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2002/03/25 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第11号
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2002/03/25 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第11号

#1
第154回国会 本会議 第11号
平成十四年三月二十五日(月曜日)
   午後零時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
    ─────────────
  平成十四年三月二十五日
   正午 本会議
    ─────────────
 第一 都市再開発法等の一部を改正する法律案
  及び都市再生特別措置法案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。扇国土交通大臣。
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(扇千景君) 都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 都市は、我が国の活力の源泉でありますが、今日、慢性的な渋滞、緑やオープンスペースの不足など、多くの課題に直面しております。また、近年の急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に十分対応できないものとなっております。
 このため、都市の再生を図り、その魅力と国際競争力を高めることが、我が国の経済構造改革の一環として重要な課題となっております。そのためには、民間の資金やノウハウを都市再生に振り向けることが不可欠であります。
 こうした状況を踏まえ、民間の力が最大限に発揮できるよう、事業手法の改善、拡充を行うとともに、民間の都市開発事業の隘路となっております規制の見直し等を行う必要があります。このため、都市再開発法等の一部を改正する法律案により都市再開発事業の施行者に新たな民間の事業主体の追加等を行うとともに、都市再生特別措置法案によって、都市再生の拠点となる地域を定め、思い切った都市計画の特別措置や金融支援等を講じようとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 まず、都市再開発法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一に、民間活力を活用した都市の再開発を推進するため、市街地再開発事業の施行者に、施行地区内の一定の土地所有者等への参画を得た株式会社又は有限会社を追加することとしております。
 第二に、民間による土地の高度利用を実現する建築物の整備を推進するため、高度利用地区等をその施行地区に含む土地区画整理事業の事業計画において高度利用推進区を定め、土地の所有者の申出に基づいて、集約換地を行うことができることとしております。
 第三に、土地市場の低迷が続く中、土地の流動化と民間都市開発事業の推進を図るため、民間都市開発推進機構の土地取得業務による事業見込み地等の取得期限を三年間延長するとともに、都市の再開発のために資金調達を円滑化するため、一定の要件に該当する株式会社等が施行する市街地再開発事業、高度利用推進区を活用する土地区画整理事業に対する都市開発資金の無利子貸付制度を拡充すること等の措置を講ずることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 次に、都市再生特別措置法案について申し上げます。
 第一に、都市の再生に関する施策を迅速かつ重点的に推進するため、内閣に、内閣総理大臣を都市再生本部長とする都市再生本部を設置することとしております。
 第二に、都市再生本部の作成した案に基づき、閣議において都市再生基本方針を決定するとともに、都市の再生の拠点となるべき都市再生緊急整備地域を政令で定めることとしております。
 第三に、都市再生本部が、都市再生緊急整備地域に関する整備方針を定めることといたしております。
 第四に、都市再生緊急整備地域における都市の再生に資する民間の都市開発事業に対する国土交通大臣の認定制度を創設するとともに、認定を受けた事業に対し、無利子貸付け、出資、債務保証等の支援を行うことといたしております。
 第五に、都市再生緊急整備地域において、既存の用途地域等に基づく規制を適用除外とする都市再生特別地区を創設するとともに、民間事業者による都市計画の提案制度等を創設することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案の趣旨でございます。何とぞよろしく御審議いただきたい。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。池口修次君。
   〔池口修次君登壇、拍手〕
#6
○池口修次君 民主党の池口修次でございます。
 ただいま議題となりました都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案について、民主党・新緑風会を代表して質問させていただきます。
 今、我が国は、都市化が継続的に進展した結果、国民の大多数が都市に居住する本格的な都市型社会を迎えようとしています。
 一方、都市を取り巻く状況は、国際化や情報化、高齢化の進展や少子化による人口減少時代の到来が予想され、急速に変化をしています。特に、九〇年代以降の経済低迷の中、中枢機能が集中する東京圏や大阪圏などの大都市は国際的に見て地盤沈下し、地方都市では中心市街地の空洞化といった構造的な課題が存在しています。さらに、災害に対しての脆弱さや、良好とは言い難い住環境や都市景観の混乱など、生活の質という面からも多様な課題に直面しています。
 これら、二十世紀の負の遺産とも言うべき諸課題について、早急に解決を図る必要があり、我が国の活力の源泉である都市について、その魅力と国際競争力を高めることが最重要課題となり、成熟した都市の整備と再生の在り方が我が国の経済、社会の発展を左右すると言っても過言ではない状況にあると言えます。
 政府においては、昨年四月の緊急経済対策の一環として、環境、防災、国際化などの観点から、都市の再生を目指す二十一世紀型都市再生プロジェクトや土地の有効利用などの施策が決定され、五月八日、内閣総理大臣を本部長とする都市再生本部を設置し、都市再生に関する施策を総合的かつ強力に進めるとされています。こうして、都市の再生が小泉内閣の政策的目玉となり、一大国家プロジェクトとして位置付けられたにもかかわらず、再生されるべき都市像、街づくりのグランドデザインは全く明確にされていません。
 小泉総理は、自民党を変える、日本の構造改革を行うを公約に総理の座に着きました。最近の鈴木宗男、加藤紘一両議員にまつわる一連の事象や国会運営を見ても、自民党の体質、すなわち金権体質、利権誘導体質、派閥主導の古い政治から全く変わっていません。自民党は本当に変わったのでしょうか。
 小泉総理は自民党は変わったと明言されていますが、具体的に変わった点について、福田官房長官にお聞きをしたいというふうに思います。
 また、自民党は本当に変わったのでしょうか。連立内閣に参加している立場から、扇国土交通大臣にお尋ねいたしたいというふうに思います。
 さらに、小泉構造改革のもう一つの特徴として、スローガンは分かりやすいが、将来展望、ビジョンが全くないということも明白になりました。世界の中での日本の位置付け、医療や年金などの社会保障は安心できる改革ができるのか、構造改革ができると日本はどう変わるのかなど、明確なビジョンは全く見えていません。
 都市再生についても、国土全体の在り方として都市が目指すべき方向が明らかにされることが重要であり、我が国の都市が今後どのようになっていくべきかというビジョン、そのビジョンを実現するための戦略、戦術としてのプロジェクトが構想されるべきであります。
 都市再生本部である小泉内閣は、これからの日本の街づくりを一体どのようにするつもりなのか。都市の役割、地方の役割について、それぞれどう分担をするのか。
 大都市、中核都市、そして「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷」と文部省唱歌の「故郷」の一節にもあるふるさととしての田舎町がどうあるべきかという日本の国のグランドデザインがあり、その一環として都市再生があると考えますが、福田官房長官、扇国土交通大臣のお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。
 続いて、法案の内容について六点お伺いをします。
 第一点は、小泉内閣の考える都市再生の理念と基本コンセプトについてであります。
 先ほど、日本のグランドデザインについてお尋ねしましたが、それに基づいて都市再生をどのような理念、基本コンセプトで進めていこうとしているのでしょうか。一極集中型から多極分散型へという考え方との整合性、一九九二年の都市計画法改正以来の市町村マスタープランとの整合性について、福田官房長官、扇国土交通大臣の御所見をお伺いします。
 第二点は、都市再生緊急整備地域の指定についてであります。
 都市再生を図るため緊急に整備すべき地域を政令で指定をし、土地利用規制の特例等を定める都市再生特別地区を創設するとされていますが、現時点においてどのような地域を都市再生緊急整備地域として指定すると想定されているのでしょうか。また、指定の公平性と透明性はどのようにして確保するおつもりですか。さらには、それらの地域においてどのような民間事業が計画され、どの程度の事業規模があると想定されていますか。福田官房長官のお考えをお聞かせください。
 第三点は、二法案における民意の反映についてであります。
 都市再生特別措置法案において、都市再生事業を行おうとする民間事業者は土地所有者等の三分の二以上の同意を得て都市計画決定の提案を行うことができるとされ、都市再開発法改正案においては、市街地再開発事業を行おうとする再開発会社は事業の施行認可に当たり土地所有者等の三分の二以上の同意を要するとされています。
 事業の迅速化を図ることが法案の意図の一つであり、同時に事業の円滑な推進を図ることも必要でありますが、法律要件をしゃくし定規に適用するのではなく、全員の同意に向けての努力や、少数意見を極力尊重しながら合理的な判断を下すことが必要と考えます。そのために国土交通省はどのような対応を考えておりますか。例えば再審制度というようなことをお考えでしょうか。国土交通大臣のお考えをお聞かせください。
 第四点は、住民参加と情報公開についてであります。
 都市再生特別措置法案において、都市再生事業の提案権を民間事業者に付与していますが、NPOといったより広範な民間主体には付与されていません。一方、欧米では、事業計画の検討段階での住民参加手続が制度化され、厳しく運用されている事業計画策定過程での住民参加も保障されております。
 都市再生事業は、事業計画の該当地区内のみならず、隣接の地域にも大きな影響を与えるものであり、事業の円滑な推進には情報公開が重要な課題であると考えますが、今回の二法案では住民参加と情報公開についてどのように担保されているのか、扇国土交通大臣のお考えをお聞きしたい。
 第五点は、都市再生事業の政策的評価についてであります。
 従来の都市整備の評価は、行政投資や、その結果として整備される建物、道路、公園、下水道などの施設整備の出来高によって評価されてきました。今、都市型社会に移行し、国民の大多数が都市に居住して働き、暮らし、消費するという面から見ると、従来どおりの評価システムでは十分ではありません。
 冒頭述べましたように、都市型社会の国際化や情報化、高齢化の進展や少子化による人口減少時代の到来ということを念頭に、今後は都市に集う者の生活の質に重きを置いた都市機能の評価が求められていると考えます。そして、住民が関与した都市政策の評価の分かりやすい指標の設定、アメニティーに重きを置いたベンチマークの設定、定期的な達成度チェックといった評価システムの構築と、都市政策へのフィードバックシステムの構築が必要であると考えます。今回の法案にはその視点が欠けていると思われますが、扇国土交通大臣の御所見をお聞かせください。
 第六点として、私は、今回提案された都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案が、単に市場主義に基づく非人間的な都市再開発ではなく、環境、安全、景観、暮らしやすさなどアメニティーに配慮した人に優しい人間的な都市再開発を推進するものであることを強く望んでおります。小泉内閣の決意を福田官房長官、扇国土交通大臣、お聞かせください。
 最後に、本会議初質問の機会をお与えいただきましたことに感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(扇千景君) ただいま私に対しまして、少し数が多うございますけれども、御質問いただいております。
 まずは、小泉総理は自民党は変わったと明言しているが、自民党は本当に変わったと言えるか、連立内閣に参加している立場から答弁願いたいということでございました。
 連立政権を構成しているというものの、与党とはいえ、自由民主党と保守党は全く別の政党ではあります。
 ただ、自由民主党には長い歴史があり、今日の日本を、戦後持ってくるために多くの政治の安定を自由民主党が担ったということが、今日の日本があるということだけは多くの国民が理解するところだろうと思っております。
 ただ、自由民主党のことは何よりも総裁である小泉総理が一番よく御承知でございますし、その総理が自由民主党は変わったと明言されている以上、本当に変わったんだと信じております。
 これからの街づくりと都市と地方の役割分担についてお尋ねがございました。
 昨年の五月に都市再生本部が決定いたしました都市再生に取り組む基本的な考え方に示されるように、長時間勤務や慢性的な交通渋滞というような二十世紀の負の遺産というものを解消するとともに、少子高齢化社会や国際化の経済社会情勢の変化を踏まえた二十一世紀の新しい都市創造を進めることが都市再生の基本的な課題と考えております。
 第三に、都市再生の理念や国土政策、なお市町村のマスタープランと都市再生との整合性についてお尋ねがございました。
 都市再生は、我が国の都市を歴史と文化を継承しつつ、生活する上でも豊かな快適な、そして、国際的に見て経済活力に満ちあふれた都市へと再生しようとするものであります。都市再生は、東京など大都市のみならず、地方都市も対象にその推進に取り組むべきものでございますし、これにより、我が国全体の活力が向上が図られていくものと信じております。したがって、都市再生は、国土整備に係る各種施策と整合して進められるものでございます。
 また、今回の都市再生特別措置法案については、地域の指定やあるいは地域整備方針の施策等の段階で、関係都道府県、市町村との十分な意思の疎通を図ることとしておりますし、その過程を通じて、都市計画法に基づく市町村の都市計画に関しますあらゆる基本的な方針等とも調和の取れた形で進められていくものと考えております。
 第四に、二法案における民意の反映と、そして再審制度についてのお尋ねがございました。
 都市計画の提案や市街地再開発事業の施行の認可に当たりましては、土地所有者等の三分の二以上の同意を取る過程で、住民への説明会、その開催や情報公開が十分適切に行われるように徹底してまいりたいと考えております。さらに、市街地再開発事業等に意見がある場合には、事業認可を行う都道府県知事に意見書を提出し、また知事の判断を仰ぐことができることとされております。また、都市計画決定を提案に基づいて行う場合にあっても、その後の都市計画決定に当たっては、通常の場合と同様に、公聴会、説明会の開催や都市計画案の公告縦覧等、情報公開と住民参加のための十分な手続が取られているところでございます。
 第五に、住民参加と情報公開についてのお尋ねをいただきました。
 ただいま申し上げましたように、都市計画の提案や市街地再開発事業の施行の認可に当たりましては、土地所有者等の三分の二以上の同意を必要としております。さらに、都市計画決定に当たりましては、公聴会、説明会の開催や都市計画の案の公告縦覧、住民等により意見書の提出、第三者機関であります都市計画審議会への付議といった手続が定められております。また、市街地再開発事業の施行の認可に当たりましても、事業計画等の縦覧や関係者、利権者等によります意見書といった提出の手続が定められているところでございますので、こうした手続を通じて十分な住民参加と情報公開に努めたいと考えております。
 第六には、都市再生に関する政策的評価についてのお尋ねがございました。
 政策評価につきましては、いわゆる行政評価法に基づいて政府全体として実施することとなっていることから、都市再生に関します政策評価についても、これに基づく国土交通政策全体の政策評価の中で対応することが適切と考えております。
 具体的には、行政評価法に基づく国土交通省政策評価基本計画において、例えば、都市関係分野では、バリアフリーの歩行者空間の整備状況や歩いていける範囲における都市公園の整備状況など、国民の視点に立った指標も設定して施策の評価に努めていくこととしているところでございます。
 最後に、人に優しい都市再開発の推進についてのお尋ねがございました。
 都市は、単に経済活動の場であるのみならず、多くの人が住み、育ち、学び、働き、集う場所として、さらには、住民が誇りと愛着を持てる場となるべきものであると考えております。このために、今回の両法案に基づきまして都市の再開発を進めるに当たりましても、土地利用の効率性のみを追求するのではなく、そこに働き、あるいは生活する人々の視点に立って、人に優しい街づくりを推進していきたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(福田康夫君) 池口議員にお答えします。
 まず、自民党の体質についてお尋ねがございました。
 小泉内閣におきましては、道路四公団の民営化を始めとする特殊法人の改革、道路特定財源の見直し、医療制度改革など、様々な分野でこれまで不可能と思われていた改革が自民党を含め与党の協力を得て着実に実現に向かっております。これらだけを見ても自民党は変わったと考えておりまして、多くの一般国民の意見を反映した政策が実現できるよう改革を進めてまいります。
 他方、政治と金のかかわりにつきましては、これは自民党に限られているわけではございませんけれども、いろいろな問題が指摘されております。もとより、地元への不当な利益誘導や公共工事への口利きといった行為はあってはなりません。現在、与党政治倫理の確立に関する協議会においても議論をしており、法整備も含めて早急に改善策を検討してまいります。そして、真に国民から信頼される政治の確立を図ってまいります。
 次に、これからの街づくりと都市と地方の役割分担についてお尋ねがございました。
 都市は、我が国経済の活力の源泉であることから、その魅力と国際競争力を高め、その再生を図ることが我が国の経済の再生をするためにも極めて重要と考えております。このため、大都市、地方都市を問わず、それぞれの特色を最大限に生かして全国のすべての都市の再生を実現してまいります。
 次に、都市再生の理念等と多極分散等との整合性についてお尋ねがございました。
 今回の法案は、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、民間の力を最大限に発揮して都市再生を進めるために思い切った措置を講ずるものであります。この法律の施行に関しては、この法律の施行に際しましては、関係省庁や関係地方公共団体と十分な調整を図ることにより、多極分散型という国土政策や市町村マスタープランとの整合性を図ってまいります。
 次に、都市再生緊急整備地域についてお尋ねがございました。
 都市再生緊急整備地域は、都市再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域を指定するものでございます。具体的な地域指定に当たっては、閣議決定により策定する都市再生基本方針にその指定基準を明示するとともに、関係地方公共団体とも十分意見調整する仕組みを設けているところであります。その手続には公平性、透明性を十分確保してまいります。
 なお、具体に指定する地域については、以上のような手続に基づき、今後鋭意作業を進めてまいります。
 最後に、人に優しい都市開発についてお尋ねがございました。
 御指摘のように、都市再生を実現するには、都市機能の高度化とともに居住環境の向上を図り、人に優しい都市づくりを進める必要があります。そのためには、各種インフラ整備に合わせ環境や防災、少子化、バリアフリー対策を始め各種ソフト施策など、各府省の行政の枠組みを超えた横断的な取組が必要であります。
 本法案において、全国務大臣から構成される都市再生本部を内閣に設置することとしたところでございまして、地方公共団体や経済界と力を合わせて、政府が総力を挙げて都市の再生に取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(井上裕君) 大沢辰美君。
   〔大沢辰美君登壇、拍手〕
#10
○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、都市再生特別措置法案及び都市再開発法等改正案について、質問をいたします。
 今、東京を始め大都市部ではバブルの時代に大企業が買いあさった土地を虫食い状態で放置され、都市の荒廃が広がっています。それは、土地投機で地上げ屋が強制的に土地を買いあさり、固定資産税や相続税が急激に上がって払えなくなった住民は生まれ育った土地を泣く泣く追い出されたからです。今日、その最大の教訓は、住民の皆さんの生活の場である家や土地を投機の対象とせず、住民本位の街づくり、都市づくりを進めることではないでしょうか。
 大臣は、バブルの時代の土地投機が住民を追い出し都市の荒廃につながったとは思いませんか。認識をまずお伺いをいたします。
 都市の再生というならば、その反省に立って進めるべきです。ところが、小泉内閣は、この痛切な教訓に学ぶことなく、今また市場主義に基づく都市再生を進め、失敗を繰り返そうとしています。
 この法案に、経団連は、かねてから要望してきた内容が多く含まれていると高く評価しています。その内容は、用途地域の規制をすべて外し、民間企業が自由に都市計画し開発を進めることができる、また、民間企業が再開発事業者として事実上の土地収用権まで持って再開発を促進することができる、そのようになっています。そして、行政の側は、六か月以内に都市計画決定ができる、三か月以内の事業認可の実施など猛スピードで行うというものであり、かつてない乱開発促進法です。
 この法案の第一の問題点は、企業に土地収用権を与えて高度利用推進区を設けることで住民の追い出しを一層加速される危険があります。現在でも、多くの再開発が大手のディベロッパーの主導の下で推進されています。例えば六本木六丁目、その地区の再開発ビルでも、当初六百軒いた地権者のうち残った人はわずか三分の一であり、三分の二の地権者は地区外に移転せざるを得ませんでした。
 公園整備など極めて公共性の高い事業に限って行われている再開発事業に再開発会社と称するディベロッパーを参入させ、事実上、土地収用権を与えるならば、更なる住民追い出しの道具に使われるのではないかという懸念が広がっています。土地収用権は国民の財産にかかわるものであり、その発動に当たっては高い公共性が求められます。
 その重要な権限を私的な利益を追求する民間企業に与えることは、国民の財産権を民間企業が脅かすことになり、それは憲法上の重大な問題であると考えますが、大臣の認識を伺います。
 また、土地区画整理事業において、高度利用推進地区を設け、そこに高層ビルなど建設するため、換地を望まない土地所有者を含め、その地区から追い出されることは明らかです。これは土地区画整理法八十九条の、換地を定める場合は、換地が従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応する、その定めた原則にも反するものです。極めてこれは不十分な区画整理法の原則さえ崩すことになるのではないでしょうか。お答えください。
 この法案の第二の問題は、用途地域などの規制を外すことなど、企業の自由な計画によって残った住民に対しても住環境を一層悪化させることです。
 都市計画や再開発の地域は、住民の生活や営業の場であり、合意と納得なしに進めることは絶対にあってはなりません。ところが、用途規制を外して企業の思うままに計画が立てられれば、住民の意見は反映されず、住環境を悪化させることは必至です。用途地域の規制を外してしまえば、日照権やまた緑の確保など住環境は一層悪化させることになりませんか。お答えください。
 また、木造密集地域の解消や未利用用地などの住環境整備のために、なぜ民間事業者などの参画する再開発会社を追加する必要があるのでしょうか。結局、大企業による再開発を促進するものではないかと懸念も広がっています。住民参加はどのように保障されるのでしょうか。答弁を求めます。
 法案の第三の大きな問題点は、開発資金の貸付けや期限切れになった民間都市開発機構の土地取得業務を延期するなど、余りにも露骨な大企業支援のメジロ押しで浪費を拡大することになっています。
 今も首都圏を中心に再開発や区画整理が進められ、超高層ビルの建設ラッシュです。東京都区内の来年二〇〇三年一年間の建設予定のオフィスビルは、大規模なものだけでも百七十二万平方メートル、東京ドーム三十七個分です。マンションについても、二〇〇二年度以降の高層のマンションは百五十八棟、約五万五千戸分が計画されていますが、法案はこれらの計画を企業が進めやすく進めるための支援策にほかありません。
 二つの法案と密接に結び付いているのは都市再生本部の方針です。政府は、昨年五月、内閣府に小泉総理を本部長とする都市再生本部を設置しました。三次にわたる本部決定をしました。それに加え、内閣のお墨付きをもらった地域を民間主導で迅速に開発する、そこに国や地方公共団体が補助金を出すというのです。また、国際競争力を強化するために、関西空港の二期工事や東京環状道路の整備など、空港や道路を整備するというのです。これでは都市再生という名に姿を変えた大型公共事業ではありませんか。
 東京都では臨海部の開発に二兆円もの税金を使ってきました。臨海部に立派なビルは建ったが借り手がない、仕方がないので東京都の関連団体をそこに移転させる、第三セクターの開発会社の赤字に税金を投入する、そういう有様で大破綻しています。
 これらの都市再生の大型プロジェクトが、今でも大変な地方財政をより一層困難な状況に追い込むのではないかと懸念しますが、大臣の認識を伺いたいと思います。
 また、開発を支援する民間都市開発推進機構は、大企業が持っている工場跡地や不良債権化した土地を買い取る業務を一九九四年に始めました。民都機構には既に三千六百三十一億円の血税がつぎ込まれています。取得した土地の二割程度しか処分できていませんが、その業務を三年間も延長するというのです。また、民間が開発した地域の道路整備などの無利子貸付けの支援を行うことになっています。
 大臣にお聞きしますが、この不況で大企業や銀行の持っている不良債権が増えて、最終的には民都機構がそれを買い取ることになるのではありませんか。答弁を求めます。
 日本共産党は、政府の進める都市再生は人間の生活の場としての街づくりでなく、市場主義を優先させるものである、重大な誤りであると考えます。多くの専門家、研究者が同じように述べています。厳しい批判の声が上がっています。
 都市政策研究団体として八十年の歴史のある東京市制調査会の東郷常務理事はこのように言っています。都市再生も都市政策として行うべきであり、過度に経済政策として行えばバブルを招き、危険であると言っています。また、環境アセスメントなどを行っている国際影響評価学会の日本支部の代表の原科幸彦東京工業大学教授は、政府の都市再生のねらいは土地の高度利用なのです、土地の利用を自由にやろうというのは経済的競争力の強い者が独り勝ちするだけですと言っています。結局、住民の生活環境はどんどん後退してしまう、それは本当の都市再生ではない、厳しく批判をしています。
 そのような声にこそ真摯に耳を傾けるべきと考えますが、大臣の答弁を求めます。
 地価の下落とバブルの崩壊によって売却益で事業を行う都市再開発や区画整理事業の手法は事業が成り立たず、破綻することがこれまでの経験から明らかです。その教訓に学び、市場原理でなく、住民参加で人が生活できる都市に再生できるよう、現在の法律、制度の体系を抜本的に見直すことこそが今必要であると、そのことを主張し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(扇千景君) 八問にわたる御質問をいただいております。
 バブル時代の土地投機による住民追い出しについてのお尋ねがございました。
 バブル時代には、土地の投機等に、取引の、これに伴うコミュニティーの崩壊といった問題も生じたと認識しております。都市の再開発を進めるに当たりましては、そうした問題が生じることのないよう、従前からそこに住んでいる方々の居住の確保がなされることが大切なことであると考えております。
 このために、都市再生特別措置法案におきましては、目的規定において、住宅の整備、確保を包含する都市の居住環境の向上を明示的に挙げているところでございまして、各種支援制度の活用等により十分な対応を図ってまいりたいと考えております。
 二つ目には、土地収用権を民間企業に与えることは問題ではないかというお尋ねがございました。
 再開発会社が市街地再開発事業を実施するに当たりましては、一つには、土地の収用が可能な他の都市計画事業と同様に、都市計画という公的な計画に事業が位置付けられておりますし、また、都道府県知事の事業の認可など法律に基づく厳格な手続により進められていること、また、特に、地権者の権利利益にかかわる重要な事項につきましては、地権者の人数とまた地積のそれぞれの三分の二以上の同意が必要なことなど厳格な要件を課しているものでございますから、御指摘のような問題はないものと考えております。
 また、三つ目には、高度利用推進区は照応の原則に例外を作ることになり問題ではないかとのお尋ねがございました。
 今回創設します高度利用推進区の制度は、都市計画で高度利用を図るべきとされている区域について、この都市計画に沿った街づくりを実現する観点から、照応の原則の特例を設けるものであります。
 高度利用推進区におきましては、高度利用を希望しない地権者につきましては、土地区画整理事業区内で従前の土地にできるだけ近くに面積や利用状況が従前に見合った換地を与えることになっております。これによりまして、コミュニティーの維持や従前の土地利用の継続が確保され、財産権の保護も十分に図っていけるものと考えております。
 四つ目には、用途地域の規制の適用除外による住環境の悪化についてのお尋ねをいただきました。
 提案しております都市再生特別地区は、既存の用地地区の規制にとらわれず、自由度の高い都市計画を定めることができるようにすることで、民間の創意工夫を最大限に生かして、例えば豊かなオープンスペースを確保するなど、より質の高い都市空間を形成しようとするものであります。
 また、都市再生特別地区は、その都市計画の決定過程におきまして、通常の都市計画と同様、公聴会、説明会の開催、都市計画等の公示縦覧、意見書の提出などの手続を通じて、関係者、住民と十分な意見調整を図って定めるものであります。
 以上のことから、全体として良好な市街地環境が確保、形成されるものと考えております。
 五つ目には、再開発会社を追加する必要と住民参加についてのお尋ねをいただきました。
 今般、再開発会社を施行者に追加するのは、民間事業者の都市開発のプロとしてのノウハウを最大限に活用して、それまで以上に大規模あるいは困難な事業を実施していただくことをねらいとするものでございます。
 この再開発会社が実施する市街地再開発事業につきましても、都市計画の決定や、むしろ事業認可のそれぞれの段階で関係住民の意見を反映する必要な手続が取られているほか、再開発会社の設立につきましても一定の地権者の参画が要件とされているなど、住民参加の機会が十分に確保されているものと考えております。
 六つ目に、都市再生の大型プロジェクトと地方財政についてのお尋ねがございました。
 都市再生プロジェクトは、各都市におけますニーズを十分に踏まえつつ、緊急性の高いものを選定しているところでございますし、また、内容や進め方について調整を要するものにつきましては、関係府省と関係地方公共団体による協議会を設けて、その調整を図ってきております。あわせて、都市再生プロジェクトにつきましては、国はその立ち上げ、推進に当たりまして必要な資金を適切に確保するところでございます。
 このように、地方公共団体との十分な連携の確保の下にこの推進を図っていくものでございますので、地方財政を一層困難な状況に追い込むという懸念は当たらないと考えております。
 第七に、民間都市開発推進機構の土地取得譲渡業務についてのお尋ねをいただいております。
 機構の土地取得譲渡業務は、民間都市開発事業の種地となる土地を先行的に取得しまして、その土地の切り売りや乱開発を防ぐことを目的といたしたものでございます。土地の取得に際しましては、当該土地がおおむね整形で、その周辺の主要な公共施設が整備済みであり、また当該土地が債権の担保となっていないこと等、事業の種地として適切なものに限っております。したがいまして、御指摘のような対象とはならず、不良債権処理を目的としたものではございません。
 今後とも、優良な民間都市開発事業の推進と土地の流動化を推進するために、機構による土地取得譲渡業務を進めることが必要だと考えております。
 最後に、都市再生が市場主義で優先ではないかとのお尋ねでございます。
 都市は、単に経済活動の場のみであることではなくて、多くの人が住み、育ち、学び、働き、集う場でございます。さらには、住民が誇りと愛着とを持てる場になることが必要であると認識しております。
 このために、都市の再生を進めるため、に当たりましては、職住近接の確保、そして居住、文化、福祉等の多様な都市機構の充実、バリアフリー化など、そこに働き、あるいは生活する人々の視点に立った街づくりを推進していくことが必要でございますし、市場主義に偏ったものとならないように進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
#12
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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