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2002/01/23 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第2号
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2002/01/23 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第2号

#1
第154回国会 本会議 第2号
平成十四年一月二十三日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十四年一月二十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。峰崎直樹君。
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#4
○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表し、塩川財務大臣の財政演説に対し、総理始め関係大臣に質問をいたします。
 なお、私の質問に対し明確な御答弁がいただけない場合は再質問をさせていただくかもしれないことをあらかじめお断りをしておきたいと思います。
 まず、政策の優先順位です。
 歴代自民党政権の経済失政により、企業倒産の増大や雇用不安の高まりに象徴されるように、我が国経済は危機的な状況にあります。とりわけ、ペイオフの凍結が解除される予定の四月一日を控え、金融危機が深刻です。
 小泉総理、政策の優先順位を間違えているのではありませんか。真っ先にやらなければならないのは、予算審議からではなく、金融危機を三月末までに解消することなのではありませんか。金融失政のA級戦犯である柳澤金融担当大臣が閣内にいるためそれができないのだとしたら、総理は金融担当大臣を罷免してでも金融危機解消のために手を打つべきです。総理のお考えをお伺いいたします。
 もう一つ、直ちにやるべきことがございます。狂牛病に対する武部農水大臣や農水省の無責任かつずさんな対応により失われた国民の食に対する不安を一刻も早く解消することです。とりわけ、武部農水大臣については、当事者意識も責任感も感じられない発言を繰り返し、国民の不安を一層あおってきました。武部農水大臣には即刻お辞めいただかなくてはなりません。武部農水大臣を罷免する意思があるのかないのか、総理にお尋ねいたします。
 次に、小泉内閣の政治姿勢について質問いたします。
 ちょうど一年前、KSD事件が世間を騒がせていました。正に国民の政治に対する信頼を失墜させる事件でありました。そして、今年もまた、小泉総理の盟友である加藤紘一衆議院議員の金庫番と言われる私設秘書による口利き、脱税疑惑が取りざたされています。総理、あなたは自民党を変えると絶叫されて自民党総裁に、そして総理になられました。しかし、政官業癒着という自民党の体質は何も変わっていないではありませんか。この件について総理の御見解をお伺いします。
 私たちは、あっせん利得処罰法の対象に私設秘書も加えるべきだとこれまで強く主張してまいりました。これに対する総理の御見解も併せてお伺いいたします。
 自民党は、政官業癒着の外にいる人々に対しては極めて冷酷です。一昨日のアフガニスタン復興支援国際会議では、アフガン復興に取り組んできたNGOが外務省によって一度は出席を拒まれました。報道によると、鈴木宗男衆議院議員が外務省に圧力を掛けたということであります。外務省はなぜ当初出席を拒んだのか、このような暴挙が許されるのか、事実関係の有無も含め、田中外務大臣に答弁を求めます。
 次に、総理御自身の政治姿勢の変節についてお尋ねいたします。
 最近、新聞の投稿記事をきっかけに、小泉総理と慶応義塾大学草野教授との間で、自衛隊派遣に関するやり取りがありました。総理の変節を批判した草野教授に対し、総理は誤解だと反論されましたが、ある月刊誌で草野教授は、総理はやっぱり変節していると反論されております。
 すなわち、草野教授は、かつて総理は、九三年、カンボジアPKO撤退論とPKF解除反対論を唱え、九六年には憲法の拡大解釈に反対し、九七年には日本の若者の血を海外で流すことは一滴たりとも許されないと明確に述べているのに、総理が発言を調べないで思い込みで発言しているだけだと言うのは誤りであり、政策を変えたのであれば、きちんとした説明が必要だというものです。この反論に対し、総理はどうお答えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 小泉総理の変節はこれだけではありません。
 総理は、昨年秋の臨時国会で、第二次補正予算は考えていないと言い続けておりました。しかし、今議題となっているのは、正にその第二次補正予算です。
 かつて橋本元総理が、当初予算審議の最中、ずっと補正予算は考えていないというポーズを取りながら、当初予算が成立した翌日にいきなり記者会見を開き、いとも簡単に変節したという出来事がありました。この出来事が国民の政治に対する信頼を失わせ、その後の我が国経済の転落につながっていったことは、皆さん御承知のとおりです。
 一体、なぜ小泉総理も、またいとも簡単に変節し、橋本元総理と同じ轍を踏もうとしているのでしょうか。あるいは、第二次補正予算は考えていないという国会答弁は元々虚偽の答弁であったのでしょうか、明確にお答え願います。
 総理は、第二次補正予算の財源であるNTT株式売払収入について、うまいへそくりがあったなと無邪気に喜んでおられました。では、このへそくりがなければ第二次補正予算を組むことはなかったのでしょうか、お答え願います。
 元々、NTT株式売払収入は国債の償還に充てるべきものであり、実際には、後で述べるように、借金の先送りにほかなりません。国債発行額を三十兆円に抑制したと堂々と胸を張れるようなものではありません。結局、総理もとうとう空腹に耐えかねて米百俵に手を付けた、私はそう思わざるを得ないのであります。総理に反論があればお聞きいたします。
 次に、第二次補正予算の内容について、財務大臣にお尋ねいたします。
 NTT無利子貸付制度にはAタイプ、Bタイプ、Cタイプの三つのタイプがあります。第二次補正予算ではこのうちのBタイプ、補助金型が多用されるということですが、地方公共団体などへの無利子貸付けの返済財源は将来の国庫補助金であり、単なる借金の先送りにすぎません。しかも、自治体には約一兆六千億円の裏負担が押し付けられ、ただでさえ逼迫している地方財政を更に窮地に追い込むのは必定です。また、Aタイプについても、収益回収型とは名ばかりであり、問題三セクに貸し付けたばかりに、結局は自治体が税金で損失を穴埋めするというケースが非常に多いというのが実態です。にもかかわらず、無理やりNTT無利子貸付制度を利用するのは、やはり国債発行額三十兆円以下という総理の公約を見掛け上守ったとするため、すなわち、粉飾するためだったと思わざるを得ません。財務大臣は、このような批判にどう答えられるのか、お伺いいたします。
 歳出面では、緊急対応プログラムに従って大きく分けて四つの公共事業を列挙されています。いずれも、構造改革のための社会資本整備あるいは改革推進公共投資特別措置という誠に耳障りのいい文言が使われております。
 しかし、予算書を詳細に読んでいくと、治山治水対策事業、道路整備事業、農業農村整備事業など、旧来型公共事業の看板を掛け替えただけの事業が目に付きます。そもそも、今年度も残り少なくなってから突然地方自治体に公共事業をやれといっても、本当に構造改革に資するような事業がすぐに出てくるとは考えられません。財務大臣、いかがでございましょうか。
 私は、第二次補正予算を執行しても、国と地方の借金が増えるのに見合うほどの効果は得られないと考えます。高名な経済学者でもあられる竹中経済財政政策担当大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。第二次補正予算を執行すれば我が国経済は立ち直るとお考えですか。お答え願います。
 次に、経済財政諮問会議が先日決定した構造改革と経済財政の中期展望についてお尋ねいたします。
 中期展望では、二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスが黒字化するとうたわれています。しかし、塩川財務大臣は、個人的には二〇一〇年はちょっと早いかなと思っていると述べたといいます。財務大臣らしく正直な感想だと思いますが、竹中経済財政政策担当大臣はいかがお考えでしょうか。実現可能だというのなら、プライマリーバランスが黒字化するまでの過程を具体的な手段、数値を示した上で御説明願います。
 また、財務大臣が無理だと認めているようなものが経済財政諮問会議で決定されて国民に示されても、国民はだれも信用しないのではありませんか。これは小泉総理にお尋ねいたします。
 中期展望では、また、今後二年程度の集中調整期間を経て、その後は民間需要主導の着実な成長が実現、二〇〇三年度にはデフレを克服するという楽観的なシナリオが描かれています。かつて経済戦略会議がまとめた答申にも似たようなシナリオが描かれていました。経済戦略会議の描いたシナリオはなぜ実現することができなかったのでしょうか。経済戦略会議のメンバーだった竹中経済財政政策担当大臣にお尋ねいたします。
 また、そもそもデフレの原因はどこにあり、どのような方法ならデフレを解消できるとお考えなのか、財務大臣及び経済財政政策担当大臣にお聞きいたします。
 次に、税制改革についてお尋ねいたします。
 小泉総理は、経済財政諮問会議、政府税調などに対して、税制の抜本的改革について検討を指示されました。そこでお尋ねしますが、総理及び塩川財務大臣は、それぞれ、我が国の税制のあるべき姿について、そしてその認識の前提として、我が国が今後目指すべき社会経済モデルについて、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
 所得税を払っていない個人や法人税を払っていない企業が多過ぎるという総理の発言や、今の直間比率は異常だという財務大臣の御発言など、断片的な御意見は報道によって承知をしておりますが、これでは、所得課税をもっと充実したいのか、それともその反対に間接税をもっと充実したいのか、小泉内閣の税制改革ビジョンが全く見えず、ただ混乱しているだけに見えるのであります。
 なお、個人所得課税の課税最低限の引下げについては、我が党の鳩山代表が一昨年の総選挙に際して提言をしたものであります。誤解のないように申し上げておきますが、我が党がかねてからこの問題を論じる際に念頭に置いているのは、老親や配偶者、子供などの扶養家族の生計費への社会政策的配慮は、所得課税の中の人的控除ではなく、社会保障給付や福祉サービスなどによって行うべきだということでございます。現行の控除主義は、課税最低限以下の低所得の世帯には何も手を差し伸べられないんです。
 今回、総理が課税最低限問題を論じる際、このようなことも視野に入れておられるのか、それとも単に税収を増やしたいだけなのか、所得税を払わない低所得者はけしからぬという感情を述べているのか、総理の哲学がはっきり伝わってきません。なぜ今税制を改革されようとしているのか、その目的も含め、総理及び財務大臣の御所見をお示しいただきたいと思います。
 最後に、金融についてお尋ねいたします。
 昨年末から、総理の口から金融危機という言葉が頻繁に発せられるようになりました。しかし、柳澤金融担当大臣は、大手行の自己資本比率は一〇%以上あるから大丈夫だと、事あるごとに繰り返してまいりました。しかし、もし本当にそうなら、株価が暴落することもなく、預金が急減することもあり得ないはずです。柳澤金融担当大臣、いかがでございましょうか。
 三年前、大手行に対し七兆円を超える資本注入が実施されました。そのときの責任者であった柳澤金融再生委員長が金融担当大臣として、森金融再生委員会事務局長が金融庁長官として居座っていることが、大手行の自己資本比率は一〇%以上あり、健全性には問題がないというフィクションを続けている理由なのです。真の金融再生のためには、まずこの現状認識の間違いを正し、金融担当大臣及び金融庁長官の責任を明らかにすることから始めなければなりません。また、今後、再び銀行に公的資金を投入するのなら、これまで国民を欺いてきた金融担当大臣及び金融庁長官のみならず、総理自身の責任も厳しく問われなければなりません。総理及び金融担当大臣の御見解を伺います。
 ペイオフ凍結を解除すべきかどうかについて、総理は再延期はしないと明確に言い切っておられます。しかし、問題の本質は、解除か再延期かという制度論ではなく、ペイオフ凍結解除までに金融危機を解消しておかなければならないということです。この点を踏まえてペイオフの凍結を解除しようとしているのか、総理にお尋ねいたします。
 昨日の新聞報道によると、私たちの反対にもかかわらず設置が決まった銀行等保有株式取得機構の理事長に、全国銀行協会会長でもある富士銀行頭取が就任することが固まったということです。さきの臨時国会における法案審議では、保有株を売る銀行とそれを買う機構は利益相反の関係になることから、不公正取引が行われないよう十分注意すべきではないかという指摘が相次ぎました。にもかかわらず、銀行トップが堂々と機構のトップに就任するのは、私たちの指摘を無視したものと言わざるを得ません。くだんの富士銀行頭取は間もなく退任するとのことであり、まるで高級官僚の天下りとそっくりです。金融庁はこのような人事を認可するのか、金融担当大臣にお尋ねいたします。
 我が党は、真の金融再生のために、金融再生ファイナルプランを策定しました。かつて提案した金融再生法と民主党版早期健全化法を復活させるとともに、中小企業に対する深刻な貸し渋りや貸しはがしに対応して、民主党の作成した議員立法である地域金融円滑化法、いわゆる金融アセスメント法を実現し、必要かつ効果的な資金供給を通じた地域金融の円滑化を図ろうとするものです。金融危機回避は一刻の猶予も許されません。五年前の橋本改革の過ちを再び繰り返さないためにも、来年度予算よりも、この金融再生ファイナルプランを実現させて金融不安を取り除くことこそが真っ先に優先されるべきであることを再度強調し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 峰崎議員にお答えいたします。
 金融危機に対するお尋ねでございますが、政府としては、市場の動向や不良債権の処理状況等、金融情勢については十分注視しているところであり、今後、万一、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障を生じるおそれがある場合には、金融危機対応会議を開き、大胆かつ柔軟に対応してまいりたいと考えております。この方針については金融担当大臣と認識を共有しており、内閣を挙げて金融システムの安定に万全を期してまいりたいと考えております。
 BSE問題の責任についてでございますが、この問題につきましては、事態の初期段階で行政部内における関係者間の連絡が不十分で対応に混乱が見られ、国民の行政に対する不信を招いたことは遺憾であります。
 このため、私の方から農林水産大臣、厚生労働大臣に対し、両省一体となり国民の立場に立った対応をするよう指示し、既に、屠畜場においてすべての牛に検査を行い、BSEに感染していない牛肉だけが流通する体制を確立いたしました。現在、さらに、感染経路の究明や関連対策の実施などに全力を挙げて取り組んでいるところであります。農林水産大臣には、今後とも、これらの職責を果たし、国民に安心していただくよう全力を尽くしてもらいたいと考えております。
 自民党の体質やあっせん利得処罰法の改正についてのお尋ねでございます。
 この問題につきまして、政治改革の一環として取り組むべき問題だと認識しております。改めるべき点を改めていかなきゃならないと思っております。今まで何度かこういう事件が起こってまいりましたが、どういう点がこれから必要かということにつきましても、各党各会派で御意見をいただきたいと思います。
 今回、政治家の元秘書の逮捕やあるいは様々な形で私設秘書等の問題が出ております。こういう問題におきましても、政治腐敗防止にどのような法整備がいいのか、こういう点につきましても、今後、各党会派の意見というものを真剣に聞きながら実効ある体制を取っていかなきゃならないと思います。与党三党で今検討を進めているところであり、今国会で十分御議論いただくべきものと考えております。
 自衛隊の海外派遣に対する私の見解についてのお尋ねがありました。
 慶応大学の草野教授の件についてでございますが、私も何で誤解されているのか理解に苦しむわけでありますが、今回のテロ対策特措法におきましても、私は憲法の範囲内でやるべきことをやったと考えております。
 カンボジアの件について議論されましたけれども、あのときの状況は、当時、カンボジアで人命を失うような危険な状況に一時陥った場合がございました。そのときに、一部の日本国内の意見で、このくらいのことは当然なんだ、血を流すのは当然なんだという議論が出てきたからこそ、私は当時、そういう前提でカンボジアに派遣したのではないと。前提が狂っているのに、事態が違ったから前提を壊してまで血を流すのは当然だという議論はおかしいのじゃないかと言ったんです。
 今回のテロ特措法は、世界、全く危険のないところはないと言ったんです。その程度の危険の覚悟は当然だろう、その覚悟をして対応を図るのが必要じゃないかと言ったんで、どうしてそれが変節だの、態度が変わったとか、私は理解に苦しみます。
 二次補正予算編成に関する私の発言に対するお尋ねでありますが、昨年の臨時国会において、現在、第一次補正予算の速やかな成立をお願いしているところであり、第二次補正予算の編成は考えておりませんと答弁はいたしました。しかし、開会冒頭の所信表明演説において、経済情勢によっては、大胆かつ柔軟に対応しますと。今回の第二次補正予算は、昨年秋の第一次補正予算の編成後、米国における同時多発テロの発生を契機に世界同時不況のリスクが高まる中、一段と悪化した我が国の景気状況に対応し、改革を更に加速しつつ、デフレの進行と相まって景気が加速度的に悪化することを回避するために編成したものでありまして、虚偽の答弁だったとの委員の御指摘は当たらないと考えております。
 NTT株式売却収入の活用に関するお尋ねですが、第二次補正予算編成においては、国債発行額三十兆円以下の方針を堅持することにより、政府の財政運営に対する信頼を保持し、国債の追加発行が国債市場に与える悪影響を回避することができたと考えております。
 今回の措置は、国債の追加発行によらず、国債整理基金特別会計における政府保有資金を国債償還に支障の生じない範囲内で活用するものであり、財政規律を保持しつつ構造改革に資する事業を行うものであることに御理解を賜りたいと思います。
 構造改革と経済財政の中期展望におけるプライマリーバランス黒字化の見込み等についてのお尋ねでありますが、改革と展望で示されたとおり、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字を達成することは可能だと考えておりますが、民間需要主導の持続的な成長と継続的な財政構造改革の取組なしに容易に達成できるものではありません。塩川大臣の発言もこうした認識を示したものと理解しております。
 改革と展望は、日本が目指す経済社会の姿とそれを実現するための構造改革を中心とした経済財政運営について明確な将来展望を示しています。この将来展望が国民によって共有され、構造改革への共感が深まることによって、改革は加速され、その実を結ぶことになると考えております。
 税制改革についてのお尋ねでありますが、これは、税制改革は構造改革の大きな柱だと思っています。今の時点で私が個別の税制を取り上げて、上げるの下げるのと言うのは適当でないと思っています。それぞれの意見、率直に展開、議論していただきたい。一部の議論を取り上げて勝手な、偏見を持った誤解を生まないためにも、あれこれ今の段階で私はとやかく個別項目について言うのは適当でないと思います。
 今後、国民の税負担によってのみ国民に必要なあらゆる施策がなされるということを念頭に置きまして、経済活性化に資する、国民が公平に負担できる、そして必要な施策ができるような税制というのはどうあるべきかということを率直に議論して、そして十五年度予算編成に生かしていきたいと思います。
 今の時点で予見とか予断を持つのはかえってあらぬ誤解と偏見による意図的な情報操作をもたらす危険もありますので、はっきりと個別項目について言うのは総理として適当ではないと思っております。
 金融機関の健全性と公的資金による資本増強についてのお尋ねであります。
 政府としては、金融システムの信頼を回復する目的で制定された早期健全化法に基づき金融機関の資本の増強を行うこと等により、これまでその健全性の確保に努めてきたところであります。
 現時点において公的資本増強が必要な状況にあるとは考えておりません。しかし、今後、万一、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがある場合には、金融危機対応会議を開き、大胆かつ柔軟に対応してまいりたいと考えております。このような方針の下、金融システムの安定に万全を期すことにより、私の責任を果たしてまいりたいと考えております。
 ペイオフの質問でございますが、ペイオフの凍結解除は、当初は昨年四月に予定されたものでありますが、都道府県所管から国所管へと移行した信用組合が、検査を受けた後、資本の充実等の必要な措置を取る時間を確保するために一年間延期したものであります。
 政府としては、ペイオフの凍結解除を延期したこの一年間に信用組合の検査を終結するとともに、その善後処置を取ることなどにより金融機関の健全性の確保を図ってきたところであり、こうした状況を踏まえ、本年四月に予定しているペイオフ解禁を再延期することは考えておりません。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する峰崎さんからの御質問は四問あったのでございますが、これはいずれも先ほど総理が懇切にお答えになりましたので、私からお答えすることは蛇足であろうと思っておりますけれども、せっかくの御質問でございますので、私の考え方を申し上げたいと思っております。
 まず最初に、NTT無利息貸付制度というものは、この三十兆円の、国債発行三十兆円の原理を守るための粉飾ではないかというお尋ねでございますけれども、しかし、このことにつきましては、政府は絶えず財政の節度というものを重視しておりますし、また、財政運営に対する信頼を確保するため、このためには国債に安易に頼った財政を運営すべきではないということでございますことと、国債の発行が国債市場に与えますところの悪い影響等を勘案いたしまして、できるだけ政府保有内の資金を活用するということにいたしたのでございまして、その点、御理解をいただきたいと存じます。
 それから次に、改革推進公共投資というものは旧来型の公共事業の看板の付け替えではないかという質問でございますけれども、決してそうではございませんで、従来型の公共事業に対する今回の補正予算におきましては配慮をいたしておりません。むしろ新しい分野を開発いたしまして、改革推進公共事業という枠組みを作っております。
 その中は四つの課題がございまして、一つは都市機能の一層の高度化、国際化を図るための投資ということ、それから二番目は環境に配慮した活力ある地域社会の実現、三番目は科学技術並びに教育、ITの推進によるところの成長フロンティアの拡大及び四番目に少子高齢化への対応、この範囲に絞りまして重点的に配分いたすものでございまして、従来型の公共事業ではないということを御認識いただきたいと存じます。
 さらに、先ほどお話しございました、プライマリーバランスが、これはちょっと時期が個人的にはちょっと早いかなと言ったということでございました。
 私は、このときによほどの努力をしないとなかなか達成しにくいということを言っておりまして、そのためには二〇一〇年という一つの区切りを作りまして、これに鋭意集中して実現を図るという趣旨を申しておるのでございまして、そのためには民間需要を積極的に刺激をし、その需要を、主導的な立場においての景気回復を図っていくということでございますが、このことはすなわち国民の理解と協力がなければ容易に達成するものではないということでございますので、一層の御尽力をお願いいたしたいと存じております。
 最後に、我が国のあるべき税制の姿ということでございますが、先ほど総理からお話しございましたように、総合的にこの際考えていくべきものであるということでございますが、我が国の経済社会への変化が非常に激しいものがございましたので、経済の活性化という観点から見ますならば、この際に法人税、所得税あるいは消費税等全般にわたる税制全体を見直す必要があるのではないかと。一方においていろいろな構造改革を進めております中で、税に対する構造改革もやはり必要ではないかということで全般的に見直すということでございまして、予見を持ってこれに臨むものではないということを申し上げたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣田中眞紀子君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(田中眞紀子君) 峰崎議員にお答え申し上げます。
 アフガニスタン復興支援国際会議の際の一部NGOのNGO会合への参加問題についてのお尋ねでございました。
 復興支援の過程におきましては、NGOは重要な役割を果たしてきておりまして、今次会議の私のスピーチにおきましても、政府、国際機関及びNGOが有機的に一体となって進めていくべき旨を主張しております。NGOと政府との間の協調関係は、今後ますます強くなっていくべきものであると考えております。
 二十日に行われたNGOの会合は、アフガニスタンの復興におけるNGOの果たす役割にかんがみ、今次会議の機会に合わせて開催することといたしました。
 報道にある一部NGOの参加の件でございますが、私の承知しないところで、諸般の事情から、出席不許可の通知がなされたことを後に聞き及びました。二十二日の閉会セッションについては必ず出席してもらうよう、私から野上事務次官等に強く指示し、そのことが実現いたしました。
 今後、NGOとの意思疎通につきましては、より円滑にいくよう、事務方を指導してまいります。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(竹中平蔵君) 峰崎議員からは四点質問をいただいております。
 第一は、第二次補正予算の執行により日本の経済は立ち直るかというお尋ねであります。
 政府としては、この補正予算によりまして、御承知のように四・一兆円程度の事業規模を確保したいとしております。これは、我々の試算によりますと、GDPを年間ベースで〇・九%程度押し上げる効果を持つというふうに考えております。
 これだけで経済が立ち直るかどうかという御質問でございましたら、これだけで立ち直るものではもちろんございません。これは、我慢強く構造改革をしっかりと推し進めていかない限り経済は立ち直らないわけでありますけれども、デフレスパイラルを回避するため、今回の措置によりまして経済立ち直りの重要なきっかけをつかみたい、是非そういうものにしたいというふうに考えております。
 第二の質問は、プライマリーバランスの黒字化についてのお尋ねでございます。
 改革と経済財政の中期展望によりましては、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを黒字化するということは可能であるというふうに考えております。
 その道筋についてでありますけれども、黒字化に向けた過程で、配分の重点化、諸制度の改革、事務事業の効率化、PFIの活用、これら様々ないわゆる財政構造改革を推進する、そうした財政構造の改革と民間需要主導の着実な経済成長が相まって、この最終年度、計画の最終、展望の最終年度であります二〇〇六年度には、現状GDP比四・三%ありますプライマリーバランスの赤字、プライマリーの赤字を半分程度にするというふうに考えている。さらに、その後も同程度の改善努力を努めて民需の着実な経済成長等を継続することができれば、二〇一〇年ごろの初頭にこのバランスを黒字化する。結果的には、十年間で毎年GDP比〇・四%程度の改善をしなけりゃいけない。これは大変厳しいものではあると認識しておりますが、諸外国の例から見る限り、毎年GDP比〇・四%程度の改善を進めていくという、そういう努力を重ねてプライマリーバランスを回復するということは、これは諸外国の例から見る限り可能であるというふうに認識しているわけであります。
 経済戦略会議のシナリオはなぜ実現しなかったのかというお尋ねでございます。
 当時の戦略会議の答申は、貴重な提言として受け止められたわけでありますけれども、必ずしもそれを実現するための手段ないしは体制が十分でなかったのじゃないかというふうに考えております。
 一方、改革と展望や骨太の方針というのは、総理のリーダーシップの下で有識者の議員等々、さらには主要閣僚の参加を得た経済財政諮問会議、この議長は総理でいらっしゃいますけれども、審議を経て閣議決定されるものでありまして、その実効性は十分担保されているというふうに考えるわけであります。
 デフレの問題であります。
 デフレの原因としては、三点あるというふうに考えます。一つは、安価な輸入品の増加でありますとか技術進歩等々の供給側の要因であります。二番目は、内需の減少からくる需要の原因。そして三番目は、銀行の金融仲介機能が低下するという金融の要因。これらが総合的に重なっているわけでございますけれども、今後二年程度の集中調整期間において最も重要なことは、デフレを克服することである。そのためには、その三つの要因それぞれに対して政策を総動員して当たることが必要であるというふうに考えております。需要面で、今回、補正予算というのは重要な役割を果たす、さらには日銀の役割も重要であるというふうに考えるわけであります。政府、日銀が一体となった総合的な取組によって、このデフレの克服に向けて努力したいというふうに考えておる次第でございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(柳澤伯夫君) 峰崎議員、いつものとおり専門的な観点から、ちょっと前回同様厳しいお言葉での御質疑をちょうだいいたしました。
 以下、順次お答えを申し上げます。
 最初は金融機関の健全性や公的資金による資本増強についてのお尋ねということで、一問、二問をくくってお答え申し上げます。
 小泉総理は、御指摘のとおり、最近、金融危機のおそれがある場合には大胆かつ柔軟に必要な措置を取る旨の発言をされることがございますが、その発言の際には必ず、現在はそのような状況にはない旨を付言されておりまして、現状認識を明確にされていることは御承知のとおりであります。金融当局を含め、政府といたしましては、現在、大手行の自己資本比率が危機的な水準に低下しているというようには全く認識しておりません。
 一方、株価についてお触れになりましたが、株価は様々な要因を背景に市場において決定されるものであり、昨年来軟調に推移している要因を特定することは困難でありますが、金融庁としては、銀行が不良債権の処理を促進するとともに、早期に収益あるいはその背景の収益力の向上、回復を図ることを通じて株式市場における評価を高めていくよう、日ごろの検査・監督をしっかり行ってまいりたい、このように考えております。
 預金動向についてもお触れになりましたけれども、都市銀行の最近の預金残高は前年対比の推移によりましても増加傾向にございまして、銀行システムに対する預金者の信頼が危機に陥っているというような状況にはないと認識をいたしております。
 いずれにいたしましても、現時点において公的資金による資本増強が必要な状況にあるとは考えておりませんが、万一、金融危機に対応するため資本増強が必要となった場合には、法令に従い的確に対処していくことはこれまでも私自身も申し述べてきたところであります。
 私といたしましては、今後とも、我が国の金融システムの安定化と活性化に全力を挙げて取り組むことにより、その職責を果たしてまいりたいと考えております。
 銀行等保有株式取得機構の人事に関するお尋ねがございました。
 機構の役職員につきましては、立法過程の御審議におきまして申し上げてまいったことですけれども、自主的運営の観点から、基本的には機構に参加する銀行界から選出されることを想定いたしておるところでございます。
 御指摘の利益相反を回避する観点につきましては、そうした想定の上に立ちまして、機構の業務に関する重要事項を審議するため、専門的な知識と経験を有する第三者をもメンバーとする運営委員会を設置し、業務の適正な運営を確保することといたしておるところでございます。
 なお、銀行等保有株式取得機構につきましては、本日、創立総会が開催され、役員の選出等が行われると承知をいたしております。金融庁といたしましては、今後、創立総会の議決に基づき設立及び役員の選任の認可申請が行われた際には、公正性の観点をも踏まえつつ、関係法令に基づき対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#10
○議長(井上裕君) 峰崎君から再質疑の申出があります。これを許します。峰崎直樹君。
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#11
○峰崎直樹君 ただいま各大臣から答弁をいただいたわけですが、かなり本当はたくさんあるわけでありますが、一点だけに絞らせていただきたいと思います。
 実は、総理大臣にお尋ねしたときに、NTT株の売却収益について、このへそくりがなかった場合には第二次補正予算を組むことがなかったのかということを私は問いました。
 なぜそのことを問うたかと申しますと、つまり、これはこれがなくても今の経済的な危機は深刻なんだと、デフレスパイラルの入口に立っているんだ。そうであるならば、これは三十兆枠にこだわらず私はやるべきだというふうに判断されるのが当然だろうと思います。それが、その点が非常にあいまいになっているがゆえに、私は最後に米百俵に手を付けたと思わざるを得ませんねというのは、いろいろ先ほど申し上げたように、当面の国債発行にはならなくても、やがてはそういうものに手を付けなきゃいけない。そういったことをすれば、これがなくてもやったのかやらなかったのか、これは、今の日本の経済の現状認識をどのように総理が判断をされ、いわゆるへそくりがなくても、私は、デフレスパイラルからの脱却のために赤字国債を発行してでもやったんだと、建設国債を発行してでもやったんだと、こういう経済認識があったのかないのかということの実は根本に触れる点ではないだろうかと。
 その意味で、従来、ともすれば構造改革、供給サイドの側を強化をすれば、この痛みに耐えてとおっしゃっているわけですから、引き続きこの痛みに耐えてやられるのかなというふうに思っていたら、もしかするとこの点においては、いや構造改革で多少痛むから少し痛み止めを加えるために需要サイドも少し入れなきゃいけないんだと、こういう認識に立たれたのか。
 大変これは、御本人の今までの、総理大臣のこれまでの主張との関係で整合性を問われている重要な問題だと。この観点から改めて質問したいと思います。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) なかったらどうかと。あったんですから。なかったらば、なかったらない時点でデフレスパイラルに陥らないように、構造改革に支障がないような改革を進めるためにあらゆる手段を大胆かつ柔軟に打つということをかねがね言っているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) 加藤紀文君。
   〔加藤紀文君登壇、拍手〕
#14
○加藤紀文君 私は、自由民主党・保守党を代表して、ただいま議題となりました十三年度第二次補正予算案等について関係閣僚に質問いたします。
 質問に入る前に、昨年十二月一日に愛子内親王殿下がお誕生になりました。景気低迷、倒産、失業、米国の同時テロと暗い話ばかりでありましたが、久しぶりの明るいニュースに接し、心よりお喜び申し上げ、あわせて宮様のお健やかな成長を心から祈念いたします。
 さて、最初に、総理のASEAN訪問について質問いたします。
 新年早々、総理は東南アジア五か国を歴訪され、日本とシンガポール間の自由貿易協定の締結を始め、ASEANとの包括的な経済連携への取組、さらにテロ対策、安全保障等について幅広い協力関係を打ち出されました。総理は、今回の訪問の成果、意義についてどのように評価しておられるか、まずお伺いします。
 次に、アフガニスタン支援問題についてお伺いいたします。
 東京において、六十一の国と二十一の機関の参加の下で、アフガニスタン復興支援閣僚会議が開かれ、真剣に協議がなされ、支援策がまとまりました。
 約五百万人とも言われているアフガニスタン難民の支援として、食糧を始め医療、教育、就労問題、そして破壊された道路の整備、地雷の除去等多面的な復興支援が必須であり、それには膨大な資金とマンパワーが必要であります。
 今回取りまとめられた支援策等の実行に向け、総理のアフガニスタン復興支援の基本的な姿勢をお尋ねいたします。
 日本経済の現状認識と景気対策についてお伺いします。
 我が国経済は、国民の消費マインドが冷え込んだまま、一向に回復の兆しを見せません。また、米国の同時多発テロによって内外の情勢が大きな影響を受け、小泉内閣発足当時の九か月前と比べ、特に経済状況が大きく変化する中で、構造改革と景気の回復を両立させることがますます緊要な課題となってまいりました。
 このため、昨年十一月に成立した第一次補正予算によって、目下、雇用対策、セーフティーネット整備等に国を挙げて取り組んでおりますが、現下の状況にかんがみて、景気対策に切れ目が生じないよう第二次補正予算等を早急に成立させ、速やかな執行を期することが強く望まれます。
 さらに今後、厳しさを増す内外の景気動向について、十分監視するとともに、経済の危機管理に知恵を振り絞って、総力を挙げて取り組んでいかねばなりません。
 金融不安等経済情勢のいかんによっては、財政、金融、税制、さらには思い切った規制改革等の政策を総動員して、大胆かつ柔軟な対応を打ち出すことが強く望まれます。
 総理に経済の動向をどう認識されているか、さらに危機管理について基本的な対処方針をお伺いします。
 第二次補正予算についてお伺いします。
 今次補正予算は、景気の下支えを図るため、十五か月予算の考えの下、その一環として緊急対応プログラムに基づき、重点七分野の中から景気に即効性のある公共投資を中心に編成されたものと受け止めています。
 補正予算については、十三年度国債発行三十兆円を前提に財源手当てをする等、いろいろ御苦労されたようでありますが、塩川大臣に、二次補正等の編成に当たり特に工夫された点を国民に分かりやすく御説明いただきたく存じます。
 また、特に倒産等の景気動向が心配されている一―三月の乗り切りに今回の二次補正予算がいかに有効か、竹中経済財政担当大臣に短期的な効果についてお話し願います。
 世界経済、とりわけ日本経済に大きな影響があるアメリカ経済と円安についてお伺いします。
 アメリカ経済は、行き過ぎたIT投資の反動による景気減速や同時多発テロの影響で、昨年の七―九月期の国内総生産が前期に比べ年率で実質一・三%の減少となり、景気回復がかなり先になるのではないかという見方もありました。しかし、最近では個人消費もわずかながら明るさが見られるようになり、意外と早くアメリカ経済が回復するのではないかという見方もありますが、竹中経済財政担当大臣の御認識をお伺いします。
 また、竹中大臣が訪米中に円安を容認する趣旨の発言がありました。円安は、輸出産業にはプラス効果が期待されますが、基幹産業である素材産業の収益を圧迫する要因ともなりますので、円安が産業に及ぼす影響について総体としてどのように判断されているのか。
 また、ASEAN各国や中国等から円安の進行について懸念の声が出ていますが、この点について、我が国の経済のファンダメンタルとの関連でどのように認識されているのか、併せてお伺いいたします。
 中小企業対策についてお伺いします。
 中小企業対策は昨年の一次補正で金融対策等のセーフティーネットの構築等充実を図っており、その対策の効果を見守っていきたいと思っております。
 そこで、中小企業経営を圧迫している問題の一つに地価下落の問題があります。この点について質問いたします。
 地価下落で金融機関から追加の担保提供を求められ、それができなければ借入金の返済を迫られる等々、大変厳しい状況にあります。
 資産デフレ対策を講じることが今一番大切なことではないでしょうか。それには土地の流通税や保有税の大幅な見直し、期限を切って無税にするくらいの大胆な対応も許されるのではないかという意見もあります。
 塩川財務大臣に、追加的な中小企業支援策の在り方と、資産デフレ対策としての土地税制改正に関しての御見解をお伺いいたします。
 最後に、産業の空洞化問題についてお伺いします。
 日本は、これまで技術立国として製造業中心の貿易立国で成り立ってまいりました。それが、日本の企業は大企業から中小企業まで生産拠点を中国に移し、産業の空洞化が深刻なものとなっております。生産性を上げるための企業努力をしても日本の賃金は中国の二十倍以上、産業用電力も日本は三倍以上であり、太刀打ちすることは容易ではありません。
 産業の空洞化を防ぐために、新しい企業の育成、産業の高付加価値化を進めるとともに、エネルギー料金を始め高コスト構造の是正が不可欠であり、経済構造改革の基本テーマとしてどのように取り組んでいかれるのか、さらに中国のWTO加盟に伴う日中間の経済関係が今後どうなるかを含め、総理にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 加藤議員にお答えいたします。
 今回の東南アジア諸国訪問についてでございますが、私は訪問した五か国の首脳と率直な意見交換を行いました。また、シンガポールでは経済連携協定に署名いたしました。
 私は、実際、ASEAN諸国を伺って、過去二十五年間、ASEAN諸国に対して、日本は心と心の触れ合いを大事にする、まさかのときの友が真の友になる、そういう関係を構築したいと言った福田元首相、当時のスピーチどおりに今までやってきたことに対して関係諸国首脳から率直な感謝の表明をいただきました。この考え方を基本にしてこれからもASEAN重視政策を取り続けまして、率直なパートナーとして、ともに歩みともに進むとの考えの下に、今後広範な分野において具体的な協力を積み重ねていくという考えを表明いたしました。この点につきましても、各国から理解と支持を得、今後の東アジア外交に道筋を付けることができたと考えております。
 アフガン復興支援に関するお尋ねでございますが、アフガン復興支援のために向こう二年六か月の間に五億ドルまでの支援を行う用意がある旨、去る二十一日、アフガン東京会議で私は表明いたしました。
 アフガニスタンの包括的な和平と安定のためには、昨年十二月に発足した暫定政権が十分にその役割を果たすことが重要だと思っております。今後、我が国も、国際社会とともにアフガニスタンの復興支援に積極的に取り組んでいきたいと思います。
 我が国経済の現状認識と危機管理についてでございますが、我が国経済については、GDP成長率が二四半期連続でマイナスとなり、失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、厳しい状況にあると認識しております。
 今後、政府としては、構造改革に取り組みながら、その過程において経済情勢の監視を怠ることなく、必要に応じて大胆かつ柔軟な政策運営を行ってまいり、危機を回避するためにはあらゆる手だてを講じたいと思っております。
 我が国産業の空洞化についてでございますが、御指摘のとおり、我が国の産業の空洞化を防ぐためには、開業、創業の促進を通じた新事業の創出や技術力の強化等を通じた産業の高付加価値化を進めなければなりません。同時に、エネルギーや物流、情報通信などの分野における規制緩和を進めるなど、高コスト構造の是正に取り組み、国際的に競争力を持った事業環境の実現に全力を傾けてまいります。
 中国のWTO加盟についてでございますが、中国のWTO加盟によって、中国市場の透明性や予見可能性の向上とともに、市場開放の促進による経済交流の拡大が予想されております。こうした状況を踏まえまして、日中双方に利益のある形で経済関係を発展させていくため、中国との各方面での対話を強化するとともに、WTOルールを尊重しつつ、貿易紛争の防止に努めていきたいと考えております。
 残余については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(塩川正十郎君) 加藤先生から私に対する質問は三つございました。
 その一つは、今回の第二次補正予算を組むに当たって特に工夫した点はどういうことかということでございましたが、一言で申しまして、構造改革をより一層推進したいということが一点。それから同時に、この補正予算によってデフレ回避をいたしたいということでございました。この二つの観点に立ちまして、新しい公共事業の分野に積極的に投資をすることにいたしました。
 その考え方といたしましては、まず、民間投資の創出と就業機会の増大を図ろうということでございまして、そのためには、何としても早期執行が可能であって経済への即効性が高いというものを重点にして配分することにいたしたものでございます。
 次の問題といたしまして、中小企業対策については昨年の一次補正で金融対策のセーフティーネットの構築等を充実してまいりましたが、これから追加的な中小企業支援対策はどんなものを考えておるかというお尋ねでございまして、中小企業に対します高い御配慮を感謝いたしております。
 つきましては、平成十三年度の第一次補正予算においては、構造改革推進に伴いまして、やる気と潜在力を持った中小企業が連鎖的に破綻に追い込まれることを回避したいと思っておりまして、そのためには、一つは、売掛金債権を、これを担保とする公的信用保証制度の新設をいたすということ、セーフティーネット保証・貸付けの充実を図るということ、そして三番目には、小規模事業者向けの特別小口保証の限度額引上げをするというような措置を講じまして、中小企業対策に対する新しいてこ入れをするということにいたしたのでございます。
 なお、中小企業に関しまして、資産デフレ対策としての土地税制の改正に関するものはどうかというお尋ねでございますが、今回の税制改正におきまして、真に都市再生に効果的な措置を講ずることを重点にいたしまして、経済の活性化を図る観点から、一定の要件を満たすオフィスビル等の売買に係る登録免許税の税率を半減とする措置を講じたものでございます。
 なお、都市再開発問題というものと並行いたしまして土地税制を考えていきたいと思っておる次第であります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(竹中平蔵君) 加藤議員からは四点の質問をいただいております。
 まずは、第二次補正予算の短期的な効果でございます。
 この効果につきましては、通年ベースでGDPを実質〇・九%程度押し上げる効果があるということを先ほども申し上げました。技術的にこれが短期的にどのくらいの効果があるかということは大変難しいわけでございます。このかなりの効果が新年度に出てくるというふうに考えるべきだと思いますが、そうした効果を通して、人々の期待、消費者心理、企業家マインド等々に跳ね返って、短期的にもそれなりの効果があるというふうに考えております。
 アメリカの経済の見通しでございます。
 アメリカの経済は、後退局面にはあるものの、ここのところ消費者の信頼感に持ち直しの動きが見られる等々、また在庫の調整が一部進みつつあるなど、底入れの兆しも見られております。
 今後の見通しにつきましては、民間エコノミストの多くが、二〇〇二年度の第一・四半期にはプラス成長に転じて、同年の後半には三%台の成長になるというふうな強気の見方、これはブルーチップのコンセンサスで示されております。私も同様の期待を持ってアメリカの経済を今注意深く見ております。
 第三番目は、円安が産業に及ぼす効果、影響についてでございます。
 私が円安を容認したという御指摘がございましたが、為替レートはマーケットで決まるものだからというふうに申し上げました。否定しない限り必ず新聞は容認というふうに書くわけでございますけれども、私は積極的に否定も支持もしておりません。
 一般論として、円安が及ぼす影響につきましては、輸出の増加による企業収益の増加や輸入原材料費の上昇等、様々な影響が考えられます。しかし同時に、世界が同時的に減速をしているといういわゆる所得面の効果もございますので、確たることを申し上げるのは大変難しい状況ではないかと思います。
 いずれにせよ、日本の経済が今後民需主導の持続的成長を実現していくためにも、構造改革を推進して国際競争力を強めるということ、真剣にこのことに取り組まねばならないというふうに思っております。
 最後に、円安の進行についての懸念、特にASEAN、中国等々の関連でございます。
 為替相場は市場で決定されるものでありますので、不測の影響を与えないようにするためにも相場の水準についてのコメントは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、これは内外の経済ファンダメンタルズを反映して安定的に推移するものでありますから、そのことを心掛けて政策運営をしっかりと行うことが必要であるというふうに認識をしております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(井上裕君) 日笠勝之君。
   〔日笠勝之君登壇、拍手〕
#19
○日笠勝之君 私は、公明党を代表して、さきの財政演説、すなわち平成十三年度第二次補正予算案などに対し、総理に若干の質問を行います。
 聖域なき構造改革を目指す小泉内閣が発足して九か月が経過しましたが、これからが小泉内閣の真価が問われる胸突き八丁のときであります。公明党は、毛利元就の三本の矢の例えのごとく、自公保三党の結束の下、安心・安全・安定の政治実現を目指し、庶民の生活向上のための責任を全力で果たしてまいる所存であります。
 さて、二十一世紀開幕の年となりました昨年の世相を象徴する漢字に、戦々恐々に由来する「戦」という字が選ばれたと日本漢字能力検定協会が発表いたしました。確かに、米国の同時多発テロやテロ撲滅のためのアフガン空爆、パレスチナとイスラエルの紛争激化、インド国会議事堂襲撃事件などに絡むカシミール紛争、また日本近海での不審船事件など、戦争の世紀と言われた二十世紀の残滓を引き継いだ年となりました。
 今年こそは明るく平和な年になることをすべての国民が願っております。そのために、我が国も全力を傾け世界平和構築へ貢献すべきであります。今月早々に与党三党の幹事長が中東を訪問したことを例に挙げるまでもなく、政府はもとより、与野党を問わず、それぞれのチャンネルでの積極的外交を展開すべきだと思います。
 今般、この東京にてアフガニスタン復興支援国際会議が開催され、六十一か国・一地域、二十一国際機関の代表が参加し、アフガニスタンの人道支援から復興支援にと大きく前進させることができましたことは、大いに歓迎するところであります。この会議を通じて、今後の我が国の具体的な貢献・支援分野及び拠出額、またスケジュール、NGOとの協力関係について、総理の御所見を求めます。
 また、少々細かいことになるかと思いますが、復興支援費用について、国庫からの支出のほか、NGO等が一般国民より寄附を募り援助資金の一部とする事例が欧米諸国では行われているとのことであります。政府としても、そのような寄附を募りやすい仕組みを検討し、国民に呼び掛けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、アフガンの食糧不足は深刻で、特に子供たちへの対策は一刻を争う支援が必要です。その際、日本の学校給食制度が有効との識者の意見がありますが、併せて御所見を伺いたい。
 次に、国際社会での集団殺害等の犯罪を処罰する国際刑事裁判所設立条約が一九九七年に国連で採択され、イタリア、フランス、ドイツ、カナダなど四十八か国が既に批准しております。我が国も早急に批准を行うべきではないでしょうか。また、テロ関連条約十二本のうち最後に残ったテロ資金供与防止条約についても早急に批准すべきものであります。併せて総理の御所見を求めます。
 国民の政治に対する信頼を著しく損なう事件、疑惑が相次いで発覚しました。いわゆる自民党元幹事長の前事務所代表が起こした、地元業者などからの公共工事の受注や下請の口利きによる巨額脱税事件。また、公共工事にかこつけて関係会社に多額のパーティー券を買わせ、資金を集めた疑惑。民主党副代表の元公設秘書らが経営するコンサルタント会社の公共事業入札にかかわる口利きによる競売入札妨害事件。この件では茨城県石岡市長も逮捕されました。
 今や、政官業癒着の旧態依然とした構図に対し、国民の怒りは沸騰点に達していると言っても過言ではありません。
 公明党は結党以来、政治倫理確立、政界浄化に取り組んでまいりましたが、今回の事件でも直ちに党内に公共工事をめぐるあっせん等疑惑調査委員会を設置し、国民の信頼を回復するためにも、徹底的に真相解明、法整備の検討をしているところです。
 そこで、私どもは、二〇〇〇年十一月に成立したあっせん利得処罰法に、私設秘書並びに親族も対象に加える法律改正を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、発注者への措置請求や関与職員の賠償・懲戒通知の権限を認める、いわゆる官製談合を防止する対策を公明党は以前から強く主張し、法案は既に作成しております。日米規制緩和協議でアメリカ側から再三にわたり発注者責任を明確にするよう要望されていることは、総理も御承知のとおりであります。早急に立法化すべきと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 そのほか、日本道路公団関西支社での長年にわたる談合疑惑と競売入札妨害事件、全日本自治団体労働組合など、巨額脱税事件も相次いで報道されています。国民がリストラ、倒産等の痛みに耐えかねている状況の中で、これらの疑惑、事件について、総理の御感想と対処方法をお尋ねいたします。
 いずれにいたしましても、政治と金の問題は政治不信の元凶であり、総理のリーダーシップが期待されますが、政治と金の不祥事に決着を付ける抜本的解決策について、総理のお考えをお聞かせ願います。
 第二次補正予算案についてお伺いいたします。
 さきの国会で平成十三年度第一次補正予算が成立いたしました。これは、雇用・中小企業対策等への一兆円規模予算でありましたが、我が党は、我が国の景気、雇用が極めて深刻な状態であることから第二次補正予算の必要性を訴え、政府に対し要望もしてまいりました。
 その結果、第二次補正予算案では、一、都市機能の高度化、国際化対応、二、環境に配慮した個性ある地域社会実現対策、三、教育、IT、科学振興推進、四、少子高齢化対策等の四分野に重点特化した構造改革推進、景気対策に資する二兆五千億円余の措置を講じているところであり、第一次そして第二次補正及び十四年度予算が一体となった十五か月予算として、切れ目なき経済運営により景気・雇用対策に万全を期す意味からも、一日も早い成立が期待されています。
 予算案の具体的内容として、特に我が党が強く主張しました高齢化対策として、特別養護老人ホーム一万四千人分、介護老人保健施設一万二千人分、ショートステイ四千人分、ケアハウス千人分などそれぞれ増員され、着実にゴールドプラン21の推進が措置されています。
 さらに、保育所待機児解消のため八千人分の増員措置、放課後児童クラブなどの施設百五十か所、小児医療体制等の整備がなされる少子化対策も図られています。
 また、交通事故抑止対策として信号機四千基以上の新設や、都市機能向上を図るための交通渋滞解消対策として、連続立体交差事業やボトルネック踏切等の改良なども計上されています。
 さらには、道路の段差、傾斜、勾配の改善、鉄道駅のエレベーター・エスカレーター設置など公共施設でのバリアフリー化促進など細やかな目配りもなされるなど、正に適宜適切に編成されていると確信いたします。
 また、環境面では、自然との共生を目指して河川の復元、湿地、干潟等の再生を図るほか、太陽光発電、屋上緑化などグリーン庁舎の整備も盛り込まれております。
 以上申し上げたように、全体的に見渡しますと、生活者の側に立つ景気対策、雇用拡大への効果が期待できるところでありますが、総理は、一口で言って、この第二次補正予算をどう表現されますか。また、この補正予算で雇用拡大、需要創出にどのような効果があるとお考えか、お尋ねいたします。
 また、景気回復は、財政政策のみならず、金融政策も大きな柱であります。当面の最大課題である不良債権問題への取組はいかが対応されますか。また、ペイオフ凍結解除を延長してはという声もありますが、本日の総理の私への答弁がペイオフ解禁か延長かの議論の最終決着とすべきと思いますが、お答え願います。
 最後に、税制改正についてお尋ねいたします。
 総理は、さきに政府税調に税制抜本改革の検討を指示されました。しかしながら、閣僚の中には、景気刺激のための投資減税を求める方も、また直間比率の是正、財政再建のため、消費税増税も検討すべきという方もいると報道がなされ、閣内に同床異夢の感があるのではないかと危惧いたします。
 そこで、総理は、税の理念についてどうお考えか。また、抜本改革の目的及び道路特定財源等の具体的課題とその方向性、さらには政府税調と経済財政諮問会議の役割分担についてはどのようにお考えでしょうか、明確な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日笠議員にお答えいたします。
 アフガニスタン復興支援についてでございますが、一昨日、我が国は、アフガニスタン復興支援のために向こう二年六か月の間に五億ドルまでの支援を行う旨表明しました。
 復興を進めていくに際しましては、和平プロセス、国民和解のための支援とアフガニスタンの将来を担う人づくりに対する支援が重要と考えており、具体的には、難民・避難民の再定住、教育、保健・医療、女性の地位向上、さらには地雷除去といった分野で貢献していく方針であります。
 今後、現地の需要及び要請を正確に把握した上で、NGOとも協力しつつ、復興を積極的に支えていきたいと思います。
 アフガニスタン復興費用についてでございますが、政府としては、政府、経済界及び日本のNGOが参画するジャパン・プラットフォームの枠組みの活用を含め、NGOとも協力しつつ、アフガニスタンでの支援活動を行っております。今後、御指摘の点も踏まえつつ、NGOとの協力の在り方につき更に検討していきたいと考えております。
 アフガニスタンの食糧不足への対処についてでございますが、アフガニスタンにおいては、四年前から続く干ばつ被害、継続した戦闘等の影響から生じた食糧不足が深刻化しておりまして、我が国は、世界食糧計画を通じ、小麦等の食糧の配布等の支援を実施しています。
 なお、学校給食制度が有効ではないかとの御指摘につきましては、現地における習慣、学校教育の状況等を踏まえつつ、我が国の経験を生かせる部分について必要な協力を行ってまいりたいと思います。
 国際刑事裁判所についてでございますが、我が国は、国際社会における最も深刻な犯罪の発生を防止し、もって国際の平和と安全を維持する観点から、国際刑事裁判所の設立に向けて努力してきております。
 国際刑事裁判所規程の締結については、現在、同規程の内容を精査するとともに、国内法令との整合性について必要な検討を行っているところであります。
 テロ資金供与防止条約についてでございますが、テロ根絶を図る上で、資金源対策は最も重要な課題の一つであります。政府としては、同条約を早期に締結するとともに、同条約を履行するための法整備等を進める必要があると考えており、早急に国会に諮りたいと考えております。
 あっせん利得処罰法の処罰対象についてのお尋ねでございます。
 今回の一連の容疑事件のような国民の不信を招く行為につきましては、これを防止するための改善策を早急に検討すべきものと考えております。御指摘の法律改正についても、処罰の対象の見直しも含め、各党各会派の議論を踏まえながら、私としても判断してまいりたいと考えます。
 いわゆる官製談合防止法案についてでございます。
 国、地方公共団体等の職員が入札談合等に関与する、いわゆる官製談合はあってはならないことであり、その防止を図ることは重要なことと認識しております。
 御指摘の法案は、与党三党において議員立法として検討されているものであり、政府としては、この検討を踏まえ、必要な対応をしてまいりたいと考えます。
 日本道路公団に関連した談合疑惑と競争入札妨害事件、自治労、元札幌国税局長をめぐる脱税事件についてお尋ねでございますが、いずれも大変残念な事件であると思っております。
 当局の捜査などが行われていくものと考えますが、このような事件が繰り返されないよう、現行の法令等の厳正な運用に努めるとともに、今後とも必要な対策を取っていく必要があると考えます。
 政治と金の不祥事に決着を付ける抜本的対策についてのお尋ねでございますが、これまでも何回もこのようなことが言われながら、相次いで極めて遺憾な事件が起こってきております。誠に残念でございます。
 この政治倫理の確立は、議会政治の根幹でありまして、主権者たる国民の代表である国会議員がまずは自ら襟を正して、政治家の初心を銘記しながら、自らを厳しく律していかなければならないものと考えます。
 今回の政治家秘書の口利きのような問題については、今後このような不信を持たれるようなことが行われないよう、どのような法的整備あるいは対応が必要か、一つ一つ各党各会派から議論をいただきまして、具体的な体制を、どのようなものがいいかということは今後も政府としても真剣に取り組みながら、一つ一つ改革を積み重ねていく必要があると思います。この問題についても、私は、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 今回の第二次補正予算をどう表現するかということでございますが、現在の厳しい経済の状況を踏まえまして、構造改革を加速しながら、デフレスパイラルに陥ることを回避するためということを考えたものでございます。
 この補正予算では、重点分野に注力して社会資本の整備を行うこととし、民間投資の創出、就業機会の増大に資し、早期執行が可能で経済への即効性が高く、緊急に実施の必要のある事業を盛り込んでおりまして、景気や雇用面にも配慮しつつ、編成されたものであることは御指摘のとおりであります。
 この補正予算の雇用拡大、需要創出効果におきましては、いわゆる骨太の方針に示された構造改革に資する重点分野において、民間投資の創出、就業機会の増大に資し、早期執行が可能な事業を取り上げております。
 内閣府の経済モデルに基づく試算では、今後一年間のGDPの押し上げ効果は、名目で一・二%、実質で〇・九%程度と見込まれ、また今後一年間に十一万人程度の雇用者数の増加、〇・一%程度の失業率の改善が見込まれています。
 不良債権問題の取組についてでございますが、厳格な資産査定と適切な償却・引き当ての確保、破綻懸念先以下の債権の最終処理といった従来からの施策に加え、主要行に対する特別検査の厳正かつ的確な実施、整理回収機構を活用した不良債権処理と企業再生、これらの取組を果断に実施してまいります。
 このような取組と併せまして、他の分野における構造改革を進めることにより、遅くとも、経済構造改革の集中調整期間終了後の平成十六年度には不良債権問題を正常化するよう、全力を尽くしてまいります。
 ペイオフの凍結は、これは預金保険によってカバーされる部分を超える破綻金融機関の損失を国民の税金で補てんするという臨時異例の措置であります。
 政府としては、ペイオフの解禁を延長したこの一年間に信用組合の検査を終結するなどしてきたところであり、本年四月に予定しているペイオフの解禁を再延長することは考えておりません。
 税の理念と税制改革の目的についてでございますが、これは構造改革の大きな柱でございますので、我が国経済が持てる潜在力を最大に発揮できるような税制改革というのはどういうものか、あるべき税制改革を率直に議論していきまして、総合的に包括的にこの問題を取り上げ、十五年度予算編成に生かしていきたいと考えております。
 具体的な項目については、今の段階で総理大臣である私が、この項目を上げる、この項目は下げると言う時期ではないと思っております。今後、いろいろな分野で議論がされておりますが、予断なく、予見なく、税制全般にわたりまして総合的に取り組んでいきたいと考えております。
 道路特定財源についてのお尋ねでございますが、この問題も含めまして、基本的な在り方について経済財政諮問会議や政府税調等の場において幅広く検討を進め、十五年度予算編成に反映させていきたいと思います。
 政府税調と経済財政諮問会議の役割分担でございますが、十分に連携を取る必要があると思います。また、自由な議論を妨げるつもりはございません。ある部分については重複はなされるでしょう、それでも結構だと思います。
 私は、今後とも、経済財政諮問会議においては税制のみならず、歳出も考えなきゃなりませんから、財政、経済、そういう全般的な見方から税制も議論したい。
 いずれにしても、連携を取りながら、あるべき税制改革をどう進めていくか、またどのような議論が繰り広げられていくか、その点を注視しながら、最終的に十五年度予算編成に生かすような方向を模索していきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(井上裕君) 大沢辰美君。
   〔大沢辰美君登壇、拍手〕
#22
○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、財政演説について総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 最悪の記録を次々と塗り替え、失業率と倒産は非常に厳しい状態になっています。仕事は相変わらずない、貯金を取り崩して生活をしている、家賃が払えなくなり子供の学資保険を解約して生活費に充てていると、こういう人たち、卒業しても職のない若者たちが今全国各地の職業安定所に押し寄せています。暮らしと経済をどう立て直すのか、政治に課せられた責任は重大であります。
 そこでまず、雇用と失業問題についてであります。
 二次にわたる補正予算の必要性について、総理は、雇用の問題について改革の痛みを和らげるために是非とも必要だと説明しています。これは、構造改革による国民の痛みが既に耐え難いほどになっていることを総理自身認めたということではありませんか。ところが、総理は、何千、何万人の雇用に影響する企業倒産が大きく報じられたとき、構造改革が順調に進んでいることの現れだと発言し、国民の驚きと憤激を買いました。
 総理にお聞きしますが、小泉内閣が発足してから八か月間、失業率が連続して増え続け、過去最悪の五・五%にまで急上昇したこと、そして国民の痛みは既に耐え難いほどになっていることを、あなたは構造改革のもたらした成果だとして自慢しようというのですか。失業、倒産の急増は小泉構造改革の大失政の結果以外の何物でもないではありませんか。答弁を求めます。
 景気が回復しない最大の原因も、月例経済報告が認めるとおり、失業と雇用不安の増大による消費の落ち込みにあります。現に、女性団体の家計簿調査でも、食費や被服費だけでなく、教育費や育児費まで切り詰めている家庭が増えているのです。倒産やリストラで失業に追い込まれれば、生活費の切り詰めだけでしのぐことも困難になります。たとえ就職できても、収入はこれまでの六割とか五割にしかならないというのが今の実態なんです。
 今政府が行うべきは、いかに失業を減らし雇用を確保するか、ここに全力を挙げることです。失業者を増やし続けたのでは、失業の増大、所得の減少、家計消費の落ち込み、そして倒産、失業の更なる増大という悪循環にはまり込むだけです。今、EUでは、雇用などで大企業の社会的責任を求めるということが常識になっています。日本でも、地方議会から、大企業は雇用の社会的責任を果たせという意見が自民党をも含む超党派で上がってきています。大企業のリストラ応援をやめることは当然のこととして、雇用に対する社会的責任を果たさせるため、今こそ政治がその責任を果たすべきときではないのですか。総理の答弁を求めます。
 次に、税制についてただしたいと思います。
 去る十九日、NHKテレビ討論で塩川財務大臣は、財政構造を変えるとなってくるとどうしても消費税を避けて通ることはできないと発言しました。そこで大臣に伺います。あなた方は、一方では高所得、その人たちの所得税は下げよと主張し、また、株取引の活性化のためだと称して株取引課税や譲渡益課税については引き下げてきました。それなのに、なぜ消費税だけは増税なのですか。その訳を説明してください。
 昨年十一月の日銀の生活意識調査でも明らかなように、国民は、消費税の増税ではなく、逆に消費税の引下げを求めています。リストラ、人減らしと賃金切下げが吹き荒れている、暮らしがかつてない危機にさらされています。ますます不況が深刻化しています。そのさなかに消費税の増税論議の口火を切るなどもってのほかです。総理の描く税制の基本的な構想とは一体どのようなものですか。特に、応能負担の原則をどう考えますか。答弁を求めます。
 今、全国各地で信用金庫や信用組合の破綻が相次ぎ、関係する地域の経済は危機に直面しています。信金、信組はなぜ破綻に追い込まれているのでしょうか。それは各地の実態から明らかであります。国際的な活動を行う都市銀行と同じ金融検査マニュアルで地域経済に根差している信金、信組の検査を実施しているからです。画一的な基準で中小業者の借入れを不良債権扱いする小泉内閣の不良債権最終処理こそその元凶であります。
 これ以上の信金、信組つぶしと検査マニュアルの押し付けを直ちに中止し、破綻した信金、信組からの借り手である中小業者と地域経済を守るために政府は万全の措置を取るべきではありませんか。金融担当大臣及び経済産業大臣の答弁を求めます。
 次は公共事業についてです。
 総理は、来年度予算案では公共事業費を一兆円削ったと自慢していますが、同時に決めた本年度の第二次補正予算案で公共事業費などを二兆五千億円増額し、トータルで増やしているではありませんか。一体、公共事業費を増やしたいのですか、それとも減らしたいのですか、どちらなのでしょうか。
 しかも、当補正予算の主な内容は従来型の公共事業の増額であります。一本一億円もすると言われている橋脚を何十本と造る首都圏中央自動車道などの大型幹線道路や中部国際空港などの大型プロジェクト中心の予算です。都市再生などの看板を掲げて、あたかもこれまでの公共事業とは違うように宣伝しています。全く従来どおりではありませんか。
 例えば、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」は東京と博多の間に十か所の停車駅を持っていますが、その沿線には既に十か所の空港があるのに、更に静岡、中部、神戸の三つの空港を次々と建設しています。これを予算の無駄遣いとは考えないのですか。
 また、関西新空港と神戸空港は神戸の市街地からどちらも見えるほどの距離に建設されているのです。危機的な自治体財政に深刻な負担をかぶせながら、航空需要も採算性も安全性も無視して工事が進められています。阪神・淡路大震災から八年目を迎えた被災地では、空港建設より生活再建支援を、そして住宅の再建に公的支援をと悲痛な叫びを上げています。公共事業費を見直す、改革するというなら、これらの空港建設などの大型プロジェクトを白紙に戻し、国民生活支援に役立つよう根本から再検討すべきではありませんか。
 公共事業の受注に絡んで、加藤紘一元自民党幹事長の秘書や鹿野道彦元農水大臣の元秘書など、公共事業受注の口利きによる巨額の不当利得とその所得隠しという事件が相次いで明らかになりました。疑惑を掛けられた政治家はもちろん、その所属政党も自ら真相を調査し、国民に明らかにする責任があると思いますが、総理、関係者の証人喚問を含め、事件の腐敗構造を徹底的に解明する意思がありますか。
 また、私たちは、企業・団体献金は全面的に禁止すべきと考え、現に実行していますが、少なくとも税金を原資とする公共事業の受注企業からの献金禁止ぐらいは直ちに実施すべきではないでしょうか。お答えを願います。
 BSE対策も緊急課題です。政府がBSE被害の責任を取って、存亡の危機に追い込まれている畜産農家、酪農家及び食肉関連業者に対して損失補償で実効ある救済策を取ること、このことを第一に要求します。そして、無利子の長期資金融資の実現、出荷停止の今状態に追い込まれている乳用牛の対策として、国による買上げの実施を求めます。
 今日の大被害の大本である肉骨粉の使用について、去る十一日、我が党議員の質問に答えて、農水大臣が法律で禁止すべきだったと答弁して、ようやく農水省の責任を認めました。では、九六年のWHO勧告を実施しないという決定を、専門家の意見を無視して、一体いつ、どこで、だれの責任で決めたのか、総理、はっきりと示してください。また、感染ルートの究明がそれほど大事かなどと公言してはばからない農水大臣は、私はその職にとどまる資格はないと思います。直ちに罷免すべきです。答弁を求めます。
 最後に、医療制度の改悪など、国民生活も経済も破綻させる危険な小泉内閣の構造改革を直ちに中止するとともに、財政を国民の暮らし中心に改め、個人消費を活発にすることで景気の立て直しを図る方向への政策転換を強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大沢議員にお答えいたします。
 失業、倒産の急増は、小泉改革の失政の結果ではないかとのお尋ねでございます。
 構造改革を小泉内閣としては着実に進めておりますが、一方で、失業率等の増加が高く、また厳しい状況にあると認識しております。構造改革を推進する過程では、非効率な部門の淘汰が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもあります。
 このような不安を和らげるためにいろいろ今施策を実施しているところでございまして、雇用のミスマッチ解消等に努めるとともに、中小企業への資金供給の円滑化を図るほか、セーフティーネットにより、構造改革の推進に伴って生じる痛みを極力緩和すべく努めてまいります。
 大企業の雇用に対する社会的責任についてのお尋ねでございますが、企業としては、安易な雇用調整を行うのではなく、失業の予防や雇用の安定に最大限努力すべきものであり、仮に労働者が離職を余儀なくされる場合であっても、企業がその再就職を支援していくことが重要であると認識しております。政府としては、離職を余儀なくされる方々が円滑に再就職できるよう、雇用のセーフティーネットの整備に全力で取り組んでまいります。
 あるべき税制の基本的な構想についてのお尋ねでございますが、所得税、法人税、消費税、地方税など税制全般にわたりまして、国民負担の在り方、経済活性化と税制の関係や税制の簡素化、地方分権との関係など、幅広い観点から予断なく総合的に取り組んでいきたいと考えております。消費税につきましても、上げるとも下げるとも申しません。税制全体の議論の中で予見なく、予断なく検討を進めてまいりたいと考えております。
 来年度の公共事業費が増額しておるんではないかとのお尋ねでございますが、今回の補正予算は、デフレスパイラルに陥ることを回避するため取りまとめた緊急対応プログラムを実施するために編成したものであります。その内容も、構造改革に資する事業に必要な経費を計上しているところであり、第二次補正予算と来年度予算を合わせて公共事業費を増やしたとの御批判は当たらないと考えます。
 補正予算における大型幹線道路や空港の予算についてのお尋ねでございますが、今回の補正予算は、御指摘の圏央道や中部国際空港など、都市機能の高度化、国際化等の政策課題に対応した改革に資する事業であって、経済活性化効果が期待できるものに必要な経費を計上しているところであります。
 なお、静岡空港、神戸空港の建設費については、今回の補正予算では計上しておりませんが、これらを含む個別事業については、需要予測等に基づいてその必要性を適切に判断しているところであります。
 公共事業の見直しにつきましては、これは例外ではありません。今後、費用対効果分析等による厳格な事業の選択、PFIの活用等によりコストの縮減を進め、事業の効率的実施を図ることとしております。
 加藤議員の元事務所代表や鹿野議員の元秘書に関する事件に関するお尋ねがございますが、政治と関連した金銭の問題につきましては、まず政治家の個々人がきちんと説明し対応していくべきものと考えます。その上で、証人喚問をする必要があるかどうかにつきましては、議院の運営に関する問題であり、国会においてよく議論していただきたいと考えております。
 私は、政党が一定の規制の下で、透明性が担保された形で企業・団体献金を受けることを必ずしも悪いとは思っておりません。政治がその活動資金をどこから得るか、政党によっても違います。そういう点につきましても、今後、国民の不信を招くことのないような仕組みに関する議論が必要であります。私は、御指摘のような観点も含め、各党会派で引き続き民主主義の政党の資金の調達の在り方についてもよく議論を進めていただきたい、そして、あるべき方法を探っていくのが必要ではないかと思っております。
 BSEに関する畜産農家、食肉関連業者に対する対策についてでございますが、BSEの発生以後、国民生活や関連事業者への影響を緩和するため必要な措置を講じてきたところであり、特に、風評等により深刻な影響を受けておられる畜産経営や食肉関連業者等に対し、経営の維持継続に必要な低利の運転資金を措置しているところであります。
 また、出荷が滞っている乳用牛は国産牛肉の約二割を占める貴重な資源であり、その円滑な出荷を助長するため必要な支援を行っております。今後とも関係業者の方々の経営の安定に努めていきたいと考えます。
 BSE問題に対する対応の責任についてでございますが、九六年四月のWHO勧告を受け、農林水産省は、直ちに反すう動物の組織を用いた飼料原料を反すう動物の飼料としないよう行政指導を行いました。当時の農林水産省の判断としては、英国からの肉骨粉等の輸入を既に禁止していたこと、牛用への肉骨粉の使用はほとんどなかったこと、国内でBSEの発生が見られなかったことから行政指導で対処したものと承知しております。当時のこうした判断については、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的諮問機関として設置されたBSE問題に関する調査検討委員会において議論していただいているところであります。
 なお、農林水産省において、現在、感染経路の究明や関連対策の実施などに全力で取り組んでいるところであり、農林水産大臣には、今後とも、これらの職責を果たし、国民に安心していただくよう全力を尽くしてもらいたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しましては、消費税についての御質問がございました。
 我が国におきましては、諸外国に例を見ないスピードで少子高齢化が進展しておりまして、それに伴いまして公的サービスも非常に増加してまいったことは御承知のとおりでございます。したがいまして、その費用を広く公平に分担していただくためには、我が国の税制においては消費税の役割が非常に重要であると考えております。
 したがいまして、税の空洞化が進行している中で、幅広い観点から我が税制全体を検討してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私に対しましては、信用金庫、信用組合の検査に関するお尋ねがございました。
 金融機関におきましては、適切な資産査定等を行うことによりまして、その健全性を確保するということが極めて重要であります。このことは、金融機関の規模のいかんにかかわらず、言わば共通の原則であります。
 一方、こうした原則を具体的に適用する基準である金融検査マニュアルにおきましては、金融機関の規模や特性は十分これを踏まえて、機械的、画一的な運用に陥らないよう配慮する旨繰り返しいろいろな箇所で明記をいたしております。資産査定に当たっては、特に中小零細企業等についてその特殊性を総合的に勘案して判断するものとしているところであります。
 信用金庫、信用組合の検査に当たっては、このような考え方を踏まえ、適切な対応に努めているところでございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣平沼赳夫君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(平沼赳夫君) 大沢議員にお答えをさせていただきます。
 信金、信組の破綻に伴い困難な状況に陥る取引先中小企業者に対する対策についてのお尋ねであります。
 取引金融機関が破綻をし、その影響によって健全な中小企業までが連鎖的な破綻に陥るような事態を回避するため、関係機関と連携をいたしまして万全の対策を講ずることといたしております。
 具体的に申し上げますと、地域経済で重要な役割を担う金融機関が破綻した際には、直ちに政府系金融機関や信用保証協会に特別相談窓口を設置いたしまして、関係の中小企業者の方々の資金繰り等の相談に適切に対応する体制を整えました上で、政府系金融機関によるセーフティーネット貸付制度、信用保証協会によるセーフティーネット保証制度といった各種施策を活用いたしまして、個々の中小企業の方々にきめ細かに対応することにいたしております。
 中小企業をめぐる厳しい経済情勢を踏まえまして、このセーフティーネット保証・貸付制度については、平成十三年度第一次補正予算におきまして約一千四百億円を計上するとともに、金融機関の破綻等に係る貸付けの限度額を引き上げるなど制度改善を行いまして、本年初めから実施をしているところでございます。
 今後とも各地域の金融経済情勢を注視してまいりまして、金融庁等関係機関とも十分連携を取って万全の対応に努めてまいりたいと思っております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(井上裕君) 松岡滿壽男君。
   〔松岡滿壽男君登壇、拍手〕
#28
○松岡滿壽男君 このたび結成しました国会改革連絡会の松岡滿壽男です。略称国連を代表して、質問をいたします。
 今日、我が国は、グローバル化の中で生き残りを懸けて民間は厳しく自らの血を流しながら改革に臨んでいます。論語に、「その身正しければ 令せずして行われる」という言葉がありますが、国民の皆様に大変申し訳なくも、スリムで効率的な仕組み作りという点で改革が遅れているのは、政と官であります。
 驚くべきことは、半世紀前に取り決められたルールによって国会が運営され、弱小政党を切り捨てた、十人以上の会派でなければ国会運営に参加できない仕組みができ上がっています。本会議質疑の形骸化、政党政治の現状が良識の府としての参議院にそのまま持ち込まれております。
 衆議院のカーボンコピーと言われ、抑制と補完の役割を果たし得ず、政党化が進み、不要論さえ出ております。井上参議院議長から、歴代議長が度々試みてきた参議院改革協議会設置の提案があり、近く発足いたしますが、私どもは、自らに厳しく国会改革に取り組むべく志ある者が、国会改革連絡会を作りました。
 今日、失業率は五・五%、非自発的失業者のうち世帯主が百万人を突破し、株価も下がり、中小零細企業の倒産は戦後最高を迎えました。平成十三年は倒産件数一万九千百六十四件、負債総額は十六兆五千億に達し、自殺者は三年連続三万人を超えております。路上生活者も二万人を超え、国民の暮らしに不安をますます募らせております。貯蓄率の上昇は、六五%の国民生活や将来に不安を持つ国民の自衛手段でありましょう。政府は、実体経済が悪いことをどの程度認識しているのか。
 それでも、九州、山口の世論調査では、小泉内閣支持では六十五歳以上は七〇%、二十代、三十代は六四%です。若い人たちの支持下落は、痛みをもろに受け、将来への不安を感じている現れではないでしょうか。
 これまで百三十兆円を超す巨額の税金を使った景気対策では、日本の経済はもはや回復しないという実験をしたにすぎませんでした。
 昨年十一月十四日に、私の予算委員会での質問に対して、総理は、今までやってきて効果がなかった、厳しい歳出の見直しをやるべきと答弁しておられます。
 このたびの補正予算が、総理の公約である三十兆円の枠を守った中で、経済への即効性が高い対策を取っているとのことでありますが、三十兆円の公約は守ったと考えてよいのか。これまでの公共事業とどこがどう違い、どれが即効性の高い対策なのか。どのように国民に説明されるか、財務大臣にお伺いしたいと思います。
 二〇〇〇年十二月、アメリカ政府国家情報会議のレポートに、日本がこのまま自己改革をする力がないまま漂流を続けるならば、二〇一五年には世界のリーダーたる日米欧の組合せから日本は脱落すると言わしめております。このレポートを総理は御存じでしょうか。
 我が国の衰退現象として、人口構造の劣化、国家財政の破綻、国民の価値観の変化、経済力の衰退、政治の混乱などが挙げられております。英国の碩学トインビー博士は、「歴史の研究」の中で、国家や文明の最も核心的な衰退の要因は、自己決定能力の喪失にあると論じております。
 我が国の失われた十年は余りにも大きく、取り返しのつかない損失です。政治家の責任は重大であります。ゆでガエル現象の我が国では、ぬるま湯をひっくり返し、新しいやる気を国を挙げて起こさねばなりません。国民の多くが新生日本を小泉総理に期待していますが、これまでの経過を見ると、三段論法式に、始めは断固やる、次に熟慮する、終わりはこれでいいは、痛みに耐えて期待する国民に、時には大きな失望、落胆をさせます。
 独裁者、ファッショと仲間の自民党内から総理を評する向きもあると報じられていますが、今日、憂うべき我が国の非常事態では、将来を見据えた強力な私欲のない指導者が必要であります。
 さきに総理は、自民党は与党と野党を包含する政党であると私の質問に答弁されました。確かに、政党内は多様化し、政党間の垣根は低くなっています。政党に明確な理念、政策がなければ、対立軸が明らかでなく、政党は政治の使命を忘れ権力抗争の集団としか国民には見えません。政治に大きな失望を与えるばかりだと思われませんか。
 総理、日本は幾ら危機的状況に立たされても、当事者能力がない、自己改革ができないと思われていることをいかがお考えですか。二十一世紀の日本を形作るためにも、政界再編を含んだ日本の基本構造を改革するお考えはないのですか。御所見をお伺いしたい。
 昨年一年間に多くの不正事件がありました。KSDの現職二名の参議院議員の逮捕に始まり、今回の私設秘書による口利き料事件、元国税局長の脱税事件、官僚や首長の収賄汚職等、またしても国民の政治家に対する不信感は増大しました。二年前に、あっせん利得処罰法に私設秘書も入れるべきだという野党案は通らず、抜け穴はあったということが証明されました。この結果を見ても、政治家に対する不信感を募らせています。政治と金の問題はどこかでしっかり決着を付けなければ、国民はますます政治は汚れたものという不信感を持ち続けます。政党助成金は国民一人当たり二百五十円、本年度は三百十七億円を受けながら企業献金をなくす約束は守られていません。この不信がある間は改革へ向けての国民の理解と結束は得られません。
 十年前に岡野加穂留教授が戦後の政治家について分析をして、社会正義実現のための信念を保持し、天下国家の事柄を第一義的に考える優れた見識の持ち主であるいわゆる政治家はわずか五%、名誉欲、権勢欲の政治屋一〇%、自己の利益にうつつを抜かす政治業者が八五%と書いておられましたが、信念を持たず、選挙のための政治家が多い、この結果が今日の我が国の憂うべき実体として現出しております。国民のみに痛みを強いる資格が政治家、官僚にあるでしょうか。
 報道によれば、与党案で一年間歳費一〇%削減が出されるとされていますが、事実ならば、これは改革ではなく、その場しのぎの姿勢であります。この案によって、公務員・特別職全体のバランスが課題となりますし、一年間という限定の意味が不明であります。スリムで効率的な仕組みに政治、行政、経済・社会を改革しなければならぬ時代に、国会がまず手本を示すべきです。二院制の役割分担、定数削減、国会運営の改善等であります。
 前参議院議長の斎藤議長の私的諮問機関、参議院の将来を考える有識者懇談会の答申は、政党より議員個人の活動を重視する原則を貫くよう強調され、独自性のためには、首相指名権の返上、通年国会制の導入を提言していますが、これも国会において生かされていません。
 我々国会議員は、身を挺して改革に取り組むべきと考えますが、国会の主導権は与党が握っていますので、自民党総裁の小泉総理にお願いをいたします。
 これまで我が国は、軍事、外交面より物作りによる経済を重視して進んでまいりましたが、空洞化は国そのものの国力を弱めております。台湾では、国を挙げて産官学が技術開発に取り組み、外国人労働力の導入と、独自の生き残りを進めていると言われております。人口減少による労働力、生産力の劣化、人材難などの難題をどう解決して生き残り、どのような未来図を描いておられるのか、国民に分かりやすく示すべきではないでしょうか。
 英国のサッチャー元首相は、古い家を壊す前に建てるべき新しい家を示すべきだと言っています。アメリカの弱肉強食型市場原理、自由主義と我が国の社会平等主義の調和をどう考えておられるのか。我が国経済の生き残り策と、どのような方法で新しい家を建てようとしているのか、伺いたい。
 平成十四年度は、地方の税収も三・七%減の見通しであります。経常収支比率の危険水域である八〇%以上の地方自治体は八割を超しております。実体は、自治体としての役割を果たし得ません。地方の在り方を見直す抜本的な改革が必要であります。
 市町村大合併は、明治二十二年に市町村を五分の一に、昭和に入って三分の一に、平成には現在三千二百二十三から取りあえず千を目標に進められています。小泉総理も片山総務大臣もまず合併をとおっしゃいますが、意識改革だけでは、先ほどのゆでガエルではありませんけれども、システムを変えなければ前に進まないと思います。ドイツ連邦制をモデルにイギリスでもドイツ型を目指すと明言しております。
 いずれは道州制、すなわち全国を十か十一ぐらいの州として、自治体経営の最適規模である人口十五万から三十五万の市を二百五十から三百市として、国の役割を明確分離して、地方分権ではなく地方主権の連邦制が、グローバル化する時代に地方を生き残らせると私は考えます。
 終わりに、私は今日ほど憂国の情深まることはありません。また、政治家としての責任を痛感いたします。私の郷里の偉人、吉田松陰先生の言葉「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」を総理にお贈りし、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#29
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 松岡議員にお答えいたします。
 我が国の経済の実体経済の現状認識と国債三十兆円の枠についてのお尋ねでございます。
 大変厳しい状況にあります。失業者数あるいは失業率においても厳しい状況にありますが、そういう中で国債の安易な発行に頼らず、できるだけ財政規律を維持しながら、どのようにデフレスパイラルに陥らないような対策を取るか、極めて難しい、厳しい道ではございますが、そういう中で今回の補正予算を組んだわけでございます。
 今後とも、財政運営に対しては規律を保持しながら、現状の厳しい状況を踏まえながら、そして改革に資するような景気対策にも十分配意しながら、施策を実行することが必要だと思っております。
 二〇〇〇年十二月に米国CIA長官が発表した報告書に関するお尋ねがございました。
 この報告書は、国家情報会議が民間の専門家とともに十五年後の世界を形成する原動力と傾向を分析しつつ、我が国を含め世界の見通しをまとめたものと承知しております。
 この報告書では、日本が必要な構造改革を実施し、執行するかは不確実であり、二〇一五年までの間に日本の世界経済における相対的な重要性は低下するであろう旨を述べていると承知しております。
 いずれにしても、私としては、我が国が将来にわたり、世界の平和と繁栄のためにリーダーシップを発揮することができるようにするためにも、小泉内閣の進める構造改革を着実に実施、推進していく決意であります。
 日本は自己改革できないと思われることをどう考えるか、政界再編を含んだ日本の基本構造を改革する考えはないかとのお尋ねでありますが、自信喪失も良くないと思います。もちろん過信も良くありません。日本は危機に陥ったたびに見事に立ち上がってまいりました。困難な問題を抱えているのは日本だけではありません。ASEAN諸国をこの正月、五か国回ってまいりましたけれども、それぞれ失業者数も多い、そして経済も停滞している、その中で何とか改革を成し遂げて立ち上がっていこうという意欲を感じました。
 日本もまずは自信と希望を持って、過去、明治維新と第二次世界大戦後に匹敵されるような大変革であります。転換しなけりゃいけない、変わらなければならないと言っているんですから、現状維持勢力も十分そのことを考えながら変革に意欲的に取り組んでいただきたいと思います。私は、改革なくして成長なしの信念の下に、必要な改革を果断に実行していきたいと思います。
 また、自公保の連立与党の信頼関係を基礎に、構造改革の実現を目指してまいりましたが、野党の中で小泉内閣の進める改革に賛成だ、協力したいという政党があれば、議員があれば、私は喜んで歓迎したいと考えます。
 政治への不信がある中で、国民に痛みを強いる資格が政治家、官僚にあるかということでございますが、まずは政治家が率先して不信を解消する努力をしていかなきゃならないと思います。まず、一人一人が政治家の初心に立ち返り、自らを厳しく律する必要があると思います。
 その上で、政治家も官僚も、国民とともにこの国を再建していこうという意欲を持って、いろいろな改革に取り組んでいく必要があると思います。私もそのような、国民を信頼し、議員の皆さん方も必ずや改革に立ち上がってくれるということを信じながら、これからの諸課題の改革に取り組んでいきたいと考えております。
 国会の改革についてでございますが、御指摘の歳費削減の問題、定数の問題、国会運営の問題なども含め、既得権や先例などにとらわれることなく、早急に取り組む必要があると思いますし、今の御意見、納得できる点も多々ございます。
 ただ、今、参議院の役割や自主性について、行政権のトップであります首相が具体的に言及することは、議院独自の、参議院独自の問題も絡んでおりますので、現時点で具体的にどうかということは控えた方がいいと思っております。
 どのような効果的な改革がなされるかということは、議員、各党各派や参議院の独自性、役割を十分勘案しながら議論をしていただきたいと期待しております。
 我が国の未来図、生き残り策、新しい国家の姿についてでございますが、現在、私は行政側、官業側の改革が一番遅れていると思っています。今の経済界の問題、言われなくても民間の経済は必死に生き残り策を講じております。そういう中で、私は民間にできることは民間に、地方にできることは地方にゆだねるとの方針の下に、いろいろな改革を成し遂げまして、今後目指すべき社会としては、努力が報われ、一度や二度の失敗でくじけない再挑戦できる機会を提供していくようなそういう社会を形作りたい、そして子供たちの希望と夢をはぐくむそういう社会を目標に掲げていろんな改革を進めていきたいと思います。
 もちろん、この改革に伴って失業せざるを得ない方も出るでしょう。そういうことに対しましては、雇用対策もしっかり整備しまして、痛みを和らげ、改革に向かう意欲を保ちながら、必要な改革に向かって邁進したいと思っております。
 連邦制の導入についてでございますが、我が国においてこれが道州制とか市町村合併とか、今いろいろ議論が進んでおりますが、私は、まずは広域的な行政を担う地方公共団体の在り方について見直しをすべきではないかと思っております。
 地方主権の連邦制の議論と問題、これはどういう具体的な姿かということはまだつまびらかに存じてはおりませんが、地方分権と国政の在り方、国の役割と地方の役割の在り方、こういう点も見ながら議論を進めていく必要があるのではないかと思います。
 将来の地方自治制度の在り方については、中長期的に今御指摘の連邦も含めて議論をするのは結構なことだと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する質問は、三十兆円の公約についてのお尋ねでございますが、今回の補正予算では、構造改革を加速しながら、高い経済効果をねらって景気回復への一助にという思慮を十分に生かしたものでございまして、一方において、国債発行三十兆円という小泉内閣の基本方針を堅持したことと併用して評価していただきたいと思っております。
 なお、このたびの補正予算による経済対策についてでございますが、従来の公共事業とどのように異なるのかという御質問でございます。
 今回の補正予算におきましては、公共事業の対象を都市機能の高度化、国際化、そして、さらには生活環境の整備並びに教育・IT関係の設備投資に対する助成及び少子高齢化対策に対する施設の充実ということを重点に置きまして、早期執行が可能で経済への即効性が高く、かつ緊急に実施の必要のある事業を対象としたものでございますので、御理解いただきたいと存じます。(拍手)
#31
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時七分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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