。
 これは、確かに数の上ではそうでございますけれども、機能としてこの首都機能の持っている重みというのは大変大きなものがございます。これのために、例えば国賓が来るたびに、東京都の中心部が渋滞をする。あるいはそれのために様々な制限を受けている。こういった心理的な重圧は大変重要なものだと思っております。これから解放いたしますれば、東京にはより多くの世界的、国際的な機能が集まってまいりまして、金融機能にいたしましても現在のような制限された状況から解放されてどんどん発展する。
 東京証券取引所には、かつて百二十七もの外国証券が上場されておりましたけれども、今は三十幾つになりました。どんどん日本から、東京からその機能が逃れていく。情報発信機能にいたしましても、九〇年ごろまでは日本のことを書いた英語の出版物はたくさんありました。今やどんどん減っています。これ、やはり官僚主導の中で日本だけが知価革命に後れている、知恵の値打ちの発信に後れている。こういうやはり近代工業の規格大量生産の状況がずっと保たれていることは何かで打破しなきゃいけない。
 これを様々な方法で、規制の緩和であるとかあるいは行政改革、様々なことでやってまいりましたけれども、この十年間の動きを見ますと、やはりここで全国民に時代が変わったという意識を持っていただくような変化、決定的なものが必要なんではないか。歴史を見ても、正にそういうようになっているんだろうと思っています。
#86
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。
 堺屋参考人には、私、従来から様々な著作を通して勉強させていただいておるところでございます。
 今回の首都機能移転に関しましても、国会移転に関しましても、ある意味では国会の中では低調になっているけれども議決はもう既にあるという中で、客観的にこの国会等移転が及ぼす影響等々、様々な形での、体系付けられた形での論説読ませていただいて、大変私も感動しました。先ほどの石原都知事のときも、ある意味では思考の惰性があったのを打ち破られるのは、こういう一つの新しい時代を作ろうという意気込みからだというふうに私もお話しさせていただきました。
 そういう中で、先生の掲げられている論点の中とはまた一つ違う中でお話聞かせていただければと思うんですけれども、首都機能を移転した後、現実に、対立案件ですからなかなか簡単ではないにしても、成功例としてワシントン、失敗例としてよくキャンベラとか、オーストラリアですね、ブラジルのブラジリア、さらに先ほどは石原都知事の方からは、ソウルで周辺に移転したためにうまくいっていないじゃないか、現実に推進した結果がうまくいっていないというような事例を入れられてお話しされているわけでして、ここらの、現実に進行したときに、そういう先行例がうまくいっている例、うまくいっていない例等々ございますので、そういう評価でいいのか。また、さらには、どういうふうにやればそういう形の移転がスムーズにいくのかという点で一点質問させて、お聞かせいただければと思います。
 二点目に、これは千九百九十数年以後、東京が再び、関東圏といいますか、人口が増加して、人口渋滞、さらに人口による交通渋滞、さらには様々な形での一極集中の弊害現れている、特に災害の問題も現れているということが具体的に起こっていると思います。
 国家百年の大計として考えてきたときには、やはり一つは、大きく前進させていく必要はあるという認識は出てきても、国民の中でそういう審議が順調に啓蒙普及できているかといったら、そうでもないわけですね、現実に。そういう中で、こういう対立案件ですね、自分の地元も所在それぞれある、ふるさとというところもあると。東京のふるさとという人が物すごく増えてきている現実の中で、我々も推進するというと、ちょっと逆に周りの意見も見ながらしないといけないというようなことが現実に起こったりいたします。
 私の周りの人間関係の中で見ていても、この対立案件、党派とかいうような問題ではなくて、むしろ男女別姓のときには世代の問題でかなり分かれておるわけですね。戦前生まれは絶対反対と、戦後生まれは自由度高まるからいいんじゃないかと。それと同じように、自分の生まれ育った故郷なり地域性、選挙の地盤、こういうところに押されて対立案件になって、案外、国家百年の大計の議論ができないというような現実、起こりかねないという、そういった案件を、国会は審議することは一杯ありますけれども、対立案件に関して、こういう問題を世論合意を作り上げるための意見のためには堺屋さんのような方がおられるというのは非常に大きいわけですけれども、と同時に、今後、審議していく上でどういうふうにしていくのがこの対立案件も含めて一番よろしいのかと。
 具体的な審議がきちっとできておるわけですから、議決もあるわけですけれども、この委員会自体の存在がおかしいんではないかというところぐらいの意見も出てきている現状で、そういうことを踏まえて今後の進め方をお話しいただければと思います。
#87
○参考人(堺屋太一君) まず、首都機能の移転の例から申しますと、ワシントン、オタワ、それからキャンベラが成功しているかどうかという議論があるんですが、私は、まあ成功しているだろうと。キャンベラは、行った人は住みづらい、面白みがないと言いますけれども、オーストラリアという国を自由な状況に置いている、オーストラリアは一時ちょっと自由でなくなる危険があったんですが、自由な状態に置いているという意味では成功しているんじゃないかという気がいたします。
 それからもう一つ、やはり大きな成功例はEUのブラッセルでございます。あれがパリとかロンドンとかに置かれないでブラッセルという、ベルギーの首都ではありますけれども、小さな町に置いたと。これは非常な成功例で、その後、EUを統合に導いた立派な例だと思っています。
 ブラジリアの評価ですが、これも国際的には真っ二つに分かれておりまして、ブラジルにとってはかなりの負担だったということがありますが、同時に、先ほど申しましたアルゼンチンとの比較によって見ますと、やっぱり一極集中、特に階級固定を破壊したという意味での評価はあろうかと思います。
 問題は、成功している例は、立地を、調整的立地と開発的立地があるんです。調整的立地というのは、ワシントンに見られますように北部と南部の中間、あるいはキャンベラに見られますようにメルボルンとシドニーの中間、ブラッセルもそうでございますが、ドイツ語圏、ワロン地域とフランス語圏・ラテン語地域との中間、こういう中間地帯に置くのが調整型立地なんですね。それから、ブラジリアとかイスラマバードのように、比較的人口が少ないところへぽんと置くのが開発的立地と言われておりますけれども、比較的成功例は調整型立地のところに多いというのは歴史の示す今までの例でございます。
 そういう意味で、日本はどこも開発されておりますからすべて調整型立地と言えると思うんですけれども、そういう意味では日本は非常に選びやすいという条件があろうと思います。
 問題は後の方でございます。ふるさと問題でございまして、これはもう説得不能ということが言われるんですね。例えば、キャンベラを決めるときには、メルボルンとキャンベラの間ということが決まったんですが、どっちに近づけるかで議論になりまして、最後は議員同士が決闘を、サーベルで決闘している写真が出ておりますけれども、それで決めたというような話がございます。
 改革というものは、この件に限らず、すべて大きな改革、本物の改革というものは、改革案が多数を取ることはあり得ません。どんな改革案を出しても、税制でもそうですし憲法でもそうなんですけれども、どんな改革案を出しても、それは行き過ぎだと言う人とそれでは生ぬるいと言う人が出てきまして、必ずその改革案が多数にはならないんです。その結果、あしき現状が続くんですね。変えなきゃいかぬということが八割、九割の人になっても、一つの案を出すと必ず異論が出るんです。首都機能も同様でございまして、一か所どこか出ると、必ずそこじゃ嫌だという人が多数になるということがありまして、結果としてはそのあしき現状が続くということが大いにあり得ることだと思います。
 それで、私は、ドイツの例、EUの例など見ましても、今や二十一世紀の首都というのは一か所である必要はないんじゃないか、余り増えては困りますけれども、複数ということも検討できるんじゃないかという気がいたします。国会はもちろん一か所であり、国会につながっている行政官庁も一か所でしょうけれども、それ以外の方法も考えられるんじゃないか。これも、最近のイギリスとかドイツとか、そういうような国々でもそういった例が行われております。
 それから、もう一言付け加えて言いますと、今ソウルの例が出ましたけれども、いわゆるベルサイユ型首都機能の移転というのがあります。これは地域構造のところでよく言われるんですが、ルイ十四世がパリから、パリが非常に混雑して当時の状況としては過密になったのでベルサイユに行ったんですけれども、あのベルサイユというのは正に宮廷貴族と官僚しかいない、都市機能は全部元のパリに依存するという形なんですね。これはやはり危険なんですね。大革命を呼んだのは一つの理由なんですが、やはり新しい、先ほど申しましたように、全国を公平に見られる情報環境のところへ移さなきゃいけない。これは新しい首都を選ぶ上で重要だと思うんです。
 だから、例えば東京のごく近くに移すということになりますと、やはり東京依存、そしてその中でいい話だけが官僚、政治家の耳に入るという状況が生まれるのはいかがなものかという気がいたします。
 幸いにして今議論されているところはそういう条件にないと思いますけれども、これはやはり東京と独立した文化圏を作ることによって情報発信源を複数にする、そのことで日本の多様性を保つ、文化の多様性を保つ、これが大事なところだろうと思います。
#88
○福島瑞穂君 今日は本当にありがとうございます。社会民主党の福島瑞穂です。
 三点、お聞きをしたいと思います。
 先ほど石原都知事からもあったのですが、私自身は、首相官邸が新しくでき上がって、ああもう首都機能移転はしばらくないのだなと、実はやはり私も思ったんですね。何千億と掛けておりますし、外務省も、中央官庁は今どんどん新しくなったりきれいになったりしておりますので、国民の経済感覚、税金の使い道ということでいえば、ここまで新築に物すごいお金を掛けてやって、国家機能移転と言ったら、国民は非常に怒るんではないかと思っております。
 そのことについてどうお考えかということと、二つ目なんですが、国会の移転をすると、国会に関係の深い役所に移転をしてもらうと。ところが、国会に関係のない役所というのは存在しないと思うんですね。そうしますと、役所が二つに分かれるのか、あるいは、ただ、国会と役所が移転をすると、国会のためだけに役所は存在しているわけではありませんから、そうすると実は非常に不便になる。あるいは、市民の人や国民の人が国会へアクセスしようとか、相談をしたい、ロビー活動をしたい、集会をしたいとなったときに、全く隔絶されたところに国会と役所があって一体どうするのかということをちょっと素朴に思います。その点についてはいかがでしょうか。
 それから三点目に、この国会移転が一歩間違えるとというか、ゼネコンのゼネコンによるゼネコンのためのプロジェクト、公共事業の公共事業による公共事業のためのプロジェクト、パラダイム転換どころか多額の税金を新しく環境破壊をした上で作るという形になるんではないかという。特に、今不況で財政が逼迫しておりますので、やはり国民生活のためにお金を使うべきと。別の形で地方の活性化、地方分権ということを、むしろ地方の文化に根差して地道にやるべきであって、その方が長い目で見れば多様性を保障することになりはしないかという気もするのですが、素朴な疑問で済みませんが、教えてください。
#89
○参考人(堺屋太一君) まず、官邸の問題でございますが、これはもう十数年来、首都機能の移転があるからちょっと待てということで止めていたんですけれども、やはりどうしても不便になってきたというので造りました。造るときには、首都機能が移転したときにこれは何に使うべきかということは延々と議論されたんです。そして、やはりそういう首都機能が移転しても東京で審議会、あるいは官庁、国会等の出先は要るだろうと、そういうときにこの国会議事堂とそれから総理大臣官邸は機能できるような情報機能として置く必要がある、そういう形で造ろうということになりまして、その点は十分設計の段階から考えていることだろうと思います。
 役所の建物でございますが、これはもう毎年建て替えておりまして、したがって、これから仮に今首都機能が決まったといたしましても、十年、十五年移転に掛かります。十年は掛かります。それから部分的に移転して完成するまで大分掛かりますから、順次移転すればいい。私は、もう極端なことを言いますと、移転が決まれば証券化して役所の官庁の一部は財政再建に使ったらいいと、こう思っています。そういう点では、現に稼働しているものを移転するときは、どこのお宅でもそうですけれども、そういう一時的に、一時といっても十年ぐらい掛かるわけですが、重複して使うものですから、決して無駄にはならないだろう。それを言っておりますと、永久にまた、今度はどこの官庁を建て替えなきゃいかぬ、どこの官庁を建て替えなきゃいかぬと、永久にできなくて結局この東京集中が続くことになろうかと思います。
 二番目の問題です。地方を活性化するためには首都機能の移転よりも他の文化で振興すべきだというお話でございますが、なるほどそれは理屈でございまして、そのために過去二十年間にわたって何十兆円、何百兆円も使ってまいりました。もうあらゆることをやりました。だけど、全然解決していないで、どんどんと集中がひどくなっています。
 そのために規制緩和もいたしましたし、地方にいろんな施設も造りました。道路を造ったらいい、飛行場を造ったらいい、文化ホールを造ったらいい、様々なことをやりました。しかし、現在のこの経済、文化の中枢管理機能と情報発信機能とそして文化創造活動を東京に集中する体制、それが単に官庁だけではなしに、長い間にそれぞれの業界、関係者、そして国民精神にまで根付いているところでは、このさんざんやったことが決して芽生えておりません。農村にこういうものを造ればいいとか、地方都市にこんなものを造ればいいとか、多目的ホールを造れとか、もういろんなことをやりまして何十兆円、何百兆円掛けてまいりました。それが今日の赤字なんですが、この税制構造、この財政構造がある限り、容易に打破することができません。
 やはりここは首都機能を移転することによって、地方において知恵を創造する活動、情報発信や文化創造活動を根付かせる。ここはある文化の中心地、全部が東京じゃなしに、Aの文化はここ、Bの文化はあちらというような形ができるような、精神的あるいは産業構造、文化構造的なものを作らなければ、もう何ぼやってもこれはあかんと。だから、私は、首都機能の移転だけが財政を救うものになるだろうと考えております。
 最後に、ゼネコンのものになるんじゃないかということでございますが、ゼネコンは概して余り賛成ではございません。なぜかというと、これが安く付く、結果として公共事業を減らすことになるというのが分かってまいりましたので、余りゼネコンからは支持がございません。むしろ、東京都の方に支持が集まっておるようでございますけれども。
 それはやり方の問題で、先ほど申しましたように、あらゆる規制をなしにして、使用目的も規制をなしにして、世界の硬軟の文化、特に新しいコミュニティー作りの文化というものを誘導することによって私は単なる公共事業ではなしに文化改革の大事業とすることができるし、またそうしなければならないと思っています。
 どうも日本は、もう何をやっても公共事業だという感じがあります。私たちが日本万国博覧会をやったときも、最初に言われたのは公共事業で幾らということでございましたし、今度のサッカーワールドカップも最初に言われたのは、スタジアムは幾つできて公共事業は幾らということ、どうもそちらへ発想が行くのでございますけれども、この首都機能というのは単なる建物を造るとか道路を造るということとは全然違います。正に文明、文化を作ることですから、これがいったん始まったらこのことについての誤解は一遍に消えると思うんです。今、その誤解、公共事業だという誤解があることがこの議論を盛り上がらなくし、人々に賛同が得られない、ここが一番問題だと思うんで、是非福島先生にもこれは、公共事業、ゼネコンの事業だということだけはお忘れいただきたいと思っております。
#90
○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。
 堺屋先生には、私もこの委員会に所属して七年になりますが、何度も貴重な御意見を開陳いただきまして、本当にその都度感銘を覚えて聞かせていただいているわけでございます。
 今日は、いよいよ延々とやってきたこの国会等の移転も大詰めといいましょうか、もう最終局面だろうという共通の認識の下に、いわゆる賛成を、推進を代表する論客である堺屋先生、それから反対の急先鋒であられます東京都石原知事においでをいただいてこの委員会持っているわけでありますが、その反対の石原知事も、いわゆる災害対応力の強化、危機管理という点については、いろいろ話をしている中で御理解をいただいているように私どもは理解をしているんですね。なかなか、率直のところ、堺屋先生の熱いお話を聞いている中で、我々はもうもちろんそういう気持ちでおるんですが、残念ながら、国民の議論あるいは国会全体の中で盛り上がっているというふうにはなかなか理解しにくい状況にあります。
 そういうもろもろの状況をかんがみたときに、私はやっぱり、少なくとも東京というか南関東直下型の地震が近い将来来るであろうと。これは、いつ来るかというのは明らかではないにしても、そういう時期にどんどん近づいているということは、これはだれも否定し得ない一つの事実だろうというふうに思っておるんです。
 そういう中で、せめて、アメリカの同時多発テロ以降もですけれども、アメリカでは大統領も副大統領も常に同じ飛行機で移動したり、そんなことはしない。あるいは民間企業においても、コンピューターのバックアップ体制は少なくとも既に地方に分散して取られておると。我が日本国の中枢機能、これだけが無防備の状況に今あると。せめて、その全体の描く大きなビジョンは一つあったにしても、取り急ぎこの危機管理に対応するということに関してだけでも私は進めていったらいいんではないかと、このように思っている一人なんですね。
 そういう意味では、東京都も、七都県市というんでしょうかね、政令指定都市三市を含めてバックアップ体制の機能を拡充しようと、こういうふうなことも決められたようでありますが、ただ私は、この東京湾、この湾岸そのものが地質構造上埋立地にできているということからして、液状化現象なんというのは簡単に起き得る、そういう立地条件にあるということから見ますと、とてもやっぱり、知事の思いは分かるのでありますが、ここから出さずにここの周りで分散してやろうやということだろうというふうに思っておりますが、それではやっぱりちょっと危機管理に対応できないんではないかというふうに私は思っているんですね。
 そういう意味で、そのすべてが、一〇〇かゼロかという議論よりも、一つでもいいからこれはやっぱり進めていかなくちゃならぬと、そのための第一段階として、せめて危機管理に対応しようじゃないかと、この考え方に対して堺屋先生はどのようにお考えか。あわせて、東京都等がこの近隣で、例えば幕張メッセでやってもいいんじゃないかとかいろんなことを言っていますが、あるいは東京フォーラムを使ったらどうだとか言っていますが、とてもそういうことで私は対応できかねるんではないかと思いますが、先生の御意見はこれらに関していかがでしょうか。
#91
○参考人(堺屋太一君) 災害に対して、最近起こったのは神戸の阪神大震災でございますが、このときの経験からいたしますと、これは午前五時四十六分という大変不幸中の幸いな時間に起こったものですから死者は少なかったのでございますけれども、まず第一に、非常によく分かったことは、被害、被災を受けた人が救済者になるというのは非常に難しい。お宅がつぶれ、御家族が傷付いている人が全力を挙げて本当に救済できるかというと、やはり限界がある。これが一つの問題です。
 二番目は、いろんな対策が取られていたんですが、神戸、兵庫県も取っていたんですが、結局、十キロ以上離れたところからの通勤は不可能。道路が先に壊れますから、例えば幕張メッセまでどうやって行くんだということを考えますと、そう簡単ではございません。歩いていくということになりますとかなりの距離でございますから、ほとんど自動車は当てになりませんから、自転車ぐらいしか通れないような状態になると非常に困難です。
 それから、東京の場合、一番恐ろしいのは、この状態で、現在ただいまの状態でライフラインが止まりますと、この千代田区、中央区、港区にいる人はどうやって帰るか。これはなかなか帰れませんから、これに食料を供給するだけでも大変です。そうすると、いったん帰った人がまた出勤すると、次の日帰れませんからどうするのかというような恐ろしい状態が起こります。したがって、東京の影響圏、地盤的、地震災害の影響圏にあるところに分散するというのはほとんど意味がないことだと思います。かつても、立川にそういうものを造ろうとかいうような試みがありました。それはほとんど意味がないと思います。
 また、ソフトウエアを伴わない、施設だけ造るというのは非常に困難です。例えば、兵庫県の例でもそうですが、実際の活動をしようといたしますと、通常動いている組織、例えば一つの局でございますと、局があって部長がいて課長がいて係長がいて係員がいる、こういう系列が少なくとも六割、七割移動してくれないと、局長がいて課長がいないという状態ではなかなか動きません。そうすると、あらゆるものがそうですが、常に活動しているソフトウエアを伴った機能を移さなきゃいけない。これが大事なところなんですね。
 だから、何かどこか東京から離れたところにビルみたいなものを建てましてコンピューターを置いておいたら役に立つかというと、それは全然、まあデータが失われないという保存的な意味はございますけれども、そこへ移動してということになりますと、移動する人が何日で移動できるのか、どういう状態で集まるのか、それはどんな活動に次に入って、ということがほとんど不可能なんですね。したがって、地震対応ということになりますと、それにふさわしいやはり機能を持ったものを移さなきゃいけない。そうなりますと、もう首都機能そのものが縮小した形で必要な部分だけまず移転して、そして、文化、情報の発信機能を持つということが自然ではないか、いいんではないかと思います。
 よく言われるんですが、兵庫県の場合もそうなんですけれども、県庁に自動発電機があり、その自動発電機のために冷やす水をプールに入れて万全だと思っていたら、先にプールが壊れたものですから、一時間自動発電すると焼け切れちゃったんですね。そういうことは全く予想されていなかったんです。プールの水が先に地盤割れでなくなるとは思っていなかったものですから、全部発信機能の不能になったんですけれども、そういう災害がこの東京の規模で起こりましたら、政府は救済活動がほとんど不可能だろうと。
 各省のお役人を見ましても、二十キロ以上の通勤者が非常に多いものですから、それが三割、四割抜けますと組織としては機能できません。そういう状態で、じゃ三十キロ、四十キロ離れたところにどうやって移動するのか。それをどうやって通知するのか、どうやって組織するのかというと、それだけでもう何十日も掛かってしまいますから、とても都民の生活が保てなくなるという問題があります。したがって、やはりこの生きた機能としての移転ということが不可欠だろうと考えております。
#92
○谷博之君 民主党の谷博之でございます。時間が迫っていますから、やはり簡潔にお伺いしたいと思っております。
 先ほどからお話を聞かしていただきまして、特に、私最近、具体的には三月の十三日に堺屋参考人が講演をされている講演の実は内容をちょっと手元に持っているんですが、その講演の結論として、移転先はどこへというふうな結論の部分がありまして、その中に、簡単に要約しますと、首都機能が移転するとどういう効果があるかということで、日本の本当の改革の仕上げができて多様な文化が生まれる、それから二つ目に、コストが安く付いていく、それから三つ目に、情報によって人と人がつながる社会が作れる、こういうふうなことで、しかも、それは日本国じゅうが公平にそういう状態に、そしてまた、世界じゅうのどことも情報が分かるようになると。こんなようなことで、首都機能の移転による効果というか、そういう目的をうたっているわけですね。そのことが具体的に論理立てができて、そして、そこからまた移転の必要性とそのあるべき場所というものがおのずと決まってくるのではないかと、こんなようなことで堺屋参考人は結論を位置付けておられる。
 ここのところが逆にあいまいになってしまうと、東京から便利なところがいいとかあるいは東京の出先を作ればいいと、こういう発想になってしまうんだと、こういうことを御意見として出されておりますが、移転先はどこへというのは、これは国会で決める話ですから、あくまでこれは参考としてお聞かせいただきたいんですが、こういう議論が進んでいくと、先ほども説明ありましたように、じゃ一か所に移転するかあるいは二か所にしてそれぞれ機能別に移転先を決めるか、いろいろあるにしても、いわゆる今までの手順でいくと、三候補地を一か所に絞ってその次に東京との比較考量をするという部分がありますね。そういう堺屋参考人の話でいきますと、東京との比較考量がもう何かなくてもそちらの方に行くのが筋なんだと、こういうふうな考え方にも聞こえるんですが、そこのところの手順はどのように考えておられますかね。
#93
○参考人(堺屋太一君) 東京との比較ということは非常に重要だと思うんですけれども、まず、現状について正確な認識が必要だろうと思います。
 この現在の日本がいかにして地域構造を形成してきたか、このことは正確に御認識いただきたいと思っています。そしてその上で、現在の地域構造を続けるべきか、あるいは新しい地域構造を作るべきか、こういう議論を正確にしていただきますと、東京との比較ということもおのずから正しい結論が出るんじゃないか。もちろん、選ばれた場所によりまして、東京との比較がいいか悪いか、それは変わるかもしれません。先ほども申しましたように、余りにも東京に依存するということになりますと、これは余り効果がないという結論が出るかもしれません。
 したがって、場所と同時にそれの作り方、それの機能の生み方、そういうことも重要でございまして、空間的な場所だけじゃなしに、そこに作られる機能、あるいはそれを形成していく思想、そうしたものが東京との比較の上で非常に重要になってくるんじゃないか、こういう具合に思っています。
 そのときに、また同時に、規模の問題あるいはそこに置かれる、比較するところに置かれる、これが、この部分がここへ行くんだというような状況とも関係がするので、できれば比較という前にそういった機能の問題、思想の問題、それから運用方法の基本的マニュアルの問題というようなものも院として、国会としてお考えいただければ幸いかと思っています。
#94
○沓掛哲男君 今、堺屋先生から大変有益なお話を聞き、また文明史等のお話を聞いたんですけれども、平安京ができたり、あるいはまた鎌倉幕府ができたり江戸に幕府ができたりというのは、そういう今先生のおっしゃったいろんなことを考えてやったというよりも、強力な権力者が出てきて、そしてそれが、いろいろ移転するという、そういうようなことでワンマン的な力で恐らく出てきたんじゃないかなというふうに思います。
 そこで、先生、今現実の問題として、大量生産社会からこれから知価社会へ移っていく、そのときにおいて官僚が主導的な立場をある程度弱めていく。私は、官僚、そんな悪い悪いとは思わない。半分は先生のおっしゃったとおり悪い点もあるけれども、半分はいい面もあると私は思っている。先生も、もちろん官僚の出身ですからそう思っておられると思います。
 ただ、この効果が出るのは、今またそういう首都が移ってからですから、今どこへ移転させようとしても、恐らく、実際そこへ動いて、そしてソフト的にも、ハードができてソフト的にも機能するには恐らく二十年近くが要るんだろう。このいろんなものでも十五年以上と書いてありますが、二十年ということになると、今現実の、先生のおっしゃった官僚主導的なのをある程度弱めて云々というのとはもっとずっと先の先の話になってしまうので、先生のおっしゃったこの文明論というのは、私は、ある程度知識層には非常に分かるし、まあある程度と思うんですが、何といっても移転は、民主主義社会ですから国民の大部分に理解していただく、そのためにはもう少し、今、肌で感じる痛み、そういうようなものの話がいろいろないとなかなか持ち上がってこないんじゃないかな。特に、東京都におる人たちが、自分らがこういう痛みがある、そのためにはもう少しこうしてほしい、そういう沸き上がるような声が出てくることが、私は、これがうまくいく上において是非必要だというふうに思います。
 そういう点では、一番身近なものとしては、やっぱりこの一極集中の弊害。これは、三十七年に全国総合開発計画が第一次できたときも、堺屋さん、そのころいろいろあれだったと思いますが、できたときでも、もう既に首都圏においては集中の利益がもう駄目で、いわゆる過密の弊害が出ているというそういう中で、官庁、各省庁挙げてこの対策を取り組んできたんですけれども、どうしても、当初から言われていたやっぱり住宅不備の問題、中央、千代田、この地域に集まってくる人たちでも、一時間半以上通勤に掛かっている人が二五%もいるという、もう非常に問題な、一時間半通勤というのは大変です。私も、役人時代に船橋から一時間半で来たり行ったりしていたんだけれども、本当に、非常に大変なことです。
 それから交通渋滞は、私が説明するまでもなく、もう全然、いわゆる東京都の場合は八本の高速道路が都心に入ってくるんですよ。そしてそれが、こちらから来た人がこっちへ行くためにはこの首都高速の小さなところをみんな通るんですよ。それをなくするために、さっき石原さんもおっしゃったように二つの環状、外環状道路、首都圏中央連絡道路をやっているけれども、それがなかなか遅々として進まない。これから進むかといえば、なかなか難しい。
 そして正に、今、国井さんおっしゃられたような、いわゆる災害に対する弱い、脆弱な対応。関東震災的なものの災害が起きただけでも二十万人ぐらいの人が死傷を受け、十万人ぐらいは死ぬという結論。東京都でも十七万と言っているんだし、実際はもっと大きなことになるんですから。
 そういうことに対する、この三十年、何十年一生懸命やってきたけれども、かえって悪くなる一方なんで、もうここではやっぱり限界が来ている、これよりももう少し新しい展望を開いていくということが是非必要じゃないか。私は、特に反対する人に聞きたいんだし今も聞いているんだけれども、じゃ、あなた、このままで二十年も三十年も東京都これでいいんですか、五十年先もこれでいいんですかというと、大抵みんな、ううんと言われるんですけれども、まあそれまで生きていないということもあるんでしょうけれども。
 そういう状況ですから、やっぱり何らか、今先生のおっしゃったような高邁なお話と現実的な痛いお話、そういうものを合わせながら、やっぱり今はどこかにとの思い、期待というのは、私もそういう気持ちなんです。これからの新しいいろいろ時代に、ハブ空港やハブ港湾その他もいろいろあると思います。そういうことをやっていく上においてもそういうものが必要だなというふうに思います。
 ただ、私、さっき先生おっしゃったように、いろいろないい点もおっしゃられるんだけれども、でも、仮に東京からどこかへそういう一つが移ったからといって、そんなにすぐまた、わっという効果が出てくるのかな。それが実際動くのが二十年も先だとすると、余りこの現下のそういう話ばかりよりも、もう少し何かこういう、今、東京都ではもう痛みでおれない、何とかしなきゃいけないとか、何かそういう話も混ぜながらやっていただいた方が分かりやすいようにも思うんですが、いかがでしょうか。
#95
○参考人(堺屋太一君) 仰せのとおりでございまして、二十年といえばはるかに先のような気がいたします。
 私は、一九八〇年にサッチャーさんが香港を十八年先に返すと言ったときに物すごい先だと思ったし、また、先だと思った人が多かったから抵抗なく受け入れられたんだと思うんですね。けれども、たってみればあっという間でございました。しかも、その間にじっとしていたんじゃなしに、どんどん変わりました。
 もし首都機能の移転が本当に決まれば、今、皆さんの間で、国民の間で議論が盛り上がらない、国会でさえも盛り上がらないなんというのは、首都機能が本当に移転すると思っていない。半信半疑という言葉がありますが、私は三信七疑だと、疑いの方が七割ではないかと思っておりますけれども、これが本当に動くとなりますと、それに対して相当のやはり行動が起こります。各企業でも首都機能が移ったらうちはどうするかという議論が起こるでしょうし、学校でも大学でもそういったテーマが論じられてくるようになる。したがって、これが決定すれば世の中はその瞬間から大きく変わるだろうと思います。
 それで、まず地方の人々、地方の人々に是非申し上げたいのは、やはり首都機能が移転することによってあなた方も、北海道の人も九州の人も四国の人も、それぞれに知恵の値打ちを出す産業が来るんだよ、知恵の出す余地が来るんだよ、東京から、中央から流れてくる知性と資金と人材じゃなしに新しいものが生まれる、そういう余地ができるんだよ。これがいかにいいことか、繁栄と楽しみを生むことかということを知ってもらいたいと思うんです。長い間に日本では、中央官庁に陳情することが繁栄の道だということになってしまいました。自分で考えようという習慣がなくなってしまった。だから、これからはそれぞれの地域が、あなた方が思うようにできる、そういう形になる。
 そのためには、現在の税制も、固定資産税依存の重厚長大呼ばないと地方に落ちないということも変えていかなきゃいけない。これは、首都機能が移転するまでの十年間、次々と研究すべき問題として提起できると思うんです。あるいは地方大学の問題でも、東京にすべての最高の研究があるんじゃなしに、それぞれの地域が、自分のところはこれで行こうという特色を出す、格差をなくするんじゃなしに、特色を出す文化に変わるんだよと、こういうことが必要だと思います。
 次に、東京の人には、東京が本当に都民の、東京に住んでいる人の町になるということだと思うんですね。これは、今、東京は中央、首都でありまして、住民の自治よりも首都の感覚が非常に強くなっています。そういったものを東京都民が東京を作ると、この意識を持ってもらいたいと思うんですね。
 東京改革案、石原知事もおっしゃったように圏央道を造るとかいろいろありますが、一体あれはいつ着工されたのかなと見ますと、数十年前に着工された話ばかりなんですよ。専門家に聞きますと、今世紀中、二十一世紀中にできるかどうか疑わしいような話が多くございまして、どんなに安く言う人でも東京改革にはやはり百七十兆円ぐらい掛かると。首都機能移転の何十倍もお金が掛かり、しかも二十年どころかもっと長い期間掛かる。環状道路なんかでも、一番早いのは昭和九年、私が生まれる前年にできて、まだ完成していないのもあります。
 そういうような現実を見ると、東京改造というのはなかなか首都機能がある限り難しい、これを首都機能はなくして、この中央を楽しみ特区か経済特区にして、この地域に世界的な機能を呼ぶということになりますと、人材も発想もがらりと変わると思うんですね。
 そういう二十一世紀の世界都市に東京をするという、東京の人々自身が大きな夢を持って東京を新しい町にするんだということを考えていただければ大いに進行すると思います。そういう議論になっていない、まだなかなか理解されないで新しい公共事業を追加するように思っている人、またそのような論説が多いことが誠に残念だと思っております。
#96
○和田ひろ子君 質疑ではないんですが、何かいつも私、最後の一分くらいで終わんなくちゃいけなくて残念なんですけれども、やっぱりこの首都機能、国会等移転の議論が、今だんだん結論を出す時期だということが大変不幸な時期だというふうに思います。それはなぜなら、計画されたときは大変社会事情も良かった、経済事情も良かった、今こんな疲弊しているときに何でということなのでとても残念なんですけれども、今ここでまたやめてしまっては何にもならないんですね。先生おっしゃるように、百年の大計であり、完成するのは二十年後、三十年後だとするとすれば、もうここで絶対に議論をやめないで、この議論をきちんと続けていくことこそが大切なことだというふうに思っています。
 公共事業ではない、一極集中を是正する、そしてさっき石原さんがおっしゃいましたけれども、熊本のこの間の地震で、阪神大震災と同じマグニチュードだったのに死者が全然なかったんだよ──鳥取か、なかったんだよなというふうにおっしゃいました。本当にそうなんです。今この大深度法ができて、東京都を二重に三重に掘っていったらもう大変なことになるということをきちんと言わなければいけないというふうに思っています。
 そして、国民の合意が得られていないというのが、これが大きな問題になりますが、私たち国会議員は国民の代表であるということを忘れないで、国民の代表である私たちが決めて、これはもう絶対にいいことだというふうに思います。そんなことを言ったら、国会で審議されていること全部国民が知っているかというと本当に疑問であるんですけれども、私たちは、国会議員は国民から選ばれて、国民の意見を代表して言って、十分に議論を尽くしてやっていくことを私たちがやっていきたいというふうに思いますので、堺屋先生もどうぞ、いろんな易しい言葉で、沓掛先生がおっしゃいましたように、そういういろんな議論を加えながら、是非国民の御理解を得られるような、いろんなところで発表していただきたいと思います。
#97
○参考人(堺屋太一君) ありがとうございます。
 この国会の議論が、どの問題でも国民的話題になるのはマスコミを通じてです。マスコミは事件にならないとなかなか取り上げてくれません。したがって、すべての法案の議論はもう最後の本会議にかかるというようなときになって初めて事件なんですね。それからマスコミが報道するから、もう国会と先生方には議論し尽くしたころになってようやく出てくる。この首都機能の移転の問題も、ようやく大詰めになって少しは関心が出てきたかなという程度で、まだほとんどテレビ番組にも取り上げられておりません。これがもしどこかに決まったということになりますと、十年間議論していただいたにもかかわらず密室で決められたというのはもう目に見えております。
 したがって、私といたしましては、更に議論を続けるとともに、何らかの形で国会が一つのやり方、決め方でもいいと思うんですが、一つの方法を出されて、そしてこれから国民的な議論を呼んで、理解を得た上でできるような、そういう方式をお考えいただきたいと思っております。今の状態でどういう決め方をしても必ず国民の知らないところで決まったという批判が出ると思いますので、やはり国民的な議論を呼ぶようなきっかけをまず作って、そして幾らかの時間的余裕を取って全国民的な議論を広げるような方法が取れれば有り難いと思っております。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#98
○委員長(西川きよし君) ありがとうございました。
 堺屋参考人に対する質疑はこれで終了させていただきます。
 この際、参考人に一言御礼を申し上げます。
 堺屋参考人におかれましては、大変お忙しい中、スケジュールを調整していただきましてお越しいただいたこと、深く感謝いたします。また、質疑に対しましても懇切丁寧にお答えをいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 それでは、本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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