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2002/02/08 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第7号
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2002/02/08 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第7号

#1
第154回国会 本会議 第7号
平成十四年二月八日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成十四年二月八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、新議員の紹介
 一、平成十三年度の水田農業経営確立助成補助
 金等についての所得税及び法人税の臨時特例に
 関する法律案(衆議院提出)
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。草川昭三君。
   〔草川昭三君登壇、拍手〕
#4
○草川昭三君 私は、公明党を代表して、総理の施政方針を始めとする政府四演説に対する質問をいたします。
 平成十四年度の予算案は、今日の極めて深刻なデフレ不況を解決するため、さきに成立をした平成十三年度第二次補正予算と一体との発想に立って、厳しい財政事情の中で景気にも最大限配慮したものであります。
 公明党が連立に参加をして二年四か月になりますが、我が党がこの間主張してきました都市再生、環境、少子化対策などに配慮をした支出が計上されており、一日も早い成立を望む立場から、若干の質問と問題提起を行いたいと思います。
 最初に、アフガン復興会議への出席問題に端を発しました政府の対応に関連し、一言申し上げます。
 今回の件は、総理の決断で外交手腕に定評がある川口新大臣を迎え、混乱を乗り切りましたが、外交課題は山積をしています。一連の事態を教訓に、今後どのように外交及び外務省改革に取り組むのか、基本的見解、決意をお伺いをいたします。特に、外務省改革については、その内容をより具体的に示すことが国民の外交に対する信頼の回復につながるものと思います。
 BSE問題についてお尋ねします。
 BSE問題は、一九八六年に英国で発生して以来、歴代内閣がその対策を講じてきた問題であります。しかし、世界保健機構の勧告に対する農林水産省の不十分な対応が今日の事態を招いたという点は、幾ら反省をしてもぬぐい切れない強い不信感を国民に与えたのではないでしょうか。
 現在、農林水産、厚生労働両大臣の諮問機関として、学識経験者による調査検討委員会が設置をされ、政府・与党を挙げて本問題に取り組み、国民の信頼回復に努めていますが、この際、徹底した情報公開をしつつ、農林水産行政の改革を断行すべきであると考えますが、総理の見解を求めます。
 また、雪印食品の問題については、報道を見る限り、会社ぐるみの疑いを持たざるを得ません。捜査当局の手にゆだねるだけではなく、農林水産省は徹底した原因究明をすべきと思いますが、併せて総理に見解を求めます。
 経済見通しについて伺います。
 まず、今後の経済財政運営の指針となる「構造改革と経済財政の中期展望」についてであります。
 素案の段階では、国内総生産、GDPにおける公共投資の比率を、最終年度には平成十三年度の五%強からその四分の三程度、三%台まで引き下げると数値目標が挙げられていましたが、本年一月十八日の最終文書からはその数値目標がなくなっています。
 公明党は、公共事業の配分見直しに長年取り組んできており、連立政権発足後も二百七十二の事業の見直しを決め、配分見直し論と公共事業不要論を混同せず、今回の予算案においても、減らすべきところは減らし、増やすべきところは増やすという考え方で臨みました。公共事業については、入札の見直しやPFI方式の採用によって、予算額は減らしても事業量は確保すべきという立場でありますが、対GDP比で公共工事を三%台まで引き下げるという当初の数値目標は今後どのように位置付けられるのか、お答えを願いたいと思います。
 経済財政諮問会議は、去る一月十八日に我が国の経済財政の中期ビジョンを示す中期経済財政展望を決定いたしました。この「改革と展望」においては、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化が見込まれておりますけれども、この目標を達成するために、歳出歳入の両面にわたって政府はどのような手だてを講じようとしているのですか。プライマリーバランスの黒字化を実現するためにも、デフレ経済からの脱却を図ることが急務でありますけれども、その具体的な処方せんについて、総理の明確な御答弁をお願いしたいと思います。
 また、内閣府は、この「改革と展望」の参考資料として内閣府試算を提出し、他方、財務省は本日、衆議院予算委員会に平成十四年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算の提出を予定しております。結果として、政府から今後の財政に関する二つの試算が公表されることになりますが、政府は両者の関係をどのように整理し、今後の政策に生かしていくおつもりなのか、総理にお伺いをいたします。
 金融問題についてお尋ねします。
 本年四月からいわゆるペイオフが解禁され、預金者に対しても自己責任が問われる時代になりました。しかしながら、預金者に対して自己責任を問う前提として、私は以下に述べる点が重要であると考えます。
 それは、金融機関の経営状況について透明性を高めることが不可欠だということです。小規模であっても経営内容の健全な金融機関に預金が集まり、たとえ規模が大きくても経営内容の悪い金融機関は淘汰されるというのが市場規律ではないでしょうか。有名であるとか規模が大きいということだけで一部の金融機関にのみ預金が集まるというのではペイオフ解禁の意味はありません。預金者たる国民に金融機関の経営状況がガラス張りになって初めて市場規律が生きてくるものと考えます。
 しかるに、近年、金融を取り巻く情勢の変化は急激で、開示する情報についてもより新しいものが要求されるようになってきました。こうした中、銀行の経営状況のディスクロージャーは、現状の年二回ではなく、よりタイムリーなものとすべきと考えますが、政府としてどう取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 次に、最近の株式市場の急落について伺います。
 一月末から東京株式市場は銀行株を中心に売りを浴びせられ、日経平均株価、東証株価指数ともバブル経済崩壊後の安値を更新しています。この背景の一つとして、外国証券会社を経由したヘッジファンドの空売りによるものがあるという見方があります。事実、証券取引等監視委員会は、昨年の十二月、法令違反の空売りをしていたとして関係者の摘発に踏み切っています。我が国の証券監視委員会は、外国系証券会社に対して弱腰ではないかとの指摘が従来からありますが、証券取引法に違反をする空売りについては、もっと厳しい処分を行うべきではないでしょうか。総理の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、最近の株式市場の急落については、景気の先行きに対する不安の増大や不良債権問題への取組に対する失望感をマーケットが抱いていることが根本問題にあるように思われます。最近の株価の急落によりまして、銀行、生保等の含み損は巨額なものとなっており、正に二月危機、三月危機の様相を強めています。
 このような状況の中で、金融システムに対する内外の不信感を払拭をするためにも、また、九七年に起きました一連の大型金融機関の経営破綻の教訓を生かし、金融危機を未然に防止をする観点からも、不良債権の処理を一段と加速化するとともに、いざというときには経営責任を明確にした上で、思い切った公的資金の再注入をちゅうちょせずに行うことが肝要かと思いますけれども、総理の見解を求めます。
 行政改革の推進について、公明党は一貫して連立与党内で努力をしてきました。昨年の通常国会で特殊法人等改革基本法が成立し、昨年十二月十九日には整理合理化計画が閣議決定をされました。今回の予算案には、整理合理化計画に盛り込まれた事務事業の抜本的な見直しの結果などが反映され、一兆円を超える財政支出が削減をされたことになったのは評価されることであり、特殊法人問題によくぞ切り込んだと思います。
 我が党は、昨年十一月二十二日の与党党首会談で、高級官僚が退職後、特殊法人などに天下って高額の収入を得ることや、幾つもの特殊法人を渡り歩き、その都度退職金を受け取ることに対する規制策を盛り込むよう主張しました。特殊法人等合理化計画にこの主張が反映されたことを率直に評価したいと思います。
 さらに、営利企業に再就職をしたOB官僚による出身官庁への働き掛けを罰則付きで規制する行為規範を導入することなどを加え、行政改革を実効性あるものに仕上げなければならないと思いますが、総理の見解を求めます。
 道路公団の発注先送りについて伺います。
 国費投入の中止を受けた道路公団は、昨年末、既に工事予定通知、すなわち指名通知を行っている建設業者に工事発注の先送りを伝えました。先送りは有料道路で全国十三件に上り、年末を控え、下請企業、現場の労働者は戸惑い、自治体も対応に困り、問い合わせに答えることすらできませんでした。道路族が抵抗云々とか、マスコミの話題になっていますが、現場は、実はそれどころではありません。突然の工事中断が建設現場をどんなに混乱させたでしょうか、御存じでしょう。そんな中、現場の下請労働者は、賃金保証のないまま、コンクリートに埋め込まれた鉄筋の露出部分のさび止め作業を黙々と行っておりました。予算を削られた公団の政治家に対する当て付けから作業中断が命じられたとしたら、これは許されることではありません。
 ただ、ここで一言申し上げるとすれば、改革を実現するためには、関係者を説得する、理解を求める努力が必要であり、押し付けであっては、現場は混乱し、目標の達成はかえって遠のきます。総理の理想、理念を否定するものではありません。いや、かえって尊重するからこそ、その実現のために、官僚を始め関係者を抵抗勢力とみなし一方的に追い込まず、彼らの協力を得て、知恵を結集させてこそ小泉改革は成功すると考えますが、総理の見解を求めるものであります。
 昨年十二月の完全失業率は、過去最高の、最悪の五・六%となりました。倒産やリストラによる非自発的失業者は百二十五万人で、過去最多となりました。特に、若年層の失業率は九・六%という高水準で推移をしています。昨年より政府は、職業適性診断、カウンセリング等の新しい事業に取り組んでいますが、実施をしているのは東京、大阪、兵庫、神奈川の四自治体にすぎません。この事業は全国展開が必要と思われますが、厚生労働大臣の見解を賜ります。
 十三年度補正予算に計上された学卒未就職者や若年失業者に加えて、フリーターと言われる不安定な就労を繰り返す若者を短期間雇用するトライアル雇用制度を今後更に充実させるべきと考えますが、併せてお答えください。
 厚生労働大臣は、ワークシェアリングの実情調査に欧州へ出張されました。日本の労使関係は企業内労使関係が基本ですが、欧州では強力な産業別労働組合が雇用についてもリードしているように伺います。日本でワークシェアリングが実現し、正規社員の雇用が本当に増加するのかどうか、また経営者や労働組合にどのように働き掛けるのか、総理と厚生労働大臣の見解を求めます。
 円相場についてお伺いします。
 昨年の円相場は、日本経済の不況を反映し、年間を通じて円安基調であったと思います。政府は、輸出企業の収益増に役立つものとして今後とも円安を期待するのか、明日からカナダで開かれるG7では円安問題がどのように主張をされるのか、この際、総理にお伺いをいたします。
 円安の影響が、今、アジア通貨に波及し、関係諸国から警戒感が寄せられています。東南アジアを歴訪された小泉総理は、包括的経済連帯構想を提案されましたが、この問題についてマレーシアのマハティール首相から提言があったやに聞きます。どのようなお話をされたのか、併せてお答えを願います。
 政府の経済財政諮問会議が税制改革に向けて動き出したことが伝えられています。
 税制については、抜本改革の必要性がかねてから指摘をされていますが、所得税の課税最低限の引下げを中心にマスコミでも取り上げられています。一方、産業競争力の強化のため、研究開発費や設備投資に対する税の在り方も検討対象になっていると言われています。政府は、デフレ対策として土地税制や証券税制の見直しを考えているやに伺いますが、税制改革に関する総理の見解をお聞かせください。
 また、個人資産の過半数は高齢者が占めていると伝えられますが、これは、贈与税の軽減を併せて議論すべきと考えます。世代間の資産移動を住宅建設等に向けるため、贈与税の軽減などが言われていますが、どのようなお考えか、見解を賜りたいと思います。
 竹中経済財政政策担当大臣にお尋ねします。
 大臣は各地のシンポジウムで、小泉政権が進める税制改革について、法人税や所得減税など個別具体的な税制ではなく、税制の仕組みそのものを総合的に見直す必要があるとの認識を示しています。同時に、国民が納得できるように仕組みを簡素化させることも必要と国会で答弁をされていますが、税制の総合的見直しということになりますと、平成十五年度からの実施は無理ではないかと思われますが、お答えを願いたいと思います。
 金融機関の中小企業に対する貸し渋りや貸しはがしについては国会でもたびたび取り上げられていますが、一月二十二日の本院において塩川財務大臣は、中小企業支援対策として売掛金債権を担保とする公的信用保証制度を新設し、セーフティーネット保証・貸付けの充実を図ると答弁をされました。
 これは、昨年の臨時国会で、平沼経済産業大臣の提唱するいわゆる平沼プランの一環として関係法が成立し、昨年十二月十七日に施行されたものです。中小企業庁も既に二回PR誌を発行し、金融機関、商工団体を通じて配布をしていますが、残念ながら周知徹底されていません。私が調査をしました信用保証協会では、申請がゼロか一件程度の申込みであります。発足してから日時がたっていませんから利用者が少ないものと思われますが、実は幾つかの問題点があります。例えば、申請の際、取引の実態を証明するための発注書、これの提出を求められますが、取引先がそういうことを知らないため協力を得ることができず、あきらめてしまうケースなどです。
 これからの企業経営には、株式や社債の発行による直接金融の資金調達が求められます。中小ベンチャー企業に対する銀行保証付き私募債の発行など、多様化する資金調達方法を政府広報などで取り上げ、関係者に周知すべきであると考えますが、総理の見解を求めます。
 地上テレビ放送のデジタル化に関連して質問をいたします。
 昨年十一月、NHK、民放、総務省の三者による地上デジタル放送に関する共同検討委員会は、地上波テレビのデジタル化計画を見直すことを発表しました。デジタル化に必要な費用が当初見積りよりも大幅に膨らむことが分かったというものです。
 平成十三年度の総務省予算の中に、地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策として百二十三億三千万円の予算が計上されましたが、執行されないまま、十四年度予算案に百二十二億四千万円が計上されています。平成十八年度までの五年間で、各家庭のアンテナを変更しながら、送信設備を切り替え、各チャンネルの放送を途絶えないようにしてアナログからデジタルにするという計画で、変更対策工事費の総計は七百二十七億円でした。しかし、その後、この工事費では足りず、二千億円以上の費用が必要になることが分かりました。
 このような三倍近い見込み違いは、国の予算を使って実施をする事業としてはお粗末過ぎるのではないか。デジタル化は、視聴者に高品質な映像や音声を提供するほか、新たな周波数資源や新ビジネスの創出など多くのメリットがあります。歴史に残る大きな事業だけに、今後このようなことが起きることがないように、関係者の慎重な対応を望みます。総理の見解をお伺いします。
 医療制度改革についてお尋ねします。
 厚生労働省は、昨年九月二十五日、医療制度改革試案を公表しました。ところが、試案の柱の一つである老人医療費の伸び率管理制度は強制力のない指針に変更され、財源不足を賄うために、廃止を決めていた薬剤一部負担制度が存続されることになりました。医療制度の構造改革という以上、将来の方向性を示すことが重要だと考えますが、制度改革の重要なポイントと言われる高齢者医療制度の創設については、今後どのように検討を進めるのか、総理に見解を求めます。
 小泉総理は、医療費の抑制について、医療機関も痛みを分かつ三方一両損を指示され、医療費全体で約八千億円が削減されることになりました。これまでの診療報酬改定では、財源を薬価引下げ分で充当していたため、診療報酬本体は常にプラス改定でしたが、今回は初めて引き下げられたことは評価したいと思います。しかし、これだけで医療費の伸びを抑えることができるかどうか、疑問は残ります。
 そこで提案があります。医療費の中に占める薬剤費は約六兆円と言われています。薬価の安い後発医薬品を使用すれば医療費を低く抑えることができるのです。いわゆる後発品は、同一成分、同一効能の薬であっても、後発品なるがゆえに、物によっては薬価は半額であったり、それ以下のものもあります。これを薬価の高い先発医薬品しか使用していない国立病院や国立大学病院が使用すれば年間数千億円の薬剤費が浮くという試算があります。私は、昨年、予算委員会で、国立大学附属病院等で使用する医薬品のうち、一定量を後発品に切り替えるといったガイドラインを策定することにより後発品の使用を促進してはどうかと提案をしましたが、改めて総理の見解を伺います。
 一方、総理大臣の諮問機関である総合規制改革会議は、薬価の高い先発医薬品を少し手直しをしただけの類似薬、いわゆるゾロ新と呼ばれる新薬の薬価の在り方などについて問題提起をしています。この提言は傾聴に値します。総理の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 ストレス時代における心の問題についてお尋ねします。
 最近の若者たちには、心の不安や体の不調が原因となって起こる、いわゆる引きこもりや不登校、拒食と過食を繰り返す摂食障害、強いプレッシャーで急に動悸や息苦しさを感ずる過呼吸症候群といった症状が急増しています。これは、出社困難という形で社会人の間にも見受けられ、家族だけではなくて企業にも負担が重くのし掛かっています。こういった問題の解決には、専門家である心療内科医や臨床心理士などの援助がどうしても必要です。
 しかし、心身症や神経症を専門に診る心療内科は、医師の数も少なく、診療報酬などの面でも十分に手当てされているとは言えません。また、臨床心理士などの育成には医療現場での臨床実習が不可欠と言われていますが、現状ではその門は閉ざされています。心の病に苦しむ人々が、世間体を全く気にせず、心の悩みや葛藤の処理のため、だれはばかることなく専門機関の門をたたけるように、専門家の育成と施設の拡充など、環境整備を行うことが何よりも大切だと考えます。
 一例を挙げれば、食べることを拒む拒食の場合、命にかかわる状態になるまで入院治療を受けることができません。摂食障害専門の入院施設や大病院に専門科があれば、治療は円滑に進むのではないでしょうか。
 聞くところによれば、この分野では、長年にわたり医療関係者と心理学者との間に業務の範囲や資格をめぐって意見の相違があります。もとより、心の専門家といっても、医療、学校、企業など、それぞれ特有の役割がありますが、政府が平成十三年度より取り組んでいる思春期児童等の心の健康対策の推進事業、これを成功させるためにも、厚生労働省、文部科学省が、これまでのいきさつや省庁の垣根を取り払い、賢明な判断と対応をされんことを望むものです。
 総理、どうか心の病と闘う人たちや、現場でひたむきに働く医師、臨床心理士の声に耳を傾けていただき、強いリーダーシップの下、ソフト、ハード両面にわたる体制作りをお願いをしたい。総理の見解を求めます。
 今年、二〇〇二年は、ワールドカップサッカー大会が開催されます。日韓両国による共同開催は、アジアの文化を世界に発信できる絶好の機会であります。
 私は、去る一月十六日、ソウルにおいて、鄭夢準韓国サッカー協会会長にお会いをしました。会長の言葉の端々からは、国を挙げての熱意と自信を感じました。私は、このワールドカップを日韓の真の友好関係を築くまたとない機会だと信じているものです。
 小泉総理は、三月に訪韓し、韓国の金大中大統領と会談する意向であると伝えられておりますが、どのようなお考えで臨まれるのか、この際、お伺いをします。
 また、世界各国から訪れる約四十万から五十万人といわれるサポーターが日本と韓国を往来します。同時に、フーリガンと称される人たちの入国も予想されます。韓国では、サッカー協会、開催都市、軍隊、警察が一体となって警備・運営体制を確立し、十分な訓練を行っていると聞きます。それに比べ、日本の準備体制は不十分ではないかとの指摘もありますが、この点、いかがでしょうか。
 日韓議員連盟は、昨年十二月、ソウルで合同総会を開催し、日本から会長の森前総理以下与野党議員が出席をして真剣に討議を行いました。最終日の共同宣言で、永住権を持つ在日外国人の地方選挙権の付与について確認が行われました。現在、この問題は衆議院で継続審議となっていますが、自民党総裁でもある総理の決断を韓国側も大変注目しているところであります。この問題に対する総理の見解を求めます。
 防衛政策についてお伺いをします。
 テロ特措法でインド洋に派遣をした自衛隊艦船の派遣期間が五月に終了します。政府として延長する考えがあるかどうか、また、延長するなら支援終了のめどはいつごろを想定しているかについてもお答えをお願いをします。
 次に、今国会の焦点となっているいわゆる有事法制について伺います。
 総理は一昨日、我が党の神崎代表の質問に、国民の十分な理解を得ながら進めていくことが重要であると私も認識していると答弁されましたが、公明党は、いわゆる有事法制については、あくまでも憲法の枠内での防衛出動法制を基軸とし、その原理原則を明確に示した上で法整備に当たるべきだと主張しています。
 具体的には、防衛出動法制は憲法の枠内、集団的自衛権の行使、憲法解釈を変更しない、国民の権利に対する制約は最小限にとどめる、表現の自由、報道の自由などは緊急事態でも守る、以上の四点について明確に守ることを前提としていますが、総理の見解をお聞かせください。
 最後になりますが、十七日より米国大統領が来日されます。米国政権内には、日本経済への不満、特に、円、株、債券のトリプル安に強い失望感を持っていると伝えられていますが、どのように対応されるのか総理にお伺いをし、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 草川議員にお答えいたします。
 御激励と建設的な御提言をいただきまして、ありがとうございます。
 外交及び外務省改革を進める私の基本的見解についてのお尋ねでございますが、川口外務大臣に対しまして、就任時に、今後、与野党を問わず様々な議員の方から御意見は受けるでしょうと。それは国会議員としてそれぞれ見識のある方ですから当然だと。しかし、その意見が適切であるか不適切であるか、十分省内でも見極めながらしっかりとした対応をしていただきたい。これが第一点。
 そして、外務省の改革、多くの今までの外務省に対する批判というものを、これを謙虚に受け止めて思い切った外務省改革に取り組んでもらいたい。反省すべきは反省し、正すべきは正すという観点から、外務省に対する信頼を取り戻していただきたい。
 さらに、今後の外交政策を推進するに当たっては、外務省一体というのはもちろんでありますが、政府一丸、総理官邸と一体となって協力、進めるような体制をとっていただきたい。
 この三点を強く指示いたしました。
 川口大臣が、今まで環境大臣としてのすばらしい経験と手腕、そういうものを基礎にしながら培った人脈、そして外交に対する優れた見識を持っておられる方でありますので、今後、意欲的に外務省改革にも外交体制にも献身的な努力をしていただけるものと期待しております。私は、その川口大臣の努力を全面的に支援していきたいと思っております。
 BSE問題、雪印食品問題についてでございますが、BSE問題については、過去の行政対応の在り方も含めまして、厚生労働大臣と農林水産大臣との私的諮問機関として設置されましたBSE問題に関する調査検討委員会において議論していただいているところであります。いろいろ反省すべき点もあります。その報告を待って、畜産・食品衛生行政の改革を目指し、食の安全と安心を確保する仕組み作りについて真剣に取り組んでまいりたいと思います。
 雪印食品の国産牛肉偽装事件は、BSEに対する消費者の不安を払拭するための事業を悪用するとともに、食品表示に対する消費者の信頼を損なう極めて悪質なものであります。このため、雪印食品に対し厳しい姿勢で事件の正確かつ徹底的な究明に取り組むこととしております。
 なお、隔離牛肉を保管する全倉庫の徹底総点検を行うとともに、食品の表示制度の見直しとその改善、強化を急がせるなど、牛肉に対する消費者の安心と信頼を取り戻し、牛肉消費の回復に総力を挙げてまいります。
 「改革と展望」における公共投資についてでございますが、公共投資については、そのGDP比を四分の三程度を目途に引き下げるという表現から、最終的には、国の公共投資については、「景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の水準を目安に、その重点化・効率化を図っていく。」との表現に改めました。この修正は、目指すべき水準の意味を明確にするために行ったものであり、目安を定めて公共投資を抑制していくという方針に何ら変更はありません。
 プライマリーバランス黒字化やデフレ克服に向けた政府の取組についてでございますが、「改革と展望」では、民間需要主導の着実な成長と財政構造改革の結果、国と地方を合わせたプライマリーバランスは二〇一〇年代初頭には黒字化する見込みとしています。
 政府としては、今後の財政運営に当たりまして、配分の重点化、諸制度の改革、事務事業の効率化、PFIの活用など、歳出の質の改善と抑制を進めるとともに、受益と負担の関係についても引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、議員御指摘のとおり、プライマリーバランスの黒字化を実現するためには、デフレの克服、民間需要主導の着実な成長が前提となると考えております。このため、民間需要、雇用の拡大に力点を置いた構造改革の推進、不良債権処理の促進を図るなど、政府、日銀が一致協力してデフレ問題に強力かつ総合的に取り組んでいきたいと思います。
 内閣府試算と平成十四年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算についてのお尋ねでございます。
 内閣府試算は、経済財政諮問会議における「改革と展望」の審議のための参考として内閣府が作成したものであります。この試算は、「改革と展望」で示された構造改革の方向性の下、内閣府が各分野の具体的な改革の進め方について多様な可能性の中から一つを前提として選び、マクロ経済の姿や国と地方の財政の姿などがどのようになるかを経済と財政の相互関係をも考慮した経済財政モデルにより試算したものであります。
 他方、財務省が予算委員会に提出を予定しております平成十四年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算は、一定の経済の前提の下で、特定の政策判断を加えることなく、当初予算の制度、施策を継続した場合、後年度予算の歳出歳入にどの程度の影響をもたらすかにつき、積み上げ計算等によって試算したものであります。したがって、両者は試算の前提や手法において異なっており、試算結果もおのずと異なるものとなりますが、今後の予算編成を始めとする諸議論において、それぞれの特質に応じて中期的な経済財政運営の在り方の検討の際の一つの参考、手掛かりとして活用すべきものと考えます。
 銀行の情報開示についてでございますが、銀行の経営情報の適正な開示は極めて重要であります。こうした観点から、改革先行プログラムにおいて、「主要行に対し、四半期毎に経営情報を開示する体制をできる限り早期に整備するよう求める。」こととされました。これを受け、主要行の主な経営情報については、本年六月末より一層速やかな情報開示が行われることとなったと承知しております。
 証券取引等監視委員会による監視への御指摘と証券取引法に違反する空売りに対する厳正な処分についてのお尋ねであります。
 まず、証券取引等監視委員会においては、外国系証券会社に対しても、国内証券会社と同様に、検査や日常的な市場監視活動を通じて取引の公正を害する行為の厳重な監視を行っているところであり、御指摘の空売り規制違反についても、先般、金融庁が発表した「空売りへの総合的な取組みについて」に基づき、重点的に点検を行っております。また、金融庁においては、監視委員会の勧告を踏まえ、空売り規制違反について昨年十二月以来三件の行政処分を実施しておりまして、厳正に対処しているところであります。
 金融システム不安についてのお尋ねでありますが、不良債権については、破綻懸念先以下の不良債権の最終処理といった従来からの施策に加え、主要行に対する特別検査の厳正かつ的確な実施、整理回収機構等を活用した不良債権処理と企業再生等の取組を果断に実施することにより、その処理を一層強化してまいります。
 また、信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある場合には、預金保険法において例外的措置として資本増強が可能であり、これを行う場合には、法令に従い経営責任を明確化することが前提になると考えております。
 OB官僚による出身官庁への働き掛けの規制についてでございます。
 御指摘のとおり、公務員制度改革大綱において、行政の公正な運営に対する国民の信頼を確保するため、営利企業に再就職した公務員について、新たに再就職後の行為規制を導入するとともに、規制の実効性を担保するため、違反行為に対し、罰則等を含め制裁措置の導入を図ることとしたところであります。今後とも、公務員制度改革など行政改革を実効性あるものに仕上げるべく全力を挙げてまいりたいと思います。
 日本道路公団の発注先送りと改革成功のための関係者の協力についてのお尋ねであります。
 道路公団の発注先送りについては、予算の状況を踏まえ、同公団の判断によるものと伺っております。改革の成功には、政治家を始め、官僚、関係者各位の協力を得て知恵を結集すべきであることは申すまでもないと思っています。私も常々言っているんです。独断専行に陥らないように、できるだけ多くの方々の協力を求めて改革を進めていく、そういう気持ちで私は構造改革に邁進していきたいと思います。
 ワークシェアリングに対する取組についてお尋ねでありますが、ワークシェアリングの検討に当たっては、少子高齢化の進展や経済・産業構造の変化といった我が国が置かれた状況を踏まえつつ、我が国に適したワークシェアリングの在り方を考えていく必要があります。このため、現在、政労使ワークシェアリング検討会議においてその基本的な考え方について検討を行っているところであり、本年三月を目途に政労使の間で合意を得ることができるよう、積極的に取り組んでまいります。
 円安についてのお尋ねですが、為替相場は安定的に推移することが重要であるというのが従来からの我が国通貨当局の考え方であり、人為的に円安誘導をするといった考えは私は毛頭持っておりません。
 カナダで開催予定のG7においては、財務大臣が出席し、マクロ経済についての議論が行われると承知しておりますが、為替に関しましては、ただいま申し上げた考え方に基づいて対応することとしております。
 ASEANを訪問した際、マレーシアのマハティール首相ともこの通貨の問題について意見交換をいたしましたが、私はそのような考え方をマハティール首相にも申し上げました。
 税制についてでございますが、税制の在り方は、これからの経済再生、そして日本が持っている潜在力を大きく発揮するためにも、大変重要な構造改革の柱だと位置付けております。あるべき税制の構築に向けて、経済財政諮問会議や政府税制調査会において、将来の税制改革について私は幅広く議論をしていただきたいと思っています。
 特定の税項目を考えているわけではありませんで、消費税も法人税も所得税も地方税も、全般的な税制についての議論をいただきたいと思っています。そして、簡素で公平で中立な、これからの経済活性化に向けて適切な租税負担水準や、あるいは地方分権にふさわしい地方税の在り方をどう考えるかなど、税制全般にわたりまして議論をしていただきまして、十五年度予算に反映していきたいと思っております。
 なお、世代間の資産移動と贈与税についても、現行の住宅資金の贈与に係る特例措置による負担軽減の水準やその活用の状況、相続税の課税回避防止という贈与税の基本的機能等を踏まえ、あるべき税制の構築に向けた取組の中で検討することが適当と考えております。
 中小企業金融対策の広報についてであります。
 中小企業の新たな資金調達手段として、昨年末、売り掛け債権担保融資に対する保証制度を創設し、政府広報を始め、普及広報に努めております。今後とも、中小企業による私募債の発行など、多様化する資金調達手段の周知に更に努力してまいります。
 地上放送のデジタル化の進め方についてのお尋ねでありますが、デジタル化に関連して必要となる周波数変更工事については、現在、放送事業者と共同でその効率的な実施に向けての検討を着実に進めております。いずれにせよ、地上放送のデジタル化は、国民に大きなメリットをもたらすものであることから、その確実な実現に向け、鋭意取り組んでまいりたいと思います。
 医療制度改革についてでございますが、国民皆保険制度をいかに多くの国民の方々の協力を得ながら進めていくか、非常に大事な問題と考えております。御指摘の高齢者医療制度についても、高齢化のピーク時においても安定的な運営が確保されるものとなるよう、対象年齢の引上げ、公費負担割合の見直しなど、その在り方について検討を進め、平成十四年度中に基本方向を明らかにしてまいります。
 国立大学附属病院等における後発品の使用促進及び新規性に乏しい新薬についてのお尋ねがありました。
 国立大学附属病院や国立病院におきましては、関係省庁から後発医薬品を適正かつ積極的に利用するよう指導しているところであり、今後とも、その利用の促進に向けて指導に努めてまいります。委員の御指摘の意見も大変参考になると思います。
 また、新規性の乏しい新薬の薬価については、平成七年度より類似薬の薬価を超えない価格とするルールを設定し、適正化を図ってきております。平成十四年度薬価改定においても、総合規制改革会議の議論も踏まえ、価格の一層の適正化が図られるよう、より厳しい算定ルールとすることとしております。
 心の病についてでございますが、いわゆる心の病に苦しむ方々に対する支援については、政府として早急に対応すべき重要な課題であると認識しております。
 このため、本年度より、治療、相談に当たる医師、保健婦などを対象とした専門家の養成事業に着手するとともに、本年三月に開設する国立成育医療センター、これは仮称でありますが、現在のところ、専門の診療部を設置するなど、研修、研究、治療の体制整備を進めることとしております。
 今後とも、各都道府県の精神保健福祉センターの機能の充実や、大学院段階で心理学に関する高度な専門的な学習と実践を積んだ臨床心理士の養成や研修の推進を図るなど、関係者の声にも十分に耳を傾け、対策の充実に努めてまいります。
 日韓関係についてでございますが、私は、できるだけ早い時期に韓国を訪問し、金大中大統領と忌憚のない意見交換を再び交わしたいと思っております。また、ワールドカップサッカー大会の日韓共催は、日韓両国のきずなを深めるためのまたとない機会であり、両国が手を携えることによって、これを成功に導いていきたいと思います。
 このワールドカップサッカー大会に向けた日本の準備体制についてでございますが、本大会を成功させるためには、いかに安全を確保するかが大きな課題となっております。政府としても、十一省庁から成る関係省庁連絡会議を組織して、日本組織委員会とともに、テロ対策やフーリガン対策等の安全対策について精力的に検討、準備を進めております。
 警察においては、全国の機動隊を最大運用するとともに、関係機関のみならず、諸外国の治安機関とも連携して、安全確保に万全の体制を確立するものと承知しております。
 永住外国人に対する地方選挙権付与についてでございますが、この問題については、現在、公明党・保守党案と民主党案の二法案が継続審議となっていることは承知しておりますが、我が国の制度の根幹にかかわる問題であり、各党会派における議論を進めていただきたいと考えております。
 テロ対策特措法に基づく自衛隊艦船の派遣期間についてのお尋ねでございます。基本計画に定めた派遣期間の延長については、諸情勢を見極めつつ、派遣延長の必要性を主体的に判断したいと考えております。
 有事法制についてでありますが、政府としては、憲法の枠内で有事への対応に関する法制について取りまとめを進めておりますが、その中で、御指摘の点にも配慮しつつ、法制が扱う範囲、法制整備の全体像、基本的人権の尊重及び憲法上の適正手続の保障等の法制整備の方針等を明らかにしたいと考えております。
 日米首脳会談における日本経済の扱いについてでございますが、私は、持続的な経済成長をするために改革が必要だと。改革なくして成長なしと、この方針で引き続き揺るぎない決意で構造改革に邁進していきたい。そして、日本の持っている潜在力を将来活発に展開できるような体制を進めていく、それが大事だと。その過程において、金融市場も含めた経済情勢の監視を怠ることなく、様々なリスクに十分留意してまいりたいと思います。首脳会談においてもこのような方針を説明したいと思っております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(坂口力君) 草川議員から二問質問をちょうだいしましたが、若年者の雇用対策についてでございます。
 若年者に対しますカウンセリングは、御指摘のとおり、現在、大都市部を中心にいたしておりますけれども、やはりこれは全国各地域に展開しなければならないというふうに考えておりますので、順次拡大をしていきたいというふうに思っております。
 また、この若年者の失業率が高水準で推移をしますとともに、フリーターと言われる若者も増加をしておりますが、若年期における失業やフリーター期間の長期化はキャリア形成の支障となりますし、これは、本人にとりましても社会にとりましても大きな損失になると思っております。
 このため、厚生労働省としましては、本年度から、フリーターに対しまして、相談から就職に至りますまでのマンツーマンの就職支援を実施するとともに、第一次補正予算におきましても若年者トライアル雇用事業を開始したところでございます。
 若年層の失業者は確かに多いんですが、この若年層には求人もまた多いことも事実でございます。このミスマッチをどう解決をしていくか、もう一歩ここは踏み込んだ施策が必要だというふうに思っておりまして、この点につきまして、十分に施策を展開していきたいと考えているところでございます。
 ワークシェアリングについての御質問がございましたが、このことは先ほど総理の方から詳しくお話がございましたので、重複は避けさせていただきたいというふうに思いますが、大事なことは、失業者を少なくすることと企業の柔軟性を失わないこと、この二点のことに留意をして進めなければならないというふうに思っております。
 そのやはり前提として非常に大事なことは、パートタイマーの位置付け、在り方というものをどうするかということが非常に大事でございまして、先日、パートに関する検討会の中間報告をいただいたところでございますが、その中には大変重要な視点が含まれているというふうに思っておりますので、厚生労働省といたしましても、早急に我々の考え方を取りまとめたいと考えているところでございます。
 労使の皆さん方との御相談につきましては、先ほどお話がございましたとおり、三月、しかもその早い時期に一つの結論を得たいというので、今鋭意検討を進めさせていただいているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(竹中平蔵君) 草川議員から一点質問をいただいております。
 税制の総合的な見直しについては、十五年度からの実施は無理ではないかというお尋ねでございます。
 言うまでもありませんが、税制の在り方は、経済再生基盤を築く重要なかぎでございます。今後は、経済活動における自由な選択を尊重して、努力が報われるような社会を実現するために、総合的な再構築をしていかなければいけない段階であります。
 そのためには、やらなきゃいけないことはたくさんあるということだと思います。まず、経済活性化をどのように支えるのか、経済社会の構造変化にどう対応するか、中立、簡素、公平な税制をどう実現するか、さらには適正な、適切な租税負担水準や地方分権にふさわしい地方税の在り方をどう考えるかなどでございます。
 そこで、経済財政諮問会議や政府税制調査会においては、今後あるべき税制の構築に向けて総合的に取り組みまして、六月ごろを目途に基本的な方針を示すこととしております。その中で、当面対応すべき課題については年内に取りまとめて、平成十五年度以降、順次実現していくことが必要であるという趣旨でございます。必要がある場合は、工程表の作成も含めて多段階で行うというふうに考えております。
 以上、お答えを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(井上裕君) 富樫練三君。
   〔富樫練三君登壇、拍手〕
#9
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、アフガン復興国際会議へのNGO出席拒否をめぐる一連の対応についてです。
 これまでの審議を通じて、鈴木宗男議員による不当な介入、圧力、それに屈した外務省の卑屈極まる対応が明らかになっています。何よりも道理がないのは、外務省の誤りを正した田中眞紀子前外務大臣が事実上罷免されたのに対し、鈴木宗男議員、野上事務次官らは事実上おとがめなしとされたことであります。
 そこで伺います。
 第一は、その後の外務省の不遜極まる態度についてであります。野上次官は今、外務省や外務省OBから、外務省を守ったとして英雄扱いであります。外務省を守ったとは一体どういうことか。別に外務省をなくそうなどという議論があるわけではありません。要するに、機密費や族議員の暗躍など、外務省の腐敗体質と官僚機構を守ったということではありませんか。このどこにも今回のことへの反省をうかがい取ることはできません。総理や新外務大臣は、この現状を肯定的に評価しているのですか。
 第二は、鈴木宗男議員に対する総理や自民党内の評価であります。潔いと総理は評価しています。一体どこが潔いのか、逃げ足が速いだけではありませんか。潔いというのは、参考人であれ証人であれ、国会で真相を率直に語ることではありませんか。それを拒否するのなら、潔いどころか、こそく極まる態度と言わなければなりません。総理の見解を求めます。
 第三は、鈴木宗男議員とODA、政府開発援助をめぐる重大疑惑についてであります。ODAにおけるケニアでの水力発電事業について、国会で明らかにされた外務省公電によると、当時の鈴木宗男内閣官房副長官がこのプロジェクトへの円借款を迅速に検討することを約束しています。そのためかどうか、借款が正式に決定する前に工事の入札、発注まで行われたにもかかわらず、交換公文はいまだに締結されていません。なぜこのような異例の措置となったのか、鈴木議員がどう関与していたのか、その真相を明らかにしていただきたい。
 次に、公共事業をめぐる口利き料と巨額脱税、汚職事件についてであります。
 加藤紘一元自民党幹事長の秘書、鹿野道彦衆議院議員の元秘書らによる公共事業の受注の口利きとそこからの巨額利得は、国政はもちろん、地方政界まで巻き込んで拡大しています。業際研究所という公共事業専門の口利き会社まで作ったというのですから、あきれ果てたものであります。こうした秘書らの口利きの背後に加藤議員や鹿野議員の存在があったことは容易に推察できることであります。
 我が党は、加藤紘一元自民党幹事長、鹿野道彦衆議院議員らの証人喚問を断固として要求しますが、総理はその必要性を認めるかどうか、まず認識を伺いたい。
 外務省への鈴木宗男議員の圧力といい、公共事業を食い物にする事件といい、これらはいわゆる族議員というものがいかに行政や税金を私物化しているかをあからさまに示したものであります。
 例えば、鈴木宗男議員と外務省の関係は、鈴木議員が予算の獲得や法案の成立に力を尽くす、外務省はその見返りにNGOやODA予算などの執行について鈴木議員の言うことを受け入れる。公共事業でいえば、族議員が無駄な公共事業予算を獲得する、その代わりに公共事業の発注にまで口出しをする。持ちつ持たれつの癒着関係の上にこそ族議員は成り立つわけであります。税金の使い方や行政の私物化が生まれるのは必然であります。
 この関係を絶つ最大のかぎは、幾ら族議員として権勢を誇っても絶対に金にはならない仕組みを作ることであります。そのためには、企業・団体献金の禁止は避けて通れない課題ではありませんか。総理の見解を求めます。
 次に、経済についてです。
 今や総理が言う構造改革論の破綻は目を覆うばかりであります。総理、あなたの内閣の下で日本経済と国民の生活は悪化の一途をたどっています。良くなった経済指標など何一つありません。日本経済は、所得、消費、生産が連鎖的に落ち込むという、戦後の日本でも世界でも経験したことがない新たな危機に直面しています。にもかかわらず、あなたの口から出てくるのは、構造改革なくして成長なしという聞き飽きたむなしいキャッチフレーズだけではありませんか。
 そこで、具体的に伺います。
 小泉構造改革は、最大の柱として不良債権の早期最終処理を位置付け、銀行が融資を打ち切り、企業を倒産させても資金を回収するという処理策を政府主導で強引に進めてきました。しかし、その結果はどうでしょう。不良債権は、昨年三月期と九月期、つまり小泉内閣誕生後わずか半年間で三兆円以上も増加したではありませんか。
 当然です。強引な不良債権処理は、貸し渋り、貸しはがしを激化させ、倒産と失業を増やし、景気を悪くします。だから、処理しても処理しても、それ以上の新しい不良債権が生まれてくるのです。このことはやる前から分かっていたことです。
 なぜこのような無謀なことをやるのか。アメリカからは繰り返し不良債権処理という声が上がっていますが、この外圧にこたえるためですか。答弁を求めます。総理は、不良債権が増えたことを小泉構造改革の成果だとでも言うのでしょうか。そうでないと言うなら、失敗を率直に認めるべきではありませんか。
 政府は、不良債権とされている企業をつぶしても構わないかのように言いますが、全く間違っています。不良債権イコール不要企業ではありません。多くは日本経済を地域から支えてきた中小企業です。不良でも不要でもない、必要な企業であります。こうした企業が、軽々しい痛みなどという言葉で倒産させられる、これがあなたが言う改革ではありませんか。
 今行うべきは、不良債権増加の悪循環を断ち切るために実体経済の立て直しに全力を挙げることです。
 そのためには、公共事業の追加など失敗が明らかな従来型の対策ではなく、この十年来、あなた方が一貫して否定してきた国民の暮らしを応援する政治、すなわち、リストラ、首切りの規制、社会保障の改悪中止、消費税減税などに思い切って取り組むべきではありませんか。
 金融政策でも、あなたがやっていることは支離滅裂です。
 今、日銀は、前例のない超金融緩和を実施しています。しかし、大企業からは資金需要がない。中小企業に対しては不良債権処理の掛け声の下で貸し渋り、貸しはがしを行うという事実上の金融引締めが行われています。一体、何のための金融緩和なのですか。
 特に深刻なのは、相次ぐ信金、信組の破綻です。この一年間余りで五十以上の信金、信組が金融庁の指導によって破綻に追い込まれ、中小企業の倒産と地域経済の冷え込みに拍車を掛けています。この背景には、四月からのペイオフ解禁の前に体力の弱い信金、信組はつぶすという金融庁の方針があります。しかし、今のような深刻な不況の下で、しかも都市銀行などが悪質な貸し渋りや貸しはがしまでやっている下で、ペイオフを解禁する条件はありません。
 大体、政府は、銀行への公的資金の投入について、その理由を貸し渋り対策と預金者保護のためと説明してきました。しかし、実態は、貸し渋りは野放し、預金の全額保護は投げ捨てられようとしています。ところが、銀行への公的資金の投入だけは続けるというのです。
 この結果は、多くの中小企業が資金の道を断たれ、つぶされた信金、信組から融資を受けていた三万三千もの中小業者が、RCC、整理回収機構送りになっています。中小業者からは、不良債権ではないのにRCC送りにされ、運転資金も借りられない、このままでは倒産させられると悲痛な叫びが上がっています。
 そもそも、国際金融も手掛ける大手の都市銀行と、地域に密着して中小業者に資金を供給する信金、信組と、同じ金融検査マニュアルで検査すること自体、どう考えても道理のないものであります。
 そこで伺いたい。
 第一は、今の金融検査マニュアルで信金、信組の検査を行うというやり方を直ちに中止するとともに、信金、信組については、地域金融機関の実態に即した新たな検査基準で検査を行うようにするべきではありませんか。
 第二に、地域金融、中小企業金融を再生するために、各金融機関が地域経済に対し、適切で公正な資金供給を行うよう義務付けること。また、それをチェックするため、必要な情報の公開や金融庁の監督責任を明確にすること。苦情処理体制を整備することなどを内容とする法的措置を取るべきではありませんか。
 総理の見解を求めるものであります。
 次に、雇用問題です。
 既に、失業、完全失業率は五・六%まで悪化しています。その上、大企業のリストラ計画がメジロ押しです。にもかかわらず、政府は、リストラは企業の構造改革だとして応援してきました。
 人件費を削れば大企業の収益性が向上し競争力が増す、これがあなた方の言う企業の構造改革ですが、これは目先だけしか考えない、実に展望のないやり方だと言わなければなりません。リストラで人件費を削減すれば、不況で売上げが落ちても利益だけは確保できるという論理ですが、これは個々の企業では成り立つように見えても、日本経済全体では成り立ちません。
 なぜなら、大企業が当面の利益確保のためにリストラを繰り返せば、国民の所得と消費は落ち込み、雇用不安を広げ、不況を更に深刻化させ、結局は売上げが落ちてしまう。その結果、更なるリストラという悪循環に陥るからです。今の日本経済は、経済学の常識である合成の誤謬、これが発生していると言わざるを得ません。総理にその認識はありますか。
 この下ではびこってきたのは何だったでしょうか。会社から追い出すためには、いじめや人権侵害さえ当たり前のように行われる、雇用や地域経済への企業としての社会的責任は軽視され、会社のため、業績のためなら何をやっても構わない、そんな風潮を日本の企業に広げただけではありませんか。このことを最も深刻に示したのが雪印問題ではありませんか。
 今こそ、大企業が社会的責任をきちんと果たす、そのことを雇用政策の中心に据えるべきです。社会的責任は、経済情勢が厳しいからこそ鋭く問われるのです。企業が社会的責任を果たす努力は企業発展のためにも不可欠であるということが、ヨーロッパでは基本的な思想になっています。この声は日本の地方議会にも広がり、意見書、決議は五十以上に上っています。
 今日の深刻な事態を打開するため、企業の雇用責任を明確にし、正当な理由のない解雇の禁止、転籍、希望退職などを名目にした実質的な大量解雇を制限するための解雇制限法を制定すること、サービス残業の根絶と有給休暇の完全取得、残業時間の上限の法律による規制に直ちに乗り出すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 総理は、所信表明で、医療制度について、持続可能な制度にしていくため改革は待ったなしなどと述べました。しかし、本人三割負担、高齢者の負担増など、この医療改悪を含むあなた流の改革は、国民に重い負担を押し付け、医療保険制度を破綻させ、持続を不可能にするものであります。
 不況とリストラの中で、国民健康保険の保険料滞納世帯は三百九十万世帯にもなっています。サラリーマンの健康保険は保険料収入が低下し、保険財政の危機が急速に進行しています。それなのに、保険料引上げや患者負担増でこの危機を乗り切ろうとすれば、受診抑制による疾病の重大化によって逆に医療費は増大し、健康保険財政はますます深刻になるだけであります。これでは正に悪循環であり、持続可能どころか持続不可能の道にはまり込むことになるのではありませんか。
 国民皆保険制度など、安心して医療が受けられる日本の医療制度の良いところを発展させることこそ本当の医療改革です。
 そこで提案をします。第一に、老人医療費に占める国庫負担割合を計画的に引き上げること。第二に、医療費の無駄を言うのであれば、諸外国に比べ不当に高い薬価を適正な価格に引き下げること。第三に、病気の早期発見、早期治療を基本にすること。以上について、総理の見解を求めるものです。
 なお、児童扶養手当の削減は母子家庭に塗炭の苦しみを与えます。その苦しみを考えたことがありますか。削減計画を撤回すべきではありませんか。
 次に、BSE、いわゆる狂牛病問題について伺います。
 BSE問題での政府、農水大臣の無責任な対応が大混乱を引き起こし、雪印問題まで加わって、政府と農水大臣に対する厳しい批判と不信がますます拡大しています。
 BSE問題は、小泉内閣にも重大な責任があります。昨年五月、EU委員会は武部農水大臣に対し、日本でも既に狂牛病の牛がいる可能性があると文書で警告を発していました。ところが、武部農水大臣はこの警告を余計なお世話と言わんばかりに拒否しました。狂牛病の牛が発見されたのは、それからわずか四か月後でした。この大失態の責任を小泉総理はどう考えているのですか。
 総理によれば、多大な貢献をしたという田中外務大臣の首を切って、多大な迷惑を掛けた農水大臣をなぜ罷免しないのですか。国民に分かるように説明していただきたい。
 今緊急に必要なことは、甚大な被害を受けている畜産農家、流通業者、販売業者に対し、国の責任で補償措置を取ることです。野党四党は、補償措置と牛肉の安全な供給体制の確立を図るための法案を提案していますが、政府・与党は素直にこの提案を受け入れ、早急な成立を図るべきではありませんか。総理の誠意ある答弁を求めるものです。
 最後に、安全保障と外交についてであります。
 総理は 施政方針演説で、不審船問題を、国民の安全を確保するためとして、有事立法提出の理由に挙げました。もちろん、不審船が領海など我が国周辺海域で出没していることは放置できないことです。しかし、不審船問題と有事法制は全く別次元の問題であります。
 我が党は去る一月二十八日、次の見解と提案を発表しました。
 第一は、我が国のすべての主権が及び、あらゆる犯罪行為を取り締まることができる領海と、極めて限定された主権しか及ばず、それ以外は公海と同じようにすべての船舶の自由航行が保障されなければならない排他的経済水域とは、きちんと区別されなければならないということであります。
 第二は、今回の事件での海上保安庁の対応です。
 海上保安庁は漁業法違反であると言いながら、その一方では、これまでの情報から、相手船舶にはロケットランチャーや自動小銃が積み込まれていると最初から判断していた、だから特殊部隊も出動させたと説明しています。つまり、最初から漁船とは認識していなかったにもかかわらず、漁業法違反で対処したということです。これは矛盾した説明のつかない対応であり、国内法上も国際法上も根拠を欠いた誤ったものであり、今後厳しく是正すべきであります。
 第三に、では不審船への対処をどうするのか。我が党は手をこまねいて放置しろという態度を取るものではありません。
 まず、領海の不審船については、海上保安庁法によって停船、立入検査ができるようになっており、違法行為があれば、これは国内諸法規によって取り締まることができますから、現行法で十分です。
 問題は、排他的経済水域における不審船にどう対応するかという問題であります。不審船が排他的経済水域など周辺水域に出没していることは、日本だけでなく、近隣諸国にとっても黙視できない問題のはずです。しかし、国連海洋法条約には、不審船のような船舶について取決めがあるわけではありません。したがって、今、日本が重視すべきは、日本一国での対応ではなく、外交的努力です。中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど周辺国と協力、共同して不審船などに対処できるよう、必要なルール作りを行うべきであります。
 第四に、海上における安全や秩序を確保するための警察活動は、第一義的に海上保安庁が行うべきで、この分野で自衛隊の任務を拡大する方向には反対です。また、海上保安庁によるものであっても、武器の使用は十分に抑制的であるべきです。これは、日本があの侵略戦争を起こした国として、また憲法第九条を持っている国として、特別に重視すべきことであります。
 以上の我が党の見解と提案について、総理の見解を求めます。
 次に、有事法制についてです。
 有事法制は、憲法が放棄した戦争を行うことを前提としている点でも、また国民の人権や自由を侵害するという点でも、日本国憲法の平和的、民主的諸原則に反するものであります。
 戦後の日本で、曲がりなりにも平和が続き、国民の中で平和、人権と自由の思想が定着してきたのは、憲法を守り、有事法制を阻止してきた国民の世論と闘いによるものでした。有事法制を今国会に提出するという総理の方針は、こうした国民世論への挑戦であり、厳しく糾弾するものであります。
 一九七七年、七八年当時、防衛庁官房長として有事法制研究に携わった竹岡勝美氏は、最近、国会議員有志に一文を寄せていますが、その中で、有事法制とは、いずれかの国が日本と周辺の制空権、制海権を確保した上で、地上軍を日本本土に上陸侵攻させ、国土が戦場と化す事態を想定した法制であると述べています。
 総理、一体どこの国が日本の制空権、制海権を確保し、地上軍を送るような能力、意図を持っていると考えているのか。余りにも常識と懸け離れた想定と思いませんか。
 総理を始めとする有事法制推進派の人々は、もっともらしく備えあれば憂いなしと言います。しかし、備えあれば憂いなしという思想は、備えがあればあるほど良いという議論に容易に結び付き、軍備拡張の論理になるのです。また、攻撃は最大の防御ということにもなるのです。現に、備えた後には戦争があったというのが我が国の歴史ではありませんか。例えば、一九一八年のシベリア出兵に際しては軍需工業動員法が作られ、一九三八年、中国への全面侵略を進めるためには国家総動員法が作られました。この歴史の教訓にこそ学ぶべきではありませんか。
 今、世界では日本国憲法第九条にノーベル平和賞を贈ろうという運動すら起こっています。なぜこの憲法九条を堂々と掲げて平和の外交を推し進めようとしないのですか。総理の答弁を求めます。
 最後に、対米外交の基本姿勢について伺います。
 今、アメリカのブッシュ政権は、単独行動主義と言われるように、戦後、国際社会が営々として積み上げてきた努力の成果に全面的に挑戦しています。一国覇権主義です。例えば、京都議定書からの離脱、生物化学兵器禁止条約の強化や対人地雷禁止条約などに反対、弾道弾迎撃ミサイル制限条約からの離脱も決定しました。ホワイトハウスの記者会見で、第二次大戦後に結ばれた条約で破棄しようと思わない条約はあるのかと記者から質問が出るほどまでになっています。このようなアメリカに追随することは、日本もまた世界の努力に水を差すことになりかねません。総理は、私が今挙げたアメリカの行動の中で、一つでもアメリカの行動を堂々と批判したものがありますか。
 とりわけ重要なのは、アメリカが唯一の被爆国である日本国民の核廃絶の世論にも挑戦していることです。ブッシュ政権は、小型核兵器開発、そのための核実験を進めるため、包括的核実験禁止条約、CTBTの批准を拒否しています。
 ところが、小泉政権は、ブッシュ政権のこのような核問題での姿勢について、これまで何一つ抗議すらしていません。総理は、イギリスやフランス、ロシアなども批准しているこの条約について、アメリカの態度をどう考えているのですか。堂々と批判し、批准を求めるために世界と連携するという考えはないのですか、答弁を求めます。
 最後に、二十一世紀をアジア諸国との友好と連帯、平和の世紀とするために全力を挙げる決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 富樫議員にお答えいたします。
 野上前次官の進退及び外務省の体質についてのお尋ねがございました。
 私は、今回の国会の混乱という事態を打開するために、田中前大臣また野上次官の辞意を受け入れるという選択を行ったところでありまして、これは事態正常化に結び付いたものと思っております。御質問のように、野上次官が外務省を守ったとして英雄扱いされているなんとは毛頭思っておりません。川口大臣が外務省改革に意欲的に取り組もうとしておりますので、これを積極的に支援していきたいと思っております。
 鈴木議員の参考人招致等についてのお尋ねでございますが、これは参考人招致、国会の場で皆さんよく議論していただきたいと思います。
 加藤元幹事長、鹿野議員などの証人喚問についてのお尋ねでありますが、私は、世間から疑惑を持たれている場合には、政治家はだれであっても自らきちんと国民に対して説明して対応していくべきものだと考えております。その上で、証人喚問する必要があるかどうかというのは、国会の場でよく議論していただきたいと考えております。
 企業・団体献金についてのお尋ねでございますが、私は、政党活動をする上において、一定の制約の下で企業献金あるいは団体献金を受けることを悪とは思っておりません。これから、政治と金の結び付きについて不信を招かないような措置を取る、仕組みをするということは大切だと考えておりまして、こういう点について、各党各会派で引き続き、民主主義のコストとして政治活動の資金はだれがどのように負担すべきか、国民がどのように政治家にあるいは政党に資金を提供すべきか、また、政党、政治家はどのような形で国民から資金の提供を受けて民主主義を発展させていくかという点について、各党各会派で議論を進めていただきたいと思っております。あわせて、不正防止については適切な対応を取ってまいりたいと思っております。
 不良債権の最終処理を進める意義についてでございますが、不良債権の最終処理は、成長分野への資金の流れを促進する、そして他の分野における前向きの構造改革と併せて実施することにより、我が国経済の再生につながるものと考えております。政府としては、集中調整期間終了後の平成十六年度には不良債権問題を正常化するよう全力を尽くします。
 解雇規制についてでございますが、経済社会の構造変化に伴い雇用の流動化が進む中で、労働関係をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと認識しておりまして、現在、厚生労働省において、労使を始め関係者の意見を十分聞きながら検討しているところであります。
 公共事業の追加と、社会保障改革に関するお尋ねでありますが、社会保障制度、これは国民の安心と生活の安定を支える基本的な大事な制度でありまして、今後少子高齢化を迎える我が国におきましても、これを維持発展させていくためにも、今までのように給付は厚く負担は軽くというわけにはいかないと考えております。どうして持続可能で安定的、効率的な制度に再構築していくかということを考えるのが重要であると思います。私はこの改革の道筋を、国民との協力の下に制度の見直しを進めていきたいと考えております。
 消費税については、上げるとも下げるとも申しません。今後の税制改革に当たりまして、予断なく、予見なく、幅広い観点から検討を行いまして、活力ある税制改革に向けて議論を進めていきたいと思いまして、その中で議論すべき問題であると思っております。
 日銀の金融緩和政策に関するお尋ねでありますが、日銀が金融緩和を行っているにもかかわらず、実体経済に資金が流れていかないという問題点が指摘されているということは事実承知しております。しかしながら、一連の金融緩和措置は、流動性懸念の払拭や金利の低下などを通じて景気の下支えに一定の貢献をしているものと考えております。今後とも、日銀におかれては、政府の進める構造改革を踏まえ、デフレ阻止に向けて適切かつ機動的な金融政策運営を行うよう期待しております。
 信用金庫、信用組合の検査に関するお尋ねであります。
 金融機関においては、適切な資産査定等を行うことにより、その健全性を確保することは、金融機関の規模のいかんにかかわらず、共通の原則であります。こうした原則に立ちながら、金融検査マニュアルにおいては、資産査定に当たり、特に、信用金庫、信用組合の主な取引先である中小零細企業等について、その特殊性を総合的に勘案して判断するものとしているところであります。検査に当たっては、このような考え方を踏まえ、適切な対応に努めているところであります。
 地域経済に対し資金供給を義務付けること等を内容とする法的措置についてでございますが、御提案の法的措置については、金融機関の融資業務等は、基本的には自主的な経営判断、すなわち市場メカニズムに従って行われるべきであり、政府が何らかの措置を義務付けること等については慎重に考えるべきものと思います。政府としては、先般の改革先行プログラムに基づき、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう金融機関に対して要請しているところであります。
 今の経済は、リストラの悪循環という合成の誤謬が発生しているのではないかというお尋ねでありますが、リストラには、雇用削減などマイナスの側面が強調されますが、本来は、企業が業務内容を見直すことなどを通じて生産性を上昇させていくというものもあります。それは高成長分野への資源の移動を通じて経済成長を生み出すなど、マクロ経済全体にもプラスの影響も与えるということを考えなきゃならないと思います。しかし、短期的に失業が上昇します。そういう懸念をいかに払拭していくか、構造改革を推進する中で雇用のセーフティーネットの整備を引き続き進めてまいります。
 解雇制限法やサービス残業の根絶等の法整備についてのお尋ねでございますが、労働環境をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと認識しており、現在、厚労省において、労使を始め関係者の意見を十分聞きながら検討しているところであります。
 年次有給休暇の取得促進については、これを取得しやすい職場環境の整備に向け周知啓発に努めるとともに、所定外労働の削減についても大臣指針が遵守されるよう指導に努めているところであります。また、いわゆるサービス残業は、その多くが賃金未払いという違法なものであり、今後ともその解消に努めてまいります。
 医療保険制度の改革についてでありますが、この国民皆保険制度を堅持していく上でお互い国民がどのような負担をし、どのような給付を受けるか、また高齢者医療を始めとする給付と負担の見直しや医療情報の開示など思い切った改革を行うことにより、安定した効率的な国民皆保険体制を持続可能なものにするために、今後も改革を進めていきたいと思っております。
 老人医療における国庫負担、薬価の適正化、健康づくりの推進についてでございますが、まず、高齢者医療制度については、今般の改革において、その安定的な運営を確保する観点から、現行制度の対象年齢を現行の七十歳から七十五歳に引き上げるとともに、公費負担割合を現行の三割から五割に段階的に引き上げることとしております。
 また、薬価については、これまでも適正化対策を講じてきたところであり、平成十四年度の薬価改定においても、既存の医薬品の薬価の引下げを行うとともに、新規性の乏しい新薬について価格の適正化を図るなど、更なる適正化を推進してまいります。
 さらに、より多くの方々が健康で生き生きとした生活を送ることができるよう、健康増進の基盤整備を図るための法律案を今国会に提出するとともに、総合的な健康対策を進めてまいりたいと思います。
 児童扶養手当制度でございますが、今回の児童扶養手当制度の見直しは、新しい時代の要請に対応するため、母子家庭対策を総合的に見直す一環として行うものです。
 具体的には、母子家庭の自立促進のため、相談機能の強化を図るとともに、子育て支援策、就労支援策、養育費の確保策、経済的支援策などについて見直し、母子家庭への総合的な施策の展開を図るための法改正を行ってまいりたいと考えます。
 この中で、児童扶養手当制度については、児童の福祉や自立が困難な者についてきめ細かな配慮をしつつ、母子家庭の自立が一層促進され、また、制度そのものが厳しい財政状況の中でも持続可能なものとなるようにしていきたいと考えております。
 BSE問題についてでございますが、EUの指摘の対応の在り方については、厚労大臣と農水大臣の私的諮問機関として設置されたBSE問題に関する調査検討委員会において議論しているところでございます。私は、その結論に基づき、農林水産行政の改革を実施する考えであります。また、感染経路の究明や関連対策の実施などに取り組んでいるところでありまして、農水大臣には、これらの職責を果たし、国民に安心していただけるよう全力を尽くしてもらいたいと考えております。
 BSE対策や生産者、流通業者等への対策を法律で措置することについては、今後、BSE問題に対してどのような法的対応が適当かについて議論を深めるべきだと考えておりますが、政府としては、BSEの発生・蔓延防止と感染経路の究明に遺漏のないよう関係法令の見直しについて検討を進めているところであり、今国会に法案を提出する予定でおります。
 今回の不審船事案にかかわる共産党の見解と提案についてでございますが、今回の事案において、海上保安庁は、不審な外国漁船を発見した水域が我が国の排他的経済水域であることを十分認識の上、国際法及び国内法にのっとり適正に対処したと承知しております。
 海上における警察活動は、第一義的には海上保安庁が行うものでありますが、今後、今回の経験を踏まえて、自衛隊との連携等の問題については、運用面、法制面の両面から更に見直しを進めてまいりたいと思います。
 我が国は既に、アジア諸国間の信頼醸成のため、二国間及び多国間の様々な形での対話促進に取り組んでおり、今後とも、このような努力を継続していく考えであります。
 有事法制が対象としている事態や国についてのお尋ねでありますが、現在のところ、御指摘のような事態について我が国に脅威を与える特定の国を想定しているわけではございませんが、日本国憲法の下、我が国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えておくことは、国としての責務であると考えております。
 有事法制の検討をやめるべきではないかとのお尋ねでありますが、有事への対応に関する法制の検討が軍備拡張などの理論になるとの議論は、私は理解に苦しみます。むしろ、日本国憲法の下、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えることは、国としての責務であると考えておりまして、備えがあれば戦争があるという考え方には、全く理解に苦しんでおります。
 憲法九条を生かした平和外交についてのお尋ねでありますが、我が国は、戦後一貫して、経済大国になっても軍事大国にはならないという方針を堅持して外交政策を展開してまいりました。今後ともこの考えには変わりません。世界の平和と安定のための努力を積極的に続けていきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(川口順子君) 私に対しまして、二つのお尋ねがございました。
 一つは、外務省の体質についてのお尋ねでございます。
 私としては、野上次官が外務省を守ったとして英雄扱いされているとは感じておりません。いずれにいたしましても、総理の三つの御指示も踏まえまして、外務省に対する内外の信頼を一刻も早く回復すべく、外務省改革に意欲的に取り組んでいくつもりでございます。
 次に、対ケニア円借款、ソンドゥ・ミリウ水力発電計画についてのお尋ねでございます。
 本件の検討実施に当たっては、既に国会において答弁がなされているとおり、特定の政治家の関与ないし影響力が、影響力の行使があったという事実は一切ありません。また、本件計画の第二期分の入札に関しては、ケニア側が自らの責任において手続を進めたものと承知しています。
 日本側としては、本件円借款の供与についての結論が出たところで、この入札手続についての対応も判断することとなります。(拍手)
#12
○議長(井上裕君) 答弁の補足があります。小泉内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#13
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 富樫議員に対して答弁の補足を行います。
 対米政策の基本姿勢に関するお尋ねがございました。
 アメリカとの関係、日米協力関係は日本にとって基本的な大事な同盟関係であります。私は、国際社会に貢献していくためにも、引き続き、日米関係の緊密化を図っていきたいと思っております。日米双方がお互いに言うべきことを言い、やるべきことをやっていくとの姿勢が必要と考えます。
 ブッシュ政権との間で御指摘のような分野を含む幅広い分野における緊密な政策協調は今後も行っていく考えでありまして、我が国は、包括的核実験禁止条約につき、これまでも米国に批准を求めてまいりましたが、引き続き、同条約の批准を含めた核軍縮の努力を働き掛けていく考えであります。(拍手)
#14
○議長(井上裕君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#15
○議長(井上裕君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。西岡武夫君。
   〔西岡武夫君登壇、拍手〕
#16
○西岡武夫君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表して、小泉総理の施政方針演説について質問いたします。
 小泉総理は、政権担当以来九か月、ただひたすら構造改革を唱え、それに伴う痛みに国民が耐えてくれることを求め続けてこられました。
 その挙げ句、敗戦後の混迷収まらぬ昭和二十一年年頭に昭和天皇が詠まれた和歌を施政方針演説で引用されました。これは、昭和天皇の権威を政治の場に利用して、総理が国民に訴えてきた痛みを正当化するという、憲法の精神に違反する暴挙です。昨日、江田五月議員の指摘に対し、反省のそぶりも示されませんでした。言語道断と言わなければなりません。直ちに、直ちに撤回されることを求めます。
 昨年来、そうして施政方針演説においても肝心の構造改革の内容は断片的な手直し案でしかなく、改革が実現した暁にどのような日本の姿を描いておられるのか、いまだに不明であります。
 私は、自由主義社会と議会政治が完全なものとは考えませんが、現時点で人類が考え得る最良の政治体制であると信じます。
 自由社会は、正しく努力する者が正当に評価され、それぞれの個性を伸ばし、報われる社会であることによってのみ成り立ちます。同時に、この自由主義社会は、強い個人、自立し自律的精神を持った個人によって構成されて初めて維持されます。そうして、その自立した個人は広い意味での教育によって育成されます。
 一方、どのような社会においても、残念ながら自分の責任でない不条理な原因によって不幸に見舞われる方がおられます。そのような方々には、社会的連帯によって助け合う、このことがなければ自由社会は存続できないでしょう。なぜなら、すべてが自由競争、市場原理で動くならば、自由社会は弱肉強食の修羅の場になってしまうからであります。
 以上が私の政治に取り組む基本的考え方です。
 この考えに基づいて、小泉総理に質問いたします。
 まず、日本経済の現状を小泉総理はどう認識しておられるのか、お尋ねいたします。
 現在、我が国には自由社会の根幹が問われる厳しい兆候が各分野に現れています。本格的構造改革は何ら具体化しないままに、総理の説く痛みだけが国民を襲っているのです。
 今日まで国民の皆さんは、日本の置かれている困難な経済状態を肌で感じ、その打開の難しさに理解を示しておりました。その素地の上に小泉総理の一見率直で真剣な訴えを受け入れ、痛みをも理解しようと受け止められたのが小泉総理の高い支持率だったと思われます。
 小泉総理、今、我が国では一年に三万人を超す方が自ら命を絶つ悲劇が続いています。三万人といえば、地方の一都市の人口が一年間に忽然と消えてしまうことを意味しています。この異常な状況を統計数字として見るだけで、自ら死を選択した複雑な悲しみの背景を政治の責任として真剣に受け止め対応できなかったことに私自身じくじたる思いであります。
 その自殺者の中には、自分の生命保険金と引換えに、すなわち自分の命で借金を清算するという悲惨な不幸が後を絶ちません。総理のお考えを承ります。
 自民党は、今国会において国会議員の歳費を一〇%削減する方針を固めたようですが、なぜそれが一年間だけに限られているのか、根拠が分かりません。私どもは、あえて反対するものではありませんが、余りにも小手先のやり方であって、国会議員の歳費が公務員の俸給体系と関連するだけに、もっと根本的な検討をすべきと考えます。
 自由党としては、既に衆議院議員定数五十名削減を提案し、最終的に定数を三百名にする考えを明らかにしています。参議院については、これは私見でありますが、現状のままでは、抜本改革か廃止をも含めて、その在り方を検討すべきだと考えます。
 このように、政治が率先して身を削り、自らを正すことによって初めて官僚機構を本格的に改革する力を持ち、国民に痛みを求めることができると私は考えます。
 政治と金をめぐる不祥事などは許されるものではなく、政権党の責任者として小泉総理の責任は極めて重いものがあります。総理の御見解を承ります。
 これまで、国会改革などの質問に歴代の総理は、国会のことに行政府の長が口を出すことは差し控えると答弁されるのが常でありました。ところが、小泉総理の場合、その答弁は通用いたしません。なぜなら、小泉総理は、総理の立場で、善しあしは別にしても、国会の権能に介入し、議院内閣制を根底から否定する首相公選論を正式に提起し、諮問機関で論議を進めておられます。明快にお答えください。
 小泉総理は、大手金融機関や大企業には積極的に直接、間接的に国民の税金を使って救いの手を差し伸べておられます。その上、施政方針演説で述べられたように、銀行の保有株買取機構を作って公的資金で株を買い取るという手厚い対策も用意しておられます。自由経済の原則から、金融機関だけをこれ以上例外とすることは、金融機関の特性を考えても、明らかにゆがめられた政策と言わなければなりません。必ずこの施策は後遺症をもたらすでしょう。
 さらに、大手の金融機関は、大企業の借金には巨額の債権放棄を認めていますが、中小零細企業や個人商店の借金を棒引きにして再建策を考えてくれたという実例を私は寡聞にして知りません。総理は、資金繰りにあえいでいる中小零細企業の現場の状況をどこまで知っておられるのか、融資が必要な中小零細企業に資金が供給されていると本当に思っておられるのか、お尋ねいたします。
 中高年齢層だけでなく、若者の就職難はいよいよ深刻であり、言葉の羅列でなく、具体的な施策として示されなければ重大な社会問題になりかねません。総理はどうお考えですか。
 構造改革なくして成長なしという歯切れのいいスローガンで、小泉総理は九か月間国民の高い支持を受けてこられました。しかし、総理の言われる構造改革とは何なのか、いまだに分からないのです。
 現に、独立行政法人という新しい組織が行政改革や特殊法人改革の中心に据えられていますが、これは全くのまやかしです。特殊法人を衣替えさせ、多くの政府機関を独立行政法人化して、国の機関を身軽にしたと見せ掛けるだけのごまかしであります。これは直ちにやめるべきであります。
 特殊法人は、当初、全部を廃止するというのが原則のはずでありました。中でも理解に苦しむのは、道路公団の民営化と道路特定財源の一般財源化についてであります。
 有料道路は、本来、利用者の支払う料金によって建設費を賄い、その後は国道に編入して、当然、通行料は無料になる仕組みで発足したのであります。国の基幹的道路の建設と管理を民間に移譲することが構造改革とは到底思えません。総理はどういう理由で道路公団の民営化を推進されるのか、御説明ください。
 さらに、道路特定財源となる税は、国民が自分の、自分が通る道路を建設するためだから受け入れてきたのです。もし、今後、道路の建設費を減額するという小泉政権の方針ならば、運送業や個人の自動車所有者の税負担を軽くするのが税制の基本と考えます。総理のお考えをお聞かせください。
   〔議長退席、副議長着席〕
 不良債権の処理が緊急の課題であると言われる総理の考えは当然であります。しかし、住宅金融専門会社の後始末に国民の税金を六千八百五十億円使ったあのあしき前例を小泉総理に思い起こしていただきたいのです。特定の企業や業態の借金を棒引きにし、一方で大手銀行に政府が資本注入を行うというやり方は、勤勉な国民の意欲を損なうものであります。もし、これ以上、預金保険機構を通じて大手金融機関に政府が資金を投入するのなら、まず経営陣の責任を明らかにすべきであります。
 総理が議長である金融危機対応会議で次のことを決めておられます。三点であります。
 金融機関の連鎖的な破綻、連鎖的な資金繰り難、大規模な貸し渋りの発生などを想定して資本注入できる方針を決めておられるようですが、国民に分かりやすく、預金者や取引先が安心する具体的な内容を示す責任があると私は思います。小泉総理の御所見を伺いたいと思います。
 私たちは小さな政府を目指しております。
 地方自治体を適正な規模に再編して、行政の中心とすべきであります。政府は、外交、防衛、義務教育、社会保障、医療制度と基幹的な国土・交通・通信政策に責任を持ち、国民の日常生活にかかわる行政はすべて地方自治体が財源と行政責任を持つ仕組みに変えなければなりません。補助金を廃止し、その金額を地方自治体に交付して自治体の自由な判断で施策を進める改革は、自治体の統合を待たなくても今年度からでも実行できたはずであります。なぜこんなに分かりやすい改革ができないのか、総理の御意見をお聞かせください。
 今、国民の多くが消費を手控えている最大の理由は、生活の将来展望が立たないことにあります。年金制度を見直し、年金の将来像を速やかに示すべきであります。医療保険についてもこのことは同様です。私は、基礎年金、介護、高齢者医療と子供の難病の医療費について、消費税を財源として国の負担を明確にすべきと考えます。同時に、税制については、所得税制の単純化と税率の引下げを行い、税制全体を見直し、申告納税制度への移行が必要であります。
 今回の田中眞紀子外務大臣更迭の経緯によって、国民の皆様方は小泉政治の手法に疑問を持ち始めたと思います。
 小泉内閣が誕生したとき、小泉総理は一内閣一閣僚を表明されました。私もこのことには大賛成でした。この小泉総理の宣言には、二つの意味があったはずであります。
 まず第一に、半年や一年で交代する大臣が自分の考える政策を実現することは物理的にもほとんど不可能であります。官僚政治がまかり通るのは当然だったのです。
 第二に、これが議院内閣制の本質的な問題でありますが、憲法第六十六条の「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」という、これまでの内閣で形骸化していた憲法の精神を小泉総理は実践する決意を示されたと私は理解しておりました。
 具体的には、小泉内閣は、閣僚を一人でも更迭又は罷免する事態になれば、内閣全体の責任であり、総辞職することを国民に約束されたと私は当時受け止めておりました。小泉総理の真意をお聞かせください。
 政治は、何事によらず、まず基本方針を定めなければなりません。特に、世界で独特の憲法を持つ我が国の安全保障政策は、国際社会に参画する場合、その時の政府は基本方針を明確にした上で行動すべきであります。
 今回、自衛隊が、第二次世界大戦における敗戦以来、初めて海外に派遣されました。私たちは、自衛隊の海外派遣に当たり、小泉政権の憲法第九条についての解釈を明確にすることを求めました。ところが、小泉総理は、最も基本的なこの問題を避け、あいまいにしたまま自衛隊を海外に派遣したのです。
 これからでも遅くはありません。その是非は別にしても、小泉内閣の憲法解釈は、我が国が集団的自衛権を行使できるという立場に立つのかどうか、政府声明を出して態度をはっきりさせるべきと考えます。なぜならば、国連決議のあるなしにかかわらず、なし崩しに自衛隊の海外派遣が拡大し、場当たり的に日本の方針が決められることを私は恐れるからであります。
 日本が複雑さを増す国際情勢の下で、第一に重視すべきは米国との関係です。そうして、相互に信頼関係を揺るぎないものにしていくためには、日本の考えを常に正確に伝え、時には大いに議論を闘わせるべきであります。
 例えば、沖縄県に集中している米軍基地の問題についても、日本全体の問題として改めて考えるべきであります。沖縄県の基地を縮小する方向で改めて米国と話し合う必要があると考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 もう一つ大切なことは、東南アジア、EUとともに、特に中華人民共和国と大韓民国との関係を重視すべきということであります。そのためにも、両国に対してこれまでの我が国の外交姿勢を改めるべきであります。その上で、中華人民共和国との経済関係は、その政治体制を考え、政府が十分責任を持つべきであります。
 朝鮮民主主義人民共和国との関係は、日本人拉致問題の解決を最優先すべきであります。政府が国民の生命の安全を保障することは、国家としての第一義的責務であります。この問題をうやむやにして中途半端な関係を保つことは絶対に許されないことであります。小泉総理の見解を求めます。
 小泉総理は、初めての所信表明で、長岡藩の米百俵の故事を引用して教育の重要性を述べられました。ところが、歴代の内閣が不十分ながら重視してきた科学研究費などの予算以外は、どこにも米百俵の姿はありませんでした。
 最も大切な児童生徒の教育条件の整備に関して矛盾を抱えたまま、今年の新学期から始まる学校五日制についても、総理の声は聞こえず、実施される前から、文部科学省もマイナス面をどう補うか苦労している様子がありありと見られます。また、国立大学の独立行政法人化の準備も進められています。
 小泉総理、このような組織で日本の基礎研究と高等教育が大丈夫とお考えですか。私には別の方策がありますが、教育問題に熱意を持たれる総理御自身でその是非を見極め、再検討されることを提案いたします。
 あなたは、自由民主党総裁選挙に三回挑戦され、三度目に総裁に選出されました。これまで、自民党総裁を目指すということは政権を担当するということでありました。したがって、あなたは、早くから日本のあるべき姿への展望と具体的な政策を十分用意しておられたはずであります。
 日本の抱えている問題点は既に出尽くしているのです。問題点が明らかだということは、やるべき政策は選択肢も含めて明確だということであります。
 エンジンのない、すなわち政策も理念もない、あるいは持ってはいても具体化できない与党内事情のある小泉総理が風を失って墜落するのは自業自得ですが、国民の皆さんを、そうして日本を道連れにさせるわけにはまいりません。
 かねて、総理は、構造改革に抵抗する勢力とは断固闘うと決意を述べてこられました。構造改革に反対する自民党内の勢力が本当に存在し、改革が実現しないと言われるのなら公約どおり直ちに自民党を解体する引き金を引かれるか、それができなければ小泉内閣は総辞職すべきであると申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西岡議員にお答えいたします。
 まず、昭和天皇の和歌の引用についてでございますが、撤回するつもりはございません。
 「ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ松そをゝしき人もかくあれ」、敗戦後、まだ半年もたたない中でこの歌を詠まれた。私はいつも読むたびに感動しています。苦難に際して決して屈してはいけないというこの精神、深く胸に秘めて、現下の難局にも雄々しく立ち向かっていきたいという気持ちを持って引用したわけでありまして、天皇制の利用とは全く別問題と考えております。
 自由社会の基本的考えについてでございますが、社会の主体は人間、人です。自らを助ける精神、自らを律する精神、これこそが国家発展の原動力であると私は考えております。改革の原動力は国民一人一人です。自らを助ける精神と自らを律する精神、そういう方が多ければ多いほど、どうしても自らでは助けられない、助けることができない人を助けることができると思うんです。私は、個人が能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた社会、こういう社会を実現していきたいために改革に邁進しているわけでございます。
 同時に、人をいたわり安全で安心に暮らせる社会の実現、これを目標とするためにこれからも大いに頑張っていきたいと思います。
 自殺の問題についてでございますが、確かに、一年間で三万人もの方々が自殺するということは非常に憂うべき事態だと認識しております。
 政府としては、今年度より、相談体制の充実強化を図るとともに、職場における自殺防止対策マニュアルを作成するなど、地域、職域が連携した自殺防止対策を推進しているところであります。
 また、社会全体として自殺防止に更に取り組んでいくため、本年二月には、厚労省に幅広い分野の有識者による自殺防止対策有識者懇談会を設置したところであります。より多くの国民をこのような悲劇から守ることができるよう、今後、懇談会等の議論を踏まえ、自殺防止対策に取り組んでいきたいと考えております。
 議員歳費の削減や国会の改革などについてでございますが、政治も構造改革の例外ではありません。まず、政治家自らが率先垂範して改革に取り組むべきものだと思います。
 議員歳費の削減、これまでの既得権や先例、慣例の見直しなどをも含めまして、国会及び国会議員の在り方について、各会派でよく議論していただき、改革を進めていくべきものだと考えます。
 また、政治と金をめぐる不祥事、この防止のためにも、早急に改善策をまとめ、政治腐敗の防止に全力を挙げていきたいと思います。
 中小零細企業への資金供給についてでございますが、政府としては、昨年末、新たな資金調達手段として売り掛け債権担保融資に対する保証制度を創設したほか、先般の改革先行プログラムに基づき、中小零細企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう、金融機関に対し要請しているところであります。
 若者の雇用対策でございますが、若年者の雇用対策として、新規学卒者について産業界に採用枠の拡大について協力を求めるとともに、相談体制の充実等、就職支援を強化しているところであります。また、若年者の職業意識の啓発や実践的な職業能力開発を推進することが必要と考え、トライアル雇用事業等、所要の施策を講じているところであります。今後とも、若者の雇用促進に積極的に取り組んでまいります。
 特殊法人改革についてでございますが、昨年十二月十八日に特殊法人等整理合理化計画を策定いたしましたが、その内容は、道路四公団の民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫、石油公団の廃止等、従来では考えられないような踏み込んだ改革内容になっております。
 まずは事業の徹底した見直しを行い、その結果、廃止又は民営化できない事業のうち国の関与の必要性が高い事業について独立行政法人化することといたしました。独立行政法人制度は、元々特殊法人の弊害を克服する制度として設計されたものであり、特殊法人にない効果が期待できるものと、これからも監視、評価を続けてまいりたいと思います。
 道路公団の民営化を推進する理由でありますが、民営化の推進によってコスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業運営が行われる等のメリットが生じると考えられることから、昨年十二月に閣議決定された整理合理化計画において、新たな組織について民営化を前提とするとともに、内閣に置く第三者機関において検討し、その具体的内容を平成十四年中にまとめることとしました。今後、整理合理化計画で示された方向性にのっとって道路公団の改革が進められるよう、適切に取り組んでまいります。
 道路特定財源の在り方についてでございますが、道路予算についても削減を行っております、この平成十四年度予算においては。その結果、自動車重量税を含めたいわゆる道路特定財源の額が道路予算の額を上回ることとなり、厳しい財政事情等も勘案し、十四年度においては、これを使途の限定なく、一般財源として初めて活用することを決定しております。
 なお、道路を含め、特定財源及びその税制の見直しについては、その基本的な在り方について、今後、経済財政諮問会議や政府税制調査会等の場において幅広く検討を進め、平成十五年度予算に反映させていきたいと考えます。
 どのような場合に資本増強を行うか、資本増強を行う場合の経営責任をどうするかについてとのお尋ねであります。
 預金保険法では、資本増強が行われなければ信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがあると認めるときは、例外的措置として資本増強が可能とされております。
 これが、いかなる事態がこれに該当するかということでありますが、将来起こり得る様々なケースについての発動基準をあらかじめ定めておくことは困難であり、かえって対応できない場合が生じるおそれがあること、また、市場の憶測、モラルハザードを回避する必要があること等から、具体的に申し上げることを差し控えたいと思います。
 なお、例外的措置として資本増強を行う場合には、法令に従い、経営責任を明確化することが前提になると考えております。
 補助金を廃止してその金額は地方へ交付すべきであるというお尋ねですが、補助金の在り方につきましては、十四年度予算においても、地方公共団体の自主性を尊重する統合補助金について制度の改正を含めた一層の拡充を図るなど、見直しを行っているところであります。今後とも、地方にできることは地方にゆだねるとの方針の下、見直しを行ってまいります。
 基礎年金について消費税を財源とすべきではないかとお尋ねがありました。
 社会保障制度の財源については、社会保険方式を基本としつつ、利用者負担、保険料、公費を適正に組み合わせること等により、給付に要する費用を賄っていく必要があると考えております。
 いずれにせよ、消費税の使途を含め将来の税制、財政の在り方については、今後の少子高齢化の進展など社会経済の構造変化や財政状況を踏まえつつ、国民的な議論を参考にしながら検討されるべき課題であると考えております。
 所得税制についてでございますが、累次の税制改正により、課税最低限は引き上げられ、税率の累進構造も緩和された結果、大幅な負担軽減が図られており、その負担水準は主要先進国中最も低いものとなっているなど、基幹税としての機能が空洞化しているという批判も一部にはございます。
 このような個人所得課税の現状や、税制全体の所得再配分機能をどう考えるかといった観点等も踏まえつつ、総合的に税制のあるべき姿について検討を行うべきであると考えます。
 閣僚の更迭と内閣の連帯責任との関係でございますが、私は、一内閣一閣僚というのは閣僚人事の順送りや派閥主導を廃止するという意味で、この目的を持って発言しております。これと憲法上の行政権の行使に関する内閣の国会に対する連帯責任の問題とは直接関係するものではありません。
 集団的自衛権についてでございますが、政府は従来から、我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって憲法上許されないという解釈に立っております。
 憲法は我が国の法秩序の根幹であり、特に憲法第九条については、過去五十年余にわたる国会での議論の積み重ねがありますので、その解釈の変更については十分に慎重でなければならないと考えます。
 他方、憲法に関する問題について世の中の変化も踏まえつつ幅広い議論が行われることは重要であり、集団的自衛権の問題について様々な角度から研究してもいいのではないかと考えております。
 沖縄の米軍施設・区域の問題についてでございますが、在日米軍施設・区域の集中により沖縄県の方々に大きな負担を掛けていることは十分承知しております。
 政府としては、米国政府とも協議しつつ、普天間飛行場の移設・返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の実施に全力で取り組み、沖縄県民の負担軽減へ向けた努力を継続してまいりたいと思います。
 中国及び朝鮮半島と我が国との関係に関するお尋ねでございますが、中韓両国との関係は我が国にとって極めて重要であります。引き続き両国との関係発展に努めてまいります。
 WTOに加盟した中国との間では、双方に利益のある形で経済関係を発展させていくため、各方面での対話の強化とともに、貿易紛争の防止に努めていく考えであります。
 北朝鮮については、今後とも日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、拉致問題を始めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指していく考えであります。
 教育改革でございますが、この四月から、完全学校週五日制については、学校、家庭、地域社会が一体となって、自ら学び考える力や豊かな心などの生きる力を育成する上で重要な意義を有するものであり、今後とも、子供たちの多様な活動の場の拡大に努めてまいります。
 国立大学の法人化については、単に法人格を付与し規制を大幅に緩和するだけではなく、経営責任の明確化、能力主義人事の徹底、学外者の経営参加など、言わば民間的発想の経営手法を積極的に導入することが必要と考えております。
 このような観点から、国立大学を活性化し、活力に富み国際競争力のある大学づくりを目指して、新しい国立大学法人について制度設計の検討を進めているところであります。(拍手)
    ─────────────
#18
○副議長(本岡昭次君) 柳田稔君。
   〔柳田稔君登壇、拍手〕
#19
○柳田稔君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小泉総理の施政方針演説に対し、総理及び厚生労働大臣に質問をいたします。
 昨年五月、小泉総理が初めて所信表明演説を行った日の翌日、新聞各紙の一面はこぞって総理の演説を取り上げ、小泉内閣に対する歓迎ムード一色に包まれていました。遠い昔のような気がいたします。今は情勢が様変わりし、今般の施政方針演説が行われた翌日、新聞各紙の一面には総理の演説について触れた記事は全く見られませんでした。政治の必要性を考えると不思議な感じがいたします。総理、こうした状況をどう認識されますか。
 また、与党内の抵抗勢力が勢い付き、総理の構造改革は進まないのではないかという危惧がありますが、この点について総理の率直な答弁をお願いします。
 まず初めに、経済問題についてお尋ねします。
 小泉政権が誕生以降、各種経済指標は加速度的に悪化するばかりです。GDPも民間消費も二〇〇一年四―六月期からマイナスに転じています。
 昨年四月二十六日、小泉内閣が発足した日、日経平均の終わり値は一万三千九百七十三円を付けましたが、今や九千五百円付近で低迷し、およそ四千五百円も下がっています。昨年末には失業率が五・六%を記録するなど、今や真っ暗やみと言っても過言ではない状況にまで落ち込んでいます。
 勤労者のおよそ八割が働く中小企業もかつてないほど厳しい状況に直面しています。倒産件数が急増し、自殺者は三万人を超える状況になっています。
 町を歩いていれば悲痛な叫びばかり。構造改革と叫ぶだけで事態は一向に良くならない、中小企業者には首をくくれと言うのか、一体いつまで何年間我慢すればいいのかと恨み節が聞こえてきます。この最大の原因は、小泉総理と自民党にあることを総理は肝に銘じるべきであります。
 そこで、総理の景気に対する認識についてお尋ねします。
 総理が現在の経済状況をどう認識されていらっしゃるのか、そして一体いつになったら景気は回復するのか、いつまで我慢をすればいいのか、総理に職を賭して明言していただきたい。
 総理の社会保障ビジョンについて伺います。
 先日発表された日本の将来人口推計によれば、我が国の出生率は将来的に一・三九にとどまり、生まれる子供の数は現在の年間百二十万人から五十年後には約六十七万人とほぼ半分になる一方、六十五歳以上の高齢者は現在の二千二百四万人から五十年後には三千五百八十六万人と五割以上増加するという超少子高齢社会の到来を予測しています。
 この推計は、今後の社会経済情勢など様々な要因によって変わり得るものではありますが、年金、医療、介護など、社会保障の将来像を考える上では参考にしなければならないものであります。
 総理、新人口推計が示す超少子高齢社会の姿についてどのような所見をお持ちか、答弁を求めます。また、そうした社会に対応し得る社会保障の将来像をお示しいただきたい。
 さらには、今般の医療制度改革や次期年金改革など、今後の社会政策の立案に当たって新人口推計に基づいた検討がなされるのかどうか、厚生労働大臣の答弁を求めます。
 次に、医療制度改革についてお尋ねします。
 一九九七年、患者負担を一割から二割に引き上げました。当時の厚生大臣は、小泉総理、あなたでした。その際、総理は、負担増だけでは国民の理解は得られない、二〇〇〇年度には医療制度の抜本改革を実施するから理解してほしいと国民に約束しました。しかし、約束の二〇〇〇年には何もやらず、二〇〇一年にもできず、遅れに遅れて今回の改革です。しかも、その内容は抜本改革にはほど遠いものです。
 しかも、小泉総理、あなたは今回の医療制度改革について、三方一両損の改革だと繰り返し述べています。増加する医療費の負担を患者と医療保険者、そして医療機関がひとしく痛みを分かち合うことだと。しかし、果たしてそうでしょうか。国民に負担のしわ寄せがすべて押し付けられる一方三両損の改悪ではありませんか。
 総理、あなたが今国会でやろうとしているのは、診療報酬制度や薬価制度、医療保険制度などの構造改革を先送りしたまま、健康保険財政、特に政管健保の財政危機を単に患者負担増によって乗り切ろうとしているだけだと言わざるを得ません。五年掛かってもできない構造改革、総理の言う構造改革とはこんなものですか。
 総理、今の日本の医療制度をどう思われますか。また、今回の改革が抜本改革だと本当に考えているんですか。総理並びに厚生労働大臣に見解を求めます。
 民主党は、良質かつ適切な医療、医師と患者が信頼し合える医療提供体制を作り上げることこそ重要だと考え、さきの国会に医療にかかわる情報公開を内容とするいわゆる患者の権利法案を提出いたしました。この法案の再提出の際には是非法案に賛同していただきたいと思いますが、総理の答弁を求めます。
 ところで、総理は、サラリーマンなどの患者負担を三割に引き上げる時期について、来年四月から実施するとマスコミを通じて明言いたしております。その方針に変わりはありませんか。総理並びに厚生労働大臣、この国会の場で、恐れず、ひるまず、調整中だと逃げずに、明快な答弁を求めます。
 このことは、総理が与党内の抵抗勢力に勝つか負けるかの政治的シンボルの一つであることを付言しておきます。
 また、介護保険はこの四月から三年目に入ります。総理はこの二年間をどう総括されておりますか。また、問題点の今後の対応について答弁を求めます。
 年金改革について質問します。
 総理は、施政方針演説の中で、二〇〇四年までに次期年金改正を行うと述べておられます。新人口推計が予測する一層の少子高齢化への対応、女性の年金問題や無年金障害者の問題等々、課題は山積みしております。そして何より、自民党も賛成し成立した基礎年金国庫負担率の二分の一への引上げが大きな宿題として残されています。
 総理は、医療制度改革では三割負担の実施時期をマスコミを通じて明らかにしておられますが、年金改革においても、財源の見通しも含め、二分の一引上げの実施時期を明らかにしていただきたい。明快な答弁を求めます。
 次に、男女共同参画に関連して、パートタイム労働法についてお尋ねします。
 総理は、施政方針演説で男女共同参画に触れてはいますが、具体策を欠き、緊急に取り組まなければならない課題にこたえるものとはなっていません。特に、雇用情勢が悪化する中で、急増するパートタイム労働について、時代の変化に合った法改正を急ぐべきではありませんか。
 九七年から二〇〇一年までの四年間で、正社員が百七十万人減少する一方で、パートなど非正社員が二百万人増加しているという調査もあります。仕事や責任が同じなのに、賃金や社会保険の適用において不利な条件を背負ったままパートへのシフトが進んでいることを見逃すわけにはいきません。
 九三年に制定されたパートタイム労働法の抜本的見直しは遅々として進まず、当初から検討されてきた通常の労働者との均衡についてはたなざらしにされたままです。一体いつになったら結論が出るのですか。
 総理は、施政方針演説でワークシェアリングの実施に言及していますが、パートタイム労働とフルタイム労働の均等処遇が保障されない限りは、ワークシェアリングの実施にも多くの問題が生じてくるのではありませんか。
 こうした諸点についてどう考えますか。総理及び厚生労働大臣から明快なる御所見をいただきたい。
 少年犯罪の増加について伺います。
 総理は、所信において、子供たちの夢と希望をはぐくむ社会を実現することを約束し、終わりに、子供たちの未来のために立ち向かっていくとの決意を示されました。しかし、今、凶悪な少年犯罪が増加するなど、子供たちをめぐる社会情勢は大きな転機を迎えています。こうした状況は治安の悪化、社会の根幹を揺るがしかねないものであるにもかかわらず、総理は思い切った取組や具体的な対策を示せないでいます。
 先月二十五日深夜、東京都東村山市のゲートボール場でホームレスの無職の男性が暴行されて死亡した事件があり、中学生三人と高校生二人が逮捕されたことはまだ記憶に新しいことです。
 昨年の秋に発表された警察白書は、「二十一世紀を担う少年のために」と題して深刻化する少年問題を特集しています。白書はまず、現在を戦後四回目の少年犯罪多発時代と位置付けています。
 強盗の検挙者は、一九六〇年前後の年間二千人台をピークに減り続けましたが、八八年の五百四十六人を底に反転、二〇〇〇年には千六百三十八人になったこと、半世紀前には刑法犯の全検挙者に占める少年の割合は二三%だったのに、今では四二%にもなっていることが如実に記述されています。
 また、四割近い少年は、反省はしていないとか悪いことをしたという意識はないと答えるなど、罪悪感のなさに加え、人生そのものを捨てている姿勢が見られます。更なる教育改革の推進、家族や地域の結び付きの強化などに政府は積極的に取り組んでいくべきではありませんか。総理は所信で、努力が報われ再挑戦できる社会を実現するとおっしゃいましたが、子供たちが夢を持ち続けることができる社会につなげていかなければなりません。
 少年犯罪に関して、政府はどのような取組を行おうとしているのか、総理の見解を伺います。
 次に、有事法制についてであります。
 いわゆる有事法制の検討については、我々民主党は基本政策において、平和を目指すことを大前提として、シビリアンコントロールや基本的人権を侵害しないことを原則としながら、有事、危機に際して超法規的措置を取ることのないよう関連法制の整備を早急に進めることを宣言し、検討を重ねてまいりました。自衛隊が出動するような緊急事態が発生したときの自衛隊出動に当たっての要件、手続については、自衛隊の活動が円滑に行われないことで国民の生命、財産に対する侵害が拡大したり、あるいは政府が法の空白に乗じて超法規的措置を取ることのないよう、緊急事態における法律関係について十分な議論を行い、法制化していくことが重要であるとの基本認識に立っております。
 そこで、シビリアンコントロールについてお尋ねします。特に、国会とのかかわりについてでございます。
 自衛隊の治安出動においては、国会の事後承認、周辺事態法においては、基本計画に定められた自衛隊が実施する後方支援活動について、国会の事前承認、さらに、国連の平和維持活動においては、PKFとしての自衛隊の派遣には国会の事前承認が必要となっています。
 しかし、米国同時多発テロを受けて作られた先般のテロ特措法においては、海外の戦闘地域への自衛隊出動でありながら、我々民主党の反対を退け国会の事後承認でよしとする内容になってしまいました。シビリアンコントロールの原則がずるずると骨抜きになっているのではないでしょうか。有事法制の制定においても、最も大切な原則が踏みにじられるのではないかという疑念が残ります。
 シビリアンコントロールとは何か、国会の関与はどうあるべきか、総理の見解をお伺いします。
 また、総理は、施政方針演説において、「テロや武装不審船の問題は、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力が存在することを改めて明らかにしました。」「生命に危害を及ぼし得る勢力が存在することを改めて明らかにしました。」と明言されました。ここで言う勢力とは一体どこなんですか。答弁をいただきます。
 また、この発言は、先日、米国のブッシュ大統領が一般教書演説で、北朝鮮、イラン、イラク三国を悪の枢軸と表現し、その後も、世界各国が米国と連携して大量破壊兵器の開発国に厳しく対処することを求め、これら三国に対する国際包囲網を築くよう訴えることと連動するものなのか、総理より答弁をいただきたい。
 最後に、最近、また政治家にまつわる事件が起きました。誠に残念なことであります。事実解明を進めるとともに、政治家自身が襟を正さなければならないと考えます。
 最後に、総理の手法や行動において、甚だ疑問を持たざるを得ない面があります。
 機密費を使いまくり、不正行為を隠匿し、国益よりも官僚の権益を守ってきた外務省及び鈴木宗男議員に代表されるような自民党の族議員と闘っていた田中前外務大臣を、事もあろうに、小泉総理は切って捨てたのであります。悪いのは外務省の体質であり、自民党の族議員ではありませんか。
 他方で、狂牛病問題に関して、農水省の体質を変えることができず、役所の行政責任を明確にせず、最悪の事態を招いた武部農水大臣はおとがめなし。いまだ閣僚に据えている小泉総理の見識を疑わざるを得ません。
 田中前外務大臣の更迭の理由について、総理は、国会が混乱したからだとおっしゃいました。しかし、国民への実害は一切起きておりません。
 一方、我が国で初めてBSE感染牛が発見された直後の農水省の対応はひどいものでした。大臣の部下である畜産部長は、感染牛は焼却処分したと発表しましたが、直後に、焼却処分どころか肉骨粉に加工されて全国に流通していたことが判明しました。武部大臣は、農林水産省の危機意識のなさはあきれたものだと他人事のようなコメントを出しましたが、国民があきれたのは、大臣自身の危機管理、危機意識のなさと無責任、責任感の欠如でした。国全体を混乱に陥れ、国民への実害は二千億円を優に上回ると言われています。また、検査前の牛肉を国が買い取る制度を悪用した企業が問題となりましたが、二月五日付けの新聞に、検査前の牛肉が一部流通した可能性もある旨報道されました。
 なぜ田中前外務大臣を更迭し、武部農水大臣を更迭しないのか、私には全く分かりません。理由をはっきりと答弁していただきます。
 言葉では構造改革を断行しようと叫びつつも、抵抗勢力がばっこする自民党に振り回され、霞が関の官僚組織の厚い壁に阻まれて、まともな改革一つ成し遂げられない小泉総理の姿が次第次第に浮き上がってくるのであります。
 結局、自民党政権が続く限り、だれが総理になっても日本は変わらないんです。小泉内閣の支持率が大幅に下がったことは、国民が幻想から目覚め、そのことを気付き始めたものと受け止めています。
 政権交代でしか日本の再生はありません。民主党中心の政権を作ることこそ私たちに課せられた責務であることを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 柳田議員にお答えいたします。
 初めに、施政方針演説の翌日の新聞記事及び構造改革についての危惧についてお尋ねがございました。
 施政方針演説の翌日の一面に記事がない。当日の夕刊に全部出ていました。新聞記事はともかく、構造改革の推進に対して、多くの国民の期待また支持があるということを理解しております。
 支持率が高かろうが低かろうが、構造改革の決意は全く揺るぎません。これからも、日本経済再生のために改革に全力で取り組んでまいります。
 我が国経済の現状と景気の回復についてでございますが、確かに現在、景気状況は厳しいものがあります。GDP成長率が二四半期連続でマイナスとなり、失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、厳しい状況にあります。また、株価についても低迷が続いております。この動向を十分注視していく必要があります。
 景気の先行きについては、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、十三年度第二次補正予算の執行など政策展開の効果や、米国経済の改善も見込まれることなどから、年度後半には、引き続き厳しいながらも低迷を脱し、民需中心の回復に向けて緩やかに動き出すことを期待しております。
 また、先般閣議決定しました「改革と展望」においては、今後、二年程度の集中調整期間後には、民間需要主導の着実な経済成長が実現されることを示しております。我が国経済を再生させ、民需主導の持続的成長を実現するためには構造改革が不可欠であり、この方針の下に、経済・財政、行政、社会の各分野における構造改革を断行してまいりたいと思います。
 新人口推計と社会保障の将来像に関するお尋ねですが、少子化が急速に進んでおります。少子高齢化が進んでおります。このため、子を持つこと、育てることには大きな喜びと価値があるということを基本に、子育てを社会全体で支援していくことが必要であり、こういうことを通じて、家庭や子育てに希望の持てる、夢の持てる社会にしていかなければならないと思います。
 社会保障制度については、これからお互い、高齢者も若い世代もともに支え合うという、そういう意識の下に、持続可能で安定的、効率的な制度に再構築していくことが必要であると思います。
 私は、このような改革の道筋を、国民の理解と協力を得ながら、制度の見直しを進めていきたいと思っております。
 医療制度改革については、平成九年以降、薬価や診療報酬、医療提供体制、高齢者の患者負担などの改革を着実に進めてきたところでありますが、厳しい医療保険財政の下、国民皆保険制度を将来にわたって持続可能な制度としていくためには、更なる改革が必要であります。
 このため、患者、加入者、医療機関の三者がそれぞれの負担を分かち合うという、そういう方針の下に、診療報酬の引下げを行うとともに、サラリーマンについても、また高齢者についても相応の負担をお願いすることが必要と考えております。あわせて、診療情報、医療機関情報に関する規制改革や健康づくりを推進することとしております。同時に、医療保険制度の体系、高齢者医療制度、診療報酬体系の見直しなどの課題についても更に検討を進め、基本方向を明らかにしてまいりたいと思います。
 サラリーマンなどの三割自己負担の実施時期につきましては、私の基本方針は変わっておりません。今、調整中でありますので、いましばらく時間をいただきたいと考えます。
 患者の権利法についてのお尋ねがございました。
 医療情報の公開は推進すべき課題であると認識しております。政府としては、診療内容や医療機関を患者自らが選ぶことができるよう、規制改革や情報提供を進めています。その際、患者の立場を尊重するとともに、医師と患者の信頼関係に基づく医療を提供していくことが重要であると考えており、今回の医療制度改革においても、このための広告規制の緩和や第三者評価の普及などの取組を積極的に進めていくこととしております。
 患者の権利法については、法律で一律に患者の権利と医師等の義務を定めることが適当か、あるいは責任回避のための形式的、画一的な説明や同意の確認に陥るおそれがないかといった問題点があり、このような点について慎重に検討する必要があると考えております。
 介護保険制度についてでございますが、市町村を始めとする関係の皆様の御尽力により、これまで大きな混乱なく実施されており、サービスの利用が増えているなど、国民の間に定着しつつあると考えております。引き続き、現場の方々の声に十分に耳を傾けつつ、介護サービスの基盤整備や質の向上などに取り組み、国民から信頼されるより良い制度へ育てていきたいと思います。
 年金制度の国庫負担割合についてでございますが、平成十二年三月に成立した年金改正法において、基礎年金については、「安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」との規定が設けられているところであり、平成十六年に行う次期年金改正において、これをどのように具体化していくかについて、安定した財源確保の具体的方策と一体として検討してまいりたいと考えます。
 パートタイム労働者の在り方についてでございますが、パートタイム労働者の適正な処遇を確保することは重要な課題であると認識しており、パートタイム労働者の処遇改善に向けた指導、支援に努めているところであります。現在、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇の均衡の問題も含め、今後のパートタイム労働の在り方について厚労省の研究会で検討を進めているところであり、先般公表したその中間報告を踏まえ、更に検討を進めてまいります。
 ワークシェアリングについては、労働者が多様な働き方を選択することを可能にするため、働き方に見合った適正な処遇を確保することが重要であると認識しております。現在、政労使ワークシェアリング検討会議においてそのような視点も踏まえて検討を行っているところであり、本年三月を目途に基本的な考え方について合意を得ることができるよう、積極的に取り組んでまいります。
 少年犯罪対策についてですが、この問題については、警察による検挙、補導のみならず、少年の立ち直りを目指して家庭、学校、地域、警察等の関係機関が協力し、社会が一丸となって取り組んでいくことが不可欠であります。さらに、各方面における幅広い議論を踏まえつつ、二十一世紀の日本を担う健全な少年を育成すべく、少年を取り巻く良好な環境の整備に政府一体となって取り組んでまいります。
 シビリアンコントロールに関するお尋ねですが、シビリアンコントロールとは、軍事に対する政治の優先を意味するものであります。我が国の現行制度においては、国防に関する重要事項については内閣総理大臣を議長とする安全保障会議の議を経ることとされており、また自衛隊については法律、予算等について国会の民主的コントロールの下に置かれており、シビリアンコントロールが骨抜きになっているとの御指摘は当たりません。政府としては、今後ともシビリアンコントロールを常に確保してまいります。
 施政方針演説における「国民の生命に危害を及ぼし得る勢力」との表現についてでございますが、御指摘の箇所は、さきの同時多発テロや武装不審船事件などに見られるように、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力が存在するということを言ったまでであります。一般的に述べたものであります。また、これは、ブッシュ大統領の一般教書演説の特定の内容を念頭に置いたものではありません。
 田中前外務大臣を更迭し、武部農水大臣を更迭しないのはなぜかとお尋ねでありますが、田中前大臣の処遇につきましては、本来外務省の問題であった問題が国会全体の問題になってまいりました。この国会の混乱の解決を図るために私は自らの決断を行ったところであります。
 武部農水大臣については、先日、大臣への不信任決議案が否決されました。信任が得られたところであり、武部大臣に対しては、BSE問題をめぐるいろいろな批判に謙虚にこたえ、このような食の安全に、不安を払拭するようにこれからも職責を果たすために全力を尽くして、しっかりと食の安全について、あるいは食の問題に対して国民の不安と混乱のないような対処を取るように指示しております。このような責任を果たしていくことが大臣としての取るべき責任と考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(坂口力君) 柳田議員にお答えを申し上げたいと思いますが、柳田議員からは四問ほどちょうだいをいたしました。
 第一の問題は、人口推計に基づきましてこれからどういうふうにしていくのかというお尋ねでございました。
 先ほど総理の方からも御答弁がございましたので重複は避けたいというふうに思いますが、一番大事な問題は、今後少子化が激しく続いていきますのを、これを緩和する政策をどう取るかというのが一つ。それからもう一つは、この推計に基づいて政策を転換をするという問題がもう一つございます。その双方を両方を絡めてこれからやっていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
 この少子化緩和のための政策は、ただ単に厚生労働省の中の政策だけではなくて、全体の政策の中にこの考え方をお取り入れいただく必要があるというふうに認識をしている次第でございます。そして、できる限りこの年金や医療の改革の中にその影響を少なくしていくということは当然のことでございますが、しかしそうはいいますものの、今回のこの推計を基にして、やはり今までの設計あるいはまたは計算を見直すということも当然必要であると思っている次第でございます。
 二番目に、医療制度改革についてのお尋ねがございました。
 医療保険制度につきましては、給付と負担の公平を図りますとともに、将来にわたり持続可能で安定的なものとしていくことが重要であります。このため、今回の改革案では高齢者医療を始めとする給付と負担の見直し、老人医療拠出金の見直しなどを提案しているところでございます。同時に医療保険制度の統合化、高齢者医療制度の見直し、それから診療報酬体系の基本にかかわりますところの見直しなどの諸課題につきましても、この検討を進めまして基本方針を明らかにしますとともに、社会保険と労働保険の徴収一元化、社会保険病院の在り方の見直し、社会保険庁の事務の合理化、統合化などの課題につきましても取り組んでいきたい。これらの抜本改革をまず行うということが前提であるというふうに思っている次第でございます。
 そして、サラリーマンなどの三割自己負担の実施時期につきましては、総理からもお話がございましたが、総理のお考えは十分に承知しておりまして、いましばらく時間をいただき法案を取りまとめ、政府・与党の合意を得て今国会に提出をしてまいりたいと考えております。
 パートタイム労働者の在り方についてのお尋ねがございました。
 労働者が多様でかつ柔軟な働き方を選択でき、それぞれの働き方に応じて適正な労働条件、処遇が確保されるようにすることは、非常に重要な課題であると思っております。
 また、パートタイム労働法に基づきまして、パートタイム労働者の処遇改善に向けた指導、支援を行っているところでありますが、先般、パートタイム労働研究会におきまして、今後のパート対策の在り方についての中間報告を得たところでございます。
 この中間報告におきましては、パートと正社員との処遇の均衡を図るためには、パート労働者だけではなくて正社員も含めた雇用システム全体の見直しが必要であるとの指摘がございます。今後、最終報告に向けまして、更に検討を進めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
 ワークシェアリングについてのお尋ねがございました。
 総理からも御答弁がございましたので重複を避けさせていただきますが、仕事と家庭の両立など、働き方を見直すという観点も視野に入れて検討することとしたいというふうに思っております。今、労使の皆さん方とお話合いをさせていただいておりまして、三月中にという総理からの御指示があるわけでございますが、できるだけ早く、三月の上旬には一つの結論を出したいというふうに思っておりまして、ピッチを上げて今議論をしていただいているところでございます。
 先ほどもお話がございましたとおり、通常の労働者との均衡ということが非常に大事でございますし、パートタイムについてでございますが、このパートタイム労働者の労働の在り方あるいはまた社会保障の在り方、そして通常の労働者との均衡、こうしたことがやはりワークシェアリングの前提として整理をしなければならない問題であるというふうに認識をいたしておりますので、これらのことにつきましてひとつ急ぎたいというふうに思っている次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#22
○副議長(本岡昭次君) 鶴保庸介君。
   〔鶴保庸介君登壇、拍手〕
#23
○鶴保庸介君 私は、自由民主党・保守党を代表して、小泉総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 改革断行内閣と銘打ってスタートした小泉内閣も二年目に入りました。総理の改革に掛ける情熱は国民の多くの共感を得、幾つかの前進を見たところでありますが、まだ道半ばであります。これからも支持率の高低にはこだわらず、断固とした決意を固めていただきたいと思います。
 総理は、このたびの施政方針演説において、我が国が目指すべき社会として、努力が報われ再挑戦できる社会という明確な理念を指し示されました。
 しかし、日本はなぜ今こうした社会を目指さなければならないのか、いつまでに改革の工程を終えなければならないのか、また、改革にしくじったならばどうなるのかということについては、まだまだ言及が足りないのではないかと思います。国民に対し、痛みに耐えよ、こぞって改革を決意せよと言うならば、総理はこうした哲学を説かれるべきではないか。まだまだ日本には底力があるのだから、急がなくても少しずつ部分的に改革していけばいいと総理はお考えでしょうか。
 改革が志半ばで倒れてしまうか否かは、一に総理の描くグランドデザインが国民の共感を得られるか否かに掛かっていると思います。今、日本は重大な変革期にあるとの認識は、多くの国民が皆共有するところであります。国民を信じて大いに語っていただきたいと思います。
 私たち政治家にもこうした理念に基づいた政策が求められています。
 まず、経済です。総理の理念に従えば、努力が報われることを実感できるような税制改正を始め、会社を必死で立て直そうと汗をかいている経営者あるいは従業員の方々の努力が報われる社会を作らなければなりません。
 企業の再生などについても、制度インフラの整備を進めることによって再挑戦ができる社会を作るということを意味すると拝察いたします。また、再挑戦するために起業をしやすくする規制緩和も必要です。そして、その裏付けとなる金融部門の整備は焦眉の急であります。
 特に、デフレスパイラルの瀬戸際にあるとも言われるこの不景気の中で、車の両輪である事業会社と金融機関に対して、どのような再生のための制度インフラの整備が行えるかが重要であります。
 事業会社再生のためのプロジェクトファイナンス、とりわけDIPファイナンスなどは今後ますます活用されねばなりませんが、その環境整備として、いわゆるアメリカのチャプターイレブンのような法整備の可能性など、今後の事業会社の再生の具体策について総理にお尋ねをいたします。
 また、金融機関の再生策については、不良債権の処理が急がれる中で、特に今年度から来年度に掛けては大口社債の借換え時期が重なっているなどとの指摘もあります。
 一方、銀行は生き残りを懸けた合併の結果、不良社債の保有には慎重になっているとも言われます。偶然が重なったとはいえ、こうした厳しい状況下で果たして本当に不良債権処理が進むのか危ぶまれています。債権の株式化や公的資金投入の際に提出を求められる事業計画の見直しなど、具体策の有無をお聞かせください。
 次に、外交問題について質問をいたします。
 内外の諸問題が存在する困難なこの時期に外務大臣に就任された川口大臣には並々ならぬ意気込みが必要です。
 アフガン支援政府代表の緒方貞子さんは、日本の外務大臣は国会対策とか内政中心で、海外からは存在感がないことが最大の問題と指摘がありましたが、外務省改革との要請の中で、これから難しい調整が必要になってまいります。
 豊富な海外経験とリーダーシップを発揮し、大いに腕を振るっていただきたいと思いますが、一つ残念なことは、このたびの演説の中で国益という言葉はついぞ聞き及びませんでした。一国繁栄主義が成り立たないのは当然のことでありますが、国際社会が現実には各国の国益追求なくして存在していないことも受け止めなければならないと思います。
 今日の幾つかの外交政策では国民感情と乖離しているかのような印象を受けざるを得ないものもある一方で、国益は経済的観点からとらえるだけでなく、地理上、歴史上の考察を含めて戦略的な視点が必要なはずです。そうした大きな意味での国益を守っているということを国民に示すことこそ、大臣のおっしゃる国民に理解され国民に支持される外交につながるのではありませんか。
 例えば、昨年の十二月に起きた不審船事件において、国民の多くは、こうした不審船がいかなる経緯で何を目的にして潜入してきたか、大いに関心があると思います。しかし、これを引き揚げることについて、政府は明確な方針を指し示してはおりません。なぜ引揚げは難しいのか、交渉の経緯、方針を大臣にお伺いをしたいと思います。
 また、アフガンの復興会議等では積極的にイニシアチブを取っていくことは、名誉ある地位を占めたいと思う憲法の趣旨に照らしても、非常に重要なことであると認識いたしております。しかし、たとえ復興が国際社会の一時的興奮の中で騒がれていたとしても、我が国は、冷静にこれからのアフガンとの国交を戦略的に洞察する必要があるのではないでしょうか。
 かかる観点から、アフガン支援は、行うならば食料・農業分野の支援を重点分野の一つと位置付けるなど、自立につながる支援を行う必要があるのではないかと思うが、いかがでありましょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
 歴々たる諸先輩に混じって質問をさせていただいております私は、恐らく議員としても年少に属するでしょう。しかし、私以下の世代は戦争の歴史は教育の中でしか実感できません。
 我が国が日中国交正常化三十周年を記念して、相互理解、相互信頼を醸成するとのことでありますが、必ずしも中国国内での日本人へのイメージ教育は相互信頼を生み出すものとは言えない部分もあるように思います。新たな世代がこの国を担うようになったとき、対等に相互信頼を得るためには、中国の例のように、他国の歴史教育がどのように行われているか、政府はしっかりとこれを注視していく必要があるのではないでしょうか。
 これは文部科学省のみの問題ではなく、外務省の言う相互信頼を醸成する重要な外交事務の一つではないかと思います。外務大臣の見解をお伺いをいたします。
 総理は再挑戦するという理念を目指されました。私は、もう一つ、その理念とは表裏一体のものとして、安全セーフティーネットの充実ということも重要ではないかと思います。
 挑戦というものは最低限のセーフティーネットがしかれていて初めてなし得るものであるはずであります。したがって、労働分野における雇用の流動性確保に関する諸施策の整備、福祉分野における国民が安心して暮らせる社会、将来に不安を感じることのない社会の構築は決してゆるがせにはできません。
 特に、医療、保険制度においては、昨年十一月に決定された医療制度改革大綱に基づき、医療制度の抜本的改革が進められることとなります。その中で、三方一両損の名の下に個人負担の割合を一律三割にする方針が示されていますが、改革なくして負担増なしという考えの下、総理はどのような改革案を持っているか、その内容と具体的スケジュールをお聞きしたいと思います。
 また、保守党が主張する消費税を社会保障に使用するための目的税化も、恒久的改革案としては是非とも検討されるべきであります。
 消費税を社会保障目的税として、基礎年金、高齢者医療、介護の財源に使用するという保守党の主張は、さきの大綱においても新しい高齢者医療制度の創設という形で論議を進めることが決定されておりますが、今回提出を予定している健康保険法の改正案においてもその方向性を明示すべきと考えます。総理の見解を伺います。
 また、あわせて、消費税そのものの改革として、益税の解消、インボイス方式の導入など改革を行うとともに、飲食品等については軽減税率を設けることの方向性を明示してはどうかとも思いますが、御見解をお伺いをいたします。
 総理、もう一つ国家のグランドデザインをお伺いせねばなりません。それは、都市と地方、特に国土の約半分を占める過疎の地方をどうするかであります。
 都市と地方のありようをどのように調和させてこの国土の未来を考えておられるか。こうした理念なきまま経済の合理性を持ち出すことは、それこそ抵抗があると言わざるを得ません。国土の均衡ある、あるいは調和ある発展というのが、開発至上主義でないことは当然としても、ふるさとを愛していながら、目立った産業がないために郷土を後にしなければならない事情をどうお考えになられますか。総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 また、最近では、特に地方の市町村での合併が問題となっています。総合的、広範囲の行政サービスが求められるようになったからとか、行財政基盤の充実を図るためであるとか、関係市町村が足腰の強いものとなるためにということでありますが、市町村によってはいま一つ切実な問題として受け止められていない雰囲気もあるようであります。改めて総理から合併の理念と必要性についてお伺いし、あわせて、これからは市町村だけではなく府や県の合併も必要なのではないかと思う点について、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 こうした地方では、多くの場合、主産業が農林水産業です。そして、こうした産業の具体的な指針が今問われているんです。総理の言う努力の報われる社会とは、農林水産業の分野においてはどのような具体論、方策でこれを担保するのでしょうか。
 特に、林業は戦後の住宅需要にこたえる形で植林がなされてきました。こうした人工林の多くがわずかな人口の過疎地域に集中し、外材との競争の中で、伐採すればするほど赤字を生み出す構造的悩みを抱えています。
 戦後五十年を経てこうした森林が伐期に来ている今、いかにしてこうした構造問題を救い得るか、経済の合理主義においてはやむを得ないとお考えならば、環境という観点からこれらの山林をどう守っていくおつもりか、お伺いをしたいと思います。
 木を育てることより息長く努めなければならないのは、人を育てることであります。
 私は、以前、ベトナムへ出張した際、現地の青年にこれからの夢は何ですかと聞いてみたことがあります。彼は、アメリカへ行って自分の可能性を試したいと希望を語ってくれました。聞くと、彼はさきのアメリカとの戦争で父親を亡くし、母親は片足を切断されていたそうで、それでも可能性のあるアメリカにあこがれる様子は、この国にある大きな問題を突き付けられたような気がいたしました。アメリカという国は憎い、でも夢は捨てられないと語った青年の情熱であります。
 総理、現在の我が国の教育には何が欠けているのでしょうか。総理は演説の中で、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担うことのできる豊かな個性と能力を持った人間に育つようにと言われました。しかし、本当に必要なのは、総理の言う再挑戦できる社会を作るために、何度挫折してもくじけない意欲を持った人間を育てることではないでしょうか。総理の見解をお伺いします。
 最後に、努力が報われ再挑戦できる社会をという総理の理念が、今こそ問われているときはありません。
 人の幸せを定義するのは甚だ困難でありますが、人生いかに生くべきかの哲学なくして政治はないと思います。総理が総理自身の哲学をお持ちになってその実現のため努力され、それが報われるよう我々も精一杯支えてまいりたいと思います。
 ただし、この場合は、国民に与える影響を考えると簡単に再挑戦というわけにはまいらないこと、それだけの覚悟を持って当たっていただきたいことを申し添えて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 鶴保議員にお答えいたします。
 激励をいただきまして、ありがとうございます。
 努力が報われ再挑戦ができる社会についてお尋ねでございますが、我が国経済はこの十年間、バブル経済が崩壊して低迷が長期にわたって続いております。
 こうした中、過去、累次にわたる経済対策、これの効果、反省を踏まえながら、今後は持続的な成長につながるような施策をしたいということから、改革なくして成長なし、こういう方針の下に、今、構造改革を推進しているところであります。
 この改革が目指す社会は、個人が自由な創意工夫の下に能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた社会であり、人々の努力が報われることが重要と考えております。また、失敗した場合にも、それにくじけず立ち向かっていけるようなセーフティーネットの整備に万全を期す、そして安全で安心に暮らせる社会の実現を図っていきたいと思います。このような考え方は、閣議決定した「改革と展望」や、これまでの所信表明演説においても明らかにしているところであります。
 DIPファイナンスのお尋ねでございます。
 平成十一年に、アメリカの裁判上の再建型手続、チャプターイレブンを参考とした民事再生手続を創設したところであります。引き続き会社更生手続などの見直しを行っており、その中で、裁判上の再建型手続を取る企業向けの再建支援融資、いわゆるDIPファイナンス、これに関する法整備の問題も取り上げております。今後、このような再建支援融資の利用状況を踏まえ、更に検討を進めてまいりたいと考えております。
 不良債権処理の具体策についてでございますが、金融機関の不良債権については、厳格な資産査定、破綻懸念先以下の債権の最終処理といった従来からの施策に加え、整理回収機構を活用した不良債権処理と企業再生、債権の株式化を活用した企業再建を促進するための基金の設立等の取組を実施しております。本年度中にも日本政策投資銀行や民間企業による企業再建基金の設立が予定されているなど、不良債権処理の促進に向けた着実な動きが見られるところであります。
 これらの取組と併せ、他の分野における構造改革を進めることにより、経済構造改革の集中調整期間の終了後の平成十六年度には不良債権問題を正常化するよう、全力を尽くしたいと思います。
 医療制度改革についてでありますが、この医療制度、少子高齢化の社会に向けても、国民皆保険制度を支える基本原則は変わりありません。患者さんの負担、保険者の負担、そして公費。税金で負担するのか、保険料で負担するのか、さらに患者さんの負担にするのか、この組合せしかないんです。この組合せを適正にすることが大事だと思っております。
 そして、こういう改革に併せて、医療提供機関、診療情報、医療機関情報に関する規制改革、さらには日ごろから病気にならないための予防、健康づくり、これを推進することが大事だと思っています。同時に、医療保険制度の体系、高齢者医療制度、診療報酬体系の見直しなどの課題につきましても、平成十四年度中に検討を進めまして、その基本方向を明らかにしてまいりたいと思います。
 消費税を社会保障目的税とすべきではないかというお尋ねでありますが、これを社会保障目的税にしますと、消費税は確実に上がります。消費税を上げることに対して国民の合意があるかどうか、その点を見極めなきゃならないと思います。
 いずれにせよ、消費税の問題につきましては、これからの税制改革の中におきまして、単なる消費税だけじゃない、所得税も法人税も地方税も、特定財源すべて総合的に見直して、あるべき税制改革はどういうものか、活力ある二十一世紀の社会に向けてどのような税制がいいかという中で、いろいろ議論をしていただきまして、一つの結論を出して、十五年度予算に反映していきたいと思っております。
 地方の産業についてのお尋ねでありますが、地方経済の発展は我が国経済の基盤であります。これまでも、国土の均衡ある発展を目指して、工業、サービス業などの再配置を促進する施策を講じてまいりました。今後も、これらの施策に加え、地域の自律的発展を目指して、地域経済を支える新事業の創出を積極的に推進し、地方における魅力ある雇用機会の創出に努めてまいります。
 市町村合併についてですが、地方行政の構造改革を進め、地方分権を推進する上で極めて重要な課題であると認識しております。既に二千を超える市町村が合併を検討していますが、今後とも、より一層強力に推進いたします。
 府県の合併につきましては、地方分権が一層進展し、また市町村合併が進む中で、広域的な行政を担う都道府県の在り方について、見直しを行うべき時期が来ると考えられます。将来の地方自治制度の在り方について、府県合併も含め、中長期的に十分な研究を進めることが必要だと思います。
 森林・林業の問題についてでございますが、森林・林業の問題について、昨年六月に成立した森林・林業基本法及び昨年十月に策定した森林・林業基本計画に基づき、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、森林を重視すべき機能に応じて水土の保全、人との共生、資源の循環利用に区分して、その育成や保全を図るとともに、林業担い手への作業や経営の集約化等により、林業の健全な発展を図るとしているところであります。
 政府としては、望ましい環境の創出を基本として、森林・林業政策を展開してまいりたいと思います。
 現在の教育に何が欠けているのかということでございますが、我が国の教育は経済社会の発展の原動力になってきたと思います。しかし、一方、過度の画一主義による個性、能力に応じた教育が軽視されていると、そういう批判もいろいろ指摘されております。
 私は、今後の教育改革の一環として、子供たちが日本としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担うことのできる豊かな個性と能力を持った人間に育つよう、教育改革の推進に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(川口順子君) 外務省改革を進める決意についてお尋ねでございますけれども、外交の任を担っていく上で重要なことは、外交が国民に理解され国民に支持されなくてはならないということです。
 私は、昨年の一連の不祥事を踏まえ、何よりも外務省改革の推進が重要と考えています。私は、外務省改革に既に着手をいたしました。先般、三つの考え方を示しまして、外務省改革に関する骨太の方針を約一週間で取りまとめ発表したいとの方針を省の内外に対して述べました。現在、この方針を鋭意検討中です。
 我が国の外交方針についてのお尋ねですが、私は、我が国の安全と繁栄を確保すること、またその基礎となる国際社会の平和と繁栄を実現することが外交の最優先の課題、すなわち国益を守ることであると考えています。御指摘のあった戦略的視点も踏まえ、こうした課題に積極的に取り組んでまいります。こうした取組が国民に理解され支持される外交につながると考えております。
 不審船の引揚げについてのお尋ねですが、今回の事件につきましては、関係当局において鋭意捜査を進めております。引き続き事実関係の解明に向けて全力を尽くすものと承知しております。
 これまで、船体の引揚げ、潜水調査を行っていませんが、この季節における現地海域の気象条件の下では困難なためであると聞いています。現場は我が国が事実上中国の排他的経済水域として扱っている海域であることから、中国とも調整を図りつつ、適切に対処してまいります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 アフガニスタン復興支援についてお尋ねがございました。
 我が国のアフガニスタン復興支援としては、東京で開催したさきのアフガニスタン復興支援国際会議の成果を踏まえつつ、今後、難民、避難民の再定住、地域共同体の再建、地雷、不発弾の除去、保健・医療、教育、女性の地位向上などの問題を重点分野として支援を行っていく中で、現地のニーズを踏まえつつ、農業分野などについても必要な支援を幅広く検討していく考えです。
 他国の歴史教育についてお尋ねですが、外務省としても、これまで諸外国の歴史教育における我が国の扱いぶりには注意してきており、外務省認可の公益法人である国際教育情報センター等を通じて、教育資料の収集、調査等を行ってきております。今後とも、その努力を継続してまいりたいと存じます。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(井上裕君) 福島瑞穂君。
   〔福島瑞穂君登壇、拍手〕
#27
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小泉総理の施政方針演説について質問をいたします。
 まず第一に、小泉総理の政治責任についてお聞きをいたします。
 まず、田中眞紀子外相の更迭についてお聞きします。
 国会の審理に支障を生じないためというのが理由であれば、なぜ武部農水大臣を更迭しないのですか。外務省の問題が国会の問題になったからと総理は答弁をしていますが、農水省の問題もとっくに国会の問題になっています。
 二月五日、与党は、武部農水大臣に対する四野党の不信任案を否決しました。武部農水大臣の無責任な答弁は放置し、なぜ田中眞紀子前外務大臣は更迭なのですか。NGOに対して鈴木宗男議員が恫喝的発言を繰り返してきたことも、NGOの側が明らかにしています。二十一世紀は、政府とNGOは対等のパートナーシップを築くべきであり、外務省がNGOを選別し排除したことが根本的な問題と考えますが、総理はそのように認識されていないのですか。
 今回のケースで、田中眞紀子さんには全く落ち度はありません。改革を標榜してきた総理は、外務省と鈴木宗男議員の関係、ODA疑惑にこそメスを入れるべきなのです。鈴木宗男議員と外務省の利権を守り、田中眞紀子さんを切ったのですから、あなたはもはや改革を叫ぶ資格などないのではないですか。
 そして、環境大臣の任命は、今どうなっているのですか。環境大臣は任命もされていません。
 真相究明にふたをし、派閥政治を行う総理の政治的手法は、従来型の自民党政治そのものです。総理は、政治家とお金の問題にもメスを入れようとはしていません。特殊法人改革も外務省問題もみんな密室決着ではないですか。小泉改革の馬脚が現れたと思います。
 フラウという女性雑誌で、総理は、僕は都合のいい女が一番いいなと述べておられます。総理にとって田中眞紀子前外相は、初めは人気取りのために都合のいい女だったが、外務省改革をしようとしたために都合の悪い女になり、そして切ったのではないですか。
 次に、武部農水大臣を罷免しない総理大臣にBSE問題に対処しない政治責任が発生していると考えますが、いかがですか。
 政治家とお金の関係を断ち切るために、あっせん利得処罰法の改正、政党支部の制限、企業・団体献金の廃止をすべきだと考えますが、議論中ということではなく、総理の考えをお聞かせください。
 第二に、経済政策についてお聞きをいたします。
 小泉型構造改革は、景気回復に全く何の役にも立たないばかりか、不況を深めているということを、現在の不況と史上最高の失業率五・六%が示しています。倒産を増やす政策を取り続けることで不良債権はますます増えていきます。また、規制改革をするだけで需要の創出は発生しません。町の中で会社がつぶれていき、失業者が三百七十三万人となっている中で、改革が進んでいるというのは一体どういう考え方なのでしょうか。年間三万人以上の人が自ら命を絶っています。この先、これ以上のどんな痛みをあなたは用意をしているのですか。
 弱肉強食、弱い者は落ちてしまえという競争原理の強化、勝ち組だけが残り続ける社会を作る小泉型構造改革だからこそ、人々は生活や将来に不安を抱き、消費が冷え込んでいるのではないですか。昨年、経済財政諮問会議の骨太方針が出した五百三十万人の雇用創出は一体どこへ行ったんですか。
 社民党は、雇用継続保障法を作り、雇用の確保、再就職支援、雇用の拡大に力を尽くし、同一価値労働・同一賃金、パートタイマーの権利保障、時間外労働の規制などをやっていくことを提案しています。
 サラリーマンの医療負担を三割にし、児童扶養手当をカットしていくことに端的に現れているように、小泉内閣は国民の生活を壊していきます。弱い者いじめとなるサラリーマンの医療三割負担と児童扶養手当のカットは見直すべきではないですか。
 総理は、施政方針演説で、努力が報われ再挑戦できる社会と述べられました。しかし、今の社会、小泉型構造改革が目指しているのは、努力が報われず、再挑戦できない社会です。内閣支持率の低下は、実は国民が小泉型構造改革が景気を回復せず、国民生活をぶっ壊すことに気付き始めたからだと考えますが、いかがですか。
 第三に、有事法制についてお聞きします。
 有事法制は戦時法制であると山崎拓自民党幹事長は述べました。そのとおり、有事法制は戦時法制であり、戦時統制法制です。戦時法制、戦時統制法制は明確に憲法違反です。憲法違反の法律をなぜ作るのですか。ナチス・ドイツは、授権法を作り、政府の作った法律は憲法に違反することができるとし、憲法違反の法律を次々に作っていきました。そしてワイマール憲法を破壊していきました。同じことを小泉総理はやっているのではないですか。有事法制を作ろうとする小泉総理は、歴代のどの総理よりも憲法、法をないがしろにしています。
 どこの国が攻めてくるのかという質問に対して、中谷防衛庁長官は、想定できないと答えています。一体どこの国が攻めてくることを念頭に有事法制を作るのですか。有事法制のポイントの一つは、基本的人権の制限です。有事法制の案の中には、戦前の隣組の復活さえ盛り込まれています。隣組の復活は一体何のために必要なのでしょうか。
 世界で最強の軍事力を持ち、かつECHELONという盗聴システムを持つアメリカも、ニューヨークのテロは防げませんでした。テロを受けることのない国際協調、平和外交戦略こそを持つべきではないでしょうか。
 アメリカのブッシュ大統領は、イラン、イラク、北朝鮮を悪の枢軸と非難しました。仮想敵国を作っていくことは、世界の平和を作っていくことに著しく反していると考えます。イラン、イラク、北朝鮮を悪の枢軸と言うブッシュ大統領のこのような考え、世界戦略に総理は同意しますか。従属していくのですか。
 日本は、平和憲法を持ち、仮想敵国を作らない考え方に立っています。二月十九日、ブッシュ大統領は参議院の本会議場で演説をする予定ですが、悪の枢軸国の発言が日本の国会でなされれば極めて問題です。総理は事前にブッシュ大統領に意見を述べるべきだと考えますが、いかがですか。有事法制は、アメリカのこのような世界政策に、戦争政策に日本を更に組み込んでいく大変危険なものだと考えますが、いかがですか。
 社民党は、仮想敵国を作るのではなく、北東アジアの安全保障機構の設置など、平和外交政策の土井ドクトリンを提案しています。日本海での不審船対策も、共同で多国間でやったらどうでしょうか。日朝国交正常化こそ日本にとって最良の安全保障ではないですか。有事を作らず、平和を作るのが政治の責務ではないでしょうか。
 第四に、人権擁護法案について質問します。
 人権救済のための第三者機関と言うためには独立性が必要です。法務省の外局とし、従来の人権擁護委員の手直しをしただけでは、真の意味での人権救済、第三者機関とは言えないと考えますが、お答えください。
 第五に、医療制度改革についてお聞きします。
 サラリーマンの負担を三割にするという提案に反対します。薬価に対してメスを入れ、診療報酬の引下げをもっと行うなど、根本的に医療制度の改革をすべきではないですか。
 第六に、テロ対策資金規制法についてお聞きします。
 テロ対策資金などの法制化は、そうした名目による市民団体の弾圧につながらないでしょうか。また、テロ関連活動というレッテルにより、自由な市民活動が封殺されてしまう危険性は生まれないでしょうか。
 第七に、民法改正についてお聞きします。
 夫婦別姓という選択肢を認めることに積極的でないのはなぜでしょうか。今国会に政府は民法改正案を出すのでしょうか。
 第八に、自然エネルギーの促進についてお聞きをします。
 社民党は自然エネルギーの促進と自然エネルギー促進法の実現に力を注いできました。総理、自然エネルギーの促進法を成立させるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 小泉総理は、自民党政治をぶっ壊すと言って登場しながら、ぶっ壊しているのは実は憲法体制であり、国民の生活です。戦争への道を大きく開き、国民の基本的人権を制限しようとする小泉政権は、野党で結束して打倒するしか道はありません。
 平和を愛し、生活を愛し、子供や未来を愛する国民とともに小泉政権を打倒し、国民が真の主権者となる政治を作ることをお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#28
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 福島議員にお答えいたします。
 NGOアフガン復興支援国際会議への参加問題と、一連の関係者の関与についてのお尋ねでありますが、本件は、元々外務省内の問題でありますが、これが国会の混乱を招いたわけでございます。この混乱を打開するために私としては取った処置であります。
 議員が役所に意見を述べるということは結構であります。それは、与党野党問わず、どなたでも意見を述べるのは結構でありますが、それが適切であるか不適切であるかということについては役所は慎重に検討すべき問題だと。それを、今回のいろいろな問題を契機に、外務省のみならず各役所にも指示しているところであります。
 川口新大臣には、特にこの点も含め、外務省に対するいろいろな意見は、聞くのは結構だけれども適切な対処をするように、そして意欲的に外務省改革に取り組むように指示をしておりまして、川口大臣も積極的に意欲的に取り組むということでありますので、私は、これを支援していきたいと思います。
 武部大臣を更迭すべきではないかというお話でありますが、私は、武部農林水産大臣の取るべき責任は、BSEに関する正確で科学的な情報を国民にきちんと伝えること、BSE発生に伴う生産から消費に至る様々な悪影響に対応するための措置を講ずること、過去における行政措置等を点検し、将来にわたりBSEの発生防止に取り組むことにあると考えておりまして、今後とも、これらの職責を果たし、国民に安心をしていただくよう全力を尽くしていただきたいと考えております。
 政治家と金の関係についてでございますが、あっせん利得処罰法の改正については、各党会派の議論を踏まえつつ、早急に改善策を取りまとめる必要があると考えます。
 また、企業・団体献金や政党支部の在り方についても、政治と金の結び付きについて国民から不信を招くことがないような仕組みにすることが必要であり、これも各党で議論をしていただきまして、民主主義のコストとしての政治資金の調達の在り方についてよく議論を進めていただきたいと思います。
 小泉構造改革と雇用創出についてのお尋ねでありますが、改革を進めていくうちに、規制に守られた分野を中心に痛みを生ずる可能性があります。こうした痛みに対しては、雇用のセーフティーネットの整備などにより極力緩和すべく努めているところであります。
 サービス業の就業者は、八〇年代には六百五十万人、九〇年代には四百万人増加しております。昨年一年間を見ると、マイナス成長、厳しい経済情勢の中でも五十万人増加しております。今後、ケアハウスなどの高齢者ケア、保育所経営への民間参入などによる子育て支援、中古住宅市場、生活者移動支援サービス、環境関連ビジネスなどのサービス分野を中心に規制改革等による雇用創出型の構造改革を実施することにより、五百三十万人の雇用創出の実現に向けて努力していきたいと考えております。
 また、こうした構造改革が目指すのは、個人が自由な創意工夫の下に能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた社会、すなわち努力が報われ再挑戦できる社会の実現であり、勝ち組だけが残り続ける社会との御指摘は当たらないと考えております。
 内閣支持率の低下がありましたが、支持率が低かろうが高かろうが、改革を断行して日本の持てる力を発揮できるような体制に整えていきたい、それが改革にとって一つの大きな目標でありまして、その後、希望に満ちた日本の将来を実現する、このためにも構造改革が必要だと考えております。支持率がたとえ低くなっても、私の改革に対する決意は全く揺るぎません。
 有事法制についてでございますが、日本国憲法の下、我が国の独立と主権を確保するため、また、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えておくことは、これは政治にとって当然の私は責任だと思います。治にいて乱を忘れず。乱になってから考えるというよりも、平和なときこそ有事のことを考えるのが、これは政治の要諦と古来から言われております。
 そういう有事への対応として、住民避難や各種応急措置など、国民の安全確保のための諸施策は重要な分野ですが、法制の整備に当たり、基本的人権を尊重し、憲法の範囲内で行われるべきことは言うまでもありません。法制の整備は、特定の国を対象としているわけではありません。
 ブッシュ政権の外交政策に関するお尋ねでありますが、日米両国の友好関係は、単に日米両国のみならず、世界の繁栄と平和にとって大変重要なものであり、日米両国の緊密化について日本としてもこれからも努力をしていきたいと思います。
 今月訪日されるブッシュ大統領とは忌憚のない率直な意見交換を行いまして、国際情勢を含む幅広い分野について日米両国が共同して当たり、お互い平和と繁栄のために責任を果たしていく建設的な議論を行いたいと思っております。
 有事法制は、憲法の下、我が国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えるためでありまして、アメリカの戦争政策に日本を組み込んでいくという考え方に私はくみすることはできません。それは、かつて、日米安保条約を結べば戦争に巻き込まれるというグループと、自由民主党のように日米安保条約は日本の平和にとって不可欠だというのは、歴史が証明していると思います。
 不審船の問題への対応、平和の実現等についてお尋ねがありますが、武装不審船の出没などが示すように、平和の維持、危機管理への取組は現実の課題であります。安定した平和を実現するため、主体的に対応してまいりたいと思います。既にアジア諸国間の信頼醸成に向けた対話促進に取り組んできており、今後もこのような努力を継続してまいります。
 北朝鮮との関係については、今後とも、粘り強く国交正常化交渉の進展に取り組み、安全保障上及び人道上の問題の解決を目指していく考えであります。
 人権救済機関の独立性についてですが、人権救済機関として新たに設置することとしている人権委員会は、いわゆる独立行政委員会であり、その構成と運営に関し高い独立性、第三者性を確保するとともに、人権救済手続も抜本的に整備することを予定しているところであり、これらを通じて実効的な人権救済制度が構築されるものと考えております。
 医療制度改革については、患者の負担、保険者の負担、税金投入、この三者の組合せをしっかりと考えながら、少子高齢化社会に向けても国民皆保険制度が維持できるような安定的な効率的な制度にしたいと思って、今、鋭意改革を進めているところであります。
 この問題につきまして、これまでにない診療報酬の引下げや一層の薬価の引下げを行うとともに、サラリーマンについても、また高齢者の方々についても相応の負担をお願いすることが必要と考えております。あわせて、診療情報、医療機関情報に関する規制改革、健康づくりを推進することとしております。同時に、医療保険制度の体系、高齢者医療制度、診療報酬体系の見直しなどの課題につきましても検討を進め、その基本的な方向を明らかにしてまいりたいと思います。
 テロ対策資金規制法によるマネーロンダリング規制などの法制化についてのお尋ねがありますが、米国同時多発テロ事件の発生後、国際社会においてテロ資金供与防止条約等の速やかな批准やテロ資金対策の強化が強く求められており、我が国においても同条約の締結を早期に行うため、関係法律を今国会に提出すべく準備を進めております。
 なお、この関係法律は、テロ資金の供与等、テロに加担する行為を処罰するとともに、金融機関における本人確認義務を設けるなどするものであって、テロと無関係の自由な市民活動に制約を加える性格のものではありません。
 夫婦別姓に関するお尋ねでございますが、この問題は、婚姻制度、家族の在り方と関連する重要な問題でありますから、国民の意識動向や各党会派の議論の推移を踏まえて、更に検討を進めてまいりたいと考えます。
 自然エネルギーについてでございますが、エネルギー安定供給の確保や地球環境問題への対応の観点から、自然エネルギーなどの新エネルギーの開発、導入を積極的に進めてきており、今後、更に取組を強化してまいりたいと思います。(拍手)
#29
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#30
○議長(井上裕君) この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百五十八番、比例代表選出議員、ツルネンマルテイ君。
   〔ツルネンマルテイ君起立、拍手〕
#31
○議長(井上裕君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、ツルネンマルテイ君を環境委員に指名いたします。
     ─────・─────
#32
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 平成十三年度の水田農業経営確立助成補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長山下八洲夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔山下八洲夫君登壇、拍手〕
#34
○山下八洲夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院財務金融委員長提出によるものでありまして、平成十三年度に政府等から交付される水田農業経営確立助成補助金等について、個人が交付を受けるものについては、これを一時所得に係る収入金額とみなすこととし、農業生産法人が交付を受けるものについては、圧縮記帳の特例を設けることにより、それぞれ税負担の軽減を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院財務金融委員長坂本剛二君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#35
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#36
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#37
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百九
  賛成             二百九
  反対               〇
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#38
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四分散会

ソース: 国立国会図書館
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