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2002/03/28 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
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2002/03/28 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号

#1
第154回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
平成十四年三月二十八日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 雄平君
    理 事
                中川 義雄君
                脇  雅史君
                海野  徹君
                渡辺 孝男君
    委 員
                後藤 博子君
                佐藤 泰三君
                伊達 忠一君
                仲道 俊哉君
                西田 吉宏君
                西銘順志郎君
                日出 英輔君
                森田 次夫君
                岩本  司君
                佐藤 泰介君
                遠山 清彦君
                紙  智子君
                小泉 親司君
                島袋 宗康君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        鴫谷  潤君
   参考人
       琉球大学名誉教
       授
       放送大学沖縄学
       習センター所長  尚  弘子君
       九州大学大学院
       法学研究院助教
       授        前泊 博盛君
       環境運動家
       沖縄県高等学校
       障害児学校教職
       員組合教文部長  前川 盛治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○沖縄振興特別措置法案(内閣提出、衆議院送付
 )
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤雄平君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 沖縄振興特別措置法案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として琉球大学名誉教授・放送大学沖縄学習センター所長尚弘子君、九州大学大学院法学研究院助教授前泊博盛君及び環境運動家・沖縄県高等学校障害児学校教職員組合教文部長前川盛治君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆さんから忌憚のない御意見を賜り、本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の方々からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず、尚参考人からお願いいたします。尚参考人。
#3
○参考人(尚弘子君) ただいま御紹介いただきました放送大学の尚弘子でございます。
 沖縄及び北方問題に関する特別委員会の佐藤委員長を始め委員の先生方には、沖縄のための法案作りに御尽力くださいまして、心から感謝申し上げたいと存じます。
 本日は、与えられました時間の中で三点について述べたいと存じます。
 まず一点でございますけれども、沖縄の基幹産業としての観光の振興についてでございます。
 従来の典型的な観光のパターンですと、パック旅行で旅行会社の主導的なオファーによる、どちらかというと、二泊三日若しくは三泊四日というようなタイプのものでございました。しかし、近年の観光客は、目的意識をしっかり持った、いわゆる家族中心か仲間同士といった小さなグループによる形に変わってまいっております。名所旧跡や観光ガイドの説明を聞くというよりも、いわゆる受動的なものではなくて、自身でガイドブックから選び、家族、仲間で楽しむという自動的といいましょうか、むしろ自主的な内容となってまいりました。
 今後の観光の在り方についての希望でございますけれども、入り込み客数というのももちろん大切ではございましょうけれども、沖縄の地理的・地域特性を生かしました多様化したメニューを提供する観光形態というのが重要ではないかと思うんです。いわゆる質の向上というのを私どもは目指さなければいけないのではないかというふうに感じております。特に、沖縄は世界的に長寿地域として知られておりますし、沖縄の伝統文化はいやしの文化とも言われております。これらの精神的な面と健康・食文化、ウエルネスというものの融合を実現できるような観光産業にするべきではないかというふうに考えております。
 実は、私、先月、二月にベトナムへ参りましたけれども、沖縄を立ちまして羽田、羽田から成田、そして成田から沖縄の上空を大体、沖縄を立ってから八時間か九時間後に上空を飛びましてベトナムへ参りました。そのときに、帰りももちろんそうでございますけれども、たまたま日本の航空会社、機材に飛ばせていただいたということもございますけれども、やはり沖縄の場合は、一番南の玄関といいますか、南の国々に近いという点からいたしましても、是非、那覇空港の沖合展開ということが一刻も早く実現すればなということをつくづく感じた次第でございます。
 特に、先ほど申し上げましたように、沖縄の不利性よりも有利性を生かしたという形で、例えば保養、療養の基地としての沖縄の在り方とか、それから、現在やっておりますタラソ、それからマリンセラピーというのを、私も日本ウエルネス協会の理事をしておりまして、ドルフィン、イルカを使いましたセラピーなども現在行っております。それから、沖縄の食文化を生かしましたダイエットセラピーとか、そういうふうないやしの島としての特徴が観光の中で、観光産業を振興する意味で取り上げられたらというふうに考えております。
 二点目でございますけれども、人材育成についてでございます。
 資源の乏しい沖縄にとりましては、人材育成ということは極めて重要ではないかと思うんです。人材育成への投資ほど確実な投資はないのではないかというふうに感じますけれども、最近、新聞等で大学院大学についての計画を知りまして、大きな期待と夢、感動を覚えているところでございます。
 その中で、願わくば、沖縄ならではの特化した内容に持っていっていただければ有り難いと思うんですけれども、二十一世紀は、私、栄養生化学が専門でございまして、特に東洋医学、いわゆる漢方というのが重要視されてくるのではないかと推察いたします。
 私は、一九五二年にアメリカへ留学いたしました。当時、もう終戦直後の本当に物心ともに貧しかった時代でございますけれども、アメリカでは、今では使っていない言葉ですけれども、低開発国だとかを対象といたしましたたんぱく質栄養の研究というのが盛んでございました。それに続きましてビタミン時代、そしてミネラル時代と移ってきまして、今はフリーラジカルといいましょうか、抗酸化物質の研究に相当世界じゅうが注目をしております。
 そういう意味からいたしましても、沖縄は、薬草の宝庫と言われておりますし、地理的にも温帯の南限、そして熱帯の北限という、世界でも特異な地理的状況にございますし、是非、沖縄を本拠地としたITを駆使した形のバイオテクノロジーの研究が世界に発信できたらというふうに考えております。長寿の地からその最先端の高度な技術、知識というのが発信できるような、大学院大学の内容に是非加えていただきたいというふうに存じます。
 三点目でございますけれども、現在、国立高専、高等専門学校の準備が進みつつありまして、私も委員の一人に加えていただいておりますけれども、研究者の中には、学者さんの中には、従来の高専を踏襲するようなものであってはならないと、何で今更というふうなことを耳にしたりしまして、いや、これだけ前向きに私たちやっているけれどもということを申し上げたことがございます。
 せっかくこれから、二十一世紀になって作るわけでございますので、是非、沖縄型と申しましょうか、国際化時代にふさわしい、南の国々に開かれた、思い切った形の高専にしていただきたいというふうに願っております。
 例えば、今、文部科学省でも、一クラスの人数を減らす、その研究校を作って少人数クラス等をもう既にスタートをしておりますけれども、沖縄の高専の場合には、最初からその少人数クラスだとか、可能であればそういう形、そしてさらには、南の国々、発展途上国もたくさんございますし、沖縄と地理的、気候的なとか共通点を持つ国々もございますので、そういうふうな国々から推薦学生を受け入れるというような、国際化時代の特化した形というものができれば大変すばらしいのではないかなというふうに考えております。
 私自身、現在、放送大学に勤務いたしておりまして、全国一斉に同じものが学べると、いつでもどこでもだれでもが学べるという形のシステムでございまして、そういうふうな、本当に日本じゅうの者が人材の育成のために一つに向かって学べる体制というのが高専の中にも取り入れていただけたらすばらしいなというふうに考えております。
 そういう意味からも、本日は、人材育成、それから観光の振興という意味で、特に長寿をキーワードとしたことにつきまして希望を述べさせていただきました。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(佐藤雄平君) ありがとうございました。
 次に、前泊参考人にお願いいたします。前泊参考人。
#5
○参考人(前泊博盛君) よろしくお願いいたします。
 ただいま九州大学の方で教鞭を執らせていただいておりますが、沖縄の振興開発についてもう研究をして十五年ぐらいになりますけれども、その中から、皆様、先生方にたくさんの法案を作っていただきまして、この三十年間、ちょうど節目を迎えますけれども、その中で沖縄の振興開発がどのように進み、そして今どのような課題を抱えているのかといった辺りをここで少しまとめた形で御報告をして、そして皆様からまた改めてアドバイスをいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 この三十年間を振り返りましたときに、復帰の年、私はまだ小学生だったんですけれども、ドルから円に変わると、それから基地というものを抱えたその中で基本的な人権といったものがなかなか保障されにくいという環境、そういったものの中から基本的人権を保障してもらえる日本国憲法の下に行こうという、そういった熱い思いが、父親や母親や周囲の大人たちからの熱い思いを聞かされた覚えがあります。その思いを持って本土に復帰をしたのが三十年前の五月十五日であります。
 そして、三十年たって、今沖縄がどのような状況にあるのか。
 振興開発計画が始まりまして三十年、この間に公共事業費、いわゆる振興開発事業費だけでも六兆七千億円、それから全省庁を入れると十一兆円余りの予算が投入をされてきました。その中で目指されたものは何だったのか。それは、振興開発においては、本土との格差を是正する、それからもう一つの柱が自立的発展の基礎条件の整備、それから三次振計から加わりました特色ある地域としての沖縄の整備を通して日本全体に貢献できる沖縄にしていこうという形で進んできました。
 実際に、その六兆七千億円投下されました国庫によりまして、人口当たりの道路の普及率、整備率、これは、格差で見ますと、一九七〇年復帰当時は四六・四%、本土の水準の四六・四%にすぎなかったものが今六二・四%、これは九九年度の数字ですけれども。それから、面積当たりでも七〇・四%が一〇七%と、いわゆる本土との格差を是正をするどころか上回る部分も一部は出てきています。下水道の整備率も八九・二%から九一・七%、それから、ごみの焼却処理についても四四・三%から八七・二%、農業に至っても、基盤整備が遅れていると言われた部分、この九・七%しかなかった本土との格差、それが八三%まで追い付いてきました。医療についても、医者の、ベッド数も含めて整備率が高まりまして、本土との格差二九・五%から今一〇六%と、かなりの社会資本の整備を終えています。
 その中で、一番最も沖縄県民が望んでいる形といったもの、あるいは政府自らも目標としてきたものが恐らく自立経済というキーワードであったと思います。沖縄が、財政に依存しない、それから基地経済に依存をしない、そういう自立的な経済を営めるようにということでこの六兆七千億円が投下され、沖縄振興開発特別措置法といったものの中で、あるいは復帰特別措置法の中でかなりの手厚い政策を展開をされたということになっています。
 ところが、実際に現実はいかがかということになりますと、この自立経済を達成するための製造業といったもの、これは中城湾に進んでいます埋立て、中城湾の中城湾工業団地、それからその前の糸満の工業団地、そこにいかなる新しい産業が立地をしてきたのか、あるいは、そこでの製造業といったものがどういう形で展開をされてきたのか。願ってやまない自立経済のための内発的エンジンと言われているこの部分で、少し目標としたものの達成が遅れているような気がいたします。
 産業構成というものを見ますと、復帰前に、一次産業でいいますと七・三%ありました沖縄の総生産に占める構成比ですけれども、これが九九年度には二・三%と、いわゆる農業の振興を政府が目標として打ち上げたにもかかわらず、比率的には残念ながら三分の一程度まで低下をしてしまっている。
 二次産業についても、復帰時の二七・九%が一七・六%という数字になっております。これは、全国ももちろん比率を下げております。産業の空洞化の問題は日本全体の問題でもありますけれども、日本全体も、七二年当時四三・六%から二九・三%に下がっております。
 ただ、沖縄県の場合、これだけの産業インフラを整備し、政府の特別な政策、いわゆる投資減税でありますとかあるいは法人税の減免措置とか、そういったものを、この委員会の先生方からいただいた様々な産業振興策を展開してきたにもかかわらず、製造業については、復帰時に、まだ振興開発計画が始まる前の状態で一〇・九%ありました。これが、現在、九九年度の段階では五・七%という数字になっております。
 製造業の振興をうたったこの振興開発計画がなぜ製造業の半減という形になってしまっているのか、この辺りが恐らく次なる振計の目標の課題にはなるかと思います。
 半面、増えましたのは、製造業の減り具合に対して若干減りは少しは抑えられてはおりますけれども、建設業、これは一六・四%から一一・四%、これも若干は減っております。しかし、二次産業全体の減りを支えるという部分では、この建設業といったものが今沖縄の経済の屋台骨にもなっている部分だと思います。これは、正に公共事業といったものが手厚く投資されてきたそのことによって支えられている産業と言えるかと思います。
 今、正に三次振計が終わりまして次なる振興開発計画の策定を進めていこうという沖縄県でありますけれども、その三次振計の目標といったものを、十年前にこの委員会の中からも出てきたかと思います。その中で、やはり産業構造の問題、それから県内総生産の目標値、総人口、労働力人口の増加も含めて、目標値が掲げられておりました。
 その総人口、これは、三次振計の目標は百三十万人を超えるという目標でありました。実際、これは見事に達成をいたしまして、百三十二万九千人というのが二〇〇一年の沖縄県人口であります。労働力人口も、六十五万人、これは若干数は少ないんですが、二〇〇〇年段階では六十二万人という数字になっております。
 産業構造でいえば、一次産業は八%の水準を目標といたしましたけれども、これは六・九%ということで若干落ちております。二次産業についても二〇%の目標に対して一九・五%ということで、若干の不足でありますけれども、三次産業については七二%程度の産業構造であるということだったんですが、八三・七%ということで、サービス業、サービス産業に特化した形の産業構造が作られているということが言えるかと思います。
 県内総生産については四兆九千億円という目標が掲げられました。しかし、二〇〇一年の見通しでありますけれども、これは三兆七千七百億円ということで、約一兆二千億円ほどの目標値との乖離が生じております。
 大きな格差是正論といったものがこの三十年間の目標にはなってきたわけですけれども、社会インフラの面につきましてはかなりの部分で目標を達成していただいている部分もあります。しかし、その産業インフラの整備が目標とした製造業、自立経済に向けた産業の育成という部分での課題をどうしていかなければならないのか、そこが大きな課題であります。
 それから、高率補助という形で沖縄に特別な産業インフラのための財政措置をいただいております。これによって社会資本の整備は進んだんですが、一方で、財政依存度といったものがかなり高まりました。沖縄県経済の自立化という一つの目安になる部分ですけれども、基地依存度といったものは、復帰前の一五%程度から今五・六%、正確な数字は後ほど触れますけれども、三分の一程度に基地の依存度は落ちている。ところが、財政依存度の方は二三・五%から、復帰時の、現在三三・一%ということで、財政依存度が高まっている。こういった問題が自立経済と逆行している部分の課題と言えるかと思います。
 それから、インフラ重視という部分で社会資本の整備に重点を置いてきたために建設業といったものが肥大化をしてしまった。それから、農業に至っても、農業生産高よりむしろ農業土木の部分で、構造改善事業といった形での投資額、そのことの方が実は生産額を上回るといった逆転現象も起こってしまっている。産業振興策、本当にこれは効果を上げたのだろうかといった疑問の声も県内では上がっているということを是非先生方にもお伝えをしたいと思っています。
 この中で、また新しい振興開発計画に向けた三つの理念が挙がっています。
 一つは、選択と集中という言葉であります。今、日本財政も厳しくなっている。その中で、限られた資源を集中的に伸びていく産業に投下をすることによって新しい産業を育てていこうというコンセプトが次なる振計の柱として出されています。
 それからもう一つは、参画と責任。正に自立経済のための、沖縄県の県民の自立的な活力を期待をしたいという思いがこの中に入っているかと思います。
 それから、連携と交流。日本のみならずアジアに開かれた沖縄として、アジアの人たちとの交流、産業交流も含めた理念が掲げられているかと思います。
 この辺りの理念、このプラスを、じゃ、どのように作っていくのか、県民の知恵が今試されているかと思います。
 ただ、一方で、参画と責任という部分で、沖縄県民に対して、このような産業振興に失敗したときに、政府が沖縄県の努力が足りなかったんだというふうな切捨ての論理にはならないことを祈りたいと思っています。
 また、詳細については、質問がございましたらその中でもお答えをしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#6
○委員長(佐藤雄平君) ありがとうございました。
 次に、前川参考人にお願いいたします。前川参考人。
#7
○参考人(前川盛治君) 前川盛治といいます。環境運動家、沖縄県高等学校障害児学校教職員組合の教文部長をしております。
 意見を述べます。
 三月で期限切れになる沖縄振興開発特別措置法に代わる沖縄振興特別措置法、以下、新法と言わさせていただきます。新法が今審議されています。
 この新法は、沖縄の自立的発展に資するとか、それから施策の配慮として、沖縄の地理的、自然的特性を考慮する、あるいは環境保全に努める等としており、大いに評価できるものです。
 また、観光振興計画の中に、環境保全型自然体験活動の推進に関する基本的な方針というのが入っております。また、具体的に保全利用協定等も明記されています。これらのことは、政府として初めて法制化するものであり、全国で事例がない、沖縄がこの種の制度を導入した第一号になると言われています。
 沖縄県では、西表島あるいは東村、北部ですね、それから名護市、それから沖縄市の泡瀬干潟、そういうところで県内の豊かな自然環境を生かし普及活動に取り組んでおり、推進規定の法整備で弾みが付いてくる、あるいは環境保全、観光の資質の向上になると歓迎の声も大きいです。
 二〇〇二年一月、沖縄市で行われた「渚のエコツーリズムと地域振興」というシンポジウムがありましたけれども、そこでも、放送大学教授の濱田隆士さん、あるいは国立民族学博物館教授の秋道智彌さん、南伊豆海洋生物研究所の相生啓子さん等が沖縄市泡瀬での体験型ツーリズムを提案をしています。
 このエコツーリズム、いわゆる環境保全型自然体験活動、このエコツーリズムは沖縄観光の質的な発展であると思っています。これからの沖縄観光の目玉になると非常に期待をしております。
 ところで、沖縄復帰後、これまで三次、三十年にわたる振興計画で莫大な国家予算、先ほど前泊参考人も述べておりました、約七兆円が投入されてきました。これらは、沖縄の特殊事情にかんがみということで、過重な基地負担による沖縄振興の遅れを取り戻すために行われてきました。それらは、基地依存からの脱却あるいは自立型経済の発展を目標に取り組まれてきましたが、これまで、そのことが実現されたとは言い難いものがあります。詳しくは、先ほど前泊参考人が述べましたので、その辺は割愛しますが、要するに、公共事業を中心とする建設業が比重を増してきて、土木建築県沖縄県になるのではないのかという指摘もあります。現に、公有水面の埋立ての増加率は、沖縄県は全国一になっております。
 新法の施行によって、国への財政依存あるいは公共工事依存あるいは基地依存による振興、そういう沖縄県になりはしないのかと非常に懸念をしております。そういう懸念が払拭されて、この新法の成立、施行によって、基地経済からの脱却、あるいは沖縄の自立経済の振興、あるいは中小企業、地場産業の育成、それから亜熱帯気候を活用した農林水産業の振興、それから環境保全、エコツーリズムを取り入れた新たな観光の振興等が実現することを強く望むものです。
 さきに述べたいわゆる環境保全型自然体験活動、こういう動きと並行して国、環境省は、沖縄県の中城湾泡瀬干潟などを重要湿地に選定して、その保全を図るために保全地域化を進めていくとしています。
 それから、政府は新生物多様性国家戦略を発表しています。これによりますと、湿原、河川、干潟、それから藻場、海の藻場、それから里山、森林などを対象に再生、修復の手だてをするとしています。こういう動きは世界的な動きです。オランダとかアメリカでも今そういう動きが活発になっています。自然環境を保全するあるいは復元する、そういう世界的な潮流に今の動きはあります。そういう動きは積極的に推進をしてほしいと思っています。
 それから、国連の環境計画、これが沖縄周辺のジュゴンの保護を訴えて報告書を出しています。
 ジュゴンは沖縄近海で数頭生息しています。辺野古沿岸に主に生息をしていますが、そこへの基地建設でジュゴンの絶滅が危惧されています。環境省は、今、本格的な調査を始めています。中城湾の泡瀬干潟、その近海でも目撃例があります。そこは海草藻場が非常に発達をしている場所です。そういうことで、泡瀬近海での詳細な調査も是非やってほしいと考えています。
 それから、沖縄周辺は貴重な生物が最も多くすむサンゴ礁である。これは前から分かっていますが、アメリカとかカナダとか、カリフォルニア、そういう学者からも指摘されています。特に、今、泡瀬干潟、移植実験が行われていますけれども、この移植先、ここも非常にサンゴが発達をしている海草藻場と群生をしています。非常に貴重な場所です。
 今まで述べたように、この自然環境を保全する取組、これは全世界的な流れです。そして、日本国民の世論でもあります。豊かな自然を未来に残す、これは非常に大事な仕事です。自然と共生していく、そしてエコツーリズムを活用していく、そういうことは非常に大事なことと考えています。今述べたことは、沖縄振興特別措置法の趣旨に合致するものです。
 そういうことで、沖縄は東洋のガラパゴスと言われるほど非常に貴重な場所です。いろんな動植物が生息をしています。そういう豊かな沖縄を、自然を残す、そうして初めて振興の、いわゆるエコツーリズムの概念が生かされると私は考えています。そういうことで、この泡瀬干潟の埋立ては、この今の沖縄新法の精神に反するというふうに私は考えています。
 時間もありませんので、あと皆さんに資料をお上げしてあります。一つは、こういう増し刷りの資料です。もう一つは、「泡瀬干潟は沖縄の宝」というパンフレットですが、まず厚い資料、これのまず概略、ちょっと済みません、見てもらいます。
 まず一ページ、開けてもらいます。これは、今、泡瀬干潟の埋立て予定地です。ちょっと黒っぽくてよく見えないと思いますが、ちょうど真ん中の上辺りに米軍の泡瀬通信基地というのがあります。その下辺り、ここが今埋め立てられようとしているわけです。
 次のページ、済みません、急いで行きます。この地域は、沖縄県が出した自然環境の保全に関する指針で、評価ランクTに指定されたところです。
 評価ランクTというのは何を意味するかというと、三ページごらんになってください。そこの下の方に総合評価による区域区分の概要というのがありますが、評価ランクTというのは、自然環境の厳正な保護を図る区域、藻場、干潟、サンゴ等が発達するなど、健全で多様な生態系が維持されている沿岸海域で、厳正な保護を図る必要のある区域、要するに人が手を付けてはいけないという区域になっています。今、そういう区域が埋め立てられようとしているわけです。
 次、泡瀬干潟が重要湿地に指定されたという、環境省が指定したという新聞報道の記事です。干潟の保全が今叫ばれている。全国的に干潟の保全が叫ばれています。
 それから、五ページ。政府が発表した生物多様性国家戦略、この中でも、失われていく干潟、これを復元する。干潟を復元するんです。そういう復元作業をこれから日本全体でやっていくというようなことを今提唱をしています。
 それから、次のページ、六ページ。ジュゴン保護についての国連の環境計画の報告書です。沖縄に数頭しかいません。ジュゴンは、日本では北限が沖縄です。ここにしかいないわけです、日本では。今それが絶滅の危惧に瀕しているという報道です。
 それから、七ページは、沖縄のサンゴ礁には貴重な生物がたくさんいる非常に大事なところであると。先ほども言いました泡瀬干潟の海草藻場の移植先、ここもサンゴ礁が非常に発達をしているところです。これが今、危機に瀕しています。
 それから、次のページは、泡瀬干潟は非常に豊かな自然である、それで、今後のエコツーリズムの拠点になっていく場所ということで、シンポジウムが行われています。
 次の九ページ。日本蜘蛛学会が──泡瀬干潟には非常に貴重なクモが生息している。真ん中辺りに書いてありますが、ヤマトウシオグモという非常に貴重なクモが生息をしている。そういうことで、ここは埋立てはしないでほしいという蜘蛛学会の要請書です。
 それから、次のページ、十ページから後は、日弁連が先ほど三月の十五日、内閣府、環境省、沖縄総合事務局、沖縄県、沖縄市に出した意見書です。
 もう時間もありませんが、意見の趣旨を読み上げます。「国および沖縄県は、中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業を中止し、沖縄市と協議のうえ、泡瀬(あわせ)干潟について国設鳥獣保護区を設定する等の保全措置を講じ、ラムサール条約上の湿地登録手続をなすべきである。」という意見書を出しています。これは、意見書がずっと続きます。
 十九ページからは、沖縄の泡瀬干潟を守るために活動している泡瀬干潟を守る連絡会というのがありますが、そこが沖縄県知事に出した要望書です。詳しくは、もう時間がありませんから、また後で述べますが。
 一番最後にカラーの写真が三枚載っております。ちょっとごらんになってください。
 一枚目、泡瀬干潟の潮干狩りをしている風景です。その左の真ん中は、いろんな貝が取れる。右上は、埋立て予定地がこういうふうにジュゴンのえさ場になる、海草が非常に発達をしている非常に貴重な場所です。右の真ん中、シギ、チドリの仲間のムナグロが、昨年の四月、千三百羽ほどこの地に飛来をしています。その写真です。それから、左下には、絶滅危惧種のクビレミドロがいます。右下には、ミナミコメツキガニが、人が住んでいるところの近くにこういうミナミコメツキガニの大群がいる非常に貴重な干潟です。
 二枚目。二枚目は移植先の環境です。今、海草藻場の移植実験が行われていますが、移植先、左上、先ほど言ったように枝サンゴと海草が群生をしている本当に貴重な場所です。左中、ここはいろんな動物がいます。マダラウミヘビもいたり、それから右上、ワタリガニ、海草藻場が発達をしていますから、いろんな貴重な動物がいます。それから、右の写真は移植された移植塊です。右の真ん中、見てのとおり、周辺の土砂が流れ出して地下茎が露出しています。これは、そのままにしておくともう枯れてしまいます。右下、だんだん枯れていく状態ですね。左下、もう見てのとおり、白けた砂の捨て場みたいな状態になっていることを示しています。
 一番最後の写真。一番最後、二枚の写真がありますが、上の写真は埋立て予定地、いわゆる移植実験の採取地です、採取地。真ん中、豊かな藻場がありますね。元々はこういう場所であったわけです。それが周辺がはぎ取られてしまっている状況を示しています。下、周辺がはぎ取られたために、残った藻場も地下茎が露出をして、やがて枯れていこうとしている、そういう状況を示しています。
 そういうことで、沖縄振興特別措置法の趣旨を言うならば、こういう貴重な泡瀬干潟は是非残してエコツーリズムの拠点にしていくべきだというふうに私は考えています。
 以上です。
#8
○委員長(佐藤雄平君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、参考人の方々にお願い申し上げます。
 御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 それでは質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○西銘順志郎君 どうも、参考人の先生方、大変御苦労さまでございます。貴重なお時間を費やしていただいて、当委員会で大変また貴重な御意見も拝聴させていただきました。
 私どもの委員会、今、大変重要な法案を審議しておる中でありますから、先生方の意見等も参考にしながらこれから、明日が最終日になろうかと思いますが、進めてまいりたいというふうに思いますので、今日はよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
 限られた時間でございますので、十五分という大変短い時間でございますから、私は尚先生にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 尚先生は行政経験も大変豊富でいらっしゃいますんで、先ほど前泊参考人からお話があったんですが、第一次の振興開発計画から、第三次の振興開発計画がやがて終わるわけでありますけれども、これらの三次振計までの総括をしていただいて、どのようなお考えをお持ちになっているのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#10
○参考人(尚弘子君) 今年が沖縄の復帰三十周年ということで、第一次、第二次、第三次と、先ほどから参考人の方も述べておられましたが、七兆円に近い投資がなされているというようなことから、正直申しまして、インフラだとか、それから高速道路とかというような大変便利さというものを私たちは享受しているということは確かでございます。
 大変私的になりますけれども、私自身、第一次、第二次の振興開発計画の下では、国立移行という、琉球大学に三十五年勤務しましたので、国立移行という状態の中で研究活動を続けてまいりました。勤務していての研究環境といいますか、そういう面では大きく差が出たということは確かでございます。研究費の面でも、それから学会等、結局日本の一県という意味で、研究の中での活動というのは大きく花が開いたというふうに私は考えております。
 そういう意味で高く評価したいということを述べたいと思いますけれども、沖縄の県民自身のもっと自主的な前向きな行動というのも確かに必要ではなかったかなと。ただ享受するだけ、インフラその他で、それに甘んじてというふうな形のものは、私どももっと考えるべきではなかったかなという反省も大いにございます。
#11
○西銘順志郎君 前泊参考人、大変数字に裏打ちされた話をしていただいたというふうに思います。
 確かに、おっしゃるとおり財政依存度が非常に高くなってきているんですが、県民の平均所得も本土の平均の約七二%ぐらいだというような、この三十年間で七兆円近い国費が投入されて、失業率は依然として本土の約倍ぐらいあるわけですね。県民所得はというと、もちろんこれ、人口の動態も分母が増えるわけだから、収入が増えてもなかなかパーセンテージは増えていかないという部分はあるかもしれませんけれども、やはり、どこにそういうような原因があったのかということをお考えですか。
#12
○参考人(前泊博盛君) かなり多くのもちろん課題があって、複合的な問題としてこの問題は考えなければならないかと思っています。
 尚先生おっしゃいましたように、正に沖縄県民の自らの活力不足といったものもありましょうし、それから、作られた制度につきましても十分に周知徹底されていない部分もありまして、せっかくの制度が使われていないと、あるいは、制度そのものを使おうとしましたら、若干規制が多くて実際には使えない制度も多いといった辺りも産業界の方たちからお聞きしています。
 本当に必要なものは何か。例えば、観光でいいますと、観光産業は基幹産業にはなったけれども、働いている人たちの意識といったものを見ますと、なかなかプライドを持って、誇りを持って、県を支えているというような意識にはちょっと遠いのかなと思います。若者が就職先として観光産業をまだ一番最初に挙げていない、この辺りの意識をきちんと作ってあげるような教育も取組が弱かったのかなと思います。
 それから、貿易についても、やはりインフラ整備は進めたけれども、例えば、香港やシンガポールといった大きな物流基地と比べますと、もうほとんどないに等しいインフラであると。ガントリークレーンがたった一個です。百や二百あるところと勝負をしようといった辺りでも、南に開かれた玄関というには少し寂しいインフラのような気がします。
 ですから、使おうと思ったときに十分ではないインフラ、あるいは使おうと思ったときに知らされていない制度、使おうと思ったときに実際には使い勝手の悪い制度といったものがあると、そこら辺も課題ではないかと思っています。
#13
○西銘順志郎君 僕たちもよく仲間同士でいろんな話をするわけですけれども、例えば今、県民の平均所得が本土平均の七二%、これを逆に本土平均の一〇〇%というか、平均の一〇〇%に持っていくと、仮に数字の話をすると、本土四十七都道府県の中でベストテンに入ってくるんです。この辺をなかなか皆さんよくお分かりにならないんだけれども、大変厳しい難しい問題だというふうに僕は理解はしていますが、どういうふうにしたら、これ、この本土平均まで持っていけるかというようなお考えですか。持っていけるんじゃないかというふうなお考えがあればお聞かせを願いたい。前泊さん。
#14
○参考人(前泊博盛君) 正に、これはもう先生方にお知恵をいただきに参りましたのが私のこの場にいる理由でありますけれども、私はいろいろ考えまして、今、県民の一人としてこうありたいと思うような理想はございます。
 例えば、今おっしゃいました数字の部分で言いますと、全国平均の七〇%を切ったり、あるいは、今回復して七一%程度だと思いますけれども、東京都あるいは大阪、福岡といった主要都市圏の所得格差と比べますと、この差はもっと広がります。東京と比べますと、恐らく四九%ぐらいの格差になるかと思います。全国平均と比べるときに、その大都市が支えているという部分では、日本全体の産業構造の問題があるかと思います。その中で一番、一等の東京と一番下の沖縄を比べると、それほどの大きな格差になってまいります。
 しかし、それを目標値ということで言えば、例えばOECDの、いわゆる金持ちクラブともやゆされますけれども、そのOECDの加盟国の中では、沖縄といえどもフランス、一時期はイギリス並みの水準になってくるという、国際的な比較で言いますと、日本の経済力からすればまだまだ十分な豊かさを持っているということになりますけれども、ストックの部分、いわゆる社会インフラの部分では、やはり欧米に比べると日本は少し弱いといったのもあります。
 観光といった部分で言いますと、やはりその辺りを強化していただかないといけない。つまり、欧米が持っている観光資本といったものは、もう二百年、三百年、あるいは一千年の歴史をもって作られたものであると。沖縄の場合にはそれが、沖縄戦という悲劇もありますけれども、失われたものがかなりあります。失われたものを取り戻していくための仕事もこの振興開発計画の大きな役割ではなかったかと思います。この部分をもう少し強化していただきたい。つまり、戦争で失われたものをまだ取り戻していないのではないかと思います。その部分の整備。
 それから、観光については、誇りを持てるように、観光に従事している人たちが、我々が基幹産業を支えているという意識をいかにしたらもたらすことができるのか。それはひとつ、本日、ちょっと一部報道にもありましたけれども、価格の決定権を本土にあります大手の旅行会社に握られているという辺りで、沖縄が打ち出したい観光政策といったもの、観光プランあるいは観光商品といったものが、まだ十分に地元から発信されていないのではないかという指摘もありました。この辺りを、沖縄であれば、例えばホテル、リゾートホテルは高いですけれども、本来なら民宿がその半分のお金で泊まれるはずが、パック料金になると高級リゾートの方が民宿よりも安くなってしまっている。この辺りのニーズに即した形の観光商品の開発といったものも課題かと思います。
 それから、農業につきましては、せっかくのこれだけの四百七十万人も来てくださる観光客に対して、提供していけるような食品をきちんと生産物として押さえていくといった辺りも課題かと思います。
 済みません、時間を取ってしまいまして。
#15
○西銘順志郎君 余りもう時間もないので最後の質問になろうかと思いますが、沖縄のちょっと歴史を振り返って質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 十五世紀、やっぱり琉球に統一王朝ができると、当時、琉球国は日本、中国、東南アジア、朝鮮、そういうところに繰り出していくわけですね。これがいわゆる大交易時代。そのころには人口が三万人ぐらいだというふうに言われています。
 それから、やっぱり一六〇五年、これは野国総管が中国からカライモを輸入してやってくる。救荒作物として沖縄全体に広げていくわけですね。そのころの人口は、また六万人ぐらいまでこの芋でちゃんと飯が食っていけるような状態になっていくわけです。このカライモはかなり普及をして、一七二七年、これは恐らく統計が取られたんだと思いますが、詳しい数字が出ていますが、約十三万人ぐらいの人口にまで増えていっているわけであります。そして、十八世紀にはサイオンの農業振興策といいますか、サトウキビ等の振興策によって人口が二十万人ぐらいまで増えてくるというふうに言われています。
 こういうような歴史を振り返ってくるときに、私は、今回の振興新法というのは、正に稲嶺知事が魚よりも釣り道具を下さいというような形のものに正に匹敵するような新しい法律だというふうに認識をしておりますが、尚参考人、それから前泊参考人、どのようにお考えになるのか、端的にひとつお答えをいただきたいなというふうに思っています。
#16
○参考人(尚弘子君) 確かにおっしゃるとおりでございまして、沖縄の場合、十七世紀ですよね、カライモが入って。本当は十四世紀に中国からの帰化した人が豚を持ち込んでいるんですね。ですけれども、人が食べるにも事を欠くという状態の中で、結局豚というのが定着しなかった。しかしながら、十七世紀にカライモが持ち込まれたと同時に、芋と豚というコンビでもって人口がどんどん増えていったという歴史的なバックがございます。この豚と芋のコンビというのは、世界的に見まして食文化の中でいわゆる危機、飢饉を救うというようなストーリーの中でたくさん出てくるんですね。
 ですから、そういうところを見ますと、沖縄も地理的な不利性というのが大変従来大きかったと思うんです。そんな中でこれだけの振興計画というのができて、そして従来、私もちょっと行政におりましたけれども、五十数兆くらいじゃなかったかと思うんですね、あの振興開発計画は。これが、今回ちょっと勉強させていただきまして見ましたら百二十兆という、七十兆も増えて、先生方のおかげで、そういうふうなソフトの面だとか、これから自立していかなければいけない沖縄県民へのいろんなものが盛り込まれてきたという意味では、私は、大いに私どもがそれをいかに生かすかという意味で頑張らなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。
 たくさん申し上げたいんですけれども、時間がないようですので。
#17
○参考人(前泊博盛君) 先生おっしゃるとおり、たくさんの制度を盛り込んでいただいておりますから、その活用に期待をしたいと思っています。
 先生方が作っていただいた制度、これがより実効性のある形になればと。今までの三次振計も含めて制度としては十分なものをいただきました。これが実際に運用される段階で若干骨抜きにされているという指摘があります。この辺りをきちんと先生方にも、この十年間監視をしていただいて、なぜ実効性が上がらないのかを毎年検証していただければ、恐らくや実効性のあるものになっていくかと思います。
#18
○海野徹君 おはようございます。
 民主党・新緑風会の海野徹であります。
 参考人の諸先生方には大変早朝から御苦労さまです。
 二、三、お話をお聞かせいただきたいなと思いますが、尚参考人にまずお伺いしたいなと思います。
 観光振興が非常に大事であるというお話でした。私もそう思います。四千六百億ほどのお金が観光に絡んで沖縄の数字で出ているわけなんですが、先ほども前泊参考人からも話もありましたが、何か観光植民地とやゆされているような状態があって価格決定権を持っていないと、あるいは旅行代理店がほとんど手数料で持っていってしまって中身がないというような、これは旅行代理店が二割から、多いと四割まで手数料で持っていってしまっているということで、四千六百億の中で沖縄に本当に落ちているのはその半分ではないかと言われておりますね。
 しかも、土産物をなかなか買わなくなってきたということで、大変そういった状況の中でも、あるいはなかなか若年層が沖縄の観光が非常に産業の基幹産業だと言いながらも就職をしたがらない一つの原因かなと私は思うわけなんですが、その観光振興のために、沖縄が特にその四千六百億、あるいはこれから増えていくであろう五千億、六千億になったときに、沖縄に落ちるお金がより多くなるためには具体的にどんなことをこれからやっていった方がいいのか、行政の経験されている参考人ですから、その辺の日常的なお考えあると思いますから、その辺をお聞かせいただきたいなと思います。
#19
○参考人(尚弘子君) 確かにおっしゃるとおりで、沖縄の観光産業というのは大変不安定な状態というのは認めざるを得ないと思うんですね。ですけれども、私が一番望みますのは、国で健康休暇というのが法律で定められました。月曜日に法定休日を持ってくると。これから小学校、中学校辺りが週休二日になりますと、金曜日辺りから移動して最低二泊三日という旅行ができるような状態があるんですけれども、そういう健康休暇に対して、健康保養地的な何か立法化できるような方法はないものかというふうに私は考えるんですけれども、沖縄は、そういう意味では健康保養の地としては私はとても適していると思うんですね。
 ですから、沖縄の持てるその特性といいますか、それを生かして、そして皆さんが沖縄にいらしていただけるような形のものを我々自身が作り上げていかなければいけないんじゃないかなというふうに考えております。
 といいますのは、従来はほとんど観光バスか何かで移動するというのを、今ほとんどレンタカーに代わっているんですね、レンタカーパックといいまして。そして、そのレンタカーというのがほとんど本土の業者がやっているという形になりますと、今おっしゃるように旅行社に全部吸い上げられていくということになりますので、もっと我々地元の者がそういうふうなところへ進出するような知恵を出さなきゃいけないと思いますし、これだけの御配慮をいただいていることに対しての我々の力といいますか、自主性というものを発揮しなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 海も、若者たちが来てダイビングというのが盛んです。ダイビングの免許が取れるんだとか、いろんなスポットで条例までできて、県の条例まで、セイフティービューローの方も協力をしまして、海の観光といいますか、海を楽しむという若者たちへのメニューも出していますけれども、大変メニュー不足という感じがいたします。今後それらを積極的に作っていかなければというふうに考えております。
#20
○海野徹君 今、参考人からお話がありましたいろいろな商品開発やら知恵を出していかなくちゃいけないと。そのために、ある種の地元資本が主導権を握って価格を決定して一つの商品を提供していくというようなために、やはりある特別な制度というか特例というか、そういうものも行政的に必要であるとお思いになるんでしょうか。でないと、なかなか、例えば本当にタクシーがだんだん減ってきてレンタカーになっているといったのを聞きます。ホテルのオーナーなんかに聞きますと、シーツ代の、クリーニング代の二千円も出ないよと。だけれども、とにかくお客さんが来てくれれば来てくれるだけ赤字になっちゃうんだよというような声も聞くんですよね。
 そうすると、やはりビジネスチャンスがないと、なかなか地元では資本があってもそこへ資本が移動していかないということもありますから、その初期段階でのそういう投資ができる環境を作るために何らかの制度が必要じゃないかなと思うんですが、その点についてはどうでしょうか、尚参考人。
#21
○参考人(尚弘子君) 確かにおっしゃるとおりでございまして、沖縄の場合には中小企業というのが九九%くらいじゃないかなと。その中小企業の中にも小の方が乱立しているという状態で、例えば泡盛を一つ取りましても、四十七、八社くらいで泡盛を造っているというような状態で、大変に小企業の集まりでございますので、もうここ二、三年は、市町村の統合だとか、いろいろそういう動きが出ておりますので、やっぱり企業の面でもおっしゃるとおりで、行政が指導して、そして小企業ができるだけ合体するような形で力を付けていくというのもこれは大事なことかもしれないというふうに感じております。
#22
○海野徹君 これは、私、この間、名護へ行きまして、北部の首長さん方との懇談会がありまして、その席でもお話しさせていただいたんですが、非常に沖縄には独特の文化がある。その文化とか歴史を背景とした地名あるいは人名がございますよね。我々には読めないような、しかしながら非常にほのぼのとするというか、今、参考人がおっしゃったある意味ではある種のいやしを感じさせるような、中城にしてもそうだし、東風平町にしてもそうです。非常にそういった歴史とか文化性を背景にした地名とか人名があるわけなんですね。
 それを、南から北、北から南でもどっちでもいいんですが、そこに一つの物語を付与しながら沖縄を紹介するという作業をやったらどうでしょうかというお話をさせていただいたんです。東海道中膝栗毛じゃないけれども、南からずっと北までそういうことをやって、やはり名前だけ、人名というか地名だけでも非常に私は観光振興に資するんじゃないかなと。ただ、一生懸命メモしていただいた首長さんがいらっしゃいまして、そういう商品開発というんですか、そういうPR策というのも私は余りお金が掛からなくてできるんじゃないかと思いますが、尚参考人、どうなんでしょう。
#23
○参考人(尚弘子君) おっしゃるとおりで、ジッチャクという、勢理客と書きますけれども、そこで、ただいまの一着は勢理客ですというふうな報道、アナウンスをしたというのでその勢理客というのが一時有名になったりと、大変地名についてはいろんなエピソードがございます。そういう意味で、今おっしゃられたような形のものを考えるというのもまた一つの、メニューの中の楽しいものではないかとも考えます。
#24
○海野徹君 前泊参考人にお伺いしたいんですが、これから県民の知恵を生かすべきだというお話がありました。三十年間いろいろ分析していただいて検証していただいた分かりやすいお話だったと思いますし、いろいろ参考人のお書きになったものを私も読ませていただきました。
 三十年間、沖縄開発庁としてやってきたわけですよね。これから、省庁再編もありまして、内閣府の振興局として今後それに取り組んでいくわけなんです。そういう中で、参考人が三十年間を検証して将来を見通した中で、この開発庁から内閣府沖縄振興局に変わったときの期待と懸念がございますかと思うんですよ。その点について分かりやすくお教えいただければ有り難いなと思います。
#25
○参考人(前泊博盛君) 言葉の中に含まれた深い意味をあえて無視して発言をさせていただきますが、開発庁方式といったものを検証したときに出てきた言葉というのが主役なき経済という言葉でありました。主役なき経済は何を指すのか。産業の主役を作り切れなかった、あるいは、産業の主役たる人たちが活躍するステージを作ってきたのが開発庁の役割だというような答えも出てまいりました。産業資本あるいは社会インフラを整備をして、そのステージで踊っていただく、あるいは演じていただく経済界の人たちを本来の主役としてそこに上げていかなければならない、それが正に次の振計の新しい舞台ではないかと思っています。
 開発庁方式といったものに対する私なりのその意見というのは、開発庁は正にその舞台を作ってきた、社会資本のインフラの整備についてはかなり効果を上げてきたかと思います。ただ、その上で演じる経済界、あるいは産業の立地あるいは誘致といったものでは少し弱かったのではないかと思っています。この辺りは、先ほど申し上げました県民の側の責任といったものも大きなポイントになっているかと思います。
 それから、その開発庁、正にその舞台を作っていただいた開発庁が退場しまして、そしてそれに代わる組織として内閣府沖縄振興局といったものが出てまいりました。内閣府の中になぜ沖縄の問題が入っていったのか。その中で前の、尚先生いらっしゃいますけれども、大田前知事、あるいはその中で副知事をなさっておりました吉元さんも指摘をしておりますけれども、なぜ開発庁ではなく内閣府の中での沖縄の振興開発を望んだのか。答えは、基地問題に対する対応をきちんとしてほしいからだといったことを当時の県政の方たちはおっしゃっていました。開発庁方式では基地は所管外と言われてきたその部分を、内閣府に入れば基地の問題についても対応していただけるだろうといった期待感でありました。この部分を、私もその期待感を持って、長年の沖縄県民の願望であります基地の整理縮小といった問題に効果を発揮されんことを期待をしております。
 一方、懸念ですけれども、振興開発予算を見ますと、この間、この四年ほどは振興開発事業費といったものは、予算的に財政難というのもありますけれども、数字的には減っております。一方で、沖縄関係の事業費といったものは上昇に転じております。
 振興開発事業費といったもの、この数字を見ますと、九八年度段階で四千七百十三億円という数字があります。これは大田県政最後の年でありますけれども、その後、稲嶺県政に替わりまして三千八百十五億円、これは九九年度です。それから、二〇〇〇年度が三千六百八十七億円、それから二〇〇一年度が三千五百十八億円と若干減っておりますけれども、振興開発事業費以外の沖縄関係予算になりますと、今五千億を超す数字になっております。
 この数字が、中身の検証はこれからですけれども、基地問題とのかかわりの中で展開される振興策になっていないかという懸念があります。沖縄の発展といったものが基地といったものを固定化するためのバーターとして展開されるようなことになっていないかという懸念であります。それを是非、沖縄というものの可能性に懸けるという形の振興策にこれからもしていただければいいなという期待感を持っております。
#26
○海野徹君 時間がありませんから、最後に前泊参考人に聞きたいんですが、参考人の文章を読ましていただいて、あるいは先ほどからの御説明を聞きましたら、百三十万人の沖縄の総合設計図を自らのペンを持って自らが描くときに来たのではないかということで、参画と責任、県民の知恵が正に求められているというお話がありました。その前提がある部分では整ってきたということも感じられます。だけれども、どうしてもそれが欠けている、決定的に欠けている部分があるんではないかなと思いますが、それは私の印象です。そのことについての御意見をお伺いして、私の質問を終了させていただきます。
#27
○参考人(前泊博盛君) 尚先生からも指摘がありました人づくりの部分がもう少し大事だったのではないかと思っています。沖縄はよく言われます。厳しい方たちからの指摘ですけれども、沖縄はあるものを使わずないものをねだるというおしかりも受けました。今あるものを、この三十年間で政府に作っていただいたもの、あるいは制度も含めてもう一度見直して、それをフルに活用できるような形を沖縄県民も自ら始めていかなければならないのではないかと思っています。その辺りの努力を私も含めて頑張っていきたいと思っています。
#28
○海野徹君 ありがとうございました。
#29
○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 今日は、三名の参考人の方、大変に貴重な意見、ありがとうございました。
 今、私たち、この特別委員会で沖縄振興新法というものを議論をしているわけでありますけれども、私は、これから十年の沖縄の振興、これは環境保全も含めての話だと思っておりますが、やっていくために、やはり中途半端ではいけない、やるならやっぱり徹底的にやらなきゃいけないという思いを持っております。
   〔委員長退席、理事海野徹君着席〕
 今回、この日本で初めての金融特区を沖縄で作るという話もございます。また、IT特区の話、様々に、ある意味、ほかの、他府県の方々から見ればなぜここまで沖縄にというぐらいいろいろな特別な措置というものを盛り込もうということでやっているわけでございます。
 ただ、これが特別だからといって成功するという保証は全くないわけでございまして、これはある官僚の方ですが、この金融特区に絡んでアイルランドのダブリンに行かれたときの話を聞いたそうなんですが、そこで言われたのは、沖縄で金融特区が成功するかどうかのキーワードは一に危機感だと。国の、沖縄関係の関係者の危機感、それから沖縄県民の危機感、これが本当にあるかないかだと。実際に、ダブリンとかバミューダの金融特区をまねて失敗した例の方が多いという話があるわけです。マレーシアとかポルトガルとか、失敗をしております。
 ですから、私は、今回沖縄が新しいことをやるのであれば、やっぱり危機感がなきゃいけないというふうにすごく思っているわけでありますけれども、最初に三参考人全員に、この沖縄県の中で、いわゆる沖縄振興、環境問題も含めて結構ですけれども、県民が今後十年間で本当に──先ほどから前泊参考人が依存型の、基地依存経済の問題あるいは財政依存の経済の問題、私は、これは物質的あるいは財政的な依存だけではなくて、依存的なメンタリティーの部分も、これは前泊さんなんかも論文の中に指摘されておりますけれども、あると思うんですね。そこからやはりこの十年、脱却しなきゃいけないと。そういう意味での危機感がどれぐらいあるのか。ちょっと、率直なところを簡潔にお聞きしたいと思いますので、お願いいたします。
#30
○参考人(尚弘子君) 確かに痛いところでございまして、御承知のように、自然環境だとか、それから沖縄の人の県民性がいろんなところで分析されております。
   〔理事海野徹君退席、委員長着席〕
 特に、NHKは日本の各県の人たちの特徴というものを調べておりますけれども、沖縄の県民性というのが全国の中でも突出していると。大変にゆったりとといいますか、沖縄から出たがらない。そして、ユイといいます、相互扶助の精神を大事にするというような、それが長寿の一つの大きな要因につながっているかもしれませんけれども、おっしゃるように、戦争であれだけ私どもはすべてを失ってきて、そして今のところまではい上がってきたんですけれども、何かお互いに助け合っていると何とかなるという、方言で言う何とかなるさあというような、ああいう調子の県民性というのが確かに奥の奥にあって、危機感というものを私ども自身がむち打って持っていかなければいけないというふうに感じております。
#31
○参考人(前泊博盛君) 私も同感であります。
 正に、失業率でいいますと今七・九%、二〇〇〇年の数字ですけれども、全国の倍の失業率の中で沖縄がこれだけ元気でいられるというのは、沖縄の風土がもたらす豊かさだと思います。ユイマールの精神がなければ、恐らく失業者であふれ返っている沖縄でこれだけの安定した生活は望めないかと思います。そのユイマール精神あるいはその沖縄のコミュニティーが支えるバッファー効果といったものに今支えられて沖縄経済は何とか持ちこたえているような気がします。
 ただ、それも一〇%を超えてきたら果たして支えられるだろうかといった部分、この危機感に至らなければ動かないかというと、そういうことはないと思います。悲劇的なところに行く前にやはり振興策は展開されるべきものだと思っています。
#32
○参考人(前川盛治君) 私は逆に、逆の危機感を持っているんですよ。というのは、例えば沖縄では基地が集中していますよね。それで、例えば去年のテロ事件以来、沖縄の観光が非常に落ち込みました。そういうことがあって、要するに、基地をやっぱり撤去しない限り沖縄の観光の振興はあり得ないというふうに考えているんです。
 それからもう一つは、先ほども言いましたけれども、要するに国の財政投資があって公共工事がどんどん進んでいく、そういう中で沖縄の自然がどんどん今破壊されている。例えば、先ほども言いました公有水面の埋立てが全国一なんですよね。沖縄の海岸、沖縄というのは海、空、自然が沖縄の売り物ですが、沖縄の海岸のほとんどがもう人工の護岸に変わっていってしまっていると、そういう状況があるわけですよ。
 そういうことに危機感を持って、先ほど言ったように、今後は自然を大事にしていきながらのいわゆるエコツーリズムの振興、これが今後の沖縄の観光の目玉になってほしいということで、あちこちでエコツーリズムのことが今行われているわけですよ。
 ですから、そういう意味でも、是非逆の危機感を持って、沖縄を大事にするような振興策であってほしいというふうに私は考えています。
#33
○遠山清彦君 ありがとうございました。
 そこで、尚参考人の方にお聞きしますけれども、私も人材育成が大事だということは同感でございます。
 それで、特に今、沖縄は金融特区とかIT特区とか、特区という言葉が、特別区というのがよく付いているわけですが、私は、個人的な意見なんですけれども、こういう大人の社会で特区を成功させるためには、教育も、教育特区というか、そういう発想がないと、それはやっぱり特区を担う人材が出てくるところは教育なわけでして、今沖縄で制度上やろうとしていることというのは、はっきり言うとほかの日本の地域でもそういう人材いるのかと言われてもおかしくないぐらい、かなりユニークな人材というか変わった人材というか、そういうのが求められている。
 例えば、語学に関して言えば、金融特区にしてもIT特区にしてもやっぱり英語は不可欠でありますし、そういった観点から尾身大臣も大学院大学は全部英語で授業をやろうという構想を持たれているわけでありますけれども、語学の問題が一つございます。
 それから、私、以前、大学の講師を九州の宮崎でやっておりましたが、その大学はすべての授業が二十人以下のクラスで少人数でやっておりましたけれども、私、その経験を通して、やっぱりこれは小中学校から全クラス二十人以下にしたら相当教育効果が違うなというような思いを持っていたりするわけですけれども。
 そういった意味で、沖縄の教育の在り方、公立教育の場合なかなかいろんな問題はありますけれども、全国との公平性とかありますけれども、この沖縄の国際化、また人材育成を進めていく上で教育改革は大事だと思うんですが、これについて尚参考人の御意見を伺いたいと思います。
#34
○参考人(尚弘子君) 先ほど私が申し上げました大学院大学のこと、それから国立高専のことにつきましても、正にこの教育特区というのが沖縄からできたらなということで申し上げました。
 高専はもうここしばらくどこにもできていなくて、沖縄だけがなかったということもございますけれども、そういう点からも、是非、教育特区的な、少人数クラスだとか──それから、今おっしゃるように、もう東南アジア辺りでは高校から英語でしゃべれるような人たちはたくさんいるわけですね。特に英語でやっているシンガポールだとかフィリピンだとかというと、もうそれが大学でも学校でも使われているというところが多うございますので、ですから、そういう国の推薦のシステムという、いわゆる人物保証がなされたような形で沖縄までおいでいただくということになると大変すばらしいと思うんですね。
 と申しますのは、今、沖縄にOICというのがございます。沖縄インターナショナルセンターという、JICAの下にあるんですけれども、そちらの研修生は、大変沖縄に来て何かアットホームな気持ちになれるということも話しておりますので、沖縄というのは南への玄関口として私は立派な機能を果たせると思うんですね。そういう意味で、今おっしゃるように、もう是非そういう形でこれから十年で変わっていけばなというふうに望んでおります。
#35
○遠山清彦君 次に、前泊参考人にお伺いいたします。
 観光振興、これは沖縄で非常に重要なわけでありますけれども、私は、やはり沖縄に外国人をもっと呼ばなきゃいけないと。これは、私もこの委員会で実は議論しているわけでありますけれども、沖縄に来る観光客の総数は大体四百四十万人、四百五十万人と言われている中で、平成十二年度の実績でいいますと十四万九千人しか外国人の観光客が来ていない。そのうち、ほぼ十二万人ちょっとは台湾から来られているわけでありまして、ほかの国というのは誠に微々たるものなわけでございます。
 当然、これは尾身担当大臣も何度もおっしゃっているんですけれども、先ほども、ベトナムへ行くのに沖縄から羽田、成田、ベトナムという、そしてまた帰りもそうだったというお話がありましたけれども、やはりこの国際交通ネットワークというものが沖縄でなかなか確立されていないということが一つの大きな問題だとは思うんです。
 ただ、これはちょっと長期的に考えていかなきゃいけない問題だと思うんですが、私、直近の課題として、やはり今後、中国がこれから経済発展、高い経済成長率を持っておりますので、人口も十二億人以上いるわけでありますから、もし中国の本土の一割の方が海外旅行へ行けるとなったらこれは一億二千万人を超えるわけでありまして、しかも上海から二時間ぐらいでしたっけ、飛行機で、というふうに非常に近いということもありますので、これは沖縄にやはり中国語圏、これは当然、香港、台湾、中国本土と含めての話でありますけれども、中国をやたら脅威と見るんではなくて、やはり大事なお客様、将来、近い将来になるんだというような意識で、沖縄辺りでもこの中国語圏からもっと誘客を大規模に行うというような戦略も必要ですし、その上でほかの国々からもお客さん持ってこようという、そういうのが大事なんじゃないかと私、思っているんですが、それについて所見をいただければと思います。
#36
○参考人(前泊博盛君) 正に本当に先生おっしゃるとおりで、外国からの観光客をどう迎え入れるかというのが恐らく、この四百五十万人、これから七百万人あるいは一千万人を目指す沖縄にとってはもう不可欠の課題だと思います。
 実際に台湾の方たちに聞きました、どうやれば来てくれるのかと。幾つかの要望があって、その中にはノービザといったものがありました。もう少し来やすいビザ制度にしてほしいと。それから、ほかには、観光ビザだけではなくてビジネスのビザも欲しいと。ビジネスでこれだけ交流をしているのに、やはりちょっとした長期の滞在になるとかなり厳しい制限があると。具体的なものはその中でも指摘もされていたんですけれども、そういったものを、目に見えない障壁をどう取り除いていくかといったものも課題かと思います。
 それから、台湾の航空会社からは、やはり航空交渉が二国間協定であるということで、路線の拡充がかなり厳しいと。この路線の認可を沖縄に限って特例を設けて国際路線については認めてくれないかといった話もありました。
 それから、国際線のターミナルの問題ですね。これは、国内の観光客に向けてサミットの際に十分なものを造っていただきました。ところが、その隣にある国際線、これを見ますと本当に悲しくなります。夏場のピークになりますと、入管の手続をする方たちが暑い外に列をはみ出してしまう。これだけの施設しかないのに観光客に来てくださいとは、今は申し訳ないけれども言える状況にはないと思います。この辺りのハードの整備も含めて、急がなければならない課題だと思っています。
#37
○遠山清彦君 もう時間がなくなってきましたので、最後の質問でありますが、私あるいは私が所属している公明党は、沖縄に是非国際機関あるいは国連の機関を誘致をしたいと。
 これはいろんな意味がございまして、沖縄が唯一の地上戦の舞台に第二次世界大戦中になってしまったという意味もありますし、また基地があるということを、どうそこから、だれも基地があることをいいとは沖縄で思ってはいないわけですが、しかし、これを現実的に減らしていったときに、その経済的なマイナス効果とかいろんなものを相殺していくために、代替案として私どもはやはり国際機関をもっともっと沖縄に誘致をしていって、沖縄を本当に国際交流、平和の発信地にしていきたいという思いがあるんですが、これについて尚参考人と前泊参考人から一言ずつ。
#38
○参考人(尚弘子君) 確かにおっしゃるとおりで、私も大学におりましたころ、国連のいろいろな資料を大学内に置くようなその誘致ということで委員を務めたことがございます。今、そのコーナーもできまして、大きなメリットを得ていますけれども、沖縄に国連の、特に南に開かれた形のそういうネットワークを作る意味での国連の機関ができれば大変有り難いというふうに思っております。
#39
○参考人(前泊博盛君) 私も同感であります。是非、平和につながるものを中心に沖縄に置いていただければと思っています。
#40
○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。
 今日は、お三人の参考人、大変御苦労さんでございます。
 幾つか質問をさせていただきます。
 まず一つは、先ほどからもお話が出ていますように、米軍基地と沖縄の振興という問題であります。
 もう御承知のとおり、沖縄県でも、第三次振計の総括文書においても、今後の二十一世紀の沖縄の振興においても、基地の大幅な整理縮小が欠かせないということを大変指摘しております。先ほども、各参考人からもその点の指摘が幾つか出ておりますが、例えば中部圏の、これからの開発だとしても、中部圏の基地占有率は二八・五%、今度北部に普天間基地が新たに、これは戦後初めて日本政府が新たに米軍基地を建設するという、そういうふうなことをやるわけですが、それによって北部の基地占有率は二四・〇%に跳ね上がると。私は、こういうふうな形をしていると、いつまでたってもやっぱり基地依存度が非常に高まるばかりで、地域経済にも非常に大きな制約を与えてくるし、土地の利用上も大変大きな問題が出てくるんじゃないかというふうに考えております。
 その意味で、どういうふうに地域経済に制約を及ぼすのか、その辺の点をどのように認識されているのか。
 それから、ちょっと幾つかありまして申し訳ないんですが、例えば現在のSACO計画についてはどういうふうに評価しているか。
 また、米軍基地の大幅な整理縮小がやはり私は不可欠だと考えておりますが、その辺の点についてどのようにお考えなのか。
 全部というわけでは、結構でございますので、お三人方それぞれ、以上の三点につきまして御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
#41
○参考人(尚弘子君) 大変私不勉強で難しいんでございますけれども、基地が、例えば今、新都心という基地が返還されたところ、御存じかと思いますけれども、あそこが返還されてやっと今もう十数年になりますか、それ以上かもしれません、やっとそれらしき形になっておりますので、やはり今の基地の問題は、同時に移転をしたときの跡地利用、それを、私は大事ではないかなというふうに考えますので、基地の整理縮小と同時に、跡地利用というのはやはり考慮していただきたいというのが私の考えでございます。
#42
○参考人(前泊博盛君) 三つありまして、どれも重い質問なんで今ちゅうちょしておりますけれども、地域経済に基地がどのような制約を及ぼすかという部分では、基地所在市町村の財政収入に占める基地関連収入といったものの比率で見ることができるかと思うんですけれども、その辺りで見ると、金武町というところが一番大きいんですけれども、歳入総額九十億円のうちの約三十億円、三三%が基地関連収入と。次いで恩納村、これは観光のメッカになっておりますけれども、この恩納村が七十九億円中二十五億円ということで三二%、これも占めております。宜野座村が七十億円中十九億円、これは二七%です。嘉手納基地を抱えております嘉手納町が八十四億円中二十一億円と、二六%です。北谷町が百三十八億円中十九億円、これは一三%。
 これだけの基地関連収入を持っておりますと、基地が撤去されますとどうなりますか。九十億円のうち三十億円を失います。六十億円に減るということになりますと、皆さんの収入が本当に三割減、十万円もらっていた方が六万円に減ってしまう。これを、覚悟を決めないことには基地撤去ということには動きにくいという厳しい状況になっているかと思います。それは、財政でその数字ですから、民間経済では更に大きな数字になっていくかと思っています。これが大きな制約ではないかと思います。
 SACOについては、これだけの、橋本総理が力を込めてクリントンさんと交渉し、かち取ってきた成果であります。ただ、それがまだ一つしか実現をしておりません。日米この両大国が、政府首脳が合意をしたにもかかわらず実現できない理由は何であるのか。これは、庶民の側からすると、トップがこれだけの覚悟を決めて約束をしても実現できない、もう約束の期限が切れている、返還の期限が切れている基地もあります。もっと約束したことを実現できる政府を持ちたいなと願っています。
 それから、米軍基地の大幅削減、もちろん私は必要だと思っております。
 以上です。
#43
○参考人(前川盛治君) まず、SACO計画についてですが、このSACO計画の特徴は、ある基地を返還する代わりにそれに代わる新たな基地を作るというのがSACOの計画です。例えば、今の普天間の問題ですが、普天間基地を撤去する代わりに辺野古に新たな基地を作る、それも新たな基地の機能の強化にもなっているわけですよね。そういう点では、このSACO合意については非常に不備な点がある。沖縄の県民の世論は、基地の整理縮小、基地の撤去が沖縄県民の大きな世論です。このSACO合意はそういう沖縄県民の要求にはこたえていないというふうに私は考えています。
 それから、沖縄市についていいますと、今、私は沖縄市に住んでいますが、米軍基地に三四%を取られています。そういうことのために、沖縄市が新たな土地を求めていろんな施設を作るためには場所がない、だから泡瀬干潟を埋め立てるなんというような構想が出てくるわけですよね。そういう形で、沖縄市の発展のためにも基地は大きな弊害になっているわけです。そういう点では、沖縄の本当の発展のためには基地の撤去が大きな前提になっていると私は考えています。
#44
○小泉親司君 前泊参考人にまずお聞きしたいんですが、先ほども大変お話を興味深く聞いておりましたが、例えば、製造業の振興を実際にうたっていながら振興が大変遅れているというような御指摘がありまして、私も当委員会で、今度の法律にあります産業高度化地域の問題だとか特別自由貿易地区の問題だとか、いろいろと取り上げてまいりましたが、沖縄県もこの点については大変御苦労されているわけですね。
 例えば、特別自由貿易地区などについては、当初見込みが九十一社ぐらいの見込みだったのが現実には分譲区画に一社しか入っていないと。製造業がなかなか育たない、そうすると逆に雇用を大量に生み出すような場がなくなると。この辺がどうも、何といいますか、ジレンマにいろんな形で陥っているわけで、一つはこの辺をどういうふうに解消すべきなのかと。本当に製造業は育たないのか。例えば、今の沖縄の地場産業みたいなのを活性化するということもまた必要だと思いますし、そのためにはどうしたらいいかというふうな難しい問題があるんですが、この辺を一つお聞きしたいのと。
 それから、いろんな需要予測を出されているわけですね、県の方が。例えば、特別自由貿易地区には九十一社が来て、そのためには四万トン級の大幅なバースが必要で、私はちょっとこれは日本の本土の沖縄並みというか、昔は本土並み返還なんてありましたが、言わば本土の悪いところを沖縄に引っ張ってくるようなもので、実質的には大型港湾を作るものだというような、私はそういうふうな指摘をしたんですが、そういう需要見通しというか、前泊参考人も百三十三万の設計図とおっしゃっているんだけれども、その全体の設計図をもう少しきちんと国が責任持ってやらないと私はこの問題というのはなかなか解決できないんじゃないかなというふうに思いますので、その辺を一つお聞きしたいのと。
 それから、前川参考人に同じく、ちょっと時間もありませんので、その需要予測に基づいて今度は四万トンバースを作る、その土砂を今度は泡瀬干潟に持ってきてこれを埋め立てると、こういうふうになってくると、何か一方じゃ開発をやって、その一方で自然を破壊するということになりますと、これはちょっと振興法のこれまでの精神及びこれから二十一世紀に向かう振興法の精神とはやっぱり私は合致しないんじゃないかなというふうに思いますので、その辺、もし御意見がありましたら、併せて前川参考人にお聞きしたいと思います。
#45
○参考人(前泊博盛君) まず、産業振興の問題でいきますと、特別自由貿易地域あるいは先行しています自由貿易地域の那覇地区というのがございます。これも、沖縄県からの要望を受けて特別な制度として鳴り物入りで本当に始まったんですけれども。
 残念ながら、その中身はと申しますと、これは八八年にその制度ができたわけですけれども、自由貿易地域ですから当然外国とのやり取りが中心になるはずなんですけれども、この振興開発の点検報告書の中にあります数字を見ますと、八八年、できた当時は、県内、県外、国外の数字を見ますと、搬入先が、国外から九五%搬入されておりました。搬出先も二七%が国外にあったものが、八九年、翌年には、国外からの搬入が六六%に減って、搬出先は四%と。九〇年に入りますと、これが搬入先は五五%、搬出先は二%と。どんどん減りまして、今、搬入額、これは手元にあります最新の数字でいいますと、九九年の段階で搬入額の三六%が国外から、しかし国外向けは〇%ということになっています。
 何をもって貿易というのか。海外向けの出荷がない貿易地域、これを更に拡充しようというのが特別自由貿易地域であります。
 なぜそういうことが起こってしまうのか。実際に入りたいという企業の話をいろいろ聞きましたら、途中でやめた企業が幾つかありました。選択課税といったものも鳴り物入りでいただいた制度であります。ふたを開けてみましたら、牛肉の調製品を入れたいという企業に対して、入れてもいいがレトルトパックにしてほしい、ビニールでは駄目だ、中身が見えないようにしてほしいという形で注文を受けたそうです。選択課税で得られるその利益よりも新たな設備投資で失う額が大きいということで駄目になっちゃいました。
 こういったものが、法律で作られたその理念が実際に運用しようとすると生かされていないケースがある、この部分をきちんと先生方に監視をしていただきたいというのが一つの注文であります。
 以上です。
#46
○参考人(前川盛治君) 今の新港地区の活用について日弁連も非常に重要な点を指摘をしています。先ほどの資料を、手元に届けてありますけれども、日弁連の意見書の中の十四ページ、もし時間があれば開けてほしいんですが、そこに書かれておりますが、要するに、泡瀬干潟の埋立ては新港地区の土砂の処分というのが大きな目的になっていると。これについて意見書はこう述べております。
 十四ページの上から五行目ですが、当該指定については、人件費等の理由から製造業の多くが海外に生産拠点を移している現在において、東南アジアに多数あるFTZとの競争上の優位性について十分検討を尽くしたとは言えない。川田干潟を埋め立て、二千百七十億円もの巨費を掛けて新港地区を流通加工機能を持たせた港湾として整備することに合理性があるかは疑問と言わざるを得ない。また、しゅんせつ土砂に余剰が発生したこと自体、この開発計画のずさんさを示していると。
 そしてさらに、二十行ぐらい後に、百歩譲って、埋立てを認める場合があるとしても、代替案との費用対効果及び環境に対する影響の面についての比較検討は不可欠である。しかるに、国は、このような代替案との比較検討を十分に行うことなく本埋立事業に参加することを決定した。このように、しゅんせつ残土の処理目的で本埋立事業に参加するという意思決定は、内容的にもまた手続的にも合理性を欠いていると言わざるを得ないと。
 そしてまた、私たちが関係している泡瀬干潟を守る連絡会の意見書、県知事への要望書、資料では二十三ページになります。二十三ページの後半です。新港地区の問題点ということで、しゅんせつ作業の緊急性、必要性の根拠が弱いです。仮に必要でも、泡瀬埋立ての代替を検討すべきです。泡瀬埋立事業は、新港地区の港のしゅんせつ土砂の有効活用、私たちから言わせれば土砂の捨て場なんですが、として位置付けられ、計画が推進されています。
 新港地区の特別自由貿易地域は、以下に述べるように多くの問題点があります。
 一、原料加工製品輸出企業が非常に少ない。二つ、県の建設した賃貸工場への入居であり、業績不振でいつでも転出できる。三、沖縄県のこれまでの様々な努力の結果、九十社入居予定が現在わずか六社、わずか六社です。将来の需要見通しも非常に厳しいと言われています。四番、現在使用している西埠頭は非常に利用水準が高いと言いますが、これの検討の余地もあります。それから、水深七・五から十一メーター、要するに四万トン級の船を必要としていますが、これも検討の必要があります。最後に、もししゅんせつが必要だったとしても、貴重な泡瀬干潟を埋め立てる理由にはならない、代替案を考えるべきだというふうに思っています。
 以上です。
#47
○小泉親司君 ありがとうございました。
#48
○島袋宗康君 御三名の方々、大変御苦労さんです。貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 尚先生の日程が次にあるようでありますから、尚先生の方からまず先にやって、私の方で済んだらお帰りになってよろしいですから、あらかじめ申し上げておきたいと思います。
 これまでの沖振法では、本土との格差是正というのは非常に掲げられてきたわけであります。本土各県に比べて、沖縄県は県民所得や失業率増が非常にワーストワンというふうなことが言われていて、しかし、その反面、長寿という点では長寿国日本の中でベストワンというふうに言われておるわけであります。
 ところで、十年ほど前に尚先生が「世界」にお書きになっている論文を拝見いたしますと、昭和五十年以降、沖縄県の死亡原因は全国よりも三年ぐらい早く欧米型のパターンになりつつあるというふうなことを述べられておりますね。この懸念を裏付けるように、昨年の六月の「美ら島沖縄」で沖縄県福祉保健部長の新垣幸子さんは、沖縄県は長寿県なんですが、壮年期の死亡率が全国平均より高いこと、肺がんの死亡率が男性で全国一位、女性で二位であることが最近分かってまいりましたというふうに述べております。沖縄の振興といっても、その究極の目的は県民の福祉の向上にあると思いますけれども、長寿県沖縄の未来に差し込む陰りがここに見えているんじゃないかというふうな気がするんですけれども、その辺の御見解を承りたいと思います。
#49
○参考人(尚弘子君) 確かにおっしゃるとおりで、平成あれは四年、私が行政にいたときに依頼をされて書いた論文でございますけれども、あのときにいろいろ統計資料を全部ひもといてみますと、沖縄の長寿というのは、これ、のほほんとしておれない、大変危機感を、先ほどおっしゃったように危機感を持たなきゃいけないなということでああいうことを統計資料を基に書いたわけでございます。
 肺がんが一位というので私も本当にびっくりしたんですけれども、医師会の方々、それから保健所の所長、皆様と何が原因かということで話し合った経緯がございます。これ、今のところお医者様はたばこじゃないかというふうなことをおっしゃいますけれども、これ、端的にそう決められるものではございませんで、いまだ私はそのメーンの理由といいますか原因というのが分からないんですけれども。
 いずれにしましても、沖縄は元々歴史的に肉食文化というのがあったわけですね、豚肉をよく摂取するということで、米軍が入ってきて、アメリカの統治の下にあったころからポークランチョンミートだとか、いわゆる肉類に対しては抵抗なく沖縄の人たちは入り込んでいったと。そうしますと、当時の状態では、脂も共々食べていたということから、近年は、もうここ十年くらいは大変に脂に対して、また豚肉を摂取するときも独特の方法で食べなければいけないというようなことが叫ばれてきておりますので、その点は私は何とか持ち直していくんではないかなというふうに感じております。それに、沖縄の長寿というのが方々から危機感を持って叫ばれておりますので、沖縄の人たち自身、確かに自覚をしつつあると私は望んでおりますし、そうではないかなと思うんです。
 肺がんが一位ではありましたけれども、あのとき、統計資料で見ますと、がんは全部でたしか二十七、八位ぐらいということで、その他はすべてもう最下位という、いわゆる長寿のもとであるというようなものでしたけれども、がんだけは当時高かったということが言えるんですね。
 ですから、私どもも、そこいら辺はフリーラジカルの研究会辺りでも抗がん物質といいますか、いわゆる沖縄の長寿のもとになるウコンだとか、それから先ほどのゴーヤだとか「ちゅらさん」で出てきたああいうふうな食べ物というものに対する研究というのはどんどんどんどん産学官で進めていくというようなことをやっております。これから努力をしていって、絶対、世界一というのは長寿しか私は今現在ないと思いますので、是非それを維持していけるように努力をしてまいりたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
#50
○島袋宗康君 尚先生は沖縄の食文化の代表的な方ですので、そういった食に関するものによってそういった寿命が、長生きするとか、あるいは先ほどあったように肺がんが多くなっているとかというふうな関係がもしあるとするならば、是非、食文化の面でそういった長寿県が本当に長くともに維持できるような方策をひとつまた一緒に考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
 次、私は、前泊参考人が本年二月の建築ジャーナルに掲載されました「百三十万人の設計図」、サブタイトル「沖縄・本土復帰三十年の検証」という優れた論文を読ませていただき、多くの点で共感を覚え、感銘を受けました。
 そこで、参考人は、沖縄は、政府の財政移転や公共事業型振興策という施し経済や基地を人質に取って要求する物ごい経済から脱却して、経済的、精神的に自立すべし、そして、自らの目指すべき振興プランとなる設計図をかき上げて実現する気概を持つべしと論じております。もっともなことだと思います。
 ただ、一点、気掛かりなことは、中央省庁の官僚が沖縄振興策を安保維持装置として規定し、振興策を施しと観念したとしても、それは彼らのおごりと独善であって、沖縄は、国家の国策によって人と財ともに戦災で灰じんに帰し、戦後は米軍占領と日本の政権放棄による米軍施政下に長い間呻吟した結果に対する償いであると考えても当然であると考えられると思います。
 よって、前泊参考人の更なる御感想と、沖縄の真に物的、精神的自立を遂げるための具体的方策を幾つかお示しいただければありがたいと思います。
#51
○参考人(前泊博盛君) ありがとうございます。拙文を読んでいただいたことを感謝いたします。
 振興策については、本当に大きな宿題でありまして、私もこの十何年かいろいろ考えておりますけれども、なかなか決め手を欠いているというのが本音のところであります。
 先ほど何人かの先生からも指摘がありましたけれども、沖縄の経済を見るときに、恐らく先ほど質問に対して十分な答えではなかったんですが、補足しますけれども、沖縄経済といったものの実体経済が数字の上できちんと押さえられているのかなという疑問がありました。
 例えば、観光の入域客についても、四百七十万人という数字がどこから出ているのか。この数字の検証を沖縄県庁でも始めているようです。つまり、航空機で入られるお客さんの中にアンケート、何回かですけれども、取って、その中のアンケートに基づいて、ビジネス客が何%、それから観光目的が何%という数字が出ます。これ、九五%ぐらいが観光だというふうに書いてしまって、それをそのまま入ってくる輸送力に掛けて数字を出してきている、こういう数字で本当にいいのかと。
 それから、観光収入についても、今、一人当たり十万四百円程度の数字だと思いますが、この数字も、七万円から最大十一万四千円ぐらいまで上がったのが、今十万円です。この数字の出どころはどこなのか。ホテルに置かれましたアンケートはがきに対して書き込んでくれた方の数字を基にしているようです。ところが、実際にそのホテルに置いてある数字、アンケートに答える方は比較的時間に余裕のある方、といいますと、年配の方たちが多いようです。若い人たちはそういったものに書いてくれない。つまり、中心になっている若い人たちの観光客の消費額といったものはその数字ではないだろうというふうに言われます。
 ですから、そういったものを、公的な仕組みできちんとした数字を押さえて、そこから振興策を考えていかないことには、砂上の楼閣になりはしないかという懸念があると思います。その数字については、是非、政府の支援によって数字を押さえた上で振興策を考えていければと思っています。私も、その段階での数字のぶれがあってなかなか具体的な振興策というものが出しにくいといったものも、現場の方から声も聞いておりますので、是非、先生にはそのお力をかしていただければと思っています。
 それから、具体的なものでは、一・五次産業のお話を先ほどしましたけれども、観光というものが輸送コストが掛かると。沖縄は、物を持ってくるにも運んでいくのにも、島嶼県であるというところで大きな障壁になってきました。ところが、観光客は、今、砂上の楼閣と言ったその数字でありますけれども、四百七十万人、この方たちが来て、食べていただける。これは、恐らく定住人口でいえば五万人ほどの人口を抱えているのと同じぐらいの消費効果があると思います。
 この人たちは、自分たちで飛行機代を払って来てくれて、そして消費してくれます。輸送費が掛かりません。この部分の観光としてのインダストリーにどうリンクさせて農業や一次産業を中心にして発展をさせていくかというものが戦略的に出てくれば非常に効果的ではないかと思っています。
 時間もないので少しはしょりますけれども、貿易についてもそういった可能性のあるものが結構あります。例えば、鋳物についても、沖縄からの特産として、横浜の下水道のふたは実は沖縄で作られている。こういったものは重いにもかかわらず売れている。なぜか。品質がいいからという話もあります。そのニーズをきちんとつかみ取る、そういったシンクタンクも沖縄に欲しいなと思っています。流通の、マーケティングの情報をきちんと沖縄に流してくれるような仕組みをこちらでも作っていければと思っています。
#52
○島袋宗康君 それじゃ、例えば観光などで沖縄に落ちる金が大体六千億円というふうな、五千億から六千億というふうなことについては、まだ実態としては今のお話によるとつかめていないというふうなことが言えるわけですか。
#53
○参考人(前泊博盛君) 今のその数字の出し方といったものも検証しながら、より現実を反映した形のデータをまず押さえていただければと思っています。
#54
○島袋宗康君 前川参考人にお伺いいたします。
 沖縄県の教育振興策についてでありますけれども、沖縄県は様々な要因によって全国に比べ高校、大学への進学率が非常に低いと以前から言われております。沖縄の教育現場での実情や問題点等について率直にお話しいただきたいと思います。
 また、沖縄県議会は昨年十二月二十日に三十人以下学級の早期実現を求める意見書を可決し、沖教組、高教組の両教職員組合も今年一月二十二日に、沖縄県に対して、三十人以下学級の早期実現を求める要請を二万七千四百十人分の署名とともに提出しているとのことであります。
 そこで、学校の先生であられますから、この三十人以下学級の必要性が沖縄振興計画の中に具体的な予算措置を伴って組み入れるべきものだというふうに思いますけれども、その点について先生のお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#55
○参考人(前川盛治君) まず、三十人以下学級についてですが、今、島袋先生から話があったように、沖縄県の両教組、沖教組、高教組合同で沖縄県議会に陳情しまして、全員の一致で採択されて国に要請をするというふうになりました。本当にありがとうございました。
 この三十人以下学級は、今、全国的な動きです。今、子供たちは非常に難しい状況にあります。過去の四十人とかの状況ではもう対処できない。本当に子供たちを一人一人を大事にし、そして個性を伸ばしていくという教育のためにも、この三十人以下学級は本当に私は必要だと考えております。そういう点では、この沖縄振興新法の中でもそういうことがちゃんと措置されるように強く望んでいます。
 それから、進学率が沖縄県は確かに全国平均に比べて低いです。これはもういろんな要因があると思いますが、一番大きな要因は、やっぱり沖縄の県民所得が全国平均の七割程度しかないということにまず大きな原因があると思います。もう一つは、やっぱり沖縄が長年の間に基地依存の経済体系になっている。そういうことで、いわゆる基地収入で生活をできるような人たちもかなりいる。だからあえて進学しなくてもいいというような安易な、そういう風潮も一部あります。そういうことも一部原因しているんじゃないのかなと考えています。
 そのほか、たくさん要因はあるとは思いますけれども、そういう細かい点を分析をして、是非沖縄の進学率を上げていくように、またこれも沖縄振興新法の大きな課題だと思いますので、この点もひとつ先生方の御協力をよろしくお願いします。
#56
○島袋宗康君 時間ですので終わります。
 ありがとうございました。
#57
○委員長(佐藤雄平君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆さんに御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時散会
ソース: 国立国会図書館
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