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2002/05/21 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 法務委員会 第15号
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2002/05/21 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 法務委員会 第15号

#1
第154回国会 法務委員会 第15号
平成十四年五月二十一日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     高橋 千秋君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                小川 敏夫君
                高橋 千秋君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  下村 博文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       井上  進君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       法務省入国管理
       局長       中尾  巧君
       外務大臣官房長  北島 信一君
       外務大臣官房審
       議官       佐藤 重和君
       外務大臣官房参
       事官       森元 誠二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高橋 恒一君
       厚生労働省政策
       統括官      石本 宏昭君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○商法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)

    ─────────────
#2
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣参事官井上進君、法務省民事局長房村精一君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務大臣官房長北島信一君、外務大臣官房審議官佐藤重和君、外務大臣官房参事官森元誠二君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高橋恒一君及び厚生労働省政策統括官石本宏昭君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(高野博師君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 最初に、今、中国の瀋陽で起きました北朝鮮と思われる方の総領事館に対する駆け込み、あるいは中国当局に連行された事件についてお尋ねしたいと思いますが、まず一番基本的に法務大臣にお尋ねいたしますが、我が国に対して、政治的かあるいは政治的じゃない事情にしても亡命したいと、あるいは生活したいということで入国してきた外国人があった場合に、それに対する言わば政府の対応、方針等をお聞かせいただきたいんですが。
#6
○国務大臣(森山眞弓君) 日本にいる外国人から難民認定申請がありました場合には、国際的な取決めであります難民条約等にのっとりまして個別に審査をいたしまして、難民として認定するべき者は認定するということになります。
 また、難民として認められない場合でありましても、個別に判断いたしまして、人道上の配慮から本邦での在留を認めるという配慮を行っている場合もございます。
#7
○小川敏夫君 今回の事件を機に、海外から、日本は人権大国ではなくて人権小国だというような批判もあって、そうした外国人に対する人権への配慮が著しく不足しているんだと、しているんではないかという批判がありますが、そうした声に対して法務大臣としてはどのようにおこたえしたいという考えでしょうか。
#8
○国務大臣(森山眞弓君) そのような御批判は当たらないというふうに思います。その人その人の事情でいろいろなケースがございますが、先ほど申し上げましたように、難民認定の申請が行われました場合には、国際的な条約あるいはその他決められました法律にのっとりまして個別に審査をして認定しておりますし、認定ができないような場合でも、その人の個人的な事情を十分考えまして、人道的な配慮をいたしまして在留を認めているという状況でございますので、これは国際的に見て特に人権を無視しているというようなことを言われる筋合いはないというふうに思っておりますし、最近ではヨーロッパ諸国等におきましても非常に難民の問題について大変悩まされているようでございまして、これを更に一層厳しくしていこうという傾向も見受けられるわけでございますが、日本の場合は終始一貫して以前からそのようなやり方で、今日特によその国から批判されるようなことはないというふうに思っております。
#9
○小川敏夫君 余り抽象論の議論を繰り返してもしようがないと思いますが、是非、諸外国から日本が人権大国と言われるような対応をしていただきたいという意見を述べさせていただきます。
 あと、我が国に亡命したい、あるいは生活したいということではなくて、我が国を経由して第三国に亡命したいというような者が、外国人が日本に入国してきた場合、これは、また法務大臣にお尋ねしますが、どのような取扱いあるいは取扱いの方針でいらっしゃるんでしょうか。
#10
○国務大臣(森山眞弓君) 今の御質問の御趣旨は、退去強制を受ける者が自分の国籍のある国から政治的な理由等によって迫害を受けるおそれがあるということで、国籍国以外の第三国への出国を希望する場合ということを考えていらっしゃるのかと思われますが、そのような場合について申し上げますと、入管法の第五十三条第二項の規定に基づきまして、本人が希望する第三国がその受入れを了承した場合にはその第三国を送還先として退去強制するということになるわけでございます。
#11
○小川敏夫君 そうした様々な面につきましても、人権に対する配慮、特に海外諸国から人権大国として尊敬されるような国の行政をしていただきますようお願いと意見を申し上げさせていただきます。
 あと、法務当局あるいは外務省当局で結構ですが、今、法務大臣にお尋ねしたのは、我が国に入国してきたというケースについて一般論をお尋ねしたんですが、今回の瀋陽事件のように、海外にある我が国の在外公館、これにそうした我が国への亡命とか入国、あるいは第三国への亡命とか入国を求めてきた場合のその対応について、どのような考えでどのような取扱いをしているのか、そのお考え、その方針について説明していただきたいんですが。
#12
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 外国人が在外公館に庇護を求めてまいります場合、このような者を庇護する一般国際法上の権利が確立しているわけではございません。したがいまして、外国人が我が方の在外公館に庇護を求めてくる場合の具体的な対応ぶりにつきましては、個々の事案ごとに異なることは申し上げるまでもないわけでございまして、個別の事情に応じて対処するということになります。
 以上申し上げました上で、あえて一般論を申し上げますと、外国人が我が国の在外公館に庇護を求めてきた場合の扱いにつきましては、関係者の認定等の事実関係や本人の希望等を確認した上で、当該者の身体の安全確保等の人道上の観点、あるいは関係国との関係を総合的に勘案いたしまして具体的対応を検討することが必要と考えております。
#13
○小川敏夫君 そうした対応の中で、これは法務省が関与することはないんでしょうか。これは外務省と法務省、両方の当局にお尋ねしたいんですが。
#14
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 一般論ということになろうかと思いますが、在外公館で我が国への亡命を希望した者が渡航証明書等の渡航文書を得まして我が国に入国した場合につきましては、私どもの関係に相なります。その場合には、上陸を許可した上、その者が難民認定申請をした場合には、先ほど大臣が申し上げましたように、個別に審査の上、その者が人種、宗教、政治的意見等を理由に迫害を受けるおそれがあるとして難民として認定いたしますし、それ以外の場合でも、人道的な観点から適宜の在留資格を付与、付ける場合には、それを付与するということになろうかと思います。
 したがいまして、我が国の在外公館におきまして、当該者が直接第三国への亡命を希望した場合につきましては、基本的に私どもが関与することにならないということになろうかと思います。
#15
○政府参考人(森元誠二君) お答え申し上げます。
 繰り返しになるかと思いますけれども、在外公館におきましては、先ほど申し上げましたような諸般の事情ないしは事実関係を聴取した上で、関係国との関係も更に考慮いたしまして、本省と協議をしながら、総合的に勘案してその者の処遇を検討するということになろうかと思います。
 大変一般論でございますが、今のところそのように考えております。
#16
○小川敏夫君 一般論で結構なんですが、海外の在外公館に日本への入国を求めてきた外国人がいた場合にはどうするんでしょう。その場合でも法務省と協議はしないんでしょうか。
#17
○政府参考人(森元誠二君) 難民の認定に関しましては、先ほど法務省から御説明がありましたように、難民条約及び出入国管理法、更には難民認定法等、国内の法律に基づいて諸般の手続が取られるものと承知いたしておりますが、この法律、国内法の関係上、難民の認定申請をできるのは本邦にある外国人であると。したがいまして、本邦外にある外国人は難民としての認定を受けることはないという前提の下に本省及び関係省とも御相談を申し上げ、総合的に判断することになろうかと思います。
#18
○小川敏夫君 次に、やや具体的にお尋ねしますが、外国人が在外公館にそうした日本若しくは第三国への亡命なり入国を求めてきた場合、個別の事情により判断するということですが、そうすると、その個別の事情も聴かないで追い返してしまうと、こういう対応はしていないんで、やはり求めてきたら必ず個別の事情を判断できるだけの事情聴取をすると、そういう方針であるということでよろしいんですか。
#19
○政府参考人(森元誠二君) 大変一般論の形になって恐縮でございますが、正に当該申請者がどのような形で在外公館に現れて、かつ申請を行うかという形態にもよろうかと思います。したがいまして、それ以上、どのような形で対応に応ずるかということはいろいろな形態がございますかと思いますけれども、事情が許せば当該者の事情を聴き、先ほど申し上げましたけれども、その認定等の事実関係、希望等を聴取するということになろうかと思います。
#20
○小川敏夫君 事情が許せばという大変微妙な言い方ですがね。
 だから、基本的には個別の事情によって判断するんだから、個別の事情はこれは事情を聴かなければ判断できないんだから、当然求めてきた者がおればやはり事情は聴取すると、こういうことで明確に答えられるんじゃないでしょうか。その点どうですか。
#21
○政府参考人(森元誠二君) 先ほど、繰り返しになりますけれども、当該者との関係で事情が許す限り認定事項あるいは本人の希望を聴取する、確認するということになろうかと思います。
#22
○小川敏夫君 今回の瀋陽の事件の事実関係についてお尋ねするんですが、まず一般的に、この館内に入ってきた者からそうした事情の聴取あるいはどういう理由で来たのかということの調査、要するに調査といっても、端的に聞きますが、本人からの事情の聴取ですか、これは行わなかったんですか。
#23
○政府参考人(佐藤重和君) お答え申し上げます。
 今回の瀋陽のケースにつきましては、その館内に入ってこられた方の状況が、外務省の調査報告で述べられておりますとおり、私どもの館員が実際にその事情聴取をできるような、結果としてできるような状況になかったということでございまして、館内において具体的な事情を聴取をするということには至っておりません。
#24
○小川敏夫君 その調査報告の点について、どうも事情聴取できなかったというよりも、しなかったんじゃないかという気もするんですが。
 より細かい事情をお尋ねしますが、どうも、二人の男性が待合室に駆け込んだ、それを領事館の警備員がその二人の後を追ってやはり待合室に入ったと、それとほぼ同時並行して女性二人と幼女一人の三人が門のところで取り押さえられたという状況だと思うんですが、その査証発行の副領事はその時点どこで執務していたんでしょうか。
#25
○政府参考人(佐藤重和君) 査証担当の副領事は総領事館の館内の自分のオフィスにおって、外で、先ほどのお話がありました物音、騒ぎというものが起こっているようだということを聞き付けて、その門のところに急いで出ていったということでございます。
#26
○小川敏夫君 どうも時間的に見ると、門のところで騒ぎが起こっているときには、同時並行して二人の男性がこの待合室に入ってそれを警備員が追ってきたという状況が生じているということになると思うんですが、この待合室に二人の男性が駆け込んできて警備員がそれを追ってくるという通常でない事態が起これば、それはその事務所にいた副領事にも当然異常な事態が起きたということ、二人の男性が駆け込んできたということは把握できるんじゃないかと思うんですが、把握していなかったんでしょうか。
#27
○政府参考人(佐藤重和君) 御指摘がございましたように、二人の男性が先に入っていった、それを館の門の内側におりました警備員が追い掛けていって、その査証受付の部屋、その中に、その中で警備員の者がその二人を言わば押さえた形になったということでございますが、そこで恐らくきちっとうまく連絡体制が取れていれば、今おっしゃられましたように、ぱっぱとそこにほかの館員が来て話を聞くということになったんだろうと思いますが、実際に起こったことは、その担当の館員も先ほどの門の方の騒ぎの方に、言わばそちらの方に目が行ってしまったということで、そちらの方に注意が行ってしまったということで、結果的にはその二人の方に注意が十分行き届かなかったということが実態でございます。
#28
○小川敏夫君 この査証待合室は密室ではなくて、事務所から待合室の状況が見通せるような、そういう構造になっていますよね。
#29
○政府参考人(佐藤重和君) おっしゃるとおり、この待合室は一般の方が査証申請に来るところでございますが、査証申請を受け付ける側の館の方からは見通せるということでございます。
#30
○小川敏夫君 じゃ、二人の男性が駆け込んできて警備員がそれを追ってきたという通常でない事態が起きたのに、その事務を執っている者が何の反応もしなかった、全く気が付かなかったと、こういうことなんですか。
#31
○政府参考人(佐藤重和君) その点につきましては、恐らくそのときのその状況の把握というものについてきちっとした把握ができていなかったということだろうと思います。
#32
○小川敏夫君 あなたの想像で答えられても困るので、きちんと調査したわけでしょう。
#33
○政府参考人(佐藤重和君) 調査をした結果でございます。
#34
○小川敏夫君 そうすると、査証の事務を執っていた者全員が、二人が駆け込んできた、それを警備員が追ってきたという事実を認識しなかったと、こういうことですか。
#35
○政府参考人(佐藤重和君) 具体的に、物理的に見ていたかどうかということは別にいたしまして、そうした言わばその二人の者に対して、ぱっと急いで出ていって、先ほどおっしゃられたような事情をこれは聴かなきゃいかぬというようなことについて、その認識を持つに至らなかったということでございます。
#36
○小川敏夫君 ちょっと不明確だけれども、そうすると、二人の男性が駆け込んできてそれを警備員が追ってきたという状況は視認したけれども、見たけれども、確認したけれども、それ以上特別なことをすべきだという意識が全くわかなかったと、こういうことですか。
#37
○政府参考人(佐藤重和君) 駆け込んでくるところを視認をした、認めたということではないと思います。その部分については、ほかの館員が見ていたということは調査の過程ではございません。
#38
○小川敏夫君 ということは、だれも待合室の中に二人の男性が駆け込んできて警備員がそれを追ってきたという事実を、その待合室を見通せる状況の事務所で事務をしていた者全員が気が付かなかったと、こういうことですか。
#39
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど申し上げましたが、どういう状況かということについて把握をしておらなかったということだろうと思います。
#40
○小川敏夫君 いや、もっと明確にしていただきたいんですよ。
 つまり、二人の男性が駆け込んできて、警備員が後から来てその二人を監視するというか、という状況が生じたんでしょう。それをだれも見なかったのか。それとも、見たんだけれども異常なことだとは思わなかったと、ただ日常的なことが起きているだけで全然注意を喚起しなかったのかということ、どちらかと聞いているんですよ。
#41
○政府参考人(佐藤重和君) 調査で把握を、確認をしましたことは、先ほど私が申し上げたとおりでございまして、館員の中でその状況についてきちっと把握をしてそこに行って事情聴取をすべきだということに思いを至った者がなかったということでございます。
#42
○小川敏夫君 通常からいけば、二人の男性が必死の思いで駆け込んできて警備員が追ってきたと、そんな警備員が後から追ってくるような人が待合室に入ってくるということが頻繁に、通常のことのように起きるんですか。
#43
○政府参考人(佐藤重和君) 恐らくそういうことが頻繁に起こるということではないと思います。
#44
○小川敏夫君 副領事はその査証待合室の脇の玄関から外へ出たわけですね。要するに、玄関、正門辺りで騒ぎを聞いてこの事務所から外へ出たようですけれども、この待合室の横の玄関から出ていったわけですね。
#45
○政府参考人(佐藤重和君) 正に、そこに正面の玄関がございますので、そこから出ていったものでございます。
#46
○小川敏夫君 その副領事は、出ていく前は査証待合室を見通せる部屋にいたんですか。
#47
○政府参考人(佐藤重和君) 私、そこの位置関係について確認をいたしておりませんけれども、副領事は査証待合室を見て出ていったということではございません。副領事自身は見ておりません。
#48
○小川敏夫君 じゃ、その事務所のどこにいたんですか。
#49
○政府参考人(佐藤重和君) 副領事自身のその査証担当官の館内の自分のオフィスであるというふうに承知しております。
#50
○小川敏夫君 それはオフィスは当たり前でしょう。オフィスのどこにいた、この総領事館事務所のどこにいたんですか。
#51
○政府参考人(佐藤重和君) 館内の査証領事担当官の部屋でございます。
#52
○小川敏夫君 その部屋からは査証待合室は見通せないんですか。
#53
○政府参考人(佐藤重和君) そこは報告の中で、調査の中では出ておりませんけれども、私自身そこを確認をしたわけでございませんが、副領事から事情を聴取した過程で、彼がその査証待合室の状況をどうであったか見たということはございませんでした。
#54
○小川敏夫君 それは、副領事がいた部屋から査証待合室が見えるかどうか、視認できるかどうかということは、要するに今あなた自身では分からないということですか。余り想像で答えられても困るんですよね。ただ、調査に行ったんだから、詳細な調査をしたんだから、そこら辺のところ分かるでしょう。この副領事の行動が相当大きなウエートを持つことになると思うんですが、どっちなんですか。
#55
○政府参考人(佐藤重和君) その点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、外の玄関付近で物事が起こっているということで急いで飛び出したということでございますので、そこのところを、査証待合室を確認した、見ていたということはないということでございます。
#56
○小川敏夫君 ないと思うというあなたの意見じゃないんですよ。この副領事が二人が既に駆け込んできているということを認識しながら正門に向かったのか、全く認識しないで正門に向かったかということで、これはその後の副領事の行動に、評価に大きな影響を与える事実なわけですよ。
 それは、外務省の調査は認識していないということでしょうけれども、だけれどもそれについては疑問を感じているから今質問をしているわけで、普通に考えれば認識しているんじゃないかと思うわけで、だから認識できなかったんなら認識できなかった事情をもっと分かりやすく説明してもらわなくちゃ困るので、それで再三聞いているんで、副領事がどこにいたのか、その副領事のいたところからこの待合室が見えるのか見えないのかと、こう聞いているわけで、だから副領事がいたところから待合室は、あなたの想像じゃないんで、見えるのか見えなかったのか、あるいはそこの点調査していないからもう一回調査するというのか、それはどっちなんですか。
#57
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど来申し上げておりますけれども、私どもの調査、そのポイントは、もちろん全体としては、今回の事件について、中国側の警察官の総領事館への立入りについて日本側、総領事館側が同意をしたか否か、あるいはその五人の人たちを連行するに際して総領事館側が同意をしたか否かという、この点を基本的な主眼点として調査を行っているということでございます。
 その関連で申し上げれば、今の御質問の点につきましては、この査証担当の副領事が外に出るときに、物音を聞き付けて外に出るときに、中に既に入っていた二人の男性については、そこは認識がなかった、確認をしなかった、こういうことでございます。
#58
○小川敏夫君 だから、副領事が二人の男性が駆け込んできたことを認識しなかったということを、恐らく国民の多くが直ちには信用していないわけですよ。私も信用していないわけです。だから、そこの点をただしているわけでね。
 副領事が、だから待合室に駆け込んだ二人を見ることすら不可能な場所にいたのか、それを見える場所にいたのか、それを聞いているわけです。
#59
○政府参考人(佐藤重和君) 今回、調査報告におきましては、この査証担当の副領事という者が総領事館構内におります二人を認識をいたしましたのは、正面の門のところで三人がもみ合っている、その物音に気付いて正面玄関の方に、正面の門の方に出ていって、その三人の人たちが先方の警察官に取り押さえられる形になった。そうした状況の下で、現場の警察官から、総領事館の構内にまだ二人いるという声がしたと。あるいは……
#60
○小川敏夫君 質問に答えていないじゃないか、そんなことは。質問に答えていないじゃないか。
#61
○政府参考人(佐藤重和君) いや、そうした状況において初めて中に二人がいるということを認識するに至ったということを報告では記しているということでございます。
#62
○小川敏夫君 同じ説明を何回も言われても困るので、それを私も信用していないし、直ちには信用しない国民も多くいるわけですよ。だから聞いているわけで、事実は一つですよ。
 副領事がいたところから待合室は見えるのか見えなかったのかと聞いているわけです。あるいは、調査していないからこれから調査するというのか。どっちなんですか。
#63
○政府参考人(佐藤重和君) その点については、先ほど来申し上げているとおり、副領事は見ておらないということでございます。
#64
○小川敏夫君 物理的なことを聞いているんですよ。見える場所にいたのに見なかったのか、それとも物理的に見えないところにいたのか。どっちなんですか。少なくとも、オフィスから待合室は見えるんでしょう。
#65
○政府参考人(佐藤重和君) そこのところは、私自身、そこの位置関係についてはっきりとした確認をしておりません。ただ、先ほど申し上げたように、調査の過程で一番のポイントは、そこのところは副領事は見ておらないということに意味がある、ポイントがあるというふうに考えております。
#66
○小川敏夫君 調査していないということですか。調査していないということですか。
#67
○政府参考人(佐藤重和君) そこの副領事が査証待合室にその二人がいたかどうかということを見ていたか、認識していたかということを調査をしたということでございます。
#68
○小川敏夫君 全く質問に答えていないんです。
 正門に向かった際に、副領事の後を追っていた二人の館員がおりましたね。この二人の館員は、当然この事務所のオフィスで執務していたんでしょうけれども、二人の館員はこの待合室を見れる場所で執務していたんですか。
#69
○政府参考人(佐藤重和君) その二人の館員がそこに、待合室を見れる場所で執務していたかどうかについては、私、確認をいたしておりません。
#70
○小川敏夫君 副領事は正門のところに行きましたね。何か、テレビの映像を見ると、途中まで走っていって途中から歩いているんだけれども、これはどうしてですか。
#71
○政府参考人(佐藤重和君) これは、状況を調査をしました過程でその副領事の説明は、物事が起こった、物音を聞き付けて急いで出ていったと。そして、その近くに来て、彼の認識としては査証申請をめぐるトラブルかなということで、状況について言わばそこは落ち着いて対応しようということで、そこでああいった対応になったというふうな説明を聞いております。
#72
○小川敏夫君 玄関を出てから正門に行くまでの時間的な経過があると思うんですが、テレビの映像を見ると、副領事が正門に着いたときには、警察官も女性や幼女も中に入っているのか外なのか微妙なところにいるけれども、副領事が玄関を出る辺りでは、あるいは駆け付けている間には、敷地の中に警察官なりあるいは女性や幼女が入っていた、そうした時点があったんじゃないですか。
#73
○政府参考人(佐藤重和君) その点につきましては、その副領事の認識としては、出て、彼が門のところの様子を認識をした時点では中国側の警察官は外におったという、外側の方に出ていたということでございます。
#74
○小川敏夫君 正門の中に、敷地の中に帽子があったようですが、この帽子は正門からどのくらいの位置にあったんですか。
#75
○政府参考人(佐藤重和君) この武装警察官の帽子につきましては、正に総領事館の正門付近、敷地内に落ちていたということは明らかなわけでございますが、具体的に何メーター何十というところまでは詳細には確認をいたしておりません。
#76
○小川敏夫君 いや、それはおかしいと思うんですよ。外でもめている人が、たまたま帽子だけ中に入ったのか、人物が中に入ったのか、これは大変に大きな問題だと思うんですが、調査しなかったんですか。その副領事は何を拾ったんですか、そこで。
#77
○政府参考人(佐藤重和君) 副領事はそこで帽子あるいはペン、ノートのたぐいを拾ったというふうに承知をしております。
#78
○小川敏夫君 いや、ペンのたぐいと言われても困るので、もっと具体的に、たぐいじゃなくてきちんとすべてを言ってください。
#79
○政府参考人(佐藤重和君) 地面に落ちていた武装警察官の帽子、女性用の靴、ボールペン等を拾ったということでございます。
#80
○小川敏夫君 その落ちた位置関係を確認していないんですか。これ、非常に重要なことだと思うんですけれどもね。
#81
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど申し上げましたように、少なくとも武装警察官の帽子につきましては敷地内に落ちていたということを確認をいたしております。
#82
○小川敏夫君 いや、私が聞いているのは、どのくらいの位置関係に落ちていたのかと聞いているわけです。これは大事なことなんですよ。たまたま入っちゃったのか、人間が中に入ったことの決定的な証拠なのか、これは調査していないんですか。
#83
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど申し上げましたが、詳細にこの位置、玄関の外から何メーター幾つという具体的な、詳細な位置ということについては確認をいたしておりません。
#84
○小川敏夫君 では、なぜそういうものが敷地内に落ちていたのか、副領事はどのように判断したんですか。
#85
○政府参考人(佐藤重和君) 正面の、その門の付近で物音を聞いて、この副領事の認識としては、査証事務に関連するトラブルというものはかなり頻繁に起こるものですから、副領事の認識としてはそういう、そうした査証事務に関連するトラブルかというふうな認識を持ってその玄関、門の方に向かったというふうに承知しております。
#86
○小川敏夫君 私の質問に全然答えていないですよね。
 ちょっといったん中断して商法の方に、商法やらなくちゃいけませんので商法の質問をして、また時間があればまた終わりの方で、だからまだ帰らないでください。
 商法についてお尋ねします。
 まず、個別のことについて細かい点をお尋ねしますけれども、これは確認なんですが、種類株主制度というものが今回導入されます。それで、一般的には、出資割合が例えば六対四ならそれに見合った役員数も、言わば四割の人も四割なりの役員を選任できるというふうに聞いておるんですが、ただ、それにこだわることはないんですね。例えば、出資は多い人でも出資が少ない方が役員数が多いような決め方をできると。例えば、出資が六、四だけれども、役員は反対に四、六みたいな決め方も、これはできるわけですね。
#87
○政府参考人(房村精一君) ただいま御指摘のように、株式数と選任できる取締役の数というのは連動しておりませんので、御指摘のように、株式の数では少ない方が多数の取締役を選ぶというような発行の仕方ももちろん可能でございます。特に、ベンチャー企業のように、出資の割合は少ないがやはり経営の実権は握りたい、またそこに出資する人は、多く出資をして配当は受けたいけれども経営は創業者に任せたいと、こういう場合もございますので、それに対応できるような仕組みになっております。
#88
○小川敏夫君 例えば、極端な話、九九%の出資と一%の出資だけれども、九九%の人が役員一人だけ、一%の出資の人が役員は十人でも二十人でもいいと、こんな決め方も可能なわけですね。
#89
○政府参考人(房村精一君) そこは発行する時点での判断ということになりますが、法律上はそういうことも可能なようになっております。
#90
○小川敏夫君 ただ、法律上、役員を選任できない株については半分を超えちゃいけないって規定がありますよね。だから、それが潜脱されることないですかね。一人でも選任できれば、実質的には限りなくゼロに近いんだけれども、一人だけ選任できる株が九九%持っていてもできるとなると、ゼロの場合には半分までという制約があるわけですけれども。
#91
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、取締役の選任に関する種類株式の発行につきましては、およそ選任権が与えられない株式が半数を超えてはいけないという制限を課しておりますが、御指摘のような取締役一人ということについて、少なくとも取締役の割当てを受けられるだけの力のある方が発行する会社と話合いをした上で合理的な判断として多分選択されるわけでありましょうから、それはそれで当事者のそういう合理的な判断に従うということで、この法律では割り切っております。
#92
○小川敏夫君 それから、確認ですが、種類株主の、それから株には配当の優先株、劣後株といった種類の株もありますね。これを複合的に組み合わせるような、そうした株もこれは可能なわけですね。
#93
○政府参考人(房村精一君) これは可能でございます。例えば、先ほどのベンチャー企業のような場合に、取締役の選任の数は少ないけれども配当については優遇をすると、そういった株の発行ももちろん可能でございます。
#94
○小川敏夫君 それから、また確認になりますけれども、そうした種類株主は、役員の選任に関してそうした取決めがあるだけであって、それ以外に代表訴訟の権利とかいわゆる少数株主権の権利とか、そうした株主の地位、権利は、これは同じなわけですね。
#95
○政府参考人(房村精一君) まず、株主代表訴訟を提起する権利というのは全く変わりなく保障されておりますので、取締役の選任権があるかどうか、あるいはその数がどうかということにかかわらず起こせます。
 そのほかの少数株主権につきましては、取締役選任についての種類株主というだけで少数株主権が制約されるということはございません。
#96
○小川敏夫君 では、次の項目に行きますけれども、所在不明株主の株式売却制度ですか、これは前回の質問でも一部聞いたんで、どうも私は今回の改正の中でこの規定が一番納得しないんですけれども、ちょっとその議論の前提として、この所在不明株主の売却制度の導入の趣旨についてちょっと簡略に説明していただけますか。
#97
○政府参考人(房村精一君) 株主の数が相当多くなるものですから、会社で株主に対していろいろな通知をする、それが到達しない、配当をしてもその配当も受領しないと、こういう株主が次第に増えてまいります。ところが、そういう通知をしない、あるいは配当も受領しないという株主でも、会社としては株主として扱って、そういう通知をしたり管理をしたりしなければいけない、そのために相当のコストが掛かる。
 そのようなことから、現行商法においては、五年間通知をして到達しないものについては以後、通知、催告不要だということによって通知等に要する費用の負担を会社が免れる道を開いたわけでございますが、それでもなお株主としては管理をしていかなければいけないと。相当の数になりますと、その管理のコストというものも無視できないものになります。
 ところが、この管理コストというのは、結局は最終的には他の株主の負担ということになりますので、言わば全く株主として権利行使をしない人のための管理コストを他の株主が負担しなければいかぬ。これがずっと続くということは余り合理的ではない。したがって、そういう長年にわたって株主としての権利も行使しない者について要する管理コストを抜本的に解決する、そういうものとして今回、所在不明株主の株式の売却制度というものを考えたわけでございます。
#98
○小川敏夫君 確かに、通知しても着かない、相手に、通知しても戻ってくるのはもったいないといえばもったいない気もするんだけれども、でも、よく考えたら、もしその株主が所在不明じゃなくたって通知するわけですよね。だから、所在不明であるがゆえに殊更、その所在が分かる人よりも殊更特別な通知をするわけじゃないですよね。だから、所在不明の人が所在不明じゃなかった場合にだってやらなくちゃいけないことをただ同じようにやっている。ただ、所在不明じゃなければ着く、所在不明の人間には着かないで返ってくるというだけでね。だから、株主の管理コストとしては別に変わらないんじゃないかと思うんですけれどもね。見方の問題でしょうけれども。
#99
○政府参考人(房村精一君) 今の通知のお話になりますと、結局、通知をしてもおよそ到達しない、戻ってきてしまう。要するに、無駄な費用を掛けたということになるわけですね。もう何年も通知をしても全然着かない、そこにこの先何年間もまた同じ無駄な費用を掛けるのか。結局、その掛かる費用というのは会社のコストですから、本来そういう費用が掛からなければ他の株主の配当に回せたかも分からないお金が無駄な経費として掛かってしまうわけですね。ですから、それは合理的でないということで、現行法では五年間到達しない場合にはもう以後の通知はしなくてもいいと、こういうことにしたわけです。
 ですから、それと同じ発想で、そうやって相当減らしてもなおかつ株主として相当管理をしなければいけないという問題があるわけですので、そういったものについて、結局、他の株主の負担になってしまう管理コストについての問題を抜本的に解決しようと、そういうことで今回、株式売却制度まで進めるということを考えたわけでございます。
#100
○小川敏夫君 だから、確かに着かない人間に一々通知するのは無駄じゃないかというのは、それは確かに無駄だと思うんですけれども、だけど、着く人間に比べて更に特別なコストが掛かるわけじゃないという意味では、掛かるわけじゃないんだから、どうもそういう目から見ると、まあ、でも無駄は無駄なんだけれども。もう一つ、コストが云々ということを言われても、元々その株主に通知するという全体のコストがそれによって膨らむわけじゃないんで、逆に通知しないことにすれば会社がその分助かるというだけの話じゃないかなとも思うんですけれども。
 それで、いずれにしても、だから会社の都合でやるわけでして、それから前回議論したように、事実上その売った売却代金はどうも会社の利益になってしまうケースが多いというようなことを考えると、どうも五年間だけで、五年着かなかったというだけでそうしてしまうのはちょっと短いんじゃないかと。僕も四年前に参議院に受かったとき、六年随分長いなと思ったけれども、過ぎてしまうと六年もそんな長くはないと思うんだけれども。
 この五年間、郵便が着かなかったというだけでその人の財産がなくなってしまうというのは、ちょっと短過ぎるんじゃないかなと思うんですよね。どうでしょう、私はもっと長い方がいいと思うんだけれども。
#101
○政府参考人(房村精一君) 年数についてはいろいろなお考えがあろうかとは思いますが、例えば一般的にいきまして、権利を行使しない場合に消滅時効にかかわるという制度を考えたときに、商法の世界では商事債権については民法の十年と違って五年という短期間を定めております。この通知の要不要ということに関しても、現行法で五年間到達しない場合には以後、通知、催告をしなくてもいいということを考えております。そういう意味では、商法の世界で五年というのはそれなりに、権利行使をしない場合にある程度法律効果を結び付けてもおかしくない期間として一般に考えられているのではないかと。今回、中間試案について各界から意見を求めましたが、この制度の五年ということについて短過ぎるという意見はございませんでした。
 さらに、この五年の期間を経過したら直ちに権利が全くなくなってしまうということではなくて、その段階で株主の権利としての株式は売却されますが、しかしそれが変わった売却代金についての請求権、これは一般の民法の消滅時効期間十年間は更にあるわけでございますので、五年ですべての権利がなくなるということではなくて、その後の方も含めれば十五年の期間は何らかの形で権利が保障されているということでございますので、短過ぎるということはないのではないかと思っております。
#102
○小川敏夫君 どうも、商事の取引なら五年ということなんでしょうけれども、これは取引じゃないんでね。言わば個人が、個人には限らないけれども、個人の場合には資産として保有するという、動的な要素よりもむしろ静的な要素が強い部分もあるんじゃないかと思うんですが、そう考えれば民法の消滅時効の十年の方がよりふさわしいんじゃないかとも思うんですが、ちょっと五年では短過ぎないかなという気は持っていますが。
 それからもう一つは、通知が届かなかったというだけで要件が満たされるわけですよね。何らかの調査をする義務はこの法律上、会社には全くないんですけれども、ある程度、なぜ着かないかについて、著しい過度な負担は設けないにしても、何らかの調査義務的なものは課した方がいいんじゃないかと思うんですが、そこら辺のところはいかがでしょうか。
#103
○政府参考人(房村精一君) 確かに、この制度は本来、自分の持っている株式を知らないうちに売却されてしまうということですので、それなりの手当てが必要だろうという具合に私どもも考えまして、この法案では、先ほど申し上げた、例えば通知、催告が要らなくなると、こういう仕組みの場合には、株主名簿に記載された住所又は会社に届け出たあて先ですね、これのどちらかに通知をして、それが五年届かなければもうそれで以後の通知は不要になるわけですが、今回のこの株式売却をする場合には、そういうことをしようと思う場合には、改めまして株主名簿上の住所とそれから届け出てある送り先とその双方にもう一回通知をしなさい、更に公告もしなさいと、一応そういう念のための手続は課しているわけでございます。
 その上で売却をするということにしておりますので、更に進んで個々の所在の調査ということになりますと、これはもう非常に大きなコストが掛かりますし、一般的にそこまでの負担を会社に負わせるのは妥当ではないのではないかということで、今申し上げたような制度で、一応念のために最終的なチェックをした上でこの制度を利用してもらうということを考えております。
#104
○小川敏夫君 調査といっても、その程度に応じて大変な負担のケースもあるし様々なケースがあるから一概には言えないんですけれども、例えば善良な個人株主ですと、住民票上の住所ということも多いかとは思うんですよね。だから、その住民票上の調査ぐらいは手軽な、必ずしも手軽とは言えないけれども、何百円かの調査でできるんじゃないかと思うんですが、そこら辺の調査ぐらい課して、言わば届出上の住所と自分の住所が一緒だと、余り課税逃れもしていないような善良な人の保護ぐらいは考えてもいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
#105
○政府参考人(房村精一君) 住民票を調査するというのはこれはなかなか大変なことでございますし、それと、そういうことで申し上げれば、ともかく会社の方にきちんと住所を届けていただいていればそこに必ず通知をするわけですから、それと、さらに配当の受領に関しても、例えば銀行の口座等を指定してそこへ振り込むというような形で継続的に配当を受領していれば、これは通知が届かなくてもこの売却制度はできない。
 要するに、配当も全く受領していない、届け出られている住所に送っても届かないと、こういう場合に限っているわけでございますので、それが何年も続いて、更に念のために公告までをしてということでございますので、これ以上の義務を会社に課するのはいかがなものかということで考えております。
#106
○小川敏夫君 届け出ないからいけないんだというのもそうでしょうけれども、例えば運転免許の更新でも、大体更新のときになって慌てて新しい住民票を持っていってそのときにやるということも多いように思うんですけれども、例えば株が無配であったり、配当があれば別ですけれども、無配であったりしたような場合に、一々住所の移転を届け出ないまま引っ越してしまうようなケースもあるんじゃないかと思うんですよね。あるいは、そこで相続が絡んだりしたりすると、会社に対する届出が結局なされないまま忘れ去られてしまうということもあるんじゃないかと。
 あくまでもこれは株主という他人の権利を会社が売り払ってしまう、会社の事務の都合上売り払ってしまうと。事実上、会社の利益になってしまうことが多いというようなこの実態を考えると、もう少しそこら辺、救済できる可能性があるものについて救済できるような方法を、それで全部というわけにはなかなかいかないでしょうけれども、講じても良かったんではないかなという思いでおりますが、答弁は今いただきましたので結構で、また次の質問に行きますけれども。
 今度は、株券失効制度というものが創設されました。これまでは除権判決制度によって裁判所の手を通してそれが行われていたわけですけれども、今度は非常にある意味では会社にとっても株主にとってもやりやすい制度になったということは言えると思うんですけれども、やりやすくなったということは逆に不正もやりやすくなったんではないかというようなこともないかと心配するんですが、そこら辺はどうでしょうか。
#107
○政府参考人(房村精一君) 今回の株券失効制度、これは株式に関する情報が会社に集中するということから、この制度になりますと、株式を持っている者は株券の失効の登録がされると必ず通知を受けられますし、また不安なときに会社に確認すれば、そういう登録がされているかどうかということはすぐ分かると。こういう意味で、いずれの立場の人にとっても使いやすい制度になっているのではないかという具合には考えております。
 特に、会社が扱うことによって、その会社内部にいる人間がいろんな情報が分かるということでこれを悪用するおそれがあるかどうかということでございますが、これは、特に今までに比べて特段悪用の可能性が高まるということはないのではないかという具合には思っておりますが。
#108
○小川敏夫君 どうもこの制度を使って悪用できないかと悪用の方法を考えたんですけれども、株主名簿の事務を扱っている人間からすれば、さっきも言ったように、何年間通知を出しても戻ってきてしまうという意味で、忘れ去られた株があるということが分かる。当然、その人の住所も株の記番号もすべて分かるわけですね。そうすると、何か株主名簿を見て、もう十年も二十年も忘れ去られた株があると、じゃ、その株の記番号も全部分かるんだから、その株を買ったのは、自分の名前じゃまずいだろうから友達か愛人か、その人間にその株をなくしましたといって申出させれば、それについて、それを本当の株主かどうか判断するのは自分であれば、何か簡単にできちゃうような気がするんですけれども。
 どうでしょう、例えば株主であることを証する資料を持って申立てしなくちゃいけませんよね。だけれども、証するかどうかを判断するのは会社ですよね。これまでの除権判決制度でしたら、真実の株主であることを証する資料を提出してそれを判断するのは裁判所だったから、余り恣意的にそれが運用されることはなかったんだけれども、今度は、その制度の申出をしてきた人間がそれを、株主であるかどうかを判断するのは会社なわけです。そうすると、会社の担当者が、すべての状況を知っている人間が、不十分な資料でも自分なりに十分と判断してしまってやってしまうと。やってしまったって、元々忘れ去られた株だからだれも被害に気が付かないということで、何か完全犯罪ができるんじゃないかと思ったんですが、そこら辺、会社にそこら辺の判断を任せるという点はどうですか。
#109
○政府参考人(房村精一君) 確かに、御指摘のように、所在不明である株式を把握するポストにいる人が同時に株券失効制度の書類の審査に当たる人間であるというような場合には、御指摘のようなことももちろん考えられなくはないだろうと思います。
 ただ、その場合にしても、当然、会社側の判断の根拠となる資料というのは、そういう真実でない場合ですから、偽造して提出せざるを得ない。そういったものについては当然、記録も残るわけでありますので、それは会社側のもちろん内部のチェック体制の問題にはなりますが、特にそのことによって、やはりおよそだれが見ても明らかにおかしな証拠であれば、それはそれを使ってということは難しいでしょうし、非常に精巧なものであれば、これは除権判決で裁判所に出したってだませるかもしれませんし、ですから、おっしゃるように、考えられないわけではないと思いますが、最終的には、今申し上げたような不正利用をすれば、それは刑事の罰則で担保されるということだろうと思います。
#110
○小川敏夫君 私が先ほど話したような仕組みですと、被害者が被害に全く気が付かない。被害者が被害に気が付かないんだからいいんじゃないかという話もないとは思うんですけれども。
 法律論として、言わば失効制度の申立てについては、自分が真の株主であるということを証する資料の提出が必要ですよね。この証する資料として、これはまず具体的にはどういうものを考えているのかということ。これはある程度、例えば政令とか規則とか、そうした画一的に決める考えでいるんでしょうか。それとも、そうではなくて、やはり会社の判断に任せてしまうんでしょうか。
#111
○政府参考人(房村精一君) 省令レベルの決め方としては、所持していたことを証する書類ということで、どういった書類であるかという一般的要件で決めることになろうかと思います。具体的には、証券会社で入手したときには証券会社が発行する売渡し証明書と、あるいは個人間でやった場合にはその売買契約書と、こういったものになろうかと思いますし、喪失したことを証する書類としては、やはり遺失届であるとか盗難届であるとかあるいは焼失証明であるとか、そういったことの公の機関が発行した証明書類ということが一般的に考えられると思っております。
#112
○小川敏夫君 例えば、証券会社の売渡し証なんかですと、株券の記番号まで入っていませんよね。いつ、何株、買い注文を出して受渡ししたというようなことですから。
 そうすると、例えば横領してしまいたい株と同じ銘柄の全く他人の売買報告書か何か出して、いや、これがそのときの株だと言っても対応、対処できないですよね。こんな場合、どうするんでしょうかね。
#113
○政府参考人(房村精一君) 番号の点はともかく、だれに売り渡したかという証明でございますので、それは同じ人間が、ほかにあるとすればまたほかに買っているわけですから、その場合にわざわざ二回買って片方の違う方の証明書をわざわざ出すということも余り考えにくいのではないかと思いますが。
#114
○小川敏夫君 そう。何か自分が犯罪をやるつもりになっていろいろ考えると、ここにあるA会社という株で、名簿を見るとどうも十万株ぐらい行方不明になって十年ぐらい忘れ去られていると。じゃ、取りあえず十万株の買い注文を、証券会社から十万株買ってという売買報告書は取って、その株は売っちゃって資金を回収して、そうすればとにかく十万株買ったという報告書だけはあるわけですから。それから半年ぐらいして、ああ実はこの記番のこの十万株なくしましたんで、このとおり半年前、この証券会社で買ったんですといって、言わば株をすり違えて申立てをしてくれば、できちゃうんじゃないですか。
#115
○政府参考人(房村精一君) そこのところは会社側の判断でということになろうかと思いますが、基本的には、喪失の登録がされますと株主名簿上の株主に対しては通知が行きますし、また、まだ名義書換が済んでいない株主の場合には、名義書換の届出をしたときに会社側から登録されているという通知が行きます。したがって、正当な権利者が少なくとも年に一回の権利行使を普通にしている場合であれば、間違いなくその人には失効する前にこういう喪失登録がされているということは知り得るような仕組みにはなっておりますので、悪用といいましても、それを更に免れるための仕組みまでいろいろ考える必要があろうかと思いますので、なかなか悪用するのも難しいのではないかと思いますが。
#116
○小川敏夫君 余り犯罪の手口のことを言ってもしようがないけれども、僕が言っているのは忘れ去られた株のことを言っていますから、それは申立てが出ましたよといって株主に通知したって、元々、通知が届かないけれども眠っている株のことについて言っているわけだから、担当者は分かるわけですからね。だから、そういう非常に少ないケースで余り考えてもしようがないといえばしようがないけれども、でも、そういう余地もあるのかなと。
 だから、要するに制度の問題は、私なりに考えるには、株主であることを証明する資料というものがまず客観的に決まっているわけじゃないということと、それで証明されたかどうかを判断するのがこれは裁判所じゃなくて会社だということで、そこで言わばそれを不正に利用される可能性が、全部じゃないけれども、ある状況によっては生ずるんじゃないかと、こういうふうに考えたわけですけれども。
#117
○政府参考人(房村精一君) もちろん、会社関係者すべてが正しい人だけとは限りませんから、悪用の可能性がないとは言えないかもしれませんが、しかし同時に、例えば一人で全部処理するということも普通は考えにくいわけで、複数の者が当然そういう処理には関与する。
 その場合に、例えば今先生の御指摘のような、長年にわたって通知が到達していない株主の株式について喪失の届出がされた場合に、裁判所に申出がされた場合には、裁判所としてはそういう事情は全く知り得ないわけでございますが、会社の場合には、それを悪用する人もいる可能性を指摘されたわけですが、同時に、会社として従来全く通知されていない株式について突如喪失の申出があれば、これは事情としてより慎重に調べようかというきっかけになり得ることもあり得るわけでありまして、そこは考え方でいろいろあるのではないか。最終的な担保は、もちろん刑罰とか、あくまでも関与する人の問題にはなりますが、特にこの仕組みにしたから乱用の可能性が非常に高くなるということはないのではないかと思っております。
#118
○小川敏夫君 どうも、例えば証明する資料を、ある程度間違いなく、つまり会社の裁量が入るものではないような客観的な資料があった場合にだけ認めて、多少、証明性が薄いものの場合には裁判所の裁判官の判断を得るような除権判決一本にしたらいいんではないかという気もするんですが。
 例えば、証券会社の証明書というけれども、例えば山一証券みたいに会社がなくなっちゃって証明書が入手できないような場合には、それに代わるものとしてどういうものを提出したらいいんでしょうか。
#119
○政府参考人(房村精一君) 一般には売渡しのときに証明書が発行されるわけでございますが、そういうものがなくなったとか発行を受けられなかったという場合、その他の資料を何か探していただくということになりますが、例えば証券口座の写しであるとか、仮に株式の取得等について税務申告をしていればそういったものの写しとか、要するに、定型的なものとしては売渡し証明書とか売買契約書、あるいは盗難証明書というようなものが考えられますが、そういったものがない場合も当然あり得るわけですので、そういう場合に、形式的にそれがないから駄目だというわけにはいかないだろうと思います。
 これは、裁判所へ申し立てる場合も全く同じでございますし、会社で判断をする場合にもそこを適切に判断をしていただく。会社もある意味ではそういう株式の扱いについては専門知識を有しているわけでございますので、必要な資料を総合して、所持していたものが喪失したということを認定することは十分可能ではないかという具合に思っております。
#120
○小川敏夫君 その証明に対する会社の判断が会社ごとにばらばらであっても困るし、何らかの客観性を持った準則的なものを定めるなりした方がいいんではないかと思うんですが、これはあるいは会社側の方に自主的に任せてしまうということになるんでしょうか。
#121
○政府参考人(房村精一君) 今考えておりますのは、株主名簿に記載されている取得の日以降に当該株券を取得していた事実を証する書面というような規定の仕方になろうかと思っております。やや抽象的ではありますが、具体的な例としては、先ほどから何回も申し上げておりますような売渡し証明書であるとか売買契約書があるわけでございます。
 さらに、そういうものがどうしても入手できない場合にどんなものがというのは、これは場合によれば、そういった省令の運用の解説とかそういったものを通じて会社において適切に判断できるような努力は私どもとしてもしていきたいと考えております。
#122
○小川敏夫君 そういうことの指針は、法務省としては、規則を定めるわけでもないし、別にガイドラインを出すわけでもなくて、やっぱりあくまでも会社側の自主的な判断にゆだねるということになるわけですか。私は、どうもそこら辺、統一的なガイドライン的なものを示すなりなんなり、実務で混乱が生じないように、あるいは会社ごとによって対応が異なることがないように対処した方がよろしいかと思うんですが。
#123
○政府参考人(房村精一君) 今言ったような形で解説というようなことが考えられますが、それを更に進めて、拘束力のあるもので考えますと、具体的な個々の場合について余り拘束力があるのを決めてしまいますと、かえって運用上不都合が生ずるおそれも十分ありますので、そこは私どもとしては、最終的にはそれぞれの会社で事情に応じて適切に判断をしていただく、ただ、適切な判断をしていただくための資料として解説その他は充実させていきたいと、こういう具合に考えております。
#124
○小川敏夫君 制度としては私も別に反対するわけじゃないんで、有用な改正だと思いますので、特に不正に利用されることがないような、そうした対策も十分講じていただきたいと思います。
 先回の改正、それから今回も総会決議等で一部出ておりますけれども、電磁的な方法という点がございます。これはたしかフランスでしたか、結論的には実害はなかったんだけれども、成り済まして議決権を行使したというふうな例がありましたけれども、ここら辺について、そうした妨害あるいは不正があってはいけないと思うんですが、これに対する対応は法務省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
#125
○政府参考人(房村精一君) 電磁的方法での議決権行使等を認めるという場合には、御指摘のように、成り済ましが非常に心配されるわけです。
 ただ、この電磁的方法というのは技術進歩が非常に激しいものですから、どういった方法が適切かということを法律とか省令というような役所のレベルで決めるとかえって技術進歩に追い付かない可能性も高いわけでございますので、こういったものについては、電磁的方法を採用する企業がやはりその時点で最新の防止策を講じた方法を選んでいただく。この技術は、もちろん悪い方の技術も進歩しておりますが、それに対抗する技術も年々進歩してきておりますので、そこを会社側が適切な判断でそういう成り済ましを防ぐための方法を講じていただく。そのために、例えば認証技術であるとか、そういったものもどんどん進歩してきておりますので、そういったものを使って適切に実施していただければという具合に考えております。
#126
○小川敏夫君 電磁的な方法を採用する場合の言わば利益と、それに対しての対策のコスト等を考え、すべてを総合的に考えて各会社側が自主的にやりなさいと、こういうことなわけですね。──そうだというふうにうなずいていただきましたので、それで結構です。
 次に、これは大分、衆議院でも議論をしたというふうに聞いておりますけれども、監査委員会、今、委員会設置会社ですね。それで、監査委員会が設けられた場合に監査役が廃止されるわけですけれども、そうすると、監査委員会、取締役の監査委員がいるわけですが、その監査委員会の任務で取締役の職務に関しての監査もあるというと、一部自分のことについて監査する自己監査になるんじゃないかと思うんですが、これは一部なんですが、この点はどうなんでしょうか。
#127
○政府参考人(房村精一君) 今回、監査役に代えて取締役から成る監査委員会、これを設けて監査を行っていただくということを委員会等設置会社では考えたわけでありますが、委員会等設置会社では、業務執行については基本的に取締役会から執行役に大幅に委譲するということを前提に考えておりますので、取締役会そのものが業務執行にかかわる度合いというのは非常に少なくなってきます。したがって、取締役会で違法な行為がされて会社に損害が生ずるというような可能性は従来に比べますと格段に低くなる。そういうことから、監査の対象としてはやはり業務執行が中心でございますので、その業務執行、執行役の行う業務執行に対する監査権限が監査委員会において適切に行使されれば全体としての監査は十分実効性が上がるのではないか。また、取締役に対する監査というのも、取締役の職務執行というのは取締役会での職務執行にほとんど限られますので、そこで違法な行為が行われる可能性は非常に少ない。
 したがって、おっしゃるように、取締役としての自分の行為を監査委員として監査するという部分に限定すれば自己監査ということになろうかと思いますが、しかしそれは非常に限られた分野でございますし、そのことによって監査の実効性に影響が出るということはないのではないかという具合に考えているところでございます。
#128
○小川敏夫君 総論的な質問をさせていただきますけれども、いわゆるコーポレートガバナンス制度について一定の方向で商法改正が進んできているわけですけれども、大分、アメリカにおけるそうした会社制度も随分参考になっていると思うんですが。ただ、アメリカでもエンロンという事件が皮肉にもこの時期に発生したということもあります。あるいは、我が国においても、制度を導入しても中身が付いてこなければなかなか企業統治が実効性を持ってこないとは思うんですが。例えば、委員会制度ということの統治機構を作っても、いかに牽制的な機構を作っても、権限が社長にすべて集中しているという実態が続く以上、監査委員会も報酬委員会もすべての委員会も社長の子分ばかりじゃ機能しないんじゃないかとは思うんですが。
 そうした意味で、どうでしょう、だからこういう委員会制度を導入するんだということなんでしょうけれども、それを実効性あらしめるために何かいい知恵なりお考えがあったらお聞かせいただきたいんですけれども。
#129
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、どういう制度を作っても最終的にはその制度を担う人間の問題に帰着するんだろうと思います。
 ただ、そうはいいましても、やはり制度の仕組みによって人が能力を発揮しやすい制度というものも当然あろうかと思いますので、そういう意味で、ただいま御指摘のように、代表取締役社長に余りに権限が集中すると、やはりそれはなかなか監視の目が行き届かなくなるということは御指摘のとおりでございます。それを考えまして、今回の委員会等設置会社では社外取締役が過半数を占める三つの委員会を決めて、代表取締役社長の権限の源になっておりました人事の指名権あるいは報酬の決定権、それと更に重要な監査、こういったものを各委員会に行使させるということにしたわけでございます。
 したがって、この委員会等設置会社を、やはり所期の目的を達していただくためには、そこに入ってくる社外取締役の方々に、やはりこの制度の趣旨を踏まえて大所高所からその会社にとって必要なガバナンスを実施していただくということが重要ではないかと。また、会社の側もそういうつもりでこの制度を採用していただきたいという具合に考えております。
#130
○小川敏夫君 あと、株主総会が形骸化していると以前から言われておるわけですけれども、株主から見ても会社の状況が余り、情報が非常に形式的なことしか伝わってこないので、また興味がわかないような情報の提供しかないというようなこともあります。あるいは、幾ら監査制度を充実させても監査委員なり監査役の方に適切な情報が正しく提供されなければ機能しないわけですけれども。
 そうした意味で、コーポレートガバナンスをより実効あらしめるために、情報開示の問題とかあるいは株主総会の実質化とか、そういった面に関して法務省の考えがあればお聞かせいただきたいんですが。
#131
○政府参考人(房村精一君) 情報開示が必要だという点は全く同感でございます。
 それは、会社内で取締役あるいは監査役が適切に職務を執行しようと思えば会社の情報を適切に入手するということがなければできませんので、そういう意味で会社内においても情報が十分伝わるということが必要でございますし、さらに社外の株主等にとっては正にその会社がどういうことになっているかという情報を得て初めて適切な権利行使ができるわけですから、それを充実するということは必要であろうと思いますし、私どもとしても、今回の改正でも一部お願いしておりますし、従来からそういう情報開示の充実については心掛けてきたつもりでございます。
 また、株主総会についても、何といっても最終的な権限を持っておりますのは株主でございますから、その株主総会が適切な判断ができるという、そういう仕組みを作っていくことはこれまた重要だと思っておりますが、ただ、事の性質上、大勢の株主の方が一堂に会して会社の方針を決めるというようなことはなかなか難しい面もございますので、そういう業務執行の効率性と、それと株主の権利の保護ということを総合的に考えて、株主総会の在り方というものも工夫をしていく必要があるのではないかという具合に思っております。
#132
○小川敏夫君 最後に、法務大臣にお尋ねしますが、今回の商法、コーポレートガバナンスに関して、今回の改正でこれですべて完了ではないと思います。こうしたコーポレートガバナンスについて今後どのような方向を目指すのか。そうした目指す方向性や、それに対する今後の対応についてお考えをお聞かせいただきたいんですが。
#133
○副大臣(横内正明君) 私から御答弁をさせていただきます。
 企業統治の在り方につきましては、株主の利益を重視するという観点に立って、企業経営の適法性を確保するということと同時に、国際競争が非常に激化をしている中で企業の能率性の向上を図っていくという二つの要請を同時に達成していくということが大事だというふうに考えておりまして、こういう観点から、昨年の臨時国会で議員立法で監査役制度の強化の改正をしていただいたわけでありますが、今回の法案では選択的にこの委員会等設置会社制度というようなものを提案をしているところでございます。
 今後、更にこの企業統治の実効性を高めていくというその方策についてでございますけれども、こういう本法を可決をしていただいた後の、改正後の各企業の動向を踏まえる必要がございます。同時に、先ほど委員も御指摘になりましたように、アメリカやOECDなんかの先進国でもこの企業統治の改善のための検討作業が進められておりますので、そういった諸外国における企業統治の変革の動きにも目を配りながら、企業経営の適法性と効率性の双方を一層確保することができるより良い制度の構築に更に努めてまいりたいというふうに考えております。
#134
○小川敏夫君 多少の時間、外務省の方に質問させていただきます。
 今日は、また集中審議もありますので、今日は先ほどの質問を更に、また同じ質問をさせていただきますけれども、二人の男性が査証待合室に入ってきた、警備員がその後を追ってきたということで、再三再四聞いたんですが、副領事が査証待合室を見通せる場所にいたのかどうか、これはどうですか。
#135
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど不明確な答弁を申し上げまして、申し訳ございませんでした。
 副領事の執務室自体は見通せる場所にはございません。そして、副領事自体はその執務室から、実際に建物外部から女性の叫び声を聞いたのはその執務室を少し出た事務所一階の廊下で聞いたということでございまして、そこでその後、建物外部で異常事態が発生したということを察知して、急遽、事務所を出たということでございます。
 そして、その過程で、先ほどお話がございました、その二名が待合室に入ってきているということについて認識がなかったということでございます。
#136
○小川敏夫君 副領事、もうほとんど一緒に館員二名もこの事務所の玄関から飛び出しているようですけれども、その副領事と一緒に出た館員二名についてはどこに、どこで執務していたのか、そしてまた、その査証待合室を見通せる場所にいたのかどうかはどうですか。
#137
○政府参考人(佐藤重和君) そうした門正面の物音、何かトラブルが起きたのではないかということで、先ほどの副領事並びに中国人の館員、職員二名並びにそのほかに電気工一名、この四名がその正門付近に急いだということでございます。
 この副領事以外の中国人の職員が先ほどの査証申請の部屋というものを見通せるところにいたかどうかということは確認をいたしておりませんが、どこにいたかということは確認をしておりませんが、その待合室にその男性二人がいるということについて、その認識はなかったということでございます。
#138
○小川敏夫君 どこにいるのか分からなかった。じゃ、それは更に調査していただきたいですけれどもね。
 この副領事とそれ以外の館員が同時に駆け付けているんだけれども、これは、じゃ、同時になったのは偶然ですか。
#139
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほどの外の門のところでトラブルが起きたということを意識をして、この査証担当副領事が言わばその名前を呼んで、呼び掛けて一緒に来てくれということで出ていったということに承知しております。
#140
○小川敏夫君 名前を呼んだのであれば、呼んだ時点でその館員たちはどこにいたのかですね、どこにいた時点で呼んだのか、それはどうなんですか。
#141
○政府参考人(佐藤重和君) 具体的にその者たちがその時点でどこにいたということについては、私、きちっと確認をしておりませんが、先ほど申し上げたように、査証申請待合室を見渡せるところではなかったということで認識、そうした、その人たちも認識がなかったということでございます。
#142
○小川敏夫君 そこを更に詳細に調査していただきたいのと、それから事務所の部屋の配置等、そうしたものを資料として提供していただきたいと思います。
 時間が来ましたので今日はこれで終わりますが、この質問は更に日を改めて行いたいと思います。
 では、終わります。
#143
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。
 まず、商法等の一部を改正する法律案の質疑の前に、先般、瀋陽の日本総領事館に北朝鮮の住民五人が救済を求めて駆け込んだ事件につきまして、大臣にお伺いいたします。
 この事件につきましては、国の内外に深刻な衝撃と波紋を広げております。日本はこれまで政治亡命受入れについては極めて厳しい姿勢を取っておりまして、事実上、政治亡命受入れを拒否しているに等しいとまで言われております。
 世界人権宣言では、その十四条に、「すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。」、こう定められておりまして、亡命を求める権利というのは基本的人権でございます。また、その後、難民の地位に関する条約も締結されておりまして、その内容を受けて、国内的には出入国管理及び難民認定法が制定されているところであります。
 一応、ですから日本は法制度上は難民受入れの手続を定めており、また受け入れることができると、こういうことに法体系上はなっておりますが、事実上は非常に厳しく、ほぼ拒絶しているに等しいとまで言われているという状況でございます。これは日本の国の在り方、日本の国の姿を示すものとして、日本が人道あるいは人権、また国際協調、こういうものを重んじる国なのかどうかというメルクマールの一つになることではないかと思っております。
 これからますます国際交流は活発になるでしょうし、グローバル化もこれまで以上に進むことは明らかであります。その流れを止めようと思っても止めることはできないわけで、ですから止めるのではなく、いかにスムーズに関係を築いていくか、こういう発想に立つべきかと思っております。これまでの我が国の言われているような閉鎖的な在り方を根本的に見直して、多様な人が共生するユニバーサル社会をどう築いていくか、これを真剣に考えるときが来ているのではないかと思っております。
 国連難民高等弁務官事務所の日本・韓国事務所の代表も次のように述べております。難民条約は庇護希望者の拘束を原則として避けるように求めています。日本はUNHCRへの世界第二位の資金拠出国なのに難民には閉ざされた国に見えると、こういう発言をしております。また、今回の瀋陽の事件を起こした根本的原因は、日本政府の難民に対する基本姿勢がきちんと明確になっていない、あいまいな姿勢に終始してきたことにあるというふうにも指摘をされております。
 そこで、法務大臣に、難民に対する基本姿勢がどうあるべきとお考えなのか。そしてまた、これは法務省の所管だけではありませんけれども、外務省など関係省庁と連携して、出入国管理及び難民認定法を始めとする法規及びその運用も含めまして、総合的に亡命そして難民認定についての日本の対応の基本姿勢を明確にし、これまでの閉鎖的な在り方を抜本的に見直すべきと考えておりますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
#144
○国務大臣(森山眞弓君) 難民の認定の申請につきましては、先ほども申し上げましたが、従来から国際的な取決めである難民条約等にのっとりまして、個別の審査の上に難民として認定すべき者は認定しておりますし、今後ともその適正な運用に配意してまいりたいと思います。
 今、先生からいろいろと、よその国からあるいは難民高等弁務官等から日本が非常に閉鎖的であるということを言われているという御指摘がございました。しかし、実際にはそういうことはないと私は思っております。
 つまり、難民の認定というのは、まず難民の申請がなければスタートできないわけでございますが、難民の申請というのが日本の場合は元々非常に少のうございまして、それに、申請をした人に対して認定される人の割合、つまり認定率ということで比べますと、例えば平成十二年における我が国の認定率は約一四%でございまして、これはイギリスの一二%、ドイツの一五%、オランダの七%、スウェーデンの二%などと比較しても決して特に低いというものではないというふうに思っております。
 現に、難民の問題というのは、人権を尊重するということも重要な課題でございますけれども、その難民を受け入れた、あるいは難民と認定した後の国内における秩序の維持といいましょうか、治安の確保といいましょうか、あるいはその人々の生活の保障その他いろいろなことを考えなければなりませんので、ヨーロッパ諸国は非常に申請する人が多いんでございますけれども、率としては先ほどの日本の率と大差はございませんし、さらに最近は、特に難民の制度というものを言わば悪用して困るというような状況がよその国にもあるようでございまして、それらを何とかして防がなければいけないという認識も最近非常に強いようでございます。
 日本の場合は、その申請者の数が大変そういう国に比べれば少のうございまして、例えば十二年の場合は二百十六人申請がありまして、認定された者が二十二人というわけでございます。さらに、その不認定となった人の中からも人道的配慮によって特別の在留を認めるという者も平成十二年三十六人ございまして、かなりの割合で日本の場合は実際には住まうことを認め、受け入れているわけでございますので、諸外国に比べて特に閉鎖的であるということは現実にはないということを先生にも御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 しかし、難民認定というものがこのように話題になってまいりましたのはこの数年でございますので、確かに御指摘のように難民認定の在り方について今のままでいいか、反省すべきこともいろいろあると思います。人道とか人権に関する意識の変化ということもございますし、そういうことに十分配慮しながら政府全体として審査の体制の充実とか整備などの在り方を検討するべきだと私も考えております。
#145
○浜四津敏子君 ただいま大臣から数字を挙げての大変詳細な御説明をいただきましたが、例えば申請が少ないということ自体、日本に難民申請してもどうせ受け入れてもらえないと、こういうことで少ないという事情があるということも他方で事実だろうと思います。また、従来の例えばアフガンの難民の認定の問題、また今回の瀋陽の事件の問題、これらは端的に日本政府の姿勢を示しているんだろうというふうに思います。そこを国内外の多くの人たちから閉鎖的というふうに指摘されているんだろうと思います。
 今その基本姿勢そのものが問われているということだと思いますので、是非見直していただいて、国内外から日本は本当に人道、人権をきちんと大事にする大変誠実な国であると、もちろん悪用防止は他国と同様、しなくてはいけませんけれども、その基本的なところをきちんと明確にしていただきたいということを要望させていただきます。
 商法改正案についてお伺いいたします。
 今回の改正は、企業活動のグローバル化、またIT化など急激な経営環境の変化に対応するために、株式会社の機関、株式、計算など会社法制全般にわたりまして会社経営の合理化、経営手段の多様化を図る観点からの抜本的改正でございます。中でも、今回の改正の目玉としてアメリカ型コーポレートガバナンスの制度である委員会等設置会社につきまして定められているわけですが、これにつきましては衆議院において詳細な議論が行われ、また当委員会における前回の審議でも多くの議論がなされたところでございますので、私は主としてこれまでの議論と重ならない部分についてお伺いさせていただきたいと思っております。
 取締役会を中心とした機関相互の関係について、特に幾つかの点を確認しておきたいと思います。
 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、以下、特例法というふうに呼ばせていただきますが、この特例法の二十一条の五、一項四号で新たな業務執行機関として執行役が設けられるということになっております。同じく、特例法の二十一条の七に委員会等設置会社の取締役会の権限について規定しておりますが、その権限の中に執行役の監督というのが入っております。この執行役が設けられることによりまして委員会等設置会社の取締役会の権限はどのような変更を受けることになるのか、御説明いただきます。
#146
○政府参考人(房村精一君) 現行の会社における取締役会の役割といたしましては、業務の決定権限、それと業務の監督権限、この二つが取締役会の基本的な権限でございます。この委員会等設置会社にいたした場合、究極的に取締役会が業務の決定権限を有しているということ、これは変わりませんので、法律上は依然として業務の決定権限と監督権限を有しております。
 ただ、御指摘のように、新たに業務執行機関として執行役が設けられます。そのことによりまして、従来、業務執行のうち重要なものについては取締役会自らが決する必要があると。代表取締役等にその決定を委任することが法律上認められておりませんでしたが、この委員会等設置会社におきましては執行役にその業務執行を大幅に委任できると、こういうことになります。したがいまして、実質的には業務の業務執行については執行役が中心となり、取締役会の中心的な機能は監督権限の行使ということになってまいります。
 したがいまして、取締役の、従来、監督の対象が取締役の職務の執行を監督するという商法の規定でありましたのを、ここに執行役を加えるということが特例法で決められたわけでございます。したがいまして、取締役会としては執行役の業務執行を監督するということになりますが、ただ取締役としても、業務執行は大幅に執行役に委任をいたしますが、なお取締役会の構成員としての取締役の職務の執行というものは残りますので、これに対する取締役会の監督権限はやはり従来どおり取締役会に保持をすると、こういう形になります。
#147
○浜四津敏子君 特例法二十一条の七、一項一号によりますと、取締役会は経営の基本方針を決定しなければならないとされております。一般の会社についてはこのような規定はないわけですけれども、委員会等設置会社についてこの規定を設けた趣旨はどこにあるのか、御説明をお願いいたします。
#148
○政府参考人(房村精一君) 従来の会社でございますと取締役会が自ら業務執行の決定を行うということが多うございましたが、今回の委員会等設置会社に関しましては執行役に大幅に委譲をするということで、取締役会と執行役という二つのものができますので、具体的な業務執行は執行役に委譲をするといたしましても、その権限の行使に当たって基本的な方針というものを取締役会が定めておくことが業務執行に当たる者にとっても便宜でありますし、またその業務執行を監督する取締役会の立場としてもその基本方針に沿った業務執行がなされているかどうかという形で監督権限を適切に行使できると。こういうことから取締役会において経営の基本方針を決定するということを法律で要求したものでございます。
#149
○浜四津敏子君 同じく、特例法二十一条の七、一項二号によりますと、委員会等設置会社の取締役会は監査委員会の職務の遂行のために必要なものとして法務省令で定める事項を決定しなければならないものとされております。この規定の趣旨と、ここで定める法務省令というのはどういった事項を定める予定なのか、お伺いいたします。
#150
○政府参考人(房村精一君) 委員会等設置会社となる会社は、特例法上の大会社、資本金五億以上ということで、相当大規模な会社であるということから、この業務執行も非常に広範囲にわたりますので、これを適切に監督する、あるいは監査をするということはなかなか困難な面があろうかと思います。そのために取締役会の中に監査委員会を設けるわけでございますが、その構成員の過半数は社外取締役ということになりますので、そういった監査委員会の監査をそのメンバーだけで行うということは非常に困難だろうと思います。
 そこで、監査委員会が十分な監査を行うことができるような社内の体制を整備する必要がある、その社内の体制を整備するために法務省令で一定の事項を定めようとするものでございまして、省令の具体的内容といたしましては、監査委員会の職務を補助する使用人の組織独立性に関する事項、あるいは執行役の法令・定款違反行為を発見した使用人等から監査委員会への報告に関する事項、それからリスク管理体制の整備に関する事項、こういったことを省令で定めることを現在予定しております。
#151
○浜四津敏子君 委員会等設置会社におきましては、取締役会の監督機能を高めるために、特例法二十一条の五、一項一号から三号で指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三つの委員会を設けなければならないとされております。
 これら三つの委員会と取締役会とは法律的にどのような関係に立つのかをお伺いいたします。
#152
○政府参考人(房村精一君) この三つの委員会は、いずれも取締役会の構成員である取締役によって構成されますし、この委員会を組織する取締役は取締役会の決議で定められるということになっておりますので、言わば取締役会の内部機関という位置付けになろうかと思います。
 各委員会は、取締役会の内部機関として取締役会の監督の下に取締役会と密接な連携を図ってその職務を適切に遂行するということが期待されているわけでございます。したがって、各委員会を組織する取締役であってその所属する委員会が指名する者は、当該委員会の職務の執行の状況を取締役会に遅滞なく報告しなければならないというような規定も置いておりますし、またその報告を行う必要があれば、委員会を組織する取締役であってその所属する委員会が指名した者に取締役会の招集請求権も与えています。
 そういう内部的機関としての性質も強いわけでございますが、しかし同時に、取締役会とは独立した地位も有すると。
 どういうことかと申し上げますと、例えば指名委員会は株主総会に提出する取締役の選任等に関する議案の内容の決定権限を持っておりますが、この決定は取締役会から独立して指名委員会で決定をするということになっております。また、監査委員会は取締役及び執行役の職務の執行の監査並びに会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定権限を取締役会から独立に持っておりますし、報酬委員会は取締役及び執行役が受ける個人別の報酬の内容の決定については完結した権限を有しております。
 このように、内部機関ではありつつ相対的に取締役会から独立した権限を有している、そしてその構成員の過半数が外部の取締役で占めると、こういうことから、取締役会全体としての監督権限の強化を図っているわけでございます。
#153
○浜四津敏子君 次に、特例法二十一条の十七ないし二十一条の二十一までの間に委員会等設置会社の取締役及び執行役の会社に対する責任について規定されております。これによりますと、取締役及び執行役というのは会社に対しては過失責任とされております。その理由はどこにあるのかお伺いいたします。
 また、委員会等設置会社の制度を選択しなかった会社についても取締役の責任を原則として過失責任にすべきではないかという指摘もありますけれども、この点についての所見をお伺いいたします。
#154
○政府参考人(房村精一君) 現在の商法における取締役の会社に対する責任、これは一般的には過失責任が原則でございますが、例外として、違法配当、それから株主に対する利益供与、それから利益相反取引、この三つの場合については無過失責任を負うということを定めております。今回の法改正に伴いまして、監督体制を整備したということに伴ってこの取締役の責任についても見直しをいたしまして、株主に対する利益供与を除く違法配当と利益相反取引については過失責任としたわけでございます。
 その理由でございますが、まず違法配当で見ますと、委員会等設置会社における計算書類の確定の手続でございます。これは、執行役が計算書類を作成いたしまして、それから会計監査人、監査委員会が監査をいたします。その後、取締役会にかけられてその承認を受けると、こういうことになるわけでございますが、そうなりますと、この計算書類の作成に関与していない取締役、これは、専門家である会計監査人と監査委員会の監査の結果の報告を受けてこれに基づいて決議をするということになるわけでありまして、従来の会社における監査をする会計監査人とか監査役会と同様の役割を担うということになるわけでございまして、監査をした会計監査人あるいは監査役が過失責任、任務懈怠責任しか負わないということと比較いたしますと、委員会等設置会社になった取締役について見ましても同様の任務懈怠責任ということで十分ではないかということを考えたわけでございます。
 執行役につきましては、取締役と異なりまして自ら計算書類の作成を行うわけでございますので、特別の責任を課す合理性は認められるわけでございますが、ただ、委員会等設置会社におきましては、指名、報酬、監査の三委員会を設けまして全体的に監督機能が強化されておりますので、責任についての近代私法の過失責任主義の例外として無過失責任までも負わせる必要性は乏しいのではないかと。そこで、執行役の責任については、その執行役が違法配当を行ったことにつき過失がないということを証明した場合には責任を負わせないということでよろしいのではないかということを考えたわけでございます。
 次に、利益相反行為につきましては、現行の商法では、会社とその取締役の利益が相反するような取引について取締役会が安易に承認を行うということによって会社に損害が生ずることを防止する趣旨で無過失責任を負わせることとしたわけでございますが、委員会等設置会社においては、社外取締役が過半数を占める指名委員会によって決定された取締役候補者の中から取締役が選任される上、執行役という新たな役員を設けて監督と執行を分離しておりますので、利益相反取引についても、取締役会が承認をするについて責任がない、十分注意を払ってその承認をしたという事情がある場合にまで責任を負わせる合理的理由はないのではないかということでやったわけでございますが、ただ、その取締役が利益相反をする場合に、取締役相互の緊密な関係から承認が安易に行われるおそれは否定できない点もありますので、過失のなかったことの証明責任を取締役に負わせることによって十分な注意を払ったということが立証されれば責任を免除する、それができなければ責任を負わせる、こういう考え方にしたものでございます。
 委員会等設置会社でない従来型の場合に無過失責任を維持しているわけでございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたように、委員会等設置会社において取締役の役割が変化したということ、そのことによって業務執行行為に従事しないということで会社に損害を与える可能性が非常に減ったというようなこと、そして取締役会による監督体制が格段に強化される、こういった背景を踏まえて無過失責任を過失責任に転換したわけでございますが、このような手当てがなされていない通常の会社における取締役の責任について、現行法上の無過失責任を直ちに過失責任に変更するというのは時期尚早と考えたわけでございますが、ただ、現行法上の無過失責任規定につきましても厳格に過ぎるという指摘もございますので、今後更に検討をしていきたいと考えております。
#155
○浜四津敏子君 次に、種類株主による取締役等の選解任関係についてお伺いいたします。
 改正法案の商法二百二十二条一項六号によりますと、取締役又は監査役の選任についての種類株式が発行できると、こういう規定になっております。同じく二百五十七条ノ三、一項によれば、種類株主による取締役の解任、また二百八十条による準用で種類株主による監査役の解任と、それぞれ規定されているわけであります。
 まず第一点ですが、二百二十二条一項五号に、昨年秋の臨時国会における商法改正で創設されました議決権制限株式が規定されております。この議決権制限株式と取締役又は監査役の選任及び解任についての種類株式との関係についてまずお伺いいたします。
#156
○政府参考人(房村精一君) 取締役等の選任についての種類株式、例えばAの株式では取締役五人のうち三人選任できる、Bの株式では二人選任できる、こういうものを発行した場合に、ある意味では取締役の選任に関する議決権が制限されていると、こういう理解も可能なわけでございます。ただ、従来の議決権制限株式の中でこういう取締役選任についての種類株を発行しようとしますと、今申し上げたような片方が三人、片方が二人ということですから、発行する株式全部がそれぞれ何らかの形で制限されているということになってしまうわけでございます。
 ところが、従来の議決権制限株式につきましては、発行済株式の総数の二分の一以上は発行できない、こういう規定がございますので、従来のをそのまま当てはめますと適切な種類株式が構築できない、こういうことになりますので、従来の議決権制限株式と別に取締役等の選解任についての種類株式ということで別建てのものとして考えたわけでございます。
 したがって、取締役等の選解任についての種類株式を発行いたしますと、取締役等の選任、解任はそれぞれの種類株主総会ごとに行う、したがって株主総会では取締役の選任は行わない、こういうことになります。したがいまして、株主総会における議決権制限がなされる議決権制限株式には当たらないということになりますので、別個の株式と、こういう形になります。
#157
○浜四津敏子君 改正商法二百二十二条七項には、取締役又は監査役の選任について内容の異なる種類株式を発行する場合に定款で定めるべき事項が規定されております。他方、現行の商法二百二十二条二項を見ますと、種類株式を発行する場合には定款をもって各種類株式の内容を記載することが既に要求されております。
 にもかかわらず、今回の二百二十二条七項をわざわざ設けた理由はどこにあるのか、また現行の商法二百二十二条二項と改正案の二百二十二条七項との関係についてお伺いいたします。
#158
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、種類株式を発行する場合には定款にその内容を記載するということは既に法律上定められているわけでございますが、しかし取締役等の選解任に関する種類株式を発行する場合にはその株式の内容として定めるべき事項が相当複雑になりますので、改めて取締役等の選解任に関する種類株式について定款に定める事項を法律に明定するということが必要であろうと、こういうことを考えまして新たに七項を設けることといたしたものでございますので、言わば二項の内容をより具体化、明確化した規定ということになろうかと思います。
 特に、種類株主がいなくなった場合の対応をどうするかというようなこともあらかじめ定めておく必要があるというようなことは従来の規定だけではなかなか読みにくいものですから、やはりこういう新たな規定を設ける必要があるということだと思っております。
#159
○浜四津敏子君 改正法案によりますと、この種類株主による選任及び解任の制度を取締役だけでなく監査役についても認めることとしております。当初、中間試案の段階では取締役についてだけこの制度を設けることとしていたというふうに理解しておりますが、監査役についても認めることとなった理由についてお伺いいたします。
#160
○政府参考人(房村精一君) 当初、取締役を念頭に置いていたわけでございますが、やはり会社の中でそれなりに重要な役割を果たしております監査役につきましても、株主の意向を反映した数の監査役を選任するという要望があるということから、今回、この監査役についても同様の制度を採用するということにいたしたものでございます。
#161
○浜四津敏子君 次に、端株等の買い増し制度の関係についてお伺いいたします。
 改正案の商法二百二十条ノ七で、端株主の会社に対する端株買い増し請求を認めております。そういう制度を創設することとしております。現行商法では、端株主は会社に対して端株買取り請求のみができると、こういうことになっておりますけれども、今回は買取り請求だけではなくて、逆に買い増し請求というものを双方認めるということにしているわけですけれども、この制度創設の趣旨をお伺いいたします。
#162
○政府参考人(房村精一君) 端株は譲渡がなかなか難しい、あるいは議決権の行使ができないというようなことで権利が制限されております。そういうことから、端株を保有する者の不利益を解消するために、従来は端株主に買取り請求権を与えて、その金銭的な満足を得るということを保障していたわけでございます。
 しかし、それでは必ずしも十分ではないのではないか、やはり株主としてその権利を行使したいと、こういう要望もあるようでございますので、端株主が株式になるだけの分を買い増しの請求をする権利を与えて、会社が持っている株式からその端株分を譲渡して、それによって一人前の株主といいますか、株式としての権利を行使できるだけのものにしていく、こういう制度を設けることによってその端株主の権利の保護を図ろうと、こういうことを考えたわけでございます。
#163
○浜四津敏子君 ですから、この制度によりますと、端株主から会社に買い増し請求がなされると会社は特定の者に対して自己株式を譲渡するということになるわけであります。現行制度では、自己株式の処分につきましては原則として新株発行手続を要求しておりますが、その制度の趣旨に反することにならないのかについてお伺いいたします。
#164
○政府参考人(房村精一君) 現行法で、自己株の処分について新株発行と同様の手続を要求することといたしましたのは、仮に会社が恣意的に特定の第三者に自己株を大量に譲渡する、あるいは第三者に市価より非常に安い価格で譲渡する、こういうようなことを認めてしまいますと、既存の株主に損害が生ずる、こういうことを防ぐために新株発行と同様の手続を要求して、既存の株主の権利を保護することとしたわけでございます。
 ところが、この端株の買い増し制度でありますと、要するに〇・三株を持っている端株主が〇・七株を譲り受けて一株にするということで、譲り渡される量も非常に少ないわけでございます。また、価格についても原則として市場価格あるいは裁判所の判断する価格というような公正な価格が担保されておりますので、これについて新株発行と同様の重い手続を要求しなくても既存の株主の権利が害されるおそれはないであろうということで、そのような手続を要求していないわけでございます。
#165
○浜四津敏子君 端株につきましては、その影響が非常に小さい、他の株主の利益を害することが少ないという御説明でしたが、二百二十一条ノ二では、単元未満株式を有する株主についても、その有する単元未満株式の数と合わせて一単元の株式数となるべき数の株式を売り渡すよう会社に請求できるということとされております。ですから、例えば千株を一単元としている場合に、六百株を持っている株主があと四百株会社に対して売り渡せと、こういう請求ができることになるわけです。
 この単元未満株式についても買い増し制度を認めることとした理由はどこにあるのか、お伺いいたします。
#166
○政府参考人(房村精一君) 単元未満株につきましても原則として譲渡性がなくて議決権が排除されていると、そういう点では端株と共通の性格があります。そういうことから、端株と同様にその保有者に買取り請求権が認められているわけでございますので、端株について先ほど、その所有する株主の権利保護のために買い増し請求を認めるというのと同じ考え方に立ちまして、単元株として完全な議決権等を持った株主になりたいという御希望があればそれに応ずるということを考えまして、単元未満株についてもその買い増し制度を同様に創設するということを考えたわけでございます。
#167
○浜四津敏子君 次に、外国会社の関係についてお伺いいたします。
 改正案商法四百七十九条では、従来は、外国会社が日本で取引を継続してなそうとするときは営業所を設くることを要すと、こうされておりまして、営業所設置が義務付けられておりました。それが、改正案四百七十九条一項でその義務が撤廃されております。したがいまして、営業所を設置するかどうかというのは外国会社の自由にゆだねられるということになります。
 我が国だけが外国会社の営業所設置義務を撤廃するというのでは相互主義の観点から問題があるのではないかと思われますが、諸外国ではどうなっているのか、その辺り支障がないのかどうかについてお伺いいたします。
#168
○政府参考人(房村精一君) 諸外国のうち、米国、英国、ドイツ、フランス、ここにつきましては、国内において継続して取引をしようとする外国会社に営業所の設置義務は課しておりません。したがいまして、従来の我が国の規定の方がある意味では諸外国、今言った先進四か国に比べて重かったわけでございます。
 そういうこともありまして、インターネット等で、必ずしも営業所を設置しなくても営業がなされる可能性も増えているというような客観情勢の変化も踏まえまして、今回この営業所の設置義務を撤廃することといたしたわけでございますが、内容的には諸外国と言わば同様の規制にするということでございます。
#169
○浜四津敏子君 改正案商法四百八十条によれば、日本に営業所を設けない外国会社の登記した商号については十九条及び二十条二項の規定を適用しないとなっております。すなわち、十九条というのは、「他人ガ登記シタル商号ハ同市町村内ニ於テ同一ノ営業ノ為ニ之ヲ登記スルコトヲ得ズ」と、こうされておりまして、商号登記の排他力を規定している条文でございます。また、二十条は差止め請求等を認めている条文でございますが、日本に営業所を設置する外国会社と日本に営業所を設置しない外国会社とでその商号の保護の程度を区別しているのはなぜなのか、その理由をお伺いいたします。
#170
○政府参考人(房村精一君) 現行法では、商業登記は各営業所ごとに登記をいたします。その営業所が営業の中心になりますので、その営業所で登記した商号についてはその管内では独占的に使用を認めると、こういうことになっているわけでございます。ところが、外国の会社につきましても、営業所を設置した場合にはこれは日本と同じに扱う必要があるわけでございますが、営業所を設置していない場合には営業の中心としての営業所というものはございませんので、現行法上も、そういった形での独占的な使用権を与えるのは適切でないということで区別をいたしております。
#171
○浜四津敏子君 次に、所在不明株主の株式売却関係についてお伺いいたします。
 二百二十四条ノ五の三項によれば、所在不明株主の株式を売却した場合には、株主に対し株主名簿上の株主の住所等にあてて株式売却の通知をすることとされております。しかし、所在不明株主というのは通知が届かないから所在不明と言われているわけで、この通知は元々無意味ではないかと考えられますが、いかがでしょうか。
 また、所在不明株主というのは実態としてどういう理由で所在不明となっている人が多いのか、お分かりであればお教えいただきたいと思います。
#172
○政府参考人(房村精一君) 確かに、少なくとも五年間は通知をして到達していない場合でございますので、改めてやる必要があるのかという考え方もあろうかと思います。
 ただ、やはり他人の株式を売却することを法律上認めるわけでございますので、念には念を入れて改めて通知をしていただく。そして、通知先も、従来は株主名簿に記載された住所あるいは届け出られた住所のいずれかにすればよかったものを、今回はその双方にするということで念を入れておりますし、更に公告も要求をいたしまして、最終的に売却を認めるために、一応尽くせる手だては尽くすという形で法律を考えたものでございます。
#173
○浜四津敏子君 今回、この制度で所在不明株主の株式を会社の判断で売却できるということになっているわけですけれども、それはちょっと乱暴過ぎるのではないかという指摘がありますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
#174
○政府参考人(房村精一君) それから、先ほどの御質問に対して答弁が漏れておりましたが、どういう事情で所在不明株主が生ずるか。これもいろいろあろうかと思いますが、多いのは、相続等で株の所在が不明になってしまう、あるいは転居を繰り返して、その通知が届かずにいつの間にかなくなってしまうというようなことではないかと思っております。
 それから、乱暴過ぎるがというただいまの御質問でございますが、この点につきましては、やはり会社としては、所在不明であっても株主として管理を続けていかなければならない。ところが、株主として議決権ももちろん行使いたしませんし、配当も受領しない、通知も到達しない、こういう方に対して管理コストだけはいつまでも会社が存続する限りずっと負担しなければならない。そのコストは最終的には他の株主の負担になってしまうわけでございます。
 そういう意味では、一般的に法律で権利が行使されていない宙ぶらりんな状態になったときに、通常は、請求権であれば消滅時効のような形で最終的に権利義務関係を明確化する、整理をするという仕組みを用意するわけでございます。この株式については、株主権ということで構成してありますので消滅時効という制度はないわけでございます。したがって、ほっておきますといつまでたっても管理コストが掛かってしまう。これを何とか抜本的に解決する方策を考える必要があるだろうと、こういうことから、今回この所在不明株主の株式の売却制度というものを考えたわけでございます。
#175
○浜四津敏子君 最後に、副大臣にお伺いいたします。
 商法改正はこの数年間頻繁に行われてまいりました。今回の改正はその一応の締めくくりという形になっていると思われますが、まだまだこれからも企業活動をめぐる状況の変化も予測されるところであります。
 今後の課題についてどうお考えか、副大臣にお答えいただきたいと思います。
#176
○副大臣(横内正明君) 今後の商法改正の課題について御質問がございましたけれども、今後の商法改正の課題の一つは、株券の不発行制度の創設ということでございまして、中小会社等におきましては、株券を発行するということがかなりのコスト負担になっているというようなこともございますので、株式会社が選択によりまして株券を発行しないことができるものとする、株式をペーパーレス化するというものでございます。
 改正の課題の二番目は、電子的公告制度の創設ということでございまして、株式会社が行う例えば合併等の公告を電子的な方法で行うことができるものとする、そういう改正の課題でございます。
 それから、三点目といたしまして、商法は御案内のように度重なる改正で枝番の枝番のというような条文もございますし、片仮名であるということもございまして、商法の現代化というのが課題になっております。
 とりわけ、商法、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律というものに規定が分かれて規定されております会社法制につきまして、平仮名、口語体表記の一本の法典にまとめて規定をするとともに、会社法制全体の整合性を図るということを内容とする会社法制の現代化を検討するということにしております。
#177
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
 終わります。
#178
○委員長(高野博師君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#179
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。
    ─────────────
#180
○委員長(高野博師君) 休憩前に引き続き、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#181
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 朝からの審議の中で、瀋陽の領事館の事件にかかわって我が国の難民行政についての様々な質疑がございました。大変日本の難民の受入れのハードルが高い、またアムネスティなどからも審査手続が遅いとか透明性に疑義があるとか、こういうことが指摘もされておりまして、改めて今問われていると思います。この問題は、あさって集中ということにもなりましたので、その場でさせていただきますが、今本当に大幅な思い切った改善が求められているということのみ指摘をしておきたいと思います。
 商法、二度目の質問になるわけでありますが、この間の企業の様々な不祥事や破綻というものが日本経済に及ぼしている状況を見ますと、経営陣の暴走の監視、そして企業の社会的責任をどう果たしていくのかということが商法改正に求められているが、今回の法案はアメリカ型の言わば良いとこ取り的なものではないかということを前回質問をいたしました。
 更に聞くわけでありますが、今回、アメリカ型の企業統治の導入を可能として、このアメリカ型と日本型の競争がされるというのが利点だという答弁もありました。しかし、アメリカと日本ではその背景にある制度や仕組みの現状が随分違うと思うんです。
 参考人質疑のときもこの点お尋ねをしたわけでありますが、学者の参考人からも、アメリカでは企業の内部自体にコンプライアンスの仕組みがあり、これを前提に監査委員会が機能していると。また、アメリカのようにディスクロージャーを充実をして、かつ会計監査に関する広い仕組みを充実していくことがこの制度が機能をしていく大きな前提だと、こういう指摘がございました。
 こういうディスクロージャーの問題、インサイダー取引規制などがアメリカからまだ大きく後れているという我が国の現状で、その仕組みの一部だけ取り入れるというのは政策的な整合性を欠くんではないかと私は思うんですが、その点、大臣の御所見をまずお伺いします。
#182
○国務大臣(森山眞弓君) 委員会等設置会社の制度は、取締役会の決議事項を大幅に業務執行役員に委譲いたしまして効率的な業務執行を可能としながら、業務執行行為の適正を確保するために、取締役会の中にそれぞれの構成員の過半数を社外取締役とする指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三つの委員会を設けまして、取締役会の監督機能を大幅に高めようとする制度でございます。
 企業間の国際的な競争が大変激化しております現代の社会経済情勢の下で、我が国の企業がその経営の効率性を高め、その競争力を強化する必要性は極めて大きいものがございます。委員会等設置会社の制度は、我が国の企業を取り巻くこのような情勢に対処するために有効な選択肢の一つとなり得るというふうに思います。
 なお、御指摘の我が国のディスクロージャー規制やインサイダー取引規制につきましては、法務省の所管外の事項ではございますが、近年、証券取引の活発化に伴い適切な法整備が行われまして、諸外国と比べても遜色のない体制が整備されているものと承知しております。
#183
○井上哲士君 先ほども紹介しましたように、あの参考人質疑の中でも、本当にこれが機能していくかどうかはその分野の整備が前提であり、求められているということを言われたわけで、私は諸外国と比べて遜色ないというのは実態と違うんではないかと思うんです。
 二月十五日付けの日経のある記事を大変興味深く読んだんですが、いわゆる失われた十年ということが言われますが、結局のところ、企業会計のディスクロージャーの制度的な不備と、それを補うべき行政の対応が御都合主義で変わることが、このいわゆる日本経済の失われた十年を引き起こしたという指摘であります。今、この記事では、エンロン事件などをきっかけにアメリカでも会計の不信感が高まっているとして、減損会計の厳格適用にブレーキを掛ける声が日本の財界のトップから起こっていると、そう指摘した上で、世界の投資家の日本市場への無関心は日本の政治家や財界のリーダーたちの無原則に対する見切りではないか、こういう指摘もされているわけでありまして、私はやはりこういう前提ともいうべきディスクロージャーの問題等々の整備強化が一層求められているというふうに思うんです。
 今度の改正案では、いわゆる取締役会による迅速な意思決定に専ら主眼が置かれております。しかし、この間、議論もありましたように、いわゆる狭い株主利益の追求だけではなくて、ステークホルダーの利益の保障ということの重要性が指摘をされてまいりました。
 この点でも参考人質疑でソニーの取締役の、社外取締役の方にお聞きをしたわけでありますが、かつてソニーの盛田会長が「「日本型経営」が危い」という論文の中で、株主利益とともにいわゆるこうしたステークホルダーの利益をしっかり考えていくということをやらないと日本の経済は世界で受け入れられないと、こういう指摘についての御見解をお聞きしました。そうしますと、それ自体は否定をされませんが、それができるためにも効率的にやらなくちゃいけないんだと、こういうお話で、私は聞いておりまして、結局、否定はしないけれども、こうしたステークホルダーの利益という問題が限りなく後回しにされていく議論だなということで、お聞きをしておりました。
 衆議院でもこの問題の質疑がありましたけれども、大臣はこういう利害関係者の利益の問題を考慮するのが既にある意味では前提になっている、また良識のある経営者であれば当然の常識だと、こういう御答弁をされました。
 しかし、前提になっていないから、今いろんな問題が私は起きていると思うんです。こういう利害関係者によって企業の暴走等をチェックをするという、そういう仕組み、発想というものをやはり商法の中にしっかり取り入れていくことが必要かと思うんですが、その点での大臣の御所見をお願いします。
#184
○国務大臣(森山眞弓君) 会社が企業活動を行っていきますのに当たりまして、従業員とか消費者とか取引先なんかの様々なものと関係を持つということでございますが、継続的に安定した経営を行っていくためには、これらの利害関係者の利益についても十分に配慮をするということは当然と私は思うわけでございます。
 この点、今回の商法改正における委員会等設置会社の制度におきましては、取締役会の中にそれぞれの構成員の過半数を社外取締役とする指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三つの委員会を設けまして、取締役会の監督機能を大幅に高めて、業務執行者がその権限を乱用して暴走することがないように、そのような事態を防止するようにということが考えられているわけでございます。
 このような委員会等設置会社における取締役会の監督機能の強化というのは、単に株主の経済的利益を図ることのみを目的とするものではなくて、会社を取り巻く様々な利害関係者の利益が適切に反映されて、効率的かつ適正な会社の業務執行が行われることを可能としようとするものでございますので、御指摘のような御心配はなかろうと思うのでございます。
#185
○井上哲士君 本当にそういうふうに機能をしていくのかという点が、私、先ほど前提の問題も申し上げましたけれども、大変疑問だと思うんです。
 様々な分野のやはり利害関係者の意見やチェック機能ということを商法に直接取り込んでくるということは、我が国の商法改正の議論の中にもありました。
 ちょっと古い話になりますが、一九七四年の商法の改正の際の本委員会での附帯決議でも、「大規模の株式会社については、その業務運営を厳正公正ならしめ、株主、従業員及び債権者の一層の保護を図り、併せて企業の社会的責任を全うすることができるよう、株主総会及び取締役会制度等の改革を行なうため、」「所要の法律案を準備して国会に提出すること。」と、こういう附帯決議もされたという経過がありますが、私は、その後の商法改正の歴史を見ておりますと、これはやはり横に置かれてきたのではないかなと思うんです。
 一方、アメリカなどでは、八〇年代から九〇年代に掛けて会社法の中に取締役の社会的責任を明記をするということが広がっております。多くの州はそういうことを考慮できるというふうになっておりますが、コネティカット州の規定などは、取締役が会社の最善の利益になると合理的に信じられることを決定するに当たって次のことを考慮すべきであるとした上で、会社の従業員、顧客、債権者及び供給者の利益、地域社会の住民を含む地域社会及び社会的要因というようなものまで規定をしております。
 参考人質疑の中では、MアンドAへの経営者側の対抗措置という側面も指摘があったわけでありますが、私は、アメリカの例えば地域再投資法などを見ておりますと、やはり企業の社会的責務というものをきちっと問うという土壌の上に置かれている側面も非常に強いと思うんです。こういう責務というものを商法の中に取り入れていくということが必要だと思うんですが、その点どうでしょう。
#186
○政府参考人(房村精一君) 現代社会において企業の果たす役割というのは飛躍的に重要になってきております。そういうことを踏まえますと、企業の業務執行に当たります取締役がその職務を執行するに当たって何らかの社会的責任を有しているということは否定できないことだろうと思っております。
 ただ、このような責任を、いわゆる道義的な責任にとどまらず法律的な責任ということで商法上に規定するということになりますと、内容が非常に不明確であるということもありますし、また現在、商法において取締役が負っております司法上の責任の性格をあいまいにするおそれもあるのではないか。現行法におきましても、取締役は会社との関係で委任関係に立ってそういう直接的な責任を負うほか、商法によって直接、法令の定めを遵守するという義務も課されているわけでございまして、そういったものを超えて社会的責任ということを商法の中に規定するということは相当慎重に検討しなければならない事柄であろうと、こう思っております。
#187
○井上哲士君 先ほど紹介しましたアメリカ・コネティカット州などでは、利害関係者の利益が適切に考慮されない場合に、利害関係者が取締役に対して訴訟を提起をするということも認められている規定になっております。日本の企業の現状などを見ますと、私はこういうものをしっかり取り込んでいくことが必要ではないかということを指摘をしておきたいと思います。
 次に、今回、いわゆる社外取締役に親会社の役職員は排除をされませんでした。従来から親会社によります会社支配ということは問題になってきましたが、独禁法緩和で持ち株会社も解禁をされるという中で一層重要な問題だと思うんです。
 衆議院の答弁を見ておりますと、その会社若しくは子会社の役職員を排除すれば、執行役の行う業務執行とは切り離された地位に立つ人であることが担保されると、こういう答弁でありました。
 しかし、実際上、親会社や持ち株会社から執行役が選ばれると。そして、この監査委員会の一員となる社外取締役も実際上はそういう親会社等から事実上選ばれていくということになりますと、その業務執行から切り離されたとは言えない状況になって、やはり監査が骨抜きになるんではないかと私は思うんですが、その点いかがでしょうか。
#188
○政府参考人(房村精一君) 監査を担当する者がその会社の業務執行権限であるとか代表権であるとかというものを持っている人の影響下にある場合にはなかなか十分な監査が行えないと、こういうことから、少なくとも監査委員会になる人はその会社の業務執行を担当したりあるいはその子会社の役職員になったりということを避けるように、今回、法律の要件で定めたわけでございます。
 そういう点では、親会社というのは子会社にとってみれば株主の地位に立つわけでありますので、そういう親会社からの者が監査役になった場合に、ある意味では株主としての利益を適切に行使するために監査を行うという面もあるわけでございまして、いわゆるその会社の業務執行あるいはその子会社の者というのとは立場が違う。そういう意味では、社外かどうかを判断するときにその親会社の者を社外の要件として除外するということはいたさないということにしたわけでございます。
#189
○井上哲士君 社外取締役には、言わば、何といいましょうか、お目付役的な機能がまた求められていると思うんですね。
 今、一昨日も雪印食品の問題がまた出ておりましたけれども、こういう今の日本の企業の状況を見ておりますと、様々な親会社の影響の下で子会社の従業員であるとか下請企業等への様々なしわ寄せがあるということを見ますと、本当にそういうお目付役的な機能を果たすんだろうか。社外取締役は三委員会を兼任できるということでありますから、事実上、二人送り込んでそれぞれに配置をするということになりますと、執行役と、そしてこの二人の社外取締役を親会社が送り込めば、事実上、チェック機能というものが本来期待される役割を果たさないのではないかと私はやはり思うんですが、その点、重ねてどうでしょう。
#190
○政府参考人(房村精一君) 基本的に、社外取締役等を要求して監査の実を図りたいというのは、業務執行を担っております取締役であるとか、あるいは委員会等設置会社であれば執行役でございますが、そういった人たちが株主の適切な利益を無視して恣意的な会社運営を行うということを防ぎたい、そのためにはそういう業務執行を担っている人たちの影響下にない人を監査役あるいは監査委員に確保したい、あるいは取締役のメンバーとして確保したい、こういうことでございます。
 そういう意味では、少なくとも親会社というのは基本的に株主の立場に立っているわけでございますので、その親会社の人が現在の会社の業務執行を担当している者の影響下で適切な監督権限が行使できないと、こういうことは予想しにくい。そういうことから、社外性の要件として親会社の人は除外するということをしていないと、こういうことでございます。
#191
○井上哲士君 今の、しかし、日本の企業のいろんな、系列であるとかそういう実態を見ますと、実際には一〇〇%、別に株式を親会社が持っているわけじゃありませんで、一部だけ握っていてもそうやって送り込んでいけるということになりますと、やはり本来、国民が望むチェック機能ということは私は働かないのではないかということを繰り返し申し上げておきます。
 次に、監査委員会そのものについて聞くわけですが、この間いわゆる監査役の制度としては様々な強化がされてまいりましたけれども、これに逆行するのではないかといういろんな懸念も挙げられております。
 今の監査役制度でいいますと、監査役の独任制というのが一つの大きな特徴でありますけれども、監査委員会になりますと、この独任制ということはどう変わるんでしょうか。
#192
○政府参考人(房村精一君) 監査委員会の有する監査権限というのは、基本的には通常の大会社における監査役の権限と同様でございます。
 ただ、現在の監査役の場合には、御指摘のように、独任制で個々の監査役がその権限を行使するということになっておりますが、委員会等設置会社の場合には幾つかの点において異なる点が出てきております。
 その第一は、まず会社の取締役に対して報告を求める、あるいは支配人に対して報告を求めるという報告徴収権がございます。また、会社の業務の調査権がございます。これにつきまして、委員会等設置会社の監査委員会の場合には、個々の監査委員が独立して行うのではなくて、監査委員会を組織する取締役、監査委員ですね、この者のうち監査委員会が指名する者が行使をするということとしております。また、子会社に対する調査権についても同様でございます。
 これは、委員会等設置会社になるような会社の場合には規模も大きいし、監査の事務量も相当大きなものになるだろうと。そういうものを適切に監査するためには、やはり監査委員会で統一した方針を定めて、その下に事務を合理的に分担して組織的な監査を行う必要がある。そういう考えから、この報告徴収権とか調査権につきましては、個々の監査委員がばらばらに行うのではなくて、委員会として統一的、組織的に行うと、こういうことを考えて、委員会が指名した者が行使するとしたわけでございます。
 それで、変わっていない点もございまして、例えば取締役が違法な行為をしているということに気が付いた場合に取締役会へ報告をする義務、これを監査役が負っておりますが、これにつきましては、監査委員会を開いて報告をするようないとまがない場合もございますので、個々の監査委員が独立に行使をできる。また、違法な取締役に対する差止め請求の権限についても同様に個々の監査委員が行使できるということで、この点は監査役と変わりません。
 また、監査報告でございますが、これにつきましても、通常の大会社における監査役会の監査報告書と同様に委員会としての報告がございますが、それと並んで、違う意見を持っている場合には各監査委員がその意見を付記することができる、そして監査委員の一人でも計算書類について不適法又は著しく不当な記載がある旨の意見を付記すれば計算書類を取締役会会議で確定することができないと。こういう点については、現行の大会社における監査役会、監査役と同様の扱いということでございますので、そう大きく変わっているわけではございません。
#193
○井上哲士君 監査の質が低下をするという指摘のもう一つにいわゆる常勤制がなくなるということもございます。これは、いわゆる社内のシステムの強化で担保できるということでありましたし、午前中の質疑でも省令のことも出ておりましたけれども、その社内システムの独立制とか報告に関する事項、もう少し、どこまで定めていくのか、省令で、詳しく。御答弁願えますか。
#194
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、監査委員会の監査活動を実質的に補助するために社内に監査のための体制を整備していただくと、そのことを法律上も要求いたしまして、その具体的内容を省令で定めるということを検討しているわけでございます。
 現在、既に御指摘になられたとおりで、今、私どもで検討しております内容といたしましては、監査委員会の職務を補助する使用人の組織であるとか、あるいはその独立性に関する事項を省令に盛り込むということと、執行役の法令・定款違反行為を発見した使用人らから監査委員会への報告に関する事項、これは、例えば現行法でいきますと、監査委員が先ほど申し上げたように、取締役の違法な行為に気が付いたときには取締役会に報告する義務というようなものがあるわけですが、そういったものを参考にして、使用人についてその具体的な報告義務、報告に関する事項を定めようと思っております。
 そのほか、リスク管理体制の整備というようなものもございますので、まだ、誠に申し訳ありませんが、それ以上に具体的な案文というところまで行っていないものですから、今回の御審議等を踏まえて早急に内容を検討したいと思っております。
#195
○井上哲士君 例えば、そういう体制の規模であるとか、そういったものまでは省令では定めないということでよろしいんでしょうか。
#196
○政府参考人(房村精一君) 規模等になりますと、会社の実情によって相当異なってくる面もあろうかと思いますので、余り、具体的なことというよりは、やはりある程度抽象的な形で決めて、それに沿った具体的、妥当な組織の在り方はそれぞれの会社で適切に判断していただくということになろうかと思っておりますが、いろいろ検討してみたいと思っております。
#197
○井上哲士君 実際には、委員会制度を取る会社はまだ極めて少数だと言われることから見ますと、現行の監査役の制度の強化も求められていると思うんですが、今出ましたようなそういう事務局体制などは、従来の監査役には多くの場合、用意されていないというのも御答弁であったわけですが、むしろ大半がこの制度が残っているわけですから、そういう従来の監査役制度でのこうした事務局体制の強化なども求められていると思うんですが、この点はどうでしょうか。
#198
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、従来の会社につきましては、いわゆる特例法上の大会社でございますが、常勤の監査役を要求するということで監査の充実を期待したわけでございます。
 ただ、今回、この委員会等設置会社につきまして、こういった内部統制システムを設けるということで監査の実効性を担保しようとしたわけでございますので、従来の会社についてそのような内部統制システムを構築するかどうかというのは、現行の、この改正の考え方ではそれぞれの会社で適切に判断をしていただくということでございますが、今後、この内部統制システムの在り方等を参考にいたしまして、従来の会社についての監査体制の充実についても検討を深めていきたいという具合には考えております。
#199
○井上哲士君 次に、株主代表訴訟についてお聞きしますが、今回、取締役の権限が非常に大きくなる一方で、責任軽減ということになりました。株主代表訴訟についても、昨年の議員立法でこの責任軽減ができるということがされたわけです。しかし、アメリカなどでは、社外取締役は別として、業務執行役員に対してこういう賠償金額などに上限を求めている州はほとんどないと承知をしておるんですが、今回、むしろ権限が強まる以上、私は責任も大きくすべきだと思うんです。アメリカ型を導入するに当たって、このいわゆる賠償責任の軽減という株主代表訴訟の改定の問題についても改めて見直しをすべきではないかということを思うんで、その点どうかと。
 それからもう一点、いわゆる持ち株会社の株主に元の会社の株主がなることによって株主代表訴訟の当事者適格がなくなるという問題があります。そういう判例が一つあるわけですが、衆議院の御答弁では判例や学説の動向を見守ってということでありますが、こういうアメリカ型を導入をしていくわけでありますから、この点は見守るということではなくて、直ちに言わば政策判断の問題として法改正に着手をすべきだと私は思うんですが、この点、併せて御答弁をお願いします。
#200
○政府参考人(房村精一君) 委員会等設置会社を新しく導入した場合の取締役あるいは執行役の責任の問題でございますが、この点につきましては、昨年の臨時国会で取締役の責任について一部免除をすることができるという規定が導入されたばかりでございますので、その一般的な考え方はこの委員会等設置会社についても同様であろうと思いますので、私どもとしては、この昨年の秋導入されました取締役の責任の一部免除については、この委員会等設置会社についてもそのまま適用すると。その場合に、新たに設けられました執行役につきましては、委員会等設置会社の取締役会からの委任を受けてその業務執行に当たるという大幅な権限が認められておりますので、従来の会社でいいますと業務執行権限を有する取締役に相当する地位に立つということで、そういったものとしてやはり取締役と同様の責任を負うということを考えたわけでございます。
 それから、株主代表訴訟の原告適格を失うかどうかという点でございますが、これについては、御指摘のように学説、判例、いろいろな考え方が出ておりますので、私どもとしてはそれを見極めたいということが一つございます。
 また、それから、仮に親会社の株主が直接代表訴訟を提起できないといたしましても、子会社に対する株主である親会社に適切な株主代表訴訟の権限の行使を期待して、その権限の行使を怠ったということを理由に親会社の株主が親会社の権限行使を怠った者に対して株主代表訴訟を起こす道というものは開かれているわけでございますので、そういった点も含めまして、私どもとしてはもう少し実情を見て、必要があれば適切な対策を講ずるということとしたいと考えております。
#201
○平野貞夫君 今日は、この商法改正案の締めくくり総括質疑のようなものでございますので、振り返りながら総括的なお尋ねをしたいと思いますが、考えてみますと、この法案は大変な法案だ、法律です。日本のこれからの経済の構造を支えるといいますか、あるいは規制すると言ってはちょっと適切でないかも分からぬですけれども、基本的な仕組みを作る法律だと思います。
 そういう意味で、若干反省しておるんですが、法務委員会だけの技術的な議論でなくて、本来ならば経済産業委員会だとか財政金融委員会なんかとの連合審査等による、そういう総合的な審議が必要ではなかったかと。今日もう採決の段取りも決まった後ですからこれ以上申しませんが、そういう反省を持っているわけでございます。
 そこで、私、最初に政府参考人に確認的なお話、お尋ねをしてもらいたいと思いますが、私はこういった会社経営関係の法規の素人でございますので、四月二十五日に、コーポレートガバナンスというのは一体何ですかという最も素朴な質問をいたしました。そのときに政府参考人は、企業経営の適法化を確保することと企業経営の効率性を確保することだと、こういう説明でございました。私がそれに対して社会的な意味はないのかという問い返しをしますと、いわゆる経営の効率化と適法性の確保、そして社会的責務の追求、こういったものがガバナンスの意味だとおっしゃったんですが、社会的責務の追求というのはもうちょっと具体的に説明するとどういうことになりますか。
#202
○政府参考人(房村精一君) 現代社会は基本的に企業の活動によって支えられているところが非常に大きいわけでございます。そういう社会における企業の責務というのは、正にその企業が企業活動を通じて社会の需要にこたえ、社会の必要を満たしていくというところにあるんだろうと思います。
 そういう意味では、企業活動を適法に、かつ効率的に行うということがある意味では最も大きな社会的責務を果たす道ではないかと思っておりますが、そういう意味の適法性あるいは効率性の確保と同時に、それと同時に、また社会的な存在として企業がいろいろな意味で地域社会なりあるいは全体の中での占める位置というのはありますから、そういった点での社会的な責任ということも考慮に入れる必要があるだろうと思いますが、そういったものを総合して企業の社会的責務ということになるのではないかと思っております。
#203
○平野貞夫君 そうしますと、もう分かりやすく言うと、要するにその企業を不良企業にしないこと、そしてその企業を発展させることだと、そのためのシステムだ、メカニズムだというふうにとらえてよろしいですか。
#204
○政府参考人(房村精一君) 基本的にはそういうことになろうかと思いますが。
#205
○平野貞夫君 分かりました。
 それでは、現行の会社法の基本というのは取締役会を中心に置いていましたですね。取締役会で業務の決定を行い、業務の遂行は代表取締役にゆだねて、業務執行を監督して補佐すると、そして監査役という役職が執行を監査すると、こういう仕組みなんですね。これが、結局、これを改正しようというわけでしょう、変えようというわけでしょう。となりますと、この仕組みのどこがどういうふうに欠陥があるんですか。
#206
○政府参考人(房村精一君) 欠陥と申しますか、取締役会が業務執行について決定をする、それと同時に執行する取締役もそのメンバーである。そして、そういった業務執行についての監督権もその取締役会が持っているということで、そういう意味では、いったん取締役会が余り適切でない方向に行ったときに、自ら決めて自ら実行していることを自ら適切に監督できるのかと、こういうことが問題になるわけでございます。
 そういうことから、現行法でもいろいろな仕組みを作っているわけでございますが、今後、執行権限を更に集中して迅速な決定を可能にするということのためには、やはりそれに見合うだけの監督権限の強化を図る必要があるだろうと。その方向としては、執行を行う者と監督を行う者を相当程度分離する。そういう機能分担をすることによって監督の実効性と決定権限の迅速性、これを確保するということではないかという具合に今回考えまして、この委員会等設置会社を選択制として導入をすることを改正でお願いしているわけでございます。
#207
○平野貞夫君 この十年といいますか、あるいは二十年といいますか、過去、日本の経済社会が非常に変動を来したと。現代、大変混迷しているわけですが、一部の見方によりますと、日本の成長を成功させて豊かになった中で、特に大きな会社が急速に放漫経営になったと。それはいろいろな意味があると思いますが、その原因の一つに、こういう会社法の仕組みがあったというような認識をしてよろしいんですかね。
#208
○政府参考人(房村精一君) 現行の仕組みが悪くて放漫経営というようなことになったのかということですと、それは現行の仕組みでももちろんきちんとやっている会社もたくさんあるわけでございまして、あるいは逆に、今度導入する英米型でもおかしな会社もアメリカにもあるわけでございます。ですから、ある意味でそういう違法な事態が生じた場合に、その責任が一体、制度にあるのか人にあるのかというのはなかなか決めかねるところがあろうかと思います。
 最終的には、どんな制度にしてもそれを担う人によるということが突き詰めたところだとは思いますが、しかし同時に、制度の在り方でいろいろ工夫しやすいというものもあるわけでございますので、そういう意味では執行権限を強大化すると同時に監督権限も強化する、こういうものをセットで新しい選択肢として提示すると、そして利用していただくということはそれなりに意味のあることではないかという具合に考えたわけでございます。
#209
○平野貞夫君 ここのところの日本の大会社の放漫経営と経済の停滞を商法のせいにはしませんよ、商法のせいにはしませんが、いささかの反省に基づいて、反省と言うのはちょっと悪いですな、時代に合わせるといいますか、そういう意味で若干の反省を込めてのこの改正案の提案なんですか。
#210
○政府参考人(房村精一君) その点は、やはり会社で違法な事態が生ずるという場合にはその会社の中で違法な事態を阻止するための仕組み、ここに問題があったのではないかということは当然検討しなければならないわけでありまして、そういう意味で、最近の不祥事を踏まえて昨年の秋には現行法における監査役の強化ということが提案されたのではないかと思っておりますし、私どもは、その現行法の仕組み以外に、やはりそういった違法事態を招かないで運用していただけるような仕組みということで今回の委員会等設置会社を考えたということでございますので、それはそれなりに現状についてのいろいろな問題意識を持って改正がなされているということではないかと思います。
#211
○平野貞夫君 分かりました。
 先ほど、政府参考人が人か制度かという問題は非常に悩ましい問題だという趣旨をお話しになったんですが、そのとおりだと思います。私は、幾らいい制度を作っても、基本的にあるレベルまで人の意識がいいものでないと駄目だと思う、かえって混乱するだけだと思います。
 早い話が、株式会社の株主総会と国会の本会議というのは同じような性格がありまして、要するに形骸化しているんですよ。それで、また日本人の気質、これは日本の社会の特質かも分かりませんが、日本人の気質として、一番大事な決定機関を上手に形骸化させることが非常にその人たちがうまく世の中を渡る一つの知恵みたいなものが、日本人には私はずっと代々あると思うんですよ。ですから、せっかくアメリカ型の制度を導入しても、趣旨の徹底というものも必要でしょうけれども、これはやっぱり本質的な日本人の教育のし直しをしなきゃかえって混乱する可能性があるんじゃないかという危惧を持つんですが、その点についてはどういうお考えですか。
#212
○政府参考人(房村精一君) 会社にとって株主総会が最終的な言わば最高の議決機関であるということは御指摘のとおりだろうと思います。また同時に、なかなか、それだけ大規模な会社になりますと株主総会で実質的な中身のある議論をするということにいろいろな意味で困難が付きまとうということも御指摘のとおりだと思います。
 その方向としては、できるだけ株主に対する情報開示を進めて会社の実情をよく知っていただくということでございますが、それと同時に、実質的な業務の執行については思い切って取締役会あるいは執行役というようなところにゆだねる。その代わり、そこで行われたことについての情報開示を徹底して、そして株主総会で最終的にそういった例えば取締役を信任するかどうかということをきちんと判断していただく。
 そういうこともありまして、この委員会等設置会社においては取締役の任期を一年にいたしまして、毎年の定時株主総会ごとに言わば株主による成績の評価を行うと、こういうことにしたわけでございます。
#213
○平野貞夫君 分かりました。どうか、よく言われますように、仏作って魂入れずというようなことにならないように法務当局としても努力をしてほしいと思います。
 ここ数年、一連のこの商法改正というのが行われているわけですが、そのポイントの一つは、従来からある監査役会を強化充実していく方式と、それから今回の改正のように社外取締役を増やして監査役会を廃止する方式、この二つのものの傾向だと思います。したがって、この二つの法制度というのは相当性格的に違うと思うんですが、この性格の違う二つの制度を並列させるわけですね。
 そこで、この状況は、一つの会社のコーポレートガバナンスというものを見るには、それは選択してやるわけですから、それはそれなりに理屈の上では分かる、いいでしょうけれども、会社全体、いわゆる株式会社というもので構成される会社全体のコーポレートガバナンスを見る際には、かえって分かりにくいというか混乱があるんじゃないかという危惧を持つんですが、その点についてはどのような。
#214
○政府参考人(房村精一君) 確かに、今回の委員会等設置会社と、それから従来型の会社で監査役の権限を強化してきた、これとは方向性としてはやや違っております。そういう意味では二つの異なる制度が国の中に存在してその選択を認めていると、こういう新しい仕組みになりますので、いろいろな考え方はあろうかと思います。
 ただ、私どもから見ますと、日本の監査役という制度は、これは世界的に見ましても日本あるいは韓国にしかないような制度でございますが、しかしそういう、世界的に見て非常に例は少ないわけですが、それなりに大きな役割を果たしてきているわけですし、またその充実強化ということも図られてきたわけでございます。そういうものとして見れば、これはこれなりの評価に値する制度でございます。
 しかし、一方、世界的な流れを見ますと、迅速な決定と取締役会の権限の強化ということで、執行と監督を分離して取締役会を中心にして進めていくということが大きな世界的な潮流になっております。そうしますと、特に日本の企業で諸外国に進出をするというようなところになりますと、そういった仕組みを取っていた方が諸外国に進出したときにいろいろな意味でやりやすいということもあるわけでございます。ですから、そういった制度を求める声もございます。
 一国の中にそういう二つの制度を設けるというのは、じゃ世界的に見て例がないのかといいますと、御承知かとは思いますが、フランスがその二つの制度を使っておりまして、一つは従来型の取締役会が業務執行と監督を両方行うという、そういうスタンダードな形でございますが、もう一つはドイツ型で、監査役会と取締役会を完全に分離いたしまして兼任を認めないという、そういう型の会社も認めて、この二つの会社制度のどちらかを選択的に選べると、こういう仕組みにしているわけでございます。
 そういうことから、我が国においても、必ずしもどちらかということを強制せずに、それは会社の実情に応じて最も適切に監督権限が行使し、業務執行がうまくいくと、こういう仕組みを会社に選択していただく、こういうことを考えたわけでございます。
#215
○平野貞夫君 そうしますと、一本化するということは今のところ考えてないという理解でよろしゅうございますか。──分かりました。
 その次に、一番問題の社外取締役制度のことでございますが、この法改正する以前にももう既に社外取締役というのは導入していると思いますが、大会社の実態、これをちょっと説明してくれませんか。
#216
○政府参考人(房村精一君) これは、日刊新聞紙が東京証券取引所の第一部上場会社を対象としてアンケート調査を行っております。その結果によりますと、上場会社の四〇%弱の会社が既に社外取締役を選任している、そして二〇%を超える会社が新たに社外取締役を選任することを検討していると、こういう数字になっております。
#217
○平野貞夫君 これは政府参考人に聞いても無理かも分かりませんが、社外取締役制度の評価というのは大体どんなような評価がされていますか。
#218
○政府参考人(房村精一君) これは例えば雑誌とか、そういうところで社外取締役を導入した会社の方が発言をされたりしているというものを拝見した知識でございますが、やはり取締役会において、外部の目で見て会社がどうだということ、あるいは会社の提案をする案につきまして、社外取締役の人ですとやはりしがらみがない、そういう立場から、本当にこの提案が株主のために役に立つのか、こういうことを質問できる、そしてそれに対して取締役会として説明をしなければいけない、そういうような点でそれなりに取締役会が活性化し、あるいは監督機能が高まると、こういう声も上がっております。また、そういう実態があるからこそ、相当程度の企業が導入を検討しているのではないかと思っております。
#219
○平野貞夫君 そこで、この商法改正を審議されるのは法制審議会ですか、そこで、たしか中間報告では一人社外取締役とするということを義務付けるという内容だというふうに聞いていますが、これが生かされなかった。私は、これは大きな目玉だったんじゃないかと思うんですがね、今までのコーポレートガバナンスの実現からいいますと。これ、反対したのはだれですか、どういう理由ですか。
#220
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、中間試案段階では社外取締役の義務化ということも検討対象としていたわけでございます。それについてはいろいろ賛否両論ありましたけれども、やはり最終段階でこの社外取締役の義務化を見送ることといたしましたのは、一番大きな理由は何といっても人材の確保が困難であると。
 これは、実は昨年の臨時国会で、御承知のように、社外監査役の増員、要するに大会社について監査役会の半数以上は社外監査役でなければいけない、こういう改正がなされたわけでございますが、その審議の過程でも、人材の確保に非常に困難な面がある、そういうことから、この社外監査役の半数以上という部分につきましては施行まで三年間の猶予期間が認められたわけでございます。
 社外取締役を義務化いたしますと、社外監査役と社外取締役、まあ監査役と取締役の差はありますが、やはり給源としてはほぼ同じような、会社についてそれなりの知識があり見識のある人ということになろうかと思いますので、社外監査役だけでも人材確保が困難であるという指摘がなされているところに社外取締役を義務化してしまいますとますます困難になってしまう。
 そして、社外取締役の役割というのはある意味では非常に重要なものでございますので、単に形だけ社外であるという人を何とか数合わせのために導入するということでは制度の目的が達せられませんので、私どもとしては、やはりこれは現段階で義務化をするのはまだ時期尚早だと。やはり、それなりに社外取締役の良さを感じた企業が積極的にそういう人材を発掘して導入をしていただく、そういう実績の上に基づいて更に将来検討すべき課題ではないか、こう考えたわけでございます。
#221
○平野貞夫君 聞くところによりますと、経団連と経済産業省が反対したという話があるんですが、それは事実ですか。
#222
○政府参考人(房村精一君) この問題につきましてはいろいろな立場からいろいろな御意見がございましたし、また企業経営に当たる方が、どういう取締役がふさわしいかはやはり自分たちが判断する、法律で強制される必要はないはずだと、こういうお考えをお持ちの方ももちろんいらっしゃいましたし、そこは様々な議論がございました。
#223
○平野貞夫君 私は、せっかくのお話ですけれども、人材不足という話は逃げだと思うんですよ。日本に人材たくさんいますよ、人口だって一億二千万いますからね。それから、最も社外取締役としてパーフェクトなことができるという人は初めからおるはずないんですよ。素質のある人を教育すればいいんですよ。
 法務省はそういうことはないと思いますが、要するに経団連や経済産業省が社外取締役の義務化に反対というのは、私は、やっぱり日本的経営といいますか、ある種の談合経営のしっぽをまだ付けている証拠だと思うんですよ。これは私はやっぱり、一人ですからね、その義務化。しかも、もうほとんど六〇%ぐらいの有用性があるわけですから、これは私、今度の改正で非常に残念な部分です。
 ここのところは、それは経営者は法律にくくられることはないと言うかも分かりませんけれども、企業の経営なり、あるいは企業の経営の実態を市場に任せていたら、これはやっぱり世の中そうはうまくいかないと思います。私は、その程度の規制は必要であったという意見を申し上げておきます。
 そこで、この商法改正についての質疑はこの程度にしまして、ちょっと最後に法務大臣にお尋ねしたいのは、例の人権擁護法の問題なんですが、読売新聞がたしか五月十二日に修正試案というのを出されました。そして、これに対して官邸、特に総理が大変反応を示されて、一部の報道には、個人情報保護の場合なんかには修正を指示したという、政府にですね。議会制民主主義を冒涜するような行為が行われておるんですが。
 法務大臣、この人権擁護法案については、この読売の修正試案をめぐって総理から何か御指示とかお話があったかどうか。
#224
○国務大臣(森山眞弓君) 人権擁護法案につきましては、御承知のとおり、先月二十四日の参議院本会議での趣旨説明をさせていただきまして、この委員会に付託されておりまして、以来この委員会で本格的な審議が行われますのをお待ちしているところでございます。一日も早く審議入りをお願い申し上げたいと存じますが。
 お尋ねの件につきましては、読売新聞から人権擁護法制の整備は急務であるということをおっしゃられた上で修正意見が示されたということは承知いたしております。法務省といたしましては、現在私どもが御提案申し上げている法案がベストのものであると考えておりまして、修正は全く考えておりませんが、御指摘のような記事があったことは私も読ませていただきましたけれども、特に人権擁護法につきましてはどなたからも何の御指示もございませんで、私としては現提案いたしました案を是非早く御審議をいただきたいというふうに思っております。
#225
○平野貞夫君 五月十四日付けの読売新聞夕刊で森山法務大臣が、この日の閣議後の記者会見でのお話が載っておるんですが、この読売修正試案についてのコメントなんですが、「いろんな意見があるのは当然のことで、建設的な意見については耳を傾け、考えていくべき材料になると思う」と、こうおっしゃったと括弧書きで書いてあるんですが、これは事実でございますか。
#226
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し上げましたように、これから御審議をいただくわけでございますので、いろいろなところから、特に有力な報道機関からもいろんな意見が示されるということは当然でございますし、それらを審議を深めていく上で材料にさせていただくということも意義のあることではないかというような趣旨のことを申し上げたと思います。
#227
○平野貞夫君 この新聞は、まあ読売だからしようがないかも分かりませんが、「今後の国会審議での法案修正に前向きの姿勢を示した。」というコメントがあるんですが、こういうわけではないんですか。
#228
○国務大臣(森山眞弓君) 「修正に前向き」というのはその新聞社の感想だと思いますが、私といたしましては、現在のものがベストだと思っております。
#229
○平野貞夫君 これは質問じゃなくて要請なんですが、この問題は、人権擁護法案だけじゃなくて、個人情報保護法案とともに今や社会問題になっているわけなんですが、実は、名前は申し上げませんが、参議院のこの法務委員会のアンケートをある団体がなさっていて、与野党ともにやっぱりこの法案の問題点が指摘されているんですね。
 人権擁護法案についての意見として、こういう非常にすばらしい意見です。憲法で保障されている言論、表現の自由を様々な角度から規制しようという動きに危惧を感じます。この人権擁護法案についても、マスコミ性悪説に基づいた押し付けが気になります。マスコミ各社はこぞって自助努力をしています。その意思を尊重し、助長していくという気持ちから、今一番必要なことではないでしょうかという。これ、与党の方が言われているんですよ。
 ですから、一回ひとつやり直して、私たちも人権擁護法案は必要だと思っていますので、初めからもう一回出直してやり直すことを要望いたしまして、これは答弁要りませんから、ちょうど時間が来ましたので、終わります。
#230
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 商法に入る前に、難民の問題、難民政策の問題、瀋陽の事件についてお聞きをいたします。
 まず、二〇〇二年五月四日朝日新聞、ほかの新聞でも出ておりますが、「チェコ通信は二日、チェコに住むロマ人の日本での難民申請の可能性について、プラハの日本大使館の職員が「日本は亡命も難民申請も一切認めない」と回答した、と報じた。 同通信の問い合わせに対し、この職員は「チャンスは全くなく、日本へ行っても多額の航空運賃を使うだけで、失望するだけだ。投獄される可能性もある」と答えたという。日本では、難民認定申請は、法務大臣が個別に判断することになっており、在外公館に判断の権限はない。」という中身の新聞記事になっております。
 ほかの詳しいものですと参事官の名前なども全部出ているのですが、これは事実でしょうか、外務省。
#231
○政府参考人(高橋恒一君) ただいま委員から御照会のありました件につきまして、現時点において事実関係の確認ということはちょっとできていません。申し訳ございません。
#232
○福島瑞穂君 これは、新聞によりましても、二〇〇二年五月四日朝日新聞では、「報道に対し、日本大使館は「現在、現地職員も含め、そのような回答をした者がいたのかどうか調査中だ。」」というふうになっております。
 五月四日で調査中ですので、木曜日の集中審議のときには、これが本当に事実であったかどうかについて回答をお願いいたします。
 この発言は、本当に日本が一切、亡命も難民も認めていない、日本に行っても高い航空運賃を払って投獄されるだけだという発言をしておりまして、難民条約を批准している日本で見れば非常にひどい中身であるというふうに考えます。
 出入国管理及び難民認定法では、法務大臣は本邦にある外国人から法務省令が定める手続により申請があったときはその提出した資料に基づき判断する旨、記載があります。つまり、難民になるためには正規のビザを持って日本国内に入り、申請をしなければ駄目だというふうになっております。
 しかし、この点については、例えば一九九七年、平成九年三月十八日、参議院の外務委員会において、在外公館に申請をしたとしても認めたらどうかという議論が展開をされております。佐藤道夫国会議員が、「在外公館というのは我が国の主権が及ぶ日本領土と同じことですから、そこで区別して考えるのはおかしいと思うんです。」と言っています。池田、当時の外務大臣は、「在外公館は確かに外交施設であるということで格別の地位を認められているのは事実でございますけれども、しかしいわゆる主権が我が国の主権下にあるかどうかということになりますと、それは国際条約上も非常に疑問のあるところじゃないかと存じます。」というふうにして、難民認定法の本邦というのに、在外公館は主権が、主権下にあるというふうには言い得ない面もあるので入らないという答弁をしております。これは見直す必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#233
○政府参考人(高橋恒一君) 今、委員御指摘のとおり、難民の認定に関しまして、我が国におきましては、申請者が難民条約に定義されております難民に該当するかどうかということの判断は、法務省が所管をしております出入国管理難民認定法に基づいて認定を行っているわけでございまして、その基準となっております出入国管理及び難民認定法の該当の条文、今、先生がお読みになったとおりでございますけれども、本邦にある外国人から申請があったときはということになっておりまして、同法上、難民の認定を申請することができるのは本邦にある外国人であるということで、本邦外にある外国人は難民認定を受けない、受けることはないと、法律上そういうことで運用しております。
#234
○福島瑞穂君 正規のビザを持って成田やその空港の中にきちっと入ることができるという手続を踏むことができる難民というのは、極めてラッキーというか、まれな人たちであるというふうに思います。通常は、在外公館などに駆け込む、正規のビザを持っていなかったり迫害を受けていたりしながら精一杯駆け込むというのが通常でないかというふうにも思います。
 これも議論になっておりまして、例えば、先ほど申し上げた参議院の外務委員会で佐藤道夫議員はやはりこういうふうに言っています。「昨年五月」、これは一九九六年のことですが、「昨年五月の北京大使館での問題などは原則的に受け入れないという姿勢が現地大使館にもしみ渡っていたんじゃないか、こういう気がしてならないわけです。後で、なぜこんなものを受け入れたんだと、それで大騒ぎになって日本政府が迷惑しているじゃないかと。北と南に挟まれてどうしていいかわからないと。そういうことを考えると、現地大使館は消極的な姿勢で事に対応しようとするからああいうケースが起きてきて、世界から日本を眺めてみると、あの国は政治亡命者を原則として受け入れないんだなという目で見られているんだろうと思います。 どうかひとつ、この新しい時代に備えて、池田大臣の時期で結構でございますから、原則と例外を思い切って逆転させるぐらいの気持ちがあってよかろうと思います。」というふうに質問しているのが実は一九九七年です。
 それから五年たって、実は全く同じ議論をやっているということに、全然変わっていないということ、全く同じことが起きているのではないかというふうに考えます。
 難民認定法の本邦という拡大を、やはりこれは拡張するか、あるいは本邦のところを変えられないんであれば、一つは難民認定法を改正する、あるいは本邦の解釈を変えるというのが二番目です、あるいは三つ目には、この難民認定法の規定はそのままにして亡命者の権利などを別個きちっと在外公館で認めることができるというふうにする、その三つの方法などが考えられると思いますが、いかがでしょうか。
#235
○政府参考人(高橋恒一君) 難民の問題と亡命者の問題を、私どもといたしましては、現時点におきまして区別して議論をせざるを得ないわけでございまして、難民に関しましては法務省の方で、難民の認定に関しまして出入国管理及び難民認定法に基づきまして現在適正に認定をしていただいているというふうに考えております。
 他方、外国大使館に例えば今回のような亡命等を求めてきたそういう人たちについての措置につきましては、これは事柄の性質上、本当にケース・バイ・ケースでございますから、具体的には個々の事案ごとに対処するということが必要だろうと思いますが、しかしながら今回これだけ問題になっておるわけでございますので、やはり外国人の受入れ全体の大きなコンテクストの中で幅広く議論をして検討していかなくちゃいけないだろうと、そういうふうに考えております。
#236
○福島瑞穂君 幅広く議論していただくと言ってくださってどうもありがとうございます。
 ところで、大使館、領事館で亡命を求めた人を受け入れたことは何人ぐらいありますでしょうか。
#237
○政府参考人(北島信一君) お答え申し上げます。
 我が方在外公館に亡命を求めたケースにつきまして個別具体的に述べることは、関係国との関係、個人のプライバシーの問題等にかんがみ、必ずしも適当ではないと考えますけれども、既に対外的に明らかになっている例としましては、九五年十一月に東チモール人複数名が在インドネシア日本大使館に侵入し、最終的に第三国に出国したケースがございます。
#238
○福島瑞穂君 大使館、領事館で第三国に送ったケースは何件か、おっしゃったとおりあります、あるというふうに聞いておりますし、報道されております。
 ところで、大使館、領事館で亡命を求めてきた人間を日本国が受け入れたのは、日本国籍を持って北朝鮮に行っていた人一人でしょうか、それともそれ以外もあるんでしょうか。日本国が第三国に送らずに日本国に受け入れたのは何件ありますか。
#239
○政府参考人(北島信一君) 個別のケースにつきましては、先ほど申し上げたとおり、具体的に述べることは、関係国との関係、個人のプライバシーの問題等にかんがみ、必ずしも適当ではないと考えております。
 先ほど、委員の方から九六年五月のケースについて言及がございましたけれども、これは北朝鮮の科学者と称する人物が最終的に第三国へ出国したケースでございますけれども、これは我が方外交施設への、入ってこられたとか、そういうケースではなかったというふうに記憶しております。
#240
○福島瑞穂君 森山法務大臣、先ほどの佐藤道夫さんの質問で、「どうかひとつ、この新しい時代に備えて、池田大臣の時期で結構でございますから、原則と例外を思い切って逆転させるぐらいの気持ちがあってよかろうと思います。」とあるんですが、私も、この新しい時代に備えて、森山大臣の時期で結構でございますから、原則と例外を思い切って逆転させるぐらいの気持ちがあっていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(森山眞弓君) 難民の受入れにつきましては、もう先生よく御存じのとおり、現在、国際条約とか国内法の規定に従いまして、認められる者は認めてしっかりと受け止めているというふうに申し上げたいと存じますし、また認められないことになりました者につきましても、人道上の見地から特別の在留資格を認めまして受け入れているということも御存じだと存じます。
 しかし、今朝ほど来、いろいろと難民の問題について大変に強い関心を各先生方がお示しいただきました。社会的にも多大の注目を集めている問題でもございますので、この制度ができましてからもうかなりの年数がたっておりますし、最近、非常にグローバリゼーションが急速でもございまして、この問題は更に重要性を増してくるんではないかというふうに私、感じておりますので、難民の受入れの在り方につきましては、人道的な、あるいは人権の尊重という意味からも改めて考えてみるという必要があるのかもしれないというふうに思います。関係の省庁が集まりまして、知恵を集めて新しい在り方について検討してみたいと思っております。
#242
○福島瑞穂君 新しく検討してみたいとおっしゃっていただいて、ありがとうございます。
 出入国管理及び難民認定法により、いわゆる六十日条項が定められております。今まで、来日して六十日以後に申請した者で難民認定された人はどれぐらいいるでしょうか。
#243
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 まず、その難民認定法、出入国管理及び難民認定法六十一条の二第二項がいわゆる六十日条項だと言われておるわけでありますけれども、これは、難民認定申請はその者が本邦に上陸した日から、本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあってはその事実を知った日からということで、これ二段階になっております。それぞれについて六十日以内というふうに、行わなければならないとなっております。しかしながら、いずれもやむを得ない事情があるときはこの限りでない、こういうふうに条文構成になっておりますので、これに合わせて過去三年分についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、本邦に上陸した日から六十日を経過したものの、やむを得ない事情があるとして難民認定をして難民認定された者は、平成十一年が五人、平成十二年度がなくて、平成十三年度が八人となっております。
 次に、本邦にある間に難民となる事情が生じた者であって、その事実を知った日から六十日を経過したものの、やむを得ない事情があるとして難民認定をいたしまして難民認定をされた者は、平成十一年、平成十二年がなくて、平成十三年が一人となっております。
#244
○福島瑞穂君 六十日以後に申請した人で、今おっしゃったように二通りあるわけですが、認定された人はいることはいるんですが、まだまだやはり数が少ないと思います。日本に入って通常六十日はあっという間にたってしまうので、将来的には、先ほど大臣が新しく検討してみたいとおっしゃったことの中に、この六十日条項についても是非見直してくださるようにお願いいたします。
 ところで、アフガニスタン人につき、今まで難民申請をした人数、認められた数、帰された数を教えてください。
#245
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 平成九年から平成十三年までの五年間について申し上げます。
 アフガニスタン人として難民認定申請をした者の数は百五十八人であります。ただし、この中には、アフガニスタン人と言いながら実際はパキスタン人であるというふうに、国籍を偽って詐称した者五人が含まれております。また、この期間、難民認定されたアフガニスタン人は八名であります。難民として認定されなかった者は九十二人ですが、そのうち二十五人は人道的配慮等からその在留を認めております。また、退去強制手続にのって退去強制された者は、四人のアフガニスタン人がおります。
#246
○福島瑞穂君 四人帰されたということなんですが、今回の瀋陽のケースについて日本政府は、北朝鮮、本国へ返還すべきでないというふうにしております。他方、法務省は、日本におけるアフガニスタンからの亡命者あるいは申請をした人に対して、アフガニスタンへの強制退去令書を出してきました。
 これは、ハザラ人の人たちは宗教上の差別、民族上の差別を受け、迫害をされたり殺害のおそれもあるということで大変危惧感があるんですが、北朝鮮に人道的理由から絶対に帰しちゃいけないんだと今回主張しながら、今まではアフガニスタンに対して強制退去令書を出してきた。これは危ない、危ないという言い方は変ですが、身の危険が生ずるかもしれないという点では同じではないかというふうに思いますが、この関係は矛盾していないでしょうか。
#247
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 委員の御質問の角度といいますか、その切り口につきましては、若干私どもの方で理解しにくいところがございますが、要は、一般論で申し上げれば、アフガニスタン人であろうとなかろうと、それぞれが難民認定申請を行いました結果、難民として認定されず、その者について退去強制事由がある場合には、特に特別に在留すべき事情がないというようなときには、当然のごとく退去強制令書は発付されるわけであります。
 退去強制事由というのは、御案内のとおり、不法入国したり、その他種々の事情で、麻薬をやるとかいろいろなこともございますが、要は、入管法で定められた退去強制事由があるということで退去強制令書が発付されますし、それぞれについてそれぞれの国籍国に送還するということになっておりますので、送還される先が送還できない場合には送還できるまで待つと、こういう取扱いになっているということにすぎないだろうというふうに考えております。
#248
○福島瑞穂君 去年、特にアフガニスタンの戦火が激しいときに強制退去令書、アフガニスタンへの退去強制の令書が出たことがありますので、改めてお聞きをした次第です。何国人だからということではなく、本国に強制退去することが人道上も、あるいは様々な意味から危ぶまれるときは、やはり今後はもう少し是非考えていただけるようにお願いしたいと思います。
 難民に対する生活、就労、福祉などの援助についてですが、一つは、インドシナ難民の人たちは、政治的決断でインドシナ難民を引き受けるというふうにやって、その後ある程度はケアをされていると。
 二〇〇一年三月に国連人種差別撤廃委員会が発表した日本に対する報告の中で、日本の難民の保護の問題が取り上げられたと。そこで指摘されたのは、インドシナ難民とそれ以外の難民が日本において平等に扱われていないという点であると。つまり、インドシナ難民以外の人は、苦労して長い間待った結果、難民として認定されたとしても、政府による公的な援助プログラムはなく、様々な手続も自分でやらなければいけないと。
 この点については、難民認定された人についての見直しが、インドシナ難民の人たちとの平等ということは考えられるべきではないかということ、あるいは難民認定者のみでなく申請中の人たちも、医療は非常に受けられませんし、非常に無権利の状態なのですが、何らかの、例えば日本語を教えるとか、いろんな支援をするとか、そういうことも考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#249
○政府参考人(井上進君) お答え申し上げます。
 インドシナ難民事務局の連絡調整会議、インドシナ難民連絡調整会議の事務局を担当している内閣参事官としてお答えさせていただきます。
 インドシナ難民の対策については、先生御指摘のとおり、昭和五十四年四月の閣議了解、それから同年七月十三日の閣議了解において必要な措置を取ると定められております。
 これに基づきまして、我が国の定住を希望するインドシナ難民のための定住促進事業を財団法人アジア福祉教育財団に委託し、昭和五十四年十二月に兵庫県下に姫路定住促進センターが建設され、そのほか、それから神奈川県下にも定住促進センターが建設されております。二つの定住促進センターにつきましては、役割を終えて九〇年代後半に閉所になっておりますが、現存する国際救援センターでは現在、我が国に定住を希望するインドシナ難民を原則として百八十日間受け入れ、入所者に住居提供、日本語教育、それから社会生活適応指導、就職あっせん、又は必要に応じて一定期間、事業主への委託による職業訓練等を実施しております。
 今、御指摘の難民条約の難民につきましては、日本語が不十分で生活基盤の確立が容易でないと、あるいは人道的配慮、それから自立支援の観点により必要であるという場合には、ケース・バイ・ケースに応じまして、今申し上げました難民国際救援センターでケース・バイ・ケースで受入れを行っております。
#250
○福島瑞穂君 是非、今後とも改善、あるいはもっとケアをよろしくお願いします。
 では、商法に行きます。
 取締役である監査委員による、済みません、監査委員会についてお聞きをいたします。
 監査委員会は取締役会から選任をされると。この委員会でも若干議論になりましたけれども、自分たちが選ばれて監査委員会でやると。そうしますと、取締役による自己監査になるのではないか。監査と監督は違うわけですから、監督はできるというのもありましたけれども、監査はやはり独立した機関が監査をしなければ、とことん客観的に監査ができないというふうに考えますが、改めていかがでしょうか。
#251
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、監査委員は取締役の中から取締役会によって選任されるわけでございます。ただ、監査の職務そのものは取締役会と独立して監査委員会が行使をするということになっております。現実に委員会等設置会社になりました場合には、業務執行権限は大幅に執行役に委譲されますので、監査の対象は主として業務執行の適法性でございますから、その取締役会としての従来の監督権を更に超える部分を監査委員会が監査として行うということになりますので、執行役に対する監査権限については何ら問題はないだろうと思います。
 取締役会の権限そのものにつきましても、取締役会がそういった業務執行権限を大幅に委譲した後、なおかつ取締役会として違法な行為をする可能性は非常に少ないとは思いますが、取締役会の決議等について監査委員会として違法だと思えば、それは当然、監査の対象にはできる。これは、現在の監査役は取締役会に出席義務がありまして、取締役会が仮に違法なことを決めようと思えばその場で意見を述べると、こういう仕組みになっているわけです。これは、現在の監査委員が取締役会に、現在というか、失礼しました、委員会等設置会社で監査委員を構成している委員が取締役会に出席した場合に、監査委員の立場として取締役会が違法な行為をしようとしていると思えば、もちろん意見を述べられますし、更に取締役として反対の議決権行使をして、それを阻止する力もあるわけでございます。
 仮に、監査役あるいは監査委員の反対にかかわらず、取締役会が違法な決議をし、更にそれに基づいて違法な行為がなされようとしている場合には、現行法においては監査役はその違法行為を差止めをする請求権がございます。監査委員会を構成する監査委員についても独立にその権限が与えられておりますので、全く同じように取締役会が違法な行為をし、その違法な行為に基づいて執行役等が違法な業務執行をしようとしていれば、差止めを請求するということは監査委員としてもできる。そういう意味では、現行法の監査役とこの監査委員会の監査委員との間には権限の差というのはほとんどない。ある意味では、取締役会で反対の議決権を行使できるという意味ではより強い権限が与えられていると言えるのではないかと思います。
 自己監査になる部分というのは、正に自分がやったことについて自分が監査委員としてどう言うかという部分でございますので、これは、監査委員がもちろん賛成してしまっている場合にはそれは監査できないじゃないかということになろうかと思いますが、それは、監査役が全く同じように取締役会に出て違法だと思わずに賛成してしまえば監査役としての機能が果たせないというのと全く同じことでございますから、基本的には分かれておりますが、監査の実効性というものは十分担保できているという具合に考えているところでございます。
#252
○福島瑞穂君 取締役と監査役は立場上違いますし、取締役は限定的とはいえ経営事項の基本方針の決定や利益処分の確定等、極めて重要な権限を有しています。つまり、取締役として議決に参加をして、そして今度は監査委員会で自分が監査をして違法、問題だというのはやはり立場上変だと。
 今は、やっぱり会社の中を透明化して、違法行為や乱脈経営や癒着や問題をなくそうということであれば、一番重要なことはやっぱり監査の機能を重要視することであって、取締役の執行と決定権限がかなり今回変わったとしても、取締役として重要事項の決定に参加をして、今度はこちらの監査委員会で監査をしてオーケーというのは、やはりもう少し独立性というのを、ちょっと食い下がって済みませんが、今よりもやはり弱くしている、監査役よりも弱くしているというふうに思いますが、いかがですか。
#253
○政府参考人(房村精一君) 監査というのはもちろん大切ですが、ある意味ではより大切なのは、取締役会でそもそもそういう違法な決議がされないようにするということになるわけですね。そういう観点から、実は監査役は当初、取締役会への出席権もなければ意見陳述する権限も与えられていなかったものを、監査を充実するために取締役会への出席権を認め、そこで意見を述べる権利を与えて、違法だと思えば違法だという指摘を監査役がすることによって取締役会で適正な決定がなされるようにと、こういうことを改正の経過ではしてきたわけでございます。
 それを更に進めまして、昨年の秋は、単に権利ではなくて義務だと、より適切な決定を取締役会でしてもらうために、監査役は必ずそこの取締役会に出席をして、気が付いたら意見を述べなさいと、これは義務ですと、こういうところまで持ってきたわけです。それは更に一歩進めれば、正に単に意見を述べるだけではなくて、自らおかしいと思うことにつきましては議決権を行使して反対を言えるという方が、ある意味では取締役会の適正な決議を担保する方法としては更に進んでいるわけでございます。
 そういう観点からいえば、申し上げたように、取締役が監査委員を兼ねて、違法な議決がなされることを議決権の裏付けをもって防ぐ、そして反対したにもかかわらず、されてしまった場合には、監査役と同じように差止め請求権も与えられているわけでございますから、そういう意味では、今回の委員会等設置会社になったからといって監査委員の権限が制約されるということはないという具合に考えております。
#254
○福島瑞穂君 ただ、やはり監査というのと取締役は違うと思うんですが、例えばある社外取締役が監査委員会の委員になった、その人が同時に報酬委員会、指名委員会に属するということもできるわけです。そうすると、監査委員会だけに、例えば私、社外取締役になって、属するだけではなく、報酬も決めるし指名もするという、そうなっているわけですね。取締役としての立場と監査をするという立場はやはり違うのではないか。
 一万歩譲って、例えば監査委員のうち最低一名は常勤とするとか、そういうことをしないと、結局この監査委員会が非常にやはり弱くなると思いますが、いかがでしょうか。
#255
○政府参考人(房村精一君) もちろん、監査をするという立場と業務執行するという立場は違う、そういうことを考えまして、監査委員については、要するに業務執行を担当する人は監査委員になれないということにしたわけでございます。
 ただ、報酬委員会とか指名委員会というのはやはり業務執行そのものは行わない。取締役会の監督権限を適切に行使するための権限を独立して与えられている。それは監査委員も全く共通でございますので、そういう意味では、現行法の取締役会が同じ取締役が監督と業務執行を一緒にやっているというのと、今回の委員会等設置会社にした場合の業務執行権限は与えられない取締役、主として監督権限を行使するという、そういう違いが出てきておりますので、そういう意味では、監査委員になる人が他の委員会の委員を兼ねても、そういう業務執行と監査との衝突というような問題は起きない。同じ監督権の適切な行使のための機能ということになろうかと思っております。
 それと、監査委員会の機能充実のために常勤ということを御指摘でございます。確かに、現行の大会社の監査役については常勤の監査役を要求しておりますが、今後、取締役、特に社外取締役を中心とする取締役会というものを考えますと、常勤を法律で要求するということは、場合によると監査役の適任者を選ぶ上で問題も生ずる可能性がありますので、それは会社の選択にゆだねる。ただし、その代わり、監査委員会の機能を充実するために社内に監査委員をサポートする体制を整えていただく。その詳細を省令で定めて、これはもう法律、省令で強制をするという方向を考えております。
#256
○福島瑞穂君 時間なので、終わります。
#257
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#258
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、商法等の一部を改正する法律案外一案に反対の討論を行います。
 本法案は、米国型の委員会設置会社を選択できるとしていますが、我が国企業社会の現状を顧みることなく米国型企業統治の一部をつまみ食い的に導入するものであり、昨今の企業不祥事を防ぐような経営監視機能の強化に結び付くとは言えません。
 米国型企業統治が機能するには、その前提として、企業のディスクロージャーやインサイダー取引規制などの制度の充実が必要ですが、我が国のこれらの制度の現状は、アメリカ等と比べて極めて立ち後れた状況のままです。しかも、そのアメリカにおいてさえ、エンロン事件をきっかけに一層の会計透明化と企業統治の見直しが始まっています。
 にもかかわらず、ディスクロージャーの強化など、前提となる制度の充実は図らないままに米国型企業統治を導入することは政策的整合性を欠くものと言わざるを得ません。その下でも、取締役による監査委員会を導入した場合、監査役をなくすことができるとしており、これは会社執行部に対する監視機能をますます低下させるものとなります。
 また、利益処分や取締役の報酬決定を株主総会事項から取締役会決議事項とするなど取締役会の権限を大幅に拡大する一方で、取締役、執行役の損害賠償責任を軽減をすることは、本来の在り方から逆行するものであります。さらに、会計の計算関係規定を法令事項から省令委任事項に変えることは、国会審議を回避し、国会、国民の会社組織運営に対するチェック機能を後退させるものとなります。
 今、会社法制の改革にとって必要なのは、経営者による暴走や違法、不当な企業運営への監視機能を強化するとともに、株主の利益のみならず、従業員、債権者、地域社会、住民等の視点と利益を生かす仕組みであります。また、株主総会の形骸化を食い止めること、株主代表訴訟の改善、さらに、役員報酬の開示などディスクロージャーを進めることが求められています。
 改正案は会社の迅速な意思決定のみが強化をされ、こうした方向に背を向けたものであります。
 以上から、本法案に反対をいたします。
 以上です。
#259
○委員長(高野博師君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、商法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#260
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#261
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました商法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に伴い、次の諸点について格段の配慮をすべきである。
 一 委員会等設置会社制度が企業の経営形態に多様な選択肢を確保するという見地から導入されたことにかんがみ、制度の選択に関する企業の自主性が損なわれることのないよう努めること。
 二 取締役会の利益処分に関する権限及び取締役の責任についての委員会等設置会社とそれ以外の会社との差異に関しては、施行後の実績を踏まえ、その合理性に留意しつつ引き続き検討すること。
 三 委員会等設置会社制度及び重要財産委員会制度の運用については、社外監視機能が十分発揮されるよう社外取締役の要件、人数等について周知徹底を図るとともに、今後の実務の運用状況を踏まえ、必要に応じその見直しを検討すること。
 四 株券失効制度及び所在不明株主の株式売却制度の運用については、株主等の財産権に重大な影響を与えることにかんがみ、その要件、手続き等について周知徹底を図ること。
 五 計算関係規定を省令で規定するに際しては、企業会計について公正かつ透明性のある情報開示が十分なされるよう努めるとともに、証券取引法に基づく会計規定等の適用がない中小企業に対し過重な負担を課し、経営を阻害することのないよう、必要な措置を講ずること。
 六 会社法制の現代語化に際しては、会社の実態及び制度に応じた、分かりやすい法文の表現及び構成について、特に留意すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#262
○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#263
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#264
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#265
○委員長(高野博師君) 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#266
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#267
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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