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2002/06/04 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 法務委員会 第18号
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2002/06/04 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 法務委員会 第18号

#1
第154回国会 法務委員会 第18号
平成十四年六月四日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     柏村 武昭君     片山虎之助君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     柏村 武昭君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     三浦 一水君     愛知 治郎君
     角田 義一君     谷  博之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                愛知 治郎君
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                谷  博之君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  下村 博文君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       人事官      小澤 治文君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       警察庁刑事局長  吉村 博人君
       警察庁警備局長  漆間  巌君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       公安調査庁長官  書上由紀夫君
       外務大臣官房審
       議官       佐藤 重和君
       外務大臣官房審
       議官       林  景一君
       外務大臣官房領
       事移住部長    小野 正昭君
       財務大臣官房審
       議官       小寺  清君
       財務省理財局次
       長        竹内  洋君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供
 等の処罰に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)

    ─────────────
#2
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案の審査のため、本日の委員会に人事官小澤治文君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁警備局長漆間巌君、法務大臣官房長大林宏君、法務省刑事局長古田佑紀君、公安調査庁長官書上由紀夫君、外務大臣官房審議官佐藤重和君、外務大臣官房審議官林景一君、外務大臣官房領事移住部長小野正昭君、財務大臣官房審議官小寺清君及び財務省理財局次長竹内洋君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(高野博師君) 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 世界じゅうテロが頻発しておりまして、これに一致団結して当たることが喫緊の課題となっておりますところ、テロ防止関連条約は、昭和三十八年の航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約に始まりまして、今回のテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約に至るまで合計十二条約があるというふうに承知しておりますけれども、これに対する我が国の署名及び締結状況について外務省にお伺いいたします。
#6
○政府参考人(林景一君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のとおり、これまで十二本のテロ防止関連条約がございますけれども、我が国につきましては、今回、国会にお諮りしておりますテロ資金供与防止条約を除きますすべての十一条約につきまして既に締結済みというのが今の状況でございます。
 このテロ資金供与防止条約につきましては、昨年の十月末に署名を済ませておりまして、あと国会にお諮りをした上で締結をいたしたい、こういう状況でございます。
#7
○佐々木知子君 つまり、今回のテロ資金供与防止条約だけがまだ未締結ということでございますけれども、この条約の概要及び各国がそれに対して署名、締結はどうなっているのか。これについて同じく外務省にお伺いいたします。
#8
○政府参考人(小野正昭君) お答え申し上げます。
 この条約は、ハイジャック、爆弾テロ等、既存のテロ防止関連条約上の犯罪行為又はこれに該当しない行為であっても住民の威嚇若しくは政府等に対する強要を目的として人の死等を引き起こす行為を対象とする資金の提供及び収集を犯罪として定めておりまして、その犯人を最終的にはいずれかの国で処罰し得る体制を構築することを主な内容としております。
 この条約の署名・締結状況でございますが、G8諸国すべてを含む百三十二か国が署名しております。締結状況についてでございますが、昨年九月十一日の米国におけるテロ事件の際には四か国が締結していたわけでございますが、その後、本条約の締約国数は、五月三十一日現在、三十四か国まで増加しております。他のG8諸国では、イギリス、フランス、カナダが既に締結しております。
 また、締約国の地域別内訳を見ますと、欧州・北米地域が十三、アジア一、ロシア・NIS諸国三、中東・北アフリカ一、中南米九、アフリカ六、大洋州一と、世界各地にわたってきている状況でございます。
#9
○佐々木知子君 アメリカがまだこれ未締結ということですが、これは一体どういうことでしょうか。G8の中でもドイツ、イタリアは締結していないというふうに承知しておりますけれども、これについてもどういうことでございましょうか、お伺いいたします。
#10
○政府参考人(小野正昭君) 先生御指摘のとおり、G8諸国のうち本条約を締結していないのは、我が国のほか、米国、ドイツ、イタリア、そしてロシアの四か国になっているわけでございます。これらのいずれの国におきましても、本条約の締結に向けて具体的な検討を行っているというふうに承知しております。
 アメリカ、米国につきましては、昨年十二月に上院が同条約の締結に助言と同意を与えております。また、既に下院を通過した条約実施法案が現在、上院の司法小委員会の審議に付されておりまして、その審議日程の調整が引き続き議会で行われているというふうに承知しております。今後、この法案の成立を待って、締結のための文書の寄託が行われる予定であると。
 なお、米国務省は国際的なテロ対策を積極的に推進しているわけでございまして、そういう立場から、一刻も早くこの法案が成立し、条約が締結されるよう期待するとの立場であるというふうに承知しております。
 ドイツにつきましては、本条約の締結に必要な法案が四月、連邦議会、これは下院でございますが、に提出されているわけでございます。
 イタリアにつきましても、本条約の締結に必要な法案が下院本会議において審議待ちの状況にあるというふうに承知しております。
 ロシアでございますが、本条約の締結に関する法案が閣議で承認され、大統領の署名待ちの状況でありまして、この署名の後、議会下院に提出されるというふうに承知しております。
 以上でございます。
#11
○佐々木知子君 肝心の米国を始め、ドイツ、イタリアなど、ロシアも含めまして先進国、それから東南アジア、中南米、中東の、これはテロ資金とかかわりの深い国々というふうに考えられますけれども、こういったところが批准を実際しなければ条約が発効しても十分な効果が期待できないというふうに考えております。ですから、外務省といたしましても、日本国政府といたしましても、できるだけ多くの国々がこの条約を批准するように是非進めていただきたいというふうに考えております。
 昨年九月に米国で発生した同時多発テロを受けまして、国連安全保障会議がテロ防止のための決議をしておりますが、その概要について、やはりこれも外務省にお伺いいたします。
#12
○政府参考人(林景一君) ただいま御質問の安保理決議一三七三号というのが昨年の九月二十八日に国連安保理事会において採択されておりまして、これはテロと戦うための金融面を含みます包括的な措置を各国が実施することを求めております。
 具体的には、各国に対しまして、テロ資金源対策といたしまして、テロ行為のための資金供与の犯罪化、それからテロリストの資産凍結、テロリストへの金融資産等の提供禁止、それから先ほども御指摘ございましたテロ資金供与防止条約等のテロ防止関連条約をすべからく締結するように求めていると、こういったことを内容としております。
#13
○佐々木知子君 テロ資金供与防止条約ではテロリストでなくてテロ資金というふうな定義の仕方でございますけれども、国連安保理決議の方はテロリストというふうな規定の仕方もしております。
 テロリストの資産凍結等を決議で求めているということなんですけれども、これは我が国ではどのような方法でこれを実施しているのか。これは財務省にお伺いいたします。
#14
○政府参考人(小寺清君) お答えいたします。
 国連安保理決議一三七三号は、各国においてテロリスト等を指定して、遅滞なくその資産を凍結することを求めております。我が国は、国際約束を誠実に履行するため、外為法に基づきまして、テロリスト等の資産凍結等の措置を講じております。
 こうした措置を講じるに当たりましては、各国の治安当局との意見交換や外交当局を通じた情報収集といったプロセスを経まして、関係省庁と協議の上、国際社会の動向、我が国への影響等を勘案し、我が国において総合的に判断することとなっております。
 こうした判断を踏まえて、閣議了解に基づきまして、外務省告示によってテロリスト等を指定し、その指定した個人、団体に対し、外為法に基づく資産凍結等の措置を講じております。
 外為法に基づく具体的な措置といたしましては、まず第一点、テロリスト等への支払、送金、それと第二点、テロリスト等との資本取引、預金契約や信託契約や貸付契約等、こういったものを許可制にいたしまして、許可申請があった場合には不許可処分とすると、こういう仕組みを取っております。
#15
○佐々木知子君 実際に我が国における外為法によるテロ資産凍結の状況というのはどうなっておりますか。
#16
○政府参考人(小寺清君) お答えいたします。
 平成十三年、昨年の九月以降、累次にわたり、タリバーン関係者やテロリスト等の計三百九個人・団体に対して資産凍結等の措置を講じてきましたが、このうち六団体につきましては、本年一月に国連制裁委員会のリストから外れたということを受けまして、措置を解除しております。ということで、現在、資産凍結等の措置の対象は三百三個人・団体となっております。
 なお、本措置により実際に凍結された資産につきましては、アフガニスタンの中央銀行など政府系銀行の預金等約六十万ドルがございましたが、本年一月にこれらに対する資産凍結等の措置を解除したため、現在、外為法に基づいて凍結されている資産はございません。
#17
○佐々木知子君 これは外務省にお伺いいたしますけれども、その他のテロ資金規制に関する国際的取組の概要というものをお伺いいたします。
#18
○政府参考人(林景一君) お答えします。
 テロ資金の規制と申しますのは、正に様々な形で包括的、総合的に取り組むということが必要でございまして、今お尋ねのように、国連の安保理決議あるいはこのテロ資金供与防止条約以外にも様々な面で国際的な取組が行われております。
 特に、昨年九月十一日の同時多発テロ以降、G8の首脳声明で、これは九月十九日でございますけれども、テロ資金対策の重要性というものが強調されまして、G7、G8の枠組みにおきましてテロ資金供与防止、資産凍結、テロ資金提供・収集に関する情報の共有などの取組がなされております。
 また、国連におきましても、この安保理決議の下で安保理テロ対策委員会、これは安保理メンバーから成っておりますけれども、これを中心にテロ資金対策に関する取組が行われております。
 また、国連の外におきましては、FATF、金融活動作業部会と申しますのは、これがOECD諸国を中心に構成されておりますけれども、この作業部会がテロ資金供与に関する特別勧告を発表いたしまして、テロ資金対策に取り組んでおります。
 そのほか、先ほど、東南アジア諸国が入ることが大事だという御指摘がございましたけれども、ARFと申します、ASEAN地域フォーラムという場がございますけれども、そこにおきましてもワークショップを開催する等、地域的な取組におきましてもテロ資金対策に関する取組がなされております。
#19
○佐々木知子君 法務大臣にお伺いいたします。
 テロ資金防止条約は、特に昨年九月に発生した米国同時多発テロ事件を受けましてその締結が喫緊の課題とされていたにもかかわらず、これまでこの条約を締結しなかった理由についてお答え願えますか。
#20
○国務大臣(森山眞弓君) 条約の締結に関することは外務省の所管でございますけれども、法務省も外務省を始め関係省庁と協力いたしまして、この条約を締結するために整備が必要とされる国内法につきまして検討を続けてきたところでございます。
 昨年の米国における同時多発テロをきっかけといたしまして、国際社会においてテロ撲滅のための対策を特に推進することが喫緊の課題であるということになりまして、関係省庁とも連絡を密にいたしまして検討作業を集中的に進めました結果、本法律案を含めた国内担保法案について所要の検討を終了いたしましたので、本条約締結の承認及びその実施のための国内担保法案を国会に提案させていただいたところでございます。
 なお、条約の方につきましては、今国会で御審議の上、既に五月十七日に締結の承認がなされているところでございます。
#21
○佐々木知子君 これも法務大臣にお伺いいたしますが、本条約の締結等のために政府全体としていかなる法整備を行うことになりますでしょうか。
#22
○国務大臣(森山眞弓君) この法案は、いわゆるテロ資金供与防止条約及び国連安保理決議第千三百七十三号の的確な実施を図るために所要の措置を講ずるということを内容といたしております。
 この条約は、資金提供行為等の防止等のために実行可能な措置といたしまして、例えば金融機関等による顧客の本人確認等の義務付けを求めており、またテロリスト等に対する資産凍結等の措置を求める国連安保理決議第千三百七十三号については、その履行の観点から、外為法による支払、資本取引等に係る許可制度の効果的実施を図る必要がございます。
 このため、この法案のほか、金融庁において金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案を、財務省において行政機関の協力体制等に関し外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案をそれぞれ作成されまして、この国会で御審議の上、これらにつきましてはそれぞれ四月二十二日及び二十四日に成立いたしております。
#23
○佐々木知子君 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律ということができるということでございますが、どのような行為がこれによって防止できるのでしょうか。金融庁にお伺いいたします。
#24
○副大臣(村田吉隆君) お答えをさせていただきます。
 今、法務大臣からもお答えがございましたように、私どもの本人確認法は四月の二十二日に可決、成立しておりまして、二十六日に公布されているという状況にあります。
 金融機関との間で顧客が取引を開始する際に、これまでは例えば全銀協などの業界の自主ガイドラインによりまして本人確認をしてきたわけでございますが、今回、顧客に対します本人確認を法律上の義務として位置付けながら、その内容の明確化それから充実を図るということで法案の御審議をお願いしてきたわけであります。
 本人確認法によりまして、金融機関は制度上、顧客の真実の氏名等を把握することがより確実、可能となりまして、これによりまして、テロリスト等に対する牽制がまず行われ、それから事後的に効率的な資金トレースを行うことが可能となると、こういうことで、金融機関を通じましてテロリストにテロ資金が供与されたりマネーロンダリングが行われたりすることの防止に役立つと私どもは考えているわけでございます。
#25
○佐々木知子君 この法律によりまして、具体的にどのような場合に金融機関に対しまして本人の確認義務が課されることになるのでしょうか。
#26
○副大臣(村田吉隆君) 本人確認義務の対象となる取引につきましてはこれから政令で定めることになっておりまして、現在まだ検討中でございます。
 しかしながら、例えば検討中の内容を申し上げれば、銀行等の預金口座の開設、信託取引の開始、貯蓄性のある保険契約の締結、有価証券の売買、金銭の貸付け、それに加えまして二百万円を超える大口現金取引等とする予定でございます。
 ただし、本人が真正であるということが一度確認された場合には、そういう確認には、これらに、今申し述べたような取引に該当する取引を行う場合であっても、再度の本人確認は要しないということにしたいとも考えているわけであります。
#27
○佐々木知子君 その際、顧客側の身元を偽った場合等は処罰されることになるのでしょうか。
#28
○副大臣(村田吉隆君) まず、法律に本人確認の実効性を確保するという観点から、法律の三条で顧客等によりまして氏名等の虚偽告知を全面的に禁止するという措置を講じた上で、これに違反した顧客等で隠ぺいの目的を有するものに対しては五十万以上の罰金を科すると、こういうふうにしてあるわけでございます。
#29
○佐々木知子君 もう一つ、外為法の改正がなされるということでございましたけれども、これは資産凍結措置の効果的な実施にどのように資することになるのでしょうか。これは財務省にお伺いいたします。
#30
○政府参考人(小寺清君) 今般の外為法改正では、大きく分けて二点ございます。
 第一点は、テロリスト等を指定するために不可欠であります関係行政機関、外務省、法務省、警察庁等との間の協力の仕組みを整備するというのが第一点でございます。
 第二点は、先ほど金融庁の方から御説明がありましたように、外為法上の資産凍結の実効性を確保するため、金融機関等に対する顧客等の本人確認に係ります、これまでは努力規定でございましたが、それを義務化する、それから非居住者、外国人でございますけれども、こういった非居住者の預金その他の資本取引を本人確認の対象にするということが第二点目でございます。
 第一点目の方について少し詳しく説明させていただきますと、まず外為法の規制措置を講ずる場合に、主務大臣から関係行政機関の長への協力要請、また関係行政機関の長からは主務大臣への意見陳述ということができるようになりました。これは、例えば今回のテロリスト等の資産凍結の措置のように、対象の指定が必要となる場合に当該規制対象に関する情報を有する省庁の協力が有用であるということでございます。関係行政機関との間におけます情報提供等の協力については、法律上明確な根拠規定を整備することによって外為法上の規制措置を講ずる際の判断を一層適切にする、こういうことが今回の改正の目的でございます。
 二番目の方でございますけれども、外為法に基づく資産凍結等の措置が講じられた場合には、金融機関等により預金等が資産凍結等の対象者のものであるか否かが的確かつ迅速に把握されることとなり、外為法に基づきます資産凍結等の措置のより一層の実効性が確保されるというふうに考えております。
#31
○佐々木知子君 今度は法案の中身に入りまして、法務省にお伺いしたいと思いますけれども、本法律案はテロリストやテロ団体に対する資金供与行為等の処罰を目的とするものではないのでしょうか。
#32
○政府参考人(古田佑紀君) 結論から申し上げますと、この法案はテロ行為として行われることがよくある一定の重大犯罪行為に対する資金の供与を処罰すると、そういう構成でございまして、テロリストあるいはテロリスト団体、テロリズム団体、そのこと自体に対して資金の供与をすることを処罰するというものではございません。
#33
○佐々木知子君 法案第一条に「公衆等脅迫目的の犯罪行為」ということが規定されておりますけれども、これの意義についてお伺いいたします。
#34
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま委員御指摘の、第一条の公衆等脅迫目的の犯罪行為を列挙してあるわけでございますが、ここに列挙してあります行為は、この法律案において処罰することとする資金提供や収集の目的となる犯罪行為、すなわち資金提供者や収集者が意図している将来敢行され、又はすると認められる犯罪行為でございまして、テロ資金供与防止条約二条1(a)、(b)に当たるテロ行為を、これを実質的に包摂することができるように規定したものでございます。
 公衆等脅迫目的の犯罪行為と申しますのは、公衆あるいは国又は地方公共団体あるいは外国政府等を脅迫する目的で行われる犯罪行為でございまして、殺傷行為、誘拐行為、あるいは航行中の航空機又は船舶の航行に危険を生じさせる行為、これらを強取する行為、航空機、船舶等の破壊行為、電車等の公用又は公衆の利用に供する運送用の車両、公園等の公衆の利用に供する施設、重要な一定のインフラ施設そのほかの建造物の破壊と、こういう行為を公衆等脅迫目的の犯罪行為として定めているものでございます。
#35
○佐々木知子君 大きく三つに分けまして、人を対象とするものと、それから航空機、船舶を対象とするもの、その他の施設を対象とするものというふうにお分けになったのではないかというふうに思いますけれども、本法案におきましてテロリズムあるいはテロ犯罪というものを定義する必要があったのではないかとも考えられるんですが、これはどうして定義されなかったのでしょうか。
#36
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げたように、これはテロリズムあるいはテロ犯罪ということを特に規定せずに法案を作成しているわけでございますが、これは前提問題として条約の犯罪化の考え方があるわけでございます。
 既存のテロ関係の犯罪化条項を含む条約、あるいはこのテロ資金供与防止条約自体もそうでございますけれども、テロリズムあるいはテロ犯罪ということについて定義を置かずに、テロ行為としてしばしば行われるような重大な犯罪行為をそれ自体として各国が犯罪化して処罰が可能にすることを義務付けるという、そういう仕組みを取っておりますので、それを前提にいたしまして、この法律案につきましてもこれまでの既存のテロ関係の条約あるいはこの条約で定められている住民等を威嚇する目的等の殺傷行為、そういうものに対する資金の提供行為を処罰するということにしたわけでございます。
 御指摘のようなテロリズムあるいはテロ犯罪、こういうのを定義いたしましてそれに限るということにいたしますと、一面、条約の求めているところとややずれが生ずるという問題もあるわけでございます。
#37
○佐々木知子君 本法律案につきましては、これは不当に拡大適用されて市民生活を阻害するのではないかというような懸念も提起されているようでございます。本法律案によりまして民族支援活動や市民活動に対するカンパなども処罰対象となって、こういう正当な活動が抑圧されることにならないかと、こういうような懸念に対しては問題がないというふうにお答えになられますか。
#38
○政府参考人(古田佑紀君) そのような御指摘が、あるいは御疑問もあることは承知しておりますけれども、まず前提問題として、第一条でどういう犯罪行為に対する資金の提供を問題にするかという点につきまして、これを重大な犯罪行為に限定しております。
 さらに、そのような犯罪行為をするという意図を具体的に知っているということが大前提でございまして、それに加えまして、そのような犯罪行為をすることを積極的に容易にする、容易にする積極的な意図を有している場合に限って犯罪として処罰するということにしておりますので、一般的に善意のカンパ活動とかそういうものがこの法律による処罰の対象にならないことは条文上も明らかでございますので、そういう御懸念は当たらないものと考えているところです。
#39
○佐々木知子君 今るるお答えになりましたけれども、その第二条の資金提供罪の趣旨ということ、それから同条に規定されている、「情を知って、」及び「公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的」ということに絞りを掛けているので、そういう懸念は当たらないということでございましたけれども、この意義について、もう一度お答え願えますか。
#40
○政府参考人(古田佑紀君) 「情を知って、」という表現は、これまでも資金提供罪、幾つかございますが、それでしばしば用いられている表現でございまして、この法律案の場合に具体的に当てはめますと、資金提供の相手方、提供先が公衆等の脅迫目的の犯罪行為を実行する意図を有していることを知っているということを意味するわけでございます。そして、実行を容易にする目的とは、資金提供の相手方がその犯罪行為の実行が容易になるようにしてやろうということを積極的に意図するということでございます。
#41
○佐々木知子君 「情を知って、」、よく使われる言葉と言われれば使われる言葉でございます。
 実行を容易にする目的ということで目的犯という絞りを掛けているということでございますけれども、これは考えようによってはいわゆる主観的要件であるということで、この立証は非常に難しいのではないか。だから、実際に本来のテロ行為が行われた後でなければ、こういう資金提供罪などというのは実際は処罰できないのではないかということが考えられることが一つ。あるいはまた、反対にこれは主観的要件であるから恣意的に適用されるおそれがあるのではないかということもやはり考えられるのではないかと。
 これについてはどのようにお考えでしょうか。
#42
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、主観的要件でございますから、その立証あるいはその意図の存在、これを認めるについては、何か客観的な物証があってそれですぐ決まるというような場合もございますでしょうけれども、一般的には様々な角度からの状況その他を十分検討してやらなければならないということは事実だと思います。
 ただ、そういうものであるにいたしましても、事実の立証という面からいたしますと、主観的な要件でありましても、本人の言い分、そういうことだけではなくて、ほかの関係者の供述や証拠物等、様々な証拠から総合的に認定することが可能でございますし、特に大規模組織的なテロということになりますと、いろいろな様々な情報の密度の高い交換、そういうような点からその計画等について立証するための資料を得るということも十分考えられるところでございます。
 一方、恣意的になるのではないかという点でございますけれども、これもやはり単に捜査官なりこの取締りに当たる者がそう思ったというだけで、もちろん犯罪の嫌疑があるとかそういうことに直ちになるわけではないわけでございまして、それを裏付ける十分な客観的な資料、そういうふうなものが必要になるわけで、いずれにいたしましても主観的要件であるからということだけで直ちに実効性を欠く、あるいは恣意的になるということにはならないものと考えております。
#43
○佐々木知子君 資金を提供するということなんですが、どういうものが資金になって、どういう形態が提供になるのか、具体例を挙げて説明していただけますか。
#44
○政府参考人(古田佑紀君) 典型的に申し上げますと、例えば公衆等を脅迫する目的で爆弾を、爆発物を仕掛けると、そういうふうなテロの実行を計画しているということが、そういう者がいるという場合に、そういう計画をしているということが分かった上でそのために必要な爆弾を造るための費用でありますとかを提供すると、そういうふうな場合、あるいはやはり公衆等の脅迫目的で要人暗殺のようなことを計画している、そういう者に対して、それが分かった上で狙撃場所となるような部屋を借りるための資金を与えると、そういうふうな行為が具体的には例として申し上げれば考えられるわけでございます。
 もちろん、そのほかにもいろんなケースがあるわけでございますが、非常に典型的に言えばそういうふうな場合があるであろうと考えております。
#45
○佐々木知子君 例えば、人質事件や恐喝事件の被害者などがテロリストに対して、それがテロ行為に使われるであろうということを認識しながら身代金を支払ったり金を脅し取られたりすることは間々あるだろうというふうに考えられるわけですけれども、こういう場合にも資金提供罪というのは成立するのでしょうか。
#46
○政府参考人(古田佑紀君) 明らかにテロ資金にするために身代金を要求されると、こういうふうなケースというのが仮にあったとした場合でありましても、この場合は「情を知って、」という要件には当たりますが、一方、身代金を提供する側の意図としては、そういうテロ行為を積極的に容易にしようという意図があるわけではございませんので、そういう場合にはそちらの要件の方で、今回の法案の提供罪の処罰範囲には含まれないということになると考えております。
#47
○佐々木知子君 資金提供と、それから次に資金収集ということもこの法律は処罰しております。第三条の資金収集罪というものはどのようなものであって、どのような場合に成立するのか、具体例を挙げて説明していただきたいと思います。
#48
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの資金収集罪は、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を意図している者がその実行のために使用する目的で第三者に対し資金の提供を勧誘、要請するなどして自ら進んで資金を入手する、そういう積極的に資金を入手する行為を処罰しようとするものでございます。典型的なケースを申し上げますと、ただいま申し上げたような意図を有しております者が、犯罪のために必要ないろんな資材を買う等の目的などで、その資金の援助を第三者に要求、勧誘するという行為が考えられるわけです。
 しかし、一方、この収集の相手方になる者におきまして、収集者の真意を知っている必要は特段ございませんので、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を意図している者がそういう犯罪行為、その意図を隠しまして、ほかのいろんな活動を装って募金を募るというふうな行為、あるいは金融機関からお金を借りると、そういうふうなケースも該当するものと考えております。
#49
○佐々木知子君 この本法律案の附則を見ますと、第三条で、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を以下のように改正するということがございます。これはもう御承知のように、平成十一年に成立したいわゆる組織的犯罪処罰法でございますけれども、この改正の趣旨及び概要についてお伺いいたします。
#50
○政府参考人(古田佑紀君) 組織犯罪処罰法について改正を行う趣旨につきましては、資金提供罪及び資金の収集罪を組織的犯罪処罰法のいわゆるマネーロンダリング関係の前提犯罪とするというところに目的があるわけでございまして、その結果としてどういう効果が生ずるかと申し上げますと、一つには、提供、収集された資金、又は実際には相手に到達するまでには至らなかった提供されようとしている資金について、これが没収又は追徴が可能になるということになります。
 さらに、第二点としては、こういうふうな資金等がマネーロンダリング規制の対象となりますので、その隠匿行為や収受行為が処罰されるということになります。
 第三点目としては、金融機関等が業務において収受した財産が、ただいま申し上げたような資金等である疑いがある場合には、疑わしい取引の届出の対象になるということになります。
 このような改正によりまして、提供又は収集された資金に係る犯罪収益についてその剥奪が可能になりますとともに、マネーロンダリングによってこういうふうなお金が自由に動くということを防止するということにもなるわけでございます。
#51
○佐々木知子君 早めですけれども、これで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#52
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 質問に先立ちまして、法務大臣にお尋ねいたします。
 非核三原則という政策が我が国では一貫して取られておるわけですが、法務大臣、閣僚の一員としてこの非核三原則という政策に関しまして所見をお聞かせいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
#53
○国務大臣(森山眞弓君) 我が国は、核は保有しない、核は製造しない、核は持ち込ませないといういわゆる非核三原則を堅持してまいりまして、一切の核兵器を保有しないこととしております。小泉内閣におきましてもこの方針を厳しく持っていくということは総理が述べておられるとおりでございまして、私もそのように考えております。
#54
○小川敏夫君 ありがとうございます。
 次に、本法案について具体的な質問をしたいと思いますが、このテロ資金防止条約、これに我が国が参加するという状況、それからテロという犯罪に対して、これはもう国民全体があらゆる角度で取り組んでこれに対処しなければならないという思いは全く私もそう感じるところなんですが、この法案そのものを一つ一つ逐一に分析してみますと、どうも少し広過ぎるんじゃないか、あるいは法律として、刑罰法規としてあいまい過ぎるところがあるんではないか、あるいは条約の趣旨を少し広げ過ぎているんじゃないかというような様々な感じるところがございますので、これから一つ一つ質問させていただきます。
 便宜、条文に沿っていきたいと思いますが、第一条の「公衆」という言葉が出てきております。要するに、公衆を脅迫する目的ということに文章としてはつながるんでしょうけれども、この「公衆」というものの意味するところをもう少し具体的に定義付けて説明していただきたいんですが。
#55
○政府参考人(古田佑紀君) 「公衆」という言葉は様々な刑罰法令で用いられている言葉でございますけれども、一般的には不特定かつ多数の者という意味で用いられているものと承知しております。この不特定かつ多数というのは、数的な概念というよりは社会を構成する人一般という、そういう意味で考えられているものと理解しており、この法律におきましても同様に考えている次第です。
#56
○小川敏夫君 不特定かつ多数、そうすると、不特定であれば二人以上であってもこれは要件には当たるわけですね。
#57
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、数というよりも、むしろ「公衆」という言葉自体からおのずと明らかなように、社会の一般を構成するそういう人たち。それが例えば、これは脅迫目的でございますから、社会一般の人が不安を持つ、恐怖を感じる、そういうようなことを意図するということになっていくわけでございまして、特定の被害との関係で一人二人とか、そういう問題にはならないものと考えております。
#58
○小川敏夫君 条約では「住民を威嚇」というふうにあるわけですが、この法律では公衆を脅迫ということになるわけですね。
 この条約で言う「威嚇」という言葉は、住民を威嚇するという言葉、それからこの法律で言う公衆を脅迫するという言葉はどうも大分異なる部分があるんじゃないかと思うんですが、これは同じなんですか、それとも違うんですか、違うんだったらどのように違うんですか。
#59
○政府参考人(古田佑紀君) 条約の住民を威嚇ということと公衆を脅迫するということは内容的に同じと考えております。
 ただ、日本語として、「住民」といった場合にはある一地域に住んでいる者というふうなニュアンスが非常に強くなりますし、また「威嚇」という言葉自体には不法性が必ずしも含まれていないと。そういうことを考慮いたしまして、日本語、日本の法律としては公衆を脅迫するという言葉の方がその実質を的確に表していると考えて、こういう表現を用いることとしたものでございます。
#60
○小川敏夫君 どうも言葉の印象としまして、威嚇というと具体的に、物理的というのかな、あるいは具体的な行動として脅すような雰囲気があるんだけれども、脅迫といいますとむしろそれより広いんじゃないかというような感じがするんですが、ここで言う脅迫というのと刑法で言う脅迫罪の脅迫と、これは同じですか。
#61
○政府参考人(古田佑紀君) 人を畏怖させるという限度ではもちろん同じでございますけれども、ただ、この法案の第一条に列記してあります犯罪行為、これらによって畏怖させるということが当然の前提でございますので、ここで言う脅迫目的というのは、一条の各号に掲げておりますような犯罪行為によって生じさせるそういう畏怖ということになるものと考えております。
#62
○小川敏夫君 どうもよく分からないんですけれども、刑法の脅迫ですと、例えば名誉を傷付けるぞというのも脅迫になるわけですね。つまり、秘密を暴露しておまえの名誉を傷付けてやるぞというのも、これは刑法で言う脅迫なわけです。
 ですから、もし刑法に言う脅迫とこの第一条に言う脅迫というものが同じだとすると、威嚇という言葉、条約で言っている威嚇というのは、どうも名誉を傷付けるというのは威嚇じゃないようにも思うので、威嚇と脅迫とは違うと思うんだけれども、どうなんですか、ここで言う第一条の脅迫というのは刑法で言う脅迫とは違うんですか。
#63
○政府参考人(古田佑紀君) 繰り返しになりますけれども、要するに、人に畏怖心を生じさせるという、そういう抽象的な意味ではそれは同じことになるわけですが、ただいま御指摘のような、人の不名誉にわたるようなことを暴露するとか、そういうことによる畏怖心というのは、一条で、これは脅迫、畏怖心を生じさせる手段が限定されておりますので、より具体的に申し上げますと、各号に列挙されている殺人でありますとか、あるいはその他の破壊行為という、それに限定されておりますので、ただいま御指摘のような秘密の暴露等、名誉にかかわると、そういうふうな意味での畏怖心を生じさせる行為というのはこの法案の条文上、除外されることは明らかであると考えているということでございます。
#64
○小川敏夫君 つまり、脅迫という言葉は刑法と同じ意味だけれども、この第一条あるいはこの法律のほかの構成要件から判断すると明らかに名誉に対する脅迫等は含まないと、こんなような答弁と理解したんですが、そんな内容で理解していいんですか。
#65
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりです。
#66
○小川敏夫君 そうすると、じゃ、条約で言う住民に対する威嚇というのとこの第一条の定義で言う公衆に対する脅迫というのは同じことだということなので、同じことだということで理解させていただきますけれども、何かニュアンスがあいまいと広がっているような気がして、感じてならないんですけれども。
 もう一つ、条約は、国等に対して強要するということになっていますが、この第一条の定義ですと、国等に対してもこれ、脅迫でいいことになっていますね。脅迫と強要でははっきりと違うと思うんですが、これはやっぱり違うんでしょうね。
#67
○政府参考人(古田佑紀君) おっしゃるとおり、強要というのは、一定の作為、不作為を求めるということでございますので、脅迫とは違うということになります。ただ、強要の前提として脅迫、畏怖心を生じさせるという行為が通常前提になっているものと考えている次第です。
#68
○小川敏夫君 条約で言うところの強要、一番分かりやすいのは、例えば服役している政治犯を釈放しろとか、そんなことが一番分かりやすい例なんではないかと思いますけれども、強要するには脅迫は含むということなんだけれども、しかしこの法律では、強要まで要求しないで脅迫で足りるということによって対象事例が広く広がっておるわけですよね。
 例えば、考えまして、だから強要じゃなくて脅迫となると、例えば暴走族が、あの警察の取調べは大変気に入らない、じゃ、ちょっと驚かせてやるといって交番をぶっ壊したりパトカーをひっくり返したりしたと。これも立派な脅迫行為だから、別に何にも強要という行為は求めていないけれども、これは当たるんですね、そうすると。
#69
○政府参考人(古田佑紀君) この脅迫とした趣旨につきまして若干御説明を申し上げたいと思うんですが、ただいま委員御指摘の強要は、これは例えばテロ資金供与防止条約の犯罪化が求められる既存の条約以外の部分でそういう表現になっているわけでございます。
 しかしながら、一方で、既存のテロ関係条約につきましては、いわゆる強要目的ということが要件とされないいろんな殺傷行為等も含まれるわけでございまして、これらの全体を通じて見た場合にどのように法案として立法、立案すべきかというところから、要するに政府等にプレッシャーを掛ける目的、これは具体的に何かを、ある特定の作為、不作為を要求するだけではなくて、例えば要人を暗殺することによってプレッシャーを掛ける、それを目的とするような場合もやはり含まないと、条約全体の、既存の条約も含んだ犯罪化といたしましては十分ではないと。そういうことから、強要の前提となります脅迫という段階でとらえるということにしたものでございます。
 ただいまお尋ねの暴走族とかそういうものにつきましては、これは具体的なケースにもよることではございますけれども、明らかに国あるいはそういう地方公共団体といいますか、そういうものに対して畏怖心を持たせてやろうというような意図で行うと、そういう場合には当たり得る場合はあろうかと思います。
#70
○小川敏夫君 テロに対してあらゆる角度から効果的に対処しなくてはいけないというのは全く分かるし、私もそう思うんですけれども、しかしこれはやはり刑事法ですから、あらゆる場合、どんな場合でもやれるように法律の構成要件を広くするということによって、逆に余りテロでもないけれども構成要件に引っ掛かってしまうというケースが増えてしまう、そうすると、いわゆる濫用という問題が生じるんじゃないかという思いで聞いているわけなんです。実際に、条約は強要というところまで構成要件を絞っているのに対して、その前提となる脅迫があるからだと言うけれども、脅迫ということですと非常に幅広い構成要件になるので、そうすると、テロじゃないもの、本来、条約が求めていない、あるいはこの法律そのものも本来的に対処する場合でないケースでも構成要件に該当してしまうんではないか、したがってそれが結局は言わば警察権力の濫用だというケースが起きてしまうんじゃないかという観点から聞いておるわけです。
 私が今言った暴走族の例ですけれども、だから、警察は当然この「国若しくは地方公共団体」というところに当たるでしょうから、そこで、あの交通の取締りは大変けしからぬ、だから少し驚かせてびっくりさせてやれという目的でやれば、これは第一条の構成要件に当たると思うんですよね。第一条の三に行きますと、自動車を損壊すればそれはイになる。あるいは三項のホに行くと建造物、これは交番も当然、建造物に当たるから、交番をぶっ壊してやるといえばこれ行為としても構成要件に当たるので、だから何か暴走族が警察を驚かせてやれという気で暴れてパトカーをひっくり返したり交番を襲ったりすれば、実際そういう事件、我が国でも起きているわけですけれども、この法律の構成要件に該当すると思うんですがね。
 実際どうですか、暴走族が交通違反の取締りが気に入らないから警察を驚かせてやれという目的でパトカーをひっくり返したり交番を襲ったら、この法律の構成要件に該当するんじゃないですか。私はすると思うんですが、いかがですか。
#71
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、具体的な事実関係にもよることではありますが、この一条に掲げてあります「公衆等脅迫目的の犯罪行為」に該当することはそれはあり得るのではないかと思います。
 ただ、そのことによって何か直ちに処罰とかそういうことになるわけではなくて、それに対して、そういう行為をすることを知って積極的に資金を提供すると、そういう行為が処罰の対象になるわけでございますので、一条で掲げてあります犯罪行為自体でこの処罰の対象になると、この法案による処罰の対象になるというものではないということは御理解いただきたいと思います。
#72
○小川敏夫君 どうも、御理解いただきたいと言われても余り御理解できないんですけれども。
 例えば、私がこの際、世間を驚かせてやれといって日本刀を町中で振り回して暴れれば、この法律の構成要件に該当するんでしょうね。
#73
○政府参考人(古田佑紀君) 単に日本刀を振り回すということだけでは、この一条の各号のどれにも当たらないと考えております。殺人、そのこと自体が直ちに殺人あるいは傷害ということでもございませんし、脅迫のような行為でございましょうけれども、脅迫自体はここで言う犯罪行為、目的とする犯罪行為の中から除外しておりますので、単に日本刀を振り回したというだけではこの一条所定の犯罪行為には該当しないものと考えております。
#74
○小川敏夫君 ちょっと今、私の質問で、日本刀を振り回してけがをさせればというふうに言ったと思うんだけれども、要するに「人の身体に重大な危害を及ぼす方法によりその身体を傷害し、」というんだから、見せ掛けで振り回すんじゃなくて、実際にけがをさせる行為という意味で質問したと思うんですが、どうですか。
#75
○政府参考人(古田佑紀君) もちろん、人に傷害を負わせる意図で、そして実際に傷害を負わせると、それを意図してという場合には、ここで言う犯罪行為、一条の犯罪行為、目的とする犯罪行為には当たり得るという場合があろうかと思いますが、先ほど申し上げましたのは、そのこと自体によって、この法案、法律によって何かが処罰されるということにはなるわけではなくて、そういう行為に対して資金を提供する、あるいはそのための資金を集めると、そういう資金の提供、収集という行為が処罰の対象になるということを申し上げているわけでございます。
#76
○小川敏夫君 だから、私が言いたいのは、テロだから、テロに対して資金を集める、集めるのはテロ犯だからいいけれども、資金を供給すると。テロだからそういう資金を提供することも処罰するということを賛成できるという考えでいるんですけれども、どうもこの第一条の要件は、どうもいわゆるテロという概念には入らない犯罪についても、やっぱり資金を提供すれば犯罪になるという意味で対テロだけではない、もっともっと広い投網を打ったような、そんな構成要件になっているんじゃないかと。だから、濫用のおそれがあるという観点から聞いておるわけです。
 すなわち、資金を供与すると、一般的にはこれ幇助犯になれば当然、犯罪の幇助ということで検挙されるわけです。しかし、そうした幇助犯という幇助の要件とはまた別に、この資金の供与というものをこの法律で処罰するというのは、やっぱりテロ対策だからそこまで構成要件を広げて処罰するんだという、そのテロ対策ということが私は大前提にあると思うんですね。ところが、この構成要件では、テロでない犯罪まで含まれてしまうというと、これはもっと刑事法的に大変重要な問題なので、じゃ、もっと慎重な議論をしなくちゃいけないんじゃないかと私は思うので、そういう観点からいろいろ質問させていただいておるわけです。
 次に、細かい点を順番に質問していきますけれども、第一条の一で「人の身体に重大な危害を及ぼす方法によりその身体を傷害し、」と。だから、傷害する計画があればこれに当たるんでしょうけれども、これは傷害というのは傷害の行為があるときも傷害ですけれども、暴行の行為によって結果的加重犯で傷害もこれ成立するわけですけれども、ここで言うこの「傷害し、」というのは暴行の計画、つまり傷害の行為はないんだけれども暴行の行為はあるという意味のその暴行は、これは含むんですか、含まないんですか。
#77
○政府参考人(古田佑紀君) この一条各号に掲げてあります犯罪行為は、要するに意図しようと、意図のしている、言わばターゲットとしてどういうことを実行しようかとしている内容でございます。したがいまして、傷害を与えるということを意図しているということが必要で、元々本当に実際問題としてあり得るかどうか分かりませんけれども、本当に暴行というだけのそれだけの意図であれば、これは該当はしないということになります。ただ、現実問題としてはなかなか暴行だけの意図と傷害、そういう意図というのは実際問題としては普通はないのではなかろうかと考えているところです。
#78
○小川敏夫君 要するに、傷害の行為がなくて暴行の行為までしかないというような例は含まないということでよろしいわけですね。
#79
○政府参考人(古田佑紀君) 万一そういうケースがあれば、それは入らないということです。
#80
○小川敏夫君 この同じ第一条一項で「凶器の使用」ということが出てくるんですけれども、凶器、ピストルだ、日本刀だというのは凶器だと分かるんですけれども、ただそのような典型的な凶器じゃなくて、物は使い方によれば何だって凶器になるわけで、今座っているいすでも人間の頭の上におっことせば凶器になるわけで、ですからそういう本来的な凶器じゃなくて、言わば使い方によっては凶器になるというようなものの、いわゆる用法上の凶器というものは、これは含むんですか。
#81
○政府参考人(古田佑紀君) いわゆる性質上の凶器、刀とかけん銃とかそういうもの以外でありましても、それ自体直ちに人の生命、身体に危険を及ぼすことができるような鉄棒でありますとかおのというふうな、こういう範囲での用法上の凶器と、これもここで言う凶器に含むものと考えております。
#82
○小川敏夫君 そうすると、用法上の凶器も含んでくると大分広いですよね。ビール瓶を割って使えば凶器になるし、用法上の凶器も含むということでは。そうすると、相当これは広いですよね、範囲が、凶器の範囲が。
 「その他人の身体に重大な危害を及ぼす方法」と抽象的な言葉で書いてあるんですけれども、これは一つ一つ列挙しにくいからこうやってまとめた表現になっているんですけれども、もう少し分かりやすく言うと、どのような方法がこれに当たるのか、あるいはこういう場合なら当たらないという、ちょっと例を示して説明していただけませんか。
#83
○政府参考人(古田佑紀君) 「人の身体に重大な危害を及ぼす方法」と申しますのは、ただいま御指摘にもありましたように、いろんな方法がありますことからこういうふうな表現を用いたものでございますけれども、典型的に申し上げますと、例えば劇薬を浴びせるようなこととか、あるいは放射性物質を散布する、病原菌を散布すると、こういうふうなものが考えられるところでございます。
#84
○小川敏夫君 今、例示していただいた例ですと確かにそうかなと思うんだけれども、だんだんだんだん個別なケースになると微妙なケースもあると思うんですよね。例えば、自動車を、群衆の中に自動車で突っ込めば相当危険な行為だと思うんですけれども、そういうのも、これは具体的なケースにもよるんでしょうけれども、そんな例だとどういうふうに考えたらいいんですか。
#85
○政府参考人(古田佑紀君) いろんなケースがあり得るわけですが、例えば群衆の中に相当スピードで自動車を突っ込むというようなケースになりますと、むしろ殺人の方に当たる場合が通常ではないかと考えるわけでございます。
 したがいまして、何と申しますか、ここで挙げてあります行為は、要するにこれからどういうことをしようとするかというその計画ないし意図の問題でございますので、現実に起こった結果ということを特に問題にしているわけではない。要するに、人の生命、身体に非常に重大な危険を及ぼすような、そういう行為をするということを意図している、抽象的に言えばそういうことになるわけでございますが、それを明確にするために、殺人でありますとか重大な危害を及ぼす方法による傷害ということで、そこら辺をより具体的に明示をしているということでございます。
#86
○小川敏夫君 個別のケースを、これは判例がだんだんだんだん長い間に蓄積していくんでしょうけれども、どんなケースが当たるのかなとあれこれ考えると様々なケースが浮かんできて寝れなくなっちゃうんで、質問次に行きますけれども。
 第一条の二で「航行中の航空機」とあるわけですけれども、これは実際に飛んでいる、あるいは離陸している状態を言うので、離陸する前の駐機場に止まって乗客が乗っているような状態、駐機中の場合は、これは含まないんでしょうね。あるいは、航行の準備ということも含むんですか。
#87
○政府参考人(古田佑紀君) 「航行中の航空機」という用語は、航空危険法第二条第一項で用いられているわけですが、それと同義でございまして、航空機のすべての乗降口が乗機の後に閉ざされたときからこれらの乗降口のうちいずれかが降機のために開かれるときまでの間というふうに解釈されているところで、これと同様に考えております。
#88
○小川敏夫君 「航行に危険を生じさせる行為」ということなんですけれども、後に「運航を支配する行為」というのが出てきますよね。電車等の往来危険罪では、例えば運行ダイヤに従わないで列車を走らせたりすると危険を生じさせる行為にも該当すると思うんですけれども、ここで言うこの「危険を生じさせる行為」というのは具体的にはどういうケースを想定しているんでしょうか。
#89
○政府参考人(古田佑紀君) これは、例えば航空機で申し上げますと、航空の管制をしている保安施設を破壊して航空の管制が困難になるような行為とか、あるいは例えば滑走路に油をまいて非常にスリップしやすくなって離着陸のときに転覆等のおそれが生じると、こういうふうなものが典型的なものであろうと考えております。
#90
○小川敏夫君 そのハで言う「運航を支配する行為」、これはこれで分かるんですけれども、この運航を支配して本来の航路を外れ、当然、時間的にも外れ、言わば管制に従わないわけですけれども、そうすると、これは危険を生じさせる行為にも該当することになるわけですね。
#91
○政府参考人(古田佑紀君) それはケース・バイ・ケースになろうかと思いますが、この運航支配行為、これをここに掲げておりますのは、ハイジャック防止条約、これは航空機、船舶双方にあるわけでございますけれども、これが運航支配の犯罪化を求めているということからここに掲げたものでございます。
 その運航支配のケースによりまして、その飛行機自体に例えば墜落の危険を生ずるというケースもそれはありますでしょうし、あるいは他の航空機との接触の危険を生じさせるというふうな、そういうことになる場合もあろうかと思いますが、そういうときには運航支配と危険を生じさせると両方の行為に当たることになろうと思います。
 ただ、先ほどから何度も申し上げておりますとおり、これは計画している犯罪行為でございますので、その運航支配をすることを目的としている、それ以外にほかの危険を生じさせるというようなことは特に意図しているわけではないと、そういうふうなケースがむしろ通常ではないかなと思っている次第です。
#92
○小川敏夫君 この二号のニで「爆発物を爆発させ、」とあるんですが、例えば火炎瓶を投げるような行為は、これはこれに当たるんでしょうか。
#93
○政府参考人(古田佑紀君) 火炎瓶の場合には、この火炎瓶の性能にもよろうかと思いますけれども、通常はむしろ放火等考えられる場合が一般であろうと思います。しかしながら、爆発性が非常に強いものであれば、爆発物を爆発させるという場合に該当することもあろうかと思います。
#94
○小川敏夫君 「その他の方法により、航空機若しくは船舶を破壊し、」と。航空機、これは別に航行中とかあるいは旅客輸送とかそういった限定がないので、あらゆる航空機を当然指しているんでしょうね。
#95
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりです。
#96
○小川敏夫君 航空機ですとどんなに小さくたってそれなりに大きいからいいんだけれども、次の船舶ですけれども、ボート池のボートもあれは船だと思うので、大変小さい船から非常に大きい、船舶という言葉にふさわしい、この法律で言う船舶にふさわしい船舶もあると思うんだけれども、この船舶に関してはどの範囲まで含むんですか。
#97
○政府参考人(古田佑紀君) 船舶と申しますのは、これほとんど言い換えになってしまうかもしれませんけれども、社会通念上、船と認められるもので、要するに水上を航行して人又は物の輸送をするのに適した構造を有するものということになろうかと考えております。
#98
○小川敏夫君 何かほとんど言い換えというか、全部言い換えのような気がするんだけれども、どうなんですかね。ボート池のボートもうちの子供は船と言っていますけれどもね。
 そうすると、例えばテロ対策というこの法律の趣旨からすると、やっぱり旅客を輸送するとか、ある程度まとまった物資を輸送するような大きな船舶を想定しているんじゃないかと思うんで、ボート池のボートとか釣り船の小さな船とか、そういうのは含まなくてもいいんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。社会通念上、船というだけじゃいけないんで、じゃ、ボート池のボートは入るんですか、これは。
#99
○政府参考人(古田佑紀君) 一つ一つ細かく考えていきますと、確かにいろんなケースがあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これも船舶もシージャック防止条約との関係、それから例えばほかの爆発物、テロリストによる爆発物の使用の防止に関する条約等々、いろんな既存の犯罪化条約がオーバーラップしているところもあるわけでございまして、それを一つ一つ細かく規定するということは立法技術的には極めて困難であります。
 また、ただ、それと同時に、一方で公衆等脅迫目的と、それの脅迫をするのにふさわしいような方法で行われるような行為であれば、それについてそれを意図しているということであれば、必ずしも船舶の大小とかそういうことにはかかわらないという実態もあると考えているわけでございます。
 更に申し上げますと、そういう意図を持った、それに対して、そういう犯罪行為に対して資金を提供するということで初めて処罰をされるということでございますから、御指摘のような非常にささやかなケース等につきまして、資金を提供するとか、そういう実態というのもこれまた一方では大変考えにくいことではないかというふうに思っているわけでございます。
#100
○小川敏夫君 ボート池のボートぐらいですと考えにくいのかもしれないけれども、だんだんだんだん微妙なところが出てくるわけで、そうすると、犯罪の構成要件として余りあいまいな部分があってはいけないんじゃないかという観点から聞いておるわけですけれども。
 質問を変えますけれども、ここは飛行機と船だけなんですけれども、日本は新幹線とかあるいは、テロじゃないにしてもバスジャックなんか起きているわけですけれども、仮に新幹線は、これ危険を生じさせるような行為があれば大変に危険なことだと思うんですけれども、何でここで船と飛行機だけに限定されているんですか。
#101
○政府参考人(古田佑紀君) 新幹線とか電車等につきましては、これは実は三号の方で対象としているわけでございます。
 この二号と三号を分けました理由というのは、航空機、船舶につきましては、先ほどから申し上げておりますようなハイジャック防止条約関係で様々な行為は犯罪化が義務付けられている、そういうようなことから、二号について、航空機、船舶については別途定めたということでございます。
 電車とかそういうものにつきましては、これはむしろテロリストによる爆発物の使用等の防止に関する条約、こちらの方を踏まえまして三号にそれを掲記したということでございます。
#102
○小川敏夫君 条約を踏まえてと言うけれども、しかし例えばこれが日本の国内だけで完結するような犯罪について条約が求めていないのにこの法律は求めているというような部分で、条約をそっくりそのまま移すんではないんで、それなりの目的に従って法案を制定しているということだから、我が国の実情に合わせて法案を考えればいいと思うんですけれども、少なくとも新幹線について、これは「航行中の船舶を沈没させ、」というのと同じぐらいの重要性があると思うんですよね。新幹線をひっくり返されたんじゃたまったものじゃないし、正に運航に危険を生じさせる行為だけで私は非常に重要なことだと思うんで、どうなんですかね、立法技術として飛行機と船だけというのが私は納得できないんですが。
 三号で対象に入りますけれども、これは「損傷を与える行為」ですよね。ですから、二号は「航行に危険を生じさせる行為」ということで、明らかに要件が違うわけですけれども、少なくとも新幹線を対象にテロがあったというようなことを考えれば、私は二号の中に電車も入るべきではなかったかというふうに思っておりますが、どうですか、そこら辺の考えは。
#103
○政府参考人(古田佑紀君) 確かに、御指摘のようなお考えも一つの見解だというふうに私どもも考えますけれども、やはり条約の担保ということを目的とするということから、できる限り既存のいろんな条約の範囲から余り大きく変わらないようにするということが一点でございます。
 それと、もう一点は、電車とかそういうものにつきまして、これに損傷を与える、かなり危険を発生させる行為というのはこういう損傷を与える行為に該当する場合も非常に多いであろうと、そういうようなことも一面あるわけでございます。
 いずれにいたしましても、条約、既存のいろんなテロ関係の条約との関係というのを重視してこのような構成にしたということでございます。
#104
○小川敏夫君 何かよく分かったような分からないような感じがするんですけれども、私としては先ほど質問したような趣旨だということを述べさせていただきます。
 三号に行きまして、ここにイ、ロ、ハ、ニ、ホと書いてあるものを、爆発、それから放火、あるいはその他の重大な危害を及ぼす方法によって破壊すればこれに当たるということなんだけれども、これは随分幅広く様々なものが書いてあると思うんですが、テロ資金防止条約もここまで求めているんでしょうか。それとも、条約は条約の趣旨というものがあるけれども、それを踏まえて更に対象物を広げてこのような規定になったんでしょうか。条約との関連はどうですか。
#105
○政府参考人(古田佑紀君) この三号に掲記してあります行為につきましては、これは先ほども若干申し上げましたけれども、基本的に昨年御承認をいただきましたテロリストによる爆発物の使用の防止に関する条約、これによって犯罪化が義務付けられている範囲をカバーするというものでございます。
 それだけではなくて、ほかにも国家代表等保護条約で国際的に保護される者の住居等、こういうようなものの破壊とか重大な損傷を与える行為もこれも犯罪化が義務付けられているという部分もあるわけでございますが、これらの既存の条約で犯罪化が求められている範囲にできるだけ近いように、ここに三号の各行為を定めたものでございます。
#106
○小川敏夫君 このイで、「電車、自動車その他の人若しくは物の運送に用いる車両」と。その「その他の人若しくは物の運送に用いる車両」といっても電車、自動車以外に余り思い浮かばないんですけれども、あとは自転車かリヤカーかと、そのぐらいしか思い浮かばないんですけれども、これはどうなんですか。そのほかの車両というのはどういうものを考えているんですか。
#107
○政府参考人(古田佑紀君) その他の車両と申しますと、今、日本では余り見られなくなっておりますけれども、汽車も入りますし、それからモノレール、あるいはトロリーバス、こういうふうな人の運送に用いられる様々な、何といいますか、電車あるいは自動車とは直ちには言えない車両が含まれることになると考えております。
#108
○小川敏夫君 そうすると、自転車やリヤカーは入らないわけですか。
#109
○政府参考人(古田佑紀君) 自転車、リヤカーというのも車両といえば車両ということになるわけで、そういう限度ではここで言う車両から外れるものではございませんけれども、これも先ほどから申し上げておりますとおり、公衆等の脅迫をするのにふさわしいようなものとしての攻撃客体、しかもそれに対して資金を提供する、そういうふうなことに至って初めて犯罪として処罰されるものでございますから、ここで掲げているということ自体でそのことが直ちに何か犯罪として処罰されるものにすぐ結び付くというふうなことにはならないという点を御理解いただきたいということを申し上げている次第です。
#110
○小川敏夫君 理解しようとしても、しかし余り構成要件が広いと、ですから濫用の問題が出てくるんではないかと心配しておるわけなんですけれども。
 いわゆるテロという物事の性質上、自転車に対する、自転車を対象とするようなテロ行為はないんではないかというふうに言いますと、そういうふうに思えるかもしれないけれども、言い方を変えまして、じゃ、テロに余り関係ないような自転車まで構成要件に入れているということは、すなわちテロとは全く無関係の犯罪まで含めてしまうおそれがあるんじゃないかと、こういう言い方ができるんじゃないかと思って、どうも様々な分野で構成要件が目的とか行為とか様々な面で広過ぎるということで、私は不安を持っておるわけです。
 このロで、「道路、公園、駅その他の公衆の利用に供する施設」を損壊するというんですけれども、例えば公園ですと、公園を損壊するといっても余りぴんとこないんですけれども、具体的にどういうことをやったらこの公園の損壊に当たるんでしょうか。
#111
○政府参考人(古田佑紀君) 典型的には、例えば公園の施設に爆弾を仕掛けてそれを爆破するというようなこともありますでしょうし、もっと極端なことを言えば、公園の中に地雷を埋めてそれを爆発させるというふうなこともあり得ようかと思います。
 さらに、そういう物理的な破壊を伴わない手段としては、病原菌で汚染するとか、あるいは放射能で汚染すると、そういうふうな行為も一つの観念的な例としては、かもしれませんけれども、考えられるということでございます。
#112
○小川敏夫君 ちょっと何かもう一つしっくりいかないんですがね。
 これは、この三項は爆弾を爆発させることを禁止しているわけじゃないですよね。この条項そのものは公園を破壊する、あるいは重大な損傷を与える行為ということを構成要件としているわけですよね。だから、爆弾を爆発させたって、穴が空かなきゃ、爆発した瞬間はみんな驚くかもしれないけれども、でも爆発が終わってみて、穴も空いていない、あるいは小さな穴が空いてあるだけじゃ公園の損壊にはならないと思うんですけれどもね。
 だから、公園で爆発物を、爆弾を爆発させた、地雷を爆発させたといっても、その結果、ちょっと穴が空いているだけだったら、どうなんですかね、それで公園の敷地に穴が空きゃ、それが公園の損壊なんですか。
#113
○政府参考人(古田佑紀君) それは、爆発物の威力とかいろいろございましょうけれども、先ほど私が申し上げましたのは、一つの例として公園の施設に、公園の中の建物といいますか、そういう施設類に爆弾を仕掛けて爆発させて破壊する、そういうふうな行為とか、あるいは地雷を埋めてそれを爆発させるとすれば、これは当然、公園の、言ってみれば、敷地と言うと言葉が不正確かもしれないんですが、そういうものが重大な損壊を受けるということになるわけでありまして、そういうことを想定しているということでございます。
#114
○小川敏夫君 どうももう一つ分からないんですけれどもね。
 病原菌まいたって、病原菌を全部なくしちゃえば公園は全然損壊されていないわけで、何をもって公園の損壊と言うのかなと、ちょっともう一つ分からないんですけれども。
 で、イ、ロ、ハ、ニ、ホのホに行って「建造物」ですけれども、これは民家とか当然、物置とか、こういったものも含むわけですね。
#115
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりです。
#116
○小川敏夫君 それで、第一条と、この定義を見まして、だからテロじゃないような犯罪も大分この構成要件の中に入ってきてしまうんじゃないかと思うんですよね。だから、さっき言ったように、暴走族とは限らないけれども、何か警察なり役所に不満を持っている人間が世間を騒がせてやろうと思って公園に穴を掘りまくったりすれば、この構成要件に当たってしまうんじゃないかと思うんですよね。少なくとも世間を騒がせてやろうという気があれば、この公衆を脅迫する目的というふうに当たると思うんですよね。だから、具体的にだれかを困らせてやろうというんじゃなくて、世間を困らせてやろうと、あるいは警察でも消防署でも役所でも、そこを困らせてやろうと思って何かやらかせば、全部この法律の要件に、構成要件に当たってしまうんじゃないかと思うんです。
 ですから、テロだけじゃなくて、言わばお役所や警察に刃向かって何かする人間の行為で、具体的な行動に出た行為が全部これに入ってしまうんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。どうもテロの対策の法律と言うけれども、テロじゃないような、テロのレベルにまで達しないような反国家権力的な行動をする人とか、愉快犯みたいな人とか、そういう人がやる犯罪も全部この中に私は入ると思うんですが、どうですか。
#117
○政府参考人(古田佑紀君) まず、前提として御理解いただきたいことは、これまでのテロ関係のいろんな犯罪化を求める条約がありますが、これはテロということを特に定義しているわけではなくて、テロ行為としてよく行われるような重大な犯罪行為の犯罪化を求める、そういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、このテロ資金防止条約がその資金の供与行為を犯罪化するということを求めておりますのも、そういうふうな過去の既存のいろんな条約で犯罪化が求められている行為に対する資金の提供ということになるわけでございまして、明確にテロ行為というのを定義してその範囲の行為について資金の提供を処罰せよというものではございません。
 しかし、そういうことを前提といたしまして、なお日常的に起こるいろんな本当に個人的な関係だけのような事件とかそういうようなものまで含ませるということは、これはもう明らかに適当ではないわけで、そういうテロ行為として行われるようなものとして、しばしば行われるようなものとして公衆等の威嚇、威迫、脅迫目的、これは、一方で例えばテロ資金供与防止条約の中でも先ほど御指摘のあった住民を威嚇する目的、こういうふうなものもあることから、その範囲に限定するということにしたものでございます。
 ただいま委員御指摘の中に、要するに困らせてやろうというようなことも含まれることになるのではないかということでございますけれども、これは脅迫の目的でございますから、しかもその行為がいろんな破壊行為あるいは危険を生じさせる行為による脅迫でございますので、単に困るということではこれはもう明らかに足りないわけで、安全に対する不安を生じさせるということが当然必要でございます。したがいまして、単なる困惑させる目的とかそういうものは、これは含まれないということになるわけでございます。
#118
○小川敏夫君 困らせてやろうということ、確かにそういう言葉で質問しましたけれども、御丁寧にありがとうございます。
 驚かせてやろうというぐらいの意味で私は聞いたんですが、そのことは別にしまして、どうも要するに議論の視点が違いまして、つまりテロで重要な犯罪なんだと、だから自転車がどうのこうの、そんな細かいことはそもそもテロ犯がやるわけないんだから心配するなと、こうおっしゃるんでしょうけれども、私は見方が違いまして、すなわちテロでないような自転車がどうのこうの云々かんぬんという非常に細かいもの、本来、テロ対策とは全く関係ない細かい犯罪までもがこの構成要件に該当してしまう結果、テロではないようなケースについてまで濫用されて、この法律が言わば強権的に運用されるんじゃないか、そういうおそれがないかと。少なくともそういうおそれを私は感じる部分があるものですから、そういう観点から聞いているので、どうもちょっとそこのところの議論がかみ合わないといいますか、ちょっと残念に思いますけれども。
 この第二条に行きますけれども、私、一番思ったのは、この第一条の構成要件でいきまして、例えば誘拐というのがありますね。この未成年者誘拐の場合には五年以下の懲役なんですよね。あるいは物置小屋を火をつけたりぶっ壊したりしたと、あるいは自動車をひっくり返してぶっ壊したと、非現住建造物放火とかあるいは単なる器物損壊だと、これ刑がいずれも十年以下よりも数段軽い刑ですよね。私、思いまして、実行犯が、例えば未成年者誘拐なら、実行犯が五年以下の懲役なのに、それに金を上げた人間が十年以下の懲役というのは、これは余りにも不合理じゃないかと思うんですが、どうでしょう。
#119
○政府参考人(古田佑紀君) ここで一条に掲記してあります犯罪行為の中には、確かに資金提供罪の法定刑よりも軽いものも含まれていることは事実でございます。
 ただ、公衆等脅迫目的の犯罪行為ということでございまして、そういうような目的を持って将来行おうと意図している行為でございますから、例えば客体から見れば建造物損壊にしか該当しないということになりましても、その手段におきましては、爆発物を使用する、その他重大な危険をもたらす方法で行われるということが一般でございまして、そういうようなことも考えますと、実際にターゲットといいますか計画している犯罪、それが現に起こった場合のことを考えますと、その法定刑の上限が懲役十年にも満たない、そういうようなことを計画しているという例はかなりまれなことであろうというふうにも思われますし、量刑という面で申し上げますと、資金提供罪につきまして特に法定刑の下限は設けておりませんので、その事案の内容によっては、よってでございますけれども、その範囲で適正な量刑が得られるということになるわけでございますので、一般的にただいま御指摘のような不合理が直ちにあるというふうには考えておりません。
#120
○小川敏夫君 私は、不合理が直ちにあると思うんですよね。だって、自動車ひっくり返してぶっ壊したって器物損壊罪ですよね。やった人間が器物損壊罪で軽い刑なのに、それにちょっとお金を上げただけの人が刑が重い、ちょっとかどうかは別にしても。言わば、実質的にはこれは幇助犯ですよね、助けたわけですから。本犯よりも幇助犯の方が刑が重いなんということは、私は完全な不合理だと思いますよ。
 到底納得がいかないので、だから予定している構成要件のほとんどの行為はそれは殺人だとか爆発物で云々かんぬんだから、それはほとんどの行為は十年以下の懲役よりも重い刑だと思いますが、ただ、ここに書いてある構成要件は非常に幅広くて、小さなケースまでが一応構成要件に当たるということがあるから生じた問題だと思うんですけれども、どうですか、やっぱり実行犯の本犯よりも資金提供した人が刑が重いというのは、これはいささかじゃなくて、非常な完全な不合理だと思うんですけれども、そう思いませんか。
#121
○政府参考人(古田佑紀君) この資金提供罪を設ける趣旨というのが、確かに刑法上はこれは幇助行為ということではありますけれども、資金を提供することによってテロ行為を助長する、その危険というのが非常に重大という、そういうことが前提になっているものと考えているわけでございます。したがいまして、法定刑を定めるに当たりましても、そういうテロ行為を助長する危険、これを十分重視しなければならないというものであろうと考えているわけです。
 もちろん、確かに正犯と幇助犯という、そういう比較だけで申し上げますと、委員の御指摘というのも一つの御見解として私も十分理解できるところではありますが、先ほども申し上げましたように、その計画が、言ってみれば資金の提供というようなことが行われるような、一般的に申し上げまして規模の大きいものであるのが通常でありましょうし、また実際の量刑という面で申し上げれば、もし実際に結果が起こったならば、その実際の結果等も考慮して行われるということにもなり得ると思われます。そうでなくて、幸い実行に至らなかった場合には、その計画の持っている危険性、そういうものを適切に考慮して合理的な量刑がなされるようになると考えている次第でございます。
#122
○小川敏夫君 この資金提供は、言わば実行犯が実行しなくたって成立するわけですよね。だから、そうすると何かおかしいんだよな、実行犯が実行したところで五年以下の懲役なのに、その実行犯が実行しなくたって、資金を提供しただけで十年以下の懲役というのはね。余りにこれは大変な立法的な、技術的な間違いじゃないかと思うんですが、でも間違いだとは言わないでしょうから、その問題の指摘で私は質問を終わりますけれども。
 最後に、最後じゃなくて、済みません、もう一つ。
 未成年者誘拐とか器物損壊は、これ親告罪ですよね。これは親告罪の場合にこれ、つまり実行犯が親告罪を予定していると、それについて資金提供した場合、告訴がなくても資金提供しただけで成立してしまうんですか。つまり、本犯が親告罪の場合ですけれども。
#123
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、この資金提供罪と申しますのは、こういう一条各号に掲げてありますような行為を助長する危険、これが高いということが前提となって処罰する、その処罰が求められているわけでございますので、ただいま御指摘のような、その計画が専ら親告罪に係るという場合が実際としてあるのかどうか、そこはちょっと分かりませんけれども、仮にそういう場合があったとしても、そういうような行為を助長する危険ということは変わりませんので、やはり処罰の対象になると考えております。
#124
○小川敏夫君 そうかなあ。しかし、親告罪、本犯が親告罪で、仮に告訴もないのに、それを資金提供した、援助する目的で資金提供しただけがもうその段階で成立するというのは、何か私、納得できないですけれどもね。でも、成立するという答弁ですから、私は納得できないということで質問を終わりますけれども。
 最後に、法務大臣と警察庁の方に御答弁いただきたいんですけれども、私自身は、テロ対策ということはもちろん万全な形であらゆる角度から対処しなくてはいけないということで、そういう趣旨で条約の履行ということで必ずしも法案には反対はしないんですけれども、ただ、どうしてもこの構成要件があいまい過ぎる、あるいは広過ぎるというふうに思いまして、濫用の危険があるんではないかと私は懸念しております。
 その点につきまして、濫用防止という観点から、法務大臣のお考えといいますか決意、それから警察庁の方もその心得を聞かせていただきたいんですが。
#125
○国務大臣(森山眞弓君) この法案は、公衆又は国等を脅迫する目的をもって行われる殺人、凶器使用等による傷害、その他の一定の犯罪行為のために資金を提供又は収集した者を処罰することなどを目的としているものでございますが、資金提供罪及び資金収集罪のいずれにつきましてもその構成要件は明確でございまして、恣意的な解釈、適用や処罰範囲の不当な拡大を招くようなものではないと考えております。
 ただ、およそ刑罰法令につきましては、その適正な運用に十分意を用いるべきことは当然でございまして、この法律が成立させていただきました際には、その趣旨に従った適切な捜査、処理がなされますように、法の趣旨及び内容の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
#126
○政府参考人(漆間巌君) 警察庁といたしましては、本法律が施行された場合には、都道府県警察が法律の趣旨にのっとって適正に捜査を進めていくよう的確に指導していきたいと考えております。
#127
○小川敏夫君 残りました多少の時間をいただきまして、先回の瀋陽事件の質疑に関しまして外務省の方に質問いたします。
 先回の質問で、会議録を改めて読み返しましてもどうしても釈然としないんで、再度また聞かせていただくことになりますけれども、この調査報告書に基づいて聞きます。
 この五月十三日付けの「瀋陽総領事館事件・調査結果」についてですが、先回と全く同じ部分の質問なんですけれども、これで午後二時ごろのことでお尋ねしますが、「玄関ホール付近を清掃中の中国人職員二名が慌てて事務所内に駆け込む姿を目撃した」と、こうあるわけですが、この玄関ホール付近を清掃中の中国人職員二名は何に慌てて事務所に駆け込んだんですか。
#128
○政府参考人(佐藤重和君) この中国人職員、清掃中の職員でございますが、この二名は、その総領事館の正門付近においてもみ合いあるいは叫び声が聞こえたということで、何かけんかのようなものが起こったのではないかということで慌てて中に飛び込んだというふうに承知しております。
#129
○小川敏夫君 玄関ホール付近を清掃中だったわけですよね。そうすると、入ってきた男性二名とそれを警備員が追ってきた、これは見なかったんですか。
#130
○政府参考人(佐藤重和君) この点については、私どもの聞き取りの中でそこは目撃をしていないというふうに聞いております。
#131
○小川敏夫君 だから、おかしいんですよね。だって、玄関ホール付近を清掃中でしょう。その待合室は玄関ホールを通って横に入口があるわけですよね。その入ってきた二人とそれを追ってきた警備員は当然、玄関ホールを通って待合室に入ったわけですよね。
#132
○政府参考人(佐藤重和君) 恐らくこの両名、清掃をしておりました両名については、正に慌てて中に入ったということで、その周囲の状況について必ずしも注意を払っていなかったということであろうと思います。
#133
○小川敏夫君 それは、そうするとこういう意味ですか。門の辺りで大声がしたけれども、しかし中に入ってきた男性二人がこの玄関ホールを通るよりも前に事務所に駆け込んでしまったと、こういうことですか。
#134
○政府参考人(佐藤重和君) その前後関係について必ずしもその聞き取りの中で確認をしておりませんけれども、その当事者はそれを正に目撃をしなかったと、そのことに気が付かなかったというふうに述べているということでございます。
#135
○小川敏夫君 だって、あり得ないんじゃないですか、玄関ホールといったってね。
 玄関ホールはどのくらいの広さですか。
#136
○政府参考人(佐藤重和君) 済みません。必ずしもその正確な広さを、私も直接見ておりませんので申し上げられませんが、通常の、何といいますか、事務所の建物の玄関ホールということでございます。
#137
○小川敏夫君 ですから、ホテルのホールみたいなでっかいものじゃなくて、ごく普通のものだから、そこを清掃中の二人の職員が、二人の男性が走ってきて警備員が追ってくるというのを見ないはずがないわけで、見ていないんだったら来る前に事務所に駆け込んじゃったのかなと思って聞いておるわけで、どうなんですか。
#138
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど申し上げましたように、私、その前後関係についてはっきり確認をしたわけではございませんが、今、委員が申し上げたような状況というものはあり得たんだろうと思います。
#139
○小川敏夫君 あり得たと思うというあなたの意見じゃなくて、調査結果について、そこまで、じゃ詳細な調査はしなかったということですか。
#140
○政府参考人(佐藤重和君) 先ほど申し上げましたように、この調査につきましては、正にそうした当事者の職員からそのときの状況について聞き取り調査をしたということでございまして、その中で、先ほどお答えを申し上げましたように、その人たちが入ってくる状況についてこの当事者職員については目撃をしていなかったというのが調査結果でございます。
#141
○小川敏夫君 そんなことはあり得ないですよ。もう本当にでたらめの調査結果を都合よく作文をして書いているとしか思えないですけれどもね。
 それで、いずれにしても、じゃ清掃中の中国人職員が事務所に駆け込む姿と言うけれども、事務所のどこに駆け込んだんですか。
#142
○政府参考人(佐藤重和君) 事務所のその正面の玄関から入りまして建物の中に入ったというふうに承知しております。
#143
○小川敏夫君 ここで言う「玄関ホール付近を清掃中」というのは、ホールの中じゃなくて、ホールの正にその玄関の外のところと、こういうことですか。それから建物の中に入ったということですか。で、建物のどこに入ったんですか。
#144
○政府参考人(佐藤重和君) 玄関ホールから、玄関ホールから中の廊下の方に入るところ、入口があるわけでございますが、その中に、廊下の方に入ったというふうに承知しております。
#145
○小川敏夫君 そうすると、それはこの騒ぎが起きた、騒ぎが起きたというのは要するに男性が二人が入って、中の三人もいったん入って取り押さえられて大声を上げたという、ごくごく初期の段階と、こういうことでよろしいんでしょうね。
#146
○政府参考人(佐藤重和君) 正に、この事件の初期の段階であったというふうに思います。
#147
○小川敏夫君 そこで、この報告書によると、副領事はそれを見て急遽、事務所を出て玄関に出たというわけです。そうすると、副領事は言わば門のところで発生している事態の相当早い段階の事態を目撃したと思うんですが、副領事が見たときにはどういう状態だったんですか、門の状況は。
#148
○政府参考人(佐藤重和君) その副領事は、その門の付近でもみ合いが生じていると、あるいは叫び声が生じているという認識でその事務所を出たというふうに聞いております。
#149
○小川敏夫君 ビデオの状況から見ると、相当な時間において女性あるいは子供が敷地内に入っている状態があったと思うんだけれども、ですから、この副領事は門の付近でもみ合っていると言って中に入ったことを見ていないと言い張っているんだけれども、実際にはやはり見ているとしか考えられないんですけれどもね。どうですか、そこのところは。
#150
○政府参考人(佐藤重和君) この点もこの副領事、査証担当副領事に私ども確認、聞き取りを行っておりますが、同人はその中に入っているところというところについては見ていないというふうに明確に述べております。
#151
○小川敏夫君 それで、それが二時ごろだと。玄関、事務所の玄関を出て門を目撃したと。それから、正門前に着いたのが二時五分ごろだということですけれども、この五分間、この副領事は何をやっていたんですか。
#152
○政府参考人(佐藤重和君) この副領事は、何か外で騒ぎ、もめ事が起きたということを思いまして、その関係の中国人ローカルスタッフ等に声を掛けて、そこからその上で現場の方に向かったというふうに承知しております。
#153
○小川敏夫君 いったん、そうすると玄関から中に入ったということですか。
#154
○政府参考人(佐藤重和君) いったん中に入ったというよりも、廊下から、廊下から戸を開けて、関係の職員に声を掛けて一緒に出ていったということでございます。
#155
○小川敏夫君 そうすると、二時ごろから正門前に着く五分間の間、断続的な部分があるかもしれないけれども、相当長い間この副領事は状況を把握しておるわけですよね。
#156
○政府参考人(佐藤重和君) もちろん、この五分、それぞれごろということで、必ずしも、そこら辺は当人たちの記憶でございますので、本当にその正確な時間かということは、大体そのぐらいの時間ということでございますけれども、当事者の説明によりますと、当初は何かけんかのようなもの、騒ぎということであろうかと思って、少し急いで現場に近づこうという気持ちだったようでございますが、どうもその査証申請にまつわる、関係するトラブルではないかということで、そうした状況についてはかなり日常的にも起きているということで、余りそこは慌てずに動こうということで、そこで多少時間が掛かったということかもしれません。
#157
○小川敏夫君 慌てずに動こうというよりも、早く敷地の外に無事連れ出してくれるのを待っていたというふうにしか理解できないんですけれども。
 最後にお尋ねしますけれども、これも先回聞いたことですけれども、外務本省からは、抗議の上、五人の身柄を総領事館構内に戻すよう指示を試みたというふうに言っておるわけで、しかしこれまでの、今の説明もそうだけれども、二人の入ったことは認めたけれども、三人については敷地内に入ったことを認識していないと言っておるわけで、じゃ、五人を戻せという指示があるわけないんだけれども、この三名について総領事館に一遍すら敷地内に入っていないという認識であったとするなら、五名の身柄のうちのその三名について総領事館構内に戻すように指示をしたという、その総領事館に戻すように求めたその法的根拠はどこにあるんですか。
#158
○政府参考人(佐藤重和君) 御質問の点につきましては前回も御答弁を、私どもの方から御答弁を申し上げているところでございますが、私どもといたしましては、おっしゃられたように、その三名が中に入っていたということにつきましては、その後のビデオが出てきてその中で確認をしたということでございますが、他方、当初からこの五名につきましては、この五名が一緒にこの総領事館に入ろうとしたと、そういう認識はあったわけでございまして、そうした認識から、この五名というものが一緒に総領事館に入ろうとしていたと、そういう認識を踏まえて、その五名について先ほどのような提起をしたと、こういうことでございます。
#159
○小川敏夫君 質問に全然答えていないんですけれどもね。二名に関しては、いったん敷地内に入った人を出しちゃったので、原状回復ということで戻せという根拠は分かりますよ。敷地の中に入っていない三名について戻せと。これはたまたまそういう、連絡が付かなかったので中国側にそういう申入れをしなかったということで済んでいますけれども、日本が中国に対する申入れ、抗議の申入れとして指示したということですから、大変重要なことだと思うんだけれども。その領事館の敷地内に入っていない三名について戻せということを指示した、その戻せという法的な根拠は何かと聞いておるわけです。そんな訳の分からない、ぐだぐだ言わないで、法的根拠は何かと聞いているんだからその根拠を教えてください。
#160
○政府参考人(佐藤重和君) そのときの状況というのは、必ずしももちろん全体像として、必ずしも全体が明確になっていないというところもあったかと思いますが、そのときの認識としては、先ほど申し上げましたように、その五名というものが一緒に総領事館に入ろうとしてきたということで、全体として人道的な観点ということも踏まえて五名という認識の下にそうした指示を行ったということでございます。
#161
○委員長(高野博師君) 小川君、時間です。
#162
○小川敏夫君 はい、これで終わります。
 法的根拠について何にも答えられない。根拠はなかったと思うんだけれども、非常に重要な部分で、また別の機会に別の方法でもと思います。
 今日はこれで終わります。
#163
○委員長(高野博師君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#164
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として谷博之君が選任されました。
    ─────────────
#165
○委員長(高野博師君) 休憩前に引き続き、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#166
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 法案に先立ちまして、何点かお伺いをしたいことがございます。
 まず、我が国の基本政策でもあり国是とも言われております、核兵器は、作らず、持たず、持ち込ませずと、いわゆる非核三原則でございますが、最近、政府首脳、福田官房長官のことだそうでございますが、同じ内閣にいらっしゃって大臣に、この非核三原則の政策転換の可能性について発言されたというふうに報道されておりますが、まず、この官房長官の非核三原則の発言に対しての御感想と、また大臣自身の非核三原則に対する御所見、この二つをまずお聞きをしたいと思います。
#167
○国務大臣(森山眞弓君) 我が国は、核を持たない、作らない、持ち込ませないという、いわゆる非核三原則を国是としてずっと貫いてきたわけでございまして、小泉内閣におきましてもこの方針を堅持するということは総理が述べられておられるとおりでございます。私も、これは大事に守っていかなければいけない原則だと考えております。
#168
○日笠勝之君 私は参議院比例区でございますが、いわゆる担当地域が中国地方ということでございまして、広島県がその中にもあるわけでございます。かつて、私も国会で、広島の原爆ドームを世界遺産にと、これは負の遺産かもしれないけれども、後世に残すべき貴重なこれは世界遺産として指定をすべきであるということを国会でも質問し、また、そういう運動といいましょうか、活動もしてきた一人でございますから、非常に思い入れがあるわけでございまして、そういう意味でお聞きをしたわけでございます。
 ちなみに、昭和四十六年十一月の衆議院におきまして、沖縄返還協定承認案、このことに関しまして国会が大変荒れたわけでございます。そのときに、返還協定の成立の承認案が承認された後、いわゆる非核三原則の国会決議が行われたわけでございます。その提案趣旨説明者が我が党の浅井美幸さんという大先輩でございました。残念ながら、社会党、当時、共産党は欠席の中で自公民三党による賛成多数でこの非核三原則は国会で決議をされたわけでございます。
 そういう意味で、大変私も思い入れがあるということでお聞きいたしましたが、是非ひとつ、大臣におかれましては、小泉内閣と言わずに、国是でございますから、大臣のいわゆる政治家である限りはともにこの非核三原則は堅持するというふうに理解をしていいでしょうか。最後、このことについてお聞かせ願いたいと思います。
#169
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、私も前、参議院におりましたときに、先生もたしか御一緒だったかと思いますが、広島の原爆ドームへ視察に行きまして、それを世界遺産に指定するようにという運動に私も参加した記憶がございます。そのようなことを考えますと、この非核三原則というのは非常に重要な原則であると改めて思い出すわけでございまして、これからもずっとこれを大切にしていかなければならないと思っています。
#170
○日笠勝之君 続きまして、去る平成十三年十一月二十二日の当委員会で、私は、いわゆる公務員の方々、特に国家公務員でございますが、方々の飲酒運転における事故などについては、これは地方がどんどん非常に厳しい今、懲戒処分をしておるわけでございまして、あのときには高知県、秋田県もそうでございました。今度は千葉県も、飲酒事故は即刻首ということを何か堂本知事は記者会見で明らかにされたようでございます。
 そこで、私がお聞きしたいのは、去年の十一月にも御提案といいましょうか、当委員会で御指摘申し上げましたが、国家公務員の飲酒事故などについての懲戒の標準例といいましょうか、基準といいましょうか、こういうものがどういうふうになったのか、お聞かせ願いたいと思います。これは人事院です。
#171
○政府参考人(小澤治文君) 懲戒処分の指針、これは飲酒運転に関しましては改正前よりも重く設定いたしまして、一番重いのが免職ということで、そういうふうに改正しております。
#172
○日笠勝之君 いわゆる免職という規定が今度入ったということでございまして、地方公務員の方々とほぼ横並びと、こういうことになったかと思うところでございます。
 そこで、問題は、標準の基準を非常に厳しくしたということでございますが、どうやってこれを、たしか百十万ぐらいいらっしゃる国家公務員に徹底をするか。地方公務員の方はそれぞれの地方の懲戒処分者が知事とか市長でございますから、しかしながら地方も国のこの標準例を見ていろいろと考えられると思いますね。そういう意味では、地方公務員、これは三百三十万人ぐらいいらっしゃるんですかね、四百万を超す国家公務員、地方公務員の方々がいらっしゃって、こういうことをどうやって徹底するか。周知徹底の仕方ということが非常に大切だと思うんですが、この周知徹底はどのように今後されますか、お聞きしたいと思います。
#173
○政府参考人(小澤治文君) 先生御指摘のとおり、周知徹底する、これが人事院としても極めて重要であるというふうに考えております。
 もう既に各府省に対しましては改正内容を通知しておるわけでありますけれども、それ以外に、人事院のホームページでもって改正内容を掲示する。さらに、国の地方機関、この人事担当職員を対象に制度説明会というのを行っておるわけですが、これは年十回ぐらい開いておるわけですが、こういう場で説明していく。さらには、いろいろな研修がございますけれども、その研修の場を通じても説明して周知徹底を図りたい。さらに、人事院の広報誌で人事院月報というのがございますけれども、ここに解説記事を掲載するというようなことをやりまして、あらゆる機会をとらえまして周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
#174
○日笠勝之君 是非ひとつ周知徹底方をお願い申し上げておきたいと思います。
 また、今日はせっかく人事院さんも来ていただいておりますのでちょっとお聞きしますが、平成十三年における懲戒処分の状況ということで発表がございました。
 法務大臣、この懲戒処分ベストスリーは法務省なんですよ。法務省がこの懲戒処分のワーストスリーでございまして、残念でございます。一番処分数が多いのは、これは人数の関係もありますが郵政事業庁、それから文部科学省、それから法務省と、こういうことでございます。
 後ほど大阪高検のこともちょっとお聞きいたしますが、法務省というのは法を守り、どういうんですかね、法を守っていくといいましょうかね、その一番のかなめの省庁だと思うんですね。そこに勤める公務員の方の懲戒処分がワーストスリーというのは、これはやっぱり重大に、深刻に受け止めていただかなきゃいかぬと思いますね、もちろん内容によりますけれども。
 そこで、この五月に発表されました平成十三年における国家公務員の懲戒処分の状況の発表を受けまして、ワーストスリーでございますから、どのように法務省内において綱紀粛正を図っていくか、そのことについての御決意をお聞きしたいと思います。
#175
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のように、法務省は、法を守り、場合によっては人様を処罰するというような仕事も受け持っておりまして、大変責任の重い仕事になっていると思っております。それだけに、ちょっとしたトラブルがございまして、ほかの省庁ではそれほど重大と思われないものも、法務省で問題が起こりますと非常に重大であるという認識がございまして、比較してみたことはございませんが、私としては、法務省としてはそういう場合の処分が厳しく行われているというふうに思っているところでございます。
 しかし、九十人も処分されていると。これは、二、三年前から比べますと少しずつ減少の方向ではあるんでございますが、しかし、なお百人近い数が一年間にあるということは大変残念でございまして、今後とも一層、そのようなことがございませんように、綱紀粛正についてあらゆる機会をとらえて徹底していきたいというふうに思います。
#176
○日笠勝之君 その処分の問題に関連いたしますが、大阪高検前公安部長の汚職事件、この件について私も当委員会で、四月二十五日でございますが、いわゆる責任問題について、検察首脳の責任問題もあろうかと思います、いつの時点でその責任問題について対処されますかということで法務大臣にお聞きいたしました。つい先日、このことに対する処分が決まったようでございますが、どういう処分になったか、お聞かせ願いたいと思います。
#177
○国務大臣(森山眞弓君) 今回、監督責任を問われました三人の者に処分が行われました。今後の処遇、人事につきましても、特定の個人のことでございますので御説明は申し上げにくいのでございますけれども、まず検事総長が戒告、大阪高検検事長が一か月間、俸給の月額の百分の十を減給、大阪高検次席検事が三か月間、俸給の月額百分の十を減給するということになっております。
#178
○日笠勝之君 史上初の検察トップの処分ということで、これも大変な大きな衝撃が国民の側に受け止められたと思うわけでございます。
 そこで、先ほどの懲戒処分の件と絡むんですが、戒告とか一か月の減給でしたか、などのこういう処分、これは一体今後のその方々の年金とか退職金とか人事、こういうものにどう影響するのか。これがある程度はっきりしないと、ただ戒告されて、その後の退職金も年金も人事も何ら関係ないんだというんだったら全然これは懲戒にはならないわけですね、懲戒には、懲戒にはなりません。
 そういう意味では、三人の方、一人一人とは言いませんが、戒告、減給とありましたけれども、年金、退職金、人事、これについてはどうなりますか、今後の、お聞かせ願いたいと思います。
#179
○国務大臣(森山眞弓君) お尋ねの今回、監督責任を問われた三人のことにつきまして、人事につきましては特定の個人の人事にかかわる事柄ですのでここで御説明申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。が、東條大阪高検検事長は六月十六日限りで定年退官されると聞いております。
 また、今回の処分が退職金や年金にも影響するのかというお尋ねでございますが、今回の処分は退職手当の支給制限事由及び退職共済年金の支給制限事由のいずれにも該当いたしませんので、退職手当や年金の支給額に影響を及ぼすことはないと存じております。
#180
○日笠勝之君 三人の方、魔女狩りじゃありませんが、何か懲罰を更に加えるべきと、そういう意味で言っておるわけじゃないんですが、公務員の懲戒というものが何ら、年金も退職金も減給になったって変わらないということなら、何のための懲戒なのかということが一般国民の素朴な感じであるのではないかということを申し上げているんです。
 そういうことで、これはどこに今日は聞くという、法案審査をこれからしなきゃいけませんからいいんですが、次回に譲りますが、懲戒処分を受けたらば何らかのペナルティーがあるということに何か直結しないと、これは国民の皆様は、ただ、何やっているんだ、君、監督責任だぞ、駄目だぞと言ったら、はい、それで終わりと、そんなものの懲戒処分なら意味がないと思いますので、今後にちょっとこれは課題を置いておきますけれども、更にやっていきたいと思います。
 それからもう一つは、このことに対応いたしまして、これは新聞報道でございますが、調査活動費、予算執行なんかのことにもつきましても、監察担当検事ですか、こういう検事を配置して監察体制を強化したい、このようなことも発表されておりますが、今後のそういうことの対応についてはどうなっておりますか。
#181
○政府参考人(古田佑紀君) 今お尋ねの件につきましては、大臣から検察当局に対しまして、更に一層、調査活動費の使途等について、国民の疑惑を招くようなことがないような工夫をするようにという指示をされたわけでございます。それを受けまして、検察当局におきまして、調査活動費等の執行等について、必要に応じ随時監察をするために検察官を配置するということを決めたということでございます。
#182
○日笠勝之君 是非、他山の石として、そういう体制を組むということは歓迎でございます。しっかりとした体制を組むように要望をしておきたいと思います。
 続きまして、この次の次の質問から法案審査に行きますが、もう一問だけちょっとお聞かせ願いたいと思います。
 今、防衛庁の請求者のリストということで大変大きな、これは国会自身にも大きな影響も与えておりますし、また情報公開ということについて、そういうことを防衛庁がやっていたのか、やっていたのがまた防衛庁ということで、これは国民の側にとってもゆゆしきことだということで連日いろんな観点から報道されております。私どもも情報公開法を制定の委員会におって議論をしっかりしてきた者として、請求者のリスト作成まではちょっと思いも寄らなかったという不明は恥ずるわけでございますが、しかしこれは行き過ぎであり、目的外のことでございますから、厳しく戒めなければならない、こう思っております。
 そこで、防衛庁は今いろいろ調査をして、初めは個人限りのものだったというのが何か昨日、今日辺りはもう組織ぐるみと、こういうふうなことで報道されておりますが、よそのことはどうでも結構で、この委員会の所管である法務省に、また法務省関連の検察庁だとか公安調査庁もございますから、お聞きしたいと思いますが、請求者の何らかのリストを作っているかどうか、法務省管轄で、いかがでしょうか。
#183
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 法務省におきましては、情報公開法に基づく開示請求の事案について、その処理の状況等を迅速かつ適切に把握することを目的として、行政文書開示請求事案管理簿を作成しております。同管理簿の記載事項には、受付番号や開示請求に係る行政文書名等のほか、請求者の個人情報としては請求者の氏名及び住居地の都道府県がありますが、あくまで事案の特定、管理のため最小限度で記載するにとどめておりまして、開示請求書に記載のない開示請求者の個人情報をリスト化したものはございませんし、またそのような個人情報を独自に収集するということもしておりません。
#184
○日笠勝之君 もう一度、管理票ですか、管理簿に住所とお名前だけですか。そのほか、例えば連絡先とかそういうものも請求書には書くようになっていますけれども、具体的にもう少し詳しく、項目について。
#185
○政府参考人(大林宏君) 今の具体的なものですが、開示請求者の氏名、それから住所、これは都道府県単位まで、東京都というところまでしか記載してありません。それから、開示請求に係る行政文書の名称とか分類とかという特定の問題です。ですから、本人の問題としては氏名と住所ということになります。
#186
○日笠勝之君 氏名、住所だけですね。
 この行政文書開示請求書を見ますと、連絡先というのも、氏名、住所、連絡先と三つ書くようになっておるんですが、今おっしゃっておる中には、名称と住所だけで連絡先はないと、こういうことでよろしいんですか。
#187
○政府参考人(大林宏君) 今申し上げていますのは、要するに把握するものとしての管理簿でございますけれども、今申し上げたとおりの欄しかございません。
#188
○日笠勝之君 管理簿ですね。そのほかのものはないということで、まさかそれがLANで閲覧できるとか、構内LAN、そういうことはどうなんですか、今の管理簿が。
#189
○政府参考人(大林宏君) 要するに、秘書課が、法務省におきましては秘書課がこれの所管課になっておりますけれども、その秘書課の担当官しか見られないと、こういうシステムになっております。
#190
○日笠勝之君 ただ、官房長、法務省は、先ほど申し上げました、非常に膨大な組織ですね。
 今のは法務本省のことだけなんですか。それとも、検察、公安調査庁、それから矯正局もあれば刑事局もあるわ、たくさんいろいろ出先もございますよね、入国管理から。すべての調査の結果なんでしょうか、法務本省だけなんでしょうか。
#191
○政府参考人(大林宏君) 今の、申し上げている、今調査もしております。
 それで、今現在の状況としては、在京、基本的には、取り急ぎ、今度の問題があって、私どもも指示を指示しておりまして、今やっているものは法務本省、公安調査庁、それから在京の検察庁、最高検察庁、東京高等検察庁、地方検察庁という形で順次今調査を進めておるところでございます。
 今のリスト関係については、更に今後とも法務省関係全部を調査するつもりでおります。
#192
○日笠勝之君 あれ、そういうことなんでしょうか。
 国会の論議でもいろいろこのことが取りざたされていまして、福田官房長官は内閣府は一切なかったとか、それぞれの担当大臣が委員会なり記者会見でおっしゃっているんですが、今の法務省のそういうリストはないというのは先ほど言われた法務本省又は在京ということで、地方もたくさんあるわけですが、これらは、じゃいつごろまでにすべて調査が終わる見込みなんでしょうか。
#193
○政府参考人(大林宏君) 総務省の方からも調査依頼が来ておりまして、私どもの目標としては六月中、末までには完了したいと、このように考えております。
#194
○日笠勝之君 それもなるたけスピードアップして、国民の関心が高いわけでございますから、特に法務省と国民の接点というのは請求件数も多うございますしね、スピードを上げて調査をして、また後日御報告いただければと思います。
 最高裁の方はどうなっていますか。今日は、最高裁、お願いします。
#195
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答え申し上げます。
 最高裁におきましては、御承知のように、通達で情報公開法と同様の取扱いを行っているわけでありますけれども、法務省と同様、情報公開の申出があった場合には、その情報公開手続の進行管理、さらには事後における参考事例の集積という観点から、請求対象文書をベースにした一覧表を作っております。
 どういうものが書かれてあるかといいますと、そこには請求年月日、対応結果、申出日時、開示期限、方法、実施日等であります。
 今日現在、問題になっております申出人の氏名につきましても記載しておりますけれども、これはあくまでも事例の特定のために氏名欄に掲げてあるものだけを転記するということでしておりまして、別途、申請者について調査を行うというようなことはしておりません。また、申請書には住所についても書かれるようになっておりますけれども、裁判所の方はこれについてはこの一覧表の方に書かない取扱いにしております。
 以上でございます。
#196
○日笠勝之君 裁判所は法律でまだ規定されていないわけでございますが、そうしますと、裁判所の進行管理簿と言われましたかね、それには氏名だけでございますね。
 なるほど、そうしますと、裁判所もそうですが、法務省もそうですが、名前とか住所とか連絡先を書くようになっておるけれども、実際にはそれは一覧表にはしていないと、こういうことですね。
 分かりました。それが当たり前だと思います。中には、防衛庁のように、職業の分類をして何%かというようなことまで今回やっておったようなことでございますから、あくまでも請求者のプライバシーということ、また目的外にそういうリストを作ったり閲覧をしたりということがもちろんないということで安心いたしましたが、くれぐれも取扱いに御注意をお願いをしておきたいと思います。
 やっとこれから、済みません、逐条解釈に入らせていただきたいと思います。申し訳ありません。
 まず、この法案でございますが、午前中からもいろんな議論がありました。私もちょっと分かりかねるところがございますから、お聞きをしたいと思います。
 まず、第一条の「定義」でございますが、この定義はいわゆる犯罪行為ということでいろいろ例示をされております。しかし、これはどこを読んでも、俗にサイバーテロという、ハッカーといいましょうか不正アクセスといいましょうかサイバーテロ、いわゆるそういうものは出てこないんですね、この犯罪行為の定義には。
 しかし、今はコンピューター時代で、ハッカーのようないわゆるサイバーテロでソフトがダウンしてしまったら、もうその国以下、企業もそうでしょうが、もう何のそれ以降運営もできないというか、運営といいましょうか経営もできないという、そういうものでございまして、サイバーテロのような、IT化、IT国家といいましょうか、目指しておる日本、また世界的にもこれだけITが普及しておる中で、なぜこのサイバーテロ、俗に言う不正アクセスといいましょうかハッカー対策といいましょうか、そういうものがなぜないのかお聞きしたいと思いますが。
#197
○政府参考人(古田佑紀君) このテロ資金等の供与行為に関する処罰法は、これはこれまで御説明申し上げておりますとおり、既存のテロ関係の条約で犯罪化されているもの、それからテロ資金供与防止条約の中で特に決められた犯罪行為、それについての資金の提供あるいは収集を犯罪化するということを義務付けているものでございます。そういうことから、その中には御指摘のような一般的な意味でのサイバーテロというようなものは含まれておりませんので、この法律案上は一般的な形では含まれていないわけでございます。
 ただ、そういうコンピューターに対する攻撃が、同時に例えばインフラ施設に損傷を与えるとかそういう行為になることもこれはあるわけでございまして、そういう場合には当然ながら、やはりそういう計画をしている、それについて資金を提供する、あるいは資金を収集するという行為はこの法案の対象に含まれることとなります。
#198
○日笠勝之君 じゃ、第二条の「資金提供」に移りたいと思いますが、この資金という定義、資金とは何ぞや。午前中もいろいろ議論がありましたので、ちょっと一、二、これは資金に入るのかどうかということを具体的にお聞きしたいと思います。
 例えば、不動産ですね、ビルなり土地を、こういう不動産を貸与した、貸した。これは資金、お金、目の前のお金じゃないんですけれども、貸与料とか借地料とかいうことがあるわけでございますが、そういう不動産の貸与なんかは、これは資金ということになるんでしょうか。
#199
○政府参考人(古田佑紀君) この法律案で申します資金とは、その経済的価値が特定の使途のために利用されることを予定して提供あるいは収集される現金その他の支払手段のほか、このような現金等が果実として得られること、あるいは換価によって得られることを予定して提供される財産という考えでございます。
 したがいまして、ただいまお尋ねのような不動産の場合は、例えばその不動産を売却する、換価してそれをテロ犯罪の実行にいろんな意味で必要な資金に充てさせるというふうな意図で提供している場合、こういうときには資金の提供罪に該当することとなりますけれども、その不動産を不動産自体の用途として使うというような場合にはここで言う資金の提供には該当しないと考えております。
#200
○日笠勝之君 人事院さん、結構ですよ。済みません。今日はありがとうございました。
 ちょっと、よく分かったような分からぬような。特許権なんかもありますよね、特許を無償で貸した、それで何か営業して製品を作って、俗に言う利益を得るとか。極端に言えば、お酒なんか免許権者でございますから、お酒をする免許権者の代わりにそこで商売さすとか。
 現物の現金とか、それに代わる、有価証券じゃない、いわゆる潜在的な価値のあるようなもの、これは資金じゃないと、しかしそれを換金した場合は違うんだと、こういうふうな理解でいいんでしょうか。
#201
○政府参考人(古田佑紀君) 特許権のようなもの、これはそれを換金させて資金に充てさせる目的というような場合も含みますでしょうが、それ以外にも、例えばその特許の使用料を得させてそれをテロ資金に充てさせると、そういうふうな目的で特許権を提供をするというような行為もやはり資金の提供に当たるものと考えております。
#202
○日笠勝之君 それでは、次に移りたいと思いますが、余り時間もなくなってきましたので。
 このマネーロンダリングとかテロに対する資金提供とかいうものは、表の方でいわゆるお金をやり取りするというような、そういうふうな時代じゃなくて、地下銀行だとかインターネットだとか、そういうやみの世界でやることが多いんだそうでございます。そういう本が最近、地下経済という本が出まして、私も読みましたけれども、その方の推定によりますと、アメリカではGDPの一〇%、イタリアでは二〇%、日本は一〇パー以下だろうと。それだけの俗に言う地下経済、それに伴う地下銀行、マネーロンダリング等々がインターネットなどなどでやられておられると、こういうことでございますが。
 先日、警察庁でございますか、この地下銀行について何か発表といいましょうか公表されたそうでございますが、概略について御説明いただければと思います。
#203
○政府参考人(吉村博人君) 地下銀行についてのお尋ねでございますが、いわゆる地下銀行につきましては、実態としては不法就労で得た収益あるいは犯罪による収益を本国などに不正に送金する手段として多数の不法滞在外国人が利用している実態にあります。
 検挙状況でありますが、地下銀行の運営自体は銀行法違反等に触れるおそれがあるわけでありまして、平成四年の検挙以降、これまで銀行法違反等で合計三十五件を検挙いたしております。もちろん、起訴された額ではございませんが、約四千二百億円が海外に送金されたということを解明をしております。
 検挙した地下銀行事件は三十五件ということでございますけれども、国別の送金額を見ますと、一番件数的に多いのも中国なんでありますが、韓国、中国がそれぞれ約千二百億円、次いでペルーが九百億円というような実態になっております。
#204
○日笠勝之君 ですから、私が何が言いたいかというと、そういうテロに対する資金供与とかいうのはそういうところを通してやるんだろうなと思いますね。私がテロリストだったら、表金で、普通の決済ですね、東京の都銀からロンドンの、イギリスの銀行へ、じゃ振り込んでくださいみたいな、そんな足の付くようなことはしない。地下銀行を恐らく経由するんだと思いますよ。
 ということは、この地下銀行で法をすり抜けてやっている事例が先ほど警察庁から御答弁ございました。莫大な金額ですね、これは。莫大な金額。しかし、問題は、非常に刑罰が軽いと。銀行法でこれが摘発されましても、三年以下の懲役、三百万円以下の罰金だそうでございます。せっかく苦労して摘発しても、裁判の判決は執行猶予が付いたり数十万の罰金だということもあったそうでございます。
 防止のためには罰則強化が必要ではないかと、そういう声もありますが、法務省、どうですか、この地下銀行に対する銀行法違反でございますが。──失礼しました。法務省じゃないな。これは、銀行法所管は村田大臣のところですね。罰則が非常に低いんじゃないかと。今後も、先ほど私が申し上げたように、こういうテロ資金なんかは地下銀行経由で行くだろうと、こういうふうに言われておるわけでございますが、この罰則の強化については、一義的所管の副大臣のところではどのようにお考えでしょうか。
#205
○副大臣(村田吉隆君) 免許を受けないで銀行業を営んだ場合の罰則につきましては、今、委員が御指摘になったとおりでございまして、その無免許営業に対します罰則が緩過ぎるではないかと、こういう御質問でありますが、一般論として申し上げれば、罰則の水準は、違反した行為の性質や他の法令違反行為に対します罰則との均衡を考慮して定められると、こういうことでございまして、現行銀行法上の無免許営業に対する罰則が特段緩いということは私どもは考えていないということでございますが、なお罰則の強化が必要か否かについては、刑事罰全体のバランスというものをそういう中で考えていくわけでありまして、今、委員の御指摘の御意見も、御指摘も含めまして、今後真剣に考えていきたいと、こういうふうに考えております。
#206
○日笠勝之君 是非、インターネット取引、イーバンクなどなどのこれからの拡大に向けて世界じゅうが行く中で、地下経済また地下銀行というようなものはこれから肥大化していくだろうというような予測もあるわけでございますから、それらを踏まえて、いろいろと今後検討をしていただきたいと思います。
 今現在、そういう地下経済などなど、また地下銀行かな、などについてどういう検討をしているか、法務省かな、お願いしたいと思います。
#207
○政府参考人(古田佑紀君) いわゆるアンダーグラウンド経済全般についてということになりますと、いささか私どもの守備範囲を超えるところもございますが、主としてマネーロンダリングあるいは犯罪収益の、これが自由に使われることをできるだけ防止するというふうな観点から申し上げますと、御案内のとおり、組織犯罪処罰法で相当の範囲の犯罪につきまして、その収益をいろんな形で、外からというか、だれが扱っているのか、あるいはどのように処分したのか、あるいはどこに言わば保持しているのか、そういうふうなことが分からなくするような形態でお金を操るといいますか、あるいはこれを犯罪化しており、なおかつ没収あるいは追徴のために必要な手続なども定めているわけでございます。
 したがいまして、そういう観点から今お尋ねのような点についても相当の対応がもう既になされているわけでございますが、この問題につきましては、いわゆる組織犯罪対策の一環として、更に今後、世界的な動きとも十分連携を取って必要な措置を取っていかなければならないと考えております。そういう点で引き続き検討をしているという状況でございます。
#208
○日笠勝之君 マネーロンダリング防止の方法として、何かチップですね、非常に小さいチップを紙幣に埋め込んで、それをリーダーで読み取ればお金が転々流通するのがみんな分かってしまうと、こういうことで欧州中央銀行は研究に入るということだそうですが、そういうことも日本において、日本の技術だそうでございますが、日本においてこそ先導的にそういう超小型ICで偽造防止と、こういうことだそうでございますが、マネーロンダリングの防止対策にも役立つと、こういうことにもなるわけでございますが、日本の方ではどういう検討をしておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
#209
○政府参考人(竹内洋君) ただいまお話がございました件、私どもも新聞等で拝見しているところでございますが、私どもといたしましては、例えば現行日本銀行券で申し上げますと、昭和五十九年十一月に発行が開始されたものでございますが、偽造防止の観点というむしろそちらの観点から、例えばインキの工夫でございますとか、光を透かすとシャープに人物像が浮かび上がる透き入れとか、あるいは、その後、カラーコピーの普及がございまして、カラーコピーによる複写を防ぐための、コピーでは再現できないほどの微細な文字であるマイクロ文字の採用、あるいは紫外線を当てるとオレンジに発光する特殊発光インキの使用など、偽造防止技術を常に最新のものにするというようなことはやっているところでございます。
 さらに、二千円につきまして、最近出しました、最近の偽造防止技術というようなことで最新の技術を入れているところでございまして、今お話がありましたような技術につきましても、勉強と申しますか研究というか、勉強しなくてはいけないというところでございますが、当面の課題といたしましてはいわゆる偽札対策と、それがないようにという形での最新技術の採用というところを行っているところが現状でございます。
#210
○日笠勝之君 偽造防止とマネーロンダリングと余りリンクしないんだと思うんですね。マネーロンダリングの観点からどうかということを申し上げておりまして、是非すべてのことを包含してやらなきゃいけませんので、検討はしていただければと思います。
 最後になりますが、大臣、条約も成立いたしましたし、本人確認の法律も成立いたしております。今日はこのテロ資金供与の処罰法が成立、大変失礼しました、この委員会で採決があって、本会議ございますけれども、この三点セットが成立いたしますと、一応テロ資金対策についてのいわゆる国内法も整備されたと、こういうことになろうかと思いますが、しかしこれは法務省だけで幾ら考えても駄目なわけでございまして、財務省や金融庁やそのほか警察庁とか、いろんな省庁が皆さん、一堂に会して今後更に実効性あるものにしていかなきゃいけないと、こう思いますが、大臣としては今後の対応いかがお考えかお聞きして、終わりたいと思います。
#211
○国務大臣(森山眞弓君) 委員おっしゃいますとおり、法務省だけでは到底すべての目的を果たすことはできませんので、おっしゃいますような関係省庁とも十分連絡を密にいたしまして、目的が果たせますように努力していきたいというふうに思います。
#212
○日笠勝之君 終わります。
#213
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案の審議に入る前に、何点か御質問をいたします。
 今も非核三原則の見直しの発言のことがありました。私は、広島に育って原爆の悲惨さを胸に刻んで育ってまいりましたので、とりわけあの発言には怒りを覚えました。日本共産党としても、これはあれこれの政策でない国是なんだということでその堅持を求めてきたことでありますが、改めてこの点を強く求めておきたいと思います。
 その上で二点ほどまず質問しますが、大阪高検の元幹部の問題での処分について今もありました。国民の信頼を著しく傷付けたその重大性からいいますと当然の処分だと思うんですが、一人の当事者の検察官の起訴と検察首脳の処分だけで幕引きにすべきじゃない、人事制度も含めた再発防止への抜本対策や国民への説明責任を果たすべきだということが一斉にマスコミの社説でも書かれました。
 同時に、調査活動費の私的流用についても、これはうやむやにするべきでないと、監察担当検事を配置をして今後の予算執行を監視させるということでありますが、過去の使い方がどうだったのかと、この間ただしてまいりましたけれども、この点での不信はただされていないわけであります。
 今朝のある全国紙の社説でもこう書いております。
 検察当局は適正に執行されていると強調するけれども、「しかし流用を内部告発する者が後を絶たない。公認会計士や弁護士などを加えた特別チームを作り、徹底調査と結果公表に踏み切るべきだ。過去にふたをするより、検証し公表することが、長い目ではプラスになるはずだ。」と、こういう指摘もしているわけであります。
 今後の問題だけではなくて、改めて過去の問題についても調査をするべきではないか、この間指摘をしてきましたが、改めてこの点、大臣の御所見をお願いします。
#214
○国務大臣(森山眞弓君) 検察庁の調査活動費につきましては、昨年、刑事告発がなされましたが、捜査当局において所要の捜査を遂げました上で、不正流用の事実が認められなかったことから不起訴処分といたしまして、検察審査会においてもその結論が是認されているところでございます。
 検察庁の調査活動費は適正に執行されていると承知しておりますが、法務省として改めて調査を行うということはしたがって考えてはおりませんけれども、仮に今後、新たに具体的な私的流用の事実が指摘された場合には必要に応じて調査をするということになると思います。
 検察庁の調査活動費というのは、経費の性質上、その具体的な使途を明らかにできないことは御理解いただきたいと思いますが、これまでもその執行の適正を確保することに意を用いてきたところでございまして、更に国民の疑念を招かないように工夫するべく、最高検におきましても監察担当検事を新たに配置し、調査活動費を含む予算執行に関する監察体制を強化するということにしたという報告を受けているところでございます。
#215
○井上哲士君 新たな問題が出れば調査をするという御答弁でありました。今後、こういう問題が出たときにそういう対応を必ず取っていただきたいということを求めておきます。
 それから、今も質問ございましたけれども、防衛庁が情報公開法に基づく情報開示請求した人たちの身元を調べてリストにしていたという問題であります。
 当初、個人的問題と言われておりましたのが組織ぐるみ、業務としてやっていたというようなことが昨日の会見でも明らかになったところで、今、個人情報保護法案や人権擁護法案、更には有事法制との関係でも、政府が自分たちに都合の悪い情報は抑えて、そうでない欲しいものは違法な形でも手にする、こういうことに対する国民の今やはり厳しい不信があるかと思います。先ほど、法務省でも調査をしているところということでありましたけれども、この点、当初は防衛庁も個人でというのが、発覚したわけですから、徹底した調査をしてしっかり公表をしていただきたいということを改めて求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
#216
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほども御説明いたしましたように、法務省の情報公開担当部局におきまして、情報公開法に基づく開示請求の事案について、その処理の状況等を迅速かつ適切に把握することを目的といたしまして、行政文書開示請求事案管理簿というのを作っております。
 この管理簿の記載事項には、受付番号や開示請求に係る行政文書名のほかに、請求者の個人情報としては請求者の氏名と住所地の都道府県がございますが、それだけでございまして、あくまで事案の特定、管理のために必要最小限度で記載することにとどめておりまして、開示請求書に記載のない開示請求者の個人情報をリスト化したなどというものはございませんし、そのような個人情報を独自に収集するということもいたしておりません。
 なお、行政機関が所掌事務の遂行上必要のない個人情報を収集するということは極めてゆゆしき問題であるというふうに考えておりまして、今回の防衛庁のリスト問題に関する報道を受けまして、法務本省、公安調査庁、最高検察庁等について調査いたしました結果、先ほど申し上げたように、開示請求者の個人情報を独自に収集したリストはないということが判明いたしております。
 そのほか、既に、このような本省庁以外の機関につきましても引き続き同様の調査を行うところでございまして、先ほど申し上げましたように、今月一杯ぐらいには調査を完了したい、調査いたしました結果は公表したいというふうに思っております。
#217
○井上哲士君 本来あってはならないことが起きているわけでありますから、ないはずだということではなくて、しっかりとした調査をし、公表をしていただきたいと思います。
 その上で、法案の問題でありますが、日本共産党は、このテロにつきましてはいかなる宗教的、政治的見解によっても許されるべきでないし、許し難い犯罪行為として、その根絶が二十一世紀の地球で安全に生きていくために不可欠の課題だと主張してまいりました。国連を中心にこのテロの資金源を絶ち、根絶をするという条約やこの法の基本的な方向についてはそういう点で賛成であります。
 しかし、少なくない市民団体の皆さんなどが懸念を表明されておりますように、あいまいな構成要件の下で捜査の濫用などがあって人権や結社の自由が侵されるようなことはあってはならないという立場で何点か質問をいたします。
 最初に、条約の問題ですが、批准国について衆議院の答弁では三十一ということでありましたが、締結国ですね、今朝ほどの答弁で三十四ということでありましたが、これはどこが増えたということなんでしょうか。
#218
○政府参考人(小野正昭君) お答えいたします。
 三か国増えたのは、ルワンダ、エストニア、カーボベルデでございます。
#219
○井上哲士君 包括的テロ防止条約の審議でこのテロの定義をめぐって大変紛糾をしたわけでありますが、民族自決の闘争というのは定義から外すべきだという意見、それから正規軍によるいわゆる国家テロも入れるべきだ、こういう点での様々な意見の対立があったと承知をしております。
 その国家機関が関与をしたいわゆるテロ行為についてまずお聞きをするんですが、一九八八年のパンナム機の爆破事件、いわゆるロッカビー事件ですが、これはリビアの諜報機関の幹部がやったということで、昨年、終身刑の判決が言い渡されているわけですが、こういう行為については、これは国家機関の関与は明白なわけでありますが、これは本条約の対象となるということでよろしいんでしょうか。
#220
○政府参考人(林景一君) お答えいたします。
 今お尋ねの件は恐らくこのテロ資金の供与ということの前提犯罪についての部分のお尋ねだろうと思いますけれども、一般にテロの関係条約につきまして個別具体的状況を離れて一概に申し上げることはなかなか難しいところがございますけれども、このテロの行為と申しますのが既存のテロ防止関連条約上の犯罪行為にもし当たるということであれば、これが国家機関とおっしゃるのが何らかの国家意思というものが後ろに働いてということだろうと思いますけれども、抽象的な国家機関が何かするということではなくて、結局はその具体的な人、担当者というものが実行をするんだろうということでございますけれども、その行為自体が関連の条約上の犯罪類型に当たる行為ということである場合には個人として条約上、処罰の対象となるということであろうと、それが本来の考え方であろうと思われます。
#221
○井上哲士君 パレスチナなどで一般市民を無差別に殺傷しているようなイスラエルの行為もこれは国家テロじゃないかというのがパレスチナの皆さんから出ているわけですが、軍や国家機関がかかわったそういう行為の中で、この条約の前提になる行為に該当する、ないしはしない、そこの線引きというのは結局どういうことになるんでしょうか。
#222
○政府参考人(林景一君) 済みません。幾つか論点があるかと思いますが、今おっしゃいました具体的なパレスチナ情勢に照らしてイスラエルの行為というものがどうかということにつきまして、これをテロと呼ぶのかどうかということについてはいろんな、国際社会におきましていろんな考え方があるようでございまして、これを私どもの立場で国家テロということについては明確に申し上げることはできない。
 他方、このことと、イスラエルが行っている武力侵攻などが止められるべきだというようなことは別の問題であるので、日本として、イスラエルの行為は不適当で紛争の解決に適さないと考えておって、即時撤退と停戦を求めているということを従来申し上げております。
 したがって、いわゆるテロ条約との関係において具体的にテロに当たるのかどうかということについては、ちょっとこれは個別の事案に即して見なければならないというところがあろうと思います。
 他方におきまして、別の論点といたしまして、軍隊の行為というものをどうとらえるのかというのは別の論点としてございまして、国家の正規軍による行為というものをどういうふうにとらえるかというのが一つの論点としてございます。
 これは、今お話しになったのは恐らく包括テロ条約の交渉における論点を御紹介なさったんだろうと思いますけれども、正に従来、テロの関連条約というのはテロリストたる個人ないしその集団というものを念頭に置いておりまして、国家の正規の軍隊については、通常、軍隊の本質というのは殺傷行為というものを行うということが本質なわけでございますけれども、そのための訓練でありますとか、あるいはその他の実力の行使というものがあるわけでございますけれども、それはそのテロの関連の条約ということではなくて、むしろ一般国際法に従って処理する。それから、もちろんいわゆる武力紛争という事態における国家の軍隊の行為というものは、これはいわゆる戦争法といいますか、国際人道法に従って評価されるというのが基本的な考え方でございます。
 そういう意味におきまして、正規軍の行動そのものが、これは一般論で申し上げるわけでございますけれども、テロ関連条約の対象になるのかどうかという切り口で申し上げれば、基本的にはそういうものについては条約の適用というものは想定されておらないということでございます。
#223
○井上哲士君 そうしますと、いわゆる正規軍についてはそうですが、そうでない、先ほどのリビアの諜報機関など一定の国家機関によるものについてはケースによって当てはまることがあり得ると、こういうことでよろしいんですか。
#224
○政府参考人(林景一君) ただいま申し上げましたとおり、正におっしゃるとおりで、国家の軍隊というものについてはその本質上、特別のレジームといいますか処理の仕方がなされておるわけでございますけれども、国家の何らかの意思が働いておるということによって特定の個人の行為というものが正当化されて、そのテロの関連条約によって処理できないといった話ではございません。
#225
○井上哲士君 その上で、定義の問題なんですが、テロリズムの定義として、衆議院の議論で大臣が、一般的に「特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされている」、こういう答弁でありました。
 この特定の主義主張に基づかない、先ほどもありましたが、いわゆる愉快犯などについてもこの法律では公衆等脅迫目的の犯罪行為に当てはまるということでいいんでしょうか。
#226
○国務大臣(森山眞弓君) 衆議院の法務委員会におきまして、日本政府としては、質問主意書に対する答弁書の中でおっしゃるようなことを申しましたが、これは、本法における公衆等脅迫目的の犯罪行為の要件について答弁したものではなくて、公衆等脅迫目的の犯罪行為に該当するためには特定の主義主張に基づくことは必要ではないということでございます。
 これは、テロ資金供与防止条約においては、過去のテロ防止関連条約上の犯罪、又は住民を威嚇等する目的の殺傷行為に対する資金提供行為等を犯罪化することが求められているのでございまして、その資金提供・収集の対象となる行為が特定の主義主張に基づくことは要件とされていないわけでございますので、同条約の担保法である本法におきましても、特定の主義主張に基づくということは要件としなかったものでございます。
#227
○井上哲士君 安保理決議の千三百七十三号が国内行為の犯罪化を求めたものも、テロ行為を実施するための資金提供についての罰則化なわけですね。
 そうしますと、特定の主義主張に基づかない、テロリズムの一般定義から外れる国内行為も対象とするとなると、この安保理決議の範囲を超えるんではないかと思うんですが、その点はどうでしょう。
#228
○政府参考人(古田佑紀君) テロリズムにつきましては、これは委員御案内のとおり、国際的にはいまだ定義は確立していない状態でございます。
 そこで、ただいま御指摘の千三百七十三号の安保理決議、ここで、確かにテロリストあるいはテロリズムアクティビティーというふうな言葉が使われてはおりますけれども、これは、基本的にはどういうものをそれに含ませるかということにつきましては、既存のテロ関係条約あるいは現在御審議を願っている法律案の前提となりますテロ資金の防止条約、こういうふうなものを十分念頭に置きながら、そこで取り上げられて犯罪化が求められているような行為、こういうふうなものをやはり国際的には前提として、それに対する資金の供与を、あるいは資金の収集を処罰することを求められているものと理解しているわけでございます。
 おっしゃるとおり、テロというのも様々な定義あるいは形態というのがあり得るわけで、特定の主義主張に基づくというのは確かにそれの一般的な場合であろうと思いますが、その一方で、例えば社会に対する不満からあちらこちらに爆弾を仕掛け回る、それで世の中を不安に陥れようと、こういうふうな行為もやはりこれは同様に防圧する必要があることは当然でございまして、そういう意味からも、既存のテロ防止関係の条約で犯罪化されているものにつきましてそれを取り込むという観点で、特定の主義主張に基づくというふうな要件はこれは設けないこととしたものでございます。
#229
○井上哲士君 もちろん、愉快犯的な犯罪も許されるべきではないわけでありますが、テロ資金の規制というくくりの中で特定の主義主張に基づかないものなども広く対象とされていくとなりますと、やはりいろんな意味で濫用のおそれがあるんじゃないかという懸念を出されております。この点、運用でしっかりとしたものを求めておきたいと思うんです。
 市民団体の皆さんなどの懸念の中には、いろんな外国での独裁政治への抵抗運動とか民族独立の運動への支援、資金カンパが処罰の対象になるんじゃないかと。午前中の答弁で、「情を知って、」かつ「犯罪行為の実行を容易にする」という絞り込みがあるんだということでありましたが、この「情を知って、」の意味についてお聞きするんですが、その具体的なテロ計画を知っているということを言うのか、具体的計画までは知らないけれども、例えばその団体がテロも辞さずというようなスローガンを掲げている場合はどうなのか、ないしは、かつてそういう団体がテロ行為をやったことは知っている、今はそうは言っていないが、もしかしたらやるかもしれないという程度の懸念を持って資金を提供した場合、いろんな段階があるかと思うんですが、その線引きはどこになるんでしょうか。
#230
○政府参考人(古田佑紀君) 「情を知って、」という言葉は、これはほかの罰則でも用いられているわけでございますが、要するに、どういう犯罪行為を実行しようとしているかというその具体的なコアとなる部分、これを知っているということが必要であろうと考えるわけです。
 もちろん、計画の非常に詳細までわたって知っているということまでは必要はないと思いますが、単に漫然とその犯罪行為を実行したいと考えているというような気持ちでいるということを知っているとかその程度では足りないわけで、実際にその犯罪行為を実行しようという意思、決意といいますか、そういうことを知っている、認識しているということが必要であると考えております。
 したがいまして、例えば過去何かそういうテロ行為をやったことがある団体であるという認識はあるにいたしましても、その程度では、具体的に例えばどういうことをしようとしているのか、そういうふうなことが分かっているという特別な事情がない限り、過去にそういうことをしたということがあるということを知っているだけでは、ここで言う「情を知って、」ということには当たらないと考えております。
#231
○井上哲士君 その上で、犯罪行為の実行を容易にするということで絞り込まれるわけですが、実行するとせずに実行を容易にするとなっているわけで、その範囲がどう違うかなんですね。
 答弁では何か言葉の言い換えに終わることが多いんですが、具体的に、例えばあの九・一一の事件でいいますと、長期間の潜伏期間もあったでしょうし、操縦を習う費用などもあったかと思うんですが、この容易にするというのはどういう範囲までを指しているんでしょうか。
#232
○政府参考人(古田佑紀君) この資金を、これを非常に狭く考えますと、犯罪行為そのもののために必要な資金というようなことになるわけでございますけれども、条約が求めておりますことはそういう非常に狭い範囲のことではなくて、犯罪の実行に必要な様々な準備というのもございますでしょうし、そういうふうな資金につきましては、これは犯罪の実行の資金と直ちに言えない場合も含まれる、そういうような問題もありますことから、特に組織的な計画的なテロ行為などの場合には、その準備あるいは円滑に行うための様々な措置が必要で、そういうふうなものに対する資金等も十分取り込めるということにしておくことが必要ということから、ここで「容易にする」という表現を用いたものでございます。
#233
○井上哲士君 あの九・一一の事件などでいいますと、例えば、さっき聞いたのではどの辺までの範囲ということになるわけでしょうか。
#234
○政府参考人(古田佑紀君) 九・一一の事件の当初の計画から実行に至るまで、詳細、必ずしも把握はしておりませんので、事細かに申し上げるということは甚だ難しいと思いますけれども、例えば突入するために飛行訓練を受けるというようなことが行われたとした場合、その飛行訓練を受けるために必要な資金とか、そういうものは当然含まれるということになると考えます。
#235
○井上哲士君 あと、資金提供と収集の問題についてお聞きするんですが、先ほどは不動産のことが質問がありましたが、これは無償で提供した場合も、不動産を不動産として使っている場合は当たらないということでよろしいわけですね。
#236
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりです。
#237
○井上哲士君 そうしますと、無償提供された側が、それを例えば賃貸をして資金を得たと、これはどうなりますか。
#238
○政府参考人(古田佑紀君) これはいろんなケースがあり得ると思いますが、提供する場合に、それを賃貸させて、その賃貸収入をテロの資金に充てさせようと、そういうことで最初から考えている場合というのは、これはやはり資金を提供したことになると思います。
 一方、提供する側は、それは不動産を不動産として使うということで提供はしたんですが、受け取った側で、それを賃貸することによって賃料収入を得て、それをテロ資金に充てようと、こういうふうに考えた場合には、これは実行する側の資金収集罪の問題になって、提供の問題にはならないと考えております。
#239
○井上哲士君 収集の問題で、午前中の答弁で、銀行からお金を借りることも当たるんだというのがありました。
 衆議院の答弁を見ておりますと、経済取引についてはいろんな場面があると。単に自分の財産を換価するというだけの意味の経済取引、これは特にそのことによって新しく何かプラスアルファの利益を生じさせているとか、そういうことではないので、それ自体が資金の収集ということには該当するのは困難であろうと、こういう答弁なんですね。
 そうしますと、例えば担保をしっかり持っていて資金を借りるということは、新たな利益を生じさせているわけではないので、どうもこの答弁と食い違うと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
#240
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま御指摘のありました点につきましては、要するに換価すると、それだけでは言わば財産の状態が変わるというだけですから、それが新たに資金の収集ということに当たるとするのは、これは困難だと思われると。ただし、銀行からお金を借りるということは、それはそれで一つの独立した経済行為でございまして、その際に担保が必要だということで、たまたま不動産を担保に入れるという事態が起こるものであろうと思いますが、その場合には、銀行から貸付けを受けるという行為が、これが資金の収集に当たるということを申し上げているものでございます。
#241
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、再度、あいまいな構成要件の下で、政府や捜査当局の恣意的な運用で国民の人権や結社の自由が侵されることがあってはならないということを改めて強く述べまして、質問を終わります。
#242
○平野貞夫君 確認をしておきたいと思うんですが、何度も他の委員から指摘されています問題で、法務省関係で、情報公開請求者の個人的なデータを含むリスト作成や回覧、防衛庁のようなことは行われていないと、これは自信を持って、大臣、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
#243
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど来、何回も申し上げておりますとおり、法務省におきましては御心配いただくようなことはございませんので、私といたしましては、自信を持って、ありませんということが申し上げられます。
#244
○平野貞夫君 はい、分かりました。
 それでは、議題となっております公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案という、ちょっとイメージが素人にはよく分からない法律の質問に入りますが、自由党は、私はこれ賛成でございます。ですから、余り細かい質問はいたしませんが、現在、衆議院で、特別委員会で有事立法というのが提案されて審議されていますが、あの政府案は、私は有事立法、必要だと思っているんですけれども、いわゆる非常事態、危機管理に対する法律体系というのは必要だと思っていますが、あの政府案は本当にひどいですわ。昭和五十年代、何万人かのソ連軍が北海道とか日本海に攻め込む、侵略するというようなことを想定の、こういうことはまずないと思うんですが、可能性の高いのはテロなんですね。それから大地震、こういうものに対する危機管理体制、非常事態体制は私は法制的にきちっとしておくべきじゃないかと思います。
 そこで、私たち素人には分かりにくいこの法律の名前なんですが、簡単に言って、テロ資金の提供や収集を処罰すると、この程度に理解していてよろしゅうございますか。
#245
○政府参考人(古田佑紀君) おっしゃるとおり、この法案のコアといいますか、ねらいは正にそういうことでございますけれども、ただテロとか、そういう言葉につきましては国際的にも確立をした定義もありませんし、必ずしも通常テロと、そう言われている行為だけではなくて、過去のテロ関係の条約、これは犯罪化が要求されている部分がございますので、そういうものも含まれておりますことから、こういうことにしているわけでございます。
 繰り返しになりますが、中核部分はおっしゃるとおりでございます。
#246
○平野貞夫君 分かりました。
 先に質問された委員の御指摘にもありましたが、やはりかなり概念が、これは国際的ないろいろな関係があるということもあってでしょうが、定義が非常にあいまいであると。だから、やっぱり捜査権といいますか、そういったものの濫用はよく気を付けていただきたいと。これは、附帯決議にもそういう趣旨のようなものが付くようでございますから、そういうことを要望しておきます。
 そこで、テロといえばテロ国家、たちの悪い国家がやっぱりテロ活動をいろいろな直接、間接にやったり支援したりすると、こういうことが一番の問題なんですが、アメリカのブッシュ大統領は、先般来、具体的に北朝鮮とかイラクとかリビアなどを名指しでテロ国家というふうに呼んでいるんですが、日本国政府というのはこのブッシュ大統領の言うテロ国家という呼び方をどう思っているんですかね。あるいは、日本国政府としては、そういう政策選択をしているんですか。
#247
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の発言については私が確たることを申し上げる立場にはございませんのですが、先ごろ福田官房長官が国会でお述べになったように、その発言の趣旨は、大統領のテロ支援や大量破壊兵器の開発を許さないという強い決意の表れであるというふうに理解いたしております。
 私どもといたしましては、我が国の独自の立場も念頭に置きまして、両国の動向について関心を持って見てまいりたいというふうに思っております。
#248
○平野貞夫君 ブッシュさんのように露骨な呼び方はしないけれども、関心を持ってそういった国々の動向について見守るということだと思うんですが、こういう法律を作ることも大事だと思うんですよ。大事ですが、テロ資金の提供や収集に対する問題で、やっぱり我が国の周辺では北朝鮮という国家が問題国家だということは、これは答弁は要りませんが、共通な認識はできると思うんですが。
 結果的に、報道されるところによると、日本から北朝鮮へ様々な形で資金が、もちろん合法的にも流れていますし、それから非合法的にも流れていると。合法的なことはこれは論外ですが、非合法に流れているということ、これは政府の皆さんに言っても認めないと思いますけれども、しかしこれは暗黙の一つの事実の話なんですが。これをきちんと取り締まること、これがやっぱり法律も大事なんですが、こういう現時点でのそういう防御、これも非常に大事だと思います。
 新潟から人の交流がある。人の交流に際して様々な出国等のチェックが適切になされているか、そういうこれはテロ資金になる可能性もあるわけなんですが、そこら辺のことについては法務当局としては大丈夫ですか。
#249
○政府参考人(古田佑紀君) 様々な形でいろんなお金が世界的に流通をしているということは実態としてあることと認識しております。
 これにつきまして、現在の世界の経済、こういうことからいたしますと、その経済を阻害するようなことがあってはこれは到底いけないわけでございますが、ただ、今おっしゃいますように、それがテロを含むいろんな不法な目的に使われる、あるいは逆に犯罪によって得られたお金がいろんな形で流通して言わば地下経済を形成する、こういうことにつきましては、これは大変世の中の言わば社会の基盤を崩すようなことでございますので、それにつきましてはいろんな形で対応が必要であろうと考えております。
 そういうことで、例えばマネーロンダリング罪でありますとかあるいは犯罪に関係する様々なお金等の没収追徴とか、そういうことを実現するための法制度の整備、あるいはそのために必要な国際協力の推進、そういうことをいろんな角度で推し進めていきたいと考えております。
#250
○平野貞夫君 これは要望でございますが、やはり現実に問題なのは我が国と北朝鮮との関係だと思うんです。そういったことで出国の問題、あるいはそのほかの様々な行政施策において、結果的に政府がテロ資金の供与に協力しているようなことにならないように、ひとつきちっとした取締りと厳格な法の適用をやっていただきたいということを要望しておきます。
 この法案の前提となっていますのはテロ資金を作る行為だと思うんですが、条約との関係もあるんですが、当局としてはどんなものを想定していますか。収集するというのは、募金なんかは分かるんですけれどもね。テロ資金を提供するという場合に、そのテロ資金をどうやって作るかということについて、提供したことを処罰するということは分かるんですが、様々な形でテロ資金というのは作られると思うんですが、大体例示的に重立ってどんなものを想定していますか。
#251
○政府参考人(古田佑紀君) テロ資金をどういうふうに準備するか、これはただいま御指摘のようにいろんな手口が恐らくあるんだろうと思います。この条約の国連での審議、当時一つ議論されておりましたのは募金活動でございました。しかし、もちろんそれだけではなくて、最近、国際的にもテロ資金がどういうふうにして作られるかという点で十分実態を吟味しなければいけない可能性があると言われておりますのは、例えば薬物の密売あるいは不法移民、言わばイリーガルなそういう国際的な取引みたいなものと、それから一方で合法活動によって、例えば企業収益のようなもの、これをテロの実行のためのお金に使わせるというような形態、あるいはそういうふうなお金を獲得するために合法的な経済活動を行う、そういうようなことがいろいろ議論されているところでございます。
#252
○平野貞夫君 そこで、警察庁の方にお聞きしたいんですが、平成十二年でございましたか、当委員会で大変紛糾して通信傍受法というのを制定しました。私はそのとき、今、野党ですが、与党だったものですから推進派の方でございましたんですが。今、野党の中でそれを廃止したらどうかという話もあるんですが、それにはちょっと私は乗れない立場でやっておるんですが。数年たったんですが、適用の実例といいますか、それをちょっと教えてくれませんか。
#253
○政府参考人(吉村博人君) 通信傍受法、いわゆる通信傍受法につきまして、平成十二年中と十三年中の傍受の実施件数については、既に国会に対し報告をしておりますとおり、運用がなかったわけであります。
 平成十四年、今年になってからの傍受の運用状況につきましては、これまでも申し上げておりますとおり、随時これを明らかにはしていないところでありますが、それは通信傍受法二十九条の規定に基づきまして国会報告を行うこととされておりますので、そこで報告することを考えております。
 現時点で捜査上の支障が生じない範囲で実施の概要についてお答えできるのは、今年一月に警視庁で実施をしました事件が一件ございます。概要を申し上げましょうか。
#254
○平野貞夫君 お願いします。
#255
○政府参考人(吉村博人君) 事件概要でございますが、神奈川県在住の指定暴力団稲川会傘下組織の暴力団幹部を、いわゆる麻薬特例法上の業として行う覚せい剤譲渡罪で警視庁がこの人間を今年の五月二十一日に逮捕したものであります。
 当該暴力団幹部らは、インターネットの無料掲示板を利用いたしまして営利の目的で覚せい剤を密売することを企て、S販売中などと書き込みをし、携帯電話を利用して注文を受け付ける方法により密売を敢行していたものであります。
 警視庁では、首謀者であります当該指定暴力団幹部を逮捕するとともに、共犯被疑者一人につきまして指名手配を行い、現在、追跡捜査中であります。また、これまでに一連の捜査の中で覚せい剤を譲り受けた者数名を逮捕、検挙しているところであります。なお、本件事案は携帯電話の通信を傍受したものでございます。
#256
○平野貞夫君 この通信傍受法を通すときに問題になったのは、最初の答弁では携帯電話の傍受も技術的にできるという前提で答弁だったんですが、終わりの方になって携帯電話についてはまだだという話になって、ちょっと我々推進派というのも困ったことがあったんですが、今もう技術的に携帯電話の傍受というのも問題なく適切にできるという、そういう状況でございますな。
#257
○政府参考人(吉村博人君) 今申し上げておりますのは実はまだ捜査中のものでありますので、その支障が生じない範囲でのお答えであったわけでありますが、結論として申しまして、本件につきましては携帯電話の通信を傍受をしております。ただ、携帯電話等々各種の通信手段、非常に日進月歩でありますから、それは通信事業者等ともいろいろ話をしながら、傍受に差し障りがないようにしっかりこちらも検討してまいりたいとは思っております。
#258
○平野貞夫君 その技術の進歩に対する対応、それからやっぱり法の適用について国民の権利を侵害しない、そういう適切な運用を是非やっていただきたいと思います。
 私は、通信傍受法にこだわった理由は、覚せい剤とそれから銃刀、そういうものの密輸入ですか、これが非常に深刻だということを知ったからでございます。特に、私の出身の高知県に、あれは平成十年でございましたか、大量の覚せい剤が漂着しまして、子供のころ遊んでいた海岸に覚せい剤の袋が漂着したという事件があって、どうも豊後水道水域が覚せい剤の外国との取引の場所になっていると。
 これを知って私、積極的にかかわったものなんですが、この覚せい剤がテロ資金になる可能性も非常に高いと、先ほどの政府参考人のお話にもあったんですが、そこでお聞きしたいんですが、例の不審船、あの沈没している、あれが覚せい剤を運んでいたんじゃないかというようなことが報道されたりしていますが、そういうことについての情報は警察庁、特に、もし構わない範囲だったら話してくれませんか。分からぬというなら分からぬで結構ですから。
#259
○政府参考人(黒澤正和君) 委員御指摘のような報道がなされたことは承知をいたしておりますが、いかなる目的であったのか、その辺は承知をいたしておりません。
#260
○平野貞夫君 分かりました。
 そこで、ここ三、四年ぐらいの覚せい剤の検挙数、それから年齢的な傾向、もし分かれば、その地域的な特徴みたいなものが分かれば説明してくれませんか。
#261
○政府参考人(黒澤正和君) 過去三か年間の覚せい剤の押収量でございますが、平成十一年には史上最高でございますが、二トン押収してございます。平成十二年は約一トン、平成十三年にも約四百キログラムという大量の覚せい剤が押収されておるところでございます。相当量の覚せい剤が海外から我が国に流入して、それを支える大きな需要が存在しているものと見られまして、薬物情勢は大変厳しいものがあると認識をいたしておるところでございます。
 また、地域的な特徴でございますけれども、これは検挙人員につきましては、平成九年でございますが約二万人に迫りまして、その後も高水準で推移しているところでございます。昨年は一万七千九百十二人の検挙となっております。
 地域的特徴でございますけれども、一般的に検挙人員で見てみますと、大都市及びその周辺に検挙が多くなっております。例えば、昨年でございますけれども、警視庁、神奈川、愛知、大阪、福岡、この大都市を抱える五つの警察本部でそれぞれ千人以上の検挙がございまして、この五つの警察の検挙人員の合計で見てみますと、全検挙人員の四五・四%を占めておるところでございます。
 なお、年齢構成につきましては、これも昨年の数字でございますが、少年が九百四十六人、成人が一万六千九百六十六人でございまして、成人のうち二十歳代、三十歳代が多い比率を占めておる、このような現状でございます。
#262
○平野貞夫君 覚せい剤がこれだけ我が国に流入して、しかも若い若年層にも浸透しているということは、これはもう大臣、一種のテロなんですよね。難しいでしょうけれども、これやっぱり侵略されているんですよ。その侵略も精神が侵されるというか、脳が侵されるという状況ですから、こういう形のテロについても、ひとつどうか今後十分、法務省、警察庁共々対応していただきたいと思います。そこで、警察庁の方、結構でございます。
 残りの時間で、こういう凶悪犯罪に対して日本の社会の秩序をどうやって保たなきゃならぬかという問題で、やっぱり検察庁というのがしっかりしてもらわなきゃ駄目なんです。大臣にいつも耳障りなことを言って悪いんですけれども、ちょっと残りの時間で聞いてみたいと思うんですが、三井事件にかかわる検察庁の首脳等の懲戒処分なんですが、余り細かいことを聞きませんが、どういう処分をやったか、それからそのときに再発防止策というのを発表されたようなんですが、これについて、大臣じゃなくてもいいですけれども、簡単に説明してくれませんか。
#263
○政府参考人(大林宏君) まず、懲戒処分の関係についてお答えいたします。
 五月三十日に至って三井元検事が追起訴され、同人に関する事件捜査が終了したこと、事件の概要が明白になったこと、三井元検事の犯罪は収賄及び公務員職権濫用という職務に関する犯罪であり、三井元検事に対する指揮監督が十全ではなかったと言わざるを得なかったことから、検察に関することを所管する法務大臣が、検察に対する国民の信頼を回復するためには監督者の責任を厳正に問うとともに、検察に対し厳格な綱紀の維持を図り万全な再発防止策を講ずるように求めるべきであると判断され、同日、内閣総理大臣に対して、原田検事総長及び東條大阪高検検事長につき懲戒処分に付するのが相当である旨上申し、翌三十一日、閣議決定を経て、原田検事総長について戒告に、東條大阪高検検事長について一か月間俸給の百分の十の減給に付され、また大塚大阪高検次席検事についても法務大臣において減給処分に付したものでございます。
#264
○平野貞夫君 大体分かりましたんですが、その法務大臣の責任というのはどういうことになっているんですか。
#265
○国務大臣(森山眞弓君) この件につきまして、私も法務省の責任者として重大な責任を感じております。
 総理大臣に対しまして、今、官房長から報告いたしましたような内容のことを申請いたしまして、総理大臣から私に対して、国民が検察に対する信頼を甚だしく損なったということは非常に残念であると、今後二度とこのようなことがないようにという厳重な御注意をいただきました。
#266
○平野貞夫君 法務大臣に対しては総理から注意がなされたと、こういうことのお話ですが、検事総長が懲戒処分をされたという事例というのはあるんですか。
#267
○国務大臣(森山眞弓君) ずっと昔のことは分かりませんのですが、昭和二十二年に検察庁法が施行されて以後、把握している限りにおいてはそのような前例はないようでございます。
#268
○平野貞夫君 法律の建前からいいますと、それは国家公務員ですから国家公務員法上の懲戒処分というのはそういう制度があると思うんですが、五十年以上、五十年、もう六十年近くですか、この検事総長に対する懲戒処分をしなかったかということは、立派な人が検事総長になっていたということもあると思いますが、私はやっぱり一つのこの制度の知恵だったと思うんですよ。
 というのは、何といったって、警察権というのは、これは準司法ですよね。実質的に司法権なんですよね。ですから、法務大臣が上申して、閣議で決めて、内閣総理大臣が懲戒処分というものを出すという、これは異常であり、異例でありと思うし、私は、むしろ制度的に、検事総長は政府側がこういう罰則行為をやらない、この制度を変えた方がいいという意見、実は持っているんですよ。
 これ、そういう初めての事例を大臣やられたわけなんですけれども、これ検察史に、検察庁史にとっても大変なことだと思うんですが、私のそういう制度改正論についてどういう御意見ですか。
#269
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の御意見も分かるような気がいたしますが、この事件は、非常に今までの常識では考えられないような常軌を逸した行為というのが元検事によって行われたと。その個人の資質ということが最初の大きな理由だとは思いますけれども、先ほど説明申し上げましたように、職権、職務にかかわることも加わっておりまして、検察全体の組織としての責任も大きいというふうに考えまして、それだけ異例であるということから、大変異例な処分をしなければならなかったというふうに思います。
 おっしゃるような御意見もあるかとは思いますが、現在の懲戒あるいは人事制度の中では、これが精一杯の私どもの姿勢を正すということを表す行為であったというふうに思いますし、もう二度とこのようなことがないように厳しく戒めていきたいというふうに考えます。
#270
○平野貞夫君 率直に言いまして、大臣は、たしか調活費の使用については適正にやったということを何度も答弁された。そう言っていて、再発防止策というのを出された。これもちょっと勘ぐれば、適正にやっているんだったら再発防止策なんか要らないじゃないかということも言えないわけでもない。それから、この処分の時期も問題で、私は三井さんというのを個人的に知りませんが、元々そういう素質があったと思うんですよ。だから、何というか、そういう人を司法試験をパスさせて、検事にする仕組みに僕は問題があったと思うんですよ。
 それから、もう一点言いたいのは、これ、ふたをすることにもなりかねない、そういう誤解を受けるんですよ、懲戒免職と再発防止を言ってふたをする。それは、この問題の本質に対する事実上の指揮権発動ではないかという、そういう誤解さえ、可能性があるんですよ。それはやっぱり拘束した、拘束する前に言いたいことを言わさなかったと、あとは裁判で言えということでしょうけれども。それは、起訴された容疑者の裁判で言う話とそうでないときの話というのは、国民の受取方は大分違うと思います。
 ですから、二度とこういう事件がないようにしてほしいんですが、こういうやり方もないようにしてほしいということを要望して、終わります。
#271
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 ここに、手元に二〇〇〇年公安調査庁の国際テロリズム要覧があります。これには、三百五十ほどの世界の様々な組織が世界の主要なテロ・ゲリラ組織として挙げられています。
 これは実に様々ありまして、特に民族自決を求める運動も、このテロ・ゲリラ組織として書かれています。フィリピンのフィリピン共産党、ミャンマーの様々な団体、インドネシアでは東チモール独立革命戦線、日本では過激派諸団体、右翼諸団体、オウム真理教、パレスチナではPLO、PFLP、ハマス、メキシコではサパティスタ民族解放軍、イギリスではIRA、アイルランド共和軍、これらも主要なテロ・ゲリラ組織の中に書かれております。
 それで、お聞きをいたします。
 南アフリカのアパルトヘイトに反対する武力抵抗を含む運動や東チモールの自決を求める抵抗運動などは、テロであったと定義できるのでしょうか。
#272
○政府参考人(書上由紀夫君) 委員御指摘の今の資料、私どもがこれまで何回かにわたりまして海外の公然資料を基に取りまとめた言わば執務の参考資料でございます。
 他方、お話に出ましたこのテロ行為あるいはテロ、テロリスト、テロ団体とか、こういったものについては、今もって、一義的に概念が確立されたというような状況にないというのが私どもの理解をしているところでございまして、したがいましてそれぞれの資料に取りまとめましたのは、当時、内外を問わず一般的にそういうことを言われているものの比較的共通項、これを取りまとめたということでございます。
 そこで、具体的に今、南アフリカの問題あるいは東チモールの問題のお尋ねございましたが、それを取りまとめた当時には、海外的に、海外において、こういったグループないしは団体の中の一部の活動について、テロという評価が相当あったということを参考のために載せたわけでございまして、現在まで、最近も、本年度も、私ども、その資料を改訂しておるわけでございますけれども、この情勢の変化等によりまして、そういったものを、かなりのものを削除しているというのが実情でございます。
#273
○福島瑞穂君 マンデラさん、マンデラ氏、アンク、ANCの元南アフリカ大統領、アダムズ氏、IRA、英国下院議員、シャミル氏、テロ集団自由戦士創設メンバー、元イスラエル首相、グスマン氏、東チモール独立戦線司令官、東チモール大統領、金大中氏、国家反逆罪、韓国大統領などの諸氏、諸団体について、公安調査庁はかつてテロリストと認定していましたか。
#274
○政府参考人(書上由紀夫君) 私どもは、当然御承知のことだと思うんですが、破壊活動防止法いわゆる団体規制法に基づいて、暴力主義的破壊団体を規制あるいはそのための調査をしている組織でございまして、そういったものにつきましては、その過程の中である程度認定ということをいたすわけでございますが、テロリストあるいはテロ団体というものは、直接的に私どもが認定できるような問題ではございませんので、先ほど申し上げましたように、一般的に言ってテロリストと言われているかどうかというようなものを、そういった大所の意見を紹介している資料だということでございまして、したがいまして、今お尋ねのございましたたくさんの方があるわけでございますが、私どもの資料の中で具体的にそういう資料として掲載した人も当時はおるやに承知しておりますけれども、それは必ずしもテロリストとして認定したとか、そういう問題ではなくて、そういう評価があるということの紹介をしたわけでございます。
 ただし、全くそういう形で紹介をしていないものもあろうかと思いますので、念のためにお答えをいたします。
#275
○福島瑞穂君 紹介しているものは、では、どれですか。
#276
○政府参考人(書上由紀夫君) 例えば、南アフリカのアフリカ民族会議、ANCというのがございますが、これにつきましては、一九九三年版と九五年版につきましては、そうした資料として取りまとめた例がございます。しかし、その後の情勢の変化によりまして一九九八年版からは掲載はしておりません。
 また、東チモール独立革命運動、これにつきましても、二〇〇〇年版までにはその同種資料に掲載したものと承知しておりますけれども、本年度版には、最近の国際情勢の変化を受けまして削除しております。
 なお、シャミル氏あるいは金大中氏等につきましては、私の見る限りはそういう紹介はしていないのではなかろうかというふうに承知しているところでございます。
#277
○福島瑞穂君 二〇〇〇年版にはIRAも入っておりますが、もしこの法案が成立をした場合に、二〇〇〇年版には例えば東チモール独立戦線はテロ団体というふうに書いてありますので、グスマンさんはテロリズムの、テロリストのリーダーなわけですね。そうしますと、私が一九九九年、例えばちょっと、もう法律がもしあったとして、私が例えばかつて、一九九二年にANC、ネルソン・マンデラさんにカンパをしたい、あるいは東チモールの運動を支援するためにグスマンさんにカンパをしたい、これはこの法律によれば処罰されるんではないですか。
#278
○政府参考人(古田佑紀君) この法案は、あくまでも犯罪行為をするということのその情を知って、それを積極的に容易にさせる、支援する目的で資金を提供するということが処罰の対象になるものでございまして、ただいまお尋ねのような、ある特定の団体であるから、あるいはある特定の個人であるからという理由でそれに対する資金の提供等を処罰するものではございませんので、御指摘のようなことにはならないと思います。
#279
○福島瑞穂君 しかし、「情を知って、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、資金を提供した者は、」とあります。私がANCやあるいは東チモール独立戦線がある程度の武力闘争、あるいは実力行使も伴っていることを知っていながらその団体にカンパをしたら、正にこれに当たるのではないですか。
#280
○政府参考人(古田佑紀君) これから具体的にどういうふうな犯罪行為に当たることをするのかと、それを、詳細までは別として、具体的にそういう決意を持っているということを知っているということが一つ大前提であるわけです。
 さらに、そういう行為を、これを積極的に支援をする目的ということが必要でございまして、いずれにいたしましても犯罪行為を実際に実行しようとしている人に対して、それが分かった上でそれを積極的に支援する意思で資金を提供すると、そういうことが処罰の対象になるものでございますので、御指摘の話、それは福島委員自らのお話のようにおっしゃっておりましたけれども、非常に、言ってみますればそういうような、今、私が申し上げたようなことではないであろうと私としては理解しているわけでございます。
#281
○福島瑞穂君 ハマス、PLO、PFLPも、これでテロ団体、テロ組織団体になっています。ハマス、PLO、PFLPにカンパをすれば、これはこの法律に当たりますか。
#282
○政府参考人(古田佑紀君) これも繰り返しになりますけれども、要するに、ある特定の団体であることを認識してということだけでは、それに対するカンパがこの法律によって処罰することにはなりません。
#283
○福島瑞穂君 ただ、例えばハマスはイスラム原理主義と言われておりますし、自爆テロやいろんなこともやっていることを私が例えば知っている。ただ、ハマスは一方で学校や病院もやっているので、私のお金が何に使われるか分からないけれどもカンパをしたい。そうすれば、私は自分のお金がもしかしたら自爆テロに使われるかもしれないことを知っているわけですね。そうしますと、これは正にこの条文に当てはまるのではないですか。
#284
○政府参考人(古田佑紀君) これまた繰り返しになりますが、それを知っていたというだけではなくて、積極的にそういうテロ行為の実行を支援する、そういう意図で提供するということが必要でございますので、ただ、今御指摘のあったようなことだけでは直ちにはそうはならないと考えます。
#285
○福島瑞穂君 でも、非常に微妙だと思うんですね。例えば、東チモールの独立運動もある程度の武力行使をやっている。そのことを知りながら、でも、民族自決の上からそれを応援したい。そうすると、テロ行為と言うか民族自決と言うかは言葉の問題ですが、そのことを知ってそれを応援したいと思ってカンパをすれば、正にこれに当てはまるということになるのではないでしょうか。
#286
○政府参考人(古田佑紀君) もちろん、犯罪行為に当たるというものであるならば、これを積極的に支援する意図で資金を提供すれば、それは該当するということになるわけでございますが、それが犯罪行為に当たるかどうか、そういう点につきましては、これは国際的な問題であれば国際法上の問題もございますでしょうし、実際にそれがどういうものであるかとか、特に外国で起こっていることについては十分慎重な判断が当然必要とされるということになると思います。
 ただ、一つ申し上げたい点は、やはりいろんな形でそういう運動を支援されるにいたしましても、それはやはり皆様の支援されている基本のお考え方は、そういうテロ行為的なことを積極的に、それを支援するということではなくて、それが正当な活動として受け入れられていき、その目的を達成するということを願ってカンパ等をされているものと理解されるわけでございまして、そういうふうなものが犯罪行為の実行を積極的に支援する目的ということには、これは普通は考えられないと思っております。
#287
○福島瑞穂君 いや、理解ができないですね。つまり、ANC、ずっとANC、南アフリカの運動はテロリズム、テロリストと呼ばれてきました。それは内戦状態で武力行使を伴ったからです。この三百五十ある国際的なテロ団体も、民族自決やそれから国内の民主化を求める運動、差別撤廃も非常に多い割合で、例えばチベットの、チベットじゃない、いろんな国の様々な民族自決の運動なども全部入っています。
 そうしますと、積極的にテロ行為を応援しようというのではなくても、ちょっと繰り返しになりますが、それもやはりテロリストというふうに言われていたわけですから、それを応援することは正にこの条文に当てはまるというふうに思います。一般的には当てはまらないと言われても、テロリストと呼ばれていたANCに当時支援をすれば、それは正に、あなたはANCが実力行使もやることを知らなかったんですかというふうにこれは言われるわけですよね。極めて危ういというふうに思います。
 今、ハマスやPLO、PFLPにカンパをしたら本当にどうなるのか、それが例えばパレスチナ運動に対する支援だとしても。じゃ、今お聞きします。パレスチナでの民族自決を応援するためにハマス、PLO、PFLPに対するカンパ、これはどうなるのでしょうか。再度お尋ねします。
#288
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほどから申し上げておりますとおり、要するに、団体ではなくて、犯罪行為をするその具体的な意図を持っているということが分かった上でそれを積極的に支援すると、そういうことで資金を提供することが処罰されるわけでございますから、一般的にこの団体に資金を提供することはどうだというお尋ねについては、そのことだけではこの法律に言う資金提供罪に当たることは考えられないということを申し上げているわけです。
#289
○福島瑞穂君 条文の解釈をお聞きします。
 二条は「情を知って、」となっています。「情を知って、」というのはどの程度具体的に知っている必要があるのでしょうか。具体的な計画を知っている必要があるのか。この「情を知って、」というのはどの範囲なのでしょうか。
#290
○政府参考人(古田佑紀君) 「情を知って、」と申しますのは、これもこれまでも何度か申し上げましたが、これまでの罰則にもある表現でございまして、ある特定の犯罪の実行をする決意を持っているということを知っている、もちろんその犯罪の詳細までは全部を承知している必要はないわけですが、例えばテロ行為であるならば、例えばどういうところの要人を暗殺しようと考えているとか、昨年の同時テロを例に取りますれば、ああいうふうなワールド・トレード・センタービルに突入する計画を立てているとか、そういう具体的な決意を知っているというふうなことは必要であろうと思います。九月十一日の例で少し細かくなりましたけれども、それがワールド・トレード・センターではなくてどこか主要な建物という程度でもそれは足りるかと思いますが、いずれにしてもその程度の具体的な犯罪の決意、計画、意図を認識しているということは必要であろうと考えております。
#291
○福島瑞穂君 そうであれば、この法律の立法目的、立法事実が分からないと思うんですね。というのは、具体的に犯罪行為、ある人を殺そうとする、あるいはある人でなくても不特定多数を殺そうとしている、その計画を知りつつ資金提供をすれば、それは殺人が発生すれば殺人の幇助犯に具体的になるわけです。
 この法律が極めて問題なのは、別に結果が発生する必要がないと。つまり、情を知ってカンパをする、だけれども殺害は行われなかった、だがテロは行われなかった。しかし、要するに普通は正犯があって、正犯の実行行為があって初めて幇助犯というのが成立するわけですけれども、この法律は正犯が実行行為に着手することは要求をしておりません。ですから、後からこういう計画があったことに関してある程度薄々知ってカンパしたんじゃないかというので処罰をされる。もし、今、刑事局長がおっしゃるように、具体的にワールド・トレード・センターに突入するかもしれない、ある要人の暗殺について分かっていてお金を貸す、これは実行の着手あるいは殺人予備のもしかしたら共犯になるかもしれませんが、その段階で十分処罰される、そこまで具体的であれば。しかし、今回、このように新しい法律を作るということは、もっと手前の段階でざっくり処罰したいというのがあるんじゃないですか。
#292
○政府参考人(古田佑紀君) この資金の提供あるいは収集を、これを実際のテロ行為等に至らなくても処罰を、犯罪化して処罰をするというようにするというのが、テロ資金供与防止条約のこれが犯罪化の義務ということでございます。そのようなことの、犯罪化して、これを仮にテロ行為等が現実に起こらなくても処罰をすべきであるということにこの条約で国連において合意がなされたのは、要するに資金を提供する、こういうことがテロを助長する非常に大きな危険を持っている行為であると。したがって、やはりそれはそれで現実に、たまたまテロ行為に至らないにしても、そういう行為はそういう行為として危険な行為であるので処罰が必要であると、そういうふうな考えによるものと理解しております。
#293
○福島瑞穂君 実際、テロ行為が発生しない、その前の段階でカンパをした、それはその目的や意図というものの立証でかなり変わってくるんじゃないかというふうに、非常にそれは危険なのではないかと思います。
 ところで、条約による要請の範囲を超えて、この法案では一国内のテロ行為も対象としたり構成要件を拡大しています。構成要件の拡大については、小川委員の方からも出ましたけれども、なぜこの法案で一国内のテロ行為も対象としたり構成要件を拡大しているのでしょうか。
#294
○政府参考人(古田佑紀君) まず、確かに条約三条には御指摘のような規定がございますが、元々大前提としてお考えいただきたいことは、この条約が資金提供等の対象となる犯罪行為として規定しておりますのは、過去のテロ関係の犯罪化を含む条約でございまして、これらはすべて犯罪化しているものにつきましてはほとんどが世界各国どこでも処罰できるようにすると、そういうことによってその犯罪の防止の実効性を保とうとしているものであるという点がございます。
 さらに、この法案は、この条約だけではなくて、国連の安保理決議千三百七十三号、これの実施という目的もございまして、この千三百七十三号におきましては、それを一国内の問題については除外するということではなくて、国内のものについてもやはり同様に犯罪化をするということが要請されているというふうに理解しているところでございます。
 一国内ということについての御指摘はただいま申し上げたようなことでございますが、そのほかに構成要件を一部やや条約より広がっている部分があるのではないかという御指摘でございますけれども、これは、例えば殺人にいたしましても、あるいはインフラ施設等で重大なもの、こういうものにつきまして、基本的には過去のいろんなテロ関係の条約、これの犯罪化が大変微妙に絡み合っております。それぞれに若干の切り口が違うというところがございます。特に、昨年、批准、締結に至りましたテロリストによる爆弾使用の防止に関する条約、これは爆発物の使用その他重大な方法によるいろんな破壊行為等を処罰を義務付けるものでございますが、これと過去のいろんな殺人などを含むような行為を犯罪化する条約とは非常に微妙に絡み合っているという問題もございまして、その範囲でいろんな条約がカバーしている範囲ということをできるだけ適切に取り込むようにこの条文を考えたわけでございます。
 したがいまして、その中に厳密に言えば多少、条約の形式的文言からはみ出る部分がないとは申しませんけれども、行為の性質からすれば条約の趣旨に反するものではないというふうに考えますし、また一方、御理解いただきたいのは、逆に条約の形式的文言上は資金の提供等が一見要求されるように見えても、それについての資金の提供等というのは非常に想定しにくく、したがって条約の実質的な趣旨に反しないと考えられる限度の部分については、これもまた逆にこの法案上、犯罪化はしていないということもございます。
 したがいまして、トータルとしてこの法案は既存のテロ関係の条約を含むいろんな犯罪化条項を総合的に考慮した上で必要十分な範囲で資金提供罪の対象になる犯罪行為を明示、特定したものと私どもとしては考えております。
#295
○福島瑞穂君 条約による要請の範囲を超えて、一国内のテロ行為も対象としたり、構成要件を拡大していることは条約をはみ出していると、条約より、より法律の方が問題であると考えます。
 それで、このテロリストの組織に関しては、日本のところでは、過激派諸団体、右翼諸団体、オウム真理教、この三つが二〇〇〇年版では載っています。例えば、分かりますが、ある例えば右翼がかなり暴力、何かテロを起こすのではないかという情報を持ちつつ、しかしその活動を支援しようとしてカンパをするというふうにした場合、これはこの法律によって処罰されるのでしょうか。
#296
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほど、結局同じようなことを申し上げることになるわけですが、ある団体とか、そういうことだけではなくて、ではなくて、ある特定の犯罪行為そのものを現に実行しようとしている意思があるのかどうか、それを知っているかどうか。しかも、それを知っていたとしても、更にそれに加えてその実行を支援するという積極的な意図でカンパするのかどうか、そこによって決まるわけで、そういうふうな意図、認識がないような行為については、これは当然、処罰の対象にはならないということでございます。
#297
○福島瑞穂君 例えば、なぜこういう質問をやっているかといいますと、冒頭言いましたように、マンデラさんにしても、アダムズさんにしても、東チモールのグスマンさんにしても、歴史の評価によって非常に変わってしまう。アルカイダが、初めは自由の戦士であったのが、アメリカの外交政策の転換によって今度はテロリストに変わるというふうに歴史の評価によっても変わってくる。その中で、具体的な行為を応援しようと思っていたことが、例えば後からこれはこの資金提供罪に当たるとして重く処罰をされるという点がやはり非常に危惧を感じます。
 例えば、今パレスチナとイスラエルは非常に緊迫した、非常にシビアな、内戦と言ってもいい状態だと思いますが、例えば自爆テロやそういうことをハマスがやっているということを知りつつ、例えばある人が、PLO、PFLP、ハマスなどの自爆テロや、もしかしたらいろんなことをやっているということを知りつつ、具体的なことは知らなくても、そのために資金が使われるということを知りつつカンパをすれば、やはりこれは二条で処罰をされるのではないですか。
#298
○政府参考人(古田佑紀君) 一つは、「情を知って、」というところで、もちろんある連続的にテロをする、テロ行為に当たることをするというような意図を持っているということが、これが分かっていればということであろうかと思いますが、しかし更にそれに加えまして、先ほども申し上げましたように、単にそれを認識しているということだけではなくて、それを支援して、しようと、そういう意図というのを更に要求しているわけでございますので、御指摘のようなことだけでは直ちにこの法律によって処罰されるということにはならないと考えております。
#299
○福島瑞穂君 資金を提供することは応援するということにやはりなるんではないかと思いますが、いかがですか。
#300
○政府参考人(古田佑紀君) その資金というのがどういう目的、何のための資金かということがあるわけでございまして、私が先ほどから申し上げておりますことは、その犯罪の実行、これをしやすくしてやろうという積極的な支援の意図で資金を提供するということが必要だということで、単に資金を提供するという、そういう抽象的な意図では一般的には本罪には当たるものではないと、そういうことを申し上げている次第です。
#301
○福島瑞穂君 テロ団体への資金提供活動を行っているか認定するのは捜査機関のみと規定をされています。本来であれば、破防法などで設置されているような第三者的な審査機関が必要ではないかと考えますが、それはいかがでしょうか。そうした第三者機関を設置しない理由は何でしょうか。つまり、自分がカンパをすると、それが後から、これは、あなたは情を知って実行を容易にする目的で資金を提供したでしょうと言われかねないのではないかと。これはいかがでしょうか。
#302
○政府参考人(古田佑紀君) これは、ある具体的な犯罪行為を前提の計画、意図を前提にして、それに対して資金を提供する、そういう行為に関するもので、それを犯罪として処罰するというものでございますから、一般的にカンパそのものの適法性とか、そういうものを云々するという法律ではないものでございます。
 委員御案内のとおり、犯罪捜査というのは、これは当然、犯罪捜査については捜査機関がいろんな資料に基づいて犯罪の疑いがあるのかどうかということを慎重に検討して、疑いがあるということになれば捜査を進めるわけですが、その間、強制捜査が必要であれば、これは当然、裁判官によるチェックが掛かるわけでございますし、また捜査機関自身が処罰できるわけではなくて、この法律を適用して処罰するということになれば、これは裁判を経なければならない、そういう仕組みでございますので、それに第三者機関とかいうふうなことはいささか考えにくい問題ではないかと考えております。
#303
○福島瑞穂君 時間ですので、終わります。
#304
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#305
○委員長(高野博師君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、三浦一水君が委員を辞任され、その補欠として愛知治郎君が選任されました。
    ─────────────
#306
○委員長(高野博師君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#307
○福島瑞穂君 私は、社会民主党を代表して、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案に反対の立場から意見を述べさせていただきます。
 まず第一に、この法案は、国際的なテロ行為に対象を限定することなく、一国内で完結するようなテロ行為に対する資金提供についても同様に処罰しようとするものであり、条約の範囲をはるかに超える規制となっております。
 第二に、テロ行為自体が実行に移されることが犯罪成立の要件ではありません。犯罪の予備段階での資金供与が犯罪化をされます。予備又は準備の幇助を独立犯として処罰しようとする中身となっております。刑法の共犯概念と相入れない異例な措置を取ってまで処罰範囲を拡大する立法の根拠は不明であります。少なくとも、資金提供罪の前提となるテロ計画がどれだけの現実性、具体性を必要とするかを条文の上で明確化する必要があると考えます。
 また、第三に、公衆脅迫目的は限定とはなりにくい、ならないというふうに考えます。脅迫目的で限定されているように見えますが、実際には公衆に対する脅迫行為という部分が無限定で、結局、殺人、傷害事件の多くが含まれる条文構造となっております。また、条約では、軍人や武力紛争の敵対行為に直接参加する者も対象に含む構造となっておりまして、この点も条約の範囲を逸脱した立法となっております。
 第四に、資金供与とテロ計画の関連性が切断をされております。法案では、資金供与とテロの計画の具体的な関連が必要とされておりません。犯罪の「実行を容易にする」では余りにも漠然としており、処罰範囲を著しく拡大をしております。少なくとも、「容易にする」を「する」に変え、犯罪行為を実行する目的で資金を供与することを犯罪要件とすれば、資金供与とテロ計画の具体的な関連性が必要となり、予備罪の新設、予備の幇助犯、さらにその未遂の処罰という意味では処罰範囲は著しく拡大されますが、拡大される処罰範囲は犯罪計画との結び付きによってかなり限定をされます。
 次に、テロ行為の判断は捜査機関の手にゆだねられております。破防法や団体規制法のような団体の認定の手続がなく、処罰範囲が拡大し、恣意的なものとなる可能性があります。
 以上が反対の理由です。
#308
○委員長(高野博師君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#309
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#310
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
  本法が、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の国際社会の要請を受けての国内法整備として立法化されたものである趣旨にかんがみ、本法における資金提供罪及び資金収集罪の構成要件の内容が条約の要請を逸脱して不当に拡大され、捜査権の濫用が生じないよう留意するとともに、正当な募金活動等に萎縮的効果を及ぼすことのないよう運用において慎重を期し、併せて本法の趣旨及び内容について広く国民に対する広報を行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#311
○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#312
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#313
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#314
○委員長(高野博師君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#315
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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