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2002/07/15 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 行政監視委員会 第10号
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2002/07/15 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 行政監視委員会 第10号

#1
第154回国会 行政監視委員会 第10号
平成十四年七月十五日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月八日
    辞任         補欠選任
     和田ひろ子君     岡崎トミ子君
     若林 秀樹君     大塚 耕平君
 七月九日
    辞任         補欠選任
     内藤 正光君     岩本  司君
     又市 征治君     大脇 雅子君
 七月十日
    辞任         補欠選任
     大脇 雅子君     又市 征治君
 七月十二日
    辞任         補欠選任
     山本 孝史君     今井  澄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         森本 晃司君
    理 事
                岸  宏一君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                小川 敏夫君
                田名部匡省君
                渡辺 秀央君
    委 員
                阿南 一成君
                大野つや子君
                近藤  剛君
                森田 次夫君
                森元 恒雄君
                若林 正俊君
                岩本  司君
                大塚 耕平君
                岡崎トミ子君
                鈴木  寛君
                千葉 景子君
                松井 孝治君
                続  訓弘君
                山本 香苗君
                岩佐 恵美君
                西山登紀子君
                又市 征治君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       文部科学大臣   遠山 敦子君
       環境大臣     大木  浩君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
       国務大臣     石原 伸晃君
   副大臣
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       総務副大臣    若松 謙維君
       外務副大臣    植竹 繁雄君
   大臣政務官
       財務大臣政務官  吉田 幸弘君
       厚生労働大臣政
       務官       田村 憲久君
   政府特別補佐人
       人事院総裁    中島 忠能君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        白石 勝美君
   政府参考人
       外務大臣官房長  北島 信一君
       外務省欧州局長  齋藤 泰雄君
       財務省主税局長  大武健一郎君
       財務省国際局長  溝口善兵衛君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       国土交通省河川
       局長       竹村公太郎君
       環境省自然環境
       局長       小林  光君
   参考人
       国際協力銀行総
       裁        篠沢 恭助君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関
 する調査
 (行政の活動状況に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(森本晃司君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、若林秀樹君及び和田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として大塚耕平君及び岡崎トミ子君が選任されました。
 また、去る九日、内藤正光君が委員を辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。
 また、去る十二日、山本孝史君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(森本晃司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に外務大臣官房長北島信一君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、財務省主税局長大武健一郎君、財務省国際局長溝口善兵衛君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、国土交通省河川局長竹村公太郎君及び環境省自然環境局長小林光君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(森本晃司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(森本晃司君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に国際協力銀行総裁篠沢恭助君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(森本晃司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(森本晃司君) 次に、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。
 本日は、行政の活動状況に関する件について質疑を行うことといたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○近藤剛君 自由民主党の近藤剛でございます。
 今日は、昨今の資本市場を取り巻く諸問題につきまして、柳澤大臣、そして後からおいでいただきます竹中大臣、ほか関係省庁の皆様方のお考えを伺いたいと思っております。
 昨年の十二月、米国エネルギー卸売大手のエンロン社が破綻をいたしました。以来、米国資本市場が適切に機能しているのかどうかをめぐりまして大きな議論が巻き起こっております。最近になりまして、米国通信大手ワールドコムの大型粉飾決算の事実も明るみに出てまいりました。米国医薬品大手のメルク社による売上げ水増しの不正会計疑惑も報道されております。また、エンロン社の破綻に関連いたしまして、大手監査法人でありますアンダーセンが司法省によりまして司法妨害罪で訴追をされる事態ともなっております。その結果、米国資本市場に対する信頼感が大きく揺らいでいるわけであります。昨今の米国株式相場の低迷とドル安の動きは、そのような米国資本市場に対する信頼感の欠如と無縁ではないと思います。
 そこで、柳澤大臣にお伺いをいたします。
 米国企業エンロンあるいはワールドコム社などの会計疑惑につきましてどのような御感想をお持ちでいらっしゃいますでしょうか、また我が国の株式市場や金融市場への影響につきましてどのように見ておられるのでしょうか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
#9
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま近藤委員が、正にアメリカの経済に対するエキスパートとして、エンロン、ワールドコム等の会計疑惑とその影響するところについて御指摘になられまして、正にそのとおりのことが私どもも起こっているというふうに見ておるところでございます。
 そういうことを前にして感想をいかにと、こういうことでございますが、アメリカの資本市場、あの厳格なSECの下での資本市場というのは、これはもう本当にどこにも抜かりもすきもない非常に立派な資本市場であり、会社経理であるというように言われたわけでございますが、昨今のそういう状況を見ますと、なかなかこの問題は一筋縄ではいかないと、こういうふうには思うわけでございます。
 しかし、私どもとして、アメリカで今起こっていることが、立派だ立派だと自らを誇ってきたアメリカも結局はこういうことではないかというようなことで、何と申しますか、これをマイナスに評価して、言わば日本の市場のいろいろ足らざるところがあるということが分かっているわけですけれども、そういったことについても、まあ大体同じようなものではないかというような一種の開き直り的な意見等も散見されないわけではないんですけれども、私どもは全くそういうふうには考えておらないわけでございます。
 やはり、その後、現象的と申しますか、こうした事態に対応してSECなり大統領府が取っている迅速果敢な措置というものの展開を見ますと、我々もよくよくこうしたことについては参考にしなければいけないというふうに思っておりまして、正に他山の石であるというふうな受け止め方をいたしております。
 この影響はどうなんだろうかということで、特にワールドコムなどにもいろいろ関係が日本の銀行界も多いわけでございますが、我々もこのエクスポージャーというものについて、各行関係のところから報告ももらっているわけですけれども、現在のところ、それが大きな問題になるというほどのマグニチュードは持っていないのではないか、このように心得ている次第でございます。
#10
○近藤剛君 会計疑惑の発生後、直ちに米国政府、議会、米国証券取引委員会、SEC等が動き出しました。大統領も、御承知のとおり、ウォールストリートに出かけまして演説もいたしております。監査法人、公認会計士、証券アナリスト、格付機関等の倫理規程の見直しや罰則強化検討の動きもございます。
 具体的には、SECは六月の二十六日、ワールドコムを相手取りまして、投資家を欺いたといたしまして、ニューヨーク連邦地裁に民事提訴をいたしております。司法省も訴追の構えであると報道をされております。先ほど申しましたように、ブッシュ大統領も、七月の九日、ウォールストリートに出かけまして、資本市場の信頼回復に向けた包括策を発表をしております。そして、不正行為への罰則の強化、SECの機能、人員の強化など、一連の措置を打ち出したわけであります。米国議会におきましても、罰則強化や会計事務所の監査強化のための専門機関の新設などを含みます法案を審議中でありまして、上院におきましては本日にも可決をする動きだと伝えられております。
 アメリカ政府のこれらの動きに関する評価あるいは感想がございましたら、是非お聞かせいただきたいと存じます。そしてまた、これらの米国におきます動きが日本にとりまして参考になる点があるのかどうか、あるとすればどのような点であるとお考えなのか、具体的にお示し賜りたいと存じます。
#11
○国務大臣(柳澤伯夫君) アメリカにおきましては、今、近藤委員も御指摘になられたように、各般にわたるコンプライアンス関係の規制の強化が行われております。
 例えば、取締役の責任の強化というようなことで、財務諸表を提出した後にそうした財務諸表が提出されているとはちょっと自分としては十分認識していなかったというようなことが間々あるようでございますが、そうしたことは許さない、財務諸表を提出する場合にはちゃんとCEOも署名をしなければいけないということで、その責任の所在というものをはっきりさせようと、こういうような動きがあるようでございます。
 それから、監査の独立性ということで、今挙げられた会計監査法人は同時に、特に財務についてのコンサルタント業務をやっているというようなことがありまして、これは前のSEC委員長レビットさんがつとに指摘をしていた問題点であったわけですが、レビットさんの指摘にかかわらず、議会がその規制を取り下げてその法律化というものを先延ばしにしたわけでございますが、今回のことで議会側が、むしろレビット氏の言うとおりだったといってレビット氏に謝罪をするというような一幕もあったようでございますが、そうしたことを踏まえての監査の独立性の強化ということをこれはやると。それから、情報公開を行うと。さらに、罰則の強化ということで、今までは禁錮五年であったものを禁錮十年までこの法定刑を延長するというようなこと、いろんなことを取り上げておるわけでございます。
 私どもとしては、こうした会計監査あるいは企業会計といったようなものについては、これは正に資本市場のインフラであるという観点でその改善というものを不断に努力しておりまして、先般も会計監査の強化といったようなことで、ゴーイングコンサーン条項とかそういったものの取り入れをいたしたわけでございますが、今後とも、そうしたことをアメリカの例なぞも研究をさせていただきまして、更に日本のそうしたコンプライアンスのスキームというものの強化に取り組んでまいりたい、こういうように考えております。
#12
○近藤剛君 今の大臣のお答えに関連いたしまして、次に、証券取引等監視委員会についてお伺いをいたしたいと存じております。
 米国のSECと日本の証券取引等監視委員会との違いは、SECが日本の委員会の十倍以上の人員を擁しているという規模の問題に加えまして、規則の制定権限や証券に対する知識の普及など、国民の投資行為全般についての権限を集中していることにあると思います。
 日本の証券取引等監視委員会も、米国の一連の不祥事を他山の石として、監視体制を充実させるとともに、投資家のサイドに立った市場の育成あるいはルールの明確化など積極的に行う必要があると思います。
 具体的には、金融庁から投資家育成機能や規則制定権限などを委員会に移すこと、あるいは財務省の地域組織であります財務局に置かれている証券取引等監視官を委員会直属とするなど、幾つかの措置によりまして機能の統合あるいは強化を図ることも一案と思われますが、いかがでありましょうか。
 柳澤大臣の私的諮問機関であります金融システムと行政の将来ビジョンに関する懇話会におきましても同様の議論がなされたように聞いておりますが、大臣の御見解をお示しいただきたいと存じます。
#13
○国務大臣(柳澤伯夫君) 日本の証券取引等監視委員会は、御案内のように、現在、八条委員会ということでこれが設置されておるわけでございます。他方、金融庁には、証券市場関係につきましても、企画立案それから監督といったようなところが私どものところに所属をいたしております。またさらに、財務局というところに検査・監督といったような権限を持つ部局が配置されていると、こういうことになっているわけでございます。
 これに対して、今、近藤委員も御指摘になられたように、アメリカのSECを倣ったらどうかと、こういうような御意見が一部に強くあることは私どもよく承知をいたしておりまして、今御指摘のように、ビジョン懇におきましても、なお一部委員からそうしたことについて発言がございました。
 これをどう考えるかということでございますけれども、率直に言ってなかなか難しい問題でございます。今は市場の監視ということと証券会社の監督ということとが分かたれているわけでございますけれども、アメリカの方式が非常に世界的な主流かというと、必ずしもそうではございません。イギリスもフランスもドイツも、むしろ今の日本の方式の方に近づいているというような、統合方式の方に、むしろ数としては多いわけでございまして、それはそれぞれに一長一短があるのかなと、こういうように考えております。
 結論としては、やはり金融商品あるいは金融サービスというものが、全部が全部そうなるというわけじゃないですけれども、ユニバーサルサービスを選択していくという金融機関の存在というものを許す方向に行くというようなことであれば、やはり我々、検査・監督といったようなところについて、これもまた一元化して対応する方が効率的ではないかということには十分な理由があると私は考えておるわけでございます。
 財務局の問題は、これはもう本当に行政改革のいきさつ上こうなってしまっているという問題でありまして、まあ率直に言って、財務大臣がいないから言うわけじゃないんですけれども、今、財務局の仕事というのは半分以上が金融庁の仕事でございます。これ、実態でございます。
 さればといって、それでは、財務局を金融庁関係の理財部の系統とそれ以外に分けて二つの地方支分部局にしてその長を二人設置するということが、これが行政改革の趣旨にかなうかどうかといえば、これはだれが見たってそんなことは非効率であると、こういうことでございまして、それぐらいだったら、今まで財務局長というのが理財も見ておった、その他も見ておったということであれば、一人でやっていけば十分ではないかと、こういうことで、私、この間の行政組織のやり方について、当時、答弁に当たっていたのは梶山官房長官でございまして、私はその行革委の理事をしていましたので非常によく記憶をしておりますが、いろいろ理屈を言われてそれをいかに正当かということを言うには相当骨の折れる仕事なんでございます。
 はっきり言えば相当無理がいっているということでございますが、他方において、行政改革の下でできるだけ簡素な行政組織でいこうという要請にこたえるにはやむを得ない選択として現在のような方式があると、こういうように、我々も満足なものだとは思っていないんですけれども、やむを得ないものとして御理解をし、むしろ運用において遺憾なきを期していくということが大事ではないかと、このように考えております。
#14
○近藤剛君 大変重要な点の御指摘をいただいたと思います。市場行政の在り方につきまして、アメリカ型、英国型あるいはフランス型についてのお話がございました。そして、それぞれにつきまして一長一短があるということでもございました。
 考えてみますと、市場行政と、今、大臣がおっしゃったユニバーサルサービスに向けての業界に対する行政と、これははっきりとまた区分をして考えることも必要ではないかと考えておりますが、その点を踏まえまして、アメリカ型そして英国型の一長一短につきまして、具体的に、主な点だけで結構でございます、御教示を賜りたいと存じます。
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) ここで突然のお尋ねでございますので、頭に浮かんだことで申し上げるわけでございますけれども、アメリカにおきましても、自分たちが、銀行監督者が自分たちで十分だというふうに思っているかというと、お会いしていろいろお話をするときには、非常に今の体制にも問題があるというような気持ちの吐露が実は聞かれるわけでございます。余り個別の名前を挙げるのは差し控えますけれども、非常に大きなバンキングビジネスをやっているところと保険をやっているところが一緒になったというときに、我々銀行監督というものを本当に的確、効率的にやるには一体どうしたらいいんだろうか、何か知恵があったら教えてもらいたいと、本当に、訪ねていった私どもにそういうことを聞かれてしまうような、そういう場面もあるわけでございまして、やっぱりアメリカ型のそれぞれに今分けられている体制というものについても、相手がコングロマリット化してくるとちょっと当惑していると。なかなか自信が持って、あの金融機関を自分たちが完全に監督して市場に迷惑の掛からないようにやっておるという確信があるかというと、もちろん確信はあるでしょうけれども、やはりいろいろのことで心配の種が尽きないというようなことが実績かと思うわけでございます。
 他方、イギリスの方は、これは率直に言って、今スタートしたばかりなんですね、物すごく張り切ってはいらっしゃいます。張り切って、何というか、統合型の金融監督の機関を育てていこう、こういうようなことがその一挙手一投足というか、一言半句にも感じられるように張り切っているわけですが、これも、国会に対する、あるいは内閣に対しての責任というのは一体どうなるんだろうかと。あそこにも金融担当大臣というのがいるんですよ。いるんですけれども、どうも何か、影が薄いと言っては私と同じようなことになりますけれども、そういうようなことが率直に言ってあるようにも感じられまして、やはりFSA長官というような方にお会いしないと話も具体性を持った話がなかなかできないというようなところがあって、そういうところではちょっと問題が伏在しているのかなという感を、全くの印象ですけれども、そんなことを感じたこともございます。
 それからフランスは、これはもう本当にいろいろでございまして、あれは中央銀行がたしか銀行検査権を持っておったようにも思いますけれども、この辺りはまだ、安定期というか、制度としてもなかなか安定し切れていないんではないかというような印象を私持って帰ったことがあるという、ちょっと前の話で恐縮ですが、そんな感想を持っております。
#16
○近藤剛君 ありがとうございました。
 先ほど簡素な組織というお話もございました。ただ、一方で、先ほど米国のSECのお話もいたしましたが、人数は金融庁証券取引等監視委員会の十倍を擁しているわけであります。これから市場監視を更に強めていく、そのような動きの中にあって、金融庁そして同委員会の人員を更に増やす必要があるのではないかと、そのような議論があるわけでございますが、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#17
○副大臣(村田吉隆君) 証券市場を活性化しなきゃいけないと、こういうことでございまして、それに伴って証券市場の公正を確保していかなけりゃいけないと。そういう意味で、証券取引等監視委員会の人員がアメリカのSECと比べたら十分の一だという御指摘もございましたが、近年、私どもにおきましてもこの委員会のスタッフの増員ということについて御理解をいただいておりまして、今年度におきましてもその規模、定員におきまして六十一名の増員が認められました。財務局の方では三十九人と、こういうことでございまして、合わせて百人程度の増員が認められておるわけでございまして、私ども、必要な人員の確保につきましては関係当局の御理解を受けながら更に充実をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#18
○近藤剛君 次に、資本市場の整備に向けました金融行政に関連をして、一つ具体的な事例についてお伺いをいたしたいと存じます。
 御承知のとおり、金融庁では、昨年の三月、閣議決定がございまして、それに基づきまして昨年七月に法令適用事前確認手続、いわゆるノーアクションレター制度を設けました。しかし、この手続を用いての意見照会の活用実績は、本年の七月一日現在、約一年間でございますが、たったの二件しかないということでございます。ちなみに、米国SECにおきましては、年間に千件を超えるノーアクションレターが公開されていると、そのように聞いております。
 この点に関連いたしまして関係企業の声を聞いてみますと、金融庁の法令適用事前確認手続は公正取引委員会や経済産業省で実施しているような照会の取下げの制度がないために、営業上の秘密などの観点から途中で取り下げようとしてもすることができないために、意見照会そのものがためらわれるといった問題点があるようであります。
 ノーアクションレターというものは、米国SECにおいては、ある行為を行った際にSECのスタッフが具体的な取引等について是正、制裁等を行うか否かを文書で述べるという制度であります。ノーアクションレターはSECのスタッフの判断でありまして、結果的に司法当局によって覆るケースも当然あるわけであります。そして、申請から回答までのプロセスが明確に定められているものでもあります。
 我が国の民間企業も、例えば、新しい金融商品や取引の方法につきまして証券取引等監視委員会が勧告や告発を行うような問題はないのかあるのか、それとも、ない場合にはノーアクションでいるのかどうかを聞きたいと考えているわけであります。最終的な司法判断までを求めているわけではありません。にもかかわらず、司法上の判断にかかわるような事項についての確認を金融庁に求めましても質問に対する回答がない、あるいは、そもそもそのような申請を受理することがないといった批判も一部にあるようでございます。
 このような声に対しましてどのようにこれから対応を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#19
○副大臣(村田吉隆君) ただいま委員から、ノーアクションレターに対しての業界からのいろんな問題点の御指摘を含めまして、特に金融庁の体制あるいはその受入れのやり方について御批判があったと、こういう理解をいたしました。
 実際問題として、平成十三年の七月の十六日から導入されまして、ほぼちょうど一年ぐらいたつ中で、我が省のケースは二件が回答実績ということでございます。経済産業省あるいは公取を見ましても大体四件ぐらい、同じような時期に導入された役所の回答実績も四件ということでございまして、今、委員がおっしゃっているように、特に私どもの体制が厳しいということになるのかなと思いながらお答え申し上げておるわけでございますが、いずれにしましても、閣議決定の趣旨を踏まえまして、法令適用の予見可能性を高める、それから行政の公正性と透明性の向上を図ると、こういう趣旨で導入されたわけでございますので、そういう意味では使い勝手がいいものにしていかなければいけないと私ども考えております。
 それから、具体的に御指摘になった点でございますが、取下げが認められないということではございませんでして、結果として回答したのが二件でございますけれども、その間で、細則に合わないものについては、こういうふうに修正してもらったらこの制度の趣旨に合致してこたえられるようになるよとか、あるいはそれはちょっと無理じゃないですかとか、そういうやり取りがあっての話でございますから、そういう意味ではかなり現場では柔軟に対応がなされているのではないかと、私が聞いてみたところそういうことでございました。
 しかしながら、なおこの制度の趣旨にかんがみて、特に最近は、新しい金融商品を開発するとか、新しいいろんな、この制度の趣旨にかんがみて、自分がこういうことをやったらどうなるかということを知って動き出したいと、こういう要望も多々あるわけでございますので、制度の趣旨を踏まえて、より機動的にあるいは要望にこたえられるような制度になるように私ども更に検討を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
#20
○近藤剛君 ありがとうございます。是非、せっかく導入した制度でございます、当初の趣旨を踏まえまして、改善に引き続き努力をしていただきたいと存じます。公正取引委員会あるいは経済産業省のお話ございましたが、そういうところにモデルを求めるのではなくて、本来あるべき、諸外国、特にアメリカにおきますSECの事例等も十分に参考にしていただいて、より改善に努力をしていただきたいと考えております。よろしくお願いをいたします。
 竹中大臣おいでいただきましたので、早速、竹中大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
 先ほど、柳澤大臣にはエンロン、ワールドコム等の会計疑惑と米国の資本市場の混乱が日本の金融資本市場に及ぼす影響等に関する御見解を伺ったところでございます。竹中大臣には、そのような米国資本市場の動揺と米経済の現状が日本経済に与える影響につきまして現在どのようにお考えになっておられるのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
 七月の月例経済報告を拝見いたしますと、日本の経済動向につきまして、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きが見られると、そのようにございます。そして、その月例経済報告発表の後の記者会見におきまして、竹中大臣は、米国経済につきましては大崩れすることはないだろうと、そのように御見解を述べられておられます。
 一方で、ニューヨークの株式市場は株価の下落が依然として継続をしているわけであります。為替に関連いたしましても、当初はユーロに対してドル安という局面でございましたが、最近はドル、ユーロに対し円高の傾向にございます。
 そのような情勢の下で、米国経済の動向、日本経済の見通し等につきまして、竹中大臣の御見解を伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(竹中平蔵君) 私に対するお尋ねは、マクロ経済的なインパクトという観点からであるかと思います。
 基本的な認識としましてアメリカの経済を見る場合に、経済というのは常に、短期的には経済の需要サイドに非常に大きく影響される、しかし中長期的には経済を規定するのは経済の供給サイドであると。そういう観点からしますと、アメリカの生産性の上昇トレンドが、これはもうトレンドとして数年前からかなりしっかりと高くなっていると。そういう点に注目するならば、記者会見で申し上げたように、やはりアメリカの経済は、実物経済ではそこそこしっかりしているものであって、その意味で大崩れするということを今の時点で想定するのはいかがなものかというふうに考えているわけでございます。
 しかし一方で、短期的な需要面でのリスクというのは、これは、それはそれなりに認識しなければいけないわけでありまして、特に、実物面ではそれなりの強さを持っているものの、資産市場における調整というのが今後とも進行する可能性がある。それは株式市場に端的に表われておりますが、今のところ、株式、株価が低下することによって生ずる負の資産効果を、住宅、土地の価格が引き続き堅調であってそれがキャンセルアウトしているという構図になっているものですから、その資産市場の調整動向はこれはしっかりと見ていかなければいけないということなのかと思います。
 その意味では、円、ドル、為替の市場もこれは資産市場の一部分であるわけでありますが、当初、これはドル安であって、円そのものは、円はむしろ他の通貨に対して、ドル以外の他の通貨に対してはそんなに高くなっていないというような側面もあったわけでありますが、そのトレンドが、今、委員御指摘になったように、ユーロに対しても円が強くなるかもしれないと、そういう観測も出てきているわけであります。
 いずれにしましても、実物経済、中長期的なアメリカの経済の底堅さというものと資産市場の調整が需要面に及ぼすリスク要因というものを是非ともしっかりと見ていきたいと思っております。
 日本の経済の現状でありますが、一部に持ち直しというふうに申し上げましたのは、現状は現状で一部に持ち直しの動きがあるという事実をしっかりと認識をする、一方で、しかし、外にある将来のリスク要因についてもしっかりと見ていくということを月例の経済報告では明記したつもりでございます。
#22
○近藤剛君 ありがとうございました。
 両大臣の現状に対する御見解を踏まえまして、次に、我が国の資本市場の整備につきまして両大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
 我が国の資本市場にとりまして、投資家の信頼維持と同時並行的に、従来の間接金融中心の経済社会から直接金融への比重を移していく構造改革の推進のために、資本市場を育成をするという大きな課題があると思います。間接金融中心から直接金融中心へということは小泉内閣の大方針であると承知をしております。施政方針演説や緊急経済対策等でも繰り返し述べられているとおりであります。金融機関の不良債権の現状などを見るにつけまして、我が国資本市場の整備は喫緊の課題であると改めて感ずる次第であります。
 これからの資本市場育成に向けまして、具体的な段取り、スケジュールをどのように考えておられるのか。また、克服すべき問題点としてどのようなものがあるのか。大筋で結構でございます、まず柳澤大臣の御見解を伺った上で、竹中大臣のお考えも承りたいと存じます。
#23
○国務大臣(柳澤伯夫君) 資本市場の構造改革ということについては、実はこれまでにも、私、着任してしばらくして証券市場の構造改革の取りまとめというものの文書を発表させていただきまして、それに基づいてその具体化を図ってまいったわけでございます。
 例えば空売りの問題なぞも言ってみればその一環でございまして、何かタイミングが、株価が下落したときに行われたものですから、何かそんなことの意味合いだけなのかというような受け止め方をされたんですけれども、それは決してそういうものではなくて、私どもとしては、株の貸し借りについて、やはりシンメトリーな制度でないとおかしいというような考え方から、株を借りる場合の、何と申しますか、一種の金利みたいなものですか、そういうものもしっかり取るような体制にしたと、こういうことでございまして、それはそれで、昨年は昨年でいろんな措置をさせていただいたと、こういうことでございます。
 これから一体何が目標かということについては、更に今実はヒアリングを非常に広範に掛けておりまして、それをまとめた上で焦点を絞って取り組んでいきたいと、このように考えているところでございます。
 今、概括的に何か言えるかといいますと、やはり基本的には資本市場への参加者のすそ野を広げる、どうしたらすそ野が広がっていくだろうかということが大きなテーマであろうと思います。そして、そういうことを目標とすればするほど、証券市場の公正さというものを、いかに目に見えてそれを向上させたというようなことになるのかということが非常に大事ではないかと、こういうように思っているところでございます。
 それからまた、ちょっと方向を、視点を変えて申しますと、証券市場というか、そういう点について、既製の製品、つまり、例えば株式を代表とする既製の商品について、それへの参加者のすそ野を広げるとかあるいは市場の公正を図るということのほかに、例えば貸出し債権市場というものをもっと広範でかつ厚みのあるものにしていくというようなことも非常に大事なことだろうというふうに思っておりまして、債権であるとかあるいは不動産であるとかということの証券化と、その証券化したものが、これすべてがすべてセカンダリーマーケットを設けて流通しなきゃならぬというふうには考えておりませんけれども、それなりにそういう流通市場というものも整備できる、するということが非常に大事ではないか。
 そういうようなことを併せて、証券、金融を通じて価格メカニズムと申しましょうか、市場経済化と申しましょうか、そういったものを普及させていく必要があると、こういうことを考えているというのが現在の、現時点で申し上げられる概括的な我々の目標であるということでございます。
#24
○近藤剛君 続いて、竹中大臣の御見解を賜りたいと存じます。
#25
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には柳澤大臣がおっしゃったとおりのことでありまして、我々も、これにはやはり非常に総合的なビジョンが必要であるというふうに思いますので、金融庁で取りまとめになるそのビジョンを含めた政策に大変期待をしているところでございます。
 委員のお尋ね、間接金融から直接金融へということでございますが、恐らく議員の御趣旨は、より正確に言えば、相対型の金融から市場型の金融ということで、市場型の間接金融も含めた、よりリスクを取れるような金融のシステムということであろうかというふうに思っておりますが、インフラといいますか、税制等々含めたインフラを整備するということに加えて、もう一つは、やはり投資家、国民のマインドセットをしっかりと変えていただくようにするということもこれまた大変重要なことではないかと思います。これだけ多くの資産、金融資産を保有しながら、どうしても収益性よりは安全性という極端に偏ったアンケート調査の結果がいまだに返ってくると。
 経済広報というのが我々内閣府の一つの重要な仕事であると思っておりますので、この経済広報の一環としての投資家情報、投資家教育というもの、そのために今、私としては、産業界と協力して、ないしはNGO、NPOと協力して経済広報兼投資家教育になるような国民運動的なものが展開できないかというふうに考えているところでございます。
#26
○近藤剛君 両大臣から大変心強いお言葉をちょうだいをいたしました。
 それに関連をいたしまして、次に、両大臣に税制改革に関連しての幾つかの質問をさせていただきたいと存じております。
 今お話しございましたように、間接金融から直接金融への潮流は現在の政治に求められる最も大きな経済的な課題であろうかと思っております。
 柳澤大臣の私的諮問機関であります、先ほど引用させていただきました金融システムと行政の将来ビジョン懇話会におきまして、七月の十二日、先週の金曜日でございますが、報告書を公表をしておられます。これは、今後、金融庁が作成をされます金融長期ビジョンの土台になる重要な報告書であろうかと存じております。そこでは、直接金融への円滑な移行を図るための幾つかの具体的な提言がなされております。その一つが金融証券税制の見直しでありまして、具体的には、利子、株式配当、株式譲渡益など金融商品を保有することから生まれる収益を一つにまとめて、累進課税制度が適用される勤労所得とは区別をするいわゆる二元的所得税の導入も一つの選択肢として報告書に書かれていると承知をしております。
 同様に、六月二十八日に発表されております金融庁の税制金融に関する研究会におきましても、二元的所得税制の考え方を一つの有力な方向として打ち出しているわけであります。また、経済財政諮問会議におきましても、同様の議論が主として民間議員よりも提起をされたと承知をしております。さらに、株式市場の安定を図る方策の一つといたしまして、長期保有株式、例えば十年を超すような長期保有株式の譲渡益については非課税化してもいいのではないかとの有力な意見も従来からあるのは御承知のとおりであります。
 いずれにいたしましても、資本市場の育成のために税制面においても何らかの工夫が必要であると考えますが、この点につきましてどのように考えておられるのか、まず柳澤大臣、次いで竹中大臣、そして御出席いただいております大武主税局長からもお考えをちょうだいをいたしたいと存じます。
#27
○国務大臣(柳澤伯夫君) 証券税制につきまして、私ども、毎年度のように税制改正の要望を出させていただいております。昨年度も、非常に主税局の寛大な、また我々に対して理解ある姿勢から非常にいろいろな税制改正をやっていただきまして感謝をいたしておりますが。
 ただ、そこで言われていることはかなり重要だと思って私どもいるわけですけれども、余り細かい規定を置きますと、その規定が細かいから理解がし難いということのほかに、その細かい規定を行政の手続の中で公正に実現するためには、えらく煩瑣な書類を書かせるとか、そういうようなことの手続が必要になってくるという側面でございます。
 ですから、証券税制の改革で公平という、これは租税政策の命ですけれども、それをもう貫徹しようとすれば非常に煩瑣な手続になってしまって所期の効果が上がらないという非常に我々ジレンマに立っているわけでございまして、この点はまずこれからの税制改正においても非常に強く念頭に置いて取り掛からなきゃいけないと、こういうように思っております。
 そういう中で、二元的所得税制というものが私どもの金融税制に関する研究会で提唱をされて、それがまたビジョン懇でも若干論議を呼んだというようなことがございました。
 私は、今の租税政策の思想というのは、やっぱりシャウプ勧告以来の総合所得課税論というのがもう非常に強い。これがもう何というか金科玉条になってしまって、とにかく何でもかんでも所得というものはこれを総合して、そこに累進税率を掛けて納税額を出すのが最も公平なんだと、こういうような思想が日本では非常に濃いわけでございまして、大武局長がいらっしゃるわけですが、政府の税制調査会なぞにもこの思想が牢固として不可侵のごとく貫徹しているということでございます。
 しかし、租税政策の思想というのは変化があるわけでございまして、世界の租税政策の思潮というか考え方の流れでも、昨今では最適課税論の方が私は主流だと思っています。つまり、最適課税論というのは、例えば金融所得なら金融所得と労働所得なら労働所得に税を掛ける場合に、どっちが弾性値が低いか高いかということでございまして、金融所得なぞというものは税制の取り方によってもうすっかり変わってしまう。ところが、労働所得の方は、これは税制を少々動かしたってそんなに弾力的に変われるものではない、変わらない。そういうことがありまして、ですから、金融所得のそういう特殊性、所得としての特殊性を見て一番最適な課税の方式を選ぼうと。それは、必ずしも総合合算の累進課税ではありませんよという考え方は私は非常に強く出ていると思うのでございまして、この二元的所得税制論もその一環だというふうに思っております。
 もちろん、そのほかにも、商品ごとの税制というものを考えるのも最適課税論として導かれる一つの税制だと思っておりますが、二元的所得税制というのはかなり、何というか、その中間段階というか、余り煩瑣でない税制を最適課税論に立って構築しようという考え方かなと私は思っているんですけれども、いずれにせよそういうことで、主税局あるいは政府の税制調査会の皆さんにもうちょっと、もう何というか、シャウプの亡霊とは言いませんけれども、そういったことを離れてもうちょっと自由な発想で、本当に日本の税制あるいは日本の経済どうすればいいんだ、特に日本の金融あるいは資本市場をどうしたらいいかということに思いを致していただいて事に取り組んでいただきたい。そして、そのときにはやっぱり手続面、具体的な手続面のことも同時に念頭に置いていい税制を仕組んでいただきたいと、このように本当に念願をしております。
 私どもも、しかるべき時期に税制改正要望を出させていただきますので、そういったラインで今年もまた先生方の応援もいただいて、いい案を税制当局に提起したいと、このように考えております。
#28
○国務大臣(竹中平蔵君) 私もシャウプの包括的所得税と最適課税の話をしようと思ったんですが、全部言われてしまいましたんですが、基本的にはもう柳澤大臣おっしゃったとおりなのかなというふうに思っております。
 経済財政諮問会議におきましても、税制というのは、あるべき姿をしっかりと議論すると同時に、非常に現実的に今起こっていることに対応していかなければいけない。その意味でいきますと、税制の国際的な整合性というのが大変問われる。どの部門で一番問われるかというと、真っ先に問われるのがこの資本所得、金融所得の面であろうと。瞬時にしてお金は世界を駆け巡るわけで、この点に各国も税制の設計上大変苦労しているのであろうかというふうに思います。
 その意味では、勤労所得と資本所得等とを分ける二元的所得税というのは大変参考になるものだという意見が諮問会議でも出されました。我々の第二骨太においては、本当に二元がいいのかどうかという問題もありますので、金融資産課税の見直しということで問題提起をさせていただいた次第であります。そういった基本方針に沿って今後政府税調等々において具体的に検討が進むというふうに期待をしておりますし、諮問会議としてもそのフォローアップをさせていただきたいと思っているところでございます。
#29
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 ただいま柳澤大臣が言われました二元的所得税につきましては、実は政府税調もなお両論という格好で今後検討していきたいという形になっています。
 具体的に読ませていただきますと、「当調査会は、わが国所得課税のあり方について、包括的所得税論の立場に立脚しつつ、」、これがいわゆる総合課税でございますが、「総合課税への移行を目標としてきた。同時に、金融関連では、所得捕捉体制の問題から、現状では総合課税を基本に一部は分離課税を認めることが現実的としてきている。「二元的所得税」の考え方については、総合課税の前段階と捉え得るのか、また、」「これが北欧諸国」、これは二元的所得税を採用している国でございますが、「に止まらない流れとなるか等について、これから検討を要するものと考える。」ということで、ある意味では今後の検討課題であるという、前段階であるにせよ、そこで止まるにせよ、一つの考え方だということで検討していきたいという姿勢を取らせていただいているところでございます。
 ただ、これはこちらの金融庁の懇話会でも出されていますように、北欧諸国もこの二元的所得税を採用する場合は納税者番号制度というのが導入されているわけでございます。あるいは、総合課税の典型的な国であるアメリカにおいても、実は社会保障番号を中心とした納税者番号があるわけでございます。そういう意味で、この懇話会でも、「証券に対する税制を統一するためのインフラとして、個人や企業の収入の把握を確実にするための番号制度のような仕組みが求められる」というふうに指摘されていられるわけです。
 実は、政府税制調査会も、この二元的所得税なり税制の簡素化という観点からは、やはり納税者番号というものを積極的に検討を加えなければならないというスタンスでございます。まず、そのインフラがない以上は実はどうしようもないわけで、先ほど柳澤大臣からもお話がありましたとおり、先般の税制改正の中でも種々、証券税制の優遇措置といいますか、行ったわけですが、その結果は、番号がないことによって、先ほど来お話があるように、どうしても複雑になってしまうという点がございました。そういう意味でも、やはりそこは制度の簡素化という観点等からも、納税者番号制度の整備につきまして積極的な検討が必要になってきているんじゃないかというのが一つでございます。
 それからさらに、実はこの二元的所得税にちょっと補足をいたしますと、我々実務家から見ると、例えばストックオプションのように、勤労性所得を資産性所得へ変換することが実は技術的に可能になってきているという問題がございまして、この辺りをどういうふうに考えるかという割り切りが実はこの二元的所得税には要るのかという気がしております。
 以上でございます。
#30
○近藤剛君 それぞれの立場から非常に率直な御意見をいただいたと思います。ありがとうございます。
 最後に、ペイオフ問題につきましてお伺いをいたしたいと存じます。
 現在の金融システムに対しましてまだ不安感ありとして、ペイオフ完全実施を間近に控えまして賛否両論が存在をしているのは事実であります。ペイオフ完全実施の問題につきましてどのように考えておられるのか、そして実施の場合の条件整備の在り方などにつきましても御確認を賜りたいと存じます。
 例えば、金融システムをより強固にし、金融システムに対する国民の不安感を軽減をする一つの強力な方策として、金融機関の合併促進を更に図るべしとの考え方も出されております。その具体策の一つとして、金融機関の合併促進税制導入も提案されているやに報道をされております。
 これらの点も含めまして、まず柳澤大臣のお考えを伺いまして、そして、できましたら竹中大臣、そして、せっかく御列席でございます大武局長の御意見もちょうだいをしたいと存じます。
#31
○国務大臣(柳澤伯夫君) あと残りを三分の一ずつということになると、余りお話は長引かせるのは良くないと思いますので簡潔に申しますが、まず、ペイオフというのは構造改革に資すること多大であるというふうに思っております。要するに、預金者までが金融機関の経営というものに目を向けて、そして信頼が置けないところからはこれを引き出すということでございますので、金融機関の経営者はうかうかしていられないと、どうしたらこの預金者の信頼をつなぎ止めておくことができるかということで必死の努力をしなければいけない。そういう中で、日本の金融機関というものが健全性、収益性を向上していくという強力な効果を持つことはこれはもう明らかだというふうに私は思っておるわけでございます。
 その意味におきまして、私どもこのペイオフにつきましては、もう随分長くからこういうふうな予定をいたしておりますので、それをそのとおり実行させていただくということが大事だと、こういうように考えている次第でございます。
 もちろん、何でもかんでもやみくもにそこを突き進んでいけばいいということが許されないのが金融システムというものでございます。したがって、我々は預金者の預金の動向等も慎重によく見極めて、金融機関あるいは金融システムがより強いものになるように不断に努力をしていきたいと、このように考えているところでございます。
 今、そういう中で、先生、合併等促進策について触れられたわけですが、私も確かに合併等促進策は、今申した金融機関あるいは金融システムの強化ということに役立つという面があることは、これは否定いたしません。しかし、これは全然出てきたところの根っこが違っておりまして、直接にペイオフ対策というか、そういうものとして我々は打ち出したものでは実はないわけでございまして、余りそこを関連付けてお考えいただかないで、一つの独立した施策としていろいろとまた御論議をいただき、建設的な御意見もいただきたい、このように考えております。
 その中にはもちろん税制の問題もございまして、これについては別途要望をさせていただきたいと思っておりますが、税制との絡みでいいますと、合併等促進策の中で四項目ほど大分けをさせていただいておりますが、そのうちでコストが増加するというものを軽減できないかということを考えておりまして、例えば、システム統合の場合に、補助金でやっていただくのが一番望ましいわけですが、それが仮に無理だということになれば、これは償却を早めていただくということも一つあろうかと思います。それから、何よりも合併等に伴う登録免許税の関係、こればかにならない、非常に大きな負担になるところでございますので、これらについても税制上御配慮いただきたい、こんなことを考えているところでございます。
#32
○委員長(森本晃司君) 竹中大臣、時間が迫っておりますので、簡潔に御答弁、あと大武局長もお願いいたします。
#33
○国務大臣(竹中平蔵君) 柳澤大臣がもうペイオフそのものについてはおっしゃったとおりでございます。
 基本方針を取りまとめた私の立場から申し上げますと、市場の混乱を避けつつ、より強固な金融システムを作るということが基本的な政策目標であって、ペイオフ、さらには合併の促進というのは、その中の一つのプロセスであろうかというふうに思っております。その意味では、先ほども申し上げましたように、ペイオフをどのようにクリアしていくか、合併をどのような基準でクリアしていくかと、そういったことを含めたトータルの金融戦略、金融ビジョンが金融庁において検討され公表される中で、こうした様々な個々の問題についても理解が進んでいくということを期待しております。
#34
○政府参考人(大武健一郎君) ただいま柳澤大臣が御答弁になりましたような具体的な御提案をいただきました折には、その段階で手段としての税制の妥当性、その効果の有無、あるいは課税の公平等、観点を踏まえながら検討させていただきたいと存ずる次第でございます。
#35
○近藤剛君 これから間接金融から直接金融への重心の移行、そしてそのための我が国資本市場整備の正念場を迎えるわけであります。今日お話しいただいた方向に向けまして、小泉内閣の総力を挙げて取り組まれることを期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#36
○岡崎トミ子君 ダムをめぐる紛争は、日本でも世界各地でも絶えません。今日は、二〇〇〇年の十一月二十日にこの行政監視委員会で取り上げましたフィリピンのサンロケ多目的ダム事業について質問をしたいと思います。
 この事業につきましては、一九九九年九月に先住民の方たちと一緒に国際協力銀行の担当者の方にお目に掛かりました。二〇〇〇年十月には、来日いたしましたフィリピンのロナルド・コサラン下院議員と一緒に面会をいたしました。今月五日には、衆参百名を超える議員が所属をしております公共事業チェックの会として、本日御出席をいただいております財務省の吉田大臣政務官と国際協力銀行の篠沢総裁にお目に掛かって、融資凍結を求める申入れ書をお渡ししております。
 このサンロケ多目的ダムは、フィリピンのアグノ川に建設中のダムで、アジアでも屈指の巨大ダムとなる予定で建設をされております。既に主な構造物の建設は終わっております。ダムの高さ百九十メートル。
 日本のダムで最も高いダムはどのダムで、高さはどの程度か、吉田政務官、御存じでしょうか。
#37
○大臣政務官(吉田幸弘君) ダム及び発電所の概要についてのお尋ねというふうに……
#38
○岡崎トミ子君 ごめんなさい。日本で一番高いダムは何か、どこか、御存じでしょうか。高さと場所でございます。
#39
○大臣政務官(吉田幸弘君) 黒四ダムと承知しております。
#40
○岡崎トミ子君 私も調べましたので、最初はよくうろうろという感じだったんですけれども、日本のダムで最も高いのは富山県の黒部川第四ダムですね、百八十六メートルあります。堤防の長さは四百九十二メートルで、これサンロケ・ダムの約半分でございます。次いで長野県の高瀬ダムが百七十六メートル、三位は群馬県の奈良俣ダムで百五十八メートルで、このサンロケ・ダムというのがいかに大きいのかということをお分かりいただけると思いますが。
 ちなみに、霞が関ビルの百五十六メートルより高いということでございまして、私の参議院議員会館から山王パークタワーが見えておりますが、あの一番高いところ、あそことほぼ同じでございます。テレビのニュースでこのサンロケ・ダムのことについて見たんですけれども、下からのぞき込んでいるニュース、映像で、百五十トントラックという世界最大級のトラックがもう本当にかすんで見えるという、そういうものでございました。ダムの高さが百九十メートルで、堤防の長さ一・一キロメートルでございます。首相官邸から議員会館を突き抜けて国立劇場の端まで至る長さになっております。アジア最大級のものでございます。
 総事業費は、レストランでビール一杯四十円で飲めるフィリピンで千九百億円でありますから、日本の協力がなくしてこの事業はとてもできないということでございます。現地のたくさんの報道でも、サンロケ・ダムに関する報道には、JAPAN、日本という文字が躍っております。
 この事業については、環境あるいは社会に対する破壊的な影響が懸念されまして、計画が持ち上がった一九九五年から現地の先住民族、それから立ち退きの対象となっている住民の反対が根強く続けられておりますが、しかし、そうした中で建設工事は九割方完了しております。国際協力銀行の融資も残すところ約一〇%と聞いております。
 今後は、七月末から八月初めに掛けて貯水を開始する予定と聞いておりますが、貯水開始はいつになるか、篠沢総裁にお聞きしたいと思います。
#41
○参考人(篠沢恭助君) 貯水の開始につきましては、現時点で正確な日程の連絡は受けておりません。実務的な話合いの中で出ております申し方としては、八月以降に決定されるのではないだろうかという感じになっております。
#42
○岡崎トミ子君 この事業に対して融資が一時中断されたことに注目をしております。一九九九年の二月から九月に掛けて、サンロケ・パワー・コーポレーションに対する投資金融が一時中断されたと認識されておりますが、間違いありませんか。その場合に、一時中断された理由は何だったでしょうか。
#43
○参考人(篠沢恭助君) このダムに対する私どものいわゆるアンタイドローンでございますが、一九九九年に承諾を行ったのでございます。
 その際、まず私どもとしましては、全体状況の把握に努めまして、さらに、フィリピン政府に環境等の配慮の督促をしたわけでございます。そしてその後、水没地域での移転対象世帯数の確認とそうした世帯からの同意の取得、移転対象世帯以外の人々についてのコンサルテーションの実施、対策の策定、それらが満足すべき水準に達したのではないかというふうに判断をいたしまして、この融資の実施を行ったものでございます。いわゆる、先生が再開とおっしゃいましたのは、この融資事業の実施ということになろうかと思います。
#44
○岡崎トミ子君 この事業に対しましては、フィリピンの法律に対して反対、違反というふうに言われております。先住民族権利法に対する違反と地方自治法に対する違反と、この二つでありますが、私も可能性を疑っております。違反ではないかというふうに思っております。
 まず、この先住民族権利法についてお尋ねしたいんですが、この法律は、影響を受ける先住民族が自由な選択権を持ち、十分な情報を与えられた上で、事前に事業に同意することを事業実施の必要要件としております。
 先住民族権利法が求める同意が正式に得られていない以上、この事業の継続は違法と考えますが、国際協力銀行の認識はいかがでしょうか。
#45
○参考人(篠沢恭助君) 私ども、先住民族のみならず、このダム建設によりまして影響を受ける住民の権利は当然保護されるべきであり、適切な補償や生計支援の確保が重要であるとまず考えているところでございます。
 法律との関係でございますが、この法律、おっしゃいました先住民族の権利法の問題につきましては、国家先住民族委員会自体及びこのフィリピン政府の方からの意向といたしまして、現在のこの状況が、いわゆるこの法律の制定時期と私どものこの事業の実施時期との関係からいいまして、いわゆる法律違反の状態が起こっていたということではないという見解が示されているわけでございますが、私どもといたしましては、実態的にこの先住民族権利法の求めておりますところの内容が確保されている必要があるだろうということは重々認識をしているわけでございます。
 そういう点から申しますと、移転や生計手段の喪失等の影響を受けます先住民によるプロジェクトについての合意の取得、これはフィリピン政府によってこれまでなされているというふうに認識をしております。
 また、実際問題としまして、これを踏まえまして、上流の水没予定地域の居住者への家屋に対する補償、あるいは土地、作物等に関する補償もほぼ完了しているというふうに認識をしております。
#46
○岡崎トミ子君 この事業に対しまして、先住民族権利法を適用しない理由として、この法律が発効しました一九九七年十一月二十二日から一か月前の十月十一日に売買契約が締結されたということが挙げられておりますけれども、この権利法が発効する前に決定された事業に対しては先住民族権利法が適用されないかどうか、争われるべきだと考えます。
 特に、この事業については、事業の実施を最終的に許可いたしました環境適合応諾書、これは環境天然資源省が発給しておりますけれども、これは翌年の二月十七日ですよ。ですから、この事業の実施が正式に決定されたのは、この権利法が発効した後のことであります。先住民族権利法の適用は当然と考えますが、総裁、いかがですか。
#47
○参考人(篠沢恭助君) この御指摘の法律を所管しております国家先住民族委員会が、本件に関しまして電力売買、電力購買契約、九七年の十月十一日でございますが、この調印が先生御指摘の法律の発効に先立つことをもってこの法律は本件に適用されないという見解を正式に出しているところでございます。
 本行といたしましては、この本件の融資に当たりまして、当初から先住民族の権利の確保ということを十分念頭に置いてきたつもりでございますが、事実このアンタイドローンの貸付契約の中にもそのようなことについて明記をしたところでございますが、しかし、この御指摘の法律、先住民族権利法の適用の要否自体につきましては、これはフィリピン法の解釈によらざるを得ない、フィリピン当局の正式見解というものによらざるを得ないというふうに考えているところでございます。
#48
○岡崎トミ子君 もう一つ触れておかなきゃいけないんですが、フィリピンの環境天然資源省の説明によれば、環境適合応諾書は事業の実施の前に取得されなくてはならないということなんですね。実際、事業に対して発給された環境適合応諾書を見ると、提案されているこの事業について、開始を許可するという趣旨の文面になっているんですね。ですから、事業の実施が先住民族権利法発効後であることは明らかであります。
 先日、吉田政務官をお訪ねして公共事業チェック議員の会として申入れ書をお渡しした際にも、これは財務省の方から、適用論議についてフィリピン政府と日本政府に違いがあるというふうに発言をいただいております。
 国際協力銀行の監督官庁であります財務省の見解を改めてお伺いしたいと思います。
#49
○大臣政務官(吉田幸弘君) 今、見解の相違があるというふうに委員から御指摘があったわけでありますが、財務省としてもその申入れを強くさせていただいているところでございます。それで、その回答としては、関連法案等に明確に違反はしていないというふうには聞いているわけであります。ところが、そうじゃない声も聞こえてくるわけでありまして、更なる要請をさせていただいているところでございます。
#50
○岡崎トミ子君 一九九九年の九月、融資が再開される直前、私はこの先住民族の方たちと一緒に国際協力銀行の担当者の方々にお会いしたんですが、その際に、先住民族権利法で対応するので大丈夫というふうに、これは何回も説明を繰り返し受けております。これは国際協力銀行の勝手な説明ではなくて、フィリピン側の国際協力銀行やあるいは財務省に対する説明という裏付けのあるものだったというふうに考えております。
 九九年六月に、旧日本輸出入銀行営業第一部波多野部長も参加しました地元の住民集会の席におきましても、当時のフィリピン大統領補佐官が、先住民問題については先住民族権利法に基づき解決するという発言をしております。これ発言に記憶はないでしょうか。当時の現地の新聞を見ますと、融資前に満たすべき要件を輸銀が提示という記事と、もう一つ、要件の一つに先住民族権利法の遵守が挙がっているというふうに新聞にも書いてあるんです。
 この法律の適用が融資再開の条件ではなかったのかと思いますが、篠沢総裁、いかがでしょう。
#51
○参考人(篠沢恭助君) 当時の担当者から、その今御指摘の点につきまして詳細に確認をしておらないところでございます。また、フィリピンの補佐官の当時おっしゃったことの中身を今にわかに確認できないところでございますが、私どもといたしましては、この法律それ自体の適用関係につきましては先ほどから申し上げているようなことになるのではないかと。
 特に、フィリピン政府側がそのように既に法律、意見を出しておりますものですから、私はそれに従いたいと思うのでございますが、私ども、先ほどから申し上げておりますように、終始ここに記載されているこの内容についてはしっかり確保していくべきであると、こういうふうに思っておりますし、恐らく、私のそんたくしますところでは、当時私どもの銀行の一部長が申しましたことも、既に当時、先住民族権利法の言わば規定というものは明らかになっているわけでございますから、そういう規定の中身について、それをきちっと確保しなければならないという決意を述べておるのではないかと、これはそんたくしておる、推測しておるところでございますが、そのように理解をさせていただきたいと思います。
#52
○岡崎トミ子君 もう一つ、細かいことになりますけれども、ここは反対しているところなんですけれども、当時の日本輸出入銀行がまとめましたサンロケ多目的ダムプロジェクト、イトゴン市庁舎、ここで行われました住民対話集会の要約が手元にあるんですが、ここに大統領府アヴェンタハード補佐官の発言として、先住民族問題についてはやはりこの権利法に基づき解決するというふうに大変こだわっているわけですね。
 なぜこういうふうに言うかといえば、このダルピリップ村、二千人の方々なんですけれども、自給自足の生活をされてきた、そしてとても豊かだったんですね。そこが、先祖を大変大切にして生きてきた、これからもそういうものを引き継いで孫子の代までという思いで生活をずっとされてきている方たち、このイバロイ族の方にとってダムは死ですというふうに言い切っているわけなんですね。
 先住民族の生活に影響を与える可能性がある事業を行う場合には、やはり自由な選択権を持ち、十分な情報を与えられた上で、事前の同意を前提とするということは今や国際水準であるというふうに理解をしておりますが、このフィリピン政府の解釈にかかわらず、実質的にこういう同意が担保されることが本当は不可欠なんじゃないでしょうか。
 財務省からそのことについてお伺いしたいですし、国際協力銀行からも見解を伺っておきたいというふうに思います。
#53
○政府参考人(溝口善兵衛君) 先住民権利法、保護法の関係は、先ほど篠沢JBIC総裁からおっしゃったとおりだと我々も理解しております。法律の解釈としては、フィリピン政府の解釈に私どもも従う必要があります。
 他方で、実質的な問題として、影響を受ける方々が今まで補償された人以外におりまして、そういう方からいろいろなことが問題が提起されていれば、それは当然、法の趣旨に沿って対応していくべきだというふうに考えておりますし、私どももフィリピン政府に対しましても、私どもから直接もございますし、あるいはJBICを通じてそういう申入れはしておるわけでございます。
 いずれにしても、こういう事業でございますから、やっぱり皆さんの理解を得て円満に解決していくことが大事だというふうに考えておるところでございます。
#54
○参考人(篠沢恭助君) この先生御指摘のような反対の声があることは重々承知しているところでございますが、移転や生計手段の喪失などの影響を現に受ける住民からの合意の取得というものは、先住民族からのものも含めまして、フィリピン政府によってこれまでなされているという認識がございます。そして、それを踏まえて、移転等の手続や補償もほぼ完了に近づいているという状況にあると認識をしているわけでございます。
 しかしながら、今、先生御指摘のような声がなおあるということについては、今後とも十分重きを置いてまいりたいと思っております。そして、私どもといたしましては、そういった、今申し上げましたように、いろいろな合意の取得から移転手続あるいは補償、そういったものがほぼ完了に近づいてまいります道筋で大変多くの努力を尽くしてきたと思っておるわけでございます。そして、フィリピン政府におきましても、これはほかの問題でございますが、例えば、土砂堆積の問題でございますとかいろいろございますが……
#55
○岡崎トミ子君 そこまで聞いていませんので、ごめんなさい。
#56
○参考人(篠沢恭助君) はい。
 多くのコンサルテーションなどもやっておりますし、また、去る六月二十二日には、これも先生御承知のとおりでございますが、プロジェクトサイトにおきまして、私どもの職員や、またNGOの方々も参加された上で、様々な立場の関係者の対話集会が広く行われたといったようなこともございます。
 これからもこの問題についての十分な配慮が尽くされるよう、フィリピン政府側にも注意を喚起し続けてまいりたいというふうに思っております。
#57
○岡崎トミ子君 結局、先住民族の同意は得られていないんですね。ですから、今日この委員会で質問をさせていただいているわけなんですけれども。
 二〇〇一年六月、先ほど総裁も触れられました先住民族委員会の調査チームが、割とここがきちんと民族の皆さんたちの声を聞いているわけなんですけれども、この事業にやはり権利法が要求する同意が欠如しているということを報告しているんですね。
 今年の三月には、先住民族の人々はこの権利法の要求する同意がなかったということを根拠にして事業を中止するように先住民族委員会に請願書を出しています。そして、彼らはこの請願書を受けて、じゃ、きちんとした対処を取らない、そういう場合には裁判に訴えて判断を最高裁にゆだねる構えも見せていると、こういうふうに聞いているんですが、こういう現実をどう受け止めるかですね。
 そして、しっかりとした対応を取らないのであれば、融資条件が満たされていないということですから、これは融資を中止する必要があるのではないかと思いますが、総裁、いかがですか。
#58
○参考人(篠沢恭助君) 今御指摘になりました国家先住民族委員会の調査チームの報告書というものでございますが、これにつきましては、先住民族委員会自体及びフィリピン政府から、この報告書はあくまで特定個人の意見であり同委員会の公式な文書ではないという見解が示されたという事実が一つございます。
 それから、請願書、今年の三月に請願書が出されておるというお話でございますが、確かに、先住民族権利法の本件への適用を前提としてこのプロジェクトの中止を求めるという請願書が委員会に出されておりまして、その請願書への答えそのものは国家先住民族委員会において現在検討中というふうに認識をしているところでございます。
 しかしながら、先ほどから実務的、内容的にいろいろな手当てが進んでおるということを御説明しているところでございますが、移転や生計手段の喪失等の影響を現に受ける住民からの合意の取得がなされて、いろいろ補償あるいは移転等がほぼ完了に近づいておるところでございまして、これを私どものこの貸付契約の状況に照らしてみますると、今の状況が貸付契約で言っております違反、すなわちフィリピン関連法規に違反しているという状態に、違反している状態にあるとは認識できないのでございまして、その点につきましては御理解を賜りたいというふうに思います。
#59
○岡崎トミ子君 総裁はそういうふうにおっしゃいますけれども、これはこのまま強行しますと、国際社会から批判を必ず受けることになるだろうと思います。現に、先住民族のグループの皆さんは、国連人権委員会で今年開かれる予定の特別調査委員会でこのサンロケ・ダムの問題を取り上げるように依頼をしておりますし、世界ダム委員会の方でも、このサンロケ・ダムは問題案件の一つとして調査されまして、先住民族の権利侵害、報告をされているということ、御存じだと思います。
 当初、フィリピン側もこの権利法による解決を方針としていたんですけれども、これが同法違反が指摘される、そういう状況が打開できなくなったというところになりましたら、これは法律適用しないというふうに、不適用という見解を取り始めたんですね。
 日本側としては、毅然として、やっぱりここはそういうふうではなくて、きちんと私たちはやるべきことはやるんだという、そういう態度で臨むべきだというふうに思うんです。ですから、きちんと同意を得られていないという、実質的にそうだということであれば、これは凍結融資を選択肢に入れた対応が必要となるというふうに思いますが、財務省にお聞きしますけれども、いかがでしょうか。
#60
○政府参考人(溝口善兵衛君) 先ほど篠沢総裁の方から御説明ありましたが、国際協力銀行と借入先との間の借款契約の規定上、本プロジェクトが違法性を有しておるということは確認されてはいないわけでございますから、そういう立場に立って対応を、法律的な関係は対応をせざるを得ないんではないかというふうに申し上げているわけです。
 他方で、現実にそういう方がおられますから、そういう話合いとか円満な解決にいくようにフィリピン政府は努力すべきだということも併せて私どもとしてはフィリピン側に伝えておると、申し入れているということでございます。
#61
○岡崎トミ子君 次に、地方自治法の違反についてもお尋ねしておきたいと思いますが、ベンゲット州の合意は得られていませんが、これでよろしいでしょうか。それから、以前はフィリピン側も国際協力銀行もベンゲット州の合意を得るように努力する、ずっとそういうふうに言ってきたと思うんですね。また、そういう必要があるという態度だったというふうに認識しておりますけれども、総裁、いかがですか。
#62
○参考人(篠沢恭助君) 地方自治法上必要とされる関係自治体による同意ということでございますが、現段階におきましては、関係するすべての市及び村、バランガイと申しておりますが、この市及びバランガイから同意の決議を取得済みになっております。また、フィリピン法上必要とされるその他の許認可につきましても、環境適合証明書への同意を含めまして、関係する地方自治体による同意を取得済みになっております。
 ベンゲット州の問題でございますが、地方自治法を所管するフィリピン内務省といたしましては、現段階で、先ほど申しましたようなすべての市及びバランガイからの同意決議をもちまして本件に係るすべての地方自治体の合意はできており、現状、取得済みの同意決議をもって地方自治法上の問題はないという見解をお出しになっているというふうに承知しております。
#63
○岡崎トミ子君 私がお伺いしましたのは、各それぞれの町の自治体ではなく、ベンゲット州の合意を得るように努力する、しかもそれは必要だというふうにずっと言い続けてきたわけですから、そのことについてだけ本当は言っていただければよかったんですが。
 ここに一九九九年六月二十四日付のサンロケ・パワー社、フィリピン電力公社、旧輸出入銀行の間の覚書のコピーがございます。この覚書の六ページ、第九項にこのような記述がございます。すなわち、フィリピンの法規、特に地方自治法に従う観点から、サンロケ・パワー社はベンゲット州評議会と協議し、正確な情報を与えて適当と思われる支持、若しくは支持表明を得ることに合意した。さらに、先住民族権利法に従うために、サンロケ・コーポレーションは先住民族委員会スタッフ立会いの下に必要な協議の実施を地域委員会と調整することに合意したというふうに書いてございました。
 当初、フィリピン電力公社、サンロケ・パワー・コーポレーション、国際協力銀行の三者がこの先住民族権利法の適用とそれからベンゲット州の合意を事業の条件としていたと思います。事業の継続が覚書違反であることを示していると考えますが、違いますか。地方自治法違反を回避するために、解釈変更ではありませんか。財務省、どう考えますか。吉田政務官。
#64
○大臣政務官(吉田幸弘君) 事実関係については、JBICの方から答えていただきたいと思います。
#65
○参考人(篠沢恭助君) 私どもも、地方自治法上、関係自治体からの同意というものについては当然重視をして臨んでおるところでございますが、結果的に関係するすべての市、村からの同意決議というものが取得され、それをもって地方自治法上の要件は満たされたという公的な解釈が出されておりますので、地方自治法の問題につきましては、それをもちまして要件充足というふうに理解をしたいと思っております。
#66
○岡崎トミ子君 先ほどから私は、各自治体ではなくてベンゲット州という、全部網羅してそこの話をしているんですけれども。
 それでは、環境調査の結果に対する覚書違反は事業中止の十分過ぎる根拠と考えておりますが、この事業のおかしさというのはこれだけにとどまっておりませんで、地方自治法違反の疑いのいま一つの根拠とされますイトゴン市の承認についてはどうお考えになりますでしょうか。
 このイトゴン市の承認決議はあくまでも条件のものだったというふうに思います。今、篠沢総裁がそういうふうに細かくおっしゃっていらっしゃいますから。ここは、一度承認したんですけれども承認撤回しているんですね。つまり、大変重いですよ。承認を撤回しているということは、イトゴン市の基本姿勢というのはやっぱり変わっていないんですね。やることをやっていないということに関して、これは承服できないということです。一度した支持を撤回した、この重さを受け止めるべきだというふうに考えますけれども、総裁、いかがですか。
#67
○参考人(篠沢恭助君) しばらく前の段階でイトゴン市から既になされた承認を撤回する決議というものがなされたことがございます。これは重い事態でございましたが、御承知のとおり、その後、同市を含めまして全市、村からの同意、地方自治法上必要とされる関係自治体同意というものが得られることによりましてそこは治癒されたものと思っております。
 そのようなプロセスを経まする間に、いろいろな住民、関係住民からの合意でありますとか、いろいろな事態が、いろいろ御指摘をいただきましたことや、私どもあるいは日本政府の中では財務省等関係者が重々努力を積み重ねてきた結果としてそのように事態は進展しているというふうに理解をしております。
#68
○岡崎トミ子君 四月二十九日の決議というのが最新のものだと思っているんですけれども、その内容については承知していらっしゃいますか、四月二十九日の決議。国際協力銀行はこの四月二十九日の決議というのを、重要性を十分認識していない節があるんですよ。どうぞ。
#69
○参考人(篠沢恭助君) 本年の二月に、ベンゲット州におきましてもイトゴン市が承認をしているという決議があったようでございます。そして、四月二十九日には、引き続き諸般の問題点を誠意を持って解決すべく努力をすべきであるという形の決議があったのではないかというふうに理解をしております。
#70
○岡崎トミ子君 結局、四月二十九日のところで、もう承認撤回というふうなことで自治体の合意が得られていない、承認撤回した後でもう一回、再度承認するというような状況の努力というのが全く見えていないわけなんですよね。
 それでは、このように国際協力銀行が前向きな情報を選択的に与えていないし、関連自治体の合意が得られていないというこういう状況で、財務省、改めて見解を伺っておきたいと思いますけれども、いかがですか。とにかく承認する、そして撤回をする、その後きちんともう一回承認ってなされていないんですよ。
#71
○政府参考人(溝口善兵衛君) 事実関係につきましては、JBIC総裁の方から現状の説明ございましたけれども、私どもが報告を受けておりますのは、本プロジェクトにつきまして先住民保護法及び地方自治法上問題がないと。問題がないといいますか、フィリピン政府の方からそういう報告を受けているということでございます。
#72
○岡崎トミ子君 とにかく、皆さんお聞きになったように、なかなか大まかに聞かされているということと現実が違っているということをお分かりいただけたのではないかと思うんですが。
 十七条件の履行、これは融資決定の前提だったと思いますけれども、もう本当に事業が九割を割って融資も一〇%残すだけという、こういう最終段階になっておりまして、もう本当にこの十七条件というものを完全に確保するということが急務ではないかというふうに思うんです。
 この中で、一番心配している人たちは、実は土砂堆積の影響の問題なんですね。先ほど総裁、ちょっとお触れになりましたけれども、直接の影響を受けるわけではないとの理由で説明が十分されていないんです。また、コンサルテーションで出された意見が事業計画に反映されているとも言えません。
 九九年に、事業者から独立した専門家による調査が行われましたけれども、この調査報告は事業者の調査の甘さを指摘をしております。また実際に、サンロケダムの建設現場の上流に二つのダムがありますけれども、アンブクラオ・ダムとそれからビンガ・ダム、この二つのダムの場合にも、貯水池の何キロも上流で堆積が起こって、住民たちが立ち退きを迫られました。島に住民の皆さんたちは移住させられて、でもそこがマラリアになってしまって住むことができなくて、またもう一回アグノ川の上流のところまでみんな戻ってきているんですね。だから、生活再建というのが全くできないという状況に、この二つのダムの経験から考えて先住民族の皆さんたちが当然、心配するのは当たり前だというふうに思うんですが、こういう現実があると。
 独立専門家の調査に対する見解はいつ示されるのかというふうに思います。そして、この事業に反対している人たちに対して情報公開や説明、そして話合いは十分に土砂堆積に関して行われているかどうか、お伺いしたいと思います。
#73
○参考人(篠沢恭助君) 土砂堆積の問題でございますが、地元の自治体の御要請がございまして、一九九九年から二〇〇〇年に掛けて関連の調査が第三者のコンサルタント、これ米国の会社でございますが、これによって実施をされたわけでございますが、その結果として堆砂は、砂の堆積は九十年後でも当初水没域の上端から、一番上の部分から二・五キロメートルの地点までしか到達しないというような結論が得られたわけでございます。そして、その調査結果につきまして大変、何回も何回も、合計十七回であったかと思いますが、コンサルテーションが行われたわけでございます。そして、地元のイトゴン市議会でもその調査結果は受け入れていただいたわけでございます。
 それから、九九年に独立専門家、米国のNGOから批判が寄せられたということがございましたが、今申しました九九年から二〇〇〇年に掛けまして第三者コンサルタントによる調査が行われたというのも、今御指摘の独立専門家の批判を踏まえたものでございます。したがって、砂の堆積についての独立専門家の御批判はやや当を得ていない部分があるという結論になったのではないかというふうに私ども承知をしているわけでございます。
 それから、フィリピン政府は、この調査結果を踏まえて、地元住民にはこのコンサルテーションを通じて十分理解を得たという姿勢を取っておるわけでございます。
#74
○岡崎トミ子君 確かに、その土砂堆積が起こるか起こらないかというのはなかなか難しい問題なんですね。でも、絶対起こらないというふうに言えないんですよ。川は生き物なんですよ。ですから、急流ですごい急激に行ってすごい流されて、また緩やかになったとき、そこにたまってしまうんですけれども、ここのフィリピンにはしょっちゅうまた洪水も起きているわけですね。ああいう状況が起きたときに複雑な要因で土砂堆積が起こる。現に、今日、国土交通省の河川課にも伺いましたけれども、全く起こらないというふうに言えないというふうに私はお伺いしたんですけれども、起こる心配があるんですよ。
 そして、申し上げますけれども、今年の六月に、下流のサンマニュエル町とサンニコラス町の住民五百六十名が建設の継続と稼働に反対を表明して、国際協力銀行に対しても、住民や環境に対する悪影響を考慮してサンロケ・ダムへ融資を中止すべきだというふうに訴えまして、住民たちが納得していないということを財務省は問題であるというふうに考えないか、ちょっとお伺いしたいと思いますのと、もう一つのその上流のアンブクラオ・ダムとビンガ・ダムの場合には、建設から四、五十年たっても、今も先住民族に対する補償の支払が済んでいない。このことが現在先住民族の事業者に持っている不信感につながっていることも踏まえて、吉田政務官にお尋ねしたいと思います。
#75
○大臣政務官(吉田幸弘君) 委員の御質問にお答えします。
 この意見、意見というか、こちらが財務省として承知しているのは、先ほど来申し上げているように合意が得れているんだと、フィリピン政府に伺うとそのような回答が返ってくるわけであります。
 その反面、住民の合意が得れていないというようなことで、それに対して関係方面にその事実関係をしっかり対応するようにということで財務省としては申入れをさせていただいているところであります。その行為に対して、より努めて財務省としても指導していくべきであると、このようなことは考えるわけでありますが、今、委員のお話の中に堆積が全く起こらないかと、恐らくそのレポートに関しては起こらないというふうに出ていたと思うんです。ただ、全くかと言われると、世の中いろんなことも発生するというようなこともあるわけでありまして、その辺のあんばいというか、それをやはり考慮していくべきであると、より詳しく調べる必要はあると思います。ただ、一定の報告としてはないと。
 もう一つ、四十年補償がされていないと、このような御発言があったわけでありますが、その辺に関しては私は現時点では承知していませんので、それはまた私自身も調べてみたいというふうに思っております。
#76
○岡崎トミ子君 吉田政務官には、是非、これはあんばい程度の問題じゃないという、つまり移住世帯の生活再建が四年を経て順調に進んできていないんですね。もう解決に近づいているどころか、ここは唯一の本当に現金収入が砂金採取なんですが、禁止をされました二〇〇一年七月ごろから現地で不満の声が大きくなってきました。そして、移住世帯の住民は、この生活再建計画はいずれも失敗に終わっていると、農業や砂金採取に代わる生活手段となり得ていないというふうに証言しているんですね。この事業者の進める補償計画、生活再建計画、不備だと。ここをはっきり押さえておいてください。この事業には元々無理があるというところから出発しているわけなんですけれども、生活再建計画が始まって四年経過しているにもかかわらず、十分な生活再建の手段が見いだせない、こういうような計画でございますので、これはもう継続していくというのは大問題だというふうに思っております。
 時間も大変短くなってきましたので、もう一度吉田政務官にお伺いしてみたいと思いますが、移転住民の、四年間うまくいっていないんだと。さっきの、あんばいを見ていくという状況じゃないですか、そこのところはやっぱり将来の補償というのをきちんとしていただくと、ここを財務省には認識をしていただきたいと思います。
#77
○大臣政務官(吉田幸弘君) これは何度も同じようなお答えになるわけですが、財務省としてはフィリピンの方からそのような報告というのは伺っていないわけであります。
 ただ、今、委員が御指摘のあったということも事実であるというふうに思うわけでありまして、その点に対しては鋭意努力を進めていく、このように回答させていただきたいと思います。
#78
○岡崎トミ子君 問題を認識しても融資をやめられない国際協力銀行の仕組みには深刻な問題があると思いますが、これは国際協力銀行の問題にとどまるものではありません。誤りに気付いた場合には凍結あるいはやり直しができる仕組み、この必要性について政務官のお考えをお尋ねしたいと思います。
#79
○大臣政務官(吉田幸弘君) 今、委員は誤りに気付いたときというふうに申されました。現時点においては、私どもはこの誤りを明確に気付いた状況にはないわけでありまして、その点については御理解をいただいて、我々はフィリピンに対し、フィリピン国に対して強く要請を行っていくと、継続して強く要請をしていくということで御理解をいただきたいというふうに思います。
#80
○岡崎トミ子君 世界ダム委員会の勧告というのをもう一回読まなきゃいけないんですけれども、公正で、持続可能で、効率で、参加、アカウンタビリティー、説明責任を置くということについてこう勧告されておりますけれども、是非、やはり日本としてはODAの在り方、公共事業改革という面でも政府としてこの世界ダム委員会の勧告というものをしっかり受け入れて、そしてしっかりやっていただきたいなというふうに思うんですね。
 もう本当に時間が少なくなってきましたけれども、もう一度吉田政務官、世界ダム委員会の問題について短く、こういう勧告を受け入れてやるということについてお答えいただきたいと思います。
#81
○大臣政務官(吉田幸弘君) 二〇〇〇年の十一月に発表された世界ダム委員会の報告書についてであると思います。
 このダム建設にかかわる意思決定に関して様々な提議がされておると。この勧告に対して委員はしっかりとその内容等を受け止めて進めていくようにということでございまして、その点については私どもも十分理解しているところであります。また、この件に関してしっかりと今の御指摘を私自身も承知しながら対応させていただきたいというふうに思うわけであります。
#82
○岡崎トミ子君 吉田政務官、よろしくお願いします。
 とにかく共通しておりますのは、影響を受ける住民のリスクとか権利を過小に扱っている点だというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いします。
 最後に、総裁、地元新聞に現地関係者が貯水は八月十四日になるというふうに語ったと報道されているんですね。そのような決定はないというふうに理解してよろしいでしょうか。
 それからもう一つ、貯水開始までにクリアされるべき条件がありましたら、それについてお聞きして終わりたいと思います。
#83
○参考人(篠沢恭助君) 貯水の開始時期につきましては、この補償手続の進捗状況を踏まえて水没予定地域住民に十分な、更に十分な配慮を行いつつ、フィリピン政府及び実施主体の側で慎重に判断を行うという問題であると思っております。
 しかし、本行といたしましても、フィリピン政府や実施主体に対してこの貯水に関して諸般の事情を十分勘案して慎重に判断するよう伝えているところでございます。
 先週、公共事業チェック議員の会の諸先生がお越しいただきましていろいろ御注意を受けました。岡崎先生にもお越しをいただいたわけでございますが、その後、私どもとしては万全を期すべく、先週末に担当理事ほかをフィリピンに出張させまして、改めてフィリピン側当局に配慮の徹底というものを今申し入れているところでございまして、フィリピン側も真摯に対応するという返事をしているところでございます。
 そのように十分な配慮を尽くしながら進めてまいる案件であるというふうに考えております。
#84
○岡崎トミ子君 よろしくお願いします。
#85
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。
 東京女子医大病院における平柳明香さんの医療事故について、先週の厚生労働委員会における集中審議や一連の報道によってその原因や事実というものが少しずつではありますが明らかになってまいりました。そこで、まず今回は、医療法におけます特定機能病院、特に安全管理委員会についてお伺いいたします。
 この事件におきましては、安全管理委員会が機能していないのではないかということを多くの方が指摘されております。明香さんへの医療ミスについては安全管理委員会への報告はなされておりませんでした。明香さんの手術にかかわったメンバーも、メンバーのだれも報告をしておりません。報告しなければならないとは知らなかったし安全対策の指導を受けたこともないと中には言い切る医者もいるということです。さらに、安全管理委員会の委員長を務める病院長自身も、事故を知りながら委員会には報告していなかったことが明らかになっております。
 そこでお伺いいたします。
 明香さんの医療ミスの報告がなかったのは、東京女子医大病院が隠していたことに問題があるのか、それとも安全管理委員会という制度自体に問題があるのか、厚生労働省の御認識をお伺いいたします。
#86
○大臣政務官(田村憲久君) 安全管理委員会でございますけれども、医療機関内で事故が起こった場合に、それを報告をしまして、そして原因を分析した上で再発防止をすると、そういうために厚生労働省は指導しておるものでございまして、医療法施行規則の院内の安全管理体制確保という目的で医政局長の通知、通達で出させていただいております。
 ですから、そういう意味からいたしますと、今回の人工心肺装置の操作を誤り、そして患者を死亡させてしまったという件に関しましては、当然、安全管理委員会の方にそれが報告がなされなければならないということでございまして、大変遺憾に我が省といたしましても思っております。
 そういうところを踏まえまして、先般、七月十二日でありますけれども、社会保障審議会の医療分科会におきまして、この東京女子医科大学病院の特定機能病院の承認を取り消すという方向で結論をいただいているということでございます。
#87
○山本香苗君 この東京女子医大病院では、安全管理委員会へ提出するはずの報告書を事務部門の幹部が職員に指示してシュレッダーに掛けて廃棄していたという事実も明らかになっております。ミスの教訓を生かしてミスをなくしていきたいという良識ある職員によって報告書が保管されていたそうですが、その報告書の中には重大な事故につながりかねないような患者のデータの取り違えや入力ミスが多数含まれていたそうです。
 私は、こういった行為の背景には、特定機能病院となったら患者がたくさん来て診療報酬がたくさんもらえる、安全管理委員会なんか形だけ作っていればいい、厚生労働省には適当に取り繕っていればいいんだという意識が潜んでいるんではないかと思います。つまり、この制度自体を、また厚生労働省を甘く見ているんじゃないかと思います。
 今年の一月、厚生労働省は東京女子医大病院に立入検査を行い、一か月後に改善計画を提出するように指導されたわけでございますが、提出されたものは非常にお粗末だったと。そこで、再度出直しさせたということがございました。やはりここにも病院側の形だけ適当に繕って出せば何とかなるさ的な意識がまだまだ働いていたんじゃないかという気がいたします。
 今回、警察が動いて初めて多くの新事実が明らかになりました。所管官庁であります厚生労働省にはもっともっとしっかりしていただかなくちゃいけない、病院における安全管理体制は機能しないんじゃないかと思っております。特定機能病院に入院している、通院している患者の方々、御家族、多くの方々が本当に大丈夫かなと心配して不安になってしまうんじゃないかと思います。
 ちょっと昔の話になりますけれども、以前、待ち時間を省くために東京女子医大病院でも予約事務手数料を取っていたことが問題になったとき病院側が何と答えているかと申しますと、患者からは特に苦情もなかったので続けてきましたが、予約手数料が問題になっているので廃止について検討していこうと思っていると答えておりました。
 この予約事務手数料を取るということは法律違反の疑いがあるらしいんですが、外部が指摘しない限りきちんとやらないわけです。こういう体質が、別に東京女子医大病院だけに限ったことではないかもしれませんけれども、前からあるんだと思います、きっと。外部から指摘されたら、問題になったらきちんとやる、こういった体質があるからこそ、東京女子医大病院からの報告を厚生労働省がきちっとチェックして、悪いところを改善しなさい、そう言ってちゃんと指導しないと、病院内に設置されました安全管理委員会というのは正に絵にかいたもちになってしまうんじゃないかと思います。
 厚生労働省によりますと、全国に八十二あります特定機能病院に設置されました安全管理委員会の報告というのは、月に三百件を超える病院も少なくないとお伺いしました。しかし、東京女子医大病院では平成十二年六月から今年一月までに報告されたのは計千六百七十件、月平均約八十件にとどまっております。厚生労働省は、報告件数を見て、多い方が安全なのか、少ない方が安全なのか、どう判断されますか。また、そもそもこの報告件数を見て少ないな、おかしいんとちゃうかと疑問を持たれなかったんでしょうか。
#88
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいまの御質問でございますが、件数が多い少ないだけで一概的にどちらがいいというのはなかなか申し上げるのは難しいかとも思います。ただ、今、先生御指摘のように、安全管理委員会という形は作りましても魂が入っていなければ今回のような事件が起きてしまうわけでございます。
 私どもとしては、年に一遍、特定機能病院から安全管理委員会等報告を求めることになっておりますが、その中では回数ですとかあるいは活動の内容などについても調査をすることになっております。病院の方からの報告だけではなくて、立入調査をするような場合にもこれらの事項について確認を行うというようなことを行っているわけでございます。
 各特定機能病院においてそういう体制がきちっと確保され、それがまた適正に機能するように、今回の事件を教訓にして、なお一層その指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。
#89
○山本香苗君 東京女子医大病院といえば最先端の医療を備えた有名な病院でございます。多くの人が治療を受けています。今日、質問するに当たりまして、どんな病院か知らなかったらあかんなと思って今日行ってきたんですけれども、本当にたくさんの方が来られていらっしゃいました。
 とはいえ、医療事故が繰り返し発生しているのが東京女子医大病院の現実なんです。事実、医療事故訴訟件数が大変多いとお伺いいたしました。この報告件数を見て、この大病院の陰に表ざたになっていない多数の事故があるんじゃないか、そう思いませんか。何で報告件数が少ないのかと思わない方がおかしいと思います。そんな感覚じゃ安全管理なんかできません。
 今、どんな事故を報告させ、どう安全対策に生かしていくのかといった国のガイドラインはないんです。すべて病院任せなんです。厚生労働省への事故報告義務もありません。このままじゃ医療ミスの教訓は生かされませんし、事故がまた繰り返されてしまいます。
 どういったことを報告させ、それをどういうふうに安全対策に生かしていくのか、これについて国がきちっとガイドラインを作ったらいかがでしょうか。また、きちんと事故報告をさせるように義務付けたらいかがでしょうか。
#90
○政府参考人(篠崎英夫君) 今、先生御指摘がございましたように、安全管理委員会には様々な事例が報告をされることになっておりますが、その中身等につきましての、今御指摘のガイドラインのことでございますけれども、これは私どもでも検討会を設けるようにいたしておりまして、そういうところで御議論をいただいて、そして今年の十月からこの安全管理に対する一層の徹底を図るためにいろいろな措置を講ずることになっておりますけれども、その中におきましてもこの安全管理委員会の運営に関するガイドラインを定めたいというふうに考えております。
 医療事故につきましては、そこで働いている人の問題、それから医療にかかわるいろいろな薬ですとか医療用具ですとか物の問題、それから安全管理委員会等のそういう組織の問題、そしてもう一つ、この四つの四番目でございますが、それを動かすソフトの問題というのがございまして、この四つの問題のどれかが欠けていれば今回のような大きな事件、事故につながるというふうに言われております。
 私どもも、そういう背景を踏まえまして、今御指摘のガイドラインも含めて、十月までにきちっとそういうものを制定して対応していきたいと考えております。
#91
○山本香苗君 しっかりとガイドラインの方を定めていただきたいと思います。
 次に、特定機能病院の承認についてお伺いいたします。
 今回、先ほども政務官おっしゃいましたけれども、社会保障審議会医療分科会で東京女子医大病院の承認を取り消すという判断が下されたわけですが、いつ最終的に取り消されるのか。また、再び承認されることはございますか。手短にお願いいたします。
#92
○政府参考人(篠崎英夫君) せんだって、審議会の分科会の方で取消しが相当ということが示されました。これによりまして、行政手続法によりまして聴聞を開くことになっております。それを受けて、厚生労働大臣の方からこの分科会に諮問をいたしまして答申をいただいて、それで取消しという措置をして官報告示をする、そういう手順になってございます。
 もう一つは、取消しの後また再び承認されることがあるのかという御質問でございますが、これは、全国八十二現在ございますけれども、ごめんなさい、全国八十ある医科大学の本院が申請をして、今申し上げたその審議会の分科会でそれが適当ということになれば承認をされるわけでございますから、今回、これで特定機能病院の承認が取り消された後、ある時期またこの病院が承認の申請が出てくれば、その時点で承認するかどうか再び議論していただくと、こういうことになっておるわけでございます。
#93
○山本香苗君 平成十一年の一月十一日、横浜市立大学医学部附属病院で患者を取り違えて手術をし、手術をし終わるまで間違いに気付かなかったという衝撃的な医療事故があったことは皆様方の御記憶に新しいものだと思います。この事件後、病院は自ら特定機能病院の承認を辞退し、同年八月一日に特定機能病院じゃなくなったわけでございますが、平成十二年十二月二十日にはもう申請が承認され、再び特定機能病院になっています。
 私はこの事実を今回いろいろ調べる中で初めて知って愕然といたしました。厚生労働省のホームページには議事録が載せてありますが、国民の多くの皆さんは、再びこの横浜市立大学医学部附属病院が特定機能病院になって、また事件前と同じく診療報酬をたくさんもらっているということを余り御存じないんじゃないかと思います。
 そこで、今回、この横浜市立大学の関係では、再申請はいつ受理されたんでしょうか。そして、その申請を受けてどういった審議がなされて再び承認されたのでしょうか。
#94
○政府参考人(篠崎英夫君) それでは、ちょっと経緯について少し詳しく御説明をさせていただきますと、今、先生が申されましたように、平成十一年の六月に医療審議会による特定機能病院承認辞退の勧告を受けて、八月に同病院が承認を辞退したということでございます。ただ、当時は法律上、取消しという措置ができないわけでありましたので、その後、法律改正をして取消しができるようになったわけでございますので、この時点では審議会の方から辞退を勧告して病院の方がそれに、大学の方がそれに従って承認を辞退した、これが平成十一年の八月でございました。
 その後、十二年二月に同病院から再承認申請がございました。三月、この医療審議会においてヒアリング、そして実地調査、この委員の方々が大学病院に行きまして実地調査をいたしまして、特定機能病院としての承認を与えるのはまだ時期尚早ということで経過観察という取扱いとなりました。
 さらに、同年の四月から特定機能病院に、今申し上げました、義務付けられました安全管理体制確保の実施状況、こういうものも見極めながらこの病院の経過を引き続き観察をいたしまして、同年十二月、医療審議会においてヒアリング、そしてまた実地調査を再度実施をいたしました。そして、十二月の二十日、医療審議会より同病院に特定機能病院の承認を認めるべきとの答申がございましたので、それを踏まえまして、十三年、年が変わって十三年になりますが、十三年の一月一日に特定機能病院として再度承認され、約一年半、一年六か月ぐらいたっておりますが、十三年一月一日に再度承認がされたと、このような経緯でございます。
#95
○山本香苗君 今の御説明、ありがとうございました、聞いて、本当に再承認のために慎重なプロセスが取られたのか、いまいちよく分かりません。あれだけ世間を騒がせたのに、承認を辞退して半年で再申請が受理されている。二度と同じような過ちを繰り返さないようなシステムを作って、それが本当にきちんと機能しているかどうか見なくちゃいけないわけですけれども、そういった意味では、少なくとも一年間は申請を受け付けないとかしないと、取り消されてもすぐに申し込めばいいやという感じになるんじゃないかなと思います。
 今回のケースでは、特定機能病院承認の辞退ではなく、もっと重い取消しという処分になるわけでございますが、この騒ぎが収まった途端に、ああ良くなったとか改善されたとかなんとか言って、再びこっそりと東京女子医大病院が特定機能病院の承認を受けることがないようにしていただきたいと思います。きちんと安全が確保されていると判断できるまで安易に特定機能病院に再承認しないでいただきたい。そうしないと、小さな小さな身をもって医療に警鐘を鳴らした明香さんが浮かばれないと思います。
 再承認に関しては本件に限らず慎重に慎重を期していただきたいと思いますが、今の経緯をお聞きになられまして、田村政務官はどういうふうにお考えになられますでしょうか、御答弁をお願いいたします。
#96
○大臣政務官(田村憲久君) 制度的には今、局長が申し上げましたとおり再承認ができるという話でありますけれども、今回の件に関しましては、先ほど先生がおっしゃられましたとおり、社会保障審議会医療分科会の方で、とにかく、報告といいますか安全管理体制といいますか、委員会の体制がしっかりされていない、それから、患者それから家族に対していろんな説明責任がなされていない、さらには、改ざんでありますとか、はっきり申し上げて悪意に満ちた行為というものがあるわけでありまして、こういう点を踏まえた上で今回取消しという話でございます。
 こういうものをしっかりと体制として整備を整えていただいた上でという話はまた大前提でございますけれども、国民に対しての信頼を本当に失った、著しく失ったわけでありまして、この国民に対する信頼というものをしっかり取り戻すということが一番の基本でありますから、この点を取り戻したということが確認がされて初めて再承認という形になってこようと思います。
#97
○山本香苗君 力強い御答弁、ありがとうございます。
 特定機能病院であればこそ患者の安全をきちんと確保しなくちゃいけないわけでございますが、その病院の姿勢が現れるのは、先ほどちょっと政務官もおっしゃられましたけれども、カルテ、この扱い方じゃないかと思います。
 再承認についてもカルテの扱い方を一つの指標にしていただければどうかなと思うんですが、厚生労働省の方の説明によりますと、カルテ開示は現在八割から九割ぐらいまで進んでいるとお伺いいたしました。しかしながら、患者のカルテ開示請求権というものは法的に保障はされていないとのことです。ですから、いつでも患者さんが自分のカルテを見られるわけではありません。患者本人には見せても亡くなった患者の遺族には見せないというお医者さんも少なくないとお伺いいたしました。また、患者がカルテを見せてと言っても、管理方法が変わって紛失してしまいましたと言って見せてもらえないことも多々あるそうです。
 医師法第二十四条によってカルテの保存期間は五年間と義務付けられております。しかし、この保存期間中カルテを紛失した場合の罰則は五十万円以下です。裁判に訴えられて何百万、何千万も払わなきゃいけないよりも、カルテを紛失しましたと言って出さないでおく方が得だという場合もございます。これでは患者の安心、安全は守られません。守れません。
 カルテは医療ミスがあったかどうか裁判で争う際の大事な大事な証拠です。これがなかったら今回も争えなかったわけです。現在、カルテの開示については業界の自主的な取組に任せているそうですが、やっぱりここは、国が患者の立場に立って、きちんとカルテ開示請求についてガイドラインなり指針なりを定めるべきじゃないかと思いますが、政務官、いかがでしょうか。
#98
○大臣政務官(田村憲久君) 先生のおっしゃられた点、大変重要な点だと思います。厚生労働委員会の方でもいろんな意見をいただいておりまして、そういう部分を踏まえまして、七月の五日でありますけれども、診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会というものを立ち上げさせていただきました。この中で、ガイドライン、それから医療情報の提供体制といいますか、提供の仕方、そういうものも含めてしっかりと意見を出していただいて、議論をさせていただいた上で、今年度内に結論を出させていただきたいというふうに思っております。
#99
○山本香苗君 本日は、坂口大臣にお越しいただけませんでしたけれども、田村政務官より前向きな御答弁がいただけたというふうに受け止めまして、私の質問を終わらせていただこうと思ったんですが、ちょっと時間が余りますので、最後に、今回逮捕となりました二名の医師の医師免許について、今後どうなるんでしょうか。医師免許剥奪になるのかならないのか。ならないのであれば、その理由をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
#100
○大臣政務官(田村憲久君) 一般的に、行政処分というものに対しましては事実認定を行うやっぱり必要があろうと思います。基本的に、医師に対する行政処分は、司法処分の確定を待った上で医道審、医道審議会の方で議論をいただいて、どういうような形になるか、処分をするか、決めさせていただく、こういう方向であるわけでありますが、それだけではございませんでして、司法処分が確定する前に、いろんな社会的に大きな問題等々がある場合には行政の方が処分できるということもあります。
 ただ、これに関しましても、医師法に規定する免許の取消し事由、これに該当した場合の話でございまして、基本的にはこの中に、医事に関する犯罪又は不正の行為、又は医師としての品位を損する行為、こういうものが的確に調査認定された場合に取り消すことができるということでありますが、現在、身柄を今逮捕という形で拘束されておりまして、なかなかこちらが独自に調査をするということができません。ですから、なかなかどういうふうに進めていくかというのは難しいわけでありますけれども、ただ、いずれにいたしましても、現在進められている捜査等々の状況を見ながら、なるべくいろんな方々の御意見をお伺いしながら、速やかに遺憾のないように処分というものを進めてまいりたいな、ここまでしかお答えできないものでありますから、申し訳ないんですけれども、そのように考えておるような次第でございます。
#101
○山本香苗君 ありがとうございました。
#102
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 今日は、就学援助制度についてお聞きをしていきたいと思います。
 今日、長期にわたる不況によります失業、倒産が増え続けておりまして、私の手元にも、生活困難から教育費のやりくりも非常に大変になっているんだというような声が非常にたくさん寄せられております。
 そこで、私もいろいろと調べてみました。結局、日本国憲法二十六条には、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とありますし、義務教育はこれは無償とする、このように明確に述べられているわけです。そして、教育基本法の第三条一項、「教育の機会均等」、二項、「経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」として、国と地方自治体の責務、義務付けも明確にされています。就学援助制度というのは、こういった憲法と教育基本法を受けて具体化した法律、つまり、就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律というのがあるわけですが、その法律に基づく制度であると考えます。
 この法律には、「経済的理由によつて就学困難な児童及び生徒について学用品を給与する等就学奨励を行う地方公共団体に対し、国が必要な援助を与えることとし、」「義務教育の円滑な実施に資することを目的とする。」と、法律にはそういうふうに目的規定がされております。国の補助につきましては、この法律の施行令第三条、四条、五条などで示されているんですけれども、総額の二分の一というふうになっているわけですね。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、私の理解では、この法律というのは、最も身近に子供たちに接触をしている地方自治体がその対象児童を認定する、その就学援助に対して国が総額の二分の一を補助として与える、こういう制度であるというふうに理解をしているのですが、それでよろしいでしょうか。
#103
○国務大臣(遠山敦子君) 文部科学省では、これまで、学校教育法や就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律、いわゆる就学援助法と呼んでおりますが、これなどに基づいて、経済的な理由によって小中学校への就学が困難な児童生徒に学用品などを給与するということで、就学奨励を行う市町村に対して、それに要する経費について補助を行ってまいっております。
 補助率につきましては、総額の二分の一と、今、委員お話しでございましたが、もう少し明確に政令で書いてございまして、就学援助法施行令において、具体的には二つの数値の算定の仕方を書き、それを乗じて得た額を補助の根拠としているわけでございますが、一つは、予算で定める学用品等の単価でございます。それからもう一つは、予算の範囲内で定めた補助対象児童生徒総数を各市町村ごとに配分した人数、この二つの数字を用いて、これらを乗じて得た額に対してその二分の一の補助を行うこととなっているところでございます。すなわち、各市町村の実際に給与する額ではなくて、予算を基に定める額を限度として、その額の二分の一を補助することとなっているものでございます。
#104
○西山登紀子君 この法律の第二条には、確かに「予算の範囲内において、これに要する経費を補助する。」というふうになっているわけですよね。施行令の第三条を見てみますと、確かに、国が決めるその単価に対して市町村が認定をした生徒の数に乗じた額の総額の半分を国は補助すると、こういうふうになっているわけでございます。
 就学援助の補助対象者について、要保護者というのは分かるわけですけれども、「要保護者に準ずる程度」と、こういう規定がございます。要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者、これが準要保護者ということであるわけですが、この準ずる程度に困窮する受給資格要件、これはどのようになっているでしょうか。
#105
○政府参考人(矢野重典君) お尋ねの準要保護者は、就学援助法施行令第一条におきまして、市町村の教育委員会が生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者とされているところでございまして、具体的には、例えば市町村民税の非課税者あるいは市町村民税の減免者、さらには個人の事業税の減免、また固定資産税の減免、さらには保護者の職業が不安定で生活状態が悪いと認められる者などの児童生徒が考えられるところでございますけれども、実際の認定の基準の制定あるいは対象の特定、準要保護者としての特定でございますが、対象の特定はあくまでも市町村の自治事務といたしまして、市町村の判断によるものでございます。
#106
○西山登紀子君 今も御答弁がありましたように、市町村が主体的にその資格要件というものを決めて、そして子供を認定するんだという御答弁があったと思います。最も身近に子供たちを見ている自治体が認定するということが実態に合ったものになる、そういう趣旨からだと思います。問題は、それに合ったように国の補助が行き届いているのかというところが問題だと思います。
 京都の、私の地元ですが、八幡市で、うちの議員団の方からお聞きしたわけですけれども、実はその対象にしている小学校児童数が急増しているということを聞きました。九六年度、平成八年ですけれども、三百十七人だった小学生の準要保護者ですね、結局就学援助の対象児童、これが三百十七人だったんですけれども、二〇〇〇年度には何と六百二人、全児童数の一五・六%に増えています。九六年は六・五%でした。二〇〇一年度は小学生が六百九十七人、一八・五%と、ちょうど九六年度の倍増しているという実態です。
 中学校はどうかといいますと、九六年度には百三十六人、五・三%だった対象児童が、二〇〇〇年には二百六十四人、一二・三%、二〇〇一年には二百八十二名、一三・六%、実に大臣これ倍増しているという大変な事態だと思います。
 そこで、ちょっと数字についてここで明らかにしていただきたいと思うんです。こういうふうに自治体が対象といたします就学援助の対象児童というのは、私は八幡市だけで増えているとは思いません。そこで、就学援助を受けなければならない児童が全国で急増していると思うんですけれども、実態を把握していらっしゃると思います。準要保護児童生徒として市町村が認定した数の推移を教えてください。九七年度と二〇〇一年度ではどうなっているでしょうか。当然国は補助対象として国庫補助金を交付してきたと思うんですけれども、国が交付した国庫補助金は九七年度は幾らで二〇〇一年度は幾らか、そして市町村がお子さんに支給いたしました総額、就学援助額の総額の推移、九七年度と二〇〇一年度、それぞれ幾らになっているのか、教えていただきたいと思います。
#107
○政府参考人(矢野重典君) 準要保護児童生徒として市町村が認定した数でございますけれども、平成九年でいいますと、トータルで七十万二千六十四人でございます。それに対しまして、平成十三年度の数でございますが、トータルで九十四万八千六百四十六人でございます。これに対する国庫補助交付決定額でございますが、平成九年度がこれは八十一億四千六百十六万三千円に対しまして、平成十三年度が七十四億九千二百八十二万五千円と、こういうふうになってございます。
#108
○西山登紀子君 今お聞きになりましたように、九七年、ちょうど九兆円の負担増が起きまして大変な不況が進行、始まりました。そのときから、九七年七十万人だった対象者が約九十五万人、この五年間で二十五万人の児童が就学援助対象児童として増えているんですね。率からいたしますと、全児童に対する比率は五・八八%から八・六九%に増えています。ところが、国の予算はどうかといえば、これは全児童のおよそ三・八%前後というところで予算が執行されておりまして、予算の額はむしろ八十一億から約七十五億円、六億円も減っているわけですね。これは非常に重大だと考えます。
 そこで、こういう事態がどういうことを招いているかということです。一つは、施行令第三条では総額の二分の一について国が補助を行うというふうになっているわけですけれども、実態はまるっきり違ってきています。自治体が給付した額に対して国庫補助金の交付金額というのは、率をはじいてみますと実に二五・六七%になっているわけですね。国は本来半分責任を持たなきゃいけない。ところが、今や事態は半分の半分、こういうことになっているわけですね。私は非常に重大な事態ではないかというふうに考えます。
 具体的な事実関係も出して大臣にお考えをお伺いしたいと思うんですけれども、こういう事態になりますと、援助を必要とする子供を削るか、あるいは自治体が財源を独自に持ち出すかということしか残る道はありません。子供の成長というのは待ってはくれないわけで、また失った時間もまた戻ってはまいりません。ですから、住民のその切実な声にこたえようとすれば、子供たちの声にこたえようとすれば、持ち出しをしなければならない自治体が増えているわけでございます。
 昨年の大阪の八尾市議会でも、市の負担金が小学校で八二・二%にも上っている、中学校でも七九・二%にもなっている、国庫負担が少な過ぎるんじゃないかということが問題にもなっているわけでございます。先ほど私が例に出しました八幡市ですけれども、自治体が頑張って対象児童に、児童が増えているわけですけれども、支給を行っております。先ほど支給のいろんな基準が示されましたけれども、実は八幡市の基準は生活保護世帯の、これは七〇年代に文部省が提起をした数、数値というふうに聞いておりますが、要保護世帯の一・三倍、母子家庭や父子家庭や身体障害者・児童世帯の場合には一・五倍ということの数値的な、数量的な認定基準を設けまして八幡市がやっております。これでしっかりと頑張りますとどうなるかというと、持ち出しは平成十二年度では七百六十八万円、八幡市が持ち出すということになってきているわけですね。
 大臣にお伺いいたしますけれども、これはやはり国の責任を、本当に半分責任を持つというふうになっているにもかかわらず、法律上、もう平均二五%になっている。半分は国が責任を放棄している。住む自治体によって対応が子供によって違ってくる、子供たちにも違ってくる。これはやっぱり憲法が保障する教育の機会均等、等しい、法の下で平等な教育を受けることができるという、そういう憲法にも違反した、また法律にも違反した行政の私は怠慢だというふうに思うんですけれども、直ちに改善を図るべきではないでしょうか。
#109
○国務大臣(遠山敦子君) 国の補助が十全であるということは大変望ましいことでございますけれども、制度上はその予算の範囲内で行うことになっておりまして、それぞれの時点において最大限の努力をしてこの予算の獲得に努めてまいっていると思います。
 就学援助の対象者は、各市町村の自治事務といたしまして、市町村教育委員会がそれぞれの判断に基づいて認定しているものでございます。例えば、平成十三年度の実績で準要保護児童生徒と認定された者が二〇%程度であるというふうに聞いておりますけれども、大阪や東京の一部の地域でございまして、その数値は。全国平均で見ますと八%程度となっているところでございます。
 その意味では、自治体の間の差がかなり出ているという実態でございまして、国といたしましては、それぞれの自治体でなさいます認定というものを前提としてと、それらにすべて二分の一でというふうに制度上なってございませんで、先ほども申しましたように、その予算の枠を考えながら配分しているところでございます。
 もちろん、現在大変厳しい予算の状況でございますけれども、私どもも予算の確保についてもちろん努力は続けてまいりたいと思っているところでございます。
#110
○西山登紀子君 予算の範囲内とおっしゃるわけですけれども、この法律の仕組みというのは、まず地方自治体が独自に認定の基準も自分たちで決めるし、それから認定の対象児童も自分たちで決めていいと。そして、その半分は国が援助をいたしましょう。もちろん、その認定の基準というのも先ほどお示しがあったし、要保護児童の、要保護世帯の一・三から一・五、そんなに各自治体が途方もない基準を決めているのではなくて、各自治体とも大体保護世帯の一・二、一・四、五、大きなところで一・五、そこらぐらいの範囲でずっと決めているわけですよね。そうしなければ子供たちの就学権を守れないということで、自治体は努力をしている。ところが、今、実態はどうかというと、国の方はもう半分どころか二五%しか実際は補助したことになっていない実態になっております。ですから、どういうことが起こるかというと、地方自治体が努力をして出しているところはまだしも、出さない自治体があるわけですよ。出せないというか、出さないというか。
 そういうところ、私、全県の一覧表をずっともらいました。確かに、大臣がおっしゃるように、要保護児童の認定のパーセンテージ、各県ともずっと違っているんですね。それは本当にそういう子供がいないから違っているのか。そうじゃないから問題なんですよ。国が三・七とか三・八とかいって算定の基準をはじくものだから、その枠に対象児童をむしろ狭めて、排除している自治体もあるわけですよ、中には。もうこれだけの分しか対象にしませんとね。修学旅行費は十五人分しか認めません、学用品代は十八人分しか認めません、こういう形で子供たちを排除している。今、急にリストラを受けた、急に失業に遭ったというふうなお子さんが次々と生まれているということは、これはもういろんな先生のお声だとかずっと集めておりますけれども、一年間に二人も一クラスにあったとか、そういうことがあるわけですね。
 ですから、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今、本当に急激な失業、不況というのが進んでいます。リストラの首切りも起こる、突然起こる。そういったときに、国はこれだけしか出しません、あとは自治体の裁量ですというふうなことになれば、これはやっぱり子供が差別を受けますし、自治体間にも差別を作ることになると思います。
 最後にお伺いいたしますけれども、そのようなことはやっぱり国が法律上の責任を果たさないということになるので、緊急に、不況に対する緊急対策として大臣が予算の獲得にこの際うんと努力をしていただくということと、それから、その認定に当たりましても、前年度の市民税の減免とか、そういったものの証明を持ってきなさいということでは、これは間尺に合いません。突然首が切られる、突然リストラに遭うということなんですから、これは直ちにその場合には柔軟な対応をするんだということも含めて、大臣の見解を伺いたいと思います。
#111
○国務大臣(遠山敦子君) 就学援助の予算につきましては、厳しい財政状況の下ではございますけれども、平成十二年度以降、毎年援助率の改善を図るなど、必要な予算の確保に努力しているところでございますが、今後とも、市町村が適切な就学援助を実施するために必要な予算の確保に努力してまいりたいと思います。
 対象者の認定に当たりまして前年度の所得を判断基準とするかどうかは市町村の判断によっているところでございまして、我が省としましては、児童生徒が義務教育を円滑に受けることができますように、かねてから各市町村の教育委員会に対しまして、突然そういう家庭内の事情が起きたような場合については適切な配慮を行うように指導を行っているところでございます。今後とも、そういう方向で指導は重ねてまいりたいと思います。
#112
○西山登紀子君 最後に大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、私、資料をいただきましたら、率を増やしたと言うけれども、これは子供の人数が下がっていっているんですが、準要保護児童のパーセンテージは、十年度三・七、十一年度が三・七、十二年度が三・七五、十三年度が三・八、十四年は三・八一ということで、大体三・八前後のパーセンテージを、こういうぐらいの子供が就学援助の対象児童であるという枠を国がはめて、そして予算を打っているわけですが、その予算とて、先ほど数字の報告がありましたけれども、六億円も減っているんですね。そして、さっき大臣もお認めになったように、今、市町村が実際認定している子供のパーセンテージ、これは平均のパーセンテージですけれども、八・七%ということで、上がっているわけですね。平均でも八・七%。ところが、国は相変わらず三・八%前後で算定をしていると。
 これはどう見ても、そして私もずっとはじいてみましたけれども、余りにもこれはアンバランスが大き過ぎて、国の言うとおり四%の枠の中に子供をはじこうと思えば本当に省いて省いて省かざるを得ないという、そういう自治体の大変な実態もあると思いますし、一方では、子供のことなんだから何をさておいても独自のお金を出しましょうということで頑張っている自治体もある。余りにもこのアンバランスが大き過ぎて、しかも余りにもその文部省の三・八%という枠が、大臣もお認めになったように平均でも八・七%というところまで来ているわけですから、余りにもこれは実態とそぐわないんじゃないでしょうか。これは予算の枠などという弁解は通用できないんじゃないでしょうか。
 そのことを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。大臣。
#113
○国務大臣(遠山敦子君) この制度そのものは、御存じのように、平成十一年の地方分権のための整理法と申しますか、そこで国の機関委任事務でありましたものを自治事務としたという大きな制度改革が背景にございます。それぞれの市町村においていろいろ工夫をしていただいていると思いますけれども、国としては、やはり予算の獲得には十分努力はするけれども、その範囲内で適正に配分をするようにということで努力をしてまいっているところでございます。その制度も十分御理解の上で、私どもとしましてももちろんこの予算については今後とも努力をしてまいりたいと思いますが、それぞれの市町村におきましても自治事務としてのしっかりした対応をお願いしたいというふうに思うところでございます。
#114
○西山登紀子君 最後に。
#115
○委員長(森本晃司君) 時間でございますので、よろしく。
#116
○西山登紀子君 じゃ、終わります。エンドレスになりますから、やめましょう。
#117
○渡辺秀央君 今日は時間が実は十分しかなくなってしまいまして、どうも一人でまたしゃべって終わっちゃう傾向がありますんで、ちょっと大事なところだけ一分間だけ申し上げますと、私は、石原大臣、この間、続さんの質問に対してお答えになられたこと、それから総務委員会で片山大臣と中島総裁とのいわゆる意見の若干の、何といいますか、ニュアンスの違いとでもいうか、表現の違い、片山さんはかなり意識して言ったようですが、そういういろんな問題、要するに公務員制度の改革について、来年のこととはいいながらも、非常に僕は国家的に重要な問題だと。
 これは政治家である以上はみんながお互いに認識していることだと思うんですが、とりわけ昨今は政治に活力がない、経済に活力がない。今、正に文部科学大臣お見えだったけれども、教育研究にも昨今どうも十分な成果も出ていない。何か新しいものがこの数年間の間に特記されるべきものがあるかというと、何かどうも政治の舞台でわあわあわあわあ言うだけであって、要するにスローガンだけであって、実際に伴っているものがどうも見えてこない。国民は生活に対する不安、経済人は経済活動に対する不安、言うに及ばず、国家公務員のいわゆる活力の、私は、昨今非常に、なくなったとは言いませんけれども、意欲の喪失感がどうもあるように見えてならない。私どもは、当時年齢が若かったからそういうふうに感ずるのか、年取っちゃったからそういうふうに感ずるのか、それは分かりません。それぞれの政治家の持つ考え方かも分かりませんが、極めて私は、今一番国家にとって、日本にとって大事なことは、国家公務員のいわゆる二十一世紀における、国が正に変わろうとしている、変えようとしている、内閣はしている、その一番大事な国家公務員が、自分たちの置かれている立場が極めて不安定である、あるいはまた、行く先極めて見通しが乏しい。
 ある意味においては、新しい意欲に燃えて優秀な人材が、言うなら、国家公務員試験T種合格を目指してとまであえて言いません、U種においてもそうでしょう、そういう国家に対する使命感、責任感、民主主義国家を建設しよう、そういう意欲で学生の時代に一生懸命努力をして、勉強をして試験に挑戦する。そして、それを公平、公正、中立で人事院がこれまで立派な人材をこの日本の、あのゼロの地帯から六十年間、世界に冠たる日本のあらゆる面を作り上げてきた、その原動力となってきたことは、お世辞抜きにして、私は国家公務員の大きな私は力があった、あるいはまた国家に対する使命感、責任感を発揚した原因であると。私は前にも総務委員会でもそういう若干の話をしました。
 ところが、昨今の改革改革ということにして今までのことを否定せんがばかりに、どうもその考え方が私は納得できない面が多々あります。今日の十分間でとても質疑を交わせる時間だとは思っておりませんが、後日、来週もし委員会があるならもう一度。私は今日はインプットのところをやります、公務員採用のところ。この次はアウトプットのところをやらせてもらおうと思っている、天下り。
 天下り天下りと言うけれども、そこだって大きな問題ですよ。要するに、インプットとアウトプットをしっかりやって人事管理ができるんじゃないですか。それがどうも、採用試験を四倍にすると言ってみたり、一向に私はその意味が分からないんですよ。何で一体T種合格者の数を、この閣議決定、私、今これを言おうと思ってこれ持ったんですが、採用試験の計画立案、企画立案について内閣は主体的に行うなどという仕組みを考えたり、そして四倍もの合格者数を必要とすると。
 どういう意味ですか、これ。何で四倍なんですか。一向にそこが分からないですね。それ、どうぞ大臣、ちょっともしお考えがあったら明確に、余り時間掛けないで答えてください。
#118
○国務大臣(石原伸晃君) 委員が御指摘のとおり、やはり国家というものが置かれている現状と、その国家をこれからどのように若い方々が公務の世界で頑張っていこうか、そういう大きな命題がございまして、採用の側から考えますと、意欲があって能力のある人間をどれだけ幅広い観点から採用することができるのかという問題があると思います。そして、なぜこのような大きな公務員制度の採用部分の改革案が出てきたかというと、採用する側から見て思うように思う人が採れない、それはすなわちこれからの国家行政をつかさどる上で大きな弊害をもたらすんじゃないかと、もう現にもたらしているんじゃないかと、そのところにスタートがあるんだと思います。
 十四年度の試験から既にもう人事院の方で二・五倍の増加させた合格者の方を採られ、十五年度から四倍というものを増加させるような計画になっておりますけれども、幅広いすそ野からこれからの二十一世紀の新しい行政に見合った方々を各省が総合的に判断して、人物評価に基づいて採用できるためにという考えでございます。極論を言えば、TOEFLなどの試験のように点数制まですればいいんじゃないかという意見さえ議論の中でございました。
#119
○渡辺秀央君 大臣、何で二倍が四倍なのか、じゃ何で八倍にしないんだ、何で六倍にしないんだ、四倍というのは何ですかということを聞いているんです。
#120
○国務大臣(石原伸晃君) 後半申しましたように、要するにTOEFLみたいなものにすれば何点以上、すなわち倍率というよりもっと広い、十倍、二十倍、三十倍の世界を指しております。
 じゃ、二・五倍がいいのか。一倍が一番いいんだと思いますが、一倍では試験だけで人を採用するということで大きな問題が生じる。そして、二・五倍に今年なったわけでございます。それをもっと広げようということで、四倍という数字が出てきております。
#121
○渡辺秀央君 とにかく時間がなさ過ぎるので残念なんですが、私は、人事院の今やってこられた、今までやってこられた公務員、いわゆるキャリア組を含めて、まあ多少数年前に問題があった、だからこういうことを考えなきゃいかぬ、そこが出発であったことは間違いない事実だと。だけれども、ほかにもっと有能な、もっと優秀な、もっと真剣に取り組んでいる公務員がほとんどなんですね。その一点をとらえて、国民に対してのいわゆる、まあ言うならおもねですよ、人気取り的なことで、六十年続いてきた公正中立、しかもまた、今まで大いにその中で人材が培われてきた、本当にすばらしい人材が、しかも、国家公務員が終わった後、天下りでなくて社会にも出ている。そういうたくさんな事例があるのに、どうもそこのところを四倍だとか五倍だとか、どうもこの担当したその何たら審議会ですか、どうも私は納得性、説得力がない、私は納得できない。
 今、大勢集めても、地方大学の学生が大変不利になる。あるいはまた、これたくさん合格させておいて、これはいいやつだから採ろう、これはどうも面接をやってみたけれども余りよろしくないとか、正に、しかも官邸が、内閣がやろうということだから、これは政党に対して極めて、政党政治内閣なんだから、これはちょっと私は、まあいわゆる自民党政権がいつまで続くのかということにもこれあり。
 時間がなくなってしまいましたけれども、今まで中島総裁、一体人事院としてなぜ今までの、効果が上がっていないとお考えですか、人事院の政策、制度をやってきて。僕は上がっていると。あなたは今、現職の総裁で、上がっていないと思っておられないでしょうけれども、どうしてこういうふうに入っていったと思われますか。一言ちょっと答えてみてください。
#122
○政府特別補佐人(中島忠能君) 今の四倍の話ですが、元々、この四倍という議論が出てきたのは、一次試験、今年は六月の二十日に発表いたしました。二次最終合格は八月十九日ですが、この一次試験の合格発表と同時に各省が面接を始める。そして、大体一週間から十日ぐらいの間に、今年でいいますと七月の上旬ですが、そこまでの間に大体内々定といいますか、そういうものを出す。ところが、その中で二次試験に落ちる人間がおる。したがって、内々定を出した人間が全部救われるように四倍にしたらいいじゃないかというところから出てきておると。
 そこで、地方大学の今、先生たちが言っておるのは、一次試験の合格発表直後に各省庁が内定を出している、その不透明なやり方が問題だということを今、地方大学の先生たちが言い出しておる。したがって、この採用試験問題というのは、これを契機に少し基本的に議論していただいた方がいいというふうに私は考えております。
#123
○渡辺秀央君 問題点というのは、総裁、あったんですか。どこに問題点があったんですか。
#124
○政府特別補佐人(中島忠能君) 試験採用、試験制度というのは非常に広うございますから、第三者から見たらいろいろ直していただきたいところがあると思います。したがって、私たちは、自分たちがやっていることは最大限努力してやっておりますけれども、外部から見てここを直せばいいじゃないかという話ならば、それはよく話を聞かせていただいて、そういう意見にできるだけ対応していきたいというふうに考えております。
#125
○渡辺秀央君 今までだって改良、改善してやってきたと思うんだね。あるいは又は公開性もある程度やったと思う。だから僕は、そんな今何も内閣が、いわゆる内閣府に企画立案、試験のですよ、そういうものまで全部集中、しかも今度は、この次に質問しますけれども、天下りのその決定まで内閣府がやろうというような、そんなばかな話ないですよ、それは。これは本当に国家として危機的な、危険な問題だと思いますね。そういう自分たちが死ぬまで内閣やっていると思っている。とんでもない話だ。だから私は、そういう意味においては、この問題は、国家は今私は非常に危機的な状態に入ったと、そういう感覚があるということは、国の指導者の間に。今あることについて改良したらいいということを申し上げておきたい。
 例えば、フランスにおいてENAという制度がありますね。これはなぜそれが、今フランスは一流としてずんずん発展しているじゃないですか。エリートを作って何が悪い。僕はもっとやるべきだと思うぐらいだ。
 しかし、一般的に公務員の責任感と使命感が薄れてきているのは、責任をみんな公務員に押し付けちゃう、そういうことの方がむしろ問題だ。そういう意味で、私は、人事院総裁は、今まで営々として続いてきた六十年、たった六十年か分かりません、しかし、それにしても明治維新にあった人事管理制度というものを新しい制度に変えて、そして中立公正な人事をやってこられた、そこに国民が国家公務員に対する信頼を持ってきた、それはやっぱり持続すべきだと。あなたは本当に命懸けでこれを守るようにしていかなきゃいかぬと。我々政治家としてもこれは非常に大事な問題ですから、真剣な取組をしていく。
 石原大臣におかれては、改革は大事ですけれども、しかしその根本、国家公務員に意欲のない、あるいはまた国家公務員に能力がないと言いません、責任感と使命感、そういうものを持った人材が集まるようにしなきゃいかぬと。調べてごらんなさい。時間が過ぎたのでやめますけれども、あと田名部君の質問の時間に入ってもらいますが、私は、恐らく昨今、東大法学部がすべてだと思いませんよ。我々が内閣の一員だったときに、東大の卒業生を採らない制度をやりました。だけれども、恐らく今、東大法学部の人たちが受験をするのは、一級試験に向かっていくのか……
#126
○委員長(森本晃司君) 渡辺君、簡潔に願います。
#127
○渡辺秀央君 弁護士試験に向かっていくのかということを一回調べてごらんなさい。そして、この次に報告をしてもらいたいということを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。
#128
○田名部匡省君 大木大臣、どうもありがとうございました。
 今日は二十分やるつもりだったが、十分ほどお上げして、何か青森で環境の会議があるんですか、今度。それを伺っていますので、今日はもう言いっ放しで終わらないと、何かあと五分もないようですので。
 先週、何十年ぶりかで、十和田湖の皆さん方に、救う会というのがあって出てこいと、こういって初めて、何十年ぶりかで湖畔をずっと船で回りました。若いころに見た十和田湖のイメージは全くなくて、ひどい状態なんですね。
 地元では、生活排水が悪いんじゃないかと、これは高度成長時代に観光客が増えてと。これも三年に下水道もうできちゃっているんですよね。良くなると思ったらまた悪くなっていると。透明度がうんと下がっちゃっている。私もずっと下げるのを見てきたけれども、昔は二十メートルちょっとあったやつが三メートルから四メートルなんだ。一体何なんだと、こう聞いたら、今の生活排水はもう問題なくなった、発電所の水の逆流じゃないかと。それから、雨天時の沢からの濁り水の流水、あとはワカサギだというんですよ。ワカサギが何の関係があるんだろうと思ったら、説明聞いたらなるほどなと思うことがありました。
 したがって、いずれにしても地元ではえらい熱心に取り組んでいるんですね。東北電力が取水、これは取っていますから、それは農業用水にも十和田湖で下の町で使っているものですから、何か標高四百メートルとかなんとかという制限があって、それが風でぼんぼんぼんぼん流されて。写真、これをちょっと見ていただきたいんですが、ひどい状況になっておるんです。(資料を示す)
 それは、もう波が立って、風が吹くと波になりますよね。それが湖畔の木の根を全部取っちゃって、もうほとんど倒れてきているんですよ。それで枯れちゃっている。私は下を見たら、昔は藻があった、湖底に、上から見れば。それが砂浜なんです、砂漠になっちゃっている。
 そんな状況で、どれに問題あるかということは、四つぐらいの話の中でやると、環境庁だけではできない問題、農林水産もあれば国土交通もあるという中で、縦割りでこれをばらばらやっておったんでは解決しないなと、こう思ってきました。是非、あの真紅の湖、本当に私も子供のころ行ったときは感激したんですけれども、それがあんな状況になっているというのを見てがっかりして実は帰ってきたんです。
 どうぞ会議のときに、どなたかおいでになると思うから、私は連絡しておきますから、船に乗って一遍、一緒に案内してもらって、見てもらってほしい。こういう感慨をこの間見て感じてまいりました。地元の人はもう真剣でしたよ。
 それで、四月から奥入瀬に水を流すんですね、四月何十日かに。ところが、もう今は四月にお客さんが来るようになっているわけです。そういうふうになっちゃったんです、冬でも、除雪が早くなって。そういうことになると、奥入瀬の渓流、水を見ないで帰るお客さんが来ているというので評判が悪くなっちゃっているんです。
 言いっ放しで申し訳ありませんでしたけれども、この解決には各省といろいろとやらないと解決しないというふうに感じましたので、一言感想を、決意を述べていただきたいと思います。
#129
○国務大臣(大木浩君) 現場を田名部先生も見てこられたというわけでございますから、私、そのことについて今触れませんけれども、私も、今日御質問あるしということで、一体どうなっているんだということをちょっと調べてみたんですけれども、平成十三年の八月に青森県と秋田県で何か十和田湖水質・生態系改善行動指針というのを何か作って、それからそれらをやっていると、こういう話なんで、もっとも、こういう指針ができるということは相当問題があるぞということなんで指針を作ってやり出したんだと思います。
 今もお話がございましたように、いろいろと水の逆流で湖の方へ水が入ってくるとか、それからワカサギがせっかく、昔からのヒメマスとどういうふうに競合しているのか知りませんけれども、とにかくヒメマスの方は少なくなってくるし、ワカサギはますます勢い付いてくるというような話もあるものですから、その辺、もちろん今おっしゃいましたように関係各省ともしっかりと協力いたしまして、一遍、せっかく十和田湖、本当に私どもも日本で一番きれいな湖だと思っていたのが、先生が見られてびっくりされたということでありますので、私もできるだけ早い時期にちょっと一遍見てきたいとは思いますけれども、関係各省ときちっと協力いたしまして、しっかりとした対策を取りたいと思っております。
#130
○又市征治君 社民党の又市です。
 私は、この委員会で毎回天下りによる行政のゆがみや、あるいは無駄な出費について取り上げてまいりました。今日指摘をしたいのは、その特権官僚の中でも超エリートと言われる外務官僚の天下りで、しかもそれは宗男汚職と言われるこの本命、北方三島の発電所建設を不正に落札した疑いのある、先ごろそれで摘発をされた三井物産のケースを取り上げたいと思います。
 まず外務省に伺いますけれども、去る十二日の朝日新聞の報道の内容、これが出されておるわけですが、ちょっと整理をしてみますと、まず第一に、都甲ロシア大使は、三島の発電所のうち色丹と択捉の入札時、つまり九九年二月には例の支援委員会の代表として案件を左右する立場にあった。第二に、九九年十二月に退官し、翌一月には三井物産の顧問となり、ロシア関係の事業に対応してきた。第三に、この就職は外務省が九九年夏ごろ三井物産から持ち掛けられて、都甲氏がロシア大使であり、支援委員会の代表であった在任中にこのあっせんが行われた。第四に、給与は大使時代が約三千万円でありまして、三井物産でもそれに近い額だった。第五に、顧問就任直後の二〇〇〇年四月、三井物産は国後の工事を二十億九千万円余りで落札し、請け負った。こういうふうになると思うんですね。
 これは事実なのかどうか。もし違っておるところがあるのならば、簡潔に述べていただきたいと思います。
#131
○政府参考人(齋藤泰雄君) まず、第一点について私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 色丹島及び択捉島のディーゼル発電施設の入札が行われたときに、都甲岳洋ロシア駐箚日本国大使が支援委員会の日本側代表であったということは事実でございます。
#132
○又市征治君 違うところだけでいいんですよ、事実と。
#133
○政府参考人(齋藤泰雄君) しかしながら、都甲前大使の在任期間中、支援委員会は全く開催されておりませんでしたので、都甲大使が支援委員会日本側代表として、色丹、択捉のディーゼル発電施設の案件に関与していたという事実はございません。
#134
○政府参考人(北島信一君) 退官の経緯と顧問就任の経緯等でございますが……
#135
○又市征治君 そうじゃない、違うかどうかを聞いているんだ、私は。違うところを聞いているんですよ。長々と説明してもらいたくないんだ。
#136
○政府参考人(北島信一君) 一般論として、退官を間近に控えた在外職員の再就職を側面支援するべく外務省が関連情報の受渡しを仲介することはございますけれども、個別具体的なケースについて申し上げることは、企業との関係等もあり、差し控えたいと思います。
 それから、ロシア大使のときの給与額いかんという給与についてのお尋ねが……
#137
○又市征治君 聞いていません、そんなことは。
#138
○政府参考人(北島信一君) 三井物産での顧問としての報酬額については、外務省として把握するべき立場にございません。
#139
○又市征治君 聞いたのは、私は、これは事実かと。簡潔に、違うならばその点を答えてくれと言っているんですよ。余りだらだらと変な答弁しないでください。
 そこで、大使や公使は特別職だからという理由で、取引先企業への天下りの規制が対象外ですね、これ。これが外務省には定数で百二十八人もおいでになる。一体どのぐらい企業や公益法人等に再就職されているのか、これ一つ。また、今、都甲氏の場合は、一般職の定年をはるかに超えて六十七歳まで特別職を保障されて、さらにその六十七歳から再就職まで見てもらった。これが一体、外務省の普通のルールなのかどうか、この二つをお聞きします。
#140
○政府参考人(北島信一君) 最初のお尋ねの点でございますが、過去十年間を取りますと、過去十年間に外務省を退職した特命全権大使等の特別職の職員は約二百名でございますが、そのうち当省として把握している範囲では、特殊法人、公益法人に再就職した者は約七十五名、民間企業に再就職した者は約七十名でございます。
 年齢についてお尋ねがありました。外務省退職時の年齢には幅がございますけれども、特命全権大使を務めて退職する場合、六十二歳から六十四歳程度の年齢で退職するのが一般的でございますけれども、先ほどの都甲大使の関連で、国家公務員法第百三条との関係というのがいつも議論されますが、その点では何ら問題がないというふうに考えております。
#141
○又市征治君 次に、大臣にお伺いしますけれども、このように九九年十二月まで発電所を買い付ける側の外務省のそれもロシア大使、翌一月にはそれを売り込む側の企業に天下り、しかも支援委員会の会議は開かれていなかったというけれども、支援委員会の代表を務めているわけですね。その在任中に外務省があっせんをしている、この就職を。三島分を合わせて、たしか最後に四十二億六千五百万円ぐらい、全部これ三井物産に行くわけですけれども、こうした入札が行われているさなかに都甲氏が三井物産に天下っているという、こういう状況なわけです。それも、三井物産からどうでしょうかという話が来て、それで外務省はそこへどうかというふうにあっせんをした、こういうことですね。企業はもう高い給料を払っても元が取れるわけですよ、四十二億何千万というこんな金ですから。
 これ以外にも、例の友好の家、通称ムネオハウスと言われていますが、これをめぐる入札妨害事件で摘発された日本工営には昨年の五月に前ベトナム大使が、同じく日揮には昨年七月に前アルジェリア大使が天下っておる、こういう格好ですね。だれが見たって外務省が、この鈴木宗男汚職と、こう言われることについて構造的に支えている、だれもがそう見ているんじゃないですか、これ。
 そこで、外務大臣、あなたの名前で出されましたこの北方四島住民支援に関する調査報告書、今年の三月に出されてありますけれども、このムネオハウス問題については鈴木氏の関与を認めた記述をされておりますよね。ところが、三島の発電所については一体全体これどうなのか。この十ページ、十一ページにわたってちょっと載っているんですが、結論は「鈴木議員の関与は確認されなかった。」、こうあって、その後に、八行掛けて入札の疑惑に反論をされているわけですが、大臣、これ今もこのまま全くの公式見解なんですかね。これはまず一つお聞きしたい。
 そして、その際、この都甲氏の今申し上げたようなこうした問題については調査をされているのかどうか、これ二つ目にお伺いし、三月時点で安易にシロの結論を出したわけですけれども、これはもう今の段階で早計だというふうに思われませんか、そこは。ちょっとその点、これは通告していなくて申し訳ありませんが、ひとつお願いいたします。
#142
○国務大臣(川口順子君) 一番最後のは……
#143
○又市征治君 今、この三月の時点のこれは早計だったと今思いませんかということ。
#144
○国務大臣(川口順子君) 三つ御質問がございましたけれども、まず、鈴木議員の関与があったかどうかということについての報告書ですけれども、これはその当時、国会でこういうことが問題ではないかということを御指摘いただいたことについて、園部参与に調べてもらったということでございます。したがって、その時点でこれが問題だといって表に出ていなかったことについては対象としなかったということです。
 そして、「確認されなかった。」というふうに書いてございますのは、外務省として、これは強制的に捜査をする権限があるわけではございませんので、任意のヒアリング等で、あるいは資料で分かったこと、分からなかったことを書いてあるわけでございまして、したがいまして、そこについては「確認されなかった。」というふうに書かせていただいているわけでございます。
 それから、早計だったかどうかということについてですけれども、これは当時、そういうことで調査をいたしましたので、国会の御要望があってできるだけ早くということで調査をさせていただいて、それで十分でない部分については、四月に入りましてから新日本監査法人にお願いをいたしまして、これも任意の調査ということで限界が当然あるわけですけれども、そこで調べたということは発表させていただいたと。
 したがって、外務省として分かる範囲のことは調べて、確認できたことは確認できた、できなかったことはできないというふうにお書きをしているということでございます。
#145
○又市征治君 大臣に引き続きお聞きをいたしますが、この天下り問題ですけれども、百二十八人も定数で特権的な外交官だけが取引相手の営利企業に天下りは勝手放題。正に官業癒着、汚職構造を成していると、だれもがこういう疑惑を持つような事態になっている。問題だとあなた自身は思われないかどうかということが一つ。そして、外務省改革のメニューにもこの問題は全然入ってないんですよね、あなたが出しておられる。このことについて問題だと思わないのか、あるいは改革していく考えはないのかどうか、この点をお聞きしたい。
#146
○国務大臣(川口順子君) 今、官と民の間の人事の交流について様々な御意見が国民の間にあるということは私はよく承知をいたしております。その中で、どういう形で行われるのがいいのかということは、これは外務省の問題、外務省のみの問題ではなくて、広く政府として今議論をしていただいて、一定のルールが今既に存在をしているということだと思います。
 私は、そういうルールがありますから、そのルールにのっとって行われている限りは、それで人間が、適材が適切なところで能力を発揮するというのは、私は日本国のためにとって基本的にいいということでございますから、外務省には民からも大勢来ていただきたいと思っていますし、現に大使やそれから本省の幹部に登用を今しつつございますし、官から民に行くということについてもルールにのっとって行われるということが大事でして、あまねく、いやしくも国民の疑惑を招くようなことというのは十分に注意深くなければいけないと思いますけれども、やはりこれもルールにのっとって、透明性を持ってということではないかと思っています。
#147
○又市征治君 大臣、私が申し上げているのは、さっき申し上げたように、年末までは発注者側のところにいて、年明けた途端に業者側に行っていますと。こういうことが、今あなたがおっしゃるなら、私はルールだと思いませんよ。もしそんなことだとするならば大問題なんであって、そのことが今大きなあちこちで問題になっている。そして、さっき申し上げたように、ムネオハウスの問題についても、ここに大使が行っているじゃないか、こういうことを申し上げているわけで、これはこの委員会でもさっきも天下り問題が出ました。こういうことが単なる適材適所、ルールにのっとってという一般論の話とは訳が違う。ちょっとこれは外交官が特権階級だったという時代はもう終わっているわけですよ。ここのところはやっぱり私は大変改革が必要だと思う。
 時間がありませんから、最後に、人事院総裁においでいただきましたから。
 特別職は公務員法第二条に今規定をされておりますけれども、最新の第十七号に独立行政法人の役員だって天下りの規制が適用されるわけですよね。だから、だが、この十一号の大使、公使はこれを免れている。しかし彼らには、しかも彼らには懲戒処分制度すらないと、こういう状況なんでしょう。この人事制度は私はもう明らかに欠陥だと思うんですよ。
 そういう点で、これをどう改めるべきだというふうにお考えか。あるいはまた、これは本当はさっき、行革大臣においでいただけばよかったんですが、政府の、人事院総裁に聞いて申し訳ないけれども、公務員制度改革大綱にこういうものが触れられているのかどうかを含めてひとつお伺いをしたいと思います。
#148
○政府特別補佐人(中島忠能君) 大公使というのは特別職でございます。したがいまして、人事院の所管外ということでございますが、ただ、懲戒処分の問題にいたしましても天下りの問題にしても、一般職職員と非常に関係がございますので、私たちも非常に関心を持って見ております。
 いずれにいたしましても、対象外でございますので、法律で定められたルールというのが今ないわけでございます。したがいまして、先般から議論が出ておりますように、又市議員もおっしゃいましたし、続議員もおっしゃいましたが、やはりこの天下りの問題につきましては国会でよく議論していただいて、特に承認基準等については法律で決めるべきだというお話がお二人からございました。そういうことを含んでいただきまして、やはりだれの目から見てもはっきり分かるような承認基準というのを法律で定めていただいて、それに従ってそれぞれ処理していただくというのがいいんじゃないかというふうに思います。
#149
○又市征治君 時間が来ましたから終わります。
 ありがとうございました。
#150
○委員長(森本晃司君) 本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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