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2002/05/20 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第25号
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2002/05/20 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第25号

#1
第154回国会 本会議 第25号
平成十四年五月二十日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十六号
    ─────────────
  平成十四年五月二十日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 教育職員免許法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり


     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 教育職員免許法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。遠山文部科学大臣。
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(遠山敦子君) 教育職員免許法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 新学習指導要領の下、基礎、基本を確実に身に付けさせ、自ら学び考える力などを育成し、確かな学力の向上を図るとともに、心の教育の充実を図り、地域住民や保護者から信頼される学校づくりを推進するためには、専門的な知識、技能を有する教員が幼児、児童、生徒を指導できるよう教員免許制度の改善を行う必要があります。
 この法律案は、このような観点から、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の各学校段階間の連携の促進並びに小学校における専科指導の充実等を図るため、教員免許制度上の弾力的措置を講じるとともに、学校教育への社会人の活用を促進するため所要の措置を講ずるものであります。また、あわせて、教員に対する信頼を確保するため、教員免許状の失効及び取上げに係る措置を強化するものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 まず第一に、中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科及び総合的な学習の時間の教授を担任することができるようにするものであります。
 第二は、一定の教職経験を有する教員が、隣接校種の普通免許状を取得しようとするときに、免許状取得のために必要な単位数を軽減するものであります。
 第三は、専門的な知識又は技能を有している社会人に授与する特別免許状について、授与要件を緩和するとともに、有効期限を撤廃するものであります。
 第四は、国立又は公立の学校の教員で懲戒免職の処分を受けた者の免許状は失効することとするなど、免許状の失効及び取上げに係る措置を強化するための所要の規定の整備を行うものであります。
 最後に、この法律は平成十四年七月一日から施行することとし、ただし、免許状の失効及び取上げに係る改正については平成十五年一月一日から施行することとするものであります。
 以上が、法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。神本美恵子君。
   〔神本美恵子君登壇、拍手〕
#6
○神本美恵子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました教育職員免許法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。
 教育は、人が人となるための営みであり、過去と現在、未来をつなぐ営みであります。そして、教育政策は未来に対する私どもの期待の具体化であります。
 国には、憲法、教育基本法が示すように、子供たちの学習する権利、教育の機会均等などを根底として、子供たちが生き生きと学び、その無限の可能性を開花できるような教育の条件整備こそが国の責務として求められています。
 法律案の内容に入る前に、まず教育における国の役割である学びの環境整備という観点から、何点かお伺いいたします。
 小泉総理は、構造改革の痛みに耐える例えとして、米百俵の精神を述べられました。しかし、この米百俵の逸話の本来の趣旨は、越後長岡藩が、戊辰戦争で窮乏しているにもかかわらず、送られた救援米を将来の人材育成のために学校建設に使ったというものであります。これは、正しく私どもの主張である教育は未来への先行投資にほかなりません。
 まず、教育は未来への先行投資であるとの考え方について、それぞれの所管の立場から、文部科学大臣、総務大臣、財務大臣の御所見をお伺いします。
 第二に、学校施設の老朽化の問題についてであります。
 学校施設のうち、建築後二十年以上経過したものが老朽施設とされております。現在、一九七〇年代から八〇年代に掛けての児童生徒急増期に大量に建築された学校施設が一斉に改築、改修の時期を迎えています。公立小中学校の施設では、建築後三十年以上経過したものが全体の約二三%、二十年以上が全体の約六五%を占めております。
 このような老朽施設の面積を今年度予算における公立学校施設整備の事業面積で単純に割りますと、三十年以上経過した施設の改修には約三十年、二十年以上経過した施設の改修のためには約八十五年をも要することになります。当然ながら、その間も年々老朽施設は増加することになります。このままでは、近い将来大半の学校が老朽化し、危険な校舎ばかりという状況が生まれるのです。
 公立学校施設の老朽化について文部科学大臣はどのように御認識されているのか、お伺いします。
 また、本年二月の消防庁の調査によりますと、耐震診断の結果、公立小中高等学校の校舎や体育館の約一五%が改修が必要とされており、さらに、耐震診断すら受けていない校舎が四五%、約七万三千棟に上るということであります。
 先月、沖縄県の築三十年の中学校舎で、コンクリートがはがれ落ち、生徒がけがをするという事故が報じられました。私は、学校現場の切実な要求として、再三にわたり委員会の場で老朽校舎問題を指摘してまいりました。学校は、子供たちの学びやとして安全で安心できる場所であることが最低限の条件であり、早急な対応が求められます。特に、耐震診断は、いざというときに多くの子供の生命にかかわる問題ですから、一九八二年の新耐震設計基準施行以前に建てられたすべての校舎でこれを実施しなければならないと考えます。
 地方自治体によっては、財政逼迫の中で改修はおろか耐震診断さえ遅れがちになる自治体がありますが、改修及び耐震診断の実施にどのように対応されるのか、文部科学大臣、総務大臣にお伺いします。
 公立学校施設整備のための予算額は、一九八〇年の五千七百億円をピークに減少を続け、今年度はわずか一千四百億円となっております。急速に進む老朽化に対処するためには、予算を確保して計画的に整備を行うための年次計画が不可欠です。
 国立大学については、国立大学等施設緊急整備五か年計画が策定され、整備が進められております。公立学校施設の整備についても同様の年次計画策定が喫緊の課題と考えますが、文部科学大臣にお伺いいたします。あわせて、このような年次計画策定について、総務大臣、財務大臣の御見解をお伺いします。
 施設は単なる入れ物ではなく、そこで過ごす人の過ごし方、考え方に大きな影響を与えます。学校もまた、子供たちを豊かにはぐくみ、多様な教育方法や創造的な学びに対応できる施設であることが必要です。
 教えやすい、あるいは管理しやすいといった発想から脱却し、学びの主体である子供たち、そして保護者や地域の意見も取り入れた施設づくりが求められると考えますが、文部科学大臣の御所見をお伺いします。
 第三に、学級規模の縮小についてであります。
 現在、公立小中高等学校の学級編制の標準は法律で原則四十人とされておりますが、四十人の子供たちがひしめくような教室は世界でもほとんど見られない光景です。どんなに経験と力量がある教員であっても、一人一人の子供と触れ合い、個性をはぐくむ行き届いた教育を行うには三十人が限界であると言われております。
 また、一斉授業中心から、集団の中で自ら学び自ら考える力を育てる学習に転換するためにも、学級規模の縮小は不可欠であります。
 昨年の法改正で、都道府県教育委員会の判断によって少人数の学級編制ができるようになりました。しかし、一学級四十人という国の標準は据え置かれたままです。これに対し、我が党を始めとする諸会派の議員によって、四十人から三十人に学級編制を縮小することを内容とする対案を提出いたしましたが、残念ながら成立には至りませんでした。
 現在、多くの自治体で四十人以下の学級編制が行われておりますが、そのための経費はすべてその自治体で負担しなければなりません。公共事業は何年ストップしても待ってくれるが、子供の教育機会は一度しかないと、少人数学級実現のための財源を確保する姿勢を打ち出した自治体もあります。
 国は、教育条件の向上の観点から、このような自治体の取組に対し積極的に支援すべきであり、また、このような取組が全国的に広がるような支援措置を講ずるべきと考えますが、文部科学大臣、総務大臣の御見解をお伺いします。
 教育現場では、学級規模の縮小が子供たちの人格形成、学力保障、更にはいじめや学級崩壊などの課題解決の面で効果があるという実感があります。だからこそ、自治体が、厳しい財政事情の中にあっても少人数の学級編制を行おうとしているのです。
 今後、各自治体において実践が積み上げられていくものと思われますが、その効果を国としてどのように把握されるのか、また、教育の機会均等の観点から、国の学級編制の標準を引き下げるお考えがあるか、文部科学大臣にお伺いします。
 次に、本法律案の内容についてお伺いします。
 第一に、社会人の活用についてであります。
 法案では、特別免許状の授与要件とされている学士要件及び有効期限を撤廃し、社会人の一層の活用を図ることとしております。学校教育の充実を図るために、豊富な社会経験を有する社会人の活用は必要であると思います。しかし、一方で、社会の変化や子供たちの変化に対応するための教員の資質、つまり教職の専門性の一層の向上が求められております。
 特別免許状の授与要件の緩和により、教員となることができる者の範囲を広げることになりますが、このような措置と教職の専門性との関係についてどのようにお考えか、文部科学大臣の御所見を伺います。
 私は、教職の専門性とは、カリキュラムに関する理解や教科の指導方法はもとより、自分の教育観、子供観を絶えず問い直しつつ不断に向上していこうとする姿勢、子供たちの悲しみや喜びに共感する力、これこそ専門性の核を成すものだと考えます。
 教員免許制度の中心的要素である教職の専門性についての大臣の御見解をお伺いします。
 第二に、他校種免許状による専科担任制度の拡充についてであります。
 法案は、中高等学校の免許状による小学校の専科担任教科の拡大を図ることとしております。これにより、小学校の全教科を中高等学校の教科免許状で担任できることになります。
 しかし、学級は学習集団であるとともに生活集団でもあります。教員の接し方、教員の一言がその後の自分の人生に大きな影響を与えたということが言われるように、学校教育の根幹を成すのは子供と教員の日々の触れ合いであり、特に小学校の段階では、子供の成長丸ごとを見守る学級担任の下、子供たちが心のよりどころと感じるような学級づくりが重要です。
 専科担任制の拡充には、子供たちが多くの教員と触れ合うことができるという利点がある一方で、学級の一体感の醸成や生活指導が弱くなるのではないかという懸念がありますが、この点について文部科学大臣の御所見を伺います。
 小泉構造改革は、霧の中を進むかのように展望が見えてまいりません。その結果、内閣支持率は低下を続け、最近では不支持が支持を上回っております。改革の実は上がらず、痛みだけが先行しているのです。
 完全失業率は五%を超え、失業者数は約三百六十万人に達し、今春の高校卒業者の就職率は過去最低であります。小泉内閣の経済無策が教育にも大きな影を落としているのであります。その上、家庭の経済状況が厳しさを増す中で、日本育英会の奨学金は、有利子貸与は増員されたものの、無利子貸与は一万六千人減員されました。育英奨学制度の根幹は無利子貸与であったはずであります。
 構造改革の基本方針である骨太の方針は、教育などの分野に競争原理を導入するとしております。昨今の教育改革論議は、この競争原理、市場原理と復古的な国家主義が基調になっているように見受けられます。しかし、学校教育という公の性質を持つ公教育の理念は、優勝劣敗、弱肉強食の競争原理や市場原理とは本来異なるものです。また、復古的な国家主義で未来を切り開いていけるとはとても思われません。
 私は、学校現場で直接子供たちと向き合ってきた経験を持つ者として、小泉構造改革路線に基づく教育改革の方向は、子供や保護者、現場教職員の願いに逆行するものと言わざるを得ません。個人の努力や情熱ばかりでは限界がありますという切実な現場の声にこそ耳を傾けるべきではないでしょうか。
 今、教育の分野において国に求められているのは、本来の役割である子供たちの学習権、教育の機会均等という理念の下での学びの環境整備であります。
 最後に、この点につきまして文部科学大臣の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(遠山敦子君) 神本美恵子議員にお答えを申し上げます。
 まず、教育は未来への先行投資であるとの考え方についての御指摘でありますが、教育は、子供たち一人一人にとって、確かな学力を身に付け、豊かな心をはぐくみ、自らの能力を最大限に発揮して自己実現を図るために重要であります。また、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担うことのできる創造性や豊かな人間性に富んだ人材を育成することによってこそ、我が国は活力ある国家として発展し、世界に貢献していくことが可能であり、正しく教育は未来への先行投資であると私は考えます。
 このような教育を実現するため、我が省では、昨年一月に二十一世紀教育新生プランを策定するなど、教育改革を推進してきたところであります。今後とも、確かな学力の育成や心の教育の充実など、自ら学び自ら考える能力や豊かな人間性の育成のため、教育改革の推進に努めてまいります。
 次に、公立学校施設の老朽化に対する見解についてのお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、今日、我が国の公立学校施設は、昭和四十年代から五十年代の児童生徒急増期に大量に建設された建物が老朽化して、改修の時期を迎えております。現状においては、現行の耐震設計基準が施行された昭和五十六年以前に建築された建物が全体の六五%を占めております。
 学校施設の老朽化については私も重要な問題と認識しておりまして、次代を担う子供たちが学習する場、また日常の大半を過ごす生活の場としての学校校舎について、安全性、耐震性を確保し、子供たちのみならず、地域の方々からも信頼される学校づくりを進めていくことが大事であると考えております。
 また、公立学校施設の早急な改修及び耐震診断への対応についてのお尋ねでありますが、我が省としては、学校の安全性の確保の重要性や地震防災対策の緊急性にかんがみ、公立学校施設の耐震性能のより一層の向上を図ることは大変重要なことと考えております。
 このため、学校施設の耐震化についての早急な対応を自治体に指導しているところであり、その支援として、緊急性の高い校舎の耐震補強事業については国庫補助率のかさ上げ措置を講ずるとともに、一定の補助事業については耐震診断費についても補助対象としております。
 我が省としては、公立学校の耐震性能の向上のため、自治体の計画的整備に支障を来すことがないよう、引き続き必要な事業量の確保に努めてまいります。
 さらに、公立学校施設整備の年次計画についてのお尋ねでありますが、次代を担う子供たちに対して安心、安全で快適な学習環境を確保することは、第一義的には設置者である自治体の責務であり、まずは各自治体において耐震補強や改築などを進めていただくことが大切であると考えております。その際は、先ほどもお答えしたように、児童生徒急増期に大量に建築された建物が老朽化の時期を迎えているため、自治体においては中長期的観点に立った計画的な整備を図ることが重要であります。
 我が省としても、自治体における学校施設の計画的整備に支障を来すことのないよう、必要な事業量の確保に努め、自治体の取組を支援してまいります。
 また、多様な学びに対応した施設づくりについてのお尋ねでありますが、公立学校施設の整備においては、整備事業量の確保のみならず、質的な向上を図ることも大変重要なことであります。
 このため、我が省では従来から、新世代型学習空間や校内LANといった少人数指導や情報教育などの教育内容・方法の多様化へ対応した施設づくり、また、バリアフリー化など地域に開かれた学校づくり、さらに、太陽光発電などを取り入れた環境に配慮したエコスクールの整備など、学校施設の質的向上のための取組を進めてきたところです。
 また、こうした学校施設づくりに当たっては、御指摘のように、保護者や地域の意見も参考にすることも大事なことでありまして、我が省としては、今後とも、こうした取組を通じて学校施設の質的な向上に努めてまいります。
 次に、少人数学級実現のための支援についてのお尋ねでございますが、学級編制につきましては、昨年の通常国会において義務標準法が改正され、四十人学級を標準とする一般的な基準が定められることを前提としつつ、都道府県教育委員会の判断により、少人数の学級編制基準を特例的に定めることが可能となったところであります。
 一方、義務教育費の国庫負担は、国として義務教育の妥当な規模と内容を全国的に保障することを目的としているため、国庫負担の対象となる教職員数は四十人学級の標準に基づき算定することとなっております。したがって、都道府県が独自に学級編制基準を引き下げ、これにより増員が必要となる教員については、基本的には各都道府県の負担とすべきものと考えております。
 また、少人数学級の効果及び学級編制標準の引下げについてのお尋ねですが、昨年度からスタートした第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画では、算数、理科など教科に応じ、二十人程度の少人数指導のための定数加配を中心として、平成十七年度までの五年計画で二万六千九百人の教職員定数の改善を行うこととしております。
 本計画は、児童生徒の基礎学力の向上と一人一人の能力、適性に応じたきめ細かな指導を図るため、学級編制の標準の引下げではなく、少人数指導を推進することとしたものでございます。
 少人数指導の成果としては、これまで、児童生徒の学習意欲が向上したこと、基礎、基本の確実な定着が図られたこと、教員間の連携・協力体制が深まったことなどが報告されております。
 我が省としては、このような成果を踏まえながら、改善計画の着実な推進に努めてまいります。
 さらに、特別免許状の授与要件の緩和と教職の専門性との関係についてのお尋ねでありますが、特別免許状は、優れた知識や技能を有する社会人を学校教育に登用することを目的としたものであります。その授与の際には、都道府県教育委員会が教育職員検定において、担当する教科の専門的な知識、技能や教員の職務を行うのに必要な熱意と識見等を審査して授与するものであり、その資質と専門性が担保されているところでございます。
 今回の改正において特別免許状の授与要件の緩和を図りますのは、学歴にとらわれずに、より幅広い人材の中から本来特別免許状を授与されるべき人材を確保できるようにすることをねらいとし、学士要件を撤廃するものでございまして、教員の専門性を低下させるものではないと考えております。
 次いで、教職の専門性についてのお尋ねでありますが、学校教育の本質は、教員と児童生徒との人格的触れ合いにあり、また、教員は児童生徒の心身の発達という掛け替えのない業務に従事するものでありますことから、そのための専門性が求められます。
 教職の専門性としては、一つには、教育者としての使命感や教育的愛情といった人間性が大事でございますし、また、教科等に関する専門的な知識や教育技術を有していることが必要でございます。教職の専門性とは、これらの要素を併せ有することであると考えております。
 また、専科担任制の拡充に伴う御懸念についての御指摘でございますが、今回の改正は、小学校における専科指導の充実や学校間連携の促進等の観点から教員免許制度上の弾力的措置を講じるものであり、実際の指導においては、中学校又は高等学校の教員は自己が保有する免許教科に係る学習指導のみを行い、学級担任については、これまでと同様に当該小学校の教員が行うことになります。したがって、今回の改正により、御懸念のような生活指導などが弱くなることにはならず、むしろ、小学校に他校種の教員が参加することによって、小学校教育における専門性の向上や学校組織全体の活性化に資するものと考えております。
 最後に、教育の分野で国に求められているのは学びの環境整備であるとの御指摘でございますが、小泉総理は、就任直後の所信表明演説において、米百俵の精神を掲げられ、教育を重視する姿勢を明確に示されました。また、今国会の施政方針演説においても、小泉構造改革五つの目標として掲げた、社会に向けて、明るい未来を力強く切り開く担い手は人であるとして、教育改革の推進を国政の最重要課題の一つとして取り組まれております。
 さらに、平成十四年度予算は改革断行予算と位置付けられ、歳出の思い切った見直しが行われましたが、人材育成・教育については、いわゆる骨太の方針における重点分野の一つとして大胆な予算配分が行われ、教職員定数の改善、学校安全及び心のケアの充実、育英奨学事業の充実など、学びの環境整備に努めているところでございます。
 私といたしましても、小泉総理のリーダーシップの下に、内閣の一員として、国民の信頼にこたえる教育を目指し、責任を持って教育改革に取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣片山虎之助君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(片山虎之助君) 神本議員から御質問がございました。四点ございます。順次お答え申し上げます。
 第一番は、教育は未来への先行投資ではないか。仰せのとおりでございます。
 教育基本法の前文にもありますように、民主的で文化的な国家を建設し、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとするには、とにかく教育の力だと、人材の育成であり、それは根本においては教育の力だと、こう教育基本法に書いてございますが、私も全くそのとおりだと、こういうふうに思っております。
 教育はもとより国民一人一人の自発的な意思に基づくものでございますけれども、やっぱり行政は教育のためのいろんな諸条件の整備を行うことがその責務ではなかろうかと。特に地方団体は、小中高は地方団体が中心に担っておるわけでございますので、地方行財政を所管する総務省といたしましても、教育を重視し、教育のために一生懸命頑張りたいと、こういうふうに思っております。
 第二点目は、老朽校舎の改修や耐震診断の実施に関する御質問でございましたが、文部科学大臣からお話しのように、老朽校舎、これは児童生徒の安全のためにもこれは直さなきゃなりませんし、また、地域の防災拠点ですね、そういう点から着実にこれを整備していくということが必要だと認識しております。
 そのためには、まず、文部科学省に頑張っていただいて国庫補助金をたくさん取っていただいて、補助率のかさ上げその他がございますけれども、優先的な採択をやってもらうと。地方が負担する方は私どもの方でそれに応じて対応をしてまいりたいと、こういうように思っておりまして、今後とも文部科学省と連携しながら努力してまいります。
 それから三番目は、そのための年次計画を策定したらどうかと。計画的に整備するということが必要でございますので、私は年次計画をそれぞれの地方団体がお作りになるということは大変結構ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
 それから最後に、少人数学級といいますか、三十人学級のお話がございましたが、今の小中の教職員の配置は御承知のように標準法で決まっているんですね。国の標準法で決まっているものを地方財政計画上私どもの方が措置して、その分については地方交付税を差し上げると、こういうことになっておりまして、これを四十人以下にするという、これは大問題ですね。教育効果や専門的な議論もありますし、いろんな私は観点からの検討が必要だろうと思いますね。その中には国や地方の財政のことも少し考えていただくと。こういうことでございますが、全体では少子化でございますから、そういうことの絡みの中でこの少人数学級を実現していくにはどういう知恵が出るのか、これは国も地方も、関係者そろって検討していくべき問題ではなかろうかと考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(塩川正十郎君) 教育は未来への先行投資という御説でございまして、これはもう万人共通の考え方でございまして、申すまでもないことだと思っております。我々も、教育は正に政治の最重要課題と心得ておりまして、したがって、人材育成のために将来ともに重要な分野としての予算に配慮を十分してまいりたいと思っております。
 したがいまして、平成十四年度におきましても、財政が非常に苦しい中ではございましたですが、教育関係、特に義務教育関係につきましては特別の配慮をいたしております。
 具体的にちょっと一言申し上げますと、一般会計全体で二・三%対前年度削減しておるのでございますけれども、義務教育関係の文教施設に対しましては〇・二%しか削減いたしておりません。これは、やむを得ずこれをしたのでございますが、これからも我々はもっともっと教育の充実、施設も大事にいたします。
    ─────────────
#10
○議長(倉田寛之君) 林紀子君。
   〔林紀子君登壇、拍手〕
#11
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、教育職員免許法の一部を改正する法律案について、文部科学大臣に質問いたします。
 すべての子供たちに基礎的な学力を保障することは、国民の願いであり、憲法と教育基本法が要請している教育の基本任務です。学習内容を子供の発達段階に即して系統的なものとするとともに、真に基礎・基本的なものについては、すべての子供が分かるまで教える教育への転換こそが今求められているのではないでしょうか。すべての子供が人間として自分が大切にされていると実感できる教育を実現することです。
 ところが、この四月から学校五日制とともに新しい学習指導要領の下での授業が始まる中、学力をめぐって、子供の学力は大丈夫か、塾や私立学校に行く余裕のある子供とそうでない子供との学力差が広がるのではないかなどの不安が大きく渦巻いています。こうした不安を招いた原因はどこにあるとお考えですか。系統性を欠いた断片的知識の押し付けや、基礎的な科目に時間を保障していない新学習指導要領にこそその原因があることは明らかです。抜本的に見直すべきではありませんか。
 今こそ、国が学習指導要領で学習内容を統制し、現場を縛ることをやめるべきです。学者や専門家、学校現場などの国民的英知を集めて学習内容を大まかに決め、試案とし、各地で独自のカリキュラムを作り、交流できるようにすることを提案いたします。大臣の見解を求めます。
 文部科学大臣は、国民的不安の前に、朝の読書、宿題、家庭学習など、「学びのすすめ」を発表しました。その上、新学習指導要領が実施され、来週の時間割のめども立たないなど、学校現場は混乱しています。朝の始業時間が早まり、下校時間の延長で、子供たちはくたくたの状態です。また、十分に教師を増やさず、少人数授業などを進めた結果、教師の持ち時間数は大幅増となり、教材研究の時間が取れない、子供と触れ合う時間がないなど、各地で教師の悲鳴が上がっています。こうした実態をどう認識されているのか。教師の持ち時間の過大な増加などの実態を調査して対策を講じるべきではありませんか。
 今、地方自治体では、国が実施しないために、三十人学級など、少人数学級に踏み出しています。少人数学級に踏み出している自治体数はどれだけになっていますか。
 大きな流れとなっている三十人学級を実現し、更に少人数学級に進むことが国の責務として求められているのではないでしょうか。文部科学大臣の決断を求めます。
 次に、法案について具体的にお聞きします。
 学校教育においては、教師の果たすべき役割が決定的です。ですから、教師には、教科についての高い専門性と、子供、青年の発達についての専門的知識が不可欠です。これをすべての教員に求めているのが現在の教育職員免許制度です。
 ところが、今回の法改正は、この原則を崩して、小学校教員の免許を持たない中学校や高校の教員に小学生などの授業を任せようとするものです。これについて、全国連合小学校長会は、幅広い発達段階の児童生徒を指導できる能力を有する教員の育成は非常に難しいと指摘しています。国立大学協会も、結果として教員の専門的力量の低下につながりはしないかということが危惧されると警告しています。これらの指摘に耳をかさず、なぜ小学校に中学校や高校から教員をあくまで派遣しなければならないのでしょうか。高校の教員からは、小学生の気分、感情は分からない、高校生しか教えたことがないのに、小学生にどう教えていいのか分からないなどの声が届いています。大臣はどう考えますか。
 今やるべきことは、このような法改正ではなく、極端に門戸が閉ざされている新卒者を大量に採用して、専科教員の充実、少人数授業、少人数学級のための十分な人員配置をすべきではありませんか。大臣の見解をお聞きいたします。
 さらに重大なのは、今回の改正で、小学校や中学校の免許を持たなくとも、中学校と小学校、高校と中学校といった具合に兼任を可能としたことによって学校間兼務が進み、子供たちの教育に重大な支障を来そうとしていることです。
 現に、小学校免許を持つ中学校の教員に小学校の専科担任を兼務させたある大都市の例では、兼務した四十一人のうち二十六人は学級担任であり、その約半数が進路や進学指導で多忙な中学三年生の担任でした。このため、先生に相談したいとき学校に先生がいない、ホームルームの時間なのに担任の先生がいない、こういう事態が起こっています。安易な学校間兼務は、先生たちの負担が増えるだけでなく、学級経営も困難になります。とりわけ子供たちへの悪影響が危惧されます。子供たちや現場を無視したやり方ではありませんか。大臣はどのようにお考えですか。
 今回の法案の最大の問題点は、中学校や高校の教員を活用して、小学校低学年からの習熟度別授業を進めようとしていることです。
 日本共産党は、すべての子供たちに主権者として必要な学力を保障するために、学力差が大きい場合には、進んだ子、後れた子、それぞれの生徒の学力をどちらも発展させるために、グループ学習、到達度別学習、個別指導と集団指導との結合など、様々な試みが自主的に行われるべきだと考えています。
 しかし、今、政府の推進しようとしている習熟度別学習は、できない子はできないままでいいという考えに基づくもので、多数の子供を低学力のままに放置するに等しいものです。このことは、新学習指導要領の原案を作った当時の教育課程審議会の会長が、できぬ者はできぬままで結構、これからはできる者を限りなく伸ばすことに労力を振り向けるとあけすけに述べていることからも明らかです。
 習熟度別学習を常態化させれば、人間同士が協力し合い人間性をはぐくむという教育の大切な営みが破壊されます。既に習熟度別授業が実施されているところでは、子供たちが授業に後れたクラスに対して侮辱的な言葉を使ったり、親もPTAに行きたくないといった雰囲気が作り出されています。さらに、分からない子がつまずいている問題をみんなで一緒に考えることでより深い理解に到達する教育の奥深い営みを、習熟度別学習は乱暴に踏みにじるものです。こうした習熟度別学習を学校に押し付けることは一切やるべきではありません。答弁を求めます。
 また、法案は、免許状取上げの範囲を拡大し、教職員への管理統制を強化するものです。
 私立学校の教員についても、新たな規定を設け、国公立と同様に懲戒免職の場合に免許を取り上げることとしています。不当解雇は、九九年一月以降、全国私立学校教職員組合連合の調べでも二十件に達しています。経営難によるリストラの下で更に増えることも心配されます。私立学校の教員について不当解雇による免許取上げはしないと明言できますか。大臣の答弁を求めます。
 本法案は、これまで述べた問題点のみならず、特別免許状の要件緩和を進めて社会人教員を拡大し、教職の専門性を大きく崩すなど、様々な問題点を抱えています。大臣が国連子ども特別総会の場で述べたように、子供たちに最善を尽くすというのであれば、小学校、中学校、高校への教員をきちんと配置し、ゆとりを持って子供たちの教育に当たれるようにすべきではありませんか。このことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(遠山敦子君) 林紀子議員にお答えを申し上げます。
 八点ございました。
 まず、新しい学習指導要領についてのお尋ねでありますが、これからの二十一世紀がこれまで以上に急速で激しい変化が予想されることを踏まえて、新しい学習指導要領では、基礎、基本を確実に身に付けさせ、それを基に自ら考え、自ら学ぶ、自ら行動することなどを含めた生きる力をはぐくむことをねらいとしております。
 全国の各学校においては、こうした新しい学習指導要領のねらいが真に実現されるよう全力を挙げて取り組んでいただきたいと考えております。我が省としましても、そうした取組について様々な支援を行うことが必要であると考えます。
 なお、子供の学力などを継続的に検証し、それを踏まえて教育課程を改善していくことは重要なことであると考えております。
 また、学習指導要領の在り方についてのお尋ねでありますが、教育課程については、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、教育の機会均等を実質的に保障する観点から、国において教育内容の基準を定めることが必要であると考えます。
 一方、各学校が地域や学校、子供の実態等に応じて創意工夫を生かした特色ある教育を展開することは重要なことであります。我が省としましては、これまで、そうした観点に立って学習指導要領の大綱化、弾力化を図ってきたところでありまして、新しい学習指導要領においても、総合的な学習の時間の創設や選択学習の幅の拡大など、その趣旨を一層進めたところでございます。
 今後とも、こうした新しい学習指導要領の下、各学校において特色ある教育が展開されるよう、必要な支援に努めてまいります。
 次に、新しい学習指導要領の実施に伴う教員の負担についての御指摘でありますが、本年一月に公表した「学びのすすめ」は、新しい学習指導要領のねらいとする確かな学力の向上に向け、各学校において重点的に取り組んでいただきたい具体的方策をお示ししたものであります。
 私としては、そうしたことを踏まえつつ、教員一人一人が自らの使命を自覚して、今日、教育に寄せられている期待にこたえられるよう、最大限の努力をしていただくことを心から願うものであります。
 また、教員の負担については、各学校において校務の適切な分担を行うとともに、校長のリーダーシップの下、教職員が一致協力して学校運営に取り組んでいただくことが重要であると考えております。
 また、少人数学級についてのお尋ねですが、学級編制については、昨年の通常国会において義務標準法が改正され、四十人学級を標準とする一般的な基準が定められることを前提としつつ、都道府県教育委員会の判断により、少人数の学級編制基準を特例的に定めることを可能としたところであります。
 平成十四年度については、二十二道府県において学級編制の弾力化を実施しているものと承知しております。
 一方、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画では、児童生徒の基礎学力の向上と一人一人の能力、適性に応じたきめ細かな指導を図るため、算数、理科など教科に応じた二十人程度の少人数指導を推進することとしております。我が省としましては、この改善計画の着実な推進に努めてまいります。
 次に、発達段階に対する教員の専門性と少人数授業等のための人員配置についてのお尋ねでございますが、教員に児童生徒の発達段階や心理等に関する専門的知識や技術を習得させることは極めて重要でありまして、現在、教員養成及び研修におきましては、児童生徒の心身の発達等について各学校種の教員が共通に修得しているところでございます。
 一方、中学校や高等学校の教員を小学校の専科担任に任用するに当たりましては、各教育委員会において、当該教員の小学校で教える適性あるいは専門性等について個々に十分判断した上で任用することが必要と考えております。
 なお、専科教員や少人数授業等のための人員配置の充実につきましては、先ほどお答えした教職員定数改善計画の着実な実施に努めてまいります。
 また、教員の学校間兼務に関するお尋ねでございますが、今回の改正により、中学校や高等学校の免許状を有する教員が小学校などで教科を指導できることとする趣旨は、各学校段階間の連携の促進や小学校におきます専門性の高い教科指導の充実を図ろうとするところにございます。
 その場合、兼務職員につきましては、当該教員にとって過度の負担にならないように、また児童生徒の指導などに支障が生ずることがないように、当然ながら、服務の監督を行う立場にある教育委員会や学校長が校務の分担を適切に整えるなどの配慮をすることが必要であると考えます。
 習熟度別指導についてのお尋ねでございますが、これからの学校教育におきましては、理解や習熟の程度など、子供たち一人一人の実態に応じたきめ細かな指導を通じて、基礎、基本の確実な定着を図りますとともに、個性を生かす教育を一層充実させることが必要でございます。
 各学校におきましては、子供たちの理解の状況を十分に見極めながら、基礎、基本をしっかりと身に付けさせるための補充的な学習や学習指導要領の内容の理解をより深めるなどの発展的な学習に積極的に取り組ませることが重要でございます。
 我が省といたしましても、こうした各学校における取組を支援し、子供たちの確かな学力の向上を図る観点から、今後とも、習熟の程度に応じた指導など、少人数によるきめ細かな指導を実現するための教職員定数改善計画の着実な実施などに努めてまいります。
 最後に、私立学校教員の不当解雇による免許状取上げについてのお尋ねでございますが、今回の免許法改正では、私立学校教員の解雇の事由が使用者であります学校法人の就業規則等により様々となっていることを踏まえまして、国立又は公立の学校の教員の場合におきます懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと都道府県教育委員会が認めたときに限り、その免許状を取り上げなければならないことといたしております。
 したがいまして、私立学校教員が労働関係法令等に照らして不当に解雇されたような場合については、一般的には、国立又は公立の学校の教員の場合におきます懲戒免職の事由に当たらないものでございまして、免許状の取上げにはならないものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#13
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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