くにさくロゴ
2002/04/17 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第18号
姉妹サイト
 
2002/04/17 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第18号

#1
第154回国会 本会議 第18号
平成十四年四月十七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
  平成十四年四月十七日
   午前十時開議
 第一 刑を言い渡された者の移送に関する条約
  の締結について承認を求めるの件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。国務大臣中谷防衛庁長官。
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(中谷元君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する内容といたしておりまして、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実等を図るとの観点から、陸上自衛隊の第四師団の改編等、陸上、海上、航空各自衛隊の情報保全隊の新編等並びに統合幕僚会議における防衛情報通信基盤管理運営室の新設及び情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正の内容について、その概要を御説明いたします。
 これは、陸上自衛隊の第四師団の改編等及び情報保全隊の新編等に伴い、陸上自衛隊の自衛官の定数を四百五十四人削減し、海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官の定数をそれぞれ十四人増加するとともに、統合幕僚会議事務局における防衛情報通信基盤管理運営室の新設等及び情報本部における情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、統合幕僚会議の自衛官の定数を百三十五人増加することを内容とするものであります。これにより、自衛官の定数は、計二百九十一人削減されることとなります。
 次に、自衛隊法の一部改正の内容について、その概要を御説明いたします。
 これは、陸上自衛隊の第四師団の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を三人増加するものであります。
 以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。山根隆治君。
   〔山根隆治君登壇、拍手〕
#7
○山根隆治君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案についてお尋ねをするわけでありますが、冒頭、緊急にお伺いしなければならない喫緊の事態が発生をいたしました。
 それは、昨日のテレビ放送で私の目に飛び込んできた映像と音声で伝えられたものであります。さきに北朝鮮に拘束され、釈放された元日経新聞記者杉嶋岑氏の発言であります。杉嶋氏は、北朝鮮でスパイ活動をし、その謝礼を日本の公安当局から受けていた、その詳細を北朝鮮の捜査当局も把握していて、その情報の提供元は日本の公安当局だったという驚くべき告白であります。
 私は、スパイ行為そのものを今問うのではなく、日本の公安当局自体がどこかで北朝鮮と通じていたという発言内容に驚愕をするのであります。もしこれが事実とするなら、自由主義国家の中での信頼は大きく失墜し、国家の根幹を揺るがすほどの大事件となるはずであります。有事法制が論議される前に、情報の管理において我が日本国は国家たり得ているのか、震えおののく思いであります。現時点で掌握されている事実につき、官房長官より御答弁をいただきたいと思います。
 さて、冷戦が終結した二十一世紀において、国際社会及び我が国の平和と安全への脅威の質は、二十世紀型の国家による大規模な武力衝突という構図から大きく変化しました。科学技術の飛躍的発展と情報や人、物などのグローバル化によって、都市部におけるゲリラ戦やテロ・破壊活動、ミサイル攻撃、生物化学兵器や小型武器拡散による脅威、武装した不審船による領海侵犯、サイバーテロの危険性など、様々な新たな脅威が次々と私たちの平和と安全を脅かしております。
 このように、国際情勢の変化を踏まえ、国民の生命、財産のみならず、自由や基本的人権をしっかり守ることが国家の責務であります。
 我が国政府は、戦後、一貫して日米安全保障条約を基軸として国防体制を整えてきました。一方、日々変転する国際政治の現実においては、例外なくすべての国は永遠に敵国や友好国であり続けるわけではなく、我が国の進むべき方向と方針の軸はあくまでも我が国の国益に置くべきであり、アメリカや、ましてや中国、北朝鮮におもねるがごとき姿勢は厳に慎まなければなりません。
 拉致疑惑に対し、昨日まで国士としてやゆされてきた自民党の大物代議士がいつの間にか北朝鮮の代弁者に成り下がったり、閣僚が中国に赴き、批判そのものの妥当性はともかく、読んでもいない我が国の歴史教科書を海外において誹謗するなどという行為は、中国に対する媚態以外の何物でもありません。
 翻って、防衛庁長官に伺いますが、現在、我が国の防衛政策は、何からの、どのような脅威を想定し、これに対してどのように国民を守ろうとしているのか、防衛の基本理念についてお伺いをいたします。
 また、今回、政府は有事法制関連三法案を閣議決定いたしましたが、この基本理念と有事法制及び本改正案との関係について、官房長官及び防衛庁長官にお伺いをいたします。
 さらに、さきの衆議院安全保障委員会において、我が党の末松議員の質疑に対し、中谷長官は、ラムズフェルド国防長官に、米国がアフガニスタン以外での軍事行動を開始する場合、事前の情報提供を要請したと答弁されております。
 それでは、米側から事前通告があったとして、米国に何らかの積極的なメッセージを出せるのでしょうか。日米基軸、国連中心以外の言葉で米国の軍事行動をいさめるような言葉を用意されているのですか。世界平和樹立のためにあなたは何を考えているのですか。防衛庁長官にお伺いをいたします。
 極東地域の安全保障を展望し、今後の在日米軍との関係についてお伺いいたします。
 先月二十九日に、アメリカと韓国は、二〇一一年までに在韓米軍基地の半分以上を段階的に韓国に返還することについて合意しました。我が国は米国との間で、在日米軍基地の返還について、SACO合意等に基づいて今日まで交渉を進められてきたと承知しておりますが、世界的に見ても、いまだ大都市の中に広大な国土を提供するなど、在日米軍基地のありようはおよそ正常な状況とは言えません。我が国は基地の一層の返還を求めてアメリカと強く交渉するべきではないでしょうか。今後、返還交渉をどれほどの規模でどのように進めていく方針なのか、外務大臣及び防衛庁長官にお伺いをいたします。
 さきの不審船事件では、我が国の防衛庁、海上自衛隊、海上保安庁の縦割り行政の弊害が露呈され、情報収集と伝達体制の現状に対して厳しい批判が寄せられました。本改正案においては、情報収集の充実の観点から、情報本部の強化や防衛情報通信基盤管理運営室の新設などが盛り込まれております。私は、その基本的な方向性は理解いたしますが、軍事情報の収集に当たっては、更に考慮すべき課題があると指摘をせざるを得ません。
 専守防衛を基本とする我が国にあって、迅速かつ的確な情報収集や分析が必須であります。不審船やテロ事件等を契機に、情報通信の在り方とともに我が国独自の情報収集・分析能力をどのように向上させるのか、具体的な政策について、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 これに関連して、アメリカ政府はエシュロンなる機関を設置して、英語圏の同盟国と情報の収集や共有を図っていると言われております。在日米軍の中にもその関連施設があるとも聞きますが、日本政府はエシュロンの存在についてどのように認識をしているのでしょうか。
 先日、日本を見下ろす高度約三万六千キロの静止軌道上に偵察衛星と推測される全長五十メートル規模の物体が発見されましたが、この実態はどうなっているのでしょうか。防衛庁長官にお伺いをいたします。
 過般、私は、ドイツの元緑の党に所属していたイルカ・シュレイダー議員の話を聞く機会を得ましたが、アメリカの盗聴システム、エシュロンにEUで最も激しく反対を叫び続けてきたこの女史でさえ、私の質問に対し、EUでもこれに代わる盗聴システムを確立していくしかないという流れを止めることはできないだろうと述べていたのであります。
 我が国は、ある程度の国益を簒奪されることを覚悟しつつアメリカとの連携を強めるのか、アメリカを牽制しつつEUと手を組んでいくのか、あるいは我が国独自の情報収集システムを構築することを目指そうとするのか、お尋ねをいたします。もはや、エシュロンの存在自身を承知していないとの認識は我が国の外交音痴を国際的に露呈することでしかなく、この際、しっかりとした答弁を防衛庁長官にお願いをいたします。
 我が国政府は、国民が外国に拉致されてもこれをテロと認めない中で、アメリカのテロ撲滅戦略には理解を示し、テロ対策特別措置法を制定し、米軍などの行動への協力、支援を行っております。
 私は、フランス革命で、自由、平等、博愛の名の下に何と多くの悪行が行われたことかと慨嘆し、刑場の露と消えた貴婦人の言葉を思い起こしますが、今、イスラエルはパレスチナ過激派によるテロ封鎖の名の下にパレスチナ自治区への軍事侵攻を行い、中東情勢は極めて重要な局面を迎えております。アメリカのパウエル国務長官が調停のために現地に入り、EUやロシアの要人も積極的に外交舞台で動いている中、日本はいまだ駐イスラエル特命全権大使も任命しないままでおります。政府はこの紛争解決に向けてどれほど本気で取り組むつもりなのか、甚だ心配であります。先般の国会決議を重く受け止め、中東和平に向けてあらゆる外交努力を行うべきだと考えますが、官房長官並びに外務大臣の意見と今後の具体的な対応について、お考えをお伺いをいたします。
 また、パレスチナ地域ばかりではなく、米国は、イランやイラクなどの国に対しても着々と外交圧力を掛けております。今後、九月十一日のテロとの関連で、アルカイーダと関係していたとして、米国が更にテロ撲滅のための戦争地域を拡大しないとも限りません。一般教書演説で悪の枢軸に名指しされた北朝鮮への軍事行動の可能性も、将来的には否定し得ません。その際に、我が国へ協力が求められるとしたら、どのような対応をするのでありましょうか。我が国は、あくまでも国際連合の安保理決議等による国際社会全体の流れの中で主体的に判断すべきで、米国に唯々諾々と従うべきではないと考えますが、官房長官、外務大臣の御見解をお伺いをいたします。
 私は、先日、参議院内閣委員会において福田官房長官に対して、拉致問題の解決に関し、総理訪韓の折、金大中大統領に協力を要請すべきだと訴えました。去る三月二十六日の衆議院本会議において、我が党の大出議員の代表質問に対し、官房長官は、金大中大統領より理解が示されたと御答弁されたと承知しております。日本政府との間で理解に違いがあっては、今後の日韓協力の足並みにも影響します。そこで、金大統領に対して具体的にどのような協力をお願いし、どのように御理解いただいたと承知しているのか、官房長官にお伺いをいたします。
 また、二十日から訪韓される中谷防衛庁長官は、閣僚として、先週、衆参両院で採択された拉致問題の早期解決を求める国会決議を重く受け止めて、北朝鮮亡命者などからの情報収集について韓国側と具体的に一歩突っ込んだ交渉を進めるべきであります。米など、我が国の人道的支援も徒労に終わったように、残念ながら韓国政府の北朝鮮への太陽政策も暗礁に乗り上げているように私には思われます。この際、政府は毅然とした態度でこの問題に対処すべきだと思いますが、長官は、訪韓し、この問題についてどのような話をされていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
 先日、総理は、中国の海南島で朱鎔基総理と会談し、不審船引揚げについて、冷静な話合いを通じて解決することになったとプレス発表したようであります。不審船が沈没している海域は、国連海洋法条約に言う中国の排他的経済水域にあることは事実ですが、もとより中国の主権が及ぶ領海ではありません。排他的経済水域で認めているのは、環境保全や資源に関する管轄権であり、我が国としては、引揚げに当たって環境汚染を引き起こさないこと、及び、万一環境汚染を引き起こした場合でも、その補償について配慮すればよい問題でありましょう。また、漁業資源については、二〇〇〇年六月に発効した新日中漁業協定における日中共同管理の暫定措置水域であります。他方、中国が我が国が主張する排他的経済水域において事前通告なしに海洋調査を繰り返してきた事実も、交渉に当たりしっかりと認識をしておくべきであります。日中間の友好関係の維持発展を願い、外交上の情理を尽くして冷静に対処することは当然ですが、中国が引揚げを阻む大義名分など考えられません。総理の訪中結果を受けて、不審船の引揚げについて、時期など今後の具体的な見通しについて、外務大臣にお伺いをいたします。
 以上、述べてきたように、我が国を取り巻く国際環境を再確認し、国の防衛体制をしっかりと立て直すことは焦眉の急であります。本改正案が、一体私が今るる述べてきたこの流れの中でどういう意義を持つのか、防衛庁長官の説明を求めます。
 さらに、今後、少子高齢化が急速に進む中で、自衛隊の定員削減は避けて通れない道であります。陸上自衛隊の充足率は、定員削減にもかかわらず、相変わらず低いままであります。こうした低推移の要因についてはどのように考えておられるのか、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 最後に、私は、日米同盟はとてつもなく重要な関係であるものの、あくまでも我が国を守る基軸は我が国自身にあることをお訴えし、本法案への質問とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中谷元君) 防衛の基本理念に関するお尋ねがございました。
 山根議員御指摘のとおり、現下の国際情勢は、複雑で多様な地域紛争が発生し、また大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散といった危険が増大しており、さらに、先般の米国同時多発テロのような新たな危険の発生も見られております。
 我が国周辺においても、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、多数の国が軍事力の拡充ないし近代化に力を注いでおります。また、朝鮮半島における軍事的対峙の状況が継続するなど、不透明、不確実な要素が残されております。
 こうした中、我が国は、日本国憲法の下、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、文民統制を確保し、節度ある防衛力を自主的に整備すること等により、我が国の防衛を全うすることを基本的な方針といたしております。
 次に、この防衛基本理念と有事法制及び防衛庁設置法等の改正案との関係についてのお尋ねがございました。
 御指摘の三法案につきましては、今申し上げたような我が国防衛における基本的な方針の下、国家の緊急事態への対処のための態勢を整備するに当たり、武力攻撃事態対処についての基本理念、国、地方公共団体等の責務、国民の協力その他の基本となる事項、今後必要となる事態対処法制の整備に関する事項等を定めるものであります。さらに、武力攻撃事態への対処等における安全保障会議の役割を強化するほか、防衛出動時及び防衛出動下令前における自衛隊の行動及び権限に関する規定、手続等を整備するとともに、関係法律の適用の特例規定を設けるものでございます。
 一方、今回御審議いただく防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案は、今申し上げた我が国防衛における基本的な方針の下、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的向上を図るため、自衛官の定数及び即応自衛官の員数を変更するものであり、事態への対処のための法案である御指摘の三法案とは直接の関係はないところでございます。
 次に、米国がアフガニスタン以外への軍事行動を開始する場合の我が国の対応に関するお尋ねがありました。
 私は、昨年の十二月に日米防衛首脳会談におきまして、ラムズフェルド国防長官に対して、仮に米国がアフガニスタン以外の軍事活動を開始する場合の前広の情報提供をお願いしたところでありますが、これは、米国の今後の行動に対する我が国の対応を検討する上で、まず、十分に情報を収集するとともに、米側と緊密に協議をすることが重要であると考えたからであります。
 我が国としましては、国際的なテロリズムの防止のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与することが重要であると考えておりまして、かかる目的に合致するよう、今後とも主体的に判断し、適切に対応してまいりたいと思っております。
 次に、在日米軍の基地返還のお尋ねがございました。
 これは、アジア太平洋地域において引き続き不安定要因が存在する中で、日米安保条約とこれに基づく日米安保体制は、我が国の安全及びこの地域の平和と安定のために重要な役割を果たしております。在日米軍は、このような日米安保体制の中核を成すものであり、我が国に駐留する米軍に対して必要な施設・区域を提供することは、日米安保条約の目的達成のために必要不可欠なものであると認識をいたしております。
 この返還についてですけれども、現在、在日米軍の中で、在沖縄米軍基地の整理、統合、縮小のため、SACO最終報告の着実な実施に取り組んでおります。また、在日米軍の兵力構成等の軍事態勢につきましては、一九九六年の日米安保共同宣言に従い、国際的な安全保障体制において起こり得る変化に対応して、引き続き米国政府との間で緊密に協議していく考えでありまして、防衛庁としましても、国際情勢が肯定的に変化していくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、防衛庁の今後の情報通信の在り方、我が国独自の情報収集・分析能力の向上についてのお尋ねがございました。
 専守防衛を旨とする我が国にとりまして、平素から常に領海、領空、その周辺の海空域を警戒監視することや国の安全に必要な情報を収集、処理することは、御指摘のとおり極めて重要であります。このため、防衛庁としましては、情報通信技術の著しい進歩にも対応しつつ、艦艇、航空機等の防衛庁独自の情報収集手段や政府の情報収集衛星打ち上げ後はその成果を活用するとともに、関係省庁等の間で適切な情報共有を図るなど、必要な手段を用いた所要の情報の収集・処理態勢の充実に今後とも努力をする所存でございます。
 次に、いわゆるエシュロンや静止軌道上の物体についてのお尋ねがございました。
 議員御指摘の静止軌道上に全長五十メートルの規模の物体が発見されたとの報道を含め、いわゆるエシュロンと呼称され、米国等が運用しているとされる通信傍受システムについて報道があるということは防衛庁としても承知をいたしておりますけれども、この事実関係につきましては把握をいたしておりません。
 また、このエシュロンと同様な通信情報収集機能の整備方針についてのお尋ねがございましたが、防衛庁としましては、国の安全に必要な情報を収集、整理することは極めて重要であると考えておりますが、防衛庁の情報業務の具体的な内容につきまして、防衛庁の情報関心や情報収集・処理能力を明らかにすることになり、自後の情報活動の支障となるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
 続きまして、私の訪韓に関し、拉致問題につきどのような話をするかという点のお尋ねがございました。
 現在、日韓防衛首脳会談の議題を含めまして韓国側と調整中でございますが、御指摘のとおり、拉致問題は、先般、国会でも決議が採択されたところでございまして、我が国として国民の生命にかかわる重要な問題ととらえており、訪韓の機会に韓国側にも理解、協力を申し入れたいと考えております。
 次に、現下の国際環境の下でこの改正案を提出することの意義についてのお尋ねがございました。
 これは、現在の中期防衛力整備計画に従いまして、今後とも、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を推進する一環として陸上自衛隊の第四師団の改編を行うとともに、各自衛隊の情報保全機能を強化するための情報保全隊の新編、統合幕僚会議における自衛隊の統合的かつ有機的な運用の強化を可能とする防衛情報通信基盤の管理運営体制の構築及び情報収集・分析態勢の強化を行うため、必要な自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更を行うものとするものでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(福田康夫君) 山根議員にお答えします。
 まず、北朝鮮に拘束され、釈放された元日経新聞記者の発言についてお尋ねがございました。
 我が国政府は北朝鮮の事情に詳しい方々からの話を聞くなどの情報収集は当然ながら行っておりますが、一般論として、いずれの省庁がいかなる個人からどのような情報収集を行っているかのお答えをすることは、業務遂行に支障を生じさせるおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
 さらに、一般論として申し上げれば、政府機関の非公開情報が外部に漏れることがあってはならないことは当然のことであり、情報の管理、保全については万全の措置を講じていると承知しております。
 次に、防衛の基本理念と有事法制及び防衛庁設置法等改正案との関係についてお尋ねがございました。
 現下の国際情勢は、複雑で多様な地域紛争が発生するなど、依然として不透明、不確実な要素をはらんでおり、我が国は、日本国憲法の下、専守防衛、日米安保体制の堅持、文民統制の確保、節度ある防衛力の自主的な整備など、我が国防衛の基本的な方針を堅持しております。
 御指摘の三法案につきましては、このような基本的な方針の下で国家の緊急事態への対処のための態勢を整備するに当たりまして、武力攻撃事態対処に必要な基本的事項等を定めるとともに、安保会議の役割強化、自衛隊の行動及び権限に関する規定、手続等の整備等を行うものであります。
 一方、今回御審議いただく防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案は、防衛の基本的な方針に基づき、自衛隊の機能の充実等を図るため、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。御指摘の三法案とは直接の関係はございません。
 次に、中東和平についてのお尋ねがございました。
 我が国は、イスラエル・パレスチナ間で暴力の悪循環が続いていることを強く憂慮しております。したがって、両院での御決議をも重く受け止めております。現在、米国による仲介努力が実を結ぶかが焦点となっている中、引き続き現地情勢を注視しつつ、また関係国との連絡を密にして、外相レベルでのイスラエル、パレスチナ双方への働き掛けを始め、中東和平のための外交努力を行っていく考えであります。また、駐イスラエル大使についても可能な限り早急に任命いたすよう取り計らいます。
 次に、米国の軍事行動拡大の可能性についてお尋ねがございました。
 先般行われた日米首脳会談において、ブッシュ大統領より、イラク、北朝鮮等については、その行動パターンを変えるように国際社会が協力する必要がある、米国はすべての選択肢を排除していないが、平和的に解決したいと考えており、外交的努力を続ける考えである旨の発言があったところであります。したがいまして、米国が軍事行動を取ることを予断した御質問にお答えすることはできません。
 いずれにせよ、我が国としては、国際的なテロリズムの防止及び根絶に向け、米国を始めとする国際社会の取組に、主体的な判断を持って積極的に寄与していく考えであります。
 最後に、拉致問題についてお尋ねがございました。
 政府としては、拉致問題は、国民の生命にかかわる重大な問題であるとの認識の下、あらゆる機会を通じて、北朝鮮側の真剣な対応を強く求めてまいりました。韓国に対しては、さきの韓国との首脳会談において総理から金大中大統領に対し、この問題は国民の生命にかかわる重要問題であり、国民は厳しい受け止め方をしている、これは無視できない問題であり、この解決を強く北朝鮮に求める旨述べられました。これに対し、金大中大統領より、こうした考え方について理解が示され、北朝鮮との対話によりこの問題の解決が図られることへの期待が表明されました。
 政府としては、今後とも北朝鮮側の対応を見極めつつ、何が拉致容疑問題解決のために効果的な方策であるかを真剣に考えながら、諸外国との連携を強めていくとともに、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組みつつ、拉致問題の解決を目指す方針であります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(川口順子君) 在日米軍基地の返還に関しお尋ねがありました。
 冷戦後もアジア太平洋地域には依然として不安定性及び不確実性が存在していますが、我が国としては、米軍の我が国への駐留は引き続き我が国の安全の確保及びアジア太平洋地域の安定と発展への寄与との観点から必要であると考えています。
 同時に、米軍施設・区域の周辺に住む方々が抱える御負担については、その軽減のため、政府としても今後とも最大限努力する考えでおります。特に、米軍施設・区域が集中する沖縄については、沖縄に関する特別行動委員会、SACO最終報告の着実な実施を通じ、沖縄の施設・区域の整理、縮小、統合に最大限努力していく考えです。
 中東情勢とこれに対する我が国の対応についてのお尋ねにつきましては、官房長官がお答えをしたように、我が国としては、米軍による仲介努力を含めて引き続き現地情勢を注視し、同時に関係国との連絡を密にしながら、当事者への働き掛けを含め、中東和平のための外交努力を継続してまいります。また、駐イスラエル特命全権大使につきましても、可能な限り早急に任命の手続を進める考えでおります。
 米国の軍事行動拡大の可能性に関するお尋ねがありました。
 先般行われた日米首脳会談において、ブッシュ大統領より、イラク、北朝鮮につきましては、その行動パターンを変えるように国際社会が協力する必要がある、米国はすべての選択肢を排除していないが、平和的に解決したいと考えており、外交的努力を続ける考えである旨の発言があったところです。したがって、米国が軍事行動を取ることを予断した御質問にお答えすることはできません。
 いずれにいたしましても、我が国としては、国際的なテロリズムの防止及び根絶に向け、米国を始めとする国際社会の取組に、主体的な判断を持って積極的に寄与していく考えです。
 不審船の引揚げに関するお尋ねがありました。
 先般の小泉総理と朱鎔基総理の会談においては、不審船問題全般につき、日中間の政治・外交問題とすることなく、冷静な話合いを通じ解決することを双方で確認しましたが、不審船の引揚げについてのやり取りはありませんでした。
 本件については、今後、ダイバーによる船体調査を実施し、引揚げが物理的に可能かどうかなど、船の状況をより詳しく調べたいと考えています。こうした調査の結果判明する状況及び現場海域の天候状況を見ながら次の段階につき判断することになります。
 現場は我が国が事実上中国の排他的経済水域として扱っている海域でありますので、政府としては、日中両首脳が確認した共通の認識を踏まえ、中国と調整を図りつつ適切に対応していく考えです。(拍手)
#11
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#12
○議長(井上裕君) 日程第一 刑を言い渡された者の移送に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長武見敬三君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔武見敬三君登壇、拍手〕
#13
○武見敬三君 ただいま議題となりました受刑者移送条約につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 この条約は、昭和五十八年三月に欧州評議会で作成されたものでありまして、外国において服役する受刑者の社会復帰を促進する等のため、受刑者をその本国に移送する場合の一般原則、移送の条件、手続、移送によって生じる効果等について定めたものであります。
 委員会におきましては、来日外国人受刑者の大半を占める中国、イラン、韓国等に対する受刑者移送制度導入の働き掛け、被害者感情に配慮した移送の実施、在日米軍人の受刑者の数と本国移送による刑の執行軽減の可能性、国際基準に適合した我が国における受刑者の処遇改善等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#15
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#16
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百八  
  賛成             二百八  
  反対               〇  
 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#17
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト