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2002/04/04 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 法務委員会 第7号
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2002/04/04 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 法務委員会 第7号

#1
第154回国会 法務委員会 第7号
平成十四年四月四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     柏村 武昭君     亀井 郁夫君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     亀井 郁夫君     柏村 武昭君
     角田 義一君     辻  泰弘君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     浜四津敏子君     沢 たまき君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                辻  泰弘君
                沢 たまき君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       警察庁刑事局長  吉村 博人君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省保護局長  横田 尤孝君
       法務省入国管理
       局長       中尾  巧君
       文部科学大臣官
       房審議官     清水  潔君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○更生保護事業法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨三日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として辻泰弘君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(高野博師君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 更生保護事業法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁刑事局長吉村博人君、法務大臣官房長大林宏君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省保護局長横田尤孝君、法務省入国管理局長中尾巧君及び文部科学大臣官房審議官清水潔君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(高野博師君) 更生保護事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○三浦一水君 自由民主党の三浦でございます。
 質疑者が、国会対策とはいえ、ぎりぎりに来ましたことをお断りを申し上げたいと思います。
 法務委員会で初めて質問の機会をいただいて大変有り難く思っておりますが、正しくずぶの素人でございます。是非、懇切なる御答弁をお願い申し上げたいと、余り長過ぎるのは困りますが、よろしくお願いしたいと思います。
 本法律案のまず背景について数点お伺いをしたいと思いますが、刑事局長、矯正局長、よろしくお願いいたします。
 犯罪情勢等についてお尋ねしたいんですが、我が国は本当に治安が良好ということにおいては世界に誇ってきた国であります。が、最近は、残念ながらそれが大変崩れていると。非常に犯罪が増えて、また若年化、国際化、それぞれ多様化も進んでいることが大変憂慮されるところでございます。
 まず、お尋ねしたいんですが、我が国の最近におきます犯罪の発生率、認知件数等々、最近の犯罪の特徴をお伺いしたいと思います。
#7
○政府参考人(吉村博人君) お答えを申し上げます。
 刑法犯の認知件数でございますが、ここで言います刑法犯の認知件数は、交通事故に係る業務上過失致死傷の数は除いておりますが、昨年中の刑法犯の認知件数は二百七十三万五千六百十二件でありまして、戦後最多を記録をしております。ちょうど十年前の平成四年は百七十四万二千三百六十六件でございましたものが、平成十年に初めて二百万件を突破をいたしまして、その後一貫して増加をしております。また、人口十万人当たりの刑法犯認知件数を犯罪率と称しておりますが、これで見ますと、昨年は二千百五十一件となっております。これも、平成四年は千四百件であったものが増加を続けまして、昨年、戦後初めて二千件を超えたという状況にあります。
 次に、刑法犯の検挙状況でありますが、検挙件数は、平成四年は六十三万件余りでありました。その後七十万件台で前後しておりましたが、昨年は五十四万二千百十五件となっております。また、検挙率につきましては、平成四年が三六・五%、その後四〇%台で前後しておりましたが、昨年は一九・八%になっております。こういう中で、検挙人員につきましては、平成四年、二十八万人余りの検挙人員でありましたものが、この十年間で徐々に増加をしておりまして、昨年は三十二万五千二百九十二人となっております。
 犯罪の特徴についてのお尋ねでございますが、認知件数の約九割は窃盗犯、泥棒であります。その窃盗犯につきましては、ピッキング用具を使用した侵入盗あるいは組織的な自動車盗が多発をしておりますほか、車上ねらい、部品盗などの非侵入盗の増加が目立っておりまして、この種の窃盗犯の増加が刑法犯全体の認知件数を押し上げておるわけであります。
 片や、刑法犯少年も問題でありまして、今申し上げましたような平成十三年中の検挙人員に占めております少年の割合が四二・六%でありまして、それに、四二・六%に達しておりますほか、少年非行の凶悪化、粗暴化の状況がうかがわれるところであります。薬物につきましても、依然として乱用者の拡大傾向が認められるという状況にあります。
 最後に、来日外国人による犯罪の問題でございますが、昭和五十六年、二十年前は来日外国人による刑法犯の検挙人員が千人に満たないという数字でありましたのが、昨年は七千百六十八人とおよそ七倍に増加をしておるわけであります。以上申し上げましたような状況下で、警視庁の留置場等を始めとして都市部の留置場等はもうほぼ満杯でありまして、そのおおむね、警視庁の場合でいいますと、三分の一近くが来日外国人によって留置場の収容人員が占められているというような状況にございます。
#8
○三浦一水君 昨年が二百七十三万で戦後最多と、まあその数だけお聞きしましても、犯罪が大変増加をしているということであります。刑務所も満杯というお話がございましたが、矯正施設全般に対する入所者も増加しているということになろうかと思います。また、薬物、飲酒、非常に処遇が困難な入所者も増えているというふうに聞いております。
 今、一部矯正施設につきましては満杯状況もお話しいただきましたが、入所者の推移、それから特徴等についても、若干補足いただくところがあるならば御説明いただきたいと思います。
#9
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 刑務所等の行刑施設におきます過剰収容でございますが、主として犯罪発生件数の増加に伴います新受刑者数の増加と犯罪の凶悪化を反映した刑の長期化傾向が要因と考えられるところでございますが、過去十年間の推移を見ますと、新受刑者、新たに刑務所に入ってきた者の数が、十年前の平成三年には二万一千八十三人であったのが、平成十二年には約六千四百人増えまして、比率にいたしますと三〇%増ということになりますが、二万七千四百九十八人となっております。
 その新受刑者の罪名ですが、同じ十年間で見ますと、やはり窃盗が一番多いわけですが、その次は、ただいまちょっと御指摘があったかもしれませんが、覚せい剤取締法違反事件が多いわけです。さらに、詐欺、強盗致死傷などがこの十年間で増えているというふうに言えると思います。
 新受刑者の中では、六十歳以上の高齢受刑者人員もこの同じ十年間で約二・七倍ほど増えているということです。
 なお、少年に関しまして申しますと、同じ十年間の少年院における新収容者数について見ますと、平成三年には四千三百二十九人であったところ、平成十二年には約千七百人増、率にいたしまして約四〇%増になりますが、六千五十二人となっておりまして、その非行内容につきましては、この同じ十年間で傷害、強盗、恐喝といった粗暴・凶悪事犯が増えていると、そういった特色が見られるというふうに考えております。
#10
○三浦一水君 次に、受刑者の釈放後の帰住先について矯正局長、保護局長にお尋ねをしたいと思います。
 刑務所での受刑者がかなり増加しているということでありますが、一方で出所後の受刑者の処遇が困難な場合も多くなっているというふうに聞いております。受刑者には必ず社会に復帰してもらわなければなりません。人との付き合いの仕方が分からない、あるいは食生活の乱れからついつい酒に走る、服役を終えてそんなつまらないことでつまずいてしまうケースも少なくないと聞いております。当然にその更生施設、改善更生施設の強化をしなければなりませんが、今回の見直し案ということについては一定の評価が私はできるものであろうというふうに感じております。
 そこで、まず、受刑者の出所後の帰住先の現況についてお尋ねを申し上げたいと思います。少年についても併せてお答えください。
#11
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 数字の羅列で恐縮ですが、平成十二年に刑務所を出所した者は二万三千七百十五人でございます。そのうち父母の元に戻りました者が三一・三%と、これは一番多うございます。続いて、更生保護施設です。そこに入りました者が一九・九%、約二割でございます。そして、配偶者の元に戻りましたというか帰りました者が一四%、その他の親族の元に戻りました者が一〇・八%、そして知人の元が六・三%と、こういう調査結果となっております。
 それから、少年院、少年の場合でございますけれども、少年院の出院者につきましては、その出院した者のうちの九七・七%が仮退院でございます。この仮退院になった者が五千三百五十七人でございますけれども、それについて調査した結果では、父母の元に帰住しました者が約九割、八九・八%であります。これが一番多うございます。そして、親族の元、その他の親族の元が四・四%、更生保護施設に帰住した者は三・五%でございます。
 以上です。
#12
○三浦一水君 刑務所を出所した人の中で五人に一人、仮釈放者では三人に一人が更生保護施設での社会復帰を図っていくというふうに聞いております。その更生施設の重要性というものが見られるところでありますが、明治二十一年に我が国の最初の更生保護施設、静岡県出獄人保護会社、現在の静岡県勧善会が設立をされたと聞いております。
 そのきっかけは、静岡監獄に収監されていたある重罪犯が、熱心な当時の副所長さんの指導にこたえて、更生を誓い、出所をしたということが保護局のパンフレットにも書いてありました。監獄での十年間を経て、もはや父母はなく、妻は他人と再婚をしており、親戚を頼ってみても顔を見るや追い出され、寝るに宿なく食するに一文もなしと、このことから思い余り、長い書き置きを残した後に自ら池に身を投じて命を絶ったと。悲惨な事件がそのきっかけになったということを聞いております。
 犯罪者の社会への再起の場として更生保護施設が期待されることは言うまでもありません。この平成の時代で犯罪が増える状況で、更に私は大きいものがあるんだなと感じております。このように受刑者が増加をしている状況で、果たして受皿としての更生保護施設は現状のままで足りるのか、これは今回の法改正の一つの大きなポイントであろうというふうに感じております。
 更生保護施設はその経営が楽でないというふうに言われております。五十年代の後半には約百七十あったものが、現在は百前後までに減っているというふうにも聞いております。その数や収容状況が現在どんなものであるか、改めて確認をしたいと思います。
#13
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 現在、更生保護法人の設置する更生保護施設は全国で百一でございます。各都道府県に最低一施設、一番多いところでは、これは東京都ですけれども、二十施設ございます。
 平成十四年三月一日現在のこれらの更生保護施設における総収容定員は二千二百六十八人となっております。更生保護施設における保護実績は年々増加しております。これは最近の犯罪情勢が反映されているわけですが、平成十二年度に更生保護施設において保護を実施した人員は九千九百五十三人です。延べの人数では五十七万三千七百六十九人でございます。平均の収容率は七〇・四%です。
 また、更生保護施設では、刑務所からの満期釈放者や起訴猶予者等の更生緊急保護対象者と、それから保護観察対象者を主に保護しておりますが、昭和五十年ころまでは更生緊急保護者の対象者が多数を占めておりましたけれども、その後は保護観察対象者が多くを占めるに至っております。現在、被保護者のうち約七割が保護観察の対象者、そして三割が更生緊急保護の対象者となっております。
 それから、この受皿として更生保護施設は現状のままで足りるのかというお尋ねでございますけれども、おっしゃるとおり、近年、矯正施設における収容者が大幅に増加しております。したがいまして、今後、更生保護施設への入所希望者もまた増加するというふうに見込まれておりますけれども、当局といたしましては、従来からある施設を有効に活用してこれに対応してまいりたいというふうに考えております。
 具体的には、更生保護施設に入所する者につきまして、社会適応を促すための積極的な処遇が広く行われるようにすることにより、短期間のうちに自立が可能になるように努めてまいりたいと思いますし、また、当面まだ収容に余裕がある施設もございますので、そういうところへの収容率を高めるといったことで対応したいと考えております。
#14
○三浦一水君 次に、本改正案の趣旨について数点確認をしたいと思います。
 まず、処遇内容についてでありますが、今回の改正で、処遇困難者の社会適応を促すための積極的な処遇についても行えるようにしたということであります。また、処遇困難者の処遇については、更生保護施設によっては様々な試みがあるように聞いております。ロールプレーイング技法、入所者同士で対人関係やコミュニケーションの取り方等々、生活上の技能を練習する技法が一部の施設で効果を上げているという話も聞いております。
 ほかにもこのような専門的な処遇方法が実践されているのであれば御紹介をいただきたいと思います。
#15
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 ただいま委員の御質問の中にありましたロールプレーイングなどの技法といいますのは、私どもがSSTというふうに呼んでいるソーシャル・スキルズ・トレーニングというふうに呼んでいるそういう一つの処遇方法といいますか、でございますけれども、そのほかにこのような処遇、被収容者といいますか被保護者の社会適応を促すための積極的な処遇方策として一つございますのは、コラージュ療法というものが最近行われるようになっております。これは、持ち運べる箱庭療法とも言われているものでございまして、一つの心理療法の一つでございます。参加者に雑誌などを与えまして、その中から気に入った紙などを切り抜いて台紙に張らせる、それによってでき上がった作品から作った者の心理状態を推測する、またその作品を仲間同士でいろいろ批評し合うといいますか意見を述べ合うということによって社会性を身に付ける、あるいは適応力といいますか対人適応力を見極めるといったようなことがございます。
 それから、処遇困難者の中には薬物問題者とかそれから飲酒問題者などが多数おりますので、そういった者に対しての、いわゆる薬物問題については薬害教育というものを行っていることがあります。これは薬害の害悪とかあるいはそれをやめるための方策といったものにつきまして専門家の話を聞いたり、あるいはみんなで意見を言い合っているといったような形でやっています。
 それからもう一つは、飲酒癖のある者といいますか酒害のある者については酒害教育がございます。これは、いわゆる断酒会といったそういったもののようなもので、これもまた専門家あるいは経験者ですね、酒を断った経験者などから話を聞いたり、あるいは自分たちがまた意見を述べ合ったりといった形でやっているというものがございます。
 こういったものにつきましては、やはり専門的な処遇ということになりますので、これらの専門的な処遇プログラムをこれから行っていくためには、今般の法改正によって制度的な充実を図る、それから予算措置も取っていくということになっていくと思います。
 それから、今後のその人的体制の整備策はどのようなものかということでございますけれども、これにつきましては、職員の研修等によってこういった技能、技法が身に付き、あるいは向上させるように努力してまいりたいというふうに考えております。
#16
○三浦一水君 人的体制についてはこれから聞こうと思ったんですが、先にお答えいただきましたので、しっかりその面の整備もお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、委託保護の可能期間の延長についてお尋ねをしたいと思います。
 保護局長に重ねてお尋ねをしたいんですが、まず再犯の傾向、一度刑務所を出られた方で再犯を犯してしまう者の割合というものは相当高いと聞いております。その率はどのくらいなのか、それから再犯がされる時期というものはどの辺が統計的に多いのか、御説明をいただきたいと思います。
#17
○政府参考人(横田尤孝君) 刑務所を出所した者の出所当年の刑務所再入所率といいますか再犯ですが、いわゆる、これについてですが、平成十二年の数値で申し上げますと、出所者全体の再入所率は六・四%になっております。これを満期釈放者とそれから仮釈放者の別に見てみますと、満期釈放者の再入所率は一一・五%で、これに対しまして仮釈放者の再入所率は二・三%と、一〇%ぐらいの開きがあるということになります。
 それから、期間でございますけれども、再犯までの期間ですけれども、平成十二年に刑務所に入所した者のうち再入所の者について調査した結果を見ますと、再入所までの期間が三か月未満の者が一二%、それから三か月以上六か月未満の者が一〇・一%、六か月以上一年未満の者が一六・八%、一年以上二年未満の者が一八・九%、二年以上三年未満の者が一〇・八%、三年以上五年未満の者が一一・二%、五年以上の者が一八・八%。これ数字が並んでいるんですが、これは順序的に言いますと、一番入所率が、戻る率が高いといいますか再犯率が高いというのは二年未満が一番です。それから次が、五年以上が二番目となっております。一年未満が三番目、三か月未満が四番目ということで、必ずしも統一した傾向がうかがえないということになります。
#18
○三浦一水君 九六年の満期受刑者のうちで五年後、二〇〇〇年までに再犯した者が五一%あるという報道を見たことがございます。
 この再犯の動機でありますけれども、その分析というものが必要なんだなと感じます。前歴者であるということで共通するような原因が見られるものでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#19
○政府参考人(横田尤孝君) この再犯の動機といいますか犯罪の動機というのはいろいろございまして、特にこの再犯の動機だけに限って調査をしたというものはちょっと手元にございませんので確たることはなかなか申し上げにくいんですが、今申し上げましたように、再犯、犯罪の動機というのは本当に犯罪によって多種多様であります。遵法精神の欠如ということも言えますし、あるいは生活態度とか交友関係の乱れもありますし、人間関係のあつれきもありますし、それから貧困とか失業とか、そういう社会経済的な理由もありますし、さしたる、ささいな動機という、本当にささいな動機というのも、説明の付かないような動機ということもあるわけで、なかなか一概に言いにくいわけで、前歴者であるからということが犯罪の動機、再犯の動機になっているかどうかということについてはなかなかはっきり申し上げて難しいと、確たるお答えはしにくいということで御勘弁いただいております。
#20
○三浦一水君 更生保護事業全体の在り方、なかんずく更生保護施設の不足であったり、あるいは不備であったりすることが再犯の原因になっていることがあるでしょうか、お答えください。
#21
○政府参考人(横田尤孝君) この点も、今申し上げましたように犯罪の動機というのは多種多様で、この更生保護施設の不足、不備がその犯行、再犯の動機になっているかと言われますと、なかなかはっきりしたお答えいたしかねるわけですけれども、いずれにいたしましても、このような更生保護施設といいますものが犯罪者や非行に陥った者の社会復帰のために大きな役割を果たしているということはこれは事実でございまして、私どもとしては、これの一層の充実強化に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#22
○三浦一水君 再犯の率が高いということにおいては、国の内外を問わず同じことが言えるかと思います。そういう中で、仮にもそのようなことが原因になっているとするならばこれは重大なことであろうと思います。万全の、今回の法改正もそうでありますが、体制を取っていただきたいというふうに思います。
 自立更生の状況についてお尋ねをしたいと思います。
 釈放後一年以内の再犯が多いという傾向でもないと、二年未満が一番多いというお話がさっきあったわけでありますが、いずれにしても一年、二年は上位に来るということであります。現行の委託保護期間というものは最長で六か月ということでありますが、その期間終了までに就職先が見付かるなど自立更生できている方々というのはどのくらいの割合なのか、教えていただきたいと思います。
#23
○政府参考人(横田尤孝君) 当局の調査によりますと、更生保護施設を退所する時点で家族の元に戻ったり、あるいは就業先に住み込みで入るといったような形の円満に自立をしていった者の比率は七五%、約七五%でございます。
#24
○三浦一水君 それを今回の法改正で一年間に延長することで十分なのでしょうか。
#25
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 昨今の雇用情勢の悪化とか被保護者の高齢化、処遇困難者の増加等によりまして、なかなかその社会的な自立が難しい人が増えていると、難しい状況にあるということから、今般の法改正によりまして更生緊急保護の対象につきましては六か月間更に延長して一年にしたいということでございます。それによりまして、高齢者、処遇困難者の更生が更に促進されるものというふうに考えております。
#26
○三浦一水君 じゃ、次に、委託対象者の拡大のその理由についてお尋ねをしたいと思います。
 今回、これまで任意保護でありました少年院満期退院者あるいは労役場からの出場者等まで委託対象を拡大したその理由をお聞かせをいただきたいと思います。
#27
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 まず、少年院の満期退院者を対象とすることでございますけれども、先ほど申し上げましたように、少年の場合にはなかなか仮退院した後に更生保護施設に入る者が少ないと、現実のところは、ないわけですけれども、それと同様に、やっぱり少年の場合には出てからなかなか改善更生が難しいケースが多いというふうに言われております。これはやっぱり家庭にいろいろ問題があって、家に帰れない、あるいは親が引き取らない、あるいは本人が戻りたがらないというようなケースもございまして、少年院を満期で出た場合に、すぐに行くところがなくて、結局、元の仲間のところに行って非行に走るといったようなケースも少なくありません。したがいまして、このような少年につきましても委託保護の対象にしまして自立を助けるということが必要であるというふうに考えております。
 それからもう一つは、労役場からの出場者等でございますけれども、労役場の出場者といいますのは、結局、これは罰金を納めることができなくて、その分、労役場で働いてその責任を果たすということでございまして、元々、経済的な面が弱いといいますか、お金がない人がそういう形になるわけですから、その人が社会に出てすぐにまた再犯に走る可能性はやはり高いというふうに考えなければいけないと。したがいまして、こういった者につきましては、やはり更生保護施設に収容いたしまして、そして自立ができるように援助していくといいますか、そういうことが必要であるというふうに考えております。
#28
○三浦一水君 今回、一時保護事業を行う更生保護法人に対する規制緩和がなされたと盛り込んでおられます。その趣旨についてもお答えをいただきたいと思います。
#29
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 規制緩和が行われた趣旨でございますけれども、平成十一年三月に閣議決定されました規制緩和推進三か年計画におきまして、許認可等につきましては、より緩やかな規制への移行を推進するという方針が定められております。これによりまして、一時保護事業の事務の簡素化、合理化が可能となりましたので、その活性化が図られるというふうに考えております。
#30
○三浦一水君 次に、事業の透明性の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、更生保護事業は、本来、国がすべきものであるところを民間篤志家の熱意に頼って、国からの委託という形で事業を行っているものであります。総収入の八割近くが国の予算によるということから事業の透明性を確保することは当然でありますが、今回、殊更に事業の透明化を図る規定が盛り込まれております。その趣旨を御説明いただきたいと思います。
#31
○政府参考人(横田尤孝君) この透明化を図る趣旨は、正に今、委員がおっしゃいましたように、この更生保護事業ということにつきましては、国からの相当額の予算措置がされておりますので、そのような場合はやはりその運営状況というものを国民の前に明らかにする必要があるというのがまず第一の理由でございます。
 それからもう一つは、更生保護事業といいますのは、地域社会において犯罪者や非行少年の更生を図る、保護、更生を図っていくということでありまして、事業そのものが国民、特にその地域社会の住民の方々の御理解と御協力がなければこれは十全を期し難いという、そういう性格のものでございます。したがいまして、このような地域住民の御理解、御協力を得るためには、この更生保護施設の運営状況がだれにも分かるようにするという、そういう措置を取って、そしてこういった更生保護施設の仕事の内容とか、あるいは運営の状況といったものを理解してもらうというのが二番目の理由でございます。
#32
○三浦一水君 更生保護法人は、五年前の法制化によりまして、一つの福祉法人をひな形に作られていったという経過があるやに聞いておりますが、福祉法人は、もちろん数においても違いますが、社会における認知度というものは相当の開きがあるんではないかなと、それがまた更生保護事業全体に影響することではなかろうかと、私もそう思います。是非、透明性の確保を図ることで社会自体の、地域自体の理解につながるような方向をお願いを申し上げたいと思います。
 予算措置についてお尋ねをします。
 委託対象者の拡大と保護期間の延長によります委託費予算の増加が一億五千万円ほど十四年度に向けてあるやに聞いております。この法改正の意気込みの割に予算の増加が少ないのではないかという心配もしております。措置の内容と予算算定の根拠について、まずお尋ねをしたいと思います。
#33
○政府参考人(横田尤孝君) 平成十四年度の更生保護委託費予算につきましては、本法の改正法律案の柱であります委託対象の拡大及び処遇内容の充実に必要となる職員体制の整備に要する経費について措置していただいております。
 具体的に申し上げますと、委託対象の拡大に伴う経費につきましては、少年院満期退院者や労役場からの釈放者等のうち、更生保護施設における保護が必要と見込まれる者を更生保護施設に委託するための経費として約七千八百万円、また社会生活に適応させるための生活指導等、更生保護施設における処遇の充実を図るための職員体制の整備につきましては、各更生保護施設に補導職員を一名増配置するための経費が認められました。約三千六百万円の増額が認められております。
 なお、委託保護期間の延長につきましては、高齢者や疾病を有する者などのうち、特に自立の困難な者を対象とする例外的な措置と考えておりまして、予算措置の必要性につきましては今後の運用状況を見ながら検討することにしたいと考えております。
 次に、更生保護施設整備補助金についてでございますが、経年により老朽化の著しい施設が依然として多く見取れますので、そういったものに対する整備が必要であるということになっています、考えております。
 これは、このような施設は民間施設でございますのでなかなか資金の調達が難しいということがありますので、やはりこれは国が相当の補助をするということでやっているわけでありますけれども、平成六年の創設以来、六年度にこの施設整備補助金というものが創設されまして、それ以来その改善を図っているという状況にございます。
 以上です。
#34
○三浦一水君 施設整備につきましても平成六年から整備促進を図っているということでありますが、今回の施設整備費につきましては二億円余りというふうに聞いております。四件ぐらいの整備しかできないんじゃないかという話も聞いております。もう少しボリュームが要るということを私としても認識を示しておきたいというふうに思います。
 最後に、今後の取組について大臣にお尋ねをしたいと思います。
 更生保護施設の処遇機能を充実強化をしていくためには、法改正だけでその目的が達せられるものではないというふうに思います。法施行後の取組も更に重要だなと考える次第であります。そこで、法律施行後の取組について法務省全体としてどのように考えていらっしゃるか、まずお尋ねをしたいと思います。
 あわせて、更生保護は保護司や更生保護事業の関係者、更生保護婦人会を始めとしまして数々の民間ボランティアに支えられている側面が大きいと思っております。そのような民間ボランティアに対しまして法務大臣はどのように行政として連携を図っていかれるのか、その点もお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
#35
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のとおり、このたびの法改正によりまして、更生保護施設が処遇施設として明確に位置付けられるということになるメリットがまずございますが、それによりまして全国の更生保護施設におきまして質の高い専門的な処遇を行うことができます。
 法務省といたしましても、更生保護施設の職員に対する研修の充実、効果の高い処遇プログラムの開発などに引き続き努力してまいりたいと思いますし、先生も御指摘くださいましたような予算あるいは施設全体の拡充強化のためにも、今後とも努力をしていきたいというふうに思います。
 そして最後に、ボランティアについてどのように思っているかというお話でございますが、更生保護というのは、本当におっしゃるとおり、民間の非常に善意のボランティアの方々の献身的な活動に支えられて今日まで参ったものでございます。犯罪や非行を犯した人たちの再犯防止や社会復帰を図るというのには一人一人に非常にきめの細かなケアが必要であり、指導が必要であるということを考えますと、官側の仕事だけではなかなか行き届かないことがございますので、人生経験豊かで地域の実情にも詳しい民間のボランティアの方々の温かいお力添えがあってこそ初めてその効果が上がると考えております。
 一方、その活動は大変地道でございまして、多くの困難がむしろ伴う場合も少なからずございます。誠に頭の下がる思いでございまして、今、大変この世の中、お金もうけが一番価値があるというような風潮のある中で、このように自分の損得を忘れて社会全体のために、またほかの人々の更生、自立のために献身的に努力をしてくださるというこういう方々が、法務行政はもちろんでございますが、国家全体の基盤であるということで、心から敬意を表しているところでございます。
 ありがとうございました。
#36
○三浦一水君 ありがとうございました。
#37
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 今日は、更生保護事業法等の改正を中心にいたしまして質疑をさせていただきます。
 ちょっと横道のように思いますけれども、冒頭、ちょっと司法制度改革の問題に関連をしてお尋ねをいたします。
 この更生保護事業の充実強化というのも司法制度改革の中でも取り上げられていた問題でございまして、審議会の意見書でも、そして今回の計画案の中でも、更生保護事業の充実というのも挙げられておりますので、言わば今回の改正というのはその一歩先取りとなるのかどうかですけれども、そういう側面もあろうかというふうに思います。
 それについてはまた後ほど十分に聞かせていただくことにいたしまして、その司法制度改革ですけれども、それぞれ検討会等も急ピッチで審議が進められているようでございます。特にその中で、平成十六年の四月が開校予定ということでございますもんですから、大変ピッチが速いものの一つに法曹養成に関する検討会、これがなかなか活発に議論をされているというふうに聞いております。
 この法曹養成に関する検討会、十一名の検討委員ということでございますが、ちょっと実情を私も漏れ聞きますと、これはよく言われております、リアルタイムでできるだけ国民に開かれた議論をせいということの中で、検討会、半々、その議事録に名前を載せるか載せないかという、半々になっているようですが、この法曹養成検討会というのは議事録にちなみに名前を載せていない方の検討会というふうに伺っております。
 是非、そんなふうにひそひそやらずとも、いい議論を是非、本当にすばらしい委員のメンバーと私も拝見をいたしますので、そういう皆さんが大いに濶達にそれぞれの豊かな経験を踏まえて議論いただくことがいいんじゃないかなというふうに思いますので、機会がありましたら、委員会の場でそういうつぶやきもあったと是非お伝えをいただきたいものだというふうに思っております。
 そこで、その検討会の状況でございますけれども、今どんな検討状況になっているか。大分何回も開かれているようですので、相当議論も進展をしているのではないかというふうに思いますけれども、今のちょっと進捗状況をまずお知らせいただきたいというふうに思います。
#38
○政府参考人(山崎潮君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、推進計画では平成十六年の四月の開校を目指して検討を進めるということになっております。そういう関係におきまして、その準備を考えますと、この秋に臨時国会が開かれるならばそこに法案を提出するという予定で作業を続けております。
 私どもの法曹養成制度の、法曹養成検討会では、現在まで、今年の一月から六回の会議を開催しております。その大きなテーマは、法科大学院を評価する第三者評価の問題と、それから新司法試験の在り方ということでございます。
 現在は、この六回でかなりフリートーキングを行いまして、その意見の整理をするという段階に来ているわけでございます。今後更に、今度、司法修習の問題にテーマを移して検討をしていくと、こういう状況でございます。
#39
○千葉景子君 今、六回開かれて、特に第三者評価の在り方等について、それから司法試験などについて議論が進められているということでございます。これは大変重要なポイントを今議論されているんだというふうに思うんですね。
 本来、このロースクールにつきましては、私どももいろいろな意見を出させていただいておりましたけれども、この第三者の評価という問題と同時に、これを設立するに当たってはできるだけ第三者的な機関が設立、そしてその後の運営の評価等をするような形がいいのではないかという指摘もさせていただいてまいりましたが、どうやら、審議会の結論とかそれから今の動きを見ますと、設立は、文部科学省がやっぱりこういう学校という意味での認可の任に当たるようにも聞いております。それについては、良しあしは別といたしまして、この設立手続、認可基準等について、どんな考え方、あるいは議論が進められているんでしょうか。
 といいますのは、今相当の数の、大学含めていろいろな機関が是非ロースクールを設置したいということで名のりを上げているということも漏れ聞いております。そうなりますと、やはりこの設置認可基準がどういうふうになっていくのかというのは大変重要なポイントですし、何か名のりを上げているのが多いから、それに合わせて認可を、基準をつくってしまおうなんということになると、これは本来のこのロースクール設置の意味合いとまた大きく懸け離れていってしまうということにもなりかねませんので、ちょっとそこをお尋ねしたいと思いますけれども、今、その設置認可基準などについてどんな方向で議論がなされているのか。
 それから、そのロースクールを設置をしようということで手を挙げている、あるいは準備をされているところが一体どのくらいあって、全国的にどんな分布状況といいましょうか、になっているのか、その二点、それぞれお答えいただきたいと思います。
#40
○政府参考人(清水潔君) お答え申し上げます。
 第一点のロースクールの設立手続あるいは認可基準についてのお尋ねでございます。
 法科大学院でございますが、三月十九日に閣議決定されました司法制度改革推進計画におきましては、学校教育法上の大学院として法科大学院に関する制度を設けることとし、平成十六年四月からの学生受入れが開始となるよう所要の措置を講ずるとされているところでございます。
 したがいまして、設立の手続につきましては、平成十五年度内、学生募集等も勘案いたしますと、平成十五年十二月までに設置認可手続を終えることが必要となるというふうに考えております。したがいまして、各大学における御指摘のような諸準備の時間的余裕というものを勘案いたしますと、本年中には法科大学院の制度設計について具体的内容を確定する必要があると考えておりまして、本年秋ごろには学校教育法など所要の制度改正をさせていただきたいと考えております。
 設置基準の内容についてでございますが、去る昨年十二月二十六日に中央教育審議会法科大学院部会での検討を進めて骨子を公表させていただきました。四月中の中間報告に向けて現在審議中でございますけれども、基本的な考え方としては、関係者の自発的創意を基本としつつ、法科大学院としての趣旨にのっとった設置基準を満たしたものを認可することとして、広く参入を認める仕組みとする、こういう方向で検討中でございます。このため、設置認可の基準は標準修業年限、教育内容・方法、教員組織等について法曹養成の中核的機関としての使命にふさわしいものとしつつも、各法科大学院の特色が十分に生かされることを旨として現在検討が行われている、こういうふうな段階でございます。
 お尋ねの二点目、ロースクールを設立しようと準備している大学の状況いかんということでございます。
 昨年十二月、司法制度改革推進本部事務局が発表した各大学へのアンケート調査によれば、調査対象百十七大学のうち、設置を予定と回答した大学は七十三大学ということでございます。また、シンポジウム等において既に四十を超える大学が法科大学院設置構想を公表しております。
 法科大学院の設置基準等の制度設計が先ほど申し上げたような状況で現在検討中でございまして、まだ私どもとして具体的に具体の相談を受ける段階に至っていないわけでございますけれども、設置基準あるいは第三者評価基準など制度設計が明らかになることにより、具体の各大学等の検討が進むものと考えております。なお、各大学等の諸準備はかなり積極的に行われているというふうに思っております。
 当省に、今、制度設計はどうなっているであろうかという検討の状況の照会や、あるいは御相談というものを見てみますと四十程度、今そういう状況でございますけれども、実際上は先ほど申し上げたように具体の検討というものがまだまだこれからというふうな状況もございます。したがいまして、今お尋ねの、具体に御相談を受けているというよりも御照会を受けているというふうな状況でもございますので、まだまだ具体的な配置その他等についてそういうふうなお答えを申し上げる段階に至っていない、こんなふうな状況でございます。
#41
○千葉景子君 基本的に、抽象的なといいますか、お答えといいますか、今の状況はそんなところかなというふうに思いますけれども、これはロースクール、法科大学院が本当に制度の趣旨を十分に全うできるようなものが設立されるようなことを是非期待をしたいというふうに思っております。
 検討会の方で司法試験の問題も検討されているということでございました。このロースクールと司法試験との関係、これも今後一つの大きな焦点だというふうに思うんですね。これは、審議会の答申でも、例えば経済的理由等でロースクールを経ずして司法試験を受験する、こういう道も検討をしなければいけないということが指摘をされておりました。私も、それは必要なことであろうというふうに思います。
 ただ、反面、こういうことが主流になるのではなくて、やはり奨学金や費用の貸与等を含めてできるだけロースクールで学ぶことができるような体制整備が必要だというふうに思うんですけれども、やっぱりその他社会的な経験というようなことを考慮して、今言ったような経済的理由、社会的な経験等でロースクールを修了しない受験資格をどういうふうに認めるかということが検討されているとも聞くんですけれども、これはどうなんでしょうか。
 本来の、ロースクール、そして司法試験、司法修習、こういう一連の流れを考えて新しい法曹を養成し、これまでの弊害を除去するということが本来の目的だったわけですので、この辺の迂回路みたいなものを余りたくさん作りますと本来の趣旨を貫徹できなくなるということもあろうかというふうに思いますが、この辺のロースクールと司法試験との関係、この辺りは今どんなふうな議論がされているんでしょうか。審議会の答申といいますか、意見が十分に参酌をされたような議論になっているのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
#42
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員御指摘のとおり、改革審議会の意見書では、法学教育それから司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備するということを提言しております。ですから、これが大きな趣旨になるわけでございます。その一方で、先ほど御指摘ございましたように、経済的事情や、既に実社会で十分な経験を積んでいることなどの理由によって法科大学院を経由しない者にも資格取得の道を与えると、こういうふうに両方書かれているわけでございます。
 私どもは、この改革意見書の趣旨、いわゆる法科大学院を中心とするプロセスとしての新たな法曹養成制度、この趣旨を損ねることがないように配意をしつつ、制度を考えていきたいというふうに考えております。
 具体的に申し上げますと、現在の意見状況で、まだまとまっているわけではございません。一応議論の流れということでございますけれども、まず経済的事情や実社会で十分な経験を積んだということを、じゃ仮に受験資格にできるかという議論もされております。これをするためには、だれがどういう証拠によってどのように判断するかという問題、かなりシビアな問題を抱えるわけでございまして、実際上はそこを判断するのは極めて難しいのではないかという議論がかなり強くなってきているという状況でございます。
 それでは、ストレートに、法科大学院を経ないで受験を認めるかという問題になるわけでございますけれども、これは予備試験のルートを設けるということになるんですが、この予備試験につきまして、法科大学院で十分に教育を受け、それとほぼ同等な資質とか能力が備わっているというようなことが適切に審査できるような、そういう予備試験の内容にする、そういうことによって質の担保をすると、こういう形で今議論がされているということでございまして、まだ最終的にその方向で固まったというわけではございませんで、現在の意見の整理の流れを申し上げると大体そういう状況であるということでございます。
#43
○千葉景子君 やはり、指摘がありましたように、ロースクール、司法試験、司法修習という一貫した流れ、それによって新たな今の社会に適応できる法曹を養成するというのが本流でございますので、是非そこを損ねることがないように、今後の検討、是非方向を誤らないようチェックをしていっていただきたいし、私どもも見ていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
 さて、司法制度改革の中にも盛り込まれておりました更生保護制度の改正でございます。
 実は、私は、今度のこの法案の審議等もございますし、できるだけ実際の状況を知りたいということもございますものですから、東京保護観察所の御協力もいただきまして、東京の静修会足立寮、それから荒川寮という二つの更生保護施設を拝見をさせていただき、あるいはそこでいろいろな職員の皆さんなどの御意見などもいただいてまいりました。改めて法務省、それから東京保護観察所、また快く私どもの視察に応じていただきました静修会の皆さんに御礼と感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 今日は、せっかく拝見をさせていただいた実情も踏まえて、できれば多少皆さんにもこんなものかというのを、私の言葉ではなかなか伝え切れない部分があろうかというふうに思いますけれども、そんなことも紹介をさせていただきながら質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどの同僚議員からの質問でかなり基本的なところの質疑も出ておるようでございますので、できるだけ重ならないようにとは思いながらも、多少重複するところもあろうかと思いますけれども、お許しをいただきたいというふうに思っております。
 そこでまず、もう本当に大きな基本ですけれども、この更生保護制度、そもそもこの更生保護制度というのはどういう意義があるのか、まずそこから、基本ですけれども、お尋ねをしたいというふうに思います。
#44
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 更生保護制度は、保護観察、それから更生緊急保護、それから犯罪予防活動といいますか、そういったものを主な内容としております。
 その目的とするところでございますけれども、犯罪をした者の改善更生を助けることにより、犯罪から社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進するということになります。犯罪や非行を犯した者でありましても、いずれは地域社会に戻ってまいります。そのような人たちが自分の考えや生活態度を改めまして、再犯や再非行に及ぶことなく健全な社会人として立ち直ろうとするためには、社会内において適切な指導、援助がなされることが必要でございます。また、更生を決意した者に対しましては、人々が温かく見守り、必要な援助の手を差し伸べる、そういうことが必要で、そのような社会を築いていくことが望まれるところであります。
 このように、犯罪あるいは非行に及んだ者に対する適切な指導、援助の実施や地域社会に対する働きかけを通じまして明るい社会の実現を図る、そこに更生保護制度の意義があるというように考えております。
#45
○千葉景子君 更生保護制度の意義、その中で、とりわけ、今回、更生保護事業法を中心にした改正ということになりますが、この更生保護事業、それからその中核を成す更生保護施設、こういうものが担っている役割、これは更生保護制度全体の中でどんな役割を担っているというふうに考えたらよろしいのでしょうか。
#46
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 おっしゃるように、更生保護施設、更生保護事業といいますのは、今申し上げましたように、更生保護という制度の中で大変重要な意味を持っているというふうに考えております。
 といいますのは、やはり更生保護といいますのは、犯罪や非行に陥った者が再犯をしないように、健全な社会人として立ち直るようにということがその制度でございまして、そのためには、いったん刑務所を出た、矯正施設を出た、あるいは仮釈放等になった者が、出たけれども、やはり社会の中で受け入れられない、あるいはいろんな条件が整わなくて直ちに社会に復帰できないということがあるわけですが、その人たちを一時更生保護施設というものに受け入れまして、そこで必要な援助をする、指導をするといったようなことがあって初めて矯正施設から社会への一つの橋渡し、円滑な橋渡しという役割がございまして、そういう意味は大変大きいというふうに考えております。
#47
○千葉景子君 私もその役割はそのとおりだというふうに思います。元々この更生保護施設というのが、言わば更生保護事業の中で、出所をし、直ちに住まうところがない、あるいは引き受けてもらえるところがすぐにはない、そういうときに基本的には住まいと寝食を提供する、ここが更生保護施設のまず基本のスタートだったようでございます。今はそれだけでは十分ではない、それ以上のいろいろな活動をされておりますけれども、まずは住まいと食べることということが基本にスタートをしたというふうに受け止めています。
 ただ、今、お話がございましたように、社会との橋渡しということになりますので、一定の期間食べて寝て、あとは知らぬよということではなくて、そこから出るときにはできる限り自立更生ができるというところへ橋渡しをしていくということなんだろうというふうに思うんですけれども、現行の制度上でそういう役割が十分にやっぱり果たし得ているのか、今の体制で。今後の課題、今の現状の中から見えてくる更生保護制度あるいは施設の課題みたいなものはどんなふうに受け止めておられるでしょうか。多分、そういう認識の下に今回の改正ということにつながるんだろうというふうに思うんですけれども、その点はどんなものでしょうか。
 実は、ちょっと先ほど申し上げました、視察をさせていただきまして、それぞれの施設の状況を伺ってきたんですけれども、例えば静修会の足立寮というところは男子が入っている施設でございます。定員が四十人ということで、ほぼ、出入りがありますけれども、おおよそ収容率八〇%台で推移をしているということなんですけれども、退所するときにどんな状況かということを見ましたところ、円満に退所をするという人がおおよそ六割ぐらいはおいでです。ただ、それと反面、無断で退所しちゃうという人も二五、六%おりますし、いろいろここにいてはトラブルになるというので勧告して退所してもらうというのも数人おいでだと、こういう状況でございます。
 退所先にはいろいろな、親族とか、あるいは借家を借りるとか、就業先とか社会福祉施設とか、多様なんですけれども、ただ、じゃ退所時のときに本当に自立した生活ができる体制かなと思いますと、やはりなかなか、仕事に就いている方ばかりではなくて、退所のときに無職という人がやっぱり三割ぐらいいらっしゃいますし、分からない、どうなっちゃったか分からないという人が二割ちょっといますから、約半数はなかなかきちっと仕事に就いて出ていく、あるいは方向が決まって出ていくというわけにはいかないと、こんな実情でございました。
 すべての施設でそうかどうかというのは分かりませんけれども、もう一方の荒川寮というのは女性でございますけれども、これ男性と女性をこういうところで比較するというのも変ですけれども、どちらかというと女性の方がその間でかなり自立した、何か職に就いたり、あるいは円満にそういう方向を見いだして退所をしていくという方が多いようでございまして、分からないとかそういう人は本当に数としては少ない、こんな状況です。
 これ、この一施設だけですべてを量るということにはなりませんけれども、東京の足立、荒川という、こういう地域で努力をされている更生保護施設ですけれども、こんな実情を見ましても、本当に更生保護制度、目的は大変な重要なことですし、それが一〇〇%といいますか、全うされれば、私も本当にこの上ないことだというふうに思いますけれども、なかなかそうはいかないというところに難しさがあるんだろうというふうに思います。
 その辺の、今の現行上の問題点とか今後の課題みたいなものをどういうふうに受け止めてこの改正に臨まれたのでしょうか。
#48
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 委員には施設を直接ごらんいただきましてありがとうございました。
 おっしゃるように、元々この更生保護施設といいますのは、ある意味では生活困窮者対策的なものから発足しておりまして、当面、費用がない者については、とにかく住まいとそれから食べ物を与えましょうということからスタートしておりますので、それが長い間来ていたわけです。
 しかし、最近の犯罪情勢を見ますと、やはりその犯罪に至る原因として、一つには、なかなか社会適応といいますか人との関係がうまくいかなくて犯罪に及ぶ、あるいは一回社会に出てもやはりまたそれがうまくいかなくて結局、犯罪、非行に陥ってしまうというような傾向が見られます。
 そんなことを考えますと、ただ更生保護施設に入れて、そして寝るところを確保する、あるいは食事を与えるというだけではやはり十分ではなくて、そこの更生保護施設において、やはりもう少し社会適応ができるように、被収容者といいますか被保護者のある意味では内面に立ち入った分野まで入っていってきちんと指導していく、援助していくということが必要じゃないかということが今回の法改正の一つであります。
 それからもう一つは、先ほど委員もおっしゃいましたように、更生保護施設に入りましてもきちんと自立して社会に戻っていくといいますか出ていく人が、全国的な統計でいいますと七五%ぐらいがいわゆる円満退所といいますか、そういうことになっているわけですけれども、いずれにしましてもすべての人たちが完全に自立できるという状況にはないんですけれども、これはやはり現下の経済情勢、雇用情勢が非常に厳しいということもありますし、それから被保護者が高齢化の人が増えているということもありますし、また元々いろいろ問題を抱えている、先ほども言いましたが、アルコール嗜癖が強いとか、元暴力団関係者、あるいは覚せい剤の常習者だとか、そういった方、そういった人も多うございますので、なかなかすべての人が一〇〇%自立というのはなかなか現実は難しいわけで、しかしだからといってそれでいいということでは決してございませんで、やはりこの更生保護施設というものが社会内処遇の一つの、処遇施設の専門の施設としてきちっと体制を整備して、もっと良い方法を取るようにしようというのが今回の法改正の趣旨であります。
 したがいまして、今回の法改正を機に、一層、更生保護施設における処遇内容の充実強化を図りますとともに、この処遇困難者につきまして、なかなか自立ができない者につきましては、例外的な措置になりますけれども、その期間も延長しましょう、その他いろいろ考えていきましょうということでございます。
#49
○千葉景子君 さて、今のような御趣旨の下に今回の改正案ということになりますが、先ほどももう既に出ておりますけれども、既に現状でもいろいろな、寝るところと食べ物を供与するという以上の活動をいろいろもう展開されているんですね。
 これまた足立寮、荒川寮でございますけれども、さっきもちょっと御紹介がありましたように、ここでも酒害ミーティングですね、お酒の害、これのミーティングをされていると。
 それから、足立寮というのは男性の寮でございまして、男性の場合に難しいのは、これまで施設の中にいた、それからその前もいろんな事情があってなかなか自分の身の回りの生活をすることができないという人が多いんだそうでございます。だから、ここの施設から一歩社会に出ると自分で御飯すら炊けない、もう結局は、しようがない、何かちょっとつまみものを買ってきてまた酒でも飲んでそれで終わりにしちゃう、こういう生活でまた犯罪に巻き込まれたりするということも多いということで、食事会というのをやっているそうです。何かそういう料理を教えるとか料理を習えみたいなことを言うと、おれはそんなこと人から教わる必要はないと、こういうことになりますので、みんなで食事の会をしましょうというようなことをしながら自分で食事を作る、ちょっとしたものならできるような、こんな会を催したりしていると、こういうこともおっしゃっておりました。
 それから、女性の方は、女性と健康というような、薬物などの問題がございますので、女性の健康を考える、こういうプログラムを実施をされておられたり、近くに日曜菜園のような、そういうところで農作業などを通じていろいろな自然に親しむ、また心をいやしていく、こんなこともされているということをお聞きをいたしました。
 いろいろと本当に御苦労されて、知恵を巡らせておられるなというふうに思ったんですけれども、ただ、これまではこういう活動、処遇についてきちっとした財政的な裏付けがなかったようでございます。お聞きをいたしましたら、こういうことをやるので三十万の補助をいただいているんだと、なかなかこれでは十分にできないですというふうにおっしゃっていました。
 今回の改正によりまして、こういうプログラム、あるいは処遇をやることが財政的にも裏付けられるというふうに思うんですけれども、それまでの間でもこういうふうに努力をされている、こういうことに全く財政的な裏付けがなく、補助が三十万と足し前のような形でやっておられるということ。これはやっぱりもう早急にでも何か対処をする必要もあろうかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
#50
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 今、先生がおっしゃいました足立寮における食事会といいますか、そういったものにつきましても大体一回当たり二万円ぐらいの材料費が掛かるんだというふうに聞いているんですが、その財政的な裏付けというのは実は国の方からは特に出ているわけではございませんで、同じ更生保護法人で助成事業を行う団体から出ているというのが実情でございます。
 しかしながら、それも、それはともかくといたしまして、先ほど申し上げましたように、更生保護施設における処遇内容を充実強化するためには、やはりそういったことができる専門的な技法を身に付ける、職員が、ことが必要だろうということになります。まず、職員の充実、質的にも量的にも整備を図ることがまず根幹であるというふうに考えています。
 そういうことがございまして、平成十四年度予算におきましては、財政当局の御理解を得まして、各更生保護施設に補導職員を一名増配置するということが認められました。これによりまして三千六百万円の増額がございます。まず、そういったことからスタートをしていって、中で職員の研修等も行いましていろんな意味での社会適応力を付けるような、そういう処遇をしていこうというふうに考えております。
#51
○千葉景子君 是非、非常にやっぱりささやかな額でございますよね。やっぱりこれから、犯罪が増加をしている、あるいは過剰収容がもうあちらこちらであって、できるだけそういうものを減らし安心できる地域社会をということであれば、本当に国としてやっぱりそれにかなりの財政負担をしても私は社会的コストとしておかしくないというふうに思います、そういう意味でも。是非充実をした体制整備を図っていただきたいというふうに思います。
 次に、今回の改正のやはり一つに、先ほどもございましたけれども、少年院の退院者を受け入れるという改正が盛り込まれました。ちょうど時あたかもと言うと変なんですけれども、改正少年法が施行されまして一年ということで、その状況がちょっとこの間報道などもされておりました。
 実情を、最高裁の方でしょうか、この施行一年、この間の法律の適用状況等、実情をまず御説明いただきたいと思います。
#52
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 今回の少年法改正が施行されて一年たったわけでございますが、この改正法の骨子は三つございまして、一つは処分の見直しの問題があります。二番目は事実認定の手続の一層の適正化を図るといった点がございまして、さらに三番目に被害者に対する対応がございました。
 その関係を順次御説明申し上げていきたいと思いますが、まず処分の見直しの関係でございますけれども、いわゆる原則検送という類型を設けたわけでございまして、二十条二項の規定によりまして、故意の犯罪行為によって被害者を死亡に至らせた罪の事件において、十六歳以上、犯行が十六歳以上の少年についての事件、原則検送をすると、こういった規定が設けられたわけでございますが、この対象となる事件はこれまで、施行から二月の末日までの調査の結果でございますけれども、合計で五十九件ございました。このうち検察官送致となった事件は四十二件でございまして、比率にいたしまして七一%になろうかと思います。その余の十七件につきましては、二十条二項ただし書を適用いたしまして、少年院送致等の保護処分になった事案でございます。
 若干内訳を申し上げますと、検送事件の内訳は、殺人事件につきまして九件中六件が検送になっております。傷害致死につきましては四十二件中二十八件が検送でございます。さらに、強盗致死は八件すべてが検送でございました。
 以上が処分の見直しの部分でございますが、さらにこの関係では十四歳以上についても刑事処分ができるようになったわけでございますけれども、現在のところその適用事例はないというふうに承知しているところでございます。
 次に、事実認定手続の適正化の関係でございますけれども、検察官関与の道が開かれたわけでございますが、この決定がされた事例は二十五件でございました。さらに、合議体による審理の道も開かれたわけでございますが、この審理が行われた事案は二十一件でございました。さらに、観護措置期間につきまして、従来の四週間が限度であったものを、これを超えて八週間まで収容ができるとなったわけでございますけれども、その特別更新がされた事案は四十件でございました。
 最後になりましたが、被害者への配慮の関係でございますけれども、三つの手当てがされたわけでございますが、まず閲覧、謄写の関係でございますが、申出があった方について認められた人員は四百五十三名でございまして、認められなかった人員は八名でございました。処分結果の通知でございますけれども、申出があって通知された人員は四百七十一名でございまして、通知されなかった人員は八名でございました。最後に、意見聴取の道が開かれたわけでございますが、この申出がされて聴取した人員は百三十六名でございまして、聴取されなかった人員は三名でございます。今申し上げた中の認められなかった事案でございますけれども、これは申出資格のない方からの申出の事案など、形式的な要件を欠く事案などでございました。
 以上でございます。
#53
○千葉景子君 この一年ということでなかなか評価をするというのも難しいところがあろうかというふうに思うんですけれども、この改正をされまして一年のこの実情を今聞いて、大臣、いかがなものでしょうか。この改正少年法、やっぱりこれは効果があったという御感想でしょうか、あるいはその今の内容も適切になかなか行われているというふうにお感じでしょうか。率直な御所見を伺えればというふうに思います。
#54
○国務大臣(森山眞弓君) 少年法が改正されましてから、おっしゃいますとおり、まだ一年でございます。改正しました後の実情については、今るる説明がございましたけれども、それを踏まえて何らかの評価をするというのはちょっとまだ早いのではないかというふうに思います。
 しかし、法務・検察当局といたしましても、改正少年法の趣旨を踏まえまして、それぞれの事案に応じまして関係機関との連携を密にしながら、少年犯罪の防止と少年の健全な育成に努力をしているところでございまして、今後ともなお一層そのような方向で進めていきたいというふうに考えております。
#55
○千葉景子君 さて、こういう少年法の改正などもなされましたり、今回も少年の立ち直りといいましょうか、そういうことも念頭に置きながらこの更生保護施設への受入れということが認められるようになろうというわけでございます。なかなか少年の場合に難しい問題がたくさんあるだろうなというふうに思います。大人の場合でも先ほどの実情のように、なかなか社会復帰をするといっても、自立更生といっても難しい。それに更にプラスして少年の場合に、やっぱり更なるこれからの成長あるいは心のケア、様々な要因があるだろうというふうに思うんです。
 そういう意味では、ただ、今の更生保護施設に受入れができますよと、こういうことをやっただけでは十分ではないわけで、先ほどもお話ありましたけれども、やっぱり専門的な人的な陣容とか、それからそれに伴う財政的な措置とか、そういうものがもう不可欠だろうというふうに思うんですね。
 それから、今の施設は、例えば先ほどは男性の寮と女性の寮という、そういう形の施設でございました。例えば非常に、成人だけ入れているとか、青少年がいろんな年代がいるとか、女性と男性が一緒というか同じ施設でも両方受け入れているとか、それぞれだとか、そういう施設のいろいろな特徴もあろうかというふうに思います。こんな施設の在り方も含めて、この少年院退所者を受け入れるということはかなりの大きな負担といいますか、責任ということになってくるんだろうと思いますので、その辺の手当てあるいはサポートする体制、こういうものについてはどんなふうになさっていかれるおつもりでしょうか。
#56
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 今、委員がおっしゃいましたように、少年の処遇というのは大変難しいというふうに言われております。端的に言って、職員のお話を伺いますと、分かりやすい言葉で言えば手間が掛かるというふうに言われているわけです。それは、やはり少年特有のいろんな心の問題があったり、それから、まだ規律といいますか、そういうものになかなか付いていけないような年代であるとか、いろんな要因があると思うんですが、そんなわけで現在も大変苦労していることは事実でございますけれども、これから少年院の満期満齢退院者もこの法改正によりまして更生保護施設で受け入れるようになりますと、またそういった対象者が増えてくるわけです。
 私どもとしましては、このようないろんな、少年はやっぱりそれぞれいろんな問題を抱えつつも、やはりその立ち直りを期してそういうところに入ってくるわけでございますので、私どもといたしましても、それぞれに最も適した処遇は何かと、それに対するプログラムはどんなものを組んだらいいかということにつきましては、一層検討いたしまして適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#57
○千葉景子君 今度の改正は、それぞれ本当に今の社会情勢等も踏まえて必要なことであり、その目的自体は私もよく理解をいたしますが、やっぱりそれに伴うものがきちっとしませんと本当にこの実を上げないだろうというふうに思います。
 そういう意味で、是非サポートできる、そしてそれを実のあるものにするための措置をきちっと取っていただきたい。本当に現状ではそれぞれの施設職員の皆さんあるいは地域の皆さんが身を粉にして、ここの施設も多分御一家だと思うんですね、御一家が総出でこの施設を切り盛りし、そして職員の人含めて寝食をともにしてやっておられるという状況でございます。それに新しいまた処遇などが更に加わってくれば相当なやっぱり負担であるし、と思いますので、そういう善意も無駄にしないよう、この改正の更生保護の実も上がるような本当に体制を取っていただきたいというふうに思います。
 それの更にもう一つ難しい問題は、今度、保護期間が延長されると。この背景には、やっぱり高齢化といいますか、そういうこともあろうというふうに聞いております。
 ちょうど私も視察をさせていただきましたそれぞれの施設にも、昼間でございましたけれども、今日は仕事が休みで出掛けていっておらないということで部屋に残っておられる方もいらっしゃいました。ちょっと年配の、本当に、かわいらしいと言うと何か言い方がちょっと良くないですけれども、ちょっとおばあちゃまとか、それからかなり御年配の男性の方とかいらっしゃいまして、なかなかこれ、急に今度は仕事といっても、今高齢者の仕事がある時代ではありませんし、さらにハンディを背負って仕事というわけにもいかないし、じゃ親元というもう年齢ではありませんし、今後どういうふうに生活を立てていかれるか、大変なんだろうなというふうに推測をいたしました。こういう高齢化が進むという問題も一つ大きな課題だというふうに思います。
 そこで、私ちょっと、私自身は拝見できなかったんですけれども、何かテレビの報道番組か何かで、広島刑務所の尾道の支所でしょうか、何かそこが、非常に高齢者の施設内の処遇として何か特徴のある処遇といいますか、施設として取り上げられたというふうにちょっと聞いたものですから。これからこの更生保護施設、社会内の処遇ばかりではなくて、施設内の処遇の方も高齢化という問題で大変いろいろと課題が山積をしているんじゃないかというふうに思いますので、ちょっとその尾道の実情といいますか、特殊な例なのかどうか説明をいただきまして、刑務所等における高齢化への対応策といいますか、そんなことを少し御説明いただければと思います。
#58
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 御指摘の尾道刑務支所ですが、これは中国地方で確定した受刑者のうち年齢がおおむね六十歳以上で老衰現象が相当程度認められる者等を囚禁しているところでございますが、これらの高齢受刑者の処遇、まあ我々、私どもでPzという分類級で区分される受刑者になるわけですが、例えば作業については、これは課す必要があるわけですけれども、その場合、軽作業にするとか、あるいは食事につきましても、なかなかうまくかめない受刑者ですので、軟食、刻み食とか、あるいは場合によっては病気の者もおりますので減塩食等を給与したり、また毛布や下着類の貸与数も増やしたり、また作業・生活空間を同じ階等に集中させて階段の上り下りの必要がないというような工夫を凝らしたり、また工場、入浴場等には適宜手すり等を設置するなどの配慮をした処遇を行っているというところでございます。
 そのほかのところはどうなんだということになりますけれども、やはり尾道は伝統的にこういう、昭和六十年に高齢受刑者、この場合、六十歳以上ということになりますが、その囚禁施設という、行ってきたという伝統があるわけですが、そのほかの地域におきましては、こういった高齢受刑者を特定の施設には囚禁してはおりません。原則としまして、一般の受刑者と同様に、犯罪内容あるいは犯罪性の深度、人格、特性等の個々の受刑者の持つ問題性に応じた処遇を行っているところですが、このうち、特に老衰現象が相当程度認められる者に対しましては、やはり必要かつ可能な範囲で、例えば養護工場で就業させるといったようなことで、その特性に配慮した処遇を行っている。
 これが実情ということで、やはり考え方といたしましては、いろいろ、一般的には高齢受刑者の場合、身体的疾患や運動機能の全般的な低下ということが認められますし、なかなか一般の受刑者と一緒に集団で処遇することは難しいという面もございますので、基本的にはそういった身体的な機能を維持し、個々の受刑者の心身に応じていろいろな配慮が求められておりますので、それに対応していくことが大事ではないかというふうに考えております。
#59
○千葉景子君 伝統的にここ尾道が、そういう高齢の方を多少囚禁をするという特徴があるということで面白い、面白いというか、非常に特殊なんだなというふうに思います。
 ただ、きっとメリット、デメリットのようなものがあるんだろうと思うんですね。その報道のときも、居心地がいいと言うと変ですけれども、そういうある意味で高齢者にあるいは身体的状況に応じた処遇が十分になされているということもあって、また出所してから、何かなかなか仕事にも就けない、あるいは受入先もない、そういう中で再びまたこの尾道に戻ってくると言うと変ですけれども、そういうケースもあるやにも言われていたということで、本当に何か悩ましい問題だというふうに思います。
 さらに、ただそうはいっても、逆に今度は普通の施設で一人一人に年齢に応じて、あるいは食べ物が食べにくい人には、その人には軟食をという、こういうやり方もなかなかこれ大変ですよね、きめ細やかにやるとなると。それぞれメリットやデメリットがあるんじゃないかというふうに思うんですが。
 ただ、私はやっぱり高齢者が増えてくるということで考えなければいけないのは、更生保護施設でもできるだけ少し延長して社会に出るまで時間を掛けると、これも必要です。でも、じゃ六か月を一年にしたからといって解決できる問題かというと、なかなかそうもいかないだろう。そうすると、やはり最終的には、福祉、あるいは地域の受入れ体制とか、やっぱり地方と自治体との連携とか、そういうことなども総合して考えませんと、高齢受刑者とか、あるいはその皆さんの社会復帰、あるいは今後の生活、また再び犯罪を犯さざるを得ないようなことにしてしまうのではなくて、犯罪を減らしていくということにするためにはやっぱり連携した施策というものが必要ではないかというふうに思うんです。
 大臣、どうでしょうか。高齢化が進むという中で、施設内の処遇、あるいは更生保護施設等の更生保護での役割、そしてさらには福祉とかあるいは地域社会、自治体、こういうものの総合的な対応というのが取られても必要欠くべからざる状況なんじゃないかと思うんですが、その辺について大臣としてはどんなふうにお考えでしょうか。今後どんな取組方をしたらいいというふうにお感じになられますでしょうか。
#60
○副大臣(横内正明君) 私から御答弁申し上げます。
 委員の御指摘のように、高齢の受刑者数が非常に増加をしてきているという状況でございまして、行刑施設の収容者の中で六十歳以上の者の割合というのが、十年前は五・三%ぐらいだったんですけれども、最近年では九・三%というように、かなりのスピードでその高齢者の比率が増加をしてきているという状況でございます。したがいまして、行刑施設から出た後の保護観察につきましても、御指摘がありましたように、福祉施設を所管する地方公共団体との連携というのが大変に大事なことになってきているのではないかというふうに考えております。
 具体的には、やはり保護観察の際に生活保護のあっせんをするとか、あるいは老人ホームを始めとする社会福祉施設への入居をあっせんするとか、そういうようなことは現にやっているわけでございますけれども、そういうことも含めて、そういう福祉との円滑な連携ということは今後こういう保護観察に当たって非常に大事な課題になってくるのではないかと。そういう点に十分配慮して今後進めていきたいというふうに考えております。
#61
○千葉景子君 本当に福祉施設も、更生保護を図ろう、自立更生を図ろうという皆さんのみならず、通常のケースでもなかなか十分とはいかず、皆さんが施設の利用をしたいということでいろいろ待っておられるような状況もある中ですから、これ本当に、受刑者が出てこられて社会復帰しよう、特に高齢の方が行きどころもないという状況というのは本当にこれから一つの大きな課題かなと。是非十分なる今後の対策をきちっと取っていけるようにしていただきたいというふうに思います。
 今回、もう一つ、改正でこれ以外の規制緩和が行われることになりまして、更生保護事業の、継続事業は別として、届出制ということで事業を行えるということになりました。
 これは、私もできるだけ参入しやすいというのはいいことだというふうに思います。ただ、利益を求めるというような事業であれば規制緩和をして大いにそこに参入をして頑張ろうという方も増えるんだろうというふうに思うんですけれども、事こういう事業でございますから、この規制緩和によって本当にどんな部分が充実をしたり、あるいは活発になっていくのかなと。余り思い当たらないんですよね、実際に。これまでも、例えばその施設なりも、ほとんどが委託費とか助成金で賄われていて、一般的な寄附等はなかなか受けられないというのが実情のようでございます。
 そうなりますと、これ規制緩和をしていろんな事業もできるとはいえ、なかなかこういうところにわざわざ本当に参入をいただいて貢献していただくという、本当にできるのかなという、規制緩和することが悪いわけじゃないんですよ。大いにそういう受皿を作って入っていただければそれはいいんですけれども、どういうことが予想され、予測といいますか、期待できるのかなという感じがいたしまして、その辺はどんな認識をお持ちなんでしょうか。
#62
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 規制緩和を行うこととした趣旨は、平成十一年三月の閣議決定の規制緩和推進三か年計画ということがございまして、許認可等につきましてはより緩やかな規制への移行を推進するという方針がございましたので、まずはそれに従ったということであります。
 委員おっしゃるように、これによって新規参入が促進されるかどうかということになりますと、現実問題としては、事業の特殊性にかんがみまして正直言ってなかなか難しいと、これは認めざるを得ないと思います。これが呼び水になってもらえばという、これは期待でございますけれども。
 それはそれとして、もう一つは、これによりましてこの連絡助成事業者の事務の簡素化といいますか、そういった面の実効性はあるんじゃないかと。それによっていささかなりとも活性化に役立てればという思いがございます。
#63
○千葉景子君 さて、こういう実情でございますので、やっぱりある程度私は更生、自立更生というのはやっぱり社会の力というのが大変大きいと思いますし、そういう中で本来は行われるべきものだというふうに思うんですね。施設での処遇が終わり、あとは社会の中で本当にみんなで支えながら自立を図っていくと。さはいいながら、やっぱりそこに官の力といいましょうか、国なりのリーダーシップあるいは財政的な支援、そういうものがやっぱり現実にはないことには、もうとてもとても民間の力に頼るだけではうまくいかない。これだけ犯罪が増えたり収容者が定員オーバーになって社会的な問題にもなっていくとすれば、やっぱりここは国が相当な力を出していかなければいけない部分だろうというふうに思います。
 それにしては、先ほどもちょっと触れましたけれども、財政というのは非常に貧弱だものでございまして、例えば施設整備などは、これもほとんど自前の費用とか、あるいは、ちょうどこの寮の玄関にもプレートが張ってありました。多分あれは自転車振興会等の助成を受けているというプレートでございましたし、そういうものに頼っていると。もうかなり老朽化をしている施設でもございました。そんなことを考えたり、それから委託費も、これも、お聞きいたしましたところ、頭割りなんですね、その収容されている人の。しかも、日割計算でいく、その施設に寄附をされるということでございますので、こういうところですから収容者が満杯であれば一番計算上は予算が措置がされると。何か非常に寂しい話で、そういうところの人が減ると収入も減ってしまうと。ただ、職員などは継続して雇用しているわけですから、日割りでまさか職員の費用を払うわけではない。いろいろそういう意味ではなかなか大変な財政事情だというふうにお聞きもいたしました。そういう意味で、この施設整備のための財政とかこの委託費の予算とか、さっきもう予算書も拝見しておりますし、これだけ今度中身を充実させるために増やしたというお話も伺いましたけれども、いかにせん、ちょっと非常にささやかなものだなという感じがいたします。
 この辺のやっぱり財政の少しアップといいますか、厚みをこれから持たせていくという必要があろうというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
#64
○政府参考人(横田尤孝君) この更生保護施設の収入源といいますのは、国からの委託費が大部分といいますか、おおむね八割程度は国からの委託費に頼っているということであります。しかし、まだ一〇〇には足りないわけですけれども、それ以外は寄附金を仰ぎますとか、あるいは財産収入といいますか、そういったものによって補っているということであります。そういうことでございますので、これもまた今、委員御指摘のとおり、保護実績が少ないとやはりその分委託費も少ないということで、経営に苦慮しているという実情があるということは私どももよく認識しているところでございます。
 こういった点も踏まえまして、私どもといたしましては、更に収容実績を上げるように、どういう方法がいいかということについても更に検討を重ねてまいりたいと思いますし、またこの更生保護委託費の在り方につきましても、いろんな面から更に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#65
○千葉景子君 今回のこの改正によりまして一歩門戸を開いていこうということでございますが、この更生保護については、この更生保護事業のみならず、他の部分でも更に充実をさせていく必要があるのではないかというふうに思います。
 この更生保護施設なども、かなりの方が保護司をされながらこの更生保護施設の施設長なども務めておられる、あるいはこういう施設の理事等を兼任をされていると、こういう実情もございます。国会の中にも、議員として、保護司をされながら努力をされておられる方がかなりおいでだというふうにも伺いました。
 この保護司制度も本当にボランティアで大変な活動だというふうに思いますが、更に充実強化をしていく、あるいは多様な人材とか、それからやっぱり多少なりとも財政的な支援といいますか、現在もあるんですけれども、少しそういうものをしていただいて、いろんな多様な方が保護司として活動できる体制も必要なんじゃないかなというふうに思います。
 どうしても今ですと、退職をなさった皆さんがやっぱりボランティア精神でと、こういうことも多いですし、今ちょうど働き盛りとなりますとなかなかこういう活動に就くということが難しい、こんなこともあります。
 いろいろな知恵を働かせていただいて、特に少年などがこれから社会内処遇というふうなことを必要とされてまいりますと、やっぱり余り極端に年齢が離れていて何か話も通じないということになりますと保護司さんの方も大変困りますし、少年の方も、結局は話通じないから何も相談もしないと、こんなことにもなりかねません。
 そういう意味では、現在やっておられる皆さんの本当に献身な努力と、更に充実強化、厚みを持たせたこの保護司制度なども検討していく課題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#66
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 保護司の年齢といいますのが年々高齢化する傾向がございます。今年の一月一日現在でいいますと、六十歳以上の方が全体の六八・六%、約七割が六十歳以上の方でございます。平均年齢が六十三・三歳でございます。
 高齢であるからどうかということは必ずしも言えないわけで、高齢である方はやはりそれまでの豊かな社会経験をお持ちですし、また語るべき言葉を持っているということもあるわけで、それはそれでそういう保護司さんにいろいろまた御協力いただかなければならないわけですけれども、一方におきまして、今、委員おっしゃるように、少年との年代差といいますかギャップですね、この保護観察事件の約七割というのは少年事件なんです、実は。したがいまして、そういった点で年齢差による意識とか感覚のギャップがあって、それで円滑なそれができないのではないかという御指摘があることは、それは事実でございます。
 いずれにいたしましても、その保護観察事件が年々、事件そのもの、あるいは対象者もだんだん難しくなってきていることは事実でございますので、そういった変化に対応できるように、更にいろいろな活動力のある、行動力あります、あるいはそのような対応の十分できる方を更に幅広く保護司さんになっていただくようにいろんなところに働き掛けて努力していきたいというように考えております。
#67
○千葉景子君 いろいろお聞きをいたしてまいりました。本当にこれはいろいろな各分野で取り組んでいかないと、更生保護、そして犯罪の防止、再犯の防止というふうなことはやっぱりやり切れないなというふうに思います。地域の皆さんの御協力も必要ですし、自治体等の協力なくしてもなし得ない。それから、国もかなりのリーダーシップを取っていかないと、こういう、何というのでしょうね、非常に社会にとってもある意味でマイナーな部分ですから、なかなかだれかが音頭を取るというような問題でもない、こういうことになります。
 そういう意味では、今後、やっぱりこういう社会を、安全な安心できる社会、そして更生できる社会を作るための何かトータルな法律とか、あるいはそしてそれをコーディネートできるような専門家を育てたり、あるいは今処遇に従事をしている皆さんがまた新しい技術を身に付けたり研修をしたり、そういうことをしたりするような何かセンター機能のようなものをどこかに置くとか、何かその法整備、あるいはセンター機能、そして社会全体がそこを中心にしてこの更生保護という目標にそれぞれの立場でかかわっていくと、こんなようなことも必要になるのかなという感じもしております。これは十分に私も練らせていただいたことではありませんけれども、そんな方向性も見ていかなきゃいけないのかなと思ったりいたします。
 どうでしょうか、大臣、そんな意味で、今後の更生保護制度の在り方、あるいはほかとの連携等も含めて、今後の考え方、何かございましたらお聞かせをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#68
○国務大臣(森山眞弓君) 委員が、大変、現場までお出掛けいただいて問題を十分調査していただいた上で、非常に詳細な質問をしていただきましてありがとうございました。心から敬意を表する次第でございます。
 更生保護の問題だけではなくて、犯罪の防止、そして安心して暮らせる社会の構築ということが最終的には目的でございますので、そう考えますと、非常に幅の広い、いろいろなところの連携が必要だというふうに思います。
 家庭の教育とかあるいは学校の対応とかいうことまで広げますと本当に社会全体の大きな問題だと思いますし、更生保護という一業務に限定いたしましても、国家公務員の法務省のしかるべきお役人がどんなに誠心誠意努力いたしましてもそれだけでは十分ではない。やっぱり、ある一人の人間が復帰して社会に自立していけるようにするために、その本人の状況を十分把握して、その人に応じた対応をしていかなければいけないというのが更生保護の基本ではないかと思いますので、もちろん国も一生懸命できることをやりますけれども、その体制の中で、一人一人に目を届かせて、心を込めて更生保護のお手伝いをしてくださるという民間のボランティアの活躍、活動というものに期待するところも大変大きいわけでございます。
 国のサイドからいいましても、法務省だけではできないことであり、職業のあっせんをしております厚生労働省とか、あるいは勉強しようと思えば職業訓練なりあるいは学校教育なりにもかかわりがございますし、非常に幅の広い様々な方々の御協力をいただいて、更生保護ということに限定すればそれは法務省の仕事ではございましょうけれども、中心となって周りの方々の御協力を得ながら、総合的に一歩でも二歩でも前進するよう努力していきたいというふうに思います。
#69
○委員長(高野博師君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#70
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、更生保護事業法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#71
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 更生保護事業法等の一部を改正する法律案の前に、若干ちょっと、関連といいましょうか、周辺の問題について御質問いたします。
 先日、裁判所定員法の審議のときに、裁判所の各目明細についていろいろと議論いたしました。そのときに法務省の方々は、私は関係ないというような顔をしておりましたので、今日は法務省の各目明細書についていろいろとお聞きをしたいと思います。これは大臣、後で総括的にお聞きしますので、よくお聞きをしておいていただければと思います。
 まず、私が自分でいろいろ調べた結果、内訳、積算内訳に若干これ誤差があるんじゃないかなということでございます。これは、御存じのように、財務省が各目明細書の記載事例ということでマニュアルがあるわけでございまして、それにのっとってやっていただければいいわけでございますが、そのマニュアルの積算内訳の計算と今回の法務省の各目明細がどうも違うところが何か所かあるんじゃないかということでお尋ねをしたいと思います。
 まず、法務本省の勤勉手当支給人員が、やっぱりこれはちょっと、七百十六とありますが七百八十一じゃないかと思いますし、法務総合研究所の同じく勤勉手当が五十七となっておりますが、これは六十九人ではないかと思いますし、国連犯罪防止アジア地域研修協力費の勤勉手当支給人員が十七名となっておりますが、これは十八名じゃないかと思います。
 これらについて、いろいろと昨日、レクチャーでお答えをいただきましたが、早速今日、主計局の方にこのとおりでいいのかどうか問い合わせたところ、私が言ったので正しいんだと、こういうふうにおっしゃっておられましたけれども、どうでしょうか。
#72
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 私どもの理解といたしましては、充職検事等がおる関係で数字の上で誤差が出ていると、こういうふうに理解しております。
#73
○日笠勝之君 今日は、もう通った予算でございますから、去年の暦のことを言っているようにもなりますから、後ほど是非ひとつ主計局とよくすり合わせをして、来年はひとつきちっと説明のできるような方向でお願いしたいと思います。
 同じく、矯正官署の中の少年院とか少年鑑別所、こういうところの庁費に燃料費とか通信運搬費というものが計上されておりませんが、これは先ほど申し上げました記載事例によると、きちっと庁費の中で計上すると、こういうふうになっております。これは千円単位で計上することになっておりますが、なぜ燃料費とか通信運搬費が計上されていないんでしょうか。
#74
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の形で、ややその記載が統一されていないというところはございますが、それぞれ例えば一般事務処理費の中に計上しているとかいうことで別の項の中で記載してあるものがございまして、御指摘のような多少不統一な形になっております。
#75
○日笠勝之君 これもやっぱり、予算書というのは総覧性だとか統一性とかいうことが大事でございまして、私たち、こういう各目明細書を見るのに、各省庁別によって一般事務処理費に入れられたり、また出てきたり引っ込んできたりということじゃ、とてもじゃありませんが精査できないわけでございますから、これも記載事例にのっとって、直すところは直していただきたいと思います。
 それから、特別会計でございますが、法務省所管の特別会計、登記特別会計でございますが、これの同じく庁費を見ますと、自動車の重量税六百八十九万九千円と計上されて七百八十二台と積算内訳あるわけでございますが、自動車の自賠責の保険料は計上されておりますが、自動車維持費というものが計上されておりません。なぜなんでしょうか。
#76
○政府参考人(大林宏君) 御指摘の点につきましては、登記情報システム実施経費に、事項、登記の審査等、事務に必要な経費、目、登記業務庁費については事件処理経費の中にそれぞれ計上してありまして、このために自動車維持費を積算内訳に列挙、記載するのを省略したと、こういうふうに承知しております。
#77
○日笠勝之君 省略しないで、ちゃんと記載事例にのっとってやっていただければと思います。
 それから、先ほど申し上げました自動車重量税六百八十九万九千円で七百八十二台分と、こうなっておりますが、ちょっとお聞きすると、登記所にあります、法務局ですか、あります車は大体千三百ccクラスの小型貨物自動車だそうでございます。これは重量税が二年、新車は二年、それからあと一年交代でございますが、三万八千円ぐらい一台するわけですね。すると、七百八十二台で六百八十九万というと、これは一台一万円以下ということでございますが、この積算は大丈夫ですか。
#78
○政府参考人(大林宏君) 御指摘の点につきましては、詳細をちょっと承知しておりませんので、今後更に検討させていただきたいと、こういうふうに存じます。
#79
○日笠勝之君 まだほかにも若干ございますので、続けていきたいと思います。
 婦人補導院という施設がございます。これが各目明細書でいくと三十ページでしたか。この婦人補導院というのは八王子ですか、八王子にあるわけでございますが、ずっと私が聞いている限りでは、ここに、補導院ですから入院と言うんでしょうかね、出るときは退院と言うんだそうですから、入所、入院をされている方はここ数年間ゼロと聞いておりますが、しかしながら一般職の方が六名もいらっしゃいますし、車も二台ありますね。年間予算が五千四百七十万という予算がずっと毎年毎年付いておるわけでございますが、だれも入らないのにそんな予算を付ける必要があるのかどうか。
 やはり、行政改革の折柄でございますから、人数を減らすとか車も減らすとか、また、もし、入院と言うんですか、入所する方が来た場合は時間外職員であるとかパートであるとかで対応するとか、またほかから応援に行くとか、いろんな手があろうと思いますが、全然、入所、入院実績がないのに毎年毎年これを各目明細書に、数千万の予算がずっと付いておるということはいかがかなと思いますが、大臣、どうですか。
#80
○国務大臣(森山眞弓君) これは売春防止法に基づきまして設けられたものではないかと思います。そのようでございますが、最近はストレートにそのような事由で入院するという方がないという状況で御指摘のような状況になっているわけでございますが、おっしゃいますように、持っているものを十分に活用するという観点から、また要らないものは整理していくというようなことで、これから活用の方法について考えるべきではないかと私、個人的にはそう思っております。
#81
○日笠勝之君 もうちょっと二つ、三つ、項目について申し上げます。
 この各目明細書の七ページに行きますと、法務本省の項、項立てが法務本省で、事項として司法試験の実施に必要な経費で九千三百六十五万計上されております。しかし、司法試験管理委員会と検察審査委員会というものはいわゆる委員会として別建ての委員会だと思うんですね。そうなってくると、これは組織か、公安審査委員会のように組織立てにするか、せめて項立てぐらいにしないと、何となくちょこまかとやっているよというような感じの、各目明細書から見るとなっちゃうわけですが、今後、例えば組織立てとか項立てとか、そういうことはお考えでしょうか。
#82
○政府参考人(大林宏君) 委員御指摘のとおり、司法試験管理委員会は、国家行政組織法三条に定める委員会に該当しております。他方、司法試験法第十二条において、法務大臣の所轄の下に司法試験管理委員会を置くというふうにされておりますし、また十五条第一項では、司法試験の実施は、法務大臣が、試験ごとに任命する司法試験考査委員が行うと規定されております。
 このため、ややその規定ぶりが違うということもありまして、司法試験の実施に要する経費は、組織、法務本省、項、法務本省の一部として計上する必要があると、こういうふうに従来考えておりまして、法務省の外局として設置する旨規定されている他の外局とは異なった取扱いがなされているところでございます。
#83
○日笠勝之君 三条委員会なんですが、これを見ると三条委員会というような感じしませんですよね。そういう意味では、私が言ったように、せめて項立てぐらいをされた方がいいんではないかということを、これは提案といいましょうか、申し上げておきます。
 それから、同じくその七ページにございます「司法書士等国家試験の実施に必要な経費」とあります。「司法書士等」の「等」は何ですか、これは。
#84
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 「司法書士等」の「等」は、ほかに土地家屋調査士が含まれております。
#85
○日笠勝之君 土地家屋調査士の方は全国で一万七千人いらっしゃいまして、公共嘱託事業というようなこととか、地図混乱地で大変に登記の関係で地方公共団体もお世話になっている人たちですよね。そういう人たちが「司法書士等」の「等」の中で一把からげて書かれちゃっておると。これどうなんですか、司法書士・土地家屋調査士国家試験というようにちゃんと明示してあげたらいいかと思います。そうすると、何か行数が長くなって困るというのかもしれませんが、最大四行のところもありますから、別に行数が少々長くなったって構わねわけでございますが、来年からこの「等」を取って、土地家屋調査士と明確に入れるということはいかがでしょうか。
#86
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 予算各目明細書にこのような記載になっていることは事実でございます。ただ、この各目明細書の基になります一般会計歳出予算参照書というものがございまして、その事項名には同じような記載が、「司法書士等」という記載がありまして、その事項の説明欄に、「「司法書士法」及び「土地家屋調査士法」に基づく国家試験の実施」というふうな形でその内容が明確にされているところでございます。
#87
○日笠勝之君 だから、丁寧に書いてあげればいいんじゃないですか。今回も司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案、近々、衆議院で審議されると思いますが、先日、土地家屋調査士の連合会の皆さんに聞くと、何で、私たちは急いで業法を改正してもらう必要はないんだけれども、司法書士さんは急ぐようですからやむを得ませんというような感じでございますし、いろいろと御協力も申し上げるわけです、今回の法律改正でも。だから、入れる、書くという方向は検討ぐらいできるでしょう。どうですか。
#88
○政府参考人(大林宏君) 御指摘の点につきましては検討させていただきます。
#89
○日笠勝之君 そういうことで、これは各目明細書というのは立法府、国会、国権の最高機関の国会へ予算の参考資料として出すものですよ。だから千円単位からある。これを見て皆さん一生懸命、予算はどうなっているか、去年と比べてどうなんだろうかということを日夜、寝ながら、寝ずとは言いませんが、一生懸命、八十数兆円の国家予算はどうなっておるかということを、各、せめて我々だと法務委員会ですね、この法務省の予算を見ておるわけですから、整合性のある、またほかの省庁との統一性のある、そういう各目明細書の記載例がちゃんとあるわけでございます。特別会計も以下倣えでございますから。是非ひとつその方向で、来年度、各目明細書はそういうふうにしていただきたいということを要望をいたしますが、大臣、いかがですか。
#90
○国務大臣(森山眞弓君) 大変子細に御検討いただきまして、きめの細かい御指摘をいただきました。大変傾聴に値する御指摘と思いまして、今後も検討の参考にさせていただきたいと存じます。
#91
○日笠勝之君 続きまして、これは更生保護施設も関係いたしますが、その前に、法務省全体のいわゆる施設整備費について、これをちょっとお伺いしたいと思います。
 平成十四年度の法務省施設整備費は百八十六億でございます。先日、平成十二年度と十三年度における主な法務省、省庁などの工事の発注状況ということで、平成十二年四月十八日契約をいたしました岡山少年院の庁舎等新営建築工事から始まりまして、三十七件の発注状況の資料をいただきました。これを、予定価格を全部、これ三十七件を足しますと百七十億九千二百七十九万ぐらいになるわけですね。落札価格が百六十四億七千三百八十万ぐらいになるわけです。落札率が九六・三七%。それから、今度は更生保護施設、これは平成九年から平成十三年までの十四件。この十四件の更生保護施設の改築、新築などなどの工事のトータル、十四件トータルの予定価格は三十一億四千四百九十五万ということでございます。落札価格は十四件トータルでいきますと三十億四千三百三十万円ぐらい、落札率が九六・七%。まあ見事にどちらも九六%台ということでございます。
 そこで、どうしてこんな高止まりするのかなと、こういうことでございますが、御存じNHKなどの「クローズアップ現代」などで紹介されて、今全国の自治体がどんどん視察に来ていると言われております横須賀市の電子入札というのがございます。これはもう既に報道されていることでございますが、三年前からのこの入札改革を実施する前、三年前からの実施、入札改革を実施する前はその予定価格の落札率は九五%だった。法務省全体が九六・何パーですから、一パーはそれでも低い。しかし、この入札改革をして今や落札率は八五%。一〇%も下がった。年間二十億から三十億のこれで節減ができておる、こういうことでございます。
 ですから、せめて横須賀ぐらいのような入札改革をやると、これは九六%台の法務省全体又は更生保護施設全体の落札率は一〇%は下がるんじゃないかなと。そうすると、先ほど申し上げましたように、この二年間の法務省全体が百七十億でございますから、十七億ぐらいは節減できるのかなと。それから、保護施設の方も、十四件申し上げましたが、三十一億ですから三億円ぐらい節約できるのかなと。三億というと、今年四件の更生保護施設の施設設備費が二億数千万ですから、一年分ぐらい節約できたのかなと。
 こういうことでございまして、普通、落札率が九五パー以上に張り付いていると、もうにおわなきゃ駄目だ、におわなきゃ。特に、検察の方々もいらっしゃるわけですから、これは、どうも何か九五パーで高いところで張り付いているのは何かあるんじゃないかなと。だったら入札改革をやろうと。電子入札もあります。また、国土交通省も新たな入札の改革の仕方もいろいろ提案をされております。
 そういうことで、私は犯罪があるとは言っておりませんが、もう少し入札を改革することによって経費節減ができるんではないかなと。その分のお金で、更生保護施設ももっともっと早く、老朽化のところがピッチを上げて改修なり改築なり新築ができるんじゃないかなと、こう思いますが、大臣、どう思われますか。
#92
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、平成十二年度及び十三年度の法務省本省の契約に係る施設の施設設備三十七件の予定価格に対する落札価格の比率は九六・三七%ということでございます。国土交通省とか横須賀市などが一部導入しております電子入札制度につきましては、経費の節減とかあるいは手続の透明性、公正性の確保の観点から大変注目すべきことだと思っておりまして、法務省といたしましても、その早期導入に向けて積極的に研究していきたいというふうに思っております。
#93
○日笠勝之君 更生保護施設の方はどうですか。今日は更生保護事業法の審議をしているわけでございますから。はい、どうぞ。
#94
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 委員御指摘の点を踏まえまして、入札手続の一層の適正化に努めてまいりたいと思います。
#95
○日笠勝之君 是非、積極的、前向きに対応をお願いしたいと思います。
 それでは、お待たせいたしました。ただいまから本番に入りまして、更生保護事業法改正について何点かお伺いをしたいと思います。
 一般論として、この更生保護施設であるとか矯正官署であるとか、いわゆる近隣対策が非常に大切な施設だと思います。さはさりながら、しかし実際、近隣対策費というのはほとんどないんだろうと思いますね。各目明細書見ても近隣対策費なんというのは一つも書いておりません。
 しかしながら、例えば私が今住んでいます岡山市の牟佐というところに刑務所がございまして、今度、何か未決囚の棟を増築すると、こういうことで町内の皆様にも御説明等があったようでございますが、今でもその筋の黒い車がどんどん来る。それでまた未決囚の棟が一棟新しいのができる。それでなくても、かつてこの刑務所の中である事件がありまして、右翼、政治結社の車が何日もボリューム一杯上げて、近隣の方々がもう大変御迷惑をされた。そういう中で、未決囚の増築をされるのはまあ結構なことだとは思いますが、この近隣対策ということについて何かないのかなと、地元の町内会がそう言っておりますが、いかがでしょうか。
#96
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 行刑施設の業務を円滑に運営していくためには、施設の増改築工事をするときに限らず、平素から近隣地域住民の皆様方の御理解と御協力が不可欠であるということは十分承知しております。
 したがいまして、刑務所等におきましては、施設管理、運営に支障の生じない範囲で職員待機所や鍛錬場等の施設を近隣地域住民の皆様に開放して町内会活動等の利用に供するなど、地域との融和に積極的に努めているほか、矯正展におきましても地元の町内会の役員の方々を招待するというようなことで、いろいろ努力しておりますが、いずれにいたしましても地域との融和はできる限り努めてまいりたいと考えております。
#97
○日笠勝之君 これは一つ提案しておきますが、せめて、予算的な措置はなかなか難しいということもわかりますが、矯正展というのがありますね、矯正展、展示即売会。これを、例えば近隣の町内の方だけは事前に、一般オープンの前の二時間でも、午前中でも、せめてどうぞというぐらいの配慮ぐらいはあってもいいんじゃないかなと。地元の人は、物すごく人気があって私たちも行くけれどもいつも売り切れだとか、地元なのになかなか買えないとか、こういうこともありますが、矯正展の展示即売の、若干、何か近隣対策で優遇措置も考えられないのかなと思いますが、こういう点はいかがでしょうか、局長。
#98
○政府参考人(鶴田六郎君) 今、御指摘、御提言を承ったわけでありますが、先ほども、繰り返しになりますけれども、地元の町内会の役員の皆様には、招待するようなことは各地でやっていると思います。
 ただ、矯正展というのは、刑務作業を含めまして矯正行政に対しまして広く一般の方々に御理解いただくという、そういう機会であるし、そういう目的というようなところもありますので、その辺のことも勘案しなければなりませんので、なかなか難しい面もあるのかなという感じも持っておりますが、いずれにしろ、地域との融和はできる限り努めてまいりたいというふうに考えております。
#99
○日笠勝之君 何か分かったような分からぬような。検討しますということで、理解でよろしいですね。──はい、分かりました。
 それでは、実はこの法案審査に先立ちまして、私も千葉委員さんと同様に、これは更生保護法人両全会というところに我が党法務部会として視察をさせていただきました。本当に日夜の関係者の皆さんの御労苦に本当に心から感謝を申し上げながら、敬意を申し上げながら視察をさせていただいたところでございます。
 そこでお伺いしたいのは、今全国で百一、更生保護法人施設がございます。すべて民間ですよね。外国の例でいきますと、どこの国でもいいんですが、先進国で、この更生保護事業というのは外国の例でいきますと、この施設などは民間なんでしょうか、国公立なんでしょうか。どこか一つの国でいいんですが、具体的にお教え願えればと思います。
#100
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 多くの国におきまして犯罪者、非行少年に対して社会内で指導監督、補導援護を行って立ち直りを助けるという制度はしているわけですけれども、国によってそれぞれ違います。
 各国すべて承知しているわけではもちろんまたございませんけれども、いずれの国も民間で行っていると、そういう制度があるところは、というふうに理解しておりますが。
#101
○日笠勝之君 国公立でやっているところはありますか。
#102
○政府参考人(横田尤孝君) 申し訳ありません。
 韓国が保護公団という公団を作って運営しているというふうには聞いておりますが。
#103
○日笠勝之君 そうすると韓国だけで、ほかのヨーロッパなども国公立の更生保護施設はなくて、みんな民間と、こういう意味でしょうか。どうぞ。
#104
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げますが、ちょっとつまびらかにしておりませんので、また研究しておきます。
#105
○日笠勝之君 何かばらすようで申し訳ないけれども、昨日の事前レクでは国公立の更生保護施設は結構あるというふうに聞いたものですからお伺いしたんですが、まあ結構ですよ。
 なぜこういうことを言うかというと、二十一世紀における矯正運営及び更生保護の在り方ということで矯正保護審議会が提言をされていますよね。平成十二年の十一月二十八日でございます。その中に、「更生保護センター(仮称)の設置」ということで提言がございます。すべて、今、日本の更生保護施設は民間の施設となっているということから始まりまして、この提言は、「民間の施設では対応が著しく困難とされる者が増加していること、さらには更生保護施設職員に対して国が研修を行う必要性が高まっていることなどに対応するためにも、専門的処遇に関する調査研究及び更生保護施設職員の研修の機能をも備えた更生保護センターの設置についても将来的には検討することが望まれる。」と、このように提言がありますが、この提言をどう受け止めて、今どのような対応をされておられますか。
#106
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 そのような矯保審における提言があることは承知しております。
 このような新たなセンターといいますか、そのようなものを設置するにつきましても、これまでの更生保護施設の設置といいますか、あるいは改築、改修等におきまして、なかなか周辺住民の理解が得にくいということがまずございまして、その他いろんな問題もあろうかと思いますが、今後更に検討してまいりたいと思っております。
#107
○日笠勝之君 先ほど申し上げました、私ども、両全会というところへ視察に行かせていただきましたが、ここの収容率は一一〇%台ということで全国でも恐らく一番いい収容率だと思います。なぜかというと、もう新宿のあの大繁華街が目の前なんですね。ですから、そこへ入れば就職するところがたくさんあるということで、非常に人気がいいというか収容率も高いわけでございます。
 そういうことを考えますと、是非、国立というか公立のセンターをもし作るなら町の中で、近隣の対策といいましょうか近隣の御理解が得られやすいと、町の中なんですね。官公庁が一杯あるところがいいわけですよ。この周りには一杯国公有地の、虫食いのごとく国有地が山ほどございますから、近隣対策なんか何も考えなくていいわけですね、ここですと。そういう意味では、近隣対策上で難しいと言わずに、それはないわけでございます。あとは予算さえ通ればいいわけで、私が申し上げたように、ちょっと入札の考え方を変えていただければ一年や二年ですぐ数億というお金が生まれるわけでございますから、そのお金で是非ひとつ国公立のセンターを、更生保護センターを設置すると、こういう前向きな方向で行かないと、これ何のための矯正保護審議会の提言なのか分かりませんね。提言はされたけれども聞きおき候では、やる方も力が入りませんし、聞く方も責任があるわけでございますから。
 大臣、どうでしょうか。この更生保護センター、国又は地方公共団体が設置する更生保護施設はない、皆民間だということで、先ほど申し上げました専門的な処遇の対応、職員研修などなど必要なんだというふうに提言があるわけです。土地はあるわけです。都心の中にも国公有地はたくさんありますから、そういう意味ではあと予算だけじゃないかなと、こう思いますが、この更生保護センター、仮称でございますが、設置に向けてのお考えがございますれば、御所見がございますればお聞きしたいと思います。
#108
○国務大臣(森山眞弓君) 大変興味の深い御提言だと思います。
 例えば、霞が関とか永田町とかいうところに土地が少し空いているからそこでというような趣旨のお話かと思いますけれども、更生保護はただ便利で職場が近ければいいというだけではございませんので、いろいろ考えなければいけないことがあろうかと思います。そういうことも含めて検討させていただきたいと思います。
#109
○日笠勝之君 私が申し上げたのは、近隣対策上この近辺ならば問題ありませんし、土地もありますからということを例を出して申し上げているわけで、永田町に作りましょうという意味じゃございませんで、誤解ないように、前向きに是非積極的に対応いただければと思います。
 それから、更生保護法人は税制の優遇を受けられるということでございますが、先日も当委員会で御質問いたしましたが、法律扶助協会にもそういう優遇制度があるんですが、どうも余り一般の方は御存じない。ですから、総収入に対する法律扶助協会の場合は給付がわずか一けた台のパーセントでございましたよね。そういう意味では、法律扶助協会もそうですが、更生保護法人もせっかくそういう優遇制度があるわけでございますから、是非これは、毎年七月に関連のいろんな行事もあるようでございますが、政府広報とかそういうものでしっかり国民にPRをして理解をいただくということが大切じゃないかなと、こう思います。
 ですから、法務省所管の中のこの税制優遇のあるような、そういう機関のしっかりPRを国民の方々にいただき、御協力いただくという方向で今後積極的にこの分野は対応すべきではなかろうかなと、かように思いますが、いかがでしょうか。
#110
○政府参考人(横田尤孝君) 委員御指摘のとおりでございます。
 せっかく税制上の優遇措置もあるわけでございますし、毎年七月に、社会を明るくする運動という大きな運動がございますので、そういった機会に更生保護全般についての御理解をいただくとともに、やはりこういった税制面、その他につきましても広くPRをして、その御趣旨にかなったような対応を取ってまいりたいと思います。
#111
○日笠勝之君 今回、法律改正の中身にちょっと入りますと、処遇内容の充実ということで社会適応を促すための専門的な処遇と、こうあります。
 先日、視察をさせていただきました両全会は更生保護法人でございますが、お伺いをいたした中で、国民健康保険などの健康保険には、病気をいつされるかわからぬということで加入される方がほとんど、しかし国民年金などの年金制度はもう自由ですと、こういうふうな指導というかお話を入所者の方にされているようでございますが、年金制度のことについてはしっかりと社会適応も、これもう大事な分野でございますね、老後の年金でございますから。健保の方はすぐ病気になるから、風邪引くから必要だということでしょうが、年金の方はちょっとタイムラグがあって長いから今すぐ必要性感じないかもしれませんが、しかし年金のことをきちっと、処遇内容の充実ということであれば、これはお教えするというか御連絡してあげるというか、大事じゃないんでしょうかね。いかがでしょうか。
#112
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 おっしゃるとおりで、国民年金、これは義務でもありますし、また被保護者の将来の生活設計にもまた必要なことでございますので、御指摘の真意に沿うように、こちらの方としても今後指導等に努めてまいりたいと思います。
#113
○日笠勝之君 今年の四月から国民年金の保険料免除制度が変わりますということで、厚生労働省はチラシをしっかり今配っておりますね。いわゆる半額免除制度がスタートしますとか、保険料免除は七月から翌年六月を承認期間といたしますとか、申請免除の対象となる方はこういう方ですとか、非常に事細かに、皆年金でございますから積極的に新たな制度ができたということでPRしようとしておりますね。
 是非こういうふうなチラシを使ったり、場合によったら社会保険事務所から来ていただいて年金の在り方というようなこともボランティアを兼ねて来ていただくと、お教えしていただくというようなことも必要じゃないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
#114
○政府参考人(横田尤孝君) そのようにいたします。
#115
○日笠勝之君 じゃ、次に、質問に移ります。
 近年、女性の犯罪も増加をいたしております。女性の更生保護施設の対応も非常に重要だと思います。今、百一ある施設のうち七つが女性専用ですか、ということだそうでございますが、もう少し、特に麻薬とか覚せい剤とかいう事犯も増えておるようでございますし、女性の更生保護施設を拡充するというか、これは大変重要なことだと思いますが、今どういう方向、計画でございましょうか。
#116
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 女性を保護対象とする更生保護施設は、現在、全国に十の施設がございます。その収容定員は合わせて百四十八人であります。この矯正施設における女性の被収容者数といいますのは最近一貫して増加しておりまして、女性を保護対象とする更生保護施設の中には、近年、収容率が九割という高い率を超えるものも複数ございます。全般的に女性出所者に対する保護の必要性が高まっているというふうに認識をしております。
 このような情勢にかんがみまして、昨年度改築されました新潟県内の更生保護施設におきましては女性定員を設けられましたし、今後とも更生保護施設での保護を必要とする女性に対する十分な対応ができるように、その体制整備に具体的に努めてまいりたいと、このように思っております。
#117
○日笠勝之君 もう最後にいたします。
 平成七年三月十七日の更生保護に関する当委員会の附帯決議がございます。三項目ございました。そのうちの第一項目は税制上の問題でございまして、先ほどお聞きしたから結構でございますが、二項目めが「更生保護基本法制定の必要性も含めて検討し、社会、経済情勢の変化に対応し得るよう一層の整備に努めること。」と、こうありますが、この更生保護基本法の制定というものはどういう議論をされて、この数年間、現在どういうふうになっておられるかということをお聞きしたいと思います。それで終わりたいと思います。
#118
○政府参考人(横田尤孝君) この更生保護基本法のことですけれども、現在、更生保護にかかわる法体系の整備の必要性につきましては、ただいま委員おっしゃるとおりだというふうに認識しております。
 今回の法改正案は、補導援護、更生緊急保護、それから援護、継続保護事業等、各処遇内容の統一化を図るなど、特に立法の必要性、緊急性の高い部分について、各法の統合に向けた改正を行っております。
 今後、本改正案成立後の運用状況等踏まえまして、更生保護基本法の規定、制定をも視野に入れながら更生保護に関する法制度の整備に努めてまいりたいと、このように考えております。
#119
○日笠勝之君 終わります。
#120
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私も、法案審議の前に、地元の京都で三つほど施設を見さしていただきました。いずれも特徴を持った施設でありまして、全国で二番目に古いという盟親、それから在日韓国人の皆さんが中心で経営されている京都保護育成会、それから、今ありました、全国に七か所しかない女性専用施設の一つである西本願寺白光荘という、この三つです。この施設が果たしている役割、そしてどこも職員の皆さんの献身的な努力で支えられているということを見まして、大変胸を打たれるものがありました。
 今、入所者をめぐる状況が非常に困難になっているということも、いろいろお話を伺いまして、施設の皆さんももっとこの事業を発展をさしたいという思いを強く持たれておりました。そういう、今日求められる役割にふさわしい充実した事業になり、かつ職員の皆さんの処遇が、労働条件等がもっと上がっていくという方向で質問をしたいと思います。
 どの施設でも共通していましたのは、大変経営基盤が厳しいと。篤志家の本当に尊い協力と職員の皆さんの献身的な努力で支えられておりました。気になるのは、今回の法律で、第五条の二項で、更生事業法人に対しまして、「経営の基盤の強化と透明性の確保を図らなければならない。」と、こういう規定が新たに加わったわけですね。随分この経営基盤のために皆さん努力をされていて、むしろ私は国が甘えているんじゃないかというような思いもしたわけでありますが、あえてこの法人に経営基盤の強化ということを今回入れた意味は何なのか。これによって国の責任が後退するようなことになってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
#121
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 今回の改正におきましては、更生保護施設における処遇機能を充実強化するとともに、一時保護事業及び連絡助成事業に対する規制緩和を行うことによりまして更生保護事業の一層の発展を期することとしましたが、この事業に携わる者の自助努力なくしては、真にこれを実現することは不可能でございます。
 そこで、事業法改正案の第五条の二におきましては、特に更生保護事業において中心的な役割を担う更生保護法人に対しまして、自主的に、その本体業務である処遇等その他事業内容を向上させるとともに、それを側面から支える経営全般について、その基盤の強化と透明性の確保を図らなければならないということにいたしました。
 したがいまして、今回の改正案におきまして「経営の基盤の強化」という文言が加わっておりますが、これは、委員御懸念のような、国の更生保護法人に対する財政的支援を後退させるという、そういう趣旨は全くございません。
#122
○井上哲士君 後退することはないんだという御答弁でした。経営基盤の強化はやっぱり国の委託費の向上などが一番だと思うんですね。
 私は、ある施設で理事長さんに、いわゆる役員報酬などはもらっているんですかとお聞きをいたしますと、とんでもない、逆だと。理事で年間十二万、理事長さんは六十万出されているというお話でありました。こういう本当に善意で支えられているわけでありますが、それでも非常に厳しいわけで、主に職員の皆さんの労働にしわ寄せが行っていると思うんです。
 今、更生保護法人の有給職員数、それからボランティアの数、これは全国的にはどうなっているでしょうか。そして、有給職員については社会福祉法人などと比べますと人件費の積算に当たっての格付がどういうふうになっているでしょうか、お願いします。
#123
○政府参考人(横田尤孝君) お答えをいたします。
 更生保護施設における有給職員は、平成十四年の四月一日現在で常勤職員が四百八十人です。それから、非常勤の職員が七十三人。したがいまして、合計五百五十三人でございます。
 更生保護に関するボランティアとしましては、保護司さんが全国に約四万九千人、それから更生保護婦人会員が約二十万人、それからBBS、ビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズの会員が約六千人いらっしゃいます。これらのうちのかなりの方々が更生保護施設に付きまして、被保護者に対する相談に乗ったり、あるいは調理をしてくださったり、あるいは手伝ってくださったり、あるいはレクリエーションの活動に一緒に加わっていただいたりというようなことで、いろいろ御支援をいただいているところであります。
 それから、社会福祉施設の職員と比べていかがかというお尋ねでございますけれども、更生保護施設の職員には福祉職の俸給表が適用されております。その格付でございますけれども、収容定員二十人以下の施設につきましては、その主幹、これは施設の長でございますけれども、主幹は四級一号俸、福祉職のですね。それから、二十一人以上の施設の主幹は四級二号俸。それから、補導主任といいまして、これは補導の責任者になりますが、補導主任は二級の七号俸。それから、その下で補導に当たります補導員は二級六号というようになっております。
 一方、社会福祉施設の職員にももちろん福祉職の俸給表が適用されておりますけれども、その格付は、施設長が四級の三号、それから指導員が二級の六号、それから一般の、これは主任でございますけれども、それからもう一つ、一般の指導員は二級の五号俸というふうに承知しております。
 社会福祉施設の職員との比較は、職務の内容や、あるいは施設の規模が異なりますために必ずしも一概には言えませんけれども、更生保護施設職員の給与格付につきましては、従来は行政職(一)、行(一)の俸給表が適用されておりましたところ、財政御当局の御理解を得まして、平成十三年度から福祉職の俸給表が適用されるということとなっているということで、相応の改善は図られてきたのではないかというふうに考えております。
 なお、犯罪者処遇の専門施設としての更生保護施設の機能を高めるために、職員の待遇改善につきましては今後とも引き続き努力してまいりたいと思っております。
#124
○井上哲士君 格付はほぼ同一に改善をされてきたということは大変いいことだと思うんです。
 ただ、先ほども議論ありましたけれども、問題は、いわゆる出来高払といいますか頭割りということになっていると。これは、国全体でも、延べ定員に対して大体予算セットが全国平均の使用率である七〇・六%というふうにお聞きをしたんですが、今回、委託対象の拡大によって予算措置が増えたという御答弁がありましたが、保護期間の延長については様子を見るという御答弁が午前中ありました。
 私、聞いたところでは、年度末など予算の関係で、実際、希望者がいても受け入れないとかということも起きたりしているということも聞いたわけですね。今回、この法改正されたことによって十二か月施設として延ばしたけれども、結局は負担が施設に来るということになりますと、何のための改正ということになると思うんですが、こういう心配はないですね。
#125
○政府参考人(横田尤孝君) 午前中申し上げましたように、今後の実施の状況を見て、更生保護施設に負担が行かないような対策を取ってまいりたいと考えております。
#126
○井上哲士君 それで、いわゆる出来高払制度が大変な負担になっているということを申し上げたんですが、例えば西本願寺白光荘で聞きますと、五十五歳の主幹と三十代の女性二人が主任、補導員として働いておられました。三日に一度、月十日ほど宿直があると。去年の休みを聞きますと、主幹は三十四日、主任が六十五日、補導員は七十一日ですから、主幹は週一度の休みすら到底取れないということでありました。にもかかわらず、給料は非常に少ないわけで、主幹で月額二十三万から二十五万という施設もございました。
 多くはやはり年金生活者の方に頼らざるを得ないと。もちろん、いろんな経験や知識を持った方を、力を出していただくということはいいことだと思うんですが、若い職員の採用が非常に困難になっているということがどこでも言われたわけです。
 今、少年の入所者が非常に増えているという点からも、それから処遇困難な人が増えているという点からも、専門性を持った若い人、それから同世代の職員を採りたいという希望が非常に強いわけですね。ところが、資料で見ますと、今、職員の平均年齢が六十・三歳で、三十代以下は実に六%ということでありました。
 例えば、京都保護育成会で聞きますと、働きたいということで面接に来た人がいたけれども、給与実態などを聞いて、ちょっとこれでは生活できないなということで断念をされたと、非常に残念だということを言われておりました。
 そういう若い人たちをやっぱり採用していけるようにするためにも、社会福祉法人並みのやっぱり待遇にしてほしいということがどの施設からも出たわけですね。いわゆる出来高払ではなくて、例えば人件費だけ別建てにするとか、そういうこともできないんだろうかという要望が非常に強いわけですが、こういう若い人たちをこういう施設で働けるような条件を作っていくという点でも、委託費を例えばいわゆる定員定額制とかそういう方向で改善をする、こういう点で、是非、大臣の御所見をお願いをしたいと思います。
#127
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、更生保護施設の職員の平均年齢は大変高齢化しておりまして、現在六十・三歳ということでございます。犯罪者処遇の専門施設としての機能を高める上で、非常にその人生経験豊かな方というのも非常に役には立つんでございますけれども、若手の有能な職員も欲しいということで、これも重要な課題だというふうに考えております。
 そのためにも相応の待遇改善を図っていくことが必要でございますが、現在、更生保護施設職員の人件費は、更生保護委託費という形で委託件数及び委託日数に応じて支払う方法が取られておりまして、保護実績の乏しい更生保護施設におきましては経営に苦慮しているというのが実態だと承知しております。
 当局といたしましては、保護実績の向上を図るための方策を検討いたしますとともに、更生保護委託費の在り方そのものについて更に検討を重ねていきたいというふうに思っております。
#128
○井上哲士君 この西本願寺白光荘の主任の方は、お姉さん的な職員が必要だということで要望されて勤務するようになったと言われておりました。採用の面接を受けたときに、意欲や能力とともに、月ほぼ十回の宿直ができて、労働基準法よりも職業観、使命感を優先する心の持てる人、それから高校新卒並み、この人は大卒なんですが、給料で生活を維持できる、こういうようなことも言われたということを言われておりました。
 ただ、その人の書いた手記もいただきましたけれども、「寮生たちは不幸にして過ちを犯した人たちではありますが生まれながらの善人がいないのと同様、生まれながらの犯罪者は何処にも存在しません。多くの場合、初めは何らかの形で被害者であります。ただ女性であるがためにと……。」、こういうようなことも書かれておりました。
 こういう人間の可能性、自分の可能性を信じて頑張れる若い皆さんがもっともっと採用でき、安心して働き続けれるような改善を改めて強く求めておきたいと思います。
 次に、処遇の改善の問題なんですが、午前中の議論でもいわゆるSSTなどの問題が出ておりましたけれども、京都の施設でも例えばパソコンなどが法務省から置かれているというところもありました。こういうハードの面とか、それからいろんな処遇の向上のためのプログラム、またそれをやるための職員の研修など、全国的なレベルアップをするという点で、法務省としてはどういう方向をお考えでしょうか。
#129
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 更生保護施設の処遇機能を充実強化するために、当局では、平成十二年の一月に、更生保護法人、全国更生保護法人連盟と共同いたしまして、更生保護施設の処遇機能充実強化のための基本計画、二十一世紀の新しい更生保護施設を目指すトータル・プランというものを策定いたしました。この基本計画におきまして、各更生保護施設は、それぞれの事情に応じて処遇を充実するための具体的な目標を設定いたしまして、そしてその達成を図っております。ただいま委員の御指摘がございましたSSTとか、あるいはコラージュ療法等の専門的な処遇を試みている更生保護施設も現に幾つかございます。
 こういった各施設の試み、新しい試みにつきましては、当局が主催する協議会、研究会等におきまして相互の情報交換を図っております。また、当局において処遇方法に関する事例集などを作成いたしまして、そして全国の施設に配付することもいたしております。
 このようなことで、全国的にこのレベルが全般的に上がるような、そのような努力をしております。今後とも、このような努力を引き続き行いまして、全国の更生保護施設における処遇水準といいますか、技術といいますか、そういうものの向上を図ってまいりたいと考えております。
#130
○井上哲士君 是非よろしくお願いします。
 次に、地域や自治体との協力の問題なんですが、この法では、五年前の制定のときに、更生保護事業が地域社会の安全及び社会福祉の向上に寄与することにかんがみ、その地域において行われる更生保護事業に対して必要な協力をすることができると、こういう規定が入りました。
 施設の方は本当に地域との協力関係に努力をされておりました。盟親という施設は、十年前に改築をしたときには随分地域の皆さんと何度も協議をされました。集会場を作って地域に開放すると言っても、そんなの使わぬというようなことも最初は言われたようでありますが、今お邪魔しますと、毎日、地域のそれこそ社交ダンスのクラブとかいろんな集会に使われておって、年間三百六十日ぐらいいろんな予約が入っているということも見ました。
 こういう地域との協力を深める上でも自治体の理解を強めるということは非常に大事だと思うんですが、この法を作ったときに自治体の協力ということを明記をしたわけですが、それ以後、それ前と、前後比べますと、施設建設への自治体の補助、それから運営経費への補助というのはどういうふうに変化をしているでしょうか。
#131
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、法律に自治体の協力規定が設けられましたことによりまして、その後、自治体からの財政的な協力といいますか、が増えていることは事実でございます。運営経費に対する補助金につきましては、平成十二年度を見ますと、この自治体からの補助を受けました法人は四十三法人ございます。その総額は三千八百四十一万三千円に上っております。
 それから、最も大きいものは更生保護施設の整備事業に対する補助でございます。これは、例えばこの協力規定のできる前で、ごくかいつまんで申し上げますと、全体の更生施設の改築、改修等に要する経費に対する自治体の補助金の割合が、ざっと計算しますと約一六%でございましたが、最近の状況見ますと、それが約二五%、四分の一につきまして自治体からの補助がなされているという実情がございまして、やはり協力規定が置かれたということによってこのような結果になっている、成果が上がっているというふうに理解しております。
#132
○井上哲士君 一定の前進がされているということでありました。ただ、やはり期待したほどの前進なのかということがあるかと思うんですね。
 特に、施設運営の経費でいいますと四十三法人ということですから、六割の施設はいまだに自治体からの補助はないと。全体百一として、法の実施直前、平成六年でいいますと、いただいた資料では三十六法人、三千二百八十三万九千円でありますから、七法人増えたとはいえ、六割はまだゼロということなんですね。
 補助を受けている施設を見ましても、少ないところで年間八万、一番多いのが愛知県豊橋の東三更生会というところで、これが年間五百二十五万八千円ということですから、相当ばらつきがあります。それぞれの施設のいろんな経緯、事情もありますから、少ないところが冷たいとかそういうことを言うつもりはないんですが、しかしもっと、本来、そういう自治体との協力が広がるということを私はあのとき期待をされていると思うんですね。
 まだまだ、こういう地域社会の安定と社会福祉の向上につながると法に明記したこの中身といいましょうか、施設そのものが十分に理解が広がっていないんじゃないかという気もするわけで、これは施設任せにせずに、国として大いに自治体にも働き掛けていくべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
#133
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 自治体は自治体で、特に最近は地方財政なかなか厳しいということもございまして、それなりの事情がおありのことと思いますけれども、しかしやはり更生保護といいますのは地域に根差していくといいますか、地域社会の中で実施していくということで、一番身近なものはそれぞれの自治体であるわけでございますので、私どもといたしましては、これからもそのような自治体に対して更生保護の理念、実情といったものをいろいろ訴え掛けまして御理解を求めて、それを運営経費あるいは設備整備の補助金という形で具体的な御協力を得るように努めてまいりたいと、このように考えております。
#134
○井上哲士君 施設の皆さんも、援助待ちとか協力待ちということではなくて、いろいろ積極的に地域に貢献をどうしていくのかということを考えていらっしゃいます。
 京都保護育成会というのは、最初言いましたように、在日韓国人の皆さんが主体となって作っておられるんですね。当初は在日の人々が入所されていたんですが、もう今は入所者すべて日本人だそうです。もうやめようかという話もあったけれども、日本社会に世話になってきたということで続けていらっしゃるわけですね。
 私、行ったときも、当日、集会室で京都府下の保護司の皆さんの研修会をされておりましたし、地元の右京区の保護司の皆さんが月一遍の少年非行相談ということをその場所でも行われておりました。理事長さんは、例えばいったん退所をした人も気軽に相談に来て、自分の後輩の犯罪を防ぐ役割をするとか、やっぱり地域のそういうコミュニティーセンター的な、コミュニケーションのセンター的な役割を果たすような施設にしたいと、こういうような抱負も語っておられました。こういう本当に地域センターとしての発展方向にもっともっと国としても援助をするべきだと思います。
 保護局の皆さんとお話ししていましても、全体としてやっぱり予算も厳しい、理解もまだまだ広がっていないということがありました。予算に占める司法の割合が低いということはこの委員会でも議論になってまいりましたが、法務省の中でも保護の予算というのは三%だということもお聞きしたわけですね。必要な予算の確保とともに、自治体や地域に理解を広げて、この事業を発展をさせる上での大臣の決意を最後にお聞きをしたいと思います。
#135
○国務大臣(森山眞弓君) 前の質問者の場合にも類似の御指摘がございましたけれども、この更生保護の仕事というのは民間の善意、そして社会奉仕の旺盛な精神をお持ちの方々の献身的な御努力というところからスタートしておりまして、それが今の世の中の必要に応じて次第に発展、成長してきたというふうに私は感じております。
 そのような経緯がございまして、しかもそのような善意による人間的な接触ということが非常に重要だという要素でもありますので大切なことだと思いますけれども、一方において、そのような経緯から公のかかわり、特に政府のかかわりというものがやや立ち後れているというふうな面も否めないかと思うのでございます。
 政府の努力、なすべきことをきちんとした上で国民の多くの方の御理解をいただいて、民間の善意、活力をちょうだいしながらこの仕事が伸ばしていくことができるようにというふうに願っているところでございます。
#136
○平野貞夫君 大臣、冒頭に、誠に事前に話をしていなくて突然ですけれども、大臣の御意見、御感想を聞きたいんですが、大臣は戦後の女性の職場進出といいますか、社会的活動をなさった代表的な模範の方なんですが、実は最近、政策秘書を始め公設秘書の問題が非常に、社会的責任あるいは法的責任を含めてマスコミでいろいろ論じられて批判されておるんですが、ちょっと私、マスコミの過熱といいますか、マスコミの報道の間違いの部分を、自分の感想を申し上げて、女性の社会的進出について貢献されている大臣に率直な意見を聞きたいんですが。
 今朝の朝日新聞に、民主党の木俣議員の夫人が政策秘書で、この方は四人お子さんを持っていて、二歳から今十歳まで、優れた政策マンであるということは私も承知しておるんですが、経団連の政策グループに勤められていた方で、それで事実上ほとんど議員会館の勤務は無理と。東京には月三、四回来られて、ほとんど地元の事務所か自宅で、これはファクスとかインターネット、いろいろありますからね。この夫人を政策秘書にして自宅で勤務させているということに対する朝日の批判の記事なんです。
 私、これを読みまして、この新聞社の書いた人というのは女性の社会進出というのを今どうとらえているだろうかという、非常に、何というか、新しいことを言う新聞社なんですけれども、やっぱり女性の勤務の体系、それから四人も子供さんを作りまして、これは少子化にも非常に貢献している人なんですよ。こういうやっぱり政策秘書の在り方というのはあると思うんですよ、様々な形で。
 しかも、愛知県の女性というのは非常にしっかりしていまして、河村たかしさんの御夫人とか、それから我が党の都築議員の御夫人なんかも、非常に、何というか、だんなさんを助けてしっかりと支えてやっている方なんですが、こういう報道は私、ちょっと異常じゃないかという感想を持っておるんですが、女性の立場でどんな御感想か、ちょっと突然申し上げて恐縮でございますが。
#137
○国務大臣(森山眞弓君) 女性の社会進出の話とその政策秘書の在り方というのはちょっと難しいですよね。女性がそれぞれに専門の知識や経験を持ってそれを生かして社会に貢献していくということはもう今は当然であり、これからますます多くなっていくだろうと思います。そういう方がたまたま夫が国会議員であるということで、それをお助けになって仕事をされるということも事実としてはあり得ると思いますので、そのことを否定することは難しいというかおかしいと思うんですが、ただ、その方が政策秘書という肩書をお持ちになって税金から出る給料をその方がおもらいになるということになりますと、やはり事実は決して悪いことをしていなくても誤解を招くおそれがあるだろうと思いますので、その辺は分けて考えた方がいいのかなと私は個人的には思います。
 その実態がどのような仕事の仕方でいらっしゃるのか、そのまた御本人のことも全然存じませんので、詳しいことはコメントいたしかねますけれども、女性が多方面にわたって大いに役に立つ仕事をなさると、そして御本人も能力を発揮して張り合いを感じておられるでしょうし、お子さんを持ってお忙しいところを頑張っていらっしゃるというのは非常に頼もしく立派なことだと思いますが、国会議員をしていらっしゃる夫の秘書としてプライベートにお助けになるのは御自由でございますけれども、政策秘書の給料をいただいてということになりますと、実態はともかく、誤解を招くおそれがあるということを少しお考えになる方がいいかなという気はいたします。
#138
○平野貞夫君 これ以上申しませんが、大臣もだんなさんが国会議員でいろいろ大変な御苦労をなさったと思うんですが、むしろこういう子育てをやりながらそういう仕事ができるという制度といいますかシステムを作るのが、作るべき、そっちの方に欠陥があるわけでして、政策秘書をやっているということを批判するということは私は間違いである、むしろこの木俣夫人なんかの場合には褒められてしかるべきケースじゃないかと、私はそう思いまして、この話はこれだけにします。
 この更生保護事業法改正案なんですが、法務省から出される大臣の提案理由説明というのはいつもなかなか新しい時代を意識したいい言葉で書いておるんですが、どうも今回は私、「民間篤志家のたゆまぬ努力によって維持運営され、」云々、要するに、ちょっと国が外れたという感じですね、正面向いていないというか。それから、「近年、犯罪情勢の悪化」云々という言葉、これなんかも、悪化しているから遺憾であるというぐらいな何か言葉があってほしいんですよ。何となく今回の提案理由説明はちょっと第三者的な感じがするんですが。
 そこで、この法案のそのものが民間の人がやる行事を主体にした法律であるということに原因があるかも分かりませんが、そこでお聞きしたいのは、近年の犯罪情勢の悪化、今朝からそういう話、説明もあったんですが、どういうふうな部分が悪化して、そしてその悪化した部分が今後、将来どういうふうに展開するか、そこら辺を、大臣でなくてもいいですが、法務省としてはどうとらえているかということをお聞きしたいと思います。
#139
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 最近の犯罪情勢でございますが、警察庁の統計によりますと、平成七年以降に刑法犯の認知件数は増加を続けておりまして、平成十三年の刑法犯の認知件数が二百七十三万五千六百十二件と、十年前の平成三年に比べまして六〇・一%も増加しているというふうに聞いています。戦後最高であると言われております。
 刑法犯の認知件数が増加している原因につきましては、一概に述べることはなかなか難しゅうございますけれども、社会経済情勢の変化、それから国際化の影響、また地域社会の崩壊、あるいは家庭における監護力の低下などが複雑に絡み合っているのではないかと、このように考えています。こういった傾向は今後とも続くのではないかと、このように思っております。
 更生保護を所管する当局といたしましても、このような現在の犯罪・非行情勢に的確に対応しなければならないと、このように考えているところでございます。
#140
○平野貞夫君 数字でなくて、犯罪の質みたいなものの傾向というのを説明してくれませんか。
#141
○政府参考人(横田尤孝君) 犯罪の質につきましてもいろいろ言われているんですが、やはり一つは、悪質・重大化ということがよく言われております。それから広域化ですね、犯罪が、地球が狭くなっているといいますか、日本が狭くなっているといいますか、そういったことで広域化の傾向があると言われますし、それから国際化も、またこれ一つの大きな流れの中での国際化ということがございます。それから、特にまた最近強調されますのが、少年犯罪の増加とそれからそれの悪質化といったことがまた最近の犯罪傾向の特質ではないかというように考えております。
#142
○平野貞夫君 そこで、犯罪が悪化する責任は我々政治にもあると思いますが、しかし一言で政治に責任があるということでも済まされない問題だと思うんですが、この犯罪の質の変化に対してどう対応するかということは、もちろん司直の制度の整備だけじゃなくて、そういう犯罪を犯した人が刑を終わって、その後どうなるかという問題にも影響をすると思います。
 そこで、ちょっとお聞きしますが、これは概略で結構なんですが、刑を終わって、あるいは刑の途中で刑務所を出所される、あるいは刑務所等を出所する、そしてその後再犯、再び罪を犯す、こういう、まあ再犯率と言うとちょっと軽くなるんですけれども、この再犯を犯す傾向というものを、最近、ここ五年か十年でいいんですが、どんな傾向か、説明してくれませんか。
#143
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 行刑施設、刑務所等でございますが、行刑施設を出所した者の出所当年における刑務所の再入所率、これは再犯ですね、いわゆる、につきまして過去十年間の推移を見ますと、出所者全体の再入所率はおおむね五ないし七%でございます。大体ほぼ横ばいと考えておりますが、平成十二年は六・四%とちょっと上がっております。
 これを満期釈放者とそれから仮釈放者、これは刑期の途中で仮釈放になった場合ですけれども、それを見てまいりますと、満期釈放者、これは刑期一杯勤めた場合ですけれども、満期釈放者の再入所率はおおむね一〇%から一二%前後でございます。平成十二年はこれが一一・五%になっております。一方、仮釈放者の場合の再入所率は二%台で推移しております。平成十二年は二・三%ということで、満期出所者とそれから仮釈放者の間に開きがある、再犯率ですね、ということが言えます。
#144
○平野貞夫君 分かりました。
 この更生保護事業というのもやっぱりそういう傾向を前提にしたといいますか、そういったものに対応するような整備が必要になると思うんですが、ちょっと角度を変えてお尋ねしますが、更生保護事業の中で、要するに雇用の問題ですね、出所した人がどこかに勤める、なかなか勤め口ないと思いますが、こういう時期に。現在、私、勉強不足かも分かりませんが、協力雇用主といいますか、そういう犯罪を犯した人と知りながら雇用するという企業あるいは商店、なかなかこれ大変なことだと思いますし、大事にしなきゃいかぬと思うんですが、こういう協力雇用主へ何か公的な支援といいますか、そういうものは今どういう仕組みになっているんでしょうか。
#145
○政府参考人(横田尤孝君) おっしゃるとおり、現在、協力雇用主という方がいらっしゃいまして、全国に約四千六百人ほどいらっしゃいます。こういう今、雇用情勢の厳しい中ですけれども、協力雇用主の方々は犯罪前歴があることを承知の上で更生保護施設等で入っている人たちを雇ってくださっているわけで、こういう現下の中で大変有り難い存在となっております。
 この中で、やはりこういう社会経済情勢ですと、このような方々の存在意義というのはますます大きくなっているというふうに認識しておりまして、国といいますか当局では、このような協力雇用主の方々の活動を支援するために、平成十二年度から更生保護施設被収容者に対する就職指導といいますか、それにつきましての協力に対して謝金をお支払いするという形で国として幾ばくかの支援をしております。これは平成十四年度、今度の予算ですけれども、これでは六百四万八千円、総額ですけれども、計上されております。また、協力雇用主の方々に、更に更生保護についての御理解を深めていただき、更にまた御協力いただくために研修等も実施するということにしておりまして、これが平成十四年度の予算は三百六十四万四千円ほど計上されております。
#146
○平野貞夫君 大臣、もっともっとこういう人たちには国ができる限りの経営あるいは仕事のお世話、そういう配慮が要るんじゃないかと思うんですがね。六百万程度の予算でとてもこれ、犠牲的に協力してくれる人に気の毒だと思いますが、ちょっと力入れてやってくれませんか。
 私、予算委員会とちょっとダブって、時間の関係で採決を早くしてもらいたいもんですから、あと一問お願いしたいんですが、先生方からありましたんですけれども、やはり更生保護基本法というようなものでややこしい法律を一本化して分かりやすくすべきだという、これはたしか矯正保護審議会の提言書にもあったと思うんですが、これは、立法権は国会にあるわけですから政府に立法してくれといって私が言うのはおかしい話なんですが、公と民間と個人という関係だけじゃなくて、その間に何かあると思うんですよ。社会といいますか、官でもない民でもない、公と言っていいか、犯罪者の更生保護というのはそういう分野じゃないかと思います。国がそれをストレートにやるということもやっぱり問題があると思いますし、また民だけに任すということも問題があると思います。
 そこで、私は、犯罪予防も含めて、犯罪の悪化という状況の中で深刻な中で、更生保護基本というだけじゃなくて、もっと大きな犯罪予防あるいは他省庁にわたるような、明るい犯罪のない社会を作るための基本法みたいな構想が一つあって、我々は推進していくべきじゃないかという意見も持っておるんですが、それについての御意見をお聞きして、終わります。
#147
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘がございましたとおり、矯正保護審議会の提言の中に、我が国の更生保護に関する法制度が基本となる法律だけでも五つあって、国民にとってはやや複雑で分かりにくいということが指摘されております。五つの法律というのは、犯罪者予防更生法、執行猶予者保護観察法、更生保護事業法、保護司法、恩赦法などでございまして、それ一つ一つはみんなそれなりの理由があって、いきさつがあって作られたものではございますけれども、おっしゃるように、もう少し総合的な見地から全体として見直すべきではないかという御趣旨が先ほどの提言の中にもあったわけでございます。
 法務省におきましても、この点は大変大きな課題だと思っておりまして、社会経済情勢の変化に対応できる、国民に分かりやすい法制度の整備ということに向かいまして、鋭意検討を重ねてまいりたいと考えております。
#148
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 更生保護事業法等の一部を改正する法律案について質問する前に、二つの点についてちょっと質問をさせてください。
 先日、三月十九日に私が行ったアフガン難民の質問に関する補足質問を一つしたいと思います。
 難民申請者に関し、訴訟が係属中のケースであれば、実務上送還はない旨の答弁がありました。入管局長は、難民申請者は訴訟が係属中のケースであれば実務上送還はないと答弁をされました。しかし、実際はそうでないと。難民申請者が訴訟を起こしている、その係属中に送還された例があるというふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。
#149
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 御質問いただきまして、過去五年間にわたりまして難民不認定処分取消し訴訟が係属中に退去強制令書に執行して送還した事例のみにつきまして調査いたしました。その結果、そのような事例は一件ございました。わずか一件でございますし、しかもこの事例の場合は、退去強制令書執行停止申立てに対し裁判所の却下決定がなされまして、その決定に対する即時抗告も棄却された上、送還要件が具備していたことから送還を実施したものでございます。
 したがいまして、このような司法の判断が確実になされているような事例を除きましては、実務上、難民不認定処分取消し訴訟が第一審係属中に退去強制令書を執行して送還を実施することは原則としてないものと承知しておりますので、前回、委員の御質問に対しましてもこのような趣旨でお答えを申し上げた次第でございます。
 もちろん、一般的には、退去強制令書執行停止申立てがあった場合には、裁判所が退去強制令書に基づく執行のうち、送還部分について第一審判決言渡しまで停止する旨の決定がなされることが多いわけでありますので、そういう実情を踏まえて判決言渡しまで送還されることがほとんどなく、裁判の推移にも配慮しながら適切な送還を実施している、こういうことでございます。
#150
○福島瑞穂君 私の方もその後調べましたら、同じように一件ありまして、ほかに提訴後に退去強制令書の執行を受けた人が三人、うち二名については訴状送達前、執行停止申立ての連絡前だったので入国管理局が提訴申立てを知らなかった場合と考えられるかもしれない。しかし、もう一件は今答弁していただいたケースがあります。
 強く要望したいのですが、原則として訴訟係属中には強制退去しないということであれば、是非、かなり裁判が進んでいたとしても、これは形式的には訴訟係属中に送還されたケースに明白に当たっているわけですから、訴訟係属中には今後送還をされないように強く要望したいのですが、いかがでしょうか。
#151
○政府参考人(中尾巧君) 先ほど申し上げたように、難民認定の不認定処分があった案件につきましては、五年間にわたって先ほど申し上げたとおり一件で、しかもそういうような、先ほど申し上げたような事情がある場合を送還したということはございます。
 委員御質問いただきましたそのほかの二つのケースにつきましては、これは難民不認定取消し訴訟のケースではございません。あくまでも普通の退去強制令書の取消し訴訟に関するものでありますので、これにつきましては、基本的にはそれぞれの個別事情等を勘案しながら適切な送還を実施せざるを得ないというふうに考えておりますし、入管法そのものが退去令書発付後は速やかに送還しなきゃならないという原理原則が定められておりますので、私どもの方はあくまでもその辺を踏まえながら個々の事案の解決をしていきたいと、こういうふうに考えております。
#152
○福島瑞穂君 前回、難民認定中の裁判中には強制送還されたケースが一件もないということだったので、今日それを補充して答弁していただいたんですが、今後、是非、難民認定の裁判係属中には強制送還されないように強く要望したいと思います。よろしくお願いします。
 次に、捜査のための通信傍受法、いわゆる盗聴法の適用について御質問をいたします。
 三月三十日に、警視庁薬物対策課が盗聴法を初適用したと報道をされております。従来、これについては一切、名前も事件もどの新聞を見ても一切明らかになっていないのですが、これはなぜでしょうか。実際こういうケース、いわゆる盗聴法の適用はあったのでしょうか。
#153
○政府参考人(吉村博人君) 平成十二年と十三年につきましては、通信傍受の実施がなかったことについては既に国会に御報告を申し上げているとおりであります。今年、平成十四年中の傍受の実施状況につきましては、随時これを明らかにすることは捜査上の支障を生じるおそれがあるということで、これまでも随時のお尋ねにつきましてはお答えを差し控えさせていただいたところでございます。
 ただいま委員御指摘のように、御指摘のような報道があったことは承知をしておりますが、警察が報道機関に対してそのように発表した事実はございませんし、今申し上げましたような趣旨で通信傍受の実施の有無についてはお答えできないということで御了承いただきたいと思います。
#154
○福島瑞穂君 ただ、今まで一件も適用がなく初めて適用があったわけですから、この法律は国会の中でもかなりいろんな議論がありました。適法に施行してほしいということもあったわけで、国会の中に、適用があったかないかということについて、初めて適用があったかないかについて明らかにしないというのはいかがかと思いますが、答弁をお願いします。
#155
○政府参考人(吉村博人君) 通信傍受法の二十九条には、通信傍受制度の在り方あるいは運用状況に関しまして、国会が検討するための資料提供の必要性と捜査上の必要性とを慎重に比較考量した上で国会への報告を年一回に限るということで規定がなされているものと承知をしております。したがいまして、かかる国会報告以外に随時その時点までの傍受の実施の有無について明らかにせよとの御要望には応じかねるということを御理解いただきたいと思います。
 ただ、さきにも申し上げておりますが、公表しても捜査上の支障がなくなったという事案については、もちろん二十九条に定める国会報告とは別に、御質問があればその概要についてもちろんお答えできるというふうに思っております。
#156
○福島瑞穂君 いわゆる盗聴法について適用があったにもかかわらず、その適用が正しいかどうかについて私たちが検証ができないという点は問題だと思います。
 この報道によれば、例えばこの法律の審理に当たっては、立会いが一体具体的にどう行われているかとか、記録の作成がどうなっているのか、携帯電話とされているけれども、その盗聴技術の水準はどうなっているのか、あるいはこの件については、新聞報道は、黒幕には一切行けなくて末端の買った人間と売った人間だけを捕まえたというふうになっております。
 この法律は、国会の中で議論したときには、国会、もう一度振り返ってみましたら、黒幕、組織の中枢部に迫るために必要だという答弁が繰り返しなされています。しかし、今回、これが買った人間と末端の売った人間が逮捕されたんであれば、このいわゆる盗聴法が黒幕、組織の解明をするために必要だという立法趣旨に当たらなくなるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。(発言する者あり)
#157
○政府参考人(吉村博人君) 今から申し上げますのはあくまで一般論として申し上げます。
 一般論で申し上げますが、通信傍受法は組織的な犯罪をめぐる現下の国内外の厳しい情勢にかんがみまして、これに適切に対処するために不可欠なものとして法整備がなされたものと承知をしております。したがって、その趣旨、目的に沿った運用がなされるべきであると認識をしております。
 また、あくまで一般論でありますが、通信傍受を実施する際には、もちろん通信傍受法で定める要件、手続を履行することはこれは当然のことであります。
#158
○福島瑞穂君 携帯電話に関する盗聴技術に関しては、法律の審査の際に非常に議論になりました。携帯電話については困難ではないかという議論のときに、今後技術を開発するということで成立をした記憶があります。
 現在、携帯電話に対する盗聴技術の水準はどうなっているのでしょうか。
#159
○政府参考人(吉村博人君) 普通の固定電話あるいは携帯電話、それからファクス、メール、いろいろと通信の手段、方法があるわけでありますが、それぞれの手段、方法に応じて通信事業者の協力を得て最大限の技術をもってこれに当たるということでやってまいりたいと思っております。
#160
○福島瑞穂君 確かに、国会への報告が義務付けられております。
 是非お願いしたいことは、アメリカのワイヤタッピングローでは、通信傍受、盗聴したことについては、裁判官が、だれが令状を出したのか、どの検察官が令状の発付要求をしたのか、どういう事件だったのかということに関してきちっと情報開示がなされています。
 ところが、今日、初適用があったんじゃないかというふうに質問をしても、その中身については、初適用したのかしなかったのか、どういう事件だったのかについても明らかにしていただけないということに実は強く危惧を持ちます。
 もちろん、どの範囲でというのは国によって違うかもしれませんが、今日、初適用があったんじゃないかというふうに質問をしても明確な答弁がいただけないと、今後、例えば初適用が果たして妥当だったかどうか、それから今後、その法律の適用に当たって適法になされたかどうかの検証が一切私たちには分からないわけですね。それはやはり少なくとも初適用であれば、立法趣旨から見てこうだったとか、ここまでは言えるというようなことを是非明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#161
○政府参考人(吉村博人君) 繰り返しで恐縮でございますが、一般論として申し上げて、通信傍受の実施に当たりましては、通信傍受法で定める要件、手続をきちんと履行してやっていくべきは当然であろうと思います。
 また、先ほども申し上げましたが、通信傍受法の二十九条に国会報告の定めがございますし、ただいまも申し上げているとおり、捜査が一段落すれば一般論として言うと御説明できるということを申し上げておるわけでございます。
#162
○福島瑞穂君 では、捜査が一段落したら報告ができるということで、本人への通知は、法律上三十日以内に通知をする、場合によっては六十日に延長できるとありますが、是非報告をしてくださるようにお願いをします。
 というのは、国会の中で、ちょっと繰り返しになりますが、立会いというのは一体どうやって行うのか、記録というのはどうやって作るのか、適法性の担保について非常に議論がありました。ですから、個別、非常に細かい個別事情を知りたいというよりは、どのようにしてやったのかということについて、今、捜査が一段落すれば報告をしてくださるということなので、是非、国会、立法者に対して、私たちは法律を作るときにも責任がありますが、作った後にその法律が立法の審理の過程の中で議論されていたように、果たして適用があったのかどうかをチェックする義務も大変あると。乱用を防ぐということは義務だと思いますので、是非報告をお願いいたします。
 では、次に、更生保護事業についてお話をお聞きします。
 薬物・アルコール依存の人を立ち直らせるプログラムについて、矯正保護施設においてはどのようなプログラムがあるのでしょうか。具体的にどういう取組をしていらっしゃるか、教えてください。
#163
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 薬物それからアルコール依存につきましては、このような薬物問題者あるいはアルコール、飲酒問題者が増えているということもございまして、更生保護施設における処遇においては重要な問題になっております。
 そこで、更生保護施設におきましては、例えば薬物事犯者に対する指導の例としては、病院の医師などの御協力を得まして薬害に関する講義をしていただいたり、あるいは被保護者が相互に自らの体験を話し合うなどの、いわゆる薬害ミーティングなどとも呼んでおりますけれども、そのようなことを行いまして、薬物への依存を克服させるための処遇、薬害教育を行っております。
 それから、飲酒問題者の、酒癖者といいますか、そのような人たちに対する処遇でございますけれども、これも同様に外部の専門家の御協力を得るなどいたしまして、講義や集団討議あるいはロールプレーなどのいろんな手法を用いまして、酒に対する依存を克服するためのいわゆる酒害教育というものを幾つかの更生保護施設で行っております。
 それから、これらの酒害教育やあるいは、酒害、酒ですね、あるいは薬物、薬害教育といったことにつきましては、一部の更生保護施設におきましては薬物使用のための自助グループであるダルクと呼ばれているものや、地域の断酒会の協力を得ている例もございまして、今後ともそうしたグループなどとの連携推進についても進めてまいりたいと考えております。
#164
○福島瑞穂君 刑務所を出所した人の五人に一人、仮釈放者では約三人に一人が更生保護施設で社会復帰への第一歩を踏み出しているというふうにパンフレットにあります。この刑務所を出所した人間の五人に一人ということなんですが、逆に言うと、変な質問ですが、五人のうち四人の人たちの受皿というのは現在どうなっているのでしょうか。
#165
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 刑務所からの全出所者のうち二割が更生保護施設に吸収するということでございますが、そのほかといたしましては、父母の元、両親の元に戻ります者が約三割でございます。それから、配偶者やその他の両親以外の、父母以外の親族の元が約二五%、それから知人とか雇主の元に戻る人が約七%という、これは統計数字がございます、これは平成十一年ですけれども。
 以上です。
#166
○福島瑞穂君 済みません。この「その他」というのは、パンフレットにあります「その他」というのはどういうところに行っているか、もし分かったら教えてください。分からなければそれで結構です。
#167
○政府参考人(横田尤孝君) 申し訳ございません。「その他」というのは詳細、ちょっと現時点では把握しておりませんが、いずれにしても、申し上げた以外のものということで御理解ください。
#168
○福島瑞穂君 今日は更生保護事業に関して雇用、就職のことがかなり質問が出たと思います。就職、先ほど協力雇用主のことが紹介をしてくださいましたけれども、その就職率というのはどれぐらいなんでしょうか。漠然としてもいいんですが、私自身は、やはり刑務所を出た人たちは履歴書を書くことが非常に困難であったり、あるいは身元保証人を探すのが非常に困難という面があると思って、就職の際に極めてハンディキャップを持つと思うのですが、就職は一体どんな状況なのか、教えてください。
#169
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 更生保護施設から出ていく人たちのうち、約七五%が円満退所といいますか、それぞれ自立の道を見付けて出ていっているわけですが、その調査によりますと、それは両親の元へ戻ったり、あるいは親族の元へ戻ったり、あるいはアパートを見付けて自分で住むようになったり、それから住み込みで働くようになったりと、いろいろありますけれども、現実の就職といいましても、きちっとした調査というものが今手元にございませんので、調査結果が、漠然とした数字もちょっと分かりかねますが、いずれにしましても相当数多くの人たちは自立して出ていっている、社会に戻っているというふうに御理解いただきたいと思います。
#170
○福島瑞穂君 その就職率のことなんですが、今手元に資料がなくて答えられないのか、そういう統計は取っていないのか、いずれでしょうか。
#171
○政府参考人(横田尤孝君) 失礼いたしました。私、手元になかったのですが、平成十二年の調査結果がございまして、退所時の職業としては、採掘、製造、建設作業者、労務作業者と言われる、そういった仕事が半分でございます。それから、結局、職が見付からなくてとにかく親元などに戻っていった人が三割おりまして、あとは運輸とか農林とかサービス業とか、そういったものに分かれて、それは細々した数字になっていまして、大半が製造、建設に携わるような仕事をしているということでございました。
#172
○福島瑞穂君 先ほど七五%が円満退所だとおっしゃったんですが、済みません、その二五%の人たちというのはやはり何か問題を抱えているんでしょうか。
#173
○政府参考人(横田尤孝君) 残りの人たちは、例えば無断退所という人が結構いるんです、十数%おります。あとは事故退所といって、入所中にやはり何らかの犯罪、非行に及んでしまったという人が、これは数%ですけれども、おります。そのようなことで、残りが自立して出ていったということです。
#174
○福島瑞穂君 今日、この更生保護事業がかなり個人のボランティア的なところによって支えられているということも先ほど分かったんですが、就職に関しての就職指導や工夫というものはなされているのでしょうか。
#175
○政府参考人(横田尤孝君) 更生保護施設の入所者に対しましては、一つの援護として、就職についての手助けをするといいますか、それはいわゆるハローワークですね、そういったところへの手続を教えてあげたり、あるいは一緒に行ってあげたりとか、あるいは本人の、何といいますか、それ以外の、本人がその職業についての知識を更に深めるとか、そういったことの援助というものをしております。それから、ハローワークに施設そのものがまたお願いをしたりということもしております。
#176
○福島瑞穂君 今、ハローワークは刑務所を出た人でなくても非常に倍率が高くなっているという、ですから更生保護事業で出た人はもっともっと困難であろうということは想像に難くないと思います。こういうところにも逆に予算を付けてきっちり就職支援、自立支援ができるように是非これから頑張ってください。
 それで、今回、更生緊急保護の保護期間を延長しておりますけれども、延長しなければならない理由について教えてください。
#177
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 最近、いわゆる矯正施設における収容者に高齢化がどんどん進んでおりまして、一割を超える人たちが高齢化である。その人たちは、またそれは刑務所を出所しまして社会に出てくるわけですけれども、そういう人たちが更生保護施設にまた入ってくるわけで、更生保護施設におきましてもまた高齢者の割合が増えているということで、約一割の人たちが高齢者と言われています。また、中には病気を抱えている人もおりますし、そういうようなことでなかなか自立が難しい人が更生保護施設に増えてきている状況にあります。
 一方、社会経済情勢は、今、委員御指摘のように、なかなか雇用情勢も厳しいしということもありまして、それが特に高齢者にしわ寄せが来ているというようなこともございますので、そのような人たちはやはり仕事を探すために期間も要りますし、またそうではなくて例えば社会福祉施設に入ってもらう、入れるような措置を取るとか、そういうことでもどうしても手続的な期間あるいは待ちの時間といったものも必要になります。そういったことで、六か月で必ずしも自立ができない人たちが中には出てまいりますので、その人たちに対しましては、やっぱり例外的に更に六か月間延長してその間に自立をしてもらうということにするわけでございます。
#178
○福島瑞穂君 委託保護の期間と再犯時期との関連性というのはあるのでしょうか。
#179
○政府参考人(横田尤孝君) ちょっと今、一般的なことで申し上げますが、更生保護施設というか再犯率の問題、いろいろ取り方というか、期間によって必ずしも一概な、統一的な、何といいましょうか、説明はなかなか難しいんですけれども、一般論として言うならば、やはり更生保護施設で入っていた人たちの方が再犯率が低いということは言えますし、それから在所期間が長かった人といいますか、そういう人たちの方が再犯率が高いということは傾向としてはあるというふうに思っています。
#180
○福島瑞穂君 更生保護施設の職員の専門性の確保と国の予算措置の必要性について話してください。
#181
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 今回の法改正によりまして、更生保護施設を更生保護の専門的な処遇施設に位置付けるという大きな目的がございます。そのためには、やはり職員に高度の処遇技術といいますか、そういった能力を付ける必要がありまして、そのためにはやはり有能な職員も採用するということももちろんでございますけれども、またそのような職員に対して継続的にいろいろな研修を行うなどして知識あるいは技能の向上を図るということが必要でありまして、そういったことについて引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
#182
○福島瑞穂君 保護施設を出た後の具体的なフォローというのは、現在どのようなことをしていらっしゃるのでしょうか。
#183
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 更生保護施設を出ました後には、生活相談などということでまた施設の方に来所する人もおります。また、退所後でありましても、更生緊急保護又は保護観察の期間が満了する前であれば、再度、保護の措置を委託することも可能であります。また、その期間を超えた者でありましても、更生保護施設におきましては法的に国の委託に基づく保護というものはこれはできませんけれども、多くの更生保護施設におきましては任意にその相談に応ずるなどしているというふうに承知しています。
 先ほど話しました酒害教育などでは、アルコールの酒癖をなくすためのミーティングとか、そういったものに対して、更生保護施設を出た体験者がそれに来て、加わるといったようなこともしているというふうに聞き及んでおります。
#184
○福島瑞穂君 今日は、少年それから高齢者、女性などについての更生保護事業についての質問も出たと思います。
 ところで、長く刑務所にいた人など、あるいは精神的にもうダメージを持っている人もいるかもしれません。処遇困難者の社会適応を促すための積極的な処遇で、具体的に例えばこういうことをやって、なかなか困難なんだけれども、社会に復帰できるように頑張っているとか、工夫していらっしゃることがあれば教えてください。
#185
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 ちょっと具体的に、例えばこういう人がおりましてこういうことになりましたというケースはちょっと持ち合わせておりませんのでお答えいたしかねますけれども、一般論として申し上げますと、今度の新しい法律によって、更生保護施設に新しい社会適応を促すためのこういう積極的な処遇というものを、機能が加わることになりましたので、これにつきましては、これはもう先ほど来お答え申し上げていることですが、個別的な生活相談などの充実させることはもちろんですけれども、加えて、SSTと呼ばれている手法であるとか、あるいは先ほどもお答え申し上げました薬害教育であるとか、あるいは酒害教育であるとか、そういったものとか、また、先ほども千葉委員からありました食事会といったような形でも、いろんな様々な形を、手法を取りまして、社会人としての適応能力といいますか、対人関係がうまくいくようにといったことなどを高めていくというか、そういうことをやっております。
#186
○委員長(高野博師君) 時間です。
#187
○福島瑞穂君 分かりました。
 じゃ、是非、余り今まで光が当たらなかったかのように見える更生保護事業で、予算もきちっと付けて頑張ってください。
 以上で終わります。
#188
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#189
○委員長(高野博師君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として沢たまき君が選任されました。
    ─────────────
#190
○委員長(高野博師君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 更生保護事業法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#191
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#192
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました更生保護事業法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    更生保護事業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点につき格段の努力をすべきである。
 一 犯罪者等の自立更生を図るためには、社会全体の理解と協力が不可欠であることにかんがみ、更生保護に係る法体系について、更生保護基本法の検討を含め、国民に分かりやすい制度となるよう関係法律の整備・統合に努めるとともに、更生保護施設の運営について、その広報・啓発活動を行うなど、地域に開かれた更生保護施設の実現に向けて必要な施策の推進に努めること。
 二 更生保護について国の果たすべき責任がより重要性を増していることにかんがみ、更生保護法人の経営基盤の強化を図るため、委託費及び施設整備費等国の財政措置の在り方について検討を加えるとともに、更生保護施設と保護観察実施機関や民間協力団体との連携を一層密にして、犯罪者等の更生と社会復帰のための処遇機能を強化すること。
 三 更生保護施設の職員体制の整備を図るため、職員の配置の充実に引き続き努めるとともに、処遇に特段の配慮や専門性を必要とする者の増加に対処するため、生活技能訓練等の専門的処遇の普及・定着のための職員の研修の実施等に努めること。
 四 更生保護事業が、地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与することにかんがみ、より地方公共団体の必要な協力を得ることができるよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#193
○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#194
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#195
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#196
○委員長(高野博師君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#197
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時散会
ソース: 国立国会図書館
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