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2002/06/24 第154回国会 参議院 参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第34号
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2002/06/24 第154回国会 参議院

参議院会議録情報 第154回国会 本会議 第34号

#1
第154回国会 本会議 第34号
平成十四年六月二十四日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十五号
    ─────────────
  平成十四年六月二十四日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 健康保険法等の一部を改正する法律案(
  閣法第四六号)(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一
 一、共生社会に関する調査の中間報告
     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、
 情報公開審査会委員に高木佳子君、新村正人君、園マリ君及び藤原静雄君を、
 預金保険機構理事長に松田昇君を、同理事に渡辺達郎君を、
 公正取引委員会委員長に竹島一彦君を、同委員に三谷紘君を、
 公害等調整委員会委員長に加藤和夫君を、同委員に堺宣道君及び平石次郎君を、
 日本放送協会経営委員会委員に武田國男君を、
 中央更生保護審査会委員長に松浦恂君を、
 労働保険審査会委員に中島芙美子君を、
 また、土地鑑定委員会委員に黒川弘君、安藝哲郎君、増田修造君、中島康典君、瀬古美喜君、高山朋子君及び能見善久君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 まず、情報公開審査会委員のうち高木佳子君及び園マリ君、日本放送協会経営委員会委員、中央更生保護審査会委員長、労働保険審査会委員並びに土地鑑定委員会委員のうち増田修造君、中島康典君、瀬古美喜君、高山朋子君及び能見善久君の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#4
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#5
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十二  
  賛成            二百十二  
  反対               〇  
 よって、全会一致をもって同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#6
○議長(倉田寛之君) 次に、情報公開審査会委員のうち新村正人君の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#7
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#8
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十四  
  賛成            百五十四  
  反対              六十  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#9
○議長(倉田寛之君) 次に、情報公開審査会委員のうち藤原静雄君、預金保険機構理事長及び土地鑑定委員会委員のうち安藝哲郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#10
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#11
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五  
  賛成            百九十七  
  反対              十八  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#12
○議長(倉田寛之君) 次に、預金保険機構理事及び公正取引委員会委員長の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#13
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#14
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十一  
  賛成            百二十五  
  反対             八十六  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#15
○議長(倉田寛之君) 次に、公正取引委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います
   〔投票開始〕
#16
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#17
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十四  
  賛成            百九十二  
  反対             二十二  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#18
○議長(倉田寛之君) 次に、公害等調整委員会委員長の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#19
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#20
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十四  
  賛成            百四十二  
  反対             七十二  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#21
○議長(倉田寛之君) 次に、公害等調整委員会委員のうち堺宣道君の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#22
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#23
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十四  
  賛成             百六十  
  反対             五十四  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#24
○議長(倉田寛之君) 次に、公害等調整委員会委員のうち平石次郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#25
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#26
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十四  
  賛成            百五十九  
  反対             五十五  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#27
○議長(倉田寛之君) 次に、土地鑑定委員会委員のうち黒川弘君の任命について採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五  
  賛成             百九十  
  反対             二十五  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#30
○議長(倉田寛之君) 日程第一 健康保険法等の一部を改正する法律案(閣法第四六号)(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。坂口厚生労働大臣。
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(坂口力君) 健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 急速な高齢化等による医療費の増大等により、医療保険財政が厳しい状況にある中で、医療保険制度については、給付と負担の公平を図るとともに、将来にわたり持続可能で安定的なものとしていくことが求められています。
 このため、今回の改正では、患者一部負担金の見直し、健康保険の保険料における総報酬制の導入、政府管掌健康保険の保険料の引上げ、老人医療費拠出金の算定方法の見直し、国民健康保険の財政基盤の強化等の措置を講ずることとしております。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、健康保険法等の一部改正であります。
 まず、健康保険の本人及び家族の入院時の一部負担金について、各制度間の給付率を統一する観点から三割負担とするとともに、外来に係る薬剤一部負担金を廃止することとしております。ただし、七十歳以上の者については原則一割負担とし、三歳未満の者については二割負担とすることとしております。
 次に、保険料について、総報酬制を導入するほか、政府管掌健康保険の保険料率を千分の八十二とするとともに、中期的に保険財政の均衡が図られるよう、少なくとも二年ごとに保険料率の見直しを行うこととしております。
 このほか、片仮名書き・文語体となっている健康保険法の表記を、平仮名書き・口語体に改め、表記の平易化を図ることとしております。
 また、船員保険法についても、健康保険法の改正に準じて所要の改正を行うこととしております。
 第二は、老人保健法の一部改正であります。
 まず、老人医療の対象者を現在の七十歳以上から七十五歳以上に、老人医療費に対する公費負担割合を三割から五割に、いずれも五年間で段階的に引き上げることとしております。
 また、老人医療の一部負担金について、月額上限制及び診療所に係る定額選択制を廃止し、一割負担の徹底を図ることとしております。あわせて、一定以上の所得を有する者については、二割負担とすることとしております。
 このほか、老人医療費の伸びを適正化するための指針の策定、老人医療費拠出金の算定方法の見直し等の措置を講ずることとしております。
 第三は、国民健康保険法の一部改正であります。
 一部負担金について、各制度間の給付率を統一する観点から健康保険法と同様の改正を行うほか、広域化等支援基金の創設、高額医療費共同事業の拡充・制度化、低所得者を多く抱える保険者に対する支援制度の創設等、国民健康保険の財政基盤を強化するための措置等を講ずることとしております。
 最後に、この法律の施行期日につきましては平成十四年十月一日とし、三割負担、薬剤一部負担金の廃止及び総報酬制に関する事項については平成十五年四月一日としております。
 あわせて、医療保険各法の給付率については、将来にわたり七割を維持することとするほか、保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設並びに診療報酬の体系の見直しに関する基本方針を平成十四年度中に策定し、その方針に基づき所要の措置を講ずることを始め、医療保険制度の改革に関する各般の課題につき改革を進めることといたしております。
 以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、よろしく御審議のほど、お願いを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#32
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中島眞人君。
   〔中島眞人君登壇、拍手〕
#33
○中島眞人君 私は、自由民主党・保守党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに厚生労働大臣に質問をいたします。
 私は、老人の一割負担の導入等を行った平成十二年の健康保険法等の改正の際、国民福祉委員長を務めており、医療制度については、関係者の利害を乗り越え、何としても改革を進めていかなければならないという思いを強くしたものであります。本日は、そのような思いを込めて質問させていただきます。
 健康で豊かな生活を送ることが国民すべての願いであることは、改めて申し上げるものでもありません。我が国は、戦後の混乱から復興し、高度成長期、安定成長期をたどる過程で、昭和三十六年には国民皆保険を実現し、安定した年金制度を築き上げ、さらに、近年は介護保険制度を始めるなど、社会保障制度の充実に努めてまいりました。
 加えて、医療技術の進歩もあり、日本人の平均寿命は昭和二十二年の男子五十・〇六歳、女子五十三・九六歳が、平成十二年には男子七十七・七二歳、女子八十四・六歳に、およそ三十歳も延びたのであります。
 健康で長寿を全うする、誠に理想的な社会が生まれたことは内外から評価されてしかるべきでしょう。このことは世界に誇っていいものであります。
 しかしながら、近年、我が国の情勢は大きく変化を遂げています。景気の低迷が長引き、将来への成長率も高いものは期待できず、少子高齢化が想定以上の速さで進みつつあるといった現実があります。このため、かつてのように右肩上がりの経済やピラミッド型の人口構成を前提とした社会保障制度は構造的な改革を迫られているのであります。特に医療については、大変厳しい保険財政の下で持続可能な制度にしていくためには、改革の先延ばしはもはや絶対許されないのであります。
 総理が施政方針演説で強調されている、「人をいたわり、安全で安心に暮らせる社会」を実現するため、少子高齢化が進む中で、社会保障制度についてどのような理念とビジョンを持って改革を進めようとされているのか、まず、総理に御所見を伺います。
 かねてより総理は、医療制度改革の方針について、三方一両損ということを何度も主張されてきました。国家財政が極めて厳しい折から、負担という痛みを分かち合い、みんなで協力し合って制度を維持していくべきであるというのが趣旨で、広く国民に呼び掛けられたのだと了解しています。今回の医療制度改革は、その立案過程で強い反対意見が出されたりしましたが、おおむね総理の考えが強く反映した内容でまとめられたのではないかと思います。
 思い返しますと、被用者保険の自己負担割合が一割から二割に引き上げられた平成九年度の健康保険法等の改正では、総理は厚生大臣として取り組まれています。平成十二年度において、津島厚生大臣は高齢者医療制度を始めとする抜本改革を平成十四年度に行うと明言されていました。
 今回の改革は、平成十二年度に打ち出されたいわゆる抜本改革との関連でどのように位置付けられ、評価されているのか、総理の御認識を伺います。
 健康保険法等の一部を改正する法律案について伺います。
 今回の改正案で国民生活への影響などから最も注目されていますのは、被用者保険において自己負担の割合が三割に引き上げられることであります。一方で、外来に係る薬剤一部負担金が廃止されることになっていますが、家計の負担増は避けられません。
 厚生労働大臣には、今回の改正の基本的なねらいと、それによる経済的な影響をどう判断されているのか伺います。改正によって家計負担は改正前に比べてどのくらい増加するのかお示しください。
 高齢者医療制度については、完全定率一割負担が導入されることになります。しかも、一定の所得以上の患者については二割負担となり、同制度の対象年齢を段階的に七十歳から七十五歳に引き上げる改正も盛り込まれています。
 高齢者を始め国民の間には、負担増のイメージを持たれる方がかなりおられるのではないかと思いますが、一方では自己負担限度額が設けてあり、実際には大幅な負担増にならないのではないかとの考えもあります。社会保険制度は自助、共助、公助の考えの下、所得に応じた応分負担の原則が大切であり、我が党は低所得者等へは十分な配慮をしてまいりました。
 今回の改正でもこの大方針は維持されていると思いますが、厚生労働大臣には、低所得者への配慮をした高齢者医療制度の内容を分かりやすく国民に説明いただきたいと思います。
 本法案の附則には、被用者保険の自己負担の割合について、将来にわたり三割を維持することが盛り込まれています。ただ、野党を始め国民の一部には、今回の引上げが前回の引上げから五年ほどで行われることから、本当に将来にわたり三割負担が維持されるのか疑問を呈している向きがあります。国家財政や保険財政が厳しいことは分かりますが、将来不安をできるだけ少なくするために、実感としても個人負担は三割を最後のとりでとすべきであります。
 国民の制度への信頼性が揺らぐことがないよう、個人負担三割を将来にわたり維持していくためには、制度の改革を始め、五千二百にも及ぶ保険運営主体の統合等、運用面でも効率化、工夫すべき課題も多くあると思います。
 厚生労働大臣として、このように制度、運用、全般にわたる改革にどのように取り組んでいかれるのか、基本的な方針をお伺いいたします。
 二十一世紀の我が国の医療制度は、人口構成の少子高齢化、経済の成熟、安定を大前提として組み立て直さなければなりません。立て直しの作業は始まったばかりであります。総理には、世界に冠たる我が国の医療制度を子や孫に引き継いでいくため、医療現場で国民の命を守るため日夜額に汗している人たちの悩み、苦しみにも謙虚に耳を傾け、関係者の理解と協力を得つつ、医療制度改革の実現を上げていただくよう願うものであります。
 今後はできるだけ速やかに新しい高齢者医療制度の実現等に向けて取り組んでいくことになりますので、最後に、総理にその御決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#34
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 中島議員にお答えいたします。
 社会保障制度改革の理念についてでございますが、社会保障制度は、国民の安心と生活の安定を支える基本的な制度であります。このため、国民生活の保障としての役割をしっかりと果たしつつ、給付と負担の改革を行い、国民に信頼される持続可能で安定的、効率的な制度に再構築していかなければなりません。今後とも、この方針に沿って、国民に対して改革の道筋を明快に語り掛け、理解と協力を得ながら制度の見直しを進めることにより、国民の不安を解消し、将来に向けた安心を確保してまいりたいと考えます。
 今般の医療制度改革の位置付け及び評価についてでございますが、医療制度改革については、平成九年以降、薬価や診療報酬、医療提供体制、高齢者の患者負担などの改革を進めてまいりました。しかしながら、課題の一つであった高齢者医療制度の見直しについては、関係者の間で意見が大きく分かれており、考え方を一つに集約するまでには至らず、平成十二年の健康保険法等の改正の際に平成十四年度までに取り組むこととされたところであります。
 このため、今般の改革においては、高齢者医療の対象年齢や公費負担割合の引上げなどを行い、高齢者医療制度の安定的な運営に一定のめどを付けるとともに、制度間の給付率を七割に統一するなど思い切った改革を行うこととしております。
 同時に、高齢化のピークを迎える将来においても医療保険制度の安定的な運営を確保していくことが必要であり、医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直しなどの課題につきましても、先送りすることなく、平成十四年度中に基本方針を策定し、更なる改革を進めてまいりたいと考えております。
 新しい高齢者医療制度の実現に向けての決意でございますが、我が国は、国民皆保険を基盤として世界に誇るべき医療を築き上げてきましたが、今世紀、いまだ経験したことのない少子高齢社会を迎える中で、この優れた我が国の医療を守り育てるため、将来にわたり持続可能な揺るぎない制度へと再構築していかなければならないと思います。
 関係者の間にも様々な御意見のある難しい課題ではありますが、国民の理解を得ながら、本年度中に、高齢者医療制度を始め諸課題について基本方針を策定し、断固たる決意で改革を進めてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(坂口力君) 中島議員にお答えを申し上げたいと思います。
 まず第一は、三割負担導入等の基本的なねらいと、それに対する経済的な影響についてのお尋ねがございました。
 今回の三割負担の導入は、制度間、世代を通じた公平で分かりやすい給付体系を目指しますとともに、今日の厳しい医療保険財政の下において、保険料の大幅な引上げが避けられない中で、患者負担につきましても三割負担をお願いせざるを得ないと考えたところでございます。また、今回の三割負担の導入は、医療保険制度の将来像についての検討を進めるための素地を整備する観点からも重要な意義を有するものと考えております。
 なお、患者負担への影響につきましては、平成十五年から十九年までの単年度平均で、三割負担の導入及び薬剤一部負担金の廃止によりまして約二千二百億円の増と見込んでいるところであります。こうした見通しは、サラリーマン等の患者負担の増を伴うものでありますが、長期的には保険料負担の上昇をできるだけ抑え、全体として国民負担の増加を抑制するものであり、経済的にも将来的には安定するものと考えております。
 高齢者医療制度における患者負担についてのお尋ねがありました。
 高齢化の進展により老人医療費が増大する中で、高齢者医療制度を持続可能なものとするためには、高齢者の方にも応分の負担をお願いし、現役世代と負担を分かち合っていただくことが必要であります。
 今回の改正案におきましては、こうした状況を踏まえ、現役世代の負担とのバランスを考慮して、高齢者の医療費については定率一割負担を徹底するとともに、高齢者以外の方と遜色のない負担能力を有する高齢者には定率二割の患者負担をお願いすることといたしております。
 ただし、外来につきましては入院と比べ低い限度額を設けるとともに、低所得者につきましては入院時の自己負担について限度額を据え置くこととし、特に低い額が適用される方の範囲を大幅に拡大するなど、きめ細かな配慮を行うこととしており、十分御理解をいただけるものと思っている次第でございます。
 三割負担の堅持と医療保険制度の全般にわたる改革についてのお尋ねがございました。
 国民に必要な医療を保障するという公的医療保険制度の役割にかんがみれば三割負担が限界であると考えており、これを堅持することを制度設計の基本の一つに据え、今後、医療保険制度の体系の在り方等の検討を進めていく考えでございます。
 その際、御指摘のように、五千以上に分立する保険者につきましては、まずは統合再編を進めていくことが必要であると考えております。また、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化、レセプトの電算化の推進など、保険運営の効率化にも積極的に取り組んでいくことといたしております。
 いずれにいたしましても、法案の附則に定めております諸課題につきまして、不退転の決意で検討を重ね、年度内に基本方針を策定してまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#36
○議長(倉田寛之君) 今井澄君。
   〔今井澄君登壇、拍手〕
#37
○今井澄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、民主党・新緑風会を代表して、小泉総理及び関係大臣に質問いたします。
 今回の健康保険法改正案は、抜本改革を先送りしたまま負担増だけを国民に押し付けるものであり、小泉総理が橋本内閣の厚生大臣であったときの一九九七年抜本改革と同じ轍を踏んでいるというのが国民大多数の受け止め方であります。
 そこで、まず第一にお伺いしたいことは、なぜ一九九七年抜本改革が失敗したのかということについての認識と反省であります。
 先ほどの総理の答弁をお聞きしますと、部分的には進んで、残ったのは老人医療費だけだと。とんでもない認識だと思うんですが、時間がありませんのでそこはカットしましたので、後で聞きます。
 そこで、まず第一にお伺いしたいことは、この一九九七年抜本改革がなぜ失敗したのかということについての認識と反省であります。
 小泉総理は、一九九七年抜本改革が失敗した理由について、例えば、今国会の二月二十五日の衆議院予算委員会で次のように答弁しておられます。まず政権の枠組みが変わったということ、総理も替わりましたね、これが一番大きかったと思いますね、それと、総論として大方こういう方向だろうと一致していたんですが、いざ具体論になりますと利害関係者が多いです、この調整がなかなか付きにくかった、こう答弁しておられます。そして、当時さきがけが与党だったとか、公明党が野党の新進党で反対したとかいうことまで持ち出して、他の党にまで責任を転嫁するような言い訳めいた答弁でした。
 私は、忘れもしません、一九九七年抜本改革の同じ健保法改正案のとき、この参議院本会議で、やはり民主党・新緑風会を代表して当時の橋本総理及び小泉厚生大臣に次のような趣旨の質問をいたしました。一九八四年の健保法改正をめぐる議論以降、抜本改革のメニューはほぼ出そろっているのではないか、あとは利害調整の場となっている審議会などに頼るのではなくて、政治主導で大胆な決断をするべきではないかと。
 それに対して橋本総理は、御指摘のとおりだが、具体論になると全く対立する意見があってできなかったと、しかし、医療提供体制と医療保険制度の両面にわたる改革を実施することはもう避けて通れないんだという趣旨の御答弁があって、続いて、当時の厚生大臣であった小泉総理は、今、総理からお答えしたとおりだが、政治主導で大胆な決断をする必要があるということには全く同感でありますと、例の熱意を込めた言葉で答えられました。これはもとより政治家の決断であり、心して掛かっていかなきゃならないということを認識しております、こう答弁しておられました。
 その後の参議院国民福祉委員会での質疑を通して、私は、小泉総理の医療改革についての御認識と改革への決意の強さを肌で感じまして、あなたを医療改革を進める上では党派を超えて我が同志として考えるようになりました。そして、その後、一九九九年の末、予算編成のときに、医師会からいろいろ圧力があって開かれた自民党厚生族のいわゆるボス会議で、高齢者の薬剤費別途負担を予算措置で政府が肩代わりすることで免除しようという暴挙に出たわけですが、小泉さんただ一人が反対されたということを聞いて、さすが小泉さん、ますます私は小泉さんに対する期待を持ったわけであります。
 したがって、民主党の中にもいろいろ意見はありましたが、小泉内閣が成立したときに、私は、小泉さんなら、小泉内閣なら医療の抜本改革ができるのではないか、こういう期待を寄せてまいりました。しかし今、期待は裏切られつつあると言わざるを得ないのです。
 もう一度お尋ねします。一九九七年抜本改革は失敗したんじゃないか。先ほどのような言い訳の答弁ではなく、あれは官僚の言い訳ですよ。答弁を見ても、薬価差益が三分の一に減った、これが抜本改革ですか。抜本改革は失敗したんだときっちり認識しておられるのかどうかということも含めて、失敗した原因がどこにあると考えておられるのか、今度こそ抜本改革はできると言うなら、その担保は何なのかということをお答えいただきたいのです。
 言葉を換えれば、政治主導とは言いながら、官僚に依存し、関係団体の利害調整をするという自民党政治では抜本改革ができないんだということを本当に深刻に認識し、反省しておられるのかという、そういうことなんであります。小泉内閣成立時に打ち上げた、自民党を変える、自民党を壊すという姿勢はどこへ行ってしまったのか、お尋ねいたします。
 次に、サラリーマンの三割自己負担問題について三点お尋ねいたします。
 まず第一点は、何で三割負担が唐突に出てきたかということであります。
 世の中というのは恐ろしいもので、半年前に出てから、もう今三割負担が常識のように議論されますけれども、半年前までは三割負担はコンセンサスを得ていなかったんですよ。二割負担というのをみんな考えていたんです。一九九七年抜本改革の議論においては、二割負担への統一が、私どもは反対しましたけれども、広くコンセンサスを得ていたのではないかと考えられます。あの議論の、十三年前の一九八四年にこの健保法が改正されて、健保法改正の本則には二割負担、しかし、附則に、国会の議決、承認を受けるまでは一割負担ということが激論の末修正されて盛り込まれました。
 小泉総理御自身も、一九九七年の厚生祉委員会でこう答えておられるんですね。一割がいい、二割がいい、三割がいいということは断定できませんけれども、全部二割がいい、統一しなさいという考え方は当然ありますから、それは十分私は検討する価値があると思います。つまり、二割に統一するというのは、国保の三割も、いずれ二割に上げたいという、当時はそういう議論だったんですね。なのに、わずか五年で、国民的な議論を一切行わないままに、しかも抜本改革ができないままに何で唐突に去年の九月に三割負担が出てきたんですか。その理由を答えてください。
 第二点は、そもそも公的医療保険制度における財源負担問題の自己負担についての在り方の問題です。
 医療費の財源は、保険料と自己負担と公費の三つしかありません。その割合をどうするかというのは、公的医療保険制度、国民皆保険制度を維持するのかどうか、この在り方をどうするかという基本、理念や哲学に関する重要な問題です。金がないから自己負担じゃ余りにも情けないです。
 三割負担の是非を論ずることは、私はこの時点では必要かつやむを得ないことだと思います。国民がいいと言うなら、将来、三割負担ということもあるのかもしれません、私どもは断固今反対ですけれども。しかし、それは小泉総理御自身が繰り返し言っておられるように、自己負担だけじゃなくて、税も保険料も最終的には国民が負担するわけですから、議論を尽くしてこの割合をどうするかということ、国民の合意を得なければならない問題なんです。
 医療保険制度をひもといてみると、そもそも、これは小泉総理の御答弁を丹念に見ると非常に面白いんですけれども、共産党や何かに対しては敵意を持った答弁が多いんですけれども、何か、社会保障とか医療保険というのも、何か社会主義の制度のように思っているんじゃないかと思うんですけれども、とんでもないんですよ。そもそもこの医療保険制度は、産業社会勃興時における助け合いの制度として会社が始めたんですよ。一九二二年に健康保険が施行されたときは十割給付だったんです。ふだんから会社の企業主と従業員とでともにお金を出して積み立てておいて、いざ従業員が病気になったときはその積立金で治療する、だから安心して目一杯働けと、超勤も徹底的にやれと、そのために作った制度なんですよ。だから、国民健康保険制度においても、国保組合なんというのは最近まで十割給付だったじゃないですか。
 しかし、その後、老人医療費を無料化した。いい面もありますけれども、非常に問題があって、医療機関と患者の双方にモラルハザードが生じたり、コスト意識がなくなったということで、そのコスト意識の喚起が必要であるという考え方が広まったわけです。そして、一定の自己負担が必要であるということが共通の認識になって、自己負担によるコスト意識を喚起して医療費の無駄を省くという、こういう手法が実は一時世界の潮流にもなったわけですね。
 しかし、今では、その医療費抑制効果はほとんどないということで、先進各国は、今はやりの言葉で言えばサプライサイド、医療機関の方をどうコントロールするのか、出来高払をやめるとか、そういう手法に転換していっているんですけれども、日本の方はその内容に手を付けずに、自己負担を増やすということで医療費抑制策をやると。それを繰り返してきた。その結果、今、ヨーロッパ諸国に比べて自己負担比率が突出して高い国になっちゃったじゃないですか。これをどう考えるんですか。既に、公的医療保険制度としては自己負担の限界を超えているのではないかというふうに考えます。
 公的医療保険制度は、基本的には保険料を中心に財政運営を進めるべきだと考えますし、保険料を上げないためにこそ、自助努力として、保険者機能の強化が必要だということが論じられているんじゃないでしょうか。この点について、総理及び財務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
 第三点目は、なぜ来年四月実施でなければならないかということです。
 今回の三割負担問題は、単なる政府管掌保険の財政失敗の問題だけじゃないですか、財政対策じゃないですか。国保はもう三割負担だから関係ないです。健保組合には苦しいところもありますけれども、今すぐ三割にしなけりゃやっていけないわけじゃないし、健保連からそんな要望が出たというのは私は聞いておりません。むしろ、健保組合は老人医療費の拠出金を何とかしてくれと言っているわけですよ。
 政管健保の財政運営は厚生労働省の所管ですけれども、過去において、三Kの一つとしていつも苦しい運営を強いられてきたにもかかわらず、景気が良くて財政状況がいいときには保険料率を下げたり、公費負担割合を下げたり、挙げ句の果てには国の財源出しのために隠れ借金の財源として利子なしで国に貸したり、実にでたらめな財政運営をやってきました。我々はその都度それを指摘したんです。この政管健保の財政運営の失敗は、過去の厚生省の責任であるだけでなく、政府全体の責任じゃないですか。その処理をするのに国民にいきなり患者の自己負担増なんて、これはひどいじゃないですか。しかも、三割負担をすることによって、今年度予算の財政効果はわずか予算上二百億でしょう。そのためにやるほどのことですか。
 しかも、保険料を上げられないということについては、厚生官僚が保険料率についての情報操作を行ったことは明らかで、小泉総理もそれにだまされ掛かったじゃないですか。官僚に踊らされて、いわゆる抵抗勢力との駆け引きの具に使われて、三方一両損などという何か中身の分からない言葉で無理やり総理の改革姿勢を打ち出そうということで実施されるとすれば、国民は救われません。なぜ来年四月一日で期限を切らなきゃならないのかという理由をはっきり答えてください。
 医療費をファイナンスする保険制度の改革も大事です。老人医療制度も大事です。私は老人医療制度の新しい制度を作る必要ないと思っていますが、まあ、それはいいです。
 もう一つ大事なのは、医療そのものの抜本改革なんですね。情報提供の問題とか、病院の数をぐっと減らして機能を高めるとか、家庭医制度を作るとか、診療報酬の問題とか、問題は極めて多岐にわたります。かつ個別具体的ですので、本日は質問せずに、これからの厚生労働委員会の審議に譲ります。
 質問しない理由のもう一つは、今国会の衆参両院の各種会議録を丹念に読んでみましたが、具体的な御答弁は一つもありません。まあ、内容がないということもあるんですけれども、ここで答えてもろくな答弁がいただけずに、時間の無駄だと考えます。また、民主党が提出しているいわゆる患者の権利法案、これも十分ではありませんけれども、これについても、施政方針演説の演説に対して我が党の代表が質問したけれども、ただ逃げる答弁だけでしたので、今回再提出しておりますが、質問しません。
 ただ、一点だけお伺いします。
 現在、日本の医療制度が抜本改革をしかも緊急に必要としている危機的な状況の一つは、医療事故の多発や情報隠しなどに見られるような医療現場の荒廃と、医師と患者の間の信頼関係の喪失なんです。こういった問題について国がどこまで関与すべきかについてはいろいろ議論のあるところです。
 しかし、国が最低限やらなければならないことがあります。それは、国民主体の改革が国民の参加の下でできるように枠組みを作ることであって、そのためには官僚主導を排して縦割り行政の弊害を取り除くことは少なくとも政府の責任であり、特に総理というお立場での大事な責任です。
 現在の医師の養成は、患者主体、地域主体の立場には全く立っておりません。医学知識とか医学技術とか専門医養成という立場に立ってしか行われていないんです。大学で行われているんです。しかも、それは地域の病院の医師人事の支配までが研究・教育機関である大学の医局講座が支配しているんです。地域は病院すら医者を選べないんです。この日本特有の異常な状況を改革する必要があるんです。
 幸い、二〇〇四年から医師の卒後研修が義務化されます。この卒後研修を現場主体にするためには……
#38
○議長(倉田寛之君) 今井君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#39
○今井澄君(続) 分かりました。
 文部科学省と厚生労働省が縦割りでやっていたんでは駄目です。私は厚生労働省の官僚主導がいいとは思いませんが、厚生労働省に一元化すべきだと思います。このことについて、総理と文部科学大臣及び厚生労働大臣のお考えを伺います。
 これほど大幅会期を延長してまで通すべき重要法案であるならば、予算委員会並みに厚生労働委員会にも御参加いただけることを期待して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#40
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今井議員にお答えいたします。
 今井議員とは、厚生大臣当時から常に建設的な御批判、御議論をいただきまして、敬意を表しております。
 平成九年と今般の医療改革についてのお尋ねでありますが、私は医療制度改革の困難さを十分認識しているつもりであります。九年以降、それぞれ御意見をいただきながら改革を進めてまいりました。薬価や診療報酬、医療提供体制、高齢者の患者負担、その都度、常に賛成、反対、交錯する問題ばかりであります。また、今般の改革においても、後期高齢者への施策の重点化を通じまして高齢者医療制度の安定的な運営の確保に一定の目途を付けるとともに、これまでにない診療報酬の引下げや給付率の七割への統一など思い切った改革を行うことについても大きな反対があるのも事実でございます。
 しかしながら、高齢少子社会をもにらんで、将来どの程度の負担、これは患者さんの負担と保険者の負担そして税金の負担、それぞれあります。私は、こういうそれぞれの負担と給付の問題を、医療保険制度の体系と制度それぞれの立場でいろんな意見はあるということを承知しておりますが、そういう利害関係者の意見を聞きながらも、もはや待ったなしではないかということから、あえて今回、医療制度改革を内閣の最重要課題の一つと位置付けまして、来年四月に三割負担という区切りを付けて、もう今までの先送りは許されないという気持ちで、今回、十四年度までに大きな改革の基本方針を示すということにしたわけであります。
 九七年の改正以降、わずか五年で唐突に三割負担を出してきたというお尋ね、御指摘でありますが、私は、この窮迫した医療保険の財政状況の下、健康保険の被保険者本人について一割負担から本則の規定どおり二割負担とされたものでありますが、将来の給付率の在り方については今後の検討課題とされたところであります、九七年においては。
 今回の改革については、昨年九月、厚生労働省試案を公表し、幅広く関係各方面の御意見を伺いながら成案を取りまとめたところでありますが、これから、将来の人口構造、急速に進むということを考えますと、経済の低迷により医療保険財政が更に厳しさを増す中で、保険料の引上げ幅をできる限り抑制しつつ、医療保険の制度間、世代間を通じた給付率の統一を図り、公平で分かりやすい給付体系の実現を図る観点から、三割負担を導入することとしたものであります。
 医療保険制度の財源の在り方と保険者機能についてのお尋ねでありますが、医療費の財源は、患者負担、保険料、公費のいずれかであり、制度の持続可能性を確保する上では、それぞれの適切なバランスを図っていくことが必要であります。
 今回の改正においては、高齢化の進展や経済の低迷などにより医療保険財政は極めて深刻な状況にあり、保険料の引上げが避けられない中では、併せて高齢者やサラリーマンの方にも患者負担をお願いせざるを得ないと判断したところであります。
 こうした患者負担の見直しに当たっては、公的医療保険制度の役割を踏まえ、我が国独特の高額療養費制度によって患者負担に歯止めを設けるとともに、特に低所得者については、限度額を据え置くなど十分な配慮を行っております。
 なお、制度の仕組みが異なることなどから単純な比較は困難でありますが、公的医療保険制度における患者負担の占める割合は、諸外国と比較しても我が国が著しく高いわけではないと考えております。
 また、御指摘の保険者機能については、医療サービスの質の向上と医療の効率化を図る上で重要なものと認識しており、その強化を図っていく必要があると考えます。
 来年四月に三割負担を実施する必要性についてでございますが、私は、医療費が増大する、また経済が低迷する中で、政府管掌健康保険のみならず、健康保険組合などを含め各制度とも財政状況は極めて厳しく、医療制度改革は待ったなしだと思います。
 三割負担するから国民負担であって、二割負担だったら国民負担がないというのは、私は誤った見方だと思います。先ほど申し上げましたように、医療費というのは、患者さんがどれだけ負担するか、病気になっていない、一度もお医者さんにも行かない、病院に行かない健康な人にもどの程度の負担をいただくか、そして税金をどの程度投入するか、この三つの組合せしかないんですから。
 私は、そういうことを考えますと、世界に誇るこの国民皆保険を維持していくためには、関係者にひとしく負担を分かち合っていただくことは避けられず、これまでにない診療報酬の引下げを行うとともに、患者負担についても三割負担をお願いをせざるを得ないと考えたものであります。
 あわせて、医療保険制度の将来を考えると、医療保険制度の体系の在り方等の諸課題について改革を断行していくことが必要でありますが、その期限を国民に三割負担をお願いする前の平成十四年度中と明確に区切ることにより、課題を先送りすることなく、実現に向けた取組を進めてまいりたいと思います。
 医師臨床研修についてでございますが、医師臨床研修の必修化に当たっては、研修医がプライマリーケアの基本的な診療能力の修得に専念し、医師としての人格の涵養に努められる環境を整備しながら、地域医療の現場等における幅広い研修を行うことが重要であり、そのことが将来の地域医療を担う身近で信頼できる医師の養成にも資するものと考えております。
 現在、厚生労働省において平成十六年度の必修化に向けた準備が進められていますが、文部科学省とも十分に連携させ、国民、患者の立場に立った質の高い医師養成に努めてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(坂口力君) 今井議員にお答えを申し上げたいと存じます。
 私にいただきましたのは、最後に総理からも御答弁がございましたけれども、医師研修についてのお尋ねでございました。
 今、御答弁にありましたとおり、医師の臨床研修につきましては、その後の医師としての診療活動に重要な意味を持っております。必修化に当たりましては、研修医がプライマリーケアの基本的な診療能力の修得に専念をし、医師としての人格の涵養に努められる環境を整備することが重要であると考えております。
 現在、具体的な研修実施体制について検討を進めているところでございますが、大学病院中心ではなくて、地域医療の現場を含めた幅広い研修を行うことができるよう十分な配慮を行いますとともに、将来の地域医療を担う身近で信頼できる医師の養成に努めてまいりたいと考えております。
 また、研修に医学、医療の進歩の成長を適切に取り入れるべく、医学教育・研究を所管をされます文部科学省の協力もいただきながら、将来の我が国の医療のあるべき姿を踏まえた質の高い医師の養成に努めてまいりたいと考えております。
 先生がお書きになりました「理想の医療を語れますか」という御本を昨夜も読ませていただきました。この研修医につきましても先生がかなり具体的にお書きになっておりまして、拝読したところでございまして、十分参考にさせていただきながら進めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する御質問は既に総理がお答えいたしましたので、蛇足になると思うのでございますけれども、意見を言えということでございますので、お答え申し上げたいと存じます。
 むしろ、御質問というよりも一つの提案ではないかと思っておりまして、一つの識見だと私は思います。要するに、保険料一本で、保険料とそれから公費とで賄っていけと言いましても、そこには限界がございますし、そうすると租税負担をどれだけ持つかということでございます。
 今、御質問の中にございましたヨーロッパ等では自己負担が非常に低いとおっしゃいます。確かに英国では二%でございまして、ドイツは六%と数字が出ておりますが、フランスなんかは日本よりはるかに高くて二六%になっておりますし、またスペインとか高いところもございますし、そういたしますと、それは一に掛かって保険料とそれから自己負担とそれから公費の負担のこの組合せによって変わってくると思っております。
 先ほど総理が言っておりますように、現在の情勢の下においては、三者一両損の思想の上に立って、できるだけ安定した制度の維持を図っていくということが重大だと思っておりますので、御了解いただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(遠山敦子君) 今井議員にお答え申し上げます。
 卒後臨床研修の必修化についてお尋ねがございました。
 この件につきましては、厚生労働省において検討が行われておりますが、現在、研修医の多くが大学病院において研修を行っておりますことから、我が省としましても、厚生労働省と研修制度の在り方について協議を行っているところでございます。去る五月二十七日には、厚生労働大臣と共催で大学病院の役割に関する連絡協議会を開催し、大学関係者を交え、卒後臨床研修の必修化に向けた環境整備について議論を行いました。
 我が省としましては、基本的な臨床能力を身に付けた医療人の育成が保障され、かつ研修医の身分の安定にも配慮した制度であることが不可欠であると考えております。今後とも、厚生労働省と連携しながら、大学病院のプログラムをも十分生かしつつ、患者の立場に立ったより良い医師の育成のために取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#44
○議長(倉田寛之君) 風間昶君。
   〔風間昶君登壇、拍手〕
#45
○風間昶君 私は、公明党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに厚生労働大臣に質問をいたします。
 現在行われている国民皆保険制度は、昭和三十六年の国民健康保険法改正により達成され、それ以降、社会保障の大きな柱として拡充されてまいりました。そして、現在、世界百九十一か国の保健医療制度を医療の質や平等性の観点から総合的に判断したWHO、世界保健機関の世界保健報告二〇〇〇年版において、日本の医療制度は世界第一位の評価を得ているのであります。
 しかし、政府の予測を上回る合計特殊出生率一・三三の急激な少子化及び高齢者人口二千二百八十七万人、一八%の高齢化の到来による人口構造の変化、そして疾病構造の変化、そしてまた医学、医療の進歩などにより、医療費の増加傾向にも拍車が掛かり、組合健保の解散、国民健康保険の恒常的赤字、政府管掌健康保険の破綻危機など、健康保険制度の根幹を揺るがす深刻な事態に直面しております。
 私ども公明党は、このような厳しい現状にかんがみ、国民皆保険制度を維持するためには、本法案が国民や医療機関などに一定の痛みを求めるのはやむを得ない側面があると考えております。野党の皆さんがおっしゃるように、負担を先送りすれば更に大きな重荷となって国民に跳ね返る。それでは責任ある政治とは到底言えないのであります。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 国民皆保険を将来にわたり堅持し、国民は保険証があればどの医療機関でも容易に治療を受けられる現在の仕組みを社会基盤の一つとして次世代に引き継ぐために、どのようなビジョンと決意を持っておられるのか、国民に対する明確なメッセージをちょうだいしたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、今回の改正案の柱となる患者負担の問題についてであります。総報酬制の導入は、患者間の公平を図るために是非とも必要な改正であり、評価するものであります。
 サラリーマン本人の自己負担割合は、来年四月に二割から三割へと引き上げられることになっております。しかし、この負担割合が将来的に上がっていくというようなことになれば、国民皆保険としての機能は低下しますし、現に国民の間にはこの点に関して強い懸念があります。そこで、私ども公明党は、こうした国民の皆様方の懸念を払拭するためにも、将来にわたって三割負担を堅持し、更なる負担を求めない旨、本法案の附則に明記させたのであります。また、自治体においては、乳幼児医療費の無料化が実施されていますが、本年十月より、三歳未満の乳幼児の負担割合が入通院ともに二割になり、地方自治体にとっても負担軽減となります。これもまた、公明党の主張を取り入れていただいた結果であり、これらの点については高く評価したいと思います。
 そこで、総理に、今後、健康保険制度の抜本的改革が行われる中においても患者負担をこれ以上増やすことはないという明確な御決意を重ねて総理からちょうだいしたいと存じます。
 また、今回の患者負担の見直しによって受診抑制が働き、症状が悪化するようなことがあっては保険の趣旨からして本末転倒であります。したがって、低所得者や高齢者へのきめ細かな配慮が必要であります。
 そこで、坂口厚生労働大臣に伺います。
 本法案では低所得者への配慮、そしてまた高齢者への配慮はどのようになされているのでしょうか。また、人工透析などの難病患者の負担についても併せて御見解をお尋ねいたします。
 さて、患者に負担の増加を求める以上は保険者もコスト圧縮に努めるなどの構造改革を断行しなければなりません。中でも特に、財政基盤の弱い保険者が破綻する前に他の保険者と統合して財政基盤を強化するなど、保険者の再編が強く求められていると思います。
 そして、改革の方向性は衆議院での法案審議でかなり明らかになってまいりました。坂口大臣は、組合健康保険の規模拡大を図る一つの目安として組合員三千人以上を示唆されたほか、市町村単位になっている国民健康保険を都道府県単位に再編することも有力な選択肢であると示されたのであります。
 今後の保険者の再編につき、坂口大臣に基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 近年、民間の医療保険も大変充実をしてまいりまして、公的保険の補完から公的保険との競合へと実態が変容しているのではないかと思われます。保険者の再編の問題は医療保険の供給体制の問題に直結しておりますので、この際、民間保険と公的保険の役割分担及び医療保険の供給体制についてどのようなお考えであるのか、坂口大臣に伺っておきたいと存じます。
 本法案では、医療現場に対しても構造改革を求め、良質なサービスを提供する医療提供体制を整備しようとしております。特に、診療報酬本体の引下げについては画期的なことであって、政府の意気込みを高く評価するものであります。
 今後の検討課題として、広告規制の緩和や情報開示、行革の一環としての社会保険料徴収の一元化等が残っておりますが、この三点について坂口大臣の御見解をお伺いいたします。
 近時のIT化の流れの中で、医療機関におきましても電子レセプト等コンピューター化が進んでおります。院内感染の危険性が指摘されるたびごとにまた最新型の設備への交換を行うなど、診療コストが増加する事象も多く出てまいりました。良質の医療をいかに低コストで供給できるかが今後の重要なテーマになってまいりますが、この点に関する坂口大臣の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#46
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 風間議員にお答えいたします。
 医療制度改革に関するビジョンと決意についてでございますが、我が国は患者さんが自由に医療機関なりお医者さんを選ぶことができるし、また変えることができます。このフリーアクセスを基盤として、今後とも世界に誇るべき医療制度改革に取り組んでいきたいと思います。
 このためには、国民皆保険を堅持しつつ、公平で効率的な医療制度を実現していくことが重要であり、保健医療システム、診療報酬体系、高齢者医療制度など医療保険制度の全般にわたる見直しを行い、医療制度を将来にわたり持続可能な制度へと再構築していくことが必要であると考えております。
 患者負担をこれ以上増やすべきではないとのお尋ねでございますが、必要な医療を保障するという公的医療保険制度の役割にかんがみれば、三割負担が限界であると考えております。今回、特にその旨を明確にするために、改正法案の附則に明記したところであります。将来にわたり三割負担が維持されることが法律に明記されること自体、大変重みのあることと認識しております。
 高齢化の進展等により、今後とも医療保険の運営は厳しいものと考えますが、三割負担を堅持することを制度設計の基本の一つに据え、医療保険制度の体系の在り方等の検討を進めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(坂口力君) 風間議員にお答えを申し上げたいと思います。
 一番最初は、患者負担の見直しにおける低所得の方や高齢者などへの配慮についてのお尋ねでありました。
 今回の改革につきましては、負担能力の低い方や高齢者に対する十分な配慮を行うこととし、具体的には、低所得者について自己負担限度額を据え置くほか、高齢者につきましては、特に低い自己負担限度額が適用される対象者の範囲を大幅に拡大するとともに、高齢者の外来につきましては、一月当たりの自己負担限度額を一万二千円、低所得者の場合には八千円にとどめるなど、措置を講じたところでございます。
 また、人工透析など長期にわたる高額な治療を要する場合の自己負担限度額についても据え置くことといたしております。さらに、難病患者等につきましては、従来よりも自己負担分の相当部分が公費により補てんされているところであり、今回の改革によってもその取扱いが変わることはありません。
 今後の保険者再編についての基本的な考えはどうかというお尋ねでございますが、国民健康保険や健康保険組合では、高齢化の進展や産業構造の変化等によりまして個々の保険者の財政状況や規模に大きな格差が生じているところでありまして、保険運営の効率化及び安定化の観点から、保険者の統合再編が必要であると考えております。
 具体的には、五千を超えます保険者が分立している現状を是正をし、まずはそれぞれの制度において保険者の統合再編を進めていくことが必要であると思います。
 保険者の統合再編の具体的な目安、手順につきましては様々な考え方がございますが、医療保険制度の体系とも密接に関係しますことから、医療保険制度の体系の在り方について基本方針を策定する中で決断をし、お示ししてまいりたいというふうに思っております。
 現在、鋭意検討を進めているところでございますが、さらに具体的な問題につきましても、私の私見も交えて衆議院でも述べてきたところでございます。
 民間保険と公的保険の役割分担についてのお尋ねがありました。
 現在も公的医療保険の自己負担等を対象とする各種の民間保険商品が存在しておりますが、民間保険と公的保険については、それぞれの機能に応じて役割を果たすべきものと考えております。
 しかしながら、自助を基本とする民間保険に過度な役割を与えることは、国民に必要な医療を保障していくという観点からは適当ではなく、国民皆保険の下、国民にとって必要な医療は今後とも公的医療保険で給付していくべきであると考えているところでございます。
 こうした基本的な考え方に立ちまして、国民医療に対するニーズの多様化などを踏まえ、民間保険との適切な役割分担につきましても今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
 広告規制の緩和、情報開示、社会保険料徴収の一元化等についてのお尋ねがございました。
 今回の医療制度改革につきましては、医療に関する情報提供を推進をいたしまして、患者による選択を通じて医療の質の向上と効率化を図ることなどを重要な柱の一つと位置付けているところでございます。
 このため、本年四月から医師の専門性、手術件数等を広告できるようにしましたし、医療機関の広告規制を大幅に緩和したところでございます。本年度より、逐次インターネットを通じた公的機関による情報提供の充実を図りたいと考えておりますし、カルテ等の診察情報の開示等につきましては、検討会を設置をいたしまして、本年度中に結論を得たいというふうに思っているところでございます。
 このような取組の一環としまして、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化につきましては、平成十五年度の電子政府化に合わせ、インターネットによる届出の一元的な受付を開始すべく準備を進めますとともに、保険料の徴収につきましても一元的に行うための体制の在り方を検討しているところでございます。
 良質な医療の低コストによる供給についてのお尋ねがございましたが、少子高齢化の進行、医療技術の飛躍的な進歩、国民の意識の変化など、医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、医療提供体制については、良質な医療の確保を図りますとともに、より一層の効率化を進める必要があると考えています。
 このため、高額医療機器の共同利用など、医療機関の機能分化と連携の促進、医療情報の共有化、ネットワーク化による重複検査の防止、慢性期の入院医療を中心とした診療報酬の包括払いの拡大など、適正な費用で質の高い医療を提供するための取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 今後とも、国民が安心できる質の高い医療サービスを効率的に提供できるよう、様々取り組んでいく所存でございます。(拍手)
    ─────────────
#48
○副議長(本岡昭次君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕
#49
○小池晃君 私は、健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して、総理並びに厚生労働大臣に質問します。
 安心できる医療制度は、すべての国民に共通する願いです。その願いを踏みにじる健康保険法改悪に怒りが広がっています。しかも、衆議院では強行採決まで行われました。強く抗議するとともに、参議院ではルールを守って徹底的な審議を行うことを求めます。
 今回、とりわけ強い批判を浴びているのが健保本人の三割負担です。医療保険の患者負担を原則三割にしている国など世界のどこにもありません。既に三割になっている国民健康保険の加入者は、重い負担に耐えかねています。総理は、そもそも三割負担、三割もの患者負担を適正なものと考えているのですか。答弁を求めます。
 日本能率協会の高血圧患者アンケートによると、医療費が二割から三割負担になると、受診を控える患者比率は一三%から三〇%へ増加するといいます。
 窓口負担の引上げが受診抑制を生むことは、九七年、総理が厚生大臣時代に行った健保本人の二割負担への引上げで既に実証済みです。あの改悪で現役世代の外来患者の一二%が受診をやめたのです。更に三割に引き上げれば、一層深刻な事態になるのは明らかではありませんか。それでもあなたは必要な受診は抑制されないと言い張るのですか。
 三割負担になって、体の不調があっても病院に行くのを我慢する人が増えればどうなるか。我慢すれば病気は大抵悪くなります。重症になれば医療費は高く付きます。医療費の窓口負担の引上げが、かえって保険財政の悪化を招くのです。医療保険財政を改善するためといいながら、これこそ正に悪循環ではありませんか。
 健康保険の財政悪化が健保本人三割負担の理由とされていますが、そもそも今日の健康保険の財政破綻の原因と責任はどこにあるのでしょうか。
 第一に挙げなければならないのは、深刻な景気の悪化です。
 政府管掌健康保険の加入者一人当たりの医療費は九七年から減少しているにもかかわらず、財政が悪化を続けているのは一体なぜか。それはリストラと賃下げが広がる中で、政管健保の加入者数と保険料算定の基礎となる標準報酬月額が減り、その結果、保険料収入が九八年から連続して減少しているからにほかなりません。
 組合健康保険も同様です。健康保険組合連合会がまとめた今年度の健保組合の予算見込みによれば、財政悪化の最大の原因は、リストラや健保組合の解散により保険料収入が一千億円も減少することです。これは老人医療への拠出金の増加額である三百五十二億円をはるかに上回るのです。
 景気の悪化こそ健保財政悪化の最大の原因なのに、当座しのぎで、保険料や窓口負担を引き上げればどうなるか。個人消費を冷え込ませ、失業と倒産の連鎖を生み、健保財政を更に悪化させるだけではありませんか。
 第二に指摘しなければならないのは、国庫負担の削減です。
 政府は、九二年に政管健保への国庫負担比率を、法の本則にある一六・四%から一三%に引き下げました。財政黒字がその理由でした。その直後から財政悪化が始まったにもかかわらず、政府はこの事態を放置し続けた結果、この十一年間の国庫負担の削減額は累計で一兆六千億円に及んでいます。政管健保を危機に追い込んだ最大の責任は政府にあります。そのツケを保険料と患者負担の引上げで国民に回すことなど、断じて許されません。総理はこの責任についてどう認識しているのか、明確な答弁を求めます。
 しかも、この負担増を強行しても、政管健保財政は四年後には赤字に転落するというのですから、その場しのぎの展望なき改悪と言うほかありません。大型公共事業や軍事費の削減など、税金の使い方を変え、新たな財源を生み出し、国庫負担を引き上げて保険財政を支えてこそ、持続可能な制度になるのではないですか。
 現役世代と並んで七十歳以上の高齢者にも、定額制の廃止と負担上限の大幅引上げという過酷な負担増が待ち受けています。
 政府は、高齢者の経済的地位が向上しているなどとして、負担増を合理化しています。しかし、先日政府自身が発表した高齢社会白書でも、六十五歳以上の女性の一七%が「所得なし」で、女性単独世帯の所得は平均でわずか百七十二万円、さらに独り暮らし高齢者は持家率も低いことが報告されています。高齢者の所得格差は深刻です。こうした実態を無視して、日本の高齢者が豊かであるとは到底言えないのではありませんか。
 高齢者を直撃するのは負担増だけではありません。いったんは負担上限を超えても窓口で全額を支払い、その後の申告で返還されるという償還払い制の導入です。このように、重い負担と複雑な手続を高齢者に強いることは撤回すべきではありませんか。併せて厚生労働大臣の答弁を求めます。
 日本共産党は、安心できる医療制度のため、次の三つの方向を提案しています。
 第一に、削られた国庫負担の割合を引き上げることです。
 深刻な医療制度の危機は、政府が国庫負担を減らし続けた結果にほかなりません。一九八〇年には国民医療費の三〇%だった国庫負担は、九九年には二五%に低下しました。一方、保険料と窓口負担を合わせた家計の負担は、四〇%から四五%に増えています。国民医療費三十兆円のうち、一兆五千億円の国庫負担が家計の負担に置き換えられたことになります。これを計画的に元に戻すことを検討すべきではないですか。
 第二に、高過ぎる薬価を欧米並みに引き下げることであります。
 医療費に占める薬剤費の比率は近年低下していますが、欧米諸国に比べるとまだまだ高い水準です。新薬に依存する構造が変わっていないからです。例えば、九年以内に薬価収載された新薬の比率は、ドイツの一〇・四%に対し、日本は三三・六%と三倍を超えています。先日、国立病院での新薬偏重を是正する通達も出されましたが、この際、徹底的に新薬の価格と新薬依存の構造にメスを入れ、薬剤費の大幅な削減を図るべきではないですか。政府は今後、薬剤費をどこまで削減するつもりか、伺います。
 併せてお聞きします。二〇〇〇年度に自民党は製薬企業から合計二億円の政治献金を受けています。国民に痛みをと言うなら、公的医療保険財政に支えられている製薬企業からの献金は、まず真っ先に禁止すべきではありませんか。
 第三に、病気の予防、早期発見、早期治療を保障する体制を確立することです。窓口負担増で早期受診を抑える健保改悪など、最悪の選択と言わねばなりません。
 小泉内閣が発足してから景気は加速度的に悪化しています。失業率は五%を超え、今年に入ってからの倒産件数は戦後最悪を更新する勢いです。そして、消費支出は前年から二・一%の実質減少。こうした時期に、一兆五千億円を超える国民負担増をもたらす健康保険法の改悪を提起するなど、無謀と言うほかありません。
 総理、あなたは、九七年、厚生大臣だったときにも健保改悪で景気を悪化させました。過ちを繰り返すのではなく、直ちに改めるべきです。反対署名は二千六百万人、地方議会の意見書は六百自治体に上ります。総理はこの国民の声にこそ耳を傾けるべきではありませんか。明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#50
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小池議員にお答えいたします。
 三割負担は医療保険の自己負担割合として適正か、また、自己負担の引上げが受診抑制や保険財政悪化を招くのではないかというお尋ねであります。
 患者負担については、制度間、世代間を通じた給付率の統一を図り、公平で分かりやすい給付体制の実現を図るとともに、厳しい医療保険財政の下、制度運営の安定を確保していくため、患者、加入者、医療機関の関係者にひとしく痛みを分かち合っていただくことが必要であり、お願いしているところであります。
 我が国の場合、高額療養費制度というものがあります。患者負担に一定の歯止めを設け、重い病気などの場合に著しい負担増が生じない特別の措置が設けられているところであります。先進諸国と比べ、必ずしも我が国の患者負担が突出しているとは考えておりません。
 また、三割負担の導入に当たっては、薬剤一部負担を廃止するとともに、患者負担に対する一定の歯止めとともに、特に低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行っていること、また、既に三割負担の国民健康保険や被用者保険の家族外来において受診抑制がなされていることはないことから、必要な医療が抑制されることはなく、また保険財政の悪化につながることもないと考えております。
 保険料や窓口負担の引上げと財政悪化についてのお尋ねですが、今回の改革は国民皆保険を守りつつ持続可能な医療保険制度を構築していこうというものであります。短期的には痛みを伴うものでありますが、中長期的には保険料負担の上昇をできるだけ抑え、全体として将来の国民負担の増加を抑制するものであり、経済面も含め国民全体にとってプラスになるものと考えております。
 政府管掌健康保険の財政悪化の責任についてでございますが、政府管掌健康保険については、高齢化の進展等により医療費が増加する一方、経済の低迷に伴い保険料収入が伸び悩んでいることから、近年大幅な赤字が生じております。これまでは保険料の引上げによることなく積立金の取崩しにより対処してきましたが、今年度末にはいよいよ積立金もほぼ底をつく見込みであり、改革は待ったなしの状況となっております。このため、保険料の引上げや三割負担の導入など収支両面にわたり見直しを行い、財政の安定化を図ることが政府の責任と考えております。
 政府管掌健康保険に対する国庫補助の引上げ及び医療費の国庫負担割合の見直しについてですが、医療費の国庫負担については、これまでも医療保険制度の円滑な運営を図るために必要な額を確保してきており、十四年度予算においても、公共事業は一〇%削減する一方、医療費の国庫負担は、二十年前と比較すると、国の一般歳出の予算額は約一・五倍しか伸びていない中で、約二倍の七兆五千億円となっております。
 さらに、今回の改革においては、保険財政の安定的な運営を確保する観点から、高齢者医療制度について、対象年齢を七十五歳に引き上げるとともに、公費負担割合を三割から五割に引き上げ、保険者にとって重荷となっている老人医療費拠出金の圧縮を図ることとしているところであり、政府管掌健康保険の国庫補助を引き上げることは困難と考えております。
 今後とも、保険料、公費、患者負担を適切に組み合わせることにより必要な財源の確保を図ってまいります。
 薬剤費についてですが、これまで講じてきた様々な適正化対策の結果、薬剤費比率は過去十年間で三〇%から二〇%へと大幅に低下し、外来薬剤費で見た場合、既に欧米並みになっております。
 平成十四年度の薬価改定においても、市場実勢価格に基づく通常の引下げに加えて、いわゆる先発品の薬価について新たに平均五%の引下げを行うとともに、新規性の乏しい新薬についても価格の適正化を図ったところであります。また、後発品の普及促進の観点から、今般の診療報酬改定においては、後発品を処方した場合の評価を充実するなどの措置も講じたところでありますが、今後とも、更なる薬剤費の適正化を進めてまいります。
 製薬企業からの政治献金の禁止についてでございますが、私どもは、企業献金は必ずしも悪とは考えておりません。政党が一定の規制の下で政治献金を受けること自体が悪いという考え方に立つのではなくて、どのように政治活動のための資金を調達するか、透明性、これを図ることが大事でありまして、私は、その一定の規制というのはどういうような規制がいいかと、今後とも各党間で議論を進めていくべき、慎重に検討すべきものと考えております。
 改革に伴う国民の負担増についてのお尋ねでありますが、国民皆保険を守っていくためには、患者、加入者、医療機関といった関係者にひとしく痛みを分かち合っていただくことは避けられません。これまでにない診療報酬の引下げを行うとともに、高齢者やサラリーマンの方々についても応分の負担をお願いすることが必要と考えております。
 こうした改革は、保険料負担の上昇をできるだけ抑え、全体として将来の国民負担の増加を抑制するものであり、医療保険制度の持続可能性を高め、中長期的には経済面も含め国民全体にとってプラスになるものと考えております。
 今回の改革は、将来にわたる我が国の世界に誇るべき医療制度を守っていくためのものであり、国民の皆様にも御理解いただけるものと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(坂口力君) 小池議員にお答えを申し上げたいと思います。
 小池議員からは二問ちょうだいをいたしまして、高齢者の所得等の状況についてのお尋ねと、もう一つは、併せて高齢者医療制度の患者負担についてのお尋ねがございました。類似の質問でございますので、一つにまとめてお答えをさせていただきますので、お許しをいただきたいと思います。
 近年、年金制度の成熟化等によりまして高齢者の経済的地位は向上してきており、平均的に見ますと、所得水準、資産、消費など、いずれの面におきましても現役世代と遜色のないものになってきております。
 もとより、高齢者の中には負担能力の低い方々も存在していることは十分に存じており、患者負担の見直しに当たりましても、低所得の方々への十分な配慮が必要であると考えているところでございます。
 高齢者医療制度を持続可能なものとするためには、高齢者の方にも応分の負担をお願いをして、現役世代と負担を分かち合っていただくことが必要であると考えております。
 今回の改正案におきましては、現役世代の負担とのバランスを考慮いたしまして、高齢者の医療費につきましても定率一割負担を徹底をし、高齢者の方にも応分の御負担をお願いすることといたしております。
 その一方、その際には、外来におきまして入院と比べ低い限度額を設けるとともに、低所得者につきましては、入院時の自己負担について限度額を据え置きますとともに、特に低い額が適用される方の範囲を大幅に拡大するなど、きめ細かな配慮を行うことといたしております。
 また、現役世代と同じく、窓口負担が限度額を超えた場合には償還をすることとしておりますが、対象者が高齢者であることにかんがみ、制度を知らない、あるいはまた手続上の過重な負担によって支給を受けられないといったようなことがないように、十分な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#52
○副議長(本岡昭次君) 森ゆうこ君。
   〔森ゆうこ君登壇、拍手〕
#53
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこです。
 鈴木宗男議員が逮捕されました。百五十四国会が一月に始まって以来、辻元清美さん、加藤紘一さん、井上裕さん、田中眞紀子議員、国会議員の政治とお金にまつわる不祥事は、実に半年で五人です。特に、井上前参議院議長の不祥事は憲政史上類を見ない事件で、参議院の権威は失墜し、いまだに真相は解明されていません。
 国会に対する国民の不信は子供たちにまで浸透してしまいました。政治家はみんな悪いことをするんだね、結局みんな鈴木宗男になるんでしょうと言われ、私は言葉を失いました。
 我々国会議員は国民の負託、つまり信頼を得ているからこそ国の制度、ルールを作らせてもらえるのです。国民の信頼を失った国会の場で、一体何を議論し、何を決めようとしているのですか。
 無理やり会期延長し、その上強行採決までして健保法を成立させようとするのはなぜでしょう。信頼を失った国会で何を決めても、国民の意思を反映したとは言えません。解散・総選挙で国民の信を問うべきではありませんか。小泉総理の御決断を伺います。
 そもそも、今回の健保法改正案は、本則で負担増を決め、附則で医療制度改革を検討するとなっていますが、これは本末転倒ではありませんか。
 平成九年の健保法改正で二割負担に引き上げたときにも、医療制度改革は早急に行うと言って負担増を先に決めましたが、結局、その後平成十年、十二年と、二度も何ら改革はなされず、国民に負担増だけを押し付けたことになりました。
 二度も約束をほごにされた国民をまただますのですか。しかも、小泉総理は当時の担当大臣ではありませんか。小泉厚生大臣としての反省も踏まえ、なぜ制度改革を後回しするのかを伺います。
 また、坂口厚生労働大臣、当初は負担増よりも医療制度の抜本改革を先にと強く主張していたのに、なぜ心変わりをしてしまったのでしょうか。どのような理由で政策転換されたのか、お答えください。
 本来は制度改革こそ先行すべきで、国民も新制度が納得のいくものなら負担増も受け入れるでしょう。国民に負担増を求める前に我々国会で新しい制度を示さなければ、国会は本来の仕事を放棄したことになります。この国は、官僚制度維持、健康保険制度維持のためにあるのではありません。日本人一人一人が幸福に生活するために国があるのです。制度維持のために国が滅びることはあってはなりません。
 今、我々が議論しなければならないのは、超少子高齢社会において、国民全員がいつでも必要な医療を受けることができる国民皆医療制度であって、国民皆保険はその一つの手段にすぎません。
 そもそも、今回の健保法改正案は、医療制度改革でも何でもなく、健保制度維持のための財政措置、単なる数字合わせにすぎないというのが国民の多数意見です。単なる財政措置、財政政策にしても、最悪の失政と言えます。平均株価が下がり続ける今、この健保法改正案は、国民の負担増一兆円という大幅増税と同様のネガティブメッセージを市場に送ることになるからです。
 しかも、国民の負担増は、今回の健保法改正案だけではありません。来年、初の改定を迎える介護保険料も、軒並み値上げせざるを得ない自治体が大半です。介護保険制度に関し政府には何の危機感もないようですが、自治体の介護保険が赤字になっていることを示す財政安定化基金の貸付状況は、初年度七十八団体であったものが、二年目の平成十三年には三百九十団体と六倍となり、介護サービス給付の伸びを勘案すると、今年中に赤字の自治体の大幅な増加が見込まれます。そして、来年の改定では基金からの借入分を上乗せして保険料を算出することが定められていますから、例えば、月額三千八百円の介護保険料を実に五千五百円に値上げせざるを得ないと見込んでいる自治体もあります。また、先日は、雇用保険の保険料を月収の一・四%に引き上げるとの方針が発表されました。そして、年金保険料徴収方式の総報酬制も実施されます。
 来年、国民の社会保障関連負担は一体幾らになるのでしょうか。来年の夏のボーナスが大幅に差し引かれているのを見て真っ青になるサラリーマンの顔を、私は思い浮かべたくもありません。政府の皆さんは、縦割り行政でそれぞれの制度ごとの増額分は微々たるものと考えているのでしょうが、負担を強いられる国民の財布は一つです。我々国民にとっては負担の総額が問題なのです。
 来年の夏のボーナスの天引き額を見てから気付くのでは遅いので、社会保障費負担の総額を、総理、そして厚生労働大臣、今、国民に明確にお示しください。
 小泉総理、経済の混迷する中、国民の負担増だけを求める、こんなデフレインパクトの強い政策を今実行して本当にいいんですか。せっかく上向き掛けた景気をどん底に陥れ、金融危機を招いた橋本内閣のあの失政をまた繰り返すのですか。反省はないのでしょうか。
 小泉総理に伺います。今回、社会保障費の国民負担を引き上げることで実体経済にどのような影響が出るか、政府はシミュレーションをしましたか。
 今回のような国民生活・経済に大きく影響する政策を議論する場合は、まず、木を見て森を見ずとならないよう、経済全体への影響を政治家が見通すべきです。単に官僚がそれぞれの組織のテリトリーを維持し正当化するためだけに一生懸命に数字合わせをするのでは、木を見て森を見ずです。なぜ森を見ないのですか。私、森ゆうこは、今回の健保法改正は、健康保険制度という木のために日本国という森を忘れた単なる制度維持の方便だと思います。
 官僚がそれぞれのテリトリーでの数字合わせをするのが仕事なら、そのデータを基に全体像を示すのが政治の役割ではないですか。現在の国民皆保険制度そのものにこだわることなく、これから日本が世界に先駆け迎える超少子高齢社会において、国民全員がいつでも必要な医療を受けることができる国民皆医療制度をどのようにお考えか、総理の見解を伺います。
 今回の健保法改正案は、高度経済成長を終え、超少子高齢の新しい社会構造に直面し、完全に制度疲労を起こしている我が国の医療制度を抜本的に改革するものでは決してありません。そして、この負担増のみを決める法案の成立は、混迷している我が国の経済に壊滅的な打撃を与えるものであることを私は強く主張します。
 再度申し上げますが、今、我々が議論しなければならないのは、超少子高齢の二十一世紀の日本で、だれもがその人らしく生き生きと暮らせる健康な社会とはどうあるべきかであって、単なる制度そのものの維持を目的とした数字合わせのための負担増を総理大臣のメンツにこだわって無理やり押し通すことではありません。
 今、私は恐れています。近い将来、子供たちにこう言わなければならないのではないかと。お母さんたちの時代は良かった、戦後の復興を成し遂げてくれた先輩たちのおかげで日本は豊かで安全な国だった。世代の責任として改革の一端を担わなければならないと、あなたたちに寂しい思いをさせてまで国会議員になったのに、鈴木宗男モデルとも言える政治の構造的腐敗を正すこともできなかった。そして、改革なくして成長なしと、掛け声だけで国民の人気者となった小泉首相は、結局、国民を欺いたまま何もできずに、日本経済を改革の余力も残さないほどめちゃくちゃにしてしまったと。
 最後に、私はいかなる手段を講じてもこの法案を廃案にすることこそ国民生活と日本経済に必要であると申し上げて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#54
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 森議員にお答えします。
 解散はするかということでございますが、現在、解散する気はありません。改革を進め、実績を積んで、しかるべきときに国民に信を問います。
 平成九年の改正の反省を踏まえ、国民に負担を求める前に医療制度改革を進めるべきだというお尋ねでございますが、平成九年以降、薬価や診療報酬、医療提供体制、高齢者の患者負担などの改革を着実に進めてまいりました。
 今般の改革においては、国民皆保険を守っていくため、患者、加入者、医療機関といった関係者にひとしく痛みを分かち合っていただくことは避けられないという観点から、これまでにない診療報酬の引下げを行ったほか、後期高齢者への施策の重点化や給付率の七割への統一など、思い切った改革を行うこととしたものであります。
 また、医療保険制度の体系、高齢者医療制度、診療報酬体系の見直しなどの諸課題についても国民に三割負担をお願いする十五年四月前の本年度中に改革の基本方針を策定し、順次改革を実施に移してまいります。
 このように、今回の改革は当面の保険財政の安定と将来の医療保険制度の構造改革を一体的に推進しようとするものであります。
 社会保障全体の、来年度以降の社会保障負担についてのお尋ねでありますが、具体的な社会保障負担の総額については厚生労働大臣から答弁しますが、今後の急速な少子高齢化の進展に伴い、社会保障に要する国民負担の上昇は避けられないと私は思っております。このため、適切な給付と負担の水準を確保し、そのバランスを図りつつ、社会保障制度が経済と調和し、将来にわたり持続可能なものとなるよう再構築することによって国民負担の上昇を極力抑制していくことが重要と考えており、引き続き、制度の合理化、効率化を含め、更なる社会保障制度の改革に取り組んでまいります。
 三割負担の導入が経済全体に与える影響についてですが、今回、三割負担の導入を始め、実施することによりまして、保険料負担の上昇をできるだけ抑えることが可能になるとともに、適切な患者負担を通じて医療費の効率化に寄与することになるなど、中長期的には医療保険制度の持続可能性を高め、全体として将来の国民負担の増加を抑制するものであり、経済面も含め、国民全体にとってプラスになるものと考えております。
 実体経済への影響については、我が国の経済社会全体として様々な要因を考慮する必要があること、仮に三割負担を実施しない場合には更なる保険料の引上げなど別の形で負担が生ずることから、三割負担を導入するか否かという点のみを取り出してシミュレーションを行うことは困難であると考えております。
 国民皆保険と医療制度改革についてでありますが、我が国は患者が自由に医療機関を選択できるフリーアクセスを基盤としてすべての国民に必要な医療を保障し、世界に誇るべき医療を築き上げてきたところであります。医療制度改革はこうした我が国の医療制度の成果を今後とも引き継いでいくためのものであり、国民皆保険を堅持するため、医療保険制度の持続可能性を高めていくことが極めて重要な課題であると考えております。
 今後、医療保険制度の体系の在り方、高齢者医療制度の在り方、診療報酬の体系の在り方等の諸課題について改革を行い、医療制度を将来にわたり持続可能な揺るぎない制度へと再構築してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#55
○国務大臣(坂口力君) 森議員にお答えを申し上げたいと思います。
 まず最初に、負担増と医療制度の抜本改革についてのお尋ねがございました。
 今後、いまだ経験したことのない少子高齢社会を迎えます中で、医療制度を将来にわたり持続可能な揺るぎない制度へと再構築していくためには、三割負担の導入や保険料の引上げ等の改革と併せて、今回の法案の附則に盛り込まれました事項を実現することが重要であると考えております。
 今回の法案を取りまとめるに当たりまして、政府・与党内で様々な議論を重ねる中で、制度の根本的な課題に正面から取り組んでいくためには、明確に期限を区切り、国民に負担をお願いするまでの間に改革の基本的方針を示すことが妥当であると考えたところであります。
 本法案の早期成立を図り、さらに、改革の実現に向けて、これを先送りすることなく、国民の理解を得ながら不退転の決意で取り組んでいきたいと考えているところであります。
 社会保障負担の総額についてのお尋ねがございました。
 新しい人口推計等を盛り込んで改訂しました「社会保障の給付と負担の見通し」によりますと、社会保障全体における負担総額は、保険料、公費を含めまして、二〇〇五年には八十六兆から八十七兆、そして二〇一〇年には百三兆から百四兆円、そして二〇二五年には百八十兆から百八十二兆円になると見込んでおります。
 来年度の社会保障の負担額については、医療については負担増を伴いますが、個人ごとの賃金額によって異なりますし、また、介護や雇用保険における保険料はまだ決定いたしておりません。具体的な額を全体で幾らになるか明らかにすることは、今のところ、できない状態でございます。
 なお、医療や年金について言えば、総報酬制の導入によりまして、ボーナスにおける負担額は増えますものの、月々の負担額は減少することになります。
 以上、御答弁を申し上げました。(拍手)
#56
○副議長(本岡昭次君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#57
○副議長(本岡昭次君) この際、共生社会に関する調査会長から、共生社会に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○副議長(本岡昭次君) 御異議ないと認めます。共生社会に関する調査会長小野清子君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔小野清子君登壇、拍手〕
#59
○小野清子君 共生社会に関する調査会における中間報告の概要について御報告申し上げます。
 本調査会は、第百四十三回国会において設置された第一期の調査会に引き続き、第百五十二回国会の平成十三年八月に設置されました。
 調査テーマにつきましては、前期の調査会の設置目的等も参考とし、「共生社会の構築に向けて」と定めました。具体的な調査事項としては、調査会委員の自由討議を踏まえ、緊急対応が必要な「児童虐待防止に関する件」を取り上げて調査を行うとともに、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律施行後のフォローアップ調査も行ってまいりました。
 その結果、児童虐待防止についての提言を含めた中間報告書を取りまとめ、去る六月十二日、議長に提出いたしました。
 以下、その主な内容について御報告申し上げます。
 まず、児童虐待防止に関する政府等の取組について、平成十三年十一月十九日に内閣府、文部科学省、厚生労働省から、また、二十一日には法務省、警察庁、最高裁判所から、それぞれ説明を聴取し、質疑を行いました。
 次に、平成十三年十二月三日以降、三回にわたり参考人の出席を求め、児童虐待防止の現状と課題について意見を聴取し、質疑を行いました。
 参考人からは、児童虐待の発生予防のための教育や母子保健の役割の見直し、虐待の早期発見・早期対応が可能となる体制の構築、被虐待児のケアと親の養育能力回復の方策等について意見が述べられました。
 平成十四年四月十日、これら参考人質疑等を通じて得られた児童虐待防止に向けての諸課題について、再度、政府に対し質疑を行いました。
 さらに、児童虐待問題に対する調査会委員の認識の共有化を図るとともに、今後の取組の方向性を見いだすため、委員間の自由討議を五月八日に行いました。
 調査会委員からは、児童虐待問題への取組といたしまして、予防、早期発見・早期対応のための体制整備、児童相談所を始めとする関係機関の充実強化、被虐待児及び虐待を行った親等に対する心のケアに関する施策充実の必要性、虐待防止に向けての法的整備を更に進める必要性等が指摘されました。
 このほか、平成十四年二月二十七日、第一期の共生社会に関する調査会において起草・提出し、平成十三年十月十三日から施行されている配偶者暴力防止法施行後のフォローアップ調査のため、内閣府、法務省、厚生労働省、警察庁、最高裁判所からそれぞれ説明を聴取し、質疑を行いました。
 我が国においては、平成十二年十一月二十日から、児童虐待の防止等に関する法律が施行され、国民の関心が高まっておりますが、児童虐待に関する相談件数が急増する中、児童相談所の対応がこれに追い付かないなど、児童虐待を取り巻く環境は極めて深刻な状況にあります。
 児童虐待は二十一世紀を担う子供の人権侵害であるばかりではなく、その生命の危機にもつながりかねない重要な問題であり、虐待を防止し、適切な対応を図っていくことは、児童の権利に関する条約の趣旨に照らしても喫緊の課題であるとの認識の下、本調査会として意見を集約し、五項目の提言を取りまとめることにいたしました。
 その第一は、児童虐待の発生予防対策の充実として、学校教育における異年齢交流の場の確保や子供自らが自分自身の身を守るような教育の推進、子育て中の親同士が交流・情報交換できるような場の確保、子育て世代の親がゆとりを持って育児にいそしめるような労働時間短縮等による労働環境の整備、母子保健施策の重要な役割を果たす保健師に対する教育・研修の実施による資質向上と人員の確保、妊産婦健診、周産期診療や乳幼児健診の場を通じたハイリスク妊産婦の把握体制の構築などであります。
 第二は、児童虐待を早期発見・早期対応できる体制の確立として、乳幼児健診に来ない家庭への保健師等の積極的訪問による育児状況の把握の必要性、職務上虐待を発見しやすい立場にある者への通告義務の周知徹底、通告を受けた場合の児童相談所の安全確認までの期間の明確化の検討、虐待相談件数の増加等に伴う児童福祉司、児童相談所職員等の負担軽減のための増員、市町村における虐待防止ネットワークの構築の一層の推進などであります。
 第三は、被虐待児への支援体制の確立等として、子供の心の健全な発育のため、保育所、幼稚園、小学校等における被虐待児への適切な対応方策の検討、施設からの一時帰宅や入所措置解除に際しての客観的な基準と手続に関するガイドラインの策定の促進、被虐待児の家庭的養護の比率を高めるための非養子型里親制度の拡充・多様化の推進、虐待する親の養育能力を回復させるための治療・指導プログラムの早期確立の必要性などであります。
 第四は、性的虐待への適切な対応として、性的虐待を受けた子供の心身のケアの充実、子供の事情聴取が困難であることに配慮した刑事司法手続の検討及び二次的被害の防止のための関係職員の教育・研修の充実の必要性であります。
 第五は、児童虐待の防止等に関する法律等の見直しに当たって、子供の人権尊重の理念の明文化を始め、児童虐待の発生予防、早期発見・早期対応、被虐待児への支援等が適切に図られるための十分な検討の必要性などであります。
 以上が本調査会の調査の経過及び結果でありますが、家庭は子供にとって安心できる場所であるはずにもかかわらず、そこで虐待を受け、時には命さえも奪われるという事例に接するとき、改めて子育てを社会全体で支えていくことの必要性を痛感するところであります。
 二十一世紀の早い段階で児童虐待を克服し、子供を健全に育成していくことが、我が国の将来にとって、また世代間の共生実現のためにも不可欠であると考えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#60
○副議長(本岡昭次君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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